JP2005015097A - 紙送り用ローラ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軸芯上にゴムまたは熱可塑性エラストマからなるローラを形成してなる紙送り用ローラにおいて、前記ローラの表面には正方向研磨目と逆方向研磨目の双方が存在し、正方向研磨目と逆方向研磨目とは、面積比(正方向/逆方向)で80〜20/20〜80の範囲で存在する紙送り用ローラ。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙送り用ローラに関し、特に、自動預金支払機(ATM)のように搬送体が往復搬送される紙送り機構での使用に好適な紙送りローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ATMの紙送り機構には、軸芯上にゴムまたは熱可塑性エラストマを被覆してローラを形成した紙送り用ローラが使用されている。かかる紙送り用ローラにおいては、ローラの外径を所定の寸法に仕上げるために砥石等を用いた研磨が行われており(例えば、特許文献1)、これによって、象肌状の凹凸がローラ表面に形成される。従来の紙送り用ローラでは、研磨方向が一定方向であるため、一定方向にのみ研磨目が形成されている。このため、紙送り用ローラが機器に設置されるときは、紙送り用ローラを回転させたとき、紙とローラが研磨目が寝る方向に接触するように設置されるのが一般的であり、これによって、摩擦係数が高くなり、良好な紙送り効果が達成される。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−020366号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、例えば、ATMにおいて預金通帳に金額の出し入れを記帳する場合、預金通帳は入口に配置された紙送りローラにより印字部に搬送され、必要事項が印字された後、再び同じ道順で紙送りローラによって再び入口に戻されてくる。ここで、印字された直後の通帳は、インクが十分に乾燥していないため、紙送りローラ表面に移行し、移行したインクによって紙送りローラの摩擦係数が小さくなって搬送力が低下するという問題が指摘されるようになった。
【0005】
本発明は、上記した従来技術の問題を解決するためになされたもので、ロール表面にインクが付着しても紙の搬送に必要な摩擦係数を保持できる紙送りローラの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、軸芯上にゴムまたは熱可塑性エラストマからなるローラを形成してなる紙送り用ローラにおいて、前記ローラの表面には正方向研磨目と逆方向研磨目の双方が存在し、正方向研磨目と逆方向研磨目とは、面積比(正方向/逆方向)で80〜20/20〜80の範囲で存在する紙送り用ローラを提供する。
【0007】
本発明者らは、インク付着後のローラ表面を詳細に観察した結果、インクは、ローラ表面の凸部に付着し、凹部あるいは研磨目先端の下側には付着しにくいことを確認できた。また、インクが付着したローラを通常通り研磨目が寝る方向に回転させると、摩擦係数が大きく低下するのに対し、ローラを研磨目が逆剥る方向に回転させると、摩擦係数の低下を大きく抑えられることを確認した。
【0008】
したがって、研磨目が逆剥る方向に紙送り用ローラを設置すれば、初期の摩擦係数は少し低下するものの、インク付着後の摩擦係数の低下を抑えることが可能となる。しかし、ATMのように搬送体(紙)が往復搬送される機構の場合、紙送り用ローラは正逆両方向に回転するので、研磨目が逆剥る方向への回転のときはインク付着による摩擦係数の低下を抑えることができるが、研磨目が寝る方向への回転のときは、摩擦係数の低下を抑えることはできない。
【0009】
そこで、本発明は、ローラの表面に正方向研磨目と逆方向研磨目の双方を存在させることにより、往復どちらの方向においてもインク付着後の摩擦係数の低下を抑えるようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においては、ローラ表面の正方向研磨目と逆方向研磨目とは、面積比(正方向/逆方向)で80〜20/20〜80の範囲で存在するように形成する必要がある。この範囲を外れると、搬送体の往きと帰りとでインク付着後の摩擦係数の差が大きくなり、往復いずれかの方向で摩擦係数の低下が大きくなって搬送に支障をきたすようになる。
【0011】
本発明における紙送り用ローラは、一本の軸芯に単一のローラを形成したものであっても良く、また、一本の軸芯に複数個のローラを形成したものであっても良く、ローラ全体として正方向研磨目と逆方向研磨目が存在していれば良い。一本の軸芯に複数個のローラが形成された紙送り用ローラの場合には、正方向研磨目のみが存在する単位ローラと、逆方向研磨目のみが存在する単位ローラの双方を組み合わせても良く、各単位ローラ内で正方向研磨目と逆方向研磨目の双方を存在させても良い。
【0012】
ローラ表面への研磨目の形成は、砥石を用いて形成しても良く、また、金型を用いて形成しても良い。
【0013】
本発明において、ローラの原材料となるゴムとしては、エチレン・プロピレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ふっ素ゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム等を挙げることができ、これらは、単独で用いても良く、また、複数を組み合わせて用いても良い。本発明の目的達成のためには、エチレン・プロピレンゴムまたは塩素化ポリエチレンゴムが好適である。
【0014】
上記ゴムの加硫剤としては、硫黄、硫黄化合物、硫黄以外の無機加硫剤、ポリアミン、樹脂加硫剤、オキシム類、ニトロソ化合物、トリアジン系、パーオキサイド系等を単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0015】
加硫に際しては、加硫助剤を併用しても良く、金属酸化物、金属炭酸、アミン類、グアニジン系、アルデヒドアミン系、アルデヒドアンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系、アリル化合物、マレイミド類、メタクリレート類、ジビニル化合物等を単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0016】
上記ゴムに無機系充填剤や有機系充填剤を単独または2種以上組み合わせて配合しても良い。無機系充填剤としては、カーボン系、シリカ系、炭酸マグネシウム系、炭酸カルシウム系、けい酸マグネシウム系、けい酸アルミニウム系、酸化アルミニウム系、水酸化アルミニウム系、炭化けい素系、ガラス系等を挙げることができる。有機系充填剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオキシメチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリ弗化ビニリデン、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン系樹脂等を挙げることができる。
【0017】
ローラの原材料となる熱可塑性エラストマとしては、ウレタン系熱可塑性エラストマ、スチレン系熱可塑性エラストマ、オレフィン系熱可塑性エラストマ、エステル系熱可塑性エラストマ、アミド系熱可塑性エラストマ等を挙げることができ、これらは、単独で用いても良く、また、複数を組み合わせて用いても良い。
【0018】
本発明のローラの形成に際しては、上記成分以外に必要に応じて、他のゴム、他の熱可塑性エラストマ、樹脂、安定剤、着色剤、酸化防止剤、滑剤等を適宜配合しても良い。
【0019】
軸芯上へのローラの形成は、射出成形、押出成形またはプレスモールド等によりなされる。
【0020】
図1〜図3は、本発明の紙送り用ローラの一実施の形態の説明図であり、ローラ部分のみを図示したものである。図1は斜視説明図、図2は図1のX−X′線での断面説明図、図3は図1のY−Y′線での断面説明図であり、ローラ1の表面には、正方向研磨目2と逆方向研磨目3の二種類の研磨目が形成されている。
【0021】
図4(a)〜(e)は、一本の軸芯に4個の単位ローラを設けて本発明の紙送りローラを形成した5種類の実施の形態を示したものである。軸芯4の外周には、正方向研磨目2のみを有する単位ローラ、逆方向研磨目3のみを有する単位ローラおよび正方向研磨目2と逆方向研磨目3の双方を有する単位ローラを組み合わせて設けることにより、(a)〜(e)に示すような5種類の紙送り用ローラが形成されている。
【0022】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明の紙送り用ロールについてさらに詳細に説明する。
【0023】
(実施例1〜11、比較例1〜6)
表1の各例に示す配合に従って各成分を調整し、6インチロールを用いて混練してゴム組成物を得、このゴム組成物を金型を用いて160℃でプレス架橋し、その後所定の形状に研磨して紙送り用ローラを作製した。熱可塑性エラストマについては、180〜200℃で射出成形を行い、その後所定の形状に研磨して紙送り用ローラを作製した。なお、実施例4〜6および比較例5は、1本の軸芯に2個の単位ローラを設けて紙送り用ローラを作製し、その他の実施例および比較例はいずれも1本の軸芯に単一ローラを設けて紙送り用ローラを作製した。
【0024】
実施例および比較例の紙送り用ローラについて、初期摩擦係数およびインク付着後摩擦係数を測定した結果を表1に示した。
【0025】
紙送り用ローラにインクを付着させる方法は次の通りである。インクリボンを巻き付けたローラ▲1▼、預金通帳中紙を巻き付けたローラ▲2▼および実施例、比較例で作製した紙送り用ローラ▲3▼を用意し、3個のローラを▲1▼、▲2▼、▲3▼の順にセットして連続して所定時間接触回転させ、預金通帳中紙を介して紙送り用ローラ▲3▼にインクを付着させた。
【0026】
摩擦係数の測定方法は次の通りである。実施例および比較例で作製した紙送り用ローラを駆動軸に固定し、これと一定荷重(W)をかけたフリードラムとの間に、ロードセルを連結した預金通帳中紙を挟み、紙送り用ローラを回転させて摩擦力(F)を測定した。摩擦係数は、摩擦力(F)と荷重(W)との比(F/W)を算出して求めた。摩擦係数が0.6以上であれば預金通帳を支障なく搬送することができる。
【0027】
【表1】
【表2】
【0028】
実施例2の紙送り用ローラのインク付着後の往き方向と帰り方向の摩擦係数の変化を図5に、また、比較例2の紙送り用ローラのインク付着後の往き方向と帰り方向の摩擦係数の変化を図6にそれぞれ示した。実施例2の紙送り用ローラは、往き方向および帰り方向の摩擦係数の低下が少なく良好であるが、比較例2の紙送り用ローラは、帰り方向の摩擦係数については低下が少なく良好であるが、往き方向の摩擦係数の低下が大きく、搬送に支障を来たす可能性が大きい。
【0029】
表1、表2に示したインク付着後の摩擦係数は、インクを付着させるための接触回転時間が30分の時の値である。実施例1〜11の紙送り用ローラは、いずれもインク付着後の摩擦係数の低下が小さく、良好な結果が得られている。正方向研磨目の面積比が大きい比較例1、2、4、5および6の紙送り用ローラは、往き方向での摩擦係数の低下が大きく、正方向研磨目の面積比が小さい比較例3の紙送り用ローラは、帰り方向での摩擦係数の低下が大きくなっている。
【0030】
【発明の効果】
以上説明してきたとおり、本発明は、ローラの表面に正方向研磨目と逆方向研磨目の双方が面積比(正方向/逆方向)で80〜20/20〜80の範囲で存在する紙送り用ローラを提供するものであり、これによって、インク付着後の摩擦係数の低下を抑えることが可能になり、ATMにおける預金通帳等の搬送を支障なく行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙送り用ローラの一実施の形態の斜視説明図。
【図2】図1のX−X′線での断面説明図。
【図3】図1のY−Y′線での断面説明図。
【図4】本発明の紙送り用ローラにおける単位ローラの配置形態の説明図。
【図5】実施例2の紙送り用ローラのインク付着後の往き方向と帰り方向の摩擦係数の変化を表わすグラフ。
【図6】比較例2の紙送り用ローラのインク付着後の往き方向と帰り方向の摩擦係数の変化を表わすグラフ。
【符号の説明】
1:ローラ
2:正方向研磨目
3:逆方向研磨目
4:軸芯
Claims (6)
- 軸芯上にゴムまたは熱可塑性エラストマからなるローラを形成してなる紙送り用ローラにおいて、前記ローラの表面には正方向研磨目と逆方向研磨目の双方が存在し、正方向研磨目と逆方向研磨目とは、面積比(正方向/逆方向)で80〜20/20〜80の範囲で存在することを特徴とする紙送り用ローラ。
- 前記ローラは単一ローラからなり、この単一ローラ内で正方向研磨目と逆方向研磨目の双方が存在する請求項1記載の紙送り用ローラ。
- 前記ローラは、複数個の単位ローラからなり、各単位ローラ内で正方向研磨目と逆方向研磨目の双方が存在する請求項1記載の紙送り用ローラ。
- 前記ローラは、複数個の単位ローラからなり、正方向研磨目のみが存在する単位ローラと、逆方向研磨目のみが存在する単位ローラの双方を有する請求項1記載の紙送り用ローラ。
- 前記ローラの研磨目は、砥石を用いて形成されている請求項1記載の紙送り用ローラ。
- 前記ローラの研磨目は、金型を用いて形成されている請求項1記載の紙送り用ローラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003179346A JP2005015097A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | 紙送り用ローラ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003179346A JP2005015097A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | 紙送り用ローラ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005015097A true JP2005015097A (ja) | 2005-01-20 |
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ID=34180695
Family Applications (1)
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JP2003179346A Pending JP2005015097A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | 紙送り用ローラ |
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JP (1) | JP2005015097A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112500704A (zh) * | 2019-09-16 | 2021-03-16 | 天贵电子科技(深圳)有限公司 | 一种橡胶滚轴及其制备方法 |
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2003
- 2003-06-24 JP JP2003179346A patent/JP2005015097A/ja active Pending
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