JP2004538003A - マーカーを含まない変異型標的生物の調製及びそのために好適なプラスミドベクター - Google Patents

マーカーを含まない変異型標的生物の調製及びそのために好適なプラスミドベクター Download PDF

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Abstract

本発明は、標的生物において複製しないプラスミドベクターであって、以下の構成要素:a)標的生物と同一でない宿主生物のための複製起源、b)少なくとも1つの遺伝子マーカー、c)場合によって、コンジュゲーションによってDNAのトランスファーを可能にする配列部分(mob配列)、d)標的生物の配列に相同であり、かつ標的生物における相同組み換えを可能にする配列部分、e)プロモーターの制御下にあるガラクトキナーゼの遺伝子、を含む上記プラスミドベクターに関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、グラム陽性細菌のゲノムを改変する新規方法、これらの細菌及び新規ベクターに関する。本発明は特に、細菌において条件付きで(conditionally)ネガティブドミナントな(negatively dominant)作用を有する新規マーカー遺伝子によってコリネバクテリアまたはブレビバクテリアを改変する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)は、(他のコリネバクテリア、すなわちコリネバクテリウム属及びブレビバクテリウム属の種と同様に)多数のファインケミカルの生産、及び炭化水素の分解及びテルペノイドの酸化のために工業的に使用されているグラム陽性の好気性細菌である(総説として、例えばLiebl(1992)「コリネバクテリウム属(The Genus Corynebacterium)」 The Procaryotes, Volume II, Balows, A.ら編, Springerを参照のこと)。
【0003】
コリネバクテリアで使用するためのクローニングベクターが入手でき、かつC.グルタミカム及び関連するコリネバクテリウム属及びブレビバクテリウム属の種の遺伝的操作のための技術(例えばYoshihamaら, J. Bacteriol. 162 (1985) 591-597; Katsumataら, J. Bacteriol. 159 (1984) 306-311; 及びSantamariaら, J. Gen. Microbiol. 130 (1984) 2237-2246を参照のこと)が知られているために、これらの生物の、例えば1以上のファインケミカルの生産者としてより良く、より効果的にするための(例えば遺伝子の過剰発現による)遺伝的改変が可能である。
【0004】
この点で、コリネバクテリア内で複製できるプラスミドの使用は、当業者に公知で、広く使用され、文献に多く報告されている、非常に確立された技術である(例えば、Deb, J.K.ら, (1999) FEMS Microbiol. Lett. 175, 11-20を参照のこと)。
【0005】
同様に、コリネバクテリアの遺伝的改変をゲノムのDNA配列の改変によって起こすことも可能である。DNA配列をゲノムに組み入れること(新たな導入及び/または既に存在する配列の更なるコピーの導入)は可能であり、ゲノムからDNA配列部分(例えば遺伝子または遺伝子の一部)を削除することも可能であるが、ゲノム内での配列の交換(例えば塩基の交換)を行うことも可能である。
【0006】
ゲノムの改変は、好ましくは細胞内で複製されないDNAを細胞に導入し、この導入されたDNAを宿主のゲノムDNAと組み換えてゲノムDNAを改変することによって行うことができる。この方法は、例えばvan der Rest, M.E.ら, (1999) Appl. Microbiol. Biotechnol. 52, 541-545、及びその参考文献に記載されている。
【0007】
使用された形質転換マーカー(例えば抗生物質耐性遺伝子等)を除くことができることが好都合である。なぜならこのマーカーを次に別の形質転換実験で再利用することができるからである。これを実施するための可能性の一つは、条件付きでネガティブドミナント作用を有するマーカー遺伝子の使用である。
【0008】
条件付きでネガティブドミナント作用を有するマーカー遺伝子とは、ある条件下で宿主にとって不利(例えば毒性が有る)であるが、他の条件下でその遺伝子を有する宿主に不利な効果を有しない遺伝子を意味する。文献にある例として、酵母または菌類のURA3遺伝子がある。これはピリミジン生合成の必須遺伝子であるが、培地中に化学物質5−フルオロオロチン酸が存在すると宿主にとって不都合である(例えば、DE19801120、Rothstein, R. (1991) Methods in Enzymology 194, 281-301を参照のこと)。
【0009】
条件付きでネガティブドミナント作用を有するマーカー遺伝子のDNA配列(例えば使用される形質転換マーカー及び/またはベクター配列及び他の配列部分)の削除のための使用は、「ポップアウト」とも呼ばれ、例えばSchaferら, (1994) Gene 145, 69-73、またはRothstein, R. (1991) Methods in Enzymology 194, 281-301に記載されている。
【0010】
ガラクトキナーゼ(E.C.2.7.1.6)はガラクトースのリン酸化を触媒してガラクトースリン酸を生成する。種々の生物由来のガラクトキナーゼが数多く知られている。例えば、大腸菌galK遺伝子(Debouckら, (1985) Nucleic Acids Res. 13, 1841-1853に記載)、Bacillus subtilis galK遺伝子(Glaserら, (1993) Mol. Microbiol. 10, 371-384)及びSaccharomyces cerevisiae GAL1遺伝子(Citron及びDonelson (1984) J. Bacteriol. 158, 269-278)はそれぞれガラクトキナーゼをコードする。
【発明の開示】
【0011】
驚くべきことに、我々は、グラム陽性細菌、好ましくはコリネバクテリアにおいて条件付きでドミナントネガティブ作用を有するマーカー遺伝子としての使用にガラクトキナーゼ遺伝子が非常に適していることを見出した。ガラクトキナーゼ遺伝子は、栄養培地中のガラクトース(典型的には培地中に0.1から4%の濃度範囲のガラクトース)に対するコリネバクテリアの感受性を引き出す。
【0012】
本発明は、標的生物内で複製しないプラスミドベクターであって、以下の構成要素:
a)標的生物と異なる宿主生物のための複製起源、
b)少なくとも1つの遺伝子マーカー、
c)場合によって、コンジュゲーションを介したDNAのトランスファーを可能にする配列部分(mob配列)、
d)標的生物の配列に相同であり、かつ標的生物における相同組み換えを可能にする配列部分、
e)プロモーターの制御下にあるガラクトキナーゼの遺伝子、
を含む、プラスミドベクターに関する。
【0013】
標的生物とは、本発明の方法及びプラスミドベクターによって遺伝的に改変されるべき生物を意味する。好ましい生物はグラム陽性細菌であり、特にブレビバクテリウム属またはコリネバクテリウム属由来の細菌株である。
【0014】
プロモーターd)は好ましくは使用するガラクトキナーゼ遺伝子と異種(heterologous)のものである。特に好適なプロモーターは大腸菌またはC.グルタミカム由来のものである。特に好ましいものはtacプロモーターである。
【0015】
複製起源a)が機能的に活性である宿主生物は、本発明のプラスミドベクターを構築し、増殖させるために本質的に機能する。使用することができる宿主生物は、遺伝子工学によって容易に操作できる全ての一般的な微生物である。好ましい宿主生物は大腸菌等のグラム陰性細菌または酵母、例えばSaccharomyces cerevisiaeである。プラスミドベクターの複製は標的生物中で起こるべきではないが、宿主生物内では複製起源a)の使用によって望ましいため、宿主生物は標的生物と遺伝的に異なるものでなければならない。
【0016】
ファインケミカルの生成の増大に関わる配列を標的生物中で交換することが好ましい。こうした遺伝子の例は、WO 01/0842, 843及び844, WO 01/0804及び805, WO 01/2583に記載されている。
【0017】
この種の改変の例は、核酸分子(例えば完全な遺伝子)のゲノムへの組み込み、破壊(例えば欠失若しくは組み込みによる破壊)及び配列の改変(例えば1個または複数の点突然変異、完全な遺伝子の交換)である。破壊において好ましいものは、所望の発酵産物の副産物(byproduct)の減少に到るものであり、組み込みにおいて好ましいものは、発酵産物への所望の代謝を高めるもの、及び/または障害を減少させるか若しくは排除するもの(de-bottlenecking)である。配列の改変の場合、代謝に適切に適合したものが好ましい。発酵産物は、好ましくはファインケミカルである。
【0018】
DNAは、当業者に良く知られた方法、好ましくはコンジュゲーションまたはエレクトロポレーションを介して標的生物中にトランスファーすることができる。
【0019】
コンジュゲーションを介して標的生物中にトランスファーされるべきDNAは、これを可能にする特殊な配列部分(以下mob配列と呼ぶ)を含む。このようなmob配列及びコンジュゲーションのためのその使用については、例えばSchafer, A.ら, (1991) J. Bacteriol. 172, 1663-1666に記載されている。
【0020】
遺伝子マーカーとは、遺伝子によって仲介される選択可能な性質を意味する。好ましくは、その発現が抗生物質に対する耐性、特にカナマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリンまたはアンピシリンに対する耐性を引き起こす遺伝子を意味する。
【0021】
ガラクトース含有培地とは、特に少なくとも0.1%で、かつ10%以下(重量)のガラクトースを含有する培地を意味する。
【0022】
コリネバクテリアは、本発明の目的のためには、全てのコリネバクテリウムの種、ブレビバクテリウムの種、及びマイコバクテリウムの種を意味する。好ましくはコリネバクテリウムの種及びブレビバクテリウムの種である。
【0023】
挙げることのできるコリネバクテリウム種及びブレビバクテリウム種の例は、ブレビバクテリウム ブレビス(Brevibacterium brevis)、ブレビバクテリウム ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、コリネバクテリウム アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム ラクトファーメンタム(Corynebacterium lactofermentum)である。
【0024】
マイコバクテリウムの種の例は、マイコバクテリウム ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム レプラエ(Mycobacterium leprae)、マイコバクテリウム ボビス(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム スメグマティス(Mycobacterium smegmatis)である。
【0025】
特に好ましい標的生物は、以下の表に挙げる菌株である。
【表1】
Figure 2004538003
Figure 2004538003
Figure 2004538003
Figure 2004538003
Figure 2004538003
【0026】
ATCC:アメリカン タイプ カルチャー コレクション、ロックビル、MD、米国
FERM:ファーメンテーション リサーチ インスティテュート、千葉、日本
NRRL:ARS カルチャー コレクション、ノーザン リージョナル リサーチ ラボラトリー、ペオリア、IL、米国
CECT:コレクション エスパノーラ ド カルティボス チポ、バレンシア、スペイン
NCIMB:ナショナル コレクション オブ インダストリアル アンド マリン バクテリア Ltd.、アバディーン、英国
CBS:セントラルビューロー フォー シンメルカルチャー、バーン、オランダ
本発明は更に、マーカーを含まない変異型標的生物の調製方法に関し、この方法は以下の工程を含む:
a)請求項1〜10のいずれか1項に記載のプラスミドベクターを標的生物中にトランスファーし、
b)該プラスミドベクターによって導入された少なくとも1つの遺伝子マーカーを含む標的生物のクローンを選択し、
c)工程b)で得られた標的生物のクローンを、ガラクトース含有培地中で培養することによって、ガラクトース感受性の存在について選択する。
【0027】
本発明は更に、上記方法を用いて調製された突然変異したグラム陽性細菌(変異体)、特に突然変異したコリネバクテリアに関する。
【0028】
このようにして生成した変異体は、次にファインケミカル等の調製のために、例えばC. ジフテリアの場合には、例えば弱毒化した生物または非病原性生物を含むワクチンの調製のために使用することができる。
【0029】
ファインケミカルとは、有機酸、タンパク質を構成するアミノ酸及び構成しないアミノ酸、ヌクレオチド及びヌクレオシド、脂質及び脂肪酸、ジオール、炭水化物、芳香族化合物、ビタミン及び補因子、及び酵素を意味する。
【0030】
用語「ファインケミカル」は当分野で公知であり、生物によって産生され、種々の工業分野、例えば限定するものではないが製薬工業、農業、及び化粧品工業で使用される分子を含む。これらの化合物は、酒石酸、イタコン酸及びジアミノピメリン酸等の有機酸、タンパク質構成アミノ酸及びタンパク質非構成アミノ酸、プリン及びピリミジン塩基、ヌクレオシド及びヌクレオチド(例えばKuninaka, A. (1996) 「ヌクレオチド及び関連化合物(Nucleotides and related compounds)」, pp.561-612, Biotechnology Vol. 6, Rehmら編, VCH: Weinheim 及びその参考文献に記載されているようなもの)、脂質、飽和及び不飽和脂肪酸(例えばアラキドン酸)、ジオール(例えばプロパンジオール及びブタンジオール)、炭水化物(例えばヒアルロン酸及びトレハロース)、芳香族化合物(例えば芳香族アミン、バニリン及びインジゴ)、ビタミン及び補因子(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A27, 「ビタミン(Vitamins)」, pp. 443-613 (1996) VCH: Weinheim 及びその参考文献; 及びOng, A.S., Niki, E.及びPacker, L. (1995) 「栄養素、脂質、健康と疾患(Nutrition, Lipids, Health and Disease)」 Proceedings of the UNESCO/Confederation of Scientific and Technological Associations in Malaysia and the Society for Free Radical Research - Asia, Sept. 1-3, 1994, Penang, Malaysia, AOCS Press (1995)に記載されているようなもの)、酵素、ポリケチド類(Caneら, (1998) Science 282: 63-68)、及びGutcho (1983) 「発酵による化学物質(Chemicals by Fermentation)」, Noyes Data Corporation, ISBN: 0818805086及びそこで示されている参考文献に記載されている他の全ての化学物質を含む。特定のファインケミカルの代謝及び使用に関し、更に以下に説明する。
【0031】
A.アミノ酸の代謝及び使用
アミノ酸は全てのタンパク質の基本骨格単位を含み、従って細胞の正常な機能に必須なものである。用語「アミノ酸」は当分野で公知である。タンパク質を構成する(proteinogenic)アミノ酸は、20種類あるが、タンパク質の構造単位として機能し、その中でペプチド結合によって連結されている。これに対してタンパク質を構成しない(nonproteinogenic)アミノ酸(何百種もが公知である)は通常タンパク質中には出現しない(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A2, pp.57-97 VCH: Weinheim (1985)を参照のこと)。アミノ酸はDまたはLの立体配置で存在することができるが、L−アミノ酸が通常天然のタンパク質中に見られる唯一の型である。20種のタンパク質構成アミノ酸のそれぞれの生合成及び分解経路は、原核細胞及び真核細胞の双方で良く解析されている(例えばStryer, L. Biochemistry, 第3版, pp.578-590 (1988)を参照のこと)。その生合成が複雑であるために食物で摂取しなければならないことから「必須」アミノ酸(ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン及びバリン)と呼ばれているものは、簡単な生合成経路で他の11種の「非必須」アミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン及びチロシン)に変換される。高等動物はこれらのアミノ酸のいくつかを合成できるが、正常なタンパク質合成が起こるようにするためには必須アミノ酸を食事で摂取しなければならない。
【0032】
タンパク質生合成における機能以外に、これらのアミノ酸はそれ自体興味深い化学物質であり、多くのものが人間の食物、動物の飼料、化学品、化粧品、農業及び製薬工業において種々の用途を有することが見出されてきた。リシンは、人間の栄養のためばかりでなく、家禽類やブタ等の単胃(monogastric)家畜にとっても重要なアミノ酸である。グルタミン酸は、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン及びシステインと同様に、食品工業において、風味添加剤(グルタミン酸モノナトリウム、MSG)等として最も良く使用されている。グリシン、L-メチオニン及びトリプトファンは全て、製薬工業において使用されている。グルタミン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、アルギニン、プロリン、セリン及びアラニンは、製薬工業及び化粧品工業において使用されている。スレオニン、トリプトファン、及びD/L-メチオニンは、動物の飼料添加剤として広く使用されている(Leuchtenberger, W. (1996) アミノ酸−工業的生産及び使用(Amino acids - technical production and use), pp.466-502 Rehmら(編), Biotechnology Vol. 6, Chapter 14a, VCH: Weinheim)。これらのアミノ酸は、合成アミノ酸及びタンパク質、例えばN-アセチルシステイン、S-カルボキシメチル-L-システイン、(S)-5-ヒドロキシトリプトファン及び他の、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A2, pp.57-97, VCH, Weinheim, 1985に記載されている物質を合成するための前駆体としても好適であることが見出されている。
【0033】
これらの天然のアミノ酸を産生し得る生物、例えば細菌におけるその生合成については、良く調べられている(細菌のアミノ酸生合成及びその制御についての総説としては、Umbarger, H.E. (1978) Ann. Rev. Biochem. 47: 533-606を参照のこと)。グルタミン酸は、クエン酸回路における中間産物であるα-ケトグルタル酸の還元的アミノ化によって合成される。グルタミン、プロリン及びアルギニンはそれぞれグルタミン酸から順番に生成する。セリンの生合成は3段階の反応で起こり、3-ホスホグリセリン酸(解糖の中間産物)から出発し、酸化、アミノ基転移及び加水分解の段階後にこのアミノ酸が得られる。システイン及びグリシンはそれぞれセリンから生成する。具体的には前者はホモシステインとセリンとの縮合によって、後者はセリントランスヒドロキシメチラーゼによって触媒される反応で側鎖のβ−炭素原子をテトラヒドロ葉酸に転移することで生成する。フェニルアラニン及びチロシンは、解糖及びペントースリン酸経路の前駆体、エリトロース4-リン酸及びホスホエノールピルビン酸から合成され、9段階の生合成経路におけるプレフェン酸の合成後の最後の2段階においてのみ分かれる。トリプトファンは、これら2つの出発分子から同様に生成するが、11段階の経路によって合成される。チロシンはまた、フェニルアラニンヒドロキシラーゼによって触媒される反応でフェニルアラニンから製造することもできる。アラニン、バリン及びロイシンはそれぞれ、解糖の最終産物であるピルビン酸から誘導される生合成産物である。アスパラギン酸は、クエン酸回路の中間産物であるオキサル酢酸から生成する。アスパラギン、メチオニン、スレオニン及びリシンはそれぞれアスパラギン酸の変換によって製造される。イソロイシンはスレオニンから生成する。ヒスチジンは、活性化型の糖である5-ホスホリボシル1-ピロリン酸から複雑な9段階の経路で生成する。
【0034】
細胞がタンパク質生合成のために必要とする量を超えたアミノ酸は貯蔵することができず、分解されて、中間産物が細胞の主要代謝経路に提供される(総説として、Stryer, L., Biochemistry, 第3版, Chapter 21 「アミノ酸の分解と尿素回路(Amino Acid Degradation and the Urea Cycle); pp. 495-516 (1988)」を参照のこと)。細胞は不必要なアミノ酸を代謝における有用な中間産物に変換できるものの、アミノ酸の製造はエネルギー、その合成に必要な前駆体分子及び酵素を考慮するとコストがかかる。従って、アミノ酸の生合成が、特定のアミノ酸の存在によってそれ自体の生産が低下するか完全に停止するというフィードバック阻害によって制御されていることは驚くにあたらない(アミノ酸生合成経路におけるフィードバックのメカニズムについての総説として、Stryer, L., Biochemistry, 第3版, Chapter 24 「アミノ酸及びヘムの生合成(Biosynthesis of Amino Acids and Heme); pp. 575-600 (1988)」を参照のこと)。従って、特定のアミノ酸の生産は、細胞におけるそのアミノ酸の量によって制限される。
【0035】
B.ビタミン、補因子及び栄養剤( nutraceutical )の代謝及び使用
ビタミン、補因子及び栄養剤は、別の群の分子を含む。高等動物はこれらを合成する能力をなくしているため、これらを摂取しなければならないが、これらは他の生物、例えば細菌によって容易に合成される。これらの分子はそれ自体が生物活性を有する分子であるか、または多くの代謝経路における電子伝達体もしくは中間産物として機能する生物活性を有する物質の前駆体である。それらの栄養上の価値の他に、これらの化合物はまた、着色剤、酸化防止剤及び触媒または他のプロセシング助剤としての有意な工業的価値を有している(これらの化合物の構造、活性及び工業的用途についての総説として、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 「ビタミン(Vitamins)」, Vol. A27, pp.443-613, VCH: Weinheim, 1996を参照のこと)。用語「ビタミン」は当分野で公知であり、生物の正常な機能のために必要であるが、この生物自体によっては合成できない栄養素を含む。ビタミンの群には補因子及び栄養剤化合物を含めることができる。用語「補因子」は、正常な酵素活性の発現のために必要な非タンパク質性の化合物を含む。これらの化合物は有機物であっても無機物であっても良い。本発明の補因子分子は好ましくは有機物である。用語「栄養剤」は、植物及び動物、特にヒトにおいて健康を促進する食品添加物を含む。こうした分子の例として、ビタミン、酸化防止剤及びある種の脂質(例えば多価不飽和脂肪酸)等がある。
【0036】
これらの分子を産生できる生物、例えば細菌におけるその生合成は、包括的に調べられている(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 「ビタミン(Vitamins)」, Vol. A27, pp.443-613, VCH: Weinheim, 1996, Michal, G. (1999) Biochemical Pathways: An Atlas of Biochemistry and Molecular Biology, John Wiley & Sons; Ong, A.S., Niki, E.及びPacker, L. (1995) 「栄養、脂質、健康と疾患(Nutrition, Lipids, Health and Disease)」 Proceedings of the UNESCO/Confederation of Scientific and Technological Associations in Malaysia and the Society for free Radical Research - Asia, Sept. 1-3, 1994, Penang, Malaysia, AOCS Press, Champaign, IL X, 374 S)。
【0037】
チアミン(ビタミンB)はピリミジン及びチアゾール単位の化学的カップリングによって形成される。リボフラビン(ビタミンB)はグアノシン5'-三リン酸(GTP)及びリボース5'-リン酸から合成される。リボフラビンは、今度はフラビンモノヌクレオチド(FMN)及びフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の合成のために用いられる。まとめて「ビタミンB6」と呼ばれる化合物のファミリー(例えばピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサル5'-リン酸及び市販されて使用される塩酸ピリドキシン)は全て、共通の構造単位である5-ヒドロキシ-6-メチルピリジンの誘導体である。パントテン酸(パントテン酸、R-(+)-N-(2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチル-1-オキソブチル)-β-アラニン)は、化学合成または発酵によって調製することができる。パントテン酸の生合成における最後の段階は、β-アラニン及びパントイン酸のATP-駆動型(driven)縮合からなる。パントイン酸及びβ-アラニンへの変換、並びにパントテン酸への縮合のための生合成段階に関わる酵素は公知である。パントテン酸の代謝的に活性な形態はコエンザイムAであり、その生合成は5つの酵素的段階によって進行する。パントテン酸、ピリドキサル5'-リン酸、システイン及びATPはコエンザイムAの前駆体である。これらの酵素は、パントテン酸の形成を触媒するだけでなく、(R)-パントイン酸、(R)-パントラクトン、(R)-パンテノール(プロビタミンB)、パンテテイン(及びその誘導体)及びコエンザイムAの生成をも触媒する。
【0038】
微生物における前駆体分子ピメロイル-CoAからのビオチンの生合成は詳細に研究されており、関与する遺伝子のいくつかは同定されている。対応するタンパク質の多くはFeクラスター合成に関わっており、nifSタンパク質のクラスに属することが明らかになっている。リポ酸(liponic acid)はオクタン酸から誘導され、エネルギー代謝における補酵素として機能する。これはピルベートデヒドロゲナーゼ複合体、及びα-ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体の構成成分である。葉酸類は、その全てが葉酸から誘導される物質群であり、この葉酸はL-グルタミン酸、p-アミノ安息香酸及び6-メチルプテリンから誘導される。グアノシン5'-三リン酸(GTP)、L-グルタミン酸及びp-アミノ安息香酸の代謝中間産物から開始する葉酸及びその誘導体の生合成は、ある種の微生物において詳細に研究されている。
【0039】
コリノイド類(例えばコバラミン類及び特にビタミンB12)及びポルフィリン類はテトラピロール環系によって識別される化学物質群に属する。ビタミンB12の生合成は非常に複雑であり、まだ完全には解明されていないが、関与する酵素及び基質のほとんどは現在知られている。ニコチン酸(ニコチネート)及びニコチンアミドは、「ナイアシン」とも呼ばれるピリジン誘導体である。ナイアシンは、重要な補酵素であるNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)及びNADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)及びこれらの還元型の前駆体である。
【0040】
工業的スケールでのこれらの化合物の製造は、ほとんどが無細胞の化学合成に基くものであるが、これらの化学物質のいくつか、例えばリボフラビン、ビタミンB、パントテン酸及びビオチンは、同様に微生物の大規模培養によっても製造されてきた。ビタミンB12だけは、その合成の複雑さのために、発酵によってのみ製造される。in vitroの方法では、かなりの材料費及び時間、そしてしばしば高いコストが必要とされる。
【0041】
C.プリン、ピリミジン、ヌクレオシド及びヌクレオチドの代謝及び使用
プリン及びピリミジンの代謝のための遺伝子並びにそれらに対応するタンパク質は、腫瘍症及びウイルス感染の治療のために重要な目標である。用語「プリン」または「ピリミジン」は、核酸、補酵素及びヌクレオチドの一部を形成する窒素含有塩基を含む。用語「ヌクレオチド」は、核酸分子の基本的構造単位を包含し、窒素含有塩基、ペントース糖(この糖はRNAの場合はリボースであり、DNAの場合はD-デオキシリボースである)、及びリン酸を含む。用語「ヌクレオシド」はヌクレオチドの前駆体として機能する分子を含むが、ヌクレオチドと異なり、リン酸単位を有さない。これらの分子の生合成、または核酸分子を形成するためのこれらの動員を阻害することによってRNA及びDNA合成を阻害することが可能である。癌性細胞におけるこの活性を標的として阻害することによって、腫瘍細胞が分裂し、複製する能力を阻害することができる。
【0042】
また、核酸分子を形成せず、エネルギーの貯蔵(すなわちAMP)のために、または補酵素(すなわちFAD及びNAD)として機能するヌクレオチドもある。
【0043】
数報の文献に、プリン及び/またはピリミジン代謝が影響されるこれらの化学物質の上記医薬用途に関して記載されている(例えばChristopherson, R.I. 及び Lyons, S.D. (1990) 「化学療法剤としての、ピリミジン及びプリンのde novo生合成の強力な阻害剤(Potent inhibitors of de novo pyrimidine and purine biosynthesis as chemotherapeutic agents)」, Med. Res. Reviews 10: 505-548)。プリン及びピリミジン代謝に関与する酵素の研究は、例えば免疫抑制剤または抗増殖剤として使用可能な新規医薬の開発に注力されてきた(Smith, J.L. 「ヌクレオチド合成における酵素(Enzymes in Nucleotide Synthesis)」 Curr. Opin. Struct. Biol. 5 (1995) 752-757; Simmonds, H.A., Biochem. Soc. Transact. 23 (1995) 877-902)。しかしながら、プリン及びピリミジンの塩基、ヌクレオシド及びヌクレオチドはまた、他の用途を有し得る:種々のファインケミカル(例えばチアミン、S-アデノシルメチオニン、葉酸またはリボフラビン)の生合成における中間産物として、細胞のためのエネルギーキャリヤー(例えばATPまたはGTP)として、そして化学物質それ自体で、通常風味増強剤として(例えばIMPまたはGMP)または多くの医学的適用のために使用される(例えばKuninaka, A., (1996) 「バイオテクノロジーにおけるヌクレオチド及び関連化合物(Nucleotides and Related Compounds in Biotechnology)」 Vol. 6, Rehmら編, VCH: Weinheim, pp.561-612を参照のこと)。プリン、ピリミジン、ヌクレオシドまたはヌクレオチドの代謝に関与する酵素はまた、作物の防護のために開発されている化学物質、例えば殺菌剤、除草剤及び殺虫剤の標的としてますます機能するようになってきている。
【0044】
細菌におけるこれらの化合物の代謝は解明されている(総説として、例えばZalkin, H.及びDixon, J.E. (1992) 「de novoにおけるプリンヌクレオチドの生合成(Do novo purine nucleotide biosynthesis)」 Progress in Nucleic Acids Research and Molecular biology, Vol. 42, Academic Press, pp. 259-287; 及びMichal, G. (1999) 「ヌクレオチド及びヌクレオシド(Nucleotides and Nucleosides)」; 第8章, Biochemical Pathways: An Atlas of Biochemistry and Molecular Biology, Wiley, New Yorkを参照のこと)。集中的な研究の対象であるプリン代謝は、細胞の正常な機能にとって必須である。高等動物においてプリン代謝が乱れると、痛風等の深刻な疾患を引き起こし得る。プリンヌクレオチドは、リボース5-リン酸から多くの段階によって中間化合物イノシン5'-リン酸(IMP)を経て合成され、グアノシン5'-モノリン酸(GMP)またはアデノシン5'-モノリン酸(AMP)の製造に到り、そしてこれらからヌクレオチドとして使用される三リン酸の形態が容易に調製できる。これらの化合物はまた、エネルギー貯蔵体としても使用され、その分解によって、細胞における種々の生化学的プロセスのためのエネルギーが提供される。ピリミジンの生合成は、リボース5-リン酸からウリジン5'-モノリン酸(UMP)の生成を介して行われる。次いでUMPはシチジン5'-三リン酸(CTP)に変換される。全てのヌクレオチドのデオキシ形態は、ヌクレオチドの二リン酸リボース形態から一段階の還元反応で調製され、ヌクレオチドの二リン酸デオキシリボース形態となる。リン酸化の後に、これらの分子はDNA合成に参加することができるようになる。
【0045】
D.トレハロースの代謝及び使用
トレハロースは、α,α-1,1結合によって連結された2個のグルコース分子からなる。これは通常食品工業において甘味料として、乾燥食品または冷凍食品の添加物として、また飲料に使用されている。しかしながら、トレハロースはまた、製薬工業または化粧品工業及びバイオテクノロジー産業においても使用されている(例えば、Nishimotoら, (1998) 米国特許第5 759 610号; Singer, M.A.及びLindquist, S. Trends Biotech. 16 (1998) 460-467; Paiva, C.L.A.及びPanek, A.D. Biotech Ann. Rev. 2 (1996) 293-314; 及びShiosaka, M.J. Japan 172 (1997) 97-102を参照のこと)。トレハロースは多くの微生物の酵素によって生産され、周りの培地中に自然に放出され、そこから当分野において公知の方法によって単離することができる。
【実施例1】
【0046】
大腸菌 C600 からのガラクトキナーゼ遺伝子 galK9 PCR クローニング
PCRを介した大腸菌ガラクトキナーゼ遺伝子のクローニングのために使用することのできるプライマーは、公表されているガラクトキナーゼ配列(例えばGenBank登録X02306)に基いて決めることができるオリゴヌクレオチドである。PCRの鋳型(大腸菌ゲノムDNA)は調製することができ、PCRは当業者に周知であり、例えばSambrook, J.ら (1989) "Molecular Cloning: A Laboratory Manual", Cold Spring Harbor Laboratory Press、またはAusubel, F.M.ら, (1994) "Current Protocols in Molecular Biology", John Wiley & Sonsに記載されている方法に従って、実施することができる。タンパク質コード配列及びコード配列の5’側に位置する30bpの配列(リボソーム結合部位)からなるガラクトキナーゼ遺伝子(galK遺伝子)にPCRの過程で制限的エンドヌクレアーゼ(例えばEcoRI)の末端切断部位を提供することができ、次いでPCR産物を、制限的エンドヌクレアーゼの適切な切断部位を含む適切なベクター(例えばプラスミドpUC18またはpWST4B(Lieblら, (1989) FEMS Microbiol. Lett. 65. 299-304)等)内にクローニングすることができる。このPCRを介した遺伝子のクローニング方法は当業者に公知であり、例えばSambrook, J.ら, (1989) "Molecular Cloning: A Laboratory Manual", Cold Spring Harbor Laboratory Press、またはAusubel, F.M.ら, (1994) "Current Protocols in Molecular Biology", John Wiley & Sonsに記載されている。既知の配列を用いた大腸菌galK遺伝子のクローニングは、配列解析によって検出することができる。
【実施例2】
【0047】
コリネバクテリウム グルタミカム R163 における galK 介在性ガラクトース感受性のアッセイ
コリネバクテリウム グルタミカムR163は、例えばLieblら (1992) J. Bacteriol. 174, 1854-1861に記載されている。大腸菌のgalK遺伝子を、まず異種プロモーターの制御下においた。この目的で、大腸菌のtacプロモーターをPCR法を用いてクローニングした。
【0048】
次いでtacプロモーター及びgalK遺伝子を、大腸菌及びC. グルタミカムの双方で複製することができ、クロラムフェニコール耐性を仲介するシャトルベクターである、プラスミドpWST4B(Lieblら, (1989) FEMS Microbiol. Lett. 65, 299-304)内にクローニングした。C. グルタミカムへのDNAトランスファー(例えばWO 01/02583を参照のこと)及びクロラムフェニコール耐性コロニーの選択の後、得られたコロニーをガラクトース感受性について試験した。この目的で、細胞を、クロラムフェニコール(5mg/l)またはクロラムフェニコール(5mg/l)及びガラクトース(0.8%)を添加したLB培地(10g/l ペプトン、5g/l 酵母抽出物、5g/l NaCl、12g/l 寒天、pH7.2)上に筋状にまいた。
【0049】
galK遺伝子を発現する細胞は、ガラクトースなしのプレート上でのみ一晩増殖した。
【実施例3】
【0050】
コリネバクテリウム グルタミカム由来の ddh 遺伝子の不活化
C. グルタミカムのddh遺伝子(Ishinoら, (1987) Nucleic Acids Res. 15, 3917)の5’末端の任意の適当な配列部分、及びddh遺伝子の3’末端の任意の適当な配列部分を公知のPCR法で増幅することができる。2種のPCR産物を公知の方法で融合させ、得られた産物が機能的ddh遺伝子をもたないようにすることができる。ddh遺伝子のこの不活性型、及び大腸菌のgalk遺伝子を、pSL18(Kim, Y.H.及びH.-S. Lee (1996) J. Microbiol. Biotechnol. 6, 315-320)内にクローニングし、ベクターpSL18galkΔddhを得ることができる。この手法は当業者には良く知られている。このベクターのコリネバクテリウム内へのトランスファーは当業者に公知であり、例えばコンジュゲーションまたはエレクトロポレーションによって可能である。
【0051】
組み込み体の選択は、カナマイシンを用いて行うことができ、「ポップアウト」のための選択は、実施例2に記載したようにして行うことができる。ddh遺伝子の不活化は、例えばDdh活性の欠損によって示すことができる。Ddh活性は、公知の方法によって測定することができる(例えば、Misonoら, (1986) Agric. Biol. Chem. 50, 1329-1330)。

Claims (15)

  1. 標的生物において複製しないプラスミドベクターであって、以下の構成要素:
    a)標的生物と異なる宿主生物のための複製起源、
    b)少なくとも1つの遺伝子マーカー、
    c)場合によって、コンジュゲーションを介したDNAのトランスファーを可能にする配列部分(mob配列)、
    d)標的生物の配列に相同であり、かつ標的生物における相同組み換えを可能にする配列部分、
    e)プロモーターの制御下にあるガラクトキナーゼの遺伝子、
    を含む、上記プラスミドベクター。
  2. 宿主生物a)が大腸菌である、請求項1記載のプラスミドベクター。
  3. ガラクトキナーゼ遺伝子が大腸菌由来である、請求項1記載のプラスミドベクター。
  4. 遺伝子マーカーb)が抗生物質に対する耐性を付与するものである、請求項1記載のプラスミドベクター。
  5. プロモーターe)が異種由来(heterologous)である、請求項1記載のプラスミドベクター。
  6. 配列部分c)を有する、請求項1記載のプラスミドベクター。
  7. カナマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリンまたはアンピシリンに対する耐性を付与する、請求項4記載のプラスミドベクター。
  8. 異種プロモーターが大腸菌またはC.グルタミカム(C. glutamicum)由来である、請求項5記載のプラスミドベクター。
  9. 異種プロモーターがtacプロモーターである、請求項5記載のプラスミドベクター。
  10. マーカーを含まない変異型標的生物の調製方法であって、以下の工程:
    a)請求項1〜10のいずれか1項に記載のプラスミドベクターを標的生物中にトランスファーし、
    b)該プラスミドベクターによって導入された少なくとも1つの遺伝子マーカーを含む標的生物のクローンを選択し、
    c)工程b)で得られた標的生物のクローンを、ガラクトース含有培地中で培養することによって、ガラクトース感受性の存在について選択する、
    を含む、上記方法。
  11. 標的生物がグラム陽性細菌である、請求項10記載の方法。
  12. 標的生物がブレビバクテリウム属またはコリネバクテリウム属の細菌である、請求項11記載の方法。
  13. DNAがコンジュゲーションまたはエレクトロポレーションを介してトランスファーされる、請求項10記載の方法。
  14. 請求項11記載の方法によって得られる、突然変異したグラム陽性細菌。
  15. 条件付きでネガティブドミナントなマーカー遺伝子としてのガラクトキナーゼ遺伝子の使用。
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