JP2005014103A - 産業用ロボット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】産業用ロボットは、3つの軸ユニット(11,12,13)をもつ手首機構(10)と、この手首機構を支承するロボットアーム(8)と有する。手首機構の各軸ユニットは、減速機構を一体に組み込んだ減速機一体型モータ(7,4,2)で駆動する。ロボットアーム側の第1軸ユニットのモータ(7)と、手首先端側の第3軸ユニットのモータ(2)には、軸線上にそれぞれ中空経路(20,21)を設けて、手首先端に付けるエンドエフェクタ用の配線・配管(1)を、第2軸ユニット(12)を迂回してこれら中空経路を通している。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業ロボットに係り、特に、産業用ロボットの手首機構とアームにおける配線ケーブルの設置構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の産業用ロボット手首の駆動構造として、手首を支承するアームの後方に駆動モータを配置し、アームと手首内に設けた中空減速機および中空駆動軸を介して、手首を駆動するものがある(例えば、特許文献1参照)。この構造は、手首の幾つかの軸を駆動するように複数の中空減速機と中空駆動軸を組み合わせて設置しており、手首内の駆動系が複雑であり、部品点数も多い。
また、手首先端のエンドエフェクタ用の配線および配管は、アーム後方より挿入し、アームと手首の内部を通して手首先端まで引き回すので、アームと手首の形状に従って経路が長くなる。
【特許文献1】特開2001−113490号公報
【0003】
同様にエンドエフェクタ用の配線および配管をアームと手首の内部を通して設置する別の構造も知られている(例えば、特許文献2参照)。
この構造は、手首の最先端部のみを中空駆動系にし、この駆動系の手前に空間領域を設けている。配線および配管は、アームと手首の一部との内部を通した後に、一旦手首からこの空間領域に出し、ふたたび最先端駆動系の中空部を通して、エンドエフェクタにつなぐようになっている。この従来例は、前述の中空減速機と駆動軸を組み合わすものに比べて構造が簡単であるが、手首最先端部を除いて、駆動系とは別に配線・配管の経路を設けなければならず、また、その経路も長くなる。
【特許文献2】特開2002−283275号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、簡単な構造でエンドエフェクタ用の配線・配管の経路を極力短くすることができ、これら配線や配管の保守・点検も容易な、産業用ロボットの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の産業用ロボットは、3つの軸ユニットをもつ手首機構と、この手首機構を支承するロボットアームとを有する。この産業用ロボットは、手首機構の各軸ユニットを、減速機構を一体に組み込んだ減速機一体型モータで駆動するとともに、ロボットアーム側の第1軸ユニットのモータと、手首先端側の第3軸ユニットのモータとの軸線上にそれぞれ中空経路を設けて、手首先端に付けるエンドエフェクタ用の配線、配管を、第2軸ユニットを迂回してこれら中空経路を通すことを特徴とする。
この構成によると、配線、配管を、第2軸ユニットを迂回して第1軸ユニットから第3軸ユニットへ直接通すので、配線・配管を最短距離で設置することができ、この領域において配線と配管の保守・点検を容易に行うことができる。また、各軸ユニットの駆動系に減速機一体型モータを用いるので、他の中間伝動手段などを設ける必要がなく、手首機構やアームの構造を簡単・コンパクトにし、作動信頼性も高い。配線・配管の中空経路はこれら一体型モータを通して設けることができ、配線・配管の取り回しのために余分な構造を要しない。
【0006】
ロボットアームは、前記配線、配管を通す経路を該アーム内に、また、これら配線、配管を導入する開口部を該アームの側面に有することが好ましい。
こうすることによって、アーム後部から配線・配管を通す構造に比べて、アーム部の配線、配管を最短にすることができる。さらに、アーム内部に、配線・配管を中継する機器や、エンドエフェクタ用の周辺機器を収納することが可能になる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1を参照して説明する。
図1aとbにおいて、産業用ロボットは、アーム8と、このアームに取り付けた手首機構10とを有する。手首機構10は、アーム8側から手先へ向かって、第1軸ユニット11、第2軸ユニット12、そして第3軸ユニット13の3つの可動部分から成る。図1に示すのは、アームの側面から配線・配管1を導入し、手首機構の第1軸ユニット11および第3軸ユニット13の軸線上を通して、手首先端に付けるエンドエフェクタへ導く場合の例である。
【0008】
手首機構10の第1〜第3軸ユニット11,12,13は、それぞれ、減速機構を一体に組み込んだ減速機一体型モータ7,4,2を有し、ブラケット6,5および3を介して連結されている。
一方、アーム8は、開口部を側面に有し、ロボットのベース側から引き上げてきたエンドエフェクタ用の配線・配管1を、この開口部を通してアーム内へ導くようになっている。アーム8内には、配線・配管1を通す経路を、アームの長手軸線に沿って設けている。このアームの先端には、手首機構の第1軸ユニット11のモータ7が取り付けられている。
【0009】
モータ7は、回転軸線をアーム8の長手軸線にそろえた向きで、モータの固定側部分がアーム先端にボルト付けされている。さらに、モータ7は、ブラケット6内で、その減速機構出力軸をブラケット5の一端にボルト付けしている。
第2軸ユニット12の減速機一体型モータ4は、回転軸線を第1軸ユニットのモータ7の回転軸線と直交させる配向で、モータ4の固定側部分をブラケット5の他端にボルト付けしている。ブラケット5は略L字状の形状で、このブラケットの他端に取り付けたモータ4は、図1に見られるように、第1軸ユニットのモータ7の回転軸線からオフセットした配置となっている。
【0010】
さらに、第2軸ユニットのモータ4は、その減速機構出力軸をブラケット3にボルト付けしている。ブラケット3の他端は、第3軸ユニット13の減速機一体型モータ2の固定側部分にボルト付けされている。このモータ2は、回転軸線をモータ4の回転軸線と直交させるように、配置している。モータ2の減速機構出力軸は手先を向いていて、ここにエンドエフェクタを取り付けるようになっている。
【0011】
第1軸ユニットのモータ7と、第3軸ユニットのモータ2には、それらの軸線上に貫通穴がそれぞれ設けられている。また、ブラケット5にも、モータ7の貫通穴に合わせて通し穴を設けている。モータ7の貫通穴とブラケット5の通し穴は、互いにつながって、エンドエフェクタ用の配線・配管1を通す中空経路20を形成する。
これらモータ7とブラケット5を通った配線・配管1は、次いで、第2軸ユニット12を経由することなく、第3軸ユニットのモータ2の貫通穴による中空経路21を通る。こうして、エンドエフェクタ用の配線・配管1は、アーム8、第1軸ユニット11、第3軸ユニット13内を通して、直線状に最短距離で手先へ導かれる。
【0012】
ここで、図2を参照して、本発明に用いる減速機一体型モータの構造例を説明する。図2に示す例は、モータ部61と、ハーモニックドライブ減速機構62と、鍔付き円筒状のケース68とを有する。
モータ部61は、従来のACモータと同様の構成であり、モータ部と同軸状に配した減速機構62と共に、モータの静止ないし固定側部分となるケース68内に配設している。
【0013】
減速機構62は、モータ部61の出力軸に連結したウェーブジェネレータ64と、それに隣接して軸受63で回転可能に支承した出力軸69と、ケース68の内周壁に形成したサーキュラスプライン65から成る。出力軸69は、ウェーブジェネレータ64とサーキュラスプライン65の間に入るフレクスプライン66を有し、これらの噛み合いを介して、モータ部61により駆動される。
【0014】
モータの貫通穴60は、ケース68とモータ部61の回転軸とウェーブジェネレータ64とを貫いて、回転軸線上に形成している。この貫通穴60には、スリーブ67が設けられている。スリーブ67は、減速機構の出力軸69に一端を固定していて、出力軸69と共に低速で回転する。
ロボットの運転時、図1の手首機構10では、モータ2,7が回動するが、エンドエフェクタ用の配管・配線1はスリーブ67に覆われていて、回動に伴う擦れなどから保護される。
【0015】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれら特定の形のみに限定されず、上述した実施形態に種々の変更を加え、或いは別の実施形態とすることができる。
一例として、減速機一体型モータは、上述のハーモニックドライブ減速機のかわりに、例えば、RV減速機、サイクロ減速機、遊星歯車減速機など、その他の減速手段を用いても良い。また、エンドエフェクタ用の配線・配管1は、アーム8内で中継するように構成することもできる。アーム8内には、必要に応じて、バルブなどエンドエフェクタ用の周辺機器を搭載しても良い。
【0016】
【発明の効果】
本発明は、手首機構の軸駆動に減速機一体型モータを用いていて、駆動系と回転軸の構造が簡単でコンパクトである。また、エンドエフェクタ用配線・配管の経路を、これらモータを通して設けるので、余分な構造を要することなく、配線・配管の設置が可能である。さらに、これら配線・配管は直線状に最短距離で設置することができ、エンドエフェクタの作動を確実し、保守・点検も容易である。本発明は、このような構成を採ることによって、小型で汎用性が高く、作動の確実な産業用ロボットの安価な提供を可能にする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である産業ロボットの要部を示し、(a)はその概略側面図、(b)は上面図である。
【図2】本発明の産業用ロボットに用いる減速機一体型モータの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 エンドエフェクタ用配線・配管
2,4,7 減速機一体型モータ
8 ロボットアーム
10 手首機構
11 第1軸ユニット
12 第2軸ユニット
13 第3軸ユニット
20,21 中空経路
60 貫通穴
62 減速機構
Claims (2)
- 3つの軸ユニットをもつ手首機構と、この手首機構を支承するロボットアームとを有する産業用ロボットにおいて、前記手首機構の各軸ユニットを、減速機構を一体に組み込んだ減速機一体型モータで駆動するとともに、ロボットアーム側の第1軸ユニットのモータと、手首先端側の第3軸ユニットのモータとの軸線上にそれぞれ中空経路を設けて、手首先端に付けるエンドエフェクタ用の配線、配管を、第2軸ユニットを迂回してこれら中空経路を通すことを特徴とする産業用ロボット。
- 請求項1記載のロボットにおいて、前記ロボットアームは、前記配線、配管を通す経路を該アーム内に、また、これら配線、配管を導入する開口部を該アームの側面に有する、産業用ロボット。
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