JP2004528763A - 光伝送媒体における偏波モード分散補償 - Google Patents
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Abstract
本発明は、光伝送システムにおいてレーザ源に摂動を起こさせることなしに偏波モード分散(PMD)を補償するための方法と装置を提供する。本発明は、光伝送システムの光信号の十分な部分量を実質的にシステムの単一の主偏波状態(PSP)へ移すことによりPMDを補償する。結果として、データストリームの各ライトパルスは、時間的に隣接するライトパルス又はビット期間と実質的に混合されない。
【選択図】図5
【選択図】図5
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システムの分野に関する。特に、本発明は、光伝送媒体の光信号の監視と修正に関する。
【0002】
関連出願に対する相互参照
本発明は、2001年3月19日に出願された米国同時係属仮出願第60/276,982の恩典を請求している。
【背景技術】
【0003】
光伝送システムの入力データストリームは、デジタルビットを表す一連のライトパルスとみなされ得る。現在の光伝送システムのビットレートは、一般にそれぞれ100〜25ピコセカンドの幅であるライトパルス(又はビット期間)という結果になる10GHz〜40GHzの範囲にわたる。光伝送システムのレシーバは、各ビット期間に関して、ライトパルスが受光された(デジタルの1)か、又は受光されなかった(デジタルの0)か否かを判定することにより、データストリームの各ビット期間をデジタルの1又は0へ変換する。偏波モード分散(PMD)は、データストリームのライトパルスを歪ませ、ひいてはビット期間を1又は0へ変換するか否かを判定するためのレシーバの能力を低下させる可能性のある現象である。結果として、PMDは、光伝送システムの伝送精度と能力を制限する。
【0004】
偏波モード分散は、光伝送システムの伝送媒体の複屈折から生じる。非円形ファイバコアという結果になる光ファイバの不完全性と非対称応力によって、たとえ「シングルモード」光ファイバと呼ばれるものからなる伝送媒体においても複屈折は存在する。理想的なシングルモード光ファイバは、円形のコア、即ち等方性であり偏心性のないコアを有する。係る理想的なファイバは等方性であり、即ちファイバの屈折率は、電界、又は換言すれば偏光の向きに無関係である。光ファイバコアの異方性(例えば、偏心性)は複屈折をまねき、従って、種々の偏光が異なる速度で光ファイバを介して伝播する。
【0005】
光ファイバの光の伝播は、2つの基本モード又は主モードによって制御されるものとみなされ得る。これらの主モードは、「主偏波状態(PSP)」として知られる。PSPがファイバリンクに導入される場合、リンクの出力における偏光は周波数の第1次に対して実質的に一定になる。理想的なシングルモードファイバにおいて、PSPは縮退する、即ち区別ができない。ファイバコアの異方性は、この縮退をとく。結果として、PSPは異なる群速度で伝わり、2つの時間的に変位したパルスへと分離する。異なる群速度に起因したPSPの分離は、偏波モード分散(PMD)として知られ、2つのPSP間の時間的な広がりは、群遅延時間差として知られる。この時間的な広がりによって、データストリームの1ビット期間のライトパルスが別のビット期間と重なる可能性がある。この重なりによって、あるビット期間を1又は0に変換するか否かを判定するためのレシーバの能力が低下する。従って、PMDは、光伝送システムに対して問題であり、データの曖昧性、データ損失、データの汚染、及び伝送能力の制限という結果になる。
【0006】
PMD問題に対する種々の方法が提案されてきたが、それぞれは制約をもたらす。例えば、偏波保存光ファイバは、複屈折を生じるファイバ内に内部応力部材によって導入される応力誘導型異方性のような固有の光学特性を通じて入力の偏光を維持し、PSP間の光パワーのクロスカップリングを防止するように設計されている。残念ながら、この特殊ファイバは高価であるばかりでなく、大規模な置き換えに及ばず、既存の「遺産的」なファイバネットワークにおいてPMDに対処することができない。
【0007】
電気的歪み等化器のような現在の電子的方法も欠点を呈する。DGDのインジケータとしてレシーバにおけるRF周波数応答(即ち、応答の最小値)のノッチを一般に使用するこれらの方法は、従来のレシーバの電子回路に修正が必要であり、高速デジタル電子回路又はRF電子回路を必要とする傾向がある。
【0008】
光計測の方法は一般に、偏光スクランブルにより、又は周波数側波帯の導入によりレーザ源に摂動を起こさせる(perturbing)こと、或いはPMDの偏光特性の間接的又は定性的な測定のみを行うことを必要とする。光伝送システムにおいて、光測定のためにレーザ源に摂動を起こさせることは、一般に実用的でなく、データ伝送を中断する。DGD及び偏光度(「DoP」)の測定のような、PMD偏光特性の間接的又は定性的な測定のみを利用する方法は、複数の動作の後にのみPMDを補償する反復手順の使用を必要とする。しかしながら、係る複数の動作は時間を浪費し、ひいては係る反復の補償方法は、高速伝送システムに対する用途に関して欠点を有する。
【0009】
従って、データ伝送を中断することなく、PMDの影響をより高速に補償することを可能にする、信頼できるPMD測定を提供する方法が必要とされている。
【0010】
発明の概要
本発明は、レーザ源に摂動を起こさせることなくPMD偏光特性の直接的な測定値を得て、単一動作でPMDの影響を補償するための方法と装置を提供する。本発明は、光伝送システムの光信号を、補償器を含むシステムの単一のPSPへと実質的に移動させることによりPMDを補償する。結果として、データストリームの各ライトパルスは、時間的に隣接するライトパルス又はビット期間と実質的に混合されない。
【0011】
一態様において、本発明は、光伝送システムの光信号のPMDを補償するための方法を提供する。一実施形態において、該方法は、光伝送媒体からのサンプル光信号の2つの異なる偏光成分間に位相遅延を導入することにより、ファイバリンクのPMD偏光特性を測定する。該方法は、2つの偏光成分に干渉を起こさせ、結果としての干渉信号を測定する。次いで、該方法は、複数の位相遅延において測定された干渉信号を用いて、DGD、及びPSPの相対的な振幅と偏光状態(例えば、向きと楕円率)を求める。DGD、及びPSPの相対的な振幅と偏光状態は、PMD偏光特性の直接的な尺度を提供する。本明細書において使用される場合、用語「PSP特性」は、PSPの偏光状態と相対的な振幅、及びそれらの間のDGDを指す。また、PSPの偏光状態と相対的な振幅は、光伝送システムにおける光信号の偏光状態の直接的な尺度も提供する。PSP特性に基づいて、本発明は、PMDの影響を補償するために、好適には単一動作で光伝送システムの単一のPSPへと光信号エネルギーの十分な部分量を移動させる光信号に対する修正を求める。「十分な部分量」は、例えば適切なシステムの停止確率又はパワーペナルティを提供するように当業者によって選択され得る。
【0012】
本明細書において使用される場合、用語「十分な部分量」は、特定の伝送システム又はデータ伝送に関してPMDの影響に起因するビットエラーレートを防ぐのに十分な量であることを指す。例えば、データ伝送が非常に冗長で破損に耐性のあるデータを含む場合、十分な部分量は少なくできる。同様に、低いデータ伝送レートのみが望まれる場合も、十分な部分量は少なくできる。逆に、伝送システムを高い能力で、及び/又は高いデータ精度(即ち、データの低い曖昧性、低い損失、又は低い破損ビットエラーレート)で動作させることが望まれる場合、十分な部分量は非常に多くすることができ、又は光信号の全エネルギーを単一のPSPへと実質的に移動させることを含むことさえできる。従って、当業者には理解されるように、移動させるための光信号エネルギーの十分な部分量は簡単な態様で(必要以上の実験をしないで)求められ得る。例えば、十分な部分量は、光信号エネルギーの全てを実質的に含むことができる。
【0013】
別の実施形態において、該方法は、サンプル光信号の偏光軸の向きを回転させ、サンプル光信号の2つの異なる偏光成分間に位相遅延を導入することにより、PMD偏光特性を測定する。該方法は、2つの偏光成分に干渉を起こさせ、結果としての干渉信号を測定する。次いで、該方法は、サンプル光信号の偏光軸の2つ又はそれより多い回転の向きの各々について、2つ又はそれより多い位相遅延で測定された干渉信号を用いて、光信号のPSP特性を求める。PSP特性に基づいて、本発明は、単一の動作で光信号エネルギーの十分な部分量を光伝送システムの単一のPSPへと移動させる光信号に対する修正を求める。
【0014】
別の実施形態において、本発明の方法は、単一の動作で光信号エネルギーの十分な部分量が、入射ファイバリンクとPMD補償器を具現化する光伝送システムの単一のPSPへと移動するような動作において、入射光信号にDGDベクトルを追加することにより、光伝送システムのPMDを補償する。
【0015】
好適な実施形態において、本発明は、高密度波長分割多重(「DWDM」)のファイバに存在するような、光ファイバにおける多数の波長チャネルのPSP特性を実質的に並列に求める。これらの特性には、PSPの偏光状態、PSPの相対的な振幅(即ち、2つのPSP間のエネルギー比率)、DGD、及びデータストリームの多数の波長チャネルに対するパワーの合計が含まれる。各波長チャネルの帯域幅は、主としてレーザ源の線幅と光信号のデータ変調帯域幅によって求められる。
【0016】
この実施形態の1つのバージョンにおいて、方法は、サンプル光信号の2つの異なる偏光成分間に位相遅延を導入する。該方法は、干渉信号を生じさせるように2つの偏光成分に干渉を起こさせ、干渉信号をスペクトル的に連続した波長帯域へ分散し、各波長サブ帯域について干渉信号を測定する。次いで、該方法は、複数の位相遅延における各波長サブ帯域について干渉信号を測定し、各波長チャネルについてPSP特性を求める。チャネルのPSP特性に基づいて、本発明は、単一動作でその波長チャネルの光信号エネルギーの十分な部分量をそのチャネルの単一のPSPへと移動させる各波長チャネルの光信号に対する修正を判定する。
【0017】
この実施形態の別のバージョンにおいて、方法は、サンプル光信号の偏光軸の向きを回転させ、サンプル光信号の2つの異なる偏光成分間に位相遅延を導入する。該方法は、干渉信号を生じさせるように2つの偏光成分に干渉を起こさせ、各チャネルの干渉信号をスペクトル的に連続した波長サブ帯域へ分散し、各波長サブ帯域について干渉信号を測定する。次いで、該方法は、光信号偏光軸の2つ又はそれより多い回転の向きのそれぞれに関して2つ又はそれより多い位相遅延において各波長サブ帯域の干渉信号を測定し、対応する波長チャネルのPSP特性を求める。チャネルのPSP特性に基づいて、本発明は、単一動作でその波長チャネルの光信号エネルギーの十分な部分量をそのチャネルの単一のPSPへと移動させる光信号に対する修正を判定する。
【0018】
好適な実施形態において、本発明の方法は、光伝送システムの2つ又はそれより多い波長チャネルのPMDを補償する。該方法は、単一動作でチャネルの光信号エネルギーの十分な部分量がチャネルの単一のPSPへと移動するような向きにおいて、各チャネルに実質的に同時にDGDを追加することにより、実質的に同時に波長チャネルのPMDを補償する。
【0019】
別の実施形態において、PMDの度合いとPSPの偏光状態は時間が経つにつれて変化する可能性があるので、光信号はサンプリングされ、分析され、光信号に対する修正は、断続的、周期的、又は連続的に更新される。
【0020】
別の態様において、本発明は、本発明の方法の機能性が、以下に限定されないが、フロッピー(R)ディスク、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、CD−ROM、又はDVD−ROMのようなコンピュータ読取り可能媒体に具現化される製造品を提供する。
【0021】
別の態様において、本発明は、光伝送システムの光信号のPMDを補償するための装置を提供する。一実施形態において、該装置は、光学的偏光監視装置と、偏光状態生成器とを含む。偏光監視装置は、位相遅延生成器、干渉計、及び検出器を含む。偏光監視装置は、サンプル光信号を受け入れるように構成され、位相遅延生成器が、サンプル光信号の2つの異なる偏光成分間に位相遅延を導入する。干渉計は、位相遅延された光を受光するように配置され、検出器によって測定される干渉信号を生成するように2つの偏光成分に干渉を起こさせる。偏光状態生成器は、複数の位相遅延において測定された干渉信号に基づいて、DGD、及びPSPの相対的な振幅と偏光状態を求める。
【0022】
別の好適な実施形態において、偏光監視装置は回転子も含む。偏光監視装置はサンプル光信号を受け入れるように構成される。回転子は、位相遅延生成器の光軸に対してサンプル光信号の偏光軸の少なくとも2つの回転方位を提供する。位相遅延生成器は、偏光軸の回転方位のそれぞれに対して、サンプル光信号の2つの異なる偏光成分間に位相遅延を導入する。干渉計は、位相遅延された光を受光して、2つの偏光成分に干渉を起こさせ、検出器によって測定される干渉信号を生成するように配置される。偏光状態生成器は、2つ又はそれより多い回転方位のそれぞれに対して2つ又はそれより多い位相遅延において測定された干渉信号に基づいて、DGD、及びPSPの相対的な振幅と偏光状態を求める。
【0023】
一実施形態において、回転子は、位相遅延生成器の光軸を有効に回転させる電気光学素子を含む。別の実施形態において、回転子は、位相遅延生成器を物理的に回転させる機構を含む。好適には、回転子は、サンプル光信号の偏光軸を回転させる偏光回転子を含む。適切な偏光回転子は、以下に限定されないが、ファラデー回転子、及び波長板の組み合わせを含む。
【0024】
別の実施形態において、偏光監視装置は、光伝送システムの2つ又はそれより多い波長チャネルのPSP特性を実質的に同時に求める。この実施形態の1つのバージョンにおいて、偏光監視装置は、位相遅延生成器、干渉計、波長分波器、及び検出器のアレイを含む。また、偏光監視装置は回転子も含む。干渉計は、位相遅延された光を受光して2つの偏光成分に干渉を起こさせ、干渉信号を生成するように配置される。分波器は、検出器のアレイのスペクトル的に連続した波長サブ帯域へと干渉信号を分散する。検出器のアレイは、各波長サブ帯域の干渉信号が実質的に同時に測定されるように構成される。次いで、偏光状態生成器が、複数の位相遅延において、又はサンプル光信号の偏光軸の2つ又はそれより多い回転方位において測定された対応する波長サブ帯域の干渉信号に基づいて、各波長チャネルのPSP特性を求める。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、光伝送システムの光信号のPMDを補償するための装置を提供し、その装置は、光学的偏光監視装置、偏光状態生成器、偏光制御装置、及び遅延要素を含む。偏光制御装置は、光信号のエネルギーの十分な部分量が光伝送システムの単一のPSPへと移動するように光信号を修正する。この実施形態の1つのバージョンにおいて、補償段は、遅延要素に入射する偏光状態を変える偏光制御装置を含む。次いで、遅延要素は、選択可能な方位において実質的に選択可能なDGDを光信号に追加する。この実施形態の好適なバージョンにおいて、補償段は、偏光制御装置、及び選択可能な方位において実質的に固定されたDGDを光信号に追加する遅延要素を含む。選択される方位は、偏光状態生成器によって提供されるPSP特性に基づいて判定される。選択される方位は、補償段がDGDを光信号に追加する際に、結果として生じる光信号、即ち修正された光信号が光伝送システムの単一のPSPにおいてそのエネルギーの十分な部分量を有するようになっている。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、光伝送システムの2つ又はそれより多い波長チャネルのPMDを補償するための装置を提供する。該装置は、波長チャネルのPSP特性を監視する偏光監視装置、偏光状態生成器、及びマルチチャネル偏光制御装置を含む。マルチチャネル偏光制御装置は、各チャネルにおける光エネルギーの十分な部分量がチャネルの単一のPSPへ移動するように各波長チャネルの光信号を変更する。マルチチャネル偏光制御装置は、波長分波器、マルチチャネル偏光コントローラ、及び波長合波器を含む。分波器は、スペクトル的に連続した所望のチャネルへ光信号を分散し、マルチチャネル偏光コントローラは、波長チャネルのエネルギーの十分な部分量が対応する波長チャネルの単一のPSP内にあるような方位において、各波長チャネルにDGDを追加する。その結果として、波長合波器は、マルチチャネル偏光コントローラから受光した光を再結合する。一実施形態において、マルチチャネル偏光コントローラは、偏光コントローラのアレイを含み、各偏光コントローラは、遅延要素と結合された際に選択可能な方位においてDGDを導入するために別個の波長チャネルで動作する。好適には、偏光制御装置は、実質的に集積されたアレイを形成し、波長チャネルで実質的に同時に動作する。
【0027】
この実施形態の1つのバージョンにおいて、偏光制御装置は、選択可能な方位において実質的に選択可能なDGDを波長チャネルの光信号に追加する。好適には、偏光制御装置は、選択可能な方位において実質的に固定された量のDGDを追加する。波長チャネルに追加されるDGDの方位は、チャネルのPSP特性に基づいて選択される。選択される方位は、可変偏光装置がチャネルの光信号にDGDを追加する際に、結果として生じる(即ち、修正された)光信号がその波長チャネルの単一のPSPにおいてそのエネルギーの十分な部分量を有するようになっている。
【0028】
本発明の前述の、及び他の特徴と利点、並びに本発明自体は、詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲からより完全に理解されるであろう。
【0029】
詳細な説明
本発明は、光ファイバ伝送システムにおいてデータの光伝送に特に有益な光信号の監視と修正のための方法と装置を提供する。本発明は、光の偏光特性及び/又は光伝送システムのPSPを提供する。本発明によって提供される偏光特性を用いてPMD問題に対する「確定的解」を提供し、第1次に対して光信号のPMDを実質的に補償する。本明細書に使用される場合、用語「確定的解」は、第1次に対して任意のPMD(即ち、任意の一時点におけるPMD)を実質的に補償することができる光信号に対する単一の修正を求めるための本発明の能力を指す。本発明の確定的解の方法は、任意のPMDを補償するために反復の測定と修正を必要とする技術と対照をなす。
【0030】
PMD補償に対する本発明の1つの方法は、光信号エネルギーの十分な部分量を光伝送システムの単一のPSPへ移すことである。データ伝送を中断することなく、信頼できる態様でシステムのPSP、及びPMDを補償するために光信号を迅速に修正することを判定する際に、困った問題が存在する。理解されるように、単一のPSPへの光の移動は、2つの態様、即ち、システムのPSPのものと実質的に同じ偏光ベクトル方位(例えば、ストークスベクトルの方位)を有するように光信号の偏光状態を修正すること、又は入射光信号のものと実質的に同じPMDベクトル方位を有するようにシステムのPMDベクトルの偏光状態を修正することとみなすことができる。
【0031】
本発明のPMD補償方法を理解するための1つの直観的な態様は、光信号と光伝送システムのポアンカレ球による表現を含む。光ファイバ内のような光信号の電界ベクトルEは、一般にxとy成分、即ちExと不変位相オフセットεを有するEyとの和として表現される得る。
【0032】
【数1】
【0033】
電界ベクトルは一般に楕円偏光し、即ちExとEyは双方とも非ゼロであり、ある期間にわたってExとEyの楕円経路を追従する。線形及び円形の偏光は、電界ベクトルが楕円ではなくてそれぞれ直線又は円を時間的に描くので、楕円偏光の状態を縮退する。全ての考えられる偏光を表すための1つの便利な方法は、ポアンカレ球による。
【0034】
図1を参照すると、偏光状態のポアンカレ球の表現100が示される。球面上の任意の緯度は、任意の楕円偏光を表し、赤道101において直線偏光が表され、極103において円偏光が表される。この表現において、球面上の経度の1度は、偏光軸の0.5度の物理的回転を表す。偏光の左右像は2つの半球において変化し、上側の半球では右回りの偏光であり、下側の半球では左回りの偏光である。更に、各経度は、偏光の楕円の半長軸に対する固定方位角を表す。
【0035】
この表現において、光伝送システムのPMDは、ポアンカレ球上のPMDベクトル(ベクトルΩ)102によって表され得る。PMDベクトル(ベクトルΩ)102の方向は、システムのPSPの1つを表すが、ベクトルの大きさはDGDの半分である。任意のサンプル光信号の偏光状態(即ち、偏光監視装置に対する入力偏光状態)は、2つのPSPの線形的な組み合わせである。入力偏光ベクトル104(例えば、ストークスベクトル等)を用いて光信号偏光状態を表すことができる。1つのPSPにおける光信号エネルギーの相対的な量は、cos2(2θ)により与えられ、もう一方はsin2(2θ)によって与えられ、ここで(2θ)は、入力偏光ベクトル104とPMDベクトル(ベクトルΩ)102との間のポアンカレ球上の角度である。入力偏光ベクトル104がPMDベクトル102に沿って下がる場合、第1次に対する全光信号エネルギーは、伝送システムの1つのPSP内にある。それに対応して、第1次に対する光信号のエネルギーは他のPSPに存在しない。結果として、別のビット期間の他のPSP(例えば、遅いPSP)と重なる可能性があり、それによりデータの損失、曖昧性、又は汚染を生じる1つのビット期間の1つのPSP(例えば、速いPSP)にエネルギーは存在しない。PMDに起因する異なるビット期間の異なるPSPの潜在的なオーバーラップは、本明細書においてPMD拡散と呼ばれる。
【0036】
また、PMDベクトルを用いて光伝送システムの各コンポーネント(例えば、光ファイバ部分、光学要素、カプラー、合波器、スイッチ、ルータ等)も表すことができ、共通の座標系におけるこれらのベクトルの合計は、システムの全PMDベクトルである。理解されるように、システムの全PMDベクトルは、一般に伝送システムの長さに沿って変化し、時間と共に変化する。例えば、光信号源から1kmの全PMDベクトルは、一般に信号源から10kmのものと異なる。同様に、任意の1つの位置における全PMDベクトルは、例えばシステムのコンポーネントにおける温度及び/又は応力の変化に起因して時間と共に変化する可能性がある。従って、理解されるように、全PMDベクトル又はシステムのPMDベクトルは、特定のシステム位置及び時間におけるPMDベクトルを指す。
【0037】
図2Aを参照すると、本発明によるPMDを補償する一実施形態の概略的なベクトル図が示される。本発明の方法は、光信号エネルギーの十分な部分量を光伝送システムの単一のPSPへと移すことである。本発明の偏光制御装置及び遅延要素からの寄与のない光伝送システムのPMDベクトルは、ベクトル(ベクトルΩLINK)202によって示される。円形部分203は、ベクトル(ベクトルΩLINK)202と入力偏光ベクトル204によって画定される平面にあるポアンカレ球の部分を表す。一実施形態において、本発明の方法は、結果として生じるPMDベクトル(ベクトルΩTOTAL)208が入力偏光ベクトル204と実質的に同じであるアライメントを有するように、偏光制御ベクトル(ベクトルΩPC)206をベクトル(ベクトルΩLINK)202に追加することによって、表され得る。ここで、入力偏光ベクトル204は、新しいシステムのPMDベクトル(ベクトルΩTOTAL)208上に実質的にある。結果として、光信号エネルギーの十分な部分量は、システムの1つのPSPへ移動し、それにより第1次に対するPMD拡散を実質的に補正することによってPMDの影響を補償する。
【0038】
図2Bを参照すると、光エネルギーの十分な部分量を単一のPSPへ移動させる効果が示される。左側の250上のプロットは、PMD補償前の各PSP252、254の光信号エネルギーを示し、右側251上のプロットは、本発明によるPMD補償後の各PSPの光信号エネルギーを示す。PSP252、254を表す波形と「ゼロ」の線253との間の面積は、波形によって表されるPSPのエネルギーに比例する。図2Bの実施形態において、本発明によって提供されるPMD補償は、速いPSP254からの光信号エネルギーの十分な部分量を遅いPSP252へ移す。しかしながら、理解されるように、光信号エネルギーの全てを単一のPSPに移すことは、本発明にとってあまり重要ではない。それどころか、顕著なPMD拡散を生じさせるのに不十分なエネルギーの部分量は、PMD補償後の速いPSP254に残っているエネルギーによって、右側のプロット251に示されるようなPSPに残ることができる。
【0039】
理解されるように、新しいシステムのDGD、DGDTOTALは、一般にゼロでない。例えば、図2Aのベクトルの長さは、各ベクトルに関連したDGDに比例する。従って、図2Aに示された実施形態の場合、結果として生じるシステムのDGDは、以下のようになる。
【0040】
【数2】
【0041】
ここで、DGDLINKはベクトル(ベクトルΩLINK)202に関連したDGDであり、DGDCOMPは補償ベクトル(ベクトルΩPC)206に関連したDGDである。一実施形態において、DGDCOMPはデータストリームの1ビット期間よりも大きく、好適にはDGDCOMPは、入力偏光ベクトル204上に実質的にあるシステムのPMDベクトル(ベクトルΩTOTAL)208の生成を容易にするためにDGDLINKより大きい。
【0042】
本発明の一態様において、偏光制御ベクトルの追加によって表される物理的プロセスは、偏光制御装置及び遅延要素により提供される。偏光制御装置及び遅延要素は、単一の偏光制御ベクトル、或いは2つ又はそれより多い波長チャネルのそれぞれに対する別個の偏光制御ベクトルを提供することができる。一実施形態において、偏光制御装置は、偏光コントローラと遅延要素を含む。遅延要素は、DGD、DGDCOMPを提供し、偏光コントローラはポアンカレ球上において光信号に対してDGDCOMPの方位を変更する。遅延要素は可変DGDを提供してもよく、又は好適には実質的に固定されたDGDを提供する。偏光制御装置と遅延要素は、単一の集積化光コンポーネント、或いは2つ又はそれより多い光コンポーネントからなることができる。例えば、一実施形態において、偏光制御装置は、2つの光コンポーネント、即ち可変液晶(「LC」)偏光コントローラと偏光保存ファイバとからなり、可変LC偏光コントローラは偏光コントローラとして働き、PMFは遅延要素として働く。
【0043】
偏光制御ベクトルに選択される方位は、システムのPSP特性に基づいて決定される。偏光特性は、光伝送システムの光信号の少なくとも一部分を含むサンプル光信号から突きとめられる。一実施形態において、本発明は、サンプル光信号の2つの異なる(好適には、必ずというわけではないが、直交する)偏光成分間に位相遅延を導入し、干渉信号を生成するように2つの偏光成分に干渉を起こさせる。各偏光成分が一般にシステムの2つのPSPの重ね合わせであるので、結果としての干渉信号は、PSP間の自己相関成分と相互相関成分を含む。
【0044】
本発明の偏光監視とPMD補償の方法は、光伝送システムの2つ又はそれより多い波長チャネルに実質的に同時に適用することに適する。一実施形態において、本発明は、サンプル光信号の2つの異なる(好適には、必ずというわけではないが、直交する)偏光成分間に位相遅延を導入し、干渉信号を生成するように2つの偏光成分に干渉を起こさせる。干渉信号は、各波長チャネルの干渉信号を得ることを容易にするために、スペクトル的に連続した波長サブ帯域へ分散される。
【0045】
複数の位相遅延において得られた干渉信号を用いて、PSPの相対的な振幅と偏光状態及びそれらの間のDGDを突きとめることができる。2つの偏光成分間の位相遅延は(例えば、遅延の全波を通じて)変化するので、干渉信号の強度は周期の一部分を通して正弦曲線的に変化し、観測される周期の一部分は、光伝送システムのDGD、即ちDGDLINKに依存する。結果として、干渉信号の強度Iは、固定測定周波数ω0に関して、単位時間における位相遅延dの正弦曲線的関数として次のように表され得る:
I=I0+Ccos(dω0)+Ssin(dω0) 式(3)
式(3)の正弦曲線的信号は、係数I0、C、及びSについて解かれ得る。これらの係数から、サンプル光信号の偏光特性とベクトル(ベクトルΩLINK)を求めることができる。
【0046】
それに対応して、干渉信号が2つ又はそれより多い波長サブ帯域に関して得られる実施形態において、各波長サブ帯域の干渉信号の強度I(ω)は、位相遅延の正弦曲線的な関数として次のように表され得る:
I(ω)=I0+Ccos(dω)+Ssin(dω) 式(4)
ここで、ωは関連する波長サブ帯域に対応する周波数である。式(4)の正弦曲線的な信号は、係数I0、C、及びSについて解かれ得る。更に、第1次のPMDの極限において、CとSの係数も周波数の正弦曲線的な関数であり、次のように表され得る:
C(ω)=C0+Cccos(τω)+Cssin(τω) 式(5)
S(ω)=S0+Sccos(τω)+Sssin(τω) 式(6)
ここで、τは波長チャネルの光信号のDGDに関連した時間遅延である。任意のデータ集合に関して、これらの式は、DGDのτ、及びS(ω)とC(ω)の係数について解かれ得る。これらの係数から、各波長チャネルのPSP特性を求めることができる。
【0047】
別の実施形態において、本発明は、第2の一連の位相遅延を導入する前にサンプル光信号の偏光成分に関する偏光軸の回転方位を変更する。この冗長性は、装置が取得されたデータから全ての必要な偏光情報を計算できない場合を取り除く。2つ又はそれより多い回転方位において得られた結果として生じた干渉信号は、PSPの自己相関と相互相関に追加の情報を提供する。一実施形態において、本発明は、2つ又はそれより多い回転方位のそれぞれについて(1)サンプル光信号の2つの偏光成分間に位相遅延を導入し、次いで(2)任意の回転方位に対して干渉信号を生成するように2つの偏光成分に干渉を起こさせる。この実施形態の1つのバージョンにおいて、干渉信号は2つの異なる回転方位に対して得られる。1つのバージョンにおいて、第1の回転方位は、偏光軸の0°の回転(即ち、回転しない)によって生じ、第2の回転方位は、偏光軸の45°の回転によって生じる。しかしながら、理解されるように、軸の正確な回転方位は本発明にとってあまり重要ではなく、むしろ非縮退回転方位の任意のセットが使用され得る。また、各回転方位に対して結果として生じる干渉信号は、式(3)と同じ関数形態を有する位相遅延の正弦曲線的な関数としても表され得る。
【0048】
更に、位相遅延を導入する前にサンプル光信号の偏光軸の回転方位を変更する方法は、2つ又はそれより多い波長チャネルに実質的に同時に適用することに適する。一実施形態において、2つ又はそれより多い回転方位のそれぞれに関して、本発明は、サンプル光信号の2つの偏光成分間に位相遅延を導入し、任意の回転方位に対して干渉信号を生成するように2つの偏光成分に干渉を起こさせる。次いで、干渉信号はスペクトル的に連続した波長サブ帯域へ分散され、任意の回転方位に関して各波長チャネルの干渉信号を得ることを容易にする。また、各回転方位φに対して結果として生じる干渉信号は、式(4)と同じ関数形態を有する位相遅延の正弦曲線的な関数としても表され得る。
【0049】
例えば、φ=0°及びφ=45°のような2つの回転方位を用いる場合、各波長サブ帯域に対する結果としての干渉信号は、以下のように表される。
【0050】
【数3】
【0051】
これらの正弦曲線的な信号は、各波長サブ帯域に関して、I0 0、C0、I0 45、C45、及びS45について解かれ得る。更に、第1次のPMDの極限において、CφとSφの係数は、正弦曲線的な横断周波数でもあり、以下のように表され得る。
【0052】
【数4】
【0053】
任意のデータセットに関して、これらの式は、DGDτ、及びS(ω)とC(ω)の係数について解かれ得る。これらの係数から、各波長チャネルのPSP特性を求めることができる。
【0054】
例えば、波長チャネルの光信号のPSP特性は以下の式から求められ得る。
【0055】
【数5】
【0056】
ここで、Iinputは、監視装置への入射強度を表し、例えば、半波により分離された2つのディザ設定に関して検出された強度を合計することにより、又は一連の測定値の対の強度を合計することにより求められ得る。監視装置におけるPMDベクトルは、Elx、Ely、及びεによって与えられる主偏波状態の方へ実質的に向けられ、一方、ベクトルの長さはDGDτにより求められる。
【0057】
別の態様において、本発明は、PSP特性の測定を容易にする装置を提供する。種々の実施形態において、装置は偏光監視装置と偏光状態生成器を含む。本発明による偏光監視装置の種々の実施形態は、本発明の方法に関する種々の実施形態の更なる説明に関連して以下に説明される。
【0058】
図3Aと図3Bを参照すると、種々の実施形態において、本発明による偏光監視装置は、回転子302、位相遅延生成器304、305、干渉計306、波長分波器308、及び検出器310を含む。図3Aと図3Bに示されるように、一実施形態において、サンプル光信号301は回転子302を通過し、その回転子302によって、サンプル光信号の偏光楕円の回転方位が位相遅延生成器304、354の光軸に対して変更されることを可能にする。適切な回転子は、入射の楕円形を実質的に維持しながら、光信号の偏光軸を回転させる(偏光回転子)及び/又は位相遅延生成器の光軸を回転させることができる任意の要素を含む、
【0059】
例えば、適切な回転子は、以下に限定されないが、ファラデー回転子、速波軸が方位角において所望の回転角度の半分だけ整列または分離された2つの切り換え可能半波長板、及び速波軸が所望の回転角度の半分だけ分離された2つの可変位相リターダを含む。別の実施形態において、回転子は、位相遅延生成器の光軸を回転させる。係る位相遅延生成器は、例えば位相遅延生成器、又は切り換え可能な光軸を有する位相遅延生成器を物理的に回転させる要素を含むことができる。
【0060】
他の実施形態において、本発明の偏光監視装置は、回転子を含まず、干渉信号は、サンプル光信号の偏光軸の2つ又はそれより多い回転方位において得られない。例えば、サンプル光信号の偏光軸が、可変リターダを含む位相遅延生成器の光軸に沿って存在しない場合、回転子は必要ない。しかし、実際にサンプル光信号の偏光軸が位相遅延生成器の光軸に沿って実質的に線形に偏光される場合、サンプル光信号の2つの偏光成分間に位相遅延は追加されず、この問題に対処するために、回転子が位相遅延生成器の前に追加されてもよい。
【0061】
図3Aと図3Bを再び参照すると、一実施形態において、サンプル光信号は回転子302から位相遅延生成器304、354へと送られ、その位相遅延生成器は、サンプル光信号の一方の偏光成分を他方に対して遅延する。他方に対して一方の偏光成分を遅延することは、例えば偏光成分を異なる長さの光路を介して、又は可変複屈折要素を介して伝播させることにより達成され得る。種々の実施形態において、位相遅延生成器は、可変複屈折要素304を含む。適切な可変複屈折要素は、以下に限定されないが、可変リターダを含む。好適には、可変リターダは、電気光学の及び/又は液晶の波長板を含む。他の実施形態において、位相遅延生成器は、偏光成分を異なる長さの光路を介して伝播させる要素を含む。
【0062】
図3Bを参照すると、一実施形態において、位相遅延生成器354は、偏光分割ビームスプリッタ355と可変遅延要素357を含む。次いで、サンプル光信号は、偏光ビームスプリッタ(「PBS」)355によって2つのビームへ分割され、一方の偏光成分(例えば、Ex)は透過し、他方(例えば、Ey)は反射される。各アームにおける4分の1波長板及び反射器359は、偏光を回転させ、ビームスプリッタ後の2つのビームを再結合する。可変位相遅延は、2つの伝播光路間に可変リターダンスを生じさせる可変遅延要素357により、分離されたビーム(即ち、偏光成分)の一方に導入される。可変遅延要素の可能な実施例は、以下に限定されないが、固定軸液晶リターダ、可変リターダンス波長板、及び少なくとも1つの4分の1波長板の背後に配置された空間的可変ミラーを含む。
【0063】
図4を参照すると、回転子402と位相遅延生成器404の好適な実施形態が示される。好適には、回転子402は、第1の切り換え可能半波長板403と第2の切り換え可能半波長板405を含み、位相遅延生成器404は、半波長板403と405の速波軸413、415に対して固定された方位でそろえられた速波軸を有する可変リターダを含む。一実施形態において、第2の半波長板405の速波軸の方位は、第1の半波長板403の速波軸に対してφ/2(425)だけ回転し、サンプル光信号の偏光軸の回転方位を、位相遅延生成器404の光軸に対してφだけ変化させる。次いで、その方位は、半波長板のリターダンスをゼロに変更することによりリセットされ得る。
【0064】
図3Aと図3Bを再び参照すると、サンプル光信号は、位相遅延生成器304、354から干渉計306へ送られる。干渉計306は、サンプル光信号の直交する偏光成分を、それらの間で干渉を生じることができる条件下で混合し、それにより干渉信号を生成する。好適には、干渉計は、45°直線検光子を含む。しかしながら、理解されるように、光信号の偏光成分を、それらの間で干渉を生じる条件下で再結合できる任意の光学要素又は光学要素の構成は、本発明の偏光監視装置の干渉計として機能することができる。
【0065】
本発明の種々の実施形態において、干渉計により生成された干渉信号は、検出器により測定される。種々の他の実施形態において、干渉信号は、スペクトル的に連続した波長サブ帯域へ分散され、異なる検出器要素が、光伝送システムの特定の波長チャネルに対応する干渉信号を受け取る。検出器要素は、検出器のアレイ、例えば2つ又はそれより多い物理的に独立した検出器、或いは集積化された検出器アレイからなることができる。適切な検出器アレイの例には、以下に限定されないが、電荷結合素子(「CCD」)のアレイ、集積化されたフォトダイオードのアレイ、及び別個の検出器のアレイが含まれる。電気通信の用途において、InGaAsフォトダイオードが、アレイ及び別個の検出器用途に好適である。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、理解されるように、用語「検出器のアレイ」と「検出器アレイ」は交換可能に使用され得る。即ち、要素が用語「検出器のアレイ」によって説明される場合、理解されるようにその用語は「検出器アレイ」も包含し、逆の場合も同様である。
【0066】
図3Aと図3Bを再び参照すると、一実施形態において、干渉計306により生成された干渉信号は、サンプル光信号をスペクトル的に連続した波長サブ帯域へとスペクトル的に分散する波長分波器308を通過する。結果として、分波器308は、各波長サブ帯域に干渉信号を提供する。一実施形態において、光信号(例えば、DWDM信号等)の各波長チャネルは、少なくとも2つの波長サブ帯域へとスペクトル分散することによって分割される。好適には、波長分波器は、各波長チャネルを5〜15個の波長サブ帯域へ分割する。適切な波長分波器の例には、以下に限定されないが、自由空間及び平面の実施において、アレイ導波路格子(AWG)、体積位相グレーティング(volume phase grating)分光計、及び反射グレーティング分光計が含まれる。
【0067】
干渉信号を各波長サブ帯域の干渉信号へとスペクトル的に分散することにより、光信号の多重波長チャネルのPSP特性の測定が容易になる。更に、検出器アレイにわたって干渉信号をスペクトル的に分散させることにより、多重チャネルの干渉信号が実質的に同時に測定されることが可能になる。例えば、一実施形態において、波長分波器308は、検出器アレイ310にわたるスペクトル的に連続したサブ帯域へ干渉信号をスペクトル的に分散する。次いで、検出器アレイ310の素子の異なる集合が、異なる波長チャネルに対応する干渉信号を実質的に同時に受け取る。結果として、多重波長チャネルの干渉信号が実質的に同時に測定されることができ、この情報が偏光状態生成器によって使用され、多重波長チャネルに関するPSPの相対的振幅と偏光状態及びDGDが求められる。
【0068】
偏光状態生成器は、アナログ装置及び/又はデジタル装置からなることができる。偏光状態生成器は、光信号のPSPの偏光状態と相対的振幅、及びそれらの間のDGDを求める。一実施形態において、偏光状態生成器は、サンプル光信号の2つまたはそれより多い回転方位のそれぞれにおける複数の位相遅延に関して測定された干渉信号に基づいてPSP特性を求める。更に、偏光状態生成器は、サンプル光信号の1つ又は複数の回転方位のそれぞれにおける複数の位相遅延に関して測定された干渉信号に基づいて多重波長チャネルのPSP特性を実質的に同時に求めることができる。好適には、偏光状態生成器は、異なる波長チャネル内の異なる波長サブ帯域について観測された干渉信号間の関係に基づいても多重波長チャネルのPSP特性を求める。
【0069】
一実施形態において、偏光状態生成器は、実質的に式(3)〜(6)によるロジックを用いてPSP特性を求める。別の実施形態において、偏光状態生成器は、実質的に式(7)〜(19)によるロジックを用いてPSP特性を求める。しかしながら、理解されるように、偏光状態生成器は、サンプル光信号の1つ又は複数の回転方位のそれぞれにおける複数の位相遅延の干渉信号に基づいてPSP特性を求めるのに適した任意のロジックを使用できる。
【0070】
偏光状態生成器のロジックは、アナログ回路、デジタル回路によって、及び/又は汎用コンピュータのソフトウェアとして実施され得る。偏光状態生成器は、PSPの相対的振幅と偏光状態、及びそれらの間のDGDの、例えばプリンタ又はコンピュータスクリーンによって生成されるような人間読取り可能な表示を生成することができる。しかしながら、偏光状態生成器が人間読取り可能な出力又は機械読取り可能な出力のみを生成するか否かは、本発明にとってあまり重要ではない。例えば、偏光状態生成器は、光伝送システムのPMDを補償する偏光制御装置を制御するのに十分な機械読取り可能電気信号のみを生成してもよい。
【0071】
理解されるように、本発明の偏光監視装置の様々な実施形態は、求められる偏光特性が任意の波長チャネルにおける光のストークスベクトルを計算するのに十分であるので、マルチチャネルストークスベクトル偏光計として使用することに適する。また、偏光監視装置の実施形態は、1つの波長チャネルのスペクトルによって照射される1つ又は複数の検出器素子上の平均強度が、チャネルの平均パワーの測定をもたらすので、マルチチャネルパワー監視装置として使用することにも適する。最後に、偏光監視装置の実施形態は、各監視装置の検出器チャネルの平均強度が、検出器サイズとグレーティングの分散に対応するスペクトルのビンにおけるパワーの測定をもたらすのでマルチチャネルスペクトルアナライザとして使用され得る。
【0072】
一実施形態において、本発明は、光伝送システムにおいて光信号のPMDを補償するための装置を提供する。図5と図6を参照すると、PMD補償装置の種々の実施形態が示される。補償装置は、偏光監視装置503、603、偏光状態生成器517、617、及び補償段521、621を含む。偏光監視装置と補償段は、本明細書で説明される任意の実施形態を含むことができる。例示されるように、図5の偏光監視装置503は、図3Aとそれに伴う説明で示されたものと実質的に同じであり、図6の偏光監視装置603は、図3Bとそれに伴う説明で示されたものと実質的に同じである。
【0073】
動作において、偏光監視装置503、603は、サンプル光信号の1つ又は複数の回転方位のそれぞれに対する複数の位相遅延における干渉信号の測定値を偏光状態生成器517、617に提供する。次いで、偏光状態生成器517、617は、偏光監視装置503、603によって提供された測定値に基づいて、光信号、或いは光信号の1つ又は複数の波長チャネルのPSP特性を求める。一実施形態において、偏光状態生成器517、617は、補償段521、621の偏光制御装置522、622に制御信号を提供する偏光制御装置ドライバ530、630に制御信号を提供し、次いで補償段521、621は、光信号のエネルギーを光伝送システムの実質的に1つのPSPへ移すような選択可能な方位において光信号にDGDを追加する。代案として、前述したように、補償段は、1つのPSPの偏光状態が光信号のものと実質的に同じであるように光伝送システムのPSPを修正するものとも見なされ得る。
【0074】
図5と図6を再び参照すると、種々の実施形態において、補償段は、偏光制御装置522、622、及び遅延要素524、624を含む。好適には、遅延要素524、624は、補償されるべきPMDに関連した光伝送システムのDGDより大きい実質的に固定されたDGDを有する。従って、遅延要素524、624が実質的に固定されたDGDを有する場合、偏光制御装置ドライバ530、630は、偏光制御装置522、622に制御信号のみを提供する。しかしながら、理解されるように、偏光制御装置ドライバ530、630及び/又は偏光状態生成器517、617は、センサ(例えば、温度、位置、パワー他)に限定されないが、システム診断及び制御システム、システムクロック他を含む種々のソースから入力信号を受け取り、PMD補償を容易にすることができる。例えば、遅延要素524、624のDGDは、温度と共に変動し、結果として、遅延要素温度センサからの入力信号を用いて遅延要素のDGDを求めることができる。
【0075】
図5と図6に例示されるように、補償段521、621は、光伝送システムの多重波長チャネルにおいてPMDを補償するように適合される。例示された実施形態において、補償段521、621は、(ソースからレシーバまでの一般的な光信号の光路の順序で)波長分波器526、626、偏光制御装置522、622、波長合波器528、628、及び遅延要素524、624を含む。波長分波器526、626は、線551、651により表されるように、光信号をスペクトル的に連続した波長サブ帯域へ分散する。波長チャネルのエネルギーの十分な部分量が、対応する波長チャネルの単一のPSP内にあるような方位において、遅延要素524、624のDGDが追加されるように、偏光制御装置は、各波長チャネルで動作する。概して、偏光制御装置は、各波長チャネルの異なる方位においてDGDを追加する。その結果として、波長合波器は、偏光制御装置によって操作された光(線553、653によって表される)を再結合する。
【0076】
図5と図6に例示されるように、補償段521、621は、点501、601から点599、699まで進む光信号の光路が光学監視装置に遭遇する前に補償段を通過するという意味において、偏光監視装置503、603に先行する。しかしながら、理解されるべきは、補償段の配置が偏光監視装置の「前」又は「後」であるということは本発明にとってあまり重要ではない。例えば、偏光監視装置が偏光制御装置に先行する場合、偏光制御装置のジョーンズ又はミュラー行列を用いて偏光制御装置の2つの端部間で偏光状態を変換できる。
【0077】
本発明において有用な補償段は、種々の形態をとることができる。好適には、制御装置の遅延要素は、偏光保存ファイバ(「PMF」)を含む。しかしながら、適切な遅延要素は、以下に限定されないが、自由空間及びファイバ遅延要素、或いは方解石又はバナジン酸イットリウムのような複屈折結晶を含む。適切な波長合波器及び分波器は、図3A、図3B、図5、及び図6に例示されるように、グレーティング307、537、637、及び分散コリメータ309、539、639を含むことができる。更なる適切な波長分波器及び合波器は、以下に限定されないが、自由空間及び平面の実施において、アレイ導波路格子(AWG)、体積位相グレーティング分光計、及び反射グレーティング分光計を含む。また、適切な偏光制御装置も、種々の形態をとることができる。例えば、偏光制御装置は、電気光学結晶から構成された一連の可変波長板、ニオブ酸リチウム波長板、液晶、ファイバスクィーザ、及びシリカ系応力リターダを含むことができる。
【0078】
好適には、補償段は、実質的に固定されたDGDを有する遅延要素とLC偏光コントローラとを含む。図7を参照すると、LC偏光コントローラの好適な実施形態が示される。LC偏光コントローラ701は、4つのLC波長板702、704、706、及び708のスタックを含む。好適には、LC波長板のスタックは、10mm未満の厚みであり、好適にはLC波長板の絶対的リターダンス誤差は、波長板当たり4nmより大きくない。
【0079】
好適には、各LC波長板は、導電性インジウムスズ酸化物(ITO)のコーティングで被覆された光学品質ガラスの間に収容されたLCセル710のアレイを含む。それぞれの個々のLCセルは、対象となる波長帯域において実質的に0から1.2波までの可変波長板として機能し、個々のITO電極により制御され得る。LCセルは、好適には3ms未満の応答時間で電気的に制御される。例えば、素子の温度を上げることにより、一時的に応答を短くできる。
【0080】
4つの波長板702、704、706、及び708は好適には、それぞれ0°、45°、0°、及び45°において公称上それらのこすり(rub:磨く)方向を有するように構成され、ガラスに対して対象となる波長領域に整合された屈折率の光学的に透明なエポキシで互いに積層される。好適には、セルの位置合わせ(x−y方向において)は、第1のLC波長板702と最後のLC波長板708との間で25μm余りである。更に、LC偏光コントローラは、前部集積レンズアセンブリ712及び/又は後部集積レンズアセンブリ714を更に含むことができる。
【0081】
好適には、個々のLCセルは、各通信チャネルの分波器が各セルの活性領域を介して伝送した後に各ITU格子の間隔の90%より大きいようなサイズになっている。言い換えれば、ITUチャネル間の帯域幅の10%未満が、LCセル間のセル間ギャップ716から失われるのが好ましい。
【0082】
幾つかの実施形態において、上述した方法の機能は、汎用コンピュータのソフトウェアとして実施され得る。更に、係るプログラムは、コンピュータのランダムアクセスメモリの一部分に取っておき、回転子の制御、位相遅延生成器の制御、干渉計の制御、干渉信号の測定、偏光制御装置の制御、並びに測定された干渉信号との動作及びその干渉信号に対する操作に影響を与える制御ロジックを提供することができる。係る実施形態において、プログラムは、フォートラン、パスカル、C、C++、又はベーシックのような多数の高レベル言語の任意の1つによって書かれ得る。更に、プログラムは、スクリプト、マクロ、或いはエクセル又はビジュアルベーシックのような市販ソフトウェアに組み込まれた機能で書かれ得る。更に、ソフトウェアは、コンピュータに常駐するマイクロプロセッサ向けのアセンブリ言語で実施され得る。例えば、ソフトウェアがIBM PC又はPCクローンで実行するように構成された場合、それはインテル80x86アセンブリ言語で実施され得る。ソフトウェアは、以下に限定されないが、フロッピー(R)ディスク、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、又はCD−ROMのような「コンピュータ読取り可能媒体」を含む製造品に組み込まれ得る。
【0083】
偏光監視及びPMD補償の例
図5と図8を参照すると、光伝送システムにおいてPMDに対する監視と補償を行う一実施形態の例は、以下の通りである。サンプル光信号は、90/10光学タップ502でもって光伝送システムから分岐され、光結合器504を介して偏光監視装置503へ入力する。偏光監視装置は、偏光回転子506、可変リターダからなる位相遅延生成器508、45°直線偏光子からなる干渉計510、波長分波器512、及び多素子熱電子(「TE」)冷却されるInGaAsアレイからなる検出器のアレイ514を含む。
【0084】
図5の偏光監視装置構成のこの例において、単一の更新期間に関するデータ収集の順序は、以下の通りである。即ち、
(1)サンプル光信号の偏光軸を角度φ1(例えば、0°)だけ回転させるように偏光回転子506を設定する。
(2)可変リターダ508によって提供される位相遅延(例えば、ディザ位相遅延)を、例えば次のものを通じて変更する:
a.0〜1の波の正弦曲線的変化のような連続周期的リターダンス(位相遅延)特性、又は
b.幾つかの別個のリターダンス(位相遅延)ステップ。
(3)ステップ2の間、各回転子−リターダ設定に対する波長分波器512によって提供されるスペクトル的に連続した波長帯域の干渉信号を検出器アレイ514で測定する。
(4)サンプル光信号の偏光軸を角度φ2(例えば、45°)だけ回転させるように偏光回転子506を設定する。
(5)ステップ2と3を繰り返す。
代案として、偏光回転子は、位相遅延がゆっくりと変更される又はステップされるように、2つの回転方位間のサンプル光信号をディザリングすることができる。
【0085】
この例に関するデータ収集制御信号は、図8に模式的に示される。偏光回転子は、50%のデューティサイクルで動作し、即ち実質的に等しい時間が、回転子制御信号パターン801によって示されるように2つの回転方位φ1811とφ2812で費やされる。各偏光回転子の位置、即ちサンプル光信号の各回転方位において、位相が位相遅延生成器でディザリングされ、位相ディザ時間ウィンドウ831内のサンプル光信号の偏光成分間に複数の位相遅延を生じる。位相ディザは、位相遅延又は一連の位相遅延ステップの連続した一時的変動とすることができる。位相遅延は、その全波又は一部分を通じて変更され得る。位相遅延生成器制御信号パターン803によって示されるように、この例において、位相ディザは、時間ウィンドウ831中に1の全波λと0の間に4つの位相遅延ステップを含む。
【0086】
図5と図8に関連して、データ収集の間、位相遅延されたサンプル光信号は、干渉計510を通過し、波長分波器512でもって検出器アレイ514上へスペクトル的に分散される。検出器アレイは、波長チャネルに分散された信号を測定し、各チャネルはアレイの素子の異なる集合にある。従って、検出器アレイは、波長チャネルの全てに関して実質的に同時に干渉信号を測定する。検出器アレイのデータ取得パターン802は、偏光回転子と位相遅延生成器の変化量に対する干渉信号の検出器測定のタイミング(即ち、検出器の露光)821を示す。位相遅延は、各検出器の露光にわたって一定に保持されるか、又は傾斜の変化をつけられてもよい。
【0087】
偏光状態生成器517は、光信号の所望のスペクトル幅に広がる波長サブ帯域の全ての干渉信号を処理する。偏光状態生成器の処理のパターン804は、他のデータ収集動作に対する干渉信号測定処理のタイミング841を示す。偏光状態生成器は、PSP特性を求め、この情報に基づいて、偏光制御ベクトルが、光信号の所望のスペクトル幅に広がる波長チャネルについて求められる。制御ベクトルの測定のパターン806は、他のデータ収集と処理動作に対する偏光制御ベクトルの測定のタイミング861を示す。この例において、偏光制御ベクトルは、実質的に式(7)〜(12)、及び(13)〜(19)に従って各波長チャネルの干渉信号の測定された強度から求められる。
【0088】
偏光制御ベクトルに基づいて、偏光制御装置ドライバ530が、偏光制御装置522の駆動信号を決定し、偏光制御装置522は、各波長チャネルの光信号エネルギーの十分な部分量をチャネルの単一のPSPへと移す。偏光制御装置ドライバのパターン808は、他のデータ収集と処理動作に対する偏光制御装置の駆動信号の印加のタイミング881を示す。
【0089】
好適な実施形態において、補償段は、以下の通りに光信号のPMDを補償する。最初に、信号が波長分波器526によってスペクトル的に分散され、1つの波長チャネルがマルチチャネル偏光制御装置522の各チャネル(即ち、素子の集合)を通過する。次いで、その波長チャネルの光が、波長合波器528によって再結合され、補償されるべきDGDの量より大きいDGDを有する単一の偏光保存ファイバ524からなる遅延要素へ送らる。偏光制御装置522は、光信号の偏光状態が伝送システムにPMD補償器を加えた組み合わせのPSPに一致するように各チャネルの偏光状態を変更する。好適には、偏光監視装置503のサンプル光信号は、偏光制御装置のフィードバック信号と診断信号が求められ得るように偏光制御装置の後で伝送システムから分岐される。しかしながら、理解されるべきことは、上述したように偏光制御装置のフィードバック及び/又は反復の制御は、本発明にとってあまり重要ではない。
【0090】
図8に示されるように、データ収集の開始からPMD補償の完了までの時間間隔、即ちこの例における更新サイクル807は、8msである。時間のパターン805は、この時間の約3msがデータ収集に費やされ、そのデータ収集において約2msが複数の位相遅延及び第1の検出器露光851における回転方位において干渉信号を生成することに費やされ、約1msが、複数の位相遅延及び第2の検出器露光852における回転方位において干渉信号を生成することに費やされる。更に、一実施形態において、各検出器露光期間851、852に関して、少なくとも6回の測定855、856が行われる。例示されたように、第1の検出器露光期間851に関して、測定855は実質的に等しい持続時間からなる(例えば、各測定は、第1の検出器露光期間851及び6回の測定855の2msに関して1msの長さの約1/3である)。同様に、第2の検出器露光期間852について、測定856は実質的に等しい持続時間からなる(例えば、各測定は、第2の検出器露光期間852及び6回の測定856の1msに関して1msの長さの約1/6である)。
【0091】
時間のパターン805は、この例における更新サイクルの約2msがデータの処理及び/又は偏光回転子と位相遅延生成器の傾斜付け853に費やされ、約3msが偏光制御装置522の駆動及び光信号のPMD補償に費やされることを更に示す。特定の用途において、データ収集とPMD補償のプロセスは、PMDの度合いの変化及び/又はある期間にわたる伝送システムのPSPの変化に対処するために繰り返される。この例において、本発明によって提供されるPMD補償サイクルは、125Hzの周波数で動作する。
【0092】
本発明は、特定の実施形態に関連して特に図示されて説明されてきたが、当業者によって理解されるように、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の思想と範囲から逸脱することなく、形態及び細部に様々な変更を行うことができる。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、それ故に、特許請求の範囲の等価物の意味と範囲内に入る全ての変更は、包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】光伝送システムのPMDベクトルとPSPのポアンカレ球による表現を示す図である。
【図2A】本発明のPMD補償方法の一実施形態を示す図である。
【図2B】本発明のPMD補償方法の一実施形態を示す図である。
【図3A】本発明の偏光監視装置の種々の実施形態を示す略図である。
【図3B】本発明の偏光監視装置の種々の実施形態を示す略図である。
【図4】本発明の回転子と位相遅延装置の一実施形態を示す略図である。
【図5】本発明のPMD補償装置の一実施形態を示す略図である。
【図6】本発明のPMD補償装置の一実施形態を示す略図である。
【図7】本発明の補償段の偏光コントローラの一実施形態を示す略図である。
【図8】本発明の偏光監視方法の一実施形態を示す略図である。
【0001】
本発明は、光伝送システムの分野に関する。特に、本発明は、光伝送媒体の光信号の監視と修正に関する。
【0002】
関連出願に対する相互参照
本発明は、2001年3月19日に出願された米国同時係属仮出願第60/276,982の恩典を請求している。
【背景技術】
【0003】
光伝送システムの入力データストリームは、デジタルビットを表す一連のライトパルスとみなされ得る。現在の光伝送システムのビットレートは、一般にそれぞれ100〜25ピコセカンドの幅であるライトパルス(又はビット期間)という結果になる10GHz〜40GHzの範囲にわたる。光伝送システムのレシーバは、各ビット期間に関して、ライトパルスが受光された(デジタルの1)か、又は受光されなかった(デジタルの0)か否かを判定することにより、データストリームの各ビット期間をデジタルの1又は0へ変換する。偏波モード分散(PMD)は、データストリームのライトパルスを歪ませ、ひいてはビット期間を1又は0へ変換するか否かを判定するためのレシーバの能力を低下させる可能性のある現象である。結果として、PMDは、光伝送システムの伝送精度と能力を制限する。
【0004】
偏波モード分散は、光伝送システムの伝送媒体の複屈折から生じる。非円形ファイバコアという結果になる光ファイバの不完全性と非対称応力によって、たとえ「シングルモード」光ファイバと呼ばれるものからなる伝送媒体においても複屈折は存在する。理想的なシングルモード光ファイバは、円形のコア、即ち等方性であり偏心性のないコアを有する。係る理想的なファイバは等方性であり、即ちファイバの屈折率は、電界、又は換言すれば偏光の向きに無関係である。光ファイバコアの異方性(例えば、偏心性)は複屈折をまねき、従って、種々の偏光が異なる速度で光ファイバを介して伝播する。
【0005】
光ファイバの光の伝播は、2つの基本モード又は主モードによって制御されるものとみなされ得る。これらの主モードは、「主偏波状態(PSP)」として知られる。PSPがファイバリンクに導入される場合、リンクの出力における偏光は周波数の第1次に対して実質的に一定になる。理想的なシングルモードファイバにおいて、PSPは縮退する、即ち区別ができない。ファイバコアの異方性は、この縮退をとく。結果として、PSPは異なる群速度で伝わり、2つの時間的に変位したパルスへと分離する。異なる群速度に起因したPSPの分離は、偏波モード分散(PMD)として知られ、2つのPSP間の時間的な広がりは、群遅延時間差として知られる。この時間的な広がりによって、データストリームの1ビット期間のライトパルスが別のビット期間と重なる可能性がある。この重なりによって、あるビット期間を1又は0に変換するか否かを判定するためのレシーバの能力が低下する。従って、PMDは、光伝送システムに対して問題であり、データの曖昧性、データ損失、データの汚染、及び伝送能力の制限という結果になる。
【0006】
PMD問題に対する種々の方法が提案されてきたが、それぞれは制約をもたらす。例えば、偏波保存光ファイバは、複屈折を生じるファイバ内に内部応力部材によって導入される応力誘導型異方性のような固有の光学特性を通じて入力の偏光を維持し、PSP間の光パワーのクロスカップリングを防止するように設計されている。残念ながら、この特殊ファイバは高価であるばかりでなく、大規模な置き換えに及ばず、既存の「遺産的」なファイバネットワークにおいてPMDに対処することができない。
【0007】
電気的歪み等化器のような現在の電子的方法も欠点を呈する。DGDのインジケータとしてレシーバにおけるRF周波数応答(即ち、応答の最小値)のノッチを一般に使用するこれらの方法は、従来のレシーバの電子回路に修正が必要であり、高速デジタル電子回路又はRF電子回路を必要とする傾向がある。
【0008】
光計測の方法は一般に、偏光スクランブルにより、又は周波数側波帯の導入によりレーザ源に摂動を起こさせる(perturbing)こと、或いはPMDの偏光特性の間接的又は定性的な測定のみを行うことを必要とする。光伝送システムにおいて、光測定のためにレーザ源に摂動を起こさせることは、一般に実用的でなく、データ伝送を中断する。DGD及び偏光度(「DoP」)の測定のような、PMD偏光特性の間接的又は定性的な測定のみを利用する方法は、複数の動作の後にのみPMDを補償する反復手順の使用を必要とする。しかしながら、係る複数の動作は時間を浪費し、ひいては係る反復の補償方法は、高速伝送システムに対する用途に関して欠点を有する。
【0009】
従って、データ伝送を中断することなく、PMDの影響をより高速に補償することを可能にする、信頼できるPMD測定を提供する方法が必要とされている。
【0010】
発明の概要
本発明は、レーザ源に摂動を起こさせることなくPMD偏光特性の直接的な測定値を得て、単一動作でPMDの影響を補償するための方法と装置を提供する。本発明は、光伝送システムの光信号を、補償器を含むシステムの単一のPSPへと実質的に移動させることによりPMDを補償する。結果として、データストリームの各ライトパルスは、時間的に隣接するライトパルス又はビット期間と実質的に混合されない。
【0011】
一態様において、本発明は、光伝送システムの光信号のPMDを補償するための方法を提供する。一実施形態において、該方法は、光伝送媒体からのサンプル光信号の2つの異なる偏光成分間に位相遅延を導入することにより、ファイバリンクのPMD偏光特性を測定する。該方法は、2つの偏光成分に干渉を起こさせ、結果としての干渉信号を測定する。次いで、該方法は、複数の位相遅延において測定された干渉信号を用いて、DGD、及びPSPの相対的な振幅と偏光状態(例えば、向きと楕円率)を求める。DGD、及びPSPの相対的な振幅と偏光状態は、PMD偏光特性の直接的な尺度を提供する。本明細書において使用される場合、用語「PSP特性」は、PSPの偏光状態と相対的な振幅、及びそれらの間のDGDを指す。また、PSPの偏光状態と相対的な振幅は、光伝送システムにおける光信号の偏光状態の直接的な尺度も提供する。PSP特性に基づいて、本発明は、PMDの影響を補償するために、好適には単一動作で光伝送システムの単一のPSPへと光信号エネルギーの十分な部分量を移動させる光信号に対する修正を求める。「十分な部分量」は、例えば適切なシステムの停止確率又はパワーペナルティを提供するように当業者によって選択され得る。
【0012】
本明細書において使用される場合、用語「十分な部分量」は、特定の伝送システム又はデータ伝送に関してPMDの影響に起因するビットエラーレートを防ぐのに十分な量であることを指す。例えば、データ伝送が非常に冗長で破損に耐性のあるデータを含む場合、十分な部分量は少なくできる。同様に、低いデータ伝送レートのみが望まれる場合も、十分な部分量は少なくできる。逆に、伝送システムを高い能力で、及び/又は高いデータ精度(即ち、データの低い曖昧性、低い損失、又は低い破損ビットエラーレート)で動作させることが望まれる場合、十分な部分量は非常に多くすることができ、又は光信号の全エネルギーを単一のPSPへと実質的に移動させることを含むことさえできる。従って、当業者には理解されるように、移動させるための光信号エネルギーの十分な部分量は簡単な態様で(必要以上の実験をしないで)求められ得る。例えば、十分な部分量は、光信号エネルギーの全てを実質的に含むことができる。
【0013】
別の実施形態において、該方法は、サンプル光信号の偏光軸の向きを回転させ、サンプル光信号の2つの異なる偏光成分間に位相遅延を導入することにより、PMD偏光特性を測定する。該方法は、2つの偏光成分に干渉を起こさせ、結果としての干渉信号を測定する。次いで、該方法は、サンプル光信号の偏光軸の2つ又はそれより多い回転の向きの各々について、2つ又はそれより多い位相遅延で測定された干渉信号を用いて、光信号のPSP特性を求める。PSP特性に基づいて、本発明は、単一の動作で光信号エネルギーの十分な部分量を光伝送システムの単一のPSPへと移動させる光信号に対する修正を求める。
【0014】
別の実施形態において、本発明の方法は、単一の動作で光信号エネルギーの十分な部分量が、入射ファイバリンクとPMD補償器を具現化する光伝送システムの単一のPSPへと移動するような動作において、入射光信号にDGDベクトルを追加することにより、光伝送システムのPMDを補償する。
【0015】
好適な実施形態において、本発明は、高密度波長分割多重(「DWDM」)のファイバに存在するような、光ファイバにおける多数の波長チャネルのPSP特性を実質的に並列に求める。これらの特性には、PSPの偏光状態、PSPの相対的な振幅(即ち、2つのPSP間のエネルギー比率)、DGD、及びデータストリームの多数の波長チャネルに対するパワーの合計が含まれる。各波長チャネルの帯域幅は、主としてレーザ源の線幅と光信号のデータ変調帯域幅によって求められる。
【0016】
この実施形態の1つのバージョンにおいて、方法は、サンプル光信号の2つの異なる偏光成分間に位相遅延を導入する。該方法は、干渉信号を生じさせるように2つの偏光成分に干渉を起こさせ、干渉信号をスペクトル的に連続した波長帯域へ分散し、各波長サブ帯域について干渉信号を測定する。次いで、該方法は、複数の位相遅延における各波長サブ帯域について干渉信号を測定し、各波長チャネルについてPSP特性を求める。チャネルのPSP特性に基づいて、本発明は、単一動作でその波長チャネルの光信号エネルギーの十分な部分量をそのチャネルの単一のPSPへと移動させる各波長チャネルの光信号に対する修正を判定する。
【0017】
この実施形態の別のバージョンにおいて、方法は、サンプル光信号の偏光軸の向きを回転させ、サンプル光信号の2つの異なる偏光成分間に位相遅延を導入する。該方法は、干渉信号を生じさせるように2つの偏光成分に干渉を起こさせ、各チャネルの干渉信号をスペクトル的に連続した波長サブ帯域へ分散し、各波長サブ帯域について干渉信号を測定する。次いで、該方法は、光信号偏光軸の2つ又はそれより多い回転の向きのそれぞれに関して2つ又はそれより多い位相遅延において各波長サブ帯域の干渉信号を測定し、対応する波長チャネルのPSP特性を求める。チャネルのPSP特性に基づいて、本発明は、単一動作でその波長チャネルの光信号エネルギーの十分な部分量をそのチャネルの単一のPSPへと移動させる光信号に対する修正を判定する。
【0018】
好適な実施形態において、本発明の方法は、光伝送システムの2つ又はそれより多い波長チャネルのPMDを補償する。該方法は、単一動作でチャネルの光信号エネルギーの十分な部分量がチャネルの単一のPSPへと移動するような向きにおいて、各チャネルに実質的に同時にDGDを追加することにより、実質的に同時に波長チャネルのPMDを補償する。
【0019】
別の実施形態において、PMDの度合いとPSPの偏光状態は時間が経つにつれて変化する可能性があるので、光信号はサンプリングされ、分析され、光信号に対する修正は、断続的、周期的、又は連続的に更新される。
【0020】
別の態様において、本発明は、本発明の方法の機能性が、以下に限定されないが、フロッピー(R)ディスク、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、CD−ROM、又はDVD−ROMのようなコンピュータ読取り可能媒体に具現化される製造品を提供する。
【0021】
別の態様において、本発明は、光伝送システムの光信号のPMDを補償するための装置を提供する。一実施形態において、該装置は、光学的偏光監視装置と、偏光状態生成器とを含む。偏光監視装置は、位相遅延生成器、干渉計、及び検出器を含む。偏光監視装置は、サンプル光信号を受け入れるように構成され、位相遅延生成器が、サンプル光信号の2つの異なる偏光成分間に位相遅延を導入する。干渉計は、位相遅延された光を受光するように配置され、検出器によって測定される干渉信号を生成するように2つの偏光成分に干渉を起こさせる。偏光状態生成器は、複数の位相遅延において測定された干渉信号に基づいて、DGD、及びPSPの相対的な振幅と偏光状態を求める。
【0022】
別の好適な実施形態において、偏光監視装置は回転子も含む。偏光監視装置はサンプル光信号を受け入れるように構成される。回転子は、位相遅延生成器の光軸に対してサンプル光信号の偏光軸の少なくとも2つの回転方位を提供する。位相遅延生成器は、偏光軸の回転方位のそれぞれに対して、サンプル光信号の2つの異なる偏光成分間に位相遅延を導入する。干渉計は、位相遅延された光を受光して、2つの偏光成分に干渉を起こさせ、検出器によって測定される干渉信号を生成するように配置される。偏光状態生成器は、2つ又はそれより多い回転方位のそれぞれに対して2つ又はそれより多い位相遅延において測定された干渉信号に基づいて、DGD、及びPSPの相対的な振幅と偏光状態を求める。
【0023】
一実施形態において、回転子は、位相遅延生成器の光軸を有効に回転させる電気光学素子を含む。別の実施形態において、回転子は、位相遅延生成器を物理的に回転させる機構を含む。好適には、回転子は、サンプル光信号の偏光軸を回転させる偏光回転子を含む。適切な偏光回転子は、以下に限定されないが、ファラデー回転子、及び波長板の組み合わせを含む。
【0024】
別の実施形態において、偏光監視装置は、光伝送システムの2つ又はそれより多い波長チャネルのPSP特性を実質的に同時に求める。この実施形態の1つのバージョンにおいて、偏光監視装置は、位相遅延生成器、干渉計、波長分波器、及び検出器のアレイを含む。また、偏光監視装置は回転子も含む。干渉計は、位相遅延された光を受光して2つの偏光成分に干渉を起こさせ、干渉信号を生成するように配置される。分波器は、検出器のアレイのスペクトル的に連続した波長サブ帯域へと干渉信号を分散する。検出器のアレイは、各波長サブ帯域の干渉信号が実質的に同時に測定されるように構成される。次いで、偏光状態生成器が、複数の位相遅延において、又はサンプル光信号の偏光軸の2つ又はそれより多い回転方位において測定された対応する波長サブ帯域の干渉信号に基づいて、各波長チャネルのPSP特性を求める。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、光伝送システムの光信号のPMDを補償するための装置を提供し、その装置は、光学的偏光監視装置、偏光状態生成器、偏光制御装置、及び遅延要素を含む。偏光制御装置は、光信号のエネルギーの十分な部分量が光伝送システムの単一のPSPへと移動するように光信号を修正する。この実施形態の1つのバージョンにおいて、補償段は、遅延要素に入射する偏光状態を変える偏光制御装置を含む。次いで、遅延要素は、選択可能な方位において実質的に選択可能なDGDを光信号に追加する。この実施形態の好適なバージョンにおいて、補償段は、偏光制御装置、及び選択可能な方位において実質的に固定されたDGDを光信号に追加する遅延要素を含む。選択される方位は、偏光状態生成器によって提供されるPSP特性に基づいて判定される。選択される方位は、補償段がDGDを光信号に追加する際に、結果として生じる光信号、即ち修正された光信号が光伝送システムの単一のPSPにおいてそのエネルギーの十分な部分量を有するようになっている。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、光伝送システムの2つ又はそれより多い波長チャネルのPMDを補償するための装置を提供する。該装置は、波長チャネルのPSP特性を監視する偏光監視装置、偏光状態生成器、及びマルチチャネル偏光制御装置を含む。マルチチャネル偏光制御装置は、各チャネルにおける光エネルギーの十分な部分量がチャネルの単一のPSPへ移動するように各波長チャネルの光信号を変更する。マルチチャネル偏光制御装置は、波長分波器、マルチチャネル偏光コントローラ、及び波長合波器を含む。分波器は、スペクトル的に連続した所望のチャネルへ光信号を分散し、マルチチャネル偏光コントローラは、波長チャネルのエネルギーの十分な部分量が対応する波長チャネルの単一のPSP内にあるような方位において、各波長チャネルにDGDを追加する。その結果として、波長合波器は、マルチチャネル偏光コントローラから受光した光を再結合する。一実施形態において、マルチチャネル偏光コントローラは、偏光コントローラのアレイを含み、各偏光コントローラは、遅延要素と結合された際に選択可能な方位においてDGDを導入するために別個の波長チャネルで動作する。好適には、偏光制御装置は、実質的に集積されたアレイを形成し、波長チャネルで実質的に同時に動作する。
【0027】
この実施形態の1つのバージョンにおいて、偏光制御装置は、選択可能な方位において実質的に選択可能なDGDを波長チャネルの光信号に追加する。好適には、偏光制御装置は、選択可能な方位において実質的に固定された量のDGDを追加する。波長チャネルに追加されるDGDの方位は、チャネルのPSP特性に基づいて選択される。選択される方位は、可変偏光装置がチャネルの光信号にDGDを追加する際に、結果として生じる(即ち、修正された)光信号がその波長チャネルの単一のPSPにおいてそのエネルギーの十分な部分量を有するようになっている。
【0028】
本発明の前述の、及び他の特徴と利点、並びに本発明自体は、詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲からより完全に理解されるであろう。
【0029】
詳細な説明
本発明は、光ファイバ伝送システムにおいてデータの光伝送に特に有益な光信号の監視と修正のための方法と装置を提供する。本発明は、光の偏光特性及び/又は光伝送システムのPSPを提供する。本発明によって提供される偏光特性を用いてPMD問題に対する「確定的解」を提供し、第1次に対して光信号のPMDを実質的に補償する。本明細書に使用される場合、用語「確定的解」は、第1次に対して任意のPMD(即ち、任意の一時点におけるPMD)を実質的に補償することができる光信号に対する単一の修正を求めるための本発明の能力を指す。本発明の確定的解の方法は、任意のPMDを補償するために反復の測定と修正を必要とする技術と対照をなす。
【0030】
PMD補償に対する本発明の1つの方法は、光信号エネルギーの十分な部分量を光伝送システムの単一のPSPへ移すことである。データ伝送を中断することなく、信頼できる態様でシステムのPSP、及びPMDを補償するために光信号を迅速に修正することを判定する際に、困った問題が存在する。理解されるように、単一のPSPへの光の移動は、2つの態様、即ち、システムのPSPのものと実質的に同じ偏光ベクトル方位(例えば、ストークスベクトルの方位)を有するように光信号の偏光状態を修正すること、又は入射光信号のものと実質的に同じPMDベクトル方位を有するようにシステムのPMDベクトルの偏光状態を修正することとみなすことができる。
【0031】
本発明のPMD補償方法を理解するための1つの直観的な態様は、光信号と光伝送システムのポアンカレ球による表現を含む。光ファイバ内のような光信号の電界ベクトルEは、一般にxとy成分、即ちExと不変位相オフセットεを有するEyとの和として表現される得る。
【0032】
【数1】
【0033】
電界ベクトルは一般に楕円偏光し、即ちExとEyは双方とも非ゼロであり、ある期間にわたってExとEyの楕円経路を追従する。線形及び円形の偏光は、電界ベクトルが楕円ではなくてそれぞれ直線又は円を時間的に描くので、楕円偏光の状態を縮退する。全ての考えられる偏光を表すための1つの便利な方法は、ポアンカレ球による。
【0034】
図1を参照すると、偏光状態のポアンカレ球の表現100が示される。球面上の任意の緯度は、任意の楕円偏光を表し、赤道101において直線偏光が表され、極103において円偏光が表される。この表現において、球面上の経度の1度は、偏光軸の0.5度の物理的回転を表す。偏光の左右像は2つの半球において変化し、上側の半球では右回りの偏光であり、下側の半球では左回りの偏光である。更に、各経度は、偏光の楕円の半長軸に対する固定方位角を表す。
【0035】
この表現において、光伝送システムのPMDは、ポアンカレ球上のPMDベクトル(ベクトルΩ)102によって表され得る。PMDベクトル(ベクトルΩ)102の方向は、システムのPSPの1つを表すが、ベクトルの大きさはDGDの半分である。任意のサンプル光信号の偏光状態(即ち、偏光監視装置に対する入力偏光状態)は、2つのPSPの線形的な組み合わせである。入力偏光ベクトル104(例えば、ストークスベクトル等)を用いて光信号偏光状態を表すことができる。1つのPSPにおける光信号エネルギーの相対的な量は、cos2(2θ)により与えられ、もう一方はsin2(2θ)によって与えられ、ここで(2θ)は、入力偏光ベクトル104とPMDベクトル(ベクトルΩ)102との間のポアンカレ球上の角度である。入力偏光ベクトル104がPMDベクトル102に沿って下がる場合、第1次に対する全光信号エネルギーは、伝送システムの1つのPSP内にある。それに対応して、第1次に対する光信号のエネルギーは他のPSPに存在しない。結果として、別のビット期間の他のPSP(例えば、遅いPSP)と重なる可能性があり、それによりデータの損失、曖昧性、又は汚染を生じる1つのビット期間の1つのPSP(例えば、速いPSP)にエネルギーは存在しない。PMDに起因する異なるビット期間の異なるPSPの潜在的なオーバーラップは、本明細書においてPMD拡散と呼ばれる。
【0036】
また、PMDベクトルを用いて光伝送システムの各コンポーネント(例えば、光ファイバ部分、光学要素、カプラー、合波器、スイッチ、ルータ等)も表すことができ、共通の座標系におけるこれらのベクトルの合計は、システムの全PMDベクトルである。理解されるように、システムの全PMDベクトルは、一般に伝送システムの長さに沿って変化し、時間と共に変化する。例えば、光信号源から1kmの全PMDベクトルは、一般に信号源から10kmのものと異なる。同様に、任意の1つの位置における全PMDベクトルは、例えばシステムのコンポーネントにおける温度及び/又は応力の変化に起因して時間と共に変化する可能性がある。従って、理解されるように、全PMDベクトル又はシステムのPMDベクトルは、特定のシステム位置及び時間におけるPMDベクトルを指す。
【0037】
図2Aを参照すると、本発明によるPMDを補償する一実施形態の概略的なベクトル図が示される。本発明の方法は、光信号エネルギーの十分な部分量を光伝送システムの単一のPSPへと移すことである。本発明の偏光制御装置及び遅延要素からの寄与のない光伝送システムのPMDベクトルは、ベクトル(ベクトルΩLINK)202によって示される。円形部分203は、ベクトル(ベクトルΩLINK)202と入力偏光ベクトル204によって画定される平面にあるポアンカレ球の部分を表す。一実施形態において、本発明の方法は、結果として生じるPMDベクトル(ベクトルΩTOTAL)208が入力偏光ベクトル204と実質的に同じであるアライメントを有するように、偏光制御ベクトル(ベクトルΩPC)206をベクトル(ベクトルΩLINK)202に追加することによって、表され得る。ここで、入力偏光ベクトル204は、新しいシステムのPMDベクトル(ベクトルΩTOTAL)208上に実質的にある。結果として、光信号エネルギーの十分な部分量は、システムの1つのPSPへ移動し、それにより第1次に対するPMD拡散を実質的に補正することによってPMDの影響を補償する。
【0038】
図2Bを参照すると、光エネルギーの十分な部分量を単一のPSPへ移動させる効果が示される。左側の250上のプロットは、PMD補償前の各PSP252、254の光信号エネルギーを示し、右側251上のプロットは、本発明によるPMD補償後の各PSPの光信号エネルギーを示す。PSP252、254を表す波形と「ゼロ」の線253との間の面積は、波形によって表されるPSPのエネルギーに比例する。図2Bの実施形態において、本発明によって提供されるPMD補償は、速いPSP254からの光信号エネルギーの十分な部分量を遅いPSP252へ移す。しかしながら、理解されるように、光信号エネルギーの全てを単一のPSPに移すことは、本発明にとってあまり重要ではない。それどころか、顕著なPMD拡散を生じさせるのに不十分なエネルギーの部分量は、PMD補償後の速いPSP254に残っているエネルギーによって、右側のプロット251に示されるようなPSPに残ることができる。
【0039】
理解されるように、新しいシステムのDGD、DGDTOTALは、一般にゼロでない。例えば、図2Aのベクトルの長さは、各ベクトルに関連したDGDに比例する。従って、図2Aに示された実施形態の場合、結果として生じるシステムのDGDは、以下のようになる。
【0040】
【数2】
【0041】
ここで、DGDLINKはベクトル(ベクトルΩLINK)202に関連したDGDであり、DGDCOMPは補償ベクトル(ベクトルΩPC)206に関連したDGDである。一実施形態において、DGDCOMPはデータストリームの1ビット期間よりも大きく、好適にはDGDCOMPは、入力偏光ベクトル204上に実質的にあるシステムのPMDベクトル(ベクトルΩTOTAL)208の生成を容易にするためにDGDLINKより大きい。
【0042】
本発明の一態様において、偏光制御ベクトルの追加によって表される物理的プロセスは、偏光制御装置及び遅延要素により提供される。偏光制御装置及び遅延要素は、単一の偏光制御ベクトル、或いは2つ又はそれより多い波長チャネルのそれぞれに対する別個の偏光制御ベクトルを提供することができる。一実施形態において、偏光制御装置は、偏光コントローラと遅延要素を含む。遅延要素は、DGD、DGDCOMPを提供し、偏光コントローラはポアンカレ球上において光信号に対してDGDCOMPの方位を変更する。遅延要素は可変DGDを提供してもよく、又は好適には実質的に固定されたDGDを提供する。偏光制御装置と遅延要素は、単一の集積化光コンポーネント、或いは2つ又はそれより多い光コンポーネントからなることができる。例えば、一実施形態において、偏光制御装置は、2つの光コンポーネント、即ち可変液晶(「LC」)偏光コントローラと偏光保存ファイバとからなり、可変LC偏光コントローラは偏光コントローラとして働き、PMFは遅延要素として働く。
【0043】
偏光制御ベクトルに選択される方位は、システムのPSP特性に基づいて決定される。偏光特性は、光伝送システムの光信号の少なくとも一部分を含むサンプル光信号から突きとめられる。一実施形態において、本発明は、サンプル光信号の2つの異なる(好適には、必ずというわけではないが、直交する)偏光成分間に位相遅延を導入し、干渉信号を生成するように2つの偏光成分に干渉を起こさせる。各偏光成分が一般にシステムの2つのPSPの重ね合わせであるので、結果としての干渉信号は、PSP間の自己相関成分と相互相関成分を含む。
【0044】
本発明の偏光監視とPMD補償の方法は、光伝送システムの2つ又はそれより多い波長チャネルに実質的に同時に適用することに適する。一実施形態において、本発明は、サンプル光信号の2つの異なる(好適には、必ずというわけではないが、直交する)偏光成分間に位相遅延を導入し、干渉信号を生成するように2つの偏光成分に干渉を起こさせる。干渉信号は、各波長チャネルの干渉信号を得ることを容易にするために、スペクトル的に連続した波長サブ帯域へ分散される。
【0045】
複数の位相遅延において得られた干渉信号を用いて、PSPの相対的な振幅と偏光状態及びそれらの間のDGDを突きとめることができる。2つの偏光成分間の位相遅延は(例えば、遅延の全波を通じて)変化するので、干渉信号の強度は周期の一部分を通して正弦曲線的に変化し、観測される周期の一部分は、光伝送システムのDGD、即ちDGDLINKに依存する。結果として、干渉信号の強度Iは、固定測定周波数ω0に関して、単位時間における位相遅延dの正弦曲線的関数として次のように表され得る:
I=I0+Ccos(dω0)+Ssin(dω0) 式(3)
式(3)の正弦曲線的信号は、係数I0、C、及びSについて解かれ得る。これらの係数から、サンプル光信号の偏光特性とベクトル(ベクトルΩLINK)を求めることができる。
【0046】
それに対応して、干渉信号が2つ又はそれより多い波長サブ帯域に関して得られる実施形態において、各波長サブ帯域の干渉信号の強度I(ω)は、位相遅延の正弦曲線的な関数として次のように表され得る:
I(ω)=I0+Ccos(dω)+Ssin(dω) 式(4)
ここで、ωは関連する波長サブ帯域に対応する周波数である。式(4)の正弦曲線的な信号は、係数I0、C、及びSについて解かれ得る。更に、第1次のPMDの極限において、CとSの係数も周波数の正弦曲線的な関数であり、次のように表され得る:
C(ω)=C0+Cccos(τω)+Cssin(τω) 式(5)
S(ω)=S0+Sccos(τω)+Sssin(τω) 式(6)
ここで、τは波長チャネルの光信号のDGDに関連した時間遅延である。任意のデータ集合に関して、これらの式は、DGDのτ、及びS(ω)とC(ω)の係数について解かれ得る。これらの係数から、各波長チャネルのPSP特性を求めることができる。
【0047】
別の実施形態において、本発明は、第2の一連の位相遅延を導入する前にサンプル光信号の偏光成分に関する偏光軸の回転方位を変更する。この冗長性は、装置が取得されたデータから全ての必要な偏光情報を計算できない場合を取り除く。2つ又はそれより多い回転方位において得られた結果として生じた干渉信号は、PSPの自己相関と相互相関に追加の情報を提供する。一実施形態において、本発明は、2つ又はそれより多い回転方位のそれぞれについて(1)サンプル光信号の2つの偏光成分間に位相遅延を導入し、次いで(2)任意の回転方位に対して干渉信号を生成するように2つの偏光成分に干渉を起こさせる。この実施形態の1つのバージョンにおいて、干渉信号は2つの異なる回転方位に対して得られる。1つのバージョンにおいて、第1の回転方位は、偏光軸の0°の回転(即ち、回転しない)によって生じ、第2の回転方位は、偏光軸の45°の回転によって生じる。しかしながら、理解されるように、軸の正確な回転方位は本発明にとってあまり重要ではなく、むしろ非縮退回転方位の任意のセットが使用され得る。また、各回転方位に対して結果として生じる干渉信号は、式(3)と同じ関数形態を有する位相遅延の正弦曲線的な関数としても表され得る。
【0048】
更に、位相遅延を導入する前にサンプル光信号の偏光軸の回転方位を変更する方法は、2つ又はそれより多い波長チャネルに実質的に同時に適用することに適する。一実施形態において、2つ又はそれより多い回転方位のそれぞれに関して、本発明は、サンプル光信号の2つの偏光成分間に位相遅延を導入し、任意の回転方位に対して干渉信号を生成するように2つの偏光成分に干渉を起こさせる。次いで、干渉信号はスペクトル的に連続した波長サブ帯域へ分散され、任意の回転方位に関して各波長チャネルの干渉信号を得ることを容易にする。また、各回転方位φに対して結果として生じる干渉信号は、式(4)と同じ関数形態を有する位相遅延の正弦曲線的な関数としても表され得る。
【0049】
例えば、φ=0°及びφ=45°のような2つの回転方位を用いる場合、各波長サブ帯域に対する結果としての干渉信号は、以下のように表される。
【0050】
【数3】
【0051】
これらの正弦曲線的な信号は、各波長サブ帯域に関して、I0 0、C0、I0 45、C45、及びS45について解かれ得る。更に、第1次のPMDの極限において、CφとSφの係数は、正弦曲線的な横断周波数でもあり、以下のように表され得る。
【0052】
【数4】
【0053】
任意のデータセットに関して、これらの式は、DGDτ、及びS(ω)とC(ω)の係数について解かれ得る。これらの係数から、各波長チャネルのPSP特性を求めることができる。
【0054】
例えば、波長チャネルの光信号のPSP特性は以下の式から求められ得る。
【0055】
【数5】
【0056】
ここで、Iinputは、監視装置への入射強度を表し、例えば、半波により分離された2つのディザ設定に関して検出された強度を合計することにより、又は一連の測定値の対の強度を合計することにより求められ得る。監視装置におけるPMDベクトルは、Elx、Ely、及びεによって与えられる主偏波状態の方へ実質的に向けられ、一方、ベクトルの長さはDGDτにより求められる。
【0057】
別の態様において、本発明は、PSP特性の測定を容易にする装置を提供する。種々の実施形態において、装置は偏光監視装置と偏光状態生成器を含む。本発明による偏光監視装置の種々の実施形態は、本発明の方法に関する種々の実施形態の更なる説明に関連して以下に説明される。
【0058】
図3Aと図3Bを参照すると、種々の実施形態において、本発明による偏光監視装置は、回転子302、位相遅延生成器304、305、干渉計306、波長分波器308、及び検出器310を含む。図3Aと図3Bに示されるように、一実施形態において、サンプル光信号301は回転子302を通過し、その回転子302によって、サンプル光信号の偏光楕円の回転方位が位相遅延生成器304、354の光軸に対して変更されることを可能にする。適切な回転子は、入射の楕円形を実質的に維持しながら、光信号の偏光軸を回転させる(偏光回転子)及び/又は位相遅延生成器の光軸を回転させることができる任意の要素を含む、
【0059】
例えば、適切な回転子は、以下に限定されないが、ファラデー回転子、速波軸が方位角において所望の回転角度の半分だけ整列または分離された2つの切り換え可能半波長板、及び速波軸が所望の回転角度の半分だけ分離された2つの可変位相リターダを含む。別の実施形態において、回転子は、位相遅延生成器の光軸を回転させる。係る位相遅延生成器は、例えば位相遅延生成器、又は切り換え可能な光軸を有する位相遅延生成器を物理的に回転させる要素を含むことができる。
【0060】
他の実施形態において、本発明の偏光監視装置は、回転子を含まず、干渉信号は、サンプル光信号の偏光軸の2つ又はそれより多い回転方位において得られない。例えば、サンプル光信号の偏光軸が、可変リターダを含む位相遅延生成器の光軸に沿って存在しない場合、回転子は必要ない。しかし、実際にサンプル光信号の偏光軸が位相遅延生成器の光軸に沿って実質的に線形に偏光される場合、サンプル光信号の2つの偏光成分間に位相遅延は追加されず、この問題に対処するために、回転子が位相遅延生成器の前に追加されてもよい。
【0061】
図3Aと図3Bを再び参照すると、一実施形態において、サンプル光信号は回転子302から位相遅延生成器304、354へと送られ、その位相遅延生成器は、サンプル光信号の一方の偏光成分を他方に対して遅延する。他方に対して一方の偏光成分を遅延することは、例えば偏光成分を異なる長さの光路を介して、又は可変複屈折要素を介して伝播させることにより達成され得る。種々の実施形態において、位相遅延生成器は、可変複屈折要素304を含む。適切な可変複屈折要素は、以下に限定されないが、可変リターダを含む。好適には、可変リターダは、電気光学の及び/又は液晶の波長板を含む。他の実施形態において、位相遅延生成器は、偏光成分を異なる長さの光路を介して伝播させる要素を含む。
【0062】
図3Bを参照すると、一実施形態において、位相遅延生成器354は、偏光分割ビームスプリッタ355と可変遅延要素357を含む。次いで、サンプル光信号は、偏光ビームスプリッタ(「PBS」)355によって2つのビームへ分割され、一方の偏光成分(例えば、Ex)は透過し、他方(例えば、Ey)は反射される。各アームにおける4分の1波長板及び反射器359は、偏光を回転させ、ビームスプリッタ後の2つのビームを再結合する。可変位相遅延は、2つの伝播光路間に可変リターダンスを生じさせる可変遅延要素357により、分離されたビーム(即ち、偏光成分)の一方に導入される。可変遅延要素の可能な実施例は、以下に限定されないが、固定軸液晶リターダ、可変リターダンス波長板、及び少なくとも1つの4分の1波長板の背後に配置された空間的可変ミラーを含む。
【0063】
図4を参照すると、回転子402と位相遅延生成器404の好適な実施形態が示される。好適には、回転子402は、第1の切り換え可能半波長板403と第2の切り換え可能半波長板405を含み、位相遅延生成器404は、半波長板403と405の速波軸413、415に対して固定された方位でそろえられた速波軸を有する可変リターダを含む。一実施形態において、第2の半波長板405の速波軸の方位は、第1の半波長板403の速波軸に対してφ/2(425)だけ回転し、サンプル光信号の偏光軸の回転方位を、位相遅延生成器404の光軸に対してφだけ変化させる。次いで、その方位は、半波長板のリターダンスをゼロに変更することによりリセットされ得る。
【0064】
図3Aと図3Bを再び参照すると、サンプル光信号は、位相遅延生成器304、354から干渉計306へ送られる。干渉計306は、サンプル光信号の直交する偏光成分を、それらの間で干渉を生じることができる条件下で混合し、それにより干渉信号を生成する。好適には、干渉計は、45°直線検光子を含む。しかしながら、理解されるように、光信号の偏光成分を、それらの間で干渉を生じる条件下で再結合できる任意の光学要素又は光学要素の構成は、本発明の偏光監視装置の干渉計として機能することができる。
【0065】
本発明の種々の実施形態において、干渉計により生成された干渉信号は、検出器により測定される。種々の他の実施形態において、干渉信号は、スペクトル的に連続した波長サブ帯域へ分散され、異なる検出器要素が、光伝送システムの特定の波長チャネルに対応する干渉信号を受け取る。検出器要素は、検出器のアレイ、例えば2つ又はそれより多い物理的に独立した検出器、或いは集積化された検出器アレイからなることができる。適切な検出器アレイの例には、以下に限定されないが、電荷結合素子(「CCD」)のアレイ、集積化されたフォトダイオードのアレイ、及び別個の検出器のアレイが含まれる。電気通信の用途において、InGaAsフォトダイオードが、アレイ及び別個の検出器用途に好適である。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、理解されるように、用語「検出器のアレイ」と「検出器アレイ」は交換可能に使用され得る。即ち、要素が用語「検出器のアレイ」によって説明される場合、理解されるようにその用語は「検出器アレイ」も包含し、逆の場合も同様である。
【0066】
図3Aと図3Bを再び参照すると、一実施形態において、干渉計306により生成された干渉信号は、サンプル光信号をスペクトル的に連続した波長サブ帯域へとスペクトル的に分散する波長分波器308を通過する。結果として、分波器308は、各波長サブ帯域に干渉信号を提供する。一実施形態において、光信号(例えば、DWDM信号等)の各波長チャネルは、少なくとも2つの波長サブ帯域へとスペクトル分散することによって分割される。好適には、波長分波器は、各波長チャネルを5〜15個の波長サブ帯域へ分割する。適切な波長分波器の例には、以下に限定されないが、自由空間及び平面の実施において、アレイ導波路格子(AWG)、体積位相グレーティング(volume phase grating)分光計、及び反射グレーティング分光計が含まれる。
【0067】
干渉信号を各波長サブ帯域の干渉信号へとスペクトル的に分散することにより、光信号の多重波長チャネルのPSP特性の測定が容易になる。更に、検出器アレイにわたって干渉信号をスペクトル的に分散させることにより、多重チャネルの干渉信号が実質的に同時に測定されることが可能になる。例えば、一実施形態において、波長分波器308は、検出器アレイ310にわたるスペクトル的に連続したサブ帯域へ干渉信号をスペクトル的に分散する。次いで、検出器アレイ310の素子の異なる集合が、異なる波長チャネルに対応する干渉信号を実質的に同時に受け取る。結果として、多重波長チャネルの干渉信号が実質的に同時に測定されることができ、この情報が偏光状態生成器によって使用され、多重波長チャネルに関するPSPの相対的振幅と偏光状態及びDGDが求められる。
【0068】
偏光状態生成器は、アナログ装置及び/又はデジタル装置からなることができる。偏光状態生成器は、光信号のPSPの偏光状態と相対的振幅、及びそれらの間のDGDを求める。一実施形態において、偏光状態生成器は、サンプル光信号の2つまたはそれより多い回転方位のそれぞれにおける複数の位相遅延に関して測定された干渉信号に基づいてPSP特性を求める。更に、偏光状態生成器は、サンプル光信号の1つ又は複数の回転方位のそれぞれにおける複数の位相遅延に関して測定された干渉信号に基づいて多重波長チャネルのPSP特性を実質的に同時に求めることができる。好適には、偏光状態生成器は、異なる波長チャネル内の異なる波長サブ帯域について観測された干渉信号間の関係に基づいても多重波長チャネルのPSP特性を求める。
【0069】
一実施形態において、偏光状態生成器は、実質的に式(3)〜(6)によるロジックを用いてPSP特性を求める。別の実施形態において、偏光状態生成器は、実質的に式(7)〜(19)によるロジックを用いてPSP特性を求める。しかしながら、理解されるように、偏光状態生成器は、サンプル光信号の1つ又は複数の回転方位のそれぞれにおける複数の位相遅延の干渉信号に基づいてPSP特性を求めるのに適した任意のロジックを使用できる。
【0070】
偏光状態生成器のロジックは、アナログ回路、デジタル回路によって、及び/又は汎用コンピュータのソフトウェアとして実施され得る。偏光状態生成器は、PSPの相対的振幅と偏光状態、及びそれらの間のDGDの、例えばプリンタ又はコンピュータスクリーンによって生成されるような人間読取り可能な表示を生成することができる。しかしながら、偏光状態生成器が人間読取り可能な出力又は機械読取り可能な出力のみを生成するか否かは、本発明にとってあまり重要ではない。例えば、偏光状態生成器は、光伝送システムのPMDを補償する偏光制御装置を制御するのに十分な機械読取り可能電気信号のみを生成してもよい。
【0071】
理解されるように、本発明の偏光監視装置の様々な実施形態は、求められる偏光特性が任意の波長チャネルにおける光のストークスベクトルを計算するのに十分であるので、マルチチャネルストークスベクトル偏光計として使用することに適する。また、偏光監視装置の実施形態は、1つの波長チャネルのスペクトルによって照射される1つ又は複数の検出器素子上の平均強度が、チャネルの平均パワーの測定をもたらすので、マルチチャネルパワー監視装置として使用することにも適する。最後に、偏光監視装置の実施形態は、各監視装置の検出器チャネルの平均強度が、検出器サイズとグレーティングの分散に対応するスペクトルのビンにおけるパワーの測定をもたらすのでマルチチャネルスペクトルアナライザとして使用され得る。
【0072】
一実施形態において、本発明は、光伝送システムにおいて光信号のPMDを補償するための装置を提供する。図5と図6を参照すると、PMD補償装置の種々の実施形態が示される。補償装置は、偏光監視装置503、603、偏光状態生成器517、617、及び補償段521、621を含む。偏光監視装置と補償段は、本明細書で説明される任意の実施形態を含むことができる。例示されるように、図5の偏光監視装置503は、図3Aとそれに伴う説明で示されたものと実質的に同じであり、図6の偏光監視装置603は、図3Bとそれに伴う説明で示されたものと実質的に同じである。
【0073】
動作において、偏光監視装置503、603は、サンプル光信号の1つ又は複数の回転方位のそれぞれに対する複数の位相遅延における干渉信号の測定値を偏光状態生成器517、617に提供する。次いで、偏光状態生成器517、617は、偏光監視装置503、603によって提供された測定値に基づいて、光信号、或いは光信号の1つ又は複数の波長チャネルのPSP特性を求める。一実施形態において、偏光状態生成器517、617は、補償段521、621の偏光制御装置522、622に制御信号を提供する偏光制御装置ドライバ530、630に制御信号を提供し、次いで補償段521、621は、光信号のエネルギーを光伝送システムの実質的に1つのPSPへ移すような選択可能な方位において光信号にDGDを追加する。代案として、前述したように、補償段は、1つのPSPの偏光状態が光信号のものと実質的に同じであるように光伝送システムのPSPを修正するものとも見なされ得る。
【0074】
図5と図6を再び参照すると、種々の実施形態において、補償段は、偏光制御装置522、622、及び遅延要素524、624を含む。好適には、遅延要素524、624は、補償されるべきPMDに関連した光伝送システムのDGDより大きい実質的に固定されたDGDを有する。従って、遅延要素524、624が実質的に固定されたDGDを有する場合、偏光制御装置ドライバ530、630は、偏光制御装置522、622に制御信号のみを提供する。しかしながら、理解されるように、偏光制御装置ドライバ530、630及び/又は偏光状態生成器517、617は、センサ(例えば、温度、位置、パワー他)に限定されないが、システム診断及び制御システム、システムクロック他を含む種々のソースから入力信号を受け取り、PMD補償を容易にすることができる。例えば、遅延要素524、624のDGDは、温度と共に変動し、結果として、遅延要素温度センサからの入力信号を用いて遅延要素のDGDを求めることができる。
【0075】
図5と図6に例示されるように、補償段521、621は、光伝送システムの多重波長チャネルにおいてPMDを補償するように適合される。例示された実施形態において、補償段521、621は、(ソースからレシーバまでの一般的な光信号の光路の順序で)波長分波器526、626、偏光制御装置522、622、波長合波器528、628、及び遅延要素524、624を含む。波長分波器526、626は、線551、651により表されるように、光信号をスペクトル的に連続した波長サブ帯域へ分散する。波長チャネルのエネルギーの十分な部分量が、対応する波長チャネルの単一のPSP内にあるような方位において、遅延要素524、624のDGDが追加されるように、偏光制御装置は、各波長チャネルで動作する。概して、偏光制御装置は、各波長チャネルの異なる方位においてDGDを追加する。その結果として、波長合波器は、偏光制御装置によって操作された光(線553、653によって表される)を再結合する。
【0076】
図5と図6に例示されるように、補償段521、621は、点501、601から点599、699まで進む光信号の光路が光学監視装置に遭遇する前に補償段を通過するという意味において、偏光監視装置503、603に先行する。しかしながら、理解されるべきは、補償段の配置が偏光監視装置の「前」又は「後」であるということは本発明にとってあまり重要ではない。例えば、偏光監視装置が偏光制御装置に先行する場合、偏光制御装置のジョーンズ又はミュラー行列を用いて偏光制御装置の2つの端部間で偏光状態を変換できる。
【0077】
本発明において有用な補償段は、種々の形態をとることができる。好適には、制御装置の遅延要素は、偏光保存ファイバ(「PMF」)を含む。しかしながら、適切な遅延要素は、以下に限定されないが、自由空間及びファイバ遅延要素、或いは方解石又はバナジン酸イットリウムのような複屈折結晶を含む。適切な波長合波器及び分波器は、図3A、図3B、図5、及び図6に例示されるように、グレーティング307、537、637、及び分散コリメータ309、539、639を含むことができる。更なる適切な波長分波器及び合波器は、以下に限定されないが、自由空間及び平面の実施において、アレイ導波路格子(AWG)、体積位相グレーティング分光計、及び反射グレーティング分光計を含む。また、適切な偏光制御装置も、種々の形態をとることができる。例えば、偏光制御装置は、電気光学結晶から構成された一連の可変波長板、ニオブ酸リチウム波長板、液晶、ファイバスクィーザ、及びシリカ系応力リターダを含むことができる。
【0078】
好適には、補償段は、実質的に固定されたDGDを有する遅延要素とLC偏光コントローラとを含む。図7を参照すると、LC偏光コントローラの好適な実施形態が示される。LC偏光コントローラ701は、4つのLC波長板702、704、706、及び708のスタックを含む。好適には、LC波長板のスタックは、10mm未満の厚みであり、好適にはLC波長板の絶対的リターダンス誤差は、波長板当たり4nmより大きくない。
【0079】
好適には、各LC波長板は、導電性インジウムスズ酸化物(ITO)のコーティングで被覆された光学品質ガラスの間に収容されたLCセル710のアレイを含む。それぞれの個々のLCセルは、対象となる波長帯域において実質的に0から1.2波までの可変波長板として機能し、個々のITO電極により制御され得る。LCセルは、好適には3ms未満の応答時間で電気的に制御される。例えば、素子の温度を上げることにより、一時的に応答を短くできる。
【0080】
4つの波長板702、704、706、及び708は好適には、それぞれ0°、45°、0°、及び45°において公称上それらのこすり(rub:磨く)方向を有するように構成され、ガラスに対して対象となる波長領域に整合された屈折率の光学的に透明なエポキシで互いに積層される。好適には、セルの位置合わせ(x−y方向において)は、第1のLC波長板702と最後のLC波長板708との間で25μm余りである。更に、LC偏光コントローラは、前部集積レンズアセンブリ712及び/又は後部集積レンズアセンブリ714を更に含むことができる。
【0081】
好適には、個々のLCセルは、各通信チャネルの分波器が各セルの活性領域を介して伝送した後に各ITU格子の間隔の90%より大きいようなサイズになっている。言い換えれば、ITUチャネル間の帯域幅の10%未満が、LCセル間のセル間ギャップ716から失われるのが好ましい。
【0082】
幾つかの実施形態において、上述した方法の機能は、汎用コンピュータのソフトウェアとして実施され得る。更に、係るプログラムは、コンピュータのランダムアクセスメモリの一部分に取っておき、回転子の制御、位相遅延生成器の制御、干渉計の制御、干渉信号の測定、偏光制御装置の制御、並びに測定された干渉信号との動作及びその干渉信号に対する操作に影響を与える制御ロジックを提供することができる。係る実施形態において、プログラムは、フォートラン、パスカル、C、C++、又はベーシックのような多数の高レベル言語の任意の1つによって書かれ得る。更に、プログラムは、スクリプト、マクロ、或いはエクセル又はビジュアルベーシックのような市販ソフトウェアに組み込まれた機能で書かれ得る。更に、ソフトウェアは、コンピュータに常駐するマイクロプロセッサ向けのアセンブリ言語で実施され得る。例えば、ソフトウェアがIBM PC又はPCクローンで実行するように構成された場合、それはインテル80x86アセンブリ言語で実施され得る。ソフトウェアは、以下に限定されないが、フロッピー(R)ディスク、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、又はCD−ROMのような「コンピュータ読取り可能媒体」を含む製造品に組み込まれ得る。
【0083】
偏光監視及びPMD補償の例
図5と図8を参照すると、光伝送システムにおいてPMDに対する監視と補償を行う一実施形態の例は、以下の通りである。サンプル光信号は、90/10光学タップ502でもって光伝送システムから分岐され、光結合器504を介して偏光監視装置503へ入力する。偏光監視装置は、偏光回転子506、可変リターダからなる位相遅延生成器508、45°直線偏光子からなる干渉計510、波長分波器512、及び多素子熱電子(「TE」)冷却されるInGaAsアレイからなる検出器のアレイ514を含む。
【0084】
図5の偏光監視装置構成のこの例において、単一の更新期間に関するデータ収集の順序は、以下の通りである。即ち、
(1)サンプル光信号の偏光軸を角度φ1(例えば、0°)だけ回転させるように偏光回転子506を設定する。
(2)可変リターダ508によって提供される位相遅延(例えば、ディザ位相遅延)を、例えば次のものを通じて変更する:
a.0〜1の波の正弦曲線的変化のような連続周期的リターダンス(位相遅延)特性、又は
b.幾つかの別個のリターダンス(位相遅延)ステップ。
(3)ステップ2の間、各回転子−リターダ設定に対する波長分波器512によって提供されるスペクトル的に連続した波長帯域の干渉信号を検出器アレイ514で測定する。
(4)サンプル光信号の偏光軸を角度φ2(例えば、45°)だけ回転させるように偏光回転子506を設定する。
(5)ステップ2と3を繰り返す。
代案として、偏光回転子は、位相遅延がゆっくりと変更される又はステップされるように、2つの回転方位間のサンプル光信号をディザリングすることができる。
【0085】
この例に関するデータ収集制御信号は、図8に模式的に示される。偏光回転子は、50%のデューティサイクルで動作し、即ち実質的に等しい時間が、回転子制御信号パターン801によって示されるように2つの回転方位φ1811とφ2812で費やされる。各偏光回転子の位置、即ちサンプル光信号の各回転方位において、位相が位相遅延生成器でディザリングされ、位相ディザ時間ウィンドウ831内のサンプル光信号の偏光成分間に複数の位相遅延を生じる。位相ディザは、位相遅延又は一連の位相遅延ステップの連続した一時的変動とすることができる。位相遅延は、その全波又は一部分を通じて変更され得る。位相遅延生成器制御信号パターン803によって示されるように、この例において、位相ディザは、時間ウィンドウ831中に1の全波λと0の間に4つの位相遅延ステップを含む。
【0086】
図5と図8に関連して、データ収集の間、位相遅延されたサンプル光信号は、干渉計510を通過し、波長分波器512でもって検出器アレイ514上へスペクトル的に分散される。検出器アレイは、波長チャネルに分散された信号を測定し、各チャネルはアレイの素子の異なる集合にある。従って、検出器アレイは、波長チャネルの全てに関して実質的に同時に干渉信号を測定する。検出器アレイのデータ取得パターン802は、偏光回転子と位相遅延生成器の変化量に対する干渉信号の検出器測定のタイミング(即ち、検出器の露光)821を示す。位相遅延は、各検出器の露光にわたって一定に保持されるか、又は傾斜の変化をつけられてもよい。
【0087】
偏光状態生成器517は、光信号の所望のスペクトル幅に広がる波長サブ帯域の全ての干渉信号を処理する。偏光状態生成器の処理のパターン804は、他のデータ収集動作に対する干渉信号測定処理のタイミング841を示す。偏光状態生成器は、PSP特性を求め、この情報に基づいて、偏光制御ベクトルが、光信号の所望のスペクトル幅に広がる波長チャネルについて求められる。制御ベクトルの測定のパターン806は、他のデータ収集と処理動作に対する偏光制御ベクトルの測定のタイミング861を示す。この例において、偏光制御ベクトルは、実質的に式(7)〜(12)、及び(13)〜(19)に従って各波長チャネルの干渉信号の測定された強度から求められる。
【0088】
偏光制御ベクトルに基づいて、偏光制御装置ドライバ530が、偏光制御装置522の駆動信号を決定し、偏光制御装置522は、各波長チャネルの光信号エネルギーの十分な部分量をチャネルの単一のPSPへと移す。偏光制御装置ドライバのパターン808は、他のデータ収集と処理動作に対する偏光制御装置の駆動信号の印加のタイミング881を示す。
【0089】
好適な実施形態において、補償段は、以下の通りに光信号のPMDを補償する。最初に、信号が波長分波器526によってスペクトル的に分散され、1つの波長チャネルがマルチチャネル偏光制御装置522の各チャネル(即ち、素子の集合)を通過する。次いで、その波長チャネルの光が、波長合波器528によって再結合され、補償されるべきDGDの量より大きいDGDを有する単一の偏光保存ファイバ524からなる遅延要素へ送らる。偏光制御装置522は、光信号の偏光状態が伝送システムにPMD補償器を加えた組み合わせのPSPに一致するように各チャネルの偏光状態を変更する。好適には、偏光監視装置503のサンプル光信号は、偏光制御装置のフィードバック信号と診断信号が求められ得るように偏光制御装置の後で伝送システムから分岐される。しかしながら、理解されるべきことは、上述したように偏光制御装置のフィードバック及び/又は反復の制御は、本発明にとってあまり重要ではない。
【0090】
図8に示されるように、データ収集の開始からPMD補償の完了までの時間間隔、即ちこの例における更新サイクル807は、8msである。時間のパターン805は、この時間の約3msがデータ収集に費やされ、そのデータ収集において約2msが複数の位相遅延及び第1の検出器露光851における回転方位において干渉信号を生成することに費やされ、約1msが、複数の位相遅延及び第2の検出器露光852における回転方位において干渉信号を生成することに費やされる。更に、一実施形態において、各検出器露光期間851、852に関して、少なくとも6回の測定855、856が行われる。例示されたように、第1の検出器露光期間851に関して、測定855は実質的に等しい持続時間からなる(例えば、各測定は、第1の検出器露光期間851及び6回の測定855の2msに関して1msの長さの約1/3である)。同様に、第2の検出器露光期間852について、測定856は実質的に等しい持続時間からなる(例えば、各測定は、第2の検出器露光期間852及び6回の測定856の1msに関して1msの長さの約1/6である)。
【0091】
時間のパターン805は、この例における更新サイクルの約2msがデータの処理及び/又は偏光回転子と位相遅延生成器の傾斜付け853に費やされ、約3msが偏光制御装置522の駆動及び光信号のPMD補償に費やされることを更に示す。特定の用途において、データ収集とPMD補償のプロセスは、PMDの度合いの変化及び/又はある期間にわたる伝送システムのPSPの変化に対処するために繰り返される。この例において、本発明によって提供されるPMD補償サイクルは、125Hzの周波数で動作する。
【0092】
本発明は、特定の実施形態に関連して特に図示されて説明されてきたが、当業者によって理解されるように、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の思想と範囲から逸脱することなく、形態及び細部に様々な変更を行うことができる。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、それ故に、特許請求の範囲の等価物の意味と範囲内に入る全ての変更は、包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】光伝送システムのPMDベクトルとPSPのポアンカレ球による表現を示す図である。
【図2A】本発明のPMD補償方法の一実施形態を示す図である。
【図2B】本発明のPMD補償方法の一実施形態を示す図である。
【図3A】本発明の偏光監視装置の種々の実施形態を示す略図である。
【図3B】本発明の偏光監視装置の種々の実施形態を示す略図である。
【図4】本発明の回転子と位相遅延装置の一実施形態を示す略図である。
【図5】本発明のPMD補償装置の一実施形態を示す略図である。
【図6】本発明のPMD補償装置の一実施形態を示す略図である。
【図7】本発明の補償段の偏光コントローラの一実施形態を示す略図である。
【図8】本発明の偏光監視方法の一実施形態を示す略図である。
Claims (43)
- 光信号の偏波モード分散を補償する方法であって、
サンプル光信号を提供するステップと、
前記サンプル光信号の第1の偏光成分と第2の偏光成分との間の複数の位相遅延に対して、前記第1の偏光成分と第2の偏光成分に干渉を起こさせるステップと、及び
それに基づいて光信号の偏波モード分散を補償するステップとを含む、方法。 - 前記偏波モード分散を補償するステップが、
干渉信号の測定された強度を用いて光信号の偏光状態を求めるステップと、
干渉信号の測定された強度を用いて光信号の偏波モード分散ベクトルを求めるステップと、及び
光信号の偏波モード分散を実質的に補償する、光信号に対する修正を決定するために、光信号の偏光状態と偏波モード分散ベクトルを用いるステップとを含む、請求項1の方法。 - 前記光信号に対する修正が、光信号のエネルギーの十分な部分量を光伝送媒体の単一の主偏波状態へ移す、請求項2の方法。
- 前記光信号の偏光状態を求めるステップが、
前記偏光成分の第1の回転方位に対する干渉信号の測定された強度を、位相遅延の関数である第1の正弦曲線的関数に関連づけるステップと、
前記偏光成分の第2の回転方位に対する干渉信号の測定された強度を、位相遅延の関数である第2の正弦曲線的関数に関連づけるステップと、及び
光信号の直交する偏光成分の電界強度と前記直交する偏光成分間の位相オフセットについて解くことにより、光信号の偏光状態を求めるステップとを含む、請求項2の方法。 - 光信号のストークスベクトルを求めるステップを更に含む、請求項4の方法。
- 光信号のジョーンズベクトルを求めるステップを更に含む、請求項4の方法。
- 前記偏光成分に干渉を起こさせるステップが、
位相遅延生成器を用いて、その位相遅延生成器の光軸に対するサンプル光信号の偏光軸の少なくとも2つの回転方位のそれぞれについて、前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分との間に少なくとも2つの位相遅延を導入するステップと、
前記第1と第2の偏光成分に干渉を起こさせることにより、各回転方位の各位相遅延の干渉信号を提供するステップと、及び
前記干渉信号のそれぞれの強度を測定するステップとを含む、請求項1の方法。 - 前記偏波モード分散を補償するステップが、前記干渉信号の測定された強度に基づいて、光信号の偏波モード分散を補償するステップを含む、請求項7の方法。
- 前記光信号の偏波モード分散を補償するステップが、
スペクトル的に連続したサブ帯域へ前記干渉信号をスペクトル的に分散するステップと、及び
2つ又はそれより多い前記スペクトル的に連続したサブ帯域の干渉信号の強度を実質的に同時に測定するステップとを含む、請求項7の方法。 - 前記光信号の偏波モード分散を補償するステップが、2つ又はそれより多いスペクトル的に分散された光信号のチャネルの偏波モード分散を実質的に同時に補償するステップを含む、請求項9の方法。
- 請求項1の方法を実行するために具現化されたコンピュータ読取り可能命令を備えるコンピュータ読取り可能媒体を有する、製造品。
- 光信号の偏波モード分散を補償する方法であって、
サンプル光信号を提供するステップと、
前記サンプル光信号の第1の偏光成分と第2の偏光成分との間に少なくとも3つの位相遅延を導入するステップと、
前記第1と第2の偏光成分に干渉を起こさせることにより、各位相遅延の干渉信号を提供するステップと、
前記干渉信号のそれぞれの強度を測定するステップと、及び
前記干渉信号の測定された強度に基づいて、光信号の偏波モード分散を補償するステップとを含む、方法。 - 前記偏波モード分散を補償するステップが、
干渉信号の測定された強度を用いて光信号の偏光状態を求めるステップと、
干渉信号の測定された強度を用いて光信号の偏波モード分散ベクトルを求めるステップと、及び
光信号の偏波モード分散を実質的に補償する、光信号に対する修正を決定するために、光信号の偏光状態と偏波モード分散ベクトルを用いるステップとを含む、請求項12の方法。 - 前記光信号に対する修正が、光信号のエネルギーの十分な部分量を光伝送媒体の単一の主偏波状態へ移す、請求項12の方法。
- 前記光信号の偏光状態を求めるステップが、
前記偏光成分の第1の回転方位に対する干渉信号の測定された強度を、位相遅延の関数である第1の正弦曲線的関数に関連づけるステップと、
前記偏光成分の第2の回転方位に対する干渉信号の測定された強度を、位相遅延の関数である第2の正弦曲線的関数に関連づけるステップと、及び
光信号の直交する偏光成分の電界強度と前記直交する偏光成分間の位相オフセットについて解くことにより、光信号の偏光状態を求めるステップとを含む、請求項12の方法。 - 光信号のストークスベクトルを求めるステップを更に含む、請求項15の方法。
- 光信号のジョーンズベクトルを求めるステップを更に含む、請求項15の方法。
- 前記干渉信号の強度を測定するステップが、
スペクトル的に連続したサブ帯域へ前記干渉信号をスペクトル的に分散するステップと、及び
2つ又はそれより多い前記スペクトル的に連続したサブ帯域の干渉信号の強度を実質的に同時に測定するステップとを含む、請求項12の方法。 - 前記光信号の偏波モード分散を補償するステップが、2つ又はそれより多いスペクトル的に分散された光信号のチャネルの偏波モード分散を実質的に同時に補償するステップを含む、請求項18の方法。
- 請求項12の方法を実行するために具現化されたコンピュータ読取り可能命令を備えるコンピュータ読取り可能媒体を有する、製造品。
- 光信号の偏波モード分散を求めるための装置であって、
光信号の少なくとも一部分を含むサンプル光信号を受け取るように配置された位相遅延生成器と、
前記位相遅延生成器と光学的に連通し、干渉信号を生成するために前記位相遅延生成器から受け取った前記サンプル光信号の偏光成分に干渉を起こさせるように配置された干渉計と、
前記干渉計と光学的に連通し、前記干渉信号を測定するように配置された検出器と、及び
複数の測定された干渉信号に基づいて光信号の偏光状態を求める偏光状態生成器とを備える、装置。 - 前記位相遅延生成器の光軸に対する前記サンプル光信号の偏光軸の少なくとも2つの回転方位を前記位相遅延生成器に提供するように配置された回転子を更に含む、請求項21の装置。
- 前記回転子が、前記サンプル光信号の偏光軸を回転させるように適合された偏光回転子からなる、請求項22の装置。
- 前記偏光回転子がファラデー回転子からなる、請求項23の装置。
- 前記偏光回転子が一連の2つ又はそれより多い波長板からなる、請求項23の装置。
- 前記回転子が、前記サンプル光信号の偏光軸に対して前記位相遅延生成器の光軸を回転させるように適合された位相遅延生成器回転子からなる、請求項22の装置。
- 前記位相遅延生成器が可変リターダからなる、請求項21の装置。
- 前記干渉計がマイケルソン干渉計からなる、請求項21の装置。
- 前記干渉計が45°の直線偏光子を含む、請求項21の装置。
- 前記干渉計と光学的に連通し、スペクトル的に連続したサブ帯域へ前記干渉信号をスペクトル的に分散するように配置された波長分波器を更に含む、請求項21の装置。
- 前記検出器が検出器のアレイからなり、そのアレイの各検出器が1つのスペクトル的に連続したサブ帯域の干渉信号を測定するように配置されている、請求項30の装置。
- 光伝送媒体と光学的に連通し、光信号の偏光状態に基づいて前記光伝送媒体において光信号の偏波モード分散を実質的に補償するように適合された、補償段を更に含む、請求項21の装置。
- 前記補償段が、
前記光伝送媒体と光学的に連通し、スペクトル的に分散されたチャネルへ前記光信号をスペクトル的に分散するように配置された波長分波器と、
前記波長分波器と前記光伝送媒体と光学的に連通する波長合波器との間の光路に配置された偏光コントローラのアレイとを含み、
前記偏光コントローラのアレイが、スペクトル的に分散されたチャネルのそれぞれの偏波モード分散を実質的に補償するように適合されている、請求項32の装置。 - 前記偏光コントローラのアレイが、複数の液晶可変リターダを含む、請求項33の装置。
- 光信号の偏波モード分散を補償するための装置であって、
光伝送媒体において、光信号の少なくとも一部分を含むサンプル光信号を受け取るように配置された位相遅延生成器と、
前記位相遅延生成器の光軸に対する前記サンプル光信号の偏光軸の少なくとも2つの回転方位を提供するように配置された回転子と、
干渉信号を生成するために前記位相遅延生成器から受け取った前記サンプル光信号の偏光成分に干渉を起こさせるように配置された干渉計と、
スペクトル的に連続したサブ帯域へ前記干渉信号をスペクトル的に分散するように配置された波長分波器と、
検出器のアレイであって、そのアレイの各検出器が1つのスペクトル的に連続したサブ帯域の干渉信号を測定するように配置された、検出器のアレイと、
複数の測定された干渉信号に基づいて、前記スペクトル的に連続した帯域のそれぞれに対する光信号の偏光状態を求める偏光状態生成器と、及び
前記光伝送媒体と光学的に連通し、前記スペクトル的に分散されたチャネルのスペクトル的に連続したサブ帯域の偏光状態に基づいて、前記スペクトル的に分散されたチャネルのそれぞれにおいて光信号の偏波モード分散を補償するように適合された補償段とを備える、装置。 - 前記偏光制御装置が、複数の液晶可変リターダを含む、請求項35の装置。
- 前記偏光制御装置が、
前記光伝送媒体と光学的に連通し、スペクトル的に分散されたチャネルへ前記光信号をスペクトル的に分散するように配置された波長分波器と、
前記波長分波器と前記光伝送媒体と光学的に連通する波長合波器との間の光路に配置された偏光コントローラのアレイとを含み、
前記偏光コントローラのアレイが、スペクトル的に分散されたチャネルのそれぞれの偏波モード分散を実質的に補償するように適合されている、請求項35の装置。 - 前記回転子が、前記サンプル光信号の偏光軸を回転させるように適合されている偏光回転子からなる、請求項35の装置。
- 前記位相遅延生成器が可変リターダからなる、請求項35の装置。
- 前記干渉計がマイケルソン干渉計からなる、請求項35の装置。
- 前記干渉計が45°の直線偏光子を含む、請求項35の装置。
- 光伝送媒体において光信号の偏波モード分散を補償する方法であって、
光伝送媒体の光信号の一部分を含むサンプル光信号を提供するステップと、
前記サンプル光信号の第1の偏光成分と第2の偏光成分との間に第1の位相遅延を導入し、第1の干渉信号を生成するために前記第1と第2の偏光成分に干渉を起こさせるステップと、
前記第1の干渉信号の強度を測定するステップと、
前記サンプル光信号の第1の偏光成分と第2の偏光成分との間に第2の位相遅延を導入し、第2の干渉信号を生成するために前記第1と第2の偏光成分に干渉を起こさせるステップと、
前記第2の干渉信号の強度を測定するステップと、
前記サンプル光信号の第1の偏光成分と第2の偏光成分との間に第3の位相遅延を導入し、第3の干渉信号を生成するために前記第1と第2の偏光成分に干渉を起こさせるステップと、
前記第3の干渉信号の強度を測定するステップと、
前記サンプル光信号の偏光軸を回転させることにより、回転されたサンプル光信号を提供するステップと、
前記回転されたサンプル光信号の第1の偏光成分と第2の偏光成分との間に第4の位相遅延を導入し、第4の干渉信号を生成するために前記第1と第2の偏光成分に干渉を起こさせるステップと、
前記第4の干渉信号の強度を測定するステップと、
前記回転されたサンプル光信号の第1の偏光成分と第2の偏光成分との間に第5の位相遅延を導入し、第5の干渉信号を生成するために前記第1と第2の偏光成分に干渉を起こさせるステップと、
前記第5の干渉信号の強度を測定するステップと、
前記回転されたサンプル光信号の第1の偏光成分と第2の偏光成分との間に第6の位相遅延を導入し、第6の干渉信号を生成するために前記第1と第2の偏光成分に干渉を起こさせるステップと、
前記第6の干渉信号の強度を測定するステップと、及び
前記第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の干渉信号の測定された強度に基づいて、光信号の偏波モード分散を補償するステップとを含む、方法。 - 請求項42の方法を実行するために具現化されたコンピュータ読取り可能命令を備えるコンピュータ読取り可能媒体を有する、製造品。
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