JP2005008260A - 電子レンジ用包装袋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐熱性基材層とシーラント層の層間に、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では前記所定の強度が低下する樹脂層を、ウィング部先端辺シール部の一部に当該包装袋の内側から外側に向かって横断するように形成し、かつ、当該基材層のラミネート面側に、ラミネート強度補強層を、少なくとも樹脂層の形成領域より広い領域に形成する電子レンジ用包装袋を特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸送や保管をするときに加わる圧力や衝撃によって剥離することなく、また、電子レンジで加熱するときに内容物を包装したまま破裂を起こさず、自動的に内圧を低下させることができる電子レンジ用包装袋に関するものである。
さらに詳しくは、内容物として、カレー等の流動性食品、飲料水等の各種の飲食品を密封包装し、過酷な条件でボイル殺菌しても、包装袋のフィルム層間で剥離することなく、袋を横置に載置したまま内容物がこぼれることなく、安全に加熱することができ、更に、開封時の破裂音を防止できる電子レンジ用包装袋に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、電子レンジの普及発展に伴い、また、調理の簡便化の要請から、調理済み加工食品を、プラスチック製の包装袋等に包装し、密封して、保存性を持たせた形態で流通されている。
こうした食品を電子レンジで加熱する場合において、包装袋が、密封したままであると、加熱により内容物から発生する水蒸気により袋内の内圧が上昇し、ついには破裂し、内容物が電子レンジ庫内に飛散してしまうことが知られている。
このような包装袋の破裂を防止するために、従来の包装容器としては、例えば、電子レンジで加熱する前に、包装袋の一部をはさみで切り、通気口を形成しておく包装容器がある(例えば、特許文献1参照。)。
また、消費者が、加熱する前に、前記の通気口を形成する作業を忘れてしまい、加熱して袋を破裂させる事態を回避するため、自動的に水蒸気を通気することができる種々の包装容器が提案されている。
シートのシーラント層が対向するように配置してヒートシールすることにより製袋した袋であって、袋のヒートシール部の一部を、シートのシーラント層間に薄膜(イージーピールテープ等)を介在した状態の薄膜介在シール部に形成すると共に、その薄膜介在シール部のシール強度が薄膜非介在シール部のシール強度よりも小になるようにし、さらに、上記薄膜介在シール部の一部を、ヒートシール巾の狭い巾狭シール部に形成する包装袋がある(例えば、特許文献2参照。)。
また、密封のためのシール部の一部に強度の弱い部分を設けることにより、加熱すると収容物から生じる蒸気によって包装袋内部の内圧が増大し、該シール部の強度の弱い部分が剥離して包装袋の内部と外部が繋がる孔が生じ、蒸気を外部へ逃がすことを特徴とする電子レンジ加熱用包装袋もある(例えば、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−72070号公報(第2−3頁、第3図)
【特許文献2】
特開平10−59433号公報
【特許文献3】
特開平10−59431号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の包装袋は、電子レンジで加熱する前に、包装袋の一部をはさみで切り、通気口を形成しておく必要があり、手間がかかって面倒であり、また、消費者が加熱する前に、前記の通気口を形成する作業を忘れてしまう場合もあり、加熱して袋を破裂させる恐れがあり、非常に危険である。
また、特許文献2の包装袋は、シール面上に薄膜(イージーピールテープ等)を介在させた状態で、薄膜非介在シール部のシール幅を薄膜非介在シール部より、狭く形成する包装袋であり、上記の薄膜は、もともと剥離しやすくするために形成されているものであるため、通常の輸送時や保管時に加わる圧力や衝撃によってシール面から剥離するおそれがあった。
また、特許文献3の包装袋は、密封用シール部の一部に強度の弱い部分を設ける包装袋であるため、特許文献2の包装袋と同様に、通常の輸送時や保管時に加わる圧力や衝撃によってシール面から剥離するおそれがあった。
【0005】
さらに、本出願人は、本件出願に先立ち、少なくとも耐熱性基材層とシーラント層から構成される複合フィルムを用いて、シーラント面を上面とした下部材と、シーラント面同士を向かい合わせて側部と先端辺部とをシールしたウィング部を形成し、シーラント面を下面とした上部材とを重ね合わせ、その周縁部をシールして主シール部として密封した電子レンジ用包装袋の作製を試みた。
この電子レンジ用包装袋は、前記ウィング部先端辺シール部の一部の領域に、蒸気を排出するために、耐熱性基材層とシーラント層の層間に、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では前記所定の強度が低下する樹脂層を、当該包装袋の内側から外側に向かって横断するように形成しているので、電子レンジで加熱されて起こる内圧の上昇によって開封し、包装袋内の圧力を自動的に逃がすことが可能であった。
【0006】
しかしながら、業務用電子レンジのように高出力の電子レンジで加熱すると、前記の包装袋のウィング部に形成される樹脂が、軟化温度に達しない状態で、包装袋の内圧が高まるため、加熱されて発生する蒸気を袋外に排出する際に、包装袋が著しく膨らみ、一気に包装袋が破裂すると、開封時の破裂音の発生により、消費者に恐怖感を与える場合があった。
また、過酷な条件下(例えば、温度、100℃、加熱時間、1時間)で、包装袋内の内容物をボイル殺菌する場合、前記のウィング部の樹脂形成部分において、基材層とシーラント層との層間に部分的な剥離を生じ、いわゆる「ラミ浮き」が発生するという欠点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意研究の結果、本発明は、電子レンジにより加熱するための袋であって、少なくとも、耐熱性基材層とシーラント層から構成される複合フィルムを用いて、シーラント面を上面とした下部材と、シーラント面同士を向かい合わせて側部と先端辺部とをシールしたウィング部を形成し、シーラント面を下面とした上部材とを重ね合わせ、その周縁部をシールして主シール部として密封した包装袋であって、耐熱性基材層とシーラント層の層間に、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では前記所定の強度が低下する樹脂層を、ウィング部先端辺シール部の一部を、当該包装袋の内側から外側に向かって横断するように形成し、かつ、当該基材層のラミネート面側に、ラミネート強度補強層を、少なくとも樹脂層の形成領域より広い領域に形成することを特徴とする電子レンジ用包装袋を製造したところ、自動的に内圧を低下させることができ、内容物として、カレー等の流動性食品、飲料水等の各種の飲食品を密封包装し、過酷な条件でボイル殺菌しても包装袋のフィルム層間で剥離することなく、輸送や保管をするときに加わる圧力や衝撃によって剥離することなく、業務用電子レンジで加熱するときに内容物を包装したまま破裂を起こさず、袋を横置に載置したまま内容物がこぼれることなく、安全に加熱することができ、更に、開封時の破裂音を防止できる電子レンジ用包装袋を製造し得ることを見いだすに至った。
上記において、本発明によれば、前記の樹脂層を形成する領域において、耐熱性基材層/シーラント層間のラミネート強度が、80℃以上の高温領域で、0.5N/15mm以上、5N/15mm以下であることを特徴とする電子レンジ用包装袋を提供することができる。
また、前記のラミネート強度補強層が、ポリウレタン系樹脂組成物を含有してなる印刷インキ、または、コーティング剤であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の電子レンジ用包装袋を提供することができる。
また、前記の樹脂層が、60〜90℃の融点を有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリアミド−硝化綿系樹脂、または、ポリアミド−硝化綿−ポリエチレンワックス系樹脂を含有する樹脂組成物からなることを特徴とするレンジ用包装袋を提供することができる。
また、前記の包装袋の端部からウィング部までとウィング部から他端部までの長さの比が1/50以上、2/5以下であることを特徴とする電子レンジ用包装袋を提供することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
図1は、本発明の電子レンジ用包装袋の実施例を示す図で、(a)斜視図、(b)包装袋の構成を示す説明図、(c)X1−X1部断面図、(d)包装袋の一方の上部材を形成する積層体の層構成例を示す断面図、(e)包装袋の他方の上部材、および、下部材を形成する積層体の層構成例を示す断面図である。
図2は、本発明に係る電子レンジ用包装袋のシールしたウィング部の先端辺部の一例を示す拡大断面図であり、図3は、本発明の電子レンジ用包装袋におけるシール部の(a)加熱前の状態と(b)加熱によって蒸気を放散する状態を示す拡大断面図であり、図4は、ウィング部の先端辺部に設けられる樹脂層形成領域の形状の一例を示す平面図であり、図5は、本発明に係る電子レンジ用包装袋のウィング部の拡大図である。
図6は、本発明に係る電子レンジ用包装袋の別態様の実施例を示す斜視図であり、図7は、本発明に係る電子レンジ用包装袋の別態様のX2−X2部断面図であり、図8は、本発明の別態様の電子レンジ用包装袋におけるシール部の(a)加熱前の状態と(b)加熱によって蒸気を放散する状態を示す拡大断面図である。
【0009】
図1は、本発明の電子レンジ用包装袋の実施例を示す図であり、(a)斜視図、(b)包装袋の構成を示す説明図、(c)X1−X1部断面図、(d)包装袋の一方の上部材を形成する積層体の層構成例を示す断面図、(e)包装袋の他方の上部材、および、下部材を形成する積層体の層構成例を示す断面図である。
本発明の電子レンジ用包装袋の一例を示す斜視図である。
図1(a)に示すように、本発明の電子レンジ用包装袋は、袋の片面にウィング部を設けた袋である。
而して、本発明の電子レンジ用包装袋は、前記のウィング部を設けた上面として電子レンジで加熱できるものである。
図1(b)に示すように、シーラント層を上面とした下部材2と、上部材3aおよび上部材3bのシーラント層同士を対向させてウィング部4を形成し、シーラント層を下面とした上部材とを重ね合わせ、その周辺部をヒートシールして主シール部を形成して密封した包装袋である。
また、前記の樹脂層、および、ラミネート強度補強層は、上部材1枚に形成してもよく、図示しないが、上部材2枚に形成してもよい。
更に、ラミネート強度補強層13は、樹脂層14の形成領域より広い領域にパターン状にコーティングするのであれば、上部材の一部、若しくは、上部材全体に形成してもよい。
【0010】
図1(c)に示すように、前記のウィング部を構成する包装袋の一方の上部材3aには、耐熱性基材層12とシーラント層17の間に、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では前記の所定の強度が低下する性質を有する樹脂層14を、シールしたウィング部4の先端辺部の内側から外側に向かって少なくとも一領域、横断するように形成することが必要である。
また、当該基材層のラミネート面側に、ラミネート強度補強層13を、少なくとも樹脂層14の形成領域より広い領域に形成することが必要である。
【0011】
図1(d−1)、図1(d−2)は、包装袋の一方の上部材3aにおけるウィング部の先端辺部を構成する積層体の層構成例を示す断面図である。
図1(d−1)に示すように、包装袋の一方の上部材を形成する積層体10は、耐熱性基材層12、ラミネート強度補強層13、樹脂層14、接着層15、シーラント層17の順に積層されている。
この樹脂層14は、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境ではその強度が低下する性質を有するものである。
また、図1(d−2)に示すように、必要に応じて、耐熱性基材層12とシーラント層17の層間に中間層18を設けてもよい。
【0012】
次に、図1(e−1)、図1(e−2)は、本発明に係る電子レンジ用包装袋の他方の上部材3b、および、下部材2を形成する積層体の層構成例を示す断面図である。
図1(e−1)に示すように、本発明に係る電子レンジ用包装袋の他方の上部材、および、下部材を形成する積層体は、耐熱性基材層12、接着層15、シーラント層17とを順次積層する層構成からなる。
また、図1(e−2)に示すように、必要に応じて、耐熱性基材層12とシーラント層17の層間に中間層18を設けてもよい。
【0013】
図2は、本発明に係る電子レンジ用包装袋のシールしたウィング部の先端辺部の一例を示す拡大断面図である。
図2に示すように、電子レンジで加熱等されて包装袋1内の空気の膨張や内容物に含まれる水蒸気によって内圧が上昇したとき、シール部22近傍のシーラント層17の任意の個所23を起点として、シーラントに亀裂が入り、更に強度が低下した樹脂層14が破壊される(符号24は、破壊する仮想線を示す。)。
而して、上記の耐熱性基材層12のラミネート側に、ラミネート強度補強層13を、樹脂層14の形成領域より広い領域に形成することによって、包装袋の内圧が高まっても、シール部22のシーラント層17と耐熱性基材層12との間に、破壊が一気でなく徐々に起こるので、包装袋1の内圧が一気に低下することがなく、開封時の破裂音の発生を小さくすることができる。
【0014】
上記において、図1(a)に示すように、本発明の電子レンジ用包装袋における前記ウィング部の位置は、包装袋の端辺から偏在させ、上記の包装袋の一方の端部からウィング部aまでと一方の端部から他端部bまでの長さの比が1/50以上、2/5以下であることが好ましい。
これは、包装袋の中心からウィング部内の樹脂形成部の最下部までの距離を、包装袋の中心から主シール部のサイドシール部よりも短くなるような位置に設けることにより、電子レンジで加熱する際、上昇した内圧の応力が集中することになり、選択的に樹脂形成部の位置で剥離して蒸気を放散でき、好ましい。
前記の長さの比が2/5を超えると、加熱により発生する蒸気の熱と内圧の上昇によるシール部の剥離後退が、主シール5のサイドシール部で剥離するため、包装袋の破袋、内容物の漏れ等の恐れがあるため好ましくない。
【0015】
図3は、本発明の電子レンジ用包装袋におけるシール部の(a)加熱前の状態と(b)加熱によって蒸気を放散する状態を示す拡大断面図である。
図3に示すように、本発明の電子レンジ用包装袋は、電子レンジで加熱された際に発生した蒸気の熱と圧力によって、前記の樹脂層14が、選択的に破壊され、ウィング部のシール部の下端から剥離が始まり、上端に向かって徐々に広がり、上端部に到達し、開口部が形成され、開口部から蒸気が放散して包装袋の内圧は、常圧に戻る。
【0016】
図4は、ウィング部の先端辺部に設けられる樹脂層形成領域の形状の一例を示す平面図である。
図4に示すように、前記のウィング部内には、耐熱性基材層とシーラント層の間に、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では前記の所定の強度が低下する性質を有する樹脂層を、シールしたウィング部の先端辺部の内側から外側に向かって少なくとも一領域、横断するように形成することが必要である。
前記の樹脂層の形成領域25の形状としては、図4(a)に示すように、ウィング全体に設けてもよく、図4(b)および図4(c)に示すように、ウィングの一部に設けてもよい。
中でも、図4(c)に示すように、先端辺部を先細りの形状にすることにより、開封時に発生する音が軽減されるため、より好ましい。
一方、ラミネート強度補強層13は、樹脂層14の形成領域より広い領域に形成すれば、部分形成しても、上部材全体に形成してもよい。
【0017】
図5は、本発明に係る電子レンジ用包装袋のウィング部の拡大図である。
図5に示すように、蒸気口の幅の狭い方が、開封時の音が軽減される傾向があるために、前記のウィング部にガイドシール部5Gを設けてもよい。
【0018】
図6は、本発明の電子レンジ用包装袋の別態様の実施例を示す斜視図である。
図6に示すように、本発明にかかる電子レンジ用包装袋としては、本体部分が胴部材と底材とからなるスタンディングパウチ形態に製袋された袋であってもよい。
本発明にかかる別形態の電子レンジ用包装袋としては、シーラント層を上面とした胴部材と、シーラント層を下面とした胴部材とを重ね合わせ、その胴部材の両端部をヒートシールし、2枚の胴部材の底部側にスタンディング可能となるよう、底材の周辺部をヒートシールした包装袋である。
前記の包装袋の製袋段階では、ヒートシールされておらず開口状態になっていて、この部分から内容物を充填するように構成されている。
【0019】
図7は、本発明に係る電子レンジ用包装袋(スタンディングパウチ)の別態様のX2−X2部断面図である。
図7に示すように、胴部材7が、耐熱性基材層12とシーラント層17の間に、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では前記所定の強度が低下する樹脂層14を、胴部材7と底部材8のシールした先端辺部の少なくとも一領域において、内側から外側に向かって横断するように形成し、更に、当該樹脂層の形成領域より広い領域にラミネート強度補強層を形成するものである。
図7(a)に示すように、胴部材7が、前記の樹脂層14を耐熱性基材層12とシーラント層17の間に、胴部材7と底部材8のシールした先端辺部の少なくとも一領域において、内側から外側に向かって横断するように形成し、更に、当該樹脂層の形成領域より広い領域にラミネート強度補強層を形成するものである。
図7(a)の上部材において、上部材と底部材のシール先端辺部を形成する積層体の層構成は、図1(d−1)に示す断面図である。
また、底部材、および、下部材を形成する積層体の層構成例を示す断面図は、図1(e)に示す断面図である。
また、図7(b)に示すように、底部材8が、前記の樹脂層14を耐熱性基材層12とシーラント層17の間に、胴部材7と底部材8のシールした先端辺部の少なくとも一領域において、内側から外側に向かって横断するように形成し、更に、当該樹脂層の形成領域より広い領域にラミネート強度補強層を形成するものであってもよい。
図7(b)の底部材において、上部材と底部材のシール先端辺部を形成する積層体の層構成は、図1(d−1)に示す断面図である。
また、上部材、および、下部材を形成する積層体の層構成例を示す断面図は、図1(e)に示す断面図である。
更に、図7(c)に示すように、胴部材7と底材8が、前記の樹脂層14を耐熱性基材層12とシーラント層17の間に、胴部材7と底材8のシールした先端辺部の少なくとも一領域において、内側から外側に向かって横断するように形成し、更に、当該樹脂層の形成領域より広い領域にラミネート強度補強層を形成するものであってもよい。
図7(c)の上部材と底部材において、上部材と底部材のシール先端辺部を形成する積層体の層構成は、図1(d−1)に示す断面図である。
また、下部材を形成する積層体の層構成例を示す断面図は、図1(e−1)に示す断面図である。
【0020】
図8は、本発明の別態様の電子レンジ用包装袋(スタンディングパウチ)におけるシール部の(a)加熱前の状態と(b)加熱によって蒸気を放散する状態を示す拡大断面図である。
図8に示すように、本発明の電子レンジ用包装袋は、電子レンジで加熱された際に発生した蒸気の熱と圧力によって、前記の樹脂層14が、選択的に破壊され、胴部と底部のシール部の下端から剥離が始まり、上端に向かって徐々に広がり、上端部に到達し、開口部が形成され、開口部から蒸気が放散して包装袋の内圧は、常圧に戻る。
【0021】
本発明に係る包装袋を構成する樹脂層14は、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では前記所定の強度が低下する性質を有するものである。
所定の強度を保持する室温以下の温度とは、通常、包装材料を用いて食品等の内容物を包装する工程時の環境温度や、内容物を密封包装した後の包装袋や容器の冷凍工程時の環境温度や、冷凍食品を輸送、保管する際の環境温度である。
従って、樹脂層14は、こうした温度環境では、所定の強度が保持されることとなる。
一方、上記の所定の強度が低下する高温の温度環境とは、食品等の内容物を密封包装した包装袋や容器を、電子レンジで加熱又は加熱調理する際に加わる温度であり、こうした高い温度で樹脂層14の強度が低下することとなる。
【0022】
このような性質を有する樹脂層14として、60〜90℃の融点を有する材料、例えば、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミド−硝化綿系樹脂、ポリアミド−硝化綿−ポリエチレンワックス系樹脂、ウレタン−ポリアミド−硝化綿系樹脂、または、ポリエチレンワックス−硝化綿系樹脂を含有する樹脂を挙げることができる。
融点が60〜90℃の樹脂層を用いることによって、電子レンジで加熱した際に、樹脂層14とシーラント層17の一部の部分的な破壊を起こりやすくさせるという利点を有する。
【0023】
樹脂層14の形成は、従来公知の樹脂コーティング法を用いることができ、その厚さは、1〜5μmであることが好ましい。
樹脂層14の厚さが1μm未満では、電子レンジで加熱した際に、樹脂層14とシーラント層17の破壊が起きにくいため好ましくない。
また、樹脂層14の厚さが5μmを越えると、樹脂層14のパターンによっては、得られたフィルム状の包装材料をロール状に巻いたときに、一部に盛り上がりが生じ、その部分の包装材料が伸びてしまうため好ましくない。
【0024】
次に、ラミネート強度補強層13は、当該耐熱性基材層12のラミネート面側に設け、かつ、樹脂層14の形成領域より広い領域に形成することによって、耐熱性基材層12とシーラント層17との層間強度が向上するため、温度、100℃、加熱時間、1時間のような過酷な条件下で、包装袋内の内容物をボイル殺菌しても、本発明に係る包装袋のウィング部の樹脂形成部分において、基材層とシーラント層との層間に部分的な剥離を生じる、いわゆるラミ浮きを発生することなく、フィルム外観、フィルム強度を維持することができるという利点を有する。
また、ラミネート強度補強層13を形成することによって、業務用電子レンジのように高出力の電子レンジで加熱するとき、前記の包装袋のウィング部に形成される樹脂が軟化温度に達しない状態で、包装袋の内圧が高まっても、破壊が一気に起こるのでなく、徐々に起こるので、包装袋1の内圧が一気に低下することがなく、開封時の破裂音の発生を小さくでき、また、内容物の飛散が起こらないという利点を有するものである。
【0025】
後述するシーラント層16を向かい合うように重ね合わせてシールしたときに、樹脂層14とラミネート強度補強層13とを設けた領域において、耐熱性基材層/シーラント層間のラミネート強度が、80℃以上の高温領域で、0.5N/15mm以上、5N/15mm以下であることが好ましい。
ラミネート強度補強層13は、耐熱性基材層の内側面に形成することによって、ラミネート強度を上記の範囲にシール強度を調整できるのであれば、特に限定されない。
ラミネート強度補強層13としては、ポリウレタン系樹脂組成物を含有してなる印刷インキ、または、コーティング剤を使用すること好ましく、具体的には、インキとして、無色透明のメジウム(顔料等の入っていないインキの樹脂成分)を主成分とすることが好ましく、また、メジウムは、シロ、スミ、ベニ、キイロ、セピア、アイ等の印刷インキの樹脂成分として使用することもでき、コーティング剤として、ポリウレタン系樹脂組成物のアンカーコート剤を好適に使用することができる。
前記のポリウレタン系樹脂組成物を含有してなる印刷インキ、または、コーティング剤の粘度としては、ザーンカップ#3で17秒〜18秒程度であることによって、均一なコーティング面が得られるため、好ましい。
ラミネート強度補強層13の形成方法としては、従来公知の樹脂コーティング法を用いることができ、その厚さは、1〜5μmであることが好ましい。
上記の厚みを形成することによって、室温時又は冷凍時の取扱、輸送、保管等によってはシール部が剥がれて開くことがなく、80℃以上の高温の温度領域では、電子レンジで加熱した際に、樹脂層14とラミネート強度補強層13を形成する領域が穏やかに破壊する程度の強度まで低下する。
このような特性を有する包装材料によって作製された包装袋は、その範囲でシール強度を調整できるので、業務用の電子レンジで加熱されて内圧がある程度まで上昇したときに初めて部分的に破壊させ、かつ、一気に破壊せず、徐々に破壊するるようにラミネート強度を調整するという利点を有する。
ラミネート強度補強層13の厚さが1μm未満の場合、80℃以上の高温領域耐熱性基材層/シーラント層間のラミネート強度、0.5N/15mm未満となり、業務用電子レンジのような高出力の電子レンジで加熱するとき、包装袋の内圧が高まって、破壊が一気に起こるので、開封時の破裂音の発生が大きく、内容物が飛散する場合があり、好ましくない。
また、温度、100℃、加熱時間、1時間のような過酷な条件下で、包装袋内の内容物をボイル殺菌するとき、本発明に係る包装袋のウィング部の樹脂形成部分において、いわゆるラミ浮きを発生し、フィルム外観やフィルム強度に劣るため、好ましくない。
一方、ラミネート強度補強層13の厚さが5μmを越えると、80℃以上の高温領域耐熱性基材層/シーラント層間のラミネート強度、5N/15mmを超えてしまい、樹脂層14とシーラント層17の破壊が起きにくく、加熱による包装袋の自動開封ができにくくなるため好ましくない。
【0026】
耐熱性基材層12は、この包装材料を用いて包装袋が作製された際には外側に配置されるように設けられる。
耐熱性基材層12としては、一般に電子レンジで加熱又は加熱調理される冷凍食品やチルド食品用の包装材料として使用されているものであれば特に限定されない。
例えば、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールコート延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロン6/メタキシレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルム、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等のうち、何れかのフィルムを使用することができる。
これらの耐熱性樹脂層12は、融点が通常150℃以上であり、厚さは10〜50μmである。
【0027】
印刷層は、従来公知の印刷方法等によって、内容表示または美感付与等の目的で設けられるものであり、必須の層ではなく、適宜必要に応じて設けられる。
通常、この印刷層は、耐熱性基材層12の上面側、すなわち包装袋が作製された際に耐熱性基材層12の内側(内容物側)になるように形成されてもよく、耐熱性基材層12の下面側、すなわち包装袋が作製された際に耐熱性基材層12の外側(内容物の反対側)になるように形成されてもよい。
【0028】
シーラント層17は、必須の層として、樹脂層14上に設けられ、包装袋が作製される際には内容物に接触する最内層となる。
シーラント層17としては、低密度ポリエチレンフィルム、超低密度ポリエチレンフィルム、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム、エチレン−メチルアクリレート共重合体フィルム、エチレン−エチルアクリレート共重合体フィルム、エチレン−メチルメタクリレート共重合体フィルム、アイオノマーフィルムのうち、何れか一種以上のフィルムが使用され、単層シーラント層または多層シーラント層とすることができる。
シーラント層は、これらの樹脂を押出しラミネート法で形成してもよく、予め、Tダイ法またはインフレーション法等により製膜したフィルムとして形成してもよい。
これらのシーラント層17の厚さは、通常20〜100μmが好ましく、30〜60μmがより好ましい。
本発明においては、包装袋が作製される際に、シーラント層17どうしが包装袋の被シール部でシール面を形成するため、従来の包装袋のようにシール強度の弱い剥離剤層によって一部のシール面が形成されることがないので、冷凍時、輸送時、保管時等において貼り合わされたシール面が破れて内容物の露出が起こることがないという利点を有する。
【0029】
シーラント層17は、高温の温度領域で樹脂層14の強度が低下することにより、密封された包装袋内で上昇した内圧をシーラント層17自身の強度によって維持しなければならなくなる。
そのため、図2に示す包装袋の内側のシール部22境界面付近のシーラント層17が、そのすぐ隣に設けられた樹脂層14の強度の低下によって、亀裂が生じやすくなり、遂には、内圧に耐えきれずに任意の個所23を起点として樹脂層14と共に破壊し、空気抜けが生ずることとなる。
また、樹脂層14を形成する領域に、ラミネート強度補強層13を形成することによって、ラミネート強度補強層13を形成しない場合と比べて、シーラント層/耐熱基材層間のラミネート強度が向上し、一気に破壊が進まず、穏やかに破壊が進行するため、内容物がふきこぼれず、破裂音も小さく、空気抜けが生ずることとなる。
【0030】
また、シーラント層17は、包装袋を構成する部材毎に異なる仕様から形成されてもよく、また、同一の仕様から形成されるものでもよい。
例えば、前記のラミネート強度補強層13と樹脂層14とを耐熱性基材層とシーラント層の間に形成する一方の上部材のシーラント17aの厚みを、他の上部材および下部材のシーラントより薄くすることが好ましい。
また、一方の上部材のシーラント17aの材質のみを例えば、低密度ポリエチレン(以下、「LDPE」という。)、コモノマ−の炭素数4の直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「C4LLDPE」という。)等の引裂強度に優れる性質を有するシーラントを使用することが好ましく、中でも、C4LLDPEが、LDPEよりシール性にも優れ、かつ、コモノマ−の炭素数6の直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「C6LLDPE」という。)より引裂強度に優れるため、より好ましいものである。
上記において、包装袋の内側のシール部22境界面付近のシーラント層17が、電子レンジで加熱する際、そのすぐ隣に設けられた樹脂層14の強度の低下によって、亀裂をより生じやすくなり、スムーズに開封することができ、好ましい。
【0031】
なお、中間層18として、例えば、酸素バリア層および衝撃吸収樹脂層の何れか一方または両方を設けることもできる。また、これらの層を数層設けることもできる。
例えば、酸素バリア層としては、塩化ビニリデンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、無機物蒸着フィルムを用いることもできる。
衝撃吸収樹脂層としては、ナイロンフィルムが好適に用いられる。
ナイロンフィルムは、1軸延伸、2軸延伸または無延伸の何れのものであっても好適に用いることができる。
衝撃吸収樹脂層の厚さは特に限定されないが、通常5〜40μm、好ましくは10〜30μmの範囲である。
但し、こうした中間層を設ける場合であっても、樹脂層14は、最内層であるシーラント層17上、または接着層15を介してシーラント層17上に設けることが、空気抜けを容易に生じさせる観点から好ましい。
【0032】
包装材料の各層を形成する樹脂には、本発明の目的の達成を阻害しない範囲で、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤のような公知の添加剤を随時添加することができる。
その添加量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
【0033】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して積層体を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、耐熱性基材層12と中間層の層間、樹脂層14とシーラント層17の層間は、例えば、ラミネート用接着剤によるラミネート用接着剤を介して積層するドライラミネーション法、あるいは、溶融押出し接着性樹脂による溶融押出し樹脂層を介して積層する押出しラミネーション法等で行うことができる。
【0034】
上記において、ラミネート用接着剤15としては、例えば、1液、あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他等の溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のラミネート用接着剤を使用することができる。
上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。
その塗布量としては、0.1〜10g/m2(乾燥状態)位が好ましく、1〜5g/m2(乾燥状態)位がより好ましい。
【0035】
上記において、溶融押出性樹脂層15としては、熱可塑性樹脂層からなる樹脂層が使用され、各層間を接着するために使用することができる。
具体的には、接着性の溶融押出性樹脂層の材料としては、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン・αオレフィンとの共重合体樹脂、エチレン・ポリプロピレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン・マレイン酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂、無水マレイン酸をポリオレフィン樹脂にグラフト変性した樹脂等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
その樹脂層の厚みとしては、10〜30μm位が好ましい。
【0036】
なお、上記の積層を行う場合、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレ−ム処理、その他等の前処理を施し、積層することができる。
上記の表面前処理は、各種の樹脂のフィルムないしシートと各層を積層する際、密着性等を改良するための方法として実施するものであるが、上記の密着性を改良する方法として、例えば、各種の樹脂のフィルムないしシートの表面に、予め、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
【0037】
上記の前処理のコート剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0038】
以上に説明した包装材料10を、シーラント層17が向かい合うように重ね合わせ、所望の被シール部をヒートシールすることによって、本発明にかかる種々の形態の電子レンジ用包装袋を製造することができる。
【0039】
ヒートシールの方法は、従来公知の方法を使用でき、例えば、加熱バー、加熱ナイフ、加熱ワイヤ、インパルスシールのような外部加熱方式、または超音波シール、誘電加熱シールのような内部加熱方式を使用できる。
【0040】
次に、図1(a)に示すような本発明にかかる電子レンジ用包装袋を用いて、流動性食品等の内容物を充填した包装体について説明すると、前記のウィング部を上側にし、横置して加熱すれば、内容物が流動性食品等の場合でも漏れる心配がなく、好ましいものである。
また、図6に示すような本発明にかかるスタンディングパウチにおいて、前記の樹脂層形成領域25とラミネート補強層形成領域26を有する胴部材を上側にし、横置して加熱すれば、内容物が流動性食品等の場合でも漏れる心配がなく、好ましいものである。
【0041】
本発明において、上記のようにして製造した電子レンジ用包装袋は、例えば、冷凍しゅうまい等の固形食品、カレー、スープ、醤油、ソ−ス、出し汁、香辛料、料理用酒類、果汁類、水等の各種の流動性食品、飲食品を充填包装し得るものである。
【0042】
以上説明したごとく、本発明の電子レンジ用包装袋は、袋の上部にウィング部を設けたことによって、液体を含む内容物の包装袋であっても、電子レンジの過熱に際して、ウィング部を上にして袋を横置きにできる。
而して、予め、蒸気の逃げ口を形成しなくても、前記の樹脂層を、シールしたウィング部の先端辺部の少なくとも一領域に、内側から外側に向かって横断するように形成し、更に、当該基材層のラミネート面側に、ラミネート強度補強層を、少なくとも樹脂層の形成領域より広い領域に形成することすることにより、袋が破裂によって、内容物が漏れることなく、蒸気の逃げ口の範囲、大きさ、量、ラミネート強度を制御することができ、開封時の音も小さくて済み、自動的で安定してスムーズに開口部から蒸気が放散して包装袋の内圧が常圧に戻ることができるものである。
また、温度、100℃、加熱時間、1時間のような過酷な条件下で、包装袋内の内容物をボイル殺菌しても、本発明に係る包装袋のウィング部の樹脂形成部分において、いわゆるラミ浮きを発生することなく、フィルム外観、フィルム強度を維持することができるものである。
【0043】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を更に説明する。
(実施例1)
(1)包装材料の作製
耐熱性基材層12として厚さ15μmの延伸ナイロンフィルムを用い、その上にラミネート強度補強層13としてメジウム(品名:CLIOSメジウム、ザ・インクテック株式会社製)を、厚さ3μm、樹脂層14の形成領域より広い領域となるようにパターンコートした。次いで、樹脂層14としてポリアミド−硝化綿−ポリエチレンワックス系樹脂を含有する樹脂組成物(融点:65℃、ザ・インクテック株式会社製)を、厚さ3μmとなるようにパターンコートした。
さらにその上に、シーラント層17として50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用い、二液硬化型ポリウレタン接着剤を接着層15として用いて貼り合わせてドライラミネートし、上部材2枚と下部材1枚を作製した。
(2)包装袋の作製
上記で得られた下部材および上部材を用いて、シール温度160℃、圧力1kg/秒、シール幅10mmで、図1(a)に示すような包装袋(145mm×180mm)を作製した。
図1(a)に示す各部位の寸法を次の通りとした。
a=15mm、b=180mm、c=35mm、d=145mm
(3)包装体の作製
この包装袋にカレー(200g)を入れ、得られた包装体のウィング部を上向きにして横置の状態で、500W、及び、1500Wの電子レンジにて加熱した結果、各々約1分30秒後、30秒後にウィング部に設けた樹脂層コーティング部分から内容物のふきこぼれもなく、静かに蒸気が抜けた。
また、温度、100℃、加熱時間、1時間のような過酷な条件下で、包装袋内の内容物をボイル殺菌後、本発明に係る包装袋の外観を目視にて観察した結果、ウィング部の樹脂形成部分において、いわゆるラミ浮きを発生することなく、フィルム外観、フィルム強度を維持することができるものが得られた。
【0044】(比較例1)
耐熱基材層の内面側にラミネート強度補強層13としてメジウムをコーティングしないこと以外は、上記の実施例1と同様の材質、方法を用いて、図1(a)に示すような包装袋を製造した。
その後、実施例1と同様にカレー(200g)を入れ、比較例1の包装体を得た。
その後、得られた包装体のウィング部を上向きにして横置の状態で、500Wの電子レンジにて加熱した結果、約1分30秒後にウィング部に設けた樹脂層コーティング部分から内容物のふきこぼれもなく、静かに蒸気が抜けた。
次に、得られた包装体のウィング部を上向きにして横置の状態で、1500Wの電子レンジにて加熱した結果、30秒後にウィング部に設けた樹脂層コーティング部分から大きな破裂音がして蒸気が抜け、破裂の勢いで、内容物のふきこぼれが若干発生した。
また、温度、100℃、加熱時間、1時間のような過酷な条件下で、包装袋内の内容物をボイル殺菌後、本発明に係る包装袋の外観を目視にて観察した結果、ウィング部の樹脂形成部分において、いわゆるラミ浮きを発生し、フィルム外観に劣るものが得られた。
【0045】(実験1:ラミネート強度測定)
実施例1、および比較例1で製造した包装袋について、ラミネート強度補強層13、および樹脂層14を形成する領域にて、サンプルを15mm巾の短冊切りし、23℃および90℃で、引張試験機(オリエンテック社製)でT字剥離して測定した。
なお、引張速度は、50mm/min、つまみ間隔50mm、ロ−ドセル10kgfで行った。
上記の測定結果について、下記の表1に示す。
なお、表1中には、15mm当たりのラミネート強度(単位:N/15mm)を記載した。
【0046】(実験結果)
【表1】
【0047】
上記の測定結果より明らかなように、実施例1にかかる包装袋は、常温23℃、すなわち食品等の包装工程時や流通過程での環境温度領域において必要なシール強度を保持し、90℃、すなわち電子レンジで加熱するときの環境温度領域において、ウィング部のシール強度が低下し、ウィング部4内の樹脂形成領域におけるシール部で穏やか剥離後退し、約30分後に静かに蒸気が抜け、内容物が破裂の勢いでこぼれることなく、破裂音も小さく、安心して加熱することができるものであった。
これに対し、比較例1において、実施例1と同様に1500W電子レンジにて加熱した結果、大きな音を立てて爆発し、内容物が若干飛散した。
また、実施例1にかかる包装袋は、温度、100℃、加熱時間、1時間のような過酷な条件下で、包装袋内の内容物をボイル殺菌後、ウィング部の樹脂形成部分において、いわゆるラミ浮きを発生することなく、フィルム外観を維持することができるものが得られたのに対し、比較例1において、ウィング部の樹脂形成部分において、いわゆるラミ浮きを発生し、フィルム外観に劣るものであった。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、耐熱性基材層とシーラント層の層間に、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では前記所定の強度が低下する樹脂層を、ウィング部先端辺シール部の一部に当該包装袋の内側から外側に向かって横断するように形成し、かつ、当該基材層のラミネート面側に、ラミネート強度補強層を、少なくとも樹脂層の形成領域より広い領域に形成することを特徴とする電子レンジ用包装袋を製造したところ、輸送や保管をするときに加わる圧力や衝撃によって剥離することなく、業務用電子レンジで加熱するときに内容物を包装したまま破裂を起こさず、開封音も静かで、自動的に安定して内圧を低下させることができ、袋を横置に載置したまま、固形食品に加えて、流動性食品等の内容物についても、こぼれることのなく、また、温度、100℃、加熱時間、1時間のような過酷な条件下で、包装袋内の内容物をボイル殺菌しても、本発明に係る包装袋のウィング部の樹脂形成部分において、いわゆるラミ浮きを発生することなく、フィルム外観、フィルム強度を維持することができる優れた電子レンジ用包装袋を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子レンジ用包装袋の実施例を示す図で、(a)斜視図、(b)包装袋の構成を示す説明図、(c)X1−X1部断面図、(d−1)、(d−2)包装袋の一方の上部材を形成する積層体の層構成例を示す断面図、(e−1)、(e−2)包装袋の他方の上部材、および、下部材を形成する積層体の層構成例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る電子レンジ用包装袋のシールしたウィング部の先端辺部の一例を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の電子レンジ用包装袋におけるシール部の(a)加熱前の状態と(b)加熱によって蒸気を放散する状態を示す拡大断面図である。
【図4】ウィング部の先端辺部に設けられる樹脂層形成領域の形状の一例を示す平面図である。
【図5】本発明に係る電子レンジ用包装袋のウィング部の拡大図である。
【図6】本発明に係る電子レンジ用包装袋の別態様の実施例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る電子レンジ用包装袋の別態様のX2−X2部断面図である。
【図8】本発明の別態様の電子レンジ用包装袋におけるシール部の(a)加熱前の状態と(b)加熱によって蒸気を放散する状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 電子レンジ用包装袋
2 下部材
3a 上部材
3b 上部材
4 ウィング部
5 主シール部
5G ガイドシール部
6S サイドシール部
6B ボトムシール部
7 胴部材
8 底材
10 包装材料(積層体)
12 耐熱性基材層
13 ラミネート強度補強層
14 樹脂層
15 接着層
17 シーラント層
16a 樹脂層を形成した上部材のシーラント
18 中間層
22 シール部分
23 破壊の起点となる任意の個所
24 破壊する仮想線
25 樹脂層形成領域
26 ラミネート補強層形成領域
Claims (5)
- 電子レンジにより加熱するための袋であって、少なくとも、耐熱性基材層とシーラント層から構成される複合フィルムを用いて、シーラント面を上面とした下部材と、シーラント面同士を向かい合わせて側部と先端辺部とをシールしたウィング部を形成し、シーラント面を下面とした上部材とを重ね合わせ、その周縁部をシールして主シール部として密封した包装袋であって、耐熱性基材層とシーラント層の層間に、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では前記所定の強度が低下する樹脂層を、ウィング部先端辺シール部の一部に当該包装袋の内側から外側に向かって横断するように形成し、かつ、当該基材層のラミネート面側に、ラミネート強度補強層を、少なくとも樹脂層の形成領域より広い領域に形成することを特徴とする電子レンジ用包装袋。
- 前記の樹脂層を形成する領域において、耐熱性基材層/シーラント層間のラミネート強度が、80℃以上の高温領域で、0.5N/15mm以上、5N/15mm以下であることを特徴とする請求項1記載の電子レンジ用包装袋。
- 前記のラミネート強度補強層が、ポリウレタン系樹脂組成物を含有してなる印刷インキ、または、コーティング剤であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の電子レンジ用包装袋。
- 前記の樹脂層が、60〜90℃の融点を有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリアミド−硝化綿系樹脂、または、ポリアミド−硝化綿−ポリエチレンワックス系樹脂を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ用包装袋。
- 前記の包装袋の端部からウィング部までとウィング部から他端部までの長さの比が1/50以上、2/5以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子レンジ用包装袋。
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