JP2005019130A - 色素増感光電変換素子 - Google Patents

色素増感光電変換素子 Download PDF

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JP2005019130A
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Masaaki Ikeda
征明 池田
Koichiro Shigaki
紫垣晃一郎
Teruhisa Inoue
照久 井上
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Abstract

【課題】特定の部分構造を有する色素により増感された半導体微粒子を用いた、安価で変換効率の良い光電気変換素子及び太陽電池の開発。
【解決手段】式(1)で表されるメチン系色素を担持せしめた有機色素増感半導体微粒子薄膜を有する光電変換素子を用いた太陽電池。
Figure 2005019130

(式中、R1は水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基又はアルコキシル基を表す。X1及びX2は酸素原子、硫黄原子又はNR2を表す。X3は酸素原子、硫黄原子、NR2、ジシアノメチル基又は複素環を表す。このときR2は水素原子又は芳香族炭化水素残基、脂肪族炭化水素残基を表す。A1及びA2、A3は水素原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子、芳香族炭化水素残基、複素環残基又は脂肪族炭化水素残基を表す。Yは芳香族炭化水素残基、複素環残基又はアミノ基を表す。nは0〜3の整数を示す。)
【選択図】なし

Description

【0001】
【本発明の属する技術分野】
本発明は有機色素で増感された光電変換素子及び太陽電池に関し、詳しくは特定の骨格を有する色素によって増感された酸化物半導体微粒子を用いることを特徴とする光電変換素子及びそれを利用した太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油、石炭等の化石燃料に代わるエネルギー資源として太陽光を利用する太陽電池が注目されている。現在、結晶又はアモルファスのシリコンを用いたシリコン太陽電池、あるいはガリウム、ヒ素等を用いた化合物半導体太陽電池等について盛んに高効率化など、開発検討がなされている。しかしそれらは製造に要するエネルギー及びコストが高いため、汎用的に使用するのが困難であるという問題点がある。また色素で増感した半導体微粒子を用いた光電変換素子、あるいはこれを用いた太陽電池も知られ、これを作成する材料、製造技術が開示されている。(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2を参照) この光電変換素子は酸化チタン等の比較的安価な酸化物半導体を用いて製造され、従来のシリコン等を用いた太陽電池に比べコストの安い光電変換素子が得られる可能性があり、またカラフルな太陽電池が得られることなどより注目を集めている。しかし変換効率の高い素子を得るために増感色素としてルテニウム系の錯体が使用されており、色素自体のコストが高く、またその供給にも問題が残っている。また増感色素として有機色素を用いる試みも既に行われているが、変換効率、安定性、耐久性が低いなどまだ実用化には至っていないというのが現状であり、更なる変換効率の向上が望まれている(特許文献2を参照)。またこれまでメチン系の色素を用いて光電変換素子を作成した例も挙げられ、特にメロシアニン系の色素は比較的検討例が多く上がっているが(特許文献4,5,6を参照)、更なる安定性及び変換効率の向上が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】
特許第2664194号公報
【特許文献2】
特開平11−273754号公報
【特許文献3】
WO2002011213号公報
【特許文献4】
特開平8−81222号公報
【特許文献5】
特開平11−214731号公報
【特許文献6】
特開2001−52766号公報
【0004】
【非特許文献1】
B.O’Regan and M.Graetzel Nature, 第353巻, 737頁 (1991年)
【非特許文献2】
M.K.Nazeeruddin, A.Kay, I.Rodicio, R.Humphry−Baker, E.Muller, P.Liska, N.Vlachopoulos, M.Graetzel, J.Am.Chem.Soc., 第115巻, 6382頁 (1993年)
【非特許文献3】
W.Kubo, K.Murakoshi, T.Kitamura, K.Hanabusa, H.Shirai, and S.Yanagida, Chem.Lett., 1241頁(1998年)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
有機色素増感半導体を用いた光電変換素子において、安価な有機色素を用い、変換効率の高い実用性の高い光電変換素子の開発が求められている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を解決するために鋭意努力した結果、特定の色素を用いて半導体微粒子を増感し、光電変換素子を作成する事により変換効率の高い光電変換素子が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は
(1)式(1)で表されるメチン系の色素によって増感された酸化物半導体微粒子を用いることを特徴とする光電変換素子、
【0007】
【化3】
Figure 2005019130
【0008】
(式(1)中R1は水素原子、ヒドロキシル基、置換基を有しても良いアルキル基又は置換基を有しても良いアルコキシル基を表す。X1及びX2はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子又はNR2を表す。X3はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、NR2、ジシアノメチル基又は置換基を有しても良い複素環を表す。このときR2は水素原子又は置換基を有しても良い芳香族炭化水素残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。A1及びA2、A3はそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基、置換基を有しても良い複素環残基又は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。Yは置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基、置換基を有しても良い複素環残基又は置換基を有しても良いアミノ基を表す。nは0〜3の整数を示す。またnが2以上でA2及びA3が複数存在する場合、それぞれのA2及びそれぞれのA3は互いに同じか又は異なってもよい。またA1及びA2若しくはA2が複数存在する場合にはそれぞれのA2及びA3若しくはA3が複数存在する場合にはそれぞれのA3及びYの一部分のうち複数を用いて置換基を有してもよい環を形成してもよい。)
(2)式(1)で表される化合物のX1が酸素原子、X2及びX3が硫黄原子である(1)記載の光電変換素子、
(3)式(1)で表される化合物のR1が置換基を有しても良いアルコキシル基である(1)又は(2)記載の光電変換素子、
(4)式(1)におけるYが下記式(2)で示される基である(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の光電変換素子、
【0009】
【化4】
Figure 2005019130
【0010】
(式(2)中、Zは置換基を表し、複数個あっても良く、複数個存在するときは同じでも異なってもよく、互いに連結して又はR3、R4と置換基を有してもよい環を形成しても良い。R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基又は置換基を有してもよい複素環残基を表す。)
(5)式(1)におけるYが置換基を有してもよい複素環残基である(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の光電変換素子、
(6)(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の1つ以上の色素並びに金属錯体及び他の構造を有する有機色素によりなる群から選ばれた化合物の1種以上の化合物により増感された酸化物半導体を用いることを特徴とする光電変換素子、
(7)酸化物半導体微粒子が二酸化チタンを必須成分として含有する(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の光電変換素子、
(8)酸化物半導体微粒子に包摂化合物の存在下、色素を担持させた(1)乃至(7)のいずれか一項に記載の光電変換素子、
(9)酸化物半導体微粒子の薄膜に色素を担持させて得られる(1)乃至(8)のいずれか1項に記載の光電変換素子、
(10)(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の光電変換素子を用いる事を特徴とする太陽電池、
(11)式(1)で表される色素により増感された酸化物半導体微粒子、
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明の光電変換素子は下記一般式(1) で表される色素よって増感された酸化物半導体を用いる。
【0012】
【化5】
Figure 2005019130
【0013】
(式(1)におけるA1、A2及びA3はそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基又は置換基を有しても良い複素環残基を表す。
【0014】
芳香族炭化水素残基とは、芳香族炭化水素環から水素原子1個を除いた基を意味する。芳香族炭化水素環としては例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、インデン、アズレン、フルオレン、ペリレン等が挙げられ、これらは前記したように置換基を有してもよい。通常炭素数5乃至16の芳香族炭化水素環(芳香族炭化水素環及び芳香族炭化水素環を含む縮合環)を有する芳香族炭化水素残基であることが好ましい。
脂肪族炭化水素残基としては飽和及び不飽和の直鎖、分岐及び環状の脂肪族炭化水素から水素原子1個を除いた基を意味する。炭素数は1から36が好ましく、さらに好ましくは炭素数が1から20であるものが挙げられる。環状のものとして例えば炭素数3乃至8のシクロアルキルなどが挙げられる。具体的な例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、オクチル基、オクタデシル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、プロペニル基、ペンチニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、イソプロペニル基、イソへキセニル基、シクロへキセニル基、シクロペンタジエニル基、エチニル基、プロピニル基、ペンチニル基、へキシニル基、イソへキシニル基、シクロへキシニル基等が挙げられ、これらはさらに上記の基などで置換されていてもよい。
【0015】
複素環残基とは複素環化合物から水素原子1個を除いた基を意味する。複素環化合物としては例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピラゾール、ピラゾリジン、チアゾリジン、オキサゾリジン、ピラン、クロメン、ピロール、ピロリジン、ベンゾイミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、ジアゾール、モルホリン、インドリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、チアジン、チアゾール、インドール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、インドレニン、ベンゾインドレニン、ピラジン、キノリン、キナゾリン、カルバゾール等が挙げられる。又これらは前記したように置換基を有しても良い。
ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等の原子が挙げられる。
【0016】
置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、置換基を有しても良い複素環残基における置換基としては、特に制限はないが、アルキル基、アリール基、シアノ基、イソシアノ基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ニトロ基、ニトロシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、スルホ基、リン酸基、リン酸エステル基、置換もしくは非置換メルカプト基、置換もしくは非置換アミノ基、置換もしくは非置換アミド基、置換基を有しても良いアルコキシ基、置換基を有しても良いアリールオキシ基、置換カルボニル基等が挙げられる。
アルキル基としては置換基を有してもよい直鎖、分岐及び環状のアルキル基が挙げられ、炭素数は1から36が好ましく、さらに好ましくは置換基を有しても良い飽和の直鎖アルキル基で、炭素数は1から20であるものが挙げられる。環状のものとして例えば炭素数3乃至8のシクロアルキルなどが挙げられる。これらのアルキル基は上記の置換基(アルキル基を除く)で更に置換されていてもよい。代表的な例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、オクチル基、オクタデシル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0017】
アリール基としては、前記芳香族炭化水素残基の項で挙げられる芳香族炭化水素環から水素原子をとった基等が挙げられる。アリール基は更に上記の基などで置換されていてもよい。ハロゲン原子としては前述と同様で良い。リン酸エステル基としてはリン酸(炭素数1乃至4)アルキルエステル基などが挙げられる。置換もしくは非置換メルカプト基としてはメルカプト基、アルキルメルカプト基などが挙げられる。
置換もしくは非置換アミノ基としてはアミノ基、モノ又はジメチルアミノ基、モノ又はジエチルアミノ基、モノ又はジプロピルアミノ基等のアルキル置換アミノ基、モノ又はジフェニルアミノ基、モノ又はジナフチルアミノ基等の芳香族置換アミノ基、モノアルキルモノフェニルアミノ基等のアルキル基と芳香族炭化水素残基が一つずつ置換したアミノ基又はベンジルアミノ基、またアセチルアミノ基、フェニルアセチルアミノ基等が挙げられる。又、隣接する置換基又は核と結合してジュロリジン等の置換基を有しても良い環を形成しても良い。置換もしくは非置換アミド基としてはアミド基、アルキルアミド基、アリールアミド基等が挙げられる。
【0018】
アルコキシ基とは、前記脂肪族炭化水素残基と酸素原子との結合によりなる基を意味し、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。また、アリールオキシ基とは、前記芳香族炭化水素残基と酸素原子との結合によりなる基を意味し、フェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。これらは前記したような置換基を有しても良い。置換基としては、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基の項で述べたものと同様でよい。置換カルボニル基としてはカルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基及びアシル基等が挙げられる。カルボキシル基、スルホ基及びリン酸基等の酸性基及びヒドロキシル基は、塩を形成してもよく、塩としては例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属などとの塩、又は有機塩基、例えばテトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム、ピペラジニウム、ピペリジニウムなどの4級アンモニウム塩のような塩を挙げることができる。
【0019】
また、nが2以上でA2及びA3が複数存在する場合、それぞれのA2及びそれぞれのA3は互いに独立に同じか又は異なってもよい。A1及びA2、A3が独立に水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又は置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基であることが好ましい。さらには水素原子であるものが好ましい。又、式(1)におけるA3、特にnが2以上の場合Yに最も近いA3が置換基を有していても良い芳香族炭化水素残基であることも好ましい。芳香族炭化水素残基としては前述と同様で良い。これら芳香族炭化水素残基は前記するように置換基を有しても良い。置換基としては特に限定されないが、前記置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基の項で述べたものと同様でよく、置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基、置換もしくは非置換アミノ基であることが好ましい。
【0020】
またA1及びA2若しくはA2が複数存在する場合にはそれぞれのA2及びA3若しくはA3が複数存在する場合にはそれぞれのA3及びYの一部分のうち複数を用いて置換基を有してもよい環を形成してもよい。形成する環としては置換基を有しても良い不飽和炭化水素環又は複素環が挙げられる。不飽和炭化水素環としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスレン環、ピレン環、インデン環、アズレン環、フルオレン環、シクロブテン環、シクロヘキセン環、シクロペンテン環、シクロヘキサジエン環、シクロペンタジエン環等が挙げられ、複素環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピペリジン環、インドリン環、チオフェン環、フラン環、ピラン環、オキサゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、カルバゾール環、ベンゾピラン環等が挙げられる。またこれらのうちの好ましいものはシクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ピラン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環等が挙げられる。また、カルボニル基、チオカルボニル基等を有する場合には環状ケトン又は環状チオケトンなどを形成しても良く、これらの環は前記するように置換基を有しても良い。
【0021】
式(1)におけるYは置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基、置換基を有してもよい複素環残基又は置換もしくは非置換アミノ基を表す。置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基、置換基を有してもよい複素環残基又は置換もしくは非置換アミノ基とは前述と同様でよい。
Yの芳香族炭化水素として好ましくはベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレンなどが好ましく、さらに好ましくはベンゼン、ナフタレンが挙げられる。このとき有してもよい置換基として好ましいのはアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換アミノ基、置換もしくは非置換アミド基、置換基を有しても良いアルコキシ基等が挙げられる。更に好ましくは置換もしくは非置換アミノ基を有するものが挙げられる。特に下記式(2)で示されるものが好ましい。
【0022】
【化6】
Figure 2005019130
【0023】
式(2)においてZは置換基を表す。ここで述べる置換基は、前述の置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基の項で述べたものと同様で良く、好ましくはアルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換アミノ基、置換もしくは非置換アミド基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基等が挙げられる。またZは複数個あっても良く、複数個存在する場合は同じでも異なってもよく、互いに連結して又はR3、R4と置換基を有してもよい環を形成してもよい。R3、R4はそれぞれ水素原子、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基又は置換基を有してもよい複素環残基を表す。脂肪族炭化水素残基、芳香族炭化水素残基、複素環残基としては前述と同様で良い。また、ここで述べる置換基とは、前述の置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基の項で示したものと同様でよく、好ましくは、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよい芳香族炭化水素環残基で、置換基としては無置換又はヒドロキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基等が挙げられる。また、R3、R4は結合してジュロリジン等の置換基を有してもよい環を形成してもよい。
【0024】
またYの複素環残基として好ましくはピラン、クロメン、ピロール、ベンゾイミダゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、インドリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、チアジン、チアゾール、インドール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、インドレニン、ベンゾインドレニン、ピラジン、キノリン、キナゾリン、カルバゾール等が挙げられる。さらに好ましくはピラン、クロメン、ベンゾイミダゾール、イミダゾール、インドリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、チアゾール、インドール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、インドレニン、ベンゾインドレニン、キノリン、ピリジン等が挙げられる。又これらは前記したように置換基を有しても良い。又、Yの置換もしくは非置換アミノ基として好ましくは非置換のアミノ基、モノ又はジメチルアミノ基、モノ又はジエチルアミノ基等のアルキル置換アミノ基、モノ又はジフェニルアミノ基等の芳香族置換アミノ基、モノアルキルモノフェニルアミノ基等のアルキル基と芳香族炭化水素残基が一つずつ置換したアミノ基又はベンジルアミノ基、またアセチルアミノ基、フェニルアセチルアミノ基等が挙げられる。さらに好ましくはモノ又はジフェニルアミノ基等の芳香族置換アミノ基、モノアルキルモノフェニルアミノ基等のアルキル基と芳香族炭化水素残基が一つずつ置換したアミノ基又はアセチルアミノ基、フェニルアセチルアミノ基等が挙げられる。隣接する置換基又は核と結合してジュロリジン等の置換基を有しても良い環を形成しても良い。
【0025】
A1及びA2若しくはA2が複数存在する場合にはそれぞれのA2及びA3若しくはA3が複数存在する場合にはそれぞれのA3及びYの一部分のうち複数を用いて置換基を有してもよい環を形成してもよい。形成する環としては置換基を有しても良い複素環であることが好ましい。具体的にはピリジン環、キノリン環、ピラン環、クロメン環、ピリミジン環、ピロール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、セレナゾール環、ベンゾセレナゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環、チオフェン環等、フラン環等が挙げられ、それぞれの複素環残基は増環や水素化されていても良くまた、これらは前記するように置換基を有しても良い。これら置換基を合わせてロダニン環、オキサゾリドン環、チオオキサゾリドン環、ヒダントイン環、チオヒダントイン環、インダンジオン環、チアナフテン環、ピラゾロン環、バルビツール環、チオバルビツール環、キノリン環、ピリドン環などの複素環を形成する構造が好ましい。
【0026】
さらにY又はYとA1、A2及びA3で形成する複素環が窒素原子を有する場合、窒素原子が4級化されていても良く、その時に対イオンを有しても良い。具体的には特に限定はされないが、通常のアニオンで良い。具体例としてはF, Cl, Br, I, ClO , BF , PF , OH, SO −2, CHSO , トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられ、Br, I, ClO , BF , PF , CHSO , トルエンスルホン酸イオンなどが好ましい。また対イオンではなく分子内又は分子間のカルボキシル基などの酸性基により中和されていても良い。
【0027】
nは0〜3の整数を示す。好ましくは0〜2の整数である。また(1)で示される色素はシス体、トランス体などの構造異性体をとり得るが、特に限定されず、いずれも光増感用色素として良好に使用しうるものである。
【0028】
式(1)中のR1は水素原子、ヒドロキシル基、置換基を有しても良いアルキル基又は置換基を有しても良いアルコキシル基を表す。好ましくは置換基を有しても良いアルキル基又は置換基を有しても良いアルコキシル基で、更に好ましくは置換基を有しても良いアルコキシル基である。アルキル基、アルコキシ基としては前述と同様でよく、好ましくはメチル基、エチル基、ブチル基、メトキシ基、エトキシ、ブトキシ基等の低級アルキル基、アルコキシル基が挙げられる。
【0029】
X1及びX2はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子又はNR2を表す。X3はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、NR2、ジシアノメチル基又は置換基を有しても良い複素環を表す。このR2としては水素原子又は置換基を有しても良い芳香族炭化水素残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。
X1として好ましくは酸素原子、硫黄原子が挙げられ、酸素原子が最も好ましい。X2としては硫黄原子又はNR2が好ましい。X3として好ましくは硫黄原子、ジシアノメチル基又は置換基を有しても良い複素環が好ましく、更に好ましくは硫黄原子、置換基を有しても良い複素環が挙げられる。ここで示す置換基を有しても良い複素環とはロダニン環、オキサゾリドン環、チオオキサゾリドン環、ヒダントイン環、チオヒダントイン環、インダンジオン環、チアナフテン環、ピラゾロン環、バルビツール環、チオバルビツール環、キノリン環、ピリドン環などが挙げられ、ロダニン環、バルビツール環が好ましい。
【0030】
式(1)の化合物は例えば式(3)で示される複素環化合物と式(4)で示されるカルボニル化合物や例えば式(5)で示されるようなA3とYが形成した環を有するアニリン誘導体を、必要であれば苛性ソーダ、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、ジアザビシクロウンデセンなどの塩基性触媒の存在下、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類やジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒やトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、無水酢酸などの溶媒中、20℃〜180℃好ましくは50℃〜150℃で縮合することにより得られる。
【0031】
【化7】
Figure 2005019130
【0032】
【化8】
Figure 2005019130
【0033】
次ぎにYがフェニル基の場合の好ましい化合物例としては、式(6)で示される化合物が挙げられる。
【0034】
【化9】
Figure 2005019130
【0035】
式(6)において、X1は酸素原子又は硫黄原子を、X2は硫黄原子、NH基又はNCH3基を、X3は酸素原子、硫黄原子又はジシアノメチレンをそれぞれ示す。A1、A2及びA3は、それぞれ独立に水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はC1ーC4のアルキル基を示す。R1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のようなC1ーC4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のようなC1ーC4のアルコキシル基又はヒドロキシル基を示す。R5,R6は水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素又はヒドロキシル基を示す。R7はヒドロキシル基、アルコキシル基、ジ(C1ーC4)アルキルアミノ基又はジフェニルアミノ基を示す。またnは0〜3を示す。式(6)で示される化合物のうち好ましい化合物の具体例を表1に示す。表1において、フェニル基をPhと略する。
【0036】
Figure 2005019130
Figure 2005019130
【0037】
その他の例を以下に示す。
【0038】
【化10】
Figure 2005019130
【0039】
【化11】
Figure 2005019130
【0040】
【化12】
Figure 2005019130
【0041】
更に、Yが置換アミノ基、Yに最も近いA3とYの一部分で環を形成した化合物(式(7))も好ましい化合物例として挙げられる。式(7)において、X1は酸素原子又は硫黄原子を、X2は硫黄原子、NH基又はNCH3基を、X3は酸素原子、硫黄原子又はジシアノメチレンをそれぞれ示す。X4はイミノ基、C1ーC4アルキル基で置換したイミノ基、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はジ(C1ーC4)アルキルメチレンを示す。A1、A2、A3及びA4は、それぞれ独立に水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はC1ーC4のアルキル基を示す。R8はC1ーC18のアルキル基;フェニル基;又はハロゲン原子、水酸基若しくはフェニル基で置換されていてもよいC1ーC4のアルキル基を示す。式(7)で示される化合物のうち好ましい化合物の具体例を表2に示す。表2において、フェニル基をPhと略する。
【0042】
【化13】
Figure 2005019130
【0043】
Figure 2005019130
Figure 2005019130
【0044】
その他の化合物例を以下に示す。
【0045】
【化14】
Figure 2005019130
【0046】
その他の例を以下に示す。
【0047】
【化15】
Figure 2005019130
【0048】
本発明の色素増感光電変換素子は、例えば、酸化物半導体微粒子を用いて基板上に酸化物半導体の薄膜を製造し、次いでこの薄膜に式(1)の色素を担持させたものである。
本発明で酸化物半導体の薄膜を設ける基板としてはその表面が導電性であるものが好ましいが、そのような基板は市場にて容易に入手可能である。具体的には、例えば、ガラスの表面又はポリエチレンテレフタレート若しくはポリエーテルスルフォン等の透明性のある高分子材料の表面にインジウム、フッ素、アンチモンをドープした酸化スズなどの導電性金属酸化物や銅、銀、金等の金属の薄膜を設けたものを用いることが出来る。その導電性としては通常1000Ω以下であれば良く、特に100Ω以下のものが好ましい。
【0049】
また、酸化物半導体の微粒子としては金属酸化物が好ましく、その具体例としてはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、インジウム、イットリウム、ニオブ、タンタル、バナジウムなどの酸化物が挙げられる。これらのうちチタン、スズ、亜鉛、ニオブ、インジウム等の酸化物が好ましく、これらのうち酸化チタンが最も好ましい。これらの酸化物半導体は単一で使用することも出来るが、混合したり、半導体の表面にコーティングさせて使用することも出来る。また酸化物半導体の微粒子の粒径は平均粒径として、通常1〜500nmで、好ましくは1〜100nmである。またこの酸化物半導体の微粒子は大きな粒径のものと小さな粒径のものを混合したり、多層にして用いることも出来る。
【0050】
酸化物半導体薄膜は酸化物半導体微粒子をスプレイ噴霧などで直接基板上に薄膜として形成する方法、基板を電極として電気的に半導体微粒子薄膜を析出させる方法、半導体微粒子のスラリー又は半導体アルコキサイド等の半導体微粒子の前駆体を加水分解することにより得られた微粒子を含有するペーストを基板上に塗布した後、乾燥、硬化もしくは焼成する等によって製造することが出来る。酸化物半導体電極の性能上、スラリーを用いる方法が好ましい。この方法の場合、スラリーは2次凝集している酸化物半導体微粒子を常法により分散媒中に平均1次粒子径が1〜200nmになるように分散させることにより得られる。
【0051】
スラリーを分散させる分散媒としては半導体微粒子を分散させ得るものであれば何でも良く、水、エタノール等のアルコール、アセトン、アセチルアセトン等のケトン又はヘキサン等の炭化水素が用いられ、これらは混合して用いても良く、また水を用いることはスラリーの粘度変化を少なくするという点で好ましい。また酸化物半導体微粒子の分散状態を安定化させる目的で分散安定剤を用いることが出来る。用いうる分散安定剤の例としては例えば酢酸、塩酸、硝酸などの酸、又はアセチルアセトン、アクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0052】
スラリーを塗布した基板は焼成してもよく、その焼成温度は通常100℃以上、好ましくは200℃以上で、かつ上限はおおむね基材の融点(軟化点)以下であり、通常上限は900℃であり、好ましくは600℃以下である。また焼成時間には特に限定はないがおおむね4時間以内が好ましい。基板上の薄膜の厚みは通常1〜200μmで好ましくは1〜50μmである。
【0053】
酸化物半導体薄膜に2次処理を施してもよい。すなわち例えば半導体と同一の金属のアルコキサイド、塩化物、硝化物、硫化物等の溶液に直接、基板ごと薄膜を浸積させて乾燥もしくは再焼成することにより半導体薄膜の性能を向上させることもできる。金属アルコキサイドとしてはチタンエトキサイド、チタンイソプロポキサイド、チタンt−ブトキサイド、n−ジブチル−ジアセチルスズ等が挙げられ、それらのアルコール溶液が用いられる。塩化物としては例えば四塩化チタン、四塩化スズ、塩化亜鉛等が挙げられ、その水溶液が用いられる。このようにして得られた酸化物半導体薄膜は酸化物半導体の微粒子から成っている。
【0054】
次に酸化物半導体薄膜に色素を担持させる方法について説明する。前記式(1)の色素を担持させる方法としては、該化合物を溶解しうる溶媒にて色素を溶解して得た溶液、又は溶解性の低い色素にあっては色素を分散せしめて得た分散液に上記酸化物半導体薄膜の設けられた基板を浸漬する方法が挙げられる。溶液又は分散液中の濃度は色素によって適宜決められる。その溶液中に基板上に作成した半導体薄膜を浸す。浸積時間はおおむね常温から溶媒の沸点までであり、また浸積時間は1時間から48時間程度である。色素を溶解させるのに使用しうる溶媒の具体例として、例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、アセトン、t −ブタノール等が挙げられる。溶液の色素濃度は通常1×10−6M〜1Mが良く、好ましくは1×10−5 M〜1×10−1Mである。この様にして色素で増感された酸化物半導体微粒子薄膜を有した本発明の光電変換素子が得られる。
【0055】
担持する前記式(1)の色素は1種類でも良いし、数種類混合しても良い。又、混合する場合は本発明の色素同志でも良いし、他の色素や金属錯体色素を混合しても良い。特に吸収波長の異なる色素同志を混合することにより、幅広い吸収波長を利用することが出来、変換効率の高い太陽電池が得られる。混合しうる金属錯体色素の例としては特に制限は無いが非特許文献2や特許文献2に示されているルテニウム錯体やその4級塩、フタロシアニン、ポルフィリンなどが好ましく、混合利用する有機色素としては無金属のフタロシアニン、ポルフィリン、シアニン、メロシアニン、オキソノール、トリフェニルメタン系、特許文献3に示されるアクリル酸系色素などのメチン系色素や、キサンテン系、アゾ系、アンスラキノン系、ペリレン系等の色素が挙げられる。好ましくはルテニウム錯体やメロシアニン、アクリル酸系等のメチン系色素が挙げられる。色素を2種以上用いる場合は色素を半導体薄膜に順次吸着させても、混合溶解して吸着させても良い。
【0056】
混合する色素の比率は特に限定は無く、それぞれの色素より最適な範囲で適宜選択されるが、一般的には等モルずつの混合から、1つの色素につき、10%モル程度以上使用するのが好ましい。混合色素を混合溶解もしくは分散した溶液を用いて、酸化物半導体微粒子薄膜に色素を吸着する場合、溶液中の色素合計の濃度は1種類のみ担持する場合と同様でよい。色素を混合して使用する場合の溶媒としては前記したような溶媒が使用可能であり、使用する各色素用の溶媒は同一でも異なっていてもよい。
【0057】
酸化物半導体微粒子の薄膜に色素を担持する際、色素同士の会合を防ぐために包摂化合物の共存下、色素を担持することが効果的である。ここで包摂化合物としてはコール酸等のステロイド系化合物、クラウンエーテル、シクロデキストリン、カリックスアレン、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられるが、好ましいものとしてはデオキシコール酸、デヒドロデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸メチルエステル、コール酸ナトリウム等のコール酸類、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。又、色素を担持させた後、4−t−ブチルピリジン等のアミン化合物で半導体電極表面を処理しても良い。処理の方法は例えばアミンのエタノール溶液に色素を担持した半導体微粒子薄膜の設けられた基板を浸す方法等が採られる。
【0058】
本発明の太陽電池は上記酸化物半導体薄膜に色素を担持させた光電変換素子電極、対極、レドックス電解質又は正孔輸送材料又はp型半導体等から構成される。レドックス電解質、正孔輸送材料、p型半導体等の形態としては、液体、凝固体(ゲル及びゲル状)、固体などが挙げられる。液状のものとしてはレドックス電解質、溶融塩、正孔輸送材料、p型半導体等をそれぞれ溶媒に溶解させたものや常温溶融塩などが、凝固体(ゲル及びゲル状)の場合は、これらをポリマーマトリックスや低分子ゲル化剤等に含ませたもの等がそれぞれ挙げられる。固体のものとしてはレドックス電解質、溶融塩、正孔輸送材料、p型半導体等を用いることができる。正孔輸送材料としてはアミン誘導体やポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの導電性高分子、トリフェニレン係化合物などのディスコティック液晶相を用いる物などが挙げられる。又、p型半導体としてはCuI、CuSCN等が挙げられる。対極としては導電性を持っており、レドックス電解質の還元反応を触媒的に作用するものが好ましい。例えばガラス、もしくは高分子フィルムに白金、カーボン、ロジウム、ルテニウム等を蒸着したり、導電性微粒子を塗り付けたものが用いうる。
【0059】
本発明の太陽電池に用いるレドックス電解質としてはハロゲンイオンを対イオンとするハロゲン化合物及びハロゲン分子からなるハロゲン酸化還元系電解質、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオン、コバルト錯体などの金属錯体等の金属酸化還元系電解質、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等の有機酸化還元系電解質などをあげることができるが、ハロゲン酸化還元系電解質が好ましい。ハロゲン化合物−ハロゲン分子からなるハロゲン酸化還元系電解質におけるハロゲン分子としては、例えばヨウ素分子や臭素分子等があげられ、ヨウ素分子が好ましい。又、ハロゲンイオンを対イオンとするハロゲン化合物としては、例えばLiI、NaI、KI、CsI、CaI、CuI等のハロゲン化金属塩あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイドなどのハロゲンの有機4級アンモニウム塩等があげられるが、ヨウ素イオンを対イオンとする塩類が好ましい。ヨウ素イオンを対イオンとする塩類としては、例えばヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化トリメチルアンモニウム塩等があげられる。
【0060】
又、レドックス電解質はそれを含む溶液の形で構成されている場合、その溶媒には電気化学的に不活性なものが用いられる。例えばアセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、3−メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、γ−ブチロラクトン、ジメトキシエタン、ジエチルカーボネート、ジエチルエーテル、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1、2−ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、1、3−ジオキソラン、メチルフォルメート、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メトキシーオキサジリジン−2−オン、スルフォラン、テトラヒドロフラン、水等が挙げられ、これらの中でも、特に、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、3−メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、エチレングリコール、3−メトキシオキサジリジン−2−オン、γ−ブチロラクトン等が好ましい。これらは単独もしくは2種以上組み合わせて用いても良い。ゲル状電解質の場合は、オリゴマ−及びポリマー等のマトリックスに電解質あるいは電解質溶液を含有させたものや、非特許文献3に記載の低分子ゲル化剤等に同じく電解質あるいは電解質溶液を含有させたもの等が挙げられる。レドックス電解質の濃度は通常0.01〜99重量%で好ましくは0.1〜90重量%程度である。
【0061】
本発明の太陽電池は、基板上の酸化物半導体薄膜に色素を担持した光電変換素子の電極に、それを挟むように対極を配置する。その間にレドックス電解質を含んだ溶液を充填することにより得られる。
【0062】
【実施例】
以下に実施例に基づき、本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中、部は特に指定しない限り質量部を、また%は質量%をそれぞれ表す。
【0063】
合成例1
N−カルボキシメチルロダニン1.9部と下記化合物(133)4.5部をエタノール50部に溶解し、ここにトリエチルアミン1部を添加する。還流で1時間反応させた後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄、乾燥し、次いでエタノールで再結晶後、濾過、洗浄、乾燥し、化合物(89)を4.3部得た。
吸収極大(エタノール):512nm
発光極大(エタノール):554nm
【0064】
【化16】
Figure 2005019130
【0065】
合成例2
N−カルボキシメチルロダニン1.9部と下記化合物(134)4.8部をエタノール50部に溶解し、ここにトリエチルアミン1部を添加する。還流で1時間反応させた後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄、乾燥し、次いでエタノールで再結晶後、濾過、洗浄、乾燥し、化合物(101)を4.2部得た。
吸収極大(エタノール):587nm
発光極大(エタノール):670nm
【0066】
【化17】
Figure 2005019130
【0067】
合成例3
N−カルボキシメチルロダニン1.9部とN,N−ジメチルアミノシンナムアルデヒド1.8部をエタノール50部に溶解し、ここにピペラジン0.1部を添加する。還流で1時間反応させた後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄、乾燥し、次いでエタノールで再結晶後、濾過、洗浄、乾燥し、化合物(31)を2.7部得た。
吸収極大(エタノール):486nm
【0068】
実施例及び比較例
光電変換効率測定の実施例及び比較例を以下に示す。
実施例1〜5については色素を3×10−4MになるようにEtOHに溶解した。また、実施例6については、それぞれの色素を1.5×10−4MなるようにEtOHに溶解し混合した。この溶液中に多孔質基板(日本アエロジル社チタニウムジオキサイドPー25を硝酸水溶液中、分散処理し、これを透明導電性ガラス電極上に厚さ50μmになるように塗布し、450℃で30分間焼成した半導体薄膜電極)を室温で一晩浸漬し色素を担持せしめ、溶剤で洗浄し、乾燥させ、色素増感した半導体薄膜のからなる光電変換素子を得た。また実施例2,4,5,6においては半導体薄膜電極の酸化チタン薄膜部分に0.2M四塩化チタン水溶液を滴下し、室温にて24時間静置後、水洗して、再度450℃にて30分焼成して得た、四塩化チタン処理半導体薄膜電極を用いて色素を同様に担持した。さらに実施例3については色素の担持時に包摂化合物としてコール酸を3×10−2Mとなるように加えて先の色素溶液を調製し、半導体薄膜に担持して、コール酸処理色素増感半導体薄膜を得た。これと挟むように表面を白金でスパッタされた導電性ガラスを固定してその空隙に電解質を含む溶液を注入した。電解液はエチレンカーボネートとアセトニトリルの6対4の溶液にヨウ素/テトラ−n−プロピルアンモニウムアイオーダイドを0.02M/0.5Mになるように溶解して調製した。
測定する電池の大きさは実効部分を0.25cmとした。光源は500Wキセノンランプを用いて、AM(大気圏通過空気量)1.5フィルターを通して100mW/cmとした。短絡電流、解放電圧、変換効率はポテンシオ・ガルバノスタットを用いて測定した。表3における結果から本願発明の光電変換素子は変換効率にすぐれていることが判る。
【0069】
Figure 2005019130
【0070】
表3より、式(1)で表されるメチン系の色素によって増感された光電変換素子を用いることにより、可視光を効果的に電気に変換できることがわかる。またこの色素を他の構造を有する色素(金属錯体を含む)を併用することにより単独の色素を用いた場合より変換効率の向上が見られ、太陽電池用として有効であることがわかった。
【0071】
【発明の効果】
本発明の色素増感光電変換素子において、特定の構造を有するメチン系色素を用いることにより、変換効率が高く安定性の高い太陽電池を提供する事が出来た。さらに2種以上の色素の併用により増感された酸化物半導体微粒子を用いることで、変換効率の向上が見られた。

Claims (11)

  1. 式(1)で表されるメチン系の色素によって増感された酸化物半導体微粒子を用いることを特徴とする光電変換素子。
    Figure 2005019130
    (式(1)中R1は水素原子、ヒドロキシル基、置換基を有しても良いアルキル基又は置換基を有しても良いアルコキシル基を表す。X1及びX2はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子又はNR2を表す。X3はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、NR2、ジシアノメチル基又は置換基を有しても良い複素環を表す。このときR2は水素原子又は置換基を有しても良い芳香族炭化水素残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。A1及びA2、A3はそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基、置換基を有しても良い複素環残基又は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。Yは置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基、置換基を有しても良い複素環残基又は置換基を有しても良いアミノ基を表す。nは0〜3の整数を示す。またnが2以上でA2及びA3が複数存在する場合、それぞれのA2及びそれぞれのA3は互いに同じか又は異なってもよい。またA1及びA2若しくはA2が複数存在する場合にはそれぞれのA2及びA3若しくはA3が複数存在する場合にはそれぞれのA3及びYの一部分のうち複数を用いて置換基を有してもよい環を形成してもよい。)
  2. 式(1)で表される化合物のX1が酸素原子、X2及びX3が硫黄原子である請求項1記載の光電変換素子。
  3. 式(1)で表される化合物のR1が置換基を有しても良いアルコキシル基である請求項1又は2記載の光電変換素子。
  4. 式(1)におけるYが下記式(2)で示される基である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光電変換素子。
    Figure 2005019130
    (式(2)中、Zは置換基を表し、複数個あっても良く、複数個存在するときは同じでも異なってもよく、互いに連結して又はR3、R4と置換基を有してもよい環を形成しても良い。R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基又は置換基を有してもよい複素環残基を表す。)
  5. 式(1)におけるYが置換基を有してもよい複素環残基である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の1つ以上の色素並びに金属錯体及び他の構造を有する有機色素によりなる群から選ばれた化合物の1種以上の化合物により増感された酸化物半導体を用いることを特徴とする光電変換素子。
  7. 酸化物半導体微粒子が二酸化チタンを必須成分として含有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  8. 酸化物半導体微粒子に包摂化合物の存在下、色素を担持させた請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  9. 酸化物半導体微粒子の薄膜に色素を担持させて得られる請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光電変換素子を用いる事を特徴とする太陽電池。
  11. 式(1)で表される色素により増感された酸化物半導体微粒子。
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