JP2005009999A - 原子炉の炉内構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下部プレナム8内に配置された下部連接板30は、中心角が45°ごとの間隔で、円弧状の円弧部32と、円弧部32よりも中心側に切り欠かれた切欠部33とが交互に形成されたリング部31を備え、その外周形状が、冷却材の主流の流れ方向である90°−270°の軸線に対して非対称形状であるとともに、剥離流発生方向である0°−180°の軸線に対しても非対称形状になるように構成され、冷却材の主流及び剥離流の流れのバランスを崩して物体後流剥離渦の発生と助長を抑制する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、原子炉の構造に関し、特に加圧水型原子炉内を流れる冷却材を整流しうる炉内構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷却材を整流しうる炉内構造に関し、従来技術として、特許文献1〜3がある。このような文献には、外周形状が円形の連接板が記載されており、このような連接板が用いられた加圧水型原子炉の原子炉容器内の基本的構造を図7に示す。図7において冷却材1は、原子炉容器2に一体的に形成された冷却材入口ノズル3から流入し、原子炉容器2と炉心槽4との間の環状に形成された下降流路、すなわちダウンカマー部5内を下向きに下降流6として流れる。下降流6は、キー溝構造により炉心槽4の下部と原子炉容器2との位置決めを行うラジアルキー部7を通過し、下部プレナム8に至る。冷却材1は、下部プレナム8の球面状の内面9により向きを変えられ上昇し、下部連接板10、上部連接板11および下部炉心支持板12等を通過した後、炉心13に流入する。炉心13に流入した上昇流14は、炉心13内の燃料集合体15で発生する熱エネルギーを吸収して高温となり、上部プレナム16の冷却材出口ノズル17を通り、図示しない蒸気発生器へと流出する。その後、冷却材1は、蒸気発生器内の冷却水に熱を伝え加熱沸騰させた後、冷却材循環ポンプにより再び原子炉容器に送られ、冷却材入口ノズル3より原子炉容器2内に戻される。
【0003】
冷却材入口ノズル3及び冷却材出口ノズル17は、原子炉容器2を下方から見て図8に示されるように配置されている。
説明の便宜のため、上方の一対の冷却材出口ノズル17が対称な位置となる軸線を角度0°の軸線とし、反時計回りに角度を規定し、各軸の名称として用いる。
上方の一対の冷却材出口ノズル17の反対側には、180°軸線に対して対称な位置に、さらに一対の冷却材出口ノズル17が配置されている。また、90°軸線に対して対称な位置に、一対の冷却材入口ノズル3が配置され、270°軸線に対して対称な位置に、さらに一対の冷却材入口ノズル3が配置されている。
【0004】
一方、図9に示されるように、ダウンカマー部5の下部のラジアルキー部7は、0°軸線の位置を基準に60°おきに、ダウンカマー部5内に6つ配置されている。
また、図10に示されるように、下部プレナム8に配置された下部連接板10は、板状体であって、外周には円周形状のリング部21を備えている。リング部21の内側にはリム部23が設けられ、計装案内管が挿入される多数の小穴22を有する。リム部23はこれらの小穴22の周囲を取り囲んで支持するようにメッシュ状に広がりリング部21と連結している。
【0005】
図11(a)〜(b)は、下部プレナム8の下部連接板10の下方における冷却材1の流れの様子を示す図であり、(a),(b)は下部プレナム8の下方から下部連接板10を見た図である。
一対の冷却材入口ノズル3から流入した冷却材1同士は、合流して流速を速めてダウンカマー部5を下降する。この際、冷却材1は、ダウンカマー部5において一部が周方向に分散しながら、ダウンカマー部5を下降する。
このため、冷却材1の流れは、冷却材入口ノズル3からほぼ鉛直方向にダウンカマー部5を下降し、下部連接板10のリング部21と下部プレナム8の内面9との間を通って下部プレナム8の中心側に流れ込む主流26,27と、ダウンカマー部5において周方向に分散する分散流とに分類できる。
分散流の一部は、下降途中でラジアルキー部7に衝突し、ラジアルキー部7で左右に分離した剥離流28,29を形成し、同じく下部連接板10と下部プレナム8の内面9との間を通って下部プレナム8の内側に流れ込む。
【0006】
図11(a)は、下部連接板10の下方の剥離流28、29の流れと、剥離流28,29により、ラジアルキー部7の周辺に小渦、すなわち剥離による物体後流剥離渦が発生している様子を示している。ここで、冷却水1は高レイノルズ数における乱流の状態で流れており、乱流の特性上、流れの中では、小さな渦が発生/消滅を繰り返しランダムな速度の流れを有して流れている。衝突流と剥離流が合流すると、より複雑な流れとなり、合流の仕方によっては剥離流を安定あるいは発展させる可能性、または、小さな渦を安定あるいは発展させる可能性があり得る。
図11(b)は、90°軸線側及び270°軸線側からそれぞれ流れ込むに主流26,27が下部連接板10の中心付近で衝突し、その後衝突流として0°軸線及び180°軸線側に分離して流れ、ラジアルキー部7付近に到達したときの様子を示している。ラジアルキー部7付近に流れ込む主流の26,27により、剥離が拡げられて、この剥離渦が助長され、剥離渦自身の大きさは大きくなる。
【0007】
【特許文献1】
特許第2999124号公報(第2−3頁、図3、図4)
【特許文献2】
特許第3193532号公報(第3−4頁、図2、図3)
【特許文献3】
特開平8−62372号公報(第2−2頁、図4)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
加圧水型原子炉において、ダウンカマー部5を下降し下部プレナム8を通った後、上昇して炉心13に入る冷却材1にこのような剥離渦が発生・存在すると、炉心13に流れ込む冷却材1の流量が変化をもたらし不均一になる。また、冷却材1の流れの圧力損失が増加する。原子炉の出力性能に問題はなくても、流動の適正化、安定した流動と運転管理のためにはこの様な乱れの要因は抑制することが望ましい。
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、乱流渦も含めて剥離渦等の発生と助長を抑制し、炉心13に冷却材1が均一に流れ込むと共に、冷却材1の流れの圧力損失を低減して、冷却材の流れを安定させる原子炉の炉内構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る加圧水型原子炉の炉内構造は、冷却材入口ノズルと、底部に下部プレナムを画設する圧力容器と、この圧力容器内に配置された炉心と、この炉心の周囲に配置された炉心槽と、圧力容器と炉心槽との間に画設される環状のダウンカマー部と、ダウンカマー部に設けられ炉心槽を圧力容器に対して固定するラジアルキー部と、下部プレナム内で且つダウンカマー部の下方に設けられた連接板とを備えた原子炉において、冷却材入口ノズルから導入された冷却材のうち、その冷却材の流れの大部分はダウンカマー部の周方向に分散せずにノズルの真下を鉛直に流れ、さらに、下部プレナムの内面と連接板の外周部との間を通って、連接板の下方を流れる冷却材は、下部プレナムの中心に向かって流れる主流を形成し、連接板の外周形状は、主流の流れ方向に非対称形状をなすことを特徴とするものである。
また、ラジアルキー部が、主流の流れ方向に対して90°位相をずらした方向に配置され、冷却材入口ノズルから導入された冷却材のうち、その一部の流れはダウンカマー部を鉛直方向から離れ、ダウンカマー部の周方向に分散してから鉛直方向に流れてラジアルキー部に衝突し、ラジアルキー部で剥離流れとなった後、下部プレナムの内面と連接板の外周部との間を通って連接板の下方を流れる冷却材は、下部プレナムの中心からずれた方向に向かって流れる剥離流を形成し、連接板の外周形状は、剥離流発生方向に対して非対称形状をなすようにしてもよい。
連接板の外周形状は、主流の流れ方向に対して、一方側には円弧部が形成され、他方側には、円弧部よりも連接板の中心側に切り欠かれた切欠部が形成されてもよい。
また、連接板の外周形状は、剥離流発生方向に対して、一方側には円弧部が形成され、他方側には、円弧部よりも連接板の中心側に切り欠かれた切欠部が形成されてもよい。
さらに、連接板は、連接板本体と円弧形状をもつ剥離渦抑制部材とを別個に有し、剥離渦抑制部材を連接板本体の外周に取り付けることにより、剥離渦抑制部材の円弧形状が、連接板の外周の円弧部を構成するようにしてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、この実施の形態1に係る原子炉の炉内構造を示す断面図である。この原子炉は加圧水型原子炉であり、その炉内構造は、図5に示した従来の加圧水型原子炉における下部連接板10の代わりに、下部連接板30を用いたものである。
すなわち、圧力容器である原子炉容器2は、着脱自在の蓋により上部開口が閉じられ、そこから炉心槽4が垂下支持されている。炉心槽4の下部には水平な下部炉心板4aに支持された炉心13を構成する多数の燃料集合体15が下部炉心板4a上に並べられている。
また、原子炉容器2と炉心槽4との間には、冷却材1が流れる環状の流路であるダウンカマー部5が画設されている。ダウンカマー部5の下部で、下部炉心支持板18の外側には、炉心槽4を原子炉容器2に対して固定するキー溝構造のラジアルキー部7が設けられている。
さらに、原子炉容器2は、底部に半球面状の下部プレナム8が画設されており、下部炉心支持板18に連結した下部炉心支持柱19が上部連接板11、下部連接板30、落下緩衝板20に連絡している。下部炉心支持板18に連結されて鉛直方向に延びた複数の計装案内管20aが上部連接板11により互いに連接されている。
【0011】
また、図8に示されるように、それぞれ一対の冷却材出口ノズル17が、0°軸線、180°軸線に対して対称な位置にそれぞれ配置されている。それぞれ一対の冷却材入口ノズル3が、90°軸線、270°軸線に対して、対称な位置にそれぞれ配置されている。
一方、ラジアルキー部7は、図9に示されるように、0°軸線の位置を基準に60°おきに、ダウンカマー部5内に6つ配置されている。
【0012】
下部プレナム8に配置された下部連接板30は、図2に示されるように、0°軸線を基準に、中心角が45°ごとの間隔で、円弧状の円弧部32と、円弧部32よりも中心側に切り欠かれた切欠部33とが交互に形成された板状体のリング部31を備えている。このリング部31は、下部連接板30の外周部を構成する。また、切欠部33の外縁は直線状に切り欠かれている。
リング部31の内側にはリム部34が設けられ、計装案内管20aが挿入される多数の小穴35を有する。リム部34はこれらの小穴35の周囲を取り囲んで支持するようにメッシュ状に広がる板状体でリング部31と連結している。
このように、下部連接板30の外周形状は、円弧部32と切欠部33とが交互に形成され、主流の流れ方向である90°−270°の軸線に対して、非対称形状であるとともに、主流の流れ方向に対して90°位相をずらした方向であって剥離流発生方向を構成する0°−180°の軸線に対しても非対称形状である。また、切欠部33と下部プレナム8の内面9との間に形成される冷却材1が通る流路面積S1,S3,S5,S7は、円弧部32と下部プレナム8の内面9との間に形成される冷却材1が通る流路面積S2,S4,S6,S8よりも大きくなるように形成されている。
【0013】
次に、実施の形態に係る原子炉の内部を冷却材がどのように流れるか図1〜4に基づいて説明する。
冷却材1は、原子炉容器2に90°軸線及び270°軸線に一対ずつある冷却材入口ノズル3から流入し合流して流速を速めて、原子炉容器2と炉心槽4との間のダウンカマー部5内を下向きに流れる。ダウンカマー部5を鉛直に流れる主流36,37は、ほぼ同じ流速で、下部プレナム8の内面9と下部連接板30のリング部31との間を通って、図3に示されるように、下部連接板の下方をそれぞれ90°軸線及び270°軸線の方向から下部プレナム8の中心に向かって流れる。
しかしながら、90°軸線付近の下部プレナム8の内面9と下部連接板30のリング部31との間の流路面積は、角度90°を境にして異なり、角度45°〜90°の流路面積S1の方が角度90°〜135°の流路面積S2よりも大きい。このため、主流36のうち、切欠部33側を流れる主流36aは、円弧部32側を流れる主流36bより、流速が速くなり、流量も多くなる。
【0014】
一方、270°軸線付近の下部プレナム8の内面9と下部連接板30のリング部31との間の流路面積は、角度270°を境にして異なり、角度225°〜270°の流路面積S3の方が角度270°〜315°の流路面積S4よりも大きい。このため、主流37のうち、切欠部33側を流れる主流37bは、円弧部32側を流れる主流37aより、流速が速くなる。
ここで、主流36aと主流37aとによる衝突流の方向は、主流36aは主流37aより速いため中心に対し270°側にずれる。主流36bと主流37bとによる衝突流の方向は、主流37bは主流36bより速いため90°側にずれることになる。
【0015】
さらに、ダウンカマー部5において周方向に分散した分散流の一部は、下降途中でラジアルキー部7に衝突し、ラジアルキー部7で左右に分離した剥離流38及び39が形成され、下部プレナム8の内面9と下部連接板30のリング部31との間を通って、それぞれ0°軸線及び180°軸線の方向から下部連接板30の下方を、下部プレナム8の中心からずれた方向に向かって流れ込む。
0°軸線付近の下部プレナム8の内面と下部連接板30の外周部との間の流路面積は、角度0°を境にして異なり、角度315〜360°(0°)の流路面積S5の方が角度0°〜45°の流路面積S6よりも大きいため、剥離流38のうち、切欠部33側を流れる剥離流38aは、円弧部32側を流れる剥離流38bより流速が速くなり、また流量が多くなる。同様に、角度135〜180°の流路面積S7の方が角度180°〜225°の流路面積S8よりも大きいため、剥離流39のうち、切欠部33側を流れる剥離流39bは、円弧部32側を流れる剥離流39aより流速が速くなり、また流量が多くなる。
このように、衝突流と剥離流の衝突位置C1,C2をずらし、さらに、主流と剥離流とが正面から対向してぶつかるように構成されている。すなわち、主流の流れの対称性を崩すことによって、衝突流が剥離部に流れて衝突させ、剥離流の間に流れ込むのを防ぎ、剥離渦の助長を防ぐことができる。さらに、剥離流の流れの対称性も崩すことによって剥離渦の規則・対称的な生成を抑え、一層、剥離渦の助長を抑制することができる。
【0016】
また、図4に示されるように、下部連接板30の上方では、下部連接板30の下方の流れを示す図3とは対照的に、下部連接板30の下方において、流速の相対的に速い部位は、下部連接板30の上方では逆に流速が遅くなっている。これは、下部連接板30の下方で流速の相対的に速い部位、例えばP1では、下部連接板30の下方に、より多くの冷却材1が流れ込み、上方を流れる冷却材1の流量が少なくなるため、主流46aの流速が主流36aの流速よりも遅くなる。すなわち、主流及び剥離流の相対的な流速の分布は、下部連接板30の上方と下方とではそれぞれ反対の関係になっている。
このように、下部連接板30の上方においても、主流、剥離流のそれぞれの流れの対称性を崩すことによって、剥離渦の発生と助長を抑制することができる。
【0017】
実施の形態2.
実施の形態2に係る原子炉の炉内構造は、実施の形態1に用いられた下部連接板30の代わりに、下部連接板40を設けたものである。
図5に示されるように、下部連接板40は、図2に示す下部連接板30に対し、外周の切り欠き形状が異なるのみである。
主流が通る90°軸線及び270°軸線側の切欠部41は、剥離流が通る0°軸線及び180°軸線側の切欠部42に対して、切り欠きを形成する弧の半径が小さく且つ下部連接板40の中心側に深く切り欠かれている。
また、切欠部41及び42は、ともに、図2の下部連接板30の直線状の切欠部33よりも、下部連接板40の中心側に切り欠かれ、切り欠きの両端の角は丸くされている。
このように、主流が通る切欠部41を深く切り欠くことで、切欠部41を通る主流と円弧部43を通る主流との流れのアンバランスをさらに大きくすることができ、物体後流剥離渦の発生と助長を抑制することができる。
また、弧状の切り欠きにし、かつ切り欠きの両端の角部を滑らかにすることにより、直線状の切り欠きよりも流れの分布を連続的にすることができ、対称性を崩した主流、剥離流の流れを安定させることができる。
【0018】
実施の形態3.
実施の形態3に係る原子炉の炉内構造は、実施の形態1に用いられた下部連接板30の代わりに、下部連接板50を設けたものである。
図6に示されるように、下部連接板50は、図2に示す下部連接板30に対してリング部31を有しない下部連接板本体51の外周の一部、角度90°〜135°及び角度270°〜315°の範囲に、円弧状の外周52aを有するほぼT字形状の板状体である剥離渦抑制部材52を溶接、ねじ止め等により下部連接板本体51に固定したものである。なお、このような渦抑制部材52を外周に備えた下部連接板50を一体物として製作してもよい。
このように、角度90°〜135°及び角度270°〜315°の範囲に、円弧状の外周52aを有する渦抑制部材52を設けることによっても、実施の形態1と同様に、主流のアンバランスを生じさせることができる。
また、渦抑制部材52を別に製作して下部連接板本体51に取り付ける構造とすることにより、例えば、既存の原子炉に、下部連接板本体51のようなリング部を有しない下部連接板が取り付けられている場合、後からこのような剥離渦抑制部材52を容易に取り付けることができる。これにより、既存の原子炉においても剥離渦の発生と助長を容易に抑制することができる、
なお、下部連接板本体51の角度180°〜225°及び角度0°〜45°の範囲に、上述した剥離渦抑制部材52を設けて、剥離流のアンバランスを生じさせ、剥離渦の発生と助長を抑制することもできる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、原子炉の炉内において、連接板の外周形状は、主流の流れ方向に非対称形状をなすので、剥離渦(物体後流剥離渦)の発生と助長を抑制し、炉心に冷却材が均一に流れ込むと共に、冷却材の流れの圧力損失を低減することができ、冷却材の流れを安定させることができる。また、衝突流と剥離流を合流(重畳)させずに衝突させることにより合流による乱流渦の安定を抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、連接板の外周形状は、剥離流発生方向に対しても非対称形状をなすので、さらに剥離渦の発生と助長を抑制することができる。
請求項3に記載の発明によれば、連接板の外周形状は、主流の流れ方向に対して、一方側には円弧部が形成され、他方側には、円弧部よりも連接板の中心側に切り欠かれた切欠部が形成されているので、簡易な構造で、剥離渦の発生と助長を抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、連接板の外周形状は、剥離流発生方向に対して、一方側には円弧部が形成され、他方側には、円弧部よりも連接板の中心側に切り欠かれた切欠部が形成されているので、簡易な構造で、さらに剥離渦の発生と助長を抑制することができる。
請求項5に記載の発明によれば、連接板は、連接板本体と円弧形状をもつ渦抑制部材とを別個に有し、渦抑制部材を連接板本体の外周に取り付けることにより渦抑制部材の円弧形状が連接板の外周の円弧部を構成するので、既存の原子炉において、後から渦抑制部材を連接板本体に容易に取り付けることができ剥離渦の発生と助長を容易に抑制することができる、
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態1に係る原子炉の炉内構造を示す立断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う平断面図である。
【図3】図1の下部連接板の下方の流れを模式的に示す、下部プレナムの下方から見た平面図である。
【図4】図1の下部連接板の上方の流れを模式的に示す、下部プレナムの下方から見た平面図である。
【図5】この発明の実施形態2に係る原子炉の炉内構造に用いられる下部連接板周辺を下方から見た平断面図である。
【図6】この発明の実施形態3に係る原子炉の炉内構造に用いられる下部連接板周辺を下方から見た平断面図である。
【図7】従来の原子炉の炉内構造を一部変位図示して示す立断面図である。
【図8】図7のIIX−IIX線に沿う冷却材入口ノズル及び冷却材出口ノズル周辺の構造を示す平断面図である。
【図9】図7のIX−IX線に沿う平部分断面図である。
【図10】図7のX−X線に沿う平断面図である。
【図11】図7の下部連接板の下方の流れを模式的に示す図であり、(a),(b)は下部プレナム8の下方から下部連接板を見た図である。
【符号の説明】
1・・・冷却材、2・・・原子炉容器、3・・・冷却材入口ノズル、4・・・炉心槽、5・・・ダウンカマー部、7・・・ラジアルキー部、8・・・下部プレナム、9・・・下部プレナムの内面、13・・・炉心、30,40,50・・・下部連接板、31・・・リング部(連接板の外周部)、32,43・・・円弧部、33,41,42・・・切欠部、36,37・・・主流、38,39・・・剥離流、52a・・・円弧状の外周(円弧部)、52・・・渦抑制部材。
Claims (5)
- 冷却材入口ノズルと、底部に下部プレナムを画設する圧力容器と、この圧力容器内に配置された炉心と、この炉心の周囲に配置された炉心槽と、圧力容器と炉心槽との間に画設される環状のダウンカマー部と、ダウンカマー部に設けられ炉心槽を圧力容器に対して固定するラジアルキー部と、下部プレナム内で且つダウンカマー部の下方に設けられた連接板とを備えた原子炉において、
冷却材入口ノズルから導入された冷却材のうち、その冷却材の流れの大部分はダウンカマー部の周方向に分散せずにノズルの真下を鉛直に流れ、さらに、下部プレナムの内面と連接板の外周部との間を通って、連接板の下方を流れる冷却材は、下部プレナムの中心に向かって流れる主流を形成し、
連接板の外周形状は、主流の流れ方向に非対称形状をなすことを特徴とする原子炉の炉内構造。 - ラジアルキー部が、主流の流れ方向に対して90°位相をずらした方向に配置され、
冷却材入口ノズルから導入された冷却材のうち、その一部の流れはダウンカマー部を鉛直方向から離れ、ダウンカマー部の周方向に分散してから鉛直方向に流れてラジアルキー部に衝突し、ラジアルキー部で剥離流れとなった後、下部プレナムの内面と連接板の外周部との間を通って連接板の下方を流れる冷却材は、下部プレナムの中心からずれた方向に向かって流れる剥離流を形成し、
連接板の外周形状は、剥離流発生方向に対して非対称形状をなす請求項1に記載の原子炉の炉内構造。 - 連接板の外周形状は、主流の流れ方向に対して、一方側には円弧部が形成され、他方側には、円弧部よりも連接板の中心側に切り欠かれた切欠部が形成された請求項1または2に記載の原子炉の炉内構造。
- 連接板の外周形状は、剥離流発生方向に対して、一方側には円弧部が形成され、他方側には、円弧部よりも連接板の中心側に切り欠かれた切欠部が形成された請求項2または3に記載の原子炉の炉内構造。
- 連接板は、連接板本体と円弧形状をもつ剥離渦抑制部材とを別個に有し、剥離渦抑制部材を連接板本体の外周に取り付けることにより、剥離渦抑制部材の円弧形状が、連接板の外周の円弧部を構成する請求項3または4に記載の原子炉の炉内構造。
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