JP2005007734A - 基板接合方法、基板接合体、及びインクジェットヘッド - Google Patents

基板接合方法、基板接合体、及びインクジェットヘッド Download PDF

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久美子 田中
Masaki Kataoka
雅樹 片岡
Michiaki Murata
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Abstract

【課題】良好な接合状態を実現可能な、基板接合方法、この基板接合方法を使用して製造する基板接合体、及び、インクジェットヘッド、を提供する。
【解決手段】加熱処理工程(C)では、シリコンウエハ24の、電気−熱変換体32が設けられている接合面側に形成された樹脂層46を、所定の加熱温度で加熱処理する。そして、加圧処理工程(E)で、シリコンウエハ24とシリコンウエハ38とを、前記の加熱温度よりも高い接合温度の下で加圧して接合する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は基板接合方法、基板接合体、及び、インクジェットヘッドに係り、より詳細には各種マイクロマシン技術によって作製される機能デバイスの作製の際に用いられる基板接合方法、基板接合体、及び、インクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より基板の接合方法としては、粘着力を有する接着剤を用いて接合する方法が一般的である(特許文献1参照)。しかしながら、各種マイクロマシン技術を用いて作製される機能デバイスは微細化が著しく、粘着力を有する接着剤を用いた接合では接着剤のはみ出しが大きな問題となる。
【0003】
そこで、特許文献2には、接着剤のはみ出しの改善策として、一方接合部をポリサルフォン等の樹脂で構成し、これを加熱溶融させて他方の基板に接合させる技術が提案されている。しかしながら、特許文献2には、接合前の処理についての記載はなく、この条件のみでは十分な接合を得ることはできない。
【0004】
【特許文献1】
特開昭61−230954号公報
【特許文献2】
特開昭10−6501号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮してなされたものであり、良好な接合状態を実現可能な、基板接合方法、この基板接合方法を使用して製造する基板接合体、及び、インクジェットヘッド、を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明に係る基板接合方法は、樹脂材料を所定の加熱温度で加熱処理し、前記加熱処理された樹脂材料を対向する複数の基板で挟み、前記加熱温度よりも高い接合温度の下で前記複数の基板に加圧処理を行って、前記複数の基板を接合するものである。
【0007】
ここで、加圧処理とは、少なくとも複数の基板が接合される方向への加圧を含み、温度設定など、その他の条件設定を含む処理をいう。また、加熱温度は加圧処理の際の最高温度を意味する。
【0008】
本発明では、まず、樹脂材料を加熱処理する。加熱処理されると、樹脂材料に含まれていた揮発性物質が揮発して除去される。これにより、この揮発性物質に阻害されることなく、良好に基板を接合させることができる。なお、ここでの所定の加熱温度は、当該樹脂材料を完全硬化させない温度(完全硬化のための温度よりも低い温度)とすることが好ましい。本発明では、樹脂材料を加熱処理する際の加熱温度よりも高い接合温度の下で前記複数の基板に加圧処理を行うことにより、良好な接合状態を得ることができる。
【0009】
なお、前記接合温度は、請求項2に記載のように、前記樹脂材料のガラス転移温度よりも高いことが好ましい。このように温度設定することにより、より良好な接合性を得られると共に、樹脂材料の耐久性も向上させることができる。
【0010】
なお、接合温度が前記樹脂材料のガラス転移温度よりも高ければ、加熱温度は、ガラス転移温度より高くても低くてもよい。
【0011】
前記加圧処理は、請求項3に記載のように、前記複数の基板間への電圧印加を含むことができる。
【0012】
このような電圧印加を行うことにより、双極子分極した樹脂材料のプラス側がマイナス電極側の基板と、マイナス側がプラス電極側の基板と、それぞれ静電引力により引き合い、その結果樹脂材料が基板界面の微細な凹凸に入り込んでアンカー効果が生じ、樹脂材料を介して基板同士が接合される。さらに、樹脂材料から基板側にマイナスイオンが移動して基板を構成する材料と化学反応をおこすことによって化学的に結合し、基板の接合を強化しているとも考えられる。したがって、より良好な接合を得ることができる。
【0013】
また、前記樹脂材料は、請求項4に記載のように、ポリイミドであることが好ましい。ポリイミドであれば、加熱処理により硬化され、はみ出しのない良好な接合状態を得ることができる。なお、その他の樹脂材料として、ポリアミドなどの加熱処理により硬化される材料を用いることもできる。
【0014】
請求項5に記載の基板接合体は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項の基板接合方法を用いて接合されたものである。
【0015】
この基板接合体によれば、上記請求項1乃至請求項4の各々で記載したのと同様の効果を得ることができる。
【0016】
請求項6に記載のインクジェットヘッドは、請求項5の基板接合体を含んで構成されたものである。
【0017】
このインクジェットヘッドによれば、上記請求項5の基板接合体と同様の効果を得ることができる。
【0018】
なお、前記インクジェットヘッドは、請求項7に記載のように、前記基板接合体を構成する複数の基板のうちの少なくとも2つで1対の基板ペアが構成され、この基板ペアの一方にはインク流路溝を含んだパターンが形成され、他方には複数の回路を含んだパターンが形成されていることを特徴とすることもできる。
【0019】
このような構成とすることにより、微細なインク流路溝を含んだパターンが形成される基板と、複数の回路を含んだパターンが形成される基板とを別々に作製することができ、インクジェットヘッドを簡易に作製することができる。また、インク流路への接着剤のはみ出しがないので、良好なインク吐出を確保することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係る基板接合方法の実施形態について説明する。本実施形態では、インクジェットヘッドを製造する際に用いられる基板接合方法として説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態で用いる接合装置10は、接合の対象となる基板を載置する載置部12と、基板に加圧する加圧部14とが、外壁18に覆われた内部に配置され、接合装置10の内部を真空にするための真空ポンプ20が、外壁18に接続されている。また、基板に電圧を印加するための電源16が、接続されている。なお、本実施の形態で使用する接合装置10は、特に特殊なものを必要とするわけでなく、一般に陽極接合用として市販されている装置(エレクトロニックビジョンズ製EV500シリーズ、カールズース製サブストレートボンダSB6、等)を使用することが可能である。
【0022】
図2は、本実施の形態で形成する、インクジェットヘッド54の製造工程を示したものである。 工程(A)では、シリコンウエハ24上に、複数の素子基板26を、LSI工程にて形成する。個々の素子基板26には、信号処理回路28、ドライバー回路30、電気−熱変換体32、電気信号接続用パット34、およびそれらを接続する電気的配線(図中表示なし)が、形成される。
【0023】
工程(B)では、シリコンウエハ38上に、複数のインク流路基板40を形成する。個々のインク流路基板40には、インク供給口42、個別インク流路44が、形成されるが、これらは、異方性エッチング(ODE)や、RIE(Reactive Ion Etching)技術等により形成する。
【0024】
加熱処理工程(C)では、まず、シリコンウエハ24の、電気−熱変換体32が設けられている接合面側に、インクに対する保護膜として樹脂材料を塗布して樹脂層46を形成する。ここでは、パターニング工程が容易に可能である感光性樹脂(商品名:Durimide7520、ProbimideHTR−3−200、PhotoneesUR5100FX、LthocoatPI−400、等)を用いる。
【0025】
次に、塗布された樹脂層46に加熱処理を行う。この加熱処理の最高温度(以下この温度を「加熱温度」という)は、樹脂層46を完全硬化させるための温度(例えば、樹脂材料のメーカー推奨硬化温度)よりも低い温度で行う。この加熱温度は後述する接合温度よりも低い温度である。また、加熱温度は、ガラス転移点プラス80℃以下であることが好ましい。これは、加熱温度が高すぎると、基板の接合時の加圧によりクラックが発生しやすくなり、接合不良の原因となるためである。なお、加熱温度は、ガラス転移温度以下であってもよいが、加熱処理により樹脂材料が流動的(傾けた程度で動く状態)でなくなる程度の温度以上であることが好ましい。
【0026】
その後、通常のLSI工程と同様に、樹脂層46に露光、現像を行ってパターニングを行う。
【0027】
なお、樹脂層46の厚さと材料により程度は異なるが、加熱処理での膜収縮により、樹脂層46の、電気−熱変換体32及び電気信号接続用パッド34に対応する部分について設けられている開口部付近は、他の開口が無い領域に対して凸の形状となる。例えば、加熱処理後の樹脂層46の平均膜厚が約5μm程度の場合、約1.0μmの凸形状の発生が確認されている。また樹脂層46を設ける前のシリコンウエハ24上には回路形成による凹凸が存在しており(約3μm程度)、樹脂層46の塗布により、ある程度のレベリングはされてはいるものの、前述の硬化による凸を含めて、接合面としての樹脂層46の上面は2μm程度の凹凸が発生している。そこで、通常は、この凹凸を改善するために、CMPにより樹脂層46の平坦化処理を実施し、凹凸で約0.5ミクロン以下の平坦化面を得るのであるが、本実施形態では、樹脂層46が未硬化であるため、接合時に平坦化することができるため、平坦化処理を必ずしも必要としない。
【0028】
なお、本実施形態では、接合に用いられる樹脂層46に感光性樹脂を用いたがこれに限定されるのではなく、非感光性樹脂(商品名:住友ベークライト製CRC−6061C、セミコファインSP740、UワニスS、PIX−3400、等)も使用可能であり、さらには、ドライフイルム状の樹脂も使用可能である。
【0029】
加圧処理工程(E)では、シリコンウエハ24とシリコンウエハ38とを、ウエハ単位に設けられた位置合わせマーク48を用いて、精密に位置合わせ仮固定する。このときの位置合わせは、電気−熱変換体32と個別インク流路44がお互いに対向するように行う。
【0030】
なお、従来は、シリコンウエハ38に対して、接着剤70の転写工程が行われていた。この工程は、特開昭63−34152号公報等で提案されている方法をもちいて、シリコンウエハ38の個別インク流路44が設けられた面の凸部に、フィルム上にスピンコート法等で薄く塗布された接着剤70を転写するものである。本実施形態では、この工程は不要である。
【0031】
次に、シリコンウエハ24とシリコンウエハ38とを接合する。この接合は、まず、仮固定されたシリコンウエハ24とシリコンウエハ38とからなるウエハペア52を、接合装置10の載置部12に載置する。このとき、ウエハペア52を、シリコンウエハ24側が負極で、シリコンウエハ38側が正極となるようにセットする。そして、真空ポンプ20を稼動させて、接合装置10内部のウエハ環境を減圧下にすると共に、図示しない装置ヒーターに通電し、ウエハペア52の温度を上昇させる。接合装置10内の圧力が所定の値に達するとともに、ウエハペア52の温度が所定の温度(この温度を「接合温度」という)に達した時点で、ウエハペア52の接合面に直交する方向に加圧部14で加圧を行い、ウエハペア52に所定の電圧を印加する。
【0032】
ここで、前記の接合温度は、ウエハペア52の温度が樹脂層46を完全硬化させる温度よりも高い温度であることが好ましい。この温度は、樹脂層46のガラス転移温度よりも高い温度、例えば、樹脂材料のメーカー推奨硬化温度近傍の温度である。また、接合温度は、前述の加熱処理の温度よりも高く設定される。図3は、接合温度と加熱温度の差と、接合Yield(%)との関係を示すグラフである。このグラフから、接合温度が加熱温度よりも低いか、もしくは接合温度と加熱温度とが同じ温度の場合には、シリコンウエハ24とシリコンウエハ38とが十分に接合されず、接合温度が加熱温度よりも高くなると、十分な接合が得られることがわかる。これは、接合温度を加熱温度よりも低く、または、加熱温度と同じくすると、ポリイミドの移動がおこりにくくなり、そのため十分な接合状態が得られないものと考えられる。そこで、前述のように接合温度を加熱温度よりも高い温度とするのである。
【0033】
また、図4は、加熱温度(A)、接合温度(B)、及びガラス転移温度(Tg)の高低関係に対応した、シリコンウエハ24とシリコンウエハ38の接合性、及び接合されたウエハペア52の耐久性、を示す表である。なお、ここでの接合性は、主に接合強度で評価されており、耐久性は主に耐薬品性(耐インク性)で評価されている。この図から、Tg<B≦A、B≦Tg≦A、B≦A<Tg、の場合、いずれも接合性が悪いことがわかる。A<B≦Tgの場合、接合性はよいが耐久性が悪くなる。A≦Tg<B、Tg≦A<Bの場合、接合性及び耐久性の双方を良好とすることができる。したがって、加熱温度及び接合温度の双方を樹脂層46のガラス転移温度よりも高くするか、もしくは、加熱温度を樹脂層46のガラス転移温度よりも低くし、接合温度を樹脂層46のガラス転移温度よりも高くするのが好ましい。なお、接合温度も、前述の加熱温度の場合と同様に、ガラス転移点プラス80℃以下であることが好ましい。
【0034】
そして、所定時間後に印加電圧をオフすると共に、装置ヒーターをオフして温度を降下させる。その後、ウエハペア52への加圧を減圧し、真空ポンプ20をオフして接合装置10内を大気圧に開放する。最後にウエハペア52への加圧力を開放して、ウエハペア52を装置外へ取出し、加圧処理工程(E)を完了させる。
【0035】
なお、本工程では接合時に接合装置内部のウエハ環境を真空ポンプ20を用いて減圧しているが、これは高電圧印加時の放電防止、および高温化での化学反応や樹脂層46からの微量排出ガスによるデバイスの汚染を防止するためであり、本工程での必須条件ではなく、ウエハ環境の減圧を行わずに不活性ガス環境で実施することもできる。
【0036】
また、本実施形態では、ウエハぺア52に電圧を印加したが、この電圧の印加は必ずしも必要ではなく、電圧の印加がなくても接合は可能である。特に、電圧を印加することにより、より良好な接合状態を得ることができる。これは、図5(A)に示すように、シリコンウエハ24とシリコンウエハ38の間に電圧を印加することによって、樹脂層46内部の双極子分極を示したイオンが一定方向を向き、マイナスに帯電したシリコンウエハ24の界面と樹脂層46のプラス側が静電引力により引き合い、また、プラスに帯電したシリコンウエハ38の界面と樹脂層46のマイナス側が静電引力により引き合う。したがって、樹脂材料が移動して接合面の微小凹凸へ入り込み、アンカー効果による接合力が発生していると考えられる。また、静電引力により引き合った接合界面では、樹脂層46側からシリコンウエハ38側にマイナスイオンが移動して、化学的な結合(Si−O−、etc)が起こり、化学的接合力が発生しているからであると考えられる。
【0037】
前述の工程により接合されたウエハペア52は、分離工程(F)で、ダイシング処理等によりチップ単位に切断・分離され、必要に応じて洗浄・検査等を実施されて多数のインクジェットヘッド54を得る。なお、樹脂層46がノズル部56に露出しているため、ノズル部56付近の樹脂層46でダイシングによる切断時バリが発生するが、特許2827884で提案されている処理方法により良好に除去することができる。
【0038】
また、前記実施形態の素子基板26に、図6に示すように、金属パターン60を設けておくこともできる。図6(A)は、素子基板26の平面図であり、図6(B)は、断面図である。樹脂層46の下部で、少なくともインク流路基板40と接合される領域に、アルミニウム又は他の金属パターン60を設けておけば、素子基板26の樹脂層46が形成された側の裏面に電圧を印加した場合に、前述の金属パターン60の領域内がほぼ同電位となる。このように、金属パターン60を設けることにより接合工程でウエハペア52間に電圧印加する際に、樹脂層46と接合されるウエハ表面での電位分布(電界分布)をほぼ均一にすることができ、ウエハ上に形成された回路や配線パターンなどによる樹脂層46での電位分布(電界分布)差をなくし、接合平面間での接合ムラおよび樹脂層46の接合平面内移動を防止することができるので、均一で良好な接合が可能となる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、樹脂層46を加熱処理する際の加熱温度よりも高い接合温度の下でシリコンウエハ24とシリコンウエハ38に加圧処理を行うので、良好な接合状態を得ることができる。また、本実施形態では、粘着性を有する接着剤を必要としないので、接着剤のはみだしがなく、良好な接合が得られる。また、従来の接着剤塗布工程が省略できると共に、保護膜としての樹脂層46をそのまま接合に利用しているため、新たな工程の付加が不要であり、低コストが実現できる。
【0040】
なお、本実施形態による接合方法は、工程的にはSiとガラスとの陽極接合に最も近いが、樹脂層を設ける側と接合する側の基板を同一としているので、熱膨張率差による位置ずれや反りの心配がない。また、ガラスの場合数百Vの高電圧を印加する必要があるが、本実施形態では、数十Vで接合可能なので、電子回路を搭載した基板であってもトランジスタなどが破壊される危険がない。
【0041】
また、従来の樹脂層を介した接合法である熱圧着法では、高温下で高圧加圧(4.9×10〜9.8×10Pa)する必要があるため特殊な装置を必要とし、高圧力で加圧するため回路搭載基板の信頼性に問題が生じ、更には、樹脂層のはみ出しという問題が生じるが、本実施形態に依れば、接合装置として一般に陽極接合用として市販されている装置を使用することができ、更には、温度も加圧も前記熱圧着法と比較して低温・低加圧力で実施することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、インクジェットヘッド製造の際の基板接合方法として利用した例について説明したが、これに限定されるものではなく、圧力センサやマイクロポンプなどのマイクロマシン製造の際の基板接合方法として利用することができる。
【0043】
【実施例】
前記実施形態の、加圧処理工程(E)において、シリコンウエハ24とシリコンウエハ38とを接合する工程の実施例について、図面を参照しながら説明する。いずれの実施例も、シリコンウエハ24上にガラス転移温度が290℃のポリイミドを塗布してポリイミド樹脂層46を形成し、280℃で加熱処理を行い、その後、加熱処理後のシリコンウエハ24及びシリコンウエハ38を接合装置10にセットした。
[実施例1]
本実施例では、図7に示すように、接合装置10内部のウエハ環境を減圧下にすると共に、図示しない装置ヒーターに通電し、ウエハペア52の温度を上昇させた(図7▲1▼参照)。接合装置10内の圧力が10−3mbar以下になり、ウエハペア52の温度が300度(接合温度)に達した時点で、ウエハペア52の接合面に直行する方向に加圧部14で約9.8×10Paの加圧を行い(図7▲2▼参照)、ウエハペア52に約100Vの電圧を印加した(図7▲3▼参照)。電圧印加後にウエハペア52に流れる電流をモニターし、電流値が一定以下となった時点で印加電圧をオフするとともに、装置ヒーターをオフして温度を降下させた(図7▲4▼参照)。その後、ウエハペア52への加圧を1.96×10Paまで減圧し(図7▲4▼−▲5▼参照)、温度が一定以下となった時点で、真空ポンプ20をオフして接合装置10内を大気圧に開放した(図7▲5▼参照)。最後にウエハペア52への加圧力を開放して、ウエハペア52を装置外へ取出した(図7▲6▼参照)。
【0044】
本実施例によって、接合性及び耐久性が共に良好な接合状態のウエハペア52が得られた。
【0045】
[実施例2]
本実施例では、図8に示すように、真空ポンプ20を稼動させて、接合装置10内のウエハ環境の減圧を開始すると共に、図示しない装置ヒーターに通電して、ウエハペア52の温度を上昇させた。この時点でウエハペア52の温度コントロールを確実に実施するため、ウエハペア52には最低限の加圧力として約1.96×10Paを加えて、装置の温度コントロール部との接触を確保した(図8▲1▼参照)。
【0046】
接合装置10内の圧力が10−3mbar未満に達し、ウエハペア52の温度が300℃に達した時点で、ウエハ接合面に直行方向で約9.8×10Paで加圧し(図8▲2▼参照)、その後ウエハペア52に約40V程度の電圧を印加した。(図8▲3▼参照)。
【0047】
電圧印加後に両ウエハペア52間に流れる電流をモニターし、電流値が一定(例えば1mA)以下となった時点から装置ヒーターをオフにして温度を降下させた(図8▲4▼参照)。
【0048】
温度が200℃以下となった時点で、印加電圧をオフにし(図8▲5▼参照)、続いてウエハ間加圧力を初期値に減圧すると共に、真空ポンプ20をオフにして接合装置内を大気圧に開放した(図8▲6▼参照)。最後にウエハペア52の加圧力を開放して、ウエハペア52を装置外へ取り出した(図8▲7▼参照)。
【0049】
なお、本実施例では、電圧印加時の最高温度を300℃以上としたが、この温度に限定されるものではなく、使用樹脂材料の耐熱温度以下でガラス転移点温度以上、好ましくはガラス転移温度の+10〜60℃程度(本実施例では300℃〜360℃)であれば、良好な接合状態が得られる。この温度に設定する事により、シリコンウエハ24に転写した樹脂層46が移動し易くなり、多少の接合Gapがあっても良好に接合することができ、さらには、接合終了時の残留応力が殆どないため、良好な接合が実施できる。なお、電圧印加時の最高温度をガラス転移点に対して高くしすぎると、樹脂材料の移動量が大きすぎて、弱い電位差でも接合平面方向へ大きく移動し、所望の接合品質が得られない。
【0050】
本実施例においても、接合性及び耐久性が共に良好な接合状態のウエハペア52が得られた。
【0051】
[実施例3]
本実施例では、図9に示すように、真空ポンプ20を稼動して、接合装置10内部のウエハ環境を減圧下にすると共に、図示しない装置ヒーターに通電しウエハペア52の温度を上昇させた(図9▲1▼参照)。ウエハペア52にはウエハ温度が上昇する過程で、ウエハの接合面に直行方向に圧力を段階的に加えていった(100℃で約9.8×10Pa、200℃で14.7×10Pa、300℃で19.6×10Pa、350℃で24.5×10Pa、(図9▲1▼−▲2▼参照))。これは、温度上昇に伴う樹脂層46の収縮に対して、接合面において一定以下のGapを保持し、接合を良好に実施することを目的としている。
【0052】
ウエハ温度が所望温度(樹脂材料のメーカー推奨硬化温度近傍の値:ここでは350℃)に達した後にウエハ環境圧力が10‐mbar未満に達した時点で、ウエハペア52間に電圧を印加した。このときの電源は最大設定200Vで、約15mA程度のリミッター付電源電圧(定電流源)を印加した(図9▲3▼参照)。この電源により電流を一定以上流さないようにコントロールしながら、電圧を200V以内で変動させた。
【0053】
電圧印加後にウエハペア52に印加される電圧をモニターし、電圧が一定(200V)以上となり、かつ、ウエハ環境圧力が一定以下(10−4mbar)で安定した時点、即ち樹脂層46の材料からアウトガスがほぼ無くなった時点で装置ヒーターをオフにして温度を降下させた。本実施例では、ウエハ環境圧力が10−4mbar未満に達した時点で樹脂層からのアウトガスがなくなり、樹脂層46の硬化反応がほぼ終了に近い時点であると推測される(図9▲4▼参照)。なお、真空ポンプ20の性能によっては、アウトガスの発生があっても10−4mbar未満に達する事は可能であるが、これはアウトガスが無い状態での真空度プロファイルと比較することで、どの時点で樹脂層46の硬化反応が終了したかは推測ができる。
【0054】
温度が一定(100℃)以下となった時点で、印加電圧をオフし(図9▲5▼参照)続いてウエハ間加圧力を初期値に減圧すると共に、真空ポンプ20をオフにして大気圧に開放した(図9▲6▼参照)。最後にウエハペア52への加圧力を開放して、ウエハペア52を装置外へ取出した(図9▲7▼参照)。
【0055】
なお、本実施例では電圧値が一定値以上、実施例1、2では電流値が一定以下、となった時点を装置温度低下開始の時点としているが、樹脂層46の材料と温度条件によっては、ほとんど電圧上昇(本実施例)、電流低下(実施例1、2)が見られなくとも、樹脂層46の過剰な移動を防止するために、またプロセス時間短縮のために一定時間で接合工程を終了することもできる。
【0056】
本実施例によっても、接合性及び耐久性が共に良好な接合状態のウエハペア52が得られた。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、樹脂材料を加熱処理する際の加熱温度よりも高い接合温度の下で複数の基板に加圧処理を行うので、良好な接合状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る接合装置の概略図である。
【図2】本実施形態におけるインクジェットヘッド製造の工程の流れを説明する図である。
【図3】接合温度と加熱温度の差と、接合性との関係を示すグラフである。
【図4】接合温度、加熱温度、及びガラス転移温度の関係と、接合性及び耐久性との関係を示す表である。
【図5】本実施形態の電子移動による接合原理を示す図である。
【図6】本実施形態の変形例の素子基板の、(A)は概略正面図、(B)は
【図7】実施例1の接合条件を示す図である。
【図8】実施例2の接合条件を示す図である。
【図9】実施例3の接合条件を示す図である。
【符号の簡単な説明】
24 シリコンウエハ(基板)
26 素子基板(基板)
38 シリコンウエハ(基板)
40 インク流路基板(基板)
46 樹脂層(樹脂材料)
52 ウエハペア(基板接合体)
54 インクジェットヘッド

Claims (7)

  1. 樹脂材料を所定の加熱温度で加熱処理し、
    前記加熱処理された樹脂材料を対向する複数の基板で挟み、
    前記加熱温度よりも高い接合温度の下で前記複数の基板に加圧処理を行って、前記複数の基板を接合する基板接合方法。
  2. 前記接合温度は、前記樹脂材料のガラス転移温度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の基板接合方法。
  3. 前記加圧処理は、前記複数の基板間への電圧印加を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基板接合方法。
  4. 前記樹脂材料は、ポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基板接合方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項の基板接合方法を用いて接合された基板接合体。
  6. 請求項5の基板接合体を含んで構成されたインクジェットヘッド。
  7. 前記基板接合体を構成する複数の基板のうちの少なくとも2つで1対の基板ペアが構成され、この基板ペアの一方にはインク流路溝を含んだパターンが形成され、他方には複数の回路を含んだパターンが形成されていることを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッド。
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