JP2005013221A - Braf発現抑制を利用した癌の治療 - Google Patents

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Abstract

【課題】 RNAi法を利用して、変異BRAF遺伝子の発現を抑制することができる二本鎖RNA(siRNA)、二本鎖RNAを発現することができる二本鎖RNA発現カセット、二本鎖RNA発現カセットを含む二本鎖RNA発現ベクターを作製し、癌特異的なRNAi誘導が可能で高頻度に変異を有するBRAFを分子標的とする安全性の高い悪性黒色腫等の癌特異的治療法を提供すること。
【解決手段】 BRAFmRNAのタンパク翻訳領域にRNAiの標的配列を複数個所設定し、RNAi効果を発揮するdsRNAであるsiRNAの発現形をレンチウイルスベクター上に構築し、標的配列として、V599Eを含む個所と、その他の個所の二種類を設定して組換えウイルスベクターを作製し、各種悪性黒色腫細胞株に感染させ、増殖抑制効果とMAPK経路のシグナル伝達の抑制効果を確認する。同様に、悪性黒色腫細胞株の浸潤能の抑制効果や、インビボにおける悪性黒色腫細胞株の増殖抑制効果を確認する。

Description

本発明は、RNAi(RNA interference:RNA干渉)法を利用するものであって、変異BRAF(V599E)遺伝子等の発現を抑制することができる二本鎖RNA(siRNA:small interfering RNA)、二本鎖RNAを発現することができる二本鎖RNA発現カセット、二本鎖RNA発現カセットを含む二本鎖RNA発現ベクター、及び、これらを有効成分とする悪性黒色腫等の癌の予防・治療剤や、これらを投与することからなる悪性黒色腫等の癌の予防・治療方法などに関する。
生物の発生過程において、細胞は増殖と生死を厳密に制御されながら、様々な形質を持った細胞へと分化していく。また発生後の成体においても、個々の細胞の増殖・分化・細胞死は、個体としての恒常性を保つために厳密に制御されている。つまり、個々の細胞運命は、ホルモン、神経伝達物質、細胞増殖因子、サイトカインなどの細胞外シグナルが細胞膜上の受容体を介して細胞内に正確に伝達することでコントロールされている。細胞外シグナルを細胞内の核に伝達し、遺伝情報の制御に至る機構を細胞内シグナル伝達機構と呼び、この機構での細胞内におけるタンパク間相互作用の連続反応を細胞内シグナル伝達経路という。この細胞内シグナル伝達経路は、上流のシグナルを受けて活性型となり、下流にシグナルを伝達した後に不活性型に戻るということを繰り返しながら、シグナルを伝達している。
細胞内シグナル伝達系の一つであるマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路は、細胞の増殖・分化シグナルに重要な役割を果たしている。MAPKは分子量約4万のタンパク質リン酸化酵素であり、さまざまな真核生物の細胞種でMAPキナーゼキナーゼキナーゼ(MAPKKK)→MAPキナーゼキナーゼ(MAPKK)→MAPキナーゼ(MAPK)のリン酸化カスケードを形成している。このカスケードは、原癌遺伝子rasの下流で活性化し、細胞増殖シグナルとして働くだけでなく、細胞分化、細胞増殖停止、あるいは細胞運動性亢進を誘導する。また、多くの癌細胞においてはMAPK系の恒常的機能亢進が認められるため、その特異的阻害が制癌につながると考えられている。
MAPK経路は、悪性黒色腫においてもMPKKKの一つであるBRAFの点突然変異が高頻度に検出されており(66%)、癌化との関連性が示唆されており、変異はすべて、キナーゼドメインの活性化領域内部か隣接するところに見られ、頻出する変異のいくつか(V599E、L596E、G463V、G468A)の解析により、変異によってBRAFのキナーゼ活性が増し、結果としてERKが活性化すること、さらに、変異BRAFがNIH3T3細胞のトランスフォーメーション能を有することが報告(例えば、非特許文献1参照。)されている。また、多くの悪性黒色腫細胞株や悪性黒色腫組織において、恒常的にMAPK活性の亢進が報告(例えば、非特許文献2参照。)されている。これらの報告は、変異BRAFが悪性黒色腫の発生に深く関連する癌遺伝子であり、悪性黒色腫治療の分子標的になりうることを示唆する。しかし、上記のアッセイ系においては、生理的発現レベルを遥かに超えた過剰量の変異BRAFがMAPKに与える影響や癌化との関連性については依然として不明である。
一方、ある種の生物(線虫:Caenorhabditis elegans)では、二本鎖RNA(double-strand RNA:ds RNA)によって遺伝子の発現を特異的に阻害できることが見い出されている(例えば、特許文献1、非特許文献3参照。)。この現象は、ある遺伝子と相同な、センスRNAとアンチセンスRNAからなるdsRNAが、その遺伝子の転写産物(mRNA)の相同部分を破壊するという現象で、RNAi(RNA interference:RNA干渉)と呼ばれている。この現象は、その後、種々の動物(例えば、非特許文献4〜6参照。)や、植物(例えば、非特許文献7参照。)を含む下等な真核細胞において見い出されている。
RNAiは、発見された当初、哺乳動物細胞においては、約30bp以上のdsRNAを細胞内へ導入すると、インターフェロン応答の誘導による非特異的な遺伝子発現抑制が生じるために、RNAiによる特異的な遺伝子発現阻害が観察されなくなるため、哺乳動物細胞での利用は困難と思われていた。しかし、2000年にマウス初期胚や哺乳動物培養細胞においてもRNAiが起こりうることが示され、RNAiの誘導機構そのものは、哺乳動物細胞にも存在することが明らかとなった(例えば、特許文献2、非特許文献8参照。)。
このようなRNAiの機能を利用して、哺乳動物においてもある特定の遺伝子又は遺伝子群の発現を阻害することができれば有益であることは明らかである。多くの疾病(癌、内分泌疾患、免疫疾患など)は、哺乳動物の中で、ある特定の遺伝子又は遺伝子群が異常発現することによって起こるので、遺伝子又は遺伝子群の阻害は、これらの疾病を治療するために使用することができる。また、変異型タンパク質の発現に起因して疾病が発症することもあり、このような場合には、変異した対立遺伝子の発現を抑えることで、疾病の治療が可能となる。さらに、このような遺伝子特異的な阻害は、例えば、HIVなどのレトロウイルス(レトロウイルス中のウイルス遺伝子は、それらの宿主のゲノム中に組み込まれて、発現される。)によって引き起こされるウイルス疾患を治療するためにも使用できるといわれている。
RNAiの機能を引き起こすdsRNAは、当初、約30bp以上のdsRNAの細胞内への導入が必要と考えられていたが、最近、更に短い(21〜23bp)dsRNA(siRNA:small interfering RNA)が、哺乳動物細胞系でも細胞毒性を示さずにRNAiを誘導できることが明らかになった(例えば、非特許文献9参照。)。siRNAは、体細胞の全ての発生段階において遺伝子の発現を抑制する強力な手段として認識されており、進行性の遺伝病等において、発病する前に、病気の原因となる遺伝子の発現を抑制する方法として期待できる。
国際公開第WO99/32619号パンフレット 国際公開第WO01/36646号パンフレット Nature, 417, 949-954, 2002 Cancer Research, 63, 756-759, 2003 Nature, 391, 806-811, 1998 Cell, 95, 1017-1026, 1998 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 14687-14692, 1998 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 5049-5054, 1999 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 13959-13964, 1998 FEBS Lett, 479, 79-82, 2000 Nature, 411, 494-498, 2001
BRAFの突然変異の頻度に関しては、悪性黒色腫を含む各種癌で広範に検索されており、その中でも悪性黒色腫における変異頻度が66%と圧倒的に高い(非特許文献1)。しかもその変異はキナーゼドメインに集中しており、V599E(599番目のバリン(V)がグルタミン酸(E)に変わる点突然変異)の点突然変異が80%を占めている。これらの変異BRAFは、キナーゼ活性の上昇とNIH3T3細胞のトランスフォーメーション活性を伴うことから、悪性黒色腫の発生に深く関与していることが示唆されている。また、多くの悪性黒色腫細胞株や悪性黒色腫組織において、恒常的にMAPK活性の亢進が認められ(非特許文献2)、癌化との関連性が示唆されている。本発明者らの検討でも、多くの悪性黒色腫細胞株で恒常的なMAPK活性の亢進を認めたが、その程度は様々であり、V599E変異の有無とは相関を認めていない。このことは、生理的レベルの変異BRAFは、単独でMAPKの活性を規定する因子ではない可能性を示唆している。しかしながら、現在までに変異または非変異BRAFを標的とした治療システムの報告はない。
本発明の課題は、RNAi法を利用して、変異BRAF(V599E)遺伝子等のBRAF遺伝子の発現を抑制することができる二本鎖RNA(siRNA)、二本鎖RNAを発現することができる二本鎖RNA発現カセット、二本鎖RNA発現カセットを含む二本鎖RNA発現ベクターを作製し、癌特異的なRNAi誘導が可能で高頻度に変異を有するBRAFを分子標的とする安全性の高い悪性黒色腫等の癌特異的治療法を提供することにある。
本発明者らは、本発明者らにより開発されたU6プロモーターを利用したプラスミドベクターによるsiRNA発現システム(Nature Biotechnology, 19, 497-500, 2002)を改良し、より遺伝子導入効率が高く、またsiRNA発現が安定に持続するレンチウイルスベクターシステムを開発している。このsiRNA発現が安定に持続するレンチウイルスベクターシステムを用いて、V599E変異個所を標的とするV599E変異特異的siRNA発現ベクターと変異非特異的siRNA発現ベクターを構築した。すなわち、BRAF mRNAのタンパク翻訳領域にRNAiの標的配列を複数個所設定し、RNAi効果を発揮するdsRNAであるsiRNAの発現形をレンチウイルスベクター上に構築し、標的配列として、V599Eを含む個所と、その他の個所の二種類を設定して組換えウイルスベクターを作製した。
次に、インビトロにおけるBRAF RNAi効果を検討するため、BRAF V599E変異が陽性または陰性の各種悪性黒色腫細胞株に、前記組換えウイルスベクターを感染後、ウエスタンブロットにより効果を認めたsiRNA発現ベクターを選択した。次に、これらのsiRNA発現ウイルスベクターをBRAF V599E変異が陽性又は陰性の各種悪性黒色腫細胞株に感染させ、それらの増殖に与える影響とMAPK活性に与える影響を検討し、両者の相関を検討した。その結果、BRAF V599E変異特異的siRNA発現ベクターは、BRAF V599E変異特異的抑制効果を認めたこと、また、RNA干渉法によるBRAF発現の特異的抑制は、MAPK経路のシグナル伝達を強力に抑制し、増殖シグナルの抑制に基づく強力な増殖抑制効果または細胞死誘導効果をもたらすことを見い出した。また、A375mel細胞株にBRAF非変異個所を標的にしたsiRNA発現レンチウイルスベクターを感染させたところ、matrigel invasion assayにおいて、著名な浸潤能の抑制を認めた。さらに、発現レンチウイルスベクターを導入したA375mel細胞株を皮下移植した腫瘍のインビボでの増殖が抑制されたことを見い出した。以上の知見に基づいて本発明は完成するに至ったものである。
すなわち本発明は、BRAF遺伝子の発現を抑制することができる、BRAF mRNAの標的となる特定配列に相同なセンス鎖RNAとアンチセンス鎖RNAからなることを特徴とする二本鎖RNA(請求項1)や、BRAF遺伝子が、変異BRAF遺伝子であることを特徴とする請求項1記載の二本鎖RNA(請求項2)や、変異BRAF遺伝子が、変異BRAF(V599E)遺伝子であることを特徴とする請求項2記載の二本鎖RNA(請求項3)や、BRAF mRNAの標的となる特定配列が、変異BRAF mRNAの変異部位を含む標的配列であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の二本鎖RNA(請求項4)や、変異BRAF mRNAの変異部位を含む標的配列が、配列表の配列番号2に示される塩基配列に由来するRNA及びその相補配列からなることを特徴とする請求項4記載の二本鎖RNA(請求項5)や、BRAF mRNAの標的となる特定配列が、配列表の配列番号3又は4に示される塩基配列に由来するRNA及びその相補配列からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の二本鎖RNA(請求項6)や、BRAF mRNAの標的となる特定配列が、19〜21bpの塩基配列であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の二本鎖RNA(請求項7)に関する。
また本発明は、請求項1〜7のいずれか記載の二本鎖RNAを発現することができる、BRAF遺伝子の特定配列のセンス鎖DNA−リンカー−アンチセンス鎖DNAからなることを特徴とする二本鎖RNA発現カセット(請求項8)や、配列表の配列番号5に示される塩基配列からなることを特徴とする請求項8記載の二本鎖RNA発現カセット(請求項9)や、配列表の配列番号6又は7に示される塩基配列からなることを特徴とする請求項8記載の二本鎖RNA発現カセット(請求項10)や、請求項8〜10のいずれか記載の二本鎖RNA発現カセットがプロモーターの下流に連結されていることを特徴とする二本鎖RNA発現ベクター(請求項11)や、HIVレンチウイルスベクターであることを特徴とする請求項11記載の二本鎖RNA発現ベクター(請求項12)や、請求項1〜7のいずれか記載の二本鎖RNA、請求項8〜10のいずれか記載の二本鎖RNA発現カセット、又は、請求項11若しくは12記載の二本鎖RNA発現ベクターを有効成分とすることを特徴とするBRAF遺伝子の発現抑制剤(請求項13)や、請求項1〜7のいずれか記載の二本鎖RNA、請求項8〜10のいずれか記載の二本鎖RNA発現カセット、又は、請求項11若しくは12記載の二本鎖RNA発現ベクターを有効成分とすることを特徴とする癌の予防及び/又は治療剤(請求項14)や、癌が、BRAF遺伝子変異又は発現亢進に起因する癌であることを特徴とする請求項14記載の癌の予防及び/又は治療剤(請求項15)や、癌が、悪性黒色腫であることを特徴とする請求項14記載の癌の予防及び/又は治療剤(請求項16)に関する。
さらに本発明は、請求項1〜7のいずれか記載の二本鎖RNA、請求項8〜10のいずれか記載の二本鎖RNA発現カセット、又は、請求項11若しくは12記載の二本鎖RNA発現ベクターを、生体、組織又は細胞に導入することを特徴とするBRAF遺伝子の発現抑制方法(請求項17)や、請求項1〜7のいずれか記載の二本鎖RNA、請求項8〜10のいずれか記載の二本鎖RNA発現カセット、又は、請求項11若しくは12記載の二本鎖RNA発現ベクターを、生体、組織又は細胞に導入することを特徴とする癌の予防及び/又は治療方法(請求項18)や、癌が、BRAF遺伝子変異又は発現亢進に起因する癌であることを特徴とする請求項18記載の癌の予防及び/又は治療方法(請求項19)や、癌が、悪性黒色腫であることを特徴とする請求項18記載の癌の予防及び/又は治療方法(請求項20)に関する。
実施例の結果からもわかるように、RNA干渉法によるBRAF発現の特異的抑制は、MAPK経路のシグナル伝達を強力に抑制し、増殖シグナルの抑制に基づく強力な増殖抑制効果または細胞死誘導効果をもたらすことが示された。インビトロの細胞増殖抑制効果は、インビボにおける増殖抑制効果も同様に誘導することを強く示唆しており、有用な遺伝子治療薬として期待できる。また、本発明のV599E変異特異的なsiRNAは、悪性黒色腫で高頻度に認められた変異個所に特異的に作用することから、正常細胞を傷害することなく、癌細胞に特異的に作用する効果が期待できるため、安全性の高い分子標的治療法に用いることができる。V599E変異非特異的siRNAに関しては、癌細胞と正常細胞との間でBRAFの発現差に基づく治療ウィンドウが設定できれば、選択的治療効果を生み出す可能性が期待できる。また、これらのsiRNAは、医療分野への応用のみならず、BRAF−MAPキナーゼシグナル伝達経路の基礎研究における道具としても、極めて有用性が高い。
本発明の二本鎖RNAとしては、BRAF遺伝子の発現を抑制することができる、BRAF mRNAの標的となる特定配列に相同なセンス鎖RNAとアンチセンス鎖RNAからなる二本鎖RNAであれば特に制限されるものではなく、上記BRAF遺伝子の由来としては特に限定されないがヒト由来のBRAF遺伝子が好ましく、中でも変異BRAF遺伝子が好ましい。かかる変異BRAF遺伝子としては、V599E、L596E、G463V、G468Aで示される変異BRAFの遺伝子DNAを具体的に例示することができるが、悪性黒色腫の発生に深く関与している配列表の配列番号1に示される塩基配列からなる変異BRAF(V599E)遺伝子(BRAF遺伝子の1857番目のTがAに置換された変異遺伝子)を特に好適に例示することができる。
上記BRAF mRNAの標的となる特定配列とは、BRAF mRNAの特定の領域の部分配列、好ましくは19〜21bpの塩基長の部分配列をいい、かかるBRAF mRNAの標的配列としては、BRAF mRNAに特異的配列が好ましいが、変異BRAF mRNAの変異部位を含む標的配列であることが特に好ましい。かかる変異BRAF mRNAの変異部位を含む標的配列として、変異BRAF(V599E)遺伝子の変異部分を含む、配列表の配列番号2に示される塩基配列GCT ACA GaG AAA TCT CGA T(配列番号1に示される塩基配列の1850〜1868番目の19mer)に由来するRNA及びその相補配列からなる二本鎖RNAを具体的に例示することができる。また、変異BRAF遺伝子の変異部位を含む特定配列ではないが、BRAF mRNAの発現を抑制することができる標的配列として、配列表の配列番号3に示される塩基配列GCC ACA ACT GGC TAT TGT TA(配列番号1に示される塩基配列の1624〜1643番目の20mer)に由来するRNA及びその相補配列からなる二本鎖RNAや、配列表の配列番号4に示される塩基配列(配列番号1に示される塩基配列の1669〜1689番目の21mer)に由来するRNA及びその相補配列からなる二本鎖RNAを具体的に例示することができる。これらV599E変異非特異的siRNAに関しては、癌細胞と正常細胞との間でBRAFの発現差に基づく治療ウィンドウが設定できれば、選択的治療効果を生み出す可能性が期待できる。
また、BRAF mRNAの標的となる特定配列に相同なセンス鎖RNAとは、例えば上記配列番号2〜4に示されるDNA配列由来のRNAをいい、BRAF mRNAの標的となる特定配列に相同なアンチセンス鎖RNAとは、上記センス鎖RNAと相補的RNAをいい、本発明の二本鎖RNAは、通常これらセンス鎖RNAとアンチセンス鎖RNA同士が結合したsiRNAとして構築されるが、便宜上、センス鎖RNA配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換或いは付加された変異センス鎖RNA配列と該変異センス鎖RNA配列に相補的な変異アンチセンス鎖RNA配列とのsiRNAとして構築した二本鎖RNAも本発明の範囲に含まれる。
本発明の二本鎖RNA(dsRNA)を作製するには、合成による方法及び遺伝子組換え技術を用いる方法等、公知の方法を適宜用いることができる。合成による方法では、配列情報に基づき、常法により二本鎖RNAを合成することができる。また、遺伝子組換え技術を用いる方法では、センス鎖DNAやアンチセンス鎖DNAを組み込んだ発現ベクターを構築し、該ベクターを宿主細胞に導入後、転写により生成されたセンス鎖RNAやアンチセンス鎖RNAをそれぞれ取得することによって作製することもできるが、BRAF遺伝子の特定配列のセンス鎖DNA−リンカー−アンチセンス鎖DNAからなる二本鎖RNA発現カセットを構築し、該二本鎖RNA発現カセットを発現ベクターのプロモーターの下流に連結し、インビボでの発現・構築により所望の二本鎖RNAを作製することが好ましい。
BRAF遺伝子の特定配列のセンス鎖DNA−リンカー−アンチセンス鎖DNAからなる上記本発明の二本鎖RNA発現カセットとしては、TTCAAGAGAをリンカー配列とした、配列表の配列番号5に示される塩基配列GCT ACA GaG AAA TCT CGA T TTCAAGAGA ATC GAG ATT TCt CTG TAG C tttttからなる二本鎖RNA発現カセットや、配列表の配列番号6に示される塩基配列GCC ACA ACT GGC TAT TGT TA TTCAAGAGA TA ACA ATA GCC AGT TGT GGC tttttからなる二本鎖RNA発現カセットや、配列表の配列番号7に示される塩基配列GTA TCA CCA TCT CCA TAT CAT TTCAAGAGA ATG ATA TGG AGA TGG TGA TAC tttttからなる二本鎖RNA発現カセットを具体的に例示することができる。これら二本鎖RNA発現カセットは、宿主細胞内で転写されると、センス鎖DNAに相当するセンス鎖RNAと、アンチセンス鎖DNAに相当するアンチセンス鎖RNAとからなる二本鎖RNAを形成することができる。
また、二本鎖RNA発現カセットをプロモーターの下流に挿入することができる発現ベクターとしては、例えば、マウス白血病レトロウイルスベクター(Microbiology and Immunology, 158, 1-23, 1992)や、アデノ随伴ウイルスベクター(Curr. Top. Microbiol. Immunol., 158, 97-129, 1992)や、アデノウイルスベクター(Science, 252, 431-434, 1991)や、リポソーム等を具体的に挙げることができるが、HIVレンチウイルスベクターは、非分裂細胞にも効率よく長期発現が可能であるという特徴を有する点で好ましい。また、これら発現系は、発現を起こさせるだけでなく、発現を調節する制御配列を含んでいてもよい。これらの発現ベクターへの二本鎖RNA発現カセットの導入は常法によって行うことができ、例えばこれら発現ベクター中の適当なプロモーターの下流に二本鎖RNA発現カセットを挿入することにより本発明の二本鎖RNA発現ベクターを構築することができる。
本発明のBRAF遺伝子の発現抑制剤や、本発明の癌の予防及び/又は治療剤としては、上記本発明の二本鎖RNA、本発明の二本鎖RNA発現カセット、又は、本発明の二本鎖RNA発現ベクターを有効成分とするものであれば特に制限されるものではなく、これらBRAF遺伝子発現抑制剤や癌の予防・治療剤を哺乳動物の生体、組織、細胞等に投与又は導入するに際しては、この分野で通常用いられる薬学的に許容される担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分とともに用いることができる。該薬学的に許容される担体とともに用いる薬学的組成物は、その投与形態、例えば経口(口腔内又は舌下を含む)投与、或いは非経口投与(注射剤等)等に合わせて、薬学の分野ではそれ自体周知の製剤形態で製剤化することができる。
また、本発明のBRAF遺伝子の発現抑制方法や、本発明の癌の予防及び/又は治療方法としては、上記本発明の二本鎖RNA、本発明の二本鎖RNA発現カセット、又は、本発明の二本鎖RNA発現ベクターを、哺乳動物の生体、組織又は細胞に導入する方法であれば特に制限されるものではなく、これら二本鎖RNA、二本鎖RNA発現カセット、又は、二本鎖RNA発現ベクターの哺乳動物の生体、組織又は細胞への導入方法としては、経口的又は非経口的に投与する方法を挙げることができる。例えば、通常用いられる投与形態、例えば粉末、顆粒、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液等の剤型で経口的に投与することができ、あるいは、例えば溶液、乳剤、懸濁液等の剤型にしたものを注射の型で非経口投与することができる他、スプレー剤の型で鼻孔内投与することもできる。また、投与量は、疾病の種類、患者の体重、投与形態等により適宜選定することができる。
本発明の癌の予防・治療剤や本発明の癌の予防・治療方法の対象となる癌としては、BRAF遺伝子変異又はBRAF遺伝子の発現亢進に起因する癌を例示することができ、より具体的には、悪性黒色腫の他、大腸癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、脳腫瘍、甲状腺癌等を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(材料及び方法)
[BRAFを標的とするsiRNA発現レンチウイルスベクターの構築]
BRAF mRNAのコーディング領域内で、V599E変異を含む個所と、それ以外の個所の二個所に、19〜21塩基長のRNAi標的部位を複数個所選択した。選択基準は、TまたはAが4個以上連続する配列は避け、GC含量が30〜60%程度で、AAG/Aで始まる個所を選択し、その中でRNAの二次構造予測プログラム(http://www.bioinfo.rpi.edu/applications/mfold/old/rna/)上、開いた構造を取る配列を候補とした。合計12種類の標的配列に対応するsiRNA発現レンチウイルスベクターを作製した(V599Eを含む領域が7種類、それ以外の領域が5種類)。図1に、siRNA発現HIVレンチウイルスベクタープラスミドの構造を示す。U6プロモーターの下流のBspMIサイトに、標的mRNA配列と相同な19〜21塩基長のcDNA(センス鎖)、リンカー配列、センス鎖と相補的なcDNA(アンチセンス鎖)、転写終結シグナルのTTTTTからなる合成ヌクレオチドを挿入し、U6プロモーターから標的mRNA配列と相同なセンス鎖−リンカー−アンチセンス鎖RNAが発現できるユニットを作製した。このRNAは、細胞内で転写された後、リンカー部分でループを形成して、センス鎖とアンチセンス鎖の間でステム構造を取り、細胞質内でDicerによりリンカー部分が切断された後siRNAになると予想される。これらsiRNA発現プラスミドを、他の3種類のHIVパッケージングプラスミド(pMD.G,pRSV-Rev,pMDlg/p,RRE)とともに、293T細胞にトランスフェクションし、48〜72時間後の培養上清に産出されてくるレンチウイルスベクターを回収し、Centriprep YM−50(Millipore社製)を用いて濃縮した。ウイルス力価は、293T細胞に感染させたHIVベクターが発現するGFPタンパクの蛍光をフローサイトメーターで測定することにより算出した。また、コントロールウイルスとして、蛍ルシフェラーゼを標的とするsiRNA発現ベクターを作製して用いた。
[BRAF RNAi効果の検討]
上記で作製したsiRNA発現レンチウイルスベクターを293T細胞または各種悪性黒色腫細胞株に感染させた後、GFP発現がコントロールと同レベルであることを確認した上で、タンパク質を抽出し、ウェスタンブロット法でBRAFの発現抑制効果を確認した。タンパク抽出は、20mM Tris−HCl(pH7.5),12.5mM β−glycerophosphate,2mM EGTA,10mM NaF,1mM bebzamide,1% NP−40/Complete,EDTA−free(Roche社製),1mM Na3VO4を用いて、細胞溶解後に上清を回収し、タンパク質濃度をDC Protein assay kit(Promega社製)で測定した。また、タンパク質量のコントロールとして、アクチンタンパク質のウェスタンブロットを行った。
[インビトロ増殖抑制効果の検討]
10種類の悪性黒色腫細胞株(Skmel23,1363mel,A375mel,397mel,501Amel,526mel,624mel,928mel,1362mel,888mel)各50,000個に対して、上記でBRAF発現抑制効果の認めたsiRNA発現レンチウイルスベクターを、50〜100MOI(multiplicity of infection)で感染し、3日毎に9日目までの細胞数の変化を計測し、BRAF RNAiの細胞増殖に与える抑制を検討した。
[MAPキナーゼ経路に与える影響の検討]
上記でsiRNA発現レンチウイルスベクター感染を行った悪性黒色腫細胞株より抽出したタンパク質で、ERK1及びリン酸化ERKのウェスタンブロットを行い、BRAFの発現抑制が、MAPキナーゼ経路の活性化状態に与える影響を検討した。
[動物実験]
6週齢のオスNOD/SCIDマウス(Japan Clea社製)に、siRNA発現レンチウイルスベクターで感染したA375mel細胞5×106を皮下接種した。移植後、腫瘍の大きさ(最大直径×垂直方向の直径×高さ)を、2〜3日ごとに、24日目まで測定した。動物実験プロトコ−ルは、慶應義塾大学医学部の動物実験委員会によって承認された。マウスは、慶應義塾大学動物実験委員会によるガイドラインに従って処理した。
(結果)
[BRAFを標的とするsiRNA発現レンチウイルスベクターによるRNAi効果]
RNAi効果は、siRNAの標的配列依存性が高いため、多種類のsiRNAの効果を最初に検討した。合計12種類のレンチウイルスベクター中、ウェスタンブロットでBRAFの発現抑制効果を認めたものは、#10,#1’,#7’の三種類であった。それぞれのsiRNAに対応するDNA塩基配列を図2に示す。#1’(配列番号2)は、V599E変異個所を含み、8番目の塩基がTからAに変異している配列を標的にしている。#10(配列番号4)と#7’(配列番号3)は、変異個所ではない配列を標的にしている。293T細胞(V599E変異なし)と、A375mel細胞(V599E変異あり)に対して感染を行った後のBRAFのウェスタンブロットの結果を図3に示す。#1’は、V599E変異陽性BRAFを発現していない293T細胞では抑制効果を認めなかったが、変異陽性BRAFをもつA375mel細胞に対しては、著明な抑制効果を認めたことから、V599E変異陽性BRAFの発現を特異的に抑制したことが示唆された。一方、非変異個所を標的にしたsiRNA#10と#7’では、V599E変異の有無に関わらず、293T細胞とA375mel細胞の両者に強い抑制効果をもたらした。
[BRAF siRNA発現レンチウイルスベクターによるインビトロ細胞増殖抑制効果]
上記でBRAF発現抑制効果を認めた3種類のsiRNA発現ベクターを10種類の悪性黒色腫細胞株に50〜100MOIで感染させ、その細胞増殖に与える影響をコントロールのGL3B(蛍ルシフェラーゼを標的とするsiRNA)発現ベクター感染細胞と比較した結果を図4に示す。Skmel23細胞と1362mel細胞の二株のみBRAF V599E変異が陰性であり、他の8株は陽性であった。すべての細胞株を通じて、最も強い増殖抑制効果を認めたものは、siRNA#10であった。一方、siRNA #1’は、V599E変異のないSkmel23と1362mel細胞には全く増殖抑制しなかったが、変異陽性の8株中5株に明らかな増殖抑制効果をもたらし、特に、526melと624melに対する効果は、#10と同程度かそれ以上であった。また、928melや888mel細胞など、強い細胞死の誘導効果を認めた細胞株も存在した。
[BRAFの発現抑制がMAPキナーゼ経路に与える影響]
図5に、siRNA発現ベクター感染後の各種悪性黒色腫細胞株から抽出したタンパク質のウェスタンブロットの結果を示す。BRAFタンパク質の発現抑制と同時に、リン酸化ERKの検出レベルが低下していた。ERKタンパク質レベルには、コントロールのGL3BとBRAF siRNAの間で差を認めなかったことから、リン酸化ERKの低下は、ERKタンパク質レベルの低下ではなく、そのリン酸化レベルの低下を示しており、MAPキナーゼ経路が抑制されたことを意味している。
[悪性黒色腫細胞株の浸潤能の抑制効果]
A375mel細胞株にBRAF非変異個所を標的にしたsiRNA#10発現レンチウイルスベクターを感染させたところ、matrigel invasion assayにおいて、著名な浸潤能の抑制を認めた(図6a)。これは、matrix metalloproteinase-2の活性低下(図6b)とβ1integrin(図6c)の発現低下を伴っていた。細胞外基質の分解や接着に関わるこれらの分子の発現は、MAPキナーゼシグナルによって制御されていることから、BRAF RNAiによる、MAPK経路のシグナル抑制がこれらの分子の発現低下を介して、浸潤能の抑制効果を誘導した可能性が考えられる。このことは、BRAFのシグナル伝達抑制は、細胞増殖だけでなく、癌の浸潤・転移などの悪性形質の抑制効果に結びつく可能性を示唆しており、本法の癌治療としての有効性を示唆すると考えられる。
[インビボにおける悪性黒色腫細胞株の増殖抑制効果]
V599E変異個所を標的にしたsiRNA#1’発現レンチウイルスベクター、又は非変異個所を標的にしたsiRNA#10発現レンチウイルスベクターを導入したA375mel細胞株を、NOD/SCIDマウスに移植した後、腫瘍の体積を経時的に計測した(図7)。図7からわかるように、siRNA導入群、特にsiRNA#10導入群で、コントロール群のGL3B(蛍ルシフェラーゼを標的とするsiRNA)発現ベクター感染A375mel細胞よりも有意な増殖抑制効果を認めた。インビボでは、BRAF−MAPK経路以外の増殖シグナルも伝達される可能性が考えられるが、BRAF RNAiにより有意な増殖効果を認めたことは、インビボにおいてもこの経路が主要な増殖シグナル伝達経であることを示唆しており、本法の癌治療法としての有効性を示唆すると考えられた
本発明のsiRNA発現HIVレンチウイルスベクタープラスミドの構造を示す図である。 本発明のそれぞれのsiRNAに対応するDNA塩基配列を示す図である。 本発明の293T細胞と、A375mel細胞に対して感染を行った後のBRAFのウェスタンブロットの結果を示す図である。 本発明のsiRNA発現ベクターを10種類の悪性黒色腫細胞株に50〜100MOIで感染させ、その細胞増殖に与える影響をコントロールのGL3B発現ベクター感染細胞と比較した結果を示す図である。 本発明のsiRNA発現ベクター感染後の各種悪性黒色腫細胞株から抽出したタンパク質のウェスタンブロットの結果を示す図である。 悪性黒色腫細胞株の浸潤能の抑制効果示すmatrigel invasion assayの結果(a)と、gelatin zymography によるmatrix metalloproteinase-2活性の比較(b)及びβ1integrin(c)のウェスタンブロットの結果を示す図である。 インビボにおける悪性黒色腫細胞株の増殖抑制効果を示す腫瘍サイズの経時変化の図である。

Claims (20)

  1. BRAF遺伝子の発現を抑制することができる、BRAF mRNAの標的となる特定配列に相同なセンス鎖RNAとアンチセンス鎖RNAからなることを特徴とする二本鎖RNA。
  2. BRAF遺伝子が、変異BRAF遺伝子であることを特徴とする請求項1記載の二本鎖RNA。
  3. 変異BRAF遺伝子が、変異BRAF(V599E)遺伝子であることを特徴とする請求項2記載の二本鎖RNA。
  4. BRAF mRNAの標的となる特定配列が、変異BRAF mRNAの変異部位を含む標的配列であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の二本鎖RNA。
  5. 変異BRAF mRNAの変異部位を含む標的配列が、配列表の配列番号2に示される塩基配列に由来するRNA及びその相補配列からなることを特徴とする請求項4記載の二本鎖RNA。
  6. BRAF mRNAの標的となる特定配列が、配列表の配列番号3又は4に示される塩基配列に由来するRNA及びその相補配列からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の二本鎖RNA。
  7. BRAF mRNAの標的となる特定配列が、19〜21bpの塩基配列であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の二本鎖RNA。
  8. 請求項1〜7のいずれか記載の二本鎖RNAを発現することができる、BRAF遺伝子の特定配列のセンス鎖DNA−リンカー−アンチセンス鎖DNAからなることを特徴とする二本鎖RNA発現カセット。
  9. 配列表の配列番号5に示される塩基配列からなることを特徴とする請求項8記載の二本鎖RNA発現カセット。
  10. 配列表の配列番号6又は7に示される塩基配列からなることを特徴とする請求項8記載の二本鎖RNA発現カセット。
  11. 請求項8〜10のいずれか記載の二本鎖RNA発現カセットがプロモーターの下流に連結されていることを特徴とする二本鎖RNA発現ベクター。
  12. HIVレンチウイルスベクターであることを特徴とする請求項11記載の二本鎖RNA発現ベクター。
  13. 請求項1〜7のいずれか記載の二本鎖RNA、請求項8〜10のいずれか記載の二本鎖RNA発現カセット、又は、請求項11若しくは12記載の二本鎖RNA発現ベクターを有効成分とすることを特徴とするBRAF遺伝子の発現抑制剤。
  14. 請求項1〜7のいずれか記載の二本鎖RNA、請求項8〜10のいずれか記載の二本鎖RNA発現カセット、又は、請求項11若しくは12記載の二本鎖RNA発現ベクターを有効成分とすることを特徴とする癌の予防及び/又は治療剤。
  15. 癌が、BRAF遺伝子変異又は発現亢進に起因する癌であることを特徴とする請求項14記載の癌の予防及び/又は治療剤。
  16. 癌が、悪性黒色腫であることを特徴とする請求項14記載の癌の予防及び/又は治療剤。
  17. 請求項1〜7のいずれか記載の二本鎖RNA、請求項8〜10のいずれか記載の二本鎖RNA発現カセット、又は、請求項11若しくは12記載の二本鎖RNA発現ベクターを、生体、組織又は細胞に導入することを特徴とするBRAF遺伝子の発現抑制方法。
  18. 請求項1〜7のいずれか記載の二本鎖RNA、請求項8〜10のいずれか記載の二本鎖RNA発現カセット、又は、請求項11若しくは12記載の二本鎖RNA発現ベクターを、生体、組織又は細胞に導入することを特徴とする癌の予防及び/又は治療方法。
  19. 癌が、BRAF遺伝子変異又は発現亢進に起因する癌であることを特徴とする請求項18記載の癌の予防及び/又は治療方法。
  20. 癌が、悪性黒色腫であることを特徴とする請求項18記載の癌の予防及び/又は治療方法。
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