JP2004525908A - 細胞及び組織をα,β不飽和アリールスルホンにより電離放射線から防護する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
この発明は、正常な細胞及び組織を、電離放射線への予期された、計画された又は偶発的な曝露から防護する分野に関係する。特に、この発明は、例えば抗癌放射線療法において電離放射線照射への曝露の前又は後に患者に投与される放射線防護剤に関係する。
【0002】
電離放射線は、細胞及び組織に対して主に細胞傷害性効果による悪影響を有する。ヒトにおいては、電離放射線への曝露は、主として、治療技術(例えば抗癌放射線療法)により又は職業的若しくは環境的曝露によって生じる。
【0003】
電離放射線への曝露の主たる原因は、癌又は他の増殖性疾患の治療における治療用照射の施与である。治療的線量の電離放射線に曝される患者は、典型的には、治療毎に0.1〜2Gyを受け、5Gy程の高い線量を受けることもありうる。治療する医師により規定された治療のコースに依存して、患者は、数週間乃至数ヶ月のコース中に複数の線量を受けうる。
【0004】
治療用照射は、一般に、異常増殖性の組織を有する患者の身体の限られた領域に、その異常な組織によって吸収される線量を最大にし且つ近くの正常組織により吸収される線量を最少にするように加えられる。しかしながら、治療用電離放射線を異常組織に選択的に与えることは、困難である(不可能でないとしても)。従って、異常組織に近い正常組織も又、治療コース中に、潜在的に、有害な線量の電離放射線に曝される。「全身照射」又は「TBI」と称する手順においては、患者の全身を放射線に曝すことを必要とする幾つかの治療もある。それ故、異常な増殖をする細胞の破壊における放射線療法技術の効力は、近くの正常細胞に対する細胞傷害性効果によりはかりにかけられる。この故に、放射線療法の技術は、殆どの腫瘍の不十分な治療を生じる本来的に狭い治療インデックスを有している。最良の放射線療法でさえ、不完全な腫瘍減少、腫瘍再発、増大する腫瘍重量及び放射線耐性腫瘍の誘発を生じうる。
【0005】
有効な治療的線量の電離放射線を送達しつつ正常組織のダメージを減らすために多くの方法がデザインされてきた。これらの技術には、近接照射療法、分割照射及び超越分割照射線量、併合線量スケジューリング及び送達システム、並びに線形加速器を用いる高圧治療が含まれる。しかしながら、かかる技術は、単に、照射の治療的効果と望ましくない影響とのバランスを発見することを試みているだけであり、完全な効果は、達成されていない。
【0006】
例えば、転移腫瘍を有する患者に対する一回の治療は、それら患者の造血幹細胞を採取してから、その患者を高線量の電離放射線で治療することを含む。この治療は、患者の腫瘍細胞を破壊するが、その正常な造血幹細胞をも破壊する副作用を有する。従って、患者の骨髄(造血幹細胞を含む)の一部を放射線療法の前に取り出しておく。一度患者を治療したならば、自家造血幹細胞を患者の身体内に戻す。
【0007】
しかしながら、腫瘍細胞が、最初の位置から遠くに転移していたならば、幾つかの腫瘍細胞が、採取された造血幹細胞集団を汚染している可能性が高い。この採取された造血幹細胞集団は、もし患者が、骨髄の癌例えば種々のFrench-American-British(FAB)サブタイプの急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)又は急性リンパ球白血病(ALL)を患っているならば、新生物細胞を含むこともありうる。従って、転移した腫瘍細胞又は内在性の新生物細胞は、幹細胞を患者に再導入する前に除去するか殺すかしなければならない。如何なる生きた腫瘍形成性又は新生物細胞でも、患者に再導入されれば、それらは、再発へと導きうる。
【0008】
腫瘍形成性又は新生物細胞を採取した骨髄から除去する従来法は、全腫瘍細胞集団を除去するか殺す戦略に基づくものであるが、これは、典型的には、夾雑している悪性細胞のすべてを殺し又は除去することはできない。かかる方法には、授動末梢血液細胞の白血球除去法、免疫親和性に基づいて腫瘍細胞を選択し又は殺すこと、又は腫瘍細胞を選択的に殺すための細胞傷害性若しくは感光剤の利用が含まれる。最良の場合に、悪性細胞重量は、最初の採取物中に存在する100,000細胞当たり1〜10腫瘍細胞であってよい。(Lazarusなど、J.Hematotherapy, 2(4):457-66, 1993)。
【0009】
従って、骨髄中に存在する悪性細胞を選択的に破壊するが、移植患者において造血再構成に必要とされる正常な造血幹細胞は、保存するためにデザインされたパージ方法が必要である。
【0010】
電離放射線への曝露は、職業的セッティングにおいても起こりうる。職業的線量の電離放射線は、放射線に曝されることを含む職業(例えば、原子力及び核兵器産業)の個人は受けうる。現在アメリカには、商用運転のための104の認可を受けた核設備がある。国際的には、全部で430の核工場が、32カ国で運転されている。これらの核工場で採用されたすべての個人は、割り当てられた仕事のコースにおいて電離放射線に曝露されうる。1979年5月28日のスリーマイル島原子力設備におけるような事故(原子炉を有する建物内及び周囲の環境に放射性物質を放出した)は、有害な曝露の可能性を示している。たとえ大災害はなくても、原子力産業の労働者は、一般大衆よりも高レベルの放射線を受けやすい。
【0011】
原子力の艦船に配置された軍人、又は放射性降下物に汚染された地域で行動するように命じられた兵士は、電離放射線への同様の曝露の危険な状態にある。職業的曝露は又、原子炉又は放射性物質を含む破損事故を扱うために呼ばれた救助及び緊急用人員においても生じうる。例えば、チェルノブイリ原子力施設で1986年4月26日の原子炉火災と戦った人々は、放射線被爆を受け、多くが、放射能効果により死亡した。2000年8月には、海軍と市民の救助用人員が、沈没したロシアの原子力潜水艦クルスクの乗組員を救助しようとした際に、放射線への曝露の危険にさらされた。サルベージ船の乗組員は、もしこの潜水艦の原子炉設備が破壊されていれば、依然として、放射線曝露に直面しうる。
【0012】
職業的曝露の他の原因は、放射性医療用製品、煙探知器、緊急合図、及び他の消費者物資の製造に由来する機械部分、プラスチック及び残った溶剤からのものがありうる。職業的曝露は又、原子力艦船で働く人々特に原子炉を管理する人々、核兵器降下物に汚染された地域で行動する軍人、及び核事故を扱う緊急用人員にも起こりうる。
【0013】
ヒト及び他の動物(例えば、家畜)は又、環境からの電離放射線にもさらされうる。有意の量の環境放射線への曝露の主な原因は、スリーマイル島、チェルノブイリ及び東海村におけるような原子力設備での事故である。Sandia National Laboratoriesによる1982年の研究は、「最悪の場合」の核事故は、10万人を超える死亡者数及び国の広い領域の長期間にわたる放射能汚染を見積もった。
【0014】
例えば、チェルノブイリ事故から見積もられた死者数は、8,000〜300,000人であり、ウクライナだけで、460万ヘクタールの土地が、様々なレベルの放射線により汚染された。放射性降下物は、アイルランド、北スカンジナビア、及びアラスカ海岸程の遠い地点で、事故後数週間で検出された。135,000人の人々が、チェルノブイリ設備の周囲の半径30マイルの「デッドゾーン」から避難させられたが、この地域は、依然として、ヒトの居住には適していない。約120万人の人々が、この「デッドゾーン」の外側の低レベル放射線の地域で生活を続けている。
【0015】
他の核施設の事故は、有意の量の放射線を環境に放出した。スリーマイル島事故は、上で論じた。日本では、1999年7月に、ひび割れたパイプから、51トンの冷却水が、敦賀第二原発から漏出した。一層重大な事故が、1999年9月30日に、日本の東海村のウラニウム再処理工場で起き、69人の人々が、有意の放射線曝露を受けた。この事故は、作業員が、不注意に放射線の大気への放出を引き起こす持続的核連鎖反応を開始したときに起きた。0.84mSv/時(年間許容量の4000倍)の放射線カウントが、近接領域で検出された。39世帯(150人)が避難し、現場の周囲の半径200メートルは、立ち入り禁止とされた。現場から半径3キロメートル以内の道路は閉鎖され、現場から半径10キロメートル以内の住人は、室内にいるように勧告された。東海村の「臨界事象」は、原子力産業の歴史において、スリーマイル島及びチェルノブイリ後の第三の最も重大な事故としてランクされている。
【0016】
電離放射線への環境的曝露は、核兵器の爆発(実験又は戦争中)、核廃棄物貯蔵所及び核燃料の処理及び再処理からのアクチニウム元素の流出から、及び天然の放射性物質例えばラドンガス又はウラニウムからも生じうる。劣化ウラニウムを含む兵器の使用が戦闘地域の低レベルの放射能汚染を生じるという増大する懸念もある。
【0017】
如何なる源からの放射線曝露でも、急性(単一の大規模曝露)又は慢性(一連の小規模で低レベルの又は連続的な低レベルの長時間にわたる曝露)に分類されうる。放射線疾患は、一般に、十分な線量の急性の曝露から生じ、順序正しく現れる特徴的な一組の症状(脱毛、脱力感、嘔吐、下痢、皮膚の火傷並びに胃腸管及び粘膜からの出血)を伴って現れる。遺伝子欠損、不妊症及び癌(特に、骨髄の癌)は、しばしば長期間にわたって発達する。慢性的曝露は、通常、遅延した医学的問題例えば癌及び早熟加齢と関連している。急性の125,000ミリレムの全身照射は、放射線疾患を引き起こしうる。放射線療法で用いられるような局所的線量は、放射線疾患を引き起こさないであろうが、曝露された正常細胞のダメージ又は死を生じうる。
【0018】
例えば、急性の100,000〜125,000ミリレム(1Gyと同等)の全身照射を1週間未満で受けることは、観察しうる生理的効果例えば皮膚の火傷又は発疹、粘膜及びGI出血、吐気、下痢及び/又は過労を生じるであろう。一層長い細胞傷害性及び遺伝的効果例えば造血及び免疫適格細胞の破壊、脱毛(脱毛症)、胃腸管及び口内粘膜脱落、肝静脈閉塞症及び脳血管の慢性の血管肥厚、白内障、肺炎、皮膚変化、及び癌の発病率も又、時間と共に明らかとなろう。10,000ミリレムの急性の線量(0.1Gyと同等)は、典型的には、直ちに認められる生物学的又は生理学的効果を生じないが、もっとも、長期の細胞傷害性又は遺伝的効果が起きよう。
【0019】
電離放射線の十分に大きい線量例えば500,000〜100万ミリレム(5〜10Gyと同等)は、直ちに患者を殺すであろう。数百又は数千ミリレムの線量は、7乃至21日以内に「急性放射線中毒」と呼ばれる状態により殺すであろう。報告されたように、チェルノブイリの消防士の何人かは、200,000〜600,000ミリレム(2〜6Gyと同等)の範囲の急性線量を受けて、急性放射線中毒により死亡した。約200,000ミリレム未満の急性線量は、死を引き起こさないが、曝露された患者が、長期間の細胞傷害性又は遺伝的効果を被ることはありそうなことである。
【0020】
急性の職業的曝露は、通常、事故による放射線の放出に曝された原発労働者に、又は原子炉又は他の放射性物質源を含む破壊事象に応じる火災及び救助用人員に生じる。緊急時における急性の職業的曝露に対する示唆された限度は、Brookhaven National Laboratoriesにより開発され、表1に与えてある。
【0021】
【表1】
【0022】
慢性的線量は、時間と共に受ける低レベル(即ち、100〜5000ミリレム)の増大する又は連続的な照射線量である。慢性線量の例には、全身の年間約5000ミリレムの線量が含まれ、これは、原発での成人労働者が典型的に受ける線量である。対照的に、原子力委員会は、一般大衆のメンバーは、年間100ミリレム以上を受けるべきでないことを推奨している。慢性線量は、長期の細胞傷害性及び遺伝的効果(例えば、後年、放射線誘発性の癌が発生する危険の増大として明らかとなる効果)を引き起こしうる。電離放射線に対する慢性曝露についての推奨される限度を表2に与える。
【0023】
【表2】
【0024】
比較として、表3は、共通の源からの放射線量を示している。
【0025】
【表3】
【0026】
年間5000ミリレム(年間0.05Gy)を超える慢性線量は、急性線量を受けた人について記載したような長期の細胞傷害性又は遺伝的効果を生じうる。幾つかの有害な細胞傷害性又は遺伝的効果は、年間5000ミリレムより有意に低い慢性的線量でも生じうる。放射線防護目的のために、ゼロより大きい任意の線量は、放射線誘発性の癌の危険を増大させうる(即ち、閾値はない)と仮定する。疫学的研究は、癌による死亡の見積もられた生涯リスクは、全身に対する照射線量の1レム当たり約0.04%増大するということを見出した。
【0027】
放射線防護着又は他の防護用具は、放射線曝露を減らすのに効果的でありうるが、かかる用具は、高価であり、扱いにくく、一般に、公衆には利用可能でない。その上、放射線防護用具は、放射線療法中に、腫瘍に隣接する正常組織を、迷放射線曝露から防護しない。それ故、必要なものは、電離放射線に対する曝露を受ける予定の又は受ける危険にある患者を防護する実際的方法である。治療用照射の関連において、腫瘍細胞を照射の有害な効果に対して無防備に維持しつつ、正常細胞の防護を増大させることは、望ましいことである。その上、職業的若しくは環境的曝露により又はある種の治療技術によって起こりうるような、予想される又は不注意による全身照射への全身防護を与えることは望ましいことである。
【0028】
放射線防護薬は、費用に対し最も効率のよい、効果的且つ容易に利用可能な放射線防護着の代替物を提供する。しかしながら、医薬組成物を用いる正常細胞の放射線防護における以前の試みは、完全に成功してはいない。例えば、末梢血前駆細胞の流動化に向けられたサイトカインは、照射前に与えられた場合に骨髄防護効果を与える(Neta等、Semin. Radiat. Oncol. 6:306-320, 1996)が、全身防護は与えない。他の単独で又は生物学的応答調節物質と組み合わせて投与される化学的放射線防護薬は、マウスにおいて一層小さい防護効果を示したが、これらの化合物の大きい哺乳動物への適用は、一層不成功であり、化学的放射線防護に何らかの価値があるのかが問題とされた(Maisin, J.R., Bacq and Alexander Award Lecture. 「Chemical radioprotection: past, present, and future prospects」, Int J. Radiat Biol. 73:443-50, 1998)。癌性組織における放射線の効果を選択的に増強することが知られている放射線増感剤は、明らかに、正常組織の電離放射線への曝露からの全身防護に適していない。
【0029】
我々は、今般、α,β−不飽和アリールスルホン(特に、ベンジルスルホン)が、動物において、放射線誘導性の損傷からの正常細胞の有意の選択的な全身の防護を与えることを見出した。放射線療法技術において利用した場合には、これらの化合物は、癌細胞に対する独立した細胞傷害性をも示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
正常な細胞及び組織を、電離放射線への曝露を受けた又は受ける危険にある患者において、電離放射線への曝露の細胞傷害性及び遺伝的効果から防護するための組成物及び方法を提供することは、この発明の目的である。電離放射線への曝露は、癌及び他の増殖性疾患の治療において制御された線量で起こりうるし、又はハイリスクな活動又は環境曝露において一般に受け入れられる標準を超える制御されない線量でも起こりうる。
【0031】
従って、一面において、放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物及び放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0032】
他の面において、患者の癌又は他の増殖性疾患を治療する方法であって、その患者に、有効量の少なくとも一種の放射線防護薬α,β不飽和アリールスルホン化合物を、有効量の電離放射線を施与する前に投与ことを含み、該放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物が患者の正常組織における一時的な放射線耐性表現型を誘導する、当該方法を提供する。
【0033】
更なる面において、この発明は、癌又は他の増殖性疾患の治療に用いられる治療用電離放射線の線量を安全に増大させる方法であって、有効量の少なくとも一種の放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物を、治療用電離放射線の施与の前に投与することを含み、該放射線防護用化合物が患者の正常組織における一時的な放射線耐性表現型を誘導する、当該方法を提供する。
【0034】
更に別の具体例において、この発明は、骨髄から新生細胞(例えば、白血病細胞)又は骨髄に転移した腫瘍細胞を取り除く方法であって、骨髄細胞を増殖性疾患に苦しめられている個人から採取し、その採取した骨髄細胞を有効量の少なくとも一種のα,β不飽和アリールスルホンで処理して、それらの処理した骨髄細胞を有効量の電離放射線を受けさせることを含む、当該方法を提供する。これらの採取した細胞を、次いで、苦しめられている個人の身体に戻す。
【0035】
尚更なる面において、この発明は、電離放射線への曝露による治療できる放射線傷害を受けた又は受ける危険にある個人を治療する方法を提供する。一具体例において、有効量の少なくとも一種の放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物を患者に、その患者が電離放射線への曝露による治療できる放射線傷害を受ける前に投与する。他の具体例において、有効量の少なくとも一種の放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物を、患者に、その患者が電離放射線への曝露による治療可能な放射線傷害を受ける前に投与する。
【0036】
用語「患者」は、ヒト及び非ヒト動物を含み、ここで用いる場合、電離放射線への曝露を受ける予定の、受ける危険にある又は受けた生物を指す。
【0037】
ここで用いる場合、「電離放射線」は、細胞及び組織により吸収された場合に、反応性酸素種及びDNA損傷の形成を誘発する十分なエネルギーの照射である。この型の放射線には、X線、ガンマ線及び粒子ボンバードメント(例えば、中性子ビーム、電子ビーム、陽子、中間子その他)が含まれ、医学的試験及び治療、科学的目的、産業上の試験、加工及び殺菌、兵器及び兵器開発、及び他の多くの用途に利用されている。放射線は、典型的には、吸収線量単位例えばラド又はグレイ(Gy)又は線量当量例えばレム又はシーベルト(Sv)で測定される。これらの単位間の関係は、下記により与えられる:
【数1】
【0038】
Svは、Gy線量に、為された組織損傷を含む係数を乗じたものである。例えば、透過性電離放射線(例えば、ガンマ線及びベータ線)は、約1の係数を有し、それ故、1Sv=〜1Gyである。アルファ線は、20の係数を有し、それ故、アルファ線の1Gy=20Svである。
【0039】
「有効量の電離放射線」とは、患者において異常に増殖する細胞を殺し又は該増殖を低減させるのに有効な量の電離放射線を意味する。骨髄細胞からの除去に関して用いる場合には、「有効量の電離放射線」は、患者の骨髄試料中の悪性細胞を殺し又は該細胞の増殖を低減させるのに有効な量の電離放射線を意味する。
【0040】
「電離放射線への急性曝露」又は「電離放射線の急性線量」とは、24時間未満で患者に吸収される電離放射線の線量を意味する。この急性線量は、放射線療法技術におけるように、局所的なものであってよいし、又は患者の全身で吸収されてもよい。急性線量は、典型的には、約10,000ミリレム(0.1Gy)を超えるが、一層低くてもよい。
【0041】
「電離放射線への慢性曝露」又は「電離放射線の慢性線量」とは、24時間より長時間にわたって患者に吸収される電離放射線の線量を意味する。この線量は、断続的又は連続的であってよく、局所的であっても又は患者の全身で吸収されてもよい。慢性線量は、典型的には、10,000ミリレム(0.1Gy)より低いが、一層高くてもよい。
【0042】
「電離放射線への曝露を受ける危険」とは、患者が、将来的に、注意深く(予定された放射線療法期間中など)又は不注意に、電離放射線に曝されることを意味する。不注意な曝露は、偶発的又は予想外の環境的又は職業的曝露を包含する。
【0043】
「放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物の有効量」とは、患者の正常細胞において、放射線と関係する傷害性を低減し又は除去し、そして又、直接的細胞傷害性を患者の異常増殖性細胞に伝えるのにも有効な化合物の量を意味する。骨髄の浄化に関して用いる場合には、「有効量の放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物」は、患者から取り出した骨髄における放射線と関係する傷害性を低減し若しくは除去し、そして又、患者から取り出した骨髄中の悪性細胞に対する直接的細胞傷害性効果を伝えるのにも効果的な量のα,β不飽和アリールスルホン化合物を意味する。
【0044】
「α,β不飽和アリールスルホン化合物」は、ここで用いる場合、少なくとも1つのα,β不飽和アリールスルホン基を含む化学化合物を意味する:
【化1】
(式中、Q2は、置換された又はされてないアリールであり、α及びβ炭素に結合している水素原子は、適宜、他の化学基によって置換される)。
【0045】
「置換された」とは、原子又は原子団が、環の原子に結合した水素を置換基として置換していることを意味する。環システム内の置換の程度は、モノ、ジ、トリ又は一層多い置換であってよい。
【0046】
用語「アリール」は、単独で用いる場合も、他の用語と組み合わせて用いる場合も、別途明示しない限り、1つ以上の環(典型的には、1、2又は3環)を含む炭素環式芳香族系を意味し、かかる環は、一緒に突き出した様式で結合していてもよいし、融合していてもよい。例には、フェニル;アントラシル;及びナフチル、特に1−ナフチル及び2−ナフチルが含まれる。前記のアリール部分は、代表例であることを意図しているが、制限を意図するものではない。用語「アリール」が6員環の系に限られないことは理解される。
【0047】
用語「ヘテロアシル」は、単独で又は他の置換基の部分として、別途指示しない限り、不飽和又は飽和の、安定な、モノ又は多環式複素環式芳香族環系を意味し、これは、炭素原子及びN、O及びSから選択する1〜4個のヘテロ原子よりなり、窒素及び硫黄ヘテロ原子は、適宜、酸化されていてよく、窒素原子は、適宜、4級化されていてよい。このヘテロ環系は、別途指示がなければ、安定な構造を与える任意のヘテロ原子又は炭素原子に結合してよい。
【0048】
かかるヘテロアリールの例には、ベンジミダゾリル、特に2−ベンジミダゾリル;ベンゾフリル、特に3−、4−、5−、6−及び7−ベンゾフリル;2−ベンゾチアゾリル及び5−ベンゾチアゾリル;ベンゾチエニル、特に3−、4−、5−、6−、及び7−ベンゾチエニル;4−(2−ベンジルオキサゾリル);フリル、特に2−及び3−フリル;イソキノリル、特に1−及び5−イソキノリル;イソキサゾリル、特に3−、4−及び5−イソキサゾリル;イミダゾリル、特に2−、4−及び5−イミダゾリル;インドリル、特に3−、4−、5−、6−及び7−インドリル;オキサゾリル、特に2−、4−及び5−オキサゾリル;プリニル;ピロリル、特に2−ピロリル、3−ピロリル;ピラゾリル、特に3−及び5−ピラゾリル;ピラジニル、特に2−ピラジニル;ピリダジニル、特に3−及び4−ピリダジニル;ピリジル、特に2−、3−及び4−ピリジル;ピリミジニル、特に2−及び4−ピリミジル;キノクサリニル、特に2−及び5−キノクサリニル;キノリニル、特に2−及び3−キノリニル;5−テトラゾリル;2−チアゾリル;特に2−チアゾリル、4−チアゾリル及び5−チアゾリル;チエニル、特に2−及び3−チエニル;及び3−(1,2,4−トリアゾリル)が含まれる。前記のヘテロアリール部分は、代表例であることを意図しており、制限を意図するものではない。
【0049】
一具体例によれば、このα,β不飽和アリールスルホン基は、スチリルスルホン基である:
【化2】
(式中、α及びβ炭素に結合した水素原子は、適宜、他の化学基により置換され、フェニル環は、適宜、置換される)。
【0050】
「スチリルスルホン」又は「スチリルスルホン化合物」又は「スチリルスルホン治療剤」は、ここで用いる場合、少なくとも一種のかかるスチリルスルホン基を含む化学化合物を意味する。
【0051】
これらのα,β不飽和アリールスルホン放射線防護用化合物は、二重結合の存在から生じるシス−トランス異性により特徴付けられる。二重結合の周囲のステアリン酸関係は、「Z」又は「E」として示される。両配置は、「α,β不飽和アリールスルホン」の範囲に含まれる:
【化3】
【0052】
一具体例において、α,β不飽和アリールスルホン化合物は、式Iの化合物である:
【化4】
(式中:
nは、1又は0であり;
Q1及びQ2は、同じか又は異なって、置換された若しくはされてないアリール、又は置換された若しくはされてないヘテロアリールである)。
【0053】
好ましくは、式I中のnは、1であり、即ち、これらの化合物は、α,β不飽和ベンジルスルホン即ちスチリルベンジルスルホンを含む。
【0054】
式Iに従う一好適具体例において、Q1及び/又はQ2は、置換された及びされてないヘテロアリール例えば(E)−3−フランエテニル−2,4−ジクロロベンジルスルホンから選択される。
【0055】
式1に従う他の好適具体例において、Q1及びQ2は、置換された又はされてないフェニルから選択する。
【0056】
Q1及びQ2を、置換された及びされてないフェニル化合物から選択する好適化合物は、式IIの化合物を包含する:
【化5】
[式中:
Q1a及びQ2aは、フェニル及びモノ、ジ、トリ、テトラ及びペンタ置換されたフェニル{置換基は、同じであっても異なってもよいが、水素、ハロゲン、C1−C8アルキル、C1−C8アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、ヒドロキシ、ホスホネート、アミノ、スルファミル、アセトキシ、ジメチルアミノ(C2−C6アルコキシ)、C1−C6トリフルオロアルコキシ及びトリフルオロメチルよりなる群から選択する}よりなる群から選択する]。
【0057】
一具体例において、式IIの化合物は、少なくとも1つの環上で少なくとも2置換されており、即ち、少なくとも1つの環上の少なくとも2つの置換基は、水素以外である。他の具体例において、式IIの化合物は、少なくとも1つの環上で少なくとも3置換されており、即ち、少なくとも1つの環上の少なくとも3つの水素以外である。
【0058】
一具体例において、放射線防護用化合物は、式IIIを有する:
【化6】
{式中、R1、R2、R3及びR4は、独立に、水素、ハロゲン、C1−C8アルキル、C1−C8アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、ヒドロキシ ホスホネート、アミノ、スルファミル、アセトキシ、ジメチルアミノ(C2−C6アルコキシ)、C1−C6トリフルオロアルコキシ及びトリフルオロメチルよりなる群から選択する}。
【0059】
この発明の特に好適な具体例によれば、放射線防護用化合物は、式IIIに従い、R1及びR2は、独立に、水素、ハロゲン、シアノ及びトリフルオロメチルよりなる群から選択され;R3及びR4は、独立に、水素及びハロゲンよりなる群から選択される。
【0060】
式IIIの一つの副次的具体例によれば、放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物は、式IIIaの化合物であり、式中、R2及びR4は、水素以外である:
【化7】
【0061】
E−配置を有する式IIIaに従う好適化合物には、(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホン;(E)−4−クロロスチリル−4−クロロベンジルスルホン;(E)−2−クロロ−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホン;(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホン;(E)−4−フルオロスチリル−2,4−ジクロロベンジルスルホン;(E)−4−フルオロスチリル−4−ブロモベンジルスルホン;(E)−4−クロロスチリル−4−ブロモベンジルスルホン;(E)−4−ブロモスチリル−4−クロロベンジルスルホン;(E)−4−フルオロスチリル−4−トリフルオロメチルベンジルスルホン;(E)−4−フルオロスチリル−3,4−ジクロロベンジルスルホン;(E)−4−フルオロスチリル−4−シアノベンジルスルホン;(E)−2,4−ジクロロ−4−クロロベンジルスルホン;(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロフェニルスルホン及び(E)−4−クロロスチリル−2,4−ジクロロベンジルスルホンが含まれるが、これらに限られない。
【0062】
他の具体例によれば、式IIIaの化合物は、Zは位置を有し、R1及びR3は、水素であり、R2及びR4は、4−ハロゲンよりなる群から選択される。かかる化合物には、例えば、(Z)−4−クロロスチリル−4−クロロベンジルスルホン;(Z)−4−クロロスチリル−4−フルオロベンジルスルホン;(Z)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホン;(Z)−4−ブロモスチリル−4−クロロベンジルスルホン;及び(Z)−4−ブロモスチリル−4−フルオロベンジルスルホンが含まれる。
【0063】
他の具体例によれば、放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物は、式IVの化合物である:
【化8】
(式中
R1、R2、R3及びR4は、水素、ハロゲン、C1−C8アルキル、C1−C8アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、ヒドロキシ及びトリフルオロメチルよりなる群から独立に選択される)。
【0064】
一具体例において、式IV中のR1は、水素、塩素、フッ素及びヨウ素よりなる群から選択され;R2、R3及びR4は、水素である。式IVの好適化合物は、(Z)−スチリル−(E)−2−メトキシ−4−エトキシスチリルスルホンである。
【0065】
更に別の具体例において、放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物は、式Vの化合物である:
【化9】
[式中、
Q3、Q4及びQ5は、独立に、フェニル及びモノ、ジ、トリ、テトラ及びペンタ置換されたフェニル{これらの置換基は、同一でも異なってもよく、独立に、ハロゲン、C1−C8アルキル、C1−C8アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、ヒドロキシ、ホスホネート、アミノ、スルファミル、アセトキシ、ジメチルアミノ(C2−C6アルコキシ)、C1−C6トリフルオロアルコキシ及びトリフルオロメチルよりなる群から選択される}よりなる群から選択される]。
【0066】
式Vの一つの副次的具体例によれば、放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物は、式Vaの化合物である:
【化10】
(式中、
R1及びR2は、独立に、水素、ハロゲン、C1−C8アルキル、C1−8アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、及びトリフルオロメチルよりなる群から選択され;そして
R3は、置換されてないフェニル、モノ置換されたフェニル及びジ置換されたフェニルよりなる群から選択され、フェニル環上の置換基は、独立に、ハロゲン及びC1−8アルキルよりなる群から選択される)。
【0067】
好ましくは、式Va中のR1は、フッ素及びヨウ素よりなる群から選択され;R2は、水素であり;そしてR3は、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−フルオロフェニル、及び2−ニトロフェニルよりなる群から選択される。
【0068】
式Vaに従う好適な放射線防護用スチリルスルホンは、R1が、フッ素であり、R2が、水素であり、そしてR3が、フェニルである化合物、即ち、化合物2−(フェニルスルホニル)−1−フェニル−3−(4−フルオロフェニル)−2−プロペン−1−オンである。
【0069】
「ジメチルアミノ(C2−C6アルコキシ)」とは、(CH3)2N(CH2)nO−(式中、nは、2〜6である)を意味する。好ましくは、nは、2又は3である。最も好ましくは、nは、2であり、即ち、この基は、ジメチルアミノエトキシ基即ち(CH3)2NCH2CH2O−である。
「ホスホネート」とは、−PO(OH)2基を意味する。
「スルファミル」とは、−SO2NH2基を意味する。
【0070】
アリール核上の置換基がアルコキシ基である場合には、その炭素鎖は、分枝していても直鎖でもよい(直鎖が好ましい)。好ましくは、これらのアルコキシ基は、C1−C6アルコキシを含み、一層好ましくは、C1−C4アルコキシを含み、最も好ましくは、メトキシ基を含む。
【0071】
図面の簡単な説明
図1A及び1Bは、それぞれ、5Gy及び10Gyの電離放射線の、DU145前立腺腫瘍細胞の生存力に対する、(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホンの存在下又は非存在下での効果を示している。
図2A及び2Bは、それぞれ、5Gy及び10Gyの電離放射線の、DU145前立腺腫瘍細胞の生存力に対する、(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンの存在下又は非存在下での効果を示している。
図3A及び3Bは、10Gyの電離放射線の、照射後、それぞれ、(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホン及び(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンで処理したDU145前立腺腫瘍細胞の生存力に対する効果を示している。
図4は、1日おきに4mg/kgの(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホンを18日間与えたC57B6/Jマウスの平均体重(グラム)対時間(日)のプロットである。
図5は、8Gyの電離放射線を受ける18時間及び6時間前に、(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンで予備処理したC57B6/JマウスのKaplan Meyerの生存プロットである。
図6は、8Gyの電離放射線を受けた後に、(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンで予備処理したC57B6/JマウスのKaplan Meyerの生存プロットである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
この発明のα,β不飽和アリールスルホンは、正常な細胞及び組織を、電離放射線への急性及び慢性の曝露の効果から防護する。
【0073】
これらのα,β不飽和アリールスルホンの幾つかは又、適宜、腫瘍細胞において細胞傷害性でもある。α,β不飽和アリールスルホン化合物の腫瘍細胞に対する細胞傷害性効果を示すデータは、PCT/US/98/20580、PCT/US00/08350及びPCTUS00/08565に示されており、これらを参考として本明細書中に援用する。
【0074】
正常細胞にたいするα,β不飽和アリールスルホンの作用の正確な放射線防護の機構は知られていない。しかしながら、実験モデルに基づいて(そして、如何なる理論にも拘束されることは望まない)、これらの化合物は、有糸分裂の推移及びかかる通過に必要な変化の多くがダウンレギュレートされ、不活性化され又は存在しない可逆的な休止細胞周期状態を誘導する正常細胞内の幾つかのエレメントに影響を与えうる。防護の他の可能な機構によれば、放射線誘導される反応性酸素分子、DNA損傷、及び死経路誘導の活性化が、α,β不飽和アリールスルホンへの予備曝露によって無害にされうる。
【0075】
α,β不飽和アリールスルホンにより誘導される放射線防護の機構は、有糸分裂相の細胞周期インヒビター例えばタキソイド及びビンカアルカロイドによる急死から正常細胞を防護するα,β不飽和アリールスルホン種により誘導される化学防護の機構とは異なっている。
【0076】
有糸分裂細胞周期インヒビターは、細胞に、電離放射線とは異なる影響を与える。例えば、有糸分裂細胞周期インヒビターは、DNA損傷によって細胞死を引き起こさず、その細胞がG1期に進むのを許容する。電離放射線は、DNAを損傷し、細胞周期のG2期での停止を引き起こす。又、有糸分裂細胞周期インヒビターに曝された細胞は、長期間の損傷を示さずに、急性効果のみを示す。対照してみると、電離放射線からの幾つかの影響は、曝露の少なくとも2週間後にならないと明らかとなりえず、骨髄への損傷は、30日後に現れ、そして神経の損傷は、最長で6ヵ月後に明らかとなる。その上、α,β不飽和アリールスルホンは、「放射線類似作用」薬に対して化学防護効果を与えない。放射線類似作用薬は、電離放射線と類似の、細胞におけるDNA損傷及び/又は酸素遊離基の生成を誘導する化合物である。
【0077】
患者は、増殖性疾患の治療のための照射を受ける場合に電離放射線に曝されうる。かかる疾患には、癌性疾患及び癌でない増殖性疾患が含まれる。例えば、本発明の化合物は、広範囲の腫瘍型{乳癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、結腸直腸癌、脳腫瘍(即ち、グリオーマ)及び腎臓癌を含むが、これらに限られない}の治療用照射中に正常細胞を防護するのに効果的であると考えられる。これらの化合物は又、白血病細胞に対しても有効である。
【0078】
これらの化合物は又、癌でない増殖性疾患(新生児の血管腫症、二次的進行性多発性硬化症、慢性的進行性の骨髄退行性疾患、神経繊維腫症、神経節神経腫症、ケロイド形成、骨のパジェット病、乳房繊維嚢胞症、Peronies-Duputren繊維症、再狭窄及び硬変症を含むが、これらに限られない)における異常組織の治療用照射中に正常細胞を防護するのに有用であると考えられる。
【0079】
この発明によれば、治療用電離放射線は、α,β不飽和アリールスルホン放射線防護用化合物を照射前に投与しさえすれば、指定した治療のコースと合致する任意のスケジュールで及び任意の線量で患者に施与することができる。この治療のコースは、患者ごとに異なり、当業者は、所定の臨床的状況における治療用照射の適当な線量及びスケジュールを容易に決定することができる。
【0080】
このα,β不飽和アリールスルホンは、該化合物が、患者の正常細胞に十分な濃度で到達してそれらの正常細胞における放射線防護効果を発揮することができるように、治療用照射より先に十分に投与すべきである。このα,β不飽和アリールスルホンは、照射の施与の約24時間程も前に(好ましくは、約18時間以内に)投与することができる。一具体例において、α,β不飽和アリールスルホンを、治療用照射の施与の、少なくとも約6−12時間前に投与する。最も好ましくは、このα,β不飽和アリールスルホンを、放射線曝露の約18時間前に一度投与し、約6時間前に再び投与する。少なくとも一種のα,β不飽和アリールスルホンを同時に投与することができ、又は異なるα,β不飽和アリールスルホンを治療中の異なる時点で投与することもできる。
【0081】
治療用照射を連続様式で施与する場合には、少なくとも一種のα,β不飽和アリールスルホンの投与を照射治療のスケジュール内に介在させるのが好ましい。上記のように、種々のα,β不飽和アリールスルホンは、治療中に同時に又は異なる時点で投与することができる。好ましくは、約24時間の期間が、α,β不飽和アリールスルホンの投与と治療用照射とを分ける。一層好ましくは、α,β不飽和アリールスルホンの投与と治療用照射は、約6−18時間だけ離される。この戦略は、治療用照射の抗癌活性に影響を与えずに放射線誘発性の副作用の有意の減少を生じる。
【0082】
例えば、0.1Gyの線量での治療用照射を、連続5日間にわたって毎日与えて、2日間休むように、全期間6−8週間にわたって与えることができる。少なくとも一種のα,β不飽和アリールスルホンを患者に、照射の各回の18時間前に投与することができる。しかしながら、正常細胞の防護のために、一層積極的な治療スケジュール(即ち、一層高投薬量の送達)が、本発明によって企図されているということは指摘されるべきである。従って、α,β不飽和アリールスルホンの放射線防護効果は、治療用照射の治療インデックスを増大させ、医者が、治療用放射線の線量を、周囲の正常な細胞及び組織の損傷を増大させる危険を伴わずに、現在推奨されているレベルを超えて安全に増大させることを可能にすることができる。
【0083】
この発明のα,β不飽和アリールスルホンは、更に、血液学的新生細胞又は骨髄に転移した腫瘍細胞を破壊するためにデザインされた放射線医学的治療から正常骨髄細胞を防護する際にも有用である。かかる細胞には、例えば、骨髄白血病細胞が含まれる。骨髄又は身体内の何処かにおけるこれらの細胞の出現は、様々な疾患例えば急性骨髄性白血病(AML)のFrench-American-British(FAB)亜型、慢性骨髄性白血病(CML)、及び急性リンパ性白血病(ALL)と関連している。特に、CMLは、血液、骨髄、脾臓、肝臓、及び他の組織における未熟な顆粒球(例えば、好中球、好酸球及び好塩基球)の異常な増殖及びこれらの組織における顆粒球前駆細胞の蓄積を特徴とする。かかる徴候を示す患者は、典型的には、血液1マイクロリットル中に20,000より多い白血球を有し、このカウントは、400,000を超えうる。事実上すべてのCML患者は、「ブラストクライシス」(該疾患の最終段階であり、未熟な芽細胞が、急速に増殖して死へと導く)を生じる。
【0084】
他の患者は、転移した腫瘍に苦しんでおり、全身照射(TBI)による治療を必要としている。TBIは、患者の造血細胞をも殺すので、患者の骨髄の一部を、後に再移植するために照射前に取り出す。しかしながら、転移した腫瘍細胞が、骨髄中に存在することはありそうなことであり、再移植は、しばしば、短期間での癌の再発を生じる。
【0085】
骨髄の新生物疾患又は転移した腫瘍を示す患者は、骨髄の一部を除去して(「採取」ともいう)、採取した骨髄から悪性の幹細胞を一掃して、その一掃した骨髄を再移植することにより治療することができる。好ましくは、この患者は、放射線療法又は他の抗該治療により同時に治療する。
【0086】
従って、この発明は、骨髄中の悪性細胞の数を減らす方法であって、患者の骨髄の一部を取り出し、有効量の少なくとも一種のα,β不飽和アリールスルホンを投与して、その処理した骨髄に十分な線量の電離放射線を、骨髄中の新生物細胞又は腫瘍細胞が殺されるように照射することを含む当該方法を提供する。ここで用いる場合、「悪性細胞」は、任意の制御不能に増殖する細胞例えば腫瘍細胞又は新生物細胞を意味する。α,β不飽和アリールスルホンは、骨髄中に存在する正常な造血細胞を電離放射線の悪影響から防護する。α,β不飽和アリールスルホンは又、悪性細胞に対する直接的殺害効果をも示す。骨髄中の悪性細胞の数は、再移植前に有意に減少し、それ故、再発が起きるのを最少にする。
【0087】
好ましくは、各α,β不飽和アリールスルホンは、約0.25〜100マイクロモルの一層好ましくは、約1.0〜50マイクロモルの、特に約2.0〜25マイクロモルの濃度で投与する。特に好適な濃度は、0.5、1.0及び2.5マイクロモル及び5、10及び20マイクロモルである。一層高い又は低い濃度を利用することもできる。
【0088】
α,β不飽和アリールスルホンは、採取した骨髄に直接加えることができるが、好ましくは、有機溶媒例えばジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させる。以下に一層詳細に記載したようなα,β不飽和アリールスルホンの医薬配合物も又、利用することができる。
【0089】
好ましくは、α,β不飽和アリールスルホンは、照射曝露の約20時間前に(好ましくは、照射曝露前約24時間以内に)、採取した骨髄に加える。一具体例において、α,βアリールスルホンを、採取した骨髄に、照射曝露の少なくとも6時間前に投与する。少なくとも一種のα,β不飽和アリールスルホンを同時に投与することができ、異なるα,β不飽和アリールスルホンは、異なる時点に投与することができる。他の投薬養生法も又利用することができる。
【0090】
患者を、一掃した骨髄細胞の再移植前に、電離放射線で治療すべき場合には、上記のように、その患者を、電離放射線を受ける前に一種以上のα,β不飽和アリールスルホンで処理することができる。
【0091】
患者は、背景の節で論じたように、職業的又は環境的線源からの電離放射線にも曝されうる。この発明の目的のために、この照射の線源は、その種類(即ち、急性か慢性か)及び患者により吸収される線量レベルほど重要ではない。下記の検討が職業的線源及び環境的線源の両者からの電離放射線曝露を包含するということは理解される。
【0092】
直ちに致命的とはならない電離放射線への急性又は慢性の曝露の効果に苦しんでいる患者は、治療できるダメージを有するといわれる。かかる治療できる放射線ダメージは、本発明の化合物及び方法によって軽減し又は排除することができる。
【0093】
治療できる放射線ダメージを引き起こしうる電離放射線の急性線量には、例えば、24時間以内で約10,000ミリレム(0.1Gy)〜1,000,000ミリレム(10Gy)の、好ましくは24時間以内で約25,000ミリレム(0.25Gy)〜200,000(2Gy)の、一層好ましくは、24時間以内で約100,000ミリレム(1Gy)〜150,000ミリレム(1.5Gy)の、局所的又は全身的線量が含まれる。
【0094】
治療できる放射線ダメージを引き起こしうる電離放射線の慢性線量には、24時間より長時間にわたる約100ミリレム(0.001Gy)〜10,000ミリレム(0.1Gy)の全身的線量、好ましくは、約1000ミリレム(0.01Gy)〜5000ミリレム(0.05Gy)の線量、又は24時間より長時間にわたる15,000ミリレム(0.15Gy)〜50,000ミリレム(0.5Gy)の局所的線量が含まれる。
【0095】
それ故、この発明は、電離放射線への急性又は慢性の曝露に由来する治療できる放射線ダメージを受けた個人を治療する方法であって、正常な細胞及び組織への放射線曝露の細胞傷害性効果を、有効量の少なくとも一種の放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物を投与することにより減じ又は排除することを含む当該方法を提供する。この化合物は、好ましくは、放射線曝露後できるだけ短時間(例えば、曝露後0−6時間)のうちに投与する。
【0096】
治療できる放射線ダメージは、患者において、細胞傷害性及び遺伝子毒性(即ち、反遺伝学的)効果の形態をとりうる。それ故、他の具体例において、正常な細胞及び組織に対する放射線曝露の細胞傷害性及び遺伝子毒性効果を減じ又は排除する方法であって、有効量の少なくとも一種の放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物を急性又は慢性の放射線曝露の前に投与することを含む当該方法を提供する。このα,β不飽和アリールスルホンは、例えば、放射線曝露の約24時間前(好ましくは、放射線曝露前約18時間以内)に投与することができる。一具体例において、このα,β不飽和アリールスルホンは、少なくとも放射線曝露の約6時間前に投与する。最も好ましくは、このα,β不飽和アリールスルホンは、放射線曝露の約18時間前に投与し、約6時間前に再投与する。少なくとも一種のα,β不飽和アリールスルホンを、同時に投与することができ、又は異なるα,βアリールスルホンを異なる時点で投与することもできる。
【0097】
複数の急性曝露が予想される場合には、α,β不飽和アリールスルホンを複数回投与することができる。例えば、もし消防士又は救助隊員が汚染された地域に複数回入らなければならないならば、α,β不飽和アリールスルホンを、各曝露前に投与することができる。好ましくは、約24時間の期間が、α,β不飽和アリールスルホンの投与と放射線曝露とを分ける。一層好ましくは、α,β不飽和アリールスルホンの投与と放射線曝露とは、約6乃至18時間により分けられる。原子力施設の労働者に、有効量のα,β不飽和アリールスルホンを、交替勤務の開始前に投与して電離放射線への曝露の影響を減じ又は排除するということも又、企図される。
【0098】
もし患者が、電離放射線に慢性的に曝露されると予想されるならば、α,β不飽和アリールスルホンを、予想される曝露の持続期間中、周期的に投与することができる。例えば、原子力施設の労働者又は放射性降下物で汚染された前線で行動する兵士には、放射線ダメージの影響を軽減するために、α,β不飽和アリールスルホンを24時間ごとに、好ましくは6−18時間ごとに与えることができる。同様に、α,β不飽和アリールスルホンを、放射性降下物に汚染された地域に生活している市民に、その地域が除染されるか又はそれらの市民が一層安全な環境に移送されるまで周期的に投与することができる。
【0099】
ここで用いる場合、「投与した」は、放射線防護の薬理学的効果が実現されるように、α,β不飽和アリールスルホンを患者に利用可能にすることを意味する。この薬理学的効果は、あるレベルの放射線曝露において予想される生理学的又は臨床的兆候のないことにより明らかとなる。当業者は、容易に、放射線誘導された効果の存否を、周知の実験室的及び臨床的方法により測定することができる。従って、このα,β不飽和アリールスルホン化合物は、患者において所望の放射線防護効果を引き起こすのに十分な任意の経路により投与することができる。投与経路には、例えば、腸内投与(例えば、経口、直腸、鼻腔内投与など)及び腸管外投与が含まれる。腸管外投与には、例えば、静脈、筋肉、動脈、腹腔内、膣内、嚢内(例えば、膀胱内)、皮内、局所又は皮下投与が含まれる。この発明の範囲内にやはり含まれるのは、制御された処方での、患者の身体における薬物の点滴注入法である(薬物の全身又は局所的放出により一層遅い時間に現われる)。例えば、α,β不飽和アリールスルホンのデポー剤は、患者に、放射線の施与の24時間以上前に投与することができる。好ましくは、少なくともα,β不飽和アリールスルホンの一部は、デポー剤中に保持され、放射線曝露の前の約6−18時間の時間帯まで放出されない。
【0100】
このα,β不飽和アリールスルホンは、少なくとも一種のα,β不飽和アリールスルホンを製薬上許容しうるキャリアーと共に含む医薬組成物の形態で投与することができる。かかる配合物中のα,β不飽和アリールスルホンは、0.1〜99.99重量パーセントを構成することができる。「製薬上許容しうるキャリアー」とは、配合物の他の成分と適合性であって患者に有害でない任意のキャリアー、希釈剤又は賦形剤を意味する。α,β不飽和アリールスルホンを含む適当な医薬組成物を配合することは、当業者の技能の内にある。
【0101】
例えば、α,β不飽和アリールスルホンは、医薬製剤の分野で標準的な仕方により医薬組成物に配合することができる。Alphonso Gennaro編、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18版、(1990) Mack Publishing Co., ペンシルベニア、Easton在を参照されたい。適当な医薬組成物には、例えば、錠剤、カプセル、溶液(特に、腸管外溶液)、トローチ、坐薬、又は懸濁液が含まれる。
【0102】
腸管外投与のためには、α,β不飽和アリールスルホンを、適当なキャリアー又は希釈剤例えば水、油、塩溶液、水性デキストロース(グルコース)及び関連糖溶液、シクロデキストラン又はグリコール例えばプロピレングリコール又はポリエチレングリコールと混合することができる。腸管外投与のための溶液は、好ましくは、製薬上許容しうる、α,β不飽和アリールスルホンの水溶性の塩を含む。安定剤、抗酸化剤及び防腐剤も加えることができる。適当な抗酸化剤には、亜硫酸塩、アスコルビン酸、クエン酸及びその塩、及びナトリウムEDTAが含まれる。適当な防腐剤には、塩化ベンザルコニウム、メチル又はプロピルパラベン及びクロルブタノールが含まれる。
【0103】
経口投与のために、α,β不飽和アリールスルホンを、錠剤、カプセル、又は他の適当な経口投薬形態の製剤のために、少なくとも一種の固体の不活性成分と合せることができる。例えば、この活性剤は、カルボキシメチルセルロースカルシウム、マグネシウムステアレート、マンニトール及び澱粉と合せることができ、次いで、慣用の錠剤化法によって錠剤に成形することができる。
【0104】
放射線防護の利益を得るためのα,β不飽和アリールスルホンの特定の投与量及びスケジュールは、当然、患者の大きさ、体重、年齢及び性別を含む個々の患者の特定の事情、治療すべき病気の性質及び段階、病気の病原力、及び投与経路、及び放射線の特異的毒性によって決定される。例えば、毎日、体重1kg当たり約0.01〜150mgの、一層好ましくは、毎日体重1kg当たり約0.05〜50mgの投薬量を用いることができる。特に好適なのは、毎日体重1kg当たり約1.0〜10.0mg(例えば、毎日体重1kg当たり約7.0mgの投与量)の投与量である。この投与量は、複数回の投与により例えば体重1kg当たり3.5mgの2回の投与を与えることができる。一層多めの又は少な目の投与量も又、企図される。
【0105】
このα,β不飽和アリールスルホンは、製薬上許容しうる塩の形態をとることができる。用語「製薬上許容しうる塩」は、アルカリ金属塩を形成するのに一般的に用いられ、又遊離酸又は遊離塩基の付加塩を形成するのに一般的に用いられる塩を包含する。この塩の性質は、臨界的でないが、但し、製薬上許容しうるものである。適当な製薬上許容しうる酸付加塩は、無機酸又は有機酸から製造することができる。かかる無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸及びリン酸である。適当な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸及びスルホン酸のクラスの有機酸から選択することができ、その例は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、サリチル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモイン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルジェン酸、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸及びガラクツロン酸である。適当な製薬上許容しうる塩基付加塩には、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から生成される金属塩又はN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、塩素、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)及びプロカインから生成される有機塩が含まれる。これらの塩のすべては、慣用の手段によって、対応するα,β不飽和アリールスルホンから、例えば適当な酸又は塩基をスルホン化合物と反応させることによって製造することができる。
【0106】
これらのα,βアリールスルホンは、少なくとも1つの二重結合の存在により生じるシス−トランス異性により特徴付けられる。これらの化合物は、Cahn-Ingold-Prelogシステム、IUPAC 1974 推奨、E項:立体化学、有機化学命名法、John Wiley & Sons, Inc., ニューヨーク、New York在、第4版、1992、p127−138。二重結合の周りのステアリン様関係は、「Z」又は「E」と呼ばれる。
【0107】
(E)−α,β不飽和アリールスルホンは、芳香族アルデヒドのベンジルスルホニル酢酸又はアリールスルホニル酢酸とのクネーベナーゲル縮合により製造することができる。この手順は、Reddy等、Acta.Chim.Hung.115:269-71(1984);Reddy等、Sulfur Letters 13:83-90(1991);Reddy等、Synthesis No. 4, 322-23(1984);及びReddy等、Sulfur Letters 7:43-48(1987)に記載されており、それらのすべての開示を本明細書中に参考として援用する。
【0108】
下記のスキーム1により、Ra及びRbは、各々、描かれた芳香核上の0〜5個の置換基を表している。説明の目的のために(制限のためではない)、アリール基は、フェニル基として表されており、即ち、この合成は、スチリルベンジルスルホンの製造により例示されている。従って、ベンジルチオ酢酸Bが、ナトリウムチオグリコレートとベンジルクロリドAとの反応により形成される。このベンジルチオ酢酸Bは、次いで、30%過酸化水素で酸化して対応するベンジルスルホニル酢酸Cを与える。ベンジルスルホニル酢酸Cの芳香族アルデヒドDとの、氷酢酸の存在下でのクネーベナーゲル反応による縮合は、所望の(E)−スチリルベンジルスルホンEを生じる。
【化11】
下記は、上記のスキームによる(E)−スチリルベンジルスルホンの一層詳細な二部よりなる合成手順である。
【0109】
一般的手順1: (E)−スチリルベンジルスルホンを合成する
A部.メタノール中の水酸化ナトリウム(8g、0.2モル)の溶液(200ml)に、チオグリコール酸(0.1モル)をゆっくり加えて、形成された沈殿をフラスコの内容物を攪拌することにより溶解させる。次いで、適当に置換したベンジルクロリド(0.1モル)を段階的に加えて、反応混合物を2−3時間環流する。冷却された内容物を、砕いた氷上に注ぎ、希塩酸(200ml)により中和する。その結果生成した対応するベンジルチオ酢酸(0.1モル)を、氷酢酸(125ml)中の30%過酸化水素(0.12モル)により、1時間環流することにより酸化する。内容物を冷却して、砕いた氷上に注ぐ。分離された固体を、温水から再結晶させて、対応する純粋なベンジルスルホニル酢酸を与える。
【0110】
B部.ベンジルスルホニル酢酸(10mモル)、適当に置換された芳香族アルデヒド(10mモル)及びベンジルアミン(0.2ml)の氷酢酸(12ml)中の混合物を、2−3時間にわたって環流する。内容物を、冷却して、冷エーテル(50ml)で処理する。沈殿した任意の生成物を濾過により分離する。濾液を一層多くのエーテルで希釈し、飽和重曹溶液(20ml)、重亜硫酸ナトリウム(20ml)、希塩酸(20ml) で連続的に洗い、最後に水(35ml)で洗う。乾燥エーテル含有層の蒸発は、スチリルベンジルスルホンを、固体物質として生じる。
【0111】
A部の別法によれば、適当なベンジルスルホニル酢酸は、チオグリコレートHSCH2COORをチオグリコール酸の代わりに用いることにより生成することができ、式中、Rは、アルキル基であり、典型的にはC1−C6アルキルである。これは、下記のアルキルベンジルチオアセテート中間体(F)の形成へと導く
【化12】
(これは、次いで、アルカリ又は酸加水分解によって、対応するベンジルチオ酢酸Bに変換される)。
【0112】
(E)−スチリルフェニルスルホン(式I:n=ゼロ;Q1、Q2=置換された又はされてないフェニル)を、一般的手順1の方法によって製造し、B部のベンジルスルホニル酢酸を適当な置換された又はされてないフェニルスルホニル酢酸で置換する。
【0113】
(Z)−スチリルベンジルスルホンを、適当なチオールの置換されたフェニルアセチレンへの親核付加及び生成したスルフィドのその後の過酸化水素による酸化により製造する。この手順は、一般的に、Reddy等、Sulfur Letters 13:83-90(1991)に記載されており、その完全な開示を参考として本明細書中に援用する。
【0114】
(Z)−スチリルベンジルスルホン合成の第一ステップにおいて、ベンジルメルカプタン又は適当に置換されたベンジルメルカプタンのナトリウム塩を、フェニルアセチレン又は適当な置換されたフェニルアセチレンと反応させ、対応するスチリルベンジルスルフィドの純粋な(Z)−異性体を良好な収率で形成する。
【0115】
この合成の第二ステップにおいて、(Z)−スチリルベンジルスルフィド中間体を、過酸化水素での処理により酸化して、純粋な(Z)−異性体型の対応するスルホンにする。
【0116】
下記は、(Z)−スチリルベンジルスルホン製造のための一層詳細な二部よりなる合成手順である:
手順2:(Z)−スチリルベンジルスルホンの合成
A部.(i)ナトリウム、(ii)置換された又はされてないベンジルメルカプタン(0.02モル)及び(iii)80mlの絶対メタノールの460mg(0.02g原子)から製造された、置換された又はされてないナトリウムベンジルチオレートの還流用メタノール性溶液に、新たに蒸留した置換された又はされてないフェニルアセチレンを加える。この混合物を、20時間還流し、冷却してから破砕氷の上に注ぐ。この粗生成物を濾過し、乾燥して、メタノール又は水性メタノールから再結晶させて、純粋な(Z)−スチリルベンジルスルフィドを生成する。
【0117】
B部.30mlの氷酢酸中の(Z)−スチリルベンジルスルフィド(3.0g)の氷冷溶液を、7.5mlの30%過酸化水素で処理する。反応混合物を1時間還流してから、破砕氷上に注ぐ。分離した固体を濾過し、乾燥して、2−プロパノールから再結晶して、純粋な(Z)−スチリルベンジルスルホンを生成する。これらの化合物の純度を薄層クロマトグラフィーにより確認し、幾何学的配置を、赤外線分析及び核磁気共鳴スペクトルデータにより与える。
【0118】
式IVのビス(スチリル)スルホンを、手順3によって製造する:
手順3
(E)(E)−及び(E)(Z)−ビス(スチリル)スルホンの合成
新たに蒸留したフェニルアセチレン(51.07g、0.5モル)に、メタノール(250ml)中の、チオグリコール酸(46g、0.5モル)及び水酸化ナトリウム(40g、1モル)から調製したナトリウムチオグリコレートを加える。この混合物を24時間還流して、冷却後に破砕氷(500ml)上に注ぐ。希塩酸(250ml)での中和後に形成されたスチリルチオ酢酸を濾過して乾燥する;収量88g(90%);m.p. 84−86℃。
【0119】
このスチリルチオ酢酸を、次いで、以下のように、スチリルスルホニル酢酸に酸化する。氷酢酸(35ml)中のスチリルチオ酢酸(5g、25mモル)と30%過酸化水素(15ml)との混合物を還流下で60分間加熱し、混合物を冷却後に破砕氷(200ml)上に注ぐ。分離した化合物を濾過して、温水から再結晶させて、(Z)−スチリルスルホニル酢酸の白色結晶薄片を与える;収量2.4g(41%);m.p.150−51℃。
【0120】
氷酢酸(6ml)中の(Z)−スチリルスルホニル酢酸(2.263g、10mモル)の溶液を、芳香族アルデヒド(10mモル)及びベンジルアミン(0.2ml)と混合して、3時間還流する。この反応混合物を冷却して、乾燥エーテル(50ml)で処理し、分離された任意の生成物を濾過により集める。濾液を、一層多くのエーテルで希釈して、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(15ml)、亜硫酸水素ナトリウム(15ml)、希塩酸(20ml)により連続的に洗い、最後に水(30ml)で洗う。乾燥エーテル層の蒸発は、(E)(Z)−ビス(スチリル)スルホンを生じる。
【0121】
(E),(E)−ビス(スチリル)スルホンを、上記と同じ手順に従って製造するが、但し、スルホニル二酢酸を()−スチリルスルホニル酢酸の代りに用い且つ2倍量の芳香族アルデヒド(20mモル)を用いる。
【0122】
式Vのスチリルスルホン(組織的に、2−(フェニルスルホニル)−1−フェニル−3−フェニル−2−プロペン−1−オンと同定される)を、手順4の方法A又は方法Bによって製造することができる:
手順4
2−(フェニルスルホニル)−1−フェニル−3−フェニル−2−プロペン−1−オンの合成
これらの化合物を、異なる反応条件、溶媒及び触媒を用いる2つの方法により合成する。
【0123】
方法A:フェナシルアリールスルホンを、α−ブロモアセトフェノン(0.05モル)及びナトリウムアリールスルフィナート(0.05モル)を無水エタノール(200ml)中で6−8時間還流させることにより生成する。冷却時に分離した生成物を濾過し、水で数回洗って、臭化ナトリウムを除去する。この生成物を、次いで、エタノールから再結晶させる:フェナシル−フェニルスルホン、m.p. 90−91℃;フェナシル−p−フルオロフェニルスルホン、m.p. 148−149℃;フェナシル−p−ブロモフェニルスルホン、m.p. 121−122℃;フェナシル−p−メトキシフェニルスルホン、m.p. 104−105℃;p−ニトロフェナシル−フェニルスルホン、m.p. 136−137℃。
【0124】
酢酸(10ml)中のフェナシルアリールスルホン(0.01モル)の溶液をアルアルデヒド(0.01モル)及びベンジルアミン(0.02ml)と混合し、3時間還流する。この溶液を冷却して、乾燥エーテル(50ml)を加える。このエーテル溶液を、希塩酸、10%NaOH水溶液、飽和NaHSO3溶液及び水で連続的に洗う。乾燥エーテル層の蒸発は、固体生成物を与え、それを再結晶により精製する。
【0125】
方法B:乾燥テトラヒドロフラン(200ml)を、窒素でフラッシュした500mlの三角フラスコにとる。これに、連続的に攪拌しながら、無水四塩化炭素中のチタン(IV)クロリドの溶液(11ml、0.01モル)を滴下して加える。このフラスコの内容物を、この添加の過程中、−20℃に維持する。フェナシルアリールスルホン(0.01モル)と芳香族アルデヒド(0.01モル)の混合物をこの反応混合物に加え、テトラヒドロフラン(8ml)中のピリジン(4ml、0.04モル)を、1時間にわたってゆっくりと加える。これらの内容物を10―12時間にわたって攪拌し、水(50ml)で処理してから、エーテル(50ml)を加える。このエーテル層を分離して、15mlの10%水酸化ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム飽和溶液及びブラインで洗う。乾燥エーテル層の蒸発は、2−(フェニルスルホニル)−1−フェニル−3−フェニル−2−プロペン−1−オンを生成する。
【0126】
この発明の実施を、以下の非制限的実施例により説明する。この発明の実施による、放射線防護剤としての利用のための、様々なα,β不飽和アリールスルホン活性剤の合成を、「合成例」として示す。他の材料は、「実施例」に含まれる。
【0127】
合成例1−19.表4に列記した化合物を、手順1、B部に従って表に示した反応物から合成した。各合成反応の収率及び合成例1−19で生成した化合物の融点を表5に列記する。合成例1−19の化合物の赤外線及び核磁気共鳴スペクトル分析を、表6に示す。
【0128】
【表4】
【0129】
【表5】
【0130】
【表6】
【0131】
合成例20−37.表7に列記した化合物を、手順1、B部に従って表に示した反応物から合成した。各合成反応の収率及び合成例20−37で生成された化合物の融点を表8に列記した。
【0132】
【表7】
【0133】
【表8】
【0134】
合成例38−57.表9に列記した化合物を、表に示した反応物から、先ず、手順2、A部に従って対応するスルフィドを形成し、次いで、そのスルフィドを手順2、B部に従ってスルホンに酸化することにより合成した。各合成反応には、金属ナトリウム(0.02g原子)が存在した。各合成反応の収率及び合成例38−57で生成された化合物の核磁気共鳴分光分析を表10に列記した。
【0135】
【表9】
【0136】
【表10−1】
【表10−2】
【0137】
合成例58−137.下記の表11a及び11bに列記した更なる(E)−α,β不飽和アリールスルホンを、適当なベンジルスルホニル酢酸とベンズアルデヒド又はアリールアルデヒドを手順1、B部に従って反応させることによって製造した。
【0138】
【表11−1】
【表11−2】
【0139】
【表12−1】
【表12−2】
【0140】
合成例138−210.下記式1aに従う更なる(E)−α,β不飽和アリールスルホン化合物の例を表12に与える。各化合物において、Q1又はQ2の一つは、フェニル又は置換されたフェニル以外である。各化合物は、適当なベンジルスルホニル酢酸又は(アリール)メチルスルホニル酢酸を、手順1、B部に従って、適当なベンズアルデヒド又はアリールアルデヒドと反応させることによって製造した。3−チオフェン−1,1−ジオキソエテニル化合物を、対応する3−チオフェンエテニル化合物から、氷酢酸(10ml)及び30%過酸化水素(1ml)中の3−チオフェンエテニル化合物の溶液を1時間還流した後に、冷却した内容物を破砕氷(100g)上に注ぐことにより製造した。分離した固体物質を濾過して2−プロパノールから再結晶させた。
【化13】
【0141】
【表13−1】
【表13−2】
【0142】
合成例211−219.合成例211−213は、手順3により製造される(E)(Z)−ビス(スチリル)スルホンの製法を例示する。合成例214−219は、手順4、方法1により生成される2−(フェニルスホニル)−1−フェニル−3−フェニル−2−プロペン−1−オンの製法を例示する。反応物及び表題化合物を、表13に与えた。収率(及び合成例219の融点)は、表14に与えた。合成例211−218の赤外線及び核磁気共鳴分光分析を、表15に与えた。
【0143】
【表14】
【0144】
【表15】
【0145】
【表16】
【0146】
実施例1:α,β−不飽和アリールスルホンの培養正常細胞に対する放射線防護効果
表16の化合物の培養正常細胞に対する放射線防護効果を下記のように評価した。
【0147】
正常二倍体肺細胞であるHFL−1細胞を24ウェル皿に、10mm2当たり3000細胞の細胞密度で、10%ウシ胎児血清及び抗生物質を補完したDMEM中にプレートした。表16に列記した試験化合物を、24時間後に、2.5〜20マイクロモルの選択した濃度(DMSOを溶媒として使用)で、これらの細胞に加えた。対照用細胞をDMSOのみで処理した。これらの細胞を試験化合物又はDMSOに24時間にわたって曝した。次いで、これらの細胞を、137セシウムを線源として装備したJ.L. Shepherd Mark I, Model 30−1照射装置を用いて、10Gy(グレイ)又は15Gyの電離放射線(IR)で照射した。
【0148】
照射後、試験細胞及び対照用細胞上の培地を取り出して、試験化合物又はDMSOを含まない新鮮な生育用培地で置き換えた。照射された細胞を、96時間にわたってインキュベートし、複製した細胞をトリプシン処理して、100mm2の組織培養皿に再プレートした。これらの再プレートした細胞を正常条件下で、1回新鮮な培地に換えて3週間にわたって生育させた。各100mm2の培養皿からのコロニーの数(生存細胞数を表す)を、これらの皿を下記のように染色することにより測定した。
【0149】
個々の放射線防護された細胞のクローンの外植に由来するコロニーを可視化して計数するために、培地を取り出して、プレートを室温でリン酸緩衝塩溶液で1回洗った。これらの細胞を1:10希釈した改変ギムザ染色液(Sigma)で20分間染色した。この染色を除去して、これらのプレートを水道水で洗った。これらのプレートを風乾し、各プレートに由来するコロニーの数を計数して、二連のプレートの平均値を決定した。
【0150】
結果を、表16に与えてある。「+」は、試験した濃度での2倍乃至4.5倍の放射線防護活性を示す。防護の倍率は、試験プレートに由来するコロニーの平均数を対照用プレートに由来するコロニーの平均数で除して決定した。
【0151】
【表17】
【0152】
実施例2:培養腫瘍細胞のα,β−不飽和アリールスルホンによる処理
A.α,β−不飽和アリールスルホンによる細胞の予備処理を用いる電離放射線による腫瘍細胞の殺害
正常繊維芽細胞には防護的な条件下での電離放射線による腫瘍細胞の殺害に対するα,β−不飽和アリールスルホンの効果を扱うために、下記の実験を実施した。DU145細胞(アンドロゲン陰性の前立腺癌細胞株)を、6ウェル皿に、1.0×105細胞/35mm2の細胞密度で、10%ウシ胎児血清及び抗生物質を補完したDMEM中にプレートした。化合物1(0.5μM、1.0μM及び2.5μM)及び化合物13(5.0μM、10.0μM及び20.0μM)(DMSO中、表16参照)を、これらの細胞に24時間後に別々に加えた。対照用細胞は、DMSOのみを受けた。これらのプレートを、20−24時間インキュベートし、これらの細胞を、5Gy又は10Gyで照射した。
【0153】
照射後に、培地を除去して、試験化合物又はDMSOを含まない新鮮な培地と置き換えた。これらの細胞を、96時間インキュベートし、生存細胞数をトリパンブルー排除により測定した。二連の生存細胞数の平均値を測定して、図1Aにプロットした(化合物1;5Gy)、1B(化合物1;10Gy)、2A(化合物13;5Gy)及び2B(化合物13;10Gy)。DMSOの棒は、DMSO処理後に生存している照射してない対照用細胞の数を示している。DMSO−RADの棒は、DMSO処理及び照射後に残っている生存している対照用細胞の数を表している。
【0154】
このデータは、正常ヒト肺繊維芽細胞において放射線防護を誘導したα,β不飽和アリールスルホンの添加が、腫瘍細胞株に対する電離放射線の殺害活性を低減させなかったということを明確に示している。腫瘍細胞殺害に対する小さいが一貫した追加的効果も見られる。これらのデータは、照射の20−24時間以上前に腫瘍細胞をこれらの試験化合物で処理した場合には、α,β不飽和アリールスルホンの放射線防護効果が、正常組織に特異的であり、IRによる腫瘍細胞殺害に干渉しないことを示唆している。
【0155】
B.IR処理後に加えたα,β−不飽和アリールスルホンの連続的存在下での電離放射線による腫瘍細胞殺害
正常細胞に放射線防護を与えるα,β−不飽和アリールスルホンが、IRによる腫瘍細胞殺害に干渉しないことを更に示すために、DU145細胞を、電離放射線処理の直後に実験中種々の濃度の化合物1又は化合物13(表16参照)で処理した。
【0156】
DU145細胞を、6ウェル皿に、1.0×105細胞/35mm2の細胞密度で、10%ウシ胎児血清及び抗生物質を補完したDMEM中にプレートした。これらのプレートを一晩インキュベートして、細胞を10Gyの電離放射線で照射した。化合物1(1.0μM及び2.0μM)又は化合物13(10.0μM及び20.0μM)(DMSO中)を、これらの細胞にIR処理後直ぐに加えた。各処理についての生存細胞の総数を、実施例2、A部に記載したようにして測定した。図3A(化合物1)及び3B(化合物13)は、腫瘍細胞の試験化合物への連続的曝露が、電離放射線による腫瘍細胞の殺害に干渉しないことを示している。このデータは又、2.0μMの化合物1又は20μMの化合物13での処理における追加的な腫瘍細胞殺害効果をも示している。これらのデータは、正常細胞に対する放射線防護を示すスチリル−ベンジル−スルホンが、電離放射線による腫瘍細胞殺害に干渉しないことを示唆している。
【0157】
実施例3:(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホンのマウスにおける毒性
10−12週齢の5匹のC57B6/Jマウス(Taconic)に、4mg/kgの投与量の(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホン(DMSO中)を、1日おきに18日間腹腔内投与した。これらの動物の体重及び大まかな病理をモニターしたが、治療過程において副作用は見られなかった。これらの5匹のマウスの平均体重(グラム)を時間(日数)に対して、図4にプロットしたが、これは、本質的に、実験中のこれらの動物の体重の変化を示していない。これらの結果は、α,β−不飽和アリールスルホンが長期間亜安全に投与できることを示唆している。
【0158】
実施例4:(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンでの予備処理による放射線傷害からのマウスの防護
10−12週齢のC57黒色マウス(Taconic)を、10匹ずつの2つの処理グループに分けた。一のグループは、「200×2」グループと呼ぶが、8Gyのガンマー線照射を受ける18時間前及び6時間前に、DMSOに溶解させた200マイクログラムの(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンの腹腔内注射を受けた(10mg/Kg 投与量、20gのマウスに基づく)。他のグループは、「500×2」と呼ぶが、8Gyのガンマー線照射を受ける18時間前及び6時間前に、DMSOに溶解させた500マイクログラムの(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンの腹腔内注射を受けた(25mg/Kg 投与量、20gのマウスに基づく)。16匹の対照用グループは、8Gyのガンマー線照射のみを受けた。対照グループと実験グループの死亡率を照射後40日間評価し、その結果を図5に示した。
【0159】
照射後20日目までに、対照用マウスは、80%の最大死亡率を示し;従って、8Gy線量のガンマー線照射は、LD80の線量と考えられる。対照的に、「200×2」グループは、このLD80の照射線量を受けた20日後に約50%しか死亡しておらず、「500×2」マウスは、約30%しか死亡していない。40日目までに、「200×2」グループは、最大死亡率約60%に達し、「500×2」グループは、最大死亡率約50%に達した。これらのデータは、マウスにおける照射毒性が、(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンでの予備処理によって有意に減少したことを示している。
【0160】
実施例5:放射線曝露後に与えた場合の、(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンのマウスにおける放射線防護効果
10−12週齢のC57B6/Jマウス(Taconic)を、それぞれ10匹及び9匹ずつの2つの処理グループに分けた。一のグループは、「200×2」グループと呼ぶが、8Gyのガンマー線照射を受ける18時間前及び6時間前に、DMSOに溶解させた200マイクログラムの(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンの腹腔内注射を受けた(10mg/Kg 投与量、マウスの体重を20gと仮定する)。他のグループは、「200Post」と呼ぶが、8Gyのガンマー線照射を受けた15分後に、DMSOに溶解させた200マイクログラムの(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンの腹腔内注射を受けた(10mg/Kg 投与量、20gのマウスに基づく)。16匹の対照用グループは、8Gyのガンマー線照射のみを受けた。対照用グループ及び実験グループの死亡率を、照射後40日間にわたって評価し、その結果を図6に示した。
【0161】
図6は、照射後の(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンでのマウスの処理が、放射線により誘発される死亡の、対照用動物と比較しての有意の遅延を生じたことを示している。照射後処理により与えられる放射線防護は、照射前処理により見られる程大きくはないが、(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンが、患者が放射線量を受けた後の放射線毒性効果の緩和に効果的である。
【0162】
実施例6:α,β不飽和アリールスルホンによる予備処理後の電離放射線への曝露の、正常及び悪性の造血前駆細胞の生長に対する効果
α,β不飽和アリールスルホンで予備処理した正常及び悪性の造血前駆細胞に対する電離放射線の効果を、照射後に予備処理した細胞のクローニング効率及び発生を評価することにより測定する。
【0163】
造血前駆細胞を得るために、ヒトの骨髄細胞(BMC)又は末梢血液細胞(PB)を、正常な健康な志願者又は急性若しくは慢性の骨髄性白血病(AML、CML)の志願者から、フィコール−ハイパーク密度勾配遠心分離により得て、造血前駆細胞を、CD34+細胞をイムノマグネチックビーズ(Dynal A.S., ノルウェー国、Oslo在)を用いて陽性選択することにより部分的に富化させることによって得る。これらのCD34+細胞を、補足したアルファ培地に懸濁させて、マウス抗HPCA−I抗体(1:20希釈)と共に、4℃で、穏やかにチューブを回転させながら45分間インキュベートする。細胞を、補足したアルファ培地中で3回洗ってから、ヤギ抗マウスIgG1のFc断片で被覆したビーズと共にインキュベートする(107のCD34+細胞当たり75μlのイムノビーズ)。45分間のインキュベーション(4℃)の後に、これらのビーズに結合した細胞を、磁気粒子濃縮装置を製造業者に指示されたように用いて陽性選択する。
【0164】
2×104のCD34+細胞を、5mlのポリプロピレンチューブ(Fisher Scientific,ペンシルベニア、Pittsburgh在)中で、2%ヒトAB血清及び10mM Hepes緩衝液を含む総量0.4mlのIscove改変ダルベッコ培地(IMDM)中でインキュベートする。α,β不飽和アリールスルホンをこれらの細胞に加える;例えば、3通りの異なる濃度(0.5μM、1.0μM及び2.5μM)の(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジル−スルホン又は3通りの異なる濃度(5.0μM、10.0μM及び20.0μM)の(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホン(DMSO中)をこれらの細胞に別々に加える。対照用細胞は、DMSOのみを受ける。これらの細胞を20−24時間インキュベートし、5Gy又は10Gyの電離放射線を照射する。
【0165】
照射直後に、培地を除去して、試験化合物及びDMSOを含まない新鮮な培地と置き換える。照射の24時間後に、治療対象細胞及び対照用細胞を、血漿凝塊中又はメチルセルロース培養中にプレートするために用意する。細胞(1×104CD34+細胞/皿)は、プレートする前には洗わない。
【0166】
クローニング効率及び処理した造血前駆細胞の発生の評価は、本質的に、Gewirtz等、Science 242, 1303-1306 (1988)(その開示を本明細書中に参考として援用する)に報告されたようにして行われる。
【0167】
実施例7:α,β不飽和アリールスルホンによる予備処理後の電離放射線による骨髄浄化
骨髄を患者の腸骨から、手術室で、標準的技術を用いて、全身麻酔下で採取する。複数の吸引をヘパリン化シリンジ中に行なう。患者が、体重1kg当たり約4×108〜8×108の処理された骨髄細胞を受けることができるように十分な骨髄を引き出す。従って、約750〜1000mlの骨髄を引き出す。この吸引した骨髄を直ちに、100mlの培地当たり10,000単位の防腐剤を含まないヘパリンを含む培地(TC−199、Gibco, ニューヨーク、Grand Island在)中に移す。この吸引した骨髄を、漸進的に細かくなる3種類のメッシュを通して濾過して、細胞の凝集、残骸お及び骨粒子のない細胞懸濁液を得る。この濾過した骨髄を、次いで、「バフィーコート」生成物(即ち、赤血球及び血小板を含まない白血球)を生成する自動化セルセパレーター(例えば、Cobe 2991 Cell Processor)にて更に処理する。このバフィーコート調製物を、次いで、更なる処理及び貯蔵のためのトランスファーパックに入れる。それを、浄化まで、標準的技術を用いて、液体窒素中に貯蔵することができる。或は、浄化を直ちに行なってから、浄化した骨髄を、移植の準備をするまで液体窒素中に凍結して保存することができる。
【0168】
浄化手順は、次のように行なう。バフィーコート標品中の細胞を調整して、細胞濃度を約2×107/ml(約20%の自己血漿を含むTC−199中)にする。α,β不飽和アリールスルホン例えば1−2マイクロモルの(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホン(DMSO中)又は10−20マイクロモルの(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホン(DMSO中)を、細胞懸濁液を含むトランスファーパックに加えて、37℃の水浴中で20−24時間穏やかに振盪しながらインキュベートする。次いで、これらのトランスファーパックを5−10Gyの電離放射線に曝す。組換えヒト造血成長因子例えばrH IL−3又はrH GM−CSFをこの懸濁液に加えて、造血新生物の生育を刺激し、それにより、それらの電離放射線に対する感受性を増大させることができる。
【0169】
次いで、これらの細胞を、液体窒素中で凍結し又は4℃で、約20%の自己血漿を含むTC−199中で1回洗う。洗った細胞を、次いで、患者に注入する。無菌条件下で作業し、すべての時点で徹底的な無菌技術を維持するように注意しなければならない。
【0170】
ここで検討したすべての参考文献を、参考として援用する。当業者は、本発明が、その固有のものと同様に、目的を実施し並びに言及した結果及び利点を得るためによく改作されるということを容易に認めるであろう。本発明は、その精神又は本質的特性から離れることなく他の特定の形態で具体化されうるので、この発明の範囲を示すものとしては、前述の明細書よりも添付の請求の範囲を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】図1A及び1Bは、それぞれ、5Gy及び10Gyの電離放射線の、DU145前立腺腫瘍細胞の生存力に対する、(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホンの存在下又は非存在下での効果を示している図である。
【図2】図2A及び2Bは、それぞれ、5Gy及び10Gyの電離放射線の、DU145前立腺腫瘍細胞の生存力に対する、(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンの存在下又は非存在下での効果を示している図である。
【図3】図3A及び3Bは、10Gyの電離放射線の、照射後、それぞれ、(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホン及び(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンで処理したDU145前立腺腫瘍細胞の生存力に対する効果を示している図である。
【図4】図4は、1日おきに4mg/kgの(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホンを18日間与えたC57B6/Jマウスの平均体重(グラム)対時間(日)のプロットである。
【図5】図5は、8Gyの電離放射線を受ける18時間及び6時間前に、(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンで予備処理したC57B6/JマウスのKaplan Meyerの生存プロットである。
【図6】図6は、8Gyの電離放射線を受けた後に、(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンで予備処理したC57B6/JマウスのKaplan Meyerの生存プロットである。
Claims (37)
- 電離放射線への曝露を受け又は受ける危険にある患者の正常細胞に対する電離放射線の効果を低減し又は除去する方法であって、その患者に、電離放射線への曝露の前又は後に、有効量の少なくとも一種の放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物を投与することを含む当該方法。
- 放射線防護用化合物が、(E)−3−フランエテニル−2,4−ジクロロベンジルスルホンである、請求項2に記載の方法。
- Q1及びQ2が、置換された又はされてないフェニルから選択される、請求項2に記載の方法。
- Q1aが、4−アルコキシフェニルであり、Q2aが、2,4,6−トリアルコキシフェニルである、請求項5に記載の方法。
- 放射線防護用化合物が、(E)−2,4,6−トリメトキシスチリル−4−メトキシベンジルスルホンである、請求項6に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホン、(E)−4−フルオロスチリル−4−トリフルオロメチルベンジルスルホン、(E)−4−フルオロスチリル−4−シアノベンジルスルホン、(Z)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホン、(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロフェニルスルホン及び(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンよりなる群から選択する、請求項9に記載の方法。
- 放射線防護用化合物が、(Z)−スチリル−(E)−2−メトキシ−4−エトキシスチリルスルホンである、請求項11に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露の前に投与する、請求項1に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露の少なくとも約6時間前に投与する、請求項15に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露前約24時間以内に投与する、請求項16に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露の約18時間前及び約6時間前に投与する、請求項15に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露後に投与する、請求項1に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露後0−6時間に投与する、請求項19に記載の方法。
- 増殖性疾患を治療する方法であって、下記を含む当該方法:
a)その患者に、有効量の少なくとも一種の放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物を投与し;そして
b)有効量の治療用電離放射線を施与する。 - 増殖性疾患が、癌である、請求項21に記載の方法。
- 癌又は他の増殖性疾患の治療に用いられる治療用電離放射線の線量を安全に増大させる方法であって、有効量の少なくとも一種の放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物を、治療用電離放射線の施与の前に投与することを含み、該放射線防護用化合物が患者の正常組織における一時的な放射線耐性表現型を誘導する、当該方法。
- 電離放射線への曝露による治療できる放射線傷害を受けた又は受ける危険にある個人を治療する方法であって、有効量の少なくとも一種の放射線防護用α,β不飽和アリールスルホン化合物を、電離放射線への曝露による治療できる放射線傷害を受ける前又は受けた後に投与する当該方法。
- 放射線防護用化合物を、(E)−4−フルオロスチリル−4−クロロベンジルスルホン及び(E)−4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホンよりなる群から選択する、請求項21、23又は24に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露による治療できる放射線傷害を受ける前に投与する、請求項24に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露による治療できる放射線傷害を受ける少なくとも約6時間前に投与する、請求項26に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露による治療できる放射線傷害を受ける前24時間以内に投与する、請求項27に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露による治療できる放射線傷害を受ける約18時間前及び約6時間前に投与する、請求項26に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露による治療できる放射線傷害を受けた後に投与する、請求項24に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露による治療できる放射線傷害を受けた後約0−6時間に投与する、請求項30に記載の方法。
- 患者の骨髄中の悪性細胞の数を減少させる方法であって、下記を含む当該方法:
(1)患者の骨髄の一部を取り出し;
(2)有効量の少なくとも一種の放射線防護用α,β不飽和アリールスルホンをその骨髄に投与し;
(3)その骨髄に有効量の電離放射線を照射する。 - 骨髄を患者に再移植することを更に含む、請求項32に記載の方法。
- 患者が、骨髄の再移植の前に治療用電離放射線を受け、且つその前に少なくとも一種の放射線防護用α,β不飽和アリールスルホンを投与される、請求項32に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、骨髄を電離放射線に曝す少なくとも約6時間前に投与する、請求項32に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露の約20時間前に投与する、請求項32に記載の方法。
- 放射線防護用化合物を、電離放射線への曝露の約24時間前に投与する、請求項32に記載の方法。
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