JP2005000761A - 水処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビル空調、一般工場、石油化学コンビナートなどの熱交換器の冷却水系において、スケール付着や、微生物、金属腐食による障害を防止して熱交換器を効率的に運転し、さらに高濃縮運転を達成するために有効な水処理方法を提供する。
【解決手段】循環冷却水系の水処理方法において、(A)原水又は冷却水をカチオン交換樹脂により軟化又は脱塩し、軟化又は脱塩された水を冷却水系に供給する工程、(B)ハロゲンイオン含有水の電解によって遊離残留ハロゲンを発生させ、遊離残留ハロゲンを含む水を冷却水系に添加する工程、及び、(C)シリカゲルを充填したカラムに冷却水を通水し、冷却水系に返送する工程を有することを特徴とする冷却水系の水処理方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ビル空調、一般工場、石油化学コンビナートなどの熱交換器の冷却水系において、スケール付着や、微生物、金属腐食による障害を防止して熱交換器を効率的に運転し、さらに高濃縮運転を達成するために有効な水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水資源の不足や有効利用の観点から、冷却水の使用量を削減するために、濃縮倍数を上げた運転が行われている。しかし、冷却水の濃縮倍数を上げると、無機イオンの濃度上昇によるスケール付着障害、栄養源濃度の上昇による微生物由来のスライム障害、さらにはスライムが付着した金属面では腐食が起こりやすくなるために、その対策が必要となる。スケールやスライムの付着が起こると、熱交換器の伝熱効率の低下、配管の閉塞、冷却塔における放冷効率の低下などの多大なエネルギーロスを生じ、さらには洗浄のための多大な費用、時間、労力が必要になる。また、腐食が生じると、伝熱効率の低下、冷却水の着色などが生じ、熱交換器や配管に穴が開いた場合には、熱交換器自体の運転が不可能になり、工場における生産や空調系に甚大な影響を及ぼす。
スケールの種類は大きくカルシウム系スケールとシリカ系スケールに分けられる。カルシウム系スケール付着防止には、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基などを有する有機ポリマーや、有機ホスホン酸、無機りん酸などのスケール防止剤を冷却水系に添加する方法がとられる場合が多い。しかし、スケール防止剤が適用し得る冷却水の硬度には上限があり、使用範囲が限られる。そこで、その課題を解決する有効な方法として、イオン交換樹脂による脱塩(特許文献1)、軟化(特許文献2)などが提案されている。これらの方法は、水中からスケールの原因となるカルシウムイオンやマグネシウムイオンを除去するものであり、冷却水の高濃縮化には有効である。一方、シリカ系スケール付着防止についても、これまでに様々な技術が提案されている。例えば、カチオン系ポリマー、ハロゲン化脂肪族ニトロアルコール及びホスホン酸の使用(特許文献3)、N−ビニルカルボン酸アミド単位を含有する重合体又はそれを加水分解することによって得られるアミノ基を有する重合体の使用(特許文献4)などがあるが、これらのポリマーはカチオン性であるために、水中のシリカのみならず、配管や微生物由来の汚れであるスライムにも吸着されやすく消耗されやすいために、シリカスケール防止効果が安定しないという問題がある。その結果、シリカ濃度の高い水を補給水としている地域での冷却水の高濃縮化は、特に困難な状況にある。
スライム障害防止には、通常、有機ハロゲン化合物やヒドラジンを冷却水に添加することが行われている。しかし、これらの薬剤は殺菌剤である場合が多く、皮膚に直接触れないようにする必要があり、安全性の面で取り扱いには十分な注意が必要である。また、これらの薬剤を添加しても、冷却塔での揮散や系内での消耗により、有効成分濃度が一定せず、効果が安定しない。これを解決する技術として、冷却水中の塩化物イオンを電解し、発生させた次亜塩素酸を冷却水系に添加する殺菌方法が提案されている(特許文献5)。この方法によれば、安全にかつ安定してスライム処理を行うことができるが、冷却水の高濃縮運転を実現することは困難である。
【特許文献1】
特開昭48−13936号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開平9−94598号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開平7−256266号公報(第2頁)
【特許文献4】
特開平10−165986号公報(第2頁)
【特許文献5】
特開2001−314862号公報(第2頁)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ビル空調、一般工場、石油化学コンビナートなどの熱交換器の冷却水系において、スケール付着や、微生物、金属腐食による障害を防止して熱交換器を効率的に運転し、さらに高濃縮運転を達成するために有効な水処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、原水又は冷却水を軟化又は脱塩する方法、ハロゲンイオン含有水の電解によって発生する遊離残留ハロゲンを冷却水に添加する方法、及び、冷却水をシリカゲルに接触させてシリカを除去する方法を組み合わせることにより、3者の間に相乗的な効果が発現し、従来の技術では達成できない水準の冷却水系の安定した高濃縮運転が可能となることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)循環冷却水系の水処理方法において、(A)原水又は冷却水をカチオン交換樹脂により軟化又は脱塩し、軟化又は脱塩された水を冷却水系に供給する工程、(B)ハロゲンイオン含有水の電解によって遊離残留ハロゲンを発生させ、遊離残留ハロゲンを含む水を冷却水系に添加する工程、及び、(C)シリカゲルを充填したカラムに冷却水を通水し、冷却水系に返送する工程を有することを特徴とする冷却水系の水処理方法、
(2)原水をカチオン交換樹脂により軟化し、軟化された水を原水と混合して補給水とし、冷却水系に供給する第1項記載の水処理方法、
(3)ハロゲンイオン含有水を、軟化又は脱塩された水にハロゲン化物を溶解することにより調製する第1項記載の水処理方法、
(4)遊離残留ハロゲンが遊離残留塩素であり、冷却水中の遊離残留塩素の濃度が、0.05〜1mgCl/Lである第1項記載の水処理方法、及び、
(5)電解に用いる電極が、白金の単体若しくは酸化物又はイリジウムの単体若しくは酸化物の少なくとも一種類を主材料とする第1項記載の水処理方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の水処理方法は、循環冷却水系の水処理方法において、(A)原水又は冷却水をカチオン交換樹脂により軟化又は脱塩し、軟化又は脱塩された水を冷却水系に供給する工程、(B)ハロゲンイオン含有水の電解によって遊離残留ハロゲンを発生させ、遊離残留ハロゲンを含む水を冷却水系に添加する工程、及び、(C)シリカゲルを充填したカラムに冷却水を通水し、冷却水系に返送する工程を有する冷却水系の水処理方法である。
本発明の水処理方法によれば、ビル空調、一般工場、石油化学コンビナートなどの熱交換器の冷却水系において、スケール付着や、微生物、金属腐食による障害を防止して熱交換器を効率的に運転し、かつ安定した高濃縮運転を達成することができる。
本発明方法において、原水又は冷却水を軟化する場合、使用するカチオン交換樹脂に特に制限はなく、例えば、アルカリ金属形強酸性カチオン交換樹脂、アルカリ金属形弱酸性カチオン交換樹脂などを挙げることができる。原水又は冷却水をカチオン交換樹脂を充填したカラムに通水し、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの硬度成分を除去することにより、軟化することができる。カチオン交換樹脂の充填量に特に制限はなく、対象とする冷却水系の規模、原水の水質、運転条件、メンテナンス条件などに応じて適宜選定することができる。カチオン交換樹脂の再生剤に特に制限はなく、例えば、食塩水、塩化カリウム水溶液、臭化ナトリウム水溶液、臭化カリウム水溶液などのハロゲン化アルカリの水溶液を挙げることができる。
【0006】
本発明方法において、原水又は冷却水を脱塩する場合、使用するカチオン交換樹脂に特に制限はなく、例えば、H形強酸性カチオン交換樹脂、H形弱酸性カチオン交換樹脂などを挙げることができる。また、カチオン交換樹脂と組み合わせて使用するアニオン交換樹脂に特に制限はなく、例えば、OH形強塩基性アニオン交換樹脂、OH形弱塩基性アニオン交換樹脂などを挙げることができる。これらの中で、H形強酸性カチオン交換樹脂とOH形強塩基性アニオン交換樹脂を好適に用いることができる。カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂の組み合わせ方に特に制限はなく、例えば、2床3塔式脱塩装置、3床4塔式脱塩装置などを挙げることができる。原水又は冷却水を、これらの脱塩装置に通水することにより、水中の全イオンをイオン交換して、脱塩水を得ることができる。カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂の充填量に特に制限はなく、対象とする冷却水系の規模、原水の水質、運転条件、メンテナンス条件などに応じて適宜選定することができる。カチオン交換樹脂の再生剤に特に制限はなく、例えば、塩酸などの酸を挙げることができる。アニオン交換樹脂の再生剤に特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などのアルカリを挙げることができる。
本発明方法において、カチオン交換樹脂による軟化又は脱塩は、原水又は冷却水のいずれについても行うことができるが、原水を軟化又は脱塩し、補給水として冷却水系に供給することが好ましい。軟化又は脱塩された水は、そのまま冷却水系に供給することができ、あるいは、軟化又は脱塩された水と原水とを混合して冷却水系に供給することもできる。軟化又は脱塩された水と原水との混合方法に特に制限はなく、いったんタンクに貯めて混合することができ、あるいは、配管中で混合して冷却水系に供給することもできる。
【0007】
本発明方法に用いるハロゲンイオン含有水に特に制限はなく、例えば、食塩水、塩化カリウム水溶液、臭化ナトリウム水溶液、臭化カリウム水溶液などのハロゲン化アルカリの水溶液、塩酸、臭素酸の水溶液などを挙げることができる。また、原水が塩化物イオンなどのハロゲンイオンを含む場合には、原水を用いることができ、冷却水をそのまま用いることもできる。食塩水などは、軟化に用いるカチオン交換樹脂の再生用の食塩水などを共用することができ、あるいは、電解用に独立してハロゲン化アルカリの水溶液タンクを設置することもできる。ハロゲンイオン含有水を調製する水に特に制限はなく、例えば、原水、軟化又は脱塩された水、冷却水などを挙げることができる。これらの中で、軟化又は脱塩された水は、電解に用いる電極の寿命を短くするおそれがないので、好適に用いることができる。従来の電解装置では、電極表面へのスケール付着を低減するために、一定時間ごとに極性の反転が必要であり、そのために電極の消耗が著しく、電極のメンテナンスに多大な費用がかかっていた。軟化又は脱塩された水でハロゲンイオン含有水を調製して電解槽に通水することにより、電極面におけるスケールの付着を防止することができ、電極の極性反転が不要となって、電極の寿命が格段に伸びる。
食塩水、塩化カリウム水溶液などの塩化物イオンを含む水を電解すると、遊離残留塩素が発生し、臭化ナトリウム水溶液、臭化カリウム水溶液などの臭化物イオンを含む水を電解すると、遊離残留臭素が発生する。本発明方法において、発生させる遊離残留ハロゲンに特に制限はなく、任意に選定することができる。これらの遊離残留ハロゲンは、殺菌剤として作用し、冷却水中における微生物の増殖を抑制する。発生させた遊離残留ハロゲンは、補給水に添加して冷却水系に添加することができ、あるいは、冷却水系に直接添加することもできる。
【0008】
本発明方法において、電極に用いる材料としては、例えば、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウムなどの白金族元素を挙げることができる。これらの中で、白金の単体若しくは酸化物又はイリジウムの単体若しくは酸化物の少なくとも一種類を主材料とする電極は、ハロゲンイオンの利用効率が高いので、特に好適に用いることができる。電解に際して、電極に印可する電圧は10〜40Vであることが好ましく、通電する電流は3A以上であることが好ましい。
本発明方法において、電解するハロゲンイオン含有水の濃度に特に制限はないが、ハロゲンイオン濃度が0.6g/L以上飽和濃度以下であることが好ましい。電解するハロゲンイオン含有水のハロゲンイオン濃度が0.6g/L未満であると、遊離残留ハロゲンの発生効率が低下するおそれがある。電解するハロゲンイオン含有水が過飽和状態であると、配管、ポンプ、バルブ、電極などへハロゲン化物が析出するおそれがある。本発明方法において、遊離残留ハロゲンの発生量は、対象とする冷却水系に応じて適宜選定することができる。遊離残留ハロゲンが遊離残留塩素である場合は、冷却水中の遊離残留塩素の濃度が0.05〜1mgCl/Lであることが好ましく、0.1〜0.6mgCl/Lであることがより好ましい。遊離残留塩素の濃度が0.05mgCl/L未満であると、スライム防止効果が十分に発現しないおそれがある。遊離残留塩素の濃度が1mgCl/Lを超えると、装置に腐食が発生するおそれがある。
【0009】
本発明方法において、冷却水を通水するシリカゲルを充填したカラムに特に制限はなく、例えば、冷却水の流入口と流出口を有するシリカゲルが充填されたカラムなどを挙げることができる。シリカゲルを充填したカラムへの通水は、下向流、上向流のいずれともすることができ、充填されたシリカゲルに流動床を形成させることもできる。本発明方法に用いるシリカゲルに特に制限はなく、天然シリカゲル、合成シリカゲルのいずれをも用いることができ、また、組成式SiO・nHOで表されるシリカゲルの他に、Alを含有するシリカアルミナ質ゲルや、ホワイトカーボンと呼ばれる無水ケイ酸、含水ケイ酸なども用いることができる。また、化学修飾されていない通常のシリカゲルの他に、メチル基、ブチル基、オクチル基、オクタデシル基、フェニル基などの炭化水素基で化学修飾されたシリカゲル、アミノ基、アミノプロピル基、第四級アンモニウム基、スルホン酸基などのイオン交換基などで化学修飾されたシリカゲルなども用いることができる。合成シリカゲルは、ケイ酸ナトリウムの水溶液を無機酸により中和し、析出した沈殿を水洗、乾燥することにより得ることができる。包装用シリカゲル乾燥剤や、乾燥用、クロマトグラフィー用などとして市販されているシリカゲルを用いることもできる。
本発明方法に用いるシリカゲルは、平均粒子径が1μm〜10mmであることが好ましく、20μm〜5mmであることがより好ましい。シリカゲルの平均粒子径が1μm未満であると、取り扱う際の作業性が悪くなり、カラムの通水抵抗が大きくなるおそれがある。シリカゲルの平均粒子径が10mmを超えると、取り扱う際の作業性が悪くなり、冷却水からのシリカ除去速度が低下するおそれがある。シリカゲルの形状に特に制限はなく、球状、破砕状などの任意の形状のシリカゲルを用いることができる。シリカゲルの比表面積に特に制限はないが、10〜1,000m/gであることが好ましく、150〜850m/gであることがより好ましい。シリカゲルの平均細孔径に特に制限はないが、1〜50nmであることが好ましく、2〜30nmであることがより好ましい。
【0010】
図1は、本発明の水処理方法の実施の一態様の系統図である。冷却塔1のピット2からポンプ3により冷却水が送り出され、熱交換器4で熱の伝達を受けて冷却塔に返送され、開放循環冷却水系を構成している。原水の一部が、カチオン交換樹脂塔5に通水されて軟化され、軟化された水の一部は、ライン6を経由し、原水と混合されて補給水となり、冷却水系に供給される。軟化された水の他の一部は、ライン7を経由して食塩水タンク8に供給され、食塩水タンクに食塩が投入されて、食塩水が調製される。食塩水タンクからポンプ9により食塩水が抜き出され、電解槽10に供給される。電解槽に供給される食塩水は、必要に応じてライン11から送られる軟化された水により希釈される。電解槽において発生した遊離残留塩素を含む水は、ライン12を経由して冷却塔のピットに添加される。食塩水タンク8の食塩水は、ライン13を経由してカチオン交換樹脂塔5に送られ、カチオン交換樹脂の再生に使用される。冷却塔ピットから、冷却水がポンプ14により抜き出され、シリカゲル充填カラム15に通水され、冷却水中のシリカが除去され、ライン16を経由して冷却塔ピットに返送される。
本発明方法においては、必要に応じて、殺菌剤などのスライムコントロール剤や、スケール防止剤、防食剤などを併用することができる。スライムコントロール剤としては、例えば、遊離ハロゲンを発生する無機化合物、ヒドラジン、有機ハロゲン化合物などを挙げることができる。スケール防止剤としては、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸と他のビニルモノマーとのコポリマー、ポリマレイン酸、マレイン酸や無水マレイン酸と他のビニルモノマーとのコポリマー、ポリイタコン酸、イタコン酸と他のビニルモノマーとのコポリマーなどの有機ポリマー、ニトリロトリメチレンホスホン酸、ヒドロキシエチリデンホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、ヘキサメタりん酸ナトリウムなどのりん系化合物などを挙げることができる。防食剤としては、例えば、クロム酸塩、亜鉛塩などの重金属塩、上記のりん系化合物、アニオン性の有機ポリマーなどを挙げることができる。
本発明の水処理方法によれば、原水又は冷却水を軟化又は脱塩してカルシウム、マグネシウム系スケールを防止し、ハロゲンイオン含有水の電解によって発生する遊離残留ハロゲンすなわち酸化剤を冷却水に添加してスライム障害を防止し、さらにシリカゲルを吸着剤として冷却水中のシリカを除去することにより、安定して冷却水系の高濃縮運転を達成することができる。
【0011】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
図1に示す系統からなる開放循環冷却水系を用いて、試験運転を行った。
伝熱面積が0.25mの熱交換器4を有する保有水量0.1mの開放循環冷却水系で、濃縮倍数を10倍として90日間運転した。熱交換器チューブの材質は銅で、外径19mmのものを用いた。温水温度は80℃、冷却水入口温度は30℃、出口温度は40℃、冷却水の流速は0.5m/秒とした。
試験期間中は、JIS K 0101にしたがって、冷却水のpH、カルシウム硬度、全硬度、Mアルカリ度、塩化物イオン濃度、シリカ濃度及び遊離残留塩素濃度を測定した。
90日間の試験終了後に、熱交換器チューブを取り外し、乾燥重量を測定してスケール付着量を求め、600℃で焼成して成分分析を行ない、酸不溶解分と、カルシウム分としてCaOを測定した。試験期間中、表面積40dmのゴム板3枚を冷却塔ピットに吊り下げて冷却水に浸漬し、試験終了後に乾燥重量を測定してスライム付着量を求めた。また、50mm×30mm×1mmの鉄テストピース3枚をアクリル樹脂製セルにネジ止めで固定し、循環冷却水の一部を流速1.5m/秒で通水し、試験終了後に錆を除去して乾燥重量を測定し、その重量減少から年あたりの厚さ減少に換算した腐食速度を求めた。
実施例1
(1)軟化する工程
補給水の原水として水道水を使用し、全補給水量の90容量%をNa型カチオン交換樹脂6Lを充填したカチオン交換樹脂塔5に通して軟化し、ライン6から冷却水系に補給した。全補給水量の10容量%は、水道水をそのまま供給した。
カチオン交換樹脂を通して軟化した水を、ライン7から食塩水タンク8に供給し、食塩として並塩を投入、溶解して、飽和食塩水を調製した。この飽和食塩水を、カチオン交換樹脂の再生に使用した。
原水、軟化水及び補給水の水質を、第1表に示す。
【0012】
【表1】
Figure 2005000761
【0013】
(2)遊離残留塩素を発生させる工程
上記の飽和食塩水を軟化した水で約10容量倍に希釈し、ポンプ9により5mL/分で電解槽10に送り、直流電圧24Vを印加し、電流5Aを供給し、遊離残留塩素を発生させた。
(3)シリカ除去工程
底部に金網を敷き、平均粒子径150μm、比表面積350cm/gのシリカゲル400gを充填した直径40mmの透明なアクリル樹脂製のシリカゲル充填カラム15に、ポンプ14により冷却水を流速20m/hで通水した。シリカゲルカラムを通過した冷却水は、ライン16により冷却水系に返送した。
上記の3工程を実施しながら、90日間の試験運転を行った。90日後の冷却水の水質は、pH9.1、カルシウム硬度32mgCaCO/L、全硬度52mgCaCO/L、Mアルカリ度428mgCaCO/L、塩化物イオン濃度112mgCl/L、シリカ濃度155mgSiO/L、遊離残留塩素濃度0.5mgCl/Lであった。
熱交換器チューブに、スケールは付着していなかった。スライム付着量は、0.2mg/dmであった。鉄腐食速度は、0.05mm/年であった。
比較例1
シリカ除去工程を省き、軟化する工程と、遊離残留塩素を発生させる工程を実施した以外は、実施例1と同じ操作、試験条件で90日間の試験運転を行った。
90日後の冷却水の水質は、pH9.0、カルシウム硬度32mgCaCO/L、全硬度52mgCaCO/L、Mアルカリ度426mgCaCO/L、塩化物イオン濃度110mgCl/L、シリカ濃度180mgSiO/L、遊離残留塩素濃度0.5mgCl/Lであった。
スケール付着速度は、38mg/cm/月であり、スケール成分は、CaO0.8重量%、酸不溶解分58.2重量%であった。スライム付着量は、0.8mg/dmであった。鉄腐食速度は、0.04mm/年であった。
比較例2
軟化する工程を省き、遊離残留塩素を発生させる工程と、シリカ除去工程を実施した以外は、実施例1と同じ操作、試験条件で90日間の試験運転を行った。
90日後の冷却水の水質は、pH8.7、カルシウム硬度88mgCaCO/L、全硬度178mgCaCO/L、Mアルカリ度130mgCaCO/L、塩化物イオン濃度112mgCl/L、シリカ濃度152mgSiO/L、遊離残留塩素濃度0.5mgCl/Lであった。
スケール付着速度は、69mg/cm/月であり、スケール成分は、CaO52.4重量%、酸不溶解分0.8重量%であった。スライム付着量は、0.6mg/dmであった。鉄腐食速度は、0.02mm/年であった。
比較例3
遊離残留塩素を発生させる工程を省き、軟化する工程と、シリカ除去工程を実施した以外は、実施例1と同じ操作、試験条件で90日間の試験運転を行った。
90日後の冷却水の水質は、pH9.0、カルシウム硬度31mgCaCO/L、全硬度52mgCaCO/L、Mアルカリ度430mgCaCO/L、塩化物イオン濃度114mgCl/L、シリカ濃度170mgSiO/L、遊離残留塩素濃度0.0mgCl/Lであった。
スケール付着速度は、5mg/cm/月であり、スケール成分は、CaO0重量%、酸不溶解分70.9重量%であった。スライム付着量は、17.2mg/dmであった。鉄腐食速度は、0.96mm/年であった。
比較例4
軟化する工程、遊離残留塩素を発生させる工程及びシリカ除去工程のすべてを省いた以外は、実施例1と同じ操作、試験条件で90日間の試験運転を行った。
90日後の冷却水の水質は、pH8.6、カルシウム硬度86mgCaCO/L、全硬度182mgCaCO/L、Mアルカリ度126mgCaCO/L、塩化物イオン濃度115mgCl/L、シリカ濃度186mgSiO/L、遊離残留塩素濃度0.0mgCl/Lであった。
スケール付着速度は、74mg/cm/月であり、スケール成分は、CaO42.2重量%、酸不溶解分41.4重量%であった。スライム付着量は、15.0mg/dmであった。鉄腐食速度は、0.68mm/年であった。
実施例1及び比較例1〜4の試験期間中の水質の推移を第2表に、スケール付着速度、スケール成分、スライム付着量及び鉄腐食速度を第3表に示す。
【0014】
【表2】
Figure 2005000761
【0015】
【表3】
Figure 2005000761
【0016】
【表4】
Figure 2005000761
【0017】
【表5】
Figure 2005000761
【0018】
【表6】
Figure 2005000761
【0019】
【表7】
Figure 2005000761
【0020】
第3表に見られるように、シリカ除去工程を省いた比較例1では、熱交換器チューブにシリカスケールと推定される酸不溶解物が多量に付着している。軟化の工程を省いた比較例2では、熱交換器チューブにカルシウム系スケールが多量に付着ている。遊離残留塩素を発生させる工程を省いた比較例3では、ゴム板にスライムが付着し、鉄の腐食速度も速い。軟化、遊離残留塩素の発生、シリカ除去のいずれも行わなかった比較例4では、シリカスケールとカルシウム系スケールの付着、スライム付着、鉄腐食がすべて生じている。冷却水系に軟化の工程、遊離残留塩素発生の工程及びシリカ除去工程を設けてこれらの処理を行った実施例1では、スケールが全く付着せず、スライムの付着量が少なく、鉄腐食速度も小さいことから、従来技術だけでは達成できなかった冷却水系の高濃縮処理が可能になることが分かる。
【0021】
【発明の効果】
本発明方法によって開放循環冷却水系の水を処理することにより、スケール付着、スライム付着及び金属腐食による障害を防止して、熱交換器を効率的に運転し、さらに高濃縮運転を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の水処理方法の実施の一態様の系統図である。
【符号の説明】
1 冷却塔
2 ピット
3 ポンプ
4 熱交換器
5 カチオン交換樹脂塔
6 ライン
7 ライン
8 食塩水タンク
9 ポンプ
10 電解槽
11 ライン
12 ライン
13 ライン
14 ポンプ
15 シリカゲル充填カラム
16 ライン

Claims (5)

  1. 循環冷却水系の水処理方法において、(A)原水又は冷却水をカチオン交換樹脂により軟化又は脱塩し、軟化又は脱塩された水を冷却水系に供給する工程、(B)ハロゲンイオン含有水の電解によって遊離残留ハロゲンを発生させ、遊離残留ハロゲンを含む水を冷却水系に添加する工程、及び、(C)シリカゲルを充填したカラムに冷却水を通水し、冷却水系に返送する工程を有することを特徴とする冷却水系の水処理方法。
  2. 原水をカチオン交換樹脂により軟化し、軟化された水を原水と混合して補給水とし、冷却水系に供給する請求項1記載の水処理方法。
  3. ハロゲンイオン含有水を、軟化又は脱塩された水にハロゲン化物を溶解することにより調製する請求項1記載の水処理方法。
  4. 遊離残留ハロゲンが遊離残留塩素であり、冷却水中の遊離残留塩素の濃度が、0.05〜1mgCl/Lである請求項1記載の水処理方法。
  5. 電解に用いる電極が、白金の単体若しくは酸化物又はイリジウムの単体若しくは酸化物の少なくとも一種類を主材料とする請求項1記載の水処理方法。
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