JP2005005028A - 荷電粒子の強度分布測定方法および装置、並びに半導体製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のファラデーカップ112が配列されたビーム強度測定部110を2次元的に移動させる2軸可動ステージ120を用いて、複数のファラデーカップ112が同一測定点に位置するように移動させビーム強度を測定する。演算処理部200は、この同一測定点のデータにずれが生じないように、ファラデーカップ112の固有特性を校正するための補正値を求める。この後、ファラデーカップ112を、その配列ピッチよりも狭い間隔で測定点が与えられるように移動させながらビーム強度を測定する。演算処理部200は、補正値に基づき測定データを校正し、校正後のデータを用いてビーム強度分布を求める。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン注入装置などの荷電粒子を用いた半導体製造装置に用いて好適な荷電粒子ビームの強度分布を測定する方法および装置、並びにこの装置を用いた半導体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体基板(以下ウェーハともいう)内にドービング領域を形成させるために、イオンビームによって不純物イオンを打ち込むイオン注入は従来から広く行なわれており、種々の方式が採用されている。たとえば、固定されたウェーハに対して静電偏向または電磁偏向によってイオンビームをX方向(水平方向)とY方向(垂直方向)とにスキャンする方法、イオンビームをスキャンさせるとともにウェーハもX方向とY方向とに機械的にスキャンさせる方法、イオンビームは固定しておきウェーハのみをX方向とY方向とに機械的にスキャンさせる方法などである。
【0003】
しかしながら、従来のイオン注入装置は、半導体ウェーハの大口径化に伴って大型化する傾向にあり、この問題はウェーハWが大口径になるほど顕著になり、イオン注入装置の設置面積、製造コストが飛躍的に増大する。また、小型化しようとしても、イオン注入の均一性が失われ易く、ウェーハの大口径化に充分に対処し得ないという問題がある。また、非特許文献1に記載のように、近年では、国内半導体製造は多品種少量生産のシステムLSIへと移行しつつある。
【0004】
【非特許文献1】
“LSI製造システムで出し抜く”、日経マイクロデバイス、2001年2月号、p45
【0005】
このような課題を解消する一手法として、たとえば、ウェーハが300mmφまたはそれ以上の大口径のウェーハに対して均一注入条件でのイオン注入が可能であり、かつウェーハ内における半導体の1チップを注入単位としてイオン注入の条件を制御し得る小型のイオン注入技術が特許文献1に提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−288680号公報
【0007】
この特許文献1に記載の技術は、ステンシルイオン注入技術を用いたもので、多品種少量生産に適した製造技術の1つである。すなわち、この技術は、従来のレジストマスクを用いず、ステンシルマスクを用いて、ウェーハ上に作成されるデバイス1チップごとにイオン注入をなしえることを実現する。また、リソグラフィ工程やレジスト除去工程が不要になる技術であり、コストインパクトの大きい技術である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、特許文献1に記載の技術では、ウェーハに作成されるデバイス全てのチップの特性を同一に製造するために、チップへのイオン注入時のビーム強度プロファイルを測定し確認している。そして、通常、そのビームプロファイル測定には、ビーム強度測定子としてのファラデーカップ112をファラデーベース114上に所定ピッチで縦横数列配置(図では112a他の計16個を4×4で配列)した構造のビーム強度測定部110を、ビームライン上に移動させて所定の定位置に配置し、その定位置において荷電粒子ビーム強度を測定している。たとえば、図13に示すように、112aを始めとする計16個のファラデーカップ112を4×4で2次元状に配列した構造のビーム強度測定部110を用いている。
【0009】
しかしながら、このような測定手法では、以下のような問題があることが分かった。先ず、ファラデーベース114上に配列された個々のファラデーカップ112には固有特性があるため、同じ荷電粒子ビーム強度を測定しても異なる値となるという第1の問題がある。このため、イオン注入均一性の悪化につながってしまう。たとえば、図13に示すファラデーカップ112a〜112dの4個を用いて同じ位置(同じビーム位置)の強度測定を行なった場合、図14に示すように、同じビーム測定位置(図ではa〜dの4箇所)でも、測定結果に差が生じている。
【0010】
また、荷電粒子ビーム強度測定中はファラデーカップ112の位置を固定しているので、測定ピッチがファラデーカップ112の配列ピッチとなるので、測定ポイントが限定されてしまい、細かな測定ができないという第2の問題がある。加えて、特許文献1に示されている装置構造では、ファラデーカップ112を2次元状に配列しかつ固定配置しているので、空間的な荷電粒子ビーム強度測定が不可能であるという第3の問題がある。そして、これらの第2および第3の問題により、第1の問題と同様に、チップ内のイオン注入均一性に課題が生じる。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ファラデーカップの配列位置に測定ポイントが固定されることなく、ビーム強度分布を測定できる仕組みを提案することを第1の目的とする。
【0012】
また、本発明は、ファラデーカップの固有特性の影響を受けることなく、ビーム強度分布を測定できる仕組みを提案することを第2目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第1の手法は、上記第1の目的に対応するものであって、加速された荷電粒子が半導体基板の所定位置に注入される経路の途中に荷電粒子の強度を測定する測定子を移動させて測定を行なうようにした。測定子は、単一のものを用いてもよいし、一列あるいは複数列に配列させた構造としてもよい。
【0014】
移動の態様としては、1次元状、2次元状、および3次元状の何れでもよい。1次元状に移動させるとライン状のビーム強度分布を測定でき、2次元状に移動させると平面的なビーム強度分布を測定でき、3次元状に移動させると空間的なビーム強度分布を測定できる。
【0015】
測定子の移動範囲は、測定対象の範囲を網羅するように2箇所以上に亘って移動させるとよい。また、ビーム強度測定時には、測定子を連続的に移動させつつ、この移動過程の任意の位置にてビーム強度を測定してもよいし、測定子を所定ピッチで段階的(ステップ状)に移動させ、移動後の各位置にてビーム強度を測定してもよい。何れにしても、測定子の配列位置に測定ポイントが固定されることのないように、また、その配列ピッチよりも細かく測定ポイントを与えるように、測定子を移動させてビーム強度を測定するものであればよい。
【0016】
また、測定子を移動させるための構造としては、移動ステージを用いる構成、可動アーム(たとえばロボットアームなど)を用いる構成、あるいはこれらを組み合わせた構成など、様々な手法を採用し得る。
【0017】
また、本発明に係る第2の手法は、上記第2の目的に対応するものであって、測定子によって得られたデータを、その固有特性を相殺する方向に補正するようにした。つまり、個々の測定データを校正する。校正後の測定データを用いてビーム強度分布を求めることで、分布特性測定の精度を高める。
【0018】
複数個のビーム強度測定子を測定部に備える構造の場合、それらの何れか1つを基準とし、同一測定点での個々のデータのずれ分を補正すればよい。たとえば、同一測定点でのビーム強度に基づき、その測定強度比または差分を求め、その結果値を用いて固有特性を相殺する方向に補正すればよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
<装置の全体構成>
図1は、本発明に係る半導体製造装置の一実施形態を適用したイオン注入装置の構成例を概略的に示す側面図である。図示するイオン注入装置1は、それぞれシールドボックス2内に収容された高電圧部である高電圧ターミナル3および加速管5、シールドボックス2の外側に設けられたビームライン部6およびエンドステーション部8を備えて構成された真空系である。
【0021】
高電圧ターミナル3内には、周知のイオン源32および質量分離器34が収容され、さらにスリット35、ビーム遮断器36、および可変スリット37がこの順に配置されている。ビーム遮断器36は、電圧を印加されることによりイオンビームLを跳ね上げ、可変スリット37へ向かうイオンビームLを一時的に遮断する。
【0022】
高電圧ターミナル3には周知の加速管5が取り付けられており、その後段となるビームライン部6には、集束レンズ62、イオンビームLを所定方向aとaに略直交するb方向とに電磁的に微小角度スキャンさせるオクタポール・スキャナ63、コンタミネーション粒子除去マグネット64、集束レンズ65、および非接触ビーム電流計66が設けられている。
【0023】
集束レンズ62,65は電磁式であるが、静電式としてもよい。イオンビームLをスキャンさせる場合には集束レンズ62を使用し、後述するイオンビームLをスキャンさせない場合には集束レンズ65を使用する。イオンビームLのスキャンにはオクタポール・スキャナ63以外の電磁偏向型スキャナを使用してもよく、勿論、静電偏向型スキャナを使用してもよい。
【0024】
コンタミネーション粒子除去マグネット64は、質量分離器34以降においてイオンが残留ガスと衝突して電荷が変化したイオンや中性粒子を除去するものであり、イオンビームLはコンタミネーション粒子除去マグネット64によって下方へ角度90度に曲げられている。そして、非接触ビーム電流計66は、ビームライン部6の下端部の外周に設けた磁性コアとコイルによってイオンビームLの電流を電磁気的に計測する。
【0025】
エンドステーション部8内には、ビームライン部6側であるイオンビームLの入射位置に、ビーム密度分布をモニタリングするためのビーム強度測定機構100が設けられ、また、その下部には、ウェーハWを保持する、たとえば固定台とこの固定台を移動させる駆動部などからなるウェーハ保持機構82が設けられている。そして、ビーム強度測定機構100とウェーハ保持機構8との間には、ウェーハ内に形成されるチップの形状より僅かに大きい開口またはチップの形状より小さい開口を有しチップの直上に位置するように固定または移動可能にステンシルマスクMを配置するマスク配置機構部101が設けられている。
【0026】
図示した例のビーム強度測定機構100には、図示しないファラデーカップが設けられたビーム強度測定部(ファラデー本体)110と、このビーム強度測定部110をX方向(紙面奥行き方向)に移動させるX方向機械的駆動機構102xおよびこれに略直角なY方向(図示する左右方向)に移動させるY方向機械的駆動機構102yからなる稼働機構部102と、稼働機構部102を保持するステージ104とを備えている。
【0027】
また、図示した例のマスク配置機構部101には、マスク105を保持しつつX方向(紙面奥行き方向)に移動させるX方向機械的駆動機構106xおよびこれに略直角なY方向(図示する左右方向)に移動させるY方向機械的駆動機構106yからなる稼働機構部106と、稼働機構部106を保持するステージ108とを備えている。
【0028】
エンドステーション部8は、その天井部にウェーハ位置検出器84が固定されている。ウェーハ位置検出器84は、たとえばCCD撮像カメラで構成されており、ウェーハW内のアライメントマークを基準にしてウェーハ位置を検出する。ただしCCD撮像カメラに限らず、それ以外の検出器であってもよい。ウェーハ位置検出器84からの位置検出信号は図示しない制御部へ入力され、制御部はウェーハ保持機構82のX方向、Y方向への機械的駆動機構、回転機構、およびティルト機構(それぞれ図示を割愛する)の作動を制御するようになっている。
【0029】
ビーム強度測定機構100のビーム強度測定部110は、イオン注入の前に、イオンビームLの入射位置に挿入され、マスク配置機構部101に保持されているステンシルマスクMをその直下へ配置させた後、ステンシルマスクMの開口とイオンビームLのスキャン領域との整合性の確認、およびステンシルマスクMの開口内におけるビーム電流の密度分布の測定を行なうためのものである。イオンビームLのスキャン領域が不適切な場合にはオクタポール・スキャナ63の振幅が調整され、電流の密度分布が一様でない場合には、イオンビームのスキャン速度が調整される。
【0030】
イオン注入時には、ウェーハ保持機構8にてウェーハWを保持し、かつウェーハWに形成されるチップの形状より僅かに大きい開口またはチップの形状より小さい開口を有するステンシルマスクMをチップの直上に位置するように配置し、ウェーハ保持機構82をX、Y方向2次元でスキャンされるイオンビームLの入射位置において、図示しない機械的駆動機構によってXおよびYの各方向への機械的にスキャンさせてイオン注入する。
【0031】
このとき、先に測定しておいたビーム強度分布に基づき、所定のドーズ量がウェーハWに、特にチップを注入単位として一様に得られるように、荷電粒子の注入を制御する。この制御は、プラテンの機械的スキャンの速度またはイオンビームのスキャン速度を調整することで行なう。
【0032】
<ビーム強度測定機構の構成;第1実施形態>
図2は、ビーム強度測定機構100の第1実施形態を示す図である。ここで、図2(A)は、第1実施形態のビーム強度測定機構100の全体概要を示す。また、図2(B)は、ビーム強度測定機構100に使用されるビーム密度分布モニタとしてのビーム強度測定部110の構成例を示す図である。
【0033】
第1実施形態のビーム強度測定機構100は、(ミニ)ファラデーカップ112を一列に配列させた構造を有するビーム強度測定部(ファラデー本体)110と、図1に示した稼働機構部102とステージ104とに対応し、ビーム強度測定部110を一定の傾きを維持した状態でX方向およびY方向に移動可能に構成されている2軸可動(XY)ステージ120とを備えている。
【0034】
これにより、ビーム強度測定機構100は、ビーム強度測定部110をビーム照射領域のほぼ全面に対して、たとえば連続的にもしくは一定の間隔を持ってステップ状になど、2次元状に細かく移動させることで、2次元状に測定点を多数(任意の位置に)設定して、荷電粒子ビーム強度の細かな測定を行なうことが可能な荷電ビーム強度測定装置(ビームプロファイルモニタ)として構成されている。
【0035】
図2(A)に示すように、2軸可動ステージ120の具体的な構成としては、ビーム強度測定部110をX方向に移動させるためのX方向機械的駆動機構102xの構造として、先ず、2軸可動ステージ120の支持ベースとしても機能するX軸方向移動用ベース122と、X軸方向移動用ベース122に固定されて取り付けられ、X軸方向の移動を規定するためのX軸方向に延在している長尺状のX軸方向レール124とを有する。また、X軸方向レール124に沿って移動可能に構成されY軸方向に延在しているX軸方向移動用ブロック126と、X軸方向移動用ベース122上に固定されているとともに、X軸方向移動用ブロック126の一端126aに取り付けられた、X軸方向移動用ブロック126のX方向移動を駆動するための、たとえばアクチュエータやモータなどからなるX軸方向用駆動部128とを有する。X軸方向移動用ブロック126は、Y軸方向移動用ベースとしての機能も備える。
【0036】
また2軸可動ステージ120は、ビーム強度測定部110をY方向に移動させるためのY方向機械的駆動機構102yの構造として、先ずX軸方向移動用ブロック126に固定されて取り付けられ、Y軸方向の移動を規定するためのY軸方向に延在している長尺状のY軸方向レール134を有する。また、Y軸方向レール134に沿って移動可能に構成されたY軸方向移動用ブロック136と、X軸方向移動用ブロック126上に固定されているとともに、Y軸方向移動用ブロック136の一端136aに取り付けられた、Y軸方向移動用ブロック136のY方向移動を駆動するための、たとえばアクチュエータやモータなどからなるY軸方向用駆動部138とを有する。
【0037】
Y軸方向移動用ブロック136には、ビーム強度測定部110が、取付けアーム142と固着部材144とを介して、その可動方向(駆動軸方向)であるX軸およびY軸の双方に対して一定の角度(傾き)を持って斜めに固定されて取り付けられている。
【0038】
ビーム強度測定部110は、図2(B)に示すように、荷電粒子ビーム強度測定用の(ミニ)ファラデーカップ112と、このファラデーカップ112を数個一列に配列させて固定するファラデーベース114と、ファラデーカップ112により得られるビーム強度測定信号S1(アナログ値)を出力する配線などからなる信号出力部116とを有する。ファラデーカップ112の配列ピッチは、たとえば10mm程度とする。個々のファラデーカップ112の大きさは、この配列ピッチを満足させ得る程度の大きさとする(当然にφ10mm以下)。
【0039】
図示した例では、ビーム強度測定部110は、4個のファラデーカップ112(それぞれ参照子a,b,c,dで示す)が一列にファラデーベース114上に配列されている。各ファラデーカップ112からは、それぞれビーム強度測定信号S1(それぞれ参照子a,b,c,dで示す)が出力される。なお、ここでは、ファラデーカップ112を一列に、すなわちファラデーカップ112を1次元(ライン)状に配列させた構造としているが、これに限らず、ファラデーカップ112を複数列に、すなわちファラデーカップ112を2次元(エリア)状に配列させた構造としてもよい。
【0040】
第1実施形態のビーム強度測定機構100は、このような2軸可動ステージ120を備えることで、ビーム強度測定部110が荷電粒子ビームライン上のビーム強度をXY座標上の任意の位置にて測定できるようにビーム強度測定部110をX軸方向もしくはY軸方向に自由に可動できる構造をなしている。
【0041】
また、任意の可動位置(すなわち測定点)にて荷電粒子ビーム強度を測定した後に、基準とするファラデーカップ112(たとえば112a)で測定した任意の測定点のビーム強度データ(測定対象点のビーム強度データ;たとえばD1a)と他のファラデーカップ112(たとえば112aを除く112b〜112d)で同じ測定対象点を測定した測定点データ(たとえばD1b〜D1d)とを用いて、その測定対象点のビーム強度の校正値D2を演算する機能を有する。さらに、ビーム強度測定機構100は、測定対象点の校正されたビーム強度データを用いて、真の荷電粒子ビーム強度分布を演算する機能を有する。
【0042】
このような機能を備えることで、ビーム強度測定機構100は、数個(本例では4個)のファラデーカップ112を、配列ピッチよりも狭いピッチで測定点を与えるように任意の位置に動かすことができる。よって、ファラデーカップ112の配列位置に拘わらず任意の測定点にてビーム強度モニタを行なうことで、細かな測定を行なうことを可能とし、これにより、モニタリング精度を上げることが可能になる。加えて、あるビームの同一測定点を複数のファラデーカップ112a〜112dで測定することで、各ファラデーカップ112a〜112dの固有特性を補正し、ビーム照射領域の均一性向上を図ることが可能になる。
【0043】
これら、ビーム強度の校正値を算出する機能部分や、真の荷電粒子ビーム強度分布を演算する機能部分をなす演算処理部200は、2軸可動ステージ120と一体的に設けられてもよいが、本実施形態では、イオン注入装置本体に設けられた構成としている。たとえば、装置本体の制御コンピュータがその機能を持つように構成される。
【0044】
この第1実施形態の構成では、可動範囲はほぼ移動ステージによる可動方向の長さで規定されるので、ビーム強度分布を測定する際の測定点の設定に自由度がある。また、入手や製造が容易な移動ステージ構造を基本としているので、低コストで設置可能であり、メンテナンス回数が少なくて済む。
【0045】
また、ファラデーカップ112を移動させて測定を行なう構成であるので、測定対象エリア全面にファラデーカップ112を配列させる必要がなく、少ない数のファラデーカップ112で、測定対象エリア全面のビーム強度分布を測定できる利点もある。また、ファラデーベース114上の何れかのファラデーカップ112が故障した際には、その故障箇所を使用せずに、故障箇所相当部分の測定点のデータを他のファラデーカップ112で代用して測定できる利点もある。
【0046】
<ビーム強度測定機構の構成;第2実施形態>
図3は、ビーム強度測定機構100の第2実施形態の全体概要を示す図である。第2実施形態のビーム強度測定機構100は、2軸可動ステージ120に代えて、XY方向へ動くアームを有するアーム機構150を備え、これにより、第1実施形態と同様に、ビーム強度測定部110をビーム照射領域のほぼ全面に対して、2次元状に細かく移動させることで、2次元状に測定点を多数設定して、荷電粒子ビーム強度の細かな測定を行なうことが可能な荷電ビーム強度測定装置として構成されている。
【0047】
図3に示すように、アーム機構150の具体的な構成としては、アーム機構150の支持ベースとしても機能するロボットアーム固定部152と、複数本のロボットアーム(本例では2本;それぞれ154,155で示す)と、複数個のアーム稼動用回転軸(本例では3個;それぞれ156,157,158で示す)とを有する。アーム機構150は、図1のX方向機械的駆動機構102xおよびY方向機械的駆動機構102yの機能をなす。
【0048】
第1のアーム稼動用回転軸156は、ロボットアーム固定部152上と第1のロボットアーム154の一方の端部154aに位置して、このアーム稼動用回転軸156を支点としてロボットアーム154を回動可能に取り付けられている。第2のアーム稼動用回転軸157は、第1のロボットアーム154の他方の端部154bと第2のロボットアーム155の一方の端部155aとに位置して、アーム稼動用回転軸157を支点として2つのロボットアーム154,155を回動可能に取り付けられている。
【0049】
また第3のアーム稼動用回転軸158は、第2のロボットアーム155の他方の端部155bとビーム強度測定部110を支持する取付けアーム142の一方の端部142aとに位置して、アーム稼動用回転軸158を支点としてロボットアーム155とビーム強度測定部110とを回動可能に取り付けられている。
【0050】
なお、ビーム強度測定部110は、ロボットアーム155の動きに拘わらず、アーム稼動用回転軸158を支点として図示するR方向に回動可能である。アーム稼動用回転軸156,157,158には図示しないモータなどの駆動部が設けられる。
【0051】
第1のアーム稼動用回転軸156はロボットアーム固定部152に固定されているので、そのXおよびYの各座標位置が移動不可能にされているのに対して、第2および第3のアーム稼動用回転軸157,158は、XおよびYの各座標位置が移動可能になっている。
【0052】
ここで、第2実施形態のビーム強度測定機構100では、アーム機構150が稼働するときに、ファラデーカップ112を一列に配列させた第1実施形態と同様の構造を有するビーム強度測定部110を一定の傾きを維持した状態でX方向およびY方向に移動可能である。加えて、アーム稼動用回転軸158を支点として図示するR方向にビーム強度測定部110を回動可能に構成されているので、アーム機構150が稼働中に第3のアーム稼動用回転軸157のXおよびYの各座標位置が移動する際と固定された状態の何れにおいても、ビーム強度測定部110のX軸およびY軸に対する傾きを可変に構成されている。
【0053】
第2実施形態のビーム強度測定機構100は、このようなアーム機構150を備えることで、第1実施形態の構成と同様に、ビーム強度測定部110が荷電粒子ビームライン上のビーム強度をXY座標上の任意の位置にて測定できるように、ビーム強度測定部110をX軸方向もしくはY軸方向に自由に可動できる構造をなしている。ビーム強度測定部110からは、XY座標中の任意の測定点にて測定したビーム強度データS1が演算処理部200に送られる。
【0054】
この第2実施形態の構成では、可動範囲はほぼアームが届く範囲内に規定されるので、第1実施形態と同様に、測定点の自由度が高い。すなわち、ファラデーカップ112の配列ピッチよりも狭いピッチで測定点を与えるように、ファラデーカップ112を任意の位置に動かすことができる。また、ステージ機構よりは入手が困難ではあるものの、コンパクトに構成できる利点がある。また、アーム稼動用回転軸156,157,158を自在継ぎ手構造にするだけで、3次元移動への展開ができる利点もある。
【0055】
<ビーム強度測定機構の構成;第3実施形態>
図4は、ビーム強度測定機構100の第3実施形態の全体概要を示す図である。第3実施形態のビーム強度測定機構100は、第1実施形態の2軸可動ステージ120に代えて、一方向(本例ではY方向)にのみビーム強度測定部110を移動可能な1軸可動ステージ170とビーム強度測定部110の可動部に回転機構を備え、これにより、第1実施形態と同様に、ビーム強度測定部110をビーム照射領域のほぼ全面に対して、2次元状に細かく移動させることで、2次元状に測定点を多数設定して、荷電粒子ビーム強度の細かな測定を行なうことが可能な荷電ビーム強度測定装置として構成されている。
【0056】
図4に示すように、1軸可動ステージ170の具体的な構成としては、ほぼ、第1実施形態の2軸可動ステージ120におけるY軸方向の機構のみを備えた構成となっている。すなわち、先ず図示しない所定のステージ(X軸方向移動用ベース122でもよい)に固定されて取り付けられ、Y軸方向に延在しているY軸方向移動用ベース172(X軸方向移動用ブロック126でもよい)と、Y軸方向移動用ベース172に固定されて取り付けられ、Y軸方向の移動を規定するためのY軸方向に延在している長尺状のY軸方向レール174を有する。
【0057】
また、Y軸方向レール174に沿って移動可能に構成されたY軸方向移動用ブロック176と、Y軸方向移動用ベース172上に固定されているとともに、Y軸方向移動用ブロック176の一端176aに取り付けられた、Y軸方向移動用ブロック176のY方向移動を駆動するための、たとえばアクチュエータやモータなどからなるY軸方向用駆動部178とを有する。
【0058】
Y軸方向移動用ブロック176には、ビーム強度測定部110が、取付けアーム182、固着部材184、および取付けアーム182と固着部材184との間に設けられた回転軸186を介して、回転軸186を支点として図示するR方向に回動可能に取り付けられている。回転軸186には図示しないモータなどの駆動部が設けられる。
【0059】
第3実施形態のビーム強度測定機構100は、このような1軸可動ステージ170を備えることで、第1実施形態の構成と同様に、ビーム強度測定部110が荷電粒子ビームライン上のビーム強度をXY座標上の任意の位置にて測定できるように、ビーム強度測定部110をY軸方向に自由に可動できるとともに、回転軸186を支点としてR方向に回動可能な構造をなしている。ビーム強度測定部110からは、XY座標中の任意の測定点にて測定したビーム強度データS1が演算処理部200に送られる。
【0060】
この第3実施形態の構成では、可動範囲はほぼビーム強度測定部110の回動範囲内に規定されるので、第1や第2実施形態よりも、測定点の自由度が劣るものの、コンパクトに構成できる利点がある。また、回転軸186を自在継ぎ手構造にするだけで、3次元移動への展開ができる利点もある。
【0061】
<3次元状移動への変形>
なお、上述した第1〜第3の各ビーム強度測定機構100では、互いに直交するX軸およびY軸で規定されるXY座標面上にてビーム強度測定部110を任意の位置に2次元(エリア)状に移動可能な構成としていたが、X軸およびY軸の双方に対して直交するZ軸にも駆動可能な構成を加えることで、2次元(エリア)状に限らず、3次元(空間)状にビーム強度測定部110を移動可能な構成とすることもできる。
【0062】
たとえば、第1実施形態の構成であれば、X軸方向移動用ベース122をZ軸方向に移動させる駆動機構を追加すればよい。また、第2実施形態の構成であれば、ロボットアーム固定部152をZ軸方向に移動させる駆動機構を追加すればよい。あるいは、アーム稼動用回転軸156,157,158をたとえば球状部材を利用した自在継ぎ手に代えるとともに駆動部を設けることで、ロボットアーム154,155をX,Y、Zの各方向へ(すなわち3次元(空間)状に)自在に動くアーム機構としてもよい。また、第3実施形態の構成であれば、Y軸方向移動用ベース172をZ軸方向に移動させる駆動機構を追加すればよい。また、第2や第3の各実施形態の構成の場合、可動範囲が狭くなるが、ビーム強度測定部110側の回転軸であるアーム稼動用回転軸158や回転軸186のみを自在継ぎ手に代えるとともに駆動部を設けることで、この自在継ぎ手を支点として、ビーム強度測定部110のみが3次元状に動く機構としてもよい。
【0063】
<ビーム強度校正機構とビーム強度分布演算機構>
図5は、ビーム強度の校正値を算出する機能部分や、真の荷電粒子ビーム強度分布を演算する機能部分をなす演算処理部200の一構成例を示す機能ブロック図である。演算処理部200は、先ず、2軸可動ステージ120のX軸方向用駆動部128およびY軸方向用駆動部138を制御する測定位置制御部202を有する。
【0064】
また演算処理部200は、測定位置制御部202の制御の元でビーム強度測定部110により測定された荷電粒子ビーム強度データ(アナログ値の測定信号)S1を取り込みデジタルデータに変換するA/D変換部204と、このビーム強度測定部110により得られた測定信号S1のデジタルデータD1に基づいてファラデーカップ112の固有特性を補正する校正値演算部206と、校正値演算部206により補正(校正)されたビーム強度データD2を用いて、真の荷電粒子ビーム強度分布D3を演算する強度分布演算部208とを有する。
【0065】
測定位置制御部202は、ビーム強度測定部110をビーム照射領域のほぼ全面に対して、たとえば連続的にもしくは一定の間隔を持ってステップ状になど、2次元状に細かく移動させることで、2次元状に測定点を多数(任意の位置に)設定し、各測定点におけるビーム強度測定信号S1を測定する。このとき、測定位置制御部202は、ある1つのファラデーカップ112(たとえば図2(B)の112a)の荷電粒子ビーム強度測定を行なった地点において、他の複数個あるファラデーカップ112(たとえば図2(B)の112b〜112d)でもビーム強度測定を可能なように、X軸方向用駆動部128とY軸方向用駆動部138を制御することで、ビーム強度測定部110を動かす。
【0066】
校正値演算部206は、このようにして得られる同一の任意の測定点についての、複数のファラデーカップ112a〜112dからのビーム強度信号S1a〜S1dに基づき、その測定強度比または差分を採ることで、校正対象のファラデーカップ112の固有特性を補正する。
【0067】
<測定および校正の具体例;第1例>
図6は、上記構成のビーム強度測定機構100と演算処理部200とを用いることでなされる荷電粒子ビーム強度測定を行なう処理の第1例を説明する図である。この第1例の測定処理は、平面状(2次元状)のビーム強度分布を測定する手法であって、上述した第1および第2実施形態のビーム強度測定機構100とともに用いるのに好適な手法である。
【0068】
先ず測定位置制御部202は、ビーム強度測定機構100のX軸方向やY軸方向へ動く2軸可動ステージ120あるいはアーム機構150を用いて、図6(A)に示すように、Y軸方向の荷電粒子ビーム強度測定(モニタリング)を行ないながらY軸方向用駆動部138などを制御してビーム強度測定部110を位置aから位置bへと、Y軸方向に動かす。この後、X軸方向用駆動部128およびY軸方向用駆動部138などを制御して、ビーム強度測定部110を位置bから位置cに動かす。このときには荷電粒子ビーム強度測定は必ずしも必要ではない。そして、X軸方向の荷電粒子ビーム強度測定(モニタリング)を行ないながら、X軸方向用駆動部128などを制御して、ビーム強度測定部110を位置cから位置dへと、X軸方向に動かす。
【0069】
このX軸方向移動中における測定点は、先のY軸方向移動中における測定点と同じ位置となるようにする。図6(B)に示すように、本例では、測定点ab,ac,adなどとする。
【0070】
異なる測定点ab,ac,adでの各ファラデーカップで取得した実測値は、本来は測定点ごとに同一データが得られるはずであるが、ファラデーの固有差の影響によりばら付きを持つ。一方、ビーム強度分布測定の際には、測定データの絶対値の精度は必要ではなく、何れのファラデーカップ112で測定しても、同一のデータが得られることが保証できれば十分である。そこで、演算処理部200では、各測定点での基準ファラデーに対するばら付きを求め、これに対して補正を掛けてファラデーの固有差の影響による誤差をなくす。基準ファラデーに対するばら付きを求めることは、所定のファラデーを基準ファラデーとする正規化処理(換算処理)に相当する。測定点を異なる位置に複数設定するのは、測定位置の影響も加味することで、校正の精度を高めるためである。勿論、校正精度が劣るものの、同一測定点にて1回好ましくは複数回測定して校正するようにしても構わない。
【0071】
たとえば、先ず校正値演算部206は、基準のファラデーカップ112でビーム強度測定部110のY軸移動時に測定した任意の測定点のデータD1、たとえばファラデーカップ112aを基準ファラデーとした測定点ab,ac,adにて測定したデータD1ab,D1ac,D1adと、残りのファラデーカップ112b〜112dで同じ測定点ab,ac,adをビーム強度測定部110のX軸移動時に測定した測定したデータD1bb,D1cc,D1ddとを用いて、その強度比または差分値にて、他のファラデーカップ112b,112c,112dとの校正値D2を演算する。
【0072】
そして、強度比を用いて校正値を算出する場合、以下のようにする。すなわち、先ず、基準とするファラデーAで任意の測定点iのビーム強度を測定して得たデータ値D1α iと他のファラデーBで同じ測定点を測定して得たデータ値D1β iを用いて、下記式(1)に従って校正補正を行なう。なお、“n”は測定点の箇所数であり、この測定箇所数nで除算することで、平均値を用いて校正補正を行なう。
【数1】
【0073】
そして、上記式(1)により得られる校正値を用いた場合、たとえばファラデーBの生の測定データD1β bに対する校正後のデータ(換算値)D2β bは、下記式(2)に従って求められる。
【数2】
【0074】
また、差分を用いて校正値を算出する場合、式(3)に従って校正補正を行ない、式(4)に従って校正データ(換算値)を求める。
【数3】
【数4】
【0075】
ここでは、ファラデーカップ112aを基準ファラデーとするファラデーカップ112bの測定データに対する校正について説明したが、基準ファラデーをファラデーカップ112cあるいは112dにしてもよい。また、他のファラデーカップ112a,112c,112dについても、所定のファラデーカップ112を基準ファラデーとして、同様にして測定を行なうことで、それぞれの校正値D2β a,D2β c,D2β dを演算することが可能である。こうすることで、校正値演算部206は、測定子としての個々のファラデーカップ112の固有特性による影響(測定誤差)を排除することができる。
【0076】
なお、この校正処理は、ビーム強度分布測定の都度行なう必要は必ずしもなく、所定のタイミングで行なうだけでも十分である。校正値を適宜チェックし直すことで、ビーム測定系やイオン注入装置の異常を検知することも可能となる。
【0077】
強度分布演算部208は、このようにして得られたビーム強度測定信号S1a,S1b,S1c,S1dの各校正値D2βを用いて、ファラデーカップ測定子ごとの固有特性による影響を排除した真の荷電粒子ビーム強度分布を演算する。すなわち、同じ測定点でのビーム強度測定データを用いてファラデーカップの固有特性をキャンセル可能な補正を行なうことで、真のビームプロファイル結果を得ることができる。
【0078】
以上の説明から分かるように、校正のための測定点の設定の際には、ビーム強度測定部110の傾き角と各ファラデーカップ112の配列ピッチとを考慮して設定する必要がある。なお、ビーム強度測定部110をX軸およびY軸の双方に対して傾けているので、移動方向に直交する測定点のピッチは、ファラデーカップ112のファラデーベース114上における配列ピッチよりも狭くすることができる利点がある(詳しくは後述する)。また、所定の測定点における測定が異なる時間に行なわれることとなるので、ビーム強度測定部110の移動中に、個々の測定データに対する前処理を行なっておくことができる利点もある。なお、傾き角を45度に設定すれば、たとえば基準ファラデー112aについての測定点bと、基準ファラデー112bについての測定点cと、基準ファラデー112cについての測定点dなどというように、複数の測定点におけるビーム強度測定信号S1の取得を同時に行なうことができる。
【0079】
校正後の実際の測定に際しては、測定点の設定ピッチは自由である。たとえば、ビーム強度測定部110を所定方向に連続的に移動させつつ測定を行なってもよい。あるいは、所定の移動ピッチでビーム強度測定部110を移動させ、その移動ピッチごとに測定を行なってもよい。何れにしても、ファラデーカップ112の配列ピッチよりも狭い間隔で測定点を設定するように、2次元状にビーム強度測定部110を移動させた所定位置にて(実質的に動きながら)測定を行なうものであればよく、連続的な移動に限らず、ステップ状の移動でも構わない。
【0080】
<測定および校正の具体例;第2例>
図7は、荷電粒子ビーム強度測定を行なう処理の第2例を説明する図である。この第2例の測定処理は、第1例と同様に平面状(2次元状)のビーム強度分布を測定する手法であって、上述した第3実施形態のビーム強度測定機構100とともに用いるのに好適な手法である。
【0081】
先ず測定位置制御部202は、ビーム強度測定機構100の1軸可動ステージ170を用いて、図7(A)に示すように、荷電粒子ビーム強度測定(モニタリング)を行ないながら回転軸186を制御してビーム強度測定部110を位置aから位置bへと回動(90°回転)させる。この後、Y軸方向の荷電粒子ビーム強度測定(モニタリング)を行ないながら、Y軸方向用駆動部178を制御して、ビーム強度測定部110を位置bから位置cへと、Y軸方向に動かす。Y軸方向移動中における測定点は、先のビーム強度測定部110を回動させている際の測定点と同じ位置となるようにする。図7(B)に示すように、本例では、測定点ba,cb,dcなどとする。
【0082】
以下、第1例と同様にして、所定のファラデーカップ112を基準のファラデーカップとして測定した任意の測定点のデータと、他のファラデーカップ112で同じ測定点を測定したデータとを用いて、両者の強度比または差分値にて他のファラデーカップ112を校正する。そして、強度分布の実測値に対して校正することで、ファラデーカップ測定子ごとの固有特性による影響を排除した真の荷電粒子ビーム強度分布を得る。
【0083】
<測定および校正の具体例;第3例>
図8は、荷電粒子ビーム強度測定を行なう処理の第3例を説明する図である。この第3例の測定処理は、第1例や第2例とは異なり、空間状(3次元状)のビーム強度分布を測定する手法である。ビーム強度測定機構100を3次元状に移動可能に構成したものとともに用いるのに好適な手法である。
【0084】
先ず、上述した第1例もしくは第2例のような方法に準じてビーム強度測定部110を移動させて測定を行なうことで、任意の平面の荷電粒子ビーム平面強度を測定する。この後、ビーム強度測定部110を所定ピッチでZ軸方向へ動かして、再度、ビーム平面強度分布を同様にして測定する。これらを繰り返すことで、荷電粒子ビーム強度を3次元的に測定することができる。すなわち、Z軸方向(高さ方向)にビーム強度測定部110が動くことで、荷電粒子ビーム強度の空間強度が、高さが変わることでどう変化しているかを測定することができる。
【0085】
なお、所定のファラデーカップ112を基準ファラデーとして他のファラデーカップ112を校正する(2次元的位置をも加味した)手法と同様にして、3次元的な測定位置をも加味した校正を行なう際にも、上記空間強度測定と同様にして移動測定を行なうことで可能である。
【0086】
<測定および校正の具体例;第3例>
図9は、ビーム強度測定部110をX軸およびY軸の双方に対して傾けて(斜め配置で)移動させることの優位点について説明する図である。図9(A)に示すように、斜め配置で移動させると、モニタリング領域内では、移動によって各ファラデーカップ112の重なり(格子点)により形成される2次元格子状の測定点のピッチが、ファラデーベース114上におけるファラデーカップ112の配列ピッチよりも狭くなる。加えて、回転軸などを用いず、X,Y方向の動き、すなわちビーム強度測定部110を斜め配置した状態を維持したままでの平行移動だけで、異なるファラデーの軌道を重ねることができる。このことは、固有特性の影響を排除するための校正測定に際して、ファラデーカップ112の移動をXYステージで構成できることを意味する。XYステージは、機構が簡易であるから、ビーム強度測定機構100を簡素化し、コストダウンすることができる。
【0087】
一方、図9(B)に示すように、斜め配置を維持した状態での移動ができない構成の場合、移動によって各ファラデーカップ112の重なり(格子点)により形成される測定点のピッチは、ファラデーベース114上におけるファラデーカップ112の配列ピッチと同じになる。
【0088】
また、図9(A)と同様に測定点を2次元格子状に設定しようとすれば、位置a→位置b→回転→位置c→位置dというように、回転軸を支点とするファラデーベース114の90度回転移動が必要になる。このことは、ファラデーカップ112の移動を、XYステージだけでなく、回転機構を用いて実現しなければならないことを意味し、ビーム強度測定機構100の構成が大掛かりになり、コストアップを招く。
【0089】
なお、上記説明は、校正のための測定に関してであり、ビーム強度分布の測定の際には、測定ピッチを自由に設定できる。よって、図9(B)の構成であっても、ファラデーカップ112の配列ピッチよりも細かいピッチで測定点を設定しビーム強度分布を測定することは可能である。
【0090】
以上説明したように、上記各実施形態のビーム強度測定機構100に依れば、ビーム強度測定部110を移動させて、任意の測定点にてビーム強度測定信号S1を得ることを可能な構成にしたので、先ず、連続的あるいは自在に設定した細かなピッチでの荷電粒子ビーム強度分布測定が可能になる。また、イオンビームの平面強度を正確で細かく測定可能になることで、イオン注入装置などでビームを注入する際、注入ビーム強度を正確にかつ細かく補正することが可能となり、注入の均一性向上を図ることができる。
【0091】
また、それぞれ異なる複数のファラデーカップ112にてビーム強度測定信号S1を取得し、得られる複数のビーム強度測定信号を用いて所定の演算手法に基づいて補正するようにすることで、荷電粒子ビーム測定ごとにファラデーカップの固有特性を測定することができる。荷電粒子ビーム測定ごとにファラデーカップの校正値を算出することで荷電粒子ビームの平面あるいは空間強度データの校正計算ができる。この結果、正確な荷電粒子ビームの任意の平面あるいは空間強度を測定することが可能となる。また、校正値を適宜チェックし直すことで、注入装置またはビーム測定系の異常を検知することも可能になる。また、荷電粒子ビーム測定ごとにファラデーカップの固有特性を測定でき、校正値を算出でき、補正が可能であるので、注入均一性の悪化を招くことがなくなる。また、ファラデーカップの固有特性の影響を気にすることなく部品を調達し、安定したビームプロファイル結果を得られる荷電粒子ビーム強度測定系を実現する(組み立てる)ことが可能になる。
【0092】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0093】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0094】
たとえば、上記実施形態では、ビーム強度測定部110を2次元状もしくは3次元状に移動させて測定することで、ファラデーカップ112の固有特性を校正していたが、ビーム強度測定部110を1次元状にのみ移動させて測定することで、固有特性を校正してもよい。この場合、測定位置の影響を加味した校正とはならないものの、移動制御機構や演算処理が簡易になる利点がある。
【0095】
図10は、その仕組みを説明する図である。ここでは、X軸方向にビーム強度測定部110を移動させた場合を例示している。たとえば、複数のファラデーカップ112にてビーム強度を測定する際に、何れも、補正値算出用ビーム強度測定点(X1,Y1)を測定点とする。そして、たとえば、先ず、ファラデーカップ112aで、測定点(X1,Y1)のビーム強度を測定した後、ファラデーカップ112bが測定点(X1,Y1)に位置するようにX方向にビーム強度測定部110を移動させ、ファラデーカップ112bでビーム強度を測定する。以下同様にして、ファラデーカップ112cが測定点(X1,Y1)に位置するようにX方向にビーム強度測定部110を移動させ、ファラデーカップ112cでビーム強度を測定し、さらに、ファラデーカップ112dが測定点(X1,Y1)に位置するようにX方向にビーム強度測定部110を移動させ、ファラデーカップ112dでビーム強度を測定する。
【0096】
こうすることで、複数のファラデーカップ112にて同一測定点のデータを取得できるので、これら複数のデータに基づいて、ファラデーカップ112の固有特性の影響を除去する校正を行なうことができる。なお、校正のための測定に限らず、ビーム強度の1次元分布(ライン分布)を測定する際にも、上述と同様に、一定方向のみにビーム強度測定部110を移動させればよい。その場合の測定ピッチは自由である。ステップ状に移動させて測定することに限らず、連続的に移動させつつ、任意の位置で測定を行なってもよい。何れにしても、ビーム強度測定部110を移動させて測定することができるので、ファラデーカップ112の配列ピッチよりも細かいピッチで測定点を設定し測定を行なうことができる。
【0097】
上記実施形態では、ビーム強度測定部110を移動させて測定することで、基準ファラデーと校正対象のファラデーの各データ(校正のための基礎データ)を取得していたが、校正のための基礎データの取得は、必ずしもこのような手法に限らない。
【0098】
たとえば、図11(A)に示すように、微小サイズのファラデーカップ113を複数個(図では113a〜113iの9個)を配置した構成のビーム強度測定部110としてもよい。各微小ファラデーカップ113a〜113iの集合体が、上記実施形態で示したファラデーカップ112のそれぞれ(112a〜112d)に対応すると考えればよい。校正の際には、上記実施形態で示した測定点に対応する位置に、微小ファラデーカップ113の集合体を配置し、ほぼ同一測定点における微小ファラデーカップ113の何れか(たとえば113a)を基準ファラデーとして、他の微小ファラデーカップ113(たとえば113b〜113i)を校正する。
【0099】
こうすることで、ファラデーベース114を移動させることなく、複数の微小ファラデーカップ113にて同一測定点のデータを取得できるので、これら複数のデータに基づいて、ファラデーカップ113の固有特性の影響を除去する校正を行なうことができる。
【0100】
また、ビーム強度分布測定時には、ほぼ同一測定点のファラデーカップ113a〜113iのデータ値に基づき、たとえば平均値やメディアン値(中央値)などを使用して分布を特定することとすれば、測定精度がさらに増す。また、ファラデーカップ113a〜113iの何れかに故障が発生した場合には、その故障カップを使用しないこととしても、校正やビーム強度分布測定に不都合が生じない利点もある。
【0101】
また、図11(B)に示すように、それぞれ異なるファラデーベース114a,114bを回転軸114cを支点として回動自在に設け、各ファラデーベース114a,114b上に、ファラデーカップ112を所定ピッチで配列した構成のビーム強度測定部110とすることもできる。この場合、校正の際には、ファラデーベース114a,114bを回転させることで、同一測定点に対して、ファラデーカップ112を実質的に交換する構成とする。一方、ビーム強度分布測定の際には、ファラデーベース114a,114bの何れか一方の上に配されたファラデーカップ112a〜112dを用いる。
【0102】
こうすることで、複数の微小ファラデーカップ112にて同一測定点のデータを取得できるので、これら複数のデータに基づいて、ファラデーカップ112の固有特性の影響を除去する校正を行なうことができる。また、ファラデーベース114a,114bの何れか一方の何れかのファラデーカップ112に故障が発生した場合には、ファラデーベース114a,114bを切り換えて測定することができる利点もある。
【0103】
なお、上記説明は、何れも、ビーム強度分布測定だけでなく、ファラデーカップの固有特性を排除するための校正用の基礎データ取得をも考慮したものであるが、校正機構を考慮することは必ずしも必須ではない。この場合、少なくともファラデーカップを細かく移動させることで、測定点を細かく設定する構造を有していればよく、異なるファラデーカップで同一測定点のデータを取得する構造を必要としない。
【0104】
たとえば、上記実施形態では、複数のファラデーカップ112がファラデーベース114上に所定ピッチで一列または複数列に配列させた構造のビーム強度測定部110を、1次元状、2次元状、もしくは3次元状に、ビーム照射領域のほぼ全面に対して移動可能な構造とすることで、1次元状、2次元状、もしくは3次元状に荷電粒子ビーム強度分布を測定可能な荷電ビーム強度分布測定装置(ビームプロファイルモニタ)を形成していたが、これに限らず、単一のファラデーカップ112のみでビーム強度測定部110を形成してもよい。
【0105】
この場合、ビーム強度測定部110を、1次元状、2次元状、もしくは3次元状に移動(走査)させて測定を行なうことでも、ビーム強度分布を測定可能である。単一のファラデーカップ112のみで測定するので、測定されたビーム強度分布には、固有特性によるばら付きの影響は生じないと考えてよい。
【0106】
たとえば、図12(A)に示すように、XYステージの2軸可動ステージ120を備えた上記第1実施形態に対する変形例を構成することができる。このように、複数のファラデーカップ112を使用して2軸可動ステージ120を利用したビーム強度測定機構100を構成したときと同様に、図12(A)に示すように、XYステージを利用してビーム強度測定機構100を構成すれば、コストダウンでき、またメンテナンス回数が少なくて済む利点が得られる。
【0107】
また、図12(B)に示すように、アーム機構150を備えた上記第2実施形態に対する変形例を構成することもできる。なお、これらの変形例に限らず、第3実施形態のビーム強度測定機構100に対しても、単一のファラデーカップ112のみを用いた構造に、同様に変形可能である。
【0108】
なお、複数個のファラデーカップ112を用いる上記第1〜第3の各実施形態と、単一のファラデーカップ112を用いる変形例との組合せとして、たとえば、当初は、複数個のファラデーカップ112にて測定を行なうとともに、何れかのファラデーカップ112が故障した際には他のファラデーカップ112で代用して測定することとすれば、最後の1個が故障するまで使用を継続することができる利点も得られる。
【0109】
なお、上記実施形態では、ビーム強度測定部110を移動させる機構を利用して、ファラデーカップ112の固有特性を校正する仕組みを説明したが、ファラデーカップ112の固有特性を校正する点にのみ着目すれば、複数のファラデーカップ112を同一測定点に配する仕組みは別として、上記実施形態で説明したデータ校正の仕組みは、ファラデーカップ112が固定配置されている装置にも適用可能である。
【0110】
たとえば、ビーム強度分布測定用のファラデーカップ112とは別に校正専用の基準ファラデーカップ112を用意して、所定の移動手段を用いて基準ファラデーカップ112を固定配置されたファラデーカップ112の位置とほぼ同じ位置に移動させて測定してもよい。こうすることで、基準ファラデーカップ112により得られる測定結果と固定配置されたファラデーカップ112の測定結果のずれを相殺するように補正することができる。
【0111】
【発明の効果】
以上のように、本発明に依れば、ファラデーカップを移動させて任意の測定点にてビーム強度を測定して得たデータに基づいてビーム強度分布を測定するようにしたので、ファラデーカップを固定的に配列した構造のものよりも細かなピッチでの荷電粒子ビーム強度分布測定が可能になる。平面的移動に限らず、空間的に移動させることで、空間的な荷電粒子ビーム強度分布を測定することも可能になる。これにより、イオン注入装置などでビームを注入する際、注入ビーム強度を精度よく制御することが可能となり、注入の均一性向上を図ることができる。
【0112】
また、複数のファラデーカップを用いて測定を行なう際には、それぞれによって取得された個々の測定データに対して、所定の基準ファラデーを元にして、固有特性を相殺する方向に補正するようにしたので、ばら付きなく測定することができる。すなわち、同じ位置にて荷電粒子ビーム強度を測定すれば、何れのファラデーカップで測定しても同じ強度データを得ることができ、結果として、精度のよい分布測定を行なうことができ、注入の均一性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体製造装置の一実施形態を適用したイオン注入装置の構成例を概略的に示す側面図である。
【図2】ビーム強度測定機構の第1実施形態を示す図である。
【図3】ビーム強度測定機構の第2実施形態の全体概要を示す図である。
【図4】ビーム強度測定機構の第3実施形態の全体概要を示す図である。
【図5】ビーム強度の校正値を算出する機能部分や、真の荷電粒子ビーム強度分布を演算する機能部分をなす演算処理部の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図6】荷電粒子ビーム強度測定を行なう処理の第1例を説明する図である。
【図7】荷電粒子ビーム強度測定を行なう処理の第2例を説明する図である。
【図8】荷電粒子ビーム強度測定を行なう処理の第3例を説明する図である。
【図9】ビーム強度測定部をX軸およびY軸の双方に対して傾けて移動させることの優位点について説明する図である。
【図10】ビーム強度測定部を1次元状にのみ移動させて測定することで、固有特性を校正する仕組みを説明する図である。
【図11】ファラデーカップの固有特性を校正する機能を実現するための、ビーム強度測定部の変形例を説明する図である。
【図12】単一のファラデーカップのみでビーム強度測定部を形成する場合のビーム強度測定機構の一例を示す図である。
【図13】従来のビーム強度測定部の構成例を示す図である。
【図14】図13に示したビーム強度測定部を用いて測定した場合の問題点を説明する図である。
【符号の説明】
1…イオン注入装置、2…シールドボックス、3…高電圧ターミナル、5…加速管、6…ビームライン部、8…エンドステーション部、32…イオン源、34…質量分離器、36…ビーム遮断器、82…ウェーハ保持機構、100…ビーム強度測定機構、101…マスク配置機構部、102…稼働機構部、104…ステージ、110…ビーム強度測定部、112,113…ファラデーカップ、114…ファラデーベース、116…信号出力部、120…2軸可動ステージ、150…アーム機構、156,157,158…回転軸、170…1軸可動ステージ、186…回転軸、200…演算処理部、202…測定位置制御部、204…A/D変換部、206…校正値演算部、208…強度分布演算部、M…ステンシルマスク、W…ウェーハ
Claims (18)
- 半導体基板に注入される荷電粒子の強度分布を測定する方法であって、
前記荷電粒子の強度を測定する測定子を2箇所以上の位置に移動させ、
この移動された所定位置にて、前記測定子により前記荷電粒子の強度を測定し、
この測定により得た測定結果を用いて、前記荷電粒子の強度分布を求める
ことを特徴とする荷電粒子強度分布測定方法。 - 前記測定子を用いた測定により得られた測定結果を、前記測定子と同じ位置にて基準の測定子により得られる測定結果とのずれを相殺するように補正し、
この補正後の値を用いて、前記荷電粒子の強度分布を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子強度分布測定方法。 - 半導体基板に注入される荷電粒子の強度分布を測定する方法であって、
前記荷電粒子の強度を測定する測定子を用いた測定により得られた測定結果を、基準の測定子により得れる測定結果とのずれを相殺するように補正する
ことを特徴とする荷電粒子強度分布測定方法。 - 半導体基板に注入される荷電粒子の強度分布を測定する装置であって、
前記荷電粒子の強度を測定する測定子を有する強度測定部と、
前記強度測定部を所定方向に移動させる移動機構部と、
前記移動機構部により移動された所定位置にて前記測定子により測定された測定結果を用いて前記荷電粒子の強度分布を求める強度分布演算部と
を備えたことを特徴とする荷電粒子強度分布測定装置。 - 前記強度測定部は、複数個の前記測定子が所定ピッチで配列されている
ことを特徴とする請求項4に記載の荷電粒子強度分布測定装置。 - 前記複数個の測定子の配列方向は、前記強度測定部の前記移動の方向に対して斜めに設定されており、
前記移動機構部は、前記強度測定部を前記斜めに維持した状態で前記所定方向に移動させる
ことを特徴とする請求項5に記載の荷電粒子強度分布測定装置。 - 前記移動機構部は、前記強度測定部の前記測定子を3次元状に移動させる
ことを特徴とする請求項4に記載の荷電粒子強度分布測定装置。 - 前記移動機構部は、前記強度測定部の前記移動の方向に対する位置を一定に保持しつつ、当該強度測定部を前記所定方向に移動させる移動ステージを有するものである
ことを特徴とする請求項4に記載の荷電粒子強度分布測定装置。 - 前記移動機構部は、前記強度測定部の前記移動の方向に対する位置を一定に保持しつつ、当該強度測定部を前記所定方向に移動させる可動アームを有するものである
ことを特徴とする請求項4に記載の荷電粒子強度分布測定装置。 - 前記移動機構部は、回動部を有し、前記強度測定部を保持するとともに前記回動部を支点として回転させる回転保持機構部と、
前記回転保持機構部に保持された前記強度測定部の前記移動の方向に対する位置を一定に保持しつつ、前記回転保持機構部を前記所定方向に移動させる移動ステージと
を有するものであることを特徴とする請求項4に記載の荷電粒子強度分布測定装置。 - 前記測定子を用いた測定により得られた測定結果を、基準の測定子により得られる測定結果とのずれを相殺するように補正する校正値演算部を備え、
前記強度分布演算部は、前記校正値演算部により求められた値を用いて、前記荷電粒子の強度分布を求める
ことを特徴とする請求項4に記載の荷電粒子強度分布測定装置。 - 前記強度測定部は、複数個の前記測定子が配列されており、
前記移動機構部は、前記複数個の測定子のうちの何れかを基準の測定子として、この基準の測定子による前記強度測定部が測定した測定点に、他の測定子による測定点を設定するように、前記強度測定部を移動させ、
前記校正値演算部は、この同一の測定点において、前記強度測定部の各測定子により取得したそれぞれの前記荷電粒子の強度に基づいて、前記補正を行なう
ことを特徴とする請求項11に記載の荷電粒子強度分布測定装置。 - 前記校正値演算部は、前記強度測定部の前記基準の測定子と前記他の測定子とで、同一の測定点にて測定した各荷電粒子の強度の比または差分により前記補正を行なうことで、前記他の測定子の固有特性を補正する
ことを特徴とする請求項12に記載の荷電粒子強度分布測定装置。 - 荷電粒子を発生させる発生源から引き出された前記荷電粒子を加速して半導体基板に注入する半導体製造装置であって、
前記荷電粒子の強度を測定する測定子を有する強度測定部と、
前記測定子を用いた測定により得られた測定結果を、基準の測定子により得られる測定結果とのずれを相殺するように補正する校正値演算部と、
前記測定子により測定された測定結果に対する、前記校正値演算部による補正後の値を用いて前記荷電粒子の強度分布を求める強度分布演算部と
を備えたことを特徴とする荷電粒子強度分布測定装置。 - 前記校正値演算部は、前記強度測定部の前記基準の測定子と他の測定子とで、同一の測定点にて測定した各荷電粒子の強度の比または差分により前記補正を行なうことで、前記他の測定子の固有特性を補正する
ことを特徴とする請求項14に記載の荷電粒子強度分布測定装置。 - 半導体基板に注入される荷電粒子の強度分布を測定する装置であって、
前記荷電粒子の強度を測定する測定子を有する強度測定部と、
前記強度測定部を所定方向に移動させる移動機構部と、
前記移動機構部により移動された所定位置にて前記測定子により測定された測定結果を用いて前記荷電粒子の強度分布を求める強度分布演算部と
を備えたことを特徴とする荷電粒子強度分布測定装置。 - 加速された荷電粒子が半導体基板の所定位置に注入されるように当該半導体基板を保持する保持機構を有するエンドステーション部と、
前記半導体基板に注入される前記荷電粒子の強度を測定する測定子を有する強度測定部と、
前記強度測定部を所定方向に移動させる移動機構部と、
前記移動機構部により移動された所定位置にて前記測定子により測定された測定結果を用いて前記荷電粒子の強度分布を求める強度分布演算部と、
前記強度分布演算部により得られた強度分布に基づいて、所定のドーズ量が前記半導体基板に一様に得られるように、前記荷電粒子の注入を制御する制御部と
を備えたことを特徴とする半導体製造装置。 - 加速された荷電粒子が半導体基板の所定位置に注入されるように当該半導体基板を保持する保持機構を有するエンドステーション部と、
前記半導体基板に注入される前記荷電粒子の強度を測定する測定子を有する強度測定部と、
前記測定子を用いた測定により得られた測定結果を、基準の測定子により得られる測定結果とのずれを相殺するように補正する校正値演算部と、
前記測定子により測定された測定結果に対する、前記校正値演算部による補正後の値を用いて前記荷電粒子の強度分布を求める強度分布演算部と、
前記強度分布演算部により得られた強度分布に基づいて、所定のドーズ量が前記半導体基板に一様に得られるように、前記荷電粒子の注入を制御する制御部と
を備えたことを特徴とする半導体製造装置。
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