JP2015505464A - 細胞ベースのセンサー - Google Patents

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Abstract

細胞ベースのセンサー。本発明は、創薬に有用な新しい細胞ベースのセンサーに関し、該細胞ベースのセンサーは、専門的な調節されたエキソサイトーシスの調節された分泌顆粒に貯蔵されたレポーターポリペプチドとして非プロテアーゼヒドロラーゼによって形質移入された、および調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターとして内因性または異種の分子のいずれかを有する、分泌顆粒の専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する細胞株を含む。前記顆粒が貯蔵された非プロテアーゼ−ヒドロラーゼレポーターは、少なくとも: 他のプロテアーゼによるpH低下およびタンパク質分解などの顆粒内で既に存在する状態に対する高い耐性; エキソサイトーシス後の酵素活性; 高度に特異的な基質; 細胞解凍時の毒性の欠如; 刺激のない条件または基本条件下での非常に低いレベルの分泌; および高スループットの強力な及び高感度の検出のための細胞培養生存度および顆粒エキソサイトーシスと適合性のある培地における高度なシグナル対バックグラウンドアクティビティ、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、生物工学および薬学の分野に含まれ得る。本発明は、創薬、診断、および分析物の決定に有用な細胞ベースのセンサーに言及し、該細胞ベースのセンサーは、専門的な調節されたエキソサイトーシスの細胞株の調節された分泌顆粒に貯蔵された、潜在的なレポーターポリペプチドとして、好ましくは、顆粒標的化タンパク質(granule targeting protein)を有するガウシアルシフェラーゼ融合タンパク質、分泌可能なアルカリフォスファターゼ、およびベータ−ヘキソサミニダーゼのベータ鎖を含む群から選択される、非プロテアーゼヒドロラーゼを過剰発現し、調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターとして内因性分子または異種分子のいずれかを有する、分泌顆粒の専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する細胞株を含み、そのような前記顆粒を貯蔵した非プロテアーゼ−ヒドロラーゼレポーターは、少なくとも:プロテアーゼによるpH低下およびタンパク質分解などの顆粒の内部で既に存在する状態に対する高い耐性;エキソサイトーシス後の酵素活性;特に細胞解凍後の毒性の欠如;高度に特異的な基質;刺激のない条件または基本条件下での非常に低いレベルの分泌;および高スループットの強力な及び高感度な検出のための細胞培養生存度および顆粒エキソサイトーシスと適合性のある培地における高度なシグナル対バックグラウンドアクティビティを有する。
細胞ベースのセンサーがエキソサイトーシスモジュレーターの特異的なリガンドによってインキュベートされるときに、レポーターポリペプチドは、顆粒から細胞外の培地へと放出され、そのような放出された非プロテアーゼヒドロラーゼのレポーターポリペプチドの酵素活性は、特異的な基質で検出される。
そのような高感度の細胞ベースのセンサーは、少なくとも2つの分子間の相互作用を試験するのに有用であり、その1つは、エキソサイトーシスモジュレーターとして作用し、もう1つは、エキソサイトーシスモジュレーターの特異的なリガンドとして作用する。
そのようなセンサーの使用の例は、創薬において分子間の相互作用を試験すること、診断のために、および例えば、食品産業で、環境サンプル、および製薬産業における幾つかのサンプル中の薬物または分子の検出のために、タンパク質または揮発性有機化合物などの分子を定量化することである。
<従来技術>
Gタンパク質結合受容体(GPCR)のスーパーファミリーは、真核細胞の膜上で発現される1000を超える表面受容体の単一の最大部分を表わす。
GPCRは、それらの細胞外の培地との細胞通信だけでなく、視覚、味覚および嗅覚にとっても重要である。したがって、化合物による活性GPCR活性化または阻害を測定する及び/又は定量化する方法は、創薬だけでなく、疾患の診断にとっても重要である。
専門的な調節されたエキソサイトーシスとの造血細胞によるエキソサイトーシスは、従来技術において周知であり、GPCRに結合するアゴニストによって誘発される。しかし、細胞の顆粒へと貯蔵された酵素の量、例えばベータ−ヘキソサミニダーゼの量の強い変動性が原因で、そのようなエキソサイトーシスは、割合として常に測定される。エキソサイトーシスの割合を決定するために、リガンドおよび受容体の結合後に顆粒を貯蔵した酵素のリガンド誘発性の放出の量を定量化するための第1の測定がなされ、その後、細胞は洗浄剤で溶解され、再びインキュベートされ、細胞内に貯蔵された合計の酵素が決定される。刺激されていない細胞のバックグラウンドは、リガンド誘発性の放出および合計の放出の両方から差し引かれ(substracted)、そのときにエキソサイトーシスの割合は、リガンドによる特異的な放出と合計の特異的な放出との間の比率となる。しかし、放出の割合のこの決定は、アッセイのコストを増加させ、アッセイ時間を増加させ、およびそれ故スループットを減少させる幾つかの工程を有する。また、エキソサイトーシスの割合は、多くの場合において、非常に低く、したがって、このアッセイは低い感度を有する。
ヒトグランザイムBなどの特定のプロテアーゼが、専門的なエキソサイトーシスによって造血細胞のそのような顆粒の内部で過剰発現され得、そのようなアッセイが、高まったシグナル−バックグラウンド比を有し、および顆粒内のプロテアーゼの安定した産生があり、その結果、エキソサイトーシスの割合が、2つの実験間のエキソサイトーシスを比較するのに必要とされないことが、本特許出願の発明者によってPCT/EP2010/004619で以前に実証された。PCT/EP2010/004619で引用されるように、顆粒分泌のために最も広く用いられているレポーターは、内因性のベータ−ヘキソサミニダーゼであるが、このタンパク質は、低いシグナル−バックグラウンド比、および顆粒に貯蔵された酵素の量の経時的な大きな変化が原因である実験間の強い変動性を有する低感度レポーターであると伝統的に考えられてきた。結果的に、PCT/EP2010/004619は、レポーターとしてのベータ−ヘキソサミニダーゼの使用の可能性を開示しているが、PCT/EP2010/004619の教示によって、当業者は、レポーターとしてのベータ−ヘキソサミニダーゼを使用することができないため、本発明のための可能な開示とは考えられておらず、なぜなら、実際、従来技術でなされた開示は、なぜベータ−ヘキソサミニダーゼが信頼できるレポーターではないかを説明する前記使用とは離れたことを教示していたからである。その上、本発明では、ベータ−ヘキソサミニダーゼは、レポーターなどとして使用されず、酵素のベータ鎖のみが使用され、過剰発現される。
さらに、造血細胞の顆粒の内部のグランザイムBなどのプロテアーゼの過剰発現は、特に細胞の解凍後に、細胞に対して毒性であり、ここで細胞の約30−40パーセントは、解凍の24時間後に死滅した。
本発明は、先行技術で既知の細胞ベースのセンサーで使用されるレポーターとは異なるレポーターを含む、細胞ベースのセンサーの発達に焦点を当てている。
本発明は、上に引用された問題を克服し、プロテアーゼでない他のヒドロラーゼが、解凍された細胞の顆粒内で過剰発現されるときに毒性でないこと、および高感度センサーの発達を可能にすることを実証している。特に、ベータ−ヘキソサミニダーゼの鎖Bなどの特定のグリコシダーゼおよび分泌可能なアルカリフォスファターゼなどのフォスファターゼは、専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する造血細胞の顆粒内に高レベルで貯蔵され、高いシグナル−バックグラウンド比を有する及び低いインターアッセイ変動性を有するリガンド誘発性のエキソサイトーシスによって検出される。さらに、本発明はまた、上述の本発明の具体的な実施形態が、顆粒標的化ポリペプチドによって顆粒に再配向され得る顆粒内では通常貯蔵されない、他の非プロテアーゼ−ヒドロラーゼに一般化され得ることを実証している。例えば、ガウシアルシフェラーゼは、グランザイムBなどの顆粒標的化ポリペプチドによって顆粒に再配向され、過剰発現され、顆粒へと貯蔵され、およびリガンド誘発性のエキソサイトーシスによってベータ−ヘキソサミニダーゼのように放出され得る、顆粒内では通常貯蔵されない、非プロテアーゼ−ヒドロラーゼである。したがって、無毒な非プロテアーゼ−ヒドロラーゼを過剰発現する造血細胞は、エキソサイトーシスを測定するために、低い変動性を有する高感度の細胞ベースのセンサーになる。
以下の用語は、本発明の目的にのみ定義される:
・ センサー:これは一種のトランスデューサーである。トランスデューサーは、シグナルを1つの形態から別の形態に変換する任意のデバイスとして定義される。生物学的シグナルを形質導入するセンサーは、バイオセンサーと呼ばれる。
・ 調節されたエキソサイトーシス:これは、特殊化した細胞が、神経伝達物質、ホルモン、酵素、ペプチドまたは低分子量物質(例えば、カテコールアミン、グルタミン酸塩など)を分泌する過程を指す。通常、細胞内のCa2+濃度の上昇は、エキソサイトーシスの引き金となるが、Ca2+が引き金となるエキソサイトーシスを調節または調整する、cAMP、ジアシルグリセロール(DAG)、リン脂質、およびATPを含む、他の細胞内のシグナルもある。専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する細胞は、それらの顆粒内の代謝物質またはポリペプチドを通常は貯蔵し、細胞外のシグナル後にそのような顆粒を貯蔵する代謝物質またはポリペプチドを放出する、細胞を指す。
・ 分泌顆粒または分泌小胞または分泌リソソーム:それらは、選択された分泌物のための貯蔵プールとして機能する、特殊化した細胞内顆粒である。分泌顆粒は、刺激またはモジュレーターによって細胞の周辺に向かって移動し、それらの膜は、細胞膜と融合し、それらの充填された中身(content load)が放出される。ほとんどの細胞型において、分泌顆粒は、完全に新しいクラスの小器官を表わすように見えるが、様々な造血細胞および特定の他の細胞型の顆粒は、リソソームと幾つかの特性を共有する。
・ 造血細胞:これは、骨髄幹細胞に由来する細胞であり、脊髄(単球およびマクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、巨核球/血小板および幾つかの樹状細胞)およびリンパ球系(T細胞、B細胞、NK細胞、幾つかの樹状細胞)の両方を含むすべての血液細胞型を含む。
・ 調節されたエキソサイトーシスを有する細胞株:本明細書で使用されるように、用語「調節されたエキソサイトーシスを有する細胞」、「専門的な分泌細胞株」、および「専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する細胞株」は、交換可能に使用されてもよい。本発明の方法のために、重要な細胞株は、専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する造血細胞株である。
・ レポーターポリペプチドまたはレポーター:これは、研究者が、細胞培養物、動物または植物において対象の別の遺伝子に付着する遺伝子である。特定の遺伝子がレポーターとして選択されるが、これは、それらを発現する有機体に与えるそれらの特性が、容易に確認且つ測定される、またはそれらが選択マーカーであるからである。レポーター遺伝子は、対象の遺伝子が、細胞または有機体の個体群によって取り上げられたか、又はそれらにおいて発現されたかどうかを決定するために一般に使用される。本明細書のレポーター遺伝子は、特定の造血細胞のような専門的な分泌細胞株の分泌顆粒内に貯蔵された、ポリペプチドであり、エキソサイトーシスの刺激またはモジュレーターによって細胞外の培地へと放出される。
・ 顆粒標的化ポリペプチド:これは、調節されたエキソサイトーシスを有する細胞の顆粒内で自然に貯蔵される、ポリペプチドである。そのようなポリペプチドは、タンパク質を顆粒に対する標的とする既知の配列および知られていない配列の両方を含む。そのような顆粒標的化ポリペプチドの例は、ベータ−ヘキソサミニダーゼ、p−セレクチン、A、B、M、H、K、カテプシンなどのグランザイムを含む。顆粒へ通常は貯蔵されないタンパク質は、顆粒標的化ポリペプチドとの融合タンパク質を作ることによって顆粒へと貯蔵され得る。本発明では、我々は、顆粒へと通常は貯蔵されないタンパク質が別のものと融合されてもよく、結果として生じるタンパク質が顆粒にも貯蔵されてもよいという事実を記載するために、用語「再配向された(redirected)」を使用する
・ ヒドロラーゼ:これは、化学結合の加水分解を触媒する酵素である。ヒドロラーゼは、酵素のEC番号分類において群3に分類され、以下によって作用する結合に基づいて、幾つかのサブクラスへとさらに分類され得る:ヌクレアーゼ、ホスホジエステラーゼ、リパーゼ、フォスファターゼなどの、エステル結合を開裂するエステラーゼ;グランザイム、またはペプチド結合を開裂するペプチダーゼを含む、砂糖およびプロテアーゼを開裂するグリコシラーゼ。
・ 非プロテアーゼヒドロラーゼ:これは、ペプチド結合以外の化学結合の加水分解を触媒する酵素である。
・ 調節されたエキソサイトーシスのモジュレーター:それは、1つ以上の信号伝達経路を、調節されたエキソサイトーシス過程に関係する下流に変更することができる、化合物、分子または組成物を指す。活性のこの変更は、阻害(すなわち、化合物、分子または組成物は、エキソサイトーシスの「阻害剤(inhibitor)」である)の他に、刺激、誘発または増強(すなわち、化合物、分子または組成物は、エキソサイトーシスの「刺激物(stimulator)」、「誘導物質(inductor)」または「エンハンサー(enhancer)」である)も包含する。これらのモジュレーターは、インビトロ及び/又はインビボでのアッセイを使用して識別される。これらのアッセイでは、対照は、サンプル間の比較を可能にするために使用される。
・ 創薬:これは、薬物が発見される及び/又は設計される過程に言及している。本明細書に使用されるように、創薬は、親和性、副作用、バイオアベイラビリティのための薬物の同定および修飾を含むが、再プロファイリング(reprofiling)としても知られている過程である、新しい治療適用において市場に既に導入された薬物の効果を試験することも含む。
・ 遺伝子:これは、遺伝の基礎的な物理的および機能的ユニットである。生化学的用語では、遺伝子は、特に位置で特異的な機能性生成物(すなわち、タンパク質またはRNA分子)をコード化する特定の染色体上の特定の位置に位置付けられたヌクレオチドの順序づけられた配列である。本明細書で使用されるように、遺伝子は、コード配列から構成されるだけでなく、コード配列の転写の制御に関係する隣接したDNA領域(例えば、プロモーター、エンハンサー)およびイントロンも含むことができる。コード領域の5’に位置付けられ、mRNA上に存在する配列は、5’の翻訳されていない配列として言及される。3’に位置する又はコード領域の下流に位置付けられ、mRNA上に存在する配列は、3’の翻訳されていない配列として言及される。用語「遺伝子」は、遺伝子のcDNAおよびゲノム両方の形態を包含する。遺伝子のゲノムの形態またはクローンは、「イントロン」または「介在領域」または「介在配列」と称される、非コード配列によって妨げられたコード領域を含む。イントロンは、異質核内RNA(hnRNA)へと転写される遺伝子のセグメントであり;イントロンは、エンハンサーなどの調節エレメントを含んでもよい。イントロンは、核または一次転写産物から取り除かれるか又は「切り出され(spliced out)」;それ故、イントロンは、メッセンジャーRNA(mRNA)転写においては存在しない。mRNAは、新生ポリペプチドにおいてアミノ酸の配列または順序を明示するために翻訳中に機能する。
・ 「安定して導入された」または「安定して形質転換された(transformed)」または「安定して形質導入された」または「安定して形質移入された」または「安定して電気穿孔処理された(electroporated)」:これは、ゲノムへと組み込まれた望ましい外来性DNAを有する細胞の画分を指す。使用される発現ベクターおよび形質移入技術に依存して、細胞の画分のみが、外来性DNAをそれらのゲノムへと組み込み得る。これらの成分を同定および選択するために、選択マーカー(例えば、抗生物質耐性)をコード化する遺伝子は、対象の遺伝子とともに宿主細胞へと一般に導入される。好ましい選択マーカーは、G418、ヒグロマイシンおよびピューロマイシンなどの、薬物に対する耐性を与えるものを含む。選択マーカーをコード化する核酸は、検知可能な翻訳産物をコード化するものと同じベクター上の宿主細胞へと導入され得るか、または別々のベクター上で導入され得る。導入された核酸によって安定して形質移入された細胞は、薬物選択によって確認され得る(例えば、選択マーカー遺伝子を組み込んだ細胞は残存するが、一方で他の細胞は死滅する)。
・ 表面受容体:これは、細胞の表面に生じ、細胞外の環境と相互作用し、および具体的なプロモーターの転写を最終的に調製する方法で、細胞内での環境に関する情報を送る又は形質導入し(transduce)、結果的に特定遺伝子の転写をもたらす分子を指す。表面受容体の例は、チロシンキナーゼ受容体、イオンチャネル受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体またはGタンパク質結合受容体(GPCR)、ニューロペプチド受容体、光受容体、神経伝達物質受容体、またはポリペプチドホルモン受容体匂い受容体である。
・ 7つの膜貫通性受容体、7TM受容体、七螺旋(heptahelical)受容体、およびGタンパク質連結型受容体(GPLR)としても知られる、Gタンパク質結合受容体(GPCR):それらは、細胞外のN末端および細胞質のC末端を有する7つの膜貫通性のドメインによって特徴付けられた膜貫通性受容体の大きなタンパク質ファミリーである。GPCRに対するリガンド結合は、小さなGタンパク質結合、シグナル伝達経路の開始、および最終的に細胞反応につながる構造変化を促進する。これらの受容体を結合する且つ活性化するリガンドは、光に敏感な化合物、匂い、フェロモン、ホルモン、および神経伝達物質を含み、小分子から、ペプチド、大きなタンパク質まで、サイズは様々である。Gタンパク質結合受容体は、酵母、植物、および特に、動物を含む、より高度な真核生物においてのみ見られる。Gタンパク質結合受容体は、多くの疾患に関係するが、すべての現代の治療薬物の約半分の標的でもある。
・ GPCR:これは、類似した分子機構を介して作動する。細胞外の刺激によるGPCRの活性化は、受容体の構造変化をもたらし、これは結果的に、GTP結合タンパク質(Gタンパク質)の中間結合および活性化につながる。Gタンパク質は、本来、ヘテロ三量体であり、異なる遺伝子によってコード化された、アルファ(α)、ベータ(β)、およびガンマ(γ)のサブユニットからなる。αアルファのサブユニットは、GDPとGTPの結合の原因である。GPCRに対するリガンドの結合は、結果的に、アルファ(α)のサブユニットのGDP結合型からGTP結合型への移行をもたらし、α−GTPのβγダイマーからの分離を介するヘテロ三量体の活性化につながる。α−GTPおよびβγダイマーの両方は、二次メッセンジャー分子(例えば、カルシウム、cAMPなど)の産生を介してシグナルを細胞内部に送信する様々な作用因子の活性を調節する。少なくとも17のGアルファ遺伝子があり、Gタンパク質のメンバーは、Gαi/、Gαq/11、GαおよびGα12/13と称される4つの主類へとグループ化され得る(例えば、Preininger AM and Hamm HE. Sci. STKE 2004, re3 and Cabrera−Vera TM et al. Endocr Rev. 2003 Dec; 24(6):765−81を参照)。本明細書で使用されるように、GPCRは、Gαi/、Gαq/11、GαおよびGα12/13のいずれかに結合された受容体を含む。
・ 固有の酵素的チロシンキナーゼ活性(RTK)を有する受容体:それらは、多くのポリペプチド成長因子、サイトカインおよびホルモンに対する高親和性の細胞表面受容体である。ヒトゲノムで確認された90の特有のチロシンキナーゼ遺伝子のうち、58は、受容体チロシンキナーゼタンパク質をコード化する。ほとんどのRTKは、単一のサブユニット受容体であるが、幾つか、例えば、インスリン受容体は、多量体として存在する。
各モノマーは、単一の膜貫通性のドメイン、細胞外のN末端領域および細胞内のC末端領域を有する。細胞外のN末端領域は、細胞外のリガンド(例えば、特定の成長因子)に結合する非常に大きなタンパク質ドメインから構成される。細胞内のC末端領域は、チロシンアミノ酸を特異的にリン酸化する、調節ドメインおよびこれらの受容体のキナーゼ活性の原因であるドメインから構成される。
・ キメラ受容体:これは、全体のドメインおよびその部分の両方を含む、1つの受容体の部分を、別の受容体、タンパク質フラグメント、タグそれらの任意の組み合わせの部分と組み合わせる、人工の受容体に基づいている。一般に、キメラタンパク質または「融合タンパク質」は、少なくとも別のペプチド配列または別のポリペプチドに融合した所望のタンパク質生成物の少なくとも一部を含むポリペプチドである。
・ ベクターまたはプラスミドベクターまたはプラスミド:用語「ベクター」は、核酸配列が、複製され得る細胞への導入のために挿入され得る担体核酸分子に言及するために使用される。核酸配列は、「外因性」であり得、これは、それが、ベクターが導入されている細胞にとって異質であること、または細胞における配列に相同性があるが、配列が通常は見られない宿主細胞の核酸内の位置ではそうではないことを意味する。ベクターは、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植物ウイルス)、および人工染色体(例えば、YAC)を含む。当業者は、標準の組換え技術によってベクターを構成するのに十分な能力を有するであろう(例えば、Maniatis, et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor, 1990)およびAusubel, et al., 1994, Current Protocols In Molecular Biology (John Wiley & Sons, 1996)を参照し、その両方は、引用によって本明細書に組み込まれる)。
・ 発現ベクター:用語「発現ベクター」は、転写されることが可能なRNAをコード化する核酸を含む任意の型の遺伝子構築物を指す。発現ベクターは、通常は、少なくとも1つのプロモーターおよびポリ−Aシグナルを含む。プロモーターは、転写の開始および速度が制御される核酸配列の領域である制御配列である。ポリ−Aシグナルまたは終結シグナルは、RNAポリメラーゼによってRNA転写物の特異的な終結に関係するDNA配列を含む。ターミネーター(Terminator)は、望ましいメッセージレベルを達成するためにインビボで必要とされ得る。
・ プロモーター:プロモーターは、隣接したコード配列の転写の制御に関係する領域を含む、DNAの配列である。プロモーターの転写開始部位から離れて位置付けされた特異的な調節DNA配列は、エンハンサーと呼ばれる。プロモーターの他の配列は、RNAポリメラーゼの転写複合体の形成を助けるTATA結合タンパク質に結合するTATAボックス配列を含む。しかし、関係する配列が、異なるプロモーター間の大きな変動性を有している。異なるプロモーターの比較によって、共通配列が決定された。所望のプロモーターが共通配列に順応する程度が、そのプロモーターの強度を決定する。配列がより共通になればなるほど、プロモーターはより強力となり、そのプロモーターで転写が生じる頻度がより増える。プロモーターの強度は、所望のmRNA配列がどれくらい頻繁で転写されるかを決定し、他のものよりも効果的に幾つかの遺伝子に対して高い優先度を置くために、重要である。例えば、大量に必要とされるタンパク質をコード化する遺伝子は、例えば、比較的強力なプロモーターを有すると予測されるかもしれない。したがって、強力な又は弱いものとしてのプロモーターの分類は、強力なプロモーターが、弱いプロモーターよりも頻繁に転写されるプロモーターであるという相対的な分類である。したがって、本明細書で使用されるように、強力なプロモーターは、他のプロモーターよりも比較的より頻繁に転写され、弱いプロモーターよりも高いタンパク質レベルをもたらすプロモーターである。強力なプロモーターの例は、CMVプロモーター、伸長因子1−アルファプロモーターおよびCMVとMoMLV−5’LTRプロモーターとの間のキメラプロモーターである。
・ 過剰発現:タンパク質は、細胞株においてタンパク質の既存のレベルを増加させるために、またはそのような細胞株において大量のタンパク質を生成するために、発現ベクターを使用して、そのような細胞株において過剰発現されてもよい。通常、タンパク質の過剰発現に使用される発現ベクターは、強力な構成的プロモーターまたは強力な誘導性プロモーターである。
・ シグナルペプチドまたはシグナル配列:シグナルペプチドは、タンパク質の翻訳後輸送を指示する、短い(3−60のアミノ酸長)ペプチド鎖である。シグナルペプチドはまた、標的シグナル、シグナル配列、輸送ペプチド、または局在化シグナルとも呼ばれ得る。シグナルペプチドのアミノ酸配列は、(サイトゾルで合成される)タンパク質を、核、ミトコンドリア基質、小胞体、クロロプラスト、アポプラストおよびペルオキシソームなどの特定のオルガネラに配向する。タンパク質が輸送された後に、シグナルペプチターゼによってタンパク質から開裂されるシグナルペプチドもある。
・ ペプチドタグ:ペプチドタグは、タンパク質に対する特異抗体が利用可能でないときに又はタンパク質精製のために、例えば抗体によってタンパク質を検出するために使用され得る、短いペプチドである。細胞表面の検出および分離に使用され得る既知のペプチドタグの例は、c−mycタグ、HAタグおよびFLAG sup.TMタグである。一般に、特異的結合タンパク質に対して利用可能な任意のペプチドタグは、そのような特異的結合タンパク質が、蛍光体で、または例えば表面分離のためのビーズで直接または間接的に標識化されることが条件で、表面の検出または分離に使用され得る。
・ 基礎分泌:基礎分泌は、細胞エキソサイトーシスのモジュレーターの不存在下で細胞によって分泌されたタンパク質の相対量に言及している。ほぼすべての分泌細胞型において、基礎分泌のレベルを検出することができる。基礎分泌が、顆粒へと貯蔵されたタンパク質の放出から、または分泌顆粒から離れて貯蔵される新規に合成されたタンパク質の画分から結果として生じるかどうかは知られていない。(例えば、Burgoyne RD and Morgan A. Physiol Rev (2003) 83: 581−632を参照2)。
・ 組換えDNA(rDNA)分子:これは、遺伝子などの核酸配列をDNA分子配列に作動可能に結合することによって生成されたDNA分子を指す。
・ 形質転換または形質移入:これは、本明細書で使用されるように、細胞(例えば原核細胞または真核細胞)への外来性DNAの導入を指す。形質転換は、リン酸カルシウム−DNAの共沈殿、DEAE−デキストラン媒介性の形質移入、ポリブレン媒介性の形質移入、電気穿孔、微量注入、リポソーム融合、リポフェクション、プロトプラスト融合、レトロウイルス感染、および微粒子銃(biolistics)を含む、当該技術分野に既知の様々な手段によって達成されてもよい。特に、真核細胞への形質移入は、適切な抗生物質が、染色体へのDNAの安定した組み込みを有する細胞の選択のために細胞培養培地に含まれないと、一時的なものとなり得る。安定した選択のためのプラスミドベクターは、抗生物質とともに選択される細胞へと発現される選択マーカーを有さなければならない。
・ 含む(comprising):この用語は、本発明の記載にわたって、アミノ酸またはヌクレオチド配列として、特に、生物学的配列に言及するときの用語「からなる(consisting)」を具体的に含む。配列が、フラグメントを含み、その上に、随意に、他の配列フラグメントまたは配列部分と一緒に、生物学的活性または技術効果として得られた本発明が主として存在するか;あるいは単純に、フラグメント自体に正確に制限される。
図1は、顆粒を貯蔵したレポーターとしての非プロテアーゼ−ヒドロラーゼ、顆粒エキソサイトーシスを調整する細胞表面受容体としてのIgE受容体、および検出のために分泌された顆粒を貯蔵した非プロテアーゼ−ヒドロラーゼレポーターによって開裂される基質を使用する、本発明の一般的な概念を示す。高親和性受容体結合性IgEに結合する、多重結合抗原(例えば、アレルゲン)による細胞の処置は、顆粒を貯蔵した非プロテアーゼ−ヒドロラーゼの放出を誘発し、そのような非プロテアーゼ−ヒドロラーゼは、蛍光の最終生成物を生成するために基質を開裂する。分泌されたレポーター酵素のこの特異的な基質を使用して、リガンド−受容体間の相互作用が決定され得る。 図2は、顆粒を貯蔵したレポーターとしての非プロテアーゼ−ヒドロラーゼ、顆粒エキソサイトーシスを調整する細胞表面受容体としてのGPCR、および検出のために分泌された顆粒を貯蔵したヒドロラーゼレポーターによって開裂された蛍光基質を使用する、本発明の一般的な概念の図面を示す。GPCRのアゴニストによる細胞の処置は、顆粒を貯蔵したヒドロラーゼの放出を誘発し、そのようなヒドロラーゼは、蛍光の最終生成物を生成するために基質を開裂する。分泌されたレポーター酵素の特異的な基質を使用して、リガンド−受容体間の相互作用が決定され得る。 図3は、本発明の代表的なプラスミドベクターの一般的な構造を示す。図3は、キメラhCMVMoMLV5’−LTRの強力な構成的プロモーター(A)またはテトラサイクリン誘導性プロモーター(B)の制御下で、HEXBβ鎖、分泌可能なアルカリフォスファターゼ(SEAP)またはガウシアルシルシフェラーゼに対するグランザイムBの融合として作られたキメラタンパク質を安定して発現するために使用される、ヒグロマイシン耐性を有するプラスミドベクターのマップを示す。
上に引用されるように、本発明は、創薬、診断、および分析物の決定に有用な細胞ベースのセンサーに言及し、該細胞ベースのセンサーは、好ましくは、専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する細胞株の調節された分泌顆粒において貯蔵された潜在的なレポーターポリペプチドとしての、顆粒標的化タンパク質を有するガウシアルシフェラーゼ融合タンパク質、分泌可能なアルカリフォスファターゼ、およびベータ−ヘキソサミニダーゼのベータ鎖を含む群から選択される、非プロテアーゼ−ヒドロラーゼを過剰発現し、調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターとして内因性分子または異種分子のいずれかを有する、分泌顆粒の専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する細胞株を含む。前記顆粒を貯蔵した非プロテアーゼ−ヒドロラーゼレポーターは、少なくとも: プロテアーゼによるpH低下およびタンパク質分解などの顆粒の内部で既に存在する状態に対する高い耐性; エキソサイトーシス後の酵素活性; 高度に特異的な基質; 特に細胞解凍後の毒性の欠如; 刺激のない条件または基本条件下での非常に低いレベルの分泌; および高スループットの強力な及び高感度な検出のための細胞培養生存度および顆粒エキソサイトーシスと適合性のある培地における高度なシグナル対バックグラウンドアクティビティ、を有する。
細胞ベースのセンサーがエキソサイトーシスモジュレーターの特異的なリガンドによってインキュベートされるときに、レポーターポリペプチドは、細胞外の培地へ顆粒から放出され、そのような放出されたレポーターポリペプチドの酵素活性は、特異的な基質で検出される。
本発明の細胞ベースのセンサーは、それ故:専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する造血細胞株;前記造血細胞株へと形質移入され、過剰発現された顆粒を貯蔵した非プロテアーゼヒドロラーゼレポーターであって、適切なプロモーターの制御下にある、顆粒を貯蔵した非プロテアーゼヒドロラーゼレポーター;分泌された顆粒を貯蔵した非プロテアーゼヒドロラーゼレポーターの検出のための、適切なプロモーターおよび特異的な基質の制御下での、GPCRのようなエキソサイトーシスモジュレーター(例えば表面受容体)、を含む。
そのような高感度の細胞ベースのセンサーは、少なくとも2つの分子間の相互作用を試験するのに有用であり、その1つは、エキソサイトーシスモジュレーターとして作用し、もう1つは、エキソサイトーシスモジュレーターの特異的なリガンドとして作用する。そのようなセンサーの使用の例は:創薬において分子間の相互作用を試験すること、診断のために、および例えば、食品産業で、環境サンプル、および製薬産業における幾つかのサンプル中の薬物または分子の検出のために、タンパク質などの分子を定量化することである。
本発明のセンサーは、高感度であり、それ故、現在利用可能なセンサーよりも低い量の細胞を使用し、その反応は、誘導性プロモーターに基づいたセンサーよりも速く、レポーターの放出に溶解を必要とせず、エンドポイント様式または動態学的(kinetic)様式のいずれかでシグナルを測定することができ、すべての試薬を混合し、その後、読むことができ、洗浄または停止の工程を必要とせず、それ故、スループットを増加させ、インターアッセイ実験の間の低い変動性を有する強力なアッセイのために、安定した且つ高度なシグナル−バックグラウンド比が得られ、それは特に細胞解凍後に毒性の欠如を示す。
本発明は、プロテアーゼとは異なる他のヒドロラーゼが、細胞が解凍されるときに顆粒内で過剰発現と毒性でなく、高感度のセンサーの発達を可能にすることを実証している。特に、ベータ−ヘキソサミニダーゼの鎖βなどの特定のグリコシダーゼおよび分泌可能なアルカリフォスファターゼなどのフォスファターゼは、専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する造血細胞の顆粒内に高レベルで貯蔵され、高いシグナル−バックグラウンド比を有する及び低いインターアッセイ変動性を有するリガンド誘発性のエキソサイトーシスによって検出される。さらに、本発明はまた、上述の本発明の具体的な実施形態が、顆粒標的化ポリペプチドによって顆粒に再配向され得る顆粒内では通常貯蔵されない、他の非プロテアーゼ−ヒドロラーゼに一般化され得ることを実証している。例えば、ガウシアルシフェラーゼは、不活性なグランザイムBなどの顆粒標的化ポリペプチドによって顆粒に再配向され、過剰発現され、顆粒へと貯蔵され、およびリガンド誘発性のエキソサイトーシスによってベータ−ヘキソサミニダーゼのように放出され得る、顆粒内では通常貯蔵されない、非プロテアーゼ−ヒドロラーゼである。したがって、無毒な非プロテアーゼ−ヒドロラーゼを過剰発現する造血細胞は、エキソサイトーシスを測定するために、低い変動性を有する高感度の細胞ベースのセンサーになる。
それ故、本発明は、非プロテアーゼ−ヒドロラーゼが、毒性なしで専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する哺乳動物細胞の顆粒へと過剰発現され得、低い変動性を有するエキソサイトーシスを測定するのに有用な、高感度の細胞ベースのセンサーをもたらすという発見に基づく。
本発明は、以前の特許出願PCT/EP2010/004619からの利益を得ており、細胞、プロモーター、エキソサイトーシスモジュレーターにと関するすべての教示は、引用によって本明細書に組み込まれる。
<本発明で使用される細胞>
本発明は、創薬、診断、および分析物の決定に有用な細胞ベースのセンサーに言及し、該細胞ベースのセンサーは、専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する細胞株の調節された分泌顆粒において貯蔵されたレポーターポリペプチドとして、非プロテアーゼ−ヒドロラーゼによって形質移入された、および調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターとして内因性分子または異種分子のいずれかを有する、分泌顆粒の専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する細胞株を含み、このような顆粒を貯蔵した非プロテアーゼヒドロラーゼレポーターは、少なくとも: 他のプロテアーゼによるpH低下およびタンパク質分解などの顆粒内で既に存在する状態に対する高い耐性; エキソサイトーシス後の酵素活性; 特に細胞解凍後の非毒性; 高度に特異的な基質; 刺激のない条件または基本条件下での非常に低いレベルの分泌; および高スループットの強力な及び高感度の検出のための細胞培養生存度および顆粒エキソサイトーシスと適合性のある培地における高度なシグナル対バックグラウンドアクティビティ、を有する。
分泌顆粒およびそれらの調節されたエキソサイトーシスは、従来技術において周知であり、特定の実験的利点、またはそれらの重大な生理学的または病態生理学的利益によりモデル系として選択された数個の細胞型で最も広範囲に研究されてきた(例えば、Burgoyne, RD and Morgan, A. Physiological Reviews, Vol. 83, No. 2, April 2003, pp. 581−632を参照)。恐らく、最も研究された細胞型は、副腎のクロム親和性細胞(およびその腫瘍対応物(PC12細胞株))、膵臓のベータ細胞、マスト細胞、血小板および好中球のような造血細胞であったが、ペプチドおよび他のホルモンの分泌のための多くの様々な神経内分泌および内分泌の細胞型において、および消化酵素の分泌のための外分泌の細胞において、分泌顆粒エキソサイトーシスも生じる。その上、線維芽細胞様細胞株(CHO細胞)などの非専門的な分泌細胞株においてさえ、エキソサイトーシスのためのCa2+調節された経路が存在し、この恐らくすべての細胞型は、調節されたエキソサイトーシスの経路を有するかもしれない、すなわち、従来のリソソームは、エキソサイトーシスを受けるためにCa2+によって引き起こされ得ることが実証されてきた。しかし、分泌リソソームは、異なるクラスの調節された分泌小器官であり、この細胞外の(exocytic)能力は、明らかに従来のリソソームとの違いを示している。従来のリソソームはまた、原形質膜と融合し、刺激後にそれらの可溶性の中身を放出することができるが(1)、線維芽細胞および上皮細胞などの細胞からのリソソーム酵素のCa2+が引き金となる分泌の程度は、たったの10−20%になる傾向がある(2)。それに比べて、リソソームマーカーの80%までは、専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する細胞と本明細書で呼ばれる、分泌リソソームを有する細胞からの生理学的な誘因(trigger)によって放出される。したがって、本発明の方法に関する好ましい細胞は、専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する細胞を含む群から選択される。専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する細胞の最も多様な群の1つは、エキソサイトーシスを調節した、好中球、好塩基球、好酸球、細胞毒性Tリンパ球などのT細胞およびナチュラルキラー細胞(NK細胞)のような造血細胞を含む群である。すべての上述の細胞の正常機能に対して重要なのは、プロテアーゼ、グリコシダーゼおよびフォスファターゼなどのヒドロラーゼのような莫大な量の貯蔵された成分の調節されたエキソサイトーシスである。したがって、専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する造血細胞は、本発明の方法に大いに関係のある細胞である。
本発明の1つの実施形態では、細胞は、グリコシダーゼおよびフォスファターゼのようなヒドロラーゼなどの特殊化した成分を貯蔵するために分泌リソソームを使用する、細胞毒性Tリンパ球、好中球、マスト細胞、および好塩基球などの細胞から選択される、専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する造血細胞株の群から選択される。
本発明の別の実施形態では、好ましい細胞は、RBL−2H3、ラットの好塩基性白血病細胞株、マウスの32D細胞株、マウスの骨髄造血細胞、ヒトのNK92細胞株、ナチュラルキラー細胞株およびヒトYT細胞株、ナチュラルキラー細胞株およびマウスのMC/9細胞株、マウスのマスト細胞から選択される。本発明の方法にとって特に好ましい細胞株は、RBL−2H3であり、なぜならこの細胞株は、非常に低い構成的分泌レベルおよびベータ−ヘキソサミニダーゼのベータ鎖のような本発明の好ましい非プロテアーゼ−ヒドロラーゼレポーターの高度に誘発された分泌、分泌されたアルカリフォスファターゼ、またはガウシアルシフェラーゼと、センサーに高度なシグナル対バックグラウンドを与える顆粒標的化タンパク質との間の融合タンパク質を有するからである。
<本発明で使用されるエキソサイトーシスモジュレーター>
本発明はまた、エキソサイトーシスモジュレーターを含む。本発明の1つの実施形態では、エキソサイトーシスモジュレーターは、細胞内カルシウムのレベルの変化を誘発する化合物またはポリペプチドから選択される。本発明の別の実施形態では、エキソサイトーシスモジュレーターは、cAMP、ジアシルグリセロール(DAG)、リン脂質、またはカルシウムが引き金となるエキソサイトーシスを順番に調節または調整するATPのレベルの変化を誘発する化合物またはポリペプチドから選択される。
<本発明で使用される顆粒が貯蔵されたレポーター>
顆粒分泌のために最も広く用いられているレポーターは、内因性のベータ−ヘキソサミニダーゼであるが、このタンパク質は、使用されるように、従来技術で表わされ及び開示され、それは、低いシグナル−バックグラウンド比、および顆粒に貯蔵された酵素の量の経時的な大きな変化が原因である実験間の強い変動性を有する低感度レポーターであると伝統的に考えられてきた(PCT/EP2010/004619を参照)。しかしながら、本発明は、驚いたことに、ベータ−ヘキソサミニダーゼのベータ鎖の過剰発現が、結果として、低い変動性および高度なシグナル対バックグラウンドを有するセンサーをもたらすことを実証している。さらに、上に説明されるように、このグリコシダーゼの過剰発現は、解凍するときの細胞に対して毒性ではない。
構成的経路と調節された経路との間の可溶性タンパク質の選別は、明らかに複雑であり、発現のレベルにかかわらず、貯蔵した顆粒に対する可溶性タンパク質のルーティング(routing)において細胞型の特異性に対する実質的証拠がある。例えば、アミラーゼは、外分泌の膵細胞における正常な顆粒成分であり、外分泌の膵細胞株へと形質移入されるときに顆粒に輸送されるが、形質移入された内分泌細胞株で構成的に分泌される(例えば、El Meskini, R et al. Endocrinology (2001) Vol. 142, No. 2 864−873を参照)。細胞型の特異性は、様々な内分泌細胞株および神経細胞株におけるルーティングを研究するために、POMC分子のアミノ末端の部分を使用して、矛盾した結果の幾つかを説明し得る(例えば、Tam WWH et al. Eur J Cell Biol (1993), 62:294−306; Roy P et al. Mol Cell Endocrinol (1991), 82:237−250およびCool DR et al. J Biol Chem (1995) 270:8723−8729を参照)。同じ構成物が、主要な内分泌細胞および神経細胞においてかなり異なって取り扱われ得るため、タンパク質選別の細胞特異性は、細胞株を越えて一次培養にまで及ぶ。したがって、当業者にとって、調節されたエキソサイトーシスを有する造血細胞とは異なる他の細胞は、本発明の方法で使用され得るが、他の細胞型の選択が、選択された細胞株の分泌顆粒において高濃度で貯蔵された特異的なレポーター、および低レベルの基礎分泌とともに作られる必要がある。
分泌顆粒、特に造血由来の細胞の分泌顆粒に貯蔵された本発明の方法に有用となるレポーターの重要な1つの特性は、このレポーターが顆粒内で最も抵抗する悪環境に対する耐性である。造血細胞の分泌顆粒は、非常に酸性のpHで、カテプシン、トリプターゼおよびキマーゼなどのヒドロラーゼの広大なプール内で貯蔵する細胞小器官である、リソソームと関連しており、この環境は、そのような細胞小器官に自然に貯蔵されないタンパク質にとって理想的ではなく、それ故、プロテアーゼに対して不安定なレポーターまたはpH不安定なレポーターは、恐らく、分泌顆粒内で分解され、そのような不安定なレポータータンパク質の感受性を低下させる。例えば、プロテアーゼは、活性化したマスト細胞からエキソサイトーシスされた(exocytosed)主要なタンパク質成分である(例えば,Huang et al, J Clin Immunol. 18:169−183, 1998を参照)。トリプターゼ、キマーゼおよびカルボキシペプチダーゼは、マスト細胞の分泌顆粒に貯蔵されたプロテアーゼの3つの主要なファミリーである。したがって、本発明の好ましいレポーターは、本発明の造血細胞の顆粒内でタンパク質分解およびpH低下に対する高い耐性を有するポリペプチドである。分泌リソソームにおいて幾つかの抗生物質タンパク質を有する、リソソーム酵素および造血のセリンプロテアーゼとの共存は、共貯蔵が分解なしで可能であることを示しているが、分泌顆粒に人為的に配向されたあらゆるポリペプチドが、この悪環境に抵抗するとは限らない。例えば、Kaur Jおよび Cutler DF (Kaur, J and Cutler DF. J. Biol. Chem., (2002) Vol. 277, Issue 12, 10498−10505を参照)は、キメラHRP−Pselectinが、分泌および従来のリソソームの両方に標的とされ得るが、標的とされたタンパク質の70%までがタンパク分解性に分解されたことを発見した。
本発明の方法で使用される造血細胞の分泌顆粒は、非常に酸性のpH環境で、カテプシン、トリプターゼおよびキマーゼなどのヒドロラーゼの広大なプール内で貯蔵する細胞小器官であるリソソームと特性を共有し、したがって、本発明の方法のための有用なレポーターは、適切な造血細胞の顆粒内の環境に耐性のあるポリペプチドでなければならない。
本発明の1つの実施形態では、有用なレポーターは、タンパク質分解およびpH低下などの、造血細胞の顆粒内の環境に耐性のあるポリペプチドから選択される。
<レポーター発現のためのプロモーター>
本発明はまた、レポーターの発現に適切なプロモーターを含む。本発明の顆粒が貯蔵されたレポーターの発現に有用なプロモーターは、造血細胞におけるタンパク質発現に適したプロモーター、特に高タンパク発現に対する培地に適したプロモーターである。適切なプロモーターの別の関連する特性は、タンパク質発現が培養中に安定していなければならないことである。特定の異種プロモーターは、特に造血細胞において培養中にダウンレギュレートされ、この過程は「プロモーターのサイレンシング(promoter silencing)」と呼ばれる。本発明の方法のための好ましいプロモーターは、したがって、発現抑制できない(non−silenciable)プロモーターである。
<検出技術および基質>
本発明の方法で有用であるレポーターの、分泌顆粒内の環境に対する耐性、高レベルの発現、低い基礎分泌および高度な誘発された分泌に加えて、本発明の高感度な検出方法のための調節されたエキソサイトーシスに対するレポーターの他の重要な特性は、分泌されたレポーター、および検出のために使用される特異的な基質のためのそのようなレポーターの触媒性の有効性を測定するために使用される検出技術のタイプである。高感度の検出技術および特異的な基質に対する高度な触媒性の有効性を有するレポーターの両方は、本発明の方法に有益である。
本発明の1つの実施形態では、分泌された非プロテアーゼ−ヒドロラーゼを検出するために使用される基質は、発色基質、蛍光基質または化学発光基質から選択されてもよい。HEXBに対する基質の1つの例は、4−メチルウンベリフェリル N−アセチル−β−D−グルコサミニド(4MU−NGlc)であるが、グリコシダーゼに対する他の基質が合成され、試験されてもよい。フォスファターゼに対する基質の例は、4−メチルウンベリフェリルリン酸塩およびフルオレセイン二リン酸塩であるが、フォスファターゼに対する他の基質も有用であり得る。ガウシアルシフェラーゼに対する基質は、セレンテラジンおよびそれらの誘導体から選択されてもよい。
<本発明の細胞ベースのセンサーの適用>
本発明の細胞ベースのセンサーは、一般に、少なくとも2つの分子間の相互作用を試験するのに有用であり、その1つは、エキソサイトーシスモジュレーターとして作用し、もう1つは、エキソサイトーシスモジュレーターの特異的なリガンドとして作用する。例えば、創薬において、何千または何百万もの小分子が、そのような標的の活性を修飾する小分子を発見するために、標的に対して試験される。特定の例では、化合物は、高度に新薬の開発につながるような種類の受容体である、Gタンパク質結合受容体のアゴニストまたはアンタゴニストのためにスクリーニングされる。しかし、例えば、同じセンサーが、顆粒エキソサイトーシスを調整する化合物、例えば、幾つかのサンプル中の、例えば、食品産業、環境サンプルにおける、および診断のための、依存性薬物を検出および定量化に適用される。センサーの使用は、細胞表面受容体または表面受容体の小さなモジュレーターに限定されない。例えば、決定されるタンパク質に結合する1対の2つの分子とともに、速い、特異的な、および高感度の検出が、本発明のセンサーを使用することによって実行され得るが、これは、決定されるタンパク質に結合する分子の1つが、特異的な免疫グロブリンEであり、決定されるタンパク質に結合するおよびもう1つの分子が、決定されるタンパク質のオリゴマー化を誘発することを条件とする。上述のセンサーの他の使用は、抗アレルギーの化合物の試験のための、およびアレルゲンの検出のための使用である。
<化合物がエキソサイトーシスを調整するかどうかを試験するためのキット>
本発明はまた、化合物がエキソサイトーシスを調整するかどうかを試験するためのキットを含む。そのようなキットは、少なくとも:分泌された異種のプロテアーゼレポーターの検出のための適切なプロモーターおよび特異的な基質の制御下で、少なくとも1つの異種の非プロテアーゼ−ヒドロラーゼレポーターによって形質移入された、専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する造血細胞株を含む。さらに、専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する造血細胞株が、GPCR、異種のFcガンマI受容体または異種のFcイプシロンI受容体のような、適切なプロモーターの制御の下で異種のエキソサイトーシスモジュレーターによって形質移入され得るか、あるいは内因性のFcイプシロン受容体I(IgE受容体)のような内因性のエキソサイトーシスモジュレーターが使用され得る。エキソサイトーシスモジュレーターとしてIgE受容体を使用するキットは、決定される分析物に対して特異的なIgEおよびIgEに結合された分析物のオリゴマー化を誘発するための第2分子を含み得る。
それ故、本発明の第1実施形態は、以下を含む細胞ベースのセンサーに言及し:
a.分泌顆粒の調節されたエキソサイトーシスを有する造血細胞株;
b.(a)の細胞株へと形質移入され、強力な構成的プロモーターまたは強力な誘導性プロモーターのいずれかの制御下で過剰発現された、顆粒が貯蔵された非プロテアーゼ−ヒドロラーゼレポーター;
c.(a)の細胞株の分泌顆粒の調節されたエキソサイトーシスの、内因性のモジュレーターまたは形質移入された異種のモジュレーター;
d.分泌された非プロテアーゼヒドロラーゼ活性の検出に特異的な、発色基質、蛍光基質または発光基質を含む群から選択される、細胞非透過性の基質;
これによって、調節されたエキソサイトーシスのモジュレーターに対する特異的なリガンドの効果を測定することが可能となる。
好ましい実施形態では、非プロテアーゼヒドロラーゼは、SEQ ID NO: 1の分泌可能なアルカリフォスファターゼ(SEAP)、ベータ−ヘキソサミニダーゼ(HEXB)のベータ鎖(2012年1月26日付のGene Bank BC017378.2)またはガウシアルシフェラーゼ(GLuc)と顆粒標的化タンパク質(SEQ ID NO: 2)との間の融合タンパク質、から選択され:細胞は、ラットの好塩基性白血病細胞株RBL2H3、マウスの骨髄造血細胞株32D、ナチュラルキラー細胞株のヒトのNK92細胞株、ナチュラルキラー細胞株のヒトのYT細胞株およびマウスのマスト細胞のマウスのMC/9細胞株を含む群から選択され;調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターは、Gタンパク質結合受容体(GPCR)、ITAMモチーフを有する受容体、ITIMモチーフを有する受容体およびタンパク質チロシンキナーゼ受容体、を含む群から選択される内因性の表面受容体または形質移入された異種の表面受容体である。
本発明の第2の実施形態は、上に言及されたバイオセンサーを得るための方法に言及し、該方法は、適切なプロモーターの制御下にある、調節された分泌顆粒エキソサイトーシスの内因性のモジュレーターを有する、または形質移入された異種の表面受容体を有する、適切なプロモーターの制御下にある、顆粒が貯蔵されたレポーターをコード化する(codifying)ベクターを、造血細胞株に形質転換する工程を含む。好ましい実施形態では、調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターをコード化するベクターはまた、細胞の表面での受容体過剰発現に有用なシグナルペプチド、及び/又は陽性細胞の表面の検出及び/又は分離のためのタグを含む。
別の好ましい実施形態では、調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターの構成的な過剰発現のためのプロモーターは、哺乳動物の伸長因子1アルファプロモーター(hEF1アルファ)(SEQ ID NO: 3)、およびMoloney Murine Leukaemia VirusプロモーターのMoMLV5’LTR(SEQ ID NO: 4)からの5’LTRを含む群から選択される。別の好ましい実施形態では、調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターの過剰発現に有用なプロモーターは、テトラサイクリン誘導性プロモーター、エクジソン誘導性プロモーター、クマート(cumate)誘導性プロモーターおよびプロゲステロン誘導性プロモーターを含む群から選択される、誘導性プロモーターである。
さらに好ましい実施形態では、調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターの過剰発現のためのベクターは、表面の過剰発現のために、SEQ ID NO: 5またはSEQ ID NO: 6のウイルスGPCR由来の配列(VGS)を含む。
さらに好ましい実施形態では、調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターの構成的な過剰発現のためのベクターは、P−MoMLV−5’LTR−SP−cmyc−タグ−VGS−MCS−ポリA(SEQ ID NO: 7)である。
別の好ましい実施形態では、顆粒が貯蔵されたレポーターの強力な構成的過剰発現のためのプロモーターは、hCMVおよびMoMLV−5’−LTRプロモーター(SEQ ID NO: 4)のキメラプロモーター;MoMLV−5’LTRプロモーター(SEQ ID NO: 4)および伸長因子1アルファプロモーター((SEQ ID NO: 3)を含む群から選択される。
さらに特定の実施形態では、顆粒が貯蔵されたレポーターは、テトラサイクリン誘導性プロモーター、エクジソン誘導性プロモーター、クマート誘導性プロモーターおよびプロゲステロン誘導性プロモーターを含む群から選択される、誘導性プロモーターの制御下で過剰発現される。
本発明の第3実施形態は、少なくとも2つの分子間の相互作用を試験する、または定量化するための方法に言及し、その1つの分子は、エキソサイトーシスモジュレーターとして作用し、もう1つは、エキソサイトーシスモジュレーターの特異的なリガンドとして作用し、該方法は、
a)分泌された顆粒が貯蔵されたレポーターの細胞生存率、エキソサイトーシスおよび酵素活性と適合性のある培地において、上に記載された細胞ベースのセンサーをインキュベートする工程、
b)エキソサイトーシスモジュレーターの特異的なリガンドを加える工程、
c)顆粒が貯蔵されたレポーターの特異的な基質を加える工程、およびd)顆粒から細胞外の培地へと放出された、レポーターポリペプチドの非プロテアーゼヒドロラーゼ酵素活性を、放出された前記レポーターの特異的な基質によって検出する工程、を含む。
本発明の第4実施形態は、1対の2つの分子が結合するタンパク質を検出するための上に言及された細胞ベースのセンサーの使用に言及し、ここで検出されるタンパク質に結合する分子の1つは、特異的な免疫グロブリンG、または特異的な免疫グロブリンE、または特異的な免疫グロブリンAであり、および検出されるタンパク質に結合する第2の分子は、結合後に、検出される前記タンパク質のオリゴマー化を誘発する。
本発明の第5実施形態は、IgE−アレルゲンの相互作用を試験するために、抗アレルギーの化合物を試験するために、及び/又はアレルゲンを検出するために、創薬において分子間の相互作用を試験するための、あるいは食品産業のサンプルにおいて、環境サンプルにおいて、および製薬産業において、診断のために又は薬物または分子の検出のためにタンパク質などの分子を定量化するための、上述された細胞ベースのセンサーの使用に言及している。
本発明の第6実施形態は、化合物がエキソサイトーシスを調整するかどうかを試験するための、またはそのようなエキソサイトーシスの程度を定量化するための、上述された細胞ベースのセンサーを含むキットに言及している。好ましい実施形態では、キットは、分泌された異種のレポーターの検出のための少なくとも1つの特異的な基質を含む。
実施例1.hCMV−MoLV5’LTRのキメラプロモーターの制御下でのヒトHEXBのベータ鎖を発現する安定した細胞株の発達。
ベクターを、hCMV−MoLV5’LTRのキメラプロモーターの制御下で、HEXBのヒトβ鎖の安定した発現のために発達させた。ヒグロマイシン耐性のカセットを、細胞の安定個体群の選択のためにベクターバックボーンに含んだ。ベクターはまた、ヒトHEXBの下流で、それ故、HEXBを発現する安定した細胞のフローサイトメトリー及び/又は選択のための同じプロモーターの制御下でクローン化されたIRES−NGFRカセットを含んだ。
各ベクターを、マイクロポレーター(Digital Bio Technology, South Korea)を使用して、RBL−2H3へと個々に電気穿孔処理し、48時間後、1500ug/mLのヒグロマイシンを、選択のための培養物に加えた。約2週間の選択後、細胞を、FITCに結合されたNGFRに対する抗体を用いて、フローサイトメトリー(Guava Technologies, USA)によって分析した。陽性の個体群を、抗−NGFR−MACS sup.R(Miltenyi Biotec, Germany)を使用して、MACSによって磁気的に分離した。選別された個体群を、選別効率を確認するために、フローサイトメトリーによって再び分析した。陽性細胞を、96ウェルのマイクロプレートの1ウェル当たり0,3の細胞で限界希釈によってクローン化した。成長するコロニーを有するウェルを、フローサイトメトリーによってNGFR発現のために分析した。NGFRに対する陽性の発現を有する1B7−HEXB、1C4−HEXBおよび1F10−HEXBと称される、3つのクローンを、形質転換されていないRBL2H3および細胞の安定して形質移入された全個体群(RBL2H3−HEXB)と一緒に、6ウェルのプレートに広げた。
細胞を、ピペットによって採取し、遠心分離にかけ、HBSSバッファー中で再懸濁し、Neubauerチャンバーを使用して数え、1mL当たり500.000個の細胞まで調節した。HEXB活性の決定に使用される基質は、4−メチルウンベリフェリル N−アセチル−β−D−グルコサミニド(4MU−NGlc)(Sigma−Aldrich, M2133)であって、それを、アッセイのウェルにおいて1mMの終末濃度までHBSS中で希釈した。
トリニトロフェニルハプテンに対するマウスのIgEモノクローナル抗体を、ATCC(TIB−141)から購入したIgELb4ハイブリドーマから精製し、BSAに抱合されたTNPに結合したIgEによってIgE受容体の交差結合を介してエキソサイトーシスを誘発するために使用した。TNP−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを、Biosearch Technologies Incから購入し、標準プロトコルを使用して、ウシ血清アルブミン(BSA)に抱合した。TNPの吸光係数として10mmの光パス長につき1mol当たり15400ユニットを使用して、348nmでTNP吸光度を測定することによって、抱合をpH7.0で測定した。TNP−BSA抱合におけるTNP対BSAのモル比は、18:1であり、それを、BSAの分子量が60000であると仮定して計算した。
384の黒い壁のマイクロプレートを、アッセイに使用した。2mMの4MU−NGlcと一緒に、IgELb4 IgE抗体の1mL当たり2マイクログラムおよびTNP−BSAの1mL当たり2マイクログラムのHBSS中の第1の混合物を、エキソサイトーシスを測定するために使用した。第2の混合物を、対照として使用し、それは、IgEなしで、およびTNP−BSAなしで、わずか2mMの4MU−NGlcであった。イオノマイシンを、10uMで対照として使用した。細胞のないウェルを、ブランク(blank)として使用した。10マイクロリットルの細胞(1B7−HEXB、1C4−HEXBおよび1F10−HEXB、形質転換されなかったRBL2H3およびRBL2H3−HEXB)を、12のウェルに各々加えた。6のウェルに、IgE+TNP−BSAと4MU−NGlcを含有する10マイクロリットルの混合物を加え、一方、他の6のウェルには、4MU−NGlcのみを加えた。プレートを、37℃でインキュベートし、蛍光を、360nmの励起およびBMG−Labtech Optima蛍光読取り装置での発光波長として470nmで読み取った。読み取りを、0、15、30、45および60分で得た。最適な結果の時間として30分を選択した。30分での結果は、以下の表1に示す通りである:
上述の結果は、RBL2H3細胞へのHEXBのベータ鎖の過剰発現が、顆粒内で貯蔵される、具体的には、エキソサイトーシスによって放出される4MU−NGlcを用いて測定されるような機能的酵素を生成することを示している。上述のデータから、特異的且つバックグラウンドの放出を、細胞のないウェルの蛍光を差し引くことにより計算した。全体の安定して形質移入された個体群では、特異的シグナルは、親のRBL2H3細胞に対して2.48倍増加し、一方で、バックグラウンドは、1.97倍増加し、すなわち、特異的シグナルは、バックグラウンド放出よりも増加し、これは、センサーとしての形質移入された細胞の使用が、親の細胞の使用よりも優れていることを示している。この実験でのRBL2H3細胞の特異的なシグナル対バックグラウンド(S/B)は、5.9倍であり、一方で、RBL2H3−HEXB細胞に対するS/Bは、8.2倍であった。RBL2H3−HEXBの全個体群からの限界希釈によって選択されたクローンは、特異的なシグナルがRBL2H3に対して7.40倍増加するが、バックグラウンドもRBL2H3に対して5.82倍増加する、クローン1C4−HEXBとして、特異的な放出を増加させただけでなく、時々バックグラウンド放出も増加させた。したがって、1C4−HEXBクローンは、7.53倍のS/Bを有する。しかし1B7−HEXBのようなクローンは、RBL2H3よりも1.63倍の高いバックグラウンドを有し、一方で、特異的な放出は、RBL2H3よりも5.24倍高い。したがって、1B7−HEXBクローンのS/Bは、19である。さらに重要なのは、HEXBの1B7−HEXB産生および放出が、極端に規則的である一方で、RBL2H3のそれが、経時的に非常に強い変動性を有しているという事実である。上記と同じ条件を使用して、RBL2H3および1B7−HEXBの両方を、2か月間培養し、エキソサイトーシスを、1時間ごとに上記の通り測定した。RBL2H3のシグナル対バックグラウンド(S/B)は、5.9(月0)、2.8(月1)および4.3(月2)であったが、一方で、1B7−HEXBのシグナル対バックグラウンドは、19(月0)、17(月1)および22(月2)であった。上述の結果は、なぜRBL2H3細胞のエキソサイトーシスが、RBL2H3細胞で観察される強力な自然の変動性の正常化に対する割合として常に測定されるか確証している(上述の結果では、月0から月1の間にS/Bの63%の低下があった)。しかし、1B7−HEXB細胞は、より良く作用し、一方で、S/Bは、生細胞と比較してまだ変動性があるが、安定している(上述の結果では、最大の変動性は、月2から月3の間の22%であった)。
したがって、上述の結果は、HEXBのベータ鎖を過剰発現する細胞が、エキソサイトーシスを測定するセンサーとして有用であり、HEXBを過剰発現するそれらのセンサーが、天然の形質移入されていないRBL2H3細胞を含む現在の最先端のセンサーよりも優れていることを確証している。
実施例2.hCMV−MoLV5’LTRのキメラプロモーターの制御下で、他の非プロテアーゼ−ヒドロラーゼを発現する安定した細胞株の発達。
非プロテアーゼ−ヒドロラーゼの過剰発現が、HEXBに制限されない一般的な概念であるが、他のタンパク質が、顆粒に再配向され、エキソサイトーシスを測定するために使用され得ることを実証するために、ベクターを、hCMV−MoLV5’LTRのキメラプロモーターの制御下で、ヒトの分泌可能なアルカリフォスファターゼ(SEAP)の安定した発現のために発達させ、ベクターをまた、顆粒標的化タンパク質(GZB−GLuc)として使用される、活性の不活性化のためのアラニンに変異させられた193でのセリンを用いて、グランザイムBの下流で融合タンパク質としてフレームでクローン化されたガウシアプリンセプスルシフェラーゼの安定した発現のために発達させた。ヒグロマイシン耐性のカセットを、細胞の安定個体群の選択のためにベクターバックボーンに含んだ。ベクターをまた、ヒトのSEAPまたはGZB−Lucの下流でクローン化された、それ故、SEAP及び/又はGZB−GLucを発現する安定した細胞のフローサイトメトリー及び/又は選択のための同じプロモーターの制御下にある、IRES−NGFRカセットを含んだ。
各ベクターを、マイクロポレーター(Digital Bio Technology, South Korea)を使用して、RBL−2H3へと個々に電気穿孔処理し、48時間後、1500ug/mLのヒグロマイシンを、選択のための培養物に加えた。約2週間の選択後、細胞を、FITCに結合されたNGFRに対する抗体を用いて、フローサイトメトリー(Guava Technologies, USA)によって分析した。陽性の個体群を、抗−NGFR−MACS sup.R(Miltenyi Biotec, Germany)を使用して、MACSによって磁気的に分離した。選別された個体群を、選別効率を確認するために、フローサイトメトリーによって再び分析した。
SEAPに対して、陽性細胞を、96ウェルのマイクロプレートの1ウェル当たり0,3の細胞で限界希釈によってクローン化した。成長するコロニーを有するウェルを、フローサイトメトリーによってNGFR発現のために分析した。1つのクローン、2D1−SEAPを、フォスファターゼ基質4−MUP(Sigma−Aldrich, M3168)を使用して、フローサイトメトリーおよびSEAP活性の両方によって選択した。エキソサイトーシスによるSEAP活性を、実施例1でのように測定し、すなわち、懸濁液(5.000個の細胞)中の10マイクロリットルの細胞を、IgELb4およびTNP−BSAの両方を含有している、10マイクロリットルのフルオレセイン二リン酸塩(Marker Gene Technologies, M1034)と混合した。RBL2H3細胞を、対照として使用し、細胞のないウェルもブランクとして使用した。イオノマイシンを、陽性対照として使用した。プレートを、37℃でインキュベートし、蛍光を、485nmの励起およびBMG−Labtech Optima蛍光読取り装置での発光波長として535nmで読み取った。読み取りを、0、15、30、45および60分で得た。最適な結果の時間として30分を選択した。30分での結果は、以下の表2の通りである:
上述の結果は、通常、RBL2H3細胞が、高レベルのフォスファターゼを生成し、過剰発現は、30分での特異的な蛍光がRBL2H3細胞よりも2D1クローンにおいて2.38倍高いたようなレベルで増加する。バックグラウンドの増加し、RBL2H3細胞よりも2D1において3.18倍高い。実際、上述の実験では、S/Bは、2D1細胞(S/B=24.2)よりもRBL2H3細胞(S/B=32.3)における方が優れている。しかし、S/Bが、60日間にわたって測定されるときに、2D1のS/Bは、ほとんど一定していたが(S/B=月1で25.1および月2で24.9)、一方でRBL2H3に対するS/Bは、大いに変動していた(S/B=月1で17.9および月2で5.34)。上述の結果は、タンパク質過剰発現の効果が、顆粒へと貯蔵される酵素の量を増加させるだけでなく、RBL2H3におけるエキソサイトーシスに通常は関係する変動性を減少させるという事実を例証しており、それ故、より優れたセンサーが、非プロテアーゼ−ヒドロラーゼを専門的なエキソサイトーシスを有する細胞の顆粒へと過剰発現することによって発達され得る。本実施例はまた、HEK293、JurkatおよびCHO−K1細胞のような他の細胞株で分泌される、分泌可能なアルカリフォスファターゼなどの顆粒へと通常は貯蔵されない酵素が、専門的なエキソサイトーシスを有する細胞へと形質移入されるときに、顆粒内に自然に貯蔵され得ることを示す。
非プロテアーゼ−ヒドロラーゼの過剰発現がより優れたセンサーを生成するという一般的な概念を拡大するために、193でのセリンの変異によってアラニンに不活性化された、ヒトグランザイムBの下流のフレームでクローン化されたガウシアルシフェラーゼの発現のためのベクターを、RBL2H3へと形質移入し、細胞をヒグロマイシンとともに選択した。通常は、ガウシアルシフェラーゼは、RBL2H3細胞へと単独で形質移入されるときでさえ、分泌可能な酵素である(データは示されず)。しかし、グランザイムBに融合するときに、ガウシアルシフェラーゼを、顆粒へと貯蔵した。類似したベクターであるが、グランザイムBの下流で融合されたホタルルシフェラーゼを使用するベクターは、エキソサイトーシスから上清または培地のいずれにもルシフェラーゼ活性を生成せず(データは示されず)、これは、顆粒へと貯蔵され得る酵素が、pH低下を有する細胞内の培地およびそのような顆粒内に存在する幾つかのプロテアーゼに抵抗する酵素でなければならないことを示している。GZB−GLucで形質移入された細胞の全個体群は、NGFRに対して56%陽性であった。ガウシアルシフェラーゼのシグナルがフラッシュ(flash)(安定したシグナルでない)であるため、IgELb4およびTNP−BSA、またはBSS単独を使用して、30分間エキソサイトーシスを行い、100.000、50.000、25.000および12.500個の細胞に相当する上清を、基質(Biosynth AG、C−7000)として16.6マイクロモルの終末濃度で天然のセレンテラジンを用いて384の黒い壁のプレートへとインキュベートした。アッセイバッファーは、10mMのTris=HCl pH=7.8、1mMのEDTAおよび600mMのNaClであった。結果を、Thermo LabsystemsからのFluoroskan Ascent FLによって測定した。表3を参照。
上述の結果は、専門的な調節されたエキソサイトーシスを有する細胞の顆粒へと通常は貯蔵されない非プロテアーゼ−ヒドロラーゼが、グランザイムBなどの顆粒標的化ポリペプチドを使用することによって顆粒へと人為的に再配向され得、そのような顆粒が貯蔵された非プロテアーゼ−ヒドロラーゼが、エキソサイトーシスを測定するための有用なセンサーを生成することを実証している。12.500個の細胞を使用して、シグナル対バックグラウンドは、22,94であった。したがって、顆粒内の非プロテアーゼ−ヒドロラーゼの過剰発現によって、現在の利用可能なセンサーよりもエキソサイトーシスを測定することにより優れたセンサーがもたらされる。
実施例3.顆粒内で非プロテアーゼ−ドロラーゼを過剰発現する細胞株の凍結および解凍。
本実施例は、異なる非プロテアーゼ−ヒドロラーゼを有するセンサーの安定性を実証するように設計されてきた。1B7−HEXBクローン、2D1−SEAPクローン、RBL2H3の親の細胞およびRBL2H3−GRZBを、1mLの凍結培地(細胞培養培地+10%のDMSO)中で、1クライオチューブ当たり4百万の細胞で凍結させた。細胞を、イソプロピルアルコールとともにCryo Freezing容器「Mr.Frosty」(Nalgene, now Thermo, 5100−0001)において、および24時間−80℃のフリーザーにおいて凍結させ、その後、液体窒素の気相へと貯蔵した。解凍を以下のように行った:細胞が解凍されるまで、クライオチューブを、37℃の水浴に入れ、9mLの培養培地を、細胞の各バイアルに加えた。その後、細胞を遠心分離にかけ、生存度をトリパン排除によって測定した。細胞を培養し、24時間の培養後の生存度は再び見積り、その結果、健康な生細胞が付着したが、分離した細胞は非健康であった。結果は以下の通りである:解凍後すぐの生存度は、1B7−HEXB、2D1−SEAP、およびRBL2H3に対して95%を超えており、細胞は輝いており、細胞膜は標準で丸かった。RBL2H3−GRZBの生存度は、90%を超えていたが、細胞の約30−40パーセントが、初期のアポトーシスを暗示する原形質膜で不規則なバルジを示していた。実際、1B7−HEXB、2D1−SEAPおよびRBL2H3の細胞の90%以上が、プラスチックの培養瓶の底部に付着し(細胞の健康の測定)、生きていたが、RBL2H3−GZB細胞の約30−40%が死滅し、懸濁液中にあった。事実、フラスコに対する細胞の付着のレベルは、細胞生存(生存度)率を暗示している。本実施例は、細胞が解凍されるときに、非プロテアーゼ−ヒドロラーゼが、プロテアーゼヒドロラーゼよりも低い毒性を有し、高感度で安定したセンサーの発達に対してプロテアーゼよりも利点を有しているという事実を例証している。

Claims (17)

  1. 細胞ベースのセンサーであって、該細胞ベースのセンサーは:
    a.分泌顆粒の調節されたエキソサイトーシスを有する造血細胞株;
    b.(a)の細胞株へと形質移入され、強力な構成的プロモーターまたは強力な誘導性プロモーターのいずれかの制御下で過剰発現された、顆粒が貯蔵された非プロテアーゼ−ヒドロラーゼレポーター;
    c.(a)の細胞株の分泌顆粒の調節されたエキソサイトーシスの、内因性のモジュレーターまたは形質移入された異種のモジュレーター;
    d.分泌された非プロテアーゼヒドロラーゼ活性の検出に特異的な、発色基質、蛍光基質または発光基質を含む群から選択される、細胞非透過性の基質、を含み;
    これによって、調節されたエキソサイトーシスのモジュレーターに対する特異的なリガンドの効果を測定することが可能となることを特徴とする、細胞ベースのセンサー。
  2. 非プロテアーゼヒドロラーゼレポーターが、SEQ ID NO: 1の分泌可能なアルカリフォスファターゼ(SEAP)、ベータ−ヘキソサミニダーゼ(HEXB)のベータ鎖(Gene Bank BC017378.2)またはガウシアルシフェラーゼ(GLuc)と顆粒標的化タンパク質(SEQ ID NO: 2)との間の融合タンパク質、から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の細胞ベースのセンサー。
  3. 細胞が、ラットの好塩基性白血病細胞株RBL2H3、マウスの骨髄造血細胞株32D、ナチュラルキラー細胞株のヒトのNK92細胞株、ナチュラルキラー細胞株のヒトのYT細胞株およびマウスのマスト細胞のマウスのMC/9細胞株を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の細胞ベースのセンサー。
  4. 調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターが、Gタンパク質結合受容体(GPCR)、ITAMモチーフを有する受容体、ITIMモチーフを有する受容体およびタンパク質チロシンキナーゼ受容体、を含む群から選択される、内因性の表面受容体または形質移入された異種の表面受容体であることを特徴とする、請求項1に記載の細胞ベースのセンサー。
  5. 請求項1のバイオセンサーを得るための方法であって、該方法は、適切なプロモーターの制御下にある、請求項4の調節された分泌顆粒エキソサイトーシスの内因性のモジュレーターを有する、または形質移入された異種の表面受容体を有する、適切なプロモーターの制御下にある、請求項1の顆粒が貯蔵されたレポーターをコード化するベクターを、造血細胞株に転換する工程を含むことを特徴とする、方法。
  6. 請求項4の調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターをコード化するベクターがまた、細胞の表面での受容体過剰発現に有用なシグナルペプチド、及び/又は陽性細胞の表面の検出及び/又は分離のためのタグを含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターの構成的な過剰発現のためのプロモーターは、哺乳動物の伸長因子1アルファプロモーター(hEF1アルファ)(SEQ ID NO: 3)、およびMoloney Murine Leukaemia VirusプロモーターのMoMLV−5’LTR(SEQ ID NO: 4)からの5’LTRを含む群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  8. 調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターの過剰発現に有用なプロモーターは、テトラサイクリン誘導性プロモーター、エクジソン誘導性プロモーター、クマート誘導性プロモーターおよびプロゲステロン誘導性プロモーターを含む群から選択される、誘導性プロモーターであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  9. 調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターの過剰発現のためのベクターは、表面の過剰発現のために、SEQ ID NO: 5またはSEQ ID NO: 6のウイルスGPCR由来の配列(VGS)を含むことを特徴とする、請求項5乃至8に記載の方法。
  10. 調節された分泌顆粒エキソサイトーシスのモジュレーターの構成的な過剰発現のためのベクターは、P−MoMLV−5’LTR−SP−cmyc−タグ−VGS−MCS−ポリA(SEQ ID NO: 7)であることを特徴とする、請求項5乃至9に記載の方法。
  11. 顆粒が貯蔵されたレポーターの強力な構成的過剰発現のためのプロモーターは、hCMVおよびMoMLV−5’−LTRプロモーター(SEQ ID NO: 4)のキメラプロモーター; MoMLV−5’LTRプロモーター(SEQ ID NO: 4)および伸長因子1アルファプロモーター(SEQ ID NO: 3)を含む群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  12. 顆粒が貯蔵されたレポーターは、テトラサイクリン誘導性プロモーター、エクジソン誘導性プロモーター、クマート誘導性プロモーターおよびプロゲステロン誘導性プロモーターを含む群から選択される、誘導性プロモーターの制御下で過剰発現されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  13. 少なくとも2つの分子間の相互作用を試験する、または定量化するための方法であって、その1つの分子は、エキソサイトーシスモジュレーターとして作用し、もう1つは、エキソサイトーシスモジュレーターの特異的なリガンドとして作用し、該方法は、
    a.分泌された顆粒が貯蔵されたレポーターの細胞生存率、エキソサイトーシスおよび酵素活性と適合性のある培地において、請求項1乃至4の細胞ベースのセンサーをインキュベートする工程、
    b.エキソサイトーシスモジュレーターの特異的なリガンドを加える工程、
    c.顆粒が貯蔵されたレポーターの特異的な基質を加える工程、および
    d.顆粒から細胞外の培地へと放出された、レポーターポリペプチドの非プロテアーゼヒドロラーゼ酵素活性を、放出された前記レポーターの特異的な基質によって検出する工程、を含むことを特徴とする、方法。
  14. 1対の2つの分子が結合するタンパク質を検出するための請求項1乃至4の細胞ベースのセンサーの使用であって、検出されるタンパク質に結合する分子の1つは、特異的な免疫グロブリンG、または特異的な免疫グロブリンE、または特異的な免疫グロブリンAであり、および検出されるタンパク質に結合する第2の分子は、結合後に、検出される前記タンパク質のオリゴマー化を誘発することを特徴とする、使用。
  15. IgE−アレルゲンの相互作用を試験するために、抗アレルギーの化合物を試験するために、及び/又はアレルゲンを検出するために、創薬において分子間の相互作用を試験するための、あるいは食品産業のサンプルにおいて、環境サンプルにおいて、および製薬産業において、診断のために又は薬物または分子の検出のためにタンパク質などの分子を定量化するための、請求項1乃至4の細胞ベースのセンサーの使用。
  16. 化合物がエキソサイトーシスを調整するかどうかを試験するための、またはそのようなエキソサイトーシスの程度を定量化するための、請求項1乃至4の細胞ベースのセンサーを含む、キット。
  17. 分泌された異種のレポーターの検出のための少なくとも1つの特異的な基質を含むことを特徴とする、請求項16に記載のキット。
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