JP2004533612A - インターロイキン可溶性三分子複合体を用いたスクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、インビボにおいて、細胞表面で生じる、インターロイキンファミリー(IL)の1つのメンバー、対応する膜結合型インターロイキン受容体(IL−R)、および、膜結合型インターロイキンアクセサリータンパク質(IL−RAcP)との相互作用が、溶液中で形成されるという予想外の発見に基づくスクリーニング方法、分析、および試薬に関する。本発明は、ハイスループットスクリーニングに適した分析を提供する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、インビボにおいて細胞表面で生じるインターロイキン(IL)、膜結合型インターロイキン受容体(IL−R)および膜結合型インターロイキン受容体アクセサリータンパク質(IL−RAcP)の相互作用が溶液中で形成できる、という予想外の発見に基づくスクリーニング方法、分析および試薬に関する。本発明は、ハイスループットスクリーニングに適した分析を提供する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン1(IL−1)は、免疫および炎症反応の介在において中心的な役割を有する(Dinarello,1996)。
【0003】
IL−1とは、類似した生物活性を有するIL−1αもしくはIL−1β受容体アゴニスト、またはIL−1受容体アンタゴニストIL−1raであり得る。3つのサイトカインは、応答細胞表面の特異的受容体に結合することによって、熱、睡眠、食欲低下または低血圧のような多数の生物学的作用に関与する。
【0004】
異なる薬理学的特性を有する2つのIL−1受容体であるI型(Sims et al.1988)およびII型(McMahan et al.1991)はクローン化されている。IL−1α、IL−1βおよびIL−1raは全て、類似した親和性で80kDaのI型受容体(IL−1RI)に結合する(Dinarello,1996)。その一方で、IL−1βは、IL−1受容体I型よりかなり高い親和性および選択性で68kDaのII型受容体(IL−1RII)に結合する(Colotta et al.1993)。その上、IL−1RIは、IL−1シグナル伝達に必要である(Sims et al.1993)。IL−1RIIは、デコイ受容体として作用すると考えられている(Colotta et al.1993)。
【0005】
受容体複合体の他の成分、インターロイキン1受容体アクセサリータンパク質(IL−1RAcP)もクローン化されている(Greenfeder et al.1995)。IL−1RAcPは、IL−1RIと、IL−1αまたはIL−1βのいずれかと三元複合体を形成するが、IL−1Raとは形成しない。この三分子複合体形成により、IL−1βのIL−1RIに対する結合親和性が増加する。IL−1RIおよびIL−1RIIはIL−1と結合できるが、IL−1RAcPはIL−1と結合しない(Greenfeder et al.1995)。しかしながら、IL−1RAcPでのトランスフェクションは、IL−1RAcPを発現しない哺乳動物細胞においてIL−1反応性を回復させる(Korherr et al.1997)。それゆえに、IL−1RAcPは、IL−1のIL−1RIへの結合を必要としないにもかかわらず、IL−1シグナル伝達に必須である。
【0006】
内因性細胞表面受容体およびアクセサリータンパク質は膜結合型であり、疎水性の膜貫通ドメインを含む。このようなタンパク質は不溶性であり、インビトロでのハイスループットスクリーニングで用いるには不適切である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の要約
本発明は、溶液中で生じるインターロイキン(IL)、膜結合型インターロイキン受容体(IL−R)および膜結合型インターロイキン受容体アクセサリータンパク質(IL−RAcP)の相互作用に基づくスクリーニング方法、分析および試薬を提供する。
【0008】
一つの全体的な観点において、本発明は、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を調節する試験化合物の能力を決定するための分析方法を提供し、当該方法は:
(a)ILポリペプチド、可溶性IL−Rポリペプチド、可溶性IL−RAcPポリペプチドおよび試験化合物を接触させること;および、
(b)形成された前記三分子複合体の量を測定すること、
を含む。
【0009】
最も好ましい実施形態において、本発明はまた、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を破壊または妨害する試験化合物の能力を決定するための分析方法を提供し、当該方法は:
(a)試験化合物を提供すること;
(b)試験化合物を、定義された量の可溶性IL−Rポリペプチドおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドに接触させること;
(c)ILポリペプチドを試験(b)で得られた混合物に加えること;および、
(d)形成された前記三分子複合体の量を測定すること、
を含む。
【0010】
本発明の他の全体的な観点は、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を増強する試験化合物の能力を決定するための分析方法を提供し、当該方法は:
(a)ILポリペプチド、可溶性IL−Rポリペプチド、可溶性ILアンタゴニスト、可溶性IL−RAcPポリペプチドおよび試験化合物を接触させること;
(b)形成された前記三分子複合体の量を測定すること;および、
(c)工程(a)で形成された前記三分子複合体の量と、試験化合物の不存在下で形成された前記三分子複合体の量とを比較すること、
を含む。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を増強する試験化合物の能力を決定するための分析方法であり、当該方法は:
(a)試験化合物を提供すること;
(b)試験化合物を、可溶性IL−Rポリペプチド、可溶性ILアンタゴニストおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドに接触させること;
(c)ILポリペプチドを工程(b)で得られた混合物に加えること;
(d)形成された前記三分子複合体の量を測定すること;および、
(e)工程(c)で形成された前記三分子複合体の量と、試験化合物の不存在下で形成された前記三分子複合体の量とを比較すること、
を含む。
【0012】
本発明はまた、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を増強する試験化合物の能力を決定するための分析方法に関し、当該方法は:
(a)ILポリペプチド、可溶性IL−Rポリペプチド、IL−Rアンタゴニスト、可溶性IL−RAcPポリペプチドおよび試験化合物を接触させること;
(b)形成された前記三分子複合体の量を測定すること;および、
(c)工程(a)で形成された前記三分子複合体の量と、試験化合物の不存在下で形成された前記三分子複合体の量とを比較すること、
を含む。
【0013】
本発明の好ましい実施形態は、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を増強する試験化合物の能力を決定するための分析方法であり、当該方法は:
(a)試験化合物を提供すること;
(b)試験化合物を、ILポリペプチド、IL−Rアンタゴニストおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドに接触させること;
(c)可溶性IL−Rポリペプチドを工程(b)で得られた混合物に加えること;
(d)形成された前記三分子複合体の量を測定すること;および、
(e)工程(c)で形成された前記三分子複合体の量と、試験化合物の不存在下で形成された前記三分子複合体の量とを比較すること、
を含む。
【0014】
本発明のさらなる観点は、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の安定性を破壊または妨害する試験化合物の能力を決定するための分析方法に関し、当該方法は:
(a)定義された量のILポリペプチド、可溶性IL−Rポリペプチドおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドを含む三分子複合体を提供すること;
(b)試験化合物と、前記三分子複合体とを接触させること;および、
(c)工程(b)後に存在する前記三分子複合体の量と、工程(a)で最初に存在する前記三分子複合体の量とを比較すること、
を含む。
【0015】
本発明の好ましい分析方法において、IL、sIL−RおよびsIL−RAcPは、哺乳動物由来である。
【0016】
本発明の最も好ましい分析方法において、IL、sIL−RおよびsIL−RAcPは、ヒト、マウスまたはラット由来である。
【0017】
本発明の全体的な観点において、ILポリペプチドが、その成熟形態であり、12〜13個のβストランドから成るバレル型3次元構造を有し、細胞表面で三元(すなわち三分子)複合体が介在する細胞の活性を有する分析方法が提供される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態において、上記分析方法は、ILポリペプチドが、配列番号1、または配列番号4、または配列番号5、または配列番号6、または配列番号7、または配列番号8、または配列番号9、または配列番号10のアミノ酸配列、またはそれらの断片を有する分析方法である。
【0019】
本発明の他の全体的な観点は、可溶性IL−Rポリペプチドが、配列のN末端から始めてドメイン1、ドメイン2およびドメイン3と特定される3つの構造ドメインに含まれる3つのIg様ドメインからなり、前記ドメイン1は、1つのIg様ドメインと2つのジスルフィド結合とを含み;前記ドメイン2は、1つのIg様ドメインと2つのオーバーラップするジスルフィド結合とを含み;前記ドメイン3は、1つのIg様ドメインと1つのジスルフィド結合とを含む分析方法に関する。
【0020】
本発明の好ましい実施形態において、上記分析方法は、可溶性IL−Rポリペプチドが、配列番号13、または配列番号14、または配列番号15、または配列番号16、または配列番号17、または配列番号18のアミノ酸配列、またはそれらの断片を有する分析方法である。
【0021】
本発明のさらなる全体的な観点は、可溶性IL−RAcPポリペプチドが、配列のN末端から始めてドメイン1、ドメイン2およびドメイン3と特定される3つの構造ドメインに含まれる3つのIg様ドメインを含み、前記ドメイン1は、1つのIg様ドメインと2つのジスルフィド結合とを含み;前記ドメイン2は、1つのIg様ドメインと2つのオーバーラップするジスルフィド結合とを含み;前記ドメイン3は、1つのIg様ドメインと1つのジスルフィド結合とを含む分析方法に関する。
【0022】
本発明の好ましい実施形態において、上記分析方法は、可溶性IL−RAcPポリペプチドが、配列番号21、または配列番号22、または配列番号23、または配列番号24、または配列番号25、または配列番号26のアミノ酸配列、またはそれらの断片を有する分析方法である。
【0023】
本発明はまた、以下の成分:
(a)ILポリペプチド、
(b)前記ILポリペプチドに結合する可溶性IL−Rポリペプチド、および、
(c)IL−Rポリペプチド/ILポリペプチド二元複合体に結合する可溶性IL−RAcPポリペプチド、
を含む、または、からなる可溶性三分子複合体に関する。
【0024】
本発明の好ましい可溶性複合体は、IL、sIL−RおよびsIL−RAcPは、哺乳動物由来である可溶性複合体である。
【0025】
本発明の最も好ましい可溶性複合体は、IL、sIL−RおよびsIL−RAcPが、ヒト、マウスまたはラット由来である可溶性複合体である。
【0026】
最も好ましい可溶性複合体は、IL、sIL−RまたはsIL−RAcPの少なくとも1つが、ヒト由来である可溶性複合体である。
【0027】
本発明の特に好ましい可溶性複合体において、ILポリペプチドは、配列番号1、または配列番号4、または配列番号5、または配列番号6、または配列番号7、または配列番号8、または配列番号9、または配列番号10のアミノ酸配列、またはそれらの断片を有する。
【0028】
本発明の他の特に好ましい可溶性複合体において、可溶性IL−Rポリペプチドは、配列番号13、または配列番号14、または配列番号15、または配列番号16、または配列番号17、または配列番号18のアミノ酸配列、またはそれらの断片を有する。
【0029】
本発明のさらに特に好ましい可溶性複合体において、可溶性IL−RAcPポリペプチドは、配列番号21、または配列番号22、または配列番号23、または配列番号24、または配列番号25、または配列番号26のアミノ酸配列、またはそれらの断片を有する。
【0030】
添付図面において、
図1A、1Bおよび1Cは、それぞれIL−1β(A)、sIL−1RI(B)およびsIL−1RAcP(C)精製タンパク質と、それぞれsIL−1RI、IL−1βまたはsIL−1RAcPを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセルとの相互作用を示す。
【0031】
図2Aおよび2Bは、予め形成されたIL−1β/sIL−1RI複合体と、それぞれsIL−RI、IL−1βまたはIL−1RAcPを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセルにに加えられた過量のIL−1β(A)またはsIL−1RI(B)との相互作用を示す。
【0032】
図3Aは、それぞれsIL−1RI、sIL−1βまたはsIL−1RAcP−6Hisを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセルへの、IL−1βおよびsIL−1RAcPの逐次的な注入を示す。図3Bは、sIL−1RAcP−6HisのNi−NTAチップ上での捕捉、および、予め混合したIL−1β/sIL−1RI二元複合体またはIL−1β単独の注入を示す。
【0033】
図4は、解離プロセスの際にsIL−RAcPを加えた場合の、IL−1βおよびIL−1Raと、それぞれIL−1β、sIL−1RAcPまたはsIL−1RIを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセルとの相互作用の比較を示す。
【0034】
図5Aおよび5Bは、それぞれsIL−1β、sIL−1RAcPまたはsIL−1RIを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセル上への、FEWTPGYWQPYALPLペプチド(配列番号35)の結合を示す。図5Aにおいて、FEWTPGYWQPYALPLペプチドは、単独で加えられる。図5Bにおいて、予め混合したFEWTPGYWQPYALPLペプチド/sIL−1RI複合体は、過量のsIL−1RIと共に加えられる。
【0035】
図6Aは、それぞれsIL−1RI型、sIL−1RII型またはsIL−1RAcPを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセルへの、IL−1βおよびsIL−1RAcPの逐次的な添加を示す。図6Bは、それぞれIL−1β、sIL−1RIまたはsIL−1RAcPを結合させたBIAcore別々のフローセルへの、sIL−1RIIおよびsIL−1RAcPの逐次的な添加を示す。
【0036】
図1〜6に関して、フローセル1にはBSA(ウシ血清アルブミン)を結合させ、表示されたセンサーグラムでこのコントロールフローセルを他のフローセルから差し引く。
【0037】
図7は、それぞれIL−1β/sIL−1RI二元複合体(図7A)およびIL−1β/sIL−1RI/sIL−1RAcP三元複合体(図7B)の結合反応速度論を示す。
【0038】
図8は、本発明の直接の三元複合体HTRF分析様式のグラフ表示である。
【0039】
図9は、本発明の直接の二元複合体HTRF分析様式のグラフ表示である。
【0040】
図10は、本発明の直接の三元複合体HTRF分析様式における三元複合体形成の反応速度論を示す。
【0041】
図11は、様々なIL−1βおよびsIL−1RAcP−Cy5濃度の、本発明の直接の三元複合体HTRF分析様式を用いて得られたシグナルへの影響を示す。
【0042】
図12は、様々な濃度の非標識sIL−1RIおよびsIL−1RAcPの、本発明の直接の三元複合体HTRF分析様式を用いて得られたシグナルへの影響を示す。
【0043】
図13は、様々な濃度のIL−1RaおよびFEWTPGYWQPYALPLペプチド(配列番号35の)の、本発明の直接の三元HTRF分析様式における三元複合体形成の阻害への影響を示す。
【0044】
図14は、ヒト(Genbank登録番号:x02531)、マウス(Genbank登録番号:NM_010554)およびラット(Genbank登録番号:D00403)のIL−1αのアミノ酸配列の配列アラインメントを示す。
【0045】
図15は、ヒト(Genbank登録番号:x02532)、マウス(Genbank登録番号:NM_008361)およびラット(Genbank登録番号:M98820)のIL−1βのアミノ酸配列の配列アラインメントを示す。
【0046】
図16は、ヒト(Genbank登録番号:AF077611)およびマウス(Genbank登録番号:NM_008360)のIL−18のアミノ酸配列の配列アラインメントを示す。
【0047】
図17は、ヒト(Genbank登録番号x16896)、マウス(Genbank登録番号NM_008362)およびラット(全長タンパク質(Genbank登録番号m95578)のIL−1RI型、天然に存在する可溶性タンパク質(Genbank登録番号NM_013123))、ヒト(Genbank登録番号NM_004633)およびマウス(Genbank登録番号NM_010555)のIL−1RII型、ならびに、ヒト(Genbank登録番号NM_003855)およびマウス(Genbank登録番号NM_008365)のIL−18Rのアミノ酸配列の配列アラインメントを示す。下線で示した配列は、タンパク質成熟の後に開裂するヒトIL−1RIタンパク質のシグナル配列を示す。
【0048】
図18は、ヒト(全長タンパク質(Genbank登録番号AF029213)、天然に存在する可溶性タンパク質(Genbank登録番号AF167343)、マウス(Genbank登録番号NM_008364)およびラット(Genbank登録番号NM_012968)のIL−1RAcP、ならびに、ヒト(Genbank登録番号NM_003853)およびマウス(Genbank登録番号NM_010553)のIL−18RAcPのアミノ酸配列の配列アラインメントを示す。下線で示した配列は、タンパク質成熟の後に開裂するヒトIL−1RAcPタンパク質のシグナル配列を示す。
【0049】
図19は、ヒトIL−1(Genbank登録番号x16896)およびIL−18受容体(Genbank登録番号NM_003855)の配列アラインメントを示す。
【0050】
図20は、ヒトIL−1受容体アクセサリータンパク質(Genbank登録番号AF029213)およびIL−18(Genbank登録番号NM_003853)受容体アクセサリータンパク質の配列アラインメントを示す。
【0051】
図19および20において、太字および下線で示した配列は、タンパク質のシグナル配列を示し、膜貫通ドメインは斜線のボックスで囲ってある。
【0052】
図21および22は、ヒトIL−1RI(図21A)およびIL−18R(図21B)、IL−1RAcP(図22A)およびIL−18RAcP(図22B)の完全長配列の疎水性プロットを示す。
【0053】
図23は、ヒト細胞外インターロイキン1受容体I型およびインターロイキン1受容体アクセサリータンパク質の構造編成のグラフ表示である。
【0054】
図24は、ヒトインターロイキン1I型受容体(IL−1RI;Genbank登録番号x16896)およびヒトインターロイキン受容体アクセサリータンパク質(IL−1RAcP;Genbank登録番号af029213)の配列アラインメントを示す。各構造ドメインの最初と最後のシステインは、斜線と囲みで示される。下線で示した部分の配列、(------)、(−−−)および(〜〜〜)は、それぞれドメイン1、2および3の位置を示す。
【0055】
図25は、本発明の方法のFlashPlate分析様式のグラフ表示である。図25Aは、ニッケル−FlashPlate様式を示し、図25Bは、ストレプトアビジン−FlashPlate様式を示す。
【0056】
発明の詳述
本明細書で用いられるように、「可溶性」という用語は、ポリペプチドに適用された場合、膜結合型ではないポリペプチドのいずれかを意味する。
【0057】
IL−1β、IL−1RIおよびIL−1RAcPの溶液中で相互作用する能力が、本願で初めて示される。成熟膜結合型タンパク質IL−1RおよびIL−1RAcPの結合活性が、細胞質ドメインと膜貫通ドメインとを欠き、細胞外ドメインのみからなる短いタンパク質(truncated protein)により複製できることは、驚くべきことであった。これらタンパク質の可溶性断片の相互作用により、ハイスループットスクリーニングに適切な分析の開発が可能になり、それによってタンパク質結合特性の直接的な測定が可能である。
【0058】
前炎症性(pro-inflammatory)サイトカインIL−1αおよびIL−βは、IL−1受容体およびIL−1受容体アクセサリータンパク質と細胞表面で相互作用し、IRAK、NIK、NFκBシグナル伝達カスケードを介する遺伝子の活性化によりさらなる前炎症性(pro-inflammatory)反応に導く(Dinarello,1996)。現在のタンパク質に基づく療法は、IL−1受容体、および/または、IL活性の機能的なアンタゴニストとして作用するIL−1受容体アンタゴニストの可溶性形態を静脈内投与することを含む(Rosenwasser,1998)。このような療法の制限は、十分な生物活性に必要な大量のこれら組換えタンパク質を生産する費用と、静脈内投与の必要性とにある。
【0059】
本明細書で説明する分析方法を用いた、IL三分子複合体の低分子物質阻害剤およびIL−1生物活性の同定は、経口投与が可能であり、このような化合物の生産費用を、組換えタンパク質の生産費用に比べて低くすることができるため、上記経路に顕著な利益を提供し得る。
【0060】
インターフェロン−γ誘導因子またはIL−18は、ヘルパーI型T細胞(Th1)誘導サイトカインファミリーのメンバーであり、IL−1βと多くの構造的および機能的な類似性がある。またこれらは、細胞表面で、IL−18−受容体(またはIL1Rrp;IL−18Rαとしても知られるIL−1受容体関連タンパク質)と、IL−18アクセサリータンパク質様受容体(AcPL)またはIL−18Rβ(またはIL−18RAcPとして知られる)と共に三元複合体を形成する。IL−1と同様に、IL−18シグナル伝達は、IRAK、NIK、NFκB経路を介して発生し、前炎症性(pro-inflammatory)刺激に導く(Dinarello,1999a)。
【0061】
クローン病は、消化管の慢性炎症が特徴である。クローン病におけるIL−18の過剰生産によるIFN−γの上流制御は、当該病気の病因に関与するようである(Monteleone et al.,1999)。従って、適切なアンタゴニストによるIL−18活性阻害は、この病気のための可能な治療を代表するものである。IL−18活性アンタゴニストのその他の可能な使用としては、喘息、自己免疫脱髄疾患、リウマチ様関節炎(Gracie et al.,1999)および乾癬(Dinarello,1999b)の治療が挙げられる。
【0062】
現在、IL−18活性を減少させることができる療法は存在しない。従って、IL−18RαとIL−18Rβとの相互作用を介するIL−18活性の低分子物質阻害剤、アンタゴニストが必要である。
【0063】
逆に、IL−18活性の強化はまた、臨床上の利益を有し得る。例えば、IL−18は、C57B16/Jマウスの皮下に埋め込むと、初期のT241線維肉腫において抗血管形成活性および抗腫瘍活性を有すると思われ、IL−18アゴニストは経口的に投与することも可能である(ただし限定されない)。加えて、IL−18活性の生理学的な「アゴニスト」はまた、菌類および細菌の感染から保護するための有用な療法であり得る(Akira,2000)。
【0064】
IL活性の阻害剤分子は、本発明のスクリーニング分析により得ることができ、上述したような治療目的、例えばクローン病、変形性関節症、炎症性の痛み、およびリウマチ様関節炎のような炎症に関連する病気の治療のためにデザインされ、用いられ得る。
【0065】
また、IL活性の活性化物質または「アゴニスト」を同定することができ、適切な薬剤を得て、上述したような治療目的、例えば免疫不全の治療においてデザインし、用いることができる。
【0066】
IL三分子複合体
本発明の1つの全体的な観点は、以下の成分:
(a)ILポリペプチド、
(b)前記ILポリペプチドに結合する可溶性IL−Rポリペプチド、および、
(c)IL−Rポリペプチド/ILポリペプチド二元複合体に結合する可溶性IL−RAcPポリペプチド、
からなる可溶性三分子複合体である。
【0067】
本願において、「IL」という用語はILポリペプチドを意味し、「sIL−R」という用語は可溶性IL−Rポリペプチドを意味し、「sIL−RAcP」という用語は可溶性IL−RAcPポリペプチドを意味する。
【0068】
IL三元複合体の3つのメンバーは、哺乳動物種間で高度に保存されている。その結果、本発明の分析において、三元複合体の成分、IL、sIL−RおよびsIL−RAcPは、同じ種、例えばヒト、マウス、ラット由来でもよいし、または、異なる種由来でもよい。例えば、ヒトsIL−1RAcPは、ラットIL−1/マウスsIL−1Rの二分子複合体に結合して、三分子複合体を形成することができる。
【0069】
本発明の好ましい分析において、三元複合体の成分、IL、sIL−RおよびsIL−RAcPは、同じ哺乳動物種由来である。本発明の最も好ましい分析において、三元複合体の成分、IL、sIL−RおよびsIL−RAcPは、ヒト、マウスまたはラット配列由来である。本発明の最も好ましい分析において、三元複合体の成分、IL、sIL−RおよびsIL−RAcPは、ヒト配列由来である。
【0070】
ILポリペプチド
本発明において、ILポリペプチドは、成熟形態において12〜14個のβストランドから成るバレル型3次元構造を有し、細胞活性が細胞表面で三元(すなわち三分子)複合体によって仲介されるポリペプチドと理解される。ILポリペプチドとしては、IL−1およびIL−18ファミリーのメンバー、例えばヒト(Genbank登録番号:x02531)、マウス(Genbank登録番号:NM_010554)およびラット(Genbank登録番号:D00403)、未熟IL−1α、ヒト(Genbank登録番号:x02532)、マウス(Genbank登録番号:NM_008361)およびラット(Genbank登録番号:M98820)未熟IL−1βおよびヒト(Genbank登録番号:AF077611)およびマウス(Genbank登録番号:NM_008360)、未熟IL−18、ヒト(Genbank登録番号AF200492)およびマウス未熟IL−1H1(Genbank登録番号AF200493)、ヒト未熟IL−1H2(Genbank登録番号AF200494)、マウス未熟IL−1H3(Genbank登録番号AF200495)、ヒト未熟IL−1H4(Genbank登録番号AF200496)、ヒト(Genbank登録番号AF230377)およびマウス未熟IL−15(Genbank登録番号AF230378)、ヒト(Genbank登録番号AJ242738)およびマウス未熟IL−1L1(Genbank登録番号AJ250429)、ヒト未熟FIL1デルタ(Genbank登録番号AF201830)、ヒト未熟FIL1イータ(Genbank登録番号XM_002375)、ヒト未熟FIL1ゼータ(Genbank登録番号XM_010759)、ヒト未熟FIL1イプシロン(Genbank登録番号XM_010757)、ヒト(Genbank登録番号AF206696)およびマウス(Genbank登録番号AF206697)未熟IL−1イプシロンが挙げられる。
【0071】
ヒト、ラットおよびマウス由来のIL−1αおよびIL−1β、ならびに、ヒトおよびマウス由来のIL−18のアミノ酸配列をそれぞれ図14、15および16の配列アラインメントで示す。
【0072】
ILポリペプチドはまた、ILアミノ酸配列、または、ILの生物活性を保持するそれらの断片、誘導体、類似体もしくは活性部分であり得る。「生物活性」が意図することは、ポリペプチドが、対応する受容体と受容体アクセサリータンパク質と共に三分子複合体を形成する能力を示すことである。
【0073】
好ましくは、ILは、IL−1またはIL−18である。
【0074】
本発明の分析で用いられる好ましいILポリペプチドは、可溶性IL受容体と可溶性IL受容体アクセサリータンパク質と共に可溶性三元複合体を形成する成熟ILポリペプチドであり、例えばヒト(配列番号1)、マウス(配列番号5)およびラット(配列番号7)成熟IL−1α、ヒト(配列番号4)、マウス(配列番号6)およびラット(配列番号8)成熟IL−1β、およびヒト(配列番号9)およびマウス(配列番号10)成熟IL−18である。
【0075】
本発明の分析で用いられる最も好ましいILポリペプチドは、配列番号4のヒト成熟IL−1β配列、ならびに、配列番号9のヒト成熟IL−18配列である。
【0076】
hILとは、ヒト形態のILを示す。
【0077】
IL−Rポリペプチド
完全長IL−R
マウスIL−1受容体を発現クローニング技術によりクローニングした(Sims et al.,1988)。この遺伝子は、NH2細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む受容体をコードする。配列解析により、IL−1受容体の細胞外の部分が、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーの同部分と同様に、3つのドメイン(Ig様ドメイン、図23を参照)に組織されていることがさらに明らかになった。ヒトIL−1受容体の細胞外ドメインとサイトカインIL−1βとの共結晶化により、該タンパク質のこの部分に関する上記構造予測が確認された(Vigers et al.,1997)。インターロイキン−1受容体タイプ1に結合した低分子アンタゴニストペプチド(ETPFTWEESNAYYWQPYALPL、配列番号37)のX線結晶構造が近年開示された(Vigers et al.,2000)。このペプチドは、配列番号35の配列に近く、IL−1βおよびIL−1Raと、可溶性IL−1Rのドメイン1および2との相互作用に類似していた。
【0078】
IL−1RIをIL−1Raと共に結晶化した第二のグループは、Vigers等(1997)が説明した配列と非常に類似した配列を有する3つのIg様ドメインを説明している(Schreuder et al.,1997)。
【0079】
本願において、「IL−Rポリペプチド」とは、細胞内ドメイン、単一の膜貫通ドメインおよび細胞外ドメインを含むポリペプチド意味する。細胞外ドメインは、3つのIg様ドメインを含み、IL−RをILおよびIL−RAcPに結合させる。IL−Rポリペプチドのシグナル伝達形式は、膜結合型である。
【0080】
IL−Rポリペプチドとしては、IL−1RおよびIL−18Rファミリーのメンバーが挙げられ、例えば、ヒトIL−1RI(Genbank登録番号x16896)、マウスIL−1RI(Genbank登録番号NM_008362)、ラットIL−1RI(Genbank登録番号m95578)、天然に存在する可溶性ラットIL−1Rタイプ1(Genbank登録番号NM_013123)、ヒトIL−18R(Genbank登録番号NM_003855)、マウスIL−18R(Genbank登録番号NM_008365)、ヒトIL−1Rrp2(Genbank登録番号AF284434)、マウスIL−1Rrp2(Genbank登録番号AF284433)、ヒトTIGIRR−1(Genbank登録番号AF284436)、マウスTIGIRR−1(Genbank登録番号AF284437)(Born et al,(2000),JBC,275,29946−29954)である。
【0081】
天然に存在する可溶性ラットIL−1Rタイプ1(Genbank登録番号NM_013123)を除いては、上記で定義した完全長IL−Rは、通常、本発明の分析に適さない。
【0082】
可溶性IL−Rポリペプチド
「可溶性IL−Rポリペプチド(sIL−R)」とは、完全長タンパク質の細胞外の結合活性(すなわち、その対応するILとその対応する受容体アクセサリータンパク質と三分子複合体を形成する能力であり、これは可溶性でも膜結合でもよい)を保持するいずれかの完全長IL−Rの可溶性ポリペプチド断片を意味する。
【0083】
本発明に従って使用するための好ましい可溶性IL−Rは、対応する内因性タンパク質の細胞外ドメイン、または、その結合能力を保持するそれらの部分もしくは断片を含む、または、からなる。適切な部分または断片は、内因性タンパク質と同じリガンドに結合する。膜結合型受容体またはアクセサリータンパク質の細胞外ドメインは、実施例1で説明された成熟配列の疎水性分析により同定された。IL−R細胞外ドメインは、本明細書において、配列のN末端から始めてドメイン1、ドメイン2およびドメイン3と特定される3つの構造ドメインに含まれる3つのIg様ドメインを含む。ドメイン1は、1つのIg様ドメインと2つのジスルフィド結合とを含む。ドメイン2は、1つのIg様ドメインと2つのオーバーラップするジスルフィド結合とを含む。ドメイン3は、1つのIg様ドメインと1つのジスルフィド結合とを含む。IL−1RIのドメイン構成に関しては、図23を参照。
【0084】
IL−1RIのドメイン3は、IL−1βのIL−1RIへの高親和性結合に重要である(Schreuder et al.,1997)。従って、ドメイン1および2のみからなるIL−1RI受容体の可溶性形態は、IL−1βに対する親和性が著しく減少した(10μM)。
【0085】
好ましい可溶性IL−Rポリペプチド
例示する目的で、本明細書で説明するsIL−Rポリペプチドは、ヒトsIL−1RIおよびヒトsIL−18Rであるが、図17の補助により、当業者であれば、それから他のsIL−1Rポリペプチドを推測可能である。
【0086】
本発明の一実施態様において、可溶性IL−Rポリペプチドは、可溶性IL−1受容体ポリペプチド、好ましくは可溶性IL−1I型受容体ポリペプチドである。
【0087】
本発明の好ましい実施態様において、可溶性受容体ポリペプチドは、完全長受容体の結合特性を保持し、配列番号13アミノ酸配列と、少なくとも60%同一性、または少なくとも80%同一性、好ましくは85%同一性、より好ましくは90%同一性、最も好ましくは95%同一性を有するポリペプチドである。
【0088】
最も好ましい可溶性受容体ポリペプチドは、配列番号13のアミノ酸配列、または、完全長タンパク質の結合特性を保持する類似体、誘導体、活性部分もしくはそれらの断片を含む、または、からなるポリペプチドである。
【0089】
本発明のさらなる実施態様において、ILポリペプチドがIL−1である場合、可溶性IL−Rポリペプチドは、完全長受容体の結合特性を保持し、配列番号14、配列番号15、または配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも60%同一性、または少なくとも80%同一性、好ましくは85%同一性、より好ましくは90%同一性、最も好ましくは95%同一性を有する。
【0090】
本発明のさらなる好ましい実施態様において、ILポリペプチドがIL−1である場合、可溶性IL−Rポリペプチドは、配列番号14または配列番号15または配列番号16のアミノ酸配列、または、完全長タンパク質の結合特性を保持する類似体、誘導体、活性部分もしくはそれらの断片を含む、または、からなるポリペプチドである。
【0091】
本発明の他の実施態様において、可溶性IL−Rポリペプチドは、可溶性IL−18Rポリペプチドである。
【0092】
本発明の好ましい実施態様において、可溶性受容体ポリペプチドは、完全長タンパク質の結合特性を保持し、配列番号17のアミノ酸配列と、少なくとも60%同一性、または少なくとも80%同一性、好ましくは85%同一性、より好ましくは90%同一性、最も好ましくは95%同一性を有するポリペプチドである。
【0093】
最も好ましい可溶性受容体ポリペプチドは、配列番号17のアミノ酸配列、または、完全長タンパク質の結合特性を保持する類似体、誘導体、活性部分もしくはそれらの断片を含む、または、からなるポリペプチドである。
【0094】
本発明のさらなる実施態様において、ILポリペプチドがIL−18である場合、可溶性IL−Rポリペプチドは、完全長受容体の結合特性を保持し、配列番号18のアミノ酸配列と、少なくとも60%同一性、または少なくとも80%同一性、好ましくは85%同一性、より好ましくは90%同一性、最も好ましくは95%同一性を有する。
【0095】
本発明のさらなる好ましい実施態様において、ILポリペプチドがIL−18である場合、可溶性IL−Rポリペプチドは、配列番号18のアミノ酸配列、または、完全長タンパク質の結合特性を保持する類似体、誘導体、活性部分もしくはそれらの断片を含む、または、からなるポリペプチドである。
【0096】
欠失の範囲
ドメイン3の最後のシステイン残基の後のIL−R細胞外ドメインのC末端セグメントの欠失により、完全長タンパク質の結合能力を保持する可能性のあるタンパク質が生産され得る。その上、IL−R細胞外ドメインのN末端部分からドメイン1の初めのシステインまでの欠失によっても、完全長タンパク質の結合能力を保持する可能性のあるタンパク質が生産され得る。
【0097】
本発明の好ましい実施態様において、IL−R細胞外ドメインのC末端セグメントからの、1〜30個のアミノ酸、好ましくは1〜20個のアミノ酸、より好ましくは1〜15個のアミノ酸、最も好ましくは1〜10個のアミノ酸の欠失により、完全長タンパク質の結合特性を保持する可能性のあるポリペプチドが生産され得る。
【0098】
本発明の最も好ましいsIL−Rは、それ以上欠失がなされていない細胞外ドメイン(対応する内因性完全長IL−Rの)を含む、または、からなる。
【0099】
IL−RAcPポリペプチド
完全長インターロイキン受容体アクセサリータンパク質
本願において、「IL−RAcPポリペプチド」は、細胞内ドメイン、単一の膜貫通ドメインおよび細胞外ドメインを含むポリペプチドを意味する。細胞外ドメインは3つのIg様ドメインを含み、IL−RAcPをIL−R/IL二元複合体に結合させる。IL−RAcPポリペプチドのシグナル伝達形式は、膜結合型である。
【0100】
IL−1RAcPにおけるこれら3つのIg様ドメインの位置に関する予測がGreenfeder等によりなされた(Greenfeder et al.,1995)。彼らは、IL−1RAcPのIg様ドメインの境界線を、各ドメインのNおよびC末端に近接して発見することができる唯一のシスチル(‘C’)残基の位置により定義した(図24で概説)。図24は、ヒトインターロイキン1I型受容体(IL−1RI;Genbank登録番号x16896)およびヒトインターロイキン受容体アクセサリータンパク質(IL−1RAcP;Genbank登録番号af029213)の配列アラインメントを示す。各ドメインの最初と最後のシステインは、斜線と囲みで示す。(------)、(−−−)および(〜〜〜)で示される、下線で示した配列部分は、ドメイン1、2および3それぞれの位置を示す。
【0101】
YoonおよびDinarello(1998)は、IL−1RAcPの第3のドメインのセグメントに向けられたモノクローナル抗体が、IL−1βシグナル伝達を阻害できることを示した。
【0102】
IL−1RIのIg様ドメインは、IL−1RAcPに関してGreenfeder等(1995)の説明に従って決定された。
【0103】
IL−RAcPポリペプチドとしては、IL−1RAcP様ファミリーポリペプチドおよびIL−18RAcPファミリー様ポリペプチドのメンバーが挙げられ、例えば、ヒト(Genbank登録番号AF029213)、マウス(Genbank登録番号NM_008364)、またはラット(Genbank登録番号NM_012968)未熟IL−1RAcP、ヒト(Genbank登録番号NM_003853)またはマウス(Genbank登録番号NM 010553)未熟IL−18RAcP、ヒトIL−1R9(Genbank登録番号AF212016)(Carrie et al,Nature genetics,(1999)、23,25−31、および、Sana et al.,(2000)Genomics,69,252−262)、ヒトTIGIRR−2(Genbank登録番号AF284435)、ヒトIL1RAPL1(Genbank登録番号NM_014271)、天然に存在する可溶性ヒトIL−1RAcP(Genbank登録番号AF167343)である。
【0104】
天然に存在する可溶性ヒトIL−1RAcP(Genbank登録番号AF167343)を除いては、上記で定義した完全長IL−RAcPは、通常、本発明の分析には適さない。
【0105】
可溶性IL−RAcPポリペプチド
「可溶性IL−RAcPポリペプチド(sIL−RAcP)」は、完全長タンパク質の細胞外の結合活性(すなわちその対応するIL−R/IL複合体と三分子複合体を形成する能力であり、可溶性でも膜結合でもよい)を保持する完全長IL−RAcPの可溶性ポリペプチド断片のいずれかを意味する。
【0106】
本発明に従って使用するための好ましい可溶性IL−RAcPは、内因性タンパク質の細胞外ドメイン、または、その結合能力を保持する部分もしくはそれらの断片を含む、または、からなる。適切な部分または断片は、内因性タンパク質と同じリガンドに結合する。
【0107】
IL−RAcPの細胞外ドメインは、本明細書において、配列のN末端から始めてドメイン1、ドメイン2およびドメイン3と特定される3つの構造ドメインに含まれる3つのIg様ドメインを含む。ドメイン1は、1つのIg様ドメインと2つのジスルフィド結合とを含む。ドメイン2は、1つのIg様ドメインと2つのオーバーラップするジスルフィド結合とを含む。ドメイン3は、1つのIg様ドメインと1つのジスルフィド結合とを含む。IL−1RAcPのドメイン構成に関しては、図23を参照。
【0108】
好ましい可溶性IL−RAcPポリペプチド
説明する目的で、本明細書で説明される好ましい可溶性IL−RAcPポリペプチドは、ヒトsIL−1RAcPおよびヒトsIL−18RAcPであるが、図18の補助により、当業者であれば、それから他のsIL−1RAcPポリペプチドを推測可能である。
【0109】
本発明の一実施態様において、sIL−RAcPは可溶性IL−1RAcPポリペプチドである。
【0110】
本発明の好ましい実施態様において、可溶性IL−RAcPポリペプチドは、完全長受容体アクセサリータンパク質の結合特性を保持し、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも60%同一性、または少なくとも80%同一性、好ましくは85%同一性、より好ましくは90%同一性、最も好ましくは95%同一性を有するポリペプチドである。
【0111】
最も好ましい可溶性IL−RAcPポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列、または、完全長タンパク質の結合特性を保持する類似体、誘導体、活性部分もしくはそれらの断片を含む、または、からなるポリペプチドである。
【0112】
本発明のさらなる実施態様において、ILポリペプチドがIL−1である場合、可溶性IL−RAcPポリペプチドは、完全長受容体アクセサリータンパク質の結合特性を保持し、配列番号22、配列番号23、または配列番号26のアミノ酸配列と、少なくとも60%同一性、または少なくとも80%同一性、好ましくは85%同一性、より好ましくは90%同一性、最も好ましくは95%同一性を有するポリペプチドである。
【0113】
本発明のさらなる好ましい実施態様において、ILポリペプチドがIL−1である場合、可溶性IL−RAcPポリペプチドは、配列番号22、配列番号23、または配列番号26のアミノ酸配列、または、完全長タンパク質の結合特性を保持する類似体、誘導体、活性部分もしくはそれらの断片を含む、または、からなるポリペプチドである。
【0114】
本発明の他の実施態様において、sIL−RAcPは可溶性IL−18RAcPポリペプチドである。
【0115】
本発明の他の好ましい実施態様において、可溶性IL−RAcPポリペプチドは、完全長受容体アクセサリータンパク質の結合特性を保持し、配列番号24のアミノ酸配列と、少なくとも60%同一性、または少なくとも80%同一性、好ましくは85%同一性、より好ましくは90%同一性、最も好ましくは95%同一性を有するポリペプチドである。
【0116】
最も好ましい可溶性IL−RAcPポリペプチドは、配列番号24のアミノ酸配列、または、完全長タンパク質の結合特性を保持する類似体、誘導体、活性部分もしくはそれらの断片を含む、または、からなるポリペプチドである。
【0117】
本発明のさらなる実施態様において、ILポリペプチドがIL−18である場合、可溶性IL−RAcPポリペプチドは、完全長受容体アクセサリータンパク質の結合特性を保持し、配列番号25のアミノ酸配列と、少なくとも60%同一性、または少なくとも80%同一性、好ましくは85%同一性、より好ましくは90%同一性、最も好ましくは95%同一性を有するポリペプチドである。
【0118】
本発明のさらなる好ましい実施態様において、ILポリペプチドがIL−18である場合、可溶性IL−RAcPポリペプチドは、配列番号25のアミノ酸配列、または、完全長タンパク質の結合特性を保持する類似体、誘導体、活性部分もしくはそれらの断片を含む、または、からなるポリペプチドである。
【0119】
欠失の範囲
ドメイン3の最後のシステイン残基の後の、IL−RAcPの細胞外ドメインのC末端セグメントの欠失により、完全長タンパク質の結合能力を保持する可能性のあるタンパク質が生産され得る。その上、IL−RAcPの細胞外ドメインのN末端部分からドメイン1の初めのシステインまでの欠失によっても、完全長タンパク質の結合能力を保持する可能性のあるタンパク質が生産され得る。
【0120】
本発明の好ましい実施態様において、IL−RAcPの細胞外ドメインのC末端セグメントからの1〜30個のアミノ酸、好ましくは1〜20個のアミノ酸、より好ましくは1〜15個のアミノ酸、最も好ましくは1〜10個のアミノ酸の欠失により、完全長タンパク質の結合特性を保持する可能性のあるポリペプチドが生産される。
【0121】
本発明の最も好ましいsIL−RAcPは、それ以上欠失がなされていない細胞外ドメイン(対応する内因性完全長IL−RAcPの)を含む、または、からなる。
【0122】
ファミリーメンバー
IL三元複合体の3つのメンバーは、哺乳動物種間で高度に保存されている。この様々な種間での高度な配列同一性は、少なくとも2つの実質的な重要性を有する:
a)IL−RおよびIL−RAcPの細胞外ドメインの3つの構造的部分は、様々な種から選択することができる。それゆえに、ある種由来のIL複合体のメンバー1つと、他の種由来のIL複合体の少なくとも他のメンバーとを含み得るIL−RおよびIL−RAcPキメラを構築することが可能である。キメラはまた、図14〜18の異種間の配列アラインメントを参照することによる、単一のタンパク質中で異種間キメラを生させるような核酸配列の組み合わせも含む。Born et al.,2000(IL−1Rファミリーキメラの選択に関する)を参照。
【0123】
b)IL−RまたはIL−RAcPいずれかにおける構造ドメインおよびIg様ドメインの位置の予測、および、適切な結合能力を有するポリペプチドを生産するためのIL−RおよびIL−RAcPいずれかから欠失させることができる構造ドメイン1および3の部分の決定は、例えば図24のデータと組み合わせて図17および18の配列アラインメントを比較することによって当業者により決定することができる。
【0124】
図24は、ヒトインターロイキン1I型受容体(IL−1RI;x16896)およびヒトインターロイキン受容体アクセサリータンパク質(IL−1RAcP;af029213)の配列アラインメントを示す。各ドメインの最初と最後のシステインは、斜線と囲みで示す。(------)、(−−−)および(〜〜〜)で同定される、下線で示した配列部分は、それぞれドメイン1、2および3の位置を示す。
【0125】
結果として、上記で示した欠失の範囲は、ラットやマウス配列のような他の哺乳動物のIL−RおよびIL−RAcP配列にも適用可能である。
【0126】
ペプチド生産のためのシグナル配列
分泌シグナル配列は、小胞体およびゴルジ体を介してタンパク質を細胞膜外部に移動させるタンパク質配列のN末端の配列と定義される。それにより、分泌シグナル配列は酵素により特異的に開裂され、最終的には分泌タンパク質およびプロセシングされたタンパク質が生産される。シグナル配列および開裂部位は、タンパク質により変化する。シグナル配列の一般的な特徴は、その組成の疎水性である(通常、F、L、I、V、M、A、CおよびP残基が存在する)。シグナル配列の平均長は、20個のアミノ酸残基である。これは、タンパク質を膜通過させ、分泌させるのに必要な長さと考えられる。細胞外のタンパク質を生産するために、当業者は、成熟タンパク質と、完全な分泌タンパク質を得るのに有効なシグナル配列とを融合させることができる。本発明の観点において、本発明で使用するための成熟ILポリペプチドまたは/およびsIL−Rポリペプチドまたは/およびsIL−RAcPポリペプチドを生産するために、いかなるシグナル配列を用いることができる。好ましいシグナル配列は、既知のシグナル配列、例えばメリチン種(MKFLVIVALVFMVVYISYIYA、配列番号38)、ヒト膵リパーゼ種(MWLLLTMASLISVLGTTHG、配列番号39)、ヒトIL−1RI種(MKVLLRLICFIALLISSLEA、配列番号40)またはヒトIL−1RAcP種(MTLLWCVVSLYFYGILQSDA、配列番号41)である。真核性の発現系(例えば昆虫細胞/バキュロウイルス系)において、シグナルのDNA配列コーディング領域の下流に標的タンパク質の成熟遺伝子を挿入することによって、分泌タンパク質が生産され得る。
【0127】
スクリーニング分析
タンパク質の可溶性形態を用いることの主な利益は、これら試薬により簡単にハイスループットスクリーニング(HTS)分析をフォーマットし、稼動させることができることである。相同分析および可溶性分析はまた、非常に小型化しやすく、HTSフォーマット化を促進することができる。このような分析はしばしば、それらの相同性の特徴により、より信頼できるデータを提供する。HTSモードにおいて、分析において活性なわずかな化合物を、自信を持って検出することが望まれるため(しばしば、一般的なHTSでスクリーニングされた化合物総数の約0.3%)、これは非常に重要である。
【0128】
本発明の分析で用いられるIL−Rポリペプチドは、可溶性である。内因性で活性な、機能的IL/IL−R/IL−RAcP複合体は、疎水性の膜貫通ドメインと細胞質ドメインとを含む膜結合IL−Rを含む。このような膜結合型IL−Rポリペプチドは、不溶性であり、通常は本発明での使用に適さない。
【0129】
本発明の分析で用いられるIL−RAcPポリペプチドは、可溶性である。内因性で活性な、機能的IL/IL−R/IL−RAcP複合体は、疎水性の膜貫通ドメインを含む膜結合IL−RAcPを含む。このような膜結合型IL−RAcPポリペプチドは、不溶性であり、通常は本発明での使用に適さない。
【0130】
本発明の一つの特定の一実施態様において、シグナル配列を依然として含む可溶性IL−RおよびIL−RAcPポリペプチドを用いて分析を行うことができる。
【0131】
好ましいシグナル配列は、タンパク質の天然に存在するシグナル配列である。
【0132】
しかしながら、本発明の分析で用いられる最も好ましいsIL−RおよびsIL−RAcPポリペプチドは、シグナル配列を含まない。
【0133】
本発明の他の実施態様において、可溶性ポリペプチドは、スクリーニングで使用するために、支持体に結合することができる。この支持体は、細胞膜への固定、または、BIAcoreセンサーチップへの固定を介していてよい。
【0134】
本発明のさらなる実施態様において、ILポリペプチドは、天然に存在するシグナル配列の代わりに、ATGメチオニン開始コドンを含んでいてもよい。
【0135】
本発明は、ILとIL−Rとの相互作用、および/または、IL−RAcPとIL−R/IL二分子複合体との相互作用を調節し、それによりIL、IL−RおよびIL−RAcPを含む三分子複合体の形成および/または安定性を調節する薬剤のスクリーニング方法および分析における、本発明のIL/sIL−R/sIL−RAcP三分子複合体の使用に関する。
【0136】
ILとsIL−Rとの相互作用、または、sIL−RAcPsとsIL−R/IL二分子複合体との相互作用を調節することができる薬剤を得る方法は、試験物質の存在下および不存在下での可溶性成分の相互作用を評価するのに適切な終点(end−point)を用いる方法を含む。このような分析システムは、ILのsIL−Rへの結合、sIL−RAcPのsIL−R/IL二分子複合体への結合、または、すでに形成された三分子複合体の破壊を決定するために、本発明の分析で用いることができる。一般的に、最も興味深いのは、IL、sIL−RおよびsIL−RAcPを含む三元複合体形成を調節することである。
【0137】
本発明で用いることができる様々なタイプのスクリーニング分析技術を、以下で簡単に説明する。
【0138】
シンチレーション近接分析(SPA)
シンチレーション近接分析において、ビオチン化タンパク質断片は、ストレプトアビジンでコーティングしたシンチラント含有ビーズ(例えばAmersham社製のもの)に結合させることができる。続いて、放射線標識したポリペプチドの結合は、放射性ペプチドが固定化断片に結合することによって放射能誘導されたシンチレーションを決定することによって測定される。従って、測定されたシンチレーションにおいて調節を起こす(すなわち減少または増強)薬剤が、相互作用の調節因子(阻害剤、活性化物質)である。
【0139】
FlashPlate(TM)技術(NEN Life Sciences)
終点決定方法としてFlashPlate(TM)技術(NEN Life Sciences)を用いることもできる。FlashPlate(TM)マイクロタイタープレートのウェル表面は、シンチラントを含み、さらにNi−NTAまたはストレプトアビジンのような材料でコーティングすることもでき、このような材料は、例えば6−Hisタグまたはビオチン基を介してウェル表面に分子を固定させることができる。[3H]標識分子が表面に固定された分子と相互作用する場合、[3H]のシンチラントへの近接により、シンチラント活性化と光の放出が引き起こされる。この放出は、分子の相互作用の量に直接関連しており、マイクロプレートシンチレーションカウンターで測定することができる。相互作用の阻害剤またはエンハンサーは、それぞれシンチラントに近接する[3H]の量を減少または増強させ、それによりシグナルをそれぞれ減少または増強させる。
【0140】
試験化合物の分析は、試験分析のcpm(計数毎分)アウトプットにおける効果を、試験化合物を含まない以外は同一条件下の場合と比較して測定することによって行うことができる。
【0141】
本発明の1つの好ましい実施態様において、ビオチン−sIL−1RをストレプトアビジンFlashPlateに固定して、続いて、遊離sIL−1RAcPと遊離125IIL−1β(またはより好ましくは3HIL−1β)とを加える。他の好ましい構成において、sIL−1RAcP−6Hisは、6−Hisタグを介してNi−FlashPlateに固定され、続いて、IL−1βに結合する[3H]標識sIL−1Rを含む二元複合体を加える。
【0142】
均一な時間分解蛍光法(HTRF)
均一な時間分解蛍光法(HTRF)は、特に本発明の分析における終点決定にに適切なデュアル標識蛍光技術である。当該技術は、分子が相互作用する場合、1つの分子上のドナー標識がアクセプター標識に接近するように、蛍光標識と相互作用するポリペプチドまたは複合体それぞれを標識することを含む。
【0143】
多くのデュアル標識蛍光技術が有する問題は、分析成分のバックグラウンドの蛍光である。エネルギードナーに隣接したエネルギーアクセプター分子からのシグナルは、ドナー分子から離れたアクセプター分子のような分析の他の成分からのシグナルにより部分的に弱められる。
【0144】
HTRFは、ユウロピウムクリプテートのようなランタニドクリプテート分子は、特定の波長の光によって励起されると長時間にわたって蛍光を発するという発見に基づく(Kolb et al 1996,Prat et al.1995)。ユウロピウムクリプテートのようなランタニドクリプテートが生物学的試験でエネルギードナー標識として用いられる場合、エネルギーは長時間にわたりアクセプター分子に移動する。遠方のアクセプターや他の分析成分からの短時間のシグナルは励起後急速に消滅するため、励起後短時間で測定されたシグナルは、ほぼ完全に、ドナー分子に近接しており、ドナーの長時間の蛍光によってまだ励起されているアクセプターによって生産されたものであり得る。従って、ドナー分子とアクセプター分子とでそれぞれ標識された2種の生体分子の近接を決定するのに分析を用いることができる。適切なエネルギードナー標識としてはユウロピウムクリプテートが挙げられ、適切なエネルギーアクセプター標識としては、シアニン5(Cy−5)およびXL665(TM)が挙げられる(CIS−Bio international,Franceから入手できる)。
【0145】
従って、sIL−1RAcPは例えばCy−5のようなエネルギーアクセプターで標識することができ、sIL−1RIはユウロピウムクリプテートのようなエネルギードナーで標識することができる。それにより、受容体とアクセサリータンパク質との近接は、665nmで遅延した蛍光放出(Cy−5に関する)を測定することによって決定することができる。受容体とアクセサリータンパク質との近接は、IL−1、sIL−1RIおよびsIL−1RAcP三分子複合体の存在を示す。
【0146】
Origen(TM)技術 ( Igen )
本発明の分析における終点の方法としてOrigen(TM)技術(Igen)を用いてもよい。相互作用対の1つの分子を、例えばNi−NTA/6−Hisまたはビオチン/ストレプトアビジン結合によって磁気ビーズに付着させる。ルテニウム(II)トリス−(ビピリジン)で標識した第二の分子を加え、分子間の相互作用により、ルテニウム(II)トリス−(ビピリジン)標識を刺激電極に近接させる。電気化学的な刺激により、標識が化学発光を起こす。光のアウトプットは、分子間の相互作用の程度に関係する。
【0147】
例えば、1つの適切な構成において、sIL−1RAcP−6Hisは、6−Hisタグを介してNi−NTA磁気ビーズに固定され、続いて、IL−1βに結合したルテニウム(II)トリス−(ビピリジン)標識sIL−1Rを含む二元複合体を加える。続いて、電気化学的な刺激の後、標識からの光アウトプットを測定する。
【0148】
本発明の分析に加えることができる試験物質または化合物の量は、通常、用いられる化合物のタイプに応じた試行錯誤により決定される。典型的には、約0.001nM〜1mMの濃度の推定の阻害剤化合物が用いられ得る。好ましい濃度は、例えば0.01nM〜100μM、最も好ましくは0.1〜50μM、特に約10μMである。ペプチドが試験物質である場合、より高い濃度が用いられ得る。
【0149】
特筆すべきは、BIAcore(表面プラスモン共鳴)またはFlashPlateの使用は、HTRFの使用より生理学的であることである。C末端6−Hisタグを用いてsIL−1RAcPを、Ni−NTA BIAcoreセンサーチップまたはFlashPlate表面のいずれかに固定させることにより、その膜固定化完全長形態で膜に固定化された場合に用いられることが予測されるのと類似した様式でタンパク質を配向させる。これは、遊離溶液中でのタンパク質分析に比べて、分析をいくらかより典型的な生理的状況にすることができる。
【0150】
一次スクリーニング分析
IL調節因子に関するスクリーニング分析
本明細書で用いられる「調節」は、IL、sIL−RおよびsIL−RAcPからなる三分子複合体の形成および/または安定性の増強、破壊または妨害を意味する。調節因子は、ILとsIL−Rとの相互作用を、活性化、増強、破壊、減少、妨害させるか、または、全体的または部分的に失わせ、それによりsIL−R/IL二分子複合体の形成に作用する、および/または、IL−R/IL二分子複合体とsIL−RAcPとの相互作用を活性化、増強、破壊、減少、妨害するか、または、全体的または部分的に失わせ、それによりIL、sIL−RおよびsIL−RAcPを含む三分子複合体の形成に作用する。調節因子はまた、すでに形成されたIL、sIL−RおよびsIL−RAcPを含む三分子複合体を破壊することができる。
【0151】
1つの全体的な観点において、本発明は、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を調節する試験化合物の能力を決定するための分析方法を提供し、当該方法は:
(a)ILポリペプチド、可溶性IL−Rポリペプチド、可溶性IL−RAcPポリペプチドおよび試験化合物を接触させること;および、
(b)形成された前記三分子複合体の量を測定すること、
を含む。
【0152】
最も好ましい実施態様において、本発明は、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を調節する試験化合物の能力を決定するための分析方法であって、当該方法は:
(a)試験化合物を提供すること;
(b)試験化合物を、定義された量の可溶性IL−Rポリペプチドおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドに接触させること;
(c)ILポリペプチドを、工程(b)で得られた混合物に加えること;および、
(d)形成された前記三分子複合体の量を測定すること、
を含む。
【0153】
他の観点において、本発明は、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を破壊または妨害する試験化合物の能力を決定するための分析方法であって、当該方法は:
(a)ILポリペプチド、可溶性IL−Rポリペプチド、可溶性IL−RAcPポリペプチドおよび試験化合物を接触させること;および、
(b)形成された前記三分子複合体の量を測定すること、
を含む。
【0154】
重要なことには、工程(a)でIL、sIL−R、sIL−RAcPと試験化合物とが接触する順番は変更することができることを特筆する。言いかえれば、試験化合物が添加される前に三分子複合体の形成が生じない限り、様々な成分のいかなる順番での追加も可能である。その上、試験化合物の取り込み前に三分子複合体が生じない限り、いかなる二分子複合体の前生成もまた許容できる。
【0155】
最も好ましい実施態様において、本発明はまた、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を破壊または妨害する試験化合物の能力を決定するための分析方法を提供し、当該方法は:
(a)試験化合物を提供すること;
(b)試験化合物を、定義された量の可溶性IL−Rポリペプチドおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドに接触させること;
(c)ILポリペプチドを試験(b)で得られた混合物に加えること;および、
(d)形成された前記三分子複合体の量を測定すること、
を含む。
【0156】
本発明の最も好ましい実施態様において、分析で用いられるILはヒト成熟IL−1またはヒト成熟IL−18であり、分析で用いられるsIL−RはヒトsIL−1RIまたはヒトsIL−18Rであり、分析で用いられるsIL−RAcPはヒトsIL−1RAcPまたはヒトsIL−18RAcPである。
【0157】
本発明の最も好ましい実施態様において、ILはヒト成熟IL−1Rであり、sIL−RはヒトsIL−1RIであり、sIL−RAcPはヒトsIL−1RAcPである。
【0158】
ILアンタゴニストを用いたIL活性化物質のスクリーニング分析
IL、ILアンタゴニスト、sIL−RおよびsIL−RAcPを含む反応媒体中で、ILアンタゴニストとその相互作用からILを切離すILアンタゴニストに結合する実体の存在により、IL活性化剤様の効果が得られる。実際に、続いてILはsIL−Rと結合することができ、IL/sIL−R/sIL−RAcP三元複合体形成に導く。
【0159】
それゆえに、本発明はまた、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を増強する試験化合物の能力を決定するための分析方法に関し、当該方法は:
(a)ILポリペプチド、可溶性IL−Rポリペプチド、可溶性ILアンタゴニスト、可溶性IL−RAcPポリペプチドおよび試験化合物を接触させること;
(b)形成された前記三分子複合体の量を測定すること;および、
(c)工程(a)で形成された前記三分子複合体の量と、試験化合物の不存在下で形成された前記三分子複合体の量とを比較すること、
を含む。
【0160】
本発明の好ましい実施態様は、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を増強する試験化合物の能力を決定するための分析方法であって、当該方法は:
(a)試験化合物を提供すること;
(b)試験化合物を、可溶性IL−Rポリペプチド、可溶性ILアンタゴニストおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドに接触させること;
(c)ILポリペプチドを工程(b)で得られた混合物に加えること;
(d)形成された前記三分子複合体の量を測定すること;および、
(e)工程(c)で形成された前記三分子複合体の量と、試験化合物の不存在下で形成された前記三分子複合体の量とを比較すること、
を含む。
【0161】
本発明の最も好ましい実施態様は、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を増強する試験化合物の能力を決定するための分析方法であって、当該方法は:
(a)試験化合物と、ILポリペプチドおよび可溶性ILアンタゴニストとを接触させること;
(b)可溶性IL−Rポリペプチドおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドを加えること;
(c)形成された前記三分子複合体の量を測定すること;および、
(d)工程(b)で形成された前記三分子複合体の量と、試験化合物の不存在下で形成された前記三分子複合体の量とを比較すること、
を含む。
【0162】
このスクリーニング分析の好ましい実施態様において、可溶性ILアンタゴニストは、可溶性ILアンタゴニストポリペプチドである。
【0163】
最も好ましい可溶性ILアンタゴニストポリペプチドは、可溶性IL−1RIIまたはIL−18BPである。
【0164】
IL−1RII
適切な可溶性IL−1RIIポリペプチドとしては、完全長IL−RIIの結合特性を保持し、配列番号42のアミノ酸配列と、少なくとも60%同一性、または少なくとも80%同一性、好ましくは85%同一性、より好ましくは90%同一性、最も好ましくは95%同一性を有するポリペプチドが挙げられる。
【0165】
これら分析で用いるための最も好ましい可溶性受容体II型ポリペプチドは、配列番号42のポリペプチド、または、完全長タンパク質の結合能力を保持する前記配列の類似体、誘導体、活性部分または断片である。
【0166】
本発明の他の実施態様において、上述の他のシグナル配列をIL−RIIポリペプチドに加えてもよい。
【0167】
IL−18結合タンパク質(IL−18BP)
適切なIL−18BPポリペプチドは、完全長IL−18BPの結合特性保持し、配列番号43のアミノ酸配列と、少なくとも60%同一性、または少なくとも80%同一性、好ましくは85%同一性、より好ましくは90%同一性、最も好ましくは95%同一性を有するポリペプチドである。
【0168】
この分析で用いるための最も好ましい可溶性IL−18BPポリペプチドは、配列番号43のポリペプチド、または、その完全長タンパク質の結合能力を保持する前記配列の類似体、誘導体、活性部分または断片である。
【0169】
IL−Rアンタゴニストを用いた IL 活性化物質のスクリーニング分析
IL、IL−Rアンタゴニスト、IL−RおよびIL−RAcPを含む反応媒体中で、IL−Rアンタゴニストとのその相互作用からIL−Rを切離すIL−Rアンタゴニストに結合する実体の存在により、IL活性化剤様の効果が得られる。実際に、続いてsIL−RはILに結合することができ、IL/sIL−R/sIL−RAcP三元複合体形成に導く。
【0170】
それゆえに、本発明はまた、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を増強する試験化合物の能力を決定するための分析方法に関し、当該方法は:
(a)ILポリペプチド、可溶性IL−Rポリペプチド、IL−Rアンタゴニスト、可溶性IL−RAcPポリペプチドおよび試験化合物を接触させること;
(b)形成された前記三分子複合体の量を測定すること;および、
(c)工程(a)で形成された前記三分子複合体の量と、試験化合物の不存在下で形成された前記三分子複合体の量とを比較すること、
を含む。
【0171】
本発明の好ましい実施態様は、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を増強する試験化合物の能力を決定するための分析方法であり、当該方法は:
(a)試験化合物を提供すること;
(b)試験化合物を、ILポリペプチド、IL−Rアンタゴニストおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドに接触させること;
(c)可溶性IL−Rポリペプチドを工程(b)で得られた混合物に加えること;
(d)形成された前記三分子複合体の量を測定すること;および、
(e)工程(c)で形成された前記三分子複合体の量と、試験化合物の不存在下で形成された前記三分子複合体の量とを比較すること、
を含む。
【0172】
このスクリーニング分析の好ましい実施態様において、IL−Rアンタゴニストは、IL−Rアンタゴニストポリペプチドである。最も好ましいIL−Rアンタゴニストポリペプチドは、IL−Raである。
【0173】
IL−1Ra
適切なIL−1Raポリペプチドは、完全長IL−1Raの結合特性を保持し、配列番号44のアミノ酸配列と、少なくとも60%同一性、または少なくとも80%同一性、好ましくは85%同一性、より好ましくは90%同一性、最も好ましくは95%同一性を有するポリペプチドである。
【0174】
この分析で用いるための最も好ましい可溶性IL−1Raポリペプチドの1つは、配列番号44のポリペプチド、または、完全長タンパク質の結合能力を保持する前記配列の類似体、誘導体、活性部分または断片である。
【0175】
その他の適切なIL−1Raポリペプチドとしては、ヒトIL1HY1(Genbank登録番号AF186094)、マウスIL1HY1(Genbank登録番号NM_019451)およびマウスIL−1Rn(Genbank登録番号M74294)が挙げられる。
【0176】
上述の分析、方法が、IL、IL−RおよびIL−RAcPを含む三元複合体形成を、破壊、妨害または増強させることができる試験化合物のスクリーニングするための一次分析であると発明者に認識されることが好ましい。
【0177】
1またはそれ以上の一次スクリーニングを用いて、三分子複合体の形成を調節する能力を有することが同定された薬剤を、以下で説明する1またはそれ以上の二次スクリーニングを用いてさらに評価することができる。
【0178】
二次スクリーニング分析
本発明による二次スクリーニング分析方法は、一次スクリーニング分析の一つで陽性と認められた試験化合物の、ILと可溶性IL−Rポリペプチドとの二分子複合体における効果を試験することを含む。それにより、試験化合物によって影響を受けた相互作用を、sIL−RとのIL相互作用、または、sIL−R/IL二分子複合体とのsIL−RAcP相互作用のいずれかと同定することができる。
【0179】
本発明の特定の実施態様において、二次スクリーニング分析方法は:
(a)ILポリペプチド、可溶性IL−Rポリペプチドと、上述の一次スクリーニングの一つで陽性と認められた試験化合物とを接触させること;および、
(b)ILポリペプチドと可溶性IL−Rポリペプチドとからなる二分子複合体の形成を決定すること、
を含む。
【0180】
例えば、試験化合物が阻害剤である場合、試験化合物により破壊した相互作用は、二分子複合体の形成と三分子複合体の形成とを比較することによって決定することができる。三分子複合体の形成だけが阻害されると、該化合物は、sIL−RAcPのsIL−R/IL二分子複合体との相互作用を破壊させる。両方の複合体の形成が阻害されると、両方の相互作用がいずれも阻害されるか、またはILとsIL−Rとの相互作用が阻害される。
【0181】
本発明の特定の実施態様は、二次スクリーニング分析方法に関し、当該方法は:
(a)ILポリペプチド、可溶性IL−Rポリペプチドと、試験化合物とを接触させること;および、
(b)工程(a)の反応混合物中のILポリペプチドと可溶性IL−Rポリペプチドとからなる二分子複合体の存在を分析すること、
を含む。
【0182】
本発明のさらなる観点は、IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の安定性を破壊または妨害する試験化合物の能力を決定するための二次スクリーニング分析方法に関し、当該方法は:
(a)定義された量のILポリペプチド、可溶性IL−Rポリペプチドおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドを含む三分子複合体を提供すること;
(b)試験化合物と、前記三分子複合体とを接触させること;および、
(c)工程(b)後に存在する前記三分子複合体の量と、工程(a)で最初に存在する三分子複合体の量とを比較すること、
を含む。
【0183】
本発明の最も好ましい実施態様において、分析で用いられるILはヒト成熟IL−1またはヒト成熟IL−18であり、分析で用いられるsIL−RはヒトsIL−1RIまたはヒトsIL−18Rであり、分析で用いられるsIL−RAcPはヒトsIL−1RAcPまたはヒトsIL−18RAcPである。
【0184】
本発明の最も好ましい実施形態において、ILはヒト成熟IL−1であり、sIL−RはヒトsIL−1RIであり、sIL−RAcPはヒトsIL−1RAcPである。
【0185】
二次分析はまた、下流のILエフェクターの誘導に関して試験することも含む。例えば、NFκB活性化遺伝子の活性は、市販のNFκBにより稼働するβ−lacレポーター(Aurora technology)を用いてIL−1を刺激した後に分析することができる。
【0186】
上述したような、ILとsIL−Rとの相互作用、または、sIL−RAcPとsIL−R/IL二分子複合体との相互作用を調節することができる薬剤はまた、ILと膜結合IL−RAcPと膜結合IL−R/IL二分子複合体との相互作用を調節するのに用いることもできる。
【0187】
以下の図および実施例により本発明をさらに説明するが、決して限定されることはない。
【0188】
実施例
材料
オリゴヌクレオチドプライマーを、ABI392DNAシンセサイザーを用いて合成するか、または、PE Applied Biosystemsから直接得た。ヒト脳のQuick Clone cDNAをClontechから得た。プラスミドpDR540中にヒトIL−1βの成熟形態を最適なE.coliコドン使用を伴いコードした合成遺伝子を用いた。制限酵素および他のDNA修飾酵素をBoehringer MannheimまたはStratageneのいずれかより得た。組換えヒトIL−1Ra、IL−1β、および可溶性IL−1受容体II型(sIL−1RII)をR&D Systemsから購入した。ペプチドをAbachem Ltd. Tissue culture mediaにより合成し、試薬をLife Technologies Ltdから得た。BIAcore(R)2000を用いて、タンパク質間相互作用の結合反応速度論と親和性定数とを測定した。CM5およびNTA−チップ、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−エチル−M1−(3−ジエチルアミノプロピル)カルボジイミド、およびエタノールアミンカップリング試薬(BIAcore)を用いて、標準的なアミンカップリング法(Jonsson et al.1991)を用いてタンパク質をセンサー表面に固定した。
【実施例1】
【0189】
IL−1RおよびIL−1RAcP細胞外ドメインの同定
膜結合型受容体またはアクセサリータンパク質の細胞外ドメインを、成熟配列のヒドロパシー分析(hydropathy analysis)により同定した。膜貫通領域は、高いヒドロパシー指標を有する平均20個の連続したアミノ酸残基を有する領域としてヒドロパシープロットで示される。
【0190】
ヒドロパシー指標は、膜貫通領域の指標を提供する。この分析に続いて、領域の正確な境界線が当業者既知の標準的な技術を用いてマッピングされる。図21および22は、完全長配列ヒトIL−1RIおよびIL−18Rのヒドロパシープロット(図21)ならびにヒトIL−1RAcPおよびIL−18RAcPのヒドロパシープロット(図22)を示す。TMpredプログラムにより、膜貫通領域とそれらの方向を予測する。アルゴリズムは、TMbase、天然に存在する膜貫通タンパク質のデータベースの統計学的分析に基づく。予測は、スコアリングのため数種の重量−基質の組み合わせを用いてなされる(K.Hofmann&W.Stoffel,1993)。
【0191】
垂直の破線は、タンパク質の単一の膜貫通ドメインと予測される領域の境界を定める(タンパク質配列のこの領域において顕著に正の疎水性指標から判断できる)。このようにして、残基は、ヒトIL−1RおよびヒトIL−1RAcPの膜貫通ドメインの始まりの直前において、これらタンパク質の可溶性形態をコードする最後の残基となるように選択された(および、実際にこれらC末端が欠失したタンパク質は、昆虫細胞/バキュロウイルス系での発現で分泌された)。これらC末端が欠失したタンパク質はまた、細菌または酵母で発現させることも可能である。図17および18は、それぞれヒト、ラットおよびマウス由来のIL−1RI型およびIL−1RII型、IL−1RAcPおよびIL−18RAcPのアミノ酸配列の配列アラインメントを示す。
【0192】
図17および18において、ヒトインターロイキンI受容体I型およびII型、ヒトインターロイキンI受容体アクセサリータンパク質、ヒトインターロイキン18受容体およびヒトインターロイキン18受容体アクセサリータンパク質の推定の膜貫通ドメインを、疎水性プロットにより得られた膜貫通ドメインの決定に従って、適切な太字の残基を含む透明なボックスで略記する。
【0193】
図17および18は、膜貫通ドメイン(ボックスで囲まれた)の一次配列における保存された位置を示し、従って、他の完全長IL−Rおよび完全長IL−RAcPの類似のC末端が欠失した形態(例えば、IL−1ファミリー様受容体ポリペプチドおよびIL−1ファミリー様受容体アクセサリータンパク質ポリペプチドの他のメンバーなど)もまた、昆虫細胞/バキュロウイルス系での発現で分泌される可能性が高い。
【実施例2】
【0194】
組換えタンパク質のクローニング、発現、および精製
1)方法
1.1)IL−1β
IL−1β(配列番号3)をコードする合成遺伝子(配列番号2)を、PfuDNAポリメラーゼを用いたPCRによりNcoI制限部位を5’開始コドンに導入することによって修飾した(プライマー:
【化1】
Figure 2004533612
太字で示されるNcoI部位を伴う(配列番号27)、および、5’−CAGCTTATCGGCGTAGAGGAT−3’、これは、IL−1β遺伝子より遠位のpDR540領域に対応する(配列番号28))。生産物をNcoIおよびBamHIで消化し(遺伝子中の2つのタンデム停止コドンの直後の部位で)、pQE−60にサブクローニングした(Qiagen)。得られた構築物(pQE−hrIL−1β)は、確認のために配列解析し、N末端メチオニン残基を追加されたIL−1βタンパク質の成熟形態(配列番号4の配列)を発現させるために設計された。pQE−hrIL−1βを、IL−1β発現をきつく調節するためのlacリプレッサーをコードしたプラスミドpREP4を含むM15E.coliに形質転換した(Qiagen QIAexpress system)。
【0195】
形質転換されたM15E.coliを標準的な方法で培養し、続いて最終濃度2mMのイソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(Sigma)で誘導した。培養して4時間後、細胞を、4000g(Beckman 21、JA14ローター、5500rpm)、4℃で30分間、遠心分離で回収した。上清を取り除き、ペレットを必要になるまで−70℃で保存した。1リットルの培養液から、約4gの細胞(湿重量)が生産された。細胞ペレットを、50mlの50mMのトリス−HCl(pH8.0)、5mMのEDTA、0.1mMのPMSFおよび250μgのリゾチーム/ml(緩衝液A)に再懸濁した。懸濁液を穏やかに混合し、25℃で20分間インキュベートした。25μlのDNアーゼI(Stratagene)を含む5mlの緩衝液B(1.5MのNaCl、0.1MのCaCl2、0.1MのMgCl2、および1mMのPMSF)を加えた。その混合物を細胞溶解産物が低い粘性を示すまでインキュベートした。
【0196】
その混合物を17,000gで1時間、4℃で遠心分離し、上清を取り除き、400mlの10mM酢酸ナトリウム(pH5.1)(緩衝液C)で希釈した。17,000gで30分間、4℃で遠心分離した後(沈殿を取り除くため)、上清を、緩衝液Cを流速250ml/hで用いて平衡化したSP−セファロースファスト−フロー(Pharmacia Biotech Inc.)カラム(5cm i.d.2.5cm)にローディングした。220mM酢酸ナトリウム(pH5.1)で溶出させた。溶出液を3mlに濃縮し、緩衝液(PBS、pH7.4または100mMのNaHCO3、pH8.3)で平衡化したG75セファデックスカラム(2.5×90cm)に30ml/hでローディングした。IL−1βを含む分画を貯蔵し、5mlに濃縮した。還元条件の4〜20%のSDS−PAGEゲルのhIL−1βの予測Mr(〜17,400Da)によれば、G75−セファデックスからの最後のピーク分画から単一のバンドが得られた。
【0197】
IL−1βアフィニティカラムは、製造元の説明どおりに、上記で精製したヒト組換えIL−1β(20mg)をCNBr−活性化セファロース−4Bマトリックス(Pharmacia)の1gに架橋することにより行われた。
【0198】
1.2)sIL−1RI
ヒトIL−1RI(配列番号12)をコードする完全長cDNA(配列番号11)(Hammond et al.1999)を、Pfu DNAポリメラーゼを用いたPCRにより、開始コドンの前にJBcoRI部位を導入し、His336(推定の膜貫通領域の最初の残基)に関するコドンの代わりに停止コドンを導入し、続いてXhoI部位を導入することによって修飾した。
【0199】
プライマー配列は:
【化2】
Figure 2004533612
である。PCR産物をpBluescript II SK(+)にクローニングし、双方のストランドを配列解析した。続いて、EcoRI〜XhoI断片をpFastBac1にサブクローニングし、これを用いて、DH10Bac(Bac−to−Bac System,Life Technologies)に部位特異的に移動させることによって組換えバキュロウイルスバクミドDNAを得た。数種のクローンから得られたバクミドDNAを精製し、これを用いて、sf9細胞をCellfectinを用いてトランスフェクトさせた。
【0200】
昆虫細胞での最適なヒトインターロイキンI受容体タンパク質発現のために、本明細書で説明するようにPCRを利用し、以下のKozak翻訳開始コンセンサス配列「GCCACC」をATG開始コドン直前に挿入した。
【0201】
このコンセンサス配列に関するバリエーションはまた、効率的な発現に影響を与えることができ、実際に、他の配列もハイレベルの翻訳を目的としてさらにより有効になり得る。
【0202】
400mlのSF−900II SFM無血清昆虫細胞培地を含む1リットル容ポリカーボネート製振盪フラスコ(Corning)中で1〜5×106細胞/mlであるように、細胞を定期的に維持した。培養条件は、振盪インキュベーターで、27℃で、110rpmの回転であった。タンパク質生産のために、細胞を5×106細胞/mlの濃度まで培養し、続いて、1:100希釈の適切なバキュロウイルスP3ストックで感染させる直前に2×106細胞/mlに希釈した。細胞をsIL−1RI発現バキュロウイルスで感染させ、さらに4日間培養し、続いて、100、70および50mmのナイロン製ふるいで連続してろ過し、その後、3倍容の0.2Mグルコースで希釈した。ImMのPMSF、1mg/mlロイペプチン、1mg/mlアプロチニン、10mg/mlホスホラミドン、1mg/mlのE64、および1mMのEDTAを含むプロテアーゼ阻害剤カクテルを混合物に加えた。
【0203】
粗ブロスを10mMのMES(pH6.0)で1/3に希釈し、10mMのMES(pH6.0)で予め平衡化したSP−セファロースXLストリームライン−50(Amersham Pharmacia Biotech.)のベッド拡張したクロマトグラフィーカラム(直径2.5cm×高さ100cm,20cmベッドを充填)に、25ml/分で適用した。カラムを洗浄した後、350mMのNaCl/10mMのHEPES(pH7.5)で溶出させた。可溶性IL−1RIを含む溶出材料を、PBSで流速5ml/hで平衡化したIL−1β−セファロースカラム(2.5mg、IL−1β/mlのゲル)に適用した。続いて、カラムをPBSで十分に洗浄し、100mMグリシン−HCl、150mMのNaCl(pH3.0)で溶出させた。分画(2ml)を250μlの1Mのトリス−HCl(pH8.0)で即座に中和した。
【0204】
各工程のアリコートを、SDS−PAGEと、IL−RI(N−20)ポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology Inc.)を用いたウェスタンブロッティングとで分析した。還元条件下の4〜20%のSDS−PAGEゲルにおいて、受容体のグリコシル化により、グリシン−HCl(pH3.0)溶出分画から〜44,000Daに単一のバンドが得られた。非グリコシル化ヒトsIL−1RIの推定Mrは、−36,381Daである。
【0205】
UV分光光度法で、理論上のモル吸光係数50,810M-1・cm-1を用いて、タンパク質濃度を測定し、標準としてウシ血清アルブミンを用いたブラッドフォード分析によって確認した。
【0206】
生産されたsIL−1RIは、配列番号13の配列を有する。
【0207】
1.3)sIL−1RAcP
標準的な分子生物学的技術を用いて、多くのタグをタンパク質のC末端またはN末端のいずれかに導入することができる。用いることができる精製タグの例としては、c−myc、FLAG、ヘマグルチニンA、V5、E−tag、BirA−tagおよび6Hisが挙げられる。
【0208】
ヒト可溶性IL−1RAcP(GenBank AF029213から生成、配列番号20の核酸配列配列19のアミノ酸配列)に関しては、6−Hisタグを利用した。従って、最後のGAA(グルタミン酸)トリプレットコドン配列の後に、以下の配列を付加した: CAT CAC CAT CAC CAT CAC(配列番号36)。
【0209】
最後のCACを「TGA」停止コドンの後に続けた。
【0210】
以下のオリゴヌクレオチドプライマーをPCR反応に用いて、ヒトIL−1RAcP配列を増幅した。該プライマーは、公開されているIL−1RAcP cDNA配列(Genbank登録番号AF029213(Huang et al.1997))、5’−GGATGACACTTCTGTGGTGTG−3’(配列番号31)、および、5’−TCCTTTTCATTATTCCTTTCATACA−3’(配列番号32))に基づく。PCR産物をTaqポリメラーゼを用いてヒト皮質cDNA(Clontech)から増幅した。得られた産物をpCR−Script(Stratagene)にクローニングし、多数のクローンをDNA配列解析により特徴付けた。完全長クローン中に3つのミスマッチが見出され、そのうちの2つはコードされたアミノ酸に変化をもたらす。これらを部位特異的変異誘発により修正した。
【0211】
修正されたクローンをテンプレートとして用いて、IL−1RAcPの細胞外の部分(残基1〜359)を、Pfu DNAポリメラーゼ、ならびに、プライマー5’−TCGCCACCATGGACACTTCTGTGGTGTG−3’(5/プライマー)(配列番号33)および5’−TCGGAATTCCTCAGTGATGGTGATGGTGATGTTCCACTGTGTATCTTGGAGC−3’(37プライマー)(配列番号34)を用いたPCRにより生産した。5’プライマーは、開始コドンに隣接するKozakコンセンサス配列を含み、一方で、3’プライマーは、6個のヒスチジン残基、停止コドンおよびEcoRI部位をコードし、その後にIL−1RAcPの最後の細胞外残基(Glu359)が続く。PCR産物をポリヌクレオチドキナーゼで5’リン酸化し、精製し、続いて平滑化し、バキュロウイルストランスファーベクターpFastBac1(Life Technologies)のStuI部位にクローニングした。ポリヘドリンプロモーターに関して正の方向にライゲートした遺伝子を有するクローンを単離し、配列解析で確認した。数種のクローンから得られたバクミドDNAを精製し、これを用いて、Cellfectinを製造元(Life Technologies)の説明どおりに用いてsf9細胞にトランスフェクトさせた。
【0212】
昆虫細胞でのヒトインターロイキンI受容体アクセサリータンパク質の最適な発現のために、本明細書で説明するようにPCRを利用し、以下のKozak翻訳開始コンセンサス配列「GCCACC」をATG開始コドン直前に挿入した。
【0213】
感染後に細胞を5日間培養したことを除いては本質的にsIL−1Rに関して上述したようにして、可溶性IL−1RAcP(sIL−1RAcP)を昆虫細胞中で生産した。ストリームラインカラムでのクロマトグラフィーの前に、粗ブロスをグルコースで2倍に希釈し、0.5MのKCl、10mMのイミダゾール、20mMのトリス−HCl(pH8.0)で10ml/分で溶出させた。この材料を、0.5ml/分でNi2+チャージNTA(Qiagen)カラム(直径1cm×高さ4cm)にローディングした。続いて、安定なA280nm基準線が達成されるまで、0.5MのKCl/20mMのトリス−HCl(pH8.0)、20mMイミダゾール、続いて1MのKCl/20mMのトリス−HCl(pH8.0)、最後に0.5MのKCl/20mMのトリス−HCl(pH8.0)、20mMイミダゾールで、逐次的に、4℃でカラムを洗浄した。6−Hisでタグを付したsIL−1RAcPを0.5Mイミダゾール/100mMのKCl/20mMのトリス−HCl(pH8.0)で溶出させ、PBSで十分に透析した。
【0214】
理論上のモル吸光係数59,630M-1・cm-1を用いてタンパク質濃度を測定し、ブラッドフォードタンパク質分析で確認した。
【0215】
2)結果:
コロイド状青色染料(colloidal blue staining)を結合させたサンプルのSDS−PAGEゲル(4〜20%)と、適切な市販の抗体を用いたウェスタンブロッティングと、ハイブリダイゼーションとを行い、各精製スキームから得られたタンパク質の純度と、同一性とを調べた。ウェスタンブロッティングにより分子量を確認した。精製IL−1βの生物活性は、マイクロフィジオメトリー(Hammond et al.,1999で説明された)によって調べたところ、市販の源からの材料に類似していた。組換えIL−1βの収率は、培養液1リットルあたり〜5mgであり、SDS−PAGEにより測定された純度は>95%であった。IL−1βのマススペクトロメトリーにより、開始メチオニンの部分的プロセシングが明らかになった。
【0216】
sIL−1RI精製の各工程からのアリコートを、SDS−PAGEと、IL−RI(N−20)ポリクローナル抗体を用いたウェスタンブロッティングとで分析した。−44,000Daのバンドにより、可溶性グリコシル化IL−1RIの存在が確認される。シグナル配列を欠く受容体の推定の分子量は、36,381Daである。
【0217】
検出用のペンタ−Hisモノクローナル抗体(Qiagen)を用いたところ、sIL−1RAcPの分子量は−45,000Daであり、これは顕著なタンパク質のグリコシル化を示す。6−Hisタグを含むsIL−1RAcPの推定の分子量は39,935Daである。全体的に、両方のタンパク質の収率は、培養液上清1Lあたり1.5mgであった。
【0218】
生産されたsIL−1RAcPは、配列番号21の配列を有していた。
【実施例3】
【0219】
表面プラスモン共鳴
1)方法:
1.1)タンパク質の固定
BIAcoreランニング緩衝液は、10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、1mMのEDTA、および0.005%のP20界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン)(HBS,BIAcore)であった。等量の0.1MのN−ヒドロキシスクシンイミドおよび0.1MのN−エチル−N’−(3−ジエチルアミノプロピル)カルボジイミドを混合し、35μlを5μl/分でセンサーチップ表面上に注入し、カルボキシメチル化デキストランを活性化した。10mMアセテート(pH5)中のhIL−1βの50μg/ml、10mMアセテート(pH5.5)中のsIL−1RIの10μg/ml、および、10mMアセテート(pH4.5)中のsIL−1RAcPの10μg/mlを、それぞれフローセル2、3および4に結合させた。各結合の後、35μlのエタノールアミンで残りの活性カルボキシル基をブロックした。固定工程を、25℃で、5μl/分の一定流速で行った。フローセル1(固定コントロール)は、10mMアセテート(pH5.0)中のBSAの10μg/mlを結合させた。
【0220】
1.2)BIAcoreでの反応速度分析
全ての実験を、HBS緩衝液中で、25℃で、20μl/分の一定流速で行った。40μlの分析物を2分間注入し(結合フェーズ)、続いてHBSを5分間注入した(解離フェーズ)。また、擬似ブロック表面上にも等量の各タンパク質希釈液を注入し、バルクの屈折率指標バックグラウンドと、分析物の非特異的結合とを差し引くためのブランクのセンサーグラムとして役立たせた。
【0221】
全ての反応速度分析の後、20μlの100mMのHClを注入し、全ての残存結合リガンドを解離させた。低レベルの固定、速い流速(20μl/分)、および適切な分析物濃度で実験を行い、質量輸送作用を制限した。さらに、BIAシュミレーションプログラムを用いて質量輸送制限を調べた。これらの分析で得られた曲線を用いて速度定数を得た。5種の濃度のリガンド(二連で)をランダムな順番で4つのフローセルに注入した。
【0222】
全てのタンパク質表面は、表面RU(共鳴単位)密度に比例したリガンドに対する高いキャパシティーと、長期安定性とが示された。概して、リガンド結合とHClでの再生とを100サイクルした後でも、平均85%超の結合能力が保存された。フローセル2上のIL−1βの量は763RUであった。フローセル3上のsIL−1RIの量は2413RUであり、フローセル4上のsIL−1RAcPの量は1092RUであった。
【0223】
1.3)データ分析
BIA評価プログラム3.0(BIAcore)を用いて非線形最小二乗曲線を当てはめることによりセンサーグラムを分析した。BIAcore実験からの結合曲線と解離曲線とを単一部位結合モデル(A+B=AB)に当てはめることにより速度定数を得た。このモデルからは、χ2<0.5で単一の指数関数当てはめが得られた。より複雑なモデルでの比較の当てはめからは、より優れたデータ解釈は得られなかった。
【0224】
方程式(1):
【数1】
Figure 2004533612
を解離フェーズに用い、式中、Rtは、時間tでRUに残存して結合したリガンドの量であり、t0は、解離フェーズの開始である。最終的な解離速度定数、koffは、一連の注入で得られた値の平均から計算された。
【0225】
結合フェーズを分析するため、方程式(2):
【数2】
Figure 2004533612
を用い、式中、Reqは、平衡状態の結合リガンドの量(RUでの)であり、t0は、注入開始時間であり、ks=kon・C+koffであり、ここでCは、センサーチップ表面に注入された分析物の濃度である。結合速度定数、konは、ks値Cのプロットの傾斜から決定された。見かけの平衡解離定数KDは、これら2つの速度定数(koff/kon)の割合から決定された。
【0226】
初めに、データをコントロールから差し引いて、BIA評価3.0ソフトウェア(BlAcore)を用いてゼロにあわせ、その後、包括的に二分子反応モデルに当てはめた。速度方程式を得て、続いて、全体のデータ群について同時に数的に統合した。全体のデータ群に関する結合速度定数(kon)および解離速度定数(koff)、ならびに、残差S.D.(標準偏差)値、複製S−D.値、および相関係数を得た。質量輸送モデルを用いてもあてはめは改善されなかった。
【0227】
2)結果
2.1)IL三分子複合体メンバー間での相互作用
センサーチップ上でのIL−1βとsIL−1RIとの相互作用
図1A、1Bおよび1Cは、それぞれsIL−1RI、IL−1βまたはsIL−1RAcPと結合したBIAcoreチップの別々のフローセルとの、それぞれIL−1β(A)、sIL−1RI(B)およびsIL−1RAcP(C)精製タンパク質の相互作用を示す。
【0228】
IL−1β、sIL−1RI、およびsIL−1RAcPを結合させたチャンネル2、3、および4は、それぞれ(------)、(―――)、および(−−−)線で表記される。遊離リガンドに用いられたタンパク質濃度は、IL−1β、sIL−1RI、およびsIL−1RAcPにおいて、それぞれ50μg/ml、10μg/ml、および10μg/mlである。図1A、1B、および1Cは、それぞれIL−1β、sIL−1RI、およびsIL−1RAcPの相互作用を示す。
【0229】
図1A〜Cは、チップ上のその同種の受容体に特異的に結合する各リガンドのの能力を示す。従って、hIL−1βは、フローセル3に固定されたsIL−1RIを認識し、一方で、遊離sIL−1RIは、フローセル2上のIL−1βを認識する。どのタンパク質も固定化sIL−1RAcPと相互作用しない。その上、遊離sIL−1RAcPは、それ自身とある程度相互作用できる(フローセル4)にもかかわらず、固定化IL−1βまたはsIL−1RI(それぞれフローセル2および3)を認識しない。
【0230】
IL−1β/sIL−1RI/sIL−RAcP三元複合体形成
図2Aおよび2Bは、予め形成されたIL−1β/sIL−1RI複合体と、それぞれsIL−RI、IL−1βまたはIL−1RAcPと結合したBIAcoreチップの別々のフローセルに加えられた過量のIL−1β(A)またはsIL−1RI(B)との相互作用を示す。
【0231】
2種のタンパク質を、異なる比率で、室温で15分間、HBS緩衝液(10mMのHEPES、150mMのNaCl、pH7.4)中でインキュベートした。図2Aおよび2Bは、過量(約2:1)のILまたはIL−Rが適用された場合の複合体とセンサーチップとの相互作用を示し、(------)、(―――)、および(−−−)線はそれぞれIL−1β、sIL−1RI、およびsIL−1RAcPを結合させたャンネル2、3、および4を示す。
【0232】
図2で示すように、予め形成されたIL−1β/sIL−1RI二元複合体は、固定化sIL−1RAcPと相互作用して三元複合体を形成する。
複合体形成の逐次的なメカニズムを実証するために、IL−1β、sIL−1RI、およびsIL−1RAcPを連続して注入した。両方の方法を用いて、IL−1βおよびsIL−1RIチップ表面で三元複合体を得たが、すなわち、これら分子の細胞表面での推定の相互作用、すなわち初めにIL−1βがsIL−1RIに結合し、sIL−RAcPがIL−1β/IL−RI複合体に結合するという相互作用が模倣された。
【0233】
図3は、2つの異なる方法を用いた三元複合体形成を示す。図3Aは、それぞれsIL−1RI、sIL−1βまたはsIL−1RAcP−6Hisを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセルへのIL−1βおよびsIL−1RAcPの逐次的な注入を示す。IL−1βおよびsIL−1RI(図示されていない)は、チップ上のそれらそれぞれの特異的分子に結合し、二元複合体を形成し、続いて、解離フェーズの前にsIL−1RAcPが注入され、三元複合体(BIAcoreの共注入コマンド)が形成される。用いられたIL−1β、sIL−1RI、およびsIL−1RAcP濃度は、10μg/mlであった。sIL−1RAcPの二元複合体への結合を分析したところ、sIL−1RIチップのIL−1βに対する親和性定数(KD)(図3A)、および、IL−1βチップのsIL−1RIに対する親和性定数(KD)(図示されていない)がそれぞれ1.37nMおよび4.28nMであることがわかった。図3Bは、sIL−1RAcP−6HisのNi−NTAチップ上への捕捉、続いて二元複合体IL−1β/sIL−1RI(―――)またはIL−1β単独(−−−)の添加を示す。
【0234】
図3Bにおいて、C末端6−Hisタグを介する固定が三元複合体形成を防ぐかどうかを試験した。sIL−1RAcPがNi−NTA(Ni2+−ニトリロ酢酸)センサーチップに補足され、予め形成されたIL−1lS/sIL−1RI二元複合体を注入したところ、三元複合体形成が観察されたが、IL−1βまたはsIL−1RI(図示されていない)が単独で注入された場合は、シグナルは観察されなかった。
【0235】
IL−1Raとの相互作用
IL−1Raは、細胞表面受容体にこれら薬剤と競合させることによってIL−1αおよびIL−1βの生物学的作用を阻害する。IL−1β、IL−1α、およびIL−1Raは全て、IL−1RIと匹敵する親和性で結合する(Dinarello,1996)。IL−1RacPは、IL−1RIと、IL−1αまたはIL−1βのいずれかと三元複合体を形成するが、IL−1Raとは形成しない(Greenfeder et al.1995)。これは、IL−1Ra/sIL−1RIがsIL−1RAcPと三元複合体を形成できないことを示す図4で確認された。
【0236】
図4は、解離プロセスの際にsIL−RAcPを加えた場合の、それぞれsIL−1β、sIL−1RAcPまたはsIL−1RIを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセルとの、IL−1βの相互作用、および、IL−1Raの相互作用の比較を示す。
【0237】
サイトカインの濃度は、IL−1βおよびIL−1Raそれぞれに対して0.5μg/mlおよび1μg/mlであった。sIL−1RAcPの濃度は10μg/mlであった。(------)、(―――)、および(−−−)線は、それぞれIL−1β、sIL−1RI、およびsIL−1RAcPを結合させたチャンネル2、3、および4を示す。
【0238】
同様に、IL−1Ra/sIL−1RI複合体の解離フェーズの際のsIL−1RAcP添加は、解離速度に影響を与えなかった。しかしながら、解離速度(koff)は、IL−1β/sIL−1RI複合体の解離速度よりかなり低い(表2を参照)。
【0239】
配列番号35のペプチドとsIL−1RIとの相互作用
ペプチドFEWTPGYWQPYALPL(AF11377)配列番号35(ファージディスプレイにより同定された)は、sIL−1RIとの強固な複合体を形成することができる(Yanofsky et al.1996)。
【0240】
図5Aおよび5Bは、FEWTPGYWQPYALPLペプチドのBIAcoreセンサーチップ上への結合を示す。図5Aは、該ペプチドと異なるチャンネルとの相互作用を示す。図5Bは、ペプチドと過量のsIL−1RIとの予め混合された複合体の相互作用を示す。(------)、(―――)、および(−−−)線は、それぞれIL−1β、sIL−1RI、およびsIL−1RAcPを結合させたチャンネル2、3、および4を示す。
【0241】
図5Aにおいては、sIL−1RIと配列番号35のペプチドとの相互作用が確認される。予め形成されたペプチド/sIL−1RI複合体は、固定化IL−1βと相互作用できず(図5B)、sIL−1RAcPと三元複合体を形成することもできない。
【0242】
可溶性IL−1RII型との相互作用
図6は、IL−1R複合体におけるデコイIL−1RII型の可溶性形態の関与を示す。図6Aは、sIL−1RAcPの共注入と、それに続くサイトカイン注入による、sIL−1RIIフローセル(------)への、sIL−1RIフローセル(―――)への、およびsIL−1RAcPフローセル(−−−)への、IL−1βの結合の比較を示す。図6Bは、以前の実験と同じチップを用いて、sIL−1RIIと、結合したIL−1β、sIL−1RIおよびsIL−1RAcPとの相互作用を示す。これは、IL−1βと二元複合体を形成するsIL−1RIIの能力を示すが、この可溶性受容体との二元複合体は、sIL−1RAcPと三元複合体を形成することはできなかった。IL−1βに関するsIL−1RIIのkonがsIL−1RIに関するkonより低いにもかかわらず、IL−1βに関するsIL−1RIIのkoffは、sIL−1RIに関するkoffよりかなり低いということが特筆される。生理学的な観点において、このデコイ受容体II型は循環IL−1βを捕捉するのがIL−1RIより遅いが、一度II型二元複合体が形成されると、この複合体の解離は非常に遅く、それを安定化するためのアクセサリータンパク質の必要がない。
【0243】
2.2)反応速度研究
図7は、IL−1β/sIL−1RI二元複合体(図7A)およびIL−1β/sIL−1RI/sIL−1RAcP(図7B)の結合反応速度論を示す。図7Aにおいて、遊離sIL−1RIを、5種の異なる濃度(上から下への曲線にかけてそれぞれ119、59.5、29.8、14.9、および7.4nM)でIL−1βチップ上に流した。図7Bでは、IL−1β/sIL−1RI二元複合体におけるsIL−1RAcPの結合反応速度論を示す。図7Bは、遊離IL−1β(50μg/ml)でのIL−1β捕捉工程の後の、受容体チップのsIL−1RAcP濃度の範囲を示す。sIL−1RAcP濃度の範囲は、上から下への曲線にかけてそれぞれ119nM、29.8nM、14.9nM、および7.4nMであった。示されたセンサーグラム(図7Aおよび7Bに対応する)は、コントロールから差し引かれたものである。結果に関しては表2を参照。
【0244】
IL−1β/sIL−1RI二元複合体
図7Aは、sIL−1RI(濃度範囲7.4〜119nM)とIL−1βチップとの相互作用に関する反応速度データを示す。観察されたKDは、1.53nMであった。受容体チップで遊離IL−1β(濃度範囲0.12〜50nM)を用いた逆の実験で、類似の値が観察された。
【0245】
IL−1β/sIL−1RI/sIL−1RAcP三元複合体
2つのプロトコールを用いて、sIL−1RAcPのIL−1β/sIL−1RI二元複合体における速度定数を決定した。第一に、予め形成された二元複合体(2:1、IL−1βのモルが過剰)をsIL−1RAcPチップで濃度範囲にわたり試験した。第二に、sIL−1RAcPを適用する前に、IL−1βを受容体チップ上で捕捉した(図7B)。この反応速度分析において、受容体が固定されれば三元複合体形成がより顕著であるため、IL−1βチップのなかでも受容体チップが優先された。
【0246】
IL−1シグナル伝達に関与する分子の反応速度論
BIAcoreセンサーチップを用いたSPR実験で得られたデータを表2に示す。最初の2つの列(実験1および2)は、図7Aに示すILまたはsIL−Rの単一の反応速度論に関する速度定数(KonおよびKoff)および平衡結合定数(KD)を示す。列3および4は、遊離IL−1βまたはsIL−Rの各サンプルにおける、一定濃度のsIL−1RAcP(10μg/ml〜250nM)の存在下での同反応速度論を示す。列5および6は、sIL−1RAcPチップ上の予め形成された二元複合体(太字が過剰のタンパク質)の反応速度論の結合定数を示す。二元複合体の濃度範囲は、実験5および6についてそれぞれ7.4nM〜119nMおよび2.9〜45.8nMであった。実験7(図7B)は、一定濃度のIL−1β(5μg/ml)のsIL−Rチップ上への第一の捕捉、続いて、濃度範囲(7.4nM〜119nM)のsIL−1RAcPの注入による、2段階の反応速度を示す。IL−1β/sIL−1RI/sIL−1RAcP複合体と相互作用する分子の結合分析:列8は、インターロイキン1受容体アンタゴニストのsIL−Rチップへの結合データを示す。適用された濃度範囲は、1.82〜29.2nMであった。列9は、可溶性IL−1受容体II型のIL−1βチップへの結合データを示す。適用された濃度範囲は、4.2〜67.8nMであった。列10は、AF11733ペプチド(FEWTPGYWQPYALPL−OH、配列番号35)のsIL−Rチップへの結合データを示す。適用された濃度範囲は、240−7760nMであった。
【0247】
全ての定数を本明細書で説明したように計算した。実験10(表2の列10)を除いては、標準偏差は0.1未満であり、χ2パラメーターは0.1未満であった。
【0248】
【表1】
Figure 2004533612
【0249】
表2は、表面プラスモン共鳴とこの相互作用に慣用する分子とを用いたIL−1β/sIL−1RI/sIL−1RAcP相互作用の結合分析結果を示す。
【0250】
IL−1Ra
IL−1Raは、sIL−1RIと相互作用するが、sIL−1RAcPとの三元複合体は形成しない(図4)。濃度範囲1.82〜29.2nMにわたるIL−1Raを、sIL−Rチップに適用した。IL−1RaとIL−1βとの反応速度の差は、明らかであった。主な差は、IL−1βに比べて顕著に低いIL−1Raの解離プロセスによる(アンタゴニストのKoffは1.9×l0-4-1であり、これに比べてアゴニストは2.5×10-3-1である、表2を列1と8とを比較して参照)。しかしながら、sIL−1RAcP存在下でのIL−1βのsIL−Rに対する親和性は、IL−1Ra/sIL−1RI二元複合体の親和性と類似している(表2)。
【0251】
sIL−1RII
IL−1RIIは、IL−1βと相互作用するが、本質的にIL−1RIIにおける細胞質ドメインの欠失により、細胞中でこの複合体の形成によるシグナル伝達は生じない(Liu et al.1996)。可溶性IL−1RIIの濃度範囲(4.2〜67.8nM)がIL−1βチップに適用された。これにより、IL−1βとこれら2つの受容体タイプとの相互作用、および、シグナル伝達メカニズムにおけるその関係を比較することができる。IL−1βとsIL−1RIIとの相互作用は、sIL−1RIよりも約10倍弱い(KD=13.5nM)。これは、II型受容体が、アゴニスト結合に関してI型と弱く競合するデコイ受容体として作用するという事実と一致する。
【0252】
配列配列35のペプチド
固定化sIL−1RIに対するファージディスプレイ(Yanofsky et al.1996)により得られたペプチドFEWTPGYWQPYALPL(Genbank登録番号:AF11733)を、受容体チップ(240〜7760nM)に適用した。図5で観察されたように、このペプチドは、IL−1βとの二元複合体形成を阻害する(表2を参照)。ペプチド/sIL−1RIの結合定数、および、IL−1β/sIL−1RI複合体の結合定数は類似していた。IL−1Ra/sIL−1RI複合体のより低いKDは、主に、切離し速度(off rate)がより遅いことによる(表2)。
【0253】
本願において、IL−1β/IL−1RI/IL−1RAcP複合体を相互作用させ、溶液中またはセンサーチップ上でで安定な二元および三元複合体を形成することに関する組換え細胞外ドメインの能力(図1〜3)が証明された。完全長タンパク質に関して以前に報告されたように(Greenfeder et al.(1995),Yoon and Dinarello(1998))、IL−1βとsIL−1RAcPとの相互作用、および、sIL−1RIとsIL−1RAcPとの直接の相互作用はない。遊離sIL−1RAcPと固定化sIL−1RAcPとの弱い相互作用が示された(図1C)。
【0254】
IL−1βおよびsIL−1RAcPのsIL−1RIチップへの逐次的な注入の後、または、sIL−1RIおよびsIL−1RAcPのIL−1βチップへの注入の後、三元複合体を形成することができた。前者の場合において、三元複合体形成がより顕著であるが(図3B)、チップ表面の固定は、モル単位で同レベルであった。これはおそらく、IL−1βがチップに肯定された際の不都合な方向でのIL−1βの結合を反映している。三元複合体はまた、予め形成されたIL−1β/sIL−1RI二元複合体をsIL−1RAcPチップへ加えた後にも得られた(図2)。
【0255】
アクセサリータンパク質を欠く細胞中のIL−1β/IL−1RI二元複合体に関するKDは、2nMであった(Greenfeder et al.1995;Laye et al.1998)。IL−1RIおよびsIL−1RAcPを共発現する細胞において、顕著な複合体の安定化が、親和性5倍増し(KD〜0.4nM)で観察された(Greenfeder et al.1995)。sIL−1RIおよびsIL−1RAcPを用いた我々のSPR実験からの反応速度データによれば、固定化IL−1βにおける遊離sIL−1RI、および、固定化sIL−1RIにおける遊離IL−1βに対して、それぞれ1.53nMおよび3.61nMのKDが得られた。sIL−1RAcP存在下で分析物がローディングされた場合、見かけのKD値は、1.1nMおよび2.32nMであり、従って、アクセサリータンパク質の二元複合体における安定化効果が確認された。
【0256】
予め形成されたIL−1β/sIL−1RI複合体と、sIL−1RAcPセンサーチップとの相互作用では、顕著に高い親和性が得られた(KD=0.85nM)。さらに三元複合体形成を研究するために、我々は、2段階プロトコールを用いた。初めにIL−1βを受容体チップに捕捉し、即座にsIL−1RAcPの様々な濃度を適用した(表2、列7を参照)。得られたKD77nMは、IL−1RIとIL−1RAcPとを発現する異なる細胞系で得られた値(Greenfeder et al.1995による)と良好な関連を示した。
【0257】
IL−1Raは、IL−1RIと強く相互作用するが、シグナル伝達を誘導することはできず、競合的なIL−1のアンタゴニストとして作用する。結晶学的な研究により、IL−1Raは、IL−1βおよびIL−1αと同じ方法で最初の受容体の2つのドメインと相互作用することが証明された(Schreuder et al.,1997)。しかしながら、アゴニストとは異なり、アクセサリータンパク質と三元複合体を形成するための重要な工程である、第3のドメインとの相互作用が不可能である。予想通り(図4)、IL−1Raは、可溶性受容体I型と強く相互作用する(KD=0.75nM)が、IL−1RAcPとの三元複合体は形成できない。
【0258】
IL−1RIIは、デコイ受容体として知られており、シグナル伝達に重要な意味のある細胞内ドメインを含まない。我々のデータは、IL−1β/sIL−1RII二元複合体とsIL−1RAcPとの相互作用がないという証拠を提供する(図6)。sIL−1RAcPチップとの三元複合体を生じるsIL−1RIについて以前に採用された条件と同一の条件を用いたところ、予め形成されたsIL−1RII/IL−1β複合体を注入してもシグナルは検出されなかった。この結果を確認するために、sIL−1RIIはIL−1βチップ上を通過させ、IL−1βはsIL−1RIIチップ上を通過させたところ、双方とも二元複合体が形成され、sIL−1RAcP注入はさらなるシグナルは生じなかった。Lang等(1998)は、キメラIL−1RII細胞外/IL−1RI細胞質受容体は、IL−1RAcPと三元複合体を形成することができ、IL−1β刺激の後にシグナルを誘導することを示した。Malinowsky等(1998)は、IL−1RAcPの存在は、アゴニストがIL−1RIIへ結合するのに必要であることを示した。その一方で、本願は、可溶性IL−1RIIはIL−1βを結合させるが、sIL−1RAcPと三元複合体は形成しないという証拠を提供する。近年の発表(Neumann et al.,(2000))によれば、どのようにして細胞表面IL−1RII/IL−1β二元複合体はIL−1RacPとの三元複合体を形成できないか、それによって細胞内のシグナル伝達が生じないかが実証された。この発見は、IL−1RIIは、IL−1「スカベンジャー」−ILとして、すなわち1Rの競合物としての役割を有し、最終的には、IL−1βの、IL−1RIとIL−1RacPとの三元複合体(従ってシグナル)形成の阻害をもたらす、という仮説を支持する。
【0259】
我々の結果は、sIL−1RIIが、アゴニストを補充して、sIL−1R/IL−1β二元複合体(KD1.53nM)と比べて9倍高いKD(13.5nM)で非シグナル伝達複合体を形成することによってIL−1シグナル伝達を調節する可能性を有する、ということを確認する。しかしながら、いくつかのII型受容体は、IL−1αおよびIL−1RaよりIL−1βに対して優先的に、より高い親和性を示した(Liu et al.1996)。しかしながら、sIL−1RII/IL−1β二元複合体のkoffは、I型二元複合体のkoffより顕著に低く、これはII型受容体に関する生理学的な役割を示す。
【実施例4】
【0260】
HTRF分析のためのタンパク質標識化の最適化
1)方法
上記で特徴付けられた相互作用を適合させ、HTRF(R)技術に基づく分析で用いるために発展させた。
【0261】
タンパク質
以下の濃度のタンパク質を分析に用いた。
【0262】
‐IL−1β(Mw17,400)
濃度=1.42mg/ml、
‐IL−1RI型(sIL−1RI)の細胞外ドメイン(Mw44,000)
濃度=1.49mg/ml、
‐C末端6−Hisタグを有するIL−1RAcP(sIL−1RAcP)の細胞外ドメイン(Mw45,000)
濃度=1.58mg/ml、
‐インターロイキン1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)(Mw17,100)、
濃度=20μg/ml、
‐ペプチドAF11377(配列番号35)(Mw1,858)、
濃度=1mM。
【0263】
試薬の標識
試薬を、アミン基を介し、ヘテロ二官能価試薬を用いて、活性化ユウロピウムクリプテート、活性化XL665または活性化CY5で標識し、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて精製し、EDC/NHS活性化を介するアミンカップリングの標準的なプロトコールに従って未反応試薬を除去した。
【0264】
クリプテート標識
‐sIL−1受容体I型:
sIL−1受容体を、濃度0.130mg/ml、Rmf=2.05K/受容体(染料Cy5/タンパク質の割合)で標識した。0.1%BSAと0.1%Tween20とを含む100mM(pH7.0)のリン酸緩衝液中に生成物を溜め、−80℃で、10μのアリコートで保存した。
【0265】
CY5標識
‐sIL−1受容体アクセサリータンパク質:
sIL−1RAcPを、濃度0.065mg/mlで、Rmf=2.6で標識した。CY5/sIL−1RAcPを0.1%BSAを含む100mM(pH7.0)のリン酸緩衝液中に溜め、−80℃で、10μlのアリコートで保存した。
【0266】
1.1)半直接分析
半直接的なシステムは、6His親和性タグでsIL−1RAcPにタグを付すことで構成された。しかしながら、このタンパク質は、その抗6His−K結合物には結合できなかった。
【0267】
1.2)直接分析
続いて、数種の直接分析様式が試された。
【0268】
試された最初の直接分析において、sIL−1RIは、クリプテートで直接的に標識され、sIL−IRAcPは、XL665で標識される。
【0269】
しかしながら、三分子複合体が形成されたとき、XL665で得られた最大シグナルは非常に低かった(約30%)。低いシグナルは、顕著な立体障害が原因である可能性がある。
【0270】
第二の分析システムにおいて、sIL−1RAcPは、クリプテートで直接的に標識され、sIL−1Rは、XL665で標識された。これら条件下では、シグナルは検出されなかった。
【0271】
試された第3の分析システムは、XL665がCY5で置き換えられた第一の直接分析システムに相当する。これら条件化で、約1200%の最大の特異的シグナルが得られた。
【0272】
この第3の分析システムが選択された。
【実施例5】
【0273】
HTRF直接分析システム
図8で示した直接分析様式を、ユウロピウムクリプテートで直接的に標識されたsIL−1RI、および、CY5で直接的に標識されたsIL−1RAcPに関して設計した。
【0274】
相互作用反応は一段階法または二段階法(二元複合体形成、それに続く三元複合体形成)で行うことができる。以下に示すように試験した結果、二段階法は、一段階法のみを続けて用いた場合と同等の結果を示した。
【0275】
10mMのHEPES緩衝液(pH7.4)、0.1%BSA、0.005%Tween20および0.2MのKFで、全ての試薬を希釈した。
【0276】
1)プロトコール
以下のように分析を準備した:
50μlのIL−1β(また、ネガティブ試験では緩衝液)、
50μlのクリプテート結合物、
50μlのCY5結合物、
50μlの緩衝液。
【0277】
反応を室温で少なくとも15分間インキュベートし、約1時間後に平衡に達した(図10を参照)。検出器具(Packard)で、HTRF測定の標準条件(遅延時間50μs、ゲート400μs)で、データを読み取った。
【0278】
2)結果
結果をデルタFで表示した:
R=割合=(F665nm/F620nm)×10-4
デルタF(%)=[(Rpositive−Rnegative)/Rnegative]×100、
ネガティブ(Negative)=IL−1βリガンド非含有の全試薬、
ポジティブ(Positive)=IL−1βリガンド含有の全試薬。
【0279】
分析結果の評価
第一の実験を以下の条件で行った:
IL−1βを最終濃度50nMで用いた。
【0280】
sIL−1RI−Eurを最終濃度1.25または5nMで用いた。
【0281】
sIL−1RAcP−CY5を最終濃度10または50nMで用いた。
【0282】
得られた結果を以下の表3に示す。
【0283】
【表2】
Figure 2004533612
【0284】
予想通り、我々は、IL−1βリガンドの不存在下では、sIL−1RI−EurおよびsIL−1RAcP−CYBは、互いに相互作用せず、従ってネガティブではエネルギー移動シグナルも発生しなかった、ということを観察した。
【0285】
リガンド存在下で、形成された三元複合体は、高いエネルギー移動シグナルを発生させる。10分間インキュベートした後、約1200%のシグナルが観察された。
【0286】
シグナルの特異性
リガンドの不存在下では、エネルギー移動シグナルは生じなかった。
【0287】
我々はまた、ネガティブ(リガンド非含有)およびポジティブ(リガンド含有)ウェルの両方において、sIL−1RI−Eurを抗体−Eur結合物で置き換えるか、または、sIL−1RAcP−CY5を抗体−CY5結合物で置き換えるかのいずれかにより、シグナルの不存在を調査した。これら試薬は、我々が分析に用いた参照試薬の代わりに、クリプテートまたはCY5において、ほぼ同じ濃度で用いられた。
【0288】
sIL−1RI−Eurの代わりに抗体−Eurを用いた場合、非特異的シグナルは検出されなかった。sIL−1RAcPの代わりに抗体−CY5を用いた場合、非特異的シグナルは検出されなかった。
【0289】
シグナルの反応速度論および安定性
sIL−1βを最終濃度10nMで用い、sIL−1RI−Eurを最終濃度1.25nMで用い、sIL−1RAcP−CY5を最終濃度10nMで用い、10分間、30分間、3時間および一晩後に読み取りを行った。
【0290】
得られた結果を、図10に示す。
【0291】
10分間後に室温で平衡に達する。室温で一晩インキュベートした後、10%未満のシグナルが失われる。
【0292】
KF濃度の影響
IL−1βを最終濃度10nMで用い、sIL−1RI−Eurを最終濃度1.25nMで用い、sIL−1RAcP−CY5を最終濃度10nMで用いた。全試薬を、10mMのHEPES(pH7.0)、0.1%BSA、0.005%Tween20およびKF0.1M、0.2Mまたは0.4Mで、希釈した。
【0293】
得られた結果を、以下の表4に示す。
【0294】
【表3】
Figure 2004533612
濃度0.1M〜0.4MのKFは、シグナルに影響を与えなかった。
【0295】
結合分析
IL−1β濃度の影響
IL−1βを0.156〜10nMの増加する最終濃度で用い、sIL−1RI−Eurを最終濃度1.25nMで用いた(データ示さず)。
【0296】
sIL−1RAcP−CY5を最終濃度10nMで用いた。
【0297】
得られた結果を図11に示す。
【0298】
得られたデルタFとIL−1β濃度との間には直接的な関係がある。最終濃度5nMのIL−1βで、シグナルはプラトーに達する。飽和結合曲線から、IL−1βに関するKdを約1.0nMと推測した。
【0299】
s IL−1RAcP - CY5濃度の影響
IL−1βを最終濃度10nMで用い、sIL−1RI−Eurを最終濃度1.25nMで用い、sIL−1RAcP−CY5を0.078〜10nMの増加する最終濃度で用いた。
【0300】
得られた結果を、図11に示す。
【0301】
得られたデルタFとsIL−1RAcP−CY5濃度との間には直接的な関係がある。sIL−1RAcP−CY5の最終濃度10nMからプラトーに達する。飽和結合曲線から、sIL−1RAcPに関するKdを約1.5nMと推測した。
【0302】
sIL−1RI−Eur濃度の影響
IL−1βを最終濃度10nMで用いた。sIL−1RI−Eurを0.312〜20nMの増加する最終濃度で用いた。sIL−1RAcP−CY5を最終濃度10nMで用いた。
【0303】
得られた特異的シグナル(665nMで)とsIL−1RI−Eur濃度との間には直接的な関係がある。sIL−1RI−Eurの最終濃度10nMからプラトーに達する。飽和結合曲線から、sIL−1RIに関するKdを約3.5nMと推測した。
【0304】
以下の表5で示すように、1.25〜2.5nMのsIL−1RI−Eurを用いて最大デルタF%を得た。
【0305】
【表4】
Figure 2004533612
【0306】
非標識sIL−1RI濃度の影響
IL−1βを最終濃度10nMで用いた。
【0307】
sIL−1RI−Eurを最終濃度1.25nMで用いた。sIL−1RAcP−CY5を最終濃度10nMで用いた。非標識sIL−1RIを0.098〜50nMの増加する最終濃度で用いた。
【0308】
以下のように反応を準備した:
50μlのsIL−1RI−Eur、
50μlの非標識sIL−1RI、
50μlのsIL−1RAcP−CY5、
50μlのIL−1β(また、ネガティブ試験では緩衝液)。
【0309】
結果を図12に示す。
【0310】
濃度25nMの非標識sIL−1RIで50%阻害が測定される。
【0311】
非標識sIL−1RAcP濃度の影響
IL−1βを最終濃度10nMで用い、sIL−1RI−Eurを最終濃度1.25nMで用い、sIL−1RAcP−CY5を最終濃度2nMで用いた、非標識sIL−1RAcPを0.78〜100nMの増加する最終濃度で用いた。
【0312】
以下のように反応を準備した:
50μlのIL−1β(また、ネガティブ試験では緩衝液)、
50μlの非標識sIL−1RAcP、
50μlのsIL−1RACP−CY5、
50μlのsIL−1RI−Eur。
【0313】
結果を図12に示す。
【0314】
濃度10nMの非標識sIL−1RAcPで50%阻害が測定される。
【0315】
IL1−raの効果
IL−1βを最終濃度2nMで用い、sIL−1RI−Eurを最終濃度1.25nMで用い、sIL−1RAcP−CY5を最終濃度10nMで用い、IL−1−raアンタゴニストを0.078〜20nMの増加する最終濃度で用いた。
【0316】
以下のように反応を準備した:
50μlのIL−1β(また、ネガティブ試験では緩衝液)、
50μlのIL−1Ra、50μlのsIL−1RACP−CY5、
50μlのsIL−1RI−Eur。
【0317】
15分間、1、3および5時間後に読み取りを行った。
【0318】
約3時間後に平衡に達する。平衡状態で、濃度約1nMのIL−1Raで50%阻害が測定される。
【0319】
これら結果を図13に示す。
【0320】
AF11377阻害剤ペプチドの効果
IL−1βを最終濃度2nMで用い、sIL−1RI−Eurを最終濃度1.25nMで用い、sIL−1RAcP−CY5を最終濃度10nMで用いた。
【0321】
AF11377阻害剤ペプチド(配列番号35)を0.78〜20nMの増加する最終濃度で用いた。
【0322】
以下のように反応を準備した:
50μlのIL−1β(また、ネガティブ試験では緩衝液)、
50μlのAF11377、
50μlのsIL−1RACP−CY5、
50μlのsIL−1RI−Eur。
【0323】
15分間、1、3および5時間後に読み取りを行った。
【0324】
約2時間後に平衡に達する。平衡状態で、濃度約20nMのAF11377ペプチドで50%阻害が測定される。
【0325】
これら結果を図13に示す。
【0326】
各試薬に関してK D 付近の濃度で得られたシグナル
3種の試薬をKD付近の濃度で用いて分析を行った。
【0327】
IL−1βを最終濃度2nMで用い、sIL−1RI−Eurを最終濃度1.25nMで用い、sIL−1RAcP−CY5を最終濃度2nMで用いた。
【0328】
以下の表6は、得られたシグナルを示す(cpsは計数毎秒を意味する)
【0329】
【表5】
Figure 2004533612
【0330】
HTRF分析
概要
以下の表7は、本明細書で説明する開発作業に基づき、HTRF三元複合体分析で使用するための好ましい試薬濃度を示す。
【0331】
【表6】
Figure 2004533612
【0332】
最終的な分析容量を200μlから16μlに減らし、分析を96−ウェルから384−ウェル様式に移行させるため、さらなる最適化を内部的に行った。表7の濃度は分析のために維持するが、最終容量が16μlになるように各成分の容量を50μl〜4μlに減少させた。複合体のシグナルおよび安定性は、最初の様式と同一であった(データ示さず)。
【実施例6】
【0333】
HTRF直接分析システムの最良の内部的最適化
1)材料および方法
分析緩衝液
10mMのHEPES、
0.2MのKF、
0.1%BSA、
NaOHにより21℃でpHを7.4にする。
【0334】
全試薬および化合物の希釈に必要とされた。
【0335】
分析成分
1.ユウロピウムクリプテートで標識された可溶性IL1−受容体−1(sIL−1RI−Eur)
バッチ002(Cis Bioで標識された)、保存は−80℃、
ストック濃度は200μg/ml(4.762μM)、
1:1190に希釈し、4nMを得る(分析では4倍に希釈し、最終濃度1nMを得た)。
【0336】
2.Cy5で標識された可溶性IL−1受容体アクセサリータンパク質(sIL−1RAcP−Cy5)
バッチ7(PGRD Cambridgeで標識された)、
ストック濃度は3.6μM、
1:90に希釈し、40nMを得る(分析では4倍に希釈し、最終濃度10nMを得た)。
【0337】
3.IL−1β
バッチ1(PGRD Cambridgeにより生産された)、保存は−80℃、
ストック濃度は5.0μM、
1:625に希釈し、8nMを得る(分析では4倍に希釈し、最終濃度2nMを得た)。
【0338】
4.試験化合物/緩衝液
最大限可能な容量を用いるために分析を以下のように行った:
‐10%DMSO中の1.3μlの化合物(250μMのドータープレート)、
‐6.7μlのIL1β、初期濃度=4.8nM、最終濃度2nM、
‐4/2μlのsIL−1RI−Eur、初期濃度=2nM、最終濃度1nM、
‐4μlのsIL−1RAcP−CY5、初期濃度=20nM、最終濃度10nM。
【0339】
マイクロタイタープレート
全ての分析を黒いプレートで行った。
【0340】
Black Optiplate(96ウェル)、Packard社カタログ番号6005207、
ボックスあたり60プレート、
分析容量200μl。
【0341】
Black Optiplate(384ウェル)、Packard社カタログ番号6005256
ボックスあたり30プレート、
分析容量64μl。
【0342】
Black Proxiplate(384ウェル)、Packard社カタログ番号6006260
ボックスあたり50プレート、
分析容量16μl。
【0343】
ブランクおよびシステムコントロール
ブランク/システムコントロールを、以下のように、二連で各プレートに取り入れた:
(全ての濃度は分析中の最終濃度を示す)
1.緩衝液、
2.sIL−1RAcP−Cy5(10nM)、
3.sIL−1RI−Eur(1.0nM)、
4.sIL−1RAcP−Cy5(10nM)+sIL−1RI−Eur(1.0nM)、
5.sIL−1RAcP−Cy5(10nM)+sIL−1RI−Eur(1.0nM)+IL−1β(2nM)。
【0344】
全ての計算に関してシステムブランクとしてコントロール4を用いた。
【0345】
コントロール5は、最大限可能なシグナルを生産する。
【0346】
2)プロトコール
以下の表に示すように分析を行った。
【0347】
試薬および試験化合物を全て分析緩衝液で適切な濃度に希釈した。各ウェルにおけるDMSOの%は、行われた全ての分析において<1%であった。
【0348】
試薬を表に示す順番で分析に加えた。
【0349】
IL−1βを加えることにより(競合実験では2nM)三元複合体形成を開始させた。
【0350】
プレートをTopSeal A(Packard)で密封して蒸発を防ぎ、最低3時間、ただし一般的には一晩インキュベートし、その後読み取った。シグナルは少なくとも24時間安定であった。
【0351】
分析組成物
以下の表8を参照。
【表7】
Figure 2004533612
【0352】
プレートの読み取り
全ての確認研究実験(現在の試薬を用いた)を、Wallac Victor2プレートリーダーを用いて読み取った。
【0353】
簡単な分析確認が、検出プレートリーダーにおいてデフォルト設定を用いて行われた。標準的な384ウェルプレートでの最適な読み取りのためには、最低限の分析容量である60μlが必要であることを特記する。
【0354】
励起波長337nm、
放出波長620および665nm。
【実施例7】
【0355】
HTRF分析半直接的なシステム
半直接的な分析様式を、ビオチン化sIL−1RIおよびCY5で直接的に標識されたsIL−1RAcPを用いて設計した。ストレプトアビジンに結合させたユウロピウムクリプテートも使用された。
【0356】
相互作用反応を、ちょうど全ての成分を加えることにより一段階法で行った。全ての試薬を、10mMのHEPES緩衝液(pH7.4)、0.1%BSA、0.005%Tween20および0.2M KFで希釈した。
【0357】
1)プロトコール
以下のように分析を準備した:
50μlのIL−1β(また、ネガティブ試験では緩衝液)、
50μlのビオチン化−sIL−1RIおよびストレプトアビジン−クリプテート結合物、
50μlのsIL−1RAcP−CY5結合物、
50μlの緩衝液。
【0358】
反応を室温で少なくとも15分間インキュベートし、約1時間後に平衡に達した(図10を参照)。検出器具(Packard)で、HTRF測定のための標準的な条件下(遅延時間50μs、ゲート400μs)で、読み取りを行った。
【0359】
2)結果
結果をデルタFで表示した:
R=割合=(F665nm/F620nm)×104
デルタF(%)=[(Rpositive−Rnegative)/Rnegative]×100、
ネガティブ(Negative)=IL−1βリガンド非含有の全試薬、
ポジティブ(Positive)=IL−1βリガンド含有の全試薬。
【0360】
分析結果の評価
最初の実験を以下の条件で行った:
IL−1βを最終濃度5nMで用いた。ビオチン−sIL−1RIを最終濃度1.25または5nMで用いた。ストレプトアビジン−クリプテートを20ng/ウェルで用いた。sIL−1RAcP−CY5を最終濃度10または50nMで用いた。
【実施例8】
【0361】
FlashPlate分析
C末端6Hisでタグを付したsIL−1RAcPを用いて、タンパク質をNi−NTA被覆FlashPlate(NENが製造)に固定する。BIAcoreデータから、この方向に固定すると、sIL−1RAcPはIL−1β/sIL−1RI二元複合体と相互作用することができ、三元複合体を形成することがすでにわかっている。従ってこの相互作用は、トリチウム([3H]))標識IL−1βまたはsIL−1RIのいずれかを用いることによって検出される。光(Packard社製のTOPカウントβ−シンチレーションカウンターのような器具で検出可能である)は、放射線標識した二元複合体がsIL−1RAcPへ結合する際にFlashPlateから放出される。FlashPlateウェルに埋め込まれたシンチラントの励起は、放射性核種がウェル表面に十分に近接した場合にのみ、すなわち放射線標識した二元複合体が固定化sIL−1RAcPと三元複合体を形成した場合にのみ、起こる。
【0362】
タンパク質をNi−NTA被覆FlashPlate(NENが製造)に固定するために、C末端6Hisでタグを付したsIL−1RIを用いることも可能である。初めにIL−1βと二元複合体を形成し、その後sIL−1RAcPと三元複合体を形成するIL−1RIの能力が、BIAcoreで、固定化sIL−1RI(タンパク質のC末端を介して固定される必要は無い)を用いて実証された。従って、この様式において、二元および三元複合体の形成の両方に関して分析することができる。二元複合体形成を分析する際、[3H]標識IL−1βを用い、それにより、FlashPlateに固定されたsIL−1RIとの相互作用におけるシンチレーションが生じる。[3H]で標識したsIL−1RAcPを用いて三元複合体形成を分析する。
【0363】
従って、上記分析様式を適切に組み合わせて用いることで、二元または三元複合体の形成のいずれかを阻害することができる分子を分析する。
【0364】
あるいは、上述の分析は、ビオチン化sIL−1RIまたはビオチン化sIL−1RAcPのいずれかを用いてなされる。従って、タンパク質上のこれらビオチン部分の存在を利用して、それをストレプトアビジンFlashPlateに固定することができる。
【0365】
また、これら分子を[3H]標識する方法として、市販の[3H]−ビオチンを用いたビオチン化も用いられる。発現媒体中の[3H]−アミノ酸を用いた標識化も、非常に特異的な活性でこれらタンパク質を標識する方法である。
【0366】
同様に、上述のFlashPlate方法の代替法として、SPAビーズ技術(Amersham)を用いることができる。従って、FlashPlateは、適量のSPAビーズを含む標準的なプラスチックプレート(96または384ウェル)により置き換えることができる。
【実施例9】
【0367】
Origen(TM)技術分析(Igen)
sIL−1RAcP−6Hisを、6−Hisタグを介してNi−NTA磁気ビーズに固定し、続いて、IL−1βと結合するルテニウム(II)トリス−(ビピリジン)標識sIL−1Rを含む二元複合体を加える。続いて、電気化学的な刺激の後で、標識からの光アウトプットを測定する。
【0368】
その他の可能性は、6−Hisタグを介してNi−NTA磁気ビーズに固定されたsIL−1R−6Hisを用いて、続いて、IL−1βと結合するルテニウム(II)トリス−(ビピリジン)標識sIL−1RAcP、または、IL−1RAcPと結合する標識IL−1βを含む二元複合体を加えることである。続いて、電気化学的な刺激の後、標識からの光アウトプットを測定する。適切なタンパク質を磁気ビーズに固定するさらなる方法は、ストレプトアビジン被覆ビーズを用いて、必要に応じてsIL−1RまたはsIL−1RAcPのいずれかをビオチン化することである。
【0369】
表9は、IL−1二分子および/または三分子複合体に関与するタンパク質をコードする核酸配列のGenBank登録番号示す。
【0370】
【表8】
Figure 2004533612
【0371】
表10は、IL−18二分子および/または三分子複合体に関与するタンパク質をコードする核酸配列のGenBank登録番号示す。
【0372】
【表9】
Figure 2004533612
【0373】
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【図面の簡単な説明】
【0374】
【図1】図1A、1Bおよび1Cは、それぞれIL−1β(A)、sIL−1RI(B)およびsIL−1RAcP(C)精製タンパク質と、それぞれsIL−1RI、IL−1βまたはsIL−1RAcPを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセルとの相互作用を示す。
【図2】図2Aおよび2Bは、予め形成されたIL−1β/sIL−1RI複合体と、それぞれsIL−RI、IL−1βまたはIL−1RAcPを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセルに加えられた過量のIL−1β(A)またはsIL−1RI(B)との相互作用を示す。
【図3】図3Aは、それぞれsIL−1RI、sIL−1βまたはsIL−1RAcP−6Hisを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセルへの、IL−1βおよびsIL−1RAcPの逐次的な注入を示す。図3Bは、sIL−1RAcP−6HisのNi−NTAチップ上での捕捉、および、予め混合したIL−1β/sIL−1RI二元複合体またはIL−1β単独の注入を示す。
【図4】解離プロセスの際にsIL−RAcPを加えた場合の、IL−1βおよびIL−1Raと、それぞれIL−1β、sIL−1RAcPまたはsIL−1RIを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセルとの相互作用の比較を示す。
【図5】図5Aおよび5Bは、それぞれsIL−1β、sIL−1RAcPまたはsIL−1RIを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセル上への、FEWTPGYWQPYALPLペプチド(配列番号35)の結合を示す。
【図6】図6Aは、それぞれsIL−1RI型、sIL−1RII型またはsIL−1RAcPを結合させたBIAcoreチップの別々のフローセルへの、IL−1βおよびsIL−1RAcPの逐次的な添加を示す。図6Bは、それぞれIL−1β、sIL−1RIまたはsIL−1RAcPを結合させたBIAcore別々のフローセルへの、sIL−1RIIおよびsIL−1RAcPの逐次的な添加を示す。
【図7】それぞれIL−1β/sIL−1RI二元複合体(図7A)およびIL−1β/sIL−1RI/sIL−1RAcP三元複合体(図7B)の結合反応速度論を示す。
【図8】本発明の直接の三元複合体HTRF分析様式のグラフ表示である。
【図9】本発明の直接の二元複合体HTRF分析様式のグラフ表示である。
【図10】本発明の直接の三元複合体HTRF分析様式における三元複合体形成の反応速度論を示す。
【図11】様々なIL−1βおよびsIL−1RAcP−Cy5濃度の、本発明の直接の三元複合体HTRF分析様式を用いて得られたシグナルへの影響を示す。
【図12】様々な濃度の非標識sIL−1RIおよびsIL−1RAcPの、本発明の直接の三元複合体HTRF分析様式を用いて得られたシグナルへの影響を示す。
【図13】様々な濃度のIL−1RaおよびFEWTPGYWQPYALPLペプチド(配列番号35の)の、本発明の直接の三元HTRF分析様式における三元複合体形成の阻害への影響を示す。
【図14】ヒト(Genbank登録番号:x02531)、マウス(Genbank登録番号:NM_010554)およびラット(Genbank登録番号:D00403)のIL−1αのアミノ酸配列の配列アラインメントを示す。
【図15】ヒト(Genbank登録番号:x02532)、マウス(Genbank登録番号:NM_308361)およびラット(Genbank登録番号:M98820)のIL−1βのアミノ酸配列の配列アラインメントを示す。
【図16】ヒト(Genbank登録番号:AF077611)およびマウス(Genbank登録番号:NM_008360)のIL−18のアミノ酸配列の配列アラインメントを示す。
【図17A】ヒト(Genbank登録番号x16896)、マウス(Genbank登録番号NM_008362)およびラット(全長タンパク質(Genbank登録番号m95578)のIL−1RI型、天然に存在する可溶性タンパク質(Genbank登録番号NM_013123))、ヒト(Genbank登録番号NM_004633)およびマウス(Genbank登録番号NM_010555)のIL−1RII型、ならびに、ヒト(Genbank登録番号NM_003855)およびマウス(Genbank登録番号NM_008365)のIL−18Rのアミノ酸配列の配列アラインメントを示す。
【図17B】図17Aの続きである。
【図17C】図17Bの続きである。
【図17D】図17Cの続きである。
【図18A】ヒト(全長タンパク質(Genbank登録番号AF029213)、天然に存在する可溶性タンパク質(Genbank登録番号AF167343)、マウス(Genbank登録番号NM_008364)およびラット(Genbank登録番号NM_012968)のIL−1RAcP、ならびに、ヒト(Genbank登録番号NM_003853)およびマウス(Genbank登録番号NM_010553)のIL−18RAcPのアミノ酸配列の配列アラインメントを示す。
【図18B】図18Aの続きである。
【図18C】図18Bの続きである。
【図19】ヒトIL−1(Genbank登録番号x16896)およびIL−18受容体(Genbank登録番号NM_003855)の配列アラインメントを示す。
【図20A】ヒトIL−1受容体アクセサリータンパク質(Genbank登録番号AF029213)およびIL−18(Genbank登録番号NM_003853)受容体アクセサリータンパク質の配列アラインメントを示す。
【図20B】図20Aの続きである。
【図21】ヒトIL−1RI(図21A)およびIL−18R(図21B)の完全長配列の疎水性プロットを示す。
【図22】IL−1RAcP(図22A)およびIL−18RAcP(図22B)の完全長配列の疎水性プロットを示す。
【図23】ヒト細胞外インターロイキン1受容体I型およびインターロイキン1受容体アクセサリータンパク質の構造編成のグラフ表示である。
【図24】ヒトインターロイキン1I型受容体(IL−1RI;Genbank登録番号x16896)およびヒトインターロイキン受容体アクセサリータンパク質(IL−1RAcP;Genbank登録番号af029213)の配列アラインメントを示す。
【図25】本発明の方法のFlashPlate分析様式のグラフ表示である。図25Aは、ニッケル−FlashPlate様式を示し、図25Bは、ストレプトアビジン−FlashPlate様式を示す。

Claims (28)

  1. IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を調節する試験化合物の能力を決定するための分析方法であって、
    (a)ILポリペプチド、可溶性IL−Rポリペプチド、可溶性IL−RAcPポリペプチドおよび試験化合物を接触させること;および、
    (b)形成された上記三分子複合体の量を測定すること、
    を含む、上記の方法。
  2. IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を破壊または妨害する試験化合物の能力を決定するための分析方法であって、
    (a)試験化合物を提供すること;
    (b)試験化合物を、所定量の可溶性IL−Rポリペプチドおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドに接触させること;
    (c)ILポリペプチドを、工程(b)で得られた混合物に加えること;および、
    (d)形成された上記三分子複合体の量を測定すること、
    を含む、上記の方法。
  3. IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を増強する試験化合物の能力を決定するための分析方法であって、
    ‐工程(a)で可溶性ILアンタゴニストを加えること;および、
    ‐追加の工程(c)で、工程(a)で形成された上記三分子複合体の量と、試験化合物の不存在下で形成された上記三分子複合体の量とを比較すること
    をさらに含む、請求項1に記載の分析方法。
  4. IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を増強する試験化合物の能力を決定するための分析方法であって、
    (a)試験化合物を提供すること;
    (b)試験化合物を、可溶性IL−Rポリペプチド、可溶性ILアンタゴニストおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドに接触させること;
    (c)ILポリペプチドを工程(b)で得られた混合物に加えること;
    (d)形成された上記三分子複合体の量を測定すること;および、
    (e)工程(c)で形成された上記三分子複合体の量と、試験化合物の不存在下で形成された上記三分子複合体の量とを比較すること、
    を含む、上記の方法。
  5. IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を増強する試験化合物の能力を決定するための分析方法であって、
    ‐工程(a)でIL−Rアンタゴニストを加えること;および、
    ‐追加の工程(c)で、工程(a)で形成された上記三分子複合体の量と、試験化合物の不存在下で形成された上記三分子複合体の量とを比較すること
    をさらに含む、請求項1に記載の分析方法。
  6. IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の形成を増強する試験化合物の能力を決定するための分析方法であって、
    (a)試験化合物を提供すること;
    (b)試験化合物を、ILポリペプチド、IL−Rアンタゴニストおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドに接触させること;
    (c)可溶性IL−Rポリペプチドを工程(b)で得られた混合物に加えること;
    (d)形成された上記三分子複合体の量を測定すること;および、
    (e)工程(c)で形成された上記三分子複合体の量と、試験化合物の不存在下で形成された上記三分子複合体の量とを比較すること、
    を含む、上記の方法。
  7. IL、可溶性IL−Rおよび可溶性IL−RAcPを含む三分子複合体の安定性を破壊または妨害する試験化合物の能力を決定するための分析方法であって、
    (a)定義された量のILポリペプチド、可溶性IL−Rポリペプチドおよび可溶性IL−RAcPポリペプチドを含む三分子複合体を提供すること;
    (b)試験化合物と、上記三分子複合体とを接触させること;および、
    (c)工程(b)の後に存在する上記三分子複合体の量と、工程(a)で最初に存在する上記三分子複合体の量とを比較すること、
    を含む、上記の方法。
  8. IL、sIL−RおよびsIL−RAcPは哺乳動物由来である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の分析方法。
  9. IL、sIL−RおよびsIL−RAcPが、ヒト、マウスまたはラット由来である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の分析方法。
  10. ILポリペプチドが、ILアミノ酸配列、または、ILの生物活性を保持するそれらの断片、誘導体、類似体もしくは活性部分である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の分析方法。
  11. ILポリペプチドが、その成熟形態であり、12〜13個のβストランドから成るバレル型3次元構造を有し、細胞表面で三元(すなわち三分子)複合体が介在する細胞の活性を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の分析方法。
  12. ILポリペプチドが、IL−1またはIL−18ポリペプチドである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の分析方法。
  13. ILポリペプチドが、配列番号1、または配列番号4、または配列番号5、または配列番号6、または配列番号7、または配列番号8、または配列番号9、または配列番号10のアミノ酸配列、またはそれらの断片を有する、請求項11に記載の分析方法。
  14. 可溶性IL−Rポリペプチドが、完全長タンパク質の細胞外の結合活性を保持するいずれかの完全長IL−Rの可溶性ポリペプチド断片である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の分析方法。
  15. 可溶性IL−Rポリペプチドが、配列のN末端から始めてドメイン1、ドメイン2およびドメイン3と特定される3つの構造ドメインに含まれる3つのIg様ドメインを含み、ドメイン1は、1つのIg様ドメインと2つのジスルフィド結合とを含み;ドメイン2は、1つのIg様ドメインと2つのオーバーラップするジスルフィド結合とを含み;ドメイン3は、1つのIg様ドメインと1つのジスルフィド結合とを含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の分析方法。
  16. 可溶性IL−Rポリペプチドが、IL−1RまたはIL−18Rポリペプチドである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の分析方法。
  17. 可溶性IL−Rポリペプチドが、配列番号13、または配列番号14、または配列番号15、または配列番号16、または配列番号17、または配列番号18のアミノ酸配列、
    またはそれらの断片を有する、請求項15に記載の分析方法。
  18. 可溶性IL−RAcPポリペプチドが、完全長タンパク質の細胞外の結合活性を保持するいずれかの完全長IL−RAcPの可溶性ポリペプチド断片である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の分析方法。
  19. 可溶性IL−RAcPポリペプチドが、配列のN末端から始めてドメイン1、ドメイン2およびドメイン3と特定される3つの構造ドメインに含まれる3つのIg様ドメインを含み、ドメイン1は、1つのIg様ドメインと2つのジスルフィド結合とを含み;ドメイン2は、1つのIg様ドメインと2つのオーバーラップするジスルフィド結合とを含み;ドメイン3は、1つのIg様ドメインと1つのジスルフィド結合とを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の分析方法。
  20. 可溶性IL−RAcPポリペプチドが、IL−1RAcPまたはIL−18RAcPポリペプチドである、請求項1〜19のいずれか一項に記載の分析方法。
  21. 可溶性IL−RAcPポリペプチドが、配列番号21、または配列番号22、または配列番号23、または配列番号24、または配列番号25、または配列番号26のアミノ酸配列、またはそれらの断片を有する、請求項19に記載の分析方法。
  22. 以下の成分:
    (a)ILポリペプチド、
    (b)上記ILポリペプチドに結合する可溶性IL−Rポリペプチド、および、
    (c)IL−Rポリペプチド/ILポリペプチド二元複合体に結合する可溶性IL−RAcPポリペプチド
    を含む、または、からなる可溶性三分子複合体。
  23. IL、sIL−RおよびsIL−RAcPは、哺乳動物由来である、請求項22に記載の可溶性複合体。
  24. IL、sIL−RおよびsIL−RAcPが、ヒト、マウスまたはラット由来である、請求項22に記載の可溶性複合体。
  25. IL、sIL−RまたはsIL−RAcPの少なくとも1つが、ヒト由来である、請求項22に記載の可溶性複合体。
  26. ILポリペプチドが、配列番号1、または配列番号4、または配列番号5、または配列番号6、または配列番号7、または配列番号8、または配列番号9、または配列番号10のアミノ酸配列、またはそれらの断片を有する、請求項22〜25のいずれか一項に記載の可溶性複合体。
  27. 可溶性IL−Rポリペプチドが、配列番号13、または配列番号14、または配列番号15、または配列番号16、または配列番号17、または配列番号18のアミノ酸配列、またはそれらの断片を有する、請求項22〜26のいずれか一項に記載の可溶性複合体。
  28. 可溶性IL−RAcPポリペプチドが、配列番号21、または配列番号22、または配列番号23、または配列番号24、または配列番号25、または配列番号26のアミノ酸配列、またはそれらの断片を有する、請求項22〜27のいずれか一項に記載の可溶性複合体。
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