JP4753130B2 - インターフェロン応答が軽減された長い干渉用二重鎖rna - Google Patents

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Description

本発明は、長い干渉用二重鎖RNAおよび長い干渉用二重鎖RNAを発現するためのベクターおよび長い干渉用二重鎖RNAを用いたノックダウン細胞の生産方法等に関する。より具体的には、二重鎖の部分が、50塩基以上の干渉用二重鎖RNA、それらの干渉用二重鎖RNAを細胞内で発現させるためのベクター、ベクターを含む干渉用二重鎖RNA発現システム、およびこれらを保有する細胞等に関する。
RNA干渉(RNA interference、以下「RNAi」と略称する)は、標的遺伝子のmRNAと相同な配列からなるセンスRNAとこれと相補的な配列からなるアンチセンスRNAとからなる二重鎖RNA(以下、「dsRNA」と略称する)を細胞等に導入することにより、標的遺伝子mRNAの破壊を誘導し、標的遺伝子の発現を抑制し得る現象である。このようにRNAiは、標的遺伝子の発現を抑制し得ることから、従来の煩雑で効率の低い相同組換えによる遺伝子破壊方法に代わる簡易な遺伝子ノックアウト方法として、または、遺伝子治療への応用として注目を集めている。このようなRNAiは、当初、線虫において発見されたが(非特許文献1)、現在では、線虫のみならず、植物、線形動物、ショウジョウバエ、原生動物などの種々の生物において観察されている(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。これらの生物では、外来のdsRNAを導入することにより、標的遺伝子の発現が抑制されることが実際に確認されており、ノックアウト個体を創生する方法としても利用されつつある。
哺乳動物細胞では、他の生物と同様にdsRNAを細胞外から導入することによりRNAiの誘導が試みられている。しかし、導入されたdsRNAによりウイルス感染などに対する宿主細胞の防御機構が作動することにより、タンパク質合成が阻害され、RNAiを観察することができなかった。
最近、Tuschlらにより、他の生物で用いられているような長いdsRNAに代えて、2もしく3ヌクレオチドの一本鎖の3’末端の突出(オーバーハング)を有する全長21もしくは22ヌクレオチド(オーバーハングを含めて数える)の短鎖の干渉用RNA二重鎖(short interfering RNA、以下、「siRNA」と略称する)を哺乳動物細胞に導入することにより、哺乳動物細胞でもRNAiを誘導し得ることが報告された(非特許文献6、非特許文献7)。
このようにsiRNAがリボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチドを越える遺伝子の機能解析や発現制御のための強力なツールとして使用できることがわかり、その改良が日夜続けられている。特に、遺伝子の一次配列がヒトを含む多くの生物種でほぼ決定された現在、生体における遺伝子機能を網羅的かつ高効率に解析するための最も有力なツールとしてsiRNAの利用が注目されている。
Fire, A. et al. Potent and specific genetic interference bydouble-stranded RNA in Caenorhabditis elegans. Nature 391, 806-811, (1998) Fire, A. RNA-triggered gene silencing. Trends Genet. 15, 358-363(1999) Sharp, P. A. RNA interference 2001. Genes Dev. 15, 485-490 (2001) Hammond, S. M., Caudy, A. A. & Hannon, G. J.Post-transcriptional gene silencing by double-stranded RNA. Nature Rev. Genet.2, 110-1119 (2001) Zamore, P. D. RNA interference: listening to the sound of silence.Nat Struct Biol. 8, 746-750 (2001) Elbashir, S. M et al. Duplexes of 21-nucleotide RNAs mediate RNAinterference in cultured mammalian cells. Nature 411, 494-498 (2001) Caplen, N. J. et al. Specific inhibition of gene expression by smalldouble-stranded RNAs in invertebrate and vertebrate systems. Proc Natl Acad SciU S A 98, 9742-9747 (2001) Ohkawa, J. & Taira, K. Control of the functional activity of anantisense RNA by a tetracycline-responsive derivative of the human U6 snRNApromoter. Hum Gene Ther. 11, 577-585 (2000) Zanta M.A. et al., Gene delivery: a single nuclear localizationsignal peptide is sufficient to carry DNA to the cell nucleus. Proc Natl AcadSci U S A. 1999 Jan 5;96(1):91-6) Liu F, Huang L. Improving plasmid DNA-mediated liver gene transferby prolonging its retention in the hepatic vasculature. J. Gene Med. 2001Nov-Dec;3(6):569-76
RNAiを利用してmRNAレベルで任意の遺伝子の発現を抑制することによって、その遺伝子の機能を解析することができ、また、医療分野への応用として、前述のような方法により疾患原因遺伝子の解明のほか、RNAウイルスの増殖抑制、疾患関連遺伝子の発現抑制を行なうことのできる可能性がある。
RNAの化学合成には、DNA合成に比べ、塩基数が長いほど格段に費用がかかること等から、哺乳動物細胞では、Tuschlらが行なった二重鎖RNA部分の塩基数が19〜21(2塩基のオーバーハングをアンチセンスRNAおよびセンスRNAの3’側に2塩基含むため、オーバーハングを含めて数えると塩基数21〜23)のsiRNAを用いている。しかし、これらの塩基数だと、標的とする配列により遺伝子発現の抑制効果が異なる。すなわち、発現を抑制させたい標的遺伝子のうちの、どの部位をアンチセンスRNAと相補的な部位にするかにより発現抑制効果は異なり、標的とする部位によっては遺伝子発現を効果的に抑制できるが、部位によってはほとんど抑制されない場合もある。このため、実際の適用には、効果的な標的とする部位を予め検討する必要がある。
一方、長い塩基数(30bp以上)のRNAを用いた場合には、哺乳動物細胞においてはRNAiが生じにくいとされていた。この原因の一つとしては、インターフェロン応答と呼ばれる二つの経路が活性化されるためと考えられている。インターフェロン応答は、30bp以上の長いdsRNAを細胞外から導入したとき、細胞はウイルス感染を受けた際と同様にインターフェロンを産生し、遺伝子全体の翻訳が阻害される現象をいう。インターフェロンにより、dsRNA依存的タンパク質キナーゼ(PKR)をコードする遺伝子の転写が高まり、PKRの自己リン酸化とキナーゼ活性が促進される。活性化されたPKRは、eIF−2αをリン酸化し、これにより遺伝子全体の翻訳が阻害される。このようなインターフェロン応答により、長いdsRNAを導入した哺乳動物細胞では、RNA干渉効果の特異性が下がり、またアポトーシスも誘導されるため、細胞毒性が上がるという問題があった。
そこで、RNAiを遺伝子機能解析および遺伝子治療に適用するにあたり、標的とする部位によらず、効果的に遺伝子発現が抑制されるが、細胞毒性が低いsiRNAの開発が望まれる。そこで、本発明は、そのような干渉用二重鎖RNAおよびsiRNAを発現するためのベクターおよび機能遺伝子ノックダウン細胞の生産方法に関する。
本願発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、標的特異性が充分高い長い塩基数を有するが、インターフェロン応答が生じにくいdsRNAを開発した。すなわち、polIII系プロモーターを用いて、二重鎖の部分が50塩基以上の長いdsRNAを細胞内で生成することにより、インターフェロン応答が低減されたRNAiを誘導できることを見出した。さらに、二重鎖部分が50塩基以上のdsRNAにバルジや変異を導入することにより、バルジや変異を導入していないものと比べてRNAi活性は高まり、インターフェロン応答が顕著に低減されることがわかった。
さらに、本願発明者らは、二重鎖の部分が50塩基以上の長いdsRNAが、転写後レベルだけではなく、転写レベルにおいてRNAiを誘導することを見いだした。具体的には、標的遺伝子のmRNAのみならず、標的遺伝子の周辺部分(例えばプロモーター部分や転写調節領域など)に対するdsRNAが、DNAメチレーションを誘導して、転写を阻害することがわかった。
すなわち、本発明は、標的遺伝子の周辺領域の配列または標的遺伝子のmRNAにおけるいずれかの領域の配列と相補的なアンチセンスRNAと、前記アンチセンスRNAに細胞内でハイブリダイズする前記配列に相同なセンスRNAとを含む二重鎖干渉用RNAであって、前記アンチセンスRNAと前記センスRNAとが二重鎖を形成し、前記二重鎖形成部分の長さが、50塩基以上、例えば50〜300塩基、好ましくは100塩基であることを特徴とする二重鎖干渉用RNAを提供する。
標的遺伝子の周辺領域の配列としては、例えば、プロモーター部分や転写調節領域が例示できる。転写調節領域としては、エンハンサー、リプレッサーを含む転写調節領域およびその近傍領域が例示できる。
このような干渉用二重鎖RNAは、二重鎖を形成している領域内のアンチセンスRNAまたはセンスRNAにおいて1個以上の塩基が他の塩基により置換されていてもよく、好ましくは、センスRNAにおいて1個以上の塩基が他の塩基により置換されている。センスRNAにおいて1個以上の塩基が置換されている場合には、シトシン(C)からウラシル(U)への置換、アデニン(A)からグアニン(G)への置換、またはアデニン(A)からイノシン(I)への置換が好ましい。このような塩基の置換は、デアミネーションによって導入することができる。
本願の干渉用二重鎖RNAは、二重鎖を形成している領域内のアンチセンスRNA又はセンスRNAにおいて塩基の挿入あるいは欠失による1つ以上のバルジを含んでいてもよい。バルジの位置は、例えば、二重鎖の末端から20〜23番目の塩基の位置以外に含まれているのが望ましく、あるいは、二重鎖の末端から1〜19番目の塩基の間に最初のバルジが含まれ、前記バルジの位置から数えて1〜25番目の塩基ごとに次のバルジが含まれているものが望ましい。このようなバルジは、センスRNAに導入するのが好ましい。
本願の干渉用二重鎖RNAは、アンチセンスRNAと前記センスRNAの間にループをさらに含むものであってもよい。
また、本発明は、二重鎖干渉用RNAを細胞内で発現させるためのベクターであって、 標的遺伝子のプロモーターを含む周辺領域の配列または標的遺伝子のmRNAにおけるいずれかの領域の配列と相補的なアンチセンスRNAをコードしたアンチセンスコードDNAと、前記アンチセンスRNAに細胞内でハイブリダイズする前記配列に相同なセンスRNAをコードしたセンスコードDNAと、前記アンチセンスコードDNAおよび前記センスコードDNAから、前記アンチセンスRNAおよび前記センスRNAをそれぞれ発現させるための一つ以上のプロモーターとを含んでなるベクターであって、前記アンチセンスRNAと前記センスRNAとが二重鎖を形成し、前記二重鎖形成部分の長さが、50塩基以上、例えば50〜300塩基、好ましくは50〜100塩基であることを特徴とするベクターを提供する。標的遺伝子の周辺領域の配列としては、例えば、プロモーター部分や転写調節領域が例示できる。
本願のベクターは、二重鎖を形成しているRNAをコードするDNAの領域内のアンチセンスコードDNAまたはセンスコードDNAにおいて1個以上の塩基が他の塩基により置換されていてもよく、好ましくは、センスコードDNAにおいて1個以上の塩基が他の塩基により置換されている。センスコードDNAにおいて1個以上の塩基が置換されている場合には、シトシン(C)からチミン(T)への置換、またはアデニン(A)からグアニン(G)への置換が好ましい。このような塩基の置換は、デアミネーションによって導入することができる。
本願のベクターは、二重鎖を形成している領域内のアンチセンスRNA又はセンスRNAにおいて塩基の挿入あるいは欠失による1つ以上のバルジを含む干渉用二重鎖RNAを生じるものでもよい。バルジの位置は、例えば、二重鎖の末端から20〜23番目の塩基の位置以外に含まれているのが望ましく、あるいは、二重鎖の末端から1〜19番目の塩基の間に最初のバルジが含まれ、前記バルジの位置から数えて1〜25番目の塩基ごとに次のバルジが含まれているものが望ましい。このようなバルジは、センスRNAに導入するのが好ましい。
本願のベクターは、アンチセンスRNAと前記センスRNAの間にループをさらに含む干渉用二重鎖RNAを生じてもよい。
本願のベクターに含まれるプロモーターには、polIII系プロモーターを用いることができ、例えば、U6プロモーター、tRNAプロモーター、H1プロモーター、7SKプロモーター、7SLプロモーターおよび5SrRNAプロモーターからなる群から選択されるpolIII系プロモーターを用いることができる。
さらに本願は、二重鎖干渉用RNAを細胞内で発現させるための発現システムであって、標的遺伝子のプロモーターを含む周辺領域の配列または標的遺伝子のmRNAにおけるいずれかの領域の配列と相補的なアンチセンスRNAをコードしたアンチセンスコードDNAと、前記アンチセンスコードDNAから前記アンチセンスRNAを発現させるための第一のプロモーターとを含む第一のベクターと、前記アンチセンスRNAに細胞内でハイブリダイズする前記配列に相同なセンスRNAをコードしたセンスコードDNAと、前記センスコードDNAから前記センスRNAを発現させるための第二のプロモーターとを含む第二のベクターとを含んでなり、前記アンチセンスRNAと前記センスRNAとが二重鎖を形成し、前記二重鎖形成部分の長さが、50塩基以上、例えば50〜300塩基、好ましくは50〜100塩基であることを特徴とする発現システムを提供する。標的遺伝子の周辺領域の配列としては、例えば、プロモーター部分や転写調節領域が例示できる。
本願の発現システムは、二重鎖を形成している領域内のアンチセンスRNAまたはセンスRNAにおいて1個以上の塩基が他の塩基により置換されている干渉用二重鎖RNAを生じてもよい。
本願の発現システムは、二重鎖を形成しているRNAをコードするDNAの領域内のアンチセンスコードDNAまたはセンスコードDNAにおいて1個以上の塩基が他の塩基により置換されていてもよく、好ましくは、センスコードDNAにおいて1個以上の塩基が他の塩基により置換されている。センスコードDNAにおいて1個以上の塩基が置換されている場合には、シトシン(C)からチミン(T)への置換またはアデニン(A)からグアニン(G)への置換が好ましい。このような塩基の置換は、デアミネーションによって導入することができる。
本願の発現システムは、二重鎖を形成している領域内のアンチセンスRNA又はセンスRNAにおいて塩基の挿入あるいは欠失による1つ以上のバルジを含む干渉用二重鎖RNAを生じるものでもよい。バルジの位置は、例えば、二重鎖の末端から20〜23番目の塩基の位置以外に含まれているのが望ましく、あるいは、二重鎖の末端から1〜19番目の塩基の間に最初のバルジが含まれ、前記バルジの位置から数えて1〜25番目の塩基ごとに次のバルジが含まれているものが望ましい。このようなバルジは、センスRNAに導入するのが好ましい。
本願の発現システムに含まれる第一及び第二のプロモーターには、polIII系プロモーターを用いることができ、例えば、U6プロモーター、tRNAプロモーター、H1プロモーター、7SKプロモーター、7SLプロモーターおよび5SrRNAプロモーターからなる群から選択されるpolIII系プロモーターを用いることができる。
さらに、本発明は、上記ベクターまたは上記発現システムを保持した細胞を提供する。そのような細胞としては、植物細胞及び動物細胞が好ましい。
また、本発明は上記ベクターまたは上記発現システムを含む組成物を提供する。このような組成物としては、医薬組成物が好ましい。
さらに本発明は、上記ベクターまたは上記発現システムを細胞に導入する工程と、前記ベクター又は前記発現システムが導入された細胞を選択する工程とを含む標的遺伝子の発現が抑制された細胞を生産する方法を提供する。
さらに本発明は、標的遺伝子の周辺領域の配列または標的遺伝子のmRNAにおけるいずれかの領域の配列と相補的なアンチセンスRNAと、前記標的遺伝子のアンチセンスRNAに細胞内でハイブリダイズする前記領域に相同なセンスRNAとを含み、前記アンチセンスRNAと前記センスRNAとにより形成される二重鎖部分の長さが、50塩基以上である干渉用二重鎖RNAを発現する一以上のベクターを細胞に導入する工程を含む標的遺伝子の発現を抑制する方法を提供する。
上記の通り、本発明の長いdsRNAを用いることにより、予めどの部位をアンチセンスRNAと相補的な配列にするかを検討することなく、かつ低い細胞毒性でRNAiをもたらすことができる。
また、本発明のベクターまたは発現システムは、化学合成によらずsiRNAを細胞内で合成できるため、より短いsiRNAを用いたときのように予め発現抑制効果の高い部位を特定することなく、かつ低毒性なsiRNAを、安価に作成することができる。このような本発明のベクターまたは発現システムを用いて、標的遺伝子の機能解析や、ウイルスの発現抑制、疾患原因遺伝子の発現抑制などによる遺伝子治療を行なうことができる。さらには、本発明のベクターまたはシステムを用いて、標的遺伝子の機能解析のための研究材料となるノックダウン細胞、ノックダウン動物または植物を作成することができる。植物細胞に本発明のsiRNAを導入した場合には、機能解析のみならず、品種改良に用いることができる。特に、植物細胞についてはこれまで変異を入れて発現抑制が観察された例は、今まで無かったため、植物細胞のより効率的な発現抑制手法として有力な手段となり得る。
本発明の第一の側面は、標的とする配列が限定されることなく、かつ細胞毒性の低い、干渉用二重鎖RNAに関する。この干渉用二重鎖RNAは、標的遺伝子の周辺領域の配列または標的遺伝子のmRNAにおけるいずれかの領域の配列と相補的なアンチセンスRNAと、前記アンチセンスRNAに細胞内でハイブリダイズする前記配列に相同なセンスRNAとを含む二重鎖干渉用RNAであって、前記アンチセンスRNAと前記センスRNAとが二重鎖を形成し、前記二重鎖形成部分の長さが、50塩基以上、例えば50〜300塩基、好ましくは50〜100塩基であることを特徴とする。標的遺伝子の前記周辺領域としては、プロモーター領域や転写調節領域が例示できる。
さらに、この干渉用二重鎖RNAは、二重鎖を形成している領域内のアンチセンスRNAまたはセンスRNAにおいて、1個以上の塩基が他の塩基により置換され、標的配列の塩基とミスマッチとなる塩基を含んでいても良い。この置換は、アンチセンスRNA又はセンスRNAのいずれか、又はアンチセンスRNAとセンスRNAの両方に導入されていてもよいが、センスRNAに置換が導入されているものが好ましい。また、センスRNAに置換が導入されている場合、シトシン(C)からウラシル(U)への置換、アデニン(A)からグアニン(G)への置換、またはアデニン(A)からイノシン(I)への置換が特に好ましい。この塩基置換は、デアミネーションにより導入できる。
また、本発明の干渉用二重鎖RNAは、二重鎖中に1つ以上のバルジを含んでいても良い。ここでバルジとは、アンチセンスRNAとセンスRNAとにより形成された二重鎖RNA中で、対応する1個以上の塩基が一方の鎖にないものをいう。バルジは、二重鎖を形成しているRNAのうちの1本のRNA鎖から1個以上の塩基を欠失する、または1個以上の塩基を挿入することにより形成することができる。バルジは、二重鎖を形成するアンチセンスRNA又はセンスRNAのどちらか一方または両方のRNAに形成することができる。好ましくは、センスRNAにバルジを形成する。
本発明のバルジを含む干渉用二重鎖RNAは、細胞内でプロセッシングを受けて、siRNA様の構造をとるとともに, 一本鎖のmicroRNA(miRNA)様の構造になるものと推定される。
バルジの位置は、siRNA生成時の切断個所と推定されている二重鎖部分の末端から20から23番目の塩基付近を避けて数箇所導入するのが望ましい。例えば、最初のバルジをdsRNAの二重鎖部分の末端から数えて、1〜19塩基目の間に導入し、次のバルジを1〜25塩基ごとに導入することにより、バルジを導入していないものと同程度またはそれ以上の高い発現抑制効果を保ったままで、細胞毒性効果を低下させることができる。
また、アンチセンスRNAとセンスRNAとの間に、ループ(リンカー)を含んでいてもよい。このループは、アンチセンスRNAの3’末端とセンスRNAの5’末端の間に含めることもでき、または、センスRNAの3’末端とアンチセンスセンスRNAの5’末端の間に含めることもできる。ループの配列は、dsRNA形成を阻害しない限り、任意の配列でよく、ループの塩基数についても特に限定されない。例えば、4〜20塩基程度のループや、数百塩基の長さのループであってもdsRNA形成を阻害しない限り使用することができる。
さらに、本願の干渉用二重鎖RNAは、アンチセンスRNAとセンスRNAとの間で形成される二重鎖の部分だけではなく、アンチセンスRNA及びセンスRNAの3’側に、1〜4個の塩基、好ましくは2〜3個の塩基からなるオーバーハングを有しても良い。オーバーハングは、二重鎖を形成しない一本鎖の突出部分である。このオーバーハングは、標的遺伝子との特異性が低いため、標的遺伝子の配列と相補的な配列あるいは同じ(相同な)配列である必要は必ずしもない。また、siRNAによる標的遺伝子の発現抑制効果を保持し得る範囲で、例えば一端の突出部分に低分子RNAを備えてもよい。このような低分子RNAとしては、例えば、tRNA、rRNAまたはウイルスRNAのような天然のRNA分子、また人工的なRNA分子が挙げられる。
本発明の別の側面として、標的とする配列が限定されることなく、かつ細胞毒性の低い、干渉用二重鎖RNAを発現させるためのベクターが提供される。このベクターは、標的遺伝子のプロモーターを含む周辺領域の配列または標的遺伝子のmRNAにおけるいずれかの領域の配列と相補的なアンチセンスRNAをコードしたアンチセンスコードDNAと、前記アンチセンスRNAに細胞内でハイブリダイズする前記配列に相同なセンスRNAをコードしたセンスコードDNAと、前記アンチセンスコードDNAおよび前記センスコードDNAから、前記アンチセンスRNAおよび前記センスRNAをそれぞれ発現させるための一つ以上のプロモーターとを含んでなるベクターであって、前記アンチセンスRNAと前記センスRNAとが二重鎖を形成し、前記二重鎖形成部分の長さが、50塩基以上、例えば50〜300塩基、好ましくは50〜100塩基である。
このベクターは、アンチセンスコードDNAとセンスコードDNAをそれぞれ別個のプロモーターの制御下で発現させてもよく、その結果、アンチセンスRNAとセンスRNAは、別個のRNA鎖として形成され、その後相補的塩基対間で二重鎖を形成する。
一方、アンチセンスコードDNAとセンスコードDNAとを同一のプロモーターの制御下で発現させてもよく、その結果、アンチセンスRNAとセンスRNAとが同一のRNA鎖として形成される。この場合、アンチセンスRNAとセンスRNAとの間にループ(リンカー)が含まれるように、ベクター中にループ配列を含めることができる。ループは、上述の通り、アンチセンスRNAの3’末端とセンスRNAの5’末端の間に含めることもでき、または、センスRNAの3’末端とアンチセンスセンスRNAの5’末端の間に含めることもできる。
本発明のさらに別の側面として、標的とする配列が限定されることなく、かつ細胞毒性の低い、干渉用二重鎖RNAを発現させるための発現システムが提供される。この発現システムは、二重鎖干渉用RNAを細胞内で発現させるための発現システムであって、標的遺伝子のプロモーターを含む周辺領域の配列または標的遺伝子のmRNAにおけるいずれかの領域の配列と相補的なアンチセンスRNAをコードしたアンチセンスコードDNAと、前記アンチセンスコードDNAから前記アンチセンスRNAを発現させるための第一のプロモーターとを含む第一のベクターと、前記アンチセンスRNAに細胞内でハイブリダイズする前記配列に相同なセンスRNAをコードしたセンスコードDNAと、前記センスコードDNAから前記センスRNAを発現させるための第二のプロモーターとを含む第二のベクターとを含んでなり、前記アンチセンスRNAと前記センスRNAとが二重鎖を形成し、前記二重鎖形成部分の長さが、50塩基以上、例えば50〜300塩基、好ましくは50〜100塩基である。
本願のベクターまたは発現システムから生じる干渉用二重鎖RNAは、上記に説明したように、二重鎖を形成している領域内のアンチセンスRNAまたはセンスRNAにおいて、1個以上の塩基が他の塩基により置換され、標的配列の塩基とミスマッチとなる塩基を含んでいても良い。また、本願のベクターまたは発現システムから生じる干渉用二重鎖RNAは、アンチセンスRNAとセンスRNAとにより形成される二重鎖部分に塩基の挿入あるいは欠失による1つ以上のバルジを含んでいても良い。これらの置換及びバルジは、上述したとおりの構成をとることができる。
本発明のベクター及び発現システムにおいて使用されるプロモーターとしては、50塩基対以上の塩基配列の転写を制御できる限り、特に限定されない。50塩基以上の塩基配列の転写を制御できるプロモーターとして、例えばpolII系プロモーター又はpolIII系プロモーターを挙げることができる。polIII系プロモーターとしては、例えば、U6プロモーター、H1プロモーター、5SrRNAプロモーター、tRNAプロモーター、7SLプロモーター、7SKプロモーター、レトロウイルス性LTRプロモーター、アデノウイルスVAlプロモーターなどが挙げられる。このうち、U6プロモーター、H1プロモーター、tRNAプロモーターが好ましい。polII系プロモーターとしては、サイトメガロウイルスプロモーター、T7プロモーター、T3プロモーター、SP6プロモーター、RSVプロモーター、EF−1αプロモーター、β−アクチンプロモーター、γ−グロブリンプロモーター、SRαプロモーターなどが挙げられる。
「dsRNA」は、哺乳動物細胞内で毒性を示さない範囲の二重鎖RNAを意味する。本願においては、二重鎖部分が50塩基以上のdsRNAであっても、従来のようにdsRNAを細胞外から導入するのではなく、polIII系プロモーターなどにより細胞内においてdsRNAを発現させれば、細胞毒性が低下することが確認された。望ましいdsRNAの長さは、アンチセンスRNAおよびセンスRNAとの間で形成される二重鎖部分の長さが、50塩基以上であり、好ましくは、50塩基以上300塩基以下、より好ましくは50塩基以上100塩基以下である。しかし、二重鎖部分の長さが301塩基以上のものであっても、インターフェロン応答のような細胞毒性を示さず、RNA干渉効果が得られる限り、本発明の範囲から除外することを意図するものではない。
本発明において、「アンチセンスRNA」は、標的遺伝子のプロモーターなどの周辺領域の配列または標的遺伝子のmRNAにおけるいずれかの領域の配列と相補する配列からなるRNAである。このアンチセンスRNAが標的遺伝子のmRNAと結合して、転写後レベルのRNAiを引き起こしたり、標的配列の周辺領域の配列にDNAメチレーションを誘導することにより転写レベルのRNAiを引き起こすものと考えられている。アンチセンスRNAは、標的遺伝子の周辺領域の特定の配列または標的遺伝子のmRNAにおける特定の領域と完全に相補的な塩基配列を有する必要はなく、センスRNAとともに二重鎖RNAを形成できる限り、塩基配列の一部に不対合部分が含まれていてもよい。
また、「センスRNA」は、上記アンチセンスRNAと相補する配列、すなわち、標的遺伝子の周辺領域の特定の配列または標的遺伝子のmRNAにおける特定の領域と相同な(同じ)塩基配列を備え、相補的なアンチセンスRNAとアニーリングしてsiRNAを生成するRNAである。センスRNAは、前記標的遺伝子の周辺領域の特定の配列または標的遺伝子のmRNAにおける特定の領域と完全に相同な(同じ)塩基配列を有する必要はなく、アンチセンスRNAとともに二重鎖RNAを形成できる限り、塩基配列の一部にバルジや置換のような不対合部分が含まれていてもよい。これらアンチセンスRNAとセンスRNAとは、従来では、RNA合成機により化学合成されることが多いが、本発明では、化学合成のみならず、ベクター中のアンチセンスRNAをコードしたDNA(アンチセンスコードDNA)、センスRNAをコードしたDNA(センスコードDNA)より細胞内で発現される。
「標的遺伝子」は、その遺伝子の発現がsiRNAにより抑制される遺伝子であり、任意に選択することができる。この標的遺伝子は、例えば、配列は判明しているがどのような機能を有するかを解明したい遺伝子や、その発現が疾患の原因と考えられる遺伝子などを好適に選択することができる。また、がん遺伝子のような疾患関連遺伝子やウイルスタンパク質をコードする遺伝子を標的遺伝子にすることによって、遺伝子治療のための医薬組成物としても使用することが可能である。標的遺伝子は、そのmRNA配列の一部、すなわちsiRNAの一方の鎖(アンチセンスRNA鎖)と結合し得る長さである少なくとも15塩基以上が判明しているものであれば、ゲノム配列まで判明していない遺伝子であっても選択することができる。したがって、EST(Expressed Sequence Tag)などのmRNAの一部は判明しているが、全長が判明していない遺伝子なども「標的遺伝子」として選択することができる。
本発明のベクターとしては、アンチセンスコードDNAとセンスコードDNAの5’上流にプロモーターをそれぞれ備えたタンデムタイプの干渉用二重鎖RNA発現ベクターや、アンチセンスDNAとセンスコードDNAとを同一DNA鎖上に逆向きに配置し、これらDNA間にリンカーを挟んで連結させたユニットを一つのプロモーターの下流に接続させたステムループタイプの干渉用二重鎖RNAベクターが挙げられる。
タンデムタイプの干渉用二重鎖RNA発現ベクターでは、アンチセンスRNAとセンスRNAをそれぞれ別々のRNA鎖として発現させた後に、アニーリングさせ、二重鎖RNAとすることができる。ステムループタイプのsiRNA発現ベクターから生じるsiRNAは、リンカー部分をループとし、その両側のセンスRNAとアンチセンスRNAとが対合(ステム構造)となったステムループ型構造を有する。そして、細胞内の酵素によりプロセッシングを受けてループ部分が切断され、siRNAを生成させることができる。なお、この場合のステム部分の長さ、リンカー(ループ)の長さ、種類などは上述した通りの構成とすることができる。
本発明の発現システムでは、アンチセンスコードDNAとセンスコードDNAとを別個のベクターに保持させる。この場合には、アンチセンスコードDNAとセンスコードDNAのそれぞれの5’上流にプロモーターを含む。この場合には、アンチセンスRNAとセンスRNAをそれぞれ別々のRNA鎖として発現させた後に、アニーリングさせ、二重鎖RNAとすることができる。
センスRNA、アンチセンスRNAの下流に余分な配列が付加されることを避けるために、それぞれの鎖(アンチセンスRNAコード鎖、センスRNAコード鎖)の3'末端にターミネーターをそれぞれ備えることが好ましい。このターミネーターは、T(チミン)塩基を4つ以上連続させた配列などを用いることができる。
また、いずれの場合にも、5’末端にプロモーターからの転写を促進し得る配列を備えてもよい。具体的にはタンデム型の場合には、アンチセンスコードDNAとセンスコードDNAとの5’末端それぞれに、また、ステムループ型の場合には上記ユニットの5’末端に、プロモーターからの転写を促進し得る配列を備えることにより、干渉用二重鎖RNAの生成を効率化してもよい。なお、こうした配列からの転写物は、干渉用二重鎖RNAによる標的遺伝子の発現抑制に支障がない場合には、干渉用二重鎖RNAに付加された状態で用いてもよいが、発現抑制に影響を与える場合には、リボザイムのようなトリミング手段を用いてトリミングを行うことが好ましい。
また、本願発明は、アンチセンスRNAとセンスRNAとから形成される二重鎖部分の長さが、50塩基以上、好ましくは50〜300塩基、より好ましくは50〜100塩基である干渉用二重鎖RNAを発現させるためのベクターを保持する細胞、当該細胞を有する生物個体、当該ベクターを細胞に導入して、標的遺伝子の発現が抑制された細胞を生産する方法をも意図している。本発明の干渉用二重鎖RNA発現用ベクター又はシステムを保持する細胞の生成方法、当該細胞を有する生物個体の生成方法については、当業者は当該技術分野の通常の知識に基づき、適宜実施することが可能である。本発明を下記の実施例に基づき説明するが、実施例に述べる特定の方法に限定することを意図するものではない。
[実施例1:U6プロモーターにより発現される長いdsRNAによるRNAi]
図1に示すようなU6プロモーターの制御下で、長いdsRNAを発現するベクターを用いて、ルシフェラーゼ遺伝子の発現抑制を確認した。
48穴プレートに、1穴あたり2.5×10個のHeLa S3細胞を播き、24時間後に1200ngのプラスミドをLipofectamine 2000(Invitrogen)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション24時間後、Dual Luciferase Assay Kit(Promega)により、ルシフェラーゼ活性を測定した。左から数えて、レーン1〜3はネガティブコントロール、レーン4は変異を導入した50bpのdsRNA発現ベクター、レーン5は完全相補の50bp
dsRNA発現ベクター、レーン6は変異を導入した100bpのdsRNA発現ベクター、レーン7は完全相補の100bpのdsRNA発現ベクターをトランスフェクションしたものである。
ネガティブコントロールとして用いたベクターであるc1−pU6ic、c2−pU6ic50AS、c3−pU6ic100ASは、dsRNAを発現しないU6プロモーターを含んだベクターであり、生じるRNA配列は、GUGAGCAGGUGUAAAGCCACCAUGGAAGACACCUGCCAACUUUU(配列番号1)である。変異を導入した50bpのdsRNA発現ベクターであるpU6i50Sから生じるRNA配列は、GCCUUUAGGAUUAUAAGGUUCAAAGUGUGCUGUUGGUGUCAACUCUAUUCUUCAAGAGAGAAUAGGGUUGGCACCAGCAGCGCACUUUGAAUCUUGUAAUCCUGAAGGCUUUU(配列番号2)であり、完全相補の50bpdsRNA発現ベクターであるpU6i50m−1から生じるRNA配列は、GCCUUCAGGAUUACAAGAUUCAAAGUGCGCUGCUGGUGCCAACCCUAUUCUUCAAGAGAGAAUAGGGUUGGCACCAGCAGCGCACUUUGAAUCUUGUAAUCCUGAAGGCUUUU(配列番号3)、変異を導入した100bpのdsRNA発現ベクターであるpU6i100S1から生じるRNA配列は、GAUUUCGGGUUGUCUUGAUGUAUGGGUUUGGAGAGGAGUUGUUUCUGGGGAGUCUUUAGGAUUAUAAGGUUCAAAGUGUGCUGUUGGUGUCAACUCUAUUCUUCAAGAGAGAAUAGGGUUGGCACCAGCAGCGCACUUUGAAUCUUGUAAUCCUGAAGGCUCCUCAGAAACAGCUCUUCUUCAAAUCUAUACAUUAAGACGACUCGAAAUCUUUU(配列番号4)、完全相補の100bpのdsRNA発現ベクターであるpU6i100mから生じるRNA配列は、GAUUUCGAGUCGUCUUAAUGUAUAGAUUUGAAGAAGAGCUGUUUCUGAGGAGCCUUCAGGAUUACAAGAUUCAAAGUGCGCUGCUGGUGCCAACCCUAUUCUUCAAGAGAGAAUAGGGUUGGCACCAGCAGCGCACUUUGAAUCUUGUAAUCCUGAAGGCUCCUCAGAAACAGCUCUUCUUCAAAUCUAUACAUUAAGACGACUCGAAAUCUUUU(配列番号5)である。
結果を図2に示す。U6プロモーターの下で転写された長いdsRNA(二重鎖部分が50bp、100bp)は、HeLa細胞のルシフェラーゼの発現を抑制し、さらに、dsRNA部分に変異(mutation)を導入したものは、完全に標的配列と相補しているdsRNAと比べてRNAi活性が上昇していることが明らかになった。
[実施例2:U6プロモーターにより発現される長いdsRNAよるHeLa S3細胞におけるインターフェロン応答]
U6プロモーターにより発現される長いdsRNAがインターフェロン応答を誘導するか否かを調べるために、PKRのリン酸化及びelF2αのリン酸化をウエスタンブロットにより調べた。
12穴プレートに、1穴あたり2.1×10個のHeLa S3細胞を播き、24時間後にプラスミドをLipofectamine 2000(Invitrogen)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション48時間後、ウエスタンブロットによりタンパク質を検出した。
PKR抗体は、PKR(K−17):sc−707、Santa Cruz Biotechnology、Inc.、eIF2抗体はeIF2・ (FL−315):sc−11386、Santa Cruz Biotechnology、 Inc、リン酸化PKR抗体はPhospho−PKR(Thr451)Antibody、Cell Signaling Technology、リン酸化eIF2α抗体はPhospho−eIF2α(Ser51)Antibody、Cell Signaling Technologyを用いた。
結果を図3に示す。mockはトランスフェクション試薬のみで処理したもの、IFNは1000U/mlのインターフェロンα(I−2396、Interferon,
Human,Leukocyte,Sigma Chemical Co.)をトランスフェクション試薬とともに加えたもの、コントロールはdsRNAを発現しないU6プロモーターを含んだベクターをトランスフェクションしたものであり、生じるRNA配列は、配列番号1のとおりである。
21−mutは変異を導入した二重鎖部分が21bpのdsRNA(配列番号6:GUGCGUUGUUGGUGUUAAUCCUUCAAGAGAGGGUUGGCACCAGCAGCGCACUUUU)、50−mutは変異を導入した50bpのdsRNA(配列番号2)、50−matchは標的配列と完全に相補する二重鎖部分50bpのdsRNA(配列番号3)、100−mutは変異を導入した二重鎖部分が100bpのdsRNA(配列番号4)、100−matchは標的配列と完全に相補する二重鎖部分が100bpのdsRNA(配列番号5)を、それぞれをU6プロモーターによって発現するベクターをトランスフェクションしたものである。
U6プロモーターにより細胞内で転写された長いdsRNAは、二重鎖部分に変異を含むものも、標的配列に完全に相補するものも、どちらもPKR及びelF2αのリン酸化が抑えられていることが示され、インターフェロン応答を誘導しないことがわかった。二重鎖部分に変異を含む二重鎖部分が50bpおよび100bpの長いdsRNAは、PKR及びelF2αのリン酸化が特に効果的に抑えられていることが示された。
[実施例3:tRNAプロモーターにより発現される長いdsRNAによるHeLa S3細胞におけるインターフェロン応答]
tRNAプロモーターにより発現される長いdsRNAがインターフェロン応答を誘導するか否かを調べるために、PKRのリン酸化及びelF2αのリン酸化をウエスタンブロットにより調べた。
12穴プレートに、1穴あたり2.1×10個のHeLa S3細胞を播き、24時間後にプラスミドをLipofectamine 2000(Invitrogen)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション48時間後、ウエスタンブロットによりタンパク質を検出した。PKR抗体はPKR(K−17): sc−707,Santa Cruz Biotechnology, Inc.、eIF2α抗体はeIF2α (FL−315):sc−11386、Santa Cruz Biotechnology, Inc、リン酸化PKR抗体はPhospho−PKR (Thr451) Antibody,Cell Signaling Technology、リン酸化eIF2α抗体はPhospho−eIF2α(Ser51) Antibody,Cell Signaling Technologyを用いた。
結果を図4に示す。mockはトランスフェクション試薬のみ、IFNは1000 U/mlのインターフェロンα(I−2396,Interferon,Human,Leukocyte,Sigma Chemical Co.,)をトランスフェクション試薬とともに加えたもの、コントロールはdsRNAを発現しないtRNAプロモーターを含んだベクターであり、生じるRNAは、ACCGUUGGUUUCCGUAGUGUAGUGGUUAUCACGUUCGCCUAACACGCGAAAGGUCCCCGGUUCGAAACCGGGCACUACAAAAACCAACACCGUGAGCAGGUGUAAAGCCACCAUGGAAGACACCUGCCAACUUUUである(配列番号7)。
50−matchは標的と完全に相補する二重鎖部分が50bpのdsRNA(配列番号8:ACCGUUGGUUUCCGUAGUGUAGUGGUUAUCACGUUCGCCUAACACGCGAAAGGUCCCCGGUUCGAAACCGGGCACUACAAAAACCAACACCGCCUUCAGGAUUACAAGAUUCAAAGUGCGCUGCUGGUGCCAACCCUAUUCUUCAAGAGAGAAUAGGGUUGGCACCAGCAGCGCACUUUGAAUCUUGUAAUCCUGAAGGCUUUU)、100−mutは変異を導入した二重鎖部分が100bpのdsRNA(ACCGUUGGUUUCCGUAGUGUAGUGGUUAUCACGUUCGCCUAACACGCGAAAGGUCCCCGGUUCGAAACCGGGCACUACAAAAACCAACACCGAUUUCGGGUUGUCUUGAUGUAUGGGUUUGGAGAGGAGUUGUUUCUGGGGAGUCUUUAGGAUUAUAAGGUUCAAAGUGUGCUGUUGGUGUCAACUCUAUUCUUCAAGAGAGAAUAGGGUUGGCACCAGCAGCGCACUUUGAAUCUUGUAAUCCUGAAGGCUCCUCAGAAACAGCUCUUCUUCAAAUCUAUACAUUAAGACGACUCGAAAUCUUUU:配列番号9)、100−matchは標的と完全に相補する二重鎖部分が100bpのdsRNA(ACCGUUGGUUUCCGUAGUGUAGUGGUUAUCACGUUCGCCUAACACGCGAAAGGUCCCCGGUUCGAAACCGGGCACUACAAAAACCAACACCGAUUUCGAGUCGUCUUAAUGUAUAGAUUUGAAGAAGAGCUGUUUCUGAGGAGCCUUCAGGAUUACAAGAUUCAAAGUGCGCUGCUGGUGCCAACCCUAUUCUUCAAGAGAGAAUAGGGUUGGCACCAGCAGCGCACUUUGAAUCUUGUAAUCCUGAAGGCUCCUCAGAAACAGCUCUUCUUCAAAUCUAUACAUUAAGACGACUCGAAAUCUUUU:配列番号10)を、それぞれtRNAプロモーターによって発現するベクターをトランスフェクションしたものである。
tRNAプロモーターにより細胞内で転写された長いdsRNAは、二重鎖部分に変異を含むものも、標的配列に完全に相補するものも、どちらもPKR及びelF2αのリン酸化が抑えられていることが示され、インターフェロン応答を誘導しないことがわかった。特に、二重鎖部分に変異を含む二重鎖部分が100bpの長いdsRNAは、特に効果的にPKRの誘導およびPKRのリン酸化が抑制されていることが示された。
[実施例4:バルジ構造を有するU6プロモーターにより発現される長いdsRNAによるRNAi]
バルジの位置による発現抑制効果について検討した。図1に示すようなU6プロモーターの制御下で、バルジ構造を含む、長いdsRNAを発現するベクターを用いて、ルシフェラーゼ遺伝子の発現抑制を確認した。
48穴プレートに、1穴あたり2.5×10個のHeLa S3細胞を播き、24時間後に1200ngのプラスミドをLipofectamine 2000(Invitrogen)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション24時間後、Dual Luciferase Assay Kit(Promega)により,ルシフェラーゼ活性を測定した。プラスミドは、図4の左に示される、バルジを含まないdsRNAをコードするDNA配列(50S)と、3種のバルジ構造を含むdsRNAをコードするDNA配列(50SV1、50SV2、50SV)のいずれかを含むものを用いた。50SV1は、siRNA生成に邪魔にならないと推定される位置である、5’末端から10、あるいは30番目の塩基付近にバルジを入れたものであり(GCCUUUAGGAUUAUUAAGGUUCAAAGUGUUGCUGUUGGUGUCAAUCUCUAUUCUUCAAGAGAGAAUAGGGUUGGCACCAGCAGCGCACUUUGAAUCUUGUAAUCCUGAAGGCUUUU:配列番号11)、50SV2は、SV2では、siRNA生成時の切断個所と推定されている5’末端から21から23番目塩基付近にバルジを入れたもの(GCCUUUAUGGAUUAUAAGGUUCUAAAGUGUGCUGUUGUGUGUCAAUCCUAUUCUUCAAGAGAGAAUAGGGUUGGCACCAGCAGCGCACUUUGAAUCUUGUAAUCCUGAAGGCUUUU:配列番号12)、50SVは、siRNA生成時の切断個所と推定されている5’末端から21から23番目塩基付近および15番目の塩基前後にバルジを入れたもの(GCCUUUAUGGAUUAUUAAGGUUCUAAAGUGUUGCUGUUGUGUGUCAAUCUCUAUUCUUCAAGAGAGAAUAGGGUUGGCACCAGCAGCGCACUUUGAAUCUUGUAAUCCUGAAGGCUUUU:配列番号13)である。
結果を図4の右に示す。この結果から、50SV1のように、バルジをsiRNA生成時の切断個所と推定されている二重鎖部分の5’末端から21から23番目塩基付近を避けて数箇所導入する、例えば、最初のバルジをdsRNAの二重鎖部分の5’末端から数えて、1〜20塩基目の間に導入し、次のバルジを1〜25塩基ごとに導入することにより、バルジを導入していないものと同程度の高い発現抑制効果を保ったままで、細胞毒性効果を低下させることができることがわかった。
[実施例5:50bpのmhRNAベクターを用いたC型肝炎ウイルスの抑制(1)]
Seeger株、Wakita株C型肝炎ウイルス(HCV)の一部の配列をルシフェラーゼ遺伝子に融合した遺伝子を持つプラスミドであるpSeeger−luc及びpWakita−lucを構築した。293T細胞に50ngのpSeeger−lucあるいはpWakita−lucと、200ngのsiRNA発現ベクターと、30ngのpRL−RSVとをLipofectamine plus(Invitrogen)を用いてトランスフェクションし、24時間後にBright−Glo Luciferase Assay System(Promega)でルシフェラーゼ活性を測定した。siRNA発現ベクターは、U6プロモーターの下流に、51bpのsiRNAを発現するもの、(U6−51)と、21bpのsiRNAを発現するもの(U6−21)のいずれかを用いた。なお、ネガティブコントロールとして、siRNA発現ベクターの代わりにU6ベクターのみ(Mock)のものをトランスフェクションした。U6プロモーターによって転写されるDNA配列は以下の通りである。
21bp−A;5’−GAA TCC CGG CTG CGT CCC AGT TAT ACA AGA GAC TGG GAC GCA GCC GGG ATT TTT−3’(配列番号14)
21bp−B;5’−GCT GCG TCC CAG TTG GAC TTA TTC AAG AGA TAA GTC CAA CTG GGA CGC AGC TTT TT−3’(配列番号15)
50bp;5’−AAA CTT ACT CTA ATC TCG GTT GTG TCC TAG TTG GGC TTA TTC AAG AGA TAA GTC CAA CTG GGA CGC AGC CGG GAT TGG AGT GAG TTT GAG CTT GGT CTT TTT−3’(配列番号16)
結果を図6の左側のグラフに示す。変異を持つWakita株由来の配列に対して、Seeger株由来の配列に対する21bpのsiRNAベクター(21bb−A及び21bp−B)は、発現抑制効果が見られなかったが、Seeger株由来の配列に対する50bpのsiRNAベクター(51bp)は高い効果を示した。
[実施例6:50bpのmhRNAベクターを用いたC型肝炎ウイルスの抑制(2)]
ルシフェラーゼ遺伝子を持つHCVに感染したHuH−7細胞を樹立した。5×10
個のHCV感染HuH−7細胞を96穴プレートに播いた。翌日、20bp、50bpヘアピンRNA発現ベクターをLipofectamine 2000を用いてトランスフェクションし、58時間及び88時間後にBright−Glo luciferase assay system(Promega)を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。ネガティブコントロールとして、U6ベクターのみ(Mock)、p53に対する50bpヘアピンRNAベクター(p53−50bp)を用いた。
U6プロモーターによって転写されるDNA配列は以下の通りである。
HCV−20bp;5’−GTC TTG TAG ATT GTG TAT TAT AGA ATT ACA TCA AGG GAG ATT GAT GCA CGG TCT ACG AGA CTT TTT−3’(配列番号17)
p53−50bp;5’−CAT TAC ATT GGA GGA TTC CAG TGG TGA TCT ATT GGG GCG GAG TAG CTT TGG TGT GCT GTC CCA AAG CTG TTC CGT CCC AGT AGA TTA CCA CTG GAG TCT TCC AGT GTG ATG TTT TT−3’(配列番号18)
HCV−50bp;5’−GAG TGT TCT GGG AGG TTT CGT AGA TCG TGT ATC GTG AGT ACA AGT TCT AAG TGT GCT GTC CTT AGG ATT TGT GCT CAT GAT GCA CGG TCT ACG AGA CCT CCC GGG GCA CTC TTT TT−3’(配列番号19)
結果を図6の右側のグラフに示す。50bpのsiRNAベクター(HCV−50bp)は、20bpのsiRNAベクター(HCV−20bp)と比べて、より迅速に、かつより効果的にC型肝炎ウイルスの増殖を抑制することが示された。
[実施例7:EカドヘリンのmRNA発現におけるEカドヘリンプロモーターを標的としたEカドヘリンのsiRNAの効果]
Eカドヘリン遺伝子の周辺領域として、Eカドヘリン遺伝子のプロモーター領域を標的としたsiRNAによる、Eカドヘリン遺伝子の発現抑制を調べた。用いたsiRNAは、プロモーター領域中の10箇所に対する(図7の上部において、Site1〜10で示す)。Site1〜10のいずれかのsiRNAをMCF−7細胞にトランスフェクションするか、またはSite1〜10の10種類のsiRNA全てをMCF−7細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションには、Oligofectamine(Invitrogen)を用いた。トランスフェクション後、総RNAをノーザンブロッティングにより検出し、アクチンのmRNA量によって標準化した。
結果を図7のグラフに示す。プロモーター領域に対するSite1〜10のいずれをトランスフェクションした場合でも、コントロールと比較してE−カドヘリンの発現抑制が観察された。また、Site1〜10の10種類のsiRNA全てをトランスフェクションした場合には、相乗的な発現抑制が観察された。その後の実験により、この発現抑制は、標的となったプロモーター配列がメチル化されて、その結果、プロモーターからの転写が抑制されることによることがわかった(データは示さない)。また、この場合においても、二重鎖部分が従来のsiRNAよりも長いsiRNAを用いることにより、効率の良い転写抑制が起こることが示された。
[実施例8:デアミネーションによるDNA配列のCからTへの置換]
DNAのセンス鎖に変異を導入する方法として、デアミネーションを検討し、その効率を確認した。
デアミネーション処理をするDNAとして、EGFP遺伝子を用いた。DNA一本鎖化の処理は、strandase(Novagen社)を用いて付属のプロトコールに従って行った。一回の反応で得られた産物をそのまますべてデアミネーション処理に用いた。デアミネーション処理は、CHEMICON International社のCpGenomeTM DNA Modification Kitにを用いて付属のプロトコールに従って行なった。デアミネーション処理後、PCRにより産物を増幅した。デアミネーションの確認は、PCRで増幅されたデアミネーション処理の産物をTA−Cloning(PROMEGA社のpGEM−Teasy Vector Systems)し、各10クローンずつ塩基配列を確認した。
結果を図8に示す。デアミネーション処理前にはCであった塩基は全てTに置換されていた。すなわち、デアミネーションにより、非常に高効率でCをTに置換できることが示された。
U6プロモーターの制御下で、長いdsRNAを発現するベクターと、そのベクターから生じるdsRNAを示した図である。 U6プロモーターにより発現される長いdsRNAによる発現抑制を比較したグラフである。 U6プロモーターにより発現される長いdsRNAよるHeLa S3細胞におけるインターフェロン応答を比較したウエスタンブロットの結果である。 tRNAプロモーターにより発現される長いdsRNAよるHeLa S3細胞におけるインターフェロン応答を比較したウエスタンブロットの結果である。 各種のバルジ構造を有するU6プロモーターにより発現される長いdsRNAによる発現抑制を比較したグラフである。 C型肝炎ウイルスの抑制における、21bpまたは20bpのsiRNAと50bpのsiRNAとの比較を示すグラフである。 EカドヘリンのmRNA発現におけるEカドヘリンプロモーターを標的としたEカドヘリンのsiRNAの効果を示すグラフである。 デアミネーション法によるDNA配列のCからTへの置換の効果を示す図である。

Claims (40)

  1. 干渉用RNAを使用する際におけるインターフェロン応答(但し、ヒトを除く)を低減する方法であって、
    標的遺伝子のプロモーター領域若しくは転写調節領域または標的遺伝子のmRNAにおけるいずれかの領域の配列と相補的なアンチセンスRNAと、
    前記標的遺伝子の前記配列に相同なセンスRNAと
    を含む一本鎖RNA又は二本鎖RNAからなる二重鎖干渉用RNAであって、
    前記アンチセンスRNAと前記センスRNAとが二重鎖を形成し、前記二重鎖形成部分の長さが、50塩基以上であり、
    二重鎖を形成している領域内のセンスRNAにおいて、二重鎖を形成できる程度の塩基の挿入あるいは欠失による1つ以上のバルジ、又は1個以上の塩基の置換を含む二重鎖干渉用RNAを使用することを特徴とする方法。
  2. 前記二重鎖形成部分の長さが、50〜300塩基であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記二重鎖形成部分の長さが、50〜100塩基であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 二重鎖を形成している領域内のセンスRNAにおいて1個以上の塩基が他の塩基により置換されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. センスRNAにおける塩基の置換がシトシン(C)からウラシル(U)への置換、アデニン(A)からグアニン(G)への置換、またはアデニン(A)からイノシン(I)への置換である請求項4に記載の方法。
  6. 塩基の置換がデアミネーションによって導入される請求項5に記載の方法。
  7. 前記バルジ又は前記置換が、前記二重鎖の末端から20〜23番目の塩基の位置以外に含まれている請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記二重鎖の末端から1〜19番目の塩基の間に最初のバルジが含まれ、前記バルジの位置から数えて1〜25番目の塩基ごとに次のバルジが含まれている請求項1に記載の方法。
  9. 前記バルジがセンスRNAに含まれる請求項1、7又は8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記アンチセンスRNAと前記センスRNAの間にループをさらに含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 干渉用RNAを使用する際におけるインターフェロン応答を低減するためのベクターであって、
    標的遺伝子のプロモーター領域若しくは転写調節領域の配列または標的遺伝子のmRNAにおけるいずれかの領域の配列と相補的なアンチセンスRNAをコードしたアンチセンスコードDNAと、
    前記標的遺伝子の前記配列に相同なセンスRNAをコードしたセンスコードDNAと、
    前記アンチセンスコードDNAおよび前記センスコードDNAから、前記アンチセンスRNAおよび前記センスRNAをそれぞれ発現させるための一つ以上のプロモーターと
    を含んでなるベクターであって、
    前記アンチセンスRNAと前記センスRNAとが一本鎖RNA又は二本鎖RNAからなる二重鎖を形成し、前記二重鎖形成部分の長さが、50塩基以上であり、
    二重鎖を形成している領域内のセンスRNAにおいて二重鎖を形成できる程度の塩基の挿入あるいは欠失による1つ以上のバルジ、又は1個以上の塩基の置換を含むことを特徴とするベクター。
  12. 前記二重鎖形成部分の長さが、50〜300塩基であることを特徴とする請求項11に記載のベクター。
  13. 前記二重鎖形成部分の長さが、50〜100塩基であることを特徴とする請求項12に記載のベクター。
  14. 二重鎖を形成しているRNAをコードするDNAの領域内のセンスコードDNAにおいて1個以上の塩基が他の塩基により置換されていることを特徴とする請求項11に記載のベクター。
  15. センスコードDNAにおける塩基の置換がシトシン(C)からチミン(T)への置換またはアデニン(A)からグアニン(G)への置換である請求項14に記載のベクター。
  16. 塩基の置換がデアミネーションによって導入される請求項15に記載のベクター。
  17. 前記バルジ又は前記置換が、前記二重鎖の末端から20〜23番目の塩基の位置以外に含まれている請求項11に記載のベクター。
  18. 前記二重鎖の末端から1〜19番目の塩基の間に最初のバルジが含まれ、前記バルジの位置から数えて1〜25番目の塩基ごとに次のバルジが含まれている請求項11に記載のベクター。
  19. 前記バルジがセンスRNAに含まれる請求項11、17又は18のいずれか1項に記載のベクター。
  20. 前記アンチセンスRNAと前記センスRNAの間にループをさらに含む請求項11〜19のいずれか1項に記載のベクター。
  21. 前記プロモーターが、polIII系プロモーターである請求項11〜20のいずれか1項に記載のベクター。
  22. 前記polIII系プロモーターが、U6プロモーター、tRNAプロモーター、H1プロモーター、7SKプロモーター、7SLプロモーターおよび5SrRNAプロモーターからなる群から選択される請求項21に記載のベクター。
  23. 干渉用RNAを使用する際におけるインターフェロン応答を低減するための発現システムであって、
    標的遺伝子のプロモーター領域若しくは転写調節領域の配列または標的遺伝子のmRNAにおけるいずれかの領域の配列と相補的なアンチセンスRNAをコードしたアンチセンスコードDNAと、前記アンチセンスコードDNAから前記アンチセンスRNAを発現させるための第一のプロモーターとを含む第一のベクターと、
    前記標的遺伝子の前記配列に相同なセンスRNAをコードしたセンスコードDNAと、前記センスコードDNAから前記センスRNAを発現させるための第二のプロモーターとを含む第二のベクターと
    を含んでなり、
    前記アンチセンスRNAと前記センスRNAとが一本鎖RNA又は二本鎖RNAからなる二重鎖を形成し、前記二重鎖形成部分の長さが、50塩基以上であり、
    二重鎖を形成している領域内のセンスRNAにおいて二重鎖を形成できる程度の塩基の挿入あるいは欠失による1つ以上のバルジ、又は1個以上の塩基の置換を含むことを特徴とする発現システム。
  24. 前記二重鎖形成部分の長さが、50〜300塩基であることを特徴とする請求項23に記載の発現システム。
  25. 前記二重鎖形成部分の長さが、50〜100塩基であることを特徴とする請求項24に記載の発現システム。
  26. 二重鎖を形成しているRNAをコードするDNAの領域内のセンスコードRNAにおいて1個以上の塩基が他の塩基により置換されていることを特徴とする請求項23に記載の発現システム。
  27. センスコードDNAにおける塩基の置換がシトシン(C)からチミン(T)への置換、アデニン(A)からグアニン(G)への置換である請求項26に記載の発現システム。
  28. 塩基の置換がデアミネーションによって導入される請求項27に記載の発現システム。
  29. 前記バルジ又は前記置換が、前記二重鎖の末端から20〜23番目の塩基の位置以外に含まれている請求項23に記載の発現システム。
  30. 前記二重鎖の末端から1〜19番目の塩基の間に最初のバルジが含まれ、前記バルジの位置から数えて1〜25番目の塩基ごとに次のバルジが含まれている請求項23に記載の発現システム。
  31. 前記バルジがセンスRNAに含まれる請求項23、29又は30のいずれか1項に記載の発現システム。
  32. 前記第一及び第二のプロモーターが、polIII系プロモーターである請求項23〜31のいずれか1項に記載の発現システム。
  33. 前記polIII系プロモーターが、U6プロモーター、tRNAプロモーター、H1プロモーター、7SKプロモーター、7SLプロモーターおよび5SrRNAプロモーターからなる群から選択される請求項32に記載の発現システム。
  34. 請求項11〜22のいずれか1項に記載のベクターまたは請求項23〜33のいずれか1項に記載の発現システムを保持した細胞。
  35. 植物細胞である請求項34に記載の細胞。
  36. 動物細胞である請求項34に記載の細胞。
  37. 哺乳動物細胞である請求項36に記載の細胞。
  38. 請求項11〜22のいずれか1項に記載のベクターまたは請求項23〜33のいずれか1項に記載の発現システムを含む遺伝子発現抑制用組成物。
  39. 医薬組成物である請求項38に記載の組成物。
  40. 標的遺伝子の発現が抑制された哺乳動物細胞を生産する方法であって、
    請求項11〜22のいずれか1項に記載のベクターまたは請求項23〜33のいずれか1項に記載の発現システムを細胞に導入する工程と、
    前記ベクター又は前記発現システムが導入された細胞を選択する工程と
    を含む方法。
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