JP2005015744A - 帯電防止性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スルホネートを対イオンに有する特定の第4級アンモニウム塩90重量%〜10重量%とノニオン界面活性剤10重量%〜90重量%からなる界面活性剤組成物を熱可塑性樹脂に対して0.05〜10.0重量%含有する樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色を抑え優れた帯電防止性を付与した熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックは、繊維産業、自動車産業、エレクトロニクス産業等のあらゆる産業分野の発展に大きく寄与し、食品包装用フィルム、電化製品筐体、工業資材等に形を変え、我々の生活には欠かせない非常に重要なものであることは周知の事実である。特にプラスチックの中でも熱可塑性樹脂は加工性が良いことからフィルム、シート、成型品等に幅広く利用されている。
【0003】
一口に熱可塑性樹脂と言っても、一般に汎用樹脂と呼ばれるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂から、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール等の汎用エンジニアリング樹脂、更にはスーパーエンジニアリング樹脂まで現在では多種多様の樹脂が開発され、各用途で使用されている。しかしながら、いずれの熱可塑性樹脂も樹脂特有の絶縁性が静電気による帯電現象を引き起こし、帯電による障害も多方面で問題視されている。具体的には空気中の埃や汚れの吸着が生じたり、紙・フィルムどうしの張り付き、又は電子機器においては静電気によるICの誤作動、メモリの破壊などが挙げられる。
【0004】
このような状況のもと、実際に樹脂の帯電障害を防ぐ策として、界面活性剤を樹脂表面に塗布するか(コーティング方式)、或いは予め界面活性剤を練り込んだ樹脂を成型する方法(練り込み方式)が行われている。
【0005】
練り込み方式は、界面活性剤が樹脂に予め練り込まれている為、成型後に界面活性剤が成型品の表面に滲み出す(ブリードアウト)ことで性能が発現し、表面の界面活性剤を拭き取っても、樹脂内部の界面活性剤が更にブリードアウトすることで効果が回復し、ある程度の持続性を有する利点がある。このように練り込み方式は、界面活性剤が樹脂からブリードアウトすることで性能を発現させているが、このブリードアウトの度合いは結晶化度や結晶の配向状態といった樹脂の結晶性と、樹脂と界面活性剤との相溶性に大きく依存すると言われている。
【0006】
樹脂成型に際して、少なくとも樹脂の溶融温度以上の加工温度が必要であり、又溶融温度は樹脂の種類により大きく異なる。概ね樹脂の溶融温度は、150℃から高いもので300℃前後になるが、練り込み方式で界面活性剤を使用する場合、樹脂加工温度に対する界面活性剤の耐熱性も考慮する必要がある。耐熱性のない界面活性剤は熱により分解し、結果として加工時の臭気、発煙を引き起こし、又は加工品の着色等の外観に影響するばかりか、肝心の帯電防止性の効果も発現しない。
【0007】
実際に耐熱性がある界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤或いはアニオン界面活性剤が利用されている。しかしながら、これらの系統の界面活性剤では高い帯電防止性が望まれている昨今の要求には十分に対応できていない。一方、カチオン界面活性剤である界面活性剤は、コーティング方式ではノニオン或いはアニオン界面活性剤以上の非常に優れた帯電防止性が得られる反面、練り込み方式となると耐熱性が非常に弱く、上記問題を抱え使用するには耐えられないものであった。
【0008】
耐熱性のあるカチオン界面活性剤として特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に耐熱性を向上させた界面活性剤を樹脂成分に添加することが示されている。但し、いずれの特許文献内容もポリ塩化ビニルに代表される成型温度が比較的低い樹脂を対象としている為、200℃以上を超える樹脂の成型条件に対しては必ずしも対応できるとは言えず、更に明記されている過塩素酸イオンは樹脂加工機を腐食させる恐れがある為、使用には適切ではない。
【0009】
特許文献4、及び特許文献5には、対イオンが過ハロゲン酸イオン、ベンゼン系スルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオンを有する第4級アンモニウム塩を含有する帯電防止性樹脂組成物が明記されているが、対イオンの効果により比較的加工温度の高い樹脂に対しても耐熱性は対応できるものの、樹脂と界面活性剤との相溶性のバランスがとりにくく、必ずしも高い帯電防止性を付与できるとは言えなかった。
【0010】
更に第4級アンモニウム塩のようなカチオン界面活性剤は、他の系統の界面活性剤と比較した場合、皮膚刺激及び毒性が高い為、食品向け用途の樹脂に対しては含有量を制限せざるを得なかった。
【0011】
従って、これら従来の技術からは必ずしも熱可塑性樹脂組成物に要求されている帯電防止性、着色等の外観、更には人体に対する安全性全てに充分満足できる性能が得られているとは言えず、更なる改良を求められていた。
【0012】
【特許文献1】
特開平2−248439号公報(第1−6頁)
【特許文献2】
特開平3−243640号公報(第1−5頁)
【特許文献3】
特開平4−21659号公報(第1−4頁)
【特許文献4】
特公昭40−7366号公報(第1−4頁)
【特許文献5】
特開平9−278936号公報(第1−14頁)
【0013】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明の目的は、このような状況のもと、練り込み方式でも着色を抑え優れた帯電防止性を発揮できる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決する為の手段】
本発明者らは上記課題を解決する為に鋭意研究した結果、熱可塑性樹脂においてスルホネートを対イオンに有する第4級アンモニウム塩を熱可塑性樹脂に含有させたところ、帯電防止性に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られることを見い出した。
【0015】
特に、スルホネートを対イオンに有する第4級アンモニウム塩として下記一般式(A)で表わされる化合物を使用した場合、他のスルホネートを対イオンに有する第4級アンモニウム塩と比較して、更に高い耐熱性を有していることから熱履歴による界面活性剤の分解が抑制され、熱可塑性樹脂の着色が低く抑えられる。
【化2】
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の内の少なくとも一つは炭素数8〜24の同一もしくは異なった直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルアリール基、又は下記一般式(B)を示す。
R7−Y−R8− (B)
[R7は炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、又はアルキルアリール基を示す。R8は炭素数1〜5のアルキレン基を示す。Yは−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、又は−O−を示す。]
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の内の上記で限定したもの以外は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数8〜24のアリールアルキル基、又は−(ZO)m−H基(Zは炭素数2〜4のアルキレン基、mは1〜40である。)を示す。X−はスルホネート(−SO3 −)を有する対イオンを示す。
【0016】
更に熱可塑性樹脂に第4級アンモニウム塩に加えてノニオン界面活性剤を配合することにより、それぞれを単独で使用した場合の効果の和よりも優れた帯電防止性を付与することができる為、一般的に毒性が高い第4級アンモニウム塩の使用量を抑えることができることが判明し、本発明が完成するに至った。
【0017】
<ノニオン界面活性剤群>
(1)ポリエチレングリコール型ノニオン界面活性剤
(2)多価アルコール型ノニオン界面活性剤
【0018】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明は、上記一般式(A)で表されるスルホネートを対イオンに有する第4級アンモニウム塩90重量%〜10重量%と上記特定のノニオン界面活性剤群から選ばれる少なくとも1種類のノニオン界面活性剤10重量%〜90重量%からなる界面活性剤組成物を0.05重量%〜10.0重量%含有する帯電防止性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0019】
以下、本発明のスルホネートを対イオンに有する第4級アンモニウム塩について説明する。
上記一般式(A)で表されるスルホネートを対イオンに有する第4級アンモニウム塩おいて、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の内の少なくとも一つは炭素数が10〜24で、特に炭素数12〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、又は上記一般式(B)が好ましい。R7としては炭素数10〜24が好ましく、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基、アルケニル基がよい。R8としては炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が更に好ましい。Yとしては−C(=O)NH−、−C(=O)O−、又は−OC(=O)−が好ましく、−C(=O)NH−が更に好ましい。他は炭素数1〜4のアルキル基、又は−(CH2CH2O)m−H基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、−(CH2CH2O)2〜10−H基がよい。
【0020】
対イオンX−としては炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基を有するスルホネートが好ましいが、更に好ましくはメチルスルホネート、エチルスルホネート、ラウリルスルホネート、ラウリルベンゼンスルホネートがよい。
【0021】
本発明のスルホネートを対イオンに有する第4級アンモニウム塩の好ましい具体例として、以下の化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0022】
第4級アンモニウム塩(1)
【化3】
第4級アンモニウム塩(2)
【化4】
第4級アンモニウム塩(3)
【化5】
【0023】
本発明のスルホネートを対イオンに有する第4級アンモニウム塩の合成は公知の方法で得ることができるが、特に限定されるものではない。例えば(1)の合成物に関しては、第3級アミンである2モルのラウリルジメチルアミンをジクロロプロパノール1モルで四級化し、得られたヒドロキシプロピル−ビス−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライドをラウリルスルホン酸ナトリウムとの塩交換で目的のスルホネートの第4級アンモニウム塩にすることができる。
【0024】
本発明のノニオン界面活性剤とは、下記ノニオン界面活性剤群(1)及び/又は(2)から選ばれる少なくとも1種類のノニオン界面活性剤を示す。
(1)ポリエチレングリコール型ノニオン界面活性剤
(2)多価アルコール型ノニオン界面活性剤
【0025】
ポリエチレングリコール型ノニオン界面活性剤とは高級アルコール、脂肪酸などの界面活性剤の疎水基原料にエチレンオキサイドを付加して得られるノニオン界面活性剤である。疎水基原料のアルキル基に特に限定はないが、炭素数12〜18のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、エチレンオキサイド付加モル数は結合している疎水基にもよるが2〜40が好ましく、更に好ましくは5〜20がよい。具体的な系統しては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、脂肪酸エチレンオキサイド系、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物系、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド系等が挙げられ、更に具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記のポリエチレングリコール型ノニオン界面活性剤が上記の第4級アンモニウム塩と加温により混合するものであれば単独、併用は問わない。
【0026】
多価アルコール型ノニオン界面活性剤とは、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビタン等の親水基原料である多価アルコールに疎水基原料である脂肪酸を反応させて得られるノニオン界面活性剤である。反応させる脂肪酸の炭素数は12〜18のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、モノエステル型が好適である。ポリグリセリンはジ、トリ、テトラの中でもジグリセリンが好ましい。具体的な系統としては、グリセリン脂肪酸エステル系、ポリグリセリン脂肪酸エステル系、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル系、ソルビトール脂肪酸エステル系、ソルビタン脂肪酸エステル系、ショ糖脂肪酸エステル系が挙げられ、更に具体的には、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアート、ソルビタンモノオレート等が挙げらるが、これらに限定されるものではない。上記の多価アルコール型ノニオン界面活性剤が上記の第4級アンモニウム塩と加温により混合するものであれば単独、併用は問わない。
【0027】
本発明において、上記の第4級アンモニウム塩と上記のノニオン界面活性剤との配合比は、上記の第4級アンモニウム塩90重量%〜10重量%と上記のノニオン界面活性剤10重量%〜90重量%とからなることが必要であり、更には上記の第4級アンモニウム塩90〜50重量%と上記のノニオン界面活性剤10〜50重量%となることが好ましい。第4級アンモニウム塩が90重量%を超えた場合、毒性の高い第4級アンモニウム塩の低減という発明の主旨に反し、10重量%を下回った場合には帯電防止効果の弱いノニオン界面活性剤が大半を占める為やはり好ましくない。
【0028】
熱可塑性樹脂に対する本発明の界面活性剤組成物の含有量は0.05重量%〜10.0重量%が好ましいが、より好ましくは0.1重量%〜5.0重量%であり、更に好ましくは0.5重量%〜2.0重量%である。本発明に係わる界面活性剤組成物の含有量に比例して帯電防止性は向上するが、10.0重量%以上を超えても帯電防止性に大きな向上はなく、むしろ過剰添加によるコスト高、及び樹脂の機械的物性に影響をもたらすことになる。
【0029】
以下、本発明の熱可塑性樹脂について説明する。
本発明の熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン−1(PB−1)、ポリエチレン(PS)、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ブタジエン樹脂(BDR)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、フッ素樹脂(FR)、ポリメタクリルスチレン(MS)、メタクリル樹脂(PMMA)、ナイロン(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエステルカーボネート(PPC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアセタール(POM)、ポリアリルサルホン(PASF)、ポリアリレート(PAR)、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル(HBP)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)が挙げられるが、熱可塑性樹脂であれば特に限定されるものではなく、これらの樹脂は単独、或いは2種以上を併用してもよい。
【0030】
本発明の熱可塑性樹脂の製造方法については、各樹脂において公知の重合方法で得ることができるが、特に限定されるものではない。
【0031】
本発明の熱可塑性樹脂の分子量は、フィルム、シート、成型品等の成型加工条件において最適な分子量であれば、特に限定されるものではない。
【0032】
本発明の目的を損なわない範囲で、必要により本発明以外の公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤を単独或いは2種以上併用させても良い。
【0033】
本発明の目的を損なわない範囲で可塑剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、無機フィラー等の各種添加剤、改質剤、充填剤を付加成分として添加することができる。
【0034】
本発明の界面活性剤組成物の添加方法は、公知の方法で行われる。すなわち、高濃度のマスターバッチを別に作製し、これをフィルム及びシート等の成型品を得るまでの任意の工程で混合しても良いし、熱可塑性樹脂パウダーとあらかじめ混合しても良い。
【0035】
本発明における熱可塑性樹脂は射出成型、押出成型、ブロー成型、及びTダイ加工、インフレーション加工等によりフィルム、シート等に成型可能である。成型時の温度は樹脂の種類によって異なるが、成型に支障をきたさない溶融粘度の範囲内での温度が好ましい。
【0036】
この効果発現に関しては、本発明のスルホネートを対イオンに有する第4級アンモニウム塩が、他のスルホネートを対イオンに有する第4級アンモニウム塩と比較して高い耐熱性を有していることから熱履歴による分解を抑制していること、及び特定のノニオン界面活性剤との混合により、いかなる熱可塑性樹脂に対しても適切な相溶性が得られることが、あらゆる熱可塑性樹脂組成物の帯電防止性の相乗効果、及び着色の低減化に大きく寄与しているものと推定しており、これが本発明の根幹を成すものである。
【0037】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例で使用したノニオン界面活性剤は下記のとおりである。又本発明の第4級アンモニウム塩とは構造が異なるスルホネートを対イオンに有するカチオン界面活性剤;比較化合物(1)、及び対イオンがクロライド(Cl−)である本発明と同構造のカチオン界面活性剤;比較化合物(2)を実施例と比較した。
【0038】
(1)ポリエチレングリコール型ノニオン界面活性剤
(1)−a;ポリオキシエチレンオレイルエーテル(東邦化学工業(株)製 ペグノールO−16A)
(1)−b;ポリエチレングリコールモノステアレート(東邦化学工業(株)製ペグノール14−S)
(1)−c;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(東邦化学工業(株)製 ソルボンT−60)
【0039】
(2)多価アルコール型ノニオン界面活性剤
(2)−a;グリセリンモノステアレート(東邦化学工業(株)製 アンステックスMG−100)
(2)−b;ジグリセリンモノラウレート(理研ビタミン(株)製 リケマールL−71−D)
(2)−c;ソルビタンモノラウレート(東邦化学工業(株)製 ソルボンS−60)
【0040】
比較化合物(1);カチオン界面活性剤
【化6】
【0041】
比較化合物(2);カチオン界面活性剤
【化7】
【0042】
【実施例】
各種の熱可塑性樹脂に対して本発明の第4級アンモニウム塩(1)〜(3)、ノニオン界面活性剤(1)−a〜c及び(2)−a〜c、比較化合物(1)及び(2)を表1〜表3に示した配合比と含有量で添加し、ラボプラストミルとローラミキサー((株)東洋精機製作所製)にて溶解混合した樹脂をプレス機にて厚さ2mm、縦100mm、横100mmのシート状に成型した。このシートを温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿条件下に14日間放置した後、帯電防止性及び着色性を評価し、結果を表1〜表3に示す。
【0043】
<評価方法>
シートの性能評価は、具体的に下記の方法によって実施した。
(1)帯電防止性
JIS−K−6911に準じ、成型シートの表面固有抵抗値((株)川口電気製作所製 超絶縁計 P−616)を測定した。数値が小さい程、帯電防止性が優れていることを示す。Log(表面固有抵抗値Ω/□)は13以下が目標である。
【0044】
(2)着色性
成型シートを東京電色(株)製 COLOR ANZLYZER TC−1500SXを用いて測定したX、Y、ZからASTM−E1925に準じ、YI=100(1.28X−1.06Z)/Yより算出した結果を評価した。YI値が大きい程、成型シートの黄色味が強いことを示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【発明の効果】
表1および表2の実施例1〜37の結果に示されるように、本発明のスルホネートを対イオンに有する第4級アンモニウム塩90重量%〜10重量%と特定のノニオン界面活性剤群から選ばれる少なくとも1種類のノニオン界面活性剤10重量%〜90重量%からなる界面活性剤組成物を0.05重量%〜10.0重量%含有する熱可塑性樹脂組成物は、毒性の高い第4級アンモニウム塩の使用量を低減してもなお優れた帯電防止性を発揮することができる。更には樹脂の着色を低く抑えることもでき、高い品質を要求される用途において有用である。
Claims (2)
- 下記一般式(A)で表わされるスルホネートを対イオンに有する第4級アンモニウム塩90重量%〜10重量%と下記ノニオン界面活性剤群(1)及び/又は(2)から選ばれる少なくとも1種類のノニオン界面活性剤10重量%〜90重量%からなる界面活性剤組成物を0.05重量%〜10.0重量%含有する熱可塑性樹脂組成物。
<ノニオン界面活性剤群>
(1)ポリエチレングリコール型ノニオン界面活性剤
(2)多価アルコール型ノニオン界面活性剤
R7−Y−R8− (B)
[R7は炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、又はアルキルアリール基を示す。R8は炭素数1〜5のアルキレン基を示す。Yは−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、又は−O−を示す。]
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の内の上記で限定したもの以外は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数8〜24のアリールアルキル基、又は−(ZO)m−H基(Zは炭素数2〜4のアルキレン基、mは1〜40である。)を示す。X−はスルホネート(−SO3 −)を有する対イオンを示す。 - ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等からなる少なくとも1つの熱可塑性樹脂である着色を抑え優れた帯電防止性を有する請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
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