JP2005003736A - 鏡面形状補正装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動作不能なアクチュエータがミラーに与える影響を除去することができるとともに、求められる場合にはアクチュエータからミラーに伝達される力が完全に零となる状態を確実かつ容易に実現することができる鏡面形状補正装置を得ることを目的とする。
【解決手段】駆動装置がアクチュエータを駆動しないときはアクチュエータと非接触の状態を保持し、駆動装置がアクチュエータを所定量以上駆動すると、そのアクチュエータとの結合又は接触が生じて、アクチュエータから受ける外力をミラーに伝達する外力伝達手段を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】駆動装置がアクチュエータを駆動しないときはアクチュエータと非接触の状態を保持し、駆動装置がアクチュエータを所定量以上駆動すると、そのアクチュエータとの結合又は接触が生じて、アクチュエータから受ける外力をミラーに伝達する外力伝達手段を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ミラーの形状を補正する鏡面形状補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の鏡面形状補正装置は、アクチュエータがミラーと結合され、駆動装置がアクチュエータを駆動して、ミラーの形状を補正する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公平7−113702号公報(第5頁から第6頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の鏡面形状補正装置は以上のように構成されているので、複数のアクチュエータの一部が故障して動かなくなった場合、その周囲の健全なアクチュエータを協調動作させてミラーの形状を補正する。しかし、動作不能なアクチュエータがミラーと結合されたまま切り離されないため、周囲の健全なアクチュエータを協調動作させる際、その結合部分に余分な反力が発生し、ミラーの形状を適切に補正することができなくなることがある課題があった。
また、アクチュエータを支える固定台が熱変形などによって変形すると、アクチュエータの空間位置がミラーに対して相対的に変化するために、故障しているアクチュエータからミラーに伝達されている力が期せずして変化し、ミラーの形状が期せずして歪んでしまうという課題もあった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、動作不能なアクチュエータがミラーに与える影響を除去することができるとともに、求められる場合にはアクチュエータからミラーに伝達される力が完全に零となる状態を確実かつ容易に実現することができる鏡面形状補正装置を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る鏡面形状補正装置は、駆動装置がアクチュエータを駆動しないときはアクチュエータと非接触の状態を保持し、駆動装置がアクチュエータを所定量以上駆動すると、そのアクチュエータとの結合又は接触が生じて、アクチュエータから受ける外力をミラーに伝達し得る外力伝達手段を設けたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による鏡面形状補正装置を示す構成図であり、図において、101はアクチュエータであり、その内部における駆動装置であるモータ1は減速器2を介してボールスクリュー3の軸を回転させる。ボールスクリュー3は軸受け4を介してアクチュエータベース5に固定され、モータ1により軸が回転させられると、移動ナット7をX軸方向に移動させる。なお、移動ナット7は端部がスライドガイド8によって保持されており、ボールスクリュー3と共に回転せず、図のX軸方向に並進移動するように保持されている。アクチュエータベース5は支持構造物であるミラーセル6に固定されている。
【0008】
移動ナット7は端部がスライドガイド8によって保持され、柔らかいコイルバネ9を介してアクチュエータ可動端部であるトップピース10に結合されている。トップピース10はアクチュエータロッド11が結合されており、アクチュエータロッド11の先端はC字型あるいはコの字型断面を有する形状になっており、ミラー結合ロッド12の先端部に形成された保持球面13を包含している。このとき、C字断面部の内面間距離は、保持球面13の直径よりも大きく構成されており、図1に示すように、保持球面13がC字断面部の中央近傍に所在する場合においては、上ギャップ15及び下ギャップ16が確保されるようになっている。
【0009】
ミラー結合ロッド12はミラー14の裏面に固定されている。ミラー14は例えば人工衛星に搭載する赤外線望遠鏡の主反射鏡などが該当する。なお、アクチュエータロッド11の先端の内側(C字型断面の部分)と保持球面13間には上ギャップ15及び下ギャップ16が確保されており、ミラー結合ロッド12及び保持球面13から外力伝達手段が構成されている。
【0010】
アクチュエータベースの側面シリンダ17にはレバー18が傾動自在に結合されている。レバー18の一端にはロック球面19が形成されており、レバー18が一方に傾いたときにロック球面19がトップピース10の側面に形成された凹面に嵌め合わされる。また、レバー18の端部近傍にはバイアスバネ21が設置され、レバー18の他端近傍には形状記憶合金バネ20が設置されている。形状記憶合金バネ20は低温(例えば、0℃以下の温度)の変態温度を有し、その変態温度より高い温度になると、伸長力(所定の形状に戻ろうとする力)を発揮してレバー18を傾ける。バイアスバネ21は通常のバネ材料で構成されたバネであり、周囲温度が形状記憶合金バネ20の変態温度以下になり、形状記憶合金バネ20が伸長力を失うと、伸長してレバー18を上記の傾け方向と逆方向に傾ける。なお、レバー18、ロック球面19、形状記憶合金バネ20及びバイアスバネ21からロック機構が構成されている。
【0011】
鏡面形状測定器22は望遠鏡に組み込まれ、ミラー14の形状を測定する。ギャップ判定器23はアクチュエータロッド11の先端と保持球面13が接触しているか否かを判定する。モデル切替器24はギャップ判定器23の判定結果に応じてモータ1の駆動量の演算式を切り替える。駆動量算出器25はモデル切替器24により指定された演算式を使用して、鏡面形状測定器22の測定結果又は予め設定された目標値からモータ1の目標駆動量を演算する。モータ駆動器26は駆動量算出器25により演算された目標駆動量に応じた駆動指令をモータ1に出力する。なお、鏡面形状測定器22、ギャップ判定器23、モデル切替器24、駆動量算出器25及びモータ駆動器26から演算手段が構成されている。
【0012】
次に動作について説明する。
図1の鏡面形状補正装置は、例えば、人工衛星に搭載する赤外線望遠鏡の主反射鏡等となるミラー1の形状の歪みを補正し、望ましい形状に保持するためのものであるが、通常、人工衛星の打ち上げ完了後に使用され、使用中の使用環境は低温に冷却されている。
【0013】
アクチュエータベースの側面シリンダ17にはレバー18が傾動自在に結合され、レバー18の一端にはロック球面19が形成されており、レバー18が一方に傾いたとき(図1の例では、右側に傾いたとき)、ロック球面19がトップピース10の側面に形成された凹面に嵌め合わされるように構成されている。
レバー18の端部近傍には、さらに、バイアスバネ21が設置され、レバー18の他端近傍には、形状記憶合金バネ20が設置されている。この形状記憶合金バネ20は、低温(例えば、0℃以下の温度)の変態温度を持つものであり、その変態温度より高い温度になると、伸長して所定形状に戻ろうとして、規定の伸長力を発生し、レバー18を傾けるように作用する。
バイアスバネ21は、通常のバネ材料で構成されたバネであり、周囲温度が形状記憶合金バネ20の変態温度以下になり、形状記憶合金バネ20が伸長力を失うと、伸長してレバー18を上記の傾き方向とは逆の方向に傾けるように作用する。
【0014】
図1の状態は、鏡面形状補正装置の輸送中の状態、例えば、鏡面形状補正装置を含む望遠鏡を人工衛星に載せてロケットにて打上げる際の形状を示している。この場合、鏡面形状補正装置は概ね常温にあるため、形状記憶合金バネ20は伸長しており、レバー18の先端にあるロック球面19は、トップピース10の側面に嵌め合わされ、トップピース10の位置を固定している。
従って、輸送中の振動等の外乱力が加わっても、トップピース10が揺れることがなくなる。仮に、このトップピース10が固定されていなければ、輸送中に揺れると、アクチュエータロッド11とミラー結合ロッド12が衝突を繰り返し、ミラー結合ロッド12に衝撃的外力が加わって、ミラー14を損傷する危険がある。トップピース10をレバー18で固定することにより、ミラー14の損傷を防止することができる。
【0015】
鏡面形状補正装置がミラー14の形状を実際に補正するまでの手順は以下の通りである。
まず、所定の場所まで運搬設置された後(人工衛星の場合では、打上げ・軌道投入が完了した後)、鏡面形状補正装置が低温に冷却される。赤外線観測を伴う望遠鏡では、観測ノイズを低減するために、望遠鏡を低温に冷却することが必須であるから、鏡面形状補正装置を低温に冷却することは、余分な装置を必要とせず容易に実現され得る。
望遠鏡が冷却され、形状記憶合金バネ20が変態温度以下に下がると、形状記憶合金バネ20の伸長力が著しく弱くなるため、これに打ち勝ってバイアスバネ21が伸長し、レバー18が図2に示すように傾くようになる。よって、ロック球面19とトップピース10の側面との嵌め合いが開放され、トップピース10が可動となる。
【0016】
このとき、トップピース10は可動であるが、アクチュエータロッド11の先端と保持球面13との間のギャップ(上ギャップ15、下ギャップ16)はいずれも確保され、アクチュエータロッド11とミラー結合ロッド12の保持球面13は非接触の状態になっている。従って、鏡面形状補正装置の可動部とミラー14との間の力のやり取りはなく、ミラー14は最も自然な形状となっている。ただし、図示はしていないが、ミラー14の空間位置を剛体拘束の方法で固定するための固定機構は別途配設されており、ミラー14の空間位置決めはなされている。
【0017】
次に、モータ駆動器26から上記ギャップよりも小さい微小区間内の駆動に相当する駆動指令を送ることにより、モータ1をわずかに動かし、モータ1が正常に回転するか否かを確認する。この確認の手段としては、モータ1の軸に取り付けられたエンコーダなどの回転検出装置(図示せず)、あるいは、モータ1の回転に伴う誘導起電力をモニタする方法など、一般的な方法が適用可能である。
この確認により、モータ1が正常動作可能であると判定された場合には、後に示す手順によって、ミラー14に必要な補正荷重を加える。一方、モータ1が故障しているなどして回転が不能であると判断された場合には、鏡面形状補正装置により形状補正を行わないようにする。
よって、故障した補正機構(モータ1からアクチュエータロッド11に至る機構)とミラー14との間は非接触の状態を保持し、故障した補正機構が望ましくない力をミラー14に加えてしまうことを防止することができる。
【0018】
正常動作可能であると判定された補正機構を運用する手順は、以下の通りである。
まず、補正機構からミラー14に加えるべき荷重量が定められる。これは、運搬設置前に予め設定された目標値を用いてもよいし、望遠鏡に組み込まれた鏡面形状測定器22の測定結果に基づいて駆動量算出器25により算出された駆動量を用いてもよい。加えるべき荷重量が定められると、モータ駆動器26が、その荷重量に応じてモータ1を回転させ、アクチュエータロッド11をミラー14へ近づける側(+X方向)あるいは、遠ざける方向(−X方向)に動かす。このとき、動かす方向に応じて、当初は離間していた上ギャップ15あるいは下ギャップ16が接触し、力の伝達が可能となる。
【0019】
ギャップ部が接触すれば、通常の力伝達がなされるので、ボールスクリュー3の回転量あるいは移動ナット7の移動量に応じた力の伝達をミラー14に対してなすことができる。このとき、ミラー14の剛性Kmに比較して、コイルバネ9の剛性Ksは非常に柔らかく構成されているので、移動ナット7の移動量Dsに対してミラー14の変位量Dmは非常に小さくなる。それぞれの増分をΔDs、ΔDmとすると、この比率は、概ね下記の式(1)で与えられる。
ΔDm/ΔDs=Ks/Km (1)
従って、ミラー14の形状を細かく補正する場合においても、ボールスクリュー3側の駆動量は比較的粗くて済むので、鏡面形状の精密な補正が可能となる。
【0020】
さて、このように鏡面形状の補正を行う場合において、前記ギャップが接触状態にあり、力の伝達がなされている場合には、式(1)に従って所望のボールスクリュー3の駆動量を定めればよいが、ギャップが離間している区間内では、ボールスクリュー3の駆動量はミラー14の変位量に反映されない。単純化すれば、ギャップが離間している区間内では、下記のようになる。
ΔDm/ΔDs=0 (2)
よって、ギャップが一旦接触した後に、離間しない範囲内で駆動する場合には問題ないが、駆動中にギャップの接触・離間状態の遷移がある場合には、式(1)に従った所望駆動量の算出のみに基づくようにすると、適正な鏡面変位補正量を得ることが難しくなる。
【0021】
そのため、この実施の形態1では、ギャップが離間しているか接触しているかを判定するセンサ機能を有するギャップ判定器23と、その判定結果に応じてボールスクリュー3に与えるべき駆動量算出式を切り替えるモデル切替器24を搭載するようにしている。ギャップの接触・離間を判定する機能をもつセンサとしては、例えば、アクチュエータロッド11の先端とミラー結合ロッド12との間の電気的導通判定センサ、リミットスイッチ、タッチセンサなどの一般的手段を用いることができる。
上記の構成を付加したことにより、ギャップが離間していると判定されている間は式(2)に従っていると仮定し、ギャップが接触したと判定されている間は式(1)に従うと仮定して、与えるべきボールネジ駆動量を適切に算出し、モータ駆動器26に与えることが可能となり、より確実に鏡面形状を補正することができるようになる。
【0022】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、アクチュエータロッド11の先端とミラー結合ロッド12との間に、輸送時には離間しているギャップを設けたので、モータ1が正常動作可能であると判定された場合にのみミラー14に補正荷重を加え、モータ1が故障しているなどして回転が不能であると判断された場合には、故障した補正機構とミラー14との間は非接触状態を保ち、故障した補正機構が不要な力をミラー14に加えることを防止できる。
また、特に無重力環境で使用される宇宙機搭載用のミラーにおいては、無重力状態におけるミラーの自然形状を精度よく計測したいという工学的要請が少なからずある。その理由は、地上で製造する上では重力の影響を完全に除去することは不可能であり、設計段階で予測されたミラーの無重力状態での推定形状と、実際に無重力状態で計測された形状とを詳細に比較することで、宇宙用のミラーの設計技術の向上が見込まれるからである。アクチュエータとミラーとの力学的結合が常時存在していた従来の鏡面形状補正装置では、ミラーとアクチュエータとの間での相互拘束力を完全に零にすることは、製造誤差や組立調整誤差があるため事実上困難であったが、本発明においては、アクチュエータからミラーへ伝達される力を必要に応じて完全に零とすることができるので、上記工学的要素を満たすことが可能となる。
また、輸送中にトップピース10を固定する保持機構(レバー18等で構成されたロック機構)を設けたので、輸送中にギャップ部分が衝撃的に離間衝突を繰り返してミラー14に損傷を与えることを防止することができる効果を奏する。
【0023】
また、レバー18の駆動源として、低温に変態点を持つ形状記憶合金バネ20と、通常バネ21とで構成される双方向のバネ式駆動源を用いたので、運用状態では、鏡面形状補正装置全体を冷却する赤外線望遠鏡などにおいて、これらレバー駆動源に複雑なアクチュエータ・センサ機構を設けたり、特別の駆動エネルギ源を供給したりする必要がなく、確実に実現される環境状態を用いたシンプルで動作が確実なロック機構を供給することができる。よって、鏡面形状補正装置の動作信頼性を向上し、重量低減や低コスト化を図ることができる効果を奏する。
さらに、ギャップが離間しているか接触しているかを判定するギャップ判定器23とモデル切替器24を搭載するように構成したので、ギャップの状態に応じてボールネジ駆動量を適切に算出してモータ駆動器26に与えることが可能となり、より確実に鏡面形状を補正することができる効果を奏する。
【0024】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による鏡面形状補正装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
上記実施の形態1では、アクチュエータロッド11の先端とミラー結合ロッド12との間に、輸送時には離間しているギャップを設けるものについて示したが、輸送時にはアクチュエータロッド11の先端とミラー結合ロッド12の保持球面13とが離間しており、形状補正時にアクチュエータロッド11の先端のラッチ機構31が保持球面13と結合するようにしてもよい。
【0025】
ラッチ機構31はアクチュエータロッド11の先端に設けられ、保持球面13と結合する。ブロック32は側面シリンダ17の内部の同一面上(図中X軸に垂直な平面)に2箇所ないしは3箇所程度設置され、トップピース10の張り出し部10aが押し当てられる。
【0026】
即ち、ラッチ機構31は、図3の+X方向から−X方向に向けて保持球面13が進入してきた場合にはほとんど抵抗力なく容易に開いて、保持球面13を受入れてラッチ保持する。一方、一旦ラッチした後は、保持している保持球面13を+X方向に引っ張っても容易に、保持球面13を解離させることができないように構成されている。例えば、図3に示すように、くさび型のゲート板を弾性バネで閉じる方向に押し当てたものでもよい。ここで、「閉じる方向」とは、図で上側のくさび型のゲート板が反時計回りに、下側のくさび型のゲート板が時計回りに回転する方向を示す。
【0027】
輸送時には、図3に示すように、移動ナット7は−X方向に引き込まれ、トップピース10の張り出し部10aがブロック32に−X方向に押し当てられることにより、トップピース10が空間位置を固定されて静止している。よって、上記実施の形態1によるロック機構の機能と同様に、輸送中にトップピース10が揺れ動くことを防止して、ミラー14の損傷を防止することができる。このとき、ボールスクリュー3及び減速器2の減速効果により、モータ1の保持トルクは比較的小さくても、トップピース10をブロック32に押し当てる力は、十分に大きなものを得ることができるから、トップピース10の安定性は十分に確保される。
【0028】
輸送が完了して、所定の場所に鏡面形状補正装置が設置された後、ボールスクリュー3を+X方向に少し駆動し、ブロック32に対するトップピース10の押し当てを解除する。この動作は、押し当ての解除だけでなく、モータ1の正常な動作が可能か否かの判定の役割も果たすことになる。
ここで、仮にモータ1等が故障しており正常動作ができないと判断された場合には、上記実施の形態1と同様に、ミラー結合ロッド12の保持球面13との結合は行わない。正常動作が可能と判断された場合は、さらにモータ1を駆動し、移動ナット7およびトップピース10を+X方向に移動させる。この移動は、図4に示すように、ラッチ機構31がミラー結合ロッド12の保持球面13を捕らえて保持する位置まで行われる。一旦保持されれば、以後の鏡面補正動作は上記実施の形態1と同様である。
【0029】
この実施の形態2によれば、側面シリンダ内部にブロック32を配設し、トップピース10の張り出し部10aをブロック32に押し当ててトップピース10の空間位置を固定できるようにしたので、ロック機構などの付加的な機構要素を加えることなく、簡素な構成で、輸送中にトップピース10が揺れ動くことを防止し、ミラー14の損傷を防止することができる効果を奏する。
また、アクチュエータロッド11の先端にラッチ機構31を設け、モータ1が正常動作可能と判断された場合にのみ、ミラー結合ロッド12の保持球面13との結合を形成することができるようにしたので、上記実施の形態1と同様に、モータ1が故障しているなどして回転が不能であると判断された場合には、故障した補正機構とミラー14との間は非接触の状態を保持し、故障した補正機構が望ましくない力をミラー14に加えてしまうことを防止することができる効果を奏する。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、駆動装置がアクチュエータを駆動しないときはアクチュエータと非接触の状態を保持し、駆動装置がアクチュエータを所定量以上駆動すると、そのアクチュエータとの結合又は接触が生じて、アクチュエータから受ける外力をミラーに伝達し得る外力伝達手段を設けるように構成したので、動作不能なアクチュエータがミラーに与える影響を除去することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による鏡面形状補正装置を示す構成図である。
【図2】ロック機構が解除されている状態の鏡面形状補正装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態2による鏡面形状補正装置を示す構成図である。
【図4】ラッチ機構がラッチしている状態の鏡面形状補正装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 モータ(駆動装置)、2 減速器、3 ボールスクリュー、4 軸受け、5 アクチュエータベース、6 ミラーセル、7 移動ナット、8 スライドガイド、9 コイルバネ、10 トップピース(アクチュエータ可動端部)、10a 張り出し部、11 アクチュエータロッド、12 ミラー結合ロッド(外力伝達手段)、13 保持球面(外力伝達手段)、14 ミラー、15 上ギャップ、16 下ギャップ、17 側面シリンダ、18 レバー(ロック機構)、19 ロック球面(ロック機構)、20 形状記憶合金バネ(ロック機構)、21バイアスバネ(ロック機構)、22 鏡面形状測定器(演算手段)、23 ギャップ判定器(演算手段)、24 モデル切替器(演算手段)、25 駆動量算出器(演算手段)、26 モータ駆動器(演算手段)、31 ラッチ機構、32
ブロック、101 アクチュエータ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、ミラーの形状を補正する鏡面形状補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の鏡面形状補正装置は、アクチュエータがミラーと結合され、駆動装置がアクチュエータを駆動して、ミラーの形状を補正する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公平7−113702号公報(第5頁から第6頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の鏡面形状補正装置は以上のように構成されているので、複数のアクチュエータの一部が故障して動かなくなった場合、その周囲の健全なアクチュエータを協調動作させてミラーの形状を補正する。しかし、動作不能なアクチュエータがミラーと結合されたまま切り離されないため、周囲の健全なアクチュエータを協調動作させる際、その結合部分に余分な反力が発生し、ミラーの形状を適切に補正することができなくなることがある課題があった。
また、アクチュエータを支える固定台が熱変形などによって変形すると、アクチュエータの空間位置がミラーに対して相対的に変化するために、故障しているアクチュエータからミラーに伝達されている力が期せずして変化し、ミラーの形状が期せずして歪んでしまうという課題もあった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、動作不能なアクチュエータがミラーに与える影響を除去することができるとともに、求められる場合にはアクチュエータからミラーに伝達される力が完全に零となる状態を確実かつ容易に実現することができる鏡面形状補正装置を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る鏡面形状補正装置は、駆動装置がアクチュエータを駆動しないときはアクチュエータと非接触の状態を保持し、駆動装置がアクチュエータを所定量以上駆動すると、そのアクチュエータとの結合又は接触が生じて、アクチュエータから受ける外力をミラーに伝達し得る外力伝達手段を設けたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による鏡面形状補正装置を示す構成図であり、図において、101はアクチュエータであり、その内部における駆動装置であるモータ1は減速器2を介してボールスクリュー3の軸を回転させる。ボールスクリュー3は軸受け4を介してアクチュエータベース5に固定され、モータ1により軸が回転させられると、移動ナット7をX軸方向に移動させる。なお、移動ナット7は端部がスライドガイド8によって保持されており、ボールスクリュー3と共に回転せず、図のX軸方向に並進移動するように保持されている。アクチュエータベース5は支持構造物であるミラーセル6に固定されている。
【0008】
移動ナット7は端部がスライドガイド8によって保持され、柔らかいコイルバネ9を介してアクチュエータ可動端部であるトップピース10に結合されている。トップピース10はアクチュエータロッド11が結合されており、アクチュエータロッド11の先端はC字型あるいはコの字型断面を有する形状になっており、ミラー結合ロッド12の先端部に形成された保持球面13を包含している。このとき、C字断面部の内面間距離は、保持球面13の直径よりも大きく構成されており、図1に示すように、保持球面13がC字断面部の中央近傍に所在する場合においては、上ギャップ15及び下ギャップ16が確保されるようになっている。
【0009】
ミラー結合ロッド12はミラー14の裏面に固定されている。ミラー14は例えば人工衛星に搭載する赤外線望遠鏡の主反射鏡などが該当する。なお、アクチュエータロッド11の先端の内側(C字型断面の部分)と保持球面13間には上ギャップ15及び下ギャップ16が確保されており、ミラー結合ロッド12及び保持球面13から外力伝達手段が構成されている。
【0010】
アクチュエータベースの側面シリンダ17にはレバー18が傾動自在に結合されている。レバー18の一端にはロック球面19が形成されており、レバー18が一方に傾いたときにロック球面19がトップピース10の側面に形成された凹面に嵌め合わされる。また、レバー18の端部近傍にはバイアスバネ21が設置され、レバー18の他端近傍には形状記憶合金バネ20が設置されている。形状記憶合金バネ20は低温(例えば、0℃以下の温度)の変態温度を有し、その変態温度より高い温度になると、伸長力(所定の形状に戻ろうとする力)を発揮してレバー18を傾ける。バイアスバネ21は通常のバネ材料で構成されたバネであり、周囲温度が形状記憶合金バネ20の変態温度以下になり、形状記憶合金バネ20が伸長力を失うと、伸長してレバー18を上記の傾け方向と逆方向に傾ける。なお、レバー18、ロック球面19、形状記憶合金バネ20及びバイアスバネ21からロック機構が構成されている。
【0011】
鏡面形状測定器22は望遠鏡に組み込まれ、ミラー14の形状を測定する。ギャップ判定器23はアクチュエータロッド11の先端と保持球面13が接触しているか否かを判定する。モデル切替器24はギャップ判定器23の判定結果に応じてモータ1の駆動量の演算式を切り替える。駆動量算出器25はモデル切替器24により指定された演算式を使用して、鏡面形状測定器22の測定結果又は予め設定された目標値からモータ1の目標駆動量を演算する。モータ駆動器26は駆動量算出器25により演算された目標駆動量に応じた駆動指令をモータ1に出力する。なお、鏡面形状測定器22、ギャップ判定器23、モデル切替器24、駆動量算出器25及びモータ駆動器26から演算手段が構成されている。
【0012】
次に動作について説明する。
図1の鏡面形状補正装置は、例えば、人工衛星に搭載する赤外線望遠鏡の主反射鏡等となるミラー1の形状の歪みを補正し、望ましい形状に保持するためのものであるが、通常、人工衛星の打ち上げ完了後に使用され、使用中の使用環境は低温に冷却されている。
【0013】
アクチュエータベースの側面シリンダ17にはレバー18が傾動自在に結合され、レバー18の一端にはロック球面19が形成されており、レバー18が一方に傾いたとき(図1の例では、右側に傾いたとき)、ロック球面19がトップピース10の側面に形成された凹面に嵌め合わされるように構成されている。
レバー18の端部近傍には、さらに、バイアスバネ21が設置され、レバー18の他端近傍には、形状記憶合金バネ20が設置されている。この形状記憶合金バネ20は、低温(例えば、0℃以下の温度)の変態温度を持つものであり、その変態温度より高い温度になると、伸長して所定形状に戻ろうとして、規定の伸長力を発生し、レバー18を傾けるように作用する。
バイアスバネ21は、通常のバネ材料で構成されたバネであり、周囲温度が形状記憶合金バネ20の変態温度以下になり、形状記憶合金バネ20が伸長力を失うと、伸長してレバー18を上記の傾き方向とは逆の方向に傾けるように作用する。
【0014】
図1の状態は、鏡面形状補正装置の輸送中の状態、例えば、鏡面形状補正装置を含む望遠鏡を人工衛星に載せてロケットにて打上げる際の形状を示している。この場合、鏡面形状補正装置は概ね常温にあるため、形状記憶合金バネ20は伸長しており、レバー18の先端にあるロック球面19は、トップピース10の側面に嵌め合わされ、トップピース10の位置を固定している。
従って、輸送中の振動等の外乱力が加わっても、トップピース10が揺れることがなくなる。仮に、このトップピース10が固定されていなければ、輸送中に揺れると、アクチュエータロッド11とミラー結合ロッド12が衝突を繰り返し、ミラー結合ロッド12に衝撃的外力が加わって、ミラー14を損傷する危険がある。トップピース10をレバー18で固定することにより、ミラー14の損傷を防止することができる。
【0015】
鏡面形状補正装置がミラー14の形状を実際に補正するまでの手順は以下の通りである。
まず、所定の場所まで運搬設置された後(人工衛星の場合では、打上げ・軌道投入が完了した後)、鏡面形状補正装置が低温に冷却される。赤外線観測を伴う望遠鏡では、観測ノイズを低減するために、望遠鏡を低温に冷却することが必須であるから、鏡面形状補正装置を低温に冷却することは、余分な装置を必要とせず容易に実現され得る。
望遠鏡が冷却され、形状記憶合金バネ20が変態温度以下に下がると、形状記憶合金バネ20の伸長力が著しく弱くなるため、これに打ち勝ってバイアスバネ21が伸長し、レバー18が図2に示すように傾くようになる。よって、ロック球面19とトップピース10の側面との嵌め合いが開放され、トップピース10が可動となる。
【0016】
このとき、トップピース10は可動であるが、アクチュエータロッド11の先端と保持球面13との間のギャップ(上ギャップ15、下ギャップ16)はいずれも確保され、アクチュエータロッド11とミラー結合ロッド12の保持球面13は非接触の状態になっている。従って、鏡面形状補正装置の可動部とミラー14との間の力のやり取りはなく、ミラー14は最も自然な形状となっている。ただし、図示はしていないが、ミラー14の空間位置を剛体拘束の方法で固定するための固定機構は別途配設されており、ミラー14の空間位置決めはなされている。
【0017】
次に、モータ駆動器26から上記ギャップよりも小さい微小区間内の駆動に相当する駆動指令を送ることにより、モータ1をわずかに動かし、モータ1が正常に回転するか否かを確認する。この確認の手段としては、モータ1の軸に取り付けられたエンコーダなどの回転検出装置(図示せず)、あるいは、モータ1の回転に伴う誘導起電力をモニタする方法など、一般的な方法が適用可能である。
この確認により、モータ1が正常動作可能であると判定された場合には、後に示す手順によって、ミラー14に必要な補正荷重を加える。一方、モータ1が故障しているなどして回転が不能であると判断された場合には、鏡面形状補正装置により形状補正を行わないようにする。
よって、故障した補正機構(モータ1からアクチュエータロッド11に至る機構)とミラー14との間は非接触の状態を保持し、故障した補正機構が望ましくない力をミラー14に加えてしまうことを防止することができる。
【0018】
正常動作可能であると判定された補正機構を運用する手順は、以下の通りである。
まず、補正機構からミラー14に加えるべき荷重量が定められる。これは、運搬設置前に予め設定された目標値を用いてもよいし、望遠鏡に組み込まれた鏡面形状測定器22の測定結果に基づいて駆動量算出器25により算出された駆動量を用いてもよい。加えるべき荷重量が定められると、モータ駆動器26が、その荷重量に応じてモータ1を回転させ、アクチュエータロッド11をミラー14へ近づける側(+X方向)あるいは、遠ざける方向(−X方向)に動かす。このとき、動かす方向に応じて、当初は離間していた上ギャップ15あるいは下ギャップ16が接触し、力の伝達が可能となる。
【0019】
ギャップ部が接触すれば、通常の力伝達がなされるので、ボールスクリュー3の回転量あるいは移動ナット7の移動量に応じた力の伝達をミラー14に対してなすことができる。このとき、ミラー14の剛性Kmに比較して、コイルバネ9の剛性Ksは非常に柔らかく構成されているので、移動ナット7の移動量Dsに対してミラー14の変位量Dmは非常に小さくなる。それぞれの増分をΔDs、ΔDmとすると、この比率は、概ね下記の式(1)で与えられる。
ΔDm/ΔDs=Ks/Km (1)
従って、ミラー14の形状を細かく補正する場合においても、ボールスクリュー3側の駆動量は比較的粗くて済むので、鏡面形状の精密な補正が可能となる。
【0020】
さて、このように鏡面形状の補正を行う場合において、前記ギャップが接触状態にあり、力の伝達がなされている場合には、式(1)に従って所望のボールスクリュー3の駆動量を定めればよいが、ギャップが離間している区間内では、ボールスクリュー3の駆動量はミラー14の変位量に反映されない。単純化すれば、ギャップが離間している区間内では、下記のようになる。
ΔDm/ΔDs=0 (2)
よって、ギャップが一旦接触した後に、離間しない範囲内で駆動する場合には問題ないが、駆動中にギャップの接触・離間状態の遷移がある場合には、式(1)に従った所望駆動量の算出のみに基づくようにすると、適正な鏡面変位補正量を得ることが難しくなる。
【0021】
そのため、この実施の形態1では、ギャップが離間しているか接触しているかを判定するセンサ機能を有するギャップ判定器23と、その判定結果に応じてボールスクリュー3に与えるべき駆動量算出式を切り替えるモデル切替器24を搭載するようにしている。ギャップの接触・離間を判定する機能をもつセンサとしては、例えば、アクチュエータロッド11の先端とミラー結合ロッド12との間の電気的導通判定センサ、リミットスイッチ、タッチセンサなどの一般的手段を用いることができる。
上記の構成を付加したことにより、ギャップが離間していると判定されている間は式(2)に従っていると仮定し、ギャップが接触したと判定されている間は式(1)に従うと仮定して、与えるべきボールネジ駆動量を適切に算出し、モータ駆動器26に与えることが可能となり、より確実に鏡面形状を補正することができるようになる。
【0022】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、アクチュエータロッド11の先端とミラー結合ロッド12との間に、輸送時には離間しているギャップを設けたので、モータ1が正常動作可能であると判定された場合にのみミラー14に補正荷重を加え、モータ1が故障しているなどして回転が不能であると判断された場合には、故障した補正機構とミラー14との間は非接触状態を保ち、故障した補正機構が不要な力をミラー14に加えることを防止できる。
また、特に無重力環境で使用される宇宙機搭載用のミラーにおいては、無重力状態におけるミラーの自然形状を精度よく計測したいという工学的要請が少なからずある。その理由は、地上で製造する上では重力の影響を完全に除去することは不可能であり、設計段階で予測されたミラーの無重力状態での推定形状と、実際に無重力状態で計測された形状とを詳細に比較することで、宇宙用のミラーの設計技術の向上が見込まれるからである。アクチュエータとミラーとの力学的結合が常時存在していた従来の鏡面形状補正装置では、ミラーとアクチュエータとの間での相互拘束力を完全に零にすることは、製造誤差や組立調整誤差があるため事実上困難であったが、本発明においては、アクチュエータからミラーへ伝達される力を必要に応じて完全に零とすることができるので、上記工学的要素を満たすことが可能となる。
また、輸送中にトップピース10を固定する保持機構(レバー18等で構成されたロック機構)を設けたので、輸送中にギャップ部分が衝撃的に離間衝突を繰り返してミラー14に損傷を与えることを防止することができる効果を奏する。
【0023】
また、レバー18の駆動源として、低温に変態点を持つ形状記憶合金バネ20と、通常バネ21とで構成される双方向のバネ式駆動源を用いたので、運用状態では、鏡面形状補正装置全体を冷却する赤外線望遠鏡などにおいて、これらレバー駆動源に複雑なアクチュエータ・センサ機構を設けたり、特別の駆動エネルギ源を供給したりする必要がなく、確実に実現される環境状態を用いたシンプルで動作が確実なロック機構を供給することができる。よって、鏡面形状補正装置の動作信頼性を向上し、重量低減や低コスト化を図ることができる効果を奏する。
さらに、ギャップが離間しているか接触しているかを判定するギャップ判定器23とモデル切替器24を搭載するように構成したので、ギャップの状態に応じてボールネジ駆動量を適切に算出してモータ駆動器26に与えることが可能となり、より確実に鏡面形状を補正することができる効果を奏する。
【0024】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による鏡面形状補正装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
上記実施の形態1では、アクチュエータロッド11の先端とミラー結合ロッド12との間に、輸送時には離間しているギャップを設けるものについて示したが、輸送時にはアクチュエータロッド11の先端とミラー結合ロッド12の保持球面13とが離間しており、形状補正時にアクチュエータロッド11の先端のラッチ機構31が保持球面13と結合するようにしてもよい。
【0025】
ラッチ機構31はアクチュエータロッド11の先端に設けられ、保持球面13と結合する。ブロック32は側面シリンダ17の内部の同一面上(図中X軸に垂直な平面)に2箇所ないしは3箇所程度設置され、トップピース10の張り出し部10aが押し当てられる。
【0026】
即ち、ラッチ機構31は、図3の+X方向から−X方向に向けて保持球面13が進入してきた場合にはほとんど抵抗力なく容易に開いて、保持球面13を受入れてラッチ保持する。一方、一旦ラッチした後は、保持している保持球面13を+X方向に引っ張っても容易に、保持球面13を解離させることができないように構成されている。例えば、図3に示すように、くさび型のゲート板を弾性バネで閉じる方向に押し当てたものでもよい。ここで、「閉じる方向」とは、図で上側のくさび型のゲート板が反時計回りに、下側のくさび型のゲート板が時計回りに回転する方向を示す。
【0027】
輸送時には、図3に示すように、移動ナット7は−X方向に引き込まれ、トップピース10の張り出し部10aがブロック32に−X方向に押し当てられることにより、トップピース10が空間位置を固定されて静止している。よって、上記実施の形態1によるロック機構の機能と同様に、輸送中にトップピース10が揺れ動くことを防止して、ミラー14の損傷を防止することができる。このとき、ボールスクリュー3及び減速器2の減速効果により、モータ1の保持トルクは比較的小さくても、トップピース10をブロック32に押し当てる力は、十分に大きなものを得ることができるから、トップピース10の安定性は十分に確保される。
【0028】
輸送が完了して、所定の場所に鏡面形状補正装置が設置された後、ボールスクリュー3を+X方向に少し駆動し、ブロック32に対するトップピース10の押し当てを解除する。この動作は、押し当ての解除だけでなく、モータ1の正常な動作が可能か否かの判定の役割も果たすことになる。
ここで、仮にモータ1等が故障しており正常動作ができないと判断された場合には、上記実施の形態1と同様に、ミラー結合ロッド12の保持球面13との結合は行わない。正常動作が可能と判断された場合は、さらにモータ1を駆動し、移動ナット7およびトップピース10を+X方向に移動させる。この移動は、図4に示すように、ラッチ機構31がミラー結合ロッド12の保持球面13を捕らえて保持する位置まで行われる。一旦保持されれば、以後の鏡面補正動作は上記実施の形態1と同様である。
【0029】
この実施の形態2によれば、側面シリンダ内部にブロック32を配設し、トップピース10の張り出し部10aをブロック32に押し当ててトップピース10の空間位置を固定できるようにしたので、ロック機構などの付加的な機構要素を加えることなく、簡素な構成で、輸送中にトップピース10が揺れ動くことを防止し、ミラー14の損傷を防止することができる効果を奏する。
また、アクチュエータロッド11の先端にラッチ機構31を設け、モータ1が正常動作可能と判断された場合にのみ、ミラー結合ロッド12の保持球面13との結合を形成することができるようにしたので、上記実施の形態1と同様に、モータ1が故障しているなどして回転が不能であると判断された場合には、故障した補正機構とミラー14との間は非接触の状態を保持し、故障した補正機構が望ましくない力をミラー14に加えてしまうことを防止することができる効果を奏する。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、駆動装置がアクチュエータを駆動しないときはアクチュエータと非接触の状態を保持し、駆動装置がアクチュエータを所定量以上駆動すると、そのアクチュエータとの結合又は接触が生じて、アクチュエータから受ける外力をミラーに伝達し得る外力伝達手段を設けるように構成したので、動作不能なアクチュエータがミラーに与える影響を除去することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による鏡面形状補正装置を示す構成図である。
【図2】ロック機構が解除されている状態の鏡面形状補正装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態2による鏡面形状補正装置を示す構成図である。
【図4】ラッチ機構がラッチしている状態の鏡面形状補正装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 モータ(駆動装置)、2 減速器、3 ボールスクリュー、4 軸受け、5 アクチュエータベース、6 ミラーセル、7 移動ナット、8 スライドガイド、9 コイルバネ、10 トップピース(アクチュエータ可動端部)、10a 張り出し部、11 アクチュエータロッド、12 ミラー結合ロッド(外力伝達手段)、13 保持球面(外力伝達手段)、14 ミラー、15 上ギャップ、16 下ギャップ、17 側面シリンダ、18 レバー(ロック機構)、19 ロック球面(ロック機構)、20 形状記憶合金バネ(ロック機構)、21バイアスバネ(ロック機構)、22 鏡面形状測定器(演算手段)、23 ギャップ判定器(演算手段)、24 モデル切替器(演算手段)、25 駆動量算出器(演算手段)、26 モータ駆動器(演算手段)、31 ラッチ機構、32
ブロック、101 アクチュエータ。
Claims (7)
- 駆動装置により駆動されるアクチュエータと、ミラーに固定可能であり、上記アクチュエータから外力を受けると、その外力を上記ミラーに伝達し得る外力伝達手段とを備えた鏡面形状補正装置において、上記外力伝達手段は、上記駆動装置が上記アクチュエータを駆動しないときは上記アクチュエータと非接触の状態を保持し、上記駆動装置が上記アクチュエータを所定量以上駆動すると、そのアクチュエータとの結合又は接触が生じて、上記アクチュエータから受ける外力を上記ミラーに伝達し得ることを特徴とする鏡面形状補正装置。
- アクチュエータと外力伝達手段が接触しているか否かを判定し、その判定結果を考慮して駆動装置の駆動量を演算する演算手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の鏡面形状補正装置。
- 駆動装置がアクチュエータを駆動しないときは、そのアクチュエータを拘束するロック機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の鏡面形状補正装置。
- ロック機構は、所定の温度以下になると、アクチュエータ可動端部の拘束を解除することを特徴とする請求項3記載の鏡面形状補正装置。
- 所定の温度より高いとき伸張力を発揮して、レバーをアクチュエータ可動端部に嵌め合わせる一方、所定の温度以下になると伸張力を失って、そのアクチュエータ可動端部とレバーの嵌め合いを開放する形状記憶合金バネを用いてロック機構を構成したことを特徴とする請求項4記載の鏡面形状補正装置。
- アクチュエータと外力伝達手段がラッチ機構によって結合されることを特徴とする請求項1記載の鏡面形状補正装置。
- アクチュエータ可動端部を収納する際に、そのアクチュエータ可動端部を押し当てるブロックを設けたことを特徴とする請求項6記載の鏡面形状補正装置。
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