JP2005005808A - 最大値検出回路及び最小値検出回路 - Google Patents

最大値検出回路及び最小値検出回路 Download PDF

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Masanori Inamori
正憲 稲森
Koichiro Sugimoto
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Abstract

【課題】与えられた複数の入力電圧のうち最大値及び最小値を精度よくそれぞれ出力する最大値検出回路及び最小値検出回路を実現する。
【解決手段】最大値検出回路は、トランジスタQ11〜Q13にそれぞれ直列に接続され、最大入力電圧が印加されたトランジスタに接続されたものが導通状態になる一方、残余のものが非導通状態になるトランジスタQ21〜Q23と、トランジスタQ21〜Q23とカレントミラー回路を構成するトランジスタQ2rと、上記トランジスタQ11〜Q13と同じ電流−電圧特性を有し、上記トランジスタQ2rに直列に接続され、最大入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分を補償したものを上記最大値として出力するトランジスタQ1rとを備えている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力された複数の電圧の中で最大電圧と等しい電圧を出力電圧として出力する最大値検出回路、及び入力された複数の電圧の中で最小電圧と等しい電圧を出力電圧として出力する最小値検出回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の最大値検出回路及び最小値検出回路は、例えば特許文献1に開示されている。図3は、上記従来の最大値検出回路の構成例を示す回路図である。
【0003】
この最大値検出回路は、n(n:2以上の整数)個のNPN型バイポーラトランジスタQP1〜QPnの各ベースに与えられる入力電圧x1〜xnのうち、最大値と等しい電圧を出力電圧zとして出力する。
【0004】
例えば、入力電圧x1が最大値(Vmaxとする)の場合、トランジスタQP1のみがON状態となる一方、トランジスタQP2〜QPnはOFF状態となる。トランジスタQP1のエミッタには、上記VmaxからVBE(ベース−エミッタ間電圧)を差し引いた電圧(Vmax‐VBE)が現れる。
【0005】
図3において、電流源JP1及びJP2は同じ大きさの電流I1を流すものであり、トランジスタQP1及びトランジスタQrには同じ大きさの電流I1(エミッタ電流IE)が流れる。このとき、トランジスタQrのエミッタ電圧(出力電圧zに等しい)は、トランジスタQP1のエミッタ電圧にトランジスタQrのベース−エミッタ間電圧を加えたものとなる。
【0006】
これらのトランジスタQP1及びQrが同じVBE(ベース−エミッタ間電圧)−IE(エミッタ電流)特性を持っていれば、両トランジスタのベース−エミッタ間電圧が等しくなる。したがって、トランジスタQrのエミッタ電圧は、[(Vmax−VBE)+VBE]=Vmaxで表される。
【0007】
このように、トランジスタQP1のエミッタ電圧に含まれるベース−エミッタ間電圧(VBE)は、トランジスタQrのベース−エミッタ間電圧によって補償されるので、出力電圧z=Vmaxとなる。
【0008】
ここで、上記の最小値検出回路について、図4を参照しながら、説明する。この最小値検出回路は、n(n:2以上の整数)個のPNP型バイポーラトランジスタQP1〜QPnの各ベースに与えられる入力電圧x11〜x1nのうち、最小値と等しい電圧を出力電圧zとして出力する。
【0009】
例えば、入力電圧x11が最小値(Vminとする)の場合、トランジスタQP11のみがON状態となる一方、トランジスタQP12〜QP1nはOFF状態となる。トランジスタQP11のエミッタには、上記VminにVBE(ベース−エミッタ間電圧)を足した電圧(Vmin+VBE)が現れる。
【0010】
図4において、電流源JP11及びJP12は同じ大きさの電流I11を流すものであり、トランジスタQP11及びトランジスタQr1には同じ大きさの電流I11(エミッタ電流IE)が流れる。このとき、トランジスタQr1のエミッタ電圧(出力電圧zに等しい)は、トランジスタQP11のエミッタ電圧からトランジスタQr1のベース−エミッタ間電圧を差し引いたものとなる。
【0011】
これらのトランジスタQP11及びQr1が同じVBE(ベース−エミッタ間電圧)−IE(エミッタ電流)特性を持っていれば、両トランジスタのベース−エミッタ間電圧が等しくなる。したがって、トランジスタQr1のエミッタ電圧は、[(Vmin+VBE)−VBE]=Vminで表される。
【0012】
このように、トランジスタQP11のエミッタ電圧に含まれるベース−エミッタ間電圧(VBE)は、トランジスタQr1のベース−エミッタ間電圧によって補償されるので、出力電圧z=Vminとなる。
【0013】
【特許文献1】
特開昭63−123221号公報(公開日:昭和63年5月27日)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術では、次のような問題点を有している。
【0015】
すなわち、最大値検出回路において、トランジスタQP1〜QPnのうち、2つ以上のトランジスタに最大電圧Vmaxが印加された場合、最大電圧Vmaxが印加された2つ以上のトランジスタが共にON状態となる。
【0016】
例えば、入力電圧x1=x2=Vmaxとすると、トランジスタQP1及びQP2が共にON状態となって、電流源Jp1からの電流I1は、これらの2つのトランジスタに(I1)/2ずつ流れることになる。同様に、トランジスタQP1〜QP3のうち3つのトランジスタが共にON状態となると、これらのトランジスタのそれぞれに流れる電流は(I1)/3になる。
【0017】
このように、トランジスタQP1〜QPnのうちON状態にあるトランジスタに流れる各電流と、トランジスタQrに流れる電流(=I1)とが異なると、トランジスタQP1〜QPn及びQrが同じVBE‐IE特性を持っていたとしても、トランジスタQP1〜QPnのベース−エミッタ間電圧とトランジスタQrのベース−エミッタ間電圧とが異なることとなる。
【0018】
従って、トランジスタQP1〜QPnのうちON状態にあるトランジスタのベース−エミッタ間電圧は、トランジスタQrのベース−エミッタ間電圧によって正しく補償されなくなる。その結果、出力電圧zは、Vmaxと等しくなくなるという不都合が生じる。
【0019】
また、上記従来技術においては、出力のインピーダンスが高いため、出力負荷に対しても、入力電圧と出力電圧との間の誤差が大きくなるという不具合も招来する。
【0020】
なお、図4の最小値検出回路においても上記と同様の不具合を招来する。
【0021】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、複数の入力電圧が最大値又は最小値である場合や、複数の入力電圧が最小値である場合や、出力に負荷が付属された場合に、入力電圧に対する出力電圧の誤差を小さくすることが可能な最大値検出回路及び最小値検出回路を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の最大値検出回路は、上記課題を解決するために、複数の入力電圧から最大値を検出するものであって、複数の上記入力電圧をそれぞれ入力する入力トランジスタと、上記複数の入力トランジスタにそれぞれ直列に接続され、最大入力電圧が印加された入力トランジスタに接続されたものが導通状態になる一方、残余のものが非導通状態になる第1トランジスタと、上記第1トランジスタとカレントミラー回路を構成する第2トランジスタと、上記入力トランジスタと同じ電流−電圧特性を有し、上記第2トランジスタに直列に接続され、最大入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分を補償したものを上記最大値として出力する出力トランジスタとを備えたことを特徴としている。
【0023】
上記の発明によれば、複数の入力電圧が複数の入力トランジスタにそれぞれ入力され、これら複数の入力電圧のうち、最大値が出力トランジスタから出力される。
【0024】
第1トランジスタは入力トランジスタと同数設けられ、対応する入力トランジスタ及び第1トランジスタは互いに直列に接続されている。第1トランジスタと第2トランジスタとはカレントミラー回路を構成する。
【0025】
これら複数の第1トランジスタは、最大入力電圧が印加された入力トランジスタに接続されたもののみ導通状態となる一方、最大入力電圧よりも小さい電圧が印加された残余の入力トランジスタに接続されたものは非導通状態となる。
【0026】
導通した第1トランジスタには電流が流れ、この電流は直列に接続された入力トランジスタに流れる。これに対して、非導通の第1トランジスタには電流が流れない。このとき、導通した第1トランジスタとカレントミラー回路を構成する第2トランジスタには、第1トランジスタに流れるのと同じ電流が流れる。
【0027】
同じ電流−電圧特性を有する入力トランジスタ及び出力トランジスタにおいて同じ電流がそれぞれに流れると、同じ電圧降下が生じる。これにより、第2トランジスタに直列に接続された出力トランジスタにおいて、最大入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分が補償され、補償後の電圧が最大値として出力される。
【0028】
以上のように、上記発明によれば、複数の入力トランジスタに入力されたもののうち複数が最大入力電圧であっても、これら入力トランジスタにそれぞれ接続された第1トランジスタ及び第2トランジスタに流れる電流はカレントミラー回路構成により全て等しくなるので、最大入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分が第2トランジスタによって確実且つ正確に補償できる。
【0029】
上記の最大値検出回路において、出力インピーダンスを変換するインピーダンス変換回路が更に備えられていることが好ましい。この場合、出力負荷に対しても、入力電圧と出力電圧の誤差を低減することができる。
【0030】
つまり、最大値検出回路の出力に負荷が接続されて出力電圧が降下しても、出力インピーダンスの変換により電圧降下が補償される。また、同様に、出力電圧が上昇しても、電圧上昇が補償される。
【0031】
上記最大値検出回路において、前記の第1及び第2トランジスタはPNPトランジスタであり、前記の入力及び出力トランジスタはNPNトランジスタであり、前記入力トランジスタの各エミッタと前記出力トランジスタのエミッタとは互いに接続され、直列に接続された前記の第1トランジスタ及び前記の入力トランジスタは、この順に電源とグランドとの間に接続されており、前記の入力トランジスタと前記の第1トランジスタとの接続点の電圧に応じて前記の第1トランジスタを導通状態又は非導通状態に制御する第1トランジスタ制御回路を更に備え、上記の第1トランジスタ制御回路は、上記接続点の電圧が降下したときにのみ前記第1トランジスタのベースから電流を吸引することが好ましい。
【0032】
この場合、直列に接続された第1トランジスタ及び入力トランジスタの接続点の電圧は、入力トランジスタが導通状態にあるか又は非導通状態にあるかに応じて変化する。
【0033】
具体的には、入力トランジスタに最大入力電圧が印加されると、入力トランジスタが導通状態になる。入力トランジスタはグランド側に設けられているので、上記接続点の電圧は降下する。これに伴って、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのベースから電流が吸引される。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは導通状態になる。
【0034】
これに対して、入力トランジスタに最大入力電圧よりも低い電圧が印加されると、入力トランジスタが非導通状態になるので、上記接続点の電圧は電源に近い電圧になる。このとき、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのベースから電流が吸引されることはない。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは非導通状態になる。
【0035】
上記のような第1トランジスタ制御回路は、簡単な構成により実現でき、最大入力電圧が印加されない入力トランジスタに接続された第1トランジスタを確実に非導通状態にできる。
【0036】
上記最大値検出回路において、前記の第1及び第2トランジスタはPチャンネルのMOSトランジスタであり、前記の入力及び出力トランジスタはNチャンネルのMOSトランジスタであり、前記入力トランジスタの各ソースと前記出力トランジスタのソースとは互いに接続され、直列に接続された前記の第1トランジスタ及び前記の入力トランジスタは、この順に電源とグランドとの間に接続されており、前記の入力トランジスタと前記の第1トランジスタとの接続点の電圧に応じて前記の第1トランジスタを導通状態又は非導通状態に制御する第1トランジスタ制御回路を更に備え、上記の第1トランジスタ制御回路は、最大入力電圧が前記入力トランジスタに印加されたときにのみ前記第1トランジスタのゲートにしきい電圧を印加する構成でもよい。
【0037】
この場合も、直列に接続された第1トランジスタ及び入力トランジスタの接続点の電圧は、入力トランジスタが導通状態にあるか又は非導通状態にあるかに応じて変化する。
【0038】
具体的には、入力トランジスタに最大入力電圧が印加されると、入力トランジスタが導通状態になる。入力トランジスタはグランド側に設けられているので、上記接続点の電圧は降下する。これに伴って、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのゲートへしきい電圧が供給される。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは導通状態になる。
【0039】
これに対して、入力トランジスタに最大入力電圧よりも低い電圧が印加されると、入力トランジスタが非導通状態になるので、上記接続点の電圧は電源に近い電圧になる。このとき、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのゲートへしきい電圧が供給されることはない。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは非導通状態になる。
【0040】
上記のような第1トランジスタ制御回路は、簡単な構成により実現でき、最大入力電圧が印加されない入力トランジスタに接続された第1トランジスタを確実に非導通状態にできる。
【0041】
本発明に係る最小値検出回路は、上記の課題を解決するために、複数の入力電圧から最小値を検出する最小値検出回路であって、複数の上記入力電圧をそれぞれ入力する入力トランジスタと、上記の複数の入力トランジスタにそれぞれ直列に接続され、最小入力電圧が印加された入力トランジスタに接続されたものが導通状態になる一方、残余のものが非導通状態になる第1トランジスタと、上記第1トランジスタとカレントミラー回路を構成する第2トランジスタと、上記入力トランジスタと同じ電流−電圧特性を有し、上記第2トランジスタに直列に接続され、最小入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分を補償したものを上記最小値として出力する出力トランジスタとを備えたことを特徴としている。
【0042】
上記の発明によれば、複数の入力電圧が複数の入力トランジスタにそれぞれ入力され、これら複数の入力電圧のうち、最小値が出力トランジスタから出力される。
【0043】
第1トランジスタは入力トランジスタと同数設けられ、対応する入力トランジスタ及び第1トランジスタは互いに直列に接続されている。第1トランジスタと第2トランジスタとはカレントミラー回路を構成する。
【0044】
これら複数の第1トランジスタは、最小入力電圧が印加された入力トランジスタに接続されたもののみ導通状態となる一方、最小入力電圧よりも大きい電圧が印加された残余の入力トランジスタに接続されたものは非導通状態となる。
【0045】
導通した第1トランジスタには電流が流れ、この電流は直列に接続された入力トランジスタにも流れる。これに対して、非導通の第1トランジスタには電流が流れない。このとき、導通した第1トランジスタとカレントミラー回路を構成する第2トランジスタには、第1トランジスタに流れるのと同じ電流が流れる。
【0046】
同じ電流−電圧特性を有する入力トランジスタ及び出力トランジスタにおいて同じ電流がそれぞれに流れると、同じ電圧降下が生じる。これにより、第2トランジスタに直列に接続された出力トランジスタにおいて、最小入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分が補償され、補償後の電圧が最小値として出力される。
【0047】
以上のように、上記発明によれば、複数の入力トランジスタに入力されたもののうち複数が最小入力電圧であっても、これら入力トランジスタにそれぞれ接続された第1トランジスタ及び第2トランジスタに流れる電流はカレントミラー回路構成により全て等しくなるので、最小入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分が第2トランジスタによって確実且つ正確に補償できる。
【0048】
上記の最小値検出回路において、出力インピーダンスを変換するインピーダンス変換回路を更に備えていることが好ましい。この場合、出力負荷に対しても、入力電圧と出力電圧の誤差を低減することができる。
【0049】
つまり、最大値検出回路の出力に負荷が接続されて出力電圧が降下しても、出力インピーダンスの変換により電圧降下が補償される。また、同様に、出力電圧が上昇しても、電圧上昇が補償される。
【0050】
上記の最小値検出回路において、前記の第1及び第2トランジスタはNPNトランジスタであり、前記の入力及び出力トランジスタはPNPトランジスタであり、前記入力トランジスタの各エミッタと前記出力トランジスタのエミッタとは互いに接続され、直列に接続された前記の第1トランジスタ及び前記の入力トランジスタは、この順にグランドと電源との間に接続されており、前記の入力トランジスタと前記の第1トランジスタとの接続点の電圧に応じて前記の第1トランジスタを導通状態又は非導通状態に制御する第1トランジスタ制御回路を更に備え、上記の第1トランジスタ制御回路は、最小入力電圧が前記入力トランジスタに印加されたときにのみ前記第1トランジスタのベースへ電流を供給することが好ましい。
【0051】
この場合、直列に接続された第1トランジスタ及び入力トランジスタの接続点の電圧は、入力トランジスタが導通状態にあるか又は非導通状態にあるかに応じて変化する。
【0052】
具体的には、入力トランジスタに最小入力電圧が印加されると、入力トランジスタが導通状態になる。入力トランジスタは電源側に設けられているので、上記接続点の電圧は上昇する。これに伴って、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのベースへ電流が供給される。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは導通状態になる。
【0053】
これに対して、入力トランジスタに最小入力電圧よりも大きい電圧が印加されると、入力トランジスタが非導通状態になるので、上記接続点の電圧はグランドに近い電圧になる。このとき、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのベースへ電流が供給されることはない。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは非導通状態になる。
【0054】
上記のような第1トランジスタ制御回路は、簡単な構成により実現でき、最大入力電圧が印加されない入力トランジスタに接続された第1トランジスタを確実に非導通状態にできる。
【0055】
上記の最小値検出回路において、前記の第1及び第2トランジスタはNチャンネルのMOSトランジスタであり、前記の入力及び出力トランジスタはPチャンネルのMOSトランジスタであり、前記入力トランジスタの各ソースと前記出力トランジスタのソースとは互いに接続され、直列に接続された前記の第1トランジスタ及び前記の入力トランジスタは、この順にグランドと電源との間に接続されており、前記の入力トランジスタと前記の第1トランジスタとの接続点の電圧に応じて前記の第1トランジスタを導通状態又は非導通状態に制御する第1トランジスタ制御回路を更に備え、上記の第1トランジスタ制御回路は、最小入力電圧が前記入力トランジスタに印加されたときにのみ前記第1トランジスタのゲートにしきい電圧を印加する構成でもよい。
【0056】
この場合も、直列に接続された第1トランジスタ及び入力トランジスタの接続点の電圧は、入力トランジスタが導通状態にあるか又は非導通状態にあるかに応じて変化する。
【0057】
具体的には、入力トランジスタに最小入力電圧が印加されると、入力トランジスタが導通状態になる。入力トランジスタは電源側に設けられているので、上記接続点の電圧は上昇する。これに伴って、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのゲートへしきい電圧が供給される。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは導通状態になる。
【0058】
これに対して、入力トランジスタに最小入力電圧よりも大きい電圧が印加されると、入力トランジスタが非導通状態になるので、上記接続点の電圧はグランドに近い電圧になる。このとき、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのゲートへしきい電圧が供給されることはない。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは非導通状態になる。
【0059】
上記のような第1トランジスタ制御回路は、簡単な構成により実現でき、最大入力電圧が印加されない入力トランジスタに接続された第1トランジスタを確実に非導通状態にできる。
【0060】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1及び図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0061】
まず、本発明に係る最大値検出回路について、図1を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0062】
図1は、バイポーラトランジスタを使用して構成した3入力1出力の最大値検出回路の構成例を示す回路図である。入力電圧をx1、x2、及びx3とし、出力電圧をzとすると、この回路は、入力電圧をx1〜x3のうちで最も大きい入力電圧に等しい出力電圧zを生成する。
【0063】
この最大値検出回路は、入力電圧x1〜x3がそれぞれのベースに印加されるトランジスタQ11〜Q13(NPNトランジスタ)、トランジスタQ11〜Q13のうちON状態にあるトランジスタのエミッタ電圧に含まれるベース−エミッタ間電圧(VBE)を補償するためのトランジスタQ1r(NPNトランジスタ)、トランジスタQ11〜Q13及びQ1rを電流駆動するための電流源Jt、ならびにトランジスタQ11〜Q13のうちでON状態にあるトランジスタ及びトランジスタQ1rに同じ大きさの電流を供給するためのトランジスタQ21〜Q23及びQ2r(PNPトランジスタ)、トランジスタQ21〜Q23からベース電流を吸引するか否かを制御するためのトランジスタQ31〜Q33(NPNトランジスタ)、トランジスタQ31〜Q33を電流駆動するための電流源J1〜J3、トランジスタQ21〜Q23からベース電流を吸引するためのトランジスタQ41〜Q43(PNPトランジスタ)、及び出力インピーダンスを変換するためのインピーダンス変換回路(図1中のF参照)から構成されている。
【0064】
上記のインピーダンス変換回路は、トランジスタQa(NPNトランジスタ)、トランジスタQaを駆動するための電流源Ja、トランジスタQb(PNPトランジスタ)、及びトランジスタQbを駆動するための電流源Jbから構成されている。
【0065】
トランジスタQ11〜Q13及びQ1rはエミッタが相互に結合され、これらのエミッタは電流源Jtに接続されている。このトランジスタQ1rのベース電圧が出力電圧zとなる。トランジスタQ1rのベースは、インピーダンス変換回路内のトランジスタQbのエミッタとも接続されている。
【0066】
トランジスタQ21〜Q23及びQ2rのエミッタは相互に結合され、これらのエミッタは電源VCCに接続されている。トランジスタQ31〜Q33において、各ベースはトランジスタQ21〜Q23の各コレクタ(すなわち、トランジスタQ11〜Q13の各コレクタ)へ接続され、各コレクタはVCCに接続され、各エミッタは電流源J1〜J3にそれぞれ接続されている。
【0067】
トランジスタQ21〜Q23からベース電流をそれぞれ吸引するトランジスタQ41〜Q43において、各ベースは、トランジスタQ31〜Q33の各エミッタに接続され、各エミッタはトランジスタQ21〜Q23の各ベースに接続され、各コレクタはGNDへ接続されている。
【0068】
トランジスタQ21〜Q23及びQ2rはカレントミラー回路を構成している。トランジスタQ21〜Q23はこのカレントミラー回路の入力側を構成し、トランジスタQ2rはこのカレントミラーの出力側を構成している。
【0069】
ここで、上記の最大値検出回路の動作を説明する。トランジスタQ11〜Q13の各ベースに入力電圧x1〜x3が印加されると、入力電圧x1〜x3のうちで最大値(Vmaxとする)が印加されたトランジスタがON状態となる。
【0070】
説明の便宜上、入力電圧x1としてVmaxが印加されているとする。Vmaxより小さい入力電圧x2及びx3がそれぞれ印加されたトランジスタQ12及びQ13はいずれもOFF状態となる。これに伴って、トランジスタQ32及びQ33のベース電圧が上昇し、トランジスタQ32及びQ33はON状態となる。これにより、トランジスタQ42及びQ43のベース電圧はそれぞれ上昇し、トランジスタQ42及びQ43はOFF状態となるので、トランジスタQ22及びQ23のベースから電流は吸引されない。従って、トランジスタQ22及びQ23からは電流は供給されない。
【0071】
一方、入力電圧x1としてVmaxが印加されているので、トランジスタQ11がON状態(導通状態)となり、トランジスタQ31のベース電圧が低下し、トランジスタQ31はOFF状態(非導通状態)となる。
【0072】
これに伴って、トランジスタQ41のベース電圧は低下し、トランジスタQ41はON状態となるので、トランジスタQ21のベースから電流が吸引される。従って、トランジスタQ21から電流(I1とする)が供給されてトランジスタQ11に流れる。
【0073】
ON状態となったトランジスタQ11のエミッタには、この入力電圧値Vmaxからベース−エミッタ間電圧(VBE1とする)を差し引いた電圧V01=(Vmax−VBE1)が現れる。トランジスタQ11〜Q13の各エミッタとトランジスタQ1rのエミッタの電圧は、それぞれ電圧V01となる。
【0074】
トランジスタQ1rのベースには、電圧V01にトランジスタQ1rのベース−エミッタ間電圧(VBE2とする)を加えた電圧(V01+VBE2)が現れ、この電圧が出力電圧zとなる。すなわち、出力電圧z=V01+VBE2で表される。
【0075】
トランジスタQ11〜Q13およびQ1rが全く同一のVBE(ベース−エミッタ間電圧)−IE(エミッタ電流)特性を持っているとすれば,エミッタ電流(I1とする)と、トランジスタQ1rのエミッタ電流(I2とする)とが等しいときに、VBE1とVBE2とは等しくなる。従って、このとき、出力電圧zは次のようになる。
【0076】
z=V01+VBE2=Vmax−VBE1+VBE2=Vmax ・・・・ (1)
すなわち、出力電圧zは、入力電圧x1〜x3のうち最も大きな電圧値Vmaxと等しくなる。このようにトランジスタQ1rは、入力電圧x1〜x3が与えられるトランジスタQ11〜Q13のベース−エミッタ間電圧VBE1の誤差を補償する回路として働く。
【0077】
トランジスタQ11〜Q13のベース−エミッタ間電圧VBE1が完全に補償されるのは、VBE1=VBE2のときである。上述したようにトランジスタQ11〜Q13及びQ1rが全く同一のVBE−IE特性を持っていたとしても、I1≠I2のときには、従来技術欄で述べたようにVBE1≠VBE2となり、電圧VBE1の誤差は完全に補償されない。このようなエミッタ電流の相違が生じないようにする回路がトランジスタQ21〜Q23及びQ2rによって構成されるカレントミラー回路である。
【0078】
上記カレントミラー回路を設けることによって、トランジスタQ11に流れる電流I1とトランジスタQ1rに流れる電流I2とは等しくなる。従って、トランジスタQ11のベース−エミッタ間電圧VBE1とトランジスタQ1rのベース−エミッタ間電圧VBE2とは等しくなり、電圧VBE1の誤差はトランジスタQ1rの電圧VBE2によって補償される。なお、入力電圧x2及びx3が最大の場合も同様であるので、説明を省略する。
【0079】
ところで、出力zに液晶等の負荷が接続され、この負荷により出力電圧が降下した場合、トランジスタQ1rのベース−エミッタ間電圧は低下する。これに伴って、トランジスタQ2rから供給される電流はトランジスタQaに流れるので、トランジスタQaがON状態となる。トランジスタQaのエミッタ電圧が上昇するのに伴って、トランジスタQbはOFF状態となり、トランジスタQbのエミッタ電圧が上昇する。このようにして、出力電圧zの電圧降下が補償される。
【0080】
これに対して、出力電圧zの電圧が上昇した場合、トランジスタQ1rのベース−エミッタ間電圧は上昇する。これに伴って、トランジスタQaのベース電圧が降下し、トランジスタQaがOFF状態となる。これにより、トランジスタQaのエミッタ電圧が降下するので、トランジスタQbはON状態となり、トランジスタQbのエミッタ電圧が降下する。このようにして、出力電圧zの電圧上昇が補償される。
【0081】
ここで、入力電圧x1〜x3のうち2つがVmaxに等しい電圧値の場合について説明する。
【0082】
たとえば、入力電圧x1及びx2がいずれもx3よりも大きく(x1,x2>x3)、かつx1及びx2としてVmaxが印加された場合(x1≒x2)、トランジスタQ11及びQ12が共にON状態となる。Vmaxより小さい電圧が印加されたトランジスタQ13はOFF状態となり、トランジスタQ33のベース電圧が上昇するのに伴って、トランジスタQ33はON状態となる。このため、トランジスタQ43のベース電圧は上昇し、トランジスタQ43はOFF状態となり、トランジスタQ23のベースから電流は吸引されることはない。
【0083】
従って、トランジスタQ23からは電流は供給されない。入力電圧x1及びx2としてVmaxが印加されているので、トランジスタQ11及びQ12がON状態となる。これに伴って、トランジスタQ31及びQ32のベース電圧がそれぞれ低下し、トランジスタQ31及びQ32は共にOFF状態となる。
【0084】
このため、トランジスタQ41及びQ42のベース電圧はそれぞれ低下し、トランジスタQ41及びQ42は共にON状態となり、トランジスタQ21及びQ22のベースから電流が吸引される。その結果、トランジスタQ21及びQ22から電流が供給され、トランジスタQ11及びQ12をそれぞれ流れる。また、入力電圧x1とx2がほぼ等しいので、トランジスタQ21及びQ22から供給される電流もほぼ等しくなる。
【0085】
トランジスタQ21、Q22、及びQ2rがカレントミラー回路を構成するので、トランジスタQ2rからもほぼ同じ電流が供給されることになる。従って、トランジスタQ11及びQ12のベース−エミッタ間電圧はトランジスタQ1rのベース−エミッタ間電圧によって補償される。
【0086】
このように、トランジスタQ11、Q12、及びQ1rにはほぼ同じ電流が流れるため、ベース−エミッタ間電圧が同じとなり、適切な上記補償が行われる。入力電圧x1〜x3がx2≒x3>x1またはx3≒x1>x2の場合においても同様の結果になるので、詳細な説明を省略する。
【0087】
ここで、入力電圧x1〜x3として全てVmaxが印加された場合について説明する。この場合、トランジスタQ11〜Q13がON状態となる。これに伴って、トランジスタQ31〜Q33のベース電圧がそれぞれ低下し、トランジスタQ31〜Q33は共にOFF状態となる。
【0088】
このため、トランジスタQ41〜Q43のベース電圧はそれぞれ低下し、トランジスタQ41〜Q43は共にON状態となり、トランジスタQ21〜Q23のベースから電流がそれぞれ吸引される。その結果、トランジスタQ21〜Q23から電流が供給され、トランジスタQ11〜Q13をそれぞれ流れる。
【0089】
トランジスタQ21、Q22、Q23、及びQ2rがカレントミラー回路を構成するので、トランジスタQ2rからもほぼ同じ電流が供給されることになる。従って、トランジスタQ11〜Q13のベース−エミッタ間電圧はトランジスタQ1rのベース−エミッタ間電圧によって補償される。
【0090】
なお、以上の説明においては、3入力の場合(入力電圧x1〜x3)について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図1中E1〜E3で示すユニットを入力数に応じて設けることによって、任意の入力数に対応可能である。そして、任意の入力数にVmaxが入力されても適切に動作する。
【0091】
また、図1中E1、E2、及びE3で示すユニットは、図1に示す回路構成に限定されるものではなく、接続点(トランジスタQ21、Q22、及びQ23と、トランジスタQ11、Q12、及びQ13との各接続点)の電圧が降下したときにのみトランジスタQ21、Q22、及びQ23のベースからそれぞれ電流を吸引する構成であればよい。
【0092】
ここで、本発明に係る最小値検出回路について、図2を参照しながら、以下に説明する。
【0093】
図2は、バイポーラトランジスタを使用して構成した3入力1出力の最小値検出回路の構成例を示す回路図である。
【0094】
入力電圧をx1、x2、及びx3とし、出力電圧をzとすると、この最小値検出回路は、入力電圧x1〜x3のうちで最も小さい入力電圧に等しい出力電圧zを生成する。
【0095】
この最小値検出回路は、入力電圧x1〜x3がそれぞれのベースに印加されるトランジスタQ51〜Q53(PNPトランジスタ)、トランジスタQ51〜Q53のうちON状態にあるトランジスタのエミッタ電圧に含まれるベース−エミッタ間電圧VBEを補償するためのトランジスタQ5r(PNPトランジスタ)、トランジスタQ51〜Q53及びQ5rを電流駆動するための電流源Jt、ならびにトランジスタQ51〜Q53のうちでON状態にあるトランジスタ及びQ5rから同じ大きさの電流を吸引するためのトランジスタQ61〜Q63及びQ6r(NPNトランジスタ)、トランジスタQ61〜Q63へベース電流を供給するか否かを制御するためのトランジスタQ71〜Q73(PNPトランジスタ)、トランジスタQ71〜Q73を電流駆動するための電流源J4〜J6、トランジスタQ61〜Q63へベース電流を供給するためのトランジスタQ81〜Q83(NPNトランジスタ)、出力インピーダンスを変換するためのインピーダンス変換回路から構成されている。
【0096】
上記のインピーダンス変換回路は、トランジスタQc(PNPトランジスタ)、トランジスタQcを駆動する為の電流源Jc、トランジスタQd(NPNトランジスタ)、及びトランジスタQdを駆動する為の電流源Jdから構成されている。トランジスタQ51〜Q53及びQ5rはエミッタが相互に結合され、これらのエミッタは電流源Jtに接続されている。このトランジスタQ5rのベース電圧が出力電圧zとなる。トランジスタQ5rのベースは、インピーダンス変換回路内のトランジスタQdのエミッタとも接続されている。
【0097】
トランジスタQ61〜Q63及びQ6rのエミッタは相互に結合され、これらのエミッタはGNDに接続されている。トランジスタQ71〜Q73において、ベースはトランジスタQ61〜Q63のコレクタ(すなわち、トランジスタQ51〜Q53のコレクタ)へ接続され、コレクタはGNDに接続され、エミッタは電流源J4〜J6に接続されている。
【0098】
トランジスタQ61〜Q63のベース電流を供給するトランジスタQ81〜Q83において、ベースはトランジスタQ71〜Q73のエミッタに接続され、エミッタはトランジスタQ61〜Q63のベースに接続され、コレクタは電源VCCへ接続されている。
【0099】
トランジスタQ61〜Q63及びQ6rは、カレントミラー回路を構成している。トランジスタQ61〜Q63はこのカレントミラー回路の入力側を構成し、トランジスタQ6rはこのカレントミラーの出力側を構成している。
【0100】
ここで、上記の最小値検出回路の動作について説明する。トランジスタQ51〜Q53の各ベースに入力電圧x1〜x3が与えられると、入力電圧x1〜x3のうちで最も小さい電圧(Vminとする)が与えられたトランジスタがON状態となる。
【0101】
説明の便宜上、入力電圧x1としてVminが印加されているとする。Vminより大きい入力電圧x2及びx3がそれぞれ印加されたトランジスタQ52及びQ53はいずれもOFF状態となる。トランジスタQ72及びQ73のベース電圧が降下することにより、トランジスタQ72及びQ73はON状態となる。
【0102】
これに伴って、トランジスタQ82及びQ83のベース電圧は降下し、トランジスタQ82及びQ83はOFF状態となり、トランジスタQ62及びQ63のベースへ電流は供給されない。従ってトランジスタQ62、Q63へ電流が供給されない。
【0103】
これに対して、入力電圧x1としてVminが印加されているので、トランジスタQ51がON状態となり、トランジスタQ71のベース電圧が上昇し、トランジスタQ71はOFF状態となる。これに伴って、トランジスタQ81のベース電圧は上昇し、トランジスタQ81はON状態となるので、トランジスタQ61のベースへ電流が供給される。
【0104】
これにより、トランジスタQ61から電流(I3とする)が吸引され、トランジスタQ51に流れる。ON状態となったトランジスタQ51のエミッタには、この入力電圧Vminにベース−エミッタ間電圧(VBE3とする)を加えた電圧V03=(Vmin+VBE3)が現れる。
【0105】
トランジスタQ51〜Q53のエミッタとトランジスタQ5rのエミッタの電圧は、上記の電圧V03となる。トランジスタQ5rのベースには、電圧V03からトランジスタQ5rのベース−エミッタ間電圧(VBE4とする)を差し引いた電圧(V03−VBE4)が現れ、これが出力電圧zとなる。すなわち、出力電圧z=V03−VBE4となる。
【0106】
トランジスタQ51〜Q53、及びQ5rが全く同一のVBE−IE特性を持っているとすれば,エミッタ電流(I3とする)と、トランジスタQ5rのエミッタ電流(I4とする)とが等しいときに、VBE3とVBE4とは等しくなる。従って出力電圧zは次のようになる。
【0107】
z=V03−VBE4=(Vmin+VBE3)−VBE4=Vmin ・・・・ (2)
すなわち、出力電圧zは、入力電圧x1〜x3のうち最も小さな入力電圧Vminと等しくなる。このようにトランジスタQ5rは、入力電圧が印加されるトランジスタQ51〜Q53のベース−エミッタ間電圧VBE3の誤差を補償する回路として働く。なお、トランジスタQ51〜Q53のベース−エミッタ間電圧VBE3が完全に補償されるのは、VBE3=VBE4の時である。
【0108】
上述したようにトランジスタQ51〜Q53及びQ5rが全く同一のVBE−IE特性を持っていたとしても、I3≠I4のときには、従来技術欄で述べたようにVBE3≠VBE4となり、電圧VBE3の誤差は完全に補償されない。
【0109】
このようなエミッタ電流の相違が生じないようにする回路がトランジスタQ61〜Q63及びQ6rによって構成されるカレントミラー回路である。これにより、トランジスタQ51に流れる電流I3と、トランジスタQ5rに流れる電流I4は等しくなる。従って、トランジスタQ51のベース−エミッタ間電圧VBE3とトランジスタQ5rのベース−エミッタ間電圧VBE4とは等しくなり、電圧VBE3の誤差はトランジスタQ5rの電圧VBE4によって補償される。入力電圧x2及びx3が最小の場合も同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0110】
ところで、出力zに負荷が接続され出力電圧が降下した場合、トランジスタQ5rのベース−エミッタ間電圧は低下する。これによりトランジスタQcのベース電圧は上昇し、トランジスタQcがOFF状態となり、トランジスタQcのエミッタ電圧が上昇することにより、トランジスタQdはON状態となり、トランジスタQdのエミッタ電圧が上昇することによって、出力電圧zの電圧降下が補償される。
【0111】
これに対して、出力電圧zの電圧が上昇した場合、トランジスタQ5rのベース−エミッタ間電圧は上昇する。これによりトランジスタQcのベース電圧が降下するため、トランジスタQcがON状態となる。これに伴って、トランジスタQcのエミッタ電圧が降下し、トランジスタQdはOFF状態となり、トランジスタQdのエミッタ電圧が降下する。このようにして、出力電圧zの電圧上昇が補償される。
【0112】
ここで、入力電圧x1〜x3のうち2つがVminに等しい電圧値の場合について説明する。
【0113】
たとえば、入力電圧x1及びx2がx3よりも小さく(x1,x2<x3)、かつx1とx2がほぼ等しい(x1≒x2)場合には、トランジスタQ51及びQ52がON状態となる。Vminより大きい入力電圧x3が印加されたトランジスタQ53は、OFF状態となる。トランジスタQ73のベース電圧が降下することにより、トランジスタQ73はON状態となる。
【0114】
これに伴って、トランジスタQ83のベース電圧は降下し、トランジスタQ83はOFF状態となり、トランジスタQ63のベースへ電流は供給されない。従って、トランジスタQ63からは電流が吸引されない。入力電圧x1及びx2としてVminが印加されているので、トランジスタQ51及びQ52がON状態となり、トランジスタQ71及びQ72のベース電圧が上昇し、トランジスタQ71及びQ72は共にOFF状態となる。
【0115】
これにより、トランジスタQ81、Q82のベース電圧は上昇し、トランジスタQ81及びQ82は共にON状態となり、トランジスタQ61及びQ62のベースへ電流をそれぞれ供給する。従って、トランジスタQ61及びQ62から電流が吸引され、トランジスタQ51及びQ52に電流がそれぞれ流れる。また、入力電圧x1とx2がほぼ等しいので、トランジスタQ61及びQ62から吸引される電流もほぼ等しくなる。
【0116】
トランジスタQ61、Q62及びQ6rはカレントミラー回路を構成するので、トランジスタQ6rからもほぼ同じ電流が吸引されることになる。従って、トランジスタQ51及びQ52のベース−エミッタ間電圧はトランジスタQ5rのベース−エミッタ間電圧によって補償される。入力電圧がx2≒x3<x1またはx3≒x1<x2の場合においても同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0117】
ここで、入力電圧x1〜x3として全てVminが印加された場合について説明する。この場合、トランジスタQ51〜Q53がON状態となる。これに伴って、トランジスタQ71〜Q73のベース電圧がそれぞれ上昇し、トランジスタQ71〜Q73は共にOFF状態となる。
【0118】
このため、トランジスタQ81〜Q83のベース電圧はそれぞれ上昇し、トランジスタQ81〜Q83は共にON状態となり、トランジスタQ61〜Q63のベースへ電流がそれぞれ供給される。その結果、トランジスタQ61〜Q63から電流が吸引され、トランジスタQ51〜Q53に電流が流れる。
【0119】
トランジスタQ61、Q62、Q63、及びQ6rがカレントミラー回路を構成するので、トランジスタQ6rにもほぼ同じ電流が流れることになる。従って、トランジスタQ51〜Q53のベース−エミッタ間電圧はトランジスタQ5rのベース−エミッタ間電圧によって補償される。
【0120】
なお、以上の説明においては、3入力の場合(入力電圧x1〜x3)について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図1中E4〜E6で示すユニットを入力数に応じて設けることによって、任意の入力数に対応可能である。そして、任意の入力数にVminが入力されても適切に動作する。
【0121】
また、図2中E4、E5、及びE6で示すユニットは、図2に示す構成に限定されるものではなく、接続点(トランジスタQ51、Q52、及びQ53と、トランジスタQ61、Q62、及びQ63との各接続点)の電圧が上昇したときにのみトランジスタQ61、Q62、及びQ63のベースへそれぞれ電流が供給される構成であればよい。
【0122】
また、上記最大値検出回路及び最小値検出回路は全てバイポーラトランジスタによる回路構成で説明しているが、最大値検出回路及び最小値検出回路共、PNPトランジスタをPチャンネルのMOSトランジスタに置き換え、NPNトランジスタをNチャンネルのMOSトランジスタに置き換えても、同様な動作を行うものである。この場合、ベースから電流が吸引される代わりに、ゲートへしきい電圧が供給される。
【0123】
本発明の最大値検出回路は、以上のように、与えられた複数の入力電圧のなかで最も大きい入力が与えられたトランジスタがON状態となるように接続されてなる比較回路と、上記比較回路のトランジスタに生じる電圧降下を補償するトランジスタを含む補償回路と、上記比較回路のトランジスタに電流を供給する第1の電流源と、上記補償回路に電流を供給する第2の電流源とからなり、上記第1及び第2の電流源がカレントミラー回路を構成し、上記第1の電流源にはベース電流制御回路を具備し、出力段にフォロワタイプの増幅回路を具備している。
【0124】
上記ベース電流制御回路は、上記比較回路のトランジスタのなかでON状態となったトランジスタに電流を供給する第1の電流源からのみベース電流を吸引し、上記比較回路のトランジスタのなかでOFF状態となったトランジスタに電流を供給する第1の電流源からはベース電流を吸引せず、飽和させることを特徴としている。
【0125】
上記構成によれば、入力電圧のなかで最も大きい入力が与えられたトランジスタがON状態となり、そこに接続されたベース電流制御回路がON状態となることにより、ベース電流が吸引され、ON状態となったトランジスタへ電流を供給する第1の電流源から電流が供給される。
【0126】
これに対して、最大のものより小さい入力電圧を与えられたトランジスタはOFF状態となり、そこに接続されたベース電流制御回路もOFF状態となることにより、ベース電流は吸引されないため、ON状態でないトランジスタの第1の電流源はOFF状態となる。第1の電流源と上記補償回路に電流を供給する第2の電流源はカレントミラー回路を構成しているため、ON状態となったトランジスタへ電流を供給する第1の電流源から供給される電流と等しい電流が第2の電流源から供給される。
【0127】
従って、比較回路を構成するトランジスタと補償回路のトランジスタとの電流−電圧特性が等しいならば、補償回路は比較回路の電圧降下を完全に補償することができる。そして、トランジスタの電圧降下が補償された電圧、すなわち最大の入力電圧と等しい電圧が出力される。
【0128】
比較回路を構成する2つ以上のトランジスタに最大電圧が入力されると、最大電圧が入力された2つ以上のトランジスタがON状態となる。これらのトランジスタに接続されているベース電流制御回路はON状態となり、ベース電流が吸引され、第1の電流源より電流が供給される。
【0129】
また、補償回路に電流を供給している第2の電流源は、第1の電流源とカレントミラー回路を構成しているため、この場合もON状態にある各トランジスタと補償回路に供給される電流は等しくなる。
【0130】
従って、比較回路を構成するトランジスタ補償回路のトランジスタとの電流−電圧特性が等しいならば、補償回路はトランジスタの電圧降下を完全に補償することができる。
【0131】
また、本発明の最小値検出回路は、以上のように、与えられた複数の入力電圧のなかで最も小さい入力が与えられたトランジスタがON状態となるように接続されてなる比較回路と、上記比較回路のトランジスタに生じる電圧上昇を補償するトランジスタを含む補償回路と、上記比較回路のトランジスタから電流を吸引する第1の電流源と、上記補償回路から電流を吸引する第2の電流源とからなり、上記第1及び第2の電流源がカレントミラー回路を構成し、上記第1の電流源にはベース電流制御回路を具備している。
【0132】
上記ベース電流制御回路は、上記比較回路のトランジスタのなかでON状態となったトランジスタから電流を吸引する第1の電流源にのみベース電流を供給し、上記比較回路のトランジスタのなかでOFF状態となったトランジスタから電流を吸引する第1の電流源にはベース電流を供給せず、飽和させることを特徴とする。
【0133】
上記構成によれば、入力電圧のなかで最も小さい入力が与えられたトランジスタがON状態となり、そこに接続されたベース電流制御回路がON状態となることにより、ベース電流が供給され、ON状態となったトランジスタから電流を吸引する第1の電流源から電流が吸引される。
【0134】
これに対して、最小のものより大きい入力電圧が与えられたトランジスタはOFF状態となり、そこに接続されたベース電流制御回路もOFF状態となることにより、ベース電流は供給されず、ON状態でないトランジスタの第1の電流源はOFF状態となる。
【0135】
第1の電流源と上記補償回路に電流を供給する第2の電流源はカレントミラー回路を構成しているため、ON状態となったトランジスタから電流を吸引する第1の電流源から吸引される電流と等しい電流が第2の電流源から吸引される。
【0136】
従って、比較回路を構成するトランジスタと補償回路のトランジスタとの電流−電圧特性が等しければ、補償回路は比較回路の電圧上昇を完全に補償することができる。
【0137】
そして、トランジスタの電圧上昇が補償された電圧、すなわち最小の入力電圧と等しい電圧が出力される。比較回路を構成する2つ以上のトランジスタに最小電圧が入力されると、最小電圧が入力された2つ以上のトランジスタが共にON状態となる。これらのトランジスタに接続されているベース電流制御回路はON状態となり、第1の電流源より電流が吸引される。
【0138】
また、補償回路から電流を吸引している第2の電流源は、第1の電流源とカレントミラー回路を構成しているため、この場合もON状態にある各トランジスタと補償回路から吸引される電流は等しくなる。
【0139】
従って、比較回路を構成するトランジスタ補償回路のトランジスタとの電流−電圧特性が等しいならば、補償回路はトランジスタの電圧上昇を完全に補償することが出来る。
【0140】
また、本発明は、次のようにも規定できる。
【0141】
すなわち、本発明の最大値検出回路は、ベースに入力が与えられ、かつエミッタが共通に接続された複数の第1のトランジスタを有し、与えられた複数の入力電圧のなかで最も大きい電圧が与えられた第1のトランジスタがON状態となるように接続されてなる比較回路(図1中のAを参照)と、上記比較回路の第1のトランジスタに生じる電圧降下を補償する第2のトランジスタを含む補償回路(図1中のDを参照)と、上記比較回路の複数の第1のトランジスタのそれぞれに電流を供給する複数の第1の電流源トランジスタ(図1中のBを参照)と、上記補償回路に電流を供給する第2の電流源トランジスタ(図1中のCを参照)とからなり、上記第1及び第2の電流源トランジスタがカレントミラー回路を構成し、上記第1の電流源トランジスタにはベース電流制御回路(図1中のE1〜E3を参照)を備えている。
【0142】
上記最大値検出回路において、上記ベース電流制御回路は、上記比較回路の複数のトランジスタのなかでON状態となったトランジスタに電流を供給する第1の電流源トランジスタのベースからのみベース電流を吸引し、上記比較回路の複数のトランジスタのなかでOFF状態となったトランジスタに電流を供給する第1の電流源トランジスタのベースからはベース電流を吸引せず、飽和させる。
【0143】
また、本発明の最小値検出回路は、ベースに入力が与えられ、かつエミッタが共通に接続された複数の第3のトランジスタを有し、与えられた複数の入力電圧のなかで最も小さい電圧が与えられた第3のトランジスタがON状態となるように接続されてなる比較回路(図2中のAを参照)と、上記比較回路の第3のトランジスタに生じる電圧上昇を補償する第4のトランジスタを含む補償回路(図2中のDを参照)と、上記比較回路の複数の第3のトランジスタのそれぞれから電流を吸引する複数の第3の電流源トランジスタ(図2中のBを参照)と、上記補償回路から電流を吸引する第4の電流源トランジスタ(図2中のCを参照)とからなり、上記第3及び第4の電流源トランジスタがカレントミラー回路を構成し、上記第3の電流源トランジスタにはベース電流制御回路(図2中のE4〜E6を参照)を備えている。
【0144】
上記の最小値検出回路において、上記ベース電流制御回路は、上記比較回路の複数のトランジスタのなかでON状態となったトランジスタから電流を吸引する第3の電流源トランジスタのベースにのみベース電流を供給し、上記比較回路の複数のトランジスタのなかでOFF状態となったトランジスタから電流を吸引する第3の電流源トランジスタのベースにはベース電流を供給せず、飽和させる。
【0145】
上記最大値検出回路及び最小値検出回路において、PNPトランジスタをPchのMOSトランジスタに置き換え、NPNトランジスタをNchのMOSトランジスタに置き換えてもよい。
【0146】
上記最大値検出回路及び最小値検出回路において、さらに出力段にフォロワタイプの増幅回路を備えていることが好ましい。
【0147】
以上のように、本発明によれば、与えられた複数の入力電圧のうちで最大もしくは最小の電圧が複数存在し、かつほぼ等しい場合においても、高精度に、最大もしくは最小の電圧を出力する最大値検出回路及び最小値検出回路を実現することができる。
【0148】
また、本発明の最大値検出回路及び最小値検出回路は、インピーダンス変換回路によってインピーダンス変換を行っているので、出力負荷に対しても、入力電圧と出力電圧の誤差を低減することができる。
【0149】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的手段に含まれる。
【0150】
【発明の効果】
本発明の最大値検出回路は、以上のように、複数の入力電圧をそれぞれ入力する入力トランジスタと、上記複数の入力トランジスタにそれぞれ直列に接続され、最大入力電圧が印加された入力トランジスタに接続されたものが導通状態になる一方、残余のものが非導通状態になる第1トランジスタと、上記第1トランジスタとカレントミラー回路を構成する第2トランジスタと、上記入力トランジスタと同じ電流−電圧特性を有し、上記第2トランジスタに直列に接続され、最大入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分を補償したものを上記最大値として出力する出力トランジスタとを備えている。
【0151】
上記の発明によれば、第1トランジスタは入力トランジスタと同数設けられ、対応する入力トランジスタ及び第1トランジスタは互いに直列に接続されている。第1トランジスタと第2トランジスタとはカレントミラー回路を構成する。
【0152】
これら複数の第1トランジスタは、最大入力電圧が印加された入力トランジスタに接続されたもののみ導通状態となる一方、最大入力電圧よりも小さい電圧が印加された残余の入力トランジスタに接続されたものは非導通状態となる。
【0153】
導通した第1トランジスタには電流が流れ、この電流は直列に接続された入力トランジスタに流れる。これに対して、非導通の第1トランジスタには電流が流れない。このとき、導通した第1トランジスタとカレントミラー回路を構成する第2トランジスタには、第1トランジスタに流れるのと同じ電流が流れる。
【0154】
同じ電流−電圧特性を有する入力トランジスタ及び出力トランジスタにおいて同じ電流がそれぞれに流れると、同じ電圧降下が生じる。これにより、第2トランジスタに直列に接続された出力トランジスタにおいて、最大入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分が補償され、補償後の電圧が最大値として出力される。
【0155】
以上のように、上記発明によれば、複数の入力トランジスタに入力されたもののうち複数が最大入力電圧であっても、これら入力トランジスタにそれぞれ接続された第1トランジスタ及び第2トランジスタに流れる電流はカレントミラー回路構成により全て等しくなるので、最大入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分が第2トランジスタによって確実且つ正確に補償できるという効果を奏する。
【0156】
上記の最大値検出回路において、出力インピーダンスを変換するインピーダンス変換回路が更に備えられていることが好ましい。この場合、出力負荷に対しても、入力電圧と出力電圧の誤差を低減することができる。
【0157】
つまり、最大値検出回路の出力に負荷が接続されて出力電圧が降下しても、出力インピーダンスの変換により電圧降下を補償することが可能となる。また、同様に、出力電圧が上昇しても、電圧上昇を補償することが可能となるという効果を併せて奏する。
【0158】
上記最大値検出回路において、前記の第1及び第2トランジスタはPNPトランジスタであり、前記の入力及び出力トランジスタはNPNトランジスタであり、前記入力トランジスタの各エミッタと前記出力トランジスタのエミッタとは互いに接続され、直列に接続された前記の第1トランジスタ及び前記の入力トランジスタは、この順に電源とグランドとの間に接続されており、前記の入力トランジスタと前記の第1トランジスタとの接続点の電圧に応じて前記の第1トランジスタを導通状態又は非導通状態に制御する第1トランジスタ制御回路を更に備え、上記の第1トランジスタ制御回路は、上記接続点の電圧が降下したときにのみ前記第1トランジスタのベースから電流を吸引することが好ましい。
【0159】
この場合、入力トランジスタに最大入力電圧が印加されると、入力トランジスタが導通状態になる。入力トランジスタはグランド側に設けられているので、上記接続点の電圧は降下する。これに伴って、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのベースから電流が吸引される。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは導通状態になる。
【0160】
これに対して、入力トランジスタに最大入力電圧よりも低い電圧が印加されると、入力トランジスタが非導通状態になるので、上記接続点の電圧は電源に近い電圧になる。このとき、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのベースから電流が吸引されることはない。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは非導通状態になる。
【0161】
上記のような第1トランジスタ制御回路は、簡単な構成により実現でき、最大入力電圧が印加されない入力トランジスタに接続された第1トランジスタを確実に非導通状態にできるという効果を併せて奏する。
【0162】
上記最大値検出回路において、前記の第1及び第2トランジスタはPチャンネルのMOSトランジスタであり、前記の入力及び出力トランジスタはNチャンネルのMOSトランジスタであり、前記入力トランジスタの各ソースと前記出力トランジスタのソースとは互いに接続され、直列に接続された前記の第1トランジスタ及び前記の入力トランジスタは、この順に電源とグランドとの間に接続されており、前記の入力トランジスタと前記の第1トランジスタとの接続点の電圧に応じて前記の第1トランジスタを導通状態又は非導通状態に制御する第1トランジスタ制御回路を更に備え、上記の第1トランジスタ制御回路は、最大入力電圧が前記入力トランジスタに印加されたときにのみ前記第1トランジスタのゲートにしきい電圧を印加する構成でもよい。
【0163】
この場合も、入力トランジスタに最大入力電圧が印加されると、入力トランジスタが導通状態になる。入力トランジスタはグランド側に設けられているので、上記接続点の電圧は降下する。これに伴って、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのゲートへしきい電圧が供給される。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは導通状態になる。
【0164】
これに対して、入力トランジスタに最大入力電圧よりも低い電圧が印加されると、入力トランジスタが非導通状態になるので、上記接続点の電圧は電源に近い電圧になる。このとき、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのゲートへしきい電圧が供給されることはない。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは非導通状態になる。
【0165】
上記のような第1トランジスタ制御回路は、簡単な構成により実現でき、最大入力電圧が印加されない入力トランジスタに接続された第1トランジスタを確実に非導通状態にできるという効果を併せて奏する。
【0166】
本発明に係る最小値検出回路は、以上のように、複数の入力電圧をそれぞれ入力する入力トランジスタと、上記の複数の入力トランジスタにそれぞれ直列に接続され、最小入力電圧が印加された入力トランジスタに接続されたものが導通状態になる一方、残余のものが非導通状態になる第1トランジスタと、上記第1トランジスタとカレントミラー回路を構成する第2トランジスタと、上記入力トランジスタと同じ電流−電圧特性を有し、上記第2トランジスタに直列に接続され、最小入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分を補償したものを上記最小値として出力する出力トランジスタとを備えたことを特徴としている。
【0167】
上記の発明によれば、第1トランジスタは入力トランジスタと同数設けられ、対応する入力トランジスタ及び第1トランジスタは互いに直列に接続されている。第1トランジスタと第2トランジスタとはカレントミラー回路を構成する。
【0168】
これら複数の第1トランジスタは、最小入力電圧が印加された入力トランジスタに接続されたもののみ導通状態となる一方、最小入力電圧よりも大きい電圧が印加された残余の入力トランジスタに接続されたものは非導通状態となる。
【0169】
導通した第1トランジスタには電流が流れ、この電流は直列に接続された入力トランジスタにも流れる。これに対して、非導通の第1トランジスタには電流が流れない。このとき、導通した第1トランジスタとカレントミラー回路を構成する第2トランジスタには、第1トランジスタに流れるのと同じ電流が流れる。
【0170】
同じ電流−電圧特性を有する入力トランジスタ及び出力トランジスタにおいて同じ電流がそれぞれに流れると、同じ電圧降下が生じる。これにより、第2トランジスタに直列に接続された出力トランジスタにおいて、最小入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分が補償され、補償後の電圧が最小値として出力される。
【0171】
以上のように、上記発明によれば、複数の入力トランジスタに入力されたもののうち複数が最小入力電圧であっても、これら入力トランジスタにそれぞれ接続された第1トランジスタ及び第2トランジスタに流れる電流はカレントミラー回路構成により全て等しくなるので、最小入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分が第2トランジスタによって確実且つ正確に補償できるという効果を奏する。
【0172】
上記の最小値検出回路において、出力インピーダンスを変換するインピーダンス変換回路を更に備えていることが好ましい。この場合、出力負荷に対しても、入力電圧と出力電圧の誤差を低減することができる。
【0173】
つまり、最大値検出回路の出力に負荷が接続されて出力電圧が降下しても、出力インピーダンスの変換により電圧降下を補償することが可能となる。また、同様に、出力電圧が上昇しても、電圧上昇を補償することが可能となるという効果を併せて奏する。
【0174】
上記の最小値検出回路において、前記の第1及び第2トランジスタはNPNトランジスタであり、前記の入力及び出力トランジスタはPNPトランジスタであり、前記入力トランジスタの各エミッタと前記出力トランジスタのエミッタとは互いに接続され、直列に接続された前記の第1トランジスタ及び前記の入力トランジスタは、この順にグランドと電源との間に接続されており、前記の入力トランジスタと前記の第1トランジスタとの接続点の電圧に応じて前記の第1トランジスタを導通状態又は非導通状態に制御する第1トランジスタ制御回路を更に備え、上記の第1トランジスタ制御回路は、最小入力電圧が前記入力トランジスタに印加されたときにのみ前記第1トランジスタのベースへ電流を供給することが好ましい。
【0175】
この場合、入力トランジスタに最小入力電圧が印加されると、入力トランジスタが導通状態になる。入力トランジスタは電源側に設けられているので、上記接続点の電圧は上昇する。これに伴って、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのベースへ電流が供給される。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは導通状態になる。
【0176】
これに対して、入力トランジスタに最小入力電圧よりも大きい電圧が印加されると、入力トランジスタが非導通状態になるので、上記接続点の電圧はグランドに近い電圧になる。このとき、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのベースへ電流が供給されることはない。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは非導通状態になる。
【0177】
上記のような第1トランジスタ制御回路は、簡単な構成により実現でき、最大入力電圧が印加されない入力トランジスタに接続された第1トランジスタを確実に非導通状態にできるという効果を併せて奏する。
【0178】
上記の最小値検出回路において、前記の第1及び第2トランジスタはNチャンネルのMOSトランジスタであり、前記の入力及び出力トランジスタはPチャンネルのMOSトランジスタであり、前記入力トランジスタの各ソースと前記出力トランジスタのソースとは互いに接続され、直列に接続された前記の第1トランジスタ及び前記の入力トランジスタは、この順にグランドと電源との間に接続されており、前記の入力トランジスタと前記の第1トランジスタとの接続点の電圧に応じて前記の第1トランジスタを導通状態又は非導通状態に制御する第1トランジスタ制御回路を更に備え、上記の第1トランジスタ制御回路は、最小入力電圧が前記入力トランジスタに印加されたときにのみ前記第1トランジスタのゲートにしきい電圧を印加する構成でもよい。
【0179】
この場合も、入力トランジスタに最小入力電圧が印加されると、入力トランジスタが導通状態になる。入力トランジスタは電源側に設けられているので、上記接続点の電圧は上昇する。これに伴って、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのゲートへしきい電圧が供給される。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは導通状態になる。
【0180】
これに対して、入力トランジスタに最小入力電圧よりも大きい電圧が印加されると、入力トランジスタが非導通状態になるので、上記接続点の電圧はグランドに近い電圧になる。このとき、第1トランジスタ制御回路によって、第1トランジスタのゲートへしきい電圧が供給されることはない。これにより、この入力トランジスタに直列に接続された第1トランジスタは非導通状態になる。
【0181】
上記のような第1トランジスタ制御回路は、簡単な構成により実現でき、最大入力電圧が印加されない入力トランジスタに接続された第1トランジスタを確実に非導通状態にできるという効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る最大値検出回路の構成例を示す回路図である。
【図2】本発明に係る最小値検出回路の構成例を示す回路図である。
【図3】従来の最大値検出回路の構成例を示す回路図である。
【図4】従来の最小値検出回路の構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
Q11〜Q13 トランジスタ(入力トランジスタ)
Q1r トランジスタ(出力トランジスタ)
Q21〜Q23 トランジスタ(第1トランジスタ)
Q2r トランジスタ(第2トランジスタ)
E1〜E3 ユニット(第1トランジスタ制御回路)
Q51〜Q53 トランジスタ(入力トランジスタ)
Q5r トランジスタ(出力トランジスタ)
Q61〜Q63 トランジスタ(第1トランジスタ)
Q6r トランジスタ(第2トランジスタ)
E4〜E6 ユニット(第1トランジスタ制御回路)

Claims (8)

  1. 複数の入力電圧から最大値を検出する最大値検出回路であって、
    複数の上記入力電圧をそれぞれ入力する入力トランジスタと、
    上記の複数の入力トランジスタにそれぞれ直列に接続され、最大入力電圧が印加された入力トランジスタに接続されたものが導通状態になる一方、残余のものが非導通状態になる第1トランジスタと、
    上記第1トランジスタとカレントミラー回路を構成する第2トランジスタと、
    上記入力トランジスタと同じ電流−電圧特性を有し、上記第2トランジスタに直列に接続され、最大入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分を補償したものを上記最大値として出力する出力トランジスタとを備えたことを特徴とする最大値検出回路。
  2. 出力インピーダンスを変換するインピーダンス変換回路を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の最大値検出回路。
  3. 前記の第1及び第2トランジスタはPNPトランジスタであり、前記の入力及び出力トランジスタはNPNトランジスタであり、前記入力トランジスタの各エミッタと前記出力トランジスタのエミッタとは互いに接続され、直列に接続された前記の第1トランジスタ及び前記の入力トランジスタは、この順に電源とグランドとの間に接続されており、
    前記の入力トランジスタと前記の第1トランジスタとの接続点の電圧に応じて前記の第1トランジスタを導通状態又は非導通状態に制御する第1トランジスタ制御回路を更に備え、
    上記の第1トランジスタ制御回路は、最大入力電圧が前記入力トランジスタに印加されたときにのみ前記第1トランジスタのベースから電流を吸引することを特徴とする請求項1又は2記載の最大値検出回路。
  4. 前記の第1及び第2トランジスタはPチャンネルのMOSトランジスタであり、前記の入力及び出力トランジスタはNチャンネルのMOSトランジスタであり、前記入力トランジスタの各ソースと前記出力トランジスタのソースとは互いに接続され、直列に接続された前記の第1トランジスタ及び前記の入力トランジスタは、この順に電源とグランドとの間に接続されており、
    前記の入力トランジスタと前記の第1トランジスタとの接続点の電圧に応じて前記の第1トランジスタを導通状態又は非導通状態に制御する第1トランジスタ制御回路を更に備え、
    上記の第1トランジスタ制御回路は、最大入力電圧が前記入力トランジスタに印加されたときにのみ前記第1トランジスタのゲートにしきい電圧を印加することを特徴とする請求項1又は2記載の最大値検出回路。
  5. 複数の入力電圧から最小値を検出する最小値検出回路であって、
    複数の上記入力電圧をそれぞれ入力する入力トランジスタと、
    上記の複数の入力トランジスタにそれぞれ直列に接続され、最小入力電圧が印加された入力トランジスタに接続されたものが導通状態になる一方、残余のものが非導通状態になる第1トランジスタと、
    上記第1トランジスタとカレントミラー回路を構成する第2トランジスタと、
    上記入力トランジスタと同じ電流−電圧特性を有し、上記第2トランジスタに直列に接続され、最小入力電圧が印加された入力トランジスタにおける電圧降下分を補償したものを上記最小値として出力する出力トランジスタとを備えたことを特徴とする最小値検出回路。
  6. 出力インピーダンスを変換するインピーダンス変換回路を更に備えたことを特徴とする請求項5に記載の最小値検出回路。
  7. 前記の第1及び第2トランジスタはNPNトランジスタであり、前記の入力及び出力トランジスタはPNPトランジスタであり、前記入力トランジスタの各エミッタと前記出力トランジスタのエミッタとは互いに接続され、直列に接続された前記の第1トランジスタ及び前記の入力トランジスタは、この順にグランドと電源との間に接続されており、
    前記の入力トランジスタと前記の第1トランジスタとの接続点の電圧に応じて前記の第1トランジスタを導通状態又は非導通状態に制御する第1トランジスタ制御回路を更に備え、
    上記の第1トランジスタ制御回路は、最小入力電圧が前記入力トランジスタに印加されたときにのみ前記第1トランジスタのベースへ電流を供給することを特徴とする請求項5又は6記載の最小値検出回路。
  8. 前記の第1及び第2トランジスタはNチャンネルのMOSトランジスタであり、前記の入力及び出力トランジスタはPチャンネルのMOSトランジスタであり、前記入力トランジスタの各ソースと前記出力トランジスタのソースとは互いに接続され、直列に接続された前記の第1トランジスタ及び前記の入力トランジスタは、この順にグランドと電源との間に接続されており、
    前記の入力トランジスタと前記の第1トランジスタとの接続点の電圧に応じて前記の第1トランジスタを導通状態又は非導通状態に制御する第1トランジスタ制御回路を更に備え、
    上記の第1トランジスタ制御回路は、最小入力電圧が前記入力トランジスタに印加されたときにのみ前記第1トランジスタのゲートにしきい電圧を印加することを特徴とする請求項5又は6記載の最小値検出回路。
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