JP2005004403A - Co2排出変化量算出装置、co2排出責任の変化量配分装置、プログラム及び記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】センタコンピュータ103は、需要家120−1のコンピュータ123−1から、電力需要データを受信し、電力供給会社110のコンピュータ113から電力供給データを受信し、需要家120−1の間接的に排出するCO2排出変化量を算出し、CO2排出変化量に影響を与える要因分析を行い、各要因の影響によるCO2変化量を算出し、分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、需要家120−1に起因するデータを、認証データとしてコンピュータ123−1に送信する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力使用に関わるCO2排出変化量算出システム、CO2排出責任の変化量配分システム等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電力消費機器のCO2排出量を算出、表示する装置はいくつか存在する(例えば、[特許文献1]参照)。
【0003】
地球温暖化対策推進法では、需要家の電力消費に伴う間接CO2排出量の算定を行うに際し、全電源平均係数が用いられている。
全電源平均係数を用いたCO2排出量の算定では、例えば、基準年度s、評価年度tの全電源平均係数をαs、αt、基準年度s、評価年度tの電力消費量(需要量)Dis、Ditとすると、需要家iの電力消費による間接CO2排出量は、αs×Dis、αt×Ditで計算される。また、需要家iの基準年度sから評価年度tへのCO2排出変化量は、αs×Dis−αt×Ditで計算される。
【0004】
全電源平均係数の考え方では、需要家の消費している電力は、供給側の電源種別(原子力、水力、LNG火力、石炭火力、石油火力等)の構成比率が一定であると仮定した考え方である。図18は、全電源平均係数による考え方1800を示す。図18に示すように、s年度からt年度へ需要家の電力需要が変化した場合、全ての電源種別の電源構成比率は変化しないとしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−312537号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際の発電設備は、経済的運用から、ベースロードの発電設備である原子力、水力発電所は負荷変動によらずその能力を最大限利用する運転を行うため、負荷変動に対応する電源はCO2排出主体である火力発電所が中心になる。従って、需要家の電力需要が変動したことによる実際のCO2排出変化量は、従来の全電源平均係数を用いた需要家のCO2排出実績の評価(電力需要変動に対して、全ての電源種別がその時点の電源構成比率を維持しながら平均的に対応しているとした評価)とは異なり、現実を反映しておらず、需要家の省エネ努力等によって電力需要削減がなされた際の実際のCO2排出削減効果を正確に算出されていないという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、電力供給及び電力需要に関わるCO2排出変化量を算定し、CO2排出抑制効果を正確に評価できるCO2排出変化量算出システム、CO2排出責任の変化量配分システム等を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために第1の発明は、電力需要家の対象時点の電力需要データ、又は電力需要データの差分データを入力する第1の入力手段と、前記電力需要データ、又は前記電力需要データの差分データに基づいて算出したCO2排出変化量に影響を与える要因分解を行い、各要因の影響によるCO2変化量を算出する第1の算出手段と、前記第1の算出手段により分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該電力需要家に起因するデータを集計し、認証データを算出する第1の集計手段と、を具備することを特徴とするCO2排出変化量算出装置である。
【0009】
また、電力供給会社の対象時点の電力供給データ、又は電力供給データの差分データを入力する第2の入力手段、を更に具備することが望ましい。
また、前記第1の入力手段は、ネットワークを介して接続された前記電力需要家の端末装置から受信し、入力する第1の受信手段、を更に具備することが望ましい。
また、前記電力需要データと、前記電力供給データを保持する電力実績データベース、と更に具備することが望ましい。
【0010】
第1の発明では、入力した電力需要家の対象時点の電力需要データ、又は電力需要データの差分データに基づいて算出したCO2排出変化量に影響を与える要因分解を行い、各要因の影響によるCO2変化量を算出し、分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該電力需要家に起因するデータを集計し、認証データを算出する。
【0011】
「CO2排出変化量」は、電力需要家の電力消費、電力供給会社の電力供給に伴う間接的なCO2排出量の増減を算定したものであり、「対象時点」は、基準時点と評価時点からなり、CO2排出変化量は、基準時点から評価時点への変化から算出される値である。尚、対象時点は、年、月、日等で表す。
「CO2排出責任の変化量」は、各電力需要家、各電力供給会社のCO2排出に関わるCO2排出責任量(排出権量)の変化量であり、CO2排出責任量(排出権量)は、CO2排出変化量に応じて、移転/発行される。電力消費主体及び電力供給主体のCO2排出責任量の合計と、日本全体のCO2排出量と一致し、各電力需要家の需要量に応じたCO2排出量、又は各電力供給会社の発電量、火力発電効率に応じたCO2排出量に基づいて、CO2排出責任量は配分される。
【0012】
「電力実績データベース」は、電力需要データと、電力供給データ等を保持し、「電力需要データ」は、当該電力需要家の電力需要量と、当該電力需要家以外の電力需要量、総電力需要量等からなり、「電力供給データ」は、発電量データ、CO2排出係数データ等からなる。「発電量データ」は、非化石燃料の発電量と、化石燃料の発電量であり、「CO2排出係数データ」は、全電源平均係数と、火力発電係数である。「全電源平均係数」は、火力発電所で排出されたCO2排出量/総電力需要量である。「火力発電係数」は、火力発電所で排出されたCO2排出量/火力発電所の供給する発電量である。
【0013】
「要因」は、当該電力需要家の電力需要量の変動、当該電力需要家以外の電力需要家の電力需要量の変動、非化石燃料の発電量の変動、火力発電係数の変動等である。
「認証データ」は、当該電力需要家、又は当該電力供給会社に起因する各要因の影響によるCO2変化量データである。
【0014】
第2の発明は、電力供給会社の対象時点の電力供給データ、又は電力供給データの差分データを入力する第2の入力手段と、前記電力供給データ、又は前記電力供給データの差分データに基づいて算出したCO2排出変化量に影響を与える要因分解を行い、各要因の影響によるCO2変化量を算出する第2の算出手段と、前記第2の算出手段により分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該電力供給会社に起因するデータを集計し、認証データを算出する第2の集計手段と、を具備することを特徴とするCO2排出変化量算出装置である。
【0015】
第2の発明では、入力した電力供給会社の対象時点の電力供給データ、又は電力供給データの差分データに基づいて算出したCO2排出変化量に影響を与える要因分解を行い、各要因の影響によるCO2変化量を算出し、分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該電力供給会社に起因するデータを集計し、認証データを算出する。
【0016】
第3の発明は、電力需要家の対象時点の電力需要データ、又は電力需要データの差分データを入力する第1の入力手段と、前記電力需要データ、又は前記電力需要データの差分データに基づいて算出したCO2排出変化量に影響を与える要因分解を行い、各要因の影響によるCO2変化量を算出する第1の算出手段と、前記第1の算出手段により分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該電力需要家に起因するデータを集計し認証データを算出する第1の集計手段と、前記認証データに基づいて、当該電力需要家とその他の電力需要家間のCO2排出責任の変化量を配分する第1の配分手段と、を具備することを特徴とするCO2排出責任の変化量配分装置である。
【0017】
第3の発明では、入力した電力需要家の対象時点の電力需要データ、又は電力需要データの差分データに基づいて算出したCO2排出変化量に影響を与える要因分解を行い、各要因の影響によるCO2変化量を算出し、分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該電力需要家に起因するデータを集計し認証データを算出し、認証データに基づいて、当該電力需要家とその他の電力需要家間のCO2排出責任の変化量を配分する。
【0018】
第4の発明は、電力供給会社の対象時点の電力供給データ、又は電力供給データの差分データを入力する第2の入力手段と、前記電力供給データ、又は前記電力供給データの差分データに基づいて算出したCO2排出変化量に影響を与える要因分解を行い、各要因の影響によるCO2変化量を算出する第2の算出手段と、前記第2の算出手段により分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該電力供給会社に起因するデータを集計し、認証データを算出する第2の集計手段と、前記認証データに基づいて、当該電力供給会社と全電力需要家間のCO2排出責任の変化量を配分する第2の配分手段と、を具備することを特徴とするCO2排出責任の変化量配分装置である。
【0019】
第4の発明では、入力した電力供給会社の対象時点の電力供給データ、又は電力供給データの差分データに基づいて算出したCO2排出変化量に影響を与える要因分解を行い、各要因の影響によるCO2変化量を算出し、分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該電力供給会社に起因するデータを集計し、認証データを算出し、認証データに基づいて、当該電力供給会社と全電力需要家間のCO2排出責任の変化量を配分する。
【0020】
上述のプログラムをCD−ROM等の記録媒体に保持させて流通させてもよいし、このプログラムを通信回線を介して送受することもできる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明に係るCO2排出変化量算出システム100及びCO2排出責任の変化量配分システム1400の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0022】
図1は、第1の実施の形態に係るCO2排出変化量算出システム100の概略構成を示す図である。図1は、CO2排出変化量算出システムの1例であり、図1に示すように、CO2排出変化量算出システム100は、認証センタ101のセンタコンピュータ103、複数の電力供給会社110−1、110−2、…のコンピュータ113−1、113−2、…、複数の需要家120−1、120−2、…のコンピュータ123−1、123−2、…、ネットワーク130等からなる。
CO2排出変化量算出システム100は、例えばインターネットなどのネットワーク130を介して、センタコンピュータ103、コンピュータ113−1、113−2、…、コンピュータ123−1、123−2、…とが接続されて構成される。
【0023】
認証センタ101は、CO2排出変化量を算定、評価する認証機関であり、センタコンピュータ103を有する。
【0024】
センタコンピュータ103は、需要家120のコンピュータ123から受け取った対象時点(基準時点、評価時点)の電力需要データ、又はその差分データと、電力供給会社110のコンピュータ113から受け取った対象時点(基準時点、評価時点)の電力供給データ、又はその差分データを用いて、基準時点から評価時点への各供給要因、需要要因の影響による当該需要家120のCO2排出変化量を算出し、当該需要家120に起因するデータを集計し、認証データとして、当該需要家120のコンピュータ123へ送信するCO2排出変化量算出装置である。
【0025】
電力供給会社110−1、110−2、…は、コンピュータ113−1、113−2、…を有し、コンピュータ113は、ネットワーク130を介して、対象時点(基準時点、評価時点)の電力供給データ、又はその差分データをセンタコンピュ−タ103に提供する。電力供給データは、電力供給者である電力供給会社110の発電量データ、火力発電係数データ等である。
【0026】
需要家120−1、120−2、…は、電力消費者であり、企業、業界等である。需要家120−1、120−2、…は、コンピュータ123−1、123−2、…を有する。コンピュータ123は、センタコンピュータ103に対象時点(基準時点、評価時点)の電力需要データ、又はその差分データを送信し、センタコンピュータ103から算出されたCO2排出変化量のうち、当該需要家に起因する認証データを受信する。尚、コンピュータ123は、通常はパーソナルコンピュータ等である。
【0027】
次に、センタコンピュータ103のハードウェア構成を説明する。図2は、センタコンピュータ103のハードウェア構成図である。
【0028】
図2に示すように、センタコンピュータ103は、制御部201、記憶装置202(ハードディスク)、メディア入出力部203(CD−ROM)、通信制御部204(通信制御装置、通信ポート等)、入力部205(キーボード、マウス等)、印刷部206(プリンタ)、表示部207(ディスプレイ)等が、バス209を介して接続される。
【0029】
制御部201は、CPU、ROM、RAM等で構成され、大容量記憶媒体としての記憶装置202に格納されたプログラムに従って、バス209を介して接続された各装置を駆動制御する。
【0030】
記憶装置202には、各構成部分を駆動制御するプログラム、CO2排出変化量計算・認証プログラム320、及び電力実績データベース300が格納されている。
【0031】
これらの各プログラムコードは、制御部201により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
【0032】
メディア入出力部203(CD−ROMドライブ装置)は、制御部201のROMや記憶装置202に記憶されているプログラムや情報をバージョンアップ、機器設定等の設定を行う際に用いられ、メンテナンスキーにより本体部を管理モードに切り替えて、メディア入出力部203にバージョンアップ用のCD−ROMを挿入し、データの書き換えを行う。
【0033】
通信制御部204は、通信制御装置、通信ポート等であり、ネットワーク109を介して、センタコンピュータ103及びコンピュータ113、コンピュータ123間の通信制御を行う。
【0034】
入力部205は、キーボード、マウス等であり、表示部207(ディスプレイ)に表示された操作案内、各種処理、操作を行う。
印刷部206は、プリンタであり、印刷出力処理を行う。
【0035】
次に、記憶装置202における電力関連ファイルのファイル配置について説明する。図3は、記憶装置202における電力関連ファイルのファイル配置を示す。図3に示すように、記憶装置202内には、電力実績データベース300、制御プログラム310、CO2排出変化量計算・認証プログラム320等を保持する。
【0036】
電力実績データベース300は、電力需要データ301、発電量データ302、CO2排出係数データ303、CO2排出量データ304等からなる。電力需要データ301は、当該需要家120の電力需要量、当該需要家120以外の電力需要量、総電力需要量等を含む。発電量データ302は、非化石発電量、化石発電量等を含む。CO2排出係数データ303は、火力発電係数、全電源平均係数等を含む。全電源平均係数は、火力発電所で排出されたCO2排出量/総電力需要量である。火力発電係数は、火力発電所で排出されたCO2排出量/火力発電所の供給する発電量である。CO2排出量データ304は、各需要家120の排出量、総排出量等を含む。
【0037】
制御プログラム310は、センタコンピュータ103の各構成部分を駆動制御するプログラムである。
CO2排出変化量計算・認証プログラム320は、実行可能プログラムであり、基準年度から評価年度への各供給要因、需要要因の影響による需要家120のCO2排出変化量を算出し、当該需要家120に起因するデータを集計し、認証データを作成する。
【0038】
次に、需要家120のコンピュータ123のハードウェア構成を説明する。図4は、コンピュータ123のハードウェア構成図である。
【0039】
図4に示すように、コンピュータ123は、制御部401、記憶装置402(ハードディスク)、メディア入出力部403(CD−ROM)、通信制御部404(通信制御装置、通信ポート等)、入力部405(キーボード、マウス等)、印刷部406(プリンタ)、表示部407(ディスプレイ)等が、バス409を介して接続される。
【0040】
制御部401は、CPU、ROM、RAM等で構成され、大容量記憶媒体としての記憶装置402に格納されたプログラムに従って、バス409を介して接続された各装置を駆動制御する。
【0041】
記憶装置402(ハードディスク)には、各構成部分を駆動制御するプログラム、および当該需要家120が電力消費した電力需要データ等が格納されている。
【0042】
これらの各プログラムコードは、制御部401により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
【0043】
メディア入出力部403(CD−ROMドライブ装置)は、制御部401のROMや記憶装置402に記憶されているプログラムや情報をバージョンアップ、機器設定等の設定を行う際に用いられ、メディア入出力部403にバージョンアップ用のCD−ROMを挿入し、データの書き換えを行う。
【0044】
通信制御部404は、通信制御装置、通信ポート等であり、ネットワーク109を介して、センタコンピュータ103及びコンピュータ123間の通信制御を行う。
【0045】
入力部405は、キーボード、マウス等であり、表示部407(ディスプレイ)に表示された操作案内、各種処理、操作を行う。
印刷部406は、プリンタであり、印刷出力処理を行う。
【0046】
尚、電力供給会社110側のコンピュータ113も、コンピュータ123と同様なハードウェア構成である。
【0047】
次に、図5、図6を参照しながら、CO2排出変化量算出システムの処理手順について説明する。図5、図6は、CO2排出変化量算出システム100の処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
コンピュータ103の制御部201は、予め、実行可能プログラムであるCO2排出変化量計算・認証プログラム320を起動する。以降、コンピュータ103の制御部201が、実行可能プログラムであるCO2排出変化量計算・認証プログラム320を実行することにより、処理を行う。
【0049】
需要家120−1のコンピュータ123−1の制御部401は、CO2排出量認証依頼と、対象時点(基準時点と評価時点)の電力需要データ、又はその差分データである変動データをセンタコンピュータ103に送信する(ステップ500)。対象時点は、評価基準となる基準時点と評価対象となる評価時点からなり、例えば、基準年度と評価年度、基準月と評価月等の年、月、日等で表す。
例えば、制御部401は、対象時点を基準年度(s年度)と評価年度(t年度)とし、それらの電力需要データを送信する。
【0050】
センタコンピュータ103の制御部201は、需要家120−1のコンピュータ123−1から電力需要に対する認証依頼、対象時点(基準時点と評価時点)の電力需要データ、又はその差分データ(変動データ)を受信し、記憶装置202上の電力実績データベース300に格納する(ステップ501)。
【0051】
制御部201は、電力供給会社110のコンピュータ113に、対象時点の電力供給データ提供依頼を送信する(ステップ502)。
【0052】
電力供給会社110のコンピュータ113の制御部は、センタコンピュータ103からの電力供給データ提供依頼に対して、対象時点の電力供給データ、又はその差分データ(変動データ)をセンタコンピュータ103に送信する(ステップ503)。電力供給データは、対象年度の発電量データ、火力発電係数等のデータである。
【0053】
制御部201は、電力供給会社110のコンピュータ113から受信した対象年度の電力実績データ、又はその差分データを、記憶装置202上の電力実績データベース300に格納する(ステップ504)。
【0054】
次に、電力実績データベース300である電力需要データ301、発電量データ302、CO2排出係数データ303、CO2排出量データ304について説明する。図7は、電力需要、CO2排出係数、CO2排出量の関係700を示す。
【0055】
図7に示すように、電力需要、CO2排出係数、CO2排出量の関係700は、縦軸をCO2排出係数、横軸を電力需要とし、CO2排出量703(h1、hn)を表す。電力需要、発電量、CO2排出係数、CO2排出量等は、CO2排出変化量算出に必要な変数である。
【0056】
電力需要は、需要家120−1の電力需要D1、需要家120−1以外の電力需要Dnで表し、総電力需要E=D1+Dnとなる。
発電量は、非化石発電(原子力、水力)の発電量A、化石発電(火力、石油、石炭、LNG等)の発電量Fで表し、総電力需要E=A+Fとなる。
CO2排出係数は、火力発電係数β、全電源平均係数αとし、全電源平均係数α=(F/E)βで表す。β−α=(A/E)βは、CO2を排出しない非化石電源702に対するCO2排出係数となる。
CO2排出量は、需要家120−1の排出量h1、需要家120−1以外の排出量hnで表し、総排出量H=h1+hnとなる。CO2排出量は、化石電源701によるものである。
【0057】
制御部201は、例えば、基準年度(s年度)から評価年度(t年度)への需要家120−1の電力需要データの差から、基準年度(s年度)から評価年度(t年度)の需要家120−1のCO2排出変化量Δh1、需要家120−1以外のCO2排出変化量Δhnを全電源平均係数αを用いて算出する(ステップ505)。
需要家120−1のCO2排出変化量:
Δh1=D1t×αt−D1s×αs …(f1)式
需要家120−1以外のCO2排出変化量:
Δhn=Dnt×αt−Dns×αs …(f2)式
【0058】
制御部201は、需要家120−1のCO2排出変化量(Δh1、Δhn)を、マージナル電源を火力発電であるとし、火力発電係数βを用いて算出する算定式を作成する(ステップ601)。
【0059】
制御部201は、需要家120−1のCO2排出変化量(Δh1、Δhn)を、火力発電が負荷変動に対応する電源であることに基づいて、需要側の要因、及び供給側の要因に要因分解し、分解した各要因の影響によるCO2排出変化量を算出し、要因の影響を評価する(ステップ602)。
【0060】
需要側の要因は、(i)需要家120−1の電力需要変動、(ii)需要家120−1以外の電力需要変動である。
供給側の要因は、(iii)非化石発電の発電量変動、(iv)火力発電係数の変動である。
【0061】
制御部201は、これら4つの要因による影響、及び2つの要因の双方によって生じる影響(交絡項)を算出する。
要因分析の定式化は、基準年度(s年度)からみての変化を評価するs年度基準で実施する。ある1つの要因xがxsからxtに変化したことの影響を評価するために、CO2排出変化量(Δh1、Δhn)算定式である(f3)式、(f4)式において、xsのみxtに置き換え、その差を算定する。
【0062】
(i)需要家120−1の電力需要変動による影響を定式化し、算出する。図8は、需要家120−1の電力需要変動による影響800を示す。
【0063】
図8に示すように、需要家120−1の電力需要D1sがD1tになった影響を評価する。需要家120−1の電力需要D1sがD1tになったこと以外は、すべてs年度と同じ条件であったと仮定した場合の全電源平均係数αs’とし、CO2排出変化量Δh1、Δhnの(f3)式、(f4)式の第1項のD1t以外をすべてs年度にもどす。
【0064】
需要家120−1の電力需要変動による需要家120−1のCO2変化量(1)は、
需要家120−1の電力需要変動による需要家120−1以外の需要家のCO2変化量(2)は、
【0065】
(ii)需要家120−1以外の需要家の電力需要変動による影響を定式化し、算出する。図9は、需要家120−1以外の需要家の電力需要変動による影響900を示す。
【0066】
図9に示すように、需要家120−1以外の需要家の電力需要DnsがDntになった影響を評価する。需要家120−1以外の需要家の電力需要DnsがDntになったこと以外は、すべてs年度と同じ条件であったと仮定した場合の全電源平均係数αs’’とし、CO2排出変化量Δh1、Δhnの(f3)式、(f4)式の第1項のDnt以外をすべてs年度にもどす。
【0067】
需要家120−1以外の需要家の電力需要変動による需要家120−1のCO2変化量(3)は、
需要家120−1以外の需要家の電力需要変動による需要家120−1以外の需要家のCO2変化量(4)は、
【0068】
(iii)非化石電源の発電量変動による影響を定式化し、算出する。図10は、非化石電源の発電量変動による影響1000を示す。
【0069】
図10に示すように、非化石電源の発電量AsがAtになった影響を評価するる。非化石電源の発電量AsがAtになったこと以外は、すべてs年度と同じ条件であったと仮定した場合の全電源平均係数αs’’’とし、CO2排出変化量Δh1、Δhnの(f3)式、(f4)式の第1項のAt以外をすべてs年度にもどす。
【0070】
非化石電源の発電量の変動による需要家120−1のCO2変化量(5)は、
非化石電源の発電量の変動による需要家120−1以外の需要家のCO2変化量(6)は、
【0071】
(iv)火力発電係数の変動による影響を定式化し、算出する。図11は、火力発電係数の変動による影響1100を示す。
【0072】
図11に示すように、火力発電係数βsがβtになった影響を評価する。火力発電係数βsがβtになったこと以外は、すべてs年度と同じ条件であったと仮定した場合の全電源平均係数αs’’’’とし、CO2排出変化量Δh1、Δhnの(f3)式、(f4)式の第1項のβt以外をすべてs年度にもどす。
【0073】
火力発電係数の変動による需要家120−1のCO2変化量(7)は、
火力発電係数の変動による需要家120−1以外の需要家のCO2変化量(8)は、
【0074】
次に、2つの変動要因によって生じる影響(交絡項)を算出する。火力発電係数変動と電力需要変動の双方に起因する影響、非化石電源の発電量の変動と火力発電係数変動の双方に起因する影響等を定式化し、算出する。図12は、2つの変動要因によって生じる影響1200を示す。
【0075】
図12に示すように、需要家120−1の電力需要D1sがD1tになり、火力発電係数βsがβtになった変動影響を評価する。
火力発電係数の変動と需要家120−1の需要変動の双方によるCO2変化量(9)は、
(9)=(D1s−D1t)×(βs−βt)
火力発電係数の変動と需要家120−1以外の需要変動の双方によるCO2変化量(10)は、
(10)=(Dns−Dnt)×(βs−βt)
【0076】
また、火力発電係数βsがβtになった変動と、非化石電源の発電量AsがAtになった影響を評価する。
火力発電係数の変動と非化石電源の発電量変動の双方によるCO2変化量(11)は、
(11)=−(As−At)×(βs−βt)
【0077】
制御部201は、算出した各要因による影響のデータ(1)〜(8)、及び2つの要因の双方によって生じる影響(交絡項)のデータ(9)〜(11)の和が、(f1)式と(f2)式の全電源平均係数による評価で算出したCO2排出変化量(Δh1+Δhn)であることを確認する(ステップ603)。
【0078】
図13は、電力に関わるCO2排出増減の要因1300を示す。図13に示すように、各要因による影響のデータ(1)〜(11)を「影響を与える側」(需要家120−1による変動、その他需要家による変動、非化石発電量による変動、需要交絡項、非化石交絡項等)と「影響を受ける側」(需要家120−1が受ける影響1301、その他需要家が受ける影響1302)に分ける。ただし、火力発電係数の変動と非化石電源の発電量変動の双方によるCO2変化量(非化石交絡項)(11)は、直接電力需要量に応じたものではないので、需要家120−1とその他需要家、双方の共通項としている。
【0079】
が成り立つ。(f5)式は、全電源平均係数による評価で算出されるΔh1、Δhnと、電源運用を反映した火力発電係数による評価で算出される(1)〜(11)の間でマスバランスが保たれている。
【0080】
全電源平均係数による評価では、図13の(1)、(3)、(5)、(7)、(9)、(11)の一部の列方向のみの要因分析となるが、電源運用を反映した火力発電係数による評価では、例えば、需要家120−1の需要変動によって、日本全体で(1)+(2)のCO2排出量増減を示し、全電源平均係数による評価で評価できなかった需要家120−1のその他の需要家へ与える影響分(2)を評価することができる。
【0081】
制御部201は、算出した各要因による影響、及び2つの要因によって生じる影響(交絡項)のデータ(1)〜(11)のうち、当該需要家120、又は当該電力供給会社110に起因するデータを集計し、認証データを作成する(ステップ604)。
例えば、制御部201は、当該需要家120−1の需要変動に起因する需要家120−1の電力需要変動による需要家120−1のCO2変化量(1)、需要家120−1の電力需要変動による需要家120−1以外の需要家のCO2変化量(2)、火力発電係数の変動と需要家120−1の需要変動の双方によるCO2変化量(9)等のデータを認証データとする。
【0082】
制御部201は、当該需要家120−1側のコンピュータ123−1に認証データを送信する(ステップ605)。
需要家120−1側のコンピュータ123−1の制御部401は、センタコンピュータ103から、認証データを受信する(ステップ606)。
【0083】
以上説明したように、本発明の本実施の形態によれば、センタコンピュータ103の制御部201は、需要家120−1のコンピュータ123−1から、対象時点(基準時点と評価時点)の電力需要データ、又はその差分データを受信し、電力供給会社110のコンピュータ113から対象時点の電力供給データ、又はその差分データを受信する。制御部201は、電力需要データ、電力供給データに基づいて、基準時点から評価時点への需要家のCO2排出変化量を算出し、CO2排出変化量を要因分解し、分解した各要因の影響によるCO2変化量を算出し、要因の影響を評価し、分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該需要家120−1に起因するデータを集計し、認証データとして、当該需要家120−1のコンピュータ123−1に送信する。
【0084】
これにより、従来技術では、電力需要に関わらず電源構成比率を一定として扱っていたため、火力発電所による需要変動への対応という発電所の運用が反映されておらず、日本全体のCO2排出量の増減実態と異なるが、本発明の方法では、この運用実態を考慮し、かつ全電源平均係数の長所である電力消費主体全体でCO2排出責任を負うという考え方の双方を併せ持った評価が可能となり、需要家の省エネ努力等のCO2排出抑制効果を正確に評価できる。
また、電力供給側の努力は、従来技術では、適切に評価できなかったが、本発明の供給側、需要側を含めた評価方法により、電力供給側の非化石電源の建設等によるCO2排出抑制効果をも正確に評価できる。
【0085】
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係るCO2排出責任の変化量配分システム1400の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、前述したCO2排出変化量算出システム100と同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0086】
図14は、第2の実施の形態に係るCO2排出責任の変化量配分システム1400の概略構成を示す図である。図14は、CO2排出責任の変化量配分システムの1例であり、図14に示すように、CO2排出責任の変化量配分システム1400は、認証センタ101のセンタコンピュータ103、複数の電力供給会社110−1、110−2、…のコンピュータ113−1、113−2、…、複数の需要家120−1、120−2、…のコンピュータ123−1、123−2、…、排出権管理センタ140のコンピュータ143、ネットワーク130等からなる。
CO2排出責任の変化量配分システム1400は、例えばインターネットなどのネットワーク130を介して、センタコンピュータ103、コンピュータ113−1、113−2、…、コンピュータ123−1、123−2、…、コンピュータ143とが接続されて構成される。
【0087】
認証センタ101のセンタコンピュータ103は、需要家120のコンピュータ123から受け取った電力需要データ又はその差分データと、電力供給会社110のコンピュータ113から受け取った電力供給データ又はその差分データを用いて、基準時点から評価時点への各供給要因、需要要因の影響による当該需要家120のCO2排出変化量を算出し、当該需要家120に起因するデータを集計し、認証データとして、認証データに基づいて、電力需要家と電力供給会社間のCO2排出責任の変化量を配分するCO2排出変化量配分装置である。
尚、センタコンピュータ103の記憶装置202は、各構成部分を駆動制御するプログラム、CO2排出変化量計算・認証プログラム、電力実績データベース300、更に排出権発行/移転プログラムが格納されている。
【0088】
排出権管理センタ140は、CO2排出権を管理する機関であり、コンピュータ143を有する。
【0089】
コンピュータ143は、センタコンピュータ103から、需要家120、電力供給会社110等の排出権発行/移転通知を受信し、排出権発行/移転通知に応じて、各需要家120−1、120−2、…、各電力供給会社110−1、110−2、…の排出権取引口座を管理する。
【0090】
尚、排出権管理センタ140のコンピュータ143も、コンピュータ113、123と同様なハードウェア構成である。
【0091】
コンピュータ143の記憶装置(ハードディスク)には、各構成部分を駆動制御するプログラム、および各需要家120−1、120−2、…、各電力供給会社110−1、110−2、…の排出権取引口座を保持する排出権取引口座データベース150等が格納されている。
【0092】
次に、図15、図16、図17を参照しながら、CO2排出責任の変化量配分システム1400の処理手順を説明する。図15は、CO2排出責任の変化量配分システム1400のデータと処理の流れを示す。図16、図17は、CO2排出責任の変化量配分システム1400の処理手順を示すフローチャートである。
【0093】
センタコンピュータ103の制御部201は、需要家120−1、120−2、…のコンピュータ123−1、123−2、…から対象時点(例えば、基準年度(s年度)、評価年度(t年度))の電力需要データの差分データである需要量変動データを受信する(ステップ1601)。
尚、本実施の形態では、対象時点の電力需要データの差分データを用いたが、対象時点の電力需要データでもよい。
【0094】
制御部201は、電力供給会社110−1、110−2、…のコンピュータ113−1、113−2、…から対象年度の電力供給データの差分データである変動データを受信する(ステップ1602)。電力供給データは、発電量、火力発電係数等である。
尚、本実施の形態では、対象時点の電力供給データの差分データを用いたが、対象時点の電力供給データでもよい。
【0095】
制御部201は、各需要家120のコンピュータ123、各電力供給会社110のコンピュータ113から受信した各変動データを記憶装置202上の電力実績データベース300に格納する(ステップ1603)。
【0096】
制御部201は、前述したCO2排出変化量算出システム100のステップ505、ステップ601〜603の処理内容と同様のCO2排出変化量計算処理1510により、受信した需要家120側からの電力需要変動データ、電力供給会社110側からの電力供給変動データに基づいて、需要側、供給側の要因の影響による、CO2排出変化量(1)〜(11)を算出する(ステップ1604)。
【0097】
火力発電係数変動データΔβ≦0(火力発電効率向上)の場合(ステップ1605のYes)、制御部201は、認証処理1520により、当該電力供給会社110のCO2削減量II((7)+(8)+(9)/2+(10)/2)を算出し、当該電力供給会社110のCO2削減量として認証し、CO2削減量(II)を認証データとして当該電力供給会社110のコンピュータ113に通知する(ステップ1606)。
制御部201は、排出権発行/移転処理1530により、各需要家120から当該電力供給会社110に実CO2変動量(II)を移転する排出権移転通知を、排出権管理センタ140のコンピュータ143に送信し、当該電力供給会社110のコンピュータ113に、移転する実CO2変動量(II)を送信する(ステップ1607)。
【0098】
排出権管理センタ140のコンピュータ143は、受信した排出権移転通知に従って、排出権取引口座データベース150上の電力会社110−1、110−2、…の排出権取引口座151−1、151−2、…、及び需要家120−1、120−2、…の排出権取引口座152−1、152−2、…の排出権量を移転、管理する。
図15に示すように、排出権取引口座データベース150には、電力会社110−1、110−2、…の排出権取引口座151−1、151−2、…、及び需要家120−1、120−2、…の排出権取引口座152−1、152−2、…からなり、各排出権取引口座151、152には、CO2排出責任量である排出権量を保持する。
【0099】
図15に示すように、例えば、火力発電所である電力供給会社110−2のコンピュータ113−2から火力発電係数変動データ(Δβ≦0)1506を受信すると、制御部201は、算出したCO2削減量II((7)+(8)+(9)/2+(10)/2)を認証データ1502として電力供給会社110−2側に送信する。
制御部201は、需要家120−1の排出権取引口座152−1から((7)+(9)/2)分、需要家120−1以外の排出権取引口座152−2から((8)+(10)/2)分の実CO2変動量を収集し、その実CO2変動量(II)を電力供給会社110−2の排出権取引口座151−2へ移転する排出権移転通知1507を排出権管理センタ140のコンピュータ143に送信し、電力供給会社110−2側にその実CO2変動量(II)を排出権量データ1503として送信する。
【0100】
火力発電係数変動データΔβ>0(火力発電効率低下)の場合(ステップ1605のNo)、制御部201は、認証処理1520により、当該電力供給会社110のCO2増加量II((7)+(8)+(9)/2+(10)/2)を算出し、当該電力供給会社110のCO2増加量として認証し、CO2増加量(II)を認証データとして当該電力供給会社110のコンピュータ113に通知する(ステップ1608)。
制御部201は、排出権発行/移転処理1530により、当該電力供給会社110から各需要家120に実CO2変動量(II)を移転する排出権移転通知を、排出権管理センタ140のコンピュータ143に送信し、当該電力供給会社110のコンピュータ113に、移転された実CO2変動量(II)を送信する(ステップ1609)。
【0101】
図15に示すように、例えば、火力発電所である電力供給会社110−2のコンピュータ113−2から火力発電係数変動データ(Δβ>0)1506を受信すると、制御部201は、算出したCO2増加量II((7)+(8)+(9)/2+(10)/2)を認証データ1502として電力供給会社110−2側に送信する。
制御部201は、電力供給会社110−2の排出権取引口座151−2から、需要家120−1の排出権取引口座152−1に((7)+(9)/2)分、需要家120−1以外の排出権取引口座152−2に((8)+(10)/2)分の実CO2変動量を移転する排出権移転通知1507をコンピュータ143に送信し、電力供給会社110−2側に移転された実CO2変動量(II)を排出権量データ1503として送信する。
【0102】
総電力需要変動データΔE≧化石発電量変動データΔF(非化石発電量増加)の場合(ステップ1701のYes)、制御部201は、認証処理1520により、当該電力供給会社110のCO2削減量I((5)+(6)+(11))を算出し、当該電力供給会社110のCO2削減量として認証し、CO2削減量(I)を認証データとして当該電力供給会社110のコンピュータ113に送信する(ステップ1702)。
制御部201は、排出権発行/移転処理1530により、当該電力供給会社110にみなしCO2削減量(I)を発行する排出権発行通知を、排出権管理センタ140のコンピュータ143に送信し、当該電力供給会社110のコンピュータ113に、発行されたみなしCO2削減量(I)を送信する(ステップ1703)。
【0103】
図15に示すように、例えば、非化石発電所である電力供給会社110−1のコンピュータ113−2から非化石発電量データ(ΔA>0)1506を受信すると、制御部201は、算出したCO2削減量I((5)+(6)+(11))を認証データ1502として電力供給会社110−1側に送信(通知)する。
制御部201は、電力供給会社110−1の排出権取引口座151−1にみなしCO2削減量(I)を発行する排出権発行通知1507をコンピュータ143に送信し、電力供給会社110−1側に発行されたみなしCO2削減量(I)を排出権量データ1503として送信する。
【0104】
総電力需要変動データΔE<化石発電量変動データΔF(非化石発電量減少)、総電力需要変動データΔE≧0の場合(ステップ1704のYes)、制御部201は、認証処理1520により、当該電力供給会社110のCO2増加量I((5)+(6)+(11))を算出し、当該電力供給会社110のCO2増加量として認証し、CO2増加量(I)を認証データとして当該電力供給会社110のコンピュータ113に通知する(ステップ1705)。
制御部201は、排出権発行/移転処理1530により、実CO2変動量(I)分のCO2排出を当該電力供給会社110に帰属させ、実CO2変動量(I)分の排出権移転通知1507を、排出権管理センタ140のコンピュータ143に送信し、当該電力供給会社110のコンピュータ113に、移転された実CO2変動量(I)を送信する(ステップ1706)。
【0105】
図15に示すように、例えば、非化石発電所である電力供給会社110−1のコンピュータ113−2から非化石発電量データ(ΔA≦0)1506を受信すると、制御部201は、算出したCO2増加量I((5)+(6)+(11))を認証データ1502として電力供給会社110−1側に送信(通知)する。
制御部201は、電力供給会社110−1の排出権取引口座151−1から実CO2変動量(I)を国に移転される排出権発行通知1507をコンピュータ143に送信し、電力供給会社110−1側に移転された実CO2変動量(I)を排出権量データ1503として送信する。
【0106】
需要家120の電力需要変動データΔD≧0(需要家増電)の場合(ステップ1707のYes)、制御部201は、認証処理1520により、当該需要家120のCO2増加量III((1)+(2)+(9)/2)を算出し、当該需要家120のCO2増加量として認証し、CO2増加量(III)を認証データとして当該需要家120のコンピュータ123に送信する(ステップ1708)。
制御部201は、排出権発行/移転処理1530により、当該需要家120から、その他の需要家120−nに増加効果がおよんでいる間接効果分をその他全ての需要家の排出権取引口座へ実CO2変動量((2))を移転する排出権移転通知1507を、排出権管理センタ140のコンピュータ143に送信し、当該需要家120のコンピュータ123に、移転された実CO2変動量((2))を送信する(ステップ1709)。
【0107】
図15に示すように、例えば、需要家120−2のコンピュータ123−2から電力需要変動量データ(ΔD≧0)1506を受信すると、制御部201は、算出したCO2増加量III((1)+(2)+(9)/2)を認証データ1502として需要家120−2側に送信する。
制御部201は、需要家120−2の排出権取引口座152−2からその他の需要家120−1の排出権取引口座152−1に実CO2変動量((2))を配分・移転する排出権移転通知1507をコンピュータ143に送信し、需要家120−2側に移転された実CO2変動量((2))を排出権量データ1503として送信する。
【0108】
需要家120の電力需要変動データΔD<0(需要家節電)の場合(ステップ1707のNo)、制御部201は、認証処理1520により、当該需要家120のCO2削減量III((1)+(2)+(9)/2)を算出し、当該需要家120のCO2削減量として認証し、CO2削減量(III)を認証データとして当該需要家120のコンピュータ123に送信する(ステップ1710)。
制御部201は、排出権発行/移転処理1530により、その他の需要家120−nに削減効果がおよんでいる間接効果分をその他全ての需要家120−nの排出権取引口座から実CO2変動量((2))を収集し、当該需要家120に移転する排出権移転通知1507を、排出権管理センタ140のコンピュータ143に送信し、当該需要家120のコンピュータ123に、移転した実CO2変動量((2))を送信する(ステップ1711)。
【0109】
図15に示すように、例えば、需要家120−1のコンピュータ123−1から電力需要変動量データ(ΔD<0)1506を受信すると、制御部201は、算出したCO2削減量III((1)+(2)+(9)/2)を認証データ1502として需要家120−2側に送信する。
制御部201は、その他の需要家120−2の排出権取引口座152−2に実CO2変動量((2))を収集し、需要家120−1の排出権取引口座152−1に移転する排出権移転通知1507をコンピュータ143に送信し、需要家120−1側に移転した実CO2変動量((2))を排出権量データ1503として送信する。
【0110】
また、総電力需要変動データΔE<化石発電量変動データΔF(非化石発電量減少)、総電力需要変動データΔE<0(総需要量減少)、化石発電量変動データΔF≧0(化石発電増加)の場合(ステップ1712のYes)、制御部201は、認証処理1520により、当該電力供給会社110のCO2増加量I((5)+(6)+(11))+III((1)+(2)+(9)/2)を算出し、当該電力供給会社110のCO2増加量として認証し、CO2増加量(I+III)を認証データとして当該電力供給会社110のコンピュータ113に通知する(ステップ1713)。
制御部201は、排出権発行/移転処理1530により、実CO2変動量(I+III)分のCO2排出を当該電力供給会社110に帰属させ、実CO2変動量(I+III)分の排出権移転通知1507を、排出権管理センタ140のコンピュータ143に送信し、当該電力供給会社110のコンピュータ113に、国に移転された実CO2変動量(I+III)を送信する(ステップ1714)。
【0111】
図15に示すように、例えば、非化石発電所である電力供給会社110−1のコンピュータ113−2から非化石発電量データ(ΔA≦0)1506を受信すると、制御部201は、算出したCO2増加量I((5)+(6)+(11))+III((1)+(2)+(9)/2)を認証データ1502として電力供給会社110−1側に送信(通知)する。
制御部201は、電力供給会社110−1の排出権取引口座151−1から実CO2変動量(I+III)を国へ移転される排出権移転通知1507をコンピュータ143に送信し、電力供給会社110−1側に国に移転された実CO2変動量(I+III)を排出権量データ1503として送信する。
【0112】
総電力需要変動データΔE<化石発電量変動データΔF(非化石発電量減少)、総電力需要変動データΔE<0(総需要量減少)、化石発電量変動データΔF<0(化石発電減少)、需要家の電力需要変動データΔD1<0(需要家節電)の場合(ステップ1715のNo)、制御部201は、認証処理1520により、非化石発電量減少によるCO2増加量I((5)+(6)+(11))を算出し、ΔD<0の需要家全体のCO2増加量として認証し、当該需要家120のCO2削減量{III((1)+(2)+(9)/2)−I((5)+(6)+(11))×(|ΔD1|/|ΣΔD|)}を算出し、このCO2削減量を認証データとして当該需要家120のコンピュータ123に通知する(ステップ1716)。
制御部201は、排出権発行/移転処理1530により、その他の需要家120−nに削減効果がおよんでいる間接効果分をその他全ての需要家120−nの排出権取引口座から実CO2変動量((2))を収集し、当該需要家120に移転する排出権移転通知1507を、排出権管理センタ140のコンピュータ143に送信し、当該需要家120のコンピュータ123に、移転した実CO2変動量((2))を送信する(ステップ1717)。
【0113】
図15に示すように、例えば、需要家120−1のコンピュータ123−1から電力需要変動データ(ΔD1<0)1506を受信すると、制御部201は、算出したCO2削減量{III((1)+(2)+(9)/2)−I((5)+(6)+(11))×(|ΔD1|/|ΣΔD|)}を認証データ1502として需要家120−1側に送信(通知)する。
制御部201は、その他の需要家120−2の排出権取引口座152−2に実CO2変動量((2))を収集し、需要家120−1の排出権取引口座152−1に移転する排出権移転通知1507をコンピュータ143に送信し、需要家120−1側に移転した実CO2変動量((2))を排出権量データ1503として送信する。
【0114】
総電力需要変動データΔE<化石発電量変動データΔF(非化石発電量減少)、総電力需要変動データΔE<0(総需要量減少)、化石発電量変動データΔF<0(化石発電減少)、需要家の電力需要変動データΔD<0(需要家増電)の場合(ステップ1715のYes)、制御部201は、ステップ1708の処理に移行し、需要家増電の場合の処理を行う。
【0115】
以上説明したように、本発明の本実施の形態によれば、センタコンピュータ103の制御部201は、需要家120−1のコンピュータ123−1から、電力需要量データの差分データを受信し、電力供給会社110のコンピュータ113から対象年度の電力供給データの差分データを受信する。制御部201は、電力需要量データ、電力供給データに基づいて、要因分解した各要因の影響によるCO2変化量を算出し、分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該需要家120、又は当該電力供給会社110に起因するデータを集計し、そのCO2排出増加/削減量を認証データとして、当該需要家120−1のコンピュータ123−1、又は当該電力供給会社110−1のコンピュータ113−1に送信する。
制御部201は、認証データであるCO2排出増加/削減量に基づいて、電力需要家と電力供給会社のCO2排出責任の変化量である排出権量を配分し、各需要家120、各電力供給会社110の排出権取引口座151、152を管理する排出権管理センタ140のコンピュータ143に排出権発行/移転通知を送信する。
【0116】
これにより、従来技術では、電力需要に関わらず電源構成比率を一定として扱っていたため、火力発電所による需要変動への対応という発電所の運用が反映されておらず、日本全体のCO2排出量の増減実態と異なるが、本発明の方法では、この運用実態を考慮し、かつ全電源平均係数の長所である電力消費主体全体でCO2排出責任を負うという考え方の双方を併せ持った評価が可能となり、需要家の省エネ努力等のCO2排出抑制効果を正確に評価できる。
また、電力供給側の努力は、従来技術では、適切に評価できなかったが、本発明の供給側、需要側を含めた評価方法により、電力供給側の非化石電源の建設等によるCO2排出抑制効果をも正確に評価できる。
【0117】
更に、電力消費由来によるCO2排出量に関して電力需要家に配分されたCO2排出責任量の合計と日本全体のCO2排出量が一致しマスバランスがとれている方法であることから排出権取引制度における算定方法として適している。
【0118】
尚、本実施の形態では、実績である電力需要データ、電力供給データを入力し、CO2排出変化量、その認証データ、CO2排出責任の変化量を算出したが、正式なデータを入力する前に、試行データを入力し、シミュレーションを行うことも可能である。例えば、需要家が、今秋は、需要量○○○に抑えることを目標とすると、CO2削減量×××が見込める等のシミュレーションを行うことができる。
【0119】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るCO2排出変化量算出システム100、CO2排出責任の変化量配分システム1400等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0120】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明によれば、電力供給及び電力需要に関わるCO2排出変化量を算定し、CO2排出抑制効果を正確に評価できるCO2排出変化量算出システム、CO2排出責任の変化量配分システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るCO2排出変化量算出システム100の概略構成を示す図
【図2】センタコンピュータ103のハードウェア構成図
【図3】記憶装置202における電力関連ファイルのファイル配置を示す図
【図4】コンピュータ123のハードウェア構成図
【図5】CO2排出変化量算出システムの処理手順を示すフローチャート
【図6】CO2排出変化量算出システムの処理手順を示すフローチャート
【図7】電力需要、CO2排出係数、CO2排出量の関係700を示す図
【図8】需要家120−1の電力需要変動による影響800を示す図
【図9】需要家120−1以外の需要家の電力需要変動による影響900を示す図
【図10】非化石電源の発電量変動による影響1000を示す図
【図11】火力発電係数の変動による影響1100を示す図
【図12】2つの変動要因によって生じる影響1200を示す図
【図13】電力に関わるCO2排出増減の要因1300を示す図
【図14】第2の実施の形態に係るCO2排出責任の変化量配分システム1400の概略構成を示す図
【図15】CO2排出責任の変化量配分システム1400のデータと処理の流れを示す図
【図16】CO2排出責任の変化量配分システムの処理手順を示すフローチャート
【図17】CO2排出責任の変化量配分システムの処理手順を示すフローチャート
【図18】全電源平均係数による考え方1800を示す図
【符号の説明】
100………CO2排出変化量算出システム
1400………CO2排出責任の変化量配分システム
101………センタ(認証機関)
103………センタコンピュータ
110………電力供給会社
113、123、143………コンピュータ
120………需要家
130………ネットワーク
140………排出権取引センタ
150………排出権取引口座データベース
201、401………制御部
202、402………記憶装置
300………電力実績データベース
Claims (19)
- 電力需要家の対象時点の電力需要データ、又は電力需要データの差分データを入力する第1の入力手段と、
前記電力需要データ、又は前記電力需要データの差分データに基づいて算出したCO2排出変化量に影響を与える要因分解を行い、各要因の影響によるCO2変化量を算出する第1の算出手段と、
前記第1の算出手段により分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該電力需要家に起因するデータを集計し、認証データを算出する第1の集計手段と、
を具備することを特徴とするCO2排出変化量算出装置。 - 電力供給会社の対象時点の電力供給データ、又は電力供給データの差分データを入力する第2の入力手段と、
前記電力供給データ、又は前記電力供給データの差分データに基づいて算出したCO2排出変化量に影響を与える要因分解を行い、各要因の影響によるCO2変化量を算出する第2の算出手段と、
前記第2の算出手段により分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該電力供給会社に起因するデータを集計し、認証データを算出する第2の集計手段と、
を具備することを特徴とするCO2排出変化量算出装置。 - 電力供給会社の対象時点の電力供給データ、又は電力供給データの差分データを入力する第2の入力手段、
を更に具備することを特徴とする請求項1記載のCO2排出変化量算出装置。 - 電力需要家の対象時点の電力需要データ、又は電力需要データの差分データを入力する第1の入力手段、
を更に具備することを特徴とする請求項2記載のCO2排出変化量算出装置。 - 前記第1の入力手段は、ネットワークを介して接続された前記電力需要家の端末装置から受信し、入力する第1の受信手段、
を更に具備することを特徴とする請求項1、又は請求項4記載のCO2排出変化量算出装置。 - 前記第2の入力手段は、ネットワークを介して接続された前記電力供給会社の端末装置から受信し、入力する第2の受信手段、
を更に具備することを特徴とする請求項2、又は請求項3記載のCO2排出変化量算出装置。 - 前記電力需要データと、前記電力供給データを保持する電力実績データベース、
を更に具備することを特徴とする請求項1、又は請求項2記載のCO2排出変化量算出装置。 - 前記対象時点は、基準時点と評価時点であることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載のCO2排出変化量算出装置。
- 前記電力供給データは、発電量データ、CO2排出係数データ等のデータをいずれか少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項2、又は請求項3記載のCO2排出変化量算出装置。
- 前記発電量データは、非化石燃料の発電量、又は化石燃料の発電量であることを特徴とする請求項9記載のCO2排出変化量算出装置。
- 前記CO2排出係数データは、全電源平均係数、又は火力発電係数であることを特徴とする請求項9記載のCO2排出変化量算出装置。
- 前記要因は、
当該電力需要家の電力需要量の変動、当該電力需要家以外の電力需要家の電力需要量の変動、前記非化石燃料の発電量の変動、前記火力発電係数の変動等であることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載のCO2排出変化量算出装置。 - 前記第1の算出手段、又は前記第2の算出手段は、
更に、電力需要量の変動と火力発電係数の変動の双方による変化量と、非化石燃料の発電量の変動と火力発電係数の変動の双方による変化量を算出することを特徴とする請求項1、又は請求項2記載のCO2排出変化量算出装置。 - 電力需要家の対象時点の電力需要データ、又は電力需要データの差分データを入力する第1の入力手段と、
前記電力需要データ、又は前記電力需要データの差分データに基づいて算出したCO2排出変化量に影響を与える要因分解を行い、各要因の影響によるCO2変化量を算出する第1の算出手段と、
前記第1の算出手段により分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該電力需要家に起因するデータを集計し認証データを算出する第1の集計手段と、
前記認証データに基づいて、当該電力需要家とその他の電力需要家間のCO2排出責任の変化量を配分する第1の配分手段と、
を具備することを特徴とするCO2排出責任の変化量配分装置。 - 電力供給会社の対象時点の電力供給データ、又は電力供給データの差分データを入力する第2の入力手段と、
前記電力供給データ、又は前記電力供給データの差分データに基づいて算出したCO2排出変化量に影響を与える要因分解を行い、各要因の影響によるCO2変化量を算出する第2の算出手段と、
前記第2の算出手段により分解された各要因の影響によるCO2変化量のうち、当該電力供給会社に起因するデータを集計し、認証データを算出する第2の集計手段と、
前記認証データに基づいて、当該電力供給会社と全電力需要家間のCO2排出責任の変化量を配分する第2の配分手段と、
を具備することを特徴とするCO2排出責任の変化量配分装置。 - コンピュータを請求項1から請求項13までのいずれかに記載のCO2排出変化量算出装置として機能させるプログラム。
- コンピュータを請求項1から請求項13までのいずれかに記載のCO2排出変化量算出装置として機能させるプログラムを記録した記録媒体。
- コンピュータを請求項14、又は請求項15記載のCO2排出責任の変化量配分装置として機能させるプログラム。
- コンピュータを請求項14、又は請求項15記載のCO2排出責任の変化量配分装置として機能させるプログラムを記録した記録媒体。
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