JP2004536203A - 放射線硬化性ポリマーインキ組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明はポリウレタンポリマーおよび少なくとも1種の着色材を含有する水性インキ組成物であって、該着色材がポリウレタンポリマーに共有結合で結合し、該組成物は架橋してポリウレタンポリマーを有する網目構造を形成することができ、該架橋反応が紫外線照射または電子線により開始される。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射または電子線により硬化または架橋し得る着色ポリウレタンを含む水性インキ組成物に関し、さらに詳細には、適当な基材に適用された後または適用の間に、架橋により3次元網目構造を生成する水性インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
環境からの圧力により水ベースのインキ類の市場は成長している。伝統的に、これらのインキは、水ベースのポリマーバインダー(代表的なものはエマルジョン重合によるアクリルラテックス)および、張力活性添加剤(分散剤および/または界面活性剤)を高せん断磨砕をして得られる、顔料の水分散体のブレンドから作られる。
【0003】
さらに、水ベースのインキは、顔料を含有せず、代わりに着色材を含有するものが知られている。インクジェットプリンターには低粘度で、小さい粒径のインキが要求されるので、このようなインキは、特にインクジェット用途に有用である。しかし、このようなインキ類は耐水性、耐溶剤性、耐光性および耐熱性を有さなければならない。顔料の凝集、染料の結晶化、またはノズルでのポリマーの乾燥をもたらす水の蒸発による噴射流路の目詰まりは避けなければならない。
【0004】
最近、着色材が共有結合で結合しているポリマーを含有する水性インキ組成物が開発されてきた。特に、共有結合で結合している着色材を含有するポリウレタンオリゴマーおよびポリウレタンポリマーが開発され、この目的で使用されている。対応する着色ポリマーおよび/またはこれらを含むインキ組成物は、例えば、US−A5,700,851、US−A5,864,002、US−A5,786,410、US−A5,919,846、US−A5,886,091およびEP−A0 992 533に開示されている。
【0005】
US−A6,022,944では、種々の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂中に均一に混合できる着色材が開示されている。しかし、着色材が共有結合で結合している放射線硬化性ポリウレタンポリマーは、この文書では開示されていない。
【0006】
WO 00/31189では、顔料および着色レオロジー的添加剤を包含する無溶剤のエネルギー硬化性インキ類が開示されている。この文書では、着色材が共有結合で結合している放射線硬化性ポリウレタン分散体については開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポリマーの水分散液から作る水媒体のインキ処方は、温度が最低膜形成温度(MFFT)を超えると容易に連続膜を形成することは当業者によく知られている。この現象はポリマー組成物の不可逆な乾燥に相応し、インキをフレキソ印刷および写真製版のような従来法の技術で適用すると数多くの支障を引き起こす。インクジェット用インキの場合は、プリントヘッドのノズルを閉塞し、印刷工程を妨害するので一層悪い。生産性と信頼性についてのこのような深刻な問題を避けるために、この種のインキは、インキが乾燥して印刷工程を妨げることがないことを意味する“再溶解性”としばしば称される特殊な挙動を示す必要がある。低分子量に伴う十分な親水性により、ポリマーの再溶解性は改良される。直接の結果として、このようなポリマーの耐水性と耐溶剤性は本来的に悪い。ポリマーの架橋が、良好な再溶解性とインキの耐性を両立させるには良い手段であることがわかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は特許請求の範囲に定義される水性インキ組成物により解決される。
本発明の水性インキ組成物は、少なくとも一つの着色材が共有結合で結合しているポリウレタンポリマーを含有している。このインキ組成物は架橋することができ、これにより三次元網目構造を形成し、そこではポリウレタンポリマーと、着色材は共有結合で結合している。インキ組成物を基材上に適用している間または好ましくは適用後、インキ組成物は架橋反応を開始するために照射処理される。この場合、ポリウレタンポリマーは、照射によるフリーラジカル重合によって重合体の架橋を起こす不飽和官能性を有している。着色ポリウレタンポリマーの架橋性は、着色ポリマーに1種類以上の、共有結合で持ちこんだ官能性を付け加えることか、または水性インキ組成物中に存在する1種類以上の外部架橋剤で一層改良することができ、これはポリウレタンポリマーの架橋を2重の硬化により容易にする。
【0009】
本発明者等は、本明細書に開示されているインキ組成物が、適用および架橋後、耐光性および発色性のような良好な光学的性質を、耐水性、耐溶剤性、耐摩擦性および耐引っかき性のような優れた物理的性質とともに示すことを見出した。架橋により、原理的に三次元である網目構造ができる。そのため、着色材がポリマーマトリックスに付着している。この着色材は、化学結合の開裂なしにはポリマーマトリックスから脱離できない。架橋および硬化は、好ましくはインキが基材に適用される間または後に起こり、一般に、紫外線照射または電子線のような放射により開始されるラジカルまたはカチオン性のプロセスである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の水性インキ組成物は、好ましくは水性の媒体中、中でも好ましくは水中のポリウレタンポリマーの分散体を基にしている。一つの好ましい実施態様では、ポリウレタンポリマーは、
(i)イソシアナートと反応できる少なくとも2個の反応性の基を含有する少なくとも1種の有機化合物、
(ii)少なくとも1種のポリイソシアナート、
(iii)(i)または(ii)と反応できる少なくとも1個の反応基を有する少なくとも1種の反応性着色材、
(iv)(i)または(ii)と反応でき、さらなる架橋反応可能な官能基を有してもよい、少なくとも1種の化合物の反応生成物であるポリウレタンプレポリマーから得られる。
【0011】
ここでのポリイソシアナートは過剰に用いられ、さらなる架橋可能な官能性を有するキャッピング剤とさらに反応できるので、上記のポリウレタンプレポリマーは、一般に、末端の遊離イソシアナート基を含有している。特に本発明に適当な化合物は、紫外線または電子線照射により架橋できる、アクリル、メタクリルまたはアリル官能性を有するキャッピング剤である。
【0012】
他の実施態様では、ポリウレタンポリマーは、上述のポリウレタンプレポリマーが部分的に連鎖延長剤と反応することにより得られる。
【0013】
この分散体は、ラジカルまたはカチオン重合(架橋プロセス)のための開始剤も含有することができる。加えて、業界で用いられているポリマーでない添加剤も存在でき、このような添加剤は例えば、殺菌剤、酸化防止剤、UV安定剤、湿潤剤、浸潤剤、泡調節剤、ワックス、増粘剤、レベリング剤、分散剤、可塑剤、界面活性剤等である。開始剤は、特に紫外線照射により架橋を開始するときには好ましいが、電子線照射架橋には必要がない。
【0014】
ポリウレタンプレポリマー(化合物(ii))の調製のための本発明に従って用いられるポリイソシアナートは、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式ポリイソシアナートまたはこれらの組み合わせであってよい。適当な脂肪族ジイソシアナートの例としては、1,4−ジイソシアナートブタン、1,6−ジイソシアナートヘキサン、1,6−ジイソシアナート−2,2,4−トリメチルヘキサンおよび1,12−ジイソシアナートドデカンを単独または組み合わせで挙げることができる。特に適当な脂環式ジイソシアナートには1,3−および1,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、2,4−ジイソシアナート−1メチル−シクロヘキサン、1,3−ジイソシアナート−2−メチルシクロヘキサン、1−イソシアナート−2−(イソシアナートメチル)−シクロペンタン、1,1’−メチレンビス[4−イソシアナートシクロヘキサン]、1,1’−(1−メチルエチリデン)ビス[4−イソシアナート−シクロヘキサン]、5−イソシアナート−1−イソシアナートメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアナート)、1,3−および1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,1’−メチレン−ビス[4−イソシアナート−3−メチルシクロヘキサン]、1−イソシアナート−4(または3)−イソシアナートメチル−1−メチルシクロヘキサンが単独または組み合わせで含まれる。特に適当な芳香族ジイソシアナートには、1,4−ジイソシアナートベンゼン、1,1’−メチレンビス[4−イソシアナートベンゼン]、2,4−ジイソシアナート−1−メチルエチリデンビス[4−イソシアナートベンゼン]、1,3−および1,4−ビス[1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼンが単独または組み合わせで含まれる。1,1’,1”−メチリジントリス[4−イソシアナートベンゼン]およびアニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン化によって得られるポリフェニルポリメチレンポリイソシアナートのような3個以上のイソシアナート基を含有する芳香族ポリイソシアナートも使用することができる。
【0015】
有機ポリイソシアナートの合計量は特には限定されないが、一般に、ポリウレタンポリマーの10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは30〜40重量%の範囲にある。
【0016】
一つの好ましい実施態様では、該当するポリイソシアナートは脂環式ポリイソシアナートから選ばれ、特に好ましいのは、メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアナート)の使用である。
【0017】
イソシアナート類と反応できる少なくとも2個の反応性の基を有する有機化合物(化合物i)は好ましくはポリオール類であるが、例えばアミン類もまた使用できる。
適当な例はポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリカーボネートオリオール類、ポリアセタールポリオール類、ポリエステルアミドポリオール類、ポリアクリレートポリオール類、ポリチオエーテルポリオール類、およびこれらの組み合わせである。好ましいのは、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類およびポリカーボネートポリオール類である。イソシアナート類と反応できる少なくとも2個の反応性の基を有するこれらの有機化合物は、好ましくは400〜5,000の範囲の数平均分子量を有する。
【0018】
ポリエステルポリオールは特に好ましく、使用できる適当なポリエステルポリオールには、多水酸基の、好ましくは2水酸基のアルコール類(3水酸基のアルコール類を加えてもよい)と多水酸基カルボン酸、好ましくはジカルボン酸またはこれらの相当する酸無水物との水酸基末端の反応生成物が含まれる。ラクトン類の開環重合により得られるポリエステルポリオールも使用できる。
【0019】
これらのポリエステルポリオールの生成に使用できる多水酸基カルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式であってよく、置換(例えばハロゲン原子で)されていても、飽和でも不飽和でもよい。脂肪族ジカルボン酸の例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸が挙げられる。脂環式ジカルボン酸の例としては、ヘキサヒドロフタル酸、が挙げられる。芳香族ジカルボン酸の例には、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸、テトラクロロフタル酸、および1,5−ナフタレンジカルボン酸が含まれる。使用できる不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸およびテトラヒドロフタル酸が挙げられる。トリ−およびテトラカルボン酸の例には、トリメリット酸、トリメシン酸およびピロメリット酸が含まれる。
【0020】
ポリエステルポリオールの調製に好ましく用いられる多価アルコールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジブチレングリコール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAまたは水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物が含まれる。トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリンおよびペンタエリトリトールのようなトリオール類、またはテトラオール類も使用できる。これらの多価アルコールは、一般に、上述の多価カルボン酸と縮合重合してポリエステルポリオールを調製するのに用いられるが、特定の実施態様においては、これら多水酸基アルコールは、それ自体として、ポリウレタンプレポリマー反応混合物に加えることもできる。
【0021】
一つの好ましい実施態様では、ポリエステルポリオールは、ネオペンチルグリコールとおよびアジピン酸の縮合重合により作られる。このポリエステルポリオールは、長鎖不飽和脂肪酸のような風乾成分を含有していてもよい。
【0022】
適当なポリエーテルポリオールには、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類及びポリテトラメチレングリコール類またはこれらのブロック共重合体が含まれる。
【0023】
使用可能な適当なポリカーボネートポリオールには、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールのようなジオール類とホスゲンの反応生成物、ジフェニルカーボネートのようなジアリールカーボネートとの反応生成物またはエチレンおよび/またはプロピレンカーボネートのような環状カーボネートとの反応生成物が含まれる。
【0024】
使用可能な適当なポリアセタールポリオールには、ジエチレングリコールのようなグリコールをホルムアルデヒドと反応させて調製するものが含まれる。適当なポリアセタールは環状アセタールを重合することによっても調製できる。
【0025】
これらのイソシアナートと反応できる少なくとも二つの反応性の基を有する有機化合物の合計量は、好ましくはポリウレタンポリマーの30〜90重量%、さらに好ましくは、45〜65重量%の範囲である。
【0026】
イソシアナート類と反応できる少なくとも1個、好ましくは2個以上の反応基を有する少なくとも1種の反応性着色材(化合物iii)は、好ましくはMilliken社の反応性着色材REACTINT YELLOW X15,REACTINT BLUE X17AB,REACTINT ORANGE X96,REACTINT RED X64,REACTINT VIOLET X80LTおよびREACTINT BLACK X41LVから選ばれる。適当な着色材は例えば、US−A4,284,729、US−A4,507,407、US−A4,751,254、US−A4,761,502、US−A4,775,748,US−A4,846,846、US−A4,912,203、US−A4,113,721およびUS−A5,864,002に開示されている。好ましいのは、US−A5,864,002に開示されている着色材である。この着色材の製造法の定義および方法に関する限り、上記の文献に明示されている。好ましくは、紫外線照射または電子線に対して十分に安定な着色材が使用される。
【0027】
紫外線硬化性ビニルアントラキノン類を製造するための中間体としてWO02/12400およびWO02/12401中で使用されている多水酸基アントラキノン類のような多数のアントラキノン誘導体が、本発明によっても、これらをポリイソシアナートと反応させることにより使用できる。これらの多水酸基アントラキノン類は、US4,267,306、US4,359,570、US4,403,092,US4,804,719、US4,999,418、US5,032,670、US5,194,463、US5,372,864、US5,955,560およびUS5,962,557に開示されている。
【0028】
別の実施態様では、化合物(iii)を、それ自体がポリウレタンポリマーの成分で有り得る上述のポリエステルおよびポリカーボネートのポリオール成分として用いることができる。多カルボキシル基アントラキノン類もまた上述のポリエステルの成分として使用できる。このような多カルボキシル基アントラキノン類もまた紫外線硬化型ビニルアントラキノン類製造の中間体としてWO02/12400およびWO02/12401中で使用されている。これらの多カルボキシル基アントラキノン類はUS4,359,570、US4,403,092、US4,804,719、US4,999,418、US5,372,864、US5,955,560、US5,962,557およびWO98/23690に開示されている。
【0029】
さらに別の実施態様では、イソシアナートと反応できる少なくとも2個の反応性の基を含有する少なくとも1種の有機化合物(化合物i)は、少なくとも1個のイソシアナートと反応できる求核反応基を有する少なくとも1種の反応性着色材(化合物iii)と同一であり得るがもちろん、さらなる化合物(i)も使用できる。
着色材は、好ましくは全ポリウレタンポリマーを基に1〜40重量%、さらに好ましくは5〜20重量%の重量比で使用する。
【0030】
(i)または(ii)と反応でき、さらなる官能基を有する化合物(化合物iv)は、好ましくは、イオン性または非イオン性の親水性を示す側基(ペンダント)官能性を有するポリオールである。好ましくは、このポリオールは、アニオン塩の基もしくは酸基、または後にカルボン酸もしくはスルホン酸のようなアニオン性塩の基に転化することができる類似の前駆物質のような官能基を有する。このポリオールが、イソシアナート、ヒドロキシ、アミン、アクリル、アリル、ビニル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、エポキシ、アジリジン、アルデヒド、ケトン、無水酸化物、炭酸塩、シラン、アセトアセトキシ、カルボジイミド、ウレイドアルキル、N−メチロールアミン、N−メチロールアミド、N−アルコキシメチルアミン、N−アルコキシメチルアミドまたは類似物のような、架橋反応可能な他の官能基を含んでいることもまた可能である。
【0031】
架橋反応可能な官能基を含む特に好ましいポリオールは、紫外線または電子線で開始されるラジカル架橋が起こるようにアクリルまたはメタクリル官能性を含むものである。
【0032】
(i)または(ii)と反応でき、アニオン塩の基(または後にこのようなアニオン性塩の基に転化することができる酸基)を有する化合物は、好ましくは、ポリウレタンプレポリマーを水中で自己分散性にするために必要な、例えば、カルボン酸塩またはスルオン酸塩の基のような分散性のアニオン基を有する化合物である。本発明によれば、これらの化合物は好ましくは、イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーの調製のための反応物質として用いられる。
【0033】
イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーに組み込まれるカルボン酸塩の基は一般に、一般式(HO)xR(COOH)yで表されるヒドロキシカルボン酸から誘導される。ここで、Rは1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐炭化水素残基を表し、xおよびyは独立に整数1〜3である。これらヒドロキシカルボン酸の例にはクエン酸および酒石酸が含まれる。最も好ましいヒドロキシカルボン酸は、上記一般式ではx=2およびy=1である、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸のようなα,α−ジメチロールアルカン酸である。側基であるアニオン塩の基のポリウレタンポリマー中の含有量は広い範囲で変化してよいが、ポリウレタンに必要な水分散性および架橋性を与えるに十分なものでなくてはならない。代表的には、これらのアニオン塩の基を含有する化合物のポリウレタンポリマー中の合計量はポリウレタンポリマーの1〜25重量%の範囲で変更でき、好ましくは4〜10重量%である。
【0034】
スルホン酸塩の基は、スルホン化ジカルボン酸を上記の1種以上の多水酸基アルコールと反応させて得られるスルホン化ポリエステル、またはスルホン化ジオールを上記の多価カルボン酸と反応させて得られるスルホン化ポリエステルを用いてこのプレポリマーに、導入される。スルホン化ジカルボン酸の適当な例には5−(ナトリウムスルホ)−イソフタル酸およびスルホイソフタル酸が含まれる。スルホン化ジオールの適当な例にはナトリウムスルホヒドロキノンおよび2−(ナトリウムスルホ)1,4−ブタンジオールが含まれる。
【0035】
任意であるが、本発明の水性インキ組成物はまた、外部架橋剤を含有する。本明細書で使用される用語“架橋剤”は限定されず、ポリウレタンポリマー、好ましくはポリウレタンポリマーの官能基と反応して3次元の網目構造を形成することのできるすべての種類の化合物を網羅する。適当な架橋剤は先行技術で知られており、例えば、カルボン酸、スルホン酸、イソシアナート、ヒドロキシ、アミン、アクリル、アリル、ビニル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、エポキシ、アジリジン、アルデヒド、ケトン、無水酸化物、炭酸塩、シラン、アセトアセトキシ、カルボジイミド、ウレイドアルキル、N−メチロールアミン、N−メチロールアミド、N−アルコキシメチルアミン、N−アルコキシメチルアミドまたは類似物を含む反応性の官能基を有する多官能基分子である。これらのほかの架橋剤は水性インキ組成物中で単独または互いに組み合わせてか、あるいは上述のようにビニル型のポリマーに保持されて存在できる。本明細書で使用される“ビニル型”ポリマーという用語は特に限定されず、重合、好ましくはビニル型モノマーのラジカル重合により得られるすべての型のポリマーを網羅するものである。どの架橋剤を使用すべきかということは、架橋できるポリウレタンポリマー中の官能基の型によって決まり、それに従って当業者は架橋剤を選ぶことができる。
【0036】
ポリウレタンポリマーは、一般に、ポリイソシアナートを、イソシアナートと反応できる少なくとも2個の反応性の基を持つ有機化合物、一般的にはポリオールと反応させることによりできるポリウレタンプレポリマーをまず調製することから作られる。反応は、プレポリマーが遊離イソシアナート末端基を持ち、これが次いでキャッピングまたは連鎖延長されるように、ポリイソシアナートを過剰に存在させて、進められる。ここで、キャッピング剤は、末端イソシアナート基を不活性化するために用いられるよく知られた薬剤である。キャッピング剤は例えば水または通常の連鎖延長剤でよい。
【0037】
連鎖延長剤は、ポリウレタンプレポリマーの末端イソシアナート基と反応する活性な水素原子を保有していなくてはならない。連鎖延長剤として適当なのは、水溶性の脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式の、80個まで、好ましくは12個までの炭素原子を有する第一級または第二級ポリアミンである。
【0038】
ポリアミンによりポリウレタンプレポリマーの連鎖延長が起こされるとき、全ポリアミン量は、遊離イソシアナート基が残らず、完全に反応したポリウレタンポリマー(ポリウレタン尿素)を得るために、ポリウレタンプレポリマー中に存在するイソシアナート基の量に従って算出しなければならない。この場合に用いられるポリアミンは、平均の官能性が2〜4、好ましくは2〜3であってよい。
一つの好ましい実施態様では、連鎖延長剤は、脂肪族ジアミン類から選ばれ、好ましくは1,5−ジアミノ−2−メチルペンタンである。
【0039】
ポリウレタンポリマーの非直線性の程度は、連鎖延長に用いられるポリアミンの官能性によって制御される。所望の官能性は、異なるアミン官能性を有する2種以上のポリアミンを混合することで得られる。例えば、官能性2.5はジアミンおよびトリアミンの等モルの混合物を用いることにより達成できる。
【0040】
本発明で有用なこのような連鎖延長剤の例には、ヒドラジン、エチレンジアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N,N,N−トリス(2−アミノエチル)アミン、N−(2−ピペラジノエチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、N,N,N’−トリス(2−アミノエチル)エチレンジアミン、N−[N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチル]−N’−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)−N’−(2−ピペラジノエチル)エチレンジアミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−N−(2−ピペラジノエチル)アミン、N,N−ビス(2−ピペラジノエチル)アミン、グアニジン、メラミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、3,3’−ジアミノベンジジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、ジプロピレントリアミン、テトラプロピレンペンタミン、トリプロピレンテトラミン、N,N−ビス(6−アミノヘキシル)アミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、2,4−ビス(4’−アミノベンジル)アニリン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、イソホロンジアミン(または1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン)、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(またはビス(アミノシクロヘキサン−4−イル)−メタン)およびビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン(またはビス(アミノ−2−メチルシクロヘキサン−4−イル)メタン)、ポリエチレンアミン類、ポリオキシエチレンアミン類、および/またはポリオキシプロピレンアミン類(例えばTEXACO社製Jeffamine類)が含まれる。
【0041】
水分散しやすい官能基がスルホン酸塩の基ならば、これをポリウレタンポリマー中に、たとえば2,4−ジアミノ−5−メチルベンゼンスルホン酸またはα,ω−ポリプロピレングリコールジアミンスルホプロピル酸のナトリウム塩のようなスルホン化ジアミン類を用いる連鎖延長によって導入できる。
【0042】
ポリアミンの合計量は、ポリウレタンプレポリマー中に存在するイソシアナート基の量に従って算出しなければならない。連鎖延長反応の間のプレポリマー中のイソシアナート基の連鎖延長剤中の活性水素に対する比は、当量ベースで、約1.0:0.7〜約1.0:1.1、好ましくは約1.0:0.9〜約1.0:1.02の範囲でよい。
連鎖延長反応は、一般に、5°〜90℃、好ましくは20°〜50℃、最も好ましくは10〜20℃で実施される。
【0043】
本発明の一つの好ましい実施態様では、連鎖延長剤は、前記により開示されたものと同じ反応基を有し、水性インキ組成物を基材に適用している間または適用後に架橋を起こさせることができるキャッピング剤である。この場合、プレポリマーが3種の成分だけで調製され、(i)または(ii)と反応できる、架橋反応可能なさらなる官能基を有する少なくとも1種の化合物(化合物iv)を含まないことも可能であるが、もちろん、このような化合物を追加してプレポリマーの調製に使用することもできる。さらに、最も好ましい実施態様では、連鎖延長剤は、紫外線または電子線照射により架橋できるアクリル、メタクリルまたはアリル官能性を含有することができる。例えば、連鎖延長剤としてアクリル酸ヒドロキシエチルが使用されるならば、水酸基は、遊離イソシアナート基と反応し、エチルアクリレート基は、基材への適用の間または適用後に照射によりポリウレタンポリマーの架橋を起こすことができる。
【0044】
この目的にかなう適当な化合物は、分子内に少なくとも1個の、例えばアクリル、メタクリルまたはアリル性のような、不飽和機能および少なくとも1個のイソシアナートと反応できる求核的機能を分子内に有する化合物である。アクリル官能性はその高い反応性により好ましい。特に適しているのは、アクリル酸またはメタクリル酸のポリオールとのエステル類で、これらのエステル類では、アルキル基中に1〜20の炭素原子を有し、直鎖または分岐構造のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのように、少なくとも1個の水酸基官能性が、反応可能な状態で残っている。一不飽和化合物の例は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリルレート、ヒドロキシブチルアクリルレート等である。多水酸基不飽和化合物の例はトリメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレートおよびこれらのポリエトキシ化またはポリプロポキシ化相当物である。これらの化合物は、最終の組成物が、刺激性でないものになるようなものが好ましい。
【0045】
アクリル化連鎖停止剤は、ポリウレタンプレポリマーの利用できるイソシアナート基との反応の間に完全に転化できるように使用することができる。すなわち、このイソシアナート基の水酸基に対するモル比は、好ましくは1.0〜2.0である。非常に特異的な要件のある場合は、この比が1未満であることが望まれるかもしれない。特に、プレポリマーのイソシアナート基と反応しない、水酸基を有さない多価不飽和化合物を、照射後のポリマーの架橋密度を上げるために、プレポリマーの重量を基礎に、5〜50%、好ましくは20〜30%過剰に添加することは可能である。
【0046】
トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールのようなポリオール類のアクリル化は、進行の結果、モノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレートおよびテトラアクリレート(可能ならば)の混合物となること、および混合物の特性決定に可能な方法はその水酸基価を測定することによることは当業者に知られている。生成する種々のアクリレートの個別の比率を変更するには、温度、反応触媒の量と性質、アクリル酸の量などの反応パラメーターを変更することが知られている。ペンタエリトリトールのアクリル化から誘導されるアクリル酸エステルの混合物を本発明のポリウレタンポリマーのための連鎖キャッピング剤として用いる目的には、水酸基価を50〜250mgKOH/g,好ましくは80〜150mgKOH/gの範囲でえらぶことが好ましい。このような選択をする理由は、水酸基価が低いときには、混合物中のペンタエリトリトールテトラアクリレートの比率が高くなり過ぎて、本発明の水分散液からできる硬化コーティング物の柔軟性にとって有害となる傾向があることが理由である。
【0047】
ポリウレタンプレポリマー中に存在し得る酸官能基は、いずれも、このプレポリマーの水性分散液を調製する前か調製と同時にこの基を、中和することにより、アニオン塩の基に転化できる。ポリウレタンプレポリマーの分散プロセスは当業者にはよく知られており、通常、高せん断型の混合ヘッドを用いる高速混合を要する。好ましくは、ポリウレタンプレポリマーは、強烈な撹拌下で水に加えるか、またはこれに代えて、撹拌しながらプレポリマーに水を加えてもよい。好ましいプロセスは例えばUS−A5,541,251に開示されており、詳述されている。
【0048】
末端イソシアナート基を有するポリウレタンプレポリマーの水中への分散の間か前に、上記の酸基をアニオン塩の基に転化するための、適当な中和剤または第四級化剤は、揮発性有機塩基および/または非揮発性塩基であってよい。揮発性有機塩基は、周囲条件下での膜形成の間に、少なくとも約90%が揮発し、一方、非揮発性塩基は、周囲条件下での膜形成の間に、少なくとも約95%が揮発しない。
【0049】
適当な揮発性有機塩基は好ましくは、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジンを含む群から選ぶことができる。トリアルキルアミンが好ましい。
【0050】
適当な非揮発性の塩基には、一価の金属、好ましくはリチウム、ナトリウムおよびカリウムのようなアルカリ金属を含む塩基が包含される。これらの非揮発性塩基は無機または有機塩、好ましくはアニオンが分散液の中に残留しない塩、例えば水素化物、水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩、として用いることができる。
トリエチルアミンが最も好ましい中和剤である。
【0051】
これら中和剤の合計量は中和すべき酸基の合計量に従って算出しなければならない。揮発性有機塩基を用いる場合、すべての酸基が中和されることを確実にするために、中和剤を5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%過剰に加えることが勧められる。
【0052】
本発明の組成物は、紫外線照射への暴露により架橋反応を開始する光開始剤と呼ばれる開始剤を含有することが好ましい。本発明の好ましい光開始剤は、ラジカル重合またはカチオン重合用の光開始剤である。この光開始剤は好ましくは、0.1〜10%d/dの濃度で使用される。
【0053】
本発明によって使用できる光開始剤は、この目的に従来から使用されているものから選ばれる。適当な光開始剤には、(限定するものではないが)ベンゾフェノンおよびそのアルキルまたはハロゲン誘導体のような芳香族カルボニル化合物、アントラキノンおよびその誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、ベンゾインエーテル類、芳香族または非芳香族アルファジオン類、ベンジルジアルキルケタール類ならびにアセトフェノン誘導体が含まれる。
【0054】
適当な光開始剤は、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、2−フェニルアセトフェノン、2−クロロ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジクロロ−2−フェニルアセトフェノン、2−ブチロキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチロール−2−メトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、4−トリクロロメチルベンゾフェノン、インデノン、1,3−インダンジオン、フルオレノン、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、ビアセチル、グリオキサール、1,2−インダンジオン、p−クロロフェニルグリオキサール、ベンジル、カンファーキノン、ベンゾインメチルおよびエチルエーテル等である。
【0055】
光開始剤の光開始作用は、あるいくつかの場合には、窒素原子に隣接する炭素原子上に、少なくとも1個の水素原子を有することを特徴とする第三級アミンにより相当に改善される。適当な第三級アミンは、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アニリンまたは、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、などのような第二級アミンとトリメチロールプロパンジアクリレート等のようなポリオールアクリレートとの付加生成物のようなアミノアクリレート類である。
【0056】
場合によっては、窒素原子に隣接する少なくとも1個の炭素原子上に、少なくとも1個の水素原子を有する第三級アミン官能と、芳香族ケトンの機能を同一分子内に有することには利点が有り得る。このような分子は例えば2−イソプロピルオキシ−2−(4−ジメチルアミノフェニル)プロピオフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ジエチルアミノ−9−フルオレノン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、N−メチルアクリドン等である。同様に、窒素原子に隣接する少なくとも1個の炭素原子上に、少なくとも1個の水素原子を有する第三級アミンの官能と、少なくとも1個のアクリルまたはメタクリルラジカルを同一分子内に有することが可能である。例えば、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンまたはN,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アニリンのモノ−、ジ−およびトリ−、アクリレートまたはメタクリレートの場合が挙げられる。
【0057】
本発明の組成物を加速電子線によって硬化する場合は、この型の照射は、フリーラジカルを生成する十分な量のエネルギーを独力で発生し、硬化は極端に速いことが確かなので、光開始剤を使用する必要はない。
【0058】
所望ならば、本発明の組成物には、望ましい性質を付与したり改善したりするため、あるいは、望ましくない性質を抑制するために最終組成物に添加される他の補助物質(添加剤)が含まれてもよい。これらの添加剤には、知られている殺菌剤、(例えばActicide AS)、酸化防止剤(例えばIrganox245)、可塑剤(例えばフタル酸ジオクチル)、顔料、シリカゾル(例えばAcemat TS100)、レベリング剤(例えばByk306)、湿潤剤(例えばByk346)、浸潤剤(例えばエチレングリコール、2−ピロリジノン、2−メチル−2,4−ペンタンジオール)、泡調節剤(例えばDehydron1293)、増粘剤(例えばTylose MH6000)分散剤(例えばTexanol)、熱安定剤、紫外線安定剤(例えばTinuvin328または622)、トランソーバー(transorber)(US5,643,356記載のような)などが含まれる。この組成物は他のポリマー分散液、例えば、ポリビニルアセテート、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレートならびに他のホモポリマーおよびコポリマー分散液と混合することもできる。
【0059】
末端イソシアナート部分を有するポリウレタンプレポリマーの調製は、化学量論的に過剰な有機ポリイソシアナート(複数でもよい)と、イソシアナート基と反応できる少なくとも2個の反応性の基を有する有機化合物(複数でもよい)、および実質的に無水条件でイソシアナート類と反応できる別の反応性の化合物(複数でもよい)を、好ましくは50℃〜120℃、さらに好ましくは70℃〜95℃で、イソシアナート基および反応性の基の反応が実質的に完了するまで反応させることにより、従来法で実施できる。この反応は、5〜40重量%、好ましくは10〜20重量%の溶媒を、必要そうであればプレポリマーの粘度を下げるために添加することにより、容易となる。適当な溶媒は、単独または組み合わせて、例えばケトン類、エステル類、ならびにN,N−ジメチルホルムアミド、N−シクロヘキシルピロリジンおよびN−メチルピロリドンのようなアミド類のようなイソシアナート基と反応性がない溶媒である。好ましい溶媒は、連鎖延長の前、間または後に減圧蒸留により容易に除去できるように、相対的に低沸点のケトン類およびエステル類である。このような溶媒の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチルおよび酢酸エチルが含まれる。
一つの好ましい実施態様ではアセトンが溶媒として使用され、水分散段階の後に減圧ストリッピングで除去される。
【0060】
所望ならば、イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーの調製は、アミン類または有機金属化合物のようなポリウレタンの調製に適した、任意の公知の触媒の存在下で実施してもよい。これらの触媒の例には、トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、ジブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、ジオクチル錫ジアセテート、オクタン酸鉛、オレイン酸錫、ジブチル錫オキサイドおよび類似物が含まれる。
【0061】
イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーの調製の間、反応系は、イソシアナート基と、このイソシアナート官能基と反応できる基の比が約1.1:1〜約4:1.好ましくは約1.3:1〜2:1に相当する比率で一般に用いられる。
【0062】
イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーは、イソシアナートと反応できる少なくとも1個の反応性の基、および紫外線か電子線により架橋できる少なくとも1個の官能基を有する1種または数種の有機化合物によりキャッピングされる。この架橋できる官能基は好ましくは、アクリル、メタクリルまたはアリル官能基である。このキャッピングは、20〜100%、好ましくは50〜100%のイソシアナート基がキャッピングにより反応するように実施される。
【0063】
ポリウレタンポリマーを含有するこの水性インキ組成物は、好ましくはポリウレタンポリマー溶液を水のような水性媒体に分散させて調製される。従って、一つの好ましい実施態様では、ポリウレタンがまずポリウレタンプレポリマーから末端イソシアナート基の末端キャッピングにより調製され、次いでポリウレタンポリマーが水性媒体中に公知の方法で分散される。
【0064】
これに代えて、ポリウレタンプレポリマー溶液に水が連続相になるまで水を分散させることができる。ポリウレタンプレポリマーのこの水性分散液に連鎖延長剤を添加してポリウレタンプレポリマーを生成させることができる。ポリアミンの溶液を前もって作っておいて、この溶液をゆっくりとポリウレタンプレポリマーの分散液に加えることにより、局在化されたアミン濃度の勾配ができることは避けることが好ましい。次いで溶媒は減圧蒸留により除かれ純粋なポリウレタンプレポリマーの分散液を生成することができる。
【0065】
架橋反応を受けやすい、ポリウレタンポリマーまたはプレポリマー中に存在する官能基がアニオン性の基に転換されるべき酸性の基であるならば、酸性の基の中和反応は、ポリウレタンポリマーまたはプレポリマーが水性の媒体に分散される前に行われていることが好ましい。しかし、ポリウレタンポリマーが分散している水性媒体中に中和剤が含有されていることもまた可能である。
架橋剤、任意で加えられる光開始剤および任意で加えられる補助物質または添加剤は、水性分散液中に公知の方法で加えられる。
【0066】
水性インキ組成物は適当に合計固形分が約5〜65重量%、好ましくは約30〜50重量%、さらに好ましくは30〜35重量%である。25℃で測定した粘度は、50〜5000mPa・s、好ましくは100〜500mPa・s、pH値は7〜11、好ましくは8〜9、平均粒径は約10〜1000nm,好ましくは30〜300nm、さらに好ましくは50〜100nmである。
膜形成温度は好ましくは0〜70℃、さらに好ましくは0〜20℃であってよい。
【0067】
この水性インキ組成物は、紙、ボール紙、プラスチック、布、ガラス、ガラス繊維、セラミックス、コンクリート、皮革、木、金属等を含む任意の基材に、工業用途、家庭用途で、フレキソ印刷もしくは写真製版を含む従来方法または極端にはブラッシング、スプレー、浸漬法を用いて容易に適用できる。
【0068】
本発明による水性インキ組成物は好ましくはインクジェットプリンターで使用される。絵付成形等のような他の公知の印刷技術も使用できる。
【0069】
基材に適用された後、付着したコーティングは紫外線または電子線照射により硬化する。好ましくは、紫外線(80W/cmまたは120W/cm)または電子線(例えば50kGy、250kV)が硬化に用いられる。これにより得られた硬化皮膜は優れた接着、優れた耐水および耐溶剤性、機械的強度、耐久性、柔軟性ならびに深色を示す。
【0070】
色合わせは、着色インキ組成物を適当な方法で混合することで、容易にできる。着色された反応原料を、所望の着色ポリマーを製造するための構成要素として用いるために混合することによっても色合わせができることは、触れておく価値がある。
【0071】
本発明の水性インキは良好な色強度を示すが、色の鮮明度、深さおよび耐久性を修正または改善するために顔料分散液と混合することができる。
【0072】
出発物質の組み合わせを工夫して、将来の用途に適合させるように、組成物の化学的、物理的および技術的性質を所望のように変更することにより、異なった水性樹脂組成物を本発明によって、調製することは可能である。これは詳細に実施例で示す。
【0073】
(実施例)
プレポリマー反応混合物中のイソシアナート含有量は、ジブチルアミン逆滴定法を用いて測定した。
【0074】
水性ポリマー分散液の粘度ηは25℃でBrookfield RTV Viscometerを用いて、粘度が200mPa・s未満のときはNo.1スピンドル、50rpmで、粘度が200mPa・sを超えるときはNo.2スピンドル、50rpmで測定した。
【0075】
粗粒値は、50ミクロンふるいでポリマー分散液を濾過した残分であり、mg/リットルで表された。
【0076】
水性ポリマー分散液の平均粒子径は、Malvern Particle Analyzer Processor Types 7027および4600SMを用いレーザー光散乱により測定した。
【0077】
最終コーティングについてのすべての測定は、適当な厚さを得るために、製図用ペンまたはマイヤーバーで引いたコーティングについて実施した。
【0078】
接着は、粘着テープをコーティングに圧着し、急速にはがして測定した。コーティング上の損傷を1〜5段階で表した。(5=優秀)
【0079】
コーティングの耐溶剤性および耐水性は、与えられた条件で、イソプロパノール(表中IPA)、アセトンまたは水で飽和させた綿布を往復させ、塗膜が落ちる(すなわち、透けて見える)まで摩擦する方法で評価した。1回の摩擦とは往路、復路のストロークを意味する。報告されている数はコーティングを破壊するのに必要な摩擦数である。
【0080】
耐ひっかき性は、コーティング上を往復運動する爪を用いて評価した。コーティング上の損傷を1〜5段階を用いてランク付けした。(5=優秀)
【0081】
残存粘着性または耐ブロッキング性は、1枚の紙をコーティング面に圧着し、この紙が粘着なしに分離する容易さを評価することにより測定した。粘着は1〜5の段階でランク付けした。(5=優秀)
退色性は照射段階中に観察される色の相対的な変化により評価した。退色性は1〜5段階を用いてランク付けした。(5=優秀)
【実施例1】
【0082】
赤色ポリウレタン分散液のUV架橋
機械式撹拌機、熱電対、蒸気コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた二重壁ガラス反応器に100.3gのアセトン、63.0gのポリエステル(PanPG670;平均分子量約670ダルトン;アジピン酸およびネオペンチルグリコールの縮合重合により得られた。)、17.6gのジメチロールプロピオン酸、35.2gのREACTINT RED X64(Milliken)、118.3gのメチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)および0.3gのジブチル錫ラウレートを反応触媒として添加した。0.8gの酸化防止剤Irganox245およびそれぞれ1.6gの紫外線安定剤Tinuvin328およびTinuvin622が加えられた。反応混合物は60℃まで撹拌しながら加熱昇温され、コンデンサーでの凝縮はイソシアナート含有量が1.00meq/gに達するまで維持された。このポリウレタンプレポリマーを50℃まで冷却した。11.9gのアセトン中の0.1gの4−メトキシフェノールがラジカル禁止剤として加えられ、次いで102.7gのペンタエリトリトールトリアクリレートが加えられた。反応混合物は50℃に保たれ、この末端キャッピングプロセスがイソシアナート含有量が0.30meq/gに達するまで維持された。次いで、13.4gのトリエチルアミンが、均一な溶液が得られるまで中和剤として加えられた。634.1gの脱塩水を室温で反応器に加え、5分の激しい撹拌により安定なポリマーの分散液が得られた。0.3gのDehydran1293を泡調整剤として、1.0gのActicide ASを殺菌剤として、BYK346を湿潤剤として加えた。次いでアセトンを分散液から50℃を超えない温度で減圧ストリッピングにより遊離アセトンの水準が0.15%未満になるまで除いた。生成物は100μふるいで濾過して深色の安定な生成物ができた。この生成物は、乾燥分35.0%、粘度50mPa・s、pH7.3、粒子径40nmおよび粗粒値<100mg/lであった。
【実施例2】
【0083】
実施例1の分散液にIrgacure500(1.5重量%、wet/wet)を配合した。下の表1で、紫外線照射または電子線の有無によるインキの性能の概略が示されている。インキは、100℃、1分間の水蒸発の後、4〜6ミクロン厚さになるようにバーコーターを用いてポリエチレン上に適用された。
【0084】
この実施例では、Irgacure500を含有する組成物であって、紫外線照射したものおよびこの組成で電子線照射したもの、すなわち架橋した二つの組成物は、硬化していない組成物よりもはるかに良い性能を示すことが示されている。色の保持も許容できた。
【実施例3】
【0085】
実施例1の分散液にCGI393(5重量%、wet/wet)を光開始剤として配合した。表2に、異なった速度での異なったランプ強度についてのインキの性能の概要を示す。インキは、60℃での水蒸発の後、8ミクロン厚さになるようにバーコーターを用いてポリエチレン上に適用された。
【0086】
【0087】
【0001】
本発明は、紫外線照射または電子線により硬化または架橋し得る着色ポリウレタンを含む水性インキ組成物に関し、さらに詳細には、適当な基材に適用された後または適用の間に、架橋により3次元網目構造を生成する水性インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
環境からの圧力により水ベースのインキ類の市場は成長している。伝統的に、これらのインキは、水ベースのポリマーバインダー(代表的なものはエマルジョン重合によるアクリルラテックス)および、張力活性添加剤(分散剤および/または界面活性剤)を高せん断磨砕をして得られる、顔料の水分散体のブレンドから作られる。
【0003】
さらに、水ベースのインキは、顔料を含有せず、代わりに着色材を含有するものが知られている。インクジェットプリンターには低粘度で、小さい粒径のインキが要求されるので、このようなインキは、特にインクジェット用途に有用である。しかし、このようなインキ類は耐水性、耐溶剤性、耐光性および耐熱性を有さなければならない。顔料の凝集、染料の結晶化、またはノズルでのポリマーの乾燥をもたらす水の蒸発による噴射流路の目詰まりは避けなければならない。
【0004】
最近、着色材が共有結合で結合しているポリマーを含有する水性インキ組成物が開発されてきた。特に、共有結合で結合している着色材を含有するポリウレタンオリゴマーおよびポリウレタンポリマーが開発され、この目的で使用されている。対応する着色ポリマーおよび/またはこれらを含むインキ組成物は、例えば、US−A5,700,851、US−A5,864,002、US−A5,786,410、US−A5,919,846、US−A5,886,091およびEP−A0 992 533に開示されている。
【0005】
US−A6,022,944では、種々の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂中に均一に混合できる着色材が開示されている。しかし、着色材が共有結合で結合している放射線硬化性ポリウレタンポリマーは、この文書では開示されていない。
【0006】
WO 00/31189では、顔料および着色レオロジー的添加剤を包含する無溶剤のエネルギー硬化性インキ類が開示されている。この文書では、着色材が共有結合で結合している放射線硬化性ポリウレタン分散体については開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポリマーの水分散液から作る水媒体のインキ処方は、温度が最低膜形成温度(MFFT)を超えると容易に連続膜を形成することは当業者によく知られている。この現象はポリマー組成物の不可逆な乾燥に相応し、インキをフレキソ印刷および写真製版のような従来法の技術で適用すると数多くの支障を引き起こす。インクジェット用インキの場合は、プリントヘッドのノズルを閉塞し、印刷工程を妨害するので一層悪い。生産性と信頼性についてのこのような深刻な問題を避けるために、この種のインキは、インキが乾燥して印刷工程を妨げることがないことを意味する“再溶解性”としばしば称される特殊な挙動を示す必要がある。低分子量に伴う十分な親水性により、ポリマーの再溶解性は改良される。直接の結果として、このようなポリマーの耐水性と耐溶剤性は本来的に悪い。ポリマーの架橋が、良好な再溶解性とインキの耐性を両立させるには良い手段であることがわかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は特許請求の範囲に定義される水性インキ組成物により解決される。
本発明の水性インキ組成物は、少なくとも一つの着色材が共有結合で結合しているポリウレタンポリマーを含有している。このインキ組成物は架橋することができ、これにより三次元網目構造を形成し、そこではポリウレタンポリマーと、着色材は共有結合で結合している。インキ組成物を基材上に適用している間または好ましくは適用後、インキ組成物は架橋反応を開始するために照射処理される。この場合、ポリウレタンポリマーは、照射によるフリーラジカル重合によって重合体の架橋を起こす不飽和官能性を有している。着色ポリウレタンポリマーの架橋性は、着色ポリマーに1種類以上の、共有結合で持ちこんだ官能性を付け加えることか、または水性インキ組成物中に存在する1種類以上の外部架橋剤で一層改良することができ、これはポリウレタンポリマーの架橋を2重の硬化により容易にする。
【0009】
本発明者等は、本明細書に開示されているインキ組成物が、適用および架橋後、耐光性および発色性のような良好な光学的性質を、耐水性、耐溶剤性、耐摩擦性および耐引っかき性のような優れた物理的性質とともに示すことを見出した。架橋により、原理的に三次元である網目構造ができる。そのため、着色材がポリマーマトリックスに付着している。この着色材は、化学結合の開裂なしにはポリマーマトリックスから脱離できない。架橋および硬化は、好ましくはインキが基材に適用される間または後に起こり、一般に、紫外線照射または電子線のような放射により開始されるラジカルまたはカチオン性のプロセスである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の水性インキ組成物は、好ましくは水性の媒体中、中でも好ましくは水中のポリウレタンポリマーの分散体を基にしている。一つの好ましい実施態様では、ポリウレタンポリマーは、
(i)イソシアナートと反応できる少なくとも2個の反応性の基を含有する少なくとも1種の有機化合物、
(ii)少なくとも1種のポリイソシアナート、
(iii)(i)または(ii)と反応できる少なくとも1個の反応基を有する少なくとも1種の反応性着色材、
(iv)(i)または(ii)と反応でき、さらなる架橋反応可能な官能基を有してもよい、少なくとも1種の化合物の反応生成物であるポリウレタンプレポリマーから得られる。
【0011】
ここでのポリイソシアナートは過剰に用いられ、さらなる架橋可能な官能性を有するキャッピング剤とさらに反応できるので、上記のポリウレタンプレポリマーは、一般に、末端の遊離イソシアナート基を含有している。特に本発明に適当な化合物は、紫外線または電子線照射により架橋できる、アクリル、メタクリルまたはアリル官能性を有するキャッピング剤である。
【0012】
他の実施態様では、ポリウレタンポリマーは、上述のポリウレタンプレポリマーが部分的に連鎖延長剤と反応することにより得られる。
【0013】
この分散体は、ラジカルまたはカチオン重合(架橋プロセス)のための開始剤も含有することができる。加えて、業界で用いられているポリマーでない添加剤も存在でき、このような添加剤は例えば、殺菌剤、酸化防止剤、UV安定剤、湿潤剤、浸潤剤、泡調節剤、ワックス、増粘剤、レベリング剤、分散剤、可塑剤、界面活性剤等である。開始剤は、特に紫外線照射により架橋を開始するときには好ましいが、電子線照射架橋には必要がない。
【0014】
ポリウレタンプレポリマー(化合物(ii))の調製のための本発明に従って用いられるポリイソシアナートは、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式ポリイソシアナートまたはこれらの組み合わせであってよい。適当な脂肪族ジイソシアナートの例としては、1,4−ジイソシアナートブタン、1,6−ジイソシアナートヘキサン、1,6−ジイソシアナート−2,2,4−トリメチルヘキサンおよび1,12−ジイソシアナートドデカンを単独または組み合わせで挙げることができる。特に適当な脂環式ジイソシアナートには1,3−および1,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、2,4−ジイソシアナート−1メチル−シクロヘキサン、1,3−ジイソシアナート−2−メチルシクロヘキサン、1−イソシアナート−2−(イソシアナートメチル)−シクロペンタン、1,1’−メチレンビス[4−イソシアナートシクロヘキサン]、1,1’−(1−メチルエチリデン)ビス[4−イソシアナート−シクロヘキサン]、5−イソシアナート−1−イソシアナートメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアナート)、1,3−および1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,1’−メチレン−ビス[4−イソシアナート−3−メチルシクロヘキサン]、1−イソシアナート−4(または3)−イソシアナートメチル−1−メチルシクロヘキサンが単独または組み合わせで含まれる。特に適当な芳香族ジイソシアナートには、1,4−ジイソシアナートベンゼン、1,1’−メチレンビス[4−イソシアナートベンゼン]、2,4−ジイソシアナート−1−メチルエチリデンビス[4−イソシアナートベンゼン]、1,3−および1,4−ビス[1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼンが単独または組み合わせで含まれる。1,1’,1”−メチリジントリス[4−イソシアナートベンゼン]およびアニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン化によって得られるポリフェニルポリメチレンポリイソシアナートのような3個以上のイソシアナート基を含有する芳香族ポリイソシアナートも使用することができる。
【0015】
有機ポリイソシアナートの合計量は特には限定されないが、一般に、ポリウレタンポリマーの10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは30〜40重量%の範囲にある。
【0016】
一つの好ましい実施態様では、該当するポリイソシアナートは脂環式ポリイソシアナートから選ばれ、特に好ましいのは、メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアナート)の使用である。
【0017】
イソシアナート類と反応できる少なくとも2個の反応性の基を有する有機化合物(化合物i)は好ましくはポリオール類であるが、例えばアミン類もまた使用できる。
適当な例はポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリカーボネートオリオール類、ポリアセタールポリオール類、ポリエステルアミドポリオール類、ポリアクリレートポリオール類、ポリチオエーテルポリオール類、およびこれらの組み合わせである。好ましいのは、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類およびポリカーボネートポリオール類である。イソシアナート類と反応できる少なくとも2個の反応性の基を有するこれらの有機化合物は、好ましくは400〜5,000の範囲の数平均分子量を有する。
【0018】
ポリエステルポリオールは特に好ましく、使用できる適当なポリエステルポリオールには、多水酸基の、好ましくは2水酸基のアルコール類(3水酸基のアルコール類を加えてもよい)と多水酸基カルボン酸、好ましくはジカルボン酸またはこれらの相当する酸無水物との水酸基末端の反応生成物が含まれる。ラクトン類の開環重合により得られるポリエステルポリオールも使用できる。
【0019】
これらのポリエステルポリオールの生成に使用できる多水酸基カルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式であってよく、置換(例えばハロゲン原子で)されていても、飽和でも不飽和でもよい。脂肪族ジカルボン酸の例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸が挙げられる。脂環式ジカルボン酸の例としては、ヘキサヒドロフタル酸、が挙げられる。芳香族ジカルボン酸の例には、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸、テトラクロロフタル酸、および1,5−ナフタレンジカルボン酸が含まれる。使用できる不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸およびテトラヒドロフタル酸が挙げられる。トリ−およびテトラカルボン酸の例には、トリメリット酸、トリメシン酸およびピロメリット酸が含まれる。
【0020】
ポリエステルポリオールの調製に好ましく用いられる多価アルコールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジブチレングリコール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAまたは水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物が含まれる。トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリンおよびペンタエリトリトールのようなトリオール類、またはテトラオール類も使用できる。これらの多価アルコールは、一般に、上述の多価カルボン酸と縮合重合してポリエステルポリオールを調製するのに用いられるが、特定の実施態様においては、これら多水酸基アルコールは、それ自体として、ポリウレタンプレポリマー反応混合物に加えることもできる。
【0021】
一つの好ましい実施態様では、ポリエステルポリオールは、ネオペンチルグリコールとおよびアジピン酸の縮合重合により作られる。このポリエステルポリオールは、長鎖不飽和脂肪酸のような風乾成分を含有していてもよい。
【0022】
適当なポリエーテルポリオールには、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類及びポリテトラメチレングリコール類またはこれらのブロック共重合体が含まれる。
【0023】
使用可能な適当なポリカーボネートポリオールには、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールのようなジオール類とホスゲンの反応生成物、ジフェニルカーボネートのようなジアリールカーボネートとの反応生成物またはエチレンおよび/またはプロピレンカーボネートのような環状カーボネートとの反応生成物が含まれる。
【0024】
使用可能な適当なポリアセタールポリオールには、ジエチレングリコールのようなグリコールをホルムアルデヒドと反応させて調製するものが含まれる。適当なポリアセタールは環状アセタールを重合することによっても調製できる。
【0025】
これらのイソシアナートと反応できる少なくとも二つの反応性の基を有する有機化合物の合計量は、好ましくはポリウレタンポリマーの30〜90重量%、さらに好ましくは、45〜65重量%の範囲である。
【0026】
イソシアナート類と反応できる少なくとも1個、好ましくは2個以上の反応基を有する少なくとも1種の反応性着色材(化合物iii)は、好ましくはMilliken社の反応性着色材REACTINT YELLOW X15,REACTINT BLUE X17AB,REACTINT ORANGE X96,REACTINT RED X64,REACTINT VIOLET X80LTおよびREACTINT BLACK X41LVから選ばれる。適当な着色材は例えば、US−A4,284,729、US−A4,507,407、US−A4,751,254、US−A4,761,502、US−A4,775,748,US−A4,846,846、US−A4,912,203、US−A4,113,721およびUS−A5,864,002に開示されている。好ましいのは、US−A5,864,002に開示されている着色材である。この着色材の製造法の定義および方法に関する限り、上記の文献に明示されている。好ましくは、紫外線照射または電子線に対して十分に安定な着色材が使用される。
【0027】
紫外線硬化性ビニルアントラキノン類を製造するための中間体としてWO02/12400およびWO02/12401中で使用されている多水酸基アントラキノン類のような多数のアントラキノン誘導体が、本発明によっても、これらをポリイソシアナートと反応させることにより使用できる。これらの多水酸基アントラキノン類は、US4,267,306、US4,359,570、US4,403,092,US4,804,719、US4,999,418、US5,032,670、US5,194,463、US5,372,864、US5,955,560およびUS5,962,557に開示されている。
【0028】
別の実施態様では、化合物(iii)を、それ自体がポリウレタンポリマーの成分で有り得る上述のポリエステルおよびポリカーボネートのポリオール成分として用いることができる。多カルボキシル基アントラキノン類もまた上述のポリエステルの成分として使用できる。このような多カルボキシル基アントラキノン類もまた紫外線硬化型ビニルアントラキノン類製造の中間体としてWO02/12400およびWO02/12401中で使用されている。これらの多カルボキシル基アントラキノン類はUS4,359,570、US4,403,092、US4,804,719、US4,999,418、US5,372,864、US5,955,560、US5,962,557およびWO98/23690に開示されている。
【0029】
さらに別の実施態様では、イソシアナートと反応できる少なくとも2個の反応性の基を含有する少なくとも1種の有機化合物(化合物i)は、少なくとも1個のイソシアナートと反応できる求核反応基を有する少なくとも1種の反応性着色材(化合物iii)と同一であり得るがもちろん、さらなる化合物(i)も使用できる。
着色材は、好ましくは全ポリウレタンポリマーを基に1〜40重量%、さらに好ましくは5〜20重量%の重量比で使用する。
【0030】
(i)または(ii)と反応でき、さらなる官能基を有する化合物(化合物iv)は、好ましくは、イオン性または非イオン性の親水性を示す側基(ペンダント)官能性を有するポリオールである。好ましくは、このポリオールは、アニオン塩の基もしくは酸基、または後にカルボン酸もしくはスルホン酸のようなアニオン性塩の基に転化することができる類似の前駆物質のような官能基を有する。このポリオールが、イソシアナート、ヒドロキシ、アミン、アクリル、アリル、ビニル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、エポキシ、アジリジン、アルデヒド、ケトン、無水酸化物、炭酸塩、シラン、アセトアセトキシ、カルボジイミド、ウレイドアルキル、N−メチロールアミン、N−メチロールアミド、N−アルコキシメチルアミン、N−アルコキシメチルアミドまたは類似物のような、架橋反応可能な他の官能基を含んでいることもまた可能である。
【0031】
架橋反応可能な官能基を含む特に好ましいポリオールは、紫外線または電子線で開始されるラジカル架橋が起こるようにアクリルまたはメタクリル官能性を含むものである。
【0032】
(i)または(ii)と反応でき、アニオン塩の基(または後にこのようなアニオン性塩の基に転化することができる酸基)を有する化合物は、好ましくは、ポリウレタンプレポリマーを水中で自己分散性にするために必要な、例えば、カルボン酸塩またはスルオン酸塩の基のような分散性のアニオン基を有する化合物である。本発明によれば、これらの化合物は好ましくは、イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーの調製のための反応物質として用いられる。
【0033】
イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーに組み込まれるカルボン酸塩の基は一般に、一般式(HO)xR(COOH)yで表されるヒドロキシカルボン酸から誘導される。ここで、Rは1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐炭化水素残基を表し、xおよびyは独立に整数1〜3である。これらヒドロキシカルボン酸の例にはクエン酸および酒石酸が含まれる。最も好ましいヒドロキシカルボン酸は、上記一般式ではx=2およびy=1である、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸のようなα,α−ジメチロールアルカン酸である。側基であるアニオン塩の基のポリウレタンポリマー中の含有量は広い範囲で変化してよいが、ポリウレタンに必要な水分散性および架橋性を与えるに十分なものでなくてはならない。代表的には、これらのアニオン塩の基を含有する化合物のポリウレタンポリマー中の合計量はポリウレタンポリマーの1〜25重量%の範囲で変更でき、好ましくは4〜10重量%である。
【0034】
スルホン酸塩の基は、スルホン化ジカルボン酸を上記の1種以上の多水酸基アルコールと反応させて得られるスルホン化ポリエステル、またはスルホン化ジオールを上記の多価カルボン酸と反応させて得られるスルホン化ポリエステルを用いてこのプレポリマーに、導入される。スルホン化ジカルボン酸の適当な例には5−(ナトリウムスルホ)−イソフタル酸およびスルホイソフタル酸が含まれる。スルホン化ジオールの適当な例にはナトリウムスルホヒドロキノンおよび2−(ナトリウムスルホ)1,4−ブタンジオールが含まれる。
【0035】
任意であるが、本発明の水性インキ組成物はまた、外部架橋剤を含有する。本明細書で使用される用語“架橋剤”は限定されず、ポリウレタンポリマー、好ましくはポリウレタンポリマーの官能基と反応して3次元の網目構造を形成することのできるすべての種類の化合物を網羅する。適当な架橋剤は先行技術で知られており、例えば、カルボン酸、スルホン酸、イソシアナート、ヒドロキシ、アミン、アクリル、アリル、ビニル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、エポキシ、アジリジン、アルデヒド、ケトン、無水酸化物、炭酸塩、シラン、アセトアセトキシ、カルボジイミド、ウレイドアルキル、N−メチロールアミン、N−メチロールアミド、N−アルコキシメチルアミン、N−アルコキシメチルアミドまたは類似物を含む反応性の官能基を有する多官能基分子である。これらのほかの架橋剤は水性インキ組成物中で単独または互いに組み合わせてか、あるいは上述のようにビニル型のポリマーに保持されて存在できる。本明細書で使用される“ビニル型”ポリマーという用語は特に限定されず、重合、好ましくはビニル型モノマーのラジカル重合により得られるすべての型のポリマーを網羅するものである。どの架橋剤を使用すべきかということは、架橋できるポリウレタンポリマー中の官能基の型によって決まり、それに従って当業者は架橋剤を選ぶことができる。
【0036】
ポリウレタンポリマーは、一般に、ポリイソシアナートを、イソシアナートと反応できる少なくとも2個の反応性の基を持つ有機化合物、一般的にはポリオールと反応させることによりできるポリウレタンプレポリマーをまず調製することから作られる。反応は、プレポリマーが遊離イソシアナート末端基を持ち、これが次いでキャッピングまたは連鎖延長されるように、ポリイソシアナートを過剰に存在させて、進められる。ここで、キャッピング剤は、末端イソシアナート基を不活性化するために用いられるよく知られた薬剤である。キャッピング剤は例えば水または通常の連鎖延長剤でよい。
【0037】
連鎖延長剤は、ポリウレタンプレポリマーの末端イソシアナート基と反応する活性な水素原子を保有していなくてはならない。連鎖延長剤として適当なのは、水溶性の脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式の、80個まで、好ましくは12個までの炭素原子を有する第一級または第二級ポリアミンである。
【0038】
ポリアミンによりポリウレタンプレポリマーの連鎖延長が起こされるとき、全ポリアミン量は、遊離イソシアナート基が残らず、完全に反応したポリウレタンポリマー(ポリウレタン尿素)を得るために、ポリウレタンプレポリマー中に存在するイソシアナート基の量に従って算出しなければならない。この場合に用いられるポリアミンは、平均の官能性が2〜4、好ましくは2〜3であってよい。
一つの好ましい実施態様では、連鎖延長剤は、脂肪族ジアミン類から選ばれ、好ましくは1,5−ジアミノ−2−メチルペンタンである。
【0039】
ポリウレタンポリマーの非直線性の程度は、連鎖延長に用いられるポリアミンの官能性によって制御される。所望の官能性は、異なるアミン官能性を有する2種以上のポリアミンを混合することで得られる。例えば、官能性2.5はジアミンおよびトリアミンの等モルの混合物を用いることにより達成できる。
【0040】
本発明で有用なこのような連鎖延長剤の例には、ヒドラジン、エチレンジアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N,N,N−トリス(2−アミノエチル)アミン、N−(2−ピペラジノエチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、N,N,N’−トリス(2−アミノエチル)エチレンジアミン、N−[N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチル]−N’−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)−N’−(2−ピペラジノエチル)エチレンジアミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−N−(2−ピペラジノエチル)アミン、N,N−ビス(2−ピペラジノエチル)アミン、グアニジン、メラミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、3,3’−ジアミノベンジジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、ジプロピレントリアミン、テトラプロピレンペンタミン、トリプロピレンテトラミン、N,N−ビス(6−アミノヘキシル)アミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、2,4−ビス(4’−アミノベンジル)アニリン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、イソホロンジアミン(または1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン)、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(またはビス(アミノシクロヘキサン−4−イル)−メタン)およびビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン(またはビス(アミノ−2−メチルシクロヘキサン−4−イル)メタン)、ポリエチレンアミン類、ポリオキシエチレンアミン類、および/またはポリオキシプロピレンアミン類(例えばTEXACO社製Jeffamine類)が含まれる。
【0041】
水分散しやすい官能基がスルホン酸塩の基ならば、これをポリウレタンポリマー中に、たとえば2,4−ジアミノ−5−メチルベンゼンスルホン酸またはα,ω−ポリプロピレングリコールジアミンスルホプロピル酸のナトリウム塩のようなスルホン化ジアミン類を用いる連鎖延長によって導入できる。
【0042】
ポリアミンの合計量は、ポリウレタンプレポリマー中に存在するイソシアナート基の量に従って算出しなければならない。連鎖延長反応の間のプレポリマー中のイソシアナート基の連鎖延長剤中の活性水素に対する比は、当量ベースで、約1.0:0.7〜約1.0:1.1、好ましくは約1.0:0.9〜約1.0:1.02の範囲でよい。
連鎖延長反応は、一般に、5°〜90℃、好ましくは20°〜50℃、最も好ましくは10〜20℃で実施される。
【0043】
本発明の一つの好ましい実施態様では、連鎖延長剤は、前記により開示されたものと同じ反応基を有し、水性インキ組成物を基材に適用している間または適用後に架橋を起こさせることができるキャッピング剤である。この場合、プレポリマーが3種の成分だけで調製され、(i)または(ii)と反応できる、架橋反応可能なさらなる官能基を有する少なくとも1種の化合物(化合物iv)を含まないことも可能であるが、もちろん、このような化合物を追加してプレポリマーの調製に使用することもできる。さらに、最も好ましい実施態様では、連鎖延長剤は、紫外線または電子線照射により架橋できるアクリル、メタクリルまたはアリル官能性を含有することができる。例えば、連鎖延長剤としてアクリル酸ヒドロキシエチルが使用されるならば、水酸基は、遊離イソシアナート基と反応し、エチルアクリレート基は、基材への適用の間または適用後に照射によりポリウレタンポリマーの架橋を起こすことができる。
【0044】
この目的にかなう適当な化合物は、分子内に少なくとも1個の、例えばアクリル、メタクリルまたはアリル性のような、不飽和機能および少なくとも1個のイソシアナートと反応できる求核的機能を分子内に有する化合物である。アクリル官能性はその高い反応性により好ましい。特に適しているのは、アクリル酸またはメタクリル酸のポリオールとのエステル類で、これらのエステル類では、アルキル基中に1〜20の炭素原子を有し、直鎖または分岐構造のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのように、少なくとも1個の水酸基官能性が、反応可能な状態で残っている。一不飽和化合物の例は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリルレート、ヒドロキシブチルアクリルレート等である。多水酸基不飽和化合物の例はトリメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレートおよびこれらのポリエトキシ化またはポリプロポキシ化相当物である。これらの化合物は、最終の組成物が、刺激性でないものになるようなものが好ましい。
【0045】
アクリル化連鎖停止剤は、ポリウレタンプレポリマーの利用できるイソシアナート基との反応の間に完全に転化できるように使用することができる。すなわち、このイソシアナート基の水酸基に対するモル比は、好ましくは1.0〜2.0である。非常に特異的な要件のある場合は、この比が1未満であることが望まれるかもしれない。特に、プレポリマーのイソシアナート基と反応しない、水酸基を有さない多価不飽和化合物を、照射後のポリマーの架橋密度を上げるために、プレポリマーの重量を基礎に、5〜50%、好ましくは20〜30%過剰に添加することは可能である。
【0046】
トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールのようなポリオール類のアクリル化は、進行の結果、モノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレートおよびテトラアクリレート(可能ならば)の混合物となること、および混合物の特性決定に可能な方法はその水酸基価を測定することによることは当業者に知られている。生成する種々のアクリレートの個別の比率を変更するには、温度、反応触媒の量と性質、アクリル酸の量などの反応パラメーターを変更することが知られている。ペンタエリトリトールのアクリル化から誘導されるアクリル酸エステルの混合物を本発明のポリウレタンポリマーのための連鎖キャッピング剤として用いる目的には、水酸基価を50〜250mgKOH/g,好ましくは80〜150mgKOH/gの範囲でえらぶことが好ましい。このような選択をする理由は、水酸基価が低いときには、混合物中のペンタエリトリトールテトラアクリレートの比率が高くなり過ぎて、本発明の水分散液からできる硬化コーティング物の柔軟性にとって有害となる傾向があることが理由である。
【0047】
ポリウレタンプレポリマー中に存在し得る酸官能基は、いずれも、このプレポリマーの水性分散液を調製する前か調製と同時にこの基を、中和することにより、アニオン塩の基に転化できる。ポリウレタンプレポリマーの分散プロセスは当業者にはよく知られており、通常、高せん断型の混合ヘッドを用いる高速混合を要する。好ましくは、ポリウレタンプレポリマーは、強烈な撹拌下で水に加えるか、またはこれに代えて、撹拌しながらプレポリマーに水を加えてもよい。好ましいプロセスは例えばUS−A5,541,251に開示されており、詳述されている。
【0048】
末端イソシアナート基を有するポリウレタンプレポリマーの水中への分散の間か前に、上記の酸基をアニオン塩の基に転化するための、適当な中和剤または第四級化剤は、揮発性有機塩基および/または非揮発性塩基であってよい。揮発性有機塩基は、周囲条件下での膜形成の間に、少なくとも約90%が揮発し、一方、非揮発性塩基は、周囲条件下での膜形成の間に、少なくとも約95%が揮発しない。
【0049】
適当な揮発性有機塩基は好ましくは、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジンを含む群から選ぶことができる。トリアルキルアミンが好ましい。
【0050】
適当な非揮発性の塩基には、一価の金属、好ましくはリチウム、ナトリウムおよびカリウムのようなアルカリ金属を含む塩基が包含される。これらの非揮発性塩基は無機または有機塩、好ましくはアニオンが分散液の中に残留しない塩、例えば水素化物、水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩、として用いることができる。
トリエチルアミンが最も好ましい中和剤である。
【0051】
これら中和剤の合計量は中和すべき酸基の合計量に従って算出しなければならない。揮発性有機塩基を用いる場合、すべての酸基が中和されることを確実にするために、中和剤を5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%過剰に加えることが勧められる。
【0052】
本発明の組成物は、紫外線照射への暴露により架橋反応を開始する光開始剤と呼ばれる開始剤を含有することが好ましい。本発明の好ましい光開始剤は、ラジカル重合またはカチオン重合用の光開始剤である。この光開始剤は好ましくは、0.1〜10%d/dの濃度で使用される。
【0053】
本発明によって使用できる光開始剤は、この目的に従来から使用されているものから選ばれる。適当な光開始剤には、(限定するものではないが)ベンゾフェノンおよびそのアルキルまたはハロゲン誘導体のような芳香族カルボニル化合物、アントラキノンおよびその誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、ベンゾインエーテル類、芳香族または非芳香族アルファジオン類、ベンジルジアルキルケタール類ならびにアセトフェノン誘導体が含まれる。
【0054】
適当な光開始剤は、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、2−フェニルアセトフェノン、2−クロロ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジクロロ−2−フェニルアセトフェノン、2−ブチロキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチロール−2−メトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、4−トリクロロメチルベンゾフェノン、インデノン、1,3−インダンジオン、フルオレノン、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、ビアセチル、グリオキサール、1,2−インダンジオン、p−クロロフェニルグリオキサール、ベンジル、カンファーキノン、ベンゾインメチルおよびエチルエーテル等である。
【0055】
光開始剤の光開始作用は、あるいくつかの場合には、窒素原子に隣接する炭素原子上に、少なくとも1個の水素原子を有することを特徴とする第三級アミンにより相当に改善される。適当な第三級アミンは、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アニリンまたは、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、などのような第二級アミンとトリメチロールプロパンジアクリレート等のようなポリオールアクリレートとの付加生成物のようなアミノアクリレート類である。
【0056】
場合によっては、窒素原子に隣接する少なくとも1個の炭素原子上に、少なくとも1個の水素原子を有する第三級アミン官能と、芳香族ケトンの機能を同一分子内に有することには利点が有り得る。このような分子は例えば2−イソプロピルオキシ−2−(4−ジメチルアミノフェニル)プロピオフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ジエチルアミノ−9−フルオレノン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、N−メチルアクリドン等である。同様に、窒素原子に隣接する少なくとも1個の炭素原子上に、少なくとも1個の水素原子を有する第三級アミンの官能と、少なくとも1個のアクリルまたはメタクリルラジカルを同一分子内に有することが可能である。例えば、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンまたはN,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アニリンのモノ−、ジ−およびトリ−、アクリレートまたはメタクリレートの場合が挙げられる。
【0057】
本発明の組成物を加速電子線によって硬化する場合は、この型の照射は、フリーラジカルを生成する十分な量のエネルギーを独力で発生し、硬化は極端に速いことが確かなので、光開始剤を使用する必要はない。
【0058】
所望ならば、本発明の組成物には、望ましい性質を付与したり改善したりするため、あるいは、望ましくない性質を抑制するために最終組成物に添加される他の補助物質(添加剤)が含まれてもよい。これらの添加剤には、知られている殺菌剤、(例えばActicide AS)、酸化防止剤(例えばIrganox245)、可塑剤(例えばフタル酸ジオクチル)、顔料、シリカゾル(例えばAcemat TS100)、レベリング剤(例えばByk306)、湿潤剤(例えばByk346)、浸潤剤(例えばエチレングリコール、2−ピロリジノン、2−メチル−2,4−ペンタンジオール)、泡調節剤(例えばDehydron1293)、増粘剤(例えばTylose MH6000)分散剤(例えばTexanol)、熱安定剤、紫外線安定剤(例えばTinuvin328または622)、トランソーバー(transorber)(US5,643,356記載のような)などが含まれる。この組成物は他のポリマー分散液、例えば、ポリビニルアセテート、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレートならびに他のホモポリマーおよびコポリマー分散液と混合することもできる。
【0059】
末端イソシアナート部分を有するポリウレタンプレポリマーの調製は、化学量論的に過剰な有機ポリイソシアナート(複数でもよい)と、イソシアナート基と反応できる少なくとも2個の反応性の基を有する有機化合物(複数でもよい)、および実質的に無水条件でイソシアナート類と反応できる別の反応性の化合物(複数でもよい)を、好ましくは50℃〜120℃、さらに好ましくは70℃〜95℃で、イソシアナート基および反応性の基の反応が実質的に完了するまで反応させることにより、従来法で実施できる。この反応は、5〜40重量%、好ましくは10〜20重量%の溶媒を、必要そうであればプレポリマーの粘度を下げるために添加することにより、容易となる。適当な溶媒は、単独または組み合わせて、例えばケトン類、エステル類、ならびにN,N−ジメチルホルムアミド、N−シクロヘキシルピロリジンおよびN−メチルピロリドンのようなアミド類のようなイソシアナート基と反応性がない溶媒である。好ましい溶媒は、連鎖延長の前、間または後に減圧蒸留により容易に除去できるように、相対的に低沸点のケトン類およびエステル類である。このような溶媒の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチルおよび酢酸エチルが含まれる。
一つの好ましい実施態様ではアセトンが溶媒として使用され、水分散段階の後に減圧ストリッピングで除去される。
【0060】
所望ならば、イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーの調製は、アミン類または有機金属化合物のようなポリウレタンの調製に適した、任意の公知の触媒の存在下で実施してもよい。これらの触媒の例には、トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、ジブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、ジオクチル錫ジアセテート、オクタン酸鉛、オレイン酸錫、ジブチル錫オキサイドおよび類似物が含まれる。
【0061】
イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーの調製の間、反応系は、イソシアナート基と、このイソシアナート官能基と反応できる基の比が約1.1:1〜約4:1.好ましくは約1.3:1〜2:1に相当する比率で一般に用いられる。
【0062】
イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーは、イソシアナートと反応できる少なくとも1個の反応性の基、および紫外線か電子線により架橋できる少なくとも1個の官能基を有する1種または数種の有機化合物によりキャッピングされる。この架橋できる官能基は好ましくは、アクリル、メタクリルまたはアリル官能基である。このキャッピングは、20〜100%、好ましくは50〜100%のイソシアナート基がキャッピングにより反応するように実施される。
【0063】
ポリウレタンポリマーを含有するこの水性インキ組成物は、好ましくはポリウレタンポリマー溶液を水のような水性媒体に分散させて調製される。従って、一つの好ましい実施態様では、ポリウレタンがまずポリウレタンプレポリマーから末端イソシアナート基の末端キャッピングにより調製され、次いでポリウレタンポリマーが水性媒体中に公知の方法で分散される。
【0064】
これに代えて、ポリウレタンプレポリマー溶液に水が連続相になるまで水を分散させることができる。ポリウレタンプレポリマーのこの水性分散液に連鎖延長剤を添加してポリウレタンプレポリマーを生成させることができる。ポリアミンの溶液を前もって作っておいて、この溶液をゆっくりとポリウレタンプレポリマーの分散液に加えることにより、局在化されたアミン濃度の勾配ができることは避けることが好ましい。次いで溶媒は減圧蒸留により除かれ純粋なポリウレタンプレポリマーの分散液を生成することができる。
【0065】
架橋反応を受けやすい、ポリウレタンポリマーまたはプレポリマー中に存在する官能基がアニオン性の基に転換されるべき酸性の基であるならば、酸性の基の中和反応は、ポリウレタンポリマーまたはプレポリマーが水性の媒体に分散される前に行われていることが好ましい。しかし、ポリウレタンポリマーが分散している水性媒体中に中和剤が含有されていることもまた可能である。
架橋剤、任意で加えられる光開始剤および任意で加えられる補助物質または添加剤は、水性分散液中に公知の方法で加えられる。
【0066】
水性インキ組成物は適当に合計固形分が約5〜65重量%、好ましくは約30〜50重量%、さらに好ましくは30〜35重量%である。25℃で測定した粘度は、50〜5000mPa・s、好ましくは100〜500mPa・s、pH値は7〜11、好ましくは8〜9、平均粒径は約10〜1000nm,好ましくは30〜300nm、さらに好ましくは50〜100nmである。
膜形成温度は好ましくは0〜70℃、さらに好ましくは0〜20℃であってよい。
【0067】
この水性インキ組成物は、紙、ボール紙、プラスチック、布、ガラス、ガラス繊維、セラミックス、コンクリート、皮革、木、金属等を含む任意の基材に、工業用途、家庭用途で、フレキソ印刷もしくは写真製版を含む従来方法または極端にはブラッシング、スプレー、浸漬法を用いて容易に適用できる。
【0068】
本発明による水性インキ組成物は好ましくはインクジェットプリンターで使用される。絵付成形等のような他の公知の印刷技術も使用できる。
【0069】
基材に適用された後、付着したコーティングは紫外線または電子線照射により硬化する。好ましくは、紫外線(80W/cmまたは120W/cm)または電子線(例えば50kGy、250kV)が硬化に用いられる。これにより得られた硬化皮膜は優れた接着、優れた耐水および耐溶剤性、機械的強度、耐久性、柔軟性ならびに深色を示す。
【0070】
色合わせは、着色インキ組成物を適当な方法で混合することで、容易にできる。着色された反応原料を、所望の着色ポリマーを製造するための構成要素として用いるために混合することによっても色合わせができることは、触れておく価値がある。
【0071】
本発明の水性インキは良好な色強度を示すが、色の鮮明度、深さおよび耐久性を修正または改善するために顔料分散液と混合することができる。
【0072】
出発物質の組み合わせを工夫して、将来の用途に適合させるように、組成物の化学的、物理的および技術的性質を所望のように変更することにより、異なった水性樹脂組成物を本発明によって、調製することは可能である。これは詳細に実施例で示す。
【0073】
(実施例)
プレポリマー反応混合物中のイソシアナート含有量は、ジブチルアミン逆滴定法を用いて測定した。
【0074】
水性ポリマー分散液の粘度ηは25℃でBrookfield RTV Viscometerを用いて、粘度が200mPa・s未満のときはNo.1スピンドル、50rpmで、粘度が200mPa・sを超えるときはNo.2スピンドル、50rpmで測定した。
【0075】
粗粒値は、50ミクロンふるいでポリマー分散液を濾過した残分であり、mg/リットルで表された。
【0076】
水性ポリマー分散液の平均粒子径は、Malvern Particle Analyzer Processor Types 7027および4600SMを用いレーザー光散乱により測定した。
【0077】
最終コーティングについてのすべての測定は、適当な厚さを得るために、製図用ペンまたはマイヤーバーで引いたコーティングについて実施した。
【0078】
接着は、粘着テープをコーティングに圧着し、急速にはがして測定した。コーティング上の損傷を1〜5段階で表した。(5=優秀)
【0079】
コーティングの耐溶剤性および耐水性は、与えられた条件で、イソプロパノール(表中IPA)、アセトンまたは水で飽和させた綿布を往復させ、塗膜が落ちる(すなわち、透けて見える)まで摩擦する方法で評価した。1回の摩擦とは往路、復路のストロークを意味する。報告されている数はコーティングを破壊するのに必要な摩擦数である。
【0080】
耐ひっかき性は、コーティング上を往復運動する爪を用いて評価した。コーティング上の損傷を1〜5段階を用いてランク付けした。(5=優秀)
【0081】
残存粘着性または耐ブロッキング性は、1枚の紙をコーティング面に圧着し、この紙が粘着なしに分離する容易さを評価することにより測定した。粘着は1〜5の段階でランク付けした。(5=優秀)
退色性は照射段階中に観察される色の相対的な変化により評価した。退色性は1〜5段階を用いてランク付けした。(5=優秀)
【実施例1】
【0082】
赤色ポリウレタン分散液のUV架橋
機械式撹拌機、熱電対、蒸気コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた二重壁ガラス反応器に100.3gのアセトン、63.0gのポリエステル(PanPG670;平均分子量約670ダルトン;アジピン酸およびネオペンチルグリコールの縮合重合により得られた。)、17.6gのジメチロールプロピオン酸、35.2gのREACTINT RED X64(Milliken)、118.3gのメチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)および0.3gのジブチル錫ラウレートを反応触媒として添加した。0.8gの酸化防止剤Irganox245およびそれぞれ1.6gの紫外線安定剤Tinuvin328およびTinuvin622が加えられた。反応混合物は60℃まで撹拌しながら加熱昇温され、コンデンサーでの凝縮はイソシアナート含有量が1.00meq/gに達するまで維持された。このポリウレタンプレポリマーを50℃まで冷却した。11.9gのアセトン中の0.1gの4−メトキシフェノールがラジカル禁止剤として加えられ、次いで102.7gのペンタエリトリトールトリアクリレートが加えられた。反応混合物は50℃に保たれ、この末端キャッピングプロセスがイソシアナート含有量が0.30meq/gに達するまで維持された。次いで、13.4gのトリエチルアミンが、均一な溶液が得られるまで中和剤として加えられた。634.1gの脱塩水を室温で反応器に加え、5分の激しい撹拌により安定なポリマーの分散液が得られた。0.3gのDehydran1293を泡調整剤として、1.0gのActicide ASを殺菌剤として、BYK346を湿潤剤として加えた。次いでアセトンを分散液から50℃を超えない温度で減圧ストリッピングにより遊離アセトンの水準が0.15%未満になるまで除いた。生成物は100μふるいで濾過して深色の安定な生成物ができた。この生成物は、乾燥分35.0%、粘度50mPa・s、pH7.3、粒子径40nmおよび粗粒値<100mg/lであった。
【実施例2】
【0083】
実施例1の分散液にIrgacure500(1.5重量%、wet/wet)を配合した。下の表1で、紫外線照射または電子線の有無によるインキの性能の概略が示されている。インキは、100℃、1分間の水蒸発の後、4〜6ミクロン厚さになるようにバーコーターを用いてポリエチレン上に適用された。
【0084】
この実施例では、Irgacure500を含有する組成物であって、紫外線照射したものおよびこの組成で電子線照射したもの、すなわち架橋した二つの組成物は、硬化していない組成物よりもはるかに良い性能を示すことが示されている。色の保持も許容できた。
【実施例3】
【0085】
実施例1の分散液にCGI393(5重量%、wet/wet)を光開始剤として配合した。表2に、異なった速度での異なったランプ強度についてのインキの性能の概要を示す。インキは、60℃での水蒸発の後、8ミクロン厚さになるようにバーコーターを用いてポリエチレン上に適用された。
【0086】
【0087】
Claims (14)
- 反応性の官能基を有するポリウレタンポリマーおよび少なくとも一つの着色材を含有する水性インキ組成物であって、該着色材がポリウレタンポリマーに共有結合で結合し、該組成物が架橋してポリウレタンポリマーを含有する網目構造を形成することができ、該架橋反応が照射により開始される、上記水性インキ組成物。
- ポリウレタンポリマーが、ポリウレタンプレポリマーから調製される不飽和ポリウレタンポリマーであり、ポリウレタンプレポリマーが:
(i)イソシアナートと反応できる少なくとも2個の反応性の基を含有する少なくとも1種の有機化合物、
(ii)少なくとも1種のポリイソシアナート、
(iii)(i)または(ii)と反応できる少なくとも1個の反応基を有する少なくとも1種の反応性着色材、
(iv)(i)または(ii)と反応でき、さらなる架橋反応可能な官能基を有する、
少なくとも1種の化合物の反応生成物である、請求項1記載の水性インキ組成物。 - 架橋反応可能な基がアクリル、メタクリル、またはアリル基である、請求項2記載の水性インキ組成物。
- さらに外部架橋剤を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性インキ組成物。
- 照射が紫外線または電子線により行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性インキ組成物。
- 着色材がREACTINT YELLOW X15,REACTINT BLUE X17AB,REACTINT ORANGE X96,REACTINT RED X64,REACTINT VIOLET X80LTおよびREACTINT BLACK X41LVから選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性インキ組成物。
- 組成物中のポリマーの乾燥含有量が5〜50%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性インキ組成物。
- ポリウレタンプレポリマーを、照射により架橋可能なアクリル、メタクリルまたはアリル官能性を有する少なくとも1種のキャッピング剤と反応させることによって、ポリウレタンポリマーが調製される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性インキ組成物。
- インキ組成物が、ラジカルまたはカチオン重合光開始剤を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性インキ組成物。
- 基材をフレキソ印刷、写真製版、ブラッシング、スプレー、又は浸漬法によりコーティングするための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性インキ組成物の使用。
- 水性インキ組成物がインクジェット用途用である、請求項10記載の使用。
- 基材をコーティングする方法であって、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性インキ組成物が基材に適用され、適用の間又は適用後に紫外線照射または電子線を用いて基材上で硬化される、上記コーティング方法。
- 水性インキ組成物が基材にインクジェットプリンターにより適用される、請求項12記載の方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性インキ組成物の硬化物により少なくとも部分的にコーティングされている基材。
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