JP2005015717A - 接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】各種被着体に対して優れた粘着力や接着力を発現するとともに、優れた初期凝集力、優れた経時凝集力、優れた耐熱強度、優れた耐湿熱強度等を兼備し、かつ、作業性に優れ、火災の危険性や人体や環境に対して好ましくない影響を及ぼすこともない接着剤組成物を提供する。
【解決手段】分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス、粘接着性付与樹脂、アセチルアセトン金属塩および無機充填剤が含有されてなることを特徴とする接着剤組成物、および、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、粘接着性付与樹脂5〜200重量部、アセチルアセトン金属塩0.05〜10重量部および無機充填剤5〜200重量部が配合されてなることを特徴とする上記接着剤組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス、粘接着性付与樹脂、アセチルアセトン金属塩および無機充填剤が含有されてなることを特徴とする接着剤組成物、および、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、粘接着性付与樹脂5〜200重量部、アセチルアセトン金属塩0.05〜10重量部および無機充填剤5〜200重量部が配合されてなることを特徴とする上記接着剤組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリクロロプレン(クロロプレンゴム)を主成分(ベース)とする接着剤としては、ポリクロロプレンを有機溶剤に溶解させ、これに粘接着性付与樹脂や無機充填剤等を含有させてなる、いわゆる溶剤型クロロプレン系接着剤が主流であり、建材用、家具用、車両用、製靴用等の各種用途に広く用いられてきた。
【0003】
しかし近年、溶剤型接着剤は製造時や使用時における有機溶剤による火災の危険性や人体や環境に対する好ましくない影響等が懸念されており、脱溶剤化の要求が高まっている。
【0004】
脱溶剤化の手段としては、例えば、ポリクロロプレンラテックスやアクリルエマルジョン等を主成分として用いた水系接着剤に代替する方法が有効であり、これらの水系接着剤は建材用や家具用等の用途にその需要を拡大しつつある。
【0005】
上記水系接着剤の使用例として、例えば、天板基材に化粧材を接着加工するに際して、分子内にカルボキシル基または水酸基を有する水分散性エマルジョンとアセチルアセトン金属塩との混合物を主成分としてなる水系接着剤を使用することを特徴とする化粧材貼り天板の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
上記化粧材貼り天板の製造方法に用いられる水系接着剤は、分子内にカルボキシル基または水酸基を有する水分散性エマルジョンと架橋剤としての機能を有するアセチルアセトン金属塩との混合物を主成分としてなるので、優れた耐熱性を発現するとされている。
【0007】
しかし、本発明者らが上記水系接着剤を作製して性能評価を行ったところ、上記水系接着剤には、貼り合わせ直後の凝集力(初期凝集力)、耐熱強度、耐湿熱強度等が不十分であるという問題点があることが判明した。
【0008】
【特許文献1】
特開平3−229784号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、各種被着体に対して優れた粘着力や接着力を発現するとともに、優れた初期凝集力、優れた経時凝集力、優れた耐熱強度、優れた耐湿熱強度等を兼備し、かつ、作業性に優れ、火災の危険性や人体や環境に対して好ましくない影響を及ぼすこともない接着剤組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明)による接着剤組成物は、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス、粘接着性付与樹脂、アセチルアセトン金属塩および無機充填剤が含有されてなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明による接着剤組成物は、上記請求項1に記載の接着剤組成物において、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、粘接着性付与樹脂5〜200重量部、アセチルアセトン金属塩0.05〜10重量部および無機充填剤5〜200重量部が配合されてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の接着剤組成物に主成分として用いられるポリクロロプレンラテックスを構成するポリクロロプレンは、分子内にカルボキシル基を有する、いわゆるカルボキシル基変性ポリクロロプレン、または、分子内に水酸基を有する、いわゆる水酸基変性ポリクロロプレンである。
【0013】
上記ポリクロロプレンラテックスを構成するポリクロロプレンは、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するので、後述するアセチルアセトン金属塩が有する架橋剤(加硫剤)としての機能により、架橋(加硫)することができるため、造膜後の接着剤組成物の初期凝集力、経時凝集力、耐熱強度、耐湿熱強度等が著しく向上する。
【0014】
本発明の接着剤組成物に用いられる粘接着性付与樹脂(タッキファイヤー)は、造膜後の接着剤組成物の各種被着体に対する粘着力や接着力を向上させる機能を有する。
【0015】
上記粘接着性付与樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガムロジン、トールロジン、ウッドロジン、不均斉化ロジン、重合ロジン、これらロジンのグリセリンエステルやペンタエリスリトールエステル、これらの水素添加物などのロジン系樹脂、テルペン樹脂、炭化水素変性テルペン樹脂、これらの水素添加物などのテルペン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂の水素添加物などのテルペンフェノール系樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ピュアーモノマー系石油樹脂、これらの水素添加物などの石油系樹脂、スチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、キシレン系樹脂、ダンマル、コーパル、シェラック等が挙げられ、なかでも、粘接着性付与効果に優れ、耐熱性や耐湿熱性も良好であることから、テルペンフェノール系樹脂が好適に用いられる。これらの粘接着性付与樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0016】
上記粘接着性付与樹脂の配合量は、特に限定されるものではないが、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、粘接着性付与樹脂5〜200重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜100重量部である。
【0017】
固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対する粘接着性付与樹脂の配合量が5重量部未満であると、造膜後の接着剤組成物の各種被着体に対する粘着力や接着力が十分に向上しないことがあり、逆に分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対する粘接着性付与樹脂の配合量が200重量部を超えると、造膜後の接着剤組成物の各種被着体に対する粘着力や接着力が却って低下することがある。
【0018】
分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックスに対する上記粘接着性付与樹脂の配合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、予め粘接着性付与樹脂のエマルジョンを常法により作製した後、この粘接着性付与樹脂のエマルジョンをポリクロロプレンラテックス中に添加して、混合する方法を採っても良いし、また、粘接着性付与樹脂を加熱溶融するか、少量の有機溶剤に溶解して、この粘接着性付与樹脂の加熱溶融液または有機溶剤溶液をポリクロロプレンラテックス中に急速攪拌しながら添加・混合し、粘接着性付与樹脂のエマルジョン化と混合とを同時に一括して行う方法を採っても良いが、粘接着性付与樹脂をポリクロロプレンラテックス中により均一かつ安定的に配合(分散)することができることから、前者の方法を採ることが好ましい。
【0019】
本発明の接着剤組成物に用いられるアセチルアセトン金属塩は、架橋剤として機能し、前記ポリクロロプレンラテックスを構成するポリクロロプレン中のカルボキシル基または水酸基と反応してポリクロロプレンを架橋させることにより、造膜後の接着剤組成物の初期凝集力、経時凝集力、耐熱強度、耐湿熱強度等の著しい向上に寄与する。
【0020】
上記アセチルアセトン金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンベリリウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンモリブデン、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム等が挙げられ、なかでも、架橋剤としての機能に優れることから、アセチルアセトンアルミニウムが好適に用いられる。これらのアセチルアセトン金属塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0021】
上記アセチルアセトン金属塩の配合量は、特に限定されるものではないが、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、アセチルアセトン金属塩0.05〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3重量部である。
【0022】
固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対するアセチルアセトン金属塩の配合量が0.05重量部未満であると、造膜後の接着剤組成物の初期凝集力、経時凝集力、耐熱強度、耐湿熱強度等が十分に向上しないことがあり、逆に分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対するアセチルアセトン金属塩の配合量が10重量部を超えると、造膜後の接着剤組成物の耐湿熱強度が却って低下することがある。
【0023】
分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックスに対する上記アセチルアセトン金属塩の配合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、予めアセチルアセトン金属塩の水溶液もしくは水分散液を常法により作製した後、このアセチルアセトン金属塩の水溶液もしくは水分散液をポリクロロプレンラテックス中に添加して、混合する方法を採っても良いし、また、アセチルアセトン金属塩を直接的にポリクロロプレンラテックス中に添加して、混合する方法を採っても良いが、アセチルアセトン金属塩をポリクロロプレンラテックス中により均一かつ安定的に配合(分散)することができることから、前者の方法を採ることが好ましい。
【0024】
本発明の接着剤組成物に用いられる無機充填剤は、補強剤として機能し、上記アセチルアセトン金属塩の有する架橋剤としての機能によるポリクロロプレンの架橋効果と相まって、造膜後の接着剤組成物の初期凝集力、経時凝集力、耐熱強度、耐湿熱強度等のさらなる向上に寄与する。
【0025】
上記無機充填剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、クレー、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、無水シリカ、含水シリカ、ケイ酸カルシウム等が挙げられ、なかでも、補強剤としての機能に優れることから、クレーが好適に用いられる。これらの無機充填剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0026】
上記無機充填剤の配合量は、特に限定されるものではないが、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、無機充填剤5〜200重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜60重量部である。
【0027】
固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対する無機充填剤の配合量が5重量部未満であると、造膜後の接着剤組成物の初期凝集力、経時凝集力、耐熱強度、耐湿熱強度等が十分に向上しないことがあり、逆に分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対する無機充填剤の配合量が200重量部を超えると、接着剤組成物の粘度が高くなりすぎて、作業性が悪くなることがある。
【0028】
分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックスに対する上記無機充填剤の配合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、予め無機充填剤の水溶液もしくは水分散液を常法により作製した後、この無機充填剤の水溶液もしくは水分散液をポリクロロプレンラテックス中に添加して、混合する方法を採っても良いし、また、無機充填剤を直接的にポリクロロプレンラテックス中に添加して、混合する方法を採っても良いが、無機充填剤をポリクロロプレンラテックス中により均一かつ安定的に配合(分散)することができることから、前者の方法を採ることが好ましい。
【0029】以上述べたように、本発明の接着剤組成物は、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス、粘接着性付与樹脂、アセチルアセトン金属塩および無機充填剤が含有されてなるが、なかでも、各種被着体に対するより優れた粘着力や接着力、より優れた初期凝集力、より優れた経時凝集力、より優れた耐熱強度、より優れた耐湿熱強度等を発現し、かつ、作業性もより優れたものとなることから、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、粘接着性付与樹脂5〜200重量部、アセチルアセトン金属塩0.05〜10重量部および無機充填剤5〜200重量部が配合されてなる接着剤組成物であることが好ましい。
【0030】
本発明の接着剤組成物には、必須成分である分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス、粘接着性付与樹脂、アセチルアセトン金属塩および無機充填剤に加えるに、必要に応じて、例えば、軟化剤(可塑剤)、界面活性剤(乳化剤)、粘度調整剤、チキソトロープ剤(揺変性付与剤)、タレ防止剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、難燃剤、帯電防止剤、有機溶剤等の公知の機能を有する各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が配合されていても良い。
【0031】
本発明の接着剤組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、公知の各種攪拌混合機を用いて、常温下もしくは必要に応じて加熱下または冷却下、常圧下もしくは必要に応じて不活性ガス雰囲気下、減圧下または加圧下で、必須成分である分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス、粘接着性付与樹脂、アセチルアセトン金属塩および無機充填剤の各所定量と、必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを、均一に攪拌混合することにより、所望の接着剤組成物を得ることができる。
【0032】
【作用】
本発明の接着剤組成物は、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス、粘接着性付与樹脂、アセチルアセトン金属塩および無機充填剤が含有されてなるので、上記粘接着性付与樹脂の粘接着性付与効果により、各種被着体に対して優れた粘着力や接着力を発現するとともに、上記アセチルアセトン金属塩と上記ポリクロロプレンラテックスを構成するポリクロロプレン中のカルボキシル基または水酸基との反応による架橋効果および上記無機充填剤の補強効果により、優れた初期凝集力、優れた経時凝集力、優れた耐熱強度、優れた耐湿熱強度等を発現する。
【0033】
また、本発明の接着剤組成物は、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、粘接着性付与樹脂5〜200重量部、アセチルアセトン金属塩0.05〜10重量部および無機充填剤5〜200重量部が配合されてなるものとすることにより、上記効果がより確実なものとなり、作業性も優れたものとなる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
攪拌混合機を用いて、固形分換算で、分子内にカルボキシル基を有するポリクロロプレンラテックス(商品名「GFL890」、東ソー社製)100重量部に対し、粘接着性付与樹脂としてテルペンフェノール系樹脂(商品名「タマノールE−100」、荒川化学工業社製)50重量部、アセチルアセトン金属塩としてアセチルアセトンアルミニウム(商品名「ナーセムアルミニウム」、日本化学産業社製)1重量部および無機充填剤としてクレー50重量部を配合し、均一に攪拌混合して、接着剤組成物を調製した。
【0036】
(実施例2)
アセチルアセトン金属塩としてのアセチルアセトンアルミニウム「ナーセムアルミニウム」の配合量を3重量部とし、無機充填剤としてのクレーの配合量を30重量部としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、接着剤組成物を調製した。
【0037】
(実施例3)
粘接着性付与樹脂としてのテルペンフェノール系樹脂「タマノールE−100」の配合量を100重量部としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、接着剤組成物を調製した。
【0038】
(比較例1)
粘接着性付与樹脂としてのテルペンフェノール系樹脂「タマノールE−100」を配合しなかったこと以外は実施例1の場合と同様にして、接着剤組成物を調製した。
【0039】
(比較例2)
アセチルアセトン金属塩としてのアセチルアセトンアルミニウム「ナーセムアルミニウム」を配合しなかったこと以外は実施例1の場合と同様にして、接着剤組成物を調製した。
【0040】
(比較例3)
無機充填剤としてのクレーを配合しなかったこと以外は実施例1の場合と同様にして、接着剤組成物を調製した。
【0041】
実施例1〜実施例3および比較例1〜比較例3で得られた接着剤組成物の粘度を以下の方法で測定した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0042】
[粘度の測定方法]
JIS K−6833「接着剤の一般試験方法」に準拠して、測定温度:23℃、粘度計:BH型回転粘度計、ローター:No.4、回転数:10rpmの条件で、接着剤組成物の粘度(mPa・s)を測定した。
【0043】
次に、実施例1〜実施例3および比較例1〜比較例3で得られた接着剤組成物の性能(▲1▼初期耐熱クリープ性、▲2▼耐熱強度、▲3▼耐湿熱強度)を以下の方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0044】
▲1▼初期耐熱クリープ性
メラミン板と合板の各接着面(接着面積:幅25mm×長さ150mm)に接着剤組成物を塗布量(wet)が各80g/m2 となるように塗布し、80℃で3分間乾燥した後、直ちにメラミン板と合板を貼り合わせて接着試験片を作製した。次いで直ちに、得られた接着試験片の長さ方向の一端に500gの荷重を吊るし、60℃の雰囲気下に30分間垂直に放置して、接着部分のズレ距離(cm)または接着部分の剥がれによる荷重の落下時間(分)を測定した。上記ズレ距離が小さいほど初期耐熱クリープ性すなわち初期凝集力が優れていることになる。
【0045】
▲2▼耐熱強度
メラミン板と合板の各接着面(接着面積:50mm×50mm)に接着剤組成物を塗布量(wet)が各80g/m2 となるように塗布し、80℃で3分間乾燥して、直ちにメラミン板と合板を貼り合わせた後、23℃−50%RHの雰囲気下で24時間養生して接着試験片を作製した。次いで、得られた接着試験片を80℃の雰囲気下に48時間放置した後、取り出し、引張試験機を用いて、測定温度:23℃、引張速度:10mm/分の条件で接着試験片の引張剪断試験を行い、耐熱強度を測定した。
【0046】
▲3▼耐湿熱強度
メラミン板と合板の各接着面(接着面積:50mm×50mm)に接着剤組成物を塗布量(wet)が各80g/m2 となるように塗布し、80℃で3分間乾燥して、直ちにメラミン板と合板を貼り合わせた後、23℃−50%RHの雰囲気下で24時間養生して接着試験片を作製した。次いで、得られた接着試験片を40℃−95%RHの雰囲気下に48時間放置した後、取り出し、引張試験機を用いて、測定温度:23℃、引張速度:10mm/分の条件で接着試験片の引張剪断試験を行い、耐湿熱強度を測定した。
【0047】
【表1】
【0048】
表1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例3の接着剤組成物は、いずれも初期耐熱クリープ性(初期凝集力)、耐熱強度および耐湿熱強度の全てについて優れていた。
【0049】
これに対し、粘接着性付与樹脂を配合しなかった比較例1の接着剤組成物および無機充填剤を配合しなかった比較例3の接着剤組成物は、いずれも耐熱強度および耐湿熱強度が悪かった。また、アセチルアセトン金属塩を配合しなかった比較例2の接着剤組成物は、初期耐熱クリープ性(初期凝集力)が極めて悪く、耐熱強度および耐湿熱強度も劣っていた。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の接着剤組成物は、各種被着体に対して優れた粘着力や接着力を発現するとともに、優れた初期凝集力、優れた経時凝集力、優れた耐熱強度、優れた耐湿熱強度等を兼備し、かつ、作業性に優れ、水系接着剤であるため、火災の危険性や人体や環境に対して好ましくない影響を及ぼすこともないので、例えば、建材用や家具用等を始め、各種工業用途むけの接着剤として好適に用いられる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリクロロプレン(クロロプレンゴム)を主成分(ベース)とする接着剤としては、ポリクロロプレンを有機溶剤に溶解させ、これに粘接着性付与樹脂や無機充填剤等を含有させてなる、いわゆる溶剤型クロロプレン系接着剤が主流であり、建材用、家具用、車両用、製靴用等の各種用途に広く用いられてきた。
【0003】
しかし近年、溶剤型接着剤は製造時や使用時における有機溶剤による火災の危険性や人体や環境に対する好ましくない影響等が懸念されており、脱溶剤化の要求が高まっている。
【0004】
脱溶剤化の手段としては、例えば、ポリクロロプレンラテックスやアクリルエマルジョン等を主成分として用いた水系接着剤に代替する方法が有効であり、これらの水系接着剤は建材用や家具用等の用途にその需要を拡大しつつある。
【0005】
上記水系接着剤の使用例として、例えば、天板基材に化粧材を接着加工するに際して、分子内にカルボキシル基または水酸基を有する水分散性エマルジョンとアセチルアセトン金属塩との混合物を主成分としてなる水系接着剤を使用することを特徴とする化粧材貼り天板の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
上記化粧材貼り天板の製造方法に用いられる水系接着剤は、分子内にカルボキシル基または水酸基を有する水分散性エマルジョンと架橋剤としての機能を有するアセチルアセトン金属塩との混合物を主成分としてなるので、優れた耐熱性を発現するとされている。
【0007】
しかし、本発明者らが上記水系接着剤を作製して性能評価を行ったところ、上記水系接着剤には、貼り合わせ直後の凝集力(初期凝集力)、耐熱強度、耐湿熱強度等が不十分であるという問題点があることが判明した。
【0008】
【特許文献1】
特開平3−229784号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、各種被着体に対して優れた粘着力や接着力を発現するとともに、優れた初期凝集力、優れた経時凝集力、優れた耐熱強度、優れた耐湿熱強度等を兼備し、かつ、作業性に優れ、火災の危険性や人体や環境に対して好ましくない影響を及ぼすこともない接着剤組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明)による接着剤組成物は、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス、粘接着性付与樹脂、アセチルアセトン金属塩および無機充填剤が含有されてなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明による接着剤組成物は、上記請求項1に記載の接着剤組成物において、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、粘接着性付与樹脂5〜200重量部、アセチルアセトン金属塩0.05〜10重量部および無機充填剤5〜200重量部が配合されてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の接着剤組成物に主成分として用いられるポリクロロプレンラテックスを構成するポリクロロプレンは、分子内にカルボキシル基を有する、いわゆるカルボキシル基変性ポリクロロプレン、または、分子内に水酸基を有する、いわゆる水酸基変性ポリクロロプレンである。
【0013】
上記ポリクロロプレンラテックスを構成するポリクロロプレンは、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するので、後述するアセチルアセトン金属塩が有する架橋剤(加硫剤)としての機能により、架橋(加硫)することができるため、造膜後の接着剤組成物の初期凝集力、経時凝集力、耐熱強度、耐湿熱強度等が著しく向上する。
【0014】
本発明の接着剤組成物に用いられる粘接着性付与樹脂(タッキファイヤー)は、造膜後の接着剤組成物の各種被着体に対する粘着力や接着力を向上させる機能を有する。
【0015】
上記粘接着性付与樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガムロジン、トールロジン、ウッドロジン、不均斉化ロジン、重合ロジン、これらロジンのグリセリンエステルやペンタエリスリトールエステル、これらの水素添加物などのロジン系樹脂、テルペン樹脂、炭化水素変性テルペン樹脂、これらの水素添加物などのテルペン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂の水素添加物などのテルペンフェノール系樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ピュアーモノマー系石油樹脂、これらの水素添加物などの石油系樹脂、スチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、キシレン系樹脂、ダンマル、コーパル、シェラック等が挙げられ、なかでも、粘接着性付与効果に優れ、耐熱性や耐湿熱性も良好であることから、テルペンフェノール系樹脂が好適に用いられる。これらの粘接着性付与樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0016】
上記粘接着性付与樹脂の配合量は、特に限定されるものではないが、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、粘接着性付与樹脂5〜200重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜100重量部である。
【0017】
固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対する粘接着性付与樹脂の配合量が5重量部未満であると、造膜後の接着剤組成物の各種被着体に対する粘着力や接着力が十分に向上しないことがあり、逆に分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対する粘接着性付与樹脂の配合量が200重量部を超えると、造膜後の接着剤組成物の各種被着体に対する粘着力や接着力が却って低下することがある。
【0018】
分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックスに対する上記粘接着性付与樹脂の配合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、予め粘接着性付与樹脂のエマルジョンを常法により作製した後、この粘接着性付与樹脂のエマルジョンをポリクロロプレンラテックス中に添加して、混合する方法を採っても良いし、また、粘接着性付与樹脂を加熱溶融するか、少量の有機溶剤に溶解して、この粘接着性付与樹脂の加熱溶融液または有機溶剤溶液をポリクロロプレンラテックス中に急速攪拌しながら添加・混合し、粘接着性付与樹脂のエマルジョン化と混合とを同時に一括して行う方法を採っても良いが、粘接着性付与樹脂をポリクロロプレンラテックス中により均一かつ安定的に配合(分散)することができることから、前者の方法を採ることが好ましい。
【0019】
本発明の接着剤組成物に用いられるアセチルアセトン金属塩は、架橋剤として機能し、前記ポリクロロプレンラテックスを構成するポリクロロプレン中のカルボキシル基または水酸基と反応してポリクロロプレンを架橋させることにより、造膜後の接着剤組成物の初期凝集力、経時凝集力、耐熱強度、耐湿熱強度等の著しい向上に寄与する。
【0020】
上記アセチルアセトン金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンベリリウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンモリブデン、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム等が挙げられ、なかでも、架橋剤としての機能に優れることから、アセチルアセトンアルミニウムが好適に用いられる。これらのアセチルアセトン金属塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0021】
上記アセチルアセトン金属塩の配合量は、特に限定されるものではないが、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、アセチルアセトン金属塩0.05〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3重量部である。
【0022】
固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対するアセチルアセトン金属塩の配合量が0.05重量部未満であると、造膜後の接着剤組成物の初期凝集力、経時凝集力、耐熱強度、耐湿熱強度等が十分に向上しないことがあり、逆に分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対するアセチルアセトン金属塩の配合量が10重量部を超えると、造膜後の接着剤組成物の耐湿熱強度が却って低下することがある。
【0023】
分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックスに対する上記アセチルアセトン金属塩の配合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、予めアセチルアセトン金属塩の水溶液もしくは水分散液を常法により作製した後、このアセチルアセトン金属塩の水溶液もしくは水分散液をポリクロロプレンラテックス中に添加して、混合する方法を採っても良いし、また、アセチルアセトン金属塩を直接的にポリクロロプレンラテックス中に添加して、混合する方法を採っても良いが、アセチルアセトン金属塩をポリクロロプレンラテックス中により均一かつ安定的に配合(分散)することができることから、前者の方法を採ることが好ましい。
【0024】
本発明の接着剤組成物に用いられる無機充填剤は、補強剤として機能し、上記アセチルアセトン金属塩の有する架橋剤としての機能によるポリクロロプレンの架橋効果と相まって、造膜後の接着剤組成物の初期凝集力、経時凝集力、耐熱強度、耐湿熱強度等のさらなる向上に寄与する。
【0025】
上記無機充填剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、クレー、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、無水シリカ、含水シリカ、ケイ酸カルシウム等が挙げられ、なかでも、補強剤としての機能に優れることから、クレーが好適に用いられる。これらの無機充填剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0026】
上記無機充填剤の配合量は、特に限定されるものではないが、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、無機充填剤5〜200重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜60重量部である。
【0027】
固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対する無機充填剤の配合量が5重量部未満であると、造膜後の接着剤組成物の初期凝集力、経時凝集力、耐熱強度、耐湿熱強度等が十分に向上しないことがあり、逆に分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対する無機充填剤の配合量が200重量部を超えると、接着剤組成物の粘度が高くなりすぎて、作業性が悪くなることがある。
【0028】
分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックスに対する上記無機充填剤の配合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、予め無機充填剤の水溶液もしくは水分散液を常法により作製した後、この無機充填剤の水溶液もしくは水分散液をポリクロロプレンラテックス中に添加して、混合する方法を採っても良いし、また、無機充填剤を直接的にポリクロロプレンラテックス中に添加して、混合する方法を採っても良いが、無機充填剤をポリクロロプレンラテックス中により均一かつ安定的に配合(分散)することができることから、前者の方法を採ることが好ましい。
【0029】以上述べたように、本発明の接着剤組成物は、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス、粘接着性付与樹脂、アセチルアセトン金属塩および無機充填剤が含有されてなるが、なかでも、各種被着体に対するより優れた粘着力や接着力、より優れた初期凝集力、より優れた経時凝集力、より優れた耐熱強度、より優れた耐湿熱強度等を発現し、かつ、作業性もより優れたものとなることから、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、粘接着性付与樹脂5〜200重量部、アセチルアセトン金属塩0.05〜10重量部および無機充填剤5〜200重量部が配合されてなる接着剤組成物であることが好ましい。
【0030】
本発明の接着剤組成物には、必須成分である分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス、粘接着性付与樹脂、アセチルアセトン金属塩および無機充填剤に加えるに、必要に応じて、例えば、軟化剤(可塑剤)、界面活性剤(乳化剤)、粘度調整剤、チキソトロープ剤(揺変性付与剤)、タレ防止剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、難燃剤、帯電防止剤、有機溶剤等の公知の機能を有する各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が配合されていても良い。
【0031】
本発明の接着剤組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、公知の各種攪拌混合機を用いて、常温下もしくは必要に応じて加熱下または冷却下、常圧下もしくは必要に応じて不活性ガス雰囲気下、減圧下または加圧下で、必須成分である分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス、粘接着性付与樹脂、アセチルアセトン金属塩および無機充填剤の各所定量と、必要に応じて配合される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを、均一に攪拌混合することにより、所望の接着剤組成物を得ることができる。
【0032】
【作用】
本発明の接着剤組成物は、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス、粘接着性付与樹脂、アセチルアセトン金属塩および無機充填剤が含有されてなるので、上記粘接着性付与樹脂の粘接着性付与効果により、各種被着体に対して優れた粘着力や接着力を発現するとともに、上記アセチルアセトン金属塩と上記ポリクロロプレンラテックスを構成するポリクロロプレン中のカルボキシル基または水酸基との反応による架橋効果および上記無機充填剤の補強効果により、優れた初期凝集力、優れた経時凝集力、優れた耐熱強度、優れた耐湿熱強度等を発現する。
【0033】
また、本発明の接着剤組成物は、固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、粘接着性付与樹脂5〜200重量部、アセチルアセトン金属塩0.05〜10重量部および無機充填剤5〜200重量部が配合されてなるものとすることにより、上記効果がより確実なものとなり、作業性も優れたものとなる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
攪拌混合機を用いて、固形分換算で、分子内にカルボキシル基を有するポリクロロプレンラテックス(商品名「GFL890」、東ソー社製)100重量部に対し、粘接着性付与樹脂としてテルペンフェノール系樹脂(商品名「タマノールE−100」、荒川化学工業社製)50重量部、アセチルアセトン金属塩としてアセチルアセトンアルミニウム(商品名「ナーセムアルミニウム」、日本化学産業社製)1重量部および無機充填剤としてクレー50重量部を配合し、均一に攪拌混合して、接着剤組成物を調製した。
【0036】
(実施例2)
アセチルアセトン金属塩としてのアセチルアセトンアルミニウム「ナーセムアルミニウム」の配合量を3重量部とし、無機充填剤としてのクレーの配合量を30重量部としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、接着剤組成物を調製した。
【0037】
(実施例3)
粘接着性付与樹脂としてのテルペンフェノール系樹脂「タマノールE−100」の配合量を100重量部としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、接着剤組成物を調製した。
【0038】
(比較例1)
粘接着性付与樹脂としてのテルペンフェノール系樹脂「タマノールE−100」を配合しなかったこと以外は実施例1の場合と同様にして、接着剤組成物を調製した。
【0039】
(比較例2)
アセチルアセトン金属塩としてのアセチルアセトンアルミニウム「ナーセムアルミニウム」を配合しなかったこと以外は実施例1の場合と同様にして、接着剤組成物を調製した。
【0040】
(比較例3)
無機充填剤としてのクレーを配合しなかったこと以外は実施例1の場合と同様にして、接着剤組成物を調製した。
【0041】
実施例1〜実施例3および比較例1〜比較例3で得られた接着剤組成物の粘度を以下の方法で測定した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0042】
[粘度の測定方法]
JIS K−6833「接着剤の一般試験方法」に準拠して、測定温度:23℃、粘度計:BH型回転粘度計、ローター:No.4、回転数:10rpmの条件で、接着剤組成物の粘度(mPa・s)を測定した。
【0043】
次に、実施例1〜実施例3および比較例1〜比較例3で得られた接着剤組成物の性能(▲1▼初期耐熱クリープ性、▲2▼耐熱強度、▲3▼耐湿熱強度)を以下の方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0044】
▲1▼初期耐熱クリープ性
メラミン板と合板の各接着面(接着面積:幅25mm×長さ150mm)に接着剤組成物を塗布量(wet)が各80g/m2 となるように塗布し、80℃で3分間乾燥した後、直ちにメラミン板と合板を貼り合わせて接着試験片を作製した。次いで直ちに、得られた接着試験片の長さ方向の一端に500gの荷重を吊るし、60℃の雰囲気下に30分間垂直に放置して、接着部分のズレ距離(cm)または接着部分の剥がれによる荷重の落下時間(分)を測定した。上記ズレ距離が小さいほど初期耐熱クリープ性すなわち初期凝集力が優れていることになる。
【0045】
▲2▼耐熱強度
メラミン板と合板の各接着面(接着面積:50mm×50mm)に接着剤組成物を塗布量(wet)が各80g/m2 となるように塗布し、80℃で3分間乾燥して、直ちにメラミン板と合板を貼り合わせた後、23℃−50%RHの雰囲気下で24時間養生して接着試験片を作製した。次いで、得られた接着試験片を80℃の雰囲気下に48時間放置した後、取り出し、引張試験機を用いて、測定温度:23℃、引張速度:10mm/分の条件で接着試験片の引張剪断試験を行い、耐熱強度を測定した。
【0046】
▲3▼耐湿熱強度
メラミン板と合板の各接着面(接着面積:50mm×50mm)に接着剤組成物を塗布量(wet)が各80g/m2 となるように塗布し、80℃で3分間乾燥して、直ちにメラミン板と合板を貼り合わせた後、23℃−50%RHの雰囲気下で24時間養生して接着試験片を作製した。次いで、得られた接着試験片を40℃−95%RHの雰囲気下に48時間放置した後、取り出し、引張試験機を用いて、測定温度:23℃、引張速度:10mm/分の条件で接着試験片の引張剪断試験を行い、耐湿熱強度を測定した。
【0047】
【表1】
【0048】
表1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例3の接着剤組成物は、いずれも初期耐熱クリープ性(初期凝集力)、耐熱強度および耐湿熱強度の全てについて優れていた。
【0049】
これに対し、粘接着性付与樹脂を配合しなかった比較例1の接着剤組成物および無機充填剤を配合しなかった比較例3の接着剤組成物は、いずれも耐熱強度および耐湿熱強度が悪かった。また、アセチルアセトン金属塩を配合しなかった比較例2の接着剤組成物は、初期耐熱クリープ性(初期凝集力)が極めて悪く、耐熱強度および耐湿熱強度も劣っていた。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の接着剤組成物は、各種被着体に対して優れた粘着力や接着力を発現するとともに、優れた初期凝集力、優れた経時凝集力、優れた耐熱強度、優れた耐湿熱強度等を兼備し、かつ、作業性に優れ、水系接着剤であるため、火災の危険性や人体や環境に対して好ましくない影響を及ぼすこともないので、例えば、建材用や家具用等を始め、各種工業用途むけの接着剤として好適に用いられる。
Claims (2)
- 分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス、粘接着性付与樹脂、アセチルアセトン金属塩および無機充填剤が含有されてなることを特徴とする接着剤組成物。
- 固形分換算で、分子内にカルボキシル基または水酸基を有するポリクロロプレンラテックス100重量部に対し、粘接着性付与樹脂5〜200重量部、アセチルアセトン金属塩0.05〜10重量部および無機充填剤5〜200重量部が配合されてなることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003185563A JP2005015717A (ja) | 2003-06-27 | 2003-06-27 | 接着剤組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003185563A JP2005015717A (ja) | 2003-06-27 | 2003-06-27 | 接着剤組成物 |
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JP2005015717A true JP2005015717A (ja) | 2005-01-20 |
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JP2003185563A Withdrawn JP2005015717A (ja) | 2003-06-27 | 2003-06-27 | 接着剤組成物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010084023A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Aica Kogyo Co Ltd | クロロプレンゴムラテックス接着剤組成物 |
-
2003
- 2003-06-27 JP JP2003185563A patent/JP2005015717A/ja not_active Withdrawn
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JP2010084023A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Aica Kogyo Co Ltd | クロロプレンゴムラテックス接着剤組成物 |
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