JP2005006446A - リニアモータ駆動式倍速進退移動装置 - Google Patents

リニアモータ駆動式倍速進退移動装置 Download PDF

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Yuichiro Minato
雄一朗 湊
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Yushin Precision Equipment Co Ltd
Yushin Seiki KK
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Abstract

【課題】簡単な構造によって、増量・増速させることができ、装置の小型化と装置重量の軽減を達成することができるリニアモータ駆動式倍速進退移動装置を提供する。
【解決手段】固定子1と第1の可動子2とによって構成されているリニアモータ7の起動により、第1の可動子2、スライダブロック8およびFGリング磁石3を前進させて、固定子1の多数の磁極と、FGリング磁石3の2つの磁極N,Sとの間に生じる吸引・反発作用によって、FGリング磁石3を反時計まわりに回転させる。一方、第2の可動子4には、FGリング磁石3が前進する作用と、該FGリング磁石3の回転作用との両作用を相乗的に働かせ、第2の可動子2と可動体5をFGリング磁石3の前進距離にFGリング磁石3の円周方向の移動距離を加えた量に倍増して倍速で進退移動させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアモータ駆動式倍速進退移動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、リニアモータ駆動源を備え、かつ倍速機能を有する進退移動装置が本発明出願人によって提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この従来技術は、固定ビームと、この固定ビームに該固定ビームのビーム軸方向の進退移動を自在に組み付けられた第1可動ビームと、この第1可動ビームに前記ビーム軸方向の進退移動を自在に組み付けられた第2可動ビームと、前記第1可動ビームを進退移動させる駆動源とを備え、この駆動源が前記固定ビームに装着された固定側部材と、前記可動ビームに装着された可動側部材とを具備するリニアサーボモータによって構成されているとともに、前記固定ビームに対して前記第1可動ビームが進退移動して伸縮するのに伴って、前記第2可動ビームの進退移動量を前記第1可動ビームの進退移動量よりも増量させ、かつ前記第2可動ビームの進退移動速度を前記第1可動ビームの進退移動速度よりも増速させて、該第2可動ビームを前記第1可動ビームおよび前記固定ビームに対して進退移動させて伸縮させる増量・増速機構を具備している。
【0004】
この従来技術では、固定ビームに装着された固定側部材と、第1可動ビームに装着された可動側部材とを具備するリニアサーボモータによって構成されている駆動源の運転によって、第1可動ビームが固定ビームのビーム軸方向に進退移動して伸縮する。また、第2可動ビームは、増量・増速機構の作用によって、固定ビームに対して第1可動ビームよりも高速かつ大きい移動量で進退移動して伸縮することになる。つまり、リニアサーボモータによって構成されている駆動源の運転によって、第1可動ビームを高速で進退移動させることができる。しかも、増量・増速機構の作用によって、第2可動ビームを第1可動ビームよりもさらに高速で進退移動させることができるので、進退移動サイクルタイムを短縮することができる。また、運転時の進退移動に伴って装置の全長が伸縮するので、大きい進退移動量を確保することができる反面、運転停止時の長さを縮小して小型化することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−106670号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来のリニアモータ駆動源を備え、かつ倍速機能を有する進退移動装置では、実施形態において説明している1対のプーリと、これら1対のプーリに巻き掛けられたタイミングベルトなどによって構成されるメカ的な増量・増速機構が必要である。このため、増量・増速機構の設置スペースが必要になり、この設置スペースに相当して装置が大型化されるとともに、増量・増速機構の重量に相当して装置重量が増大するなどの難点を有する。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、従来の進退移動装置で必要とされていたメカ的な増量・増速機構を不要にした簡単な構造によって、増量・増速させることができ、装置の小型化と装置重量の軽減を達成することができるリニアモータ駆動式倍速進退移動装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のリニアモータ駆動式倍速進退移動装置は、N極とS極の磁極が交互に並んでいる界磁マグネットを有する棒状の固定子と、この固定子に外嵌される電機子コイルを有しているとともに、該固定子に沿って進退移動可能な第1の可動子とからなるリニアモータを備え、前記固定子の界磁マグネットに吸引または反発される磁極を備え前記固定子に対向して前記第1の可動子に回転自在に取付けられたFGリング磁石と、このFGリング磁石を挟んで前記固定子に平行に配置されてN極とS極の磁極が交互に並んでいる界磁マグネットを有する棒状の第2の可動子と、この棒状の第2の可動子を装着して進退移動自在に配置された可動体とを具備していることを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、第1の可動子の電機子コイルに通電すると、コイルの通電と、該電機子コイルを貫通している固定子の界磁マグネットが形成する磁界との相互作用により、可動子を棒状固定子に沿って進退移動させることができる。第1の可動子が進退移動すると、この第1の可動子とともにFGリング磁石も進退移動する。このとき、固定子の交互に並んでいるN極とS極にFGリング磁石の磁極が吸引または反発して、FGリング磁石が正方向または逆方向に回転する。すなわち、FGリング磁石は第1の可動子とともに進退移動しながら正方向または逆方向に回転することになる。FGリング磁石が第1の可動子とともに進退移動しながら正方向または逆方向に回転することにより、棒状の第2の可動子の界磁マグネットがFGリング磁石の磁極に吸引または反発して、該第2の可動子を第1の可動子と同じ方向に進退移動させる。第2の可動子は可動体に装着されているので、可動体は第2の可動子とともに進退移動する。第2の可動子には、FGリング磁石が第1の可動子とともに進退移動する作用と、FGリング磁石の回転作用との両作用が相乗的に働く。その結果、第2の可動子および可動体は、第1の可動子およびFGリング磁石の進退移動距離にFGリング磁石の円周方向の移動距離を加えた量に増量されて高速(倍速)で進退移動することになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態を示す全体側面図、図2は図1のA−A線に沿う拡大断面図である。これらの図において、リニアモータ駆動式倍速進退移動装置は、固定子1と、第1の可動子2と、FGリング磁石3と、第2の可動子4と、この第2の可動子4を一体に装着した可動体5とを備えている。
【0011】
固定子1は、N極とS極の磁極が交互に並んでいる界磁マグネットを有する棒状のもので、軸方向(第1の可動子2、第2の可動子4および可動体5の進退移動方向)にのび、その両端部は支持体6,6により水平に支持されている。
【0012】
第1の可動子2は、固定子1に外嵌される電機子コイル(不図示)を有しているとともに、固定子1に沿って進退移動可能に対応しており、前記固定子1と前記第1の可動子2とによって、リニアモータ7を構成している。
【0013】
第1の可動子2は、左右一対の脚部8A,8Aを備えた門型のスライダブロック8の内側に組み付けられており、このスライダブロック8の前端部にブラケット9を介してFGリング磁石3が回転自在に支持されている。
【0014】
FGリング磁石3は、たとえば、2極着磁(N,S)構造のもので、これら2つの磁極N,Sが前記固定子1の界磁マグネットを構成している複数のN極とS極に非接触で対向するマグネットカップリングを構成している。
【0015】
前記スライダブロック8における左右一対の脚部8A,8Aの内側には、第1の直動案内10を介してスライダ用フレーム11が前記軸方向にのびて組み付けられている。このスライダ用フレーム11の軸方向両端部は前記支持体6,6により水平に支持されている。前記第1の直動案内10は、スライダ用フレーム11の左右両端部において該スライダ用フレーム11の全長にわたって上下に振り分けて設けられた一対2組のレール10A,10Aと、左右一対の脚部8A,8Aの内側に回転自在に支持されて前記一対2組のレール10A,10Aを上下方向両側から挟んで転動する複数個の転動輪10B,10Bとを備えている。
【0016】
第2の可動子4は、N極とS極の磁極が交互に並んでいる界磁マグネットを有する棒状のもので、FGリング磁石3を挟んで該FGリング磁石3の下側で前記固定子1に平行に配置され、FGリング磁石3に非接触で対向するマグネットカップリングを構成しているとともに可動体5の上面に水平に固着されている。
【0017】
なお、前記固定子1の磁極ピッチ(一番近い同極までの距離「N極←→N極の距離」または「S極←→S極」の距離)と、第2の可動子4の磁極ピッチ(一番近い同極までの距離、N極←→N極の距離またはS極←→S極の距離)およびFGリング磁石3の円周長さは同じ値に設定されている。
【0018】
前記可動体5は、前記スライダ用フレーム11の内側に第2の直動案内12を介して前記軸方向の移動を自在に組み付けられている。第2の直動案内12は、可動体5の左右両端部において該可動体5の全長にわたって上下に振り分けて設けられた一対2組のレール12A,12Aと、スライダ用フレーム11の内側に回転自在に支持されて前記一対2組のレール12A,12Aを上下方向両側から挟んで転動する複数個の転動輪12B,12Bとを備えている。
【0019】
前記構成において、第1の可動子2の電機子コイル(不図示)に通電すると、コイルの通電と、該電機子コイルを貫通している固定子1の界磁マグネットが形成する磁界との相互作用により、第1の可動子2を棒状の固定子1に沿って進退移動させることができる。つまり、固定子1と前記第1の可動子2とによって構成されているリニアモータ7の起動によって、第1の可動子2およびスライダブロック8をたとえば図1の矢印X方向に前進させることができる。
【0020】
前述のように、固定子1の磁極ピッチと、第2の可動子4の磁極ピッチおよびFGリング磁石3の円周長さが同じ値である条件下で、第1の可動子2およびスライダブロック8を図1の矢印X方向に前進させると、スライダブロック8に取付けられているFGリング磁石3も前進する。これにより、固定子1の交互に並んでいるN極とS極と、FGリング磁石3の2つの磁極N,Sとの間に生じる吸引・反発作用によって、FGリング磁石3は反時計まわりに回転する。
【0021】
たとえば、図3の実線で示す固定子1のN極の中央(P1位置)にFGリング磁石3のS極が対応している待機状態から、FGリング磁石3が矢印X方向に前進して、一点鎖線で示すように、固定子1のN極とS極との境界(P2位置)まで移動する過程では、固定子1のN極とFGリング磁石3のS極との吸引力がP1位置よりも小さくなる反面、固定子1のS極とFGリング磁石3のN極との吸引力がP1位置よりも大きくなって、FGリング磁石3は反時計まわりに90度回転する。さらに、FGリング磁石3が矢印X方向に前進して、二点鎖線で示すように、固定子1のS極の中央(P3位置)まで移動する過程では、固定子1のS極とFGリング磁石3のN極との吸引力がP2位置よりも大きくなるとともに、固定子1のS極とFGリング磁石3のS極との間に生じる反発力によって、FGリング磁石3は反時計まわりにさらに90度回転する。
【0022】
一方、前記図3の実線で示す固定子1のN極の中央(P1位置)にFGリング磁石3のS極が対応している待機状態で、たとえば、図4(a)に示すように、第2の可動子4のS極の中央(P1位置)にFGリング磁石3のN極が対応しているとすると、FGリング磁石3が矢印X方向に前進して、図3のP2位置まで移動し、かつ反時計まわりに90度回転することで、図4(a)のFGリング磁石3のN極に第2の可動子4のS極が吸引されて、第2の可動子4は、FGリング磁石3の前進移動量(P1位置からP2位置までの距離)+FGリング磁石3の1/4円周長さに相当する距離だけ前進して、図4(b)で示す位置まで移動する。さらに、FGリング磁石3が矢印X方向に前進して、図3のP3位置まで移動し、かつ反時計まわりに90度回転することで、図4(b)のFGリング磁石3のS極に第2の可動子4のN極が吸引されて、第2の可動子4は、FGリング磁石3の前進移動量(P2位置からP3位置までの距離)+FGリング磁石3の1/4円周長さに相当する距離だけ前進して、図4(c)で示す位置まで移動することになる。
【0023】
すなわち、第2の可動子4には、FGリング磁石3が第1の可動子2とともに前進する作用と、FGリング磁石3の回転作用との両作用が相乗的に働いて、第2の可動子2と可動体5は、第1の可動子2およびFGリング磁石3の前進距離にFGリング磁石3の円周方向の移動距離を加えた量に増量されて高速(倍速)で進退移動することになる。
【0024】
本実施形態においては、固定子1の磁極ピッチ(一番近い同極までの距離「N極←→N極の距離」または「S極←→S極」の距離)と、第2の可動子4の磁極ピッチ(一番近い同極までの距離、N極←→N極の距離またはS極←→S極の距離)およびFGリング磁石3の円周長さが同じ値に設定されているので、図5(a)の位置で第1の可動子2、スライダブロック8、FGリング磁石3、第2の可動子4(不図示)および可動体5が待機している状態から、図5(b)の位置まで第1の可動子2(不図示)、スライダブロック8およびFGリング磁石3が距離lだけ前進すると、第2の可動子4(不図示)と可動体5の前進距離は2倍(2l)に増量されて2倍の速度で図5(b)の位置まで前進し、図5(b)の位置から図5(c)の位置まで第1の可動子2、スライダブロック8およびFGリング磁石3が距離Lだけ前進すると、第2の可動子4と可動体5の前進距離は2倍(2L)に増量されて2倍の速度で図5(c)の位置まで前進することになる。
【0025】
一方、図5(c)の状態から、図5(b)の位置まで第1の可動子2、スライダブロック8およびFGリング磁石3が後退すると、第2の可動子4と可動体5は2倍の移動量と2倍の速度で図5(b)の位置まで後退し、図5(b)の状態から、図5(a)の位置まで第1の可動子2、スライダブロック8およびFGリング磁石3が後退すると、第2の可動子4(不図示)と可動体5は2倍の移動量と2倍の速度で図5(a)の位置まで後退することになる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のリニアモータ駆動式倍速進退移動装置は構成されているので、以下のような格別な効果を奏する。
【0027】
すなわち、従来の進退移動装置で必要とされていたメカ的な増量・増速機構を不要にした簡単な構造によって、増量・増速させることができるので、増量・増速機構の設置スペースが不要になり、不要になった設置スペースに相当して装置を小型化できるとともに、増量・増速機構の重量に相当して装置重量を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す全体側面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図3】FGリング磁石の作動説明図である。
【図4】第2の可動子と可動体の作動説明図である。
【図5】全体の作動説明図である。
【符号の説明】
1 固定子
2 第1の可動子
3 FGリング磁石
4 第2の可動子
5 可動体
7 リニアモータ

Claims (1)

  1. N極とS極の磁極が交互に並んでいる界磁マグネットを有する棒状の固定子と、この固定子に外嵌される電機子コイルを有しているとともに、該固定子に沿って進退移動可能な第1の可動子とからなるリニアモータを備え、前記固定子の界磁マグネットに吸引または反発される磁極を備え前記固定子に対向して前記第1の可動子に回転自在に取付けられたFGリング磁石と、このFGリング磁石を挟んで前記固定子に平行に配置されてN極とS極の磁極が交互に並んでいる界磁マグネットを有する棒状の第2の可動子と、この棒状の第2の可動子を装着して進退移動自在に配置された可動体とを具備していることを特徴とするリニアモータ駆動式倍速進退移動装置。
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