JP2005538707A - 分泌性リソソームのターゲティングの方法および組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、分泌性リソソームにタンパク質をターゲッティングする方法および組成物に関する。さらに本発明は、創薬スクリーニングの解析に使用する方法、および分泌性リソソームを精製する方法を提供する。

Description

関連出願
2002年8月14日出願の先の仮出願番号60/403,464の利益をここに要求する。
背景
本発明は、分泌性リソソームにタンパク質をターゲッティングする方法および組成物に関する。さらに本発明は、創薬スクリーニングの解析に使用する方法、および分泌性リソソームを精製する方法を提供する。
マスト細胞は、生物学的活性のある様々な物質を放出する、特殊化した分泌細胞である。マスト細胞は体中の至る所にある組織、特に血管、神経、および外部環境と接している表面の近傍などの構造体と関連した組織において、その存在がみられる(Metcalfe et al. Physiol Rev. 77:1033-1079, 1997 参照)。マスト細胞の活性化は、多価抗原と、それに特異的なIgE 抗体(高親和性レセプターFcεRIを介して細胞膜に結合したもの)との相互作用によって開始し得る。マスト細胞と好塩基球は、炎症反応やアレルギー反応の中心的な役割を果たす(Williams, et al. J. Allergy Clin. Immunol. 105:847-859, 2000参照)。それらは、脈管構造細胞、平滑筋細胞、結合組織細胞、粘液腺細胞、および炎症細胞に対して作用する、ヒスタミン、プロテアーゼ、走化性因子、およびアラキドン酸の代謝産物などの、強力な炎症メディエーターを放出することが知られている。
マスト細胞における顆粒の生成と細胞外放出(exocytosis)の経路は、いまだにその大部分の詳細は不明である(Griffiths, G.M. et al., Biochem Biopys Res Commun. 222(3):802-808, 1996; Masuda et al., FEBS Lett. 470:61-64, 2000; Baram, D. et al., J Immunol. 167(7):4008-4016, 2001)。マスト細胞は、リソソームおよび分泌顆粒の混合物である、分泌性リソソームとして知られる構造体を持つ(Stinchcombe and Griffiths, J Cell Biol. 146(1):1-6, 1999)。マスト細胞の顆粒は、レセプター活性化後の原形質膜および他のリソソーム顆粒との融合に特殊化した、変形のリソソームであると説明することができる。類似した分泌性リソソームは造血細胞においても見られるが、これらのオルガネラが自らの積み荷(cargo)を受け取って送達する仕組みについてはほとんど明らかにされていない。例えば、Riesbeck et al. (WO 98/42850) は内皮細胞のWeibel-Palade小体にターゲットするタンパク質を開示する。Weibel-Palade小体は接着分子P−セレクチンを含有する。
マスト細胞と好塩基球の炎症メディエーターには、予め形成された(preformed)メディエーターと新たに形成された(newly formed)メディエーターの2種類がある。げっ歯動物やヒトのマスト細胞の細胞質顆粒に貯蔵されている予め形成されたメディエーターとしては、ヒスタミン、プロテオグリカン、サイトカイン、セリンプロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼA、および少量のスルファターゼとエキソグルコシダーゼが挙げられる(Metcalfe et al., Physiol Rev. 77(4):1033-1079, 1997)。ヒスタミンは細胞あるいは組織上のあるセットのレセプター(H1、H2、H3、H4)に作用し、速やかに細胞外において代謝される。プロテオグリカンは、ヒスタミンや塩基性タンパク質の分泌性顆粒への詰め込み(package)に作用し得、またヒトのマスト細胞においてはプロテアーゼであるトリプターゼを安定化し得る。顆粒タンパク質の大部分に対して作用する中性プロテアーゼは、マスト細胞のマーカーとして機能する。休止しているマスト細胞には多くの場合存在しない新たに生成された(newly generated)メディエーターとしては、アラキドン酸代謝産物、主にロイコトリエンCとプロスタグランジンD、が挙げられる。これらのメディエーターは、一般的にIgEレセプターの活性化の最中に生産される。ヒトにおいて特に関心を持たれているのは腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor; TNF)、インターロイキン(IL)-4、IL-5、およびIL-6の生産についてである。
プロテアーゼは活性化されたマスト細胞から細胞外放出される主要なタンパク質構成物である(Huang et al., J Clin Immunol. 18:169-183, 1998)。トリプターゼ、キマーゼおよびカルボキシペプチダーゼは、マスト細胞の分泌顆粒に貯蔵されるプロテアーゼの3つの主要なファミリーである。キマーゼはセリンプロテアーゼファミリーの一員である。免疫組織化学的局在解析は、それらがマスト細胞においてのみ合成されると示唆する(Beil et al., Histol Histopathol. 15(3):937-946, 2000)。ヒト、霊長類、およびイヌのキマーゼはアンギオテンシンII(AngII)をアンギオテンシンIから生成するが、一方、マウスとラットのキマーゼはアンギオテンシンIIを分解する(Fukami et al., Curr Pharm Des. 4(6):439-453, 1998)。キマーゼはまた、細胞外基質を分解し、プロコラゲナーゼ、炎症性サイトカインおよび他の生物活性のあるペプチドを加工(process)する。結果として、キマーゼはそのタンパク質分解活性を通じて炎症性組織において重要な役割を果たす。
ヒトの細胞では、2種類のキモトリプシン酵素(キマーゼおよびカテプシンG様プロテアーゼ)と1種類のマスト細胞のカルボキシペプチダーゼ酵素をエンコードする各遺伝子、およびトリプターゼペプチドをエンコードする少なくとも2種類の遺伝子が検出されている。キマーゼをエンコードする遺伝子は、マスト細胞に発現するとみられる酵素であるカテプシンGをエンコードする遺伝子およびグランザイムをエンコードする遺伝子と密接にリンクしている。粘膜(mucosal; MC)型マスト細胞はトリプターゼ、キマーゼ、カテプシンG様プロテアーゼ、およびマスト細胞カルボキシペプチダーゼを含有する。マスト細胞の中性プロテアーゼの生物学的機能は、マスト細胞それ自身と同じく、完全に明らかにされるには至っていない。例えば、喘息におけるマスト細胞の継続的な活性化は、この慢性的な炎症性疾患の特徴であるとみられる。
マウスのマスト細胞では、5種類のキマーゼ(マウスマスト細胞プロテアーゼ(MMCP)-1、-2、-3、-4、および5)、1種類のマスト細胞カルボキシペプチダーゼ、および2種類のトリプターゼ(MMCP-6および7)が報告されている。げっ歯動物では、マスト細胞サブセットのプロテアーゼ構成は異なる。ラットでは、キマーゼの2種類のアイソフォーム、ラットマスト細胞プロテアーゼ(RMCP)I (Lagunoff and Pritzl Arch Biochem Biophys. 173(2):554-563, 1976) および RMCP II(Kido et al, Arch Biochem Biophys. 239(2):436-443, 1985)が発見され、粘膜細胞表面のマスト細胞(RMCP-II陽性)を他のマスト細胞(RMCP-I陽性)と識別することが可能になった(Gibson and Miller Immunology 58(1):101-104, 1986)。もう少し最近では、さらに2種類のセリンプロテアーゼがラット漿粘膜(serosal MC)からPCR 増幅によって単離された:ラットトリプターゼ(MMCP-6のカウンターパート)およびRMCP III と命名された別のキマーゼ (Lutzelschwab et al., J Exp Med. 185(1):13-29, 1997)。後者のプロテアーゼは、マウスMMCP-5の、ラットにおけるカウンターパートである。
科学者らは、緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein; GFP)と融合させて骨髄由来のマスト細胞内で過剰発現させた場合に、マスト細胞顆粒の表面に局在するタンパク質、Rab37、について報告した( Masuda et al., FEBS Lett. 470:61-64, 2000参照)。Rab37は、顆粒の細胞質側の表面に局在しているように見える。しかしながら、Masudaは、Rab37を顆粒のターゲットに使用することについて教示していない。
本発明までには、分泌性リソソームにタンパク質を局在化させるために、ターゲティング部位(targeting moiety)を使用することについての報告はない。当技術分野の現在の状況においては、顆粒の内容物や細胞外放出活性の検出を行うにあたって間接的な方法を採用している。例えば、マスト細胞顆粒の研究は、その内容物を抗体でモニタリングしたり、またはヘキソサミニダーゼなどの酵素の活性を測定することによって行われてきた (Schwartz et al. J. Immunol. 123:1445-1450, 1979;および Dragonetti et al. J. Cell Sci. 113:3289-3298, 2000参照)。他の間接的な方法においては、タンパク質およびそれらの機能を、他の分泌性コンパートメント(例えば、小胞体、ゴルジ体、およびトランスゴルジネットワークなど)と関連付けている (Donaldson and Lippincott-Schwartz, Cell 101:693-696, 2000参照)。従って、マスト細胞分泌性リソソームの内部の中心にタンパク質を局在化させるターゲティング部位は、マスト細胞の研究および創薬において飛躍的な進歩となる。
分泌性リソソームを有する細胞の脱顆粒に伴うメディエーター放出の定量化を試みる現在の方法は、時間がかかり、また高価である(例えば、Schwartz et al., J Immunol. 123:1445-1450, 1979 および Schulman et al., J Immunol. 131:2936-1941, 1983参照)。本発明はこれらの障害を乗り越えるものであり、それは分泌性リソソームの内容物を定量化するだけでなく、さらに分泌性リソソームの動きをリアルタイムでモニターする程である。
本発明までは、分泌性リソソームのモジュレーターのスクリーニングを行うにあたって、ハイスループットスクリーニング(High Throughput Screening; HTS)の使用に適した方法は存在しなかった。当技術分野の現在の状況において、HTSのセッティングでは細胞の脱顆粒の直接的モニタリングはできなかった。例えば、Demo et al. (Cytometry, 36(4):340-8, 1999)は、いくつもの生化学的測定や多くの工程を必要とするアッセイ法を開示するが、それは時間およびエネルギーを消費し、また使用する試薬(ヒスタミン、トリプターゼ、ヘキソサミニダーゼ)に起因しておそらく再現性が低いと思われる。例えばヒスタミンは、HTSセッティングでの定量化に関して貧弱なダイナミックレンジを持つことが知られている。細胞の脱顆粒のモニタリングには、例えばアクリジンオレンジなどの蛍光プローブを使用する他の方法が使われてきた(Love Histochemistry 62:221-225, 1979参照)が、これらのアッセイ法は細胞外放出工程に対する特異性を欠き、またシグナルノイズ比も低い(Demo et al. Cytometry, 36(4):340-8, 1999参照)。あるグループは、フローサイトメトリックアネキシンVバインディングアッセイ(flow cytometric annexin-V binding assay)を使用した細胞脱顆粒の定量的測定法を開示した( Demo et al. Cytometry, 36(4):340-8, 1999参照)。しかしながら、フローサイトメトリーはHTSのフォーマットに適さない。
現在の技術は、パーコールまたはシュークロース勾配を使用した細胞ホモジェネートの分画化による、マスト細胞顆粒でエンリッチした細胞内容物画分を得るためのプロトコールを提供する(Lindmark et al., J Leukocyte Biol. 66:634-643, 1994)。有利なことに、本発明は、現在行われているよりも高い度合いにまで分泌性リソソームを精製する方法を提供する。本発明によって成し遂げられる、以前より高いレベルの精製は、細胞活性化に関与する創薬ターゲットの特定を目標とするプロテオミクス研究にとって非常に重要である。
簡単な要約
本発明は、ターゲットされた分子を用いてリアルタイムで細胞内の分泌性リソソームの局在を調べる方法に関する。
このような方法は、分泌性リソソームの動きや融合の研究、細胞外放出の直接的モニタリング、細胞活性化のための細胞選別方法の構築、および分泌性リソソームの精製などの多くの目的において有用であるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の前までは、分泌性リソソームにタンパク質をターゲッティングする直接的な方法は存在しなかった。マスト細胞の分泌性リソソームは、プロテアーゼ、ヘパリン、ヒスタミン、およびいくつかのサイトカインを含有する特殊化したオルガネラである。以前は、分泌性リソソームは、内容物を抗体でモニタリングしたり、ヘキソアミニダーゼなどの酵素の活性を測定したりといった、間接的な方法によって研究されていた。
本発明は、分泌性リソソームに特異的に局在するポリペプチド、およびラベルポリペプチド(1abel polypeptide)を含む分泌ターゲティング融合部位(secretory targeting fusion moiety)に関する。本発明はまた、分泌性リソソームに特異的に局在するポリペプチドをエンコードする塩基配列およびラベルポリペプチドをエンコードする塩基配列を含む分泌ターゲティング融合部位に関する。
さらに本発明は、トリプターゼ、キマーゼ、およびカルボキシペプチダーゼからなるグループから選択されたプロテアーゼ、好ましくはマウスマスト細胞プロテアーゼ(MMCP)-1、-2、-3、-4、-5、-6、および-7;ラットマスト細胞プロテアーゼ(RMCP)I および RMCP II;ヒトキマーゼ;ヒトトリプターゼ;カテプシンG様プロテアーゼ;カテプシンG;カルボキシペプチダーゼA;並びにヘキソサミニダーゼ;より好ましくは RMCP II、を含む分泌ターゲティング融合部位に関する。
本発明はさらに、本発明の分泌ターゲティング融合部位を含有する細胞に関する。ある実施態様においては、ラベルポリペプチドは蛍光分子である。ある特定の実施態様においては、蛍光分子はイソギンチャク(Discosoma sp.)赤色蛍光タンパク質または緑色蛍光タンパク質である。ある実施態様においては、本発明の細胞は、マスト細胞、好塩基球、造血細胞、メラニン細胞、および杯細胞からなるグループから選択される。ある具体的な実施態様においては、細胞はマスト細胞である。
ある特定の実施態様においては、本発明は、分泌性リソソームターゲティング融合部位(secretory lysosome targeting fusion moiety)を発現するセルラインに関し、このセルラインはアメリカ培養コレクション(American Type Culture Collection)に寄託され、登録番号PTA-4571 が付与されている。
本発明のある実施態様においては、脱顆粒の検出と定量化のための方法を開示しており、以下の工程を含む:(a)ラベル分子を含む分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現している細胞を、細胞活性化物質の存在下でインキュベートする;(b)ラベル分子を含む分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現している細胞を、細胞活性化物質の非存在下でインキュベートする;および(c)細胞活性化物質の存在下における上清中のラベルの放出を、細胞活性化物質の非存在下における上清中のラベルの放出との比較において検出および定量化する、ここで、細胞活性化物質の存在下における上清中のラベルの放出の増加は脱顆粒を表す。
本発明の別の実施態様においては、脱顆粒阻害の検出と定量化のための方法を開示しており、以下の工程を含む:(a)ラベル分子を含む分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現している細胞を、検体の存在下で細胞活性化物質と共にインキュベートする;(b)ラベル分子を含む分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現している細胞を、検体の非存在下で細胞活性化物質と共にインキュベートする;および(c)検体の存在下における上清中のラベルの放出を、検体の非存在下における上清中のラベルの放出との比較において、その差を検出および定量化する、ここで、検体の存在下における上清中のラベルの放出の減少は脱顆粒阻害を表す。
本発明の別の実施態様においては、単一細胞レベルでの脱顆粒の検出と定量化のための方法を開示しており、以下の工程を含む:(a)ラベル分子を含む分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現している細胞を、細胞活性化物質の非存在下でインキュベートする;(b)細胞活性化物質の非存在下におけるラベルの量を検出および定量化する;(c)工程(a)の細胞を、細胞活性化物質の存在下でインキュベートする;(d)細胞活性化物質の存在下おけるラベルの量を検出および定量化する;および(e)細胞活性化物質の存在下における細胞中のラベルの量を、細胞活性化物質の非存在下における細胞中のラベルの量との比較において、その差を検出する、ここで、ラベルの量の減少は脱顆粒を表す。
本発明の別の実施態様においては、単一細胞レベルでの脱顆粒の検出と定量化のための方法を開示しており、以下の工程を含む:(a)ラベル分子を含む分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現している細胞を、細胞活性化物質の存在下でインキュベートする;(b)細胞活性化物質の存在下おけるラベルの量を検出および定量化する;(c)工程(a)の細胞を、細胞活性化物質および検体の存在下でインキュベートする;(d)細胞活性化物質および検体の存在下におけるラベルの量を検出および定量化する;および(e)検体の存在下における細胞中のラベルの量を、検体の非存在下における細胞中のラベルの量と比較する、ここで、検体化合物の存在下におけるラベルの量の増加は脱顆粒を表す。
発明の詳細な説明
1.定義
以下の定義は、本明細書で使用する一部の用語の理解を促すために提供するものである:
本明細書および特許請求の範囲において使用するように、単数形の"a"、"an"、および"the"は、文面が明らかにそうでないと記載する場合を除いて、複数のものを含む。
"細胞(cells)"とは、あらゆる形態の細胞を含む意味であり、組織に残る細胞、細胞集合、および個別に単離した細胞が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
"セルライン(cell line)"とは、多くの世代にわたってインビトロで安定に成長することが可能な細胞を意味する。
"クローン(clone)"とは、単一細胞あるいは共通の祖先から、有糸分裂によって派生した細胞の集団を意味する。
"脱顆粒(degranulation)"とは、分泌性リソソームの運動(movement)および細胞外放出(exocytosis)を意味する。
"ポリペプチド(polypeptide)"とは、ペプチドまたはタンパク質、およびその異型(variants)を意味する。
"分泌性リソソーム(secretory lysosome)"とは、双機能オルガネラ(dual-function organelle)を意味し、(分解のための)リソソーム、および細胞の分泌性タンパク質の貯蔵庫の双方として使用され、また、普通のリソソームおよび分泌顆粒と多くの特徴(例えば構造や内容物など)を共有する。
"分泌性リソソームターゲティング融合部位(secretory lysosome targeting fusion moiety)"とは、以下を含む部位(moiety)を意味する:(a)分泌性リソソームに特異的に局在化するポリペプチド、またはそのようなポリペプチドをエンコードする塩基配列、および(b)ラベルポリペプチド(1abel polypeptide)またはそのようなラベルポリペプチドをエンコードする塩基配列。
"分泌性リソソームターゲティング部位(secretory lysosome targeting moiety)"とは、分泌性リソソームに特異的に局在化するポリペプチド、またはそのようなポリペプチドをエンコードする塩基配列を意味する。
"異型(variant)"とは、配列は異なるが、その基幹的な性質、すなわち配列がその用途において活用される性質(例えば、プロテアーゼ活性)を残す配列(例えばポリペプチドなど)を意味する。例えば、ポリペプチドの異型は、1以上の置換、付加、および欠失によって、基準のポリペプチドとアミノ酸配列が異なり得る。また、"異型"とは、その基幹的な性質を残す全長配列の断片をも含む意味である。
2.方法およびコンストラクト
本発明は、分泌性リソソームの内容物および細胞外放出活性の検出およびモニタリングに関する従来技術の方法に関連する問題点の多くを克服する。分泌性リソソーム特異的タンパク質をエンコードする塩基配列およびラベル分子をエンコードする塩基配列を含む部位(moiety)を細胞に導入することにより、本発明は、生きた細胞において、リアルタイムでの分泌性リソソームの運動やその内容物の放出の研究、および分泌性リソソームの定量化の研究を可能にする。
本発明に使用可能な細胞として、分泌性リソソームを持つセルラインおよび初代細胞(例えばマスト細胞、好塩基球、造血細胞、メラニン細胞、および杯細胞など)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施態様においては、細胞はマスト細胞である。
ある実施態様においては分泌性リソソームターゲティング部位を発現するあるセルラインを、RBL-RMCP/2C2 (登録番号 PTA-4571、ブダペスト条約の規約に従って2002年8月7日にアメリカ培養コレクション、10801 University Boulevard, Manassas, VA 200110-2209 に寄託)と表す。
本発明の分泌性リソソームターゲティング部位は分泌性リソソームに局在する。本発明の分泌性リソソームターゲティング部位は、プロテアーゼ(例えばトリプターゼ、キマーゼ、およびカルボキシペプチダーゼ)などの分泌性リソソームの構成物を含むものであり:マウスマスト細胞プロテアーゼ(MMCP)-1、-2、-3、-4、-5、-6、および-7;ラットマスト細胞プロテアーゼ(RMCP)I および RMCP II;ヒトキマーゼ;ヒトトリプターゼ;カテプシンG様プロテアーゼ;カテプシンG;カルボキシペプチダーゼA;ヘキソサミニダーゼ;あるいはそれらのポリペプチド、または関連する遺伝子やオルソログ(orthologues)のエンコードするポリペプチド、などが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様においては、分泌性リソソームターゲティング部位は RMCP IIを含む。
本発明の分泌性リソソームターゲティング部位はさらに、目的とするいかなるポリペプチドまたはそのようなポリペプチドをエンコードする塩基配列をも含み得る。本発明のスクリーニングおよび検出法においては、ポリペプチドまたはそのようなポリペプチドをエンコードする塩基配列は、ラベル分子、好ましくは蛍光分子、例えばイソギンチャク(Discosoma sp.)赤色蛍光タンパク質(DsRED)または緑色蛍光タンパク質(GFP)、である。
ラベル分子としては、発光分子(例えばルシフェラーゼ)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ)、蛍光分子(例えば、イソギンチャク(Discosoma sp.)赤色蛍光タンパク質(DsRED)または緑色蛍光タンパク質(GFP))が挙げられるが、これらに限定されない。
下に説明する本発明の治療方法においては、分泌性リソソームターゲティング部位はさらに、治療効果のあるあらゆるポリペプチドまたはそのような目的とするポリペプチド(例えば、酵素、サイトカイン、成長因子、および組み換え抗体(一本鎖)が挙げられるが、これらに限定されない)をエンコードする塩基配列を含み得る。
本発明はまた、本発明の分泌性リソソームターゲティング融合部位を使用することにより、脱顆粒を調節する化合物を特定する方法を提供する。例えば、ラベル分子を含む分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現する本発明の細胞を、検体の存在下および非存在下において、細胞活性化物質と共にインキュベートする。検体の存在下における上清中の蛍光の放出の変化は、その検体が脱顆粒を調節することを示し、例えば、上清中の蛍光の放出の増加は脱顆粒を示す。好ましい実施態様においては、分泌性リソソームターゲティング融合部位は蛍光ラベル分子を含む。
細胞活性化物質として:IgEおよび多価抗原、ホルボールミリスタートアセタート(PMA)、イオノマイシン、コンパウンド48/80、トル様レセプター(Toll-like receptor)、並びにプロテアーゼレセプターが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のある実施態様においては、細胞活性化物質は、IgEおよび多価抗原、ホルボールミリスタートアセタート(PMA)、並びにイオノマイシンからなるグループから選択される。
別の実施態様においては、本発明は、分泌性リソソームターゲティング融合部位を使用することにより、調製した分泌性リソソームの精製度を上げる方法を提供する。好ましくは、蛍光分子を含む分泌性リソソームターゲティング融合部位を導入したセルラインを当業者に知られる方法(例えば、パーコールあるいはシュークロース勾配)で分画し、分泌性リソソームをエンリッチした細胞内容物の画分を得る。次いで、分泌性リソソームを多く含む画分は蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)を使用してさらに精製する。
別の実施態様においては、本発明は、レポーター遺伝子をさらに含む分泌性リソソームターゲティング部位を使用することにより、分泌性リソソームの成熟、生合成、細胞分化、移動、および活性化をインビボで研究する方法を提供する。
別の実施態様においては、本発明は、分泌性リソソームターゲティング融合部位、好ましくは蛍光ラベル分子を含むもの、を使用して、リアルタイムで単一細胞レベルでの細胞外放出(脱顆粒)を研究、定量化する方法を提供し、その検出と定量化は、蛍光顕微鏡あるいは共焦点顕微鏡(例えば、Cellomics ArrayScan(登録商標) System (Cellomics, Inc., Pittsburgh, PA))を使用して行う。これらの方法においては、例えば、蛍光マーカーと分泌性リソソームターゲティング部位を導入した細胞を刺激する前後に蛍光の検出を行い、その蛍光の減少は脱顆粒を示す。従って、これらの方法は分泌性リソソームの放出を阻害する化合物のスクリーニングに使用し得る。
別の実施態様においては、本発明は、治療効果のあるポリペプチドを含む分泌性リソソームターゲティング融合部位を使用することにより、治療効果のあるポリペプチドをインビボで送達する方法を提供する。ある実施態様においては、治療効果のある分泌性リソソームターゲティング融合部位を導入したセルラインを、免疫隔離装置(Immunoisolation device)に入れて、対象に挿入する。
本発明のスクリーニング法は、ハイスループットスクリーニング(High Throughput Screening (HTS)) およびウルトラハイスループットスクリーニング(Ultra High Throughput Screening (UHTS))で行うのに適している。HTSおよびUHTSにおいては、例えばZymark Allegro(登録商標)モジュラーロボティックシステム(Zymark Corp., Hopkinton, MA)を使用して、試薬、バッファー、およびテスト化合物を、96-ウェルまたは384-ウェル ブラックマイクロタイタープレート(それぞれDynex社 (Dynex Technologies, Denkendorf, Germany)またはCorning社 (Corning Costar, Cambridge, MA)の提供)のいずれかに分注し得る。
実施例
以下の実施例は本発明の説明のために提供するものであるが、その範囲を限定するものではない。本発明の別の実施形態は、当業者によって容易に明らかになるであろう。
実施例1:発現ベクター pDsRED1-N1へのRMCP IIのクローニング
RMCP IIをエンコードする配列をGenBank (登録番号J02712; Benfey et al. JBC 262:5377, 1987)から取り寄せた。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いてRMCP IIをクローニングした。RNAのソースとしてラット好塩基球白血病(RBL-2H3)セルライン(登録番号CRL-2256、アメリカ培養コレクション (ATCC), Manassas, VA)を使用した。逆転写反応(第一鎖cDNA合成)はGIBCO BRL社のSuperscript(登録商標)増幅システム(カタログ番号 18089-011、GIBCO BRL, Invitrogen Corp., Carlsbad, CA)を使用して、製造者の説明書に従って行った。PCR増幅は(前工程の)第一鎖cDNAを基に、以下のオリゴを使用して行った。
5'-TCAGATCTCGAGATGCAGGCCCTACTATTCCTG-3' (SEQ ID NO:1) および
5'-CTGCAGAATTCGGCTACTTGTATTAATGACTGCAT-3' (SEQ ID NO:2)。
PCRの条件は以下の通りである:94℃ (30秒)−62℃ (30秒)−72℃ (50秒)。PCR産物を精製し、制限酵素XhoIおよびEcoRIで消化した。制限サイトはオリゴによって供給される。断片は次いで、Clontech社の pDsRED1-N1ベクター(カタログ番号6921-1, BD Biosciences Clontech, Palo Alto, CA)の同じサイトにクローニングされた。このクローニング戦略によって、RMCP IIの全長cDNAを、cDNAのN末端が蛍光タンパク質 DsREDとインフレーム(in-frame)になるように取得した。この組み換えベクター、RMCP-DsRED、の配列の同一性をDNAシークエンスにより確認した。
実施例2:RBL-2H3細胞におけるRMCP-DsRED組み換えタンパク質の安定的発現
エレクトロポレーション(Guillemot et al. JCB 110:2215-2225, 1997)によって、RBL-2H3細胞(8x106個)にRMCP-DsREDベクター(45μg)を導入した。エレクトロポレーションの条件は、容量800μlにおいて300 Vおよび960μFであった。形質転換したセルラインはRBL-RMCP/2C2と表す。形質転換した細胞は、適切な培地に移して48時間インキュベートした。次いで、1 mg/mlの活性あるGeneticin(登録商標)(GIBCO BRL, Invitrogen Corp., Carlsbad, CA)を加えることによって陽性のクローンを選抜した。形質転換の10日後、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によって細胞の解析を行った。図1に見られるように、赤色蛍光陽性の細胞の集団が検出された。FACSによって細胞の集団から個別のクローンを単離し、増幅した。図2に見られるように、RBL-RMCP/2C2は、RMCP-DsRED融合タンパク質を発現する陽性クローンである。
実施例3:顆粒におけるRMCP-DsRED融合タンパク質の発現
RBL-RMCP/2C2クローンの RMCP-DsREDタンパク質の細胞内局在を、共焦点顕微鏡法によって解析した。pDsREDベクターのみを発現する細胞のクローンをコントロールとして使用した。図3に示すように、pDsREDコントロールベクターで形質転換した細胞は、細胞質においてDsREDタンパク質を発現した(分散した蛍光)。対照的に、RMCP-DsRED融合物は、原形質膜の近傍においてはっきりとした発現を示す。このパターンは、マスト細胞または好塩基球の顆粒の局在と相関がある。LysoTracker(登録商標)プローブ(Molecular Probes, カタログ番号 L-7526)は、リソソームや濃染顆粒など低い内部pHを持つ細胞構成物に選択的に蓄積する弱塩基性アミンである(Sreyer, JA et al. Nature 388:474-478, 1997)。図4にみられるように、RBL-RMCP/2C2 クローンにおいては、LysoTracker(登録商標)プローブはRMCP-DsRED融合タンパク質と同じ場所に局在する。この結果からRMCP-DsRED融合タンパク質は顆粒にターゲットしていることが確認された。
実施例4:細胞の活性化に伴う赤色蛍光の放出
マスト細胞および好塩基球は、IgE および抗原の刺激に対して、その顆粒の内容物を細胞外環境に(数分以内の)急速に放出することにより反応する。この分野における標準的なアッセイ法は、抗原特異的IgE分子でRBL-2H3 セルラインを刺激し、その後対応する抗原を加えることによってIgEレセプターを架橋させることである(Roa M. et al. J. Immunol. 159:2815-2823, 1997)。ヒスタミンおよびβ−ヘキソサミニダーゼの放出は、脱顆粒をモニターするマーカーとして一般的に使用されている(Schwartz LB et al. J. Immunol. 123:1445-1450, 1979)。予想された通り、RBL-RMCP/2C2 細胞をマウス抗−DNP(ジニトロフェニル)IgEで刺激し、次いでDNP-HSA(ヒト血清アルブミンと結合したDNP抗原)で刺激した場合、数分以内にヒスタミンおよびβ−ヘキソサミニダーゼを放出する(図5)。図5に示すとおり、RBL-RMCP/2C2細胞は刺激に際して赤色蛍光をも放出する。LJL蛍光プレートリーダー(LJL fluorescence plate reader)を使用して、記した時間に(96ウェルプレート形式の)細胞培養液の上清からの蛍光の放出を測定した。ヒスタミン、β−ヘキソサミニダーゼ、および蛍光放出のキネティックスは同じである。
実施例5:FACSによる顆粒の精製
細胞ホモジェネートをパーコールまたはシュークロース勾配によって分画し、マスト細胞の顆粒でエンリッチした細胞内容物画分を得た(Kruger P.G. et al., Exp. Cell Res. 129:83-93, 1980)。RBL-RMCP/2C2セルラインを使用して、顆粒を多く含む画分をFACSでさらに精製した。図6に示すとおり、 RBL-RMCP/2C2 細胞から単離した顆粒画分は、コントロールのセルラインと比較して、はっきりと識別可能な蛍光の集団が検出された。陽性の(ゲートされた)集団は、オルガネラソーティングによって、全体の画分から分離した(Fialka I. et al. J. Biol. Chem. 274:26233-26239, 1999)。図7に示すとおり、ヘキソサミニダーゼに特異的な活性は、ソーティング後に実質的に上昇した。つまり、この工程は顆粒画分の精製度を実質的に上昇させることに寄与した。
実施例6:IgEおよび抗原の刺激後におけるRMCP-DsRED発現細胞のライブイメージング
生きたRBL-RMCP/2C2細胞を共焦点顕微鏡法によって可視化した。細胞を抗−DNP IgEで刺激し、時間0において画像化し、次いで抗原(DNP-HSA)で刺激した。細胞を計2時間インキュベートし、様々なタイムポイントで画像を取得した。15分、1時間、および2時間のタイムポイントのものを図8に示す。図8に示す通り、リアルタイムでの単一細胞レベルの脱顆粒の観察が可能である。
実施例7:RBL-RMCP/2C2細胞における、検体による脱顆粒阻害の定量化
1ウェルあたり細胞2x104個の濃度で、細胞を96−ウェルプレートに分注し、オーバーナイトでインキュベートした。次いで、細胞を培地で2回洗浄し、検体(濃度範囲1 mM から 1 pM)および1μg/mlの抗−DNP IgEモノクローナル抗体(SPE7 クローン, Sigma)を含む培地で2時間、37℃でインキュベートした。次いで、細胞をタイロードバッファー(Tyrode's buffer)(10 mM Hepes, pH 7.4、130 mM NaCl、5 mM KCl、1.4 mM CaCl2、1 mM MgCl2、5.6 mM グルコース、および0.1% BSA)で2回洗浄し、タイロードバッファー中で100ng/ml DNP-HSA (Sigma)で一時間刺激した。培養液の上清から一部(100μl)を採り、赤色蛍光の放出を解析した。励起530nm、蛍光580nmにセットしたLJL Bioanalyst (LJL Biosystems, Sunnyvale,CA)を用いて赤色蛍光を検出した。
ここに引用するすべての出版物および特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
RBL-2H3細胞におけるRMCP-DsREDの安定した発現。エレクトロポレーションによって、細胞をRMCP-DsREDベクター(“DsRED”, イソギンチャク(Discosoma sp.)赤色蛍光タンパク質)で形質転換した。次いで、細胞について10日間の、Geneticin(登録商標)(G-418, GIBCO Invitrogen Corp., Carlsbad, CA)選抜を行った。図1は、コントロールのRBL-2H3の集団を選抜されたRMCP-DsRED発現細胞の集団と比較したFACS解析を示す。 RBL-RMCP/2C2クローンのFACS解析。RMCP-DsREDを発現する細胞の集団から個別のクローンを作製した。この図は、RBL-2H3の親細胞をRBL-RMCP/2C2クローンと比較したFACS解析を示す。 RBL-2H3細胞におけるRMCP-DsRED組み換えタンパク質の安定的発現。DsREDタンパク質単独、あるいはRMCP-DsRED融合タンパク質の発現ベクターをRBL-2H3細胞に安定的に導入した。選抜の工程の後、個別のクローンを共焦点顕微鏡法で解析し、組み換えタンパク質の細胞内分布を調べた。A)は、DsREDタンパク質を発現する細胞、および該タンパク質の細胞質における発現の共焦点画像を示す。B)は、RMCP-DsRED融合タンパク質を発現する細胞の共焦点画像を示す。はっきりとした蛍光は、マスト細胞または好塩基球の、顆粒または分泌性リソソームの局在と相関する。 RMCP-DsREDコンストラクトはRBL-2H3細胞の分泌性リソソームおよび顆粒にターゲットする。RMCP-DsRED融合タンパク質を安定的に発現する細胞をLysoTracker(登録商標)プローブで処理した。左のパネルは、LysoTracker(登録商標)プローブを使用した、分泌性リソソームおよび顆粒の細胞内局在を示す。中央のパネルはRMCP-DsRED融合タンパク質の分布を示す。LysoTracker(登録商標)およびRMCP-DsREDの重ね合わせ画像(右のパネル)は、RMCP-DsREDと、分泌性リソソームおよび顆粒の区画(compartment)が同じ場所に局在していることを示す。 IgEによるRBL-2H3細胞への刺激に伴って、RMCP-DsREDが放出される。RMCP-DsREDタンパク質を安定的に発現するRBL-2H3細胞(クローン RBL-RMCP/2C2)を、IgEおよび抗原(DNP-HSA)で刺激した。ヘキソサミニダーゼおよびヒスタミンは、刺激後数分内に細胞から放出される2種類の顆粒マーカーである。刺激後に放出された蛍光の定量化は、RMCP-DsRED融合タンパク質の急激な放出と、それに続く刺激後90分のより緩やかな段階の放出を示す。 RMCP-DsREDタンパク質を安定的に発現するRBL-2H3クローンからの蛍光顆粒のフローサイトメトリー解析。DsRED単独(コントロール)またはRMCP-DsREDを発現する細胞について、パーコール勾配による細胞内容物分画を行った。次いで、分泌性リソソームおよび顆粒を含む画分をオルガネラフローサイトメトリーで解析した。DsREDを発現する細胞(左のパネル)は、RMCP-DsREDを発現する細胞(右のパネル)と比較して、蛍光を発するリソソームまたは顆粒を示さなかった。 FACSソーティングを用いた、蛍光を発する分泌性リソソームおよび顆粒の精製。図6(右のパネル)においてゲートされた蛍光ラベルされた分泌性リソソームおよび顆粒を、フローサイトメトリーによりソートし、ヘキソサミニダーゼ含有量を解析した。核画分の分画後の上清(post nuclear supernatant; PNS)、パーコール勾配で単離したリソソーム/顆粒の画分、およびFACSでソートした材料について、ヘキソサミニダーゼ特異的活性を示す。 IgEで刺激した後にRMCP-DsREDを発現するRBL-2H3細胞のライブセルイメージング。生きたRBL-RMCP/2C2細胞を、共焦点顕微鏡法により可視化した。細胞を、時間0において画像化し、ついでIgEおよび抗原(DNP-HSA)で刺激した。細胞を計2時間インキュベートし、様々なタイムポイントで画像を取得した。15分、1時間、および2時間のタイムポイントのものを示す。

Claims (18)

  1. (a)分泌性リソソームに特異的に局在化するポリペプチド、および、(b)ラベルポリペプチドを含む、分泌性リソソームターゲティング融合部位。
  2. (a)分泌性リソソームに特異的に局在化するポリペプチドをエンコードする塩基配列、および、(b)ラベルポリペプチドをエンコードする塩基配列を含む、分泌性リソソームターゲティング融合部位。
  3. 分泌性リソソームに特異的に局在化するポリペプチドが、トリプターゼ、キマーゼ、およびカルボキシペプチダーゼからなるグループから選択されたプロテアーゼを含む、請求項1または2記載の分泌性リソソームターゲティング融合部位。
  4. プロテアーゼが、マウスマスト細胞プロテアーゼ(MMCP)-1、-2、-3、-4、-5、-6、および-7;ラットマスト細胞プロテアーゼ(RMCP)I およびRMCP II;ヒトキマーゼ;ヒトトリプターゼ;カテプシンG様プロテアーゼ;カテプシンG;カルボキシペプチダーゼA;並びにヘキソサミニダーゼ;からなるグループから選択されたものである、請求項1から3のいずれか1つに記載の分泌性リソソームターゲティング融合部位。
  5. プロテアーゼが、GenBank登録番号J02712のラットマスト細胞プロテアーゼ(RMCP)IIである、請求項1から4のいずれか1つに記載の分泌性リソソームターゲティング融合部位。
  6. ラベルポリペプチドが蛍光分子である、請求項1から5のいずれか1つに記載の分泌性リソソームターゲティング融合部位。
  7. 請求項1から6のいずれか1つに記載の分泌性リソソームターゲティング融合部位を含む細胞。
  8. ラベルポリペプチドが蛍光分子である、請求項7記載の細胞。
  9. 蛍光分子がイソギンチャク赤色蛍光タンパク質または緑色蛍光タンパク質である、請求項7または8記載の細胞。
  10. 細胞が、マスト細胞、好塩基球、造血細胞、メラニン細胞、および杯細胞からなるグループから選択されたものである、請求項7から9のいずれか1つに記載の細胞。
  11. 細胞がマスト細胞である、請求項10記載の細胞。
  12. アメリカ培養コレクションに寄託され、登録番号PTA-4571が付与されている、請求項7記載の分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現する細胞。
  13. 以下の工程を含む、脱顆粒を検出および定量化する方法:(a)請求項6から11のいずれか1つに記載の分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現している細胞を、細胞活性化物質の存在下でインキュベートする;(b)分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現している該細胞を、細胞活性化物質の非存在下でインキュベートする;および(c)細胞活性化物質の存在下における上清中のラベルの放出を、細胞活性化物質の非存在下における上清中のラベルの放出との比較において検出および定量化する、ここで、細胞活性化物質の存在下における上清中のラベルの放出の増加は脱顆粒を表す。
  14. 以下の工程を含む、脱顆粒阻害を検出および定量化する方法:(a)請求項6から11のいずれか1つに記載の分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現している細胞を、検体の存在下で細胞活性化物質と共にインキュベートする;(b)分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現している該細胞を、検体の非存在下で細胞活性化物質と共にインキュベートする;および(c)検体の存在下における上清中のラベルの放出を、検体の非存在下における上清中のラベルの放出との比較において、その差を検出および定量化する、ここで、検体の存在下における上清中のラベルの放出の減少は脱顆粒阻害を表す。
  15. 以下の工程を含む、単一細胞レベルで脱顆粒を検出および定量化する方法:(a)請求項6から11のいずれか1つに記載の分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現している細胞を、細胞活性化物質の非存在下でインキュベートする;(b)細胞活性化物質の非存在下におけるラベルの量を検出および定量化する;(c)工程(a)の細胞を、細胞活性化物質の存在下でインキュベートする;(d)細胞活性化物質の存在下おけるラベルの量を検出および定量化する;および(e)細胞活性化物質の存在下における細胞中のラベルの量を、細胞活性化物質の非存在下における細胞中のラベルの量との比較において、その差を検出する、ここで、ラベルの量の減少は脱顆粒を表す。
  16. 以下の工程を含む、単一細胞レベルで脱顆粒を検出および定量化する方法:(a)請求項7から12のいずれか1つに記載の分泌性リソソームターゲティング融合部位を発現している細胞を、細胞活性化物質の存在下でインキュベートする;(b)細胞活性化物質の存在下におけるラベルの量を検出および定量化する;(c)工程(a)の細胞を、細胞活性化物質および検体の存在下でインキュベートする;(d)細胞活性化物質および検体の存在下おけるラベルの量を検出および定量化する;および(e)検体の存在下における細胞中のラベルの量を、検体の非存在下における細胞中のラベルの量と比較する、ここで、検体化合物の存在下におけるラベルの量の増加は脱顆粒を表す。
  17. 細胞活性化物質が、IgEおよび多価抗原、ホルボールミリスタートアセタート、イオノマイシン、コンパウンド48/80、トル様レセプター、並びにプロテアーゼレセプター、からなるグループから選択されたものである、請求項12から15のいずれか1つに記載の方法。
  18. 細胞活性化物質が、IgEおよび多価抗原、ホルボールミリスタートアセタート、並びにイオノマイシン、からなるグループから選択されたものである、請求項12から15のいずれか1つに記載の方法。
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