JP2004537525A - PPARδアゴニストの投与による炎症性疾患の治療法 - Google Patents
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Abstract
(1)その必要がある患者を選択する段階、および(2)その患者をPPAR−δアゴニストを含む治療有効量の組成物で治療する段階を含む、哺乳動物患者における炎症性疾患または状態を治療、制御、予防するための、または前記疾患または状態にかかる危険を低減するための方法。本方法によって治療することができる炎症性疾患には、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、一つ以上の結合組織病、強直性脊椎炎、および滑液嚢炎が挙げられるが、これらに限定されない。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、PPARδアゴニストの投与により骨関節症および慢性関節リウマチなどの炎症性疾患を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、炎症を治療するために広く用いられている。これらは、抗炎症活性、鎮痛活性および解熱活性を発揮する。NSAIDには、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸コリン、サリチルサリチル酸、ジフルニサルおよびサルサレートなどのサリチル酸塩;インドメタシンおよびスリンダクなどのインドール酢酸;フェニルブタゾン、オキシフェニルブタゾンなどのピラゾール;トルメチンなどのピロールアルカン酸;イブプロフェン、フェロプロフェン、フルビプロフェンおよびケトプロフェンなどのフェニル酢酸;メフェナム酸およびメクロフェナメートなどのフェナメート;ピロキシカムなどのオキシカム;ならびにナプロキセンなどのナフタレン酢酸が挙げられる。ほぼすべてのNSAIDは、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の活性を阻害することによって作用する。アスピリンは、例えば、シクロオキシゲナーゼをアセチル化し、不可逆的に不活性化する。インドメタシンなどの他のものは、シクロオキシゲナーゼの活性を、前記酵素のいずれかのサブユニットに立体特異的な方式で結合することによって可逆的に阻害する。NSAIDは、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)酵素を阻害するので、プロスタグランジン誘発性疼痛の軽減および炎症プロセスを伴う腫脹の軽減に有効である。ほとんどのNSAIDは、COX−2酵素を選択的に阻害するばかりでなく、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)酵素も阻害し、これは、炎症プロセスを伴わない他の生物学的に有益なプロスタグランジン調節性プロセスにおいて重要である。高用量の非選択的NSAIDの使用は、生命を脅かす潰瘍を含む高度の副作用をもたらすことがあり、このことが、それらの治療上の可能性を制限している。ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、パレコキシブおよびバルデコキシブなどの新しい種類の選択的COX−2阻害剤には、先行NSAIDが示すものと同じ副作用が一般にはない。
炎症性疾患を治療するためのNSAIDの代用品である副腎皮質ステロイドも、特に、長期治療が必要とされる際、ともすれば高度の副作用を有する。ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、6−α−メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾンおよびベタロエタゾンを含むこれらのステロイドは、細胞内グルココルチコイド受容体に結合して、その後、炎症およびグルココルチコイドに暴露した一定の細胞の炎症反応および催奇形反応に作用することができる新しいリン脂質阻害性蛋白質、すなわちリポコルチン、の合成を含む一連の細胞事象を開始させる可能なメカニズムにより、炎症に作用する。グルココルチコイドの抗炎症作用は、充分文献報告されている。
【0003】
ペルオキシソーム増殖薬活性化受容体(PPAR)は、リガンド活性化転写因子の核内ホルモン受容体スーパーファミリー(リガンド依存性転写の活性化および抑制を媒介する蛋白質の大きな、且つ、多種多様な群)の構成員である。三つのPPARサブタイプが、分離されている:PPAR−α、PPAR−δおよびPPAR−γ。PPAR−αは、肝臓、心臓、腎臓、筋肉、褐色脂肪細胞および腸において見出される。PPAR−δ(PPAR−βまたはNUC1として知られていることもある)は、至る所で発現される。PPAR−γは、脂肪組織において発現され、脂肪細胞の分化を調節すると考えられている。PPARサブタイプおよび配位子は、インスリン抵抗性およびインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)、ならびに関連疾患の治療に有用であるため、近ごろ集中的に研究されている。フェノフィブレートなどのPPAR−αアゴニストは、高脂血症および異常脂肪血症などの脂質性疾患の治療に有効である。ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンなどのPPAR−γは、インスリン抵抗性に対して有益に作用するため、最近では、NIDDMの治療用に市販されている。PPAR−δは、PPAR−αおよびPPAR−γに比べ、理解されていない。最近、PPAR−δアゴニストが糖尿病および関連脂質性疾患の治療に有用であると確認された。
【0004】
炎症に対するPPAR−αアゴニストおよびPPAR−γアゴニストの作用は、研究されており、そのデータは、PPAR−αアゴニストおよびPPAR−γアゴニストが一定の種類の炎症を軽減することを示している。PPAR−αアゴニストおよびPPAR−γアゴニストが、関節の炎症、骨関節症または慢性関節リウマチの治療に活性を有するかどうかに関する発表はない。従って、それらが関節の炎症および関節炎の治療に有用であるかどうかは、未だ不明である。
【0005】
PPAR−δは、幾つかの生体システム(希突起神経膠細胞、結腸上皮細胞増殖、子宮胞胚嚢着床)の調節に関連付けられているが、PPAR−δの活性が、関節炎、関節の炎症または他の関連炎症状態の治療、予防または制御において一定の役割を有しうることを示唆する発表データはない。下に記載するように、PPAR−δアゴニストは、慢性関節リウマチ、関連自己免疫疾患および骨関節症などの非常に多数の疾病および状態において発生するような炎症、特に、関節および結合組織の炎症の治療または抑制に、実際、有用であることが、今般、判明した。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、患者をPPAR−δアゴニストで治療する段階を含む、哺乳動物患者の炎症性疾患を治療するための方法である。こうした疾患には、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、一つ以上の結合組織病、強直性脊椎炎、滑液嚢炎、シェーグレン症候群、乾癬、乾癬性関節炎、神経痛、滑膜炎、糸球体腎炎、脈管炎、サルコイドーシス、インフルエンザの後遺症として発生する炎症、かぜウイルスおよび他のウイルス感染症、痛風、接触性皮膚炎、腰痛および頚痛、月経困難、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、熱傷、創傷、ならびに患者の手術および歯科処置の結果として生じる疼痛および炎症が挙げられるが、これらに限定されない。本治療に応える可能性が高い疾病には、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、一つ以上の結合組織病、強直性脊椎炎、滑液嚢炎、シェーグレン症候群、乾癬、乾癬性関節炎、神経痛、滑膜炎、糸球体腎炎、脈管炎、サルコイドーシス、インフルエンザの後遺症として発生する炎症、かぜウイルスおよび他のウイルス感染症、痛風、接触性皮膚炎、腰痛および頚痛、月経困難、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、熱傷、創傷、ならびに患者の手術および歯科処置の結果として生じる疼痛および炎症が挙げられる。
【0007】
本発明は、PPAR−δアゴニストおよびNSAIDを含む複合薬で患者を治療することを含む、患者の炎症性疾患を治療するための方法であり、前記NSAIDは、非選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤であってもよいし、または選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤であってもよい。こうした疾病には、上に列挙した疾病が挙げられるが、それらに限定されない。
【0008】
本発明は、PPAR−δアゴニストを含む組成物で原発部位において炎症を発症した患者を治療することを含む、前記患者の二次炎症を抑制または予防する方法でもある。
【0009】
本発明は、治療有効量のPPAR−δアゴニストを患者に投与することを含む、炎症および炎症の症状を緩和するための方法であって、前記炎症および炎症の症状は、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、一つ以上の結合組織病、強直性脊椎炎、滑液嚢炎、シェーグレン症候群、乾癬、乾癬性関節炎、神経痛、滑膜炎、糸球体腎炎、脈管炎、サルコイドーシス、インフルエンザの後遺症として発生する炎症、かぜウイルスおよび他のウイルス感染症、痛風、接触性皮膚炎、腰痛および頚痛、月経困難、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、熱傷、創傷、ならびに患者の手術および歯科処置の結果として生じる疼痛および炎症を含む様々な疾病および状態に随伴する疼痛、熱、腫張、浮腫および発赤を包含する。慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ならびに他の多数の変形性関節症および結合組織病を含む(しかし、これらに限定されない)本来自己免疫性である疾病では、本発明によると、PPAR−δアゴニストの投与によりこれらの疾病に伴う病的炎症性反応が低下する。本発明は、慢性関節リウマチの治療に特に有用である。
【0010】
アジュバント誘発性関節炎は、変形性関節症、結合組織病、自己免疫疾患、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチおよび他の種類の炎症などの、炎症性疾患または状態のよく確立されたインビボモデルである。アジュバント誘発性関節炎は、抗炎症性化合物および/または免疫調節性化合物として使用できるかもしれない化合物を評価するために用いられる。本明細書中では、PPARアゴニスト(α、γ、およびδ)およびPPAR−γ部分アゴニストならびにアンタゴニストが、ラットにおけるアジュバント誘発性関節炎の治療におけるそれらの有用性について調査されている。PPAR−δアゴニストのみが、これらの動物モデルにおいて有用性を示し、これに対してPPAR−γリガンドおよびすべてのPPAR−αリガンドは、無効であった。
【0011】
本明細書に呈示するデータは、PPAR−δアゴニストが、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、一つ以上の結合組織病、強直性脊椎炎、滑液嚢炎、シェーグレン症候群、乾癬、乾癬性関節炎、神経痛、滑膜炎、糸球体腎炎、脈管炎、サルコイドーシス、インフルエンザの後遺症として発生する炎症、かぜウイルスおよび他のウイルス感染症、痛風、接触性皮膚炎、腰痛および頚痛、月経困難、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、熱傷、創傷、ならびに患者の手術および歯科処置の結果として生じる疼痛および炎症から選択された一つ以上の疾病または状態を治療、予防、制御するために、またはそれらににかかる危険性を低減するために有用でありうることを実証しており、この場合、その治療の方法は、治療(予防的治療を含む)が必要な哺乳動物患者を先ず識別する段階、および次に、その患者に、治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩を投与する段階を含む。前記患者とは、哺乳動物であり、好ましくは、ヒトである。
【0012】
好ましい実施形態において、治療(予防的治療を含む)の必要な哺乳動物患者を先ず識別する段階、および次に、その患者に治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩を投与する段階により、PPAR−δ化合物を用いて、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、糸球体腎炎、腎炎、脈管炎、サルコイドーシス、変形性関節症、シェーグレン症候群、乾癬、乾癬性関節炎、月経困難、筋炎、神経痛、滑膜炎、強直性脊椎炎および滑液嚢炎から選択される一つ以上の自己免疫疾患または障害を治療、予防、制御する、またはそれらにかかる危険性を低減することができる。
【0013】
好ましい実施形態において、治療(予防的治療を含む)の必要な哺乳動物患者を先ず識別する段階、および次に、その患者に治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩を投与する段階により、PPAR−δ化合物を用いて、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、一つ以上の結合組織病、強直性脊椎炎および滑液嚢炎を治療、予防、制御する、またはそれらにかかる危険性を低減することができる。
【0014】
好ましい実施形態において、治療(予防的治療を含む)の必要な哺乳動物患者を先ず識別する段階、および次に、その患者に治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩を投与する段階により、PPAR−δ化合物を用いて、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、および一つ以上の結合組織病を治療、予防、制御する、またはそれらにかかる危険性を低減することができる。
【0015】
特に好ましい実施形態において、治療(予防的治療を含む)の必要な哺乳動物患者を先ず識別する段階、および次に、その患者に治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩を投与する段階により、PPAR−δ化合物を用いて、慢性関節リウマチまたは若年性慢性関節リウマチを治療、予防、制御する、またはそれらにかかる危険性を低減することができる。
【0016】
もう一つの特に好ましい実施形態において、治療(予防的治療を含む)の必要な哺乳動物患者を先ず識別する段階、および次に、その患者に治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩を投与する段階により、PPAR−δ化合物を用いて、骨関節症または変形性関節症を治療、予防、制御する、またはそれらにかかる危険性を低減することができる。
【0017】
PPAR−δアゴニストは、当技術分野において知られている。例えば、国際公開公報第97/28115号、同第97/28149号、同第97/27857号、同第97/28137号、同第97/27847号、同第98/27974号、および同第01/00603号を参照。
【0018】
投薬量および投与
本発明のPPAR−δアゴニストは、錠剤、カプセル(これらは、各々、持続放出性調合薬または持効性調合薬を含む)、丸剤、粉剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、シロップおよび乳剤などの経口用の形態で投与することができる。それに加えて、静脈内(ボーラスまたは注入)、腹腔内、皮下または筋肉内用の形態(すべて、製薬技術分野の通常の技術者によく知られている使用形態)で投与することも可能である。
【0019】
PPARδアゴニストは、有効成分を持続放出することができるような方式に調合することができる蓄積注射または移植用の製剤の形態で投与することができる。有効成分は、圧縮してペレットまたは小さな円柱体にすることができ、蓄積注射または移植の際に皮下または筋肉内に移植することができる。移植には、生分解性ポリマーまたは合成シリコーン、例えば、シラスティック、シリコーンゴムもしくはDow−Corning Corporationによって製造された他のポリマーなどの不活性材料を用いることができる。
【0020】
PPAR−δアゴニストは、小さな単層小胞、大きな単層小胞および多層小胞などのリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成されうる。
【0021】
PPAR−δアゴニストは、それらの化合物分子と結合している、個々の担体としてのモノクローナル抗体の使用により、送達することもできる。PPAR−δアゴニストは、目標を定めることができる薬物担体としての可溶性ポリマーとも結合させることができる。こうしたポリマーには、ポリビニルピロリドン−ピランコポリマー、ポリ(ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド−フェノールコポリマー、ポリヒドロキシエチルアスパルタミド−フェノールコポリマー、またはパルミトイル残基で置換されているポリエチレンオキシド−ポリリジンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、PPAR−δアゴニストは、薬物の制御放出の達成に有用な種類の生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーと結合させることができる。
【0022】
PPAR−δアゴニストを用いる薬剤投与計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および医療状態;治療すべき状態の重篤度;投与径路;患者の腎機能および肝機能;ならびに用いられる特定の化合物またはその塩を含む様々な因子に従って選択される。通常の熟練医師または獣医師は、その症状およびその状態の進行を予防、緩和、制御または停止させるために必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0023】
経口投与が実施可能な時には、経口投与が好ましい薬物送達経路である。示した効果のために用いる時のPPAR−δアゴニストの経口投薬量は、一般には1日につき体重1kgあたり約0.001mg(0.001mg/kg/日)から約100mg/kg/日の間、好ましくは約0.01から10mg/kg/日である(別様に明記されていない限り、有効成分の量は、中性分子を基準としており、前記中性分子は、遊離酸であってもよいし、または遊離塩基であってもよい)。例えば、80kgの患者は、約0.08mg/日と8g/日の間、好ましくは約0.8mg/日と800mg/日の間を摂取することとなる。従って、1日1回の投与のために適切に調製された医薬品は、0.08mgと8gの間、好ましくは0.8mgと800mgの間を含有する。有利には、PPAR−δアゴニストは、1日2回、3回または4回の分割量で投与することができる。1日2回の投与のために、上に記載したように適切に調製された医薬品は、0.04mgと4gの間、好ましくは0.4mgと400mgの間を含有することとなる。場合によっては、上述の範囲外の投薬量も必要とされる。担体は、一般に、全組成物の約5%から95%を構成する量で添加される。1日あたり0.08mgから8gの範囲で投与することができる日用量の例には、0.1mg、0.5mg、1mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg、1g、2g、4gおよび8gが挙げられる。1日に1回より多く投与する場合には、これらは、より少ない量に分割される(例えば、薬物が1日に2回摂取される場合、各投与の際に半分の量)。
【0024】
静脈内または皮下に、患者は、ほぼ上に記載した量の有効成分を送達する量の注射量を受ける。それらの量は、消化系をバイパスさせる送達モデルの使用によって生じる送達の有効性の差を考慮して調整することができる。こうした量は、多数の適する方法で投与することができ、例えば、ある長い期間に、もしくは1日数回、低濃度の有効成分を大量に投与してもよいし、または短い期間に、例えば、1日1回、高濃度の有効成分を少量投与してもよい。典型的には、例えば、0.1mg/mL、0.3mg/mLまたは0.6mg/mLなど、約0.01から1.0mg/mLの間の濃度の有効成分を含有する通常の静脈内用調合薬を調製し、上述の1日あたりの量と同等の1日あたりの量で投与することができる。例えば、0.5mg/mLの濃度の有効成分を有する静脈内用調合薬8mLを1日2回受ける80kgの患者は、1日に8mgの有効成分を受ける。グルクロン酸、L−乳酸、酢酸、クエン酸、または静脈内投与に許容されうるpH範囲で妥当な緩衝能を有するあらゆる医薬適合性の酸/共役塩基を緩衝剤として用いることができる。適切な賦形剤を選択する際には、その薬物の溶解度および化学的適合性を考慮せねばならない。皮下用調合薬、好ましくは、7.0と7.4の間のpH範囲で、当技術分野においてよく知られている手順に従って調製される皮下用調合薬は、適する緩衝剤および等張剤も含む。それらは、1日1回以上、例えば、各日1、2または3回の皮下投与で日用量のPPAR−δアゴニストを送達するように調合される。適切な緩衝剤および調合薬のpHの選択は、投与すべき薬物の溶解度に依存して、通常の当業者により容易になされる。
【0025】
化合物は、適する経鼻用ビヒクルの局所使用により、または通常の当業者によく知られている経皮パッチ形態のものを用いる経皮経路により、経鼻用の形態で投与することもできる。経皮送達系の形態で投与するために、その投薬量の投与は、勿論、その薬剤投与計画を通して間欠的ではなく継続的である。
【0026】
典型的には、PPAR−δアゴニストは、所期の投与形態、すなわち、経口用の錠剤、カプセル、エリキシル剤、シロップおよびこれらに類するものを基準にし、且つ、通常の製薬の実施に矛盾することなく、適切に選択された適する製薬用希釈剤、賦形剤または担体(本明細書中では、総称して、「担体」と呼ぶ)との混合物の状態で、有効成分として投与される。
【0027】
例えば、錠剤または硬質カプセルの形態での経口投与のために、活性薬成分を、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールおよびこれらに類するものなどの経口用非毒性医薬適合性の不活性担体と併せることができる。液状形態での経口投与のために、経口薬成分を、エタノール、グリセロール、水およびこれらに類するものなどのあらゆる経口用非毒性医薬適合性の不活性担体と併せることができる。経口剤形は、植物油(ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油であることができるが、これらに限定されない)または鉱物油(パラフィン油など)などの油に懸濁させることもできる。さらに、所望される時、または必要な際には、適する結合剤、潤滑剤、崩壊剤および着色剤もこの混合物に配合することができる。適する結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖(グルコースもしくはβ−ラクトースなど)、トウモロコシ甘味料、天然および合成ゴム(アラビアゴム、トラガカントゴムもしくはアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、蝋およびこれらに類するものが挙げられる。これらの剤形に用いられる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよびこれらに類するものが挙げられる。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムおよびこれらに類するものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0028】
定義
「医薬適合性の塩」は、遊離酸を適する有機または無機塩基と反応させることによって一般には調製される、本発明で用いられる化合物の非毒性塩を意味する。PPAR−δアゴニストの塩の形態の例には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシウム、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸、粘液酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクリン酸塩、トシル酸塩および吉草酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。COX−2阻害剤の塩の形態の例には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩およびこれらに類するものを含む無機塩基から誘導された塩が挙げられるが、それらに限定されない。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩が、特に好ましい。医薬適合性の有機非毒性塩基から誘導される塩には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、クロリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン、およびこれらに類するものなどの天然置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂を含む、第一、第二および第三アミン、置換アミンの塩が挙げられる。
【0029】
別様に定義されていない限り、「治療有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家により探求される、組織、器官系、動物またはヒトの生体応答または医薬応答を惹起する薬物または製剤の量を意味する。
【0030】
別様に定義されていない限り、「予防有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家により組織、器官系、動物またはヒトに関して探求される、生物学的または医学的事象を予防する、またはそれらの発生の危険性を低減する医薬の量を意味する。
【0031】
併用療法
同様に、PPAR−δアゴニストは、NSAIDが、現在、他の薬剤または成分と共同投与されている製剤において、通常のNSAIDの一部または完全代用品として有用でありうる。従って、さらなる側面において、本発明は、上で定義したような非毒性で治療有効量のPPAR−δアゴニストおよび一つ以上の他の成分(鎮痛剤;NSAID;カフェインを含む相乗因子;H2アンタゴニスト;水酸化アルミニウムまたはマグネシウム;シメチコン;うっ血除去薬;鎮咳薬;利尿薬;ならびに鎮静性または非鎮静性抗ヒスタミン薬など)を含む、上で定義したような炎症性疾患を治療するための医薬組成物を包含する。加えて、本発明は、そうした治療が必要な患者に、非毒性で治療有効量のPPAR−δアゴニストを投与する(場合によっては、すぐ上に列挙したような成分一つ以上と共同投与する)ことを含む、炎症性疾患の治療法を包含する。
【0032】
鎮咳薬の例には、コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、デキストロメトルファンが挙げられる。
【0033】
うっ血除去薬の例には、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、またはレボ−デゾキシエフェドリンが挙げられる。
【0034】
鎮痛薬の例には、アセトミノフェンおよびフェナセチンが挙げられる。
【0035】
PPAR−δアゴニストとNSAIDの併用
本発明は、哺乳動物に、さらに詳細にはヒトに、治療有効量のNSAID(選択的または非選択的OCX−2阻害剤など)を治療有効量のPPAR−δアゴニストと併せて投与することを含む、新規併用療法も含む。本併用療法は、炎症および炎症性疾患を治療するために用いられる。
【0036】
PPAR−δアゴニストをCOX−2阻害剤などのNSAIDと併せて含む複合製剤には、一回量の中にPPAR−δアゴニストとNSAIDの両方を含有する単一の投薬量調合薬、ならびに各活性薬剤がそれぞれ独自で別個の投薬量調合薬で投与される調合薬が挙げられる。別個の投薬量調合薬を用いる場合、PPAR−δアゴニストおよびNSAIDは、本質的に同じ時に、すなわち、同時に投与することができ、またはずらした別の時に、すなわち、逐次的に投与することができる。「本複合製剤」は、これらの方式すべてを包含すると考える。これらの様々な方法での投与は、PPAR−δアゴニストおよびNSAIDの有益な医薬作用が実質的に同じ時に患者によって実現される限り、本発明に適する。こうした有益な作用は、好ましくは、各活性薬の目標血液レベル濃度が実質的に同じ時に維持される時、達成される。PPAR−δアゴニストおよびNSAIDは、1日1回の投薬スケジュールで同時に共同投与するのが好ましいが、1日1回のPPAR−δアゴニストと1日1回、2回もしくは2回以上のNSAID、または1日1回のNSAIDと1日1回、2回もしくは2回以上のPPAR−δアゴニストなど、可変的な投薬スケジュールも本発明に包含される。PPAR−δアゴニストとNSAIDの両者から成る単一経口投薬量調合薬が好ましい。単一投薬量調合薬は、患者にとって便利である。
【0037】
本発明は、治療有効量のNSAIDまたはその医薬適合性の塩を、治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩、および医薬適合性の担体と併せて含む医薬組成物も提供する。本組成物の一つの実施形態は、治療有効量のPPAR−δアゴニストおよび医薬適合性の担体との併用での治療有効量のCOX−2阻害剤から成る、経口投与に適合する単一の組成物である。この複合薬は、各々が活性薬剤のうちの一つの有する別個の剤形で投与することもできる。別個の剤形で投与する場合、それらの別個の剤形は、各活性薬剤の有益な作用が患者によって同じ時に実現されるように投与する。
【0038】
NSAID
一般的なNSAIDには、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸クロリン、サリチルサリチル酸、ジフルニサルおよびサルサレートなどのサリチル酸塩;インドメタシンおよびスリンダクなどののインドール酢酸;フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾンなどのピラゾール;トルメチンなどのピロールアルカン酸;イブプロフェン、フェロプロフェン、フルルビプロフェンおよびケトプロフェンなどのフェニル酢酸;メファナミン酸およびメクロフェナメートなどのフェナメート;ピロキシカムなどのオキシカム;ならびにナプロキセンなどのナフタレン酢酸が挙げられる。これらは、すべて非選択的NSAIDであって、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)受容体とシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)受容体の両方を阻害する。
【0039】
COX−2阻害剤
選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤は、非選択的NSAIDを投与した時、結果として生じるシクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)阻害の副作用を受けやすい患者に特に有利である。PPAR−δアゴニストとの併用療法において有利に用いることができるCOX−2阻害剤の例には、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、パレコキシブおよびバルデコキシブが挙げられる。
【0040】
PPAR−δアゴニストとNSAIDを併用する薬剤投与計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および医療状態;治療すべき状態の重篤度;投与径路;患者の腎機能および肝機能;ならびに用いられる特定の化合物またはその塩を含む様々な要因に従って選択される。併用療法では、二つの異なる活性薬剤が一緒に用いられるので、各薬剤の効力およびそれらを併用することにより達成される相互作用も考慮に入れなければならない。その状態の進行を予防、対抗または阻止するために必要とされる治療に有効なまたは予防に有効な投薬量を決定することを目的とするこれらの因子の考慮は、通常の技術を有する臨床家の権限の範囲内に充分入る。
【0041】
患者への複合製剤の投与は、自己投与と他人による患者への投与の両方を含む。
【0042】
追加の活性薬剤を、単一投薬量調合薬でNSAIDおよびPPAR−δアゴニストと併用してもよいし、または同時もしくは逐次的投与が可能である別個の投薬量調合薬で患者に投与してもよい。用いることができる追加の活性薬剤の例には、HMG−CoAシンターゼ阻害剤;スクアレンエポキシダーゼ阻害剤;スクアレンシンセターゼ阻害剤(スクアレンシンターゼ阻害剤としても知られている)、アシル補酵素A;コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤;プロブコール;ナイアシン;クロフィブレート、フェノフィブレートおよびゲムフィブリゾールなどのフィブレートを含むPPAR−αアゴニスト;インスリン感作物質であるPPAR−γアゴニストおよびPPAR−α/γ二重アゴニスト;コレステロール吸収阻害剤;胆汁酸封鎖剤;LDL(低比重リポ蛋白)受容体誘導物質;ビタミンB6(ピリドキシンとしても知られている)およびHCl塩などのその医薬適合性の塩;ビタミンB12(シアノコバラミンとしても知られている);β−アドレナリン性受容体遮断薬;葉酸またはナトリウム塩およびメチルグルカミン塩などのその医薬適合性の塩もしくはエステル;ビタミンCおよびEならびにβカロチンなどの抗酸化ビタミンが挙げられる。
【0043】
本発明のさらなる実施形態は、経口投薬量調合薬でのCOX−2阻害剤などのNSAIDおよび別の経口投与量調合薬でのPPAR−δアゴニストから成るキットを含む。
【0044】
この実施形態の一例は、経口投薬量調合薬のCOX−2阻害剤および経口投薬量調合薬のPPAR−δアゴニストから成るキットである。このキットについてのパッケージングは、様々な方法で設計し、製造することができる。好ましい例は、同じブリスターカード内に並べて配列されたCOX−2阻害剤の錠剤の列とPPAR−δアゴニストの錠剤の列を収容しているブリスターパックであって、前記二種の錠剤は、各々、独自のブリスターバブル内にあり、前記カード上には、一「対」の錠剤(すなわち、COX−2阻害剤の錠剤1個とPPAR−δアゴニストの錠剤1個)を1日に摂取すべきであることを使用者に知らせる予定表または似たタイプのマーキングがあるブリスターパックである。
【0045】
(実施例)
本発明の或る特定の実施形態を参照しながら本発明を記載し、説明してきたが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく本発明において様々な変更、変形および代用をなすことができることは、当業者には理解できよう。例えば、治療を受ける哺乳動物の反応の変化の結果として、本明細書中、上に記載した特定の投薬量以外の有効な投薬量を、上に示したような本発明において用いられる活性薬剤についてのあらゆる指示に対して適用することができる。同様に、観察される特定の薬理応答は、選択された特定の活性化合物、または製薬用担体が存在するかどうか、ならびに調合のタイプ、および用いられる投与方式に従って、およびそれらに依存して変化しうり、そういった予想される結果の変化または差を本発明の目的および実施に従って考慮する。従って、本発明は、後続の特許請求の範囲によって定義され、且つ、そうした特許請求の範囲は、妥当である限り広く解釈されるものと考える。
【0046】
アッセイ
ヒトPPARアゴニストを識別するアプローチとして、シンチレーション近接アッセイを用いて、PPAR−γリガンド、PPAR−δリガンドおよびPPAR−αリガンドの特性付けをした。これらのアッセイにおいて、試験化合物が、組換えヒトPPAR−αまたは組換えヒトPPAR−γから、MRL放射リガンド、[3H2](3−(4−(3−フェニル−7−プロピル−6−ベンズ−[4,5]−イソオキサゾールオキシ)ブチルオキシ)フェニル酢酸(化合物A)の結合を置換する能力を測定した。組換えヒトPPAR−δに結合する試験化合物の相対的な能力の特性付けをするために、放射性標識[3H2]3−クロロ−4−(3−(7−プロピル−3−トリフルオロメチル−6−ベンズ−[4,5]−イソオキサゾールオキシ)プロピルチオ)フェニル酢酸(化合物B)を用いた。化合物AおよびB(無標識のもの)は、それぞれ実施例62および20として国際公開公報第97/28137号に開示されている。放射性標識化合物AおよびBは、国際公開公報第97/28137号に開示されている方法の変形、すなわちそれらの化合物の標識付けによって製造する。
【0047】
結合アッセイ
A.組換えヒトPPARγ、PPARδおよびPPARαの調製
ヒトPPARγ2、ヒトPPARδおよびヒトPPARαを、E.coli.中でGST融合蛋白として発現させた。PPARγ2についての完全長ヒトcDNAを、pGEX−2T発現ベクター(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)にサブクローニングした。PPARδおよびPPARαについての完全長ヒトcDNAを、pGEX−KT発現ベクターにした(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)にサブクローニングした。それぞれのプラスミドを含有するE.coliを増殖させ、誘導して、遠心分離により回収した。再懸濁ペレットをフレンチプレスで破壊し、遠心分離によって破片を除去した。グルタチオンセファロースを用いる親和性クロマトグラフィーによって、組換えヒトPPAR受容体を精製した。カラムに塗布し、一度洗浄した後、グルタチオンで受容体を溶離した。グリセロール(10%)を添加して、受容体を安定化し、アリコートを−80℃で保管した。
【0048】
B.[3H2]−化合物A PPARSPA(PPARγ)
各アッセイについて、1.25mg/mLのケイ酸イットリウムプロテインA被覆SPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)、8.3μg/mLの抗GST抗体(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)、0.1%の脱脂粉乳および5nMの[3H2]化合物A(34.3Ci/mmol)、±試験化合物を含有する最終量100μLのSPAバッファ(10mMのTris(pH7.2)、1mMのEDTA、10%のグリセロール、10mMのモリブデン酸ナトリウム、1mMのジチオトレイトールおよび2μg/mLのベンズアミジン)中で、ヒトGST−PPARγ受容体のアリコートをインキュベートした。振盪しながら15℃で〜16時間インキュベートした後、アッセイプレートをクエンチ補正しながらPackard Topcountで計測した。このアッセイにおいて、PPARγに対する化合物AのKDは、≒2.7nMである。
【0049】
C.[3H2]化合物A PPARSPAアッセイ(PPARα)
各アッセイについて、1.25mg/mLのケイ酸イットリウムプロテインA被覆SPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)、8.3μg/mLの抗GST抗体(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)、0.1%の脱脂粉乳および5nMの[3H2]化合物A(34.3Ci/mmol)、±試験化合物を含有する最終量100μLのSPAバッファ(10mMのTris(pH7.2)、1mMのEDTA、10%のグリセロール、10mMのモリブデン酸ナトリウム、1mMのジチオトレイトールおよび2μg/mLのベンズアミジン)中で、ヒトGST−PPARα受容体のアリコートをインキュベートした。振盪しながら15℃で〜16時間インキュベートした後、アッセイプレートをクエンチ補正しながらPackard Topcountで計測した。このアッセイにおいて、PPARαに対する化合物AのKDは、≒10nMである。
【0050】
D.[3H2]化合物B PPARSPAアッセイ(PPARδ)
各アッセイについて、1.25mg/mLのケイ酸イットリウムプロテインA被覆SPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)、8.3μg/mLの抗GST抗体(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)、0.1%の脱脂粉乳および2.5nMの[3H2]化合物B(13.4Ci/mmol)、±試験化合物を含有する最終量100μLのSPAバッファ(10mMのTris(pH7.2)、1mMのEDTA、10%のグリセロール、10mMのモリブデン酸ナトリウム、1mMのジチオトレイトール、2μg/mLのベンズアミジンおよび0.5mMのPMSF)中で、ヒトGST−PPARδ受容体のアリコートをインキュベートした。振盪しながら15℃で〜16時間インキュベートした後、アッセイプレートをクエンチ補正しながらPackard Topcountで計測した。このアッセイにおいて、PPARδに対する化合物BのKDは、≒1nMである。
【0051】
Gal−4 hPPARトランスアクチベーションアッセイ
キメラ受容体発現構成体、pcDNA3−hPPARγ/GAL4、pcDNA3−hPPARδ/GAL4、pcDNA3−hPPARα/GAL4を、それぞれ、hPPARγ、hPPARδ、hPPARαのリガンド結合ドメイン(LBD)に隣接してイーストGAL4転写因子DBDを挿入することにより調製した。それレポーター構成体、pUAS(5X)−tk−lucを、ヘルペスウイルス最小チミジンキナーゼプロモーターおよびルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流にGAL4応答要素のコピー5つを挿入することによって発生させた。pCMV−lacZは、サイトメガロウイスルプロモーターの調節作用のもとでガラクトシダーゼZ遺伝子を含有する。CO2 10%の加湿雰囲気下、37℃で、10%のチャコール処理ウシ胎仔血清(Gemini Bio−Products,Calabasas,CA)、非必須アミノ酸、100ユニット/mLのペニシリンGおよび100mg/mLの硫酸ストレプトマイシンを含有する高グルコースダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)中のCOS−1細胞を、96ウエルの細胞培養プレートに細胞数12x103/ウエルで接種した。24時間後、リポフェクタミン(GIBCO BRL,Gaithersburg,MD)を用い、製造業者のインストラクションに従って、トランスフェクションを行った。簡単に言うと、トランスフェクションミックスは、各ウエルにつき0.48μLのリポフェクタミン、0.00075μgのpcDNA3−PPAR/GAL4発現ベクター、0.045μgのpUAS(5X)−tk−lucレポーターベクターおよび0.0002μgのpCMV−lacZをトランスアクチベーション効率に関する初期対照として収容していた。10% CO2雰囲気下、37℃で5時間、前記トランスフェクション混合物中で細胞をインキュベートした。その後、細胞を、5%のチャコール処理ウシ胎仔血清、非必須アミノ酸、100ユニット/mLのペニシリンGおよび100mg/mLの硫酸ストレプトマイシン±漸増濃度の試験化合物を含有する新しい高グルコースDMEM中で、〜48時間インキュベートした。化合物が、DMSOに可溶であるので、対照細胞は、当量濃度のDMSOとともにインキュベートし、最終DMSO濃度は、<0.1%(トランスアクチベーション活性を生じることを示さなかった濃度)であった。細胞溶解産物は、レポーター溶解バッファ(Promega,Madison,WI)を用い、製造業者のインストラクションに従って生産した。細胞抽出物におけるルシフェラーゼ活性は、ML3000照度計(Dynatech Laboratories,Chantilly,VA)において、ルシフェラーゼアッセイバッファ(Promega,Madison,WI)を用いて判定した。β−ガラクトシダーゼ活性は、β−D−ガラクトピラノシド(Calbiochem,San Diego,CA)を用いて判定した。
【実施例】
【0052】
下記の表(表A)は、雌Lewisラットにおいてアジュバント誘発性関節炎に起因する炎症を予防、制御または軽減するための活性について試験したPPAR−α、PPAR−γおよびPPAR−δの構造を示している。各化合物のPPAR活性の種類も表Aに示す。表Bは、PPAR活性(例えば、PPAR−αアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、およびこれらに類するもの)に従ってリガンドを分類するために用いたIC50およびEC50のデータを示している。対照として、抗炎症性NSAIDインドメタシンも、アジュバント誘発性関節炎を誘発したラットに対する試験を行った。
【0053】
GW501516として一般に知られている化合物1は、国際公開公報第01/00603号に発表されており、化合物2は、{2−[2−(4−フェノキシ−2−プロピルフェノキシ)エチル]−1H−インドール−5−イル}酢酸であり、国際公開公報第98/27974号の実施例4である。化合物3は、米国特許第5,081,138号に記載されている。化合物1から3は、すべて、前記3つの参考文献に開示されている方法によって製造することができる。化合物4、5および6ならびにインドメタシンは、当技術分野においてよく知られており、これらは、購入することができ、またはよく知られている方法によって製造することができる。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
雌Lewisラットにおけるアジュバント誘発性関節炎の発症および重篤度
週齢7週の雌Lewisラット(Charles River−Portage)(体重139gから172g)100匹の体重を計り、耳標をして、関節炎を誘発していない負の対照グループ、ビヒクル(滅菌蒸留水中0.5%のメトセル(Methocel))対照グループ、1日4回、日用量2mg/kgでインドメタシンを経口投与、1日4回、日用量30mg/mgで化合物2を経口投与、1日4回、日用量50mg/mgで化合物3を経口投与、1日4回、日用量30mg/mgで化合物4を経口投与、1日4回、日用量100mg/mgで化合物5を経口投与、1日4回、日用量30mg/mgで化合物6を経口投与および1日4回、日用量30mg/mgで化合物1を経口投与した正の対照グループ、各グループにおいて、体重が等しくなるように、10匹ごとのグループに割り当てた。ラット各10匹の9つのグループに、軽油0.1mL中に0.5mgのマイコバクテリウム・ブチリカム(Mycobacterium butyricum)を含有する乳剤を注射し、ラット10匹の負の対照グループには、アジュバントを注射しなかった。アジュバント注射前(−1日)およびアジュバント注射後21日目までの様々な時点で、体重、主の(primary)(注射した)足の体積および反対側の(注射していない)足の体積(水銀置換プレチスモグラフィーによって測定した)、ならびに側面(lateral)放射線写真(ケタミンおよびキシラジン麻酔のもとで得たもの)を測定した。放射線写真撮影およびアジュバントの注射のために、ケタミン(87mg/kg)とキシラジン(13mg/kg)との配合薬0.03mLから0.1mLの筋肉内注射でラットを麻酔した。Faxitron(45kVp、30秒または45kVp、1秒)およびKodak X−OMAT TLフィルムを用いて、0日および21日目に、両方の後足の側面から中央にかけての放射線写真を撮影し、自動処理装置で現像した。これらの種類の放射線写真に関する経験を有し、且つ、実験処理について何も知らされていない人に放射線写真を軟組織および硬組織における変化について評価してもらった。次の放射線写真の変化を重篤度に従って数字で等級付けした:軟組織の体積増加(0〜4)、関節間隙の狭細または拡大(0〜5)、肋軟骨下侵食(0〜3)、骨膜反応(0〜4)、骨溶解(0〜4)、亜脱臼(0〜3)、および変形性関節変化(0〜3)。特定の基準を用いて、各放射線写真についての重篤度の等級数を確定した。1足あたりの可能な最高評点は、26であった。アジュバント注射後に開始して、21日間継続する化合物またはビヒクルの予防的投与を行った。化合物は、週1回調製し、使用するまで暗所で冷蔵して、投与直前に攪拌混合した。二酸化炭素吸入により安楽死させた後、化合物1およびビヒクルを投与したラットからの血漿血中濃度レベル(ラット1〜5)および2時間後用量のレベル(ラット6〜10)の測定のために、心臓穿刺により血液を採取した。すべてのラットの肝臓、胸腺および脾臓を除去して計量し、また、両方の後足を除去して放射線写真撮影した。
【0057】
「現時間」で反復測定する二因子(「治療」および「時間」)分散分析、体重と足の体積についての変化率、およびランクを変換した放射線写真の総合点をに適用した。この後で(post hoc)ダンネット試験を行って、治療効果とビヒクルの効果を比較した。一方向分散分析を胸腺重量および脾臓重量に適用し、その後、ダンネット試験に掛けて、治療効果とビヒクルの効果を比較した。
【0058】
結果:
対照グループからのラット1匹は、0日に麻酔により死亡した。従って、対照グループには9匹のラットが含まれていた。PPARγアゴニスト化合物2、PPARγアンタゴニスト化合物3、PPARαアゴニスト化合物4、PPARαアゴニスト化合物5およびPPARαアゴニスト化合物6を投与したラットは、主の足の腫脹の予防にも、副(secondary)の足の腫脹の予防にも失敗したので、14日目に安楽死させた。
【0059】
体重
0.5mgのマイコバクテリウム・ブチリカムを含有する軽油0.1mLの足底部分(sub planter)への注射により雌Lewisラットに関節炎を誘発させた後、化合物またはビヒクル(滅菌水中0.5%のメトセル)を1日1回、21日間、経口栄養法により投与した。対照動物には、アジュバントを注射しなかった。関節炎誘発の1日前(すなわち、0日)および14日および21日後に体重を測定した。そのデータを表1に呈示する。表1中のデータは、動物9匹から10匹のグループについての体重における増加または減少の平均値±1(標準偏差)を表している。
【0060】
対照ラット(アジュバントを注射していない動物)は、この研究の過程で体重が増加し、アジュバント誘発性関節炎のすべてのラットとは有意に異なっていた。このモデルの全身的特性の現われとして、アジュバント誘発性関節炎のラットは、体重が低下した。この研究において、化合物1(30mg/kg、1日4回)またはインドメタシンでの予防的治療を受けたラットは、ビヒクルで治療した動物より体重が増加した(表1)。
【0061】
足の腫脹
0.5mgのマイコバクテリウム・ブチリカムを含有する軽油0.1mLの足底部分への注射により雌Lewisラットに関節炎を誘発させた後、化合物またはビヒクル(滅菌水中0.5%のメトセル)を1日1回、21日間、経口栄養法により投与した。対照動物には、アジュバントを注射しなかった。
【0062】
関節炎誘発前、および関節炎誘発から4、14および21日後、水銀置換プレチスモグラフィーによって注射した足の体積を測定した。データは、動物9匹から10匹のグループについての足の体積における増加の平均値±1(標準偏差)を表している。化合物で治療した動物の足の腫脹の程度を、ビヒクルで治療したグループのものの平均値と比較し、各用量レベルの化合物について抑制率を計算した。個々の動物についての足の腫脹の程度が、対照グループについての腫脹の程度の平均値より大きい時、その抑制率は、ゼロと記録した。
【0063】
関節炎誘発前、および関節炎誘発から14日および21日後に、水銀置換プレチスモグラフィーによって反対側の足の体積を測定した。データは、動物9匹から10匹のグループについての足の体積における増加の平均値±1(標準偏差)を表している。化合物で治療した動物の足の腫脹の程度を、ビヒクルで治療したグループのものの平均値と比較し、各用量レベルの化合物について抑制率を計算した。個々の動物についての足の腫脹の程度が、ビヒクル対照グループについての腫脹の程度の平均値より大きい時、その抑制率は、ゼロと記録した。
【0064】
化合物1(30mg/kg、1日4回)の予防的投与は、21日目の反対側の(副の)足の腫脹を抑制したが、主の(注射した)足の腫脹には作用しなかった。化合物1を投与したラットの副の足の腫脹は、ビヒクルで治療したラットにおけるものより有意に少なかった。化合物1による足の腫脹の抑制は、インドメタシン(2mg/kg、1日4回)で見られる抑制と類似していた。足の体積のデータを表2(主の足)および表3(副の足)にまとめる。
【0065】
脾臓、胸腺および肝臓の重量:
関節炎誘発から21日後に剖検により臓器の重量を得た。データは、動物9匹から10匹のグループについての臓器重量(単位:mg)の平均値±1(標準偏差)を表している。
【0066】
胸腺退縮および脾腫は、AIAにおける調査結果と一致する。アジュバント関節炎のラットの脾腫発症を防ぐ化合物はなかった。胸腺退縮の程度は、ビヒクルで治療した動物より化合物1またはインドメタシンで治療した動物のほうが重篤でなかった。化合物1を投与した動物の肝臓は、ビヒクルで治療したラットものより有意に重かった。臓器の重量のデータを表4にまとめる。
【0067】
顕微鏡写真の評点:
関節炎誘発前、および関節炎誘発から21日後に得た側面放射線写真の審査により放射線写真の総評点を導いた。データは、動物9匹から10匹のグループについての平均評点±1(標準偏差)を表している。
【0068】
ビヒクルで治療したラットの両方の後足についてのAIAでの放射線写真の総評点は、21日目、アジュバントを用いていない対照ラットのものより有意に大きかった。21日目における化合物1またはインドメタシンを投与したラットの反対側の足およびインドメタシンを投与したラットの主の足についての放射線写真の総評点は、ビヒクルで治療したラットのものより有意に小さかった。放射線写真のデータを表5にまとめる。
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
【表7】
【0001】
本発明は、PPARδアゴニストの投与により骨関節症および慢性関節リウマチなどの炎症性疾患を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、炎症を治療するために広く用いられている。これらは、抗炎症活性、鎮痛活性および解熱活性を発揮する。NSAIDには、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸コリン、サリチルサリチル酸、ジフルニサルおよびサルサレートなどのサリチル酸塩;インドメタシンおよびスリンダクなどのインドール酢酸;フェニルブタゾン、オキシフェニルブタゾンなどのピラゾール;トルメチンなどのピロールアルカン酸;イブプロフェン、フェロプロフェン、フルビプロフェンおよびケトプロフェンなどのフェニル酢酸;メフェナム酸およびメクロフェナメートなどのフェナメート;ピロキシカムなどのオキシカム;ならびにナプロキセンなどのナフタレン酢酸が挙げられる。ほぼすべてのNSAIDは、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の活性を阻害することによって作用する。アスピリンは、例えば、シクロオキシゲナーゼをアセチル化し、不可逆的に不活性化する。インドメタシンなどの他のものは、シクロオキシゲナーゼの活性を、前記酵素のいずれかのサブユニットに立体特異的な方式で結合することによって可逆的に阻害する。NSAIDは、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)酵素を阻害するので、プロスタグランジン誘発性疼痛の軽減および炎症プロセスを伴う腫脹の軽減に有効である。ほとんどのNSAIDは、COX−2酵素を選択的に阻害するばかりでなく、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)酵素も阻害し、これは、炎症プロセスを伴わない他の生物学的に有益なプロスタグランジン調節性プロセスにおいて重要である。高用量の非選択的NSAIDの使用は、生命を脅かす潰瘍を含む高度の副作用をもたらすことがあり、このことが、それらの治療上の可能性を制限している。ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、パレコキシブおよびバルデコキシブなどの新しい種類の選択的COX−2阻害剤には、先行NSAIDが示すものと同じ副作用が一般にはない。
炎症性疾患を治療するためのNSAIDの代用品である副腎皮質ステロイドも、特に、長期治療が必要とされる際、ともすれば高度の副作用を有する。ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、6−α−メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾンおよびベタロエタゾンを含むこれらのステロイドは、細胞内グルココルチコイド受容体に結合して、その後、炎症およびグルココルチコイドに暴露した一定の細胞の炎症反応および催奇形反応に作用することができる新しいリン脂質阻害性蛋白質、すなわちリポコルチン、の合成を含む一連の細胞事象を開始させる可能なメカニズムにより、炎症に作用する。グルココルチコイドの抗炎症作用は、充分文献報告されている。
【0003】
ペルオキシソーム増殖薬活性化受容体(PPAR)は、リガンド活性化転写因子の核内ホルモン受容体スーパーファミリー(リガンド依存性転写の活性化および抑制を媒介する蛋白質の大きな、且つ、多種多様な群)の構成員である。三つのPPARサブタイプが、分離されている:PPAR−α、PPAR−δおよびPPAR−γ。PPAR−αは、肝臓、心臓、腎臓、筋肉、褐色脂肪細胞および腸において見出される。PPAR−δ(PPAR−βまたはNUC1として知られていることもある)は、至る所で発現される。PPAR−γは、脂肪組織において発現され、脂肪細胞の分化を調節すると考えられている。PPARサブタイプおよび配位子は、インスリン抵抗性およびインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)、ならびに関連疾患の治療に有用であるため、近ごろ集中的に研究されている。フェノフィブレートなどのPPAR−αアゴニストは、高脂血症および異常脂肪血症などの脂質性疾患の治療に有効である。ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンなどのPPAR−γは、インスリン抵抗性に対して有益に作用するため、最近では、NIDDMの治療用に市販されている。PPAR−δは、PPAR−αおよびPPAR−γに比べ、理解されていない。最近、PPAR−δアゴニストが糖尿病および関連脂質性疾患の治療に有用であると確認された。
【0004】
炎症に対するPPAR−αアゴニストおよびPPAR−γアゴニストの作用は、研究されており、そのデータは、PPAR−αアゴニストおよびPPAR−γアゴニストが一定の種類の炎症を軽減することを示している。PPAR−αアゴニストおよびPPAR−γアゴニストが、関節の炎症、骨関節症または慢性関節リウマチの治療に活性を有するかどうかに関する発表はない。従って、それらが関節の炎症および関節炎の治療に有用であるかどうかは、未だ不明である。
【0005】
PPAR−δは、幾つかの生体システム(希突起神経膠細胞、結腸上皮細胞増殖、子宮胞胚嚢着床)の調節に関連付けられているが、PPAR−δの活性が、関節炎、関節の炎症または他の関連炎症状態の治療、予防または制御において一定の役割を有しうることを示唆する発表データはない。下に記載するように、PPAR−δアゴニストは、慢性関節リウマチ、関連自己免疫疾患および骨関節症などの非常に多数の疾病および状態において発生するような炎症、特に、関節および結合組織の炎症の治療または抑制に、実際、有用であることが、今般、判明した。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、患者をPPAR−δアゴニストで治療する段階を含む、哺乳動物患者の炎症性疾患を治療するための方法である。こうした疾患には、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、一つ以上の結合組織病、強直性脊椎炎、滑液嚢炎、シェーグレン症候群、乾癬、乾癬性関節炎、神経痛、滑膜炎、糸球体腎炎、脈管炎、サルコイドーシス、インフルエンザの後遺症として発生する炎症、かぜウイルスおよび他のウイルス感染症、痛風、接触性皮膚炎、腰痛および頚痛、月経困難、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、熱傷、創傷、ならびに患者の手術および歯科処置の結果として生じる疼痛および炎症が挙げられるが、これらに限定されない。本治療に応える可能性が高い疾病には、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、一つ以上の結合組織病、強直性脊椎炎、滑液嚢炎、シェーグレン症候群、乾癬、乾癬性関節炎、神経痛、滑膜炎、糸球体腎炎、脈管炎、サルコイドーシス、インフルエンザの後遺症として発生する炎症、かぜウイルスおよび他のウイルス感染症、痛風、接触性皮膚炎、腰痛および頚痛、月経困難、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、熱傷、創傷、ならびに患者の手術および歯科処置の結果として生じる疼痛および炎症が挙げられる。
【0007】
本発明は、PPAR−δアゴニストおよびNSAIDを含む複合薬で患者を治療することを含む、患者の炎症性疾患を治療するための方法であり、前記NSAIDは、非選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤であってもよいし、または選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤であってもよい。こうした疾病には、上に列挙した疾病が挙げられるが、それらに限定されない。
【0008】
本発明は、PPAR−δアゴニストを含む組成物で原発部位において炎症を発症した患者を治療することを含む、前記患者の二次炎症を抑制または予防する方法でもある。
【0009】
本発明は、治療有効量のPPAR−δアゴニストを患者に投与することを含む、炎症および炎症の症状を緩和するための方法であって、前記炎症および炎症の症状は、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、一つ以上の結合組織病、強直性脊椎炎、滑液嚢炎、シェーグレン症候群、乾癬、乾癬性関節炎、神経痛、滑膜炎、糸球体腎炎、脈管炎、サルコイドーシス、インフルエンザの後遺症として発生する炎症、かぜウイルスおよび他のウイルス感染症、痛風、接触性皮膚炎、腰痛および頚痛、月経困難、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、熱傷、創傷、ならびに患者の手術および歯科処置の結果として生じる疼痛および炎症を含む様々な疾病および状態に随伴する疼痛、熱、腫張、浮腫および発赤を包含する。慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ならびに他の多数の変形性関節症および結合組織病を含む(しかし、これらに限定されない)本来自己免疫性である疾病では、本発明によると、PPAR−δアゴニストの投与によりこれらの疾病に伴う病的炎症性反応が低下する。本発明は、慢性関節リウマチの治療に特に有用である。
【0010】
アジュバント誘発性関節炎は、変形性関節症、結合組織病、自己免疫疾患、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチおよび他の種類の炎症などの、炎症性疾患または状態のよく確立されたインビボモデルである。アジュバント誘発性関節炎は、抗炎症性化合物および/または免疫調節性化合物として使用できるかもしれない化合物を評価するために用いられる。本明細書中では、PPARアゴニスト(α、γ、およびδ)およびPPAR−γ部分アゴニストならびにアンタゴニストが、ラットにおけるアジュバント誘発性関節炎の治療におけるそれらの有用性について調査されている。PPAR−δアゴニストのみが、これらの動物モデルにおいて有用性を示し、これに対してPPAR−γリガンドおよびすべてのPPAR−αリガンドは、無効であった。
【0011】
本明細書に呈示するデータは、PPAR−δアゴニストが、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、一つ以上の結合組織病、強直性脊椎炎、滑液嚢炎、シェーグレン症候群、乾癬、乾癬性関節炎、神経痛、滑膜炎、糸球体腎炎、脈管炎、サルコイドーシス、インフルエンザの後遺症として発生する炎症、かぜウイルスおよび他のウイルス感染症、痛風、接触性皮膚炎、腰痛および頚痛、月経困難、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、熱傷、創傷、ならびに患者の手術および歯科処置の結果として生じる疼痛および炎症から選択された一つ以上の疾病または状態を治療、予防、制御するために、またはそれらににかかる危険性を低減するために有用でありうることを実証しており、この場合、その治療の方法は、治療(予防的治療を含む)が必要な哺乳動物患者を先ず識別する段階、および次に、その患者に、治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩を投与する段階を含む。前記患者とは、哺乳動物であり、好ましくは、ヒトである。
【0012】
好ましい実施形態において、治療(予防的治療を含む)の必要な哺乳動物患者を先ず識別する段階、および次に、その患者に治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩を投与する段階により、PPAR−δ化合物を用いて、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、糸球体腎炎、腎炎、脈管炎、サルコイドーシス、変形性関節症、シェーグレン症候群、乾癬、乾癬性関節炎、月経困難、筋炎、神経痛、滑膜炎、強直性脊椎炎および滑液嚢炎から選択される一つ以上の自己免疫疾患または障害を治療、予防、制御する、またはそれらにかかる危険性を低減することができる。
【0013】
好ましい実施形態において、治療(予防的治療を含む)の必要な哺乳動物患者を先ず識別する段階、および次に、その患者に治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩を投与する段階により、PPAR−δ化合物を用いて、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、一つ以上の結合組織病、強直性脊椎炎および滑液嚢炎を治療、予防、制御する、またはそれらにかかる危険性を低減することができる。
【0014】
好ましい実施形態において、治療(予防的治療を含む)の必要な哺乳動物患者を先ず識別する段階、および次に、その患者に治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩を投与する段階により、PPAR−δ化合物を用いて、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、および一つ以上の結合組織病を治療、予防、制御する、またはそれらにかかる危険性を低減することができる。
【0015】
特に好ましい実施形態において、治療(予防的治療を含む)の必要な哺乳動物患者を先ず識別する段階、および次に、その患者に治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩を投与する段階により、PPAR−δ化合物を用いて、慢性関節リウマチまたは若年性慢性関節リウマチを治療、予防、制御する、またはそれらにかかる危険性を低減することができる。
【0016】
もう一つの特に好ましい実施形態において、治療(予防的治療を含む)の必要な哺乳動物患者を先ず識別する段階、および次に、その患者に治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩を投与する段階により、PPAR−δ化合物を用いて、骨関節症または変形性関節症を治療、予防、制御する、またはそれらにかかる危険性を低減することができる。
【0017】
PPAR−δアゴニストは、当技術分野において知られている。例えば、国際公開公報第97/28115号、同第97/28149号、同第97/27857号、同第97/28137号、同第97/27847号、同第98/27974号、および同第01/00603号を参照。
【0018】
投薬量および投与
本発明のPPAR−δアゴニストは、錠剤、カプセル(これらは、各々、持続放出性調合薬または持効性調合薬を含む)、丸剤、粉剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、シロップおよび乳剤などの経口用の形態で投与することができる。それに加えて、静脈内(ボーラスまたは注入)、腹腔内、皮下または筋肉内用の形態(すべて、製薬技術分野の通常の技術者によく知られている使用形態)で投与することも可能である。
【0019】
PPARδアゴニストは、有効成分を持続放出することができるような方式に調合することができる蓄積注射または移植用の製剤の形態で投与することができる。有効成分は、圧縮してペレットまたは小さな円柱体にすることができ、蓄積注射または移植の際に皮下または筋肉内に移植することができる。移植には、生分解性ポリマーまたは合成シリコーン、例えば、シラスティック、シリコーンゴムもしくはDow−Corning Corporationによって製造された他のポリマーなどの不活性材料を用いることができる。
【0020】
PPAR−δアゴニストは、小さな単層小胞、大きな単層小胞および多層小胞などのリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成されうる。
【0021】
PPAR−δアゴニストは、それらの化合物分子と結合している、個々の担体としてのモノクローナル抗体の使用により、送達することもできる。PPAR−δアゴニストは、目標を定めることができる薬物担体としての可溶性ポリマーとも結合させることができる。こうしたポリマーには、ポリビニルピロリドン−ピランコポリマー、ポリ(ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド−フェノールコポリマー、ポリヒドロキシエチルアスパルタミド−フェノールコポリマー、またはパルミトイル残基で置換されているポリエチレンオキシド−ポリリジンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、PPAR−δアゴニストは、薬物の制御放出の達成に有用な種類の生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーと結合させることができる。
【0022】
PPAR−δアゴニストを用いる薬剤投与計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および医療状態;治療すべき状態の重篤度;投与径路;患者の腎機能および肝機能;ならびに用いられる特定の化合物またはその塩を含む様々な因子に従って選択される。通常の熟練医師または獣医師は、その症状およびその状態の進行を予防、緩和、制御または停止させるために必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0023】
経口投与が実施可能な時には、経口投与が好ましい薬物送達経路である。示した効果のために用いる時のPPAR−δアゴニストの経口投薬量は、一般には1日につき体重1kgあたり約0.001mg(0.001mg/kg/日)から約100mg/kg/日の間、好ましくは約0.01から10mg/kg/日である(別様に明記されていない限り、有効成分の量は、中性分子を基準としており、前記中性分子は、遊離酸であってもよいし、または遊離塩基であってもよい)。例えば、80kgの患者は、約0.08mg/日と8g/日の間、好ましくは約0.8mg/日と800mg/日の間を摂取することとなる。従って、1日1回の投与のために適切に調製された医薬品は、0.08mgと8gの間、好ましくは0.8mgと800mgの間を含有する。有利には、PPAR−δアゴニストは、1日2回、3回または4回の分割量で投与することができる。1日2回の投与のために、上に記載したように適切に調製された医薬品は、0.04mgと4gの間、好ましくは0.4mgと400mgの間を含有することとなる。場合によっては、上述の範囲外の投薬量も必要とされる。担体は、一般に、全組成物の約5%から95%を構成する量で添加される。1日あたり0.08mgから8gの範囲で投与することができる日用量の例には、0.1mg、0.5mg、1mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg、1g、2g、4gおよび8gが挙げられる。1日に1回より多く投与する場合には、これらは、より少ない量に分割される(例えば、薬物が1日に2回摂取される場合、各投与の際に半分の量)。
【0024】
静脈内または皮下に、患者は、ほぼ上に記載した量の有効成分を送達する量の注射量を受ける。それらの量は、消化系をバイパスさせる送達モデルの使用によって生じる送達の有効性の差を考慮して調整することができる。こうした量は、多数の適する方法で投与することができ、例えば、ある長い期間に、もしくは1日数回、低濃度の有効成分を大量に投与してもよいし、または短い期間に、例えば、1日1回、高濃度の有効成分を少量投与してもよい。典型的には、例えば、0.1mg/mL、0.3mg/mLまたは0.6mg/mLなど、約0.01から1.0mg/mLの間の濃度の有効成分を含有する通常の静脈内用調合薬を調製し、上述の1日あたりの量と同等の1日あたりの量で投与することができる。例えば、0.5mg/mLの濃度の有効成分を有する静脈内用調合薬8mLを1日2回受ける80kgの患者は、1日に8mgの有効成分を受ける。グルクロン酸、L−乳酸、酢酸、クエン酸、または静脈内投与に許容されうるpH範囲で妥当な緩衝能を有するあらゆる医薬適合性の酸/共役塩基を緩衝剤として用いることができる。適切な賦形剤を選択する際には、その薬物の溶解度および化学的適合性を考慮せねばならない。皮下用調合薬、好ましくは、7.0と7.4の間のpH範囲で、当技術分野においてよく知られている手順に従って調製される皮下用調合薬は、適する緩衝剤および等張剤も含む。それらは、1日1回以上、例えば、各日1、2または3回の皮下投与で日用量のPPAR−δアゴニストを送達するように調合される。適切な緩衝剤および調合薬のpHの選択は、投与すべき薬物の溶解度に依存して、通常の当業者により容易になされる。
【0025】
化合物は、適する経鼻用ビヒクルの局所使用により、または通常の当業者によく知られている経皮パッチ形態のものを用いる経皮経路により、経鼻用の形態で投与することもできる。経皮送達系の形態で投与するために、その投薬量の投与は、勿論、その薬剤投与計画を通して間欠的ではなく継続的である。
【0026】
典型的には、PPAR−δアゴニストは、所期の投与形態、すなわち、経口用の錠剤、カプセル、エリキシル剤、シロップおよびこれらに類するものを基準にし、且つ、通常の製薬の実施に矛盾することなく、適切に選択された適する製薬用希釈剤、賦形剤または担体(本明細書中では、総称して、「担体」と呼ぶ)との混合物の状態で、有効成分として投与される。
【0027】
例えば、錠剤または硬質カプセルの形態での経口投与のために、活性薬成分を、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールおよびこれらに類するものなどの経口用非毒性医薬適合性の不活性担体と併せることができる。液状形態での経口投与のために、経口薬成分を、エタノール、グリセロール、水およびこれらに類するものなどのあらゆる経口用非毒性医薬適合性の不活性担体と併せることができる。経口剤形は、植物油(ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油であることができるが、これらに限定されない)または鉱物油(パラフィン油など)などの油に懸濁させることもできる。さらに、所望される時、または必要な際には、適する結合剤、潤滑剤、崩壊剤および着色剤もこの混合物に配合することができる。適する結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖(グルコースもしくはβ−ラクトースなど)、トウモロコシ甘味料、天然および合成ゴム(アラビアゴム、トラガカントゴムもしくはアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、蝋およびこれらに類するものが挙げられる。これらの剤形に用いられる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよびこれらに類するものが挙げられる。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムおよびこれらに類するものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0028】
定義
「医薬適合性の塩」は、遊離酸を適する有機または無機塩基と反応させることによって一般には調製される、本発明で用いられる化合物の非毒性塩を意味する。PPAR−δアゴニストの塩の形態の例には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシウム、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸、粘液酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクリン酸塩、トシル酸塩および吉草酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。COX−2阻害剤の塩の形態の例には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩およびこれらに類するものを含む無機塩基から誘導された塩が挙げられるが、それらに限定されない。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩が、特に好ましい。医薬適合性の有機非毒性塩基から誘導される塩には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、クロリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン、およびこれらに類するものなどの天然置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂を含む、第一、第二および第三アミン、置換アミンの塩が挙げられる。
【0029】
別様に定義されていない限り、「治療有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家により探求される、組織、器官系、動物またはヒトの生体応答または医薬応答を惹起する薬物または製剤の量を意味する。
【0030】
別様に定義されていない限り、「予防有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家により組織、器官系、動物またはヒトに関して探求される、生物学的または医学的事象を予防する、またはそれらの発生の危険性を低減する医薬の量を意味する。
【0031】
併用療法
同様に、PPAR−δアゴニストは、NSAIDが、現在、他の薬剤または成分と共同投与されている製剤において、通常のNSAIDの一部または完全代用品として有用でありうる。従って、さらなる側面において、本発明は、上で定義したような非毒性で治療有効量のPPAR−δアゴニストおよび一つ以上の他の成分(鎮痛剤;NSAID;カフェインを含む相乗因子;H2アンタゴニスト;水酸化アルミニウムまたはマグネシウム;シメチコン;うっ血除去薬;鎮咳薬;利尿薬;ならびに鎮静性または非鎮静性抗ヒスタミン薬など)を含む、上で定義したような炎症性疾患を治療するための医薬組成物を包含する。加えて、本発明は、そうした治療が必要な患者に、非毒性で治療有効量のPPAR−δアゴニストを投与する(場合によっては、すぐ上に列挙したような成分一つ以上と共同投与する)ことを含む、炎症性疾患の治療法を包含する。
【0032】
鎮咳薬の例には、コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、デキストロメトルファンが挙げられる。
【0033】
うっ血除去薬の例には、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、またはレボ−デゾキシエフェドリンが挙げられる。
【0034】
鎮痛薬の例には、アセトミノフェンおよびフェナセチンが挙げられる。
【0035】
PPAR−δアゴニストとNSAIDの併用
本発明は、哺乳動物に、さらに詳細にはヒトに、治療有効量のNSAID(選択的または非選択的OCX−2阻害剤など)を治療有効量のPPAR−δアゴニストと併せて投与することを含む、新規併用療法も含む。本併用療法は、炎症および炎症性疾患を治療するために用いられる。
【0036】
PPAR−δアゴニストをCOX−2阻害剤などのNSAIDと併せて含む複合製剤には、一回量の中にPPAR−δアゴニストとNSAIDの両方を含有する単一の投薬量調合薬、ならびに各活性薬剤がそれぞれ独自で別個の投薬量調合薬で投与される調合薬が挙げられる。別個の投薬量調合薬を用いる場合、PPAR−δアゴニストおよびNSAIDは、本質的に同じ時に、すなわち、同時に投与することができ、またはずらした別の時に、すなわち、逐次的に投与することができる。「本複合製剤」は、これらの方式すべてを包含すると考える。これらの様々な方法での投与は、PPAR−δアゴニストおよびNSAIDの有益な医薬作用が実質的に同じ時に患者によって実現される限り、本発明に適する。こうした有益な作用は、好ましくは、各活性薬の目標血液レベル濃度が実質的に同じ時に維持される時、達成される。PPAR−δアゴニストおよびNSAIDは、1日1回の投薬スケジュールで同時に共同投与するのが好ましいが、1日1回のPPAR−δアゴニストと1日1回、2回もしくは2回以上のNSAID、または1日1回のNSAIDと1日1回、2回もしくは2回以上のPPAR−δアゴニストなど、可変的な投薬スケジュールも本発明に包含される。PPAR−δアゴニストとNSAIDの両者から成る単一経口投薬量調合薬が好ましい。単一投薬量調合薬は、患者にとって便利である。
【0037】
本発明は、治療有効量のNSAIDまたはその医薬適合性の塩を、治療有効量のPPAR−δアゴニストまたは医薬適合性のその塩、および医薬適合性の担体と併せて含む医薬組成物も提供する。本組成物の一つの実施形態は、治療有効量のPPAR−δアゴニストおよび医薬適合性の担体との併用での治療有効量のCOX−2阻害剤から成る、経口投与に適合する単一の組成物である。この複合薬は、各々が活性薬剤のうちの一つの有する別個の剤形で投与することもできる。別個の剤形で投与する場合、それらの別個の剤形は、各活性薬剤の有益な作用が患者によって同じ時に実現されるように投与する。
【0038】
NSAID
一般的なNSAIDには、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸クロリン、サリチルサリチル酸、ジフルニサルおよびサルサレートなどのサリチル酸塩;インドメタシンおよびスリンダクなどののインドール酢酸;フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾンなどのピラゾール;トルメチンなどのピロールアルカン酸;イブプロフェン、フェロプロフェン、フルルビプロフェンおよびケトプロフェンなどのフェニル酢酸;メファナミン酸およびメクロフェナメートなどのフェナメート;ピロキシカムなどのオキシカム;ならびにナプロキセンなどのナフタレン酢酸が挙げられる。これらは、すべて非選択的NSAIDであって、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)受容体とシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)受容体の両方を阻害する。
【0039】
COX−2阻害剤
選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤は、非選択的NSAIDを投与した時、結果として生じるシクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)阻害の副作用を受けやすい患者に特に有利である。PPAR−δアゴニストとの併用療法において有利に用いることができるCOX−2阻害剤の例には、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、パレコキシブおよびバルデコキシブが挙げられる。
【0040】
PPAR−δアゴニストとNSAIDを併用する薬剤投与計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および医療状態;治療すべき状態の重篤度;投与径路;患者の腎機能および肝機能;ならびに用いられる特定の化合物またはその塩を含む様々な要因に従って選択される。併用療法では、二つの異なる活性薬剤が一緒に用いられるので、各薬剤の効力およびそれらを併用することにより達成される相互作用も考慮に入れなければならない。その状態の進行を予防、対抗または阻止するために必要とされる治療に有効なまたは予防に有効な投薬量を決定することを目的とするこれらの因子の考慮は、通常の技術を有する臨床家の権限の範囲内に充分入る。
【0041】
患者への複合製剤の投与は、自己投与と他人による患者への投与の両方を含む。
【0042】
追加の活性薬剤を、単一投薬量調合薬でNSAIDおよびPPAR−δアゴニストと併用してもよいし、または同時もしくは逐次的投与が可能である別個の投薬量調合薬で患者に投与してもよい。用いることができる追加の活性薬剤の例には、HMG−CoAシンターゼ阻害剤;スクアレンエポキシダーゼ阻害剤;スクアレンシンセターゼ阻害剤(スクアレンシンターゼ阻害剤としても知られている)、アシル補酵素A;コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤;プロブコール;ナイアシン;クロフィブレート、フェノフィブレートおよびゲムフィブリゾールなどのフィブレートを含むPPAR−αアゴニスト;インスリン感作物質であるPPAR−γアゴニストおよびPPAR−α/γ二重アゴニスト;コレステロール吸収阻害剤;胆汁酸封鎖剤;LDL(低比重リポ蛋白)受容体誘導物質;ビタミンB6(ピリドキシンとしても知られている)およびHCl塩などのその医薬適合性の塩;ビタミンB12(シアノコバラミンとしても知られている);β−アドレナリン性受容体遮断薬;葉酸またはナトリウム塩およびメチルグルカミン塩などのその医薬適合性の塩もしくはエステル;ビタミンCおよびEならびにβカロチンなどの抗酸化ビタミンが挙げられる。
【0043】
本発明のさらなる実施形態は、経口投薬量調合薬でのCOX−2阻害剤などのNSAIDおよび別の経口投与量調合薬でのPPAR−δアゴニストから成るキットを含む。
【0044】
この実施形態の一例は、経口投薬量調合薬のCOX−2阻害剤および経口投薬量調合薬のPPAR−δアゴニストから成るキットである。このキットについてのパッケージングは、様々な方法で設計し、製造することができる。好ましい例は、同じブリスターカード内に並べて配列されたCOX−2阻害剤の錠剤の列とPPAR−δアゴニストの錠剤の列を収容しているブリスターパックであって、前記二種の錠剤は、各々、独自のブリスターバブル内にあり、前記カード上には、一「対」の錠剤(すなわち、COX−2阻害剤の錠剤1個とPPAR−δアゴニストの錠剤1個)を1日に摂取すべきであることを使用者に知らせる予定表または似たタイプのマーキングがあるブリスターパックである。
【0045】
(実施例)
本発明の或る特定の実施形態を参照しながら本発明を記載し、説明してきたが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく本発明において様々な変更、変形および代用をなすことができることは、当業者には理解できよう。例えば、治療を受ける哺乳動物の反応の変化の結果として、本明細書中、上に記載した特定の投薬量以外の有効な投薬量を、上に示したような本発明において用いられる活性薬剤についてのあらゆる指示に対して適用することができる。同様に、観察される特定の薬理応答は、選択された特定の活性化合物、または製薬用担体が存在するかどうか、ならびに調合のタイプ、および用いられる投与方式に従って、およびそれらに依存して変化しうり、そういった予想される結果の変化または差を本発明の目的および実施に従って考慮する。従って、本発明は、後続の特許請求の範囲によって定義され、且つ、そうした特許請求の範囲は、妥当である限り広く解釈されるものと考える。
【0046】
アッセイ
ヒトPPARアゴニストを識別するアプローチとして、シンチレーション近接アッセイを用いて、PPAR−γリガンド、PPAR−δリガンドおよびPPAR−αリガンドの特性付けをした。これらのアッセイにおいて、試験化合物が、組換えヒトPPAR−αまたは組換えヒトPPAR−γから、MRL放射リガンド、[3H2](3−(4−(3−フェニル−7−プロピル−6−ベンズ−[4,5]−イソオキサゾールオキシ)ブチルオキシ)フェニル酢酸(化合物A)の結合を置換する能力を測定した。組換えヒトPPAR−δに結合する試験化合物の相対的な能力の特性付けをするために、放射性標識[3H2]3−クロロ−4−(3−(7−プロピル−3−トリフルオロメチル−6−ベンズ−[4,5]−イソオキサゾールオキシ)プロピルチオ)フェニル酢酸(化合物B)を用いた。化合物AおよびB(無標識のもの)は、それぞれ実施例62および20として国際公開公報第97/28137号に開示されている。放射性標識化合物AおよびBは、国際公開公報第97/28137号に開示されている方法の変形、すなわちそれらの化合物の標識付けによって製造する。
【0047】
結合アッセイ
A.組換えヒトPPARγ、PPARδおよびPPARαの調製
ヒトPPARγ2、ヒトPPARδおよびヒトPPARαを、E.coli.中でGST融合蛋白として発現させた。PPARγ2についての完全長ヒトcDNAを、pGEX−2T発現ベクター(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)にサブクローニングした。PPARδおよびPPARαについての完全長ヒトcDNAを、pGEX−KT発現ベクターにした(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)にサブクローニングした。それぞれのプラスミドを含有するE.coliを増殖させ、誘導して、遠心分離により回収した。再懸濁ペレットをフレンチプレスで破壊し、遠心分離によって破片を除去した。グルタチオンセファロースを用いる親和性クロマトグラフィーによって、組換えヒトPPAR受容体を精製した。カラムに塗布し、一度洗浄した後、グルタチオンで受容体を溶離した。グリセロール(10%)を添加して、受容体を安定化し、アリコートを−80℃で保管した。
【0048】
B.[3H2]−化合物A PPARSPA(PPARγ)
各アッセイについて、1.25mg/mLのケイ酸イットリウムプロテインA被覆SPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)、8.3μg/mLの抗GST抗体(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)、0.1%の脱脂粉乳および5nMの[3H2]化合物A(34.3Ci/mmol)、±試験化合物を含有する最終量100μLのSPAバッファ(10mMのTris(pH7.2)、1mMのEDTA、10%のグリセロール、10mMのモリブデン酸ナトリウム、1mMのジチオトレイトールおよび2μg/mLのベンズアミジン)中で、ヒトGST−PPARγ受容体のアリコートをインキュベートした。振盪しながら15℃で〜16時間インキュベートした後、アッセイプレートをクエンチ補正しながらPackard Topcountで計測した。このアッセイにおいて、PPARγに対する化合物AのKDは、≒2.7nMである。
【0049】
C.[3H2]化合物A PPARSPAアッセイ(PPARα)
各アッセイについて、1.25mg/mLのケイ酸イットリウムプロテインA被覆SPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)、8.3μg/mLの抗GST抗体(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)、0.1%の脱脂粉乳および5nMの[3H2]化合物A(34.3Ci/mmol)、±試験化合物を含有する最終量100μLのSPAバッファ(10mMのTris(pH7.2)、1mMのEDTA、10%のグリセロール、10mMのモリブデン酸ナトリウム、1mMのジチオトレイトールおよび2μg/mLのベンズアミジン)中で、ヒトGST−PPARα受容体のアリコートをインキュベートした。振盪しながら15℃で〜16時間インキュベートした後、アッセイプレートをクエンチ補正しながらPackard Topcountで計測した。このアッセイにおいて、PPARαに対する化合物AのKDは、≒10nMである。
【0050】
D.[3H2]化合物B PPARSPAアッセイ(PPARδ)
各アッセイについて、1.25mg/mLのケイ酸イットリウムプロテインA被覆SPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)、8.3μg/mLの抗GST抗体(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.)、0.1%の脱脂粉乳および2.5nMの[3H2]化合物B(13.4Ci/mmol)、±試験化合物を含有する最終量100μLのSPAバッファ(10mMのTris(pH7.2)、1mMのEDTA、10%のグリセロール、10mMのモリブデン酸ナトリウム、1mMのジチオトレイトール、2μg/mLのベンズアミジンおよび0.5mMのPMSF)中で、ヒトGST−PPARδ受容体のアリコートをインキュベートした。振盪しながら15℃で〜16時間インキュベートした後、アッセイプレートをクエンチ補正しながらPackard Topcountで計測した。このアッセイにおいて、PPARδに対する化合物BのKDは、≒1nMである。
【0051】
Gal−4 hPPARトランスアクチベーションアッセイ
キメラ受容体発現構成体、pcDNA3−hPPARγ/GAL4、pcDNA3−hPPARδ/GAL4、pcDNA3−hPPARα/GAL4を、それぞれ、hPPARγ、hPPARδ、hPPARαのリガンド結合ドメイン(LBD)に隣接してイーストGAL4転写因子DBDを挿入することにより調製した。それレポーター構成体、pUAS(5X)−tk−lucを、ヘルペスウイルス最小チミジンキナーゼプロモーターおよびルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流にGAL4応答要素のコピー5つを挿入することによって発生させた。pCMV−lacZは、サイトメガロウイスルプロモーターの調節作用のもとでガラクトシダーゼZ遺伝子を含有する。CO2 10%の加湿雰囲気下、37℃で、10%のチャコール処理ウシ胎仔血清(Gemini Bio−Products,Calabasas,CA)、非必須アミノ酸、100ユニット/mLのペニシリンGおよび100mg/mLの硫酸ストレプトマイシンを含有する高グルコースダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)中のCOS−1細胞を、96ウエルの細胞培養プレートに細胞数12x103/ウエルで接種した。24時間後、リポフェクタミン(GIBCO BRL,Gaithersburg,MD)を用い、製造業者のインストラクションに従って、トランスフェクションを行った。簡単に言うと、トランスフェクションミックスは、各ウエルにつき0.48μLのリポフェクタミン、0.00075μgのpcDNA3−PPAR/GAL4発現ベクター、0.045μgのpUAS(5X)−tk−lucレポーターベクターおよび0.0002μgのpCMV−lacZをトランスアクチベーション効率に関する初期対照として収容していた。10% CO2雰囲気下、37℃で5時間、前記トランスフェクション混合物中で細胞をインキュベートした。その後、細胞を、5%のチャコール処理ウシ胎仔血清、非必須アミノ酸、100ユニット/mLのペニシリンGおよび100mg/mLの硫酸ストレプトマイシン±漸増濃度の試験化合物を含有する新しい高グルコースDMEM中で、〜48時間インキュベートした。化合物が、DMSOに可溶であるので、対照細胞は、当量濃度のDMSOとともにインキュベートし、最終DMSO濃度は、<0.1%(トランスアクチベーション活性を生じることを示さなかった濃度)であった。細胞溶解産物は、レポーター溶解バッファ(Promega,Madison,WI)を用い、製造業者のインストラクションに従って生産した。細胞抽出物におけるルシフェラーゼ活性は、ML3000照度計(Dynatech Laboratories,Chantilly,VA)において、ルシフェラーゼアッセイバッファ(Promega,Madison,WI)を用いて判定した。β−ガラクトシダーゼ活性は、β−D−ガラクトピラノシド(Calbiochem,San Diego,CA)を用いて判定した。
【実施例】
【0052】
下記の表(表A)は、雌Lewisラットにおいてアジュバント誘発性関節炎に起因する炎症を予防、制御または軽減するための活性について試験したPPAR−α、PPAR−γおよびPPAR−δの構造を示している。各化合物のPPAR活性の種類も表Aに示す。表Bは、PPAR活性(例えば、PPAR−αアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、およびこれらに類するもの)に従ってリガンドを分類するために用いたIC50およびEC50のデータを示している。対照として、抗炎症性NSAIDインドメタシンも、アジュバント誘発性関節炎を誘発したラットに対する試験を行った。
【0053】
GW501516として一般に知られている化合物1は、国際公開公報第01/00603号に発表されており、化合物2は、{2−[2−(4−フェノキシ−2−プロピルフェノキシ)エチル]−1H−インドール−5−イル}酢酸であり、国際公開公報第98/27974号の実施例4である。化合物3は、米国特許第5,081,138号に記載されている。化合物1から3は、すべて、前記3つの参考文献に開示されている方法によって製造することができる。化合物4、5および6ならびにインドメタシンは、当技術分野においてよく知られており、これらは、購入することができ、またはよく知られている方法によって製造することができる。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
雌Lewisラットにおけるアジュバント誘発性関節炎の発症および重篤度
週齢7週の雌Lewisラット(Charles River−Portage)(体重139gから172g)100匹の体重を計り、耳標をして、関節炎を誘発していない負の対照グループ、ビヒクル(滅菌蒸留水中0.5%のメトセル(Methocel))対照グループ、1日4回、日用量2mg/kgでインドメタシンを経口投与、1日4回、日用量30mg/mgで化合物2を経口投与、1日4回、日用量50mg/mgで化合物3を経口投与、1日4回、日用量30mg/mgで化合物4を経口投与、1日4回、日用量100mg/mgで化合物5を経口投与、1日4回、日用量30mg/mgで化合物6を経口投与および1日4回、日用量30mg/mgで化合物1を経口投与した正の対照グループ、各グループにおいて、体重が等しくなるように、10匹ごとのグループに割り当てた。ラット各10匹の9つのグループに、軽油0.1mL中に0.5mgのマイコバクテリウム・ブチリカム(Mycobacterium butyricum)を含有する乳剤を注射し、ラット10匹の負の対照グループには、アジュバントを注射しなかった。アジュバント注射前(−1日)およびアジュバント注射後21日目までの様々な時点で、体重、主の(primary)(注射した)足の体積および反対側の(注射していない)足の体積(水銀置換プレチスモグラフィーによって測定した)、ならびに側面(lateral)放射線写真(ケタミンおよびキシラジン麻酔のもとで得たもの)を測定した。放射線写真撮影およびアジュバントの注射のために、ケタミン(87mg/kg)とキシラジン(13mg/kg)との配合薬0.03mLから0.1mLの筋肉内注射でラットを麻酔した。Faxitron(45kVp、30秒または45kVp、1秒)およびKodak X−OMAT TLフィルムを用いて、0日および21日目に、両方の後足の側面から中央にかけての放射線写真を撮影し、自動処理装置で現像した。これらの種類の放射線写真に関する経験を有し、且つ、実験処理について何も知らされていない人に放射線写真を軟組織および硬組織における変化について評価してもらった。次の放射線写真の変化を重篤度に従って数字で等級付けした:軟組織の体積増加(0〜4)、関節間隙の狭細または拡大(0〜5)、肋軟骨下侵食(0〜3)、骨膜反応(0〜4)、骨溶解(0〜4)、亜脱臼(0〜3)、および変形性関節変化(0〜3)。特定の基準を用いて、各放射線写真についての重篤度の等級数を確定した。1足あたりの可能な最高評点は、26であった。アジュバント注射後に開始して、21日間継続する化合物またはビヒクルの予防的投与を行った。化合物は、週1回調製し、使用するまで暗所で冷蔵して、投与直前に攪拌混合した。二酸化炭素吸入により安楽死させた後、化合物1およびビヒクルを投与したラットからの血漿血中濃度レベル(ラット1〜5)および2時間後用量のレベル(ラット6〜10)の測定のために、心臓穿刺により血液を採取した。すべてのラットの肝臓、胸腺および脾臓を除去して計量し、また、両方の後足を除去して放射線写真撮影した。
【0057】
「現時間」で反復測定する二因子(「治療」および「時間」)分散分析、体重と足の体積についての変化率、およびランクを変換した放射線写真の総合点をに適用した。この後で(post hoc)ダンネット試験を行って、治療効果とビヒクルの効果を比較した。一方向分散分析を胸腺重量および脾臓重量に適用し、その後、ダンネット試験に掛けて、治療効果とビヒクルの効果を比較した。
【0058】
結果:
対照グループからのラット1匹は、0日に麻酔により死亡した。従って、対照グループには9匹のラットが含まれていた。PPARγアゴニスト化合物2、PPARγアンタゴニスト化合物3、PPARαアゴニスト化合物4、PPARαアゴニスト化合物5およびPPARαアゴニスト化合物6を投与したラットは、主の足の腫脹の予防にも、副(secondary)の足の腫脹の予防にも失敗したので、14日目に安楽死させた。
【0059】
体重
0.5mgのマイコバクテリウム・ブチリカムを含有する軽油0.1mLの足底部分(sub planter)への注射により雌Lewisラットに関節炎を誘発させた後、化合物またはビヒクル(滅菌水中0.5%のメトセル)を1日1回、21日間、経口栄養法により投与した。対照動物には、アジュバントを注射しなかった。関節炎誘発の1日前(すなわち、0日)および14日および21日後に体重を測定した。そのデータを表1に呈示する。表1中のデータは、動物9匹から10匹のグループについての体重における増加または減少の平均値±1(標準偏差)を表している。
【0060】
対照ラット(アジュバントを注射していない動物)は、この研究の過程で体重が増加し、アジュバント誘発性関節炎のすべてのラットとは有意に異なっていた。このモデルの全身的特性の現われとして、アジュバント誘発性関節炎のラットは、体重が低下した。この研究において、化合物1(30mg/kg、1日4回)またはインドメタシンでの予防的治療を受けたラットは、ビヒクルで治療した動物より体重が増加した(表1)。
【0061】
足の腫脹
0.5mgのマイコバクテリウム・ブチリカムを含有する軽油0.1mLの足底部分への注射により雌Lewisラットに関節炎を誘発させた後、化合物またはビヒクル(滅菌水中0.5%のメトセル)を1日1回、21日間、経口栄養法により投与した。対照動物には、アジュバントを注射しなかった。
【0062】
関節炎誘発前、および関節炎誘発から4、14および21日後、水銀置換プレチスモグラフィーによって注射した足の体積を測定した。データは、動物9匹から10匹のグループについての足の体積における増加の平均値±1(標準偏差)を表している。化合物で治療した動物の足の腫脹の程度を、ビヒクルで治療したグループのものの平均値と比較し、各用量レベルの化合物について抑制率を計算した。個々の動物についての足の腫脹の程度が、対照グループについての腫脹の程度の平均値より大きい時、その抑制率は、ゼロと記録した。
【0063】
関節炎誘発前、および関節炎誘発から14日および21日後に、水銀置換プレチスモグラフィーによって反対側の足の体積を測定した。データは、動物9匹から10匹のグループについての足の体積における増加の平均値±1(標準偏差)を表している。化合物で治療した動物の足の腫脹の程度を、ビヒクルで治療したグループのものの平均値と比較し、各用量レベルの化合物について抑制率を計算した。個々の動物についての足の腫脹の程度が、ビヒクル対照グループについての腫脹の程度の平均値より大きい時、その抑制率は、ゼロと記録した。
【0064】
化合物1(30mg/kg、1日4回)の予防的投与は、21日目の反対側の(副の)足の腫脹を抑制したが、主の(注射した)足の腫脹には作用しなかった。化合物1を投与したラットの副の足の腫脹は、ビヒクルで治療したラットにおけるものより有意に少なかった。化合物1による足の腫脹の抑制は、インドメタシン(2mg/kg、1日4回)で見られる抑制と類似していた。足の体積のデータを表2(主の足)および表3(副の足)にまとめる。
【0065】
脾臓、胸腺および肝臓の重量:
関節炎誘発から21日後に剖検により臓器の重量を得た。データは、動物9匹から10匹のグループについての臓器重量(単位:mg)の平均値±1(標準偏差)を表している。
【0066】
胸腺退縮および脾腫は、AIAにおける調査結果と一致する。アジュバント関節炎のラットの脾腫発症を防ぐ化合物はなかった。胸腺退縮の程度は、ビヒクルで治療した動物より化合物1またはインドメタシンで治療した動物のほうが重篤でなかった。化合物1を投与した動物の肝臓は、ビヒクルで治療したラットものより有意に重かった。臓器の重量のデータを表4にまとめる。
【0067】
顕微鏡写真の評点:
関節炎誘発前、および関節炎誘発から21日後に得た側面放射線写真の審査により放射線写真の総評点を導いた。データは、動物9匹から10匹のグループについての平均評点±1(標準偏差)を表している。
【0068】
ビヒクルで治療したラットの両方の後足についてのAIAでの放射線写真の総評点は、21日目、アジュバントを用いていない対照ラットのものより有意に大きかった。21日目における化合物1またはインドメタシンを投与したラットの反対側の足およびインドメタシンを投与したラットの主の足についての放射線写真の総評点は、ビヒクルで治療したラットのものより有意に小さかった。放射線写真のデータを表5にまとめる。
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
【表7】
Claims (25)
- (1)その必要がある患者を選択する段階、および
(2)治療有効量のPPAR−δアゴニストを前記患者に投与する段階
を含む、哺乳動物患者における炎症性疾患または状態を治療、制御、予防するための、または前記疾患または状態にかかる危険を低減するための方法。 - 前記炎症性疾患または状態が、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、一つ以上の結合組織病、強直性脊椎炎、滑液嚢炎、シェーグレン症候群、乾癬、乾癬性関節炎、神経痛、滑膜炎、糸球体腎炎、脈管炎、サルコイドーシス、インフルエンザの後遺症として発生する炎症、かぜウイルスおよび他のウイルス感染症、痛風、接触性皮膚炎、腰痛および頚痛、月経困難、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、熱傷、創傷、ならびに患者の手術および歯科処置の結果として生じる疼痛および炎症から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記炎症性疾患または状態が、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症、一つ以上の結合組織病、強直性脊椎炎および滑液嚢炎から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記炎症性疾患または状態が、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、骨関節症、変形性関節症および一つ以上の結合組織病から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記炎症性疾患または状態が、骨関節症である、請求項1に記載の方法。
- 前記炎症性疾患または状態が、慢性関節リウマチである、請求項1に記載の方法。
- (1)その必要がある患者を選択する段階、および
(2)治療有効量のPPAR−δアゴニストと、第二鎮静剤;NSAID;カフェインを含む増強剤;H2アゴニスト;水酸化アルミニウムまたはマグネシウム;シメチコン;うっ血除去薬;鎮咳薬;利尿薬;および鎮静性または非鎮静性抗ヒスタミン薬から成る群より選択される一つ以上の追加の治療化合物とを前記患者に投与する段階を含む、哺乳動物患者における炎症性疾患または状態を治療、制御、予防するための、または前記疾患または状態にかかる危険を低減するための方法。 - 前記追加の治療化合物が、アセトアミノフェンおよびフェナセチンからなる群より選択される第二鎮静剤;非選択的または選択的COX−2阻害剤でありうるNSAID;カフェインを含む増強剤;ならびにH2アンタゴニスト;水酸化アルミニウムまたはマグネシウム;シメチコン;うっ血除去薬;フェニルエフィリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフィリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリンおよびレボデゾキシエフェドリンから選択される一つ以上の成分を含むうっ血除去薬;コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタンおよびデキストロメトルファンから選択された一つ以上の化合物を含む鎮咳薬;利尿薬;ならびに鎮静性または非鎮静性抗ヒスタミン薬から成る群より選択される、請求項7に記載の方法。
- (1)その必要がある患者を選択する段階、および
(2)治療有効量のPPAR−δアゴニストおよびNSAIDを前記患者に投与する段階を含む、哺乳動物患者における炎症性疾患または状態を治療、制御、予防するための、または前記疾患または状態にかかる危険を低減するための方法。 - 前記NSAIDが、非選択的COX−2阻害剤である、請求項9に記載の方法。
- 前記NSAIDが、選択的COX−2阻害剤である、請求項9に記載の方法。
- 前記選択的COX−2阻害剤が、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、パレコキシブおよびバルデコキシブから成る群より選択される、請求項11に記載の方法。
- 前記PPAR−δアゴニストが、GAL4トランスアクチベーションアッセイによって測定した時、1μM未満のEC50を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記PPAR−δアゴニストが、GAL4トランスアクチベーションアッセイによって測定した時、100nM未満のEC50を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記PPAR−δアゴニストが、標準物質として化合物Bを用いるPPARシンチレーション近接アッセイによって測定した時、100nM未満のIC50を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記PPAR−δアゴニストが、標準物質として化合物Bを用いるPPARシンチレーション近接アッセイによって測定した時、10nM未満のIC50を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記PPAR−δアゴニストが、標準物質として化合物Bを用いるPPARシンチレーション近接アッセイによって測定した時、1nM未満のIC50を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記PPAR−δアゴニストが、標準物質として化合物Aを用いるPPARシンチレーション近接アッセイによって両方とも測定して、結合PPAR−αについて1μMより大きいIC50、および結合PPAR−γについて1μMより大きいIC50を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記PPAR−δアゴニストが、標準物質として化合物Aを用いるPPARシンチレーション近接アッセイによって両方とも測定して、結合PPAR−αについて5μMより大きいIC50、および結合PPAR−γについて10μMより大きいIC50を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記PPAR−δアゴニストが、GAL4トランスアクチベーションアッセイによって両方とも測定して、PPAR−αアゴニズムについて500nMより大きいEC50、およびPPAR−γアゴニズムついて1μMより大きいEC50を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記PPAR−δアゴニストが、GAL4トランスアクチベーションアッセイによって両方とも測定して、PPAR−αアゴニズムについて1μMより大きいEC50、およびPPAR−γアゴニズムについて3μMより大きいEC50を有する、請求項1に記載の方法。
- PPAR−δアゴニスト、NSAIDおよび医薬適合性の担体を含む医薬組成物。
- 前記NSAIDが、非選択的NSAIDである、請求項22に記載の医薬組成物。
- 前記NSAIDが、選択的COX−2阻害剤である、請求項22に記載の医薬組成物。
- 前記選択的COX−2阻害剤が、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、パレコキシブおよびバルデコキシブから成る群より選択される、請求項22に記載の医薬組成物。
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