JP2004535166A - セリンプロテアーゼcvsp14をコードする核酸分子、コードされるポリペプチドおよびそれに基づく方法 - Google Patents
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Abstract
Description
関連出願
2001年3月22日出願の、Edwin L. Madison and Jiunn-Chern Yehに対する「トランスメンブランセリンプロテアーゼ14をコードする核酸分子、コードされるタンパク質よびそれに基づく方法」と題された米国仮出願第60/278,166号の優先権を主張するものである。これが認められれば、主題の米国仮出願は出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
【0002】
発明の分野
プロテアーゼおよびその一部、特にプロテアーゼドメインをコードする核酸分子が提供される。また、該プロテアーゼおよびそのドメイン、ならびにコード核酸分子を用いる予後、診断および治療方法も提供される。
【0003】
発明の背景およびその目的
癌は米国における第一の死因であり、3人に1人のアメリカ人で発症し、4人に1人のアメリカ人が癌で死亡する。癌は腫瘍塊を形成するまでに増殖する異常な新生細胞の数の増加、これらの新生腫瘍細胞による隣接組織の侵害、および血液またはリンパ系を介して局部リンパ節や離れた部位へ転移する悪性細胞の発生を特徴とする。
【0004】
癌の顕著な特徴として、腫瘍細胞およびそれらの環境間の連絡の破壊がある。正常細胞は刺激シグナルがなければ分裂せず、阻害シグナルが存在すると分裂を止める。組織内の細胞間では増殖刺激シグナルおよび増殖阻害シグナルが日常的に交換されている。癌化または新生物形成状態では、細胞はこれらのシグナルを「くつがえす」能力、そして正常細胞が増殖しない条件下で増殖する能力を獲得している。
【0005】
腫瘍細胞は増殖のために遺伝的変異を反映するいくつかの明瞭な異常形質を獲得している。十分研究されているある種の腫瘍のゲノムは活性化された癌遺伝子および不活性化された腫瘍抑制遺伝子をはじめ、独立に変異したいくつかの異なる遺伝子を有する。これらの遺伝的変異の各々は集合体として完全な新生物表現型を呈するいくつかの形質を付与する一役を担っているようである。
【0006】
種々の生化学因子が様々な転移相と関連づけられている。コラーゲン、ラミニンなどの糖タンパク質、およびプロテオグリカンの細胞表面レセプターは浸潤および転移における重要なステップである細胞の接着を助ける。この接着により、腫瘍細胞の組織バリアへの浸透を助ける分解酵素の放出が誘導される。ひと度腫瘍細胞が標的組織へ侵入すると、さらなる増殖には特殊な増殖因子が必要となる。腫瘍の浸潤および進行には、腫瘍細胞が一次腫瘍から離れ、それを取り巻く正常組織を破壊し、さらに血管またはリンパ管へと移動して離れた部位へ運ばれるという一連の複雑な事柄が含まれる。この正常組織のバリアの破壊は、組織の基底膜および間質成分を構成している細胞外マトリックスのタンパク質を分解する特殊な酵素の合成によってなされる。
【0007】
ある種の細胞外マトリックス分解酵素が腫瘍浸潤と関連づけられている。これにはマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)がある。例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼストロメリジンの産生が転移能を有する悪性腫瘍と関連づけられている(例えば、McDonnell et al. (1990) Smnrs. in Cancer Biology 1:107-115; McDonnell et al. (1990) Cancer and Metastasis Reviews 9:309-319参照)。
【0008】
癌細胞の転移および組織浸潤能は基底膜の分解によって助長される。MMPをはじめいくつかのプロテイナーゼ酵素は腫瘍細胞の浸潤プロセスを助長することが報告されている。MMPは基底膜の分解を促進し、それにより腫瘍細胞を組織浸潤させることが報告されている。例えば、分子量約70kDaと92kDaの2つの主要なメタロプロテイナーゼは腫瘍細胞の転移能を高めるものと思われる。
【0009】
セリンプロテアーゼ
セリンプロテアーゼ(SP)は新生物形成疾患の進行に関連づけられている。分泌型の酵素であれ細胞質貯蔵オルガネラに隔離されるものであれ、ほとんどのセリンプロテアーゼは血液凝固、創傷治癒、消化、免疫応答ならびに腫瘍浸潤および転移に役割を有する。II型トランスメンブランセリンプロテアーゼと呼ばれる、付加的な細胞外ドメインを有する膜固定タンパク質である、ある種の細胞表面タンパク質が確認されている。それらは細胞表面タンパク質として細胞内シグナル伝達および細胞表面タンパク質分解に役割を果たすものと位置づけられている。他にセリンプロテアーゼで膜結合型で、同様の機能を持つものもある。また、分泌型のものもある。多くのセリンプロテアーゼは細胞表面レセプターと結合した際にそれらの活性を発揮し、従って細胞表面で働く。細胞表面タンパク質分解は多様な細胞機能を媒介する生物活性タンパク質を生成するためのメカニズムである。
【0010】
分泌型およびトランスメンブランセリンプロテアーゼを含むセリンプロテアーゼは新生物の発生および進行に関与するプロセスに関連づけられている。これらのプロテアーゼの正確な役割はまだ精査されていないが、セリンプロテアーゼおよびその阻害剤は腫瘍の進行に関わる癌細胞浸潤における分解作用、転移拡散、および腫瘍の血管新生をはじめとする多くの細胞内および細胞外生理学的プロセスの制御に関与している。プロテアーゼは細胞外マトリックス(ECM)の分解に関与し、組織の再構築に寄与し、癌浸潤および転移に不可欠であると考えられている。いくつかのプロテアーゼの活性および/または発現が腫瘍の進行および発達と相関していることが示されている。
【0011】
例えば、上皮癌組織でも正常組織でも発現する(Takeucuhi et al. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:11054-61)、膜型セリンプロテアーゼMTSP1(マトリプターゼとも呼ばれる;米国特許第5,972,616号配列番号1および2;およびGenBank受託番号AF118224; (1999) J. Biol. Chem. 274:18231-18236;米国特許第5,792,616号参照、またTakeuchi (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 96:11054-1161も参照)が同定されている。マトリプターゼは最初にヒト乳癌細胞でマトリックスメタノプロテアーゼ(MMP)の一種の主要ゼラチナーゼとして同定されたものである(米国特許第5,482,848号参照)。これは乳癌の転移に役割を果たすことが示唆されている。マトリプターゼはまた、種々の上皮組織において高いレベルの活性で発現し、ヒト胃腸管および前立腺でも発現する。MTSP3、MTSP4、MTSP6と呼ばれるMTSPは国際PCT出願PCT/US01/03471に基づく公開国際PCT出願WO 01/57194に記載されている。
【0012】
前立腺特異的抗原(PSA)であるカリクレイン様セリンプロテアーゼは細胞外マトリックス糖タンパク質フィブロネクチンおよびラミニンを分解し、前立腺癌細胞による浸潤を助長すると仮定されている(Webber et al. (1995) Clin. Cancer Res. 1:1089-94)。PSAのタンパク質分解活性をPSA特異的モノクローナル抗体で遮断すると、in vitroにおける高レベルのPSAを分泌するLNCaPヒト前立腺癌細胞による再構成基底膜マトリゲル (Matrigel)の浸潤に用量依存的な低下が起こる。
【0013】
肝癌細胞で確認されている細胞表面セリンプロテアーゼであるヘプシンは卵巣癌で過剰発現する(Tanimoto et al. (1997) Cancer Res., 57):2884-7)。このヘプシン転写物は癌腫組織に豊富に見られ、正常な卵巣をはじめ正常な成体組織ではほとんど発現しない。ヘプシンは卵巣腫瘍で過剰発現することが多いので卵巣腫瘍細胞の浸潤プロセスおよび増殖能における候補プロテアーゼとなり得ることが示唆されている。
【0014】
正常上皮細胞特異的1(NES1)と呼ばれるセリンプロテアーゼ様遺伝子(Liu et al., Cancer Res., 56:3371-9 (1996))が確認されている。全ての正常および不死化非腫瘍性上皮細胞系統でNES1 mRNAの発現が見られるが、大部分のヒト乳癌細胞系統はその発現の著しい低下または完全な欠如を示す。NES1と、増殖因子活性を調節することが知られているポリペプチドとの構造類似性およびNES1発現と乳癌発生の負の相関は、腫瘍形成の抑制におけるこのプロテアーゼ様遺伝子産物の直接的または間接的役割を示唆するものである。
【0015】
よって、トランスメンブランおよびその他のセリンプロテアーゼならびにその他のプロテアーゼは腫瘍の病因および病原に関与するものと思われる。これらのプロセスにおけるそれらの役割をさらに解明し、さらなるトランスメンブランプロテアーゼを同定する必要がある。従って本明細書の目的は、セリンプロテアーゼタンパク質ならびに腫瘍形成および/または発癌の調節または関与に関わる、かかるプロテアーゼをコードする核酸を提供することにある。本明細書の目的はまた、かかるプロテアーゼおよびかかるプロテアーゼをコードする核酸を用いる予後、診断、治療的スクリーニングを提供することである。
【0016】
発明の概要
本明細書ではそのプロテアーゼドメインを含むCVSP14と呼ばれるタンパク質が提供される(例えば、配列番号5、6、12および13参照)。CVSP14は分泌型セリンプロテアーゼである。CVSP14はアンドロゲン依存性前立腺腫瘍で発現が高く、その他の腫瘍でも発現する。よって、これはプロテアーゼとして腫瘍の進行に関与している可能性がある。その機能的活性により、これは治療標的または診断標的とすることができる。発現および/または発現したタンパク質またはそのチモーゲン型の活性化(または発現もしくは活性化レベルの低下)は癌および癌治療のモニタリングに使用することができる。例えば、このタンパク質の発現は前立腺癌および前立腺癌治療のモニタリングに使用することができる。
【0017】
セリンプロテアーゼファミリーには、腫瘍細胞において非腫瘍細胞とは異なったレベルで活性化および/または発現されるメンバー、およびその基質が腫瘍細胞と非腫瘍細胞では異なるか、あるいはまたはセリンプロテアーゼ(SP)の特異性または活性を変化させる細胞に由来するものが含まれる。本明細書で提供されるセリンプロテアーゼはCVSP14と呼ばれる分泌型プロテアーゼである。このプロテアーゼドメイン、ならびにチモーゲンおよび活性型をはじめとする全長タンパク質、およびそれらの使用も提供される。スプライス変異体によってコードされるタンパク質も提供される。また、これらのタンパク質およびプロテアーゼドメインをコードする核酸分子も提供される。CVSP14のプロテアーゼドメインは配列番号6で示され、全長タンパク質配列は配列番号13で示される。コード核酸分子の配列はそれぞれ配列番号5および12で示される。
【0018】
CVSP14は分泌型タンパク質として発現し、細胞表面レセプターに結合し、それとの結合、あるいは二量体形成または膜結合もしくはレセプター結合タンパク質との多量体形成によるなどして細胞表面結合プロテアーゼとして働く可能性がある。
【0019】
また本明細書では、SPタンパク質をコードする核酸分子およびコードされるタンパク質も提供される。特にそのスプライス変異体をはじめとする、動物に由来するCVSP14をコードする核酸分子が提供される。コードされるタンパク質もまた提供される。また、その機能的ドメインも提供される。例えば、SPプロテアーゼドメイン、その一部、およびそのミューテインは、限定されるものではないが、マウスおよびラットなどの齧歯類;ニワトリなどの鳥類;ヤギ、ウシ、シカ、ヒツジなどの反芻動物;ブタなどのヒツジ(ovine, such as pigs);およびヒトをはじめとする動物のSPに由来する、または基づくものである。
【0020】
本明細書で提供される方法およびアッセイで用いるプロテアーゼドメインは二本鎖活性化産物を生じる活性化によるものである必要はなく、N末端が配列↓ILGGを含む場合にはむしろ一本鎖ポリペプチドである。このようなポリペプチドは活性化の結果ではなく、また二本鎖型でもないが、タンパク質分解(触媒)活性を示す。これらのプロテアーゼドメインポリペプチドはCVSP14の活性を調節する薬剤をスクリーニングするアッセイで用いられる。
【0021】
このようなアッセイも本明細書で提供される。例としてのアッセイでは、CVSP14の全長、または一本鎖、二本鎖活性型の全長の少なくとも約70%、80%もしくは90%にわたるもの、あるいは一本鎖または二本鎖活性型であり得るプロテアーゼドメインが既知の基質、典型的には蛍光、発色あるいはその他の検出可能な標識を施した基質をタンパク質分解切断する能力に対する試験化合物の作用を評価する。タンパク質(その一本鎖もしくは二本鎖いずれかの形態の全長またはプロテアーゼドメイン)の活性を調節する薬剤、一般には化合物、特に小分子はCVSP14の活性を調節する候補化合物となる。プロテアーゼドメインおよび全長タンパク質はまた二本鎖および一本鎖プロテアーゼ特異的抗体を産生させるのに用いることができる。本明細書で提供されるプロテアーゼドメインとしては、限定されるものではないが、例えば腫瘍細胞では非腫瘍細胞とは異なるレベルで発現または活性化される、ヒトを含む哺乳類に由来するものなど、CVSP14をはじめとするいずれかのファミリーメンバーの、C末端からチモーゲンの活性化のための切断部位のN末端を有する一本鎖領域、またはin vitroタンパク質分解アッセイで一本鎖ポリペプチドとしてのタンパク質分解活性を示すそのC末端切断された一部が挙げられる。
【0022】
CVSP14の一本鎖プロテアーゼドメインのミューテイン、特にフリーの(すなわちプロテアーゼドメインの他のいずれのCysともジスルフィド結合を形成していない)プロテアーゼドメインのCys残基(配列番号6の26番の残基)が別のアミノ酸置換され、通常は着目する活性をなくさない置換がなされているミューテイン、およびグリコシル化部位がなくされているミューテインも提供される。触媒活性が保持されるその他の置換がなされるミューテインも考えられる(アミノ酸置換の例としては例えば表1を参照)。
【0023】
よって、本発明ではCVSP14と呼ばれるセリンプロテアーゼファミリーのメンバーおよび機能的ドメイン、特にそのプロテアーゼ(または触媒)ドメイン、そのミューテインおよびその他の誘導体ならびに類似体が提供される。本明細書ではまた、CVSP14をコードする核酸が提供される。
【0024】
CVSP14の核酸およびアミノ酸配列は配列番号5および6で示される。一本鎖プロテアーゼドメインもしくはその触媒活性部分をコードする核酸分子、また全長CVSP14をコードするもの(配列番号12および13)も提供される。単一アミノ酸変異も考えられ、例えばGlyの代わりにArgが存在するペプチドが提供される。一本鎖プロテアーゼドメインもしくはその触媒活性部分をコードする核酸分子、また全長CVSP14をコードするものが提供される。また、このようなCVSP14コード核酸とそれらの全長または全長の少なくとも約70%、80%または90%にわたってハイブリダイズし、かつ、全長、またはシグナル配列またはプロテアーゼドメインまたはその触媒活性部分を持たないなど、その末端切断された一部をコードする核酸分子も提供される。ハイブリダイゼーションは典型的には少なくとも低、一般には少なくとも中、多くの場合では高ストリンジェンシー条件下で行われる。
【0025】
本明細書ではさらに、CVSP14と特異的に結合してその活性を阻害する抗体が提供される。その一本鎖および/または二本鎖型を含め、タンパク質またはプロテアーゼドメインと特異的に結合する抗体が含まれる。抗体としては二本鎖特異的抗体、一本鎖特異的抗体および中和抗体がある。本明細書ではまた、CVSP14、特に一本鎖プロテアーゼドメイン、チモーゲンおよび活性型と特異的に結合する抗体も提供される。二本鎖および/または一本鎖型のCVSP14と特異的に結合する抗体が提供される。このような抗体としては、二本鎖もしくは一本鎖型のプロテアーゼドメインおよび/または全長タンパク質と特異的に結合するものが挙げられる。
【0026】
本明細書ではさらに、CVSP14およびCVSP14をコードする核酸を用いる予後、診断、治療的スクリーニング法が提供される。また、CVSPをコードする不活性化遺伝子を有し、また、非天然または天然プロモーターの制御下でCVSP14をコードする遺伝子を有するトランスジェニック非ヒト動物も提供される。このような動物は腫瘍の発生、増殖および/または進行の動物モデルにおいて有用である。
【0027】
本明細書では肺癌、前立腺癌、大腸癌および乳癌などの特定の腫瘍または癌細胞で発現するセリンプロテアーゼ(SP)ファミリーのメンバーが提供される。特に本明細書では、 CVSP14が肺癌、白血病および子宮頚癌、ならびにある種の正常な細胞および組織でも発現することが示される(例えば、組織特異的発現プロフィールに関する実施例参照)。CVSP14はまた乳癌、前立腺癌および大腸癌のマーカーともなり得る。
【0028】
SPは腫瘍細胞では正常細胞とは異なるレベルで発現および/または活性化されると考えられ、またはその基質または補因子の変更などで腫瘍細胞と正常細胞とが異なる機能的活性を有することから注目される。また、CVSP14は腫瘍細胞で発現する、または活性があることからも注目される。よって、本明細書で提供されるCVSP14はある種の腫瘍の診断マーカーとして働き得る。活性化されたCVSP14のレベルは前立腺癌、子宮癌、肺癌または大腸癌、あるいは白血病その他の癌の診断指標となり得る。
【0029】
本明細書ではまた、CVSP14活性を調節する方法、およびCVSP14活性の阻害、拮抗、促進あるいはまた変更をはじめとする調節を行う化合物をスクリーニングする方法が提供される。タンパク質の触媒部分を含むCVSP14のプロテアーゼドメインが特に注目される。
【0030】
本明細書では、限定されるものではないが、そのスプライス変異体、およびCVSPをコードする核酸、ならびにそのドメイン、誘導体および類似体をはじめとするCVSP14ポリペプチドが提供される。また、チモーゲン型のCVSP14の活性化により生じるN末端を含む一本鎖プロテアーゼドメインも提供される。このプロテアーゼドメインの切断部位は52番のアミノ酸(R↓IGGS)である(配列番号12および13参照)。
【0031】
また、本明細書で提供される核酸分子のいずれかを含むプラスミドも提供される。これらのプラスミドを含む細胞も提供される。このような細胞としては、限定されるものではないが、細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞および動物細胞が挙げられる。 CVSP14ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞およびプラスミドの他、コードされるポリペプチドの発現方法も提供される。プロテアーゼドメインの発現を達成するには、シグナル配列をコードする核酸を除去する。このタンパク質は封入体で発現させる。次にこのCVSP14プロテアーゼドメインを封入体から単離し、適切な再折りたたみが起こる条件下で処理する。よって、活性のあるCVSP14プロテアーゼドメインを産生する方法も提供される。
【0032】
また、上記細胞を、その細胞によりCVSP14が発現される条件下で増殖させ、発現したCVSP14ポリペプチドを回収することによる、CVSP14の産生方法も提供される。その他のCVSP14をコードする核酸を単離する方法も提供される。
【0033】
また、CVSP14ポリペプチドがそれら細胞により発現される、細胞、一般には哺乳類細胞および酵母細胞などの真核細胞も提供される。分泌したタンパク質が結合し得るこのような細胞はCVSP14ポリペプチドの活性を調節する化合物を同定するための薬剤スクリーニングアッセイに用いられる。これらのアッセイにはin vitro結合アッセイ、およびCVSP14またはその切断産物によって直接、または増殖因子前駆体の活性化を介するなど、間接的に媒介されるシグナル伝達を評価する転写に基づくアッセイが含まれる。
【0034】
本明細書ではさらに、CVSP14およびCVSP14をコードする核酸を用いる予後、診断および治療的スクリーニング法が提供される。特にこれらの予後、診断および治療的スクリーニング法は肺癌、大腸腺癌および卵巣癌などの腫瘍または癌の予防または治療、あるいは予防または治療に有用な薬剤の発見に用いられる。
【0035】
CVSP14活性を調節する化合物のスクリーニング方法も提供される。これらの化合物はそれらをCVSP14またはそのプロテアーゼドメインおよびCVSP14の基質と接触させることにより同定される。それら化合物の不在下に比べて化合物の存在下で切断された基質の量に変化があれば、その化合物がCVSP14活性を調節することを示す。このような化合物をさらなる分析のため、または組成物またはアゴニストなど、CVSP14の活性の調節を目的とした使用のために選択する。また、これらの化合物は、これらの基質とCVSP14またはその触媒活性部分と結合する細胞を接触させることによって同定することもできる。
【0036】
本明細書ではまた、CVSP14活性のモジュレーター、特に本明細書で提供されるスクリーニング方法に従って得られるモジュレーターも提供される。このようなモジュレーターは癌状態およびその他の新生物形成状態を治療する上で用途を持ち得る。
【0037】
本明細書では、医薬上許容される担体または賦形剤中にCVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインおよび/または全長もしくはその他のドメインを含有する医薬組成物が提供される。
【0038】
本明細書ではまた、CVSP14ポリペプチドおよびCVSP14のプロテアーゼドメインを一本鎖型または活性化型で含む製品も提供される。これらの製品はa)パッケージング材料、b)ポリペプチド(またはコード核酸)、特にその一本鎖プロテアーゼドメイン、およびc)その製品がCVSP14ポリペプチド活性のモジュレーターを同定するアッセイに用いるためのものであることを示すラベルを含む製品も提供される。
【0039】
本明細書では、a)一本鎖型のCVSP14ポリペプチドまたはプロテアーゼドメイン、およびb)CVSPに直接、またはリンカーを介して連結されたターゲッティングエージェント(なお、このエージェントはi)コンジュゲートのアフィニティー単離または精製、ii)コンジュゲートの表面への結合、iii)コンジュゲートの検出、またはiv)選択された組織または細胞へのターゲッティング送達を助けるものである)を含有するコンジュゲートが提供される。このコンジュゲートはさらに複数のエージェントを連結して含むこともできる。コンジュゲートは化学的コンジュゲートであってもよいし、融合タンパク質であってもよい。
【0040】
もう1つの実施形態では、ターゲッティングエージェントはタンパク質またはペプチド断片である。このタンパク質またはペプチド断片はタンパク質結合配列、核酸結合配列、脂質結合配列、多糖結合配列、または金属結合配列を含み得る。
【0041】
被験体において異常なCVSP14レベルを検出することを特徴とする疾病または疾患の診断方法も提供される。この方法はCVSP14のDNA、RNA、タンパク質または機能的活性のレベルを測定することによって行うことができる。疾病または疾患のない類似のサンプル(またはその他の適当な対照)で見られるDNA、RNA、タンパク質または機能的活性のレベルに対してCVSPのDNA、RNA、タンパク質または機能的活性のレベルが上昇または低下していれば、被験体またはその他関連のいずれか適当な対照に疾病または疾患が存在することを示す。
【0042】
本明細書では組合せも提供される。この組合せはa)CVSP14活性の阻害剤と、b)抗癌治療または抗癌剤を含み得る。CVSP阻害剤および抗癌剤は単一の医薬組成物として調剤してもよいし、あるいは各々個別の医薬組成物として調剤してもよい。CVSP14阻害剤としては、プロテアーゼドメインと特異的に結合する抗体など、CVSP14に対して作製された抗体またはそのフラグメントもしくは結合部分、CVSP14産生阻害剤、またはCVSP14膜局在化阻害剤またはCVSP14活性化阻害剤であり得る。その他のCVSP14阻害剤としては、限定されるものではないが、アンチセンス核酸またはRNAiなど、CVSP14またはその一部、特にプロテアーゼドメインの部分をコードする二本鎖RNA(dsRNA)、/異種配列がコードされるCVSP14の生物活性を不活性化するように挿入された異種ヌクレオチド配列とともにCVSP14をコードする遺伝子の少なくとも一部をコードする核酸、またはそれをコードする遺伝子が挙げられる。CVSP14をコードする遺伝子部分は典型的には異種配列に隣接していて、CVSP14をコードするゲノム遺伝子との相同組換えを促進する。
【0043】
また、有効量のCVSP14阻害剤を哺乳類に投与し、それにより腫瘍または癌が治療または予防される、哺乳類の腫瘍または癌の治療または予防方法も提供される。治療または予防に用いるCVSP14阻害剤を医薬上許容される担体または賦形剤とともに投与する。治療する哺乳類はヒトであってもよい。この治療または予防方法はCVSP14阻害剤の投与と同時、投与後または投与前に抗癌治療または薬剤の投与をさらに含み得る。
【0044】
また、CVSP14の内在性遺伝子が動物またはその原種の相同組換えまたはその他の組換え現象、あるいは挿入突然変異誘発によって欠失または不活性化された組換え非ヒト動物も提供される。本明細書では、CVSP14の遺伝子がその遺伝子の天然プロモーターではないか、あるいはその非ヒト動物における遺伝子の天然プロモーターではないプロモーターの制御下にある場合、あるいはCVSP14をコードする核酸が非ヒト動物に対して異種であり、かつ、そのプロモーターが天然または非天然プロモーターであってもよいか、またはCVSP14がプラスミドもしくは人工染色体などの染色体外エレメント上にある場合の組換え非ヒト動物が提供される。本明細書ではさらに、CVSP14をコードする遺伝子を有し、かつ、特に非天然プロモーターの制御下か、またはプラスミドもしくは人工染色体などの外的エレメント上にCVSP14をコードする不活性化遺伝子を有するトランスジェニック非ヒト動物が提供される。
【0045】
また、腫瘍細胞で発現する、または活性となるCVSP14、特に腫瘍細胞におけるその機能的活性が非腫瘍細胞におけるよりも高いCVSP14によって活性化されるプロドラッグを投与することによる腫瘍を治療する方法も提供される。このプロドラッグを投与するのであるが、投与すると活性のあるCVSP14がプロドラッグを切断し、腫瘍細胞の近傍で有効剤が放出される。この有効な抗癌薬は腫瘍近傍に集積する。これはCVSP14が他の細胞に比べて腫瘍細胞で多量に、あるいは高いレベルで、あるいは優先的に発現する、または活性となる場合に特に有用である。
【0046】
また、一本鎖もしくは二本鎖型のCVSP14ポリペプチドと結合する化合物を同定する方法であって、試験化合物と両形態とを接触させ;上記化合物がどの形態と結合するか判定し;さらにそれが一方の形態のポリペプチドと結合する場合、その化合物が以下の特性:
(i)一本鎖チモーゲン型のCVSP14の活性を阻害する;
(ii)二本鎖または一本鎖型の活性を阻害する;および
(iii)上記タンパク質の二量体形成を阻害する
のうち少なくとも1つを有するかどうかをさらに判定する
ことによる方法も提供される。これらの形態は全長であっても末端切断型であってもよく、限定されるものではないが、RI活性化部位での切断、またはプロテアーゼドメインもしくはその触媒活性部分の発現から生じたプロテアーゼドメインが含まれる。
【0047】
また、被験者において前悪性病巣、悪性症状またはその他の病態の存在を診断する方法であって、被験体から生体サンプルを得;それを二本鎖または一本鎖型のCVSP14と結合する検出可能な薬剤に曝すことにより、上記病態が二本鎖または一本鎖型の有無によって特徴付けられる方法も提供される。
【0048】
チモーゲン型のCVSP14の活性化または活性型の活性を阻害する薬剤を投与することによる、腫瘍の浸潤もしくは転移を阻害する、または悪性もしくは前悪性症状を治療する方法も提供される。これらの症状としては、限定されるものではないが、乳房、子宮頚部、前立腺、肺、卵巣または大腸の腫瘍などの症状が挙げられる。
【0049】
また、腫瘍の進行および/または治療効果をモニタリングする方法も提供される。CVSP14またはそのプロテアーゼドメインの活性化または発現レベルを評価し、そのレベルの変化が腫瘍の進行および/または治療効果を反映する。一般に腫瘍の進行とともに身体組織または体液サンプル中のCVSP14の量が増え、有効な治療法はこのレベルを引き下げる。
【0050】
発明の詳細な記載
A.定義
特に断りのない限り、本明細書で用いる全ての技術および科学用語は本発明が属する分野の業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書の開示中に挙げられている全ての特許、特許出願、公開出願および公報、Genbank配列、ウェブサイトおよびその他の資料は特に断りのない限り、出典明示によりその全内容を組み入れる。本明細書の用語に複数の定義がある場合には、本節を重視する。URLまたはその他この種の識別名もしくはアドレスが参照されている場合、この種の識別名は変更可能であり、インターネット上の特定の情報は変更があってもよいが、インターネットを検索することで同等の情報が見つけられると解釈する。これらに対する参照はそのような情報の有効性および一般流布を明示するものである。
【0051】
本明細書において保護基、アミノ酸およびその他の化合物のいずれの略号も特に断りのない限り、それらの一般的な用法、認識されている略号、またはIUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature((1972) Biochem. 11:942-944参照)に従うものである。
【0052】
本明細書においてセリンプロテアーゼとは、タンパク質またはペプチドの加水分解にセリン残基が関与する多様なプロテアーゼファミリーをさす。このセリン残基はその触媒作用にセリン、ヒスチジンおよびアスパラギン酸を含む触媒トリアッド機構の一部、またその触媒作用にセリンおよびリジンを含むヒドロキシル/ε-アミンまたはヒドロキシル/α-アミン触媒ダイアッド機構の一部であり得る。ヒトを含む哺乳類起源のSPが特に注目される。当業者ならば一般にポリペプチドの非必須領域の単一アミノ酸置換では実質的に生物活性は変化しないことが分かるであろう(例えば、Watson et al. (1987) Molecular Biology of the Gene, 4th Edition, The Bejacmin/Cummings Pub. co., p.224参照)。
【0053】
本明細書において「トランスメンブランセリンプロテアーゼ(MTSP)」とは、本明細書に記載されるような共通の構造的特徴を有しているトランスメンブランセリンプロテアーゼファミリーをさす(Hooper et al. (2001) J. Biol. Chem.276:857-860も参照)。従って、例えば「MTSP」であれば、限定されるものではないが、MTSP3、MTSP4、MTSP6、MTSP7、または他のいずれかの供給源から得られる、あるいは合成によって作製された、あるいは同じ活性を示す同等の分子をはじめとする、MTSP遺伝子ファミリーによってコードされるあらゆるタンパク質が含まれる。その他のMTSPとしては、限定されるものではないが、コリン、エンテロペプチダーゼ(enterpeptidase)、ヒト気道トリプシン様プロテアーゼ(HAT)、MTSP1、TMPRSS2、およびTMPRSS4が挙げられる。例としてのMTSPおよび/またはそのドメインのコード核酸分子の配列およびコードされるアミノ酸配列は例えば米国出願第09/776,191号(その中の配列番号1〜12、49、50および61〜72、国際PCT出願WO 01/57194として公開)に示されている。この用語はまた各メンバーの活性を実質的に変化させないアミノ酸置換を有するMTSPを包含し、また、そのスプライス変異体も包含する。必須ではないが保存的アミノ酸置換をはじめとする好適な置換は当業者に公知であり、結果として生じる分子の触媒活性などの生物活性をなくすことなく行うことができる。
【0054】
本明細書において「CVSPのプロテアーゼドメイン」とは、タンパク質分解活性を示し、かつ、キモトリプシン/トリプシンファミリープロテアーゼドメインと相同性および構造的特徴を共有するCVSPのドメインをさす。従ってそれは少なくとも標準的なin vitroアッセイによって評価されるタンパク質分解活性を示すドメインの最小部分である。当業者ならばこのようなプロテアーゼドメインが折りたたまれたトリプシンまたはキモトリプシンと構造上同等なプロテアーゼ部分であることが分かるであろう。本明細書ではこのようなプロテアーゼドメインおよびその触媒活性部分も意図される。また、一本鎖型として触媒的に作用するその最小断片を含む末端切断型のプロテアーゼドメインも提供される。
【0055】
本明細書においてCVSPの触媒活性ドメインとは、そのプロテアーゼドメインをさす。CVSPのプロテアーゼドメインという場合には、このタンパク質の一本鎖型に対する言及も含む。二本鎖型または両形態を意図する場合には、その旨明示する。チモーゲン型の各タンパク質は一本鎖であり、これは活性化切断によって活性のある二本鎖型へと変換される。
【0056】
本明細書においてCVSP14のプロテアーゼドメインとは、本明細書で言及される場合には常に、
配列番号5で示されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;
配列番号5で示されるヌクレオチド配列と低、中または高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;
配列番号6で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
配列番号6で示されるアミノ酸配列と少なくとも約60%、70%、80%、90%または約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;および/または
CVSP14のスプライス変異体のプロテアーゼドメイン
の少なくとも1つもしくは全て、またはいずれかの組合せ、またはその触媒活性部分を含む。
【0057】
CVSP14は動物、特に哺乳類由来のものであってよく、限定されるものではないが、ヒト、齧歯類、鳥類、反芻動物およびその他の動物が挙げられる。その全長チモーゲンまたは二本鎖活性型、あるいは二本鎖活性型または一本鎖型であり得る、プロテアーゼドメインをはじめとするそのいずれかのドメインも考えられる。
【0058】
活性型とはin vivoおよび/またはin vitroで活性のある形態を意味する。本明細書においてプロテアーゼドメインはまた二本鎖型としても存在し得る。本明細書では、少なくともin vitroで一本鎖型のSPおよびその触媒ドメインまたはタンパク質分解活性部分(典型的にはC末端切断型)がプロテアーゼ活性を示すことが示される。よって本発明では、単離された一本鎖型のSPプロテアーゼドメインおよびその活性を調節する薬剤の同定のためのin vitro薬剤スクリーニングアッセイにおけるそれらの使用が提供される。
【0059】
本明細書において活性化切断とは、そのプロテアーゼドメインのN末端でのプロテアーゼの切断をさす(配列番号12および13参照、この場合、R55とI56の間)。プロテアーゼドメインの外側のCys(この場合C37)とプロテアーゼドメイン内のCys(この場合Cys166)の間のCys-Cys対合により、切断時に生じるポリペプチドは二本鎖を有する(「A」鎖とプロテアーゼドメインである「B」鎖)。切断は別のプロテアーゼまたは自己触媒によって達成することもできる。
【0060】
本明細書において二本鎖型のプロテアーゼドメインとは、この場合プロテアーゼドメインと残りのポリペプチド、すなわち「A」鎖を連結するCys37とCys166の間でCys対合している二本鎖型のプロテアーゼからなる二本鎖型をさす。二本鎖プロテアーゼドメイン型とは、「残りのポリペプチド」、すなわち「A」鎖が短縮されるいずれの形態のものもさし、少なくともCys37までを含む。
【0061】
本明細書においてCVSP14とは、本明細書で言及される場合には常に、
配列番号12で示されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;
配列番号12で示されるヌクレオチド配列と低、中または高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;
配列番号13で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
配列番号6または13で示されるアミノ酸配列と少なくとも約60%、70%、80%、90%または約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;および/または
CVSP14のスプライス変異体
の少なくとも1つもしくは全て、またはそのいずれかの組合せを含む。
【0062】
このCVSP14ポリペプチドは配列番号13で示されるアミノ酸配列を含む。プロテアーゼ活性を保持するそのより短い部分も考えられる。そのプロテアーゼドメインは配列番号6で示される。CVSPのプロテアーゼドメインは表面ループにおける挿入および欠失をはじめ、大きさおよび構成が異なっている。それらは、活性部位トリアッド、主要特異性ポケット、オキシアニオンホールおよび/またはプロテアーゼのセリンプロテアーゼドメインのその他の特徴の少なくとも1つを含む保存構造を保持する。よって、本明細書の目的のためには、このプロテアーゼドメインは本明細書で定義されたCVSPの一部であり、他のCVSPのドメインと相同なものである。折りたたまれたキモトリプシン(S1)の酵素のより大きなクラスのように(例えば、インターネットでアクセスできるMEROPSデータベース参照)、CVSPプロテアーゼドメインは高度のアミノ酸配列同一性を有している。活性に必要なHis、AspおよびSer残基は保存されたモチーフに存在する。その切断がプロテアーゼドメインのN末端を二本鎖型で作り出す活性化部位は保存されたモチーフを有し、容易に確認できる。
【0063】
目的のCVSPとしては、腫瘍細胞において非腫瘍細胞とは異なるレベルで、典型的にはより高いレベルで活性化および/または発現されるもの、および腫瘍細胞と非腫瘍細胞では基質が異なる、あるいは基質、補因子またはレセプターに関して異なる、あるいはまたCVSPの活性または特異性が変化している細胞に由来するものが挙げられる。
【0064】
本明細書においてヒトタンパク質とは、それらが他の哺乳類で見られる変異体ではない限り、対立遺伝子変異体および保存変異体をはじめとする、ヒトゲノムに存在するDNAなどの核酸によってコードされるものである。
【0065】
本明細書において「SPのプロテアーゼドメインまたは触媒活性部分をコードする核酸」とは、挙げられた一本鎖プロテアーゼドメインまたはその活性部分のみをコードし、他のSPの連続部分を連続配列としてコードしない核酸をさすものと解釈すべきである。
【0066】
本明細書において触媒活性とは、セリンプロテアーゼとしてのSPの活性をさす。SPの機能とは腫瘍の発生、増殖または進行の促進またはそれらへの関与をはじめとする腫瘍生物学におけるその機能、およびシグナル伝達における役割もさす。触媒活性とは選択された基質のタンパク質分解作用を検出するin vitroタンパク質分解アッセイで評価されるような、プロテアーゼとしてのSPの活性をさす。
【0067】
本明細書においてチモーゲンとは、タンパク質分解酵素の不活性な前駆体である。このような前駆体は活性型よりも必ずしも大きくはないが、一般に大きい。セリンプロテアーゼに関して、チモーゲンは触媒および自己触媒切断、または活性のある成熟酵素を生じる活性化補因子の結合をはじめ、特異的な切断によって活性のある酵素に変換される。従ってチモーゲンはアクチベーターの作用によってタンパク質分解酵素へと変換される酵素的に不活性なタンパク質である。
【0068】
本明細書において「疾病または疾患」とは、例えば感染または遺伝子欠陥によって起こり、同定可能な症状を特徴とする生物の病態をさす。
【0069】
本明細書において新生物(新生物形成)とは、異常な新生増殖をさし、従って良性であれ悪性であれ、腫瘍と同じものを意味する。過形成とは異なり、新生物増殖は最初の刺激が亡くなっても持続する。
【0070】
本明細書において新生物形成疾患とは、腫瘍の発達、増殖、転移および進行を含む癌に関するいずれかの疾患をさす。
【0071】
本明細書において癌とは、いずれかの種の悪性腫瘍によって引き起こされる疾病の一般用語をさす。
【0072】
本明細書において腫瘍に対して用いる悪性とは、増殖制御および位置制御の欠如を伴う転移能を有する一次腫瘍をさす。
【0073】
本明細書において抗癌剤(「抗腫瘍または抗新生物剤」と互換的に用いられる)とは、抗癌治療で用いるいずれかの薬剤をさす。これらには単独で用いる、または他の化合物と併用する、新生物形成疾患、腫瘍および癌に関連する臨床徴候または診断マーカーを緩和、軽減、改善、予防または緩解状態にする、もしくは緩解状態で維持し得るいずれの薬剤も含み、本明細書で提供される方法、組合せおよび組成物で用いることができる。限定されるものではないが、抗新生物剤の例としては抗血管形成剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、ある種の天然産物、白金配位錯体、アントラセンジオン類、代替尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、ある種のホルモン、アンタゴニストおよび抗癌性多糖類が挙げられる。
【0074】
本明細書においてスプライス変異体とは、1を超える種のmRNAが生じるDNAなどのゲノム核酸の一次転写物の異なるプロセシングによって作り出された変異体をさす。本明細書ではSPのスプライス変異体が提供される。
【0075】
本明細書において血管形成とは、限定されるものではないが、腫瘍に伴う血管新生をはじめ、新しい血管の確立および維持(血管新生)に直接または間接的に関与するプロセス全体を広く含むものとする。
【0076】
本明細書において抗血管形成治療または抗血管形成剤とは、単独で用いる、または他の治療もしくは化合物と併用する、望ましくない、かつ/または制御できない血管形成に関連する臨床徴候または診断マーカーを緩和、軽減、改善、予防または緩解状態にする、もしくは緩解状態で維持し得るいずれの治療法および化合物もさす。よって、本明細書の目的では、抗血管形成剤は血管の確立または維持を阻害する薬剤をさす。 このような薬剤としては、限定されるものではないが、抗腫瘍剤、および糖尿病性網膜症、再狭窄、過増殖性疾患その他のような望ましくない血管形成を伴う他の疾患を治療するための薬剤が挙げられる。
【0077】
本明細書において非抗血管原性抗腫瘍剤とは、主として血管形成を阻害することによって働くのではない抗腫瘍剤をさす。
【0078】
本明細書においてプロ血管形成剤とはプロ血管原性剤とは、血管の確立または維持を促進する薬剤である。このような薬剤としては、心臓発作および卒中をはじめとする心血管疾患を治療するための薬剤が挙げられる。
【0079】
本明細書において望ましくない、かつ/または制御できない血管形成とは、血管形成刺激剤の影響が血管形成阻害剤の影響より大きい病的血管形成をさす。本明細書において不全型血管形成とは、正常な血管形成に欠陥があって異常な血管形成を生じたり、血管形成がなされなかったり、血管形成が実質的に低下したりするような疾患に関連した病的血管形成をさす。
【0080】
本明細書においてSPタンパク質のプロテアーゼドメインとは、タンパク質分解活性を示すSPのプロテアーゼドメインをさす。よって、それは標準的なin vitroアッセイによって評価した場合にタンパク質分解活性を示すタンパク質の少なくとも最小部分である。本明細書ではそれは一本鎖型および二本鎖活性型もさす(二本鎖型を意図する場合はその旨記載するものとする)。プロテアーゼドメインの例としては配列番号6で示されるアミノ酸配列(配列番号5のヌクレオチドによってコードされる)の、プロテアーゼ活性を示すに少なくとも十分な部分が挙げられる。
【0081】
また、in vitroタンパク質分解アッセイにおいてタンパク質分解活性を有し、かつ、CVSP14ポリペプチドの全長プロテアーゼドメインと少なくとも60%、70%、80%、90%または約95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするか、または特に中、通常は高ストリンジェンシー条件下で、プロテアーゼドメインをコードする核酸とその全長にわたって、またはその全長の少なくとも約70%、80%または90%にわたってハイブリダイズする核酸分子も考えられる。
【0082】
これらのプロテアーゼドメインに関しては、N末端残基が活性にとって重要であり得る。本明細書ではCVSP14プロテアーゼの一本鎖型プロテアーゼドメインは触媒活性があることが示される。このプロテアーゼドメインは一般に活性のためにそのN末端アミノ酸を必要とするので、C末端は切断することができる。除去可能な量はそのポリペプチドを、触媒的切断を評価するin vitroアッセイでプロテアーゼ活性に関して調べることで実験的に判定することができる。
【0083】
よって、プロテアーゼ活性を保持するそのプロテアーゼドメイン、特に一本鎖ドメインのさらに短い部分も考えられる。このようなより短い形態は一般にこのプロテアーゼドメインのC末端切断型である。これらのプロテアーゼドメインは表面ループにおける挿入および欠失をはじめ、大きさおよび組成が異なっている。このようなドメインは活性部位トリアッド、主要特異性ポケット、オキシアニオンホールおよび/またはプロテアーゼのセリンプロテアーゼドメインのその他の特徴など、少なくとも1つの構造的特徴を含む保存構造を示す。このように本明細書の目的では、このプロテアーゼドメインは本明細書に定義されたようにCVSP14の一本鎖部分であるが、キモトリプシンまたはトリプシンのプロテアーゼドメインと類似または相同な構造的特徴および配列の保持という点で相同である。このポリペプチドは一本鎖としてタンパク質分解活性を示す。
【0084】
本明細書において相同(homologous)とは、約25%より大きい、例えば25%、40%、60%、70%、80%、90%または95%などの核酸配列同一性を意味する。必要に応じて相同性%を明示する。「相同性」および「同一性」は互換的に用いられる場合が多い。一般に配列は最大の一致が得られるようにアラインメントする(例えば、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; and Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991; Carillo et al. (1988) SIAM J Applied Math 48:1073参照)。配列同一性により、標準的なアライメントアルゴリズムプログラムで保存されているアミノ酸の数を求め、各提供者が確立したデフォルトギャップペナルティーとともに用いる。実質的に相同な核酸分子は典型的には中ストリンジェンシーまたは高ストリンジェンシーにて核酸の全長にわたって、あるいは着目する全長核酸分子の少なくとも約70%、80%または90%にわたってハイブリダイズする。また、ハイブリダイズする核酸分子のコドンの代わりに縮重コドンを含む核酸分子も考えられる。
【0085】
任意の2つの核酸分子が少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%「同一」であるヌクレオチド配列を有するかどうかは、例えばPearson et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444におけるようなデフォルトパラメーターを用いる「FAST A」プログラムなどの公知のコンピューターアルゴリズムを用いて判定することができる(他のプログラムとしてはGCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al., Nucleic Acids Research 12(I):387 (1984))、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul, S.F., et al., J Molec Biol 215:403 (1990); Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, ed., Academic Press, San Diego, 1994, and Carillo et al. (1988) SIAM J Applied Math 48:1073が挙げられる)。例えば、同一性の判定にはNational Center for Biotechnology Information databaseのBLAST関数が使用できる。その他商業的または公的に利用できるプログラムとしては、DNAStar "MegAlign"プログラム(Madison, WI)およびthe University of Wisconsin Genetics Computer Group (UWG) "Gap"プログラム(Madison WI))がある。タンパク質および/または核酸分子の相同性または同一性%は例えばGAPコンピュータープログラム(例えば、Smith and Waterman ((1981) Adv. Appl. Math. 2:482)によって改訂されたNeedleman et al. (1970) J. Mol. Biol. 48:443)を用いて配列情報を比較することで求めることができる。要するにこのGAPプログラムでは、類似性をアライニングされた記号(すなわちヌクレオチドまたは核酸)の同じものの数を2配列の短い方の記号の総数で割ったものと定義する。GAPプログラムのデフォルトパラメーターとしては、(1)単項比較マトリックス(同一である場合には1、同一でない場合には0の値を含む)およびSchwartz and Dayhoff, eds., ATLAS OF PROTEIN SEQUENCE AND STRUCTURE, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358 (1979)に記載のGribskov et al. (1986) Nucl. Acids Res. 14:6745のウエイト比較マトリックス、(2)各ギャップに対しペナルティー3.0、各ギャップにおける各記号にさらにペナルティー0.10、および(3)末端ギャップにはペナルティーなしの条件を含み得る。よって本明細書において「同一性」とは、試験ポリペプチドまたはポリヌクレオチドと参照ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの間の比較を表す。
【0086】
本明細書において少なくとも「90%同一」とは、参照ポリペプチドに対して90〜99.99までの同一性%をさす。90%を超えるレベルの同一性とは、例にとれば100アミノ酸長の試験および参照ポリヌクレオチドが比較されるということを示している。試験ポリペプチド中のせいぜい10%(すなわち100のうち10)のアミノ酸が参照ポリペプチドとは異なる。類似性の比較は試験および参照ポリヌクレオチドの間で行うこともできる。このような違いはアミノ酸配列の全長にわたってランダムに分布した点突然変異として現れる場合もあるし、最大許容値、例えば10/100アミノ酸の差(約90%の同一性)までの様々な長さの1を超える位置にクラスターをなしている場合もある。このような違いは核酸またはアミノ酸置換または欠失として定義される。約85〜90%を超える相同性または同一性レベルでは、結果はプログラムおよびギャップパラメーターセットには依存しないものとなるはずであり、このような高いレベルの同一性は多くの場合ソフトウエアにたよるまでもなく容易に評価することができる。
【0087】
本明細書においてプライマーとは、プライマー伸張産物の合成が開始され得る、2以上、典型的には3を超えるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドをさす。合成を行い得る実験条件としては、ヌクレオシド三リン酸、ならびにDNAポリメラーゼなどの重合および伸張のための作用因子、好適なバッファー、温度およびpHの存在が挙げられる。
【0088】
本明細書において動物とは、限定されるものではないが、ヤギ、ウシ、シカ、ヒツジ、齧歯類、ブタおよびヒトなどのいずれかの動物である。非ヒト動物とは意図する動物としてヒトを除くものである。本明細書で提供されるSPは動物、植物、原核生物および真菌類などいずれの起源をとするものであってもよい。ほとんどのCVSP14は哺乳類起源など動物起源のものである。
【0089】
本明細書において遺伝子療法とはこのような治療を求める疾患または症状を有する哺乳類、特にヒトの特定の細胞、すなわち標的細胞に異種核酸(DNAなど)を導入することを含む。DNAなどの核酸は、異種核酸(DNAなど)が発現し、それによってコードされている治療産物が産生されるように、選択された標的細胞へ導入する。あるいはまた、この異種核酸(DNAなど)は何らかの方法で、治療産物をコードするDNAの発現を媒介することができ、あるいはこれは何らかの方法で治療産物の発現を直接または間接的に媒介するペプチドまたはRNAなどの産物をコードすることもできる。遺伝子療法はまた、欠陥遺伝子を代替するまたはそれが導入されている哺乳類または細胞によって産生される遺伝子産物を補足する遺伝子産物をコードする核酸を送達するために使用することもできる。導入された核酸は、哺乳類宿主では本来産生されない、あるいは治療上有効な量または治療上有用な時点で産生されないその増殖因子阻害剤などの治療化合物、またはそのレセプターなどのその腫瘍壊死因子もしくは阻害剤をコードすることができる。治療産物をコードする異種核酸(DNAなど)は、その産生またはその発現を増強する、あるいはまた変化させるために罹患宿主の細胞へ導入する前に改変することができる。遺伝子療法はまた、遺伝子発現の阻害剤またはレプレッサーまたはその他のモジュレーター送達も含み得る。
【0090】
本明細書において異種(heterologous)核酸とは、in vivoではそれが発現される細胞によっては本来産生されない、あるいは転写、翻訳またはその他の調節可能な生化学的プロセスを変化させることにより内在性核酸(DNAなど)の発現を変化させるメディエーターを媒介またはコードする核酸(DNAがRNAをコードする場合)およびタンパク質である。異種核酸(DNAなど)はまた、外来核酸(DNAなど)と呼ぶこともできる。当業者ならば発現する細胞に対して異種または外来と認識する、またはみなすであろうDNAなどの核酸はいずれも本明細書においては異種核酸に含まれ、異種核酸には外から加えたものであるが、内生的にも発現する核酸も含まれる。異種核酸の例としては、限定されるものではないが、薬剤耐性を付与するタンパク質などの追跡可能なマーカータンパク質をコードする核酸、抗癌剤、酵素およびホルモンなど治療上有効な物質をコードする核酸、および抗体などその他のタイプのタンパク質をコードするDNAなどの核酸が挙げられる。異種核酸によってコードされる抗体はその異種核酸が導入された細胞の表面に分泌または発現させることができる。異種核酸は一般にそれが導入された細胞にとっては内在的なものではなく、別の細胞から得られたものであるか、合成によって作製されたものである。必ずしもそうではないが一般に、このような核酸はそれが発現する細胞によっては本来産生されないRNAおよびタンパク質をコードする。
【0091】
よって本明細書では、異種核酸または外来核酸はゲノム中で見られるDNAなどの対応する核酸分子のような正確な配向または位置で存在しない核酸分子を含む。それはまた別の生物または種に由来する(すなわち、外的)核酸分子もさす。
【0092】
本明細書において治療上有効な産物とは、核酸を宿主に導入した際に遺伝性または後天性疾患の徴候、発現を緩和または排除する、あるいはその疾患を治癒する産物が発現する異種核酸、典型的にはDNAによってコードされる産物である。
【0093】
本明細書においてポリペプチドが本質的にプロテアーゼドメインからなると言う場合、ポリペプチドのSP部分だけがプロテアーゼドメインまたはその触媒活性部分であることを意味する。このペプチドは所望により、また通常は付加的な非SP由来アミノ酸配列を含む。
【0094】
本明細書において癌または腫瘍治療または薬剤とは、単独で用いる、または他の治療もしくは化合物と併用する場合に、不全型血管形成に関連する臨床徴候または診断マーカーを緩和、軽減、改善、予防または緩解状態にする、もしくは緩解状態で維持し得るいずれの治療法および/または化合物もさす。
【0095】
本明細書においてドメインとは、その分子の他の部分とは構造上および/または機能上異なる分子部分、例えばタンパク質またはコード核酸をさす。
【0096】
本明細書においてプロテアーゼとは、タンパク質またはペプチドの加水分解を触媒する酵素をさす。これにはそのチモーゲン型および活性型も含まれる。明瞭にするため、プロテアーゼという場合には全ての形態をさし、特定の形態の場合は明示する。本明細書の目的では、このプロテアーゼドメインはSPタンパク質の一本鎖および二本鎖型のプロテアーゼドメインを含む。CVSP14についても、プロテアーゼドメインは二本鎖型のプロテアーゼドメインを含む。
【0097】
本明細書において核酸とは、DNA、RNA、ならびにタンパク質核酸(PNA)およびその混合物をはじめとするその類似体を含む。核酸は一本鎖または二本鎖であり得る。プローブまたはプライマーについては所望により蛍光または放射性標識などの検出可能標識で標識した一本鎖分子が考えられる。このような分子はライブラリーのプロービングまたはプライミングのためには、典型的にはそれらの標的が統計学的に独特なものであるか、または低コピー数(典型的には5未満、一般には3未満)となるような長さのものである。一般にプローブまたはプライマーは着目する遺伝子と相補的または同一の少なくとも14、16または30個の連続する配列を含む。プローブおよびプライマーは10、20、30、50、100またはそれ以上の核酸長であってもよい。
【0098】
本明細書においてSPの断片または一部をコードする核酸とは、示されたSPの断片または一部だけをコードし、SPの他の連続する部分はコードしない核酸をさす。
【0099】
本明細書において、プロモーター、エンハンサー、転写および翻訳停止部位ならびにその他のシグナル配列などの調節およびエフェクターヌクレオチド配列に対する異種核酸の作動可能な連結とは、DNAなどかかる核酸とかかるヌクレオチド配列の間の関係をさす。例えばプロモーターに対する異種DNAの作動可能な連結とは、そのDNAとそのプロモーターとの間の、かかるDNAの転写がリーディングフレーム内のDNAを特異的に認識し、結合して転写するRNAポリメラーゼによってそのプロモーターから開始されるような物理的関係をさす。従って作動可能な連結または作動的結合とは、DNAなどの核酸と、プロモーター、エンハンサー、転写および翻訳停止部位ならびにその他のシグナル配列などの調節およびエフェクターヌクレオチド配列との機能的関係をさす。例えば、プロモーターに対するDNAの作動可能な連結とは、そのDNAとプロモーターの間の、かかるDNAの転写がそのDNAを特異的に認識し、結合して転写するRNAポリメラーゼによってそのプロモーターから開始されるような物理的および機能的関係をさす。発現および/またはin vitro転写を最適化するには、クローンの5'非翻訳部分を除去、付加または変化させて、不適切となり得る余分な択一的翻訳開始コドン、または転写もしくは翻訳いずれかのレベルで発現を妨害し得るまたは低下させ得るその他の配列を除去する必要があり得る。あるいは、共通リボソーム結合部位(例えば、Kozak J. Biol. Chem. 266:19867-19870 (1991)参照)を開始コドンのすぐ5'側に挿入し、発現を増強することができる。このような改変の妥当性は(または必要性)は経験的決定することができる。
【0100】
本明細書においてアンチセンスオリゴヌクレオチドに関して少なくともRNAの一部に相補的な配列とは、そのRNAは一般には中または高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズして安定な二重らせんを形成し得るに十分な相補性を有する配列を意味し、従って、二本鎖SPアンチセンス核酸の場合には二重らせんDNA(またはdsRNA)の片方の鎖を試験するか、あるいは三重らせんの形成をアッセイすることができる。ハイブリダイズ能はアンチセンス核酸の相補性の程度および長さによって異なる。一般に、ハイブリダイズする核酸が長いほどそれが含み得るSPコードRNAとミスマッチする塩基が多くなるが、なお、安定した二重らせん(または場合によっては三重らせん)を形成する。当業者ならばミスマッチの許容度をハイブリダイズした複合体の融点を求める標準的な手法を用いることで確認することができる。
【0101】
本明細書の目的では、生じるタンパク質がプロテアーゼ活性を示す限り、SPおよびそのプロテアーゼドメインのいずれでアミノ酸置換を行ってもよい。ミューテイン(mutein)は保存的アミノ酸置換また非保存的アミノ酸置換を行うことで作出することができる。例えば、タンパク質の特性に望ましい変化をもたらすアミノ酸置換を行うことができる。ある実施形態では、ポリペプチドの分解を妨げる突然変異を作出することができる。多くのプロテアーゼはRおよびKなどの塩基性残基の後で切断するが、このような切断をなくすために、この塩基性残基を非塩基性残基に置き換える。阻害剤とプロテアーゼの相互作用部位で非保存的変化を生じさせることで、触媒活性を保持しつつプロテアーゼと阻害剤の相互作用を遮断することができる。触媒活性を変化させずにレセプター結合を変化させることができる。
【0102】
考えられるアミノ酸置換としては、表1に示されるものなどの保存的置換が挙げられ、これらはタンパク質分解活性をなくさない。本明細書に記載されるように、切断部位およびその他のこの種の部位の除去など、タンパク質の特性を変化させる置換も考えられるが、このような置換は一般に非保存的であり、当業者ならば容易に行うことができる。
【0103】
アミノ酸の好適な保存的置換は当業者に公知であり、一般に生じる分子の生物活性、例えば酵素活性を変化させずに行うことができる。当業者ならば、一般にポリペプチドの非必須領域における単一アミノ酸置換は生物活性を実質的に変化させないことを認識している(例えば、Watson et al. Molecular Biology of the Gene, 4th Edition, 1987, The Bejacmin/Cummings Pub. co., p.224参照)。また、SP、特に一本鎖プロテアーゼ部分の触媒活性断片も本定義内に含まれる。保存的アミノ酸置換は例えば下記表1で示されるものに従って行う。
【表1】
他の置換も可能であり、経験的に、あるいは既知の保存的置換に従って判断することができる。
【0104】
本明細書において、Abuは2-アミノ酪酸であり、Ornはオルニチンである。
【0105】
本明細書においてアミノ酸は、本明細書で見られる種々のアミノ酸配列で存在するが、周知の三文字または一文字略号に従って識別される。ヌクレオチドは種々のDNA断片で存在するが、当技術分野で通常用いられている標準的な一文字表記で表される。
【0106】
本明細書において、本明細書で開示されるヌクレオチド配列に基づくプローブまたはプライマーは配列番号5の少なくとも10、14、典型的には16個の連続するヌクレオチド配列を含み、プローブは配列番号5の少なくとも30、50または100個の連続するヌクレオチド配列を含む。特異的ハイブリダイゼーション用のプローブまたはプライマーの長さは着目するゲノムの複雑性の関数となる。
【0107】
本明細書において特定の医薬組成物の投与による特定の疾患の徴候の改善とは、恒久的なものであれ一時的なものであれ、持続的なものであれ一過性のものであれ、組成物の投与に帰すことができる、または組成物の投与に関連する何らかの軽減をさす。
【0108】
本明細書においてアンチセンスポリヌクレオチドとは、mRNAまたは二本鎖DNAのセンス鎖に相補的な合成ヌクレオチド塩基配列をさす。適当な条件下でセンスおよびアンチセンスポリヌクレオチドを混合すると、その2分子は結合またはハイブリダイズする。これらのポリヌクレオチドがmRNAと結合(ハイブリダイズ)すると、タンパク質合成(翻訳)の阻害が起こる。これらのポリヌクレオチドが二本鎖DNAと結合すると、RNA合成(転写)の阻害が起こる。このようにして起こる翻訳および/または転写の阻害はセンス鎖によってコードされるタンパク質の合成の阻害をもたらす。アンチセンス核酸分子は典型的には標的核酸と特異的に結合するに十分な数のヌクレオチド、一般に少なくとも5個の連続するヌクレオチド、多くの場合では少なくとも14または16または30個の連続するヌクレオチドまたは着目する遺伝子をコードする核酸分子のコード部分、例えばSPの一本鎖プロテアーゼドメインをコードする核酸に相補的な改変ヌクレオチドを含む。
【0109】
本明細書においてアレイとは、3以上のメンバーを含む抗体などのエレメントの集合体である。アドレサブルアレイとは、アレイのメンバーが典型的には固相支持体上の位置によって識別できるものである。よって、一般にアレイのメンバーは固相表面の個別に識別できる位置に固定される。
【0110】
本明細書において抗体とは、天然のものであれ、部分的もしくは完全に合成により製造されたものであれ、免疫グロブリンをさし、その抗体の特異的結合能を保持するその誘導体も含む。よって、抗体には免疫グロブリン結合ドメインに相同または実質的に相同な結合ドメインを有するいずれのタンパク質もが含まれる。抗体にはIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEをはじめとするクレームの免疫グロブリンのメンバーが含まれる。
【0111】
本明細書において抗体フラグメントとは、全長抗体の特異的結合能の少なくとも一部を保持する全長に満たない抗体のいずれかの誘導体をさす。抗体フラグメントの例としては、限定されるものではないが、Fab、Fab'、F(ab)2、一本鎖Fvs (scFV)、FV、dsFVジアボディーおよびFdフラグメントが挙げられる。フラグメントはジスルフィド結合によるなどして連結された複数の鎖を含む得る。抗体フラグメントは一般に少なくとも約50のアミノ酸、典型的には少なくとも200のアミノ酸を含む。
【0112】
本明細書においてFv抗体フラグメントは非共有結合的相互作用によって連結された1つの可変重鎖ドメイン(VH)と1つの可変軽鎖ドメインからなる。
【0113】
本明細書においてdsFVとは、VH-VL対を安定化させる操作された分子内ジスルフィド結合を有するFvをさす。
【0114】
本明細書においてF(ab)2フラグメントは、免疫グロブリンをペプシンでpH4.0〜4.5にて消化することで得られる抗体フラグメントであり、組換え生産により同等のフラグメントを得ることができる。
【0115】
本明細書においてFabフラグメントは、 免疫グロブリンをパパインで消化することで得られる抗体フラグメントであり、組換え生産により同等のフラグメントを得ることができる。
【0116】
本明細書においてscFVsとはいずれの順序であってもよいがポリペプチドリンカーによって共有結合された可変軽鎖(VL)と可変重鎖(VH)を含む抗体フラグメントをさす。このリンカーは2つの可変ドメインが実質的に干渉することなく架橋されるような長さのものである。含まれるリンカーとしては溶解度を高めるためにいくつかのGluまたはLys残基が全体に分散した(Gly-Ser)n基がある。
【0117】
本明細書においてヒト化抗体とは、ヒトへの投与が免疫応答を引き起こさないようにヒトアミノ酸配列を含むように改変された抗体をさす。このような抗体の作製方法は公知である。例えば、モノクローナル抗体を発現するハイブリドーマを、不変領域のアミノ酸組成がヒト抗体に基づく抗体を発現するよう、組換えDNA技術によって改変する。このような領域を同定するためのコンピュータープログラムが設計されている。
【0118】
本明細書において二重特異性抗体(diabody)は二量体scFVであり、二重特異性抗体は典型的にはscFvsよりも短いペプチドリンカーを有し、通常二量体を形成する。
【0119】
本明細書において、組換えDNA法を用いることによる組換え手段による産生とは、クローニングされたDNAによってコードされるタンパク質を発現させるための分子生物学の周知の方法の使用を意味する。
【0120】
本明細書において評価とは、サンプル中に存在するSPまたはそのドメインの活性の絶対値を得る、また、その活性のレベルの指数、比率、パーセンテージ、視覚その他指標となる値を得るという意味において定量および定性的判定を含むものとする。評価は直接的なものでも間接的なものであってもよく、実際に検出される化学種は、もちろん、それ自体タンパク質分解産物である必要はなく、例えばその誘導体または何らかのさらなる物質であってもよい。
【0121】
本明細書において生物活性とは、化合物のin vivo活性、または化合物、組成物またはその他の混合物のin vivo投与時に生じる生理学的応答をさす。よって、生物活性にはこのような化合物、組成物および混合物の治療作用および医薬活性が含まれる。生物活性はこのような活性の試験または使用のために設計されたin vitro系でも観測できる。よって、本明細書の目的では、ルシフェラーゼの生物活性は基質の酸化時に蛍光が生じるそのオキシゲナーゼ活性である。
【0122】
本明細書において機能的活性とは、全長(完全な)タンパク質に伴う1以上の活性を示すポリペプチドまたはその一部をさす。機能的活性とは、限定されるものではないが、生物活性、触媒または酵素活性、抗原性(ポリペプチドと結合する、または抗ポリペプチド抗体との結合に関してポリペプチドと競合する能力)、免疫原性、多量体形成能、ポリペプチドのレセプターまたはリガンドと特異的に結合する能力が挙げられる。
【0123】
本明細書においてコンジュゲートとは、CVSP14、特にその一本鎖プロテアーゼドメインおよび1以上のターゲッティングエージェントをはじめ、1以上のSPを含む本明細書で提供される化合物をさす。これらのコンジュゲートとしては、組換え手段により融合タンパク質として産生されるもの、例えばメルカプト基とのカップリングのような化学カップリングによるなど、化学的手段によって産生されるもの、および少なくとも1つのSPまたはそのドメインが直接またはリンカーを介して間接的にターゲッティングエージェントに連結されるその他のいずれかの方法によって産生されるものが挙げられる。
【0124】
本明細書においてターゲッティングエージェントとは、そのコンジュゲートと、コンジュゲートまたはそのSP部分をインターナライズし得る細胞表面レセプターとの特異的結合を提供するタンパク質またはその有効部分のような任意の一部分である。ターゲッティングエージェントはまた、例えばコンジュゲートのアフィニティー単離または精製、コンジュゲートの表面への結合、あるいはコンジュゲートまたはコンジュゲートを含有する複合体の検出を促進または助長するものであってもよい。
【0125】
本明細書において抗体コンジュゲートとは、ターゲッティングエージェントが抗体であるコンジュゲートをさす。
【0126】
本明細書において、ある分子の誘導体または類似体とは、その分子に由来する部分またはその分子の改変型をさす。
【0127】
本明細書において特定の疾病を治療する化合物の有効量とは、その疾病に伴う症状を改善する、または何らかの方法で軽減するのに十分な量である。このような量は単位投与量として投与してもよいし、それが効果的なものとなる投与計画に従って投与してもよい。この量は疾病を治癒し得るものであるが、疾病の症状を改善するために投与するのが典型である。望ましい症状の改善を達するためには反復投与が必要な場合もある。
【0128】
本明細書において2つの核酸配列についていう場合の同等とは、着目するその2つの配列が同じアミノ酸配列または同等のタンパク質をコードすることを意味する。2つのタンパク質またはペプチドに関して同等という場合には、その2つのタンパク質またはペプチドが、そのタンパク質またはペプチドの活性または機能を実質的に変化させないアミノ酸置換(限定されるものではないが、上記表1に示されるもののような保存的変異など)のみを有する実質的に同じアミノ酸配列を有することを意味する。同等が特性をさす場合、この特性は同じ程度で存在する必要はない(例えば、2つのペプチドは同種の酵素活性を異なる割合で示してもよい)が、これらの活性は実質的に同じであるのが通常である。2つのヌクレオチド配列に関していう相補的とは、その2つのヌクレオチド配列が対応するヌクレオチド間で典型的には25%未満、15%、5%または0%のミスマッチだけでハイブリダイズし得ることを意味する。必要に応じ相補性のパーセンテージは明示する。この2つの分子は高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするように選択するのが典型的である。
【0129】
本明細書において、タンパク質の活性または遺伝子もしくは核酸の発現を調節する薬剤はタンパク質の活性を低下または上昇あるいはまた変化させるか、何らかの方法で細胞内での核酸の発現をアップレギュレーションするか、ダウンレギュレーションするか、あるいはまた変化させる。
【0130】
本明細書においてSPの活性阻害剤には、in vitroスクリーニングアッセイにおいて、SPの生産、翻訳後修飾、成熟または膜局在化を妨げるまたは低下させるいずれかの物質、あるいはその特に一本鎖型のタンパク質分解能を妨げるまたは低下させるいずれかの物質が含まれる。
【0131】
本明細書において新生物形成疾患を治療または予防する方法とは、腫瘍、その転移、腫瘍の血管形成またはその疾病を特徴付けるその他のパラメーターなどの症状のいずれかが軽減される、改善される、予防される、緩解状態とされるまたは緩解状態に維持されることを意味する。それはまた新生物形成疾患および転移の特徴が治療によって排除、軽減または予防されることも意味する。限定されるものではないが、この特徴の例としては制御できない基底膜および近傍の細胞外マトリックスの崩壊、内皮細胞の移動、分裂および新しい機能性毛細管への組織化、およびこのような機能性毛細管の持続が挙げられる。
【0132】
本明細書においてこれらコンジュゲートの医薬上許容される塩、エステルまたはその他の誘導体としては、このような誘導体化のための公知の方法を用いて当業者が容易に製造することができ、かつ、実質的な毒性作用なく動物またはヒトに投与できる化合物を形成するいずれかの塩、エステル、または誘導体を含み、これらは医薬上有効であってもプロドラッグであってもよい。
【0133】
本明細書においてプロドラッグとは、in vivo投与した際に生物学上、医薬上または治療上有効な形態の化合物へと代謝あるいは変換される化合物である。プロドラッグを製造するには、医薬上有効な化合物を、その有効化合物が代謝プロセスによって再生されるように改変する。このプロドラッグは代謝安定性または薬物の輸送の特徴を変化させるよう、副作用または毒性をマスキングするよう、薬物の香味を改良するよう、あるいは薬物のその他の特徴または特性を変化させるよう設計することができる。in vivoにおける薬物動態プロセスおよび薬物代謝に関する知見によって、当業者ならば医薬上有効な化合物が分かれば、その化合物のプロドラッグを設計することができる(例えば、Nogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388-392参照)。
【0134】
本明細書において、本明細書で提供されるスクリーニング方法によって同定される薬物とは、治療薬として、または治療薬の設計のためのリード化合物として用いる候補となるいずれかの化合物をさす。このような化合物は有機小分子、ペプチド、ペプチドミメティクス、アンチセンス分子またはRNAiなどのdsRNA、抗体、抗体フラグメント、組換え抗体およびその他薬物候補またはリード化合物として役立ち得る化合物をはじめとする小分子であり得る。
【0135】
本明細書においてペプチドミメティックとは、生物活性型の特定のポリペプチドのコンホメーションおよび特定の立体化学的特徴を模倣する化合物である。一般にペプチドミメティクスは化合物のある望ましい特性を模すが、生物活性のあるコンホメーションの欠如や結合の崩壊を招くフレキシビリティーなどの望ましくない特性は模さないように設計する。ペプチドミメティクスは生物活性化合物から、望ましくない特性に寄与する特定の基または結合を生物学的等価体に置き換えることにより作製することができる。生物学的等価体は当業者に公知のものである。例えばエンケフェリン類似体ではメチレンバイオアイソスターCH2Sがアミド置換体として用いられている(例えば、Spatola (1983) pp. 267-357 in Chemistry and BIochemistry of Amino Acids, Peptides, and Proteins, Weistein, Ed. volume 7, Marcel Dekker, New York参照)。経口投与可能なモルヒネはエンドルフィンペプチドのペプチドミメティックである化合物である。本明細書の目的では、環状ペプチドもペプチドミメティクスに含まれる。
【0136】
本明細書においてプロモーター領域またはプロモーターエレメントとは、それが作動可能なように連結されているDNAまたはRNAの転写を制御するDNAまたはRNAセグメントをさす。プロモーター領域はRNAポリメラーゼの認識、結合および転写開始に十分な特定の配列を含む。このプロモーター領域の部分はプロモーターと呼ばれる。また、プロモーター領域はこのRNAポリメラーゼの認識、結合および転写開始活性を調節する配列を含む。これらの配列はシス作用するものであってもよいし、トランス作用因子に応答するものであってもよい。プロモーターはその調節の性質に応じて構成型のものでも調節型のものでもよい。原核生物で用いるのに考えられるプロモーターの例としてはバクテリオファージT7およびT3プロモーターが挙げられる。
【0137】
本明細書においてレセプターとは、所定のリガンドに親和性を有する分子をさす。レセプターはレセプターは天然に存在する分子であっても合成分子であってもよい。レセプターはまた当技術分野では抗リガンドとも呼ばれる。本明細書においてレセプターおよび抗リガンドは互換的である。レセプターはそのままの状態で用いてもよいし、他種との集合体として用いてもよい。レセプターは結合メンバーと直接または特定の結合物質もしくはリンカーを介して間接的に共有結合または非共有結合または物理的接触によって結合し得る。レセプターの例としては、限定されるものではないが、抗体、細胞膜レセプター、表面レセプターおよびインターナライジングレセプター、特定の抗原決定基(ウイルス、細胞またはその他の物質上にあるものなど)、薬物、ポリヌクレオチド、核酸、ペプチド、補因子、レクチン、糖類、多糖類、細胞、細胞膜およびオルガネラと反応性のあるモノクローナル抗体および抗血清が挙げられる。
【0138】
レセプターおよびこのようなレセプターを用いる適用の例としては、限定されるものではないが以下のものが挙げられる。
a) 酵素: 抗生物質[リガンド]選択の標的として役立つ、微生物の生存に必須の特定の輸送タンパク質または酵素;
b) 抗体: 着目する抗原のエピトープと結びつく抗体分子上のリガンド結合部位の同定が検討でき、抗原エピトープを模倣する配列の決定が、その免疫原がこのような配列の1以上に基づくワクチンの開発、あるいは自己免疫疾患などに対する治療処置に有用な関連の診断剤または化合物の開発につながり得る;
c) 核酸: タンパク質またはRNAなどのリガンド結合部位の同定;
d) 触媒ポリペプチド: 1以上の反応体の1以上の生成物への変換を含む化学反応を促進し得る、ポリペプチドを含む高分子;このようなポリペプチドは一般に少なくとも1つの反応体または反応中間体に特異的な結合部位およびその結合部位に近接した活性官能基を含み、なおこの官能基は結合した反応体を化学的に修飾し得る(例えば、米国特許第5,215,899号参照);
e) ホルモンレセプター: レセプターと高い親和性で結合するリガンドの同定はホルモン置換療法の開発に有用である。例えば、このようなレセプターと結合するリガンドの同定は血圧を制御する薬物の開発につながり得る;
f) 脳のオピエートレセプターと結合するリガンドの同定はモルヒネおよび関連薬物の常用癖の低い代替物の開発に有用である。
【0139】
本明細書においてサンプルとは、アナライトアッセイが望まれるアナライトを含有し得るいずれのものもさす。サンプルは体液または生体組織などの生体サンプルでありうる。体液の例としては尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、便、痰、脳脊髄液、涙、粘液、羊水などが挙げられる。生体組織とは、結合組織、上皮組織、筋肉組織および神経組織をはじめとする、細胞の、通常はヒト、動物、植物、細菌、真菌またはウイルス構造の構造素材の1つをなすそれらの細胞内物質を伴う特定種の集合体である。生体組織の例としてはまた、臓器、腫瘍、リンパ節、動脈および個々の細胞も挙げられる。
【0140】
本明細書においてミスマッチのパーセンテージを判定する際のハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは以下の通りである。
1) 高ストリンジェンシー: 0.1×SSPE、0.1% SDS、65℃
2) 中ストリンジェンシー: 0.2×SSPE、0.1% SDS、50℃
3) 低ストリンジェンシー: 1.0×SSPE、0.1% SDS、50℃
【0141】
当業者ならば安定なハイブリッドのために洗浄工程を選択することは周知であり、SSPEの成分も分かっている(例えば、Sambrook, E.F. Fritsch, T. Maniatis, in: Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989), vol. 3, p. B.13、また汎用される実験溶液を記載している多くのカタログも参照)。SSPEはpH7.4リン酸緩衝0.18NaClである。さらに当業者ならばハイブリッドの安定性はナトリウムイオン濃度と温度の関数であるTm(Tm=81.5℃-16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)-600/l)によって判定され、従ってハイブリッドの安定性に重要な洗浄工程における唯一のパラメーターがSSPE(またはSSC)のナトリウムイオン濃度と温度であることが分かっている。
【0142】
同等のストリンジェンシーは別のバッファー、塩および温度を用いて達成できるものと理解される。限定されるものではないが例として、低ストリンジェンシー条件を用いる方法としては以下の通りである:(また、Shilo and Weinberg, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:6789-6792 (1981)も参照): DNAを含むフィルターを40℃で6時間、35%ホルムアミド、5X SSC、50mMトリス-HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.1% PVP、0.1% Ficoll、1% BSA、および500μg/ml変性サケ精子DNA(10X SSCは1.5M塩化ナトリウム、および0.15Mクエン酸ナトリウム、pH7に調整したものである)を含有する溶液で前処理する。
【0143】
ハイブリダイゼーションは以下の改変を伴う同溶液で行う: 0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.2% BSA、100μg/mlサケ精子DNA、10%(wt/vol)硫酸デキストラン、および5〜20X 106cpm 32P標識プローブを用いる。フィルターをハイブリダイゼーション混合物中で40℃にて18〜20時間インキュベートした後、2X SSC、25mMトリス-HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1% SDSを含有する溶液中で55℃にて1.5時間洗浄する。この洗浄溶液を新鮮な溶液に置き換え、60℃にてさらに1.5時間インキュベートする。フィルターをブロットドライし、オートラジオグラフィーに露光する。必要であれば65〜68℃でフィルターの3回目の洗浄を行い、フィルムに再び露光する。使用できるその他の低ストリンジェンシー条件は当業者に公知である(例えば、種間ハイブリダイゼーションに用いられるものなど)。
【0144】
限定されるものではないが例として中ストリンジェンシーの条件を用いる方法としては以下の通りである: DNAを含むフィルターを55℃で6時間、6X SSC、5Xデンハート溶液、0.5% SDSおよび100μg/ml変性サケ精子DNAを含有する溶液中で前処理する。同溶液でハイブリダイゼーションを行い、5〜20×106cpm 32P標識プローブを用いる。フィルターをハイブリダイゼーション混合物中で55℃にて18〜20時間インキュベートした後、1X SSCおよび0.1% SDSを含有する溶液中で60℃にて30分間2回洗浄する。フィルターをブロットドライし、オートラジオグラフィーに露光する。使用できるその他の中ストリンジェンシー条件は当業者に公知である。フィルターの洗浄は2X SSC、0.1% SDSを含有する溶液中で37℃にて1時間行う。
【0145】
限定されるものではないが例として高ストリンジェンシー条件を用いる方法は以下の通りである: DNAを含むフィルターのプレハイブリダイゼーションを65℃にて8時間〜一晩、6X SSC、50mMトリス-HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.02% BSA、および500μg/ml変性サケ精子DNAかならるバッファー中で行う。フィルターを、100μg/ml変性サケ精子DNAおよび5〜20×106cpmの32P標識プローブを含有するプレハイブリダイゼーション混合物中で65℃にて48時間ハイブリダイズさせる。フィルターの洗浄は2X SSC、0.01% PVP、0.01% Ficoll、および0.01% BSAを含有する溶液中で37℃にて1時間行う。その後、オートラジオググラフィー前に0.1X SSC中で50℃にて45分間の洗浄を行う。使用できるその他の高ストリンジェンシー条件は当業者に公知である。
【0146】
実質的に同一または相同または類似とは関連の技術分野の業者が理解しているように文脈によって異なり、通常には少なくとも60%または70%同じであることを意味し、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも5%同じであることを意味する。
【0147】
本明細書において産物に対して実質的に同一とは、着目する特性がその産物の代わりに実質的に同一の産物を使用できるに十分違いがないというような十分な類似性を意味する。
【0148】
本明細書において実質的に純粋とは、 このような純度を評価するために当業者が用いる薄層クロマトグラフィー(TLC)、ゲル電気泳動および高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの標準的な分析方法によって判定されるような容易に検出できる不純物を含まないと考えられるに十分均一であること、またはさらなる精製がその物質の酵素および生物活性などの物理・化学的特性を検出できる範囲では変化させないといったように十分純粋であることを意味する。実質的に化学的に純粋な化合物を製造するための化合物の精製方法は当業者に公知である。しかしながら、実質的に化学的に純粋な化合物は立体異性体または異性体の混合物であってもよい。このような場合、さらなる精製により化合物の特異的活性が増強され得る。
【0149】
本明細書において標的細胞とは、in vivoでSPを発現する細胞をさす。
【0150】
本明細書において試験物質(または試験化合物)とは、本明細書で提供されるアッセイなどのin vitro法によって判定されるような、SP、特にプロテアーゼドメインまたは活性に関して十分なその一部を含む一本鎖型に作用する化学的に定義された化合物(例えば、有機分子、無機分子、有機/無機分子、タンパク質、ペプチド、核酸、オリゴヌクレオチド、脂質、多糖類、糖類、または糖タンパク質などのようなこれらの分子のハイブリッド)または化合物の混合物(例えば、試験化合物ライブラリー、天然抽出物または培養上清など)をさす。
【0151】
本明細書において治療薬、治療計画、放射線保護剤、化学治療薬とは、ワクチンをはじめ当業者に公知の従来の薬物および薬物療法を意味する。放射線治療薬は当技術分野で周知のものである。
【0152】
本明細書において治療とは、症状、疾患または疾病の徴候を改善するあるいは有益な方向に変えるいずれかの方法を意味する。本明細書の組成物の医薬的使用も治療に含まれる。
【0153】
本明細書においてベクター(またはプラスミド)とは、発現またはその複製のいずれかの目的で異種核酸を細胞へ導入するために用いる個々のエレメントをさす。これらのベクターは典型的にはエピソームに留まるが、遺伝子またはその一部のゲノム染色体への組み込みを達成するよう設計することもできる。また、酵母人工染色体および哺乳類人工染色体などの人工染色体であるベクターも考えられる。このようなビヒクルの選択または使用は当業者に周知のものである。発現ベクターとしてはプロモーター領域などこのようなDNA断片の発現を達成し得る調節配列と作動可能なように連結されたDNAを発現させ得るベクターが挙げられる。よって発現ベクターとは、プラスミド、ファージ、組換えウイルスまたはその他のベクターなど、適当な宿主細胞へ導入された際にクローニングされたDNAの発現をもたらす組換えDNAまたはRNA構築物をさす。適当な発現ベクターは当業者に周知であり、真核細胞および/または原核細胞中で複製可能であるもの、およびエピソームに留まるもの、または宿主細胞ゲノムへ組み込まれるものが含まれる。
【0154】
本明細書においてタンパク質結合配列とは、他のタンパク質またはペプチド配列と、一般には一連のタンパク質またはペプチド配列と、あるいは特定のタンパク質またはペプチド配列と特異的に結合し得るタンパク質またはペプチド配列をさす。
【0155】
本明細書においてエピトープタグとは、エピトープタグで標識されたタンパク質またはペプチドのその後の生化学的および免疫学的分析を助けるエピトープに相当するアミノ酸残基の短いストレッチをさす。エピトープタグ標識はエピトープタグの配列を適当な発現ベクターのタンパク質コード配列に含めることによって達成される。エピトープタグタンパク質はそれらのタグに対して作製された特異性の高い抗体を用いてアフィニティー精製することができる。
【0156】
本明細書において金属結合配列とは、金属イオン、一般には一連の金属イオンまたは特定の金属イオンと特異的に結合し得るタンパク質またはペプチド配列をさす。
【0157】
本明細書において組合せとは、2種以上のもののいずれかの会合を意味する。
【0158】
本明細書において組成物とは、いずれかの混合物をさす。それは溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性またはそのいずれの組合せであってもよい。
【0159】
本明細書において流体とは、流動可能ないずれかの組成物をさす。よって流体には、半固体、ペースト、溶液、水性混合物、ゲル、ローション、クリーム、およびその他この種の組成物の形態にある組成物が含まれる。
【0160】
本明細書において細胞抽出液とは、溶解または破砕した細胞からなる調製物または画分をさす。
【0161】
本明細書において薬剤は、タンパク質単独で会合しているか、あるいはその会合基質、結合相手などを伴って会合しているかに関連する特定の配列を考えずに無作為にその薬剤を選択する場合には、無作為に選択されるという。無作為に選択される薬剤の例としては、化学ライブラリーまたはペプチドコンビナトリアルライブラリー、あるいは生物の増殖液またはコンディショニング培地の使用がある。
【0162】
本明細書において薬剤は、標的部位の配列および/または薬剤の作用と関連したそのコンホメーションを考慮に入れた非無作為性に基づいてその薬剤を選択する場合には、合理的に選択または設計される、という。実施例で記載するように、配列番号3または配列番号4を有するタンパク質においてはセリンプロテアーゼ結合部位および(触媒)部位が提示されている。薬剤はこれらの部位を構成するペプチド配列を用いて合理的に選択または合理的に設計することができる。例えば、合理的に選択されるペプチド剤としては、そのアミノ酸配列がATPまたはカルモジュリン結合部位もしくはドメインと同一であるペプチドが挙げられる。
【0163】
限定するものではなく開示を明解にするため、詳細な説明を以下のサブセクションに分ける。
【0164】
B. CVSP14ポリペプチド、そのミューテイン、誘導体および類似体
SP
セリンプロテアーゼ(SP)は哺乳類またその他の種で見られるタンパク質ファミリーである。SPは本明細書に記載されるようないくつかの一般的構造特徴を共有する。これらのタンパク質分解ドメインは保存されたモチーフに存在する触媒活性に必要な保存されたHis、AspおよびSer残基を含む配列相同性を共有する。これらのSPはチモーゲンとして合成され、特異的切断によって二本鎖型へと活性化される。
【0165】
SPファミリーは治療的介入の標的となり得、 腫瘍発生、発達、増殖および/または進行の診断マーカーとしても役立ち得る。上述したように、このファミリーのメンバーは腫瘍発達、増殖および/または進行に関係していると思われるタンパク質分解プロセスに関与する。このような関係は細胞外マトリックスの崩壊および再構成ならびに増殖およびプロ血管形成因子の活性化におけるタンパク質分解酵素としてのそれらの作用に基づくものである。さらに、同じ組織の腫瘍細胞と非腫瘍細胞では、それらの発現レベルまたは活性化、もしくは基質レベルまたは基質の変更およびそのレベルに起因するそれらの見掛けの活性のレベルが異なる。従って、それらの活性および/または発現を調節する化合物とそれらを接触させることなどによる、タンパク質分解活性などのそれらの活性およびシグナル伝達および/またはそれらの発現における役割を変化させるプロトコールおよび処理は腫瘍発達、増殖および/または進行に影響を与え得る。また、いくつかの例では、活性化および/または発現のレベルは膵臓、胃、子宮、肺、大腸、ならびに子宮頚癌などの腫瘍、また乳癌、前立腺癌または白血病に変化をもたらし得る。このようにSPは腫瘍の診断マーカーとして役立ち得る。
【0166】
その他の例では、SPタンパク質はその補因子または基質の活性または発現を変化させることで活性の変化を示し得る。血清、血液、唾液、脳脊髄液、滑液および間質液、尿、汗およびその他のこの種の体液および分泌液など、体液におけるSP、特にプロテアーゼドメインの検出は診断用腫瘍マーカーとして役立ち得る。特に、新生物形成疾患を持たないことが分かっている被験体に比べ、あるいは同じ被験体からの初期のサンプルと比べて被験体中に高レベルのこのようなポリペプチドが検出されることが、その被験体の新生物形成疾患の指標となり得る。
【0167】
CVSP14と呼ばれるファミリーメンバーが提供される。本明細書では、本明細書で提供されるCVSP14がある種の腫瘍で発現および/または活性化されるセリンプロテアーゼであることが示され、従ってそれらの活性化または発現が腫瘍の発達、増殖および/または進行の診断マーカーとして役立ち得ることが示される。このCVSP14はまた薬物標的としての使用のためにも提供され、本明細書に例示されるものをはじめ、スクリーニングアッセイで用いられる。本明細書では、一本鎖タンパク質分解ドメインがin vitroで機能することから、このファミリーのメンバーの活性を調節する薬剤を同定するin vitroアッセイで有用であることが示される。さらに二本鎖型または全長またはシグナルペプチドが除かれたその末端切断型もこのようなアッセイで使用できる。
【0168】
特定の実施形態では、CVSP14ポリペプチドは腫瘍を持たない被験体の体液におけるレベルとは異なるレベルで体液中で検出可能である。他の実施形態では、このポリペプチドは腫瘍に存在するが、そのポリペプチドの基質または補因子が同種の組織の非腫瘍細胞における発現レベルとは異なるレベルで発現する。
【0169】
CVSP14
実質的に精製したCVSP14チモーゲン、活性化二本鎖型、一本鎖プロテアーゼドメインおよび二本鎖プロテアーゼドメインが提供される。そのシグナル配列を含む全長CVSP14ポリペプチドは配列番号12および13で示される。シグナル配列は発現時または発現前に切断され得る。
【0170】
また、CVSP14と少なくとも60%、70%、80%、90%または約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む実質的に精製されたタンパク質も提供される(なお、同一性%は標準的なアルゴリズムと、同一性%を最大にするギャップペナルティーを用いて求められる)。ヒトCVSP14ポリペプチドは例示であって、その他の哺乳類CVSP14ポリペプチドも考えられる。本明細書ではCVSP14のスプライス変異体、特にタンパク質分解活性プロテアーゼドメインを伴うものも考えられる。
【0171】
その他の実施形態では、CVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインまたはその触媒活性部分を含むが、配列番号13で示される全アミノ酸配列は含まない、 実質的に精製されたポリペプチドが提供される。これらの中には配列番号6と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%または100%同一の配列を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドがある。
【0172】
配列番号6で示されるアミノ酸配列またはその触媒活性部分を含むプロテアーゼドメインと、あるいは配列番号13で示されるアミノ酸配列を含むプロテアーゼと少なくとも約60%、70%、80%、90%または約95%の配列同一性を有する、実質的に精製されたCVSP14ポリペプチド、および触媒活性ドメインおよび部分を含むその機能的ドメインが提供される。
【0173】
配列番号6に関して、プロテアーゼ活性化切断部位はR55とI56の間であり、相同性に基づく触媒トリアッドはH96、D146、S244であり、N108VTに可能性のあるN-グリコシル化部位があり、Cys対合はプロテアーゼドメインとそのポリペプチドの残りの部分を連結しているC37-C166、また、C180-C250、C211-C229およびC240-C269の間であると推定される。従ってこのプロテアーゼドメインにおいてはC166はフリーなCysであり、これはまた二本鎖分子としても提供することができる。しかしながら本明細書では、一本鎖型にタンパク質分解活性があることが示される。
【0174】
また、本明細書で提供される核酸分子によってコードされるポリペプチドも提供される。これらのポリペプチドには、CVSP14プロテアーゼドメイン、または特異性とプロテアーゼ活性が失われず、かつ、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または保持されているか、あるいは実質的に変化がないようなアミノ酸変位を有するポリペプチドが含まれる。特にセリンプロテアーゼ触媒ドメインを含み、さらにその他のドメインを含み得る実質的に精製された哺乳類SPタンパク質が提供される。CVSP14はホモ二量体を形成することができ、また、膜結合タンパク質などの他のいくつかのタンパク質とヘテロ二量体を形成することもできる。
【0175】
機能的に活性のあるCVSP14のドメイン、断片、誘導体または類似体はセリンプロテアーゼ活性、免疫原性および抗原性など、CVSP14ポリペプチドに関連する1以上の機能的活性を示し得るものが提供される。
【0176】
CVSP14ポリペプチドの少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、40、50、および典型的には10〜15個のアミノ酸を含む抗原エピトープが提供される。これらの抗原エピトープは例えば抗体作製のために使用される。各エピトープまたはそれらの組合せ、および一本鎖および二本鎖型に特異的な抗体も提供される。
【0177】
CVSP14ポリペプチドのミューテインおよび誘導体
全長CVSP14、チモーゲンおよびその活性型、ならびにCVSP14プロテアーゼドメイン、その一部、ならびにこのようなポリペプチドのミューテインおよび誘導体が提供される。誘導体としては、限定されるものではないが、マウスおよびラットなどの齧歯類;ニワトリなどの鳥類;ヤギ、ウシ、シカ、ヒツジなどの反芻動物;ブタなどのヒツジ(ovine such as pigs);およびヒトをはじめとする動物のCVSP14に基づくものがある。例えばCVSP14誘導体は置換、付加または欠失によってそれらの配列を変更することで作出することができる。CVSP14誘導体としては、限定されるものではないが、配列内の残基が機能的に同等なアミノ酸残基で置換されてサイレント変異となっている変異配列を含むCVSP14の全アミノ酸配列または部分アミノ酸配列を主要なアミノ酸配列として含むものが挙げられる。例えば、配列内の1以上のアミノ酸残基が、機能的同等物として働く類似極性の別のアミノ酸で置換してサイレント変異を生じさせることができる。配列内の1つのアミノ酸の置換はそのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。例えば非極性(疎水性)アミノ酸としてはアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが挙げられる。極性中性アミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンが挙げられる。正電荷(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リジンおよびヒスチジンが挙げられる。負電荷(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる(例えば、表1参照)。そのアミノ酸の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%または95%までが別のアミノ酸で置換されているCVSP14、またはプロテアーゼドメインなどのそのドメインのミューテインも提供される。一般にこのようなミューテインは非変異型タンパク質のプロテアーゼ活性の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%を保持する。
【0178】
1以上のCys残基、特に活性化二本鎖型では対合しているが、プロテアーゼドメイン単独では対合していない残基(すなわち、プロテアーゼドメインの26番残基のCys(配列番号5および6参照))がいずれかのアミノ酸、必ずしもそうでなくともよいが典型的にはSerなどの保存的アミノ酸残基で置換されているミューテインが考えられる。CVSP14のミューテイン、特に一本鎖プロテアーゼドメインのCysなどのCys残基が活性を消失しない別のアミノ酸で置換されているものが提供される。
【0179】
アミノ酸が別のアミノ酸に置換されているこのタンパク質のミューテインも提供される。ミューテインとしてはCys残基が必ずしもそうでなくともよいが典型的にはセリンなどの保存的アミノ酸残基で置換されているものが挙げられる。本明細書ではこのようなミューテインも提供される。アミノ酸配列の10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%またはそれ以上が置換されているが、生じるポリペプチドが同じ基質に対する非改変型としての触媒活性の少なくとも約10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%または95%を保持するミューテインが提供される。
【0180】
プロテアーゼドメイン
プロテアーゼドメインまたはその触媒活性部分を一本鎖型のSPとして含む単離された実質的に純粋なプロテアーゼが提供される。これらのプロテアーゼドメインはより長いタンパク質に含まれていてもよく、このような長いタンパク質は所望によりCVSP14チモーゲンであってもよい。本発明では一本鎖としてCVSP14のプロテアーゼドメインを含む単離された実質的に純粋な一本鎖ポリペプチドが提供される。本明細書で提供されるCVSP14は腫瘍細胞によって、または腫瘍細胞内で典型的には同種の非腫瘍細胞によってそれが発現されるレベルとは異なるレベルで発現または活性化される。よって、例えば本明細書で卵巣癌または前立腺癌に関して着目すると、SPが前立腺または卵巣の腫瘍細胞によって発現されるとすれば、発現、活性化または活性の程度は非腫瘍細胞におけるものとは異なる。CVSP14は肺、大腸、前立腺、乳房、子宮、卵巣およびその他の腫瘍細胞で発現する。
【0181】
SPプロテアーゼドメインはCVSP14の一本鎖プロテアーゼドメインを含む。いずれかのSP、特にCVSP14のプロテアーゼドメインであるSPの部分を含むプロテアーゼドメインまたはタンパク質が提供される。このタンパク質はアミノ酸のその他の非SP配列も含んでもよいが、本明細書で提供されるものなど、プロテアーゼドメインまたはこのようなプロテアーゼ活性を評価するいずれかのin vitroアッセイで触媒活性を示すに十分なその一部を含む。また、二本鎖活性型の全長プロテアーゼ、および二本鎖型のプロテアーゼドメインも提供される。
【0182】
ある実施形態では、実質的に精製されたSPプロテアーゼは、少なくとも中、一般には高ストリンジェンシーの、そのプロテアーゼドメインコード核酸がその全長にわたって、あるいは全長の少なくとも約70%、80%または90%にわたってハイブリダイズするような条件下で配列番号5で示されるヌクレオチド配列によってコードされるプロテアーゼドメインを含む核酸分子とハイブリダイズする核酸によってコードされている。その他の実施形態では、実質的に精製されたSPプロテアーゼは配列番号6で示されるアミノ酸配列またはその触媒活性部分を実質的に含む一本鎖ポリペプチドである。
【0183】
特に例としてのプロテアーゼドメインは少なくとも、配列番号6で示されるアミノ酸配列(配列番号5のヌクレオチドによってコードされている)の、本明細書に提供されるアッセイにおいてプロテアーゼ活性を示すに十分な部分を含む。
【0184】
シグナルペプチド(配列番号13のアミノ酸1〜25)も提供される。さらにシグナルペプチドが除去された成熟CVSP15ポリペプチドも提供される。
【0185】
以下に記載するように、本明細書ではシグナル配列を有するプロポリペプチド、成熟ポリペプチドおよびその触媒活性部分、プロテアーゼドメインおよびその触媒活性部分、これらタンパク質いずれもの二本鎖および一本鎖型をはじめとするあらゆる形態のCVSP14が提供され、スクリーニングアッセイで、また、それに特異的な抗体を作製するために使用できる。腫瘍細胞および体液におけるこのタンパク質の発現、定量および/または活性化は疾病またはそれが存在しないことの診断指標となり得る。
【0186】
核酸分子、ベクターおよびプラスミド、細胞およびCVSP14ポリペプチドの発現
核酸分子
ヌクレオチドコード配列の縮重により、CVSP14遺伝子と実質的に同じアミノ酸配列をコードする他の核酸配列を使用することもできる。これらには限定されるものではないが、その配列内にそのアミノ酸残基をコードする異なるコドンの置換によって改変され、従ってサイレント変異を生じるCVSP14遺伝子の全部または一部を含むヌクレオチド配列が含まれる。
【0187】
また、CVSP14をコードする上記ヌクレオチド配列と少なくとも低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、および/または高ストリンジェンシーでハイブリダイズし、かつ、プロテアーゼドメインおよび/またはCVSP14の全長タンパク質もしくはその他のドメインあるいはそのスプライス変異体または対立遺伝子変異体をコードする核酸分子も提供される。通常、これらの分子はこのような条件下で少なくとも1つのドメインに関してそれらの全長にわたって(または全長の少なくとも約70%、80%もしくは90%にわたって)ハイブリダイズし、プロテアーゼドメインなど、そのポリペプチドの少なくとも1つのドメインをコードする。特にこのような核酸分子としては、少なくとも1つのセリンプロテアーゼドメインをコードし、(1)プロテアーゼまたは触媒活性のあるものなどその機能的活性ドメインをコードするヌクレオチド配列を含み、かつ、(2)以下:
(a)配列番号5または12で示されるヌクレオチド配列を含むプロテアーゼまたはそのドメインをコードするヌクレオチド配列;
(b)このような部分または全長プロテアーゼをコードし、かつ、通常、このようなタンパク質またはその断片をコードする哺乳類細胞に存在するmRNA転写物に相補的な核酸と中または高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;
(c)このような部分もしくは全長オープンリーディングフレームによってコードされるアミノ酸配列を含むセリンプロテアーゼまたはそのドメインをコードするヌクレオチド配列;
(d)このようなサブユニットをコードし、かつ、mRNA転写物に相補的なDNAと高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むセリンプロテアーゼをコードするヌクレオチド配列;
(e)(a)〜(d)のいずれかのスプライス変異体をコードするヌクレオチド配列;および
(f)(a)〜(e)のいずれかの全長または一部の縮重コドンを含むヌクレオチド配列
の中から選択される、
いずれかの単離された核酸断片を含む。
【0188】
単離された核酸断片とは、ゲノムDNAまたはcDNAを含むDNA、またはRNAであり、あるいはタンパク質核酸などのその他の成分も含み得る。単離された核酸は異種または天然プロモーター、およびその他の転写および翻訳調節配列などの付加的な成分を含んでもよく、これらの遺伝子は、レポーター遺伝子その他の指標遺伝子、すなわち指標をコードする遺伝子など、その他の遺伝子と連結させることができる。
【0189】
本明細書で提供されるCVS14はタンパク質分解活性を示すプロテアーゼドメインをコードする配列を含み、かつ、配列番号5で示されるヌクレオチド配列を含む核酸分子と、典型的には中、通常は高ストリンジェンシー条件下で、通常はプロテアーゼドメインの全長にわたって、または全長の少なくとも約70%、80%または90%にわたってハイブリダイズする核酸によってコードされている。本明細書ではまたスプライス変異体も提供される。
【0190】
特定の実施形態では、CVSP14と呼ばれるCVSPをコードする核酸が提供される。特にこの核酸は 配列番号5で示されるヌクレオチド配列、または触媒活性ポリペプチドをコードするその一部を含む。また、配列番号5またはその縮重物と少なくとも低ストリンジェンシー、通常には中ストリンジェンシー、より典型的には高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸分子も提供される。
【0191】
ある実施形態では、単離された核酸断片は配列番号5で示されるヌクレオチド配列(またはその縮重物)を含む核酸分子と高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、ある実施形態では配列番号5および6で示されるヌクレオチド配列を含む。全長CVSP14は配列番号13で示され、配列番号12またはその縮重物によってコードされる。
【0192】
また、in vitroタンパク質分解アッセイにおいてタンパク質分解活性を有する一本鎖SPプロテアーゼをコードし、かつ、CVSP14ポリペプチドの全長プロテアーゼドメインと少なくとも60%、70%、80%、85%、90%または95%の配列同一性を有するか、あるいはプロテアーゼドメインをコードする核酸と、特に中、通常には高ストリンジェンシー条件下で全長にわたって、または全長の少なくとも約70%、80%または90%にわたってハイブリダイズする核酸分子も考えられる。上記のように、コードされるポリペプチドは一本鎖としてのプロテアーゼを含む。
【0193】
この単離核酸はCVSP14をコードする配列の少なくとも10ヌクレオチド、25ヌクレオチド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、150ヌクレオチド、または200ヌクレオチドあるいはそれ以上の連続するヌクレオチド、あるいは全長SPコード配列を含み得る。別の実施形態では、この核酸は35、200または500ヌクレオチド長より短い。CVSP14をコードする核酸分子とハイブリダイズする、または相補的な核酸としては一本鎖であっても二本鎖であってもよい。例えば、CVSP14をコードする核酸、特にそのプロテアーゼドメインの少なくとも10、25、50、100または200ヌクレオチド、または全コード領域に相補的な配列(特にその逆位成分である)を含む核酸が提供される。CVSP14としては全長タンパク質またはそのドメインもしくは活性断片も提供される。
【0194】
各核酸分子について核酸はDNAであってもRNAであってもPNAまたはその他の核酸類似体であってもよく、あるいは非天然ヌクレオチド塩基を含んでもよい。SPをコードするヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子も提供される。
【0195】
プローブ、プライマー、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびdsRNA
また、プローブまたはプライマーとして使用でき、配列番号5で示される少なくとも約10、14、16ヌクレオチド、通常は1000未満、または100以下(またはその相補物)を含むか、あるいは少なくとも約30ヌクレオチド(またはその相補物)を含むか、あるいはこのようないずれかの断片またはオリゴヌクレオチドに対して全長にわたって、または全長の少なくとも約70%、80%または90%にわたってハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含むその断片またはオリゴヌクレオチドが提供される。これらの断片の長さはそれらを用いる目的および/または着目するゲノムの複雑性による。一般にプローブおよびプライマーは約500、150、100未満のヌクレオチドを含む。
【0196】
これら核酸分子に由来するプローブおよびプライマーも提供される。このようなプローブおよびプライマーはCVSP14の連続するヌクレオチドと同一な少なくとも8、14、16、30、100以上の連続するヌクレオチドを含む。これらのプローブおよびプライマーは所望により放射性標識または蛍光タグなどの検出可能な標識で標識してもよく、あるいは質量分析またはその他の手段で検出できるだけの異なる質量を有していればよい。
【0197】
また、CVSP14をコードするヌクレオチド配列またはその一部に相補的な分子の配列を含む単離された核酸分子も提供される。RNAiなどの二本鎖RNA(dsRNA)も提供される。
【0198】
プラスミド、ベクターおよび細胞
これらの核酸分子を含むプラスミドおよびベクターも提供される。コードされたタンパク質を発現する細胞をはじめ、これらのベクターを含む細胞も提供される。細胞は細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞または動物細胞であってもよい。本明細書では、SPまたはその一本鎖型のプロテアーゼドメインを、例えばコードされるSPが細胞によって発現されるような条件下で細胞を増殖させ、発現したタンパク質を回収することによって産生させる方法も提供される。なお、CVSP14に関しては全長チモーゲンおよび活性化タンパク質および活性化(二本鎖)プロテアーゼおよび一本鎖プロテアーゼドメインが提供される。
【0199】
以下に述べるように、CVSP14ポリペプチドおよびその触媒活性部分は天然シグナル配列または異種シグナルを用いて分泌タンパク質として発現させることもできる。あるいは例として挙げられているように、タンパク質は細胞質中の封入体として発現させ、それから単離することもできる。得られたタンパク質は再折りたたみすべく処理することができる(例えば実施例1参照)。本明細書では、活性型のプロテアーゼドメインが封入体で発現させ、それから単離し、変性後に再折りたたみすることで産生可能であることを示す。
【0200】
C. 腫瘍特異性および組織発現プロフィール
SPは各々特徴的な組織発現プロフィールを有し、特にSPはもっぱら腫瘍で発現または活性化されるというわけではないが、特徴的な腫瘍組織発現または活性化プロフィールを示す。SPはその基質または補因子もしくはSPの見掛けの機能的活性を変化させるその他の因子に違いがあるために腫瘍細胞では非腫瘍細胞とは異なる活性を有する場合がある。従って、新生物形成疾患を持たない被験体に比較した新生物形成疾患を有する被験体(すなわち哺乳類、特にヒト)における活性および/または発現のレベル、あるいは機能によって、各々特定の腫瘍の診断マーカーとして役立ち得る。さらに、特定の組織での活性(および/または発現)の検出は新生物形成疾患の指標となり得る。
【0201】
体液中の循環SPは新生物形成疾患の指標となり得る。分泌CVSP14または活性化CVSP14も新生物形成疾患の指標となる。また、各々の活性および/または発現プロフィールにより、それらはその活性のモジュレーターの投与またはSPの1つによって特異的に活性化されるプロドラッグの投与によるなど、治療標的としても役立ち得る。
【0202】
組織発現プロフィール
CVSP14
CVSP14はアンドロゲン依存性腫瘍細胞株において高レベルで発現する。CVSP14転写物は正常な腎サンプルでも検出されたが、対応する腎腫瘍サンプルでは全てCVSP14シグナルは消失していた。3組の前立腺の正常/腫瘍cDNAサンプルでは全て弱いシグナルが検出された。正常な乳房の9サンプル中3サンプルでも弱いシグナルが検出された。また、7つの子宮腫瘍のうち1つでも弱いシグナルが検出されたが、それらの対応する正常組織では検出されなかった。正常な肺組織では3サンプル中2サンプルでも弱いシグナルが検出されたが、それらに対応するする腫瘍サンプルでは検出されなかった。HeLa細胞、バーキットリンパ腫Daudi細胞、慢性骨髄性白血病K562、前骨髄細胞性白血病HL-60細胞、ミエローマG361細胞、肺癌A549細胞、リンパ芽球性白血病MOLT-4および結腸直腸腺癌SW480細胞をはじめとする種々の腫瘍細胞株からのcDNAサンプルでは極めて弱いシグナルが認められる。
【0203】
従って前立腺癌など特定の細胞では発現が腫瘍マーカーとして働き得るが、腎臓など他の組織では発現または活性化が見られないことが腫瘍マーカーとして働く。
【0204】
D. SPタンパク質遺伝子の同定および単離
CVSP14ポリペプチドをはじめとするSPポリペプチドまたはそのドメインはタンパク質精製および組換えタンパク質発現に関する当技術分野で周知の方法によって得ることができる。目的の遺伝子をコードする核酸の同定には当業者に公知のいずれの方法を用いてもよい。SPタンパク質をコードする全長(すなわち全コード領域を包含する)cDNAまたはゲノムDNAクローンを得るには当技術分野で利用できるいずれの方法を用いてもよい。特に、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーにおいて、腫瘍および非腫瘍細胞または組織において発現が異なる、または異なるレベルで活性化されるタンパク質をコードすることが確認される配列、例えばCVSP14ポリペプチド(配列番号5、6、12および13)をコードする核酸を増幅するにはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いることができる。適当な起源(例えば腫瘍または癌組織)に由来する核酸サンプル(RNAまたはDNA)、典型的にはcDNAライブラリーから配列をPCR増幅するためのプライマーとして、同定された配列の3'および5'末端の配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを用いることができる。
【0205】
PCRは例えばPerkin-Elmer CetusサーマルサイクラーとTaqポリメラーゼ(Gene Amp(商標))を用いて行うことができる。増幅されるDNAとしては、真核生物由来のmRNAまたはcDNAまたはゲノムDNAのいずれもが含まれる。PCR反応に用いる場合、いくつかの異なる縮重プライマーを合成することも選択できる。既知のヌクレオチド配列と単離される核酸ホモログとの間のより高い、またはより低い程度のヌクレオチド配列類似性を考慮することで核酸ホモログを増幅するため(例えば、ヒト以外の種に由来するSPタンパク質配列を得るため、またはCVSP14ポリペプチドとの相同性を有するヒト配列を得るため)にはPCR反応の誘導に用いるハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを変えることもできる。種間ハイブリダイゼーションでは、低または中ストリンジェンシー条件を用いる。同種ハイブリダイゼーションでは、一般に中または高ストリンジェンシー条件を用いる。同定されたSPタンパク質配列の全てまたは一部を含む核酸、またはSPタンパク質ホモログの全てまたは一部をコードする核酸が首尾よく増幅されれば、そのセグメントを分子クローニングして配列決定し、それをプローブとして用いて完全なcDNAまたはゲノムクローンを単離することができる。次には、この遺伝子の完全ヌクレオチド配列の決定、その発現の分析、および機能分析のためのそのタンパク質産物の生産が可能となる。ヌクレオチド配列が決定されれば、オープンリーディングフレームの決定のための当技術分野で周知のいずれかの方法、例えばヌクレオチド配列解析のための公開コンピュータープログラムを用いてSPタンパク質遺伝子のタンパク質産物をコードするオープンリーディングフレームを決定することができる。オープンリーディングフレームが定義されれば、そのオープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を決定するのが通例である。このようにして完全なSPタンパク質遺伝子のヌクレオチド配列ならびにSPタンパク質および類似体のアミノ酸配列を同定することができる。
【0206】
いずれの真核細胞であってもSPタンパク質遺伝子の分子クローニングの核酸ソースとして利用できる可能性がある。これらの核酸は脊椎動物、哺乳類、ヒト、ブタ、ウシ、ネコ、鳥類、ウマ、イヌ、ならびにその他の霊長類ソース、昆虫、植物などから単離できる。DNAはクローニングされたDNA(例えばDNA「ライブラリー」)から当技術分野で公知の標準的な方法により、化学合成により、cDNAクローニングにより、または所望の細胞から精製したゲノムDNAもしくはその断片のクローニングにより得ることができる(例えば、Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York; Glover, D.M. (ed.), 1985, DNA Cloning: A Practical Approach, MRL Press, Ltd., Oxford, U.K. Vol. I, II参照)。ゲノムDNAに由来するクローンはコード領域の他、調節DNA領域およびイントロンDNA領域を含み得るが、cDNA由来のクローンはエキソン配列しか含まない。遺伝子はそのソースに関わらずその遺伝子の複製に好適なベクター中へ分子クローニングしなければならない。
【0207】
ゲノムDNA由来の遺伝子の分子クローニングでは、そのある部分が目的の遺伝子をコードするDNA断片を作製する。このDNAは種々の制限酵素を用いて特定の部分で切断することができる。あるいは、マンガンの存在下でDNAアーゼを用いてDNAを断片化してもよいし、例えば音波処理によりDNAを物理的に剪断してもよい。この線状DNA断片は次に、限定されるものではないが、アガロースおよびポリアクリルアミドゲル電気泳動およびカラムクロマトグラフィーをはじめとする標準的な技術によって大きさに従って分離することができる。
【0208】
DNA断片が作製できれば、いくつかの方法で目的遺伝子を含む特定のDNA断片の同定を行うことができる。例えばSPタンパク質(いずれの種のものであってもよい)遺伝子(例えば上記のようにして得られたPCR増幅産物または既知のヌクレオチド配列の部分配列を有するオリゴヌクレオチド)またはその特定のRNAの一部、またはその断片を精製および標識し、作製したDNA断片を、標識プローブとの核酸ハイブリダイゼーションによってスクリーニングすることができる(Benton and Davis, Science 196:180 (1977); Grunstein and Hogness, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 72:3961 (1975))。プローブと実質的相同性を有するDNA断片がハイブリダイズする。また、制限酵素消化して、利用できるならば既知の制限地図に従って予測されたものと断片サイズを比較することにより、あるいはDNA配列解析を行い、既知のSPタンパク質ヌクレオチド配列と比較することにより適当な断片を同定することもできる。遺伝子の特性をもとにさらなる選択を行うこともできる。あるいは、その発現産物の物理的、化学的または免疫学的特性に基づくアッセイにより、その遺伝子の存在を検出することもできる。例えばcDNAクローンまたは適切なmRNAをハイブリッド選択するDNAクローンとしては、例えば類似または同じ電気泳動での移動、等電点電気泳動挙動、タンパク質分解消化地図、抗原特性、セリンプロテアーゼ活性を有するタンパク質を生じるものを選択することができる。抗SPタンパク質抗体が利用できる場合にはELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)型の手法において標識した抗体とSPタンパク質を合成すると推定されるクローンを結合させることによりタンパク質を同定することができる。
【0209】
CVSP14ポリペプチドゲノムDNAを単離する別法としては、限定されるものではないが、既知の配列から遺伝子配列を化学合成すること、またはcDNAからSPタンパク質をコードするmRNAを作製することが挙げられる。例えば、SPタンパク質遺伝子のcDNAクローニングのためのRNAをそのタンパク質を発現する細胞から単離することができる。次に、同定および単離された核酸を適当なクローニングベクターへ挿入することができる。当技術分野で公知の多数のベクター-宿主系を使用できる。可能性のあるベクターとしては、限定されるものではないが、プラスミドまたは改変ウイルスがあるが、このベクター系は用いる宿主細胞に適合するものでなければならない。このようなベクターとしては、限定されるものではないが、λ誘導体などのバクテリオファージ、またはpBR322もしくはpUCプラスミド誘導体などのプラスミドまたはBluescriptベクター(Stratagene, La Jolla, CA)が挙げられる。クローニングベクターへの挿入は例えばそのDNA断片を相補的付着端を有するクローニングベクターへ連結することで達成することができる。断片に対して相補的な制限部位を用いれば、そのDNAはクローニングベクターには存在せず、DNA分子の末端は酵素的に修飾することができる。あるいは、そのDNA末端にヌクレオチド配列(リンカー)を連結することで所望のいずれの部位も作製できるが、これらの連結リンカーは制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする化学合成された特異的オリゴヌクレオチドを含むことができる。別法としては、切断したベクターおよびSPタンパク質遺伝子をホモポリマーテーリングにより改変することもできる。組換え分子は例えば形質転換、トランスフェクション、感染、エレクトロポレーションおよびソナーポレーションによって宿主細胞に導入することができ、これにより多数の遺伝子配列コピーが作出される。
【0210】
特定の実施形態では、単離されたSPタンパク質遺伝子、cDNAまたは合成DNA配列を組み込んだ組換えDNA分子で宿主細胞を形質転換することにより複数の遺伝子コピーを作出することができる。従って、形質転換体を増殖させ、その形質転換体から組換えDNA分子を単離し、必要であれば単離した組換えDNAから挿入遺伝子を回収することにより多量の遺伝子を得ることができる。
【0211】
E. SPタンパク質またはそのプロテアーゼドメインをコードする核酸を含むベクター、プラスミドおよび細胞、ならびにSPタンパク質の発現
ベクターおよび細胞
1以上のSPタンパク質を組換え発現させるには、SPタンパク質をコードするヌクレオチド配列の全てまたは一部を含む核酸を適当な発現ベクター、すなわち挿入されたタンパク質コード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含むベクターに挿入することができる。また、必要な転写および翻訳シグナルもSP遺伝子の天然プロモーターおよび/またはそれらのフランキング領域によって提供することができる。
【0212】
また、SPをコードする核酸を含むベクターも提供される。それらのベクターを含む細胞も提供される。細胞としては真核および原核細胞が含まれ、ベクターは使用に好適ないずれのものであってもよい。
【0213】
ベクターを含む、内皮細胞をはじめとする原核および真核細胞が提供される。このような細胞としては細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞および動物細胞が挙げられる。これらの細胞は、コードされるSPタンパク質またはSPタンパク質のプロテアーゼドメインが細胞によって発現されるような条件下で上記細胞を増殖させ、発現したプロテアーゼドメインタンパク質を回収することにより、SPタンパク質またはそのプロテアーゼドメインを生産するのに用いられる。本明細書の目的では、このプロテアーゼドメインは培地中に分泌させることができる。
【0214】
ある実施形態では、プロテアーゼ活性を有し、SPタンパク質のプロテアーゼドメインのみの全てまたは一部、またはその複数コピーを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターが提供される。また、そのプロテアーゼドメインおよび全長SPタンパク質まで(全長を含む)のさらなるSPタンパク質の部分、ならびにその複数コピーをコードするヌクレオチド配列を含むベクターも提供される。これらのベクターは細胞中でのSPタンパク質またはそのプロテアーゼドメインの発現に関して、あるいはSPタンパク質が分泌タンパク質として発現するように選択することができる。あるいは、これらのベクターはコードされたタンパク質の分泌に必要なシグナルを含むこともできる。プロテアーゼドメインが発現すると、核酸はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)α接合因子シグナル配列もしくはその一部などの分泌シグナルまたは天然シグナル配列をコードする核酸と結びつく。
【0215】
タンパク質コード配列を発現させるには多様な宿主-ベクター系を用いることができる。このようなものとして、限定されるものではないが、ウイルス(例えばワクシニアウイルス、アデノウイルスなど)感染哺乳類細胞系、ウイルス(例えばバキュロウイルス)感染昆虫細胞系、酵母ベクターを含む酵母などの微生物、またはバクテリオファージ、DNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNAで形質転換した細菌が挙げられる。ベクターの発現エレメントはその強度および特性において様々である。用いる宿主-ベクター系に応じて多数の好適な転写および翻訳エレメントのいずれか1つを用いることができる。
【0216】
適当な転写/翻訳制御シグナルおよびタンパク質コード配列を含むキメラ遺伝子を含む発現ベクターを構築するには、DNA断片をベクター中へ挿入することを目的とした当業者に公知のいずれの方法を用いてもよい。これらの方法としてin vitro組換えDNAおよび合成技術ならびにin vivo組換え(遺伝子組換え)が挙げられる。SPタンパク質、またはそのドメイン、誘導体、断片もしくはホモログをコードする核酸配列の発現は第二の核酸配列によって調節することができ、これによりこれらの遺伝子またはその断片はその組換えDNA分子で形質転換された宿主で発現する。例えばこれらタンパク質の発現は当技術分野で公知のいずれかのプロモーター/エンハンサーによって制御することができる。特定の実施形態では、このプロモーターはSPタンパク質の遺伝子にとって本来のものではない。使用できるプロモーターとしては、限定されるものではないが、SV40初期プロモーター(Bernoist and Chambon, Nature 290:304-310 (1981))、ラウス肉腫ウイルスの長い3’末端反復に含まれるプロモーター(Yamamoto et al. Cell 22:787-797 (1980))、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1441-1445 (1981))、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al., Nature 296:39-42 (1982))、β-ラクタマーゼプロモーター(Villa-Kamaroff et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:3727-3731 1978))またはtacプロモーター(DeBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:21-25 (1983))などの原核生物発現ベクター(また、“Scientific American 242:79-94 (1980)のUseful Priteins from Recombinant Bacteria”も参照);ノパリン合成酵素プロモーター(Herrar-Estrella et al., Nature 303:209-213 (1984))またはカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Garder et al., Nucleic Acids Res. 9:2871 (1981))および光合成酵素リブロース二リン酸カルボキシラーゼ(Herrera-Estrella et al., Nature 310:115-120 (1984))のプロモーターを含む植物発現ベクター;Gal4プロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼプロモーター、アルカリ性ホスファターゼプロモーターなどの酵母およびその他の真菌類に由来するプロモーターエレメント;および組織特異性を示し、トランスジェニック動物において用いられている以下の動物転写制御領域:膵腺房細胞で活性なエステラーゼI遺伝子制御領域(Swift et al., Cell 38:639-646 (1984); Ornitz et al., Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50:399-409 (1986); MacDonald, Hepatology 7:425-515 (1987))、膵β細胞で活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan et al., Nature 315:115-122 (1985))、リンパ細胞で活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al., Cell 38:647-658 (1984); Adams et al., Nature 318:533-538 (1985); Alexander et al., Mol. Cell Biol. 7:1436-1444 (1987))、精巣、乳房、リンパ細胞および肥満細胞で活性なマウス乳癌ウイルス制御領域(Leder et al. Cell 45:485-495 (1986))、肝臓で活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinckert et al., Genes and Devel. 1:268-276 (1987))、肝臓で活性なα-フェトタンパク質遺伝子制御領域(Krumlauf et al., Mol. Cell. Biol. 5:1639-1648 (1985); Hammer et al., Science 235:53-58 1987))、肝臓で活性なα-1アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al., Genes and Devel. 1:161-171 (1987))、骨髄細胞で活性なβグロビン遺伝子制御領域(Mogram et al., Nature 315:338-340 (1985); Kollias et al., Cell 46:89-94 (1986))、脳の乏突起神経膠細胞で活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al., Cell 48:703-712 (1987))、骨格筋で活性なミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani, Nature 314:283-286 (1985))、および視床下部の性腺刺激細胞で活性な性腺刺激ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al., Science 234:1372-1378 (1986))が挙げられる。
【0217】
特定の実施形態では、SPタンパク質、またはそのドメイン、断片、誘導体もしくはホモログをコードする核酸と作動可能なように連結されたプロモーター、1以上の複製起点、および所望により1以上の選択マーカー(例えば抗生物質耐性遺伝子)を含むベクターが用いられる。SPタンパク質のコード配列またはその一部を含む発現ベクターは例えばこれらのコード部分を3つのpGEXベクター(グルタチオンSトランスフェラーゼ発現ベクター(Smith and Johnson, Gene 7:31-40 (1988))の各々のEcoRI制限部位へサブクローニングすることにより作出される。これは適切なリーディングフレームにおける産物の発現を意図したものである。SPタンパク質のプロテアーゼドメインの発現のためのベクターおよび系としては周知のピキアベクター(例えば、Invitrogen, San Diego, CAから入手可能)、特にコードされているタンパク質が分泌するように設計されたものが挙げられる。ベクターの一例が実施例に記載されている。
【0218】
大腸菌(E. coli)細胞の形質転換のためのプラスミドとしては例えばpET発現ベクター(米国特許第4,952,496合参照、NOVAGEN, Madison, WIから入手可能;また、この系について記載したNovagenが公開している文献も参照)がある。このようなプラスミドとしてはT7lacプロモーター、T7ターミネーター、誘導性大腸菌lacオペレーターおよびlacレプレッサー遺伝子を含むpET 11a;T7プロモーター、T7ターミネーターおよび大腸菌ompT分泌シグナルを含むpET 12a-c;ならびにHisカラムによる精製で用いるHis-タグ(商標)リーダー配列およびカラム精製後に切断を可能とするトロンビン切断部位、T7-lacプロモーター領域およびT7ターミネーターを含むpET 15bおよびpET19b(NOVAGEN, Madison, WI)が挙げられる。
【0219】
これらベクターをピキア細胞および、大腸菌などの細菌細胞のような宿主細胞に導入し、そこでタンパク質が発現される。ピキア株は公知であって容易に入手でき、例えばGS115がある。細菌宿主はlacUVプロモーター(米国特許第4,952,496号参照)などの誘導プロモーターに作動可能なように連結されたT7 RNAポリメラーゼをコードするDNAの染色体コピーを含むことができる。このような宿主としては限定されるものではないが、溶原性大腸菌株BL21(DE3)が挙げられる。
【0220】
発現およびタンパク質産生
SPドメイン、誘導体および類似体は当技術分野で公知の種々の方法によって産生させることができる。例えばSPタンパク質、あるいはそのドメイン、断片または誘導体を発現する組換え細胞が同定されれば、個々の遺伝子産物を単離、分析することができる。これは限定されるものではないが産物を放射性標識した後にゲル電気泳動、免疫アッセイ、マーカー標識産物との架橋により分析するなど、タンパク質の物理的および/または機能的特性に基づいたアッセイによって行う。
【0221】
CVSP14ポリペプチドは限定されるものではないがカラムクロマトグラフィー(例えばイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル排除クロマトグラフィー、逆相高速クロマトグラフィー、高速タンパク質液体クロマトグラフィーなど)、示差遠心分離、示差溶解度またはタンパク質精製に用いる他のいずれかの標準的な技術をはじめとする当技術分野で公知の標準的な方法によって(複合体もしくはタンパク質を発現する天然源または組換え宿主細胞のいずれかから)単離、精製することができる。機能的特性は当技術分野で公知のいずれかの好適なアッセイを用いて評価することができる。
【0222】
あるいは、SPタンパク質またはそのドメインもしくは誘導体が同定されれば、それをコードする遺伝子のヌクレオチド配列からタンパク質のアミノ酸配列を推定することができる。結果としてタンパク質またはそのドメインもしくは誘導体は当技術分野で公知の標準的な化学法によって合成することができる(例えば、Hunkapiller et al, Nature 310:105-111 (1984)参照)。
【0223】
SPタンパク質配列の操作はタンパク質レベルで行うことができる。本明細書ではまた、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、抗体分子またはその他の細胞リガンドとの連結などによる翻訳中または翻訳後に異なる修飾を受けるSPタンパク質、そのドメイン、誘導体または類似体もしくはその断片も意図する。多数の化学修飾はいずれも、限定されるものではないが臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4、アセチル化、ホルミル化、酸化、還元、ツニカマイシンの存在下での代謝合成などによる特異的化学切断をはじめとする公知の技術によって行うことができる。
【0224】
さらに、SPタンパク質のドメイン、類似体および誘導体も化学合成することができる。例えば所望のドメインを含むか、または所望のin vitro活性を媒介するSPタンパク質の一部に相当するペプチドはペプチド合成装置を用いて合成することができる。さらに所望により、非従来型アミノ酸または化学的アミノ酸類似体をSPタンパク質配列へ置換または付加として導入することもできる。非従来型アミノ酸としては、限定されるものではないが、通常アミノ酸のD異性体、a-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、ε-Abu、e-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロ-アミノ酸、またβ-メチルアミノ酸、Ca-メチルアミノ酸、Na-メチルアミノ酸などのデザイナーアミノ酸、および一般にはアミノ酸類似体が挙げられる。また、アミノ酸はD型(右旋型)またはL型(左旋型)であってもよい。
【0225】
天然産物が突然変異を有すると推定されるか、または新しい種から単離される場合、その天然源、ならびにin vitroで発現したもの、またはin vivoもしくはin vitroで合成された発現ベクターから単離されたSPタンパク質のアミノ酸配列はDNA配列の解析から、あるいはまた単離されたタンパク質の直接配列決定によって決定することができる。このような解析はマニュアルシーケンシングにより、または自動アミノ酸シーケネーターの使用によって行うことができる。
【0226】
特にCVSP14のプロテアーゼドメインの発現のためには、シグナル配列なしで細胞内でタンパク質を発現させることが有利であることが分かっており、これによりプロテアーゼドメインを含む封入体が集積または形成されることになる。これらの封入体を単離、変性、可溶化し、プロテアーゼドメインを再折りたたみし、次にこれをRI部位で切断することにより活性化させる(例えば、実施例を参照)。
【0227】
修飾
本明細書ではSPタンパク質およびドの種々の修飾を意図する。SPをコードする核酸分子は当技術分野で公知の多くの方法のいずれかによって修飾される(Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York)。これらの配列を適当な部位で制限酵素にて切断した後、所望によりさらに酵素修飾し、単離してin vitroで連結することができる。SPのドメイン、誘導体または類似体をコードする遺伝子の産生においては修飾した遺伝子が、所望の活性がコードされている遺伝子領域に翻訳停止シグナルによって妨げられない元の翻訳リーディングフレームを確実に保持するよう留意しなければならない。
【0228】
さらにSPをコードする核酸分子は翻訳、開始および/または終結配列を作出および/または破壊するよう、あるいはコード領域にバリエーションを作り出し、かつ/または新たな制限エンドヌクレアーゼ部位を形成または既存のものを破壊してさらなるin vitro修飾を助長するよう、in vitroまたはin vivoで変異させることができる。また、本明細書で記載されるように、Cys残基の置換およびグリコシル化部位の除去など、一次配列の変更を伴うミューテインが考えられる。このような突然変異は、限定されるものではないが、化学的突然変異誘発およびin vitro部位指定突然変異誘発(Hutchinson et al., J. Biol. Chem. 253:6551-6558 (1978))、TAB(登録商標)リンカー(Pharmacia)の使用をはじめとする当技術分野で公知の突然変異誘発技術のいずれかによって達成することができる。ある実施形態では、例えば、SPタンパク質またはそのドメインを蛍光標識を含むように修飾する。他の特定の実施形態では、SPタンパク質を異種機能試薬を有するように修飾するが、このような異種機能試薬はその複合体のメンバーを架橋するために使用できる。
【0229】
SPタンパク質は限定されるものではないが、カラムクロマトグラフィー(例えばイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル排除クロマトグラフィー、逆相高速クロマトグラフィー、高速タンパク質液体クロマトグラフィーなど)、示差遠心分離、示差溶解度またはタンパク質精製に用いる他のいずれかの標準的な技術をはじめとする当技術分野で公知の標準的な方法によって(複合体もしくはタンパク質を発現する天然源または組換え宿主細胞のいずれかから)単離、精製することができる。機能的特性は当技術分野で公知のいずれかの好適なアッセイを用いて評価することができる。
【0230】
F. スクリーニング方法
本明細書で示されるように、一本鎖プロテアーゼドメインはその活性を調節する化合物を同定する種々の方法で使用することができる。腫瘍細胞でより高い活性または発現を示すSPについては、タンパク質分解活性を阻害する化合物が特に注目される。腫瘍細胞でより低いレベルで活性を示すSPについては、活性を増強する化合物または薬剤が注目されることであろう。いずれの場合にも同定される化合物としては候補癌治療薬となる薬剤を含む。
【0231】
数種のアッセイが本明細書に例示、記載されている。このプロテアーゼドメイン部分は他のアッセイでも使用できると考えられる。しかしここでは、一本鎖プロテアーゼドメインが触媒活性を示すことを示す。それ自体in vitroスクリーニングアッセイに理想的なものである。
【0232】
CVSP14全長チモーゲン、活性化酵素、一本鎖および二本鎖プロテアーゼドメインは本明細書で提供されるものをはじめ当業者に公知のいずれのスクリーニングアッセイでの使用も考えられる。よって以下の記載がタンパク質分解アッセイに向けられたものであれば、CVSP14をはじめいずれのSPの一本鎖プロテアーゼドメインまたはその触媒活性部分の使用にも当てはまるものとする。本明細書では結合アッセイなどの他のアッセイ、特にそのスプライス変異体などのいずれかの変異体を含むCVSP14とともに用いるものが提供される。
【0233】
1. SPタンパク質のプロテアーゼ活性を調節する薬剤を同定する触媒アッセイ
本明細書ではSP、特に一本鎖プロテアーゼドメインまたはその触媒活性部分の触媒活性のモジュレーターを同定する方法が提供される。これらの方法は、a)CVSP14、全長チモーゲンまたは活性型、特にその一本鎖ドメインを試験物質の存在下でCVSP14の基質と接触させ、その基質のタンパク質分解作用を検出し、それによりCVSP14の活性を評価し、その活性を対照と比較することによって実施できる。例えば対照は全長チモーゲンまたは活性型、特にその一本鎖ドメインをはじめとするCVSP14をCVSP14の基質と接触させ、その基質のタンパク質分解作用を検出し、それによりCVSP14の活性を評価することによって評価されるCVSP14の活性であってもよい。試験化合物の存在下と不在下での結果を比較する。活性の違いがその試験化合物がCVSP14の活性を調節することを示す。活性化のアクチベーターも考えられ、このようなアッセイを以下に述べる。
【0234】
ある実施形態では、上記スクリーニング法で複数の試験化合物が同時にスクリーニングされる。別の実施形態では、次に標的細胞に特異的である可能性のある薬剤を同定する手段として標的細胞からCVSP14を単離する。
【0235】
もう1つの実施形態では、試験化合物は治療化合物であり、これにより試験化合物の存在下および不在下で測定されたCVSP14活性の違いが標的細胞がその治療化合物に応答することを示す。
【0236】
ある方法は、(a)CVSP14ポリペプチドまたはそのプロテアーゼドメインを1または複数の試験化合物と、そのリガンドと化合物との間の相互作用を助ける条件下で接触させ、さらに(b)その複数のものの中でそのリガンドと特異的に結合する1以上の化合物を同定するステップを含む。
【0237】
本明細書で提供されるもう1つの方法は、a)CVSP14ポリペプチドまたはそのプロテアーゼドメインをCVSP14ポリペプチドの基質と接触させ、その基質のタンパク質分解作用を検出し、それによりCVSP14ポリペプチドの活性を評価し、b)CVSP14ポリペプチドを試験化合物の存在下でCVSP14ポリペプチドの基質と接触させ、その基質のタンパク質分解作用を検出し、それによりCVSP14ポリペプチドの活性を評価し、さらにc)ステップa)およびb)で評価したCVSP14ポリペプチドの活性を比較し、それによりステップa)で測定された活性とステップb)で測定された活性が異なっていれば、その試験物質がCVSP14ポリペプチドの活性を調節することを示す、というステップを含む。
【0238】
もう1つの実施形態では、複数の試験物質が同時にスクリーニングされる。試験物質の存在下と不在下でのCVSP14ポリペプチドの活性を比較してその試験物質がCVSP14ポリペプチドのモジュレーターであるかどうかを評価する際にはその活性を並行してアッセイする必要は必ずしもないが、このような並行測定が典型的である。ある時点でのCVSP14ポリペプチドの活性を測定し、その測定活性をCVSP14ポリペプチド活性の履歴値と比較することができる。
【0239】
例えば試験物質の存在下でのCVSP14ポリペプチド活性を測定し、試験物質の不在下で予め測定したCVSP14ポリペプチド活性の履歴値と比較することができ、逆も可能である。これは例えばアッセイを行うためのキットとともに提供されている添付書類またはパンフレットにCVSP14ポリペプチドの活性を示すことでなし得る。
【0240】
特定のSPの基質を選択する方法は実施例に記載されており、特定のタンパク質分解アッセイが例示されている。
【0241】
組合せおよびその組合せを含むキットが所望によりアッセイの実施の説明書を添付して提供される。これらの組合せとしてはCVSP14ポリペプチドおよびアッセイするCVSP14ポリペプチドの基質、ならびに所望により基質のタンパク質分解作用を検出する試薬を含む。基質は特定のCVSP14ポリペプチドによってタンパク質分解作用を受けるタンパク質をはじめ、発色または蛍光分子であってもよく、CVSP14ポリペプチドの試験基質切断能を調べることで実験的に同定することができる。最も効果的に(すなわち、最低濃度、および/または最高速度、または所望の条件下で)切断される基質が同定される。
【0242】
さらに本明細書では上記の組合せを含むキットが提供される。このキットは所望によりCVSP14ポリペプチド活性のモジュレーターを同定するための説明書を含んでもよい。いずれのCVSP14ポリペプチドもその活性のモジュレーターを同定する標的と考えられる。
【0243】
2. 結合アッセイ
本明細書ではまた、CVSP14と結合する薬剤、特に化合物を同定および単離する方法が提供される。これらのアッセイはチモーゲン型、単離された一本鎖プロテアーゼドメイン(またはCVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインを含むCVSP14ポリペプチド以外のタンパク質)、および全長チモーゲンまたは延長されたプロテアーゼドメインに由来する活性型をはじめとするその活性型と結合する薬剤を同定すべく設計されている。同定された化合物は腫瘍またはその他異常な血管形成を伴う疾患および疾病の治療用の化合物を同定するための候補またはリード化合物となる。本方法で用いるCVSP14ポリペプチドとしては、CVSP14一本鎖プロテアーゼドメインまたはそのタンパク質分解活性部分をはじめ、本明細書で定義されたいずれのCVSP14ポリペプチドも含む。
【0244】
本明細書では種々の方法が提供される。これらの方法は液相またはCVSP14ポリペプチドまたはそのプロテアーゼドメインが直接またはリンカーを介して間接的に固相支持体に結合されている固相反応で行うことができる。スクリーニングアッセイは実施例に記載され、これらのアッセイを用いて候補化合物が同定されている。本明細書の目的では、上記の結合アッセイは全てCVSP14のために提供されている。
【0245】
本明細書ではCVSP14一本鎖プロテアーゼドメイン、チモーゲンまたは全長活性化CVSP14もしくはその二本鎖プロテアーゼドメインと特異的に結合する化合物などの薬剤を同定する方法が提供される。この方法は、(a)CVSP14を1または複数の試験薬剤と、CVSP14と薬剤の間の結合を助ける条件下で接触させ、さらに(b)その複数のものの中でCVSP14と特異的に結合する1以上の薬剤を同定することにより行うことができる。
【0246】
例えば、このような方法の実施においては、CVSP14ポリペプチドを可能性のある結合相手または細胞の抽出液もしくは画分と、可能性のある結合相手とポリペプチドの会合が可能な条件下で混合する。混合した後、CVSP14と会合したペプチド、ポリペプチド、タンパク質またはその他の分子を混合物から分離する。次に、CVSP14と結合した結合相手を取り出し、さらに分析することができる。結合相手を同定および単離するには例えば配列番号6の全開示タンパク質などの完全タンパク質を使用できる。あるいはそのタンパク質の断片を用いてもよい。
【0247】
細胞抽出液、または血液、血漿、尿、汗、滑液、CSFその他のこの種の体液などの体液を得るには種々の方法が使用できる。例えば物理的または化学的破砕法で細胞を破砕してもよい。物理的破砕法の例としては、限定されるものではないが、音波処理および機械剪断が挙げられる。化学溶解法の例としては、限定されるものではないが、界面活性剤溶解および酵素溶解が挙げられる。当業者ならば本方法で用いる抽出液を得るための細胞抽出液調製方法を容易に選定することができる。
【0248】
細胞抽出液が調製されれば、この抽出液とCVSP14を、このタンパク質と結合相手の会合が起こり得る条件下で混合する。ヒト細胞の細胞質内で見られるものに類似する条件をはじめ、種々の条件が使用できる。浸透圧、pH、温度および用いる細胞抽出液の濃度などの特徴はタンパク質と結合相手の会合を至適化すべく変更することができる。同様に体液から目的分子を単離する方法も公知である。
【0249】
適当な条件下で混合した後、結合した複合体を混合物から分離する。混合物を分離するには種々の技術が使用できる。例えばCVSP14に特異的な抗体を用いて結合相手複合体を免疫沈降させることができる。あるいはクロマトグラフィーおよび密度/沈降遠心分離などの標準的な化学的分離技術が使用できる。
【0250】
抽出液中の非会合細胞成分を除去した後、常法を用いて複合体から結合相手を解離させることができる。例えば解離は塩濃度または混合物のpHを変化させることで達成することができる。
【0251】
混合抽出液からの会合した結合相手ペアの分離を助けるため、CVSP14を固相支持体に固定化してもよい。例えばこのタンパク質はニトロセルロースマトリックスまたはアクリルビーズに結合させることができる。タンパク質またはその断片を固相支持体へ結合させれば、その抽出液に見られる他の成分からペプチド/結合相手ペアを分離する際の助けとなる。同定された結合相手は単一のタンパク質か2以上のタンパク質からなる複合体のいずれかであり得る。
【0252】
あるいは一本鎖プロテアーゼをコードする核酸分子は酵母ツーハイブリッド系で使用できる。この酵母ツーハイブリッド系は他のタンパク質の相手のペアを同定するために用いられているが、本明細書に記載の核酸分子を用いるために容易に採用することができる。
【0253】
特にCVSP14に関する別のin vitro結合アッセイでは少なくともこれらのタンパク質の1つの触媒ドメインおよび1以上の候補結合標的または基質を含むポリペプチド混合物を用いる。この混合物を適当な条件下でインキュベートした後、CVSP14または触媒ドメインを含むそのポリペプチド断片が候補基質と結合または相互作用する能力を評価する。細胞フリー結合アッセイでは、化合物のうち1つが検出可能な標識を含むか、または検出可能な標識と結合されている。この標識は放射性、発光、光学密度または電子密度などの直接検出用に提供することもできるし、あるいはエピトープタグ、酵素などの間接的検出用に提供することもできる。標識および他のアッセイ成分の性質に応じ、標識を検出するには種々の方法が使用できる。例えば標識は固相支持体に結合したものを検出することもできるし、あるいは標識を含む結合複合体部分を固相支持体から分離して、その後標識を検出することもできる。
【0254】
3. シグナル伝達の検出
分泌されたCVSP14などのCVSPは、細胞表面レセプターと結合または相互作用することで直接、あるいはシグナル伝達を開始させ得るプロ増殖因子などのタンパク質を活性化することで間接的にシグナル伝達に関与し得る。シグナル伝達を評価するアッセイは当業者に周知のものであり、CVSP14ポリペプチドとともに用いるためにも採用することができる。
【0255】
CVSP14、特に全長または細胞表面にCVSPの細胞外ドメインまたはその機能的部分を固定させるに十分な部分により直接、またはプロ増殖因子の活性化を介して間接的に媒介されるシグナル伝達に影響を及ぼす、または変化をもたらす薬剤を同定するアッセイが提供される。このようなアッセイには例えば、リポーター遺伝子からの発現に対する作用を検出することにより伝達されたシグナルの調節作用を評価する転写に基づくアッセイが挙げられる(例えば米国特許第5,436,128号参照)。
【0256】
4. CVSP14をコードする核酸の発現を調節する薬剤を同定する方法
もう1つの実施形態ではCVSP14をコードする核酸の発現を調節する薬剤を同定する方法を提供する。このようなアッセイではCVSP14をコードする核酸の発現レベルの変化をモニタリングするいずれかの利用可能な手段を用いる。
【0257】
あるアッセイ形式では、CVSP14またはそのドメイン、特にプロテアーゼドメインのオープンリーディングフレームとアッセイ可能ないずれかの融合相手との間のリポーター遺伝子融合物を含む細胞株を調製することができる。ホタル・ルシフェラーゼ遺伝子およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子をはじめ多くのアッセイ可能な融合相手が公知であり、容易に利用できる(Alam et al., Anal. Biochem. 188: 245-54 (1990))。次にこのリポーター遺伝子融合物を含む細胞株を適当な条件および時間で試験薬剤に曝す。薬剤に曝したサンプルと対照サンプル間のリポーター遺伝子の発現の違いにより、CVSP14をコードする核酸の発現を調節する薬剤が同定される。
【0258】
さらなるアッセイ形式を用い、薬剤がCVSP14をコードする核酸の発現を調節する能力をモニタリングすることもできる。例えば核酸とのハイブリダイゼーションによりmRNAの発現を直接モニタリングすることができる。細胞株を適当な条件および時間で試験薬剤に曝し、標準的な手法により全RNAまたはmRNAを単離する(例えば、Sambrook et al. (1989) MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press参照)。これらの核酸から、薬剤に曝した細胞と対照細胞の間のRNA発現レベルにおける差を検出するためのプローブを調製することができる。必ずしも必要ではないが、高ストリンジェンシー条件下で標的核酸とだけハイブリダイズするプローブを設計するのが典型的である。高ストリンジェンシー条件下では相補性の高い核酸ハイブリッドだけが生じる。従って、アッセイ条件のストリンジェンシーはハイブリッドを形成するために2つの核酸鎖の間に存在しなければならない相補性の程度を決定する。ストリンジェンシーはプローブ:標的ハイブリッドと存在し得るプローブ:非標的ハイブリッド間の安定性の差が最大となるように選択しなければならない。
【0259】
プローブは当技術分野で公知の方法により核酸から設計することができる。例えば、プローブのG+C含量およびプローブ長はプローブの標的配列との結合に影響を与える。プローブの特異性を至適化する方法もよく用いられる(例えば、Sambrook et al. (1989) MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press;およびAusubel et al. (1995) CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, Greene Publishing Co., NY参照)。
【0260】
ハイブリダイゼーション条件は各プローブの必要に応じて公知の方法を用いて改変する(例えば、Sambrook et al. (1989) MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press);およびAusubel et al. (1995) CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, Greene Publishing Co., NY参照)。全細胞RNAまたはポリA RNA富化RNAのハイブリダイゼーションは利用可能ないずれの形式によっても達成することができる。例えば全細胞RNAまたはポリA RNA富化RNAは固相支持体に固定することができ、この固相支持体を少なくとも1種の核酸分子、または1種の核酸分子の一部を含む少なくとも1種のプローブに、そのプローブが特異的にハイブリダイズする条件下で曝す。あるいは少なくとも1種の配列、または1種の配列の一部を含む核酸断片を多孔質ガラスウエハーなどの固相支持体に固定化してもよい。次にこのガラスウエハーをサンプル由来の全細胞RNAまたはポリA RNAに、固定化した配列が特異的にハイブリダイズする条件下で曝すことができる。このようなガラスウエハーおよびハイブリダイゼーション法は広く利用でき、例えばBeattie (WO 95/11755)が開示したものがある。あるプローブが非処理細胞集団および薬剤に曝した細胞集団からのRNAサンプルと特異的にハイブリダイズする能力を調べることにより、CVSP14ポリペプチドをコードする核酸の発現をアップレギュレートまたはダウンレギュレートする薬剤が同定される。
【0261】
ある形式では、非曝露対照細胞集団に対する、試験薬剤に曝した細胞集団の相対的タンパク質量をアッセイすることができる(例えば、前立腺癌細胞株、肺癌細胞株、大腸癌細胞株、または乳癌細胞株)。この形式では、特異的抗体などのプローブを用いて種々の細胞集団または体液中のタンパク質の発現または活性レベルの違いをモニタリングする。細胞株または集団または体液は適当な条件および時間で試験薬剤に曝す。細胞溶解液または体液は曝露した細胞株または集団と対照となる非曝露細胞株または集団または非曝露体液から調製することができる。これらの細胞溶解液または体液を次にプローブを用いて分析する。
【0262】
例えば、CVSP14のNおよびC末端断片を細菌内で発現させ、これを用いてこれらの断片と結合するタンパク質を探すことができる。CVSP14のNまたはC末端領域に対するHis-タグまたはGSTの融合など、基質として用いる融合タンパク質を調製することができる。これらの融合タンパク質は例えばグルタチオン-セファロースビーズに結合させた後、細胞溶解液または体液でプロービングすることができる。溶解前に細胞または体液はCVSP14またはそのドメインと相互作用するタンパク質を調節し得る候補薬剤で処理することができる。融合タンパク質と結合する溶解タンパク質は当技術分野で公知のように、SDS-PAGEにより分離し、単離し、タンパク質配列決定または質量分析によって同定することができる。
【0263】
抗体プローブはそれらが十分な長さであれば(例えば、CVSP14ポリペプチドの4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40またはそれ以上の連続するアミノ酸)ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を用いて、あるいは免疫原性を増強する必要があれば好適な担体と結合させて、適当な免疫化プロトコールで好適な哺乳類宿主を免疫化することで作製される。ウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペット・ヘモシアニン(KLH)またはその他の担体タンパク質などの担体による免疫コンジュゲートの調製方法は当技術分野で周知のものである。例えばカルボジイミド試薬を用いた直接コンジュゲーションが有効な場合もあるし、Pierce Chemical Co., Rockford, ILが供給しているものなどの架橋試薬がハプテンに接近性を与える上で望ましい場合もある。ハプテンペプチドは例えば担体との結合を促進すべく、Cys残基を有する、またはシステイン残基が散在したアミノまたはカルボキシ末端のいずれかで延長し得る。免疫原の投与は当技術分野で一般に理解されているように適切な期間、適切なアジュバントを用いて通常注射により行う。免疫化過程中は抗体の力価を求め、抗体形成の妥当性を調べる。
【0264】
抗ペプチド抗体は例えばCVSP14のカルボキシ末端アミノ酸に相当する合成ペプチドを用いて作製することができる。合成ペプチドは1〜3アミノ酸長、通常は少なくとも4以上のアミノ酸残基長といった短いものであってよい。これらのペプチドは標準的な方法を用いてKLHに結合させることができ、ウサギまたは有蹄類などの動物へ感作させることができる。次に例えば共有結合ペプチドを含むActigelビーズを用いてポリクローナル抗体を精製することができる。
【0265】
このようにして作製されたポリクローナル抗血清はいくつかの適用には満足のいくものであるが、医薬組成物としてはモノクローナル製剤が一般に用いられる。目的のモノクローナル抗体を分泌する不死化細胞株はKohler et al., (Nature 256: 495-7 (1975))の標準的な方法、または一般に知られているようにリンパ球または脾臓細胞の不死化を行う改変法を用いて作製することができる。目的抗体を分泌する不死化細胞株は、抗体がペプチドハプテン、ポリペプチドまたはタンパク質である免疫アッセイによってスクリーニングされる。目的抗体を分泌する適当な不死化細胞培養物が確認されれば、これらの細胞をin vitroまたは腹水によりin vivo産生させることで培養することができる。CVSP14の触媒ドメインを認識するモノクローナル抗体が特に注目される。
【0266】
さらにチモーゲンまたは二本鎖型のCVSP14を用いてコンホメーションエピトープを認識するモノクローナル抗体を作製することもできる。次に培養上清または腹水上清から目的のモノクローナル抗体を回収する。完全な抗体と同様に免疫学的に有意な部分を含むモノクローナルまたはポリクローナル抗血清のフラグメントもアンタゴニストとして使用できる。Fab、Fab'、F(ab')2フラグメントなどの免疫反応性フラグメントは、これらフラグメントが通常完全な免疫グロブリンよりも免疫原性が低いことから特に治療に関して用いられる場合が多い。
【0267】
これらの抗体またはフラグメントも製造可能である。また、複数種の起源を持つキメラに関してはレセプターの目的領域に特異的に結合する領域を作製することもできる。
【0268】
上記方法でアッセイされる薬剤は無作為に選択することもできるし、あるいは合理的に選択または設計することもできる。
【0269】
薬剤は例えばペプチド、小分子および炭水化物であってもよい。当業者ならば薬剤の構造特性については制限がないことが容易に分かるであろう。
【0270】
ペプチド薬剤は当技術分野で公知のように標準的な固相(または液相)ペプチド合成法を用いて調製することができる。さらにこれらのペプチドをコードするDNAも市販のオリゴヌクレオチド合成装置を用いて合成し、標準的な組換え生産系を用いて組換え生産することができる。遺伝子にコードされないアミノ酸が含まれる場合には固相ペプチド合成を用いた生産が必要となる。
【0271】
G. CVSP14ポリペプチドの少なくとも1つの活性を調節する試験物質のアッセイ形式および選択
CVSP14の少なくとも1つの活性を調節する薬剤の同定方法を提供する。これらの方法にはファージディスプレーおよびその他CVSP14の活性における変化を評価する方法が含まれる。このような方法またはアッセイでは目的の活性をモニタリングまたは検出するいずれの手段を用いてもよい。スクリーニングアッセイを行うには種々の形式および検出プロトコールが知られている。このような形式およびプロトコールのいずれかをCVSP14ポリペプチド活性のモジュレーターの同定に採用することができる。以下、プロトコール例について述べる。
【0272】
1. ハイスループットスクリーニングアッセイ
上記のアッセイは単一のCVSP14ポリペプチドをスクリーニングする、かつ/または1回のアッセイで単一の試験物質をスクリーニングする場合に実施することもできるが、このアッセイは典型的にはハイスループットスクリーニング方式、すなわち複数のSPタンパク質が、かつ/または複数の試験物質に対して同時にスクリーニングされる方式で実施される(一般には、High Throughput Screening: The Discovery of Bioactive Substances (Devlin, Ed.) Marcel Dekker, 1997; Sittampalam et al., Curr. Opin. Chem. Biol., 1:384-91 (1997);およびSilverman et al, Curr. Opin. Chem. Biol., 2:397-403 (1998)参照)。例えば、このアッセイはマルチウェル(例えば、24、48、96、384、1536ウェル、またはそれ以上の密度)、チップまたはアレイ形式で行うことができる。
【0273】
ハイスループットスクリーニング(HTS)は疾病標的に対して多数の多様な化学構造を調べて「ヒット」を確認する方法である(Sittampalam et al., Curr. Opin. Chem. Biol., 1:384-91 (1997))。HTS法の分野の現在の水準はサンプル調製、アッセイ手順およびその後の膨大なデータの処理を取り扱うべく高度に自動化およびコンピューター化されている。
【0274】
ハイスループットスクリーニングで用いられる検出技術は検討する生化学経路の種類によって異なる(Sittampalam et al., Curr. Opin. Chem. Biol., 1:384-91 (1997))。これらの方法としては、種々の酵素アッセイに採用できるシンチレーションプロキシミティーアッセイ(SPA) などの放射性化学法(Lerner et al., J. Biomol. Screening, 1:135-143 (1996); Baker et al., Anal. Biochem., 239:20-24 (1996); Baum et al., Anal. Biochem., 237:129-134 (1996);およびSullivan et al., J. Biomol. Screning 2:19-23 (1997))およびタンパク質-タンパク質相互作用アッセイ(Braunwalder et al., J. Biomol. Screening 1:23-26 (1996); Sonatore et al., Anal. Biochem. 240:289-297 (1996);およびChen et al., J. Biol. Chem. 271:25308-25315 (1996))、ならびに限定されるものではないが比色および発光検出法、共鳴エネルギー転移(RET)法、時間分解蛍光(HTRF)法、細胞蛍光アッセイ、例えば蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)法(例えば、Gonzalez et al., Biophys. J., 69:1272-1280 (1995)参照)、蛍光偏光または異方性法(例えば、Jameson et al., Methods Enzymol. 246:283-300 (1995); Jolley, J. Biomol. Screening 1:33-38 (1996); Lynch et al., Anal. Biochem. 247:77-82 (1997))、蛍光補正分光光度法、その他この種の方法をはじめとする非同位元素的検出法が挙げられる。
【0275】
2. 試験物質
小分子、抗体、タンパク質、核酸、ペプチド、ならびにそれらのライブラリーおよびコレクションを含む試験化合物は上記アッセイおよび以下に記載するCVSP14ポリペプチド活性を調節する化合物を同定するためのアッセイでスクリーニングすることができる。候補化合物をスクリーニングおよび同定するにはコンピューター化学を利用した合理的創薬の方法論を用いることができる。
【0276】
これらのスクリーニング法によって同定される化合物としてはアンタゴニストをはじめとする阻害剤が挙げられ、またアゴニストであってもよい。スクリーニングのための化合物としては、利用できる、既知の、または作製可能ないずれの化合物および化合物コレクションも含む。
【0277】
a. 化合物の選択
化合物はそれらのセリンプロテアーゼ、特にCVSP14ポリペプチドの阻害の効力および選択性に関して選択できる。本明細書に記載するように、また、周知のように、標的セリンプロテアーゼおよびその基質はプロテアーゼとその基質の反応を可能とするアッセイ条件下で合わせる。アッセイは試験化合物の不在下と増加濃度の試験化合物の存在下で行う。セリンプロテアーゼ活性の50%が試験化合物によって阻害される試験化合物濃度が、その化合物のIC50値(阻害剤濃度)またはEC50値(有効濃度)である。一連の、または一群の試験化合物の中でIC50またはEC50値が高い化合物よりもIC50またはEC50値が低いものほど、より強力なセリンプロテアーゼ阻害剤であると考えられる。このIC50測定は比較的単純なアッセイに用いられ、EC50は細胞を用いるものなどより複雑なアッセイ用いられる場合が多い。
【0278】
候補化合物は、CVSP14ポリペプチド活性の阻害に関してin vitroアッセイで測定した場合、100nM以下のIC50値を持つのが典型である。これらの試験化合物はまたセリンプロテアーゼに対する選択性でも評価する。本明細書に記載するように、また周知のように、試験化合物はセリンプロテアーゼおよびその他の酵素のパネルに対してその効力をアッセイし、それぞれのアッセイ系で各試験化合物のIC50値またはEC50値を求める。標的酵素、例えばCVSP14ポリペプチドに対して低いIC50値またはEC50値を示し、かつ、試験パネル内の他の酵素(例えば、ウロキナーゼ組織プラスミノーゲンアクチベーター、トロンビン、Xa因子)に対して高いIC50値またはEC50値を示す化合物がその標的酵素に対して選択性があると考えられる。一般に標的酵素アッセイにおけるIC50値またはEC50値が選択性酵素パネルにおいて測定された、その次に小さいIC50値またはEC50値よりも少なくとも1オーダー小さければその化合物は選択性があるとみなす。
【0279】
化合物はまたそれらのin vivo活性についても評価する。試験化合物の評価のために選択されるアッセイの種類はその化合物によって治療または予防しようとする病態、ならびに試験化合物について評価しようとする投与経路によって異なる。
【0280】
例えば
CVSP14ポリペプチドの阻害によって腫瘍増殖を減退させる化合物の活性を評価するにはJankun et al., Canc. Res. 57:559-563 (1997)が記載したPAI-1評価のための方法が使用できる。要するに、ATCC細胞株DU145およびLnCaPをSCIDマウスに注射する。腫瘍が確立した後、その化合物のin vitro特性から決定した投与計画に従ってマウスに試験化合物を与える。Jankun et al.は化合物を水で投与した。約5週間の間、週に2回腫瘍の体積を測定した。化合物を投与した動物が適当な対照化合物を投与した動物に比べて腫瘍体積の低下を示せば、その化合物は活性があるとみなす。
【0281】
腫瘍体積の減少に対するブタプロテアーゼ阻害剤p-アミノベンズアミジンの作用を評価すべく設計した別のin vivo試験モデルがBillstrom et al., Int. J. Cancer 61:542-547 (1995)により記載されている。
【0282】
化合物が転移の発生を軽減する、または転移を抑制する能力を評価するには、Kobayashi et al. Int. J. Canc. 57:727-733d (1994)が記載している手法を使用することができる。要するに、肺定着能の高いものとして選択したネズミ異種移植片をC57B1/6マウスへ静脈注射(実験的転移)または腹壁へ皮下注射(自発的転移)する。試験する種々の濃度の化合物は注射前にマトリゲル中の腫瘍細胞に混合させればよい。腫瘍接種後1〜6日目かまたは7〜13日目かのどちらかに試験化合物の腹腔内注射を毎日行った。この動物を腫瘍接種後約3〜4週間で犠牲にし、肺の腫瘍コロニーを計数する。得られたデータの評価から試験化合物、最適用量および投与経路の効果に関する判断が可能となる。
【0283】
腫瘍体積および転移の減少に対する試験化合物の活性は、それらの阻害剤を評価するためのRabbani et al., Int. J. Cancer 63:840-845 (1995)に記載のモデルで評価できる。そこへ、Mat LyLu腫瘍細胞をコペンハーゲンラットの脇腹に注射した。継続して種々の用量の試験化合物を最高3週間投与するため、この動物に浸透圧小型ポンプを埋め込んだ。試験中、転移が増大するにつれ、実験動物および対照動物の腫瘍重および腫瘍体積を評価した。得られたデータの評価から試験化合物、最適用量および投与経路の効果に関する判断が可能となる。これらの著者のうち何人かがXing et al., Canc. Res. 57:3585-3593 (1997)に関連プロトコールを記載している。
【0284】
化合物の抗血管形成活性を評価するには、ウサギ角膜の血管新生モデルを使用することができる(例えば、 Avery et al. (1990) Arch. Ophthalmol., 108:1474-147参照)。Avery et al.はニュージーランド白ウサギを麻酔した後、角膜中央の切開を行い、放射状の角膜ポケットを形成することを記載している。徐放性のプロスタグランジンペレットをこのポケット内に置き、血管新生を誘発した。試験化合物を5日間腹腔内投与し、その時点で動物を犠牲にした。試験化合物の作用は、血管新生応答およびそれによる角膜縁の血管新生の面積を算出するのに使用できる角膜輪部を撮影した断続写真を観察して評価する。適当な対照と比較して血管新生の領域が小さくなればその試験化合物が血管新生の減少または阻害に有効であることを示す。
【0285】
血管形成の抑制における試験化合物の効果を評価するのに用いる血管形成モデルはMin et al., Canc. Res. 56:2428-2433 (1996)に記載されている。C57BL6マウスに、血管形成誘発剤としてbFGFを含むマトリゲル混合物を試験化合物とともに、また化合物を伴わずに皮下注射した。5日後、この動物を犠牲にし、血管新生を可視化できるマトリゲルプラグを撮影する。マトリゲルおよび有効量の試験化合物を投与した実験動物は、対照動物もしくは有効量未満の、または有効量を含まない化合物を投与した実験動物よりも低い血管新生を示した。
【0286】
一次腫瘍の拡散を制限する能力について化合物を試験すべくデザインされたin vivo系が、Crowley et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 90:5021-5025 (1993)に記載されている。ヌードマウスに、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)を発現するよう操作した腫瘍細胞(PC3)を注射する。腫瘍サイズおよび/または転移を減少させるそれらの能力について試験する化合物を動物に投与した後、腫瘍サイズおよび/または転移増殖の測定を行う。さらにまた、種々の臓器で検出されたCATレベルは試験化合物の転移阻害能の指標となり、対照動物に対して処理動物の組織でCATの検出が少なければその組織に移動したCAT発現細胞が少ないことを示す。
【0287】
In vivo実験様式は、侵襲性が高いことが知られている腫瘍細胞系F3IIを用い、試験セリンプロテアーゼ阻害剤の抑制能を評価するように計画する(例えば、Alonso et al., Breast Canc. Res. Treat. 40:209-223 (1996)参照)。Alonsoは毒性測定、腫瘍増殖、侵襲性、自発的転移、実験的肺転移、および血管形成アッセイに関するin vivo研究を記載している。
【0288】
CAMモデル(ニワトリ胚絨毛尿膜モデル)は最初に1998年にL. Ossowski(J. Cell Biol. 107:2437-2445 (1988))によって記載されたが、これは試験化合物の阻害活性を評価するもう一つの方法を提供する。CAMモデルでは、腫瘍細胞はいくつかのセリンプロテアーゼ阻害剤の存在下で腫瘍細胞を有するCAMを含む絨毛尿膜を通じて浸潤するが、その結果、膜を経た腫瘍細胞の浸潤は少ないか全くない。従って、CAMアッセイは種々の濃度の試験化合物の存在下および不在下でCAMおよび腫瘍細胞を用いて実施する。腫瘍細胞の侵襲性は化合物の阻害活性の指標となるような条件下で測定する。阻害活性を有する化合物は腫瘍浸潤が低いことと関係する。
【0289】
CAMモデルは標準の血管形成アッセイにも用いられる(すなわち、新しい血管の形成に作用する)(Brooks et al. Methods in Molecular Biology 129:257-269 (1999)))。このモデルによれば、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFDG)などの血管形成インデューサーを含むフィルターディスクをCAM上に置く。サイトカインのCAM中への拡散が局部的な血管形成を誘発し、これはフィルターディスクのすぐ下のCAM内の血管分岐点の数を計数するなどいくつかの方法で測定できる。同定された化合物のサイトカイン誘発性血管形成阻害能はこのモデルを用いて試験することができる。試験化合物は血管形成インデューサーを含むフィルターディスクに加えてもよいし、膜に直接置いてもよいし、全身投与してもよい。試験化合物の存在下および/または不在下での新規の血管形成の程度はこのモデルを用いて比較することができる。試験化合物の存在下で新しい血管の形成が少ないことが、抗血管形成活性の指標となる。CVSP14ポリペプチドの阻害剤に対する抗血管形成活性を証明することは、そのSPタンパク質の血管形成における役割を示すものである。
【0290】
b. 既知のセリンプロテアーゼ阻害剤
スクリーニングのための化合物は、そのCVSP14活性阻害能を試験し得るセリンプロテアーゼ阻害剤であり得る。例えばスクリーニングアッセイで用いるセリンプロテアーゼ阻害剤としては、限定されるものではないが、セリンプロテアーゼ阻害剤3(SPI-3)(Chen, et al., Citokine, 11:856-862 (1999));アプロチニン(Iijima, R., et al., J. Biochem. (Tokyo) 126:912-916 (1999));Kazal型セリンプロテアーゼ阻害剤様タンパク質(Niimi, et al. Eur. J. Biochem., 266:282-292 (1999));Kunitz型セリンプロテアーゼ阻害剤(Ravichandran, S., et al., Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr., 55:1814-1821 (1999));組織因子経路阻害剤-2/マトリックス関連セリンプロテアーゼ阻害剤(TFPI-2/MSPI)、(Liu, Y. et al. Arch. Biochem. Biophys. 370:112-8 (1999));Bukunin(Cui, C.Y. et al. J. Invest. Dermatol. 113:182-8 (1999));メシル酸ナファモスタット(Ryo, R. et al. Vox Sang. 76:241-6 (1999));TPCK(Huang et al. Oncogene 18:3431-3439 (1999));合成綿結合セリンプロテアーゼ阻害剤(Edwards et al. Wound Repair Regen. 7:106-18 (1999)); FUT-175 (Sawada, M. et al. Stroke 30:644-50 (1999));セリンプロテアーゼ阻害剤FUT-0175およびトロンボキサン合成酵素阻害剤OKY-046の組合せ(Kaminogo et al. Neurol. Med. Chir. (Tokyo) 38:704-8; discussion 708-9 (1998));ラットセリンプロテアーゼ阻害因子2.1遺伝子(LeCam, A., et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 253:311-4 (1998));グランザイムBを有するラット下垂体複合体で発現する新規の細胞内セリンプロテアーゼ阻害剤(Hill et al. FEBS Lett. 440:361-4 (1998));3,4-ジクロロイソクマリン(Hammed et al. Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 219:132-7 (1998));LEX032(Bains et al. Eur. J. Pharmacol. 356:67-72 (1998));N-トシル-L-フェニルアラニンクロロメチルケトン(Dryjanski et al. Biochemistry 37:14151-6 (1998));セリンプロテアーゼ阻害剤ニューロセルピンのマウス遺伝子(P112)(Berger et al. Gene, 214:25-33 (1998));ラットセリンプロテアーゼ阻害剤2.3遺伝子(Paul et al. Eur. J. Biochem. 254:538-46 (1998));Ecotin(Yang et al. J. Mol. Biol. 279:945-57 (1998));14kDaの植物関連セリンプロテアーゼ阻害剤(Roch et al. Dev. Comp. Immunol. 22(1):1-12 (1998));マトリックス関連セリンプロテアーゼ阻害剤TFPI-2/33kDa MSPI(Rao et al. Int. J. Cancer 76:749-56 (1998));ONO-3403(Hiwasa et al., Cancer Lett. 126:221-5 (1998));ブデラスタシン(Bdellastasin)(Moser et al. Eur. J. Biochem. 253:212-20 (1998));ビクニン(Xu et al. J. Mol. Biol. 276:955-66 (1998));メシル酸ナファモスタット(Mellgren et al. Thromb. Haemost. 79:342-7 (1998));増殖ホルモン依存性セリンプロテアーゼ阻害剤Spi 2.1(Maake et al. Endocrinology 138:5630-6 (1997));2型増殖因子アクチベーター阻害剤、Kunitz型セリンプロテアーゼ阻害剤(Kawaguchi et al. J. Biol. Chem., 272:27558-64 (1997));エジプトツチイナゴ(Schistocercga gregaria)の卵巣由来の熱安定型セリンプロテアーゼ阻害剤タンパク質(Hamdaoui et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 238:357-60 (1997));ヒト胎盤肝細胞増殖因子アクチベーター阻害剤、Kunitz型セリンプロテアーゼ阻害剤(Shimomura et al. J. Biol. Chem. 272:6370-6 (1997));FUT-187、経口セリンプロテアーゼ阻害剤(Shiozaki et al. Gan To Kaguku Ryoho, 23(14): 1971-9 (1996));細胞外マトリックス関連セリンプロテアーゼ阻害剤(Mr 33,000、31,000、および27,000)(Rao, C.N., et al., Arch. Biochem. Biophys., 335:82-92 (1996));不可逆性イソクマリンセリンプロテアーゼ阻害剤(Palencia, D.D., et al., Biol. Reprod., 55:536-42 (1996));4-(2-アミノエチル)-ベンゼンスルホニルフルオリド(AEBSF)(Nakabo et al. J. Leukoc. Biol. 60:328-36 (1996));ニューロセルピン(Osterwalder, T., et al., EMBO J. 15:2944-53 (1996));ヒトセリンプロテアーゼ阻害剤α-1-抗トリプシン(Forney et al. J. Parasitol.. 82:496-502 (1996));ラットセリンプロテアーゼ阻害剤2.3(Simar-Blanchet, A.E., et al., Eur. J. Biochem., 236:638-48 (1996));メシル酸ガベキサート(parodi, F., et al., J. Cardiothorac. Vasc. Anesth. 10:235-7 (1996));組換えセリンプロテアーゼ阻害剤、CPTI II(Stankiewicz, M., et al., (Acta Biochim. Pol., 43(3):525-9 (1996));システイン富化セリンプロテアーゼ阻害剤(Guamerin II)(Kim, D.R., et al., J. Enzym. Inhib., 10:81-91 (1996));ジイソプロピルフルオロホスフェート(Lundqvist, H., et al., Inflamm. Res., 44(12):510-7 (1995));ネキシン1(Yu, D.W., et al., J. Cell Sci., 108(Pt 12):3867-74 (1995));LEX032(Scalia, R., et al., Shock, 4(4):251-6 (1995));プロテアーゼネキシンI(Houenou, L.J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 92(3):895-9 (1995));キマーゼ標的セリンプロテアーゼ阻害剤(Woodard S.L., et al., J. Immunol., 153(11):5016-25 (1994));N-α-トシル-L-リシル-クロロメチルケトン(TLCK)(Bourinbaiar, A.S., et al., Cell Immunol., 155(1):230-6 (1994));Smpi56(Ghendler, Y., et al., Exp. Parasitol., 78(2):121-31 (1994));ビルハルツ住血吸虫セリンプロテアーゼ(Blanton, R.E., et al., Mol. Biochem. Parasitol., 63(1):1-11 (1994));Spi-1(Warren, W.C., et al., Mol. Cell Endocrinol., 98(1):27-32 (1993));TAME(Jessop, J.J., et al., Inflammation, 17(5):613-31 (1993));アンチトロンビンIII(Kalaria, R.N., et al., Am. J. Pathol., 143(3):886-93 (1993));FOY-305(Ohkoshi, M., et al., Anticancer Res., 13(4):963-6 (1993));メシル酸カモスタット(Senda, S., et al., Intern. Med., 32(4):350-4 (1993));色素上皮由来因子(Steele, F.R., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90(4):1526-30 (1993));アンチスタシン(Holstein, T.W., et al., FEBS Lett., 309(3):288-92 (1992));セリンプロテアーゼ阻害剤をコードするワクシニアウイルスK2L遺伝子(Zhou, J., et al., Virology, 189(2):678-86 (1992));Bowman-Birkセリンプロテアーゼ阻害剤(Werner, M.H., et al., J. Mol. Biol., 225(3):873-89 (1992);FUT-175(Yanamoto, H., et al., Neurosurgery, 30(3):358-63 (1992));FUT-175;(Yanamoto, H., et al., Neurosurgery, 30(3):351-6, discussion 356-7 (1992));PAI-I(Yreadwell, B.V., et al., J. Orthop. Res., 9(3):309-16 (1991));3,4-ジクロロイソクマリン(Rusbridge, N.M., et al., FEBS Lett., 268(1):133-6 (1990));α1-抗キモトリプシン(Lindmark, B.E., et al., Am. Rev. Respir. Des., 141(4 Pt 1):884-8 (1990));P-トルエンスルホニル-L-アルギニンメチルエステル(TAME)(Scuderi, P., J. Immunol., 143(1):168-73 (1989));α1-抗キモトリプシン(Abraham, C.R., et al., Cell, 52(4):487-501 (1988));コントラプシン(Modha, J., et al., Parasitology, 96 (Pt 1):99-109 (1988));α2-抗プラスミン(Holmes, W.E., et al., J. Biol. Chem., 262(4):1659-64 (1987));3,4-ジクロロイソクマリン(Harper, J.W., et al., Biochemistry, 24(8):1831-41 (1985));ジイソプロピルフルオロホスフェート(Tsutsui, K., et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 123(1):271-7 (1984));メシル酸ガベキサート(Hesse, B., et al., Pharmacol. Res. Commun., 16(7):637-45 (1984));フェニルメチルスルホニルフルオリド(Dufer, J., et al., Scand. J. Haematol., 32(1):25-32 (1984));プロテアーゼ阻害剤CI-2(McPhalen, C.A., et al., J. Mol. Biol., 168(2):445-7 (1983));フェニルメチルスルホニルフルオリド(Sekar V., et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 89(2):474-8 (1979));PGE1(Feinstein, M.D., et al., Prostaglandine, 14(6):1075-93 (1977)が挙げられる。
【0291】
c. コンビナトリアルライブラリーおよびその他のライブラリー
スクリーニングアッセイのための化合物源は、限定されるものではないが、コンビナトリアルライブラリーをはじめとするライブラリーであってよい。コンビナトリアルライブラリーの合成法およびかかるコンビナトリアルライブラリーの特徴は当技術分野において公知である(一般的に、Combinatorial Libraries: Synthesis, Screening and Application Potential (Cortese Ed.) Walter de Gruyter, Inc., 1995; Tietze and Lieb, Curr. Opin. Chem. Biol., 2(3):363-71 (1998); Lam, Anticancer Drug Des., 12(3):145-67 (1997); Blaney and Martin, Curr. Opin. Chem. Biol., 1(1):54-9 (1997); および Schultz and Schultz, Biotechnol. Prog., 12(6):729-43 (1996)参照)。
【0292】
様々なライブラリー、主にペプチドおよびヌクレオチドに基づくオリゴマーライブラリーを生成する方法および戦略は、分子生物学的方法および/または同時化学合成方法論を用いて開発されてきた(例えば、Dower et al., Annu. Rep. Med. Chem., 26:271-280 (1991); Fodor et al., Science, 251:767-773 (1991); Jung et al., Angew. Chem. Ind. Ed. Engl., 31:367-383 (1992); Zuckerman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4505-4509 (1992); Scott et al., Science, 249:386-390 (1990); Devlin et al., Science, 249:404-406 (1990); Cwirla et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378-6382 (1990);およびGallop et al., J. Medicinal Chemistry, 37:1233-1251 (1994)参照)。得られるコンビナトリアルライブラリーは何百万もの化合物を含む可能性があり、これをスクリーニングして選択した活性を示す化合物を同定することができる。
【0293】
このライブラリーは大きく3つのカテゴリー:ランダムペプチドまたはタンパク質が、プラスミドから発現したファージ粒子またはタンパク質の表面に提示される融合タンパク質ディスプレーペプチドライブラリー;個々の化合物または化合物の混合物が、樹脂ビーズ(例えば、Lam et al., Nature, 354:82-84 (1991)参照)および綿支持体(例えば、Eichler et al., Biochemistry 32:11035-11041 (1993)参照)などの不溶性マトリックス上に提示される支持体結合合成化学ライブラリー;および、これらの化合物を液相で用いる方法(例えば、Houghten et al., Nature, 354:84-86 (1991); Houghten et al., BioTechniques, 313:412-421 (1992);およびScott et al., Curr. Opin. Biotechnol., 5:40-48 (1994)参照)に分類される。合成ペプチドおよびオリゴヌクレオチドコンビナトリアルライブラリーには多数の例があり、非ペプチド系有機小分子を含むライブラリーの作製には多くの方法がある。このようなライブラリーは、合して多様な有機分子の混合物を形成する、または合して選択されたファーマコフォア(薬理的作用団)モノマーに基づくライブラリーを形成し得るモノマーの基本セットに基づくものであり得る。
【0294】
ランダムコンビナトリアルライブラリーまたは決定論的コンビナトリアルライブラリーのいずれもがここで開示および/または請求されるスクリーニング方法によってスクリーニング可能である。これら2つのライブラリーでは、このライブラリーの各ユニットが固相支持体上で単離および/または固定化できる。決定論的ライブラリーでは、先験的に各固相支持体上の特定のユニットの位置が分かっている。ランダムライブラリーでは、特定のユニットの位置は先験的には分からないが、各部位はなお単一の独特のユニットを含む。ライブラリーを作成する多くの方法が当業者に公知である(例えば、Geysen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:3998-4002 (1984), Houghten et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:5131-5135 (1985)参照)。当業者に公知のいずれの技術によって作成されるコンビナトリアルライブラリーも意図される(例えば、スクリーニングに関してはSchultz and Schultz, Biotechnol. Prog., 12(6):729-43 (1996)の表1; Bartel et al., Science, 261:1411-1418 (1993); Baumbach et al. BioPharm, (Can):24-35 (1992); Bock et al. Nature, 355:564-566 (1992); Borman, S., Combinatorial chemists focus on samll molecules molecular recognition, and automation, Chem. Eng. 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【0295】
例えば、CVSP14ポリペプチドまたはSPタンパク質のプロテアーゼドメインと結合するペプチドはファージディスプレーライブラリーを用いて同定できる。例としての実施形態では、この方法には、a)ファージライブラリーのファージをCVSP14ポリペプチドまたはそのプロテアーゼドメインに接触させ;(b)そのタンパク質と結合するファージを単離し;さらに(c)単離したファージにコードされる少なくとも1つのペプチドを同定し、CVSP14ポリペプチドと結合するペプチドを同定することを含み得る。
【0296】
H. CVSP14ポリペプチド活性のモジュレーター
本明細書では、スクリーニングにより同定された、あるいはその他のスクリーニング方法でCVSP14ポリペプチドまたはプロテアーゼドメインを用いて生成された、CVSP14活性を調節する化合物を提供する。これら化合物は直接CVSP14ポリペプチドと相互作用することによって作用するか、またはその転写または翻訳を変化させることによって作用する。このような分子としては、限定されるものではないが、CVSP14ポリペプチド、特にそのプロテアーゼドメインと特異的に反応する抗体、CVSP14ポリペプチド、抗体、ペプチドミメティクスおよびその他このような化合物の発現を変化させるアンチセンス核酸またはRNAiなどの二本鎖RNA(dsRNA)が挙げられる。
【0297】
1. 抗体
本明細書で提供されるCVSP14ポリペプチド、特にその一本鎖プロテアーゼドメインあるいは全長またはプロテアーゼドメインの活性型またはチモーゲン型と特異的に結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体をはじめとする抗体が提供される。
【0298】
一般に、この抗体はモノクローナル抗体であり、典型的にはこの抗体はCVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインと特異的に結合する。特定の実施形態では、CVSP14の各々の一本鎖プロテアーゼドメインに対する抗体が提供される。また、CVSP14のいずれかのドメインおよびその二本鎖と特異的に結合する抗体も提供される。
【0299】
CVSP14ポリペプチドおよびそのドメイン、断片、ホモログおよび誘導体を免疫原として用いて、そのような免疫源と特異的に結合する抗体の作製することができる。このような抗体としては、限定されるものではないが ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、一本鎖、Fabフラグメント、およびFab発現ライブラリーなどが挙げられる。特定の実施形態では、ヒトCVSP14ポリペプチドに対する抗体が生産される。もう1つの実施形態では、セリンプロテアーゼドメインを含むCVSP14ポリペプチド断片からなる複合体を抗体作製の免疫原として用いる。
【0300】
当技術分野で公知の種々の手法は、CVSP14ポリペプチド、そのドメイン、誘導体、断片または類似体に対するポリクローナル抗体の作製に用いることができる。抗体の作製のためには、天然CVSP14ポリペプチドまたは合成形態、あるいは架橋CVSP14ポリペプチドなど上記の誘導体を注射して種々の宿主動物を免疫化することができる。このような宿主動物としては、限定されるものではないが、ウサギ、マウス、ラットなどが挙げられる。種々のアジュバントを用いて宿主の種に応じた免疫応答を増強することができ、限定されるものではないが、フロイントのアジュバント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどの無機ゲル、リソレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性エマルション、ジニトロフェノールなどの界面活性物質、ならびに弱毒ウシ結核菌(bacille Calmette-Guerin(BCG))およびコリネバクテリウム・パルブム(corynebacterium parvum)など有用であり得るヒトアジュバントが挙げられる。
【0301】
CVSP14ポリペプチドまたはそのドメイン、誘導体、断片または類似体に対するモノクローナル抗体の作製のためには、連続した培養細胞系による抗体分子の産生を提供するものであればどんな技術を用いてもよい。このような技術として、限定されるものではないが、KohlerおよびMilstein(Nature 256:495-497 (1975))によって最初に開発されたハイブリドーマ技術、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al., Immunology Today 4:72 (1983))、およびヒトモノクローナル抗体を産生するEBVハイブリドーマ技術(Cole et al., in Monoclonal Antibody and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96 (1985))が挙げられる。さらなる実施形態では、最近の技術を利用して無菌動物でモノクローナル抗体を産生させることができる(PCT/US90/02545)。ヒト抗体も使用でき、これはヒトハイブリドーマを用いることによって(Cote et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030 (1983))、またはin vitroでヒトB細胞をEBVウイルスで形質転換することによって(Cole et al., in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96 (1985))得られる。CVSP14ポリペプチドに特異的なマウス抗体分子由来の遺伝子を、適当な生物活性のヒト抗体分子由来の遺伝子とともにスプライシングすることによる「キメラ抗体」の作製を目的に開発された技術(Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984); Neuberger et al., Nature 312:604-608 (1984); Takeda et al., Nature 314:452-454 (1985))を用いてもよい。
【0302】
一本鎖抗体の作製に関して記載された技術(米国特許第4,946,778号)を採用してCVSP14ポリペプチド特異的一本鎖抗体を作製することができる。さらなる実施形態では、Fab発現ライブラリーの構築に関して記載された技術(Huse et al., Science 246:1275-1281 (1989))を用いてCVSP14ポリペプチドまたはそのドメイン、誘導体、または類似体に対して所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速かつ容易な同定が可能となる。非ヒト抗体は公知の方法によって「ヒト化」することができる(例えば、米国特許第5,225,539号参照)。
【0303】
CVSP14 ポリペプチドまたはそのエピトープと特異的に結合する抗体フラグメントは、当技術分野で公知の技術によって作製することができる。例えば、このような断片としては、限定されるものではないが、抗体分子のペプシン消化によって作出可能なF(ab’)2断片、F(ab’)2断片のジスルフィド橋の還元によって作製できるFab’ 断片、抗体分子をパパインおよび還元剤で処理することによって作製できるFab 断片、およびFv断片が挙げられる。
【0304】
抗体の作製において、所望の抗体のスクリーニングは当技術分野で公知の技術、例えば、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)によってなし得る。CVSP14ポリペプチドの特定のドメインに特異的な抗体を選択するには、このようなドメインを含むCVSP14ポリペプチドの断片と結合する産物に対し作製したハイブリドーマをアッセイしてよい。
【0305】
上記の抗体は、例えば診断法における、例えばこれらのタンパク質のイメージング、適当な生理学的サンプル中でのそのレベル測定のための、CVSP14ポリペプチドタンパク質の限局化および/または定量化に関する当技術分野で公知の方法で用いることができる。もう1つの実施形態では、抗CVSP14ポリペプチド抗体またはその結合ドメインを含む断片を治療薬として用いる。
【0306】
2. ペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクス
本明細書ではSPタンパク質と結合してその活性を調節する分子を同定するための方法を提供する。SP、特に一本鎖プロテアーゼドメインまたはその触媒活性断片と結合する分子の中にはペプチド、ポリペプチドおよび環状ペプチドを含むペプチドミメティクスが含まれる。ペプチドミメティクスとはCVSP14ポリペプチドなどの標的分子との特異的結合に必要なリガンドまたはポリペプチドの分子コンホメーションを模倣する分子または化合物である。例としての実施形態では、このペプチド、ペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスまたはCVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインと結合するペプチドミメティクス。このようなペプチドおよびペプチドミメティクスとしては、CVSP14ポリペプチドと特異的に結合する、典型的にはCVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインと結合する抗体が挙げられる。このペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスならびに本明細書の方法によって同定されるペプチドミメティクスはCVSP14ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストであり得る。
【0307】
このようなペプチドおよびペプチドミメティクスは哺乳類のCVSP14ポリペプチド活性に関連する疾病または疾患の診断、治療、予防およびスクリーニングに有用である。さらに、このペプチドおよびペプチドミメティクスはCVSP14ポリペプチドの活性を調節する、またはCVSP14ポリペプチドの活性を調節する、あるいはCVSP14ポリペプチド、一般的にはCVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインと特異的に結合する分子または化合物の同定、単離および精製に有用である。分子量の低いペプチドおよびペプチドミメティクスは標的分子、例えばCVSP14ポリペプチドまたはCVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインに対し強力な結合特性を有し得る。
【0308】
本明細書に記載のCVSP14ポリペプチドと結合するペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスはヒトをはじめとする哺乳類に投与してCVSP14ポリペプチド活性を調節することができる。従って、このような活性を調節するに十分な量のペプチド、ポリペプチドまたはペプチドミメティクス化合物を投与することを含む新生物形成疾患の治療法および予防法が提供される。従って、ペプチド、ポリペプチドまたはペプチドミメティクス化合物を治療上有効な量で被験体に投与する、このような疾病または疾患を有する被験体の治療法もまた本明細書で提供される。
【0309】
ペプチド、ポリペプチドまたはペプチドミメティクスを含む組成物は予防および/または治療を目的に投与することができる。治療用途では、上記のようにすでに疾病に罹患している患者に対し、病状および合併症を治癒させる、または少なくとも部分的にくい止めるのに十分な量の組成物を投与することができる。この使用に有効な量は疾病の重篤度ならびに患者の体重および全身状態によって異なり、経験によって決定することができる。
【0310】
予防用途では、ペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスを含む組成を、特定の疾病に罹患しやすい、あるいはまた特定の疾患のリスクがある患者に投与する。このような量は「予防上有効な量」と定義される。この用法で、正確な量はこの場合もやはり患者の健康状態および体重によって異なる。従って、CVSP14ポリペプチドと結合するこのペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスを用いて有効成分として少なくとも1つのペプチドまたはペプチドミメティクスを医薬担体または希釈剤と会合させて含む医薬組成物を調製することができる。この化合物は、例えば、経口、肺内、非経口(筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)または皮下注射)、吸入(微粉末製剤による)、経皮、鼻内、膣、直腸、または舌下の投与経路により投与でき、また、各投与経路に適した投与形に製剤することができる(例えば、PCT国際出願WO 93/25221およびWO 94/17784;ならびに欧州特許出願第613,683号参照)。
【0311】
CVSP14ポリペプチドと結合するペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスは、in vitroでCVSP14ポリペプチドの産生に影響を与えると思われる、およびCVSP14ポリペプチドの産生によって影響を受けると思われる多くの因子の評価をはじめ、CVSP14ポリペプチドの生物学的な役割を理解する独特のツールとして有用である。このようなペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスはまたCVSP14ポリペプチドと結合してその活性を調節するその他の化合物の開発においても、このような化合物はこのような開発を促進すべき構造と活性との間の関係に関する重要な情報をもたらすことから、有用である。
【0312】
このペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスはまた、新規なCVSP14ポリペプチドまたはCVSP14ポリペプチドアゴニストのスクリーニングのためのアッセイにおいて競合結合剤としても有用である。このようなアッセイの実施形態では、この化合物は修飾せずに用いることもできるし、あるいは多様な方法、例えば、直接または間接的に検出可能なシグナルを与える部分の共有結合または非共有結合などの標識により修飾することもできる。これらいずれのアッセイにおいても、材料は直接または間接的に標識することができる。直接標識が可能なものとしては、ペルオキシダーゼおよびアルカリ性ホスファターゼなどの125I 酵素(米国特許第3,645,090号)のような放射性標識、および蛍光強度、波長シフトまたは蛍光偏光における変化をモニタリングできる蛍光標識(米国特許第3,940,475号)といった標識群が挙げられる。間接標識が可能なものとしては、1つの構成要素をビオチン化した後、上記標識群の1つと共役させたアビジンと結合させるものが挙げられる。これらの化合物が固相支持体と結合している場合には、それらの化合物はスペーサーまたはリンカーを含んでもよい。
【0313】
さらに、CVSP14ポリペプチドとの結合能を基に、このペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスを、生細胞、固定化細胞、体液、組織ホモジネート、および精製した天然生体材料でCVSP14ポリペプチドを検出する試薬として使用することができる。例えば、このようなペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスを標識することにより、CVSP14ポリペプチドを有する細胞を同定することができる。さらに、CVSP14ポリペプチドとの結合能を基に、このペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスをin situ染色、FACS(蛍光活性セルソート)、ウエスタンブロット法、ELISAおよびその他の分析プロトコールに使用できる。CVSP14ポリペプチドとの結合能を基に、このペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスをCVSP14ポリペプチドポリペプチドの精製、またはCVSP14ポリペプチドポリペプチド、例えば、CVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインをコードするポリペプチドを発現する細胞の精製に使用することができる。
【0314】
このペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスはまた種々の医学研究および診断用の商業用試薬としても使用することができる。このペプチドおよびペプチドミメティクスの活性はin vitroまたはin vivoのいずれかでMcDonald (1992) Am. J. of Pediatric Hematology/Oncology, 14:8-21に記載の多数のモデルのうちの1つで評価することができる。
【0315】
3. ペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクス療法
ペプチド類似体は、鋳型ペプチドのものと特性が類似した非ペプチド薬剤として製薬産業で広く用いられている。この種の非ペプチド系化合物は「ペプチドミメティクス」と呼ばれている(Luthman et al., A Textbook of Drug Design and Development, 14:386-406, 2nd Ed., Harwood Academic Publishers (1996); Joachim Grante (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 33:1699-1720; Fauchere (1986) J. Adv. Drug Res., 15:29; Veber and Freidinger (1985) TINS, p. 392;およびEvans et al. (1987) J. Med. Chem. 30:1229)。治療上有用なペプチドと構造的に類似したペプチドミメティクスを使用して同等または機能の向上した治療または予防効果を生むことができる。ペプチドミメティクスの製法およびその構造は当業者に公知である。
【0316】
コンセンサス配列の1以上のアミノ酸の、同型のD-アミノ酸での系統的置換(例えば、L-リジンの代わりにD-リジン)を用いて、より安定なペプチドを作製することができる。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一なコンセンサス配列変異体を含む拘束ペプチドは当技術分野で公知の方法(出典明示により本明細書の一部とするRizo et al. (1992) An. Rev. Biochem., 61:387)、例えば、ペプチドを環化する分子内ジスルフィド橋を形成し得る内部システイン残基を付加することで作製することができる。
【0317】
当業者ならば、このペプチドの生物学的または機能的活性に悪影響を与えることなくペプチドおよびミメティクスに修飾を行うことができるのが分かるであろう。さらに、当業者ならば、標的分子、例えばCVSP14ポリペプチドまたは一般的にCVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインと結合するペプチドを模倣する三次元非ペプチド構造をどのようにデザインすればよいかが分かるであろう(例えば、Eck and Sprang (1989) J. Biol. Chem., 26: 17605-18795参照)。
【0318】
診断目的で使用する場合、このペプチドおよびペプチドミメティクスは検出可能な標識で標識することができ、従ってこのような標識のないペプチドおよびペプチドミメティクスは標識したペプチドおよびペプチドミメティクスの作製の中間体として役立ち得る。検出可能な標識は、このペプチドおよびペプチドミメティクスと共有結合している場合、in vivoで、例えばこのペプチドおよびペプチドミメティクスを投与した患者で、またはin vitroで、例えばサンプルまたは細胞で、このペプチドおよびペプチドミメティクスの検出を可能にする分子または化合物であり得る。好適な検出可能な標識は当技術分野で周知であり、例として放射性同位元素、蛍光標識(例えば、フルオレセイン)などが挙げられる。用いられる特定の検出可能な標識は決定的なものはなく、毒性のないレベルで検出可能なように選択される。このような標識の選択は十分当技術分野の範囲内にある。
【0319】
検出可能な標識とこのペプチドおよびペプチドミメティクスとの共有結合は当技術分野で周知の従来の方法によって達成される。例えば、125I放射性同位元素を検出可能な標識として用いた場合、125Iのペプチドまたはペプチドミメティクスとの共有結合は、アミノ酸チロシンをペプチドまたはペプチドミメティクスに組み込んだ後、ペプチドをヨウ素処理することにより達成することができる(例えば、Weaner et al. (1994) Synthesis and Applications of Isotopically-labelled Compounds, pp. 137-140参照)。チロシンがペプチドまたはペプチドミメティクスに存在しない場合、ペプチドまたはペプチドミメティクスのNまたはC末端へのチロシンの組み込みは周知の化学によって達成できる。同様に、32Pも従来の化学を用い、例えば水酸基を介してリン酸部分としてペプチドまたはペプチドミメティクスへ組み込むことができる。
【0320】
ペプチドミメティクスの標識は通常、直接またはスペーサー(例えば、アミド基)を介して1以上の標識を、定量的構造-活性データおよび/または分子モデリングから予測されるペプチドミメティクス上の非干渉位置と共有結合させることを含む。一般にこのような非干渉位置とは、ペプチドミメティクスがそれと結合して治療作用をもたらす高分子と直接接触しないような位置のことである。ペプチドミメティクスの誘導体化(例えば、標識)は、ペプチドミメティクスの所望の生物活性または薬理活性を実質的に妨害してはならない。
【0321】
CVSP14ポリペプチドまたはCVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインと結合し、かつ/またはその活性を調節する、またはCVSP14ポリペプチド活性を示すペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスは、新生物形成疾患の治療に使用できる。このペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスは、in vivoまたはex vivoで治療の必要な被験体の細胞へ送達することができる。さらに、CVSP14ポリペプチド活性を有するペプチドもin vivoまたはex vivoで突然変異またはCVSP14ポリペプチド遺伝子をコードする対立遺伝子の欠失を有する細胞へ送達することができる。本明細書に記載のまたは当業者に公知の技術のいずれかを、実質的にその他のヒトタンパク質を含まないこのようなペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスの作製およびin vivoまたはex vivoでの送達に使用できる。例えば、このペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスは微生物での発現またはin vitro合成により容易に作製できる。
【0322】
このペプチドまたはペプチドミメティクスはin vivoまたはex vivoで例えばマイクロインジェクションにより、またはリポソームの使用により細胞へ導入することができる。あるいは、このペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスは能動的にまたは拡散によってin vivoまたはex vivoで細胞に取り込ませることができる。さらに、このペプチド、ポリペプチドまたはペプチドミメティクスの細胞外の用途も新生物形成疾患の治療に十分な効果を与え得る。1)CVSP14ポリペプチドまたはそのプロテアーゼドメインと結合する;または2)CVSP14ポリペプチドまたはそのプロテアーゼドメインと類似した機能または活性を有するような薬剤または有機化合物などその他の分子を治療法に用いることができる。
【0323】
4. 合理的創薬
合理的創薬の目的は、例えばそのより活性なまたはより安定な形態、または例えばin vivoでポリペプチド(例えば、CVSP14ポリペプチド)の機能を増強するまたは妨害する薬剤を創り出すために相互作用する(例えば、アゴニストおよびアンタゴニスト)、目的の生物活性ポリペプチドまたはペプチド、あるいは小分子またはペプチドミメティクスの構造類似体を作製することである。あるアプローチでは、まず、目的タンパク質(例えば、CVSP14ポリペプチドまたはプロテアーゼドメインを有するポリペプチド)の、または例えばCVSP14ポリペプチド-リガンド複合体の三次元構造をX線結晶学によって、コンピューターモデリングによって、または最も典型的にはコンビネーションアプローチ(例えば、Erickson et al. 1990参照)によって決定する。また、ポリペプチドの構造に関する有用な情報を相同タンパク質の構造に基づくモデリングによって得ることができる。さらに、アラニンスキャンによってペプチドを解析することもできる。この技術では、アミノ酸残基をAlaで置換し、ペプチド活性に対する効果を測定する。このペプチドの各々のアミノ酸残基をこの方法で解析してこのペプチドの重要な領域を決定する。
【0324】
また、CVSP14ポリペプチド、または一般的にCVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインと結合するポリペプチドまたはペプチドを機能アッセイによって選択した後、このポリペプチドまたはペプチドの結晶構造を決定することができる。このポリペプチドは、例えば、CVSP14ポリペプチドまたはCVSP14ポリペプチドのタンパク質ドメインに特異的な抗体であり得る。このアプローチから、その後の創薬の基礎となり得るファーマコフォア(薬理的作用団)が得られる。さらに、CVSP14ポリペプチドまたはCVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインと結合する機能的、薬理活性ポリペプチドまたはペプチドに対し、抗イディオタイプポリペプチドまたはペプチド(抗id)を作製することによって結晶学を迂回することも可能である。鏡像の鏡像として、抗idの結合部位は、本来の標的分子、例えば、CVSP14ポリペプチドまたはCVSP14ポリペプチドを有するポリペプチドの類似体であると予想される。次にこの抗idを用いて化学的または生物学的に作製したペプチドバンクのバンクからペプチドを同定および単離することができる。選択されたペプチドは次にファーマコフォアとして役立つ。
【0325】
従って、例えば、改善された活性または安定性を有する、またはCVSP14ポリペプチド活性のモジュレーター(例えば、阻害剤、アゴニスト、アンタゴニスト)として働き、かつ、これらの方法、特に新生物形成疾患の診断、治療、予防およびスクリーニング法に有用である薬剤をデザインすることができる。クローン化したCVSP14ポリペプチド配列のアベラビリティーのおかげで、十分量のCVSP14ポリペプチドポリペプチドをX線結晶学のような分析的研究を行うのに利用することができる。さらに、CVSP14ポリペプチドまたはそのプロテアーゼドメインのアミノ酸配列の知識、例えば、配列番号5および6のアミノ酸配列にコードされるプロテアーゼドメインから、X線結晶学の代わりに、またそれに加えてコンピューターモデリング技術に関する指針を得ることができる。
【0326】
CVSP14ポリペプチドと結合するペプチドおよびペプチドミメティクスの同定方法
本明細書で提供されるCVSP14ポリペプチドポリペプチド(例えば、CVSP14ポリペプチドまたはCVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインを有するポリペプチド)に対して結合親和性を有するペプチドは、例えば、親和性増強プロセスと組み合わせたランダムペプチド多様性生成系により容易に同定することができる。具体的には、ランダムペプチド多様性生成系としては、「プラスミド上ペプチド」系(例えば、米国特許第5,270,170号および同第5,338,665号参照);「ファージ上ペプチド」系(例えば、米国特許第6,121,238号およびCwirla,et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:6378-6382参照);「ポリソーム系」;「コードされた合成ライブラリー(ESL)」系;および「超大スケール固定化高分子合成」系(例えば、米国特許第6,121,238号;およびDower et al. (1991) An. Rep. Med. Chem. 26:271-280参照)が挙げられる。
【0327】
例えば、上記の手法を用いて、一般に所定数のアミノ酸残基長(例えば、12)を有するようランダムペプチドをデザインすることができる。ランダムペプチドをコードするオリゴヌクレオチドのコレクションを作製するため、コドンモチーフ(NNK)x(ここで、NはヌクレオチドA、C、GまたはT(等モル;用いる方法論によって、その他のヌクレオチドを用いてもよい)であり、KはGまたはT(等モル)であり、かつ、xはペプチド中のアミノ酸の数(例えば、12)に相当する整数である)を用いてNNKモチーフから得られる32の可能性のあるコドン(12のアミノ酸各々に対して1、5のアミノ酸各々に対して2、3のアミノ酸各々に対して3、および3つの停止コドンのうち1つだけ)のうちのどれか1つを具体化することができる。従って、NNKモチーフは全てのアミノ酸をコードし、停止コドンを1つだけコードして、コドンの偏りを少なくする。
【0328】
このランダムペプチドは、例えば、ファージ粒子の表面にファージfd誘導体のpIIIまたはpVIIIのいずれかのコートタンパク質を含む融合タンパク質の一部としてか(ファージ上のペプチド)、またはプラスミドと結合したLacIペプチド融合タンパク質との融合タンパク質として(プラスミド上のペプチド)提供し得る。このペプチドをコードするDNAをはじめとするファージまたはプラスミドは、プロテアーゼドメインを有する固定化CVSP14ポリペプチドポリペプチドを用いて親和性増強プロセスによって同定および単離することができる。親和性増強プロセスは「パンニング」とも呼ばれ、典型的には固定化CVSP14ポリペプチドポリペプチドを有するファージ、プラスミド、またはポリソームを複数回インキュベートし、CVSP14ポリペプチドポリペプチドと結合するファージ、プラスミド、またはポリソームを回収し(付随するDNAまたはmRNAとともに)、さらに回収したファージまたはプラスミドを量産する(付随するLacI-ペプチド融合タンパク質とともに)ことを含む。
【0329】
ペプチドおよびペプチドミメティクスの特徴
治療用ペプチド、ポリペプチドおよびペプチドミメティクスの中には約250〜約8,000ダルトンの分子量を有するものがある。このようなペプチドを親水性高分子でオリゴマー化、二量体化および/または誘導体化させれば(例えば、化合物の親和性および/または活性を向上させるため)、このようなペプチドの分子量は実質的に増え、約500〜約120,000ダルトン、一般には約8,000〜約80,000ダルトンの間の範囲であり得る。このようなペプチドには天然アミノ酸または合成(非天然)アミノ酸を9以上含み得る。当業者ならば、治療目的および/または診断目的に適したペプチドおよびペプチドミメティクスの親和性および分子量を決定することができる(例えば、Dower et al.,米国特許第6,121,238号参照)。
【0330】
これらのペプチドは1以上の種々の親水性高分子と共有結合させることができる。好適な親水性高分子としては、限定されるものではないが、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールを例とするポリアルキルエーテル類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリオキシアルケン類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロースおよびセルロース誘導体、デキストランおよびデキストラン誘導体が挙げられる。これらのペプチド化合物をこのような高分子で誘導体化する場合、それらの結合活性においてあるとしてもわずかな低下を伴うだけでそれらの溶解度および循環半減期が増加し得る。これらのペプチド化合物は二量体化が可能で、各二量体サブユニットは親水性高分子と共有結合させることができる。これらのペプチド化合物はPEG化、すなわち、ポリエチレングリコール(PEG)と共有結合可能である。
【0331】
5. ペプチドおよびペプチドミメティクスの作製方法
CVSP14ポリペプチドと結合するペプチドは当技術分野で公知の従来技術、例えば、標準的な固相技術を用いて作製することができる。これら標準的方法には全面的固相合成、部分的固相合成法、断片縮合、従来の液相合成、および組換えDNA技術によるものも含まれる(例えば、出典明示により本明細書の一部とするMerrifield (1963) J. Am. Chem. Soc., 85:2149参照)。
【0332】
「コードされた合成ライブラリー」または「超大スケール固定化高分子合成」系(例えば、米国特許第5,925,525号および同第5,902,723号参照)を用いて、目的の活性を有する最小サイズのペプチドを割り出すことができる。さらに所望のモチーフ(または最小サイズのそのモチーフ)と1、2またはそれ以上の残基で異なるペプチド群を形成する全てのペプチドを作製することもできる。次にこのペプチドコレクションを、例えば標的分子、CVSP14ポリペプチド、または一般的にはCVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインとの結合能をスクリーニングすることができる。この固定化高分子合成系またはその他のペプチド合成法はまた末端切断類似体および欠失類似体ならびにこれらのペプチド化合物の末端切断および欠失類似体の組合せを合成するためにも使用できる。
【0333】
またこれらの手順を用いて20の天然に存在する、遺伝子コードされたもの以外のアミノ酸がペプチドの1、2またはそれ以上の位置で置換されているペプチドを合成することもできる。例えば、ナフチルアラニンはトリプトファンと置換して合成を促進させることができる。これらのペプチドと置換できるその他の合成アミノ酸としては、L-ヒドロキシプロピル、L-3,4-ジヒドロキシ-フェニルアラニル;L-d-ヒドロキシリシルおよびD-d-メチルアラニルなどのdアミノ酸;L-α-メチルアラニル、βアミノ酸およびイソキノリルが挙げられる。Dアミノ酸および非天然合成アミノ酸もこれらのペプチドに組み込むことができる(例えば、Roberts et al. (1983) Unusual Amino/Acids in Peptide Synthesis, 5(6):341-449参照)。
【0334】
これらのペプチドはまたリン酸化(例えば、W. Bannwarth et al. (1996) Biorganic and Medicinal Chemistry Letters, 6(17):2141-2146参照)、およびその他のペプチド誘導体作製法(例えば、Hruby et al. (1990) Biochem. J., 268(2):249-262参照)によっても修飾することができる。従って、ペプチド化合物もまた同等の生物活性を有するペプチドミメティクスの作製の基礎として役立つ。
【0335】
当業者ならば対応するペプチド化合物として同一または同等の目的生物活性を有するが、溶解度、安定性ならびに加水分解およびタンパク質分解感受性に関してそのペプチドよりも一層好ましい活性を有するペプチドミメティクスを構築するために種々の技術が利用できることが分かるであろう(例えば、Morgan et al. (1989) An. Rep. Med. Chem., 24:243-252参照)。N末端アミノ基、C末端カルボキシル基で修飾されたペプチドミメティクスを作製し、かつ/またはそのペプチドにおける1以上のアミド結合を非アミド結合に変える方法は当業者に公知である。
【0336】
アミノ末端修飾としては、限定されるものではないが、アルキル化、アセチル化およびスクシンイミド基を形成するカルボベンゾイル基の付加(例えば、Murray et al. (1995) Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 5th ed., Vol. 1, Manfred E. Wolf, ed., John Wiley and Sons, Inc.参照)が挙げられる。C末端修飾としては、C末端カルボキシル基がエステル、アミドで置換されているか、または環状ペプチドを形成するよう修飾されているミメティクスが含まれる。
【0337】
N末端およびC末端修飾に加え、ペプチドミメティクスをはじめとするペプチド化合物は、1以上の種々の親水性高分子で有利に修飾または共有結合させることができる。ペプチド化合物を親水性高分子で誘導体化すると、それらの結合活性においてあるとしてもわずかな低下を伴うだけで、それらの溶解度および循環半減期を増加させ、かつ、それらの免疫原性がマスキングできることが分かっている。好適な非タンパク質性高分子としては、限定されるものではないが、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールを例とするポリアルキルエーテル類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリオキシアルケン類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロースおよびセルロース誘導体、デキストランおよびデキストラン誘導体が挙げられる。一般的に、このような親水性高分子の平均分子量は約2,000〜約40,000ダルトン、および約5,000〜約20,000ダルトンなど、約500〜約100,000ダルトンの範囲にある。この親水性高分子の平均分子量は約5,000ダルトン、10,000ダルトンおよび20,000ダルトンであってもよい。
【0338】
ペプチド化合物を誘導体化する、またはペプチドとこのような高分子とを結合させる方法が記載されている(例えば、Zallipsky (1995) Bioconjugate Chem., 6:150-165; Monfardini et al. (1995) Bioconjugate Chem., 6:62-69;米国特許第4,640,835号;同第4,496,689号;同第4,301,144号;同第4,670,417号;同第4,791,192号;同第4,179,337号およびWO 95/34326参照、なおこれらは全て出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする)。
【0339】
その他のペプチド誘導体の作製方法は、例えば出典明示により本明細書の一部とするHruby et al. (1990), Biochem J., 268(2):249-262に記載されている。従って、これらのペプチド化合物はまた同等の生物活性を有する非ペプチド化合物の構造モデルとしても役立つ。当業者ならば、特定のペプチド化合物として同一または同等の目的生物活性を有するが、溶解度、安定性、ならびに加水分解およびタンパク質分解感受性に関して一層好ましい活性を有する化合物の構築に種々の技術が利用できることが分かるであろう(例えば、出典明示により本明細書の一部とするMorgan et al. (1989) An. Rep. Med. Chem., 24:243-252参照)。これらの技術には、ペプチド主鎖の、ホスホネート、アミデート、カルバメート、スルホンアミド、第二級アミン、およびN-メチルアミノ酸からなる主鎖での置換が挙げられる。
【0340】
ペプチド化合物は、システインのチオール基間に分子内ジスルフィド結合を有する環化形態で存在し得る。あるいは、二量(またはより高次のオリゴマー)化合物を得るためにシステインのチオール基間の分子内ジスルフィド結合を形成することができる。また、1以上のシステイン残基をホモシステインで置換することもできる。
【0341】
I. コンジュゲート
本明細書では、a)CVSP14ポリペプチドの一本鎖プロテアーゼドメイン(またはそのタンパク質分解活性部分)または全長チモーゲン、その活性型、あるいはその二本鎖または一本鎖プロテアーゼドメイン、およびb)CVSP14ポリペプチドと直接またはリンカーを介して結合しているターゲッティングエージェント(ここで、このエージェントはi)コンジュゲートのアフィニティー単離または精製、ii)コンジュゲートの表面への結合、iii)コンジュゲートの検出、またはiv)選択された組織または細胞へのターゲッティング送達を容易にする)を含むコンジュゲートが提供される。このコンジュゲートは化学コンジュゲートまたはその融合タンパク質混合物であり得る。
【0342】
ターゲッティングエージェントは、CVSP14ポリペプチドまたはそのプロテアーゼドメインと直接またはリンカーを介して結合している組織特異的または腫瘍特異的モノクローナル抗体、あるいは増殖因子またはその断片などのタンパク質またはペプチド断片であり得る。ターゲッティングエージェントはまた、タンパク質結合配列、核酸結合配列、脂質結合配列、多糖結合配列、または金属結合配列、あるいは固相支持体と結合するためのリンカーを含むタンパク質またはペプチド断片であり得る。特定の実施形態では、このコンジュゲートはa)本明細書に記載されるようなCVSP14またはその一部、およびb)CVSP14ポリペプチドと直接またはリンカーを介して結合しているターゲッティングエージェントを含む。
【0343】
例えば、CVSP14ポリペプチドドメインのアフィニティー単離または精製、CVSP14ポリペプチドドメインの表面への結合、またはCVSP14ポリペプチドドメインの検出を容易にする働きをするタンパク質またはペプチド断片(またはその複数)を有するCVSP14ポリペプチドの、融合タンパク質および化学コンジュゲートなどのコンジュゲートが提供される。これらのコンジュゲートはチオール結合を介するものなどの化学コンジュゲーションにより作製することができ、また組換え手段によって融合タンパク質として作製することもできる。融合タンパク質においては、このペプチドまたはその断片はCVSP14ポリペプチドドメインのN末端またはC末端のいずれかと結合している。化学コンジュゲートではペプチドまたはその断片はコンジュゲーションがなされる限りいずれの部位にでも結合可能で、単一のCVSP14ポリペプチドドメインまたはその複数と結合されるこのようなペプチドまたは断片は複数であってもよい。
【0344】
ターゲッティングエージェントは細胞または組織へのin vitroまたはin vivo送達を目的としたものであり、細胞または組織特異的抗体、増殖因子および特定の細胞で発現する部分と結合するその他の因子などのエージェント、ならびに結合したタンパク質の方向付けられた送達を促進するその他の細胞または組織特異的エージェントが挙げられる。ターゲッティングエージェントとは細胞表面タンパク質との相互作用およびコンジュゲートまたはそのCVSP14ポリペプチド部分のインターナリゼーションによってCVSP14ポリペプチドを選択された細胞へ特異的に送達するものであり得る。
【0345】
これらのコンジュゲートは種々の方法で用いられ、標的細胞または組織に、またはその近傍に局在している特定のCVSP14による切断に対してタンパク質が細胞傷害性であるプロドラッグなどのプロドラッグの活性化法での使用に特に適している。プロドラッグはコンジュゲートの前、または同時に、あるいはコンジュゲートの後で投与される。標的細胞への送達の際、プロテアーゼはプロドラッグを活性化させ、その後プロドラッグは細胞傷害作用などの治療効果を示す。
【0346】
1. コンジュゲーション
CVSP14ポリペプチドドメインと結合したコンジュゲートは化学コンジュゲーション、組み換えDNA技術、または組み換え発現および化学コンジュゲーションの組み合わせのいずれの方法でも作製できる。CVSP14ポリペプチドドメインおよびターゲッティングエージェントはどの方向へも結合でき、1以上のターゲッティングエージェントおよび/またはCVSP14ポリペプチドドメインがコンジュゲートに存在可能である。
【0347】
a. 融合タンパク質
本明細書では融合タンパク質が提供される。融合タンパク質には、a)1または複数のCVSP14ポリペプチドドメイン、およびb)ターゲッティングエージェントが含まれる。融合タンパク質は一般に融合タンパク質をコードする核酸の組み換え発現により作出される。
【0348】
b. 化学コンジュゲーション
本明細書の化学コンジュゲーションを達成するには、CVSP14ポリペプチドドメインは1以上の選択されたリンカーを介してまたは直接ターゲッティングエージェントと連結させる。標的薬剤が核酸または非ペプチド薬剤などのペプチドまたはタンパク質以外のものである場合には化学コンジュゲーションを用いる必要がある。選択した部分の化学コンジュゲーションのためには当業者に公知のいずれの方法を用いてもよい。
【0349】
2. リンカー
本明細書では2つの目的のためのリンカーが意図される。コンジュゲートにはCVSP14ポリペプチド部分とターゲッティングエージェントとの間に1以上のリンカーを含めることができる。さらに、リンカーはCVSP14ポリペプチドまたはその一部を、ハイスループット固相スクリーニングプロトコールを目的としたものなどマイクロタイタープレート、シリコンもしくはシリコンコートチップ、ガラスまたはプラスチック支持体などの固相支持体に固定化するのを促進または向上させるために用いられる。
【0350】
本明細書ではコンジュゲートの作製のための当業者に公知のいずれのリンカーでも使用できる。これらのリンカーは典型的には化学コンジュゲートの作製に用いられ、ペプチドリンカーは融合タンパク質に組み込まれ得る。
【0351】
リンカーはCVSP14ポリペプチドのドメインおよびターゲッティングエージェントとの会合に適したいずれの部分であってもよい。このようなリンカーおよび結合には、限定されるものではないが、ペプチド結合、アミノ酸およびペプチド結合(典型的には1〜約60の間のアミノ酸、より一般的には約10〜30の間のアミノ酸を含む)、限定されるものではないが、N-スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)-アミノベンゾエート、スルホスクシンイミジル(4-ヨードアセチル)-アミノベンゾエート、4-スクシンイミジル-オキシカルボニル-a-(2-ピリジルジチオ)トルエン、スルホスクシンイミジル-6-[a-メチル-a-(ピリジルジチオール)-トルアミド]ヘキサノエート、N-スクシンイミジル-3-(-2-ピリジルジチオ)-プロピオネート、スクシンイミジル6[3(-(-2-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド)ヘキサノエート、スルホスクシンイミジル6[3(-(-2-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド)ヘキサノエート、3-(2-ピリジルジチオ)-プロピオニルヒドラジド、エルマン試薬、ジクロロトリアジン酸、およびS-(2-チオピリジル)-L-システインをはじめとする、ヘテロ二官能性切断架橋リンカーなどの化学リンカーが挙げられる。その他のリンカーとしては、限定されるものではないが、CVSP14ポリペプチドのドメインとターゲッティングエージェントとの間の立体障害を減らすペプチドおよびその他の部分、細胞内酵素基質、コンジュゲートの柔軟性を高めるリンカー、コンジュゲートの溶解度を高めるリンカー、コンジュゲートの血清安定性を高めるリンカー、光切断性リンカーおよび酸切断性リンカーが挙げられる。
【0352】
その他化学結合コンジュゲートに適したリンカーおよび結合の例としては、限定されるものではないが、ジスルフィド結合、チオエーテル結合、障害ジスルフィド結合、およびアミンおよびチオール基など遊離反応基間の共有結合が挙げられる。これらの結合は、ポリペプチドの一方または双方に反応性チオール基を生じるヘテロ二官能性試薬を用いて、反応性マレイミド基またはチオール基が他方に結合可能な反応性チオール基またはアミン基を有するポリペプチド上でチオール基を反応させることによって作出される。その他のリンカーには、ビスマレイミドオトキシプロパン、酸不安性トランスフェリンコンジュゲートおよびアジピン酸ジヒドラジドなど、より酸度の高い細胞内コンパートメントで切断される酸切断性リンカー;紫外光または可視光に露光した際に切断される架橋リンカーおよびCH1、CH2、およびCH3などヒトIgG1の不変領域に由来する種々のドメインなどのリンカーが挙げられる(Batra et al. Molecular Immunol., 30:379-386 (1993)参照)。いくつかの実施形態では、各リンカーの所望の特性を利用するために数種のリンカーを含めることができる。
【0353】
化学リンカーおよびペプチドリンカーはリンカーとCVSP14ポリペプチドのドメインおよびターゲッティングエージェントとを共有結合させることによって挿入することができる。以下に記載のヘテロ二官能性試薬を用いてこのような共有結合を達成することができる。またペプチドリンカーをリンカーおよび治療薬(TA)、リンカーおよび標的エージェント、またはリンカー、標的エージェントおよび治療薬(TA)を融合タンパク質としてコードするDNAを発現させることで連結させることもできる。本明細書ではフレキシブルリンカーおよびコンジュゲートの溶解度を高めるリンカーの使用も意図され、単独でまたは他のリンカーとの併用も考えられる。
【0354】
a) 酸切断性、光切断性および熱感受性リンカー
酸切断性リンカー、光切断性リンカーおよび熱感受性リンカーも、特にCVSP14ポリペプチドのドメインの切断がより容易に反応しやすくするため必要である場合に使用できる。酸切断性リンカーとしては、限定されるものではないが、ビスマレイミドオトキシプロパン;およびアジピン酸ジヒドラジドリンカー(例えば、Fattom et al. (1992) Infection & Immun. 60:584-589参照)および細胞内トランスフェリン循環経路への進入に十分なトランスフェリンの部分を含む酸不安定性トランスフェリンコンジュゲート(例えば、Welh ner et al. (1991) J. Biol. Chem. 266:4309-4314参照)が挙げられる。
【0355】
光切断性リンカーは露光した際に切断されるリンカーであり(例えば、Goldmacher et al. (1992) Bioconj. Chem. 3:104-107参照、なおこのリンカーは出典明示により本明細書の一部とする)、その結果、露光時に標的エージェントを放出する。露光時に切断される光切断性リンカーは公知であり(例えば、システインに対する光切断性保護基としてのニトロベンジル基の使用を記載したHazum et al. (1981) in Pept., Proc. Eur. Pept. Symp., 16th, Brunfeldt, K (Ed), pp. 105-110;ヒドロキシプロピルメタクリルアミド共重合体、グリシン共重合体、フルオレセイン共重合体およびメチルローダミン共重合体をはじめとする水溶性光切断性共重合体を記載したYen et al. (1989) Makromol. Chem 190:69-82;近紫外光(350nm)露光時に光分解を受ける架橋リンカーおよび試薬を記載したGold macher et al. (1992) Bioconj. Chem. 3:104-107;および光切断性結合を生じる塩化ニトロベンジルオキシカルボニル架橋試薬を記載したSenter et al. (1985) Photochem. Photobiol 42:231-237参照)、その結果、露光時に標的エージェントを放出する。このようなリンカーは、光ファイバーを用いて露光できる皮膚科または眼科的条件での治療に特に用途を持つ。コンジュゲートを投与した後に眼または皮膚またはその他の身体部分を露光すればよく、結果としてコンジュゲートから標的部分が放出される。このような光切断性リンカーは、動物の体内から迅速なクリアランスを可能にするべくターゲッティングエージェントを除去することが望ましい診断プロトコールに関して有用である。
【0356】
b) 化学コンジュゲーションのためのその他のリンカー
種々の酸度またはアルカリ度の治療薬の放出のために提供するコンジュゲート種を作製するその他のリンカーとしては、トリチルリンカー、特に誘導体化トリチル基が挙げられる。このようにして治療薬が放出されるpH範囲を予め選択できることによってもたらされる柔軟性は、治療薬の送達を必要とする組織間の既知の生理的差異に基づくリンカーの選択を可能にする(例えば、米国特許第5,612,474号参照)。例えば、腫瘍組織の酸度は正常組織のものよりも低いと思われる。
【0357】
c) ペプチドリンカー
リンカー部分はペプチドであってもよい。ペプチドリンカーは融合タンパク質および化学結合コンジュゲートに用いることができる。 このペプチドは典型的には約2〜約60のアミノ酸残基、例えば約5〜約40、または約10〜約30のアミノ酸残基を有する。選択される長さは、リンカーが含められる用途などの要因によって異なる。
【0358】
ペプチドリンカーは、ターゲッティングエージェントがタンパク質性のものである場合に有利である。例えば、リンカー部分は一本鎖抗体研究で知られているものなど、柔軟なスペーサーアミノ酸配列であってよい。このような既知のリンカー部分の例としては、限定されるものではないが、 (GlymSer)nおよび(SermGly)n(nは1〜6であって、1〜4および2〜4などであり、mは1〜6であって1〜4および2〜4などである)などのペプチド、酵素切断性リンカーおよびその他のものが挙げられる。
【0359】
さらなる架橋部分は例えば、Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:5879-5883, 1988; Whitlow, M., et al., Protein Engineering 6:989-995, 1993; Newton et al., Biochemistry 35:545-553, 1996; A. J. Cumber et al., Bioconj. Chem. 3:397-401, 1992; Ladurner et al., J. Mol. Biol. 273:330-337, 1997;および米国特許第4,894,443号に記載されている。ある実施形態では、各リンカーの所望の特性を利用するため、数種のリンカーを含めることができる。
【0360】
3. ターゲッティングエージェント
本明細書における使用ではコンジュゲートの検出、固定化または精製を容易にするいずれのエージェントも意図される。化学コンジュゲートについてはこのような特性を持ついずれの部分も意図され、融合タンパク質については、ターゲッティングエージェントは標的とする活性に作用するのに十分なタンパク質、ペプチドまたはその断片である。意図されるターゲッティングエージェントとしてはCVSP14ポリペプチドまたはその部分を選択細胞または組織へ送達するものが挙げられる。このような佐用因子としては、腫瘍特異的モノクローナル抗体およびその部分、FGF、EGF、PDGF、VEGFなどの増殖因子、ケモカインをはじめとするサイトカインおよびその他の作用因子が挙げられる。
【0361】
4. 核酸、プラスミドおよび細胞
融合タンパク質をコードする単離核酸断片が提供される。この融合タンパク質をコードする核酸断片としては、a)CVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインをコードする核酸; およびb) i)融合タンパク質のアフィニティー単離または精製;ii)融合タンパク質の表面への結合;またはiii)融合タンパク質の検出を容易にするタンパク質、ペプチドまたはその有効な断片をコードする核酸が挙げられる。一般的に、この核酸はDNAである。
【0362】
上記の核酸断片を含む複製用プラスミドおよび発現用ベクターも提供される。これらのプラスミドおよびベクターを含む細胞も提供される。この細胞は、限定されるものではないが、細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞および動物細胞をはじめとする、好適な宿主であり得る。この核酸、プラスミド、およびこれらのプラスミドを含む細胞は、本明細書に記載のものをはじめ当技術分野で公知の方法に従って作製できる。
【0363】
上記融合タンパク質を作製する方法も提供される。方法の例としては、増殖、すなわち融合タンパク質が細胞で発現するような条件下で融合タンパク質をコードするプラスミドを含む細胞を増やすべく細胞を培養し、発現した融合タンパク質を回収するステップを含む。組換えタンパク質の発現および回収方法は当技術分野で周知であり(一般的に、Current Protocols in Molecular Biology (1998) § 16, John Wiley & Sons, Inc.参照)、このような方法を融合タンパク質の発現および回収に用いることができる。
【0364】
回収した融合タンパク質は当技術分野で公知の方法、例えば遠心分離、濾過、クロマトグラフ、電気泳動、免疫沈降など、またはその組合せによって単離または精製することができる(一般に、Current Protocols in Molecular Biology (1998) § 10, John Wiley & Sons, Inc.参照)。一般に、回収した融合タンパク質は、タンパク質または融合タンパク質のペプチド断片とアフィニティー結合部分との間のアフィニティー結合によって単離または精製される。上節で融合タンパク質の構築に関して述べたように、いずれのアフィニティー結合対も構築でき、融合タンパク質の単離または精製に使用できる。例えば、アフィニティー結合対はタンパク質結合配列/タンパク質、DNA結合配列/DNA配列、RNA結合配列/RNA配列、脂質結合配列/脂質、多糖結合配列/多糖、または金属結合配列/金属であり得る。
【0365】
5. 固定化およびその支持体
ターゲッティングエージェントが表面との結合を目的にデザインされている特定の実施形態では、CVSP14ポリペプチドはイオン結合または共有結合、非共有結合などの結合によって、あるいはその他の化学的相互作用によって支持体またはマトリックス材料の表面に結合させることができる。固定化は直接またはリンカーを介して行うことができる。CVSP14ポリペプチドは、限定されるものではないが、シリコンチップ、および本明細書に記載され、また当業者に公知であるその他の支持体をはじめとするいずれの好適な支持体にも固定化できる。複数のCVSP14ポリペプチドまたはそのプロテアーゼドメインは、ハイスループットプロトコールおよび形式で用いるシリコンチップまたはその他のチップの表面上のコンジュゲートのアレイ(すなわち、2以上のパターンのもの)などの支持体と結合させることができる。
【0366】
また、CVSP14ポリペプチドのドメインは、ターゲッティングエージェントがそれに連結していなくても直接またはリンカーを介して表面と結合させることができることも注目される。よって、CVSP14ポリペプチドのドメインのアレイを含むチップ。
【0367】
本明細書で意図されるマトリックス材料または固相支持体は一般に、リガンドおよびその他の分子を固定化するための当業者に公知のいずれの不溶性材料であってもよく、多くの化学合成および分離で用いられているものである。このような支持体は例えば、アフィニティークロマトグラフィー、生物活性物質の固定化、およびタンパク質、アミノ酸ならびにその他の有機分子および高分子をはじめとする生体分子の化学合成の際に用いられる。支持体の作製および使用は当業者に周知であり、多くのこのような物質およびその作製が知られている。例えば、アガロースおよびセルロースなどの天然支持体材料はそのそれぞれのソースから単離し、既知のプロトコールに従って加工することができるし、合成物質も既知のプロトコールに従って作製することができる。
【0368】
これらの支持体は典型的には固体、多孔質、変形性または硬質の不溶性材料であり、限定されるものではないが、ビーズ、ペレット、ディスク、キャピラリー、中空糸、ニードル、中実ファイバー、ランダム図形、薄膜およびメンブランをはじめとする所望のいずれの構造および幾何学を有するものでもよい。従って、この製品としては、表面の全てまたは一部のコーティングあるいは粒子の含浸によるなど、マトリックス材料から、あるいはそれと合したものから製造できる。
【0369】
典型的に、マトリックスが粒状である場合、粒子は少なくとも約10〜2000μmであるが、選択された用途に応じてそれより小さくても大きくてもよい。マトリックスの選択は、少なくとも1つには、溶解度、官能基、機械的安定性、表面積膨潤性、疎水性または親水性の特性および意図する使用などそれらの物理化学的特性によって決定される。
【0370】
必要であれば、この支持体マトリックス材料は適当な反応性部分を含むよう処理することができる。予め反応性部分を含む支持体マトリックス材料が商業的に入手できる場合もある。これにより、反応性部分を含む支持体マトリックス材料は、分子が結合しているマトリックス支持体として役立ち得る。アミノシラン結合、ヒドロキシル結合またはカルボキシシラン結合などの反応性表面部分を含む材料は、シラン化反応などを含む十分確立された表面化学技術によって製造することができる。これらの材料の例は、γ-アミノプロピルシランと共有結合した表面酸化珪素部分、およびその他の有機部分、N-[3-(トリエトキシ(ethyoxy)シリル)プロピル]フタラミン酸およびビス-(2-ヒドロキシエチル)アミノプロピルトリエトキシシランを有するものなどである。アミノ基反応性官能基を含む容易に入手できる材料の例としては、限定されるものではないが、パラ-アミノフェニルトリエトキシシランがある。また、誘導体化ポリスチレンおよびその他のこのような高分子は周知であり、当業者であれば容易に入手できる(例えば、多価官能基を有するTentagel(登録商標)樹脂が利用でき、これはRapp Polymere, Tubingen, Germanyから販売されている;米国特許第4,908,405号および同第5,292,814号参照;およびまたButz et al., ペプチド Res., 7:20-23 (1994);およびKleine et al., Immunobiol., 190:53-66 (1994)参照)。
【0371】
これらのマトリックス材料としては、目的分子が結合する支持体マトリックスとして働き得るいずれの材料も含む。このような材料は当業者に公知であり、支持体マトリックスとして用いられるものを含む。このような材料としては、限定されるものではないが、無機物、天然高分子、および、限定されるものではないが、セルロース、セルロース誘導体、アクリル樹脂、ガラス、シリカゲル、ポリスチレン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ビニルとアクリルアミドの共重合体、ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンおよびその他(Merrifield, Biochemistry, 3:1385-1390 (1964)参照)、ポリアクリルアミド、ラテックスゲル、ポリスチレン、デキストラン、ポリアクリルアミド、ゴム、シリコン、プラスチック、ニトロセルロース、セルロース、海綿をはじめとする合成高分子が挙げられる。本明細書で特に注目されるものは、多孔質ガラス(例えば、米国特許第4,244,721号参照)およびホウケイ酸塩、アルコールおよび水を混合して製造されるその他のものである。
【0372】
合成支持体としては、限定されるものではないが、アクリルアミド、デキストラン誘導体およびデキストラン共重合体、アガロースポリアクリルアミド混合物、その他の高分子および種々の官能基との共重合体、メタクリル酸誘導体および共重合体、ポリスチレンおよびポリスチレン共重合体が挙げられる(例えば、Merrifield, Biochemistry, 3:1385-1390 (1964); Berg et al., in Innovation Perspect. Solid Phase Synth. Collect. Pap., Int. Symp., 1st, Epton, Roger (Ed), pp. 453-459 (1990); Berg et al., Pept., Proc. Eur. Pept. Symp., 20th, Jung, G. et al. (Eds), pp. 196-198 (1989); Berg et al., J. Am. Chem. Soc., 111:8024-8026 (1989); Kent et al., Isr. J. Chem., 17:243-247 (1979); Kent et al., J. Org. Chem., 43:2845-2852 (1978); Mitchell et al., Tetrahedron Lett., 42:3795-3798 (1976);米国特許第4,507,230号;同第4,006,117号;および同第5,389,449号参照)。このような材料としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレン-アクリル酸共重合体などのアクリレートおよびアクリル酸、ポリエチレン-メタクリル酸共重合体、ポリエチレン-アクリル酸エチル共重合体、ポリエチレン-アクリル酸メチル共重合体、ポリプロピレン-アクリル酸共重合体、ポリプロピレン-メチル-アクリル酸共重合体、ポリプロピレン-アクリル酸エチル共重合体、ポリプロピレン-アクリル酸メチル共重合体、ポリエチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン-酢酸ビニル共重合体などの高分子および共重合体、ポリエチレン-無水マレイン酸およびポリプロピレン-無水マレイン酸などの酸無水物基を含むものからなるものが挙げられる。またリポソームも固相支持体としてアフィニティー精製に用いられている(Powell et al. Biotechnol. Bioeng., 33:173 (1989))。
【0373】
タンパク質およびその他の生体分子の固相または液相支持体への固定化に関して多数の方法が開発されている(例えば、Mosbach, Methods in Enzymology, 44 (1976); Weetall, Immobilized Enzymes, Antigens, Antibodies, and Peptides, (1975); Kennedy et al., Solid Phase Biochemistry, Analytical and Synthetic Aspects, Scouten, ed., pp. 253-391 (1983)参照;概要としては、Affinity Techniques. Enzyme Purification: Part B. Methods in Enzymology, Vol. 34, ed. W. B. Jakoby, M. Wilchek, Acad. Press, N.Y. (1974);およびImmobilized Biochemicals and Affinity Chromatography, Advances in Experimental Medicine and Biology, vol. 42, ed. R. Dunlap, Plenum Press, N.Y. (1974)参照)。
【0374】
最も一般に用いられる方法としては多数のジスルフィド結合、チオエーテル結合、障害ジスルフィド結合、および当業者に公知のアミンおよびチオール基などの遊離反応性基間の共有結合といった、直接もしくはリンカーを介しての支持体への吸収および吸着または共有結合がある(例えば、このような試薬の作製および使用を記載し、このような試薬の商業ソースを示しているthe PIERCE CATALOG, ImmunoTechnology Catalog & Hand book, 1992-1993; Wong, Chemistry of Protein Conjugation and Cross Linking, CRC Press (1993)参照;またDeWitt et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90:6909 (1993); Zuckermann et al., J. Am. Chem. Soc., 114:10646 (1992); Kurth et al., J. Am. Chem. Soc., 116:2661 (1994); Ellman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 91:4708 (1994); Sucholeiki, Tetrahedron Lttrs., 35:7307 (1994); Su-Sun Wang, J. Org. Chem., 41:3258 (1976); Padwa et al., J. Org. Chem., 41:3550 (1971);および光感受性リンカーを記載しているVedejs et al., J. Org. Chem., 49:575 (1984)参照)。
【0375】
固定化を達成するには、タンパク質またはその他の生体分子を含む組成物をアルミナ、カーボン、イオン交換樹脂、セルロース、ガラスまたはセラミックなどの支持体材料と接触させる。フルオロカーボン高分子が、生体分子が吸着によって結合されている支持体として用いられている(米国特許第3,843,443号;PCT公開国際出願WO/86 03840参照)。
【0376】
J. 予後および診断
CVSP14ポリペプチドタンパク質、そのドメイン、類似体、および誘導体、ならびにコード核酸(およびその相補的な配列)、および抗CVSP14ポリペプチド抗体は診断、特に子宮頸癌、大腸癌または膵臓癌の診断に用いることができる。このような分子は免疫アッセイなどのアッセイで、CVSP14ポリペプチド発現に影響する種々の症状、疾病および疾患の検出、予後、診断またはモニタリング、あるいはその治療のモニタリングに用いることができる。本明細書の目的では体液または腫瘍組織中のCVSP14の存在が特に注目される。
【0377】
特に、このような免疫アッセイは、特異的結合が起こりうる条件下で、患者に由来するサンプルに抗CVSP14ポリペプチド抗体を接触させ、抗体による特異的結合の量を検出または測定することを含む方法によって行われる。組織切片におけるこのような抗体の結合を用いて、異常なCVSP14ポリペプチドの局在または異常なレベルのCVSP14ポリペプチド(例えば、上昇、低下または欠失)を検出することができる。特定の実施形態では、CVSP14ポリペプチドに対する抗体を用いて異常なレベルのCVSP14ポリペプチドが病態の指標となる、CVSP14ポリペプチドの存在に関する患者組織または血清サンプルにおいてアッセイすることができる。
【0378】
使用できる免疫アッセイとしては、限定されるものではないが、ウエスタンブロット、放射性免疫測定法、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降法、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集反応アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量測定法、蛍光免疫アッセイおよびAタンパク質免疫アッセイなどの技術を用いる競合および非競合アッセイ系が挙げられる。
【0379】
CVSP14ポリペプチド遺伝子および関連する核酸配列ならびに相補配列をはじめとする部分配列もハイブリダイゼーションアッセイに使用できる。CVSP14ポリペプチド核酸配列、または少なくとも約8ヌクレオチド、一般的には14または16または30以上、一般的には1000未満または100までの連続するヌクレオチドを含むその部分配列はハイブリダイゼーションプローブとして使用できる。ハイブリダイゼーションアッセイは本明細書に記載のCVSP14ポリペプチド発現および/または活性の異常な変化に関連する症状、疾病または疾患の検出、予後、診断またはモニタリングに用いることができる。特に、このようなハイブリダイゼーションアッセイは、ハイブリダイゼーションが起こり得るような条件下で、核酸を含有するサンプルと、CVSP14ポリペプチドをコードするDNAまたはRNAとハイブリダイズ可能な核酸プローブとを接触させ、生じたハイブリダイゼーションを検出または測定するる方法によって行う。
【0380】
特定の実施形態では、被験体において異常なレベルのCVSP14ポリペプチドが検出されることを特徴とする疾病または疾患の診断方法が、被験体に由来するサンプル中のCVSP14ポリペプチドのDNA、RNA、タンパク質または機能的活性のレベルを測定することにより本明細書で提供される。この場合、疾病または疾患を持たない類似のサンプルで見られるCVSP14ポリペプチドのDNA、RNA、タンパク質または機能的活性のレベルに対して、CVSP14ポリペプチドのDNA、RNA、タンパク質または機能的活性のレベルにおける上昇または低下はその被験体に疾病または疾患が存在することを示す。
【0381】
1以上の容器に抗CVSP14ポリペプチド抗体、および所望により標識した抗体の結合相手を含む診断用のキットも提供される。あるいは、抗CVSP14ポリペプチド抗体を(検出マーカー、例えば、化学発光部分、酵素部分、蛍光部分または放射性部分で)標識することができる。1以上の容器にSPタンパク質コードRNAとハイブリダイズ可能な核酸プローブを含むキットも提供される。特定の実施形態では、キットは1以上の容器にSPタンパク質コード核酸の少なくとも一部の適当な反応条件下で[例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、Innis et al., 1990, PCR Protocols, Academic Press, Inc., San Diego, CA参照)、Qβレプリカーゼを利用するリガーゼ連鎖反応(欧州特許EP320,308参照)、環状プローブ反応、または当技術分野で公知のその他の方法によって]増幅誘導可能なプライマー対(例えば、各々6〜30ヌクレオチドの範囲の大きさ)を含み得る。キットは所望によりさらに容器内に所定量の精製CVSP14ポリペプチドまたは核酸、例えば標準または対照として用いるものを含むことができる。
【0382】
K. 医薬組成物および投与様式
1. 組成物の成分
本明細書では、CVSP14ポリペプチドの活性を調節すると同定された化合物を含む医薬組成物が提供される。また、CVSP14ポリペプチドの活性を調節する化合物と別の治療または化学療法用化合物などの新生物形成疾患の治療のための化合物との組合せも提供される。
【0383】
CVSP14ポリペプチドモジュレーターおよび抗腫瘍剤は、ともにまたは逐次または断続的投与のための個別の組成物としてパッケージングすることができる。あるいは、これらは単一の投与組成物または単一の組成物としての2つの投与組成物として提供することもできる。組合せもキットとしてパッケージングすることができる。
【0384】
a. CVSP14ポリペプチド阻害剤
単独または他の化合物と併用した場合に、望ましくない、かつ/または制御できない血管形成を含む新生物形成疾患に関連する臨床徴候または診断マーカーを緩和、軽減、改善、予防または緩解状態にする、もしくは緩解状態で維持し得る、本明細書に記載のものをはじめとするいずれのCVSP14ポリペプチド阻害剤も本組合せで使用できる。
【0385】
ある実施形態では、CVSP14ポリペプチド阻害剤は、CVSP14ポリペプチドまたはそのプロテアーゼドメインと特異的に反応する抗体またはそのフラグメント、CVSP14ポリペプチド産生の阻害剤、CVSP14ポリペプチドの膜局在阻害剤、またはCVSP14ポリペプチドの発現または特にその活性のいずれかの阻害剤である。
【0386】
b. 抗血管形成剤および抗腫瘍剤
単独または他の化合物と併用した場合に、望ましくない、かつ/または制御できない血管形成および/または腫瘍増殖ならびに転移、特に固形新生物、先天性血管異常および心血管疾患、慢性炎症性疾患および創傷修復異常、循環器疾患、クレスト症候群、皮膚疾患、または眼疾患に関連する臨床徴候または診断マーカーを緩和、軽減、改善、予防または緩解状態にする、もしくは緩解状態で維持し得る本明細書に記載のものをはじめとするいずれの抗血管形成剤および抗腫瘍剤も本組合せで使用できる。CVSP14ポリペプチドの阻害剤を併用する抗腫瘍剤も意図される。
【0387】
c. 抗腫瘍剤および抗血管形成剤
本明細書で提供される方法によって同定される、または本明細書で提供される化合物は抗腫瘍剤および/または抗血管形成剤と組み合わせて用いることができる。
【0388】
2. 製剤および投与経路
本発明の化合物および薬剤は典型的には単位量投与用に医薬組成物として調剤することができる。これら製剤中の化合物の濃度は投与時に意図する治療に有効な量の送達に有効なものである。典型的にはこれらの組成物は単位量投与向けに調剤する。組成物を調剤するには、その重量分の化合物またはその混合物を選択したビヒクルに、治療する症状が軽減または緩和されるような有効濃度で溶解、懸濁、分散させる、あるいはまた混合する。本明細書で提供される化合物の投与に好適な医薬担体またはビヒクルとしては、当業者が特定の投与様式に好適であると承知しているいずれの担体も含む。
【0389】
さらに、これらの化合物は組成物中に単独の医薬有効成分として調剤してもよいし、あるいは他の有効成分と組み合わせてもよい。組織ターゲッティングリポソームを含むリポソーム懸濁液も医薬上許容される担体として好適なものであり得る。これらは当業者に公知の方法に従って製造することができる。例えばリポソーム製剤は米国特許第4,522,811号に記載のようにして製造することができる。
【0390】
有効化合物は治療する患者において望ましくない副作用なく治療上有用な作用を発揮するに十分な量で医薬上許容される担体に含める。治療上有効な濃度は本明細書に提供されるアッセイなど、公知のin vitroおよびin vivo系で化合物を試験することにより実験的に決定することができる。
【0391】
薬物組成物中の有効化合物の濃度はその有効化合物の吸収率、不活性化率および排出率、化合物の物理化学的特性、投与計画および投与量、ならびに当業者に公知のその他の要因によって異なる。
【0392】
典型的には治療上有効な投与形を考える。投与量は0.001〜1mg/ml血液量のオーダーであってよく、例えば約0.005〜0.05mg/mlおよび約0.01mg/mlなどである。医薬単位投与形は単位投与形当たり約1mg〜約1000mg、例えば約10〜500mg、約25〜75mgの必須有効成分または必須成分の組合せとなるように製造する。正確な用量は実験的に決定することができる。
【0393】
有効成分は一度に投与してもよいし、あるいはいくつかの少用量に分けて時間をおいて投与してもよい。正確な用量および治療期間は治療する疾病によって異なり、公知の試験プロトコールを用いて実験的に決定することもできるし、あるいはin vivoまたはin vitro試験データから推定することもできると考えられる。濃度または用量の値はまた緩和しようとする症状の重篤度によっても異なり得ることに注意を要する。さらにまた、特定の被験体の特定の投与計画は個々の必要性およびその組成物の投与者または投与管理者の専門的判断に従って経時的に調節すべきであり、また、本明細書で示される濃度範囲は単に例であって、請求される組成物またはそれらを含む組合せの範囲または使用を限定するものではない。
【0394】
医薬上許容される誘導体としては酸、塩、エステル、水和物、溶媒和物およびプロドラッグの形態が挙げられる。誘導体は典型的にはその薬物動態特性がそれと対応する中性化合物よりも優れたものとなるように選択する。
【0395】
このように有効濃度または有効量の、本明細書で提供される1以上の化合物またはその医薬上許容される誘導体を全身投与、局所投与または局部投与に好適な医薬担体またはビヒクルと混合して医薬組成物とする。化合物は治療を意図する疾患を緩和または治療するのに有効な量で含む。組成物中の有効化合物の濃度は有効化合物の吸収率、不活性化率、排出率、投与計画、投与量、特定の剤形、ならびに当業者に公知のその他の要因によって異なる。
【0396】
非経口、皮内、皮下、または局所適用に用いる溶液または懸濁液としては以下の成分:注射水、生理食塩水、硬化油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたはその他の合成溶媒などの無菌希釈剤;ベンジルアルコールおよびメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸および重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤;酢酸、クエン酸およびリン酸などのバッファー;および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張力調整剤のいずれかを含んでよい。非経口製剤はガラス製、プラスチック製またはその他好適な材質のアンプル、使い捨てシリンジ、または一回量または複数量バイアルに封入することができる。
【0397】
化合物が十分な溶解度を示さない場合は化合物を可溶化する方法を使用することができる。このような方法は当業者に公知であり、限定されるものではないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの補助溶媒の使用、Tween(登録商標)などの界面活性剤の使用、または重炭酸ナトリウム水溶液への溶解などが挙げられる。有効な医薬組成物の調剤にはまた、化合物のプロドラッグなど化合物の誘導体を使用することもできる。眼科適用としては、眼科上許容される担体中に組成物を調剤する。本明細書での眼用としては、局所投与または注射いずれかによる局所投与が考えられる。徐放性製剤も望ましい。典型的にはこれらの組成物は一回量で有効量を投与するような単位量投与用に調剤する。
【0398】
化合物にビヒクルを混合または添加した際、得られる混合物は溶液、懸濁液、エマルションまたはその他の組成物となり得る。得られる混合物の形態は意図する投与様式、選択した担体またはビヒクルでの化合物の溶解度をはじめ、いくつかの要因によって異なる。必要であればこれら化合物の医薬上許容される塩またはその他の誘導体を製造する。
【0399】
これら化合物は医薬上許容される担体中に、治療する患者に望ましくない副作用なく治療上有用な作用を発揮するに十分な量で含める。副作用の数および程度は化合物を投与する症状によって異なると考えられる。例えば、ある特定の毒性作用および望ましくない副作用は、命に関わる疾病を治療する場合には許容されるが、そうでもない疾患を治療する場合には許容されないことがある。
【0400】
またこれらの化合物は、所望の作用を損なうことのない他の有効物質と混合することもできるし、あるいは当業者に公知の所望の作用を補う物質と混合することもできる。本明細書で用いられるこれらの化合物および薬剤の製剤としては、経口投与、直腸投与、局所投与、吸入、口内(例えば舌下)投与、非経口投与(例えば皮下、筋肉内、皮内または静脈投与)、経皮投与またはいずれかの経路に好適なものが挙げられる。あるケースでの最も好適な経路は治療する症状の性質および重篤度、ならびに用いる特定の有効化合物の性質によって異なる。これらの製剤は、好適量の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含有する錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、滅菌非経口溶液または懸濁液、および経口溶液または懸濁液、ならびに水中油エマルションなどの単位投与形でヒトおよび動物への投与向けに提供される。医薬上治療上有効な化合物およびその誘導体は典型的には単位投与形または複数投与形で調剤し、投与する。本明細書において単位投与形とは、ヒトおよび動物被験体に適した物理的に別個の単位をさし、当技術分野で公知のように個別包装されている。各単位量は所望の治療作用をもたらすに十分な所定量の治療上有効な化合物を必要とされる医薬担体、ビヒクルまたは希釈剤と組み合わせて含有する。単位投与形の例としてはアンプルおよびシリンジならびに個別包装された錠剤またはカプセル剤が挙げられる。単位投与形はその一部、または複数を投与することができる。複数投与形は分離された単位投与形で投与されるように単一の容器に包装された複数の同一単位投与形である。複数投与形の例としてはバイアル、錠剤もしくはカプセル剤瓶、またはパイントもしくはガロン瓶が挙げられる。この場合、複数投与形は包装上分離できない複数の単位投与形である。
【0401】
この組成物は有効成分とともに、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムまたはカルボキシメチルセルロースなどの希釈剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルクなどの滑沢剤;およびデンプン、アカシアゼラチンガムなどの天然ガム、グルコース、糖蜜、ポリビニルピロリジン、セルロースおよびその誘導体、ポビドン、クロスポビドンおよびその他当技術分野で公知のこの種の結合剤などの結合剤を含み得る。医薬上許容される投与可能な液体組成物は例えば、上記で定義したような有効化合物と所望の医薬アジュバントを、例えば水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなどの担体中に溶解、分散させる、あるいは担体中で混合することで溶液または懸濁液を形成させることにより作製できる。所望により投与する医薬組成物は湿潤剤、乳化剤または可溶化剤、pH調整剤などの微量の無毒の補助物質、例えば酢酸、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミンおよびその他のこの種の薬剤を含んでもよい。このような投与形を製造する方法は当業者には公知のものであるか、明らかである(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 15th Edition, 1975参照)。投与する組成物または製剤は治療する被験体の症状の緩和に十分な量の有効化合物を含む。
【0402】
0.005%〜100%の範囲の有効成分を含有し、残部は無毒な担体からなる投与形または組成物を製造することができる。経口投与には、これらの医薬組成物は、結合剤(例えば、アルファー化コーンスターチ、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、ラクトース、微晶質セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ポテトスターチ、またはグリコール酸ナトリウムデンプン);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬上許容される賦形剤を用いて常法により製造される例えば錠剤またはカプセル剤の形態をとってもよい。錠剤は当技術分野で周知の方法によりコーティングしてもよい。
【0403】
医薬製剤はまた例えば溶液、シロップ、または懸濁液などの液体であってもよく、あるいは水またはその他好適なビヒクルで使用前に再構成する薬物製品として提供することもできる。このような液体製剤は、沈殿防止剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または硬化食用油脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアガム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、または精留植物油);および保存剤(例えば、メチルもしくはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエート、またはソルビン酸)などの医薬上許容される添加剤を用い、常法により製造することができる。
【0404】
直腸投与に好適な製剤は単位投与坐剤として提供することができる。これらは有効化合物を1以上の通常の固形担体、例えばカカオ脂と混合した後、得られた混合物を成形することにより製造することができる。
【0405】
皮膚または眼への局所適用に好適な製剤としては一般に軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアーゾル、およびオイルとして調剤する。使用可能な担体としてはワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびそれらの2以上の組合せが挙げられる。さらに局所製剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ/ヒドロキシアルキル、メタクリーレトまたはポリメタクリルアミドから選択される増粘剤を0.05〜15重量%含むことが有利であり得る。局所製剤は多くの場合滴下により、あるいは結膜嚢への軟膏として適用する。またこれは眼、顔面の凹部および外耳道の洗浄または潤滑のためにも使用できる。また、前眼房その他の場所に注入することもできる。液体状の局所製剤は有効成分が放出するストリップ、コンタクトレンズなどの形態の親水性三次元高分子マトリックスとして提供することもできる。
【0406】
吸入による投与としては、本明細書で用いる化合物は、好適な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の好適なガスを用いて加圧パックまたはネブライザーから提供されるエアーゾルスプレーの形態で送達することができる。加圧エアーゾルの場合、投与単位は計量された量を送達するバルブを設けることで定量することができる。吸入または通気で用いるための例えばゼラチンのカプセルまたはカートリッジは化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含むよう配合することができる。
【0407】
口内(舌下)投与に好適な製剤としては例えば香味基剤、通常はスクロースおよびアラビアガムまたはトラガカントガム中に有効化合物を含むトローチ剤、およびゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアガムなどの不活性基剤中に化合物を含む香錠が挙げられる。
【0408】
これらの化合物は注射、例えばボーラス注射または点滴による非経口投与用に調剤することができる。注射用製剤は単位投与形、例えばアンプル、または保存剤を添加して複数用量容器で提供することができる。これらの組成物は油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルションであってもよく、沈殿防止剤、安定剤および/または分散剤などの配合剤を含んでもよい。あるいは有効成分は使用前に好適なビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水またはその他の溶媒で再構成する粉末状としてもよい。
【0409】
経皮投与に好適な製剤は長時間レシピエントの表皮との緊密な接触を保つようにした個別パッチとして提供することができる。このようなパッチは有効化合物を、例えば有効化合物に対して0.1〜0.2M濃度の、所望により緩衝させた水溶液として適宜含む。経皮投与に好適な製剤はまたイオン導入法によって送達することもでき(例えば、Pharmaceutical Research 3 (6), 318 (1986)参照)、典型的には所望により緩衝させた有効化合物の水溶液の形態をとる。
【0410】
これらの医薬組成物はまた徐放性手段および/または徐放性送達ディバイスによって投与することもできる(例えば、米国特許第3,536,809号;第3,598,123号;第3,630,200号;第3,845,770号;第3,847,770号;第3,916,899号;第4,008,719号;第4,687,610号;第4,769,027号;第5,059,595号;第5,073,543号;第5,120,548号;第5,354,566号;第5,591,767号;第5,639,476号;第5,674,533号および第5,733,566号参照)。
【0411】
望ましい血液レベルは血漿レベルにより確認されるので有効剤の点滴により維持することができる。主治医ならばいつどのように治療を終了、中断すればよいか、あるいは毒性、または骨髄不全、肝不全もしくは腎不全により低用量に治療を調節すればよいかが分かることを注記しておく。逆に主治医ならば臨床応答が十分でない(有害な副作用を除く)場合に、いつどのように治療を高用量に調節すればよいかも分かるであろう。
【0412】
また、CVSP14ポリペプチド阻害剤単独または他の薬剤との併用における効力および/または毒性も当技術分野で公知の方法によって評価することができる(一般に、O'Reilly, Investigational New Drugs, 15:5-13 (1997)参照)。
【0413】
有効化合物または医薬上許容される誘導体は徐放性製剤またはコーティングなど、化合物がその本体から急速に放出されるのを防ぐ担体を用いて製造することができる。
【0414】
これらの組成物および/または組合せをその投与に関する説明書とともに含むキットも提供される。このキットはさらに、典型的には無菌形態で包装された、複合体を注射するための針またはシリンジおよび/または包装されたアルコールパッドを含んでもよい。説明書は所望により医師または患者による有効剤の投与のために含める。
【0415】
最後にこれらの化合物またはCVSP14ポリペプチドもしくはそのプロテアーゼドメイン、または上記薬剤のいずれかを含有する組成物は包装材料、その包装材料の中に本明細書で意図される疾病または疾患の治療に有効な本明細書で提供される化合物またはその好適な誘導体、および化合物またはその好適な誘導体が本明細書で意図される疾病または疾患の治療用のものであることを示すラベルを含む製品としてパッケージングすることができる。ラベルには本治療が保証される疾患を記載することができる。
【0416】
L. 治療方法
本明細書の方法によって同定される化合物は動物、特にヒトをはじめとする哺乳類における新生物形成疾患を治療または予防するために用いられる。ある実施形態では、本方法は有効量のCVSP14ポリペプチド阻害剤を哺乳類に投与し、それにより疾病または疾患を治療または予防することを含む。
【0417】
ある実施形態では、治療または予防に用いられるCVSP14ポリペプチド阻害剤は医薬上許容される担体または賦形剤とともに投与する。治療する哺乳類はヒトであり得る。本明細書で提供される阻害剤はスクリーニングアッセイによって同定されるものである。さらにまた、抗体およびアンチセンス核酸またはRNAiなどの二本鎖RNA(dsRNA)も意図される。
【0418】
この治療または予防方法はさらに、CVSP14ポリペプチド阻害剤(これはCVSP14ポリペプチドの活性を阻害することが確認されているいずれの化合物であってもよい)と同時、またはその前、またはその後に抗血管形成治療もしくは抗血管形成剤または抗腫瘍剤を投与することを含み得る。このような化合物としては小分子モジュレーター、CVSP14ポリペプチドに対する抗体またはその結合領域を含むその断片もしくは誘導体、CVSP14ポリペプチドをコードするアンチセンス核酸またはRNAiなどの二本鎖RNA(dsRNA)、ならびに異種ヌクレオチド配列が、その異種配列がCVSP14ポリペプチドをコードする遺伝子の少なくとも一部の生物活性を不活性化するように挿入されているCVSP14ポリペプチドをコードする遺伝子の少なくとも一部を含む核酸(ここで、このCVSP14ポリペプチドをコードする遺伝子の一部は、CVSP14ポリペプチドをコードするゲノム遺伝子との相同組換えを促進するように異種配列をフランキングしている)が挙げられる。また、このような分子は一般に約1000nt未満の長さである。
【0419】
1. アンチセンス治療
ある特定の実施形態では、以上に示したように、新生物形成疾患を治療または予防するためにCVSP14ポリペプチドアンチセンス核酸によってCVSP14ポリペプチド機能を低下させる、または阻害する。CVSP14ポリペプチドまたはその一部をコードする遺伝子またはcDNAに対してアンチセンスである少なくとも6ヌクレオチドの核酸の治療的または予防的使用。本明細書においてCVSP14ポリペプチド「アンチセンス」核酸とは、いくらかの配列相同性のためにCVSP14ポリペプチドRNA(一般にmRNA)の一部と、一般に高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし得る核酸をさす。このアンチセンス核酸はCVSP14ポリペプチドmRNAのコードおよび/または非コード領域に相補的なものであり得る。このようなアンチセンス核酸はCVSP14ポリペプチド機能を低下または阻害する治療薬としての用途を有し、上記のような疾患の治療または予防に使用できる。
【0420】
CVSP14ポリペプチドアンチセンス核酸は少なくとも6ヌクレオチドのものであり、一般にオリゴヌクレオチド(6〜50ヌクレオチドなど、6〜約150ヌクレオチドの範囲)である。このアンチセンス分子はプロテアーゼドメインの全部または一部に相補的なものであり得る。例えばこのオリゴヌクレオチドは少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも15ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、または少なくとも125ヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドはDNAまたはRNAまたはキメラ混合物またはその誘導体もしくは改変体、一本鎖または二本鎖であり得る。このオリゴヌクレオチドは塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で改変することができる。このオリゴヌクレオチドはペプチドまたは細胞膜(例えば、Letsinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:6553-6556 (1989); Lemaitre et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:648-652 (1987);1988年12月15日公開のPCT公報WO 88/09810参照)または血液脳関門(例えば、1988年4月25日公開のPCT公報WO 89/10134参照)をわたる輸送を促進する薬剤、ハイブリダイゼーション誘発型切断剤(例えば、Krol et al., BioTechniques 6:958-976 (1988)参照)またはインターカレーション剤(例えば、Zon, Pharm. Res. 5:539-549 (1988)参照)などの他の補助基を含んでもよい。
【0421】
CVSP14ポリペプチドアンチセンス核酸は一般にオリゴヌクレオチド、典型的には一本鎖DNAもしくはRNAまたはその類似体もしくはその混合物である。例えばオリゴヌクレオチドとしてはヒトCVSP14ポリペプチドの一部に対してアンチセンスである配列が挙げられる。このオリゴヌクレオチドは当技術分野で一般に知られている置換基でその構造上のいずれかの部分で改変することができる。
【0422】
CVSP14ポリペプチドアンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定されるものではないが、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルキューオシン、5'-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、シュードウラシル、キューオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6-ジアミノプリンからなる群から選択される少なくとも1つの改変塩基部分を含み得る。
【0423】
もう1つの実施形態では、このオリゴヌクレオチドは、限定されるものではないが、アラビノース、2-フルオロアラビノース、キシルロースおよびヘキソースからなる群から選択される少なくとも1つの改変糖部分を含む。このオリゴヌクレオチドはホスホロチオエート、ホスオロジチオエート、ホスホルミドチオエート、ホスホルアミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、およびホルムアセタールまたはその類似体から選択される少なくとも1つの改変リン酸骨格を含み得る。
【0424】
このオリゴヌクレオチドはα-アノマー型オリゴヌクレオチドであってもよい。α-アノマー型オリゴヌクレオチドは相補的RNAと、両鎖が互いに平行に走る特異的二本鎖ハイブリッドを形成する(Gautier et al., Nucl. Acids Res. 15:6625-6641 (1987))。
【0425】
このオリゴヌクレオチドは別の分子、例えばペプチド、ハイブリダイゼーション誘発型架橋剤、輸送剤およびハイブリダイゼーション誘発型切断剤とコンジュゲートさせることができる。
【0426】
これらのオリゴヌクレオチドは当技術分野で公知の標準的な方法により、例えば自動DNAシンセサイザー(Biosearch, Applied Biosystemsから市販されているものなど)を用いることで合成することができる。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドはStein et al. (Nucl. Acids Res. 16:3209 (1988))の方法により合成することができ、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは細孔性ガラス(controlled pore glass)支持体などを用いて作製することができる(Sarin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:7448-7451 (1988))。
【0427】
ある特定の実施形態では、CVSP14ポリペプチドアンチセンスオリゴヌクレオチドは触媒RNAまたはリボザイムを含む(例えば、1990年10月4日公開のPCT国際公報WO 90/11364; Sarver et al., Science 247:1222-1225 (1990)参照)。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは2'-0-メチルリボヌクレオチド(Inoue et al., Nucl. Acids Res. 15:6131-6148 (1987))、またはキメラRNA-DNA類似体(Inoue et al., FEBS Lett. 215:327-330 (1987))である。あるいはこのオリゴヌクレオチドはRNAiなどの二本鎖RNA(dsRNA)であってもよい。
【0428】
もう1つの実施形態では、CVSP14ポリペプチドアンチセンス核酸は外来配列からの転写により細胞内で産生させる。例えば、ベクターを、細胞に取り込まれ、その細胞内でベクターまたはその一部が転写され、アンチセンス核酸(RNA)を産生するようにin vivoに導入することができる。このようなベクターはCVSP14ポリペプチドアンチセンス核酸をコードする配列を含む。このようなベクターはそれが転写されて目的のアンチセンスRNAを産生する限り、エピソームに留まっても染色体に組み込まれてもよい。このようなベクターは当技術分野で標準的な組換えDNA技術によって構築することができる。ベクターはプラスミド、ウイルス、または哺乳類細胞での複製および発現に用いられる当技術分野で公知のその他のものであってもよい。CVSP14ポリペプチドアンチセンスRNAをコードする配列の発現はヒトをはじめとする哺乳類細胞で作用することが当技術分野で知られているいずれのプロモーターによるものであってもよい。このようなプロモーターは誘導型のものであっても構成型のものであってもよい。このようなプロモーターとしては、限定されるものではないが、SV40初期プロモーター領域(Bernoist and Chambon, Nature 290:304-310 (1981)、ラウス肉腫ウイルスの3'長い末端反復に含まれるプロモーター(Yamamoto et al., Cell 22:787-797 (1980)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441-1445 (1981)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al., Nature 296:39-42 (1982)などが挙げられる。
【0429】
これらのアンチセンス核酸はヒトCVSP14ポリペプチド遺伝子をはじめとする、CVSP14ポリペプチド遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部と相補的な配列を含む。絶対的な相補性の必要はない。
【0430】
新生物形成疾患の治療または予防に効果的なCVSP14ポリペプチドアンチセンス核酸(dsRNA)の量は疾病の性質によって異なり、標準的な臨床技術によって実験的に決定することができる。可能であれば、アンチセンス細胞傷害性はin vitroで調べた後、ヒトでの試験および使用に先立ち有用な動物モデル系で調べるのことが望ましい。
【0431】
2. RNA干渉
CVSP14をコードする遺伝子の発現を阻害するため、RNA干渉(RNAi)(例えば、Chuang et al. (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 97:4985参照)を用いることができる。干渉RNA(RNAi)断片、特に二本鎖(ds)RNAiは、CVSP14機能の欠損を作り出すために使用できる。哺乳類、C.エレガンス、ショウジョウバエ(Drosophila)および植物ならびにヒトをはじめとする生物において遺伝子をサイレンシングするためのRNAiの使用に関する方法が知られている(例えば、 Fire et al. (1998) Nature 391:806-811 Fire (1999) Trends Genet. 15:358-363; Sharp (2001) Genes Dev. 15:485-490; Hammond, et al. (2001) Nature Rev. Genet. 2:110-1119; Tuschl (2001) Chem. Biochem. 2:239-245; Hamilton et al. (1999) Science 286:950-952; Hammond et al. (2000) Nature 404:293-296; Zamore et al. (2000) Cell 101:25-33; Bernstein et al. (2001) Nature 409: 363-366; Elbashir et al. (2001) Genes Dev. 15:188-200; Elbashir et al. (2001) Nature 411:494-498;国際PCT出願WO 01/29058;国際PCT出願WO 99/32619参照)。二本鎖RNA(dsRNA)を発現する構築物はエピソームに留まる、またはゲノムに組み込まれる複製ベクターを用いて動物または植物などの宿主へ導入する。適当な配列を選択することで、dsRNAの発現はCVSP14をコードする内在mRNAの蓄積により干渉され得る。RNAiはまたin vitroで発現を阻害するために使用することもできる。領域はCVSP14に対して選択性のある(すなわち、特有の)少なくとも約21(または21)のヌクレオチドを含み、これをRNAiの作製に用いる。約21ヌクレオチドのより短い断片は直接細胞へ形質転換でき、より大きなRNAi dsRNA分子は一般にそれらをコードするベクターを用いて導入する。dsRNA分子は少なくとも約21bp以上の長さ、例えば50、100、150、200およびそれ以上である。
【0432】
3. 遺伝子治療
ある例としての実施形態では、遺伝子治療によってCVSP14ポリペプチドの機能を増強するため、CVSP14ポリペプチドまたはその機能的ドメインもしくは誘導体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を投与する。遺伝子治療とは被験体に核酸を投与することによって行う治療をさす。この実施形態では核酸はそこにコードされている、CVSP14ポリペプチドの機能を増強することにより治療作用を媒介するタンパク質を産生する。当技術分野で利用できる遺伝子治療の方法はいずれでも使用できる(Goldspiel et al., Clinical Pharmacy 12:488-505 (1993); Wu and Wu, Biotherapy 3:87-95 (1991); Tolstoshev, An. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-596 (1993); Mulligan, Science 260:926-932 (1993);およびMorgan and Anderson, An. Rev. Biochem. 62:191-217 (1993); TIBTECH 11(5):155-215 (1993)参照)。
【0433】
例えば、遺伝子治療用の治療組成物としては、好適な宿主内でCVSP14ポリペプチドまたはそのドメイン、断片もしくはキメラタンパク質を発現する発現ベクターの一部としてのCVSP14ポリペプチドをコードする核酸を含む。特にこのような核酸は作動可能なようにCVSP14ポリペプチドコード領域に連結されたプロモーターを有し、このプロモーターは誘導型のものでも構成型のものでも、所望により組織特異的なものであってもよい。もう1つの特定の実施形態では、CVSP14ポリペプチドコード配列および他のいずれかの所望の配列がゲノム中の望ましい部位で相同組換えを促進する領域でフランキングされている核酸分子を用いることで、SPタンパク質核酸の染色体内発現をもたらす(Koller and Smithies, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8932-8935 (1989); Zijlstra et al., Nature 342:435-438 (1989))。
【0434】
患者への核酸送達は、患者がその核酸または核酸保持ベクターに直接曝される直接的なものであっても、あるいはまずin vitroで細胞をその核酸で形質転換した後、患者に移植する間接的なものであってもよい。これらの2つのアプローチはそれぞれin vivoまたはex vivo遺伝子治療として知られている。
【0435】
ある特定の実施形態では、核酸を直接in vivo投与し、そこで発現させてコードされている産物を産生させる。これは例えばそれを適当な核酸発現ベクターの一部として構築し、例えば欠陥または弱毒レトロウイルスまたはその他のウイルスベクターを用いて感染させることにより(米国特許第4,980,286号参照)、あるいは裸のDNAの直接注入により、あるいは微粒子衝撃(例えば、遺伝子ガン; Biolistic, Dupont)、または脂質もしくは細胞表面レセプターもしくはトランスフェクション剤でのコーティング、リポソーム、微粒子もしくはマイクロカプセル封入の使用により、あるいは核に入ることが知られているペプチドと結合させて投与することにより、あるいはレセプターを媒介とするエンドサイトーシスを受けるリガンドと結合させて投与することによるなど(例えば、Wu and Wu, J. Biol. Chem. 262:4429-4432 (1987)参照)(これはそのレセプターを特異的に発現する細胞種をターゲッティングするために使用できる)、それが細胞内に存在するように投与することによる、当技術分野で知られている多くの方法のいずれかにより達成することができる。もう1つの実施形態では、リガンドがエンドソームを破壊して核酸にリソソーム分解を避けさせるための融合誘導性ウイルスペプチドである場合の核酸-リガンド複合体を形成させることができる。なおもう1つの実施形態では、特異的レセプターをターゲッティングすることで、核酸をin vivoにおいて細胞特異的取り込みおよび発現にターゲッティングすることができる(例えば、1992年4月16日付けのPCT公報WO 92/06180(Wu et al.); 1992年12月23日付けのWO 92/22635(Wilson et al.); 1992年11月26日付けのWO92/20316(Findeis et al.); 1993年7月22日付けのWO93/14188(Clarke et al.); 1993年10月14日付けのWO 93/20221(Young)参照)。あるいは、核酸は細胞内に導入し、相同組換えにより発現のため宿主細胞のDNAに組み込むこともできる(Koller and Smithies, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8932-8935 (1989); Zijlstra et al., Nature 342:435-438 (1989))。
【0436】
ある特定の実施形態では、CVSP14ポリペプチド核酸を含むウイルスベクターを用いる。例えばレトロウイルスベクターが使用できる(Miller et al., Meth. Enzymol. 217:581-599 (1993))。これらのレトロウイルスベクターはウイルスゲノムのパッケージングおよび宿主細胞DNAへの組み込みに必要でないレトロウイルス配列を欠くよう改変したものである。遺伝子治療に用いるCVSP14ポリペプチド核酸は患者への遺伝子送達を助けるベクターへクローニングする。レトロウイルスベクターに関してさらに詳しいことは、幹細胞の放射線療法耐性を高めるために造血幹細胞へmdr1遺伝子を送達することを目的としたレトロウイルスベクターの使用について記載したBoesen et al., Biotherapy 6:291-302 (1994)に見出せる。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を示したその他の参照文献としては、Clowes et al., J. Clin. Invest. 93:644-651 (1994); Kiem et al., Blood 83:1467-1473 (1994); Salmons and Gunzberg, Human Gene Therapy 4:129-141 (1993);およびGrossman and Wilson, Curr. Opin. in Genetics and Devel. 3:110-114 (1993)がある。
【0437】
アデノウイルスは遺伝子治療に使用できるもう1つのウイルスベクターである。アデノウイルスは呼吸器上皮に遺伝子を送達するのに特に魅力的な伝達体である。アデノウイルスは呼吸器上皮に自然感染し、そこで軽い疾病を引き起こす。アデノウイルス送達系の他の標的としては肝臓、中枢神経系、内皮細胞および筋肉がある。アデノウイルスは非分裂細胞に感染し得るという利点を持つ。Kozarsky and Wilson, Current Opinion in Genetics and Development 3:499-503 (1993)はアデノウイルスに基づく遺伝子治療の総説を記している。Bout et al., Human Gene Therapy 5:3-10 (1994)では、アカゲザルの呼吸器上皮へ遺伝子を送達することを目的としたアデノウイルスベクターの使用を示している。遺伝子治療におけるアデノウイルスの使用の他の事例はRosenfeld et al., Science 252:431-434 (1991); Rosenfeld et ak., Cell 68:143-155 (1992);およびMastrangeli et al., J. Clin. Invest. 91:225-234 (1993)で見出せる。
【0438】
アデノ随伴ウイルス(AAV)も遺伝子治療での使用のために提案されている(Walsh et al., Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 204:289-300 (1993)。
【0439】
遺伝子治療のもう1つのアプローチとしては、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウムを媒介とするトランスフェクション、またはウイルス感染などの方法により遺伝子組織培養細胞へ導入することを含む。通常、導入方法は細胞に選択マーカーを導入することを含む。次にこれらの細胞を、導入された遺伝子を取り込んで発現する細胞を単離するための選択下に置く。このような細胞を次に患者へ送達する。
【0440】
この実施形態では、核酸は予め細胞へ導入し、結果として生じた組換え細胞をin vivo投与する。このような導入は、限定されるものではないが、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、その核酸配列を含むウイルスまたはバクテリオファージベクターによる感染、細胞融合、染色体媒介遺伝子導入、マイクロセル媒介遺伝子導入、スフェロプラスト融合などをはじめ、当技術分野で公知のいずれかの方法によって行うことができる。当技術分野では外来遺伝子を細胞へ導入するための多くの技術が知られており(例えば、Loeffler and Behr, Meth. Enzymol. 217:599-618 (1993); Cohen et al., Meth. Enzymol. 217:618-644 (1993); Cline, Pharmac. Ther. 29:69-92 (1985)参照)、レシピエント細胞の必要な発達機能および生理機能が壊れない限り使用することができる。これらの技術は細胞へ核酸を、その核酸が細胞により発現され、かつ、一般には遺伝してその細胞の後代によっても発現可能なように安定して導入されるようなものでなければならない。
【0441】
得られた組換え細胞は当業者で公知の種々の方法によって患者へ送達することができる。ある実施形態では、上皮細胞が例えば皮下注射される。別の実施形態では、組換え皮膚細胞を患者への皮膚移植片とすることができる。組換え血液細胞(例えば造血幹細胞または始原細胞)は静脈投与することができる。想定される細胞の使用量は望む作用、患者の状態などによって異なり、当業者ならば決定することができる。
【0442】
遺伝子治療の目的で核酸を導入し得る細胞としては、所望の利用可能ないずれの細胞種も含み、限定されるものではないが、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、繊維芽細胞、筋細胞、肝細胞;Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球などの血液細胞;種々の幹細胞または始原細胞、特に造血幹細胞または始原細胞、例えば骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝臓およびその他その供給源から得た幹細胞が挙げられる。
【0443】
例えば遺伝子治療に用いる細胞は患者自己のものである。遺伝子治療において組換え細胞を用いるある実施形態では、CVSP14ポリペプチド核酸を、それが細胞またはそれらの後代により発現され得るように細胞へ導入した後、これらの組換え細胞を治療効果を求めてin vivo投与する。特定の実施形態では幹細胞または始原細胞を用いる。単離してin vitroで維持可能ないずれの幹細胞および/または始原細胞でも本実施形態に従って使用できる可能性がある。このような幹細胞としては、限定されるものではないが、造血幹細胞(HSC)、皮膚および消化管の内層などの上皮組織の幹細胞、胎児心筋細胞、肝臓幹細胞(1994年4月28日付けのPCT公報WO 94/08598)、および神経幹細胞(Stemple and Anderson, Cell 71:973-985 (1992))が挙げられる。
【0444】
上皮幹細胞(ESC)またはケラチノサイトは公知の方法により皮膚および消化管の内層などの組織から得ることができる(Rheinwald, Meth. Cell Bio. 21A:229 (1980))。皮膚などの層状上皮組織では、基底板に最も近い層である胚層内の細胞の有糸分裂により再生が起こっている。消化管内層内の幹細胞はこの組織の急速な再生速度をもたらす。患者またはドナーの皮膚または消化管の内層から得たESCまたはケラチノサイトは組織培養で増殖させることができる(Rheinwald, Meth. Cell Bio. 21A:229 (1980); Pittelkow and Scott, Cano Clinic Proc. 61:771 (1986))。ドナーからESCが提供されれば、宿主対移植片反応性の抑制方法(例えば、適度な免疫抑制を促進するための照射、薬物または抗体投与)も使用できる。
【0445】
この実施形態では、造血幹細胞(HSC)に関してはHSCの単離、増殖およびin vitro維持を可能とする技術が使用できる。これを達成し得る技術には、(a)将来の宿主またはドナーから単離した骨髄細胞からのHSCの単離およびその培養系の確立、または(b)同種のものでも異種のものであってもよいが、予め確立されたHSCの長期培養系の使用が含まれる。一般に将来の宿主/患者の移植免疫反応を抑制する方法では非自己HSCが用いられる。特定の実施形態では、ヒト骨髄細胞は後腸骨稜から穿刺吸引によって得ることができる(例えば、Kodo et al., J. Clin. Invest. 73:1377-1384 (1984)参照)。例えば、HSCは高濃縮物または実質的に純粋な形態で作製することができる。この濃縮は長期培養前、培養中、または培養後に行うことができ、当技術分野で公知のいずれの技術によって行ってもよい。骨髄細胞の長期培養系は例えば改変Dexter細胞培養法(Dexter et al., J. Cell Physiol. 91:335 (1977)またはWitlock-Witte培養法(Witlock and Witte, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:3608-3612 (1982))を用いて確立および維持することができる。
【0446】
ある特定の実施形態では、遺伝子治療の目的で導入する核酸は作動可能なようにコード領域に連結された誘導プロモーターを含み、これにより、適当な転写インデューサーの存在・不在を制御することで核酸の発現を制御できる。
【0447】
3. プロドラッグ
腫瘍を治療する方法も提供される。本方法はCVSP14により特定の部位で切断されて有効薬を放出するプロドラッグを投与することにより実施される。CVSP14活性を発現する細胞と接触した際、プロドラッグは有効薬へと変換される。このプロドラッグは薬物または薬剤がコンジュゲートとしては不活性である、または細胞に入ることができないが、切断された際に活性化されるように標的CVSP14の基質と結合された細胞傷害剤などの抗腫瘍薬またはその他の治療薬(TA)などの有効薬を含むコンジュゲートであってよい。例えばこのプロドラッグはオリゴペプチド、典型的には比較的短い約10未満のアミノ酸のペプチドを含むものであってよく、すなわち標的CVSP14によってタンパク質分解切断される。細胞傷害剤としては、限定されるものではないが、アルキル化剤、抗増殖剤およびチューブリン結合剤が挙げられる。その他、ビンカ薬、マイトマイシン、ブレオマイシンおよびタキサンがある。
【0448】
M. 動物モデル
本明細書ではマウスおよびラットをはじめとする齧歯類、ウシ、ニワトリ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ゴリラその他の霊長類などのトランスジェニック動物モデルおよび動物が提供される。特にCVSP14ポリペプチドをコードする異種核酸を含むトランスジェニック非ヒト動物または内在遺伝子のプロモーター領域およびその他の調節領域を置換または改変することによるなどしてポリペプチドの発現が変化させてあるトランスジェニック動物が提供される。
【0449】
このような動物は強力なプロモーターの下、同種または相同組換えまたはその他の組換えによって発現させることによるなどして過剰発現または異常発現させることができる外的CVSP14遺伝子との組換えを促進することにより作出することができる。例えばトランスジェニック動物はベクターまたはその他の様式の遺伝子送達を用いて胚幹細胞などの生殖系細胞へ核酸を導入することによって作出できる。典型的には核酸を胚幹細胞などへ導入し、次にこれを胚由来幹(ES)細胞をCVSP14ポリペプチドをコードする核酸を含むベクターで形質転換し、そのES細胞を胚盤胞へ注入し、その胚盤胞を代理母に移植し、その後トランスジェニック動物を誕生させる。一般に動物の染色体への導入は異種CVSP14をコードする核酸と内在する核酸の間の組換えによって起こる。この異種核酸は特定の染色体へターゲッティングすることができる。
【0450】
場合によってはノックアウト動物を作出することもできる。このような動物はまず、その染色体中のCVSP14ポリペプチド遺伝子と生物学的に不活性とされている外的CVSP14ポリペプチド遺伝子の間の相同組換えを促進することにより(典型的には異種配列、例えば、抗生物質耐性遺伝子の挿入による)作出することができる。ある実施形態では、この相同組換えは胚由来幹(ES)細胞を挿入により不活性化されたCVSP14ポリペプチド遺伝子を含むベクターで、相同組換えが起こるように形質転換した後、そのES細胞を胚盤胞へ注入し、その胚盤胞を代理母に移植し、その後にCVSP14ポリペプチド遺伝子が不活性化されたキメラ動物(「ノックアウト動物」)を誕生させることにより行う(Capecchi, Science 244:1288-1292 (1989)参照)。このキメラ動物は同系接合性ノックアウト動物を作出するために同系交配させることができ、次にこれを用いてさらなるノックアウト動物を作出することができる。
【0451】
ノックアウト動物としては、限定されるものではないが、マウス、ハムスター、ヒツジ、ブタ、ウシおよびその他の非ヒト動物が挙げられる。例えばノックアウトマウスが作出される。このようなノックアウト動物は新生物形成疾患を発症する、または発症する素因を持つと予想されることから、このような疾患の動物モデルとして、例えばこのような疾病または疾患を治療または予防する能力を、あるいはその能力に関して試験化合物をスクリーニングするために使用することができる。このような動物はまず、その染色体上のCVSP14遺伝子と、過剰発現または異常発現する(一般に強力なプロモーター下での発現による)外的CVSP14ポリペプチド遺伝子との間の相同組換えを促進することにより作出することができる。ある実施形態では、この相同組換えは、胚由来幹(ES)細胞を過剰発現または異常発現CVSP14ポリペプチド遺伝子を含むベクターで相同組換えが起こるように形質転換した後、そのES細胞を胚盤胞に注入し、その胚盤胞を代理母に移植し、その後にCVSP14遺伝子が過剰発現または異常発現しているキメラ動物を誕生させることによって行う(Capecchi, Science 244:1288-1292 (1989)参照)。このキメラ動物は過剰発現または異常発現CVSP14ポリペプチドを有するさらなる動物を作出するために同系交配させることができる。このような動物としては、限定されるものではないが、マウス、ハムスター、ヒツジ、ブタ、ウシおよびその他の非ヒト動物が挙げられる。特定の実施形態では過剰発現または異常発現CVSP14ポリペプチドを有するマウスを作出する。
【0452】
以下の実施例は単に例を示すためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0453】
CVSP14の同定
前立腺腫瘍サンプルからの一本鎖cDNAの調製
ヒト前立腺腫瘍CWR22Rをヌードマウスで増殖させた。CWR22R組織を摘出し、トリゾール(TRIZOL)試薬(Gibco BRL)中に入れ、製造業者の説明書に従って全RNAを精製した。オリゴテックスmRNAミニキット(Qiagen)を用い、全RNAからポリA+ RNAをさらに精製した。一本鎖cDNAをスーパースクリプト第一鎖合成系(Gibco BRL)を用いて合成した。ランダムヘキサマーまたはオリゴ(dT)のいずれかを用いて第一鎖cDNAの合成をプライミングした。
【0454】
縮重プライマーPCRによるセリンプロテアーゼプロファイリング
セリンプロテアーゼドメインは触媒ヒスチジン(DSPP1)と触媒セリン(DSPP2)をフランキングするコンセンサス配列から設計した縮重プライマーを用いて増幅した。用いたセンスプライマー(DSPP1)の配列は以下の通りである(配列番号7): 5'-TGG (GA)TI (ACG)TI (TA)(CG)I GCI (AG)CI CA(TC) TG-3'(括弧内のヌクレオチドは等モル混合物を表し、Iはデオキシイノシンを表す)。用いたアンチセンスプライマー(DSPP2)は以下の通りである(配列番号8): 5'-IGG ICC ICC I(CG)(TA) (GA)TC ICC (TC)TI (AG)CA IG(TAC) (AG)TC-3'。ランダムヘキサマーおよびオリゴ(dT)でプライミングしたcDNAをPCR反応の鋳型として用いた。PCR産物をアガロースゲル上で分離し、450〜550bp間の全ての産物をゲルから抽出し、pCR2.1-TOPOクローニングベクター(Invitrogen)へサブクローニングした。PCRにより生じたインサートを含むプラスミドはEcoR I消化産物のアガロースゲル電気泳動により確認した。450〜550bpのインサートを含むプラスミドに対してDNAシーケンシングを行った。これらのクローンのうちの一つが、新規なセリンプロテアーゼのプロテアーゼドメインの部分をコードしている474bpのインサートを含んでいた。このセリンプロテアーゼ配列を以下、CVSP14と呼ぶ。
【0455】
ランダムヘキサマーおよびオリゴ(dT)でプライミングしたcDNAをPCR反応の鋳型として用いた。PCR産物をアガロースゲル上で分離し、450〜550bp間の全ての産物をゲルから抽出し、pCR2.1-TOPOクローニングベクター(Invitrogen)へサブクローニングした。PCRにより生じたインサートを含むプラスミドはEcoR I消化産物のアガロースゲル電気泳動により確認した。450〜550bpのインサートを含むプラスミドに対してDNAシーケンシングを行った。これらのクローンのうちの一つが、新規なセリンプロテアーゼのプロテアーゼドメインの部分をコードしている474bpのインサートを含んでおり、これを本明細書ではCVSP14と呼ぶ。
【0456】
ヒトゲノムデータベースhtgs(Unfinished High Throughput Genomic Sequences)のBLAST検索から、この配列がヒト第11染色体に由来するゲノム配列AC012228と一致することが明らかとなった。
【0457】
CVSP14のプロテアーゼドメインをコードするcDNAのクローニング
クローンキャプチャーcDNAセレクションキット(Clontech)を用いてCVSP14プロテアーゼドメインをコードするcDNAを得た。ビオチン-21-dUTPの存在下でDSPP1およびDSPP2プライマーを用いるPCRによって、CVSP14のビオチニル化した474bpの部分cDNAクローンを作製した。このビオチニル化産物をゲル精製し、RecAを媒介とするクローンキャプチャー法でプローブとして用いた。ヒト前立腺癌cDNAライブラリー(Gibco BRL カタログ番号11597-010)をcDNA源としても用いた。キャプチャーしたcDNAをエレクトロポレーションによりエレクトロマックスDH10B細胞に形質転換し、CVSP14プロテアーゼドメインを含む陽性クローンを、非ビオチニル化DSPP1およびDSPP2 PCR産物を用いたコロニーハイブリダイゼーションにより確認した。陽性クローンはDNAシーケンシングにより確かめた。4つの陽性クローンについてDNAシーケンシング解析を行ったところ、全てのクローンがセリンプロテアーゼのプロテアーゼドメインをコードするcDNAを含んでいることが示された。このCVSP14プロテアーゼドメインをコードするcDNAは756bpからなり、251個のアミノ酸へと翻訳される。このタンパク質データベースのBLAST解析から、このセリンプロテアーゼがツメガエル(Xenopus)オビダクチンのセリンプロテアーゼドメインの一つ(Genbank受託番号U81291およびT30338)と47%の同一性という最も高い相同性を持っていることが示された。
【0458】
ヒトCVSP14全長cDNAのクローニング
残りのCVSP14の5’上流cDNAを得るため、ジーンレーサー(GeneRacer)キット(Ambion, カタログ番号L1500-01)を用いて合成したヒト腎RACE cDNAにおいて5’-RACE反応を行った。ジーンレーサーキットはRNAリガーゼを媒介とする5'および3' cDNA末端全長迅速増幅(RLM-RACE)向けに特にデザインされたものである。最初の5’-RACE反応は遺伝子特異的プライマーGX-SP1-4AS, 5’-GTTAAGCGGCCCCAGCCTGCAGTTGTAC-3’配列番号 とともにジーンレーサー5'プライマーを用いたPCRによって行った。このPCR産物をアガロースゲルから精製した。
【0459】
次のネスティッドPCRは遺伝子特異的プライマーGX-SP1-1AS, 5’- GCTCTCCTGGGTCTGTCTGGCTTAAGTC-3’配列番号19(最初の5'RACE産物を鋳型として使用)とともにジーンレーサー5’ネスティッドプライマーを用いて行った。RACE反応から得られた500bpを超えるPCR産物をアガロースゲルから精製し、pCR2.1-TOPOクローニングベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)へサブクローニングした。次にCVSP14配列を含む陽性コロニーを確認するためコロニーハイブリダイゼーションを行った。配列AAAACTATGAGT(配列番号20)内にATG開始コドンを含む第二の5’-RACE産物から279bpの付加配列を得た。
【0460】
CVSP14のヌクレオチドおよびタンパク質配列
ヒトCVSP14のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を以下、および配列番号12よび13に示す。
【表2】
*下線はシグナルペプチドを示す。
【0461】
CVSP14の配列解析およびドメインの構築
CVSP14 DNAおよびタンパク質配列をDNAストライダー(バージョン1.2)を用いて解析した。CVSP14のORFは921bpからなり、306個のアミノ酸のタンパク質へと翻訳される。SMART (Simple Modular Architecture Research Tool)プログラム http://smart.embl-heidelberg.deを用いたタンパク質配列解析から、CVSP14はN末端にシグナルペプチド(アミノ酸1〜25)、その後にトリプシン様セリンプロテアーゼドメイン(アミノ酸55〜306)を有する分泌型セリンプロテアーゼであることが示された。このアミノ酸およびヌクレオチド配列は配列番号12および13に示されている。
【0462】
正常および腫瘍組織でのCVSP14の遺伝子発現プロフィール
CVSP14転写物の遺伝子発現プロフィールに関する情報を得るため、数種類のヒト成人組織(Clontech, カタログ番号K1420-1)、胎児組織(カタログ番号K1425-1)および原発腫瘍(ヒト腫瘍マルチプルティッシュcDNAパネル, カタログ番号K1522-1, CLONTECH)からなるcDNAパネルで、CVSP14特異的プライマーGX-SP1-1(配列番号9)(5'-GACTTAAGCCAGACAGACCCAGGAGAGC-3')およびGX-SP1-2AS(5'-TTGTGAGAGGACGCCACCTTCAGTTAAGC-3')(配列番号10)を用いてPCR解析を行った。
【0463】
35回のPCRサイクルの後、腎臓cDNAのみでCVSP14の高い発現を示す強い強度のDNAバンド(246bp)が検出された。肺cDNAでは中程度の強度のDNAバンドが見られ、胎盤cDNAでは弱いバンドが見られた。胎児組織または腫瘍cDNAではいずれも検出可能なシグナルは認められなかった。40回のPCRサイクルの後では、成人肝臓、膵臓、胎児心臓、胎児肺、胎児骨格筋、胎児胸腺、大腸腺癌(CX-1)および膵臓腺癌(GI-103)でさらなるシグナルが検出できる。
【0464】
DSPP1およびDSPP2プライマーによって生じた474bpのPCR産物を用いて68種のヒト腫瘍および同じ個体に由来する対応する正常組織から合成されたcDNAかならるcDNAブロット(カタログ番号7840-1 ヒト腫瘍/正常発現対アレイ; CLONTECH)、ならびに72の異なるヒト組織から抽出したRNAからなるドットブロット(Human Multiple Tissue expression(MTE)アレイ; Clontech, Palo Alto, CA; カタログ番号7776-1)をプロービングした。15の正常な腎臓cDNAサンプルのうち6サンプルでCVSP14の高い発現を示す強いシグナルが検出され、さらに8つの正常腎臓cDNAサンプルで中程度から弱いシグナルが検出できた。対となる腎腫瘍サンプルでは全てCVSP14シグナルは弱くなっていた。3ペアの前立腺正常/腫瘍cDNAサンプルでは全て弱いシグナルが検出された。9つの正常乳房サンプルのうち3サンプルでも弱いシグナルが検出された。7つの子宮腫瘍のうち1つでも弱いシグナルが検出されたが、対となるそれらの正常組織では検出されなかった。3つの正常肺組織サンプルのうち2サンプルでも弱いシグナルが検出されたが、それらの対となる腫瘍サンプルでは検出されなかった。HeLa細胞、バーキットリンパ腫Daudi細胞、慢性骨髄性白血病K562、前骨髄性白血病HL-60細胞、メラノーマG361細胞、肺癌A549細胞、リンパ芽球性白血病MOLT-4および結腸直腸腺癌SW480細胞をはじめとする種々の腫瘍細胞株からのcDNAサンプルでは極めて弱いシグナルが見られた。
【0465】
MTE解析の結果からはCVSP14転写物がリンパ節では中程度、心臓、胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸(上行結腸、横行結腸および下行結腸)、腎臓、骨格筋、肺、胎盤、肝臓、膵臓および唾液腺では弱く発現することが示された。
【実施例2】
【0466】
プロテアーゼCVSPドメインの発現
CVSP14およびそのプロテアーゼドメインをそれぞれコードする核酸はピキア・パストリス(Pichia pastoris)ベクターpPIC9K(Invitrogenから入手可能;配列番号11参照)の誘導体へクローニングすることができる。プラスミドpPIC9Kの特徴としては1〜948に5'AOX1プロモーター断片;855〜875に5'AOX1プライマー部位;949〜1218にα因子分泌シグナル;1152〜1172にα因子プライマー部位;1192〜1241に多重クローニング部位;1327〜1347に3'AOX1プライマー部位;1253〜1586に3'AOX1転写終結領域;4514〜1980にHIS4 ORF;5743〜4928にカナマイシン耐性遺伝子;6122〜6879に3'AOX1断片;7961〜7288にColE1オリジン;および8966〜8106にアンピシリン耐性遺伝子を含む。このプラスミドはカナマイシン耐性遺伝子のXhoI部位を除去することによってpPIC9Kから得られたものであり、得られたベクターは本明細書ではpPIC9Kxと呼ぶ。
【0467】
CVSP14のプロテアーゼドメインのC122S突然変異誘発
CVSP14のプロテアーゼドメインをコードする遺伝子をPCR SOE(PCRを基にした、重複伸張によるスプライシング)により変異誘発して122番の不対システイン(キモトリプシンナンバリング系;配列番号13のCVSP14のシステイン166)をセリンで置換した。各々166番のセリンのAGTコドンを含む2つの重複する遺伝子断片を以下のプライマー:5’遺伝子断片としてTCTCTCGAGAAAAGAATTCTTGGAGGAAGCCAAGTGGAG(配列番号14)およびTTTGTGGGGCCCATAAGTCTTCCAGAGCTGCGG(配列番号15);3’遺伝子断片としてATTCGCGGCCGCTTAGTT-ACCAGTTTGGATGTGTTCGTG(配列番号16)およびCCGCAGCTCTGGAAGACTTATGGGCCCCACAAA(配列番号17)を用いてPCR増幅した。増幅した遺伝子断片を1%アガロースゲルで精製して混合し、再びPCR増幅してCVSP14 C122S(Cys166 配列番号13; Cys111 配列番号6)のプロテアーゼドメインの全長コード配列を作製した。次にこの配列を制限酵素NotIおよびXhoIで切断し、ベクターpPic9KXに連結した。
【0468】
CVSP14発現ベクターの構築
C122S点突然変異(すなわち、CVSP14C122S, 配列番号12および13のC166番)を含むCVSP14をコードするcDNAをpPIC9Kx:CVSP14C122Sからクローニングした。プライマーCVSP14-5’ GGAATTCCATATGAGCAGCGGCCATATCGACGACGACGACAAAATTCTTGGAGGAAGCCAAGTGGAG(NdeI制限部位を含む;配列番号21)およびCVSP14-3’ CCGCTCGAGGTTACCAGTTTGGATGTGTTCGTGG(XhoI制限部位を含む; 配列番号22)を用い、チモーゲン活性化のエンテロキナーゼ認識配列(DDDDK)を利用してヒトCVSP14プロテアーゼドメインをPCR増幅した。増幅は20mMトリス-HCl(pH8.75、25℃)、10mM KCl、10mM (NH4)2SO4、2mM MgS04、0.1%トリトンX-100、0.1mg/ml BSA、0.2mM dNTP、1.0ユニットのACCUZYME DNAポリメラーゼ(Bioline USA, Inc., New Jersey)および100pmolのプライマーを含有する総量50μlで行った。この反応混合物を95℃で5分間加熱した後、95、60および75℃で各30秒間の25サイクルを行い、最後に75℃で2分間伸張させた。
【0469】
PCR産物はQIAquick PCR精製キット(QIAGEN Inc., Chatsworth, CA)を用いて精製した。PCR産物は10ユニットのNdeIと10ユニットのXhoIを用いて37℃で2時間二重消化した。消化断片を1.4%アガロースゲルで精製し、臭化エチジウムで染色した。CVSP14 cDNAを含むバンドを切り出し、QIAEX IIゲル抽出キット(QIAGEN Inc., Chatsworth, CA)を用いて精製した。次に標準的な方法を用いてCVSP14 cDNAをpET21b発現ベクター(Novagen, Inc., Madison, WI)のNdeIおよびXhoI部位へクローニングした。このベクターは固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)による精製のためにC末端6xHISタグを融合させるものである。コンピテントXL10細胞(Stratagene)をこのpET21bCVSP14ベクターで形質転換し、プラスミド保存株を作製するために用いた。適切に挿入されたかどうかということとDNA配列は蛍光サーマルダイDNAシーケンシング法ならびに制限消化によって確認した。
【0470】
タンパク質の発現、精製および再折りたたみ
この遺伝子産物の過剰発現は、希少なコドンの至適化のためdnaYプラスミドを含む大腸菌BL21(DE3)株で行った(Garcia et. al. (1986) Cell 45:453-459; 米国特許第6,270,988号参照)。カルバニシリン(50μg/ml)およびカナマイシン(34μg/ml)を添加した2xYT培地(1L)に一晩培養したもの10mlを接種し、0.6〜1.0 OD600の密度まで増殖させた後、1M IPTG(最終濃度1mM)で誘導した。誘導増殖6時間後に細胞を遠心分離(3000g x 20分)により回収した。
【0471】
この細胞ペレットを5〜10mgのライソザイムおよび1ユニットのDNアーゼIを添加した50mM NaH2PO4、300mM NaCl、5% LADO、pH7.4(25mL)に再懸濁させ、細胞を溶解し、DNAを剪断した。次に得られた溶液を48,000gで20分間遠心分離した。上清を廃棄し、封入体ペレットを上記溶解バッファー、次いで界面活性剤を除いた溶解バッファーでホモジナイズし、各洗浄間に上記のような遠心分離を行うことで洗浄した。次にこの封入体ペレットを25mLの6M GuHCl、20mM トリス-HCl、300mM NaCl、20mM βMe、pH8.0に溶解した。その後この溶液を48,000gで30分間遠心分離して粒子物質を除去した。
【0472】
得られた溶液を0.2μmシリンジフィルターで濾過した後、6M GuHCl、20mMトリス-HCl、300mM NaCl、pH8.0で予め平衡化した25ml Ni-NTA樹脂(QIAGEN Inc., Chatsworth, CA)上に添加した。このカラムを2カラム量の平衡バッファー、次いで3カラム量の8M尿素、20mMトリス-HCl、300mM NaCl、pH8.0で洗浄した。次に精製封入体を2カラム量の8M尿素、20mMトリス-HCl、300mM NaCl、1Mイミダゾール、pH8.0で溶出させた。
【0473】
CVSP14の再折りたたみはこの封入体混合物を蠕動ポンプを用いて8Lの100mMトリス-HCl、150mM NaCl、7.5mMシステイン、1mMシスチン、0.5Mアルギニン、3g/Lコール酸、pH8.0にゆっくり加えることで行った。この再折りたたみ混合物を7日間またはエルマン試薬によって検出されるチオール濃度が1mM未満となるまで4℃で攪拌した。この再折りたたみ溶液を1μMフィルターで濾過し、限外濾過により濃縮し、バッファーをPBS、3g/Lコール酸、pH8.0に交換した。
【0474】
CVSP14の活性化は1〜10U/mlのEKMax(Invitrogen, Carlsbad, CA)を添加し、反応が完了するまで(通常4〜8日間)4℃でインキュベートすることにより行った。グリコシル化エンテロキナーゼと結合するConA樹脂少量でこの溶液を処理することで残留しているEKMaxを除去した。EKMaxが完全に除去されたかどうかは特異性エンテロキナーゼ蛍光基質に対する溶液の活性を測定することにより確認した。
【0475】
得られた溶液を一連のプロテアーゼ基質:spec-tPa、spec-PL、spec-fXIIa(American Diagnostica)、S-2239、S-2266(Kabi Diagnostica)、S-2586、S-2366、S-2444、S-2288、S-2251、S-2302、S-2765、S-2222、spec-TH(Chromogenix)、およびspec-fVIIa(Pentapharm)に対する活性に関してスクリーニングした。CVSP14はこれら基質のいくつかにいくらか活性を示したが、S-2366(DiaPharma, Westchester, OH)に対する活性が最も高かった。
【実施例3】
【0476】
CVSPの活性を調節する候補化合物を同定するアッセイ
阻害剤を同定するアッセイ
試験化合物がCVSP14の触媒活性阻害剤として作用する能力はアミド分解アッセイで評価することができる。組換えCVSPまたはそのプロテアーゼドメイン部分によるアミド分解活性の阻害剤により誘導される阻害はこのようなアッセイにおけるIC50値により測定することができる。
【0477】
上記のようにして発現させたCVSP14のプロテアーゼドメインをCostar 96ウェル組織培養プレート(Corning NY)で以下のような種々の試験化合物により阻害されるかどうかアッセイした。阻害剤を伴わずに、あるいは100000nMの阻害剤および1x原液バッファー(29.2mMトリス、pH8.4、29.2mMイミダゾール、217mM NaCl(最終量100μL))に対する7種の1:6希釈液とともにおよそ1〜10nMのプロテアーゼを加え、室温で30分間インキュベートした。400μMの基質S 2366(L-ピログルタミル-L-プロリル-L-アルギニン-p-ニトロアニリンヒドロクロリド; DiaPharma, Westchester, OH)を加え、SpectraMAX Plusマイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale CA)にて37℃で20分間405nmの吸光度の変化を追跡することで反応をモニタリングした。
【0478】
基質の同定
アッセイで用いる特定の基質は基質試験により実験的に同定することができる。以下の基質リストは試験可能なものの例である。
【表3】
pNA=パラニトラニリド(発色性)
AMC=アミノメチルクマリン(蛍光性)
【0479】
上記の基質が切断されなければ、上記の対応するアッセイが使用できる。要するにプロテアーゼがプラスミノーゲンおよびトリプシノーゲンなどの酵素を活性化する能力を試験する。これらのアッセイを行うには、一本鎖プロテアーゼを、プラスミノーゲンおよびトリプシノーゲンなどのチモーゲンとともに、このチモーゲンに対してはlys-プラスミノーゲンといった既知の基質の存在下でインキュベートする。その一本鎖がチモーゲンを活性化すれば、プラスミンおよびトリプシンなどの活性化酵素はその基質を分解する。
【実施例4】
【0480】
その他のアッセイ
これらのアッセイはMTSP1に関して記載するが、このようなアッセイはCVSP14を伴った使用用に容易に適合させることができる。
【0481】
マトリプターゼまたはMTSP1のセリンプロテアーゼ活性の阻害を測定するアミド分解アッセイ
試験化合物がrMAP触媒活性の阻害剤として作用する能力をIC50値によって測定される、MAPによるアミド分解活性の、阻害剤によって誘導される阻害を調べることによって評価した。アッセイバッファーはHBSA(10mM Hepes、150mM塩化ナトリウム、pH 7.4、0.1%ウシ血清アルブミン)とした。特に断りのない限り、試薬は全てSigma Chemical Co. (St. Louis, MO)から入手した。
【0482】
2つのIC50アッセイ、すなわち(a)30分または60分(試験化合物および酵素の30分または60分のプレインキュベーション)のものと(b)0分(試験化合物および酵素のプレインキュベーションなし)のものを行った。30分または60分のIC50アッセイではCorningマイクロタイタープレートの適当なウェル中で以下の試薬を混合した:HBSA 50μl、HBSAに希釈(広い濃度領域にわたる)した試験化合物(または非阻害速度の測定に対してはHBSA単独)50μl、およびバッファーに希釈したrMAP(Corvas International)50μlで、活性部位の濾過によって測定すると最終酵素濃度は250pMとなった。周囲温度で30分または60分インキュベートした後、各ウェルに50μlの基質S-2765(N-α-ベンジルオキシカルボニル-D-アルギニル-L-グリシル-L-アルギニン-p-ニトロアニリンジヒドロクロリド; DiaPharma Group, Inc.; Franklin, OH)を加えて最終アッセイ量200μl、最終基質濃度100μM(約4倍のKm)とすることでアッセイを開始した。S-2765はアッセイ混合物に加える前に脱イオン水で再構成し、HBSAで希釈した。0分のIC50アッセイでも同様の試薬:HBSA 50μl、HBSAで希釈(同じ濃度領域にわたる)した試験化合物(または非阻害速度の測定に対してはHBSA単独)50μl、および基質S-2765 50μlを混合した。50μlのrMAPを加えることでアッセイを開始した。全ての化合物の最終濃度は両IC50アッセイ(30分または60分、および0分)で同じであった。
【0483】
発色基質の加水分解の初速度は、両アッセイで添加基質量の5%未満を用い、Thermo Max(登録商標)カイネティックマイクロプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して、5分間にわたる405nmでの吸光度の変化により測定した。加水分解の初速度を50%低下させる阻害剤の添加濃度を2つのアッセイ(30分または60分、および0分)のそれぞれにおいて個々のIC50値として定義した。
【0484】
特異性の判定のためのin vitro酵素アッセイ
化合物がマトリプターゼ活性の選択的阻害剤として働く能力は、マトリプターゼ活性を50%阻害する試験化合物の濃度(IC50)を上記実施例のように測定し、マトリプターゼのIC50値と以下のセリンプロテアーゼ:トロンビン、組換え組織プラスミノーゲンアクチベーター(rt-PA)、プラスミン、活性化Cタンパク質、キモトリプシン、Xa因子およびトリプシンの全てまたはいくつかに関して測定したものと比較することにより評価した。
【0485】
全てのアッセイで用いたバッファーはHBSA(10mM HEPES, pH7.5、150mM塩化ナトリウム、0.1%ウシ血清アルブミン)であった。
【0486】
IC50測定のためのアッセイはCorningマイクロタイタープレートの適当なウェル中でHBSA 50μl、HBSAで希釈した特定の濃度(広い濃度領域にわたる)の試験化合物(またはV0(非阻害速度)の測定に対してはHBSA単独)50μl、およびHBSAに希釈した酵素50μlを混合することで行った。周囲温度で30分間インキュベートした後、下記に示された濃度の基質50μlをウェルに加え、最終総量200μlとした。発色基質の加水分解の初速度は、添加基質5%未満を用い、Thermo Max(登録商標)カイネティックマイクロプレートリーダーを使用して、5分間にわたる405nmでの吸光度の変化により測定した。加水分解の初速度を50%低下させる阻害剤の添加濃度をIC50値として定義した。
【0487】
トロンビン(fIIa)アッセイ
発色基質ペファクロム(Pefachrome)t-PA(Pentapharm Ltd.から入手したCH3SO2-D-ヘキサヒドロチロシン-グリシル-L-アルギニン-p-ニトロアニリンを用いて酵素活性を測定した。基質は使用前に脱イオン水で再構成した。精製ヒトα-トロンビンはEnzyme Research Laboratories, Inc.から入手した。全てのアッセイで用いたバッファーはHBSA(10mM HEPES, pH7.5、150mM塩化ナトリウム、0.1%ウシ血清アルブミン)であった。
【0488】
IC50の測定は適当なウェル中でHBSA(50μL)、α-トロンビン(50μl)(最終酵素濃度は0.5nM)および阻害剤(50μl)(広い濃度領域にわたる)を混合し、基質ペファクロム-t-PA(50μl)(最終基質濃度は250μM、約5倍Km)の添加前に室温で30分間インキュベートすることで行った。ペファクロム-t-PAの加水分解の初速度は、添加基質5%未満を用い、Thermo Max(登録商標)カイネティックマイクロプレートリーダーを使用して、5分間にわたる405nmでの吸光度の変化により測定した。加水分解の初速度を50%低下させる阻害剤の添加濃度をIC50値として定義した。
【0489】
Xa因子
Xa因子の触媒活性はDiaPharma Group(Franklin, OH)から入手した発色基質S-2765(N-ベンジルオキシカルボニル-D-アルギニン-L-グリシン-L-アルギニン-p-ニトロアニリン)を用いて測定した。基質は全て使用前に脱イオン水で再構成した。S-2765の最終濃度は250μM(約5倍Km)とした。Enzyme Research Laboratories, Inc. (South Bend, IN)から入手した精製ヒトX因子およびXa因子(FXa)を活性化し、記載のようにしてそれから調製した[Bock, P.E., Craig, P.A., Olson, S.T., and Singh, P. Arch. Biochem. Biophys. 273:375-388 (1989)]。アッセイ前に酵素をHBSAで希釈し、最終濃度0.25nMとした。
【0490】
組換え組織プラスミノーゲンアクチベーター(rt-PA)アッセイ
rt-PAの触媒活性は基質ペファクロムt-PA(Pentapharm Ltd.から入手したCH3SO2-D-ヘキサヒドロチロシン-グリシル-L-アルギニン-p-ニトロアニリン)を用いて測定した。基質はアッセイ前に脱イオン水で構成した後、HBSAで希釈し、最終濃度500μM(約3倍Km)とした。ヒトrt-PA(Activase(登録商標)はGenentech Inc.から入手した。この酵素はアッセイ前に脱イオン水で再構成し、HBSAに希釈し、最終濃度1.0nMとした。
【0491】
プラスミンアッセイ
プラスミンの触媒活性はDiaPharmaグループから入手した発色基質S-2366(L-ピログルタミル-L-プロリル-L-アルギニン-p-ニトロアニリンヒドロクロリド)を用いて測定した。基質はアッセイ前に脱イオン水で構成し、HBSAで希釈し、最終濃度300μM(約2.5倍Km)とした。精製ヒトプラスミンはEnzyme Research Laboratories, Inc.から入手した。この酵素はアッセイ前にHBSAで希釈し、最終濃度1.0nMとした。
【0492】
活性化タンパク質C(aPC)アッセイ
aPCの触媒活性は発色基質ペファクロムPC(Pentapharm Ltd.から入手したδ-カルボベンジルオキシ(carbobenzloxy)-D-リジン-L-プロリル-L-アルギニン-p-ニトロアニリンジヒドロクロリド)を用いて測定した。基質はアッセイ前に脱イオン水で構成し、HBSAで希釈し、最終濃度400μM(約3倍Km)とした。精製ヒトaPCはHematologic Technologies, Inc.から入手した。この酵素はアッセイ前にHBSAで希釈し、最終濃度1.0nMとした。
【0493】
キモトリプシンアッセイ
キモトリプシンの触媒活性はDiaPharmaグループから入手した発色基質S-2586(メトキシ-スクシニル-L-アルギニン-L-プロリル-L-チロシル-p-ニトロアニリド)を用いて測定した。基質はアッセイ前に脱イオン水で構成した後にHBSAで希釈し、最終濃度100μM(約9倍Km)とした。精製(3X-結晶化; CDI)ウシ膵臓α-キモトリプシンはWorthington Biochemical Corpから入手した。この酵素はアッセイ前に脱イオン水で再構成し、HBSAで希釈し、最終濃度0.5nMとした。
【0494】
トリプシンアッセイ
トリプシンの触媒活性はDiaPharmaグループから入手した発色基質S-2222(ベンゾイル-L-イソロイシン-L-グルタミン酸-[γ-メチルエステル]-L-アルギニン-p-ニトロアニリド)を用いて測定した。基質はアッセイ前に脱イオン水で構成した後、HBSAで希釈し、最終濃度250μM(約4倍Km)とした。精製(3X-結晶化; TRL3)ウシ膵臓トリプシンはWorthington Biochemical Corpから入手した。この酵素はアッセイ前に脱イオン水で再構成し、HBSAで希釈し、最終濃度0.5nMとした。
【0495】
当業者には種々の改変が明らかであり、本発明は付属の特許請求の範囲によってのみ制限されるものとする。
Claims (107)
- セリンプロテアーゼ14(CVSP14)のプロテアーゼドメインまたはその触媒活性部分もしくはそのドメインを含む、実質的に精製された一本鎖または二本鎖ポリペプチドであって、
配列番号13で示される完全配列を含まず、かつ、
上記ポリペプチドのCVSP14部分が本質的にCVSP14のプロテアーゼドメインまたはその触媒活性部分からなる、ポリペプチド。 - 配列番号6で示されるアミノ酸配列またはその触媒活性部分を含む、請求項1に記載の精製されたポリペプチド。
- 実質的に精製された活性化二本鎖CVSP14ポリペプチドまたはその触媒活性部分。
- 配列番号5または12で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列;
配列番号6または13で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
配列番号5または12で示されるヌクレオチド配列と高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
配列番号6または13で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
配列番号6または13で示されるアミノ酸配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;および
配列番号12で示される配列のスプライス変異体であるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド
からなる群から選択されるポリペプチドを含む、請求項3に記載の実質的に精製された活性化二本鎖CVSP14ポリペプチド。 - 請求項1に記載のポリペプチドと少なくとも50%、60%、70%、80%、90%または95%の配列同一性を有する実質的に精製されたポリペプチド。
- 実質的にプロテアーゼドメインまたはその触媒活性部分からなる、請求項1に記載のポリペプチド。
- 請求項1に記載のポリペプチドと少なくとも50%、60%、70%、80%、90%または95%の配列同一性を有し、かつ、請求項1に記載のポリペプチドと同じ基質に対して少なくとも10%の触媒活性を保持する、実質的に精製されたポリペプチド。
- ヒトポリペプチドである、請求項1に記載の実質的に精製されたポリペプチド。
- 配列番号6で示されるアミノ酸配列またはその触媒活性部分を含むか、あるいは
(a)配列番号5で示されるヌクレオチド配列;
(b)(a)によってコードされるCVSP14をコードする、哺乳類細胞に存在するmRNA転写物に相補的な核酸と中または高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;
(c)(a)のスプライス変異体をコードするヌクレオチド配列;および
(d)(a)または(b)のヌクレオチド配列の縮重コドンを含むヌクレオチド配列
によってコードされる、請求項1に記載のポリペプチド。 - (a)配列番号5または12で示されるヌクレオチド配列を含むプロテアーゼドメインをコードするヌクレオチド配列;
(b)(a)によってコードされるCVSP14をコードする、哺乳類細胞に存在するmRNA転写物に相補的な核酸と中または高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;
(c)(a)または(b)のスプライス変異体をコードするヌクレオチド配列;および
(d)(a)または(b)のヌクレオチド配列の縮重コドンを含むヌクレオチド配列
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1に記載の実質的に精製された一本鎖または二本鎖ポリペプチド。 - プロテアーゼドメイン部分が、配列番号5で示されるヌクレオチド配列を含む核酸分子と、全長の少なくとも約70%にわたって高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、請求項1に記載の実質的に純粋なポリペプチド。
- プロテアーゼドメイン部分が、配列番号15で示されるヌクレオチド配列またはその少なくとも1つのドメインもしくはそのドメインの触媒活性部分を含む核酸分子と、全長の少なくとも約70%にわたって高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、請求項1に記載のポリペプチド。
- 約50%までのアミノ酸が別のアミノ酸で置換され、かつ、
結果として生じるポリペプチドが非変異型ポリペプチドの少なくとも10%の触媒活性を有する一本鎖または二本鎖ポリペプチドである、
請求項1に記載のポリペプチドのミューテイン(mutein)であるポリペプチド。 - 約10%までのアミノ酸が別のアミノ酸で置換されている、請求項13に記載のポリペプチド。
- 結果として生じるポリペプチドが非変異型ポリペプチドの少なくとも50%の触媒活性を有する一本鎖または二本鎖ポリペプチドである、請求項13に記載のポリペプチド。
- プロテアーゼドメイン中の遊離システインが別のアミノ酸で置換されている、請求項13に記載のポリペプチド。
- 約95%までのアミノ酸が保存されているか、または保存的アミノ酸置換によって置換されている、請求項13に記載のポリペプチド。
- 置換アミノ酸がセリンである、請求項13に記載のポリペプチド。
- 約50%までのアミノ酸が別のアミノ酸で置換され、かつ、
結果として生じるポリペプチドが非変異型ポリペプチドの少なくとも10%の触媒活性を有する一本鎖または二本鎖ポリペプチドである、
請求項3に記載のポリペプチドのミューテインであるポリペプチド。 - 約10%までのアミノ酸が別のアミノ酸で置換されている、請求項19に記載のポリペプチド。
- 結果として生じるポリペプチドが二本鎖ポリペプチドであり、非変異型ポリペプチドの少なくとも50%の触媒活性を有する、請求項19に記載のポリペプチド。
- プロテアーゼドメイン中の遊離システインが別のアミノ酸で置換され、それにより結果として生じるポリペプチドがタンパク質分解活性を示す、請求項19に記載のポリペプチド。
- プロテアーゼドメイン中の遊離システインがセリンで置換されている、請求項22に記載のポリペプチド。
- 請求項1〜23のいずれかに記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
- 請求項3に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
- 請求項6に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
- 本質的にプロテアーゼドメインからなる、請求項3に記載のポリペプチド。
- (a)配列番号5または12で示されるヌクレオチド配列;
(b)配列番号5または12で示されるヌクレオチド配列と、全長の少なくとも約70%にわたって高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;
(c)(a)または(b)の縮重コドン
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項24に記載の核酸分子。 - 請求項13のポリペプチドをコードする単離された核酸分子。
- 請求項24に記載の核酸分子を含むベクター。
- 発現ベクターである、請求項30に記載のベクター。
- 真核ベクターである、請求項30に記載のベクター。
- 作動可能なように連結されたヌクレオチド配列によってコードされるいずれかのポリペプチドの分泌を命令するヌクレオチド配列を含む、請求項31に記載のベクター。
- ピキアベクター、哺乳類ベクターまたは大腸菌ベクターである、請求項30に記載のベクター。
- 請求項30に記載のベクターを含む細胞。
- 原核細胞である、請求項35に記載の細胞。
- 真核細胞である、請求項35に記載の細胞。
- 細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞および動物細胞の中から選択される、請求項35に記載の細胞。
- 哺乳類細胞である、請求項35に記載の細胞。
- 請求項6に記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
- 請求項40に記載の核酸分子を含むベクター。
- 請求項41に記載のベクターを含む細胞。
- 請求項3に記載のポリペプチドをコードする内在遺伝子がその動物またはその原種の相同組換えまたは挿入突然変異によって欠失または不活性化されている、組換え非ヒト動物。
- CVSP14ポリペプチドのプロテアーゼドメインを含むポリペプチドを産生する方法であって、
請求項35に記載の細胞を、コードされているポリペプチドを細胞に発現させる条件下で培養し、さらに
発現したポリペプチドを回収する
ことを含む、方法。 - 上記ポリペプチドが培地中へ分泌される、請求項44に記載の方法。
- 上記ポリペプチドが宿主細胞の細胞質で発現する、請求項44に記載の方法。
- ポリペプチドのプロテアーゼドメインを含むポリペプチドを産生する方法であって、
請求項42に記載の細胞を、コードされているポリペプチドを細胞に発現させる条件下で培養し、さらに
発現したポリペプチドを回収する
ことを含む、方法。 - 上記ポリペプチドが封入体で発現し、そのポリペプチドをタンパク質分解活性型へと再折りたたみする条件下で上記封入体からポリペプチドを単離することをさらに含む、請求項47に記載の方法。
- 請求項1に記載のCVSP14のプロテアーゼドメインをコードする連続するヌクレオチド配列に相補的な少なくとも14個の連続するヌクレオチドまたは改変ヌクレオチドを含む;または
請求項1に記載のCVSP14のプロテアーゼドメインをコードする連続するヌクレオチド配列に相補的な少なくとも16個の連続するヌクレオチドまたは改変ヌクレオチドを含む;または
請求項1に記載のCVSP14のプロテアーゼドメインをコードする連続するヌクレオチド配列に相補的な少なくとも30個の連続するヌクレオチドまたは改変ヌクレオチドを含む
、アンチセンス核酸分子。 - 配列番号5または12で示される連続するヌクレオチド配列を含む、請求項49に記載のアンチセンス分子。
- 請求項1に記載のCVSP14をコードするヌクレオチド配列に由来する少なくとも約21個の連続するヌクレオチドまたは改変ヌクレオチドを含む、二本鎖RNA(dsRNA)分子。
- 請求項1に記載のポリペプチドの一本鎖型および/または二本鎖型プロテアーゼドメインと特異的に結合する抗体、またはその結合ドメインを含む抗体のフラグメントもしくは誘導体(なお、この抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である)。
- 上記ポリペプチドの酵素活性を阻害する、請求項52に記載の抗体。
- 請求項1に記載のポリペプチドの一本鎖型プロテアーゼドメインと特異的に結合する抗体、またはその結合ドメインを含む抗体のフラグメントもしくは誘導体(なお、この抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である)。
- 請求項3に記載のポリペプチドと特異的に結合する抗体、またはその結合ドメインを含む抗体のフラグメントもしくは誘導体(なお、この抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である)。
- a)請求項1に記載のポリペプチド、および
b)上記ポリペプチドと直接またはリンカーを介して結合されたターゲッティングエージェント
を含むコンジュゲート。 - 上記ターゲッティングエージェントが、
i)コンジュゲートのアフィニティー単離または精製;
ii)コンジュゲートの、表面への結合;
iii)コンジュゲートの検出;および
iv)選択された組織または細胞へのターゲッティング送達
を可能とする、請求項56に記載のコンジュゲート。 - a)請求項3に記載のポリペプチド、および
b)上記ポリペプチドと直接またはリンカーを介して結合されたターゲッティングエージェント
を含むコンジュゲート。 - 上記ターゲッティングエージェントが、
i)コンジュゲートのアフィニティー単離または精製;
ii)コンジュゲートの、表面への結合;
iii)コンジュゲートの検出;および
iv)選択された組織または細胞へのターゲッティング送達
を可能とする、請求項58に記載のコンジュゲート。 - a)請求項6に記載のポリペプチド、および
b)上記ポリペプチドと直接またはリンカーを介して結合されたターゲッティングエージェント
を含むコンジュゲート。 - 上記ターゲッティングエージェントが、
i)コンジュゲートのアフィニティー単離または精製;
ii)コンジュゲートの、表面への結合;
iii)コンジュゲートの検出;および
iv)選択された組織または細胞へのターゲッティング送達
を可能とする、請求項60に記載のコンジュゲート。 - a)請求項1に記載のポリペプチドの触媒活性を阻害する薬剤または処理;および
b)抗腫瘍および抗血管形成処理および薬剤から選択される別の処理または薬剤
を含む組合せ。 - 上記阻害剤ならびに抗腫瘍および/または抗血管形成剤が単一医薬組成物として調剤されているか、または各々個別の医薬組成物として調剤されている、請求項62に記載の組合せ。
- 上記阻害剤が抗体およびアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび二本鎖RNA(dsRNA)から選択される、請求項62に記載の組合せ。
- 直接またはリンカーを介して結合された請求項1に記載の2以上のポリペプチドを含む固相支持体。
- 上記ポリペプチドがアレイを含む、請求項65に記載の支持体。
- 上記ポリペプチドが複数の異なるプロテアーゼドメインを含む、請求項65に記載の支持体。
- 直接またはリンカーを介して結合された請求項24に記載の2以上の核酸分子またはそのオリゴヌクレオチド部分を含み、そのオリゴヌクレオチドが少なくとも16個のヌクレオチドを含む、固相支持体。
- 上記核酸分子がアレイを含む、請求項68に記載の支持体。
- 上記核酸分子が異なるプロテアーゼドメインをコードする複数の分子を含む、請求項68に記載の支持体。
- CVSP14ポリペプチドのプロテアーゼ活性を調節する化合物を同定する方法であって、
CVSP14ポリペプチドまたはその触媒活性部分と、上記ポリペプチドによってタンパク質分解切断される基質とを、試験化合物またはその複数を加えると同時、加える前、または加えた後に接触させ;
上記試験化合物の存在下で切断された基質の量を測定し、さらに
対照に比べて切断された基質の量に変化をもたらす化合物を選択し、それにより上記ポリペプチドの活性を調節する化合物を同定する
ことを含む、方法。 - 上記試験化合物が上記ポリペプチドの活性を調節する小分子、ペプチド、ペプチドミメティクス、天然産物、抗体またはそのフラグメントである、請求項71に記載の方法。
- 複数の試験物質が同時にスクリーニングされる、請求項71に記載の方法。
- 上記ポリペプチドが
(a)配列番号5で示されるヌクレオチド配列;
(b)(a)によってコードされるCVSP14をコードする、哺乳類細胞に存在するmRNA転写物に相補的な核酸配列と高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;
(c)(a)または(b)のスプライス変異体をコードするヌクレオチド配列;および
(d)(a)、(b)または(c)のヌクレオチド配列の縮重コドンを含むヌクレオチド配列
からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドから本質的になる、請求項71に記載の方法。 - 上記ポリペプチドが
配列番号5で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
配列番号12で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
配列番号5または12で示されるヌクレオチド配列と高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
配列番号6のアミノ酸として示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
配列番号6または13で示される配列のアミノ酸配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
配列番号13で示される配列のスプライス変異体であるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド
からなる群から選択されるポリペプチドから本質的になる、請求項71に記載の方法。 - 切断された基質の量の変化が、試験化合物の存在下で切断された基質の量と試験化合物の不在下で切断された基質の量を比較することで評価される、請求項71に記載の方法。
- 複数のポリペプチドが直接またはリンカーを介して固相支持体に連結されている、請求項73に記載の方法。
- 上記ポリペプチドがアレイを含む、請求項73に記載の方法。
- CVSP14ポリペプチドの、一本鎖および/もしくは二本鎖プロテアーゼドメインと、かつ/または一本鎖もしくは二本鎖ポリペプチドと、かつ/またはその一本鎖もしくは二本鎖型のタンパク質分解活性部分と特異的に結合する化合物を同定する方法であって、
CVSP14ポリペプチドまたはそのタンパク質分解活性部分と試験化合物またはその複数を、その結合を助ける条件下で接触させ;
a)一本鎖もしくは二本鎖型の上記ポリペプチドと、またはその一本鎖型と、もしくは二本鎖型と、またはその一本鎖もしくは二本鎖型のタンパク質分解活性部分と特異的に結合する試験化合物を同定するか、あるいは
b)一本鎖もしくは二本鎖型の上記ポリペプチドと、またはその一本鎖もしくは二本鎖型と、またはその一本鎖もしくは二本鎖型のタンパク質分解活性部分と結合することが既知である化合物の結合を阻害する試験化合物を同定する(なおここで、上記既知化合物は試験化合物の前、同時または後に上記ポリペプチドと接触させる)か
のいずれかを行うことを含む、方法。 - 上記ポリペプチドが直接またはリンカーを介して間接的に固相支持体に連結されている、請求項79に記載の方法。
- 上記試験化合物が小分子、ペプチド、ペプチドミメティクス、天然産物、抗体またはそのフラグメントである、請求項79に記載の方法。
- 複数の試験物質が同時にスクリーニングされる、請求項79に記載の方法。
- 複数のポリペプチドが固相支持体に連結されている、請求項79に記載の方法。
- 上記ポリペプチドが
(a)配列番号5で示されるヌクレオチド配列;
(b)(a)によってコードされるCVSP14をコードする、哺乳類細胞に存在するmRNA転写物に相補的な核酸配列と中または高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;
(c)(a)または(b)のスプライス変異体をコードするヌクレオチド配列;および
(d)(a)、(b)または(c)のヌクレオチド配列の縮重コドンを含むヌクレオチド配列
によってコードされるポリペプチドから本質的になる、請求項79に記載の方法。 - チモーゲン型のCVSP14のアクチベーターを同定する方法であって、
チモーゲン型のCVSP14ポリペプチドまたはそのタンパク質分解活性部分と活性化型のポリペプチドの基質を接触させ;
試験化合物を加え(なお、この試験化合物は基質添加の前、後またはそれと同時に加える);さらに
上記基質の切断を検出し、それにより上記チモーゲンを活性化する化合物を同定する
ことを含む、方法。 - 上記基質が色素産生基質である、請求項85に記載の方法。
- 上記基質がL-ピログルタミル-L-プロリル-L-アルギニン-p-ニトロアニリンヒドロクロリドである、請求項86に記載の方法。
- 上記試験化合物が小分子、核酸またはポリペプチドである、請求項85に記載の方法。
- 上記ポリペプチドが配列番号13で示される完全な配列を含まず、かつ、
上記ポリペプチドのCVSP14部分がCVSP14のプロテアーゼドメインまたはその触媒活性部分から本質的になる、請求項85に記載の方法。 - 哺乳類において新生物形成疾患を治療または予防する方法であって、有効量の請求項1のポリペプチドのタンパク質分解活性阻害剤を哺乳類に投与することを含む、方法。
- 上記阻害剤が上記ポリペプチドと特異的に結合する抗体、またはその結合ドメインを含む抗体のフラグメントもしくは誘導体である(なお、この抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である)、請求項90に記載の方法。
- 哺乳類において新生物形成疾患を治療または予防する方法であって、有効量の請求項3のポリペプチドの阻害剤を哺乳類に投与することを含む、方法。
- 腫瘍の発生、増殖または進行を阻害する、または悪性もしくは前悪性症状を処置する方法であって、チモーゲン型のCVSP14ポリペプチドもしくはそのタンパク質分解活性部分の活性化を阻害する、または活性化型のCVSP14もしくはそのタンパク質分解活性部分の活性を阻害する薬剤を投与することを含む、方法。
- 上記症状が乳房、子宮頚部、前立腺、肺、卵巣または大腸の症状である、請求項93に記載の方法。
- 上記薬剤がアンチセンスオリゴヌクレオチド、二本鎖RNA(dsRNA)または抗体である、請求項93に記載の方法。
- 抗腫瘍または抗血管形成治療または薬剤から選択される別の治療または薬剤を投与することをさらに含む、請求項93に記載の方法。
- 一本鎖もしくは二本鎖型のCVSP14ポリペプチドと、または一本鎖もしくは二本鎖型のCVSP14ポリペプチドのタンパク質分解活性部分と結合する化合物を同定する方法であって、
試験化合物と両形態とを接触させ;
上記化合物がどの形態と結合するか判定し;さらに
それが一方の形態のポリペプチドと結合する場合、その化合物が以下の特性:
(i)一本鎖チモーゲン型のポリペプチドの活性を阻害する;
(ii)二本鎖または一本鎖型の活性を阻害する;および
(iii)上記ポリペプチドの二量体形成を阻害する
のうち少なくとも1つを有するかどうかをさらに判定する
ことを含む、方法。 - 新生物形成疾患を検出する方法であって、生体サンプルにおいて請求項1のポリペプチドを含むポリペプチドを検出し、その検出量が新生物形成疾患を持たない被験体から検出されたポリペプチドの量と異なる、方法。
- 上記生体サンプルが血液、尿、唾液、涙、滑液、汗、間質液、濃脊髄液、腹水、腫瘍組織生検および循環腫瘍細胞からなる群から選択される、請求項98に記載の方法。
- 被験体において前悪性病巣、悪性症状、またはその他の病態の存在を診断する方法であって、
被験体から生体サンプルを得;さらに
それを二本鎖および/または一本鎖型のCVSP14ポリペプチドと結合する検出可能な薬剤に曝す
ことを含み、上記病態が二本鎖および/または一本鎖型の有無によって特徴付けられる、方法。 - 腫瘍の進行および/または治療の有効性をモニタリングする方法であって、身体組織または体液サンプルにおいてCVSP14ポリペプチドを検出し、かつ/またはそのレベルを定量することを含む、方法。
- 上記腫瘍が乳房、子宮頚部、前立腺、肺、卵巣または大腸の腫瘍である、請求項101に記載の方法。
- 上記体液が血液、尿、汗、唾液、脳脊髄液および滑液である、請求項101に記載の方法。
- CVSP14ポリペプチドのプロテアーゼ活性を調節する化合物を同定する方法であって、
請求項1のポリペプチドまたはそのタンパク質分解活性部分と上記ポリペプチドによってタンパク質分解切断される基質とを、試験化合物またはその複数を添加すると同時に、またはその前もしくは後に接触させ;
上記試験化合物の存在下で切断される基質の量を測定し;さらに
対照と比較して切断された基質の量に変化をもたらす化合物を選択する
ことを含み、それにより上記ポリペプチドの活性を調節する化合物が同定される、方法。 - 請求項3のポリペプチドをコードする異種核酸を含む、トランスジェニック非ヒト動物。
- 配列番号13のアミノ酸1〜25から本質的になるCVSP14ポリペプチド部分を含むポリペプチド。
- 請求項106のポリペプチドをコードする核酸分子。
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