JP2005006232A - 周期性擬似雑音発生方法と装置 - Google Patents

周期性擬似雑音発生方法と装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電磁妨害波の多くは、周期性の雑音であるにもかかわらず、擬似雑音発生装置は、周期性擬似雑音を発生することができなかった。
【解決手段】複数のパルス継続時間分布およびパルス間隔分布を格納する分布用メモリと、複数のメモリの内容を所定の周期的順番で読み出し、読み出したパルス継続時間分布およびパルス間隔分布に従う乱数を発生させる振幅・交叉率乱数発生器Aと周期パルス乱数発生器Dを、擬似雑音発生装置に設けて、周期パルス乱数を発生させるようにした。これにより、振幅確率分布、交叉率分布、パルス継続時間分布およびパルス間隔分布を同時に指定して、電子機器の周期性の雑音に対する耐妨害性の評価を十分にすることができるようになった。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル通信システムの通信品質の評価、電磁妨害波に対する電子機器の耐妨害性(Immunity)の評価を行うための擬似雑音源として使用する周期性擬似雑音発生方法と装置に関する。具体的には、周期的パルス擬似雑音の新規な発生方法と装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱雑音の振幅は、正規分布となる。これをシミュレートするものにホワイト・ノイズ発生器がある。一方、都市においては、莫大な電力を使用するために、電力源の周期に支配された雑音がある。このような周期性雑音が電子機器に与える影響は極めて大きく、有効な対策が求められている。
【0003】
これらノイズの性質を表す際の重要なパラメータとして、以下のものがある(たとえば、特許文献3参照)。
1.振幅確率分布(APD:Amplitude Probability Distribution)
2.確率密度関数(PDF:Probability Density Function)
3.交叉率分布(CRD:Crossing Rate Distribution)
4.パルス継続時間分布(PDD:Pulse Duration Distribution)
5.パルス間隔分布(PSD:Pulse Spacing Distribution)
【0004】
これらパラメータの定義について、説明する。
1.振幅確率分布APD: 電磁妨害波が観測対象となる特定の振幅のレベル(以下、特定振幅レベルという)を越えている時間率。
2.確率密度関数PDF: 特定振幅レベルにおける電磁妨害波の発生確率。
3.交叉率分布CRD: 単位時間内に電磁妨害波が特定振幅レベルを、小さい(大きい)レベルから大きい(小さい)レベルへと交叉(以下、正(負)交叉という)する回数。
4.パルス継続時間分布PDD: 電磁妨害波が単位時間内に特定振幅レベルを連続して超えている時間長の分布。
5.パルス間隔分布PSD: 電磁妨害波が単位時間内に特定振幅レベルを連続して下回っている時間長の分布。
【0005】
公知の従来例には、ランダム源に一様乱数を用い、M個の一様乱数より一つの任意分布Mビット2進乱数を確率論的逐次比較法の原理に基づいて高速生成できる任意分布乱数生成法が開示されている(たとえば、非特許文献1参照。)。
【0006】
他の公知例には、ノイズの振幅確率分布APDを指定し、同時に指定した特定振幅レベルでのパルス継続時間分布PDDとパルス間隔分布PSDを指定することのできる擬似雑音発生装置が開示されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0007】
先願があり、振幅確率分布APDと交叉率分布CRDを指定することのできる擬似雑音発生装置を提供している。そこでは、雑音信号が、振幅レベルiからjに移動する確率(推移確率wij)について詳細に説明し、その推移確率wijを用いて、交叉率分布CRDを指定している(たとえば、特許文献2参照。)。
【0008】
他の先願があり、振幅確率分布APD、交叉率分布CRD、パルス継続時間分布PDDおよびパルス間隔分布PSDを同時に指定することのできる擬似雑音発生装置を提供している。ここではたとえば特許文献1と同様に、雑音信号が振幅レベルiからjに移動する確率(推移確率wij)を用いて、交叉率分布CRDを指定している(たとえば、特許文献3参照。)。
【0009】
図19は、特許文献3の図5に示された実施例の回路構成を示している。2つの振幅・交叉率乱数発生器AとA 、パルス乱数発生器C、スイッチ部SWおよびD/A変換部12を含んでいる。振幅・交叉率乱数発生器AおよびA は、振幅確率分布APDと交叉率分布CRDをそれぞれ指定することにより、振幅乱数XおよびX を発生している。この振幅確率分布APDと交叉率分布CRDには、電磁妨害波からスペクトル・アナライザを含む統計量測定装置を用いて得た値を用いている。
【0010】
振幅乱数XおよびX は、スイッチ部SWで切替られて、擬似雑音乱数51としてD/A変換部12に印加され、D/A変換されて擬似雑音信号52として出力される。スイッチ部SWの切替は、パルス乱数発生器Cからのパルス乱数Pによりなされる。先願の特許文献3に詳細に述べられたパルス継続分布PDDおよびパルス間隔分布PSDを指定し、パルス乱数Pを発生している。
【0011】
図20には、擬似雑音乱数51の振幅乱数Xの時間の経過とともに変化する波形である時間波形(縦軸は任意の対数目盛)の一例が示されている。振幅レベル0からhまでの振幅乱数Xは、振幅・交叉率乱数発生器Aによって、出力される。振幅レベルhからh までの振幅乱数X は、振幅・交叉率乱数発生器A によって、出力される。したがって、時点t10〜t19の振幅乱数Xは、振幅・交叉率乱数発生器Aによって、出力される。時点t20〜t29の振幅乱数X は、振幅・交叉率乱数発生器A によって、出力される。
【0012】
時点t10,t20,t30を含む全ての時点t(i=0,1,2,・・・,∞)における振幅乱数値Xは、予め設定された振幅確率分布APDと交叉率分布CRDにより決定される。時点t10からt20に至る時間幅は、パルス間隔分布PSDに従い生成されたパルス乱数Pにより決まり、時点t10からt20に至る迄は、振幅・交叉率乱数発生器Aからの振幅乱数Xが、擬似雑音乱数51として出力される。
【0013】
同じく、時点t20からt30に至る迄は、振幅・交叉率乱数発生器A からの振幅乱数X が、擬似雑音乱数51として出力される。時点t10の直前のレベルhとの太い実線の(大きいレベルから小さいレベルへの)負交叉から次の正交叉迄の期間がパルス間隔(t10〜t20)であり、このパルス間隔の変動範囲の分布が、パルス間隔分布PSDである。
【0014】
振幅・交叉率乱数発生器AとA の振幅乱数XとX は、それぞれに予め付与されている振幅確率分布APDと交叉率分布CRDにより、決定されているから、振幅・交叉率乱数発生器AとA の出力である振幅乱数XとX のどちらが擬似雑音乱数51としてスイッチ部SWで選択されるかは、パルス乱数Pによるのである。
【0015】
時点t20の直前のレベルhとの太い実線の(小さいレベルから大きいレベルへの)正交叉から次の負交叉迄の期間がパルス継続時間(t20〜t30)であり、このパルス継続時間の変動範囲の分布が、パルス継続時間分布PDDである。パルス乱数Pは、パルス間隔分布PSDとパルス継続時間分布PDDを表し、スイッチSWを時点t10,t20,t30において、切り替えている。
【0016】
パルス乱数発生器Cは、振幅レベルhを横切る時点t10,t20,t30のタイミングを決定している。振幅レベルhを横切る時点t10とt20の間隔は、予め定められたパルス間隔分布PSDに従い、t20とt30の間隔は予め定められたパルス継続時間分布PDDに従って、パルス乱数発生器Cがパルス乱数Pとして出力している。
【0017】
図19の回路構成では、振幅確率分布APD、交叉率分布CRD、パルス継続時間分布PDDおよびパルス間隔分布PSDを指定して擬似雑音を発生している。この装置では、パルス継続時間が、1つのパルス継続時間分布PDDに従って決定され、パルス間隔が1つのパルス間隔分布PSDに従い決定されていた。
【0018】
パルス継続時間が、1つのパルス継続時間分布PDDに従って決定されると、その後のパルス継続時間が、過去のパルス継続時間やパルス間隔とは無関係に、各パルス継続時間(又は、パルス間隔)の発生確率からランダムに決まるため、擬似雑音波形に周期性をもたせることができなかった。ところが、電磁妨害波の多くは、周期性の雑音である。
【0019】
図21は、電子機器から放射された電磁妨害波の波形図(縦軸は任意の対数目盛)である。電子機器として、50Hz電源で動作する電子レンジを使用している。電源周波数(50Hz)に同期して、0.02sec周期で振幅が増減していることが示されている。
【0020】
図22は、図19の装置により発生させた擬似雑音の波形図(縦軸は任意の対数目盛)である。これは、図21の電磁妨害波からスペクトル・アナライザを含む統計量測定システムにより得た振幅確率分布APD、交叉率分布CRD、パルス継続時間分布PDDおよびパルス間隔分布PSDを用いて擬似雑音を発生させたものである。
【0021】
図22の波形は、図21の波形と同じ振幅確率分布APD、交叉率分布CRD、パルス継続時間分布PDDおよびパルス間隔分布PSDを用いて発生させたにもかかわらず、著しい差異がある。図21の波形では、相対レベル95で観測すると、長いパルス継続時間(相対レベル95以上の部分)と長いパルス間隔(相対レベル95以下の部分)が交互に発生している。
【0022】
それに対して、図22の波形は、0.07sec辺りまでは、長いパルス継続時間(相対レベル95以上の部分)および長いパルス間隔(相対レベル95以下の部分)が交互に発生しているが、それ以降は、長いパルス継続時間(相対レベル95以上の部分)が大勢を占め、長いパルス間隔(相対レベル95以下の部分)が発生していない。したがって、擬似雑音として使用することはできないのである。
【0023】
図23には、図22の擬似雑音の波形図を得たときに用いたスペクトル・アナライザを含む統計量測定システムの構成を示している。電磁妨害源60(たとえば、電子レンジ)の出す電磁妨害波70をアンテナ61で受けて、電磁妨害信号71を得ている。この電磁妨害信号71は、スペクトル・アナライザ62Aに入力される。スペクトル・アナライザ62Aは、周波数スパンを0に設定することで、スペクトル・アナライザ62Aの中心周波数付近の入力信号を包絡線検波した雑音時間波形72を得ることができる。雑音時間波形72は、統計量測定器63Aとオシロスコープ64Aに印加される。
【0024】
統計量測定器63Aは、振幅確率分布APD、交叉率分布CRD、パルス継続時間分布PDDおよびパルス間隔分布PSDを統計量分布情報73として得る。オシロスコープ64Aでは、雑音時間波形72を観測してパルス継続時間とパルス間隔の繰り返しパターンを知ることがができ、閾値(図20の振幅レベルh)を決定して波形情報74として出力する。
【0025】
この統計量分布情報73と波形情報74は、直接に、または多くの場合に、記憶媒体に格納され、それが擬似雑音発生制御部65(多くの場合に、パソコンが充当される)に印加される。擬似雑音発生制御部65では、擬似雑音発生装置66に予め格納しておくための各種パラメータを計算して、擬似雑音発生制御情報75を作成する。
【0026】
擬似雑音発生制御部65においては、擬似雑音発生装置66で乱数を発生させるための確率データを作成している。具体的には、振幅確率分布APDと交叉率分布CRDのペアから、振幅・交叉率乱数発生器A,Aに格納すべき推移確率分布を作成する。
【0027】
パルス継続時間分布PDDは、乱数rの関数d(r)として、パルス間隔分布PSDは、乱数rの関数s(r)として、パルス乱数発生器Cに格納される。
【0028】
擬似雑音発生装置66は、擬似雑音発生制御情報75に基づいて擬似雑音信号52を発生する。この擬似雑音信号52の評価は、統計量測定器63Bとオシロスコープ64Bによって行う。この評価は、統計量測定器63Aとオシロスコープ64Aの組合せと同じ構成で可能である。
【0029】
ここで、統計量分布情報73と波形情報74を記憶媒体に格納してから使用する場合は、統計量測定器63B、オシロスコープ64Bは、統計量測定器63A、オシロスコープ64Aと共用することができる。
【0030】
図24には、図23の構成中の擬似雑音発生装置66のパルス乱数発生器Cで使用する分布データの一例を示している。たとえば、パルス継続時間分布PDDを擬似乱数rの関数d(r)で、パルス間隔分布PSDを擬似乱数rの関数s(r)で表すと、d(r)またはs(r)のrの値が、0≦r≦mでm=255のとき、図24のデータ番号1には、擬似乱数rの最上位ビット(i=1)の値が“1”になる確率が格納される。
【0031】
データ番号2には、rの値は、擬似乱数rの最上位ビット(i=1)の値が“0”で次ビット(i=2)の値が“1”になる確率が格納される。同様にして、データ番号255には、擬似乱数rの値は、擬似乱数rの上位7ビット(i=7)の値が“1111111”で8位のビット(i+1=8)の値が“1”になる確率が格納される。
【0032】
図25は、図19のパルス乱数発生器Cに格納されるパルス継続時間確率分布Qまたはパルス間隔確率分布Q の格納状態の一例を示している。ここで確率分布QとQ のデータ番号は、図24に示したものを表している。アドレス511には、図24のデータ番号255の表す確率に等しいパルス継続時間分布PDDの確率分布Qの格納内容が格納される。アドレス510には、図24のデータ番号254の表す確率に等しいパルス継続時間分布PDDの確率分布Qの内容が格納される。
【0033】
同様にして、アドレス257には、図24のデータ番号1の表す確率に等しいパルス継続時間分布PDDの確率分布Qの内容が格納される。アドレス256には、図24の対応するデータ番号が無いために空きとなっている。アドレス255〜0も同様であるが、パルス間隔分布PSDの確率分布Q の内容が格納の対象となっている点で異なっている。
【0034】
図26は、図19のパルス乱数発生器Cに格納されるパルス継続時間の確率分布Qまたはパルス間隔の確率分布Q の格納状態の他の実施例を示している。そこには8個のメモリ0〜7が使用されている。ここで確率分布QとQ のデータ番号は、図24に示したものを表している。メモリ0のアドレス0には、図24のデータ番号1のパルス間隔分布PSDの確率分布Q の内容が格納される。アドレス1には、図24のデータ番号1のパルス継続時間分布PDDの確率分布Qの内容が格納される。
【0035】
メモリ1のアドレス0,1には、図24のデータ番号2,3のパルス間隔分布PSDの確率分布Q の内容が格納される。アドレス2,3には、図24のデータ番号2,3のパルス継続時間分布PDDの確率分布Qの内容が格納される。
【0036】
メモリ2のアドレス0〜3には、図24のデータ番号4〜7のパルス間隔分布PSDの確率分布Q の内容が格納される。アドレス4〜7には、図24のデータ番号4〜7のパルス継続時間分布PDDの確率分布Qの内容が格納される。
【0037】
同様にして、メモリ7のアドレス0〜127には、図24のデータ番号128〜255のパルス間隔分布PSDの確率分布Q の内容が格納される。アドレス128〜255には、図24のデータ番号128〜255のパルス継続時間分布PDDの確率分布Qの内容が格納される。
【0038】
【非特許文献1】
論文“任意分布乱数の新高速生成法”大沼ら、電子情報通信学会論文誌A Vol.J70−A No.11 pp1681−1690 1987年11月、(あらまし、図5)
【特許文献1】
特開2001−068936号
【特許文献2】
特願2001−370306号(平成13年12月 4日出願)
【特許文献3】
特願2002−245286号(平成14年 8月26日出願)
【0039】
【発明が解決しようとする課題】
電磁妨害波の多くは、電力を使用する機器が発生する周期性の雑音である。それにもかかわらず、擬似雑音発生装置には、周期性を有する擬似雑音を発生することはできないという問題点があった。そのために、電子機器の耐妨害性の評価を十分にすることができなかった。周期性を有する擬似雑音を発生することのできる周期性擬似雑音発生装置の開発が望まれている。
【0040】
【課題を解決するための手段】
周期性雑音には、周期を決める長いパルス継続時間と長いパルス間隔の周期性発生確率グループと、非周期性の雑音の基となる短いパルス継続時間と短いパルス間隔の非周期性発生確率グループの2つのグループがある。1つの長い周期性発生確率グループに続いて、多数の非周期性発生確率グループが続くことを見出し、これに基づき、グループ順序ループを繰り返すようにしている。
【0041】
この技術思想を実現するべく、複数のパルス継続時間分布PDDおよびパルス間隔分布PSDを格納する分布用メモリと、複数のメモリの内容を所定の周期的順番で読み出し、読み出したパルス継続時間分布PDDおよびパルス間隔分布PSDに従う周期パルス乱数を発生させる任意分布乱数発生器を含む周期パルス乱数発生器を、擬似雑音発生装置に設けて、周期パルス乱数を発生させるようにした。
【0042】
これにより、振幅確率分布APD、交叉率分布CRD、パルス継続時間分布PDDおよびパルス間隔分布PSDを同時に指定して、グループ順序ループ(周期的な選択規則ループ)を繰り返すようにしたから、周期性擬似雑音を発生することができ、電子機器の周期性の雑音に対する耐妨害性の評価を十分にすることが可能となった。
【0043】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態を示す回路構成図であり、従来例を示した図19に対応している。ここで、図19に示した構成要素に対応するものについては、同じ記号を付した。図19に示した構成要素と異なるのは、パルス乱数発生器Cを周期パルス乱数発生器Dに置き換えて、周期パルス乱数Rを発生させている点である。
【0044】
図19と同じく、2つの振幅・交叉率乱数発生器AとA 、スイッチ部SWおよびD/A変換部12を含んでいる。振幅・交叉率乱数発生器AおよびA は、振幅確率分布APDと交叉率分布CRDをそれぞれ指定することにより、振幅乱数XおよびX を発生している。
【0045】
振幅乱数XおよびX は、スイッチ部SWで切替られて、擬似雑音乱数51としてD/A変換部12に印加され、D/A変換されて擬似雑音信号52として出力される。スイッチ部SWの切替は、周期パルス乱数発生器Dからの周期パルス乱数Rによりなされる。オシロスコープ64A(図23)から得られた雑音時間波形のパルス継続時間とパルス間隔の繰り返しパターンおよび統計量測定装置63Aから得られたパルス継続時間分布PDDとパルス間隔分布PSDを用いて、周期パルス乱数Rを発生している。
【0046】
図2には、図1の重要な構成要素である周期パルス乱数発生器Dの内部の回路構成が示されている。そこには、分布用メモリ21、メモリ・スイッチMSW、任意分布乱数発生器23、メモリ・スイッチ選択部25が含まれている。任意分布乱数発生器23には、メモリ・スイッチMSWからの分布データ28が印加され、周期パルス乱数Rを出力している。メモリ・スイッチ選択部25は、周期パルス乱数Rを印加され、メモリ・スイッチ選択信号29を出力してメモリ・スイッチMSWを選択している。
【0047】
分布用メモリ21には、たとえば4個のメモリM,M,M,Mが含まれている。メモリ・スイッチ選択部25には、カウンタ31,32、メモリ33、選択信号生成部35、メモリ36,37が含まれている。これらの構成要素について、つぎに波形図および分布図を用いて説明する。
【0048】
図3は、図21の波形において本発明の重要な役割を果す、長短のパルス継続時間とパルス間隔を説明するための波形図である。ここで、g00は短いパルス間隔を表している。g01は長いパルス間隔を表している。g10は短いパルス継続時間を表している。g11は長いパルス継続時間を表している。
【0049】
図4には、図3の電磁妨害波から図23に示したスペクトル・アナライザを含んだ統計量測定システムを用いて得た、パルス継続時間分布PDD(縦軸及び横軸は対数目盛)が示されている。示された分布は、10−3secを境にして破線で囲った2つのグループG10とG11に分けられる。グループG10は、10−3secより短時間に変化する多くの成分を含んでいる。このグループG10は、図3の相対レベル95以上の短いパルス継続時間で変化している部分g10に対応している。グループG11は、10−2secの成分であり、50Hz電源の半周期の時間(相対レベル95以上の部分)のg11に対応している。この相対レベル95は、図20の振幅レベルhに対応している。
【0050】
図5には、図3の電磁妨害波から得た、パルス間隔分布PSD(縦軸及び横軸は対数目盛)が示されている。示された分布は、10−3secを境にして破線で囲った2つのグループG00とG01に分けられる。グループG00は、10−3secより短時間に変化する多くの成分を含んでいる。このグループG00は、図3の相対レベル95以下の短いパルス間隔で変化している部分g00に対応している。グループG01は、10−2secの成分であり、50Hz電源の半周期の時間(相対レベル95以下の部分)のg01に対応している。
【0051】
各グループG00,G01,G10,G11に属するパルスの発生する確率を、それぞれP00,P01,P10,P11とすると、G00とG01のパルス間隔グループにおいて、P00+P01=1および、G10とG11のパルス継続時間グループにおいて、P10+P11=1となる。
【0052】
グループG11に属する長いパルス継続時間とグループG01に属する長いパルス間隔は交互に発生しているから、発生の確率は等しく、P01=P11 である。グループG00とG10はG11とG01に挟まれて発生しているから、発生の確率は等しく、P00=P10 である。長い周期のグループG11とG01に挟まれて短い周期で多数(n)回発生しているG00とG10の確率は、
nP01=nP11=P00=P10 (1)
の関係がある。
【0053】
図4および図5のグループ分けについて、さらに説明する。図3のg10は短いパルス継続時間、g11は長いパルス継続時間、g00は短いパルス間隔、g01は長いパルス間隔を表している。このパルス継続時間分布PDDを擬似乱数rの関数d(r)と表し、パルス間隔分布PSDを擬似乱数rの関数s(r)と表す。これらは、図23の統計量測定システムで測定する。
【0054】
図4と図5が示すように、測定して得られたパルス継続時間分布PDDとパルス間隔分布PSDは、10−3[sec]を中心にしてそれぞれ2つの分布のグループに分けることができる。そこで、10−3[sec]より短いパルス継続時間分布PDDをG10で表し、10−3[sec]より長いパルス継続時間分布PDDをG11で表している。同様に、10−3[sec]より短いパルス間隔分布PSDをG00で表し、10−3[sec]より長いパルス間隔分布PSDをG01で表している。
【0055】
そして、10−3[sec]より短いパルス継続時間のg10に属するグループをG10とし、10−3[sec]より長いパルス継続時間のg11に属するグループをG11としている(図4)。同様に、10−3[sec]より短いパルス間隔のg00に属するグループをG00とし、10−3[sec]より長いパルス間隔のg01に属するグループをG01としている(図5)。
【0056】
図2の分布メモリ21への格納について説明する。
▲1▼ 図4のグループG10は、10−3[sec]より短いパルス継続時間分布PDDのg10に属するから、パルス継続時間分布PDDを表す関数d(r)のうちのパルス継続時間が10−3[sec]より短い部分を取り出す。
【0057】
たとえば、0≦r<jの範囲でパルス継続時間が10−3[sec]より短い場合、短いパルス継続時間分布PDDの関数d10(r)を決定する。
0≦r<jのとき、 d10(r)=d(r)
j≦r<mのとき、 d10(r)=0
この関数d10(r)は、図4のグループG10として示されている。
【0058】
▲2▼ 図4のグループG11は、10−3[sec]より長いパルス継続時間分布PDDのg11に属するから、パルス継続時間分布PDDを表す関数d(r)のうちのパルス継続時間が10−3[sec]より長い部分を取り出す。
【0059】
たとえば、j≦r<mの範囲でパルス継続時間が10−3[sec]より長い場合、長いパルス継続時間分布PDDの関数d11(r)を決定する。
0≦r<jのとき、 d11(r)=0
j≦r<mのとき、 d11(r)=d(r)
この関数d11(r)は、図4のグループG11として示されている。
【0060】
▲3▼ 図5のグループG00は、10−3[sec]より短いパルス間隔分布PSDのg00に属するから、パルス間隔分布PSDを表す関数s(r)のうちのパルス間隔が10−3[sec]より短い部分を取り出す。
【0061】
たとえば、0≦r<jの範囲でパルス間隔が10−3[sec]より短い場合、短いパルス間隔分布PSDの関数s00(r)を決定する。
0≦r<jのとき、 s00(r)=s(r)
j≦r<mのとき、 s00(r)=0
この関数s00(r)は、図5のグループG00として示されている。
【0062】
▲4▼ 図5のグループG01は、10−3[sec]より長いパルス間隔分布PSDのg01に属するから、パルス間隔分布PSDを表す関数s(r)のうちのパルス間隔が10−3[sec]より長い部分を取り出す。
【0063】
たとえば、j≦r<mの範囲でパルス間隔が10−3[sec]より長い場合、長いパルス間隔分布PSDの関数s01(r)を決定する。
0≦r<jのとき、 s01(r)=0
j≦r<mのとき、 s01(r)=s(r)
この関数s01(r)は、図5のグループG01として示されている。
【0064】
これらのグループ関数d10(r),d11(r),s00(r),s01(r)によってそれぞれ条件付けされた確率は、以下のように計算される。たとえば、m=255(8ビット)で、0≦r<mのd10(r)の条件付確率は、8ビットの値が図24に示す値になる確率となる。たとえば、データ番号1では、擬似乱数rの最上位ビット(i=1)の値が“1”になる確率である。データ番号2では、rの値は、擬似乱数rの最上位ビット(i=1)の値が“0”で次ビット(i=2)の値が“1”になる確率である。同様にして、データ番号255では、rの値は、擬似乱数rの上位7ビット(i=7)の値が“1111111”で8位のビット(i+1=8)の値が“1”になる確率である。
【0065】
図6は、グループ分けしたパルス継続時間分布とパルス間隔分布の周期的な選択規則ループの一例を示した選択規則図である。長い周期のグループG11とG01(太枠)に挟まれて短い周期でG00とG10(細枠)が交互に多数(n)回発生し、このグループ順序のループを、繰り返し実行している。この周期的な選択規則は、式(1)の示す関係を満足している。
【0066】
図7および図8は、図1の回路構成における動作を説明するための振幅乱数分布図である。同図の時間軸tとグループ別gを参照しながら、以下において説明する。
【0067】
式(1)は、レベルhにおいて、パルス継続時間とパルス間隔を観測したときに、1回の長いパルス継続時間g11(t26〜t62)に対してn回(図ではn=10)の短いパルス継続時間g10(例えば、t〜t7 ,10〜t13,t15〜t16,・・・,t85〜t88など)が存在することを表している。同様に、1回の長いパルス間隔g01(t88〜t121 )に対してn回の短いパルス間隔g00(例えば、t〜t10,13〜t15,t16〜t17,・・・,t76〜t80など)が存在することを表している。したがって、周期的な選択規則の1ループには、パルス継続時間が長短合わせて(1+n)回、パルス間隔が長短合わせて(1+n)回発生する。すなわち、周期的な選択規則の1ループには、パルス継続時間とパルス間隔の長短合わせて2(1+n)回発生することになる。
【0068】
そこで、図2のメモリ33,36,37のそれぞれの格納内容をm33,m36,m37とおいて、それらの値を以下のように決定する。
33=2(1+n)−1=1+2n (2)
36=m33−n=1+n (3)
37=0 (4)
式(2),(3),(4)の値をメモリ33,36,37のそれぞれに、初期設定しておく(図7と図8では、n=10、m33=21、m36=11、m37=0に設定)。
【0069】
図9および図10には、図7および図8の時間軸(a)とグループ分け(b)に対するするカウンタ32のカウント値(c),カウンタ31のカウント値(d)および周期パルス乱数Rの値(e)が示されている。以下、図9と図10を参照しながら、説明する。
【0070】
▲1▼ カウンタ31には、周期パルス乱数Rの値がセットされ、1クロック(図示されてはいない)ごとにデクリメント(カウント・ダウン)する。カウンタ値が0(たとえば、t19)になると、新しい周期パルス乱数Rの値(たとえば、t20においては2)にセットし直している。
【0071】
▲2▼ カウンタ31のカウント値が0になると(t10)、式(2)の値をメモリ33から初期設定されたカウンタ32は、カウント値を1回デクリメントする。このデクリメント動作が繰り返されて、カウンタ32のカウント値が0(t88)になると、その直後のカウンタ31が0になった時点(t120)の次の時点(t121)でカウンタ32にメモリ33から式(2)の値(1+2n=21)をセットしなおす。
【0072】
▲3▼ 選択信号生成部35は2ビットのメモリ・スイッチ選択信号29を出力している。カウンタ32のカウント値がメモリ36に格納されている式(3)の値になったとき(t26)には、メモリ・スイッチ選択信号29は“11”となり、長いパルス継続時間(メモリMに格納されている)を選択する。カウンタ32のカウント値がメモリ37に格納されている式(4)の値になったとき(t88)には、メモリ・スイッチ選択信号29は“01”となり、長いパルス間隔(メモリMに格納されている)を選択する。
【0073】
▲4▼ 選択信号生成部35の下位ビットが0のとき(カウンタ32のカウント値が式(3)または(4)の値に等しくない時)には、カウンタ32の最下位ビットの値(0または1)がメモリ・スイッチ選択信号29の上位ビットの値となり、短いパルス継続時間(メモリMに格納されている)または短いパルス間隔(メモリMに格納されている)のうちのいずれかを選択する。
【0074】
カウンタ31と32は、周期パルス乱数Rの値をカウントして、時間軸tの進行をカウントしている。そのカウント値から選択信号生成部35は、長い又は短いパルス継続時間と長い又は短いパルス間隔を判断して、メモリ・スイッチ選択信号29を出力している。2ビットのメモリ・スイッチ選択信号29とそれによって読み出される分布用メモリ21の関係は、以下のようになっている。
【0075】
メモリ・スイッチ選択信号29が“00”を示すと、メモリ・スイッチMSWは、分布用メモリ21に含まれたメモリMを選択し、グループG00の短いパルス間隔を出力する。
【0076】
メモリ・スイッチ選択信号29が“10”を示すと、メモリ・スイッチMSWは、分布用メモリ21に含まれたメモリMを選択しグループG10の短いパルス継続時間を出力する。
【0077】
メモリ・スイッチ選択信号29が“01”を示すと、メモリ・スイッチMSWは、分布用メモリ21に含まれたメモリMを選択しグループG01の長いパルス間隔を出力する。
【0078】
メモリ・スイッチ選択信号29が“11”を示すと、メモリ・スイッチMSWは、分布用メモリ21に含まれたメモリMを選択しグループG11の長いパルス継続時間を出力する。
【0079】
このようにして、メモリM〜Mの選択が行われる。メモリ選択の順序の一例を示す。
→M→M・・・→M→M→M→M→M・・・→M→M→M→M→M・・・
この選択手順ループが周期的に繰り返される。
【0080】
ここで、MはグループG11の長いパルス継続時間の分布を、MはグループG01の長いパルス間隔の分布を格納しており、MとMの間で短いパルス継続時間の分布を格納したメモリMと短いパルス間隔の分布を格納したメモリMが交互に繰り返して読み出される。Mと1ループ後のMの間でも短いパルス継続時間分布を格納したメモリMと短いパルス間隔の分布を格納したメモリMが交互に繰り返して読み出される。
【0081】
図7および図8において、周期パルス乱数発生器Dは、振幅乱数Xが振幅レベルhを(太線が)横切る時点の周期的タイミングを決定している。たとえば、振幅レベルhを横切る時点t26とt62の間隔はパルス継続時間分布PDDに従い、t88とt120の間隔はパルス間隔分布PSDに従って、周期パルス乱数発生器Dがパルス乱数Rとして出力している。
【0082】
図11は、図1の装置で得た擬似雑音信号52の波形図である。これには、図4と図5で得たパルス継続時間分布とパルス間隔分布のグループに関する図6の周期的な選択規則ループを用いている。振幅・交叉率乱数発生器A,Aには、図3の波形から、スペクトル・アナライザの一種である統計量測定装置により得た振幅確率分布APD、交叉率分布CRD(これらは、図22を得るために用いたパラメータに同じである)を用いている。
【0083】
電子機器から放射された図21の電磁妨害波に対し、図22の従来の装置によって得た擬似雑音信号の波形は、周期性において著しい差異がある。それに対し図11の波形は、図23のスペクトル・アナライザを含む統計量測定システムにより得た図22と同じパラメータを用い、図6の周期的な選択規則ループを用いたものであり、図3と同様の周期性のある擬似電磁妨害波となっている。
【0084】
図12には、図1の装置で図11の波形を得た場合の、周期パルス乱数Rの値をD/A変換したときの波形が示されている。これは、0.02sec周期のパルス波形を示している。この周期性の波形は、図6に例示したグループ選択順序のループに従っているからである。
【0085】
図13には、図11の波形の確率密度関数PDF(sim:丸印)と図3の波形の確率密度関数PDF(org:実線)が示されている。本発明による図1の回路構成で得た擬似雑音信号52は、図3の電磁妨害波に近似していることが判る。
【0086】
図14には、図11の波形の交叉率分布CRD(sim:丸印)と図3の波形の交叉率分布CRD(org:実線)が示されている。本発明による図1の回路構成で得た擬似雑音信号52は、図3の電磁妨害波に近似していることがこれによっても判る。
【0087】
図15には、図11の波形のパルス継続時間分布PDD(sim:丸印)と図3の波形のパルス継続時間分布PDD(org:実線)が示されている。本発明による図1の回路構成で得た擬似雑音信号52は、図3の電磁妨害波に近似していることがこれによっても判る。
【0088】
図16には、図11の波形のパルス間隔分布PSD(sim:丸印)と図3の波形のパルス間隔分布PSD(org:実線)が示されている。本発明による図1の回路構成で得た擬似雑音信号52は、図3の電磁妨害波に近似していることがこれによっても判る。
【0089】
図17は、図25に対応しており、図2の分布用メモリ21の格納内容の一例を示している。ここで、図17の図25との差異は、パルス継続時間分布PDDの確率分布QをG11とG10とに、QをG01とG00とに、長短の4グループに分けたことにある。
【0090】
すなわち、長いパルス継続時間のグループG11と、短いパルス継続時間のグループG10と、長いパルス間隔のグループG01と、短いパルス間隔のグループG00とである。これら4グループに対応して、分布用メモリ21には4個のメモリM〜Mを設け、それぞれMにはG00を、MにはG10を、MにはG01を、MにはG11を格納している。
【0091】
アドレス1023には、図24に示したデータ番号255のグループG11の長いパルス継続時間という条件を付けた確率(条件付確率、以下同じ)を格納している。同様にアドレス769には、図24に示したデータ番号1のグループG11の長いパルス継続時間という条件を付けた確率を格納している。アドレス768のデータ番号には図24に対応するものが無く空きになっている。
【0092】
アドレス767には、図24に示したデータ番号255のグループG10の短いパルス継続時間という条件を付けた確率を格納している。同様にアドレス513には、図24に示したデータ番号1のグループG10の短いパルス継続時間という条件を付けた確率を格納している。アドレス512のデータ番号には図24に対応するものが無く空きになっている。
【0093】
アドレス511には、図24に示したデータ番号255のグループG01の長いパルス間隔という条件を付けた確率を格納している。同様にアドレス257には、図24に示したデータ番号1のグループG01の長いパルス間隔という条件を付けた確率を格納している。アドレス256のデータ番号には図24に対応するものが無く空きになっている。
【0094】
アドレス255には、図24に示したデータ番号255のグループG00の短いパルス間隔という条件を付けた確率を格納している。同様にアドレス2には、図24に示したデータ番号2のグループG00の短いパルス間隔という条件を付けた確率を格納している。アドレス1には、図24に示したデータ番号1のグループG00の短いパルス間隔という条件を付けた確率を格納している。アドレス0のデータ番号には図24に対応するものが無く空きになっている。
【0095】
図18は、図26に対応しており、図2の分布用メモリ21の格納内容の他の実施例を示している。ここで、図18の図26との差異は、パルス継続時間分布PDDの確率分布QをG11とG10とに、QをG01とG00とに、長短の4グループに分けたことにある。そこには8個のメモリ0〜7が使用されている。ここで確率分布G11,G10,G01とG00 のデータ番号は、図24に示したものを表している。
【0096】
メモリ0のアドレス0〜3には、図24のデータ番号1のグループG00,G01,G10,G11の短いパルス間隔、長いパルス間隔、短いパルス継続時間、長いパルス継続時間という条件を付けた確率分布の内容を格納している。
【0097】
メモリ1のアドレス0,1には、図24のデータ番号2,3のグループG00の短いパルス間隔という条件を付けた確率分布の内容が格納される。アドレス2,3には、図24のデータ番号2,3のグループG01の長いパルス間隔という条件を付けた確率分布の内容が格納される。同様に、アドレス4,5には、グループ,G10の短いパルス継続時間という条件を付けた確率分布の内容が格納される。アドレス6,7には、グループ,G11の長いパルス継続時間という条件を付けた確率分布の内容が格納される。
【0098】
同様にして、メモリ7のアドレス0〜127には、図24のデータ番号128〜255のグループG00の短いパルス間隔という条件を付けた確率分布の内容が格納される。アドレス128〜255には、図24のデータ番号128〜255のG01の長いパルス間隔という条件を付けた確率分布の内容が格納される。
アドレス256〜383には、図24のデータ番号128〜255のG10の短いパルス継続時間という条件を付けた確率分布の内容が格納される。アドレス384〜511には、図24のデータ番号128〜255のG11の長いパルス継続時間という条件を付けた確率分布の内容が格納される。
【0099】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、電磁妨害波の多くは、周期性の雑音であるにもかかわらず、従来の擬似雑音発生装置は、周期性擬似雑音を発生することができなかった。本発明では、簡単な構成により、振幅確率分布、交叉率分布、パルス継続時間分布およびパルス間隔分布を同時に指定して、所定のグループ順序ループを繰り返すようにして、周期性擬似雑音を発生するようにしたから、電子機器の周期性の雑音に対する耐妨害性の評価を十分にすることができるようになった。したがって、本発明の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す回路構成図である。
【図2】図1の重要な構成要素である周期パルス乱数発生器の内部の回路構成図である。
【図3】本発明における長短のパルス継続時間とパルス間隔を説明するための周期性電磁妨害波の波形図である。
【図4】図3の電磁妨害波から得た、グループ分けしたパルス継続時間分布図である。
【図5】図3の電磁妨害波から得た、グループ分けしたパルス間隔分布図である。
【図6】本発明におけるグループ分けしたパルス継続時間分布とパルス間隔分布のグループ順序(選択規則)ループの一例を示した選択規則図である。
【図7】図1の回路構成における動作を説明するための振幅乱数分布図である。
【図8】図7とともに、図1の回路構成における動作を説明するための振幅乱数分布図である。
【図9】図7の時間軸における図2の回路構成の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図10】図8の時間軸における図2の回路構成の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図11】図1の装置で得た擬似雑音信号52の波形図である。
【図12】図1の装置で図11の波形を得た場合の周期パルス乱数RをD/A変換したときの波形図である。
【図13】図11の波形と図21の波形を比較した確率密度関数PDF図である。
【図14】図11の波形と図21の波形を比較した交叉率分布CRD図である。
【図15】図11の波形と図21の波形を比較したパルス継続時間分布PDD図である。
【図16】図11の波形と図21の波形を比較したパルス間隔分布PSD図である。
【図17】図2に示した分布用メモリの格納内容の一例を示した内容図である。
【図18】図2に示した分布用メモリの格納内容の他の実施例を示した内容図である。
【図19】従来例を示す回路構成図である。
【図20】従来例を示す図19の回路構成における動作を説明するための振幅乱数分布図である。
【図21】従来の電子機器から放射された電磁妨害波の波形図である。
【図22】図19の装置により発生させた擬似雑音の波形図である。
【図23】図22の擬似雑音を得る各種統計量を測定するための統計量測定システムの構成図である。
【図24】図23の構成で得た条件付確率の一例を示す条件付確率図である。
【図25】図19のパルス乱数発生器に格納される条件付確率の一実施例を示す格納図である。
【図26】図19のパルス乱数発生器に格納される条件付確率の他の実施例を示す格納図である。
【符号の説明】
12 D/A変換部
21 分布用メモリ
23 任意分布乱数発生器
25 メモリ・スイッチ選択部
28 分布データ
29 メモリ・スイッチ選択信号
31,32 カウンタ
33 メモリ
35 選択信号生成部
36,37 メモリ
51 擬似雑音乱数
52 擬似雑音信号
53 スイッチ切替信号
60 電磁妨害源
61 アンテナ
62A スペクトル・アナライザ
63A,B 統計量測定器
64A,B オシロスコープ
65 擬似雑音発生制御部
66 擬似雑音発生装置
70 電磁妨害波
71 電磁妨害信号
72 雑音時間波形
73 統計量分布情報
74 波形情報
75 擬似雑音発生制御情報
,A 振幅・交叉率乱数発生器
C パルス乱数発生器
D 周期パルス乱数発生器
00〜G11 グループ
00 短いパルス間隔
01 長いパルス間隔
10 短いパルス継続時間
11 長いパルス継続時間
h PDD/PSD指定レベル
〜M メモリ
MSW メモリ・スイッチ
P パルス乱数
R 周期パルス乱数
S ステップ
SW スイッチ部
,X 振幅乱数

Claims (6)

  1. 2種の指定したレベル範囲(0〜h,h〜h)において所定の振幅確率分布(APD)と所定の交叉率分布(CRD)に従って、それぞれ振幅乱数(X,X)を発生せしめるための振幅・交叉率乱数発生処理(A,A)をし、
    短いパルス間隔グループ(G00)、短いパルス継続時間グループ(G10)、長いパルス間隔グループ(G01)および長いパルス継続時間グループ(G11)の分布を予め格納するための分布用メモリ処理(21,M)と、前記4個のグループ(G00,G01,G10,G11)のうちから、前記長いパルス継続時間グループ(G11)を1回選択し、前記短いパルス間隔グループ(G00)と前記短いパルス継続時間グループ(G10)とを交互に繰り返して選択し、前記長いパルス間隔グループ(G01)を1回選択し、前記短いパルス間隔グループ(G00)と前記短いパルス継続時間グループ(G10)とを交互に繰り返し選択して、もとの前記長いパルス継続時間グループ(G11)を1回選択する一連のグループ順序ループを繰り返すようにメモリ・スイッチ選択信号(29)を出力するためのメモリ・スイッチ選択処理(25)と、前記予め格納しておいた4個のグループ(G00,G01,G10,G11)のうちから、前記メモリ・スイッチ選択信号(29)の指示する前記一連のグループ順序ループで選択して読み出し、分布データ(28)を得るためのメモリ・スイッチ処理(MSW)と、前記分布データ(28)に従う任意に分布した前記一連のグループ順序ループの乱数である周期パルス乱数(R)を発生させるための任意分布乱数発生処理(23)とを含んだ周期パルス乱数発生処理(D)をし、
    前記振幅・交叉率乱数発生処理(A,A)において得た前記振幅乱数(X,X)から、前記周期パルス乱数(R)に従って選択した擬似雑音乱数(51)を得るためのスイッチ処理(SW)をし、
    前記擬似雑音乱数(51)をD/A変換して擬似雑音信号(52)を得るためのD/A変換処理(12)をする
    周期性擬似雑音発生方法。
  2. 前記メモリ・スイッチ選択処理(25)において、
    前記周期パルス乱数(R)の値をカウントするカウント処理(31,32,33)をし、そのカウント値から前記メモリ・スイッチ選択信号(29)を生成するための選択信号生成処理(35,36,37)をする
    請求項1の周期性擬似雑音発生方法。
  3. 前記周期パルス乱数発生処理(D)に含まれた前記分布用メモリ処理(21,M)において、
    前記短いパルス間隔グループ(G00)、前記短いパルス継続時間グループ(G10)、前記長いパルス間隔グループ(G01)および前記長いパルス継続時間グループ(G11)の分布をそれぞれのグループ別に予め格納するようにした
    請求項1の周期性擬似雑音発生方法。
  4. 2種の指定したレベル範囲(0〜h,h〜h)において所定の振幅確率分布(APD)と所定の交叉率分布(CRD)に従って、それぞれ振幅乱数(X,X)を発生せしめるための振幅・交叉率乱数発生手段(A,A)と、
    短いパルス間隔グループ(G00)、短いパルス継続時間グループ(G10)、長いパルス間隔グループ(G01)および長いパルス継続時間グループ(G11)の分布を予め格納するための分布用メモリ手段(21,M)と、前記4個のグループ(G00,G01,G10,G11)のうちから、前記長いパルス継続時間グループ(G11)を1回選択し、前記短いパルス間隔グループ(G00)と前記短いパルス継続時間グループ(G10)とを交互に繰り返して選択し、前記長いパルス間隔グループ(G01)を1回選択し、前記短いパルス間隔グループ(G00)と前記短いパルス継続時間グループ(G10)とを交互に繰り返し選択して、もとの前記長いパルス継続時間グループ(G11)を1回選択する一連のグループ順序ループを繰り返すようにメモリ・スイッチ選択信号(29)を出力するためのメモリ・スイッチ選択手段(25)と、前記予め格納しておいた4個のグループ(G00,G01,G10,G11)のうちから、前記メモリ・スイッチ選択信号(29)の指示する前記一連のグループ順序ループで選択して読み出し、分布データ(28)を得るためのメモリ・スイッチ手段(MSW)と、前記分布データ(28)に従う任意に分布した前記一連のグループ順序ループの乱数である周期パルス乱数(R)を発生させるための任意分布乱数発生手段(23)とを含んだ周期パルス乱数発生手段(D)と、
    前記振幅・交叉率乱数発生手段(A,A)において得た前記振幅乱数(X,X)から、前記周期パルス乱数(R)に従って選択した擬似雑音乱数(51)を得るためのスイッチ手段(SW)と、
    前記擬似雑音乱数(51)をD/A変換して擬似雑音信号(52)を得るためのD/A変換手段(12)とを含む
    周期性擬似雑音発生装置。
  5. 前記メモリ・スイッチ選択手段(25)において、
    前記周期パルス乱数(R)の値をカウントするカウント手段(31,32,33)と、そのカウント値から前記メモリ・スイッチ選択信号(29)を生成するための選択信号生成手段(35,36,37)とを含む
    請求項4の周期性擬似雑音発生装置。
  6. 前記周期パルス乱数発生手段(D)に含まれた前記分布用メモリ手段(21,M)において、前記短いパルス間隔グループ(G00)、前記短いパルス継続時間グループ(G10)、前記長いパルス間隔グループ(G01)および前記長いパルス継続時間グループ(G11)の分布をそれぞれのグループ別に予め格納するようにした
    請求項4の周期性擬似雑音発生装置。
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