JP2005002673A - 足場組立セット - Google Patents

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Abstract

【課題】雨天時の作業現場における作業において、上方の踏板から落下する雨滴よる建築物の側壁の汚れが発生せず、雨天時の作業効率を向上させるとともに、容易に組立可能で且つ低コストの足場組立セットを提供することである。
【解決手段】作業現場の地面から鉛直方向に設置された複数の支柱21と、支柱21から垂直方向に延在して支柱21間に着脱可能に取り付けられるブラケット22と、ブラケット22間に着脱可能に取り付け可能な足場板23とで構成された足場であって、雨水は上方の足場板23の第一雨樋23bで溜められ、その雨水はブラケット22に設けた第二雨樋22cを介して支柱21内の流路に流れ込み外部に排出される。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築現場等の作業現場で使用される足場の組立セットに関し、特に、雨天時でも効率良く作業を行える足場の組立セットに関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の外壁工事や外壁塗装など行う際、通常、建築物の外壁に沿って足場が設置される。その足場は、図1に示すように、主に地面から鉛直方向に設置された複数の支柱11と、支柱11間に設置されたブラケット12と、ブラケット12間に設置された足場板13とから構成される。支柱11は、図1に示すように、地面上に設置されたアンダーベース14上に設けられる。作業員が作業を行う足場板13には、図1に示すように、すべり防止のために、網目状の穴が空いた平板が用いられる。そのため、雨天時の作業では、足場板13の穴を介して落下する雨滴が下方の足場板13や地面に落ちた際、雨滴が飛散して建築物の外壁や窓などが汚れるという問題が生じる。特に最下部の足場板における雨滴の飛散による建築物の外壁や窓などの汚れが最も酷くなる。それゆえ、雨天時の作業では、このような建築物の外壁や窓などの汚れを清掃しながらの作業となるため、作業の効率が悪くなるという問題があった。また、雨滴の飛散により建築物が濡れることにより、塗装工事やコーキング工事などの作業スケジュールが遅れるという問題があった。
【0003】
この問題を解決する方法として、最上部の足場と建築物の屋根との間に雨避けシートを設置する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、足場の最上部に屋根を取り付ける方法も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2では、屋根材の側部に設けた雨樋あるいは屋根枠に設けた雨樋枠により雨水の排出を容易にしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−356998号公報(第3−4頁、第2−4図)
【特許文献2】
特開平8−135172号公報(第3−4頁、第1、3及び4図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1のように、雨天時に雨避けシートを設置する場合、雨避けシートの設置及び撤収のための手間がかかるため作業効率が低下する恐れがある。特に、風の強い日には、雨避けシートを設置するのが困難になるので、雨避けシートの設置及び撤収のために一層手間がかかる。また、風の強い日にはシートが飛ばされる恐れもある。さらに、雨避けシートの設置は足場の最上部で行われるために、風が強くなると、作業の危険度が増大する恐れがある。一方、特許文献2のように足場の最上部に屋根を設ける場合も同様に、屋根を設置するために時間がかかり作業効率が低下する可能性がある。また、特許文献2のように足場の最上部に屋根を設ける場合には、設備コストが高くなるという問題が生じる。
【0006】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、上方の踏板から落下する雨滴よる建築物の側壁や窓など汚れが発生せず、雨天時の作業効率を向上させるとともに、容易に組立可能で且つ低コストの足場組立セットを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、作業現場の地面から鉛直方向に設置された複数の支柱間に足場を形成するための足場組立セットであって、上記支柱と係合する係合部を有し且つ係合部を介して少なくとも1本の支柱に取り付けられるブラケットと、上記ブラケットと結合する結合部と踏板を有し且つ上記ブラケット間に掛け渡される足場板とを備え、上記足場板が踏板の下方に設けられた受け皿と、該受け皿に形成された第一排水口を有し、上記ブラケットが第一排水口から排出される水を受ける受け部と、上記係合部に形成され且つ該受け部と流通する第二排水口を有することを特徴とする足場組立セットが提供される。
【0008】
本発明の足場組立セットは、上記ブラケットがサイドビームを有し、該サイドビームの下方に上記受け部が設けられていることが好ましい。
【0009】
本発明の足場組立セットは、さらに、支柱を備えていても良い。即ち,本発明の足場組立セットは上記ブラケットと足場板の組み合わせセット(キット)として製造・販売のために取り扱われても良く、あるいは支柱まで含めたセット(キット)として取り扱われても良い。上記足場組立セットが支柱を備える場合、該支柱内は中空であり、該支柱の外壁には上記ブラケットの第二排水口から排出される水を該支柱内に流通するための第三排水口が形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明の足場組立セットの一例を図2に示す。本発明の足場組立セットは、図2に示すように、作業現場の地面から鉛直方向に設置された複数の支柱21と、支柱21から垂直方向に延在して支柱21間に着脱可能に取り付けられるブラケット22と、ブラケット22間に着脱可能に取り付け可能な足場板23とで構成される。
【0011】
ブラケット22は、図6(a)に示すように、サイドビーム22aと、サイドビーム22aの両端に形成され且つブラケット22を支柱21に着脱可能に取り付けるための係合部22bと、サイドビーム22aの下方に設置され且つ係合部22bと結合されている第二雨樋22c(受け部)とで構成される。係合部22bの内部には、図7(a)に示すように、流路22jが形成されている。係合部22bの支柱21と接する端面22kの一部には流路22jと流通する第二排水口22dが形成されている。また、流路22jは、図7(b)に示すように、第二雨樋22cの端部に形成された第四排水口22eを介して第二雨樋22cと流通している。
【0012】
足場板23は、図8に示すように、主に網目状に複数の穴が形成された踏板23aと、踏板23aの下方に設置された第一雨樋23b(受け皿)と、ブラケット22のサイドビーム22aに着脱可能に取り付けられる結合部23cとで形成される。また、足場板23の第一雨樋23bの底部23dの一部(長手方向端部近傍)には、図8(b)に示すように、第一排水口23eが形成されている。本発明の足場組立セットを組立てた際、図3(a)に示すように、ブラケット22の第二雨樋22cの一部が足場板23の第一排水口23eの下方に配置されて、第一排水口23eから流れ出た水が第二雨樋22cに流れ込む。
【0013】
支柱21の内部は、図5に示すように、中空(図5中の流路21c)になっており、支柱21の外壁21aの一部には、ブラケット22の係合部22bと着脱可能に接合するホルダ21bが形成されている。図5(b)に示すように、ホルダ21bが設けられた支柱21の外壁領域21hには、支柱21内の流路21cとホルダ21bを流通する第三排水口21dが形成されている。本発明の足場組立セットを組立てた際、図4(b)に示すように、ブラケット22に形成された第二排水口22dと支柱21に形成された第三排水口21dとが重なり、それらの排水口を介して、係合部22b内の流路22jと支柱21内の流路21cとが流通する。
【0014】
上記構成の足場組立セットを雨天時に組立てて作業を行うと、雨粒は足場板23の踏板23aに形成された複数の穴を通して第一雨樋23bに溜まり、第一雨樋23bに溜まった雨水は、図4(a)の矢印40に示すように、第一雨樋23bの底部に形成された第一排水口23eを介してブラケット22の第二雨樋22c内部に流れ込む。次いで、第二雨樋22cに溜まった雨水は、図4(b)の矢印41に示すように、第四排水口22eを通って流路22jに流れ込み、流路22jに流れ込んだ雨水は第二排水口22d及び第三排水口21dを介して支柱21内の流路21cに流れ込む。すなわち、本発明の足場組立セットの組立体では、雨水は足場板23の第一雨樋23bからブラケット22の第二雨樋22cに流れ込み、その雨水はブラケット22の係合部22bを介して支柱21内に流れ込み、最後に支柱21から外部に排出される構造になっている。
【0015】
本発明の足場組立セットでは、上記ブラケットのサイドビームが延在する方向における受け部の長さW1と、上記足場組立セットを組立てた際に上記ブラケットのサイドビームと対向する上記足場板の受け皿の側面部の幅W2との間に、W1>W2が成立することが好ましい。例えば、図3(b)に示すように、ブラケット22のサイドビーム22aが延在する方向における第二雨樋22c(受け部)の長さW1を、ブラケット22のサイドビーム22aと対向する足場板23の第一雨樋(受け皿)の側面部の幅W2より広く設定することにより、足場板23をブラケット22のサイドビーム22aに接続する際、足場板23がサイドビーム22aの中央からサイドビーム22aの長手方向(図3中のX方向)に多少ずれて設置されても、足場板23の第一雨樋23bに溜まった雨水がブラケット22の第二雨樋22cに確実に流れ込む。
【0016】
本発明の足場組立セットでは、上記足場板の受け皿の底部が、足場板の一方向に延在する溝を有し、該溝の底部に第一排水口が形成されていることが好ましい。底部に溝が形成された足場板の受け皿の一例を図9に示す。図9に示すように、受け皿23b’(第一雨樋)には複数の溝23d’が形成されるように底部が屈曲されている。第一雨樋23b’の底部をこのような形状に加工することにより、足場板の強度を補強することができる。特に、溝23d’に隣接する凸部23kの高さ(溝23d’の深さ)を、足場板を組立てた際に凸部23kの上面が踏板と接するような高さに設定することにより、凸部23kが踏板の補強部材になり、足場板の強度を一層補強することができる。
【0017】
また、本発明の足場組立セットでは、上記ブラケットがL型形状であり、上記ブラケットの両端部に支柱と係合する係合部を有し、該係合部を介して上記ブラケットが上記支柱間に掛け渡されることが好ましい。狭い空間の作業現場では通常足場板の幅を狭くするので、図2に示した足場20では足場板23を挟んで設置された支柱21間の幅も狭くなる。そのような作業環境では作業員が作業中に足場板23間を移動するために支柱21間を通り抜ける際、若干手間がかかる恐れがある。足場板上での作業員の移動を一層容易にするためには、L型形状のブラケットを用いることが好ましい。L型形状のブラケットを有する足場の一例を図14に示す。図14に示すように、ブラケット52の形状をL型にすることにより、足場板23を挟んで設置される支柱21及び21’を足場板23の長手方向(図面のY方向)にずらして配置することができる。すなわち、ブラケットを図14に示すようなL型形状にすることにより、足場板を挟んで設置される支柱間の距離を広げることができる。これにより、支柱間における作業員の通り抜けが一層容易になる。
【0018】
本発明の足場組立セットでは、最下部に設置される上記支柱の外壁に、上記支柱内と流通する排水パイプが設けられていることが好ましい。最下部の支柱の外壁に支柱内部と流通する排水パイプを設けることにより、支柱内の流路を通して上方から流れ落ちる雨水を、排水パイプを介して支柱の設置場所から離れた場所に排出することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用いて本発明の足場組立セットを具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0020】
【実施例1】
実施例1の足場の斜視図を図2に示す。なお、この例の足場の説明に用いる以下の図面(図2〜8)では、図2に示すように、支柱21が延在する方向をZ方向とし、支柱21に対してブラケット22が垂直に延在する方向をX方向及び足場板23の長手方向をY方向とする。ただし、この例ではX方向、Y方向及びZ方向は互いに直交する方向とする。
【0021】
実施例1の足場20は、図2に示すように、建築現場等の作業現場の地面から鉛直方向(図2中のZ方向)に設置された複数の支柱21と、支柱21から垂直方向(図2中のX方向)に延在し且つ支柱21間に取り付けられたブラケット22と、ブラケット22のサイドビーム22aに着脱可能にフック23cで連結され、図2中のY方向に延在して設けられた足場板23とで構成される。この例の足場20は、図2に示すようにブラケット22の両端に設けられた係合部22bを支柱21の外壁に設けられたホルダ21bの一つに差し込むことにより、ブラケット22を支柱21に対して垂直方向(図2中のX方向)に保持する、いわゆるクサビ型の足場である。
【0022】
まず、この例の支柱21について説明する。支柱21の概略図を図5に示す。図5(b)は、図5(a)中の破線で囲まれた領域の拡大断面図である。支柱21は、図5(b)に示すように、円筒状の単管で形成されており、その内部の空洞部が流路21cとなる。支柱21の外壁21aの一部には、図5(a)に示すように、後述するブラケットの端部を保持するための4つのホルダ21bが設けられている。それらのホルダ21bは、支柱21の外壁21aの周方向に90度間隔で形成されており、互いに隣接しあうホルダ21b同士が同じ高さに設置されないように、上下異なる位置に交互に配置されている。この配置は隣接するホルダ21bを介して支柱21に取り付けられる1対のブラケットが互いに干渉することを防止している。
【0023】
支柱21の外壁21aに設けられたホルダ21bは、図5(b)に示すように、底部21eと底部21eから斜め上方に延在する側壁21fを有し、側壁21fは支柱21の外壁21aを覆うようにコ型の形状を有する。また、ホルダ21bの上部は開放されて、開口部21gを画成している。ホルダ21bにより囲まれた支柱21の外壁21aの領域21hの下方には支柱21内の流路21cと流通する四角形状の穴21d(第三排水口)が形成されている。ただし、穴21dの形状は四角形に限定されず、例えば、円形や楕円形などの任意の形状にして良い。
【0024】
次に、この例で用いたブラケット22を図6及び7を用いて説明する。なお、図7(a)は、図6(c)中のX1−X1断面図であり、図7(b)は、図6(b)中のZ1−Z1断面図であり、図7(c)は、図6(b)中のY1−Y1断面図であり、そして、図7(d)は、図6(b)中のY2−Y2断面図である。
【0025】
ブラケット22は、図6(a)に示すように、図6中のX方向に延在したサイドビーム22aと、サイドビーム22aの両端に設けられた係合部22bと、サイドビーム22aに吊り板22gにより吊り下げられた箱状の第二雨樋22cとで構成される。サイドビーム22aは、図7(a)及び(d)に示すように、円筒状の単管で形成されている。
【0026】
ブラケット22のサイドビーム22aの両端に設けられた係合部22bは、図7(c)に示すように、サイドビーム22aと同じ円筒形状を有する上部22mと、円筒状の上部22mの下方に形成され且つ上部22mの下方に延在した直方体状の下部22nとで構成されている。図6(a)及び(b)に示すように、下部22nは下方に向かうに従ってそのY方向の幅及びX方向の幅(厚さ)が徐々に狭くなるように形成されており、ホルダ21bへの挿入を容易にしている。また、ブラケット22の係合部22b内部には、図7(b)に示すように、断面が矩形の流路22jが形成されており、流路22jの断面は下方に向かって狭くなる。ただし、流路22jの断面形状は矩形に限定されず、例えば、円形や楕円形などの任意の形状にして良い。
【0027】
図7(a)及び(b)に示すように、係合部22bの下部22nの上方で且つ内側には、流路22jをその上流で第二雨樋22cの内部に連通する穴22e(第四排水口)が形成されている。一方、係合部22bの下部22nの下方で且つ外側には流路22jを下流側で開放する穴22d(第二排水口)が形成されている。穴22dは、図2に示すようにブラケット22の係合部22bを支柱21のホルダ21bに挿入して足場を組立てた際、支柱21に形成された穴21dと重なり係合部22b内の流路22jと支柱21内の流路21cとを連通する。穴22d及び22eの形状は図示のような四角形に限定されず、例えば、円形や楕円形など任意の形状にして良い。
【0028】
ブラケット22の第二雨樋22cは、図6(a)に示すように、底部22fとX及びY方向にそれぞれ延在する側壁とを有する箱状の形状を有し、上方が開放されている。底部22fは、サイドビーム22aの下部に設けられ且つサイドビーム22aの長手方向(X方向)に延在した吊り板22gと接合されている。また、図6(a)に示すように、第二雨樋22cのY方向に延びる側壁22hは、係合部22bの側面22iと接合している。すなわち、第二雨樋22cは、ブラケット22の係合部22bの穴22eと上方開放部以外は閉塞されており、第二雨樋22cに上方開放部から流入した雨水は穴22eを通って係合部22bに流れ込むことになる。
【0029】
次に、この例で用いた足場板23を図8を用いて説明する。図8(b)は足場板23の分解図である。足場板23は、図8(b)に示すように、網目状の穴が形成された踏板23aと、踏板23aの下方に設けられた箱状の第一雨樋23bと、踏板23a及び第一雨樋23bのX方向(踏板23aの短手方向)に垂直な両側面を支持するための2つの側面支持材23fと、足場板23をブラケット22のサイドビーム22aに着脱可能に取り付けるためのフック23cを有し且つ踏板23a及び第一雨樋23bのY方向(踏板23aの長手方向)に垂直な両側面を支持するための2つの端面支持材23gとで構成されている。
【0030】
第一雨樋23bの底部23dには、図8(b)に示すように、第一雨樋23bの長手方向(図8(b)中のY方向)に垂直な両端面付近にそれぞれ四角形状の穴23e(第一排水口)が形成されている。穴23eは、図3(a)に示すように本発明の足場を組立てた際、足場板23の穴23eの下方にブラケット22の第二雨樋22cの一部が位置付けられるように、底部23dの所定位置に形成される。なお、第一雨樋23bの底部23dに設けられる穴23eの形状は四角形に限定されず、例えば、円形や楕円形などで形成されていても良く、任意の形状の穴にし得る。また、第一雨樋23bの底部23dに形成された穴23eには、図8(b)に示すように、穴23eからの雨水を第二雨樋22cへガイドするための一対の補助板23hが形成されている。補助板23hは、図8(b)に示すように、穴23eを区画するX方向の縁部のうち、足場板23のY方向の中央に近い側の縁部から下方に所定の角度だけ傾くように底部23dから延びている。
【0031】
足場板23の端面支持材23gは、図8(b)に示すように、箱状の部材であり、踏板23aの長手方向(図8(b)中のY方向)に垂直な端面23iには、足場板23をブラケット22のサイドビーム22aに着脱可能に取り付けるためのフック23cが所定の間隔で2個設けられている。フック23cは溶接により各端面支持材23gの端面23iに接合されても良いし、あるいは、ねじ等で接合しても良い。フック23cは、図8(b)に示すように、踏板23aの長手方向(図8(b)中のY方向)に延在した板状の部材であり、その先端はブラケット22のサイドビーム22aの外壁の曲率半径よりわずかに大きい内径を有する逆U字型の形状に加工されている。この例ではフック23cは端面支持材23gの踏板23aの長手方向(図8(b)中のY方向)に垂直な端面23iに取り付けられているが、本発明はこれに限定されず、例えば、端面支持材23gのX方向に垂直な側面23jに溶接やねじ等で取り付けても良い。
【0032】
足場板23の側面支持材23fは、図8(b)に示すように、踏板23aの長手方向(図8(b)中のY方向)に延在した部材であり、その断面はコ型の形状になっている。
【0033】
上記足場組立セットを構成する各構成部材は鉄、鋼などの鉄合金等で形成され、その表面には亜鉛メッキなどにより防錆加工が施されていても良い。あるいは、アルミ等の耐蝕性金属を用い得る。
【0034】
上記足場組立セットの構成部材を組立てると、図2に示すような足場20が形成される。図2の足場20を図2中のX方向から見た側面図を図3(a)に示し、図2中のZ方向から見た平面図を図3(b)に示した。また、図3(b)中のX0−X0断面図を図4(a)に示し、図3(b)中のY0−Y0断面図を図4(b)に示した。
【0035】
この例の足場20における雨水の排水過程を図4を用いて説明する。雨天時、上空から降る雨又は雪は、まず足場板23の踏板23aに形成された網目状の穴を通じて、足場板23の第一雨樋23b内部に溜められる。次いで、足場板23の第一雨樋23b内に溜まった雨水は、図4(a)の矢印40に示すように、足場板23bの第一雨樋23bの底部23dに形成された穴23eを介してブラケット22の第二雨樋22cの内部に流れ込む。
【0036】
第二雨樋22cの内部に流れ込んだ雨水は、図4(b)の矢印41に示すように、第二雨樋22cの内部とブラケット22の係合部22bとの境界に形成された穴22eを介して係合部22b内の流路22jに流れ込む。次いで、流路22jに流れ込んだ雨水は、図4(b)の矢印41に示すように、ブラケット22の係合部22bの端面に形成された穴22d及び支柱21の外壁21aに形成された穴21dを介して支柱21の流路21cに流れ込む。支柱21の流路21cに流れ込んだ雨水は最下部の支柱21の地面に面した端部開口部から支柱21を設置している地面近傍に排出される。
【0037】
上記の雨水の排水過程から明らかなように、この例の足場20では、雨水は上方の足場板23の第一雨樋23bで溜められ、その雨水はブラケット22に設けた第二雨樋22cを介して支柱21の流路21cに流れ込み外部に排出することができる。それゆえ、この例の足場20では、上方の足場から直接下方の足場に落下する雨滴が無くなるので、上方の足場から落下した雨滴が下方の足場板に当たって飛散し、それにより建築物の側壁や窓などが汚れるという問題が解消される。これにより、雨天時の作業において建築物の側壁や窓など汚れを清掃しながら作業する必要がなくなり、雨天時の作業効率をより向上させることができる。また、落下する雨滴の飛散により建築物が濡れることが無くなるので、例えば、塗装工事やコーキング工事などの作業を効率良く行うことができる。また、足場の最上方に雨天シートや屋根を設ける必要が無いので、足場の設置及び撤収の際にかかる手間は晴天時と同じになり、雨天時の作業効率を一層向上させることができる。
【0038】
【変形例1】
実施例1の足場20では、図8(b)に示したように、足場板23の第一雨樋23bの底部23dが平坦である例を説明した。足場板23は作業員が作業する場所となるので、ある程度強度が必要になる。足場板23の強度をより補強するための第一雨樋の一例を図9に示す。この例の足場板の第一雨樋23b’には、図9に示すように、第一雨樋23b’の長手方向(図9中のY方向)に延在する2本の溝23d’が形成されるように底部が屈曲されている。X方向両端付近の溝23d’の底部には、図9に示すように、四角形状の穴23e’が形成されている。ただし、この穴23e’は、実施例1と同様に、本発明の足場を組立てた際、第一雨樋23b’の穴23e’の下方にブラケット22の第二雨樋22cの一部が位置付けられるように、溝23d’の底部の所定位置に形成される。なお、この例では溝23d’が2本形成されている第一雨樋23b’を例示したが、本発明はこれに限定されず、任意の溝本数で形成し得る。また、溝23d’の断面形状は四角形に限定されず、例えば、半円形や半楕円形で形成されていても良く、足場板23に機械的強度をもたらす任意の形状にし得る。
【0039】
また、第一雨樋23b’の各溝23d’の底部に形成された穴23e’には、図9に示すように、穴23e’からの雨水の排水を第二雨樋22cに導くための補助板23h’が形成されている。補助板23h’は、図9に示すように、穴23e’を区画するX方向の縁部のうち、第一雨樋23b’のY方向の中央に近い側の縁部から下方に所定の角度だけ傾くように溝23d’の底部から延びている。
【0040】
第一雨樋23b’に形成された各溝23d’の深さは、足場板23を図8(a)のように組立てた際、網目状の踏板23aが第一雨樋23b’の溝23d’間に形成された凸部23kの上面に接して設置されるような深さに設定される。従って、この例の第一雨樋23b’を用いて足場板23を図8(a)のように組立てると、第一雨樋23b’の凸部23k上面に接して踏板23aが設置されるので、第一雨樋23b’の凸部23kが踏板23aの補強部材になり、さらに足場板23の強度を増すことができる。
【0041】
【変形例2】
実施例1の足場20では、支柱21の流路21cに流れ込んだ雨水は最下部の支柱21の地面に面した端部開口部から支柱21を設置している地面近傍に排出する例を説明した。しかしながら、足場が設置されている地面の土質や状態によっては、排出された雨水により水溜りが生じたり、支柱が設置されている地盤がゆるむ恐れがある。そのような作業現場では、図10に示すように、アンダーベース29上に設置された最下部の支柱21の外壁に、支柱21内の流路と流通する排水パイプ28を設けることが好ましい。
【0042】
図10に示すように、最下部の支柱21の下方に支柱21内の流路と流通する排水パイプ28を取り付けることにより、支柱21内の流路に流れ込んだ雨水は、支柱21の設置場所から離れた場所に置かれた排水パイプ28の端部28aから排出される。これにより、支柱21から排出された雨水により支柱21が設置されている地面近傍に水溜りが生じたり、地盤がゆるむ危険性が無くなる。この場合、排水パイプ28の長さは、作業現場の環境により任意に設定し得る。
【0043】
【変形例3】
実施例1の足場20では、図2に示すように、ブラケット22における雨水の受け部として、サイドビーム22aの下部に第二雨樋22cを設けた例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図11に示すように、ブラケット22’のサイドビーム22a’の外壁の一部に、足場板23”の第一雨樋23b”のY方向の端面に形成された第一排水口23e”と流通する開口部22pを設けたブラケット22’を用いても良い。なお、このようなブラケット22’では、サイドビーム22a’内の中空部が流路22c’(受け部)となり、サイドビーム22a’の端部でブラケット22’の係合部22b’内の流路(不図示)と連通している。
【0044】
このようなブラケット22’を用いた場合、足場板23”の第一雨樋23b”の第一排水口23e”から流れ出る雨水は、図11中の矢印40’に示すように、サイドビーム22a’の開口部22pを介してサイドビーム22a’内の流路22c’に流れ込む。サイドビーム22a’内の流路22c’に流れ込んだ雨水はブラケット22’の係合部22b’内の流路を介して支柱21内の流路に流れ出す(不図示)。この例における第一排水口23e”及び開口部22pの形状は、特に限定されず、任意の形状にし得る。例えば、ブラケット22’の長手方向に延びるスリット状にしても良く、あるいは、第一排水口23e”及び開口部22pを絞り込んで円形にしても良い。
【0045】
【実施例2】
実施例2の足場の斜視図を図12に示す。なお、この例の足場の説明に用いる以下の図面(図12及び13)では、図12に示すように、支柱21が延在する方向をZ方向とし、支柱21に対してブラケット32が垂直に延在する方向をX方向及び足場板23の長手方向をY方向とする。ただし、この例ではX方向、Y方向及びZ方向は互いに直交する方向とする。
【0046】
この例の足場30は、図12に示すように、作業現場の地面から鉛直方向に設置された支柱21と、支柱21から垂直方向に延在して取り付けられたブラケット32と、ブラケット32のサイドビーム32aに着脱可能にフック23cで連結され、図12中のY方向に延在して設けられた足場板23とで構成される。この例の足場30は、図12に示すように、ブラケット32の一方の端部だけを支柱21で保持するタイプの足場である。また、この例の足場30では、図12に示すように、ブラケット32以外の構成部材(支柱21及び足場板23)は、実施例1と同じ構造であるので、ここではこれらの構成部材についての説明は省略する。
【0047】
この例のブラケット32の概略図を図13に示した。図13(b)は図13(a)中のY3−Y3断面を表わした図である。この例のブラケット32は、図13(a)に示すように、図13(a)中のX方向に延在したサイドビーム32aと、サイドビーム32aの両端に形成された係合部32b及び32b’と、サイドビーム32aに吊り板32gにより吊り下げられた箱状の第二雨樋32cと、第二樋32cの下部に設けられた支持部材32lとで構成される。
【0048】
図13(a)中のX方向に延在した円筒状のサイドビーム32a及びサイドビーム32aの下方に設けられた第二雨樋32cは、実施例1の図6で説明したサイドビーム22a及び第二雨樋22cと同じ構造であるので、ここでは説明を省略する。サイドビーム32aの支柱21と接する側の端部に設けられた係合部32bは、図13(a)及び(b)に示すように、実施例1の図6で説明した接合部22bと同じ構造を有する。一方、支柱21と接合しない側の係合部32b’の内部は、図13(b)に示すように、空洞部32j’が設けられているが、空洞部32j’に雨水が溜まらないようにするため、空洞部32j’の上部が第二雨樋32cの底部32f’で閉じられている。
【0049】
支持部材32lは、図13(a)及び(b)に示すように、板状の部材であり、その一端は、第二雨樋32cの支柱21と接続されない側の係合部32b’と、第二雨樋32cの底面32hとの境界付近に接合されており、第二樋32cの底面32hから下方に所定の角度傾いてブラケット32の長手方向に延在している。第二雨樋32cの底面32hからブラケット32の長手方向に延在した支持部材32lの中間付近には、ブラケット32の保持強度を増すために、支持部材32lと第一雨樋32cの底面32hとの間に板状の支持材32mが設けられている。また、支持部材32lの支柱21と接続される側の端部には支柱21の外壁形状に対応する凹形状のグリップ部32nが形成されており、この例の足場30を組立てた際、図12に示すように、支持部材32lのグリップ部32nの支柱側の端面が支柱21の外壁面に接する構造になっている。
【0050】
この例の足場30における雨水の排水過程は実施例1と同様であり、まず、雨水は足場板23の第一雨樋に溜まり、第一雨樋に溜まった雨水は第一雨樋の底部に形成された穴(第一排水口)を介してブラケット32の第二雨樋32cに流れ込む。次いで、ブラケット32の第二雨樋32cに流れ込んだ雨水は、図13(b)中の矢印42に示すように、第二雨樋32cの内部と係合部32bとの境界に形成された穴32eを介して係合部32b内の流路32jに流れ込み、流路32jに流れ込んだ雨水は係合部32bの端面部に形成された穴32d(第二排水口)及び支柱21の外壁21aに形成された穴(第三排水口)を介して支柱21内の流路21cに流れ込む。支柱21内の流路21cに流れ込んだ雨水は最下部の支柱21の地面に面した端部開口部から排出される。ただし、この例の足場30では、図13(b)に示すように、ブラケット32の片方の係合部32bだけが支柱21と接合するので、ブラケット32の第二雨樋32cに溜まった雨水は、支柱21と接合する一方の係合部32bのみから支柱21内の流路21cに流れ込む。
【0051】
上記の雨水の排水過程から明らかなように、この例の足場30では、実施例1と同様に、上方の足場から直接下方の足場に落下する雨滴が無くなるので、上方の足場から落下した雨滴が下方の足場板に当たり飛散して建築物の側壁や窓などが汚れるという問題が解消される。これにより、雨天時の作業において建築物の側壁や窓など汚れを清掃しながら作業する必要がなくなり、雨天時の作業効率を向上させることができる。また、落下する雨滴の飛散により建築物が濡れることが無くなるので、例えば、塗装工事やコーキング工事などの作業を効率良く行うことができる。また、足場の最上方に雨天シートや屋根を設ける必要が無いので、足場の設置及び撤収の際にかかる手間は晴天時と同じになり、雨天時の作業効率を一層向上させることができる。
【0052】
さらに、この例の足場30では、図12に示すように、ブラケット32をその片側端部のみで支柱21に保持することができるので、図2のような足場板を挟んで2本の支柱を配置する足場20が設置できないような狭い作業現場でも容易に本発明の足場を組立てることができる。
【0053】
【実施例3】
実施例3の足場の斜視図を図14に示す。なお、この例の足場の説明に用いる以下の図面(図14及び15)では、図14に示すように、支柱21及び21’が延在する方向をZ方向とし、支柱21に対してブラケット50が垂直に延在する方向をX方向とし、足場板23の長手方向をY方向とする。ただし、この例ではX方向、Y方向及びZ方向は互いに直交する方向とする。
【0054】
この例の足場は、図14に示すように、支柱21及び21’と、L型ブラケット52と、足場板23とで構成されている。この例の足場50では、図14に示すように、支柱21と支柱21’との間に設置されたブラケット52がL型形状になっている。また、この例の足場50では、ブラケット52以外の足場組立セットの構成部材(支柱21、21’及び足場板23)は、実施例1と同じ構造であるので、ここではそれらの構成部材についての説明は省略する。
【0055】
この例のL型ブラケット52の概略図を図15に示した。図15(b)は図15(a)中のY4−Y4断面を表わした図である。この例のL型ブラケット52は、図15(a)及び(b)に示すように、円筒状のL型サイドビーム52aと、L型サイドビーム52aの両端に形成された係合部52bと、L型サイドビーム52aにL型吊り板52gにより吊り下げられた箱状のL型第二雨樋52cと、L型第二雨樋52cの下部に形成された2本の支持部材52l及び52pとで構成される。
【0056】
L型ブラケット52のL型サイドビーム52aは、図15(b)に示すように、円筒状のL型単管で形成されており、サイドビーム52aの形状がL型であること以外は、実施例1の図6で説明したサイドビーム22aと同じ構造である。サイドビーム52aの下方に設けられた箱状のL型第二雨樋52cは、雨樋の形状がL型であること以外は実施例1の図6で説明した第二雨樋22cと同じ構造である。また、L型サイドビーム52aの両端に形成された係合部52bは、実施例1の図6で説明した係合部22bと同じ構造である。
【0057】
支持部材52lは、L型ブラケット52の図15(a)中のX方向に延在した領域52’を支持するために、L型第二雨樋52cの領域52’の下部に設けられた板状部材である。支持部材52lは、図15(b)に示すように、その一端がL型第二雨樋52cの底面52hのコーナー部分近傍に接合されており、第二樋52cの底面52hから下方に所定の角度傾いて図15(b)中のX方向に延在している。第二雨樋の底面52hから図15(b)中のX方向に延在した支持部材52lの中間付近には、ブラケット52の保持強度を増すために、支持部材52lと第二雨樋52cの領域52’の底面52hとの間に支持材52mが設けられている。また、支持部材52lの支柱21と接続される側の端部には、支柱21の外壁形状に対応する凹形状のグリップ部52nが形成されており、この例の足場50を組立てた際、図14に示すように、支持部材52lのグリップ部52nの支柱21側の端面が支柱21の外壁面に接する構造になっている。
【0058】
支持部材52pは、L型ブラケット52の図15(a)中のY方向に延在した領域52”を支持するために、L型第二雨樋52cの領域52”の下部に設けられた板状部材である。支持部材52pは、図15(b)に示すように、その一端がL型第二雨樋52cの底面52hのコーナー部分近傍に接合されており、第二樋52cの底面52hから下方に所定の角度傾いて図15(b)中のY方向に延在している。第二雨樋52cの底面52hから図15(a)中のY方向に延在した支持部材52pの中間付近には、ブラケット52の保持強度を増すために、支持部材52pと第一雨樋52cの領域52”の底面52hとの間に支持材52qが設けられている。また、支持部材52pの支柱21’と接続される側の端部には、支柱21’の外壁形状に対応する凹形状のグリップ部52rが形成されており、この例の足場50を組立てた際、図14に示すように、支持部材52pのグリップ部52rの支柱21’側の端面が支柱21’の外壁面に接する構造になっている。
【0059】
この例の足場50における雨水の排水過程は実施例1と同様であり、まず、雨水は足場板23の第一雨樋に溜まり、第一雨樋に溜まった雨水は第一雨樋の底部に形成された穴(第一排水口)を介してブラケット52の第二雨樋52cに流れ込む。次いで、ブラケット52の第二雨樋52cに流れ込んだ雨水は、図15(b)の矢印43に示すように、第二雨樋52cの内部と係合部52bとの境界に形成された穴52eを介して係合部52b内の流路52jに流れ込み、流路52jに流れ込んだ雨水はブラケット52の係合部52bの端面部に形成された穴52d(第二排水口)及び支柱21の外壁21aに形成された穴(第三排水口)を介して支柱21内の流路21cに流れ込む。支柱21内の流路21cに流れ込んだ雨水は最下部の支柱21の地面に面した端部開口部から排出される。
【0060】
上記の雨水の排水過程から明らかなように、この例の足場50では、実施例1と同様に、上方の足場から直接下方の足場に落下する雨滴が無くなるので、上方の足場から落下した雨滴が下方の足場板に当たって飛散することにより建築物の側壁や窓などが汚れるという問題が解消される。これにより、雨天時の作業において建築物の側壁や窓など汚れを清掃しながら作業する必要がなくなり、雨天時の作業効率を向上させることができる。また、落下する雨滴の飛散により建築物が濡れることが無くなるので、例えば、塗装工事やコーキング工事などの作業を効率良く行うことができる。また、足場の最上方に雨天シートや屋根を設ける必要が無いので、足場の設置及び撤収の際にかかる手間は晴天時と同じになり、雨天時の作業効率を一層向上させることができる。
【0061】
さらに、この例の足場50では、図14に示すように、足場板23を挟んで設置される支柱21及び21’を足場板23の長手方向(図14中のY方向)に互いにずらして設置することができる。それにより、支柱21と支柱21’との間の距離を広げることができる。それゆえ、この例の足場50では、作業者が足場板23上で移動する際、支柱21と支柱21’との間の通り抜けが容易になり、作業をより効率良く行うことができる。
【0062】
上記実施例1〜3では、足場板が特定形状の結合部(フック23c)を有していたが、これに限定されず、任意の形状及び構造の結合部にし得る。例えば、足場板の結合部を適当な厚さを有する中空部材から構成し、結合部内部と足場板の受け皿(第一雨樋23b)を連通させるとともに、結合部に第一排水口を設けても良い。
【0063】
上記実施例1〜3では、ブラケットを保持するための支柱のホルダが底面を有する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。従来用いられているクサビ型足場の支柱、すなわち、ホルダにより囲まれた支柱の外壁部に穴が形成されておらず且つホルダの底部が無い支柱を用いても良い。この場合、ブラケットの係合部に形成された穴から流出する雨水は支柱の外壁を伝って下方に排出される。
【0064】
また、上記実施例1〜3では、ブラケットの係合部を支柱のホルダに差し込むタイプ、すなわち、クサビ型の足場について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ブラケットの係合部がクランプのようにねじで支柱に接合するタイプのものでも良い。ブラケットの接合部がクランプによりねじで支柱に接合するタイプにおいても、クランプの支柱と接合される部分にブラケットの第二雨樋と流通する穴(第二排水口)が形成されていても良い。この場合、クランプで接合される支柱の外壁面には支柱内の流路と流通する穴(第三排水口)が形成されていても良いし、形成されていなくても良い。クランプと接合される支柱の外壁面に支柱内の流路と流通する穴が形成されている場合には、上記実施例1〜3と同様に、ブラケットの係合部から流出する雨水は支柱内の流路を介して外部に排出される。一方、クランプと接合される支柱の外壁面に支柱内の流路と流通する穴が形成されていない場合には、ブラケットの係合部から流出する雨水は支柱の外壁を伝って排出される。
【0065】
【発明の効果】
本発明の足場によれば、雨水は、まず足場板の第一雨樋に溜まり、その溜まった雨水はブラケットの第二雨樋に流れ込み、そして、ブラケットの第二雨樋に溜まった雨水はブラケットの支柱との係合部を介して支柱内の流路に流れ込み下方に排出される。それゆえ、足場の最上方に雨天シートや屋根を設けなくても、足場板から直接下方の足場板へ落下する雨滴が無くなり、落下した雨滴が下方の足場板で飛散して建築物の側壁や窓などを汚すという問題は発生しない。これにより、雨天時の作業において建築物の側壁や窓などを汚れを清掃しながら作業を行う必要が無くなり、雨天時の作業効率を向上させることができる。また、落下する雨滴の飛散により建築物が濡れることが無くなるので、塗装工事やコーキング工事などの作業を効率良く行うことができる。
【0066】
さらに、本発明の足場によれば、足場の最上方に雨天シートや屋根を設ける必要がないので、容易に組立可能で且つ低コストの足場組立セットを提供することができるとともに、足場の設置及び撤収の際にかかる手間は晴天時と同じになり、雨天時の作業効率を一層向上させることができる。
【0067】
また、本発明の足場によれば、足場板上に溜まる水をできるだけ少なくすることができるので、冬場の作業時における足場板の凍結を最小限に抑えることができる。それゆえ、冬場の作業時における労働災害の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の足場を示した図である。
【図2】実施例1の足場を示した図である。
【図3】図3(a)は図2中のX方向から見た実施例1の足場の側面図であり、図3(b)は図2中のZ方向から見た実施例1の足場の平面図である。
【図4】図4(a)は図3(b)中のX0−X0断面を示した図であり、図4(b)は図3(b)中のY0−Y0断面を示した図である。
【図5】図5(a)は実施例1の支柱の概略図であり、図5(b)は図5(a)中の破線で囲まれた領域の概略断面図である。
【図6】実施例1のブラケットを示した図であり、図6(a)はブラケットの斜視図であり、図6(b)は図6(a)中のY方向から見たブラケットの側面図であり、そして、図6(c)は図6(a)中のZ方向から見たブラケットの平面図である。
【図7】図7(a)は図6(c)中のX1−X1断面を示した図であり、図7(b)は図6(b)のZ1−Z1断面を示した図であり、図7(c)は図6(b)のY1−Y1断面を示した図であり、そして、図7(d)は図6(b)のY2−Y2断面を示した図であり、
【図8】実施例1の足場板を示した図であり、図8(a)は足場板の斜視図であり、図8(b)は足場板の分解図である。
【図9】変形例1で用いたブラケットの第一雨樋の斜視図である。
【図10】変形例2で用いた最下部の支柱を示した図である。
【図11】変形例3の足場の概略断面図である。
【図12】実施例2の足場を示した図である。
【図13】実施例2で用いたブラケットの概略図であり、図13(a)はブラケットの斜視図であり、図13(b)は図13(a)中のY3−Y3断面を示した図である。
【図14】実施例3の足場を示した図である。
【図15】実施例3で用いたブラケットの概略図であり、図15(a)はブラケットの斜視図であり、図15(b)は図15(a)中のY4−Y4断面を示した図である。
【符号の説明】
20,30,50 足場
21,21’ 支柱
22,32,52 ブラケット
23 足場板

Claims (7)

  1. 作業現場の地面から鉛直方向に設置された複数の支柱間に足場を形成するための足場組立セットであって、
    上記支柱と係合する係合部を有し且つ係合部を介して少なくとも1本の支柱に取り付けられるブラケットと、
    上記ブラケットと結合する結合部と踏板を有し且つ上記ブラケット間に掛け渡される足場板とを備え、
    上記足場板が踏板の下方に設けられた受け皿と、該受け皿に形成された第一排水口を有し、
    上記ブラケットが第一排水口から排出される水を受ける受け部と、上記係合部に形成され且つ該受け部と流通する第二排水口を有することを特徴とする足場組立セット。
  2. 上記ブラケットがサイドビームを有し、該サイドビームの下方に上記受け部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の足場組立セット。
  3. 上記ブラケットのサイドビームが延在する方向における受け部の長さW1と、上記足場組立セットを組立てた際に上記ブラケットのサイドビームと対向する上記足場板の受け皿の側面部の幅W2との間に、W1>W2が成立することを特徴とする請求項2に記載の足場組立セット。
  4. 上記足場板の受け皿の底部が、足場板の一方向に延在する溝を有し、該溝の底部に第一排水口が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の足場組立セット。
  5. 上記ブラケットがL型形状であり、上記ブラケットの両端部に支柱と係合する係合部を有し、該係合部を介して上記ブラケットが上記支柱間に掛け渡されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の足場組立セット。
  6. さらに、上記足場組立セットが支柱を備え、該支柱内は中空であり、該支柱の外壁には上記ブラケットの第二排水口から排出される水を該支柱内に流通するための第三排水口が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の足場組立セット。
  7. 最下部に設置される上記支柱の外壁に、上記支柱内と流通する排水パイプが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の足場組立セット。
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