JP2005003466A - 高アスペクト比プローブ - Google Patents

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Abstract

【課題】走査型プローブ顕微鏡における空間分解能は、プローブの性能に依存しており、これまでのプローブ設計は、かなりの熟練者による高度な技術を要し、その精度等は、先端を鋭敏にする加工技術の困難性からも限界があった。近年、研究対象が、微細な孔構造の内部にまでおよんでくるにつれ、周囲壁面に干渉され、試料に近づけ測定精度あげることができない状態も生じていた。本発明は、このような事態にも対処しうるプローブを提供しよういうものである。
【解決手段】特定の微細な直径の貫通孔を有するマスクを既存プローブ先端に当接し、プローブ材料を蒸着するものである。これによって、既存プローブ先端に該マスク貫通孔を介し、貫通孔を一種のテンプレートとして蒸着が行われ、先端が鋭敏な高アスペクト比細線構造が得られ、この高アスペクト比細線構造とすることによって、従来のものより格段に高精度のプローブを得ることができるものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常の光学顕微鏡では観察できないような微細な構造をも観察することのできる、走査プローブ顕微鏡(SPM)に使用されるプローブに関する。
【0002】
【従来の技術】
走査プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope;SPM)は、微細な物理量を検出することにより通常の光学顕微鏡では観察できない物質の状態、微細物理構造を解明する観察機器、測定機器の一つであり、ナノテクノロジー技術の研究開発等において、いまや欠かすことの出来ない観察手段であり、今後ますますその重要性は増していくものと考えられている。その種類等は、検出対象となる物理量等によって種々のものが開発されている。すなわち、走査型トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope;STM)、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;ATM)、磁気力顕微鏡(Magnetic Force Microscope;MFM)、走査型イオン顕微鏡(Scanning Ion Conductance Microscope;SICM)等々、各種物理量に基づいて観察する装置、機器が開発されている。
【0003】
これら走査プローブ顕微鏡(SPM)の構成要素は、概略すると、対象試料の物理量を検出するプローブ(探針)とこのプローブを制御する操作部と検出値を画像処理し、これを表示するモニター部とから基本的に構成されている。ここに、プローブとしては、例えば走査型原子間力顕微鏡(AFM)においては、従来よりよく用いられるものは、珪素や窒化珪素等を材料とし、リソグラフィーやエッチング等の技術を応用して微細加工を施すことにより作製されている。そのプローブの先端は三角・四角推(ピラミッド状)や円錐の形状に加工され、その頂点と試料との相互作用に基づく物理量を検出することによって測定が行われる。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】
近年、研究対象がナノレベルの領域にまでおよび、物理的微細構造を解明する研究が盛んに行われるようになってきた。このような傾向の下で、ナノレベルの微細構造に特徴のある新規な物質や材料が、発見され、開発されるようになってきた。これらの発見や開発は、これら観察装置、機器によるところ極めて大であり、今後ますますその性能の向上、精度の向上が求められている。走査型プローブ顕微鏡(SPM)においてもこの傾向は、同様であり、一層高い解像度が求められるようになってきた。そのためには、プローブ自体の構造を、解像度の向上をもたらすよう先端を鋭敏に加工することが重要であるところ、このような加工方法は確立しておらず、必要に応じ各研究者サイドで、前述例示した特定の加工技術を駆使し、製作加工することが行われていた。
【0005】
しかしながら、この加工には、かなりの熟練者による極めて高い技術を要すること、そして、この加工法によっては精度上限界があること、また、入手手段が上記した事情にあることから得られたプローブは、一様なものを得ることが困難であり、反復再現性においても問題があった。
また、走査プローブ顕微鏡(SPM)による測定の実情は、その観察対象、測定対象が測定を妨げる特異な状態にある場合が多くなってきているところ、例えば、ナノチューブ構造等の微細な孔構造を有する物質の内部を観察するような場合、プローブは、そのプローブ先端を観察しようとする内部構造の低面や奥まった壁面に近づけることができないか、その途中で周囲壁面と干渉したりして、観察そのものができないか、解像度が悪く、観察に支障を来すことがあった。
【0006】
このようなことは、今後、ナノ技術の開発が進むにつれて由々しき事態であることは、縷々述べるまでもない。本発明は、このような状況、事態に鑑み、これに対処しうるプローブを提供しようと言うものである。すなわち、狭小な空間を有する内部構造に対しても高解像度観察が可能なプローブを提供しようと言うものである。具体的な目標としては、少なくとも100nm位の直径の孔状構造を有するものに対しては、充分対処することができ、しかも、高解像度でその内部構造の観察が可能なプローブを提供しようと言うものである。勿論、それ以下のレベルのものを目標とし、希求するものであることは当然である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのため本発明者らにおいて、鋭意研究した結果、プローブ先端をしてそこに特有な手段を講ずることによってプローブ先端を細線構造に設定することに成功したものであり、これによって先端が高アスペクト比を有する細線構造とする、鋭敏なプローブを実現し、前記目的を達成しうることを知見したものである。
本発明は、これら成功と知見に基づいてなされたものである。すなわち、プローブ先端を高アスペクト比細線構造にとする技術は、これまでは適当な加工技術が確立しておらず、困難であったところ、本発明者らにおいては、微細な孔状の構造を持つ多孔質酸化アルミニウムを加工することによって、貫通した孔構造を有する酸化アルミニウムの膜を得、この膜をマスクとして用い、マスク上の任意の孔を選択してプローブを当接し、この貫通孔を介し、これを一種のテンプレートとする態様により、プローブ先端にプローブ材料を蒸着、堆積し、高アスペクト比を有する細線構造を実現することに成功したものであり、そして、これによって得られた細線構造のプローブが高分解能を示し、従来のものに比して一段と優れたプローブ性能を備えていることを知見したものである。
【0008】
すなわち、本発明者らにおいては、上記したように鋭意研究した結果、上記特有な課題を、以下(1)〜(6)に記載する手段を講ずることによって、解決し、達成することに成功したものである。
(1) プローブ先端を高アスペクト比細線構造に設定したことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡用プローブ。
(2) 高アスペクト比細線構造が、既存のプローブ先端に微細な多孔質貫通孔を有するマスクを取り付け、マスク貫通孔を介して蒸着処理されることによって形成されること特徴とする、前記(1)項に記載の走査型プローブ顕微鏡用プローブ。
(3) 該マスクはアルミニウム基板を陽極酸化処理することによって得られる多孔質酸化アルミニウム膜から作製されてなるマスクであることを特徴とする、前記(2)項に記載の走査型プローブ顕微鏡用プローブ。
(4) 既存のプローブとして走査型原子間力顕微鏡プローブを用いることを特徴とする、前記(2)項に記載の走査型プローブ顕微鏡用プローブ。
(5) 該陽極酸化処理が、酸を含む電解液中において行われることを特徴とする、前記(3)項に記載の走査型プローブ顕微鏡用プローブ。
(6) 該蒸着処理に際し、マスクと既存のプローブとが、適宜固定手段により予め固定されていること特徴とする、前記(2)項に記載の走査型プローブ顕微鏡用プローブ。
【0009】
【発明の実施形態】
以下、本発明を作製手順に基づいて説明する。その作製手順は、要約すると、先ず、(I)アルミニウム基板から出発して貫通孔を有する酸化アルミニウムマスクを作製し、次いで、(II)得られたマスクを用いて、既存のAFMプローブの先端に細線を作製することにより高アスペクト比プローブを得るものである。工程(I)におけるマスクの作製手順は、概略、図2に示した通りで、アルミニウム金属板(a)から出発し、その表面に多孔質酸化アルミニウム皮膜を生成する(b)。次いで下地層のアルミニウム金属を溶解除去し、多孔質酸化アルミニウム膜(c)を得、これを処理して目的とする貫通した孔を有するマスク(d)を得る。以下、工程(II)も含め、本発明をさらに具体的に実施例に基づいて説明するが、これらはあくまでも本発明を容易に理解するための一助として開示するものであり、本発明はこの限られた実施例によって限定されるものではない。すなわち、課題を達成する限りは、実施例に記載された事項をベースにして、これをさらに変形して実施することは当然に含むところであり、本発明の範囲内であって、本発明は、さらに多様な態様による場合をも含むものである。
【0010】
【実施例】
以下本発明を、高アスペクト比細線構造を形成する手段としての、貫通孔を有するマスクの作製段階から、最終的に高アスペクト比細線構造プローブを得る段階までを、以下実施例によって順次具体的に開示し、説明する。
I.マスクの作製工程;
ここに使用するマスクは、ねらいとする細線構造の直径と長さに対応した貫通孔を有するものであり、実施する蒸着操作において不都合を来さないこと、悪影響を与えない材質であること、蒸着後、蒸着物あるいは被蒸着物に対して影響を与えることなく適宜手段によって容易に分離可能なものであること、等数々の制約があるが、これらの要件を満足するものであればよく、これを排除する理由はない。
このような要件を満たすものとしては、以下に示す特定のプロセスによって得られた酸化アルミニウムが特に適し、これに基づいて準備したマスクが、本発明を実施するのに好適であることを知見した。しかしながら、この例はあくまでも一例にすぎず、一定の要件を満たせば本例以外のものでも使用可能なことは前示したとおりである。
(1)アルミニウム基板の陽極酸化処理
ここに示すマスクの作製手順は、概略、図2に示した通りである。
まず、マスク作製基板として純度99.99%のアルミニウム金属基板を用意し、その表面を高純度のアセトンを用いて洗浄し、良く脱脂した。次に、このアルミニウム金属基板を陽極、黒鉛また鉛の電極を陰極として電解液中に浸し、両者の間に直流電圧を印加し、陽極酸化処理した。
【0011】
この処理工程で使用する電解液としては、陽極酸化操作に適ったものであれば特に制限はないが、一例を挙げると、典型的には0.3M程度の蓚酸ないし硫酸等の酸を用いることができ好ましい。反応中は電解液をよく撹拌をし、また、液温が一定となるように適宜温度調整を行う。印加する電圧は電解液の種類や濃度、温度等に依存するが、電解液として蓚酸を使用する場合は40V前後が適当である。この電解処理によってアルミニウム基板の表面には、多数の微細な孔をもつ多孔質酸化アルミニウムの皮膜が生成する。得られた酸化アルミニウム皮膜の膜厚および膜質は、反応条件に強く依存するので、目的に応じて適当な条件を定めることを要する。
【0012】
その場合、孔径の大小や、皮膜の厚み、密度等膜質は、使用する電解質によっても影響され、例えば、シュウ酸を用いた場合の孔径は、硫酸を用いた場合よりも大きくなる傾向がある。また、反応温度が高過ぎると、皮膜の品位が悪化する傾向があるので、適宜冷却して温度を制御することが望ましい。最終的にプローブ先端に得られる細線の径は、この多孔質酸化アルミニウム皮膜上の孔径に依存するので、一般に高分解能のプローブを得るには孔径は小さい方がよいが、後の加工精度や強度等の問題とも係りあうので、一概に小さければ小さいほど良いというものではなく、どの程度の孔径を目標とするかは得ようとするプローブのデザインに基づいて決定すればよい。
【0013】
膜厚は、主に基板の面積当たりの電流密度および反応時間に依存し、その関係は概ね次のような関係にある。すなわち、膜厚μm=0.3×電流密度A/dm×時間minという関係にある。膜厚は、薄いと機械的強度が不足して後の取り扱いが難しくなり、厚すぎると蒸着が難しくなる。機械的安定度を優先するならば、概ね、数十μm程度の厚さを目処とするのがよいが、この場合、蒸着は、蒸気がこの狭小な空間内を通り抜けなくてはならず、その分難しくなることは否めない。蒸着の容易さを優先するならば膜厚は1μm程度に抑えることとなるが、この厚さ設定の場合は、以後のマスクの取り扱いには非常に高度な技術を要する。目標とするアスペクト比は、特に制限はないが、プローブとしては、ここに示した数値範囲内で蒸着操作をすれば充分であり、これによって従前の加工によるもの比し、その性能はアップする。
【0014】
本実施例によって得られた酸化皮膜を、電子顕微鏡写真で図3に示す。
図3(a)は、陽極酸化処理条件を、電解液0.3M蓚酸、電圧40V、液温28℃、反応時間2時間とした場合の得られた皮膜表面を観察した電子顕微鏡写真である。また図3(b)は、電解液0.3M硫酸、電圧28V、液温5℃で反応時間3時間とした場合に得られた皮膜表面を観察した電子顕微鏡写真である。その結果、処理条件に関する前記説明と符合し、概ね該記載内容と同様の傾向にあることが明らかにされた。本発明を実施する上において、その基礎となるマスク材料は、これによって容易に入手可能な手段を開示しているといえる。
【0015】
(2)表面層多孔質酸化アルミニウム膜の分離回収
次に、前記陽極酸化処理工程によって得られた酸化試料を、表面層の多孔質酸化アルミニウムと下地層の金属アルミニウムとに分離する工程に付し、多孔質酸化アルミニウム膜を回収する。
この分離回収工程は、次のような操作手順によってに行われる。
まず、試料を温室における塩化第二水銀飽和溶液に浸漬して処理する。この処理で用いる溶液は、濃度が高いほどアルミニウムに対する溶解能力が高くなる。
この処理によって基板のアルミニウム金属を選択的に溶解し、多孔質酸化アルミニウム膜だけを液中に残し、固液分離して膜を回収する。
この溶解処理に要する時間は、基板の厚さに依存するので、反応中は反応液を適度に緩やかに撹拌しながら基板の状態を観察し、基板が完全に溶解して無くなったことを確認して処理を終了する。
【0016】
反応液中から回収する多孔質酸化アルミニウム膜は、大変脆いので、この一連の溶解、分離工程は膜が壊れないように注意して行うことが肝要である。
分離回収後は、純水を用いてよく洗浄し、次いで60℃の燐酸6wt%−クロム酸1.8wt%混酸水溶液にて短時間リンス処理をする。酸化アルミニウムの溶解には燐酸のみでよいが、クロム酸を若干添加することによりアルミニウムの溶解(副反応)を防ぐことができるので、必要に応じて添加する。燐酸の濃度が高いほど、また温度が高いほど反応が早く進む。あまり反応が早すぎると処理が難しくなる。温度や濃度の下限については現在精査中であるが、実用上前記開示した程度くらいが適当であると思われる。この処理により、酸化アルミニウムは、その表面が溶解によって少しだけ削り取られるが、多孔質膜の底部側に存在している酸化アルミニウムの薄い層(バリア層)が取り除かれ、これによって、多数の独立した貫通孔を有した酸化アルミニウム膜、すなわち、本発明の高アスペクト比のプローブ作製に必要なマスクを得ることができるものである。
次いで、得られた貫通孔が形成された酸化アルミニウム膜マスクを純水にて洗浄し、よく乾燥する。以上の一連の処理操作によって、酸化アルミニウムで構成された、微細な貫通孔をもつマスクが準備される。
【0017】
II.高アスペクト比プローブ作製工程;
前記工程によって準備した、所定の厚さの膜厚と、高アスペクト比細線を形成するのに必要な直径を有する貫通孔を有してなるマスクを用いて、高アスペクト比のプローブを作製する。
まず、準備したマスクを原子間力顕微鏡AFMにて観察し、この観察を通じてマスク中の貫通孔の内細線設計に適した貫通孔を選択する。このAFM観察に用いたプローブは、AFM機器に始めから付属されたプローブでも、あるいは既存の加工技術で別途作製されたAFM機器用に準備されたプローブでもよい。
何れにしても最適な貫通孔を選択する観察の際に使用されたプローブは、観察終了後は、そのまま本発明の高アスペクト比プローブを設計するのに使用されることになる。このプロセスは、以下に記載するとおりである。
【0018】
すなわち、マスクをAFMによって観察し、最適な孔を選択、決定した後、その使用したAFMのプローブを、細線設定に適した所定の要件を備えた孔の中央に位置するよう制御しつつ、プローブ先端をマスクに密着させる(図4参照)。
この状態に設定した状態で、マスクの反対側からプローブ材料として適したチタン等の金属を蒸着させ、所定時間堆積させて高アスペクト比を有する細線構造とし、これによって高アスペクト比プローブを作製、提供するものである。
【0019】
ここに使用する蒸着原料の材質としては、金や白金等の貴金属、チタン等の金属を用いることができる。原理的には基材である珪素や窒化珪素に蒸着可能な材料であれば使用することができる。蒸着の容易さでは金が優れているが、柔らかい材料なので耐久性に劣る。実用上はチタン等のある程度の硬さを持った材料が望ましい。スパッタ蒸着を用いるとタングステン等の蒸気圧の小さな金属、合金、あるいは化合物の蒸着も可能であるので、材料の選択については今後の研究に期待される。
この蒸着操作に際しては、プローブとマスクは、両者をしっかり固定することが望ましい。両者の位置が操作中動いてしまうと、プローブ先端への蒸着物は不安定になり、望ましい尖鋭形状のものを得ることが難しくなるので、両者は予め樹脂等で固定しておく方がよい。
【0020】
プローブとマスクとを樹脂を用いて固定した場合は、プローブをAFM装置本体から取り外すことができるので、蒸着装置をAFM装置とは独立に自由に設計することができるのでその点でも有利である。蒸着が行われている間、プローブ先端の孔には蒸着物による細線が生成される。細線が適当な長さまで成長した段階で蒸着を停止する。次に、プローブとマスクとを接着したまま燐酸溶液に浸し、酸化アルミニウムを溶解することによって、マスクを除去する。プローブとマスクとを樹脂によって固定していた場合は、アセトン等の適当な溶剤を用いて樹脂を溶解除去する。以上によって、極めて狭小な空間でも観察、測定が可能な高アスペクト比プローブを提供するものである。このプローブを走査型観察機器、測定機器に取り付けることによってこれまでのプローブでは観察できないような場合にも使用可能な、そして高解像度で観察することが可能となるものである。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、高アスペクト比プローブを提供するものであり、これにより観察、測定する対象試料が、狭小空間であったり、表面に観察に支障を来す突起があったりする場合でも、充分に対応することができ、また、その先端構造の特異性によりこれまでのプローブ以上に、対象表面に鋭敏に近づけやすくなった構造を有していることから高解像度で観察可能とする、走査型プローブ顕微鏡に用いられるプローブを提供するものであり、これからの研究活動は、この種の機器によるところ極めて大きいことを考えれば、縷々述べるまでもなくその意義は、極めて大きい。本発明によって、特有な微細な領域の構造にまで高解像度で観察することが可能となったことから、種々の分野で新しい発見、知見に結びつき、これによって産業の発展に大いに寄与することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】高アスペクト比細線構造プローブの概略図
【図2】酸化アルミニュウムマスクの作製工程を示す図
(a) アルミニュウム基板の断面図
(b) 陽極酸化後の断面図
(c) アルミニュウムを溶解した後の断面図
(d) バリア層を除去した後の断面図
【図3】基板表面に生成した多孔質酸化アルミニウム皮膜表面を電子顕微鏡写真によって観察した図
(a) 電解質として蓚酸を用いた場合
(b) 電解質として硫酸を用いた場合
【図4】プローブ先端と先端に装着されたマスクとの関係を示す図

Claims (6)

  1. プローブ先端を高アスペクト比細線構造に設定したことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡用プローブ。
  2. 高アスペクト比細線構造が、既存プローブ先端に微細な多孔質貫通孔を有するマスクを取り付け、マスク貫通孔を介して蒸着処理されることによって形成されることを特徴とする、請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡用プローブ。
  3. 該マスクはアルミニウム基板を陽極酸化処理することによって得られる多孔質酸化アルミニウム膜から作製されてなるマスクであることを特徴とする、請求項2記載の走査型プローブ顕微鏡用プローブ。
  4. 既存プローブとして走査型原子間力顕微鏡プローブを用いることを特徴とする、請求項2記載の走査型プローブ顕微鏡用プローブ。
  5. 該陽極酸化処理が、酸を含む電解液中において行われることを特徴とする、請求項3記載の走査型プローブ顕微鏡用プローブ。
  6. 該蒸着処理に際し、マスクと既存のプローブとが、適宜固定手段により予め固定されていることを特徴とする、請求項2記載の走査型プローブ顕微鏡用プローブ。
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