JP2005014600A - 一方向炭素繊維プリプレグ材の製造方法 - Google Patents

一方向炭素繊維プリプレグ材の製造方法 Download PDF

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光崇 加藤
Naoki Iwasaki
直樹 岩崎
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Abstract

【課題】
離型紙からの浮き上がりの少ない一方向炭素繊維プリプレグ材を得る。
【解決手段】
複数本の炭素繊維束を一方向に互いに並行するように引き揃えてなる炭素繊維シートの上下両面に、少なくとも一方がマトリクス樹脂塗布離型紙である離型紙を重ね合わせ、重ね合わせ体を含浸ロールに通し、炭素繊維シートに離型紙上のマトリクス樹脂を転移、含浸して一方向炭素繊維プリプレグとした後、上側の離型紙を剥ぎ取り、一方向炭素繊維プリプレグを下側の離型紙ごとロール状に巻き取るに際し、炭素繊維束の張力Tfを5〜200g/1,000フィラメントの範囲内に維持し、含浸ロールに至る上側の離型紙の張力Tuを10〜30kg/mの範囲内に維持するとともに下側の離型紙の張力Tsを1〜5kg/mの範囲内に維持し、かつ、下側の離型紙の巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tsを0.75〜1.2の範囲内に維持する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の成形に用いる一方向炭素繊維プリプレグ材に関する。
よく知られているように、CFRPの成形に炭素繊維とB−ステージの熱硬化性樹脂とを複合してなる炭素繊維プリプレグが用いられる。炭素繊維プリプレグにはいろいろなものがあるが、その一つに、炭素繊維を一方向に引き揃えてなる一方向炭素繊維プリプレグがある。一方向炭素繊維プリプレグは、通常、帯状の離型紙に担持され、一方向炭素繊維プリプレグ材とされる。炭素繊維は、帯状の離型紙の長さ方向に延在している。そのような一方向炭素繊維プリプレグ材は、成形時に炭素繊維の配向を制御しやすいことから、たとえば、釣竿やゴルフシャフト、テニスラケットのフレームといった薄肉、軽量の管状体の成形に多用されている。
さて、一方向炭素繊維プリプレグ材は、一般的に、炭素繊維束を一方向に互いに並行するように引き揃えてなる炭素繊維シートの上下両面に、少なくとも一方がマトリクス樹脂塗布離型紙である離型紙を重ね合わせ、重ね合わせ体を含浸ロールに通し、炭素繊維シートに離型紙上のマトリクス樹脂を転移、含浸して一方向炭素繊維プリプレグとした後、上側の離型紙を剥ぎ取り、一方向炭素繊維プリプレグを下側の離型紙ごとロール状に巻き取ることによって製造されている。いわゆるホットメルト法と呼ばれる方法である。離型紙は、ロール状に巻き取るときに張力がかかるため、いくらか引き伸ばされた状態になる。
ところで、一方向炭素繊維プリプレグ材を用いるCFRP管状体の成形は、一方向炭素繊維プリプレグをマンドレルに巻き付け、その上に熱収縮性のラッピングテープを巻き付け、加熱してラッピングテープの熱収縮による成形圧力を付与しながら熱硬化性樹脂を硬化させた後、マンドレルを引き抜くことによって行うのが一般的である。一方向炭素繊維プリプレグ材は、マンドレルへの巻き付けに先立って適当な大きさに裁断するが、マンドレルへの巻き付けまでには時間がかかるため、ロール状に巻き取る際にいくらか引き伸ばされた離型紙が元に戻ろうとする。しかしながら、一方向炭素繊維プリプレグは、炭素繊維が、いわゆるつっかい棒のように作用するためにこの離型紙の動きに追従することができない。そのため、離型紙から一方向炭素繊維プリプレグが部分的に剥がれ、浮き上がりが生ずる。しかるに、そのような浮き上がりを有する一方向炭素繊維プリプレグをマンドレルに巻き付けると、皺が発生したり、成形後の管状体にボイドが残存したりして、管状体の機械的特性が低下したり、機械的特性のばらつきが大きくなったり、品位が低下したりするようになる。
このような浮き上がりを防止するために、下側の離型紙として、弾性伸び率の小さな離型紙を用いることが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。しかしながら、たとえそのような離型紙を用いたとしても、一方向炭素繊維プリプレグ材の製造時に離型紙が受ける張力や離型紙と炭素繊維束との張力のバランスによってはやはり浮き上がりが発生する。また、パッケージから繰り出される炭素繊維束の張力と、ロール体から繰り出される上側および下側の離型紙の張力との関係を特定の範囲に維持することによって浮き上がりを防止しようとすることも提案されている(たとえば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法は、得られる一方向炭素繊維プリプレグ材をロール状に巻き取る際の条件を考慮していないため、やはり浮き上がりの解消には十分でない。
特開2000−61940号公報 特開平11−309716号公報
本発明の目的は、従来の技術の上述した問題点を解決し、一方向炭素繊維プリプレグの浮き上がりを生じにくい一方向炭素繊維プリプレグ材を製造する方法を提供するにある。
上記目的を達成するために、本発明は、複数本の炭素繊維束を一方向に互いに並行するように引き揃えてなる炭素繊維シートの上下両面に、少なくとも一方がマトリクス樹脂塗布離型紙である離型紙を重ね合わせ、重ね合わせ体を含浸ロールに通し、炭素繊維シートに離型紙上のマトリクス樹脂を転移、含浸して一方向炭素繊維プリプレグとした後、上側の離型紙を剥ぎ取り、一方向炭素繊維プリプレグを下側の離型紙ごとロール状に巻き取るに際し、炭素繊維束の張力Tfを5〜200g/1,000フィラメント、好ましくは10〜100/1,000フィラメントの範囲内に維持し、含浸ロールに至る上側の離型紙の張力Tuを10〜30kg/m、好ましくは20〜30kg/mの範囲内に維持するとともに下側の離型紙の張力Tsを1〜5kg/m、好ましくは2〜5kg/mの範囲内に維持し、かつ、下側の離型紙の巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tlを0.75〜1.2、好ましくは0.95〜1.1の範囲内に維持することを特徴とする一方向プリプレグ材の製造方法を提供する。ここで、炭素繊維束の張力は、任意の複数本の炭素繊維束について測定した張力の単純平均値である。また、含浸ロールに至る上側および下側の離型紙の張力は、離型紙をロール体から繰り出すときの張力をもってそれとする。炭素繊維束や離型紙の張力は、周知の張力計を用いて測定することができる。
上記において、炭素繊維束としては、引張弾性率が少なくとも300GPaの炭素繊維束を用いるのが好ましい。炭素繊維束の引張弾性率は、JIS R−7601に規定される方法に準拠して求める。
また、一方向炭素繊維プリプレグの炭素繊維の重量含有率が70%以上とするのが好ましく、さらには重量含有率が78%以上とするのがより好ましい。また体積含有率55%以上とするのが好ましく、さらには体積含有率70%以上とするのがより好ましい。また、CFRPとして十分な強度を発現するには重量含有率は90%以下が好ましい。
さらに、下側の離型紙としては、一方向炭素繊維プリプレグの剥離抵抗が100mN/25mm以上である離型紙を用いるのが好ましい。さらに好ましいのは、剥離抵抗が150mN/25mm以上である離型紙を用いることである。剥離抵抗の上限は、1,500mN/25mmであるのが好ましい。ここで、一方向炭素繊維プリプレグの剥離抵抗は、次のようにして測定する。すなわち、一方向炭素繊維プリプレグ材を、炭素繊維の方向を長さ方向として幅25mm、長さ300mmの短冊状に裁断し、試験片とする。次に、図1に示すように、上記の試験片1を、両面テープを用いて、折れ角θが165°のステンレス製の支持具2に、離型紙を外側にして貼り付ける。次に、図2に示すように、支持具2を引張試験機の下側チャック4(固定)に装着するとともに、一方向炭素繊維プリプレグ1aから10mmほどあらかじめ引き剥がした離型紙1bの引き剥がし端をクリップ5、金属線6を介して上側チャック7(可動)に装着し、23℃、50%Rhの雰囲気下にて引張速度100mm/分で離型紙1bを引っ張って一方向プリプレグ1aから引き剥がし、そのときの荷重をチャート上に記録する。そして、チャート上から、引き剥がし終えるまでの間における荷重の最大値およびその最大値から5番目までの荷重と、荷重の最小値およびその最小値から5番目までの荷重とを求め、それら10点の荷重の単純平均値をもって剥離強度とする。
また、下側の離型紙としては、伸び率が5%以下である離型紙を用いるのが好ましい。ここで、離型紙の伸び率は、JIS P 8124に規定される方法に準拠して求める。
さらに、下側の離型紙としては、4kgの荷重を付加したときの伸び率およびその荷重の付加を解いたときの戻り率がいずれも0.5%以下である離型紙を用いるのが好ましい。この場合の伸び率も、また、JIS P 8124に規定される方法に準拠して求める。
さらには、下側の離型紙としてはプリプレグ担持面の平滑度が1000秒以下のものを用いるのが好ましい。この離型紙の平滑度は、JIS P 8119(1998)「ベック平滑度試験機法」に基づく平滑度ベック秒数であり、これは、例えば、日本紙パルプ技術協会の試験方法(J.TAPPI紙パルプ試験方法No.5−74)の王研式平滑度(加圧式)試験方法を用いて求めることができる。
本発明の方法によれば、長径が3mmを超える、一方向炭素繊維プリプレグの下側の離型紙からの浮き上がりの個数が10個/m2以下であるような一方向炭素繊維プリプレグ材が得られる。
図3において、複数個のパッケージ8、・・・から繰り出される炭素繊維束9、・・・は、自由回転する引揃えロール10、11を経てコーム12に導かれ、一方向に互いに並行するように引き揃えられて炭素繊維シート13となる。このとき、パッケージ8、・・・にブレーキをかけるなどの方法で炭素繊維シート13を構成している炭素繊維束9、・・・の張力Tfが5〜200g/1,000フィラメントの範囲内になるように調整する。
次いで、炭素繊維シート13に、ロール体14から導入ロール15、16を介して供給される、Bステージの熱硬化性樹脂を塗布した上側の離型紙17と、ロール体18から導入ロール19、20を介して導入される、同様にBステージの熱硬化性樹脂を塗布した下側の離型紙21とを樹脂塗布面が炭素繊維シート13側を向くように重ね合わせ、重ね合わせ体をヒータ22で加熱して熱硬化性樹脂の粘度を一旦下げた後、含浸ロール23、24で加熱、加圧して炭素繊維束9、・・・の押し拡げと離型紙17、21上の熱硬化性樹脂の炭素繊維シート13への転移、含浸とを行う。すなわち、炭素繊維シート13が一方向炭素繊維プリプレグとなる。このとき、ロール体14にブレーキをかけるなどして含浸ロール23、24に至る上側の離型紙の張力Tuを10〜30kg/mの範囲内に維持するとともに、ロール体18にブレーキをかけるなどして下側の離型紙の張力Tsを1〜5kg/mの範囲内に維持する。
熱硬化性樹脂の転移、含浸後は、引取ロール25、26を経て上側の離型紙15を剥ぎ取り、ロール状に巻き取ってロール体27とする。一方向炭素繊維プリプレグ28は、下側の離型紙21ごとロール状に巻き取ってロール体29とする。このとき、下側の離型紙の巻取張力Twを調整することによって、その巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tとの比Tw/Tとを0.75〜1.2の範囲内に維持する。かくして、一方向炭素繊維プリプレグ材が得られる。
本発明においては、上述したように、炭素繊維束の張力Tfを5〜200g/1,000フィラメントの範囲内に維持する。すなわち、炭素繊維束の張力が低すぎると、引き揃えの状態が乱れ、得られる一方向炭素繊維プリプレグにおける炭素繊維の配向が乱れたり表面の平坦性が低下したりするようになる。かかる不都合を回避するために、炭素繊維束の張力Tfは、少なくとも5g/1,000フィラメントに維持する。逆に、高すぎると、炭素繊維束が拡がりにくくなり、得られる一方向炭素繊維プリプレグは、目開き(割れ)ができたり表面の凹凸が大きくなったりするようになるうえに、特に炭素繊維の重量含有率が70%以上、または体積含有率55%以上であるような高い繊維含有率の一方向炭素繊維プリプレグにおいては、使用時にロール体から一方向炭素繊維プリプレグを繰り出したときに炭素繊維が残留している張力によって縮み、一方向炭素繊維プリプレグが離型紙から剥離して浮き上がるようになる。かかる不都合を回避するために、炭素繊維束の張力Tfの上限を200g/1,000フィラメントに抑える。それゆえ、本発明においては、炭素繊維束の張力Tfを5〜200g/1,000フィラメントの範囲内に維持する。炭素繊維束の好ましい張力の範囲は、10〜100g/1,000フィラメントである。
また、本発明においては、含浸ロール23、24に至る上側の離型紙の張力Tuを10〜30kg/mの範囲内に維持するとともに下側の離型紙の張力Tsを1〜5kg/mの範囲内に維持する。すなわち、一般に、離型紙には、皺が発生したり、蛇行したり、破れたりするのを防止するために適度の張力を加えるが、本発明においては、上側の離型紙は後に剥ぎ取るため、かかる不都合が起こらない範囲内で高めの張力とする。すなわち、上側の離型紙の張力Tuは、10〜30kg/mの範囲内に維持する。上側の離型紙の好ましい張力の範囲は、20〜30kg/mである。これに対して、下側の離型紙は、高い張力の下に含浸ロールで加熱、加圧されると伸びてしまい、その伸びた状態で一方向炭素繊維プリプレグと貼り合わされてしまうと、使用時にロール体から一方向炭素繊維プリプレグを繰り出したときに離型紙が縮み、一方向炭素繊維プリプレグが離型紙から剥離して浮き上がるようになる。それゆえ、本発明においては、下側の離型紙の張力Tsは、皺が発生したり、蛇行したりしないように少なくとも1kg/mとするとともに、一方向炭素繊維プリプレグの浮きを生ずることがないよう上限を5kg/mとする。すなわち、下側の離型紙の張力Tsは1〜5kg/mの範囲内に維持する。下側の離型紙の好ましい張力の範囲は、2〜5kg/mである。
さらに、本発明においては、下側の離型紙の巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tsを0.75〜1.2の範囲内に維持する。すなわち、含浸ロールの後においても、離型紙には、皺を発生したり蛇行したりすることのない張力が必要であるが、張力が高すぎると離型紙が伸び、使用時にロール体から一方向炭素繊維プリプレグを繰り出したときに離型紙が縮み、一方向炭素繊維プリプレグが離型紙から剥離して浮き上がるようになる。本発明においては、巻取張力を含浸時の張力に等しいかその近傍に調整すること、すなわち、下側の離型紙の巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tsを0.75〜1.2の範囲内に維持することで、かかる不都合の発生を防止している。比Tw/Tsの好ましい範囲は、0.95 〜1.1である。
炭素繊維束としては、たとえば、ポリアクリロニトリル系繊維やピッチ系繊維を原料繊維とする、フィラメント数が1,000〜100,000本程度のものを用いることができるが、本発明は、引張弾性率が少なくとも300GPaであるような炭素繊維束を用いる場合に好適である。なぜなら、高い引張弾性率の炭素繊維束であればあるほど、伸びにくいために、離型紙の伸縮への追随性が低下し、一方向炭素繊維プリプレグの離型紙からの浮き上がりを生じやすくなるからである。
また、本発明は、成形される、特に釣竿やゴルフシャフトといった薄肉の管状体の強度を向上させ、また、軽量化を図るために、離型紙上に塗布する熱硬化性樹脂の目付を選択することによって、繊維重量含有率が70%以上であり、また体積含有率55%以上であるような一方向炭素繊維プリプレグを得る場合に好適である。なぜなら、一方向炭素繊維プリプレグの離型紙からの浮き上がりは、一方向炭素繊維プリプレグと離型紙との接着性が弱いほど発生しやすいが、繊維重量含有率が好ましくは70%以上であり、より好ましくは重量含有率が78%以上である。または体積含有率が好ましくは55%以上であり、より好ましくは70%以上である。この様な一方向炭素繊維プリプレグは、マトリクス樹脂の量が少ないために離型紙との接着性が弱く、浮き上がりを発生しやすいからである。
さらに、同様の理由で、下側の離型紙としては、一方向炭素繊維プリプレグの剥離抵抗が100mN/25mm以上であるようなものを選択して用いるのが好ましい。より好ましくは、剥離抵抗が150mN/25mm以上であるようなものを選択して用いる。なお、剥離強度の上限は、剥離強度があまり高すぎるとCFRPの成形時に離型紙から剥離するのが難しくなり、また、皺ができたり割れたりするようになるので、1,500mN/25mmとするのが好ましい。
一方向炭素繊維プリプレグの浮き上がりを防止するためには、下側の離型紙の伸び率は、小さければ小さいほどよい。一方向炭素繊維プリプレグの浮き上がりは、上述したように離型紙の伸縮の影響を受けるからである。特に、長さ方向(炭素繊維の延在方向)における伸縮は小さいほうがよく、5%以下のものを選択して用いるようにするのがよい。
同様の理由で、下側の離型紙としては、4kgの荷重を付加したときの伸び率およびその荷重の付加を解いたときの戻り率がいずれも0.5%以下である離型紙を用いるのが好ましい。特に、戻り率が伸び率よりも小さいものを用いると、離型紙の復元作用がより小さくなって一方向炭素繊維プリプレグの浮き上がりを抑えやすくなるので好ましい。好ましいのは、戻り率/伸び率の比が0.9以下のものを用いることである。
また、下側の離型紙は、一方向プリプレグの担持面の平滑度が1000秒以下であるものが好ましい。平滑度がこの範囲にあれば、担持されたプリプレグと離型紙との密着性が良好となり、結果としてプリプレグの浮き上がりを防止するのに効果があるだけでなく、担持された一方向プリプレグの平滑性を良好にせしめるのにも効果がある。加えて、離型紙の平滑度がこの範囲にあれば、成形の際、離型紙からプリプレグを剥がし易くなり、プリプレグに皺が発生したりするのを防止する効果もある。より好ましくは、この平滑度が500秒以下であり、さらに好ましくは400秒以下である。かかる平滑度は小さければ小さいほど好ましいが、300秒程度であれば、本発明の目的としては十分なことが多い。このような離型紙は、基材である紙をスーパーカレンダー等で平滑度を向上させることで得ることができる。
本発明は、複数本の炭素繊維束を一方向に互いに並行するように引き揃えてなる炭素繊維シートの上下両面に、少なくとも一方がマトリクス樹脂塗布離型紙である離型紙を重ね合わせ、重ね合わせ体を含浸ロールに通し、炭素繊維シートに離型紙上のマトリクス樹脂を転移、含浸して一方向炭素繊維プリプレグとした後、上側の離型紙を剥ぎ取り、一方向炭素繊維プリプレグを下側の離型紙ごとロール状に巻き取るに際し、炭素繊維束の張力Tfを5〜200g/1,000フィラメントの範囲内に維持し、含浸ロールに至る上側の離型紙の張力Tuを10〜30kg/mの範囲内に維持するとともに下側の離型紙の張力Tsを1〜5kg/mの範囲内に維持し、かつ、下側の離型紙の巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tsを0.75〜1.2の範囲内に維持するので、実施例と比較例との対比からも明らかなように、長径が3mmを超える、一方向炭素繊維プリプレグの下側の離型紙からの浮き上がりの個数が10個/m2以下であるような、離型紙からの浮き上がりの少ない一方向炭素繊維プリプレグ材を得ることができる。そして、そのような一方向炭素繊維プリプレグ材を用いれば、CFRPの管状体の成形に際してマンドレルに巻き付けるときの皺の発生、成形後の管状体におけるボイドの残存等を防止することができるようになり、管状体の機械的特性が低下したり、機械的特性のばらつきが大きくなったり、品位が低下したりするのを防止することができるようになる。
実施例1:
図3に示した方法によって一方向炭素繊維プリプレグ材を製造した。炭素繊維束としては、333本の、引張強度4.7GPa、引張弾性率340GPa、繊度450tex、フィラメント数12,000本の炭素繊維束を選択した。また、上側および下側の離型紙としては、表面にシリコーン系の離型剤を塗布してなる、幅が1,080mmで、長さ方向の伸び率が4.6%、長さ方向に4kgの荷重を付加したときの伸び率が0.42%およびその荷重の付加を解いたときの戻り率が0.37%の離型紙を選択し、それらの表面にはマトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を目付が24g/m2になるように塗布した。
炭素繊維束の張力Tfは、80g/1,000フィラメントとした。また、含浸ロールに至る上側の離型紙の張力Tuを30kg/mとするとともに下側の離型紙の張力Tsを5kg/mとし、下側の離型紙の巻取張力Twを5kg/mとした。巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tsは1.0となる。また、含浸ロールの温度は130℃とし、3kg/cmの線圧を加えた。
得られた一方向炭素繊維プリプレグ材の一方向炭素繊維の目付、炭素繊維の重量含有率および体積含有率、剥離強度、一方向炭素繊維プリプレグの浮き上がりの個数を、諸元とともに以下に示す。また、マンドレルへの巻き付けはスムーズで、皺や割れが発生することもなかった。
炭素繊維束:
本数 :333本
引張強度 :4.7GPa
引張弾性率 :340GPa
繊度 :450Tex
フィラメント数:12,000本
離型紙:
伸び率 :4.6%
4kg荷重付加時の伸び率:0.42%
4kg荷重解除時の戻り率:0.37%
担持面平滑度 :475秒
マトリクス樹脂の目付 :24g/m2
張力条件:
炭素繊維束の張力(Tf) :80g/1,000フィラメント
上側離型紙の張力(Tu) :30kg/m
下側離型紙の張力(Ts) :5kg/m
下側離型紙の巻取張力(Tw):5kg/m
Tw/Ts :1.0
含浸条件:
含浸温度:130℃
線圧 :3kg/cm
一方向炭素繊維プリプレグ:
炭素繊維目付 :198g/m2
炭素繊維の体積含有率 :76体積%
炭素繊維の重量含有率 :80重量%
一方向炭素繊維プリプレグの剥離強度:670mN/25mm
浮き上がりの個数 :0
実施例2:
実施例1において、下側の離型紙の張力Tsを4kg/mとし、巻取張力Twを4.3kg/mとした。巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tsは1.075となる。
得られた一方向炭素繊維プリプレグ材の一方向炭素繊維プリプレグの目付、炭素繊維の重量含有率および体積含有率、剥離強度、一方向炭素繊維の浮き上がりの個数を、諸元とともに以下に示す。また、マンドレルへの巻き付けはスムーズで、皺や割れが発生することもなかった。
炭素繊維束:
本数 :333本
引張強度 :4.7GPa
引張弾性率 :340GPa
繊度 :450Tex
フィラメント数:12,000本
離型紙:
伸び率 :4.6%
4kg荷重付加時の伸び率:0.42%
4kg荷重解除時の戻り率:0.37%
担持面平滑度 :475秒
マトリクス樹脂の目付 :24g/m2
張力条件:
炭素繊維束の張力(Tf) :80g/1,000フィラメント
上側離型紙の張力(Tu) :30kg/m
下側離型紙の張力(Ts) :4kg/m
下側離型紙の巻取張力(Tw):4.3kg/m
Tw/Ts :1.075
含浸条件:
含浸温度:130℃
線圧 :3kg/cm
一方向炭素繊維プリプレグ:
炭素繊維目付 :198g/m2
炭素繊維の体積含有率 :76体積%
炭素繊維の重量含有率 :80重量%
一方向炭素繊維プリプレグの剥離強度:650mN/25mm
浮き上がりの個数 :2個/m2
実施例3:
実施例1において、炭素繊維束として、666本の、引張強度4.0GPa、引張弾性率370GPa、繊度225tex、フィラメント数6,000本の炭素繊維束を選択した。また、炭素繊維束の張力Tfを50g/1,000フィラメントとした。さらに、上側および下側の離型紙上のマトリクス樹脂の目付を19g/m2とした。また、上側の離型紙の張力Tuを25kg/mとするとともに下側の離型紙の張力Tsを4kg/mとし、下側の離型紙の巻取張力Twを4.2kg/mとした。巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tsは1.05となる。また、含浸ロールの線圧を4kg/cmとした。
得られた一方向炭素繊維プリプレグ材の一方向炭素繊維プリプレグの目付、炭素繊維の重量含有率および体積含有率、剥離強度、一方向炭素繊維の浮き上がりの個数を、諸元とともに以下に示す。また、マンドレルへの巻き付けはスムーズで、皺や割れが発生することもなかった。
炭素繊維束:
本数 :666本
引張強度 :4.0GPa
引張弾性率 :370GPa
繊度 :225Tex
フィラメント数:6,000本
離型紙:
伸び率 :4.6%
4kg荷重付加時の伸び率:0.42%
4kg荷重解除時の戻り率:0.37%
担持面平滑度 :475秒
マトリクス樹脂の目付 :19g/m2
張力条件:
炭素繊維束の張力(Tf) :50g/1,000フィラメント
上側離型紙の張力(Tu) :25kg/m
下側離型紙の張力(Ts) :4kg/m
下側離型紙の巻取張力(Tw):4.2kg/m
Tw/Ts :1.05
含浸条件:
含浸温度:130℃
線圧 :4kg/cm
一方向炭素繊維プリプレグ:
炭素繊維目付 :188g/m2
炭素繊維の体積含有率 :80体積%
炭素繊維の重量含有率 :83重量%
一方向炭素繊維プリプレグの剥離強度:350mN/25mm
浮き上がりの個数 :1個/m2
実施例4:
実施例1において、炭素繊維束として、188本の、引張強度4.5GPa、引張弾性率230GPa、繊度800tex、フィラメント数12,000本の炭素繊維束を選択した。また、炭素繊維束の張力Tfを200g/1,000フィラメントとした。
得られた一方向炭素繊維プリプレグ材の一方向炭素繊維の目付、炭素繊維の重量含有率および体積含有率、剥離強度、一方向炭素繊維プリプレグの浮き上がりの個数を、諸元とともに以下に示す。また、マンドレルへの巻き付けはスムーズで、皺や割れが発生することもなかった。
炭素繊維束:
本数 :188本
引張強度 :4.5GPa
引張弾性率 :230GPa
繊度 :800Tex
フィラメント数:12,000本
離型紙:
伸び率 :4.6%
4kg荷重付加時の伸び率:0.42%
4kg荷重解除時の戻り率:0.37%
担持面平滑度 :355秒
マトリクス樹脂の目付 :24g/m2
張力条件:
炭素繊維束の張力(Tf) :200g/1,000フィラメント
上側離型紙の張力(Tu) :30kg/m
下側離型紙の張力(Ts) :5kg/m
下側離型紙の巻取張力(Tw):5kg/m
Tw/Ts :1.0
含浸条件:
含浸温度:130℃
線圧 :3kg/cm
一方向炭素繊維プリプレグ:
炭素繊維目付 :198g/m2
炭素繊維の体積含有率 :76体積%
炭素繊維の重量含有率 :80重量%
一方向炭素繊維プリプレグの剥離強度:1,005mN/25mm
浮き上がりの個数 :0
実施例5:
実施例1において、上側および下側の離型紙上のマトリクス樹脂の目付を37g/m2とした。また、含浸ロールの線圧を1.5kg/cmとした。
得られた一方向炭素繊維プリプレグ材の一方向炭素繊維プリプレグの目付、炭素繊維の重量含有率および体積含有率、剥離強度、一方向炭素繊維の浮き上がりの個数を、諸元とともに以下に示す。また、マンドレルへの巻き付けはスムーズで、皺や割れが発生することもなかった。
炭素繊維束:
本数 :333本
引張強度 :4.7GPa
引張弾性率 :340GPa
繊度 :450Tex
フィラメント数:12,000本
離型紙:
伸び率 :4.6%
4kg荷重付加時の伸び率:0.42%
4kg荷重解除時の戻り率:0.37%
担持面平滑度 :475秒
マトリクス樹脂の目付 :37g/m2
張力条件:
炭素繊維束の張力(Tf) :80g/1,000フィラメント
上側離型紙の張力(Tu) :30kg/m
下側離型紙の張力(Ts) :5kg/m
下側離型紙の巻取張力(Tw):5kg/m
Tw/Ts :1.0
含浸条件:
含浸温度:130℃
線圧 :1.5kg/cm
一方向炭素繊維プリプレグ:
炭素繊維目付 :223g/m2
炭素繊維の体積含有率 :67体積%
炭素繊維の重量含有率 :75重量%
一方向炭素繊維プリプレグの剥離強度:1,450mN/25mm
浮き上がりの個数 :0
実施例6:
実施例1において、上側および下側の離型紙として、表面にシリコーン系の離型剤を塗布してなる、幅が1,080mmで、長さ方向の伸び率が5.5%、長さ方向に4kgの荷重を付加したときの伸び率が0.52%およびその荷重の付加を解いたときの戻り率が0.49%、担持面の平滑度980秒の離型紙を選択した。また、下側の離型紙の巻取張力Twを4.8kg/mとした。巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tsは0.96となる。
得られた一方向炭素繊維プリプレグ材の一方向炭素繊維の目付、炭素繊維の重量含有率および相当する体積含有率、剥離強度、一方向炭素繊維プリプレグの浮き上がりの個数を、諸元とともに以下に示す。また、マンドレルへの巻き付けはスムーズで、皺や割れが発生することもなかった。
炭素繊維束:
本数 :333本
引張強度 :4.7GPa
引張弾性率 :340GPa
繊度 :450Tex
フィラメント数:12,000本
離型紙:
伸び率 :5.5%
4kg荷重付加時の伸び率:0.52%
4kg荷重解除時の戻り率:0.49%
担持面の平滑度 :980秒
マトリクス樹脂の目付 :24g/m2
張力条件:
炭素繊維束の張力(Tf) :80g/1,000フィラメント
上側離型紙の張力(Tu) :30kg/m
下側離型紙の張力(Ts) :5kg/m
下側離型紙の巻取張力(Tw):4.8kg/m
Tw/Ts :0.96
含浸条件:
含浸温度:130℃
線圧 :3kg/cm
一方向炭素繊維プリプレグ:
炭素繊維目付 :198g/m2
炭素繊維の体積含有率 :76体積%
炭素繊維の重量含有率 :80重量%
一方向炭素繊維プリプレグの剥離強度:825mN/25mm
浮き上がりの個数 :8個/m2
実施例7:
実施例1において、上側および下側の離型紙上のマトリクス樹脂の目付を19g/m2とした。また、炭素繊維束の張力Tfを30g/1,000フィラメントとした。さらに、含浸ロールの線圧を4kg/cmとした。
得られた一方向炭素繊維プリプレグ材の一方向炭素繊維の目付、炭素繊維の重量含有率および体積含有率、剥離強度、一方向炭素繊維プリプレグの浮き上がりの個数を、諸元とともに以下に示す。また、マンドレルへの巻き付けはスムーズで、皺や割れが発生することもなかった。
炭素繊維束:
本数 :333本
引張強度 :4.7GPa
引張弾性率 :340GPa
繊度 :450Tex
フィラメント数:12,000本
離型紙:
伸び率 :4.6%
4kg荷重付加時の伸び率:0.42%
4kg荷重解除時の戻り率:0.37%
担持面の平滑度 :475秒
マトリクス樹脂の目付 :19g/m2
張力条件:
炭素繊維束の張力(Tf) :30g/1,000フィラメント
上側離型紙の張力(Tu) :30kg/m
下側離型紙の張力(Ts) :5kg/m
下側離型紙の巻取張力(Tw):5kg/m
Tw/Ts :1.0
含浸条件:
含浸温度:130℃
線圧 :4kg/cm
一方向炭素繊維プリプレグ:
炭素繊維目付 :188g/m2
炭素繊維の体積含有率 :80体積%
炭素繊維の重量含有率 :83重量%
一方向炭素繊維プリプレグの剥離強度:85mN/25mm
浮き上がりの個数 :7個/m2
実施例8:
実施例1において、炭素繊維プリプレグ目付を116g/m2とし、上側および下側離型紙上のマトリクス樹脂の目付を25g/m2とした。
得られた一方向炭素繊維プリプレグ材の一方向炭素繊維の目付、炭素繊維の重量含有率および体積含有率、剥離強度、一方向炭素繊維プリプレグの浮き上がりの個数を、諸元とともに以下に示す。また、マンドレルへの巻き付けはスムーズで、皺や割れが発生することもなかった。
炭素繊維束:
本数 :258本
引張強度 :4.7GPa
引張弾性率 :340GPa
繊度 :450Tex
フィラメント数:12,000本
離型紙:
伸び率 :4.6%
4kg荷重付加時の伸び率:0.42%
4kg荷重解除時の戻り率:0.37%
担持面の平滑度 :475秒
マトリクス樹脂の目付 :25g/m2
張力条件:
炭素繊維束の張力(Tf) :80g/1,000フィラメント
上側離型紙の張力(Tu) :30kg/m
下側離型紙の張力(Ts) :5kg/m
下側離型紙の巻取張力(Tw):5kg/m
Tw/Ts :1.0
含浸条件:
含浸温度:130℃
線圧 :3kg/cm
一方向炭素繊維プリプレグ:
炭素繊維目付 :116g/m2
炭素繊維の体積含有率 :56体積%
炭素繊維の重量含有率 :70重量%
一方向炭素繊維プリプレグの剥離強度:320mN/25mm
浮き上がりの個数 :0個/m2
比較例1:
実施例1において、下側の離型紙の張力Tsを7kg/mとし、下側の離型紙の巻取張力Twを9kg/mとした。巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tsは1.29となる。
得られた一方向炭素繊維プリプレグ材の一方向炭素繊維の目付、炭素繊維の重量含有率および体積含有率、剥離強度、一方向炭素繊維プリプレグの浮き上がりの個数を、諸元とともに以下に示す。また、マンドレルに巻き付ける際に多数の皺が発生した。
炭素繊維束:
本数 :333本
引張強度 :4.7GPa
引張弾性率 :340GPa
繊度 :450Tex
フィラメント数:12,000本
離型紙:
伸び率 :4.6%
4kg荷重付加時の伸び率:0.42%
4kg荷重解除時の戻り率:0.37%
担持面の平滑度 :475秒
マトリクス樹脂の目付 :24g/m2
張力条件:
炭素繊維束の張力(Tf) :80g/1,000フィラメント
上側離型紙の張力(Tu) :30kg/m
下側離型紙の張力(Ts) :7kg/m
下側離型紙の巻取張力(Tw):9kg/m
Tw/Ts :1.29
含浸条件:
含浸温度:130℃
線圧 :3kg/cm
一方向炭素繊維プリプレグ:
炭素繊維目付 :198g/m2
炭素繊維の体積含有率 :76体積%
炭素繊維の重量含有率 :80重量%
一方向炭素繊維プリプレグの剥離強度:620mN/25mm
浮き上がりの個数 :225個/m2
比較例2:
実施例1において、炭素繊維束の張力を250g/1,000フィラメントとした。
得られた一方向炭素繊維プリプレグ材の一方向炭素繊維プリプレグの目付、炭素繊維の重量含有率および体積含有率、剥離強度、一方向炭素繊維プリプレグの浮き上がりの個数を、諸元とともに以下に示す。また、マンドレルに巻き付ける際に皺が発生した。
炭素繊維束:
本数 :333本
引張強度 :4.7GPa
引張弾性率 :340GPa
繊度 :450Tex
フィラメント数:12,000本
離型紙:
伸び率 :4.6%
4kg荷重付加時の伸び率:0.42%
4kg荷重解除時の戻り率:0.37%
担持面の平滑度 :475秒
マトリクス樹脂の目付 :24g/m2
張力条件:
炭素繊維束の張力(Tf) :250g/1,000フィラメント
上側離型紙の張力(Tu) :30kg/m
下側離型紙の張力(Ts) :5kg/m
下側離型紙の巻取張力(Tw):5kg/m
Tw/Ts :1.0
含浸条件:
含浸温度:130℃
線圧 :3kg/cm
一方向炭素繊維プリプレグ:
炭素繊維目付 :198g/m2
炭素繊維の体積含有率 :76体積%
炭素繊維の重量含有率 :80重量%
一方向炭素繊維プリプレグの剥離強度:590mN/25mm
浮き上がりの個数 :18個/m2
比較例3:
実施例1において、上側の離型紙の張力を5kg/m、下側の離型紙の張力Tsを6kg/mとし、下側の離型紙の巻取張力Twを6kg/mとした。巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tsは1.0となるが、含浸ロールにおいて離型紙に皺が発生し、炭素繊維の配向が大きく乱れたために一方向炭素繊維プリプレグ材を製造することができなかった。
比較例4:
実施例1において、下側の離型紙の張力Tsを4kg/mとした。巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tsは1.25となる。
得られた一方向炭素繊維プリプレグ材の一方向炭素繊維の目付、炭素繊維の重量含有率および相当する体積含有率、剥離強度、一方向炭素繊維プリプレグの浮き上がりの個数を、諸元とともに以下に示す。また、マンドレルに巻き付ける際に皺が発生した。
炭素繊維束:
本数 :333本
引張強度 :4.7GPa
引張弾性率 :340GPa
繊度 :450Tex
フィラメント数:12,000本
離型紙:
伸び率 :4.6%
4kg荷重付加時の伸び率:0.42%
4kg荷重解除時の戻り率:0.37%
担持面の平滑度 :475秒
マトリクス樹脂の目付 :24g/m2
張力条件:
炭素繊維束の張力(Tf) :80g/1,000フィラメント
上側離型紙の張力(Tu) :30kg/m
下側離型紙の張力(Ts) :4kg/m
下側離型紙の巻取張力(Tw):5kg/m
Tw/Ts :1.25
含浸条件:
含浸温度:130℃
線圧 :3kg/cm
一方向炭素繊維プリプレグ:
炭素繊維目付 :198g/m2
炭素繊維の体積含有率 :76体積%
炭素繊維の重量含有率 :80重量%
一方向炭素繊維プリプレグの剥離強度:580mN/25mm
浮き上がりの個数 :132個/m2
比較例5:
実施例1において、下側の離型紙の張力Tsを0.5kg/mとし、下側の離型紙の巻取張力Twを0.6kg/mとした。巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tsは1.2となるが、含浸ロールにおいて離型紙に皺が発生し、炭素繊維の配向が大きく乱れたために一方向炭素繊維プリプレグ材を製造することができなかった。
一方向炭素繊維プリプレグの剥離強度の測定に用いる支持具の概略斜視図である。 一方向炭素繊維プリプレグの剥離強度を測定している様子を示す概略図である。 本発明の方法を実施している様子を示す概略図である。
符号の説明
1:試験片
1a:一方向炭素繊維プリプレグ
1b:離型紙
2:試験片の支持具
3:両面テープ
4:下側チャック
5:クリップ
6:金属線
7:上側チャック
8:炭素繊維束のパッケージ
9:炭素繊維束
10:引揃えロール
11:引揃えロール
12:コーム
13:炭素繊維シート
14:上側の離型紙のロール体
15:導入ロール
16:導入ロール
17:上側の離型紙
18:下側の離型紙のロール体
19:導入ロール
20:導入ロール
21:下側の離型紙
22:ヒータ
23:含浸ロール
24:含浸ロール
25:引取ロール
26:引取ロール
27:上側の離型紙のロール体
28:一方向炭素繊維プリプレグ
29:一方向炭素繊維プリプレグ材のロール体

Claims (9)

  1. 複数本の炭素繊維束を一方向に互いに並行するように引き揃えてなる炭素繊維シートの上下両面に、少なくとも一方がマトリクス樹脂塗布離型紙である離型紙を重ね合わせ、重ね合わせ体を含浸ロールに通し、炭素繊維シートに離型紙上のマトリクス樹脂を転移、含浸して一方向炭素繊維プリプレグとした後、上側の離型紙を剥ぎ取り、一方向炭素繊維プリプレグを下側の離型紙ごとロール状に巻き取るに際し、炭素繊維束の張力Tfを5〜200g/1,000フィラメントの範囲内に維持し、含浸ロールに至る上側の離型紙の張力Tuを10〜30kg/mの範囲内に維持するとともに下側の離型紙の張力Tsを1〜5kg/mの範囲内に維持し、かつ、下側の離型紙の巻取張力Twと下側の離型紙の張力Tsとの比Tw/Tsを0.75〜1.2の範囲内に維持することを特徴とする一方向炭素繊維プリプレグ材の製造方法。
  2. 引張弾性率が少なくとも300GPaの炭素繊維束を用いる、請求項1に記載の一方向炭素繊維プリプレグ材の製造方法。
  3. 一方向炭素繊維プリプレグの炭素繊維の重量含有率を70%以上とする、請求項1または2に記載の一方向炭素繊維プリプレグ材の製造方法。
  4. 一方向炭素繊維プリプレグの炭素繊維の体積含有率を70%以上とする、請求項1〜3のいずれかに記載の一方向炭素繊維プリプレグ材の製造方法。
  5. 下側の離型紙として、一方向炭素繊維プリプレグの剥離抵抗が100mN/25mm以上である離型紙を用いる、請求項1〜4のいずれかに記載の一方向炭素繊維プリプレグ材の製造方法。
  6. 下側の離型紙として、伸び率が5%以下である離型紙を用いる、請求項1〜5のいずれかに記載の一方向炭素繊維プリプレグ材の製造方法。
  7. 下側の離型紙として、4kgの荷重を付加したときの伸び率およびその荷重の付加を解いたときの戻り率がいずれも0.5%以下である離型紙を用いる、請求項1〜6のいずれかに記載の一方向炭素繊維プリプレグ材の製造方法。
  8. 下側の離型紙として、一方向炭素繊維プリプレグの担持面の平滑度が1000秒以下である離型紙を用いる、請求項1〜7のいずれかに記載の一方向炭素繊維プリプレグ材の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法を用いて製造され、長径が3mmを超える、一方向炭素繊維プリプレグの離型紙からの浮き上がりの個数が10個/m2以下であることを特徴とする一方向炭素繊維プリプレグ材。
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