JP2004532643A - Dnaの迅速増幅方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、その3’末端としてヌクレオチドのランダム配列、およびそのランダムヌクレオチドの5’に一般的配列を有する第一のプライマー、ならびに第一のプライマーの一般的配列を有する第二のプライマーを用いた、DNA増幅の方法に関する。本開示は、固体媒体上のDNAを関与させて、DNA増幅を改善する方法に関する方法にさらに関連する。好ましい実施形態において、本発明において開示される方法は、DNAサンプル(例えば、血痕または痕跡量のDNA)の高スループットの遺伝子型決定のために用いられる。

Description

【技術分野】
【0001】
(政府支援の研究開発の記載)
適用なし
(「Microfiche Appendix」に対する参照)
適用なし
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本開示は、一般的に、DNA増幅の分野に関し、より詳細には、配列依存的な様式での、DNAの任意のストレッチの増幅の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連分野の説明)
以下の説明は、本開示の理解において有用であり得る情報を含む。本明細書中に提供される任意の情報が、本願発明に対する先行技術であるとも、関連するとも認められず、詳細もしくは示唆的に参照されるいずれの文献も、先行技術であると認められない。
【0003】
遺伝的バリエーションと表現型の出現との間には、しばしば関連があることが周知である。遺伝的バリエーションとそれらに関連する表現型は、ゲノムDNAの表現型を決定する種々の方法を用いて研究されている。一ヌクレオチド多型(SNP)とは、異なる個体のゲノムにおける特定の位置での1つのヌクレオチドのバリエーションである。SNPは、遺伝子中に頻繁に見出される安定な遺伝的バリエーションであり、そして生物中に見出される広範な表現型のバリエーションに寄与する。SNP遺伝子型決定は、染色体の詳細な遺伝子マップおよび物理的マップの開発に有用である。個体の異なる染色体にわたり稠密に分配されたSNPマーカーの遺伝子型決定は、染色体遺伝子座と表現型発現と間の統計的に有意な関連を明らかにすることを補助し得る。しかし、広範な遺伝子型決定は、大量の遺伝物質を、獲得、運送、保存、および分類するための単純かつ迅速な方法を必要とするだけでなく、これらのサンプルから大量のDNAを抽出するための簡便で高スループットの方法を必要とする。
【0004】
組織サンプルおよび/または血液サンプルを獲得および保存するための種々の利用可能な方法が存在する。これらの代替の方法は、組織サンプルおよび血液サンプルが、遺伝子型分析のためのサンプルからゲノムDNAの回収に適する形態で保存され、そして輸送されることを可能にする。DNAサンプルは、種々の固体媒体(Whatmann(登録商標)紙、Guthrieカード、チューブ、スワブ、ろ紙、スライド、または他の容器を含む)上で収集および保存され得る。例えば、全血液がろ紙上に収集される場合、それは、室温で乾燥および蓄積され得る。
【0005】
DNAを固定および保存するための1つの公知かつより頻繁に使用される方法は、米国特許第5,496,562号に記載されている。本方法は、ゲノムDNAの分解を防ぐ、FTAペーパーと呼ばれる化学処理したろ紙(Whatman(登録商標)によりFTATMペーパーとして市販されている)上で乾燥した動物の血液サンプルを保存する工程を包含する。FTAペーパーは、軽量かつ保存が容易であり、このことにより、それは、遺伝物質および遺伝子サンプルを収集するための一般的な選択肢である。FTAペーパー上のサンプルは、室温で、簡便に保存および輸送される。
【0006】
DNAを含む血液および他の組織を保存するための当業者に利用可能な全ての物質は、制限を有する。例えば、収集される組織または血液の量が、非常に制限されており、このことは、大規模および高スループットの遺伝子型決定を実行不可能および高価にする。例えば、FTAペーパーの広範な有用性にも関わらず、保存された血痕がほんの少量のゲノムDNAを含むことに起因して、その有用性は限定される。6.0cmのFTAペーパー片は、わずか約100μlの血液(約1.0μgのDNAと等価)を保存する。より大きなFTAペーパー片からゲノムDNAを抽出することは可能であるが、このサイズのペーパーは、小さなウェルである96ウェルプレートまたは384ウェルプレート(これらの両方は、多数のDNAサンプルの高スループットのスクリーニングのための重要なツールである)における操作を困難にする。従って、FTAペーパーのようなツールの有用性は、低容量の遺伝子型決定に制限されてきた。
【0007】
FTAペーパー上に保存された限定された量のDNAはまた、単一の生物における複数の多型および遺伝子座の遺伝子型決定を実施不可能にする。FTAペーパーのサンプルは、複数のSNPを遺伝子型決定するためにより小さい小片に切断され得る;直径1.0mm〜2.0mmの小円のサンプルは、約1ng〜5ngのゲノムDNAを含み、この量は、1回のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に十分である。しかし、このアプローチは、FTAペーパーの繰り返しの切断、分類および抽出を必要とし、このことは、単調で退屈であるだけでなく、ヒューマンエラーを引き起こすので、このアプローチは望ましくない。数百または数千のSNPの遺伝子スキャンのために、FTAペーパー上に保存されたDNAサンプルを切断および分析する仕事は、調査者にとって克服できない壁である。
【0008】
さらに、DNAとFTAペーパーとの間の強力な粘着が、分析のためのDNAの抽出を困難にする。プロテイナーゼK消化およびエンドヌクレアーゼ消化は、製造者により示唆されるように、DNAの放出を容易にするが、このアプローチは、高スループットの操作のためには、非常に複雑かつ高価である。市販のFTA精製試薬(PCRTMによる分析のためにFTAペーパー上に保存されたDNAを調製するために用いられ得る)は、一貫した結果をもたらさない。例えば、DNAサンプルが、この試薬を用いて処理された後、しばしば不特定のDNA増幅が達成される。このことは、高スループットの操作において受け入れがたい。製造者はまた、FTAペーパーへのDNAの強力な粘着がFTAペーパー上に保存されたDNAの繰り返しの遺伝子型決定を可能にすることを示唆する。「リサイクルされた」FTAペーパーについてのPCR効率が完全に試験されていないという事実にも関わらず、連続的なSNP PCRの間での小さいFTAペーパーの洗浄は、高スループットのプロセスのためには非実用的である。浮遊するろ紙の小片は、従来の吸引により洗浄することは困難であり、そしてそれらは、吸引針またはピペットの先端を詰まらせる傾向がある。さらに、小片は、洗浄プロセスの間に容易に紛失される。最後に、PCR産物の繰り返しのピペッティングは、異なるウェルの中での相互汚染の危険に結びつく。
【0009】
生物由来の血液または組織の少量サンプルに関連する欠点は、全ゲノムDNA増幅の効率的な方法により克服される。例えば、FTAペーパー上で保存された少量のDNAサンプルから増幅された全ゲノムDNAが、複数のPCR反応において用いられて、高スループットのスクリーニングプロセスにおいて、単一の生物において見出される種々の多型(例えば、SNP)を広範に遺伝子型決定し得る。それにも関わらず、過去において、全ゲノム増幅のための多くの方法が提案され、かつ種々の適用において好首尾に用いられているが、これらの方法は、一般的に、非効率的で、複雑で、かつ高価である。従って、血液または組織の少量のサンプルからのゲノムDNAを増幅する、単純かつ費用に対する効果の高い方法に対する必要性が存在する。
【0010】
DNAを増幅するための第一の方法の1つは、顕微切断した染色体に適用されるリンカーアダプター媒介PCR(LAM−PCR)アプローチ(Zhouら、Bio Techniques 28:766−774,2000;Albaniら、Plant J 4(5):899−903,Nov 1993)、酵母人工染色体(YAC)DNA(Sutcliffeら、Genomics 13(4):1303−6,1992)およびゲノムDNA(Kinzlerら、Nucleic Acids Res 25:17(10):3645−53,May 1989)である。このアプローチにおいて、開始DNAは、最初に制限酵素(通常4つの塩基の認識配列を有する酵素)で消化される。制限酵素の不活化後、既知の配列(アダプターまたは合成リンカーのいずれか)が、制限酵素消化によって生成されたDNAフラグメントの末端に連結され、PCR増幅のためのプライマー結合部位を提供する。次いで、このDNAは、アダプターまたはリンカーの配列に相補的であるプライマーを使用するPCRによって増幅され得る。
【0011】
残念にも、LAM−PCRの有用性は制限される。なぜなら、これは、DNAフラグメント化、アダプター連結またはリンカー連結、およびPCR増幅を含む、多段階工程を含むからである。これらの工程は、このプロセスをハイスループット遺伝子型決定のためには面倒かつ高価にする。この方法のさらなる欠点は、使用される制限酵素の認識配列を適切に区切られた間隔で含まないその配列が、この領域が増幅するには長すぎるので、PCRによって増幅されないことである。この方法はまた、特に、少量のDNA(例えば、顕微切断した染色体片、または血痕もしくは組織の小サンプルに見出されるDNA)に適用される場合、フラグメントの両端に既知の配列を結合するために必要な、広範なDNA操作のために時間を浪費しかつ煩わしい。
【0012】
ゲノムDNAを増幅するために利用可能な別のより限定的な方法は、インター(inter)−ALU PCR(相互反復(inter−repetitive)エレメントPCRとしてより一般に知られる)を使用し、これは、適切に区切られかつ方向付けられたAUC反復エレメントまたは他の反復配列の存在に依存する。しかし、低頻度のこれらの反復配列に起因して、より低い複雑性のDNA供給源(例えば、YAC、コスミドまたはファージ)を用いると、相反する結果が得られる。反復配列がゲノムを通して均等に生じないので、他の相反性が生じ、よって必要な反復配列が稀であるかまたは存在しない領域に生じる目的の配列が、増幅されない。この方法の別の主要な制限は、この方法が種特異的であることである。例えば、この方法の使用は、反復エレメントが誘導される種のDNAおよびPCRプライマーが構築された種のDNAに制限される。
【0013】
縮重オリゴヌクレオチドプライムPCR(DOP−PCR)と称される方法は、部分的に縮重された配列(21個中6個)および反復熱サイクリング(Teleniusら、Genomics 13(3):718−25,1992)を利用する。DOP−PCR法において、第一ラウンドのPCR増幅は、約30℃の低いプライマーアニーリング温度を有する。使用したプライマーは、規定されたヘキサマーが3’側に隣接しかつ規定された配列が5’側に隣接するランダムヘキサマーから構成される。このプライマーの3’末端は規定されたヘキサマーを有するので、標的配列は、増幅されるためにこのヘキサマーに一致しなければならない。よって、この方法によって増幅される配列の数は制限される。DOP−PCR法の欠点は、制限された複雑性のDNA供給源(例えば、YAC、コスミドまたはファージ挿入物)に適用される場合にさらに実証される。生じた産物は、エチジウムブロミド染色したアガロースゲル上で(ランダムに増幅されたDNAを用いて生じるような)スメアではなくむしろ明瞭なバンドであり、このことは、ハイブリダイゼーションが比較的少ない部位で生じ、よって配列非依存的な増幅が得られない、ということを示す。
【0014】
ゲノムDNAを増幅する別の試みは、プライマー伸長前増幅(preamplification)(PEP)(Zhangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5847−5851,1992)であった。このPEP法は、15塩基対(bp)のランダムオリゴヌクレオチドおよび反復熱サイクリングを利用して、PCRのためのゲノムDNA中の複数の部位をランダムにプライムする。6塩基対(bp)のランダムオリゴヌクレオチドおよびPCRを利用する方法がまた、報告されている(Pengら、Clin.Pathol 47:605−608,1994)。PEPおよびDOP−PCRの両方が、いくつかの特定の用途において使用されるが、これらは、比較的低い増幅効率よって一貫して妨害される(Wellsら、Nucleic Acids Res 27:1214−1218,1999)。この低効率に対する可能な説明は、プライマーがランダムヌクレオチドを含みよって異なるオリゴヌクレオチドの大きなスペクトルを形成するので、任意の特異的プライマーの効果的な濃度が非常に低いということである(これは、PCRの指数的増幅を制限し得る)。さらに、ランダムオリゴヌクレオチドの非特異的結合は、前のラウンドのPCR産物内にDNA合成を開始する傾向がある。よって、PCR産物のサイズは、さらなるラウンドのPCR増幅の各々によって絶えず減少し、これは、特に、大多数のPCRサイクルが行われる場合、PCR最終産物を非常に小さくする。これらの小さなPCR産物は、引き続くDNAの遺伝子分析または遺伝子型決定分析のための、増幅されたDNAの大片として有用ではない。
【0015】
タグ化ランダムPCRと呼ばれるゲノムDNA増幅の別の方法が、Grothuesら(Nucleic Acids Res 21:1321−1322,1993)およびWongら(Nucleic Acids Res 24:3778−83,1996)によって記載された。この方法は、ランダムプライミングおよびPCR増幅を2工程に分離しそしてゲノムDNA全体を単一のPCRプライマーを用いて増幅することによって、PEPおよびDOP−PCRに関連する欠点を克服することを試みる。第一の増幅工程において、6bpまたは9〜15bpのランダムな3’テールおよび17〜22bpの一定な5’ヘッドから構成されるタグ化ランダムプライマーが、ゲノムDNAを無差別にプライムする。次に、組み込まれなかったタグ化プライマーが、Biogel P100スピンカラムまたはCentricon−100スピンカラムを使用するゲル濾過によって除去される。第二の増幅工程において、5’の一定なヘッドおよびその逆相補体を両端に備えたDNA分子が、PCRによって増幅される。このスキームは、ゲノムDNA全体を増幅し得るが、反応および精製のその複数工程は、ハイスループットスクリーニングにはかなり複雑かつ高価である。
【0016】
顕微切断した染色体バンドからのライブラリーの構築は、特に目的とするゲノム領域からDNAプローブを得るための鮮やかな方法である。このアプローチの適合可能性は、時間の浪費および顕微切断した材料からのDNAを増幅する技術的に困難なプロセスによって制限されてきた。伝統的には、20〜30個の顕微切断した染色体バンドからのDNAを、小滴中に回収する。次いで、DNAを、PCR増幅に使用する前に種々の操作に供する。これらの操作としては、フェノール/クロロホルム抽出、制限酵素消化およびベクターまたはリンカーへの連結(LAM−PCR)が挙げられる。これらの工程は、この技術の有用性を厳密に制限する特殊化された装置を備えた顕微鏡のステージ上で非常に少量で行われなければならない(Kaoら、Proc Natl Acad Sci USA 1:88(5):1984−8,1991)。
【0017】
酵母人工染色体(YAC)は、DNAの大きな広がりを詳細にマッピングするために理想的なベクターである。YACクローニング系の主要な不利益の1つは、YAC DNAを多量に精製するために利用可能な方法が存在しなかったことである。高分子量DNAは、酵母クローンを保有するYACから調製され得、そしてこのYACは、パルスフィールドゲルで単離され得る。しかし、このアプローチは、非常に少量の精製YAC DNAのみを得る。これは、主要な不利益である。なぜなら、これらの大きな挿入物の多くの重要な用途(例えば、cDNAライブラリーのスクリーニング、またはインサイチュハイブリダイゼーションにおける蛍光(FISH)分析)は、多量の精製YAC DNAを必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、ハイスループットスクリーニングに適合可能であり、配列非依存的であり、任意の型のDNAに適合可能であり、任意の種からのDNAの増幅に有用であり、そして最も重要なことに、かなり制限された量のDNAを増幅し得る、DNAサンプルを増幅するためのより効果的で安価な方法についての必要性が存在する。また、単純であり(PCR汚染問題を回避するため)、遺伝物質を再生する高忠実度を有し、そして低率の増幅配列の歪みを有する、増幅プロセスについての必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の簡単な説明)
本開示は、DNAを増幅するための単純かつ直接的な方法を提供することによって、他のDNA増幅法に固有の欠点を克服しようと努める。本開示の方法は、好ましくは、単一の反応混合物および単一のプログラム可能な熱サイクリング反応を使用する配列非依存的様式でDNAを増幅する。本方法を使用して、微量のDNA(小組織または血液サンプル(例えば、鋭利な針での吸引物または単一の組織切片)からのゲノムDNAまたはまさに単一細胞からのゲノムDNAを含む)を増幅し得る。本方法において使用される単一の反応混合物はまた、サンプルの汚染の危険性を非常に低減し、ハイスループットスクリーニングを容易にし、そして好ましい実施形態において、この単一の反応混合物中の全てのDNAを増幅するために単一の熱安定DNAポリメラーゼが含まれる。本方法は、任意の種または生物由来のDNAを増幅し得る。本開示が任意の供給源(ヒトDNA、動物DNA、植物DNA、酵母DNA、ウイルスDNA、真核生物DNAおよび原核生物DNAが挙げられるが、これらに限定されない)からのDNAの配列非依存的増幅を含むことが、理解される。
【0020】
本開示はまた、固体媒体上でDNAサンプルを処理するための改善された方法を提供する。遺伝子分析またはDNA増幅のための固体媒体上で保管されたDNAサンプルを調製する他の既知の方法は、不十分でありかつ相反するので、DNAサンプルから得られる情報の有用性を制限する。本開示の方法は、DNAサンプルの調製を非常に単純化しそして引き続く分析のためのDNAを改善することによって、これらの他の方法において固有の欠点を克服しようと努める。本開示の方法は、当業者に周知の方法を使用して固体媒体上にDNAサンプルを沈殿させる。好ましい実施形態において、DNAサンプルは、固体媒体上の血痕である。本開示の方法に従って処理されたDNAは、引き続いて本開示の方法および/または遺伝子分析を使用するDNA増幅に供され得る。本開示の沈殿方法は、より一定な結果を精製し、ハイスループット操作のコストを減らし、そしてDNAサンプルから増幅したDNAの質を改善する。
【0021】
本開示は、DNAサンプルからDNAを増幅する方法を含む。好ましい実施形態において、DNAを増幅する方法は、以下を含む反応混合物を使用する:DNAサンプル;3’末端にランダムなヌクレオチド配列およびそのランダムヌクレオチドの5’に一般的配列を有する第一のプライマー;ならびに、この第一のプライマーの一般的配列を有するがこの第一のプライマーのランダム配列を欠く第二のプライマー。好ましい実施形態において、単一の反応混合物が使用される。第一のプライマーの例は、配列番号1に示される配列であり;第二のプライマーの例は、配列番号2に示される配列である。好ましくは、反応混合物は、DNA増幅に必要な他の成分を含み、この成分は、当業者に周知である。
【0022】
反応混合物中のDNAサンプルは、第一のDNAポリメラーゼによるDNA増幅に供され、ここで、この第一のプライマーは、DNAにアニーリングして、第一のDNAポリメラーゼがこの第一のプライマーの3’末端から相補的DNA鎖を合成してDNA産物を生成することを可能にする。第一のDNAポリメラーゼによるDNA増幅のための工程は、以下である:DNA産物を変性する工程;第一のプライマーをこのDNAにアニーリングさせてDNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする工程;および、このDNA−プライマーハイブリッドをインキュベートして、この第一のDNAポリメラーゼがこのプライマーを伸長しかつDNA産物を合成することを可能にする工程。好ましくは、これらのDNA増幅工程が、少なくとも1回反復される。好ましい実施形態において、アニーリング温度およびインキュベーション温度は同一である。別の好ましい実施形態において、DNA増幅によって生成されたDNA産物は、一般的配列およびこの一般的配列の逆相補体に隣接する。
【0023】
次いで、このDNA産物は、熱安定DNAポリメラーゼによるDNA増幅に供される。ここで、第二のプライマーは、DNA産物にアニーリングして、この熱安定DNAポリメラーゼがこの第二のプライマーの3’末端から相補的DNA鎖を合成して第二のDNA産物を生成する。熱安定DNAポリメラーゼによるDNA増幅のための工程は、以下である:DNA産物を変性する工程;第二のプライマーをこのDNA産物とアニーリングさせてDNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする工程;および、このDNA−プライマーハイブリッドをインキュベートして、この熱安定DNAポリメラーゼが第二のDNA産物を合成することを可能にする工程。好ましくは、これらのDNA増幅工程が、約30〜約35回反復され、より好ましくは、約40回反復される。好ましい実施形態において、第二のDNA産物は、一般的配列およびこの一般的配列の逆相補体に隣接する。別の好ましい実施形態において、アニーリング温度は、第一のプライマーの3’末端でのランダムなヌクレオチド配列の最適アニーリング温度より高い。
【0024】
好ましい実施形態において、第一のDNAポリメラーゼは、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性またはプライマー置換活性を有する。この第一のDNAポリメラーゼは、好ましくは、E.coli DNAポリメラーゼIであり、熱安定DNAポリメラーゼは、好ましくは、Taq DNAポリメラーゼである。別の好ましい実施形態において、第一のDNAポリメラーゼおよび熱安定DNAポリメラーゼは同一のDNAポリメラーゼであり、このDNAポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼである。
【0025】
別の好ましい実施形態において、第一のプライマーは、約4個〜約8個のランダムなヌクレオチドをその3’末端で有する。より好ましい実施形態において、第一のプライマーは、約6個のランダムなヌクレオチドをその3’末端で有する。好ましくは、第一のプライマーの一般的配列は、約15〜約28ヌクレオチド長であり、より好ましくは、約20〜約25ヌクレオチド長である。第一のプライマーのランダムヌクレオチドはまた、G:CリッチであるかまたはA:Tリッチであり得、好ましくは、このDNAサンプルの特定の領域を増幅する。最終的に、第一のプライマーの一般的配列は、好ましくは、単一または複数の制限酵素認識部位を有し、これは、増幅したDNA産物のサブクローニングを容易にする。
【0026】
好ましい実施形態において、DNAサンプルは、ゲノムDNA、顕微切断した染色体DNA、酵母人工染色体(YAC)DNA、コスミドDNA、ファージDNA、P1由来人工染色体(PAC)DNA、または細菌人工染色体(BAC)DNAである。別の好ましい実施形態において、DNAサンプルは、哺乳動物DNA、植物DNA、酵母DNA、ウイルスDNA、または原核生物DNAである。なお別の好ましい実施形態において、DNAサンプルは、ヒト、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、げっ歯類、トリ、魚、エビ、植物、酵母、ウイルスまたは細菌より得られる。好ましくは、DNAサンプルは、ゲノムDNAであり、ここでDNAを増幅する方法は、蛍光標識を用いるDNA標識を含む。別の好ましい実施形態において、DNAサンプルは、ウシDNAである。好ましくは、DNAサンプルは、固体媒体上の組織であり、ここで、この組織は血液、好ましくは、血痕の形態である。好ましい実施形態において、固体媒体は、ろ紙であり、ここで、このろ紙は、化学的に処理される(例えば、FTATM紙)。好ましい実施形態において、血痕は、哺乳動物由来であり、この哺乳動物は、好ましくは、ヒト、ウシまたはブタである。DNAサンプルとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない当業者に周知の多くの供給源より得られ得る:口腔スワブ、鼻スワブ、血液、臍帯血、羊水、胎児組織、髪、内皮細胞、蹄クリッピング、または爪クリッピング。
【0027】
別の好ましい実施形態において、DNAを増幅する方法は、増幅したDNA産物のさらなる遺伝子型分析を含む。あるいは、DNAを増幅する方法は、好ましくは、増幅したDNA産物中の一ヌクレオチド多型(SNP)を同定する工程を包含する。好ましい実施形態において、SNPを同定するための当業者に周知の多くの方法(以下が挙げられるが、これらに限定されない)によって、SNPは、生物のDNA中に同定され得る:DNA配列決定、PCR産物を増幅しそしてPCR産物を配列決定すること、オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)、二重コードOLA、単一塩基伸長アッセイ、対立遺伝子特異的プライマー伸長、またはミスマッチハイブリダイゼーション。好ましくは、同定されたSNPは、疾患表現型および所望の表現型特性を含む表現型に関連する。本開示のDNA増幅法を使用することによって生成された増幅DNAをまた使用して、DNAライブラリー(以下が挙げられるが、これらに限定されない)を生成し得る:ゲノムDNAライブラリー、顕微切断した染色体DNAライブラリー、BACライブラリー、YACライブラリー、PACライブラリー、cDNAライブラリー、ファージライブラリー、およびコスミドライブラリー。
【0028】
本開示の別の局面は、以下を含む反応混合物を使用する好ましいDNA増幅法である:DNAサンプル;3’末端にランダムなヌクレオチド配列およびそのランダムヌクレオチドの5’に一般的配列を有する第一のプライマー;この第一のプライマーの一般的配列を有するがこの第一のプライマーのランダム配列を欠く第二のプライマー;ならびに、熱安定DNAポリメラーゼ。好ましい実施形態において、単一の反応混合物が使用される。好ましくは、この反応混合物はまた、DNA増幅に必要な他の成分を含み、この成分は、当業者に周知である。好ましい実施形態において、この熱安定DNAポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼであり、DNAサンプルは、固体媒体上の血痕であり、そしてこのDNAサンプルは、好ましくは、固体媒体上で脱水される。
【0029】
反応混合物中のDNAサンプルは、DNA増幅に供される。ここで、第一のプライマーは、DNAにアニーリングして、熱安定DNAポリメラーゼに、この第一のプライマーの3’末端から相補的DNA鎖を合成させてDNA産物を産生させる。熱安定DNAポリメラーゼによるDNA増幅のための工程は、以下である:DNA産物を変性する工程;第一のプライマーをこのDNAとアニーリングさせてDNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする工程;および、このDNA−プライマーハイブリッドをインキュベートして、この熱安定DNAポリメラーゼがDNA産物を合成することを可能にする工程。好ましくは、これらのDNA増幅工程が、少なくとも1回反復される。好ましい実施形態において、アニーリング温度およびインキュベーション温度は同一である。別の好ましい実施形態において、このDNA増幅によって生成されるDNA産物は、一般的配列およびこの一般的配列の逆相補体に隣接する。
【0030】
次いで、このDNA産物は、熱安定DNAポリメラーゼによるDNA増幅に供される。ここで、第二のプライマーは、DNA産物にアニーリングして、この熱安定DNAポリメラーゼがこの第二のプライマーの3’末端から相補的DNA鎖を合成して第二のDNA産物を産生する。熱安定DNAポリメラーゼによるDNA増幅のための工程は、以下である:DNA産物を変性する工程;第二のプライマーをこのDNA産物とアニーリングさせてDNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする工程;および、このDNA−プライマーハイブリッドをインキュベートして、この熱安定DNAポリメラーゼに第二のDNA産物を合成させる工程。好ましくは、これらのDNA増幅工程が、約30〜約35回反復され、より好ましくは、約40回反復される。好ましい実施形態において、第二のDNA産物は、一般的配列およびこの一般的配列の逆相補体に隣接する。別の好ましい実施形態において、アニーリング温度は、第一のプライマーの3’末端でのランダムなヌクレオチド配列の最適アニーリング温度より高い。
【0031】
別の好ましいDNA増幅法において、以下を含む反応混合物を提供する:DNAサンプル(ここで、このDNAサンプルは、固体媒体上の組織である);3’末端にランダムなヌクレオチド配列およびそのランダムヌクレオチドの5’に一般的配列を有する第一のプライマー;この第一のプライマーの一般的配列を有するがこの第一のプライマーのランダム配列を欠く第二のプライマー;ならびに、熱安定DNAポリメラーゼ。好ましい実施形態において、単一の反応混合物が使用される。好ましい実施形態において、好ましくは、固体媒体上の組織は、血液である。別の好ましい実施形態において、固体媒体は、ろ紙であり、このろ紙は、化学的に処理される。このDNAサンプルは、好ましい実施形態において、ろ紙上で脱水される。好ましくは、反応混合物はまた、DNA増幅に必要な他の成分を含み、この成分は、当業者に周知である。好ましくは、この熱安定DNAポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼであり、このDNAサンプルは、固体媒体上の血痕であり、そしてこのDNAサンプルは、好ましくは、固体媒体上で脱水される。
【0032】
反応混合物中のDNAサンプルは、熱安定DNAポリメラーゼによるDNA増幅に供される。ここで、第一のプライマーは、DNAにアニーリングして、熱安定DNAポリメラーゼに、この第一のプライマーの3’末端から相補的DNA鎖を合成させてDNA産物を産生させる。熱安定DNAポリメラーゼによるDNA増幅のための工程は、以下である:DNA産物を変性する工程;第一のプライマーをこのDNAとアニーリングさせてDNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする工程;および、このDNA−プライマーハイブリッドをインキュベートして、この熱安定DNAポリメラーゼがDNA産物を合成することを可能にする工程。好ましくは、これらのDNA増幅工程が、少なくとも1回反復される。好ましい実施形態において、アニーリング温度およびインキュベーション温度は同一である。別の好ましい実施形態において、このDNA増幅によって生成されるDNA産物は、一般的配列およびこの一般的配列の逆相補体に隣接する。
【0033】
次いで、このDNA産物は、熱安定DNAポリメラーゼによるDNA増幅に供される。ここで、第二のプライマーは、DNA産物にアニーリングして、この熱安定DNAポリメラーゼがこの第二のプライマーの3’末端から相補的DNA鎖を合成して第二のDNA産物を生成する。熱安定DNAポリメラーゼによるDNA増幅のための工程は、以下である:DNA産物を変性する工程;第二のプライマーをこのDNA産物とアニーリングさせてDNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする工程;および、このDNA−プライマーハイブリッドをインキュベートして、この熱安定DNAポリメラーゼが第二のDNA産物を合成することを可能にする工程。好ましくは、これらのDNA増幅工程が、約30〜約35回反復され、より好ましくは、約40回反復される。好ましい実施形態において、第二のDNA産物は、一般的配列およびこの一般的配列の逆相補体に隣接する。別の好ましい実施形態において、アニーリング温度は、第一のプライマーの3’末端でのランダムなヌクレオチド配列の最適アニーリング温度より高い。
【0034】
本開示の別の局面は、以下を用いる多型を同定する好ましい方法である:DNAサンプル;3’末端にランダムなヌクレオチド配列およびそのランダムヌクレオチドの5’に一般的配列を有する第一のプライマー;ならびに、この第一のプライマーの一般的配列を有するがこの第一のプライマーのランダム配列を欠く第二のプライマー。好ましい実施形態において、単一の反応混合物が使用される。好ましくは、この反応混合物はまた、DNA増幅に必要な他の成分を含み、この成分は、当業者に周知である。好ましい実施形態において、増幅したDNA産物は、多型を同定するために分析され、好ましくは、この多型は、一ヌクレオチド多型(SNP)である。SNPを同定する方法は、当業者に周知である。SNPを同定する好ましい実施形態において、SNPは、DNA配列決定、オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)、二重コードOLA、単一塩基伸長アッセイ、対立遺伝子特異的プライマー伸長、またはミスマッチハイブリダイゼーションによって同定される。
【0035】
反応混合物中のDNAサンプルは、第一のDNAポリメラーゼによるDNA増幅に供される。ここで、第一のプライマーは、DNAにアニーリングして、この第一のDNAポリメラーゼに、この第一のプライマーの3’末端から相補的DNA鎖を合成させてDNA産物を生成させる。第一のDNAポリメラーゼによるDNA増幅のための工程は、以下である:DNA産物を変性する工程;第一のプライマーをこのDNAとアニーリングさせてDNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする工程;および、このDNA−プライマーハイブリッドをインキュベートして、この第一のDNAポリメラーゼがDNA産物を合成することを可能にする工程。好ましくは、これらのDNA増幅工程が、少なくとも1回反復される。好ましい実施形態において、このDNA増幅によって生成されるDNA産物は、一般的配列およびこの一般的配列の逆相補体に隣接する。
【0036】
次いで、このDNA産物は、熱安定DNAポリメラーゼによるDNA増幅に供される。ここで、第二のプライマーは、DNA産物にアニーリングして、この熱安定DNAポリメラーゼが増幅DNA産物を生成することを可能にする。熱安定DNAポリメラーゼがDNA産物にアニーリングした第二のプライマーの3’末端から相補的DNA鎖を合成する場合に、この増幅DNA産物が生成される。熱安定DNAポリメラーゼによるDNA増幅のための工程は、以下である:DNA産物を変性する工程;第二のプライマーをこのDNA産物とアニーリングさせてDNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする工程;および、このDNA−プライマーハイブリッドをインキュベートして、この熱安定DNAポリメラーゼが増幅DNA産物を合成することを可能にする工程。次いで、この増幅DNA産物は、好ましくは、多型を同定するために分析される。好ましくは、これらのDNA増幅工程が、約30〜約35回反復され、より好ましくは、約40回反復される。好ましい実施形態において、この増幅DNA産物は、一般的配列およびこの一般的配列の逆相補体に隣接する。別の好ましい実施形態において、アニーリング温度は、第一のプライマーの3’末端でのランダムなヌクレオチド配列の最適アニーリング温度より高い。
【0037】


本開示の別の局面は、増幅されるべきDNAサンプル;その3’末端にヌクレオチドのランダム配列を有し、そしてそのランダム配列の5’側に一般的配列を有する、第一プライマー;ならびにこの第一プライマーの一般的配列を有し、そしてこの第一プライマーのランダム配列を欠く、第二プライマー、を含む反応混合物を使用する、DNAを増幅するための好ましい方法である。好ましくは、この反応混合物はまた、当業者に周知のDNA増幅に必要な他の成分を含む。好ましい実施形態において、このDNAサンプルは、固体媒体上の組織であり、そしてこのDNAサンプルは、好ましくは固体媒体上で脱水されている。
【0038】
反応混合物中のDNAサンプルは、増幅されるべきDNAを変性させる温度まで加熱され、第一プライマーのランダム配列がその相補的DNAにハイブリダイズすることを可能にする温度まで冷却され、そしてDNAポリメラーゼによるDNA産物の合成を可能にするようにインキュベーションされる。好ましい実施形態において、このDNAポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼである。好ましくは、この反応混合物を加熱、冷却およびインキュベートする工程は、少なくとも1回繰り返される。別の好ましい実施形態において、このDNA産物は、一般的配列および一般的配列の逆相補体によって隣接される。
【0039】
一連のDNA増幅反応は、このDNA産物を用いて実施され、ここで、このアニーリング工程は、このDNA産物中の相補的DNAにハイブリダイズする第一プライマーのランダム配列よりも、このDNA産物中の相補的DNAにハイブリダイズする第二プライマーの一般的配列を選択する温度で行われる。好ましくは、このDNA増幅反応は、第二プライマーの3’末端から相補的なDNA鎖を合成して、増幅DNA産物を生成する、熱安定性DNAポリメラーゼを含む。熱安定性DNAポリメラーゼによるDNA増幅のための工程は、DNA産物を変性させる工程;このDNA産物に第二のプライマーをアニーリングさせて、DNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする工程;ならびにDNA−プライマーハイブリッドをインキュベートして、熱安定性DNAポリメラーゼに増幅DNA産物を合成させる工程、である。好ましくは、一連のDNA増幅反応は、約30〜約35回の反応、そしてより好ましくは約40回の反応を含む。好ましい実施形態において、DNA増幅反応の産物は、一般的配列および一般的配列の逆相補体によって隣接される。
【0040】
本開示の好ましい実施形態は、固体媒体上のDNAサンプルを増幅する方法であり、この方法は、この固体媒体上のDNAサンプルを沈殿させる工程、およびこの沈殿したDNAを、増幅DNA産物を生成するためのDNA増幅に供する工程、を包含する。好ましくは、この固体媒体は、ろ紙であり、このろ紙は、化学的に処理されている。好ましい実施形態において、このDNAサンプルは、このろ紙上で脱水されている。別の好ましい実施形態において、このDNAサンプルは組織であり、この組織は血液である。
【0041】
固体媒体上のDNAサンプルは、好ましくは、塩およびアルコールによって沈殿され、そしてアルコールによってリンスされる。好ましくは、DNAを沈殿させるために使用される塩は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムであり;好ましくは、使用されるアルコールは、エタノールまたはイソプロパノールである。好ましい実施形態において、生成された増幅DNA産物は、遺伝子型決定分析に供されるか、またはDNA産物中の多型(好ましくは、一ヌクレオチド多型(SNP))が同定される。このSNPは、当業者に周知の多数の技術(好ましくは、DNA配列決定、オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)、二重コードOLA、一塩基伸長アッセイ、対立遺伝子特異的プライマー伸長またはミスマッチハイブリダイゼーションを含む)によって同定され得る。
【0042】
本開示の別の局面は、多型を同定する好ましい方法であり、この方法は、固体媒体上のDNAサンプルを沈殿させ、そして、沈殿したDNAサンプル;その3’末端にヌクレオチドのランダム配列を有し、そしてこのランダムヌクレオチドの5’側に一般的配列を有する第一プライマー;ならびにこの第一プライマーの一般的配列を有し、かつ第一プライマーのランダム配列を欠く第二プライマー、を含む反応混合物を使用する。好ましい実施形態において、単一の反応混合物が使用される。好ましくは、この反応混合物はまた、当業者に周知の、DNA増幅のために必要な他の成分を含む。好ましい実施形態において、この増幅DNA産物は、多型を同定するために分析され、そして好ましくはこの多型は、一ヌクレオチド多型(SNP)である。SNPを同定する方法は、当業者に周知である。SNPを同定する好ましい実施形態において、このSNPは、DNA配列決定、オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)、二重コードOLA、一塩基伸長アッセイ、対立遺伝子特異的プライマー伸長またはミスマッチハイブリダイゼーションによって同定される。
【0043】
反応混合物中のDNAサンプルは、第一のDNAポリメラーゼによるDNA増幅に供され、ここで、第一プライマーは、DNAにアニールして、この第一のDNAポリメラーゼが、第一プライマーの3’末端から相補的DNA鎖を合成して、DNA産物を生成する。第一のDNAポリメラーゼによるDNA増幅のための工程は、DNA産物を変性させる工程;第一プライマーをこのDNAにアニールさせて、DNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする工程;および第一のDNAポリメラーゼにDNA産物を合成させるように、このDNA−プライマーハイブリッドをインキュベートする工程、である。好ましくは、これらのDNA増幅工程は、少なくとも1回繰り返される。好ましい実施形態において、このDNA増幅によって生成されるDNA産物は、一般的配列および一般的配列の逆相補体によって隣接される。
【0044】
次いで、このDNA産物は、熱安定性DNAポリメラーゼによるDNA増幅に供され、ここで、第二プライマーは、このDNA産物に結合して、熱安定性DNAポリメラーゼに第二のDNA産物を生成させる。この第二のDNA産物は、熱安定性DNAポリメラーゼが、このDNA産物にアニールした第二プライマーの3’末端から相補的DNA鎖を合成する場合に生成される。この熱安定性DNAポリメラーゼによるDNA増幅のための工程は、DNA産物を変性させる工程;第二プライマーをこのDNA産物にアニールさせて、DNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする工程;およびこの熱安定性DNAポリメラーゼに第二のDNA産物を合成させるように、このDNA−プライマーハイブリッドをインキュベートする工程、である。次いで、増幅DNA産物は、好ましくは、多型を同定するために分析される。好ましくは、これらのDNA増幅工程は、約30〜約35回、そしてより好ましくは約40回繰り返される。好ましい実施形態において、第二のDNA産物は、一般的配列および一般的配列の逆相補体によって隣接される。別の好ましい実施形態において、アニーリング温度は、第一プライマーの3’末端のヌクレオチドのランダム配列の最適なアニーリング温度よりも高い。
【0045】
好ましい実施形態において、この固体媒体は、ろ紙であり、このろ紙は、化学的に処理されている。別の好ましい実施形態において、このDNAサンプルは、このろ紙上で脱水されている。好ましくは、このDNAサンプルは組織であり、この組織は血液である。この固体媒体上のDNAサンプルは、好ましくは、塩およびアルコールによって沈殿され、そしてアルコールによってリンスされる。好ましくは、DNAを沈殿させるために使用される塩は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムであり;好ましくは、使用されるアルコールは、エタノールまたはイソプロパノールである。
【0046】
本開示のDNA増幅方法は、少量のDNAを増幅するために有用であり、DNAサンプル中の複数の部位が、高スループットスクリーニングのために遺伝子型決定されることを可能にする。さらに、本発明の方法は、任意の染色体領域についての、バンド特異的なペインティング(painting)プローブの迅速な構築を可能にし、そして異常な核型中の同定不能な染色体領域またはマーカー染色体を微小裁断および増幅するために、使用され得る。本開示の方法は、また、DNAライブラリーを配列決定または生成するための、増幅DNAの迅速なクローニングを可能にする。従って、本方法は、遺伝子型決定分析および高スループットスクリーニングのための有益なツールであるだけでなく、細胞遺伝学的診断においても有益なツールであるはずである。
【0047】
(発明の詳細な説明)
限定された量のゲノムDNAの遺伝的分析は、しばしば、DNA法医学、古生物学、遺伝的疾患分析および遺伝子連鎖分析、ならびに遺伝的多様性分析の分野において生じる。これらの分野の各々における分析および研究は、ゲノムDNAおよび他の型のDNAサンプルを配列非依存的な様式で増幅するための有効かつ安価な方法が利用可能であれば、大いに改善される。増幅されたゲノムDNAを使用する、少量のDNAサンプルのより広範な遺伝的分析は、上記の分野の各々において広範な利点を提供する。さらに、一倍体または二倍体のいずれかの単一細胞由来のゲノムDNAを増幅し得る方法は、例えば、移植前の胚、妊娠女性の末梢血中の胎児細胞、精子または卵母細胞由来の個々の細胞の、より完全な遺伝的分析を可能にする。本開示において示されるDNA増幅方法は、限定された出発物質からDNAを増幅するために、上記の分野のいずれかにおいて利用され得、それにより、広い範囲のDNAサンプルのより完全な遺伝的分析を可能にする。さらに、これらの方法は、DNAサンプルの、広範な高スループットスクリーニングのために実用的である。
【0048】
当業者は、DNA増幅における基本的な工程が、熱変性、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング、ならびにDNAポリメラーゼによる相補的DNAの伸長であることを理解する。変性、アニーリングおよび伸長の工程は、DNA増幅の1サイクルを構成する。熱変性工程において、温度は、二重鎖DNAを一本鎖DNAへと変性させるのに十分な温度まで上昇される。次に、アニーリング工程の間、この温度は、一本鎖DNAへのオリゴヌクレオチドプライマーのアニーリングを容易にする温度まで低下される。最後に、伸長の間、インキュベーション温度は、DNAポリメラーゼが、アニールしたプライマーの3’末端から相補的DNAを合成することを可能にする。DNA増幅のための本開示の方法において、サンプルDNA、その3’末端にランダムヌクレオチドおよびその5’末端に一般的配列を有する第一プライマー、ならびに第一プライマーの一般的配列を有する第二プライマーが、単一の反応混合物中に一緒に配置される。次いで、このサンプルDNAは、第一セットの反応および第二セットの反応を使用して増幅され、これらの反応の各々は、変性、アニーリングおよび伸長の工程を含む。
【0049】
第一セットのDNA増幅反応は、二本鎖DNAサンプルを一本鎖状態に変性することによって開始し、これにより、プライマーがこのDNAにアニーリングできるようになる。次に、反応温度は、第一プライマーの3’末端のランダムヌクレオチドがこのDNAにアニールして、ハイブリッド二重鎖を形成することを可能にする温度まで低下される。ハイブリッド二重鎖の形成後、反応混合物中に存在するDNAポリメラーゼが、インキュベーション時間の間に、第一プライマーの3’末端から相補的DNA鎖を伸長する。このDNAポリメラーゼは、好ましくは、5’から3’方向のエキソヌクレアーゼ活性を有し、その結果、このポリメラーゼは、同じDNA鎖のさらに下流にアニーリングした他の第一プライマーを除去し得、従って、第一セットの反応の間に、より長い相補的DNA鎖が合成されることを可能にする。あるいは、このDNAポリメラーゼは、類似の結果を達成するプライマー置換活性を有し得る。プライマー置換活性は、DNAポリメラーゼが相補的DNA鎖を合成しながらDNA鎖に沿って移動し、そしてこのDNAにアニールした別のプライマーに遭遇する場合に、プライマーが置換され、そしてポリメラーゼ反応が進行することを意味する。この活性はまた、より長い重合産物を生じる。アニーリング工程よびインキュベーション工程は、好ましくは異なる温度で実施されるが、アニーリング工程およびインキュベーション工程の両方は、DNAポリメラーゼが第一セットの反応における温度で活性である場合には、同じ温度で生じ得る。
【0050】
上記のDNA増幅の最初のサイクルの後、新たに合成された相補的DNA鎖は、その5’末端に第一プライマーの一般的配列(この配列は、第一プライマーの3’末端が相補的DNA鎖を合成するための出発点として使用された場合に、この鎖に組み込まれた)を有する(図1を参照のこと)。変性、アニーリングおよび伸長の上記工程は、繰り返され得、そして一般的には、第一セットの反応の間に少なくとも1回繰り返されるべきである。第一セットの反応の第二サイクルの変性工程は、5’側の一般的配列を有する新たな第一サイクルのDNA鎖を、元のDNA鎖から区別する。変性後、新たな第一サイクルのDNA鎖は、別のラウンドのアニーリングおよび伸長のために、この反応混合物中に存在する第一プライマーにとって利用可能である。
【0051】
第一セットの反応の第二サイクルの間、第一プライマーは、第一サイクルのDNA鎖にアニールし、DNAポリメラーゼは、第一プライマーの3’末端から相補鎖を伸長し、そして新たに合成された相補的DNAは、もう一度、その配列へと第一プライマーの5’末端を組み込む。この新たな第二サイクルのDNAフラグメントはまた、その3’末端に一般的配列の逆相補体を有する。なぜなら、DNAポリメラーゼは、その5’末端に一般的配列を有する、第一サイクルのDNA鎖の全長相補的DNA産物を合成するからである。従って、第一セットの反応の間に増幅されたDNAフラグメントは、フラグメントの一端に一般的配列を有し、そして他端にその逆相補体を有する。一般的配列およびその逆相補体に隣接する、第一セットの反応のこれらのDNA産物は、ここで、第二プライマーを用いる第二セットの反応の間に、容易に増幅され得る。この第二プライマーは、第一プライマーと同じ一般的DNA配列を有するが、その3’末端にランダムヌクレオチドを有さない。
【0052】
第一セットの反応のDNA産物は、引き続き、単一の反応混合物中に存在する第二プライマーを用いて増幅される。これらのDNA産物の変性後、反応温度は、この第二プライマーがこのDNA産物の末端にて一般的配列にアニーリングするように低下される。第二セットの反応に使用されるアニーリング温度は、一般に、第一セットの反応において使用されるアニーリング温度よりも高い。第二セットの反応において使用されるアニーリング温度は、第一プライマーのヌクレオチドのランダム配列の最適なアニーリング温度よりも高くあるべきである。より高い温度は、第二セットの反応において、その3’末端に位置するランダムヌクレオチド配列を介して、第一プライマーによるランダムプライミングを最小化または防止する。この特徴は、第二セットの反応の間に、単一反応混合物から、任意の残留する第一プライマーが除去される必要性を排除する。
【0053】
第二プライマーがDNA産物の末端にアニールした後、熱安定性DNAポリメラーゼが、第二プライマーの3’末端から相補的DNA鎖を伸長する。第二セットの反応は、好ましくは合計約30〜約40サイクルを使用して、このDNA産物の指数関数的な増幅を達成するために、変性、アニーリングおよび伸長の上記工程を繰り返すことを含む。最終的な増幅DNAは、DNA中の複数の部位(SNP、単一縦列反復(STR)、制限フラグメント長多型(RFLP)、変動性縦列反復数(VNTR)、複合縦列反復(CTR)、マイクロサテライト、欠失、置換または挿入のような多型を含む)を遺伝子型決定するために増幅DNAを利用するような、種々の技術を使用する広範な分析の用意ができている。あるいは、増幅DNAは、種々の供給源からDNAライブラリーを生成するために使用され得る。
【0054】
任意の型のDNAサンプルが、本開示の方法を使用して増幅され得る。なぜなら、この方法は、ごく微量のDNAを増幅し得る配列非依存的なDNA増幅方法であるからである。1つの好ましい実施形態において、このDNAサンプルは、ゲノムDNA、微小裁断された染色体DNA、酵母人工染色体(YAC)DNA、P1由来の人工染色体(PAC)DNA、コスミドDNA、ファージDNAまたは細菌性人工染色体(BAC)DNAである。別の好ましい実施形態において、このDNAサンプルは、組織、血液または単一細胞である。好ましくは、このDNAサンプルは、生物から容易に獲得され得、そして保存が容易である。このDNAサンプルは、任意の種または生物(ヒト、哺乳動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、げっ歯類、鳥類、魚類、ゼブラフィッシュ、エビ、植物、酵母、ウイルスまたは細菌が挙げられるが、これらに限定されない)から獲得され得る。
【0055】
開示された方法によるDNA増幅のために適切なゲノムDNAを含む組織または血液のDNAサンプルは、例えば、頬のスワブ、鼻のスワブ、髪、マウスウォッシュ、臍帯血、羊水、胎児組織、内皮細胞、足のクリッピング(hoof clipping)、または指の爪のクリッピング(fingernail clipping)から簡便に得られ得る。パラフィン包埋した組織中のゲノムDNAはまた、開示される方法を用いて増幅され得る。本開示のDNA増幅法は、単一細胞(着床前の胚、妊婦の末梢血中の胎児細胞、精子もしくは卵細胞から単離された単一細胞、または任意の組織由来の単一細胞が挙げられるが、これらに限定されない)由来のゲノムDNAを増幅させ得る。単一細胞は、フローサイトメトリー(Herzenbergら、Proc Natl Acad Sci USA 76:1453−55,1979;Iversonら、Prenatal Diagnosis 1:61−73,1981;Bianchiら、Prenatal Diagnosis 11:523−28,1991)を含む種々の方法(これらは、蛍光活性化細胞選別(FACS)、磁気活性化細胞選別(MACS,Ganshirt−Ahlertら、Am J Obstet Gynecol 166:1350,1992)、または両方の手順の組み合わせを利用し得る)を用いて単離され得る。さらに、勾配遠心分離法およびフローサイトメトリー法の組み合わせはまた、単離効率または選別効率を増加させるために使用され得る。1つの好ましい実施形態において、DNAサンプルは、開示された方法を用いるDNA増幅の前に、精製されるか、またはプロテイナーゼKによって処理される必要はない。
【0056】
本発明の開示のDNA増幅法において使用される第一プライマーは、好ましくは、その3’末端に約4〜約9のランダムヌクレオチドを有する。好ましい実施形態において、第一プライマーは、その3’末端に、5、6、7、または8のランダムヌクレオチドを有する。第一プライマーはまた、その5’末端に、約10〜約30、そして好ましくは、約15〜約25のヌクレオチドの一般的な配列を有する。好ましい実施形態において、この第一プライマーは、その5’末端に16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチドまたは24ヌクレオチドの一般的な配列を有する。ヌクレオチドのランダム配列、およびランダムヌクレオチドの5’側の一般的な配列は、第一プライマーに隣接し得る。あるいは、1つ以上のヌクレオチドは、ヌクレオチドのランダム配列と第一プライマーにおけるランダムヌクレオチドの5’側の一般的な配列との間に挿入され得る。第一プライマーはまた、5’側に一般的な配列のさらなるヌクレオチドを有し得る。第一プライマーの例としては、配列番号1と指定された配列であり、ここで、Nは、ランダムヌクレオチドを示す。ヌクレオチドのランダム配列は、任意のヌクレオチドから構成され得、例えば、任意の順のG、A、TまたはCである。これらの文字記号は、グアニンヌクレオチドについてはG,アデニンヌクレオチドについてはA、チミンヌクレオチドについてはT、そしてシトシンヌクレオチドについてはCを示すことが理解される。ランダムヌクレオチドはまた、ヌクレオチドアナログ、および当業者に周知の他の改変されたヌクレオチドを含み得る。
【0057】
理論上、第一プライマーは、プライマーのランダム部分の各位置において、これらのヌクレオチドの全組み合わせを含み得る。従って、第一プライマーの3’末端のランダムヌクレオチドは、標的DNAセグメントの至る所のランダムな部位に相補的であり得る。ヌクレオチドのランダム配列が、第一プライマー中により長いほど、標的配列はゲノム中により低頻度で生じ、従って、第一プライマーは標的DNAセグメントにより低頻度でアニーリングする。さらに、第一プライマーのランダム配列は、ヌクレオチドAおよびT、またはヌクレオチドGおよびCが豊富になるように設計され得、サンプルDNAにおける特定領域(例えば、A:Tリッチ領域あるいはG:Cリッチ領域)の優先的な増幅を可能にする。ヌクレオチドのランダム配列を生成するために、4つのヌクレオチドの任意の比を使用することは、当業者において周知である。
【0058】
例として、第一プライマーの3’末端が5つのランダムヌクレオチドを有する場合、特定の増幅について第一プライマーのランダムセグメント内に4(すなわち、1,024)の異なる配列が存在する。これらの配列の相補体は、DNAサンプルの変性したDNAセグメント全体に両方向でランダムに生じる。両方向によって、プライミングは、増幅されるべき溶解したDNA二重鎖の両鎖において生じることが意味される。
【0059】
本明細書中において使用されるように、用語「一般的な配列」は、有用なDNA増幅プライマーである任意のDNA配列をいう。第二プライマーの例は、配列番号2に示される配列である。従って、一般的な配列は、好ましくは、任意の明らかな自己相同性も、同一のヌクレオチドの並びも有さず、そして、一般的な配列は、好ましくは、過度にG:CリッチまたはA:Tリッチでない。自己相同性、またはプライマーの別の領域における配列に対して相補的である1領域中の配列を含むプライマーは、内部ヘアピン二重鎖を形成し、従って、サンプルDNAにハイブリダイズすることが不可能である。また、G:C対は3つの水素結合を含み、そしてA:T対は2つの水素結合を含むので、ヌクレオチドGまたはC(単独または組み合わせ)の不均等な高含有量を有するプライマーは、高含有量のAおよびTから構成されるプライマーよりもより高い融点を有する。当業者は、開示されるDNA増幅方法において、より高いかまたはより低い温度に対して、第一プライマーおよび第二プライマーのアニーリング温度を操作するこの特長を使用し得る。上記の限定において、開示される方法を用いてDNAを増幅するために使用され得る任意の一般的な配列は、本発明の開示の範囲内であることが企図される。
【0060】
反応の第二セットにおいて使用される第二プライマーの配列は、第一プライマーのランダムヌクレオチド配列の5’側の一般的なヌクレオチド配列と同一である。第二プライマーは、その5’末端にさらなるヌクレオチドを有し得るものの、これは、DNA増幅反応のアニーリング温度に影響し得る。第二プライマーはまた、その3’末端にさらなるヌクレオチドを有し得るが、これらは、反応の第一セットのDNA産物に普遍的に結合および増幅する第二プライマーの能力を減少させることによって、DNA増幅反応の第二セットの間に、DNA産物を均質に増幅させるプライマーの能力を妨害し得る。従って、第二プライマーは、好ましくは、その3’末端にさらなるヌクレオチドを有さない。
【0061】
上の段落において記載されるような開示された方法の、反応の第一セットにおいて、アニーリング反応のためにより低い温度が使用される。なぜなら、第一プライマーは、その3’末端にランダムヌクレオチドの短い配列を介してサンプルDNAにアニーリングするからである。このインキュベーション温度は、好ましくは、DNAポリメラーゼに、アニーリングされたプライマーの3’末端から相補的なDNA鎖を首尾良く合成させ得る。Taq DNAポリメラーゼは、反応の第一セットにおいて使用される場合、Taqがポリメラーゼ活性を有することを可能にする伸長温度が使用されるべきである。反応の第一セットのDNA産物は、第一プライマーの一般的配列およびその逆相補体によって隣接される。
【0062】
DNA増幅反応の第二セットの間、この第二プライマーは、これらの隣接配列にハイブリダイズする。一般的DNA配列は、第一プライマーの3’末端においてランダムヌクレオチドの伸長より長いので、反応の第二セットにおけるアニーリング温度は、一般的により高い温度である。より高いアニーリング温度は、一般的に、任意の第一プライマー(反応の第一セットのDNA産物中に取り込まれない)が残留するのを最小化または防ぐが、DNA産物へのアニーリングから反応混合物においてなお存在し、そしてDNA合成のランダムに開始する。より高い温度は一般的に、熱安定性のポリメラーゼの使用を必要とし、これは、このポリメラーゼが高温でDNAを合成し得ることを意味する。熱安定性(heat−stable)DNAポリメラーゼの1つの周知の例は、Taq DNAポリメラーゼである。多くの熱安定性DNAポリメラーゼまたは耐熱(thermostable)DNAポリメラーゼは市販されており、これらとしては、組換えTaq DNAポリメラーゼおよびネイティブTaq DNAポリメラーゼが挙げられる(表2を参照のこと)。別の選択肢は、より長いDNA産物を生成するために、例えば、TaqPlus DNAポリメラーゼを用いる長い範囲のPCRを使用することである。長い範囲のPCRは、反応の第一セット、反応の第二セット、または反応の両方のセットのいずれかにおいて使用され得る。1つの実施形態において、Tub DNAポリメラーゼは、本開示のDNA増幅方法において長いDNA配列を増幅するために使用され得る。Tub DNAポリメラーゼを使用するためおよびDNAの長い領域を増幅させるためのプロトコルは、ForresterおよびRedford(Methods Mol.Biol.67:31−38,1997)に見出され,本明細書中に参考として援用される。
【0063】
本開示の方法において、反応の第一セットにおいて増幅されるべきDNAは、1〜約5分間、そして好ましく約2分間、約90℃と約100℃の間、そして好ましくは約95℃まで、反応混合物を加熱することによって最初に変性される。この工程の間、第一プライマーおよび第二プライマーの両方は、反応混合物に存在する。あるいは、第二プライマーは、反応の第一セット後であるが、反応の第二セットの前に、反応混合物に添加され得る。第一プライマーおよび第二プライマーは、反応の第一セットの第一サイクルの加熱変性工程前、または変性工程の任意のときに、増幅されるべきDNAを含有する反応混合物に添加され得る。好ましい実施形態において、第一プライマーおよび第二プライマーは、同じモル比で単一反応混合物に添加される。しかし、2つのプライマーのモル比はまた、DNA増幅を最適化するために互いに関連して変動し得る。増幅されるDNAと、第一プライマーおよび第二プライマーとのモル比は、DNA増幅を最適化するための当業者によって変動され得る。
【0064】
次いで、反応混合物の温度は、第一プライマーが一本鎖DNAにアニーリングすることを可能にする温度より低くされる。反応混合物中に存在する第二プライマーは、反応の第一セットにおける一本鎖DNAに全体的にはアニーリングしない。なぜなら、プライマーをアニーリングするのに必要なより長い一般的なDNA配列の逆相補体は、たとえあったとしても、一本鎖DNA中にはほとんど存在しない。好ましくは、第一プライマーのヌクレオチドのランダム配列のアニーリング温度は、約37℃および約50℃の間、好ましく約42℃および約45℃の間であるべきである。好ましくは、アニーリング温度とは異なる温度は、DNAポリメラーゼが第一プライマーの3’末端からDNAを合成し得る相補的なDNA鎖伸長のための、インキュベーション期間に使用され得る。DNAポリメラーゼがアニーリング温度で機能する場合、この温度はインキュベーション期間の間維持され得る。インキュベーション期間は、好ましくは約2分〜約7分、より好ましくは約5分である。
【0065】
反応の第一セットのこれらの工程は、少なくとも1回繰り返されるべきであり、その結果、好ましくは、これらの最初のDNA増幅工程の2サイクルが実行されるが、反応のこの第一セットにおけるDNA増幅の2サイクル以上が企図される。例えば、3または4サイクルは、反応の第一セットにおいて実施され得る。しかし、変性、アニーリングおよび伸長の各さらなるサイクルについて、DNA増幅反応の第二セットにおいて利用可能なDNA産物は、一般的に短くされる。これは、第一プライマーによるランダムプライミングの各々の継続的なラウンドが、その前に増幅されたDNA産物をさらに短くさせるからである。この効果は、DNA増幅反応の第二セットの間に克服される。なぜなら、第二プライマーが、DNA産物(一般的な配列および反応の第一セットにおいて産生される一般的な配列の逆相補体に隣接する)の末端にアニーリングするからである。
【0066】
反応の第一セットのDNA産物(これは、一般的な配列およびその逆相補体によって隣接される)は、その後、開示される方法におけるDNA増幅反応の第二セットにおいて指数関数的に増幅される。反応の第二セットにおいて、反応の第一セットのDNA産物は、約15秒〜約2分間、好ましくは約30〜約1分間、約90℃および約100℃との間まで、そして好ましくは、約95℃まで、反応混合物を加熱することによって最初に変性される。次いで、反応混合物の温度は、第二プライマーが一本鎖DNA産物にアニーリングすることを可能にする温度まで低下させる。第二プライマーのアニーリング温度は、好ましくは、約55℃と約68℃との間、好ましくは約60℃と約65℃との間である。第二プライマーのアニーリング温度は、反応混合物に残存する、組み込まれていない第一プライマーによるランダムプライミングを最小化または防ぐために、十分にストリンジェントでなければならない。従って、反応の第二セットの間に反応混合物から第一プライマーを除去することは必要ではなく、このこと、開示される方法の有効性を増大する。これはまた、他の公知の方法と比較して、高スループットスクリーニングのために、本DNA増幅法を非常に簡略化する。
【0067】
DNAポリメラーゼがアニーリング、温度で活性である場合にインキュベーション温度は、反応の第二セットにおけるアニーリング温度と同一であり得るが、好ましくは、インキュベーション工程の温度は、DNAを合成するために熱安定性DNAポリメラーゼに対してより最適な温度まで上昇される。伸長工程に最適な温度は、反応の第二セットにおいて使用されるDNAポリメラーゼに依存する。例えば、反応の第二セットのインキュベーション工程の間、この温度は、約68℃〜約75℃まで、そして好ましくは、約70℃〜約72℃まで上昇され、そして約30秒〜約10分、そして約4分〜約6分間維持される。反応の第二セットの、変性、アニーリングおよび伸長工程は、約30〜約40回繰り返され、そして好ましくは、約33〜約35回繰り返される。次いで、この反応は、任意の初期のポリメラリゼーションを完全にするために、約72℃で約7分〜約10分間維持され得る。熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ)が使用される場合、各変性工程後、新鮮な酵素に添加される必要性はない。なぜなら、Taqは、変性工程によって完全に変性されず、そして好ましくはより高温で機能するからである。非熱安定性DNAポリメラーゼはまた、これがそれぞれのサイクルの各変性工程後に添加される場合、反応の第二セットにおいても使用されるが、この不十分な方法は、高スループットスクリーニングについて非現実的である。
【0068】
反応の第一セットおよび第二セットの各工程について最適な温度は、増幅されるサンプルDNAのサイズによって、およびプライマーのサイズおよび配列によって、(通常、経験的に)決定されることは、当業者に周知である。例えば、プライマーのG:C含有量に基づく、完全に一致した二重鎖の融点を決定するため簡単な公式は当該分野で周知である。プライマーの最適アニーリング温度は、種々の利用可能なコンピューターソフトフェアプログラム(例えば、Oligo Analyzer)を用いることによって当業者によって計算され得、これは、ウェブサイトwww.idtdna.comで利用可能である。反応の第一セットおよび/または反応の第二セットにおける任意の工程間の温度が、約1〜約8分間の時間にわたって、そして好ましくは約3分間の時間にわたって、徐々に増加または減少され得ることもまた、当業者に周知である。
【0069】
当業者はまた、増幅された産物のその後のクローニングのために、一般的な配列中に1つ以上の制限酵素部位を組み込ませることを所望し得る。制限酵素部位は、制限エンドヌクレアーゼ酵素によって特異的な位置で認識され、そして切断されるDNA配列である。特定の制限酵素の使用は、当業者に周知であり(表1を参照のこと)、そして増幅されたDNAをクローニングするためのベクターの選択に適合性の特定の制限酵素が選択され得る。利用可能なベクターの数は、列挙するには過度に多すぎ、そして当業者に周知である。有名なベクター(例えば、pBR322、あるいはプラスミドのpGemシリーズまたはPUCシリーズ)は、それらのポリクローナル領域中に特定の特異的制限酵素認識を含む。一般的な配列は、選択されたクローニングベクターにおける部位に適合性の1つ以上の認識配列が、一般的なプライマーに含まれるように設計され得る。
【0070】
特定の実施形態において、本発明の開示は、DNA増幅において使用されるための第一プライマーおよび第二プライマーを包含する。好ましくは、第一プライマーは、その3’末端に、約4〜約8のランダムヌクレオチド領域、およびランダムヌクレオチド配列5’側に、一般的なDNAの約15bp〜約25bpの領域を有する。この第一プライマーはさらに、約37℃および約42℃との間の温度でDNA配列にハイブリダイズする、ヌクレオチドのランダム配列の能力によって特徴付けられる。第二プライマーは、好ましくは、約15bp長と25bp長との間であり、そして第一プライマーにおけるヌクレオチドのランダム配列の5’側に、一般的な配列と同一の配列を有する。第二プライマーはまた、特に、反応の第二セットにおける高ストリンジェントなアニーリング工程に関連して、DNA増幅の方法を容易にするためのさらなるヌクレオチドを有し得る。第二プライマーはさらに、選択のベクター中への増幅されたDNA産物のサブクローニングを容易にするための制限酵素認識部位、または例えば、「Clone Amp」プロトコル(BRL)によって、クローニングを容易にするためのCUAリピートのストレッチを含み得る。
【0071】
好ましい実施形態において、反応の第一セットにおいてDNAを増幅するために使用されるDNAポリメラーゼは、反応の第二セットにおける使用される熱安定性DNAポリメラーゼと同一である。反応の第一および第二セットの両方に対して同一のDNAポリメラーゼを使用することは、DNA増幅の開示された方法を非常に単純化する。なぜなら、1つの反応混合物のみが、単一の熱安定性DNAポリメラーゼを用いて調製されるからであり、これは、高スループットスクリーニングを非常に容易にする。同一のDNAポリメラーゼを用いることは、酵素が開始反応混合物に単に添加され、そしてさらなる酵素が、DNA増幅反応の第一または第二セットの間に添加される必要はないことを意味する。
【0072】
しかし、1つのDNAポリメラーゼが反応の第一セットにおいて使用され得、そして第二の熱安定性DNAポリメラーゼが反応の第二セットにおいて使用され得ることもまた、企図される。反応の第一セットの間に、熱安定性DNAポリメラーゼが使用されない場合、新鮮な酵素は、各変性工程後に反応混合物に添加されなければならない、なぜなら、そのDNAポリメラーゼはDNAを変性させるために必要な熱によって破壊されるからである。反応の第一セットのDNA増幅工程は、各変性工程後に添加される新鮮な酵素をさらに用いて、1〜3回、好ましくは上に議論されるように1回繰り返される。次いで、熱安定性DNAポリメラーゼは、DNA増幅反応の第二セットのために、反応の第二セットの最初の変性工程の、工程前、工程中、または工程後のいずれかで添加されなければならない。
【0073】
本発明の開示された方法において使用される好ましいDNAポリメラーゼは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性、または代替的に、プライマー置換活性を有する熱安定性酵素である。例えば、Taq DNAポリメラーゼは、開示される方法の反応の第一セットおよび反応の第二セットの両方においてDNAを増幅するために開始の反応混合物に添加され得る。Taq DNAポリメラーゼは、本質的な5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有し、これは、Taqに相補的なDNAを合成する間に下流で出会う、オリゴヌクレオチドプライマーを消化させ得る(Longleyら、Nucleic Acids Res 18(24):7317−22,1990)。反応の第一セットにおいて使用され得るDNAポリメラーゼとしては、5’→3’エキソヌクレオチド活性、あるいはエキソヌクレアーゼ活性を有するかまたは有さない代替的なプライマー置換活性を有する、任意のポリメラーゼが挙げられ得る。反応の第一セットにおいて使用され得る酵素としては、Taq DNAポリメラーゼ、改変されたTaq DNAポリメラーゼ(例えば、Amplitaq Gold,E.coli DNA ポリメラーゼI、Tub DNAポリメラーゼおよびDNAポリメラーゼI)が挙げられるが、これらに限定されない(表2を参照のこと)。
【0074】
反応の第一セットにおいて使用されるDNAポリメラーゼが、反応の第二セットにおいて使用される熱安定性DNAポリメラーゼと異なる場合、反応の第一セットの最終DNA産物は、熱安定性DNAポリメラーゼを好ましく実施させ得る緩衝液中に希釈されなければならない。特に、サンプルDNAが、顕微解剖された染色体において、およびパルスフィールドゲルから単離されたYACにおいてか、あるいは小さな組織もしくは血液サンプル、または単一細胞からと同じほど少ない量で存在する場合、反応の第一セットは、相対的に少ない容量で実施され得る。反応の第一セットおよび反応の第二セットの容量が、特定の適用に依存して広範に変動し得、そしてより高いかまたはより低い反応容量が本発明の開示によって包含されることが企図される。反応の第一セットの小さなアリコートは、熱安定性DNAポリメラーゼおよび反応の第二セットにおけるその緩衝液と共に使用され得るが、特に、同じDNAポリメラーゼが反応の両方のセットについて利用される場合、好ましくは反応の第一セットおよび反応の第二セットの両方に対する反応容量が、同一である。
【0075】
DNAポリメラーゼおよびその緩衝液が、本方法の単一反応混合物に添加される場合、DNA増幅について必須の他の成分は、反応混合物において存在することが企図される。DNA増幅のための必須の反応成分は、当業者に周知であり、そしてこれらとしては、、ウシ血清アルブミン、約1.5mM〜約5mMの最終濃度のMgCl、4つのデオキシヌクレオチド塩基(dATP、dGTP、dTTPおよびdCTP)、ならびに精製水(例えば、蒸留水、脱イオン水または超濾過水)が挙げられるが、これらに限定されない。使用される緩衝液は、以下のような成分を含む:Tris HCl(約7.0〜約9.0のpH)、MgCl、NaCl、およびDTT(ジチオスレイトール)。緩衝液はまた、KClおよびゼラチンを含み得る。PCRおよびDNA増幅のための緩衝液の成分は、当業者に周知であり、そして特定成分(例えば、MgCl)の濃度は、各反応について経験的に容易に決定され得る。
【0076】
DNA増幅工程の温度、インキュベーション期間、およびランプ時間は、DNA増幅の効率および他の結果を有意に変更させることなしに、非常に変動させ得ることもまた、当業者に理解される。あるいは、当業者は、DNA増幅反応を最適化するためにこれらのパラメーターを変動させ得る。反応条件およびパラメーターにおけるこれらのわずかな改変は、本発明の開示の範囲内である。上記反応のDNA産物は、アガロースまたはアクリルアミドの電気泳動ゲル、好ましくは、1.5%〜2.0%のアガローズゲル上でそれらを泳動することによって可視化され得る。エチジウムブロマイドを用いてゲルを染色した後、ランダムな配列非依存性の増幅産物は、好ましくはスメアとして出現する。
【0077】
1つの実施形態において、本開示は、DNAの配列に依存せずにDNAを増幅するための方法を含有し、この方法は、以下の工程を包含する:
(a)単一反応混合物(約50μMの総容量に対して、10mM Tris HCl(pH8.3)、5mM MgCl、50mM KCl、0.001%ゼラチン、300μM dNTP(dATP、dGTP、dCTP、およびdTTP)、配列番号1の配列を有する第一プライマー(300nM)、配列番号2の配列を有する第二プライマー(300nM)および1.25単位のTaq DNAポリメラーゼ)にDNAサンプルを添加する工程;
(b)約95℃の温度で、約5分間、反応混合物を加熱することによって、DNAを変性させる工程;
(c)約95℃の温度で、約1分間、反応混合物を加熱することによって、DNAを変性させ、次いで42℃の温度で約5分間、反応混合物を冷却させ、それによって、第一プライマーが、DNA−プライマーハイブリッドを形成するために、変性したDNAにアニーリングすることを可能にし、かつTaq DNAポリメラーゼが、第一プライマーの3’末端からDNAの相補鎖を合成することを可能する工程;
(d)工程(c)を1回繰り返す工程;
(e)約95℃の温度で、約15秒間、反応混合物を加熱することによって、DNA産物を変性させ、約65℃の温度まで反応混合物を冷却させ、それによって、第二プライマーが、DNA−プライマーハイブリッドを形成するために、変性したDNAにアニーリングすることを可能にする工程;および約68℃の温度まで反応混合物を上昇させ、それによって、Taq DNAポリメラーゼが、第二プライマーの3’末端からDNAの相補鎖を合成することを可能する工程;
(f)工程(e)を約39回繰り返す工程。
【0078】
第一プライマーの例は、配列5’−TAGCAGTGGTAACAACGCAGAGANNNNN−3’(配列番号1)である。第二プライマーの例は、配列5’−TAGCAGTGGTAACAACGCAGAGA−3’(配列番号2)である。本発明で示されたDNAを増幅させるための方法において第二プライマーとして使用され得る、一般的な配列のさらなる例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
5’−ACAACGCAGAGTAAGCAGTGGTA−3’(配列番号3);
5’−ACAACGGTAGCAGAGTAAGCAGT−3’(配列番号4);
5’−GAGTAAGCAGTACAACGGTAGCA−3’(配列番号5);
5’−GAGGCATAAGCAGTACAACGGTA−3’(配列番号6);
5’−CAACGGTAGAGGCATAAGCAGTA−3’(配列番号7);
5’−GGCATAAGCAGTACAACGGTAGA−3’(配列番号8);
5’−AACGGTAGAGGCATAAGCAGTAC−3’(配列番号9);
5’−AGTACAACGGTAGAGGCATAAGC−3’(配列番号10);
5’−AAGCAGTACAACGGTAGAGGCAT−3’(配列番号11);
5’−CGGTAGAGGCATAAGCAGTACAA−3’(配列番号12)。
【0079】
DNA増幅のための同じ反応混合物において上記の各第二プライマーと共に使用される第一プライマーは、その3’末端にさらなるランダム配列のヌクレオチドを有する同じ一般的配列を含む。第一セットのDNA増幅反応および第二セットのDNA増幅反応の最適アニーリング温度は、一般的DNA配列および第一プライマーの3’末端でのランダムなヌクレオチドの数に基づき、当業者により決定され得る。好ましくは、各セットの反応の最適アニーリング温度は、第二プライマーのアニーリングが第一セットの反応において、最小とされるかまたは妨げられ、かつ第一プライマーのランダム配列のヌクレオチドを介した第一プライマーのアニーリングが第二の組の反応において最小とされるかまたは妨げられるような温度である。
【0080】
本発明で開示されたDNA増幅方法において利用されるDNAサンプルが固体媒体上で保存される場合、増幅および/または遺伝子分析のためにDNAサンプルを調整することは、不十分であり得るだけでなく、不一致の結果も生じ得、これよって、DNAサンプルから得られる情報を限定する。本開示は、DNA増幅および/または遺伝子分析のために、固体媒体上に保存されたDNAサンプルを調製する他の方法において固有の欠点を克服することを探求する。本発明で開示される方法(沈殿方法ともいわれる)は、不要なDNA精製工程を除外することによって、固体媒体上に保存されるDNAサンプルの調製を大いに単純化する。開示される方法において、固体媒体上のDNAサンプルは、当業者に周知の方法によって調製され、次いで、DNA増幅および/または遺伝子分析に直接供される。この方法は、より一致した結果を生じ、高スループットの操作のコストを低減し、そしてDNAサンプルから増幅されたDNAの品質を改善する。
【0081】
本開示は、組織サンプルおよび血液サンプルとして含まれる、DNAを保存するために、当業者に周知の種々の固体媒体を包含する。好ましくは、この固体媒体は乾燥しており、そして固体マトリクスまたは固体支持体を有する(例えば、好ましくは、吸収性セルロースベースの紙(例えば、濾紙)、または合成プラスチック材料のマイクロメッシュ)。この固体マトリクスはまた、錠剤またはペレットの形態でもあり得る。好ましくは、この固体媒体は、このマトリクスまたは支持体上に組み込まれるかまたは吸着されたDNAサンプルの分解に対して保護する。固体媒体は、DNAサンプルが、遺伝子型分析のために、サンプル中でのDNA回収に適切な形態で保存または輸送されることを可能にする。DNAサンプルは、例えば、FTATMペーパー、Whatmann(登録商標)ペーパー、Gibsonペーパー、Guthrieカード、スワブおよび濾紙の上に収集され得そして保存され得る。好ましい実施形態において、DNAサンプルはFTAペーパー上で保存される。濾紙上に収集された血液または組織を、乾燥し得、そして室温で保存し得る。
【0082】
塩およびアルコールの溶液を使用してDNAを沈殿する方法は、当業者に周知であり、そして本開示の範囲内に包含される。好ましい実施形態において、本開示の沈殿方法は、引き続くDNA増幅反応を阻害し得る任意の化学物質を取り除くために、固体媒体上のDNAサンプルを水(例えば、蒸留水、脱イオン水または超濾過水)で洗浄する工程で開始する。好ましい実施形態において、DNAサンプルは水で繰り返し洗浄される。次に、この固体媒体を塩およびアルコールを含む溶液で処理する(これはサンプル中のDNAを沈殿する)。沈殿工程の後、このDNAは、固体支持体上に固定される。好ましい実施形態において、DNAを沈殿するために使用される塩は、好ましくは約0.1M〜約0.5Mの濃度、より好ましくは約0.2M〜約0.3Mの濃度の酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウムまたは酢酸アンモニウムである。別の好ましい実施形態において、DNAを沈殿するために使用されるアルコールは、好ましくは、約70%〜約100%の純度レベル、より好ましくは約95%の純度レベルの、イソプロパノール、エタノール、またはn−プロパノールのような他の同様な水混和性溶媒である。DNAを沈殿するための沈殿溶液中のアルコールに対する塩の適切な比率を決定することは、当業者の範囲内で十分である。好ましい実施形態において、この比率は50/50(v/v)である。
【0083】
DNAを沈殿した後、このDNAを、沈殿工程からのサンプル中に残存する任意の塩を溶解するために、アルコールで洗浄する。この工程はまた、サンプルの脱水を加速し得る。好ましい実施形態において、沈殿したDNAを洗浄するために使用されるアルコールは、好ましくは約80%〜約95%の純度レベル、より好ましくは約70%の純度レベルの、イソプロパノール、エタノール、またはn−プロパノールのような他の同様な水混和性溶媒である。興味深いことに、FTAペーパー上のDNAサンプルが、開示される沈殿方法を使用して処理される場合、最終的なDNAペーパーは赤褐色の血液を残すのみであり得る。それにもかかわらず、FTAペーパー上で処理されたDNAを、ここで、当業者に公知のDNA増幅の多くの方法のうちの任意の1つによって効率的かつ予測可能に増幅し得、それらの方法としては、本開示のDNA増幅方法ならびにPCRTMが挙げられるが、これらに限定されない。従って、本発明で開示された方法は、固体支持体上に保存されたDNAサンプルを市販の試薬を使用して処理する場合に見出される、DNA増幅効率の多様性を大いに低減する。
【0084】
さらに、本発明で開示された沈殿方法において使用される溶液(水、アルコール、および塩を含む)は、高価でなくかつ作製するのに容易である。従って、この開示された沈殿方法はまた、特に、他の市販の試薬と比較する場合、高スループット操作のコストを大いに低減する。例えば、このエタノール洗浄は、水ベースのFTA Purification Reagentプロトコルと比較した場合、FTAペーパーの脱水のための時間を少なくとも50%低減し得る。さらに、FTAペーパー上に保存されたDNAサンプルを分析するための、沈殿およびDNA増幅のための本願で開示された方法は、全て、96ウェルプレートまたは384ウェルプレート中で行われ得、このことは、高スループット操作を大いに容易にする。
【0085】
開示される沈殿方法および/またはDNA増幅方法を使用して処理される、固体支持体上のサンプルDNAの遺伝子型分析、または本開示の好ましい方法によって増幅されるDNAの遺伝子型分析は、当業者に周知である種々の方法および技術を使用して、実施され得る。高スループットスクリーニングのためのDNA増幅の開示される方法によって提供される利点は、非常に多くの生物の遺伝子型が診断目的または研究目的のために迅速にスクリーニングされ得るということである。用語「遺伝子型分析」とは、遺伝的分類(genetic typing)、遺伝子型分類(genotyping)、フィンガープリンティング、ハプロタイプ分類(haplotyping)、DNA分類、または任意の類似の語句のいずれかの型をいう。この用語は、1つ以上の遺伝子座で個体の遺伝子型(ハプロタイプを同定することを含む)を決定するための、当業者に公知の任意の方法またはプロトコルの使用を包含する。核酸ベースの技術としては、サイズ分画、SNP分析、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)ハイブリダイゼーション、配列決定、RFLP分析、変性温度分析、および質量分析が挙げられるが、これらに限定されない。当業者に利用可能な方法論は、数多くあり、そして継続的に発展しており、そして本明細書中で詳述することはできない。多型の多くの型は、増幅したDNAを使用して決定され得、これらの型としては、SNP、RFLP、VNTR、STR、CTRおよびミクロサテライトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
一ヌクレオチド多型(SNP)は、多くの遺伝子病ならびに所望され得る表現型特性を同定することにおいて、予測的に有益なヌクレオチド配列改変体であり、これらはしばしば集団において限定された数の異なる変異によって原因とされる。SNPはゲノムDNAのコード領域および非コード領域の両方に見出される。スコア付け可能(scorable)な表現型は小数ではあるが、SNPはヒトゲノム全体に非常に多数見出される(Cooperら、Hum Genet 69:201−205、1985)。特定のSNPは、例えば、遺伝性乳癌のような疾患原因性変異を生じる(Cannon−AlbrightおよびSkolnick、Semin Oncol 23:1−5、1996)。開示される方法によるDNA増幅が、個体におけるSNPまたは他の多型の検出において有用であり得ることが特に企図される。多型についてスクリーニングする現在の方法は、公知である(例えば、米国特許第6,221,592号、および同第5,679,524号を参照のこと)。しかし、これら技術の制限は、シグナルを増強しそして検出を容易にするための複数のコピーのゲノムDNAを提供することが不可能であることである。開示される方法は、例えば個体のゲノムの全長にわたりランダムにプライマー付けされた(primed)核酸配列の、迅速で高スループットのDNA増幅を容易にすることによって、この問題を克服する。SNPまたは多型を含有する各領域の複数のコピーが、開示される方法を使用するDNA複製の後にサンプル中の存在するので、標準的なSNP検出方法を利用して、検出可能なシグナルを生成する可能性が、増加する。
【0087】
SNPは、当業者に周知の多くの方法によって生物体のDNA中に同定され得る。これら方法としては、以下によってSNPを同定することが挙げられるが、これらに限定されない:PCRTMまたはDNA増幅、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)(Landegrenら、Science 241:1077、1988)、二重コードOLA、ミスマッチハイブリダイゼーション、質量分析、1塩基伸長アッセイ、対立遺伝子特異的制限エンドヌクレアーゼ切断に基づくRFLP検出(KanおよびDozy、Lancet ii:910−912、1978)、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーション(Wallaceら、Nucl Acids Res 6:3543−3557、1978)(固定化オリゴヌクレオチド(Saikiら、Proc Natl Acad Sci USA 86:6230−6234、1989)またはオリゴヌクレオチドアレイ(MaskosおよびSouthern、Nucl Acids Res 21:2269−2270、1993)を含む)、対立遺伝子特異的PCRTM(Newtonら、Nucl Acids Res 17:2503−16、1989)、ミスマッチ修復検出(MRD)(FahamおよびCox、Genome Res 5:474−482,1995)、MutSタンパク質の結合(Wagnerら、Nucl Acids Res 23:3944−3948、1995)、一本鎖構造多型検出(Oritaら、Genomics 5:874−879、1983)、ミスマッチ塩基対でのRNAase切断(Myersら、Science 230:1242、1985)、ヘテロ二重鎖DNAの化学的切断(Cottonら、Proc Natl Acad Sci USA 85:4397−4401、1988)または酵素的切断(Youilら、Proc Natl Acad Sci USA 92:87−91、1995)、対立遺伝子特異的プライマー伸長に基づく方法(Syvanenら、Genomics 8:684−692、1990)、遺伝子のビット分析(GBA)(Nikiforovら、Nuci Acids Res 22:4167−4175、1994)、ならびに当該分野で周知の標準的手順を使用する放射性DNA配列決定および/または蛍光DNA配列決定。
【0088】
好ましくは、同定されたSNPは、表現型(疾患表現型および所望の表現型特性を含む)に関連される。開示される方法の増幅されたDNA産物もまた使用して、特に第一プライマーおよび第二プライマーの一般的な配列がDNA産物のクローニングを容易にするための制限酵素部位を含む場合、ゲノムDNAライブラリーを含むDNAライブラリーを生成し得る。さらに、現在開示される方法は、任意の染色体領域に対するバンド特異的ペインティングプローブの迅速な構築を可能とし、そしてまたこの方法を使用して異常な核型において、同定できない染色体領域またはマーカー染色体をミクロ解剖し得、そして増幅し得る。従って、開示される方法は、遺伝子型分析および高スループットスクリーニングのために価値あるツールであるだけでなく、また、細胞遺伝的診断において価値あるツールでもある。
【0089】
一塩基伸長アッセイを、相補的な核酸にオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングすることによって、そして鎖終結ヌクレオチド(DNAポリメラーゼにより触媒されるテンプレート指向性反応において添加される)と共に、アニーリングされたプライマーの3’末端を伸長することによって、実施する。一塩基プライマー伸長反応の選択性および感度は、オリゴヌクレオチドプライマーの長さおよび反応条件(例えば、アリーリング温度および塩濃度)によって影響される。プライマー伸長反応の選択性は、サンプル中のオリゴヌクレオチドプライマーと核酸との間の正確な相補的ハイブリダイゼーションの量を反映する。高度に選択性の反応は、正確な相補配列を有する核酸にのみプライマーのハイブリダイゼーションを促進する(すなわち、ハイブリダイズしたプライマーと核酸との間に塩基ミスマッチは存在しない)。対照的に、非選択性反応において、このプライマーはまた、部分的に相補的な配列を有する核酸にハイブリダイズする(すなわち、ハイブリダイズしたプライマーと核酸との間に塩基ミスマッチが存在する)。一般的に、選択的プライマーハイブリダイゼーション(例えば、より短いプライマーおよびより高いアニーリング温度)に好都合であるパラメーターは、より低いレベルのハイブリダイズしたプライマーを生じる。従って、選択的一塩基プライマー伸長アッセイに好都合なパラメーターは、アッセイの選択性を低下させる結果となる。
【0090】
さらに、サイクル化一塩基伸長反応は、検出される一塩基を含む領域に対して5’に、核酸プライマーを迅速にアニーリングすることによって実施され得る。2つの分離した反応が行われる。第一反応において、プライマーは相補的な核酸にアニーリングされ、そして検出される1塩基で非野生型改変体に相補的な標識化核酸、および野生型に相補的な非標識化ジデオキシ核酸を組み合わせる。プライマー伸長を、塩基がプライマーに付加される第一時間に停止する。伸長されたプライマー中の標識の存在は、非野生型改変体の存在の指標である。DNAポリメラーゼ(例えば、SequenaseTM(Amersham))をプライマー伸長のために使用する。好ましい実施形態において、より効率的なサイクル化を可能とするために、熱安定性ポリメラーゼ(例えば、Taqまたは熱シーケナーゼ(sequenase))が使用される。一旦、伸長反応が完了すると、標的核酸に結合した第一プローブおよび第二プローブは、そのハイブリッドの融解温度より高く反応混合物を加熱することによって、解離される。次いで、反応混合物は、ハイブリッドの融解温度より下に冷やし、そしてさらなるプライマーは、伸長反応の別の回のために、標的核酸と会合することが可能とされる。全てのサイクルの完了後、伸長生成物を単離し、そして分析する。あるいは、ジデオキシヌクレオチド以外の鎖終結方法を使用し得る。例えば、鎖終結は、プライマー上で次に利用可能なヌクレオチドで、さらなる塩基が組み込みに対して利用可能でない場合に生じる。
【0091】
開示された方法を使用して増幅されたDNAからの遺伝子情報を分析する、特に強力な手段は、DNAチップ技術である。オリゴヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプローブのアレイを含むDNAチップおよびDNAマイクロアレイを使用して、標的ヌクレオチド核酸が、特定の参照配列と同一なヌクレオチド配列を有するか、または異なるヌクレオチド配列を有するかどうかを決定し得る。基本的なチップまたはマイクロアレイは、固体支持体上に固定化されたオリゴヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプローブのアレイを包含する。スクリーニングおよび検出のためのチップは、配列が公知である1つ以上の選択配列に対して相補性を示すプローブを含むよう設計される。参照配列自体またはその配列の改変体のいずれかを含む標的配列を読むために、チップを使用する。標的配列は、1つ以上の位置で参照配列とは異なり得るが、参照配列と、全体で高度な配列同一性を示す(例えば、少なくとも、75%、90%、95%、99%、99.9%、99.99%)。標的配列の固定化プローブへのハイブリダイゼーションは、検出可能なシグナルを生じる。シグナルは、例えば、プローブにおいて生じる構造変化、結合したプローブ中に組み込まれた標識の消光もしくは励起、または標的中に組み込まれた標識の消光もしくは励起によって、送達され得る。シグナルの送達は、手動でか、機械でか、デジタル的に読まれ得る。本明細書中で参考として援用される多くの特許は、DNAチップおよびDNAマイクロアレイの調製および使用を開示し、これらの特許としては、米国特許第5,837,832号、同第6,156,501号、同第6,174,683号、および同第5,985,567号が挙げられる。さらに、対立遺伝子特異的プライマー伸長を、SNPの高スループット遺伝子型分類のために、プライマーアレイと組み合わせ得る(Pastinenら、Genome Res 10(7):1031−42、2000(これは、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
【0092】
本開示の内容において、開示される方法のDNA増幅産物が、例えばSNPのような遺伝子多型または変異を含む、特定の遺伝子配列を検出するために、DNAチップまたはDNAマイクロアレイを使用して分析され得ることが企図される。1つの実施形態において、ゲノムDNAが本開示の方法を利用して増幅されて、理論上全ゲノム配列を包含するDNA配列のライブラリーを作製することが想起される。次いで、増幅されたDNA産物を、オリゴヌクレオチドプローブまたはポリヌクレオチドプローブを含有するDNAチップまたはDNAマイクロアレイの上を通過させ得る。増幅されたDNAが、そのマイクロアレイまたはDNAチップにハイブリダイズ可能であること、または不可能であることは、DNAサンプル中に存在する、特定の配列およびそれらの多型の特徴付けを容易にする。
【0093】
本開示の1つの実施形態は、染色体の蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)分析を包含する。最初に、目的の染色体DNAサンプルを入手する。このサンプルは、YAC染色体のインサート、ミクロ解剖された染色体のサンプル、コスミドDNAのインサート、PAC DNAのインサート、プラスミドのインサート、またはファージ(例えば、ラムダファージ)のインサートであり得る。例えば、YAC DNAは、パルスフィールド電気泳動ゲル上で、他の酵母染色体から単離され得る。一旦入手すると、このDNAを、開示される方法によって増幅する。次いで、この増幅されたDNAを、増幅産物中に組み込まれる標識化ヌクレオチド塩基を含むさらなるPCRによって標識し得る。DNAを標識するためにPCRを使用することは、当業者に周知である。この標識としては、ビオチン、Spectrum−OrangeまたはSpectrum−Greenが挙げられ得るが、これらに限定されない。DNAを増幅するために開示される方法を使用することは、DNAの前精製を必要とせず、そしてこの方法は、他のDNA増幅ストラテジー以上に、プローブ調製の速度およびFISHシグナルの質において実質的な改善を生じる。このような信頼性のあるFISHシグナルを入手可能なことは、種々のヒト腫瘍における共通の転座の存在についてのスクリーニングの新規方法を可能とする。
【0094】
さらに、標識化増幅DNAを、間期または、好ましくは分裂中期の広がりのような染色体調製物にハイブリダイズさせ得る。分裂中期の広がりにおいて、染色体を、短くしそして濃縮し(thicken)、そしてより容易に視認化しそして同定する。標識化プローブとのハイブリダイゼーションは、特定の染色体、および増幅されたプローブが由来する染色体上の位置を決定することを、可能にする。増幅された標識化プローブをまた、中期核にハイブリダイズさせて、核内のハイブリダイゼーション部位の数を決定し得る。ビオチンで標識化された、ハイブリダイズしたプローブは、フルオレセイン−イソチオシアネート結合体化アビジンを用いて、蛍光顕微鏡下で視認され得る。Spectrum−OrangeまたはSpectrum−Greenで標識されたプローブは、蛍光顕微鏡によって直接視認される。
【0095】
本開示の方法および好ましい実施形態は、上に記載した。多くの技術および方法が、当業者に周知であり、そしてこれらを使用して、実行者が本開示の方法を実行するのを支援し得る。以下は、これら技術のうちのいくつかの一般的な記載である。
【0096】
(核酸:)
遺伝子は、情報をコードする生物体のゲノム中のDNA配列であり、この情報は、細胞全体を構成する種々の産物へと転換される。遺伝子は転写のプロセスによって発現され、このプロセスはDNAの配列をRNAにコピーする工程を包含する。大部分の遺伝子はタンパク質を作製するための情報をコードするが、いくつかは他のプロセスに関与するRNAをコードする。遺伝子がタンパク質をコードする場合、その転写産物はmRNA(「メッセンジャー」RNA)と呼ばれる。核内(ここにDNAが位置する)での転写の後、このmRNAは翻訳プロセスのために細胞質中へと輸送され、この翻訳プロセスはmRNAのコードをアミノ酸の配列へと転換し、タンパク質を形成する。mRNAの輸送を細胞質中へと向けるために、mRNA分子の3’末端はいくつかのアデニル化残基の付加によって転写後修飾されて「ポリA」テールを形成する。この特徴的な修飾は、タンパク質を作製するよう決定付けられた遺伝子発現産物を、細胞中のほかの分子と区別し、これによって、細胞の遺伝子発現活性を検出およびモニターするための1つの手段を提供する。
【0097】
(1.オリゴヌクレオチドのプローブおよびプライマー)
「相補的」である核酸配列は、標準的なワトソン−クリックの相補性規則に従って塩基対合可能である核酸配列である。すなわち、より大きなプリンは、より小さなピリミジンと塩基対合して、シトシンと対合したグアニン(G:C)および、DNAの場合はチミンと対合したアデニン(A:T)、またはRNAの場合はウラシルと対合したアデニン(A:U)のいずれかの組み合わせを形成する。ハイブリダイズする配列中に、イノシン、5−メチルシトシン、6−メチルアデニン、ヒポキサンチンなどのような、余り一般的でない塩基を含むことは、対合することを阻害しない。本明細書中で使用される場合、用語「相補的」配列とは、上記の同じ核酸比較によって評価され得るように、または本明細書中に記載される条件のような、比較的ストリンジェントな条件下で記載される核酸セグメントにアニーリングし得るものとして規定されるように、実質的に相補的である核酸配列を意味する。
【0098】
本明細書中に規定されるように、用語プライマーは、テンプレート依存的プロセスにおいて新生の核酸の合成を開始(prime)し得る任意の核酸を含むことが意味される。
配列特異的プライマーは、標的化されたRNA配列またはDNA配列への特異的なアニーリングを提供するのに十分な長さであるべきである。以下の長さの間のヌクレオチドのプライマーの使用は、安定かつ選択的の両方である二重鎖分子の形成を可能とするが、本開示の内容においてより短いプライマーおよびより長いプライマーが具体的に企図される:約5ヌクレオチド長、約6ヌクレオチド長、約7ヌクレオチド長、約8ヌクレオチド長、約9ヌクレオチド長、約10ヌクレオチド長、約11ヌクレオチド長、約12ヌクレオチド長、約13ヌクレオチド長、約14ヌクレオチド長、約15ヌクレオチド長、約16ヌクレオチド長、約17ヌクレオチド長、約18ヌクレオチド長、約19ヌクレオチド長、約20ヌクレオチド長、約21ヌクレオチド長、約22ヌクレオチド長、約23ヌクレオチド長、約24ヌクレオチド長、約25ヌクレオチド長、約26ヌクレオチド長、約27ヌクレオチド長、約28ヌクレオチド長、約29ヌクレオチド長、約30ヌクレオチド長、約31ヌクレオチド長、約32ヌクレオチド長、約33ヌクレオチド長、約34ヌクレオチド長、約35ヌクレオチド長、約36ヌクレオチド長、約37ヌクレオチド長、約38ヌクレオチド長、約39ヌクレオチド長、約40ヌクレオチド長、約41ヌクレオチド長、約42ヌクレオチド長、約43ヌクレオチド長、約44ヌクレオチド長、約45ヌクレオチド長、約46ヌクレオチド長、約47ヌクレオチド長、約48ヌクレオチド長、約49ヌクレオチド長、約50ヌクレオチド長、約51ヌクレオチド長、約52ヌクレオチド長、約53ヌクレオチド長、約54ヌクレオチド長、約55ヌクレオチド長、約56ヌクレオチド長、約57ヌクレオチド長、約58ヌクレオチド長、約59ヌクレオチド長、約60ヌクレオチド長、約61ヌクレオチド長、約62ヌクレオチド長、約63ヌクレオチド長、約64ヌクレオチド長、約65ヌクレオチド長、約66ヌクレオチド長、約67ヌクレオチド長、約68ヌクレオチド長、約69ヌクレオチド長、約70ヌクレオチド長、約75ヌクレオチド長、約80ヌクレオチド長、約85ヌクレオチド長、約90ヌクレオチド長、約95ヌクレオチド長、および約100ヌクレオチド長以上。最初のDNA増幅工程について、5〜9ヌクレオチド塩基ほどのヌクレオチド塩基のハイブリダイゼーションが企図される。ハイブリッドの安定性および選択性を増大させるために、20塩基長より多いストレッチにわたる相補的配列が一般的に、引き続く増幅工程のために好ましく、これよって、得られる特定のハイブリッド分子の質および程度を向上させる。
【0099】
より短いプライマーは、インビボでの接近し易さを作り、そして増大するのがより容易であるが、多くの他の因子がハイブリダイゼーションの特異性を決定するのに関与する。
プライマーの、その相補的標的に対する結合親和性および配列特異性の両方が、長さが増加するにつれて増大する。以下のヌクレオチド塩基対の例示的なプライマーを使用することが企図されるが、他のものも同様に企図される:約5ヌクレオチド塩基対、約6ヌクレオチド塩基対、約7ヌクレオチド塩基対、約8ヌクレオチド塩基対、約9ヌクレオチド塩基対、約10ヌクレオチド塩基対、約11ヌクレオチド塩基対、約12ヌクレオチド塩基対、約13ヌクレオチド塩基対、約14ヌクレオチド塩基対、約15ヌクレオチド塩基対、約16ヌクレオチド塩基対、約17ヌクレオチド塩基対、約18ヌクレオチド塩基対、約19ヌクレオチド塩基対、約20ヌクレオチド塩基対、約21ヌクレオチド塩基対、約22ヌクレオチド塩基対、約23ヌクレオチド塩基対、約24ヌクレオチド塩基対、約25ヌクレオチド塩基対、約26ヌクレオチド塩基対、約27ヌクレオチド塩基対、約28ヌクレオチド塩基対、約29ヌクレオチド塩基対、約30ヌクレオチド塩基対、約31ヌクレオチド塩基対、約32ヌクレオチド塩基対、約33ヌクレオチド塩基対、約34ヌクレオチド塩基対、約35ヌクレオチド塩基対、約36ヌクレオチド塩基対、約37ヌクレオチド塩基対、約38ヌクレオチド塩基対、約39ヌクレオチド塩基対、約40ヌクレオチド塩基対、約41ヌクレオチド塩基対、約42ヌクレオチド塩基対、約43ヌクレオチド塩基対、約44ヌクレオチド塩基対、約45ヌクレオチド塩基対、約46ヌクレオチド塩基対、約47ヌクレオチド塩基対、約48ヌクレオチド塩基対、約49ヌクレオチド塩基対、約50ヌクレオチド塩基対、約51ヌクレオチド塩基対、約52ヌクレオチド塩基対、約53ヌクレオチド塩基対、約54ヌクレオチド塩基対、約55ヌクレオチド塩基対、約56ヌクレオチド塩基対、約57ヌクレオチド塩基対、約58ヌクレオチド塩基対、約59ヌクレオチド塩基対、約60ヌクレオチド塩基対、約61ヌクレオチド塩基対、約62ヌクレオチド塩基対、約63ヌクレオチド塩基対、約64ヌクレオチド塩基対、約65ヌクレオチド塩基対、約66ヌクレオチド塩基対、約67ヌクレオチド塩基対、約68ヌクレオチド塩基対、約69ヌクレオチド塩基対、約70ヌクレオチド塩基対、約75ヌクレオチド塩基対、約80ヌクレオチド塩基対、約85ヌクレオチド塩基対、約90ヌクレオチド塩基対、約95ヌクレオチド塩基対、および約100ヌクレオチド塩基対以上。
従って、ヌクレオチド配列は、遺伝子、DNAもしくはRNAの相補的ストレッチとの二重鎖分子を選択的に形成するその配列の能力について、またはより具体的には、細胞、細胞溶解物および組織に直接的もしくは間接的に由来するDNAもしくはRNAを含む、DNA調製物もしくはRNA調製物の増幅のためのプライマーを提供するその配列能力について、選択され得る。本開示のプローブおよびプライマーを使用して、DNAを増幅し、そして遺伝子、遺伝子発現の変化、遺伝子多型、一ヌクレオチド多型、そして任意の種から目的の任意の遺伝子が視覚的に検出され得る場合のmRNA発現の変化を検出する。標的ポリヌクレオチドは、RNA分子、mRNA、cDNA、DNAまたは増幅されたDNAである。アニーリングのストリンジェンシーおよびプライマーの領域を変動することによって、異なる標的を発見し得る。
【0100】
プライマーは、当該分野で周知の方法によって化学的に合成され得る。化学合成方法は、ポリ核酸配列内の実質的に任意の場所に配置される、蛍光標識、放射性標識などのような検出可能な標識の配置を可能とする。当業者に公知の、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドを合成する固相方法ならびに他の方法が、本開示の内容中で使用され得る。
【0101】
広範な種々の適切な検出手段または認識手段が当該分野で公知であり、そしてプライマー中に組み込まれ得ることが特に企図される。そのような標識としては:蛍光標識、放射性標識、質量標識、親和性標識、色素団、色素、電気的発光、化学発光、酵素タグ、または他のリガンド(例えば、アビジン/ビオチンもしくは抗体)が挙げられるがこれらに限定されず、これらは検出され得、そして以下に記載される。
【0102】

(2.DNA増幅)
最も知られた増幅方法の一つは、PCRTMであり、PCRTMは、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号および同第4,800,159号(各々が本明細書中に参考として援用される)に詳細に記載される。PCRTMがDNA増幅を実施する受容可能な手段であると考えられる一方、本開示の方法は、当業者に周知であり、そして以下に簡単に考察される代替の増幅技術を使用して実施され得ることが具体的に企図される。PCRTMにおいて、核酸に選択的にハイブリダイズするプライマーの対は、選択的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で使用される。本明細書中で使用される場合、用語プライマーは、鋳型依存的プロセスにおいて、新生の核酸の合成をプライムし得る任意の核酸分子を含む。プライマーは、二本鎖形態または一本鎖形態で提供され得るが、一本鎖形態が好ましい。プライマーは、所定の鋳型サンプル中に存在する標的遺伝子配列を増幅するために、多くの鋳型依存的プロセスの任意の1つにおいて使用される。
【0103】
開示されるDNA増幅方法のための核酸標的は、当該分野で周知の技術によって増幅され得る任意の核酸または任意の核酸アナログであると一般的に考えられる。一例として、本開示の文脈において具体的に企図される標的核酸としては、以下が挙げられ得るがこれらに限定されない:ゲノムDNA、cDNA、RNA、mRNA、コスミドDNA、BAC DNA、PAC DNA、YAC DNAおよび合成DNA。企図される実施形態において、ゲノムDNAは、原核生物あるいは真核生物の細胞または組織由来であり、そして開示されるDNA増幅方法においてサンプルDNAとして利用される。他の実施形態において、ポリA mRNAが単離され、そしてcDNAを得るために逆転写(RTと呼ばれる)され、次いでcDNAは、本発明の開示される方法を使用するDNA増幅のためのサンプルDNAとして使用される。他の企図される実施形態において、cDNAが得られ得、そして増幅されるべきサンプルDNAとして使用され得る。なお別の実施形態において、RNAまたはmRNAは、開示されるDNA増幅方法を使用して直接増幅される(ここで出発材料は、DNAサンプルではなくRNAサンプルである)。
【0104】
(i.PCRTM
PCRTMにおいて、標的遺伝子配列の、反対の相補鎖における領域に相補的である2つのプライマー配列が調製される。標的遺伝子配列がサンプル中に存在する場合、このプライマーは、ハイブリダイズしてDNA:プライマーハイブリッドを形成する。過剰のデオキシリボヌクレオシド三リン酸が、鋳型依存的核酸合成を促進するDNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)とともに反応混合物に添加される。
【0105】
DNA:プライマーハイブリッドが形成される場合、ポリメラーゼは、ヌクレオチドを付け足すことによって、標的遺伝子配列に沿ってプライマーを伸長させる。反応混合物の温度を上昇および低下させることによって、伸長されたプライマーが標的遺伝子から解離して反応産物を形成し、過剰のプライマーが標的遺伝子および反応産物に結合し、そしてこのプロセスが繰り返される。これらの多重ラウンドの増幅(「サイクル」と呼ばれる)が、十分量の増幅産物が産生されるまで行われる。
【0106】
次に、増幅産物が検出される。特定の用途において、この検出は、視覚的手段によって実施され得る。あるいは、この検出は、蛍光標識、化学発光、取り込まれた放射標識または標識されたヌクレオチドの取り込みの放射活性シンチグラフィー、質量標識を介してか、または電気的インパルスシグナルまたは温度インパルスシグナルを使用するシステムまでも介して、産物の間接的同定を含み得る。
【0107】
(ii LCR)
増幅のための別の方法は、リガーゼ連鎖反応(「LCR」)である(本明細書中に参考として援用される欧州特許出願第320,308号に開示される)。LCRにおいて、2つの相補的プライマー対が調製され、そして標的配列の存在下で各対が、隣接するように標的の反対の相補鎖に結合する。リガーゼの存在下で、この2つのプローブ対が連結して、単一の単位を形成する。PCRTMのような温度サイクリングによって、結合された連結化単位は標的から解離し、次いで過剰のプローブ対のライゲーションのための「標的配列」として働く。本明細書中に参考として援用される米国特許第4,883,750号は、標的配列へのプローブ対の結合に関する、LCRに類似の方法を記載する。
【0108】
(iii.Qβ レプリカーゼ)
PCT特許出願番号PCT/US87/00880に記載されるQβ レプリカーゼはまた、本開示におけるなお別の増幅方法として使用され得る。この方法において、RNAポリメラーゼの存在下で、標的配列の領域に相補的な領域を有するRNAの複製的配列が、サンプルに添加される。このポリメラーゼは、複製的配列(これは、次いで検出され得る)をコピーする。
【0109】
(iv.等温増幅)
等温増幅方法(制限部位の1つの鎖においてヌクレオチド5’−[α−チオ]−三リン酸を含む標的配列の増幅を達成するために、制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼが使用される)はまた、DNA増幅において有用であり得る。このような増幅方法は、Walkerら(Nucleic Acid Res 20(7):1691〜1696,1992)(本明細書中に参考として援用される)によって記載される。
【0110】
(v.鎖置換増幅)
鎖置換増幅(SDA)は、核酸の等温増幅を実施する別の方法であり、鎖置換および合成(すなわち、ニックトランスレーション)の多重ラウンドを含む。SDA技術は、米国特許第5,712,124号、同第5,648,211号および同第5,455,166号(本明細書中に参考として援用される)に記載される。同様の方法(修復連鎖反応(RCR)と呼ばれる)は、増幅のために標的化された領域全体にわたっていくつかのプローブをアニールする工程を包含し、これに4塩基のうち2塩基だけが存在する修復反応が続く。他方の2塩基は、容易な検出のためにビオチン化誘導体として添加され得る。同様のアプローチがSDAにおいて使用される。
【0111】
(vi.環状プローブ反応)
標的特異的配列はまた、環状プローブ反応(CRP)を使用して検出され得る。CRPにおいて、非特異的DNAの3’配列および5’配列を有する配列ならびに特異的RNAの中央の配列は、サンプル中に存在するDNAにハイブリダイズされる。ハイブリダイゼーションの際に、この反応物は、RNaseHで処理され、そして特有の産物として同定されたプローブの産物が、消化後に放出される。元の鋳型は、別の環状プローブにアニールされ、そしてこの反応が繰り返される。
【0112】
(vii.転写に基づく増幅)
本開示の文脈において具体的に企図される他の核酸増幅手順として、転写に基づく増幅系(rAS)(核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SR、Kwohら、Proc Natl Acsd Sci USA、86:1173〜1177、1989;PCT特許出願WO88/10315など、1989(各々は本明細書中に参考として援用される)を含む)が挙げられる。
【0113】
NASBAにおいて、核酸は、標準的なフェノール/クロロホルム抽出、臨床サンプルの熱変性、溶解緩衝液での処理ならびにDNAおよびRNAの単離用のミニスピンカラムまたはRNAの塩酸グアニジン抽出によって増幅用に調製され得る。これらの増幅技術は、標的特異的配列を有するプライマーをアニーリングする工程を包含する。重合の後、DNA/RNAハイブリッドは、RNaseHで消化され、一方二本鎖DNA分子は、再び熱変性される。いずれの場合においても、一本鎖DNAは、第二の標的特異的プライマーを添加することによって完全な二本鎖にされ、次いで、重合される。次いで、この二本鎖DNA分子は、T7またはSP6のようなポリメラーゼによって多数回転写される。等温のサイクル反応において、RNAは、二本鎖DNAに逆転写され、そしてT7またはSP6のようなポリメラーゼによって、もう一度転写される。得られた産物は、(短縮されていても完全であっても)標的特異的配列を示す。
【0114】
(viii.他の増幅方法)
英国特許出願GB2,202,328、およびPCT特許出願PCT/US89/01025(各々は本明細書中に参考として援用される)に記載されるような他の増幅方法が、本開示に従って使用され得る。前者の出願では、「改変された」プライマーが、PCRTMのような鋳型および酵素に依存的な合成において使用される。これらのプライマーは、捕捉部分(例えば、ビオチン)および/または検出部分(例えば、酵素)で標識されることによって改変され得る。後者の用途において、過剰の標識化プローブが、サンプルに添加される。標的配列の存在下で、このプローブは結合し、そして触媒的に切断される。切断後、この標的配列は過剰のプローブによって結合されるようにインタクトで離される。標識化プローブの切断は、標的配列の存在を知らしめる。
【0115】
Daveyら、欧州特許出願番号329,822(本明細書中に参考として援用される)は、一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)(本開示に従って使用され得る)を循環的に合成する工程を包含する核酸増幅プロセスを開示する。このssRNAは、第一プライマーオリゴヌクレオチドのための第一鋳型であり、これは逆転写酵素(RNA依存性DNAポリメラーゼ)によって伸長される。次いで、このRNAは、リボヌクレアーゼH(RNaseH、DNAまたはRNAのいずれかとの二重鎖中のRNAに特異的なRNase)の作用によって、得られたDNA:RNA二重鎖から取り除かれる。得られたssDNAは、第二プライマーのための第二鋳型であり、これは、第二プライマーの、鋳型に対して相同な部分の5’側にRNAポリメラーゼプロモーターの配列(T7RNAポリメラーゼによって例示される)もまた含む。次いで、これらのプライマーは、DNAポリメラーゼ(E.coli DNAポリメラーゼIの大きい「クレノウ」フラグメントによって例示される)によって伸長され、プライマー間に元のRNAの配列と同一の配列を有し、加えて一方の末端においてプロモーター配列を有する二本鎖DNA分子を生じる。このプロモーター配列は、DNAの多くのRNAコピーを作製するために、適切なRNAポリメラーゼによって使用され得る。次いで、これらのコピーは、非常に速い増幅に導くサイクルに再び入り得る。酵素を適切に選択して、この増幅は、各サイクルにおいて酵素を添加することなく等温で行われ得る。このプロセスの周期性の性質に起因して、出発核酸配列は、DNAであってもRNAであってもよい。
【0116】
Millerら、PCT特許出願WO89/06700(本明細書中に参考として援用される)は、標的一本鎖DNAへのプロモーター/プライマー配列のハイブリダイゼーション(この配列の多くのRNAコピーの転写が後に続く)に基づく核酸配列増幅スキームを開示する。このスキームは、循環性のスキームではない。すなわち、得られたRNA転写物から、新たな鋳型が産生されない。
【0117】
他の適切な増幅方法は、「racePCRTMおよび「片側(one−sided)PCRTM」を含む(Frohman、PCR Protocols中のA Guide To Methods And Applications,Academic Press,N.Y.,1990、各々は本明細書中に参考として援用される)。得られた「ジ−オリゴヌクレオチド」の配列を有する核酸配列の存在下での、2つの(またはそれより多い)オリゴヌクレオチドのライゲーションに基づく方法(それによってジ−オリゴヌクレオチドを増幅する)はまた、本開示に従いDNAを増幅するために使用され得る(Wuら、Genomics 4:560〜569,1989、本明細書中に参考として援用される)。
【0118】
(3.制限酵素)
制限酵素は、4〜8ヌクレオチド長の特定の短いDNA配列(以下の表1を参照のこと)を認識し、そしてこの配列内の部位でDNAを切断する。本発明の開示の文脈において、制限酵素は、増幅反応の前かまたは増幅反応に続いて、種々の制限酵素認識部位に対応する部位においてDNA分子を切断するために使用され得る。
【0119】
種々の制限酵素についての認識部位に配列(例えば、以下の表1を参照のこと)は、当該分野で周知であるので、認識配列に対応するヌクレオチドを含むプライマーが設計され得る。プライマーセットは、制限認識配列に加えて、ヌクレオチド配列の異なる組合せに対応する変性配列を有し得る。以下の表1は、本開示において有用であり得る制限酵素およびそれらの切断部位を例示する。
【0120】
【表1−1】
Figure 2004532643
【0121】
【表1−2】
Figure 2004532643
【0122】
【表1−3】
Figure 2004532643
【0123】
【表1−4】
Figure 2004532643
【0124】
【表1−5】
Figure 2004532643
【0125】
【表1−6】
Figure 2004532643
(4.他の酵素)
ポリメラーゼは、予め存在する核酸鋳型上で核酸の合成を触媒して、リボヌクレオチドからRNA、またはデオキシリボヌクレオチドからDNAを組み立てる酵素である。本開示の文脈において具体的に企図されるポリメラーゼは、天然に単離されたポリメラーゼ、改変されたポリメラーゼ、または合成ポリメラーゼであり得る。使用されるポリメラーゼは、熱安定性であることが一般的に企図されるが、非熱安定性ポリメラーゼもまた、本開示の文脈において使用され得る。表2および表3は、本開示の文脈において使用され得る例示的なポリメラーゼおよび核酸改変酵素を示す。
表2
ポリメラーゼ
熱安定性DNAポリメラーゼ:
OmniBaseTM配列決定酵素
Pfu DNAポリメラーゼ
Taq DNAポリメラーゼ
Taq DNAポリメラーゼ、配列決定等級
TaqBeadTM ホットスタートポリメラーゼ
AmpliTaq Gold
Vent DNAポリメラーゼ
Tub DNAポリメラーゼ
TaqPlus DNAポリメラーゼ
Tfl DNAポリメラーゼ
Tli DNAポリメラーゼ
Tth DNAポリメラーゼ
DNAポリメラーゼ:
DNAポリメラーゼI、クレノウフラグメント、エキソヌクレアーゼマイナス
DNAポリメラーゼI
DNAポリメラーゼI 大(クレノウ)フラグメント
ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ
T7DNAポリメラーゼ
T4DNAポリメラーゼ
逆転写酵素
AMV逆転写酵素
M−MLV逆転写酵素
表3
DNA/RNA改変酵素
リガーゼ:
T4DNAリガーゼ
キナーゼ:
T4ポリヌクレオチドキナーゼ
(5.標識)
プライマーに組み込まれた認識部分、増幅の間に増幅産物に組み込まれた認識部分またはプローブに結合される認識部分は、増幅された分子の同定において有用である。以下のような多くの異なる標識が、この目的のために使用され得る:例えば、発蛍光団、発色団、放射性同位元素、酵素タグ、抗体、化学発光、電気発光、アフィニティー標識など。当業者は、これらの発蛍光団および本明細書中で述べられない他の発蛍光団もまた、本開示において首尾よく使用され得ることを認識する。
【0126】
アフィニティー標識の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗体、抗体フラグメント、レセプタータンパク質、ホルモン、ビオチン、DNPまたはアフィニティー標識に結合し、そして増幅された遺伝子の分離のために使用され得る任意のポリペプチド/タンパク質分子。
【0127】
酵素タグの例としては、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、またはペルオキシダーゼのような酵素が挙げられる。さらに、相補的核酸を含むサンプルとの特異的なハイブリダイゼーションを同定するために、比色分析の指標基質が、ヒトの目に可視であるかまたは分光光度測定的な検出手段を提供するために使用され得る。これらの例はすべて、当該分野において一般的に公知であり、そして当業者は、本開示が上記に記載の例に限定されないことを認識する。
【0128】
以下の発蛍光団は、本開示において有用であることが具体的に企図される:Alexa 350、Alexa 430、AMCA、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、BODIPY−FL、BODIPY−R6G、BODIPY−TMR、BODIPY−TRX、Cascade Blue、Cy2、Cy3、Cy5、6−FAM、フルオレセイン、HEX、6−JOE、Oregon Green 488、Oregon Green 500、Oregon Green 514、Pacific Blue、REG、Rhodamine Green、Rhodamine Red、ROX、TAMRA、TET、テトラメチルローダミン、およびTexas Red。
【0129】
(6.分離方法および定量化方法)
増幅後、分析目的または、より具体的には特異的な増幅が起こったかどうかを決定するために、互いに異なり、鋳型と異なり、そして過剰のプライマーと異なるいくつかの長さの増幅産物を分離することが望ましくあり得る。
【0130】
(i.ゲル電気泳動)
一つの実施形態において、増幅産物は、標準的な方法(Sambrookら、「Molecular Cloning」、A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York、13.7〜13.9:1989)を使用するアガロースゲル電気泳動、アガロース−アクリルアミドゲル電気泳動またはポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離される。ゲル電気泳動技術は、当該分野で周知である。
【0131】
(ii.クロマトグラフィー技術)
あるいは、クロマトグラフィー技術が、分離をもたらすために使用され得る。本開示において使用され得る多くの種類のクロマトグラフィーがある:吸着クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、および分子篩クロマトグラフィー、ならびにそれらを使用するための多くの特殊な技術(カラムクロマトグラフィー、紙クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィーを含む)(Freifelder、Physical Biochemistry Applications to Biochemistry and Molecular Biology、第2版、Wm.Freeman and Co.、New York、N.Y.、1982)。なお別の代替物は、例えば、ビオチンまたは抗原で標識された核酸生成物を、それぞれアビジンまたは抗体を保有するビーズで捕捉することである。
【0132】
(iii.微量流体技術)
微量流体技術は、マイクロキャピラリー(例として、ACLARA BioScience Inc.によって設計されたマイクロキャピラリーまたはCaliper Technologies Inc.によって設計されたLabChipTMを含む)のようなプラットフォーム上での分離を含む。これらの微量流体プラットフォームは、他の分離技術に必要とされるマイクロリットル容量と対照的に、ナノリットル容量のサンプルのみを必要とする。遺伝子の分析に含まれるいくつかのプロセスの縮小化が、微量流体デバイスを使用して達成されている。例えば、NorthrupおよびWhiteに対する公開されたPCT出願番号WO94/05414(本明細書中に参考として援用される)は、試料から核酸を回収および増幅するための一体型微量PCRTM装置を報告する。米国特許第5,304,487号、同第5,296,375号、および同第5,856,174号は、核酸分析に含まれる種々の処理操作および分析操作を組み入れる装置および方法を記載し、そして本明細書中で参考として援用される。
【0133】
(iv.キャピラリー電気泳動)
いくつかの実施形態において、増幅されたDNAを解析するためのさらなる手段または代替の手段を提供することが望ましくあり得る。これらの実施形態において、マイクロキャピラリーアレイは、分析に使用されることが企図される。マイクロキャピラリーアレイ電気泳動は、一般的に、粒子状分離媒体で充填されても充填されなくてもよい細いキャピラリーまたはチャネルの使用を含む。キャピラリーを通すサンプルの電気泳動は、そのサンプルに関する、サイズに基づく分離プロフィールを提供する。マイクロキャピラリーアレイ電気泳動は、一般的に、サイズに基づく配列決定、PCRTM産物分析、および制限フラグメントサイズ決定(sizing)のための迅速な方法を提供する。これらのキャピラリーの容量に対する表面の高い比は、キャピラリー全体で実質的な温度の変動なしに、キャピラリー全体へのより高い電場の適用を可能にし、結果として、より迅速な分離を可能にする。さらに、共焦点画像化方法と組み合わされた場合、これらの方法は、アットモルの範囲内の感度(これは、放射活性配列決定方法の感度に匹敵する)を提供する。マイクロキャピラリー電気泳動デバイスを含む微量流体デバイスの微小製造(microfabrication)は、例えば以下に詳細に議論される:Jacobsonら、Anal Chem,66:1107〜1113,1994;Effenhauserら、Anal Chem,66:2949〜2953,1994;Harrisonら、Science,261:895〜897,1993:Effenhauserら、Anal Chem,65:2637 2642,1993;Manzら J.Chromatogr 593:253 258,1992;および米国特許第5,904,824号(これらは、本明細書中に参考として援用される)。代表的には、これらの方法は、シリカ、シリコン、または他の結晶基材もしくはチップ上でのミクロン規模のチャネルの写真平版エッチングを含み、本開示における使用に容易に適応され得る。
【0134】
Tsudaら(Anal Chem,62:2149〜2152,1990)は、長方形のキャピラリー(円筒形のキャピラリーガラスチューブの代替物)を記載する。これらの系のいくつかの利点は、幅に対する高さ(height−to−width)の大きな比、故に、それらの容量に対する表面(surface−to−volume)の高い比に起因するそれらの効率的な熱放散ならびに光学的なカラム上(on−column)検出様式のための、それらの高い検出感度である。これらの平面分離チャネルは、2次元分離(1つの力が分離チャンネルを横切って適用され、そしてサンプルゾーンが多重チャネルアレイ検出器の使用によって検出される)を実施する能力を有する。
【0135】
多くのキャピラリー電気泳動方法において、キャピラリー(例えば、ヒューズド(fused)シリカキャピラリーまたは平面の基材に加工されエッチングされたか、加工されるたもしくは成形されたチャネル)は、適切な分離/篩い分け(sieving)マトリックスで満たされる。代表的には、当該分野で公知の種々のマトリックスが、マイクロキャピラリーアレイに使用され得る。このようなマトリックスの例としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、アガロースなどが挙げられる。一般に、特定の適用の分離特性(例えば、核酸フラグメントのサイズ、所望の分解能、およびネイティブの核酸分子または未変性の核酸分子の存在)を最大化するために、特定のゲルマトリックス、泳動緩衝液、および泳動条件が選択される。例えば、泳動緩衝液は、サンプル中の核酸を変性するために尿素のような変性剤、カオトロピック剤を含み得る。
【0136】
(v.質量分析)
質量分析は、真空で分子をイオン化し、そしてそれらを揮発によって「飛ばす(fly)」ことにより、個々の分子を「秤量」する手段を提供する。電場および磁場の組合せの影響を受けて、イオンは、それらの個々の質量(m)および電荷(z)に依存して軌道をたどる。低分子量の分子について、質量分析法は、親分子イオンの質量を決定することによる有機分子の分析および特徴付けのための、慣用的な物理的有機レパートリーの一部である。さらに、この親分子イオンを他の粒子(例えば、アルゴン原子)と衝突させることによって、この分子イオンは、いわゆる衝突誘導化解離(CID)によってフラグメント化され、2次イオンを形成する。フラグメント化のパターン/経路は、頻繁に詳細な構造の情報の導出を可能にする。当該分野における質量分析方法の他の適用は、Methods in Enzymology,193巻:「Mass Spectrometry」(J.A.McCloskey、編)、1990、Academic Press,New Yorkに要約されている。
【0137】
MS/MS配置と連動したCIDによる高い検出感度、質量測定の精度、詳細な構造の情報および速度、ならびにコンピューターへのオンラインデータ転送を提供することにおける、質量分析法の明らかな分析上の利点によって、核酸の構造解析のための質量分析法の使用は、かなりの関心が抱かれている。この分野をまとめた総説としては、(Schram Methods Biochem Anal,34:203〜287,1990)および(Crain,Mass Spectrometry Reviews,9:505〜554,1990)(本明細書中に参考として援用される)が挙げられる。核酸に質量分析法を適用するための最大の難点は、これらの非常に極性のバイオポリマーを揮発させることの難しさである。従って、「配列決定」は、親分子イオンの質量を決定し、このことを介して既知の配列を確認するか、あるいは、特に、イオン化および揮発のために迅速な原子の衝撃(FAB質量分析法)またはプラズマ脱離(PD質量分析法)の方法を利用するMS/MS配置におけるCIDを介しての2次イオン(フラグメントイオン)の産生を介して既知の配列を確認することによる、低分子量の合成オリゴヌクレオチドに限定される。例として、オリゴデオキシヌクレオチドの化学合成のための保護化二量体ブロックの分析へのFABの適用が記載されている(Kosterら、Biomedical Environmental Mass Spectrometry 14:111〜116,1987)。
【0138】
2つのイオン化/脱離技術は、電気スプレー/イオンスプレー(ES)およびマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)である。ES質量分析法は、Fennら、J.Phys.Chem.88;4451〜4459、1984;PCT出願第WO90/14148によって紹介され、その適用は、総論(例えば、Smithら、Anal Chem 62:882〜89,1990、およびArdrey、Electrospray Mass Spectrometry,Spectroscopy Europe,4:10〜18,1992)中にまとめられている。質量分析器として、四重極が最も頻繁に使用される。フェムトモル量のサンプルにおける分子量の決定は、質量計算に使用され得る多くのイオンピークが存在するために、非常に正確である。
【0139】
対照的に、MALDI質量分析法は、質量分析器として飛行時間(TOF)配置が使用される場合、特に魅力的であり得る。MALDI−TOF質量分析法は、(Hillenkampら、Biological Mass Spectrometry BurlingameおよびMcCloskey編者,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,49〜60頁、1990)によって紹介された。多くの場合、この技術では多重の分子イオンピークは産生されないので、原則的に質量スペクトルは、ES質量分析法と比較して、より単純に見える。410,000ダルトンの分子量までのDNA分子は、脱離および揮発され得た(Williamsら、Science,246:1585〜1587,1989)。より最近では、この技術での(UVレーザーとは対照的な)赤外レーザー(IR)の使用が、2180ヌクレオチドまでのサイズの合成DNA,プラスミドDNAの制限酵素フラグメントおよびRNA転写物のようなより大きい核酸の質量スペクトルを提供することが示されている(Berkenkampら、Science,281:260〜262,1998)。Berkenkampはまた、DNAサンプルおよびRNAサンプルが、MALDI―TOF IRを使用する、制限されたサンプル精製によって解析され得る方法を記載する。
【0140】
日本国特許第59−131909号において、電気泳動、液体クロマトグラフィーまたは高速ゲル濾過のいずれかによって分離された核酸フラグメントを検出する機器が記載される。質量分析の検出は、通常はDNA中に存在しない原子(例えば、S、Br、IまたはAg、Au、Pt、Os、Hg)を核酸に取り込むことによって達成される。
【0141】
(vii、エネルギー移動)
ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチドプローブを蛍光標識で標識する技術は、当該分野で周知の技術であり、プローブハイブリダイゼーションの検出を促進するための高感度な、非放射活性の方法である。より最近開発された検出方法では、プローブハイブリダイゼーションの検出のために、蛍光強度の直接検出ではなく蛍光エネルギー移動(FET)のプロセスを使用する。FETは、一方(アクセプター)の吸収スペクトルが、他方(ドナー)の発光スペクトルと重複し、そして2つの色素が近接している場合に、ドナー発蛍光団とアクセプター色素(これは発蛍光団であってもなくてもよい)との間で生じる。これらの特性を有する色素は、ドナー/アクセプター色素対またはエネルギー移動色素対と呼ばれる。ドナー発蛍光団の励起状態のエネルギーは、共鳴双極子に誘導された隣接のアクセプターとの双極子相互作用によって転移される。このことは、ドナーの蛍光のクエンチングを生じる。いくつかの場合において、アクセプターもまた発蛍光団である場合、その蛍光の強度は増強され得る。エネルギー移動の効率は、ドナーとアクセプターとの間の距離に大きく依存しており、そしてこれらの関係を予測する式がForster,Ann Phys 2:55〜75,1948によって開発されている。エネルギー移動効率が50%である、ドナーとアクセプター色素との間の距離は、Forster距離(Ro)と呼ばれる。蛍光クエンチングの他のメカニズム(例えば、電荷移動および衝突クエンチングを含む)もまた、当該分野で公知である。
【0142】
クエンチングを生じさせるための、近接した2つの相互作用の関係に依存したエネルギー移動および他のメカニズムは、ヌクレオチド配列を検出または同定するための魅力的な手段である。なぜなら、このようなアッセイは、均一な形式で行われ得るからである。均一なアッセイ形式は、単一の発蛍光団標識の蛍光の検出による、従来のプローブハイブリダイゼーションアッセイと異なる。なぜなら、不均一のアッセイは、一般的に、遊離の標識からハイブリダイズした標識を分離するためのさらなる工程を必要とするからである。FETハイブリダイゼーションアッセイに関するいくつかの形式が、Nonisotopic DNA Probe Techniques(Academic Press,Inc.、311〜352頁、1992)に概説される。
【0143】
核酸増幅の検出のための蛍光クエンチングのエネルギー移動または他のメカニズムを使用する均一な方法もまた記載されている。Higuchiら(Biotechnology 10:413〜417,1992)は、エチジウムブロマイドの増加された蛍光のモニタリングによってリアルタイムでDNA増幅を検出する(エチジウムブロマイドは、二本鎖DNAに結合するので)ための方法を開示する。エチジウムブロマイドの結合は、標的特異的ではなく、バックグラウンドの増幅産物もまた検出されるので、この方法の感度は制限される。Leeら(Nucleic Acid Res 21:3761〜3766,1993)は、二重に標識された検出プローブがPCRTMの間に標的増幅に特異的な様式で切断されるリアルタイム検出方法を開示する。この検出プローブは、増幅プライマーの下流にハイブリダイズされ、その結果、Taqポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性がその検出プローブを消化して、エネルギー移動対を形成する2つの蛍光色素を分離する。プローブが切断されるにつれて、蛍光強度は増加する。公開されたPCT出願WO96/21144は、核酸の酵素介在切断が増加された蛍光を生じる連続的な蛍光測定的アッセイを開示する。蛍光エネルギー移動は、標的へのハイブリダイゼーションによってクエンチされる単一の蛍光標識を使用する方法の状況においてのみの使用について示唆される。
【0144】
増幅プライマーのハイブリダイゼーション部位の下流の標的配列にハイブリダイズするシグナルプライマーまたは検出プローブは、核酸増幅の検出における使用について記載されている(米国特許第5,547,861号)。シグナルプライマーは、増幅プライマーの伸長と同様の様式で、ポリメラーゼによって伸長される。増幅プライマーの伸長は、標識の増幅に依存した様式でシグナルプライマーの伸長産物を置き換え、標的増幅の指標として検出され得る2本鎖の2次増幅産物を産生する。シグナルプライマーから産生された2次増幅産物は、種々の標識およびレポーター基、シグナルプライマー内の制限部位(これは、切断されて、特徴的なサイズのフラグメントを産生する)、捕捉基、ならびに3重らせんおよび2本鎖DNA結合タンパク質の認識部位のような構造的特徴の手段によって検出され得る。
【0145】
多くのドナー/アクセプター色素対が当該分野で公知であり、そして本開示において使用され得る。ドナー/アクセプター色素対として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:フルオレセインイソチオシアネート(FITC)/テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TALIC)、FITC/Texas RedTMMolecular Probes、FITC/N−ヒドロキシスクシンイミジル(hydroxysuccmimidyl)1−ピレンブチレート(PYB)、FITC/エオシンイソチオシアネート(EITC)、N−ヒドロキシスクシンイミジル1−ピレンスルホネート(PYS)/FITC、FITC/Rhodamine X、FITC/テトラメチルローダミン(TAMRA)など。特定のドナー/アクセプター発蛍光団対の選択は、重要ではない。エネルギー移動クエンチングメカニズムについて、ドナー発蛍光団の発光波長が、アクセプターの励起波長と重複すること(すなわち、効率的なエネルギー移動、電荷移動、または蛍光クエンチングを可能にするために2つの色素の間に十分なスペクトルの重複がなければならない)のみが必要とされる。P−(ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)は、隣接の発蛍光団(例えば、フルオレセインまたは5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン(EDANS))からの蛍光を効率的にクエンチする非蛍光アクセプター色素である。検出核酸において蛍光クエンチングを生じさせる任意の色素対が、クエンチングを起こすメカニズムに関わらず、本開示の方法における使用に適切である。末端標識方法および内部標識方法は、共に当該分野で公知であり、そして検出核酸中の各々の部位でドナー色素とアクセプター色素とを連結させるために慣用的に使用され得る。
【0146】
(viii、マイクロアレイおよびチップ技術)
特に、マイクロアレイおよび/またはチップに基づくDNA技術(例えば、(Haciaら、Nature Genet,14:441〜449、1996)および(Shoemakerら、Nature Genetics,14:450〜456,1996)によって記載される技術)による増幅産物の使用または分析が、本開示で企図される。これらの技術は、多くの遺伝子を迅速かつ正確に分析するための定量的方法を包含する。チップ技術は、オリゴヌクレオチドで遺伝子をタギングするか、または固定化プローブアレイを使用することにより、標的分子を高密度アレイとして隔離し、ハイブリダイゼーションに基づいてこれらの分子をスクリーニングするために使用され得る(Peaseら、Proc Natl Acad Sci USA,91:5022〜5026,1994;Fodorら、Nature,364:555〜556,1993)。
【0147】
(ix.OIA)
増幅産物を定量するための、BioStarのOIA技術の使用もまた企図される。OIAは、基材としてシリコンウエハーの鏡様の表面を使用する。薄膜光学コーティングおよび捕捉抗体が、シリコンウエハーに接着される。コーティングを通って反射した白色光が、金色の背景色として現れる。この色は、光学的分子薄膜の厚さが変化するまで、変わらない。
【0148】
陽性のサンプルが、ウエハーに適用された場合、リガンドと抗体との間に結合が生じる。基質が添加されて質量の増大が完了された場合、分子薄膜における増加された厚さの結果として、金色から紫色/青色への対応する変色が生じる。この技術は、米国特許第5,541,057号(本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0149】
(x.リアルタイムPCR)
増幅されたRNAまたはDNAは、リアルタイムPCR技術(Higuchiら、Biotechnology 10:413〜417,1992)を使用して定量され得る。増幅産物(これは、同数のサイクルを完了し、そしてその直線範囲内にある)の濃度を決定することによって、元々のDNA混合物中の特異的標的配列の相対濃度を決定することが可能である。例えば、このDNA混合物が、異なる組織または細胞から単離されたRNAから合成されたcDNAである場合、標的配列が由来する特異的mRNAの相対存在量が、各組織または各細胞について決定され得る。増幅産物の濃度と相対的mRNA存在量との正比例は、増幅反応の直線範囲内でのみあてはまる。
【0150】
曲線のプラトー部分における標的DNAの最終濃度は、反応混合物中における試薬の利用可能性によって決定され、そして標的DNAの元々の濃度に依存しない。従って、RNA集団またはDNA集団の収集物についてリアルタイムPCRによってRNA種またはDNA種の相対的存在量が決定され得る前に満たさなくてはならない第一の条件は、反応産物が、それらの曲線のうちの直線部分にあるときに、増幅産物の濃度がサンプリングされなければならないということである。特定のmRNA種の相対的存在量を首尾よく決定するためにRT−PCR実験について満たされなければならない第二の条件は、増幅可能なcDNAの相対濃度が、いくつかの独立した標準物質によって標準化されなければならないということである。リアルタイムPCR実験の目的は、サンプル中の全てのRNA種またはDNA種の平均存在量と相対的な、特定のRNA種またはDNA種の存在量を決定することである。
【0151】
(xi.ルミネックス(Luminex))
ルミネックス技術は、色分けされたミクロスフィア上に固定された核酸産物の定量を可能にする。生体分子反応の大きさは、レポーターと呼ばれる第二の分子を使用して測定される。このレポーター分子は、ミクロスフィア上に分子を接着させることによって、反応の程度を知らしめる。ミクロスフィアおよびレポーター分子の両方が色分けされているので、デジタル信号処理が、各反応についてのリアルタイムの定量的データへのシグナルの変換を可能にする。標準的な技術は、米国特許第5,736,303号および同第6,057,107号(本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0152】
(8.同定方法)
標的遺伝子配列の増幅を確認するために、増幅産物は、可視化されなければならない。一つの代表的な可視化方法は、蛍光色素(例えば、エチジウムブロマイドまたはVistra Green)でのゲルの染色およびUV光の下での可視化を包含する。あるいは、増幅産物が、放射標識化ヌクレオチドまたは蛍光定量的に標識されたヌクレオチドによって組み込み標識される場合、増幅産物は、x線フィルムに曝され得るか、または分離の後に適切な刺激スペクトルの下で可視化され得る。
【0153】
一つの実施形態において、可視化は、核酸プローブを使用して間接的に達成される。増幅産物を分離した後に、標識された核酸プローブが、増幅産物と接触される。このプローブは、好ましくは発色団に結合体化されるが、これは、放射性標識され得る。別の実施形態において、このプローブは、抗体またはビオチンのような結合パートナー(結合対の他方のメンバーが検出可能な部分を有する)に結合体化される。他の実施形態において、プローブは、蛍光色素または蛍光標識を取り込む。さらに他の実施形態において、プローブは、増幅された分子を検出するために使用され得る質量標識を有する。他の実施形態はまた、TaqmanTMプローブおよびMolecular BeaconTMプローブの使用を企図する。なお他の実施形態において、標準プローブと組み合わされた固相捕捉方法が使用され得る。
【0154】
DNA増幅産物中に取り込まれる標識の型は、分析に使用される方法によって決定される。キャピラリー電気泳動、微量流体電気泳動、HPLC、またはLC分離が使用される場合、取り込まれる蛍光色素またはインターカレートされる蛍光色素のいずれかが、増幅産物を標識および検出するために使用される。サンプルは、標識種が検出器を通過して移動するにつれ、蛍光が定量されるという点で動的に検出される。任意の電気泳動方法、HPLCまたはLCが分離に使用される場合、UV光の吸収(DNAに固有の特性であり、従って標識の付加を必要としない)によって産物が検出され得る。ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはスラブゲル電気泳動が使用される場合、増幅反応のためのプライマーは、発蛍光団、発色団または放射性同位体で標識され得るか、または付随する酵素的反応によって標識され得る。酵素的検出は、プライマーへの酵素の結合(例えば、ビオチン:アビジン相互作用を介した結合)、次いでゲルにおける増幅産物の分離、次いで化学反応(例えば、ルミノールを用いて産生される化学発光)による検出を包含する。蛍光シグナルは、動的にモニターされ得る。放射性同位体または酵素反応での検出は、解析の前にゲル電気泳動での最初の分離、次いで固体支持体へのDNA分子のトランスファー(ブロット)を必要とする。ブロットが作製された場合、ブロットをプローブし、剥がし、次いで再プローブすることによって、そのブロットは複数回分析され得る。増幅産物が、質量分析器を使用して分離される場合、核酸は直接検出されるので、標識は必要とされない。
【0155】
2つの異なる特性に基づいて分離を達成するために、上記の多くの分離プラットフォームが結合され得る。例えば、いくつかのPCRTMプライマーは、アフィニティー捕捉を可能にする部分と結合され得、一方いくつかのプライマーは、未改変のままである。改変としては、糖(レクチンカラムへの結合のため)、疎水性基(逆相カラムへの結合のため)、ビオチン(ストレプトアビジンカラムへの結合のため)、または抗原(抗体カラムへの結合のため)が挙げられ得る。サンプルは、アフィニティークロマトグラフィーカラムを通される。フロースルー画分が収集され、そして結合分画が(化学的切断または塩溶出などによって)溶出される。次いで、各サンプルは、個々の成分を同定するために、質量のような特性に基づいてさらに分画される。
【0156】
(10.キット)
開示される増幅方法に必要な物質および試薬は、キット中に共に集められ得る。本開示のキットは、プライマーセットとともに、少なくとも本願方法を実施するために必要な酵素およびヌクレオチドを備える。好ましい実施形態において、このキットはまた、DNAサンプルからDNAを増幅するための指示書を備える。
【0157】
本開示のキットはまた、一般的に予め選択された1つ以上のプライマーセットおよび/またはプローブ(これらは、増幅されるべき遺伝子に特異的であっても非特異的であってもよい)を備える。好ましくは、このキットは、適切な容器中に、1つ以上の核酸プローブおよび/またはプライマーセットならびに核酸を検出するための手段を備える。特定の実施形態において、増幅反応における使用のためのキットなどにおいて、核酸を検出するための手段は、発蛍光団、放射標識、酵素タグなどのような標識(これは核酸プライマーまたはヌクレオチド自体に連結される)であり得る。キットが本開示の各DNA増幅工程のためのプライマーセットの対を備え得ることが想定される。キットが、本開示の沈殿方法に従って固体媒体上で保存されるDNAサンプルを処理するための沈殿溶液を備え得ることがまた想定される。
【0158】
好ましいキットは、全ゲノムDNAを増幅する際の使用に適切なキットである。好ましいキットにおいて、第一プライマーは、好ましくは、その3’末端に無作為配列のヌクレオチドおよび無作為配列の一般的な5’を有するように提供される(これは、DNAに無作為にハイブリダイズする)。このキットはまた、好ましくは、第一プライマーの一般的な配列と同じ一般的な配列を有する第二プライマーを備える。例えば、このキットは、全ての遺伝子ならびに染色体領域、生物由来の未知および/または既知の全ゲノムDNAまたは染色体DNAを増幅するために使用され得る。増幅のために必須の単回反応混合物を提供するために、核酸の増幅に適切な酵素(種々のポリメラーゼ(RT、Taqなど)を含む)、デオキシリボヌクレオチド、および緩衝液もまた、キット中に備えられ得る。
【0159】
本開示のキットはまた、上記のような種々の他の部分のうちの1つ以上を有するプライマーを備え得る。
【0160】
各場合において、このキットは、好ましくは個々の試薬および酵素について、ならびに各プローブまたはプライマー対について異なる容器を有する。各生物学的因子は、一般的にそれらのそれぞれの容器中に適切に等分される。このキットの容器手段は一般に、少なくとも1つのバイアルまたは試験チューブを備える。試薬を入れて、そして等分するフラスコ、ボトル、および他の容器手段もまた、あり得る。このキットの個々の容器は、好ましくは、市販のために厳重に封じ込めて維持される。より大きい適切な容器としては、注射用プラスチック容器またはブロー成形プラスチック容器(その中に所望のバイアルが保持される)が挙げられ得る。好ましくは、指示書がキットと共に提供される。
【実施例】
【0161】
以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態を明示するために盛り込まれる。以下の実施例中に開示される技術は、本発明者らによって発見された技術が本発明の実施においてうまく機能することを表し、そして故に本発明の実施のための好ましい様式を構成するとみなされ得ることが当業者によって理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示される具体的な実施形態において、多くの変更が成され得、そしてなお類似の結果または同様の結果が得られ得ることを理解するべきである。
【0162】
(実施例1)
ここに開示される沈殿方法および商業的に製造されるFTA Purification Reagent(Whatmanにより製造される)プロトコールを使用して処理されたFTAペーパー上に保存されたDNAサンプルのPCRTM増幅の効率を比較した。第一にFTAペーパー上に保存された4つの血痕DNAサンプルを、開示される沈殿方法を以下のプロトコールに従って使用して処理した:FTAペーパーサンプルの小さな円(1〜3mm)を、市販のHarris Micro−Punch(Shunderson Communication,Ottawa,Ontario,Canadaにより製造される)によって切り出し、そして蒸留水で洗浄した。この円を、96ウェルプレートに移し、そして200μlのDD水に20分間浸した。水を取り替え、そしてこの円を再び5分間水に浸した。次に水を、200μlの0.3MのNaOAc/エタノール(50/50 v/v)溶液に取替え、そしてこのペーパーを5分間浸して、ゲノムDNAをペーパー上に固定した。この溶液を除去し、そしてこのペーパーを200μlの80%エタノールで5分間洗浄して、塩を除き、そして脱水を促進した。エタノールを除去し、そしてこのペーパーを室温で15分間乾燥させた。このエタノール洗浄は、FTAペーパーサンプルの脱水時間を少なくとも50%低減した。次いで、脱水した紙を、PCR増幅のためのDNAとして直接使用した。
【0163】
第二に、FTAペーパー上に保存された4つの同じ血痕DNAサンプルを、市販のFTA Purification Reagentを製造者のプロトコールに従って処理した。簡単にいうと、各サンプルについて、FTAペーパーサンプル中の小さな円(1〜3mm)を、Harris Micro−Punchによって切り出した。この円を、96ウェルプレートに移し、そして200μlのFTA Purification Reagentに5分間浸した。FTA試薬を取り替え、そして洗浄を2回繰り返した。FTA Purification Reagentを3回取り替えた後、200μlのTE緩衝液(10mM Tris−HCl pH8.0および0.1mM EDTA)を、このペーパーに添加した。FTAペーパーを、TEに5分間浸し、次いでTE溶液を取り除き、そしてこのペーパーを1時間風乾した。次いで、脱水されたペーパーをPCR増幅に直接使用した。
【0164】
両方の脱水紙サンプルのセットを、以下の条件で増幅した。各々のPCRのための反応混合物は、DNA−ペーパーサンプル、10mM Tris HCl(pH8.3)、5mM MgCl、50mM KCl、0.001% ゼラチン、300μM dNTP(dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP)、5’−CCTTTTCCTCTAGCATCAAGTTA−3’(配列番号13)の配列を有する300nMのフォワードプライマー、5’−CAGACTGTGTGCTTCCTACAG−3’(配列番号14)の配列を有する300nMのリバースプライマー、および1.25ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(全量で50μM)を含む。この反応液に対するサーモサイクルプログラム(thermocycling program)は、95℃で2分間;95℃で30秒、66〜51℃で30秒間、および72℃で30秒間を15「タッチダウン」サイクル;および95℃で30秒間、50℃で30秒間、および72℃で30秒間を35サイクルであった。このPCR産物を、精製せずに、2.0%アガロースゲル電気泳動に供した。
【0165】
図2は、FTA Purification Reagentプロトコルト比較した、開示される沈殿方法を用いて処理したFTAペーパー上に保存されるDNAサンプルのダイレクトPCR増幅の結果を示す。図2は、開示される沈殿与方法は、市販のFTA Purification ReagentをDNAサンプルの処理に用いる場合に見出されるPCR増幅効率の変動を大きく下げることを、明瞭に実証する。ここで開示される沈殿方法は、簡便さだけでなく、FTAペーパー上に保存されるDNAサンプルをより速く処理する方法をも提供し、そのことはまた、サンプル処理のコストを下げ、そして引き続き行うPCR増幅およびDNAサンプルの遺伝的分析を多いに最適化する。
【0166】
(実施例2)
本開示のゲノムDNA全体の増幅方法を、FTAペーパー上に保存されるウシ血痕サンプルからのゲノムDNAを増幅するのに用いた。この方法は、ウシ血痕サンプル中のゲノムDNAを、単一のサーモサイクル反応を用いて、単一の反応混合物中で増幅させることにより、単一の操作において、DNAの抽出および増幅を組み合わせる。従って、この方法は、サンプルの混入の危険性を大幅に下げ、そして高スループットスクリーニングを容易にする。さらに、96ウェルまたは384ウェルプレートを、本開示方法を用いて、FTAペーパー上に保存されるゲノムDNAの増幅に対して利用し得、高スループットスクリーニングを非常に容易にする。開示されるDNA増幅の方法の有用性および効率を、開示される方法により増幅したDNAおよびFTAペーパーに直接的に結合したDNAを用いて、公知のウシSNP座のPCR増幅と比較することにより試験した。両実験とも、FTAペーパー上に保存されるDNAサンプルを、実施例1に記載されるように、開示される沈殿方法を用いて処理した。従って、本実施例は、特に遺伝的分析のための、DNA増幅の本開示方法の有効性を試験するために設計される。
【0167】
13頭の個々のウシ動物について、血痕サンプルを収集し、そしてFTAペーパー上に保存した。FTAペーパーサンプルを、開示される沈殿方法を用いて処理し、ゲノムDNAを、開示されるDNA増幅方法を用いて、1セットのサンプルから増幅した。脱水した各々の紙サンプルを、以下の条件で増幅した。初めに、DNAサンプルを、10mM Tris HCl(pH 8.3)、5mM MgCl、50mM KCl、0.001%ゼラチン、300μM dNTP(dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP)、配列番号1の配列を有する300nMの第一プライマー、配列番号2の配列を有する300nMの第二プライマー、および1.25ユニット Taq DNAポリメラーゼを含む増幅反応混合物(全量で約50μl)に入れた。反応液全体を95℃で5分間加熱してサンプルを変性した。
【0168】
次いで、第一セットのDNA増幅反応の間、反応混合物を95℃の温度で1分間加熱し、そして42℃の温度で5分間冷却した。これらの工程は、第一プライマーを、変性したサンプルDNAおよびTaq DNAポリメラーゼにアニーリングさせ、第一プライマーの3’末端からのDNAの相補的な鎖を合成した。この変性、アニーリング、および伸長の工程を、95℃で1分間の反応混合物の加熱、次いで42℃で5分間の反応混合物の冷却により、再び繰り返した。
【0169】
第二セットのDNA増幅反応は、引き続き、反応混合物を95℃の温度で15秒間の加熱し、反応混合物を65℃の温度まで冷却して第二プライマーを一本鎖DNA産物にアニーリングさせ、混合物の温度を68℃まで上げることを含み、それによってTaq DNAポリメラーゼは、第二プライマーの3’末端からのDNAの相補鎖を合成した。これらの変性、アニーリング、および伸長の工程を39回(全体で40回)繰り返した。
【0170】
脱水したDNAサンプルのセットを、開示される沈殿方法のみを用いて処理し、そして、開示される沈殿方法を用いて処理し、そして開示されるDNA増幅方法を用いて増幅しをDNAサンプルのセットを、次いで以下の条件を用いたPCR増幅に供した。各々のPCRのための反応混合物は、脱水したDNA−ペーパーサンプルまたは20ngの増幅ゲノムDNAいずれか、10mM Tris HCl(pH8.3)、5mM MgCl、50mM KCl、0.001% ゼラチン、300μM dNTP(dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP)、配列5’−CCAGCAGTTCTGAATGAAAGT−3’(配列番号15)を有する300nMのフォワードプライマー、配列5’−ACACACAGAGGCCGTGTA−3’(配列番号16)を有する300nMのリバースプライマー、および1.25ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(全量で50μl)を含む。この反応液に対するサーモサイクルプログラムは、95℃で2分間;95℃で30秒間、66〜51℃で30秒間、および72℃で30秒間を15「タッチダウン」サイクル;および95℃で30秒間、50℃で30秒間、および72℃で30秒間を35サイクルであった。
【0171】
図3は、開示される沈殿方法に従って処理したDNAサンプル(パネル上段)ならびに開示される沈殿方法およびDNA増幅方法に従って処理した同一のDNAサンプル(パネル下段)を用いた、既知のウシSNP座のダイレクトPCRの産物を示す。PCR産物は、長さが約200bpであり、公知のDNA配列から算出し長さと同じである。アガロースゲルの視覚的な画像は、ここに開示されるDNA増幅方法が、PCRを用いて容易に遺伝子型が決定され得る、DDNAを生成することを示す。さらに、DNA増幅方法は、FTAペーパーから直接単離し得るより、有意により多くの量のゲノムDNAを生成する。遺伝子型の決定ためのDNA増幅による利用可能なゲノムDNA量の増加は、生物の遺伝子型のより広範な分析を可能にする。
【0172】
(実施例3)
本開示のDNA増幅方法の効率を比較するために、初めに、本開示沈殿方法または市販のFTA Purification Reagentプロトコルを用いてFTAペーパー上に保存したDNAサンプルを処理し、次いで、開示したDNA増幅方法に従って増幅した。初めに、FTAペーパー上に保存した異なる6つの血痕から2セットのパンチ(punch)を、開示した沈殿方法またはFTA Purification Reagentプロトコルのいずれか一方を用いて、実施例1に概略が記載されるように処理した。次いで、実施例2に概略が記載されるように、2セットのDNAサンプルを、開示したDNA増幅方法に従って増幅した。
【0173】
図4は、開示したDNA増幅方法を用いた、増幅したゲノムDNA増幅の結果を例示する。この図は、DNAサンプルをFTA Purification Reagentプロトコルを用いて処理する場合(レーン2〜7)対DNAサンプル開示した沈殿方法を用いて処理する場合(レーン8〜13)の、開示したDNA増幅方法の効率を比較する。図4は、本開示DNA増幅方法が、市販のFTA Purification Reagentシステムよりも、開示した沈殿方法で処理したFTAペーパー上の血痕から、非常に大量のゲノムDNAを生成することを、明確に実証する。
【0174】
(実施例4)
DNAを増幅するための、本開示のDNA増幅方法の一般的な適応性を実証するために、ゲノムDNAの増幅のための第一プライマーおよび第二プライマーを作製するために、一連の属特有のDNA配列を用いた。初めに、FTAペーパー上の各々のDNAサンプルを、実施例1に概略が記載されるようように、本開示の沈殿方法を用いて処理した。次いで、各々の反応において異なるプライマーセットを用いたことを除いて、実施例2に概略が記載されるようように、開示したDNA増幅方法に従って、処理したDNAサンプルを増幅した。プライマーの各々のセットは、下記に並べた第二プライマーならびに、5’末端に第二プライマーと同じ共通の配列、および3’に6つのランダムなヌクレオチドを有する第一プライマーを含む:
5’―ACAACGCAGAGTAAGCAGTGGTA―3’、配列番号3;
5’―ACAACGGTAGCAGAGTAAGCAGT―3’、配列番号4;
5’―GAGTAAGCAGTACAACGGTAGCA―3’、配列番号5;
5’―GAGGCATAAGCAGTACAACGGTA―3’、配列番号6;
5’―CAACGGTAGAGGCATAAGCAGTA―3’、配列番号7;
5’―GGCATAAGCAGTACAACGGTAGA―3’、配列番号8;
5’―AACGGTAGAGGCATAAGCAGTAC―3’、配列番号9;
5’―AGTACAACGGTAGAGGCATAAGC―3’、配列番号10;
5’―AAGCAGTACAACGGTAGAGGCAT―3’、配列番号11;
5’―CGGTAGAGGCATAAGCAGTACAA―3’、配列番号12;
例えば、配列番号3の配列を有する第二プライマーを含むプライマーセットにおいて、同じDNA増幅反応における第一プライマーは、配列5’―ACAACGCAGAGTAAGCAGTGGTANNNNNN―’(配列番号17)を有した。
図5に示されるように、全てのプライマーセットは、FTAペーパー上に保存したサンプル由来のゲノムDNAを増幅し得た。図5の各々のレーンのゲノムDNAの増幅に用いたプライマーセットは、以下の第二プライマーを用いた:レーン2、配列番号3;レーン3、配列番号4;レーン4、配列番号5;レーン5、配列番号6;レーン6、配列番号7;レーン7、配列番号8;レーン8、配列番号9;レーン9、配列番号10;レーン10、配列番号11;およびレーン11、配列番号12。図5は、当業者が、本開示のDNA増幅方法に従って、効果的および均一な様式でDNAを増幅するための第一および第二プライマーのための、広い範囲の適切な共通の配列を設計し得ることを実証する。
(実施例5)
DNA増幅の開示方法のヌクレオチド配列レベルの確実性を、実施例2においてなされた比較と同様に、開示した方法で増幅したDNA、およびFTAペーパーから直接増幅したDNAを用いて、公知のウシSNP座のPCR増幅産物分析によって実験した。両実験において、FTAペーパー上に保存されたDNAサンプルを、実施例1に記載したように、開示した沈殿方法を用いて処理した。8頭の個々のウシ動物について、血痕サンプルを収集し、FTAペーパー上に保存した。FTAペーパーサンプルを、開示した沈殿方法を用いて処理し、そしてゲノムDNAを、実施例2に記載されるように、開示したDNA増幅方法を用いて1セットのサンプルから増幅した。次いで、脱水したDNAサンプルおよび増幅したDNAサンプルのセットを、実施例2に記載したようにPCR増幅に供した。その後、8頭の異なる個々のウシ動物の間で、SNPの変化量を検出するように設計したDoublecode OLA反応のセットにおいて、各々のセットに対するPCR産物を分析した。
SNP検出に対するDoublecode OLAは、参考として本明細書中に援用される米国出願番号09/755,628に記載されており、図6で例証される。図6に記載されるように、Doublecode OLAは、SNP検出のために、4つの異なるオリゴヌクレオチドを必要とする。約55℃の溶解温度(Tm)を、Doublecode OLAにおいて利用した4つの各々のオリゴヌクレオチドに対して用いた。しかし、Doublecode OLA方法において用いたオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションおよびOLA反応を促進する、任意の設計のオリゴヌクレオチドであり、そして特定のTmに依存しない。オリゴヌクレオチドのTmは算出され得、長さは多様なコンピュータソフトウェアプログラム(例えば、ウェブサイトwww@idtdna.comで利用できるオリゴアナライザー(Oligo Analyzer))を用いて、当業者によって調整される。Doublecode OLAで利用される全てのオリゴヌクレオチドおよびそれらの改変体は、市販されている。
第一ヌクレオチドは、部位(address)特異的Zipcodeオリゴヌクレオチドである。Zipcodeオリゴヌクレオチドの配列は、ランダムに選択したヌクレオチドから誘導され、Zipcodeの5’末端は、C12スペーサーを有するアミノ基によって置換される。カラーコードビーズは、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)によって触媒されるカップリング反応を介して、Zipcodeオリゴヌクレオチドの5’末端に結合される。1つの実施形態において、カラーコードビーズは、Luminex カラーコードビーズである。Luminex カラーコードビーズは、それらの表面がカルボキシル基で特異的に改変されている。カルボジイミドは、カルボキシルを活性化してO−尿素誘導体を形成することにより、カルボン酸とアミンとの間での、アミド結合の形成を触媒する。この誘導体は、求核試薬(例えば、アミン)と容易に反応して、Zipcodeオリゴヌクレオチドをビーズの表面と結合する。
第二ヌクレオチドは、Captureオリゴヌクレオチドであり、これはその3’末端に標的SNPの5’側の相補的配列および二つのSNPヌクレオチドの一つを含む。このCaptureオリゴヌクレオチドは、その5’末端で、上記で選択したZipcode配列の逆相補鎖であるAntiZipcode配列に適合する。Captureオリゴヌクレオチドの5’末端のAntiZipcode配列は、カラーコードビーズを有するZipcodeオリゴヌクレオチドとハイブリダイズし、その一方で、Captureオリゴヌクレオチドの3’末端は、標的DNA中の特定の部位にハイブリダイズする。
第三オリゴヌクレオチドは、Reporterオリゴヌクレオチドであり、これは、標的SNPの3’側(下流)の相補的配列を含む。このReporterオリゴヌクレオチドは、その3’末端で、Signalcodeという別のランダムに選択した配列に適合する。このReporterオリゴヌクレオチドの5’末端ヒドロキシル基は、ホスフェート基で置換され、これにより、後者が3’末端において、標的DNA中のSNPと完全にアニーリングする場合、Taqリガーゼにより触媒されるCaptureオリゴヌクレオチドとのライゲーション反応が促進される。第4オリゴヌクレオチドは、AntiSignalcodeオリゴヌクレオチドであり、これは、上記で選択したランダムSignalcode配列の逆相補鎖である。このAntiSignalcodeオリゴヌクレオチドの3’末端は、ストレパビジン−フィコエリスリン(strepavidin−phycoerythrin)複合体により後に染色され得るビオチンと適合する。
8頭の異なる個々のウシの、2組のPCR増幅産物においてSNPを検出するためのDoublecode OLAを、Zipcodeオリゴヌクレオチド、Captureオリゴヌクレオチド、Reporterオリゴヌクレオチド、AntiSignalcodeオリゴヌクレオチド、およびTaqリガーゼを含む反応混合物において実施した。オリゴヌクレオチドによって検出されるように設計した特定のSNPが、PCR産物中に存在する場合、Captureオリゴヌクレオチドは、Taqリガーゼによって、Reporterオリゴヌクレオチドにライゲーションされ、そして単一のハイブリダイゼーション反応において、Zipcodeオリゴヌクレオチド上のカラーコードビーズによって同時に分類され、ならびに蛍光(fluor)標識またはビオチン標識化AntiSignalcodeオリゴヌクレオチドによって染色される。染色されたビーズの蛍光をフローサイトメーターで測定した。
反応で用いた3つのZipCodeオリゴヌクレオチドは、5’−NH−CGACTCCCTGTTTGTGATGGACCAC−3’(配列番号18);5’−NH−CTTTTCCCGTCCGTCATCGCTCAAG−3’(配列番号19);および5’−NH−GGCTGGGTCTACAGATCCCCAACTT−3’(配列番号20)であった。Zipcodeオリゴヌクレオチドを、以下の手順に従ってビーズに結合した。ビーズを、100μLの0.1M MES(pH4.5)中に分散させた。アミノ置換オリゴヌクレオチドを添加して最終濃度2μMとした。次いで、5μlの新たに処理したEDC溶液(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミドヒドロクロリド、100μg/μl)を反応系に添加し、暗所で、室温で20分間インキュベートした。EDC溶液の添加および20分間のインキュベートを繰り返した。その後、ビーズを0.02% Tween 20で洗浄し、次いで、0.1% SDSで洗浄した。次いで、ビーズを、TE緩衝液中に再懸濁した。
反応で用いたCaptureオリゴヌクレオチドは、
【0175】
【化1】
Figure 2004532643
であった。配列番号23中の「M」は、AまたはCに対する縮重ヌクレオチドコードである。Captureオリゴヌクレオチドにおいて、小文字の配列は、AntiZipcode配列であり、大文字の配列は、検出されるSNPの標的配列5’上流である。配列番号21および配列番号22の配列を有するオリゴヌクレオチドは、1つ目の配列が、その3’末端にヌクレオチドGを有し、2つ目の配列が、その3’末端にヌクレオチドTを有すること以外は同一であり、このことは、ウシゲノム上のその位置に位置する2つの交互(alternate)SNPヌクレオチドを反映している。用いたReporterオリゴヌクレオチドの配列は、Reporterの中にあり、小文字の配列は、Signalcode配列であり、大文字の配列は、標的SNPの3’下流の標的配列である。
Doublecode OLA反応は、各々、以下を含む20μlの反応混合物中で実施した:1×Taqリガーゼ緩衝液、0.5pmolのCaptureオリゴヌクレオチド、5’Signalcode領域を含むReporterオリゴヌクレオチド5.0pmolおよび20ngのPCR産物。反応混合物のためのサーモサイクルプログラムは、96℃で2分間、次いで、94℃で15秒間、および37℃で1分間を55サイクルであった。
サーモサイクルプログラムが完了した後、その産物を、8頭のウシ個体の各々の遺伝子型で分類しそして染色した。反応産物の分類に用いたAntiSignalcodeオリゴヌクレオチドは、5’−ctgaacggtagcatcttgac−ビオチン−3’(配列番号24)であった。AntiSignalcodeオリゴヌクレオチドの配列は、SignalCode Reporterオリゴヌクレオチドの5’末端におけるSignalcode配列と、逆相補的である。この反応産物を、Zipcodeオリゴヌクレオチド上のカラーコードビーズによって同時に分類し、単一のハイブリダイゼーションにおいて、ビオチン化したAntiSinglecodeオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした。これらの反応を、各々、以下を含む50μlのハイブリダイゼーション混合物内で実施した:1×TMAC緩衝液(2.5M TMAC(塩化テトラメチルアンモニウム)、0.15% SDS、3 mM EDTA、および75 mM Tris−HCl(pH 8.0))、各々のSNAに対するカラーコードビーズを有する5000 Zipcodeオリゴヌクレオチド、2.5 pmolのビオチン化AntiSignalcodeオリゴヌクレオチド、および20μlのDoublecode OLA反応混合物。ハイブリダイゼーション反応混合物を95℃で5分間、インキュベートし、次いで、50℃で15分間、インキュベートした。
ハイブリダイズしたビオチン化AntiSignalcodeオリゴヌクレオチドを、1×TE緩衝液および蛍光ストレパビジン−フィコエリスリン複合体(10μg/ml)を含む反応系において、この複合体で染色した。この反応を、室温で5分間、インキュベートし、カラーコードビーズの蛍光シグナルを、Luminex 100フローサイトメーターで測定した。表4は、8頭の個々のウシ動物について、開示された沈殿方法およびDNA増幅方法に従って処理したDNAサンプルの遺伝子型決定(genotyping)の結果をまとめる。表5は、同じ8頭のウシ動物についてのみ、開示された沈殿方法に従って処理したDNAサンプルの遺伝子型決定の結果をまとめる。以下に示すように、両方法ともに、各々のウシ動物に対して、同一遺伝型の結果を与えた:
【0176】
【表4】
Figure 2004532643
相対的蛍光強度
【0177】
【表5】
Figure 2004532643
相対的蛍光強度
上記の結果は、開示されたDNA増幅方法が、高い忠実度でゲノムDNAを確実に増幅し得ることを実証し、このことは、例え非常に限られた量のDNAしか利用可能でない場合でも、この方法を使用して、単一の生物中の複数の遺伝子座を、正確に遺伝子型決定し得る。
【0178】
(実施例6)
さらに、ここで開示されるDNA増幅方法の忠実度を調べるために、ゲノムDNAを、個々の8頭のウシ動物の精子から単離した。2つの異なるプライマーを、DNA:5’−CCAGATTCTTTCGGCAGGTA−3’(配列番号25)、および5’−CATGGGAACCAGGCTGAAT(配列番号26)の増幅に用いたことを除いては、この精子から単離したゲノムDNAを実施例2に記載したプロトコルを用いて、PCR増幅に供した。PCR産物を、Sangerら(Proc Natl Acad Sci USA 74:5463〜67,1977)に記載される、ジデオキシヌクレオチド連鎖停止法を用いて配列決定した。8頭の各々の個々のウシ動物に対する遺伝子型を、以下の表6に列挙した。
【0179】
【表6】
Figure 2004532643
次いで、同じ8頭の個々のウシ動物の精子から単離したゲノムDNAを、実施例2に記載した、開示されたDNA増幅方法を用いてDNA増幅に供した。20ngのカイしゲノムDNAを増幅した。次いで、増幅したDNAサンプルを、上記に記載したように、PCR増幅に供し、最後に、実施例5に記載したように、PCR産物を1組のDoublecode OLA反応において分析した。これらの反応を、8頭の異なる個々のウシ動物の間のSNPバリエーションを検出するように設計した。表7は、本開示のDNA増幅方法に従って増幅した精子DNAの遺伝子型決定の結果をまとめる。
【0180】
【表7】
Figure 2004532643
相対的蛍光強度
表6および表7の結果の比較は、DNA産物が、開示されたDNA増幅方法を用いて厳格にそして一貫して、ゲノムDNAから増幅されることを実証する。ゲノムDNAから生成したPCR産物の直接の配列決定は、本開示のDNA増幅方法を用いて増幅したDNAから生成したPCR産物のDoublecode OLA分析と、正確に同じ遺伝子型の結果を与える。これらの結果は、開示されたDNA増幅方法が、高い忠実度で厳格にゲノムDNAを増幅し得ることを再び実証する。
本明細書中で開示されそして特許請求の範囲に記載される全ての組成物および方法は、本開示に照らして、過度の実験をすることなく作製され得、そして実行され得る。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態によって記載されているが、本発明の概念、精神および範囲を逸脱することなく、本明細書中に記載した組成物および/または方法ならびに変更が、工程または工程の順番において適用され得ることは、当業者に明らかである。さらに詳細に、化学的または生理学的に関連のある特定の薬剤は、同じかまたは同様の結果を達成しつつ、本明細書に記載される薬剤と置換され得ることが明らかである。当業者に明らかな、このような類似の置換および改変は全て、添付の特許請求の範囲により規定される、本発明の精神、範囲および概念の範囲内であるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0181】
以下の図面は、本明細書の一部をなし、そして本開示の特定の局面をさらに示すために含まれる。この開示は、本明細書中に示される特定の実施形態の詳細な記載と組み合わせて、これらの図面の1つ以上を参照してよりよく理解され得る。
【図1】図1は、DNA増幅方法の第一セットの反応を示す図である。示されるように、DNA増幅の最初のサイクルの間に、サンプルDNAが変性され、そして第一プライマーが、DNA合成のために一本鎖DNAがランダムにプライムされる。第一プライマーの5’末端の特定の一般的DNA配列は、DNA鎖にランダムにアニールしない。次に、Taq DNAポリメラーゼが、ランダムにアニールした第一プライマーの3’末端から、相補的なDNA鎖を合成する。第一セットの反応におけるDNA増幅の第二サイクルにおいて、その5’末端に一般的配列を有する、新たに合成されたDNA鎖が、このサンプルDNA鎖から変性される。次に、第一プライマーが、この新たに合成されたDNA鎖を再びランダムにプライムし、そしてTaq DNAポリメラーゼが、ランダムにアニールした第一プライマーの3’末端から、相補的なDNA鎖を合成する。これにより、その5’末端の一般的配列およびその3’末端の一般的配列の逆相補体が隣接する、DNA鎖の最終産物が生じる。このDNA産物は、このDNA産物に隣接する一般的配列にハイブリダイズする第二プライマーを使用する、DNA増幅の第二セットの反応において増幅される。
【図2】図2は、FTAペーパー上に保存されたDNAサンプル(血痕)のPCR増幅である。市販のFTA Purification Reagentを使用して処理されたサンプルのPCR増幅の効率が、本開示の好ましい方法を使用して処理されたサンプルと比較される。FTAペーパー上の同じウシの血痕から得られた同一のパンチを、市販のFTA Purification Reagentまたは本開示の沈殿方法のいずれかを使用して処理した。DNAサンプルの処理後、これらのサンプルを、実施例1に記載されるようにPCR増幅に供した。レーン1、DNA分子サイズマーカー;レーン2〜5、市販のFTA Purification Reagentを用いて処理した4つの血痕サンプルの直接的PCR産物;レーン7〜10、本開示の沈殿方法を用いて最初に処理された、それぞれ、レーン2〜5と同一の4つの血痕サンプルの直接的PCR産物。本開示の沈殿方法を使用して処理されたDNAサンプルは、FTA Purification Reagentを用いて処理されたサンプルよりも、PCRによってより一貫して最適に増幅されることは明らかである。
【図3】本開示の沈殿方法を用いて処理されたFTAペーパー上の血痕のPCR産物を、本開示の沈殿方法およびDNA増幅方法を使用してFTAペーパー上の血痕から生成された、増幅されたゲノムDNAのPCR産物と比較した。上のパネル:本開示の沈殿方法を用いて処理されたFTAペーパー上の血痕から直接的に生成された、ウシPCR産物のアガロースゲル電気泳動。レーン1、DNA分子サイズマーカー;レーン2〜14、13の個々の動物の血痕サンプル由来の直接的PCR産物。下のパネル:開示された沈殿方法を用いて処理されたFTAペーパー上の血痕をDNAサンプルとして使用する、開示されたDNA増幅方法を用いて増幅されたゲノムDNAを使用して生成された、ウシPCR産物のアガロースゲル電気泳動。レーン1、DNA分子サイズマーカー;レーン2〜14、13の個々の動物のゲノムDNAサンプルから増幅されたDNAの直接的PCR産物。本開示の方法により増幅されたDNAは、PCRによってDNAサンプルを正確に特徴付けるために使用され得ることは明らかである。
【図4】市販のFTA Purification Reagent系を本開示の沈殿方法と比較する、FTAペーパー上の血痕からのゲノムDNA増幅。同一セットのDNAサンプルを、市販のFTA Purification Reagent系または本開示の沈殿方法によって最初に処理し、次いで、これらのDNAサンプルを、本開示のDNA増幅方法を使用して増幅した。レーン1、DNA分子サイズマーカー;レーン2〜7、市販のFTA Purification Reagentを使用して処理されたFTAペーパー上の6つの血痕のゲノムDNA増幅;レーン8〜13、本開示の沈殿方法を使用して処理されたFTAペーパー上の6つの血痕のゲノムDNA増幅。本開示のDNA増幅方法は、本開示の沈殿方法がFTAペーパー上のDNAサンプルを処理するために使用される場合、FTA Purification Reagentが使用される場合よりも、かなりより増幅されたゲノムDNA産物を生じることは容易に明らかである。
【図5】本開示のDNA増幅方法を使用する、FTAペーパー上に保存された血痕のゲノムDNA増幅。ゲノムDNAを増幅するための第一プライマーおよび第二プライマーを生成するために使用される、一連の一般的DNA配列の効率を比較した。以下に列挙される第二プライマーを用いたDNA増幅のための反応混合物の各々において、使用された第一プライマーは、その3’末端にさらに6個のランダムヌクレオチドを有する第二のプライマーと同じ一般的配列を含んだ。レーン1、DNA分子サイズマーカー;レーン2、配列番号3の配列を有する第二プライマーを用いたゲノムDNA増幅;レーン3、配列番号4の配列を有する第二プライマーを用いたゲノムDNA増幅;レーン4、配列番号5の配列を有する第二プライマーを用いたゲノムDNA増幅;レーン5、配列番号6の配列を有する第二プライマーを用いたゲノムDNA増幅;レーン6、配列番号7の配列を有する第二プライマーを用いたゲノムDNA増幅;レーン7、配列番号8の配列を有する第二プライマーを用いたゲノムDNA増幅;レーン8、配列番号9の配列を有する第二プライマーを用いたゲノムDNA増幅;レーン9、配列番号10の配列を有する第二プライマーを用いたゲノムDNA増幅;レーン10、配列番号11の配列を有する第二プライマーを用いたゲノムDNA増幅;およびレーン11、配列番号12の配列を有する第二プライマーを用いたゲノムDNA増幅。本開示に従って設計された一般的配列が、このDNA増幅方法を使用してDNAを増幅する一般的能力は、レーン2〜11に示される均一なDNA増幅によって実証される。
【図6】図6は、DNAサンプル中のSNPバリエーションを検出するための二重コード(Doublecode)OLA(オリゴヌクレオチド連結アッセイ)反応を例示する図である。上の図は、標識されたレポーターオリゴヌクレオチド使用する、OLAを実施するための1つの選択肢を示す。この技術の欠点は、単一のSNPに特異的なレポーターオリゴヌクレオチドが、蛍光によって個々に標識されなければならないことである。新たに標識されたレポーターオリゴヌクレオチドが、遺伝子型決定された各SNPについて生成されなければならないので、この方法は、大規模な遺伝子型決定のためには高価な選択肢である。下の図は、二重コードOLA反応を示し、これは、大量に生成されて任意のSNPを検出するために利用され得る、標識された一般的アンチシグナルコード(AntiSignalcode)オリゴヌクレオチドを使用するので、この反応は、上記の方法を上回る有意な改善を提供する。このアンチシグナルコードオリゴヌクレオチドは、アンチシグナルコードの逆相補体(シグナルコード(Signalcode)配列)を含むレポーターオリゴヌクレオチド、ならびに単一のSNPに対して相補的な領域と共に使用される。従って、この技術は、上のパネルに示される技術よりも、SNPを検出するためのより安価な選択肢を提供する。

Claims (46)

  1. DNAを増幅する方法であって、該方法は、以下の工程:
    (a)単一の反応混合物を提供する工程であって、該反応混合物は、以下:
    (i)DNAサンプル;
    (ii)第一のプライマーであって、該第一のプライマーに3’末端のヌクレオチドのランダム配列、および該ランダムヌクレオチドの5’に一般的配列を含む、第一のプライマー;ならびに
    (iii)第二のプライマーであって、該第一のプライマーの一般的配列を含み、そして該第一のプライマーのランダム配列を欠損する、第二のプライマー、
    を含む、工程;
    (b)該DNAサンプルを、第一のDNAポリメラーゼによるDNA増幅に供する工程であって、ここで、該第一のプライマーが該DNAにアニーリングして、該第一のDNAポリメラーゼにDNA産物を産生させる、工程;ならびに
    (c)工程(b)のDNA産物を、熱安定性DNAポリメラーゼによるDNA増幅に供する工程であって、ここで該第二のプライマーは、該DNA産物にアニーリングする、工程、
    を包含する、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、ここで、工程(b)のDNA増幅は、前記DNA産物を変性させる過程;前記第一のプライマーを前記DNAとアニーリングさせて、DNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする過程;および該DNA−プライマーハイブリッドをインキュベートして、前記第一のDNAポリメラーゼにDNA産物を合成させる過程を包含する、方法。
  3. 前記DNA増幅工程が、少なくとも1回繰り返される、請求項2に記載の方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、ここで、工程(c)のDNA増幅は、前記DNA産物を変性させる過程;前記第二のプライマーを前記DNA産物とアニーリングさせて、DNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする過程;および該DNA−プライマーハイブリッドをインキュベートして、前記熱安定性DNAポリメラーゼに第二のDNA産物を合成させる過程を含む、方法。
  5. 前記第二のDNA産物が、一般的配列および該一般的配列の逆相補体に隣接する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記アニーリングの温度が、前記第一のプライマーのヌクレオチドのランダム配列の最適なアニーリング温度より高い、請求項4に記載の方法。
  7. 前記DNA増幅工程が、約30回〜約40回繰り返される、請求項4に記載の方法。
  8. 前記第一のDNAポリメラーゼが5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記第一のDNAポリメラーゼが、プライマー置換活性を有する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記熱安定性DNAポリメラーゼが、TaqDNAポリメラーゼである、請求項1に記載の方法。
  11. 前記第一のDNAポリメラーゼおよび前記熱安定性DNAポリメラーゼが、同じDNAポリメラーゼである、請求項1に記載の方法。
  12. 前記第一のプライマーが、その3’末端に約4〜約8のランダムヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記第一のプライマーの前記一般的配列が、約15ヌクレオチド長〜約28ヌクレオチド長である、請求項1に記載の方法。
  14. 前記第一のプライマーの前記ランダム配列が、G:Cリッチである、請求項1に記載の方法。
  15. 前記第一のプライマーの前記ランダム配列が、A:Tリッチである、請求項1に記載の方法。
  16. 前記第一のプライマーの前記一般的配列が、単一または複数の制限酵素認識部位を含む、請求項1に記載の方法。
  17. 請求項1に記載の方法であって、ここで前記DNAサンプルが、ゲノムDNA、顕微切断された染色体DNA、酵母人口染色体(YAC)DNA、コスミドDNA、ファージDNA、P1由来人口染色体(PAC)DNA、および細菌人口染色体(BAC)DNAからなる群より選択される、方法。
  18. 前記DNAサンプルが、哺乳動物DNA、植物DNA、酵母DNA、ウイルスDNA、および原核生物DNAからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  19. 前記DNAサンプルが、ヒト、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、げっ歯類、トリ、魚、エビ、植物、酵母、ウイルス、または細菌から得られる、請求項1に記載の方法。
  20. 前記DNAサンプルが、ウシDNAである、請求項1に記載の方法。
  21. 前記DNAサンプルが、固体媒体上の組織である、請求項1に記載の方法。
  22. 前記DNAサンプルが、口腔スワブ、鼻腔スワブ、血液、臍帯血、羊水、胚組織、毛髪、内皮細胞、蹄クリッピング、また爪クリッピングから得られる、請求項1に記載の方法。
  23. 前記増幅されたDNA産物の遺伝子型分析をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  24. 前記増幅されたDNA産物における一ヌクレオチド多型(SNP)を同定する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  25. 請求項24に記載の方法であって、ここで、前記SNPが、オリゴヌクレオチド連結1アッセイ(OLA)、二重コードOLA、配列決定、単一塩基伸長アッセイ、対立遺伝子特異的プライマー伸長、またはミスマッチハイブリダイゼーションにより同定される、方法。
  26. DNAを増幅する方法であって、該方法は以下の工程:
    (a)単一の反応混合物を提供する工程であって、該反応混合物は、以下:
    (i)DNAサンプル;
    (ii)第一のプライマーであって、該第一のプライマーの3’末端にヌクレオチドのランダム配列、および該ランダムヌクレオチドの5’に一般的配列を含む第一のプライマー;
    (iii)第二のプライマーであって、該第一のプライマーの一般的配列を含み、そして該第一のプライマーのランダム配列を欠損する、第二のプライマー;および
    (iv)熱安定性DNAポリメラーゼ、
    を含む、工程;
    (b)該DNAサンプルを、DNA増幅に供する工程であって、ここで、該第一のプライマーが該DNAにアニーリングして、該熱安定性DNAポリメラーゼにDNA産物を産生させる、工程;ならびに
    (c)工程(b)のDNA産物を、DNA増幅に供する工程であって、ここで該第二のプライマーは、該DNA産物にアニーリングする、工程、
    を包含する、方法。
  27. 前記熱安定性DNAポリメラーゼが、TaqDNAポリメラーゼである、請求項26に記載の方法。
  28. 請求項26に記載の方法であって、ここで、工程(b)のDNA増幅は、前記DNA産物を変性させる過程;前記第一のプライマーを前記DNAとアニーリングさせて、DNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする過程;および該DNA−プライマーハイブリッドをインキュベートして、前記熱安定性ポリメラーゼにDNA産物の合成をさせる過程を包含する、方法。
  29. 前記DNA増幅工程が、少なくとも1回繰り返される、請求項28に記載の方法。
  30. 請求項26に記載の方法であって、ここで、工程(c)のDNA増幅は、前記DNA産物を変性させる過程;前記第二のプライマーを該DNA産物とアニーリングさせて、DNA−プライマーハイブリッドの形成を可能にする過程;および該DNA−プライマーハイブリッドをインキュベートして、前記熱安定性DNAポリメラーゼに第二のDNA産物の合成をさせる過程を含む、方法。
  31. 前記アニーリングの温度が、前記第一のプライマーのヌクレオチドの前記ランダム配列の最適なアニーリング温度より高い、請求項30に記載の方法。
  32. 多型を増幅する方法であって、該方法は以下の工程:
    (a)単一の反応混合物を提供する工程であって、該反応混合物は、以下:
    (i)DNAサンプル;
    (ii)第一のプライマーであって、該第一のプライマーの3’末端にヌクレオチドのランダム配列、および該ランダムヌクレオチドの5’に一般的配列を含む、第一のプライマー;および
    (iii)第二のプライマーであって、該第一のプライマーの一般的配列を含み、そして該第一のプライマーのランダム配列を欠損する、第二のプライマー、
    を含む、工程;
    (b)該DNAサンプルを、第一のDNAポリメラーゼによるDNA増幅に供する工程であって、ここで、該第一のプライマーが該DNAにアニーリングして、該第一のDNAポリメラーゼにDNA産物を産生させる、工程;
    (c)工程(b)のDNA産物を、熱安定性DNAポリメラーゼによるDNA増幅に供する工程であって、ここで該第二のプライマーは、該DNA産物にアニーリングして、該熱安定性DNAポリメラーゼに、増幅されたDNA産物を産生させる、工程;ならびに
    (d)工程(c)の増幅されたDNA産物を分析して、多型を同定する工程、
    を包含する、方法。
  33. 前記多型が、一ヌクレオチド多型(SNP)である、請求項32に記載の方法。
  34. 請求項33に記載の方法であって、ここで、前記SNPが、オリゴヌクレオチド連結1アッセイ(OLA)、二重コードOLA、配列決定、単一塩基伸長アッセイ、対立遺伝子特異的プライマー伸長、またはミスマッチハイブリダイゼーションにより同定される、方法。
  35. DNAを増幅する方法であって、該方法は以下の工程:
    (a)反応混合物を提供する工程であって、該反応混合物は、以下:
    (i)増幅されるDNAサンプル;
    (ii)第一のプライマーであって、該第一のプライマーの3’末端にヌクレオチドのランダム配列、および該ランダムヌクレオチドの5’に一般的配列を含む、第一のプライマー;ならびに
    (iii)第二のプライマーであって、該第一のプライマーの一般的配列を含み、そして該第一のプライマーのランダム配列を欠損する、第二のプライマー、
    を含む、工程;
    (b)該反応混合物を、該増幅されるDNAが変性する温度まで加熱する工程;
    (c)該反応混合物を、該第一のプライマーの該ランダム配列を、該ランダム配列の相補的DNAにハイブリダイズさせる温度まで冷却し、そして該反応混合物をインキュベートしてDNAポリメラーゼによるDNA産物の合成を可能にする工程;
    (d)工程(b)および工程(c)を少なくとも1回繰り返す工程;ならびに
    (e)一連のDNA増幅反応を実施する工程であって、ここで、アニーリング工程が、該DNA産物中の相補的DNAにハイブリダイズする該第一のプライマーのランダム配列よりも、該DNA産物中の相補的DNAにハイブリダイズする該第二のプライマーの一般的配列を選択する温度である、工程
    を包含する、方法。
  36. 固体媒体上のDNAサンプルを増幅するための方法であって、該方法は、改良点として、該固体媒体上のDNAサンプルを沈殿させる工程、および該沈殿したDNAをDNA増幅に供して増幅したDNA産物を産生する工程、を包含する、方法。
  37. 前記固体媒体が、ろ紙である、請求項36に記載の方法。
  38. 前記ろ紙が、化学処理されている、請求項37に記載の方法。
  39. 前記DNAサンプルが、前記ろ紙上で脱水される、請求項37に記載の方法。
  40. 前記DNAサンプルが、塩およびアルコールを用いて沈殿され、そしてアルコールを用いてリンスされる、請求項36に記載の方法。
  41. 請求項40に記載の方法であって、ここで、前記塩が、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、塩化ナトリウム、および塩化カリウムからなる群より選択される、方法。
  42. 前記アルコールがエタノールまたはイソプロパノールである、請求項40に記載の方法。
  43. 多型を同定する方法であって、該方法は以下の工程:
    (a)固体媒体上のDNAサンプルを沈殿させる工程;
    (b)単一の反応混合物を提供する工程であって、該反応混合物は、以下:
    (i)DNAサンプル;
    (ii)第一のプライマーであって、該第一のプライマーの3’末端にヌクレオチドのランダム配列、および該ランダムヌクレオチドの5’に一般的配列を含む、第一のプライマー;および
    (iii)第二のプライマーであって、該第一のプライマーの一般的配列を含み、そして該第一のプライマーのランダム配列を欠損する、第二のプライマー、
    を含む、工程;
    (c)該DNAサンプルを、第一のDNAポリメラーゼによるDNA増幅に供する工程であって、ここで、該第一のプライマーが該DNAにアニーリングして、該第一のDNAポリメラーゼにDNA産物を産生させる、工程;
    (d)工程(c)のDNA産物を、熱安定性DNAポリメラーゼによるDNA増幅に供する工程であって、ここで該第二のプライマーは、該DNA産物にアニーリングして、該熱安定性DNAポリメラーゼに、第二のDNA産物を産生させる、工程;ならびに
    (e)第二のDNA産物を分析して、多型を同定する工程、
    を包含する、方法。
  44. 前記DNAサンプルが、塩およびアルコールを用いて沈殿され、そしてアルコールを用いてリンスされる、請求項43に記載の方法。
  45. DNAを増幅する方法であって、該方法は、以下の工程:
    (a)反応混合物を提供する工程であって、該反応混合物は、以下:
    (i)DNAサンプル;
    (ii)第一のプライマーであって、該第一のプライマーの3’末端にヌクレオチドのランダム配列、および該ランダムヌクレオチドの5’に一般的配列を含む、第一のプライマー;ならびに
    (iii)第二のプライマーであって、該第一のプライマーの一般的配列を含み、そして該第一のプライマーのランダム配列を欠損する、第二のプライマー、
    を含む、工程;
    (b)該DNAサンプルを、第一のDNAポリメラーゼによるDNA増幅に供する工程であって、ここで、該第一のプライマーが該DNAにアニーリングして、該第一のDNAポリメラーゼにDNA産物を産生させる、工程;ならびに
    (c)工程(b)のDNA産物を、熱安定性DNAポリメラーゼによるDNA増幅に供する工程であって、ここで該第二のプライマーは、該DNA産物にアニーリングする、工程、
    を包含する、方法。
  46. DNAを増幅する方法であって、該方法は、以下の工程:
    (a)反応混合物を提供する工程であって、該反応混合物は、以下:
    (i)DNAサンプル;
    (ii)第一のプライマーであって、該第一のプライマーの3’末端にヌクレオチドのランダム配列、および該ランダムヌクレオチドの5’に一般的配列を含む、第一のプライマー;
    (iii)第二のプライマーであって、該第一のプライマーの一般的配列を含み、そして該第一のプライマーのランダム配列を欠損する、第二のプライマー;および
    (iv)熱安定性ポリメラーゼ、
    を含む、工程
    (b)該DNAサンプルを、DNA増幅に供する工程であって、ここで、該第一のプライマーが該DNAにアニーリングして、該熱安定性DNAポリメラーゼにDNA産物を産生させる、工程;ならびに
    (c)工程(b)のDNA産物を、DNA増幅に供する工程であって、ここで該第二のプライマーは、該DNA産物にアニーリングする、工程、
    を包含する、方法。
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