JP2005015428A - 4−ピリジンチオール類の分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】4−ピリジンチオール類が無機化合物および溶媒との混和液となっている状態から、工業的実施に適し、かつ高い効率で4−ピリジンチオール類を分離することができ4−ピリジンチオール類を工業的に有利に分離する方法を提供すること
【解決方法】4−ピリジンチオール類、無機化合物類および溶媒を含有する混和液から4−ピリジンチオール類を分離するに当たり、溶媒に比べて沸点が高く、無機化合物を実質的に溶解せず、かつ4−ピリジンチオール類を溶解する性質をもつ液体化合物を上記混和液と混合し、得られた混合物から溶媒を留去し、次いで析出した無機化合物類を濾別してなる4−ピリジンチオール類の分離方法。
【選択図】 なし
【解決方法】4−ピリジンチオール類、無機化合物類および溶媒を含有する混和液から4−ピリジンチオール類を分離するに当たり、溶媒に比べて沸点が高く、無機化合物を実質的に溶解せず、かつ4−ピリジンチオール類を溶解する性質をもつ液体化合物を上記混和液と混合し、得られた混合物から溶媒を留去し、次いで析出した無機化合物類を濾別してなる4−ピリジンチオール類の分離方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4−ピリジンチオール類の分離方法に関し、より詳しくは4−ピリジンチオールと無機化合物類および溶媒からなる混和物から4−ピリジンチオール類を分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
4−ピリジンチオールと無機化合物類および溶媒を含有する混和物から4−ピリジンチオール類を分離する方法としては、下記の方法などが公知である。
【0003】
1. 4−クロロピリジンに水硫化カリウムを作用させて得られた4−ピリジンチオール合成の反応液を水に溶解させ、酢酸で中和して得られた混和物から、溶媒を全て留去して残渣を乾固させ、ついで残渣をアルコールに溶解させる。アルコール溶液を再度乾固させることにより、4−ピリジンチオール(γ−ピリジルメルカプタン)3.8g、収率95%を取り出している(非特許文献1参照)。
【0004】
2. 4−ピリジルピリジニウム二塩化水素塩のピリジン溶液に、硫化水素を吹き込んで得られた4−ピリジンチオール合成の反応液を炭酸ナトリウムで中和して得られた混和物溶媒のピリジンを全量留去し、残渣を乾固する。残渣を熱アルコールに溶解させ、この溶液を乾燥させてから、酢酸エチル・アルコールの混合溶媒で再結晶させて、4−ピリジンチオール1.1g(収率64%)を得ている(非特許文献2参照)。
【0005】
3. 硫化ナトリウムと硫黄の混合物に4−クロロピリジン52.9gを作用させて得られた4−ピリジンチオール合成の反応液を冷却後、塩酸でpH0.5に調整し、70度で1.5時間反応させたのち、温ろ過によって硫黄を取り除いてろ液として混和物を得ている。ろ液に活性炭を加えて、浮いている油層を除去する。活性炭をろ過したのち黄色ろ液を2度まで冷却し、析出した4−ピリジンチオール(4−メルカプトピリジン)をろ過することにより、8.6g。収率22%で得ている。(特許文献1参照)
【0006】
【非特許文献1】
Chemische Berichte 1921年54巻 1360ページ
【非特許文献2】
Chemische Berichte 1956年89巻 2929ページ
【特許文献1】
アメリカ国特許3759932号明細書(1973年)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの既存の方法によって工業的な規模で4−ピリジンチオール類を分離する際の課題としては、非特許文献1および2の方法では、工程のなかに溶媒をすべて留去して固形物のみとする工程(以後、濃縮乾固と略する)があり、この方法は反応容器内壁への固形物の付着のため、反応液の攪拌が困難となり、また伝熱が阻害されることにより操作時間が大幅に延長されるなど、工業的な製造方法としては実施が困難である。
【0008】
また、特許文献1では、濃縮乾固工程を実施せずに、水溶液から4−ピリジンチオール類を結晶として取り出しているが、収率が22%と低い。
以上のように、従来報告されていた4−ピリジンチオールを分離する方法は、工業的な実施にあたっては、操作上、もしくは収率の低さという問題点があり、どれも満足できる方法ではない。
【0009】
本発明は、4−ピリジンチオール類が無機化合物および溶媒との混和物となっている状態から、工業的実施に適し、かつ高い効率で4−ピリジンチオール類を分離することができ4−ピリジンチオール類を工業的に有利に分離する方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた。その結果、4−ピリジンチオール類、無機化合物類、および溶媒を含有する混和物を、溶媒に比べて沸点が高く、無機化合物を実質的に溶解せず、かつ4−ピリジンチオール類を溶解する性質をもつ液体化合物と混合した後、溶媒を蒸留によって除去し、また析出する無機化合物類を結晶としてろ過して除去することによって、無機化合物類および溶媒と4−ピリジンチオール類とを分離し、実質的に得られた4−ピリジンチオール類のみを含有する溶液から4−ピリジンチオール類を冷却などの手段によって結晶化させることによって、4−ピリジンチオール類を単離する方法によれば、工業的に有利に4−ピリジンチオール類が得られることを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は4−ピリジンチオール類、無機化合物類および溶媒を含有する混和物から4−ピリジンチオール類を分離するに当たり、溶媒に比べて沸点が高く、無機化合物を実質的に溶解せず、かつ4−ピリジンチオール類を溶解する性質をもつ液体化合物を上記混和物と混合し、得られた混合物から溶媒を留去し、次いで析出した無機化合物類を濾別することを特徴とする4−ピリジンチオール類の分離方法に関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における4−ピリジンチオール類としては、一般式(1):
【化1】
(式中、R1およびR2はそれぞれ水素原子または低級アルキル基を示す。)で表される4−ピリジンチオール類が挙げら、低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。具体的には4−ピリジンチオール、2−メチル−4−ピリジンチオール、5−エチル−3−メチル−4−ピリジンチオールなどが挙げられる。
【0013】
無機化合物としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムなどのハロゲン化アルカリ金属塩類が挙げられる。
【0014】
溶媒としては、ピリジン、ピコリン類やルチジン類などのアルキルピリジン類、水が挙げられる。
【0015】
上記4−ピリジンチオール類、無機化合物および溶媒を含有する混和物は、非特許文献1、非特許文献2、特許文献1等に記載された方法により得ることができる。また、4−ピリジルピリジニウム二ハロゲン化水素塩類を水硫化アルカリ金属塩と反応させ、まず反応液に強アルカリ性化合物(例えばアルカリ金属の水酸化物)の添加して副生ピリジン類の塩を中和し、次いで、この時反応、中和に水を使用しない場合は、反応及び中和で生成したハロゲン化アルカリ金属塩を濾過により分離し、または反応、中和に水を使用する場合には蒸留操作によって水を除去して得られる。
4−ピリジンチオール類、無機化合物および溶媒を含有する混和物中の無機化合物および溶媒の含有量は、当該混和物の入手手段により変化するが、例えば4−ピリジルピリジニウム二塩酸塩をピリジン溶媒中、水硫化ナトリウム水溶液と反応させた後、反応液に48%水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、中和で生成した塩化ナトリウムの一部を濾過して得た4−ピリジンチオール類、無機化合物、溶媒を含有する混和物の場合、4−ピリジンチオール類に対して、混和物中の無機化合物の含有量は通常20〜40重量%、溶媒の含有量は通常100〜1000重量%である。
【0016】
4−ピリジンチオール類、無機化合物および溶媒を含有する混和物に混合する液体化合物は、溶媒に比べて沸点が高く、無機化合物を実質的に溶解せず、かつ4−ピリジンチオール類を溶解する性質をもつ液体化合物であり、その沸点差は溶媒を蒸留する操作条件にもよるが、溶媒を先に流出させるのに必要且つ充分な沸点差である。ここで、溶媒を先に留出させるとは必ずしも溶媒だけを液体化合物の混入無しに留出させることを意味せず、蒸留によって溶媒を除去した後に混和物中の溶媒が除去され、代わって液体化合物が4−ピリジンチオール類、無機化合物と混合物を形成する状態に成り得る液体化合物を示す。また、無機化合物を実質的に溶解しないとは、溶媒を除去した後の4−ピリジンチオール類、無機化合物、液体化合物の混合物から無機化合物が固体として析出した状態に成ることを示す。これらの性質を有し、本発明において使用する液体化合物の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられ、その使用量は、4−ピリジンチオール類に対して1〜20重量部である。
【0017】
本発明の実施概要の一例としては、4−ピリジンチオール類、無機化合物および溶媒を含有する混和物に対して、先に示した性質を有する液体化合物を添加した後、蒸留などの方法によって混和物に含まれていた溶媒をすべて除去し、その後析出してくる無機化合物をろ過により取り除く方法を実施することによって、実質的に4−ピリジンチオール類と液体化合物からなる溶液とする。さらにこの操作の後、この溶液を冷却、濃縮あるいはこの液体化合物と任意に混和し、かつ4−ピリジンチオール類の溶解性が低いさらに別の液体化合物の添加などの方法によって、4−ピリジンチオール類を結晶として取り出す。
【0018】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0019】
実施例1
容量500mlの4つ口フラスコに、ピリジン200.0g、硫黄2.0gを加えて100℃まで加温する。この溶液中に、温度100〜120℃で、塩素ガス34.8gを30分かけて吹き込むことにより、4−ピリジルピリジニウム二塩化水素塩を生成させる。吹き込みが終わった反応液を105℃まで冷却した後、水硫化ナトリウム水和物(水硫化ナトリウム含量70%)39.4g(対4−ピリジルピリジニウム二塩酸塩1.0倍モル)を水47.1gに溶解させた水溶液を、1時間かけて滴下し、反応させた。この反応液を50℃まで冷却した後、48%水酸化ナトリウム水溶液33.4gを加えることにより、反応液をpH4.8から6.7まで中和した後、析出した無機塩をろ過により取り除いた。得られたろ液(すなわち、4−ピリジンチオール類、無機化合物類および溶媒を含有する混和物)には4−ピリジンチオール46.9g、ピリジン161.1g、塩化ナトリウム8.9gなどが含有されていた。このろ液中に含まれる4−ピリジンチオールの収率は85.9%であった。
【0020】
上記ろ液にジメチルホルムアミド286.0gを加えた後、減圧蒸留操作によって反応溶媒のピリジンおよび水の混合物384.8gを留出・分離した。釜に残った溶液は、析出した無機塩をろ過により取り除いたのち、活性炭12.1gを添加して30℃で1時間攪拌させて着色成分を除去したのち、活性炭をろ過により取り除いた。このろ液をエバポレーターにより82.5gまで濃縮した後、濃縮液にトルエン161.4gを加えることによって4−ピリジンチオールの結晶を析出させた。ろ過により取り出した結晶を乾燥させたところ、4−ピリジンチオールを35.3g、収率64.7%で得た。
【0021】
【発明の効果】
本発明方法によれば、その工程に濃縮乾固工程を含まない、簡便な操作で効率良く4−ピリジンチオール類を分離できることから、工業的に優れた方法である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、4−ピリジンチオール類の分離方法に関し、より詳しくは4−ピリジンチオールと無機化合物類および溶媒からなる混和物から4−ピリジンチオール類を分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
4−ピリジンチオールと無機化合物類および溶媒を含有する混和物から4−ピリジンチオール類を分離する方法としては、下記の方法などが公知である。
【0003】
1. 4−クロロピリジンに水硫化カリウムを作用させて得られた4−ピリジンチオール合成の反応液を水に溶解させ、酢酸で中和して得られた混和物から、溶媒を全て留去して残渣を乾固させ、ついで残渣をアルコールに溶解させる。アルコール溶液を再度乾固させることにより、4−ピリジンチオール(γ−ピリジルメルカプタン)3.8g、収率95%を取り出している(非特許文献1参照)。
【0004】
2. 4−ピリジルピリジニウム二塩化水素塩のピリジン溶液に、硫化水素を吹き込んで得られた4−ピリジンチオール合成の反応液を炭酸ナトリウムで中和して得られた混和物溶媒のピリジンを全量留去し、残渣を乾固する。残渣を熱アルコールに溶解させ、この溶液を乾燥させてから、酢酸エチル・アルコールの混合溶媒で再結晶させて、4−ピリジンチオール1.1g(収率64%)を得ている(非特許文献2参照)。
【0005】
3. 硫化ナトリウムと硫黄の混合物に4−クロロピリジン52.9gを作用させて得られた4−ピリジンチオール合成の反応液を冷却後、塩酸でpH0.5に調整し、70度で1.5時間反応させたのち、温ろ過によって硫黄を取り除いてろ液として混和物を得ている。ろ液に活性炭を加えて、浮いている油層を除去する。活性炭をろ過したのち黄色ろ液を2度まで冷却し、析出した4−ピリジンチオール(4−メルカプトピリジン)をろ過することにより、8.6g。収率22%で得ている。(特許文献1参照)
【0006】
【非特許文献1】
Chemische Berichte 1921年54巻 1360ページ
【非特許文献2】
Chemische Berichte 1956年89巻 2929ページ
【特許文献1】
アメリカ国特許3759932号明細書(1973年)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの既存の方法によって工業的な規模で4−ピリジンチオール類を分離する際の課題としては、非特許文献1および2の方法では、工程のなかに溶媒をすべて留去して固形物のみとする工程(以後、濃縮乾固と略する)があり、この方法は反応容器内壁への固形物の付着のため、反応液の攪拌が困難となり、また伝熱が阻害されることにより操作時間が大幅に延長されるなど、工業的な製造方法としては実施が困難である。
【0008】
また、特許文献1では、濃縮乾固工程を実施せずに、水溶液から4−ピリジンチオール類を結晶として取り出しているが、収率が22%と低い。
以上のように、従来報告されていた4−ピリジンチオールを分離する方法は、工業的な実施にあたっては、操作上、もしくは収率の低さという問題点があり、どれも満足できる方法ではない。
【0009】
本発明は、4−ピリジンチオール類が無機化合物および溶媒との混和物となっている状態から、工業的実施に適し、かつ高い効率で4−ピリジンチオール類を分離することができ4−ピリジンチオール類を工業的に有利に分離する方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた。その結果、4−ピリジンチオール類、無機化合物類、および溶媒を含有する混和物を、溶媒に比べて沸点が高く、無機化合物を実質的に溶解せず、かつ4−ピリジンチオール類を溶解する性質をもつ液体化合物と混合した後、溶媒を蒸留によって除去し、また析出する無機化合物類を結晶としてろ過して除去することによって、無機化合物類および溶媒と4−ピリジンチオール類とを分離し、実質的に得られた4−ピリジンチオール類のみを含有する溶液から4−ピリジンチオール類を冷却などの手段によって結晶化させることによって、4−ピリジンチオール類を単離する方法によれば、工業的に有利に4−ピリジンチオール類が得られることを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は4−ピリジンチオール類、無機化合物類および溶媒を含有する混和物から4−ピリジンチオール類を分離するに当たり、溶媒に比べて沸点が高く、無機化合物を実質的に溶解せず、かつ4−ピリジンチオール類を溶解する性質をもつ液体化合物を上記混和物と混合し、得られた混合物から溶媒を留去し、次いで析出した無機化合物類を濾別することを特徴とする4−ピリジンチオール類の分離方法に関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における4−ピリジンチオール類としては、一般式(1):
【化1】
(式中、R1およびR2はそれぞれ水素原子または低級アルキル基を示す。)で表される4−ピリジンチオール類が挙げら、低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。具体的には4−ピリジンチオール、2−メチル−4−ピリジンチオール、5−エチル−3−メチル−4−ピリジンチオールなどが挙げられる。
【0013】
無機化合物としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムなどのハロゲン化アルカリ金属塩類が挙げられる。
【0014】
溶媒としては、ピリジン、ピコリン類やルチジン類などのアルキルピリジン類、水が挙げられる。
【0015】
上記4−ピリジンチオール類、無機化合物および溶媒を含有する混和物は、非特許文献1、非特許文献2、特許文献1等に記載された方法により得ることができる。また、4−ピリジルピリジニウム二ハロゲン化水素塩類を水硫化アルカリ金属塩と反応させ、まず反応液に強アルカリ性化合物(例えばアルカリ金属の水酸化物)の添加して副生ピリジン類の塩を中和し、次いで、この時反応、中和に水を使用しない場合は、反応及び中和で生成したハロゲン化アルカリ金属塩を濾過により分離し、または反応、中和に水を使用する場合には蒸留操作によって水を除去して得られる。
4−ピリジンチオール類、無機化合物および溶媒を含有する混和物中の無機化合物および溶媒の含有量は、当該混和物の入手手段により変化するが、例えば4−ピリジルピリジニウム二塩酸塩をピリジン溶媒中、水硫化ナトリウム水溶液と反応させた後、反応液に48%水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、中和で生成した塩化ナトリウムの一部を濾過して得た4−ピリジンチオール類、無機化合物、溶媒を含有する混和物の場合、4−ピリジンチオール類に対して、混和物中の無機化合物の含有量は通常20〜40重量%、溶媒の含有量は通常100〜1000重量%である。
【0016】
4−ピリジンチオール類、無機化合物および溶媒を含有する混和物に混合する液体化合物は、溶媒に比べて沸点が高く、無機化合物を実質的に溶解せず、かつ4−ピリジンチオール類を溶解する性質をもつ液体化合物であり、その沸点差は溶媒を蒸留する操作条件にもよるが、溶媒を先に流出させるのに必要且つ充分な沸点差である。ここで、溶媒を先に留出させるとは必ずしも溶媒だけを液体化合物の混入無しに留出させることを意味せず、蒸留によって溶媒を除去した後に混和物中の溶媒が除去され、代わって液体化合物が4−ピリジンチオール類、無機化合物と混合物を形成する状態に成り得る液体化合物を示す。また、無機化合物を実質的に溶解しないとは、溶媒を除去した後の4−ピリジンチオール類、無機化合物、液体化合物の混合物から無機化合物が固体として析出した状態に成ることを示す。これらの性質を有し、本発明において使用する液体化合物の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられ、その使用量は、4−ピリジンチオール類に対して1〜20重量部である。
【0017】
本発明の実施概要の一例としては、4−ピリジンチオール類、無機化合物および溶媒を含有する混和物に対して、先に示した性質を有する液体化合物を添加した後、蒸留などの方法によって混和物に含まれていた溶媒をすべて除去し、その後析出してくる無機化合物をろ過により取り除く方法を実施することによって、実質的に4−ピリジンチオール類と液体化合物からなる溶液とする。さらにこの操作の後、この溶液を冷却、濃縮あるいはこの液体化合物と任意に混和し、かつ4−ピリジンチオール類の溶解性が低いさらに別の液体化合物の添加などの方法によって、4−ピリジンチオール類を結晶として取り出す。
【0018】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0019】
実施例1
容量500mlの4つ口フラスコに、ピリジン200.0g、硫黄2.0gを加えて100℃まで加温する。この溶液中に、温度100〜120℃で、塩素ガス34.8gを30分かけて吹き込むことにより、4−ピリジルピリジニウム二塩化水素塩を生成させる。吹き込みが終わった反応液を105℃まで冷却した後、水硫化ナトリウム水和物(水硫化ナトリウム含量70%)39.4g(対4−ピリジルピリジニウム二塩酸塩1.0倍モル)を水47.1gに溶解させた水溶液を、1時間かけて滴下し、反応させた。この反応液を50℃まで冷却した後、48%水酸化ナトリウム水溶液33.4gを加えることにより、反応液をpH4.8から6.7まで中和した後、析出した無機塩をろ過により取り除いた。得られたろ液(すなわち、4−ピリジンチオール類、無機化合物類および溶媒を含有する混和物)には4−ピリジンチオール46.9g、ピリジン161.1g、塩化ナトリウム8.9gなどが含有されていた。このろ液中に含まれる4−ピリジンチオールの収率は85.9%であった。
【0020】
上記ろ液にジメチルホルムアミド286.0gを加えた後、減圧蒸留操作によって反応溶媒のピリジンおよび水の混合物384.8gを留出・分離した。釜に残った溶液は、析出した無機塩をろ過により取り除いたのち、活性炭12.1gを添加して30℃で1時間攪拌させて着色成分を除去したのち、活性炭をろ過により取り除いた。このろ液をエバポレーターにより82.5gまで濃縮した後、濃縮液にトルエン161.4gを加えることによって4−ピリジンチオールの結晶を析出させた。ろ過により取り出した結晶を乾燥させたところ、4−ピリジンチオールを35.3g、収率64.7%で得た。
【0021】
【発明の効果】
本発明方法によれば、その工程に濃縮乾固工程を含まない、簡便な操作で効率良く4−ピリジンチオール類を分離できることから、工業的に優れた方法である。
Claims (2)
- 4−ピリジンチオール類、無機化合物類および溶媒を含有する混和物から4−ピリジンチオール類を分離するに当たり、溶媒に比べて沸点が高く、無機化合物を実質的に溶解せず、かつ4−ピリジンチオール類を溶解する性質をもつ液体化合物を上記混和物と混合し、得られた混合物から溶媒を留去し、次いで析出した無機化合物類を濾別することを特徴とする4−ピリジンチオール類の分離方法。
- 請求項1における液体化合物として、N,N−ジメチルホルムアミドを用いる方法。
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---|---|---|---|
JP2003184895A JP2005015428A (ja) | 2003-06-27 | 2003-06-27 | 4−ピリジンチオール類の分離方法 |
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Publications (1)
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JP2005015428A true JP2005015428A (ja) | 2005-01-20 |
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