JP2005016087A - 外装材取付具 - Google Patents

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Abstract

【課題】胴縁の延在方向における耐震性の向上が図られた外装材取付具を提供する。
【解決手段】本発明に係る外装材取付具10においては、チャンネル14は、建物躯体の外壁18に固定されるアンカーボルト12によって支持される。また、チャンネル14は、外装材22が取り付けられる取付面部34を有する胴縁16と、その壁部30A,30Bにおいて結合される。このチャンネル14と胴縁16との結合は、胴縁16のフランジ部36A,36Bを、チャンネル14の壁部30A,30Bに形成された切り欠き対32A,32Bに嵌め込むことによりおこなわれる。従って、胴縁16は、チャンネル14との結合後であってもその延在方向に摺動可能であるため、この外装材取付具10が採用された外断熱においては、胴縁16の延在方向の振動に関して、建物躯体から外装材への振動伝達が抑制されて、高い耐震性が実現される。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外断熱や外張断熱等において外装材の取付に適用される外装材取付具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、断熱性能の向上や結露の防止に有効な手段として、外断熱が注目を浴びている。この外断熱とは、具体的には、建物躯体のコンクリート外壁を断熱材で覆い、さらにその外側に空気層を介して外装材を取り付けるものである。この外断熱に用いられる外装材取付具は、例えば、下記特許文献1等に開示されている。この特許文献1に記載の外装材取付具において、胴縁受金具は、建物躯体のコンクリート壁面に打ち込み固定されたアンカーボルトと連結されているボルトの遊端側に、ボルト回りに回動自在な状態で取り付けられている。そして、コンクリート壁面に沿って延びる胴縁が、この胴縁受金具により支持されると共に、胴縁受金具にビス留めされている。この外装材取付具においては、壁面に対して固定されたボルトと胴縁受金具とが相対的に回動自在であるため、地震等に起因して建物躯体が振動した場合、胴縁受金具がボルトに対して回動しその振動を吸収することができる。従って、この外装材取付具を外断熱に利用することにより、建物躯体から外装材への振動伝達が抑制されて、高い耐震性が実現される。
【0003】
【特許文献1】
特開昭60−51266号公報
【特許文献2】
特開平6−66024号公報
【特許文献3】
特開昭54−37311号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の外装材取付具には、次のような課題が存在している。すなわち、上述した外装材取付具は、コンクリート外壁の面方向であって、胴縁の延在方向に対して直交する方向の振動は吸収できるものの、胴縁受金具と胴縁とがビスによって締結固定されていることで、胴縁の延在方向の振動はほとんど吸収することができない。つまり、従来の外装材取付具は、胴縁の延在方向に関しては耐震性が低いという問題があった。それにより、胴縁の延在方向の振動が建物躯体から外装材取付具に伝わった場合には、その振動が外装材にまで伝わり、外装材の損傷や目地ズレ等が発生してしまう。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、胴縁の延在方向における耐震性の向上が図られた外装材取付具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る外装材取付具は、建物躯体の外壁に断熱材を固定し、且つ、建物躯体の外壁に断熱材を介して外装材を取り付けるための外装材取付具であって、外壁の壁面の法線方向に延在するように外壁に固定され、且つ、外壁の壁面を覆う断熱材を貫通する支持部材と、支持部材の遊端側に取り付けられる、支持部材の軸線方向に対して直交する方向に延在して断熱材を外壁に押さえとどめる平板状のプレート部と、このプレート部から壁面から離間する方向に立設された互いに対面する一対の対面壁部と、この一対の対面壁部の対面方向に対峙する対面壁部の頂部に形成された切り欠き対と、を有する胴縁受部材と、胴縁受部材の対面壁部の対面方向に延在する、対面壁部に形成された切り欠き対に嵌め込まれるフランジ部と、外装材が取り付けられる取付面部とを有する胴縁とを備えることを特徴とする。
【0007】
この外装材取付具においては、胴縁受部材は、建物躯体の外壁に固定される支持部材によって支持される。この胴縁受部材は、支持部材が貫通した断熱材を、そのプレート部において外壁に押さえとどめる。すなわち、断熱材は支持部材と胴縁受部材のプレート部との協働によって建物躯体の壁面に固定される。また、胴縁受部材は、外装材が取り付けられる取付面部を有する胴縁と、その対面壁部において結合される。この胴縁受部材と胴縁との結合は、胴縁のフランジ部を、胴縁受部材の対面壁部に形成された切り欠き対に嵌め込むことによりおこなわれる。このようにして胴縁受部材に結合された胴縁は、胴縁受部材との結合後であってもその延在方向に摺動可能な状態であるため、その摺動により胴縁の延在方向に関する振動を吸収することができる。従って、この外装材取付具が採用された外断熱においては、胴縁の延在方向の振動に関して、建物躯体から外装材への振動伝達が抑制されて、高い耐震性が実現される。
【0008】
また、胴縁は平行に延在する2つのフランジ部を有しており、且つ、胴縁受部材の対面壁部には複数対の切り欠き対が形成されていることが好ましい。この場合、胴縁の2つのフランジ部を、複数対の切り欠き部のうちの2対に嵌め込んで摺動させると、胴縁は切り欠き対によってより安定した状態でその延在方向に案内される。
【0009】
また、胴縁受部材の複数対の切り欠き対は、略等間隔に配置されていることが好ましい。この場合、適当な切り欠き対を2対選択することで、胴縁の位置を自在に変更することができる。
【0010】
また、各切り欠き対には返し部が設けられており、且つ、胴縁のフランジ部には返し部に係止される爪部が形成されていることが好ましい。この場合、胴縁と胴縁受部材との結合力が向上し、胴縁受部材から胴縁が脱落する事態が有意に回避される。
【0011】
また、支持部材の少なくとも遊端側に雄ネジ部が形成され、且つ、胴縁受部材のプレート部には、雄ネジ部に対応する雌ネジ部が内周面に形成されたリベットナットが回転自在に貫設されており、支持部材の雄ネジ部と、リベットナットの内周面に形成された雌ねじ部とが螺合されていることが好ましい。この場合、胴縁受部材は、プレート部及び対面壁部を支持部材の軸線回りに回動させずに、支持部材の軸線方向へスライドすることができる。そのため、胴縁の外壁面に対する不陸調整を容易におこなうことができる。
【0012】
また、リベットナットの外周縁には、胴縁受部材のプレート部よりも幅広である、円形状又は多角形状のハンドル盤部が形成されていることが好ましい。この場合、ハンドル盤部を把持することにより、胴縁受部材のリベットナットだけを容易に回転させることができるため、胴縁の外壁面に対する不陸調整をより簡単におこなうことができる。
【0013】
また、胴縁の取付面部には、外装材が取り付けられる面を被覆する補強プレートが装着されていることが好ましい。この場合、胴縁が外装材の取付に十分な厚さを有していない場合であっても、外装材を胴縁に対して堅牢に取り付けることができる。
【0014】
また、胴縁受部材の対面壁部には対面壁部の対面方向に対峙しガイドピンが貫挿される貫通孔対が形成され、補強プレートにはガイドピンに対応するピン受け部が形成されており、補強プレートは、ガイドピンとピン受け部との協働により、胴縁受部材の対面壁部の対面方向に案内されることが好ましい。この場合、胴縁の移動を阻害することなく、補強プレートをより確実に胴縁に装着することができる。
【0015】
また、胴縁受部材の一対の対面壁部のうち、少なくとも一方の対面壁部には貫通孔が形成されており、この貫通孔に、一端が補強プレートに係止された釣止部材の他端が係止されていることが好ましい。この場合、胴縁の移動を阻害することなく、補強プレートをより確実に胴縁に装着することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明に係る外装材取付具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る外装材取付具を示した概略斜視図である。また、図2は、図1に示した外装材取付具の平面図である。図1及び図2に示すように、外装材取付具10は、アンカーボルト(支持部材)12と、チャンネル(胴縁受部材)14と、胴縁16とを有している。この外装材取付具10は、例えば、鉛直方向に立設された建物躯体のコンクリート外壁18にガラスウール製の断熱材20を固定し、且つ、このコンクリート外壁18に外装材22を取り付ける際に用いられる外装用具である。
【0018】
アンカーボルト12は、全長に亘って雄ネジ部13が形成された直線状のボルトである。このアンカーボルト12は、その一端12aがコンクリート外壁18に埋め込まれたホールインアンカー(アンカーナット)12Aに螺合された状態で、コンクリート外壁18に埋め込まれており、その他端12bはコンクリート外壁18から露出してコンクリート外壁18の壁面18aの法線方向に延びている。なお、アンカーボルト12の遊端12bの先端部は、図示は省略しているが斜めに切断されて先鋭化されている。断熱材20は、このアンカーボルト12が埋め込まれた状態のコンクリート外壁18に、アンカーボルト12の遊端12b側から押しつけられる。そのため、上述したようにアンカーボルト12の遊端12bの先端部を先鋭化しておくことで、アンカーボルト12が断熱材20に差し込まれ易くなり、断熱材20のコンクリート外壁18への取り付けの容易化が図られる。以下、説明の便宜上、アンカーボルト12の延在方向(軸線方向)をX軸方向、鉛直方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向に対して直交する方向をZ軸方向として説明する。
【0019】
チャンネル14は、円形状のワッシャ24と、胴縁受金具26とで構成されている。また、ワッシャ24は、内周面にアンカーボルト12の雄ネジ部13に対応する雌ねじ部25が形成された円筒状のリベットナット24aと、このリベットナット24aの外周縁に形成された円盤状のハンドル盤部24bとで構成されている。ここで、リベットナット24aは、その内周面の雌ネジ部25がアンカーボルト12の雄ネジ部13と螺合されており、リベットナット24aがアンカーボルト12に対して相対的に回動することにより、リベットナット24aはアンカーボルト12の軸線方向(X軸方向)にスライドする。また、リベットナット24aは、アンカーボルト12の軸線方向に延在するハンドル盤部24bと、プレスによりカシメ固定されており、ハンドル盤部24bがアンカーボルト12の軸線回りに回動するとリベットナット24aも一体的に回動する。
【0020】
胴縁受金具26は、リベットナット24aの外径より若干大きい径の貫通孔26aを有している。そして、この貫通孔26aに上述したリベットナット24aを差し込み、リベットナット24aの外周が膨出するようにカシメ加工することにより、互いに回動自在な状態でワッシャ24と胴縁受金具26とが結合されている。すなわち、ワッシャ24と胴縁受金具26とは、互いに独立にアンカーボルト12の軸線回りに回動することができる。
【0021】
胴縁受金具26は、貫通孔26aが形成されている平板状のプレート部28と、このプレート部28から立設された一対の対面する壁部(対面壁部)30A,30Bとで構成されている。一対の壁部30A,30Bは、X軸方向に沿ってコンクリート外壁18から離間する方向に延びている。なお、プレート部28は、Z軸方向に延びる、上述したワッシャ24のハンドル盤部24bよりも幅の狭い矩形平板状であり、一対の壁部30A,30Bはプレート部28の対向する長辺に亘って立設されている。そして、一対の壁部30A,30Bの頂部には、複数のU字状の切り欠き対32A,32Bが形成されている。複数の切り欠き対32A,32Bは、それぞれY軸方向に対峙しており、壁部30A,30BにピッチDで等間隔に配置されている。なお、切り欠き対32A,32Bのそれぞれの切り欠きには、段部(返し部)33が形成されている。
【0022】
チャンネル14は、アンカーボルト12が貫通した断熱材20を、そのプレート部28において建物躯体のコンクリート外壁18に押さえとどめる。すなわち、断熱材20はアンカーボルト12とチャンネル14のプレート部28との協働によって、建物躯体のコンクリート外壁18面に固定される。なお、チャンネル14のワッシャ24を回動させることにより、チャンネル14をアンカーボルト12の軸線方向にスライドさせて、チャンネル14に取り付けられる胴縁16のコンクリート外壁18に対する不陸調整(すなわち、X軸方向に関する位置調整)をおこなうことができる。ここで、外装材取付具10に採用されているチャンネル14のワッシャ24と胴縁受金具26とは、上述したようにアンカーボルト12の軸線回りに独立に回動可能であり、不陸調整の際も胴縁受金具26の延在方向が保持されるため、不陸調整の容易化が図られている。また、胴縁受金具26の回転を抑止した状態で、胴縁受金具26よりも幅広のハンドル盤部24bを把持して回転させることで、チャンネル14のワッシャ24だけを容易に回転させることができるため、ハンドル盤部24bの採用により胴縁16の不陸調整がより簡単になる。
【0023】
胴縁16は、Y軸方向に延在する長尺の縦胴縁である。この胴縁16は、その上端において、チェーン等で建物躯体又はそのコンクリート外壁18に釣止されている。また、胴縁16は、1枚の金属板を折り曲げ成形して作製されたものであり、外装材22が取り付けられる面を有する取付面部34と、この取付面部34から立設された一対の対面するフランジ部36A,36Bとで構成されている。取付面部34には、ビス35によって外装材22が取り付けられており、また、剛性強化のために胴縁16の延在方向(Y軸方向)に沿って2つのリブ38が並設されている。一対のフランジ部36A,36Bは、X軸方向に沿ってコンクリート外壁18に接近する方向に延びており、また、フランジ部36A,36Bの互いの離間距離はDとなっておりこのDはDの2倍の長さである(図2参照)。フランジ部36A,36Bのそれぞれの端部は内側に折り込まれており、爪部40A,40Bが形成されている。
【0024】
次に、チャンネル14と胴縁16との結合状態を説明する。
【0025】
チャンネル14と胴縁16とを結合する際には、チャンネル14のプレート部28の面のうち壁部30A,30Bが延びる面側と胴縁16の取付面部34の面のうちフランジ部36A,36Bが延びる面側とを対面させた状態で、チャンネル14と胴縁16とを接触させる。チャンネル14のプレート部28はZ軸方向に延在し、胴縁16の取付面部34はY軸方向に延在しているため、チャンネル14の壁部30A,30Bと胴縁16のフランジ部36A,36Bとが接触する。このとき、壁部30A,30Bに形成されている切り欠き対32A,32Bの位置とフランジ部36A,36Bの位置とを合わせることにより、フランジ部36A,36Bが弾性変形して切り欠き対32A,32Bに嵌り込み、チャンネル14と胴縁16とが結合される。なお、フランジ部36A,36Bの離間距離Dは、切り欠き対32A,32BのピッチDの2倍であるため、1対の切り欠き対32A,32Bを挟んで、一対のフランジ部36A,36Bが2対の切り欠き対32A,32Bに嵌り込む。
【0026】
ここで、切り欠き対32A,32Bには返し部33が形成されており、且つフランジ部36A,36Bには爪部40A,40Bが形成されているので、フランジ部36A,36Bが弾性変形して爪部40A,40Bが返し部33に係止され、チャンネル14と胴縁16とが離れる方向の外力がチャンネル14及び胴縁16に負荷された場合でもチャンネル14と胴縁16とが外れにくくなっている。そのため、チャンネル14から胴縁16が脱落する事態が有意に回避される。
【0027】
このように、切り欠き対32A,32Bにフランジ部36A,36Bが嵌め込んでチャンネル14と胴縁16とを結合した場合には、胴縁16はチャンネル14との結合後であってもその延在方向(Y軸方向)に摺動可能な状態となっている。そのため、胴縁16が延在するY軸方向の振動に対しては、チャンネル14の切り欠き対32A,32Bの部分を胴縁16のフランジ部36A,36Bが摺動してその振動を吸収することができる。また、胴縁16の延在方向に直交するZ軸方向の振動に対しては、胴縁16に取り付けられた胴縁受金具26ごと、アンカーボルト12の軸線回りに回動してその振動を吸収することができる。
【0028】
以上詳細に説明したように、この外装材取付具10においては、胴縁16とチャンネル14とが、胴縁16の延在方向(Y軸方向)に摺動可能な状態で結合されているため、胴縁16の延在方向における振動を有意に吸収することができる。従って、この外装材取付具10が採用された外断熱においては、胴縁16の延在方向の振動に関して、建物躯体から外装材への振動伝達が抑制されて、高い耐震性が実現されている。また、外装材取付具10は、アンカーボルト12回りに回動自在なチャンネル14の採用により、胴縁16の延在方向に直交するZ軸方向の振動も吸収することができるため、この方向の振動に関しても建物躯体から外装材への振動伝達が抑制されて高い耐震性が実現されている。
【0029】
また、チャンネル14の壁部30A,30Bには切り欠き対32A,32Bが、フランジ部36A,36Bの離間距離Dの半分のピッチDで等間隔に配置されているため、適当な切り欠き対32A,32Bを2対選択することにより、胴縁16の位置をDの長さ単位でZ軸方向に自在に移動することができる。このように胴縁16の位置が移動可能である場合には、アンカーボルト12を墨出しした位置にうまく配置できない場合であっても、胴縁16を所定間隔に配置させることが可能である。なお、切り欠き対32A,32BのピッチDは、Dの半分の長さに限らず、1/3や1/4等の長さであってもよい。
【0030】
なお、上述したフランジ部は2つに限らず、1つや3つ以上であってもよい。ただし、フランジ部が2つ以上である場合は、フランジ部が1つの場合に比べて、胴縁が切り欠き対によってより安定した状態でその延在方向(Y軸方向)に案内されるのでより好ましい。また、上述した例では、チャンネル14(プレート部28)の延在方向がY軸方向で、胴縁16の延在方向がZ軸方向である例を示したが、チャンネル14の延在方向がZ軸方向であり、且つ胴縁16の延在方向がY軸方向(すなわち、横胴縁)であってもよい。すなわち、チャンネル14と胴縁16との結合が切り欠き対32A,32Bへのフランジ部36A,36Bの嵌め込みによっておこなわれているため、胴縁16はその延在方向(Y軸方向)に摺動可能であり、この場合には、胴縁16の摺動によりY軸方向の振動が吸収される。
【0031】
次に、上述した外装材取付具10とは異なる態様の外装材取付具について、図3を参照しつつ説明する。
【0032】
図3は、外装材取付具の異なる態様を示した概略斜視図である。図3に示した外装材取付具10Aは、胴縁16にバックル(補強プレート)42が取り付けられている点、形状の異なるワッシャ24Aを採用している点でのみ、上述した外装材取付具10と異なる。
【0033】
この外装材取付具10Aに採用されているワッシャ24Aのハンドル盤部24bは略五角形状をしており、五角形の各頂点は円弧状に面取りされている。このように、ハンドル盤部24bが5角形状であれば、円形状より把持し易くなるため、このようなハンドル盤部24bの採用により胴縁16の不陸調整がより簡単になる。
【0034】
次に、胴縁16に取り付けられるバックル42について、図4を参照しつつ説明する。図4(a)は外装材取付具10Aを胴縁側からみた側面図であり、図4(b)は外装材取付具10Aの下面図である。図4に示すように、バックル42は、胴縁16の取付面部34の面34aを覆うように取り付けられた補強部材であり、カバー部44と被案内部46とを有している。
【0035】
カバー部44は、胴縁16を覆う部分であり、胴縁16より幅広で且つ胴縁受金具26の壁部30A,30Bに接触しない長さの一対のフランジ部48A,48Bを有している。各フランジ部48A,48Bの頂部中央には、被案内部46が形成されている。この被案内部46のそれぞれは、胴縁受金具26の壁部30A,30Bの対面方向(Y軸方向)で対面する一対のガイド板50を有しており、このガイド板50にはY軸方向に対峙する貫通孔52が形成されている。一方、胴縁受金具26の壁部30A,30Bにおける切り欠き対32A,32Bの中間位置には、Y軸方向に対峙する複数対のピン孔54が形成されており、一組のピン孔54及びバックル42の被案内部46の貫通孔52にはそれぞれガイドピン56Aが挿入されている。なお、外装材取付具10Aに用いられるガイドピン56Aは、断面半月状の棒材を重ね合わせた直線状部材(いわゆる、割りピン)であり、この棒材は手で曲げることができる程度の延性を有している。
【0036】
この外装材取付具10Aにおいて、バックル42を胴縁16に取り付ける際は、まず胴縁16の取付面部34の面34aにバックル42のカバー部44が重なるように、バックル42を胴縁16に重ね合わせる。その後、一対のガイドピン56Aを対応するピン孔54及びバックル42の被案内部46の貫通孔52の両方に挿入して、バックル42を胴縁16に確実に装着する。最後に、各ガイドピン56Aの一方の端部を手で折り曲げてピン孔54からのガイドピン56Aの脱落を抑止する。
【0037】
以上で説明した外装材取付具10Aは、外装材22が取り付けられる胴縁16の取付面部34がバックル42で補強されている。上述した胴縁16は、フランジ部36A,36Bが容易に弾性変形するように、薄型化が図られることがある。しかし、外装材22がタイル製等の重量タイプである場合には、このような薄型の胴縁16ではビス35(図2参照)の支持が不安定な状態になることが考えられる。そこで、このようなバックル42を胴縁16に取り付けて、胴縁16の実際的な厚さ及び強度を向上させてビス35を強固に支持することで、胴縁16が外装材22の取付に十分な厚さを有していない場合であっても、外装材22の堅牢な取付をおこなうことができる。また、バックル42は、胴縁16の延在方向(Y軸方向)にガイドピン56Aで案内され、その方向に移動可能であるため、胴縁16がその延在方向に移動する場合でもその移動を妨げない。従って、外装材取付具10Aにおいても、外装材取付具10と同様、胴縁16はチャンネル14との結合後であってもその延在方向に摺動可能な状態であり、建物躯体から外装材への振動伝達を抑制することが可能である。
【0038】
なお、ガイドピンの形状は、上で示した形状に限定されず、様々な変形が可能である。以下、図5及び図6を参照しつつ、ガイドピンの変形例について説明する。
【0039】
図5に示すガイドピン56Bは、一本の丸棒材が略真ん中で折り曲げられた形状となっている。このガイドピン56Bの一側は、ピン孔54及びバックル42の被案内部46の貫通孔52の両方に挿入されており、ガイドピン56Bの他側は胴縁16のフランジ部36A,36Bが嵌め込まれた切り欠き対32A,32Bに押しこまれている。それにより、ガイドピン56Bの付勢力によって、フランジ部36A,36Bと切り欠き対32A,32Bとの結合力の強化が図られている。
【0040】
このようなガイドピン56Bが採用された外装材取付具10Aにおいては、バックル42が、胴縁16がその延在方向に移動する場合でもその移動を妨げないばかりでなく、胴縁16と胴縁受金具26との結合力の強化が図られている。なお、このガイドピン56Bも、一側の端部が折り曲げられており、ガイドピン56Aと同様、ピン孔54からのガイドピン56Bの脱落が抑止されている。
【0041】
図6に示すガイドピン56Cは、一本の丸棒材を折り曲げて成形されている。このガイドピン56Cの一側は、ピン孔54及びバックル42の被案内部46の貫通孔52の両方に挿入されており、ガイドピン56Cの他側は、一側が挿入されたピン孔54より外側のピン孔54に挿入されている。このようなガイドピン56Cが採用された外装材取付具10Aにおいても、バックル42を胴縁16の延在方向に案内することが可能であり、且つ、バックル42は、胴縁16がその延在方向に移動する場合でもその移動を妨げない。なお、このガイドピン56Cも、一側の端部が折り曲げられており、ガイドピン56A及びガイドピン56Bと同様、ピン孔54からのガイドピン56Cの脱落が抑止されている。
【0042】
なお、上述したガイドピンを用いずに、バックル42を胴縁16に装着する態様について、図7を参照しつつ説明する。図7は、外装材取付具の異なる態様を示した概略斜視図である。
【0043】
図7に示すように、外装材取付具10Bは、ガイドピン56Aの代わりに釣止金具(釣止部材)58が採用されている点でのみ、外装材取付具10Aと異なる。釣止金具58は、S字状の金具であり、一端が胴縁受金具26の壁部30Aのピン孔54に係止されており、他端がバックル42のガイド板50の上側貫通孔52に係止されている。従って、バックル42は、ガイド板50において釣止金具58により吊られており、下垂している。このような釣止金具58で、バックル42が胴縁16から離れないように装着した場合でも、胴縁16はその延在方向(Y軸方向)に移動可能である。すなわち、バックル42は胴縁16がその延在方向に移動する場合でもその移動を妨げない。従って、外装材取付具10Bにおいても、外装材取付具10及び外装材取付具10Aと同様、胴縁16はチャンネル14との結合後であってもその延在方向に摺動可能な状態であり、建物躯体から外装材への振動伝達を抑制することが可能である。
【0044】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、チャンネルとコンクリート外壁との間に介在する支持部材は、I字型のアンカーボルトに限定されず、Z字型金具やL型金具などの一般的に知られている支持部材を、一個又は複数個組み合わせたものでもよい。ただし、支持部材の周辺における断熱を確保する点から、I字型のアンカーボルト若しくはL字型金具を採用するのが好ましい。さらに、上述した例は主に外断熱についての例であったが、木造住宅で利用される外張断熱にも容易に適用できうることはいうまでもない。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、胴縁の延在方向における耐震性の向上が図られた外装材取付具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る外装材取付具を示した概略斜視図である。
【図2】図1に示した外装材取付具の平面図である。
【図3】外装材取付具の異なる態様を示した概略斜視図である。
【図4】図4(a)は図3の外装材取付具を胴縁側からみた側面図であり、図4(b)は図3の外装材取付具の下面図である。
【図5】図5(a)は図3とは異なる態様の外装材取付具を胴縁側からみた側面図であり、図5(b)は図3とは異なる態様の外装材取付具の下面図である。
【図6】図6(a)は図3とは異なる態様の外装材取付具を胴縁側からみた側面図であり、図6(b)は図3とは異なる態様の外装材取付具の下面図である。
【図7】外装材取付具の異なる態様を示した概略斜視図である。
【符号の説明】
10,10A,10B…外装材取付具、12…アンカーボルト、14…チャンネル、16…胴縁、18…コンクリート外壁、20…断熱材、22…外装材、24…ワッシャ、26…胴縁受金具、28…プレート部、30…壁部、36A,36B…フランジ部、42…バックル、56A,56B,56C…ガイドピン、58…釣止金具。

Claims (9)

  1. 建物躯体の外壁に断熱材を固定し、且つ、前記建物躯体の外壁に前記断熱材を介して外装材を取り付けるための外装材取付具であって、
    前記外壁の壁面の法線方向に延在するように前記外壁に固定され、且つ、前記外壁の壁面を覆う前記断熱材を貫通する支持部材と、
    前記支持部材の遊端側に取り付けられる、前記支持部材の軸線方向に対して直交する方向に延在して前記断熱材を前記外壁に押さえとどめる平板状のプレート部と、このプレート部から前記壁面から離間する方向に立設された互いに対面する一対の対面壁部と、この一対の対面壁部の対面方向に対峙する前記対面壁部の頂部に形成された切り欠き対と、を有する胴縁受部材と、
    前記胴縁受部材の前記対面壁部の対面方向に延在する、前記対面壁部に形成された前記切り欠き対に嵌め込まれるフランジ部と、前記外装材が取り付けられる取付面部とを有する胴縁とを備える、外装材取付具。
  2. 前記胴縁は平行に延在する2つの前記フランジ部を有しており、且つ、前記胴縁受部材の前記対面壁部には複数対の前記切り欠き対が形成されている、請求項1に記載の外装材取付具。
  3. 前記胴縁受部材の複数対の前記切り欠き対は、略等間隔に配置されている、請求項2に記載の外装材取付具。
  4. 前記各切り欠き対には返し部が設けられており、且つ、前記胴縁の前記フランジ部には前記返し部に係止される爪部が形成されている、請求項2又は3に記載の外装材取付具。
  5. 前記支持部材の少なくとも遊端側に雄ネジ部が形成され、且つ、前記胴縁受部材の前記プレート部には、前記雄ネジ部に対応する雌ネジ部が内周面に形成されたリベットナットが回転自在に貫設されており、
    前記支持部材の前記雄ネジ部と、前記リベットナットの内周面に形成された前記雌ねじ部とが螺合されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の外装材取付具。
  6. 前記リベットナットの外周縁には、前記胴縁受部材の前記プレート部よりも幅広である、円形又は多角形状のハンドル盤部が形成されている、請求項5に記載の外装材取付具。
  7. 前記胴縁の前記取付面部には、前記外装材が取り付けられる面を被覆する補強プレートが装着されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の外装材取付具。
  8. 前記胴縁受部材の対面壁部には前記対面壁部の対面方向に対峙しガイドピンが貫挿される貫通孔対が形成され、前記補強プレートには前記ガイドピンに対応するピン受け部が形成されており、
    前記補強プレートは、前記ガイドピンと前記ピン受け部との協働により、前記胴縁受部材の前記対面壁部の対面方向に案内される、請求項7に記載の外装材取付具。
  9. 前記胴縁受部材の一対の前記対面壁部のうち、少なくとも一方の対面壁部には貫通孔が形成されており、この貫通孔に、一端が前記補強プレートに係止された釣止部材の他端が係止されている、請求項7に記載の外装材取付具。
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