JP2004531249A - 血管新生の診断方法、組成物、及び血管新生モジュレータのスクリーニング方法 - Google Patents

血管新生の診断方法、組成物、及び血管新生モジュレータのスクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

要約書なし。

Description

【技術分野】
【0001】
関連出願
当該出願は、2001年2月14日に提出されたUSSN 09/784,356;2001年2月22日に提出されたUSSN 09/791,390;2001年4月19日に提出されたUSSN 60/285,475;2001年8月3日に提出されたUSSN 60/310,025;2001年11月29日に提出されたUSSN 60/334,244に対する優先権を主張し、それらの各々の全体を本明細書中に援用する。
【0002】
本発明の分野
本発明は、核酸及びタンパク質発現特性、並びに血管新生に係わっている核酸、産物、及びそれらに対する抗体の同定;そして血管新生の診断及び治療へのそのような発現特性及び組成物の使用に関する。本発明は、血管新生を調節する物質及び/又はターゲットの同定及び使用のための方法にさらに関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
動脈と静脈を含む双方向性の血管系の発達である血管形成、及び新しい血管の産生である血管新生の両者は、発生初期の発達に役割を担う。対照的に、血管新生は、正常な成人において胎盤、卵巣、子宮内膜、及び創傷治癒部位に制限される。しかし、血管新生又はその不存在は、種々の病態の保守に重要な役割を担っている。それらの状態のいくつかは、新しい血管の形成、例えば癌、糖尿病網膜症、緑内障、及び加齢に関係する黄斑変性症を特徴とする。他のもの、例えば脳梗塞、不妊症、心疾患、潰瘍、及び強皮症は、血管新生機能障害の病気である。
【0004】
血管新生は、多数のステージをもつ(例えば、Folkman, J. Natl Cancer Inst. 82:4-6,1990;Fuestem, J Clin Invest. 103:3-4,1999;Koch, Arthritis Rheum. 41:95l-62, 1998;Carter, Oncologist 5(Suppl 1): 51-4,2000;Browder et al, Cancer Res. 60:1878-86, 2000;及びZhu and Witte, Invest New Drugs 17:195-212, 1999を参照のこと)。初期段階の血管新生は、内皮細胞プロテアーゼ産生、細胞の遊走、及び増殖を含む。
【0005】
初期段階は、VEGF、TGF-α、アンギオスタチン、及び全ての想定される役割を担っている選ばれたケモカインと共にいくつかの増殖因子を必要とするとも考えられる。血管新生の後期段階は、壁細胞(周皮細胞又は平滑筋細胞)の集団、基底膜産生、及び血管ベッドの特殊化の誘導を含む。血管形成の最終段階は、血管構造の形成が安定し、血管ベッドが成熟する、リモデリングとして知られているものを含む。このように、前記過程は、高度に動態的であり、遺伝子発現の調整された空間的、かつ、時間的な高まりをしばしば必要とする。
【0006】
逆に、この複雑な過程は、1以上の極めて重要なステップを妨げることによって破壊されるかもしれない。このように、血管新生の動態の理解不足は、示したもののような深刻な病気における治療的介入を阻む。血管新生を調節することを可能にするための化合物のスクリーニングに使用できる方法を提供することが本発明の目的である。その上、血管新生の望ましくない過剰又は不足のいずれかを有する病気への治療的介入のための分子ターゲットを提供することが目的である。現在の本発明は、両者に対する解決法を提供する。
【発明の開示】
【0007】
本発明の概要
本発明は、血管新生に関連する配列を検出するか又は調節するための組成物及び方法を提供する。
【0008】
1の側面において、本発明は、患者の細胞の血管新生に関連する転写を検出する方法を提供し、上記方法は、患者からの生物学的なサンプルと、表1〜8に示した配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドとを接触させることを含む。1の態様において、生物学的なサンプルは組織サンプルである。他の態様において、生物学的なサンプルは、単離された核酸を含み、それらはしばしばmRNAである。
【0009】
他の態様において、前記方法は、生体サンプルとポリヌクレオチドとを接触させるステップの前に核酸を増幅するステップをさらに含む。しばしば、前記ポリヌクレオチドは、表1〜8に示した配列を含む。前記ポリヌクレオチドは、例えば蛍光ラベルで標識されることができ、そして固体表面に固定されることができる。
【0010】
他の実施例において、患者は、血管新生に関係している病気を治療するために治療的投薬計画を受けているか、あるいは患者は血管新生に関連する障害をもっていると疑われる。
【0011】
他の側面において、本発明は、表1〜8に示されるようなポリヌクレオチド配列から成る単離された核酸分子を含む。前記核酸分子は、例えば蛍光ラベルで標識されうる。
【0012】
他の側面において、本発明は、表1〜8に示されるようなポリヌクレオチド配列から成る単離された核酸分子を含む発現ベクター又は上記発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0013】
他の態様において、前記単離された核酸分子は、表8で示したアミノ酸配列をもつポリペプチドをコードする。
【0014】
他の側面において、本発明は、表1〜8で示したポリヌクレオチド配列をもつ核酸分子によってコードされる単離されたポリペプチドを提供する。1の態様において、前記単離されたポリペプチドは、表8に示したアミノ酸配列をもつ。
【0015】
他の態様において、本発明は、表8で示したアミノ酸配列順序をもつか、又は表1〜8のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。前記抗体は、蛍光ラベル、毒素、又は放射性同位元素のようなエフェクター成分に結合するか又は融合することができる。いくつかの態様において、前記抗体は、抗体フラグメント又はヒト化抗体である。
【0016】
他の側面において、本発明は、患者からの生体サンプル中の血管新生を受けている細胞を検出する方法を提供し、上記方法は、生体サンプルと、表8で示したアミノ酸配列をもつか又は表1〜8のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドに特異的に結合する抗体とを接触させることを含む。いくつかの態様において、前記抗体は、エフェクター成分、例えば蛍光ラベルにさらに結合されるか又は融合される。
【0017】
他の態様において、本発明は、患者の血管新生に特異的な抗体を検出する方法を提供し、上記方法は、患者からの生体サンプルと、表1〜8のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドとを接触させることを含む。
【0018】
本発明は、血管新生に関連するポリペプチドの活性を調節する化合物を同定する方法を提供し、上記方法は以下のステップ:(i)上記化合物と、表8で示したアミノ酸配列に少なくとも80%の同一性をもつか、又は表1〜8のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドとを接触させ;そして(ii)ポリペプチドの活性の増加又は減少を検出することを含む。1の態様において、前記ポリペプチドは、表8に示したアミノ酸配列をもつか、又は表1〜8のヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチドである。他の態様において、ポリペプチドは細胞中に発現される。
【0019】
本発明は、血管新生を調節する化合物を同定する方法をも提供し、上記方法は以下のステップ:(i)上記化合物と血管新生を受けている細胞とを接触させ;そして(ii)表8で示されるようなポリペプチド配列、又は表1〜8のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの発現の増加又は減少を検出することを含む。1の態様において、細胞からの核酸サンプルと、表1〜8に示した配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせる検出ステップを含む。他の態様において、前記方法は、表8で示される第2の配列又は表1〜8のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの発現の増加又は減少を検出することをさらに含む。
【0020】
他の態様において、本発明は、表8で示した配列と少なくとも80%同一、又は表1〜8のヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチドと80%同一のポリペプチドを発現する細胞の血管新生を抑制する方法を提供し、上記方法は、上記細胞と、上記ポリペプチドの治療として有効量の阻害物質とを接触させるステップを含む。1の態様において、前記ポリペプチドは、表8で示されたアミノ酸配列をもつか、又は表1〜8のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドである。他の態様において、阻害物質は抗体である。
【0021】
他の実施例において、本発明は、表8に示された配列と少なくとも80%同一か、又は表1〜8のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドと少なくとも80%同一のポリペプチドを発現する細胞の血管新生を活性化する方法を提供し、上記方法は、上記細胞と、治療として有効量の上記ポリペプチドの活性化物質とを接触させるステップを含む。1の態様において、前記ポリペプチドは、表8で示されたアミノ酸配列をもつか又は、表1〜8のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドである。
【0022】
本発明の他の側面は、以下の本発明の説明により当業者に明白になる。
表1〜8は、血管新生を受けていない組織と比較した、血管新生を受けた組織における時間関数としての発現レベルの変化を示す遺伝子のヌクレオチド配列を提供する。
【0023】
特定の態様の説明
先に要点をまとめた目的に従って、本発明は血管新生に関係する障害(本明細書中で血管新生障害又はADと時々呼ばれる)の診断及び治療のための新規な方法、並びに血管新生を調節する組成物をスクリーニングする方法を提供する。本明細書中で、「血管新生に関係する障害」又は「血管新生に関係する病気」は、血管発達の過剰又は不足のいずれかを特徴とする病状を意味する。増加した血管新生に関係する血管新生障害は、これだけに制限されることなく、癌及び増殖性糖尿病網膜症を含む。血管新生の増加が望ましい病状は、脳梗塞、心疾患、不妊症、潰瘍、創傷治癒、虚血、及び強皮症を含む。固体腫瘍、例えば乳房、結腸、肺、脳、膀胱、及び前立腺腫瘍は、支持又は増殖を維持するために一般に血管新生を必要とする。他のADは、例えば関節炎、炎症性腸感染、糖尿病網膜症、黄斑変性症退化、アテローム硬化症、及び乾癬を含む。ADの治療方法をも提供する。
【0024】
定義
用語「血管新生タンパク質」又は「血管新生ポリヌクレオチド」は:(1)好ましくは少なくとも約25、50、100、200、500、1000以上のアミノ酸の領域に及ぶ、表8の血管新生タンパク質に約60%超のアミノ酸配列同一性、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%、又はそれ以上のアミノ酸配列同一性をもつアミノ酸配列をもち;(2)表8のアミノ酸配列、及び保存的に修飾されたその変異体を含む免疫原に対して産生された抗体、例えばポリクローナル抗体が結合し;(3)表1〜8の核酸配列と保存的に修飾されたその変異体に対応するアンチセンス鎖に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズし;(4)好ましくは少なくとも約25、50、100、200、500、1000以上のヌクレオチドの領域に及ぶ、表1〜8に示すうちの1に対応するセンス配列に約95%超、好ましくは約96%、97%、98%、99%、又はそれ以上のヌクレオチド配列同一性をもつ核酸配列をもつ、核酸及びポリペプチドの多形性の変異体、対立因子、突然変異体、並びに種内の同族体を表す。一般に、ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列は、これだけに制限されることなく、霊長類、例えばヒト;齧歯類、例えばラット、マウス、ハムスター;牛、豚、馬、羊、又は全ての哺乳動物を含む哺乳動物由来である。「血管新生ポリペプチド」及び「血管新生ポリヌクレオチド」は、天然か又は組み換えの両方を含む。
【0025】
「完全長の」血管新生タンパク質又は核酸は、1以上の天然の野生型血管新生ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列に通常含まれている全ての要素を含む血管新生ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列、あるいはその変異体を表す。「完全長」は、翻訳過程後の様々な段階の前又は後に存在する。
【0026】
本明細書中に使用されるとき、「生体サンプル」は、例えば血管新生タンパク質の核酸又はポリペプチドを含む生物学的組織又は体液のサンプルである。そのようなサンプルは、これだけに制限されることなく、霊長類、例えばヒト、又は齧歯類、例えばマウス及びラットから単離した組織を含む。生体サンプルは、組織切片、例えば生検及び検死解剖サンプル、及び組織学的目的のために取られた凍結切片を含む。生体サンプルは、真核生物、最も好ましくは哺乳動物、例えば霊長類、例えばチンパンジー又はヒト;牛;犬;猫;齧歯類、例えばモルモット、ラット、マウス;ウサギ;あるいは鳥;爬虫類;又は魚類から一般に得られる。
【0027】
「生体サンプルの提供」は、本願発明に記載の方法に使用するために生体サンプルを得ることを意味する。ほとんどの場合、これは、動物から細胞サンプルを取り出すことによって行われるが、しかし以前に単離された細胞(例えば、他の人によって、他の時点で及び/又は他の目的のために単離されたもの)を使うことによって又はインビボで本発明の方法を実施することによっても達成される。治療又は転帰履歴をもつ保存用組織が特に有用である。
【0028】
2以上の核酸又はポリペプチド配列の関係において、用語「同一」又は「同一性」パーセントは、以下に記載のデフォルト・パラメーターによるBLAST又はBLAST 2.0配列比較アルゴリズム使って、又は手動アラインメント及び目視検査により計測した場合(例えば、NCBIウェブサイトhttp://www.ncbi.nhn.nih.gov/BLAST/などを参照のこと)、同じか、あるいは同じアミノ酸残基若しくはヌクレオチドの特定のパーセンテージ(すなわち、比較ウィンドウ又は指定された領域にわたる最大限の一致のために比較又はアラインされた場合に、指定された領域(例えば、配列番号1〜229)にわたり約70%の同一性、好ましくは75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の同一性)をもつ2以上の配列又はサブシークエンスを表す。
【0029】
以降、そのような配列を「実質的に同一」と言う。この定義は、同様に試験配列の相補物を表すか又はそれに適用される。前記定義は、欠失及び/又は付加がある配列、並びに置換をもつものを含む。以下に記載されるように、好ましいアルゴリズムは、ギャップなどを説明することができる。好ましくは、同一性は、少なくとも約25のアミノ酸又はヌクレオチドの長さがある領域、又はより好ましくは50〜100のアミノ酸又はヌクレオチドの長さがある領域にわたり存在する。
【0030】
配列比較のために、一般に1の配列が、試験配列を比較する基準配列としての役目を務める。配列比較アルゴリズムを使う場合、試験及び基準配列は、コンピューターに入力され、必要ならばサブシークエンス座標が指定されて、そして配列アルゴリズム・プログラムのパラメーターが指定される。好ましくは、デフォルトのプログラム・パラメーターを使用でき、あるいは代わりのパラメーターを指定することができる。次に、配列比較アルゴリズムは、プログラム・パラメーターに基づいて、基準配列に関する試験配列について配列同一性の割合を計算する。
【0031】
本明細書中に使用されるとき、「比較ウィンドウ」は、20〜600、一般的に約50〜約200、より一般的に約100〜約150から成る群から選ばれる隣接する位置のいずれか1のセグメントへの言及を含み、ここで、配列は、2つの配列が最適にアラインされた後、隣接している位置の同じ数の基準配列と比較される。比較のための配列のアラインメント方法は、本技術分野で周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えばSmith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)の局所的な相同性アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同性配列アルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性検索法により、(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIのGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)これらのアルゴリズムのコンピューターでの実施により、又は手作業によるアラインメントと目視検査により(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds. 1995 付録を参照のこと))実施されうる。
【0032】
配列同一性と配列類似性の割合決定のために好適であるアルゴリズムの好ましい例は、BLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムであり、それぞれ、Altschul et al., Nuc. Acids Res 25:3389-3402(1977)及びAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410(1990)に記載される。本明細書中に記載のパラメーターを用いて、BLASTとBLAST 2.0が、本発明の核酸及びタンパク質に関する配列同一性の割合を決定するために使用される。BLAST分析を実施するためのソフトウェアが、米国バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nhn.nih.gov/)を通して公的に入手可能である。
【0033】
このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワード(word)とアラインしたとき、いくつかの正に評価された閾値スコアTに合致するか又は満足するクエリー配列において長さWの短いワードを同定することによってハイスコア配列ペア(HSPs)をまず同定することを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる(前記Altschulら)。これらの最初の隣接ワードのヒットは、それらを含む長いHSPsを発見するための検索を開始するための種としての役割を務める。ワードのヒットは、累積のアラインメント・スコアが増加しうる限り各々の配列に沿って両方向に延長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列に関するパラメーターM(合致する残基の対についての報酬スコア;常に>0)及びN(ミスマッチ残基についての罰金スコア;常に<0)を使って計算される。
【0034】
アミノ酸配列のために、スコアリング・マトリックスが累積スコアを計算するために使用される。各々の方向におけるワードのヒットの延長は:累積配列スコアがその最大限の達成された値から量Xまで落ちたか;1以上の負のスコアをもつ残基配列の蓄積により、累積スコアがゼロ又はそれ以下になるか;又はいずれかの配列の末端に達したときに止められる。BLASTアルゴリズムのパラメーターW、T、及びXは、アラインメントの感度及びスピードを決定する。(ヌクレオチド配列のための)BLASTNプログラムは、デフォルトとして11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列のために、BLASTPプログラムは、デフォルトとして3のワード長、及び10の期待値(E)、そしてBLOSUM 62スコアリング・マトリックス(Henikoff & Henikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915(1989)を参照のこと)、50のアラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、そして両鎖の比較を使用する。
【0035】
BLASTアルゴリズムが、2つの配列の間の類似性の統計分析をも実施する(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90:5873-5787(1993)を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供された類似性の1つの基準は、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列の間で合致が偶然に生じる確率の目安を提供する、最小合計確率(P(N))である。例えば、基準核酸と試験核酸の比較において最小合計確率が、約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、そして最も好ましくは約0.001未満の場合、核酸は基準配列に類似するとみなされる。
【0036】
2つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一であるという目安は、以下に記載のように、最初の核酸によってコードされたポリペプチドが、第2の核酸によってコードされたポリペプチドに対して産生された抗体と免疫学的にに交差反応的であることである。このように、例えば2つのペプチドが保存的な置換によってのみ異なるとき、ポリペプチドは、一般に第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一である他の目安は、以下に記載されるように、2つの分子又はそれらの相補物がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であるというさらに別の目安は、同じプライマーが配列を増幅するために使用できることである。
【0037】
「宿主細胞」は、発現ベクターを含み、かつ、発現ベクターの複製又は発現を支える天然細胞又は形質転換細胞である。宿主細胞は、培養細胞、外植片、インビボの細胞などである。宿主細胞は、E.コリ(E.coli)のように原核生物細胞、又は酵母、昆虫、両生類のような真核生物細胞、又はCHO、HeLaのような哺乳動物細胞などである(例えば、ATCCカタログ又はウェブサイトwww.atcc.orgを参照のこと)。
【0038】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」と「タンパク質」は、アミノ酸残基の重合体を表すために本明細書中で互換的に使用される。前記用語は、1以上のアミノ酸残基が対応の天然アミノ酸の人工的な化学的な模倣体、並びに天然アミノ酸重合体及び非天然アミノ酸重合体であるアミノ酸重合体に適用する。
【0039】
用語「アミノ酸」は、天然、及び合成アミノ酸、並びにとアミノ酸相似体、及び天然アミノ酸と類似した様式で機能するアミノ酸模倣体を表す。天然アミノ酸は、遺伝コードによってコードされたもの、並びに、後に修飾されるそれらのアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート及びO-ホスホセリンである。アミノ酸相似体は、天然アミノ酸と同じ基本的な化学的構造をもつ化合物、すなわち水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合するα-炭素であり、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニン・メチル・スルホニウムを表す。そのような相似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格をもつが、天然アミノ酸と同じ基本的な化学的構造が維持する。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般的な化学構造と異なる構造をもつが、しかし天然アミノ酸と類似した様式で機能する化合物を表す。
【0040】
本明細書において、アミノ酸は、一般に知られている3文字表記又はIUPAC-IUB生化学命名法委員会により推薦される1文字表記のいずれかによって表される。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般に受け入れられた1文字コードによって表される。
【0041】
「保存的に修飾された変異体」は、アミノ酸及び核酸配列に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾された変異体は、同一又は本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、又は核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列を表す。遺伝コードの縮重のために、多数の機能上同一の核酸が、いずれか特定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、及びGCUの全てがアミノ酸アラニンをコードする。このように、アラニンがコドンによって指定される全ての位置で、コドンは、コードされたポリペプチドを変えることなく記載された対応するコドンのどれにでも変えることができる。そのような核酸の変異は、1種類の保存的に修飾された変異である「サイレント変異」である。本明細書中、ポリペプチドをコードするあらゆる核酸配列が、核酸のあらゆる可能性のあるサイレント変異をも説明する。当業者は、機能上同一の分子を生むために、核酸中の各々のコドン(通常メチオニンに関する唯一のコドンであるAUGと通常トリプトファンに関する唯一のコドンであるTGGを除く)が修飾されることを認識する。それ故に、ポリペプチドをコードする核酸の各々のサイレント変異は、実際のプローブ配列に関してではなく産物発現に関して各々の記載された配列に現われている。
【0042】
アミノ酸配列に関して、当業者は、1つのアミノ酸又はコードされた配列のアミノ酸のわずかな割合を変えるか、付加するか又は欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列への個々の置換、欠失、又は付加が、上記変更が化学的に類似したアミノ酸をもつアミノ酸の代用をもたらす「保存的に修飾された変異体」であることを認識する。機能上類似したアミノ酸を提供する保存的な置換表が、本技術分野で周知である。前記の保存的に修飾された変異体は、多形性の変異体、種内同族体、及び本発明の対立因子に加えられ、かつ、それらを除外しない。
【0043】
以下の8つのグループは、互いに保存的な置換アミノ酸をそれぞれ含む1):アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、スレオニン(T);及び8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton, Proteins(1984)を参照のこと)。
【0044】
ポリペプチド構造のような高分子構造は、様々なレベルの構成に関して説明されることができる。この構成についての一般的な論議について、例えばAlberts et al, Molecular Biology of the Cell (3rded., 1994)及びCantor and Schimmel, Biophysical Chemistry Part I: The Conformation of Biological Macromolecules (1980)を参照のこと。「1次構造」は、特定のペプチドのアミノ酸配列を表す。「2次構造」は、ポリペプチド内の局所的に配列した、3次元構造を表す。これらの構造は、一般にドメインとして知られている。ドメインは、ポリペプチドの緻密なユニットを形成するポリペプチドの一部であり、一般に25〜約500アミノ酸の長さである。典型的なドメインは、β-シートとα-へリックスの広がりのようなより小さな構成の区分で作られる。「3次構造」は、ポリペプチド単量体の完全な3次元構造を表す。「4次構造」は、独立した第三のユニットの非共有結合によって形成された3次元構造を通常表す。異方性の用語は、エネルギー用語としても知られている。
【0045】
「ラベル」又は「検出可能な部分」は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、又は他の物理的手段により検出可能な組成物である。例えば、有用なラベルは、32P、蛍光色素、電子密度試薬、(例えば、一般にELISAで使用されるような)酵素、ビオチン、ジゴキシゲニン、又はハプテン、及び例えば、ペプチド内に放射線標識を組み入れることによるか、又は上記ペプチドに特異的に反応する抗体の検出を使用することによって検出可能にされうるタンパク質を含む。
【0046】
「エフェクター」又は「エフェクター部分」又は「エフェクター成分」は、抗体に共有的に、リンカーか化学結合を通して、又は非共有的に、イオン的に、ファンデルワールス力により、静電気的に、又は水素結合のいずれかにより結合する(bound or linked or conjugated)分子である。「エフェクター」は、例えば放射性の化合物、蛍光化合物、酵素又は基質、タグ、例えばエピトープ・タグ、毒素を含む検出部分;化学療法薬;リパーゼ;抗生物質;又は「硬」、例えばベータ線を放出する放射性同位元素を含む種々の分子でありうる。
【0047】
「ラベルされた核酸プローブ又はオリゴヌクレオチド」は、プローブの存在がプローブに結合されたラベルの存在を検出することによって検出されうるようにラベルに、共有的に、リンカーか化学結合により、又は非共有的に、イオンにより、ファンデルワールス力により、静電気的に、又は水素結合のいずれかにより結合するものである。あるいは、1組の結合パートナー、例えばビオチン、ストレプトアビジンの一方が他方に結合する、高い親和性相互作用を使用する方法は、同じ結果を達成する。
【0048】
本明細書中に使用されるとき、「核酸プローブ又はオリゴヌクレオチド」は、1以上の種類の化学結合によって、通常相補的な塩基対形成によって、通常水素結合形成によって相補的な配列のターゲット核酸に結合することができる核酸と定義される。本明細書中に使用されるとき、プローブは、天然の(すなわちA、G、C又はT)又は修飾された塩基(7-ジアザグアノシン、イノシンなど)を含む。さらに、プローブ中の塩基は、ハイブリダイゼーションを邪魔しない限り、ホスホジエステル結合以外の結合により連結される。このように、例えば、プローブは、構成塩基がホスホジエステル結合よりむしろペプチド結合により繋がれているペプチド核酸である。
【0049】
プローブがハイブリダイゼーション条件のストリンジェントさに依存してプローブ配列との完全な相補性を欠いている標的配列に結合するかもしれないことは、当業者によって知られている。プローブは、好ましくはアイソトープ、発色団、化学発色団、色素原により直接的に標識されるか、又は例えばストレプトアビジン複合体が後で結合するビオチンにより間接的にラベルされる。プローブの存在又は不存在のアッセイにより、当業者は、選ばれた配列又はサブシークエンスの存在又は不存在を検出することができる。
【0050】
本明細書中に使用されるとき、例えば細胞、又は核酸、タンパク質、又はベクターに関して、用語「組み換え型」は、細胞、又は核酸、タンパク質、又はベクターが、異種核酸かタンパク質の導入によるか又は天然の核酸又はタンパク質の変更によって修飾されたか、あるいは細胞がそのように修飾された細胞由来であることを示す。このように、例えば、組み換え細胞は、細胞の天然(非組み換え)型に見られない遺伝子を発現するか、又は他の様式で異常に発現される、より少なく発現される、若しくは全く発現されない天然の遺伝子を発現する。
【0051】
核酸の一部に関して使用される場合、用語「異種」は、核酸が天然に互いに同じ類縁関係中に見出されない2以上のサブシークエンスを含むことを示す。例えば、核酸は、一般に組み換えにより製造され、新しい機能的核酸、例えば一方の起源由来のプロモーター及び他の起源由来のコーディング領域を作製するように準備された関連のない遺伝子からの2以上の配列をもつ。同様に、異種タンパク質は、タンパク質が天然で互いに同じ類縁関係中に見られない2以上のサブシークエンスを含むことを示す(例えば融合タンパク質)。
【0052】
「プロモーター」は、核酸の転写を指揮する一連の核酸制御配列と定義される。本明細書中に使用されるとき、プロモーターは、転写開始部位の近くの必須の核酸配列、例えばポリメラーゼII型プロモーターの場合、TATA要素を含む。プロモーターは、場合により遠位エンハンサー又はリプレッサー要素を含み、それらは転写の開始部位から数千塩基対ほどに位置することもできる。「構造的」プロモーターは、ほとんどの環境及び発育条件下で活性なプロモーターである。「誘導的」プロモーターは、環境又は発育の調節下で活性なプロモーターである。用語「使用できるようにつながれた」は、核酸発現制御配列(例えば、プロモーター又は転写因子結合領域の配列)と第2の核酸配列との間の機能的な結合を表し、ここで発現制御配列は、第2の配列に相当する核酸の転写を導く。
【0053】
「発現ベクター」は、宿主細胞における特定の核酸の転写を可能にする一連の指定の核酸要素を伴う、組み換えによるか又は合成により製造された核酸構築物である。発現ベクターは、プラスミド、ウイルス、又は核酸断片の一部である。一般に、発現ベクターは、プロモーターに使用できるように連結された転写されるべき核酸を含んでいる。
【0054】
用語「選択的に(又は特異的に)ハイブリダイズする」は、配列が複合混合物(例えば、総細胞又はライブラリーDNA又はRNA)中にある時、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特別なヌクレオチド配列だけに結合、2本鎖形成、又は分子のハイブリダイズを表す。
【0055】
用語「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、その下で、プローブが一般に核酸の複合混合物中のターゲット・サブシークエンスにハイブリダイズするが、しかし他の配列にはハイブリダイズしない条件を表す。ストリンジェントな条件は、配列に依存していて、異なる情況においても異なる。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの幅広いガイドは、Tijssen, Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Probes, "Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays" (1993)に見られる。
【0056】
一般的に、ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度pHで特定の配列の熱メルティングポイント(Tm)より約5〜10℃低くなるように選ばれる。Tmは(所定のイオン強度、pH、及び核酸濃度下)、(標的配列が過剰に存在し、Tmで、プローブの50%が平衡状態にある時)ターゲットに相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である。ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3で、塩濃度が約1.0 M未満のナトリウム・イオン、一般的に少なくとも約0.01〜1.0 Mのナトリウム・イオン濃度(又は他の塩)、そして温度が短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)のために少なくとも30℃、及び長いプローブ(例えば、50ヌクレオチド超)のために少なくとも約60℃である。
【0057】
ストリンジェントな条件は、ホルムアミドのような不安定化剤の添加により達成されうる。選択的又は特異的ハイブリダイゼーションのために、正のシグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍、好ましくはバックグラウンド・ハイブリダイゼーションの10倍である。模範的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下のとおりである:50%のホルムアミド、5×SSC、及び1%のSDS、42℃でインキュベートするか又は5×SSC、1%のSDS、65℃でインキュベートして、0.2×SSC及び0.1%のSDS中、65℃で洗浄する。PCRのために、約36℃の温度は、低いストリンジェントさの増幅のために一般的であるが、アニーリング温度は、プライマー長さに依存して約32℃と48℃の間で変動する。
【0058】
高いストリンジェントさのPCR増幅のために、約62℃の温度が一般的であるが、高いストリンジェントさのアニーリング温度は、プライマーの長さ及び特異性に依存して約50℃〜約65℃の範囲にわたりうる。高い又は低いストリンジェントさ両方の増幅のための典型的なサイクル条件は、90℃〜95℃、30秒〜2分の変性段階、30秒〜2分続くアニーリング段階、そして、約72℃で1〜2分の伸長段階を含む。低い又は高いストリンジェントさの増幅反応のためのプロトコール及び指針は、例えばInnis et al.(1990)PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications, Academic Press, Inc. N.Y.中に提供されている。
【0059】
ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一ならばまだ実質的に同一である。例えば、遺伝暗号によって可能性のある最大限のコドン縮重を使って核酸のコピーが作られるときにこれが起こる。そのような場合において、核酸は、一般に中程度のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。典型的には、「中程度のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、37℃での40%のホルムアミド、1 MのNaCl、1%のSDSのバッファー中でのハイブリダイゼーション、及び45℃、1×SSC中での洗浄を含む。正のハイブリダイゼーションは、バックグラウンドの少なくとも2倍である。当業者は、類似したストリンジェントさの条件を提供するために利用されうる代わりのハイブリダイゼーション及び洗浄条件を容易に見分けるであろう。ハイブリダイゼーション・パラメーター決定するためのさらなる指針は、莫大な数の参考文献、例えば、Current Protocols in Molecular Bioligy, ed. Ausubel, et alの中に提供される。
【0060】
血管新生タンパク質の活性を調節する化合物を試験するためのアッセイの前後関係で用語「機能上の効果」は、血管新生タンパク質の機能的、物理的、又は化学的な効果、例えば血管新生を増やすか又は減少させる能力の影響下、間接的又は直接的であるパラメーターの定量を含む。それは、結合活性、増殖する細胞の能力、血管新生を受けた細胞での発現、及び血管新生細胞の他の特徴を含む。「機能的な効果」は、インビトロ、インビボ、エクスビボ活性を含む。
【0061】
「機能的な効果の決定」により、血管新生タンパク質の影響、例えば機能的、物理的、又は化学的な効果の影響下、間接的又は直接的であるパラメーターを増加させるか又は減少させる化合物についてアッセイすることを意味する。そのような機能的な効果は、当業者に知られるいずれかの手段、例えば、分光学的特性の変化(例えば、蛍光、吸光度、屈折率)、タンパク質の流体力学(例えば形状)、クロマトグラフィー、又は可溶性特性、血管新生タンパク質の誘導可能なマーカー又は転写活性化の計測;結合活性の計測又は結合アッセイ、例えば抗体への結合、並びに細胞増殖、特異的な内皮細胞増殖、細胞生存度、特に血管内皮細胞の細胞分裂、内腔形成及び毛細管又は血管成長又は形成によって計測することができる。血管新生に対する化合物の機能的な効果の定量は、当業者に知られる血管新生アッセイ、例えば生体外アッセイ、例えば、生体外の内皮細胞管形成アッセイ、及び他のアッセイ、例えばニワトリCAMアッセイ、マウス角膜アッセイ、及び移植された腫瘍の血管新生を評価するアッセイを用いて実施することもできる。機能上の効果は、当業者に知られている多くの手段、例えば、形態的の変化、例えば管又は血管新生の量的又は質的な計量のための顕微鏡検査法、血管新生に関連する配列に関するRNA又はタンパク質レベルの変化の測定法、RNA安定性の測定法、例えば化学発光、蛍光、比色反応、抗体結合、誘導マーカー、及びリガンド結合アッセイによる下流又はリポーター遺伝子発現の同定(CAT、ルシフェラーゼ、β-gal、GFPなど)よって評価される。
【0062】
「阻害物質」、「活性化物質」、及び血管新生ポリヌクレオチド及びポリペプチド配列の「モジュレータ」は、血管新生ポリヌクレオチドとポリペプチド配列のインビトロ及びインビボ・アッセイを使って同定された活性化、阻害又は調節分子を表すために使用される。阻害物質は、例えば血管新生タンパク質、例えばアンタゴニストの活性又は発現を結合して、部分的に又は完全に活性を遮断するか、減少させるか、妨げるか、活性化を遅らせるか、不活性にするか、感度を鈍くするか、又は下方調節する化合物である。「活性化物質」は、血管新生タンパク質活性を増加させるか、始めるか、活性化するか、容易にするか、活性化を促進するか、敏感にするか、アゴナイズするか(agonize)、又は上方調節する化合物である。阻害物質、活性化物質、又はモジュレータは、血管新生タンパク質の遺伝学的に修飾された異形、変更された活性をもつ異形、並びに天然及び合成リガンド、アンタゴニスト、アゴニスト、抗体、小さな化学分子などをも含む。阻害物質及び活性化物質に関するそのようなアッセイは、例えば先に記載されるように、細胞又は細胞膜におけるインビトロでの血管新生タンパク質の発現させ、推測上のモジュレータ化合物を適用し、そして活性に対する機能上の効果を測定することを含む。血管新生の活性化物質と阻害物質は、血管新生細胞と試験化合物とを混合し、1以上の血管新生タンパク質、例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、50又はそれ以上の血管新生タンパク質、例えば表8に示した配列を含む血管新生タンパク質の発現の増減を測定することにより決定することもできる。
【0063】
サンプル、又はか可能性がある活性化物質、阻害物質、又はモジュレータにより処理された血管新生タンパク質を含むアッセイは、阻害物質、活性化物質、又はモジュレータなしの対照サンプルと比較して抑制作用の程度を検査する。(阻害物質で未処理の)対照サンプルは、100%の相対的なタンパク質活性値を与えられる。ポリペプチドの抑制作用は、対照と比較して活性値が約80%、好ましくは50%、より好ましくは25〜0%のときに達成される。血管新生ポリペプチドの活性化は、(活性化物質で未処理の)対照と比較して活性値が110%、より好ましくは150%、より好ましくは200〜500%(すなわち対照と比較して2〜5倍高い)、より好ましくは1000〜3000%高いときに達成される。
【0064】
「抗体」は、抗原に特異的に結合するか又は認識するポリペプチドを含む、免疫グロブリン遺伝子又はその断片由来のフレームワーク領域を含むポリペプチドを表す。確認されている免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、及びミュー定常領域遺伝子、並びに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、カッパ又はラムダのいずれかに分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はエプシロンと分類され、それぞれ免疫グロブリン・クラス、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEを定義する。一般に、抗体の抗原結合領域は、結合の特異性と親和性に最も重要である。
【0065】
模範的な免疫グロブリン(抗体)構造ユニットは、四量体を含む。各々の四量体は、各々のペアが(約25 kDの)1つの「軽」鎖と(約50〜70 kDの)1つの「重」鎖をもつ、2対の同じポリペプチド鎖対から構成される。各々の鎖のN末端は、抗原認識を主に担う約100〜110以上のアミノ酸の可変領域を定義する。用語可変軽鎖(VL)及び可変重鎖(VH)は、それぞれこれらの軽鎖及び重鎖を表す。
【0066】
抗体は、例えばもとのままの免疫グロブリンとして、又は様々なペプチダーゼによる消化によって製造された多数の十分に特徴づけられた断片として存在する。このように、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域内のジスルフィド結合下の抗体の消化して、F(ab)'2、それ自体がジスルフィド結合によってVH-CH1に連結された軽鎖であるFabの二量体を生じる。F(ab)'2は、ヒンジ領域のジスルフィド結合を破壊する温和な状態下で減少し、それによって、F(ab)'2二量体をFab'単量体に変える。Fab'単量体は、本質的にヒンジ領域の一部であるFabである(Fundamental Immunology (Paul ed., 3d ed. 1993)を参照のこと)。様々な抗体断片がもとのままの抗体の消化に関して定義される一方で、当業者は、そのような断片が化学的又は組み換えDNA方法論を使うことによって新規に合成されうることを認識する。このように、本明細書中に使用されるとき、用語抗体は、抗体全体の修飾によって産生された抗体断片、又は組み換えDNA方法論を使って新規に合成されたもの(例えば、1本鎖Fv)、ファージ・ディスプレイ・ライブラリーを使って同定されたもの(例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990)を参照のこと)を含む。
【0067】
抗体、例えば組み換え、モノクローナル又はポリクローナル抗体の調整のために、多数の本技術分野で知られている技術が使用できる(例えば、Kohler & Milstein, Nature 256:495-497 (1975); Kozbor et al, Immunology Today 4: 72 (1983); Cole et al, pp. 77-96 Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, AlanR. Liss, Inc. (1985)中; Coligan, Current Protocols in Immunology (1991); Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (1988);及びGoding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice (2d ed. 1986)を参照のこと)。
【0068】
1本鎖抗体の産生のための技術(米国特許第4,946,778号)は、本願発明のポリペプチドに対する抗体を産生するために適用されうる。また、トランスジェニック・マウス又は他の生体、例えば他の哺乳動物は、ヒト化された抗体を発現するために使用されうる。あるいは、ファージ・ディスプレイ技術は、選ばれた抗原に特異的に結合する抗体とヘテロメリックFab断片を同定するために使用できる(例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990); Marks et al., Biotechnology 10:779-783 (1992)を参照のこと)。
【0069】
「キメラ抗体」は、(a)定常領域又はその一部は、異なるか又は変更されたクラス、エフェクター機能及び/又は種の定常領域に連結されるように抗原結合部位(可変領域)が変更、置換又は交換されたか、又はキメラ抗体に新しい性質を授ける完全に異なる分子、例えば酵素、毒素、ホルモン、増殖因子、薬物など、の不変部と結び付けられるように交換された;あるいは(b)可変領域又はその一部が、異なる又は変更された抗原特異性をもつ可変領域により変更、置換又は交換された抗体分子である。
【0070】
本発明の詳細な説明は、以下の本発明の側面:
血管新生に関連する配列の発現
情報科学
血管新生に関連する配列
診断上及び治療的適用のための血管新生配列の検出
血管新生のモジュレータ
異なる血管新生に関連する配列の同定方法
薬剤及びワクチン組成物の投与
診断上及び/又は予防的適用における使用のためのキット、
についての論議を含む。
【0071】
血管新生に関連する配列の発現
1の側面において、遺伝子の発現レベルは、診断情報が必要とされる、異なる患者サンプルにおいて決定され、発現特性を提供する。特定のサンプルの発現特性は、本質的にサンプルの状態の「フィンガープリント」であり;2つの状態がいずれか特定の遺伝子を同じように発現する場合、多数の遺伝子に関する評価は、その細胞の状態に特有である遺伝子発現特性の発生を同時に可能にしている。すなわち、正常組織は、AD組織と区別されうる。
【0072】
異なった血管新生特性が知られている組織の発現特性の比較により、これらの状態の各々で(遺伝子の上方及び下方-調節の両方を含む)遺伝子が重要であることに関する情報が得られる。非血管新生組織に対して血管新生組織で差別的に発現される配列の同定は、多数の方法におけるこの情報の使用を可能にする。例えば、以下の特定の治療状況:血管新生を下方調節し、それによって特定の患者の腫瘍の増殖又は再発を下方調節すべく作用する化学療法剤の投与が評価されうる。同様に、診断及び治療転帰が、患者サンプルと既知の発現特性とを比較することによって行われるか又は確認される。血管新生組織は、組織の血管新生ステージを決定するために分析されることもできる。
【0073】
さらに、これらの遺伝子発現特性(又は個々の遺伝子)は、特定の発現特性をまねるか又は変えることを目的とする薬物の候補物質のスクリーニングを可能にする;例えば、スクリーニングは血管新生の発現特性を抑制する薬物に関して行われうる。これは、その時これらのスクリーニングで使用できる重要な血管新生遺伝子のセットを含むバイオチップを作ることによってなされうる。これらの方法は、タンパク質ベースでなされることもできる;すなわち、血管新生タンパク質のタンパク質発現レベルを、診断上の目的のために又は候補物質のスクリーンのために評価することができる。さらに、血管新生核酸配列が、アンチセンス核酸の投与か、あるいは治療的薬として投与される(抗体及びその他のモジュレータを含む)血管新生タンパク質を含む遺伝子治療目的のために投与されることができる。
【0074】
このように、本発明は、本明細書中で「血管新生配列」と呼ばれる、血管新生において差別的に発現される核酸及びタンパク質配列を提供する。以下に概説するように、血管新生配列は、血管新生に関係する障害において上方調節する(すなわち、より高いレベルで発現する)もの、並びに下方調節する(すなわち、より低いレベルで発現する)ものを含む。好ましい態様において、血管新生配列は、ヒト由来である;しかし当業者によって理解されるように、他の生体由来の血管新生配列が疾患モデル及び薬物検討に有用である;よって、齧歯動物(ラット、マウス、ハムスター、モルモットなど)を含む哺乳動物、霊長類、(羊、ヤギ、豚、牛、馬などを含む)家畜を含む脊椎動物由来の他の血管新生配列が提供される。他の生体由来の血管新生配列が、以下に概要に記載の技術を使って得られる。
【0075】
血管新生配列は、核酸及びアミノ酸配列の両方を含みうる。好ましい態様において、血管新生配列は、組み換えの核酸である。本明細書中に使用されるとき、用語「組み換えの核酸」は、天然に見られることのない形態で、例えば、ポリメラーゼ及び核酸分解酵素を用いた核酸の操作により、最初に通常インビトロで形成される核酸を意味する。線状の形態のこのように単離された核酸、又は通常結合されることのないDNA分子を連結することによってインビトロで形成された発現ベクターは、両方とも本発明の目的のための組み換えであるとみなされる。いったん組み換えの核酸が作られて、宿主細胞又は生体中に再導入されれば、それは非組み換え的に複製する、すなわち、インビトロの操作よりむしろ宿主細胞のインビボにおける細胞の機構を使うが;しかし、一旦組み換えにより産生されているが、その後非組み換え的に複製されているような核酸を、まだ本発明の目的のための組み換えであるとみなすことが理解される。
【0076】
同様に、「組み換えタンパク質」は、すなわち先に記載のとおり組み換え核酸の発現を通して、組み換え技術を使って作製されたタンパク質である。組み換えタンパク質は、少なくとも1以上の特徴によって天然タンパク質と区別される。例えば、前記タンパク質は、野生型宿主に関係するいくつか若しくは全てのタンパク質及び化合物から単離されるか又は精製され、それによって実質的に純粋になる。例えば、単離されたタンパク質は、その自然の状態において通常関連する少なくともいくらかの、好ましくは与えられたサンプルの総タンパク質の少なくとも約0.5重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%を構成している物質を伴わない。実質的に純粋なタンパク質は、好ましくは総タンパク質の少なくとも約75重量%含み、そして少なくとも約80%が好ましく、少なくとも約90%が特に好ましい。前記定義は、異なる生物又は宿主細胞の1つの生物由来の血管新生タンパク質の産生を含む。あるいは、前記タンパク質は、タンパク質が高められた濃度レベルになるように誘導可能なプロモーター又は高発現プロモーターの使用により通常見られるよりはるかに高い濃度で製造される。あるいは、前記タンパク質は、以下に議論されるように、エピトープ・タグ又はアミノ酸置換、挿入、欠失のように、通常天然では見られない形態で存在する。
【0077】
好ましい態様において、血管新生配列は核酸である。当業者に理解され、そしてより完全に概説されるように、血管新生配列は、以下の天然に発生する核酸を検出する診断上の適用、並びにスクリーニングへの適用;例えば、血管新生配列に対する核酸プローブを含むバイオチップが製造されうる、を含む種々の適用に有用である。最も広い意味において、「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」あるいは本明細書中の文法上の同等物は、互いに共有結合した少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。
【0078】
本発明の核酸は、一般にホスホジエステル結合を含むが、いくつかの場合においては核酸相似体が、例えばホスホルアミデート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、又はO-メチルホスホロアミデート結合(Eckstein, Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, Oxford University Pressを参照のこと)を含む;及びペプチド核酸骨格及び結合を含む代わりの骨格をもつことが含まれる。他のアナログ核酸は、米国特許番号第5,235,033号及び同第5,034,506号、並びにASC Symposium Series 580, "Carbohydrate Modifications in Antisense Research", Ed. Y.S. Sanghui and P. Dan Cookの第6及び7項に記載の、陽性骨格;非イオン性の骨格及び非リボース骨格をもつものを含む。1以上の炭素環式糖を含む核酸が核酸の1つの定義内に含まれもする。リボース-リン酸塩骨格の修飾が、種々の理由、例えば生理学環境において又はバイオチップ上のプローブとしてのそのような分子の安定性及び半減期を延ばすために行われうる。
【0079】
当業者に理解されるとおり、核酸相似体は、本発明での用途を発見されるかもしれない。さらに、天然の核酸及び相似体の混合物が、作製されるか;あるいは、異なる核酸相似体の混合物、及び天然の核酸と相似体の混合物が作製される。
【0080】
特に好ましくは、ペプチド核酸相似体を含むペプチド核酸(PNA)である。これらの骨格は、天然の核酸の高度に荷電したホスホジエステル骨格とは対照的に、中性条件下で実質的に非イオン性である。この結果は、2つの利点をもたらす。第一に、PNA骨格は改善されたハイブリダイゼーション動力学を示す。PNAsはミスマッチ対完全に合致した塩基対に関して、メルティング温度(Tm)においてより大きな変化をもつ。DNAとPNAは、内部のミスマッチに関してTmの2〜4℃の低下を一般に示す。非イオン性PNA骨格による、前記低下は7〜9℃に近い。同様に、それらの非イオン性の性質のために、これらの骨格に結合した塩基のハイブリダイゼーションは、塩濃度に対して比較的に感受性が低い。さらに、PNAsは、細胞の酵素によって分解されることがなく、よってより安定しているかもしれない。
【0081】
核酸は、1本鎖又は2本鎖配列の両方の部分を指定するか又は含むような、1本鎖又は2本鎖であるかもしれない。当業者に理解されるように、1本鎖の描写は、相補鎖の配列をも定義する;このように本明細書中に記載の配列は、配列の相補鎖をも提供する。核酸は、DNA、ゲノム及びcDNAの両方、RNA又はハイブリッドであるり、核酸はデオキシリボ-とリボ-ヌクレオチドの組み合わせ、及びウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチンヒポキサンチン、イソシトシン、イソグアニンなどを含む塩基の組み合わせを含むかもしれない。本明細書中に使用されるとき、用語「ヌクレオシド」は、ヌクレオチド、及びヌクレオシドとヌクレオチドの相似体、そしてアミノ修飾されたヌクレオシドのような修飾されたヌクレオシドを含む。さらに、「ヌクレオシド」は、非天然アナログ構造を含む。このように例えば、各々が塩基を含むペプチド核酸の個々のユニットは、本明細書中でヌクレオシドと呼ばれる。
【0082】
血管新生配列は、本明細書中に概説した血管新生配列に対する核酸及び/又はアミノ酸配列の実質的な相同性によってまず同定されうる。そのような同一性は、総体的な核酸又はアミノ酸配列に基づくことができて、そして同一性プログラム又はハイブリダイゼーション条件を使って、以下に概説するとおり一般に決定される。
【0083】
血管新生に関連する配列を同定するために、血管新生スクリーンは、対照に同定された遺伝子を用いたHiraoka, Cell 95:365(1998)に記載の血管新生のインビトロ・モデルを修飾することにより同定された遺伝子を比較することを一般に含む。正常組織と血管新生を受けた組織のサンプルが、核酸プローブを含むバイオチップに適用される。適用できれば、サンプルは最初に顕微解剖されて、そしてmRNAの調整のための本技術分野で知られているように処理される。好適なバイオチップは、例えばAffymetrixから商業的に入手可能である。本明細書中に記載される遺伝子発現特性は、作製されそしてデータ分析される。
【0084】
好ましい態様において、正常と病気状態の間の発現の変化を示す遺伝子が、これだけに制限されることなく、肺、心臓、脳、肝臓、乳房、腎臓、筋肉、前立腺、小腸、大腸、脾臓、骨及び胎盤を含む他の正常組織で発現された遺伝子と比較される。好ましい態様において、他の組織においてかなり顕著な量で発現される、血管新生スクリーンの間に同定されたそれらの遺伝子は、特性から取り除かれるが、いくつかの態様においてこれは必要ではない。すなわち、薬物をスクリーニングするとき、可能性のある副作用を最小限にするためにターゲットが病気に特異的であることが通常好ましい。
【0085】
好ましい態様において、血管新生配列は、血管新生障害で上方調節されるものである;すなわち、これらの遺伝子の発現は、正常組織と比べて病気組織でより高い。本明細書中に使用されるとき、「上方調節」は、少なくとも約2倍の変化、好ましくは少なくとも約3倍の変化、そして好ましくは少なくとも約5倍以上の変化を意味する。本明細書中の全ての登録番号は、ジーンバンク配列データベースに関するものであって、登録番号の配列を明確に本明細書中に援用する。ジーンバンクは、本技術分野で知られている、例えばBenson, DA, et al., Nucleic Acids Research 26:1-7 (1998)及びhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/を参照のこと。配列は、他のデータベース、例えばEuropean Molecular Biology Laboratory(EMBL)及びDNA Database of Japan(DDBJ)で入手可能でもある。さらに、最も好ましい遺伝子は、心臓、脳、肺、肝臓、乳房、腎臓、前立腺、小腸、及び脾臓で限られた量で発現されるか又は全く発現されないことが判明している。
【0086】
他の好ましい態様において、血管新生配列は、血管新生障害において下方調節されるものである;すなわち、これらの遺伝子の発現は、正常組織と比べて血管新生組織においてより低い。本明細書中に使用されるとき、「下方調節」は、少なくとも約2倍の変化、好ましくは少なくとも約3倍の変化、好ましくは少なくとも約5倍以上の変化を意味する。
【0087】
本発明による血管新生配列は、その配列の普通の発現特性に基づいた配列の別個のクラスターに分類されうる。血管新生配列の発現レベルは、血管新生の誘導と関連する様式で、時間の関数として増加又は減少する。あるいは、血管新生配列の発現レベルは、時間関数として増加もし、そして減少もする。例えば、いくつかの血管新生配列の発現レベルは、一時的に誘発されるか又は血管新生発現型に切り替っている間に減少し、その後ベースライン発現レベルに戻る。表8は、遺伝子を提供し、このmRNA発現は、正常組織と比較した場合の血管新生組織における時間の関数として変化する。
【0088】
特に好ましい態様において、血管新生配列は、一般に陽性血管新生因子により、一定期間の間に誘発されるものであり、その後ベースライン・レベルに戻る。一時的に誘発される配列は、血管新生組織例えば絶え間ない血管形成を必要とする急速な組織の増殖を避けながら、血管新生の特定の段階の、新規血管形成をする腫瘍をターゲットとする手段を提供する。そのような陽性の血管新生因子は、αFGF、βFGF、VEGF、アンギオゲニンなどを含む。
【0089】
誘発された血管新生配列は、誘導のタイミングに関してさらに分類されもする。例えば、いくつかの血管新生遺伝子は、早い時期、例えば血管新生の誘導の10分以内に誘発されうる。他のものは、その後、例えば5〜60分に誘発され、一方さらに他のものは、約2時間以上の間誘発され、その後ベースラインの発現レベルに戻る。
【0090】
他の好ましい態様において、時間の関数として抑制又は減少した血管新生配列は、その後「正常な」発現レベルに戻る。血管新生の阻害物質は、この発現特性をもつ分子の例である。これらの配列は、減少した発現のタイミングに依存した群にさらに分けられることもできる。例えば、いくつかの分子は、血管新生の誘導の10分以内に減少した発現を示すかもしれない。他のものは、遅く、例えば5〜60分に減少されるが、一方で他のものは、約2時間以上の期間減少し、その後ベースラインに戻る。そのような負の血管新生因子の例は、いくつか例を挙げるとトロンボスポンジンとエンドスタチンを含む。
【0091】
さらに他の好ましい例において、血管新生配列は長期間誘発される。これらの配列は、一般に血管新生の誘導に関係して、血管新生発現型の誘導及び/又は維持に加わるかもしれない。
【0092】
他の好ましい態様において、血管新生配列の発現は、血管新生組織において長期間減少する(reduced or diminished)。これらの配列は、一般に血管新生阻害物質であり、そしてそれらの減少は血管新生の増加と関連する。
【0093】
情報科学
血管新生の間の時期に発現の変化を受ける遺伝子を同定する能力は、診断学、治療学、薬剤開発、バイオセンサー開発の分野及び他に関係分野に使用できる高解像度、高い感度のデータセットを提供することができる。例えば、発現特性は、血管新生に関連する病気の患者の診断又は予防的な評価に使用できる。あるいは、他の例として、サブセルラー毒性情報は、薬物構造及び活性相関のよりよい方向づけを産むことができる(Anderson, L., "Pharmaceutical Proteomics: Targets, Mechanism, and Function," paper presented at the D3C Proteomics conference, Coronado, CA (June 11-12,1998))。サブセルラー毒性情報は、化学物質曝露に関する起こりうる毒性効果及び起こりうる許容曝露閾値を予測するための生物学的センサー・デバイスに利用されることもできる(米国特許番号第5,811,231号を参照のこと)。類似した利点が、他の生物分子及び生物因子(例えば核酸、糖類、脂質、薬物など)に関連したデータセットから生じる。
【0094】
このように、他の態様において、本発明は少なくとも1セットのデータをアッセイしたデータを含むデータベースを提供する。前記データベースに含まれるデータは、例えば、一つずつ又はライブラリー・フォーマットを配列分析に使用して獲得される。データベースは、データが維持され、伝えられることができる実質的に全ての形態でありえ、好ましくは電子データベースである。本発明の電子データベースは、保存を可能にし、そしてパソコンのようにデータベースにアクセスすることができるあらゆる電子装置においても維持されうるが、好ましくはワールド・ワイド・ウェブのように広域ネットワークで配布される。
【0095】
データベースにおける本項の焦点は、説明のみを明確にするためのペプチド配列データを含む。類似したデータベースが本発明のアッセイを使って獲得されたあらゆるアッセイデータに関して組み立てられるることは、当業者にとって明白である。
【0096】
血管新生を受けた生体サンプルからの種々の分子及び高分子種の関連及び/又は絶対的な依存度を同定し及び/又は定量するための方法及び/又は組成物、すなわち、本明細書中に記載の血管新生に関連する配列の同定は、特に病状、病気の傾向、薬物試験、治療的観察、遺伝子病気の因果関係、免疫と生理学的状態の相互関係の同定と関連する十分な情報を提供する。本発明のアッセイから生じたデータは、手作業による見直し及び分析に適し、好ましい態様において高速コンピューターを使った前データ処理が利用される。
【0097】
生物分子情報に索引付け、そして情報検索のためのたくさんの方法が、本技術分野で知られている。例えば、米国特許番号第6,023,659号及び同第5,966,712号は、1以上のタンパク質の機能階層に従って配列が目録を作られる及び検索されることを可能にする様式で生物分子配列情報を保存するためのリレーショナル・データベース・システムを開示する。米国特許第5,953,727号は、部分的な長さの配列の収集から完全長の配列を得るための1以上の配列決定プロジェクトとの関連に従って目録を作られるか及び検索される部分長のDNA塩基配列の収集を可能にするフォーマットで情報を含有する配列記録をもつリレーショナルデータベースを開示する。米国特許番号第5,706,498号は、キーとなる配列とターゲット配列の間の類似の程度に基づいた遺伝子データベースの配列データ項目と類似した遺伝子配列を回収させるための遺伝子データベース情報検索システムを開示する。
【0098】
米国特許番号第5,538,897号は、適合の近似(closeness-of-fit)の測定を使用した実験的に得られた質量スペクトルによる予測された質量スペクトルの比較によるコンピュータ・データベース中のアミノ酸配列を同定するためのペプチドの質量スペクトル断片化パターンを使った方法を開示する。米国特許番号第5,926,818号は、1以上の統合パス又は次元による計画された、及び実際のデータの統合を必要とするオンラインの分析的なプロセッシング(OLAP)と言われる多次元のデータ分析のために官能性を含む多次元データベースを開示する。米国特許番号第5,295,261号は、各々のデータベース記録フィールドが2つのクラス、操作及び情報データに分けられるハイブリッド・データベース構造を報告し、ここで上記操作フィールドは、ツリー構造又は2以上のそのようなツリー構造の合併と考えることができる階層制の位相マップ中に保存される。
【0099】
本発明は、例えば各々の配列の特異性の記録が得られるターゲット含有サンプルの起源を指定しているデータを用いてクロステーブルにしたアッセイ・データ・レコードをコンピューター情報検索形式で保存するためのコンピューター及びソフトウェアを含むコンピュータ・データベースを提供する。
【0100】
典型的な態様において、ターゲット含有サンプルの起源の少なくとも1つは、病理的障害をもたないことが知られている対照組織サンプルからのものである。変化において、前記起源の少なくとも1つは、既知の病理的組織サンプル、例えば新生物の病変又は血管新生を分析される他の組織サンプルである。他の変化において、アッセイの記録は、サンプル中の各々のターゲット種に関して以下のパラメーターの1以上をクロステーブルにする:(1)例えば、ターゲット分子構造及び/又は特徴的な分離座標(例えば電気泳動座標)を含みうる特有の同定コード;(2)サンプルの起源;及び(3)サンプル中に存在するターゲット種の絶対的、及び/又は相対的な量。
【0101】
本発明は、コンピューターのデータ保存装置中のターゲットデータ収集物の保存及び情報検索のために提供されもし、上記データ保存装置は、CPUレジスタ及びon-CPUデータ格納配列を含む磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、DRAM、SRAM、SGRAM、SDRAM、RDRAM、DDRRAM、磁気バブル記憶素子及び他のデータ記憶装置を含むことができる。一般に、ターゲット・データ・レコードは、磁化できる媒体上の磁区の配列でビットパターンとして、あるいは荷電状態又はトランジスター・ゲート状態、例えばDRAMデバイス中のセル配列として(例えば、各々のセルがトランジスター及びそのトランジスター上に存在する荷電保存領域を含む)保存される。1の態様において、本発明は、そのような記憶装置、並びにターゲット起源によりクロステーブルにされた少なくとも10のターゲット・データ・レコードに関する特有の識別子を含むタンパク質発現フィンガープリント記録をコードするビットパターンを含む、それと共に構築されたコンピューター・システムを提供する。
【0102】
ターゲットがペプチド又は核酸のとき、好ましくは、本発明は、コンピューター記憶装置又はデータベースに保存されたか又は情報検索されたペプチド又は核酸配列のアッセイの記録と少なくとも1つの他の配列の間のコンピューターによる比較を実施することを含む関連するペプチド又は核酸配列を同定するための方法を提供する。前記比較は、配列分析又は比較アルゴリズム又はそれを具体化するコンピュータープログラム(例えばFASTA、TFASTA、GAP、BESTFIT)を含むことができ、及び/又は比較は、検体のポリペプチド又は核酸サンプルから決定された配列のプール中のペプチド又は核酸配列の相対的な量であるかもしれない。
【0103】
本発明は、好ましくは、コンピューターによる配列分析の情報検索及びプロセッシング、比較、相対的な計量法に好適なファイル・フォーマットで本発明のアッセイからのデータをコードしているビットパターンを含む、磁気ディスク、例えばIBM-互換機(DOS、Windows、Windows95/98/2000、WindowsNT、OS/2)、又は他のフォーマット(例えば、Linux、SunOS、Solaris、AIX、SCO、Unix、VMS、MV、Macintoshなど)のフロッピーディスク、若しくはハード(固定式、Winchester)ディスクドライブをも提供する。
【0104】
本発明は、データリンク、例えばイーサネット・ケーブル(同軸ケーブル又は10 BaseT)、電話線、ISDN線、ワイヤレス・ネットワーク、光ファイバー、又は他の好適な信号伝達媒体によってつながれた大多数のコンピューター・デバイスを含むネットワークを提供し、少なくとも1つのネットワークデバイス(例えば、コンピューター、ディスク・アレイなど)が、本発明のアッセイから得られたデータをコードするビットパターンを含む、磁区のパターン(例えば、磁気ディスク)、及び/又は荷電ドメイン(例えば、DRAMセルの配列)を含む。
【0105】
本発明は、電子の転達デバイスによる電子信号を発生することを含むアッセイデータの伝達方法をも提供する。前記電子の転達デバイスは、例えばモデム、ISDNターミナルアダプタ、DSL、ケーブルモデム、ATMスイッチなどであり、ここで信号は、アッセイ、あるいは本発明の方法によって得られた大多数のアッセイ結果を含むデータベースからデータをコードしている(天然又は暗号化されているフォーマットの)ビットパターンを含む。
【0106】
好ましい態様において、本発明は、クエリー・ターゲットと、一連のデータ構造、例えば本発明の方法によって得られたアッセイ結果を含むデータベースとを比較し、そしてターゲットデータに対する同一性とギャップ加重の程度に基づいたデータベース・ターゲットを分類するためのコンピューター・システムを提供する。好ましくは、中央処理装置は、アッセイ結果のアラインメント及び/又は比較のためのコンピュータープログラムをロードして、実行するために初期化される。クエリー・ターゲットのためのデータは、I/Oデバイスを介して中央処理装置に入力される。
【0107】
コンピュータープログラムの実行は、中央処理装置がアッセイ結果のバイナリ記述を含むデータファイルからアッセイデータを情報検索する結果となる。
【0108】
ターゲットデータ又は記録とコンピュータープログラムは、一般にランダムアクセスメモリ(例えばDRAM、SRAM、SGRAM又はSDRAM)である、二次記憶装置に移される。ターゲットは、選ばれたアッセイ特性(例えば、選ばれた親和性部分への結合)とクエリー・ターゲットの同じ特徴との間の対応の程度に従って分類されて、そして結果がI/Oデバイスによって出力される。例えば、中央処理装置は、従来型のコンピューター(例えば、Intel Pentium、PowerPC、Alpha、PA-8000、SPARC、MIPS 4400、MIPS 10000、VAXなど)であり;プログラムは、商業的又は公的な分子生物学ソフトウェア・パッケージ(例えば、UWGCG配列分析ソフトウェア、Darwin)であり;データファイルは、光学的又は磁気ディスク、データサーバー、メモリデバイス(例えば、DRAM、SRAM、SGRAM、SDRAM、EPROM、バブルメモリ、フラッシュメモリなど)であり;I/Oデバイスは、ビデオ・ディスプレイとキーボード、モデム、ISDNターミナルアダプタ、イーサネット・ポート、穿孔カード・リーダー、磁気ストリップ・リーダー、又は他の好適なI/Oデバイスを含む端末である。
【0109】
好ましくは、本発明は、先に記載したようなコンピューター・システムの使用を提供し、上記コンピューター・システムは、以下の:(1)コンピューター;(2)コンピューターに保存される、本発明の方法によって得られたペプチド配列特異性記録の収集物をコードしている保存されたビットパターン;(3)クエリー・ターゲットのような比較ターゲット;並びに(4)一般にコンピューターによる類似値に基づく比較結果の序列を用いたアラインメント及び比較のためのプログラムを含む。
【0110】
血管新生に関連する配列
本発明の血管新生タンパク質は、分泌タンパク質、膜貫通タンパク質、又は細胞内タンパク質に分類されうる。1の態様において、血管新生タンパク質は細胞内タンパク質である。細胞内タンパク質は、細胞質及び/又は核に見られるか又は原形質膜の細胞内側に関係する。細胞内のタンパク質は、(例えば、シグナル伝達経路を含む)細胞機能及び複製の全ての側面に関係しており;そのようなタンパク質の異常な発現が、無秩序な又は無制限な細胞の過程をしばしばもたらす(例えば、Molecular Biology of the Cell, 3rd Edition, Alberts, Ed., Garland Pub., 1994を参照のこと)。例えば、多くの細胞内タンパク質が、タンパク質キナーゼ活性、タンパク質ホスファターゼ活性、プロテアーゼ活性、ヌクレオチド・シクラーゼ活性、ポリメラーゼ活性などのような酵素活性を有する。細胞内タンパク質は、タンパク質の複合体の組織化又は様々なサブセルラー局在に対するタンパク質のターゲッティングに関与する結合タンパク質としての役目も果たし、そして細胞内器官の構造的な完全性の維持に関与している。
【0111】
タンパク質の特徴づけにおいてますます評価された概念は、規定の機能がそれに起因するタンパク質の1以上のモチーフの存在である。タンパク質の酸素ドメインに見られる高度に保存された配列に加えて、高度に保存された配列は、タンパク質-タンパク質相互作用に関係しているタンパク質中に同定された。例えば、Src-相同-2(SH2)ドメインは、配列に依存する様式でチロシン-リン酸化ターゲットを結合する。SH2ドメインと異なるPTBドメインもチロシン-リン酸化ターゲットを結合する。SH3ドメインは、プロリン−リッチ・ターゲットに結合する。さらに、2〜3例を挙げると、PHドメイン、テトラトリコペプチド反復、及びWDドメインは、タンパク質-タンパク質相互作用を仲介することが示された。これらのいくつかが、リン脂質又は他のセカンドメッセンジャーへの結合にも係わっているかもしれない。当業者によって理解されるとおり、これらのモチーフは、1次配列に基づき同定される;このように、タンパク質の配列の分析は、分子の酸素的能力及び/又はタンパク質が関係する分子の両者への見識を提供する。
【0112】
他の態様において、血管新生配列は、膜貫通タンパク質である。膜貫通タンパク質は、細胞のリン脂質二重層に埋まっている分子である。それらは、細胞内ドメイン、細胞外のドメイン又はその両方をもつ。そのようなタンパク質の細胞内ドメインは、細胞内タンパク質について記載したものを含む多数の機能をもつ。例えば、細胞内ドメインは、酵素活性をもつか、及び/又はさらなるタンパク質のための結合部位としての役割を果たすかもしれない。しばしば、膜貫通タンパク質の細胞内ドメインは両方の役割を果たす。例えば、受容体チロシン・キナーゼは、タンパク質キナーゼ活性とSH2ドメインの両方をもつ。さらに、それ自体による受容体分子上のチロシンの自己リン酸化は、さらなるSH2ドメイン含有タンパク質のための結合部位を作る。
【0113】
膜貫通タンパク質は、1〜多数の膜貫通ドメインを含む。例えば、受容体チロシン・キナーゼ、特定のサイトカイン受容体、受容体グアニリル・シクラーゼ、及び受容体セリン/スレオニン・タンパク質キナーゼは、1つの膜貫通ドメインを含む。しかし、チャンネル及びアデニルシクラーゼを含む様々な他のタンパク質は、多数の膜貫通ドメインを含む。多くの重要な細胞表面受容体、例えばGタンパク質共役受容体(GPCRs)は、それらが7つの膜に埋まる領域を含む「7膜貫通ドメイン」タンパク質に分類される。膜貫通ドメインの特徴は、荷電したアミノ酸が続くか又はそれに挟まれた約20の連続した疎水性アミノ酸を含む。従って、特定のタンパク質のアミノ酸配列の分析により、そのタンパク質内の膜貫通ドメインの局在と数が予測される(例えば、PSORTウェブサイトhttp://psort.nibb.ac.jp/を参照のこと)。
【0114】
膜貫通タンパク質の細胞外ドメインは多種多様である;しかし、保存されたモチーフが様々な細胞外ドメインの間で何度も見つかる。保存された構造及び/又は機能は、異なる細胞外モチーフに起因するとされた。多くの細胞外ドメインが、他の分子への結合に関係している。1の側面において、細胞外ドメインは受容体に見られる。受容体ドメインに結合する因子は、ペプチド、タンパク質、又はアデノシンなどのような小分子である、循環リガンドを含む。例えば、EGF、FGF及びPDGFのような増殖因子は、種々の細胞応答を開始するためにそれらの同族の受容体に結合する循環増殖因子である。他の因子は、サイトカイン、分裂促進因子、神経栄養因子などを含む。細胞外ドメインは、細胞関連分子にも結合する。この関連で、それらは細胞-細胞相互作用を仲介する。細胞関連リガンドは、例えばグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーによって細胞に繋ぎ止められることができるか、又はそれら自身が膜貫通タンパク質であるかもしれない。細胞外ドメインは、細胞外マトリックスにも関連して、細胞構造の維持に寄与する。
【0115】
本明細書中に記載のとおり、それらが免疫療法のために容易に利用されるターゲットである場合、膜貫通の血管新生タンパク質は、本発明において特に好ましい。さらに、以下に概説するように、膜貫通タンパク質は、画像診断法にも有用であるかもしれない。抗体が、in situにおいてそのような容易に利用できるタンパク質をラベルするために使用される。あるいは、抗体は、細胞内のタンパク質をラベルすることもできる(この場合、サンプルは細胞内タンパク質への接近を得るために一般に浸透性である)。
【0116】
膜貫通タンパク質は、例えば組み換え法を通して膜貫通配列を除去することによって可溶化されうることが当業者により認識されもする。さらに、可溶化された膜貫通タンパク質は、組み換えの手段を通して適切なシグナル配列を加えることによって分泌するようにされうる。
【0117】
他の態様において、血管新生タンパク質は分泌タンパク質である;分泌は、構成的であるか又は調節されているかのいずれかでありうる。これらのタンパク質は、分泌経路に対する分子をターゲットとするシグナルペプチド又はシグナル配列をもつ。分泌タンパク質は、多数の生理学的事件に関係している;それらの循環する性質により、それらは様々な他の細胞タイプに信号を伝える役割を果たしている。分泌タンパク質は、オートクライン様式(因子を分泌した細胞に作用する)、パラクライン様式(因子を分泌した細胞に近接する細胞に作用する)又はエンドクライン様式(離れた細胞に作用する)で機能するかもしれない。よって、分泌分子の、生理学の多数の側面の調節又は変更への使いみちが見つかる。それらが例えば血液又は血清検査のための診断マーカーに関する良好なターゲットとしての役割を果たすとき、分泌タンパク質である血管新生タンパク質は、本発明に特に好ましい。
【0118】
血管新生配列は、一般に本明細書中に概説した血管新生配列に対する実質的な核酸及び/又はアミノ酸配列の相同性、あるいはそれへの関連によって最初に同定される。そのような相同性は、総体的な核酸又はアミノ酸配列に基づくことができて、そしてそれは、相同性プログラム又はハイブリダイゼーション条件を使って、以下に概説するとおり一般に決定される。一般に、mRNAに関連した配列は、同じ分子で見られる。
【0119】
定義で詳細にされたとおり、相同性の割合は、BLASTのようなアルゴリズムを使って決定されうる。好ましい方法は、オーバーラップ・スパン及びオーバーラップ・フラクションがそれぞれ1及び0.125に設定された、デフォルト・パラメーターに設定されたWU-BLAST-2から成るBLASTNモジュールを利用する。アラインメントは、アラインされる配列へのギャップの導入を含むかもしれない。さらに、図面の核酸のそれより多いか又は少ないかのいずれかを含む配列について、相同性の割合がヌクレオシドの総数に対する相同的なヌクレオシドの数に基づいて決定されることが知られている。例えば、本明細書中で同定された配列のそれらより短い配列の相同性は、この短い配列のヌクレオシド数を使って測定される。
【0120】
1の態様において、核酸の相同性はハイブリダイゼーション研究を通して決定される。このように、例えば、表1〜8の核酸又はその相補物に高いストリンジェント下でハイブリダイズする核酸、あるいは天然mRNAに見られもするそのような核酸が、血管新生配列と考えられる。他の態様において、より低いストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が使用される;本技術分野で知られているように、例えば、中程度か又は低いストリンジェント条件が使用されうる;Ausubel、前記、及びTijssen、前記を参照のこと。
【0121】
さらに、本発明の血管新生核酸配列、例えば表1〜8の配列は、より大きな遺伝子の断片である、すなわち、それらが核酸セグメントである。この文脈において「遺伝子」は、コード領域、非コード領域、及びコードと非コード領域の混合物を含む。したがって、当業者によって理解されるとおり、本明細書中に提供された配列を使うことにより、血管新生遺伝子のいずれかの方向に広げられた配列は、より長い配列又は完全長の配列をクローン化するための本技術分野で周知の技術を使って得ることがでる;Ausubel, et al、前記を参照のこと。多くが情報科学によって行われることができて、複数の配列を含むために多くの配列を集めることができる、例えばUniGeneのようにシステム(http://www.ncbi.nhn.nih.gov/UniGene/を参照のこと)。
【0122】
いったん血管新生核酸が同定されれば、それはクローン化されることができ、そして必要ならば、その構成部分は、血管新生核酸コード領域全体又は全mRNA配列を形成するために再結合される。例えばプラスミド又は他のベクター内に含まれているその天然起源からいったん単離されるか又は線状の核酸セグメントとしてそこから摘出されれば、組み換えの血管新生核酸は他の血管新生核酸、例えば広げられたコード領域を同定及び単離するためのプローブとしてさらに使用されることができる。それは、「前駆物質」核酸として修飾又は変異血管新生核酸及びタンパク質を作製するためにも使用できる。
【0123】
本発明の血管新生核酸は、さまざまな方法に使用される。最初の態様において、血管新生核酸に対する核酸プローブが、概説のとおり、作製されそしてスクリーニング及び診断法で使用するためにバイオチップに付着させるか、あるいは、例えば遺伝子治療、ワクチン、及び/又はアンチセンス適用のために投与のために作製される。あるいは、血管新生タンパク質のコード領域を含む血管新生核酸は、血管新生タンパク質の発現のために、再びスクリーニング目的のために、又は患者に投与するために発現ベクターに取り込みうる。
【0124】
好ましい態様において、血管新生核酸に対する核酸プローブ(図面に概説される核酸配列及び/又はその相補物の両方)が作製される。バイオチップに付着した核酸プローブは、血管新生核酸に実質的に相補的になるように設計される、すなわちターゲット配列と本発明のプローブのハイブリダイゼーションが生じるような(サンプルのターゲット配列又は例えばサンドイッチ・アッセイにおける他のプローブ配列に対するもののいずれかの)ターゲット配列である。以下に概説されるように、この相補性は完全でなくてもよい;ターゲット配列と本発明の1本鎖核酸の間のハイブリダイゼーションを妨げるかなり多数の塩基対ミスマッチが存在する。しかし、最も低いストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でさえハイブリダイゼーションが生じないほど突然変異の数が大きければ、配列はターゲット配列と相補的ではない。このように、本明細書中「実質的に相補的である」は、通常の反応条件、特に本明細書中に概説した高いストリンジェント条件下でハイブリダイズするために、プローブがターゲット配列に十分に相補的であることを意味する。
【0125】
核酸プローブは、一般に1本鎖であるが、部分的に1本鎖で、部分的に2本鎖でありうる。プローブの撚りあわせは、構造、組成、及びターゲット配列の性質によって決定される。概して、核酸プローブは、約8〜約100塩基の長さにわたり、約10〜約80塩基が好ましく、そしての約30〜約50塩基が特に好ましい。すなわち、一般に遺伝子全体は使用されない。いくつかの態様において、最大何百塩基の、より長い核酸を使用することができる。
【0126】
好ましい態様において、オーバーラップしているプローブ又はターゲットの異なる部分に対するプローブのいずれかによる、1つの配列につき1以上のプローブが使用される。すなわち2つ、3つ、4つ又はそれ以上のプローブ(3つが好ましい)が特定のターゲットに対する重複性を組み込むために使用される。プローブは、重なっているか(すなわち、共通していくつかの配列をもつ)又は別々であるかもしれない。いくつかの場合において、PCRプライマーは、より高い感度のためにシグナルを増幅するために使用されうる。
【0127】
当業者に理解されるとおり、核酸は、さまざまな方法により固体支持体に付着するか又は固定されうる。「固定化された」及び本明細書中の文法的に相当する語句は、核酸プローブと固体支持体の会合又は結合が以下に概説されるような結合、洗浄、分析及び除去の条件下で安定しているのに十分であることを意味する。結合は、一般に電子対を共有するか又は電子対を共有していないかもしれない。「非共有結合」及び本明細書中の文法的に相当する語句は、静電気的、親水性及び疎水性の相互作用の1以上を意味する。非共有結合に含まれるものは、分子、例えば支持体に対するストレプトアビジンの電子対を共有した付着、そしてストレプトアビジンへのビオチン化プローブの非共有結合である。「共有結合」及び本明細書中の文法的に相当する語句は、2つの部分、固体支持体とプローブがシグマ結合、pi結合及び配位結合を含む少なくとも1の結合によって付着させることを意味する。共有結合は、プローブと固体支持体の間で直接的に形成されうるか、あるいは交差リンカー又は固体支持体かプローブ若しくはその両方の分子上の特定の反応基の包含によって形成されうる。固定化も電子対を共有する又は電子対を共有しない相互作用の組み合わせを伴うかもしれない。
【0128】
当業者に理解されるとおり、一般的に、プローブはさまざまな方法でバイオチップに付着させる。本明細書中に記載のとおり、核酸は、まず合成されてその後バイオチップに付着させるか、又はバイオチップ上で直接的に合成されることができる。
【0129】
バイオチップは、好適な固形基質を含む。「基質」又は「固体支持体」あるいは本明細書中の他の文法的に相当する語句は、核酸プローブの付着又は会合に適当な個々の個別の部位を含むために修飾されることができ、そして少なくとも1つの検出方法に耐えられる物質を意味する。当業者に理解されるとおり、可能性のある基質の数は非常に多く、そしてこれだけに制限されることなく、ガラス及び修飾されるか又は機能的にされているガラス、(アクリル系、ポリスチレン及びスチレン及び他の材料のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、TeflonJなどを含む)プラスチック、多糖、ナイロン樹脂又はニトロセルロース、樹脂、シリカ又はシリコン及び修飾されたシリコンを含むシリカ・ベースの材料、炭素、金属、無機ガラス、プラスチックなどを含む。一般的に、基質は光学的な検出を可能にし、かつ、感知できるほど蛍光発光しない。好ましい基質は、再利用可能な低蛍光性プラスチック・バイオチップと題された同時係属出願であって、1999年3月15日に出願された米国出願番号第09/270,214号に記載されており、上記文献の全体を本明細書中に援用する。
【0130】
当業者に理解されるとおり、基質の他の立体配位が同様に使用されうるが、一般的に、基質は平面である。例えば、サンプル量を最小限にするための流水式サンプル分析のために、プローブはチューブの内部表面上に配置される。同様に、基質は、柔軟であり、例えば独立気泡フォームを含む柔軟な気泡は特殊なプラスチックを作製する。
【0131】
好ましい態様において、バイオチップの表面とプローブは、その後の2つの付着のために化学的官能基により誘導体化される。このように、例えば、バイオチップは、これだけに制限されることなく、アミノ基、カルボキシル基、オキソ基、及びチオール基(そして、アミノ基が特に好ましい)を含む化学的な官能基により誘導体化される。これらの官能基を使って、プローブをプローブ上の官能基を使って付着させることができる。例えばアミノ基を含む核酸を、例えば本技術分野で知られているリンカー;例えば、周知であるホモ−又はヘテロ-二価性リンカー(1994 Pierce Chemical Company catalog, technical section on cross-linker, pages 155-200を参照のこと、これを本明細書中に援用する)を使用してアミノ基を含む表面に付着させることができる。さらに、いくつかの場合において、さらなるリンカー、例えば(置換された及びヘテロアルキル基を含む)アルキル基が使用されうる。
【0132】
この態様において、オリゴヌクレオチドを、本技術分野で知られているように合成して、次に固体支持体の表面に付着させる。当業者に理解されるとおり、5'又は3'末端のいずれかを、固体支持体に付着させるか、又は付着は、内部のヌクレオシドを介してであるかもしれない。
【0133】
他の態様において、固体支持体への固定化は、非共有であるがかなり強力である。例えば、ストレプトアビジンで覆われた表面に共有的に結合し、付着をもたらすビオチン化オリゴヌクレオチドが作製される。
【0134】
あるいは、本技術分野で知られるように、オリゴヌクレオチドは表面で合成されうる。例えば、光重合化合物と技術を利用する光活性化技術が使用される。好ましい態様において、核酸は、周知の光食刻技術、例えばWO95/25116;WO95/35505;米国特許番号第5,700,637号及び同第5,445,934号に記載のものを使ってその場で合成されうる;そしてここに引用された参考文献の全てを本明細書中に援用する;付着のこれらの方法は、Affimetrix GeneChip(商標)技術の基礎を形成する。
【0135】
しばしば、血管新生に関連する配列の発現レベルを計測するために、増幅に基づくアッセイが実施される。これらのアッセイは、一般に逆転写と一緒に実施される。そのようなアッセイにおいて、血管新生に関連する核酸配列は、増幅反応(例えばポリメラーゼ連鎖反応、すなわちPCR)の鋳型としての役割を果たす。定量的な増幅において、増幅産物の量は元のサンプル中の鋳型の量に比例する。適当な対照との比較が、血管新生に関連するRNAの量の計測をもたらす。定量的な増幅方法は、当業者に周知である。定量的なPCRのための詳細なプロトコールは、例えばInnis et al. (1990) PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications, Academic Press, Inc. N.Y.に提供されている。
【0136】
いくつかの態様において、TaqManベースのアッセイが、発現の計測のために使用される。TaqManベースのアッセイは、5'の蛍光色素と3'のクエンチング剤を含む蛍光発生性のオリゴヌクレオチドプローブを使用する。前記プローブはPCR産物にハイブリダイズするが、3'末端のブロッキング剤によりそれ自身が伸長されることができない。PCR産物がその後のサイクルで増幅されるとき、ポリメラーゼ、例えばAmpliTaqの5'ヌクレアーゼ活性は、TaqManプローブの分割をもたらす。この分割が、5'の蛍光色素と3'のクエンチング剤を分け、それにより増幅機能としての蛍光の増加をもたらす(例えば、Perkin-Elmer、例えばwww2.perkin-elmer.comによって提供された文献を参照のこと)。
【0137】
他の好適な増幅方法は、これだけに制限されることなく、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wu and Wallace (1989) Genomics 4: 560, Landegren et al. (1988) Science 241: 1077、及びBarringer et al. (1990) Gene 89:117を参照のこと)、転写増幅(Kwoh et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 1173)、自動継続配列複製(Guatelli et al. (1990) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 87: 1874)、ドットPCR、及びリンカー・アダプターPCRなどを含む。
【0138】
好ましい態様において、例えば血管新生タンパク質をコードしている血管新生核酸が、以下に記載のように次にスクリーニング・アッセイに使用できる血管新生タンパク質の発現のための種々の発現ベクターの作製に使用される。発現ベクター及び組み換えDNA技術は、当業者に周知であり(例えば、Ausubel、前記、及びGene Expression Systems, Fernandez & Hoeffler, Eds, Academic Press 1999を参照のこと)、そしてタンパク質を発現するために使用される。発現ベクターは、自己複製の染色体外ベクターか、又は宿主ゲノム内に同化するベクターのいずれかである。一般的に、これらの発現ベクターは、血管新生タンパク質をコードしている核酸に使用できるように結び付けられた転写と翻訳の制御核酸を含む。用語「制御配列」は、特定の宿主生物内で使用できるようにつながれたコード配列の発現のために使用されるDNA塩基配列を表す。原核生物に好適な制御配列は、例えばプロモーターを含み、場合によりオペレーター配列及びリボソーム結合部位を含む。真核生物細胞が、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0139】
他の核酸配列と機能的な関係の中に置かれるとき、核酸は、「使用できるように連結される」。例えば、それがポリペプチドの分泌に加わるプレタンパク質として発現される表される場合、プレシークエンス又は分泌リーダーのためのDNAがポリペプチドのためのDNAに使用できるように連結される;それが配列の転写に影響する場合、プロモーター又はエンハンサーがコード配列に使用できるように連結される;又はそれが翻訳を容易にするように位置づけられる場合、リボソーム結合部位がコード配列に使用できるように連結される。一般的に、「使用できるように連結された」は、つながれているDNA塩基配列が隣接しており、分泌リーダーの場合には、隣接し、かつ、読み取り相内にあることを意味する。しかし、エンハンサーは、隣接していなくてもよい。連結は、一般に慣習の制限部位の連結によって達成される。そのような部位が存在しなければ、慣行法による合成オリゴヌクレオチド・アダプター又はリンカーが使用される。転写及び翻訳の制御核酸は、一般に血管新生タンパク質の発現に使用された宿主細胞に適当である;例えば、バチルス(Bacillus)由来の転写及び翻訳の制御核酸配列は、好ましくはバチルスによる血管新生タンパク質の発現に使用される。多くの種類の適当な発現ベクター及び好適な制御配列が、種々の宿主細胞に関して本技術分野で知られている。
【0140】
一般的に、転写及び翻訳の制御配列は、これだけに制限されることなく、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始及び終止配列、翻訳開始及び終止配列、そしてエンハンサー又は活性化配列を含むかもしれない。好ましい態様において、制御配列は、プロモーター、並びに転写開始及び終止配列を含む。
【0141】
プロモーター配列は、構造的か又は誘導可能なプロモーターのいずれかをコードする。プロモーターは、天然のプロモーターかハイブリッド・プロモーターである。1以上のプロモーター要素を結合したハイブリッド・プロモーターが、本技術分野で知られ、そして本発明に有用である。
【0142】
さらに、発現ベクターが、さらなる要素を含む。例えば、発現ベクターは、2つの複製システムをもち、よって、2つの生物、例えば発現のために哺乳動物又は昆虫細胞に、そして例えばクローン化と増幅のために原核生物宿主に保持されることをそれに可能にさせる。さらに、発現ベクターを組み込むために、発現ベクターは、宿主細胞ゲノムに相同的な少なくとも1つの配列を含み、好ましくは発現構築物を挟む2つの相同配列を含む。組み込みベクターは、ベクター内に包含するための適当な相同配列を選ぶことによって宿主細胞の特定の遺伝子座に向けられうる。組み込みベクターのための構成物が、本技術分野で周知である(例えば、Femandez & Hoeffler、前記)。Kitamura, et al. (1995) PNAS 92:9146-9150も参照のこと。
【0143】
さらに、好ましい態様において、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選定を可能にするために選択マーカー遺伝子を含む。選択遺伝子は、本技術分野で周知であり、そして使用される宿主細胞により変わる。
【0144】
本発明の血管新生タンパク質は、血管新生タンパク質の発現を誘発するか又は引き起こす適当な状態下で、血管新生タンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を培養することによって産生される。血管新生タンパク質発現に適当な条件は、発現ベクターと宿主細胞の選択により変化し、それはルーチンの実験又は最適化を通して当業者により容易に確かめられる。例えば、発現ベクター中の構造的プロモーターの使用は、宿主細胞の成長及び増殖の最適化を必要とするが、一方、誘導可能なプロモーターの使用は、誘導のための適当な成長条件を必要とする。さらに、いくつかの態様において、収集のタイミングが重要である。例えば、昆虫細胞での発現に使用されるバキュロウイルス系は溶菌ウイルスであり、そのため収集時期の選択が産物収量に関して重大である。
【0145】
適当な宿主細胞は、酵母、細菌、古細菌、カビ、及び昆虫、そして哺乳動物の細胞を含む動物の細胞を含む。特に興味深いものは、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomycescerevisiae)及び他の酵母、E.コリ(E.coli)、バチルス・サブチリス(Bacillussubtilis)、Sf9細胞、C129細胞、293細胞、アカパンカビ(Neurospora)、BHK、CHO、COS、HeLa細胞、HUVEC(ヒト臍静脈内皮細胞)、THP1細胞(マクロファージ細胞系)、及び様々な他のヒト細胞と細胞系である。
【0146】
好ましい態様において、血管新生タンパク質は哺乳動物の細胞により発現される。哺乳動物の発現系も本技術分野で知られていて、レトロウイルス及びアデノウイルスの系を含む。哺乳動物のプロモーターとして特に使用されるものは、ウイルス性の遺伝子がしばしば高度に発現され、そして幅広い宿主範囲をもつため、哺乳動物ウイルス遺伝子由来のプロモーターである。例は、SV40初期プロモーター、マウス乳癌ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、単純ヘルペスウイルス・プロモーター、及びCMVプロモーターを含む(例えば、Fernandez & Hoefflerを参照のこと)。一般に、哺乳動物細胞によって認識される転写終止及びポリアデニル化配列は、翻訳終止コドンの3'に位置する制御領域であり、よってプロモーター要素と一緒にコード配列を挟む。転写ターミネータ及びポリアデニル化シグナルの例は、SV40由来のものを含む。
【0147】
哺乳動物の宿主並びに他の宿主に外来核酸を導入する方法は、本技術分野で周知であり、使用する宿主細胞によって変わる。技術は、デキストラン介在トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン介在トランスフェクション、プロトプラスト融合、電気穿孔法、ウイルス感染、リポソーム中へのポリヌクレオチドの封入及び核内へのDNAの直接的なマイクロインジェクションを含む。
【0148】
好ましい態様において、血管新生タンパク質は、細菌系で発現される。細菌発現系は、本技術分野で周知である。バクテリオファージ由来のプロモーターも使用され、本技術分野で周知である。さらに、合成プロモーター及びハイブリッド・プロモーターも有用である;例えば、tacプロモーターはtrpとlacプロモーター配列のハイブリッドである。さらに、細菌プロモーターは、細菌のRNAポリメラーゼに結合し、そして転写する能力を有する、非細菌起源の天然プロモーターを含む可能性がある。機能するプロモーター配列に加えて、効率的なリボソーム結合部位が望ましい。発現ベクターは、細菌において血管新生タンパク質の分泌をもたらすシグナルペプチド配列を含むかもしれない。タンパク質は、成長培地の中に(グラム陽性菌)、又は細胞の内側と外側の膜の間にある細胞膜周辺腔の中(グラム陰性細菌)のいずれかに分泌される。
【0149】
細菌の発現ベクターは、形質転換された細菌株の選定を可能にする選択マーカー遺伝子をも含む。好適な選択遺伝子は、薬剤、例えばアンピシリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、及びテトラサイクリンに対して細菌を抵抗性にする遺伝子を含む。選択マーカーは、生合成遺伝子、例えばヒスチジン、トリプトファン、及びロイシン生合成経路のものをも含む。これらの成分は、発現ベクター中に組み込まれる。細菌のための発現ベクターは、本技術分野で周知であり、そして中でもバチルス・サブチリス、E.コリ、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcuscremoris)及びストレプトコッカス・リビダンス(Streptococcuslividans)のためのベクターを含む(例えば、Fernandez & Hoeffler、前記)。細菌の発現ベクターは、本技術分野でよく知られている技術、例えば塩化カルシウム処理、電気穿孔法などを使って細菌宿主細胞に形質転換される。
【0150】
1の態様において、血管新生タンパク質は、昆虫細胞により産生される。昆虫細胞の形質転換のための発現ベクター、特に、バキュロウイルス・ベースの発現ベクターが、本技術分野で周知である。
【0151】
好ましい態様において、血管新生タンパク質は酵母により産生される。酵母発現系は、本技術分野で周知であり、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomycescerevisiae)、カンジダ・アルビカンス(Candidaalbicans)、及びC.マルトサ(C.maltosa)、ハンゼヌラ・ポフィモルファ(Hansenulapofymorpha)、クルイベロマイセス・フラギリス(Kluyveromycesfragilis)、及びK.ラクチス(K.lactis)、ピキア・グイレリモンジイ(Pichiaguillerimondii)、及びP.パストリス(P.pastoris)、スキゾサッカロマイセス・ポンブ(Schizosaccharomycespombe)、並びにヤロウィア・リポリチカ(Yarrowialipolytica)のための発現ベクターを含む。
【0152】
血管新生タンパク質は、本技術分野で周知の技術を使って融合タンパク質として作製されもする。このように、例えばモノクローナル抗体を作り出すために、所望のエピトープが小さい場合、血管新生タンパク質を、免疫原を形成するために担体タンパク質と融合させる。あるいは、発現を増加させるためか又は他の理由のために、血管新生タンパク質は融合タンパク質として作製される。例えば、血管新生タンパク質が血管新生ペプチドである場合、上記ペプチドをコードしている核酸を発現目的のための他の核酸と連結させる。検出エピトープ・タグ、例えばFLAG、His6、myc、HAなどとの融合が成されうる。
【0153】
1の態様において、血管新生核酸、タンパク質、及び本発明の抗体は標識される。本明細書中で「標識された」は、その化合物の検出を可能にするために付けられた少なくとも1つの要素、アイソトープ又は化学的化合物をもつ化合物を意味する。一般的に、ラベルは、以下の:a)放射性又は重同位体である、アイソトープ・ラベル;b)抗体、抗原又はエピトープ・タグである、免疫ラベル;そしてc)発色又は蛍光色素、の3つのクラスに分かれる。ラベルは、血管新生核酸、タンパク質、及び抗体に、あらゆる位置で組み込まれる。例えば、ラベルは、直接的に又は間接的に検出可能なシグナルを生じる必要がある。検出可能な部分は、3H、14C、32P、35S、又は125Iのような放射性同位要素、フルオレセイン・イソチオシアネート、ローダミン又はルシフェリンのような蛍光又は化学発光化合物、あるいはアルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ又はセイヨウワサビ・ペルオキシダーゼのような酵素であるかもしれない。Hunter et al., Nature, 144:945 (1962); David et al., Biochemistry, 13:1014 (1974); Pain et al., J. Immunol. Meth., 40:219 (1981);及びNygren, J. Histochem. and Cytochem., 30:407 (1982)に記載のあらゆる方法を含めて、ラベルに抗体を結合するための本技術分野で知られている方法を利用する。
【0154】
それ故に、本発明は、血管新生タンパク質配列をも提供する。本発明の血管新生タンパク質は、いくつかの方法で同定されうる。この意味では「タンパク質」は、タンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを含む。当業者に理解されるとおり、本発明の核酸配列は、タンパク質配列の産生に使用できる。全遺伝子をクローン化して、そのフレーム及びアミノ酸配列を同定することを含めて、あるいは使用しているデータベース中のいくつかのタンパク質に対して特定可能なモチーフ又は相同性をもっている血管新生タンパク質と仮定されるフレームを提供するための相同性を検索のために既知の配列とそれを比較することによる種々の方法がある。
【0155】
一般的に、核酸配列は、相同性について全ての3文字枠を検索するプログラムに入力される。好ましい態様において、これは、以下のNCBI Advanced BLASTパラメーターを使って行われる。このプログラムはblastx又はblastnである。データベースはnrである。入力データは、「FASTAフォーマットの配列」としてである。生物リストは「なし」である。「期待値」は10であり;フィルターはデフォルトである。「記載(description)」は500であり、「アラインメント」は500であり、そして「アラインメント一覧」がペアである。「クエリー遺伝コード」は標準(1)である。マトリックスはBLOSUM62であり;ギャップ存在コストが11であり、残基あたりのギャップ・コストが1であり;そしてラムダ比がデフォルトの0.85である。これは、推測上のタンパク質配列の産生をもたらす。
【0156】
本明細書中で決定されるとおり、天然配列のアミノ酸変異体が血管新生タンパク質の1つの態様の中に含まれもする。好ましくは、前記変異体は、野生型配列に対して約75%の相同性、より好ましくは約80%超、更により好ましくは約85%超、最も好ましくは90%超の相同性をもつ。いくつかの態様において、相同性は約93〜95又は98%の高さである。核酸については、本文中において相同性は、好ましい同一性をもつ配列の類似又は同一性を意味する。核酸相同性について先に概説されたとおり、この相同性は、本技術分野で周知の標準的な技術を使って決定される。
【0157】
本発明の血管新生タンパク質は、野生型のアミノ配列より短いか又は長いかもしれない。このように、好ましい態様において、野生型配列の一部又は断片が血管新生タンパク質の定義の範囲内に含まれる。さらに、先に概説されたとおり、本発明の血管新生核酸は、本技術分野で知られている技術を使って、さらなるコード領域と、それによるさらなるタンパク質配列を得るために使用されうる。
【0158】
好ましい態様において、血管新生タンパク質は、野生型配列と比べて誘導又は変異血管新生タンパク質である。すなわち、より完全に以下に概説されるように、誘導血管新生ペプチドは、しばしば少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失、又は挿入を含み、そしてアミノ酸の置換が特に好ましい。アミノ酸の置換、挿入、又は欠失は、血管新生ペプチド内のあらゆる残基で生じる。
【0159】
同様に本発明の血管新生タンパク質の1つの態様の中に含まれるものは、アミノ酸配列変異体である。これらの変異体は、一般に以下の3つのクラス:置換、挿入、又は欠失変異体の1以上に当てはまる。これらの変異体は、変異体をコードするDNAを製造するためにカセット又はPCR突然変異誘発又は本技術分野で周知の他の技術を使って、血管新生タンパク質をコードするDNA中にヌクレオチドの部位特異的突然変異により通常準備され、その後先に概説されるように組み換え細胞培養によりこのDNAを発現させる。しかし、最大約100〜150の残基をもつ変異血管新生タンパク質の断片は、確立された技術を使ったインビトロ合成によって準備されうる。アミノ酸配列変異体は、変異の所定の性質、天然の対立遺伝子を除いたそれらを定める特徴、又は血管新生タンパク質アミノ酸配列の種内変異を特徴とする。以下により完全に概説するとおり、修飾された特性を有する変異体を選ぶことができるが、変異体は、一般に天然の相似体と同質の生物活性を示す。
【0160】
アミノ酸配列変異を導入するための部位又は領域が規定される一方で、突然変異自体は、規定されなくてもよい。例えば、与えられた部位での突然変異の能力を最適化するために、ランダムな突然変異誘発がターゲット・コドン又は領域で行われ、発現された血管新生変異体が所望の活性の最適な組み合わせをスクリーニングした。既知の配列をもつDNAの規定の部位での置換突然変異体を作製するための技術は周知である、例えばM13プライマー突然変異誘発及びPCR突然変異誘発。突然変異体のスクリーニングは、血管新生タンパク質活性のアッセイを使って行われる。
【0161】
アミノ酸置換は、一般に1残基である;かなり大きな挿入物が許容されるが、挿入物は、通常1〜20のアミノ酸の水準である。いくつかの場合において欠失はもっと大きいかもしれないが、欠失は約1〜約20の残基に及ぶ。
【0162】
置換、欠失、挿入、又はそれらのあらゆる組み合わせが、最終的な誘導体に到達するために使用されうる。一般的に、これらの変化は、分子の変更を最小限にするためにいくつかのアミノ酸で行われる。しかし、より大きな変化が、特定の情況において許容されうる。血管新生タンパク質の特徴のわずかな変更が望まれるとき、置換は、一般に定義の項に提供されたアミノ酸置換チャートに従って行われる。
【0163】
機能又は免疫学的同一性の大幅な変化は、「保存的な置換」の定義により提供されるものより保存的ではない置換を選択することにより作製されうる。例えば、より大幅に影響する置換が行われる:変更領域内のポリペプチド骨格の構造、例えばアルファ-へリックス又はβシート構造;ターゲット領域での分子の荷電又は疎水性;あるいは側鎖の大部分。一般的に、ポリペプチドの性質の最大の変化を生み出すことが見込まれる置換は、以下の:(a)親水性残基、例えばセリル又はスレオニルを、疎水性の残基、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル又はアラニルに置換したもの;(b)システイン又はプロリンを、他の残基に(によって)置換したもの;(c)陽性側鎖をもつ残基、例えばリシル、アルギニル又はヒスチジルを、陰性残基、例えばグルタミル又はアスパルチルに(によって)置換したもの;あるいは(d)かさばる側鎖をもつ残基、例えばフェニルアラニンを、側鎖をもたないもの、例えばグリシンに(によって)置換したものである。
【0164】
変異体は必要に応じて血管新生タンパク質の特徴を修飾するように選ばれもするが、変異体は一般に同じ性質の生物活動を示して、天然の相似体と同じ免疫応答を引き起こす。あるいは、変異体は、血管新生タンパク質の生物活動が変えられるように設計されうる。例えば、グリコシド化部位が変更されるか又は取り除かれる。
【0165】
血管新生ポリペプチドの共有結合修飾は、本願発明の範囲内に含まれている。ある種の共有結合修飾は、血管新生ポリペプチドのターゲット・アミノ酸残基と、血管新生ポリペプチドの選ばれた側鎖又はそのN-又はC末端残基と反応することができる有機誘導体化剤とを反応させることを含む。二官能性剤による誘導体化は、例えばより完全に以下に記載されるような抗血管新生ポリペプチド抗体の精製方法又はスクリーニング・アッセイに使用するための、不水溶性支持体マトリックス又は表面への血管新生ポリペプチドの架橋のために有用である。一般に使用される架橋剤は、例えば1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシサクシンイミド・エステル、例えば4-アジドサリチル酸によるエステル、ジサクシンイミジル・エステル、例えば3,3'-ジチオビス(サクシンイミジルプロピオネート)を含む、ホモ2官能性イミドエステル、二官能性マレインイミド、例えばビス-N-マレイミド-1,8-オクタン、並びにメチル-3-[(p-アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートのような物質を含む。
【0166】
他の修飾は、それぞれ対応するグルタミル及びアスパルチル残基の、グルタミニル及びアスパラギニル残基の脱アミノ化、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリル、スレオニル、又はチロシル残基の水酸基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のγ-アミド基のメチル化[I.E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79-86 (1983)]、N末端アミンのアセチル化、並びにC末端のカルボキシル基のいずれかのアミド化を含む。
【0167】
本願発明の範囲内に含まれる血管新生ポリペプチドの共有結合修飾の他の種類は、そのポリペプチドの天然のグリコシル化パターンの変更を含んでいる。「天然のグリコシル化パターンの変更」は、血管新生ポリペプチドの天然の配列中に見られる1以上の炭水化物部分の欠失、及び/又は血管新生ポリペプチドの天然の配列に存在しない1以上のグリコシル化部位の付加を意味することを本明細書中の目的のために意図される。グリコシル化パターンは多くの方法で変更されることができる。例えば、血管新生に関連する配列の発現のための異なる細胞タイプの使用が、異なるグリコシル化パターンをもたらす。
【0168】
血管新生ポリペプチドへのグリコシル化部位の付加は、そのアミノ酸配列を変更することによっても達成されうる。前記変更は、例えば(O-連結したグリコシル化部位のための)血管新生ポリペプチドの天然の配列に1以上のセリン又はスレオニン残基の付加又はそれらによる置換によって成される。血管新生アミノ酸配列は、特に所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが生じるように前もって選ばれた塩基で血管新生ポリペプチドをコードするDNAを変異させることによって、DNAレベルでの変化を通して場合により変更されうる。
【0169】
血管新生ポリペプチド上の炭水化物部分の数を増やす他の手段は、ポリペプチドへの配糖体の化学的又は酸素的カップリングによる。そのような方法は、本技術分野で、例えば1987年9月11日に刊行されたWO 87/05330、及びAplin and Wriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp.259-306(1981)に記載されている。
【0170】
血管新生ポリペプチドに存在する炭水化物部分の除去は、グリコシル化のためのターゲットとしての役割を果たすアミノ酸残基をコードするコドンの化学的又は酵素的、あるいは変異的置換により達成されうる。化学的な脱グリコシル化技術は、本技術分野で知られていており、例えばHakimuddin, et al., Arch. Biochem. Biophys., 259:52 (1987)及びEdge et al., Anal. Biochem., 118:131 (1981)により説明されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酸素的分割は、Thotakura et al., Meth. Enzymol. 138:350(1987)に説明されるように種々のエンド-及びエキソ-グリコシダーゼの使用によって達成されうる。
【0171】
血管新生の共有結合修飾の他の種類は、米国特許第4,640,835号;同第4,496,689号;同第4,301,144号;同第4,670,417号;同第4,791,192号又は同第4,179,337号に記載の様式により、血管新生ポリペプチドと、種々の非タンパク性重合体、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンの1つと連結することを含む。
【0172】
本発明の血管新生ポリペプチドは、他の異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合された血管新生ポリペプチドを含むキメラ分子を形成するための方法により修飾されうる。1の態様において、そのようなキメラ分子は、血管新生ポリペプチドと、抗タグ抗体が選択的に結合することができるエピトープを提供するタグ・ポリペプチドとの融合を含む。このエピトープ・タグは、一般に血管新生ポリペプチドのアミノ-又はカルボキシル末端に配置される。そのようなエピトープによってタグを付けられた形態の血管新生ポリペプチドの存在は、タグ・ポリペプチドに対する抗体を使って検出されることができる。また、エピトープ・タグの準備は、血管新生ポリペプチドを抗タグ抗体又はエピトープ・タグを結合する他の種類の親和性マトリックスを使ったアフィニティー精製よって容易に精製することを可能にする。代わりの態様において、キメラ分子は、血管新生ポリペプチドと、免疫グロブリン又は免疫グロブリンの特定の領域との融合を含むかもしれない。キメラ分子の二価形態のために、そのような融合は、IgG分子のFc領域に対してであるかもしれない。
【0173】
様々なタグ・ポリペプチド及びそれらのそれぞれの抗体が、本技術分野で知られている。例は、ポリ-ヒスチジン(ポリ-his)又はポリ−ヒスチジン-グリシン(ポリ-his-gly)タグ;HIS6と金属キレート化がタグ、Flu HAタグ・ポリペプチドとその抗体12CA5[Field et al, Mol. Cell. Biol, 8:2159-2165 (1988)];c-mycタグとそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体[Evsm et al., Molecular and Cellular Biology, 5:3610-3616 (1985)];並びに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグとその抗体[Paborsky et al., Protein Engineering, 3(6):547-553 (1990)]を含む。他のタグ・ポリペプチドは、Flag-ペプチド[Hopp et al., BioTechnology, 6:1204-1210(1988)];KT3エピトープ・ペプチド[Martin et al., Science, 255:192-194(1992)];チューブリン・エピトープ・ペプチド[Skinner et al., J. Biol. Chem. 266:15163-15166(1991)];並びにT7遺伝子の10のタンパク質のペプチド・タグ[Lutz-Freyermuth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6393-6397(1990)]を含む。
【0174】
同様に、血管新生タンパク質の態様に含まれるものは、血管新生ファミリーの他の血管新生タンパク質及び他の生物由来の血管新生タンパク質であり、以下に概説のとおりクローン化され、そして発現される。このように、プローブ又は縮重ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列は、ヒト又は他の生物由来の、他の関連する血管新生タンパク質を検出するために使用されうる。当業者に理解されるとおり、特に有用なプローブ及び/又はPCRプライマー配列は、血管新生核酸配列に特有の領域を含む。本技術分野で一般に知られているように、好ましいPCRプライマーは、約15〜約35ヌクレオチドの長さであり、約20〜約30が好ましい、そして必要に応じてイノシンを含むかもしれない。PCR反応のための条件は、本技術分野で周知である(例えば、Innis, PCR Protocols、前記)。
【0175】
さらに、本明細書中に概説されるように、血管新生タンパク質は、例えば拡張した配列の解明、エピトープ又は精製タグの付加、他の融合配列の付加などにより、図面の核酸によってコードされたものより長いものが作製されうる。
【0176】
血管新生タンパク質は、血管新生核酸によってコードされていると同定されもする。このように、血管新生タンパク質は、本明細書中に概説のとおり配列一覧の配列又はそれらの相補物にハイブリダイズする核酸によってコードされる。
【0177】
好ましい態様において、血管新生タンパク質が例えば免疫療法若しくは免疫診断のための抗体の産生に使用される場合、血管新生タンパク質は、少なくとも1のエピトープ又は完全長のタンパク質による決定基を共有する必要がある。本明細書中の「エピトープ」又は「決定基」は、抗体又はMHCに関連するT細胞受容体を産生する、及び/又はそれを結合するタンパク質の一部を一般に意味する。このように、ほとんどの例において、より小さい血管新生タンパク質に対して作られた抗体は、完全長のタンパク質、特に線状エピトープを結合することができる。好ましい態様において、エピトープは独特である;すなわち、独特のエピトープに対して産生された抗体は、わずかな交差感受性を示すか又はそれを全く示さない。好ましい態様において、エピトープは、表8に記載のタンパク質配列から選ばれる。
【0178】
ポリクローナル抗体を準備する方法は、当業者に知られている(例えば、Coligan、前記;及びHarlow & Lane、前記)。ポリクローナル抗体は、例えば免疫剤及び所望であればアジュバントの1回以上の注射により哺乳動物において産生されうる。一般に、免疫剤及び/又はアジュバントは、哺乳動物に複数回、皮下又は腹膜内注射によって注入される。免疫剤は、図面の核酸によってコードされたタンパク質又はその断片、あるいはその融合タンパク質を含む。免疫される哺乳動物において免疫原性であることが知られているタンパク質に免疫剤を結合させるために有用かもしれない。そのような免疫原性タンパク質の例は、これだけに制限されることなく、キーホール・リンペット・ヘモシアニン、血清アルブミン、ウシ・サイログロブリン及びダイズ・トリプシン阻害因子を含む。使用されるアジュバントの例は、完全フロインド・アジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル・リピドA、合成トレハロース・ジコリノマイコレート(dicorynomycolate))を含む。免疫化プロトコールは、実験に基づくことなく当業者によって選ばれうる。
【0179】
あるいは、抗体はモノクローナル抗体であるかもしれない。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法、例えばKohler and Milstein, Nature, 256:495(1975)により記載される方法を使って準備される。ハイブリドーマ法において、マウス、ハムスター又は他の適当な宿主動物を、一般に、免疫剤により免疫し、免疫剤に特異的に結合する抗体を産生するか又は産生することができるリンパ球を発言させる。あるいは、リンパ球は、インビトロで免疫化される。免疫剤は、表1〜8の核酸によってコードされたポリペプチド若しくはその断片又はその融合タンパク質を一般に含む。一般に、ヒト起源の細胞が所望される場合、遠位血リンパ球(「PBLs」)が使用され、非ヒト哺乳動物起源が所望である場合、脾臓細胞若しくはリンパ腺細胞が使用される。次に、ハイブリドーマ細胞を形成するためにポリエチレングリコールのような好適な融剤を使ってリンパ球を不死化細胞株と融合させる[Goding, Monoclonal Antibodies:Principales and Practice, Academic Press, (1986)pp.59-103]。不死化細胞株は、通常哺乳動物の細胞、特に齧歯動物、ウシ及びヒト起源の骨髄腫細胞により形質転換される。通常、ラット又はマウス骨髄腫細胞系が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好適な培地中で培養され、好ましくは、上記培地は、融合せず、不死化細胞の成長又は生存を抑制する1以上の物質を含む。例えば、親細胞が酵素ヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いていれば、ハイブリドーマのための培地は、一般にHGPRT欠損細胞の成長を妨げるヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(「HAT培地」)を含む。
【0180】
1の態様において、抗体は、二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、好ましくは少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性をもつか、又は同じ抗原上の2つのエピトープに対する結合特異性をもつ、モノクローナル・ヒト又はヒト化抗体である。1の態様において、一方の結合特異性が、表1〜8の核酸又はその断片によってコードされたタンパク質に対するものであって、他方のものが、その他の抗原に対する、好ましくは細胞表面タンパク質又は受容体又は受容体サブユニットに対するものである。あるいは、四量体型の技術が多価試薬を作製しうる。
【0181】
好ましい態様において、血管新生タンパク質に対する抗体は、以下に記載のように、血管新生タンパク質の生物学的機能を減少させるか又は除くことができる。すなわち、血管新生組織(又は血管新生を含む細胞)への抗血管新生タンパク質抗体(ポリクローナル又は好ましくはモノクローナルのいずれか)の添加は、血管新生活性を減少させるか又は除くかもしれない。一般的に、少なくとも1つの25%の活性の減少が好ましい、少なくとも約50%の減少が特に好ましく、そして約95〜100%の減少が特に好ましい。
【0182】
好ましい態様において、血管新生タンパク質に対する抗体はヒト化抗体である(例えば、Xenerex Biosciences、Mederex, Inc.、Abgenix, Inc.、Protein Design Labs, Inc.)。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を含む免疫グロブリン分子、免疫グロブリン鎖又はその断片(例えば、Fv、Fab、Fab'、F(ab')2又は抗体の他の抗原に結合するサブシークエンス)のキメラ分子である。ヒト化抗体は、受容者の相補性決定領域(CDR)を形成する残基が、所望の特異性、親和性、能力をもっているヒト以外の種(ドナー抗体)、例えばマウス、ラット、又はウサギのCDR由来の残基により置き換えられたヒト免疫グロブリン(受容者抗体)を含む。いくつかの例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応のヒト以外の残基と置き換えられる。
【0183】
ヒト化抗体は、受容者抗体中にも、移入されたCDR又はフレームワーク配列中にも見られない残基を含むかもしれない。一般的に、ヒト化抗体は、実質的に少なくとも1つの、そして一般に2つの可変ドメインを含み、ここで、全て又は実質的に全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのそれらに相当し、そして全て又は実質的に全てのフレームワーク(FR)領域がヒト免疫グロブリン・コンセンサス配列のそれである。ヒト化抗体は、好ましくは、免疫グロブリン定常部(Fc)の少なくとも一部、一般にヒト免疫グロブリンの定常部を含む[Jones et al., Nature, 321:522-525(1986);Riechmann et al., Nature, 332:323-329(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596(1992)]。
【0184】
ヒト以外の抗体をヒト化する方法は本技術分野で周知である。一般的に、ヒト化抗体は、ヒト以外の起源からそれに導入された1以上のアミノ酸残基をもつ。これらのヒト以外のアミノ酸残基は、しばしば移入残基(import residues)と呼ばれ、それらは一般に移入可変ドメインから採取される。本質的に好ましくは、ヒト化は、齧歯動物CDRs又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することによるWinterと共同研究者らの方法[Jones et al., Nature, 321:522-525(1986);Riechmann et al., Nature, 332:323-327(1988);Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536(1988)]に従って実施されうる。それ故に、そのようなヒト化抗体は、原型に実質的に満たないヒト可変ドメインがヒト以外の種由来の対応する配列によって置換されたキメラ抗体である(米国特許番号第4,816,567号)。実際上、ヒト化抗体は、一般的にはいくつかのCDR残基及びおそらくいくつかのFR残基が齧歯動物の抗体の類似した領域由来の残基によって置換されているヒト抗体である。
【0185】
ヒト抗体は、ファージ・ディスプレイ・ライブラリー[Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381(1991);Marks et al., J. Mol. Biol. 222:581(1991)]を含めた本技術分野で知られている様々な技術を使って産生することもできる。Cole et al.及びBoerner et al.の技術は、ヒト・モノクローナル抗体の準備に利用可能である[Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, AlanR. Liss, p. 77 (1985)及びBoerner et al., J. Immunol., 147(l):86-95 (1991)]。同様に、ヒト抗体は、トランスジェニック動物、例えば内性の免疫グロブリン遺伝子が部分的に又は完全に不活化されたマウスへのヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入によってなされうる。惹起により、ヒト抗体の産生が観察され、遺伝子転位、アセンブリー及び抗体レパートリーを含むヒトで見られる全ての事項が酷似している。このアプローチは、例えば米国特許番号第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,016、及び以下の科学的刊行物:Marks et al., Bio/Technology 10, 779-783 (1992); Lonberg et al., Nature 368 856-859 (1994); Morrison, Nature 368, 812-13 (1994); Fishwild et al., Nature Biotechnology 14,845-51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14, 826 (1996); Lonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995)に記載されている。
【0186】
免疫療法は、血管新生タンパク質に対して産生された抗体による血管新生の治療を意味する。本明細書中に使用されるとき、免疫療法は、受動的であるか又は能動的であるかもしれない。本明細書中で定義された受動的な免疫療法は、受容者(患者)への抗体の受動的な移入である。能動的な免疫化は、受容者(患者)の抗体及び/又はT細胞応答の誘導である。免疫応答の誘導は、抗体が産生された抗原をもつ受容者に与えられる結果である。当業者に理解されるとおり、抗体は、受容者において産生されることが望まれる抗体に対するポリペプチドをに注入することによるか、あるいは受容者と、抗原を発現することができる核酸とを接触させ、そして抗原発現のための条件下で免疫応答を誘導することにより抗原は提供されうる。
【0187】
好ましい態様において、それに対して抗体が産生される血管新生タンパク質は、先に記載されるように分泌タンパク質である。理論に縛られることなく、治療のために使った抗体は、分泌タンパク質を結合し、そしてその受容体への結合を妨げ、それによって分泌血管新生タンパク質を不活化する。
【0188】
他の好ましい態様において、それに対して抗体が産生される血管新生タンパク質は、膜貫通タンパク質である。理論に縛られることなく、治療のために使用される抗体は、血管新生タンパク質の細胞外ドメインに結合し、そして他のタンパク質、例えば循環リガンド又は細胞関連分子への結合からそれを回避させる。抗体は、膜貫通血管新生タンパク質の下方調節を引き起こすかもしれない。当業者に理解されるとおり、抗体は、血管新生タンパク質の細胞外ドメインに結合するタンパク質の競合的な、非競合的な又は不競合的な阻害物質であるかもしれない。抗体は血管新生タンパク質のアンタゴニストでもある。さらに、抗体は、膜貫通血管新生タンパク質の活性化を妨げる。1の側面において、抗体が血管新生タンパク質への他の分子の結合を妨げるとき、その抗体は細胞の成長を妨げる。抗体は、細胞毒性物質、例えばこれだけに制限されることなく、TNF-α、TNF-β、IL-1、INF-γ及びIL-2、又は5FU、ビンブラスチン、アクチノマイシンD、シスプラチン、メトトレキサートなどを含む化学療法剤に対するターゲット又は細胞の感作に使用されもする。いくつかの例において、抗体は、膜貫通タンパク質と複合体を形成し、それによって細胞毒性又は抗原依存性細胞毒性(ADCC)を仲介するとき、血清補体を活性化するサブタイプに属する。このように、血管新生は、患者への膜貫通血管新生タンパク質に対する抗体を投与することによって治療される。抗体を標識することは、補毒素を活性化するか、毒素負荷量を限局化するか、ないしは別の方法で局所的に細胞を切除する手段を提供するかもしれない。
【0189】
他の好ましい態様において、抗体は、エフェクター部分と共役するか又は、融合する。エフェクター部分は、放射性ラベル若しくは蛍光性ラベルのような標識部分を含む多数の部分であるか、又は治療的部分であるかもしれない。1の側面において、治療的部分は、血管新生タンパク質の活性を調節する小分子である。他の側面において、治療的部分は、血管新生タンパク質に関連するか又はそれに近接している分子の活性を調節する。治療的部分は、血管新生に関連した酵素、例えばプロテアーゼ若しくはコラゲナーゼの活性を抑制するか、又はNK細胞のような他の細胞の誘引物質であるかもしれない。
【0190】
好ましい態様において、治療的部分は、細胞毒性剤である可能性もある。当該方法において、血管新生組織若しくは細胞に対する細胞毒性剤のターゲッティングは、それに冒されている細胞の数の低下をもたらし、それによって血管新生に関連した症状の軽減をもたらす。細胞毒性剤は、おびただしい数であり、かつ、変化に富み、そしてこれだけに制限されることなく、細胞毒性剤、又はそのような毒素の毒性若しくは活性断片含む。好適な毒素及びそれらの対応する断片は、ジフテリアA鎖、外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)などを含む。細胞毒性剤は、血管新生タンパク質に対して産生された抗体に放射性同位体を共役させることにより、又は抗体に共有的に結合させたキレート剤に放射性核種を結合させることにより作製された放射性化学物質を含む。膜貫通血管新生タンパク質に対する治療的部分のターゲッティングは、血管新生に冒されている部位における治療的部分の局所的な濃度を高めるために有用であるだけでなく、治療的部分に関係する有害な副作用を減少させることにも有用である。
【0191】
他の好ましい態様において、それに対し抗体が産生される血管新生タンパク質は、細胞内のタンパク質である。この場合、抗体は、細胞内への侵入を容易にするタンパク質と共役するか又は融合する。1の態様において、抗体はエンドサイトーシスにより細胞に入れる。他の態様において、抗体をコードしている核酸を個体又は細胞に投与する。しかも、血管新生タンパク質は細胞、すなわち核内で標的とされうるとき、それに対する抗体は、ターゲットの局在性に関するシグナル、すなわち核局在性シグナルを含む。
【0192】
本発明の血管新生抗体は、特異的に血管新生タンパク質に結合する。本明細書中の「特異的な結合」は、抗体が、少なくとも約0.1 mM、より一般的には少なくとも約1 μM、好ましくは少なくとも約0.1 μM未満、そして最も好ましくは0.01 μM未満のKdでタンパク質に結合することを意味する。結合の選択性が同様に重要である。
【0193】
好ましい態様において、血管新生タンパク質は、発現後に精製されるか又は単離される。血管新生タンパク質は、どんな他の成分がサンプル中に存在するかに依存する当業者に知られた種々の方法により単離されるか又は精製されうる。標準的な精製方法は、電気泳動、分子的、免疫学的、並びにイオン交換、疎水性、親和性、及び逆相HPLCクロマトグラフィー、及びクロマトフォーカシングを含むクロマトグラフィー技術を含む。例えば、血管新生タンパク質は、標準的な抗血管新生タンパク質抗体カラムを使って精製される。限外濾過及びタンパク質濃縮に関連するダイアフィルトレーション技術が有用でもある。好適な精製技術の全体的な手引きに関して、Scopes, R., Protein Purification, Springer-Verlag, NY (1982)を参照のこと。必要な精製の程度は、血管新生タンパク質の用途に依存して変化する。いくつかの例で、精製は必要ではない。
【0194】
いったん発現され、そして必要ならば精製されれば、血管新生タンパク質及び核酸は、多数の適用において有用である。それらは、免疫的選択試薬、ワクチン試薬、スクリーニング剤などとして使用されうる。
【0195】
診断及び治療的適用のための血管新生配列の検出
1の側面において、遺伝子のRNA発現レベルは、血管新生表現型が異なる細胞状態について判断させる。正常組織(すなわち、血管新生を受けていない)と血管新生組織の遺伝子の発現レベルは、(そしていくつかのケースにおいて、以下に概説したとおり、予後に関連する血管新生の重症度を変更するために)発現特性を提供するために評価される。特定の細胞状態又は発達の時点での発現特性は、本質的にその状態の「フィンガープリント」である。2つの状態がいずれか特定の遺伝子を同じように発現する一方で、同時に、多数の遺伝子の評価が、細胞の状態を反射する遺伝子発現特性の発生を可能にする。異なる状態にある細胞の発現特性を比較することによって、これらの状態の各々で(遺伝子の上方及び下方調節の両方を含む)重要な遺伝子に関する情報が得られる。その後、診断が実施されるか、又は組織サンプルが正常若しくは血管新生組織の遺伝子発現特性をもつかどうかを決定するために確認される。これは関連する症状の分子診断を提供する。
【0196】
本明細書中に使用されるとき、「差異的な発現」又は文法上の同義語は、細胞及び組織内及びその間の時間的な及び/又は細胞の遺伝子発現パターンの質的又は量的な相違を表す。このように、差異的に発現された遺伝子は、例えば正常対血管新生組織の活性化又は不活化を含めて変更されたその発現を定性的に有することができる。遺伝子は、他の状態と関係があって、特定の状態でスイッチが入るか又はスイッチが切れ、これにより2以上の状態の比較が可能になる。質的に調節された遺伝子は、標準的な技術で検出可能な状態又は細胞タイプの範囲内で発現パターンを示す。いくつかの遺伝子は、その両方でではなく1つの状態又は細胞タイプで発現される。あるいは、発現の相違は、例えば発現が増加するか又は減少する量的なものであるかもしれない;すなわち、遺伝子発現は、上方調節されて転写の増加をもたらすか、又は、下方調節されて転写量の減少をもたらすかのいずれかである。
【0197】
発現の差異の程度は、以下に概説された標準的な特徴づけの技術、例えばAffymetrix GeneChip(商標)発現アレイ、Lockhart, Nature Biotechnology, 14:1675-1680(1996)の使用による定量のために十分に大きければよい、上記文献を明確に本明細書中に援用する。他の技術は、これだけに制限されることなく、定量的な逆転写酵素PCR、ノーザン分析及びRNaseプロテクションを含む。先に概説されているとおり、好ましくは発現の変化(すなわち、上方調節か下方調節)は、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約100%、より好ましくは少なくとも約150%、より好ましくは少なくとも約200%であり、そして300〜少なくとも1000%が特に好ましい。
【0198】
評価は、遺伝子転写、又はタンパク質レベルにおいてであるかもしれない。遺伝子発現の量は、遺伝子転写、及び遺伝子発現レベルの定量化のためのDNA又はRNA同等物に対する核酸プローブを使って観察されうるか、あるいは最終的な遺伝子産物自体(タンパク質)を、例えば血管新生タンパク質に対する抗体及び標準的な免疫学的アッセイ(ELISAなど)、又は質量スペクトル・アッセイ、2Dゲル電気泳動アッセイなどを含む他の技術により観察されうる。血管新生遺伝子に対応するタンパク質、すなわち血管新生表現型に重要であると同定されたものは、血管新生診断検査で評価されうる。
【0199】
好ましい態様において、遺伝子発現の観察は、多数の遺伝子で同時に実施される。同様に、複数のタンパク質発現の観察が実施されうる。同じように、これらのアッセイは、同様に個々の基準で実施されうる。
【0200】
この態様において、特定の細胞内の血管新生配列の検出及び定量化のために、本明細書中に概説されるように血管新生核酸プローブをバイオチップに結合させる。アッセイは、実施例で以下にさらに記載される。PCR技術は、より高い感度を提供するために使用されうる。
【0201】
好ましい態様において、血管新生タンパク質をコードしている核酸が検出される。血管新生タンパク質をコードするDNA又はRNA検出されるけれども、特に着目するものは、血管新生タンパク質をコードするmRNAを検出する方法である。mRNAを検出するためのプローブは、そのmRNAに相補的であり、かつ、それとハイブリダイズし、そして、しかしこれだけに制限されることなく、オリゴヌクレオチド、cDNA又はRNAを含む、ヌクレオチド/デオキシヌクレオチド・プローブでありうる。プローブは、本明細書中に規定される検出可能なラベルを含むべきでもある。1つの方法において、mRNAは、検査される核酸をナイロン樹脂膜のような固体支持体に固定して、そしてプローブとサンプルとをハイブリダイズした後に検出される。
【0202】
非特異的に結合したプローブを取り除くための洗浄に続いて、ラベルを検出する。他の方法において、mRNAの検出は、in situで実施される。この方法において、透過処理された細胞又は組織サンプルを、プローブがターゲットmRNAとハイブリダイズすることができる十分な期間、検出可能なラベルをされた核酸プローブと接触される。非特異的に結合したプローブを取り除くための洗浄に続いて、ラベルを検出する。例えば、血管新生タンパク質をコードするmRNAに相補的なジゴキシゲニン・ラベルされたリボプローブ(RNAプローブ)は、ジゴキシゲニンと抗ジゴキシゲニン二次抗体とが結合し、そしてニトロ・ブルー・テトラゾリウムと5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル・ホスフェートにより発色させることによって検出される。
【0203】
好ましい態様において、本明細書中に記載のタンパク質の3つのクラス(分泌、膜貫通又は細胞内タンパク質)由来の様々なタンパク質が、診断的アッセイに使用される。血管新生タンパク質、抗体、核酸、修飾されたタンパク質、及び血管新生配列を含む細胞が、診断的アッセイに使用される。これは、個々の遺伝子又は対応するポリペプチド・レベルで実施されうる。好ましい態様において、発現特性は、好ましくは発現特性のために遺伝子及び/又は対応するポリペプチドを観察することを可能にする高速処理スクリーニング技術と併せて使用される。
【0204】
本明細書中に記載及び規定されるとおり、細胞内、膜貫通又は分泌タンパク質を含む血管新生タンパク質は、血管新生のマーカーとしての用途を見つけた。推定される血管新生組織におけるこれらのタンパク質の検出は、血管新生の検出又は診断を可能にする。1の態様において、抗体は血管新生タンパク質を検出するために使用される。好ましい方法は、ゲル(一般に変性及び還元タンパク質ゲル、あるいは等電点分離ゲルなどを含む他の種類のゲルであるかもしれない)での電気泳動によりサンプルからタンパク質を分離する。タンパク質の分離に続いて、血管新生タンパク質は、例えば、血管新生タンパク質に対して産生された抗体によるイムノブロッティング法によって検出される。イムノブロッティング法の方法は、当業者に周知である。
【0205】
他の好ましい方法において、血管新生タンパク質に対する抗体は、例えば組織学における(例えば、Methods in Cell Biology: Antibodies in Cell Biology, volume 37 (Asai, ed. 1993))、in situイメージング技術における用途を見出される。この方法において、細胞は、血管新生タンパク質に対する1以上の抗体と接触する。非特異的な抗体結合を取り除くための洗浄に続いて、抗体の存在を検出する。1つの態様において、抗体は、検出可能なラベルを含む二次抗体と一緒にインキュベートすることによって検出される。他の方法において、血管新生タンパク質に対する一次抗体は、検出可能なラベル、例えば基質に作用しうる酵素マーカーを含む。他の好ましい態様において、複数の一次抗体の各々が、特徴的な、そして検出可能なラベルを含む。この方法は、複数の血管新生タンパク質についての同時スクリーニングへの特定の用途を見出される。当業者に理解されるとおり、多くの他の組織学的イメージング技術が本発明により提供されもする。
【0206】
好ましい態様において、ラベルは、異なる波長の発光を検出及び識別する能力を有する蛍光光度計により検出される。さらに、蛍光標示式細胞分取器(FACS)が上記方法で使用できる。
【0207】
他の好ましい態様において、抗体は、血、尿、痰又は他の体液のような生体サンプルからの血管新生の診断における使用を見出される。先に記載のとおり、特定の血管新生タンパク質は、分泌/循環分子である。そのため、血液サンプルが、分泌血管新生タンパク質の存在を探索又は検査されるサンプルとして有用である。抗体は、ELISA、イムノブロッティング(ウエスタンブロッティング)、免疫沈降、BIACORE技術などを含む先に記載した免疫学的アッセイ技術による血管新生タンパク質の検出に使用できる。逆に、抗体の存在は、内因性血管新生タンパク質に対する免疫応答を示す。
【0208】
好ましい態様において、組織アレイへのラベルされた血管新生核酸プローブのin situハイブリダイゼーションが行われる。例えば、血管新生組織及び/又は正常組織を含む組織サンプルのアレイが作製される。次に、in situハイブリダイゼーションが実施される(例えば、Ausubel、前記を参照のこと)。個体と標準の間のフィンガープリントを比較するとき、当業者は、所見に基づき診断、予後診断又は予測を行うことができる。診断を示す遺伝子が、細胞の状態の予後診断又は分子特性を示すものと異なるかもしれず、反応性又は抵抗性症状の間の区別をもたらすかもしれず、あるいは転帰の前兆となっているかもしれないことが知られている。
【0209】
好ましい態様において、血管新生タンパク質、抗体、核酸、修飾されたタンパク質、及び血管新生配列を含む細胞は、予後診断アッセイに使用される。前記のとおり、遺伝子発現特性は、長期の予後診断の点で血管新生の重症度への相互関係を生じる可能性がある。再び、これはタンパク質又は遺伝子レベルで行われ、そして遺伝子の使用が好ましい。前記のとおり、組織又は患者の血管新生配列の検出及び定量化のために、血管新生プローブをバイオチップに結合させる。アッセイは、診断のために先に概説されるように進む。PCR法は、より高感度で、正確な定量を提供するかもしれない。
【0210】
好ましい態様において、本明細書中に記載されたタンパク質の3つのクラスのメンバーは、薬物スクリーニング・アッセイに使用される。血管新生タンパク質、抗体、核酸、修飾されたタンパク質、及び血管新生配列を含む細胞が、薬物スクリーニング・アッセイ又は「遺伝子発現特性」又はポリペプチド発現特性に対する薬物候補の効果の評価に使用される。好ましい態様において、発現特性が、好ましくは候補物質による処理後の遺伝子の発現特性についての観察を可能にする高速処理スクリーニング技術と併せて使用される(例えば、Zlokarnik, et al., Science 279, 84-8(1998);Heid, Genome Res 6:986-94, 1996)。
【0211】
好ましい態様において、血管新生タンパク質、抗体、核酸、修飾されたタンパク質、及び天然又は修飾された血管新生タンパク質を含む細胞が、スクリーニング・アッセイに使用される。すなわち、本発明は、血管新生表現型を調節する組成物か、又は血管新生タンパク質の同定された生理学的な機能をスクリーニングする新規方法を提供する。前記のとおり、これは、個々の遺伝子レベルに対して、又は「遺伝子発現特性」に対する薬物候補の効果を評価することにより行われることができる。好ましい態様において、発現特性は、好ましくは候補物質による処理後の遺伝子発現特性についての観察を可能にする高速処理スクリーニング技術をと併せて使用される、Zlokarnik、前記を参照のこと。
【0212】
本明細書中で差異的に発現された遺伝子を同定する種々のアッセイが実行されうる。好ましい態様において、アッセイは、個々の遺伝子か又はタンパク質レベルに対して行なわれる。すなわち、血管新生において上方調整された特定の遺伝子が同定される試験化合物は、遺伝子発現を調節するための、又は血管新生タンパク質に結合するための能力をスクリーニングすることができる。よって、「調節」は、遺伝子発現の増加及び減少の両方を含む。好ましい量の調節は、少なくとも10%、好ましくは50%、より好ましくは100〜300%、そしてある態様においては300〜1000%超の変化をもつ、正常な組織対血管新生を受けた組織における遺伝子発現の最初の変化に依存する。このように、遺伝子が正常組織と比べての血管新生組織において4倍の増加を示すとき、約4倍の減少がしばしば望まれる;同様に、正常組織と比べて血管新生組織における10倍の減少は、試験化合物によって誘発される発現による10倍増の目標値をしばしば提供する。
【0213】
遺伝子発現の量は、核酸プローブを使って観察され、そして遺伝子発現レベル、あるいは遺伝子産物自体の定量は、例えば血管新生タンパク質に対する抗体及び標準的な免疫学的測定法の使用を通して観察されうる。プロテオミクス及び分離技術は、発現の定量化をも可能にするかもしれない。
【0214】
好ましい態様において、遺伝子発現又は多数の実体のタンパク質観察、すなわち発現特性が、同時に観察される。そのような特性は、本明細書中に記載される実体の多数に一般に関係する。
【0215】
この態様において、特定の細胞の血管新生配列の検出及び定量化のために、本明細書中で概説されるように血管新生核酸プローブをバイオチップに結合させる。あるいは、PCRが使用される。このように、一組の、例えばマイクロタイタープレートが、所望のウェル中に分配されたプライマーと一緒に使用されうる。次に、PCR反応が実施され、そして各々のウェルについて分析されうる。
【0216】
血管新生のモジュレータ
1以上の血管新生に関連する配列の発現を変更する化合物、例えば表1〜8に記載のポリヌクレオチド配列を同定するために、発現の観察を実施することができる。一般的に、好ましい態様において、試験モジュレータは、分析前に細胞に加えられる。しかも、スクリーンは、血管新生を調節する、血管新生タンパク質を調節する、血管新生タンパク質に結合する、あるいは血管新生タンパク質及び抗体又は他の結合パートナーの結合を妨げる物質を同定するために提供されもする。
【0217】
本明細書中に使用されるとき、「試験化合物」又は「薬物候補」又は「モジュレータ」又は文法的な同意語は、直接的に又は間接的に血管新生表現型、又は血管新生配列、例えば核酸又はタンパク質配列の発現を変更する能力を試験されるあらゆる分子、例えばタンパク質、オリゴペプチド、小さな有機分子、多糖、ポリヌクレオチドなどを説明する。好ましい態様において、モジュレータは、発現特性、あるいは本明細書中に提供された核酸又はタンパク質の発現特性を変更する。1の態様において、モジュレータは、例えば正常組織フィンガープリントに対する血管新生表現型を抑制する。他の態様において、モジュレータは、血管新生表現型を誘発した。一般に、多数の分析混合物を、様々な濃度に対する差異的な応答を得るために異なる物質濃度と平行して用いる。一般に、これらの濃度の1つが、陰性対照、すなわちゼロ濃度又は検出レベル以下としての役割を果たす。
【0218】
1の側面において、モジュレータは、血管新生タンパク質の効果を中和する。「中和」は、タンパク質の活性が抑制されるか又は妨げられて、それによって細胞に対して実質的に効果がないこと意味する。
【0219】
特定の態様において、可能性があるモジュレータの組み合わせライブラリーは、血管新生ポリペプチドに結合するか又は活性を調節する能力についてスクリーニングされる。従来、有用な性質をもつ新しい化学物質は、いくつかの望ましい性質か活性、例えば活性の抑制、リード化合物の変異体の作製、及びそれらの変異化合物の性質及び活性の評価を有する化合物(「リード化合物」と呼ばれる)を同定することによって生み出される。しばしば、高速処理スクリーニング(HTS)法がそのような分析のために使用される。
【0220】
1の好ましい態様において、高速処理スクリーニング法は、多数の可能性がある治療的化合物(候補化合物)を含むライブラリーを提供することを伴う。このような「組み合わせ化学物質ライブラリー」は、次に所望の独特の活性を表すそれらのライブラリーの構成員(特に化学種又はサブクラス)を同定するための1以上のアッセイによりスクリーニングされる。このように同定された化合物は、伝統的な「リード化合物」としての役割を果たすことができるか、又は可能性があるか実際に治療薬として使用できる。
【0221】
組み合わせ化学物質ライブラリーは、試薬のような多数の化学物質「ビルディング・ブロック」を結合することによって化学合成又は生物学的合成によって製造される様々な化合物の集合である。例えば、1次組み合わせ化学物質ライブラリー、例えばポリペプチド(例えば、ムテイン)ライブラリーは、与えられた化合物の長さ(すなわち、ポリペプチド化合物のアミノ酸の数)のためにあらゆる可能性のある方法による、アミノ酸と呼ばれる化学的ビルディング・ブロックのセットを結合することによって形成される。何百万もの化合物が、化学的なビルディング・ブロックのそのような結合の混合を通して合成されうる(Gallop et al., (1994)J. Med. Chem. 37(9):1233-1251)。
【0222】
組み合わせ化学物質ライブラリーの準備及びスクリーニングは、当業者に周知である。そのような組み合わせ化学物質ライブラリーは、これだけに制限されることなく、ペプチド・ライブラリー(例えば、米国特許番号第5,010,175号、Furka (1991) Int. J. Pept. Prot. Res., 37: 487-493, Houghton et al. (1991) Nature, 354: 84-88を参照のこと)、ペプチド(PCT公開番号第91/19735号、1991年12月26日)、コードされたペプチド(PCT公開番号第93/20242号、1993年10月14日)、ランダム・バイオ-オリゴマー(PCT公開番号第92/00091号、1992年1月9日)、ベンゾジアゼピン(米国特許番号第5,288,514号)、diversomers、例えばヒダントイン、ベンゾジアゼピン及びジペプチド(Hobbs et al., (1993) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 90: 6909-6913)、ビニロガス・ポリペプチド(Hagihara et al. (1992) J. Amer. Chem. Soc. 114: 6568)、ベータ-D-グルコース骨格をもつ非ペプチド・ペプチド模倣体(Hirschmann et al., (1992) J. Amer. Chem. Soc. 114: 9217-9218)、類似している有機合成小化合物ライブラリー(Chen et al. (1994) J. Amer. Chem. Soc. 116: 2661)、オリゴカルバメート(Cho, et al., (1993) Science 261:1303)、及び/又はペプチジル・ホスホネート(Campbell et al., (1994) J. Org. Chem. 59: 658)を含む。
【0223】
一般的にGordon et al., (1994) J. Med. Chem. 37:1385、核酸ライブラリー(例えば、Strategene, Corp.を参照のこと)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許番号第5,539,083号を参照のこと)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughn et al. (1996) Nature Biotechnology, 14(3): 309-314及びPCT/US96/10287を参照のこと)、炭水化物ライブラリー(例えばLiang et al, (1996) Science, 274: 1520-1522及び米国特許番号第5,593,853号を参照のこと)、並びに小有機分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum (1993) C&EN, Jan 18, 33ページ;イソプレノイド、米国特許番号第5,569,588号;チアゾリジノン及びメタチアゾノン、米国特許番号第5,549,974号;ピロリジン、米国特許番号第5,525,735号及び同第5,519,134号;モルフォリン化合物、米国特許番号第5,506,337号;ベンゾジアゼピン、米国特許番号第5,288,514号;など)を参照のこと。
【0224】
組み合わせライブラリーの準備のためのデバイスは、商業的に入手可能である(例えば、357MPS、390MPS、Advanced Chem Tech, Louisville KY, Symphony, Rainin, Woburn, MA, 433A Applied Biosystems, Foster City, CA, 9050 Plus, Millipore, Bedford, MA)。
【0225】
多数の周知のロボット・システムが、溶液相化学のために開発された。これらのシステムは、化学者によって実施される手作業による合成操作を真似る、武田薬品工業(日本、大阪)によって開発された自動化された合成装置のような自動化されたワークステーション、並びにロボット・アームを利用した多くのロボット・システム(Zymaten II, Zymark Corporation, Hopkinton, Mass.;Orca Hewlett-Packard, Polo Alto, Calif.)を含む。(もしあれば)前述のデバイスのいずれかが本発明による使用に好適である。それらが本明細書中で議論されるように作動できるような、性質及びこれらのデバイスに対する変更の実施は、当業者にとって明白である。さらに、多数の組み合わせライブラリー自身が商業的に入手可能である(例えばComGenex, Princeton, N.J., Asinex, Moscow, Ru, Tripos, Lie., St. Louis, MO, ChemStar, Ltd, Moscow, RU, 3D Pharmaceuticals, Exton, PA, Martek Biosciences, Columbia, MDなどを参照のこと)。
【0226】
モジュレータを同定するためのアッセイは、高速処理スクリーニングになじみやすい。よって、好ましいアッセイは、血管新生遺伝子転写の増大又は抑制、あるいはポリペプチド発現の増大又は抑制、及びポリペプチド活性の増大又は抑制を検出する。
【0227】
特定の核酸若しくはタンパク質産物の存在、不存在、定量化、又は他の性質に関する高速処理アッセイは、当業者に周知である。同様に、結合アッセイ及びリポーター遺伝子アッセイが、同じく周知である。このように、例えば、米国特許番号第5,559,410号は、タンパク質のための高速処理スクリーニング法を開示し、米国特許番号第5,585,639号は、核酸結合(すなわち、アレイ)のための高速処理スクリーニング法を開示し、一方で米国特許番号第5,576,220号及び同第5,541,061号は、リガンド/抗体結合のための高速処理スクリーニング法を開示する。
【0228】
さらに、高速処理スクリーニング・システムが商業的に入手可能である(例えばZymark Corp., Hopkinton, MA; Air Technical Industries, Mentor, OH; Beckman Instruments, Inc. Fullerton, CA; Precision Systems, Inc., Natick, MAなどを参照のこと)。一般に、これらのシステムは、全てのサンプル及び試薬のピペッティング、液体の分離、定期なインキュベート、アッセイに適当な検出器によるマイクロプレートの最終的な読み取りを含む全ての手順を自動化する。適合性のあるシステムは、高速処理及び迅速な始動、並びに自由度及びカスタマイズの高い程度を提供する。そのようなシステムの製造業者は、様々な高速処理システムについての詳細なプロトコールを提供する。このように、例えばZymark社は、遺伝子転写、リガンド結合などの調節を検出するためのスクリーニング・システムを説明する技術的な会報を提供する。
【0229】
1の態様において、モジュレータは、タンパク質、しばしば天然タンパク質か天然タンパク質の断片である。よって、例えばタンパク質を含む細胞抽出物又はタンパク性の細胞抽出物のランダムな又は定方向の消化物が使用されうる。この方法において、タンパク質のライブラリーが本発明の方法によるスクリーニングのために作製される。この態様で特異的に好ましいことは、細菌、カビ、ウイルス及び哺乳動物のタンパク質のライブラリーであり、後者が好ましく、ヒトのタンパク質が特に好ましい。特に有用な試験化合物は、ターゲットが属しているタンパク質のクラス、例えば酵素に関する基質又はリガンド及び受容体に向けられる。
【0230】
好ましい態様で、モジュレータは、約5〜約30のアミノ酸のペプチドであり、約5〜約20のアミノ酸のペプチドが好ましく、そして約7〜約15のアミノ酸のペプチドが特に好ましい。ペプチドは、先に概説したように、天然タンパク質の消化物、ランダム・ペプチド、又は「偏った」ランダム・ペプチドであるかもしれない。本明細書中で「ランダム化」又は文法上の同意語は、それぞれ本質的にランダムなヌクレオチド及びアミノ酸から成る各々の核酸及びペプチドを意味する。一般に、これらのランダム・ペプチド(又は以下で議論される核酸)は化学合成されるので、それらは、あらゆる位置であらゆるヌクレオチド又はアミノ酸を組み込まれる。合成過程は、配列の全長にわたり可能性のある組み合わせの全て又はそのほとんどを形成することができるようなランダム化されたタンパク質又は核酸を産生するように設計されることができ、それによりランダム化された候補生物活性タンパク性物質のライブラリーを形成する。
【0231】
1の態様において、ライブラリーは、完全にランダム化され、あらゆる位置においても配列の優先度又は定常性をもたない。好ましい態様において、ライブラリーは偏っている。すなわち、配列内のいくつかの位置が定常性をもつか、又は限られた数の可能性から選ばれるかのいずれかである。例えば、好ましい態様において、ヌクレオチド又はアミノ酸残基は、規定のクラス、例えば疎水性アミノ酸、親水性残基、立体的に偏った(小さいか又は大きな)残基、核酸結合ドメインの作製に関するもの、システインの作製に関するもの、架橋のためのもの、SH-3ドメインのためのプロリン、リン酸化部位などのためのセリン、スレオニン、チロシン又はヒスチジン、あるいはプリンなどの中でランダム化される。
【0232】
血管新生のモジュレータは、先に規定されるように核酸である。
おおむねタンパク質について先に記載のとおり、核酸調節物質は、天然核酸、ランダム核酸、又は「偏った」ランダム核酸である。タンパク質について先に概説したように、例えば原核生物又は真核生物のゲノムの消化物が使用されうる。
【0233】
好ましい態様において、候補者化合物は有機化合物部分であり、その幅広い種類が文献中で入手可能である。
【0234】
候補物質を添加し、そしてその細胞をある期間インキュベートした後、分析すべきターゲット配列を含むサンプルをバイオチップに添加する。必要とされれば、ターゲット配列は既知の技術を使って準備される。例えば、サンプルは、必要に応じて、既知の溶解バッファーを使って細胞を溶解するために、精製及び/又はPCRの実施ような増幅を伴う電気穿孔法などのために処理される。例えば、ヌクレオチドに共有結合させたラベルを伴うインビトロ転写が実施される。一般的に、核酸は、ビオチン-FITC若しくはPE、又はcy3若しくはcy5で標識される。
【0235】
好ましい態様において、ターゲット配列は、プローブへのターゲット配列の特異的な結合を検出する手段を提供するために、例えば蛍光、化学発光、化学薬品、又は放射性シグナルにより標識される。ラベルは、適当な基質を提供された場合、検出可能な産物を産生する酵素例えばアルカリホスファターゼ又はセイヨウワサビ・ペルオキシダーゼでもある。ラベルは、標識化合物又は小さい分子、例えば結合するが酵素によって触媒されたり又は変化させられたりしない酵素阻害物質である。ラベルは、部分又は化合物、例えばエピトープ・タグ、又はストレプトアビジンに特異的に結合するビオチンでもある。ビオチンの例について、ストレプトアビジンは、先に記載のとおり標識され、それにより結合したターゲット配列についての検出可能なシグナルを提供する。結合しなかった標識ストレプトアビジンは、一般に分析より前に取り除かれる。
【0236】
当業者に理解されるとおり、これらのアッセイは、直接的なハイブリダイゼーション・アッセイであるか、あるいは一般に米国特許番号第5,681,702号、同第5,597,909号、同第5,545,730号、同第5.594.117号、同第5,591,584号、同第5,571,670号、同第5,580,731号、同第5,571,670号、同第5,591,584号、同第5,624,802号、同第5,635,352号、同第5.594.118号、同第5,359,100号、同第5,124,246号、及び同第5,681,697号で概説されるように、複数のプローブの使用を含むサンドイッチ・アッセイを含む可能性があり、上記文献を本明細書中に援用する。この態様において、一般的に、ターゲット核酸は、先に概説されるように準備され、そしてハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にする条件下、多数の核酸プローブを含むバイオチップに添加される。
【0237】
先に概説されるように、高い、中程度、及び低いストリンジェント条件を含む種々のハイブリダイゼーション条件が本発明で使用されうる。アッセイは、一般にそれがターゲットの存在下のみでラベル・プローブのハイブリダイゼーション複合体の形成が可能であるストリンジェント条件下で行なわれる。ストリンジェントさは、ステップ・パラメーター、すなわちこれだけに制限されることなく、温度、ホルムアミド濃度、塩濃度、カオトロピック塩濃度、pH、有機溶剤濃度などを含めた熱力学変数を変更することによって制御されうる。
【0238】
これらのパラメーターは、おおむね米国特許番号第5,681,697号に概説されるように、非特異的な結合を制御するために使用されうる。このように、非特異的な結合を減少させるために、より高いストリンジェント条件の特定のステップを実施することが望ましい。
【0239】
ここに概説された反応は、種々の方法で達成される。反応の構成要素は、異なる順序で同時又は連続して加えられ、そして好ましい態様は以下に概説される。さらに、反応は、種々の他の試薬を含むかもしれない。これらは、最適のハイブリダイゼーション及び検出を促進するために、及び/又は非特異的な又はバックグラウンドの相互作用を減少させるために使用されうる塩、緩衝物質、中性タンパク質、例えばアルブミン、界面活性剤などを含む。それ以外の、アッセイの効率を改善する試薬、例えばプロテアーゼ阻害物質、ヌクレアーゼ阻害物質、抗微生物剤などが、サンプル調製法及びターゲットの純度に依存して適宜使用されもする。
【0240】
アッセイデータは、遺伝子発現特性を形成する個々の遺伝子の発現レベル、及び状態間のような発現レベルの変化を同定するために分析される。
【0241】
スクリーンは、血管新生表現型のモジュレータを同定するために実施される。1の態様において、スクリーニングは、特定の発現特性を誘発するか又は抑制することができる、従って、好ましくは関連する表現型を生じるモジュレータを同定するために実施される。他の態様において、例えば特定の状態において重要な差別的に発現された遺伝子を同定している診断上の適用のために、スクリーンは、個々の遺伝子の発現を変更するモジュレータを同定するために実施されうる。他の態様において、スクリーニングは、差別的に発現された遺伝子の発現産物の生物学的機能を変更するモジュレータを同定するために実施される。同様に、特定の症状における遺伝子の重要性を同定しているスクリーンは、遺伝子産物に結合し、及び/又はその生物活性を調節する物質を同定するために実施される。
【0242】
さらに、スクリーニングは、候補物質に対する応答を誘発する遺伝子について行われうる。正常な発現パターンに通じる血管新生発現パターンを抑制する、又は正常組織からの遺伝子の発現を真似るような1つの血管新生遺伝子発現特性を調節するその能力に基づいてモジュレータを同定した後、先に記載されたスクリーンが、物質に対して特異的に調節される遺伝子を同定するために実施される。正常組織と前記物質で処理した血管新生組織の間の発現特性を比較は、正常組織又は血管新生組織で発現されないが、上記物質で処理した組織で発現される遺伝子を明らかにする。これらの物質特異的配列は、同定されて、そして血管新生遺伝子又はタンパク質のために本明細書中に記載の方法によって使用されることができる。特にこれらの配列とそれらがコードするタンパク質は、物質で処理された細胞の標識又は同定における使用が見出される。さらに、抗体はタンパク質を誘発する物質に対して産生され、処理された血管新生組織サンプルに対する新規治療薬を狙うために使用できる。
【0243】
このように、1の態様において、試験化合物は、血管新生発現特性に関連する血管新生細胞の集団に投与される。本明細書中で「投与」又は「接触」は、候補物質が、摂取及び細胞内の作用又は細胞表面での作用によるかに係わらず、細胞に作用することを物質に可能にさせる様式で細胞に添加されることを意味する。いくつかの態様において、タンパク性物質(すなわち、ペプチド)をコードする核酸は、ウイルス構成物、例えばアデノウイルス又はレトロウイルス構成物に取り込まれ、そしてペプチド物質の発現が達成されるように細胞に添加される、例えばPCT US 97/01019。調節可能な遺伝子治療システムをも使用することができる。
【0244】
試験化合物を細胞に投与するとすぐに、その細胞を、所望であれば洗浄することができ、そしてある期間、好ましくは生理学的な条件下でインキュベートする。次に、本明細書中に概説されるように、その細胞を採取し、そして新しい遺伝子発現特性が生み出される。
【0245】
このように、例えば血管新生組織は、調節、例えば血管新生表現型を誘発するか又は抑制する物質についてスクリーニングされる。少なくとも1の、好ましくは多数の遺伝子の発現特性の変化が、物質が血管新生活性に対する効果をもつことを示す。血管新生表現型に関してそのようなサインを規定することによって、表現型を変更する新薬のためのスクリーンが考案されうる。このアプローチにより、薬物ターゲットは、塩基でなくてもよくて、そして当初のスクリーニング・プラットフォームで表されなくてもよくて、またターゲット・タンパク質について転写レベルが変化する必要がない。
【0246】
血管新生ポリペプチド活性、又は血管新生若しくは血管新生表現型の計測は、種々のアッセイを使って実施されうる。例えば、血管新生ポリペプチドの機能に対する試験化合物の効果は、先に記載のパラメーターを検査することによって計測されうる。活性に影響する好適な生理学的な変化は、本願発明のポリペプチドに対する試験化合物の影響を評価するために使用できる。機能的な影響がも完全な細胞又は動物を使って測定される場合、当業者は、様々な効果、例えば血管新生が腫瘍に関係している場合に腫瘍成長、新血管形成、ホルモン放出、既知と特徴づけされていない遺伝標識の両者の転写の変化(例えばノーザンブロット)、細胞代謝の変化、例えば細胞成長若しくはpH変化、及び細胞内セカンドメッセンジャー、例えばcGMPの変化を計測することもできる。本発明のアッセイにおいて、哺乳動物、例えばマウス、好ましくはヒトの血管新生ポリペプチドが一般に使用される。
【0247】
種々の血管新生アッセイが当業者に知られる。血管新生を評価するために様々なモデルが利用された(例えば、Croix et al., Science 289:1197-1202, 2000及びKahn et al., Amer. J. Pathol. 156:1887-1900)。例えば、血管新生の、可能性があるモジュレータの存在下での血管新生の評価は、細胞培養に基づく血管新生アッセイ、例えば内皮細胞管形成アッセイ、並びに他のバイオアッセイ、例えばニワトリCAMアッセイ、マウス角膜アッセイ、及び移植した腫瘍に対する可能性があるモジュレータの投与の効果を計測するアッセイを使って実施されうる。ニワトリCAMアッセイは、O'Reilly, et al., Cell 79:315-328, 1994に記載される。
【0248】
具体的には、完全な卵黄をもつ生後3日の鶏胚を、卵から分離し、そしてペトリ皿に移す。3日間のインキュベーション後に、試験されるタンパク質を含むメチルセルロース・ディスクを、個々の胚のCAMに適用する。約48時間のインキュベーションの後に、胚及びCAMを観察し、内皮細胞の成長が抑制されたかどうかを判断する。マウス角膜アッセイは、疑われる内皮細胞増殖阻害物質を含む他のペレット剤と一緒に増殖因子を含むペレットをマウスの角膜に移植し、角膜で合成される毛細血管のパターンを観察することを伴う。血管新生は、腫瘍の新血管形成の広がりを測定することによっても計測することができる。例えば、癌細胞を、胸腺欠損ヌードマウスに皮下接種して、そして腫瘍成長を観察することができる。癌細胞は、血管新生阻害物質、例えば抗体、又は外来のものとして投与される他の化合物により処理されるか、あるいは血管新生のポリヌクレオチド阻害物質により接種以前に形質転換される。内皮細胞に特異的な抗体を使った免疫学的測定法が、腫瘍の血管新生及び腫瘍内の血管の数を染色するために一般に使用される。
【0249】
調節活性をもつ化合物を同定するためのアッセイは、インビトロで実施されうる。例えば、血管新生ポリペプチドを、最初に可能性があるモジュレータと接触させて、好適な期間、例えば0.5〜48時間インキュベートする。1の態様において、血管新生ポリペプチド・レベルは、タンパク質又はmRNAのレベルを計測することによってインビトロで測定される。タンパク質のレベルは、血管新生ポリペプチド又はその断片に選択的に結合する抗体を用いたウエスタンブロッティング、ELISAなどの免疫学的測定法を使って計測される。mRNAの測定のために、例えばPCR、LCRを使った増幅、又はハイブリダイゼーション・アッセイ、例えばノーザン・ハイブリダイゼーション、RNAseプロテクション又はドット・ブロット・アッセイが好ましい。タンパク質又はmRNAのレベルは、本明細書中に記載されるように、直接的又は間接的に標識された検出剤、例えば蛍光若しくは放射性ラベルされた核酸、又は放射性若しくは酵素的にラベルされた抗体などを使って検出される。
【0250】
あるいは、リポーター遺伝子システムは、リポーター遺伝子、例えばルシフェラーゼ、緑色蛍光性タンパク質、CAT又はβ-galに使用できるように連結した血管新生タンパク質プロモーターを使って考え出されうる。リポーター構築物は、一般に細胞内にトランスフェクトされる。可能性があるモジュレータにより処理した後に、リポーター遺伝子の転写、翻訳又は活性の量を、当業者に知られた標準的な技術に従って計測する。
【0251】
好ましい態様において、先に概説されたとおり、スクリーンは、個々の遺伝子及び遺伝子産物(タンパク質)について行われる。すなわち、特定の状態において重要な特定の差別的に発現された遺伝子を同定する、遺伝子の発現のモジュレータ又は遺伝子産物自体のスクリーニングが行われうる。差別的に発現された遺伝子の遺伝子産物は、本明細書中で「血管新生タンパク質」と呼ばれることもある。好ましい態様において、血管新生タンパク質は、表8に示された配列を含む。血管新生タンパク質は、断片であるか、又は本明細書中に示された断片に対する完全長のタンパク質であるかもしれない。
【0252】
好ましくは、血管新生タンパク質は約14〜24のアミノ酸の長さの断片であっる。より好ましくは、前記断片は可溶性断片である。1の態様において、血管新生タンパク質は、免疫原性剤又はBSAと共役するか又は融合する。
【0253】
1の態様において、特定の遺伝子の発現のモジュレータに関するスクリーニングが実施される。一般に、1つだけ又はいくつかの遺伝子の発現が評価される。他の態様において、スクリーンは、まず差別的に発現されたタンパク質に結合する化合物を発見するように設計される。次に、これらの化合物を、差別的に発現された活性を調節する能力について評価する。しかも、いったん最初の候補化合物が同定されれば、構造活性相関をさらに評価するために、変異体がさらにスクリーニングされる可能性がある。
【0254】
好ましい態様において、結合アッセイが行われる。一般的に、精製されるか又は単離された遺伝子産物が使用される;すなわち、1以上の差別的に発現された核酸の遺伝子産物が作製される。例えば、抗体は、遺伝子産物のタンパク質に対して産生され、標準的な免疫学的測定法が存在するタンパク質の量を測定するために行なわれる。あるいは、血管新生タンパク質を含む細胞をアッセイに使用しうる。
【0255】
このように、好ましい態様において、方法は、血管新生タンパク質と候補化合物とを混合し、そして血管新生タンパク質への化合物の結合を測定することを含む。好ましい態様において、ヒト血管新生タンパク質又は他の哺乳動物のタンパク質の利用は、例えばヒトの病気に関する動物モデルの開発のために使用されもする。いくつかの態様において、本明細書中に概説されたとおり、血管新生タンパク質の変異体又は誘導体が使用されうる。
【0256】
一般的に、本明細書中の方法の好ましい態様において、血管新生タンパク質又は候補物質を、独立したサンプル受け入れ領域(例えば、マイクロタイタープレート、アレイなど)を有する不溶性支持体に拡散しないように結合させる。不溶性支持体は、組成物が結合されうるあらゆる組成物で作製され、可溶性物質から容易に分離され、そうでなければスクリーニングの総合評定法に適合する。そのような支持体の表面は、固体又は多孔質であり、そしてあらゆる好都合な形状である。好適な不溶性支持体の例は、マイクロタイタープレート、アレイ、膜、及びビーズを含む。これらは、一般にガラス、プラスチック(例えば、ポリスチレン)、多糖、ナイロン樹脂、又はニトロセルロース、テフロン(商標)などで作られる。わずかな試薬とサンプルを使った多数のアッセイを同時に実行することができるので、マイクロタイタープレート及びアレイが特に好都合である。それが本発明の試薬及び総合評定法と適用し、組成物の活性を維持し、そして拡散することがない限り、組成物の結合における特定の様式は重要ではない。結合の好ましい方法は、抗体の使用、(タンパク質が支持体に結合するときに、リガンド結合領域又は活性化配列を立体的に妨げない)「粘着」又はイオン性の支持体への直接的な結合、化学的架橋、表面上でのタンパク質又は物質の合成などを含む。タンパク質又は物質の結合に続いて、過剰の結合していない物質を洗浄によって取り除く。次に、サンプル受け入れ領域を、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン若しくは他の無害なタンパク質、又は他の部分と一緒にインキュベーションしてブロックする。
【0257】
好ましい態様において、血管新生タンパク質を支持体に結合させて、試験化合物をアッセイに加える。あるいは、候補物質を支持体に結合させて、血管新生タンパク質を加える。新規結合物質は、特異的な抗体、化学物質ライブラリーのスクリーンにより同定された非自然の結合物質、ペプチド相似体などを含む。特に関心があるものは、ヒト細胞に低い毒性しかもたない物質に関するスクリーニング・アッセイである。標識されたインビトロでのタンパク質-タンパク質結合アッセイ、電気泳動移動度シフト・アッセイ、タンパク質結合についての免疫学的測定法、機能アッセイ(リン酸化アッセイなど)などを含む幅広い種類のアッセイがこの目的のために使用されうる。
【0258】
血管新生タンパク質に対する試験調節化合物の結合の測定は、多数の方法で行われる。好ましい態様において、化合物を、標識し、そして例えば、全て又は一部の血管新生タンパク質を固体支持体に結合させ、標識した候補物質(例えば、蛍光性ラベル)を加え、過剰な試薬を洗い流し、そしてラベルが固体支持体上に存在するか否かを測定することにより結合を直接的に測定する。必要に応じて、様々なブロッキング及び洗浄ステップが利用される。
【0259】
本明細書中で「標識された」は、化合物が直接的に又は間接的に、検出可能なシグナルを提供するラベル、例えば放射性同位要素、螢光剤、酵素、抗体、磁性粒子にような粒子、化学発光剤又は特異的結合分子などで標識されることを意味する。特異的な結合分子は、ビオチンとストレプトアビジン、ジゴキシンと抗ジゴキシンなどのペアを含む。特異的な結合の構成員について、先に概説のとおり、相補的な構成員は既知の手順に従って検出をもたらす分子により通常標識される。ラベルは、直接的に又は間接的に検出可能なシグナルを提供することができる。
【0260】
いくつかの態様において、成分の1つのみが標識される、例えば、タンパク質(又はタンパク性の候補化合物)が標識されうる。あるいは、1以上の成分が異なるラベルにより標識されうる、例えばタンパク質について125Iそして化合物についてフルオロフォア。プロキシミティ試薬(proximity reagents)、例えばクエンチング又はエネルギー転移試薬が有用でもある。
【0261】
1の態様において、試験化合物の結合は、競合的結合アッセイで測定される。競合物質は、ターゲット分子(すなわち、血管新生タンパク質)に結合することが知られている結合部分、例えば抗体、ペプチド、結合パートナー、リガンドなどである。特定の状況下において、結合部分が化合物を置換する、化合物と結合部分の競合的な結合がある。1の態様において、試験化合物が標識される。存在する場合には、結合をするのに十分な期間、化合物又は競合物質、あるいはその両方がタンパク質にまず加えられる。インキュベーションが最適な活性をみたらす温度、一般に4〜40℃で実施されうる。インキュベーション期間は、例えば、迅速な高速処理スクリーニングを容易にするために一般に最適化される。一般に、0.1〜1時間で十分である。過剰試薬は、一般に取り除かれるか又は洗い流される。次に第2成分が加えられて、結合を示すための標識された成分の存在又は不存在が追跡される。
【0262】
好ましい態様において、競合物質が、まず加えられ、続いて試験化合物が加えられる。競合物質の置換は、試験化合物が血管新生タンパク質に結合していること、そしてそれにより結合、及び血管新生タンパク質の活性の可能性がある調節が可能であることを示す。この態様において、いずれの成分も標識されうる。このように、例えば競合物質が標識された場合、洗浄溶液中のラベルの存在は物質による置換を示す。あるいは、試験化合物が標識された場合、支持体の上のラベルの存在が置換を示す。
【0263】
代わりの態様において、試験化合物が、まずインキュベーションと洗浄を伴って加えられ、続いて競合物質を加える。競合物質による結合の不存在は、試験化合物がより高い親和性で血管新生タンパク質に結合していることを示す。よって、試験化合物が標識された場合、競合物質の結合の喪失と併せて、支持体上のラベルの存在は試験化合物が血管新生タンパク質に結合ができることを示す。
【0264】
好ましい態様において、方法は、血管新生タンパク質の活性を調節することができる物質を同定するための差異的なスクリーニングを含む。この態様において、方法は、血管新生タンパク質と最初のサンプル中の競合物質との混合を含む。第2のサンプルは、試験化合物、血管新生タンパク質及び競合物質を含む。競合物質の結合は、両サンプルについて測定されて、そして2つのサンプル間の結合の変化又は相違は、血管新生タンパク質に結合ができて、もしかするとその活性を調節する物質の存在を示す。すなわち、競合物質の結合が最初のサンプルに比べ第2のサンプルで異なれば、その物質は血管新生タンパク質に結合することができる。
【0265】
あるいは、天然の血管新生タンパク質に結合するが、しかし修飾された血管新生タンパク質に結合できない薬物候補を同定するために差異的なスクリーニングが使用される。血管新生タンパク質の構造は、モデル化され、その部位と相互作用する物質を合成するための合理的なドラッグデザインに使用されうる。血管新生タンパク質の活性に影響する薬物候補は、タンパク質の活性を高めるか又は減少させる能力についての薬物のスクリーニングによっても同定される。
【0266】
正の対照と負の対照がアッセイで使用される。好ましい対照及び試験サンプルは、統計的に有意な結果を得るために少なくとも3つ組で実施される。全てのサンプルのインキュベーションは、タンパク質に物質が結合するのに十分な期間である。インキュベーションに続いて、サンプルは、非特異的に結合した物質を除くために洗浄され、そして結合の量、一般に標識された物質の量が測定される。例えば、放射性ラベルが利用された場合、サンプルは、シンチレーションカウンターでカウントされて、結合した化合物の量が測定される。
【0267】
種々の他の試薬が、スクリーニング・アッセイに含まれる。これらは、最適なタンパク質-タンパク質結合をもたらし、及び/又は非特異的な若しくはバックグラウンド相互作用を減少させるために使用される試薬、例えば塩、中性タンパク質、例えばアルブミン、界面活性剤など含む。同様に、それ以外にアッセイの効率を改善する試薬、例えばプロテアーゼ阻害物質、ヌクレアーゼ阻害物質、抗微生物剤なども使用されうる。成分の混合物は、必要な結合を提供する順序で加えられる。
【0268】
好ましい態様において、本発明は、血管新生タンパク質の活性を調節することができる化合物のスクリーニング方法を提供する。この方法は、先に規定される試験化合物を、血管新生タンパク質を含む細胞に加えることを含む。好ましい細胞タイプは、ほぼ全ての細胞を含む。細胞は、血管新生タンパク質をコードする組み換え核酸を含む。好ましい態様において、候補物質のライブラリーは、複数の細胞で試験される。
【0269】
1の側面において、アッセイは、生理学的なシグナル、例えばホルモン、抗体、ペプチド、抗原、サイトカイン、増殖因子、活動電位、化学療法薬、放射性物質、発癌性物質又は他の細胞(すなわち、細胞-細胞接触)を含む薬物の存在又は不存在、あるいはそれへのこれまでの又は引き続く暴露の状態で評価される。他の態様において、測定は、細胞周期過程の異なる段階で測定される。
【0270】
当該方法において、血管新生物質を調節する化合物が同定される。薬理活性をもつ化合物は、血管新生タンパク質の活性を妨げるか又は高めるかことできる。いったん同定されれば、類似した構造が、化合物の極めて重要な構造的特徴を同定するために評価される。
【0271】
1の態様において、血管新生細胞の分裂を抑制する方法が提供される。この方法は、血管新生阻害物質の投与を含む。他の態様において、血管新生を抑制する方法が提供される。この方法は、血管新生阻害物質の投与を含む。さらなる態様において、血管新生に冒された細胞又は個体を治療する方法を提供する。この方法は、血管新生阻害物質の投与を含む。
【0272】
1の態様において、血管新生阻害物質は、先に議論されるように抗体である。他の態様において、血管新生阻害物質は、アンチセンス分子である。
【0273】
血管新生のポリヌクレオチド・モジュレータ
アンチセンス・ポリヌクレオチド
ある態様において、血管新生に関連するタンパク質の活性は、アンチセンス・ポリヌクレオチド、すなわちコード化mRNA核酸配列、例えば血管新生タンパク質mRNA若しくはそのサブシークエンス核酸に、相補的、かつ、好ましくは特異的にそれにハイブリダイズする核酸の使用により下方調節されるか、又は完全に抑制される。mRNAへのアンチセンス・ポリヌクレオチドの結合は、翻訳及び/又はmRNAの安定性を減少させる。
【0274】
本願発明との関係において、アンチセンス・ポリヌクレオチドは、天然のヌクレオチド又は天然サブユニットから形成された合成種、あるいはそれらの原物に非常に近い同族体を含む。アンチセンス・ポリヌクレオチドは、糖部分又は糖間結合を変更するかもしれない。これらの間の典型的なものは、ホスホロチオエート及び本技術分野での使用について知られている種を含む他の硫黄である。相似体は、それらが血管新生タンパク質mRNAにハイブリダイズするために効果的に機能する限り、本願発明に包含される。例えば、Isis Pharmaceuticals, Carlsbad, CA; Sequitor, Inc., Natick, MAを参照のこと。
【0275】
そのようなアンチセンス・ポリヌクレオチドが、組み換え手段を使って容易に合成されるか又はインビトロで合成されうる。そのような合成のための装置が、Applied Biosystemsを含めたいくつかの販売業者によって販売されている。他のオリゴヌクレオチド、例えばホスホロチオエート及びアルキル化された誘導体の準備は、当業者に周知でもある。
【0276】
本明細書中に使用されるとき、アンチセンス分子は、アンチセンス又はセンス・オリゴヌクレオチドを含む。センス・オリゴヌクレオチドは、、例えばアンチセンス鎖に結合することによって、転写のブロックに利用される。アンチセンス及びセンス・オリゴヌクレオチドは、血管新生分子に関するターゲットmRNA(センス)若しくはDNA(アンチセンス)配列に結合することができる1本鎖核酸配列(RNA又はDNAのいずれか)を含む。好ましいアンチセンス分子は、表1〜8の血管新生配列に対するか、又はそのリガンド若しくは活性化物質に対するものである。本発明によるアンチセンス又はセンス・オリゴヌクレオチドは、一般に少なくとも14のヌクレオチド、好ましくは約14〜30のヌクレオチドの断片を含む。与えられたタンパク質をコードするcDNA配列に基づくアンチセンス又はセンス・オリゴヌクレオチドを得る能力は、例えばStein and Cohen (Cancer Res. 48:2659, 1988)及びvan der Krol et al. (BioTechniques 6:958,1988)に記載される。
【0277】
リボザイム
アンチセンス・ポリヌクレオチドに加えて、リボザイムを血管新生に関連するヌクレオチド配列の転写をターゲッティングし、抑制するために使用することができる。リボザイムは、他のRNA分子を触媒作用により解裂するRNA分子である。グループIリボザイム、ハンマーヘッド型リボザイム、ヘアピン型リボザイム、RNaseP及びアックスヘッド型リボザイムを含む異なる種類のリボザイムが記載されている(例えば、Castanotto et al. (1994) Adv. in Pharmacology 25: 289-317 for a general review of the properties of different ribozymesを参照のこと)。
【0278】
ヘアピン型リボザイムの全般的な特徴は、例えばHampel et al. (1990) Nud. Adds Res. 18: 299-304; Hampel et al. (1990) European Patent Publication No. 0 360 257; U.S. Patent No. 5,254,678に記載されている。調製方法は、当業者に周知である(例えばWong-Staal et al, WO 94/26877; Ojwang et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6340-6344; Yamadae* al. (1994) Human Gene Therapy 1: 39-45; Leavitt et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 699-703; Leavitt et al. (1994) Human Gene Therapy 5: 1151-120;及びYamada et al. (1994) Virology 205:121-126を参照のこと)。
【0279】
血管新生のポリヌクレオチド・モジュレータは、WO91/04753に記載されるようなリガンド結合分子と結合を形成することによりターゲット・ヌクレオチド配列を含む細胞内に導入されうる。好適なリガンド結合分子は、これだけに制限されることなく、細胞表面受容体、増殖因子、他のサイトカイン、又は細胞細胞表面受容体に結合する他のリガンドを含む。好ましくは、リガンドの結合分子の結合は、その対応する分子又は受容体に結合するリガンド結合分子の能力を実質的に妨げず、あるいは細胞内へのセンス若しくはアンチセンス・オリゴヌクレオチド又はその結合変異型の移行を阻まない。あるいは、血管新生のポリヌクレオチド・モジュレータは、例えばWO90/10448で記載のようにポリヌクレオチド-脂質複合体の形成によりターゲット核酸配列を含む細胞内に導入されうる。アンチセンス分子又はノックアウト及びノックインモデルの使用が、治療法に加えて、先に議論されるスクリーニング・アッセイでも使用されることは理解される。
【0280】
このように、1の態様において、細胞又は生物において血管新生を調節する方法が提供される。1の態様において、この方法は、内因性の血管新生タンパク質の生物活性を減少させるか又は除く抗血管新生抗体を細胞に投与することを含む。あるいは、この方法は、血管新生タンパク質をコードする組み換え核酸を細胞又は生物に投与することを含む。これは、多数の方法により達成されうる。好ましい態様において、例えば、血管新生の状態で血管新生配列が下方調節されている場合、そのような状態は、細胞内の血管新生遺伝子産物の量が増加することによって逆転させうる。これは、例えば内因性の血管新生遺伝子を過剰発現させるか、又は、例えば既知の遺伝子治療技術を使って血管新生配列をコードしている遺伝子を投与することによって達成されうる。好ましい態様において、遺伝子治療技術は、例えばPCT/US93/03868に記載されるような強化相同組み換え(EHR)を使った外来遺伝子の取り込みを含む、上記文献の全体を本明細書中に援用する。あるいは、例えば血管新生の状態で血管新生配列が上方調節される場合、内因性の血管新生遺伝子の活性は、例えば血管新生アンチセンス核酸又はRNAiのような他の阻害物質の投与によって下げられる。
【0281】
1の態様において、本発明の血管新生タンパク質は、血管新生タンパク質に対するポリクローナル及びモノクローナル抗体を産生するために使用されるかもしれない。同様に、血管新生タンパク質を、標準的な技術を使ってアフィニティークロマトグラフィーカラムに結合させる。そして、これらのカラムは、製造、診断又は治療の目的に有用である血管新生抗体の精製に使用される。好ましい態様において、抗体は、血管新生タンパク質に特有なエピトープに対して産生される;すなわち、抗体は、他のタンパク質に対してわずかか又は少ししか交差反応を示さない。血管新生抗体を、標準的なアフィニティークロマトグファフィーカラムに結合させ、そして血管新生タンパク質を精製するために使用される。抗体は、それらが血管新生タンパク質に特異的に結合するので、先に概説されるようにポリペプチドのブロッキングとして使用されもする。
【0282】
血管新生に関連する配列の変異体を同定する方法
理論に縛られることなく、様々な血管新生配列の発現が血管新生と関連している。それ故に、血管新生遺伝子の突然変異体又は変異体に基づく障害が測定されうる。1の態様において、本発明は、血管新生遺伝子の変異を含む細胞を同定するための、例えば細胞内の少なくとも1つの内因性の血管新生遺伝子配列の全部又は一部を測定する方法を提供する。これは、多数の配列技術を使って達成される。好ましい態様において、本発明は、個体の血管新生遺伝子型の同定方法、例えば個体の少なくとも1つの血管新生遺伝子の配列の全部又は一部の測定を提供する。これは、一般に個体の少なくとも1つの組織で行われ、そして多数の組織又は同じ組織の異なるサンプルについての評価を含むかもしれない。この方法は、配列決定された血管新生遺伝子の配列と既知の血管新生遺伝子、すなわち野生型遺伝子とを比較することを含むかもしれない。
【0283】
そして、血管新生遺伝子の全部又は一部の配列は、どんな相違が存在するかどうかを判断するために、既知の血管新生遺伝子の配列と比較されうる。これは、多数の既知の相同性プログラム、例えばBestfitなどを使って行われうる。好ましい態様において、患者の血管新生遺伝子と既知の血管新生遺伝子の間の配列の相違の存在は、本明細書中に概説したとおり、病気の状態又は病気の状態の傾向と相互関係のある。
【0284】
好ましい態様において、血管新生遺伝子は、ゲノム中の血管新生遺伝子のコピー数を測定するためのプローブとして使用される。
【0285】
他の好ましい態様において、血管新生遺伝子は、血管新生遺伝子の染色体上の局在を決定するためのプローブとして使用される。特に染色体異常、例えば転座などが血管新生遺伝子座で同定されるとき、染色体上の局在のような情報の診断又は予後診断を提供することへの使用が見出される。
【0286】
医薬及びワクチン組成物の投与
1の態様において、血管新生タンパク質又はそのモジュレータ−の治療としの有効な投与量が患者に投与される。本明細書中で「治療として有効な服用量」は、投与されて効果を引き起こす服用量を意味する。的確な投与量は、治療の目的に依存し、そして既知の技術を使って当業者により確かめられる(例えば、Ansel et al., Pharmaceuitcal Dosage Forms and Drug Delivery, Lippincott, Williams & Wilkins Publishers, ISBN:0683305727; Lieberman (1992) Pharmaceutical Dosage Forms (vols. 1-3), Dekker, ISBN 0824770846, 082476918X, 0824712692,0824716981; Lloyd (1999) The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding, Amer. Pharmacutical Assn, ISBN 0917330889;及びPickar (1999) Dosage Calculations, Delmar Pub, ISBN 0766805042)。本技術分野で知られるように、血管新生の低下の調整、全身的なデリバリーに対する局所的なデリバリー及び新しいプロテアーゼの合成速度、並びに年齢、体重、全身的な健康状態、性別、食事、投与の時間、薬物の相互作用及び症状の重さが必要であり、当業者によるルーチンの実験により確かめられる。
【0287】
本発明の目的のために、「患者」は、ヒト及び他の動物の両方、特に哺乳動物を含む。このように方法は、ヒトの治療及び獣医学の適用にも適用できる。好ましい態様において、患者は哺乳動物、好ましくは霊長類、そして最も好ましい態様において、患者はヒトである。
【0288】
本発明の血管新生タンパク質及びそのモジュレータの投与は、先に議論されるように、これだけに制限されることなく、経口、皮下、静中、鼻腔内、経皮、腹腔内、筋中、肺中、経膣、経腸又は眼内を含む種々の方法で行われうる。いくつかの例において、例えば外傷及び炎症の治療において、血管新生タンパク質及びモジュレータは溶液又は噴霧剤として直接的に適用される。
【0289】
本発明の医薬組成物は、患者への投与に好適な形態で血管新生タンパク質を含む。好ましい態様において、医薬組成物は、例えば酸及び塩基の付加塩の両者を含むことを意味する医薬として許容される塩として存在する水溶性の形態である。
【0290】
「医薬として許容される酸性の付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性を保ち、そしてそれは、生物学的又はそれ以外に好ましく、無機酸、例えば塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、及び有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などにより形成される塩を表す。「医薬としてに許容される塩基性付加塩」は、無機塩基、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩など由来のものを含む。特に好ましいものは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、及びマグネシウム塩である。医薬として許容される有機無毒性塩基由来の塩は、1級、2級及び3級アミン、天然の置換されたアミン、環状アミン及び塩基イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン及びエタノールアミンを含む置換されたアミンの塩を含む。
【0291】
医薬組成物は、以下の:血清アルブミンのようなキャリア・タンパク質;緩衝物質;微細結晶性セルロース、ラクトース及びコーンスターチのような増量剤;結合剤;甘味料及び他の調味料;着色料;並びにポリエチレングリコールの1以上をも含むかもしれない。
【0292】
医薬組成物は、投与方法に依存して種々の単位用量形態で投与されうる。例えば、経口投与に好適な単位用量形態は、これだけに制限されることなく、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤及びロゼンジを含む。経口投与されるとき、血管新生タンパク質モジュレータ(例えば、抗体、アンチセンス構築物、リボザイム、小さい有機分子など)は、消化から保護されるべきであることは認識されている。これは、酸及び酸素による加水分解に対するその抵抗力を与えるための組成をもつ分子を組み合わせることによるか、又はリポソーム又は防護バリアのように適当に抵抗性の担体中に分子を包み込むことによって一般に達成される。消化からの保護物質に関する手段は、本技術分野で周知である。
【0293】
投与のための組成物は、医薬としてに許容される担体、好ましくは水性担体中に溶解された血管新生タンパク質モジュレータを一般に含む。種々の水性担体は、例えば緩衝化した食塩液などを使用することができる。これらの溶液は無菌で、望ましくない物質を一般に含まない。これらの組成物は、慣習の、周知の殺菌技術によって殺菌されうる。組成物は、生理学的な条件に近づける必要があるとき医薬として許容される補助物質、例えばpH調節及び緩衝化物質、毒性調節物質など、例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどを含むかもしれない。これらの組成物中の活性化物質の濃度は、幅広く変化する可能性があり、選択された投与の特定のモデル、及び患者の必要性に従い、主として液量、粘度、体重などに基づき選択される。(例えば、Remington's Pharmaceutical Science, 15thed., Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania (1980)及びGoodmanand Gillman, The Pharmacologial Basis of Therapeutics, (Hardman, J. G, Limbird, L. E, Molinoff, P. B., Ruddon, R. W, and Oilman, A. G., eds) The McGraw-Hill Companies, Inc., 1996)。
【0294】
このように、静中投与のための典型的な医薬組成物は、1日につき患者1人あたり約0.1〜10 mgである。特に薬物が離れた部位、及び血流中ではなく、例えば体腔内又は器官腔内に投与されるとき、1日につき患者1人あたり0.1〜約100 mgの投与量が使用される。実質的に高い投与量が、局所投与で可能である。非経口投与可能な組成物を準備するための実際の方法は、当業者に知られるか又は明白である、例えばRemington's Pharmaceutical Science及びGoodman and Gillman, The Pharmacologial Basis of Therapeutics、前記。
【0295】
血管新生タンパク質のモジュレータを含む組成物は、治療又は予防的治療のために投与されうる。治療的な適用において、組成物は、病気及びその合併症を治癒するか又は少なくとも部分的に抑止するのに十分な量で、病気(例えば癌)に冒されている患者に投与される。これを達成するのに十分な量は、「治療として有効な服用量」と規定される。この使用に有効な量は、病気の重さと患者の全身的な健康状態に依存する。組成物の単独又は複数投与が、必要とされそして患者に許容されうる投与量及び頻度に依存して投与される。とにかく、組成物は、患者を効果的に治療するために本願発明の物質の十分量を提供する必要がある。それが哺乳動物の癌の進行を防ぐことができるか又は遅くすることができるモジュレータ−の量が、「予防的に有効な服用量」と呼ばれる。予防的な治療は、予防的治療のために必要とされる特定の服用量は、哺乳動物の病状及び病歴、予防する特定の癌、並びに他の因子、例えば年齢、体重、性別、投与経路、効率などに依存する。そのような予防的な治療は、例えば癌の再発を防ぐために以前に癌を患っていた哺乳動物で、又は、例えば癌の進行の顕著な可能性をもっていると疑われる哺乳動物で使用されうる。
【0296】
当該血管新生タンパク質を調節する化合物は、単独で又は追加の血管新生調節化合物又は他の治療的物質、例えば他の制癌剤若しくは治療薬と一緒に投与されうることが認識される。
【0297】
多数の態様において、1以上の核酸、例えば表1〜8に記載の核酸配列を含むポリヌクレオチド、例えばアンチセンス・ポリヌクレオチド又はリボザイムは、インビトロ又はインビボで細胞に導入される。本発明は、インビトロ(無細胞)、ex vivo又はインビボ(細胞又は器官ベース)の組み換え発現系を使った血管新生関連ポリペプチド及び核酸の発現に有用な方法、試薬、ベクター、及び細胞を提供する。
【0298】
タンパク質若しくは核酸の発現のために核酸を宿主細胞に導入するために使用された特定の手順は、アプリケーション特有のものである。外来ヌクレオチド配列を宿主細胞に導入するための多くの手順が、使用される。これらは、リン酸カルシウム・トランスフェクション、スフェロプラスト、電気穿孔法、リポソーム、マイクロインジェクション、血漿ベクター、ウイルス・ベクター、及び宿主細胞にクローン化したゲノムDNA、cDNA、合成DNA又は他の外来遺伝物質を導入するための他の周知の方法のいずれかどれの使用を含む(例えば、Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology volume152 Academic Press, Inc., SanDiego, CA(Berger), F. M. Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Assciates, Inc. and JohnWiley & Sons, Inc.,(supplemented through 1999)及びSambrook et al., Molecular Cloning-A Laboratory Manual(2nd Ed.), Vol.1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NewYork, 1989)。
【0299】
好ましい態様において、血管新生タンパク質及びモジュレータは、治療的物質として投与されて、かつ、先に概説されるように処方されうる。同様に、(完全長の配列、部分配列、又は血管新生コード領域の制御配列の両方を含む)血管新生遺伝子は、遺伝子治療適用において投与されうる。当業者に理解されるとおり、これらの血管新生遺伝子は、遺伝子治療(すなわち、ゲノム内への取り込みのため) 又はアンチセンス組成物としてアンチセンス適用を含むことができる。
【0300】
血管新生ポリペプチド及びポリヌクレオチドは、HTL、CTL及び抗体応答を刺激するためにワクチン組成物として投与されることもできる。そのようなワクチン組成物は、例えば脂質付加ペプチド(例えば、Vitiello, A. et al., J. Clin. Invest. 95:341,1995)、ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)(「PLG」)マイクロスフェア中に封入されたペプチド組成物(例えば、Eldridge, et al., Molec. Immunol. 28:287-294,1991: Alonso et al, Vaccine 12:299-306,1994; Jones etal, Vaccine 13:675-681,1995を参照のこと)、免疫促進複合体(ISCOMS)中に包含されたペプチド組成物(例えばTakahashi et al., Nature 344:873-875,1990; Hu et al, Clin Exp Immunol. 113:235-243, 1998を参照のこと)、複合抗原ペプチド系(MAPs)(例えばTarn, J. P., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:5409- 5413,1988; Tarn, J. P., J. Immunol. Methods 196:17-32, 1996を参照のこと)、多価ペプチドとして配合されたペプチド;
【0301】
バリスティック・デリバリー・システムに使用するためのペプチド、一般的な結晶化ペプチド、ウイルス性デリバリー・ベクター(Perkus, M. E. et al., : Concepts in vaccine development, Kaufrnann, S. H. E., ed., p. 379,1996中; Chakrabarti, S. et al., Nature 320:535,1986; Hu, S. L. et al, Nature 320:537,1986; Kieny, M. P. et al, AIDS Bio/Technology 4:790,1986; Top, F. H. et al, J. Infect. Dis. 124:148,1971; Chanda, P. K. et al, Virology 175:535,1990)、ウイルス又は合成起源の粒子(例えば、Kofler, N. et al, J. Immunol. Methods. 192:25, 1996; Eldridge, J. H. et al, Sem. Hematol 30:16,1993; Falo, L. D., Jr. et al, Nature Med. 7:649,1995)、
【0302】
アジュバント(Warren, H. S., Vogel, F. R., and Chedid, L. A. Annu. Rev. Immunol 4:369,1986; Gupta, R. K. et al, Vaccine 11:293,1993)、リポソーム(Reddy, R. et al, J. Immunol. 148:1585, 1992; Rock, K. L., Immunol Today 17:131,1996)、あるいは裸の又は粒子状の吸収性cDNA (Ulmer, J. B. et al, Science 259:1745,1993; Robinson, H. L., Hunt, L. A., and Webster, R. G., Vaccine 11:957,1993; Shiver, J. W. et al, In: Concepts in vaccine development, Kaufmann, S. H. E., ed., p. 423,1996; Cease, K. B., and Berzofsky, J. A., Annu. Rev. Immunol. 12:923,1994 and Eldridge, J. H. et al, Sem. Hematol 30:16,1993)を含むことができる。受容体介在ターゲッティングとして知られもする毒素を標的としたデリバリー技術、例えばAvant Immunolherapeutics社(Needham, Massachusetts)のものも使用されるかもしれない。
【0303】
ワクチン組成物は、しばしばアジュバントを含む。多くのアジュバントが、迅速な異化作用から抗原を保護するように設計された物質、例えば水酸化アルミニウム若しくは鉱物油、及び免疫応答の促進剤、リピドA、百日咳菌(Bortadellapertussis)又はヒト型結核菌(Mycobacteriumtuberculosis)誘導タンパク質を含む。特定のアジュバントは、例えばフロイント不完全アジュバントと完全アジュバント(Difco Laboratories, Detroit, MI);メルク・アジュバント65(Merck and Company, Inc., Rahway, NJ);AS-2(SrfflthKline Beecham, Philadelphia, PA);水酸化アルミニウム・ゲル(ミョウバン)又はリン酸アルミニウムのようなアルミニウム塩;カルシウム、鉄又は亜鉛の塩;アシル化チロシンの不溶懸濁液;アシル化糖;カチオン的に又はアニオン的に誘導体化された多糖;ポリホスファゼン;生分解性マイクロスフェア;モノホスホリル・リピドAとクイルAとして商業的に入手可能である。
【0304】
サイトカイン、例えばGM-CSF、インターロイキン-2、-7、-12及び他の増殖因子もアジュバントとして使用されうる。
【0305】
ワクチンは核酸組成物として投与されることができ、ここで1以上のポリペプチド又はその断片をコードしているDNA又はRNAが患者に投与される。このアプローチは、例えばWolff et al., Science 247:1465(1990)、並びに米国特許番号第5,580,859号;同第5,589,466号;同第5,804,566号;同第5,739,118号;同第5,736,524号;同第5,679,647号;WO98/04720;そしてより詳細には以下に記載される。DNAベースのデリバリー技術の例は、「裸のDNA(naked DNA)」、促進された(ブピビカイン、重合体、ペプチド介在)デリバリー、カチオン性の脂質複合体、及び粒子を介した(「遺伝子銃」)又は圧力を介したデリバリーを含む(例えば、米国特許番号第5,922,687号を参照のこと)。
【0306】
治療又は予防的免疫化の目的のために、本発明のペプチドが、ウイルス又は細菌ベクターによって発現されうる。発現ベクターの例は、弱毒化されたウイルス宿主、例えばワクチニア又は鶏痘を含む。このアプローチは、血管新生ポリペプチド又はポリペプチド断片をコードするヌクレオチド配列を発現するために、例えばベクターとしてワクチニア・ウイルスの使用を伴う。宿主への導入で、組み換えワクチニア・ウイルスは免疫原性ペプチドを発現し、それによって免疫応答を引き起こす。免疫化プロトコールに有用であるワクチニア・ベクター及び方法は、例えば米国特許番号第4,722,848号に記載される。他のベクターは、BCG(Bacille Calmette Guerin)である。BCGベクターは、Stover et al., Science 351:456-460(1991)に記載されている。治療的投与又は免疫化に有用である幅広い種類の他のベクター、例えばアデノ及びアデノ随伴ウイルス・ベクター、レトロウイルス・ベクター、チフス菌(Salmonellatyphi)ベクター、無毒化された炭疽毒素ベクターなどが、本明細書中の記述からの当業者に理解される(例えば、Shata et al. (2000) Mol Med Today, 6: 66-71; Shedlock et al., J Leukoc Biol 68,:793-806,2000; Hipp et al, In Vivo 14:571-85,2000を参照のこと)。
【0307】
DNAワクチンとしての遺伝子の使用方法は、周知であり、そして血管新生患者における発現のために、血管新生遺伝子又は血管新生遺伝子の一部を、調節可能なプロモーター又は組織に特異的なプロモーターの制御下に置くことを含む。DNAワクチンに使用された血管新生遺伝子は、完全長の血管新生タンパク質をコードすることができ、より好ましくは血管新生タンパク質由来のペプチドを含む血管新生タンパク質の一部をコードする。1の態様において、患者は、血管新生遺伝子由来の多数のヌクレオチド配列を含むDNAワクチンにより免疫される。例えば、血管新生に関連する遺伝子又は血管新生タンパク質の細断片をコードする配列は、発現ベクター内に導入されて、そしてクラスI MHCに関係した免疫原性、及び細胞傷害性T細胞応答を生じる能力について試験される。これは、細胞内エピトープを含む抗原を提示する細胞に対する細胞傷害性T細胞応答の発生を提供する。
【0308】
好ましい態様において、DNAワクチンは、DNAワクチンと一緒にアジュバント分子をコードする遺伝子を含む。そのようなアジュバント分子は、DNAワクチンによりコードされた血管新生ポリペプチドに対する免疫原性応答を高めるサイトカインを含む。さらなる又は代わりのアジュバントが利用可能である。
【0309】
他の好ましい態様において、血管新生遺伝子は、血管新生動物モデルの製造における使用が見出される。同定された血管新生遺伝子を管新生組織で抑制するか又は減少させるとき、遺伝子治療技術、例えば、血管新生遺伝子に向けられたアンチセンスRNAは、遺伝子の発現をも減少させるか又は抑制する。血管新生の動物モデルは、血管新生に関連する配列のモジュレータ又は血管新生のモジュレータに関するスクリーニングにおける使用を見出す。同様に、例えば適当な遺伝子ターゲッティング・ベクターによる相同組換えの結果としての遺伝子ノックアウト技術を含むトランスジェニック動物技術は、血管新生タンパク質の発現の不存在又は増加をもたらす。所望されるとき、血管新生タンパク質の組織に特異的な発現又はノックアウトが必要であるかもしれない。
【0310】
血管新生タンパク質が血管新生において過剰発現されることが可能でもある。そのように、血管新生タンパク質を過剰発現するトランスジェニック動物が、作製されうる。所望の発現レベルに依存して、様々な強さのプロモーターが導入遺伝子を発現するために利用されうる。また、組み込まれた導入遺伝子のコピー数が測定されて、導入遺伝子の発現レベルの測定のために比較されうる。そのような方法によって作製された動物は、血管新生動物モデルとしての使用が見出され、加えて血管新生を治療するための又は治療的な物質を評価するためのモジュレータに関するスクリーニングに有用である。
【0311】
診断及び / 又は予後の適用における使用のためのキット
診断、調査及び先に提案した治療的適用における使用のためのキットが、本発明によって提供されもする。診断及び調査適用において、そのようなキットが以下:アッセイ試薬、緩衝物質、血管新生に特異的な核酸又は抗体、ハイブリダイゼーション・プローブ及び/又はプライマー、アンチセンス・ポリヌクレオチド、リボザイム、ドミナントネガティブな血管新生ポリペプチド又はポリヌクレオチド、小分子、血管新生に関連する阻害物質などの一部又は全部を含む。治療的産物は、無菌の生理食塩液又は他の医薬としてに許容されるエマルジョン及び懸濁液基剤を含む。
【0312】
さらに、キットは、本願発明の方法の実施のための取扱説明書(すなわち、プロトコール)を含む教材を含むかもしれない。教材は、一般に資料か又は印刷物を含むが、それらは、それだけに限らない。そのような取扱説明書を保存できる、かつ、それらをエンドユーザに伝えることができるあらゆる媒体が本願発明によって考慮される。そのような媒体は、これだけに制限されることなく、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学的媒体(例えば、CD-ROM)などを含む。そのような媒体は、そのような教材を提供するインターネット・サイトに関するアドレスを含む。
【0313】
本発明は、血管新生に関連する配列のモジュレータに関するスクリーニングのためのキットをも提供する。そのようなキットは、容易に入手可能な材料と試薬から準備することができる。例えば、そのようなキットは、以下:血管新生に関連するポリペプチド又はポリヌクレオチド、反応管、及び血管新生に関連する活性を試験するための取扱説明書の1以上を含むことができる。場合により、キットは、生物学的に活性な血管新生タンパク質を含む。幅広い種類のキット及び成分が、このキットの意図されたユーザー及びユーザーの特定の必要性に依存して、本発明に従って準備されうる。診断は、一般に多数の遺伝子又は産物についての評価を伴う。遺伝子は、病歴又は転帰データにより同定される病気の重要なパラメーターとの相関に基づいて選ばれる。
【0314】
先に記載の態様は、本願発明の本当の範囲を決して制限することになく、むしろ説明目的のために示されることが理解される。本明細書中に引用された全ての刊行物、配列の登録番号、及び特許出願を、各々個々の刊行物又は特許出願書が明確に及び個別に援用するために示されたかのように本明細書中に援用する。
【0315】
実施例
実施例 1 :組織製剤、ラベルリング・チップ、及びフィンガープリント
TRIzol試薬を使って組織から全RNAを精製する
50 mgの組織につき1 mlのTRIzol中で組織サンプルを、Polytron 3100を使用して均質化する。使用されるジェネレーター/プローブは、組織サイズに依存する。均質する組織の量に対して大きすぎるジェネレーターは、サンプルの損失、そしてRNA収量の低下を引き起こす。TRIzolを凍った組織に直接加えて、次に均質化する。均質化に続いて、不溶性物質を、4℃でのSorvall superspeedによる15分間の7500×gでの、又はEppendorf遠心分離機による10分間の12,000×gでの遠心分離により取り除かれる。透明なホモジネートを、使用するための新しい試験管に移す。サンプルを、ここで-60℃〜-70℃で冷凍する(そして少なくとも1ヶ月間保持する)。ホモジネートを、最初の均質化で使用したTRIzol試薬1 mlにつき0.2 mlのクロロホルムと混合し、2〜3分間室温でインキュベートする。次に、水相を遠心分離によって分けて、新しい試験管に移し、そしてイソプロピルアルコールを使ってRNAを沈澱させた。ペレットを、遠心分離により分離し、洗浄し、風乾し、適当な量のDEPC H2O中に再懸濁し、そして吸光度を計測した。
【0316】
全RNAからのポリA+mRNAの精製を、以下の通り実施する。oligotex懸濁液を37℃まで加温し、そしてRNAへの添加直前まで混ぜる。溶出バッファーを70℃まで加熱する。バッファー中に沈殿物がある場合、65℃で2×結合バッファーを加温する。Oligotexハンドブックの16ページの表2に従って、全RNAと、DEPC処理した水、2×結合バッファー、Oligotexとを混合する。65℃で3分間インキュベートする。室温で10分間インキュベートする。14,000〜18,000 gで2分間の遠心分離する。Oligotexペレットを乱すことなく上清を取り除く。ごくわずかな溶液が、Oligotexの損失を減少させるために残すことができる。洗浄バッファーOW2中に緩やかに再懸濁し、そしてスピンカラムにピペットで移す。前記スピンカラムを最高速度で1分間遠心分離する。このスピンカラムを収集用試験管に移し、WashバッファーOW2中に緩やかに再懸濁し、そしてここに記載のとおり遠心分離する。スピンカラムを新しい試験管に移して、20〜100 μlの予熱した(70℃)溶出バッファーにより抽出する。上下にピペッティングすることによりOligotex樹脂を緩やかに再懸濁した。前記同様遠心分離する。新しい溶出バッファーによるか又は溶出液量を少なく保つために最初の溶出液を使用して溶出を繰り返す。ブランクとして希釈した溶出バッファーを使って吸光度を読む。cDNA合成に移る前に、以下のとおりmRNAを沈澱させる:0.4倍量の7.5 M NH40Ac+2.5倍量の冷100%エタノールを加える。-20℃で1時間〜一晩(又は-70℃で20〜30分間)沈殿させる。4℃で30分間、14,000〜16,000×gで遠心分離する。ペレットを0.5 mlの80%エタノール(-20℃)で洗浄し、次に室温で5分間、14,000〜16,000×gで遠心分離する。80%エタノール洗浄を繰り返す。フード内でペレットからエタノールを風乾する。ペレットを1 μg/μlの濃度でDEPC H20に懸濁する。
【0317】
QiagenのRNeasyキットを使って全RNAをさらに精製するために、たった100 μgよりをRNeasyカラムに加える。サンプルを、RNaseを含まない水により100 μlの容量に調整する。サンプルに350 μlのバッファーRLT、次に250 μlのエタノール(100%)を加える。ピペッティングによって混合し(遠心分離せずに)、次にサンプルをRNeasyミニ・スピンカラムに適用する。>10,000 rpmで15秒間遠心分離する。カラムを新しい2 mlの収集用試験管に移す。500 μlのバッファーRPEを加え、そして>10,000 rpmで15秒間遠心分離する。流し捨てる。500 μlのバッファーRPEを加え、そして>10,000 rpmで15秒間遠心分離する。流し捨て、次にカラム膜を乾かすために最高スピードで2分間遠心分離する。カラムを1.5 mlの新しい収集用試験管に移して、そして30〜50 μlのRNaseを含まない水を直接カラム膜に適用する。>10,000 rpmで1分間遠心分離する。繰り返し溶出し、そして吸光度を読む。
【0318】
Gibco「cDNA合成のためのSuperScript Choice システム」キットを使ったcDNA合成
第1鎖cDNA合成を、以下のとおり実施する。出発物質として5 μgの全RNA又は1 μgのpolyA+mRNAを使用する。全RNAについて、2 μlのSuperScript RTを使用する。polyA+mRNAについて、1 μlのSuperScript RTを使用する。第1鎖合成ミックスの終量は、20 μlである。RNAは、10 μl超の容量になってはならない。RNAを、1 μlの100 pmol T7-T24オリゴと一緒に70℃で10分間インキュベートする。氷上で、以下の:4 μlの5×第1鎖緩和液、2 μlの0.1 M DTT及び1 μlの10 mM dNTPミックスを7 μl加える。37℃で2分間インキュベートし、そしてSuperScript RTを加える。37℃で1時間インキュベートする。
【0319】
第2鎖の合成のために、第1鎖反応物を氷上に置き、そして以下の:91 μのDEPC H20;30 μlの5×第2鎖バッファー;3 μlの10 mM dNTPミックス;1 μlの10 U/μl E.コリ(E. coli)DNAリガーゼ;4 μlの10 U/μl E.コリDNAポリメラーゼ;及び1 μlの2 U/μl RNaseHを加える。混合し、16℃で2時間インキュベートする。2 μlのT4 DNAポリメラーゼを加える。16℃で5分間インキュベートする。10 μlの0.5 M EDTAを加える。DNAのさらなる精製をフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)精製を使って実施する。
【0320】
インビトロでの転写(IVT)及びビオチンによる標識を以下のとおり実施する:1.5 μlのcDNAを薄い壁のPCRチューブ中にピペットで移す。2 μlのT7 10×ATP(75 mM)(Ambion) ;2 μlのT7 10×GTP(75 mM)(Ambion);1.5 μlのT7 10×CTP(75 mM)(Ambion);1.5 μlのT7 10×UTP(75 mM)(Ambion);3.75 μlの10 mM Bio-11-UTP(Behringer-Mannheim/Roche又はEnzo);3.75 μlの10 mM Bio-16-CTP(Enzo);2 μlの10×T7転写バッファー(Ambion);及び2 μlの10×T7酵素ミックス(Ambion)を混合することによりNTP標識ミックスを調製する。終量は20 μlである。PCR装置内において37℃で6時間インキュベートする。RNAをさらに精製することができる。
【0321】
断片化を以下のとおり実施する。15 μgの標識RNAを通常断片化する。断片化反応量を最小化することを試みる;10 μlの容量が推薦されるが、しかし20 μlでも問題ない。断片化バッファーのマグネシウムがハイブリダイゼーション・バッファーの沈殿の原因となるので、20 μlより多くしない。1×断片化バッファー(5×断片化バッファーは、200 mMのTris-酢酸、pH8.1;500 mM KOAc;150 mM MgOAcである)中、94℃で35分間インキュベーションすることによりRNAを断片化する。標識RNA転写物を断片化の前後で分析する。サンプルを、65℃で15分間加熱し、そして転写サイズ範囲のおおよその見当をつけるために1%のアガロース/TBEゲルで電気泳動する。
【0322】
ハイブリダイゼーションのために、200 μl(10 μgのcRNA)のハイブリダイゼーション・ミックスをチップの上に乗せる。(5つのチップ・セットを通してサイクルするような)複数のハイブリダイゼーションを行うべきとき、300 μl以上の最初のハイブリダイゼーション・ミックスを調製することが勧められる。ハイブリダイゼーション・ミックスは:断片標識RNA(50 ng/μlの終濃度);50 pMの948-b対照オリゴ;1.5 pMのBioB;5 pMのBioC;25 pMのBioD;100 pM CRE;O.1 mg/mlのニシン精子DNA;0.5 mg/mlのアセチル化BSA;及び300 μlの1×MES hybバッファーである。
【0323】
標識を以下のとおり実施する:ハイブリダイゼーション反応液は、非ビオチン化IVT(RNeasyカラムによって精製されている);4 μg:μlのIVTアンチセンスRNA;4 μlのランダム六量体(1 μg/μl)及び14 μlの水を含む。この反応液を70℃で10分間インキュベートする。逆転写を以下の反応液:16 μlの終量中、5×第1鎖(BRL)バッファー、6 μl;0.1 M DTT、3 μl;50×dNTPミックス、0.6 μl;H20、2.4 μl;Cy3又はCy5 dUTP(1 mM)、3 μl;SSRT II(BRL)、1 μlの中で実施する。ハイブリダイゼーション反応液に加える。42℃で30分間インキュベートする。1 μlのSSIIを加えてもう1時間インキュベートする。氷をつける。50×dNTPミックス(25 mMの冷dATP、dCTP及びdGTP、10 mMのdTTP:15 μlのH2Oに対し各25 μlの100 mM dATP、dCTP及びdGTP;10 μlの100 mM dTTP、Pharmacia製のdNTPs)。
【0324】
RNA分解を以下のとおり実施する。86 μlのH2O、1.5 μlの1 M NaOH/2 mM EDTAを加え、そして65℃で10分間インキュベートする。U-Con30について、500 μlのTE/サンプルを7000 gで10分間遠心分離し、精製のための流動物を保存する。Qiagen精製について、500 μlのバッファーPB中にu-con回収物質を懸濁し、そしてQiagenプロトコールを使って進めた。DNAse消化のために、1 μlの1/100 dilのDNAse/30μl Rxを加えて、37℃で15分間インキュベートする。95℃で5分間インキュベートし、DNAseを変性させる。
【0325】
サンプル調製のために、Cot-1 DNA、10 μl;50×dNTPs、1 μl;20×SSC、2.3 μl;Na pyroリン酸塩、7.5 μl;10 mg/ml ニシン精子DNA;1 μlの1/10希釈液を21.8の最終量に加える。speed-vacにより風乾する。15 μlのH2O中に再懸濁する。0.38 μlの10% SDSを加える。95℃で2分間加熱し、20分間室温で緩やかに冷却する。スライド上に乗せ、そして64℃で一晩ハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション後に洗浄する:3×SSC/0.03% SDS:2分間、250 mlsのH2O中、37.5 mlsの20×SSC+0.75 mlsの10% SDS;1×SSC:5分間、250 mlsのH2O中、12.5 mlsの20×SSC;0.2×SSC:5分間、250 mlsのH2O中、2.5mlsの20×SSC。スライドを乾燥させ、そして適当なPMT's及びチャネルでスキャンする。
【0326】
実施例 2 .血管新生モデルを血管新生における発現を測定するために使用する
血管新生に関連する配列の発現を測定するために使用される血管新生モデルにおいて、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、例えばCascade Biologics(Oregon)から継代数1(p1)の凍結細胞として入手し、維持培地:20%の保存ヒト血清、100 mg/mlのヘパリン及び75 mg/mlの内皮細胞増殖サプリメント(Sigma)、並びにゲンタマイシン(Life Technologies)を補った培地199(Life technologies)中で培養した。インビトロの細胞システム・モデルを、2×105のHUVECsを0.5 mlの3 mgs/mlプラスミノーゲン欠損フィブリノーゲン中(Calbiochem, SanDiego, CA)で培養するために使用した。前記フィブリノーゲンを、100 ng/mlのVEGF及びHGFを補った1単位の維持培地の添加により重合させ、そして10 ng/mlのTGF-α(R&D System, Minneapolis, MN)を添加した(成長培地)。成長培地を、2日ごとに交換した。RNAのためのサンプルを、例えば培養の0、2、6、15、24、48及び96時間で回収した。フィブリン塊を、Trizol(Life Technologies)に移し、Tissuemizerを使って崩した。その後、標準的な手順を、RNAを抽出するために使用した(例えば、実施例1)。
【0327】
このように同定された血管新生に関連する配列を表1〜8に示す。示されたとおり、登録番号のいくつかが、発現配列タグ(ESTs)を含む。よって、1の態様において、発現特性遺伝子とも呼ばれる発現特性の中の遺伝子は、ESTsを含み、必ずしも完全長ではない。
【0328】
【化1】
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【0329】
【化2】
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先に記載の態様は、本願発明の本当の範囲を決して制限することになく、むしろ説明目的のために示されることが理解される。本明細書中に引用された全ての刊行物、配列の登録番号、及び特許出願を、各々個々の刊行物又は特許出願書が明確に及び個別に援用するために示されたかのように本明細書中に援用する。

Claims (27)

  1. 患者の細胞における血管新生に関連する転写の検出方法であって、上記患者からの生体サンプルと表1〜8に示す配列と、少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドとを、接触させることを含む上記検出方法。
  2. 前記生体サンプルが組織サンプルである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記生体サンプルが単離された核酸を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記核酸がmRNAである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記生体サンプルと前記ポリヌクレオチドとを接触させるステップの前に、核酸を増幅するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
  6. 前記ポリヌクレオチドが表1〜8に示す配列を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記ポリヌクレオチドが標識される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記標識が蛍光標識である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記ポリヌクレオチドが固体表面に固定される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記患者が、血管新生に関連する病気を治療するための治療計画を受ける、請求項1に記載の方法。
  11. 前記患者が癌を患っていると疑われる、請求項1に記載の方法。
  12. 表1〜8に示すポリヌクレオチド配列から成る単離された核酸分子。
  13. 前記核酸分子が標識される、請求項12に記載の核酸分子。
  14. 前記標識が蛍光標識である、請求項13に記載の核酸分子。
  15. 請求項12に記載の核酸を含む発現ベクター。
  16. 請求項15に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  17. 表1〜8に示すポリヌクレオチド配列をもつ核酸分子によりコードされる単離されたポリペプチド。
  18. 請求項17に記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体。
  19. エフェクター成分にさらに結合又は融合した、請求項18に記載の抗体。
  20. 前記エフェクター成分が蛍光標識である、請求項19に記載の抗体。
  21. 前記エフェクター成分が放射性同位体である、請求項19に記載の抗体。
  22. 抗体断片である、請求項19に記載の抗体。
  23. ヒト化抗体である、請求項19に記載の抗体。
  24. 患者からの生体サンプル中の血管新生を受けた細胞の検出方法であって、上記生体サンプルと請求項18に記載の抗体とを接触させることを含む上記検出方法。
  25. 前記抗体を、エフェクター成分にさらに結合又は融合させる、請求項24に記載の方法。
  26. 前記エフェクター成分が蛍光標識である、請求項25に記載の方法。
  27. 患者の血管新生に特有な抗体の検出方法であって、上記患者からの生体サンプルと、表1〜8のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドとを、接触させることを含む上記検出方法。
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