JP2004526408A - ホスホチロシン含有タンパク質に対する組換えモノクローナル抗体 - Google Patents

ホスホチロシン含有タンパク質に対する組換えモノクローナル抗体 Download PDF

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Abstract

4G10ハイブリドーマ型特異性を持つ精製または高純度組換えモノクローナル抗体が、抗体鎖およびcDNAポリヌクレオチドに対応するアミノ酸配列をコード化するcDNA配列を含むポリヌクレオチドと共に開示され、また前記配列の用途が開示される。同じく開示されるのは、分子生物学的手法で有用な対応するタグ標識配列と、前記配列の用途である。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本出願は、2000年9月1日にアメリカ合衆国に出願されたアメリカ合衆国特許出願番号09/653,755号に基づいて優先権を主張し、その開示は全体を引用例としてここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、組換えモノクローナル抗体と、臨床および診断手順を含む科学的手順での用途、とりわけそのようなプロセスがホスホチロシン含有タンパク質の検出を伴う場合での用途に関する。
【0003】
【従来の技術】
細胞成長、とりわけ癌で見られる調節できない成長は、少なくとも部分的には、チロシンの水酸基にリン酸塩を加えるプロテインキナーゼの機能に帰属されてきた。同様に、ラウス肉腫ウイルスおよびマウス白血病ウイルスなどの実体による細胞の癌遺伝子形質転換は、ウイルスコード化タンパク質と形質転換細胞で見出されるタンパク質の両方で見られるホスホチロシンの水準で、少なくとも1桁大きい著しい増加を来たす。チロシンキナーゼは、このような形質転換プロセスに密接に関係するものと考えられている。
【0004】
ホスホチロシン残基を含有するタンパク質に特異的な抗ホスホチロシンモノクローナル抗体は、このような形質転換プロセスを研究するに際し、また同じくタンパク質でのホスホチロシン残基の検出と、このような成分を含有するタンパク質の検出において、価値のあることが証明された。かくして形質転換生体に存在する癌遺伝子が、未形質転換細胞内で天然同等物または類似体を持つことが発見されたために、チロシンキナーゼは胚発展または再生の間を多分含めて、正常な成長調節に関係してきている。従ってこのようなタンパク質に対して向けられた特異性を持つかなりの量のモノクローナル抗体の利用可能性は、とりわけ方法が大規模でのこのような抗体の産生に利用できる場合には、多大な価値を持つことができる。例えば、モノクローナル抗体は、チロシンキナーゼに対する細胞基質の同定を促進することができ、またその基質のアフィニティー精製を可能にすると共に、疾病をスクリーニングしまた検出するのにきわめて有用であることが示された。
【0005】
ハイブリドーマの使用を含むものなどのような近代技術は、これらの抗体が、ホスホチロシン含有タンパク質およびポリペプチドに特異的であるような場合に、一般診断および臨床手順に有用な同様な源の高度に特異的で潜在能力のあるモノクローナル抗体を、研究者や臨床医に利用できるようにした。中でもより有用なモノクローナル抗体は、4G10ハイブリドーマ細胞系から誘導されたものである。4G10モノクローナル抗体は、小田他,血液,88巻(11号):4304−13ページ(1996年12月1日刊)により詳細に記載されている。Crklは、慢性骨髄性白血病患者からの血小板でリン酸化され、トロンボポエチンで刺激された正常血小板で誘導的にリン酸化された構造性チロシンである。しかしこのような抗体が有用である一方、それらは純粋な形態で産生することは容易なことではない。例えば、4G10細胞系は、必要な抗体の低生産者であり、従ってそれらが投入される異なった用途すべてを支持するのに十分な量でそのような抗体を得ることは困難であり、また非常に高価である。加えて、一つのロットからも一つのロットへの前記抗体量は、大抵の研究者や臨床医に必要とされるものよりも少ない。
【0006】
より特異的には、精製Hisタグ標識組換え抗体は、ハイブリドーマ源から得られるものよりもより純度が高い。ハイブリドーマタンパク質A精製4G10は、未だに同定されない重鎖ダブレットを持ち、一方本発明のIMAC精製組換え抗体は、高度に純粋で単一重鎖バンドと軽鎖バンドを持つ。更に4G10のホスホチロシン結合性能は、酸露出に感受性であり、必要とされる低pH条件でのタンパク質AまたはGカラムからの溶離は、部分不活性化、従って特異的活性の低下に導かれる。
【0007】
本発明はこのような問題を解決し、4G10ハイブリドーマ細胞系から誘導されるものと同じ、または類似した有用性と特異性を含む組換えモノクローナル抗体を提供し、しかも随伴的な高い特異的活性と性能の一貫性を持ちより高い純度を示す組換えモノクローナル抗体を提供する。とりわけ有用なものは、本発明の免疫グロブリンのヒスチジンタグ標識形態である。Hisタグ標識は中性pH条件下でIMAC(固定金属アフィニティークロマトグラフィー)精製を可能にし、そのため組換え抗体は、低pH条件に露出されることは決してない。より大きな純度は、もち論臨床用途でより高度に有用である。
【0008】
Hisタグ標識は、固相用途でのニッケルマトリックスに対し、配向様式での組換え抗体または免疫グロブリンの付着を容易にするという点で、同じように有用である。かくしてHisタグ標識組換え形態はとりわけ有用である。ここに開示された方法は、かくして一般により高い特異活性を持つより純粋でより均一な産物を産出する。
【0009】
【発明の簡単な概要】
本発明は、ホスホチロシン成分を含むタンパク質およびポリペプチドに指向する特異性を持つ組換えモノクローナル抗体に関する。
【0010】
従って本発明の目的は、ホスホチロシン含有タンパク質およびポリペプチドに対する特異性を持つ組換えモノクローナル抗体を提供することにある。
【0011】
本発明の更なる目的は、そのヌクレオチド配列が、前記組換え抗体および免疫グロブリンの重鎖と軽鎖をコードするcDNAsなどのようなポリヌクレオチドを提供することにある。
【0012】
更にまた本発明の目的は、ホスホチロシン含有タンパク質およびポリペプチドに特異的な組換え抗体を提供することにあり、ここで前記抗体はアミノ酸配列および他のタグで標識され、それが研究、診断および臨床目的に前記抗体を使用する際に、それらを容易に分離可能にし、また多様性をもたらすことになる。
【0013】
本発明のも一つの目的は、研究、診断および臨床目的のためにここで開示された組換え抗体を使用する方法を提供することである。
【0014】
【発明の詳細説明】
分子生物学と組換え技術についての方法の到来に伴ない、組換え手段により抗体分子を産生し、これにより抗体のポリペプチド構造で見出される特異的アミノ酸配列をコードする遺伝子配列を生成することが今では可能となっている。このような抗体は、前記抗体のポリペプチド鎖をコード化する遺伝子配列をクローニングするか、または特異的エピトープと抗原決定基に親和性を持つ活性四量体(H)構造を形成するために、合成鎖の試験管内アセンブリーで前記ポリペプチド鎖の直接合成によるかのいずれかで産生することができる。これは異なる種と源からの中和抗体の配列特性を持つ抗体の容易な産生を可能にした。
【0015】
抗体の源には関係なく、または抗体がいかに組換え構築されたか、あるいはウシ、ヤギ、ヒツジなどの遺伝子導入動物を用いて、実験室またはバイオリアクターなどの商業的規模の大型細胞培養器を用いて、もしくはプロセスのどの段階でも生体を用いない直接化学合成により、試験管内または生体内でいかにして抗体が合成されるかに拘らず、すべての抗体は類似の全体的な3次元構造を持つ。この構造はしばしばHとして与えられ、抗体が2個の軽(L)アミノ酸鎖と2個の重(H)アミノ酸鎖を含むという事実を引用する。両鎖は構造的に相補抗原標的と相互作用できる領域を持つ。標的と相互作用する領域は「可変」すなわち「V」領域として引用され、異なる抗原特異性からのアミノ酸配列の差異により特徴付けられる。
【0016】
HまたはL鎖のいずれかの可変領域は、抗原標的に特異的に結合することのできるアミノ酸配列を含有する。これらの配列内では、「超可変」と名付けられたより小さな配列があり、その命名の理由は、異なる特異性の抗体の間での極端な可変性のためである。このような超可変領域は、「相補性決定領域」すなわち「CDR」領域としても引用される。このようなCDR領域は、特定の抗原決定基構造に対する抗体の基本的特異性を説明するものとなる。
【0017】
CDRsは、可変領域内でのアミノ酸の非隣接伸長部を表すが、種にかかわりなく、可変重鎖領域および軽鎖領域内でのこれら臨界アミノ酸配列の位置的配置は、可変鎖のアミノ酸配列内でも、類似の配置を持つことが発見された。すべての抗体の可変重鎖および可変軽鎖は、それぞれ3個のCDR領域を持ち、そのそれぞれは各軽(L)鎖および重(H)鎖に対して(L1,L2,L3,H1,H2,H3と名付けられており)他のものとは隣接していない。一般に認められているCDR領域は、カバット他,生物学化学ジャーナル,252巻:6609−6616ページ(1977年)に記載されたものである。番号設定計画は図で示されており、ここでCDRはアンダーラインを付与され、番号はカバット計画に基づいている。
【0018】
すべての哺乳類種においては、抗体ポリペプチドは定常領域(すなわち高保存的領域)と可変領域を含有し、また後者では、CDRsと、重鎖または軽鎖の可変領域内にあるがCDRの外側にあるアミノ酸配列で構成された所謂「枠組み構造領域」が存在する。
【0019】
前記に従って、本発明は、ホスホチロシン成分を含むタンパク質とポリペプチドに指向する特異性を持つ組換えモノクローナル抗体に全般的に指向される。
【0020】
本発明は、更に推定アミノ酸配列(配列識別番号4,5または6)を持つポリペプチド、同じくこのようなポリペプチドの免疫活性断片、類似体および誘導体に関する。
【0021】
ポリペプチド(配列識別番号4,5または6など)を引用する場合に、「断片」「誘導体」および「類似体」という用語は、このようなポリペプチドと同じ生物学的機能または活性を基本的に保持する断片、誘導体または類似体を意味する。かくして類似体は、活性成熟ポリペプチドを産生するために、プロタンパク質部分の切断により活性化できるプロタンパク質を含む。このような断片、誘導体および類似体は、生ポリペプチドの免疫活性および/または特異性が保持されるように、配列識別番号4,5または6のポリペプチドに対する十分な類似性を持たねばならない。本発明に従って、抗体を構成する場合には、このような断片はFabおよびF(ab′)断片を含むであろうが、本発明は決してこのような断片のみに限定されるものではない。
【0022】
本発明のポリペプチドは、組換えポリペプチド、天然ポリペプチドであることができ、または一般に合成ポリペプチド、すなわち天然に発生するポリペプチド以外のポリペプチド、望ましくは組換えポリペプチドを意味し、ここで開示された免疫特異性および/または活性を持ち、その免疫活性断片を含むものであってもよい。本発明のポリペプチドを形成する抗体は、1個の重鎖と1個の軽鎖のみより成る天然で二量体のものでもあり、キメラまたはヒト化もしくは他の形態の組換え抗体であってもよい。
【0023】
本発明の免疫グロブリンは、配列識別番号4,5または6の配列にほぼ同一のアミノ酸配列を持つものを含む。ここで使用されるように、「ほぼ同一」という用語は、ここで開示された配列に少なくとも98%同一の配列、または1個もしくはそれ以上のアミノ酸残基が、置換されるアミノ酸と同じ化学的性質のものである保存または非保存アミノ酸残基(望ましくは保存アミノ酸残基)と置換される場合、例えば疎水性残基が他の疎水性残基に置換され、または酸性残基がも一つの酸性残基により置換され、あるいは塩基性残基がも一つの塩基性残基と置換され、もしくは極性残基がも一つの極性残基と置換され、とりわけそれぞれのアミノ酸が類似のサイズのものである場合などの配列を含むことを意味する。このようなアミノ酸は、類似のサイズと化学的性質のアミノ酸によっても置換されるが、しかしそれは遺伝コードで通常コードされるアミノ酸ではなく、または1個あるいはそれ以上のアミノ酸残基が特殊な置換基を含む場合のものである。本発明の精製または高純度免疫グロブリンは、ポリペプチドの半減期を増加するための化合物(例えばポリエチレングリコールなど)と融合され、あるいは追加のアミノ酸は、リーダー配列または分泌配列、もしくは成熟ポリペプチドまたはプロタンパク質配列の精製に使用される配列などと融合される。このような類似体は、ここでの教示から当業者の範囲内にあるものと見做される。
【0024】
本発明の免疫グロブリンは、望ましくは分離された形態で提供され、また望ましくは均一性に精製される。
【0025】
本発明のポリペプチドの断片または部分は、ペプチド合成によって対応する全長ポリペプチドを生成するために使用される。つまりこれらの断片は、全長ポリペプチド生成用の中間生成物として使用することができる。本発明のポリヌクレオチドの断片または部分は、本発明の全長ポリヌクレオチドの合成に使用される。
【0026】
ここで使用されるように、ポリペプチドに関連して使用される場合の、「部分」、「セグメント」、「断片」という用語は、アミノ酸残基等の残基の連続配列で、長尺の配列の部分集合を形成する配列を引用する。もしポリペプチドが、例えばトリプシン、キモトリプシン、などの一般のエンドペプチターゼ酵素で処理されると、処理の結果生成されたオリゴペプチドは、出発原始ポリペプチドの部分、セグメントまたは断片を表すものとなるであろう。
【0027】
前記に従って、本発明は、4G10モノクローナル抗体(アップステート バイオテクノロジー,インコーポレイテッド,レーク プラシッド,ニューヨークから商業的に利用可能)と同じ特異性を持つ精製または高純度免疫グロブリンに関する。その用語が直接化学合成を含めてどのように調製されたかに拘らず、モノクローナル抗体などのような抗体を含むこの精製免疫グロブリンは、2個の軽鎖成分と2個の重鎖成分とを含み、ここで前記重鎖成分は、ゲル電気泳動で単一バンドを提示する。これまでに利用できる商業利用可能形態は、重鎖ダブレットを提示し、従って本発明の精製免疫グロブリンよりも低い特異活性と複製能力を示す(比較は図5で示される)。ここで使用されるように、「精製」および「高純度」または「高精製」という用語は、4G10抗体と同一またはほぼ同一の特異性を持つ免疫グロブリンを引用するが、本発明の免疫グロブリンまたは抗体により示されるものと類似のゲルパターンを示し、とりわけここでは、それらは図5で示されるように、単一重鎖バンドのみを示し、これまでに利用できる4G10モノクローナル抗体で見出されるダブレットは示さない。
【0028】
一つの実施例において、本発明の高純度または精製免疫グロブリンは、ヒスチジンタグ領域を含む。改めて本実施例は、一般に2個の軽鎖成分と2個の重鎖成分とを含み、ここで前記重鎖成分は、ゲル電気泳動で単一バンドを提示する。特異的な実施例において、前記ヒスチジンタグは、前記抗体または免疫グロブリンの重鎖成分の部分である。
【0029】
本発明の特異的な実施例において、ここで開示された分離ポリペプチドは、とりわけアミノ酸の特異的配列が、例えば、(配列識別番号6などと共に)一連の6ヒスチジン残基などのヒスチジン残基より成るアミノ酸の特異的配列、および前記ヒスチジン配列などの標識を本発明のポリペプチドに付着させることが必要な前記ポリペプチドでのいずれかの追加変更、を含むタグまたは他の標識を含む。このような配列は、一般にしかし、必ずしもそうである必要はないが、ここで開示されたポリペプチドのCOOH末端に付着される。加えて前記ポリペプチドが本発明のポリヌクレオチドによりコード化される場合には、ヒスチジンタグ配列をコード化するヌクレオチド配列などのような前記標識配列をコード化するヌクレオチド配列は、本発明のポリヌクレオチド配列の部分であることができる。
【0030】
本発明の特異的な実施例において、配列識別番号6を持つポリペプチドは、重鎖のC末端がヒスチジン残基より成るヘキサペプチド配列に付着される本発明に基づく重鎖ポリペプチドを表すアミノ酸配列の例である。これに対応するものは、配列識別番号3のヌクレオチド配列を持つポリヌクレオチドであり、これは配列識別番号6のポリペプチドをコード化し、またその3′末端では、前記ヒスチジンタグ配列をコーディングするヌクレオチド配列を含む。関心事であるポリペプチドにタグを付けるのに有用な他の標識、タグ、およびアミノ酸配列、構成、その他は、本発明の開示を一度共有すれば、当業者にとって間違いなく想起されるであろう。
【0031】
特異的な実施例において、本発明の高純度または精製された免疫グロブリンは、そのアミノ酸配列が配列識別番号4の配列とほぼ同じである重鎖成分を含む。も一つの特異的実施例において、本発明の精製または高純度免疫グロブリンは、そのアミノ酸配列が配列識別番号5の配列とほぼ同じである軽鎖成分を含む。望ましい実施例では、本発明の高純度または精製免疫グロブリンは、そのアミノ酸配列が配列識別番号4の配列とほぼ同じである重鎖成分と、そのアミノ酸配列が配列識別番号5の配列とほぼ同じである軽鎖成分とを含む。
【0032】
他の特異的実施例において、本発明の精製または高純度免疫グロブリンは、そのアミノ酸配列が配列識別番号6の配列とほぼ同じである重鎖成分を含む。望ましい実施例において、前記配列は配列識別番号6のそれである。
【0033】
本発明は更に、本発明の抗体が含まれるポリペプチドをコード化する分離ポリヌクレオチド配列に関する。
【0034】
かくして本発明は、このようなポリヌクレオチドの補体を含むここで開示されたポリペプチドをコード化する分離ポリヌクレオチドに関する。本発明の分離ポリヌクレオチドは、cDNAsを含む。特異的な実施例において、このようなポリヌクレオチドは、配列識別番号1,2および3ならびに、本発明の免疫グロブリンのポリペプチドにほぼ同一であるタンパク質をコード化するように十分に同一である配列を含む。このような可変性は更に遺伝コードの縮重に起因するものである。
【0035】
もひとつの見地において、本発明は更に下記のステップ、すなわち
(a)ヒスチジンタグ標識免疫グロブリンを産生するために、精製される免疫グロブリンの重鎖成分のC末端端部にヒスチジンタグ配列を挿入し、
(b)中性条件下で固定金属アフィニティークロマトグラフィーにより、前記ヒスチジンタグ標識重鎖ポリペプチドを精製し、免疫グロブリンの酸性pHへの露出を特異的に予防し、
(c)精製されたヒスチジンタグ標識高純度免疫グロブリンを回収する、
ステップを含む高精製免疫グロブリンを産生する方法に関する。
【0036】
本発明の方法は、更に以下の方法と例でより詳細に記載される。本発明の方法はまた、精製計画を熟考し、ここで重鎖成分は、そのようなタグ標識鎖をコード化するcDNAなどのような前記ヒスチジンタグ標識重鎖成分をコード化するポリヌクレオチドの発現により産生される。このようなcDNAの一つの例は、配列識別番号3のポリヌクレオチド配列である。ここで開示される精製方法の一つの新規な見地は、固定金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)ステップの間、中性または相対的に中性のpH条件を使用することであり、ここでいずれの酸性pH露出をも回避することは免疫グロブリンを保護することになり、これにより高純度または高精製免疫グロブリンを産出できることになる。このような方法は、他の高精製免疫グロブリン(すなわち抗体)、あるいは本発明のものと異なる特異性を持つものに対してさえもその産生に容易に適用することができる。ここでの開示と調子を合わせながら、避けるべきであるのは、6.5およびそれ以下のpH値であり、望ましくは6.0およびそれ以下、もっとも望ましくは5.5およびそれ以下、とりわけ5.0およびそれ以下、もっとも特別には4.0およびそれ以下のpH値である。
【0037】
従っても一つの見地において、本発明は(これまでおよび、例で詳細に説明されるように)、本発明に基づき開示される産生および精製方法により産生される免疫グロブリンに指向される。
【0038】
本発明において、配列に関連した場合に、「パーセント同一性」または「パーセント同一である」という用語は、ある配列が、記述または特許請求された配列(基準配列という)と比較できるように整列(比較配列という)されたあとで、前記配列が、記述または特許請求された配列(前記基準配列)と比較されることを意味する。そこでパーセント同一性は次式のように定義される:
パーセント同一性= 100[1−(C/R)]
ここでCは、前記基準配列と比較配列との間の全長にわたって、これら基準配列と比較配列との間に存在する差の数であり、ここで、
(i)比較配列内の対応する整列された塩基またはアミノ酸を持たない基準配列内にある各塩基またはアミノ酸と、
(ii)基準配列内に存在する各間隙、および
(iii)基準配列内にあって、比較配列内にある整列された塩基またはアミノ酸とは異なるところの、整列された各塩基または各アミノ酸、
とによって一つの差の値が構成される。また、Rは、整列と基準配列とを加えた全長にわたって基準配列内に存在する塩基またはアミノ酸の数であり、基準配列内に生成された何らかの間隙も塩基またはアミノ酸の数として計数される。
【0039】
もし一つの整列が、比較配列と基準配列との間にあって、かつ、この基準配列に対しては、前記計算によるパーセント同一性が、ある特定の最小のパーセント同一性にほぼ等しいか、またはそれよりも大である場合には、前記比較配列は、基準配列に対して、前記特定の最小のパーセント同一性を持つことになる。これは、整列が、前記算定されたパーセント同一性が前記特定のパーセント同一性より少ないところに存在すると思われる場合であっても、その結果に変わりはない。この整列の境界は、基準配列、すなわち比較されるべき請求された配列の長さである。
【0040】
ここで開示された組換えポリヌクレオチドとポリペプチドは、開示された配列の光の下でその直接化学合成により調製することができ、あるいは分子生物学の技術で公知である組換え手段により調製することができる。従ってここで使用されるように、また特に注記した場合を除いて、すべての用法は以下で与えられるように定義される。
【0041】
本発明に従って、「DNAセグメント」という用語は、分離された断片の形状、または大きなDNA構築物の1成分として、少なくとも一旦はほぼ純粋な形態で分離されたDNAから誘導されたDNAポリマーのことを引用するものであり、ここで純粋とは、内因的な汚染物質を含まないこと、すなわちそのDNAポリマーの量または濃度が、前記セグメント、およびその成分ヌクレオチド配列の同定、操作、および回収を、通常の生化学的方法、例えばクローニングベクターを使用することによって実行可能である程度に純粋であることを言う。これらのセグメントは、オープンリーディングフレームの形、すなわち翻訳されない内部配列、または真核遺伝子中に普通に存在するイントロン(DNAの介在配列)によって遮断されないという状態で提供される。翻訳されないDNAの配列は、オープンリーディングフレームから下流、すなわちコーディング領域の操作あるいは発現によって干渉されない位置に存在する。
【0042】
本発明に従って開示された核酸およびポリペプチド発現産物、並びにこれらの核酸および/またはこれらのポリペプチド発現産物を含有する発現ベクターは、「濃縮形態」という形で得られる。ここで言う「濃縮」とは、物質の濃度が、例えば自然濃度の少なくとも約2,5,10,100あるいは1000倍であることを意味し、望ましくは、0.01重量%、望ましくは少なくとも約0.1重量%である。重量%で約0.5%,1%,5%,10%および20%の濃縮調製物も適用可能である。本発明を含む配列、構築物、ベクター、クローンおよびその他の物質も、望ましくは濃縮または分離した形で得られる。
【0043】
本発明の、ポリペプチド(またはポリヌクレオチド)に関連する記述中において、ポリペプチドが「分離される」とは、このような物質が初めの環境(例えばもしそれが自然発生の場合ならは、自然の環境)から取り出されることをいう。例えば、生物体内に存在する自然生成のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは分離されないが、同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドでも、それが自然系内の共存物質の一部または全部から取り出されたものは分離されるのである。そのようなポリヌクレオチドが、ある一つのベクターであり得るか、および/またはそれらのポリヌクレオチド、あるいはポリペプチドが、ある一つの組成物の一部であり得るであろうということであり、それらは確かに分離されはするが、しかもそのようなベクターまたは組成物が、依然として自然環境の一部ではない、という事情は変わらない。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、望ましくは分離形態で提供され、更に望ましくは、均質な状態になるまで精製される。
【0044】
本発明に基づくポリヌクレオチド、および組換えまたは免疫原性ポリペプチドもまた、「精製」された形態にあることができる。「精製」という用語は、必ずしも絶対的な純度を要求するものではなく、むしろ相対的な定義を意図するものであって、関連技術において通暁した人々によって理解される用語として、きわめて高度に精製して調製されたものも、または部分的に精製されて調製されたものも包含されるものとする。例えばcDNAライブラリーから分離された個々のクローンは、電気泳動的な均質度まで精製されてきている。原始物質の精製は、少なくとも望ましくは2または3桁の段階まで、より望ましくは4または5桁の段階まで精製される。更に、重量%で、望ましくは0.001%、あるいは少なくとも0.01%または0.1%の、および更に望ましくは、重量で1%の要求されるポリペプチドも明らかに好適である。
【0045】
「コーディング領域」という用語は、自然的なゲノム環境において、遺伝子の発現産物に対して、自然的にまたは通常的にコードするその遺伝子の部分であり、これは生体内で遺伝子の原始の発現産物に対してコードする領域である。このコーディング領域は、正常の、変異された、または改変された遺伝子からのものであり、さらにまたDNA配列または遺伝子から、DNA合成に通常の知識を有する者によって知悉された方法により、すべて研究室内で合成することができる。
【0046】
本発明に従って、「ヌクレオチド配列」という用語は、デオキシリボヌクレオチドのヘテロポリマーを引用する。一般に本発明によるタンパク質をコード化するDNAセグメントは、cDNA断片と短いオリゴヌクレオチドリンカーとから、または一連のオリゴヌクレオチドから組立てられ、かくして微生物またはウイルスオペロンから誘導された調節要素より成る組換え転写単位内において発現されることが可能な一つの合成遺伝子が形成される。
【0047】
「発現産物」という用語は、遺伝コード縮重の結果生じた等量を解読し、かくして同じアミノ酸に対してコード化する遺伝子および何らかの核酸配列の自然的な翻訳産物であるところのポリペプチドまたはタンパク質を意味する。
【0048】
コーディング配列に関連した場合に、「断片」という用語は、発現産物が、完全なコーディング領域の発現産物としての同一の生物学的機能または活性を基本的に保持するような、完全なコーディング領域以下より成るDNAの一部分を意味する。
【0049】
「プライマー」という用語は、1個のDNA鎖と対になって、DNAポリメラーゼがデオキシリボヌクレオチド鎖の合成を開始する場所となる遊離の3′OH末端を与えるところの短い核酸配列を意味する。
【0050】
「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼ(重合酵素)を連結して転写を開始することに関与するDNAの一部分を意味する。
【0051】
「オープンリーディングフレーム」(ORF)という用語は、終止コドンなしでアミノ酸をコード化する一連のトリプレット(コドン、三塩基連鎖)であって、タンパク質へと(潜在的に)翻訳可能な一つの配列である。
【0052】
本発明において、一つのDNA配列は、一本鎖DNAと二本鎖DNAとを含む。かくして特に異なる指定のない限り、特定の配列には、特定配列の一本鎖DNAと、その補体が付随した配列の二重らせん(二本鎖DNA)と、そのような配列の補体とがある。
【0053】
ここで開示された組換え手順に使用される方法は、サムブルック他,分子クローニング:実験室マニュアル,第2版,コールド・スプリング・ハーバー,ニューヨーク(1989年),ウー他,遺伝子バイオテクノロジーにおける方法,(CRCプレス,ニューヨーク,ニューヨーク,1997年)、および組換え遺伝子発現プロトコル、分子生物学における方法、62巻所収(トゥーアン他,フマーナ・プレス,トトワ,ニュージャージー,(1997年)などの概論に記載されており、これらの文献の開示内容は、その全体を本願明細書の一部として組み込まれている。
【0054】
本発明は更に、機能的抗原特異的免疫グロブリン分子に関し、それは軽鎖および重鎖、または2個の軽鎖および2個の重鎖のいずれかより成る二量体または四量体構造を含む。本発明の高純度または精製免疫グロブリンは、図5に記載され、また4G10ハイブリドーマ細胞から産生される、現在利用可能な4G10モノクローナル抗体とは区別され、ゲル上の重鎖に対し単一バンドを示す。もち論類似のサイズと化学的性質を持つアミノ酸の置換は、本発明の免疫グロブリンを作り上げる軽鎖および重鎖ポリペプチドの配列を変更するであろうが、ここで開示されたように、ゲル運転で著しく異質のバンドを産生することはないし、かくして現在既知の4G10モノクローナル抗体からは、未だに異なるものとなろう。
【0055】
他の実施例においては、本発明は更に、4G10モノクローナル抗体と同じ、または類似の抗原特異性を提示する、精製または高純度免疫グロブリンあるいはモノクローナル抗体に関し、ここで前記抗体は、タンパク質を含有するホスホチロシンと正の反応性を示す。一つの実施例において、このような精製されまたは高純度免疫グロブリンは、
(a)タンパク質を含有するホスホチロシンとの正の反応性、および
(b)ホスホセリンまたはホスホルトレオニンタンパク質との反応性の欠如、を実証する。
【0056】
本発明の他の実施例において、このような免疫グロブリンは、動物細胞からのホスホチロシン含有タンパク質との正の反応性を示し、とりわけ抗体がヒト細胞からのホスホチロシン含有タンパク質との正の反応性を示す場合はそうである。
【0057】
本発明は更に、ここで開示されたポリヌクレオチドを含むベクターに関し、また前記ベクターで形質移入または形質転換された後に、前記ポリヌクレオチドを発現することのできる組換えまたは遺伝子操作細胞に関し、とりわけ特別には、発現されたポリヌクレオチドが細胞から分泌されるポリペプチドに帰着する場合のそれらの細胞に関する。
【0058】
一つの実施例では、細胞はここで開示された1個またはそれ以上のベクターで形質移入されて組換え細胞を形成し、この組換え細胞は、前記ベクターに含有されるポリヌクレオチドを発現して少なくとも2個の異なるポリペプチドを形成し、ここで各ポリペプチドは、本発明に基づく抗体の重鎖または軽鎖のいずれかを表わす。このような実施例において、一つの組換え細胞は、本発明に基づく抗体のために軽鎖をコード化するポリヌクレオチドと、重鎖をコーディングするポリヌクレオチドを発現する。このような抗体は次いで細胞内で組立てられ、抗原と結合できる形態で分泌される。
【0059】
このように細胞を遺伝子操作する方法は、文献上で公知である[例えば、モリソン他,アメリカ合衆国特許番号第5,807,715号で開示された方法を参照されたい。この開示は、全体として本出願に引用例として組み込まれている。また越智他,全米科学アカデミー紀要,80巻,6351−55ページ(1983年),ジョンソン,アメリカ合衆国特許番号第5,824,307号を参照されたい]。このような方法に有用な細胞は、骨髄腫、ハイブリドーマ、プラスマ細胞腫などのリンパ球系細胞、およびCHO細胞などの細胞系である。
【0060】
本発明の組換え細胞は、ヒト細胞からのホスホチロシン含有タンパク質と正の反応性を示す抗体を産生する細胞を含む。
【0061】
宿主細胞は、例えばクローニングベクターまたは発現ベクターである本発明のベクターで遺伝子操作(形質導入または形質転換あるいは形質移入)される。ベクターは、例えばプラスミド、ウイルス粒子、ファージ、その他の形態であることができる。遺伝子操作宿主細胞は、本発明のプロモーターを活性化し、形質転換体を選択し、または遺伝子を増幅するのに適したように修飾される従来の栄養培地で培養することができる。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択される宿主細胞でこれまでに使用されたものであり、従来の技術に習熟した人々にとっては明らかなものであろう。
【0062】
本発明のポリヌクレオチドは、組換え技術によりポリペプチドを産生するのに使用することができる。かくして例えば、ポリヌクレオチドは、ポリペプチドを発現する各種の発現ベクターのいずれか一つに含まれる。このようなベクターは、染色体、非染色体および合成DNA配列、例えばSV40の誘導体;細菌プラスミド;ファージDNA;バキュロウイルス;酵母プラスミド;ワクシニア,アデノウイルス,鶏痘ウイルス,仮性狂犬病などのプラスミドとファージDNA,ウイルスDNAなどの組合せから誘導されるベクターを含む。しかしそれが複製可能で宿主内で生存可能な限り、いずれか他のベクターを使用することもできる。
【0063】
適切なDNA配列は、各種の手順により、ベクター内に挿入することができる。一般にDNA配列は、従来の公知の手順により、適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。このような手順その他は、従来の技術の範囲内にあるものと見做される。
【0064】
発現ベクター内のDNA配列は、適切な発現調節配列(プロモーター)に遺伝子操作で連結され、mRNA合成に指向する。前記プロモーターの代表的な実例としては、原核細胞または真核細胞、あるいはそれらのウイルス内の遺伝子の発現を調節するものとして知られているLTRまたはSV40プロモーター、大腸菌lac.またはtrp、ファージラムダPプロモータおよびその他のプロモーターがある。また発現ベクターには、翻訳開始のためのリボゾーム結合部位、および転写終結配列が含まれる。更に発現ベクターには、発現を増幅するための適切ないくつかの配列も含まれている。
【0065】
更に発現ベクターには、望ましくは選択可能な一つまたは複数個の標識遺伝子が含まれ、これによって形質転換された宿主細胞の選択に対して必要な、例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ耐性等の表現型特質を提供するものであり、あるいは真核細胞培養のためのネオマイシン耐性、もしくは大腸菌内におけるテトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性を提供するのである。
【0066】
ここに記載した適切なDNA配列より成るベクター、ならびに適切なプロモーターまたは調節配列は、適切な宿主を形質転換するために使用され、その宿主が所定のタンパク質を発現できるようにする。
【0067】
前記適切な宿主の代表的な実例としては、大腸菌、ストレプトミセス属、ネズミチフス菌等の細菌細胞;酵母菌等の菌類細胞;ショウジョウバエ S2およびSpodoptera Sf9等の昆虫細胞;CHO、COSまたはBowes黒色腫等の動物細胞;アデノウイルス;および植物細胞等である。適切な宿主の選択は、この明細書中の記載により当該技術分野における通常の技術を有する人の範囲内にあると見做される。
【0068】
更に詳細には、本発明は前記広範囲に記載の一つまたはそれ以上の配列より成る遺伝子組み換え構築物が包含される。この構築物は、前進または復帰方向に配向して、本発明の配列が挿入されたプラスミド、またはウイルスベクター等の一つのベクターを備える。この実施例の望ましい見地においては、前記構築物は、更に、例えば前記配列と遺伝子操作で連結されたプロモーターより成る調節配列を有する。きわめて多数の適切なベクターおよびプロモーターが従来の技術に習熟した人に知られ、商業的に入手可能である。下記各ベクターは、それらの実例であり、細菌系では:pQE70,pQE60,pQE−9(以上製造者名キアーゲン);pBS,pD10,ファージスクリプト,psiX174,pBluescript SK,pBSKS,pNH8A,pNH16a,pNH18A,pNH46A(以上製造者名ストラータジーン);pTRC99a,pKK223−3,pKK233−3,pDR540,pRIT5(以上製造者名ファルマシア);真核細胞系では:pWLNEO,pSV2CAT,pOG44,pXT1,pSG(以上ストラータジーン);pSVK3,pBPV,pMSG,pSVL(以上ファルマシア)等である。なお宿主内で複製可能で生存可能ならば、いずれのプラスミドあるいはベクターも使用できる。
【0069】
プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコール トランスフェラーゼ)ベクターまたは選択可能な遺伝標識を持つ他のベクターを使用することによって、任意の望ましい遺伝子から選択することができる。2個の適切なベクターは、pKK232−8およびpCM7である。特に列挙すべき細菌プロモーターは、lacl,lacZ,T3,T7,gpt,ラムダP,P,およびtrpである。真核プロモーターは、CMV即時初期、HSVチミジンキナーゼ,初期および後期SV40、レトロウイルスからのLTRs、およびマウスメタロチオネイン−1である。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、この技術分野の通常の技術の水準内に十分に属する。
【0070】
更に他の実施例では、本発明は前記構築物を含む宿主細胞に関する。この宿主細胞は、哺乳動物細胞のような高度な真核細胞でも、酵母菌細胞のような低位の真核細胞でも、また細菌細胞のような原核細胞であってもよい。前記構築物の宿主細胞への導入は、リン酸カルシウム形質移入、DEAEデキストラン仲介形質移入、エレクトロポレーション(電気穿孔法)によって実行可能である(デービス,L.,ジブナー,M.,バッテイ,I.,分子生物学における基本的な方法(1986年)を参照されたい)。
【0071】
宿主細胞内の構築物は、組み換え配列によってコード化された遺伝子産物を産生する従来の様式で使用することができる。選択肢として、本発明のポリペプチドは、従来のペプチド合成機により合成することができる。
【0072】
成熟タンパク質は、哺乳類の細胞、酵母菌、細菌または適切なプロモーターで調節された他の細胞内で発現させることができる。細胞のない翻訳組織も、本発明のDNA構築物から誘導されたRNAを使用して前記成熟タンパク質を産生するために使用することができる。原核および真核細胞宿主と共に使用される適切なクローニングおよび発現ベクターは、サムブルック他,分子クローニング:実験室マニュアル,第2版,コールド・スプリング・ハーバー,ニューヨーク(1989年)に記載されている。この文献の開示内容は、本願明細書の一部としてここに組み込まれている。
【0073】
高級な真核細胞によって本発明のポリペプチドをコード化するDNAの転写は、ベクター内にエンハンサー(シスエレメント)配列を挿入することによって促進される。エンハンサーは、DNAのシス作用要素であって、通常約10ないし300塩基対より成り、プロモーターに作用してその転写を促進させる。実例としては、塩基対の複製起点の100ないし270塩基対だけ後期側にあるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、塩基対の複製起点の後期側にあるポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサー等である。
【0074】
一般に、組み換え発現ベクターは、複製起点、および宿主細胞の形質転換を可能にする選択可能な遺伝標識、すなわち、大腸菌のアンピシリン耐性遺伝子、ビール酵母菌Trp 1 遺伝子、下流構造配列の転写を生起させる高度発現遺伝子から誘導されたプロモーター等である。これらのプロモーターは、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、α因子、酸性ホスファターゼ、熱ショックタンパク質、その他等の解糖酵素をコード化するオペロンから誘導することができる。異種構造配列は、翻訳開始および終結配列、望ましくはさらに、翻訳されたタンパク質を細胞周辺腔または細胞外培地へ分泌させることが可能なリーダー配列より成る適切な段階を経て組み立てられる。選択肢として、前記異種配列は、被発現組み換え産物の安定化または単純精製などの望ましい特性を与えるN末端同定ペプチドを含む融合タンパク質をコード化することができる。
【0075】
細菌用の有用な発現ベクターは、望ましいタンパク質をコード化する構造DNA配列と、適切な翻訳開始および終結信号とを、機能プロモーターを有する操作可能な読み取り相に挿入する。このベクターは、一つまたはそれ以上の表現型選択可能な遺伝標識と複製起点とを備え、ベクターの維持を可能にし、必要に応じ、宿主内での増幅を可能にする。形質転換用の適切な原核宿主は、大腸菌、枯草菌、ネズミチフス菌ならびにシュードモナス属、ストレプトミセス属およびブドウ球菌属の種々の種があるが、その他も必要に応じ選択の問題として使用できる。
【0076】
代表的ではあるが限定されない実例として、細菌用の有用な発現ベクターは、公知のクローニングベクターpBR322(ATCC 37017)の遺伝的要素より成る市販入手可能のプラスミドから誘導された選択可能な遺伝標識、および細菌複製起点を含むことができる。このような市販のベクターは、例えばpKK223−3(製造者名ファルマシア・ファイン・ケミカルズ,ウプサラ,スウェーデン)およびGEM1(製造者名プロメガ・バイオテック,マジソン,ウイスコンシン,アメリカ合衆国)である。前記pBR322の「バックボーン」部分は、適切なプロモーターおよび発現されるべき構造配列に結合されている。
【0077】
適切な宿主菌株の形質転換、およびその菌株の適切な細胞密度までの成長に引き続いて、選択されたプロモーターが、適宜の方法(例えば温度シフトまたは化学的な導入)によって導入され、細胞は更に一定期間培養される。
【0078】
細胞は、遠心分離ののち、物理的または化学的方法で破砕されて通常通りに収穫され、得られた粗抽出物は以後の精製を控えて保存される。
【0079】
タンパク質の発現に使用される微生物細胞は、凍結融解、循環、超音波処理、機械的破砕、または細胞溶菌薬剤の使用、等適宜の方法によって破砕されるが、これらはこの技術分野に属する者にとっては周知の方法である。
【0080】
種々の哺乳類細胞培養機構が使用されて、組み換えタンパク質が発現される。哺乳類発現機構の実例は、文献、グラズマン,細胞,23巻:175ページ(1981年)に記載されたサルの腎臓の繊維芽細胞のCOS−7系、または適合性ベクターを発現できる種々の細胞系、例えばC127,3T3,CHO,HeLaおよびBHK細胞系である。哺乳類発現ベクターは、複製起点、適宜なプロモーターとエンハンサー、および必要なリボゾーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、転写終結配列、および5′フランキング非転写配列等を含む。SV40スプライスから誘導されたDNA配列、およびポリアデニル化部位も使用されて、必要な非転写遺伝要素が提供される。
【0081】
本発明のポリペプチドまたは抗体は、ここで開示されたように組換え細胞培養体から回収し、精製することができる。必要に応じ、成熟タンパク質の形状完成のためのタンパク質のリフォールディングステップを適用することもできる。最終的に、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)をIMAC(固定金属アフィニティークロマトグラフィー)と同じように、最終精製ステップとして使用することができる。
【0082】
本発明のポリペプチドは、自然的に精製された産物、または化学的な合成手法の産物、あるいは原核もしくは真核細胞の宿主(例えば細菌、酵母菌、高等植物、昆虫および哺乳類の培養細胞)からの遺伝子組み換え技術により産生された産物のいずれであってもよい。遺伝子組み換え産生過程で使用された宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化、あるいは非グリコシル化のいずれかの処理をされる。本発明のポリペプチドは、初期のメチオニンアミノ酸残基を含んでいてもよい。
【0083】
本発明はまた、ここで開示された精製または高純度免疫グロブリンおよび微小孔ポリマー基質を含む免疫吸着物質に関する。一つの実施例において、このような微小孔ポリマー基質は複数のビードを含み、前記ビードは、約100ミクロン以下の桁の径を持ち、望ましくは約10ミクロン径以下、もっとも望ましくは約5ミクロン径で、とりわけ望ましい実施例では5ミクロン(またはマイクロメートル)径のビードを使用する。本発明の特異的実施例においては、前記基質は重合されたアガロースである。
【0084】
前記複数のビードなどのような微小孔ポリマー基質を使用するも一つの実施例においては、このような基質は、1個またはそれ以上の金属イオン、または金属リガンドを含み、この金属リガンドは、ヒスチジンタグ標識抗体のヒスチジンタグ標識部分と結合する。このような抗体は、本発明のヒスチジンタグ標識抗体である。これまでに記載したように、このような抗体は、一般に高純度であり、または精製されている(これは、例えば本発明の精製されまたは高純度の4G10特異的抗体で示されたゲルパターンにより測定されたように、ここで開示されたものと同じまたは類似の度合の純度を持つ抗体を意味する)。(金属アフィニティー基質、すなわちとりわけ本発明のヒスチジンタグ標識4G10特異的抗体などのヒスチジンタグ標識タンパク質と結合できる金属リガンドを含む表面、として役立つ)このようなリガンド付着基質は、精製のみ以外の方法で、本発明の抗体のヒスチジンタグ標識部分に付着させるのには有用である。かくしてこのような方法は、検定およびスクリーニングのプロセスに容易に適応され、また精製計画だけに限定されないが、他の異なる用途は、従来の技術に習熟した者に対して間違いなくそれ自身を示唆すると共に、しかもそのような用途は、本発明に基づき開示された方法の範囲内にある(ことは間違いない)。
【0085】
前記に従って、本発明は更に、サンプル内のホスホチロシン含有タンパク質の存在を検出する方法に関し、それは本発明の抗体にサンプルを接触させ、その反応性を試験するステップを含み、ここで正の反応は前記サンプル内にホスホチロシン含有タンパク質またはポリペプチドの存在を立証するものとする。
【0086】
本発明の実施例は、サンプルの試験のステップが、更にモノクローナル抗体を含む免疫吸着物質とサンプルを接触させることより成る方法を含む。望ましい実施例においては、試験のステップは更に、免疫蛍光法、放射線免疫検定法、免疫沈降法、補体結合反応、競合的反応、ウエスタンブロッティング、免疫組織化学、フローサイトメトリー、および固相酵素免疫検定法(エリザ)より成るグループから選択される方法による検定を含む。
【0087】
本発明のモノクローナル抗体は、ある種の癌を含む各種の疾病の診断で、潜在的な用途を持つホスホチロシン含有タンパク質を分離し、同定するための生物学的医療研究に有用な、高力価で再生産可能な生物学的試薬として役立つ。ホスホチロシン残基を含有する各種の分子に対するアフィニティーを実証した抗体は、対応するcDNAsから組換えにより調製され、4G10ハイブリドーマ細胞系により産生された、商業的利用可能な抗体のそれから区別できない性質を有している。
【0088】
本発明に基づき開示された抗体の有用性の中でも、チロシンキナーゼの細胞基質を同定して、広範囲でのホスホチロシンタンパク質のアフィニティー精製を可能にし、血小板由来増殖因子(PDGFおよびその細胞受容体)、TGF(腫瘍増殖因子)などの臨床および診断検定を含み、所与の細胞または組織サンプルで、1個または多数のタンパク質のチロシンリン酸化反応状態を測定する用途が存在する。
【0089】
このような有用性の一つの限定されない実例として、細胞または組織サンプルは、本発明のモノクローナル抗体と、収集されたホスホチロシンを含む、タンパク質と結合するモノクローナル抗体の免疫複合体と反応させることができる。このような免疫沈降または免疫アフィニティー精製複合体は、所与のサンプルでホスホチロシンタンパク質を同定するために、各種の既知のタンパク質に対する抗体と各種の手順(例えばウエスタンブロッティング、エリザ)により分解し、反応させることができる。この分析は、免疫沈降法またはアフィニティー精製を規模拡大し、ホスホチロシンタンパク質を精製し、それらをエドマン分解法または質量分析法などによるタンパク質配列化などのような分析手順に委ねることにより、新規なホスホチロシンタンパク質の発見に拡張することができる。前記実施例の更なる実例の一つは、既知のタンパク質の免疫沈降または免疫アフィニティー精製を伴うものであり、ホスホチロシン状態を測定するために、本発明のモノクローナル抗体と生成複合体を反応させることである。
【0090】
単純なTGF検定法において、尿または血清、あるいは患者からのTGFの潜在的源などの生物学的流体は、例えばA431からの細胞膜、細胞当り数多くの受容体を持つヒト表皮癌細胞系などのEGF受容体の調製物と反応させることができる。アデノシン三リン酸(放射線32Pでガンマリン酸塩に標識されたもの、または35Sで標識されたチオ類似体)は、リン酸塩の源として加えられる。TGFの存在下で、EGF受容体は標識リン酸塩をチロシン残基に取り込むことになるであろう。この反応は次いで終結され、受容体が膜から抽出される。受容体は、次いで(例えば抗体で被覆されたビードを用いて)本発明のモノクローナル抗体と結合され、サンプル内に存在する増殖因子を測定するために放射能が計数される。PDGFの検定は、PDGF感受性受容体を使用する類似の手順に引き継がれるであろう。他の検定は、神経成長因子受容体、インスリン受容体、インスリン様増殖因子受容体、肉腫ウイルス増殖因子受容体、およびその他を使用する。これらの方法に対する各種の変形、同じくその抗体を使用する他の検定法は、本発明の精神または範囲から離れることなく、従来の技術に習熟した人により考案されるであろう。
【0091】
本発明の手順を実行するに当り、特定の緩衝液、培地、試薬、細胞、培養条件その他が、限定されるものではなく、議論が提議される特定の前後関係において、従来の技術に習熟した人の一人が関心をもち、価値があると認識するすべての関連する物質を含むように読みとられるべきであることは、当然のことながら理解されねばならない。例えば、一つの緩衝システム、または培養培地をも一つ別のものと置換し、しかも同一ではないにしても類似の結果を達成することはしばしば可能である。従来の技術に習熟した者は、過度の実験をすることなく、ここで開示された方法と手順を用いて、彼等の目的に最適に役立つこれらの置換が行えるようなこのようなシステムと方法に関する十分な知識を持つに違いないであろう。
【0092】
本発明は、これから下記の限定されない実施例により、更に詳細に記載されるであろう。これら実施例の開示を行うに際して、本発明に基づき開示された方法の他の異なる実施例も、間違いなく関連する技術に習熟した人にそれ自身を示唆するであろうことはしっかりと心に留めておかねばならない。
【0093】
【発明の実施の形態】
略語:IP,免疫沈降(法);HC,重鎖;LC,軽鎖;IgG,免疫グロブリン;Mab,モノクローナル抗体;ELISA,固相酵素免疫検定法;IMAC,固定金属アフィニティークロマトグラフィー;SDS−PAGE,ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動;HRP,西洋ワサビペルオキシダーゼ;ELC,強化化学発光;PBS,食塩加リン酸緩衝液;nt,ヌクレオチド,EGF,上皮増殖因子;EGFr,上皮増殖因子受容体;CHO,チャイニーズハムスター卵巣細胞。
【0094】
本出願で使用される用語の定義と一般実験手順の説明は、オーサベル,F.M.他,分子生物学の最新プロトコル,ワイリー インターサイエンス,ニューヨーク,ニューヨーク,1999年で見出することができる。すべてのキットと酵素は、製造業者の指示に基づいて使用された。
【0095】
細胞溶菌液の調製
付着ヒトA431細胞は、2回冷却PBSで洗浄され、次いで細胞をプラスチック製細胞スクレーパーで削り取ることにより、氷冷修飾RIPA緩衝液(50mMのトリス塩酸:pH7.4;1%NP−40;0.25%デオキシコール酸ナトリウム;150mM塩化ナトリウム;1mM EDTA;1mM PMSF;それぞれ1マイクログラム/mlのアプロチニン,ロイペプチン,ペプスタチン;1mMのNaVO;1mMのNaF;1mlの10細胞/100mm皿)で溶解された。細胞懸濁液は遠心管に移され、4℃、15分ゆっくり揺動して細胞を溶解した。溶菌液は14,000×gで15分遠心分離され、上澄みが直ちに新鮮な管に移された。タンパク質濃度は、クーマシーベース試薬(クーマシー(R) プラスタンパク質検定試薬,ピアス,ロックランド,イリノイ)で測定された。
【0096】
免疫ブロット法(ウエスタンブロット法)
個別レーン当り20μgの細胞溶菌液がSDS−PAGEを受け、タンパク質はニトロセルロース膜に移された。ニトロセルロース膜は2回蒸留水で洗浄され、ポンソーレッド溶液で5分染色され、タンパク質バンドを視覚化された。分子量標識はボールペンで標識され、膜は脱脂粉乳3%を含む新鮮調製PBSで20分、室温で絶えず撹拌して遮断された。一次抗体(生または組換え4G10)は、PBS/3%脱脂粉乳で希釈され、膜と共に1乃至2時間室温で、または一晩4℃で保温される。ニトロセルロース膜は二次抗体(ヤギ抗マウスHRP複合体)で1時間保温される前に5回、それぞれ3乃至5分0.05%トゥイーン20含有PBSで洗浄された。膜はECL HRP基質でのタンパク質の最終検出の前に、再び5回洗浄された。
【0097】
マウスIgGエリザ
馴化培地で組換え抗体の水準を測定するために、マウスIgGエリザが、予めコーティングされた96ウエルタンパク質Gストリップ平板を用いて展開された(ピアス,ロックランド,イリノイ)。標準品またはサンプルが、100μl量でウエルに加えられ、37℃で1時間保温され、次いでPBS 3%脂肪乳を30分37℃で加える前に、PBSで洗浄された。平板は再度洗浄され、100μlの抗マウスHRP二次抗体が1時間37℃で加えられる。ウエルは次いでPBS内3Xで洗浄され、TMB基質溶液(ピアス,ロックランド,イリノイ)で成育され、50μlの2N硫酸で停止され、450nmで吸光度が測定された。
【0098】
免疫沈降法
タンパク質Aアガロースビードスラリーが、PBSで2回洗浄され、PBSとの50%スラリーで再貯蔵される。細胞溶菌液は、細胞溶菌液1ml当りタンパク質Aアガローススラリー100マイクロリットルを加えることにより、また4℃で10分オービタルシェーカーで保温することにより事前に清澄化される。タンパク質Aビードは14,000×gで、4℃で10分遠心分離で除去され、上澄みは新鮮遠心管に移される。細胞溶菌液は、全量500マイクロリットルで免疫沈降抗体(IP抗体)を追加する前に、全細胞タンパク質ml当り約1mgになるようにPBSで希釈される。細胞溶菌液/抗体混合物は2時間または一晩4℃でオービタルシェーカーで保温される。免疫複合体はタンパク質Aアガローススラリー100マイクロリットルを加えることで捕捉され、1時間または一晩4℃でオービタルシェーカーで保温される。タンパク質Aビード結合免疫複合体は、5秒、14,000rpmの遠心で収集され、上澄みは廃棄される。ビードは3回、800マイクロリットル氷冷修飾RIPA緩衝液で洗浄され、次いで60マイクロリットルのSDS−PAGE還元緩衝液で再懸濁され、次いでビードから免疫複合体を解離するために5分煮沸される。ビートは遠心により収集され、上澄み分画で行われる。
【0099】
組換え4G10モノクローナル抗体のクローニング、発現および精製
4G10ハイブリドーマ細胞系から抗体重鎖(HC)および軽鎖(LC)cDNAsをクローン化するために、2個の5′オリゴヌクレオチドプライマーがLCおよびHC精製ペプチドのN末端アミノ酸配列化に基づき設計された。HC5′コーディング鎖プライマーRAPHC−5
【0100】
Figure 2004526408
(配列識別番号7)
【0101】
は、成熟処理N末端HCをコード化する最初の17nt(ヌクレオチド)に融合されたコザック翻訳開始部位を持つ、N末端リーダー分泌シグナル配列をコード化する63塩基オリゴヌクレオチドより成るものであった。LC5′コーディング鎖プライマーRAPLC−5
【0102】
Figure 2004526408
(配列識別番号8)
【0103】
は、成熟処理N末端LCをコード化する最初の17ヌクレオチドに融合されたコザック翻訳開始部位を持つ、N末端リーダー分泌シグナル配列をコード化するA63塩基オリゴヌクレオチドより成るものであった。
【0104】
HC cDNAのC末端コード化部分の増幅のためのHC 3′非コーディング鎖プライマーの設計
【0105】
Figure 2004526408
(配列識別番号9)
【0106】
は、4G10モノクローナル抗体HC定常部が、γ2bクラスのものであったという従来の知識に基づくものであった。LC cDNAのC末端コード化部分の増幅のためのLC 3′非コーディング鎖プライマーの設計
【0107】
Figure 2004526408
(配列識別番号10)
【0108】
は、4G10モノクローナル抗体LC定常部が、カッパクラスのものであったという従来の知識に基づくものであった。オリゴヌクレオチドは、標準DNA合成化学反応を用いるIDT(インテグレイテッドDNAテクノロジーズ,インコーポレイテッド,コーラルビル,アイオワ)で合成された。
【0109】
全RNAは、RNAzol(R)B(テル−テスト,インコーポレイテッド,フレンズウッド,テキサス)を使用するPBS洗浄スナップ凍結4G10ハイブリドーマ細胞ペレット(サンプル当り1×10細胞)から精製された。精製全RNAはエタノール沈殿され、260nmの吸光度で計量化された。第1鎖cDNAは、スーパースクリプト(R)システム(ジブコ BRL,ゲイザーズバーグ,メリーランド)を用いて、オリゴ(dT)で全RNAの2μgを逆転写することにより合成された。エクスパンド(R)高忠実度PCRシステム(ベーリンガー・マンハイム,インディアナポリス,インディアナ)は、新規に作られた第1鎖cDNAの1μlのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅に使用された。PCR増幅条件は以下の通りであった:PCR成分を94℃まで加熱した後、1μlのcDNAが各管に加えられた。続くサイクル条件は、94℃で15秒、50℃で1分、72℃で1分、LC増幅で17サイクル、HC増幅で21サイクルであり、最終延長は72℃で10分であった。LCとHCのPCR産物は臭化エチジウム染色アガロースゲルから精製され、真核発現ベクターpcDNA3.1(インバイトロゲン・コーポレイション,サンディエゴ,カリフォルニア)にクローンされ、製造業者の指示に基づき大腸菌コンピテント細胞内に形質転換された。各LCまたはHCプラスミド構築物に対して、少なくとも4個の個別大腸菌プラスミドクローンが、標準自動化DNA配列化法により配列され、ヌクレオチドコンセンサス配列マイナスN末端リーダー分泌シグナル配列は、配列識別番号1と配列識別番号2に記載されている。配列識別番号1と配列識別番号2から翻訳された推定ポリペプチド配列は、配列識別番号3と配列識別番号4と称される。
【0110】
ヘキサヒスチジン配列は、製造業者の指示に従って、商業キット(クイックチェンジ(R)ストラータジーン,ラホーラ,カリフォルニア)を用いて部位指向突然変異誘発により、HCクローンpHC−42のC末端に加えられた。下記の相補オリゴヌクレオチドは、ヘキサヒスチジン配列の導入に使用された:コーディング鎖プライマーHC−His5′は
【0111】
Figure 2004526408
(配列識別番号11)
【0112】
であり、また非コーディング鎖プライマーHC−His5′は
【0113】
Figure 2004526408
(配列識別番号12)
【0114】
ヘキサヒスチジンコーディング化領域の成功裡の導入は、DNA配列化により確認されたし、それは配列識別番号6のポリペプチドをコード化する配列識別番号3のポリヌクレオチド配列と一致する。
【0115】
タンパク質を含有するホスホチロシンを認識できる分泌機能的組換えモノクローナル抗体を産生するクローン化HCおよびLC cDNAsの能力は、サバンナモニターCOS細胞を遷移的に形質移入することで試験された。HCおよびLCプラスミドは、形質移入薬剤リポフェクタミン(ライフ・テクノロジーズ,ゲイザーズバーグ,メリーランド)と3−4日後に収集された馴化培地とを用いて、COS細胞に遷移的に形質移入された。ヒト上皮癌細胞系A431が、細胞タンパク質を含有するホスホチロシンを特異的に認識する組換え抗体の能力をモニターするために使用された。A431は上皮増殖因子受容体(EGFr)を過発現し、EGFでの刺激に際しては、EGFrの細胞質シグナル形質導入領域、同じくEGFrの信号伝達カスケード下流の成分である多くの他のタンパク質において、チロシン残基のリン酸化に著しい増加が見られる(ハンター,T.およびクーパー,J.A.,細胞,3巻:741−52ページ(1981年):ゴールドコーン,T.他,ジャーナル・オブ・バイオロジー・アンド・ケミストリー,266巻(24号):16092−7ページ(1991年),モガール,N.,他,細胞生物学における現在の見解,2巻:190−196ページ,(1999年))。ホスホチロシンタンパク質を認識する分泌組換え4G10モノクローナル抗体の能力は、EGF刺激A431細胞の全タンパク質細胞溶菌液を免疫ブロッティングすることにより測定された。図1および図2は、LCおよびHCプラスミド、またはLCおよびHC His タグ標識プラスミドで同時形質移入されたCOS細胞からの馴化培地は、生4G10が認識するホスホチロシン含有タンパク質の同じ複合体パターンを認識した。空のベクター形質移入対照と二次抗体のみからの馴化培地は、EGF刺激A431免疫ブロットからいずれのタンパク質バンドも認識しなかった。更に4G10と結合するホスホチロシン結合の競合阻害剤である50mMのフェニルホスフェートの追加は、A431ホスホチロシン含有タンパク質の認識を完全に遮断した。
【0116】
商業的販売用にr4G10の十分な量を産生するために、安定した形質移入チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)が生成された。CHO細胞は、組換えモノクローナル抗体を作るためにごく普通に使用され(トリル,J.R.他,バイオテクノロジーでの現在の見解,6巻:552−560ページ,1995年)、またいくつかの高発現細胞系がページとシデムの方法による形質移入と選別により生成された(バイオテクノロジー,9巻:64−68ページ,1991年)。要約すると、マウスジヒドロ葉酸レダクーゼ(DHFR)cDNA(サブラマーニ,S.他、分子細胞生物学、1巻:854−864ページ)がpcDNA3.1のネオマイシンカセットを置換するようにLC発現プラスミドにクローンされたが、一方HC発現プラスミドはネオマイシン酸性カセットを保持した。同時形質移入後に、形質転換体は、dhfr/neo耐性の二重表現型を選択され、コロニーはプールされた。高い収量の組換え抗体を産生したクローンを選択するために、プールされたクローンは、組込まれ連結されたHCおよびLC発現カセットの増幅を可能にするDHFRの競合阻害者である10−7Mのメトトメキセートの存在下で培養された。メトトレキセート存在下で生き延びた個別クローンは拡張され、抗IgGエリザにより測定された抗体産生を分泌した。高r4G10抗体産生クローンは、10−6Mメトトレキシセートの存在下での培養により、更なるラウンドの増幅を受け、再び抗体を高い水準で分泌するクローンは、抗IgGエリザにより同定された。
【0117】
高産生Hisタグ標識r4G10 CHOクローンは、スピナーフラスコまたはバイオリアクター、および抗体精製のためにプールされる馴化培地で培養された。約400mlのCHO−4G10馴化培地は、100mlの2.5M塩化ナトリウム、pH8.0のリン酸ナトリウムを加えて平衡にされた。12mlのニッケル−IDAカラムは、サンプルがカラムを一度通過する前に5カラム量の0.5Mの塩化ナトリウム、0.05MのpH8.0リン酸ナトリウムで平衡化された。カラムは30カラム量の0.5M塩化ナトリウム、0.05M、pH8.0のリン酸ナトリウムで洗浄され、次いで5カラム量の90%緩衝液A(0.5Mの塩化ナトリウム、0.05M、pH8.0のリン酸ナトリウム)、および10%の緩衝液B(0.5Mの塩化ナトリウム、0.05M、pH8.0のリン酸ナトリウム0.5Mのイミダゾール)で洗浄された。組換え4G10は90%緩衝液Aと10%緩衝液Bで出発し、100%緩衝液Bで終結する5カラム量の線型勾配で溶離した。溶離分画は、50mMのEDTA、pH8.0を含む2ml管でその予定された量である5%に達するまで収集された。IgGエリザで測定されるように、抗体は150−250mMイミダゾールの範囲内で溶離し、その純度はSDS−PAGEで推定された95%純度よりも高かった。ピーク値分画はプールされ、透析され、濃縮され、緩衝液条件はグリセロールを30%まで追加する前に1×PBS、pH7.5、0.02%アジ化ナトリウムに対して調節された。
【0118】
精製r4G10は、ホスホチロシン含有タンパク質を認識する能力を分析された。図3は、EGF刺激A431細胞溶菌液からのホスホチロシン含有タンパク質を免疫沈降させるr4G10の能力が、生4G10に比較できることを実証している。図4は、精製r4G10を持つA431細胞溶菌液の免疫ブロットをプローブすると、生4G10により認識されるホスホチロシン含有タンパク質のユニークなパターンを認識することを実証している。
【0119】
SDS−PAGEによる4G10純度の測定
Hisタグ標識組換え4G10は、前記の通り精製され、ポリペプチド数とその大体の平均分子量を測定するために、SDS−PAGEを受けた。PAGE−ONE 4/20%ポリアクリルアミドゲル(アウル・セパレーション・システムズ,ポーツマス,ニューハンプシャー)がレームリの方法(レームリ,英国,1970年,ネイチャー,227巻,680ページ)に従って、タンパク質の電気泳動隔離のために使用された。タンパク質のサンプルは、各タンパク質6μl(1μg/μl)を4μlのdHO(蒸留水)と10μl 2Xサンプル緩衝液(シグマ,セントルイス,ミズーリ)に加えることにより調製された。サンプルは5分沸騰され、短時間遠心され、各沸騰サンプル20μlがゲルに負荷された。このゲルは40mアンペアの電流で2時間800mlの流動緩衝液(3gr/Lのトリスベース,14.4gr/Lのグリシン,1g/LのSDS)を用いて電気泳動された。ゲルは次いでそのケーシングから除去され、dHOに5分揺汰された。バイオ−セーフ・クーマシー(バイオ−ラッド・ラボラトリーズ,ハーキュリーズ,カリフォルニア)が次いでゲルを染色するために使用された。染色はゲルをクーマシーで30分揺汰することより成っていた。続く脱色は、3回10分dHOでの洗浄より成り、一方ゲルはゆるやかに揺汰された。最後にゲルは、ゲル乾燥フレーム(ダイバーシファイド・バイオテック,ボストン,マサチューセッツ)上で2枚のセルロースの間で乾燥された。
【0120】
本発明の抗体は、既に記載した手順に基づき精製された。Hisタグ標識組換え4G10にとっては、この精製方法は抗体ホスホチロシン結合活性にとって有害な酸性溶液に抗体を露出することなく、pH中性条件の下で行われ、新規な精製アプローチを記述している。中性またはほぼ中性pHを使用する本方法は、更に他の抗体並びに本発明の4G10特異的抗体を精製するのに有用である。非タグ標識抗体は、タグ標識抗体からタグを除去することにより、あるいは生4G10産物に現在行われているタンパク質Aアフィニティークロマトグラフィーにより調製される。使いやすいプロトコルは以下の通りである。
【0121】
タンパク質Aアフィニティークロマトグラフィーによる4G10の精製
200mlの清澄化馴化培地が、2ml/分のフローレートで5mlパック量のタンパク質Aカラムに2回負荷された。カラムは次いでPBS 400mlで洗浄され、pH2.7溶離緩衝液(50mMのグリシン,pH2.7)15mlで溶離され、中和緩衝液(1Mトリス,1.5Mの塩化ナトリウム,1mMのEDTA,0.5%のアジ化ナトリウム)100マイクロリットルを予め加えた1mlの分画が収集される。分画は、即時の中和化を確実なものとするために、使用の前に1mg/mlまで希釈される。
【0122】
追加の一般引用文献
1.コーエン,B.他,全米科学アカデミー紀要,87巻:4458−4462ページ,1990年。
2.ドラッカー,B.J.他,ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン,321巻,1383−1391ページ。
3.金倉,Y.,他,ジャーナル・オブ・バイオロジー・アンド・ケミストリー,266巻:490−495ページ,1991年。
【図面の簡単な説明】
【図1】4G10ハイブリドーマ軽鎖および重鎖cDNAsで形質移入されたCOS細胞からの馴化培地でプローブされたEGF(上皮増殖因子)刺激A431細胞抽出物の免疫ブロットを示す図。レーン1,HCクローン−42およびLCクローン14;レーン2,HCクローン−42およびLCクローン−11;レーン3,HCクローン−44およびLCクローン−14;レーン4,HCクローン−44およびLCクローン−11;レーン5,1μg/mlでの生4G10。キロダルトンでの分子量標識が左欄で示される。
【図2】4G10ハイブリドーマ軽鎖およびHisタグ標識重鎖cDNAsで形質移入されたCOS細胞からの馴化培地でプローブされたEGF刺激A431細胞抽出物の免疫ブロットを示す図。レーン1,HCクローン−3HisおよびLCクローン−11;レーン2,HCクローン−7HisおよびLCクローン−11;レーン3,2μg/mlでの生4G10;レーン4,一次抗体プローブ検査に使用される馴化培地に50mMのフェニルホスフェートを追加したことを除きレーン1と同じ;レーン5,一次抗体プローブ検査に使用される馴化培地に50mMのフェニルホスフェートを追加したことを除きレーン2と同じ。キロダルトンでの分子量標識が左欄で示される。
【図3】EGF刺激A431細胞抽出物の免疫沈降法による免疫ブロットを示す図。細胞抽出物500μgは、CHO細胞から精製され、組換えまたは生4G10で2μg/mlの濃度でプローブされた組換えまたは生4G10抗体4μgで免疫沈降(IP)された。レーン1,IP抗体=r4G10(組換え4G10),一次抗体なし;レーン2,IP抗体=生4G10,一次抗体なし;レーン3,IP抗体=r4G10,一次抗体=r4G10;レーン4,IP抗体=生4G10,一次抗体=r4G10;レーン5,IP抗体=r4G10,一次抗体=生4G10;レーン6,IP抗体=生4G10,一次抗体=生4G10。キロダルトンでの分子量標識が左欄で示される。
【図4】異なる条件下で貯蔵された精製組換え4R10,1ug/mでプローブされたEGF刺激A431細胞抽出物の免疫ブロットを示す図。レーン1,一次抗体なし;レーン2,−20℃で30%グリセロールで凍結された組換え4G10;レーン3,4℃で貯蔵された組換え4G10。キロダルトンでの分子量標識が左欄で示される。
【図5】SDS−PAGEで測定されるように、Hisタグ標識組換え4G10が生(商業利用可)4G10よりも純粋であることを示す図。レーン1,6マイクログラムのHisタグ標識r4G10(r=組換え);レーン2,分子量標識;レーン3,6マイクログラムの生4G10。キロダルトンでの分子量標識が左欄で示される。

Claims (32)

  1. 4G10モノクローナル抗体と同一の特異性を持つ一つの精製または高純度免疫グロブリン。
  2. 2個の軽鎖成分と2個の重鎖成分より成り、ここで前記重鎖成分が、ゲル電気泳動で単一バンドを示すことを特徴とする請求項1記載の精製または高純度免疫グロブリン。
  3. 前記免疫グロブリンが、ヒスチジンタグ標識領域を含むことを特徴とする請求項1記載の精製または高純度免疫グロブリン。
  4. 2個の軽鎖成分と2個の重鎖成分より成り、ここで前記重鎖成分が、ゲル電気泳動で単一バンドを示すことを特徴とする請求項3記載の精製または高純度免疫グロブリン。
  5. ヒスチジンタグ標識が、前記抗体の重鎖成分の一部であることを特徴とする請求項4記載の精製または高純度免疫グロブリン。
  6. そのアミノ酸配列が、配列識別番号4の配列とほぼ同一の重鎖成分と、そのアミノ酸配列が配列識別番号5の配列とほぼ同一の軽鎖成分とを更に含むことを特徴とする請求項1記載の精製または高純度免疫グロブリン。
  7. そのアミノ酸配列が、配列識別番号5の軽鎖成分と、そのアミノ酸配列が配列識別番号4の重鎖成分とを更に含むことを特徴とする請求項1記載の精製または高純度免疫グロブリン。
  8. そのアミノ酸配列が、配列識別番号6の配列とほぼ同一の重鎖成分と、そのアミノ酸配列が配列識別番号5の配列である軽鎖成分とを更に含むことをと特徴とする請求項2記載の精製または高純度免疫グロブリン。
  9. 請求項6乃至8のいずれか1項記載のポリペプチドをコード化する一つの分離組換えポリヌクレオチド。
  10. 前記ポリヌクレオチドが、cDNAであることを特徴とする請求項9記載の分離組換えポリヌクレオチド。
  11. 請求項9または10記載の補体。
  12. 請求項9乃至11のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを含む一つのベクター。
  13. 組換え細胞が、前記ベクター内のポリヌクレオチドでコード化されるポリペプチドを発現することを特徴とする請求項12記載のベクターを含む一つの組換え細胞。
  14. 組換え細胞が、更に免疫グロブリンを分泌することを特徴とする請求項13記載の組換え細胞。
  15. 発現されるポリペプチドが、抗原に特異的な抗体であることを特徴とする請求項14記載の組換え細胞。
  16. 前記抗体が、ヒト細胞からのホスホチロシン含有タンパク質と正の反応性を示すことを特徴とする請求項15記載の組換え細胞。
  17. 請求項2または4記載のモノクローナル抗体と微小孔ポリマー基質とを含む一つの免疫吸着物質。
  18. 基質が複数のビーズであり、ここで前記ビーズが約100ミクロン径以下であることを特徴とする請求項17記載の免疫吸着物質。
  19. 基質が複数のビーズであり、ここで前記ビーズが約10ミクロン径以下であることを特徴とする請求項17記載の免疫吸着物質。
  20. 基質が複数のビーズであり、ここで前記ビーズが約5ミクロン径であることを特徴とする請求項17記載の免疫吸着物質。
  21. 基質が重合されたアガロースであることを特徴とする請求項18記載の免疫吸着物質。
  22. 基質がタンパク質のヒスチジンタグ標識部分と結合できる金属リガンドを含むことを特徴とする請求項17記載の免疫吸着物質。
  23. 前記金属リガンドと請求項17記載の抗体との間に更に化学結合を含むことを特徴とする免疫吸着物質。
  24. サンプル内のホスホチロシン含有タンパク質の存在を検出する一つの方法であって、サンプルを請求項1または2記載の抗体と接触させ、反応性を試験するステップを含み、ここで正の反応が前記サンプル内でホスホチロシン含有タンパク質またはポリペプチドの存在を示すことを特徴とする方法。
  25. 請求項24記載の方法であって、サンプルを試験するステップが、更にモノクローナル抗体を含む免疫吸着物質にサンプルを接触させることを含むことを特徴とする方法。
  26. 請求項24記載の方法であって、試験のステップが、更に免疫学光法、放射線免疫検定法、免疫沈降法、補体結合反応、競合反応、ウエスタンブロット法、免疫組織化学、フローサイトメトリー、および固相酵素免疫検定法(ELISA)より成るグループから選択された方法による試験を含むことを特徴とする方法。
  27. 精製または高純度免疫グロブリンを産生する一つの方法であって、以下のステップ、すなわち
    (a)精製されヒスチジンタグ標識免疫グロブリンを産生するために精製される免疫グロブリンの重鎖成分のC末端端部にヒスチジンタグ標識配列を挿入し、
    (b)中性条件下で固定化金属アフィニティークロマトグラフィーにより前記ヒスチジンタグ標識重鎖ポリペプチドを精製し、また特異的に免疫グロブリンの酸性pHへの露出を予防し、
    (c)精製ヒスチジンタグ標識高純度免疫グロブリンを回収する、
    ステップを含む方法。
  28. 請求項27記載の方法であって、ここで前記ヒスチジンタグ標識重鎖成分が、前記ヒスチジンタグ標識重鎖成分をコード化するポリヌクレオチドの発現により産生されることを特徴とする方法。
  29. 請求項27記載の方法であって、ここでステップ(b)での前記pHが、5.0のpH以下になることが許容されないことを特徴とする方法。
  30. 請求項27記載の方法であって、ここでステップ(b)での前記pHが、6.0のpH以下になることが許容されないことを特徴とする方法。
  31. 請求項27記載の方法であって、ここで精製される抗体が請求項4記載の抗体であることを特徴とする方法。
  32. 請求項27乃至30のいずれか1項記載の方法により産生されることを特徴とする免疫グロブリン。
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