JP2004527215A - 構築物、および代謝経路操作におけるそれらの使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、一般に、代謝経路の発現のための方法および技術、多機能酵素ドメインをコードする新規遺伝子融合構築物、ならびに関連ハイブリッドタンパク質に関する。改変遺伝子融合構築物を生成する方法であって、該方法は、2つ以上の異種核酸配列を共連結して、それにより該改変遺伝子融合構築物を生成する工程であって、ここで、各異種核酸配列は、1つ以上の酵素ドメインをコードし、該2つ以上の異種核酸配列の少なくとも1つは改変される、工程、を包含する。前記2つ以上の核酸配列の少なくとも1つは、該2つ以上の核酸配列を共連結する前に改変される、方法。
Description
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2000年8月24日に提出された米国仮出願第60/227,719号に対する優先権と利益を主張する。
【0002】
(著作権情報)
37 C.F.R.1.71(e)に従って、出願人等は、この開示の一部が、著作権保護対象の要素を含むことを注記する。著作権者は、米国特許商標庁の特許ファイルまたは記録で公表されているため、あらゆる人々による特許文書または特許開示の複製を拒否しないが、さもなくとも著作権全てを確保する。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、分子生物学の分野、より詳細には、2以上の融合酵素ドメインをコードする遺伝子融合構築物を作製する方法に関する。
【0004】
(発明の背景)
代謝経路は、本質的に、特定の順序で実施される場合に、出発物質を所望の最終生成物へと導く、酵素活性の集合である。ある状況では、代謝経路は、合成手順であり、ある場合では、代謝経路は、分解プロセスである。代謝経路の酵素成分の合成および協調は、原核生物細胞のほとんど区画化されていない細胞環境下では比較的単純である。原核生物での転写および翻訳は、空間的および時間的の両方で連結している。原核細胞は膜に囲まれた核を有さないので、転写および翻訳は、真核生物のように区画化されておらず、これらのプロセスは、同じ細胞位置(細胞質)で行われる。しかし、真核生物は、それらの細胞構造においてより区画化されている。例えば、植物のような真核生物系の所望の区画において新規代謝経路を確立および実施することは、例えば、複数タンパク質に関する転写および翻訳事象の協調のさらなる障害、細胞内区画化の問題、ならびに複数のプロモーター、開始系および終結系の使用に起因して、原核細胞系における匹敵する代謝経路を確立することよりも困難である。従って、生物体(特に、真核生物)における代謝経路操作を容易にする、新規方法が所望される。
【0005】
本発明は、例えば、植物系のような真核生物における代謝経路および経路成分の発現のための方法および組成物を提供する。
【0006】
(発明の要旨)
代謝経路操作は、新規代謝産物の産生のため、ならびに既存の代謝産物の産生のための現在のプロトコルの増強または拡大のための、両方に使用され得る。種間の代謝経路の移入もまた、特定の宿主において所望の代謝産物を産生する、新規方法を提供する。例えば、化学化合物の産生に関する細菌代謝経路を植物系に移入することにより、従来の化学合成または細菌発酵と比較して、代替的かつ潜在的に経済的に競合する様式で、この化合物を産生することが可能となる。あるいは、代謝経路成分の移入および発現、および生じた代謝産物(単数または複数)は、レシピエント系に所望の形質を付与し得る。
【0007】
従って、本発明は、2以上の酵素ドメインをコードする2以上(しばしば、3以上)の核酸配列を共連結(cojoin)することを含む、改変された遺伝子融合構築物を産生する方法を提供し、ここで、それらの核酸配列の少なくとも1つは、元々決定されている(すなわち、未改変)配列と比較して、改変されている(例えば、変異、シャッフリング、さもなければ、変更されている)。この改変された核酸配列は、その配列を第2のヌクレオチド配列に共連結する前に改変され得るか、または、その配列が共連結された後に改変され得る。必要に応じて、改変された核酸配列は、繰り返しの(recursive)組換えを経て、その配列中に改変を生じる。核酸配列は、様々な形態のデオキシリボ核酸(例えば、ゲノムDNA、cDNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えDNA、シャッフリングされたDNA、改変DNA、またはDNAアナログ)であり得る。あるいは、核酸配列は、リボ核酸(ゲノムRNA、メッセンジャーRNA、触媒RNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えRNA、シャッフリングされたRNA、改変RNA、またはRNAアナログが挙げられるが、これらに限定されない)であり得る。核酸配列は、直接的に一緒に連結され得るか、または、1以上のヌクレオチドリンカー配列によって分離され得る。本発明のヌクレオチドリンカー配列は、代表的に、約3〜約300ヌクレオチド長範囲であるが、場合によっては、より長くあり得る。必要に応じて、このヌクレオチドリンカー配列としては、イントロン、制限酵素部位、インテイン(intein)コード配列、および/または切断可能なペプチド領域をコードする配列が挙げられる。酵素ドメインをコードするヌクレオチド配列と同様に、ヌクレオチドリンカー配列は、例えば、変異、シャッフリング、または他の変更によって改変され得る。さらに、1以上の転写調節配列(例えば、プロモーターまたはエンハンサー)が、その改変された遺伝子融合構築物に組み込まれ得る。この改変された遺伝子融合タンパク質は、真核生物系(例えば、植物系のような)にさらに導入され得る。
【0008】
本発明の改変された遺伝子融合構築物に組み込まれる核酸は、単一の代謝経路に由来し得るか、または、(例えば、新規代謝経路を産生するために)2以上の別個の代謝経路に由来し得る。さらに、その遺伝子融合構築物に組み込まれる核酸は、単一の供給源または種に由来し得るか、または、複数の供給源または種を起源とし得る。本発明の一実施形態では、2以上の核酸配列にコードされる酵素ドメインは、酵素フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、および/またはβ−シクラーゼに由来する。本発明の代替的な実施形態では、2以上の核酸配列にコードされる酵素ドメインは、酵素ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼに由来する。本発明の別の実施形態では、2以上の核酸配列にコードされる酵素ドメインは、酵素β−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼに由来する。本発明のさらなる実施形態では、2以上の核酸配列にコードされる酵素ドメインは、以下のクラスの酵素に由来する:ケトシンターゼアシルトランスフェラーゼ、鎖長因子(chain length factor)、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼ。さらに、本発明は、改変された融合構築物、改変された遺伝子構築物を含むベクター、ハイブリッドタンパク質、およびトランスジェニック系(例えば、トランスジェニック植物系のような)を提供する。
【0009】
本発明はまた、同じ代謝経路に関与する2以上の異種核酸配列を共連結することによって遺伝子融合構築物を産生する方法を提供し、ここで、共連結される核酸配列の少なくとも1つは、真核生物に由来し、共連結される別の核酸配列は、異なる種の真核生物または原核生物に由来する。改変された融合構築物を産生するための先に記載された方法における目的の核酸配列は、2以上の真核生物、または少なくとも1つの原核生物および少なくとも1つの真核生物に由来する、2以上の異種核酸配列を用いる方法において使用され得る。さらに、同様のヌクレオチドリンカー配列および転写調節エレメントが、使用され得る。これらの方法は、その改変された遺伝子融合構築物を、原核生物系または真核生物系(例えば、植物系)に導入する工程をさらに包含し得る。さらに、本発明は、遺伝子融合構築物、遺伝子融合構築物を含むベクター、ハイブリッドタンパク質、およびトランスジェニック系(例えば、トランスジェニック植物系)を提供する。
【0010】
本発明はまた、異種酵素ドメインをコードする2以上の核酸配列を共連結することによって、遺伝子融合構築物を産生する方法を提供し、ここで、酵素ドメインの少なくとも1つが、植物に由来する。この植物酵素ドメインは、例えば、カロテノイドの生合成に関与する酵素に由来し得る。核酸配列は、改変された遺伝子融合構築物を産生する方法に関して記載されたように、様々な形態のデオキシリボ核酸またはリボ核酸であり得る。さらに、同様のヌクレオチドリンカー配列および転写調節エレメントが、必要に応じて使用され得る。これらの方法は、上記遺伝子融合構築物を、生物学的系(例えば、原核生物系または真核生物系)に導入する工程をさらに包含し得る。さらに、本発明は、遺伝子融合構築物、遺伝子融合構築物を含むベクター、ハイブリッドタンパク質、およびトランスジェニック生物学的系(例えば、トランスジェニック細菌、真菌、または植物系)を提供する。
【0011】
本発明はまた、生物学的系(例えば、原核生物系または真核生物系)において、複数の酵素活性を発現させる方法を提供する。これらの方法は、上述の遺伝子構築物の1以上を、生物学的系に導入する工程を包含する。核酸配列は、一般的に、代謝経路に関与し得るタンパク質をコードし、ここで、この経路は、天然に存在し得るが、必ずしもそうではない(例えば、天然では同じ経路で通常機能しない酵素ドメインを組み合わせることによって新規代謝経路を作製する場合)。本発明の一実施形態では、核酸配列によりコードされる酵素ドメインは、酵素フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、および/またはβ−シクラーゼに由来する。本発明の代替的実施形態では、核酸配列にコードされる酵素ドメインは、酵素ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼに由来する。本発明の別の実施形態では、核酸配列にコードされる酵素ドメインは、酵素β−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼに由来する。本発明のさらなる実施形態では、核酸配列は、以下のクラスの酵素に由来する:ケトシンターゼアシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼ。本発明の方法で用いられる核酸配列は、様々な形態のデオキシリボ核酸(例えば、ゲノムDNA、cDNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えDNA、シャッフリングされたDNA、改変されたDNA、またはDNAアナログ)であり得る。あるいは、リボ核酸(ゲノムRNA、メッセンジャーRNA、触媒RNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えRNA、シャッフリングされたRNA、改変されRNA、またはRNAアナログが挙げられるが、これらに限定されない)を、使用し得る。個々の核酸配列、または核酸配列のライブラリーが、遺伝子融合構築物の合成にて使用され得る。酵素ドメインをコードする核酸配列は、互いに直接連結され得るか、またはそれらは、約3〜約300ヌクレオチド長範囲の1以上のヌクレオチドリンカーを介して連結され得る。必要に応じて、これらの核酸配列の1以上および/またはリンカー配列の1以上は、(配列の連結の前または後のいずれかに)変異、シャッフリングまたは変更され得る。
【0012】
上記の遺伝子融合構築物および改変された遺伝子融合構築物のように、本方法の遺伝子融合構築物に組み込まれる核酸は、単一の代謝経路に由来し得るか、または、(例えば、新規代謝経路を産生するために)2以上の別個の代謝経路に由来し得る。さらに、遺伝子融合構築物に組み込まれる核酸は、単一の供給源または種に由来し得るか、またはそれらは、複数の供給源または種を起源とし得る。遺伝子融合構築物および改変された遺伝子融合構築物は、構築物のライブラリー(例えば、組換え遺伝子融合構築物)を含み得、これは、必要に応じて、その遺伝子融合構築物または改変された遺伝子融合構築物を生物学的系に導入する前にスクリーニングされ得る。さらに、1以上の転写調節配列が、遺伝子融合構築物に組み込まれ得る。生物学的系は、原核生物系(例えば、細菌または古細菌細胞)であり得る。あるいは、生物学的系は、真核生物系(例えば、真核細胞、植物細胞、動物細胞、真菌、酵母、プロトプラスト、組織培養物、生物体など)であり得る。遺伝子融合構築物のこれらの系のいずれかへの導入は、例えば、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、微粒子銃、ポリエチレングリコール媒介性形質転換、またはアグロバクテリウム媒介性形質転換のような、当業者に公知の技術によって達成され得る。本発明の方法は、真核生物系において遺伝子融合構築物を発現させる工程をさらに包含し得る。さらに、本発明は、本発明の方法により調製されるような、遺伝子融合構築物、遺伝子融合構築物を含むベクター、ハイブリッドタンパク質、およびトランスジェニック系(例えば、トランスジェニック植物系)を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、本明細書中に記載の方法により調製される組換え核酸配列を提供する。いくつかの実施形態では、組換え核酸配列は、異なる真核生物種または真核生物および原核生物に由来する、少なくとも2つの共連結された酵素ドメインをコードする配列を含む。代替的な実施形態では、組換え核酸配列は、植物遺伝子に由来する、少なくとも2つの共連結された酵素ドメインをコードする配列を含む。必要に応じて、この組換え核酸配列は、例えば、変異、シャッフリング、繰り返しの組換えなどによって改変される。いくつかの実施形態では、組換え核酸配列は、少なくとも2つの共連結された酵素ドメインをコードする配列を含み、ここで、1以上の酵素ドメインをコードする配列は、本明細書に記載するように改変されている。組換え核酸配列にコードされる酵素ドメインは、同一代謝経路に関与するタンパク質に由来し得るか、または、(例えば、新規代謝経路を産生するために)2以上の別個の代謝経路に由来し得る。酵素ドメインが由来し得る代謝経路の例としては、カロチン合成経路(フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、およびβ−シクラーゼを含む)、エクトイン合成経路(ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼを含む)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)合成経路(β−ケトチオラーゼ、レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼを含む)、および最小ポリケチド合成経路(ケトシンターゼアシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼを含む)が挙げられる。
【0014】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本発明を詳細に説明する前に、本発明が、特定の組成物または生物学的系に限定されず、これらの組成物および生物学的系が、当然、多種多様であり得ることが、理解される。また、本明細書中で使用する専門用語は、特定の実施形態のみについて記載する目的のためのものであり、限定するものと解釈されないことも理解される。本明細書および添付の特許請求の範囲中で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかに単数でないことを指示しない限り、複数対象を包含する。従って、例えば、「装置(a device)」に対する言及は、2以上のかかる装置の組み合わせを包含し、また「遺伝子融合構築物(a gene fusion construct)」に対する言及は、構築物の混合物を包含する、など。
【0015】
他に規定されない限り、本明細書中で使用する技術用語および科学用語は全て、本発明が関連する当該技術分野の当業者により一般に理解されているのと同義である。本明細書中に記載するものと類似または等価の任意の方法および材料が本発明の試験の実施に使用され得、好ましい材料および方法が、本明細書に記載される。
【0016】
本発明を説明および特許請求する際に、以下の専門用語が、以下に記載する定義に従って使用される。
【0017】
「改変(された)核酸配列」という用語は、例えば、親核酸と比較して改変された核酸における1以上のヌクレオチド残基を改変、欠失、再配列(rearranging)または置換することによって、1以上の親核酸(例えば、1以上の天然に存在する核酸のような)に比較して変更されている核酸配列をいう。核酸配列改変の好ましい様式としては、シャッフリングおよび変異が挙げられる。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、核酸配列に対する改変は、核酸配列にコードされるアミノ酸配列の内部領域での置換、欠失および/または挿入を生じ、より好ましくは、複数の内部改変(すなわち、2個、3個またはそれ以上)が、そのコードされるポリペプチドに導入される。この型の内部改変は、例えば、タンパク質の一方の末端の切断と区別されるべきである。従って、酵素ドメインに対する内部改変の部位は、その酵素ドメインのアミノ末端とカルボキシ末端とに隣接する。
【0018】
「改変(された)タンパク質」、「改変(された)酵素」、および「改変(された)酵素ドメイン」という用語は、対応する改変された核酸配列にコードされる翻訳産物をいう。
【0019】
「多様化」および「多様性」という用語は、核酸配列に適用する場合、複数の改変形態の親核酸、または複数の親核酸の生成をいう。この核酸配列が遺伝子産物をコードする場合、その核酸配列の多様性は、対応する遺伝子産物の多様性を生じ得る(例えば、複数の改変されたタンパク質をコードする核酸配列の多様なプール)。本発明のいくつかの実施形態では、この配列多様性は、所望の機能特性を保有する改変された核酸/タンパク質についてスクリーニング/選択することによって利用される。
【0020】
「コード(する)」という用語は、1以上のアミノ酸をコードするポリヌクレオチド配列をいう。この用語は、開始コドンまたは終止コドンを必要としない。アミノ酸配列は、ポリヌクレオチド配列により提供される6つの異なる読み枠のいずれか1つにコードされ得る。
【0021】
「植物」という用語は、植物全体、苗条栄養器官/構造(例えば、葉、茎および塊茎)、根、花および花器官/構造(例えば、苞葉、萼片、花弁、雄蕊、心皮、葯および胚珠)、種子(胚、内胚乳、および種皮を含む)および果実(成熟した子房)、植物組織(例えば、維管束組織、基本組織など)および細胞(例えば、孔辺細胞、卵細胞、突起様構造など)、ならびにそれらの子孫を包含する。本発明の方法で使用され得る植物のクラスは、一般に、被子植物(単子葉植物および双子葉植物)、裸子植物、シダ類、および多細胞藻類を含む、形質転換技法になじみやすい高等植物ならびに下等植物の種類と広範である。植物という用語は、様々な倍数性レベル(異数体、倍数体、二倍体、半数体、およびヘミ接合体を含む)の植物を包含する。
【0022】
本明細書中で使用する場合、「遺伝子融合構築物」という用語は、少なくとも2つの異なる親核酸に由来する共連結された配列を含む、組換え核酸配列をいう。「改変された遺伝子融合構築物」は、構築物中の少なくとも1つのヌクレオチド(必要に応じて、コード領域中またはリンカー領域中)が、その構築物の一部が由来する親配列または野生型配列と比較した場合に、改変または変化されている、遺伝子融合構築物のサブセットを含む。
【0023】
「酵素ドメイン」という用語は、酵素の活性部位を包含するポリペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列の部分をいう。「酵素の活性部位」という用語は、一般に、タンパク質のある種の機能的活性を達成することが可能な酵素の領域をいい、例えば、化学反応を触媒し、リガンドまたは基質に結合し、あるいは小分子、生体高分子、核酸または他のタンパク質もしくはペプチドのような、別の分子と特異的に相互作用する。タンパク質の活性は、天然に存在する形態のタンパク質に対して内因性の活性であり得るか、またはそのタンパク質が由来とする親核酸の改変によりタンパク質に導入された活性であり得る。
【0024】
酵素ドメインは、それが、特定の酵素のアミノ酸配列のいくつかの部分に、または場合によっては、特定の酵素の実質的に全てのアミノ酸配列に対応する場合、その特定の酵素「に由来」する。酵素ドメインは、特定の酵素をコードする核酸配列の改変の結果として、それが実質的に異なる配列および/または機能を有する場合でさえも、その特定の酵素に由来するとみなされる。
【0025】
核酸配列は、その配列が元々植物から単離された場合、その配列が本明細書中に記載するようにその後に改変されるか否かに関係なく、植物「に由来」する。
【0026】
「ペプチドリンカー」および「ペプチドリンカー配列」という用語は、他のペプチド配列(例えば、酵素ドメイン)との間に位置して、これらの配列を一緒に連結するアミノ酸配列をいう。ペプチドリンカーは、例えば、最終伸長構築物においてスペーサーユニットとして作用し得る。あるいは、ペプチドリンカーは、連結された配列を分離し得る機構によって(例えば、タンパク質分解性切断部位またはインテイン配列を提供することによって)提供することができる。
【0027】
「遺伝子融合構築物」という用語は、2以上の共連結された異種核酸配列を含む構築物をいう。本発明の好ましい実施形態では、共連結された配列は、異種酵素ドメインをコードし、その構築物の発現により、直接的にかまたはペプチドリンカーによって一緒に融合された異種酵素ドメインを含む、ハイブリッドタンパク質を生じる。遺伝子融合構築物の調製は、代表的に、融合コード領域における正確な読み枠の維持および任意の内部終止コドンの除去を包含する。あるいは、内部終止コドンは、特定の生物学的系で抑制され得る。
【0028】
本明細書中で使用する場合、「異種」という用語は、2以上の成分が通常天然では互いに近接して見出されないことを示す、それらの成分間の関係を表す。従って、「異種酵素ドメイン」という用語は、天然で単一のポリペプチド中に見出されない酵素ドメインをいう(例えば、異種ドメインが、2つの異なる酵素または異なる種の酵素に由来する場合、など)。異種のアイテム(すなわち、酵素ドメイン、ポリペプチド、核酸配列など)は、同じ種に由来し得るか(例えば、その種における2つの異なるタンパク質)、または異なる種に由来し得る。
【0029】
ポリヌクレオチド配列は、それが外来種を起源とする場合に、または同種に由来し、その本来の形態から改変されている場合、生物または第2のポリヌクレオチド配列「に対して異種」である。例えば、異種コード配列に作動可能に連結されているプロモーターは、そのプロモーターが由来する種と異なる種由来のコード配列をいうか、または同種に由来する場合、そのプロモーターと天然では関連しないコード配列(例えば、遺伝子操作されたコード配列または異なる生態型または変種由来の対立遺伝子)をいう。
【0030】
「代謝経路」という用語は、生成物への基質の化学的変換をもたらす、代表的には、酵素に媒介される、触媒活性の任意の組合せをいう。代謝経路は、異化作用性または同化作用性であり得る。代謝経路は、通常、生物学的系中で見出されるものであり得るか、または天然では見出されない新規代謝経路であり得る。2以上の酵素(または酵素ドメイン)群は、各酵素の基質および/または生成物が、その群の別のメンバーの基質または生成物である場合に、共通の代謝経路のメンバーであり、それらの酵素の協調された活性は、適切な条件下で、中間体(または一連の中間体)を介した生成物(単数または複数)への基質(単数または複数)の変換をもたらす。代表的な例では、基質は、その群の第1のメンバーによって第1の中間体に変換され、第1の中間体は、その群の第2のメンバーによって第2の中間体に変換され、第2の中間体は、その群の第3のメンバーによって代謝経路の最終生成物に変換される。代謝経路中の中間体数は、経路によって様々であり、例えば、その経路が1つの中間体しか有さない場合もあれば、多くの中間体を有する場合もある。場合によっては、代謝経路は、分岐し得、その結果、1以上の中間体が、代替的な生成物に変換され得る。代謝経路に応じて、基質、生成物および中間体の数は、1つから多数まで変化することができる。
【0031】
「生物学的系」という用語は、その後の複製、組換えおよび/または発現のために核酸配列が導入され得る任意の系(細菌、古細菌、原生動物、真菌、植物、動物、ウイルス、単細胞、多細胞生物、リポソームのような人工構造、インビトロ発現系などが挙げられるが、これらに限定されない)を指す。
(真核生物における代謝経路操作および発現)
植物のような真核生物の所望の区画に複数の単一酵素を有する新たな(または改変された)代謝経路を確立することは、原核生物系の比較的区画化されていない環境でこれを達成するよりも困難である。その困難性は、各酵素の転写がそれ自身のプロモーターおよび終結配列により支配されているという事実に、一部は存在する。例として、4つの酵素から構成される代謝経路は、代表的には、完全な発現のために4つのプロモーター配列および4つの終結配列を必要とする。複数の転写物の別個の合成および翻訳後に、翻訳されたペプチド配列を、形質転換宿主中の同じ区画に共存させることに困難が生じ得る。別の考慮事項は、真核生物中へ操作されるべき酵素の供給源である。酵素が同じ代謝経路に関与し得る一方で、代謝経路の各工程に関する酵素の最適な選択は異なる種に由来してもよく、したがって、様々なpH最適条件、温度要件、代謝回転速度、および他の環境要件または効果を有する。
【0032】
複数の代謝酵素の同時発現の問題を解決するための1つの現在のアプローチとしては、酵素それぞれをコードする核酸配列を別個のプラスミドにクローニングすることが挙げられる。次に、そのプラスミドは、所望の真核生物系に、当該系に適切な形質転換方法論(細菌媒介性形質転換、プロトプラスト融合技法、粒子ボンバードメントなど)によりトランスフェクトされる。あるいは、酵素をコードする核酸配列が、発現カセットに集められて、複数のエレメントとしてではなく単一ベクターとして、宿主細胞にトランスフェクトされ得る。このような方法論は、当該技術分野で既知である(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausbelら編(Greene Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley & Sons,Inc.との間の共同事業(2000年に増補))。
【0033】
しかしながら、これらのアプローチは、かなりの欠点に苦しむ。核酸配列が宿主ゲノムに組み込まれる場合、位置的な効果に起因する発現問題が存在し得る(例えば、関連核酸配列が、きつく凝縮されたクロマチンセクションに挿入され得る)。ゲノムが複製されて、宿主細胞が分裂する場合の分離効果もまた、1つ以上の関連配列の損失を引き起こし得る。さらに、タンデムクローニングアプローチの場合では、同じプロモーター系の繰り返しの使用に関連した安定性の問題が存在する。これらの問題は、真核生物系における多酵素代謝経路の実用性および実施を激しく損なう。
【0034】
本発明は、複数の酵素活性を発現する方法、および改変遺伝子構築物を生産する方法を提供し、ここで所望の代謝酵素は、長い単一多機能ハイブリッドタンパク質として生産される。共連結された一連の核酸配列から翻訳される単一ペプチドとして所望の酵素ドメインを合成することにより、代謝経路中の複数酵素の同時発現および共存を取り巻く問題は、克服される。本発明の遺伝子融合構築物に組み込まれた核酸配列は、互いに直接連結され得、あるいはその配列は、ヌクレオチドリンカー配列により隔てられ得る。本発明のいくつかの実施形態では、生じるハイブリッドタンパク質に組み込まれた酵素活性は、共連結された形態またはつながった形態で活性である。別の実施形態では、例えば酵素活性を改変するために、転写または翻訳後に酵素ドメインを切断または分離することが、望ましい場合があり得る。構成する酵素活性の分離は、例えばタンパク質分解性切断または加水分解に感受性であるペプチドリンカーの使用により、あるいはリンカー配列にインテインまたはイントロン配列を組み込むことにより、達成され得る。これらの方法、ならびにこれらの方法にて使用されるかまたはこれらの方法により生産される遺伝子融合構築物、改変遺伝子融合構築物、およびハイブリッドタンパク質について、以下でさらに詳述する。
(遺伝子融合構築物)
本発明は、遺伝子融合構築物の使用により複数の酵素活性を発現する方法、および改変遺伝子構築物を生成する方法を提供する。さらに、本発明は、これらの方法で使用するための遺伝子融合構築物、およびこれらの方法により調製される改変遺伝子融合構築物を提供する。最も簡単な形態の遺伝子融合構築物は、酵素ドメインをコードする核酸配列の組合せである(図1〜3)。この構築物は、転写エレメント、プロモーター、終結配列、イントロンなどのような、コードされるハイブリッドタンパク質の発現に関与する核酸配列をさらに含み得る。さらに、この構築物は、以下に記載するようなヌクレオチドリンカー配列を含み得る。
【0035】
本発明の遺伝子融合構築物および改変遺伝子融合構築物を形成するために共連結される核酸配列は、様々な形態のデオキシリボ核酸(例えば、ゲノムDNA、cDNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えDNA、シャッフリングされたDNA、改変DNA、またはDNAアナログ)であり得る。あるいは、この核酸配列は、リボ核酸(ゲノムRNA、メッセンジャーRNA、触媒RNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えRNA、シャッフリングされたRNA、改変RNA、またはRNAアナログが挙げられるが、これらに限定されない)であり得る。本発明の融合構築物に組み込まれる核酸配列はまた、1つ以上の核酸配列ライブラリーに由来し得る。
【0036】
本発明の遺伝子融合構築物および改変遺伝子構築物は、分子クローニング技法のような、当該技術分野で公知の多数の技法により調製され得る。発現ベクターのような、組換え核酸の構築に適した多種多様なクローニング方法およびインビトロ増幅方法が、当業者に周知である。変異誘発を含む、本明細書にて有用な分子生物学的技法を記載している一般的なテキストとしては、BergerおよびKimmel,Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology,volume 152、Academic Press,Inc.,San Diego,CA(「Berger」);Sambrookら、Molecular Cloning− A Laboratory Manual(第2版),volumes 1−3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York,1989(「Sambrook」);ならびにCurrent Protocols in Molecular Biology、F.M.Ausubelら編,Current Protocols(Greene Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley & Sons,Inc.との間の共同事業)(2000年に増補)(「Ausubel」)が挙げられる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、Qβ−レプリカーゼ増幅、および他のRNAポリメラーゼ媒介性技法(例えば、NASBA)を含む、インビトロ増幅方法を介して当業者を指向するために十分な技法の例は、Berger、Sambrook、およびAusubel、ならびにMullisら、(1987)米国特許第4,683,202号、PCR Protocols、A Guide to Methods and Applications(Innisら編)Academic Press Inc.、San Diego,CA(1990);ArnheimおよびLevinson(1990年10月1日)Chemical and Engineering News 36−47;The Journal Of NIH Research(1991)3:81−94;Kwohら、(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173;Guatelliら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874;Lomellら(1989)J.Clin.Chem.35:1826;Landegrenら(1988)Science 241:1077−1080;Van Brunt(1990)Biotechnology 8:291−294;WuおよびWallace(1989)Gene 4:560;Barringerら(1990)Gene 89:117;ならびにSooknananおよびMalek(1995)Biotechnology 13:563−564に見出される。インビトロ増幅核酸をクローニングする改良方法は、Wallenceら、米国特許第5,426,039号に記載されている。PCRにより大きな核酸を増幅する改良方法は、Chengら(1994)Nature 369:684−685およびその中の参照文献に要約されており、そこでは最大40kbのPCRアンプリコンが生成される。当業者は、本質的に任意のRNAが、逆転写酵素およびポリメラーゼを用いて、制限消化、PCR増大および配列決定に適した二重鎖DNAに変換され得ることを理解する。Ausbel、SambrookおよびBerger(全て上述)を参照されたい。
【0037】
遺伝子融合構築物に含まれるための核酸配列の単離は、当該技術分野で公知の多数の技法により達成され得る。例えば、既知の配列に基づくオリゴヌクレオチドプローブが用いられて、cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリー中の所望の遺伝子が同定され得る。プローブが用いられて、同種または異なる種中の相同遺伝子を単離するためにゲノムDNA配列またはcDNA配列とハイブリダイズされ得る。あるいは、酵素に対して誘起される抗体を用いて、対応するコード配列に関して、mRNA発現ライブラリーがスクリーニングされ得る。
【0038】
あるいは、目的の核酸は、増幅技法を用いて核酸サンプルから増幅され得る。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術が用いられて、ゲノムDNA、cDNA、ゲノムライブラリー、またはcDNAライブラリーから直接、所望の遺伝子配列が増幅され得る。PCRおよび他のインビトロ増幅方法はまた、例えば発現されるべきタンパク質をコードする核酸配列をクローニングするために、サンプル中の所望のmRNAの存在を検出するためのプローブとして使用する核酸を作製するために、核酸配列決定のために、または他の目的のために、有用であり得る。PCRの総説に関しては、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innis,M.、Gelfand,D.、Sninsky,J.およびWhite,T.編),Academic Press,San Diego(1990)を参照されたい。
【0039】
ポリヌクレオチドまた、技術文献中に記載されているような周知の技法により合成され得る。例えば、Carruthersら、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.47:411−418(1982)、およびAdamsら、J.Am.Chem.Soc.105:661(1983)を参照されたい。続いて、二本鎖DNAフラグメントは、相補鎖を合成することかつ適切な条件下でその鎖を一緒にアニーリングすること、あるいは、DNAポリメラーゼを用いて相補鎖に適切なプライマー配列を付加することのいずれかによって、得られ得る。
(例えばインビトロ増幅方法で、遺伝子プローブとして使用するための)プローブとして使用するためのオリゴヌクレオチド、またはシャッフリング標的使用するためのオリゴヌクレオチド(例えば合成遺伝子また遺伝子セグメント)は、代表的には、BeaucageおよびCaruthers(1981)Tetrahedron Letts.22(20):1859−1862に記載される固相ホスホロアミダイトトリエステル方法に従って、例えばNeedham−VanDevanterら、(1984)Nucleic Acids Res.12:6159−6168に記載されるようなに自動合成機を用いて、化学的に合成される。本発明の核酸構築物に使用するためのオリゴヌクレオチドはまた、当業者に公知の種々の商業的供給源に、特注および注文され得る。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態では、遺伝子融合構築物は、共連結核酸配列の他に、プロモーター、エンハンサーエレメント、およびシグナル伝達配列のような、エレメントを含む。例示的プロモーターとしては、CaMVプロモーター、リブロース−1,5−二リン酸カルボキシラーゼ−オキシゲナーゼ小サブユニット遺伝子由来のプロモーター、ユビキチンプロモーター、およびrolDプロモーターが挙げられる。例示的エンハンサーエレメントとしては、が挙げられるが、これらに限定されない。例示的シグナル伝達配列としては、組織特異的輸送ペプチド(例えば、葉緑体輸送ペプチド)をコードする核酸配列が挙げられるが、これに限定されない。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、植物細胞の形質転換に適切な遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物が調製される。所望の核酸をコードするDNA配列(例えば酵素ドメインをコードするcDNA配列またはゲノム配列)が、所望の植物に導入され得る組換え発現カセットを構築するために、便利よく使用される。発現カセットは、代表的には、形質転換植物の対象組織(例えば、植物全体、葉、種子)中の遺伝子から配列の転写を指向する、プロモーターならびに他の転写開始調節配列および翻訳開始調節配列に作動可能に連結された、選択核酸配列(構築物に依存して改変または未改変)を含む。
【0042】
例えば、植物の組織全部において本明細書中に記載する遺伝子融合構築物または改変遺伝子融合構築物中のコード配列の発現を指向する、強く構成的な植物プロモーターまたは弱く構成的な植物プロモーターが、使用され得る。このようなプロモーターは、ほとんどの環境条件および発達また細胞分化の状態下で活性である。構成的プロモーターの例としては、Agrobacterium tumefaciensのT−DNAに由来する1’−プロモーターまたは2’−プロモーター、および当業者に公知の様々な植物遺伝子からの他の転写開始領域が、挙げられる。遺伝子融合構築物からの遺伝子の過剰発現が植物にとって有害である状況では、当業者は、本開示を吟味して、低レベルの発現のために弱い構成的プロモーターが使用され得ることを、理解する。高レベルの発現が植物にとって有害でない場合では、強力なプロモーター(例えば、t−RNAプロモーターまたは他のpolIIIプロモーター)、または強力なpolIIプロモーター(例えば、カリフラワーモザイクウイルスプロモーター)が、使用され得る。
【0043】
あるいは、植物プロモーターは、環境制御下にあり得る。このようなプロモーターは、本明細書では「指向性」プロモーターと称する。指向性プロモーターによる転写を達成し得る環境条件の例としては、病原体攻撃、嫌気性条件、または光の存在が挙げられる。
【0044】
本発明の遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物に組み込まれるプロモーターは、「組織特異的」であり得、したがって所望の遺伝子が、葉および種子のような特定の組織のみで発現されるという点で発達制御下にあり得る。植物系にとって内因性の1つ以上の核酸配列が構築物に組み込まれる実施形態では、これらの遺伝子由来の内因性プロモーター(またはその改変体)が、トランスフェクトされた植物中の遺伝子発現を指向するために使用され得る。組織特異的プロモーターはまた、本明細書中に記載するような改変核酸を含む異種構造遺伝子の発現を指向するために使用され得る。
【0045】
一般に、植物中の発現カセットで使用される特定のプロモーターは、対象とされる用途に依存する。植物細胞での転写を指向する多数のプロモーターのいずれかが適切である。このプロモーターは、構成的または指向性のいずれかであり得る。上述のプロモーターに加えて、植物中で作動する細菌起源のプロモーターとしては、オクトピンシンターゼプロモーター、ノパリンシンターゼプロモーター、およびネイティブTiプラスミドに由来する他のプロモーターが挙げられる(例えば、Herrara−Estrellaら(1983)Nature 303:209−213)。ウイルスプロモーターとしては、カリフラワーモザイクウイルスの35S RNAプロモーターおよび19S RNAプロモーターが挙げられる(Odellら、(1985)Nature 313:810−812)。他の植物プロモーターとしては、リブロース−1,3−二リン酸カルボキシラーゼ小サブユニットプロモーター、およびファゼオリンプロモーターが挙げられる。E8遺伝子および他の遺伝子由来のプロモーター配列が、使用され得る。E8プロモーターの単離および配列は、DeikmanおよびFischer(1988)EMBO J.7:3315−3327に詳述されている。
【0046】
候補プロモーターを同定するために、ゲノムクローンの5’部位が、プロモーター配列に特徴的な配列に関して分析される。例えば、プロモーター配列エレメントは、TATAボックスコンセンサス配列(TATAAT)を含み、これは通常、転写開始部位の20〜30塩基上流にある。植物では、Messingら(1983)Genetic Engineering in Plants,Kosageら(編),pp.221−227に記載されるように、TATAボックスからさらに上流に、−80位〜−100位に、トリヌクレオチドG(またはT)の周囲にある一連のアデニンを有するプロモーターエレメントが、代表的には、存在する。
【0047】
本発明の遺伝子融合構築物または改変遺伝子融合構築物を調製する際に、プロモーターおよび共連結核酸配列以外の配列もまた、使用され得る。正常なポリペプチド発現が望ましい場合、シャッフリングされたコード領域の3’末端にあるポリアデニル化領域を含まれ得る。ポリアデニル化領域は、天然遺伝子、様々な他の植物遺伝子、またはT−DNAに由来し得る。
【0048】
この遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物はまた、選択可能な表現型を植物細胞に付与するマーカー遺伝子を含み得る。例えば、このマーカーは、殺生剤耐性、特に抗生物質耐性(例えば、カナマイシンに対する耐性、G418に対する耐性、ブレオマイシンに対する耐性、ハイグロマイシンに対する耐性)、または除草剤耐性(クロロスルフォロン(chlorosluforon)に対する耐性またはホスフィノスリシン(除草剤ビアラホスおよびBastaにおける活性成分)に対する耐性)をコードし得る。
【0049】
この遺伝子融合構築物はまた、例えばコードされたポリペプチドの精製を容易とするマーカー配列にインフレームで融合された、コード配列またはそのフラグメントを含み得る。このような精製を容易とするドメインとしては、固定化金属上での精製を可能にするヒスチジン−トリプトファンモジュールのような金属キレートペプチド、グルタチオンを結合する配列(例えば、GST)、血球凝集素(HA)タグ(インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する;Wilson,I.ら(1984)Cell 37:767)、マルトース結合タンパク質配列、FLAGS伸長/アフィニティ精製系(Immunex Corp.,Seattle,WA)で利用されるFLAGエピトープなどが挙げられるが、これらに限定されない。精製ドメインと酵素ドメインとの間に、プロテアーゼで切断可能なポリペプチドリンカーを含むことは、精製を容易にするために有用である。
【0050】
例えば、本明細書中に記載する組成物および方法で使用することが可能である発現ベクターの1つは、エンテロキナーゼ切断部位により分離されたポリヒスチジン領域に融合された本発明のポリペプチドを含む、融合タンパク質の発現を提供する。このヒスチジン残基は、IMIAC(Porathら(1992)Protein Expression and Purification 3:263−281に記載されるような、固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィ)での精製を容易にすると同時に、エンテロキナーゼ切断部位は、発現産物の残部からポリヒスチジン領域を分離する方法を提供する。pGEXベクター(Amersham Pharmacia Biotech)は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現するために、必要に応じて使用される。例えばPichiaでの発現を可能にするpPICzベクター(Invitrogen)のような、他の発現系もまた、必要に応じて使用される。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、リガンド−アガロースビーズ(GST融合物の場合、グルタチオン−アガロース)への吸着、続く遊離リガンドの存在下での溶出により、溶解した細胞から容易に精製され得る。
【0051】
本発明のポリペプチドは、硫酸アンモニア沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、アニオン交換クロマトグラフィまたはカチオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ(例えば、本明細書中に記載するタグ付け系のいずれかを用いて)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、およびレクチンクロマトグラフィを含む、当該技術分野で周知の多数の方法のいずれかにより、組換え細胞培養物から回収および精製され得る。いくつかの場合、タンパク質は、機能的生成物を回収するためにリフォールディングさせる必要がある。上述の参照文献に加えて、例えばSandana(1997)Bioseparation of Proteins,Academic Press,Inc.;ならびにBollagら(1996)Protein Methods,2nd Edition Wiley−Liss,NY;Walker(1996)The Protein Protocols Handbook Humana Press,NJ;HarrisおよびAngal(1990)Protein Purification Applications:A Practical Approach、IRL Press at Oxford,Oxford,England;HarrisおよびAngal Protein Purification Methods:A Practical Approach、IRL Press at Oxford,Oxford,England;Scopes(1993)Protein Purification:Principles and Practice、3rd Edition、Springer Verlag,NY;JansonおよびRyden(1998)Protein Purification:Principles,High Resolution Methods and Applications,Second Edition、Wiley−VCH,NY;ならびにWalker(1998)Protein Protocols on CD−ROM、Humana Press,NJに記載されるものを含む様々な精製方法が、当該技術分野で既知である。
【0052】
無細胞転写/翻訳系もまた、本発明の遺伝子融合構築物を発現するために使用され得る。いくつかのこのような系が市販されている。インビトロ転写および翻訳プロトコルに関する一般的な手引きは、Tymms(1995)In vitro Transcription and Translation Protocols:Methods in Molecular Biology、Volume 37,Garland Publishing,NYに見出される。
【0053】
本発明はまた、本発明の2つ以上の核酸を(例えば、組換え用基質として)含む、組成物を包含する。この組成物は、組換え核酸ライブラリーを含むことができ、ここでライブラリーは、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、もしくは少なくとも50個またはそれ以上の核酸を含む。この核酸は、必要に応じて発現ベクター中にクローニングされて、発現ライブラリーを提供する。
【0054】
本発明はまた、(例えば、上述の組換え方式のいくつかで実施されるように)制限エンドヌクレアーゼ、RNA分解酵素、またはDNA分解酵素で、本発明の1つ以上の核酸を消化することにより生成される組成物、および機械的手段(例えば、超音波処理、ボルテックスなど)により本発明の1つ以上のポリヌクレオチドをフラグメント化あるいはせん断することにより生成される組成物を包含し、これらの組成物は、上述の方法で組換え用の基質を提供するために使用され得る。同様に、1つより多くの本発明の核酸に対応するオリゴヌクレオチドのセットを含む組成物は、組換え基質として有用であり、本発明の特徴である。便宜上、これらのフラグメント化混合物、せん断混合物、オリゴヌクレオチド合成混合物を、フラグメント化核酸セットと呼ぶ。
【0055】
また、リボヌクレオチド三リン酸またはデオキシリボヌクレオチド三リン酸と核酸ポリメラーゼとの存在下でフラグメント化核酸セットの1つ以上をインキュベートすることにより生成される組成物もまた、本発明に包含される。この生じた生成物は、上述の組換え方式の多数用の組換え混合物を形成する。核酸ポリメラーゼは、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、またはRNA指向性DNAポリメラーゼ(例えば、「逆転写酵素」)であってもよい。このポリメラーゼは、例えば耐熱性DNAポリメラーゼ(例えば、VENT、TAQなど)であり得る。
【0056】
本発明の融合タンパク質を生産および単離するための組換え方法は、上述している。組換え生産に加えて、このポリペプチドは、固相技法を用いた直接ペプチド合成により生産され得る(例えば、Stewartら(1969)Solid−Phase Peptide Synthesis,WH Freeman Co.,San Francisco;Merrifield J(1963)J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154を参照のこと)。ペプチド合成は、手動技法を用いて、または自動化により、実施され得る。自動合成は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド合成機(Perkin Elmer,Foster City,Calif.)を用いて、製造業者により供給される説明書に従って達成され得る。例えば、部分配列が、別個に化学的に合成され、化学的方法を用いて組み合わされ、完全長融合タンパク質が提供され得る。あるいは、このような配列は、ポリペプチドの生産を専門とする多数の会社に注文され得る。本発明の最も一般的な融合タンパク質は、例えば上述のように、コード核酸を発現させて、ポリペプチドを回収することにより生成される。
(核酸配列の改変による改変遺伝子融合構築物の形成)
本発明のいくつかの実施形態において、改変遺伝子融合構築物が用いられる。遺伝子融合構築物における1つ以上の核酸配列の改変プロセスは、そのタンパク質または酵素ドメインの、最初に同定された(すなわち「親」)配列と比較して、配列を変更することを包含する。配列の変更プロセスは、例えば、核酸配列の単一ヌクレオチド置換、複数ヌクレオチド置換、および領域の挿入または欠失をもたらし得る。
【0057】
様々な多様性生成プロトコルが、当該技術分野で利用可能でありそして記載されている。その手順は、核酸または核酸のセットの1つ以上の改変体、ならびにコードタンパク質の改変体を生成するために、別々に、かつ/または組み合わせて使用され得る。個別かつ集合的に、それらの手順は、例えば、新規の特徴および/または改善された特徴を持つ、核酸、タンパク質、経路、細胞、および/または生物の、変更、操作、または急速な進化に有用な、多様化された核酸および核酸のセット(例えば、核酸ライブラリーを含む)を生成する、強固で広範囲に応用可能な方法を提供する。
【0058】
明確にするために、続く議論において区別および分類がなされるが、これらの技術がしばしば相互に排他的ではないことが、理解される。実際、様々な方法が、多様な配列改変体を利用するために、単独にか、あるいは、並行してかまたは順次に組み合わせて、使用され得る。
【0059】
本明細書中に記載されるいずれの多様性生成手順の結果も、1つ以上の核酸の生成であり得、これらの核酸は、所望の特性を持つかまたは与えるタンパク質をコードする核酸について、選択またはスクリーニングされ得る。本明細書中の方法または当業者に利用可能な方法の1つ以上による多様化の後、生成される任意の核酸が、所望の活性または特性(例えば、1つ以上の代謝経路に由来する複数の酵素ドメインのコード)について選択され得る。これは、例えば自動化方式または自動化可能な方式で、当該技術分野の任意のアッセイにより検出され得る任意の活性または活性のセットを同定することを、含み得る。例えば、カロテノイド化合物、エクトイン、種々のポリヒドロキシアルカノエート、多数の芳香族ポリケチド、または他の代謝経路生成物もしくは副生成物の生合成が、さらに以下で記載されるように、決定され得る。あるいは、個々の酵素活性は、当該技術分野で公知の多数のアッセイのいずれかにより、アッセイされ得る。さらに,様々な関連した(またはさらに未関連の)特性が、順次にかまたは並行して、実施者の判断により、評価され得る。
【0060】
複数の酵素ドメインをコードする改変核酸配列を生成するための様々な多様性生成手順の記載は、以下の文献およびその中に引用される参考文献に見られる:
Soong,N.ら(2000)「Molecular breeding of viruses」Nat Genet 25(4):436−39;Stemmerら(1999)「Molecular breeding of viruses for targeting and other clinical properties」Tumor Targeting 4:1−4;Nessら(1999)「DNA Shuffling of subgenomic sequences of subtilisin」Nature Biotechnology 17:893−896;Changら(1999)「Evolution of a cytokine using DNA family shuffling」Nature Biotechnology 17:793−797;MinshullおよびStemmer(1999)「Protein evolution by molecular breeding」Current Opinion in Chemical Biology 3:284−290;Christiansら(1999)「Directed evolution of thymidine kinase for AZT phosphorylation using DNA family shuffling」Nature Biotechnology 17:259−264;Crameriら(1998)「DNA shuffling of a family of genes from diverse species accelerates directed evolution」Nature 391:288−291;Crameriら(1997)「Molecular evolution of an arsenate detoxification pathway by DNA shuffling」Nature Biotechnology 15:436−438;Zhangら(1997)「Directed evolution of an effective fucosidase from a galactosidase by DNA shuffling and screening」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:4504−4509;Pattenら(1997)「Applications of DNA Shuffling to Pharmaceuticals and Vaccines」Current Opinion in Biotechnology 8:724−733;Crameriら(1996)「Construction and evolution of antibody−phage libraries by DNA shuffling」Nature Medicine 2:100−103;Crameriら(1996)「Improved green fluorescent protein by molecular evolution using DNA shuffling」Nature Biotechnology 14:315−319;Gatesら(1996)「Affinity selective isolation of ligands from peptide libraries through display on a lac repressor headpiece dimer」Journal of Molecular Biology 255:373−386;Stemmer(1996)「Sexual PCR and Assembly PCR」The Encyclopedia of Molecular Biology.VCH Publishers,New York.pp.447−457;CrameriおよびStemmer(1995)「Combinatorial multiple cassette mutagenesis creates all the permutations of mutant and wildtype cassettes」Bio Techniques 18:194−195;Stemmerら(1995)「Single−step assembly of a gene and entire plasmid form large numbers of oligodeoxy−ribonucleotides」Gene,164:49−53;Stemmer(1995)「The Evolution of Molecular Computation」Science 270:1510;Stemmer(1995)「Searching Sequence Space」Bio/Technology 13:549−553;Stemmer(1994)「Rapid evolution of a protein in vitro by DNA shuffling」Nature 370:389−391;およびStemmer(1994)「DNA shuffling by random fragmentation and reassembly: In vitro recombination for molecular evolution」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747−10751。
【0061】
多様性を生成する突然変異性法として、例えば、部位特異的突然変異誘発(Lingら(1997)「Approaches to DNA mutagenesis:an overview」Anal Biochem.254(2):157−178;Daleら(1996)「Oligonucleotide−directed random mutagenesis using the phosphorothioate method」Methods Mol.Biol.57:369−374;Smith(1985)「In vitro mutagenesis」Ann.Rev.Genet.19:423−462;Botstein & Shortle(1985)「Strategies and applications of in vitro mutagenesis」Science 229:1193−1201;Carter(1986)「Site−directed mutagenesis」Biochem.J.237:1−7;およびKunkel(1987)「The efficiency of oligonucleotide directed mutagenesis」Nucleic Asids & Molecular Biology(Eckstein,F.and Lilley,D.M.J.eds.,Springer Verlag, Berlin));ウラシル含有鋳型を使用する突然変異誘発(Kunkel(1985)「Rapid and efficient site−specific mutagenesis without phenotypic selection」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488−492;Kunkelら(1987)「Rapid and efficient site−specific mutagenesis without phenotypic selection」Methods in Enzymol.154,367−382;およびBassら(1988)「Mutant Trp repressors with new DNA−binding specificities」Science 242:240−245);オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発 (Methods in Enzymol.100:468−500(1983);Methods in Enzymol.154:329−350(1987);Zoller & Smith(1982)「Oligonucleotide−directed mutagenesis using M13−derived vectors: an efficient and general procedure for the production of point mutations in any DNA fragment」Nucleic Acids Res.10:6487−6500;Zoller & Smith(1983)「Oligonucleotide−directed mutagenesis of DNA fragments cloned into M13 vectors」 Methods in Enzymol.100:468−500;およびZoller & Smith(1987)「Oligonucleotide−directed mutagenesis:a simple method using two oligonucleotide primers and a single−stranded DNA template)」 Methods in Enzymol.154:329−350);ホスホロチオエートで改変DNAの突然変異誘発(Taylorら(1985) 「The use of phosphorothioate−modified DNA in restriction enzyme reactions to prepare nicked DNA」Nucl.Acids Res.13:8749−8764;Taylorら(1985)「The rapid generation of oligonucleotide−directed mutations at high frequency using phosphorothioate−modified DNA」Nucl.Acids Res.13:8765−8787(1985);Nakamaye & Eckstein(1986)「Inhibition of restriction endonuclease Nci I cleavage by phosphorothioate groups and its application to oligonucleotide directed mutagenesis」Nucl.Acids Res.14:9679−9698;Sayersら(1988)「Y−T Exonucleases in phosphorothioate−based oligonucleotide−directed mutagenesis」Nucl.Acids Res.16:791−802;およびSayersら(1988)「Strand specific cleavage of phosphorothioate−containing DNA by reaction with restriction endonucleases in the presence of ethidium bromide」Nucl.Acids Res.16:803−814);ギャップ化二本鎖DNAを使用する突然変異誘発(Kramerら(1984)「The gapped duplex DNA approach to oligonucleotide−directed mutation construction」Nucl.Acids Res.12:9441−9456;Kramer & Fritz(1987)Methods in Enzymol.「Oligonucleotide−directed construction of mutations via gapped duplex DNA」154:350−367;Kramerら(1988)「Improved enzymatic in vitro reactions in the gapped duplex DNA approach to oligonucleotide−directed construction of mutations」Nucl.Acids Res.16:7207;およびFritzら(1988)「Oligonucleotide−directed construction of mutations:a gapped duplex DNA procedure without enzymatic reactions in vitro」Nucl.Acids Res.16:6987−6999)が挙げられる。
【0062】
さらなる適した方法として、点ミスマッチ修復(Kramerら(1984)「Point Mismatch Repair」Cell 38:879−887)、修復欠損宿主株を使用する突然変異誘発(Carterら(1985)「Improved oligonucleotide site−directed mutagenesis using M13 vectors」Nucl.Acids Res.13:4431−4443;およびCarter(1987)「Improved oligonucleotide−directed mutagenesis using M13 vectors」Methods in Enzymol.154:382−403)、欠失突然変異誘発(Eghtedarzadeh & Henikoff(1986)「Use of oligonucleotides to generate large deletions」Nucl.Acids Res.14:5115)、制限−選択および制限−選択および制限−精製(Wellsら(1986)「Importance of hydrogen−bond formation in stabilizing the transition state of subtilisin」Phil.Trans.R.Soc.Lond.A317:415−423)、全遺伝子合成による突然変異誘発(Nambiarら(1984)「Total synthesis and cloning of a gene coding for the ribonuclease S protein」Science 223:1299−1301;SakamarおよびKhorana(1988)「Total synthesis and expression of a gene for the a−subunit of bovine rod outer segment guanine nucleotide−binding protein(transducin)」Nucl.Acids Res.14:6361−6372;Wellsら(1985)「Cassette mutagenesis:an efficient method for generation of multiple mutations at defined sites」Gene 34:315−323;およびGrundstromら(1985)「Oligonucleotide−directed mutagenesis by microscale ’shot−gun’ gene synthesis」Nucl.Acids Res.13:3305−3316)、二本鎖切断修復(Mandecki(1986);Arnold(1993)「Protein engineering for unusual environments」Current Opinion in Biotechnology 4:450−455.「Oligonucleotide−directed double−strand break repair in plasmids of Escherichia coli: a method for site−specific mutagenesis」Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:7177−7181)が挙げられる。上記方法の多くのさらなる詳細は、Methods in Enzymology Volume 154(種々の突然変異誘発法での問題を解決するための有用なコントロールもまた記載する)に見いだされ得る。
【0063】
種々の多様性生成法に関するさらなる詳細は、以下の米国特許、PCT公開広報、およびEPO公開広報に見いだされ得る:Stemmerに対する米国特許第5,605,793号(1997年2月25日)、「Methods for In Vitro Recombination」;Stemmerらに対する米国特許第5,811,238号(1998年9月22日)「Methods for Generating Polynucleotides having Desired Characteristics by Iterative Selection and Recombination」;Stemmerらに対する米国特許第5,830,721号(1998年11月3日)、DNA Mutagenesis by Random Fragmentation and Reassembly」;Stemmerらに対する米国特許第5,834,252号(1998年11月10日)「End−Complementary Polymerase Reaction」;Minshullらに対する米国特許第5,837,458号(1998年11月17日)、「Methods and Compositions for Cellular and Metabolic Engineering」;WO95/22625、StemmerおよびCrameri、「Mutagenesis by Random Fragmentation and Reassembly」;StemmerおよびLipschutzによるWO96/33207「End Complementary Polymerase Chain Reaction」;StemmerおよびCrameriによるWO97/20078「Methods for Generating Polynucleotides having Desired Characteristics by Iterative Selection and Recombination」;MinshullおよびStemmerによるWO97/35966、「Methods and Compositions for Cellular and Metabolic Engineering」;PunnonenらによるWO99/41402「Targeting of Genetic Vaccine Vectors」;PunnonenらによるWO99/41383「Antigen Library Immunization」;PunnonenらによるWO99/41369「Genetic Vaccine Vector Engineering」;PunnonenらによるWO99/41368「Optimization of Immunomodulatory Properties of Genetic Vaccines」;StemmerおよびCrameriによるEP752008、「DNA Mutagenesis by Random Fragmentation and Reassembly」;StemmerによるEP0932670、「Evolving Cellular DNA Uptake by Recursive Sequence Recombination」;StemmerらによるWO99/23107、「Modification of Virus Tropism and Host Range by Viral Genome Shuffling」;AptらによるWO99/21979、「Human Papillomavirus Vectors」;del CardayreらによるWO98/31837、「Evolution of Whole Cells and Organisms by Recursive Sequence Recombination」;PattenおよびStemmerによるWO98/27230、「Methods and Compositions for Polypeptide Engineering」;StemmerらによるWO98/13487、「Methods for Optimization of Gene Therapy by Recursive Sequence Shuffling and Selection」、WO00/00632、「Methods for Generating Highly Diverse Libraries」、WO00/09679、「Methods for Obtaining in Vitro Recombined Polynucleotide Sequence Banks and Resulting Sequences」、ArnoldらによるWO98/42832、「Recombination of Polynucleotide Sequences Using Random or Defined Primers」、ArnoldらによるWO99/29902、「Method for Creating Polynucleotide and Polypeptide Sequences」、VindによるWO98/41653、「An in Vitro Method for Construction of a DNA Library」、BorchertらによるWO98/41622、「Method for Constructing a Library Using DNA Shuffling」、およびPatiおよびZarlingによるWO98/42727、「Sequence Alterations using Homologous Recombination」、PattenらによるWO00/18906、「Shuffling of Codon−Altered Genes」;del CardayreらによるWO00/04190、「Evolution of Whole Cells and Organisms by Recursive Recombination」;CrameriらによるWO00/42561、「Oligonucleotide Mediated Nucleic Acid Recombination」;SelifonovおよびStemmerによるWO00/42559、「Methods of Populating Data Structures for Use in Evolutionary Simulations」;SelifonovらによるWO00/42560、「Methods for Making Character Strings,Polynucleotides & Polypeptides Having Desired Characteristics」;WelchらによるWO01/23401、「Use of Codon−Varied Oligonucleotide Synthesis for Synthetic Shuffling」;およびAffholterによるPCT/US01/06775「Single−Stranded Nucleic acid Template−Mediated Recombination and Nucleic acid Fragment Isolation」。
【0064】
特定の米国特許出願が、種々の多様性生成法に関するさらなる詳細を提供し、これには以下が挙げられる:Pattenらによる「SHUFFLING OF CODON ALTERED GENES」、1999年9月28日出願(USSN09/407,800);del Cardayreらによる「EVOLUTION OF WHOLE CELLS AND ORGANISMS BY RECURSIVE SEQUENCE RECOMBINATION」、1998年7月15日出願(USSN09/166,188)、および1999年7月15日出願(USSN09/354,922);Crameriらによる「OLIGONUCLEOTIDE MEDIATED NUCLEIC ACID RECOMBINATION」、1999年9月28日出願(USSN09/408,392)、およびCrameriら「OLIGONUCLEOTIDE MEDIATED NUCLEIC ACID RECOMBINATION」、2000年1月18日出願(PCT/US00/01203);Welchらによる「USE OF CODON−BASED OLIGONUCLEOTIDE SYNTHESIS FOR SYNTHETIC SHUFFLING」、1999年9月28日出願(USSN09/408,393);Selifonovらによる「METHODS FOR MAKING CHARACTER STRINGS, POLYNUCLEOTIDES & POLYPEPTIDES HAVING DESIRED CHARACTERISTICS」、2000年1月18日出願(PCT/US00/01202)、およびSelifonovらによる「METHODS FOR MAKING CHARACTER STRINGS,POLYNUCLEOTIDES & POLYPEPTIDES HAVING DESIRED CHARACTERISTICS」、2000年7月18日出願(USSN09/618,579);SelifonovおよびStemmerによる「METHODS OF POPULATING DATA STRUCTURES FOR USE IN EVOLUTIONARY SIMULATIONS」(PCT/US00/01138)、2000年1月18日出願;およびAffholterによる「SINGLE−STRANDED NUCLEIC ACID TEMPLATE−MEDIATED RECOMBINATION AND NUCLEIC ACID FRAGMENT ISOLATION」(USSN60/186,482、2000年3月2日出願)。
【0065】
簡単には、いくつかの異なる一般的なクラスの配列改変法(例えば、突然変異、組換えなど)が本発明に適用可能であり、例えば上記の参考文献中に示される。すなわち、成分核酸配列を変更して改変遺伝子融合構築物を生成することは、配列の共連結(cojoining)の前かまたは共連結工程後のいずれかに、任意の数の記載されるプロトコルにより行われ得る。以下は、本発明の文脈における多様性生成のための好適な方式(例えば、特定の組換えに基づく多様性生成方式を含む)の異なる型のいくつかを例示する。
【0066】
核酸は、上記の参考文献に考察される種々の技術(例えば、組換えられる核酸のDNAase消化、続く核酸のライゲーションおよび/またはPCR再アセンブリが挙げられる)のいずれかによりインビトロで組換えられ得る。例えば、セクシャルPCR突然変異誘発は、DNA分子の無作為(または擬似無作為、またはさらに非無作為の)フラグメント化に続いて、インビトロで、異なるが関連したDNA配列を有するDNA分子間の配列類似性に基づく組換え、続くポリメラーゼ連鎖反応法における伸長による交差の固定化において、使用され得る。このプロセスおよび多くのプロセス改変型が、上記の参考文献のいくつか、例えばStemmer(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747−10751に記載される。
【0067】
同様に、核酸は、例えば細胞中の核酸間で組換えを生じさせることにより、インビボで再帰に組換えられ得る。多くのそのようなインビボ組換え方式は、上記の参考文献中に記述される。そのような方式は、他の方式と同様に、必要に応じて、目的の核酸間の直接組換えを提供するか、または目的の核酸を含むベクター、ウイルス、プラスミドなどの間の組換えを提供する。そのような手順に関する詳細は、上記される参考文献中に見いだされる。
【0068】
全ゲノム組換え法もまた、細胞または他の生物の全ゲノムの組換えにおいて使用することができ、必要に応じて、所望のライブラリー成分(例えば、本発明の経路に対応する遺伝子)を持つゲノム組換え混合物のスパイキング(spiking)を含む。これらの方法は、標的遺伝子の正体が未知であるものを含む、多くの適用を有する。そのような方法の詳細は、例えば、del CardayreらによるWO98/31837、「Evolution of Whole Cells and Organisms by Recursive Sequence Recombination」に、そして、例えば、del CardayreらによるPCT/US99/15972、表題「Evolution of Whole Cells and Organisms by Recursive Sequence Recombination」にも見いだされる。したがって、組換え、再帰組換え、および全ゲノム組換えのためのこれらのプロセスおよび技術のいずれかが、単独または組み合わせて、本発明の改変核酸配列および/または改変遺伝子融合構築物を生成するために使用され得る。
【0069】
目的の標的に対応するオリゴヌクレオチドが、1つ以上の親核酸に対応するオリゴヌクレオチドを含むPCRまたはライゲーション反応物中で合成および再アセンブリされる合成的組換え法もまた、使用することができ、それにより新規組換え核酸を生成する。オリゴヌクレオチドは、標準ヌクレオチド付加法により作成され得るか、または、例えばトリヌクレオチド合成アプローチにより作成され得る。そのようなアプローチに関する詳細は、上記の参考文献中に見いだされ、例えば、CrameriらによるWO00/42561、「Oligonucleotide Mediated Nucleic Acid Recombination」;WelchらによるWO01/23401、「Use of Codon−Varied Oligonucleotide Synthesis for Synthetic Shuffling」;SelifonovらによるWO00/42560、「Methods for Making Character Strings, Polynucleotides and Polypeptides Having Desired Characteristics」;ならびにSelifonovおよびStemmerによるWO00/42559、「Methods of Populating Data Structures for Use in Evolutionary Simulations」が挙げられる。
【0070】
相同(またはさらに非相同)核酸に対応する配列文字列を組み換えるために、コンピュータ内で遺伝的アルゴリズムが使用されるインシリコ(in silico)組換え法がもたらされ得る。得られた組換え配列文字列は、例えば、オリゴヌクレオチド合成/遺伝子再アセンブリ技術と協調して、必要に応じて、組換え配列に対応する核酸の合成により、核酸へ変換される。このアプローチは、無作為、部分的無作為、または設計された改変体を生成し得る。対応する核酸(および/またはタンパク質)ならびに設計された核酸および/またはタンパク質の組合せ(例えば、交差部位選択に基づく)の生成と組み合わせた、コンピュータシステムにおける遺伝的アルゴリズム、遺伝的オペレータなどの使用を含む、インシリコ組換え、ならびに設計された擬似無作為または無作為組換え法に関する多くの詳細は、SelifonovらによるWO00/42560、「Methods for Making Character Strings,Polynucleotides and Polypeptides Having Desired Characteristics」ならびにSelifonovおよびStemmerによるWO00/42559、「Methods of Populating Data Structures for Use in Evolutionary Simulations」に記載される。インシリコ組換え法に関する広範な詳細がこれらの出願に見いだされる。この方法論は、一般に、種々の代謝経路(例えば、カロテノイド生合成経路、エクトイン生合成経路、ポリヒドロキシアルカノエート生合成経路、芳香族ポリケチド生合成経路など)に含まれるタンパク質をコードする核酸配列および/または遺伝子融合構築物のインシリコ組換え、および/または対応する核酸またはタンパク質の生成を提供する際に、本発明に適用可能である。
【0071】
例えば、多様な核酸または核酸フラグメントの一本鎖鋳型へのハイブリダイゼーション、続く重合および/またはライゲーションでの完全長配列の再生成、必要に応じてそれに続く鋳型の分解および得られた改変核酸の回収による、自然の多様性を利用する多くの方法が、同様に使用され得る。一本鎖鋳型を用いる1つの方法において、ゲノムライブラリー由来のフラグメント集団は、反対側の鎖に対応するssDNAまたはRNAの一部またはしばしばほぼ全長とアニーリングされる。次いで、この集団由来の複合キメラ遺伝子のアセンブリが、ハイブリッドしていないフラグメント末端のヌクレアーゼベースの除去、そのようなフラグメント間のギャップを埋めるための重合化、および続く一本鎖ライゲーションにより媒介される。親ポリヌクレオチド鎖は、消化(例えば、RNAまたはウラシル含有の場合)、変性条件下での磁選(magnetic separation)(そのような分離を助長する様式で標識されている場合)および他の利用可能な分離/精製法により除去され得る。あるいは、親鎖は、必要に応じて、キメラ鎖と同時精製(co−purified)され、続くスクリーニングおよびプロセシング工程の間に除去される。このアプローチに関するさらなる詳細は、例えば、Affholterによる「Single−Stranded Nucleic Acid Template−Mediated Recombination and Nucleic Acid Fragment Isolation」、PCT/US01/06775に見いだされる。
【0072】
別のアプローチにおいて、一本鎖分子は二本鎖DNA(dsDNA)に変換され、そしてこのdsDNA分子がリガンド媒介結合により固体支持体に結合される。未結合DNAの分離後、選択されたDNA分子は支持体から放出され、適切な宿主細胞中に導入されて、プローブとハイブリダイズする配列が豊富なライブラリーを生成する。この様式で生成されたライブラリーは、本明細書中に記載される手順のいずれかを使用して、さらなる多様化のために望ましい基質を提供する。
【0073】
任意の前述の一般的組換え方式が、組換え核酸のより多様なセットを生成するために、反復様式(例えば、突然変異/組換えまたは他の多様性生成法の1回以上のサイクル、必要に応じて、続く1以上の選択法)で実行され得る。
【0074】
ポリヌクレオチド鎖終結法を用いる突然変異誘発もまた提案されており(例えば、Shortに対する米国特許第5,965,408号、「Method of DNA reassembly by interrupting synthesis」および上記の参考文献を参照)、そして本発明に適用され得る。このアプローチにおいて、配列類似性の領域を共有する1以上の遺伝子に対応する二本鎖DNAが、遺伝子特異的プライマーの存在下または不在下で、組み合わされそして変性される。次いで、一本鎖ポリヌクレオチドがアニーリングされ、そしてポリメラーゼおよび鎖終結試薬(例えば、紫外線、ガンマ線、またはX線照射;臭化エチジウムまたは他のインターカレーター;一本鎖 結合タンパク質、転写活性化因子、またはヒストンのようなDNA結合タンパク質;多環式芳香族炭化水素;三価クロムまたは三価クロム塩;あるいは、急速熱サイクル(thermocycling)により媒介される省略された重合化など)の存在下インキュベートされて、部分的二重分子の生成をもたらす。例えば部分的に伸長した鎖を含有する部分的二重分子は、次いで、続く複数回の複製または部分的複製で、変性および再アニーリングされて、様々な程度の配列類似性を共有し、かつDNA分子の出発集団に関して多様化されたポリヌクレオチドをもたらす。必要に応じて、産物、または産物の部分的プールが、プロセスの1以上の段階で増幅され得る。上記のような鎖終結法により生成されるポリヌクレオチドは、任意の他の記載される組換え方式に適した基質である。
【0075】
多様性はまた、Ostermeierら(1999)「A combinatorial approach to hybrid enzymes independent of DNA homology」 Nature Biotech 17:1205に記載される「ハイブリッド酵素作成のための漸増性切断」(「ITCHY」)と呼ばれる組換え手順を使用して、核酸または核酸の集団において生成され得る。このアプローチは、改変体の開始ライブラリーを生成するために使用され得、これは、必要に応じて、1以上のインビトロ組換え法またはインビボ組換え法のための基質として役立ち得る。Ostermeierら(1999)「Combinatorial Protein Engineering by Incremental Truncation」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,96:3562−67;Ostermeierら(1999)「Incremental Truncation as a Strategy in the Engineering of Novel Biocatalysts」Biological and Medicinal Chemistry,7:2139−44、もまた参照のこと。
【0076】
個々のヌクレオチドまたは連続性もしくは非連続性のヌクレオチドの群の変更を生じる変異方法は、本発明の核酸配列および/または遺伝子融合構築物中にヌクレオチド多様性を導入するために好ましく使用され得る。多くの変異誘発法が、上記の参考文献中に見出され得る;変異誘発法に関するさらなる詳細は、以下に見出され得、これらもまた、本発明に適用され得る。
【0077】
例えば、誤りがちな(error−prone)PCRが、核酸改変体を生成するために使用され得る。この方法を使用して、DNAポリメラーゼのコピー忠実度が低い条件下でPCRを行い、その結果、PCR産物の全長に沿って、高い割合の点変異が得られる。そのような技術の例は、上記の参考文献に、および例えば、Leungら(1989)Technique 1:11−15およびCaldwellら(1992)PCR Methods Applic.2:28−33に見出される。同様に、アセンブリPCRが使用され、このプロセスは、小さいDNAフラグメントの混合物からのPCR産物のアセンブリ(組み立て)を包含する。1つの反応の産物が別の反応の産物をプライム(priming)しながら、多くの異なるPCR反応が、同じ反応混合物中で平行して生じ得る。
【0078】
オリゴヌクレオチド指向性変異誘発は、目的の核酸配列に部位特異的変異を導入するために使用され得る。そのような技術の例は、上記の参考文献に、および例えば、Reidhaar−Olsonら(1988)Science,241:53−57に見出される。同様に、カセット変異誘発が使用され、このプロセスは、二本鎖DNA分子の小さい領域を、ネイティブ配列とは異なる合成オリゴヌクレオチドカセットで置き換える。このオリゴヌクレオチドは、例えば、完全および/または部分的に無作為化されたネイティブ配列(単数または複数)を含み得る。
【0079】
反復アンサンブル(ensemble)変異誘発は、タンパク質変異誘発のためのアルゴリズムを使用して、表現型的に関連した変異体の多様な集団(そのメンバーはアミノ酸配列において異なる)を生成されるプロセスである。この方法は、連続的な複数回のコンビナトリアル(組み合わせ)カセット変異誘発をモニターするために、フィードバック機構を使用する。このアプローチの例は、Arkin & Youvan(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815に見出される。
【0080】
指数関数的アンサンブル変異誘発は、高い割合の独特かつ機能的な変異体を有するコンビナトリアルライブラリーを生成するために使用され得る。目的の配列中の残基の小さい群が、平行して無作為化され、各々の変更された位置で、機能的なタンパク質を導くアミノ酸を同定する。そのような手順の例は、Delegrave & Youvan(1993)Biotechnology Research 11:1548−1552に見出される。
【0081】
インビボ変異誘発は、例えば、1以上のDNA修復経路に変異を有するE.coli株において、任意の目的のクローニングされたDNAを増幅させることによって、そのDNAにおいてランダム変異を生成するために使用され得る。これらの「変異誘発」株は、野生型親株よりも高いランダム変異率を有する。これらの株の1つにそのDNAを増幅させる工程は、最終的にそのDNAにおいてランダム変異を生成する。そのような手順は、上記の参考文献に記載される。
【0082】
ゲノム(例えば、細菌、真菌、動物、または植物ゲノム)中に多様性を導入するための他の手順が、上記および/または参照される方法と組み合わせて使用され得る。例えば、上記の方法と組み合わせて、様々な種への形質転換に適切な核酸マルチマーを生成する方法が提案されている(例えば、Schellenberger 米国特許第5,756,316号および上記の参考文献を参照のこと)。互いに異なる遺伝子からなるこのようなマルチマー(例えば、天然の多様性に由来するか、または部位特異的変異誘発、誤りがちなPCR、変異原性細菌株を通じる継代などの適用を介する)での適切な宿主の形質転換は、例えば、上記のようなインビボ組換えプロセスによるDNA多様化のための、核酸多様性の供給源を提供する。
【0083】
あるいは、部分的な配列類似性の領域を共有する多くのモノマーポリヌクレオチドが、宿主種に形質転換され、その宿主細胞によってインビボで組換えられ得る。その後の複数回の細胞分裂が、ライブラリーを生成するために使用され得、そのメンバーは、モノマーポリヌクレオチドの単一の均一な集団またはプールを含む。あるいは、モノマー核酸は、標準的な技術(例えば、PCRおよび/またはクローニング)により回収され得、そして上記の任意の組換え形式(反復組換え形式を含む)で組換えられ得る。
【0084】
多種(multispecies)発現ライブラリーを生成するための方法が記載され(上記の参考文献に加えて、例えば、Petersonら(1998) 米国特許第5,783,431号「METHODS FOR GENERATING AND SCREENING NOVEL METABOLIC PATHWAYS」、およびThompsonら(1998)米国特許第5,824,485号「METHODS FOR GENERATING AND SCREENING NOVEL METABOLIC PATHWAYS」を参照)、そして目的のタンパク質活性を同定するためのそれらの使用が提案されている(上記の参考文献に加えて、Short(1999)の米国特許第5,958,672号「PROTEIN ACTIVITY SCREENING OF CLONES HAVING DNA FROM UNCULTIVATED MICROORGANISMS」を参照)。多種発現ライブラリーは、一般に、発現カセット中に、適切な調節配列に作動可能に連結された、複数の種または株由来のcDNAまたはゲノム配列を含む、ライブラリーを含む。cDNAおよび/またはゲノム配列は、必要に応じて、ランダムに連結されて、多様性がさらに増強される。ベクターは、2より多い宿主生物種(例えば、細菌種、真核生物細胞)における形質転換および発現に適切な、シャトルベクターであり得る。いくつかの場合において、ライブラリーは、目的のタンパク質をコードする配列または目的の核酸とハイブリダイズする配列を予め選択することによって、偏りを有する。任意のそのようなライブラリーが、本明細書中に記載される方法のいずれかのための基質として提供され得る。
【0085】
上述の手順は、主に核酸および/またはコードされたタンパク質の多様性を増加することを指向してきた。しかしながら、多くの場合において、全ての多様性が有用(例えば、機能的)であるわけではなく、数少ない好ましい改変体を同定するためにスクリーニングまたは選択されなければならない改変体のバックグラウンドを増加させるのに寄与するに過ぎない。いくつかの応用において、多様化の前に、例えば、組換えベースの変異誘発手順により、ライブラリー(例えば、増幅されたライブラリー、ゲノムライブラリー、cDNAライブラリー、規格化ライブラリーなど)または他の基質核酸を事前選択または事前スクリーニングすることか、あるいはそうでなければ機能性生成物をコードする核酸に対して基質を偏らせることが望ましい。例えば、抗体操作の場合、任意の記載される方法による操作の前にインビボ組換え事象を利用することにより、機能性抗原結合部位を有する抗体に対して多様性生成プロセスを偏らせることが可能である。例えば、B細胞cDNAライブラリー由来の組換えCDRは、増幅されて、そして本明細書中に記載される方法のいずれかに従って多様化される前に、フレームワーク領域中に組み込まれ得る(例えば、Jirholtら(1998)Exploiting sequence space:shuffling in vivo formed complementarity determining regions into a master framework」Gene 215:471)。
【0086】
ライブラリーは、所望の酵素活性を有するタンパク質をコードする核酸に対して偏り得る。例えば、特定の活性を示すクローンをライブラリーから同定した後、そのクローンは、DNA変更を導入するための任意の公知の方法を使用して変異誘発され得る。変異誘発された相同体を含むライブラリーは、次いで、所望の活性(これは最初に特定した活性と同じであっても異なってもよい)についてスクリーニングされる。そのような手順の例は、Short(1999)の米国特許第5,939,250号「PRODUCTION OF ENZYMES HAVING DESIRED ACTIVITIES BY MUTAGENESIS」に提案されている。所望の活性は、当該技術分野で公知の任意の方法により同定され得る。例えば、WO99/10539は、遺伝子ライブラリーからの抽出物を代謝的にリッチな細胞から得られる成分と組み合わせて、そして所望の活性を示す組合せを同定することにより、遺伝子ライブラリーがスクリーニングされ得ることを提案している。生理活性基質をライブラリーの試料中に挿入して、所望の活性の生成物に対応する生理活性蛍光を蛍光分析器(例えば、フローサイトメトリ装置、CCD、蛍光光度計、または分光光度計)を使用して検出することにより、所望の活性を有するクローンが同定され得るということもまた提案されている(例えば、WO98/58085)。
【0087】
ライブラリーはまた、例えば選択された核酸プローブに対するハイブリダイゼーションなど、特定の特徴を有する核酸に対して偏り得る。例えば、出願WO99/10539は、所望の活性(例えば、酵素活性、例えば:リパーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ、グリコシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ホスファターゼ、キナーゼ、オキシゲナーゼ、ペルオキシダーゼ、加水分解酵素、ヒドラターゼ、ニトリラーゼ、トランスアミナーゼ、アミダーゼ、またはアシラーゼ)をコードするポリヌクレオチドが以下の様式でゲノムDNA配列の中から同定され得ると提案する。ゲノムDNA集団からの一本鎖DNA分子が、リガンド結合プローブとハイブリダイズする。ゲノムDNAは、培養されたかまたは培養されていない微生物のいずれかに由来し得るか、または環境試料由来であり得る。あるいは、ゲノムDNAは、多細胞生物由来、またはそれら由来の組織由来であり得る。第二鎖合成は、捕捉培地からの前放出を伴ってかまたは伴わずに、あるいは当該技術分野で公知の広範な種々の他の戦略により、捕捉に使用されるハイブリダイゼーションプローブから直接実施され得る。あるいは、単離された一本鎖ゲノムDNA集団は、さらなるクローニングなしに断片化され得、直接、例えば上記のような一本鎖鋳型を用いる組換えベースアプローチに使用され得る。
【0088】
核酸およびポリペプチドを生成する「非確率的」方法が、Shortの「Non−Stochastic Generation of Genetic Vaccines and Enzymes」WO00/46344に主張されている。提案された非確率的ポリヌクレオチドの再アセンブリおよび部位飽和変異誘発法を含むこれらの方法も、同様に本発明に応用される。ドープ処理オリゴヌクレオチドまたは縮重オリゴヌクレオチドを使用する無作為または半無作為(semi−random)変異誘発もまた、例えば、ArkinおよびYouvan (1992)「Optimizing nucleotide mixtures to encode specific subsets of amino acids for semi−random mutagenesis」 Biotechnology 10:297−300;Reidhaar−Olsonら(1991)「Random mutagenesis of protein sequences using oligonucleotide cassettes」Methods Enzymol.208:564−86;LimおよびSauer(1991)「The role of internal packing interactions in determining the structure and stability of a protein」J.Mol.Biol.219:359−76; BreyerおよびSauer (1989)「Mutational analysis of the fine specificity of binding of monoclonal antibody 51F to lambda repressor」J.Biol.Chem.264:13355−60);および「Walk−Through Mutagenesis」(Crea,R;米国特許第5,830,650号および第5,798,208号、ならびに欧州特許第0527809B1号に記載される。
【0089】
多様化の前にライブラリーを富化するのに適した上記の技術のいずれも、多様性生成法により生成された生成物、または生成物のライブラリーをスクリーニングするためにも使用され得ることが容易に理解される。
【0090】
変異誘発のためのキット、ライブラリー構築物、および他の多様性生成法はまた、市販されている。例えば、キットは、例えば、Stratagene (例えば、QuickChangeTM部位特異的変異誘発キット;およびChameleonTM二本鎖部位特異的変異誘発キット)、Bio/Can Scientific、Bio−Rad (例えば、上記のKunkel法を使用する)、Boehringer Mannheim Corp.、Clonetech Laboratories、DNA Technologies、Epicentre Technologies(例えば、5プライム3プライムキット);Genpak Inc、Lemargo Inc、Life Technologies(Gibco BRL)、New England Biolabs、Pharmacia Biotech、Promega Corp.、Quantum Biotechnologies、Amersham International plc (例えば、上記のEckstein法を使用する)、およびAnglian Biotechnology Ltd(例えば、上記のCarter/Winter法を使用する)から利用可能である。
上記の参照は、組換え、再帰的組換え、再帰的変異、および変異誘発の他の型との組合せまたは組換えを含む多数の変異的方式、ならびにこれらの方式の多くの変形を提供する。使用される多様性生成方式に関係なく、本発明の核酸は再結合(互いに、または関連した(もしくは関連すらしていない)配列と)されて、本発明の遺伝子融合構築物および改変遺伝子融合構築物に使用するための組換え核酸の多様なセット(例えば、相同性の核酸、ならびに対応するポリペプチドのセットを含む)を生成し得る。
【0091】
改変核酸配列を生成するための多くの上述される方法論は、親配列(単数または複数)の多数の多様な改変体を生成する。本発明のいくつかの好適な実施形態において、改変方法(例えば、シャッフリングのいくつかの形態)は、改変体ライブラリーを生成するために使用され、次いでこのライブラリーは、いくつかの所望の機能属性をコードする改変核酸または改変核酸のプールについてスクリーニングされる。この所望の機能属性は、好ましくは、親配列によりコードされる酵素活性よりも何らかの点で優れている酵素活性である。スクリーニングされ得る酵素活性の例として、触媒速度(kcatおよびKMのような速度定数という形で慣習的に特性決定される)、基質特異性、および基質、生成物、または他の分子(例えばインヒビターまたは活性化因子)による活性化または阻害に対する感受性、が挙げられる。
【0092】
本発明の好適な実施形態のいくつかにおいて、改変核酸は、改変核酸の発現生成物が関与すると期待される代謝経路の機能をアッセイすることにより、スクリーニングおよび/または選択される。所定の核酸の特定の改変が遺伝子生成物の機能変更をもたらす場合、これはしばしば経路の出力に検出可能な変更をもたらす。例えば、代謝経路の律速または部分的律速工程を触媒する酵素ドメインの活性を増強する改変は、改変核酸を発現する細胞において生成物形成の速度を増加させる可能性が高い。したがって、増強された酵素活性をコードする改変核酸は、代謝経路の生成物を比較的高いレベルで生成する宿主細胞についてスクリーニングすることにより同定され得る。1つの非制限的な例は、宿主細胞をカロテノイド生成の増加についてアッセイすることによる、カロテノイド合成経路における酵素活性の増強についてのスクリーニングである。この例において、スクリーニングプロセスは、カロテノイドの発色特性(カロテノイドに伴う可視色の強度増加をアッセイすることにより、改善された改変核酸の検出を可能にする)により促進される。
【0093】
所望の酵素活性の選択の1つの例は、目的の酵素活性および/または代謝経路を十分に発現しない細胞の成長および/または生存を阻害する条件下で、宿主細胞を成長させることを必要とする。そのような選択を使用して、プロセスは所望の酵素活性をコードするものを除く全ての改変核酸を、考慮から排除し得る。例えば、本発明のいくつかの実施形態において、宿主細胞は目的の酵素および/または代謝経路の生産の十分なレベルを欠いている細胞の生存を阻害する条件下に維持される。それらの条件下では、十分なレベルの生成物の生成を触媒し得る酵素活性(単数または複数)をコードする改変核酸を保有する宿主細胞のみが生存し成長する。例えば、増強されたエクトイン合成活性についてのスクリーニングは、以下の実施例1に記載されるように高塩条件下で宿主を成長させることによりスクリーニングされ得る。
【0094】
利便性および高い処理能力のため、微生物、例えばE.coliのような細菌における所望の改変核酸についてスクリーニング/選択することがしばしば望ましい。一方で、植物細胞または植物におけるスクリーニングは、いくつかの場合において、最終的な目標が植物系における発現のための改変核酸を生成することである場合に好適であり得る。
【0095】
本発明のいくつかの好適な実施形態において、単独または遺伝子融合構築物の一部としてのいずれかで、異なる改変核酸を発現する宿主細胞のプールをスクリーニングすることにより、処理能力が増加する。顕著な活性を示す任意のプールが、望ましい活性を発現する単一のクローンを同定するために、逆重畳され(deconvolute)得る。
【0096】
当業者は、関連するアッセイ、スクリーニング、または選択法が、特定の酵素または代謝経路に依存して変化することを理解する。高処理能力方式で実行され得るアッセイを採用することが通常有利である。
【0097】
高処理能力アッセイにおいて、一日の間に数千もの異なる改変体をスクリーニングすることが可能である。例えば、マイクロタイタープレートの各ウェルが、別個のアッセイを実行するために使用され得るか、または濃度もしくはインキュベーション時間の効果を観察する場合、5〜10ウェルごとに単一の改変体を試験し得る。
【0098】
流体アプローチに加えて、上記のように、単純に、所望の酵素または代謝機能を選択する培地プレート上に細胞を成長させることが可能である。このアプローチは、簡潔かつ高処理能力のスクリーニング法を提供する。
【0099】
多数の周知のロボットシステムもまた、アッセイ系において有用な液相化学のために開発されてきた。これらのシステムは、Takeda Chemical Industries,LTD(Osaka、Japan)により開発された自動合成装置のような自動ワークステーション、および科学者により行われる手動合成操作をまねするロボットアームを利用する多くのロボットシステム(Zymate II, Zymark Corporation, Hopkinton, MA.; Orca, Hewlett−Packard, Palo Alto, CA)を含む。上記装置のいずれも本発明への適用に適している。集積システムに関してこれらの装置が本明細書中に考察されるように作動できるようにするための、それらの装置に対する変更の性質およびインプリメンテーションは(もしあれば)、関連分野の当業者に明らかである。
【0100】
ハイスループットスクリーニングシステムは、市販されている(例えば、Zymark Corp., Hopkinton, MA; Air Technical Industries, Mentor, OH; Beckman Instruments, Inc. Fullerton, CA; Precision Systems, Inc., Natick, MA、などを参照)。これらのシステムは、典型的には、全試料および試薬のピペット採取(pipetting)、液体分配、インキュベーションの時間調節、およびアッセイに適切な検出器(複数可)におけるマイクロプレートの最終読み込みを含む全手順を自動化する。これらの構造化可能なシステムは、高処理能力および急速な始動、ならびに高度の可撓性およびカスタマイゼーションを提供する。
【0101】
そのようなシステムの製造業者は、種々の高処理能力装置についての詳細なプロトコルを提供する。したがって、例えば、Zymark Corp.は、遺伝子転写、リガンド結合などの調節を検出するためのスクリーニングシステムを記述する技術告示を提供する。試薬操作に対する微流体(microfluidic)アプローチもまた、例えばCaliper Technologies (Mountain View,CA)により開発されている。
【0102】
カメラまたは他の記録装置(例えば、フォトダイオードおよびデータ記憶装置)により見られる(および、任意に記録される)光学画像は、必要に応じて、例えばコンピュータ上で画像をデジタル化し、かつ/または画像を記憶および解析することにより、本明細書中の任意の実施形態においてさらに処理される。様々な市販の周辺機器およびソフトウェアが、例えば、PC(インテルx86またはペンティアム(登録商標)チップ互換DOSTM、OSTM、WINDOWS(登録商標)TM、WINDOWS(登録商標) NTTMまたはWINDOWS(登録商標) 95TMベースの機種)、MACINTOSHTM、またはUNIX(登録商標)ベース(例えば、SUNTMワークステーション)のコンピュータを使用して、デジタル化、記憶、およびデジタル化ビデオまたはデジタル化光学画像の解析のために利用可能である。
【0103】
1つの従来のシステムは、アッセイ装置からの光を、冷却電荷結合素子(CCD)カメラ(当該技術分野で一般に使用される)に運ぶ。CCDカメラは、画像素子(ピクセル)のアレイを含む。試料からの光は、CCDで画像化される。標本(例えば、生物学的重合体のアレイ上の個々のハイブリダイゼーション部位)の領域に対応する特定のピクセルが、各位置についての光度数値を得るために採取される。複数のピクセルが、速度を増加させるために並行して処理される。本発明の装置および方法は、例えば蛍光または暗視野顕微鏡法により、任意の試料を観察するために容易に使用される。
【0104】
(酵素ドメインの標的活性化非機能融合)
本発明の方法において用いられる未改変核酸配列および改変核酸配列は、多数の様式で共連結し得る。例えば、配列は、いかなる介入配列もなく、互いに直接連結し得る(図1)。必要に応じて、第1の核酸配列の停止コドンが、インフレームで第2の核酸配列への付着前に除去される。そのような共連結した配列に基づいて合成されたペプチド配列は、互いに直接付着したタンパク質配列(またはその一部分)を含む(すなわち、第1の酵素ドメインのC末端アミノ酸が、続く酵素ドメインのN末端に接続していき、以下同様)。あるいは、核酸配列は、1つまたはそれより多いヌクレオチドリンカー配列を介して共連結し得る(図2)。
【0105】
必要に応じて存在するヌクレオチドリンカー配列は、好ましくは約3ヌクレオチド(すなわち、単一のアミノ酸リンカーをコードする)〜約300ヌクレオチド(すなわち、ほぼ100アミノ酸リンカーペプチドをコードする)の長範囲であるが、さらに長くあり得る。必要に応じて、ヌクレオチドリンカー配列は、約12個〜約150個のヌクレオチド、約12個〜約120個のヌクレオチド、または約12個〜約90個のヌクレオチドを含む。あるいは、ヌクレオチドリンカー配列は、約3個〜約150個のヌクレオチド、または約3個〜約30個のヌクレオチドを含む。ヌクレオチドリンカー配列は、翻訳前にハイブリッドタンパク質転写物から除去される、イントロン配列であり得る。あるいは、ヌクレオチドリンカー配列は、ハイブリッドタンパク質の一部として、酵素ドメインで翻訳されるペプチドをコードし得る。ヌクレオチドリンカー配列によりコードされたペプチドは、任意の所望の組成物の無作為アミノ酸配列であり得る。組成物の1つの例は、主にグリシンおよび/またはアラニンを含むペプチドリンカーである。別の組成物の選択肢は、ペプチドリンカーが翻訳中または翻訳後にハイブリッドタンパク質配列から自体を遊離させ得るような、インテイン(intein)構造を有するペプチドリンカーである。好ましくは、ペプチドリンカーをコードするヌクレオチドリンカー配列がハイブリッドタンパク質の一部として翻訳される場合、リンカー配列の長さは、ヌクレオチドリンカー配列の後にコードされる酵素ドメインの翻訳がリーディングフレーム外へシフトしないように、3ヌクレオチドずつ増加する。
【0106】
リンカー配列はまた、切断可能部位(例えばヌクレオチドリンカー配列における制限部位、または例えばペプチドリンカーのアミノ酸配列におけるプロテアーゼ感受性部位など)を含むように操作され得る。
【0107】
本発明の遺伝子融合構築物中への1つまたはそれ以上のヌクレオチドリンカー配列の組み込みは、遺伝子融合構築物および得られるハイブリッドタンパク質生成物のさらなる操作および制御を提供する。例えば、ヌクレオチドリンカー配列は、ハイブリッドタンパク質の標的化活性化を提供するように選択され得る。そのような標的活性化ハイブリッドタンパク質の例において、1つまたはそれ以上の酵素ドメインは、ペプチドリンカー領域が改変される(例えば、切断または除去される)まで、活性化されない。代替的な例において、ヌクレオチドリンカー配列は、例えば触媒性RNA分子を介しての切断により、ヌクレオチドリンカー配列が変更されない限り、遺伝子融合構築物の転写または翻訳に影響を与え得るかまたは阻害し得る。
【0108】
(改変遺伝子融合構築物を生産する方法)
本発明は、改変遺伝子融合構築物を生産する方法を提供する。これらの方法は、2つまたはそれ以上の酵素ドメインをコードする2つまたはそれ以上の核酸配列を共連結させる工程を含み、ここで少なくとも1つの核酸配列が、最初に決定された配列と比較して改変されている(図1)。核酸配列は、任意の下流コード配列のリーディングフレームが維持されるような様式で、共連結されるべきである。さらに、設計は、コード転写物の翻訳が停止コドンにより未熟状態で分断されないようにするべきである。これは、構築物のコード配列からすべての内部停止コドンを除去することにより簡便に達成される。
【0109】
核酸配列は、上記のように、種々の形態のデオキシリボ核酸またはリボ核酸であり得る。さらに、核酸配列は、必要に応じて、個々の核酸配列、または配列のライブラリーを含み得る。少なくとも1つの核酸配列に対する改変は、2つまたはそれ以上の配列を一緒に共連結させる前に行われ得るか、または配列が共連結した後に達成され得る。そのような改変としては、核酸配列の一部分の変異またはシャッフリングが挙げられるが、それらに限定されない。
【0110】
本発明の遺伝子融合構築物は、必要に応じて、分泌/局在化配列(例えば、シグナル配列、細胞小器官標的化配列、膜局在化配列など)および/または精製を促進する配列(例えば、エピトープタグ(FLAGエピトープ)、ポリヒスチジンタグ、GST融合物)をコードするように操作され得る。発現生成物は、必要に応じて、1つまたはそれ以上の修飾アミノ酸(例えば、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、カルボキシル化アミノ酸、リン酸化アミノ酸、アシル化アミノ酸など)を含む。
【0111】
改変遺伝子構築物を生産するための方法はさらに、改変遺伝子融合構築物を真核生物系中に導入する工程を含み得る。真核生物系は、哺乳動物系(例えば、マウス、齧歯類、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、霊長類、またはヒト系)を含む多数の生態系のいずれかであり得る。あるいは、真核生物系は、鳥類、両生類、爬虫類、または魚類系であり得る。好ましくは、真核生物系は植物系である。遺伝子発現方法論のさらなる記載は、「遺伝子融合構築物の発現」と題される節において、以下に提供される。
【0112】
真核生物系が植物系である本発明の実施形態において、改変遺伝子構築物は、植物由来である核酸配列、または植物由来ではない核酸配列(例えば、細菌由来)、または植物および非植物由来配列のいくつかの組合せを含み得る。例えば、本発明のいくつかの好適な実施形態は、細菌または古細菌のような非植物微生物由来である1つまたはそれ以上の核酸配列を含む改変遺伝子構築物の導入を含む。このアプローチの潜在的に強力な適用は、植物に通常存在しない代謝経路の植物中への導入を含む。以下により詳細に記載される例は、得られる植物のストレス耐性を増加させるための、好塩細菌から植物へのエクトイン合成経路導入である。
【0113】
本発明の改変遺伝子構築物は、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の酵素ドメインを含み得、ここで1つまたはそれ以上の酵素ドメインが本明細書中に記載されるように改変される。
【0114】
本発明の好適な実施形態において、改変遺伝子構築物の核酸要素の改変は、相同な親配列(オルソログまたはパラログ)のシャッフリングにより達成される。親配列は、植物または非植物由来であり得る。本発明は、植物および非植物由来配列のシャッフリング(例えば、植物および細菌からの相同配列のシャッフリング)に由来する改変核酸を含む。本発明のいくつかの局面において、相同性の低い配列、または識別可能な相同性のない配列さえも、改変遺伝子構築物の調製に有用な核酸に到着するためにシャッフリングされ得る。
【0115】
目的の任意の数の代謝経路から酵素ドメインをコードする核酸配列が、本発明の方法により生産される改変遺伝子融合構築物中に組み込まれ得る。さらに、新規代謝経路が、酵素ドメインの融合により作製され得、これは、段階的な様式で、所望の最終生成物を生成するための一連の関連した基質/中間体を使用し得る。
【0116】
改変遺伝子融合構築物を生産するための方法の1つの実施形態において、2つまたはそれ以上の核酸配列によりコードされた酵素ドメインは、酵素、フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、および/またはβ−シクラーゼに由来する。本発明の代替的な実施形態において、2つまたはそれ以上の核酸配列によりコードされる酵素ドメインは、酵素、ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼに由来する。本発明の別の実施形態において、2つまたはそれ以上の核酸配列によりコードされる酵素ドメインは、酵素、β−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼに由来する。本発明のさらなる実施形態において、2つまたはそれ以上の核酸配列は、以下のクラスの酵素に由来する:ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼ。
【0117】
(遺伝子融合構築物を生産する方法)
本発明はまた、共通の代謝経路に関与する少なくとも2つの酵素ドメインをコードする2つまたはそれ以上の核酸配列を共連結することにより、遺伝子融合構築物を生産する方法を提供する。本発明のいくつかの好適な実施形態において、少なくとも2つの酵素ドメインをコードする3つまたはそれ以上の核酸配列が共連結されて、遺伝子融合構築物を生産する。本発明における使用が意図される特定の代謝経路としては、カロテノイド生合成、エクトイン生合成、ポリヒドロキシアルカノエート生合成、および芳香族ポリケチド生合成が挙げられる。これらの経路およびそれらの構成要素酵素ドメインは、以下により詳細に記述される。すでに記載された方法における目的の核酸配列が採用され得るが、本発明のこの実施形態において、遺伝子融合構築物中に組み込まれる任意の核酸配列の改変は任意である。(図3)。さらに、類似したヌクレオチドリンカー配列および転写調節要素が使用され得る。遺伝子融合構築物を生産するための方法はさらに、上記のような真核生物系、例えば植物系中に、改変遺伝子融合構築物を導入する工程を含み得る。
【0118】
さらに、本発明は、それぞれが少なくとも1つの酵素ドメインをコードする2つまたはそれ以上の核酸配列を共連結することによる遺伝子融合構築物の生産方法を提供し、ここで1つまたはそれ以上の酵素ドメインは植物酵素または植物系由来である。植物系に由来する例示的生合成経路は、カロテノイド生合成に関与する酵素を含むが、それに限定されない。植物由来の酵素ドメインをコードする核酸配列は、直接共連結し得るか、またはそれらはヌクレオチドリンカー配列を介して連結し得、そしてまた、上記に記載されるように、調節配列を含み得る。さらに、核酸配列、ヌクレオチドリンカー配列、または両方が、すでに記載されているように、必要に応じて改変され、このようにして、改変遺伝子融合構築物を形成する。この方法は、必要に応じてさらに、生物、例えば原核生物系または真核生物系中に、遺伝子融合構築物(または改変遺伝子融合構築物)を導入する工程を含む。原核生物系および真核生物系の例は、「遺伝子融合構築物の発現」と題される節に記載される。
【0119】
本発明はさらに、それぞれが少なくとも1つの酵素ドメインをコードする2つまたはそれ以上の核酸配列を含む遺伝子融合構築物の生産を提供し、ここで少なくとも1つの酵素ドメインが非植物種に由来し、そしてこの構築物を植物中に導入する。これは、異種代謝経路、例えば通常微生物に見いだされる経路を、植物中に導入するために有用であり得る。あるいは、本発明のこの局面は、対応する内因性経路と異なって機能する経路を導入するために使用され得、例えば好熱性生物からの酵素活性を植物中へ導入することにより、高温で活性化される代謝経路を生産することが可能になる。いくつかの場合において、非植物核酸配列によりコードされる酵素ドメインが植物環境中の活性化により良く適するように、非植物核酸配列を改変することが望ましい。非制限的な例は、植物系における最適な活性のために細菌酵素活性のpH依存性を改変することである。
【0120】
(複数の酵素活性を発現する方法)
本発明はまた、生体系、例えば真核生物または原核生物において複数の酵素活性を発現するための方法を提供する。この方法は、少なくとも3つの酵素ドメインを有する単一のポリペプチドをコードする遺伝子融合構築物を提供する工程、および遺伝子融合構築物を生体系中へ導入する工程を含む。遺伝子融合構築物は、少なくとも3つの酵素ドメインをコードする少なくとも3つの核酸配列を有する共連結した核酸配列を含む。あるいは、遺伝子融合構築物は植物由来の酵素ドメインをコードする2つまたはそれ以上の核酸配列を含む。
【0121】
任意の数の目的の代謝経路からの酵素ドメインをコードする核酸配列は、本発明の方法により生産される遺伝子融合構築物中に組み込まれ得る。さらに、新規代謝経路が、酵素ドメインの融合により作成され得、これは、段階的な様式で、所望の最終生成物を生成するために一連の関連した基質/中間体を使用し得る。酵素ドメインは、様々な供給源、および生化学または代謝経路の範囲からの由来であり得る。任意に、核酸配列は同じ代謝経路に関与するタンパク質をコードする。本発明の1つの実施形態において、3つまたはそれ以上の核酸配列によりコードされる酵素ドメインは、酵素、フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、および/またはβ−シクラーゼに由来する。本発明の代替的な実施形態において、3つまたはそれ以上の核酸配列によりコードされる酵素ドメインは、酵素、ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼに由来する。本発明の別の実施形態において、3つまたはそれ以上の核酸配列によりコードされる酵素ドメインは、酵素、β−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼに由来する。本発明のさらなる実施形態において、3つまたはそれ以上の核酸配列は、以下のクラスの酵素に由来する:ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼ。
【0122】
上記のように、本発明の方法に用いられる核酸配列は、種々の形態のデオキシリボ核酸(例えば、ゲノムDNA、cDNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えDNA、シャッフリングしたDNA、改変DNA、またはDNAアナログ)またはリボ核酸(ゲノムRNA、メッセンジャーRNA、触媒RNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えRNA、シャッフリングしたRNA、改変RNA、またはRNAアナログを含むが、これらに限定されない)であり得る。酵素ドメインをコードする核酸配列は、互いに直接連結することができるか、またはそれらは、1つまたはそれ以上の、約3〜約300ヌクレオチド長の範囲のヌクレオチドリンカー配列を介して連結することができる。ヌクレオチドリンカー配列が、翻訳前に核酸転写物から切除されない場合、リンカー領域を過ぎて転写される酵素ドメインの翻訳が、リーディングフレーム外へシフトしないように、リンカーを構成するヌクレオチドの数は3つずつの集合または増加単位で表されることが好ましい。任意に、1つまたはそれ以上の核酸配列および/または1つまたはそれ以上のリンカー配列が、突然変異またはシャッフリングされ得る(配列の共連結の前または後のいずれかで)。
【0123】
本発明の方法はさらに、以下に記載されるように、生体系において遺伝子融合構築物を発現する工程を含み得る。さらに、本発明は、本発明の方法により調製されるように、遺伝子融合構築物、およびトランスジェニック植物系のようなトランスジェニック系を提供する。
【0124】
(遺伝子融合構築物の発現)
本発明の方法の実行は、上記の遺伝子融合構築物の構築、およびいくつかの態様において、トランスフェクトされた宿主細胞における組換え核酸の発現を含む。
【0125】
宿主細胞は、真核生物系、例えば、真核生物細胞、植物細胞、動物細胞、プロトプラスト、または組織培養物を包含し得る。宿主細胞は、任意に、複数の細胞、例えば生物体を包含する。あるいは、宿主細胞は、原核生物系を包含し得、細菌(すなわち、グラム陽性菌、紅色細菌、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌、シアノバクテリア、スピロヘータ、サーマトガレ(thermatogales)、フラボバクテリア、およびバクテロイド)および古細菌(すなわち、コル古細菌門(Korarchaeota)、テルモプロテウス(Thermoproteus)、ピロディクティウム(Pyrodictium)、テルモコックス目(Thermococcales)、メタン生成古細菌、アルカエグロブス(Archaeoglobus)、および高度好塩菌)を含むが、これらに限定されない。好ましくは、原核生物は、1つまたはそれ以上の農業、環境、工業、薬学、または臨床目的の細菌種を包含し、これらは、大腸菌、種々のストレプトマイセス属(Streptomyces)種、および種々のバシラス属(Bacillus)種を含むがこれらに限定されない。
【0126】
所望の系中への遺伝子融合構築物の導入は、例えば、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、微粒子銃、ポリエチレングリコール媒介形質転換、またはアグロバクテリウム属媒介形質転換のような技法により達成され得る。遺伝子融合構築物(または改変遺伝子融合構築物)は、任意に、所望の系中へ遺伝子融合構築物を導入する前にスクリーニングされ得る。融合構築物のライブラリーを採用する実施形態において、構築物は、任意に、所望の系中へ構築物のライブラリーを導入する前にスクリーニングされ得る。
【0127】
本発明の方法の特定の実施形態において、上記の遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物は、植物系中に導入され、それによりトランスジェニック植物を提供する。植物細胞に核酸を形質導入する方法が、一般に利用可能である。Berger,AusubelおよびSambrookに加えて、植物細胞クローニング、培養、および再生のための有用な一般的参照として、Payneら、(1992)Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems(John Wiley & Sons,Inc.New York,NY)およびGamborgおよびPhillips編(1995)Plant Cell,Tissue and Organ Culture:Fundamental Methods(Springer Lab Manual,Springer−Verlag,Berlin)が挙げられる。細胞培地は、例えば、AtlasおよびParks編(1993)The Handbook of Microbiological Media(CRC Press,Boca Raton,FL)に記載される。さらなる情報が、Sigma−Aldrich,Inc.の「生命科学研究細胞培養(Life Science Research Cell Culture)」カタログ(1998)(St Louis,MO,「Sigma−LSRCCC」)、および例えば、同じくSigma−Aldrichの「植物培養カタログ(Plant Culture Catalogue)」(「Sigma−PCCS」)および付録(1997)のような商業用文献に見られる。
【0128】
本発明の遺伝子融合構築物および改変遺伝子融合構築物は、様々な従来技法により、所望の植物宿主のゲノム中へ導入され得る。広範な高等植物種を形質転換するための方法は、周知であり、技術書および科学書に記載される。例えば、Payne,Gamborg,Atlas,Sigma−LSRCCCおよびSigma−PCCS(全て上述)、ならびに例えば、Weisingら、(1988)Ann.Rev.Genet.22:421−477を参照。
【0129】
例えば、核酸は、植物細胞プロトプラストのエレクトロポレーションおよびマイクロインジェクションのような技術を使用して、植物細胞のゲノムDNA中へ直接導入され得るか、または遺伝子融合構築物は、DNA微粒子銃のような弾道的方法を使用して、植物組織に導入され得る。あるいは、遺伝子融合構築物は、適切なT−DNA隣接領域と合わせられて、従来のアグロバクテリウム チュメファシエンス宿主ベクター中に導入され得る。アグロバクテリウム宿主の病原性機能は、細胞が細菌により感染したときに、構築物および隣接するマーカーの植物細胞DNA中への挿入を指向する。
【0130】
マイクロインジェクション法は、当該技術分野で既知であり、科学書および特許文献で十分に記載されている。ポリエチレングリコール沈殿を使用するDNA構築物の導入は、Paszkowskiら、(1984)EMBO J.3:2717−2722に記載される。エレクトロポレーション技術は、Frommら、(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5824に記載される。弾道的形質転換法は、Kleinら、(1987)Nature 327:70−73;およびWeeksら、(1993)Plant Physiol.102:1077−1084に記載される。
【0131】
1つの実施形態において、アグロバクテリウム媒介形質転換法は、シャッフリングされたコード配列をトランスジェニック植物へ転移させるために使用される。アグロバクテリウム媒介形質転換は、主として双子葉類において有用であるが、特定の単子葉類が、アグロバクテリウムにより形質転換され得る。例えば、コメのアグロバクテリウム形質転換が、Hieiら、(1994)Plant J.6:271−282;米国特許第5,187,073号;米国特許第5,591,616号;Liら、(1991)Science in China 34:54;およびRaineriら、(1990)Bio/Technology 8:33に記載される。さらに、Xuら、(1990)Chinese J.Bot.2:81は、アグロバクテリウム感染により、トウモロコシ、オオムギ、ライコムギ、およびアスパラガスを形質転換した。
【0132】
この技法において、A.チュメファシエンスの腫瘍誘導(Ti)プラスミドの植物細胞ゲノム中に組み込む能力が、目的の核酸を本発明の組換え植物細胞中へ同時移入させるために有利に使用される。典型的には、発現ベクターが生成され、ここで目的の遺伝子融合構築物(または改変遺伝子融合構築物)が自己複製プラスミド(これもまたT−DNA配列を含む)中に連結される。T−DNA配列は、典型的には、遺伝子融合構築物に隣接し、プラスミドの組み込み配列を含む。遺伝子融合構築物に加えて、T−DNAはまた、典型的には、マーカー配列、例えば、抗生物質耐性遺伝子も含む。次いで、T−DNAを持つプラスミドおよび遺伝子融合構築物は、アグロバクテリウム チュメファシエンス中にトランスフェクトされる。植物細胞の効果的な形質転換のため、A.チュメファシエンス細菌はまた、自然のTiプラスミドに必須vir領域も含む。
【0133】
代替的な形質転換法において、T−DNA配列ならびにvir配列の両方が同じプラスミド上にある。A.チュメファシエンス遺伝子形質転換の論考について、例えば、Firoozabady & Kuehnle in the 1995 Springer Lab Manual on plant cell,tissue and organ culture(上記)を参照。
【0134】
様々な植物型からの形質転換可能なプロトプラストの確立および続く培養プロトプラストの形質転換についての多数のプロトコルが当該技術分野で利用可能であり、本明細書中に参照により援用される。例えば、Hashimotoら、(1990)Plant Physiol 93:857;FowkeおよびConstabel(編)(1994)Plant Protoplasts;Saundersら、(1993)Applications of Plant In Vitro Technology Symposium,UPM 16−18;およびLyznikら、(1991)BioTechniques 10:295を参照(これらのそれぞれが本明細書中に参考により援用される)。
【0135】
本発明の1つの実施形態において、植物宿主の形質転換は、所望の植物の組織、例えば葉から調製した外植片を使用して達成される。外植片は、約0.8×109〜約1.0×109細胞/mLのA.チュメファシエンス溶液中、適した時間の間、通常は数秒間インキュベートされる。次いで、外植片は適した培地上でほぼ2〜3日間培養される。
【0136】
上記の形質転換法のいずれかにより得られた形質転換された植物細胞は、培養され、形質転換された遺伝子型、したがって所望の表現型を保有する植物全体を再生させ得る。そのような再生技術は、典型的には所望のヌクレオチド配列とともに導入された殺生剤および/または除草剤マーカーに依存して、組織培養成長培地中で、特定の植物ホルモンの操作を介して行われる。培養プロトプラストからの植物再生は、Evansら、(1983)Protoplasts Isolation and Culture,Handbook of Plant Cell Culture,pp.124−176(Macmillian Publishing Company,New York);およびBinding(1985)Regeneration of Plants,Plant Protoplasts,pp.21−73(CRC Press,Boca Raton,FL)に記載される。再生はまた、植物カルス、外植片、器官、またはそれらの一部から得られ、かつ/またはそれらを使用して行われ得る。そのような再生技術は、一般に、Kleeら、(1987)Ann.Rev.of Plant Phys.38:467−486に記載される。Payne,Gamborg,Atlas,Sigma−LSRCCC and Sigma−PCCSもまた参照(全て上述)。
【0137】
アグロバクテリウムでの形質転換後、外植片は選択培地へ移される。当業者は、選択培地の選択が、どの選択マーカーが外植片中に同時トランスフェクトされたかに依存することを理解するだろう。適切な長さの時間後、形質転換体はシュートを形成し始める。シュートが約1〜2cmの長さになった後、シュートは適した根およびシュート培地へ移され得る。いったん根およびシュート培地中に置かれると、淘汰圧は維持されなければならない。
【0138】
形質転換体は、1〜約2週間で根を発達させ、小植物を形成する。小植物が約3〜約5cmの高さになった後、それらは繊維ポット中の無菌土壌に置かれ得る。当業者は、異なる種の形質転換植物を得るために異なる順化手順が使用されなければならないことを理解するだろう。好適な実施形態において、切断物、ならびに形質転換植物の不定胚が、根およびシュートの発達後、小植物確立のための培地へ移される。形質転換植物の選択および再生の記載について、Dodds & Roberts(1995)Experiments in Plant Tissue Culture,第3版(Cambridge University Press,Cambridge,UK)を参照。
【0139】
葉緑体は多くの活性の作用部位であり、いくつかの場合において、遺伝子融合構築物は、葉緑体輸送配列ペプチドと融合して遺伝子生成物の葉緑体中への転位を促進し得る。これらの場合において、遺伝子融合構築物を植物宿主細胞の葉緑体中へ形質転換することが有利であり得る。葉緑体形質転換および発現を達成するために、多数の方法が当該技術分野で利用可能である(例えば、Daniellら、(1998)Nature Biotechnology 16:346;O’Neillら、(1993)The Plant Journal 3:729;Maliga(1993)TIBTECH 11:1を参照)。発現構築物は、通常、遺伝子融合構築物に操作可能に連結した植物中の機能的な転写調節配列を含む。葉緑体で機能するように設計されている発現カセットは、葉緑体における発現を保証するために必要な配列を含む。典型的には、コード配列は、葉緑体ゲノムでの相同組換えに影響を与えるために、葉緑体ゲノムと相同の2つの領域により隣接される;しばしば、選択可能なマーカー遺伝子もまた、隣接する色素体DNA配列内に存在して、得られるトランスプラストニック(transplastonic)植物細胞において遺伝的に安定な形質転換葉緑体の選択を促進させる(例えば、Maliga(1993)およびDaniell(1998)、および本明細書中に記載される参照を参照)。
【0140】
本発明のトランスジェニック植物は、遺伝子型的または表現型的のいずれかで特徴づけられて、シャッフリングされた遺伝子の存在を決定し得る。遺伝子型分析は、特定の遺伝物質の存在または不在の決定である。表現型分析は、表現型形質の存在または不在の決定である。表現型形質は、環境因子に呼応して植物の遺伝物質により決定される、植物の物理的特徴である。遺伝子融合構築物(または、改変遺伝子融合構築物)の存在は、例えば、トランスジェニック植物のゲノムDNAのPCR増幅およびゲノムDNAの特定標識プローブとのハイブリダイゼーションにより、最適化シャッフリングされた核酸の同定に関する先のセクションに記載されたように検出され得る。遺伝子融合構築物によりコードされる生成物が選択ストレスに対抗するのを助けるような選択プロセスへの曝露における植物の生存もまた、遺伝子融合構築物の植物中への組み込みをモニタリングするために使用され得る。
【0141】
本質的に、任意の植物が本発明の遺伝子融合構築物で形質転換され得る。本発明の新規核酸の形質転換および発現に適した植物として、農業経済学的(agronomically)および園芸学的(horticulturally)に重要な種が挙げられる。そのような種として、イネ科(コーン、ライムギ、ライコムギ、オオムギ、ミレット、コメ、コムギ、カラスムギなどを含む);マメ科(エンドウマメ、マメ、レンズマメ、ピーナッツ、クズイモ、ササゲ、ハッショウマメ、ダイズ、クローバー、アルファルファ、ルピナス、ベッチ、ミヤコグサ、スイートクローバー、フジ、およびスイートピーを含む);キク科(少なくとも1,000属を含む維管束植物の最大の科で、ヒマワリのような重要な商品作物を含む)およびバラ科(Rosaciae)(ラズベリー、アンズ、アーモンド、モモ、バラなどを含む)、ならびにナッツ植物(クルミ、ペカン、ヘーゼルナッツなどを含む)、および森林樹(マツ属,カシ属,トガサワラ属,セコイア属,ヤマナラシ属などを含む)が挙げられるが、これらの科の成員に制限されない。
【0142】
さらに、本発明の核酸、ならびに上記のものによる改変の好適な標的として、以下の属の植物が挙げられる:コヌカグサ属(Agrostis)、ネギ属(Allium)、キンギョソウ属(Antirrhinum)、アピウム属(Apium)、アラビドプシス属(Arabidopsis)、ラッカセイ属(Arachis)、アスパラガス属(Asparagus)、アトロパ属(Atropa)、カラスムギ属(Avena)(例えばカラスムギ)、ホウライチク属(Bambusa)、アブラナ属(Brassica)、ブロムス属(Bromus)、ブロウワリア属(Browaalia)、ツバキ属(Camellia)、アサ属(Cannabis)、トウガラシ属(Capsicum)、ヒヨコマメ属(Cicer)、アカザ属(Chenopodium)、チコリウム属(Chichorium)、ミカン属(Citrus)、コーヒーノキ属(Coffea)、ジュズダマ属(Coix)、キュウリ属(Cucumis)、カボチャ属(Curcubita)、ギョウギシバ属(Cynodon)、カモガヤ属(Dactylis)、チョウセンアサガオ属(Datura)、ダウクス属(Daucus)、キツネノテブクロ属(Digitalis)、ヤマノイモ属(Dioscorea)、アブラヤシ属(Elaeis)、オヒシバ属(Eleusine)、ウシノケグサ属(Festuca)、オランダイチゴ属(Fragaria)、フウロソウ属(Geranium)、ダイズ属(Glycine)、ヒマワリ属(Helianthus)、キスゲ属(Heterocallis)、パラゴム属(Hevea)、オオムギ属(Hordeum)(例えばオオムギ)、ヒヨス属(Hyoscyamus)、サツマイモ属(Ipomoea)、ラクツカ属(Lactuca)、レンズ属(Lens)、ユリ属(Lilium)、アマ属(Linum)、ドクムギ属(Lolium)、ミヤコグサ属(Lotus)、トマト属(Lycopersicon)、ハナハッカ属(Majorana)、リンゴ属(Malus)、マンゴー属(Mangifera)、イモノキ属(Manihot)、ウマゴヤシ属(Medicago)、ネメシア属(Nemesia)、タバコ属(Nicotiana)、オノブリキス属(Onobrychis)、イネ属(Oryza)(例えばコメ)、キビ属(Panicum)、テンジクアオイ属(Pelargonium)、チカラシバ属(Pennisetum)(例えばミレット)、ペチュニア属(Petunia)、エンドウ属(Pisum)、インゲン属(Phaseolus)、アワガエリ属(Phleum)、イチゴツナギ属(Poa)、サクラ属(Prunus)、キンポウゲ属(Ranunculus)、ダイコン属(Raphanus)、スグリ属(Ribes)、ヒマ属(Ricinus)、キイチゴ属(Rubus)、サトウキビ属(Saccharum)、サルメンバナ属(Salpiglossis)、ライムギ属(Secale)(例えばライムギ)、セネシオ属(Senecio)、エノコログサ属(Setaria)、シナピス属(Sinapis)、ナス属(Solanum)、モロコシ属(Sorghum)、イヌシバ属(Stenotaphrum)、カカオ属(Theobroma)、シャジクソウ属(Trifolium)、トリゴネラ属(Trigonella)、コムギ属(Triticum)(例えばコムギ)、ソラマメ属(Vicia)、ササゲ属(Vigna)、ブドウ属(Vitis)、トウモロコシ属(Zea)(例えばコーン)、ならびにオリレアエ(Olyreae)、ファロイデアエ(Pharoideae)およびその他多数。記述されるように、イネ科の植物が、本発明の方法にとって特に好適な標的植物である。
【0143】
本発明の標的である一般的な作物として、コーン、コメ、ライコムギ、ライムギ、ワタ、ダイズ、モロコシ、コムギ、カラスムギ、オオムギ、ミレット、ヒマワリ、アブラナ、エンドウマメ、マメ、レンズマメ、ピーナッツ、クズイモ、ササゲ、ハッショウマメ、クローバー、アルファルファ、ルピナス、ベッチ、ミヤコグサ、スイートクローバー、フジ、スイートピー、トマト、バナナ、およびナッツ植物(例えばクルミ、ペカンなど)が挙げられる。
【0144】
植物に加えて、他の真核生物(真菌、鞭毛虫および繊毛虫(cilliates)、微胞子虫、ならびに動物さえも(すなわち、種々の魚類、鳥類、爬虫類、およびほ乳類)など)が、本発明の遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物で形質転換され得る。全体に記述される参照に加えて、当業者は、Freshney(1994)Culture of Animal Cells,a Manual of Basic Technique,3rd Edition(Wiley−Liss,New York)およびその中に記述される参考文献に、動物細胞培養に対するようなガイダンスを見いだし得る。Kuchlerら、(1977)Biochemical Methods in Cell Culture and Virology(Dowden,Hutchinson and Ross,Inc.,New York)およびInabaら、(1992)J.Exp.Med.,176:1693−1702もまた参照。細胞培養に関するさらなる情報は、Ausubel,SambrookおよびBerger(上述)に見いだされる。細胞培地は、AtlasおよびParks(同じく上述)に記載される。一般に、当業者は、利用可能な技法を使用して、動物、植物、真菌、細菌からの細胞、および他の細胞に形質導入することが十分に可能である。さらに、当業者は、利用可能な技法を使用して、生物全体に遺伝子構築物を形質導入し得る。
【0145】
あるいは、原核生物系は本発明の遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物で形質転換され得る。任意に、原核生物系は少なくとも1つの植物由来の核酸配列を含む構築物で形質転換される。本発明の方法に採用され得る系の例として、細菌系(酢酸菌属(Acetobacter)、アセトモナス属(Acetomonas)、放線菌属(Actinomyces)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、バシラス属(Bacillus)、バクテリウム属(Bacterium)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ボゴリエラ属(Bogoriella)、ボルデテラ属(Bordetella)、ボレリア属(Borrelia)、バークホルデリア属(Burkholderia)、カンピロバクター属(Campylobacter)、クロストリジウム属(Clostridium)、クリオバクテリウム属(Cryobacterium)、ディプロコッカス(Diplococcus)、エンテロバクター属(Enterobacter)、腸球菌属(Enterococcus)、エルウィニア属(Erwinia)、エリスロバクター属(Erythrobacter)、エシェリキア属(Escherichia)、ユウバクテリウム属(Eubacterium)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、ハロバシラス属(Halobacillus)、ハロバクテロイデス属(Halobacteroides)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、ヘリオバシラス属(Heliobacillus)、ヘリオバクテリウム属(Heliobacterium)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、レジオネラ属(Legionella)、ロイコバクター属(Leucobacter)、リステリア属(Listeria)、リストネラ属(Listonella)、メタノモナス属(Methanomonas)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、マイコプラナ属(Mycoplana)、ナイセリア属(Neisseria)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、プロテウス属(Proteus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、リゾバクター属(Rhizobacter)、リゾモナス属(Rhizomonas)、ロドバクター属(Rhodobacter)、サルモネラ属(Salmonella)、赤痢菌属(Shigella)、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)、スピロヘータ属(Spirochaeta)、スピロソーマ属(Spirosoma)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、ストレプトバシラス属(Streptobacillus)、ストレプトバクテリウム属(Streptobacterium)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、ビブリオ属(Vibrio)などの属にあるようなもの)および古細菌系(例えば、コル古細菌門(Korarchaeota)、テルモプロテウス(Thermoproteus)、ピロディクティウム(Pyrodictium)、テルモコックス目(Thermococcales)、アルカエグロブス(Archaeoglobus)、メタン生成古細菌、および高度好塩菌など)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、原核生物は、1つまたはそれより多い農業、環境、工業、薬学、または臨床目的の細菌種を包含し、大腸菌、種々のストレプトマイセス属種、および種々のバシラス属種を含むがこれらに限定されない。
【0146】
(代謝経路および系)
(カロテノイド生合成)
真核生物系において発現させるのに有利な代謝系の1つの例は、カロテノイドの代謝である(図4)。カロテノイドは、一般に、着色したイソプレノイドベース分子であり、これは様々な植物、カビ、酵母、およびいくつかの細菌により合成される。ヒトの場合、β−カロチンはビタミンAの合成における前駆体として機能し、β−カロチンまたはビタミンAの栄養上の欠乏は、感染にかかりやすいこと、夜盲症、眼球乾燥症(ドライアイ)、および角膜軟化症(過剰なケラチン形成)を導き得る。プロビタミンAに加えて、リコペン、β−カロチンなどのような種々のカロテノイドは効果的な抗酸化剤である。その上さらに、証拠は、カロテノイドが心血管疾患および癌の予防に重要な役割を果たしていることを示唆する(例えば、Singh.& Lippman(1998)Cancer Chemoprevention,Part 1:Retinoids and Carotenoids and other classic antioxidants.Oncology NY,12,1643−1653を参照)。カロテノイドのさらなる工業的応用として、食用色素、および動物飼料におけるものが挙げられる。植物、藻類、真菌、および細菌において、カロチンは頻繁に光合成的役割において機能する。
【0147】
カロテノイドの生合成は、一連の代謝酵素を含む多段階プロセスである。細胞の出発物質は、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)という20個の炭素のイソプレノイド分子である。2分子のGGPPは酵素フィトエンシンターゼにより触媒される縮合反応を起こして、40−炭素中間体フィトエンを形成する。カロテノゲン(carotenogenic)微生物において、細菌フィトエン不飽和化酵素(フィトエン脱水素酵素とも呼ばれる)の作用を介して、フィトエン分子のC7、C7’、C11、およびC11’位で4つの二重結合を対称に導入することは、生合成経路に次の中間体、リコペンを導く。しかしながら、高等植物において、リコペンの形成は2種の別個の酵素、植物フィトエン不飽和化酵素およびz−カロチン不飽和化酵素を使用して達成される。最後に、酵素β−シクラーゼ(リコペンシクラーゼとも呼ばれる)が、リコペン分子の各末端で環を閉じて、β−カロチンを形成する。異なるシクラーゼもまた生合成経路に組み込まれ得て、異なる環化パターンを導く。カロテノイド構造のさらなる誘導は、種々の生物に存在または現れる下流改変酵素により達成され得る。
【0148】
単一の核酸転写物としてβ−カロチン生合成酵素(フィトエンシンターゼ、フィトエン不飽和化酵素、z−カロチン不飽和化酵素、およびリコペンシクラーゼを含む)をコードする遺伝子融合構築物および改変遺伝子融合構築物は、植物系のような真核生物系の形質転換に有用である。カロテノイド代謝経路をすでに包含している植物系におけるβ−カロチンの生成が増強される。さらに、天然にはβ−カロチンを合成しないコメおよびグレインのような植物系が、この代謝経路の発現により栄養的に濃縮され得る。これらおよび他のカロテノイド生合成酵素の核酸配列は、アクセッション番号M84744(リコペルシコン エスクレンタム(Lycopersicon esculentum))、AF220218(シトラス ウンシュウ(Citrus unshiu))、Z37543(メロン(Cucumis melo))、X78814(ナルキッスス シュードナルキッスス(Narcissus pseudonarcissus))、X68017(カプシカム アンニューム(Capsicum annuum))、AB032797(ドクス カロタ(Docus carota))、U32636(トウモロコシ(Zea mays))、および植物フィトエンシンターゼについてさらなる関連した配列;アクセッション番号AF195507(リコペルシコン エスクレンタム)、AJ224683(ナルキッスス シュードナルキッスス)、X89897(カプシカム アンニューム)、AF047490(トウモロコシ)、および植物z−カロチン不飽和化酵素についてさらなる関連した配列;アクセッション番号M88683(リコペルシコン エスクレンタム)、X78815(ナルキッスス シュードナルキッスス)、X68058(カプシカム アンニューム)、U37285(トウモロコシ)、および植物フィトエン不飽和化酵素についてさらなる関連した配列;およびアクセッション番号X86452(リコペルシコン エスクレンタム)、X86221(カプシカム アンニューム)、U50739(アラビドプシス タリアナ(Arabidopsis thaliana))、AF152246(シトラス x パラジシ(Citrus x paradisi))およびX81787(ニコチアナ タバカム(Nicotiana tabacum))、および植物リコペンシクラーゼについてさらなる関連した配列(WO99/07867およびその中に記述される参照)のようにGenBankから得ることができる。
【0149】
さらに、カロテノゲン微生物由来のカロテノイド生合成酵素クラスターの核酸配列が、アクセッション番号M87280(エルウィニア ハービコラ(Erwinia herbicola)Eho10)、D90087(エルウィニア ウレドボラ(Erwinia uredovora))、U62808(フラボバクテリウム(Flavobacterium))、D58420(アグロバクテリウム オーランチアクム(Agrobacterium aurantiacum))およびM90698(エルウィニア ハービコラ(Erwinia herbicola Eho13))(および関連する配列)のように、GenBankから得られ得る。
【0150】
大部分のカロテノイドが着色していることから、所望のカロテノイド生成物は、視覚化されてそれらの特徴的なスペクトルおよび他の分析法により決定され得る。
【0151】
使用され得るさらなる分析技法として、質量分析、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、キャピラリー電気泳動(CE)、およびNMR分光法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
(エクトイン生合成)
真核生物系、特に植物系に生成するのに有利である別の代謝系は、エクトイン(1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)の生合成である。エクトインは非毒性の環状アミノ酸で、その存在は、インビボで増加した塩耐性を細胞に与えるような浸透圧保護(osmoprotective)特性を有する。さらに、エクトインはストレス条件下におかれた種々のタンパク質および酵素のインビトロ活性の損失を保護するように見える。従って、エクトイン生合成機構での植物系の形質転換は、ストレスの多い環境(例えば、高塩、高温または低温、干ばつなど)に対する植物の耐性を改善するであろう。これらの非理想的条件に対する耐性の改善は、作物生産性の増加をもたらし得る。さらに、エクトインはタンパク質/酵素安定剤、またはいわゆる化学的シャペロンとして使用され得る。酵素とこのシャペロン分子との会合は、凍結/融解サイクル、熱処理、および/または乾燥の繰り返し後も酵素活性を保持するのを助ける。従って、エクトインはまた、薬学的、化粧品用、および栄養組成物に使用するための安定剤としての可能性がある。
【0153】
エクトインの生合成は、3つの酵素、すなわち、ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ(トランスアミナーゼとも呼ばれる)、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼを含む(図5)。合成経路の最初の反応において、アミノトランスフェラーゼは、アスパラギン酸−セミアルデヒドおよびL−グルタミンをジアミノ酪酸へ変換する。次に、アセチルトランスフェラーゼが、ジアミノ酪酸のアセチル化を触媒して、N−アセチルジアミノ酪酸を形成する。最後の反応において、N−アセチルジアミノ酪酸は、エクトインシンターゼの作用を介して環化されてエクトインを生成する。
【0154】
エクトイン生合成経路の3つの遺伝子(それぞれ、etcB、ectA、およびectC)が、好塩細菌から単離されている。これらの酵素の配列は、例えば、アクセッション番号U66614(マリノコッカス ハロファイルス(Marinococcus halophilus))およびAJ011103(ハロモナス エロンガタ(Halomonas elongata))などのように、GenBankから入手可能である。これらの酵素の最適pH範囲は8.2〜9.0であり、植物系のような真核生物系における発現の前にペプチド一次配列へのある改変をすることが望ましいことを示唆している。これは、上記のように、例えば、これらの酵素ドメインをコードする核酸配列に再帰組換えを行うこと、および改変配列を改変遺伝子融合構築物中へ組み込むことにより達成され得る。
【0155】
エクトイン生合成の酵素をコードする遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物の選択は、例えば、高塩濃度のような環境ストレスに対する耐性の増加を示す形質転換宿主を選択することにより、達成され得る。例えば、野生型大腸菌は、3%(0.52M)のNaCl濃度まで成長可能であるが、一方エクトイン生合成経路をコードする遺伝子で形質転換された大腸菌株(インビボでエクトインの合成を導く)は、より高いNaCl濃度、例えば5%NaCl(0.86M)でも生存可能でありかつ成長し得る。遺伝子融合またはシャッフリングからのライブラリーDNAで形質転換した大腸菌を成長させることにより、最初の機能性クローンが選択され得る。
【0156】
選択手順の別の例として、所望の特性を有する遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物を選択するために、酵母が使用され得る。酵母は、広範囲のpH(下は約pH3まで)および塩濃度(上は約1Mまで)にわたり生存可能であるが、しかしgpd(グリセロールリン酸脱水素酵素)ノックアウト酵母株は塩感受性である。gpdノックアウト酵母における、エクトイン生合成経路の発現およびエクトインの合成は、この生物の塩耐性を回復(または部分的に回復)させる。しかしながら、野生型エクトイン生合成経路酵素を低い発現レベルで保有するgpd欠失株は、増殖培地のpHが野生型酵素に最適ではない場合、高塩ではなお増殖できないかもしれない。変更された最適pHを有するエクトイン生合成経路酵素のみが、必要量のエクトイン産物を生成して、塩感受性株の増殖を回復させ得る。それ故に、塩感受性の酵母株は、変更された最適pHを有するクローンの最初の選択のための宿主として使用され得る。
【0157】
(ポリヒドロキシアルカノエート生合成)
本発明の遺伝子融合構築物および改変遺伝子融合構築物中に組み込まれ得るさらに別の代謝経路は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を生じる生合成経路である。ポリ−3−ヒドロキシ酪酸などのPHAは、炭素およびエネルギー貯蔵として、Aeromonas、Alcaligenes、Bacillus、Burkholderia、Chromatium、Comamonas、Nocardia、Pseudomonas、RalstoniaおよびRhodospirillumなどの微生物により生成される生分解性重合体である。種々の単量体単位から形成され得るこれらの生体高分子は、熱可塑性および薬物送達マトリックスの生成を含む、複数の工業的適用および医学的適用を有する。このクラスの重合体の物理的性質および化学的性質は、側鎖の長さにより一部決定される;より短い側鎖を有する重合体は、半結晶性である傾向があり、かつかなり熱可塑性であるが、一方、より長い側鎖を有する重合体は、より弾性的である。
【0158】
短い側鎖のPHAの生合成は、3つの酵素および出発物質としてアセチルCoAを含む(図6)。第一の酵素、ケトチオラーゼは、アセチルCoA分子のような2つの構築ブロック分子を縮合させて、中間体基質(アセトアセチルCoA)を形成する。次に、中間体基質は、NADH依存性機構またはNADPH依存性機構を介して、レダクターゼ酵素により還元されて、ヒドロキシアルカノエートCoA分子を形成する。最後に、ヒドロキシアルカノエートCoAは、PHAシンターゼにより重合されて、PHA重合体を形成する。103〜108ダルトンの範囲の大きさであり得るPHAは、一般に、細胞中の顆粒または「封入体」に貯蔵される。異なる長さおよび/または組成の構築ブロックで出発することにより、他の型の重合体が生成され得る。得られる重合体の物理的特性は、一部、最終産物中に組み込まれた側鎖の長さにより影響される。
【0159】
これらの酵素の配列は、GenBankから入手可能であり、登録番号AF153086(Burkholderia種DSMZ9242)、U47026(Alcaligenes latus)、AF109909(Bacillus megaterium)、AB009273(Comamonas acidovorans)および関連配列が挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
細胞ベースの系におけるPHAの生成は、特定の化学物質を用いた蛍光抗体法により視覚化され得る。なぜなら、PHAは通常は顆粒として蓄積されるからである。NMR分光法(LC/NMRを含む)、質量分析(電子イオン化法、高速原子/イオン照射法、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化法(MALDI)、エレクトロスプレーイオン化法、タンデム型MS、GC/MSなどのような技術および/または装置を含む)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、およびキャピラリー電気泳動(CE)のような他の分析法が、重合体組成の決定のために使用され得る。
【0161】
(芳香族ポリケチドの生合成)
本発明の遺伝子融合構築物または改変遺伝子融合構築物によりコードされ得るさらなる代謝経路は、最小芳香族ポリケチドシンターゼを含み、これは、抗生物質、抗真菌剤、抗腫瘍薬剤、心血管薬剤、およびエストロゲンレセプターアンタゴニストを含む広範な産物のための前駆体を合成する多酵素系である。芳香族ポリケチドの例として、アントラキノン、ドキソルビシン、エンジエン(enediyenes)、エリスロマイシンおよびリファマイシンのようなマクロライドポリケチド、アントラサイクリン、ノガラマイシン(nogalamycin)、アクラビノン(aklavinone)、および他のアクラシノマイシン;ミスラマイシン(mithramycin)および他のオーレオリック酸(aureolic acid)ベースの抗生物質が挙げられるが、それらに限定されない。
【0162】
最小ポリケチドシンターゼ系は、ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、およびアシルキャリアタンパク質を含む。この系の補助的成分として、様々なケトレダクターゼ、アロマターゼ、およびシクラーゼ(例えば、Carrerasら(1997)Topics in Current Chemistry 188:85−126およびその中に引用される参考文献を参照)が挙げられる。ポリケチド合成機構は、細菌、真菌、および植物を含む種々の供給源から単離されている。関与する酵素の数および酵素ドメインの配列は、供給源に依存して異なり得るものの、これらの重合体の合成に含まれる化学反応は、以下のように記載され得る。例示的なポリケチドシンターゼ酵素の配列は、GenBankから入手可能であり、登録番号X63449(Streptomyces coelicolor)、X77865(Streptomyces griseus)、AF126429(Streptomyces venezuelae)、AF098965(Streptomyces arenae)および関連する配列が挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
ポリケチド代謝経路(図7)は、酢酸またはプロピオン酸のような短鎖カルボン酸「開始単位」で開始する。開始単位の補酵素A−チオエステルは、ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼの作用を介して、マロン酸またはメチルマロン酸のようなジカルボン酸「伸長基」の補酵素A−チオエステルと縮合する。新生ポリケチド鎖は、ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼにより保持されるが、一方、各回の縮合/鎖伸長で、アシルキャリアタンパク質は、成長するポリケチド鎖上に付加するためのさらなるCoA連結伸長基を提供する。鎖長因子は、ポリケチドが伸長される長さを指示する。最終産物の、鎖長、ケト還元(ketoreduction)の程度(もしあれば)、および環化の位置特異性は、生合成に含まれる代謝酵素により全て決定される。
【0164】
成長するポリケチド鎖に対するさらなる改変は、酵素ベースの触媒作用と独立して起こり得る。最小芳香族ポリケチドシンターゼにより生成された直鎖ポリケチド前駆体は、特異的シクラーゼの存在なしに、自動環化して異なる型の芳香族ポリケチドを形成し得る(例えば、Yuemao Shenら(1999)「Ectopic expression of the minimal whiE polyketide synthase generates a library of aromatic polyketides of diverse sizes and shapes」、Proc.Natl.Acad.Sci.96:3622−3627を参照)。
【0165】
種々のケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼおよび鎖長因子をコードする核酸配列は、多数の異なる種にまたがって配列が類似している。これらの配列のシャッフリングは、本発明の改変遺伝子融合構築物に使用するための改変核酸配列を提供する。詳細には、鎖長因子のシャッフリングは、新規ポリケチド、例えば様々な鎖長を持つ直鎖芳香族ポリケチド前駆体を合成し得る酵素を生成するために使用され得る。バリエーションのさらなる供給源として、これらの酵素ドメインは、配列が、脂肪酸シンターゼ(上記のように、これもまた、ヌクレオチド配列改変の生成に使用され得る)に類似している。
【0166】
ポリケチド生合成機構をコードする遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物の発現により生成される代謝物および/または産物は、質量分光法、NMR分光法などのような従来の分析法および技術により検出および分析され得る。あるいは、代謝物、またはこれらが合成される宿主細胞が、目的とする標的に対する生物学的活性についてスクリーニングされ得る。例えば、抗生物質活性または他の殺生物性関連活性を有する芳香族ポリケチドは、病原微生物、疾患関連の細胞型、または全動物のような標的に対してスクリーニングされ得る。
【0167】
(本発明の方法および組成物の使用)
上記のように、特許請求される本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本方法および材料に改変がなされ得、そして本発明は、以下を含む多数の異なる使用を指向し得る:
本明細書中の任意の組成物またはトランスジェニック生物を生成するための、本明細書中の任意の方法の使用。
【0168】
トランスジェニック生物、例えば、トランスジェニック原核生物、トランスジェニック真核生物、トランスジェニック植物などを生成するための、方法または組み込まれた系の使用。
【0169】
遺伝子融合構築物または改変遺伝子融合構築物を生成するための、方法または組み込まれた系の使用。
【0170】
複数の酵素活性を原核生物系または真核生物系において発現するための、方法または組み込まれた系の使用。
【0171】
本明細書中に記載される方法ならびに当該技術分野で既知の方法に従って、1つ以上の本発明の遺伝子融合構築物または改変遺伝子融合構築物で形質転換された、トランスジェニック生物の使用。
【0172】
さらなる局面において、本発明は、本明細書中の方法および組成物を具体化し、そして、任意の1つ以上の、本明細書中の先に記載された選択戦略、材料、成分、方法、または基質の使用を利用するキットを提供する。本発明のキットは、必要に応じて、1つ以上の、以下:(1)本明細書中に記載されるような遺伝子融合構築物または改変遺伝子融合構築物;(2)本明細書中に記載される方法を実施するための、および/または本明細書中の選択手順を実行するための指示書;(3)1つ以上のアッセイ成分(1つ以上の緩衝液、酵素、補助因子、基質、インヒビター、触媒などを含むが、これらに限定されない);(4)核酸、植物、細胞などを保持するための容器、および必要に応じて(5)包装材料を含む。
【0173】
さらなる局面において、本発明は、本明細書中の任意の成分またはキットの使用、本明細書中の任意の方法またはアッセイの実行、および/または本明細書中の任意のアッセイまたは方法を実行するための任意の装置またはキットの使用を提供する。
【0174】
(実施例)
以下の実施例は、特許請求される本発明を制限するためにではなく例示するために提供される。
【0175】
(実施例1:3つの酵素ドメイン−エクトインシンターゼをコードする遺伝子融合構築物の調製および機能評価)
(野生型エクトインシンターゼオペロンのクローニング)
目的のエクトインシンターゼオペロンを含むMarinococcus halophilus(ATCC27964)を、ATCCから得た。ectA(ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ)遺伝子、ectB(ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ)遺伝子およびectC(エクトインシンターゼ)遺伝子を含むオペロンが特徴付けられており、GenBankで入手可能である(登録番号U66614)。ectA開始コドンの0.7kb上流からectC終止コドンの0.15kb下流まで延びる3.26kbのオペロンが、Herculase増強DNAポリメラーゼ(Stratagene)(図8)を使用してゲノムDNAから増幅し、そして、以下のプライマー対:ectP−5’(5’−TAAGAATTCGGGTAGTACACGCAAGGATGGG−3’(配列番号1;EcoRI部位は下線が引かれている))およびect−3’(5’−CGTTTCCATGGTCTTACCACCTTTTAAAAGTAATAG−3’(配列番号2;NcoI部位は下線が引かれている))を、EcoRIおよびNcoI部位の導入を有する0.7kbフラグメントのPCRアウトのために使用した;ect−5’(5’−AGGTGGTAAGACCATGGAAACGAAAATGACTGGAACG−3’(配列番号3;NcoI部位は下線が引かれている))およびIn−3’(5’−AGGAGAAACTCGAGACTTCGCGCTTTACTTCTTCCGG−3’(配列番号4;XhoI部位は下線が引かれている))を、NcoIおよびXhoI部位の導入を有する2.56kbフラグメントのPCRアウトのために使用した。
【0176】
E.coliベクターpBR322を、EcoRIおよびSalI(XhoIと適合性の末端)制限酵素により消化して、上記で得られたEcoRI/NcoI(0.7kb)フラグメントおよびNcoI/XhoI(2.56kb)フラグメントのためのクローニングベクターを作成した。3回のフラグメントライゲーション後、これをTop10 E.coliコンピテント細胞中へ形質転換して、pBR322−wt構築物を形成した。
【0177】
(エクトインシンターゼ遺伝子融合構築物の調製)
ectA遺伝子、ectB遺伝子、およびectC遺伝子を組み合わせて、遺伝子融合構築物を形成した(図9)。このプロセスは、ectAおよびectBの終止コドン、遺伝子間(inter−gene)空間、ならびにectBおよびectCの開始コドンの除去、ならびにectA、ectB、およびectCの、4つのグリシンリンカー配列とのインフレームの融合を必要とした。構築を、以下のPCR操作を使用して達成した:プライマー対ect−5’(配列番号3)および031−25(5’−CGCTGAGATCATTCTGGCCACCGCCACCCTTTGTAAATGGTCCTATTCGAAATGTC−3’(配列番号5;4−グリシンリンカーをコードする部位は下線が引かれている))を使用してectAフラグメントを生成した;プライマー対031−24(5’−CCATTTACAAAGGGTGGCGGTGGCCAGAATGATCTCAGCGTTTTTAATGAATACG−3’(配列番号6;4−グリシンリンカーをコードする部位は下線が引かれている))および031−27(5’−GTTTAATTACTTTACCGCCACCGCCTTTGGCTACGAGGTTGCTTTCAGCG`GTAAC−3’(配列番号7;4−グリシンリンカーをコードする部位は下線が引かれている))を使用してectBフラグメントを生成した;そしてプライマー対031−26(5’−CCTCGTAGCCAAAGGCGGTGGCGGTAAAGTAATTAAACTCGAAGATTTGCTCGGC−3’(配列番号8;4−グリシンリンカーをコードする部位は下線が引かれている))およびIn−3’(配列番号4)を使用してectCフラグメントを生成した。
【0178】
3つの重なり合うPCRフラグメントを、95℃の溶融温度で30秒間、60℃のアニーリング温度で30秒間、および72℃の伸長温度で1分間の条件で、プライマー無しで5〜10回のPCRサイクルによりアセンブリした。次いで、アセンブリされた産物を、55℃のアニーリング温度でect−5’およびIn−3’のプライマーで増幅した。Herculase増強DNAポリメラーゼ(Stratagene)を、アセンブリおよび続くPCR増幅の両方のために使用した。得られたPCR産物をNcoIおよびNdeI制限酵素で消化し、そして、NcoI/NdeI消化pBR322中にクローニングした。構築物のリンカー領域を、配列決定分析により確定した。得られるプラスミドを、Top10 E.coliコンピテント細胞中へ形質転換した。
【0179】
(エクトインシンターゼ遺伝子融合構築物で形質転換されたE.coliの塩耐能力の評価)
野生型エクトインオペロンおよびエクトインシンターゼ融合構築物で形質転換したTop10’細胞を、種々の塩濃度で増殖する能力について試験した。試験は、以下の培地:MM63(100mMのKH2PO4、75mMのKOH、15mMの(NH4)2SO4、1mMのMgSO4、3.9μMのFeSO4、22mMのグルコース、1.5ml/lのビタミン溶液、pH7.4(ビタミン溶液:100mlのH2O中、10mgのビオチン、35mgのニコチンアミド、30mgの二塩化チアミンジクロリド、20mgのp−アミノ安息香酸、10mgの塩化ピロドキサール、10mgのCaパントテン酸塩、5mgのビタミンB12))+10%LBおよび種々の量の塩(0〜5%NaCl)中、37℃で36時間細胞を増殖させる工程を含んだ。培養物の細胞密度を、分光器により600nmで測定した。
【0180】
結果(図10)は、3つの遺伝子融合構築物が、E.coliに野生型エクトインオペロンに匹敵する塩耐能力を与えることを示す。
【0181】
上記の発明は、明瞭性および理解の目的である程度詳細に記載されてきたが、形態および詳細における種々の変更が、本発明の真の範囲から逸脱することなくなされ得るということが、本開示を読むことにより当業者に明らかである。例えば、上記で記載される全ての技術および組成物が、種々の組合せで使用され得る。願において引用される全ての発行物、特許文書(例えば、出願、特許など)または他の参考文献は、各個々の発行物または特許文書が個別に示されるのと同じ範囲で、全ての目的のためにその全体が参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1:リンカー配列を含まない、2つの核酸配列を有する改変された遺伝子構築物の概略図。遺伝子1の終止コドンを除去し、次いで、遺伝子2のコード配列にインフレームで融合させる。
【図2】
図2:リンカー配列を有する、2つの核酸配列を有する改変された遺伝子融合構築物の概略図。遺伝子1の終止コドンを除去し、次いで、遺伝子2のコード配列にインフレームで融合させたリンカー配列に融合させる。
【図3】
図3:リンカー配列を含むおよび含まない、3つの核酸配列を有する遺伝子融合構築物の概略図。リンカー配列の存在は任意である。遺伝子1および2の終止コドンを除去した後に、遺伝子3にインフレーム融合させる。
【図4】
図4:カロテノイド生合成経路、および本発明の遺伝子融合産物の可能性のある実施形態。
【図5】
図5:エクトイン生合成経路(ASA:アスパラギン酸β−セミアルデヒド、DABA:2,4−ジアミノ酪酸、ADABA:γ−N−アセチル−α,γ−ジアミノ酪酸)。
【図6】
図6:PHA生合成経路(R=アセチル、プロピオニル、および他の長鎖基、iおよびj=繰り返し単位数、最終的なポリマーのバリエーションは、開始構成単位由来のR基によって決定される)。
【図7】
図7:最小ポリケチド合成経路。
【図8】
図8:野生型エクトインシンターゼオペロンの機能的単離のためのクローニングストラテジー。
【図9】
図9:3つのエクトイン生合成酵素の融合構築物を作製するためのストラテジー。
【図10】
図10:様々な塩濃度で、pBR322(コントロール)、ならびにWT ectオペロンを含有するプラスミド(ectオペロン1およびectオペロン2は、2つの別個の形質転換E.coliコロニーである)、および融合ect遺伝子を含有するプラスミド(融合ect1および融合ect2は、2つの別個の形質転換E.coliコロニーである)で形質転換された、E.coliの増殖。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2000年8月24日に提出された米国仮出願第60/227,719号に対する優先権と利益を主張する。
【0002】
(著作権情報)
37 C.F.R.1.71(e)に従って、出願人等は、この開示の一部が、著作権保護対象の要素を含むことを注記する。著作権者は、米国特許商標庁の特許ファイルまたは記録で公表されているため、あらゆる人々による特許文書または特許開示の複製を拒否しないが、さもなくとも著作権全てを確保する。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、分子生物学の分野、より詳細には、2以上の融合酵素ドメインをコードする遺伝子融合構築物を作製する方法に関する。
【0004】
(発明の背景)
代謝経路は、本質的に、特定の順序で実施される場合に、出発物質を所望の最終生成物へと導く、酵素活性の集合である。ある状況では、代謝経路は、合成手順であり、ある場合では、代謝経路は、分解プロセスである。代謝経路の酵素成分の合成および協調は、原核生物細胞のほとんど区画化されていない細胞環境下では比較的単純である。原核生物での転写および翻訳は、空間的および時間的の両方で連結している。原核細胞は膜に囲まれた核を有さないので、転写および翻訳は、真核生物のように区画化されておらず、これらのプロセスは、同じ細胞位置(細胞質)で行われる。しかし、真核生物は、それらの細胞構造においてより区画化されている。例えば、植物のような真核生物系の所望の区画において新規代謝経路を確立および実施することは、例えば、複数タンパク質に関する転写および翻訳事象の協調のさらなる障害、細胞内区画化の問題、ならびに複数のプロモーター、開始系および終結系の使用に起因して、原核細胞系における匹敵する代謝経路を確立することよりも困難である。従って、生物体(特に、真核生物)における代謝経路操作を容易にする、新規方法が所望される。
【0005】
本発明は、例えば、植物系のような真核生物における代謝経路および経路成分の発現のための方法および組成物を提供する。
【0006】
(発明の要旨)
代謝経路操作は、新規代謝産物の産生のため、ならびに既存の代謝産物の産生のための現在のプロトコルの増強または拡大のための、両方に使用され得る。種間の代謝経路の移入もまた、特定の宿主において所望の代謝産物を産生する、新規方法を提供する。例えば、化学化合物の産生に関する細菌代謝経路を植物系に移入することにより、従来の化学合成または細菌発酵と比較して、代替的かつ潜在的に経済的に競合する様式で、この化合物を産生することが可能となる。あるいは、代謝経路成分の移入および発現、および生じた代謝産物(単数または複数)は、レシピエント系に所望の形質を付与し得る。
【0007】
従って、本発明は、2以上の酵素ドメインをコードする2以上(しばしば、3以上)の核酸配列を共連結(cojoin)することを含む、改変された遺伝子融合構築物を産生する方法を提供し、ここで、それらの核酸配列の少なくとも1つは、元々決定されている(すなわち、未改変)配列と比較して、改変されている(例えば、変異、シャッフリング、さもなければ、変更されている)。この改変された核酸配列は、その配列を第2のヌクレオチド配列に共連結する前に改変され得るか、または、その配列が共連結された後に改変され得る。必要に応じて、改変された核酸配列は、繰り返しの(recursive)組換えを経て、その配列中に改変を生じる。核酸配列は、様々な形態のデオキシリボ核酸(例えば、ゲノムDNA、cDNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えDNA、シャッフリングされたDNA、改変DNA、またはDNAアナログ)であり得る。あるいは、核酸配列は、リボ核酸(ゲノムRNA、メッセンジャーRNA、触媒RNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えRNA、シャッフリングされたRNA、改変RNA、またはRNAアナログが挙げられるが、これらに限定されない)であり得る。核酸配列は、直接的に一緒に連結され得るか、または、1以上のヌクレオチドリンカー配列によって分離され得る。本発明のヌクレオチドリンカー配列は、代表的に、約3〜約300ヌクレオチド長範囲であるが、場合によっては、より長くあり得る。必要に応じて、このヌクレオチドリンカー配列としては、イントロン、制限酵素部位、インテイン(intein)コード配列、および/または切断可能なペプチド領域をコードする配列が挙げられる。酵素ドメインをコードするヌクレオチド配列と同様に、ヌクレオチドリンカー配列は、例えば、変異、シャッフリング、または他の変更によって改変され得る。さらに、1以上の転写調節配列(例えば、プロモーターまたはエンハンサー)が、その改変された遺伝子融合構築物に組み込まれ得る。この改変された遺伝子融合タンパク質は、真核生物系(例えば、植物系のような)にさらに導入され得る。
【0008】
本発明の改変された遺伝子融合構築物に組み込まれる核酸は、単一の代謝経路に由来し得るか、または、(例えば、新規代謝経路を産生するために)2以上の別個の代謝経路に由来し得る。さらに、その遺伝子融合構築物に組み込まれる核酸は、単一の供給源または種に由来し得るか、または、複数の供給源または種を起源とし得る。本発明の一実施形態では、2以上の核酸配列にコードされる酵素ドメインは、酵素フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、および/またはβ−シクラーゼに由来する。本発明の代替的な実施形態では、2以上の核酸配列にコードされる酵素ドメインは、酵素ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼに由来する。本発明の別の実施形態では、2以上の核酸配列にコードされる酵素ドメインは、酵素β−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼに由来する。本発明のさらなる実施形態では、2以上の核酸配列にコードされる酵素ドメインは、以下のクラスの酵素に由来する:ケトシンターゼアシルトランスフェラーゼ、鎖長因子(chain length factor)、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼ。さらに、本発明は、改変された融合構築物、改変された遺伝子構築物を含むベクター、ハイブリッドタンパク質、およびトランスジェニック系(例えば、トランスジェニック植物系のような)を提供する。
【0009】
本発明はまた、同じ代謝経路に関与する2以上の異種核酸配列を共連結することによって遺伝子融合構築物を産生する方法を提供し、ここで、共連結される核酸配列の少なくとも1つは、真核生物に由来し、共連結される別の核酸配列は、異なる種の真核生物または原核生物に由来する。改変された融合構築物を産生するための先に記載された方法における目的の核酸配列は、2以上の真核生物、または少なくとも1つの原核生物および少なくとも1つの真核生物に由来する、2以上の異種核酸配列を用いる方法において使用され得る。さらに、同様のヌクレオチドリンカー配列および転写調節エレメントが、使用され得る。これらの方法は、その改変された遺伝子融合構築物を、原核生物系または真核生物系(例えば、植物系)に導入する工程をさらに包含し得る。さらに、本発明は、遺伝子融合構築物、遺伝子融合構築物を含むベクター、ハイブリッドタンパク質、およびトランスジェニック系(例えば、トランスジェニック植物系)を提供する。
【0010】
本発明はまた、異種酵素ドメインをコードする2以上の核酸配列を共連結することによって、遺伝子融合構築物を産生する方法を提供し、ここで、酵素ドメインの少なくとも1つが、植物に由来する。この植物酵素ドメインは、例えば、カロテノイドの生合成に関与する酵素に由来し得る。核酸配列は、改変された遺伝子融合構築物を産生する方法に関して記載されたように、様々な形態のデオキシリボ核酸またはリボ核酸であり得る。さらに、同様のヌクレオチドリンカー配列および転写調節エレメントが、必要に応じて使用され得る。これらの方法は、上記遺伝子融合構築物を、生物学的系(例えば、原核生物系または真核生物系)に導入する工程をさらに包含し得る。さらに、本発明は、遺伝子融合構築物、遺伝子融合構築物を含むベクター、ハイブリッドタンパク質、およびトランスジェニック生物学的系(例えば、トランスジェニック細菌、真菌、または植物系)を提供する。
【0011】
本発明はまた、生物学的系(例えば、原核生物系または真核生物系)において、複数の酵素活性を発現させる方法を提供する。これらの方法は、上述の遺伝子構築物の1以上を、生物学的系に導入する工程を包含する。核酸配列は、一般的に、代謝経路に関与し得るタンパク質をコードし、ここで、この経路は、天然に存在し得るが、必ずしもそうではない(例えば、天然では同じ経路で通常機能しない酵素ドメインを組み合わせることによって新規代謝経路を作製する場合)。本発明の一実施形態では、核酸配列によりコードされる酵素ドメインは、酵素フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、および/またはβ−シクラーゼに由来する。本発明の代替的実施形態では、核酸配列にコードされる酵素ドメインは、酵素ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼに由来する。本発明の別の実施形態では、核酸配列にコードされる酵素ドメインは、酵素β−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼに由来する。本発明のさらなる実施形態では、核酸配列は、以下のクラスの酵素に由来する:ケトシンターゼアシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼ。本発明の方法で用いられる核酸配列は、様々な形態のデオキシリボ核酸(例えば、ゲノムDNA、cDNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えDNA、シャッフリングされたDNA、改変されたDNA、またはDNAアナログ)であり得る。あるいは、リボ核酸(ゲノムRNA、メッセンジャーRNA、触媒RNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えRNA、シャッフリングされたRNA、改変されRNA、またはRNAアナログが挙げられるが、これらに限定されない)を、使用し得る。個々の核酸配列、または核酸配列のライブラリーが、遺伝子融合構築物の合成にて使用され得る。酵素ドメインをコードする核酸配列は、互いに直接連結され得るか、またはそれらは、約3〜約300ヌクレオチド長範囲の1以上のヌクレオチドリンカーを介して連結され得る。必要に応じて、これらの核酸配列の1以上および/またはリンカー配列の1以上は、(配列の連結の前または後のいずれかに)変異、シャッフリングまたは変更され得る。
【0012】
上記の遺伝子融合構築物および改変された遺伝子融合構築物のように、本方法の遺伝子融合構築物に組み込まれる核酸は、単一の代謝経路に由来し得るか、または、(例えば、新規代謝経路を産生するために)2以上の別個の代謝経路に由来し得る。さらに、遺伝子融合構築物に組み込まれる核酸は、単一の供給源または種に由来し得るか、またはそれらは、複数の供給源または種を起源とし得る。遺伝子融合構築物および改変された遺伝子融合構築物は、構築物のライブラリー(例えば、組換え遺伝子融合構築物)を含み得、これは、必要に応じて、その遺伝子融合構築物または改変された遺伝子融合構築物を生物学的系に導入する前にスクリーニングされ得る。さらに、1以上の転写調節配列が、遺伝子融合構築物に組み込まれ得る。生物学的系は、原核生物系(例えば、細菌または古細菌細胞)であり得る。あるいは、生物学的系は、真核生物系(例えば、真核細胞、植物細胞、動物細胞、真菌、酵母、プロトプラスト、組織培養物、生物体など)であり得る。遺伝子融合構築物のこれらの系のいずれかへの導入は、例えば、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、微粒子銃、ポリエチレングリコール媒介性形質転換、またはアグロバクテリウム媒介性形質転換のような、当業者に公知の技術によって達成され得る。本発明の方法は、真核生物系において遺伝子融合構築物を発現させる工程をさらに包含し得る。さらに、本発明は、本発明の方法により調製されるような、遺伝子融合構築物、遺伝子融合構築物を含むベクター、ハイブリッドタンパク質、およびトランスジェニック系(例えば、トランスジェニック植物系)を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、本明細書中に記載の方法により調製される組換え核酸配列を提供する。いくつかの実施形態では、組換え核酸配列は、異なる真核生物種または真核生物および原核生物に由来する、少なくとも2つの共連結された酵素ドメインをコードする配列を含む。代替的な実施形態では、組換え核酸配列は、植物遺伝子に由来する、少なくとも2つの共連結された酵素ドメインをコードする配列を含む。必要に応じて、この組換え核酸配列は、例えば、変異、シャッフリング、繰り返しの組換えなどによって改変される。いくつかの実施形態では、組換え核酸配列は、少なくとも2つの共連結された酵素ドメインをコードする配列を含み、ここで、1以上の酵素ドメインをコードする配列は、本明細書に記載するように改変されている。組換え核酸配列にコードされる酵素ドメインは、同一代謝経路に関与するタンパク質に由来し得るか、または、(例えば、新規代謝経路を産生するために)2以上の別個の代謝経路に由来し得る。酵素ドメインが由来し得る代謝経路の例としては、カロチン合成経路(フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、およびβ−シクラーゼを含む)、エクトイン合成経路(ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼを含む)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)合成経路(β−ケトチオラーゼ、レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼを含む)、および最小ポリケチド合成経路(ケトシンターゼアシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼを含む)が挙げられる。
【0014】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本発明を詳細に説明する前に、本発明が、特定の組成物または生物学的系に限定されず、これらの組成物および生物学的系が、当然、多種多様であり得ることが、理解される。また、本明細書中で使用する専門用語は、特定の実施形態のみについて記載する目的のためのものであり、限定するものと解釈されないことも理解される。本明細書および添付の特許請求の範囲中で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかに単数でないことを指示しない限り、複数対象を包含する。従って、例えば、「装置(a device)」に対する言及は、2以上のかかる装置の組み合わせを包含し、また「遺伝子融合構築物(a gene fusion construct)」に対する言及は、構築物の混合物を包含する、など。
【0015】
他に規定されない限り、本明細書中で使用する技術用語および科学用語は全て、本発明が関連する当該技術分野の当業者により一般に理解されているのと同義である。本明細書中に記載するものと類似または等価の任意の方法および材料が本発明の試験の実施に使用され得、好ましい材料および方法が、本明細書に記載される。
【0016】
本発明を説明および特許請求する際に、以下の専門用語が、以下に記載する定義に従って使用される。
【0017】
「改変(された)核酸配列」という用語は、例えば、親核酸と比較して改変された核酸における1以上のヌクレオチド残基を改変、欠失、再配列(rearranging)または置換することによって、1以上の親核酸(例えば、1以上の天然に存在する核酸のような)に比較して変更されている核酸配列をいう。核酸配列改変の好ましい様式としては、シャッフリングおよび変異が挙げられる。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、核酸配列に対する改変は、核酸配列にコードされるアミノ酸配列の内部領域での置換、欠失および/または挿入を生じ、より好ましくは、複数の内部改変(すなわち、2個、3個またはそれ以上)が、そのコードされるポリペプチドに導入される。この型の内部改変は、例えば、タンパク質の一方の末端の切断と区別されるべきである。従って、酵素ドメインに対する内部改変の部位は、その酵素ドメインのアミノ末端とカルボキシ末端とに隣接する。
【0018】
「改変(された)タンパク質」、「改変(された)酵素」、および「改変(された)酵素ドメイン」という用語は、対応する改変された核酸配列にコードされる翻訳産物をいう。
【0019】
「多様化」および「多様性」という用語は、核酸配列に適用する場合、複数の改変形態の親核酸、または複数の親核酸の生成をいう。この核酸配列が遺伝子産物をコードする場合、その核酸配列の多様性は、対応する遺伝子産物の多様性を生じ得る(例えば、複数の改変されたタンパク質をコードする核酸配列の多様なプール)。本発明のいくつかの実施形態では、この配列多様性は、所望の機能特性を保有する改変された核酸/タンパク質についてスクリーニング/選択することによって利用される。
【0020】
「コード(する)」という用語は、1以上のアミノ酸をコードするポリヌクレオチド配列をいう。この用語は、開始コドンまたは終止コドンを必要としない。アミノ酸配列は、ポリヌクレオチド配列により提供される6つの異なる読み枠のいずれか1つにコードされ得る。
【0021】
「植物」という用語は、植物全体、苗条栄養器官/構造(例えば、葉、茎および塊茎)、根、花および花器官/構造(例えば、苞葉、萼片、花弁、雄蕊、心皮、葯および胚珠)、種子(胚、内胚乳、および種皮を含む)および果実(成熟した子房)、植物組織(例えば、維管束組織、基本組織など)および細胞(例えば、孔辺細胞、卵細胞、突起様構造など)、ならびにそれらの子孫を包含する。本発明の方法で使用され得る植物のクラスは、一般に、被子植物(単子葉植物および双子葉植物)、裸子植物、シダ類、および多細胞藻類を含む、形質転換技法になじみやすい高等植物ならびに下等植物の種類と広範である。植物という用語は、様々な倍数性レベル(異数体、倍数体、二倍体、半数体、およびヘミ接合体を含む)の植物を包含する。
【0022】
本明細書中で使用する場合、「遺伝子融合構築物」という用語は、少なくとも2つの異なる親核酸に由来する共連結された配列を含む、組換え核酸配列をいう。「改変された遺伝子融合構築物」は、構築物中の少なくとも1つのヌクレオチド(必要に応じて、コード領域中またはリンカー領域中)が、その構築物の一部が由来する親配列または野生型配列と比較した場合に、改変または変化されている、遺伝子融合構築物のサブセットを含む。
【0023】
「酵素ドメイン」という用語は、酵素の活性部位を包含するポリペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列の部分をいう。「酵素の活性部位」という用語は、一般に、タンパク質のある種の機能的活性を達成することが可能な酵素の領域をいい、例えば、化学反応を触媒し、リガンドまたは基質に結合し、あるいは小分子、生体高分子、核酸または他のタンパク質もしくはペプチドのような、別の分子と特異的に相互作用する。タンパク質の活性は、天然に存在する形態のタンパク質に対して内因性の活性であり得るか、またはそのタンパク質が由来とする親核酸の改変によりタンパク質に導入された活性であり得る。
【0024】
酵素ドメインは、それが、特定の酵素のアミノ酸配列のいくつかの部分に、または場合によっては、特定の酵素の実質的に全てのアミノ酸配列に対応する場合、その特定の酵素「に由来」する。酵素ドメインは、特定の酵素をコードする核酸配列の改変の結果として、それが実質的に異なる配列および/または機能を有する場合でさえも、その特定の酵素に由来するとみなされる。
【0025】
核酸配列は、その配列が元々植物から単離された場合、その配列が本明細書中に記載するようにその後に改変されるか否かに関係なく、植物「に由来」する。
【0026】
「ペプチドリンカー」および「ペプチドリンカー配列」という用語は、他のペプチド配列(例えば、酵素ドメイン)との間に位置して、これらの配列を一緒に連結するアミノ酸配列をいう。ペプチドリンカーは、例えば、最終伸長構築物においてスペーサーユニットとして作用し得る。あるいは、ペプチドリンカーは、連結された配列を分離し得る機構によって(例えば、タンパク質分解性切断部位またはインテイン配列を提供することによって)提供することができる。
【0027】
「遺伝子融合構築物」という用語は、2以上の共連結された異種核酸配列を含む構築物をいう。本発明の好ましい実施形態では、共連結された配列は、異種酵素ドメインをコードし、その構築物の発現により、直接的にかまたはペプチドリンカーによって一緒に融合された異種酵素ドメインを含む、ハイブリッドタンパク質を生じる。遺伝子融合構築物の調製は、代表的に、融合コード領域における正確な読み枠の維持および任意の内部終止コドンの除去を包含する。あるいは、内部終止コドンは、特定の生物学的系で抑制され得る。
【0028】
本明細書中で使用する場合、「異種」という用語は、2以上の成分が通常天然では互いに近接して見出されないことを示す、それらの成分間の関係を表す。従って、「異種酵素ドメイン」という用語は、天然で単一のポリペプチド中に見出されない酵素ドメインをいう(例えば、異種ドメインが、2つの異なる酵素または異なる種の酵素に由来する場合、など)。異種のアイテム(すなわち、酵素ドメイン、ポリペプチド、核酸配列など)は、同じ種に由来し得るか(例えば、その種における2つの異なるタンパク質)、または異なる種に由来し得る。
【0029】
ポリヌクレオチド配列は、それが外来種を起源とする場合に、または同種に由来し、その本来の形態から改変されている場合、生物または第2のポリヌクレオチド配列「に対して異種」である。例えば、異種コード配列に作動可能に連結されているプロモーターは、そのプロモーターが由来する種と異なる種由来のコード配列をいうか、または同種に由来する場合、そのプロモーターと天然では関連しないコード配列(例えば、遺伝子操作されたコード配列または異なる生態型または変種由来の対立遺伝子)をいう。
【0030】
「代謝経路」という用語は、生成物への基質の化学的変換をもたらす、代表的には、酵素に媒介される、触媒活性の任意の組合せをいう。代謝経路は、異化作用性または同化作用性であり得る。代謝経路は、通常、生物学的系中で見出されるものであり得るか、または天然では見出されない新規代謝経路であり得る。2以上の酵素(または酵素ドメイン)群は、各酵素の基質および/または生成物が、その群の別のメンバーの基質または生成物である場合に、共通の代謝経路のメンバーであり、それらの酵素の協調された活性は、適切な条件下で、中間体(または一連の中間体)を介した生成物(単数または複数)への基質(単数または複数)の変換をもたらす。代表的な例では、基質は、その群の第1のメンバーによって第1の中間体に変換され、第1の中間体は、その群の第2のメンバーによって第2の中間体に変換され、第2の中間体は、その群の第3のメンバーによって代謝経路の最終生成物に変換される。代謝経路中の中間体数は、経路によって様々であり、例えば、その経路が1つの中間体しか有さない場合もあれば、多くの中間体を有する場合もある。場合によっては、代謝経路は、分岐し得、その結果、1以上の中間体が、代替的な生成物に変換され得る。代謝経路に応じて、基質、生成物および中間体の数は、1つから多数まで変化することができる。
【0031】
「生物学的系」という用語は、その後の複製、組換えおよび/または発現のために核酸配列が導入され得る任意の系(細菌、古細菌、原生動物、真菌、植物、動物、ウイルス、単細胞、多細胞生物、リポソームのような人工構造、インビトロ発現系などが挙げられるが、これらに限定されない)を指す。
(真核生物における代謝経路操作および発現)
植物のような真核生物の所望の区画に複数の単一酵素を有する新たな(または改変された)代謝経路を確立することは、原核生物系の比較的区画化されていない環境でこれを達成するよりも困難である。その困難性は、各酵素の転写がそれ自身のプロモーターおよび終結配列により支配されているという事実に、一部は存在する。例として、4つの酵素から構成される代謝経路は、代表的には、完全な発現のために4つのプロモーター配列および4つの終結配列を必要とする。複数の転写物の別個の合成および翻訳後に、翻訳されたペプチド配列を、形質転換宿主中の同じ区画に共存させることに困難が生じ得る。別の考慮事項は、真核生物中へ操作されるべき酵素の供給源である。酵素が同じ代謝経路に関与し得る一方で、代謝経路の各工程に関する酵素の最適な選択は異なる種に由来してもよく、したがって、様々なpH最適条件、温度要件、代謝回転速度、および他の環境要件または効果を有する。
【0032】
複数の代謝酵素の同時発現の問題を解決するための1つの現在のアプローチとしては、酵素それぞれをコードする核酸配列を別個のプラスミドにクローニングすることが挙げられる。次に、そのプラスミドは、所望の真核生物系に、当該系に適切な形質転換方法論(細菌媒介性形質転換、プロトプラスト融合技法、粒子ボンバードメントなど)によりトランスフェクトされる。あるいは、酵素をコードする核酸配列が、発現カセットに集められて、複数のエレメントとしてではなく単一ベクターとして、宿主細胞にトランスフェクトされ得る。このような方法論は、当該技術分野で既知である(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausbelら編(Greene Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley & Sons,Inc.との間の共同事業(2000年に増補))。
【0033】
しかしながら、これらのアプローチは、かなりの欠点に苦しむ。核酸配列が宿主ゲノムに組み込まれる場合、位置的な効果に起因する発現問題が存在し得る(例えば、関連核酸配列が、きつく凝縮されたクロマチンセクションに挿入され得る)。ゲノムが複製されて、宿主細胞が分裂する場合の分離効果もまた、1つ以上の関連配列の損失を引き起こし得る。さらに、タンデムクローニングアプローチの場合では、同じプロモーター系の繰り返しの使用に関連した安定性の問題が存在する。これらの問題は、真核生物系における多酵素代謝経路の実用性および実施を激しく損なう。
【0034】
本発明は、複数の酵素活性を発現する方法、および改変遺伝子構築物を生産する方法を提供し、ここで所望の代謝酵素は、長い単一多機能ハイブリッドタンパク質として生産される。共連結された一連の核酸配列から翻訳される単一ペプチドとして所望の酵素ドメインを合成することにより、代謝経路中の複数酵素の同時発現および共存を取り巻く問題は、克服される。本発明の遺伝子融合構築物に組み込まれた核酸配列は、互いに直接連結され得、あるいはその配列は、ヌクレオチドリンカー配列により隔てられ得る。本発明のいくつかの実施形態では、生じるハイブリッドタンパク質に組み込まれた酵素活性は、共連結された形態またはつながった形態で活性である。別の実施形態では、例えば酵素活性を改変するために、転写または翻訳後に酵素ドメインを切断または分離することが、望ましい場合があり得る。構成する酵素活性の分離は、例えばタンパク質分解性切断または加水分解に感受性であるペプチドリンカーの使用により、あるいはリンカー配列にインテインまたはイントロン配列を組み込むことにより、達成され得る。これらの方法、ならびにこれらの方法にて使用されるかまたはこれらの方法により生産される遺伝子融合構築物、改変遺伝子融合構築物、およびハイブリッドタンパク質について、以下でさらに詳述する。
(遺伝子融合構築物)
本発明は、遺伝子融合構築物の使用により複数の酵素活性を発現する方法、および改変遺伝子構築物を生成する方法を提供する。さらに、本発明は、これらの方法で使用するための遺伝子融合構築物、およびこれらの方法により調製される改変遺伝子融合構築物を提供する。最も簡単な形態の遺伝子融合構築物は、酵素ドメインをコードする核酸配列の組合せである(図1〜3)。この構築物は、転写エレメント、プロモーター、終結配列、イントロンなどのような、コードされるハイブリッドタンパク質の発現に関与する核酸配列をさらに含み得る。さらに、この構築物は、以下に記載するようなヌクレオチドリンカー配列を含み得る。
【0035】
本発明の遺伝子融合構築物および改変遺伝子融合構築物を形成するために共連結される核酸配列は、様々な形態のデオキシリボ核酸(例えば、ゲノムDNA、cDNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えDNA、シャッフリングされたDNA、改変DNA、またはDNAアナログ)であり得る。あるいは、この核酸配列は、リボ核酸(ゲノムRNA、メッセンジャーRNA、触媒RNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えRNA、シャッフリングされたRNA、改変RNA、またはRNAアナログが挙げられるが、これらに限定されない)であり得る。本発明の融合構築物に組み込まれる核酸配列はまた、1つ以上の核酸配列ライブラリーに由来し得る。
【0036】
本発明の遺伝子融合構築物および改変遺伝子構築物は、分子クローニング技法のような、当該技術分野で公知の多数の技法により調製され得る。発現ベクターのような、組換え核酸の構築に適した多種多様なクローニング方法およびインビトロ増幅方法が、当業者に周知である。変異誘発を含む、本明細書にて有用な分子生物学的技法を記載している一般的なテキストとしては、BergerおよびKimmel,Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology,volume 152、Academic Press,Inc.,San Diego,CA(「Berger」);Sambrookら、Molecular Cloning− A Laboratory Manual(第2版),volumes 1−3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York,1989(「Sambrook」);ならびにCurrent Protocols in Molecular Biology、F.M.Ausubelら編,Current Protocols(Greene Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley & Sons,Inc.との間の共同事業)(2000年に増補)(「Ausubel」)が挙げられる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、Qβ−レプリカーゼ増幅、および他のRNAポリメラーゼ媒介性技法(例えば、NASBA)を含む、インビトロ増幅方法を介して当業者を指向するために十分な技法の例は、Berger、Sambrook、およびAusubel、ならびにMullisら、(1987)米国特許第4,683,202号、PCR Protocols、A Guide to Methods and Applications(Innisら編)Academic Press Inc.、San Diego,CA(1990);ArnheimおよびLevinson(1990年10月1日)Chemical and Engineering News 36−47;The Journal Of NIH Research(1991)3:81−94;Kwohら、(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173;Guatelliら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874;Lomellら(1989)J.Clin.Chem.35:1826;Landegrenら(1988)Science 241:1077−1080;Van Brunt(1990)Biotechnology 8:291−294;WuおよびWallace(1989)Gene 4:560;Barringerら(1990)Gene 89:117;ならびにSooknananおよびMalek(1995)Biotechnology 13:563−564に見出される。インビトロ増幅核酸をクローニングする改良方法は、Wallenceら、米国特許第5,426,039号に記載されている。PCRにより大きな核酸を増幅する改良方法は、Chengら(1994)Nature 369:684−685およびその中の参照文献に要約されており、そこでは最大40kbのPCRアンプリコンが生成される。当業者は、本質的に任意のRNAが、逆転写酵素およびポリメラーゼを用いて、制限消化、PCR増大および配列決定に適した二重鎖DNAに変換され得ることを理解する。Ausbel、SambrookおよびBerger(全て上述)を参照されたい。
【0037】
遺伝子融合構築物に含まれるための核酸配列の単離は、当該技術分野で公知の多数の技法により達成され得る。例えば、既知の配列に基づくオリゴヌクレオチドプローブが用いられて、cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリー中の所望の遺伝子が同定され得る。プローブが用いられて、同種または異なる種中の相同遺伝子を単離するためにゲノムDNA配列またはcDNA配列とハイブリダイズされ得る。あるいは、酵素に対して誘起される抗体を用いて、対応するコード配列に関して、mRNA発現ライブラリーがスクリーニングされ得る。
【0038】
あるいは、目的の核酸は、増幅技法を用いて核酸サンプルから増幅され得る。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術が用いられて、ゲノムDNA、cDNA、ゲノムライブラリー、またはcDNAライブラリーから直接、所望の遺伝子配列が増幅され得る。PCRおよび他のインビトロ増幅方法はまた、例えば発現されるべきタンパク質をコードする核酸配列をクローニングするために、サンプル中の所望のmRNAの存在を検出するためのプローブとして使用する核酸を作製するために、核酸配列決定のために、または他の目的のために、有用であり得る。PCRの総説に関しては、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innis,M.、Gelfand,D.、Sninsky,J.およびWhite,T.編),Academic Press,San Diego(1990)を参照されたい。
【0039】
ポリヌクレオチドまた、技術文献中に記載されているような周知の技法により合成され得る。例えば、Carruthersら、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.47:411−418(1982)、およびAdamsら、J.Am.Chem.Soc.105:661(1983)を参照されたい。続いて、二本鎖DNAフラグメントは、相補鎖を合成することかつ適切な条件下でその鎖を一緒にアニーリングすること、あるいは、DNAポリメラーゼを用いて相補鎖に適切なプライマー配列を付加することのいずれかによって、得られ得る。
(例えばインビトロ増幅方法で、遺伝子プローブとして使用するための)プローブとして使用するためのオリゴヌクレオチド、またはシャッフリング標的使用するためのオリゴヌクレオチド(例えば合成遺伝子また遺伝子セグメント)は、代表的には、BeaucageおよびCaruthers(1981)Tetrahedron Letts.22(20):1859−1862に記載される固相ホスホロアミダイトトリエステル方法に従って、例えばNeedham−VanDevanterら、(1984)Nucleic Acids Res.12:6159−6168に記載されるようなに自動合成機を用いて、化学的に合成される。本発明の核酸構築物に使用するためのオリゴヌクレオチドはまた、当業者に公知の種々の商業的供給源に、特注および注文され得る。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態では、遺伝子融合構築物は、共連結核酸配列の他に、プロモーター、エンハンサーエレメント、およびシグナル伝達配列のような、エレメントを含む。例示的プロモーターとしては、CaMVプロモーター、リブロース−1,5−二リン酸カルボキシラーゼ−オキシゲナーゼ小サブユニット遺伝子由来のプロモーター、ユビキチンプロモーター、およびrolDプロモーターが挙げられる。例示的エンハンサーエレメントとしては、が挙げられるが、これらに限定されない。例示的シグナル伝達配列としては、組織特異的輸送ペプチド(例えば、葉緑体輸送ペプチド)をコードする核酸配列が挙げられるが、これに限定されない。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、植物細胞の形質転換に適切な遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物が調製される。所望の核酸をコードするDNA配列(例えば酵素ドメインをコードするcDNA配列またはゲノム配列)が、所望の植物に導入され得る組換え発現カセットを構築するために、便利よく使用される。発現カセットは、代表的には、形質転換植物の対象組織(例えば、植物全体、葉、種子)中の遺伝子から配列の転写を指向する、プロモーターならびに他の転写開始調節配列および翻訳開始調節配列に作動可能に連結された、選択核酸配列(構築物に依存して改変または未改変)を含む。
【0042】
例えば、植物の組織全部において本明細書中に記載する遺伝子融合構築物または改変遺伝子融合構築物中のコード配列の発現を指向する、強く構成的な植物プロモーターまたは弱く構成的な植物プロモーターが、使用され得る。このようなプロモーターは、ほとんどの環境条件および発達また細胞分化の状態下で活性である。構成的プロモーターの例としては、Agrobacterium tumefaciensのT−DNAに由来する1’−プロモーターまたは2’−プロモーター、および当業者に公知の様々な植物遺伝子からの他の転写開始領域が、挙げられる。遺伝子融合構築物からの遺伝子の過剰発現が植物にとって有害である状況では、当業者は、本開示を吟味して、低レベルの発現のために弱い構成的プロモーターが使用され得ることを、理解する。高レベルの発現が植物にとって有害でない場合では、強力なプロモーター(例えば、t−RNAプロモーターまたは他のpolIIIプロモーター)、または強力なpolIIプロモーター(例えば、カリフラワーモザイクウイルスプロモーター)が、使用され得る。
【0043】
あるいは、植物プロモーターは、環境制御下にあり得る。このようなプロモーターは、本明細書では「指向性」プロモーターと称する。指向性プロモーターによる転写を達成し得る環境条件の例としては、病原体攻撃、嫌気性条件、または光の存在が挙げられる。
【0044】
本発明の遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物に組み込まれるプロモーターは、「組織特異的」であり得、したがって所望の遺伝子が、葉および種子のような特定の組織のみで発現されるという点で発達制御下にあり得る。植物系にとって内因性の1つ以上の核酸配列が構築物に組み込まれる実施形態では、これらの遺伝子由来の内因性プロモーター(またはその改変体)が、トランスフェクトされた植物中の遺伝子発現を指向するために使用され得る。組織特異的プロモーターはまた、本明細書中に記載するような改変核酸を含む異種構造遺伝子の発現を指向するために使用され得る。
【0045】
一般に、植物中の発現カセットで使用される特定のプロモーターは、対象とされる用途に依存する。植物細胞での転写を指向する多数のプロモーターのいずれかが適切である。このプロモーターは、構成的または指向性のいずれかであり得る。上述のプロモーターに加えて、植物中で作動する細菌起源のプロモーターとしては、オクトピンシンターゼプロモーター、ノパリンシンターゼプロモーター、およびネイティブTiプラスミドに由来する他のプロモーターが挙げられる(例えば、Herrara−Estrellaら(1983)Nature 303:209−213)。ウイルスプロモーターとしては、カリフラワーモザイクウイルスの35S RNAプロモーターおよび19S RNAプロモーターが挙げられる(Odellら、(1985)Nature 313:810−812)。他の植物プロモーターとしては、リブロース−1,3−二リン酸カルボキシラーゼ小サブユニットプロモーター、およびファゼオリンプロモーターが挙げられる。E8遺伝子および他の遺伝子由来のプロモーター配列が、使用され得る。E8プロモーターの単離および配列は、DeikmanおよびFischer(1988)EMBO J.7:3315−3327に詳述されている。
【0046】
候補プロモーターを同定するために、ゲノムクローンの5’部位が、プロモーター配列に特徴的な配列に関して分析される。例えば、プロモーター配列エレメントは、TATAボックスコンセンサス配列(TATAAT)を含み、これは通常、転写開始部位の20〜30塩基上流にある。植物では、Messingら(1983)Genetic Engineering in Plants,Kosageら(編),pp.221−227に記載されるように、TATAボックスからさらに上流に、−80位〜−100位に、トリヌクレオチドG(またはT)の周囲にある一連のアデニンを有するプロモーターエレメントが、代表的には、存在する。
【0047】
本発明の遺伝子融合構築物または改変遺伝子融合構築物を調製する際に、プロモーターおよび共連結核酸配列以外の配列もまた、使用され得る。正常なポリペプチド発現が望ましい場合、シャッフリングされたコード領域の3’末端にあるポリアデニル化領域を含まれ得る。ポリアデニル化領域は、天然遺伝子、様々な他の植物遺伝子、またはT−DNAに由来し得る。
【0048】
この遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物はまた、選択可能な表現型を植物細胞に付与するマーカー遺伝子を含み得る。例えば、このマーカーは、殺生剤耐性、特に抗生物質耐性(例えば、カナマイシンに対する耐性、G418に対する耐性、ブレオマイシンに対する耐性、ハイグロマイシンに対する耐性)、または除草剤耐性(クロロスルフォロン(chlorosluforon)に対する耐性またはホスフィノスリシン(除草剤ビアラホスおよびBastaにおける活性成分)に対する耐性)をコードし得る。
【0049】
この遺伝子融合構築物はまた、例えばコードされたポリペプチドの精製を容易とするマーカー配列にインフレームで融合された、コード配列またはそのフラグメントを含み得る。このような精製を容易とするドメインとしては、固定化金属上での精製を可能にするヒスチジン−トリプトファンモジュールのような金属キレートペプチド、グルタチオンを結合する配列(例えば、GST)、血球凝集素(HA)タグ(インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する;Wilson,I.ら(1984)Cell 37:767)、マルトース結合タンパク質配列、FLAGS伸長/アフィニティ精製系(Immunex Corp.,Seattle,WA)で利用されるFLAGエピトープなどが挙げられるが、これらに限定されない。精製ドメインと酵素ドメインとの間に、プロテアーゼで切断可能なポリペプチドリンカーを含むことは、精製を容易にするために有用である。
【0050】
例えば、本明細書中に記載する組成物および方法で使用することが可能である発現ベクターの1つは、エンテロキナーゼ切断部位により分離されたポリヒスチジン領域に融合された本発明のポリペプチドを含む、融合タンパク質の発現を提供する。このヒスチジン残基は、IMIAC(Porathら(1992)Protein Expression and Purification 3:263−281に記載されるような、固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィ)での精製を容易にすると同時に、エンテロキナーゼ切断部位は、発現産物の残部からポリヒスチジン領域を分離する方法を提供する。pGEXベクター(Amersham Pharmacia Biotech)は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現するために、必要に応じて使用される。例えばPichiaでの発現を可能にするpPICzベクター(Invitrogen)のような、他の発現系もまた、必要に応じて使用される。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、リガンド−アガロースビーズ(GST融合物の場合、グルタチオン−アガロース)への吸着、続く遊離リガンドの存在下での溶出により、溶解した細胞から容易に精製され得る。
【0051】
本発明のポリペプチドは、硫酸アンモニア沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、アニオン交換クロマトグラフィまたはカチオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ(例えば、本明細書中に記載するタグ付け系のいずれかを用いて)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、およびレクチンクロマトグラフィを含む、当該技術分野で周知の多数の方法のいずれかにより、組換え細胞培養物から回収および精製され得る。いくつかの場合、タンパク質は、機能的生成物を回収するためにリフォールディングさせる必要がある。上述の参照文献に加えて、例えばSandana(1997)Bioseparation of Proteins,Academic Press,Inc.;ならびにBollagら(1996)Protein Methods,2nd Edition Wiley−Liss,NY;Walker(1996)The Protein Protocols Handbook Humana Press,NJ;HarrisおよびAngal(1990)Protein Purification Applications:A Practical Approach、IRL Press at Oxford,Oxford,England;HarrisおよびAngal Protein Purification Methods:A Practical Approach、IRL Press at Oxford,Oxford,England;Scopes(1993)Protein Purification:Principles and Practice、3rd Edition、Springer Verlag,NY;JansonおよびRyden(1998)Protein Purification:Principles,High Resolution Methods and Applications,Second Edition、Wiley−VCH,NY;ならびにWalker(1998)Protein Protocols on CD−ROM、Humana Press,NJに記載されるものを含む様々な精製方法が、当該技術分野で既知である。
【0052】
無細胞転写/翻訳系もまた、本発明の遺伝子融合構築物を発現するために使用され得る。いくつかのこのような系が市販されている。インビトロ転写および翻訳プロトコルに関する一般的な手引きは、Tymms(1995)In vitro Transcription and Translation Protocols:Methods in Molecular Biology、Volume 37,Garland Publishing,NYに見出される。
【0053】
本発明はまた、本発明の2つ以上の核酸を(例えば、組換え用基質として)含む、組成物を包含する。この組成物は、組換え核酸ライブラリーを含むことができ、ここでライブラリーは、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、もしくは少なくとも50個またはそれ以上の核酸を含む。この核酸は、必要に応じて発現ベクター中にクローニングされて、発現ライブラリーを提供する。
【0054】
本発明はまた、(例えば、上述の組換え方式のいくつかで実施されるように)制限エンドヌクレアーゼ、RNA分解酵素、またはDNA分解酵素で、本発明の1つ以上の核酸を消化することにより生成される組成物、および機械的手段(例えば、超音波処理、ボルテックスなど)により本発明の1つ以上のポリヌクレオチドをフラグメント化あるいはせん断することにより生成される組成物を包含し、これらの組成物は、上述の方法で組換え用の基質を提供するために使用され得る。同様に、1つより多くの本発明の核酸に対応するオリゴヌクレオチドのセットを含む組成物は、組換え基質として有用であり、本発明の特徴である。便宜上、これらのフラグメント化混合物、せん断混合物、オリゴヌクレオチド合成混合物を、フラグメント化核酸セットと呼ぶ。
【0055】
また、リボヌクレオチド三リン酸またはデオキシリボヌクレオチド三リン酸と核酸ポリメラーゼとの存在下でフラグメント化核酸セットの1つ以上をインキュベートすることにより生成される組成物もまた、本発明に包含される。この生じた生成物は、上述の組換え方式の多数用の組換え混合物を形成する。核酸ポリメラーゼは、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、またはRNA指向性DNAポリメラーゼ(例えば、「逆転写酵素」)であってもよい。このポリメラーゼは、例えば耐熱性DNAポリメラーゼ(例えば、VENT、TAQなど)であり得る。
【0056】
本発明の融合タンパク質を生産および単離するための組換え方法は、上述している。組換え生産に加えて、このポリペプチドは、固相技法を用いた直接ペプチド合成により生産され得る(例えば、Stewartら(1969)Solid−Phase Peptide Synthesis,WH Freeman Co.,San Francisco;Merrifield J(1963)J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154を参照のこと)。ペプチド合成は、手動技法を用いて、または自動化により、実施され得る。自動合成は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド合成機(Perkin Elmer,Foster City,Calif.)を用いて、製造業者により供給される説明書に従って達成され得る。例えば、部分配列が、別個に化学的に合成され、化学的方法を用いて組み合わされ、完全長融合タンパク質が提供され得る。あるいは、このような配列は、ポリペプチドの生産を専門とする多数の会社に注文され得る。本発明の最も一般的な融合タンパク質は、例えば上述のように、コード核酸を発現させて、ポリペプチドを回収することにより生成される。
(核酸配列の改変による改変遺伝子融合構築物の形成)
本発明のいくつかの実施形態において、改変遺伝子融合構築物が用いられる。遺伝子融合構築物における1つ以上の核酸配列の改変プロセスは、そのタンパク質または酵素ドメインの、最初に同定された(すなわち「親」)配列と比較して、配列を変更することを包含する。配列の変更プロセスは、例えば、核酸配列の単一ヌクレオチド置換、複数ヌクレオチド置換、および領域の挿入または欠失をもたらし得る。
【0057】
様々な多様性生成プロトコルが、当該技術分野で利用可能でありそして記載されている。その手順は、核酸または核酸のセットの1つ以上の改変体、ならびにコードタンパク質の改変体を生成するために、別々に、かつ/または組み合わせて使用され得る。個別かつ集合的に、それらの手順は、例えば、新規の特徴および/または改善された特徴を持つ、核酸、タンパク質、経路、細胞、および/または生物の、変更、操作、または急速な進化に有用な、多様化された核酸および核酸のセット(例えば、核酸ライブラリーを含む)を生成する、強固で広範囲に応用可能な方法を提供する。
【0058】
明確にするために、続く議論において区別および分類がなされるが、これらの技術がしばしば相互に排他的ではないことが、理解される。実際、様々な方法が、多様な配列改変体を利用するために、単独にか、あるいは、並行してかまたは順次に組み合わせて、使用され得る。
【0059】
本明細書中に記載されるいずれの多様性生成手順の結果も、1つ以上の核酸の生成であり得、これらの核酸は、所望の特性を持つかまたは与えるタンパク質をコードする核酸について、選択またはスクリーニングされ得る。本明細書中の方法または当業者に利用可能な方法の1つ以上による多様化の後、生成される任意の核酸が、所望の活性または特性(例えば、1つ以上の代謝経路に由来する複数の酵素ドメインのコード)について選択され得る。これは、例えば自動化方式または自動化可能な方式で、当該技術分野の任意のアッセイにより検出され得る任意の活性または活性のセットを同定することを、含み得る。例えば、カロテノイド化合物、エクトイン、種々のポリヒドロキシアルカノエート、多数の芳香族ポリケチド、または他の代謝経路生成物もしくは副生成物の生合成が、さらに以下で記載されるように、決定され得る。あるいは、個々の酵素活性は、当該技術分野で公知の多数のアッセイのいずれかにより、アッセイされ得る。さらに,様々な関連した(またはさらに未関連の)特性が、順次にかまたは並行して、実施者の判断により、評価され得る。
【0060】
複数の酵素ドメインをコードする改変核酸配列を生成するための様々な多様性生成手順の記載は、以下の文献およびその中に引用される参考文献に見られる:
Soong,N.ら(2000)「Molecular breeding of viruses」Nat Genet 25(4):436−39;Stemmerら(1999)「Molecular breeding of viruses for targeting and other clinical properties」Tumor Targeting 4:1−4;Nessら(1999)「DNA Shuffling of subgenomic sequences of subtilisin」Nature Biotechnology 17:893−896;Changら(1999)「Evolution of a cytokine using DNA family shuffling」Nature Biotechnology 17:793−797;MinshullおよびStemmer(1999)「Protein evolution by molecular breeding」Current Opinion in Chemical Biology 3:284−290;Christiansら(1999)「Directed evolution of thymidine kinase for AZT phosphorylation using DNA family shuffling」Nature Biotechnology 17:259−264;Crameriら(1998)「DNA shuffling of a family of genes from diverse species accelerates directed evolution」Nature 391:288−291;Crameriら(1997)「Molecular evolution of an arsenate detoxification pathway by DNA shuffling」Nature Biotechnology 15:436−438;Zhangら(1997)「Directed evolution of an effective fucosidase from a galactosidase by DNA shuffling and screening」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:4504−4509;Pattenら(1997)「Applications of DNA Shuffling to Pharmaceuticals and Vaccines」Current Opinion in Biotechnology 8:724−733;Crameriら(1996)「Construction and evolution of antibody−phage libraries by DNA shuffling」Nature Medicine 2:100−103;Crameriら(1996)「Improved green fluorescent protein by molecular evolution using DNA shuffling」Nature Biotechnology 14:315−319;Gatesら(1996)「Affinity selective isolation of ligands from peptide libraries through display on a lac repressor headpiece dimer」Journal of Molecular Biology 255:373−386;Stemmer(1996)「Sexual PCR and Assembly PCR」The Encyclopedia of Molecular Biology.VCH Publishers,New York.pp.447−457;CrameriおよびStemmer(1995)「Combinatorial multiple cassette mutagenesis creates all the permutations of mutant and wildtype cassettes」Bio Techniques 18:194−195;Stemmerら(1995)「Single−step assembly of a gene and entire plasmid form large numbers of oligodeoxy−ribonucleotides」Gene,164:49−53;Stemmer(1995)「The Evolution of Molecular Computation」Science 270:1510;Stemmer(1995)「Searching Sequence Space」Bio/Technology 13:549−553;Stemmer(1994)「Rapid evolution of a protein in vitro by DNA shuffling」Nature 370:389−391;およびStemmer(1994)「DNA shuffling by random fragmentation and reassembly: In vitro recombination for molecular evolution」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747−10751。
【0061】
多様性を生成する突然変異性法として、例えば、部位特異的突然変異誘発(Lingら(1997)「Approaches to DNA mutagenesis:an overview」Anal Biochem.254(2):157−178;Daleら(1996)「Oligonucleotide−directed random mutagenesis using the phosphorothioate method」Methods Mol.Biol.57:369−374;Smith(1985)「In vitro mutagenesis」Ann.Rev.Genet.19:423−462;Botstein & Shortle(1985)「Strategies and applications of in vitro mutagenesis」Science 229:1193−1201;Carter(1986)「Site−directed mutagenesis」Biochem.J.237:1−7;およびKunkel(1987)「The efficiency of oligonucleotide directed mutagenesis」Nucleic Asids & Molecular Biology(Eckstein,F.and Lilley,D.M.J.eds.,Springer Verlag, Berlin));ウラシル含有鋳型を使用する突然変異誘発(Kunkel(1985)「Rapid and efficient site−specific mutagenesis without phenotypic selection」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488−492;Kunkelら(1987)「Rapid and efficient site−specific mutagenesis without phenotypic selection」Methods in Enzymol.154,367−382;およびBassら(1988)「Mutant Trp repressors with new DNA−binding specificities」Science 242:240−245);オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発 (Methods in Enzymol.100:468−500(1983);Methods in Enzymol.154:329−350(1987);Zoller & Smith(1982)「Oligonucleotide−directed mutagenesis using M13−derived vectors: an efficient and general procedure for the production of point mutations in any DNA fragment」Nucleic Acids Res.10:6487−6500;Zoller & Smith(1983)「Oligonucleotide−directed mutagenesis of DNA fragments cloned into M13 vectors」 Methods in Enzymol.100:468−500;およびZoller & Smith(1987)「Oligonucleotide−directed mutagenesis:a simple method using two oligonucleotide primers and a single−stranded DNA template)」 Methods in Enzymol.154:329−350);ホスホロチオエートで改変DNAの突然変異誘発(Taylorら(1985) 「The use of phosphorothioate−modified DNA in restriction enzyme reactions to prepare nicked DNA」Nucl.Acids Res.13:8749−8764;Taylorら(1985)「The rapid generation of oligonucleotide−directed mutations at high frequency using phosphorothioate−modified DNA」Nucl.Acids Res.13:8765−8787(1985);Nakamaye & Eckstein(1986)「Inhibition of restriction endonuclease Nci I cleavage by phosphorothioate groups and its application to oligonucleotide directed mutagenesis」Nucl.Acids Res.14:9679−9698;Sayersら(1988)「Y−T Exonucleases in phosphorothioate−based oligonucleotide−directed mutagenesis」Nucl.Acids Res.16:791−802;およびSayersら(1988)「Strand specific cleavage of phosphorothioate−containing DNA by reaction with restriction endonucleases in the presence of ethidium bromide」Nucl.Acids Res.16:803−814);ギャップ化二本鎖DNAを使用する突然変異誘発(Kramerら(1984)「The gapped duplex DNA approach to oligonucleotide−directed mutation construction」Nucl.Acids Res.12:9441−9456;Kramer & Fritz(1987)Methods in Enzymol.「Oligonucleotide−directed construction of mutations via gapped duplex DNA」154:350−367;Kramerら(1988)「Improved enzymatic in vitro reactions in the gapped duplex DNA approach to oligonucleotide−directed construction of mutations」Nucl.Acids Res.16:7207;およびFritzら(1988)「Oligonucleotide−directed construction of mutations:a gapped duplex DNA procedure without enzymatic reactions in vitro」Nucl.Acids Res.16:6987−6999)が挙げられる。
【0062】
さらなる適した方法として、点ミスマッチ修復(Kramerら(1984)「Point Mismatch Repair」Cell 38:879−887)、修復欠損宿主株を使用する突然変異誘発(Carterら(1985)「Improved oligonucleotide site−directed mutagenesis using M13 vectors」Nucl.Acids Res.13:4431−4443;およびCarter(1987)「Improved oligonucleotide−directed mutagenesis using M13 vectors」Methods in Enzymol.154:382−403)、欠失突然変異誘発(Eghtedarzadeh & Henikoff(1986)「Use of oligonucleotides to generate large deletions」Nucl.Acids Res.14:5115)、制限−選択および制限−選択および制限−精製(Wellsら(1986)「Importance of hydrogen−bond formation in stabilizing the transition state of subtilisin」Phil.Trans.R.Soc.Lond.A317:415−423)、全遺伝子合成による突然変異誘発(Nambiarら(1984)「Total synthesis and cloning of a gene coding for the ribonuclease S protein」Science 223:1299−1301;SakamarおよびKhorana(1988)「Total synthesis and expression of a gene for the a−subunit of bovine rod outer segment guanine nucleotide−binding protein(transducin)」Nucl.Acids Res.14:6361−6372;Wellsら(1985)「Cassette mutagenesis:an efficient method for generation of multiple mutations at defined sites」Gene 34:315−323;およびGrundstromら(1985)「Oligonucleotide−directed mutagenesis by microscale ’shot−gun’ gene synthesis」Nucl.Acids Res.13:3305−3316)、二本鎖切断修復(Mandecki(1986);Arnold(1993)「Protein engineering for unusual environments」Current Opinion in Biotechnology 4:450−455.「Oligonucleotide−directed double−strand break repair in plasmids of Escherichia coli: a method for site−specific mutagenesis」Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:7177−7181)が挙げられる。上記方法の多くのさらなる詳細は、Methods in Enzymology Volume 154(種々の突然変異誘発法での問題を解決するための有用なコントロールもまた記載する)に見いだされ得る。
【0063】
種々の多様性生成法に関するさらなる詳細は、以下の米国特許、PCT公開広報、およびEPO公開広報に見いだされ得る:Stemmerに対する米国特許第5,605,793号(1997年2月25日)、「Methods for In Vitro Recombination」;Stemmerらに対する米国特許第5,811,238号(1998年9月22日)「Methods for Generating Polynucleotides having Desired Characteristics by Iterative Selection and Recombination」;Stemmerらに対する米国特許第5,830,721号(1998年11月3日)、DNA Mutagenesis by Random Fragmentation and Reassembly」;Stemmerらに対する米国特許第5,834,252号(1998年11月10日)「End−Complementary Polymerase Reaction」;Minshullらに対する米国特許第5,837,458号(1998年11月17日)、「Methods and Compositions for Cellular and Metabolic Engineering」;WO95/22625、StemmerおよびCrameri、「Mutagenesis by Random Fragmentation and Reassembly」;StemmerおよびLipschutzによるWO96/33207「End Complementary Polymerase Chain Reaction」;StemmerおよびCrameriによるWO97/20078「Methods for Generating Polynucleotides having Desired Characteristics by Iterative Selection and Recombination」;MinshullおよびStemmerによるWO97/35966、「Methods and Compositions for Cellular and Metabolic Engineering」;PunnonenらによるWO99/41402「Targeting of Genetic Vaccine Vectors」;PunnonenらによるWO99/41383「Antigen Library Immunization」;PunnonenらによるWO99/41369「Genetic Vaccine Vector Engineering」;PunnonenらによるWO99/41368「Optimization of Immunomodulatory Properties of Genetic Vaccines」;StemmerおよびCrameriによるEP752008、「DNA Mutagenesis by Random Fragmentation and Reassembly」;StemmerによるEP0932670、「Evolving Cellular DNA Uptake by Recursive Sequence Recombination」;StemmerらによるWO99/23107、「Modification of Virus Tropism and Host Range by Viral Genome Shuffling」;AptらによるWO99/21979、「Human Papillomavirus Vectors」;del CardayreらによるWO98/31837、「Evolution of Whole Cells and Organisms by Recursive Sequence Recombination」;PattenおよびStemmerによるWO98/27230、「Methods and Compositions for Polypeptide Engineering」;StemmerらによるWO98/13487、「Methods for Optimization of Gene Therapy by Recursive Sequence Shuffling and Selection」、WO00/00632、「Methods for Generating Highly Diverse Libraries」、WO00/09679、「Methods for Obtaining in Vitro Recombined Polynucleotide Sequence Banks and Resulting Sequences」、ArnoldらによるWO98/42832、「Recombination of Polynucleotide Sequences Using Random or Defined Primers」、ArnoldらによるWO99/29902、「Method for Creating Polynucleotide and Polypeptide Sequences」、VindによるWO98/41653、「An in Vitro Method for Construction of a DNA Library」、BorchertらによるWO98/41622、「Method for Constructing a Library Using DNA Shuffling」、およびPatiおよびZarlingによるWO98/42727、「Sequence Alterations using Homologous Recombination」、PattenらによるWO00/18906、「Shuffling of Codon−Altered Genes」;del CardayreらによるWO00/04190、「Evolution of Whole Cells and Organisms by Recursive Recombination」;CrameriらによるWO00/42561、「Oligonucleotide Mediated Nucleic Acid Recombination」;SelifonovおよびStemmerによるWO00/42559、「Methods of Populating Data Structures for Use in Evolutionary Simulations」;SelifonovらによるWO00/42560、「Methods for Making Character Strings,Polynucleotides & Polypeptides Having Desired Characteristics」;WelchらによるWO01/23401、「Use of Codon−Varied Oligonucleotide Synthesis for Synthetic Shuffling」;およびAffholterによるPCT/US01/06775「Single−Stranded Nucleic acid Template−Mediated Recombination and Nucleic acid Fragment Isolation」。
【0064】
特定の米国特許出願が、種々の多様性生成法に関するさらなる詳細を提供し、これには以下が挙げられる:Pattenらによる「SHUFFLING OF CODON ALTERED GENES」、1999年9月28日出願(USSN09/407,800);del Cardayreらによる「EVOLUTION OF WHOLE CELLS AND ORGANISMS BY RECURSIVE SEQUENCE RECOMBINATION」、1998年7月15日出願(USSN09/166,188)、および1999年7月15日出願(USSN09/354,922);Crameriらによる「OLIGONUCLEOTIDE MEDIATED NUCLEIC ACID RECOMBINATION」、1999年9月28日出願(USSN09/408,392)、およびCrameriら「OLIGONUCLEOTIDE MEDIATED NUCLEIC ACID RECOMBINATION」、2000年1月18日出願(PCT/US00/01203);Welchらによる「USE OF CODON−BASED OLIGONUCLEOTIDE SYNTHESIS FOR SYNTHETIC SHUFFLING」、1999年9月28日出願(USSN09/408,393);Selifonovらによる「METHODS FOR MAKING CHARACTER STRINGS, POLYNUCLEOTIDES & POLYPEPTIDES HAVING DESIRED CHARACTERISTICS」、2000年1月18日出願(PCT/US00/01202)、およびSelifonovらによる「METHODS FOR MAKING CHARACTER STRINGS,POLYNUCLEOTIDES & POLYPEPTIDES HAVING DESIRED CHARACTERISTICS」、2000年7月18日出願(USSN09/618,579);SelifonovおよびStemmerによる「METHODS OF POPULATING DATA STRUCTURES FOR USE IN EVOLUTIONARY SIMULATIONS」(PCT/US00/01138)、2000年1月18日出願;およびAffholterによる「SINGLE−STRANDED NUCLEIC ACID TEMPLATE−MEDIATED RECOMBINATION AND NUCLEIC ACID FRAGMENT ISOLATION」(USSN60/186,482、2000年3月2日出願)。
【0065】
簡単には、いくつかの異なる一般的なクラスの配列改変法(例えば、突然変異、組換えなど)が本発明に適用可能であり、例えば上記の参考文献中に示される。すなわち、成分核酸配列を変更して改変遺伝子融合構築物を生成することは、配列の共連結(cojoining)の前かまたは共連結工程後のいずれかに、任意の数の記載されるプロトコルにより行われ得る。以下は、本発明の文脈における多様性生成のための好適な方式(例えば、特定の組換えに基づく多様性生成方式を含む)の異なる型のいくつかを例示する。
【0066】
核酸は、上記の参考文献に考察される種々の技術(例えば、組換えられる核酸のDNAase消化、続く核酸のライゲーションおよび/またはPCR再アセンブリが挙げられる)のいずれかによりインビトロで組換えられ得る。例えば、セクシャルPCR突然変異誘発は、DNA分子の無作為(または擬似無作為、またはさらに非無作為の)フラグメント化に続いて、インビトロで、異なるが関連したDNA配列を有するDNA分子間の配列類似性に基づく組換え、続くポリメラーゼ連鎖反応法における伸長による交差の固定化において、使用され得る。このプロセスおよび多くのプロセス改変型が、上記の参考文献のいくつか、例えばStemmer(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747−10751に記載される。
【0067】
同様に、核酸は、例えば細胞中の核酸間で組換えを生じさせることにより、インビボで再帰に組換えられ得る。多くのそのようなインビボ組換え方式は、上記の参考文献中に記述される。そのような方式は、他の方式と同様に、必要に応じて、目的の核酸間の直接組換えを提供するか、または目的の核酸を含むベクター、ウイルス、プラスミドなどの間の組換えを提供する。そのような手順に関する詳細は、上記される参考文献中に見いだされる。
【0068】
全ゲノム組換え法もまた、細胞または他の生物の全ゲノムの組換えにおいて使用することができ、必要に応じて、所望のライブラリー成分(例えば、本発明の経路に対応する遺伝子)を持つゲノム組換え混合物のスパイキング(spiking)を含む。これらの方法は、標的遺伝子の正体が未知であるものを含む、多くの適用を有する。そのような方法の詳細は、例えば、del CardayreらによるWO98/31837、「Evolution of Whole Cells and Organisms by Recursive Sequence Recombination」に、そして、例えば、del CardayreらによるPCT/US99/15972、表題「Evolution of Whole Cells and Organisms by Recursive Sequence Recombination」にも見いだされる。したがって、組換え、再帰組換え、および全ゲノム組換えのためのこれらのプロセスおよび技術のいずれかが、単独または組み合わせて、本発明の改変核酸配列および/または改変遺伝子融合構築物を生成するために使用され得る。
【0069】
目的の標的に対応するオリゴヌクレオチドが、1つ以上の親核酸に対応するオリゴヌクレオチドを含むPCRまたはライゲーション反応物中で合成および再アセンブリされる合成的組換え法もまた、使用することができ、それにより新規組換え核酸を生成する。オリゴヌクレオチドは、標準ヌクレオチド付加法により作成され得るか、または、例えばトリヌクレオチド合成アプローチにより作成され得る。そのようなアプローチに関する詳細は、上記の参考文献中に見いだされ、例えば、CrameriらによるWO00/42561、「Oligonucleotide Mediated Nucleic Acid Recombination」;WelchらによるWO01/23401、「Use of Codon−Varied Oligonucleotide Synthesis for Synthetic Shuffling」;SelifonovらによるWO00/42560、「Methods for Making Character Strings, Polynucleotides and Polypeptides Having Desired Characteristics」;ならびにSelifonovおよびStemmerによるWO00/42559、「Methods of Populating Data Structures for Use in Evolutionary Simulations」が挙げられる。
【0070】
相同(またはさらに非相同)核酸に対応する配列文字列を組み換えるために、コンピュータ内で遺伝的アルゴリズムが使用されるインシリコ(in silico)組換え法がもたらされ得る。得られた組換え配列文字列は、例えば、オリゴヌクレオチド合成/遺伝子再アセンブリ技術と協調して、必要に応じて、組換え配列に対応する核酸の合成により、核酸へ変換される。このアプローチは、無作為、部分的無作為、または設計された改変体を生成し得る。対応する核酸(および/またはタンパク質)ならびに設計された核酸および/またはタンパク質の組合せ(例えば、交差部位選択に基づく)の生成と組み合わせた、コンピュータシステムにおける遺伝的アルゴリズム、遺伝的オペレータなどの使用を含む、インシリコ組換え、ならびに設計された擬似無作為または無作為組換え法に関する多くの詳細は、SelifonovらによるWO00/42560、「Methods for Making Character Strings,Polynucleotides and Polypeptides Having Desired Characteristics」ならびにSelifonovおよびStemmerによるWO00/42559、「Methods of Populating Data Structures for Use in Evolutionary Simulations」に記載される。インシリコ組換え法に関する広範な詳細がこれらの出願に見いだされる。この方法論は、一般に、種々の代謝経路(例えば、カロテノイド生合成経路、エクトイン生合成経路、ポリヒドロキシアルカノエート生合成経路、芳香族ポリケチド生合成経路など)に含まれるタンパク質をコードする核酸配列および/または遺伝子融合構築物のインシリコ組換え、および/または対応する核酸またはタンパク質の生成を提供する際に、本発明に適用可能である。
【0071】
例えば、多様な核酸または核酸フラグメントの一本鎖鋳型へのハイブリダイゼーション、続く重合および/またはライゲーションでの完全長配列の再生成、必要に応じてそれに続く鋳型の分解および得られた改変核酸の回収による、自然の多様性を利用する多くの方法が、同様に使用され得る。一本鎖鋳型を用いる1つの方法において、ゲノムライブラリー由来のフラグメント集団は、反対側の鎖に対応するssDNAまたはRNAの一部またはしばしばほぼ全長とアニーリングされる。次いで、この集団由来の複合キメラ遺伝子のアセンブリが、ハイブリッドしていないフラグメント末端のヌクレアーゼベースの除去、そのようなフラグメント間のギャップを埋めるための重合化、および続く一本鎖ライゲーションにより媒介される。親ポリヌクレオチド鎖は、消化(例えば、RNAまたはウラシル含有の場合)、変性条件下での磁選(magnetic separation)(そのような分離を助長する様式で標識されている場合)および他の利用可能な分離/精製法により除去され得る。あるいは、親鎖は、必要に応じて、キメラ鎖と同時精製(co−purified)され、続くスクリーニングおよびプロセシング工程の間に除去される。このアプローチに関するさらなる詳細は、例えば、Affholterによる「Single−Stranded Nucleic Acid Template−Mediated Recombination and Nucleic Acid Fragment Isolation」、PCT/US01/06775に見いだされる。
【0072】
別のアプローチにおいて、一本鎖分子は二本鎖DNA(dsDNA)に変換され、そしてこのdsDNA分子がリガンド媒介結合により固体支持体に結合される。未結合DNAの分離後、選択されたDNA分子は支持体から放出され、適切な宿主細胞中に導入されて、プローブとハイブリダイズする配列が豊富なライブラリーを生成する。この様式で生成されたライブラリーは、本明細書中に記載される手順のいずれかを使用して、さらなる多様化のために望ましい基質を提供する。
【0073】
任意の前述の一般的組換え方式が、組換え核酸のより多様なセットを生成するために、反復様式(例えば、突然変異/組換えまたは他の多様性生成法の1回以上のサイクル、必要に応じて、続く1以上の選択法)で実行され得る。
【0074】
ポリヌクレオチド鎖終結法を用いる突然変異誘発もまた提案されており(例えば、Shortに対する米国特許第5,965,408号、「Method of DNA reassembly by interrupting synthesis」および上記の参考文献を参照)、そして本発明に適用され得る。このアプローチにおいて、配列類似性の領域を共有する1以上の遺伝子に対応する二本鎖DNAが、遺伝子特異的プライマーの存在下または不在下で、組み合わされそして変性される。次いで、一本鎖ポリヌクレオチドがアニーリングされ、そしてポリメラーゼおよび鎖終結試薬(例えば、紫外線、ガンマ線、またはX線照射;臭化エチジウムまたは他のインターカレーター;一本鎖 結合タンパク質、転写活性化因子、またはヒストンのようなDNA結合タンパク質;多環式芳香族炭化水素;三価クロムまたは三価クロム塩;あるいは、急速熱サイクル(thermocycling)により媒介される省略された重合化など)の存在下インキュベートされて、部分的二重分子の生成をもたらす。例えば部分的に伸長した鎖を含有する部分的二重分子は、次いで、続く複数回の複製または部分的複製で、変性および再アニーリングされて、様々な程度の配列類似性を共有し、かつDNA分子の出発集団に関して多様化されたポリヌクレオチドをもたらす。必要に応じて、産物、または産物の部分的プールが、プロセスの1以上の段階で増幅され得る。上記のような鎖終結法により生成されるポリヌクレオチドは、任意の他の記載される組換え方式に適した基質である。
【0075】
多様性はまた、Ostermeierら(1999)「A combinatorial approach to hybrid enzymes independent of DNA homology」 Nature Biotech 17:1205に記載される「ハイブリッド酵素作成のための漸増性切断」(「ITCHY」)と呼ばれる組換え手順を使用して、核酸または核酸の集団において生成され得る。このアプローチは、改変体の開始ライブラリーを生成するために使用され得、これは、必要に応じて、1以上のインビトロ組換え法またはインビボ組換え法のための基質として役立ち得る。Ostermeierら(1999)「Combinatorial Protein Engineering by Incremental Truncation」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,96:3562−67;Ostermeierら(1999)「Incremental Truncation as a Strategy in the Engineering of Novel Biocatalysts」Biological and Medicinal Chemistry,7:2139−44、もまた参照のこと。
【0076】
個々のヌクレオチドまたは連続性もしくは非連続性のヌクレオチドの群の変更を生じる変異方法は、本発明の核酸配列および/または遺伝子融合構築物中にヌクレオチド多様性を導入するために好ましく使用され得る。多くの変異誘発法が、上記の参考文献中に見出され得る;変異誘発法に関するさらなる詳細は、以下に見出され得、これらもまた、本発明に適用され得る。
【0077】
例えば、誤りがちな(error−prone)PCRが、核酸改変体を生成するために使用され得る。この方法を使用して、DNAポリメラーゼのコピー忠実度が低い条件下でPCRを行い、その結果、PCR産物の全長に沿って、高い割合の点変異が得られる。そのような技術の例は、上記の参考文献に、および例えば、Leungら(1989)Technique 1:11−15およびCaldwellら(1992)PCR Methods Applic.2:28−33に見出される。同様に、アセンブリPCRが使用され、このプロセスは、小さいDNAフラグメントの混合物からのPCR産物のアセンブリ(組み立て)を包含する。1つの反応の産物が別の反応の産物をプライム(priming)しながら、多くの異なるPCR反応が、同じ反応混合物中で平行して生じ得る。
【0078】
オリゴヌクレオチド指向性変異誘発は、目的の核酸配列に部位特異的変異を導入するために使用され得る。そのような技術の例は、上記の参考文献に、および例えば、Reidhaar−Olsonら(1988)Science,241:53−57に見出される。同様に、カセット変異誘発が使用され、このプロセスは、二本鎖DNA分子の小さい領域を、ネイティブ配列とは異なる合成オリゴヌクレオチドカセットで置き換える。このオリゴヌクレオチドは、例えば、完全および/または部分的に無作為化されたネイティブ配列(単数または複数)を含み得る。
【0079】
反復アンサンブル(ensemble)変異誘発は、タンパク質変異誘発のためのアルゴリズムを使用して、表現型的に関連した変異体の多様な集団(そのメンバーはアミノ酸配列において異なる)を生成されるプロセスである。この方法は、連続的な複数回のコンビナトリアル(組み合わせ)カセット変異誘発をモニターするために、フィードバック機構を使用する。このアプローチの例は、Arkin & Youvan(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815に見出される。
【0080】
指数関数的アンサンブル変異誘発は、高い割合の独特かつ機能的な変異体を有するコンビナトリアルライブラリーを生成するために使用され得る。目的の配列中の残基の小さい群が、平行して無作為化され、各々の変更された位置で、機能的なタンパク質を導くアミノ酸を同定する。そのような手順の例は、Delegrave & Youvan(1993)Biotechnology Research 11:1548−1552に見出される。
【0081】
インビボ変異誘発は、例えば、1以上のDNA修復経路に変異を有するE.coli株において、任意の目的のクローニングされたDNAを増幅させることによって、そのDNAにおいてランダム変異を生成するために使用され得る。これらの「変異誘発」株は、野生型親株よりも高いランダム変異率を有する。これらの株の1つにそのDNAを増幅させる工程は、最終的にそのDNAにおいてランダム変異を生成する。そのような手順は、上記の参考文献に記載される。
【0082】
ゲノム(例えば、細菌、真菌、動物、または植物ゲノム)中に多様性を導入するための他の手順が、上記および/または参照される方法と組み合わせて使用され得る。例えば、上記の方法と組み合わせて、様々な種への形質転換に適切な核酸マルチマーを生成する方法が提案されている(例えば、Schellenberger 米国特許第5,756,316号および上記の参考文献を参照のこと)。互いに異なる遺伝子からなるこのようなマルチマー(例えば、天然の多様性に由来するか、または部位特異的変異誘発、誤りがちなPCR、変異原性細菌株を通じる継代などの適用を介する)での適切な宿主の形質転換は、例えば、上記のようなインビボ組換えプロセスによるDNA多様化のための、核酸多様性の供給源を提供する。
【0083】
あるいは、部分的な配列類似性の領域を共有する多くのモノマーポリヌクレオチドが、宿主種に形質転換され、その宿主細胞によってインビボで組換えられ得る。その後の複数回の細胞分裂が、ライブラリーを生成するために使用され得、そのメンバーは、モノマーポリヌクレオチドの単一の均一な集団またはプールを含む。あるいは、モノマー核酸は、標準的な技術(例えば、PCRおよび/またはクローニング)により回収され得、そして上記の任意の組換え形式(反復組換え形式を含む)で組換えられ得る。
【0084】
多種(multispecies)発現ライブラリーを生成するための方法が記載され(上記の参考文献に加えて、例えば、Petersonら(1998) 米国特許第5,783,431号「METHODS FOR GENERATING AND SCREENING NOVEL METABOLIC PATHWAYS」、およびThompsonら(1998)米国特許第5,824,485号「METHODS FOR GENERATING AND SCREENING NOVEL METABOLIC PATHWAYS」を参照)、そして目的のタンパク質活性を同定するためのそれらの使用が提案されている(上記の参考文献に加えて、Short(1999)の米国特許第5,958,672号「PROTEIN ACTIVITY SCREENING OF CLONES HAVING DNA FROM UNCULTIVATED MICROORGANISMS」を参照)。多種発現ライブラリーは、一般に、発現カセット中に、適切な調節配列に作動可能に連結された、複数の種または株由来のcDNAまたはゲノム配列を含む、ライブラリーを含む。cDNAおよび/またはゲノム配列は、必要に応じて、ランダムに連結されて、多様性がさらに増強される。ベクターは、2より多い宿主生物種(例えば、細菌種、真核生物細胞)における形質転換および発現に適切な、シャトルベクターであり得る。いくつかの場合において、ライブラリーは、目的のタンパク質をコードする配列または目的の核酸とハイブリダイズする配列を予め選択することによって、偏りを有する。任意のそのようなライブラリーが、本明細書中に記載される方法のいずれかのための基質として提供され得る。
【0085】
上述の手順は、主に核酸および/またはコードされたタンパク質の多様性を増加することを指向してきた。しかしながら、多くの場合において、全ての多様性が有用(例えば、機能的)であるわけではなく、数少ない好ましい改変体を同定するためにスクリーニングまたは選択されなければならない改変体のバックグラウンドを増加させるのに寄与するに過ぎない。いくつかの応用において、多様化の前に、例えば、組換えベースの変異誘発手順により、ライブラリー(例えば、増幅されたライブラリー、ゲノムライブラリー、cDNAライブラリー、規格化ライブラリーなど)または他の基質核酸を事前選択または事前スクリーニングすることか、あるいはそうでなければ機能性生成物をコードする核酸に対して基質を偏らせることが望ましい。例えば、抗体操作の場合、任意の記載される方法による操作の前にインビボ組換え事象を利用することにより、機能性抗原結合部位を有する抗体に対して多様性生成プロセスを偏らせることが可能である。例えば、B細胞cDNAライブラリー由来の組換えCDRは、増幅されて、そして本明細書中に記載される方法のいずれかに従って多様化される前に、フレームワーク領域中に組み込まれ得る(例えば、Jirholtら(1998)Exploiting sequence space:shuffling in vivo formed complementarity determining regions into a master framework」Gene 215:471)。
【0086】
ライブラリーは、所望の酵素活性を有するタンパク質をコードする核酸に対して偏り得る。例えば、特定の活性を示すクローンをライブラリーから同定した後、そのクローンは、DNA変更を導入するための任意の公知の方法を使用して変異誘発され得る。変異誘発された相同体を含むライブラリーは、次いで、所望の活性(これは最初に特定した活性と同じであっても異なってもよい)についてスクリーニングされる。そのような手順の例は、Short(1999)の米国特許第5,939,250号「PRODUCTION OF ENZYMES HAVING DESIRED ACTIVITIES BY MUTAGENESIS」に提案されている。所望の活性は、当該技術分野で公知の任意の方法により同定され得る。例えば、WO99/10539は、遺伝子ライブラリーからの抽出物を代謝的にリッチな細胞から得られる成分と組み合わせて、そして所望の活性を示す組合せを同定することにより、遺伝子ライブラリーがスクリーニングされ得ることを提案している。生理活性基質をライブラリーの試料中に挿入して、所望の活性の生成物に対応する生理活性蛍光を蛍光分析器(例えば、フローサイトメトリ装置、CCD、蛍光光度計、または分光光度計)を使用して検出することにより、所望の活性を有するクローンが同定され得るということもまた提案されている(例えば、WO98/58085)。
【0087】
ライブラリーはまた、例えば選択された核酸プローブに対するハイブリダイゼーションなど、特定の特徴を有する核酸に対して偏り得る。例えば、出願WO99/10539は、所望の活性(例えば、酵素活性、例えば:リパーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ、グリコシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ホスファターゼ、キナーゼ、オキシゲナーゼ、ペルオキシダーゼ、加水分解酵素、ヒドラターゼ、ニトリラーゼ、トランスアミナーゼ、アミダーゼ、またはアシラーゼ)をコードするポリヌクレオチドが以下の様式でゲノムDNA配列の中から同定され得ると提案する。ゲノムDNA集団からの一本鎖DNA分子が、リガンド結合プローブとハイブリダイズする。ゲノムDNAは、培養されたかまたは培養されていない微生物のいずれかに由来し得るか、または環境試料由来であり得る。あるいは、ゲノムDNAは、多細胞生物由来、またはそれら由来の組織由来であり得る。第二鎖合成は、捕捉培地からの前放出を伴ってかまたは伴わずに、あるいは当該技術分野で公知の広範な種々の他の戦略により、捕捉に使用されるハイブリダイゼーションプローブから直接実施され得る。あるいは、単離された一本鎖ゲノムDNA集団は、さらなるクローニングなしに断片化され得、直接、例えば上記のような一本鎖鋳型を用いる組換えベースアプローチに使用され得る。
【0088】
核酸およびポリペプチドを生成する「非確率的」方法が、Shortの「Non−Stochastic Generation of Genetic Vaccines and Enzymes」WO00/46344に主張されている。提案された非確率的ポリヌクレオチドの再アセンブリおよび部位飽和変異誘発法を含むこれらの方法も、同様に本発明に応用される。ドープ処理オリゴヌクレオチドまたは縮重オリゴヌクレオチドを使用する無作為または半無作為(semi−random)変異誘発もまた、例えば、ArkinおよびYouvan (1992)「Optimizing nucleotide mixtures to encode specific subsets of amino acids for semi−random mutagenesis」 Biotechnology 10:297−300;Reidhaar−Olsonら(1991)「Random mutagenesis of protein sequences using oligonucleotide cassettes」Methods Enzymol.208:564−86;LimおよびSauer(1991)「The role of internal packing interactions in determining the structure and stability of a protein」J.Mol.Biol.219:359−76; BreyerおよびSauer (1989)「Mutational analysis of the fine specificity of binding of monoclonal antibody 51F to lambda repressor」J.Biol.Chem.264:13355−60);および「Walk−Through Mutagenesis」(Crea,R;米国特許第5,830,650号および第5,798,208号、ならびに欧州特許第0527809B1号に記載される。
【0089】
多様化の前にライブラリーを富化するのに適した上記の技術のいずれも、多様性生成法により生成された生成物、または生成物のライブラリーをスクリーニングするためにも使用され得ることが容易に理解される。
【0090】
変異誘発のためのキット、ライブラリー構築物、および他の多様性生成法はまた、市販されている。例えば、キットは、例えば、Stratagene (例えば、QuickChangeTM部位特異的変異誘発キット;およびChameleonTM二本鎖部位特異的変異誘発キット)、Bio/Can Scientific、Bio−Rad (例えば、上記のKunkel法を使用する)、Boehringer Mannheim Corp.、Clonetech Laboratories、DNA Technologies、Epicentre Technologies(例えば、5プライム3プライムキット);Genpak Inc、Lemargo Inc、Life Technologies(Gibco BRL)、New England Biolabs、Pharmacia Biotech、Promega Corp.、Quantum Biotechnologies、Amersham International plc (例えば、上記のEckstein法を使用する)、およびAnglian Biotechnology Ltd(例えば、上記のCarter/Winter法を使用する)から利用可能である。
上記の参照は、組換え、再帰的組換え、再帰的変異、および変異誘発の他の型との組合せまたは組換えを含む多数の変異的方式、ならびにこれらの方式の多くの変形を提供する。使用される多様性生成方式に関係なく、本発明の核酸は再結合(互いに、または関連した(もしくは関連すらしていない)配列と)されて、本発明の遺伝子融合構築物および改変遺伝子融合構築物に使用するための組換え核酸の多様なセット(例えば、相同性の核酸、ならびに対応するポリペプチドのセットを含む)を生成し得る。
【0091】
改変核酸配列を生成するための多くの上述される方法論は、親配列(単数または複数)の多数の多様な改変体を生成する。本発明のいくつかの好適な実施形態において、改変方法(例えば、シャッフリングのいくつかの形態)は、改変体ライブラリーを生成するために使用され、次いでこのライブラリーは、いくつかの所望の機能属性をコードする改変核酸または改変核酸のプールについてスクリーニングされる。この所望の機能属性は、好ましくは、親配列によりコードされる酵素活性よりも何らかの点で優れている酵素活性である。スクリーニングされ得る酵素活性の例として、触媒速度(kcatおよびKMのような速度定数という形で慣習的に特性決定される)、基質特異性、および基質、生成物、または他の分子(例えばインヒビターまたは活性化因子)による活性化または阻害に対する感受性、が挙げられる。
【0092】
本発明の好適な実施形態のいくつかにおいて、改変核酸は、改変核酸の発現生成物が関与すると期待される代謝経路の機能をアッセイすることにより、スクリーニングおよび/または選択される。所定の核酸の特定の改変が遺伝子生成物の機能変更をもたらす場合、これはしばしば経路の出力に検出可能な変更をもたらす。例えば、代謝経路の律速または部分的律速工程を触媒する酵素ドメインの活性を増強する改変は、改変核酸を発現する細胞において生成物形成の速度を増加させる可能性が高い。したがって、増強された酵素活性をコードする改変核酸は、代謝経路の生成物を比較的高いレベルで生成する宿主細胞についてスクリーニングすることにより同定され得る。1つの非制限的な例は、宿主細胞をカロテノイド生成の増加についてアッセイすることによる、カロテノイド合成経路における酵素活性の増強についてのスクリーニングである。この例において、スクリーニングプロセスは、カロテノイドの発色特性(カロテノイドに伴う可視色の強度増加をアッセイすることにより、改善された改変核酸の検出を可能にする)により促進される。
【0093】
所望の酵素活性の選択の1つの例は、目的の酵素活性および/または代謝経路を十分に発現しない細胞の成長および/または生存を阻害する条件下で、宿主細胞を成長させることを必要とする。そのような選択を使用して、プロセスは所望の酵素活性をコードするものを除く全ての改変核酸を、考慮から排除し得る。例えば、本発明のいくつかの実施形態において、宿主細胞は目的の酵素および/または代謝経路の生産の十分なレベルを欠いている細胞の生存を阻害する条件下に維持される。それらの条件下では、十分なレベルの生成物の生成を触媒し得る酵素活性(単数または複数)をコードする改変核酸を保有する宿主細胞のみが生存し成長する。例えば、増強されたエクトイン合成活性についてのスクリーニングは、以下の実施例1に記載されるように高塩条件下で宿主を成長させることによりスクリーニングされ得る。
【0094】
利便性および高い処理能力のため、微生物、例えばE.coliのような細菌における所望の改変核酸についてスクリーニング/選択することがしばしば望ましい。一方で、植物細胞または植物におけるスクリーニングは、いくつかの場合において、最終的な目標が植物系における発現のための改変核酸を生成することである場合に好適であり得る。
【0095】
本発明のいくつかの好適な実施形態において、単独または遺伝子融合構築物の一部としてのいずれかで、異なる改変核酸を発現する宿主細胞のプールをスクリーニングすることにより、処理能力が増加する。顕著な活性を示す任意のプールが、望ましい活性を発現する単一のクローンを同定するために、逆重畳され(deconvolute)得る。
【0096】
当業者は、関連するアッセイ、スクリーニング、または選択法が、特定の酵素または代謝経路に依存して変化することを理解する。高処理能力方式で実行され得るアッセイを採用することが通常有利である。
【0097】
高処理能力アッセイにおいて、一日の間に数千もの異なる改変体をスクリーニングすることが可能である。例えば、マイクロタイタープレートの各ウェルが、別個のアッセイを実行するために使用され得るか、または濃度もしくはインキュベーション時間の効果を観察する場合、5〜10ウェルごとに単一の改変体を試験し得る。
【0098】
流体アプローチに加えて、上記のように、単純に、所望の酵素または代謝機能を選択する培地プレート上に細胞を成長させることが可能である。このアプローチは、簡潔かつ高処理能力のスクリーニング法を提供する。
【0099】
多数の周知のロボットシステムもまた、アッセイ系において有用な液相化学のために開発されてきた。これらのシステムは、Takeda Chemical Industries,LTD(Osaka、Japan)により開発された自動合成装置のような自動ワークステーション、および科学者により行われる手動合成操作をまねするロボットアームを利用する多くのロボットシステム(Zymate II, Zymark Corporation, Hopkinton, MA.; Orca, Hewlett−Packard, Palo Alto, CA)を含む。上記装置のいずれも本発明への適用に適している。集積システムに関してこれらの装置が本明細書中に考察されるように作動できるようにするための、それらの装置に対する変更の性質およびインプリメンテーションは(もしあれば)、関連分野の当業者に明らかである。
【0100】
ハイスループットスクリーニングシステムは、市販されている(例えば、Zymark Corp., Hopkinton, MA; Air Technical Industries, Mentor, OH; Beckman Instruments, Inc. Fullerton, CA; Precision Systems, Inc., Natick, MA、などを参照)。これらのシステムは、典型的には、全試料および試薬のピペット採取(pipetting)、液体分配、インキュベーションの時間調節、およびアッセイに適切な検出器(複数可)におけるマイクロプレートの最終読み込みを含む全手順を自動化する。これらの構造化可能なシステムは、高処理能力および急速な始動、ならびに高度の可撓性およびカスタマイゼーションを提供する。
【0101】
そのようなシステムの製造業者は、種々の高処理能力装置についての詳細なプロトコルを提供する。したがって、例えば、Zymark Corp.は、遺伝子転写、リガンド結合などの調節を検出するためのスクリーニングシステムを記述する技術告示を提供する。試薬操作に対する微流体(microfluidic)アプローチもまた、例えばCaliper Technologies (Mountain View,CA)により開発されている。
【0102】
カメラまたは他の記録装置(例えば、フォトダイオードおよびデータ記憶装置)により見られる(および、任意に記録される)光学画像は、必要に応じて、例えばコンピュータ上で画像をデジタル化し、かつ/または画像を記憶および解析することにより、本明細書中の任意の実施形態においてさらに処理される。様々な市販の周辺機器およびソフトウェアが、例えば、PC(インテルx86またはペンティアム(登録商標)チップ互換DOSTM、OSTM、WINDOWS(登録商標)TM、WINDOWS(登録商標) NTTMまたはWINDOWS(登録商標) 95TMベースの機種)、MACINTOSHTM、またはUNIX(登録商標)ベース(例えば、SUNTMワークステーション)のコンピュータを使用して、デジタル化、記憶、およびデジタル化ビデオまたはデジタル化光学画像の解析のために利用可能である。
【0103】
1つの従来のシステムは、アッセイ装置からの光を、冷却電荷結合素子(CCD)カメラ(当該技術分野で一般に使用される)に運ぶ。CCDカメラは、画像素子(ピクセル)のアレイを含む。試料からの光は、CCDで画像化される。標本(例えば、生物学的重合体のアレイ上の個々のハイブリダイゼーション部位)の領域に対応する特定のピクセルが、各位置についての光度数値を得るために採取される。複数のピクセルが、速度を増加させるために並行して処理される。本発明の装置および方法は、例えば蛍光または暗視野顕微鏡法により、任意の試料を観察するために容易に使用される。
【0104】
(酵素ドメインの標的活性化非機能融合)
本発明の方法において用いられる未改変核酸配列および改変核酸配列は、多数の様式で共連結し得る。例えば、配列は、いかなる介入配列もなく、互いに直接連結し得る(図1)。必要に応じて、第1の核酸配列の停止コドンが、インフレームで第2の核酸配列への付着前に除去される。そのような共連結した配列に基づいて合成されたペプチド配列は、互いに直接付着したタンパク質配列(またはその一部分)を含む(すなわち、第1の酵素ドメインのC末端アミノ酸が、続く酵素ドメインのN末端に接続していき、以下同様)。あるいは、核酸配列は、1つまたはそれより多いヌクレオチドリンカー配列を介して共連結し得る(図2)。
【0105】
必要に応じて存在するヌクレオチドリンカー配列は、好ましくは約3ヌクレオチド(すなわち、単一のアミノ酸リンカーをコードする)〜約300ヌクレオチド(すなわち、ほぼ100アミノ酸リンカーペプチドをコードする)の長範囲であるが、さらに長くあり得る。必要に応じて、ヌクレオチドリンカー配列は、約12個〜約150個のヌクレオチド、約12個〜約120個のヌクレオチド、または約12個〜約90個のヌクレオチドを含む。あるいは、ヌクレオチドリンカー配列は、約3個〜約150個のヌクレオチド、または約3個〜約30個のヌクレオチドを含む。ヌクレオチドリンカー配列は、翻訳前にハイブリッドタンパク質転写物から除去される、イントロン配列であり得る。あるいは、ヌクレオチドリンカー配列は、ハイブリッドタンパク質の一部として、酵素ドメインで翻訳されるペプチドをコードし得る。ヌクレオチドリンカー配列によりコードされたペプチドは、任意の所望の組成物の無作為アミノ酸配列であり得る。組成物の1つの例は、主にグリシンおよび/またはアラニンを含むペプチドリンカーである。別の組成物の選択肢は、ペプチドリンカーが翻訳中または翻訳後にハイブリッドタンパク質配列から自体を遊離させ得るような、インテイン(intein)構造を有するペプチドリンカーである。好ましくは、ペプチドリンカーをコードするヌクレオチドリンカー配列がハイブリッドタンパク質の一部として翻訳される場合、リンカー配列の長さは、ヌクレオチドリンカー配列の後にコードされる酵素ドメインの翻訳がリーディングフレーム外へシフトしないように、3ヌクレオチドずつ増加する。
【0106】
リンカー配列はまた、切断可能部位(例えばヌクレオチドリンカー配列における制限部位、または例えばペプチドリンカーのアミノ酸配列におけるプロテアーゼ感受性部位など)を含むように操作され得る。
【0107】
本発明の遺伝子融合構築物中への1つまたはそれ以上のヌクレオチドリンカー配列の組み込みは、遺伝子融合構築物および得られるハイブリッドタンパク質生成物のさらなる操作および制御を提供する。例えば、ヌクレオチドリンカー配列は、ハイブリッドタンパク質の標的化活性化を提供するように選択され得る。そのような標的活性化ハイブリッドタンパク質の例において、1つまたはそれ以上の酵素ドメインは、ペプチドリンカー領域が改変される(例えば、切断または除去される)まで、活性化されない。代替的な例において、ヌクレオチドリンカー配列は、例えば触媒性RNA分子を介しての切断により、ヌクレオチドリンカー配列が変更されない限り、遺伝子融合構築物の転写または翻訳に影響を与え得るかまたは阻害し得る。
【0108】
(改変遺伝子融合構築物を生産する方法)
本発明は、改変遺伝子融合構築物を生産する方法を提供する。これらの方法は、2つまたはそれ以上の酵素ドメインをコードする2つまたはそれ以上の核酸配列を共連結させる工程を含み、ここで少なくとも1つの核酸配列が、最初に決定された配列と比較して改変されている(図1)。核酸配列は、任意の下流コード配列のリーディングフレームが維持されるような様式で、共連結されるべきである。さらに、設計は、コード転写物の翻訳が停止コドンにより未熟状態で分断されないようにするべきである。これは、構築物のコード配列からすべての内部停止コドンを除去することにより簡便に達成される。
【0109】
核酸配列は、上記のように、種々の形態のデオキシリボ核酸またはリボ核酸であり得る。さらに、核酸配列は、必要に応じて、個々の核酸配列、または配列のライブラリーを含み得る。少なくとも1つの核酸配列に対する改変は、2つまたはそれ以上の配列を一緒に共連結させる前に行われ得るか、または配列が共連結した後に達成され得る。そのような改変としては、核酸配列の一部分の変異またはシャッフリングが挙げられるが、それらに限定されない。
【0110】
本発明の遺伝子融合構築物は、必要に応じて、分泌/局在化配列(例えば、シグナル配列、細胞小器官標的化配列、膜局在化配列など)および/または精製を促進する配列(例えば、エピトープタグ(FLAGエピトープ)、ポリヒスチジンタグ、GST融合物)をコードするように操作され得る。発現生成物は、必要に応じて、1つまたはそれ以上の修飾アミノ酸(例えば、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、カルボキシル化アミノ酸、リン酸化アミノ酸、アシル化アミノ酸など)を含む。
【0111】
改変遺伝子構築物を生産するための方法はさらに、改変遺伝子融合構築物を真核生物系中に導入する工程を含み得る。真核生物系は、哺乳動物系(例えば、マウス、齧歯類、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、霊長類、またはヒト系)を含む多数の生態系のいずれかであり得る。あるいは、真核生物系は、鳥類、両生類、爬虫類、または魚類系であり得る。好ましくは、真核生物系は植物系である。遺伝子発現方法論のさらなる記載は、「遺伝子融合構築物の発現」と題される節において、以下に提供される。
【0112】
真核生物系が植物系である本発明の実施形態において、改変遺伝子構築物は、植物由来である核酸配列、または植物由来ではない核酸配列(例えば、細菌由来)、または植物および非植物由来配列のいくつかの組合せを含み得る。例えば、本発明のいくつかの好適な実施形態は、細菌または古細菌のような非植物微生物由来である1つまたはそれ以上の核酸配列を含む改変遺伝子構築物の導入を含む。このアプローチの潜在的に強力な適用は、植物に通常存在しない代謝経路の植物中への導入を含む。以下により詳細に記載される例は、得られる植物のストレス耐性を増加させるための、好塩細菌から植物へのエクトイン合成経路導入である。
【0113】
本発明の改変遺伝子構築物は、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の酵素ドメインを含み得、ここで1つまたはそれ以上の酵素ドメインが本明細書中に記載されるように改変される。
【0114】
本発明の好適な実施形態において、改変遺伝子構築物の核酸要素の改変は、相同な親配列(オルソログまたはパラログ)のシャッフリングにより達成される。親配列は、植物または非植物由来であり得る。本発明は、植物および非植物由来配列のシャッフリング(例えば、植物および細菌からの相同配列のシャッフリング)に由来する改変核酸を含む。本発明のいくつかの局面において、相同性の低い配列、または識別可能な相同性のない配列さえも、改変遺伝子構築物の調製に有用な核酸に到着するためにシャッフリングされ得る。
【0115】
目的の任意の数の代謝経路から酵素ドメインをコードする核酸配列が、本発明の方法により生産される改変遺伝子融合構築物中に組み込まれ得る。さらに、新規代謝経路が、酵素ドメインの融合により作製され得、これは、段階的な様式で、所望の最終生成物を生成するための一連の関連した基質/中間体を使用し得る。
【0116】
改変遺伝子融合構築物を生産するための方法の1つの実施形態において、2つまたはそれ以上の核酸配列によりコードされた酵素ドメインは、酵素、フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、および/またはβ−シクラーゼに由来する。本発明の代替的な実施形態において、2つまたはそれ以上の核酸配列によりコードされる酵素ドメインは、酵素、ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼに由来する。本発明の別の実施形態において、2つまたはそれ以上の核酸配列によりコードされる酵素ドメインは、酵素、β−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼに由来する。本発明のさらなる実施形態において、2つまたはそれ以上の核酸配列は、以下のクラスの酵素に由来する:ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼ。
【0117】
(遺伝子融合構築物を生産する方法)
本発明はまた、共通の代謝経路に関与する少なくとも2つの酵素ドメインをコードする2つまたはそれ以上の核酸配列を共連結することにより、遺伝子融合構築物を生産する方法を提供する。本発明のいくつかの好適な実施形態において、少なくとも2つの酵素ドメインをコードする3つまたはそれ以上の核酸配列が共連結されて、遺伝子融合構築物を生産する。本発明における使用が意図される特定の代謝経路としては、カロテノイド生合成、エクトイン生合成、ポリヒドロキシアルカノエート生合成、および芳香族ポリケチド生合成が挙げられる。これらの経路およびそれらの構成要素酵素ドメインは、以下により詳細に記述される。すでに記載された方法における目的の核酸配列が採用され得るが、本発明のこの実施形態において、遺伝子融合構築物中に組み込まれる任意の核酸配列の改変は任意である。(図3)。さらに、類似したヌクレオチドリンカー配列および転写調節要素が使用され得る。遺伝子融合構築物を生産するための方法はさらに、上記のような真核生物系、例えば植物系中に、改変遺伝子融合構築物を導入する工程を含み得る。
【0118】
さらに、本発明は、それぞれが少なくとも1つの酵素ドメインをコードする2つまたはそれ以上の核酸配列を共連結することによる遺伝子融合構築物の生産方法を提供し、ここで1つまたはそれ以上の酵素ドメインは植物酵素または植物系由来である。植物系に由来する例示的生合成経路は、カロテノイド生合成に関与する酵素を含むが、それに限定されない。植物由来の酵素ドメインをコードする核酸配列は、直接共連結し得るか、またはそれらはヌクレオチドリンカー配列を介して連結し得、そしてまた、上記に記載されるように、調節配列を含み得る。さらに、核酸配列、ヌクレオチドリンカー配列、または両方が、すでに記載されているように、必要に応じて改変され、このようにして、改変遺伝子融合構築物を形成する。この方法は、必要に応じてさらに、生物、例えば原核生物系または真核生物系中に、遺伝子融合構築物(または改変遺伝子融合構築物)を導入する工程を含む。原核生物系および真核生物系の例は、「遺伝子融合構築物の発現」と題される節に記載される。
【0119】
本発明はさらに、それぞれが少なくとも1つの酵素ドメインをコードする2つまたはそれ以上の核酸配列を含む遺伝子融合構築物の生産を提供し、ここで少なくとも1つの酵素ドメインが非植物種に由来し、そしてこの構築物を植物中に導入する。これは、異種代謝経路、例えば通常微生物に見いだされる経路を、植物中に導入するために有用であり得る。あるいは、本発明のこの局面は、対応する内因性経路と異なって機能する経路を導入するために使用され得、例えば好熱性生物からの酵素活性を植物中へ導入することにより、高温で活性化される代謝経路を生産することが可能になる。いくつかの場合において、非植物核酸配列によりコードされる酵素ドメインが植物環境中の活性化により良く適するように、非植物核酸配列を改変することが望ましい。非制限的な例は、植物系における最適な活性のために細菌酵素活性のpH依存性を改変することである。
【0120】
(複数の酵素活性を発現する方法)
本発明はまた、生体系、例えば真核生物または原核生物において複数の酵素活性を発現するための方法を提供する。この方法は、少なくとも3つの酵素ドメインを有する単一のポリペプチドをコードする遺伝子融合構築物を提供する工程、および遺伝子融合構築物を生体系中へ導入する工程を含む。遺伝子融合構築物は、少なくとも3つの酵素ドメインをコードする少なくとも3つの核酸配列を有する共連結した核酸配列を含む。あるいは、遺伝子融合構築物は植物由来の酵素ドメインをコードする2つまたはそれ以上の核酸配列を含む。
【0121】
任意の数の目的の代謝経路からの酵素ドメインをコードする核酸配列は、本発明の方法により生産される遺伝子融合構築物中に組み込まれ得る。さらに、新規代謝経路が、酵素ドメインの融合により作成され得、これは、段階的な様式で、所望の最終生成物を生成するために一連の関連した基質/中間体を使用し得る。酵素ドメインは、様々な供給源、および生化学または代謝経路の範囲からの由来であり得る。任意に、核酸配列は同じ代謝経路に関与するタンパク質をコードする。本発明の1つの実施形態において、3つまたはそれ以上の核酸配列によりコードされる酵素ドメインは、酵素、フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、および/またはβ−シクラーゼに由来する。本発明の代替的な実施形態において、3つまたはそれ以上の核酸配列によりコードされる酵素ドメインは、酵素、ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼに由来する。本発明の別の実施形態において、3つまたはそれ以上の核酸配列によりコードされる酵素ドメインは、酵素、β−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼに由来する。本発明のさらなる実施形態において、3つまたはそれ以上の核酸配列は、以下のクラスの酵素に由来する:ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼ。
【0122】
上記のように、本発明の方法に用いられる核酸配列は、種々の形態のデオキシリボ核酸(例えば、ゲノムDNA、cDNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えDNA、シャッフリングしたDNA、改変DNA、またはDNAアナログ)またはリボ核酸(ゲノムRNA、メッセンジャーRNA、触媒RNA、センス鎖配列、アンチセンス鎖配列、組換えRNA、シャッフリングしたRNA、改変RNA、またはRNAアナログを含むが、これらに限定されない)であり得る。酵素ドメインをコードする核酸配列は、互いに直接連結することができるか、またはそれらは、1つまたはそれ以上の、約3〜約300ヌクレオチド長の範囲のヌクレオチドリンカー配列を介して連結することができる。ヌクレオチドリンカー配列が、翻訳前に核酸転写物から切除されない場合、リンカー領域を過ぎて転写される酵素ドメインの翻訳が、リーディングフレーム外へシフトしないように、リンカーを構成するヌクレオチドの数は3つずつの集合または増加単位で表されることが好ましい。任意に、1つまたはそれ以上の核酸配列および/または1つまたはそれ以上のリンカー配列が、突然変異またはシャッフリングされ得る(配列の共連結の前または後のいずれかで)。
【0123】
本発明の方法はさらに、以下に記載されるように、生体系において遺伝子融合構築物を発現する工程を含み得る。さらに、本発明は、本発明の方法により調製されるように、遺伝子融合構築物、およびトランスジェニック植物系のようなトランスジェニック系を提供する。
【0124】
(遺伝子融合構築物の発現)
本発明の方法の実行は、上記の遺伝子融合構築物の構築、およびいくつかの態様において、トランスフェクトされた宿主細胞における組換え核酸の発現を含む。
【0125】
宿主細胞は、真核生物系、例えば、真核生物細胞、植物細胞、動物細胞、プロトプラスト、または組織培養物を包含し得る。宿主細胞は、任意に、複数の細胞、例えば生物体を包含する。あるいは、宿主細胞は、原核生物系を包含し得、細菌(すなわち、グラム陽性菌、紅色細菌、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌、シアノバクテリア、スピロヘータ、サーマトガレ(thermatogales)、フラボバクテリア、およびバクテロイド)および古細菌(すなわち、コル古細菌門(Korarchaeota)、テルモプロテウス(Thermoproteus)、ピロディクティウム(Pyrodictium)、テルモコックス目(Thermococcales)、メタン生成古細菌、アルカエグロブス(Archaeoglobus)、および高度好塩菌)を含むが、これらに限定されない。好ましくは、原核生物は、1つまたはそれ以上の農業、環境、工業、薬学、または臨床目的の細菌種を包含し、これらは、大腸菌、種々のストレプトマイセス属(Streptomyces)種、および種々のバシラス属(Bacillus)種を含むがこれらに限定されない。
【0126】
所望の系中への遺伝子融合構築物の導入は、例えば、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、微粒子銃、ポリエチレングリコール媒介形質転換、またはアグロバクテリウム属媒介形質転換のような技法により達成され得る。遺伝子融合構築物(または改変遺伝子融合構築物)は、任意に、所望の系中へ遺伝子融合構築物を導入する前にスクリーニングされ得る。融合構築物のライブラリーを採用する実施形態において、構築物は、任意に、所望の系中へ構築物のライブラリーを導入する前にスクリーニングされ得る。
【0127】
本発明の方法の特定の実施形態において、上記の遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物は、植物系中に導入され、それによりトランスジェニック植物を提供する。植物細胞に核酸を形質導入する方法が、一般に利用可能である。Berger,AusubelおよびSambrookに加えて、植物細胞クローニング、培養、および再生のための有用な一般的参照として、Payneら、(1992)Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems(John Wiley & Sons,Inc.New York,NY)およびGamborgおよびPhillips編(1995)Plant Cell,Tissue and Organ Culture:Fundamental Methods(Springer Lab Manual,Springer−Verlag,Berlin)が挙げられる。細胞培地は、例えば、AtlasおよびParks編(1993)The Handbook of Microbiological Media(CRC Press,Boca Raton,FL)に記載される。さらなる情報が、Sigma−Aldrich,Inc.の「生命科学研究細胞培養(Life Science Research Cell Culture)」カタログ(1998)(St Louis,MO,「Sigma−LSRCCC」)、および例えば、同じくSigma−Aldrichの「植物培養カタログ(Plant Culture Catalogue)」(「Sigma−PCCS」)および付録(1997)のような商業用文献に見られる。
【0128】
本発明の遺伝子融合構築物および改変遺伝子融合構築物は、様々な従来技法により、所望の植物宿主のゲノム中へ導入され得る。広範な高等植物種を形質転換するための方法は、周知であり、技術書および科学書に記載される。例えば、Payne,Gamborg,Atlas,Sigma−LSRCCCおよびSigma−PCCS(全て上述)、ならびに例えば、Weisingら、(1988)Ann.Rev.Genet.22:421−477を参照。
【0129】
例えば、核酸は、植物細胞プロトプラストのエレクトロポレーションおよびマイクロインジェクションのような技術を使用して、植物細胞のゲノムDNA中へ直接導入され得るか、または遺伝子融合構築物は、DNA微粒子銃のような弾道的方法を使用して、植物組織に導入され得る。あるいは、遺伝子融合構築物は、適切なT−DNA隣接領域と合わせられて、従来のアグロバクテリウム チュメファシエンス宿主ベクター中に導入され得る。アグロバクテリウム宿主の病原性機能は、細胞が細菌により感染したときに、構築物および隣接するマーカーの植物細胞DNA中への挿入を指向する。
【0130】
マイクロインジェクション法は、当該技術分野で既知であり、科学書および特許文献で十分に記載されている。ポリエチレングリコール沈殿を使用するDNA構築物の導入は、Paszkowskiら、(1984)EMBO J.3:2717−2722に記載される。エレクトロポレーション技術は、Frommら、(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5824に記載される。弾道的形質転換法は、Kleinら、(1987)Nature 327:70−73;およびWeeksら、(1993)Plant Physiol.102:1077−1084に記載される。
【0131】
1つの実施形態において、アグロバクテリウム媒介形質転換法は、シャッフリングされたコード配列をトランスジェニック植物へ転移させるために使用される。アグロバクテリウム媒介形質転換は、主として双子葉類において有用であるが、特定の単子葉類が、アグロバクテリウムにより形質転換され得る。例えば、コメのアグロバクテリウム形質転換が、Hieiら、(1994)Plant J.6:271−282;米国特許第5,187,073号;米国特許第5,591,616号;Liら、(1991)Science in China 34:54;およびRaineriら、(1990)Bio/Technology 8:33に記載される。さらに、Xuら、(1990)Chinese J.Bot.2:81は、アグロバクテリウム感染により、トウモロコシ、オオムギ、ライコムギ、およびアスパラガスを形質転換した。
【0132】
この技法において、A.チュメファシエンスの腫瘍誘導(Ti)プラスミドの植物細胞ゲノム中に組み込む能力が、目的の核酸を本発明の組換え植物細胞中へ同時移入させるために有利に使用される。典型的には、発現ベクターが生成され、ここで目的の遺伝子融合構築物(または改変遺伝子融合構築物)が自己複製プラスミド(これもまたT−DNA配列を含む)中に連結される。T−DNA配列は、典型的には、遺伝子融合構築物に隣接し、プラスミドの組み込み配列を含む。遺伝子融合構築物に加えて、T−DNAはまた、典型的には、マーカー配列、例えば、抗生物質耐性遺伝子も含む。次いで、T−DNAを持つプラスミドおよび遺伝子融合構築物は、アグロバクテリウム チュメファシエンス中にトランスフェクトされる。植物細胞の効果的な形質転換のため、A.チュメファシエンス細菌はまた、自然のTiプラスミドに必須vir領域も含む。
【0133】
代替的な形質転換法において、T−DNA配列ならびにvir配列の両方が同じプラスミド上にある。A.チュメファシエンス遺伝子形質転換の論考について、例えば、Firoozabady & Kuehnle in the 1995 Springer Lab Manual on plant cell,tissue and organ culture(上記)を参照。
【0134】
様々な植物型からの形質転換可能なプロトプラストの確立および続く培養プロトプラストの形質転換についての多数のプロトコルが当該技術分野で利用可能であり、本明細書中に参照により援用される。例えば、Hashimotoら、(1990)Plant Physiol 93:857;FowkeおよびConstabel(編)(1994)Plant Protoplasts;Saundersら、(1993)Applications of Plant In Vitro Technology Symposium,UPM 16−18;およびLyznikら、(1991)BioTechniques 10:295を参照(これらのそれぞれが本明細書中に参考により援用される)。
【0135】
本発明の1つの実施形態において、植物宿主の形質転換は、所望の植物の組織、例えば葉から調製した外植片を使用して達成される。外植片は、約0.8×109〜約1.0×109細胞/mLのA.チュメファシエンス溶液中、適した時間の間、通常は数秒間インキュベートされる。次いで、外植片は適した培地上でほぼ2〜3日間培養される。
【0136】
上記の形質転換法のいずれかにより得られた形質転換された植物細胞は、培養され、形質転換された遺伝子型、したがって所望の表現型を保有する植物全体を再生させ得る。そのような再生技術は、典型的には所望のヌクレオチド配列とともに導入された殺生剤および/または除草剤マーカーに依存して、組織培養成長培地中で、特定の植物ホルモンの操作を介して行われる。培養プロトプラストからの植物再生は、Evansら、(1983)Protoplasts Isolation and Culture,Handbook of Plant Cell Culture,pp.124−176(Macmillian Publishing Company,New York);およびBinding(1985)Regeneration of Plants,Plant Protoplasts,pp.21−73(CRC Press,Boca Raton,FL)に記載される。再生はまた、植物カルス、外植片、器官、またはそれらの一部から得られ、かつ/またはそれらを使用して行われ得る。そのような再生技術は、一般に、Kleeら、(1987)Ann.Rev.of Plant Phys.38:467−486に記載される。Payne,Gamborg,Atlas,Sigma−LSRCCC and Sigma−PCCSもまた参照(全て上述)。
【0137】
アグロバクテリウムでの形質転換後、外植片は選択培地へ移される。当業者は、選択培地の選択が、どの選択マーカーが外植片中に同時トランスフェクトされたかに依存することを理解するだろう。適切な長さの時間後、形質転換体はシュートを形成し始める。シュートが約1〜2cmの長さになった後、シュートは適した根およびシュート培地へ移され得る。いったん根およびシュート培地中に置かれると、淘汰圧は維持されなければならない。
【0138】
形質転換体は、1〜約2週間で根を発達させ、小植物を形成する。小植物が約3〜約5cmの高さになった後、それらは繊維ポット中の無菌土壌に置かれ得る。当業者は、異なる種の形質転換植物を得るために異なる順化手順が使用されなければならないことを理解するだろう。好適な実施形態において、切断物、ならびに形質転換植物の不定胚が、根およびシュートの発達後、小植物確立のための培地へ移される。形質転換植物の選択および再生の記載について、Dodds & Roberts(1995)Experiments in Plant Tissue Culture,第3版(Cambridge University Press,Cambridge,UK)を参照。
【0139】
葉緑体は多くの活性の作用部位であり、いくつかの場合において、遺伝子融合構築物は、葉緑体輸送配列ペプチドと融合して遺伝子生成物の葉緑体中への転位を促進し得る。これらの場合において、遺伝子融合構築物を植物宿主細胞の葉緑体中へ形質転換することが有利であり得る。葉緑体形質転換および発現を達成するために、多数の方法が当該技術分野で利用可能である(例えば、Daniellら、(1998)Nature Biotechnology 16:346;O’Neillら、(1993)The Plant Journal 3:729;Maliga(1993)TIBTECH 11:1を参照)。発現構築物は、通常、遺伝子融合構築物に操作可能に連結した植物中の機能的な転写調節配列を含む。葉緑体で機能するように設計されている発現カセットは、葉緑体における発現を保証するために必要な配列を含む。典型的には、コード配列は、葉緑体ゲノムでの相同組換えに影響を与えるために、葉緑体ゲノムと相同の2つの領域により隣接される;しばしば、選択可能なマーカー遺伝子もまた、隣接する色素体DNA配列内に存在して、得られるトランスプラストニック(transplastonic)植物細胞において遺伝的に安定な形質転換葉緑体の選択を促進させる(例えば、Maliga(1993)およびDaniell(1998)、および本明細書中に記載される参照を参照)。
【0140】
本発明のトランスジェニック植物は、遺伝子型的または表現型的のいずれかで特徴づけられて、シャッフリングされた遺伝子の存在を決定し得る。遺伝子型分析は、特定の遺伝物質の存在または不在の決定である。表現型分析は、表現型形質の存在または不在の決定である。表現型形質は、環境因子に呼応して植物の遺伝物質により決定される、植物の物理的特徴である。遺伝子融合構築物(または、改変遺伝子融合構築物)の存在は、例えば、トランスジェニック植物のゲノムDNAのPCR増幅およびゲノムDNAの特定標識プローブとのハイブリダイゼーションにより、最適化シャッフリングされた核酸の同定に関する先のセクションに記載されたように検出され得る。遺伝子融合構築物によりコードされる生成物が選択ストレスに対抗するのを助けるような選択プロセスへの曝露における植物の生存もまた、遺伝子融合構築物の植物中への組み込みをモニタリングするために使用され得る。
【0141】
本質的に、任意の植物が本発明の遺伝子融合構築物で形質転換され得る。本発明の新規核酸の形質転換および発現に適した植物として、農業経済学的(agronomically)および園芸学的(horticulturally)に重要な種が挙げられる。そのような種として、イネ科(コーン、ライムギ、ライコムギ、オオムギ、ミレット、コメ、コムギ、カラスムギなどを含む);マメ科(エンドウマメ、マメ、レンズマメ、ピーナッツ、クズイモ、ササゲ、ハッショウマメ、ダイズ、クローバー、アルファルファ、ルピナス、ベッチ、ミヤコグサ、スイートクローバー、フジ、およびスイートピーを含む);キク科(少なくとも1,000属を含む維管束植物の最大の科で、ヒマワリのような重要な商品作物を含む)およびバラ科(Rosaciae)(ラズベリー、アンズ、アーモンド、モモ、バラなどを含む)、ならびにナッツ植物(クルミ、ペカン、ヘーゼルナッツなどを含む)、および森林樹(マツ属,カシ属,トガサワラ属,セコイア属,ヤマナラシ属などを含む)が挙げられるが、これらの科の成員に制限されない。
【0142】
さらに、本発明の核酸、ならびに上記のものによる改変の好適な標的として、以下の属の植物が挙げられる:コヌカグサ属(Agrostis)、ネギ属(Allium)、キンギョソウ属(Antirrhinum)、アピウム属(Apium)、アラビドプシス属(Arabidopsis)、ラッカセイ属(Arachis)、アスパラガス属(Asparagus)、アトロパ属(Atropa)、カラスムギ属(Avena)(例えばカラスムギ)、ホウライチク属(Bambusa)、アブラナ属(Brassica)、ブロムス属(Bromus)、ブロウワリア属(Browaalia)、ツバキ属(Camellia)、アサ属(Cannabis)、トウガラシ属(Capsicum)、ヒヨコマメ属(Cicer)、アカザ属(Chenopodium)、チコリウム属(Chichorium)、ミカン属(Citrus)、コーヒーノキ属(Coffea)、ジュズダマ属(Coix)、キュウリ属(Cucumis)、カボチャ属(Curcubita)、ギョウギシバ属(Cynodon)、カモガヤ属(Dactylis)、チョウセンアサガオ属(Datura)、ダウクス属(Daucus)、キツネノテブクロ属(Digitalis)、ヤマノイモ属(Dioscorea)、アブラヤシ属(Elaeis)、オヒシバ属(Eleusine)、ウシノケグサ属(Festuca)、オランダイチゴ属(Fragaria)、フウロソウ属(Geranium)、ダイズ属(Glycine)、ヒマワリ属(Helianthus)、キスゲ属(Heterocallis)、パラゴム属(Hevea)、オオムギ属(Hordeum)(例えばオオムギ)、ヒヨス属(Hyoscyamus)、サツマイモ属(Ipomoea)、ラクツカ属(Lactuca)、レンズ属(Lens)、ユリ属(Lilium)、アマ属(Linum)、ドクムギ属(Lolium)、ミヤコグサ属(Lotus)、トマト属(Lycopersicon)、ハナハッカ属(Majorana)、リンゴ属(Malus)、マンゴー属(Mangifera)、イモノキ属(Manihot)、ウマゴヤシ属(Medicago)、ネメシア属(Nemesia)、タバコ属(Nicotiana)、オノブリキス属(Onobrychis)、イネ属(Oryza)(例えばコメ)、キビ属(Panicum)、テンジクアオイ属(Pelargonium)、チカラシバ属(Pennisetum)(例えばミレット)、ペチュニア属(Petunia)、エンドウ属(Pisum)、インゲン属(Phaseolus)、アワガエリ属(Phleum)、イチゴツナギ属(Poa)、サクラ属(Prunus)、キンポウゲ属(Ranunculus)、ダイコン属(Raphanus)、スグリ属(Ribes)、ヒマ属(Ricinus)、キイチゴ属(Rubus)、サトウキビ属(Saccharum)、サルメンバナ属(Salpiglossis)、ライムギ属(Secale)(例えばライムギ)、セネシオ属(Senecio)、エノコログサ属(Setaria)、シナピス属(Sinapis)、ナス属(Solanum)、モロコシ属(Sorghum)、イヌシバ属(Stenotaphrum)、カカオ属(Theobroma)、シャジクソウ属(Trifolium)、トリゴネラ属(Trigonella)、コムギ属(Triticum)(例えばコムギ)、ソラマメ属(Vicia)、ササゲ属(Vigna)、ブドウ属(Vitis)、トウモロコシ属(Zea)(例えばコーン)、ならびにオリレアエ(Olyreae)、ファロイデアエ(Pharoideae)およびその他多数。記述されるように、イネ科の植物が、本発明の方法にとって特に好適な標的植物である。
【0143】
本発明の標的である一般的な作物として、コーン、コメ、ライコムギ、ライムギ、ワタ、ダイズ、モロコシ、コムギ、カラスムギ、オオムギ、ミレット、ヒマワリ、アブラナ、エンドウマメ、マメ、レンズマメ、ピーナッツ、クズイモ、ササゲ、ハッショウマメ、クローバー、アルファルファ、ルピナス、ベッチ、ミヤコグサ、スイートクローバー、フジ、スイートピー、トマト、バナナ、およびナッツ植物(例えばクルミ、ペカンなど)が挙げられる。
【0144】
植物に加えて、他の真核生物(真菌、鞭毛虫および繊毛虫(cilliates)、微胞子虫、ならびに動物さえも(すなわち、種々の魚類、鳥類、爬虫類、およびほ乳類)など)が、本発明の遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物で形質転換され得る。全体に記述される参照に加えて、当業者は、Freshney(1994)Culture of Animal Cells,a Manual of Basic Technique,3rd Edition(Wiley−Liss,New York)およびその中に記述される参考文献に、動物細胞培養に対するようなガイダンスを見いだし得る。Kuchlerら、(1977)Biochemical Methods in Cell Culture and Virology(Dowden,Hutchinson and Ross,Inc.,New York)およびInabaら、(1992)J.Exp.Med.,176:1693−1702もまた参照。細胞培養に関するさらなる情報は、Ausubel,SambrookおよびBerger(上述)に見いだされる。細胞培地は、AtlasおよびParks(同じく上述)に記載される。一般に、当業者は、利用可能な技法を使用して、動物、植物、真菌、細菌からの細胞、および他の細胞に形質導入することが十分に可能である。さらに、当業者は、利用可能な技法を使用して、生物全体に遺伝子構築物を形質導入し得る。
【0145】
あるいは、原核生物系は本発明の遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物で形質転換され得る。任意に、原核生物系は少なくとも1つの植物由来の核酸配列を含む構築物で形質転換される。本発明の方法に採用され得る系の例として、細菌系(酢酸菌属(Acetobacter)、アセトモナス属(Acetomonas)、放線菌属(Actinomyces)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、バシラス属(Bacillus)、バクテリウム属(Bacterium)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ボゴリエラ属(Bogoriella)、ボルデテラ属(Bordetella)、ボレリア属(Borrelia)、バークホルデリア属(Burkholderia)、カンピロバクター属(Campylobacter)、クロストリジウム属(Clostridium)、クリオバクテリウム属(Cryobacterium)、ディプロコッカス(Diplococcus)、エンテロバクター属(Enterobacter)、腸球菌属(Enterococcus)、エルウィニア属(Erwinia)、エリスロバクター属(Erythrobacter)、エシェリキア属(Escherichia)、ユウバクテリウム属(Eubacterium)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、ハロバシラス属(Halobacillus)、ハロバクテロイデス属(Halobacteroides)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、ヘリオバシラス属(Heliobacillus)、ヘリオバクテリウム属(Heliobacterium)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、レジオネラ属(Legionella)、ロイコバクター属(Leucobacter)、リステリア属(Listeria)、リストネラ属(Listonella)、メタノモナス属(Methanomonas)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、マイコプラナ属(Mycoplana)、ナイセリア属(Neisseria)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、プロテウス属(Proteus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、リゾバクター属(Rhizobacter)、リゾモナス属(Rhizomonas)、ロドバクター属(Rhodobacter)、サルモネラ属(Salmonella)、赤痢菌属(Shigella)、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)、スピロヘータ属(Spirochaeta)、スピロソーマ属(Spirosoma)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、ストレプトバシラス属(Streptobacillus)、ストレプトバクテリウム属(Streptobacterium)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、ビブリオ属(Vibrio)などの属にあるようなもの)および古細菌系(例えば、コル古細菌門(Korarchaeota)、テルモプロテウス(Thermoproteus)、ピロディクティウム(Pyrodictium)、テルモコックス目(Thermococcales)、アルカエグロブス(Archaeoglobus)、メタン生成古細菌、および高度好塩菌など)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、原核生物は、1つまたはそれより多い農業、環境、工業、薬学、または臨床目的の細菌種を包含し、大腸菌、種々のストレプトマイセス属種、および種々のバシラス属種を含むがこれらに限定されない。
【0146】
(代謝経路および系)
(カロテノイド生合成)
真核生物系において発現させるのに有利な代謝系の1つの例は、カロテノイドの代謝である(図4)。カロテノイドは、一般に、着色したイソプレノイドベース分子であり、これは様々な植物、カビ、酵母、およびいくつかの細菌により合成される。ヒトの場合、β−カロチンはビタミンAの合成における前駆体として機能し、β−カロチンまたはビタミンAの栄養上の欠乏は、感染にかかりやすいこと、夜盲症、眼球乾燥症(ドライアイ)、および角膜軟化症(過剰なケラチン形成)を導き得る。プロビタミンAに加えて、リコペン、β−カロチンなどのような種々のカロテノイドは効果的な抗酸化剤である。その上さらに、証拠は、カロテノイドが心血管疾患および癌の予防に重要な役割を果たしていることを示唆する(例えば、Singh.& Lippman(1998)Cancer Chemoprevention,Part 1:Retinoids and Carotenoids and other classic antioxidants.Oncology NY,12,1643−1653を参照)。カロテノイドのさらなる工業的応用として、食用色素、および動物飼料におけるものが挙げられる。植物、藻類、真菌、および細菌において、カロチンは頻繁に光合成的役割において機能する。
【0147】
カロテノイドの生合成は、一連の代謝酵素を含む多段階プロセスである。細胞の出発物質は、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)という20個の炭素のイソプレノイド分子である。2分子のGGPPは酵素フィトエンシンターゼにより触媒される縮合反応を起こして、40−炭素中間体フィトエンを形成する。カロテノゲン(carotenogenic)微生物において、細菌フィトエン不飽和化酵素(フィトエン脱水素酵素とも呼ばれる)の作用を介して、フィトエン分子のC7、C7’、C11、およびC11’位で4つの二重結合を対称に導入することは、生合成経路に次の中間体、リコペンを導く。しかしながら、高等植物において、リコペンの形成は2種の別個の酵素、植物フィトエン不飽和化酵素およびz−カロチン不飽和化酵素を使用して達成される。最後に、酵素β−シクラーゼ(リコペンシクラーゼとも呼ばれる)が、リコペン分子の各末端で環を閉じて、β−カロチンを形成する。異なるシクラーゼもまた生合成経路に組み込まれ得て、異なる環化パターンを導く。カロテノイド構造のさらなる誘導は、種々の生物に存在または現れる下流改変酵素により達成され得る。
【0148】
単一の核酸転写物としてβ−カロチン生合成酵素(フィトエンシンターゼ、フィトエン不飽和化酵素、z−カロチン不飽和化酵素、およびリコペンシクラーゼを含む)をコードする遺伝子融合構築物および改変遺伝子融合構築物は、植物系のような真核生物系の形質転換に有用である。カロテノイド代謝経路をすでに包含している植物系におけるβ−カロチンの生成が増強される。さらに、天然にはβ−カロチンを合成しないコメおよびグレインのような植物系が、この代謝経路の発現により栄養的に濃縮され得る。これらおよび他のカロテノイド生合成酵素の核酸配列は、アクセッション番号M84744(リコペルシコン エスクレンタム(Lycopersicon esculentum))、AF220218(シトラス ウンシュウ(Citrus unshiu))、Z37543(メロン(Cucumis melo))、X78814(ナルキッスス シュードナルキッスス(Narcissus pseudonarcissus))、X68017(カプシカム アンニューム(Capsicum annuum))、AB032797(ドクス カロタ(Docus carota))、U32636(トウモロコシ(Zea mays))、および植物フィトエンシンターゼについてさらなる関連した配列;アクセッション番号AF195507(リコペルシコン エスクレンタム)、AJ224683(ナルキッスス シュードナルキッスス)、X89897(カプシカム アンニューム)、AF047490(トウモロコシ)、および植物z−カロチン不飽和化酵素についてさらなる関連した配列;アクセッション番号M88683(リコペルシコン エスクレンタム)、X78815(ナルキッスス シュードナルキッスス)、X68058(カプシカム アンニューム)、U37285(トウモロコシ)、および植物フィトエン不飽和化酵素についてさらなる関連した配列;およびアクセッション番号X86452(リコペルシコン エスクレンタム)、X86221(カプシカム アンニューム)、U50739(アラビドプシス タリアナ(Arabidopsis thaliana))、AF152246(シトラス x パラジシ(Citrus x paradisi))およびX81787(ニコチアナ タバカム(Nicotiana tabacum))、および植物リコペンシクラーゼについてさらなる関連した配列(WO99/07867およびその中に記述される参照)のようにGenBankから得ることができる。
【0149】
さらに、カロテノゲン微生物由来のカロテノイド生合成酵素クラスターの核酸配列が、アクセッション番号M87280(エルウィニア ハービコラ(Erwinia herbicola)Eho10)、D90087(エルウィニア ウレドボラ(Erwinia uredovora))、U62808(フラボバクテリウム(Flavobacterium))、D58420(アグロバクテリウム オーランチアクム(Agrobacterium aurantiacum))およびM90698(エルウィニア ハービコラ(Erwinia herbicola Eho13))(および関連する配列)のように、GenBankから得られ得る。
【0150】
大部分のカロテノイドが着色していることから、所望のカロテノイド生成物は、視覚化されてそれらの特徴的なスペクトルおよび他の分析法により決定され得る。
【0151】
使用され得るさらなる分析技法として、質量分析、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、キャピラリー電気泳動(CE)、およびNMR分光法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
(エクトイン生合成)
真核生物系、特に植物系に生成するのに有利である別の代謝系は、エクトイン(1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)の生合成である。エクトインは非毒性の環状アミノ酸で、その存在は、インビボで増加した塩耐性を細胞に与えるような浸透圧保護(osmoprotective)特性を有する。さらに、エクトインはストレス条件下におかれた種々のタンパク質および酵素のインビトロ活性の損失を保護するように見える。従って、エクトイン生合成機構での植物系の形質転換は、ストレスの多い環境(例えば、高塩、高温または低温、干ばつなど)に対する植物の耐性を改善するであろう。これらの非理想的条件に対する耐性の改善は、作物生産性の増加をもたらし得る。さらに、エクトインはタンパク質/酵素安定剤、またはいわゆる化学的シャペロンとして使用され得る。酵素とこのシャペロン分子との会合は、凍結/融解サイクル、熱処理、および/または乾燥の繰り返し後も酵素活性を保持するのを助ける。従って、エクトインはまた、薬学的、化粧品用、および栄養組成物に使用するための安定剤としての可能性がある。
【0153】
エクトインの生合成は、3つの酵素、すなわち、ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ(トランスアミナーゼとも呼ばれる)、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼを含む(図5)。合成経路の最初の反応において、アミノトランスフェラーゼは、アスパラギン酸−セミアルデヒドおよびL−グルタミンをジアミノ酪酸へ変換する。次に、アセチルトランスフェラーゼが、ジアミノ酪酸のアセチル化を触媒して、N−アセチルジアミノ酪酸を形成する。最後の反応において、N−アセチルジアミノ酪酸は、エクトインシンターゼの作用を介して環化されてエクトインを生成する。
【0154】
エクトイン生合成経路の3つの遺伝子(それぞれ、etcB、ectA、およびectC)が、好塩細菌から単離されている。これらの酵素の配列は、例えば、アクセッション番号U66614(マリノコッカス ハロファイルス(Marinococcus halophilus))およびAJ011103(ハロモナス エロンガタ(Halomonas elongata))などのように、GenBankから入手可能である。これらの酵素の最適pH範囲は8.2〜9.0であり、植物系のような真核生物系における発現の前にペプチド一次配列へのある改変をすることが望ましいことを示唆している。これは、上記のように、例えば、これらの酵素ドメインをコードする核酸配列に再帰組換えを行うこと、および改変配列を改変遺伝子融合構築物中へ組み込むことにより達成され得る。
【0155】
エクトイン生合成の酵素をコードする遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物の選択は、例えば、高塩濃度のような環境ストレスに対する耐性の増加を示す形質転換宿主を選択することにより、達成され得る。例えば、野生型大腸菌は、3%(0.52M)のNaCl濃度まで成長可能であるが、一方エクトイン生合成経路をコードする遺伝子で形質転換された大腸菌株(インビボでエクトインの合成を導く)は、より高いNaCl濃度、例えば5%NaCl(0.86M)でも生存可能でありかつ成長し得る。遺伝子融合またはシャッフリングからのライブラリーDNAで形質転換した大腸菌を成長させることにより、最初の機能性クローンが選択され得る。
【0156】
選択手順の別の例として、所望の特性を有する遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物を選択するために、酵母が使用され得る。酵母は、広範囲のpH(下は約pH3まで)および塩濃度(上は約1Mまで)にわたり生存可能であるが、しかしgpd(グリセロールリン酸脱水素酵素)ノックアウト酵母株は塩感受性である。gpdノックアウト酵母における、エクトイン生合成経路の発現およびエクトインの合成は、この生物の塩耐性を回復(または部分的に回復)させる。しかしながら、野生型エクトイン生合成経路酵素を低い発現レベルで保有するgpd欠失株は、増殖培地のpHが野生型酵素に最適ではない場合、高塩ではなお増殖できないかもしれない。変更された最適pHを有するエクトイン生合成経路酵素のみが、必要量のエクトイン産物を生成して、塩感受性株の増殖を回復させ得る。それ故に、塩感受性の酵母株は、変更された最適pHを有するクローンの最初の選択のための宿主として使用され得る。
【0157】
(ポリヒドロキシアルカノエート生合成)
本発明の遺伝子融合構築物および改変遺伝子融合構築物中に組み込まれ得るさらに別の代謝経路は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を生じる生合成経路である。ポリ−3−ヒドロキシ酪酸などのPHAは、炭素およびエネルギー貯蔵として、Aeromonas、Alcaligenes、Bacillus、Burkholderia、Chromatium、Comamonas、Nocardia、Pseudomonas、RalstoniaおよびRhodospirillumなどの微生物により生成される生分解性重合体である。種々の単量体単位から形成され得るこれらの生体高分子は、熱可塑性および薬物送達マトリックスの生成を含む、複数の工業的適用および医学的適用を有する。このクラスの重合体の物理的性質および化学的性質は、側鎖の長さにより一部決定される;より短い側鎖を有する重合体は、半結晶性である傾向があり、かつかなり熱可塑性であるが、一方、より長い側鎖を有する重合体は、より弾性的である。
【0158】
短い側鎖のPHAの生合成は、3つの酵素および出発物質としてアセチルCoAを含む(図6)。第一の酵素、ケトチオラーゼは、アセチルCoA分子のような2つの構築ブロック分子を縮合させて、中間体基質(アセトアセチルCoA)を形成する。次に、中間体基質は、NADH依存性機構またはNADPH依存性機構を介して、レダクターゼ酵素により還元されて、ヒドロキシアルカノエートCoA分子を形成する。最後に、ヒドロキシアルカノエートCoAは、PHAシンターゼにより重合されて、PHA重合体を形成する。103〜108ダルトンの範囲の大きさであり得るPHAは、一般に、細胞中の顆粒または「封入体」に貯蔵される。異なる長さおよび/または組成の構築ブロックで出発することにより、他の型の重合体が生成され得る。得られる重合体の物理的特性は、一部、最終産物中に組み込まれた側鎖の長さにより影響される。
【0159】
これらの酵素の配列は、GenBankから入手可能であり、登録番号AF153086(Burkholderia種DSMZ9242)、U47026(Alcaligenes latus)、AF109909(Bacillus megaterium)、AB009273(Comamonas acidovorans)および関連配列が挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
細胞ベースの系におけるPHAの生成は、特定の化学物質を用いた蛍光抗体法により視覚化され得る。なぜなら、PHAは通常は顆粒として蓄積されるからである。NMR分光法(LC/NMRを含む)、質量分析(電子イオン化法、高速原子/イオン照射法、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化法(MALDI)、エレクトロスプレーイオン化法、タンデム型MS、GC/MSなどのような技術および/または装置を含む)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、およびキャピラリー電気泳動(CE)のような他の分析法が、重合体組成の決定のために使用され得る。
【0161】
(芳香族ポリケチドの生合成)
本発明の遺伝子融合構築物または改変遺伝子融合構築物によりコードされ得るさらなる代謝経路は、最小芳香族ポリケチドシンターゼを含み、これは、抗生物質、抗真菌剤、抗腫瘍薬剤、心血管薬剤、およびエストロゲンレセプターアンタゴニストを含む広範な産物のための前駆体を合成する多酵素系である。芳香族ポリケチドの例として、アントラキノン、ドキソルビシン、エンジエン(enediyenes)、エリスロマイシンおよびリファマイシンのようなマクロライドポリケチド、アントラサイクリン、ノガラマイシン(nogalamycin)、アクラビノン(aklavinone)、および他のアクラシノマイシン;ミスラマイシン(mithramycin)および他のオーレオリック酸(aureolic acid)ベースの抗生物質が挙げられるが、それらに限定されない。
【0162】
最小ポリケチドシンターゼ系は、ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、およびアシルキャリアタンパク質を含む。この系の補助的成分として、様々なケトレダクターゼ、アロマターゼ、およびシクラーゼ(例えば、Carrerasら(1997)Topics in Current Chemistry 188:85−126およびその中に引用される参考文献を参照)が挙げられる。ポリケチド合成機構は、細菌、真菌、および植物を含む種々の供給源から単離されている。関与する酵素の数および酵素ドメインの配列は、供給源に依存して異なり得るものの、これらの重合体の合成に含まれる化学反応は、以下のように記載され得る。例示的なポリケチドシンターゼ酵素の配列は、GenBankから入手可能であり、登録番号X63449(Streptomyces coelicolor)、X77865(Streptomyces griseus)、AF126429(Streptomyces venezuelae)、AF098965(Streptomyces arenae)および関連する配列が挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
ポリケチド代謝経路(図7)は、酢酸またはプロピオン酸のような短鎖カルボン酸「開始単位」で開始する。開始単位の補酵素A−チオエステルは、ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼの作用を介して、マロン酸またはメチルマロン酸のようなジカルボン酸「伸長基」の補酵素A−チオエステルと縮合する。新生ポリケチド鎖は、ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼにより保持されるが、一方、各回の縮合/鎖伸長で、アシルキャリアタンパク質は、成長するポリケチド鎖上に付加するためのさらなるCoA連結伸長基を提供する。鎖長因子は、ポリケチドが伸長される長さを指示する。最終産物の、鎖長、ケト還元(ketoreduction)の程度(もしあれば)、および環化の位置特異性は、生合成に含まれる代謝酵素により全て決定される。
【0164】
成長するポリケチド鎖に対するさらなる改変は、酵素ベースの触媒作用と独立して起こり得る。最小芳香族ポリケチドシンターゼにより生成された直鎖ポリケチド前駆体は、特異的シクラーゼの存在なしに、自動環化して異なる型の芳香族ポリケチドを形成し得る(例えば、Yuemao Shenら(1999)「Ectopic expression of the minimal whiE polyketide synthase generates a library of aromatic polyketides of diverse sizes and shapes」、Proc.Natl.Acad.Sci.96:3622−3627を参照)。
【0165】
種々のケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼおよび鎖長因子をコードする核酸配列は、多数の異なる種にまたがって配列が類似している。これらの配列のシャッフリングは、本発明の改変遺伝子融合構築物に使用するための改変核酸配列を提供する。詳細には、鎖長因子のシャッフリングは、新規ポリケチド、例えば様々な鎖長を持つ直鎖芳香族ポリケチド前駆体を合成し得る酵素を生成するために使用され得る。バリエーションのさらなる供給源として、これらの酵素ドメインは、配列が、脂肪酸シンターゼ(上記のように、これもまた、ヌクレオチド配列改変の生成に使用され得る)に類似している。
【0166】
ポリケチド生合成機構をコードする遺伝子融合構築物および/または改変遺伝子融合構築物の発現により生成される代謝物および/または産物は、質量分光法、NMR分光法などのような従来の分析法および技術により検出および分析され得る。あるいは、代謝物、またはこれらが合成される宿主細胞が、目的とする標的に対する生物学的活性についてスクリーニングされ得る。例えば、抗生物質活性または他の殺生物性関連活性を有する芳香族ポリケチドは、病原微生物、疾患関連の細胞型、または全動物のような標的に対してスクリーニングされ得る。
【0167】
(本発明の方法および組成物の使用)
上記のように、特許請求される本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本方法および材料に改変がなされ得、そして本発明は、以下を含む多数の異なる使用を指向し得る:
本明細書中の任意の組成物またはトランスジェニック生物を生成するための、本明細書中の任意の方法の使用。
【0168】
トランスジェニック生物、例えば、トランスジェニック原核生物、トランスジェニック真核生物、トランスジェニック植物などを生成するための、方法または組み込まれた系の使用。
【0169】
遺伝子融合構築物または改変遺伝子融合構築物を生成するための、方法または組み込まれた系の使用。
【0170】
複数の酵素活性を原核生物系または真核生物系において発現するための、方法または組み込まれた系の使用。
【0171】
本明細書中に記載される方法ならびに当該技術分野で既知の方法に従って、1つ以上の本発明の遺伝子融合構築物または改変遺伝子融合構築物で形質転換された、トランスジェニック生物の使用。
【0172】
さらなる局面において、本発明は、本明細書中の方法および組成物を具体化し、そして、任意の1つ以上の、本明細書中の先に記載された選択戦略、材料、成分、方法、または基質の使用を利用するキットを提供する。本発明のキットは、必要に応じて、1つ以上の、以下:(1)本明細書中に記載されるような遺伝子融合構築物または改変遺伝子融合構築物;(2)本明細書中に記載される方法を実施するための、および/または本明細書中の選択手順を実行するための指示書;(3)1つ以上のアッセイ成分(1つ以上の緩衝液、酵素、補助因子、基質、インヒビター、触媒などを含むが、これらに限定されない);(4)核酸、植物、細胞などを保持するための容器、および必要に応じて(5)包装材料を含む。
【0173】
さらなる局面において、本発明は、本明細書中の任意の成分またはキットの使用、本明細書中の任意の方法またはアッセイの実行、および/または本明細書中の任意のアッセイまたは方法を実行するための任意の装置またはキットの使用を提供する。
【0174】
(実施例)
以下の実施例は、特許請求される本発明を制限するためにではなく例示するために提供される。
【0175】
(実施例1:3つの酵素ドメイン−エクトインシンターゼをコードする遺伝子融合構築物の調製および機能評価)
(野生型エクトインシンターゼオペロンのクローニング)
目的のエクトインシンターゼオペロンを含むMarinococcus halophilus(ATCC27964)を、ATCCから得た。ectA(ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ)遺伝子、ectB(ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ)遺伝子およびectC(エクトインシンターゼ)遺伝子を含むオペロンが特徴付けられており、GenBankで入手可能である(登録番号U66614)。ectA開始コドンの0.7kb上流からectC終止コドンの0.15kb下流まで延びる3.26kbのオペロンが、Herculase増強DNAポリメラーゼ(Stratagene)(図8)を使用してゲノムDNAから増幅し、そして、以下のプライマー対:ectP−5’(5’−TAAGAATTCGGGTAGTACACGCAAGGATGGG−3’(配列番号1;EcoRI部位は下線が引かれている))およびect−3’(5’−CGTTTCCATGGTCTTACCACCTTTTAAAAGTAATAG−3’(配列番号2;NcoI部位は下線が引かれている))を、EcoRIおよびNcoI部位の導入を有する0.7kbフラグメントのPCRアウトのために使用した;ect−5’(5’−AGGTGGTAAGACCATGGAAACGAAAATGACTGGAACG−3’(配列番号3;NcoI部位は下線が引かれている))およびIn−3’(5’−AGGAGAAACTCGAGACTTCGCGCTTTACTTCTTCCGG−3’(配列番号4;XhoI部位は下線が引かれている))を、NcoIおよびXhoI部位の導入を有する2.56kbフラグメントのPCRアウトのために使用した。
【0176】
E.coliベクターpBR322を、EcoRIおよびSalI(XhoIと適合性の末端)制限酵素により消化して、上記で得られたEcoRI/NcoI(0.7kb)フラグメントおよびNcoI/XhoI(2.56kb)フラグメントのためのクローニングベクターを作成した。3回のフラグメントライゲーション後、これをTop10 E.coliコンピテント細胞中へ形質転換して、pBR322−wt構築物を形成した。
【0177】
(エクトインシンターゼ遺伝子融合構築物の調製)
ectA遺伝子、ectB遺伝子、およびectC遺伝子を組み合わせて、遺伝子融合構築物を形成した(図9)。このプロセスは、ectAおよびectBの終止コドン、遺伝子間(inter−gene)空間、ならびにectBおよびectCの開始コドンの除去、ならびにectA、ectB、およびectCの、4つのグリシンリンカー配列とのインフレームの融合を必要とした。構築を、以下のPCR操作を使用して達成した:プライマー対ect−5’(配列番号3)および031−25(5’−CGCTGAGATCATTCTGGCCACCGCCACCCTTTGTAAATGGTCCTATTCGAAATGTC−3’(配列番号5;4−グリシンリンカーをコードする部位は下線が引かれている))を使用してectAフラグメントを生成した;プライマー対031−24(5’−CCATTTACAAAGGGTGGCGGTGGCCAGAATGATCTCAGCGTTTTTAATGAATACG−3’(配列番号6;4−グリシンリンカーをコードする部位は下線が引かれている))および031−27(5’−GTTTAATTACTTTACCGCCACCGCCTTTGGCTACGAGGTTGCTTTCAGCG`GTAAC−3’(配列番号7;4−グリシンリンカーをコードする部位は下線が引かれている))を使用してectBフラグメントを生成した;そしてプライマー対031−26(5’−CCTCGTAGCCAAAGGCGGTGGCGGTAAAGTAATTAAACTCGAAGATTTGCTCGGC−3’(配列番号8;4−グリシンリンカーをコードする部位は下線が引かれている))およびIn−3’(配列番号4)を使用してectCフラグメントを生成した。
【0178】
3つの重なり合うPCRフラグメントを、95℃の溶融温度で30秒間、60℃のアニーリング温度で30秒間、および72℃の伸長温度で1分間の条件で、プライマー無しで5〜10回のPCRサイクルによりアセンブリした。次いで、アセンブリされた産物を、55℃のアニーリング温度でect−5’およびIn−3’のプライマーで増幅した。Herculase増強DNAポリメラーゼ(Stratagene)を、アセンブリおよび続くPCR増幅の両方のために使用した。得られたPCR産物をNcoIおよびNdeI制限酵素で消化し、そして、NcoI/NdeI消化pBR322中にクローニングした。構築物のリンカー領域を、配列決定分析により確定した。得られるプラスミドを、Top10 E.coliコンピテント細胞中へ形質転換した。
【0179】
(エクトインシンターゼ遺伝子融合構築物で形質転換されたE.coliの塩耐能力の評価)
野生型エクトインオペロンおよびエクトインシンターゼ融合構築物で形質転換したTop10’細胞を、種々の塩濃度で増殖する能力について試験した。試験は、以下の培地:MM63(100mMのKH2PO4、75mMのKOH、15mMの(NH4)2SO4、1mMのMgSO4、3.9μMのFeSO4、22mMのグルコース、1.5ml/lのビタミン溶液、pH7.4(ビタミン溶液:100mlのH2O中、10mgのビオチン、35mgのニコチンアミド、30mgの二塩化チアミンジクロリド、20mgのp−アミノ安息香酸、10mgの塩化ピロドキサール、10mgのCaパントテン酸塩、5mgのビタミンB12))+10%LBおよび種々の量の塩(0〜5%NaCl)中、37℃で36時間細胞を増殖させる工程を含んだ。培養物の細胞密度を、分光器により600nmで測定した。
【0180】
結果(図10)は、3つの遺伝子融合構築物が、E.coliに野生型エクトインオペロンに匹敵する塩耐能力を与えることを示す。
【0181】
上記の発明は、明瞭性および理解の目的である程度詳細に記載されてきたが、形態および詳細における種々の変更が、本発明の真の範囲から逸脱することなくなされ得るということが、本開示を読むことにより当業者に明らかである。例えば、上記で記載される全ての技術および組成物が、種々の組合せで使用され得る。願において引用される全ての発行物、特許文書(例えば、出願、特許など)または他の参考文献は、各個々の発行物または特許文書が個別に示されるのと同じ範囲で、全ての目的のためにその全体が参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1:リンカー配列を含まない、2つの核酸配列を有する改変された遺伝子構築物の概略図。遺伝子1の終止コドンを除去し、次いで、遺伝子2のコード配列にインフレームで融合させる。
【図2】
図2:リンカー配列を有する、2つの核酸配列を有する改変された遺伝子融合構築物の概略図。遺伝子1の終止コドンを除去し、次いで、遺伝子2のコード配列にインフレームで融合させたリンカー配列に融合させる。
【図3】
図3:リンカー配列を含むおよび含まない、3つの核酸配列を有する遺伝子融合構築物の概略図。リンカー配列の存在は任意である。遺伝子1および2の終止コドンを除去した後に、遺伝子3にインフレーム融合させる。
【図4】
図4:カロテノイド生合成経路、および本発明の遺伝子融合産物の可能性のある実施形態。
【図5】
図5:エクトイン生合成経路(ASA:アスパラギン酸β−セミアルデヒド、DABA:2,4−ジアミノ酪酸、ADABA:γ−N−アセチル−α,γ−ジアミノ酪酸)。
【図6】
図6:PHA生合成経路(R=アセチル、プロピオニル、および他の長鎖基、iおよびj=繰り返し単位数、最終的なポリマーのバリエーションは、開始構成単位由来のR基によって決定される)。
【図7】
図7:最小ポリケチド合成経路。
【図8】
図8:野生型エクトインシンターゼオペロンの機能的単離のためのクローニングストラテジー。
【図9】
図9:3つのエクトイン生合成酵素の融合構築物を作製するためのストラテジー。
【図10】
図10:様々な塩濃度で、pBR322(コントロール)、ならびにWT ectオペロンを含有するプラスミド(ectオペロン1およびectオペロン2は、2つの別個の形質転換E.coliコロニーである)、および融合ect遺伝子を含有するプラスミド(融合ect1および融合ect2は、2つの別個の形質転換E.coliコロニーである)で形質転換された、E.coliの増殖。
Claims (104)
- 改変遺伝子融合構築物を生成する方法であって、該方法は、2つ以上の異種核酸配列を共連結して、それにより該改変遺伝子融合構築物を生成する工程であって、ここで、各異種核酸配列は、1つ以上の酵素ドメインをコードし、該2つ以上の異種核酸配列の少なくとも1つは改変される、工程、
を包含する、方法。 - 前記2つ以上の核酸配列の少なくとも1つは、該2つ以上の核酸配列を共連結する前に改変される、請求項1に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列の少なくとも1つは、該2つ以上の核酸配列を共連結した後に改変される、請求項1に記載の方法。
- 前記1つ以上の酵素ドメインは、同じ代謝経路に関与する、請求項1に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列の少なくとも1つは、少なくとも1つの核酸配列をシャッフリングする工程により改変される、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの核酸配列をシャッフリングする工程は、再帰配列組換えを含む、請求項5に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列は、フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、z−カロチンデサチュラーゼ、およびβ−シクラーゼからなる群から選択される酵素ドメインをコードする、請求項1に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列は、ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼからなる群から選択される酵素ドメインをコードする、請求項1に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列は、β−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼからなる群から選択される酵素ドメインをコードする、請求項1に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列は、ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼからなる群から選択される酵素ドメインをコードする、請求項1に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列を共連結する工程は、該2つ以上の核酸配列を互いに直接連結することを包含する、請求項1に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列を共連結する工程は、該2つ以上の核酸配列を、1つ以上のヌクレオチドリンカー配列で連結することを包含する、請求項1に記載の方法。
- 前記1つ以上のヌクレオチドリンカー配列は独立して、約3〜約300ヌクレオチドを含む、請求項12に記載の方法。
- 前記1つ以上のヌクレオチドリンカー配列は独立して、約12〜約90ヌクレオチドを含む、請求項13に記載の方法。
- 前記1つ以上のヌクレオチドリンカー配列の少なくとも1つは、1つ以上のイントロン配列を含む、請求項12に記載の方法。
- 前記1つ以上のヌクレオチドリンカー配列の少なくとも1つは、ペプチドリンカーをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項12に記載の方法。
- 前記ペプチドリンカーは、切断可能なペプチド配列またはインテイン配列を含む、請求項16に記載の方法。
- 前記ペプチドリンカー中のアミノ酸残基の少なくとも約80%は、アラニン残基およびグリシン残基からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
- 前記改変遺伝子融合構築物は、1つ以上の転写調節配列を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記1つ以上の転写調節配列は、1つ以上の植物転写調節配列を含む、請求項19に記載の方法。
- 前記改変遺伝子融合構築物を、真核生物系に導入する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
- 前記真核生物系は、植物系である、請求項21に記載の方法。
- 前記植物系は、Fragaria、Lotus、Medicago、Onobrychis、Trifolium、Trigonella、Vigna、Citrus、Linum、Geranium、Manihot、Daucus、Arabidopsis、Brassica、Raphanus、Sinapis、Atropa、Capsicum、Hyoscyamus、Lycopersicon、Nicotiana、Solanum、Petunia、Digitalis、Majorana、Cichorium、Helianthus、Lactuca、Bromus、Asparagus、Antirrhinum、Hererocallis、Nemesia、Pelargonium、Panicum、Pennisetum、Ranunculus、Senecio、Salpiglossis、Cucumis、Browaalia、Glycine、Lolium、Zea、Triticum、Sorghum、Malus、Apium、Narcissus、DocusおよびDaturaから選択される、請求項22に記載の方法。
- 請求項22に記載の方法により調製される、トランスジェニック植物。
- 2つ以上の共連結異種核酸配列を含む改変遺伝子融合構築物であって、各核酸配列は、1つ以上の酵素ドメインをコードし、該2つ以上の異種核酸配列の少なくとも1つは改変される、改変遺伝子融合構築物。
- 前記2つ以上の核酸配列の少なくとも1つはシャッフリングされる、請求項25に記載の改変遺伝子構築物。
- 前記2つ以上の核酸配列は、フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、z−カロチンデサチュラーゼ、およびβ−シクラーゼからなる群から選択される少なくとも2つの酵素ドメインをコードする、請求項25に記載の改変遺伝子融合構築物。
- 前記2つ以上の核酸配列は、ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼからなる群から選択される少なくとも2つの酵素ドメインをコードする、請求項25に記載の改変遺伝子融合構築物。
- 前記2つ以上の核酸配列は、β−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼからなる群から選択される少なくとも2つの酵素ドメインをコードする、請求項25に記載の改変遺伝子融合構築物。
- 前記2つ以上の核酸配列は、ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼからなる群から選択される少なくとも2つの酵素ドメインをコードする、請求項25に記載の改変遺伝子融合構築物。
- 請求項25に記載の改変遺伝子融合構築物およびプロモーターを含む、ベクター。
- 遺伝子融合構築物を生成する方法であって、該方法は、同じ代謝経路に関与する2つ以上の異種核酸配列を共連結する工程であって、該共連結核酸配列の1つは真核生物に由来し、別の共連結核酸配列は異なる種の真核生物または原核生物のいずれかに由来する、工程、を包含する、方法。
- 前記共連結核酸配列の少なくとも1つは、植物に由来する、請求項32に記載の方法。
- 前記共連結核酸配列の少なくとも1つは、原核生物に由来する、請求項32に記載の方法。
- 前記共連結核酸配列の少なくとも1つは、植物に由来する、請求項34に記載の方法。
- 前記共連結核酸配列の少なくとも2つは、異なる植物種に由来する、請求項32に記載の方法。
- 同じ代謝経路に関与する3つ以上の異種核酸配列を共連結する工程を包含する、請求項32に記載の方法。
- 前記異種核酸配列の少なくとも1つは改変される、請求項32に記載の方法。
- 前記異種核酸配列の少なくとも1つはシャッフリングされる、請求項38に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列は、フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、z−カロチンデサチュラーゼ、およびβ−シクラーゼからなる群から選択される酵素ドメインをコードする、請求項32に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列は、ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼからなる群から選択される酵素ドメインをコードする、請求項32に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列は、β−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼからなる群から選択される酵素ドメインをコードする、請求項32に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列は、ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼからなる群から選択される酵素ドメインをコードする、請求項32に記載の方法。
- 前記共連結核酸配列は、互いに直接連結される、請求項32に記載の方法。
- 前記共連結配列は、1つ以上のヌクレオチドリンカー配列と互いに連結される、請求項32に記載の方法。
- 前記改変遺伝子融合構築物は、1つ以上の転写調節配列を含む、請求項32に記載の方法。
- 前記1つ以上の転写調節配列は、1つ以上の植物転写調節配列を含む、請求項46に記載の方法。
- 前記改変遺伝子融合構築物を、真核生物系に導入する工程をさらに包含する、請求項32に記載の方法。
- 前記真核生物系は、植物系である、請求項48に記載の方法。
- 前記植物系は、Fragaria、Lotus、Medicago、Onobrychis、Trifolium、Trigonella、Vigna、Citrus、Linum、Geranium、Manihot、Daucus、Arabidopsis、Brassica、Raphanus、Sinapis、Atropa、Capsicum、Hyoscyamus、Lycopersicon、Nicotiana、Solanum、Petunia、Digitalis、Majorana、Cichorium、Helianthus、Lactuca、Bromus、Asparagus、Antirrhinum、Hererocallis、Nemesia、Pelargonium、Panicum、Pennisetum、Ranunculus、Senecio、Salpiglossis、Cucumis、Browaalia、Glycine、Lolium、Zea、Triticum、Sorghum、Malus、Apium、Narcissus、DocusおよびDaturaから選択される、請求項49に記載の方法。
- 請求項49に記載の方法により調製される、トランスジェニック植物。
- 同じ代謝経路に関与する2つ以上の共連結異種核酸配列を含む遺伝子融合構築物であって、該共連結核酸配列の少なくとも1つは真核生物に由来し、別の共連結核酸配列は異なる種の真核生物または原核生物のいずれかに由来する、遺伝子融合構築物。
- 前記核酸配列の少なくとも1つは改変される、請求項52に記載の遺伝子構築物。
- 前記核酸配列の少なくとも1つはシャッフリングされる、請求項53に記載の遺伝子構築物。
- 前記2つ以上の異種核酸配列は、フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、z−カロチンデサチュラーゼ、およびβ−シクラーゼからなる群から選択される少なくとも2つの酵素ドメインをコードする、請求項52に記載の遺伝子融合構築物。
- 前記2つ以上の核酸配列は、ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼからなる群から選択される少なくとも2つの酵素ドメインをコードする、請求項52に記載の遺伝子融合構築物。
- 前記2つ以上の核酸配列は、β−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼからなる群から選択される少なくとも2つの酵素ドメインをコードする、請求項52に記載の遺伝子融合構築物。
- 前記2つ以上の核酸配列は、ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼからなる群から選択される少なくとも2つの酵素ドメインをコードする、請求項52に記載の遺伝子融合構築物。
- 請求項52に記載の改変遺伝子融合構築物およびプロモーターを含む、ベクター。
- 2つ以上の共連結異種核酸配列を含む遺伝子融合構築物であって、該2つ以上の核酸配列は、ジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、およびエクトインシンターゼからなる群から選択される少なくとも2つの酵素ドメインをコードする、遺伝子融合構築物。
- 前記少なくとも2つの共連結核酸配列の少なくとも1つは改変される、請求項60に記載の組換え核酸配列。
- 前記少なくとも2つの共連結核酸配列の少なくとも1つはシャッフリングされる、請求項61に記載の組換え核酸配列。
- 3つ以上の共連結異種核酸配列を含む遺伝子融合構築物であって、該3つ以上の核酸配列は、β−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、およびポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼからなる群から選択される少なくとも3つの酵素ドメインをコードする、遺伝子融合構築物。
- 前記少なくとも3つの共連結核酸配列の少なくとも1つは改変される、請求項63に記載の組換え核酸配列。
- 前記少なくとも3つの共連結核酸配列の少なくとも1つはシャッフリングされる、請求項64に記載の組換え核酸配列。
- 2つ以上の共連結異種核酸配列を含む遺伝子融合構築物であって、該2つ以上の核酸配列は、ケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、およびシクラーゼからなる群から選択される少なくとも2つの酵素ドメインをコードする、遺伝子融合構築物。
- 前記少なくとも2つの共連結核酸配列の少なくとも1つは改変される、請求項66に記載の組換え核酸配列。
- 前記少なくとも2つの共連結核酸配列の少なくとも1つはシャッフリングされる、請求項67に記載の組換え核酸配列。
- 2つ以上の共連結異種核酸配列を含む遺伝子融合構築物であって、該2つ以上の核酸配列は、フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、z−カロチンデサチュラーゼ、およびβ−シクラーゼからなる群から選択される少なくとも2つの酵素ドメインをコードする、遺伝子融合構築物。
- 前記少なくとも2つの共連結核酸配列の少なくとも1つは改変される、請求項69に記載の組換え核酸配列。
- 前記少なくとも2つの共連結核酸配列の少なくとも1つはシャッフリングされる、請求項70に記載の組換え核酸配列。
- 同じ代謝経路に関与する2つ以上の異種酵素ドメインを含むハイブリッドタンパク質であって、該2つ以上の酵素ドメインの少なくとも1つは、改変された核酸配列にコードされる、ハイブリッドタンパク質。
- 前記2つ以上の酵素ドメインの少なくとも1つは、シャッフリングされた核酸配列にコードされる、請求項72に記載のハイブリッドタンパク質。
- 前記2つ以上の酵素ドメインは、1つ以上のペプチドリンカー配列に連結される、請求項72に記載のハイブリッドタンパク質。
- 前記1つ以上のペプチドリンカー配列の少なくとも1つは、切断可能なペプチド配列またはインテイン配列を含む、請求項74に記載のハイブリッドタンパク質。
- 前記同じ代謝経路に関与する酵素ドメインは、1つ以上のフィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、z−カロチンデサチュラーゼ、またはβ−シクラーゼを含む、請求項72に記載のハイブリッドタンパク質。
- 前記同じ代謝経路に関与する酵素ドメインは、1つ以上のジアミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、ジアミノ酪酸アセチルトランスフェラーゼ、またはエクトインシンターゼを含む、請求項72に記載のハイブリッドタンパク質。
- 前記同じ代謝経路に関与する酵素ドメインは、1つ以上のβ−ケトチオラーゼ、D−レダクターゼ、またはポリ(ヒドロキシアルカノエート)シンターゼを含む、請求項72に記載のハイブリッドタンパク質。
- 前記同じ代謝経路に関与する酵素ドメインは、1つ以上のケトシンターゼ−アシルトランスフェラーゼ、鎖長因子、アシルキャリアタンパク質、またはシクラーゼを含む、請求項72に記載のハイブリッドタンパク質。
- 遺伝子融合構築物を生成する方法であって、該方法は、少なくとも2つの酵素ドメインをコードする2つ以上の核酸配列を共連結し、それにより遺伝子融合構築物を生成する工程であって、ここで、該核酸の少なくとも1つは植物に由来する、工程、を包含する、方法。
- 前記植物酵素は、フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、z−カロチンデサチュラーゼ、およびβ−シクラーゼからなる群から選択される、請求項80に記載の方法。
- 前記1つ以上の酵素ドメインは、同じ代謝経路に関与する、請求項80に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列の少なくとも1つは改変される、請求項80に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列の少なくとも1つは、シャッフリングする工程により改変される、請求項83に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの核酸配列をシャッフリングする工程は、再帰配列組換えを包含する、請求項84に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列を共連結する工程は、該2つ以上の核酸配列を互いに直接連結する工程を包含する、請求項80に記載の方法。
- 前記2つ以上の核酸配列を共連結することは、該2つ以上の核酸配列を、1つ以上のヌクレオチドリンカー配列で連結することを含む、請求項80に記載の方法。
- 前記1つ以上のヌクレオチドリンカー配列は独立して、約3〜約300ヌクレオチドを含む、請求項87に記載の方法。
- 前記1つ以上のヌクレオチドリンカー配列は独立して、約12〜約90ヌクレオチドを含む、請求項88に記載の方法。
- 前記1つ以上のヌクレオチドリンカー配列の少なくとも1つは、1つ以上のイントロン配列を含む、請求項87に記載の方法。
- 前記1つ以上のヌクレオチドリンカー配列の少なくとも1つは、ペプチドリンカーをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項87に記載の方法。
- 前記ペプチドリンカーは、切断可能なペプチド配列またはインテイン配列を含む、請求項91に記載の方法。
- 前記ペプチドリンカー中のアミノ酸残基の少なくとも約80%は、アラニン残基およびグリシン残基からなる群から選択される、請求項91に記載の方法。
- 前記改変遺伝子融合構築物は、1つ以上の転写調節配列を含む、請求項80に記載の方法。
- 前記1つ以上の転写調節配列は、1つ以上の植物転写調節配列を含む、請求項94に記載の方法。
- 前記改変遺伝子融合構築物を、真核生物系に導入する工程をさらに包含する、請求項80に記載の方法。
- 前記真核生物系は、植物系である、請求項96に記載の方法。
- 前記植物系は、Fragaria、Lotus、Medicago、Onobrychis、Trifolium、Trigonella、Vigna、Citrus、Linum、Geranium、Manihot、Daucus、Arabidopsis、Brassica、Raphanus、Sinapis、Atropa、Capsicum、Hyoscyamus、Lycopersicon、Nicotiana、Solanum、Petunia、Digitalis、Majorana、Cichorium、Helianthus、Lactuca、Bromus、Asparagus、Antirrhinum、Hererocallis、Nemesia、Pelargonium、Panicum、Pennisetum、Ranunculus、Senecio、Salpiglossis、Cucumis、Browaalia、Glycine、Lolium、Zea、Triticum、Sorghum、Malus、Apium、Narcissus、DocusおよびDaturaから選択される、請求項97に記載の方法。
- 請求項97に記載の方法により調製される、トランスジェニック植物。
- 2つ以上の共連結異種核酸配列を含む遺伝子融合構築物であって、各核酸配列は、1つ以上の酵素ドメインをコードし、該2つ以上の核酸配列の少なくとも1つは植物に由来する、遺伝子融合構築物。
- 前記2つ以上の異種核酸配列の少なくとも1つは改変される、請求項100に記載の遺伝子融合構築物。
- 前記2つ以上の異種核酸配列の少なくとも1つはシャッフリングされる、請求項101に記載の遺伝子融合構築物。
- 前記2つ以上の異種核酸配列は、フィトエンシンターゼ、フィトエンデサチュラーゼ、z−カロチンデサチュラーゼ、およびβ−シクラーゼからなる群から選択される少なくとも2つの酵素ドメインをコードする、請求項100に記載の改変遺伝子融合構築物。
- 請求項100に記載の遺伝子融合構築物およびプロモーターを含む、ベクター。
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