JP2005009442A - 可変動弁機構、それに用いられるロッカアームおよびシム - Google Patents

可変動弁機構、それに用いられるロッカアームおよびシム Download PDF

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隆雄 岸谷
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Abstract

【課題】バルブの開閉量を連続的に変更できる可変動弁機構に用いられるロッカアームおよびシムを提供する。
【解決手段】ロッカアームはカム軸の軸方向に移動可能に形成され、ロッカアームにはバルブの端部と対向または接触する部分であるロッカリフト部が形成されており、ロッカリフト部はロッカアームがカムのベース区間で接触する際に、バルブの端部が対向または接触するロッカリフトベース部と、ロッカアームがカムのリフト区間で接触する際に、バルブの端部が対向または接触するロッカリフト傾斜部とを有し、ロッカリフトベース部は、ロッカアームがカム軸の軸方向に移動する際、バルブのリフト量を一定に保つように形成されており、ロッカリフト傾斜部はロッカアームがカム軸の軸方向に移動する際、バルブのリフト量を変化させるように、カム軸の軸方向に対して角度を有して形成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルブの開閉量を連続的に変更できる可変動弁機構、それに用いられるロッカアームおよびシムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関用の可変バルブリフト機構には、ロッカアーム形式の可変バルブリフト機構を搭載したものが種々生産されている。その基本構造は、低速・高速の2段、または、低速・中速・高速の3段のロッカアームと、バルブとの間の連結および切り離しを行うことで、バルブのリフト量を変更するものである。
【0003】
このような従来の段階的な可変バルブリフト機構よりも、出力や燃費の更なる改善のために、バルブのリフト量を連続的に変更するための機構が研究されている。
【0004】
バルブのリフト量を連続的に変更する機構としては、ロッカアームの揺動枢支点を変位させる例(特許文献1、特許文献2)、ロッカアームのカム山との接触角を変える例(特許文献3、特許文献4)、ロッカアームとタペットの間に可変の支点を持つことによりレバー比を変える例(特許文献5)等がある。
【0005】
ロッカアームの枢支点を直接変位させる例またはロッカアームとタペットの間に可変の支点を持ってレバー比を変える例では支点の変位でリフトカーブの大きさが相似的に変化するためリフト量を小さくすると相対的に緩衝曲線も低くなってしまい、タペットクリアランスも変化し、タペット音が大きくなる。またロッカアームのカム山との接触角を変える例ではタペットクリアランスが変化し、バルブ総開角も大きく変化して吸排気効率が悪化する。
【0006】
また、タペットクリアランスの変化を少なくすることを試みた、カムとロッカアームとの間にリンク機構を設ける例(特許文献6)もあるが、これはリンク機構を設けることで、全体の機構が複雑化してしまうなどの問題があった。
【0007】
さらに、回転するカム軸に形成された3次元状カムに摺接して揺動するロッカアームにより、吸・排気バルブが軸動して開閉弁するバルブタイミング機構において、前記ロッカアームを機関回転数あるいは負荷に応じてカム軸の軸方向に移動させるように構成した可変バルブタイミング機構の例もある(特許文献7)。しかしながら、このような可変バルブタイミング機構においては、ロッカアームとカムとの間に揺動タペット(ピロー)と呼ばれる揺動部品を設けていることから、そのようなピローを介したロッカアームとカムとの摺動は、不安定となり、精度および信頼性の点において懸念があった。
【0008】
【特許文献1】
特開昭60−108511号公報
【特許文献2】
特開平5−202720号公報
【特許文献3】
実開昭60−125304号公報
【特許文献4】
実開昭60−127411号公報
【特許文献5】
特開昭60−228717号公報
【特許文献6】
特開平8−74534号公報
【特許文献7】
特開2001−82117号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、比較的簡便な機構でバルブの開閉量を連続的に変更できる可変動弁機構、そのような可変動弁機構に用いられるロッカアームおよびシムを提供することを主目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、回転するカム軸に形成されたカムと、前記カムの回転に従ってロッカシャフトを軸に揺動するロッカアームと、上記ロッカアームの一端に配置され、上記ロッカアームの揺動により開閉されるバルブとを有する可変動弁機構において、
上記ロッカアームは、上記カム軸の軸方向に移動可能に形成され、
上記ロッカアームには、上記バルブの端部と対向または接触する部分であるロッカリフト部が形成されており、
上記ロッカリフト部は、上記ロッカアームが上記カムのベース区間で接触する際に、上記バルブの端部が対向または接触するロッカリフトベース部と、上記ロッカアームが上記カムのリフト区間で接触する際に、上記バルブの端部が対向または接触するロッカリフト傾斜部とを有し、
上記ロッカリフトベース部は、上記ロッカアームが上記カム軸の軸方向に移動する際、上記バルブのリフト量を一定に保つように形成されており、
上記ロッカリフト傾斜部は、上記ロッカアームが上記カム軸の軸方向に移動する際、上記バルブのリフト量を変化させるように、カム軸の軸方向に対して角度を有して形成されていることを特徴とする可変動弁機構を提供する。
【0011】
本発明においては、バルブとの摺動面にあたるロッカアームのロッカリフト部の形状を上述したような三次元形状とし、また、ロッカアームをカム軸の軸方向に移動可能に形成することで、比較的簡便な機構で連続的なバルブリフト量の切り替えを安定性良く行うことを可能とする。したがって、コスト削減、エンジンの出力および燃費の向上等に効果を有する。
【0012】
さらに本発明は、上記ロッカアームの上記カムとの摺動面には、上記カムの回転に従ってローラシャフトを軸に回転するローラが設けられていることが好ましい。このようなローラを設けることにより、カムとロッカアームとの摺動を、転がり摺動とすることができるため、フリクションの低減を図ることができるからである。
【0013】
さらに本発明においては、上記バルブは、上記ロッカアームのロッカリフト部と、シムを介して接触しており、上記シムの上記ロッカリフト部との接触面は、曲面で形成されていることが好ましい。ロッカリフト部に対する追従性を向上させることができるため、精度の高いバルブリフト量の調整が可能となるからである。
【0014】
また本発明においては、回転するカム軸に形成されたカムと、上記カムの回転に従ってロッカシャフトを軸に揺動するロッカアームと、上記ロッカアームの一端に配置され、上記ロッカアームの揺動により開閉されるバルブとを有する可変動弁機構に用いられるロッカアームであって、
上記ロッカアームは、上記カム軸の軸方向に移動可能に形成されるものであり、かつ、上記バルブの端部が対向または接触する部分にロッカリフト部を有し、
上記ロッカリフト部は、上記ロッカアームが上記カムのベース区間で接触する際に、上記バルブの端部が対向または接触するロッカリフトベース部と、上記ロッカアームが上記カムのリフト区間で接触する際に、上記バルブの端部が対向または接触するロッカリフト傾斜部とを有し、
上記ロッカリフトベース部は、上記ロッカアームが上記カム軸の軸方向に移動する際、上記バルブのリフト量を一定に保つように形成されており、
上記ロッカリフト傾斜部は、上記ロッカアームが上記カム軸の軸方向に移動する際、上記バルブのリフト量を変化させるように、上記カム軸の軸方向に対して角度を有するように形成されていることを特徴とするロッカアームを提供する。
【0015】
このようなロッカアームを可変動弁機構に用いることにより、比較的簡便な機構でバルブリフト量の連続可変を可能とするため、エンジンの出力および燃費の向上に効果を有する。
【0016】
また、本発明においては、回転するカム軸に形成されたカムと、上記カムの回転に従ってロッカシャフトを軸に揺動するロッカアームと、上記ロッカアームの一端に配置され、上記ロッカアームの揺動により開閉されるバルブと、上記バルブの上記ロッカアームとの接触部分に配置されたシムとを有する可変動弁機構に用いられるシムであって、上記シムは、上記ロッカアームとの接触面が曲面で形成されていることを特徴とするシムを提供する。バルブクリアランスの精密な調整が可能であり、また、追従性の高いバルブの摺動が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の可変動弁機構、それに用いられるロッカアームおよびシムについて説明する。まず、可変動弁機構について説明する。
【0018】
A.可変動弁機構
まず、本発明の可変動弁機構の構成部材および、それらの動きを図を用いて説明する。図1はカムのベース区間でロッカアームが接触している際の、本発明の可変動弁機構の一実施態様を示す概略断面図であり、図2は、カムのリフト区間でロッカアームが接触している際の本発明の可変動弁機構の一実施態様を示す概略断面図である。また、図1(b)および図1(c)は図1(a)のX−X断面における概略断面図であり、紙面の右方向から見た場合を示している。さらに、図2(b)および図2(c)においても同様に、図2(a)のY−Y断面における概略断面図であり、紙面の右方向から見た場合を示している。
【0019】
図示のように、本実施態様の可変動弁機構20は、回転するカム軸3に形成されたカム4と、このカム4の回転に従ってロッカシャフト1を軸に揺動するロッカアーム2と、前記ロッカアーム2の一端に配置され、前記ロッカアーム2の揺動により開閉されるバルブ7とを有する。このバルブ7は、図示せぬバルブスプリングおよびバルブリテーナにより保持されている。
【0020】
ロッカシャフト1は、図1の紙面の表裏方向に延在する棒状体であり、このロッカシャフト1は図示されていない支持部材によって、所定の位置に固定されている。図1に示す例では、ロッカシャフト1をロッカアーム2に貫通させて設けた場合を示しているが、例えば、図4に示すように、ロッカアーム2のロッカシャフト1と接触する部分であるロッカシャフト溝40の形状を半円状とし、ロッカシャフト1に対してロッカアーム2を載置するように設置する場合であってもよい。このように、ロッカシャフト溝40の形状を半円状とした場合には、載置するだけでロッカシャフト1にロッカアーム2を組み合わせることができるので、例えば、図5に示すように、ロッカシャフト1にロッカアーム2を固定するロッカガイド12を設けた後であってもロッカシャフト1にロッカアーム2を設置することができるので、製造上有利であるといった利点を有する。
【0021】
また、図1に示すように、ロッカアーム2のカム4との接触部分にはローラ5が配置されている。このローラ5は、カム4の回転にしたがってローラシャフト6を軸に回転し、カム4とロッカアーム2とにおける摺動を転がり摺動とする。このようにローラ5を設けることにより、フリクションの低減を図ることができる。図1に示す例では、ロッカアーム2のカム4との摺動面に、ローラ5を設けた例を示したが、本実施態様においては、このような例に限定されるものではなく、カム4およびロッカアーム2において、安定した摺動を可能とするものであれば特に限定はされない。ローラ5以外の具体例として、例えば、チップ等をロッカアーム2のカム4との摺動面に設けることによりカム4およびロッカアーム2を滑り摺動とする場合を挙げることができる。
【0022】
また、カム4には、リフト量を発生するノーズ4´が形成されている。なお、本実施態様においては、リフト量を発生するノーズ4´が形成されている区間をカム4のリフト区間とし、リフト量を発生しない区間をカム4のベース区間としている。例えば、カム4が回転し、ローラ5と接触する部分が図1に示すベース区間から図2(a)に示すリフト区間に移行すると、ロッカアーム2はロッカシャフト1を軸として図2中時計回りに揺動する。これによりバルブ7が押圧され、バルブを開くことができる。
【0023】
さらに、本実施態様におけるロッカアーム2は、カム軸3の軸方向に対して移動可能に形成されている。すなわち、図1(b)および図1(c)に示すように、カム軸3の軸方向aに沿って、矢印に示すようにロッカアーム2を移動させることができる。本実施態様においては、このようにロッカアーム2をカム軸の軸方向に対して移動可能に形成することにより、高速時および低速時における切り替えを行うものである。
【0024】
本実施態様においてロッカアーム2を移動可能に形成する方法としては、特に限定はされないが、例えば、アクチュエーター等を用いる方法を挙げることができる。具体的には、アクチュエーターを、ロッカアーム2またはロッカシャフト1に設け、油圧等を調節することにより、機関回転数または負荷に応じたロッカアーム2のカム軸3の軸方向への移動を行う方法等を挙げることができる。
【0025】
図5は、図1の紙面の上側から見た場合の本発明の可変動弁機構の他の例を示した概略図である。図5に示すように、ロッカシャフト1にロッカアーム2を設置した際、ロッカアーム2をロッカシャフト1の所定の位置に固定するために、ロッカガイド12を設けてもよい。このようなロッカガイド12は、ロッカシャフト1に、ボルト等で固定して設ける場合でもよく、また、ロッカシャフト1と一体物として形成する場合であってもよい。さらに、ロッカガイド12とロッカアーム2との間にスプリング13を設けてもよい。このようにスプリング13を設けた場合の利点について、以下に説明する。
【0026】
例えば、カム4のリフト区間でロッカアーム2が接触している際に、低速側から高速側へロッカアーム2を切り替える場合、高速側へロッカアーム2を移動させる力に加え、バルブ7を押し下げる力を必要とするため、例えば、アクチュエータのみの力で、このようなロッカアーム2の移動を速やかに行うようにするには、ある程度規模が大きく、強力な力を発揮するアクチュエータを用いることとなる。しかしながら、そのようなアクチュエータを用いることは、設計の自由度を狭め、また、コストの増大に繋がる等により好ましくない場合がある。そこで、図5に示すように、スプリング13を設けると、ローラ5を介してロッカアーム2と接触しているカム4がベース区間からリフト区間に移行し、ロッカアーム2にバルブ7からの接触荷重がかかっている状態で、ロッカアーム2を高速側へ移動させずに、ロッカシャフト1の移動変位をスプリング13に吸収させることができる。さらに、ローラ5を介してロッカアーム2と接触しているカム4が、リフト区間からベース区間に移行すると、バルブ7からの接触荷重が低くなるため、スプリング13によりロッカアーム2を高速側へ速やかに移動させることができる。
【0027】
このようなことから、スプリングを設けた場合には、ロッカアームがカムのリフト区間で接触している状態で、高速側へ切り替える際、ロッカアームがカムのベース区間に移行しバルブからの接触荷重が低くなったところで、高速側への切り替えを行うことができるため、アクチュエータにかかる負荷を軽減することができ、アクチュエータの小規模化を図ることができる。したがって、設計の自由度を広げることができ、また、コスト的にも有利であるといった利点を有する。
【0028】
さらに、本実施態様では、ロッカアーム2において、バルブ7の端部が対向または接触する部分をロッカリフト部8としている。このようなロッカリフト部8において、バルブ7の端部は、シム9を介してロッカリフト部8と対向または接触させることが好ましい。シム9により、バルブクリアランスの調整を行うことができるからである。さらに、このようなシム9としては、シム9のロッカアーム2との接触面が、曲面、特になめらかな曲面で形成されているものであることが好ましい。これにより、例えば、図6に示すように、ロッカリフト部8の形状が、部材側にへこんだ湾曲状に形成されている場合であっても、そのような形状に十分に追従することができ、リフト量の精密な調整が可能となるからである。また、極度のエッジロードを防止することもできる。
【0029】
このような本実施態様の可変動弁機構においては、ロッカアーム2の、バルブ7の端部が対向または接触する部分であるロッカリフト部8の形状を三次元形状としたことを特徴とする。以下、このようなロッカリフト部について説明する。
【0030】
本実施態様におけるロッカリフト部8は、ロッカアーム2が図1(b)および(c)に示すように、カム4のベース区間で接触している際に、バルブ7の端部が対向または接触するロッカリフトベース部10と、ロッカアーム2が図2(b)および(c)に示すように、カム4のリフト区間で接触している際に、バルブ7の端部が対向または接触するロッカリフト傾斜部11とを有している。
【0031】
このようなロッカリフト部8において、ロッカリフトベース部10は、上述したように、カム4のベース区間でロッカアーム2が接触している際に、バルブ7の端部が対向または接触する部分であり、この際、本実施態様においては、図1(b)および(c)に示すように、ロッカアーム2が矢印で示すカム軸3の軸方向に移動する際、すなわち、高速時および低速時の切り替えがなされた場合に、バルブ7のリフト量を一定に保つように形成されている。具体的には、図1(b)および(c)に示すように、ロッカリフトベース部10をカム軸3の軸方向に水平に形成する場合を挙げることができる。このように、ロッカリフトベース部10をカム軸3の軸方向に対して水平に形成することにより、ロッカアーム2がカム軸3の軸方向に移動し、高速および低速の切り替えがなされた際に、バルブ7のリフト量を一定に保持することができる。
【0032】
なお、ここでいうリフト量を一定にするとは、通常は、高速時および低速時におけるいずれの位置においてもバルブが閉じた状態であり、バルブリフト量が0であることを意味する。
【0033】
また、高速および高負荷時では、エンジン内部の温度が高熱になるため、バルブ7に熱膨張が生じる場合があり、このような場合には、バルブクリアランスが詰まる傾向にある。このような場合には、高速および高負荷時に生じるバルブ7の熱膨張を考慮して、高速時におけるバルブクリアランスの方が、低速時におけるバルブクリアランスよりも大きくなるように、バルブリフトベース部10の形状を形成することが好ましい。例えば、図3に示すように、高速時にバルブ7の端部が対向する位置から低速時にバルブ7の端部が対向する位置に向うにつれて、カム軸3の軸方向との距離が遠くなるように、ロッカリフトベース部10を、僅かに傾斜を設けて形成する場合を挙げることができる。バルブクリアランスは、内燃機関の仕様に応じて適宜選択する。
【0034】
次に、ロッカリフト部8におけるロッカリフト傾斜部11について説明する。ロッカリフト傾斜部11は、上述したようにカム4のリフト区間でロッカアーム2が接触している際に、バルブ7の端部が対向または接触する部分であり、さらに、本実施態様においては、図2(b)および(c)に示すように、ロッカアーム2が矢印で示すカム軸3の軸方向に移動する際、すなわち、高速時および低速時の切り替えがなされた場合に、バルブ7のリフト量を変化させるように、カム軸3の軸方向に対して角度を有するように形成されていることを特徴とするものである。
【0035】
このようなロッカリフト傾斜部11において、カム軸3の軸方向に対して角度を有するような形状としては、カム4のリフト区間でロッカアーム2が接触している際に、低速時におけるバルブのリフト量よりも、高速時におけるバルブのリフト量の方が大きくなるような形状であれば特に限定はされない。具体的には、図2(b)に示すように、高速時にロッカリフト傾斜部11においてバルブ7が接触する位置xの方が、図2(c)に示すように、低速時にロッカリフト傾斜部11においてバルブ7が接触する位置yよりも、カム軸3の軸方向との距離が遠くなるように傾斜状に形成された場合を挙げることができる。さらに、このような傾斜としては、図2に示すように直線的に形成された傾斜でもよく、図6に示すように、中央部分に凹みを有するように湾曲して形成された傾斜でもよい。このようなロッカリフト傾斜部11の形状は、高速時および低速時におけるバルブのリフト量等に応じ、適宜選択するものとする。
【0036】
本実施態様においては、このようなロッカリフト部8をバルブ7が摺動する際、機関回転数または負荷に応じてロッカアーム2のカム軸3の軸方向における移動を調節することにより高速時および低速時における切り替えを行うことができる。また、カム4の回転により、ロッカアーム2はロッカシャフト1を軸に揺動するが、この際、バルブ7は、ロッカリフト部8内においてロッカリフトベース部10およびロッカリフト傾斜部11間を摺動する。このようなロッカリフトベース部10およびロッカリフト傾斜部11間におけるバルブ7の摺動が安定性よく連続的に行われるため、ロッカリフトベース部10およびロッカリフト傾斜部11間においては、連続的になめらかに形成されていることが好ましい。
【0037】
以下、エンジンの回転速度に伴う、本実施態様の可変動弁機構の変化について説明する。
【0038】
1.低速時
図1(c)は、低速時において、カム4のベース区間でロッカアーム2がローラ5を介して接触している場合の態様を示している。さらに、図2(c)は、同様に低速時において、カム4のリフト区間でロッカアーム2がローラ5を介して接触している場合の態様を示している。カム4の回転に伴い、ローラ5と接触する部分が図1に示すベース区間から図2に示すリフト区間へ移行すると、ロッカアーム2は時計回りの方向に揺動する。これに伴い、バルブ7は押し下げられることとなるが、同時にバルブ7は、ロッカリフトベース部10からロッカリフト傾斜部11へ摺動する。ロッカリフト傾斜部11の形状は、低速時におけるバルブのリフト量を図2(c)に示すように、yの部分で押圧するように形成されていることから、低速時においては、ロッカアーム2の揺動に伴うバルブ7の押圧量は高速時と比較して少なくなる。
【0039】
2.高速時
図1(b)は、高速時において、カム4のベース区間でロッカアーム2がローラ5を介して接触している場合の態様を示している。さらに、図2(b)は、同様に高速時において、カム4のリフト区間でロッカアーム2がローラ5を介して接触している場合の態様を示している。カム4の回転に伴い、ローラ5と接触している部分が、図1に示すベース区間から図2に示すリフト区間へ移行すると、ロッカアーム2は時計回りの方向に揺動する。これに伴い、バルブ7は押し下げられることとなる。それと同時に、バルブ7は、ロッカリフトベース部10からロッカリフト傾斜部11へ摺動する。高速時においては、ロッカリフトベース部10からロッカリフト傾斜部11へバルブ7が摺動する際、ロッカリフト傾斜部11の形状により図2(b)xに示すように、押圧するように形成されていることから、ロッカアーム2の揺動に伴うバルブ7の押圧量は上述した低速時と比較し図2に示すz量だけ大きくなる。これによりカム4のプロフィールにしたがって開弁駆動することができる。
【0040】
上記は、全てオーバーヘッドカムシャフト型のエンジンを例に説明しているが、本発明は、ロッカリフト部における形状が上述したような形状であるのであれば、これに限定されるものではなく、例えばオーバーヘッドバルブ型のエンジンに対して用いることも可能であり、プッシュロッドやタペットなどの位置関係やクリアランス等に影響を与えることなくバルブのリフト量を連続的に変更することができる。
【0041】
また、図7は、本実施態様の可変動弁機構おけるバルブリフト曲線を示すグラフである。本実施態様においては、ロッカアームのロッカリフト部の形状を上述したように三次元形状とすることにより、図7に示すように、吸・排気バルブのリフト量の連続的な変化を比較的簡便な機構で可能とすることができる。
【0042】
B.ロッカアーム
次に、本発明のロッカアームについて説明する。
【0043】
本発明のロッカアームは、回転するカム軸に形成されたカムと、前記カムの回転に従ってロッカシャフトを軸に揺動するロッカアームと、前記ロッカアームの一端に配置され、前記ロッカアームの揺動により開閉されるバルブとを有する可変動弁機構に用いられるロッカアームであって、
前記ロッカアームは、前記カム軸の軸方向に移動可能に形成されるものであり、かつ、前記バルブの端部が対向または接触する部分にロッカリフト部を有し、
前記ロッカリフト部は、前記ロッカアームが前記カムのベース区間で接触する際に、前記バルブの端部が対向または接触するロッカリフトベース部と、前記ロッカアームが前記カムのリフト区間で接触する際に、前記バルブの端部が対向または接触するロッカリフト傾斜部とを有し、
前記ロッカリフトベース部は、前記ロッカアームが前記カム軸の軸方向に移動する際、前記バルブのリフト量を一定に保つように形成されており、
前記ロッカリフト傾斜部は、前記ロッカアームが前記カム軸の軸方向に移動する際、前記バルブのリフト量を変化させるように、前記カム軸の軸方向に対して角度を有するように形成されていることを特徴とするものである。
【0044】
本発明のロッカアームにおいては、ロッカリフト部の形状に特徴を有している。すなわち、本発明におけるロッカリフト部は、カムのベース区間でロッカアームが接触している間に、バルブの端部が対向または接触する部分であるロッカリフトベース部と、カムのリフト区間でロッカアームが接触している間に、バルブの端部が対向または接触する部分であるロッカリフト傾斜部とを有しており、これらを有するロッカリフト部の形状が三次元形状であることを特徴とする。このようなロッカリフト部の形状については、上述した可変動弁機構において記載したものと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0045】
このような本発明のロッカアームにおいて、その全体的な形状は、ロッカリフトベース部およびロッカリフト傾斜部を有するロッカリフト部の形状を、上述した三次元形状とすることができるのであれば特に限定はされない。例えば、図1に示すように、バルブ7の軸方向上に、カム軸3、カム4およびローラ5等の中心が位置するような場合や、図4に示すように、バルブ7の軸方向と、カム軸3およびカム4等の中心を通る直線が平行となるようなロッカアーム2とする場合であってもよい。
【0046】
C.シム
次に本発明のシムについて説明する。
【0047】
本発明のシムは、回転するカム軸に形成されたカムと、前記カムの回転に従ってロッカシャフトを軸に揺動するロッカアームと、前記ロッカアームの一端に配置され、前記ロッカアームの揺動により開閉されるバルブと、前記バルブの前記ロッカアームとの接触部分に配置されたシムとを有する可変動弁機構に用いられるシムであって、前記シムは、前記ロッカアームとの接触面が曲面で形成されていることを特徴とするものである。
【0048】
このようなシムを用いることにより、バルブクリアランスの調整をシムによっても行うことができる。また、ロッカアームとの接触面が曲面で形成されていることから、例えば、図6に示すように、ロッカリフト部8の形状が、部材側にへこんだ湾曲状に形成されている場合であっても、そのような形状に十分に追従することができ、リフト量の精密な調整が可能となる。また、極度のエッジロードを防止することもできる。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述の実施形態は例示であり、本明細書の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同様の効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、バルブとの摺動面にあたるロッカアームのロッカリフト部の形状を上述したような三次元形状とし、また、ロッカアームをカム軸の軸方向に移動可能に形成することで、比較的簡便な機構で連続的なバルブリフト量の切り替えを安定性良く行うことが可能である。したがって、コスト削減、エンジンの出力および燃費の向上等に効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変動弁機構の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の可変動弁機構の他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の可変動弁機構において、ロッカリフトベース部の一例を示した概略断面図である。
【図4】本発明の可変動弁機構の他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の可変動弁機構において、ロッカガイドおよびロッカアーム間にスプリングを配した場合の態様を示した概略図である。
【図6】本発明におけるシムの追従性を示す概略図である。
【図7】本発明の可変動弁機構におけるバルブリフト曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1 … ロッカシャフト
2 … ロッカアーム
3 … カム軸
4 … カム
4´ … ノーズ
5 … ローラ
6 … ローラシャフト
7 … バルブ
8 … ロッカリフト部
9 … シム
10 … ロッカリフトベース部
11 … ロッカリフト傾斜部
20 … 可変動弁機構

Claims (5)

  1. 回転するカム軸に形成されたカムと、前記カムの回転に従ってロッカシャフトを軸に揺動するロッカアームと、前記ロッカアームの一端に配置され、前記ロッカアームの揺動により開閉されるバルブとを有する可変動弁機構において、
    前記ロッカアームは、前記カム軸の軸方向に移動可能に形成され、
    前記ロッカアームには、前記バルブの端部と対向または接触する部分であるロッカリフト部が形成されており、
    前記ロッカリフト部は、前記ロッカアームが前記カムのベース区間で接触する際に、前記バルブの端部が対向または接触するロッカリフトベース部と、前記ロッカアームが前記カムのリフト区間で接触する際に、前記バルブの端部が対向または接触するロッカリフト傾斜部とを有し、
    前記ロッカリフトベース部は、前記ロッカアームが前記カム軸の軸方向に移動する際、前記バルブのリフト量を一定に保つように形成されており、
    前記ロッカリフト傾斜部は、前記ロッカアームが前記カム軸の軸方向に移動する際、前記バルブのリフト量を変化させるように、カム軸の軸方向に対して角度を有して形成されていることを特徴とする可変動弁機構。
  2. 前記ロッカアームの前記カムとの摺動面には、前記カムの回転に従ってローラシャフトを軸に回転するローラが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の可変動弁機構。
  3. 前記バルブは、前記ロッカアームのロッカリフト部と、シムを介して接触しており、前記シムの前記ロッカリフト部との接触面は、曲面で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変動弁機構。
  4. 回転するカム軸に形成されたカムと、前記カムの回転に従ってロッカシャフトを軸に揺動するロッカアームと、前記ロッカアームの一端に配置され、前記ロッカアームの揺動により開閉されるバルブとを有する可変動弁機構に用いられるロッカアームであって、
    前記ロッカアームは、前記カム軸の軸方向に移動可能に形成されるものであり、かつ、前記バルブの端部が対向または接触する部分にロッカリフト部を有し、
    前記ロッカリフト部は、前記ロッカアームが前記カムのベース区間で接触する際に、前記バルブの端部が対向または接触するロッカリフトベース部と、前記ロッカアームが前記カムのリフト区間で接触する際に、前記バルブの端部が対向または接触するロッカリフト傾斜部とを有し、
    前記ロッカリフトベース部は、前記ロッカアームが前記カム軸の軸方向に移動する際、前記バルブのリフト量を一定に保つように形成されており、
    前記ロッカリフト傾斜部は、前記ロッカアームが前記カム軸の軸方向に移動する際、前記バルブのリフト量を変化させるように、前記カム軸の軸方向に対して角度を有するように形成されていることを特徴とするロッカアーム。
  5. 回転するカム軸に形成されたカムと、前記カムの回転に従ってロッカシャフトを軸に揺動するロッカアームと、前記ロッカアームの一端に配置され、前記ロッカアームの揺動により開閉されるバルブと、前記バルブの前記ロッカアームとの接触部分に配置されたシムとを有する可変動弁機構に用いられるシムであって、
    前記シムは、前記ロッカアームとの接触面が曲面で形成されていることを特徴とするシム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010127731A1 (de) * 2009-05-02 2010-11-11 Thyssenkrupp Presta Teccenter Ag System zur steuerung eines gaswechselventils einer brennkraftmaschine

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