JP2005002006A - Ctコロノグラフィにおける消化管造影用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヨード化合物を含有する消化管造影用組成物であって、膠質浸透圧調整剤および/または晶質浸透圧調整剤を含有することを特徴とする、CTコロノグラフィの消化管造影用組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CTコロノグラフィにおける、消化管造影用組成物ならびに消化管造影用キットまたは包装品に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2002−53496号公報
コンピュータ断層撮影(CT)による大腸検査(CTコロノグラフィ)は、ヘリカルCTや多列検出器CTの開発によって、一般化しつつある検査法である。多列検出器CT例えばMDCT(Multi detector − row CT)を用いて大腸の3次元画像を良好に描出するためには腸管前処置における腸管内容物の排除が必要であり、便や液状残渣の存在が病変の描出能に大きく関与する。しかしながら、残便を少なくするために経口腸管洗浄剤を使用すると、液状残渣が多くなるという問題がある。
【0003】
このためMDCT施行前に大腸内視鏡検査を施行して、液状残渣を吸引することが好ましい。大腸内視鏡検査は、コロノスコープと呼ばれる光ファバーと内視鏡が一体となった可撓性のチューブを経肛門的に挿入し、スコープを通して可視的に大腸内腔を検査する方法である。大腸内視鏡検査は、医師がチューブを操作して、大腸内腔の腫瘍等の病変を検出するもので、患者によっては体内に挿入されたチューブを不快と感じ検査時間も長いことから、時に苦痛を訴える場合があり、患者の受容性(コンプライアンス)の観点から必ずしも良い評価が得られていない。
【0004】
他方、前掲特許文献1(特開2002−53496号公報)においては、例えば硫酸バリウム水懸濁液を造影剤とした場合において、消化管運動促進剤が消化管検査用X線造影剤の造影能を改善するとの知見に基づき、その使用が提案されている。
【0005】
また、CTの前処置方法として簡便な方法が提案されているが、描出能を犠牲にしている点で精密な検査の前処置法としては問題が残る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
かくして、本発明の目的は、CTコロノグラフィによる大腸癌などの検査において、腸管洗浄後の大腸内腔にしばしば顕れる、腸管洗浄液の残水や腸液の液状残渣貯留部を描出可能とし、検査時間や患者への負担を少なくし、且つ高い描出能を有する消化管造影用組成物及び経口投与用液剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、CTコロノグラフィの前処置において、経口腸管洗浄剤を使用した場合の液状残渣の問題を巧みに解決し、描出能の優れた消化管造影用組成物等を種々検討した結果、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、次の諸態様を含む。
【0009】
(1)ヨード化合物を含有する消化管造影用組成物であって、膠質浸透圧調整剤および/または晶質浸透圧調整剤を含有することを特徴とする、CTコロノグラフィの消化管造影用組成物。
【0010】
(2)該膠質浸透圧調整剤がポリエチレングリコール、ポリデキストロース、デキストラン、デキストリン、ヒドロキシエチルスターチ、アラビアゴム、プルラン、ペクチン、アルブミンおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする上記(1)記載の消化管造影用組成物。
【0011】
(3)該晶質浸透圧調整剤が電解質または電解質と糖類であることを特徴とする前記(1)または(2)記載の消化管造影用組成物。
【0012】
(4)該糖類がソルビトール、キシリトール、エリトリトール、マンニトール、トレハロース、ラクチトール、ラクチュロース、マルチトール、パラチノース、ラフィノースおよびグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の糖類であることを特徴とする上記(3)記載の消化管造影用組成物。
【0013】
(5)ヨード化合物を含有する消化管造影における経口投与用液剤であって、ヨード含有量が15〜90mg/mLであることを特徴とする経口投与用液剤。
【0014】
(6)Na+が30〜150mEq/L、K+が3〜20mEq/L、Cl−が20〜70mEq/Lとなるように電解質を含み、ポリエチレングリコール、ポリデキストロース、デキストラン、デキストリン、ヒドロキシエチルスターチ、アラビアゴム、プルラン、ぺクチン、アルブミンおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種類の膠質浸透圧調整剤および/またはソルビトール、キシリトール、エリトリトール、マンニトール、トレハロース、ラクチトール、ラクチュロース、マルチトール、パラチノース、ラフィノースおよびグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の糖類を含む上記(5)の経口投与用液剤。
【0015】
(7)(a)ヨード化合物を含有する水溶液および(b)膠質浸透圧調整剤および/または晶質浸透圧調整剤を含有する水溶液または固形剤の両者を、一緒にもしくは別々の容器に充填し密封されたこと特徴とするCTコロノグラフィの消化管造影用キットまたは包装品。
【0016】
(8)ヨード化合物を含有する水溶液が充填された第1収容室、膠質浸透圧調整剤および/または晶質浸透圧調整剤を含有する固形剤が充填された第2収容室、両室の間に配置される解除可能な隔離手段、並びに一方の室に連通するポート部材を備える多室容器からなる消化管造影用キットまたは包装品。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を順次詳細に説明する。
【0018】
本発明の消化管造影用組成物または経口投与用液剤に使用されるヨード(ヨウ素)化合物としては、有機ヨード化合物例えばベンゼン環の2、4および6位にヨードが結合したトリヨードベンゼン類を挙げることができる。具体的な化合物としては、アミドトリゾ酸(amidotrizoic acid、化学名3,5−diacetamino−2,4,6−triiodobenzoic acid)、アミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン、アミドトリゾ酸メグルミン、イオタラム酸ナトリウム、イオタラム酸メグルミン、イオトロクス酸メグルミン、イオトロラン、イオキサグル酸、イオキシラン、イオパミドール、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロールなどを挙げることができる。
【0019】
各ヨード化合物はそれぞれアナフィラキシー様反応等の副作用を呈する場合があり、アレルギー体質等患者背景により適宜選択することができる。
【0020】
特にアレルギー体質等の副作用発生のリスクが少ない患者には、アミドトリゾ酸ナトリウムメグルミンの使用がその製剤学的な安定性、コスト等の面から好ましい。
【0021】
アミドトリゾ酸ナトリウムメグルミンは、100mL中、アミドトリゾ酸1〜70g、水酸化ナトリウム5〜700mg及びメグルミン1〜20gを配合する水溶液として調製することができ、膠質浸透圧調整剤等その他成分と配合されることが好ましい。より好ましくは、100mL中、アミドトリゾ酸55〜65g、水酸化ナトリウム600〜650mg及びメグルミン14〜18gを配合する水溶液として調製された液剤が好ましい。
【0022】
本発明の消化管造影剤の膠質浸透圧調整剤としては、ポリエチレングリコール、ポリデキストロース、デキストラン、デキストリン、ヒドロキシエチルスターチ、アラビアゴム、プルラン、ペクチン、カルボキシメチルセルロースなどを挙げることができる。これらの中では、ポリデキストロース、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ、アラビアゴム、プルランおよびペクチンから選ばれる高分子が、製剤的安定性等の面から特に好ましい。
【0023】
晶質浸透圧調整剤としては、電解質または電解質と糖類の混合物が用いられる。CTコロノグラフィ特にスクリーニング検査において好ましい消化管造影用組成物としては、製剤安定性や、服用の容易性等を含めた患者受容性が優れているとの理由から電解質と糖類の混合物を挙げることができる。
【0024】
電解質とは、溶液中で解離してイオンとなる物質を言い、Na+、K+、Ca++、Mg++、Cl−、HCO3 −、SO4 −−、HPO4 −−、有機酸基、有機塩基などを挙げることができる。より具体杓には、静脈投与される電解質輸液などに用いられる化合物と同様のものを挙げることができる。ナトリウムイオン源としては、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸ナトリウム、乳酸ナトリウムなどが、カリウムイオン源としては、塩化カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、硫酸カリウム、乳酸カリウムなどが、カルシウムイオン源としては、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウムなどが、マグネシウムイオン源としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウムなどが、リン酸イオン源としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、グリセロリン酸ナトリウムなどが、塩素イオン源としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどが、また重炭酸イオン源としては、炭酸水素ナトリウムなどがそれぞれ例示され、これらの化合物は水和物の形態であってもよい。
【0025】
電解質に混合する糖類には、糖のほか糖アルコールも含まれる。具体的な例として、ソルビトール、キシリトール、エリトリトール、マンニトール、トレハロース、ラクチトール、ラクチェロース、マルチトール、パラチノース、ラフィノース、グリセリンなどを挙げることができる。これらの中では、キシリトール、ソルビトール、ラクチュロース、ラクチトールおよびラフィノースが製剤安定性や、服用の容易性等を含めた患者受容性等の理由から特に好ましい。
【0026】
本発明の消化管造影用組成物の有効成分である、上述の膠質浸透圧調整剤および/または晶質浸透圧調整剤は、生体内の血清電解質バランスと浸透圧の変動を最小限に抑えるために重要な成分である。浸透圧調整剤として、膠質浸透圧調整剤および晶質浸透圧調整剤は、それぞれ、単独でまたは両者を配合して用いる。その量は、腸管洗浄後CTコロノグラフィの検査を受けるまでの時間や患者の検査前日の食事の内容等により調整するが、上記の理由から水に溶解して浸透圧が200〜500mOsm/Lの水溶液として使用することが好ましい。より好ましくは、320〜360mOsm/Lの等張もしくは等張に近い浸透圧範囲に調整可能なように各成分の種類と配合量を選択するのがよい。
【0027】
本発明の消化管造影用組成物において、消化管造影能を左右するヨード含有量を15mg/mL以上に調整することが腸管洗浄液の残水や腸液の液状残渣貯留部を描出するため好ましいが、より好ましくは18〜80mg/mLに調整される。特に、ヨード含有量が18〜19mg/mLに調整された350〜450mLの液状の製剤は、腸管洗浄液の液状残渣貯留部を良好に描出し、また患者の造影剤服用の負担も少なく好ましい。
【0028】
膠質浸透圧調整剤の使用量は、例えば400mLの液状製剤中に2〜40グラム、好ましくは10〜30グラムである。腸管から吸収される電解質量と腸管内に分泌される電解質量を相殺させて血清電解質バランスを維持するため、消化管造影用組成物を水に溶解したとき、Na+:30〜150mEq/L、K+:3〜20mEq/L、Cl−:20〜70mEq/L、そしてHCO3 −:10〜50mEq/Lとなるように電解質を添加するのが好ましい。水に溶解した消化管造影用の液剤の腸管での水分および電解質の吸収を抑制するためにマグネシウムイオン、硫酸イオンのような難吸収性イオンを添加することが好ましい。マグネシウムイオンの場合は、消化管造影用組成物を水に溶解したとき、40〜120mEq/Lとなるよう調整することが好ましい。硫酸イオンの場合は、消化管造影用組成物を水に溶解したとき、40〜120mEq/Lとなるよう調整することが好ましい。晶質浸透圧調整剤として糖類を用いる場合の使用量は、400mLの液剤中に2〜40グラム、好ましくは5〜10グラムである。好ましい配合処方としては、膠質浸透圧調整剤と電解質の混合、または晶質浸透圧調整剤としての電解質と糖類の混合を挙げることができる。
【0029】
また、ヨード化合物は非常に苦い。そこで、本発明の消化管造影用組成物に矯味や矯臭手段を施すことが好ましいく、例えば、サッカリンナトリウム等の甘味剤と、柑橘系の香料を添加することにより液状製剤の服用が容易となる。
【0030】
本発明の消化管造影用組成物に有効成分として含有される膠質浸透圧調整剤および/または晶質晶質浸透圧調整剤は、各成分が混合可能なように粒子径を調整したうえで、気密性の容器に充填、密封包装して流通に置くことが好ましい。そして、包装物1個が、例えば400mLの液状製剤として服用されるよう内容量を調整するのが使用目的に適している。特に服用が容易で使用の便宜性を図るためには、包装物1個にヨード化合物とその他の成分が全て350〜450mLに溶解して使用されるよう内容量を調整することが好ましい。
【0031】
なお、本発明の消化管造影用組成物を投与する前に、経口腸管洗浄剤による前処置により腸内内容物を排除するが経口腸管洗浄剤の具体例としては、ポリエチレングリコールと電解質との組合せの組成からなるもの(例えば、特開平1−125319号公報に開示の発明に係わる「ニフレック」(商品名)、味の素ファルマ社製)を挙げることができる。
【0032】
【実施例】
以下、試験例により本発明を更に詳細に説明する。
【0033】
実施例1:消化管造影用組成物(液状製剤)
塩化ナトリウム2.93g、塩化カリウム1.49g、炭酸水素ナトリウム3.37g、無水硫酸ナトリウム11.37g、ポリエチレングリコール118g、アミドトリゾ酸59.74g、水酸化ナトリウム629mg、メグルミン15,92g、エデト酸カルシウムニナトリウム10mg、サッカリンナトリウム200mg、及びオレンジ香料を水に溶解して2Lとした。
【0034】
実施例2:消化管造影剤調製用キット
塩化ナトリウム2.93g、塩化カリウム1.49g、炭酸水素ナトリウム3.37g、無水硫酸ナトリウム11.37g及びポリエチレングリコール118gの各粉末を混合し混合末とする。
【0035】
他方、アミドトリゾ酸59.74g、水酸化ナトリウム629mg、メグルミン15,92g、エデト酸カルシウムニナトリウム10mg、サッカリンナトリウム200mg、及びオレンジ香料を水に溶解して100mLのアミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン液を調製する。
【0036】
400mLの水溶液が収容できる内容積を有する酸素及び炭酸カガス難透過性のプラスチック容器本体に前記混合末27.43gを充填し、容器本体のキャップ部に設けられた小室に前記アミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン液20mLを充填し破断可能なフィルムで密封する。この多室プラスチック容器には、本発明の消化管造影用の粉末成分と液状成分が分離収容されており、また水を充填できる充填口が具備されている。用時に充填口から所定量の水を充填し粉末成分を溶解した後、キャップ部を押圧することによりアミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン液が充填された密封フィルムを破断しアミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン液と粉末成分の溶解液が容器内で混合できるよう構成されている。
【0037】
実施例3:消化管造影用組成物(容器入り液状製剤)
クエン酸マグネシウム75.6g、塩化ナトリウム2.93g、塩化カリウム1.49g、炭酸水素ナトリウム3.37g、無水硫酸ナトリウム11.37g、アミドトリゾ酸59.74g、水酸化ナトリウム629mg、メグルミン15,92g、エデト酸カルシウムニナトリウム10mg、サッカリンナトリウム200mg、及びオレンジ香料を水に溶解し2Lとした。この溶液を450mLの内容積を有する酸素及び炭酸ガス難透過性のプラスチック容器に充填密封し加熱殺菌した。
【0038】
試験例1:MDCT撮影
イレウス症状のない大腸癌術前症例を対象として、経口腸管洗浄剤(商品名「ニフレック」味の素ファルマ社製)137.16gを水に溶解して2Lとして、そのうち1620mLを経口投与し腸管内容物を排除した後、実施例1の液状製剤400mLを経口投与した。排泄液が透明になった時点でMDCT撮影を行なった。MDCTは「Aquilion M8」(東芝社製)を使用し、撮影条件は検出器構成8×2mm、ヘリカルピッチ7.0−13.0、管電圧120kV、管電流は腹厚に応じて250−300mA、0.5sec/Rotとした。画像処理ワークステーションは、「ZIOM900」(zio ソフトウエアー社製)を用いて、Volume Rendering法による3次元画像処理を行ない、経肛門的に空気注入し撮像したデータから、エアー像(図1)と、ヨード造影像(図2)双方を構築し、両画像データを合成した(図3)。
【0039】
撮像結果
本発明の消化管造影用製剤を用いることで、従来の前処置では液状残渣のために欠損していた腸管の描出が可能となり、図1に示すエアー像では観察できない大腸癌や憩室がこれと図2に示すヨード造影像との合成画像である図3で観察できた。また、腸管の走行が大腸全域で描出可能であることは術前情報としても有用である。
【0040】
このように、本発明の消化管造影用組成物は、大腸内の液状残渣をヨード造影像として構築でき、その組成の特徴により腸内に点在する液状残渣に到達すると容易に混和希釈されたうえで適切なX線吸収の増加をもたらす。これにより、従来では水没により描出できなかった液状残渣を含む大腸部分をエアー像と合成することで描出可能となり、検査精度の向上が図られる。
【0041】
試験例2:ヨード化合物含有量の違いによる検査精度の比較
実施例1の消化管造影用液状製剤400mLに水100mLを加え総量500mLを経口投与した以外は前述の試験例1と同様にMDCT撮影を行なった。撮影データよりエアー像と、ヨード造影像双方を構築し、両画像データを合成した。本試験例と試験例1それぞれ4例につき下記第1表に示す造影能の判定基準により病変の描出度合いを評価、比較した。各例の評価を下記第2表に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
実施例1の消化管造影用液状製剤を用いた場合(試験例1)は、全例ともに病変が非常にきれいに描出されていたが、試験例2では臨床的に病変が指摘できるものの、その合成画像の解像度は低下する傾向が見られた。これは、実施例1の消化管造影用液状製剤(ヨード含有量18.5mg/mL)と試験例2の製剤(ヨード含有量14.8mg/mL)とでは、ヨード含有量が異なり臨床上の検査に耐え得るMDCT撮影を行なうためには、少なくとも本例のヨード含有量以上の15mg/mLに調製された消化管造影用液状製剤を調製し得る組成が好ましいと言える。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、CTコロノグラフィによる大腸癌などの検査において、腸管洗浄後の大腸内腔にしばしば顕れる、腸管洗浄液の残水や腸液の液状残渣貯留部を描出可能とし、検査時間や患者への負担を少なくし、且つ高い描出能を有する消化管造影用組成物及び経口投与用液剤が容易に提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】CTコロノグラフィにおけるエアー像を示す(実験例1)。
【図2】CTコロノグラフィにおけるヨード造影像を示す(実験例1)。
【図3】CTコロノグラフィにおけるエアー像と造影像の合成像を示す(実験例1)。
Claims (8)
- ヨード化合物を含有する消化管造影用組成物であって、膠質浸透圧調整剤および/または晶質浸透圧調整剤を含有することを特徴とする、CTコロノグラフィの消化管造影用組成物。
- 該膠質浸透圧調整剤がポリエチレングリコール、ポリデキストロース、デキストラン、デキストリン、ヒドロキシエチルスターチ、アラビアゴム、プルラン、ペクチン、アルブミンおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1記載の消化管造影用組成物。
- 該晶質浸透圧調整剤が電解質または電解質と糖類であることを特徴とする請求項1または2記載の消化管造影用組成物。
- 該糖類がソルビトール、キシリトール、エリトリトール、マンニトール、トレハロース、ラクチトール、ラクチュロース、マルチトール、パラチノース、ラフィノースおよびグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の糖類であることを特徴とする請求項3記載の消化管造影用組成物。
- ヨード化合物を含有する消化管造影における経口投与用液剤であって、ヨード含有量が15〜90mg/mLであることを特徴とする経口投与用液剤。
- Na+が30〜150mEq/L、K+が3〜20mEq/L、Cl−が20〜70mEq/Lとなるように電解質を含み、ポリエチレングリコール、ポリデキストロース、デキストラン、デキストリン、ヒドロキシエチルスターチ、アラビアゴム、プルラン、ぺクチン、アルブミンおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種類の膠質浸透圧調整剤および/またはソルビトール、キシリトール、エリトリトール、マンニトール、トレハロース、ラクチトール、ラクチュロース、マルチトール、パラチノース、ラフィノースおよびグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の糖類を含む請求項5記載の経口投与用液剤。
- (a)ヨード化合物を含有する水溶液および(b)膠質浸透圧調整剤および/または晶質浸透圧調整剤を含有する水溶液または固形剤の両者を、一緒にもしくは別々の容器に充填し密封されたこと特徴とするCTコロノグラフィの消化管造影用キットまたは包装品。
- ヨード化合物を含有する水溶液が充填された第1収容室、膠質浸透圧調整剤および/または晶質浸透圧調整剤を含有する固形剤が充填された第2収容室、両室の間に配置される解除可能な隔離手段、並びに一方の室に連通するポート部材を備える多室容器からなる消化管造影用キットまたは包装品。
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