JP2004537690A - 動力伝達ベルト - Google Patents

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Abstract

本発明は心線(10)を有するマルチリブドベルトである。心線は線の長さ方向に沿って反対する撚り部分(5,6)を有する。特に心線はS撚り部(5)とZ撚り部(6)を備える。S撚り部はZ撚り部と節(3)で隔てられており、それによって、S撚り部とZ撚り部を心線の長さ方向に沿って交互に形成する。それゆえ、本発明のベルトはベルトの幅方向および長さ方向に沿ってS撚り部とZ撚り部が無作為に分布する心線を備える。これはベルト製造において単一の心線だけを使う一方でトラッキングフォースを著しく減らす。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達ベルト、特にZ撚り部及びS撚り部を有する心体を備えた、動力伝達ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
動力伝達ベルトは一般にエラストマ本体及び埋設された心線を備える。心線はストランド、またはヤーンである。ヤーンである場合は、ヤーンを構成するストランドはS撚り、またはZ撚りを有する。ベルト中の心線は、S撚りヤーンまたはZ撚りヤーンである。SまたはZの表示はヤーンのかかり手(handedness)を指しており、S字またはZ字に似た斜線を有する重なりの斜線形状により特徴付けられている。(図8A、8B参照)
【0003】
あるベルトにおいて、心線が2つの別のコードであり、各コードは逆の撚り構造を有する。とりわけZ撚り構造を有するコードは、S撚り構造を有するコードに隣接させて配置される。逆の撚りを有するコードを隣接して使用するのはトラッキングフォース(tracking force)により生じる問題を処理するためである。トラッキングフォースとは、ベルトに荷重がかけられるときにコードの撚りのトルクにより生じる力である。過熱の結果、トラッキングフォースはベルトに騒音と早期磨耗を引き起こす。従来技術においては、各々が逆に撚るコードを別々にベルト本体に隣接させて通すことにより、トラッキングフォースは減らされる。
【0004】
心線は2つの方法の内の1つにより取付けられる。第1の方法では、1つ目の撚り、Z撚りと言う、を有するコードが逆方向の撚りまたはS撚りを有する第2のコードの為の間隔を空けながら取付けられる。第2の方法は、別々のスプールと、クリールと、製造ローラ(application rollers)を使用して同時にZ撚りコードとS撚りコードをベルト構成の上に巻付けることである。
【0005】
ヤーンの技術の代表的なものは、ネギシ(Negishi)等に付与された米国特許第4,402,178号明細書(1995年)がある。これは撚りを有し、多繊維で織込まれたヤーンを開示する。
【0006】
また、ヤーン技術の代表的なものは、ベッカー(Backer)等に付与された米国特許第3,434,275号明細書(1969)がある。これは接着、溶接、または縺れにより結合されたS撚り、Z撚りを有するストランドを開示する。
【0007】
ベルトについて従来技術は、トラッキングフォースを制御するために反対の撚りを有する2つの別のコードを必要とする。この要求はベルト成形中に2本のコードを操作し、取付けることで、結果的に効率を下げ、製造コストを上げることを意味している。
【0008】
必要とされるのは、Z撚り部とS撚り部を別々に交互に繰り返す単一の心線を有する動力伝達ベルトである。必要とされるのは、ベルトの長さ方向に沿って無作為に分布したZ撚り部とS撚り部を有する心線を備える動力伝達ベルトである。必要とされるのは、ベルトの幅に交差する方向に無作為に分布したZ撚り部とS撚り部を有する心線を備える動力伝達ベルトである。また必要とされるのは、トラッキングフォースを中和するZ撚り部とS撚り部を交互に繰り返す単一の心線を有する動力伝達ベルトである。本発明は、これらの要求を満たすものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の特徴は、Z撚り部とS撚り部を別々に交互に繰り返す単一の心線を有するベルトを提供することである。
【0010】
本発明の別の特徴は、ベルトの長さ方向に沿って無作為に分布したZ撚り部とS撚り部の両方を有する心線を備える動力伝達ベルトを提供することである。
【0011】
本発明の別の特徴は、ベルトの幅に交差する方向に無作為に分布したZ撚り部とS撚り部の両方を有する心線を備える動力伝達ベルトを提供することである。
【0012】
本発明の別の特徴は、Z撚り部とS撚り部を交互に繰り返す単一の心線を有する動力伝達ベルトを提供することである。
【0013】
本発明の他の面は、後述する本発明の説明及びそれに伴う図面により指摘され、明確となる。
【0014】
本発明は、心線を有するマルチリブドベルトである。心線は単一のコードの長さ方向に沿って撚りを交互に繰り返す区域を有する。とりわけS撚り部は節によりZ撚り部と隔てられる。それによって、心線の長さ方向に沿ってS撚り部とZ撚り部を交互に形成している。結果として、本発明のベルトは、ベルトの幅に交差する方向及びベルトの長さ方向に沿って無作為に配されたZ撚り部とS撚り部を有する心線を備えるベルトである。これは、ベルト形成中に単一のコードのみを使用している一方で著しくトラッキングフォースを減じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は心線の平面図である。このヤーンの撚り形状は、単一の心線に別々のZ撚り部とS撚り部を含む。各々のZ撚り部は節によりS撚り部と隔てられる。これにより、心線にはS撚り部とZ撚り部を交互に形成している。コード10は、ナイロン、ポリエステル、アラミド、レーヨン、PEN、グラスファイバー、カーボンファイバーを含む公知のいかなる心線の材料であってもよい。
【0016】
コード10は、撚り重ねられたヤーンを備え、このヤーンはそれぞれ部分5や部分6のように、S撚り部とZ撚り部の交互の繰り返しにより構成される。S撚り、Z撚り部は同一の場所を占めず、反転する節すなわち結合3により隔てられる。反転する節間の間隔は、撚り数/2.54cm(inch)で測られる撚りの長さである。Z撚りの長さはL1である。S撚りの長さはL2である。
【0017】
図1において、間隔Cは最初のS撚り部から次のS撚り部までの1周期を表している。L1はZ撚りの部分の第1周期を表し、L2はS撚りの部分の第2周期を表している。
【0018】
S撚り部、Z撚り部は各々同じ長さでも異なる長さでもよく、各々が好ましい結果を与える。すなわち、
L1=L2
または
L1≠L2である。
【0019】
図2は節の細部である。S撚り部のひと撚りは11aである。Z撚り部のひと撚りは11bである。S撚り部を有するストランドは12と12aにより示される。節3は、この明細書に組み込まれた米国特許第5,829,241号明細書および米国特許第4,873,821号明細書に記載された工程により成形される。ヤーンを構成するストランド(yarn singles strands)はトルクジェット(torque jet)に入る前に巻き出され、調節装置(baffle board)の孔を通り抜け、そしてテンショナを通り抜けさせられる。このヤーンはトルクジェットを出る前にS撚りまたはZ撚りに撚られる。このヤーンは重なり合ってブースタトルクジェットを通過する重ねヤーン(plied yarn strand)となる。このブースタトルクジェットは、わずかに高い撚り重なりが達成可能となるように、単一の撚りを形成する際にトルクジェットを補助するのに使われる。そしてこのヤーンは、各々の節に逆の撚りを加える別のトルクジェットを通過させられる。これにより心線の長さ方向に沿ったS撚りとZ撚りを交互に形成する。本実施形態においては、この重なりヤーンは各々の節において結合機(bonder)を通さずに、単に各節3においてトルクジェットとブースタジェットにより生じる縺れた状態であるか、過重に積み重なった状態(overplying)のままである。本発明のベルトはここで記載された方法により作られたコードを使うことに限定されるわけではない。公知の他の方法により別々で交互にS撚り部とZ撚り部を有する心線を製造することが可能である。この特性を有する各コードは本発明のベルトにおいて満足な結果を生ずる。
【0020】
図3は図6における3−3線に沿うベルトの断面図である。本発明のベルトはエラストマ本体100を備える。エラストマ本体100は、EPDM、SBR、CR、HNBR、BR、NBRを含む動力伝達ベルト技術において知られたいかなる物質であってもよい。本発明のベルトはマルチリブド形状101を備える。このベルトは従来知られた、Vベルトや歯付き形状を含むいかなる形状を備えてもよい。S撚り102とZ撚り103を交互に有する心線はエラストマ本体100に埋設される。
【0021】
成形加工中、心線は、螺旋状に巻付けるように途切れない形態でベルト本体に取付けられる。例えば、心線は公知のマンドル上のベルト層に巻付けられる。
【0022】
従来技術と異なり、本発明のベルトは、ここで記載したように、S撚り部とZ撚り部を備える単一の心線の巻き枠だけを要する。従来技術は、低いトラッキングフォースのベルトを成形加工する為に、別々のS撚りのコードとZ撚りのコードを同時に取付けることを要する。本発明のベルトにおいては、S撚り部とZ撚り部が単一の心線の長さ方向に沿うように無作為に分布するので、S撚り部とZ撚り部はベルトの幅と交差する方向およびベルトの長さ方向に沿って無作為に分布する。S撚り心線とZ撚り心線を別々に分ける必要なく、S撚り部とZ撚り部の無作為の分布がベルトのトラッキングフォースを著しく減らし、中和する。
【0023】
ベルトに引張荷重がかかるときに、ベルトのトラッキングフォースは心線の作動により引き起こされる。心線の撚りはベルトを偏倚させ、或いはベルトを運転中にベルトの中央線から一方の側に動かすことになる。偏倚(tracking)は過度の騒音、過熱、磨耗を引き起こし、早期故障に導く。トラッキングフォースの低減や中和は、ベルトがプーリを偏倚させることにより生ずる騒音や磨耗を減少させる。これは熱や疲労の減少によりベルトの寿命の増加を生じる。
【0024】
さらにまた、各々が異なる撚りを有する2つの別の心線である中間製品の代わりに、交互の撚りを有する単一の心線である中間製品を使うことは、ベルト成形加工の工程を簡略化する。それによって、ベルトの製造コストは減少する。
【0025】
ベルト中のS撚り部とZ撚り部の無作為の分布を示す図が、図6の4−4線に沿うベルト断面図である図4に示されている。図4は図3に表示されているものとは異なった場所での断面図を表している。S撚り部102とZ撚り部103は、図3での分布と異なった分布である。なぜなら、ベルトの心線中のS撚り部とZ撚り部の分布の無作為性のためである。
【0026】
図5は従来技術における別々にS撚りコードとZ撚りコードを有するベルトの断面図である。このベルトはマルチリブド形状101を有している。S撚りコード102とZ撚りコード103は、その各々のS撚りコードがZ撚りコードの側面に並べられ、その逆に各々のZ撚りコードがS撚りコードの側面に並べられる、交互の繰り返しの分布によって示されている。
【0027】
図6は、本発明のベルトの透視図である。S撚り部102とZ撚り部103がエラストマ本体100に埋設されて示されている。
【0028】
図7は、別の実施形態の心線を示す平面図である。基となる糸(base yarn)は3こよりの糸材(a three strand)へ撚られる。各糸材は予め決められた撚り数/2.54cmであるS撚り部を有する。S撚り部を有する各々の糸材は、12、12a、12bにより別々に示されている。ここで、3つの別のS撚り糸は、予め決められた撚り数/2.54cmで撚って全体でZ撚りを有するコードへと撚られる。この実施形態は長さに沿った均質な心線を得る。各S撚りについてのこれまでの記載において糸材の本数は明らかにされているにも関わらず、その本数は例示的なものであり、心線を構成し得る糸材の数を限定するわけではない。さらに各々別の糸材はZ撚りを備え、心線全体はS撚りを有するものは本発明のベルトと同じ結果を伴う。
【0029】
図8A、8BはS撚りとZ撚りを表示している。
【0030】
ここにおいては、本発明の一実施形態が記述されたが、本発明の真の精神から離れることなく、構造上、あるいは部品間の関係における変形例が作られることは、当業者にとっては明白である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】心線を示す平面図である。
【図2】節の細部である。
【図3】図6における3−3線に沿うベルトの断面図である。
【図4】図6における4−4線に沿うベルトの断面図である。
【図5】別々にS撚りZ撚りのコードを有する従来技術のベルトの断面図を示す。
【図6】本発明のベルトの透視図である。
【図7】他の実施形態の心線を示す平面図である。
【図8A】S撚り部を示す。
【図8B】Z撚り部を示す。

Claims (6)

  1. 所定の形状を備えるエラストマ本体と、
    前記エラストマ本体内で無数の方向に埋設された心線とを備え、
    前記心線が前記心線の長さ方向に沿ってZ撚り部とS撚り部を交互に有する
    ベルト。
  2. 前記S撚り部が所定の長さを有し、
    前記Z撚り部が所定の長さを有し、
    前記S撚り部の部分が前記Z撚り部の部分と同一の場所を占めない
    請求項1に記載のベルト。
  3. 前記S撚り部と前記Z撚り部の各々が、前記ベルトの幅に交差する方向で無作為に分布した
    請求項1に記載のベルト。
  4. 前記形状が、マルチリブド形状である請求項1に記載のベルト。
  5. 前記S撚り部と前記Z撚り部の各々が、異なる長さである請求項1に記載のベルト。
  6. 前記心線が、少なくとも2本の糸材から構成されているZ撚りを備え、各糸材がS撚り部を有する
    請求項1に記載のベルト。
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