JP2005002382A - マグネトロンユニット及びスパッタリング装置 - Google Patents

マグネトロンユニット及びスパッタリング装置 Download PDF

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Yuuki Fujikashi
勇気 藤樫
Hiroyuki Takahama
宏行 高浜
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敬司 宮本
Yasushi Mizusawa
寧 水沢
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Abstract

【課題】オーバーハングを抑制でき、且つ、ボトムカバレッジを向上できるマグネトロンユニット及びそれを備えたスパッタリング装置を提供する。
【解決手段】マグネトロンユニット30は、円形のベースプレート32と、ベースプレート32の下面32a上に所定の配列で固定されたアウターマグネット34o及びインナーマグネット34iとを備える。アウターマグネット34oは、インナーマグネット34iを取り囲むように環状に配置された第1アウターマグネット341と、第1アウターマグネット341の外方周囲に配置された第2アウターマグネット342とを有する。アウターマグネット34oの総磁気量は41であり、インナーマグネット34iの総磁気量は2である。したがって、インナーマグネット34iに対するアウターマグネット34oの総磁気量は20.5倍であり、4倍以上となっている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マグネトロンユニット及びスパッタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造プロセスにおける成膜技術としてスパッタイオンプレーティング(SIP)がある。このプロセスを実施する装置として、マグネトロン方式のスパッタリング装置が広く用いられている。このスパッタリング装置は、スパッタターゲットと、スパッタターゲットのエロージョン面に対向配置されたウエハ支持台と、スパッタターゲットの裏面に設けられたマグネトロンユニットとを備える。このようなスパッタリング装置では、プロセスガスをチャンバ内に導入し、スパッタターゲットの近傍においてプラズマを発生させることによってスパッタターゲットからスパッタ粒子を生じさせる。このスパッタ粒子がウエハ上に到達し、これによって成膜が進行する。
【0003】
マグネトロンユニットは、スパッタターゲットの裏面側にスパッタターゲットに対して平行且つ同軸に配置された円形のベースプレートと、このベースプレートの下面に固定された外側のマグネット部及び内側のマグネット部とから構成されている。外側のマグネット部から延びる磁力線は、スパッタリング装置のチャンバ内を通過し、内側のマグネット部に向かうか又は外側のマグネット部に戻ることで閉ループ磁場を形成する。このようにしてチャンバ内に磁場を形成することでスパッタターゲット表面近傍にプラズマを発生させる。かかるマグネトロンユニットとして、例えば、外側のマグネット部の磁気量が内側のマグネット部の磁気量よりも大きいものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
国際公開第01/002619号パンフレット
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、半導体デバイスの設計ルールの微細化に伴い、高アスペクト比のコンタクトホール若しくはビアホールといった接続孔、又は高アスペクト比のトレンチに対してスパッタリング成膜することは更に困難を極めている。具体的には、オーバーハングを抑制し、凹部の底部におけるカバレッジ(ボトムカバレッジ)を向上させる必要性がこれまでにも増して顕著となっている。かかる状況下、従来よりも格段に優れた成膜特性を有するスパッタリング装置が切望されている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、オーバーハングを抑制でき、且つ、ボトムカバレッジを向上できるマグネトロンユニット及びそれを備えたスパッタリング装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討を行った。その結果、オーバーハングを抑制し、且つ、ボトムカバレッジを向上させるためには、チャンバ内に形成される磁場のうち、マグネトロンユニットから基体に向かう垂直方向の磁場成分(垂直磁場成分)を強化すること、すなわちチャンバ内における磁場の指向性を向上させることが有効であることを見出した。
【0008】
一般に、プラズマ中の電子は磁力線方向すなわち磁場方向に沿って螺旋状に運動する。この為、チャンバ内の垂直磁場成分を強化すると、プラズマ中の電子は主に垂直方向に運動することになる。換言すれば、チャンバの側壁方向に向かう水平方向の磁場成分(水平磁場成分)が減弱されるので、プラズマ中の電子が側壁方向に拡散し難くなる。その結果、垂直磁場成分がいわば「防壁」として機能するので、プラズマは垂直磁場成分によって一定の制限された空間に閉じ込められ得る。こうなると、水平方向に沿った断面におけるプラズマ(シース)の外径寸法は小さくなり、水平方向に圧縮され、且つ、垂直方向に伸張されたような略楕円体状を成すと考えられる。
【0009】
その結果、プラズマ中のスパッタ粒子の指向性が向上し、スパッタ粒子が基体に対して垂直に近い角度で入射する。こうなると、基体上に設けられた凹部の底部にスパッタ粒子が到達し易くなる。これにより、オーバーハングが抑制され、且つ、ボトムカバレッジが向上される。さらに、プラズマ中の電子がチャンバの側壁近傍に設けられたシールドに流れることが抑制されるので、プラズマ中の電子或いは活性種の密度が増大される。
【0010】
そして、本発明者らはかかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によるマグネトロンユニットは、スパッタリング装置に備わるチャンバ内に磁場を形成するためのものであって、チャンバ外に配置された第1のマグネット部と、第1のマグネット部の外周囲に配置され、且つ、第1のマグネット部の総磁気量の4倍以上の総磁気量を有する第2のマグネット部とを備えることを特徴とする。
【0011】
このマグネトロンユニットでは、第2のマグネット部の総磁気量が第1のマグネット部の総磁気量の4倍以上とされているので、各々のマグネット部によりチャンバ内に形成される磁場をベクトル合成すると、実質的に外側の第2のマグネット部による磁場が支配的となり、チャンバ内の垂直磁場成分が強化されるものと考えられる。但し、作用はこれに限定されない。
【0012】
また、第1のマグネット部に対する第2のマグネット部のアンバランス度は4以上であると好ましく、15以上であるとより好ましく、20以上であると更に好ましい。なお、本発明における「アンバランス度」とは、内側のマグネットの総磁気量を1としたときの、外側のマグネットの総磁気量を示す。このアンバランス度が4未満であると、垂直磁場成分を十分に増大し難い傾向にある。
【0013】
さらに、第2のマグネット部は、第1のマグネット部を取り囲むように環状に配置されており、且つ、内径寸法の最大値が70〜120mmであると好ましく、70〜106mmであると更に好ましく、70〜98mmであると一層好ましい。なお、内径寸法とは、第2のマグネット部の内周で規定される領域において、その面積領域の重心を通る線分の長さを示す。例えば、第2のマグネット部が円環の場合、内径は円環の内周に相当する円の直径となる。
【0014】
本発明者らの検討によれば、この内径寸法の最大値が70mmより小さいと、安定した放電によるプラズマを形成・維持することが困難であり好ましくない。一方、内径寸法の最大値が120mmを超えるとプラズマの外径寸法が大きくなり、垂直磁場成分が不都合な程度に減弱されるおそれがある。
【0015】
さらに、本発明者らは、スパッタターゲット表面から基体表面までの距離をTSとして、基体表面に設けられた凹部のアスペクト比をARとすると、好ましいプラズマの外径寸法はTS/AR以下であることを見出した。したがって、TSが290mm、ARが5の場合には、プラズマの外径寸法は58mm以下であると好ましい。また、例えば第2のマグネット部が円環の場合、内径から内側に20mmまでの範囲ではプラズマが形成され難いとの知見も得られている。よって、第2のマグネット部の内径寸法の最大値を98mm以下にすれば、プラズマの外径寸法を58mm以下に制限できると考えられる。かかるプラズマでは、プラズマ中のスパッタ粒子が基体上に設けられた凹部の底部に到達し易くなるものと考えられる。但し、作用はこれに限定されない。
【0016】
これに加えて、第2のマグネット部の内周で規定される領域の面積は3850〜11300mmであると好ましい。例えば、第2のマグネット部が円環の場合、円環の内周に相当する円の直径が70mmであれば面積は略3850mmとなり、円の直径が120mmであれば面積は略11300mmとなる。このような面積とすると、所望の外径寸法を有するプラズマを生成できると共に、当該プラズマを十分に安定に維持できる。
【0017】
また、第2のマグネット部は、第1のマグネット部を取り囲むように環状に配置された第1のマグネット群と、第1のマグネット群の外方周囲に配置された第2のマグネット群とを有すると好適である。
【0018】
こうすれば、安定したマグネトロン放電によりプラズマを生成・維持することができる。マグネトロン放電によるプラズマは、第1のマグネット部と第2のマグネット部との間の水平磁場成分によって電子が捕捉されることで生成・維持される。ここで、垂直磁場成分を強化するべくアンバランス度を過度に大きくすると、電子を捕捉するのに十分な水平磁場成分が形成されないおそれがある。しかしながら、上述の構造を有するマグネトロンユニットでは、第2のマグネット群が第1のマグネット部から十分離隔されているので、チャンバ内、特にマグネトロンユニット近傍において安定したプラズマを維持するために十分な水平磁場成分を形成できる。同様に、垂直磁場成分を強化するべく第2のマグネット部の内径寸法、すなわち第1のマグネット群の内径寸法を小さくした場合においても、第2のマグネット群が第1のマグネット部から十分離隔されているので、安定したプラズマを生成・維持可能であり、且つ、プラズマの閉じ込め性をも向上できる。
【0019】
具体的には、第1のマグネット部に対する第1のマグネット群のアンバランス度は5〜10であると好ましい。また、第1のマグネット部に対する第2のマグネット群のアンバランス度は8〜15であると好ましい。なお、この場合における第2のマグネット部のアンバランス度は第1のマグネット群と第2のマグネット群とを加算した値、つまり13〜25となる。
【0020】
またさらに、第2のマグネット部は、第1のマグネット部を取り囲むように環状に配置されており、且つ、第2のマグネット部が延在する方向に沿う仮想面内における環に沿って形成される磁場の分布が非一様となるように設けられたものであると有用である。
【0021】
このようにすれば、環状に配置された第2のマグネット部に沿って形成される磁場の分布が非一様(不均一)とされる。それ故に、チャンバ内に形成される磁場の分布において、チャンバ内の中心部の磁場強度をチャンバ内の周部の磁場強度よりも相対的に大きくできる。こうすると、チャンバ内の周部の垂直磁場成分が減弱されるので、プラズマ中のスパッタ粒子が基体の周部に対しても十分に出射される。換言すれば、スパッタ粒子が基体の中心部付近に対して集中的に出射されることが抑制される。その結果、基体上に成膜される膜厚の面内均一性を向上できる。
【0022】
さらにまた、第2のマグネット部は、第1のマグネット部を取り囲むように環状に配置されており、且つ、環の一部又は全部が直線状の辺を成すと好ましい。
【0023】
第2のマグネット部は、環の一部又は全部に直線状の辺を有するので、辺の長さ、数、又は位置等によってチャンバ内に形成される磁場の分布を制御できる。よって、チャンバ内に形成される磁場の分布を調整できる。したがって、プラズマの外径形状を調整できるので、チャンバ内の周部にもプラズマが十分形成され、プラズマ中のスパッタ粒子が基体の周部に対しても十分に出射される。換言すれば、スパッタ粒子が基体の中心部付近に対して集中的に出射されることが抑制される。その結果、基体上に成膜される膜厚の面内均一性を向上できる。
【0024】
また、第1及び第2のマグネット部は、チャンバ内に形成される磁場の分布において、チャンバ内の中心部の磁場強度がチャンバ内の周部の磁場強度よりも相対的に大きくなるように設けられたものであると好ましい。
【0025】
この場合、チャンバ内の周部の垂直磁場成分が減弱されるので、プラズマ中のスパッタ粒子が基体の周部に対しても十分に出射される。換言すれば、スパッタ粒子が基体の中心部付近に対して集中的に出射されることが抑制される。その結果、基体上に成膜される膜厚の面内均一性を向上できる。
【0026】
また、本発明によるスパッタリング装置は、基体が収容されるチャンバと、チャンバに接続されておりチャンバを減圧するための減圧手段と、チャンバに接続されておりチャンバ内にプロセスガスを供給するためのガス供給手段と、チャンバ内に設けられており基体を支持するための基体支持部と、基体支持部に対向するようにチャンバ内に設けられたスパッタターゲットと、本発明によるマグネトロンユニットとを備えることを特徴とする。
【0027】
このスパッタリング装置は上述のマグネトロンユニットを備えるので、チャンバ内における垂直磁場成分が強化される。この為、生成されるプラズマの外径寸法を小さくできるので、プラズマ中のスパッタ粒子が基体に対して垂直に近い角度で出射される。したがって、オーバーハングが抑制され、且つ、優れたボトムカバレッジを有する膜を基体上に成膜できる。
【0028】
さらに、チャンバの上壁外に設けられた本発明によるマグネトロンユニットと、チャンバの側壁外に設けられた第3のマグネット部とを備えると好ましい。この第3のマグネット部により、チャンバの側壁外からチャンバ内に磁場が形成される。この磁場は、チャンバ内の垂直磁場成分を更に強化する傾向にあるので、チャンバ内に生成されたプラズマの外径寸法が更に縮小される。これにより、オーバーハングが更に抑制され、且つ、一層優れたボトムカバレッジを有する膜を基体上に成膜できる。
【0029】
加えて、チャンバの上壁外に設けられた本発明によるマグネトロンユニットと、チャンバの底壁外に設けられた第4のマグネット部とを備えると好ましい。この第4のマグネット部により、チャンバの底壁外からチャンバ内に磁場が形成される。この磁場は、チャンバ内の垂直磁場成分を更に強化する傾向にあるので、チャンバ内に生成されたプラズマの外径寸法が更に縮小される。これにより、オーバーハングが更に抑制され、且つ、一層優れたボトムカバレッジを有する膜を基体上に成膜できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、同一要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
【0031】
図1は、第1実施形態に係るスパッタリング装置10を模式的に示す断面図(一部構成図)である。
【0032】
スパッタリング装置10は、半導体ウエハ又はガラス基板等の基板15(基体)が収容されるチャンバ12を備える。チャンバ12は、ハウジング14と、ハウジング14の上部開口部を封止するように配置されたスパッタターゲット16とから構成される。ハウジング14及びスパッタターゲット16はいずれも導電性材料から作製されているので、ハウジング14とスパッタターゲット16との間には絶縁部材13aが挟まれている。
【0033】
ハウジング14は、円形状の底壁と、この円形状の底壁の周辺から所定の距離だけ延び出した側壁とを有し、例えば側壁は円筒形状を有する。ここで、ハウジング14の底壁はチャンバ12の底壁に相当し、ハウジング14の側壁はチャンバ12の側壁に相当する。スパッタターゲット16の形状は円盤形である。スパッタターゲット16の一表面16a(以下、下面という)は、スパッタリングによってエロージョンを受けるエロージョン面となっている。スパッタターゲット16は、例えば銅から作製されており、この場合、エロージョン面から飛散するスパッタ粒子は銅粒子となる。
【0034】
チャンバ12内には、基体支持手段(基体支持部)としてペディスタル18が設けられている。ペディスタル18は、チャンバ12内において基板15を支持する。このため、ペディスタル18はその一表面(以下、上面という)18a上において処理されるべき基板15を保持する。ペディスタル18の上面18aは、スパッタターゲット16の下面(エロージョン面)16aに対向するように設けられている。
【0035】
ペディスタル18上の所定の位置に保持された基板15の被成膜面15aは、スパッタターゲット16の下面16aに対して略平行に配置される。基板15は、その中心点がスパッタターゲット16の中心点に合うように、つまり同軸に配置されている。この中心点は、形成された膜の面内均一性を向上させるために、マグネトロンユニットの回転軸38と一致していることが好ましい。本実施の形態では、スパッタターゲット16の寸法、及びペディスタル18とスパッタターゲット16との離間距離については、従来の標準的なスパッタリング装置と同様の値を有することができる。
【0036】
スパッタリング装置10は、スパッタ粒子からチャンバ12の内壁面を保護するために、スパッタ粒子が内壁面に到達するのを防止するシールド26を有している。シールド26の一辺の縁部はハウジング14と絶縁部材13aとによって挟まれ、固定されている。シールド26の別の辺は、ペディスタル18の側面に至る。別の辺の縁部はペディスタル18の側面に沿って絶縁部材13bを介して固定されている。このため、シールド26はペディスタル18と電気的に絶縁されている。
【0037】
シールド26は基準電位に接続されており、ペディスタル18はキャパシタ19を介して基準電位、例えば接地電位に接続されている。キャパシタ19が設けられているので、ペディスタル18は、プラズマによって与えられる電子によってセルフバイアス状態で使用することもできる。また、キャパシタ19を介して高周波を加え、RFバイアス状態で使用することもできる。この場合、キャパシタ19と基準電位源との間にRFバイアス印加手段といったバイアス手段を備える。いずれの場合においても、ペディスタル18は、プラズマ電位に対して負にバイアスされていることが好ましく、スパッタターゲット16に対して負電位になっていることが好ましい。
【0038】
ハウジング14には排気ポート20が形成されている。本実施の形態の場合には、排気ポート20には、クライオポンプ等の真空ポンプ21が接続されている。この真空ポンプ21を作動させることによって、チャンバ12内を減圧することができる。排気ポート20及び真空ポンプ21は、チャンバ12に接続された減圧手段を構成する。
【0039】
プロセスガスとして、アルゴンガスが、プロセスガス供給源25から供給ポート22を通してチャンバ12内に供給される。供給ポート22は、バルブ23によって開閉可能である。このバルブ23を開閉すると、プロセスガスの供給の有無及び供給量並びに供給タイミングを制御できる。供給ポート22及びプロセスガス供給源25は、チャンバ12に接続されたガス供給手段を構成する。
【0040】
チャンバ12の上壁に相当するスパッタターゲット16外、すなわちスパッタターゲット16の上面16b側外方には、第1実施形態に係るマグネトロンユニット30が配置されている。マグネトロンユニット30は、スパッタターゲット16に対して平行且つ同軸に配置された円形のベースプレート32と、このベースプレート32の下面32aに固定されたインナーマグネット34i(第1のマグネット部)及びアウターマグネット34o(第2のマグネット部)とを備える。
【0041】
インナーマグネット34iは、S極がスパッタターゲット16の上面16bと対向するように配置される。アウターマグネット34oはインナーマグネット34iの外周囲に設けられ、N極がスパッタターゲット16の上面16bと対向するように配置される。アウターマグネット34oのN極から延びる磁力線は、スパッタターゲット16及びチャンバ12内を通過し、インナーマグネット34iのS極に向かうか又はアウターマグネット34oのS極に戻ることで閉ループ磁場を形成する。このようにしてチャンバ12内に水平磁場成分及び垂直磁場成分で表される磁場を形成する。なお、マグネトロンユニット30の詳細については図2で説明する。
【0042】
スパッタターゲット16とシールド26との間には、プラズマ化手段として加速用電源24の陰極及び陽極がそれぞれ接続されている。チャンバ12内にプロセスガス(アルゴンガス)を導入して、スパッタターゲット16とシールド26との間に電圧を加えると、チャンバ12内の垂直方向に電場が生じる。一方、前述のようにマグネトロンユニット30によってチャンバ12内には水平磁場成分すなわち電場と直交する磁場が生じている。これにより電子がマグネトロン運動を起こしてスパッタターゲット16近傍に捕捉される。この捕捉された電子とアルゴンガスの気体分子との衝突によってスパッタターゲット16の下面16a近傍に高密度プラズマが生成される。プラズマ中に生成されたアルゴンイオンがスパッタターゲット16の下面16a、すなわちエロージョン面に衝突すると、スパッタターゲット16を構成する原子がはじき出されスパッタ粒子が生成される。このスパッタ粒子がプラズマ中を移動して基板15上に到達すると基板15の被成膜面15a上に膜が形成される。このようにしてスパッタリングによる成膜が実施される。
【0043】
また、スパッタリング装置10は制御器29を備えることができる。制御器29はマイクロコンピュータ、タイマ等を有しているので、電流のオン及びオフの制御、電流値の変更等を時間的な制御も含めて行うことができる。制御器29は、バルブ23、加速用電源24、及び駆動用モータ36にも制御線29aを介して接続されている。制御器29は、これらの機器を相互に関連させながら制御することができる。このため、プロセスガスの供給、プロセスガスのプラズマ発生、等を所定のタイミングに対して同期して制御することができる。
【0044】
図2は、第1実施形態に係るマグネトロンユニット30の平面図である。図2は、図1のII−II矢印断面図である。
【0045】
図1及び図2を参照すると、マグネトロンユニット30は、円形のベースプレート32と、ベースプレート32の下面32a上に所定の配列で固定されたマグネットアセンブリ31とを備える。ベースプレート32を駆動する駆動用モータ36の回転軸38はベースプレート32の中心点を通過する。マグネットアセンブリ31は、回転軸38から所定の距離、例えば75mm偏心された所定の中心点51を取り囲むように配置されたアウターマグネット34o及びインナーマグネット34iから成る。したがって、駆動モータ36を作動させてベースプレート32を回転させると、マグネットアセンブリ31は回転軸38を軸に旋回するので、チャンバ12内に形成される磁場が一カ所に静止することを防止できる。
【0046】
図2を参照すると、インナーマグネット34iは、開口49が設けられたインナーベルトBinと、S極が露出するように開口49に嵌合する棒磁石45とを備える。具体的には、例えば図2に示したマグネトロンユニット30の場合、インナーベルトBinの形状は中心点51を重心とする正三角形であり、円形の開口49は互いに接触しない状態で3個設けられ、3個のうち回転軸38から離隔されている2個の開口49に2個の円柱状の棒磁石45が嵌合している。
【0047】
アウターマグネット34oは、インナーマグネット34iを取り囲むように環状に配置された第1アウターマグネット341(第1のマグネット群)と、第1アウターマグネット341の外方周囲に配置された第2アウターマグネット342(第2のマグネット群)とを有する。
【0048】
第1アウターマグネット341は、開口47が設けられた第1アウターベルトB1と、N極が露出するように開口47に嵌合する棒磁石45とを備える。具体的には、第1アウターベルトB1の形状は中心点51を重心とする六角形の外周に沿う環であり、その六角形は3個の短辺とこれらの短辺に各々平行な3個の長辺とを有する。長辺の長さは短辺の長さの2倍である。円形の開口47は互いに接触しない状態で、短辺に2個設けられ長辺に4個設けられており、全部で合計18個設けられている。したがって、全部の開口47に円柱状の棒磁石45が嵌合している。
【0049】
第2アウターマグネット342は、開口47が設けられた第2アウターベルトB2と、N極が露出するように開口47に嵌合する棒磁石45とを備える。具体的には、第2アウターベルトB2の形状は第1のアウターベルトB1と相似である。円形の開口47は互いに接触しない状態で、短辺には3個設けられ長辺には6個設けられており、全部で合計27個設けられている。27個のうち23個の開口47に円柱状の棒磁石45が嵌合している。棒磁石45が嵌合していない開口47は、中心点51から離隔されている長辺において2個、その長辺に隣接する2個の短辺において各々1個、の合計4個である。したがって、27個のうち23個の開口47に棒磁石45が嵌合している。
【0050】
ここで、1個の棒磁石45の磁気量を1とすればアウターマグネット34oの総磁気量は41であり、インナーマグネット34iの総磁気量は2である。したがって、インナーマグネット34iに対するアウターマグネット34oの総磁気量は20.5倍であり、4倍以上となっている。この場合、アンバランス度は20.5である。アンバランス度は15以上であると好ましく、20以上であると更に好ましい。なお、アンバランス度とはインナーマグネット34iの総磁気量を1としたときの、アウターマグネット34oの総磁気量を意味する。
【0051】
かかる場合、インナーマグネット34i及びアウターマグネット34oによりチャンバ12内に形成される磁場をベクトル合成すると、実質的にアウターマグネット34oによる磁場が支配的となる。これにより、チャンバ12内の垂直磁場成分が強化されるものと考えられる。
【0052】
アンバランス度を大きくすると垂直磁場成分を強化することができる。具体的には、図2に示したマグネトロンユニット30の場合、棒磁石45の個数が磁気量に対応している。棒磁石45は着脱可能であるので、それらの個数を調整することでアンバランス度を調整できる。垂直磁場成分を強化すると、水平方向に対してプラズマを閉じ込めることができる。こうすると、プラズマの外径寸法を縮小できるので、プラズマ中のスパッタ粒子が基板15に対して垂直に近い角度で出射される。
【0053】
したがって、基板15上に設けられた凹部に成膜される膜のオーバーハングが抑制され、且つ、優れたボトムカバレッジを有する膜を成膜できる。また、基板15の周部に設けられた凹部の底部に対してスパッタ粒子が斜めに出射されないので、底部の全面に平坦な膜を成膜することができ、底部に成膜された膜のエッジアシンメトリを改善できるという利点もある。さらには、プラズマ中のイオン化率が向上している為、成膜速度を向上できる。
【0054】
また、図2に示したマグネトロンユニット30のようにアウターマグネット34oが二重の環を有する構造であると、安定したマグネトロン放電によりプラズマを生成・維持することができる。前述のように、マグネトロン放電によるプラズマは、インナーマグネット34iとアウターマグネット34oとの間の水平磁場成分によって電子が捕捉されることで生成・維持される。ここで、チャンバ12内の垂直磁場成分を強化するべくアンバランス度を過度に大きくすると、電子を捕捉するのに十分な水平磁場成分が形成されないおそれがある。しかしながら、上述の構造を有するマグネトロンユニット30では、第2アウターマグネット342がインナーマグネット34iから十分離隔されているので、チャンバ12内、特にスパッタターゲット16近傍において安定したプラズマを維持するために十分な水平磁場成分を形成できる。同様に、垂直磁場成分を強化するべくアウターマグネット34oの内径寸法d1、すなわち第1アウターマグネット341の内径寸法d1を縮小した場合にも、第2アウターマグネット342がインナーマグネット34iから十分離隔されているので、安定したプラズマを生成・維持可能であり、且つ、プラズマの閉じ込め性も向上できる。
【0055】
上述のような二重の環を有する構造の場合、インナーマグネット34iに対する第1アウターマグネット341のアンバランス度は5〜10であると好ましい。また、インナーマグネット34iに対する第2アウターマグネット342のアンバランス度は8〜15であると好ましい。この場合におけるアウターマグネット34oのアンバランス度は、第1アウターマグネット341及び第2アウターマグネット342のアンバランス度が加算されたものとなり13〜25となる。例えば、図2に示すマグネトロンユニット30の場合、第1アウターマグネット341のアンバランス度は9であり、第2アウターマグネット342のアンバランス度は11.5である。
【0056】
また、アウターマグネット34oの内径寸法d1の最大値は70〜120mmであると好ましく、70〜106mmであると更に好ましく、70〜98mmであると一層好ましい。こうすればプラズマの外径寸法を十分に縮小し、且つ、安定した放電によるプラズマを形成・維持することができる。内径寸法d1の最大値が70mmより小さいと、安定した放電によるプラズマを形成・維持することが困難であり好ましくない。一方、内径寸法d1の最大値が120mmを超えると形成されるプラズマの外径寸法が大きくなり、垂直磁場成分が減弱されると考えられるので好ましくない。例えば、図2に示すマグネトロンユニット30の場合、アウターマグネット34oの内径寸法d1の最大値は105.8mmである。これは、中心点51から短辺までの距離d2が43.88mm、中心点51から長辺までの距離d3が54.85mmであることによる。
【0057】
なお、内径寸法d1とは、アウターマグネット34oの内周で規定される領域において、中心点51(重心)を通る線分の長さを意味する。例えば、アウターマグネット34oが円環の場合、その内径寸法は円環の内周に相当する円の直径の値となる。
【0058】
再び図1を参照すると、スパッタターゲット16の下面16aから基板15の被成膜面15aまでの距離をTSとして、被成膜面15aに設けられた凹部のアスペクト比をARとした場合、好ましいプラズマの外径寸法はTS/AR以下である。例えば、TSが290mm、ARが5の場合には、プラズマの外径寸法は58mm以下であると好ましい。このようなプラズマでは、プラズマ中のスパッタ粒子が基板15上に設けられた凹部の底部に到達し易くなるものと考えられる。
【0059】
さらに、例えばアウターマグネットが円環の場合、内径から内側に略20mmの範囲内ではプラズマが形成され難いとの知見も得られている。よって、アウターマグネットの内径寸法d1の最大値を98mm以下にすれば、プラズマの外径寸法を略58mm以下に制限できると考えられる。
【0060】
また、アウターマグネット34oの内周で規定される領域の面積は3850〜11300mmであると好ましい。例えば、アウターマグネット34oが円環の場合、その内周で規定される領域の面積は、当該円環の内周に相当する円の面積となる。円の直径が70mmであれば面積は略3850mmとなり、円の直径が120mmであれば面積は略11300mmとなる。このような面積とすると、所望の外径寸法を有するプラズマを生成できると共に、当該プラズマを安定に維持できる。図2に示すマグネトロンユニット30の場合、アウターマグネット34oの内径で規定される領域の面積は8128.5mmである。
【0061】
また、アウターマグネット34oは、その延在する方向に沿う仮想面すなわちベースプレート32の下面32aを含む平面内において、環を形成するように設けられている。この場合、当該環に沿って形成される垂直磁場成分の分布が非一様(不均一)とされると好ましい。例えば、図2に示すマグネトロンユニット30の場合、第2アウターマグネット342における23個の棒磁石45の分布は非一様である。棒磁石45は、回転軸38から離隔されているベースプレート32の周部に比して、回転軸38近傍であるベースプレート32の中心部の方に相対的に数多く配置されている。
【0062】
ここで、ベースプレート32の周部に配置された棒磁石45は、チャンバ12内の周部に磁場を形成し、ベースプレート32の中心部に配置された棒磁石45は、チャンバ12内の中心部に磁場を形成している。よって、マグネトロンユニット30ではチャンバ12内に形成される磁場の分布において、チャンバ12内の中心部の磁場強度をチャンバ12内の周部の磁場強度よりも相対的に大きくできる。この場合、チャンバ12内の周部の垂直磁場成分が減弱されプラズマの閉じ込め性が低下するので、プラズマ中のスパッタ粒子が基板15の周部に対しても十分に出射される。換言すれば、スパッタ粒子が基板15の中心部付近に対して集中的に出射されることが抑制される。その結果、基板15上に成膜される膜の膜厚の面内均一性を向上できる。
【0063】
さらに、アウターマグネット34oは、その環の一部又は全部が直線状の辺を成すと好ましい。アウターマグネット34oの形状が円環であると、チャンバ12内の周部にプラズマが十分形成されず、プラズマ中のスパッタ粒子が基板15の周部に対して十分に出射されないので、基板15上に成膜される膜厚の面内均一性が低下してしまう。これに対して、環の一部又は全部に直線状の辺を有するアウターマグネット34oでは、辺の長さ、数、又は位置等によってチャンバ12内に形成される垂直磁場成分の分布を調整できる。したがって、ベースプレート32の周部において、アウターマグネット34oの内周で規定される領域を拡大することができる。この領域によってプラズマの外径形状が決定されるので、チャンバ12内の周部にもプラズマが十分形成され、プラズマ中のスパッタ粒子が基板15の周部に対しても十分に出射される。換言すれば、スパッタ粒子が基板15の中心部付近に対して集中的に出射されることが抑制される。その結果、基板15上に成膜される膜厚の面内均一性を向上できる。
【0064】
再び図1を参照すると、スパッタリング装置10はチャンバ12の側壁外に設けられたサイドマグネット60(第3のマグネット部)を備えると好適である。サイドマグネット60は、N極がチャンバ12の側壁と対向するように配置され、チャンバ12内に磁場を形成する。また、スパッタリング装置10はチャンバ12の底壁外に設けられたアンダーマグネット62(第4のマグネット部)を備えると好適である。アンダーマグネット62は、S極がチャンバ12の底壁と対向するように配置され、チャンバ12内に磁場を形成する。
【0065】
上述のサイドマグネット60及びアンダーマグネット62によりチャンバ12内に形成される磁場は、既にインナーマグネット34i及びアウターマグネット34oによって形成されている垂直磁場成分を更に強化する傾向にある。この為、チャンバ12内に生成されるプラズマの外径寸法は更に縮小され、オーバーハングが更に抑制され、且つ、一層優れたボトムカバレッジを有する膜を基板15上に成膜できる。
【0066】
図3は、第1実施形態に係るスパッタリング装置10を模式的に示す概略図である。スパッタリング装置10では、チャンバ12内に形成されている磁場Bの垂直磁場成分が強い。したがって、マグネトロンユニット30から下方に生成されるプラズマPは、水平方向に圧縮され、且つ、下方に延びる形状を有している。このようなプラズマP内のスパッタ粒子は方向Iに沿って浮遊して基板15に到達するので、スパッタ粒子が基板15に対して垂直に近い角度で出射されることになる。したがって、基板15の被成膜面15aに成膜される膜50のオーバーハングは抑制され、且つ、ボトムカバレッジも向上される。
【0067】
図4は、従来のスパッタリング装置101を模式的に示す概略図である。スパッタリング装置101では、チャンバ12内に形成されている磁場B1の垂直磁場成分が弱い。したがって、マグネトロンユニット301から下方に生成されるプラズマP1は、垂直方向に圧縮され、且つ、水平方向に延びる形状を有している。このようなプラズマP1内のスパッタ粒子は方向I1に沿って浮遊して基板15に到達するので、スパッタ粒子が基板15に対して垂直に近い角度で出射されない。したがって、基板15の被成膜面15aに成膜される膜501には、オーバーハングが発生し、且つ、ボトムカバレッジも低下する。
【0068】
図5は、第2実施形態に係るマグネトロンユニット30tの平面図である。このマグネトロンユニット30tはスパッタリング装置に備えることができる。マグネトロンユニット30tは、円形のベースプレート32tと、ベースプレート32tの下面32at上に所定の配列で固定されたマグネットアセンブリ31tとを備える。マグネットアセンブリ31tは、回転軸38tから所定の距離、例えば75mm偏心された所定の中心点51tを取り囲むように配置されたアウターマグネット34ot及びインナーマグネット34itから成る。
【0069】
インナーマグネット34itは、円形の開口49tが設けられたインナーベルトBintと、S極が露出するように開口49tに嵌合する円柱状の棒磁石45tとを備える。インナーベルトBintの形状は、中心点51tを中心とする円盤であり、その内部に4個の開口49が互いに接触しない状態で設けられている。
【0070】
アウターマグネット34otは、インナーマグネット34itを取り囲むように環状に配置されている。アウターマグネット34otは、円形の開口47tが設けられたアウターベルトBouttと、N極が露出するように開口47tに嵌合する円柱状の棒磁石45tとを備える。アウターベルトBouttの形状は、中心点51tを中心とする円環であり、アウターベルトBouttには16個の開口47tが互いに接触しない状態で設けられている。
【0071】
ここで、1個の棒磁石45tの磁気量を1とすればアウターマグネット34otの総磁気量は16であり、インナーマグネット34itの総磁気量は4である。したがって、インナーマグネット34itに対するアウターマグネット34otの総磁気量は4倍である。この場合、アンバランス度は4である。棒磁石45は着脱可能であり、棒磁石45の個数が磁気量に対応するので、それらの個数を調整することでアンバランス度を調整できる。また、アウターマグネット34otの内径寸法d1tの最大値、すなわち直径は例えば106mmである。さらに、アウターマグネット34otの内径で規定される領域、すなわち円の面積は8824.7mmである。
【0072】
図6は、基板15に設けられた凹部のボトムカバレッジを示すグラフである。このグラフでは、図5に示したマグネットアセンブリ31tを偏心させずに、そのアンバランス度のみを変化させて各々スパッタリングを行った結果を示している。なお、横軸には基板15の中心からの距離(cm)を、縦軸には凹部の底部に成膜された膜の膜厚(Å)を示す。
【0073】
曲線100で示される膜厚分布は、アンバランス度を2とした場合を示す。具体的には、インナーマグネットの総磁気量を4、アウターマグネットの総磁気量を8としている。このマグネトロンユニットは従来のものである。曲線102で示される膜厚分布は、アンバランス度を4とした場合を示す。具体的には、インナーマグネットの総磁気量を4、アウターマグネットの総磁気量を16としている。このマグネトロンユニットは、図5に示したマグネトロンユニット30tに相当する。曲線104で示される膜厚分布は、アンバランス度を8とした場合を示す。具体的には、インナーマグネットの総磁気量を2、アウターマグネットの総磁気量を16としている。
【0074】
グラフが示すように、アンバランス度が4又は8の場合の膜厚は十分であるが、アンバランス度が2の場合の膜厚は不十分である。これら3条件の各々に対する基板15の中心部におけるボトムカバレッジと、基板15の周部におけるエッジアシンメトリを表1及び表2に示す。なお、ボトムカバレッジは、凹部の最上面の膜厚に対する底部の膜厚の最大値の割合(%)で表される。ボトムカバレッジが100%であると底部の膜厚が十分となり最適である。また、エッジアシンメトリは、底部の膜厚の最小値を1とした場合における底部の膜厚の最大値で表される。エッジアシンメトリが1であると底部の膜厚が平坦となり最適である。
【0075】
【表1】
Figure 2005002382
【0076】
【表2】
Figure 2005002382
【0077】
以上の結果から、アンバランス度を増加させるとボトムカバレッジ及びエッジアシンメトリを向上又は改善できることが実験的に示された。
【0078】
図7(A)及び図7(B)は、基板15(シリコンウエハ)の中心部に設けられた凹部(トレンチ)に銅膜が成膜された状態を示す断面SEM写真である。同様に、図8(A)及び図8(B)は、基板15(シリコンウエハ)の周部に設けられた凹部(トレンチ)に銅膜が成膜された状態を示す断面SEM写真である。
【0079】
図7(A)及び図8(A)は、アンバランス度が8のマグネトロンユニットを用いたスパッタリングによる成膜結果を示している。図7(B)及び図8(B)は、アンバランス度が2のマグネトロンユニットを用いたスパッタリングによる成膜結果を示している。いずれの場合においても、凹部のアスペクト比は略4〜5であり、凹部の幅寸法は略0.2〜0.5μmである。これらの図において凹部(トレンチ)の底部に成膜された膜厚を比較すると、アンバランス度を大きくすると底部の膜厚が増加し、ボトムカバレッジが向上されると共にエッジアシンメトリも改善されることが示された。
【0080】
図9(A)及び図9(B)は、基板15(シリコンウエハ)の中心部に設けられた凹部(ビアホール)に銅膜が成膜された状態を示す断面SEM写真である。同様に、図10(A)及び図10(B)は、基板15(シリコンウエハ)の周部に設けられた凹部(ビアホール)に銅膜が成膜された状態を示す断面SEM写真である。
【0081】
図9(A)及び図10(A)は、アンバランス度が8のマグネトロンユニットを用いたスパッタリングによる成膜結果を示している。図9(B)及び図10(B)は、アンバランス度が2のマグネトロンユニットを用いたスパッタリングによる成膜結果を示している。いずれの場合においても、凹部のアスペクト比は略4〜5であり、凹部の幅寸法は略0.18〜0.7μmである。これらの図において凹部(ビアホール)の底部に成膜された膜厚を比較すると、アンバランス度を大きくすると底部の膜厚が増加し、ボトムカバレッジが向上されることが示された。
【0082】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によるマグネトロンユニット及びそれを備えたスパッタリング装置を用いれば、オーバーハングを抑制でき、且つ、ボトムカバレッジを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るスパッタリング装置を模式的に示す断面図(一部構成図)である。
【図2】第1実施形態に係るマグネトロンユニットの平面図である。
【図3】第1実施形態に係るスパッタリング装置を模式的に示す概略図である。
【図4】従来のスパッタリング装置を模式的に示す概略図である。
【図5】第2実施形態に係るマグネトロンユニットの平面図である。
【図6】基板に設けられた凹部のボトムカバレッジを示すグラフである。
【図7】基板(シリコンウエハ)の中心部に設けられた凹部(トレンチ)に銅膜が成膜された状態を示す断面SEM写真である。
【図8】基板(シリコンウエハ)の周部に設けられた凹部(トレンチ)に銅膜が成膜された状態を示す断面SEM写真である。
【図9】基板(シリコンウエハ)の中心部に設けられた凹部(ビアホール)に銅膜が成膜された状態を示す断面SEM写真である。
【図10】基板(シリコンウエハ)の周部に設けられた凹部(ビアホール)に銅膜が成膜された状態を示す断面SEM写真である。
【符号の説明】
10…スパッタリング装置、12…チャンバ、15…基板(基体)、30…マグネトロンユニット、34o…アウターマグネット(第2のマグネット部)、34i…インナーマグネット(第1のマグネット部)、341…第1アウターマグネット(第1のマグネット群)、342…第2アウターマグネット(第2のマグネット群)、60…サイドマグネット(第3のマグネット部)、62…アンダーマグネット(第4のマグネット部)。

Claims (9)

  1. スパッタリング装置に備わるチャンバ内に磁場を形成するためのマグネトロンユニットであって、
    前記チャンバ外に配置された第1のマグネット部と、
    前記第1のマグネット部の外周囲に配置され、且つ、前記第1のマグネット部の総磁気量の4倍以上の総磁気量を有する第2のマグネット部と、
    を備えることを特徴とするマグネトロンユニット。
  2. 前記第2のマグネット部は、前記第1のマグネット部を取り囲むように環状に配置されており、且つ、内径寸法の最大値が70〜120mmである、
    ことを特徴とする請求項1に記載のマグネトロンユニット。
  3. 前記第2のマグネット部は、
    前記第1のマグネット部を取り囲むように環状に配置された第1のマグネット群と、
    前記第1のマグネット群の外方周囲に配置された第2のマグネット群と、
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネトロンユニット。
  4. 前記第2のマグネット部は、
    前記第1のマグネット部を取り囲むように環状に配置されており、且つ、当該第2のマグネット部が延在する方向に沿う仮想面内における該環に沿って形成される磁場の分布が非一様となるように設けられたものである、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のマグネトロンユニット。
  5. 前記第2のマグネット部は、
    前記第1のマグネット部を取り囲むように環状に配置されており、且つ、該環の一部又は全部が直線状の辺を成す、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のマグネトロンユニット。
  6. 前記第1及び第2のマグネット部は、
    前記チャンバ内に形成される磁場の分布において、前記チャンバ内の中心部の磁場強度が前記チャンバ内の周部の磁場強度よりも相対的に大きくなるように設けられたものである、
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のマグネトロンユニット。
  7. 基体が収容されるチャンバと、
    前記チャンバに接続されており前記チャンバを減圧するための減圧手段と、
    前記チャンバに接続されており前記チャンバ内にプロセスガスを供給するためのガス供給手段と、
    前記チャンバ内に設けられており基体を支持するための基体支持部と、
    前記基体支持部に対向するように前記チャンバ内に設けられたスパッタターゲットと、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のマグネトロンユニットと、
    を備えることを特徴とするスパッタリング装置。
  8. 前記チャンバの上壁外に設けられた前記マグネトロンユニットと、
    前記チャンバの側壁外に設けられた第3のマグネット部と、
    を備えることを特徴とする請求項7に記載のスパッタリング装置。
  9. 前記チャンバの上壁外に設けられた前記マグネトロンユニットと、
    前記チャンバの底壁外に設けられた第4のマグネット部と、
    を備えることを特徴とする請求項7又は8に記載のスパッタリング装置。
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