JP2004532239A - 高脂質血症の処置方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は医薬品有機化学、薬理学および医学の分野に関係する。特に本発明は、ヒトを含む哺乳動物の高脂質血症を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異常に高濃度の脂質が血清中を循環する状態は高脂質血症として知られている。循環中の脂質プールの組成は主にトリグリセリド(グリセロールの脂肪酸エステル)、コレステロール、およびコレステロールの脂肪酸エステルからなる。これらの分子は疎水性であり、血清の水性環境にはあまり溶解しない。したがって、これらの分子は一般にアポタンパク質と呼ばれる特殊なタンパク質に結合し、そのタンパク質によって運搬される。それぞれに異なる独特な脂質とアポタンパク質とのさまざまな組み合わせにより、リポタンパク質が形成される。リポタンパク質は脂質を輸送し、特有の生物学的機能を果たしうる。一般にリポタンパク質は、その密度により、例えば高密度リポタンパク質(HDL)(1.063〜1.210g/mL)、低密度リポタンパク質(LDL)(1.019〜1.063g/mL)、超低密度リポタンパク質(VLDL)(<1.006g/mL)などに、物理的に分類される。また、これらのリポタンパク質は、それぞれに特有な脂質組成プロフィールを持つ。例えば、HDLが主にコレステロールおよびそのエステルを含むのに対して、VLDLはより多くのトリグリセリドを、またはもっぱらトリグリセリドだけを含む。
【0003】
高脂質血症の一般的な病理学的続発症は、アテローム性動脈硬化症、高血圧、虚血性事象(例えば心筋梗塞、脳卒中および器官機能不全)ならびに血栓症である。現在、高脂質血症の病理学的続発症に寄与しうる潜在的因子をより容易に特定するために、臨床指標が利用されている。そのような因子の一つは空腹時血清トリグリセリドレベルである。一般に成人では、約400mg/dLより高い血清総トリグリセリドレベルは、高脂質血症の潜在的危険を表す。
【0004】
ヒト患者の血清トリグリセロールレベルを低下させる能力を持つさまざまな薬物を入手することができる。例えばLopid(商標)(Parke-Davisから入手可能)およびTricor(商標)(Abottから入手可能)は、トリグリセリドレベルが異常に高いIV型およびV型高脂質血症の処置に有効である。しかし、これらの薬物は多くの副作用を引き起こすおそれがあり、なかには極めて重篤な副作用もある。例えば、Lopid(商標)は消化不良、腹痛、急性虫垂炎、心房細動、胆嚢疾患、かすみ目、眩暈感および発疹を引き起こす場合があり、Tricor(商標)は筋障害、横紋筋融解症、胆石症および血液疾患を引き起こす場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高脂質血症を処置するための改良された薬物および方法は求め続けられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこの要求に応え、改良された高脂質血症処置方法を提供するものである。
本発明によれば、哺乳動物の高脂質血症を処置する方法は、レチノイド受容体のRARアンタゴニストおよび/またはRARインバースアゴニストを哺乳動物に投与するステップを含む。一態様として、レチノイド受容体は、レチノイン酸受容体(RAR)であることができる。一態様として、RARは、RARα、RARβおよび/またはRARγであることができる。
【0007】
さらに本発明によれば、高脂質血症を処置する方法は、RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストを、哺乳動物、例えばヒトに投与して、その哺乳動物の循環コレステロール、コレステロール脂肪酸エステルおよび/またはトリグリセリドのレベルを低下させるステップを含む。
【0008】
本明細書に記載する特徴またはそれらの特徴の組み合わせは、いずれも本発明の範囲に包含される。ただし、そのような組み合わせに含まれる特徴は、その文脈、本明細書および当業者の知識から明らかなように、互いに矛盾しないものとする。
本発明の他の利点および側面は、特許請求の範囲および以下の詳細な説明から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、一つには、高脂質血症を処置するためにレチノイド受容体のRARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストを哺乳動物に投与することができるという発見に基づいている。
【0010】
ビタミンA代謝産物レチノイン酸が広範囲にわたる生物学的効果を誘発することは古くから認識されてきた。現在、レチノイドは2つの相異なる細胞内受容体サブファミリー、すなわちレチノイン酸受容体(RAR)およびレチノイドX受容体(RXR)の活性を調節すると考えられている。
【0011】
同定された最初のレチノイン酸受容体はRAR-αと呼ばれ、ステロイド/甲状腺ホルモン細胞内受容体スーパーファミリーのメンバーの多くはそうであることが示されているように、リガンド依存的に特定標的遺伝子の転写を調整する働きをする。RAR-αの転写調整活性が依存している内在性低分子量リガンドは全トランス-レチノイン酸である。レチノイン酸受容体が媒介する遺伝子発現の変化は細胞表現型の特徴的な改変をもたらし、その結果、多くの組織でレチノイン酸に対する生物学的応答を顕在化させる。RAR-αと近縁関係にあるさらに2つの遺伝子は、RAR-βおよびRAR-γと呼ばれている。レチノイド受容体の、リガンド結合を付与することを証明することができる領域では、3つのRARサブタイプまたはイソタイプ間の一次アミノ酸配列の相異は15%未満である。全トランス-レチノイン酸はレチノイン酸受容体(RAR)の天然リガンドであり、これらの受容体に高い親和性で結合して、遺伝子発現の調節をもたらす能力を持っている。
【0012】
ステロイド/甲状腺受容体スーパーファミリーのもう一つのメンバーもレチノイン酸に応答することが証明された。この新しいレチノイド受容体サブタイプはレチノイドX受容体(RXR)と名付けられた。なぜなら、一部の初期データから全トランス-レチノイン酸の誘導体がRXRの内在性リガンドであるかもしれないことが示唆されたからである。RARと同様にRXRにも、それぞれにユニークな発現パターンを持つ少なくとも3つのサブタイプまたはイソタイプ、すなわちRXR-α、RXR-βおよびRXR-γがあることが知られている(Manglesdorfら, Genes & Devel., 6:329-44(1992))。
【0013】
RARとRXRはどちらもインビボで全トランス-レチノイン酸に応答するが、これらの受容体はいくつかの重要な点で異なっている。第1に、RARとRXRとは一次構造が有意に異なっている(例えばRAR-αとRXR-αのリガンド結合ドメインはアミノ酸一致度が27%しかない)。これらの構造上の相違は、さまざまなビタミンA代謝産物および合成レチノイドに対するRARおよびRXRの応答性の程度が相対的に異なることに反映している。また、RARとRXRには、明確に異なる組織分布パターンが見られる。例えば、内臓組織では高レベルに発現しないRARとは対照的に、RXR-α mRNAは肝臓、腎臓、肺、筋肉および腸に最も豊富に存在することが示されている。最後に、RARとRXRとでは、標的遺伝子特異性が異なっている。例えば最近、II型細胞性レチナール結合タンパク質(CRBPII)遺伝子およびアポリポタンパク質AI遺伝子中に応答配列が同定されたが、それらはRXRに対する応答性は付与するが、RARに対する応答性は付与しない。さらにRARは、CRBPII RXR応答配列を介したRXRによる活性化を抑制することも、最近明らかにされている(Manglesdorfら, Cell, 66:555-61(1991))。これらのデータは、2つのレチノイン酸応答経路が単に余分に重複したものではなく、複雑な相互関係を表すことを示している。
【0014】
驚くべきことに、RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストを含む組成物を哺乳動物に投与すると、その脂質濃度、例えば循環脂質濃度が低下することが見いだされる。ある態様では、哺乳動物、好ましくはヒトへのRARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストの投与により、その哺乳動物における循環トリグリセリド(脂質)レベルが低下する。
【0015】
「アンタゴニスト」は、レチノイド受容体(例えばRAR)のレチノイン酸結合部位に結合することにより、そのレチノイド受容体へのレチノイン酸の結合およびそのレチノイド受容体の活性化を遮断することができる、化学化合物および/または化合物の複合体である。
【0016】
「インバースアゴニスト」は、レチノイド受容体(例えばRAR)活性(ホモ二量化またはヘテロ二量化、およびその調節がRAR調整に対して通常応答性であるさまざまな遺伝子のトランス作用性転写制御)の基礎レベルを抑制することができる、化学化合物および/または化合物の複合体である。ある化合物がインバースアゴニストであるならば、その化合物は通常はレチノイド受容体アンタゴニストであるだろうが、逆は必ずしも真でない。
【0017】
好ましいレチノイド受容体(例えばRAR)アンタゴニストおよびインバースアゴニストの構造ならびにその製造方法および使用方法の例は、米国特許第5,776,699号および米国特許出願第08/998,319号、同第08/880,823号および同第08/840,040号にいくつか記載されており、これらの文献は参照によりそのまま本明細書に組み込まれる。以下に挙げる化合物の多くはこれらの出願の1つまたは複数に記載されている。
【0018】
好ましい化合物群は下記の化学構造を有する:
【化1】
[式中、
Xは、S、O、NR'であり、R'は、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであるか、または
Xは、[C(R1)2]nであり、R1は、独立に、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、nは、0〜2の整数であり;
R2は、水素、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、F、Cl、Br、I、CF3、1〜6個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル、OH、SH、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオであり;
R3は、水素、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、またはFであり;
mは、0〜3の整数であり;
oは、0〜3の整数であり;
Zは、 −C≡C−、
−N=N−、
−N=CR1−、
−CR1=N、
−(CR1=CR1)n'−[n'は0〜5の整数である]、
−CO−NR1−、
−CS−NR1−、
−NR1−CO、
−NR1−CS、
−COO−、
−OCO−、
−CSO−、
−OCS−であり;
Yは、フェニルまたはナフチル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから成る群から選択されるヘテロアリールであり、該フェニルおよびヘテロアリール基は1個または2個のR2基で任意に置換され;または
Zが−(CR1=CR1)n'−であり、n'が3、4または5である場合、Yは、該(CR2=CR2)n'基とBとの間の直接結合を表し;
Aは、(CH2)q[qは0〜5である]、3〜6個の炭素原子を有する分岐鎖低級アルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の三重結合を有するアルキニルであり;
Bは、水素、COOHまたは医薬的に許容されるその塩、COOR8、CONR9R10、−CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、−COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはトリ−低級アルキルシリルであり、R7は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアルケニル基であり、R8は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素原子を有するトリメチルシリルアルキル、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか、またはR8はフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立に、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R11は、低級アルキル、フェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R12は低級アルキルであり、R13は2〜5個の炭素原子を有する二価アルキル基であり;
R14は、(R15)r−フェニル、(R15)r−ナフチル、または(R15)r−ヘテロアリールであり、該ヘテロアリール基はO、SおよびNから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、rは0〜5の整数であり;
R15は、独立に、H、F、Cl、Br、I、NO2、N(R8)2、N(R8)COR8、NR8CON(R8)2、OH、OCOR8、OR8、CN、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の二重結合を有するアルケニル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の三重結合を有するアルキニル基、またはアルキル基が独立に1〜6個の炭素原子を有するトリアルキルシリルまたはトリアルキルシリルオキシ基である]。
【0019】
別の好ましい化合物群は、下記の化学構造を有する:
【化2】
[式中、
Xは、S、O、NR'であり、R'は、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであるか、または
Xは、[C(R1)2]nであり、R1は、独立に、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、nは、0〜2の整数であり;
R2は、水素、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、F、Cl、Br、I、CF3、1〜6個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル、OH、SH、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオであり;
R3は、水素、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、またはFであり;
mは、0、1、2または3の整数であり;
oは、0、1、2または3の整数であり;
Yは、フェニルまたはナフチル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから成る群から選択されるヘテロアリールであり、該フェニルおよびヘテロアリール基は1個または2個のR2基で任意に置換され;
Aは、(CH2)q[qは0〜5である]、3〜6個の炭素原子を有する分岐鎖低級アルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の三重結合を有するアルキニルであり;
Bは、水素、COOHまたは医薬的に許容されるその塩、COOR8、CONR9R10、−CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、−COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはトリ−低級アルキルシリルであり、R7は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアルケニル基であり、R8は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素原子を有するトリメチルシリルアルキル、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか、またはR8はフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立に、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R11は、低級アルキル、フェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R12は低級アルキルであり、R13は2〜5個の炭素原子を有する二価アルキル基であり;
R14は、(R15)r−フェニル、(R15)r−ナフチル、または(R15)r−ヘテロアリールであり、該ヘテロアリール基はO、SおよびNから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、rは0、1、2、3、4または5の整数であり;
R15は、独立に、H、F、Cl、Br、I、NO2、N(R8)2、N(R8)COR8、NR8CON(R8)2、OH、OCOR8、OR8、CN、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の二重結合を有するアルケニル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の三重結合を有するアルキニル基、またはアルキル基が独立に1〜6個の炭素原子を有するトリアルキルシリルまたはトリアルキルシリルオキシ基であり;
R16は、H、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであり;
R17は、H、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、OHまたはOCOR11であり;
pは、0または1であり、但し、pが1である場合、R17置換基は存在せず、mは0〜2の整数であるものとする]。
【0020】
別の好ましい化合物群は、下記の化学構造を有する化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩である:
【化3】
[式中、
Xは、C(R1)2またはOであり;
R1は、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり;
R2は、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、F、Cl、Br、I、CF3、1〜6個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル、OH、SH、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオであり;
mは、0〜3の整数であり;
R3は、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、またはFであり;
oは、0〜3の整数であり;
sは、1〜3の整数であり;
R8は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素原子を有するトリメチルシリルアルキル、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか、またはR8はフェニルまたは低級アルキルフェニルであり;
R15は、独立に、H、F、Cl、Br、I、NO2、N(R8)2、COR8、NR8CON(R8)2、OCOR8、OR8、CN、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の二重結合を有するアルケニル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の三重結合を有するアルキニル基、またはアルキル基が独立に1〜6個の炭素原子を有するトリアルキルシリルまたはトリアルキルシリルオキシ基であり;
tは、0、1、2、3、4または5の整数であり;
CONH基は、ベンゾピランの6または7位、ジヒドロナフタリン環の2または3位に存在する]。
【0021】
別の好ましい化合物群は、下記の化学構造を有する化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩である:
【化4】
[式中、
Xは、C(CH3)2またはOであり;
R2は、HまたはBrであり;
R2'およびR2''は、独立に、HまたはFであり;
R3は、HまたはCH3であり;
R8は、H、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルである]。
【0022】
別の好ましい化合物群は、下記の化学構造を有する化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩である:
【化5】
[式中、
X1は、SまたはOであり;
X2は、CHまたはNであり;
R2は、H、F、CF3または1〜6個の炭素原子を有するアルコキシであり;
R2*は、H、FまたはCF3であり;
R8は、H、または1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであり;
R14は、非置換フェニル、チエニルまたはピリジルであるか、または1〜3個のR15基によって置換されたフェニル、チエニルまたはピリジルであり、R15は、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、塩素、CF3、または1〜6個の炭素原子を有するアルコキシである]。
【0023】
本発明の他の好ましい態様においては、化合物は下記の化学構造を有する化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩である:
【化6】
[式中、
X2は、CHまたはNであり;
R2は、H、F、またはOCH3であり;
R2*は、HまたはFであり;
R8は、H、または1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであり;
R14は、フェニル、4−(低級アルキル)フェニル、5−(低級アルキル)−2−チエニル、および6−(低級アルキル)−3−ピリジルから成る群から選択され、該低級アルキルは1〜6個の炭素原子を有する]。
【0024】
別の好ましい化合物群は、下記の化学構造を有する化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩である:
【化7】
[式中、
X1は、SまたはOであり;
X2は、CHまたはNであり;
R2は、H、F、CF3または1〜6個の炭素原子を有するアルコキシであり;
R2*は、H、FまたはCF3であり;
R8は、H、または1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであり;
R14は、非置換フェニル、チエニルまたはピリジルであるか、または1〜3個のR15基によって置換されたフェニル、チエニルまたはピリジルであり、R15は、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、塩素、CF3、または1〜6個の炭素原子を有するアルコキシである]。
【0025】
別の更に好ましい態様においては、化合物は、下記の化学構造を有する化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩である:
【化8】
[式中、
X2は、CHまたはNであり;
R2は、H、F、またはOCH3であり;
R2*は、HまたはFであり;
R8は、H、または1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであり;
R14は、フェニル、4−(低級アルキル)フェニル、5−(低級アルキル)−2−チエニル、および6−(低級アルキル)−3−ピリジルから成る群から選択され、該低級アルキルは1〜6個の炭素原子を有する]。
【0026】
本発明の好ましい態様において使用する別の化合物群は、下記の化学構造を有する化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩である:
【化9】
[式中、
R2*は、HまたはFであり;
R8は、H、または1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであり;
R14は、フェニルおよび4−(低級アルキル)フェニルから成る群から選択され、該低級アルキルは1〜6個の炭素原子を有する]。
【0027】
別の好ましい化合物群は、下記の化学構造を有する化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩である:
【化10】
[式中、R8は、H、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルである]。
【0028】
別の好ましい化合物群は、下記の化学構造を有する化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩である:
【化11】
[式中、R8は、H、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルである]。
R8がHの場合、この化合物はAGN193109と称される。
【0029】
本発明における使用が意図される別の化合物群は、下記の化学構造を有する:
【化12】
[式中、
X1は、−C(R1)2−、−C(R1)2−C(R1)2−、−S−、−O−、−NR1−、−C(R1)2−O−、−C(R1)2−S−、またはC(R1)2−NR1−であり;
R1は、独立に、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり;
R2は、任意に存在し、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、F、Cl、Br、I、CF3、1〜6個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル、OH、SH、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオとして定義され;
mは、0〜4の整数であり;
nは、0〜2の整数であり;
oは、0〜3の整数であり;
R3は、H、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、F、Cl、BrまたはIであり;
R4は、(R5)p−フェニル、(R5)p−ナフチル、(R5)p−ヘテロアリールであり、該ヘテロアリール基は、5員または6員であり、O、SおよびNから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子を有し;
pは、0〜5の整数であり;
R5は、任意に存在し、独立に、F、Cl、Br、I、NO2、N(R8)2、N(R8)COR8、N(R8)CON(R8)2、OH、OCOR8、OR8、CN、COOH、COOR8、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の二重結合を有するアルケニル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の三重結合を有するアルキニル基、またはアルキル基が独立に1〜6個の炭素原子を有する(トリアルキル)シリルまたは(トリアルキル)シリルオキシ基として定義され;
Yは、フェニルまたはナフチル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから成る群から選択されるヘテロアリールであり、該フェニルおよびヘテロアリール基は1個または2個のR2基で任意に置換され、またはYは−(CR3=CR3)r−であり;
rは、1〜3の整数であり;
Aは、(CH2)q[qは0〜5の整数である]、3〜6個の炭素原子を有する分岐鎖低級アルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の三重結合を有するアルケニルであり、但し、Yが−(CR3=CR3)r−であるとき、Aは(CH2)qであり、qは0であり;
Bは、H、COOHまたは医薬的に許容されるその塩、COOR8、CONR9R10、−CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、−COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはSi(C1-6アルキル)3であり、R7は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアルケニル基であり、R8は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素原子を有する(トリメチルシリル)アルキル、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか、またはR8はフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立に、H、1〜10個の炭素原子を有する低級アルキル基、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R11は、低級アルキル、フェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R12は低級アルキルであり、R13は2〜5個の炭素原子を有する二価アルキル基である]。
この記載の範囲に含まれる化合物の非限定的な例、およびこの群の化合物の製法が、Vuligondaらの米国特許第5728846号に開示されている。該開示を引用により本願の一部とする。
【0030】
下記の化学構造を有する化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩も、本発明において有用である:
Y3(R4)−X−Y1(R1R2)−Z−Y2(R2)−A−B
[式中、
Y1は、フェニル、ナフチル、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾニル、オザゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから成る群から選択されるヘテロアリールであり、該フェニル、ナフチルおよびヘテロアリール基は、R1基によって置換され、1個または2個のR2基によってさらに置換されているかまたは置換されず;
R1は、C1-10アルキル、1−アダマンチル、2−テトラヒドロピラノキシ、アルキルが6個までの炭素原子を有するトリアルキルシラニルオキシ、OH、アルキル基が10個までの炭素原子を有するアルコキシ、アルキル基が10個までの炭素原子を有するアルキルチオ、またはOCH2OC1-6アルキルであり;
R2は、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、F、Cl、Br、I、CF3、CF2CF3、OH、OR3、NO2、N(R3)2、CN、N3、COR3、NHCOR3、COOHまたはCOOR3であり;
Xは、(C(R3)2、S、SO、SO2、OまたはNR3であり;
Zは、 −C≡C−、
−N=N−、
−N(O)=N−、
−N=N(O)−、
−N=CR3−、
−CR3=N、
−(CR3=CR3)n−[nは0〜5の整数である]、
−CO−NR3−、
−CS−NR3−、
−NR3−CO、
−NR3−CS、
−COO−、
−OCO−、
−CSO−、
−OCS−;または
−CO−CR3=R3−Oであり;
R3は、独立に、H、または1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであり;
Y2は、フェニルまたはナフチル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから成る群から選択されるヘテロアリールであり、該フェニル、ナフチルおよびヘテロアリール基は1個または2個のR2基で置換されているかまたは置換されず;または
Zが−(CR3=CR3)n−であり、nが3、4または5である場合、Y2は、該−(CR3=CR3)n基とBとの間の直接結合を表し;
Y3は、フェニルまたはナフチル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから成る群から選択されるヘテロアリールであり、該フェニル、ナフチルおよびヘテロアリール基は非置換であるかまたは1〜3個のR4基で置換され、R4は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル、1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル、2〜10個の炭素原子および1〜3個の三重結合を有するアルケニル、F、Cl、Br、I、NO2、CN、NR3、N3、COOH、COOC1-6アルキル、OH、SH、OC1-6アルキルまたはSC1-6アルキルであり;
Aは、(CH2)q[qは0〜5である]、3〜6個の炭素原子を有する分岐鎖低級アルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の三重結合を有するアルキニルであり;
Bは、水素、COOHまたは医薬的に許容されるその塩、COOR8、CONR9R10、−CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、−COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはSi(C1-6アルキル)3であり、R7は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアルケニル基であり、R8は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素原子を有するトリメチルシリルアルキル、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか、またはR8はフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立に、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R11は、低級アルキル、フェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R12は低級アルキルであり、R13は2〜5個の炭素原子を有する二価アルキル基である]。
該化合物は、Songらの米国特許出願第08/840040号に開示されている。該出願の譲受人は本願と同じである。該出願全体を引用により本明細書の一部とする。
【0031】
更なるRARアンタゴニストまたはインバースアゴニストが、SongおよびChandraratnaの米国特許出願第08/845019号に記載されている。該出願全体を引用により本明細書の一部とする。該出願の譲受人は本願と同じである。本発明の方法に有用な化合物は、Yoshimuraらの国際特許公開番号WO94/14777にも開示されている。これも全体を引用により本明細書の一部とする。この後者の出願は、RARアンタゴニストを開示している。そこに開示されたいくつかの好ましい化合物の構造の非限定的な例が、図1に示されている。
【0032】
更に、本発明において有用な別の化合物の構造を以下に示す:
A.
【化13】
[式中、nは1〜10の整数である]。
【0033】
B.
【化14】
[式中、nは1〜10の整数である]。
【0034】
C.
【化15】
【0035】
D.
【化16】
【0036】
E.
【化17】
【0037】
RARアンタゴニストまたはインバースアゴニストの特に好ましいサブグループは、1つまたは複数のRARサブクラス、例えばRARα、RARβまたはRARγ受容体などで、アンタゴニスト活性またはインバースアゴニスト活性を持たないRARアンタゴニストまたはインバースアゴニストの一群である。そのような「サブクラス特異的」活性により、その薬物の毒性が最小限になりうる。そのような化合物は、RARα、RARβもしくはRARγ受容体でのみ、またはこれらの任意の組み合わせ(ただしこれらの全てではない)でのみ、活性を持ちうる。ある化合物がサブクラス特異的インバースアゴニスト活性を持つかどうかの決定は、Kleinらの米国特許出願第09/042,943号およびNagpalらの米国特許出願第09/108,298号(これらの文献はどちらも参照によりそのまま本明細書に組み込まれる)に開示されているような翻訳スクリーニングによって行われる。
【0038】
本明細書に開示する化合物は、それらと構造的に類似する、本発明の方法に使用するための他の化合物の合成および使用を、明確に示唆している。本明細書に言及した化合物だけでなく、RARアンタゴニストおよび/またはインバースアゴニスト活性を持つ他の化合物も、脂質(好ましくはトリグリセロール)のレベルを低下させ、よって高脂質血症の処置に役立つと考えられる。
【0039】
本発明による処置用途のためには、RARアンタゴニストおよびRARインバースアゴニスト化合物を、自体周知の薬学的に許容できる賦形剤およびビヒクルを使って、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、溶液剤、懸濁剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、膏薬、ローション剤などの医薬組成物に組み込むことができる。例えば、局所製剤の製造は、参照により本明細書に組み込まれる「Remington's Pharmaceutical Science」第17版(Mack Publishing Company, ペンシルバニア州イーストン)に詳しく記載されている。局所適用の場合は、RARアンタゴニストまたはインバースアゴニスト化合物を、散剤またはスプレー剤として、特にエアロゾルの形で、投与することもできるだろう。
【0040】
RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストを全身投与すべき場合は、例えば散剤、丸剤、錠剤などとして製造するか、または経口投与に適したシロップ剤もしくはエリキシル剤として製造することができる。静脈内または腹腔内投与の場合は、RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストを、注射によって投与することができる溶液剤または懸濁剤として製造することができる。ある場合には、アンタゴニストまたはインバースアゴニスト化合物を注射用溶液中に製剤化することが有益でありうる。また、別の場合には、アンタゴニストまたはインバースアゴニスト化合物を坐剤の形で製剤化するか、または皮下デポジット用もしくは筋肉内注射用の持続放出製剤として製剤化することが有益でありうる。
【0041】
アンタゴニストまたはインバースアゴニスト化合物は、本発明に従って処置有効量で投与しうる。処置濃度は、哺乳動物(好ましくはヒト)における脂質(例えばトリグリセロール)の濃度を低下させるのに有効な濃度でありうる。現在のところ、約0.1〜約3mg/kg体重、より好ましくは約0.3mg/kg〜2mg/kg、さらに好ましくは約0.7mg/kg〜約1.5mg/kgのRARアンタゴニストまたはインバースアゴニストを含む製剤が経口用途の処置有効濃度を構成すると考えられ、他の投与経路の場合は必要に応じて日常的な実験によってこれらの濃度に調節を加える。
【0042】
さらにもう一つの好ましい態様では、RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストを含む医薬組成物を経口投与する。そのような組成物は、液剤、シロップ剤、懸濁剤、錠剤、カプセル剤またはゼラチン被覆製剤の形をとりうる。もう一つの好ましい態様では、RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストを含む医薬組成物を、局所的に投与する。そのような組成物は、パッチ剤、クリーム剤、ローション剤、乳剤またはゲル剤の形態をとりうる。さらにもう一つの態様として、RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストを含む医薬組成物は、吸入することもできる。そのような組成物は吸入剤、坐剤または鼻スプレーとして製剤化することができる。
【0043】
以下の実施例は、本発明のさらなる態様を例示することを目的とし、もっぱら本願特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0044】
ある32歳の肥満白人男性は、コレステロールレベルが299g/mL、トリグリセリドレベルが440mg/dL、LDLレベルが199g/mL、そしてHDLレベルが25g/mLである。彼は糖尿病、腎臓疾患または肝臓疾患を持っていない。彼には冠状動脈疾患の家族歴があり、彼の父親は50歳で心臓発作を起こしている。
【0045】
この患者は男性であり、肥満体であり、心臓疾患の家族歴があるので、彼には本発明の組成物を直ちに毎日使用し始めるように勧告する。その組成物は、好ましくは、20mgのAGN194310を含む錠剤である。加えて、彼は低脂肪食を厳守し、毎日30分間または1日おきに45分間、規則正しく運動しなければならない。
【0046】
患者は3ヶ月間後に医師の再診を受けて、脂質プロフィールの再検査を受ける。血液検査の結果は、コレステロールおよびトリグリセリドがそれぞれ250g/mLおよび280mg/dLまで低下するという改善を示す。患者はこの投薬を十分に忍容するので、追跡治療計画でも組成物の投与量を同じ20mgに2ヶ月間保つことが含まれる。
【実施例2】
【0047】
ある45歳のヒスパニック男性は痛風および胃炎の病歴を持ち、トリグリセリドレベルは950mg/dL、コレステロールレベルは300g/mLである。この患者は、本発明の組成物、例えば50mgのAGN194310を含む錠剤を、毎日2回使用し始めるが、副作用は示さない。患者は、毎日の投薬ならびに低脂肪食の摂取および規則正しい運動に関して、極めて遵守する。その結果、患者のトリグリセリドレベルは450mg/dLまで低下する。トリグリセリドレベルの低下および低脂肪食の直接的な結果として、彼の痛風および胃炎状態も改善する。彼の場合は、最良の結果を得るために、本発明組成物の投与量を、毎日2回、50mgに保つべきである。
【実施例3】
【0048】
ある55歳のアジア系女性は閉経、高血圧および高脂質血症を伴う。彼女は現在、閉経に関してPrempro(商標)ホルモン補充療法を受け、この時点では抑制されている高血圧のためにAtenolol(商標)を使用している。彼女の脂質プロフィールは、180g/mL(正常値<130)という高いLDLレベル、28g/mL(正常値>40)という低いHDLレベル、170mg/dL(正常値<160)の正常なトリグリセリドレベル、および210g/mL(正常値≦200)のコレステロールレベルを示す。
【0049】
この患者は投薬を受けたがらないので、ホルモン補充療法と低脂肪食(LDLコレステロールレベル低下に寄与する)とに頼って、脂質低下薬物治療を行わずに、6〜12ヶ月待って彼女の脂質プロフィールを監視することに、彼女の医師は同意する。しかし1年後もLDLレベルおよびHDLレベルは十分に下がっていない。彼女の医師は、本発明の組成物を6ヶ月にわたって毎日10mgの用量で投与し始めることにする。以後、LDLレベルは130g/mLまで低下し、HDLレベルは60g/mLまで増加した。たとえ患者の脂質プロフィールが正常範囲まで改善されたとしても、冠状血管内のコレステロール斑の原因となるLDLのさらなる蓄積を防ぐために、彼女は本発明の組成物、例えば10mgのAGN194310を含む錠剤を毎日1錠、服用し続けることが推奨される。また、彼女には、脳卒中および心臓疾患を防止するために、毎日81mgのアスピリンを服用することが推奨される。
【実施例4】
【0050】
ある34歳のヒスパニック女性は2型糖尿病を持ち、コレステロールレベルが高く、LDLレベルも高い。ある通院時に、彼女はうっ血性心不全を伴わない無症候性心臓発作を起こす。そこで彼女は詳細な心臓検査を受けるために病院に入院し、その3日後に退院する。現在、彼女は、Glucotrol(商標)XLを毎日5mg、Glucophage(商標)500mgを毎日2回(糖尿病薬物治療)、Tenormin(商標)25mg/日、Zestril(商標)10mg/日(胸痛と高血圧を防ぐため)、およびアスピリン 81mg/日を投与されている。彼女は、将来起こるかもしれない2度目の心筋梗塞を防止するために、本発明の組成物も毎日AGN194310 10mg〜20mgの投与量で投与されている。
【実施例5】
【0051】
ある42歳のアジア系男性は強い家族性高コレステロール血症を持っている。高コレステロール血症は、未知の理由により、コレステロールが肝臓によって過剰に産生される状態である。さらにまた、高コレステロール血症は、心筋梗塞(MI)、糖尿病、肥満および他の疾患の強い危険因子である。この患者は体重過多ではなく、極めてやせている。彼は、300g/mLを超える非常に高いコレステロールレベルと、600mg/dLを超えるトリグリセリドレベルを持っている。彼の食事は極めて低脂肪高タンパク質食品からなり、飲酒はしない。彼は極めて活動的な生活習慣を持っているが、それはストレスの多いものではない。しかしそれでも彼は、彼のコレステロールレベルおよびトリグリセリドレベルを低下させるために、投薬を受ける必要がある。彼が受ける投薬には本発明の組成物が含まれる。彼は、彼の並はずれた強い家族性高コレステロール血症状態を制御するために、本発明の組成物、例えば40mgのAGN194310を含む錠剤を、以後生涯にわたって毎日服用し続けるように勧告される。
【実施例6】
【0052】
ある22歳の男性患者は250mg/dLのトリグリセリドレベルを示す。この患者に、約20mg〜約100mgのRARアンタゴニストまたはインバースアゴニスト、好ましくはAGN194310を含む経口錠剤を投与する。この錠剤の摂取後24時間経ってから、患者のトリグリセリドレベルを測定する。この測定により、トリグリセリドは初期レベルと比較して約20%〜50%低下したことがわかる。
【実施例7】
【0053】
研究PT-99-10では5頭の雄カニクイザルを使用した。5頭のサルのうち3頭を、1日量が1.25mg/kg(経口)のAGN194310で、25日間にわたって処置した。AGN194310はRARアンタゴニストまたはインバースアゴニストである。その構造を以下に記載する。残りの2頭はビヒクルで同様に処置して対照とした。トリグリセリド測定のために血清試料を1、8、15、22および25日目に収集した。8、15、22および25日目に得た血清試料は、AN194310の濃度についてもアッセイした。
どのサルも研究期間中は常に健康であるようにみえ、体重も摂食量も変化しなかった。
【0054】
AGN194310処置を受けた3頭のサルのそれぞれに、著しく有意な血清トリグリセリドの減少が観察された(表1参照)。1日目(ベースライン)と比較した場合、AGN194310で処置した3頭のサルでは平均減少率が52%、54%および51%だったが、2頭の対照サルは48%および89%の平均増加率を示した。
【0055】
トリグリセリド低下効果およびAGN194310の比較的高い血中濃度(表2)から、AGN194310は経口投与した場合にサルによく吸収されることが示された。
提示したデータから、AGN194310は1.25mg/kgの1日量で、目立った異常臨床徴候を示すこともなく、サルの血清トリグリセリドを低下させると結論される。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【実施例8】
【0058】
雄SJLマウスにおける血清トリグリセリドおよび肝トリグリセリド産出量に対するRARアンタゴニストの作用
【0059】
雄SJLマウスにビヒクル、AGN197116(RARαアンタゴニスト)またはAGN194310(RARパン−アンタゴニスト(RAR pan-antagonist)を4日間連続して経口投与した。AGN194310の構造は後に示す。AGN197116の構造は
【化18】
である。
試験化合物をトウモロコシ油で希釈し、20mg/5ml/kgの投与量/体積とした。
【0060】
3日目に、午前7時に収集した試料から血清トリグリセリド(STG)を測定した。
4日目には、投薬後に午前8時から動物を絶食させた。6時間の絶食に続いて、血液試料を収集し、次に100mg/5ml/kgのWR-1339を静脈内注射した。血清試料はWR-1339注射の1時間後および2時間後にも収集した。WR-1339はリポタンパク質リパーゼを不活化し、よって循環からのトリグリセリドの除去を妨げる洗剤である。絶食した動物におけるWR-1339投与後のSTGの増加を測定することにより、絶食中の肝トリグリセリド(HTG)産出量を見積もることができる。結果を表3ならびに図1および図2に記載する。
【0061】
AGN194310は非空腹時STG(3日目、午前8時)を低下させるが、空腹時STG(4日目、午後2時)は低下させないようだった。WR-1339注射後のHTG産出量の低下が、AGN194310で観察された。これらの効果は、経口投与されたAGN197116には観察されなかった。
【0062】
この結果から、雄SJLマウスが、血清トリグリセリドに対するレチノイド効果のインビボスクリーニングに好適なモデルであることも示された。その効果は投与の2日後には検出できた。
【0063】
20mg/kgのAGN197116には効果がなかったので、同じマウスのセットで用量を100mg/kgまで増やした。STGを3日目の投薬前に測定した(3日目、午前8時)。この場合もSTGの低下は観察されなかった(表3)。AGN197116が生物学的に利用可能であることを確かめるために、AGN197116をDMSOに溶解し、腹腔内注射により、3日目の午後4時に1回、そして4日目の午前8時に1回、100mg/kg/注射の投与量で投与した。4日目のWR-1339の投与と血液収集は上記と同じように行った。その結果(表4ならびに図3および図4)から、STGの明瞭な低下は、単回腹腔内100mg/kg投与の16時間後(4日目、午前8時)に観察されることがわかった。AGN194310と同様に、この効果は絶食後に消失した(4日目、午後2時)。HTG産出量も、AGN197116の腹腔内注射によって低下した。AGN197116はマウスに経口投与した場合には生物学的に利用できないようである。
【0064】
本発明をどの理論または作用機序にも限定しようとは思わないが、RARアンタゴニストは、適切な投与経路によってそれらを生物学的に利用可能であるようにした場合には、マウスの血清トリグリセリドを低下させる能力を持つと考えられる。さらに、RARアンタゴニストによるこのトリグリセリドの低下は、少なくとも部分的には、HTG産出量の低下によるものでありうる。
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【実施例9】
【0067】
AGN 194310の合成
AGN 194310は下記の化学構造を有する:
【化19】
この化合物、4−[[4−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチル−(2H)−チオクロメン−6−イル]−エチニル]−安息香酸は、従来の有機合成法を使用して合成しうる。下記の反応手順は、出願人による現在好ましいこの化合物の製造法である。
【0068】
段階1:
厚肉ねじ蓋付き試験管に、3−メチル−2−ブテン酸(13.86g、138.4mmol)、4−メトキシチオフェノール(20.0g、138.4mmol)およびピペリジン(3.45g、41.6mmol)を装填した。この混合物を、105℃に32時間加熱し、室温に冷却し、EtOAc(700mL)に溶解した。得られた溶液を、1MのHCl水溶液、H2OおよびNaCl飽和水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。乾燥溶液を減圧濃縮して油状物を得、該油状物を冷凍庫中に静置した後に結晶質固形物を得た。結晶質固形物をペンタンで洗浄して、3−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−3−メチル−酪酸を、淡黄色結晶として単離した(27.33g、82%)。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ: 7.48(2H, d, J=9.0Hz), 6.89(2H, d, J=8.9Hz), 3.83(3H, s), 2.54(2H, s), 1.40(6H, s)
【0069】
段階2:
ベンゼン250mL中の3−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−3−メチル−酪酸(20.0g、83.2mmol)の溶液に、室温で、ベンゼン10mL中の塩化オキサリル(15.84g、124.8mmol)の溶液を30分間で添加した。4時間後、溶液を、氷冷5%NaOH水溶液(注意:この手順の際に多量のガスが放出される)、次に氷冷H2O、最後にNaCl飽和水溶液で洗浄した。溶液を乾燥し(Na2SO4)、減圧濃縮して、透明黄色油状物を得た。この物質を、さらに精製せずに次の段階に使用した。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ: 7.45(2H, d, J=8.8Hz), 6.90(2H, d, J=8.8Hz), 3.84(3H, s), 3.12(2H, s), 1.41(6H, s)
【0070】
段階3:
CH2Cl2 250mLの中の段階2の塩化アシル生成物(21.5g、83.2mmol)の溶液に、0℃で、CH2Cl2 30mL中のSnCl4(21.7g、83.2mmol)の溶液を滴下した。2時間後、H2O 150mLをゆっくり添加して、反応を停止した。有機相を1MのHCl水溶液、5%のNaOH水溶液、H2O、最後にNaCl飽和水溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥した。減圧濃縮し、残留油状物を真空蒸留(Bulb-to-Bulb、125〜135℃、5mm/Hg)して、6−メトキシ−2,2−ジメチル−チオクロマン−4−オン14.48g(78%)を、淡黄色油状物として得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ: 7.62(1H, d, J=2.9Hz), 7.14(1H, d, J=8.6Hz), 7.03(1H, dd, J=2.8, 8.3Hz), 3.83(3H, s), 2.87(2H, s), 1.46(6H, s)
【0071】
段階4:
−23℃に冷却したCH2Cl2 50mL中の6−メトキシ−2,2−ジメチル−チオクロマン−4−オン(6.0g、27mmol)の溶液に、BBr3(20.0g、80.0mmol;CH2Cl2中の1M溶液80.0mL)を20分間で添加した。−23℃で5時間攪拌した後、溶液を−78℃に冷却し、H2O 50mLをゆっくり添加して鎮めた。室温に温めた後、水性相をCH2Cl2で抽出し、合わした有機相をNaHCO3飽和水溶液、H2OおよびNaCl飽和水溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を減圧下に除去して緑褐色固形物を得、再結晶(Et2O/ヘキサン)して、6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルチオクロマン−4−オン2.25g(40%)を淡褐色固形物として得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ: 7.63(1H, d, J=2.8Hz), 7.15(1H, d, J=8.5Hz), 7.01(1H, dd, J=2.8, 8.5Hz), 2.87(2H, s), 1.46(6H, s)
【0072】
段階5:
無水ピリジン5.0mL中の6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルチオクロマン−4−オン(165.0mg、0.79mmol)の溶液に、0℃で、トリフルオロメタンスルホン無水物(245.0mg、0.87mmol)を添加した。0℃で4時間後、溶液を濃縮し、残留油状物をEt2Oに溶解し、H2O、次にNaCl飽和水溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を減圧下に除去し、カラムクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)にかけて、2,2−ジメチル−4−オキソ−チオクロマン−6−イルトリフルオロメタンスルホネート126.0mg(47%)を無色固形物として得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ: 7.97(1H, s), 7.32(2H, s), 2.90(2H, s), 1.49(6H, s)
【0073】
段階6:
Et3N 10mLおよびDMF 20.0mL中の2,2−ジメチル−4−オキソ−チオクロマン−6−イルトリフルオロメタンスルホネート(2.88g、8.50mmol)の溶液を、アルゴンで10分間スパージした。この溶液に、トリメチルシリルアセチレン(4.15g、42.0mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)クロリド(298.0mg、0.425mmol)を添加した。溶液を、95℃に5時間加熱し、室温に冷却し、H2Oで希釈した。EtOAcで抽出し、次に、合わした有機相をH2OおよびNaCl飽和水溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥した。乾燥溶液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(3% EtOAc/ヘキサン)によって生成物を単離して、2,2−ジメチル−6−トリメチルシラニルエチニル−チオクロマン−4−オン2.23g(91%)をオレンジ色油状物として得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ: 8.18(1H, d, J=1.9Hz), 7.34(1H, dd, J=1.9, 8.1Hz), 7.15(1H, d, J=8.1Hz), 2.85(2H, s), 1.45(6H, s), 0.23(9H, s)
【0074】
段階7:
MeOH 10mL中の2,2−ジメチル−6−トリメチルシラニルエチニル−チオクロマン−4−オン(110.0mg、0.38mmol)およびK2CO3(40.0mg、0.29mmol)の溶液を、室温で一晩撹拌した。溶液をH2Oで希釈し、Et2Oで抽出した。合わした有機相をH2OおよびNaCl飽和水溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を減圧下に除去して、6−エチニル−2,2−ジメチルチオクロマン−4−オン81mg(99%)をオレンジ色油状物として得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ: 8.20(1H, d, J=1.9Hz), 7.46(1H, dd, J=1.9, 8.1Hz), 7.18(1H, d, J=8.1Hz), 3.08(1H, s), 2.86(2H, s), 1.46(6H, s)
【0075】
段階8:
Et3N 5.0mL中の6−エチニル−2,2−ジメチルチオクロマン−4−オン(82.0mg、0.38mmol)およびエチル4−ヨードベンゾエート(104.9mg、0.38mmol)の溶液を、アルゴンで10分間パージした。この溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)クロリド(88.0mg、0.12mmol)および沃化銅(I)(22.9mg、0.12mmol)を添加した。アルゴンでさらに5分間スパージした後、溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を、Et2O洗浄液を使用してセライトのパッドで濾過した。濾液を減圧濃縮し、次に、残留固形物をカラムクロマトグラフィーにかけて、エチル4−[(2,2−ジメチル−4−オキソ−チオクロマン−6−イル)エチニル]−ベンゾエート100mg(72%)を黄色油状物として得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ: 8.25(1H, d, J=1.8Hz), 8.00(2H, d, J=8.4Hz), 7.55(2H, d, J=8.4Hz), 7.53(1H, dd, J=1.8, 8.2Hz), 7.21(1H, d, J=8.2Hz), 4.37(2H, q, J=7.1Hz), 2.88(2H, s), 1.47(6H, s), 1.39(3H, t, J=7.1Hz)
【0076】
段階9:
THF 16.2mL中のナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.12g、6.13mmol)の溶液を−78℃に冷却し、15.0mL中のエチル4−(2,2−ジメチル−4−オキソ−チオクロマン−6−イルエチニル)−ベンゾエート(1.86g、5.10mmol)の溶液をゆっくり添加した。30分後、THF10mL中の2−[N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミノ]−5−ピリジン(2.40g、6.13mmol)の溶液を添加した。5分後、溶液を室温に温め、一晩撹拌した。NH4Cl飽和水溶液を添加して反応を停止し、EtOAcで抽出した。合わした有機相を5%のNaOH水溶液およびH2Oで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(2% EtOAc/ヘキサン)によって、エチル4−((2,2−ジメチル−4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−(2H)−チオクロメン−6−イル)エチニル)−ベンゾエート1.53g(61%)を黄色固形物として単離した。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ: 8.03(2H, d, J=8.4Hz), 7.61(1H, d, J=1.8Hz), 7.59(2H, d, J=8.4Hz), 7.41(1H, dd, J=1.8, 8.1Hz), 7.29(1H, d, J=8.1Hz), 5.91(1H, s), 4.39(2H, q, J=7.1Hz), 1.53(6H, s), 1.41(3H, t, J=7.1Hz)
【0077】
段階10:
THF4.0mL中の4−エチルブロモベンゼン(670.9mg、3.63mmol)の溶液を、−78℃に冷却し、tert−ブチルリチウム(464.5mg、7.25mmol、ペンタン中の1.7M溶液4.26mL)を添加して、黄色溶液を得た。30分後、THF8.0mL中のZnCl2(658.7mg、4.83mmol)の溶液を、カニューレでゆっくり添加した。得られた溶液を室温に温め、THF8.0mL中のエチル4−(2,2−ジメチル−4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−(2H)−チオクロメン−6−イルエチニル)−ベンゾエート(1.20g、2.42mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(111.7mg、0.097mmol)の溶液にカニューレで添加した。この溶液を50℃に1時間加熱し、室温に冷却し、NH4Cl飽和水溶液を添加して反応を停止した。溶液をEtOAcで抽出し、合わした有機相をH2OおよびNaCl飽和水溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)によってエチル4−[[4−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチル−(2H)−チオクロメン−6−イル]−エチニル]−ベンゾエートを無色油状物として単離した。
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ: 7.99(2H, d, J=8.2Hz), 7.52(2H, d, J=8.4Hz), 7.40(5H, m), 7.35(2H, m), 5.85(1H, s), 4.38(2H, q, J=7.1Hz), 2.72(2H, q, J=7.6Hz), 1.48(6H, s), 1.40(3H, t, J=7.1Hz), 1.30(3H, t, J=7.6Hz)
【0078】
段階11:
THF10.0mLおよびEtOH 5.0mL中のエチル4−[[4−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチル−(2H)−チオクロメン−6−イル]−エチニル]−ベンゾエート(940.0mg、2.08mmol)の溶液に、NaOH(416.0mg、10.4mmol、2M水溶液5.2mL)を添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を10%のHCl水溶液で酸性化し、EtOAcで抽出した。合わした有機相を、H2O、NaCl飽和水溶液で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、溶媒を減圧下に除去した。得られた固形物をCH3CNから再結晶して、4−[[4−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチル−(2H)−チオクロメン−6−イル]−エチニル]−安息香酸(786.0mg、89%)を無色固形物として得た。
1H NMR(300MHz, d6-アセトン) δ: 8.01(2H, d, J=8.3Hz), 7.60(2H, d, J=8.5Hz), 7.42(2H, m), 7.29(2H, m), 7.22(3H, m), 5.94(1H, s), 2.69(2H, q, J=7.7Hz), 1.47(6H, s), 1.25(3H, t, J=7.7Hz)
目的とする最終生成物であるこの化合物を、AGN 194310と称した。
【0079】
AGN 194310化合物を下記のように提供した:該化合物をカプリン/カプリルトリグリセリド(CCT)に、種々の用量、0.001%(v/v)AGN 194310、0.003%(v/v)AGN 194310、または0.01%(v/v)AGN 194310で溶解した。対照動物は、AGN 194310活性成分を含有しないCCTビヒクル(AGN 194310ビヒクル)を投与された。多くのレチノイドおよびレチノイド類似体は光不安定性であるが、この化合物は通常の光に比較的安定性である。
【0080】
種々の特定の実施例および実施態様に関して本発明を説明したが、本発明はそれらに限定されず、特許請求の範囲内で種々の変更を加えて実施しうると理解されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】対照、AGN197116またはAGN194310を2日間毎日投与してから24時間後のSJLマウスにおける血清トリグリセリドのレベルを示す図。
【図2】4日間毎日経口処置してから6時間絶食させ、続いてWR-1339を投与した後の、SJL雄マウスの血清トリグリセリドレベルを示す図。
【図3】AGN197116を2日間毎日経口投与してから24時間後および1回腹腔内投与してから16時間後のSJLマウスの血清トリグリセリドレベルを示す図。
【図4】AGN197116を強制経口投与および腹腔内注射してから6時間絶食させ、続いてWR-1339を投与した後の、SJLマウスの血清トリグリセリドレベルを示す図。
Claims (26)
- 有効量のRARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストを哺乳動物に投与する段階を含んで成る哺乳動物の高脂質血症の処置方法。
- 該RARが、RARα、RARβおよびRARγから成る群から選択される請求項1に記載の方法。
- 該RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストが、ヒトを含む哺乳動物における循環脂質レベルを低下させるのに有効である請求項1に記載の方法。
- 該RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストが、ヒトを含む哺乳動物における循環トリグリセリドレベルを低下させるのに有効である請求項1に記載の方法。
- 該RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストを投与する段階が、心筋梗塞をも防止する請求項1に記載の方法。
- 該RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストが、下記の化学構造を有する請求項1に記載の方法:
Xは、S、O、NR'であり、R'は、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであるか、または
Xは、[C(R1)2]nであり、R1は、独立に、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、nは、0〜2の整数であり;
R2は、独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、F、Cl、Br、I、CF3、1〜6個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル、OH、SH、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオであり;
R3は、独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、またはFであり;
mは、0〜3の整数であり;
oは、0〜3の整数であり;
Zは、 −C≡C−、
−N=N−、
−N=CR1−、
−CR1=N、
−(CR1=CR1)n'−[n'は0〜5の整数である]、
−CO−NR1−、
−CS−NR1−、
−NR1−CO、
−NR1−CS、
−COO−、
−OCO−、
−CSO−、
−OCS−であり;
Yは、フェニルまたはナフチル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから成る群から選択されるヘテロアリールであり、該フェニルおよびヘテロアリール基は1個または2個のR2基で任意に置換され;または
Zが−(CR1=CR1)n'−であり、n'が3、4または5である場合、Yは、該(CR2=CR2)n'基とBとの間の直接結合を表し;
Aは、(CH2)q[qは0〜5である]、3〜6個の炭素原子を有する分岐鎖低級アルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の三重結合を有するアルキニルであり;
Bは、水素、COOHまたは医薬的に許容されるその塩、COOR8、CONR9R10、−CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、−COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはトリ−低級アルキルシリルであり、R7は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアルケニル基であり、R8は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素原子を有するトリメチルシリルアルキル、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか、またはR8はフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立に、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R11は、低級アルキル、フェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R12は低級アルキルであり、R13は2〜5個の炭素原子を有する二価アルキル基であり;
R14は、(R15)r−フェニル、(R15)r−ナフチル、または(R15)r−ヘテロアリールであり、該ヘテロアリール基はO、SおよびNから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、rは0〜5の整数であり;
R15は、独立に、H、F、Cl、Br、I、NO2、N(R8)2、N(R8)COR8、NR8CON(R8)2、OH、OCOR8、OR8、CN、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の二重結合を有するアルケニル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の三重結合を有するアルキニル基、またはアルキル基が独立に1〜6個の炭素原子を有するトリアルキルシリルまたはトリアルキルシリルオキシ基である]。 - 該RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストが、下記の化学構造を有する請求項1に記載の方法:
Xは、S、O、NR'であり、R'は、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであるか、または
Xは、[C(R1)2]nであり、R1は、独立に、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、nは、0〜2の整数であり;
R2は、独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、F、Cl、Br、I、CF3、1〜6個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル、OH、SH、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオであり;
R3は、独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、またはFであり;
mは、0、1、2または3の整数であり;
oは、0、1、2または3の整数であり;
Yは、フェニルまたはナフチル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから成る群から選択されるヘテロアリールであり、該フェニルおよびヘテロアリール基は1個または2個のR2基で任意に置換され;
Aは、(CH2)q[qは0〜5である]、3〜6個の炭素原子を有する分岐鎖低級アルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の三重結合を有するアルキニルであり;
Bは、水素、COOHまたは医薬的に許容されるその塩、COOR8、CONR9R10、−CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、−COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはトリ−低級アルキルシリルであり、R7は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアルケニル基であり、R8は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素原子を有するトリメチルシリルアルキル、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか、またはR8はフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立に、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R11は、低級アルキル、フェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R12は低級アルキルであり、R13は2〜5個の炭素原子を有する二価アルキル基であり;
R14は、(R15)r−フェニル、(R15)r−ナフチル、または(R15)r−ヘテロアリールであり、該ヘテロアリール基はO、SおよびNから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、rは0、1、2、3、4または5の整数であり;
R15は、独立に、H、F、Cl、Br、I、NO2、N(R8)2、N(R8)COR8、NR8CON(R8)2、OH、OCOR8、OR8、CN、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の二重結合を有するアルケニル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の三重結合を有するアルキニル基、またはアルキル基が独立に1〜6個の炭素原子を有するトリアルキルシリルまたはトリアルキルシリルオキシ基であり;
R16は、H、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであり;
R17は、H、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、OHまたはOCOR11であり;
pは、0または1であり、但し、pが1である場合、R17置換基は存在せず、mは0〜2の整数であるものとする]。 - 該RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストが、下記の化学構造を有する化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩である請求項1に記載の方法:
Xは、C(R1)2またはOであり;
R1は、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり;
R2は、独立に、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、F、Cl、Br、I、CF3、1〜6個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル、OH、SH、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオであり;
mは、0〜3の整数であり;
R3は、独立に、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、またはFであり;
oは、0〜3の整数であり;
sは、1〜3の整数であり;
R8は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素原子を有するトリメチルシリルアルキル、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか、またはR8はフェニルまたは低級アルキルフェニルであり;
R15は、独立に、H、F、Cl、Br、I、NO2、N(R8)2、COR8、NR8CON(R8)2、OCOR8、OR8、CN、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の二重結合を有するアルケニル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の三重結合を有するアルキニル基、またはアルキル基が独立に1〜6個の炭素原子を有するトリアルキルシリルまたはトリアルキルシリルオキシ基であり;
tは、0、1、2、3、4または5の整数であり;
CONH基は、ベンゾピランの6または7位、ジヒドロナフタリン環の2または3位に存在する]。 - 該RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストが、下記の化学構造を有する請求項1に記載の方法:
X1は、−C(R1)2−、−C(R1)2−C(R1)2−、−S−、−O−、−NR1−、−C(R1)2−O−、−C(R1)2−S−、またはC(R1)2−NR1−であり;
R1は、独立に、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり;
R2は、任意に存在し、独立に、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、F、Cl、Br、I、CF3、1〜6個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル、OH、SH、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオとして定義され;
mは、0〜4の整数であり;
nは、0〜2の整数であり;
oは、0〜3の整数であり;
R3は、H、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、F、Cl、BrまたはIであり;
R4は、(R5)p−フェニル、(R5)p−ナフチル、(R5)p−ヘテロアリールであり、該ヘテロアリール基は、5員または6員であり、O、SおよびNから成る群から選択される1〜3個のヘテロ原子を有し;
pは、0〜5の整数であり;
R5は、任意に存在し、独立に、F、Cl、Br、I、NO2、N(R8)2、N(R8)COR8、N(R8)CON(R8)2、OH、OCOR8、OR8、CN、COOH、COOR8、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の二重結合を有するアルケニル基、1〜10個の炭素原子および1〜3個の三重結合を有するアルキニル基、またはアルキル基が独立に1〜6個の炭素原子を有する(トリアルキル)シリルまたは(トリアルキル)シリルオキシ基として定義され;
Yは、フェニルまたはナフチル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから成る群から選択されるヘテロアリールであり、該フェニルおよびヘテロアリール基は1個または2個のR2基で任意に置換され、またはYは−(CR3=CR3)r−であり;
rは、1〜3の整数であり;
Aは、(CH2)q[qは0〜5の整数である]、3〜6個の炭素原子を有する分岐鎖低級アルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の三重結合を有するアルケニルであり、但し、Yが−(CR3=CR3)r−であるとき、Aは(CH2)qであり、qは0であり;
Bは、H、COOHまたは医薬的に許容されるその塩、COOR8、CONR9R10、−CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、−COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはSi(C1-6アルキル)3であり、R7は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアルケニル基であり、R8は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素原子を有する(トリメチルシリル)アルキル、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか、またはR8はフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立に、H、1〜10個の炭素原子を有する低級アルキル基、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R11は、低級アルキル、フェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R12は低級アルキルであり、R13は2〜5個の炭素原子を有する二価アルキル基である]。 - 該RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストが、下記の化学構造を有する化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩である請求項1に記載の方法:
X1は、SまたはOであり;
X2は、CHまたはNであり;
R2は、H、F、CF3または1〜6個の炭素原子を有するアルコキシであり;
R2*は、H、FまたはCF3であり;
R8は、H、または1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであり;
R14は、非置換フェニル、チエニルまたはピリジルであるか、または1〜3個のR15基によって置換されたフェニル、チエニルまたはピリジルであり、R15は、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、塩素、CF3、または1〜6個の炭素原子を有するアルコキシである]。 - 該RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストが、下記の化学構造を有する化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩である請求項1に記載の方法:
Y3(R4)−X−Y1(R1R2)−Z−Y2(R2)−A−B
[式中、
Y1は、フェニル、ナフチル、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾニル、オザゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから成る群から選択されるヘテロアリールであり、該フェニル、ナフチルおよびヘテロアリール基は、R1基によって置換され、1個または2個のR2基によってさらに置換されているかまたは置換されず;
R1は、C1-10アルキル、1−アダマンチル、2−テトラヒドロピラノキシ、アルキルが6個までの炭素原子を有するトリアルキルシラニルオキシ、OH、アルキル基が10個までの炭素原子を有するアルコキシ、アルキル基が10個までの炭素原子を有するアルキルチオ、またはOCH2OC1-6アルキルであり;
R2は、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、F、Cl、Br、I、CF3、CF2CF3、OH、OR3、NO2、N(R3)2、CN、N3、COR3、NHCOR3、COOHまたはCOOR3であり;
Xは、(C(R3)2、S、SO、SO2、OまたはNR3であり;
Zは、 −C≡C−、
−N=N−、
−N(O)=N−、
−N=N(O)−、
−N=CR3−、
−CR3=N、
−(CR3=CR3)n−[nは0〜5の整数である]、
−CO−NR3−、
−CS−NR3−、
−NR3−CO、
−NR3−CS、
−COO−、
−OCO−、
−CSO−、
−OCS−;または
−CO−CR3=R3−Oであり;
R3は、独立に、H、または1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであり;
Y2は、フェニルまたはナフチル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから成る群から選択されるヘテロアリールであり、該フェニル、ナフチルおよびヘテロアリール基は1個または2個のR2基で置換されているかまたは置換されず;または
Zが−(CR3=CR3)n−であり、nが3、4または5である場合、Y2は、該−(CR3=CR3)n基とBとの間の直接結合を表し;
Y3は、フェニルまたはナフチル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから成る群から選択されるヘテロアリールであり、該フェニル、ナフチルおよびヘテロアリール基は非置換であるかまたは1〜3個のR4基で置換され、R4は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル、1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル、2〜10個の炭素原子および1〜3個の三重結合を有するアルケニル、F、Cl、Br、I、NO2、CN、NR3、N3、COOH、COOC1-6アルキル、OH、SH、OC1-6アルキルまたはSC1-6アルキルであり;
Aは、(CH2)q[qは0〜5である]、3〜6個の炭素原子を有する分岐鎖低級アルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子および1個または2個の三重結合を有するアルキニルであり;
Bは、水素、COOHまたは医薬的に許容されるその塩、COOR8、CONR9R10、−CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、−COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはSi(C1-6アルキル)3であり、R7は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアルケニル基であり、R8は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素原子を有するトリメチルシリルアルキル、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか、またはR8はフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立に、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはフェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R11は、低級アルキル、フェニルまたは低級アルキルフェニルであり、R12は低級アルキルであり、R13は2〜5個の炭素原子を有する二価アルキル基である]。 - 該RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストを経口投与する請求項1に記載の方法。
- 該RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストを局所投与する請求項1に記載の方法。
- 該RARアンタゴニストまたはRARインバースアゴニストを全身的投与する請求項1に記載の方法。
- 哺乳動物の高脂質血症の処置方法であって、有効量の4−[[4−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチル−(2H)−チオクロメン−6−イル]−エチニル]−安息香酸(AGN 194310)を、該哺乳動物に投与する段階を含んで成る方法。
- 4−[[4−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチル−(2H)−チオクロメン−6−イル]−エチニル]−安息香酸(AGN 194310)を投与する段階が、循環トリグリセリドのレベルを低下させる請求項24に記載の方法。
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