JP2005001358A - 射出装置 - Google Patents

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JP2005001358A JP2003170559A JP2003170559A JP2005001358A JP 2005001358 A JP2005001358 A JP 2005001358A JP 2003170559 A JP2003170559 A JP 2003170559A JP 2003170559 A JP2003170559 A JP 2003170559A JP 2005001358 A JP2005001358 A JP 2005001358A
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Takeshi Konno
武司 金野
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Abstract

【課題】射出装置のコストを低くすることができ、成形品の品質を向上させることができるようにする。
【解決手段】第1のシリンダ室に配設された射出部材と、第2のシリンダ室に配設された可塑化部材と、前記第2のシリンダ室の前端部において、前記可塑化部材に対して進退自在に配設された逆流防止体とを有する。そして、射出工程時の成形材料の圧力を前記逆流防止体に加えるための第1の流路部43、該第1の流路部43と連通させられた第2の流路部44、及び該第2の流路部44と連通させられ、前記逆流防止体が前位置に置かれたときに開放され、後位置に置かれたときに閉鎖される第3の流路部45が形成される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、成形機、例えば、射出成形機においては、射出装置の加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた成形材料としての樹脂を、射出して金型装置内のキャビティ空間に充填(てん)し、該キャビティ空間内において冷却して固化させることによって成形品を得ることができるようになっている。
【0003】
前記射出成形機は金型装置、型締装置及び射出装置を有する。そして、前記金型装置は固定金型及び可動金型を備え、前記型締装置によって前記可動金型を進退させることにより、型閉じ、型締め及び型開きが行われる。
【0004】
ところで、前記射出装置としてプリプラ方式の射出装置が使用されることがある。該プリプラ方式の射出装置は、第1、第2の加熱シリンダ、第1の加熱シリンダ内において進退自在に配設されたプランジャ、及び第2の加熱シリンダ内において回転自在に配設されたスクリューを備え、第2の加熱シリンダ内において可塑化が行われ、第1の加熱シリンダ内において計量及び射出が行われる。
【0005】
ところが、前記プリプラ方式の射出装置においては、第1、第2の加熱シリンダが並列に配設されるので、射出装置の幅方向又は高さ方向の寸法が大きくなってしまう。
【0006】
また、樹脂が第2の加熱シリンダ内を通過した後、第1の加熱シリンダ内を通過するので、樹脂の滞留時間が長くなり、樹脂焼けが発生したり、樹脂替えが困難になったりして、射出装置の保守・管理性が低下してしまう。
【0007】
そこで、一つの加熱シリンダ内において、筒状のスクリューを回転自在に配設し、該スクリュー内においてプランジャを進退自在に配設するようにしたインライン型プランジャ方式の射出装置が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
図2は従来のインライン型プランジャ方式の射出装置の要部を示す断面図である。
【0009】
図において、18は加熱シリンダ、19は該加熱シリンダ18内において、回転自在に、かつ、進退(図において左右方向に移動)自在に配設されたスクリュー、21は該スクリュー19内において、進退自在に配設されたプランジャ、23はホッパ、26は前記加熱シリンダ18の前端(図において左端)に取り付けられた射出ノズルである。前記スクリュー19は、筒状の本体部10及び該本体部10の外周に形成された螺(ら)旋状のフライト31を備え、該フライト31に沿って溝32が形成される。
【0010】
この場合、計量工程時に、加熱シリンダ18内の所定の位置においてスクリュー19を回転させると、ホッパ23から加熱シリンダ18内に供給された樹脂は、溝32内を前方(図において左方)に移動しながら溶融させられ、可塑化が行われるとともに、スクリュー19の前端からスクリュー19内に進入する。これに伴って、計量が行われ、プランジャ21が後退(図において右方向に移動)させられ、プランジャ21の前方に樹脂が溜(た)められる。また、射出工程時に、前記スクリュー19を前進させてスクリュー19の前端を加熱シリンダ18の前端部の内壁に押し付け、スクリュー19の溝とスクリュー19内のプランジャ空間との連通を遮断した後、前記プランジャ21を前進(図において左方向に移動)させると、プランジャ21の前方に溜められた樹脂が射出ノズル26から射出される。
【0011】
この場合、スクリュー19内において、プランジャ21が軸方向に重ねて、かつ、進退自在に配設されるので、射出装置の幅方向又は高さ方向の寸法を小さくすることができる。また、一つの加熱シリンダ18内において可塑化、計量及び射出を行うことができるので、樹脂の滞留時間を短くすることができ、樹脂に焼け、すなわち、樹脂焼けが発生したり、樹脂替えが困難になったりすることがなく、射出装置の保守・管理性を向上させることができる。
【0012】
ところで、射出工程において、射出ノズル26から樹脂を射出する際に、プランジャ21の前方に溜められた樹脂が前記溝32内を逆流しないようにする必要がある。そこで、射出工程において、スクリュー19を図示されない進退機構によって前進させ、スクリュー19の前端を所定の押付圧力で加熱シリンダ18の前端部の内壁に押し付けて樹脂の流路を遮断するようにしている。
【0013】
【特許文献1】
特開平7−290533号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の射出装置においては、前記進退機構が必要になるだけでなく、射出に伴って発生する樹脂の圧力、すなわち、射出圧力に負けてスクリュー19が加熱シリンダ18の前端部の内壁から離れることがないように、前記押付圧力を十分に大きくする必要があるので、進退機構の駆動部の容量を大きくする必要があり、射出装置のコストが高くなってしまう。
【0015】
また、押付圧力を十分に大きくするためには、進退機構の駆動部としてモータを使用することが困難であり、設計上の制約が発生してしまう。
【0016】
さらに、スクリュー19が移動した分だけ樹脂の密度が変化してしまうので、成形品の品質が低下してしまう。
【0017】
本発明は、前記従来の射出装置の問題点を解決して、コストを低くすることができ、成形品の品質を向上させることができる射出装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の射出装置においては、第1のシリンダ室において進退自在に配設され、前進に伴って成形材料を射出する射出部材と、第2のシリンダ室において回転自在に配設され、回転に伴って成形材料を溝に沿って前進させ、可塑化する可塑化部材と、前記第2のシリンダ室の前端部において、前記可塑化部材に対して進退自在に配設された逆流防止体とを有する。
【0019】
そして、射出工程時の成形材料の圧力を前記逆流防止体に加えるための第1の流路部、該第1の流路部と連通させられ、後方に向けて延びる第2の流路部、及び該第2の流路部と連通させられ、前記逆流防止体が前位置に置かれたときに開放され、後位置に置かれたときに閉鎖される第3の流路部が形成される。
【0020】
本発明の他の射出装置においては、さらに、前記第1のシリンダ室は前記可塑化部材内に形成される。そして、前記第2のシリンダ室はシリンダ部材内に形成される。
【0021】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記第1のシリンダ室は第1のシリンダ部材内に形成される。そして、前記第2のシリンダ室は第2のシリンダ部材内に形成される。
【0022】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記逆流防止体は環状の形状を有する。そして、前記可塑化部材は、前記逆流防止体の穴に向けて突出する前端凸部を有する。また、前記第2の流路部は、逆流防止体と前端凸部との間に形成される。
【0023】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記第2のシリンダ室の前端部の内壁に前記逆流防止体と当接する凸部が形成される。
【0024】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記第2の流路部は逆流防止体を貫通して形成される。
【0025】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記逆流防止体は断面が矩(く)形の形状を有する。
【0026】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記逆流防止体は断面が円形の形状を有する。
【0027】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記逆流防止体は大径部及び小径部を備える。そして、大径部の外周面及び小径部の外周面と前記シリンダ部材の内周面とが摺(しゅう)動させられる。
【0028】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記逆流防止体は前記シリンダ部材に対して回止めがされる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図1は本発明の第1の実施の形態における射出装置の要部を示す断面図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるチェックリングの正面図、図4は本発明の第1の実施の形態における計量工程時のチェックリングの動作を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態における射出工程時のチェックリングの動作を示す図である。
【0031】
図において、14は可塑化装置としての射出装置であり、該射出装置14は、シリンダ部材としての円筒状の加熱シリンダ18、該加熱シリンダ18内において、加熱シリンダ18に対して回転自在に配設され、回転に伴って成形材料としての樹脂の可塑化を行う可塑化部材としての円筒状のスクリュー19、並びに該スクリュー19内において進退(図1において左右方向に移動)自在に配設された計量部材及び射出部材としてのインライン型の円柱状のプランジャ21を備える。なお、前記スクリュー19内に第1のシリンダ室が、加熱シリンダ18内に第2のシリンダ室が形成される。
【0032】
前記加熱シリンダ18の前端(図1において左端)には射出ノズル26が取り付けられ、該射出ノズル26の前端にノズル口27が形成され、前記加熱シリンダ18の後端部(図1において右端部)には図示されないホッパが配設され、該ホッパ内に樹脂が収容される。なお、前記加熱シリンダ18及び射出ノズル26の外周には、加熱部材としての図示されないヒータが配設される。また、前記スクリュー19は、本体部、及び該本体部の外周に突出させて形成された図示されない螺旋状のフライトから成り、該フライトに沿って螺旋状の溝が形成される。
【0033】
前記スクリュー19の後方(図1において右方)には、スクリュー19を回転させるための可塑化用の駆動部としての図示されない可塑化用モータが、前記プランジャ21の後方には、プランジャ21を進退させるための射出用の駆動部としての図示されない射出用モータが配設され、また、射出用モータとプランジャ21との間には、回転運動を直進運動に変換する運動方向変換部としての図示されないボールねじが配設される。なお、プランジャ21の駆動源としてリニアモータを使用する場合は、運動方向変換部が不要である。したがって、計量工程時に、前記可塑化用モータを駆動することによってスクリュー19を回転させて可塑化を行うとともに、前記溝内の樹脂を第1のシリンダ室に送って計量を行い、射出工程時に、射出用モータを駆動することによってプランジャ21を前進させ、射出を行うことができる。
【0034】
この場合、スクリュー19内において、プランジャ21が軸方向に進退自在に配設されるので、射出装置14の幅方向又は高さ方向の寸法を小さくすることができる。
【0035】
ところで、計量工程時に溝内の樹脂を第1のシリンダ室に送るために、スクリュー19の前端と加熱シリンダ18の前端部の内壁との間に成形材料流路としての樹脂流路33が形成される。また、射出工程時にプランジャ21の前方(図1において左方)の樹脂が前記樹脂流路33を介して第2のシリンダ室内に逆流しないように、前記樹脂流路33に逆流防止装置34が配設される。
【0036】
該逆流防止装置34は、第2のシリンダ室の前端部(図1において左端部)においてスクリュー19に対して進退自在に配設された逆流防止体としての環状のチェックリング38、前記スクリュー19の前端部に形成され、前記チェックリング38の穴を貫通して延び、所定の軸方向寸法を有し、かつ、外径がスクリュー19の本体部の外径より小さい前端凸部としての円筒部35、及び前記加熱シリンダ18の前端部の内壁にチェックリング38と当接させて形成され、所定の軸方向寸法を有し、かつ、内径が円筒部35の外径より大きい環状の凸部41から成る。前記チェックリング38は、軸方向の断面が矩形、本実施の形態においては、正方形の形状を有し、前記円筒部35の外径より所定の量だけ大きい内径、及び前記加熱シリンダ18の本体部(凸部41より後方の部分)の内径よりわずかに小さい外径を有し、前記円筒部35の外周面と加熱シリンダ18の本体部の内周面との間において、軸方向に、かつ、円周方向に移動自在に配設される。
【0037】
そして、前記円筒部35の前端に環状の第1の対向面S1が、加熱シリンダ18の内周面における前記凸部41より径方向内方に前記第1の対向面S1と対向させて第2の対向面S2が形成される。また、前記チェックリング38の前端に環状の第1の当接面T1が、凸部41の後端に第1の当接面T1と対向させて環状の第2の当接面T2が、前記円筒部35の後端において、本体部の前端に環状の第3の当接面T3が、前記チェックリング38の後端に第3の当接面T3と対向させて環状の第4の当接面T4が形成される。前記チェックリング38は、第1、第2の当接面T1、T2が当接し、第3、第4の当接面T3、T4が離間させられる前位置、及び第1、第2の当接面T1、T2が離間させられ、第3、第4の当接面T3、T4が当接する後位置を選択的に採る。
【0038】
なお、本実施の形態において、前記第1、第2の対向面S1、S2、及び第1〜第4の当接面T1〜T4は、スクリュー19の軸に対して直角に形成されるが、所定の角度で傾かせて形成することもできる。
【0039】
ところで、前記スクリュー19は、軸方向に移動することなく、定位置で回転させられるようになっていて、前記第1、第2の対向面S1、S2間には、可塑化された樹脂を円滑に通過させることができるだけの隙(すき)間によって、射出圧力を前記チェックリング38に加えるための第1の流路部43が形成される。また、前述されたように、前記チェックリング38の内径は、円筒部35の外径より大きくされ、チェックリング38の内周面と円筒部35の外周面との間に、可塑化された樹脂を円滑に通過させることができるだけの隙間によって、前記第1の流路部43と連通させられ、後方に向けて延びる第2の流路部44が形成される。そして、第3、第4の当接面T3、T4間に、前記第2の流路部44と連通させられ、チェックリング38が前位置に置かれたときに開放され、可塑化された樹脂を円滑に通過させることができるだけの隙間を形成し、チェックリング38が後位置に置かれたときに閉鎖される第3の流路部45が形成され、各第1〜第3の流路部43〜45によって前記樹脂流路33が構成される。また、前記第1、第2の対向面S1、S2間に可塑化促進部が形成される。
【0040】
次に、前記構成の射出装置14の動作について説明する。
【0041】
まず、計量工程が開始されると、図示されない制御部の計量処理手段は、計量処理を行い、前記可塑化用モータを正方向に駆動して、スクリュー19を正方向に回転させる。それに伴って、可塑化が行われ、ホッパ内の樹脂が、第2のシリンダ室に進入し、溝に沿って前進させられ、その間に、ヒータによって加熱され、溶融させられる。なお、スクリュー19が回転するのに伴って溝内の樹脂に、前方に移動させようとする力を加えることができるように、前記加熱シリンダ18の内周面はスクリュー19の外周面より粗くされ、加熱シリンダ18の内周面と樹脂との摩擦係数は、スクリュー19の外周面と樹脂との摩擦係数より大きくされる。
【0042】
そして、樹脂がチェックリング38の第4の当接面T4に当たり、その押圧力によって前記チェックリング38が前位置に置かれると、第3の流路部45が開放される。したがって、樹脂は、図4に示されるように、第3の流路部45、第2の流路部44及び第1の流路部43を矢印A方向に流れた後、第1のシリンダ室に進入して矢印B方向に流れ、第1のシリンダ室におけるプランジャ21より前方に溜められる。このようにして計量が行われる。
【0043】
このとき、プランジャ21より前方に溜められた樹脂の圧力がプランジャ21に加わり、プランジャ21は後退させられる。なお、前記計量処理手段は、前記プランジャ21に加わる樹脂の圧力を図示されない圧力センサ等によって検出し、前記圧力が所定の値になるように前記射出用モータをプランジャ21が後退する方向に駆動する。それに伴って、所定の背圧をプランジャ21に加えながらプランジャ21を後退(図1及び4において右方向に移動)させる。そして、該プランジャ21があらかじめ設定された計量終了位置に到達すると、前記計量処理手段は、可塑化用モータの駆動を停止させ、スクリュー19の回転を停止させるとともに、射出用モータの駆動を停止させ、プランジャ21を停止させる。
【0044】
次に、射出工程が開始されると、前記制御部の射出処理手段は、射出処理を行い、前記射出用モータをプランジャ21を前進させる方向、すなわち、正方向に駆動し、プランジャ21を前進(図1及び4において左方向に移動)させる。その結果、図5に示されるように、前記プランジャ21より前方に溜められた樹脂は矢印C方向に流れ、射出ノズル26から射出される。このとき、射出圧力が、第1の流路部43を介して矢印D方向に伝わり、第1の当接面T1に樹脂圧が加わり、チェックリング38が後位置に置かれる。
【0045】
それに伴って、第3の流路部45が閉鎖されるので、第1、第2の流路部43、44内の樹脂が第3の流路部45に送られることがない。すなわち、第1のシリンダ室内の樹脂が第2のシリンダ室内に逆流するのを防止することができる。
【0046】
そして、前記プランジャ21があらかじめ設定された射出終了位置に到達すると、前記射出処理手段は、射出用モータの駆動を停止させ、プランジャ21を停止させる。
【0047】
なお、本実施の形態においては、チェックリング38の内周面と円筒部35の外周面との間に第2の流路部44が形成されるようになっているが、チェックリング38の内径を円筒部35の外径よりわずかに大きくし、チェックリング38の内周面において軸方向に形成された溝、円筒部35の外周面において軸方向に形成された溝、又はチェックリング38における第3の当接面T3と対向する部分において開口し、チェックリング38を貫通させて軸方向に形成された穴によって第2の流路部を形成することができる。
【0048】
このように、一つの加熱シリンダ18内において可塑化、計量及び射出を行うことができるので、樹脂の滞留時間を短くすることができる。したがって、樹脂焼けが発生したり、樹脂替えが困難になったりするのを防止することができ、射出装置14の保守・管理性を向上させることができる。
【0049】
そして、計量工程時に、チェックリング38は前位置に置かれ、第3の流路部45が開放されるので、溝内の樹脂を第1のシリンダ室に送り、計量を行うことができ、射出工程時に、チェックリング38は後位置に置かれ、第3の流路部45が閉鎖されるので、プランジャ21の前方に溜められた樹脂が第2のシリンダ室内に逆流するのを防止することができる。
【0050】
また、前記チェックリング38は、第2のシリンダ室内の樹脂が第1のシリンダ室に流れるのに伴って前進させられ、第1のシリンダ室内の樹脂が第2のシリンダ室内に逆流しようとするのに伴って後退させられるので、チェックリング38の近傍で樹脂が滞留することがない。したがって、樹脂焼けが発生するのを防止することができるので、成形品の品質を向上させることができる。
【0051】
そして、前記チェックリング38は、前位置と後位置とのわずかな距離を移動するだけであるので、流路を密閉する際の第1のシリンダ室の樹脂量の変動を少なくすることができる。
【0052】
さらに、計量工程時に、チェックリング38は、前位置に置かれるので、回転しているスクリュー19と接触することがない。したがって、チェックリング38及びスクリュー19は、互いに摩耗させられることがない。また、スクリュー19の回転に伴って、樹脂の粘性によりチェックリング38が回転しようとするが、チェックリング38は環状の凸部41の第2の当接面T2に押し付けられるので、回転するのが抑制される。したがって、チェックリング38及び加熱シリンダ18の内周面は、ほとんど摩耗しない。
【0053】
また、第1のシリンダ室内の樹脂が第2のシリンダ室内に逆流するのを防止するために、スクリュー19の前端を加熱シリンダ18の内周面に押し付ける必要がなくなるので、スクリュー19の進退機構が不要になり、射出装置14のコストを低くすることができるだけでなく、設計上の制約が発生することがなくなる。しかも、第1のシリンダ室内の樹脂が第2のシリンダ室内に逆流するのを防止するために、スクリュー19の前端を加熱シリンダ18の内周面に形成された嵌入部内に嵌入させる必要もなくなるので、射出ノズル26から射出される樹脂の密度が変化することがない。したがって、成形品の品質を向上させることができる。さらに、射出工程時に、第3の流路部45が閉鎖されるのに伴って、射出圧力がチェックリング38より後方に位置する加熱シリンダ18に及ぶことがなくなる。したがって、図1に示されるように、加熱シリンダ18をチェックリング38より後方の部分で胴部47と先端部48とに分割し、アタッチメント化することができるので、スクリュー19の前端における分解・清掃、チェックリング38の交換等を容易に行うことができ、射出装置14の保守・管理性を一層高くすることができる。また、前記第1、第2の対向面S1、S2間の可塑化促進部の隙間を、スクリュー19を交換することなく変更することができる。
【0054】
そして、チェックリング38が単純な環状の形状を有するので、耐圧強度を大きくすることができ、射出装置14の耐久性を向上させることができる。
【0055】
ところで、本実施の形態において、チェックリング38は回転自在に配設されているので、計量工程時にスクリュー19を回転させるのに伴って、樹脂の粘性によってチェックリング38が回転することがある。その場合、チェックリング38の外周面及び加熱シリンダ18の内周面が摩耗する可能性がある。
【0056】
そこで、スクリュー19を回転させるのに伴ってチェックリング38が回転するのを防止するようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0057】
図6は本発明の第2の実施の形態におけるチェックリングの正面図である。
【0058】
図において、38は第2のシリンダ室の前端において可塑化部材としてのスクリュー19(図1)に対して進退自在に配設された逆流防止体としてのチェックリングであり、該チェックリング38の外周面の円周方向における1箇所以上、本実施の形態においては、4箇所に回止め用の凹部51が形成される。そして、シリンダ部材としての加熱シリンダ18の内周面における各凹部51と対応する箇所に、回止め用の図示されない凸部が形成され、前記各凹部51と凸部とが係合させられる。
【0059】
したがって、チェックリング38は加熱シリンダ18に対して回止めがされ、スクリュー19を回転させるのに伴ってチェックリング38が回転するのを防止することができるので、チェックリング38の外周面及び加熱シリンダ18の内周面が摩耗するのを防止することができる。
【0060】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0061】
図7は本発明の第3の実施の形態における射出装置の要部を示す断面図である。
【0062】
この場合、逆流防止装置34は、第2のシリンダ室の前端部(図において左端部)において可塑化部材としてのスクリュー19に対して進退(図において左右方向に移動)自在に配設された逆流防止体としての環状のチェックリング68、前記スクリュー19の前端部に形成され、前記チェックリング68の穴を貫通して延び、所定の軸方向寸法を有し、かつ、外径がスクリュー19の本体部の外径より小さい前端凸部としての円筒部55、及びシリンダ部材としての加熱シリンダ18の前端部の内周面に形成され、所定の軸方向寸法を有し、かつ、内径が前記円筒部55の外径より大きい環状の凸部56から成る。なお、前記チェックリング68は断面が円形の形状を有し、前記加熱シリンダ18の内周面における凸部56の後方(図における右方)にはチェックリング68に当接するように湾曲した第1の当接面T11が形成され、該第1の当接面T11は、外形がチェックリング68に沿った曲率で形成され、後端(図において右端)において加熱シリンダ18の本体部の内径と等しくされる。また、前記円筒部55の後端の近傍における外周には、チェックリング68に当接するように湾曲した第2の当接面T12が形成され、外形がチェックリング68に沿った曲率で形成され、後端においてスクリュー19の本体部の外径と等しくされる。
【0063】
また、前記チェックリング68は、前記円筒部55の外径より所定の量だけ大きい内径、及び前記加熱シリンダ18の本体部の内径よりわずかに小さい外径を有し、前記円筒部55の外周面と加熱シリンダ18の本体部の内周面との間において、軸方向に、かつ、円周方向に移動自在に配設される。
【0064】
そして、前記チェックリング68は、チェックリング68の前端面(図において左端面)と第1の当接面T11とが当接し、チェックリング68の後端面(図において右端面)と第2の当接面T12とが離間させられる前位置、及びチェックリング68の前端面と第1の当接面T11とが離間させられ、チェックリング68の後端面と第2の当接面T12とが当接する後位置を選択的に採る。
【0065】
ところで、前記スクリュー19は、軸方向に移動することなく、定位置で回転させられるようになっていて、前記第1、第2の対向面S1、S2間には、可塑化された成形材料としての樹脂を円滑に通過させることができるだけの隙間によって、射出圧力を前記チェックリング68に加えるための第1の流路部43が形成される。また、前述されたように、前記チェックリング68の内径は、円筒部55の外径より大きくされ、チェックリング68の内周面と円筒部55の外周面との間に、計量された樹脂を円滑に通過させることができるだけの隙間によって、第1の流路部43と連通させられ、後方に向けて延びる第2の流路部44が形成される。そして、チェックリング68の後端面と第2の当接面T12との間に、前記第2の流路部44と連通させられ、チェックリング68が前位置に置かれたときに開放され、可塑化された樹脂を円滑に通過させることができるだけの隙間を形成し、チェックリング68が後位置に置かれたときに閉鎖される第3の流路部45が形成され、各第1〜第3の流路部43〜45によって前記樹脂流路33(図1)が構成される。
【0066】
この場合、計量工程時に、第2のシリンダ室内を前進(図において左方向に移動)させられた樹脂がチェックリング68の後端面に当たり、その押圧力によりチェックリング68が前位置に置かれると、第3の流路部45が開放される。したがって、樹脂は、第3の流路部45、第2の流路部44及び第1の流路部43を流れた後、第1のシリンダ室に進入して流れ、該第1のシリンダ室における計量部材及び射出部材としてのプランジャ21より前方(図において左方)に溜められる。
【0067】
また、射出工程時に、射出圧力が第1の流路部43を介して矢印D(図5)方向に伝わり、前記チェックリング68の前端面に樹脂の射出圧力が加わり、チェックリング68が後位置に置かれると、第3の流路部45が閉鎖されるので、第1、第2の流路部43、44内の樹脂が第3の流路部45に送られることがない。すなわち、第1のシリンダ室内の樹脂が第2のシリンダ室内に逆流するのを防止することができる。
【0068】
本実施の形態において、チェックリング68は、第2のシリンダ室内の樹脂が第1のシリンダ室に流れるのに伴って前進させられ、第1のシリンダ室内の樹脂が第2のシリンダ室内に逆流しようとするのに伴って後退させられるので、チェックリング68の近傍で樹脂が滞留することがない。しかも、チェックリング68の断面が円形の形状を有するので、樹脂が滞留するのを一層防止することができる。したがって、樹脂焼けが発生するのを一層防止することができるので、成形品の品質を一層向上させることができる。
【0069】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0070】
図8は本発明の第4の実施の形態における射出装置の要部を示す断面図である。
【0071】
この場合、逆流防止装置34は、第2のシリンダ室の前端部(図において左端部)において可塑化部材としてのスクリュー19に対して進退(図において左右方向に移動)自在に配設された逆流防止体としての環状のチェックリング78、前記スクリュー19の前端部に形成され、前記チェックリング78の穴を貫通して延び、所定の軸方向寸法を有し、かつ、外径がスクリュー19の本体部の外径より小さい前端凸部としての円筒部35、及び前記加熱シリンダ18の前端部の内周面に形成され、所定の軸方向寸法を有し、かつ、内径が円筒部35の外径より大きい環状の凸部41から成る。前記チェックリング78は、断面が「L」字形の形状を有し、外径の大きい環状の大径部79、及び該大径部79から前方(図において左方)に突出させられ、外径の小さい環状の案内部としての小径部80を備える。そして、チェックリング78は、前記円筒部35の外径より所定の量だけ大きい内径を有するとともに、大径部79において、前記加熱シリンダ18の本体部の内径よりわずかに小さい外径を有し、小径部80において、前記凸部41の内径よりわずかに小さい外径を有し、前記円筒部35の外周面と加熱シリンダ18の内周面との間において、軸方向に、かつ、円周方向に移動自在に配設される。
【0072】
この場合、前記チェックリング78が進退させられる際に、小径部80が凸部41によって案内されるので、チェックリング78を円滑に移動させることができる。また、射出工程時において、射出圧力が小径部80の前端にだけ加わるので、チェックリング78における受圧面積を小さくすることができる。したがって、計量工程時において、溝内の樹脂の圧力が低くても、第3の流路部45を確実に開放することができる。
【0073】
次に、チェックリングをプリプラ方式の射出装置に適用した本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0074】
図9は本発明の第5の実施の形態における射出装置の要部を示す断面図である。
【0075】
図において、81は第1の加熱シリンダ、82は第2の加熱シリンダ、83、84は連結部であり、前記第1の加熱シリンダ81内において計量部材及び射出部材としてのプランジャ21が進退(図において左右方向に移動)自在に配設され、前記第2の加熱シリンダ82内において可塑化部材としてのスクリュー85が回転自在に配設される。なお、前記第1、第2の加熱シリンダによって第1、第2のシリンダ部材が構成され、第1、第2の加熱シリンダ内に第1、第2のシリンダ室が形成される。
【0076】
逆流防止装置34は、第2のシリンダ室の前端部(図において左端部)においてスクリュー85に対して進退自在に配設された逆流防止体としての環状のチェックリング38、前記スクリュー85の前端部に、チェックリング38に向けて突出させて形成され、所定の軸方向寸法を有し、かつ、外径がスクリュー85の本体部の外径より小さい前端凸部としての円筒部86、及び前記第2の加熱シリンダ82の前端部の内周面に形成され、所定の軸方向寸法を有し、かつ、内径が円筒部86の外径より大きい環状の凸部41から成る。前記チェックリング38は、断面が矩形、本実施の形態においては、正方形の形状を有し、前記円筒部86の外径より所定の量だけ大きい内径、及び前記第2の加熱シリンダ82の本体部(凸部41より後方の部分)の内径よりわずかに小さい外径を有し、前記円筒部86の外周面と第2の加熱シリンダ82の本体部の内周面との間において、軸方向に、かつ、円周方向に移動自在に配設される。
【0077】
この場合、計量工程時に、図示されないホッパ内の成形材料としての樹脂が、第2のシリンダ室に進入し、溝内を前進させられ、その間に、加熱部材としての図示されないヒータによって加熱され、溶融させられる。
【0078】
そして、樹脂がチェックリング38の後端面に当たり、その押圧力により該チェックリング38が前位置に置かれると、第3の流路部45が開放される。したがって、樹脂は、第3の流路部45、第2の流路部44及び第1の流路部43を流れた後、連結部83及び連結部84内の流路88、89を流れ、第1のシリンダ室に進入して流れ、プランジャ21より前方(図において右方)に溜められる。
【0079】
このとき、プランジャ21より前方に溜められた樹脂の圧力がプランジャ21に加わり、プランジャ21は後退(図において右方向に移動)させられる。
【0080】
次に、射出工程時に、プランジャ21を前進(図において右方向に移動)させると、該プランジャ21より前方に溜められた樹脂は、射出ノズル26から射出される。このとき、プランジャ21より前方の樹脂の射出圧力が流路89、流路88及び第1の流路部43を介して伝わり、チェックリング38の前端面に加わり、チェックリング38が後位置に置かれる。
【0081】
それに伴って、第3の流路部45が閉鎖されるので、第1、第2の流路部43、44内の樹脂が第3の流路部45に送られることがない。すなわち、第1のシリンダ室内の樹脂が第2のシリンダ室内に逆流するのを防止することができる。
【0082】
なお、本実施の形態において、円筒部86の軸方向寸法は、チェックリング38が後位置に置かれたときに、円筒部86の前端がチェックリング38の前端より突出することがないように設定されているが、前記各実施の形態においても、同様に、円筒部35、55の軸方向寸法を、チェックリング38、68、78が後位置に置かれたときに、円筒部35、55の前端がチェックリング38、68、78の前端より突出することがないように設定することもできる。
【0083】
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。なお、第5の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0084】
図10は本発明の第6の実施の形態における射出装置の要部を示す断面図である。
【0085】
図において、82は第2の加熱シリンダであり、該第2の加熱シリンダ82内において可塑化部材としてのスクリュー91が回転自在に配設される。なお、該スクリュー91の前端面は平面状に形成される。前記第2の加熱シリンダ82によって第2のシリンダ部材が構成され、第2の加熱シリンダ82内に第2のシリンダ室が形成される。
【0086】
逆流防止装置34は、第2のシリンダ室の前端部(図において左端部)においてスクリュー91に対して進退(図において左右方向に移動)自在に配設された逆流防止体としての円板状のチェックリング92、及び前記第2の加熱シリンダ82の前端部の内周面に形成され、所定の軸方向寸法を有する環状の凸部41から成る。
【0087】
ところで、前記スクリュー91は、軸方向に移動することなく、定位置で回転させられるようになっていて、スクリュー91の前方に、可塑化された樹脂を円滑に通過させることができるだけの隙間によって、射出工程時の樹脂の圧力を前記チェックリング92の前端面に加えるための第1の流路部93が形成される。また、前記チェックリング92の所定の箇所、本実施の形態においては、中央部分に、可塑化された樹脂を円滑に通過させるための所定の径の穴が貫通させて形成され、該穴によって、前記第1の流路部93と連通させられ、後方(図において右方)に向けて延びる第2の流路部94が形成される。そして、チェックリング92が前位置に置かれたときに、スクリュー91の前端面(図において左端面)とチェックリング92の後端面(図において右端面)との間に、前記第2の流路部94と連通させられ、チェックリング92が前位置に置かれたときに開放され、計量された樹脂を円滑に通過させることができるだけの隙間を形成し、チェックリング92が後位置に置かれたときに閉鎖される第3の流路部95が形成される。
【0088】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0089】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、射出装置においては、第1のシリンダ室において進退自在に配設され、前進に伴って成形材料を射出する射出部材と、第2のシリンダ室において回転自在に配設され、回転に伴って成形材料を溝に沿って前進させ、可塑化する可塑化部材と、前記第2のシリンダ室の前端部において、前記可塑化部材に対して進退自在に配設された逆流防止体とを有する。
【0090】
そして、射出工程時の成形材料の圧力を前記逆流防止体に加えるための第1の流路部、該第1の流路部と連通させられ、後方に向けて延びる第2の流路部、及び該第2の流路部と連通させられ、前記逆流防止体が前位置に置かれたときに開放され、後位置に置かれたときに閉鎖される第3の流路部が形成される。
【0091】
この場合、前記第2のシリンダ室の前端において、逆流防止体が可塑化部材に対して進退自在に配設され、計量工程時に、逆流防止体は前位置に置かれ、第3の流路部が開放されるので、溝内の成形材料を第1のシリンダ室に送り、計量を行うことができ、射出工程時に、逆流防止体は後位置に置かれ、第3の流路部が閉鎖されるので、射出部材の前方に溜められた成形材料が第2のシリンダ室内に逆流するのを防止することができる。
【0092】
また、前記逆流防止体は、溝内の成形材料が第1のシリンダ室内に流れるのに伴って前進させられ、第1のシリンダ室内の成形材料が第2のシリンダ室内に逆流しようとするのに伴って後退させられるので、逆流防止体の近傍で成形材料が滞留することがない。したがって、成形材料に焼けが発生するのを防止することができるので、成形品の品質を向上させることができる。
【0093】
そして、前記逆流防止体は、前位置と後位置とのわずかな距離を移動するだけであるので、流路を密閉する際の第1のシリンダ室の樹脂量の変動を少なくすることができる。
【0094】
さらに、計量工程時に、逆流防止体は、前位置に置かれるので、回転している可塑化部材と接触することがない。したがって、逆流防止体及び可塑化部材は、互いに摩耗させられることがない。また、可塑化部材の回転に伴って、成形材料の粘性により逆流防止体が回転しようとするが、逆流防止体は環状の凸部の第2の当接面に押し付けられるので、回転するのが抑制される。したがって、逆流防止体及びシリンダ部材の内周面は、ほとんど摩耗しない。
【0095】
また、第1のシリンダ室内の成形材料が第2のシリンダ室内に逆流するのを防止するために、可塑化部材の前端をシリンダ部材の内周面に押し付ける必要がなくなるので、可塑化部材の進退機構が不要になり、射出装置のコストを低くすることができるだけでなく、設計上の制約が発生することがなくなる。しかも、第1のシリンダ室内の成形材料が第2のシリンダ室内に逆流するのを防止するために、可塑化部材の前端をシリンダ部材の内周面に形成された嵌入部内に嵌入させる必要もなくなるので、射出ノズルから射出される成形材料の密度が変化することがない。したがって、成形品の品質を向上させることができる。
【0096】
さらに、射出工程時に、第3の流路部が閉鎖されるのに伴って、第1、第2の流路部内の成形材料の圧力が逆流防止体より後方のシリンダ部材に及ぶことがなくなる。したがって、シリンダ部材を逆流防止体より後方の部分でアタッチメント化することができるので、可塑化部材の前端における分解・清掃、逆流防止体の交換等を容易に行うことができ、射出装置の保守・管理性を一層高くすることができる。また、可塑化促進部の隙間を、可塑化部材を交換することなく変更することができる。
【0097】
そして、逆流防止体が単純な環状の形状を有するので、耐圧強度を大きくすることができ、射出装置の耐久性を向上させることができる。
【0098】
本発明の他の射出装置においては、さらに、前記逆流防止体は断面が円形の形状を有する。
【0099】
この場合、前記逆流防止体は断面が円形の形状を有するので、成形材料が滞留するのを一層防止することができる。したがって、成形材料に焼けが発生するのを一層防止することができるので、成形品の品質を一層向上させることができる。
【0100】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記逆流防止体は大径部及び小径部を備える。そして、大径部の外周面及び小径部の外周面と前記シリンダ部材の内周面とが摺動させられる。
【0101】
この場合、射出工程時において、成形材料の圧力が小径部の前端にだけ加わるので、逆流防止体における受圧面積を小さくすることができる。したがって、計量工程時において、溝内の成形材料の圧力が低くても、第3の流路部を確実に開放することができる。
【0102】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記逆流防止体は前記シリンダ部材に対して回止めがされる。
【0103】
この場合、前記逆流防止体は前記シリンダ部材に対して回止めがされるので、逆流防止体の外周面及びシリンダ部材の内周面が摩耗するのを防止することができるだけでなく、逆流防止体の回転に伴って、逆流防止体の外周面とシリンダ部材の内周面との間の成形材料が剪断力を受けて発熱するのを防止することができる。その結果、成形材料に焼けが発生するのを防止することができるので、成形品の品質を向上させることができる。
【0104】
また、前記逆流防止体を回転させる必要がないので、逆流防止体の外周面とシリンダ部材の内周面との間の隙間を一層小さくすることができる。したがって、射出工程時における成形材料の密封性を一層高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における射出装置の要部を示す断面図である。
【図2】従来のインライン型プランジャ方式の射出装置の要部を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるチェックリングの正面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における計量工程時のチェックリングの動作を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における射出工程時のチェックリングの動作を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるチェックリングの正面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における射出装置の要部を示す断面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態における射出装置の要部を示す断面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態における射出装置の要部を示す断面図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態における射出装置の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
14 射出装置
18 加熱シリンダ
19、85、91 スクリュー
21 プランジャ
35、55、86 円筒部
38、68、78、92 チェックリング
41 凸部
43〜45、93〜95 第1〜第3の流路部
79 大径部
80 小径部
81、82 第1、第2の加熱シリンダ

Claims (10)

  1. (a)第1のシリンダ室において進退自在に配設され、前進に伴って成形材料を射出する射出部材と、
    (b)第2のシリンダ室において回転自在に配設され、回転に伴って成形材料を溝に沿って前進させ、可塑化する可塑化部材と、
    (c)前記第2のシリンダ室の前端部において、前記可塑化部材に対して進退自在に配設された逆流防止体とを有するとともに、
    (d)射出工程時の成形材料の圧力を前記逆流防止体に加えるための第1の流路部、該第1の流路部と連通させられ、後方に向けて延びる第2の流路部、及び該第2の流路部と連通させられ、前記逆流防止体が前位置に置かれたときに開放され、後位置に置かれたときに閉鎖される第3の流路部が形成されることを特徴とする射出装置。
  2. (a)前記第1のシリンダ室は前記可塑化部材内に形成され、
    (b)前記第2のシリンダ室はシリンダ部材内に形成される請求項1に記載の射出装置。
  3. (a)前記第1のシリンダ室は第1のシリンダ部材内に形成され、
    (b)前記第2のシリンダ室は第2のシリンダ部材内に形成される請求項1に記載の射出装置。
  4. (a)前記逆流防止体は環状の形状を有し、
    (b)前記可塑化部材は、前記逆流防止体の穴に向けて突出する前端凸部を有し、
    (c)前記第2の流路部は、逆流防止体と前端凸部との間に形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の射出装置。
  5. 前記第2のシリンダ室の前端部の内壁に前記逆流防止体と当接する凸部が形成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の射出装置。
  6. 前記第2の流路部は逆流防止体を貫通して形成される請求項1〜5のいずれか1項に記載の射出装置。
  7. 前記逆流防止体は断面が矩形の形状を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の射出装置。
  8. 前記逆流防止体は断面が円形の形状を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の射出装置。
  9. (a)前記逆流防止体は大径部及び小径部を備え、
    (b)大径部の外周面及び小径部の外周面と前記シリンダ部材の内周面とが摺動させられる請求項1に記載の射出装置
  10. 前記逆流防止体は前記シリンダ部材に対して回止めがされる請求項1に記載の射出装置。
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