JP2004538233A - ガラス管の中空室を閉鎖する方法 - Google Patents

ガラス管の中空室を閉鎖する方法 Download PDF

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Abstract

ガラス管(10)の中空室(12)を閉鎖する方法であって、ここでは中空室(12)に、大気圧よりも高い圧力下の充填剤が存在しており、ガラス管(10)を作業室(30)内に配置し、該作業室(30)に、中空室(12)に作用する圧力よりも高い圧力を形成する。作業室(30)に加熱装置(50)を配置し、該加熱装置(50)が、ガラス管(10)を少なくとも片側において中空室(12)に続く区分(16)で取り囲むようにし、該加熱装置(50)を用いてガラス管(10)の前記区分(16)を溶融させ、溶融状態で、作業室(30)に作用する圧力によって押し合わせ、中空室(12)を少なくとも片側で閉鎖する。有利にはガラス管(10)は、特に自動車前照灯に使用するための放電ランプの発光管を形成する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式のガラス管の中空室を閉鎖する方法に関する。
【0002】
背景技術
そのような方法は、たとえば放電ガスランプの発光管として役立つガラス管を製作する際に用いられる。この場合中空室に充填剤、特に大気圧よりも高い圧力下のガス状の少なくとも1つの充填剤が存在している。中空室に作用するガス状の充填剤の必要圧力で中空室の閉鎖を達成するために、ガス状の充填剤が、中空室の既に閉鎖された側でガラス管を取り囲む液体窒素を用いて強く冷却されるので、ガス状の充填剤は固体の凝集状態に移行し、中空室には低圧または真空が作用する。次いでガラス管は、中空室の、まだ閉鎖されていない側で水素炎(Wasserstoffflamme)によって、ガラスが溶融するまで加熱され、比較的高い周囲圧および金属ジョー(Metallbacken)によって押し合わされる。このような方法は極めてコスト高であり、また実施しにくいものである。なぜならば加熱によってガス状の充填剤の圧力が再び高まるので、ガラス管の溶融は、窒素を用いた冷却から短い時間間隔で行う必要があり、また圧搾は極めて迅速に行う必要があるという理由による。その上水素炎によって広範囲の安全措置を講じる必要がある。
【0003】
発明の利点
これに対して、本発明による、請求項1記載の特徴を備えた、ガラス管の中空室を閉鎖する方法は、簡単に実施できるという利点を有している。なぜならばガス状の充填剤を冷却する必要がなく、中空室を閉鎖するために加熱装置を用いてガラス管を溶融すればよいからであり、ここではガラス管の中空室と作業室との間の、任意に調節可能な差圧によってガラス管は溶融箇所で押し合わされる。
【0004】
従属請求項には、本発明の有利な方法および改良形を記載した。請求項6記載の方法によれば、簡単な形式で作業室に高圧を形成することができ、さらにガラス管の破損ならびに加熱装置の酸化を防止することができる。請求項7記載の方法によれば、簡単な形式で加熱装置を制御することができる。
【0005】
実施例の説明
次に本発明の実施例を図示し、詳しく説明する。
【0006】
図1には、ガラス管10の中空室12を閉鎖する方法を実施するための装置を示した。ガラス管10は有利には放電ガスランプの発光管(Brenner)を成しており、この発光管は特に自動車の照明装置の光源として用いられる。ガラス管10は石英ガラスから成っていて、かつ長手方向でみてほぼ中央領域に厚み部14を備えており、この厚み部14に中空室12が形成されている。厚み部14の両側に、厚み部14よりも小さな横断面を有する管状区分16が続いている。管状区分16にはそれぞれ1つの電極18が配置されており、この電極18は一方の端部で、中空室12に突入していて、かつ他方の端部で、管状区分16に配置された金属箔20と結合されている。電極18は有利にはタングステンまたはタングステン合金から成っており、金属箔20は有利にはモリブデンまたはモリブデン合金から成っている。金属箔20と導線22とが接続しており、導線22は管状区分16内を延びている。導線22は有利にはモリブデンまたはモリブデン合金から成っている。
【0007】
中空室12には様々な充填剤、特に水銀が設けられている。さらに充填剤としてヨウ化物(金属ハロゲン)が含まれる。さらにガス状の充填剤、有利には希ガスが含まれる。希ガスとして有利にはキセノンが用いられ、ここではアルゴンまたはクリプトンを用いることもできる。キセノンは室温で約7barの圧力で中空室12に封入されていて、放電ランプの点灯および作動に際して迅速な発光を確保するのに役立つ。放電ランプの点灯後、発光は主に水銀によって行われ、ここでは光の色はヨウ化物によって影響を与えることができる。
【0008】
発光管を製作する際に、先ず厚み部14と管状区分16とを備えたガラス管10が石英ガラスから成形される。管状区分16を通って電極18、箔20ならびに導線22が挿入される。固体または液体の充填剤(水銀およびヨウ化物)が、中空室12に必要量注入される。次いで中空室12にキセノンであるまだガス状の充填剤を必要な圧力piで注入し、中空室12を閉鎖する必要がある。以下にこのための装置および方法について詳しく説明する。
【0009】
ガス状の充填剤を注入し、かつガラス管10の中空室12の閉鎖を行うために、ガラス管10は作業室30に挿入され、この作業室30には、中空室12に作用する圧力piよりも高い圧力paが形成される。作業室30の圧力paは、中空室12に作用する圧力piよりも少なくとも1bar高く調節される。有利には作業室30の圧力paは、中空室12の圧力piよりも著しく高く調節される。作業室30の圧力paと、中空室12の圧力piとの間の差は、ガラス管10の材料と、製作される発光管の要求特性とに応じて選択される。この場合ガス状の充填剤で中空室12を充填し、中空室12を閉鎖する間、作業室30の圧力paを可変に調節するようにすることもできる。
【0010】
作業室30は、ケーシング32によって仕切られており、このケーシング32はほぼ鉢状に形成されていて、かつ冷却のための、液体の充填された被覆体33を備えている。作業室30に、有利には希ガス、たとえばヘリウムが充填剤として供給され、これによって作業室30に比較的高い圧力paが形成される。このためにケーシング32は少なくとも1つの開口34を備えており、この開口34を通って、たとえばポンプを用いて外側から、または蓄圧器36から希ガスが供給される。ケーシング32は、有利には閉鎖された別の室38内に配置されており、この室38もまた希ガス、たとえばアルゴンで充填されているが、この室38には作業室30の圧力よりも低い圧力が存在する。希ガスで室38を充填することは、中空室12の充填剤を酸素との反応から保護するのに役立つ。ケーシング32は、さらに少なくとも1つの出口開口40を備えており、この出口開口40はたとえば弁42によって制御され、この弁42によって作業室30に作用する圧力paを制限することができる。ケーシング32は、個別的な底部44と蓋部46とを備えることができ、これらはケーシング32の残りの部分と密に結合されているが、ガラス管10を作業室30内に配置するため、かつガラス管10をケーシング32から取り出すために分離することができる。
【0011】
作業室30には加熱装置50が配置されており、この加熱装置50は有利には電気的な加熱装置である。選択的にプラズマ−バーナを加熱装置として用いることもできる。加熱装置50は直流電圧で駆動され、かつ小さな抵抗を有して形成されている。加熱装置50は、有利には黒鉛、タンタル、モリブデン、オスミウム、レニウムもしくはタングステンから成っているか、またはこれらの材料の混合物から成っている。加熱装置50は、少なくとも実質的に中空円筒状に形成されているので、この加熱装置50は、作業室30内に配置されたガラス管10では、ガラス管10の管状区分16の少なくとも1つを取り囲む。
【0012】
ガラス管10が、中空室12において閉鎖されていない状態で、作業室30内に配置されると、中空室12の片側で管状区分16が、中空室12をキセノンで充填せずに閉鎖される。この場合中空室12は室38と接続することができるので、この中空室12には、室38と同じ圧力が作用する。ガラス管10の管状区分16の、中空室12とは反対側の端部の傍で、ケーシング32の底部44と管状区分16との間にシール52が配置されており、このシール52によって作業室30がシールされる。ガラス管10の管状区分16を閉鎖するために、加熱装置50に電圧が供給される。電力は、放射によって作業室30に作用する希ガスを介して、また熱伝導によって管状区分16に伝達される。ガラス管10の管状区分16は、ガラスが溶融する程度に強く加熱される。作業室30に作用する圧力paによって、管状区分16が溶融状態で押し合わされるので、特に金属箔20が、また電極18および導線22の一部も、ガラスによって取り囲まれ、中空室12は閉鎖される。次いでガラス管10は冷却され、その結果ガラスは管状区分16の領域で再び凝固する。
【0013】
有利にはセンサ装置54によって、加熱中のガラス管10の管状区分16の状態が検出される。センサ装置54として、光センサ装置を用いることができ、この光センサは管状区分16の端面に配置されている。光センサ54によって、加熱時の管状区分16の光強度が検出され、この光強度は管状区分16の温度に比例していて、したがって管状区分16の石英ガラスの温度を間接的に測定するのに用いることができる。管状区分16のガラス温度の特性値に関する光センサ装置54の校正は、試験運転の間に実際の結果に基づいて行うことができる。センサ装置54によって形成される信号は、加熱装置50を制御するために用いられるので、管状区分16の加熱は、加熱装置50の加熱出力を適当に制御することによって最適に行うことができる。さらに加熱装置50の加熱出力は、管状区分16の厚さに関連していて、つまり加熱して溶融しようとするガラスの質量に関連している。
【0014】
作業室30の圧力paは、開口34を通る希ガスの適当な供給によって設定値に調節される。圧力paが加熱装置50の運転に際して高まると、場合によっては弁42によって制御して出口開口40を通ってガスを作業室30から排出して、この圧力paは制限される。
【0015】
ガラス管10において中空室12の片側で、管状区分16が前述の形式で閉鎖されていると、次いで中空室12の別の片側で管状区分16が閉鎖される。蓋部46は少なくとも1つの第1の開口56を備えており、この開口56を通って中空室12に必要な圧力下の希ガス、有利にはキセノンが供給される。さらにケーシング32の蓋部46は、少なくとも1つの第2の開口58を備えており、この第2の開口58を通って真空ポンプを用いた中空室12の排気が行われる。中空室12の排気は、中空室12におけるキセノンガスと別の成分との混合を防止するのに役立つ。蓋部46と、ガラス管10の管状区分16との間で、管状区分16の、中空室12とは反対側の端部の傍にシール60が配置されており、このシール60によって作業室30がシールされる。中空室12においてキセノンの必要な圧力piが維持されている間に加熱装置50が作動され、その結果ガラスが管状区分16において溶融し、作業室30の、中空室12に作用する圧力piよりも著しく高い圧力paによって押し合わされる。次いでガラス管10が冷却されるので、ガラスは再び硬化し、電極、金属箔20ならびに導線22が管状区分16に封入され、中空室12が閉鎖される。加熱装置50を制御するために、ガラス管10の他方の管状区分16と同じセンサ装置54かまたは別個のセンサ装置を使用することができる。有利にはガラス管10の両方の管状区分16の閉鎖を実施する際に、作業室30と中空室12との間の圧力差は少なくともほぼ同じに調節され、これによって両方の管状区分16は同じ特性を有することができる。
【0016】
充填剤による中空室12の充填は室38で行われ、また中空室12の閉鎖は作業室30で行われる。この作業室30は別の室38の内側に配置されている。作業室30の圧力paと、加熱装置50の加熱出力との制御は、簡単な形式で行うことができるので、中空室12を確実に閉鎖することができる。ガラス管10を形成する石英ガラスは、ガラス管10を製作するために使用する前に、比較的長時間にわたって真空−高熱処理され、これによってH2およびOH群が除去される。作業室30における前述の後続処理に際して、ガラス管10はその状態で維持されたままである。というのはつまりガラス管10はもはやH2またはOH群と接触しないからである。中空室12の充填に際して極めて簡単に別の充填剤に交換することができ、ここでは希ガスとしてたとえばキセノンの代わりにアルゴンを使用することもでき、しかも方法に変更を加える必要はない。
【0017】
中空室12の閉鎖は管状区分16の両側で同時に行われるようにすることもでき、このために共通のまたは別個の加熱装置50を用いることができる。この場合有利にはガラス管10の管状区分16は、図1において実線で示したように中空室12の両側で互いにほぼ共軸的に配置されているのではなく、図1において破線で示したように中空室12の同じ側に延びるように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のガラス管の中空室を閉鎖する方法を実施する装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0019】
10 ガラス管、 12 中空室、 14 厚み部、 16 管状区分、 18 電極、 20 金属箔、 22 導線、 30 作業室、 32 ケーシング、 33 被覆体、 34 開口、 36 蓄圧器、 38 室、 40 出口開口、 42 弁、 44 底部、 46 蓋部、 50 加熱装置、 52 シール、 54 センサ装置、 56 第1の開口、 58 第2の開口、 60 シール pa,pi 圧力

Claims (12)

  1. ガラス管(10)の中空室(12)を閉鎖する方法であって、該中空室(12)に、大気圧よりも高い圧力下の充填剤が存在している方法において、
    ガラス管(10)を作業室(30)内に配置し、該作業室(30)に、中空室(12)に作用する圧力よりも高い圧力を形成し、作業室(30)内に加熱装置(50)を配置し、該加熱装置(50)が、ガラス管(10)を少なくとも片側において中空室(12)に続く区分(16)で取り囲むようにし、該加熱装置(50)を用いてガラス管(10)の前記区分(16)を溶融し、ガラス管(10)の該区分(16)を、溶融状態で、作業室(30)に作用する圧力によって押し合わせ、中空室(12)を少なくとも片側で閉鎖することを特徴とする、ガラス管の中空室を閉鎖する方法。
  2. ガラス管の中空室を閉鎖する間に、中空室(12)に、作業室(30)の外側から、必要圧力下のガス状の充填剤を供給する、請求項1記載の方法。
  3. ガス状の充填剤として少なくとも約7barの圧力下の希ガス、有利にはキセノン、アルゴンまたはクリプトンを供給する、請求項2記載の方法。
  4. 電気加熱装置としての加熱装置(50)を用いる、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 選択的に黒鉛、タンタル、モリブデン、オスミウム、レニウムもしくはタングステンまたはこれらの材料の混合物から成る加熱装置(50)を用いる、請求項4記載の方法。
  6. 作業室(30)に、希ガス、有利にはヘリウムを供給する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. センサ装置(54)を使用し、該センサ装置(54)によって、ガラス管(10)の、溶融しようとする領域(16)の状態を検出し、該センサ装置(54)によって、該溶融領域(16)の温度に対して比例的な信号を形成し、該信号を、加熱装置(50)の加熱出力を制御するのに用いる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 加熱装置(50)の加熱出力の制御を、ガラス管(10)の溶融領域(16)の壁厚に関して行う、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 中空室(12)を閉鎖する間、作業室(30)に作用する圧力および/または加熱装置(50)の加熱出力を可変に制御する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 希ガス、有利にはアルゴンで充填されている室(38)内にケーシング(32)を配置し、作業室(30)を該ケーシング(32)内で画設する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 特に車両前照灯に使用するための放電ランプの発光管を形成するガラス管(10)を用いる、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. 中空室(12)に、充填剤として水銀およびヨウ化物を封入する、請求項11記載の方法。
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