JP2004528504A - 自動車に装備された内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法及び該計算方法を利用する噴射計算機 - Google Patents
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Abstract
本発明は、自動車に装備された内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法及び該計算方法を利用する噴射計算機に関する。本発明によれば、吸気マニホールドにおける圧力の推定値は、内燃エンジンの各シリンダについて、単数または複数の吸気弁の閉鎖時期(t3)に対して、エンジンの動作を描写するパラメータの測定値の基づいて予測される。吸気マニホールドにおける圧力の予測値(Pres pred)は、本発明の対象である、独創的な吸気マニホールドのモデルを実現することから誘導される。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に装備された内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法及び該計算方法を利用する噴射計算機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車を駆動する熱エンジンのための噴射計算機に主として適用される計算方法が、既に現在の技術において開示されている。特に、本出願人の名において出願された、フランス国特許公報FR−A−2.709.151を参照する。
この現在の技術には、シリンダの中における最良の燃焼に必要な空気質量を如何にして予想するかが示されている。そのために、空気質量を、時間tにおける吸気マニホールドにおける圧力Pcolの測定に基づいて、予想継続時間Δtの間に、次式によって予想するべきであることが明確にされた。
【0003】
【数3】
【特許文献1】
フランス国特許公報FR−A−2.709.151
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許公報FR−A−2.709.151に明示された方法においては、ステップiにおけるdPcol/dtを計算するために、先行する計算段階(i−1)におけるPcolのモデル化された値が用いられている。
その結果、負荷が強いと(Pcolは、上流における圧力の値に近い)、計算段階i−1においてモデル化された吸気マニホールドにおける圧力は、計算段階iのためのモデルを計算する圧力と異なり、それゆえモデルは振動し更に発散するようになるという問題がある。
換言すれば、特許公報FR−A−2.709.151に示された方法は、熱エンジンが低負荷の回転数で作動するときには正確で、熱エンジンが最大負荷の近辺で作動するときには、ますますデリケートな、実時間での修正措置を必要とするという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、従来技術における上記の問題を解決するためのものであって、
シリンダへ噴射するべき燃料の量を決めるための、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法であって、上記エンジンは、複数の上記シリンダの中へ空気を導入する吸気マニホールドの中に設けられた圧力センサから供給される値に基づいて燃料噴射器の動作を制御する噴射計算機を含んでなり、吸入される上記空気質量は、上記吸気マニホールドにおける測定された圧力Pcollに基づいて計算される、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法において、
上記シリンダに取り付けられた吸気弁の閉鎖の瞬間に上記シリンダの中へ吸入される上記空気質量の予測計算を可能にするために、
−計算の瞬間における上記エンジンの実際の動作を表すパラメータ(alpha_pap、N、Tcoll、Pamont、PresMes)であって、それらのいくつかのものは、測定された大きさに対する測定の遅れを含むパラメータを計測または推定し、次いで、
−考慮対象の計算の瞬間における、スロットルバルブにおける空気流量と、エンジンの吸気行程における空気流量とを知るために、上記吸気マニホールドの動作モデルを算定し、次いで
−そこから上記吸気弁の閉鎖の瞬間の、上記吸気マニホールドにおける圧力の予測値を得る、
ことの繰り返しを含んでなることを特徴とする、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法に関する。
【0006】
その他の特徴によれば、本発明の内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法は、
サイクルiのときの、上記エンジンへの上記空気流量と上記スロットルバルブにおける上記空気流量の値の予測を、次式の形の吸気マニホールドの動作モデル:
【0007】
【数4】
ここに、τiは、エンジン回転数Nと、上記吸気マニホールド及び上記シリンダの幾何学的形状と、上記エンジンの容積効率rempと、噴射計算の繰り返しとの関数;
Kiは、上記エンジン回転数Nと、上記エンジンの上記容積効率remp及び幾何学的形状と、上記吸気マニホールドにおける温度と、上記スロットルバルブの断面との関数;
fbsvは、上記スロットルバルブの流量係数を定義するための関数発生器によって予め定義された関数;
から得られる、上記吸気マニホールドにおける圧力と上記吸気マニホールドの上流における圧力との比を表す状態変数に基づいて実行する。
【0008】
その他の特徴によれば、本発明の内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法は、上記スロットルバルブの上記流量係数を定義するために、Xiの小さい値についての水平な第1の区間と、Xiのより大きい値についてのほぼ垂直な第3の区間と、Xiの中間の値についての単調に減少する第2の区間とによって、上記状態変数Xiの関数としてグラフで表示された上記関数fbsvを使用する。
【0009】
その他の特徴によれば、本発明の内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法は、
次式:
【0010】
【数5】
を用いて上記状態変数Xiの値を決めることが可能になるように、実際の上記関数fbsvを表す曲線を近似する線分の勾配(pente)と原点の縦座標(Y0)を決めて、上記スロットルバルブの上記流量係数を近似的に定義する、直線化された関数fredを生成するために、先行するサイクルで決められた状態変数の値を使用する。
【0011】
その他の特徴によれば、本発明の内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法は、実際の上記関数fbsvの代わりに、点(Xi,fred(Xi))を点(Xi,vrai,fbsv(Xi,vrai))に関連づける関係に従って、上記直線化された関数fredによって計算された値Xiに対応する、状態変数の真の値(Xi,vrai)を求める。
【0012】
その他の特徴によれば、本発明の内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法によって、上記吸気マニホールドは、上記エンジンの動作を描写する:
−上記スロットルバルブの角度センサによって測定された上記スロットルバルブの開口角度alpha_pap;
−エンジン回転速度すなわちエンジン回転数のセンサによって測定された、上記エンジン回転数Nすなわちエンジンの回転速度;
−上記吸気マニホールドに設けられた温度センサによって測定された、上記吸気マニホールドにおける空気温度Tcoll;
−圧力センサによって測定、または推定された、上記スロットルバルブの上流における上記圧力Pamont;
−圧力センサによって測定された、上記吸気マニホールドにおける測定圧力(Pres Mes);
の各パラメータによってモデル化される。
【0013】
その他の特徴によれば、本発明の内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法は、上記吸気マニホールドにおける圧力の予測から推定された上記空気質量を予測する段階をさらに含む。
【0014】
本発明は、本発明による内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法を実行することを特徴とする噴射計算機にも関する。
【0015】
その他の特徴によれば、本発明の噴射計算機は、
−モデル化された上記吸気マニホールドにおける上記圧力の、計算の瞬間における上流における上記圧力に対する比を表す上記状態変数(Xi)を生じる、上記吸気マニホールドのモデルを実現するモジュール;
−上記直線化された上記関数(fred)と、上記スロットルバルブの上記空気流量係数の実際の関数(fbsv)との間の関係から、上記状態変数(Xi)を修正するモジュール;
−上記スロットルバルブにおける上記空気流量(Dpap)と上記シリンダへの上記空気流量(Dmot)とを計算するモジュール;
−考慮対象の上記シリンダの上記吸気弁の閉鎖の瞬間の、上記吸気マニホールドにおける上記圧力の値(Pres pred)を予測するモジュール;
を含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のその他の特徴及び利点は、理解のために添付図面を参照する、以下の詳細な記述を読むことによって明らかとなるであろう。これらの図において:
−図1は、本発明が根拠とする原理を説明するグラフ;
−図2は、本発明の方法を実行する装置のブロック図;
−図3は、本発明の方法によってもたらされた改良を説明するグラフ;
である。
【0017】
図1に、本発明が根拠とする原理を説明するグラフを示す。この技術についての補足的な説明として、本出願人の名において交付された、フランス国特許公報FR 2.709.151を参照する。
燃エンジンを制御するために用いられる燃料噴射技術においては、シリンダとその弁の動作を考察する。制御下にあるシリンダの吸気弁の閉鎖の瞬間における空気圧力の推定は、シリンダへ持ち込まれる空気質量の値を知ることと、それから最適の燃焼のために噴射するガソリンの量を導きだすこととを可能にする。しかしながら、間接噴射においては、気化という物理現象のために、このガソリンの量は、吸気弁の開口より前に導入されねばならず、また、あらゆる噴射タイプにおいても、測定には大きな遅延が伴い、測定に満足できるような吸気マニホールドにおける圧力の最新の値を知ることはできない。
【0018】
図1に、時間t1と時間t3との間における吸気マニホールドにおける圧力Pcollの変化を示した。時間t1において、吸気マニホールドに設けられた圧力センサのような適当な手段によって、吸気マニホールドにおける圧力Pcoll(t1)の測定を実施した。
噴射計算の時間である時間t2において、吸気マニホールドの物理モデルを用いて、吸気マニホールドにおける圧力の瞬間的な変化を推定する。この物理モデルは、吸気弁閉鎖の時間t3における吸気マニホールドにおける圧力の予測を、時間間隔Δt=t3−t1として、Pcollの事前の測定からのPcollの予測に該当する次式によって可能にする。
【0019】
【数6】
図1のグラフを参照すると、時間t1において測定された吸気マニホールドにおける圧力Pcollの値と、増分または減分ΔPcollとの合計に相当する圧力Pcoll predは、吸気マニホールドにおける圧力の瞬間的な変化の実際の曲線の点に一致することができないことが認められる。
【0020】
図2に、本発明の方法を実行する噴射計算機の種々の構成要素を示すブロック図を示す。本発明の方法においては、吸気弁の閉鎖時期における吸気マニホールドにおける圧力の予測値Pcoll predは、計算時に利用可能な測定データに基づいて、次ぎの噴射を準備するために実行される。下記のパラメータ(alpha_pap、N、Tcoll、Pamont、PresMes)は、計算の瞬間におけるエンジンの実際の動作を表す。これらのパラメータは:
−スロットルバルブの角度センサ1によって測定されたスロットルバルブの開口角度alpha_pap;
−エンジン回転速度すなわちエンジン回転数のセンサ2によって測定された、エンジン回転数Nすなわちエンジンの回転速度;
−吸気マニホールドに設けられた温度センサ3によって測定された、吸気マニホールドにおける空気温度Tcoll;
−圧力センサ5によって測定、または上流における空気圧力の他のモデルに基づいて推定された、スロットルバルブの上流における空気の圧力Pamont;
−圧力センサ6によって測定された、ここではPresMesと名付けられた、吸気マニホールドにおける測定圧力。この測定は、無視できない測定時定数を有し、ある時間以前のエンジンの動作を表す;
である。
【0021】
最初の4つのデータは、コンピュータからなるモジュール7へ供給される。このコンピュータの中では、本発明によって定義された吸気マニホールドの物理モデルがプログラムされ、コンピュータは、制御されるエンジンに適応化される。本発明において使用される吸気マニホールドのモデルは、スロットルバルブにおける空気流量Dpapを有して上流から流入する空気流量によって満たされ、シリンダへの空気流量Dmotを有して下流から流出する空気流量によって空になる、吸気マニホールドに典型的な体積の原理に基づいている。
【0022】
1実施の形態においては、モジュール7は、次式によって定義されるスロットルバルブにおける空気流量Dpapを表す関数を生成するための手段を含んでなる。
【0023】
【数7】
この関数は、考慮されるモデルに関して、Pcollに本質的に依存し、この関数の中で、gは、スロットルバルブの空気力学的な作用を表す関数であり、fbsvは、後に説明する図3に示される曲線に応じて定義される関数発生器によって、モジュール7の中で定義される関数である。関数gは、スロットルバルブの断面を表すSpapと、それぞれスロットルバルブの上流における圧力と温度を表すPamontとTamontとのパラメータに依存する。これらのデータは、モジュール7の中に記録されているか、入力パラメータの検出モジュール1〜5の1つから受けられる。
【0024】
一般に、図3にも示すように、スロットルバルブからの流量の流量係数を定義するための関数fbsvは、吸気マニホールドにおける圧力が上流における圧力に関係付けされる比Pcoll/Pamontを表す状態変数Xiに依存する。関数fbsvのグラフ化された表示は、Xiの小さい値についての水平な第1の区間と、Xiのより大きい値についてのほぼ垂直な第3の区間と、Xiの中間の値についての単調に減少する第2の区間とを含む。
【0025】
1実施の形態においては、モジュール7は、次式によって定義されるエンジンのシリンダへの空気流量Dmotを表す関数を生成するための手段を含んでなる。
【0026】
【数8】
この関数は、考慮されるモデルに関して、Pcollに本質的に依存し、この関数の中で、hは、関数hの発生器(図示しない)によって作られ、入力パラメータの検出モジュール2、3からパラメータN、Tcollを入力として受ける、吸気中のシリンダの空気力学的な作用を表す関数であり、P0は、エンジンの考慮対象のシリンダへの空気流量を保証する吸気マニホールドの最低圧力である。関数hは、噴射計算機の作用対象である熱エンジンの、容積効率に特有の係数rempにも依存する。
【0027】
吸気マニホールドのモデルは、モデルから導きだされた微分方程式と上述の関数f、g、hによって、モジュール7の中へインプリメーションされ、考慮対象のシリンダに対して、予想進行中のサイクル番号iについて、次式によって定義される。
【0028】
【数9】
ここに、
Xiは、サイクル番号iにおける、モデル化された吸気マニホールドにおける圧力の、計測または推定された上流における圧力に対する比;
τiは、エンジン回転数Nと、吸気マニホールド及びシリンダの幾何学的形状と、エンジンの容積効率(透過性)rempと、噴射計算の繰り返しとの関数;
Kiは、エンジン回転数Nと、エンジンの容積効率(透過性)remp及び幾何学的形状と、吸気マニホールドにおける温度と、スロットルバルブの断面との関数;
である。
【0029】
関数fbsvに特有の形のために、この関数の逆関数を得ることはできないので、上の関係式によって、実時間で解析的に、XiをXi−1の関数として導きだすことはできない。
本発明に従ってこの問題を解くために、関数fbsvを、予め定められた一連の線分を介して関数fbsvに近づく関数fredに置き換える。このため、計算のこの段階において、関数fbsvの断片による線形化を実行する。図3に示された関数fredの各線分は、次式を有する。
【0030】
【数10】
ここに、「pente」は、前の予測の際に得られ、横座標の点(Xi−1)を用いて特定された、関数fredの線分の勾配であり、Y0は、この線分を有する直線の原点の縦座標である。これらの値は、直線化された関数fredの発生手段(図示しない)の中の表に記載することができる。従って、モデルを次式の形のXiによって解くことができる。
【0031】
【数11】
ここに、penteとY0は、本発明の近似法において、関数fbsvを置き換える直線化された関数fredに特有のものである。
【0032】
従って、1実施の形態においては、吸気マニホールドのモデル化のモジュール7は、図1の予測の時間t2における状態変数Xiを発生し、状態変数Xiは、時間t3における吸気マニホールドの予想される圧力の計算手段であるモジュール8へ伝達される。
【0033】
モジュール8は、横座標の点Xiが最大値X=1.0(図3を見よ)の極めて近傍にある時に、状態変数Xiの修正を可能にする、修正手段を含んでなる。実際には、直線化された関数fredは、ほぼ垂直な単数または複数の線分上でモデルがループ化することを避けるように、理論上の最大の横座標(X=1)の近傍における現実の関数fbsvからかなり遠ざかる。関数fredの最後の線分は、従って、無限大でない勾配を有する。この最後の線分上におけるモデルの最終段階は、従って修正を要する不正確なXi及びfred(Xi)の値に導く。
【0034】
本発明の方法においては、段階(E1)のときに、変数Xi−1の値から、直線化された関数fredに関する線分(従って、直線化された関数fredの「pente」及びY0の値)を選ぶ。
【0035】
次に、段階(E2)のときに、上記の吸気マニホールドのモデルを実行するモジュール7は、先に取得された値Xi−1から値Xiを発生する。値Xiは、直線化された関数fredを表す直線上の点Miに対応する。次ぎに、吸気マニホールドのモデルのループ(モジュール7)の外で、先行する直線に近い実際の関数fbsvを表す曲線に一致する点Mi'を得る。そのため、修正用のモジュール8(図2)は、段階(E3)(図3)のときに、曲線上の点[Xi,fred(Xi)]を、真の曲線fbsv上の対応する点[Xi,vrai,fbsv(Xi,vrai)]に関連づける表に示された関数を用いて、状態変数Xiの真の値と、実際の関数fbsv(Xi)の値とを発生することを可能にする。
【0036】
そこで、真のXi,vraiと真のfbsv(Xi,vrai)の値は、エンジンへの空気流量Dmotとスロットルバルブにおける空気流量Dpapの計算モジュール9へ伝達される。計算モジュール9は、それぞれ予め記録された上述の関数gおよびhを実行する、Dmot関数発生器とDpap関数発生器とを含んでなる。これらの2つの関数発生器は、計算された真のXiと真のfbsv(Xi,vrai)の値、並びに、センサ5によって計測または推定された、スロットルバルブの上流における圧力Pamontの値を入力として受ける。これらの値は、吸気マニホールドにおける圧力を予測する時間t2において利用可能な値である。
【0037】
計算モジュール9によって発生された、エンジンへの空気流量Dmotとスロットルバルブにおける空気流量Dpapの予測値は、そこで最後の、吸気マニホールドにおける圧力の予測値の計算モジュール10の入力へ伝達される。計算モジュール10は、関数発生器によって、関数GP(Dmot,Dpap,PresMes)の計算を実行する。PresMesの値は、図1のグラフのt2の瞬間に測定され、t1の瞬間の値に相当する、吸気マニホールドにおける圧力のために利用可能な、最新の測定値に該当する。
【0038】
1実施の形態においては、関数GPは、関数gp()を、モジュール9によって発生された、エンジンへの空気流量Dmotとスロットルバルブにおける空気流量Dpaphaの予測値の、予め定められた関数として、GP=PresMes+gp(Dmot,Dpap)の形で書き表すことができる。1実施の形態においては、関数gp()は、次式によって表すことができる。
【0039】
【数12】
ここに、rは乗算係数、TcolとVcolは吸気マニホールドにおける温度と体積の状態、Δtは、積分時間すなわちモデル化時間である。
【0040】
計算モジュール10の出力の値は、時間t3(図1)における吸気マニホールドにおける圧力の予測値を表し、従って、噴射計算機の残りの部分(図示しない)へ伝達されたこの値は、エンジンの各シリンダに対する吸入空気の質量の改良された計算を可能にする。
【0041】
本発明は、特に、直線化された関数fredの直線性によってモデルの安定性が獲得され、安定性に関して妥協することがないので、従来技術のモデルに対してより良好な動力学を確保することを可能にする。
【0042】
本発明は、負荷(吸気マニホールドにおける圧力)にかかわらないモデルの安定性によって容易にされる、噴射計算機の調整の実行を可能にする。
【0043】
本発明は、従来技術の解決策に対して、測定された物理的な現実からの吸気マニホールドのモデルの遅れを減らすことを可能にし、このことが時間t3における吸気マニホールドにおける圧力の予測の良好な妥当性を保証する。
【0044】
最後に、圧力の予測、従って噴射の正確さは、強い負荷において改良される。従来技術の噴射計算機においては、最適化手段から生じた特有で非物理的なパラメータは、従来の解決法の安定性の拘束を考慮に入れたのに対して、本発明は、熱エンジンの物理的な大きさに対応する、測定された、または噴射計算器によって実行される他の計算で計算可能な、既知の調整パラメータの利用を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明が根拠とする原理を説明するグラフである。
【図2】本発明の方法を実行する装置のブロック図である。
【図3】本発明の方法によってもたらされた改良を説明するグラフである。
【0001】
本発明は、自動車に装備された内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法及び該計算方法を利用する噴射計算機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車を駆動する熱エンジンのための噴射計算機に主として適用される計算方法が、既に現在の技術において開示されている。特に、本出願人の名において出願された、フランス国特許公報FR−A−2.709.151を参照する。
この現在の技術には、シリンダの中における最良の燃焼に必要な空気質量を如何にして予想するかが示されている。そのために、空気質量を、時間tにおける吸気マニホールドにおける圧力Pcolの測定に基づいて、予想継続時間Δtの間に、次式によって予想するべきであることが明確にされた。
【0003】
【数3】
【特許文献1】
フランス国特許公報FR−A−2.709.151
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許公報FR−A−2.709.151に明示された方法においては、ステップiにおけるdPcol/dtを計算するために、先行する計算段階(i−1)におけるPcolのモデル化された値が用いられている。
その結果、負荷が強いと(Pcolは、上流における圧力の値に近い)、計算段階i−1においてモデル化された吸気マニホールドにおける圧力は、計算段階iのためのモデルを計算する圧力と異なり、それゆえモデルは振動し更に発散するようになるという問題がある。
換言すれば、特許公報FR−A−2.709.151に示された方法は、熱エンジンが低負荷の回転数で作動するときには正確で、熱エンジンが最大負荷の近辺で作動するときには、ますますデリケートな、実時間での修正措置を必要とするという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、従来技術における上記の問題を解決するためのものであって、
シリンダへ噴射するべき燃料の量を決めるための、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法であって、上記エンジンは、複数の上記シリンダの中へ空気を導入する吸気マニホールドの中に設けられた圧力センサから供給される値に基づいて燃料噴射器の動作を制御する噴射計算機を含んでなり、吸入される上記空気質量は、上記吸気マニホールドにおける測定された圧力Pcollに基づいて計算される、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法において、
上記シリンダに取り付けられた吸気弁の閉鎖の瞬間に上記シリンダの中へ吸入される上記空気質量の予測計算を可能にするために、
−計算の瞬間における上記エンジンの実際の動作を表すパラメータ(alpha_pap、N、Tcoll、Pamont、PresMes)であって、それらのいくつかのものは、測定された大きさに対する測定の遅れを含むパラメータを計測または推定し、次いで、
−考慮対象の計算の瞬間における、スロットルバルブにおける空気流量と、エンジンの吸気行程における空気流量とを知るために、上記吸気マニホールドの動作モデルを算定し、次いで
−そこから上記吸気弁の閉鎖の瞬間の、上記吸気マニホールドにおける圧力の予測値を得る、
ことの繰り返しを含んでなることを特徴とする、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法に関する。
【0006】
その他の特徴によれば、本発明の内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法は、
サイクルiのときの、上記エンジンへの上記空気流量と上記スロットルバルブにおける上記空気流量の値の予測を、次式の形の吸気マニホールドの動作モデル:
【0007】
【数4】
ここに、τiは、エンジン回転数Nと、上記吸気マニホールド及び上記シリンダの幾何学的形状と、上記エンジンの容積効率rempと、噴射計算の繰り返しとの関数;
Kiは、上記エンジン回転数Nと、上記エンジンの上記容積効率remp及び幾何学的形状と、上記吸気マニホールドにおける温度と、上記スロットルバルブの断面との関数;
fbsvは、上記スロットルバルブの流量係数を定義するための関数発生器によって予め定義された関数;
から得られる、上記吸気マニホールドにおける圧力と上記吸気マニホールドの上流における圧力との比を表す状態変数に基づいて実行する。
【0008】
その他の特徴によれば、本発明の内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法は、上記スロットルバルブの上記流量係数を定義するために、Xiの小さい値についての水平な第1の区間と、Xiのより大きい値についてのほぼ垂直な第3の区間と、Xiの中間の値についての単調に減少する第2の区間とによって、上記状態変数Xiの関数としてグラフで表示された上記関数fbsvを使用する。
【0009】
その他の特徴によれば、本発明の内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法は、
次式:
【0010】
【数5】
を用いて上記状態変数Xiの値を決めることが可能になるように、実際の上記関数fbsvを表す曲線を近似する線分の勾配(pente)と原点の縦座標(Y0)を決めて、上記スロットルバルブの上記流量係数を近似的に定義する、直線化された関数fredを生成するために、先行するサイクルで決められた状態変数の値を使用する。
【0011】
その他の特徴によれば、本発明の内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法は、実際の上記関数fbsvの代わりに、点(Xi,fred(Xi))を点(Xi,vrai,fbsv(Xi,vrai))に関連づける関係に従って、上記直線化された関数fredによって計算された値Xiに対応する、状態変数の真の値(Xi,vrai)を求める。
【0012】
その他の特徴によれば、本発明の内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法によって、上記吸気マニホールドは、上記エンジンの動作を描写する:
−上記スロットルバルブの角度センサによって測定された上記スロットルバルブの開口角度alpha_pap;
−エンジン回転速度すなわちエンジン回転数のセンサによって測定された、上記エンジン回転数Nすなわちエンジンの回転速度;
−上記吸気マニホールドに設けられた温度センサによって測定された、上記吸気マニホールドにおける空気温度Tcoll;
−圧力センサによって測定、または推定された、上記スロットルバルブの上流における上記圧力Pamont;
−圧力センサによって測定された、上記吸気マニホールドにおける測定圧力(Pres Mes);
の各パラメータによってモデル化される。
【0013】
その他の特徴によれば、本発明の内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法は、上記吸気マニホールドにおける圧力の予測から推定された上記空気質量を予測する段階をさらに含む。
【0014】
本発明は、本発明による内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法を実行することを特徴とする噴射計算機にも関する。
【0015】
その他の特徴によれば、本発明の噴射計算機は、
−モデル化された上記吸気マニホールドにおける上記圧力の、計算の瞬間における上流における上記圧力に対する比を表す上記状態変数(Xi)を生じる、上記吸気マニホールドのモデルを実現するモジュール;
−上記直線化された上記関数(fred)と、上記スロットルバルブの上記空気流量係数の実際の関数(fbsv)との間の関係から、上記状態変数(Xi)を修正するモジュール;
−上記スロットルバルブにおける上記空気流量(Dpap)と上記シリンダへの上記空気流量(Dmot)とを計算するモジュール;
−考慮対象の上記シリンダの上記吸気弁の閉鎖の瞬間の、上記吸気マニホールドにおける上記圧力の値(Pres pred)を予測するモジュール;
を含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のその他の特徴及び利点は、理解のために添付図面を参照する、以下の詳細な記述を読むことによって明らかとなるであろう。これらの図において:
−図1は、本発明が根拠とする原理を説明するグラフ;
−図2は、本発明の方法を実行する装置のブロック図;
−図3は、本発明の方法によってもたらされた改良を説明するグラフ;
である。
【0017】
図1に、本発明が根拠とする原理を説明するグラフを示す。この技術についての補足的な説明として、本出願人の名において交付された、フランス国特許公報FR 2.709.151を参照する。
燃エンジンを制御するために用いられる燃料噴射技術においては、シリンダとその弁の動作を考察する。制御下にあるシリンダの吸気弁の閉鎖の瞬間における空気圧力の推定は、シリンダへ持ち込まれる空気質量の値を知ることと、それから最適の燃焼のために噴射するガソリンの量を導きだすこととを可能にする。しかしながら、間接噴射においては、気化という物理現象のために、このガソリンの量は、吸気弁の開口より前に導入されねばならず、また、あらゆる噴射タイプにおいても、測定には大きな遅延が伴い、測定に満足できるような吸気マニホールドにおける圧力の最新の値を知ることはできない。
【0018】
図1に、時間t1と時間t3との間における吸気マニホールドにおける圧力Pcollの変化を示した。時間t1において、吸気マニホールドに設けられた圧力センサのような適当な手段によって、吸気マニホールドにおける圧力Pcoll(t1)の測定を実施した。
噴射計算の時間である時間t2において、吸気マニホールドの物理モデルを用いて、吸気マニホールドにおける圧力の瞬間的な変化を推定する。この物理モデルは、吸気弁閉鎖の時間t3における吸気マニホールドにおける圧力の予測を、時間間隔Δt=t3−t1として、Pcollの事前の測定からのPcollの予測に該当する次式によって可能にする。
【0019】
【数6】
図1のグラフを参照すると、時間t1において測定された吸気マニホールドにおける圧力Pcollの値と、増分または減分ΔPcollとの合計に相当する圧力Pcoll predは、吸気マニホールドにおける圧力の瞬間的な変化の実際の曲線の点に一致することができないことが認められる。
【0020】
図2に、本発明の方法を実行する噴射計算機の種々の構成要素を示すブロック図を示す。本発明の方法においては、吸気弁の閉鎖時期における吸気マニホールドにおける圧力の予測値Pcoll predは、計算時に利用可能な測定データに基づいて、次ぎの噴射を準備するために実行される。下記のパラメータ(alpha_pap、N、Tcoll、Pamont、PresMes)は、計算の瞬間におけるエンジンの実際の動作を表す。これらのパラメータは:
−スロットルバルブの角度センサ1によって測定されたスロットルバルブの開口角度alpha_pap;
−エンジン回転速度すなわちエンジン回転数のセンサ2によって測定された、エンジン回転数Nすなわちエンジンの回転速度;
−吸気マニホールドに設けられた温度センサ3によって測定された、吸気マニホールドにおける空気温度Tcoll;
−圧力センサ5によって測定、または上流における空気圧力の他のモデルに基づいて推定された、スロットルバルブの上流における空気の圧力Pamont;
−圧力センサ6によって測定された、ここではPresMesと名付けられた、吸気マニホールドにおける測定圧力。この測定は、無視できない測定時定数を有し、ある時間以前のエンジンの動作を表す;
である。
【0021】
最初の4つのデータは、コンピュータからなるモジュール7へ供給される。このコンピュータの中では、本発明によって定義された吸気マニホールドの物理モデルがプログラムされ、コンピュータは、制御されるエンジンに適応化される。本発明において使用される吸気マニホールドのモデルは、スロットルバルブにおける空気流量Dpapを有して上流から流入する空気流量によって満たされ、シリンダへの空気流量Dmotを有して下流から流出する空気流量によって空になる、吸気マニホールドに典型的な体積の原理に基づいている。
【0022】
1実施の形態においては、モジュール7は、次式によって定義されるスロットルバルブにおける空気流量Dpapを表す関数を生成するための手段を含んでなる。
【0023】
【数7】
この関数は、考慮されるモデルに関して、Pcollに本質的に依存し、この関数の中で、gは、スロットルバルブの空気力学的な作用を表す関数であり、fbsvは、後に説明する図3に示される曲線に応じて定義される関数発生器によって、モジュール7の中で定義される関数である。関数gは、スロットルバルブの断面を表すSpapと、それぞれスロットルバルブの上流における圧力と温度を表すPamontとTamontとのパラメータに依存する。これらのデータは、モジュール7の中に記録されているか、入力パラメータの検出モジュール1〜5の1つから受けられる。
【0024】
一般に、図3にも示すように、スロットルバルブからの流量の流量係数を定義するための関数fbsvは、吸気マニホールドにおける圧力が上流における圧力に関係付けされる比Pcoll/Pamontを表す状態変数Xiに依存する。関数fbsvのグラフ化された表示は、Xiの小さい値についての水平な第1の区間と、Xiのより大きい値についてのほぼ垂直な第3の区間と、Xiの中間の値についての単調に減少する第2の区間とを含む。
【0025】
1実施の形態においては、モジュール7は、次式によって定義されるエンジンのシリンダへの空気流量Dmotを表す関数を生成するための手段を含んでなる。
【0026】
【数8】
この関数は、考慮されるモデルに関して、Pcollに本質的に依存し、この関数の中で、hは、関数hの発生器(図示しない)によって作られ、入力パラメータの検出モジュール2、3からパラメータN、Tcollを入力として受ける、吸気中のシリンダの空気力学的な作用を表す関数であり、P0は、エンジンの考慮対象のシリンダへの空気流量を保証する吸気マニホールドの最低圧力である。関数hは、噴射計算機の作用対象である熱エンジンの、容積効率に特有の係数rempにも依存する。
【0027】
吸気マニホールドのモデルは、モデルから導きだされた微分方程式と上述の関数f、g、hによって、モジュール7の中へインプリメーションされ、考慮対象のシリンダに対して、予想進行中のサイクル番号iについて、次式によって定義される。
【0028】
【数9】
ここに、
Xiは、サイクル番号iにおける、モデル化された吸気マニホールドにおける圧力の、計測または推定された上流における圧力に対する比;
τiは、エンジン回転数Nと、吸気マニホールド及びシリンダの幾何学的形状と、エンジンの容積効率(透過性)rempと、噴射計算の繰り返しとの関数;
Kiは、エンジン回転数Nと、エンジンの容積効率(透過性)remp及び幾何学的形状と、吸気マニホールドにおける温度と、スロットルバルブの断面との関数;
である。
【0029】
関数fbsvに特有の形のために、この関数の逆関数を得ることはできないので、上の関係式によって、実時間で解析的に、XiをXi−1の関数として導きだすことはできない。
本発明に従ってこの問題を解くために、関数fbsvを、予め定められた一連の線分を介して関数fbsvに近づく関数fredに置き換える。このため、計算のこの段階において、関数fbsvの断片による線形化を実行する。図3に示された関数fredの各線分は、次式を有する。
【0030】
【数10】
ここに、「pente」は、前の予測の際に得られ、横座標の点(Xi−1)を用いて特定された、関数fredの線分の勾配であり、Y0は、この線分を有する直線の原点の縦座標である。これらの値は、直線化された関数fredの発生手段(図示しない)の中の表に記載することができる。従って、モデルを次式の形のXiによって解くことができる。
【0031】
【数11】
ここに、penteとY0は、本発明の近似法において、関数fbsvを置き換える直線化された関数fredに特有のものである。
【0032】
従って、1実施の形態においては、吸気マニホールドのモデル化のモジュール7は、図1の予測の時間t2における状態変数Xiを発生し、状態変数Xiは、時間t3における吸気マニホールドの予想される圧力の計算手段であるモジュール8へ伝達される。
【0033】
モジュール8は、横座標の点Xiが最大値X=1.0(図3を見よ)の極めて近傍にある時に、状態変数Xiの修正を可能にする、修正手段を含んでなる。実際には、直線化された関数fredは、ほぼ垂直な単数または複数の線分上でモデルがループ化することを避けるように、理論上の最大の横座標(X=1)の近傍における現実の関数fbsvからかなり遠ざかる。関数fredの最後の線分は、従って、無限大でない勾配を有する。この最後の線分上におけるモデルの最終段階は、従って修正を要する不正確なXi及びfred(Xi)の値に導く。
【0034】
本発明の方法においては、段階(E1)のときに、変数Xi−1の値から、直線化された関数fredに関する線分(従って、直線化された関数fredの「pente」及びY0の値)を選ぶ。
【0035】
次に、段階(E2)のときに、上記の吸気マニホールドのモデルを実行するモジュール7は、先に取得された値Xi−1から値Xiを発生する。値Xiは、直線化された関数fredを表す直線上の点Miに対応する。次ぎに、吸気マニホールドのモデルのループ(モジュール7)の外で、先行する直線に近い実際の関数fbsvを表す曲線に一致する点Mi'を得る。そのため、修正用のモジュール8(図2)は、段階(E3)(図3)のときに、曲線上の点[Xi,fred(Xi)]を、真の曲線fbsv上の対応する点[Xi,vrai,fbsv(Xi,vrai)]に関連づける表に示された関数を用いて、状態変数Xiの真の値と、実際の関数fbsv(Xi)の値とを発生することを可能にする。
【0036】
そこで、真のXi,vraiと真のfbsv(Xi,vrai)の値は、エンジンへの空気流量Dmotとスロットルバルブにおける空気流量Dpapの計算モジュール9へ伝達される。計算モジュール9は、それぞれ予め記録された上述の関数gおよびhを実行する、Dmot関数発生器とDpap関数発生器とを含んでなる。これらの2つの関数発生器は、計算された真のXiと真のfbsv(Xi,vrai)の値、並びに、センサ5によって計測または推定された、スロットルバルブの上流における圧力Pamontの値を入力として受ける。これらの値は、吸気マニホールドにおける圧力を予測する時間t2において利用可能な値である。
【0037】
計算モジュール9によって発生された、エンジンへの空気流量Dmotとスロットルバルブにおける空気流量Dpapの予測値は、そこで最後の、吸気マニホールドにおける圧力の予測値の計算モジュール10の入力へ伝達される。計算モジュール10は、関数発生器によって、関数GP(Dmot,Dpap,PresMes)の計算を実行する。PresMesの値は、図1のグラフのt2の瞬間に測定され、t1の瞬間の値に相当する、吸気マニホールドにおける圧力のために利用可能な、最新の測定値に該当する。
【0038】
1実施の形態においては、関数GPは、関数gp()を、モジュール9によって発生された、エンジンへの空気流量Dmotとスロットルバルブにおける空気流量Dpaphaの予測値の、予め定められた関数として、GP=PresMes+gp(Dmot,Dpap)の形で書き表すことができる。1実施の形態においては、関数gp()は、次式によって表すことができる。
【0039】
【数12】
ここに、rは乗算係数、TcolとVcolは吸気マニホールドにおける温度と体積の状態、Δtは、積分時間すなわちモデル化時間である。
【0040】
計算モジュール10の出力の値は、時間t3(図1)における吸気マニホールドにおける圧力の予測値を表し、従って、噴射計算機の残りの部分(図示しない)へ伝達されたこの値は、エンジンの各シリンダに対する吸入空気の質量の改良された計算を可能にする。
【0041】
本発明は、特に、直線化された関数fredの直線性によってモデルの安定性が獲得され、安定性に関して妥協することがないので、従来技術のモデルに対してより良好な動力学を確保することを可能にする。
【0042】
本発明は、負荷(吸気マニホールドにおける圧力)にかかわらないモデルの安定性によって容易にされる、噴射計算機の調整の実行を可能にする。
【0043】
本発明は、従来技術の解決策に対して、測定された物理的な現実からの吸気マニホールドのモデルの遅れを減らすことを可能にし、このことが時間t3における吸気マニホールドにおける圧力の予測の良好な妥当性を保証する。
【0044】
最後に、圧力の予測、従って噴射の正確さは、強い負荷において改良される。従来技術の噴射計算機においては、最適化手段から生じた特有で非物理的なパラメータは、従来の解決法の安定性の拘束を考慮に入れたのに対して、本発明は、熱エンジンの物理的な大きさに対応する、測定された、または噴射計算器によって実行される他の計算で計算可能な、既知の調整パラメータの利用を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明が根拠とする原理を説明するグラフである。
【図2】本発明の方法を実行する装置のブロック図である。
【図3】本発明の方法によってもたらされた改良を説明するグラフである。
Claims (8)
- シリンダへ噴射するべき燃料の量を決めるための、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法であって、上記エンジンは、複数の上記シリンダの中へ空気を導入する吸気マニホールドの中に設けられた圧力センサから供給される値に基づいて燃料噴射器の動作を制御する噴射計算機を含んでなり、吸入される上記空気質量は、上記吸気マニホールドにおける圧力Pcollに基づいて計算される、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法において、
上記シリンダに取り付けられた吸気弁の閉鎖の瞬間(t3)に上記シリンダの中へ吸入される上記空気質量の予測計算を可能にするために、
−計算の瞬間における上記エンジンの実際の動作を表すパラメータ(alpha_pap、N、Tcoll、Pamont、PresMes)を計測または推定し、次いで
−計算の瞬間における、スロットルバルブにおける空気流量(Dpap)と、上記エンジンの吸気行程における空気流量(Dmot)とを知るために、上記吸気マニホールドの動作モデルを算定し、次いで
−そこから上記吸気弁の閉鎖の瞬間の、上記吸気マニホールドにおける圧力の予測値(Pres pred)を得る、
ことの繰り返しを含んでなることを特徴とする、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法。 - サイクルiのときの、上記エンジンへの上記空気流量(Dmot)と上記スロットルバルブにおける上記空気流量(Dpap)の値の予測を、次式の形の上記吸気マニホールドの動作モデル:
Kiは、上記エンジン回転数Nと、上記エンジンの上記容積効率remp及び幾何学的形状と、上記吸気マニホールドにおける温度と、上記スロットルバルブの断面との関数;
fbsvは、上記スロットルバルブの流量係数を定義するための関数発生器によって予め定義された関数;
から得られた、上記吸気マニホールドにおける圧力(Pcoll)と上記吸気マニホールドの上流における圧力(Pamont)との比を表す状態変数(Xi)に基づいて実行することを特徴とする、請求項1に記載の、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法。 - 上記スロットルバルブの上記流量係数を定義するために、Xiの小さい値についての水平な第1の区間と、Xiのより大きい値についてのほぼ垂直な第3の区間と、Xiの中間の値についての単調に減少する第2の区間とによって、上記状態変数Xiの関数としてグラフで表示された上記関数fbsvを使用することを特徴とする、請求項2に記載の、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法。
- 実際の上記関数fbsvの代わりに、点(Xi,fred(Xi))を点(Xi,vrai,fbsv(Xi,vrai))に関連づける関係に従って、上記直線化された関数fredによって計算された値Xiに対応する、状態変数の真の値(Xi,vrai)を求めることを特徴とする、請求項4に記載の、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法。
- 上記吸気マニホールドのモデルは、上記エンジンの動作を描写する:
−上記スロットルバルブの角度センサ(1)によって測定された上記スロットルバルブの開口角度alpha_pap;
−エンジン回転速度すなわちエンジン回転数のセンサ(2)によって測定された、上記エンジン回転数Nすなわち上記エンジンの回転速度;
−上記吸気マニホールドに設けられた温度センサ(3)によって測定された、上記吸気マニホールドにおける空気温度Tcoll;
−圧力センサ(5)によって測定、または推定された、上記スロットルバルブの上流における上記圧力Pamont;
−圧力センサ(6)によって測定された、上記吸気マニホールドにおける測定圧力(Pres Mes);
の各パラメータを入力されることを特徴とする、請求項5に記載の、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法。 - 上記吸気マニホールドにおける圧力の予測値から推定された上記空気質量を予測する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の、内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法。
- 少なくとも1つの上記シリンダと上記燃料噴射器を含んでなる上記内燃エンジンの動作を制御するために、請求項1〜7のいずれか1つに記載の内燃エンジンのシリンダに吸入される空気質量の計算方法を実行する噴射計算機において、
−モデル化された上記吸気マニホールドにおける上記圧力Pcolの、計算の瞬間における上流における上記圧力に対する比を表す上記状態変数(Xi)を生じる、考慮対象の上記シリンダの上記吸気マニホールドのモデルを実現するモジュール(7);
−上記直線化された関数(fred)と、上記スロットルバルブの上記空気流量係数の実際の関数(fbsv)との間の関係から、上記状態変数(Xi)を修正するモジュール(8);
−上記スロットルバルブにおける上記空気流量(Dpap)と考慮対象の上記シリンダへの上記吸入マニホールドにおける上記空気流量(Dmot)とを計算するモジュール(9);
−考慮対象の上記シリンダの上記吸気弁の閉鎖の瞬間の、上記吸気マニホールドにおける上記圧力の値(Pres pred)を予測するモジュール(10);
を含んでなることを特徴とする噴射計算機。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050510 |