JP2005013354A - 競技用ボールとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】外皮に覆われたコアに偏心のない競技用ボールおよび製造方法を提供する。
【解決手段】外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とを順に行なう。外皮の一部形成処理は、コア1の半球の表面を第1の金型6に緊締した状態で球形のコア1の他の半球の表面に外皮2aを半球状に形成する処理であり、外皮の残部形成処理は、前記外皮の一部形成処理によって形成された半球状の外皮2aを第2の金型7に緊締した状態で、コア1の残りの半球の表面に外皮2bを形成する処理である。コア1の外表面と、金型の型面間に圧入された外皮材料によって一定厚みの外皮2を形成することが可能となり、この結果、コア1と外皮2とが内外同心状に内蔵された均質な競技用ボールが得られる。
【選択図】 図3
【解決手段】外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とを順に行なう。外皮の一部形成処理は、コア1の半球の表面を第1の金型6に緊締した状態で球形のコア1の他の半球の表面に外皮2aを半球状に形成する処理であり、外皮の残部形成処理は、前記外皮の一部形成処理によって形成された半球状の外皮2aを第2の金型7に緊締した状態で、コア1の残りの半球の表面に外皮2bを形成する処理である。コア1の外表面と、金型の型面間に圧入された外皮材料によって一定厚みの外皮2を形成することが可能となり、この結果、コア1と外皮2とが内外同心状に内蔵された均質な競技用ボールが得られる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グラウンドゴルフ競技用、パークゴルフ競技用その他の球技に用いる競技用ボールの製造方法と競技用ボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にゴルフボールは、コアと、外皮とを含めた3層以上の多層構造に構成されるが、コアと、カバーとの2層で構成されるものもある。コアは芯であり、半球状のセグメント(外殻)の組み合わせのほか、ゴム芯などが用いられ、外皮は、コアの表面全体を覆う表面層である。通常のゴルフボールでは外皮にディンプルが付されるが、グラウンドゴルフ競技、パークゴルフ競技等に用いられるボールの表面は平滑である。ゴルフボールの製造方法および装置に関しては、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特許公開平5−208053号
【0004】
特許文献1によれば、ゴルフボールは以下の手順によって製造される。即ち、図4において、上金型10と、下金型12を分離し、空洞部34、36内にエラストマー製のコア28(芯)を配置し、ピン24、26を使って真中に位置するように支持する。上金型10と下金型12を閉じることによりコア28と空洞部34、36の面との間に球形の外殻状空間が構成される。
【0005】
ついで、熱い液状ポリマーを、ゲートを通し、コア28の周囲に射出する。ゲート32から外皮材料を射出した後、密閉室21にある冷却液の循環により金型は冷却され、ピン24、26は金型面と同一水平面の位置まで後退する。その結果、連続した外皮がコア28の周囲に型どられる。冷却した後に上金型10と下金型12を開き、ゴルフボールを取り出す、というものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載されたように、ゴルフボールは、上金型10と、下金型12間に形成される空洞部内にエラストマー製のコア28(芯)を配置し、ピン24、26を使ってコア28が型の空洞部34,36の真中に位置するように支持した状態で、上金型10と下金型12内の空洞部34,36に外皮材料である熱い液状ポリマーを射出することによって製造されるが、ピンを使ってコアを空洞部の真中に正しく位置するように支持することは必ずしも容易ではないばかりではなく、液状ポリマーが固化する前に、ピンの抜きあとに液状のポリマーが回りこむことができるタイミングで、ピンを金型面と同一水平面の位置まで後退させなければならない。
【0008】
しかし、ピンを抜いたあと、半硬化のポリマーでコアを支えつつ空洞部の真中からコアをずらさないよう支持するのは至難の技である。タイミングを誤ると極端な場合には、コアが、外皮の表面に露出して欠陥品になる可能性があるが、そうでなくても、コアが外皮内に偏って内蔵されるという事態の発生は避けることができないと考えられていたのである。
【0009】
競技用ボールのコアが偏心していると、ボールが偏心回転して打球の回転や飛行方向に微妙に影響を及ぼすことになるが、コアの大きさに比較して外皮の厚みはごく薄いことや、外皮に覆われてコアが表面に出ないことから、今までボールの偏心は余り問題にされることがなかったようである。
【0010】
しかしながら、たとえば、グラウンドゴルフ競技、パークゴルフ競技用のボールには、透明の外皮を用い、コアに付した商標や、マークを外皮から透視させる構造のものが採用されるようになってきたが、外皮が実質的に透明であると、コアが偏心しているかどうかは一目瞭然であり、外観を見てコアが偏心していることが一目瞭然であれば、当然外観が悪く、コアが偏心しているような競技用ボールは、当然、商品価値が低いものにならざるを得ない。
【0011】
本発明の目的は、外観上特徴を有し、しかも競技シーンに合わせて最適な打撃が可能な競技用ボールの製造方法および競技用ボールを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するため、本発明による競技用ボールの製造方法においては、
外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とを有し、球形のコアの表面に外皮を形成する競技用ボールの製造方法であって、
外皮の一部形成処理は、コアの半球の表面を金型に緊締した状態で球形のコアの他の半球の表面に外皮を半球状に形成する処理であり、
外皮の残部形成処理は、前記外皮の一部形成処理によって形成された半球状の外皮を金型に緊締した状態で、コアの残りの半球の表面に外皮を形成する処理である。外皮は二工程の合成樹脂成形加工によって球形に形成され、コアは外皮に被覆される。
【0013】
また、外皮の成形材料は、実質的に透明合成樹脂であり、外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とは、コアの芯ずれ、偏心を生じさせることなく均一な厚みでコアの外周に外皮を形成する処理である。コアは球形の外皮内に同心状に内装され、外観上見苦しくなく、均一な製品となる。
【0014】
また、第1の金型の分割型の組と、第2の金型の分割型の組との組み合わせを用いた競技用ボールの製造方法であって、
外皮の一部形成処理は、第1の金型の分割型の組にコアを緊締してコアの半球の表面に外皮を半球状に形成する処理であり、
外皮の残部形成処理は、外皮の一部形成処理後、第1の金型の分割型の組からコアを取り出し、コアの半球の表面に形成された外皮を第2の金型の分割型の組に緊締してコアの残りの半球の表面に外皮を形成する処理である。第1の金型では、コアの半球に外皮が半球状に組み付けられ、第2の金型では、コアの残りの半球に外皮が組みつけられる。
【0015】
また、コアは、対をなす半球状のセグメントを向き合わせに組合わせたものであり、周面には、両セグメントの合わせ目が形成され、
両セグメントの合わせ目を金型の両分割型間にまたがらせて型締することにより外皮の一部形成処理及び外皮の残部形成処理を順次行ない、
コアの周面に形成される外皮の継ぎ目と両セグメントの合わせ目とを互いに角度をなして交わらせるものである。外皮の継ぎ目と両セグメントの合わせ目とが互いに角度をなすため、コアは外皮に保形されて外力が作用してもセグメントが分離しない。
【0016】
また、外皮の一部形成処理で形成する外皮の材質と、外皮の残部形成処理で形成する外皮の材質とを互いに異ならせて2種類の異質の外皮を有する競技用ボールを製造するものである。外皮の性能を部分的に変化させることができ、また、色彩を異ならせれば意匠に変化性が得られる。
【0017】
また、本発明による競技用ボールにおいては、コアと、外皮との組合せからなる競技用ボールであって、
コアは球形であり、一定厚みの外皮に覆われ、
外皮は、コアの一方の半球に形成される外皮とコアの他方の半球に形成される外皮間に継ぎ目が形成されているものである。
【0018】
また、外皮は、実質的に透明であり、コアの芯ずれ、偏心を生じさせることなく均一な厚みでコアの外周に形成されているものである。
【0019】
また、外皮は、実質的に透明な材料で形成されているため、コアは外皮を透して観察が可能である。ここで、実質的に透明とは、例えば、厚さ3mmの外皮において、400〜700nmの波長での光透過率が70%以上であるものをいい、望ましくは当該光透過率が80%以上であれば良い。
【0020】
また、コアの一方の半球に形成される外皮の材質と、他方の半球に形成される外皮の材質とは互いに同じあるいは異なるものとすることができる。
【0021】
また、コアは、対をなす半球状のセグメントを向き合わせて球形に組合わせたものであり、コアの周面には、両セグメントの合わせ目が形成されているものである。コアも外皮も半球の組み合わせによって球形のボールに成形される。
【0022】
また、コアの対をなす一方のセグメントと、他方のセグメントの材質とは互いに異なるものである。
【0023】
また、外皮とコアとは、外皮の継ぎ目と、コアを形成する両セグメントの合わせ目とを互いに交差させて組み合わされているものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図によって説明する。図1に本発明方法によって製造されたゴルフ競技用ボールの1例を示す。図1は、グラウンドゴルフ又はパークゴルフ競技用のボールであり、コア1と、コア1の周囲を覆う外皮2(2a、2b)との2層構造に構成されたものである。
【0025】
コア1は、対をなす合成樹脂製のセグメント1a、1bを組合せたものである。セグメント1a、1bは、中空半球状であり、各セグメント1a、1bの開口縁に形成された凹凸環状リブ3を互いに嵌合させることによって球体に組み立てられたものである。外皮2は、透明または不透明の合成樹脂固化物であり、コア1の外周に均等な厚みで形成されたものである。また、透明な外皮を用いることが予定されているときには、表面に任意に1色又は多色に着色されたコア或いは任意の模様が施こされたコアを用いることができる。
【0026】
本発明において、コア1の半球ごとにその外表面に外皮2(2a、2b)を別工程で形成するため、外皮2(2a、2b)は、一方の半球に形成される外皮2aと他方の半球に形成される外皮2bとの間には継ぎ目4が形成されることになる。また、この実施形態においては、中空半球状のセグメント1a、1bを球形に組み合わせたコア1を用いるため、コア1には、両セグメント1a、1bの合わせ目5が形成される。
【0027】
したがって、コア1の周面に形成される外皮2の継ぎ目4の線と両セグメント1a、1bの組合わせによって形成される合わせ目5の線とを互いに角度をなして交わらせ、両セグメント1a、1bを半球状の外皮2内に抑えてその剥離を防止する。コア1の周面に形成される外皮2の継ぎ目4の線と両セグメント1a、1bの組合わせによって形成される合わせ目5の線とは、互いに直交させるのが望ましい。
【0028】
図2に本発明に用いる金型の1例を示す。図2において、本発明においては、第1の金型6と、第2の金型7との2組の金型を用いる。第1の金型6は、コア1の半球の表面に外皮2aを半球状に形成するための金型であり、分割型6a、6bの組合わせである。
【0029】
また、第2の金型7は、コアの残りの半球の表面に外皮2bを形成するための金型であり、分割型7a、7bの組合わせである。この実施形態において、両金型6、7は、共通の型枠8に組みつけられ、脱型時の押し出しピン9を両金型6,7に対して共通に動作させる例を示したが、金型の構造は必ずしもこの例に限られるものではない。
【0030】
以下に本発明による競技ボールの製造工程を順を追って説明する。本発明は、外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とを順に行なって球形のコアの表面に外皮を形成する競技用ボールを製造するものである。以下にその手順を図3によって説明する。
【0031】
(1)外皮の一部形成処理
外皮の一部形成処理は、コア1の半球の表面を金型に緊締した状態で球形のコアの他の半球の表面に外皮を半球状に形成する処理である。図3(a)において、対をなす合成樹脂製のセグメント1a、1bを組合わせて球形のコア1に組立て、この実施形態においては、この組合せを、まず、図3(b)に示すように第1の金型6に取り付ける。
【0032】
第1の金型6は、外皮を含めた競技用ボールの外径を象ったキャビティを有する左分割型6aと、コアの半球の外径を象ったキャビティを有する右分割型6bとの組合わせであり、まずコア1を右分割型6bに緊締させるが、この際、両セグメント1a、1bの合わせ目5の線が右分割型6bのキャビティの中央部位に水平に位置するように姿勢を整えてその半球を緊締し、外部に露出する残りの半球を左分割型6aのキャビティ内に受入れて型締めする。
【0033】
これによって、コア1は、両セグメントの合わせ目5が両分割型6a、6b間にまたがって両分割型間にセットされる。次いで、外皮材料として加熱溶融された樹脂を左分割型のゲートからキャビティ内に圧入し、左分割型6aの型面と、コア1の表面間に充填し、溶融樹脂の冷却を待って型を開き、ピン9で成形品を押して型から取り出す。得られた成形品P1は、図3(c)に示すようにコア1の半球の表面が露出し、コアの残りの半球の表面が外皮2aに覆われた競技用ボールの半製品となる。次いでこの成形品P1に対して外皮の残部形成処理を行なう。
【0034】
ここで、外皮には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン塩化ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン、アクリル塩化ビニル共重合体、ポリメチルペンテン、ブタジエンスチレン、ポリフッ化ビニリデン、メタクリルスチレン共重合体、ポリイミド、ポリブタジエン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマー、アイオノマー、メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸エチル共重合体等を単独であるいは2種以上ブレンドしても使用することができる。さらに、これらに酸化チタン、パラフィンオイル、BHT、ベンゾエートエステルその他の添加剤を単独あるいは2種以上添加することができる。
【0035】
(2)外皮の残部形成処理
外皮の残部形成処理は、前記外皮の一部形成処理によって形成された半球状の外皮2aを金型に緊締し、コアの残りの半球の表面に外皮2bを形成する処理である。この実施形態においては、図3(d)に示すように一旦、成形品P1の左右を反転して図3(e)に示すように第2の金型7に取り付ける。第2の金型7は、外皮を含めた競技用ボールの外径を象ったキャビティを有する左右分割型7a、7bの組合わせである。
【0036】
図3(e)において、成形品P1は、この例ではコア1の半球に形成された外皮2aを右分割型7bに緊締させ、右分割型7bより突出するコア1の露出面を左分割型7aのキャビティ内に受け入れて型締めする。これによって、コア1は、両セグメントの合わせ目5の線が両分割型7a、7b間にまたがって両分割型間にセットされる。
【0037】
次いで、加熱された溶融樹脂を左分割型7aのゲートからキャビティ内に圧入し、左分割型7aの型面と、コア1の表面間に充填し、コア1の残りの半球の表面に外皮2bを形成する。溶融樹脂の冷却を待って型を開き、ピン9で押して成形品P2を型から取り出す。
【0038】
得られた成形品P2は、図3(f)に示すようにコア1の全表面に外皮2a、2bが形成され、しかも両外皮2a、2bが継ぎ目4で融合一体して競技用ボールの完成品となる。本発明において、外皮の成形材料が透明合成樹脂であるときには、外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とは、コアの芯ずれ、偏心を生じさせることなく均一な厚みでコアの外周に外皮を形成する上に重要な処理であるといえる。
【0039】
そして、上記処理によって、球形で、一定厚みの外皮に覆われたコア1と、透明又は不透明の合成樹脂層であり、コア1の一方の半球に形成される外皮2aとコア1の他方の半球に形成される外皮2b間に継ぎ目4が形成された外皮2との積層からなる競技用ボールが得られる。外皮に透明合成樹脂層が用いられたときには、外皮2は、コア1の芯ずれ、偏心を生じさせることなく均一な厚みでコアの外周に形成される。
【0040】
このように、外皮の一部形成処理と、これに引き続き外皮の残部形成処理とを順に行なうことによって、外皮2は、外皮の一部形成処理によって形成された部分(2a)と、外皮の残部形成処理によって形成された部分(2b)とが互いに溶融状態で結合して一体になるが、その間に継ぎ目4が形成され、その継ぎ目4と両セグメントの合わせ目5とは互いに直交し、両セグメントの合わせ目5は、それぞれの外皮に抑えられてセグメント1a、1bが接着されていなくても両者の剥離が阻止される。
【0041】
本発明において、外皮の一部形成処理で形成する外皮2aの材質と、外皮の残部形成処理で形成する外皮2bの材質とを互いに異ならせることによって、外皮の特性が部分的に異なる特性のボールが得られる。
【0042】
たとえば、外皮の一部形成処理によって形成された部分(2a)と、外皮の残部形成処理によって形成された部分(2b)との反発性能を異ならせたボールが得られる。反発性能が部分的に違うボールを使用するときには、たとえば遠距離打撃をするときには反発性能が大きい部分を打撃し、逆にアプローチショットのような短距離打撃をするときには、コントロール性のよい反発性能が低い部分を打撃するというように競技シーンによって使い分けができる。
【0043】
また、材質の使い分けとして外皮の一部形成処理で形成する外皮2aの色彩と、外皮の残部形成処理で形成する外皮2bの色彩とを互いに異ならせることにより、2色の外皮を有する競技用ボールが得られ、ボールの意匠に変化性を持たせることができる。
【0044】
本発明によれば、外皮の一部形成処理時には、コア1の半球部分が金型(第1の金型6)に安定に緊締され、また、外皮の残部形成処理時においては、外皮の一部形成処理によって形成された外皮の部分が金型(第2の金型7)に安定に保持されているため、外皮材料である溶融樹脂の圧入によって、金型内でコア1に位置ずれが生ずることなく、したがって、コア1の外表面と金型の型面間に圧入された溶融樹脂によって一定厚みの外皮2を形成することが可能となり、この結果、コアと外皮とが内外同心状に内蔵された均質な、高性能の競技用ボールが得られる。
【0045】
したがって、実質的に透明な外皮が形成されても外皮の肉厚は均一で、コアの芯ずれ、偏心が生ずることがないため、外観が見苦しくなることがなく、したがって製品価値を下げることがない。コアに色彩の違ったセグメントの組合わせを用いることによって、なお、グラウンドゴルフ又はパークゴルフ競技用のボールのコアには、中空半球状のセグメントの組合せを用いるのが一般的ではあるが、本発明の競技用ボールに使用するコア1は、必ずしも図1のような構造のセグメント1a、1bの組合わせに限るものではなく、最初から球形に加工されたもの、或いは3以上のセグメントの組合わせによるものであってもよい。
【0046】
以上実施形態において、第1および第2の金型が左右の分割型によって構成した例を説明したが、左右の区別は専ら説明のためのものであって、上下の分割型によって構成されていても勿論かまわない。また、第1の金型と、第2の金型とは、別の型枠に設置して一定のロットごとに外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とを別工程で行なって競技用ボールを製造することができる。
【0047】
外皮の一部形成処理でコアの半球に形成された外皮は、冷却によって収縮するため、完全に収縮するのを待って次の外皮の残部形成処理を行なうことが好ましい場合がある。なお、以上実施形態は、グラウンドゴルフ競技、パークゴルフ競技用のボールについて説明したが、本発明による競技用のボールの製造方法は、これらのボールの製造に限られるものではない。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明によるときには、外皮の内部にコアが同心状に内蔵された競技用ボールを製造することが可能となり、コアが偏心することがないため、外皮に透明樹脂が用いられても、外観、商品価値を低下させることなく、高品位でしかも外観上特徴のあるの競技用ボールを市場に提供でき、また、外皮の一部形成処理で形成する外皮の材質と、外皮の残部形成処理で形成する外皮の材質とを互いに異ならせることによってボールの性能に変化性を持たせて競技シーンにあわせて最適な打撃を可能とするボールを提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法によって製造された競技用ボールの1例を示す図である。
【図2】本発明方法に使用する金型を示すもので、(a)は、1部断面側面図、(b)は平面図である。
【図3】本発明による競技用ボールの製造工程を工程順に示す図である。
【図4】特許文献1に記載された競技用ボールの製造装置の構造を示す図である。
【符号の説明】
1 コア
2(2a,2b) 外皮
3 凹凸環状リブ
4 継ぎ目
5 合わせ目
6 第1の金型
7 第2の金型
8 型枠
9 ピン
【発明の属する技術分野】
本発明は、グラウンドゴルフ競技用、パークゴルフ競技用その他の球技に用いる競技用ボールの製造方法と競技用ボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にゴルフボールは、コアと、外皮とを含めた3層以上の多層構造に構成されるが、コアと、カバーとの2層で構成されるものもある。コアは芯であり、半球状のセグメント(外殻)の組み合わせのほか、ゴム芯などが用いられ、外皮は、コアの表面全体を覆う表面層である。通常のゴルフボールでは外皮にディンプルが付されるが、グラウンドゴルフ競技、パークゴルフ競技等に用いられるボールの表面は平滑である。ゴルフボールの製造方法および装置に関しては、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特許公開平5−208053号
【0004】
特許文献1によれば、ゴルフボールは以下の手順によって製造される。即ち、図4において、上金型10と、下金型12を分離し、空洞部34、36内にエラストマー製のコア28(芯)を配置し、ピン24、26を使って真中に位置するように支持する。上金型10と下金型12を閉じることによりコア28と空洞部34、36の面との間に球形の外殻状空間が構成される。
【0005】
ついで、熱い液状ポリマーを、ゲートを通し、コア28の周囲に射出する。ゲート32から外皮材料を射出した後、密閉室21にある冷却液の循環により金型は冷却され、ピン24、26は金型面と同一水平面の位置まで後退する。その結果、連続した外皮がコア28の周囲に型どられる。冷却した後に上金型10と下金型12を開き、ゴルフボールを取り出す、というものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載されたように、ゴルフボールは、上金型10と、下金型12間に形成される空洞部内にエラストマー製のコア28(芯)を配置し、ピン24、26を使ってコア28が型の空洞部34,36の真中に位置するように支持した状態で、上金型10と下金型12内の空洞部34,36に外皮材料である熱い液状ポリマーを射出することによって製造されるが、ピンを使ってコアを空洞部の真中に正しく位置するように支持することは必ずしも容易ではないばかりではなく、液状ポリマーが固化する前に、ピンの抜きあとに液状のポリマーが回りこむことができるタイミングで、ピンを金型面と同一水平面の位置まで後退させなければならない。
【0008】
しかし、ピンを抜いたあと、半硬化のポリマーでコアを支えつつ空洞部の真中からコアをずらさないよう支持するのは至難の技である。タイミングを誤ると極端な場合には、コアが、外皮の表面に露出して欠陥品になる可能性があるが、そうでなくても、コアが外皮内に偏って内蔵されるという事態の発生は避けることができないと考えられていたのである。
【0009】
競技用ボールのコアが偏心していると、ボールが偏心回転して打球の回転や飛行方向に微妙に影響を及ぼすことになるが、コアの大きさに比較して外皮の厚みはごく薄いことや、外皮に覆われてコアが表面に出ないことから、今までボールの偏心は余り問題にされることがなかったようである。
【0010】
しかしながら、たとえば、グラウンドゴルフ競技、パークゴルフ競技用のボールには、透明の外皮を用い、コアに付した商標や、マークを外皮から透視させる構造のものが採用されるようになってきたが、外皮が実質的に透明であると、コアが偏心しているかどうかは一目瞭然であり、外観を見てコアが偏心していることが一目瞭然であれば、当然外観が悪く、コアが偏心しているような競技用ボールは、当然、商品価値が低いものにならざるを得ない。
【0011】
本発明の目的は、外観上特徴を有し、しかも競技シーンに合わせて最適な打撃が可能な競技用ボールの製造方法および競技用ボールを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するため、本発明による競技用ボールの製造方法においては、
外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とを有し、球形のコアの表面に外皮を形成する競技用ボールの製造方法であって、
外皮の一部形成処理は、コアの半球の表面を金型に緊締した状態で球形のコアの他の半球の表面に外皮を半球状に形成する処理であり、
外皮の残部形成処理は、前記外皮の一部形成処理によって形成された半球状の外皮を金型に緊締した状態で、コアの残りの半球の表面に外皮を形成する処理である。外皮は二工程の合成樹脂成形加工によって球形に形成され、コアは外皮に被覆される。
【0013】
また、外皮の成形材料は、実質的に透明合成樹脂であり、外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とは、コアの芯ずれ、偏心を生じさせることなく均一な厚みでコアの外周に外皮を形成する処理である。コアは球形の外皮内に同心状に内装され、外観上見苦しくなく、均一な製品となる。
【0014】
また、第1の金型の分割型の組と、第2の金型の分割型の組との組み合わせを用いた競技用ボールの製造方法であって、
外皮の一部形成処理は、第1の金型の分割型の組にコアを緊締してコアの半球の表面に外皮を半球状に形成する処理であり、
外皮の残部形成処理は、外皮の一部形成処理後、第1の金型の分割型の組からコアを取り出し、コアの半球の表面に形成された外皮を第2の金型の分割型の組に緊締してコアの残りの半球の表面に外皮を形成する処理である。第1の金型では、コアの半球に外皮が半球状に組み付けられ、第2の金型では、コアの残りの半球に外皮が組みつけられる。
【0015】
また、コアは、対をなす半球状のセグメントを向き合わせに組合わせたものであり、周面には、両セグメントの合わせ目が形成され、
両セグメントの合わせ目を金型の両分割型間にまたがらせて型締することにより外皮の一部形成処理及び外皮の残部形成処理を順次行ない、
コアの周面に形成される外皮の継ぎ目と両セグメントの合わせ目とを互いに角度をなして交わらせるものである。外皮の継ぎ目と両セグメントの合わせ目とが互いに角度をなすため、コアは外皮に保形されて外力が作用してもセグメントが分離しない。
【0016】
また、外皮の一部形成処理で形成する外皮の材質と、外皮の残部形成処理で形成する外皮の材質とを互いに異ならせて2種類の異質の外皮を有する競技用ボールを製造するものである。外皮の性能を部分的に変化させることができ、また、色彩を異ならせれば意匠に変化性が得られる。
【0017】
また、本発明による競技用ボールにおいては、コアと、外皮との組合せからなる競技用ボールであって、
コアは球形であり、一定厚みの外皮に覆われ、
外皮は、コアの一方の半球に形成される外皮とコアの他方の半球に形成される外皮間に継ぎ目が形成されているものである。
【0018】
また、外皮は、実質的に透明であり、コアの芯ずれ、偏心を生じさせることなく均一な厚みでコアの外周に形成されているものである。
【0019】
また、外皮は、実質的に透明な材料で形成されているため、コアは外皮を透して観察が可能である。ここで、実質的に透明とは、例えば、厚さ3mmの外皮において、400〜700nmの波長での光透過率が70%以上であるものをいい、望ましくは当該光透過率が80%以上であれば良い。
【0020】
また、コアの一方の半球に形成される外皮の材質と、他方の半球に形成される外皮の材質とは互いに同じあるいは異なるものとすることができる。
【0021】
また、コアは、対をなす半球状のセグメントを向き合わせて球形に組合わせたものであり、コアの周面には、両セグメントの合わせ目が形成されているものである。コアも外皮も半球の組み合わせによって球形のボールに成形される。
【0022】
また、コアの対をなす一方のセグメントと、他方のセグメントの材質とは互いに異なるものである。
【0023】
また、外皮とコアとは、外皮の継ぎ目と、コアを形成する両セグメントの合わせ目とを互いに交差させて組み合わされているものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図によって説明する。図1に本発明方法によって製造されたゴルフ競技用ボールの1例を示す。図1は、グラウンドゴルフ又はパークゴルフ競技用のボールであり、コア1と、コア1の周囲を覆う外皮2(2a、2b)との2層構造に構成されたものである。
【0025】
コア1は、対をなす合成樹脂製のセグメント1a、1bを組合せたものである。セグメント1a、1bは、中空半球状であり、各セグメント1a、1bの開口縁に形成された凹凸環状リブ3を互いに嵌合させることによって球体に組み立てられたものである。外皮2は、透明または不透明の合成樹脂固化物であり、コア1の外周に均等な厚みで形成されたものである。また、透明な外皮を用いることが予定されているときには、表面に任意に1色又は多色に着色されたコア或いは任意の模様が施こされたコアを用いることができる。
【0026】
本発明において、コア1の半球ごとにその外表面に外皮2(2a、2b)を別工程で形成するため、外皮2(2a、2b)は、一方の半球に形成される外皮2aと他方の半球に形成される外皮2bとの間には継ぎ目4が形成されることになる。また、この実施形態においては、中空半球状のセグメント1a、1bを球形に組み合わせたコア1を用いるため、コア1には、両セグメント1a、1bの合わせ目5が形成される。
【0027】
したがって、コア1の周面に形成される外皮2の継ぎ目4の線と両セグメント1a、1bの組合わせによって形成される合わせ目5の線とを互いに角度をなして交わらせ、両セグメント1a、1bを半球状の外皮2内に抑えてその剥離を防止する。コア1の周面に形成される外皮2の継ぎ目4の線と両セグメント1a、1bの組合わせによって形成される合わせ目5の線とは、互いに直交させるのが望ましい。
【0028】
図2に本発明に用いる金型の1例を示す。図2において、本発明においては、第1の金型6と、第2の金型7との2組の金型を用いる。第1の金型6は、コア1の半球の表面に外皮2aを半球状に形成するための金型であり、分割型6a、6bの組合わせである。
【0029】
また、第2の金型7は、コアの残りの半球の表面に外皮2bを形成するための金型であり、分割型7a、7bの組合わせである。この実施形態において、両金型6、7は、共通の型枠8に組みつけられ、脱型時の押し出しピン9を両金型6,7に対して共通に動作させる例を示したが、金型の構造は必ずしもこの例に限られるものではない。
【0030】
以下に本発明による競技ボールの製造工程を順を追って説明する。本発明は、外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とを順に行なって球形のコアの表面に外皮を形成する競技用ボールを製造するものである。以下にその手順を図3によって説明する。
【0031】
(1)外皮の一部形成処理
外皮の一部形成処理は、コア1の半球の表面を金型に緊締した状態で球形のコアの他の半球の表面に外皮を半球状に形成する処理である。図3(a)において、対をなす合成樹脂製のセグメント1a、1bを組合わせて球形のコア1に組立て、この実施形態においては、この組合せを、まず、図3(b)に示すように第1の金型6に取り付ける。
【0032】
第1の金型6は、外皮を含めた競技用ボールの外径を象ったキャビティを有する左分割型6aと、コアの半球の外径を象ったキャビティを有する右分割型6bとの組合わせであり、まずコア1を右分割型6bに緊締させるが、この際、両セグメント1a、1bの合わせ目5の線が右分割型6bのキャビティの中央部位に水平に位置するように姿勢を整えてその半球を緊締し、外部に露出する残りの半球を左分割型6aのキャビティ内に受入れて型締めする。
【0033】
これによって、コア1は、両セグメントの合わせ目5が両分割型6a、6b間にまたがって両分割型間にセットされる。次いで、外皮材料として加熱溶融された樹脂を左分割型のゲートからキャビティ内に圧入し、左分割型6aの型面と、コア1の表面間に充填し、溶融樹脂の冷却を待って型を開き、ピン9で成形品を押して型から取り出す。得られた成形品P1は、図3(c)に示すようにコア1の半球の表面が露出し、コアの残りの半球の表面が外皮2aに覆われた競技用ボールの半製品となる。次いでこの成形品P1に対して外皮の残部形成処理を行なう。
【0034】
ここで、外皮には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン塩化ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン、アクリル塩化ビニル共重合体、ポリメチルペンテン、ブタジエンスチレン、ポリフッ化ビニリデン、メタクリルスチレン共重合体、ポリイミド、ポリブタジエン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマー、アイオノマー、メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸エチル共重合体等を単独であるいは2種以上ブレンドしても使用することができる。さらに、これらに酸化チタン、パラフィンオイル、BHT、ベンゾエートエステルその他の添加剤を単独あるいは2種以上添加することができる。
【0035】
(2)外皮の残部形成処理
外皮の残部形成処理は、前記外皮の一部形成処理によって形成された半球状の外皮2aを金型に緊締し、コアの残りの半球の表面に外皮2bを形成する処理である。この実施形態においては、図3(d)に示すように一旦、成形品P1の左右を反転して図3(e)に示すように第2の金型7に取り付ける。第2の金型7は、外皮を含めた競技用ボールの外径を象ったキャビティを有する左右分割型7a、7bの組合わせである。
【0036】
図3(e)において、成形品P1は、この例ではコア1の半球に形成された外皮2aを右分割型7bに緊締させ、右分割型7bより突出するコア1の露出面を左分割型7aのキャビティ内に受け入れて型締めする。これによって、コア1は、両セグメントの合わせ目5の線が両分割型7a、7b間にまたがって両分割型間にセットされる。
【0037】
次いで、加熱された溶融樹脂を左分割型7aのゲートからキャビティ内に圧入し、左分割型7aの型面と、コア1の表面間に充填し、コア1の残りの半球の表面に外皮2bを形成する。溶融樹脂の冷却を待って型を開き、ピン9で押して成形品P2を型から取り出す。
【0038】
得られた成形品P2は、図3(f)に示すようにコア1の全表面に外皮2a、2bが形成され、しかも両外皮2a、2bが継ぎ目4で融合一体して競技用ボールの完成品となる。本発明において、外皮の成形材料が透明合成樹脂であるときには、外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とは、コアの芯ずれ、偏心を生じさせることなく均一な厚みでコアの外周に外皮を形成する上に重要な処理であるといえる。
【0039】
そして、上記処理によって、球形で、一定厚みの外皮に覆われたコア1と、透明又は不透明の合成樹脂層であり、コア1の一方の半球に形成される外皮2aとコア1の他方の半球に形成される外皮2b間に継ぎ目4が形成された外皮2との積層からなる競技用ボールが得られる。外皮に透明合成樹脂層が用いられたときには、外皮2は、コア1の芯ずれ、偏心を生じさせることなく均一な厚みでコアの外周に形成される。
【0040】
このように、外皮の一部形成処理と、これに引き続き外皮の残部形成処理とを順に行なうことによって、外皮2は、外皮の一部形成処理によって形成された部分(2a)と、外皮の残部形成処理によって形成された部分(2b)とが互いに溶融状態で結合して一体になるが、その間に継ぎ目4が形成され、その継ぎ目4と両セグメントの合わせ目5とは互いに直交し、両セグメントの合わせ目5は、それぞれの外皮に抑えられてセグメント1a、1bが接着されていなくても両者の剥離が阻止される。
【0041】
本発明において、外皮の一部形成処理で形成する外皮2aの材質と、外皮の残部形成処理で形成する外皮2bの材質とを互いに異ならせることによって、外皮の特性が部分的に異なる特性のボールが得られる。
【0042】
たとえば、外皮の一部形成処理によって形成された部分(2a)と、外皮の残部形成処理によって形成された部分(2b)との反発性能を異ならせたボールが得られる。反発性能が部分的に違うボールを使用するときには、たとえば遠距離打撃をするときには反発性能が大きい部分を打撃し、逆にアプローチショットのような短距離打撃をするときには、コントロール性のよい反発性能が低い部分を打撃するというように競技シーンによって使い分けができる。
【0043】
また、材質の使い分けとして外皮の一部形成処理で形成する外皮2aの色彩と、外皮の残部形成処理で形成する外皮2bの色彩とを互いに異ならせることにより、2色の外皮を有する競技用ボールが得られ、ボールの意匠に変化性を持たせることができる。
【0044】
本発明によれば、外皮の一部形成処理時には、コア1の半球部分が金型(第1の金型6)に安定に緊締され、また、外皮の残部形成処理時においては、外皮の一部形成処理によって形成された外皮の部分が金型(第2の金型7)に安定に保持されているため、外皮材料である溶融樹脂の圧入によって、金型内でコア1に位置ずれが生ずることなく、したがって、コア1の外表面と金型の型面間に圧入された溶融樹脂によって一定厚みの外皮2を形成することが可能となり、この結果、コアと外皮とが内外同心状に内蔵された均質な、高性能の競技用ボールが得られる。
【0045】
したがって、実質的に透明な外皮が形成されても外皮の肉厚は均一で、コアの芯ずれ、偏心が生ずることがないため、外観が見苦しくなることがなく、したがって製品価値を下げることがない。コアに色彩の違ったセグメントの組合わせを用いることによって、なお、グラウンドゴルフ又はパークゴルフ競技用のボールのコアには、中空半球状のセグメントの組合せを用いるのが一般的ではあるが、本発明の競技用ボールに使用するコア1は、必ずしも図1のような構造のセグメント1a、1bの組合わせに限るものではなく、最初から球形に加工されたもの、或いは3以上のセグメントの組合わせによるものであってもよい。
【0046】
以上実施形態において、第1および第2の金型が左右の分割型によって構成した例を説明したが、左右の区別は専ら説明のためのものであって、上下の分割型によって構成されていても勿論かまわない。また、第1の金型と、第2の金型とは、別の型枠に設置して一定のロットごとに外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とを別工程で行なって競技用ボールを製造することができる。
【0047】
外皮の一部形成処理でコアの半球に形成された外皮は、冷却によって収縮するため、完全に収縮するのを待って次の外皮の残部形成処理を行なうことが好ましい場合がある。なお、以上実施形態は、グラウンドゴルフ競技、パークゴルフ競技用のボールについて説明したが、本発明による競技用のボールの製造方法は、これらのボールの製造に限られるものではない。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明によるときには、外皮の内部にコアが同心状に内蔵された競技用ボールを製造することが可能となり、コアが偏心することがないため、外皮に透明樹脂が用いられても、外観、商品価値を低下させることなく、高品位でしかも外観上特徴のあるの競技用ボールを市場に提供でき、また、外皮の一部形成処理で形成する外皮の材質と、外皮の残部形成処理で形成する外皮の材質とを互いに異ならせることによってボールの性能に変化性を持たせて競技シーンにあわせて最適な打撃を可能とするボールを提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法によって製造された競技用ボールの1例を示す図である。
【図2】本発明方法に使用する金型を示すもので、(a)は、1部断面側面図、(b)は平面図である。
【図3】本発明による競技用ボールの製造工程を工程順に示す図である。
【図4】特許文献1に記載された競技用ボールの製造装置の構造を示す図である。
【符号の説明】
1 コア
2(2a,2b) 外皮
3 凹凸環状リブ
4 継ぎ目
5 合わせ目
6 第1の金型
7 第2の金型
8 型枠
9 ピン
Claims (11)
- 外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とを有し、球形のコアの表面に外皮を形成する競技用ボールの製造方法であって、
外皮の一部形成処理は、コアの半球の表面を金型に緊締した状態で球形のコアの他の半球の表面に外皮を半球状に形成する処理であり、
外皮の残部形成処理は、前記外皮の一部形成処理によって形成された半球状の外皮を金型に緊締した状態で、コアの残りの半球の表面に外皮を形成する処理であることを特徴とする競技用ボールの製造方法。 - 外皮の成形材料は、透明合成樹脂であり、外皮の一部形成処理と、外皮の残部形成処理とは、コアの芯ずれ、偏心を生じさせることなく均一な厚みでコアの外周に外皮を形成する処理であることを特徴とする競技用ボールの製造方法。
- 第1の金型の分割型の組と、第2の金型の分割型の組との組み合わせを用いた競技用ボールの製造方法であって、
外皮の一部形成処理は、第1の金型の分割型の組にコアを緊締してコアの半球の表面に外皮を半球状に形成する処理であり、
外皮の残部形成処理は、外皮の一部形成処理後、第1の金型の分割型の組からコアを取り出し、コアの半球の表面に形成された外皮を第2の金型の分割型の組に緊締してコアの残りの半球の表面に外皮を形成する処理であることを特徴とする請求項1または2に記載の競技用ボールの製造方法。 - コアは、対をなす半球状のセグメントを向き合わせに組合わせたものであり、周面には、両セグメントの合わせ目が形成され、
両セグメントの合わせ目を金型の両分割型間にまたがらせて型締することにより外皮の一部形成処理及び外皮の残部形成処理を順次行ない、
コアの周面に形成される外皮の継ぎ目と両セグメントの合わせ目とを互いに角度をなして交わらせることを特徴とする請求項3に記載の競技用ボールの製造方法。 - 外皮の一部形成処理で形成する外皮の材質と、外皮の残部形成処理で形成する外皮の材質とを互いに異ならせて2種類の異質の外皮を有する競技用ボールを製造することを特徴とする請求項1または2に記載の競技用ボールの製造方法。
- コアと、外皮との組合せからなる競技用ボールであって、
コアは球形であり、一定厚みの外皮に覆われ、
外皮は、コアの一方の半球に形成される外皮とコアの他方の半球に形成される外皮間に継ぎ目が形成されていることを特徴とする競技用ボール。 - 外皮は、実質的に透明合成樹脂層であり、コアの芯ずれ、偏心を生じさせることなく均一な厚みでコアの外周に形成されているものであることを特徴とする請求項6に記載の競技用ボール。
- コアの一方の半球に形成される外皮の材質と他方の半球に形成される外皮の材質とは互いに異なるものであることを特徴とする請求項6に記載の競技用ボール。
- コアは、対をなす半球状のセグメントを向き合わせて球形に組合わせたものであり、コアの周面には、両セグメントの合わせ目が形成されているものであることを特徴とする請求項6に記載の競技用ボール。
- コアの対をなす一方のセグメントと、他方のセグメントの材質とは互いに異なるものであることを特徴とする請求項8に記載の競技用ボール。
- 外皮とコアとは、外皮の継ぎ目と、コアを形成する両セグメントの合わせ目とを互いに交差させて組み合わされているものであることを特徴とする請求項9に記載の競技用ボール。
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JP2003180047A JP2005013354A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | 競技用ボールとその製造方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102527000A (zh) * | 2010-12-14 | 2012-07-04 | 林美笋 | 深纹路球的制作方法 |
JP2013183833A (ja) * | 2012-03-07 | 2013-09-19 | Dunlop Sports Co Ltd | ゴルフボール |
CN113967994A (zh) * | 2021-10-22 | 2022-01-25 | 严继 | 硅橡胶包覆珠子防偏心生产方法 |
-
2003
- 2003-06-24 JP JP2003180047A patent/JP2005013354A/ja active Pending
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