JP2004527256A - 植物にトマト黄化葉巻ウイルス抵抗性を付与する材料および方法 - Google Patents

植物にトマト黄化葉巻ウイルス抵抗性を付与する材料および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、TYLCVの複製関連タンパク質(Rep)遺伝子の切断型を用いて、トマト黄化葉巻ジェミニウイルスに対する遺伝子操作による抵抗性を植物に付与する材料および方法に関する。本発明により作製されるウイルス抵抗性植物は、園芸学的に許容される表現型特性を有する。本発明の方法は、ポリヌクレオチドで植物を形質転換し、ポリヌクレオチドが植物で発現された場合に形質転換植物が植物ウイルス感染に対する抵抗性を示すことを含む。例証となる態様では、TYLCV-Isのフロリダ州単離体由来の切断型Rep遺伝子を含むポリヌクレオチドを利用する。本発明の方法を用いて、TYLCV感染に対する抵抗性をトマトやタバコ等の植物に付与することができる。本発明はまた、TYLCVの切断型Rep遺伝子を含むポリヌクレオチドを発現する形質転換およびトランスジェニック植物ならびに植物組織に関する。

Description

【背景技術】
【0001】
本発明は、米国農務省助成金第99343628423号、第98341356784号、および第99341358478号による支援の研究プロジェクトのもと、政府支援を受けてなされたものである。政府は、本発明において一部の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2002年5月7日に提出した米国特許仮出願第60/289,315号の利益を主張する。
【0003】
発明の背景
コナジラミが媒介するジェミニウイルスは、フロリダ州、カリブ、およびラテンアメリカの大部分でのトマト生産における主要な制限要因となっている。現在この類のウイルスは西半球で拡大しており、この地域においてトマトに感染するジェミニウイルスで性質が決定できたものの数は、この15年間に3から17を超えるまでに増加した(PolstonおよびAnderson、1997)。この拡大は止まらず、新たな伝染がほぼ毎月報告される。コナジラミ媒介ジェミニウイルスは、単独で発生することもあれば、他のジェミニウイルスや別のウイルスとの混合感染により発生することもある。このウイルスにより多くの国々でトマトの収量が減少し、総収穫高の損失も珍しくない(PolstonおよびAnderson、1997)。フロリダ州では、1989年に初めて出現したトマト斑紋ウイルス(ToMoV)の感染、および不作の原因となり殺虫剤の使用量が増えるために生産コストを上げてしまうトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)が原因で、トマト生産に著しい損失(1990〜1991年におよそ1億2千500万ドル)を受けた。
【0004】
ジェミニウイルス科は3つの属に分類され、コナジラミ媒介ジェミニウイルスはそのうちのベゴモウイルス属に属する。ベゴモウイルス属には、単一ゲノム型と二粒子分節ゲノム型という2つの主要な区分がある。配列の解析が行われる以前に病徴に基づいてウイルスが命名されたために、ベゴモウイルス属の分類学は混乱している。これらウイルスの多くは同じ宿主においてよく似た症状をもたらすため、全く異なるウイルスが文献では同じかまたは関連のある名前をもつことになる。このことは、とりわけトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)に当てはまる。8つの別個で独自の、TYLCVと名付けられたベゴモウイルスが存在する。この混乱を解決する新たな提案が公表されたがすべてのウイルス学者にはどれも採用されず、異なるウイルスが多くの様々な方法で呼ばれることになった。FauquetおよびMayo(1999)によって提案された案によると、8つのウイルスはウイルスが初めて記載された国に基づいて同定される。すなわち、中国(TYLCV-Ch)、イスラエル(1つめのウイルスも記載している)(TYLCV-Is)、ナイジェリア(TYLCV-Ng)、サルデーニャ(TYLCV-Sar)、南サウジアラビア(TYLCV-SSA)、タンザニア(TYLCV-Tz)、タイ(TYLCV-Th)、およびイエメン(TYLC-Ye)である。したがって、これらのウイルスはそれぞれTYLCVと命名されているが、これらのウイルスはそれぞれゲノムにわたって90%未満の配列相同性を有する固有の配列を有する。
【0005】
トマト黄化葉巻ウイルス‐イスラエル(TYLCV-Is)と呼称されるジェミニウイルスは、ドミニカ共和国でトマト生産に大きな被害をもたらしたが(PolstonおよびAnderson、1997により概説される)、これは1997年にフロリダ州で発見された(Polstonら、1999)。トマトのTYLCV-Is感染は、アメリカ合衆国(フロリダ州、ジョージア州、ルイジアナ州、およびミシシッピ州)、カリブ(バハマ、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコ、およびジャマイカ)、メキシコ、日本、ヨーロッパ、および地中海沿岸諸国(カナリア諸島、エジプト、イスラエル、キプロス、イタリア、スペイン、ポルトガル、およびモロッコ)において深刻な問題である。TYLCV-Isの発生は増加しており、つい最近では1998年の秋に経済的損失に直面した。TYLCV-Isウイルスはフロリダ州の広範囲にわたっており、ここ2、3年で増加すると思われ、フロリダ州のトマト生産の主要な制約となるであろう。現在のところ、TYLCV-Is感染に対して抵抗性を有する市販のトマト品種が2、3種ほど販売されている。感染した植物はわずかな症状も示さず、相対的に感染に影響されない収率が得られるため、抵抗性は耐性として分類される。しかし、接種された植物ではなおウイルスが検出され、これらの植物が感受性のある品種や作物の感染源となり得る(Lapidotら、2001)。
【0006】
ジェミニウイルスは、生鮮市場のトマトにおいて管理することは経済的に非常に難しく、トマトの加工過程で管理することは実際に不可能である。現時点では、ジェミニウイルスは主に単一の殺虫剤、イミダクロプリド(バイエル(Bayer Agricultural Products)、カンザスシティー、ミズーリ州)の使用により媒介昆虫コナジラミの個体群を減少させ、管理している。この殺虫剤に対する耐性がすでに報告されている(Cahillら、1996;Williamsら、1996)。イミダクロプリドが、アメリカ合衆国や他の地域で有効性を失うのは時間の問題である。フロリダ州の平均的なトマト生産者は、1994年〜1997年の間に、ToMoVを制御するため殺虫剤におよそ250ドル/エーカーを費やした。このコストは、TYLCV-Isを管理する米国生産者の努力に伴い著しく増加している。カリブ諸国では、ジェミニウイルスにより、多くの小規模および中規模のトマト生産者が生産コストの増加と作物の損失により廃業した。イスラエルでは、イミダクロプリド抵抗性が存在する場合、殺虫剤の使用と排除によりTYLCV-Isを管理する。すなわち、コナジラミ不貫通性遮蔽材または遮蔽トンネルで囲った野外の植物室でトマトを生産する。この方法は費用がかかり、経済的または園芸学的に現実的な方法ではないことが多い。最も費用がかからず最も現実的なコナジラミ媒介ジェミニウイルスの制御法は、抵抗性品種の使用である。現時点では、西半球原産のジェミニウイルスに対する市販の抵抗性トマト品種は存在しない。上述のように、TYLCV-Isに対する耐性を有しアメリカ合衆国での生産に適している品種は、2品種のみ存在する。この抵抗性は、野生種Lycopersicon、おそらくL.peruvianumとL.pimpinellifoliumに由来する。
【0007】
ベゴモウイルス複製関連タンパク質(Rep)をコードする遺伝子を、ウイルス感染に対する抵抗性に利用し得ることを示唆する報告が2、3ある。NTP結合モチーフ内に変異を導入した改変ToMoV Repをトマト植物体に形質転換し、ウイルスの複製が妨げられることを示した報告がある(Stoutら、1997)。Hansonら(1999)は、Rep遺伝子のNTP結合モチーフにおける変異に伴うBGYMV(ビーンゴールデン黄斑モザイクウイルス)の表現型を解析し、複製にはNTP結合ドメインが必要であることを示した。彼らは、トランス‐ドミナントネガティブに妨害する機構で、このモチーフにおける変異を病原体由来の抵抗性に役立たせることを計画した(「ドミナントネガティブ変異」の別名でも知られる)。Nicotiana Benthamiana植物体におけるアフリカキャッサバモザイクジェミニウイルス(ACMV)に対する抵抗性は、ACMV Repで形質転換することにより構築された(HongおよびStanley、1996)。
【0008】
サルデーニャ由来ジェミニウイルスTYLCV(TYLCV-Sar)のRep遺伝子を用いたウイルス抵抗性が、これまでにいくつか報告されている。しかし、TYLCV-Sarは異なるウイルスであって、TYLCV-Isとの関連性は遠く、ゲノム配列では顕著な相違を示す(<80%相同性)。Norisら(1996)は、切断型のC末端を有するタンパク質(210アミノ酸)をコードするTYLCV-Sar Cl遺伝子を用いて、N. benthamiana植物体におけるTYLCV-Sar抵抗性を見出した。しかし、抵抗性は時間と共に克服された。Brunettiら(1997)は、同じ構成物でトマトを形質転換し、抵抗性には切断型Repタンパク質の高濃度の蓄積が必要であること、高濃度の蓄積により「葉巻」表現型が起こること、および抵抗性は非関連のジェミニウイルスにまで及ばないことを見出した。Rep遺伝子のアンチセンスRNAを発現するトランスジェニックNicotiana benthamiana植物体が、TYLCV-Sar感染に対する抵抗性を有することが観察された(BendahmaneおよびGronenborn、1997)。本発明の方法に従って形質転換した植物は、正常な表現型を有し、高い収穫高が得られることも期待される。
【0009】
本発明は、ウイルス抵抗性のトマト品種を作製するために適用する従来の植物品種改良計画での、費用がかかり、多大な時間を要し、かつ限られている選択肢を克服する。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
本発明は、その植物の条件を満たした表現型の特徴を保持したまま、TYLCV-イスラエル(TYLCV-Is)等のトマト黄化葉巻ジェミニウイルスに対する遺伝子操作による抵抗性を植物に付与する材料および方法に関する。例証となる態様では、本発明はトマトおよびタバコにおいてTYLCV-Is抵抗性を提供する。具体的には、TYLCVの複製関連タンパク質(Rep)遺伝子の切断型で植物を形質転換することにより、抵抗性を提供する。本明細書で例証するのは、TYLCV-Is(フロリダ州単離体)の切断型Rep遺伝子の使用である。TYLCV-Isの全長Rep遺伝子は、およそ357アミノ酸のウイルス複製関連タンパク質をコードする。例証となる態様では、本方法で使用するRep遺伝子は3’末端が切断されており、82ヌクレオチド(nt)の遺伝子間配列と142アミノ酸のRepタンパク質断片(N末端)をコードする426 nt配列を含む508 ntが5’末端に残っている。他の態様においては、本発明の切断型Rep遺伝子に対してアンチセンスであるポリヌクレオチドを用いて、感染に対する抵抗性を提供する。本発明は、フロリダ州でトマトを生産する雑種に用いるのに適したトマト育種系統において、TYLCV-Is抵抗性の構築に遺伝子操作を適用することを実証する。
【0011】
配列の簡単な説明
配列番号:1は、本発明によるRep遺伝子断片の初期PCR増幅に用いたオリゴヌクレオチドである。
配列番号:2は、本発明によるRep遺伝子断片の初期PCR増幅に用いたオリゴヌクレオチドである。
配列番号:3は、本発明による切断型Repタンパク質のアミノ酸配列を示す。
配列番号:4は、配列番号:3のアミノ酸配列をコードし81ヌクレオチドの遺伝子間領域を含む、本発明による切断型TYLCV-Is Rep遺伝子のヌクレオチド配列を示す。
配列番号:5は、81ヌクレオチドの遺伝子間領域を含む本発明による配列番号:4の切断型TYLCV-Is Rep遺伝子のアンチセンスであるヌクレオチド配列を示す。
配列番号:6は、配列番号:3のアミノ酸配列をコードし82ヌクレオチドの遺伝子間領域を含む、本発明による切断型TYLCV-Is(フロリダ州単離体)Rep遺伝子のヌクレオチド配列を示す。
配列番号:7は、82ヌクレオチドの遺伝子間領域を含む本発明による配列番号:6の切断型TYLCV-Is(フロリダ州単離体)Rep遺伝子のアンチセンスであるヌクレオチド配列を示す。
配列番号:8は、本発明によるPKYLX71:35S2の発現カセットのヌクレオチド配列を示す。
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、TYLCV-Is(トマト黄化葉巻ウイルス‐イスラエル)による感染に感受性のあるトマトおよび他の作物において、ウイルス抵抗性を付与する手段を提供する。例証となる態様では、TYLCV-Isに対する抵抗性を有する植物を作製した。本発明により作製した形質転換およびトランスジェニック植物は、正常な表現型特性を示し、この植物およびその生産作物は商業用途として許容され得る。従来の品種改良によるTYLCV-Is抵抗性の構築は非常に遅く(遺伝子操作技法では3〜5年であるのに対して、従来の品種改良法では10年を超える)、通常は複数の遺伝子に依存し、抵抗性遺伝子が望ましくない園芸上の特性に連鎖することにより損なわれることが多い。本発明は、TYLCV-Is抵抗性植物の作製および望ましいトマト系統へのTYLCV-Is抵抗性遺伝子の導入を非常に単純化する。
【0013】
本発明は、i) Rep遺伝子の5’遺伝子間領域およびRep遺伝子の5’コード配列の約400〜500ヌクレオチドのすべてまたは一部からなるTYLCV Rep遺伝子の断片を含むポリヌクレオチドと、ii) TYLCV Rep遺伝子の断片に対してアンチセンスである配列を含むポリヌクレオチドと、iii) TYLCV Rep遺伝子の断片またはTYLCV Rep遺伝子の断片に対してアンチセンスである配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を含むポリヌクレオチドとから選択されるポリヌクレオチドで植物または植物組織を形質転換することにより、植物または植物組織においてトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)感染に対する抵抗性を付与する方法に関する。本方法では、TYLCV-中国、TYLCV-イスラエル、TYLCV-ナイジェリア、TYLCV-サルデーニャ、TYLCV-南サウジアラビア、TYLCV-タンザニア、TYLCV-タイ、およびTYLCV-イエメンから選択されるTYLCVに対する抵抗性を特に意図する。TYLCV感染に対する抵抗性を付与され得る植物には、トマト、タバコ、スターチス、ペチュニア、リシアンサス、トマティロ、およびTYLCVによる感染に感受性のある他の植物が含まれる。
【0014】
例証となる態様では、本発明は、TYLCVの複製関連(Rep)タンパク質の切断型をコードしRep遺伝子間領域を含むポリヌクレオチドを用いた遺伝子操作によるTYLCV抵抗性を有する植物を提供する。切断型Rep遺伝子は、TYLCV-IsまたはTYLCVのフロリダ州単離体由来であることが好ましい。1つの態様においては、TYLCV-Isのフロリダ州単離体のRep遺伝子は357アミノ酸のウイルス複製関連タンパク質をコードするものであるが、この3’末端が切断されており、Rep遺伝子間領域の82ヌクレオチド(nt)と142アミノ酸のRepタンパク質断片(配列番号:3)をコードする426 ヌクレオチドを含む508 ヌクレオチド(配列番号:6)が5’末端に残っている。例証となるRep遺伝子断片は、ウイルスの全長Rep遺伝子の小さな部分(およそ40%)に相当する。別の態様においては、本発明の切断型Rep遺伝子に対してアンチセンスであるポリヌクレオチドを用いて、感染に対する抵抗性を付与する。1つの態様においては、アンチセンスポリヌクレオチドは、配列番号:5または7のいずれかに示される配列を有する。切断型Rep遺伝子配列またはアンチセンス配列にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列またはそれらと50%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列も、本発明の範囲内に意図する。また、配列番号:4〜7のいずれかの配列を有するポリヌクレオチドの断片を含む、切断型Rep遺伝子の断片および本発明の切断型Rep遺伝子に対してアンチセンスである配列の断片、ならびに植物で発現された場合にその植物にTYLCV抵抗性を付与する、ハイブリダイズする配列または配列同一性を有する配列の断片も本発明の範囲内に意図する。ポリヌクレオチド配列の断片を作製する方法は、当技術分野において周知である(例えば、Weiら、1983を参照のこと)。
【0015】
本発明の切断型Rep遺伝子は、アグロバクテリウムを介する形質転換により、または形質転換した育種系統から従来の品種改良法によって遺伝子導入することにより、トマト等の植物に直接導入することが可能であり、これを用いてTYLCV-Is感染から植物を防御することができる。したがって、本発明はまた、TYLCV-Is等のTYLCVに対して高度の抵抗性を有する、トマトを含む植物の新たな育種系統に関する。本発明の改変Rep遺伝子を含む新たな育種系統を用いることにより、生産者は、他の望ましい農業特性および園芸特性を犠牲にすることなく、ウイルス抵抗性である新たなトマトの品種を作製することが可能である。
【0016】
本発明の好ましい態様においては、本明細書で記載する方法により作製するウイルス抵抗性トランスジェニック植物系統を、同じウイルスに対して抵抗性であり別の形質転換に由来するトランスジェニック植物系統と交雑し、親系統よりも高いウイルス抵抗性を示す雑種を作製する。これらの雑種植物は、本発明の範囲内である。
【0017】
本発明の方法により付与される高度の抵抗性のおかげで、本発明の切断型Rep遺伝子を含む育種系統から作製される新たなトマト品種の適用により、実の収量を100%にまで減じ得るウイルス感染による生産損失を大きく低減することができる。さらに、本発明の切断型Rep遺伝子含有品種の使用により、TYLCV-Isおよび他のジェミニウイルスの媒介昆虫であるコナジラミを制御するために殺虫剤に依存することが著しく少なくなり、その結果としてトマト生産のコストを抑え、殺虫剤による環境汚染を減らすことができる。現時点では、TYLCV-Isの管理は植物に浸透して移行する単一の殺虫剤に大きく依存している。いったんコナジラミがこの殺虫剤に対して抵抗力をつければ、TYLCV-Isの管理はほぼ不可能となる。よって、本発明の適用は、生産性を増し生産コストと環境汚染を減じることにより、全体としてトマト生産者や社会に恩恵をもたらす。
【0018】
本発明の切断型Rep導入遺伝子は、品種改良の試みに役立つマーカーを既に有することが好ましい(マーカー補助選択)。Brunettiら(1997)の得た結果と対照的に、本発明のRep導入遺伝子を使用しても、今までのところ、ウイルス耐性であるが非接種の形質転換植物の表現型において悪影響は全く示されていない。抵抗性植物は、核酸スポットハイブリダイゼーション法およびPCR法により確証されるように、ウイルス接種から30〜60日後にもウイルス複製の徴候を示さない。本発明の切断型Rep遺伝子は、形質転換または従来の品種改良技術のどちらかにより、生産に関して優れた園芸特性を提供する新たな園芸生育環境に容易に移動させることが可能である。さらに、植物に本発明の切断型Rep遺伝子を使用しても、現在入手可能な抵抗性遺伝子と異なり、実の大きさに影響を及ぼさない。
【0019】
本発明はまた、i) Rep遺伝子の5’遺伝子間領域およびRep遺伝子の5’コード配列の約400〜500ヌクレオチドのすべてまたは一部からなるTYLCV Rep遺伝子の断片を含むポリヌクレオチドと、ii) TYLCV Rep遺伝子の断片に対してアンチセンスである配列を含むポリヌクレオチドと、iii) TYLCV Rep遺伝子の断片またはTYLCV Rep遺伝子の断片に対してアンチセンスである配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を含むポリヌクレオチドとから選択されるポリヌクレオチド分子に関し、このポリヌクレオチドを植物のゲノムに導入した場合、この植物は植物ウイルスによる感染に対して抵抗性であるが、植物の表現型特性に負の影響を与えない。切断型Rep遺伝子配列またはアンチセンス配列にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列またはそれらと50%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列も、本発明の範囲内に意図する。また、配列番号:4〜7のいずれかの配列を有するポリヌクレオチドの断片を含む、切断型Rep遺伝子の断片および本発明の切断型Rep遺伝子に対してアンチセンスである配列の断片、ならびに植物で発現された場合にその植物にTYLCV抵抗性を付与する、ハイブリダイズする配列または配列同一性を有する配列の断片も本発明の範囲内に意図する。
【0020】
さらに、遺伝暗号の重複により、本発明のポリヌクレオチドは切断型Repポリペプチドをコードする多数の異なる配列を有する。同じまたは本質的に同じ切断型Repポリペプチドをコードする代わりとなるポリヌクレオチド配列の作製は、当業者の十分に扱える範囲内である。これらの変種または代替えのポリヌクレオチド配列は、本発明の範囲内である。本明細書における「本質的に同じ」配列への言及は、植物ゲノムに挿入された場合にウイルス感染に対する抵抗性を付与するポリヌクレオチドの能力を実質的に変えない、切断型Repタンパク質へのアミノ酸の置換、欠失、付加、または挿入をコードする配列を意味する。1つのクラスのアミノ酸(非極性、無電荷極性、塩基性、および酸性)が同じクラスの別のアミノ酸で置換されることによる保存的置換をコードする本発明のポリヌクレオチドは、その置換が本発明の能力を実質的に変えずに抵抗性を付与する限りは、本発明の範囲内である。また、植物の表現型特性に負の影響を与えることなく植物にウイルス抵抗性を付与する限りは、例証となるポリヌクレオチドよりも長いまたは短いポリヌクレオチドも本発明の範囲内である。
【0021】
本発明はまた、適切な宿主植物で発現可能な、本発明の切断型Rep遺伝子を含む組換えポリヌクレオチドベクターに関する。適切なベクターは、プラスミド、ファージDNA、またはプラスミドとファージDNAの組み合わせ、酵母プラスミド、および派生物と断片を含む当技術分野で周知のベクターから選択され得る。本発明のポリヌクレオチドは市販のpUCベクターやpGEMベクター等のベクターのマルチクローニング部位に挿入することができ、pUCベクターやpGEMベクターによって任意の望ましい植物発現ベクターまたは組み込みベクターへの挿入に適した制限酵素末端を有するポリヌクレオチドの切り出しが可能になる。その他の植物発現ベクターも本発明において使用可能である。さらに、プロモーター等の制御配列を、本発明のポリヌクレオチドのコード配列に機能的に結合させることができる。例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sまたは35S2プロモーターを本発明に用いることができる。Ap3プロモーター、熱ショック80プロモーター、アルファルファヒストンH3.2遺伝子プロモーター(Kelemenら、2002)、およびE8プロモーター等の植物プロモーターも、本発明に用いることができる。他の適切なプロモーターには、オクトピン合成酵素プロモーターおよびノパリン合成酵素プロモーターが含まれる。プロモーターは、構成的、組織特異的、または誘導性プロモーターであってよい。
【0022】
発現ベクターはまた、選択マーカー遺伝子を選択的に含んでもよい。1つの態様においては、マーカー遺伝子は、発現された場合に抗生物質耐性または除草剤耐性を提供する。抗生物質耐性マーカーには、例えば、発現された場合にG418、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、カナマイシン、およびゲンタマイシン等に対する耐性を提供するポリヌクレオチドが含まれる。除草剤耐性マーカーには、例えば、発現された場合にグリフォセートおよびスルホニル尿素等に対する耐性を提供するポリヌクレオチドが含まれる。1つの態様においては、酵素ネオマイシンリン酸転移酵素II型をコードするポリヌクレオチドを本発明の発現ベクターに挿入する。この酵素は、抗生物質カナマイシンに対する耐性を付与する。抗生物質耐性または除草剤耐性マーカー遺伝子を含む本発明のベクターで形質転換した細胞は、抗生物質または除草剤存在下で生育する能力により同定することができる。
【0023】
ベクターは、切断型Rep遺伝子のコード配列の3’末端に機能的に結合させた3’非翻訳終結セグメントを含んでもよい。3’終結セグメントは、mRNAの3’末端にポリアデニル化シグナルの付加を提供し得る。植物での利用に適した任意の3’終結セグメントも、本発明の範囲内である。
【0024】
本発明はまた、本発明の切断型Rep遺伝子を含むポリヌクレオチドで感染、形質転換、またはトランスフェクションした細胞に関する。好ましくは、切断型Rep遺伝子はTYLCV-Is由来であり、配列番号:3に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。例証となる態様においては、ポリヌクレオチドは配列番号:6に示すヌクレオチド配列を含む。1つの態様においては、ポリヌクレオチドを適切なベクターに組み込み、その組換えベクターを用いて細菌または他の宿主を形質転換し、次にこれを用いてポリヌクレオチドを植物細胞に導入する。本発明のポリヌクレオチドで感染、形質転換、またはトランスフェクションし得る適切な宿主には、大腸菌や枯草菌等のグラム陽性菌およびグラム陰性菌が含まれる。他の適切な宿主には、アグロバクテリウム細胞、昆虫細胞、植物細胞、および酵母細胞が含まれる。当技術分野で周知の標準的な方法に従って、本発明のポリヌクレオチドを含むアグロバクテリウムを用いて、植物細胞をポリヌクレオチドで形質転換することができる。アグロバクテリウムによる形質転換では、本発明のポリヌクレオチドベクターはまた、T-DNA配列を含んでよい。遺伝子銃法(Carrer, 1995)、電気穿孔法、遺伝子直接注入法、および当技術分野で周知の他の方法によっても、植物細胞にポリヌクレオチドを導入することができる。マーカーなしの形質転換技法(Zuoら、2002)を用いて、本発明のポリヌクレオチドで植物を形質転換することも可能である。
【0025】
本発明はまた、本発明の切断型Rep遺伝子を含み、TYLCV-Is等の植物TYLCVジェミニウイルスによる感染に抵抗性を示す、形質転換およびトランスジェニック植物ならびに植物種子を含む植物組織に関する。1つの態様においては、本発明の形質転換またはトランスジェニック植物は、本発明の切断型Rep遺伝子を含むポリヌクレオチドを含む。例証となる態様においては、切断型Rep遺伝子はTYLCV-Is由来であり、配列番号:3に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。例証となる態様では、ポリヌクレオチドは配列番号:4または配列番号:6に示すヌクレオチド配列を含む。別の態様においては、植物は、配列番号:5および配列番号:7に示すアンチセンス配列を含むポリヌクレオチドを含む。本発明の形質転換およびトランスジェニック植物ならびに植物組織は、トマト(Lycopersicon esqulentum)、タバコ(Nicotiana種)、スターチス(Limonium sinuatum)、ペチュニア(Petunia hybrida)、リシアンサス(Eustoma grandiflora)、トマティロ(Physalis ixocarpa)、ペッパー、マメ、およびTYLCV-Is感染に感受性があり得るまたは感受性がある他の植物等の植物から作製し得る。本発明はまた、本発明のトランスジェニック植物の子孫にも関する。
【0026】
本明細書で用いる場合、「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖もしくは二本鎖のどちらかの形態をしたデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド重合体を意味し、特に限定されていない限り、天然ヌクレオチドと同様に機能し得る天然ヌクレオチドの既知類似体も包含する。ポリヌクレオチド配列には、RNAに転写されるDNA鎖配列とタンパク質に翻訳されるRNA配列のどちらも含まれる。本発明の核酸またはポリヌクレオチドのいずれかに相補的な配列もまた、本発明の範囲内に意図する。ポリヌクレオチド配列には、本発明のRepタンパク質をコードする全長配列と全長配列由来のより短い配列の両方が含まれる。当然のことながら、特定のポリヌクレオチド配列には、本来の配列の縮重コドンまたは特異的宿主細胞における優先コドンを提供するように導入し得る配列も含まれる。例証となる配列の対立遺伝子変種も、本発明の範囲内に入る。
【0027】
本発明のポリヌクレオチドおよびタンパク質はまた、本明細書で例証とするものとのより詳細な同一性および/または類似性の程度に換算して定義され得る。配列同一性は、典型的には60%、好ましくは75%、より好ましくは80%、さらにより好ましくは90%を超え、また95%を超え得る。配列の同一性および/または類似性は、本明細書で例証する配列と比較し、49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79, 80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, または99%となり得る。特に規定のない限り、本明細書で用いる2つの配列のパーセント配列同一性および/または類似性は、KarlinおよびAltschul(1993)によって改変された、KarlinおよびAltschul(1990)のアルゴリズムを用いて決定され得る。該アルゴリズムは、Altschulら(1990)のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。NBLASTプログラムでスコア=100、ワード長=12としてBLAST検索を行い、望ましいパーセント配列同一性の配列を得ることができる。比較のためにギャップの入ったアラインメントを得るためには、Altschulら(1997)の記載するようにGapped BLASTを用いることができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合には、それぞれのプログラム(NBLASTおよびXBALST)のデフォルトパラメータを使用することができる。NCBI/NIHのウェブサイトを参照のこと。
【0028】
本発明は、本明細書で例証となる配列と十分に相同であり、標準のストリンジェントな条件下で標準の方法(Maniatis, Tら、1982)によりその配列とのハイブリダイゼーションを可能にするような配列を有するポリヌクレオチド分子も意図する。本明細書で用いるハイブリダイゼーションの「ストリンジェントな」条件とは、DNAハイブリッドの融解温度(Tm)より20〜25℃低い温度で、6x SSPE、5x デンハルト溶液、0.1% SDS、0.1 mg/ml変性DNA中で一晩ハイブリダイゼーションを典型的に行う条件を意味する。融解温度は以下の式により表す(Beltz, G.A.ら、1983):
Tm=81.5℃+16.6 Log[Na+]+0.41(%G+C)-0.61(%ホルムアミド)-600/二本鎖の塩基対長。
【0029】
洗浄は典型的に以下のように実施する:
(1) 1x SSPE、0.1% SDS中で15分間、室温で2回(低いストリンジェンシーでの洗浄)。
(2) 0.2x SSPE、0.1% SDS中で15分間、Tm-20℃で1回(中程度のストリンジェンシーでの洗浄)。
【0030】
このように、ストリンジェントな条件下で配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、または配列番号:7の配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド配列は、特に本発明の範囲内に範囲内に意図する。
【0031】
すべての特許、特許出願、仮出願、および本明細書で参照または引用する出版物は、本明細書の明確な内容に反することのない範囲で、すべての図および表を含め完全に参照として組み入れられる。
【0032】
以下は、本発明を実施するための手順を例証する実施例である。これらの実施例は、制約的なものであると解釈すべきではない。特に断りのない限り、百分率はすべて重量により、溶媒混合液の比率はすべて容量による。
【0033】
実施例 1 −形質転換トマト植物体の作製
TYLCV-Isから切断型Rep遺伝子のポリヌクレオチド(配列番号:4)を調製した。プライマーEH312およびEH313を用いてウイルスから切断型Rep遺伝子をPCR増幅し、当技術分野で周知の標準的な方法によりクローニングした。プライマー対EH312およびEH313のヌクレオチド配列を以下に示す:
Figure 2004527256
【0034】
切断型Rep遺伝子のcDNAクローンを、増強した35SプロモーターとrbcS-E9終結シグナルを含むバイナリーベクターpKYLX71:35S2のマルチクローニング部位に組み込んだ(図2を参照のこと)。次に、標準的なアグロバクテリウムを介した形質転換法により、Rep遺伝子断片をトマト(Lycopersicon esculentum Mill.)のゲノムに組み込んだ。アグロバクテリウムを介したトマトの形質転換は、標準的な手順により(Armitageら、1988;McCormickら、1986)行った。NPT II選択によりトランスジェニック植物を選別し、導入遺伝子の存在をPCR増幅により確認した。
【0035】
実施例 2 −トマト植物体での TYLCV-Is 抵抗性
形質転換した植物から収穫した種子を蒔き、T1世代の苗にコナジラミの媒介によりTYLCV-Isを接種した。収穫時(接種から12週間後)には、非形質転換対照植物ではその100%が激しい症状を示したのに対し、30のT1系統のうち8系統では41%を超える植物がウイルスの症状を示さないままであった(表1)。この結果から、例証となる508 ntの切断型Rep遺伝子は、トランスジェニックトマト植物体にTYLCV-Is(フロリダ州単離体)に対する高度の抵抗性を付与することが示された。さらに、形質転換植物の表現型は、ほぼすべての植物で正常であった。
【0036】
TYLCV切断型Rep植物のT2世代を、フロリダ州ブラデントンにおいて2000年の秋から2001年の春の間、野外に植える前に病原体を有するコナジラミに曝した。温室実験で見られるTYLCV抵抗性は、野外条件にあるというより厳しい条件下でも明らかであった(表2、図4)。
【0037】
実施例 3 −タバコ植物体での TYLCV-Is 抵抗性
切断型TYLCV Rep遺伝子が他の植物Nicotiana tabacum cv.でも効果的であるか否かを試験するため、トマトで実施したものと同じベクター構築物(図1)で「Xanthi」を形質転換した。切断型Rep遺伝子で形質転換した7つの系統で、タバコでのTYLCVに対する免疫が示された。これにより、異なる宿主で独立した形質転換においても、切断型Rep遺伝子により抵抗性が誘導されることが実証された。他の2つのベゴモウイルス、キャベツ葉巻ウイルスおよびトマト斑紋ウイルス(ToMoV)に対しては抵抗性は見られなかった。切断型Rep遺伝子により誘導される抵抗性の機構は、遺伝子サイレンシングによるものであると思われる。これは、形質転換タバコのノーザンブロットにより、TYLCV抵抗性植物がTYLCVに刺激された場合に、切断型Rep遺伝子転写産物の抑制が示唆されることに基づく。
【0038】
実施例 4 −トマトにおける Rep および C4 構築物のアッセイ
TYLCV Rep遺伝子、TYLCV-Is C4遺伝子(Rep遺伝子内に位置する別の読み枠にある遺伝子)、またはRep遺伝子の改変型もしくは切断型のいずれかを含む8つの構築物を、植物で評価した。TYLCV感染トマト植物体で飼育したコナジラミを用いて、T1世代に接種した。8つの構築物のうち3つの構築物を有する植物で、症状は見られずTYLCV-Is(ハイブリダイゼーションとPCRによる)は検出されなかった(明らかな免疫性)(表1)。植物はどれも正常な表現型を有していた。選択したT1世代の植物の子孫にTYLCVを接種し、野外で評価した。予想どおり、T2世代の植物は抵抗性に対して分離された(表2)。野外の植物では、免疫性と回復の2つの型の抵抗性が見られた。抵抗性植物の表現型はすべて正常であった。植物は、成長期間にTYLCV-Isについて3回試験した。
【0039】
C4 およびΔ C4 構築物 Rep遺伝子の約220 ntから開始するセンス(C4)またはアンチセンス方向(ΔC4)のC4遺伝子を含み、遺伝子間領域(IR)を含まない2つの構築物を評価した。これらは、T1世代において抵抗性を示さなかった(表1)。
【0040】
C1 、Δ C1 NC1 、および N Δ C1 構築物 遺伝子間領域と全長Rep遺伝子をセンス(C1)またはアンチセンス方向(ΔC1)のいずれかで含む構築物は、T1世代において免疫性を示さなかった。非増強系統のデータはまだ回収している最中ではあるが、予備データにより、この結果はプロモーターに依存しないことが示唆される(増強プロモーター:C1およびΔC1に対して非増強プロモーター:NC1およびNΔC1)。しかし、NC1およびNΔC1で形質転換したT1ならびにT2世代の植物で回復が見られることから、プロモーターに何らかの効果があることが示唆される。
【0041】
2/5 TYLCV Rep および AS 2/5 TYLCV Rep 構築物 最も高い抵抗性は、TYLCV-Is IRおよびRepの5’末端で開始するTYLCV Rep遺伝子の2/5を、センス(2/5 TYLCV Rep構築物;配列番号:6)またはアンチセンス(AS 2/5 TYLCV Rep構築物;配列番号:7)方向のいずれかで含む構築物を用いて得られた(表1、2、3、および4を参照のこと)。最も高い免疫性出現率は、2/5 TYLCV Rep構築物で得られた。この抵抗性は免疫性であると思われ、T1からT3世代を通して高い出現率で見られた。T2世代ではいくらか低い度合いで回復が見られたが、T3世代ではより低い度合いで回復が見られた(T3世代のデータは示していない)。
【0042】
実施例 5 TYLCV Rep による免疫性の確証
2/5 TYLCV Rep構築物で形質転換したT1およびT2世代の多くの植物は、成長期に3回試験しても(接種後、4、8、および12週間後)、TYLCVの接種後に症状やウイルスDNAを示さなかった(核酸ハイブリダイゼーションおよびPCRに基づく)。
【0043】
ウイルスレベルが低すぎるために実験室のアッセイ法では検出できないのかどうかを判断するため、試験を行った。感受性植物から切り取ったもの(接ぎ穂)を、ウイルスDNAが検出されなかった接種済み形質転換植物に接ぎ木した。接ぎ木が定着してから4週間後、症状は見られず接ぎ穂にDNAは検出されなかった。これは、接種済み非形質転換植物に感受性接ぎ穂を接ぎ木した同じ実験と対照的である。これらの接ぎ穂は、接ぎ木から2〜3週間以内に症状を示した。この結果から、接種した植物にウイルスが存在しないこと、および抵抗性の機構によりウイルス複製が抑制されたことが強く示唆される。
【0044】
実施例 6 −タバコの形質転換
2/5 TYLCV Rep構築物をタバコ(Nicotiana tabacum)に形質転換した(Freitas-Astua, J., 2001)。導入遺伝子のコピー数、転写産物の産生、ならびにTYLCV、および関連性のない2つの二粒子分節ベゴモウイルス:トマト斑紋ウイルス(ToMoV)とキャベツ葉巻ウイルス(CabLCV)に対する抵抗性について、T1世代の植物を試験した。接種後、ELISA法、PCR法、および核酸ハイブリダイゼーション法によりウイルスが検出されないことから明らかなように、植物はTYLCVに対して免疫性であると判断した。この抵抗性は導入遺伝子のコピー数には依存しなかった。転写産物は産生されるが、その産生はTYLCVの刺激により著しく減少していた(図5Aおよび5B)。形質転換植物は、ToMoVとCabLCVのどちらにも抵抗性を示さなかった。
【0045】
本明細書に記載した実施例および態様は説明上の目的だけのためであり、これを踏まえた様々な修正または変更が当業者に提案され、本出願の精神と範囲内に含まれるべきであることは了承されよう。
【0046】
(表1)8つの異なるTYLCV遺伝子構築物で形質転換したT1世代トマト植物体のTYLCV感染に対する抵抗性ついての評価
Figure 2004527256
1評価中に枯死した植物を除く。
2イタリック体のデータは最終的なものではなく、現在試験中である。
【0047】
(表2)異なるTYLCV遺伝子構築物で形質転換したT2世代トマト植物体のTYLCV感染に対する抵抗性についての評価
Figure 2004527256
1評価中に枯死した植物を除く。
【0048】
(表3)T2世代2/5 TYLCV Rep構築物のTYLCV感染に対する抵抗性ついての評価
Figure 2004527256
1評価中に枯死した植物を除く。
2%回避‐ウイルスが存在しないが導入遺伝子が検出されない植物。(これらは、形質転換ベクター内のTYLCV遺伝子の外側で結合するプライマー28および94を用いて、再度評価している。)
3イタリック体のデータは最終的なものではなく、現在試験中である。
【0049】
(表4)AS-2/5 TYLCV Rep構築物で形質転換したT2世代植物体のTYLCV感染に対する抵抗性ついての評価
Figure 2004527256
1評価中に枯死した植物を除く。
2%回避‐ウイルスが存在しないが導入遺伝子が検出されない植物。(これらは、形質転換ベクター内のTYLCV遺伝子の外側で結合するプライマー28および94を用いて、再度評価している。)
3イタリック体のデータは最終的なものではなく、現在試験中である。
【0050】
参考文献
Figure 2004527256
Figure 2004527256
Figure 2004527256

【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】切断型TYLCV Rep遺伝子を有するバイナリー形質転換ベクターを図示する。
【図2】pKYLX71:35S2の発現カセットを示す。TL、TR=左側および右側T-DNA境界配列(その起源の詳細な説明については、Anらを参照のこと)。pKYLX71およびpKYLX71:35S2(使用したプラスミド)のマルチクローニング部位は、HindIII*-BamHI-XhoI*-PstI-SacI*-XbaI*である(*はユニーク部位を示す)。pKYLX71:35S2のプロモーターは、35Sプロモーターを「エンハンサー」領域の重複により改変したものである。矢印は、発現カセットおよびNPTII遺伝子の転写方向を示す。このプラスミドは、大腸菌とAgrobacterium tumefaciensにテトラサイクリンおよびカナマイシン耐性を付与する。
【図3A−B】pKYLX71:35S2の発現カセットの配列を示す。35S2プロモーターを作製するために重複させた領域は、かっこで囲みイタリック体で示し(これは2回反復のうちの1つめである)、転写開始部位、マルチクローニング部位、およびrbcS-E9 3’領域の主要な3’末端は太字で強調してある。発現カセットは、EcoRIおよびClaI部位で結合している。
【図4】切断型Rep遺伝子で形質転換しTYLCV抵抗性を示すトマト植物体(後方)を示す。非形質転換トマト(前方)は、TYLCV病徴を示す。試験は、フロリダ州ブラデントンの野外において2000年の秋に実施した。植物はすべて、野外に移植する前に病原体を有するコナジラミに曝した。配列番号:8は、pKYLX71:35S2の発現カセットの配列を示す。35S2プロモーターを作製するために重複させた領域は、かっこで囲みイタリック体で示し(これは2回反復のうちの1つめである)、転写開始部位、マルチクローニング部位、およびrbcS-E9 3’領域の主要な3’末端は太字で強調してある。発現カセットは、EcoRIおよびClaI部位で結合している。
【図5A−B】トランスジェニック2/5 Repタバコ植物体および非形質転換対照から抽出した全RNAのノーザンブロット解析を示す。図5A、レーン1は非形質転換植物体を示し、レーン2は非接種2/5 Rep植物体を示し、レーン3および4はTYLCV接種したC1T1植物体を示す。図5Bは、レーンに同量のRNAを泳動したことを確認するために18S rRNA遺伝子でプローブした同じブロットを示す。

Claims (68)

  1. i) Rep遺伝子の5’遺伝子間領域およびRep遺伝子の5’コード配列の約400〜500に至るヌクレオチドのすべてまたは一部からなるTYLCV Rep遺伝子の断片を含むポリヌクレオチド、またはTYLCVによる感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ポリヌクレオチドの断片と、
    ii) 該TYLCV Rep遺伝子の該断片に対してアンチセンスである配列を含むポリヌクレオチド、または感染に対する抵抗性を提供する能力のある該アンチセンスポリヌクレオチドの断片と、
    iii) 該TYLCV Rep遺伝子の該断片もしくは該TYLCV Rep遺伝子の該断片に対してアンチセンスである該配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を含むポリヌクレオチド、または該TYLCVによる感染に対する抵抗性を提供する能力のあるハイブリダイズする該ポリヌクレオチドの断片と
    からなる群より選択されるポリヌクレオチドで植物または植物組織を形質転換することを含む、植物または植物組織においてトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)による感染に対する抵抗性を提供する方法。
  2. TYLCV Rep遺伝子の断片がTYLCV-Is由来である、請求項1記載の方法。
  3. TYLCV Rep遺伝子の断片がTYLCV-Isのフロリダ州単離体由来である、請求項1記載の方法。
  4. TYLCV Rep遺伝子の断片を含むポリヌクレオチドが、配列番号:4に示すヌクレオチド配列、または感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ヌクレオチド配列の断片を有する、請求項1記載の方法。
  5. TYLCV Rep遺伝子の断片を含むポリヌクレオチドが、配列番号:6に示すヌクレオチド配列、または感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ヌクレオチド配列の断片を有する、請求項1記載の方法。
  6. TYLCV Rep遺伝子の断片に対してアンチセンスである配列を含むポリヌクレオチドが、配列番号:5に示すヌクレオチド配列、または感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ヌクレオチド配列の断片を有する、請求項1記載の方法。
  7. TYLCV Rep遺伝子の断片に対してアンチセンスである配列を含むポリヌクレオチドが、配列番号:7に示すヌクレオチド配列、または感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ヌクレオチド配列の断片を有する、請求項1記載の方法。
  8. トマト黄化葉巻ウイルスが、TYLCV-中国、TYLCV-イスラエル、TYLCV-ナイジェリア、TYLCV-サルデーニャ、TYLCV-南サウジアラビア、TYLCV-タンザニア、TYLCV-タイ、およびTYLCV-イエメンからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  9. トマト黄化葉巻ウイルスがTYLCV-イスラエルである、請求項8記載の方法。
  10. 植物または植物組織が、トマト、タバコ、スターチス、ペチュニア、リシアンサス、およびトマティロからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  11. 植物または植物組織がトマトである、請求項10記載の方法。
  12. 植物または植物組織がタバコである、請求項10記載の方法。
  13. アグロ感染法、遺伝子銃ターゲティング法、電気穿孔法、もしくは遺伝子直接注入法により、ポリヌクレオチドで植物または植物組織を形質転換する、請求項1記載の方法。
  14. ポリヌクレオチドがRep遺伝子配列に機能的に結合した制御配列を含む、請求項1記載の方法。
  15. 制御配列がプロモーターを含む、請求項14記載の方法。
  16. プロモーターが、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、および誘導性プロモーターからなる群より選択される、請求項15記載の方法。
  17. プロモーターが、CaMV 35Sプロモーター、CaMV 35S2プロモーター、オクトピン合成酵素プロモーター、ノパリン合成酵素プロモーター、Ap3プロモーター、熱ショック80プロモーター、アルファルファヒストンH3.2遺伝子プロモーター、およびE8プロモーターからなる群より選択される、請求項15記載の方法。
  18. ポリヌクレオチドが選択マーカー遺伝子を含む、請求項1記載の方法。
  19. 選択マーカー遺伝子が発現された場合に抗生物質耐性を提供する、請求項10記載の方法。
  20. 抗生物質耐性が、G418、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、カナマイシン、およびゲンタマイシンに対する耐性からなる群より選択される、請求項19記載の方法。
  21. ポリヌクレオチドが3’非翻訳終結配列を含む、請求項1記載の方法。
  22. i) Rep遺伝子の5’遺伝子間領域およびRep遺伝子の5’コード配列の約400〜500に至るヌクレオチドのすべてまたは一部からなるTYLCV Rep遺伝子の断片を含むポリヌクレオチド、またはTYLCVによる感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ポリヌクレオチドの断片と、
    ii) 該TYLCV Rep遺伝子の該断片に対してアンチセンスである配列を含むポリヌクレオチド、または該TYLCVによる感染に対する抵抗性を提供する能力のある該アンチセンスポリヌクレオチドの断片と、
    iii) 該TYLCV Rep遺伝子の該断片もしくは該TYLCV Rep遺伝子の該断片に対してアンチセンスである該配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を含むポリヌクレオチド、または該TYLCVによる感染に対する抵抗性を提供する能力のあるハイブリダイズする該ポリヌクレオチドの断片と
    からなる群より選択されるポリヌクレオチドを含む、トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)による感染に対して増強した抵抗性を有するトランスジェニックもしくは形質転換植物または植物組織。
  23. TYLCV Rep遺伝子の断片がTYLCV-Is由来である、請求項22記載の植物または植物組織。
  24. TYLCV Rep遺伝子の断片がTYLCV-Isのフロリダ州単離体由来である、請求項22記載の植物または植物組織。
  25. TYLCV Rep遺伝子の断片を含むポリヌクレオチドが、配列番号:4に示すヌクレオチド配列、または感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ヌクレオチド配列の断片を有する、請求項22記載の植物または植物組織。
  26. TYLCV Rep遺伝子の断片を含むポリヌクレオチドが、配列番号:6に示すヌクレオチド配列、または感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ヌクレオチド配列の断片を有する、請求項22記載の植物または植物組織。
  27. TYLCV Rep遺伝子の断片に対してアンチセンスである配列を含むポリヌクレオチドが、配列番号:5に示すヌクレオチド配列、または感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ヌクレオチド配列の断片を有する、請求項22記載の植物または植物組織。
  28. TYLCV Rep遺伝子の断片に対してアンチセンスである配列を含むポリヌクレオチドが、配列番号:7に示すヌクレオチド配列、または感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ヌクレオチド配列の断片を有する、請求項22記載の植物または植物組織。
  29. トマト黄化葉巻ウイルスが、TYLCV-中国、TYLCV-イスラエル、TYLCV-ナイジェリア、TYLCV-サルデーニャ、TYLCV-南サウジアラビア、TYLCV-タンザニア、TYLCV-タイ、およびTYLCV-イエメンからなる群より選択される、請求項22記載の植物または植物組織。
  30. トマト黄化葉巻ウイルスがTYLCV-イスラエルである、請求項29記載の植物または植物組織。
  31. 植物または植物組織が、トマト、タバコ、スターチス、ペチュニア、リシアンサス、およびトマティロからなる群より選択される、請求項22記載の植物または植物組織。
  32. 植物または植物組織がトマトである、請求項31記載の方法。
  33. 植物または植物組織がタバコである、請求項31記載の方法。
  34. アグロ感染法、遺伝子銃ターゲティング法、電気穿孔法、もしくは遺伝子直接注入法により、ポリヌクレオチドで植物または植物組織を形質転換する、請求項22記載の植物または植物組織。
  35. ポリヌクレオチドがRep遺伝子配列に機能的に結合した制御配列を含む、請求項22記載の植物または植物組織。
  36. 制御配列がプロモーターを含む、請求項35記載の植物または植物組織。
  37. プロモーターが、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、および誘導性プロモーターからなる群より選択される、請求項36記載の植物または植物組織。
  38. プロモーターが、CaMV 35Sプロモーター、CaMV 35S2プロモーター、オクトピン合成酵素プロモーター、ノパリン合成酵素プロモーター、Ap3プロモーター、熱ショック80プロモーター、アルファルファヒストンH3.2遺伝子プロモーター、およびE8プロモーターからなる群より選択される、請求項36記載の植物または植物組織。
  39. ポリヌクレオチドが選択マーカー遺伝子を含む、請求項22記載の植物または植物組織。
  40. 選択マーカー遺伝子が発現された場合に抗生物質耐性を提供する、請求項39記載の植物または植物組織。
  41. 抗生物質耐性が、G418、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、カナマイシン、およびゲンタマイシンに対する耐性からなる群より選択される、請求項40記載の植物または植物組織。
  42. ポリヌクレオチドが3’非翻訳終結配列を含む、請求項22記載の植物または植物組織。
  43. 請求項22記載の植物または植物組織の子孫。
  44. i) Rep遺伝子の5’遺伝子間領域およびRep遺伝子の5’コード配列の約400〜500に至るヌクレオチドのすべてまたは一部からなるTYLCV Rep遺伝子の断片を含むポリヌクレオチド、またはTYLCVによる感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ポリヌクレオチドの断片と、
    ii) 該TYLCV Rep遺伝子の該断片に対してアンチセンスである配列を含むポリヌクレオチド、または該TYLCVによる感染に対する抵抗性を提供する能力のある該アンチセンスポリヌクレオチドの断片と、
    iii) 該TYLCV Rep遺伝子の該断片もしくは該TYLCV Rep遺伝子の該断片に対してアンチセンスである該配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を含むポリヌクレオチド、または該TYLCVによる感染に対する抵抗性を提供する能力のあるハイブリダイズする該ポリヌクレオチドの断片と
    からなる群より選択されるポリヌクレオチド。
  45. TYLCV Rep遺伝子の断片がTYLCV-Is由来である、請求項44記載の方法。
  46. TYLCV Rep遺伝子の断片がTYLCV-Isのフロリダ州単離体由来である、請求項44記載のポリヌクレオチド。
  47. TYLCV Rep遺伝子の断片を含むポリヌクレオチドが、配列番号:4に示すヌクレオチド配列、または感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ヌクレオチド配列の断片を有する、請求項44記載のポリヌクレオチド。
  48. TYLCV Rep遺伝子の断片を含むポリヌクレオチドが、配列番号:6に示すヌクレオチド配列、または感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ヌクレオチド配列の断片を有する、請求項44記載のポリヌクレオチド。
  49. TYLCV Rep遺伝子の断片に対してアンチセンスである配列を含むポリヌクレオチドが、配列番号:5に示すヌクレオチド配列、または感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ヌクレオチド配列の断片を有する、請求項44記載のポリヌクレオチド。
  50. TYLCV Rep遺伝子の断片に対してアンチセンスである配列を含むポリヌクレオチドが、配列番号:7に示すヌクレオチド配列、または感染に対する抵抗性を提供する能力のある該ヌクレオチド配列の断片を有する、請求項44記載のポリヌクレオチド。
  51. トマト黄化葉巻ウイルスが、TYLCV-中国、TYLCV-イスラエル、TYLCV-ナイジェリア、TYLCV-サルデーニャ、TYLCV-南サウジアラビア、TYLCV-タンザニア、TYLCV-タイ、およびTYLCV-イエメンからなる群より選択される、請求項44記載のポリヌクレオチド。
  52. トマト黄化葉巻ウイルスがTYLCV-イスラエルである、請求項51記載のポリヌクレオチド。
  53. 植物または植物組織が、トマト、タバコ、スターチス、ペチュニア、リシアンサス、およびトマティロからなる群より選択される、請求項44記載のポリヌクレオチド。
  54. 植物または植物組織がトマトである、請求項53記載のポリヌクレオチド。
  55. 植物または植物組織がタバコである、請求項53記載のポリヌクレオチド。
  56. アグロ感染法、遺伝子銃ターゲティング法、電気穿孔法、もしくは遺伝子直接注入法により、ポリヌクレオチドで植物または植物組織を形質転換する、請求項44記載のポリヌクレオチド。
  57. ポリヌクレオチドがRep遺伝子配列に機能的に結合した制御配列を含む、請求項44記載のポリヌクレオチド。
  58. 制御配列がプロモーターを含む、請求項57記載のポリヌクレオチド。
  59. プロモーターが、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、および誘導性プロモーターからなる群より選択される、請求項58記載のポリヌクレオチド。
  60. プロモーターが、CaMV 35Sプロモーター、CaMV 35S2プロモーター、オクトピン合成酵素プロモーター、ノパリン合成酵素プロモーター、Ap3プロモーター、熱ショック80プロモーター、アルファルファヒストンH3.2遺伝子プロモーター、およびE8プロモーターからなる群より選択される、請求項58記載のポリヌクレオチド。
  61. ポリヌクレオチドが選択マーカー遺伝子を含む、請求項44記載のポリヌクレオチド。
  62. 選択マーカー遺伝子が発現された場合に抗生物質耐性を提供する、請求項61記載のポリヌクレオチド。
  63. 抗生物質耐性が、G418、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、カナマイシン、およびゲンタマイシンに対する耐性からなる群より選択される、請求項62記載のポリヌクレオチド。
  64. ポリヌクレオチドが3’非翻訳終結配列を含む、請求項44記載のポリヌクレオチド。
  65. 請求項44記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  66. 植物においてポリヌクレオチドを発現するのに適した、請求項65記載の発現ベクター。
  67. 請求項44記載のポリヌクレオチドをゲノムに含む植物細胞。
  68. 請求項44記載のポリヌクレオチドをゲノムに含む植物種子。
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