JP2005014016A - ガス溶断ガイド装置およびそれを用いたガス溶断加工法 - Google Patents

ガス溶断ガイド装置およびそれを用いたガス溶断加工法 Download PDF

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Abstract

【課題】穴径が40mm以下といった、比較的小さい穴をあける場合であっても、その穴が真円となるようガイドすることのできるガス溶断ガイド装置およびそれを用いたガス溶断方法を提供する。
【解決手段】ガス溶断具を手持ちで操作しながら金属材を溶断加工する際に用いられるガイド装置であって、装置を上記金属材の加工予定部近傍に取り付けるための本体部20と、ガス溶断具の胴体部を保持しうるホルダー22と、金属材の加工予定部中心を中心として回転自在に保持される大径のガイドリング32と、上記ガイドリング32の内側に取り付けられ上記ガス溶断具の先端火口を回転自在に支受しうる火口保持ガイド35とを備え、上記火口保持ガイド35のガイドリング32への取り付け部が、火口回転中心とガイドリング回転中心との距離を調整するために移動可能になっている。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス溶断具を用いて手作業で鋼材等の溶断加工を行う際に用いられるガス溶断ガイド装置およびそれを用いたガス溶断加工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、鉄骨組付工事、地下鉄工事、橋梁建設工事等の土木工事においては、H型鋼やC型鋼等の鋼材を現場で組み合わせて固定する作業が多く行われている。例えば、図8に示すように、C型鋼1にH型鋼2を直角方向に取り付ける場合、両者の重なり部にねじ止め用の穴3を貫通形成し、この穴3を利用してボルト締めして固定することが行われる。
【0003】
上記穴3の形成には、ドリルを備えた穿孔機を用いる場合もあるが、穿孔機は重くて嵩張り、作業にも手間がかかるため、最近では、作業者が手持ち操作して鋼材を溶断するガス溶断具(例えば特許文献1を参照)で下穴をあけ、それをリーマ仕上げする方法が多用されている。
【0004】
上記ガス溶断具の一例を図9に示す。このものは、作業者が手でもって作業するための握り部4と、握り部4から延びる混合ガス配管5および酸素ガス配管6と、その先端に着脱自在に取り付けられる火口7とを備えている。そして、上記握り部4の端部には、燃料ガス供給ホースを接続するための継手と酸素ガス供給ホースを接続するための継手(ともに図示せず)が設けられており、握り部4に内蔵された燃料ガス供給路と酸素ガス供給路および調整部8を経由させることにより、上記混合ガス配管5に適宜の割合で燃料ガスと酸素ガスを導入するとともに、酸素ガス配管6に、酸素ガスを導入するようになっている。そして、火口7から噴射させた混合ガスに点火し、さらに酸素ガスを噴射して火炎を強くすることにより、鋼材を溶断することができるようになっている。
【0005】
しかしながら、上記ガス溶断具による溶断作業は、作業者による手作業のため、正確な位置に正確な形状で溶断加工を行うことが容易でなく、作業者に高度の熟練が要求されるという問題がある。
【0006】
例えば、穴あけ加工において、図10(a)に示すように、穴10を、予定の穴径(鎖線Xで示す)より小さく溶断してしまった場合、リーマ仕上げに時間がかかり、作業効率が悪い。また、図10(b)示すように、穴10′を、予定の穴径より大きく溶断してしまった場合、これをリーマ仕上げすると、さらに穴径が大きくなって、予定の大きさのボルトでは止めることができなくなるという問題がある。
【0007】
そこで、上記溶断作業を補助するものとして、例えば、ガス溶断具の火口部分を一端側に取り付け、その取り付け位置から一定の距離をおいて突出形成された突起を中心として、コンパスで描く要領で、火口を回転させて真円を描きながら溶断することができるようにした案内具が提案されている(特許文献2を参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−321932号公報
【特許文献2】
特開平9−24465号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、作業現場では、穴径20〜30mmの穴あけが必要な場合が多いのに対し、上記特許文献2の発明は、その構造上、火口取り付け部と回転中心となる突起との距離がある程度必要で、通常、穴径40mm以上の穴をあける場合にしか適用できないという問題があった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、穴径が40mm以下といった、比較的小さい穴をあける場合であっても、その穴が真円となるようガイドすることのできるガス溶断ガイド装置およびそれを用いたガス溶断方法の提供をその目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、ガス溶断具を手持ちで操作しながら金属材を溶断加工する際に用いられるガイド装置であって、装置を上記金属材の加工予定部近傍に取り付けるための固定手段と、ガス溶断具の胴体部を保持しうる保持手段と、金属材の加工予定部中心を中心として回転自在に保持される大径のガイドリングと、上記ガイドリング内側に取り付けられ上記ガス溶断具の先端火口を回転自在に支受しうる火口保持ガイドとを備え、上記火口保持ガイドのガイドリングへの取り付け部が、火口回転中心とガイドリング回転中心との距離を調整するために移動可能になっているガス溶断ガイド装置を第1の要旨とする。
【0012】
また、本発明は、上記ガス溶断ガイド装置のなかでも、特に、上記火口保持ガイドによって支受されるガス溶断具の火口の位置が、上下に調整可能になっているガス溶断ガイド装置を第2の要旨とする。
【0013】
さらに、本発明は、ガス溶断具を手持ちで操作しながら金属材を溶断加工する方法であって、上記ガス溶断ガイド装置を、上記金属材の加工予定部近傍に取り付ける工程と、上記ガス溶断ガイド装置の火口回転中心とガイドリング回転中心との距離が所定長となるよう火口保持ガイドのガイドリング取り付け位置を調整する工程と、上記ガス溶断具の胴体部を、上記ガス溶断ガイド装置の保持手段により保持するとともに、先端火口を上記火口保持ガイドに支受させる工程と、上記ガス溶断具の火口に着火して火炎をつくり、ガス溶断具の胴部を保持手段に保持させながら操作して、上記火口保持ガイドをガイドリングごと回転させることにより、金属材の加工予定部を円形に溶断加工する工程とを備えたガス溶断加工法を第3の要旨とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態を示す斜視図であり、図2はその正面図、図3はその平面図である。これらの図において、20は、装置を金属材の加工予定部近傍に取り付けるためのマグネットを内蔵する本体部、30は、ガス溶断具(図9参照)の火口7を動きを規制してガイドするガイド部である。
【0016】
上記本体部20の向かって右端面には、図2に示すように、マグネットを作動させるためのスイッチ21が設けられており、マグネットの作動により、本体部20の底面が、穴あけ加工しようとする鋼材等の加工面近傍に磁力で固定されるようになっている。
【0017】
また、本体部20には、2本の平行な回転ロール23′を有するホルダー22が、ホルダーベース23を介して、昇降自在に取り付けられている。より詳しく説明すると、上記ホルダーベース23内には、ラック・ピニオン機構が内蔵されており、ホルダーベース23の正面に取り付けられたハンドル24を回すと、図4に示すように、内部のピニオン25が回転し、これとかみ合うラック26が上下方向に進退して、このラック26に一体的に取り付けられたスライダー27と、ホルダー22と、後述するガイドホルダー28とが、一体的に昇降するようになっている。
【0018】
上記ホルダー22の上には、図2に鎖線で示すように、ガス溶断具の胴体部を載せて保持することができるようになっている。ただし、ガス溶断具の胴体部の下部は凹凸があるので、凹凸がホルダー22の回転ロール23′に引っ掛かってスムーズな動きができなくなると困るので、この例では、底面が平坦な金具8を、上記ガス溶断具の胴体部に取り付け、この金具8を、上記回転ロール23′に載せて保持するようになっている。なお、29は、装置を移動させるとき等に手をかけるための把手である。
【0019】
一方、上記本体部20の向かって左側のガイド部30には、すでに述べたように、スライダー27に一体的に取り付けられホルダー22と一体的に昇降するガイドホルダー28が設けられている。このガイドホルダー28には、ベアリング31を介して、ガイドリング32が回転自在に保持されている。33はベアリング押さえである。
【0020】
そして、上記ガイドリング32の内側には、ベアリング34を介してガス溶断具の火口を回転自在に支受する火口保持ガイド35が取り付けられており、上記ガイドリング32と一体的に回転するようになっている。したがって、ガイドリング32が回転すると、図2および図3においてXで示すように、ガイドリング32の回転中心Pを中心として、火口を回転させることができるようになっている。
【0021】
なお、上記火口保持ガイド35は、ガイドリング32の上面に取り付けられたアジャストブロック36から延びるアジャストボルト37によって、ガイドリング32の回転中心に向かって、進退自在に取り付けられている。したがって、上記アジャストボルト37のねじ込み長さによって、火口保持ガイド35の回転半径を調整することができる。上記火口保持ガイド35の回転半径(火口保持ガイド35の中心とガイドリング32の回転中心Pとの距離)は、ガイドリング32上に貼付された左右一対のスケールプレート38a,38bを目で見ながら調節することができる(この例では、上記回転半径を、5mm〜20mmの間で調整可能になっている)。
【0022】
また、上記ガイドリング32の回転中心Pを、加工予定部の中心に正確に位置決めする手段として、ガイドホルダー28の下に、図4に示すように、位置決め手段40が設けられている。この位置決め手段40は、基準プレート41と、プレート固定用のマグネット42と、基準ピン43と、スケール44とで構成されており、上記基準プレート41が、図4のA−A′矢視図である図5において矢印で示すように、プレートブロック45に回動自在に取り付けられている。なお、上記プレートブロック45は、サポートブロック46を介してホルダーベース23に取り付けられている。
【0023】
上記位置決め手段40によれば、装置を加工予定部に取り付ける際、上記基準ピン43の先端を、加工予定部に付されたケガキ線の中心に合わせ、その状態でマグネット42で固定することにより、加工予定部に対する適正な位置決めを行うことができる。そして、火口保持ガイド35に、実際の火口に代えて、火口の先端を基準ピンとして用いることができるよう加工した基準ピン50を保持させ、上記基準プレート41上のスケール44を利用して、火口保持ガイド35の適正な位置決めを行うことができる。
【0024】
なお、実際の溶断加工時には、上記基準プレート41は、90度回動して、加工位置から側方によけておくようになっている。47は、そのストッパーである。また、上段のガイドホルダー28側から延びるボルト51は、ケガキ線の位置出しを行う際に、基準プレート41上面の所定位置に当たるよう設定された中間ストッパーである。
【0025】
なお、火口保持ガイド35によって保持される火口の下端は、ガイドリング28が最も下降した位置において、加工予定面から2mmの高さとなるよう設定されている。しかし、例えばこれを、3mmとか4mmといった、より高い位置に設定する必要がある場合には、ガイドホルダー28に設けられた2個のボルト穴52(図1参照)にボルトをねじ込んで、ボルト下端をストッパーとして適宜の高さで止めるようにすることができる。
【0026】
上記装置を用い、例えばつぎのようにして鋼材の穴あけ溶断加工を行うことができる。まず、加工すべき穴の穴径に合わせて、火口保持ガイド35の位置を調整する。そして、図6に示すように、加工しようとする鋼材の加工予定部近傍に、上記装置を固定する。このとき、加工予定部のケガキ線に従い、装置が適正な位置とするよう調整する。
【0027】
つぎに、図7に示すように、ガス溶断具の胴体部を、この装置にホルダー22の上に載せ、先端の火口を火口保持ガイド35内に嵌入保持させる。そして、ハンドル24を回転させて、ホルダー22、ガイドホルダー28ごとガス溶断具を上に持ち上げて、下側から火口に着火したのち、再びハンドル24を逆に回転させて、全体を元の位置に戻す。そして、ガス溶断具の胴部をホルダー22に載せたまま、先端が保持された火口保持ガイド35をガイドリング32ごと回転させる。この動作によって、加工予定部に、所定の穴径の穴を、ほぼ完全な真円形状であけることができる。
【0028】
ちなみに、上記の方法により、2枚の鋼材を重ねた合計厚みが32mmの個所に、穴径24mmの溶断穴をあけ、穴径25mmのリーマ穴に仕上げる場合、全部で約60秒しかかからず、高精度で効率よく穴あけ加工を行うことができた。
【0029】
このように、上記ガス溶断ガイド装置によれば、従来困難であったガス溶断具による略真円形状の、比較的小径(例えば穴径40mm以下)の穴あけ加工を、簡単な動作で行うことができる。そして、上記装置は、鉄板、H鋼、C鋼、チャンネル、アングル等、どのような鉄材、鋼材に対しても、その表裏を問わず、また、水平方向、垂直方向、斜め方向を問わず、取り付けることができるため、鉄骨組付工事、地下鉄工事、橋梁建設工事等、各種の建築工事、土木工事等において、現場作業の高能率化を実現することができる。特に、上記装置は、穴径の大きさ調整、火口の高さ調整を簡単に行うことができるため、現場において、その都度、最適な条件に装置を調整しながら加工を行うことができ、使い勝手がよい。そして、もちろん、穴径40mmを超える大きな穴も、より大径のガイドリング32を備えた同様の装置により、簡単に穴加工することができる。
【0030】
なお、上記の例では、装置を加工予定部近傍に取り付けるための手段として、マグネットを用いているが、これに限らず、簡単なクランプ機構や真空吸着機構等を用いても差し支えない。
【0031】
そして、装置を、より確実に固定するために、マグネット等による固定に加えて、装置本体にワイヤをかけて鋼材等に固定する等の手段を講じることができる。とりわけ、傾斜面や垂直面に装置を取り付けて溶断作業を行う場合には、より確実な固定手段で固定することが好ましい。
【0032】
また、上記の例では、本体部20内に、ラック・ピニオン機構を設けてホルダー22、ガイドホルダー28等と一体的にガス溶断具を昇降できるようにしているが、昇降手段は、ラック・ピニオン機構に限るものではない。また、細い隙間からであっても簡単に着火できるようなタイプの火口を用いる場合には、このような昇降機構を設ける必要はない。ただし、上記の例のように、簡単にガス溶断具を持ち上げることができるようにしておくと、着火動作が行いやすく、また途中で、火炎の調子をみたりすることができ好都合である。
【0033】
そして、装置に装着された状態でのガス溶断具の火口の高さを、例えば上記の例では、ボルト穴52(図1参照)にボルトをねじ込むことにより調整できるようにしているため、常に適正な高さから火炎を噴射することができ、逆火が生じたりせず、安全かつ効率よく溶断加工を行うことができる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、従来困難であったガス溶断具による略真円形状の、比較的小径の穴まで含む穴あけ加工を、簡単な動作で行うことができる。そして、上記装置は、鉄板、H鋼、C鋼、チャンネル、アングル等、どのような鉄材、鋼材に対しても、その表裏を問わず、また、水平方向、垂直方向、斜め方向を問わず、取り付けることができるため、鉄骨組付工事、地下鉄工事、橋梁建設工事等、各種の建築工事、土木工事等において、現場作業の高能率化を実現することができる。特に、上記装置は、穴径の大きさ調整を簡単に行うことができるため、目的の穴径を即座に設定して効率よく加工を行うことができ、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】上記実施例の正面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】上記実施例の調整機能の説明図である。
【図5】図4のA−A′矢視図である。
【図6】上記実施例の使用態様の説明図である。
【図7】上記実施例の使用態様の説明図である。
【図8】従来の穴あけ加工の説明図である。
【図9】上記穴あけ加工に用いられるガス溶断具の説明図である。
【図10】(a),(b)はともに上記穴あけ加工の問題点の説明図である。
【符号の説明】
20 本体部
22 ホルダー
28 ガイドホルダー
30 ガイド部
32 ガイドリング
35 火口保持ガイド
36 アジャストブロック
37 アジャストボルト

Claims (3)

  1. ガス溶断具を手持ちで操作しながら金属材を溶断加工する際に用いられるガイド装置であって、装置を上記金属材の加工予定部近傍に取り付けるための固定手段と、ガス溶断具の胴体部を保持しうる保持手段と、金属材の加工予定部中心を中心として回転自在に保持される大径のガイドリングと、上記ガイドリング内側に取り付けられ上記ガス溶断具の先端火口を回転自在に支受しうる火口保持ガイドとを備え、上記火口保持ガイドのガイドリングへの取り付け部が、火口回転中心とガイドリング回転中心との距離を調整するために移動可能になっていることを特徴とするガス溶断ガイド装置。
  2. 上記火口保持ガイドによって支受されるガス溶断具の火口の位置が、上下に調整可能になっている請求項1記載のガス溶断ガイド装置。
  3. ガス溶断具を手持ちで操作しながら金属材を溶断加工する方法であって、請求項1または2記載のガス溶断ガイド装置を、上記金属材の加工予定部近傍に取り付ける工程と、上記ガス溶断ガイド装置の火口回転中心とガイドリング回転中心との距離が所定長となるよう火口保持ガイドのガイドリング取り付け位置を調整する工程と、上記ガス溶断具の胴体部を、上記ガス溶断ガイド装置の保持手段により保持するとともに、先端火口を上記火口保持ガイドに支受させる工程と、上記ガス溶断具の火口に着火して火炎をつくり、ガス溶断具の胴部を保持手段に保持させながら操作して、上記火口保持ガイドをガイドリングごと回転させることにより、金属材の加工予定部を円形に溶断加工する工程とを備えたことを特徴とするガス溶断加工法。
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