JP2005001520A - 鉄道車両用高さ制御装置 - Google Patents

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尚志 根来
Osamu Goto
修 後藤
Toshiaki Matsui
敏明 松井
Jun Kosakata
潤 小坂田
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Abstract

【課題】本発明は、車体の傾斜異常を確実に検出可能な新規な鉄道車両及び高さ検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る鉄道車両は、台車と;前記台車上に載置された車体と;前記台車に対する前記車体の高さを調整する高さ調整機構と;前記高さ調整機構の動作に追従して回動する回動軸と;前記回動軸の回転角度に基づいて前記車体の高さを検出する第1センサーと;前記車体の高さに応じて上下動する被検出部材と;前記被検出部材の位置に基づいて、前記車体の高さを検出する第2センサーとを備えている。そして、前記第1センサー及び第2センサーの検出結果の少なくとも一方を用いて、前記車体の高さ異常を検出する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鉄道車両の台車と車体との相対的な高さ及び傾斜を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
曲線路を通過する鉄道車両は、カント量に釣り合う速度で走行しないと、乗客に横方向の加速度が作用し、乗り心地を悪化させることになる。曲線区間での横方向の加速度を相殺すべく、台車上と車体間に介設された空気ばねを利用して車体を曲線の内側に傾斜させる装置が提案されている。
【0003】
このような装置において、車体を傾斜させる場合、空気ばねの高さを検出する必要がある。特開平11−78875号公報には、空気ばねの高さを検出する高さ検出装置が開示されている。特開平11−78875号公報に開示されている高さ検出装置は、自動高さ調整弁の操作レバーの回動角度を、アブソリュート式エンコーダ等のディジタル式の角度センサを用いて検出し、高さを求めるものである。また、特開平11−78875号公報に開示のディジタル式の角度センサは、自動高さ調整弁を作動させるシャフトの回動を、該シャフトと一体回転可能に連結する偏心カムに歯合する歯付きベルトを介して車高計測用エンコーダへ伝達するようにしている。
【0004】
偏心カムは、自動高さ調整機構の異常を検出するものであり、車両が過剰に傾斜した際にスイッチを作動させ、自動高さ調整機構の動作を停止する。
【0005】
【特許文献1】特開平11−78875号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−78875号公報に開示の機構においては、傾斜(高さ)異常を検出するカムが、自動高さ調整弁のシャフトに連結されているため、カムと自動高さ調整機構とは実質的に同一の系に属することになる。このため、自動高さ調整機構の異常により台車に対する車両の傾斜量が大きすぎた場合にも、これをカムで検出できない場合が考えられる。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、車体の傾斜(高さ)異常を確実に検出可能な鉄道車両及び高さ検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に係る鉄道車両は、台車と;前記台車上に載置された車体と;前記台車に対する前記車体の高さを調整する高さ調整機構と;前記高さ調整機構の動作に追従して回動する回動軸と;前記回動軸の回転角度に基づいて前記車体の高さを検出する第1センサーと;前記車体の高さに応じて上下動する被検出部材と;前記被検出部材の位置に基づいて、前記車体の高さを検出する第2センサーとを備えている。そして、前記第1センサー及び第2センサーの検出結果の少なくとも一方を用いて、前記車体の高さ異常を検出する。
【0009】
本発明の第2の態様は、鉄道車両の台車と車体との間に空気バネを備え、該空気バネを用いて前記台車と車体との相対的な高さを調整する高さ調整装置であり、前記空気バネに給排する空気の量を制御する調整弁と;前記調整弁を開閉する回動軸と;前記回動軸の回転角度に基づいて前記車体の高さを検出する第1センサーと;前記空気バネの高さに応じて上下動する被検出部材と;前記被検出部材の位置に基づいて、前記車体の高さを検出する第2センサーとを備えている。そして、前記第1センサー及び第2センサーの検出結果の少なくとも一方を用いて、前記車体の高さ異常を検出することを特徴とする高さ調整装置。
【0010】
本発明において好ましくは、前記第2センサは非接触式のセンサとする。
【0011】
以上のように、本発明においては、回動軸の回転角度に基づいて車体の高さを検出する第1センサに加え、当該第1センサから独立した系に属し、台車と車体との相対的な高さ関係を検出する第2センサを備えている。そして、第1センサー及び第2センサーの検出結果の少なくとも一方を用いて、車体の高さ異常を検出するため、いずれか一方の検出系が正常に動作しない場合にも、他の系によって異常検出が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、高さ調整機構として空気バネを有する鉄道車両を例に採って説明する。なお、本発明は空気ばねを用いた高さ調整機構の他、種々のタイプの高さ調整機構に適用可能である。
【0013】
図1は、鉄道車両用台車1の要部を示す模式的斜視図である。図において、10は鉄道車両の前台車、11は後台車である。前台車10には空気ばね8a及び8bが、後台車11には空気ばね8c及び8dがそれぞれ設置されている。空気ばね8a乃至8d(以下、空気ばね8という)には、空気ばね8内の空気量を制御部5の指示により増減する給気弁3及び排気弁4が設けられている。この制御部5は、車体の傾斜制御などの姿勢制御や、空気バネ自身の硬さを制御して車体の振動抑制をするなどの制御をするための制御命令の出力を行う。また、制御命令の演算のために、路線情報(特に、曲線区間の位置や曲線の地形的情報など)を取り込んだり、予めメモリに保有していても良く、車体や台車に備えられている他の加速度センサ、振動センサ、速度センサなどの各センサの出力を集中し、それを総合的に演算して、色々な制御出力を出せるように構成することもできる。
【0014】
空気ばね8を上昇させる場合は、給気弁3内の図示しない電磁弁を開き、元空気だめ6の空気を、空気管路2を通じて空気ばね8へ送り込む。一方、空気ばね8の高さを低下させる場合は排気弁4内の図示しない電磁弁を開き、空気ばね8内の空気を大気へ放出する。
【0015】
7は支持柱72,アーム71,高さ調整機構としての自動高さ調整弁73及びアナログ式角度センサ70(第1センサ、図3参照)、高さセンサ100(第2センサ、図3参照)等から構成される本発明に係る高さ調整装置であり、空気ばね8の高さ、すなわち前台車10または後台車11に対する車体Dの高さを検出すると共に、空気ばね8の高さが許容値を超えて変化した場合に空気ばね8の高さを機械的に調整する。
【0016】
図2は、鉄道車両用台車1の横断面を例示する模式図である。前台車10の上面から車体D方向へ臨ませて支持柱72がその一端を前台車10に立設してあり、その他端はアーム71の枢支部71bに回動可能に連結させてある。従って、アーム71は車体Dの上下動に伴って回動することになる。高さセンサ100の上端部は、車体Dに固定されており、車体Dに対するアーム71の相対的な位置(高さ)を検出する構成である。
【0017】
図3は、本発明に係る高さ調整装置7を例示する模式的斜視図である。自動高さ調整弁73の略中央部に嵌入される回動軸74の一端は、自動高さ調整弁73のケーシングから適長部分が突設しており、この突設部分とアーム71の揺動部71aとが一体回転可能に連結され、アーム71の揺動に従って回動軸74も回動する。そして、この回動により自動高さ調整弁73が開閉するよう構成されている。
【0018】
回動軸74の他端も自動高さ調整弁73のケーシングから適長部分が突設しており、その突設部分にはマグネットケース76,ポテンショメータ77及びケーブル77aから構成されるアナログ式角度センサ70が回動軸74の同軸上に設けられる。回動軸74の突設部分は、同心円状のマグネットケース76内部へ挿入され、ビス75によりマグネットケース76と一体回転可能に螺合される。一方マグネットケース76の他端にはマグネットケース76の口径よりも小さい直径から成るポテンショメータ77の検出軸77bがマグネットケース76と非接触状態で挿入されている。ポテンショメータ77は適宜の手段により定着されており、検出した電圧はケーブル77aを介して制御部5へ出力される。
【0019】
アーム71が水平位置よりも上部へ回転した場合、回動軸74が回動して自動高さ調整弁73が空気ばね8へ加圧空気を供給し、また逆に水平位置よりも下方へ回転した場合、回動軸74が回動して自動高さ調整弁73が空気ばね8の加圧空気を排出する状態に切り替わる。ポテンショメータ77はマグネットケース76の回動角に比例した電圧を制御部5へ出力し、制御部5は図示しないRAMに記憶される変換テーブルを参照して、出力電圧を空気ばね8の高さに変換する。なお、空気ばね8の高さはマグネットケース76の回転角にアーム71の長手方向長を乗じて算出することができる。
【0020】
なお、本実施の形態ではアナログ式角度センサ70を、自動高さ調整弁73を介してアーム71と対向する位置に設けてあるが、必ずしもこれに限らず、アナログ式角度センサ70をアーム71側に設けるようにしても良い。さらに、本実施の形態では磁気式ポテンショメータを用いたが、これに限らずレゾルバ等他のアナログ式角度センサを用いても良い。
【0021】
図3及び図4に示すように、高さセンサ100としては、例えば、近接スイッチ、光電スイッチ、光ラインセンサ等を使用することができる。本実施例における高さセンサ100は、複数のセンサ素子を垂直方向に配列し、各センサ素子からアーム71に対して検出光を放射し、その光の反射状態に応じてアーム71の位置を検出する。なお、センサ素子の数は、車体Dの高さを正確に測定するためには短いピッチで多数配置することが好ましいが、上限及び下限の異常位置を検出するだけであれば2つで足りる。また、本実施例においては、高さセンサ100を車体Dに固定しているが、設計次第では台車10に固定することも可能である。
【0022】
高さセンサ100の出力は、アナログ式角度センサ70の出力とともに制御装置5に供給され、これら2つの出力信号に基づいて車体Dの高さ異常を判定する。判定の結果、高さ異常発生の場合には、吸気弁3及び排気弁4の動作を停止する等の処置を行う。また、これと併せて異常警報用のランプを点灯させたり、警告音を発生させることもできる。
【0023】
図5は、本発明の他の実施例に係る鉄道車両の概略構成を示す模式図である。なお、図5において、上述した図1〜図4と同一又は対応する構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。本実施例においては、高さセンサ(第2センサ)110によって検出すべき部材を新たに設けている。すなわち、上述した実施例では、アナログ式角度センサ70に連結されたレバー71の位置を高さセンサ100によって検出しているのに対し、本実施例では、被検出用の部材108を別に設けている。
【0024】
高さセンサ110の上端は、車体Dに固定されている。被検出部材108は、図6に示すように、台車10に対して水平に伸びる被検出面108aを備えており、当該被検出面108aの位置を高さセンサ110によって検出する。本実施例においては、台車10と車体Dとの距離(間隔)を計測し、これに基づいて車体Dの高さ異常を検出するものである。なお、高さセンサ110の構成は、上述したセンサ100と同一である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、アナログ式角度センサ70に加え、当該センサ70から独立した系に属し、台車10と車体Dとの相対的な高さ関係を検出する高さセンサ100(110)を備えている。そして、これら独立した2つの系のセンサ70,100(110)の検出結果の少なくとも一方を用いて、車体Dの高さ異常を検出するため、いずれか一方の検出系が正常に動作しない場合にも、他の系によって異常検出が可能となり、検出信頼性が向上するという格別な効果がある。
【0026】
以上、本発明の実施例(実施形態、実施態様)について説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範疇において変更可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施例に係る鉄道車両の台車の構造を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、第1の実施例に係る鉄道車両の台車と車体との間に配置された高さ調整機構を示す模式図である。
【図3】図3は、第1の実施例に係る鉄道車両の高さ検出装置の構造を示す斜視図である。
【図4】図4は、第1の実施例に係る高さ検出装置の第2センサの配置を示す側面図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施例に係る鉄道車両の台車と車体との間に配置された高さ調整機構を示す模式図である。
【図6】図6は、第2の実施例に係る高さ検出装置の第2センサの配置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1(10,11) 台車
7 高さ検出装置
8 空気バネ
70 アナログ式角度センサ(第1センサ)
74 回動軸
71 レバー
108 被検出部材
100,110 高さセンサ(第2センサ)
D 車体

Claims (11)

  1. 台車と;
    前記台車上に載置された車体と;
    前記台車に対する前記車体の高さを調整する高さ調整機構と;
    前記高さ調整機構の動作に追従して回動する回動軸と;
    前記回動軸の回転角度に基づいて前記車体の高さを検出する第1センサーと;
    前記車体の高さに応じて上下動する被検出部材と;
    前記被検出部材の位置に基づいて、前記車体の高さを検出する第2センサーとを備え、
    前記第1センサー及び第2センサーの検出結果の少なくとも一方を用いて、前記車体の高さ異常を検出することを特徴とする鉄道車両。
  2. 前記鉄道車両は、前記台車の上で前記車体を支持する空気バネを備え、前記高さ調整機構は、前記空気バネに給排する空気の量を制御する調整弁を有し、
    前記回動軸が前記調整弁に連結され、当該弁を開閉する構造であることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両。
  3. 前記被検出部材は、前記回動軸に一体回動可能に連結されて前記空気バネの高さに応じて上下動するレバーであることを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両。
  4. 前記被検出部材は、前記台車及び前記車体の何れか一方に設けられ、
    前記第2センサーは、前記台車及び前記車体の他方に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両。
  5. 前記第2センサは非接触式のセンサであることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の鉄道車両。
  6. 前記鉄道車両は、車体の姿勢と振動抑制の制御命令を出力する制御部と、当該制御部の指示によって前記空気バネの空気量を増減する吸気弁と排気弁とを更に備え、
    前記車体の高さ異常が検出された場合に、前記高さ吸気弁と前記排気弁の動作を停止することを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載の鉄道車両。
  7. 鉄道車両の台車と車体との間に空気バネを備え、該空気バネを用いて前記台車と車体との相対的な高さを調整する高さ調整装置において、
    前記空気バネに給排する空気の量を制御する調整弁と;
    前記調整弁を開閉する回動軸と;
    前記回動軸の回転角度に基づいて前記車体の高さを検出する第1センサーと;
    前記空気バネの高さに応じて上下動する被検出部材と;
    前記被検出部材の位置に基づいて、前記車体の高さを検出する第2センサーとを備え、
    前記第1センサー及び第2センサーの検出結果の少なくとも一方を用いて、前記車体の高さ異常を検出することを特徴とする高さ調整装置。
  8. 前記被検出部材は、前記回動軸に一体回動可能に連結されて前記空気バネの高さに応じて上下動するレバーであることを特徴とする請求項7に記載の高さ調整装置。
  9. 前記被検出部材は、前記台車及び前記車体の何れか一方に設けられ、
    前記第2センサーは、前記台車及び前記車体の他方に設けられることを特徴とする請求項7に記載の高さ調整装置。
  10. 前記第2センサは非接触式のセンサであることを特徴とする請求項7,8又は9に記載の高さ調整装置。
  11. 前記車体の高さ異常が検出された場合に、前記車体の姿勢と振動抑制制御を前記空気バネにより行う為の吸気弁と排気弁との動作を停止することを特徴とする請求項7,8,9又は10に記載の高さ調整装置。
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