JP2005001431A - 自動車のバンパ構造 - Google Patents
自動車のバンパ構造 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005001431A JP2005001431A JP2003164305A JP2003164305A JP2005001431A JP 2005001431 A JP2005001431 A JP 2005001431A JP 2003164305 A JP2003164305 A JP 2003164305A JP 2003164305 A JP2003164305 A JP 2003164305A JP 2005001431 A JP2005001431 A JP 2005001431A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- bumper
- crushing
- load
- stay
- armature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Body Structure For Vehicles (AREA)
Abstract
【課題】高速衝突時の適切な潰れ制御と中低速衝突時の修理費用の抑制を両立させることができる自動車のバンパ構造の提供。
【解決手段】自動車の車体前部に前方から少なくともバンパアーマチュア4、バンパステイ3、サイドメンバ2の順番に連結された自動車のバンパ構造において、バンパステイ3の前後方向の圧壊荷重特性を2段特性とする共に、1段目の圧壊荷重をバンパアーマチュア4の圧壊限界荷重よりも低く設定し、バンパステイ3の2段目の圧壊荷重をバンパアーマチュア4の圧壊限界荷重よりも高く設定すると共に、サイドメンバ2の圧壊限界荷重より低く設定した。
【選択図】 図4
【解決手段】自動車の車体前部に前方から少なくともバンパアーマチュア4、バンパステイ3、サイドメンバ2の順番に連結された自動車のバンパ構造において、バンパステイ3の前後方向の圧壊荷重特性を2段特性とする共に、1段目の圧壊荷重をバンパアーマチュア4の圧壊限界荷重よりも低く設定し、バンパステイ3の2段目の圧壊荷重をバンパアーマチュア4の圧壊限界荷重よりも高く設定すると共に、サイドメンバ2の圧壊限界荷重より低く設定した。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の車体前部に設けられるバンパ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のバンパ構造は、車体前部の左右に配置されたサイドメンバの先端にバンパステイがそれぞれ設けられ、これら両バンパステイの前面に車幅方向に延在するバンパアーマチュアが設けられている(特許文献1参照)。
【0003】
また、前記バンパアーマチュアの前方には衝撃吸収材やバンパフェイシア等が配置されている。
なお、前述したサイドメンバの先端を前方へ延長してバンパステイを省略したものもあるが、バンパステイを設けることで低中速時の衝突時における破損部品の修理費用を低減できる、サイドメンバまでをプラットフォームの固定部としてそれより先で車両の造形対応を行える等のメリットがあるため、近年の自動車のバンパ構造にはバンパステイが採用されている。
【0004】
そして、自動車の衝突形態は多岐に亘っており、衝突試験もアルミ製ハニカム構造のデフォーマブルバリアと剛体のリジッドバリアの2種類を使用して行われている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−238591号公報 (第1−3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したデフォーマブルバリアの衝突試験に対しては、バンパアーマチュアの圧壊強度を小さくすると、バンパアーマチュアは衝突時の衝撃力により圧壊して折れ曲がり、結果、バンパアーマチュアに比べて受圧面積が小さいバンパステイに衝撃力が集中し、バンパステイがデフォーマブルバリアに突き刺さる虞があった。
なお、バンパステイがデフォーマブルバリアに突き刺さると、サイドメンバ等に車幅方向の曲げモーメントが加わり、特に高速衝突時(例えば64km/h)には、サイドメンバが適切に潰れず、衝突時の衝撃力を適切に吸収・緩和できない。
【0007】
一方、リジッドバリアの試験に対しては、バンパアーマチュアの圧壊強度を大きくすると、バンパステイがバンパアーマチュアよりも先に潰れる。
この場合、バンパアーマチュアが比較的軽微な衝突によっても後退するため、バンパアーマチュアよりも後方の部材が容易に破壊され、特に中低速衝突時(例えば8km/h)の修理費用の増加を招く虞があった。
なお、バンパステイがラジエータコアサポートのラジエータコアサイドを介してサイドメンバに連結されている自動車のバンパ構造においては、ラジエータコアサイドが損傷するとラジエータコアサポート全体やラジエータコアサポートに取付けられた熱交換器を交換する必要があるため、その交換作業及び費用はメーカ及びユーザの双方にとってさらに大きい負担となる。
【0008】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、高速衝突時の適切な潰れ制御と中低速衝突時の修理費用の削減を両立させることができる自動車のバンパ構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、自動車の車体前部に前方から少なくともバンパアーマチュア、バンパステイ、サイドメンバの順番に連結された自動車のバンパ構造において、前記バンパステイの前後方向の圧壊変位量に対する圧壊荷重を2段特性とする共に、1段目の圧壊荷重をバンパアーマチュアの圧壊限界荷重よりも低く設定し、前記バンパステイの2段目の圧壊荷重をバンパアーマチュアの圧壊限界荷重よりも高く設定すると共に、サイドメンバの圧壊限界荷重より低く設定したことを特徴とする。
【0010】
【発明の作用及び効果】
請求項1記載の発明にあっては、自動車の車体前部に前方から少なくともバンパアーマチュア、バンパステイ、サイドメンバの順番に連結される。
【0011】
そして、前記バンパステイの前後方向の圧壊変位量に対する圧壊荷重、換言するとバンパステイの前後方向の圧壊荷重特性が2段特性とされ、1段目の圧壊荷重がバンパアーマチュアの圧壊限界荷重よりも低く設定され、前記バンパステイの2段目の圧壊荷重がバンパアーマチュアの圧壊限界荷重よりも高く設定されると共に、サイドメンバの圧壊限界荷重より低く設定される。
なお、圧壊限界荷重とは荷重が掛かった際の許容衝撃吸収量の限界を意味する。
【0012】
従って、自動車が障害物に衝突した際には、バンパステイの1段目、バンパアーマチュア、バンパステイの2段目、サイドメンバの順に圧壊する。
つまり、本発明の自動車のバンパ構造において前述のデフォーマブルバリアの衝突試験を行うと、バンパアーマチュアが圧壊して折れ曲がる前に、バンパステイの1段目が圧壊するため、バンパアーマチュアの前面が受圧面積となりデフォーマブルバリアが押され続ける。
【0013】
この際、デフォーマブルバリアの衝撃力がバンパアーマチュアに分散・吸収されるため、従来の発明のように該衝撃力がバンパステイに集中してデフォーマブルバリアに突き刺さることがなく、結果、特に高速衝突時のサイドメンバの潰れを適切にでき、所望の衝撃吸収能力を得ることができる。
【0014】
一方、リジッドバリアの衝突試験を行うと、バンパアーマチュアはバンパステイの1段目の圧壊によって後方へストロークした後に圧壊し、次いでバンパステイの2段目が圧壊するため、衝突時の損傷部材を前方側に留めて最小限に抑えることができ、結果、従来の発明のようにバンパアーマチュアの後退による後方部材の容易な損傷を招くことがなく、結果、特に低速衝突時の修理費の増加を抑えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の自動車のバンパ構造の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施の形態の自動車のバンパ構造が適用された車体前部を示す全体図、図2は本実施の形態の自動車のバンパ構造の平面図、図3はバンパステイの側断面図、図4は本実施の形態のバンパステイの圧壊荷重特性図である。
図5はバンパステイのその他の一例を示す側断面図、図6はバンパステイのその他の一例を示す側断面図、図7はバンパステイのその他の一例を示す側断面図である。
【0016】
図1、2に示すように、本実施の形態の自動車のバンパ構造は、ラジエータコアサポート1とサイドメンバ2とバンパステイ3とバンパアーマチュア4を主要な構成としている。
前記ラジエータコアサポート1は、全体が樹脂またはガラス繊維強化樹脂で一体的に形成され、中央のフードックステイ1cの左右に配置されるラジエータコアサイド1a,1aにはサイドメンバ取付部1b,1bが形成されている。
【0017】
また、前記サイドメンバ取付部1b,1bを挟んだ状態でサイドメンバ2,2の前端面が6箇所のボルト締結部B1で、バンパステイ3,3の後面が4箇所のボルト締結部B2でそれぞれ連結されている。
また、前記バンパステイ3,3の前面には、4箇所のボルト締結部B3で車幅方向に延在するバンパアーマチュア4がそれぞれ連結されている。
【0018】
さらに、前記バンパアーマチュア4の前面には車幅方向に延在する衝撃吸収材10が設けられると共に、該衝撃吸収材10は後面に形成された3箇所の突部(図示せず)がバンパアーマチュア4の前面に形成された取付孔4aにそれぞれ嵌挿固定されている。
【0019】
そして、図3に示すように、前記バンパステイ3は、一点鎖線にて示す位置で板厚や材料の違いにより圧壊強度の異なる前部3aと後部3bで構成されると共に、該前部3aの圧壊強度は後部3bよりも低く設定されている。
【0020】
このように構成されたバンパステイ3は、図4に示すように、前後方向の圧壊荷重特性が2段特性となっており、さらに、図中W1の範囲で示す1段目の圧壊荷重(前部3aの圧壊荷重に相当)は、バンパアーマチュア3の圧壊限界荷重よりも低くなるように設定されている。
【0021】
また、図中W2の範囲で示す2段目の圧壊荷重(後部3bの圧壊荷重に相当)は、バンパアーマチュア4の圧壊限界荷重よりも高く設定されると共に、サイドメンバ2の圧壊限界荷重より低くなるように設定されている。
【0022】
なお、バンパステイ3の前後方向の圧壊荷重特性を2段特性にするその他の一例として、図5に示すように、前部3aと後部3bの受圧面積を異なるものに形成したり、図6に示すように、バンパステイ3の後方内部にポリウレタン発泡体またはポリプロピレン発泡体などの圧壊抑制部材5を内装しても良い。
また、この際、前記圧壊抑制部材5をサイドメンバ取付け部1bから前方へ突出する樹脂部材、例えばリブ等で構成しても良い(図7参照)。
【0023】
以下、本実施の形態の自動車のバンパ構造の作用及び効果を説明する。
このように構成された自動車のバンパ構造にあっては、自動車が障害物と衝突した際、自動車の車体前部においてバンパステイ3の前部3a、バンパアーマチュア4、バンパステイ3の後部3b、ラジエータコアサイド1b、サイドメンバ2の順に圧壊する。
【0024】
つまり、本発明の自動車のバンパ構造について前述のデフォーマブルバリアの衝突試験を行うと、バンパアーマチュア4が圧壊して折れ曲がる前に、バンパステイ3の前部3aが圧壊するため、バンパアーマチュア4の前面を受圧面積としてデフォーマブルバリアが押され続ける。
【0025】
この際、デフォーマブルバリアからの衝撃力が分散するため、従来のように該衝撃力がバンパステイに集中してデフォーマブルバリアに突き刺さることがなく、結果、高速衝突時のサイドメンバ2の潰れを適切にでき、所望の衝撃吸収能力を得ることができる。
【0026】
一方、リジッドバリアの衝突試験を行うと、バンパアーマチュア4はバンパステイ3の前部3aの圧壊によってある程度後退した後に圧壊し、次いでバンパステイ3の後部3bが圧壊するため、衝突時の損傷部材をできるだけ前方側に留めて最小限に抑えることができ、結果、低速衝突時の修理費の増加を抑えることができる。
【0027】
従って、本実施の形態の自動車のバンパ構造にあっては、バンパステイ4を圧壊強度の異なる前部3aと後部から構成して、前部3aの圧壊荷重をバンパアーマチュア4の圧壊限界荷重よりも低く設定し、一方、後部3bの圧壊荷重をバンパアーマチュア4の圧壊限界荷重よりも高く設定すると共に、サイドメンバ2の圧壊限界荷重より低く設定したため、高速衝突時のサイドメンバ2の適切な潰れ制御と中低速衝突時の修理費用の削減を両立させることができる。
【0028】
また、衝突時の損傷部材を前方側に留めて最小限に抑えることで、軽微な衝突によるサイドメンバやラジエータコアサポートが損傷するのを回避でき、破損部材の修理にかかる手間と費用を削減できる。
【0029】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の具体的構成は本実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても本発明に含まれる。
例えば、本実施の形態ではバンパステイ3の前部3aの圧壊強度を後部3bよりも低く設定したものについて説明したが、前部3aと後部3bの圧壊強度が入れ替わっても構わない。
【0030】
また、バンパステイ3の前後方向で圧壊荷重特性が2段特性となる構造であれば、本実施の形態で説明した以外の構造についても本発明の範疇となることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の自動車のバンパ構造が適用された車体前部を示す全体図である。
【図2】本実施の形態のバンパステイの平面図である。
【図3】本実施の形態のバンパステイの側断面図である。
【図4】本実施の形態のバンパステイの圧壊荷重特性図である。
【図5】バンパステイのその他の一例を示す側断面図である。
【図6】バンパステイのその他の一例を示す側断面図である。
【図7】バンパステイのその他の一例を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 ラジエータコアサポート
1a ラジエータコアサイド
1b サイドメンバ取付部
1c フードロックステイ
2 サイドメンバ
3 バンパステイ
3a 前部
3b 後部
4 バンパアーマチュア
5 圧壊抑制部材
10 衝撃吸収材
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の車体前部に設けられるバンパ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のバンパ構造は、車体前部の左右に配置されたサイドメンバの先端にバンパステイがそれぞれ設けられ、これら両バンパステイの前面に車幅方向に延在するバンパアーマチュアが設けられている(特許文献1参照)。
【0003】
また、前記バンパアーマチュアの前方には衝撃吸収材やバンパフェイシア等が配置されている。
なお、前述したサイドメンバの先端を前方へ延長してバンパステイを省略したものもあるが、バンパステイを設けることで低中速時の衝突時における破損部品の修理費用を低減できる、サイドメンバまでをプラットフォームの固定部としてそれより先で車両の造形対応を行える等のメリットがあるため、近年の自動車のバンパ構造にはバンパステイが採用されている。
【0004】
そして、自動車の衝突形態は多岐に亘っており、衝突試験もアルミ製ハニカム構造のデフォーマブルバリアと剛体のリジッドバリアの2種類を使用して行われている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−238591号公報 (第1−3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したデフォーマブルバリアの衝突試験に対しては、バンパアーマチュアの圧壊強度を小さくすると、バンパアーマチュアは衝突時の衝撃力により圧壊して折れ曲がり、結果、バンパアーマチュアに比べて受圧面積が小さいバンパステイに衝撃力が集中し、バンパステイがデフォーマブルバリアに突き刺さる虞があった。
なお、バンパステイがデフォーマブルバリアに突き刺さると、サイドメンバ等に車幅方向の曲げモーメントが加わり、特に高速衝突時(例えば64km/h)には、サイドメンバが適切に潰れず、衝突時の衝撃力を適切に吸収・緩和できない。
【0007】
一方、リジッドバリアの試験に対しては、バンパアーマチュアの圧壊強度を大きくすると、バンパステイがバンパアーマチュアよりも先に潰れる。
この場合、バンパアーマチュアが比較的軽微な衝突によっても後退するため、バンパアーマチュアよりも後方の部材が容易に破壊され、特に中低速衝突時(例えば8km/h)の修理費用の増加を招く虞があった。
なお、バンパステイがラジエータコアサポートのラジエータコアサイドを介してサイドメンバに連結されている自動車のバンパ構造においては、ラジエータコアサイドが損傷するとラジエータコアサポート全体やラジエータコアサポートに取付けられた熱交換器を交換する必要があるため、その交換作業及び費用はメーカ及びユーザの双方にとってさらに大きい負担となる。
【0008】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、高速衝突時の適切な潰れ制御と中低速衝突時の修理費用の削減を両立させることができる自動車のバンパ構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、自動車の車体前部に前方から少なくともバンパアーマチュア、バンパステイ、サイドメンバの順番に連結された自動車のバンパ構造において、前記バンパステイの前後方向の圧壊変位量に対する圧壊荷重を2段特性とする共に、1段目の圧壊荷重をバンパアーマチュアの圧壊限界荷重よりも低く設定し、前記バンパステイの2段目の圧壊荷重をバンパアーマチュアの圧壊限界荷重よりも高く設定すると共に、サイドメンバの圧壊限界荷重より低く設定したことを特徴とする。
【0010】
【発明の作用及び効果】
請求項1記載の発明にあっては、自動車の車体前部に前方から少なくともバンパアーマチュア、バンパステイ、サイドメンバの順番に連結される。
【0011】
そして、前記バンパステイの前後方向の圧壊変位量に対する圧壊荷重、換言するとバンパステイの前後方向の圧壊荷重特性が2段特性とされ、1段目の圧壊荷重がバンパアーマチュアの圧壊限界荷重よりも低く設定され、前記バンパステイの2段目の圧壊荷重がバンパアーマチュアの圧壊限界荷重よりも高く設定されると共に、サイドメンバの圧壊限界荷重より低く設定される。
なお、圧壊限界荷重とは荷重が掛かった際の許容衝撃吸収量の限界を意味する。
【0012】
従って、自動車が障害物に衝突した際には、バンパステイの1段目、バンパアーマチュア、バンパステイの2段目、サイドメンバの順に圧壊する。
つまり、本発明の自動車のバンパ構造において前述のデフォーマブルバリアの衝突試験を行うと、バンパアーマチュアが圧壊して折れ曲がる前に、バンパステイの1段目が圧壊するため、バンパアーマチュアの前面が受圧面積となりデフォーマブルバリアが押され続ける。
【0013】
この際、デフォーマブルバリアの衝撃力がバンパアーマチュアに分散・吸収されるため、従来の発明のように該衝撃力がバンパステイに集中してデフォーマブルバリアに突き刺さることがなく、結果、特に高速衝突時のサイドメンバの潰れを適切にでき、所望の衝撃吸収能力を得ることができる。
【0014】
一方、リジッドバリアの衝突試験を行うと、バンパアーマチュアはバンパステイの1段目の圧壊によって後方へストロークした後に圧壊し、次いでバンパステイの2段目が圧壊するため、衝突時の損傷部材を前方側に留めて最小限に抑えることができ、結果、従来の発明のようにバンパアーマチュアの後退による後方部材の容易な損傷を招くことがなく、結果、特に低速衝突時の修理費の増加を抑えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の自動車のバンパ構造の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施の形態の自動車のバンパ構造が適用された車体前部を示す全体図、図2は本実施の形態の自動車のバンパ構造の平面図、図3はバンパステイの側断面図、図4は本実施の形態のバンパステイの圧壊荷重特性図である。
図5はバンパステイのその他の一例を示す側断面図、図6はバンパステイのその他の一例を示す側断面図、図7はバンパステイのその他の一例を示す側断面図である。
【0016】
図1、2に示すように、本実施の形態の自動車のバンパ構造は、ラジエータコアサポート1とサイドメンバ2とバンパステイ3とバンパアーマチュア4を主要な構成としている。
前記ラジエータコアサポート1は、全体が樹脂またはガラス繊維強化樹脂で一体的に形成され、中央のフードックステイ1cの左右に配置されるラジエータコアサイド1a,1aにはサイドメンバ取付部1b,1bが形成されている。
【0017】
また、前記サイドメンバ取付部1b,1bを挟んだ状態でサイドメンバ2,2の前端面が6箇所のボルト締結部B1で、バンパステイ3,3の後面が4箇所のボルト締結部B2でそれぞれ連結されている。
また、前記バンパステイ3,3の前面には、4箇所のボルト締結部B3で車幅方向に延在するバンパアーマチュア4がそれぞれ連結されている。
【0018】
さらに、前記バンパアーマチュア4の前面には車幅方向に延在する衝撃吸収材10が設けられると共に、該衝撃吸収材10は後面に形成された3箇所の突部(図示せず)がバンパアーマチュア4の前面に形成された取付孔4aにそれぞれ嵌挿固定されている。
【0019】
そして、図3に示すように、前記バンパステイ3は、一点鎖線にて示す位置で板厚や材料の違いにより圧壊強度の異なる前部3aと後部3bで構成されると共に、該前部3aの圧壊強度は後部3bよりも低く設定されている。
【0020】
このように構成されたバンパステイ3は、図4に示すように、前後方向の圧壊荷重特性が2段特性となっており、さらに、図中W1の範囲で示す1段目の圧壊荷重(前部3aの圧壊荷重に相当)は、バンパアーマチュア3の圧壊限界荷重よりも低くなるように設定されている。
【0021】
また、図中W2の範囲で示す2段目の圧壊荷重(後部3bの圧壊荷重に相当)は、バンパアーマチュア4の圧壊限界荷重よりも高く設定されると共に、サイドメンバ2の圧壊限界荷重より低くなるように設定されている。
【0022】
なお、バンパステイ3の前後方向の圧壊荷重特性を2段特性にするその他の一例として、図5に示すように、前部3aと後部3bの受圧面積を異なるものに形成したり、図6に示すように、バンパステイ3の後方内部にポリウレタン発泡体またはポリプロピレン発泡体などの圧壊抑制部材5を内装しても良い。
また、この際、前記圧壊抑制部材5をサイドメンバ取付け部1bから前方へ突出する樹脂部材、例えばリブ等で構成しても良い(図7参照)。
【0023】
以下、本実施の形態の自動車のバンパ構造の作用及び効果を説明する。
このように構成された自動車のバンパ構造にあっては、自動車が障害物と衝突した際、自動車の車体前部においてバンパステイ3の前部3a、バンパアーマチュア4、バンパステイ3の後部3b、ラジエータコアサイド1b、サイドメンバ2の順に圧壊する。
【0024】
つまり、本発明の自動車のバンパ構造について前述のデフォーマブルバリアの衝突試験を行うと、バンパアーマチュア4が圧壊して折れ曲がる前に、バンパステイ3の前部3aが圧壊するため、バンパアーマチュア4の前面を受圧面積としてデフォーマブルバリアが押され続ける。
【0025】
この際、デフォーマブルバリアからの衝撃力が分散するため、従来のように該衝撃力がバンパステイに集中してデフォーマブルバリアに突き刺さることがなく、結果、高速衝突時のサイドメンバ2の潰れを適切にでき、所望の衝撃吸収能力を得ることができる。
【0026】
一方、リジッドバリアの衝突試験を行うと、バンパアーマチュア4はバンパステイ3の前部3aの圧壊によってある程度後退した後に圧壊し、次いでバンパステイ3の後部3bが圧壊するため、衝突時の損傷部材をできるだけ前方側に留めて最小限に抑えることができ、結果、低速衝突時の修理費の増加を抑えることができる。
【0027】
従って、本実施の形態の自動車のバンパ構造にあっては、バンパステイ4を圧壊強度の異なる前部3aと後部から構成して、前部3aの圧壊荷重をバンパアーマチュア4の圧壊限界荷重よりも低く設定し、一方、後部3bの圧壊荷重をバンパアーマチュア4の圧壊限界荷重よりも高く設定すると共に、サイドメンバ2の圧壊限界荷重より低く設定したため、高速衝突時のサイドメンバ2の適切な潰れ制御と中低速衝突時の修理費用の削減を両立させることができる。
【0028】
また、衝突時の損傷部材を前方側に留めて最小限に抑えることで、軽微な衝突によるサイドメンバやラジエータコアサポートが損傷するのを回避でき、破損部材の修理にかかる手間と費用を削減できる。
【0029】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の具体的構成は本実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても本発明に含まれる。
例えば、本実施の形態ではバンパステイ3の前部3aの圧壊強度を後部3bよりも低く設定したものについて説明したが、前部3aと後部3bの圧壊強度が入れ替わっても構わない。
【0030】
また、バンパステイ3の前後方向で圧壊荷重特性が2段特性となる構造であれば、本実施の形態で説明した以外の構造についても本発明の範疇となることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の自動車のバンパ構造が適用された車体前部を示す全体図である。
【図2】本実施の形態のバンパステイの平面図である。
【図3】本実施の形態のバンパステイの側断面図である。
【図4】本実施の形態のバンパステイの圧壊荷重特性図である。
【図5】バンパステイのその他の一例を示す側断面図である。
【図6】バンパステイのその他の一例を示す側断面図である。
【図7】バンパステイのその他の一例を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 ラジエータコアサポート
1a ラジエータコアサイド
1b サイドメンバ取付部
1c フードロックステイ
2 サイドメンバ
3 バンパステイ
3a 前部
3b 後部
4 バンパアーマチュア
5 圧壊抑制部材
10 衝撃吸収材
Claims (1)
- 自動車の車体前部に前方から少なくともバンパアーマチュア、バンパステイ、サイドメンバの順番に連結された自動車のバンパ構造において、
前記バンパステイの前後方向の圧壊変位量に対する圧壊荷重を2段特性とする共に、1段目の圧壊荷重をバンパアーマチュアの圧壊限界荷重よりも低く設定し、
前記バンパステイの2段目の圧壊荷重をバンパアーマチュアの圧壊限界荷重よりも高く設定すると共に、サイドメンバの圧壊限界荷重より低く設定したことを特徴とする自動車のバンパ構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003164305A JP2005001431A (ja) | 2003-06-09 | 2003-06-09 | 自動車のバンパ構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003164305A JP2005001431A (ja) | 2003-06-09 | 2003-06-09 | 自動車のバンパ構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005001431A true JP2005001431A (ja) | 2005-01-06 |
Family
ID=34091136
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003164305A Withdrawn JP2005001431A (ja) | 2003-06-09 | 2003-06-09 | 自動車のバンパ構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005001431A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006213185A (ja) * | 2005-02-03 | 2006-08-17 | Fuji Heavy Ind Ltd | 車両の車体前部構造 |
JP2007261426A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-11 | Nikkeikin Aluminium Core Technology Co Ltd | バンパー構造 |
US7533913B2 (en) | 2006-11-21 | 2009-05-19 | Hyundai Motor Company | Front structure for car body |
WO2012101810A1 (ja) * | 2011-01-27 | 2012-08-02 | トヨタ自動車株式会社 | 自動車の前部構造 |
JP2016135628A (ja) * | 2015-01-23 | 2016-07-28 | 富士重工業株式会社 | エネルギ吸収構造体 |
-
2003
- 2003-06-09 JP JP2003164305A patent/JP2005001431A/ja not_active Withdrawn
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006213185A (ja) * | 2005-02-03 | 2006-08-17 | Fuji Heavy Ind Ltd | 車両の車体前部構造 |
JP4628813B2 (ja) * | 2005-02-03 | 2011-02-09 | 富士重工業株式会社 | 車両の車体前部構造 |
JP2007261426A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-11 | Nikkeikin Aluminium Core Technology Co Ltd | バンパー構造 |
JP4705500B2 (ja) * | 2006-03-28 | 2011-06-22 | 日軽金アクト株式会社 | バンパー構造 |
US7533913B2 (en) | 2006-11-21 | 2009-05-19 | Hyundai Motor Company | Front structure for car body |
WO2012101810A1 (ja) * | 2011-01-27 | 2012-08-02 | トヨタ自動車株式会社 | 自動車の前部構造 |
CN103228488A (zh) * | 2011-01-27 | 2013-07-31 | 丰田自动车株式会社 | 汽车的前部结构 |
JP5382239B2 (ja) * | 2011-01-27 | 2014-01-08 | トヨタ自動車株式会社 | 自動車の前部構造 |
US8814250B2 (en) | 2011-01-27 | 2014-08-26 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Automobile front portion structure |
JP2016135628A (ja) * | 2015-01-23 | 2016-07-28 | 富士重工業株式会社 | エネルギ吸収構造体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1300293B1 (en) | Motor vehicle with bumper assembly for pedestrian protection | |
JP4207904B2 (ja) | 車両端部構造 | |
KR100974748B1 (ko) | 자동차의 범퍼 백빔 구조 | |
JP3927845B2 (ja) | 車両用バンパ支持構造 | |
KR101055071B1 (ko) | 저속 충돌시 수리비 절감을 위한 범퍼 레일 | |
JP2005178682A (ja) | 自動車の車体前部構造 | |
JP2002054672A (ja) | 移動体用緩衝装置 | |
JP2005001431A (ja) | 自動車のバンパ構造 | |
JP3870677B2 (ja) | 移動体用緩衝装置 | |
JP3045337B2 (ja) | 自動車の前部構造 | |
JP4374903B2 (ja) | 車両における衝撃吸収構造 | |
JP2004090709A (ja) | 車体前部構造 | |
JP2007008346A (ja) | 車両後部構造 | |
JP4127067B2 (ja) | 自動車の前部構造 | |
KR20110006446A (ko) | 복수의 충돌에너지 흡수단계를 갖는 차량용 전방 충돌에너지 흡수장치 | |
JP4265313B2 (ja) | 車両の前部車体構造 | |
JP2005022598A (ja) | バンパ装置 | |
KR102002309B1 (ko) | 차량용 리어 범퍼 빔 | |
JP4266757B2 (ja) | 自動車の車体前部構造 | |
KR100256541B1 (ko) | 자동차의 리어범퍼 부착용 범퍼스테이 | |
KR102504703B1 (ko) | 차량용 범퍼 빔 | |
JP4657504B2 (ja) | 前部車体構造 | |
CN212220138U (zh) | 后防撞梁及含其的汽车 | |
JP5958790B2 (ja) | 衝撃エネルギ吸収型アンダーランプロテクタ | |
KR101417118B1 (ko) | 자동차의 라디에이터 마운팅구조 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20051114 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060324 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070802 |