JP2004524528A - 放射減衰操作 - Google Patents
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Abstract
分子の蛍光強度を増加するための組成物および方法が提供される。特に、生体分子および低量子収量発蛍光団の内因性蛍光の増加に関する組成物および方法が記載される。生体分子の内因性蛍光は、金属粒子および生体分子を、生体分子の放射減衰速度を増加するのに十分な距離、離れて配置することによって増加する。核酸の同定のための方法もまた提供される。標識生体分子に使用される外因性プローブのような任意の発蛍光団の放射を増加するための組成物および方法もまた使用され得る。
Description
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2001年2月14日に出願された米国仮出願番号60/268,326、表題「RADIATIVE DECAY ENGINEERING」に対して、優先権の利益を主張する。
【0002】
(連邦に助成された研究に関する陳述)
NIH National Center for Research Resourceによって交付された助成金番号RR−08119の下で、米国政府は、一部、本発明を導く研究を支援した。従って、米国政府は、本発明に対して特定の権利を有し得る。
【0003】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、分子の蛍光を増大させ、そして検出するための組成物および方法に関し、特に、生体分子の内因性の蛍光を増大させるための組成物および方法に関する。本発明はまた、生体分子の蛍光を増大および検出することによる、生体分子の検出のための方法および組成物に関する。
【0004】
(2.関連技術の記載)
蛍光技術の使用は、特定の分子を検出する能力を大いに増強し、診断における迅速な進歩を導いた。例えば、蛍光検出は、蛍光技術を使用して得られる高感度に起因して、医療用試験およびDNA分析において広く使用される。少数の分子は、蛍光技術を使用して検出され得る。代表的には、外因性の発蛍光団を共有結合的または非共有結合的に付加して、元々蛍光性でないか、または以前には商業的に有用なレベルで蛍光ではない分子が検出されることを可能にする。生体分子(例えば、DNA)は、元々、検出可能なレベルで蛍光性ではなく、外因性の発蛍光団がDNAに付加されて、ゲル上のDNAの検出(Bensonら(1993)Nucleic Acids Res.21、5720−5726;Bensonら(1995)Ananl.Biochem.231、247−255)、DNA配列決定(Smithら(1986)Nature 321、674−679;Proberら(1987)Science 238、336−343;Liら(1999)Bioconjugate Chem.10、241−245)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(Denijnら(1992)APMIS 100、669−681;Wiegantら(2000)Genome Res.10、861−865)および遺伝子発現のDNAアレイの読み取り(Lipshutzら(1999)Nat.Genet.補遺1、20−24;Fereaら(1999)Curr.Opin.Genet.Dev.9、715−722)を容易にする。DNAは、260nm付近のUV領域で吸収するので、外因性発蛍光団は、DNAと共に使用される。UV固体レーザーが利用可能になったので、短い吸収波長は、現在、あまり障害ではない。それにも関わらず、DNAからの内因性の蛍光は、10−4〜10−5の低量子収量に起因して、実用的な有用性はほとんどない(Vignyら(1974)Photochem.Photobiol.20、345−349;Morganら(1980)Photochem.Photobiol.31、101−113)。DNA、ヌクレオチドおよび核酸塩基からの内因性の放射は非常に弱いので(Kneippら(1999)Curr.Science 77、915−924;Nieら(1997)Science 275、1102−1106;Michaelsら(1999)J.Am.Chem.Soc.121、9932−9939)、現在の計測器を使用しても、内因性の蛍光を観察するのは困難である(Gerstenら(1985)Surface Science 158、165−189;Lakowicz(2001)Anal.Biochem.298、1−24)。
【0005】
分子の存在を検出するために使用されるいくつかの蛍光技術としては、共鳴エネルギー移動(RET)、免疫蛍光アッセイおよび蛍光インサイチュハイブリダイゼーションが挙げられる。目的の分子の検出は、一般に、使用される発蛍光団の特性によって制限される。いくつかの場合、生体分子を外因性発蛍光団で標識することは、生体分子の生物学的活性を変更させ得、実験上のアーチファクトを生じる可能性がある。現在の蛍光技術に伴う問題は、一部、一般に使用される発蛍光団の低い蛍光強度に起因する。さらに、バックグラウンドの蛍光は、いくつかの発蛍光団によって必要とされる低波長励起放射線を使用する場合、または大量の発蛍光団が必要とされる場合、有意であり得る。
【0006】
蛍光色素をマーカーとして使用するDNA配列決定技術は、可視の範囲に極大発光スペクトルを有し、DNAは、可視スペクトルでの照射に供され、そして可視スペクトル検出器および光源が使用される。一般的に、光電子増幅管が検出のために使用される。結果として、これらのDNA配列決定技術は、代表的に可視領域の光スペクトルで放射する蛍光マーカーを励起するために使用されるレーザーの高い費用から生じる高い費用、および生体分子によるバックグラウンドの干渉に起因するシグナルに対する高いノイズ比を含む、いくつかの欠点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、生体分子の蛍光強度を増大するための組成物および方法についての必要性が存在する。
【0008】
また、生体分子の内因性蛍光を増大するための組成物および方法についての必要性が存在する。
【0009】
ある量の励起放射線に応答する生体分子の蛍光放射強度を操作するための組成物および方法についての、別の必要性が存在する。
【0010】
生体分子の放射減衰速度を操作するための方法および組成物についての、なお別の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の簡単な要旨)
本発明の1つの局面は、金属粒子と組み合わせた生体分子に関し、ここで、この金属粒子および生体分子は、ある量の励起電磁放射線に応答する生体分子からの電磁放射の内因性の放射を増強するに十分離れた距離で位置付けられる。例示的な生体分子としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:プリン、ピリミジン、核酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、RNA、DNA、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、ビタミン、脂質、炭水化物、ステロイドおよび抗体。例示的な金属としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、銅、オスミウム、イリジウム、白金および金。本発明は、生体分子の蛍光強度が、生体分子と金属粒子との間の距離を変化させることによって操作され得るという驚くべき発見を記載する。本発明の範囲内に、生体分子の内因性蛍光および外因性プローブで標識された生体分子の蛍光を増加させることが含まれることは、当業者に明らかである。生体分子の外因性蛍光としては、生体分子に結合体化した発蛍光団の蛍光が挙げられるが、これに限定されない。このような外因性発蛍光団は、生体分子に共有結合または非共有結合により結合され得る。本発明の他の局面は、生体分子を検出するための新規の組成物および方法を記載する。生体分子の蛍光強度が増大する場合、ノイズに対するシグナルの比は増大するので、本発明は、バックグラウンドの蛍光に関連する問題を克服する。さらに、高価なレーザーは必要なく、それによってコストを減少させる。外因性発蛍光団は、生体分子の蛍光アッセイを、より迅速かつ安価にするために、必要とされなくてもよい。
【0012】
本発明の別の局面は、生体分子の内因性の蛍光を増大させるための方法を提供し、この方法は、ある量の励起放射線に応答する、生体分子からの電磁放射を増大させるに十分離れた距離で、金属粒子および生体分子を位置付ける工程を包含する。本発明が、任意の開示された実施形態において、生体分子を金属粒子に近接して位置付けることか、または金属粒子を生体分子に近接して位置付けることを含むことが理解される。
【0013】
本発明のなお別の局面は、生体分子を検出するための方法を提供し、この方法は、生体分子からの電磁放射を操作するに十分離れた距離で、金属粒子および生体分子を位置付ける工程、この生体分子をある量の励起放射線に曝露する工程、および生体分子からの電磁放射を検出する工程を包含する。
【0014】
なお別の局面は、生体分子の蛍光強度を操作するための方法を提供し、この方法は、生体分子を金属粒子に近接して位置付けることによって、生体分子の放射減衰速度を増大させる工程、およびこの生体分子をある量の励起放射線に曝露する工程を包含する。放射減衰速度を増大させることによって、生体分子の蛍光強度は、増大され得る。
【0015】
本発明の別の局面は、サンプル中の核酸配列の存在を検出するための方法を開示し、この方法は、サンプルを提供する工程、金属粒子に連結した核酸を添加する工程、サンプルをある量の励起放射線に曝露する工程、蛍光を検出する工程および蛍光検出に基づいて、核酸配列の存在を決定する工程を包含する。
【0016】
なお別の局面は、蛍光標識された生体分子の蛍光強度を増大させるための方法を提供し、この方法は、生体分子を発蛍光団標識する工程、ある量の励起放射線に応答して、発蛍光団が放射を発するように、標識した生体分子を、金属粒子の隣に位置付ける工程、を包含する。
【0017】
なお別の局面は、蛍光標識された生体分子上の共鳴エネルギー移動を増大させるための方法を提供し、この方法は、ドナー発蛍光団で第一の生体分子を標識する工程、アクセプター発蛍光団で第二の生体分子を標識する工程、ある量の励起放射線に応答して、ドナー発蛍光団がアクセプター発蛍光団へとエネルギーを移動させてアクセプター発蛍光団が電磁放射を発するように、第一の標識生体分子および第二の標識生体分子の両方を、金属粒子に近接して位置付ける工程、を包含する。
【0018】
別の局面は、蛍光標識した生体分子上の共鳴エネルギー移動を増大させるための方法を提供し、この方法は、生体分子をドナー発蛍光団およびアクセプター発蛍光団で標識する工程、ある量の励起放射線に応答して、ドナー発蛍光団がアクセプター発蛍光団へとエネルギーを移動させてアクセプター発蛍光団が電磁放射を発するように、標識した生体分子を金属粒子に近接して位置付ける工程、を包含する。
【0019】
本発明の別の局面は、発蛍光団の蛍光強度を増大させるための方法を提供し、この方法は、発蛍光団を金属粒子に近接して位置付ける工程、および複数の光子で発蛍光団を励起する工程(このプロセスは、多光子励起と呼ばれる)を包含する。
【0020】
本発明の別の局面は、生体分子の蛍光強度を増大させるための方法を提供し、この方法は、金属粒子に近接して生体分子を位置付ける工程、および複数の光子でこの生体分子を励起する工程を包含する。
【0021】
本発明のなお別の局面は、サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法を提供し、この方法は、サンプル中の目的の領域に対して、金属粒子を向ける工程、およびサンプル中に、ある量の励起放射線を提供する工程を包含する。
【0022】
本発明の別の局面は、サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法を提供し、この方法は、サンプル中の目的の領域に対して、金属粒子を向ける工程、このサンプルを発蛍光団と接触させる工程、およびこのサンプルを、ある量の励起放射線に曝露する工程を包含する。
【0023】
本発明をよりよく理解するために、本発明の他の目的およびさらなる目的と共に、添付の図面と組合わせて、以下の記載に対して参照がなされ、そして本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲において示される。
【0024】
(発明の詳細な説明)
(略語)
AO アクリジンオレンジ
BF 塩基性フクシン(Basic Fucsin)
bpy 2,2’−ビピリジン
CT 仔ウシ胸腺
DAPI 4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール
dppz ジピリド[3,2−a:2’,3’−c]フェナジン
DMF ジメチルホルムアミド
ErB エリトロシンB
phen 9,10−フェナントロリン
prodan 6−プロピオニル−2−(ジメチルアミノ)ナフタレン
Py2 ピリジン2
R6G ローダミン6G
RhB ローダミンB
RB ローズベンガル
RET 共鳴エネルギー移動
SERS 表面増強ラマン散乱
SIF 銀アイランドフィルム
SR101 スルホローダミン101
A アクセプター
D ドナー
DAPI 4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール
FD 周波数−ドメイン
PI ヨウ化プロピジウム
RET 共鳴エネルギー移動
(定義)
用語「発蛍光団」は、その物質が異なる波長(励起波長)の放射線によって照射された場合に、特定の波長(発光波長)において光として電磁エネルギーを放射する任意の物質を意味する。外因性発蛍光団は、別の物質に結合する発蛍光団をいう。内因性発蛍光団は、発蛍光団自体である物質をいう。例示的な発蛍光団としては、Molecular Probes Catalogue(これは、本明細書中に参考として援用される)に列挙される発蛍光団が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な発蛍光団としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Alexa Fluor(登録商標)350、Dansyl Chloride(DNS−Cl)、5−(ヨードアセタミダ)フルオレセイン(5−(iodoacetamida) フルオレセイン)(5−IAF);フルオレセイン5−イソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミン5−(および6−)イソチオシアネート(TRITC)、6−アクリロイル−2−ジメチルアミノナフタレン(アクリロダン(acrylodan))、7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3,−ジアゾール−4−イルクロリド(NBD−Cl)、臭化エチジウム、Lucifer Yellow、5−カルボキシローダミン6Gハイドロクロリド、LissamineローダミンBスルホニルクロリド、Texas RedTMスルホニルクロリド、BODIPYTM、ナフタルアミンスルホン酸(1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸(ANS)および6−(p−トルイジニル)ナフタレン−2−スルホン酸(TNS)を含むが、これらに限定されない)、Anthroyl脂肪酸、DPH、パリナン酸(Parinaric acid)、TMA−DPH、フルオレニル脂肪酸、フルオレセイン−ホスファチジルエタノールアミン、Texas red−ホスファチジルエタノールアミン、ピレニル−ホスファチジルコリン、フルオレニル−ホスファチジルコリン、メロシアニン(Merocyanine)540、1−(3−スルホナトプロピル)−4−[β−[2[(ジ−n−ブチルアミノ)−6ナフチル]ビニル]ピリジニウムベタイン(ナフチルスチリル)、3,3’ジプロピルチアジカルボシアニン(dipropylthiadicarbocyanine)(diS−C3−(5))、4−(p−ジペンチルアミノスチリル)−1−メチルピリジニウム(di−5−ASP)、Cy−3ヨードアセトアミド、Cy−5−N−ヒドロキシスクシンイミド、Cy−7−イソチアシアネート、ローダミン800、IR−125、チアゾールオレンジ、Azure B、Nile Blue、Al フタロシアニン、Oxaxine 1、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、Hoechst 33342、TOTO、アクリジンオレンジ、エチジウムホモダイマー、N(エトキシカルボニルメチル)−6−メトキシキノリニウム(MQAE)、Fura−2、カルシウムグリーン、カルボキシSNARF−6、BAPTA、クマリン、フィトフルオル(phytofluor)、Coronene、および金属−配位子錯体。代表的な内因性発蛍光団としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:芳香族環構造を有する有機化合物(NADH、FAD、チロシン、トリプトファン、プリン、ピリミジン、脂質、脂肪酸、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、糖、およびビタミンが挙げられるが、これらに限定されない)。さらなる適切な発蛍光団としては、酵素−補因子;ランタニド、緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、またはこれらの変異体および誘導体が挙げられる。
【0025】
用語「生体分子」は、天然に存在する任意の炭素ベースの分子またはこのような分子の誘導体を意味する。生体分子は、活性形態であっても不活性形態であってもよい。「活性形態」は、生物学的機能を実行し得る形態の生体分子を意味する。「不活性形態」は、その生体分子が生物学的機能を実行し得る前に天然または合成のいずれかで処理されなければならない生体分子を意味する。例示的な生体分子としては、核酸、芳香族炭素環構造、NADH、FAD、アミノ酸、炭水化物、ステロイド、フラビン、タンパク質、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、脂肪酸、グルコースなどの糖群、ビタミン、補因子、プリン、ピリミジン、ホルミシン(formycin)、脂質、フィトクロム、フィトフルオル(phytofluor)、およびフィコビリプロプテイン(phycobiliproptein)が挙げられる。
【0026】
用語「一定量の励起放射線」は、分子に放射を放出させるある一定量の放射線を意味する。
【0027】
(例示的な実施形態)
本発明の1つの実施形態は、金属粒子と組み合わせた生体分子に関し、ここで、この金属粒子および生体分子は、一定量の励起電磁放射線に応答した生体分子からの電磁放射の内因性放出を調節する(好ましくは、増強する)に十分な距離離れて配置される。例示的な生体分子としては、プリン、ピリミジン、核酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、RNA、DNA、アミノ酸、フラビン、タンパク質、ペプチド、ビタミン、脂質、抗体、および芳香族炭素環構造が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましい生体分子および発蛍光団は、約0.8未満、より好ましくは約0.5未満、そして最も好ましくは約0.2未満の量子収量を有する。例示的な金属としては、銅および貴金属(例えば、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、および金)が挙げられる。同様に、別の実施形態は、金属表面と組み合わせた生体分子を含む組成物を提供し、ここで、この金属表面および生体分子は、一定量の励起電磁放射線に応答した生体分子からの電磁放射の内因性放出を調節する(好ましくは、増強する)に十分な距離離れて配置される。さらに、金属表面が過ヨウ素酸金属表面であり得る別の実施形態を提供する。
【0028】
本発明は、生体分子の蛍光強度が、生体分子と金属粒子との間の距離を変化させることによって操作され得るという驚くべき発見に基づく。実際に、生体分子の内因性蛍光は、その生体分子が金属粒子に近接して配置された場合、少なくとも約80倍〜約140倍増加され得るということが発見されている。好ましくは、その金属粒子と生体分子とは、約50Å〜約2000Å、最も好ましくは約50Å〜約200Åの距離が離れている。別の実施形態において、金属粒子は、波長より小さい(sub−wavelength)大きさであり、代表的に約50Å〜約300Åの範囲である。金属粒子は、長球状であっても、楕円状であっても、任意の他の外面的形態であってもよい。金属粒子は、コロイド中に懸濁され得るか、またはコロイド、合金、または1つより多くの金属と組み合わされ得る。金属粒子は、薄いフィルムとして表面上に配置され得るか、または表面に沈積されて小さいアイランド(island)を形成する。この表面は金属性であっても非金属性であってもよい。さらに、金属粒子は、ポリマー、ゲル、接着剤、酸化物、または生物学的材料でコーティングされ得る。例示的なコーティングとしては、表面または他の分子への金属粒子の結合を増加させる物質が挙げられる。1つの実施形態において、金属粒子は、非金属性分子および生体分子への結合を促進するように、その表面上で改変され得る。例示的な実施形態において、金属粒子(好ましくは、貴金属、最も好ましくは銀)は、表面上で化学的に還元される。化学還元は、公知の技術を用いて達成され得る。例示的な表面としては、ガラスまたは石英が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
別の実施形態において、生体分子および金属粒子は、生体分子の内因性蛍光に対して所望の効果を有するのに十分な長さの中間物を介して互いに結合され得る。この結合は共有結合的であっても非共有結合的であってもよい。さらに、金属および生体分子は、安定に連結され得るか、またはこれら2つが化学反応、酵素反応、または光反応の結果として分離され得るように連結され得る。例えば、金属粒子に連結された生体分子は、細胞、細胞オルガネラ、または他の区画内に内在化され得る。一旦内在化されると、連結した生体分子は、酵素反応または化学反応に供されて、金属粒子のその生体分子からの完全な分離を生じる。例示的な酵素反応としては、非特異的エステラーゼ反応が挙げられるが、これに限定されない。そして例示的な化学反応としては、加水分解、酸化、または置換が挙げられるが、これらに限定されない。一旦分離されると、この生体分子は検出不可能になり得るか、または検出しにくくなり得る。なぜなら、この内因性蛍光は、その金属粒子によってもはや増幅されないからである。生体分子の内因性蛍光がクエンチされることが所望される場合、生体分子および金属粒子は、約0〜50Å未満の距離で離され得る。生体分子の内因性蛍光が増加される場合、生体分子および金属粒子は、約50Å〜約2000Å、より好ましくは約50Å〜約200Åの距離で離れて得る。従って、生体分子の蛍光強度は、金属粒子と生体分子とを隔てている距離を変化させることによって操作され得る。
【0030】
本発明の範囲が、生体分子の外因性蛍光および生体分子の内因性蛍光を増加する工程を包含することが、当業者によって理解される。生体分子の外因性蛍光は、生体分子に結合した発蛍光団の蛍光が挙げられるがこれに限定されない。このように結合した発蛍光団が、生体分子に共有結合的にまたは非共有結合的に結合され得る。本発明の蛍光強度の増加または減少は、生体分子または発蛍光団が金属粒子の非存在下での生体分子または発蛍光団の内因性蛍光強度または外因性蛍光強度と比較して、金属粒子と組み合わされた場合の、内因性蛍光強度または外因性蛍光強度における増加または減少を意味する。
【0031】
本発明の別の実施形態は、生体分子の内因性蛍光を増加するための方法を提供し、この方法は、生体分子および金属粒子を、一定量の励起放射線に応答した生体分子からの電磁放射を増加するのに十分な距離、離れて配置する工程、を包含する。本発明が、任意の開示された実施形態において、金属粒子に近接して生体分子を配置する工程または金属粒子を生体分子に近接して配置する工程を包含することが理解される。例示的な実施形態において、生体分子および金属粒子が、生体分子の内因性蛍光を増加するために、約50Å〜約2000Å、好ましくは、約50Å〜約200Åの距離で分離されるか、または内因性蛍光がクエンチされる場合、約50Å未満の距離で分離される。他の実施形態において、金属粒子は、表面に固定され得、そして生体分子は、このような表面に近接して配置され得る。このような表面は、キュベットの一部を形成し得るか、またはキュベット内に配置され得る挿入物であり得る。
【0032】
生体分子または金属粒子を所望の距離で配置することは、2つを物理的に連結させるリンカーを使用して達成され得る。リンカーは、1つの介在する原子または分子(好ましくは、少なくとも1つの炭素原子の炭素鎖)であり得る。他のリンカーとしては、少なくとも1つのアミノ酸が挙げられるがこれに限定されない。さらに、当該分野で公知の他の化学リンカーが使用され得る。リンカーは、蛍光に対する所望の効果に依存して、任意の長さ(好ましくは、約200Åまで)であり得る。他の実施形態において、金属粒子は、電磁力、荷電場、重力または他の公知の方法を使用して生体分子に近接して配置され得る。1つの例において、金属粒子の位置、または連結された生体分子および金属粒子の位置を操作するために電圧が制御され得る。あるいは、生体分子は、電磁場、電流、電圧、または重力を使用して配置され得る。
【0033】
本発明のなお別の実施形態は、生体分子を検出するための方法を提供し、この方法は、生体分子および金属粒子を、生体分子からの電磁放射を操作するのに十分離れた距離で配置する工程、生体分子を一定量の励起放射線に暴露する工程、および生体分子からの電磁放射を検出する工程を包含する。蛍光のモニタリング、検出および定量は、当該分野において公知である。例えば、Joseph R.Lakowicz.Principles in Fluorescence Spectroscopy,Plenum Publishers 1999(これは、その全体が本明細書中において参考として援用される)を参照のこと。
【0034】
簡単に述べると、蛍光は、デバイス(光源および検出器を有する分光蛍光計が挙げられるがこれに限定されない)を使用して検出され得る。光源としては、アーク燈およびレーザーが挙げられ得る。検出器は、光電子増倍管が挙げられ得る。さらに、特定の波長の光が分子を励起するため、または特定の波長で放射を検出するために使用され得るように、モノクロメーターを有するデバイスが有利である。発蛍光団を含むサンプルが分光蛍光計に配置され、そして一定量の励起放射線に暴露される場合、発蛍光団が、光電子増倍管によって検出される放射を発する。生体分子の蛍光強度は、金属粒子と生体分子との間の距離が、約50Å〜約2000Å、好ましくは、約50Å〜約200Åである場合、一定量の励起放射線に応答して増加し得る。あるいは、生体分子の蛍光強度は、生体分子と金属粒子との間の距離が約50Å未満である場合、減少され得る。
【0035】
なお別の実施形態は、生体分子の蛍光強度を操作するための方法を提供し、この方法は、生体分子を金属粒子に近接して配置することによって、生体分子の放射減衰速度を増加させる工程、およびこの生体分子に一定量の励起放射線に暴露する工程を包含する。放射減衰速度を増加することによって、生体分子の蛍光強度は、増加し得る。生体分子と金属粒子とを分離する距離を操作することによって、生体分子の放射減衰がまた操作され得ることが発見された。
【0036】
本発明の別の実施形態は、サンプル中の核酸配列の存在を検出するための方法を開示し、この方法は、サンプルを提供する工程、金属粒子に連結された核酸配列を添加する工程、このサンプルを一定量の励起放射線に暴露する工程、蛍光を検出する工程、および蛍光の検出に基づいて、核酸配列の存在を決定する工程、を包含する。1つの実施形態において、金属粒子に連結された核酸配列は、一本鎖である。他の実施形態において、金属粒子に連結された核酸配列は、二本鎖である。好ましい実施形態において、金属粒子に連結された核酸配列は、200塩基対長未満であり、より好ましくは、100塩基対長未満であり、最も好ましくは50塩基対長未満であり、さらにより好ましくは、約20以下の核酸長である。核酸は、デオキシリボ核酸、リボ核酸、または化学的に改変された核酸(例えば、ペプチド核酸など)であり得る。
【0037】
核酸のハイブリダイゼーションのための方法は、当該分野において公知である。例えば、biochem.roche.com/prod inf/manuals/insitu/insi toc.htmにおけるNonradioactive In Situ Hybridization Application Manual(これは、「その全体が参考として援用される)を参照のこと。歴史的に、ハイブリダイズされた核酸の検出は、核酸サンプルにハイブリダイズするための標識された核酸プローブを使用した。例えば、サザンブロット技術において、核酸サンプルは、サイズに基づいてアガロース中で分離され、そして膜に固着され、変性され、そしてハイブリダイゼーション条件下で標識された核酸プローブに暴露される。標識された核酸プローブが、ブロット上の核酸とハイブリッドを形成する場合、標識は、膜に結合する。サザンブロットに使用されるプローブは、放射能、蛍光色素、ジゴキシゲニン、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびアクリジニウムエステルを用いて標識されている。
【0038】
本発明は、核酸の内因性蛍光を増加することによる、核酸配列の検出のための新規な方法を開示する。この増加は、核酸を金属(好ましくは、貴金属)に連結することによって達成される。本発明は、外因性プローブの使用を必要としない。むしろ、金属粒子に連結される核酸が金属粒子がサンプルに添加される場合、この配列は、サンプル中の相補的な核酸配列にハイブリダイズし得る。好ましい実施形態において、検出される核酸配列は、固体支持体に固着され得る。例示的な固体支持体としては、フィルム、膜、カラム、ニトロセルロース、プラスチック、石英、ガラス、または金属が挙げられる。サンプルは、一定量の励起放射線を用いて放射される。サンプル中でまたは例えば固体支持体上で検出される蛍光は、金属粒子に連結された核酸がサンプル中に存在する相補的な核酸配列にハイブリダイズしたことを示す。従って、このサンプルは、目的の核酸配列を含む。金属粒子に結合されない核酸は、核酸の量子収量が低すぎるので、蛍光放射に有意に寄与しない。本発明によって検出される核酸ハイブリダイゼーションがインサイチュで生じ得ることが理解される。さらに、核酸の検出が、発蛍光団を金属粒子に近接して配置することによって、核酸に結合される外因性発蛍光団の蛍光強度の増加に基づき得ることが理解される。核酸の内因性蛍光の増加は、DNAアレイまたは遺伝子チップにおいて有用であり得る。
【0039】
別の実施形態において、本発明は、核酸を同定するための方法を提供し、この方法は、核酸を金属粒子に近接して配置する工程、核酸を照射する工程、核酸からの蛍光放射を検出する工程、および蛍光放射に基づいて核酸を同定する工程を包含する。核酸の内因性蛍光を使用する核酸の同定は、外因性プローブの必要性を排除する。1つの実施形態において、バックグラウンド蛍光は、問題ではない。なぜなら、内因性蛍光は、約80倍増加し得、これによって、シグナルに対するノイズの比を減少させるからである。別の実施形態において、核酸は、サンプルの蛍光をモニタリングすることから得られる発光スペクトルに基づいて同定され得る。従って、サンプル中の核酸の配列は、核酸を連続的に除去すること、核酸を金属粒子に近接して配置すること、核酸を一定量の励起放射線で照射すること、放出された放射を検出すること、および放出された放射を核酸塩基と相関させることによって決定され得る。核酸配列(例えば、オリゴヌクレオチド)から単一の核酸を連続的に除去するための方法は、当該分野において公知であり、連続的消化、加水分解、および化学的切断が挙げられる。核酸は、核酸を含む流体サンプルのストリームを、金属粒子を含む表面近くで通過させることによって、金属粒子に近接して配置され得る。このような表面は、サンプルチャンバの一部を形成する金属の薄いフィルムまたはアイランド(island)であり得る。核酸の照射は、核酸を金属粒子に近接して配置するのと同時に時間を合わせられ得る。核酸は、1つ以上の波長で照射され得る。好ましい実施形態において、核酸は、300nm未満、好ましくは、280nm〜約295nmの波長で励起される。別の実施形態において、励起波長は、多光子励起のために520nm付近である。
【0040】
本発明の方法および組成物が、ポリメラーゼ連鎖反応技術に使用され得ることを当業者は理解する。ポリメラーゼ連鎖反応技術は、当該分野において周知である。金属粒子(好ましくは、貴金属粒子)に結合される核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応混合物に添加され得る。結合された核酸は、成長するオリゴヌクレオチド鎖に組み込まれ得、そして一定量の励起放射線に応答して、結合された核酸の蛍光が、検出可能になり、ポリメラーゼ連鎖反応生成物の検出が可能になる。
【0041】
なお別の実施形態は、蛍光標識された生体分子の蛍光強度を増加するための方法を提供し、この方法は、生体分子を、発蛍光団を用いて標識化する工程、一定量の励起放射線に応答して、発蛍光団が放射(好ましくは、検出可能な量の放射)を発するように、標識生体分子を金属粒子の隣に配置する工程、を包含する。好ましい実施形態において、発蛍光団は、0.8未満、好ましくは、0.5未満、より好ましくは、0.2未満、そして最も好ましくは、0.1未満の量子収量を有する。この実施形態において、外因性発蛍光団の蛍光強度は、生体分子を検出するために使用され得る。
【0042】
なお別の実施形態は、蛍光標識された生体分子についての蛍光エネルギー移動を増加するための方法を提供し、この方法は、第1生体分子を、ドナー発蛍光団を用いて標識する工程、第2生体分子を、アクセプター発蛍光団を用いて標識する工程、一定量の励起放射線に応答して、ドナー発蛍光団が、エネルギーをアクセプター発蛍光団に移動させて、アクセプター発蛍光団が電磁放射を発するように、標識生体分子を金属粒子に近接して配置する工程、を包含する。
【0043】
別の実施形態は、蛍光標識された生体分子についての蛍光エネルギー移動を増加するための方法を提供し、この方法は、生体分子を、ドナー発蛍光団およびアクセプター発蛍光団を用いて標識する工程、一定量の励起放射線に応答して、ドナー発蛍光団がエネルギーをアクセプター発蛍光団に移動し、アクセプター発蛍光団が電磁放射を発するように、標識生体分子を金属粒子の隣に配置する工程、を包含する。
【0044】
金属粒子に起因するエネルギー移動の増加は、イムノアッセイに使用され得る。従って、1つの実施形態において、本発明の組成物は、親和性反応(好ましくは、抗体−抗原反応またはタンパク質−炭水化物相互作用)を測定するために蛍光エネルギー移動を使用し得る。さらに、金属粒子でコーティングされるかまたは金属粒子を含むアッセイチャンバを使用して、100Å以上離れた距離にわたる、ドナーとアクセプターの間でさえ効率またはRETを増加し得る。金属増強エネルギー移動はまた、DNAアレイまたは遺伝子チップを用いて有用である。別の実施形態において、本発明の組成物および方法は、DNAハイブリダイゼーションまたは二重らせんDNAの量を測定するための蛍光エネルギー移動を利用し得る。現在、アレイは、標的DNAにハイブリダイズした2つの発蛍光団の量を測定することによって読まれる(Fereaら、(1999)Curr.Opin.Genetics Dev.,9,715−722;Lipshutzら、(1999)Nature Gen.Suppl.1,20−24;Haciaら、(1998)Molec.Psychiatry 3,483−492)。たとえ、2つの色素がおそらく良好なドナー−アクセプター対であるとしても、エネルギー移動は、通常、生じない。金属表面上のDNAアレイの使用は、長い距離で配置されたドナーとアクセプターとの間のRETに基づいた新しいタイプのDNAアレイ分析を提供する。
【0045】
バイオチップ、遺伝子チップ、またはマイクロアレイを作製するための方法および手順が、当該分野において公知である。例えば、米国特許第6,174,683号は、「バイオチップ」に関する方法および組成物、ならびに「バイオチップ」の形成を開示し、そしてこれは、本明細書中においてその全体が援用される。核酸プローブは、マイクロアレイ表面に固着される。本発明において、マイクロアレイ表面は、金属表面(好ましくは、貴金属、最も好ましくは、銀表面)である。表面は、上記のように、金属アイランドでコーティングされ得る。一般的に、全RNAは、遺伝子発現のパターンを決定するために、サンプルから調製される。これらのサンプルは、種々の細胞株、腫瘍サンプル、正常対疾患、コントロールまたは薬物処置などであり得る。大部分に場合において、最小で約1μgのポリA+RNAまたは約5μgの全RNAが必要である。しかし、0.2μgのように少ない「高品質」ポリA+RNAが使用され得る。一般的規則として、1×106個の組織培養細胞は、10〜15μgの全RNAを生じるはずである。
【0046】
逆転写酵素を使用して、RNAは、cDNAに変換される。この時点で、cDNAは、蛍光タグ化dNTPの取り込みによって直接標識され得る。より一般的に、cDNAは、T7 RNAポリメラーゼプロモーターを組み込むオリゴ−dTプライマーを使用して調製される。次いで、cDNAを、次の工程に使用して、T7 RNAポリメラーゼを使用して、蛍光タグ化コピーRNAを作製する。一般的に、少なくとも約5μgの標識cRNAまたはcDNAが、各マイクロアレイにハイブリダイズするために必要である。しかし、プローブは、再使用され得る。例えば、1つの標識化プローブは、引き続いて使用されて、5つの別のアレイにハイブリダイズし得る。
【0047】
その蛍光標識プローブは、マイクロアレイにハイブリダイズされ、ほとんど同様に、放射性プローブが、従来のドットブロットにハイブリダイズされる。その標識プローブの蛍光は、そのプローブが相補配列にハイブリダイズした場合の一定量の励起放射線に応じて増加する。なぜなら、その蛍光は、金属マイクロアレイ表面付近に、好ましくは、その金属表面から約50Å〜約2000Å、より好ましくはその金属表面から約50Å〜約200Åに位置するからである。別の実施形態において、そのプローブは、ドナー発蛍光団およびアクセプター発蛍光団を用いて標識され得る。その標識プローブがマイクロアレイ表面上のその相補体にハイブリダイズする場合、そのプローブは、金属マイクロアレイ表面近く、好ましくは、その金属表面から約50Å〜約2000Å、より好ましくはその金属表面から約50Å〜約200Åに位置する。この位置において、ドナー分子からアクセプター分子への蛍光エネルギー移動は、その標識プローブの検出を可能にする一定量の励起放射線に応じて増加する。そのマイクロアレイ上の標識プローブの検出は、そのプローブが相補配列にハイブリダイズしていることを示し、このことは、対応する遺伝子の発現をさらに示す。なお別の実施形態において、金属コートマイクロアレイ表面上に固定された核酸配列が、ドナー分子またはアクセプター分子で標識され得、そしてその核酸プローブは、その核酸プローブがマイクロアレイ表面上の標識核酸配列とハイブリダイズした場合に、そのドナー分子からアクセプター分子への蛍光エネルギー移動が一定量の励起放射線に応じて増加されるように、それぞれアクセプター分子またはドナー分子で標識され得る。
【0048】
洗浄後、そのマイクロアレイは、蛍光スキャナー:代表的平台型スキャナーと共焦点顕微鏡との間の交差(cross)を使用して分析される。そのデータは、そのマイクロアレイ上の蛍光スポットの画像である。その画像は、そのスポットを同定し各スポットの蛍光強度を算出するソフトウェアを使用して、分析され得る。2つの異なるプローブを用いて得た強度を比較すること(例えば、コントロール対薬物処理)によって、アレイにおける各遺伝子の発現がどのように変化するかを測定し得る。
【0049】
他の実施形態において、タンパク質が、金属表面(好ましくは、貴金属表面、最も好ましくは、銀コート表面)上に整列され得る。一般的に、表面上にタンパク質を整列するために、GMS 417 Arrayer(Affymetrix,Santa Clara,CA)または他の適切なデバイスが、使用され得る。この整列機(arrayer)は、96ウェルプレートまたは384ウェルプレーとのうちの4つのウェルから約1μlのサンプルを採集し、そして一連の顕微鏡スライドガラス上に規定された位置に、各サンプル約1μlを配置する。この整列機(arrayer)は、ピンおよび環システムを使用し得:サンプルが、約1μlを各々保持する小さい環の中に集められ、その後、固体ピン(150μm直径)が、その環を通して反復して穴を開けて、スライド上にそのタンパク質を配置する。ナノ液滴の蒸発を予防するために、40%グリセロールが、そのタンパク質サンプル中に含まれる。ナノリットル単位の40%グリセロール液滴は、大気に一晩曝された場合でされ、水和したままである。
【0050】
タンパク質の機能を研究するために、タンパク質がフォールディングしたコンフォメーションを保存する様式で、そのタンパク質を固定することが必要である。さらに、その後の工程で表面への他のタンパク質の非特異的結合を最小にすることが、好ましい。これらの目的を達成するために、化学誘導したスライドが使用され得る。ほとんどの適用について、アルデヒド含有シラン試薬で処理したスライドが、使用される。これらのスライドはまた、商標名SuperAldehyde Substratesの下でTeleChem Internationalから購入され得る。このアルデヒドは、そのタンパク質の一級アミンと容易に反応して、シッフ塩基結合を形成する。代表的なタンパク質は、その表面上に多くのリジンを提示し、そしてそのアミノ末端に一般的により反応性が高いα−アミンを提示するので、それらのタンパク質は、種々の方向でそのスライドに付着し得、それにより、溶液中で、そのタンパク質の種々の側面と他のタンパク質または低分子が相互作用することが可能となる。これらのスライドへのそのタンパク質の付着後、ウシ血清アルブミン(BSA)含有緩衝液中にそのスライドを浸漬することによって、未反応アルデヒドがクエンチングされ、そして非特異的結合が最小にされる。
【0051】
ほとんどの適用のために適切であるが、アルデヒドスライドは、ペプチドまたは非常に小さいタンパク質がプリントされた場合には、使用され得ない。これは、おそらく、BSAが、目的の分子を覆い隠すからである。このような適用のために、まず、BSA分子層をガラススライドの表面に付着し、その後、そのBSAをN,N’−ジスクシンイミジルカルボネートで活性化することにより製造される、BSA−NHSスライドが、使用される。BSA上にある活性化されたリジン残基、アスパラギン酸残基、およびグルタミン酸残基は、そのタンパク質上の表面アミンと容易に反応して、共有尿素結合またはアミド結合を形成する。その後、そのスライドは、グリシンでクエンチングされる。
【0052】
アルデヒドスライドは、TeleChem International(Cupertino,CA)から購入され得る。BSA−NHSスライド(ウシ血清アルブミン(BSA)の固定層の表面上に活性化アミノ基およびカルボキシル基を提示する)は、以下のよう製造され得る。10.24gのN,N’−ジスクシンイミジルカルボネート(100mM)および6.96mlのN,N−ジイソプロピルエチルアミン(100mM)を、400mlの無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解した。30 CMT−GAPスライド(Corning Incorporated,Corning,NY)(その表面上にアミノ基を提示する)を、室温で3時間この溶液中に浸漬した。このスライドを、95%エタノールで2回リンスし、その後、400mlの1%BSA(w/v)含有リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)(pH7.5)中に室温で12時間浸漬する。このスライドを、ddH2Oで2回リンスし、95%エタノールで2回リンスし、そして200gで1分間遠心分離して、過剰な溶媒を除去する。その後、このスライドを、100mMのN,N’−ジスクシンイミジルカルボネートと100mMのN,N−ジイソプロピルエチルアミンとを含む、400mlのDMF中に室温で3時間浸漬する。このスライドを、95%エタノールで4回リンスし、そして上記のように遠心分離して、BSA−NHSスライドを得る。このスライドを、室温にて真空下でデシケーター中に2ヶ月間まで、認知可能に活性を損失することなく保存する。
【0053】
タンパク質を、他のように示されない限り、濃度100μg/mlにて、40%グリセロール、60%PBS(pH7.5)中に溶解する。そのタンパク質を、GMS 417 Arrayer(Affymetrix,Santa Clara,CA)を使用して、アルデヒドスライド上にスポットする。室温にて加湿チャンバ中で3時間インキュベートした後、そのスライドを反転させ、そして1%BSA(w/v)含有PBS(pH7.5)溶液中に落とす。1分後、そのスライドの右側を上にし、そして室温で1時間穏やかに攪拌しながらこのBSA溶液中に浸漬する。PBS中にて短くリンスした後、そのスライドは、すぐにさらに処理できる状態である。
【0054】
目的のタンパク質が、発蛍光団で標識され得、そしてアレイにハイブリダイズされ得る。この発蛍光団の蛍光は、標識タンパク質が金属表面付近(好ましくは、その金属表面から約50Å〜約2000Å、より好ましくはその金属表面から約50Å〜約200Å)にある場合に、一定量の励起放射線に応じて増加する。別の実施形態において、目的のタンパク質プローブは、そのタンパク質プローブがマイクロアレイ上のタンパク質に結合した場合に、それらのタンパク質プローブが金属表面付近に位置し、ドナー分子からアクセプター分子への蛍光エネルギー移動が増加されるように、アクセプター発蛍光団およびドナー発蛍光団で標識され得る。なお別の実施形態において、金属コートマイクロアレイ表面に固定されたタンパク質が、ドナー分子またはアクセプター分子で標識され得、そしてタンパク質プローブが、そのタンパク質プローブがマイクロアレイ表面上の標識タンパク質とハイブリダイズした場合に、ドナー分子からアクセプター分子への蛍光エネルギー移動が一定量の励起放射線に応じて増加されるように、ドナー分子またはアクセプター分子で標識され得る。
【0055】
従って、本発明の別の実施形態は、固体支持体と、その支持体に付着した所望の長さの生体分子(好ましくは核酸またはアミノ酸)のアレイを有するマトリックスとを、標識プローブがその生体分子配列にハイブリダイズした場合に(好ましくは、その標識が、金属粒子から約50Å〜約2000Å、より好ましくは金属粒子から約50Å〜約200Åに位置するように)その標識プローブの蛍光が一定量の励起放射線に応じて増加されるように含む、マイクロアレイシステムを提供し、ここで、その固体支持体は、金属粒子(好ましくは貴金属粒子、最も好ましくは銀粒子)でコートされている。用語「プローブ」は、タンパク質、核酸、アミノ酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、またはマイクロアレイの金属コート表面に付着したマトリックスの分子とハイブリダイズするか、結合するか、または相補的である、他の分子を包含する。
【0056】
RETに基づく光採集アセンブリの効率(Adronovら(2000)J.Am.Chem.Soc.122,1175−1185;Swallenら(1999)J.Molec.Structure 485−486:585−597)は、増加され得るか、または細胞中のドナーとアクセプターとの間(Gonzalezら(1995)Biophys.J.69,1272−1280(Ngら(1999)Science 283,2085−2089)であるが金属粒子に近いRETの程度が、増加され得る。金属が豊富なRETの現象は、金属粒子へのドナー−アクセプター対の近さを使用する独特の機会を提供して、移動の速度を改変する。このような効果は独特である。なぜなら、溶液組成ではなく、金属粒子または金属表面が、そのプローブのスペクトル特性を改変するために使用され得るからである。
【0057】
本発明の別の実施形態は、発蛍光団の蛍光強度を増加するための方法を提供し、この方法は、金属粒子に近接して発蛍光団を位置付ける工程;および複数の光子によりその発蛍光団を励起する工程(多光子励起と一般的に呼ばれる)を包含する。代表的には、その発蛍光団は、最長単一光子吸収極大の約2倍の波長を有する短いピコ秒またはフェムト秒レーザーパルスを用いて励起される。多光子励起装置および多光子励起方法は、当該分野で公知であり、そして例えば、Joseph R.Lakowiczにより編集されたTopics in Fluorescence Spectroscopy,Volume 5,Nonlinear and Two−Photon−Induced Fluorescence,Plenum Press,New York,1997(本明細書中にその全体が参考として援用される)にて見出され得る。一般的に、多光子励起は、代表的には、強集束レーザー光源(例えば、約100フェムト秒長、繰返し数80MHz付近、700〜900nmの範囲の波長のパルスを提供する、モードロック(mode−locked)チタンサファイアレーザー)を用いて実施される。多光子励起はまた、ピコ秒色素レーザーを用いても達成され得る。
【0058】
本発明の別の実施形態は、生体分子の多光子蛍光強度を増加するための方法を提供し、この方法は、金属粒子に近接して生体分子を位置付ける工程、および複数の光子を用いてその生体分子を励起させる工程を包含する。
【0059】
本発明のなお別の実施形態は、サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法を提供し、この方法は、そのサンプル中の目的の領域に金属粒子を指向させる工程、およびそのサンプル中に一定量の励起放射線を提供する工程を包含する。
【0060】
本発明の別の実施形態は、サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法を提供し、この方法は、そのサンプル中の目的の領域に金属粒子を指向させる工程、そのサンプルを発蛍光団と接触させる工程、そのサンプルを一定量の励起放射線に曝露させる工程を包含する。例示的金属は、貴金属である。この金属粒子は、電位、磁気、または重力を使用して、位置付けされ得る。
【0061】
なお別の実施形態は、サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法を提供し、この方法は、そのサンプル中の目的の領域に金属粒子を指向させる工程、その目的の領域中に一定量の励起放射線を提供する工程を包含する。サンプルは、容器中の生細胞、組織、器官、または流体サンプルであり得る。その金属粒子は、電磁界を使用して位置付けられ得るか、またはその金属粒子は、タンパク質、抗体、核酸などに連結され得る。金属粒子に連結された抗体は、その抗体により認識される分子にその金属を近接させるために使用され得る。従って、この抗体が特定の生体分子を認識する場合、その金属は、そのような生体分子の傍に位置付けられ得、その生体分子の蛍光強度が、一定量の励起放射線に応じて増加するようにされる。
【0062】
別の実施形態は、サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法を開示し、この方法は、そのサンプル中の目的の領域に金属粒子を指向させる工程、そのサンプルを発蛍光団と接触させる工程、および一定量の励起放射線にそのサンプルを曝露させる工程を包含する。好ましい実施形態において、その発蛍光団は、量子収量0.8未満、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.2未満、そして最も好ましくは0.1未満を有する。低量子収量を有する発蛍光団は、それらが金属粒子と近接していない限り、検出可能に蛍光発光しない。従って、そのサンプルが一定量の励起放射線に曝露された場合、金属粒子と近接した発蛍光団のみが、検出可能であるに十分に蛍光発光する。
【0063】
なお別の実施形態は、分析物の存在を検出するためのキットを開示し、そのキットは、その分析物に結合可能である抗体、ならびに中に配置された金属アイランドを有する少なくとも1つの石英表面を含み、その抗体は、量子収量約0.5未満、好ましくは約0.2未満、最も好ましくは約0.1未満を有する発蛍光団に連結される。例示的抗体は、タンパク質、ペプチド、および他の生体分子に関する。
【0064】
別の実施形態は、分析物を検出するための方法を開示し、その方法は、第1抗体をドナーで標識する工程、第2抗体をアクセプターで標識する工程、サンプルをその第1抗体および第2抗体と接触させてその分析物との複合体を形成する工程、その分析物を金属粒子(好ましくは貴金属)から約50Å〜約2000Å、好ましくは金属表面から約50Å〜約200Åに位置付ける工程、一定量の励起放射線を提供する工程、およびドナーからアクセプターへのエネルギー移動の増加に基づいてその分析物を検出する工程を包含する。例示的ドナーは、アクセプターの吸収スペクトルと重複する波長を有する発蛍光団である。例示的アクセプターは、ドナーの発光スペクトルと重複する吸収スペクトルを有する。アクセプターは、蛍光性であり得る。例示的ドナー−アクセプター対としては、フルオレセイン−ローダミン、DAPI−ヨウ化プロピジウム、およびCy3−Cy5が挙げられる。この抗体は、標準的技術を使用して標識され得る。1つの実施形態において、その複合体は、重力、電位、または他の公知の力を使用して位置付けされ得る。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
(金属ナノ粒子フィルムを作製するための手順)
金属粒子または金属粒子フィルムは、公知であり、そして公知の方法を使用して作製され得る。以下の実施例は銀を使用するが、任意の金属(好ましくは貴金属)が使用され得ることが、認識される。銀粒子を生成するために使用した化学物質(硝酸銀(99+%)、水酸化ナトリウム(ペレット、97%)、水酸化アンモニウム(NH3含量28〜39%)、およびD−グルコース(99.5%)を、商業的供給業者から購入し、さらに精製することはなく使用した。すべての手順を、Millipore濾過によりされに精製した蒸留水を使用して実施した。銀アイランドを、石英顕微鏡スライド上に形成させた。石英は、UV透過および少ない自己蛍光を提供した。銀粒子を配置するために使用した石英スライドを、H2SO4(95〜98%)とH2O2(30%)との10:1混合物中に一晩浸漬した後、配置した。これらを、使用前に水で洗浄し、風乾した。
【0066】
銀堆積を、Teflonコート攪拌棒を備えた清浄な30mlビーカー中で実行した。硝酸銀溶液(26mlのMillipore濾過水中0.22g)を迅速に攪拌するために、8滴の新鮮な5%NaOH溶液を添加した。黒褐色の沈殿物がすぐに形成された。その後、1ml未満の水酸化アンモニウムを1滴ずつ添加して、その沈殿物を再溶解させた。ビーカーを氷浴中に配置することによって、この清浄な溶液を5℃まで冷却させ、次いで、その洗浄し乾燥した石英スライドを、この溶液中に浸漬した。5℃にて、新鮮なグルコース溶液(4mlの水中0.35g)を添加した。この混合物を、その温度で2分間攪拌した。その後、そのビーカーを氷浴から取り出した。その混合物の温度を30℃まで温めさせた。その混合物の色が黄緑色から黄色に変化し、そのスライドの色が緑色がかったとき、そのスライドを取り出し、そして水で洗浄し、そして室温で1分間、浴超音波処理した。水で数回リンスした後、そのスライドを、実験前の数時間水中に保存した。
【0067】
発光スペクトルは、SLM8000分光蛍光計を使用して得られた。強度減衰は、以前に記載される機器を使用して、周波数ドメインにおいて測定した(Lakowiczら、(1985)Biophys.Chem.21,61−78;Laczkoら、(1990)Rev.Sci.Instrum,61,2331−2337)。ローダミン6G(R6G)およびローズベンガル(RB)について、励起は、約78MHz出力のモードロックアルゴンイオンレーザーからの514nmであった。周波数ドメイン測定のために、発光は、580干渉フィルターを通って観測された。すべての定常状態および周波数ドメイン測定について、励起は、垂直に偏光され、そして発光は、散乱光を最小化するために、水平方向の偏光子を通して観測された。FD強度減衰データは、多重指数関数モデル(multi−exponential model)
【0068】
【数1】
で分析され、ここで、τiは、振幅αiでの寿命であり、そしてΣαi=1.0であった。多重指数関数モデルにあてはめることは、以前に記載されている(Lakowiczら、(1994)Biophys.J.46,463−477)ように実施した。定常状態強度に対する各成分の寄与は、
【0069】
【数2】
によって与えられる。
【0070】
図1Aは、石英スライド上の銀アイランドの実験的な形状を示し、そして図1Bは、銀アイランドフィルムの吸収スペクトルを示す。このスペクトルは、粒子が、サイズにおいて波長未満であることを示す。小粒子限界において、このプラズモン共鳴に起因する吸収極大は、380nm付近であると期待される(Kerker,M.(1985)J.Colloid Interface Sci.105,297−314;Mulvaney,P.(1996)Langumuir,12.788−800)。400nmを超える吸収極大は、1.5〜1.0近くの軸比を有する粒子の非対称な効果的な形状に起因し得(Kerker,M.(1985)J.Colloid Interface Sci.105,297−314)、そしてまた40〜50nm付近の球形寸法を有する銀粒子と一致する(Rivasら、(2001)Langmuir 17、574−577;Jensenら、(2000)J.Phys.Chem.B104,10549−10556;Singerら、(1995)J.Opt.Soc.Am.B,12,220−228)。粒子の形状およびサイズの分布は、ほぼ確実に不均一であるが、粒子がサイズにおいて波長未満であることは明らかである。
【0071】
蛍光に対する銀アイランドの効果を決定するために、発蛍光団を含むサンプルを、2つのこのような銀アイランドプレートの間に配置した。2つの石英プレート間または2つの銀アイランドコーティングプレート間のローズベンガルの吸収スペクトル(図2A〜2C)から、プレート間の距離は、約1〜1.5μmである。
【0072】
(実施例2)
(発光スペクトルおよび寿命に対する銀アイランドフィルムの効果)
最初の実験として、コーティングされていない石英プレート間(Q)または銀アイランドフィルム(S)間のローダミンB(RhB)およびローズベンガル(RB)の発光スペクトルを調べた。これらの2つの発蛍光団は、類似の吸収スペクトルおよび発光スペクトルであるが、RhBおよびRBについて、それぞれ、0.48および0.02の異なる量子収量であるので、選択された。RhBの場合、強度は、これらの銀アイランドの非存在下および存在下で類似する(図3A)。銀アイランドに起因して、RhB強度の小さな減少が存在し得るが、これは、短い距離の金属のクエンチング効果に起因し得る。
【0073】
対照的な結果が、ローズベンガルについて得られた(図3B)。この場合、強度は、銀アイランドの存在下で約5倍増加した。RBについて観測された増加した強度が、銀アイランド近くのRBの量子収量の過小評価を表すことを認識することが重要である。これは、RB分子のほんの小さな画分が、金属表面が効果を発揮する距離内にあるからである。増強された蛍光の領域は、溶液中に約200Å〜約2000Åに広がる。それ故、プレート間の液体容量のほんの約4%が、活性容量内にある。活性容量の低い割合は、アイランドの200Å内のRBの量子収量が125倍増加することを示唆する。この増加は、0.02の量子収量が正しく、金属粒子に起因して、増加した入射場を反映する場合に可能であるよりも大きい。それにもかかわらず、図3のRBのスペクトルは、銀アイランドの200Å内の分子についての量子収量の実質的な増加を示す。
【0074】
集中した電場の効果は、図3Bのローズベンガルの強度増加の優勢な原因ではない。放射は、銀アイランドの近くのRhB分子および銀アイランドからある距離にあるRhB分子の両方について生じる。電場の集中効果は、銀アイランドから離れたRhB分子由来の優勢な放射によってマスクされ得る。
【0075】
増加した放射速度および集中した電場の効果は、寿命測定によって区別され得る。放射速度の増加は、寿命を減少する;一方、励起速度の増加は、寿命を変化しない。銀アイランドの非存在下および存在下のRhBおよびローズベンガルの強度減衰を測定した(図4A〜4Cおよび図5A〜5C)。標準的なキュベットにおいて、RhBの強度減衰は、寿命τ=1.56nsで、単一指数関数であることが見出された(図4A)。銀アイランドの存在下で、強度減衰は、強度に不均一になる(図4C)。
【0076】
このデータは、キュベットにおいて見出される寿命に匹敵する1.81nsの長い寿命を有する2つの減衰時間に一致し得る。銀アイランド間で、銀アイランドに近接するRhB分子に起因する0.14nsの短い寿命が見られた。この短い成分の部分的な定常状態は、約10%である。コントロール測定は、この成分が散乱光に起因しなかったことを示した。測定はまた、銀アイランドなしで、石英プレート間でRhBについて実行された。この場合において、減衰はまた、二重指数関数的であるが、アイランドの存在下よりも不均一ではなかった。それにもかかわらず、短い寿命成分が、銀アイランド間でRhBについて見られたことが明らかである(図4B)。コントロール測定は、RhBなしで、石英スライド単独では有意な強度がなかったことを示した。この結果は、散乱光が、コーティングされていないスライド間でRhBについて見られる短い成分起源ではないことを示唆する。
【0077】
ローズベンガルについての周波数ドメイン(FD)強度が、図5A〜5Cに示される。キュベットにおいて、単一指数関数の減衰は、τ=94psである。この減衰は、コーティングされていない石英プレート間で、ローズベンガルについて少し不均一になる。しかし、ローズベンガルの強度減衰は、銀アイランド間の場合、劇的に変化した。この場合において、優勢な寿命は、6ps成分になった。これは、銀アイランドに近接するローズベンガル分子に対応する。
【0078】
RhBおよびローズベンガルの強度減衰に対する銀アイランドの効果は、周波数ドメインデータから再構築された時間分解減衰において見られ得る(図6Aおよび6B)。両方の発蛍光団について、強度減衰は、キュベットにおいて観測される値と本質的に同一の長い減衰時間成分を示す。銀アイランドは、短い減衰時間の外観を生じる。ローズベンガルについての短い減衰時間のより大きな寄与は、バルク溶液におけるその低い量子収量から理解され得る。RhBは、その放射が1μmの厚みのサンプル全体を通って分子から検出されるように、より高い量子収量を有する。ローズベンガルは、溶液中において低い量子収量を有し、その結果、観測される放射が銀アイランド付近のローズベンガル分子にほとんど起因する。RhBおよびローズベンガルからの結果は、予想と一致する。
【0079】
コーティングされていない石英プレート間および銀アイランドフィルム間の多数のさらなる発蛍光団を、アーチファクトの寄与を考慮するために調べた。4つの発蛍光団(Erb、BF、[Ru(bpy)3]2+、および[Ru(phen)2dppz]2+)の発光スペクトルが、図7A〜7Dに示される。全ての場合において、放射は、銀アイランド間の溶液についてより強力である。例えば、[Ru(bpy)3]2+および[Ru(phen)2dppz]2+は、それぞれ、0に近い量子収量を有する(Van Houtenら、(1975)J.Am.Chem.Soc.97,3843−3844;Harriman,A.(1977)J.Chem.Soc.,Chem.Commun.777−778;Nairら(1997)Inorg.Chem.36,962−965;Turroら(1995)J.Am.Chem.Soc.117,9026−9032)。より多くの増強は、[Ru(bpy)3]2+よりも[Ru(phen)2dppz]2+について見られた。
【0080】
10個の異なる発蛍光団溶液についての増強が図8に示される。全ての場合において、低いバルク相量子収量は、銀アイランドフィルム間でサンプルについてのより多きな増強を生じる。さらに、水−ジメチルホルムアミド(DMF)混合物中の[Ru(phen)2dppz]2+を調べた(図9)。この化合物は、水によってクエンチされ、そして最も大きな増強は、最もクエンチされた溶液について観測された(図9)。図7〜9の結果は、金属アイランドへの発蛍光団の近接が、量子収量の増加を生じたという主張の強力な支持を与える。これらの様々な発蛍光団が全て銀アイランドに結合するか、減少した量子収量とともに単調に増加した増強を生じる他の未知の効果を示すことはなさそうである。
【0081】
(実施例3)
(銀アイランドの存在下でのスペクトルシフト)
図10Aおよび10Bは、石英プレート(Q)間および銀アイランド(S)間における、2つの溶媒感受性発蛍光団の発光スペクトルを示す。両方の場合において、放射の青色シフト(これは、アイランド近くの発蛍光団の減少した寿命と一致する)が観測された。金属の50Å内の発蛍光団がクエンチングされるようであるので、図10Aおよび図10Bに見られる青色シフトが銀アイランドに結合された発蛍光団に起因することがなさそうである。コーティングしていない石英が両方の発光スペクトルに存在するので、コーティングしていない石英表面への発蛍光団の結合もまた、なさそうである。
【0082】
(実施例4)
(内因性のタンパク質蛍光に対する銀アイランドの効果)
タンパク質E.coli β−ガラクトシダーゼおよびヒトグリコキシダーゼを、商業的供給業者から得た。これらのタンパク質を10mMのリン酸緩衝液(pH6.5)中に溶解させた。β−ガラクトシダーゼおよびヒトグリオキシラーゼの濃度は、それぞれ、0.05mg/mlおよび0.15mg/mlであった。内因性のタンパク質の蛍光の研究について、励起波長は、295nmであった。銀アイランドの存在下および非存在下での2つのタンパク質の発光スペクトルを調べた(図11Aおよび11B)。タンパク質βガラクトシダーゼおよびヒトグリオキシラーゼを、それらの中程度の量子収量および低い量子収量で選択した。β−ガラクトシダーゼは、N−アセチル−L−トリプトファミド(NATA)の量子収量(これは、0.13であることが報告される(Demchenko,A.P.(1981)Ultraviolet Spectroscopy of Proteins,Springer−Verlag,New York))にほぼ等しい量子収量を有する(D’Auriaら(2001)J.Biochem.,印刷中)。ヒトグリオキシラーゼの量子収量は、約10分の1であり、従って、0.013付近であることが見出された。より高い量子収量のβ−ガラクトシダーゼについて、発光スペクトルに対する銀アイランドの有意な効果はなかった。より低い量子収量について、ヒトグリオキシラーゼは、青色シフトおよび放射強度の増加の両方を観測する。β−ガラクトシダーゼは、4量体タンパク質で、480,000分子量であり、これは、各120,000ダルトンのサブユニットにおいて26個のトリプトファン残基を含む(Jacobsonら、(1994)Nature 369、761−766)。ヒトグリオキシラーゼは、66,000ダルトンのモノマーであり、これは、2つのトリプトファン残基を含む(D’Auria,S.,非公開な結果)。図11Bにおけるスペクトルの変化は、グリオキシラーゼにおける高度にクエンチされるトリプトファン残基からの増加した放射に起因し、この残基は、溶媒から遮蔽される。β−ガラクトシダーゼにおけるスペクトルシフトおよび増加の非存在は、その多数のトリプトファン残基を考慮すると理解可能であり、そして有意な画分が高度にクエンチされないようである。従って、銀アイランドは、タンパク質においてクエンチされた芳香族アミノ酸残基からの増加した放射を生じ得る。
【0083】
(実施例5)
(核酸塩基およびDNAに対する銀アイランドの効果)
アデニン、チミンおよびウシ胸腺DNAを、商業的供給業者から得た。ポリTおよびポリC(それぞれ、15塩基長)を、University of Maryland,Baltimore School of MedcineのBiopolymer Core facilityから得た。塩基アデニンおよびチミンの発光スペクトルが、図12Aおよび12Bに示され、これらは、銀アイランドの存在下での放射の増加を示す。一本鎖ヌクレオチドである、ポリTおよびポリCについて、類似の結果が得られた(図13Aおよび13B)。ポリCの長波長発光極大は、以前に報告された結果と一致する(Plessowら(2000)J.Phys.Chem.B104,3695−3704)。
【0084】
ウシ胸腺DNAを、50mM Tris(pH=7)中に溶解させた。DNA濃度は、塩基対として5mMであった。発光スペクトルを、287nmの励起を用いて、SLM 8000分光蛍光計で測定した。周波数ドメイン寿命測定を、10GHz機器で得た(Laczkoら(1990)Rev.Sci.Instrum.61,2331−2337;Lakowiczら(1994)Biophys.J.46,463−477)。励起供給源を、287nmで二倍の周波数(frequency−doubled)であった約100psパルスを提供するキャビティーダンプト(cavity−dumped)ローダミン6G色素レーザーであった。強度減衰を、344nm干渉フィルターおよびWG335ロングパスフィルターの組み合わせによって測定し、これらは、約330〜355nmの透過を提供した。発光スペクトルおよび寿命を、垂直偏光励起および水平偏光放射を用いて測定した。この光学的構成は、スペクトルおよび寿命の有意なゆがみなしに、励起波長の散乱光を減少した。周波数ドメインデータは、多重指数関数モデルに一致した。ここで、減衰の強度が、上記式(1)によって与えられ、ここで、αiが、各減衰時間τiと関連する振幅因子である。αi値の合計は、単位量に正規化される(Σαi=1.0)。
【0085】
塊の厚みが40Å近くに制限される場合、小波長限界に近い特徴的な表面プラズモン吸収スペクトルから分かり得るように、波長未満の寸法を有する、表面上の粒子が得られる(図1B)。DNAサンプルは、1〜1.5μm付近の分離を有する、2つのこのような銀アイランド間に配置される。プレート間のDNAの吸収スペクトルは、DNA吸収と銀アイランドの吸収のほぼ合計であり(図14Aおよび14B)、これは、アイランドが、DNAの吸光率を有意に変化しなかったことを示唆する。
【0086】
DNAの発光スペクトルを、薄い0.1mmのキュベットにおいて、そして2つのアイランド(island)フィルムの間で調べた(図15Aおよび15B)。287nmでの励起により、おそらく部分的にアデニン残基およびグアニン残基の選択的な励起を生じた(Wilsonら(1980)Photochem.&Photobiol.31,323−327;Georghiouら(1996)Biophys.J.70,1909−1922)。驚いたことに、金属アイランドの付近では、発光は約80倍強かった。この80倍の増加が、粒子付近のDNAにより示される増加をかなり過小評価しているということに注目することは重要である。増大の領域は、溶液中で約200Å〜約2000Åにまで及ぶと予測される。2つのアイランドのフィルム表面を考慮すると、DNAの約1/25しか銀の付近にない。このことは、銀付近のDNAの発光が、2000倍増大されるということを示唆する。これは、適切なサイズおよび形状の楕円からの最適距離にある分子について予測される最大の増強に近い。増幅された場の効果は、最大140倍の増強を生じ得(Gerstenら(1981)J.Chem.Phys.75,1139−1152)、アイランドフィルム付近のDNAの量子収量における最少で15倍の増加を示唆する。場の増強は最大ではないようである。DNAの実際の増加した量子収量は、約15倍と約2000倍未満との間である。
【0087】
図15Bにおいて見られる増加した強度の1つの説明は、無放射減衰(decay)速度knrの減少であり得、これが、より長い寿命を生じる。増加した発光の別の理由は、増幅された入射光場であり得る。この効果は、増加した強度を生じるが、寿命は変化されない。周波数−ドメイン強度減衰は、図16Aおよび16Bに示される。これらの測定値を、より直感的な時間−ドメイン減衰を再構築するために使用する(図17)。この減衰は、金属アイランドの非存在下または存在下において多重指数関数的(multi−exponential)である(表1)。強度減衰は、非常に非同次であるかまたは多重指数関数的であり、これらは、60ps〜4.56nsの減衰時間範囲から見られ得る。DNAの個々の寿命は、その弱い内因性の蛍光に起因して不確実であるが、平均寿命
【0088】
【数3】
は確実である。このような広範な寿命は、他の公開された報告と一致する(Balliniら(1983)Biophys.Chem.18,61−65;Georghiouら(1985)Photochem.&Photobiol.41,209−212;Plessowら(2000)J Phys.Chem.B 104,3695−3704)。これらの実験からの重要な結論は、DNAの平均寿命
【0089】
【数4】
が、本発明者らが強度の80倍の増加を観察した条件と同じ条件下で減少したということである(図15B)。このように減少した寿命は、knrの減少または励起速度の増加では説明できない。しかし、減少した寿命は、放射減衰速度の増加により説明され得る。Γmが、金属粒子の存在に起因する放射減衰の速度を表すようにする。この新しい速度は、金属(m)の存在下の量子を
【0090】
【数5】
に変化させ、これは、金属の存在下より大きい。金属の存在下での寿命(τm)は、
【0091】
【数6】
に減少する。金属の非存在下での量子収量および寿命は、Γm=0.0を用いて等式1および2により与えられる。従って、金属によるDNAの放射減衰速度における増加は、銀アイランドの存在下における増加した強度および減少した寿命の両方を説明し得る。強度の80倍の増加と寿命の3倍の減少とに一致する等式はない。多数の可能な理由があり、これらには、強度測定および寿命測定による、サンプル間の異なる空間的平均化が含まれる。それにもかかわらず、固有のDNA寿命は、強度が増加するにつれて減少し、放射減衰の増加を実証している。
(表1:50mM TRIS(pH7.0、20℃における仔ウシ胸腺DNAの蛍光強度減衰パラメータ)
【0092】
【表1】
(実施例6)
(共鳴エネルギー移動に対する銀アイランドの影響)
共鳴エネルギー移動(RET)は、生化学研究および生物医学研究において広く使用されるMorrisonら(1993)Biochemistry 32,3095−3104;Juら(1996).Nat.Med,292,246−249)。RETは、適切なスペクトル特性を有する蛍光団がフェルスター距離R0内に入る場合はいつでも起こる。フェルスター距離は、20〜40Åの範囲であり、まれに50Åより大きい。均一溶液に溶解された場合にローダミン6G(R6G)とスルホローダミン101(SR101)との間のRETに対する銀アイランドフィルムの効果を調べた。ドナーの発光に対して正規化した、この混合物の発光スペクトルを図18に示す。銀アイランドは、590nm付近のアクセプターの発光の増加を生じる。この増加は緩やかに現れ得るが、アクセプターが0.2mMの濃度で存在してこのアクセプターの有意な直接の励起を生じる蛍光団の混合物では重要である。
【0093】
さらに、二重らせん仔ウシ胸腺DNAに結合された場合のDAPIからアクリジンオレンジ(AO)へのRETを調べた(図19)。この場合、ドナーおよびアクセプターのバルク濃度は低い。なぜなら、これらは、DNAによって近接して保持されているからである。520nm付近のアクセプター発光の劇的な増加が存在し、これは、エネルギー移動の程度における金属により増強された増加に起因すると考えられる。
【0094】
仔ウシ胸腺DNAは、商業的供給源から得られ、そして1塩基対あたり13,300M−1cm−1を使用して、50mMtris緩衝液(pH7)に溶解して2mMの塩基対の濃度にした。DAPIおよびヨウ化プロピジウム(PI)を、購入した。エネルギー移動測定については、DAPIおよびPIの濃度は、それぞれ1.5×10−5Mおよび1.5×10−4Mであった。これらの濃度は、DAPI1分子あたり133塩基対、およびPI1分子あたり13塩基対という結果になった。
【0095】
発光スペクトルを、SLM8000分光蛍光計を使用して360nmの励起を用いて得た。強度減衰を、以前に記載された計測を使用する周波数−ドメインにおいて測定した(Laczkoら(1990)Rev.Sci.Instrum.61,2331−2337;Lakowiczら(1994)Biophys.J 46,463−477)。360nmの励起波長を、10ps以下のパルス幅を用いる3.80MHzキャビティダンピングしたPyridine 2色素レーザーの周波数倍加出力から得た。
周波数−ドメイン測定について、発光を460nm干渉フィルターを通して観察した。定常状態測定および周波数−ドメイン測定について、励起を垂直偏光し、そして発光を、水平に配向した偏光子を通して散乱光を最小にするように観察した。FD強度減衰を、上記の等式(1)(ここでτiは、αiの振幅を有する寿命であり、そしてΣαi=1.0である)を使用して多重指数関数モデルの点から分析した。多重指数関数モデルに対するフィッティングを、依然に記載されたように実行した(Lakowiczら(1994)Biophys.J.46,463−477)。定常状態強度に対する各成分の寄与は、上記の等式(2)により与えられる。
【0096】
平均減衰時間は、
【0097】
【数7】
により与えられる。
【0098】
振幅重みつき寿命は、
【0099】
【数8】
により与えられる。塩基対長3.4Åおよびrmin=12Åは、固定パラメータであった。
【0100】
銀粒子を、上記のように石英スライド上への銀の化学的還元により得た。堆積銀の全体的な厚さが40Å付近に維持される場合、銀粒子は、準波長(sub−wavelength)次元を有し、そして表面プラズモン吸収の特徴を示す(図1)。2つのこのような銀アイランドフィルム間の色素の吸収スペクトルの研究から、サンプル厚さは、1〜1.5μm付近であることが見出された。
【0101】
共鳴エネルギー移動に対する銀アイランドの効果を試験するために、ドナーとしてDAPIおよび/またはアクセプターとしてPIで標識された二重らせん仔ウシ胸腺DNAを使用した。キュベット中のDAPI−DNAならびにDAPIおよびPIの両方で標識されたDNAの発光スペクトルを、図20に示す。460nm付近のDAPIドナー強度における減少から見られ得るとおり、エネルギー移動の程度は、約20%である。PIアクセプターは、610nmに見られる発光に対してわずかに寄与するのみである。約20%のエネルギー移動の程度は、このD−A対についての35.7ÅのR0値と一致する(Murataら(2000)Biopolymes(Biospectrosc.)57,306−315)。DNAらせんにおいて13塩基対あたり1つのアクセプター標識の程度、および塩基対あたり3.4Åということに基づいて、アクセプター分子は平均45Åはなれて存在する。
【0102】
次に、DAPIドナーのみかまたはPIアクセプターのみで標識されたDNAに対する銀アイランドフィルムの効果を調べた(図21)。DAPI−DNAの場合、強度は、石英プレート間または銀アイランドフィルム間に置かれた場合、実質的に変化しない。PI−DNAの場合には、PI強度において約2倍の増加がある。PI−DNAに対する銀アイランドフィルムのより大きな効果は、DAPI−DNAの量子収量0.53と比較して、0.15近くというそのより低い量子収量と一致する(Murataら(2000)Biopolymers (Biospectrosc.)57,306−315)。
【0103】
ドナーおよびアクセプターで標識されたDNAの発光スペクトルを図22に示す。PIアクセプター発光における顕著な増加は、2つの銀のない石英プレート間と比較した場合に、2つの銀アイランドフィルム間のDNAサンプルについて見出された。この銀アイランドフィルムは、アクセプターのみのDNA(PI−DNA)に対しては穏やかな効果しか有していなかった。これらの結果は、銀アイランドに対する近さに起因するDAPIからPIへのRETの効率の増加を示す。
【0104】
DAPIからPIへのエネルギー移動の増加は、DAPI減衰時間の減少を生じると期待される。DAPIの周波数−ドメイン強度減衰を図23に示す。各パネルにおける点線は、PIアクセプターの非存在下でのDAPI減衰を示す。全ての場合において、平均DAPI寿命は、PIの存在下で減少した(表2)。平均DAPI減衰時間(アクセプターなしで
【0105】
【数9】
=2.93ns)は、銀アイランドの存在下でτ=2.39nsへと約20%減少したが、定常状態の強度は、実質的に変化しなかった(図21)。この結果は、銀アイランドに起因する放射減衰の速度の増加を示唆する。コントロール測定は、全てのこれらの測定において散乱光が存在しないことを示した。
(表2)
アクセプターおよび銀アイランドの存在下および非存在下におけるDAPIドナー強度減衰の多重指数関数分析
【0106】
【表2】
DAPIドナー減衰を、ドナーおよびアクセプターで標識されたDNAが0.5mmのキュベット中にある場合に、プレーンな石英プレート間および銀アイランドフィルム間で調べた(表2)。平均DAPI寿命は、キュベットから銀のない石英プレートに及ぶまで変化されなかった(それぞれ、
【0107】
【数10】
=2.16および2.26ns)。
【0108】
【数11】
=1.67nsへのDAPI減衰時間の劇的な減少は、銀アイランドフィルム間のDAPI−DNAについて見出された(図23A C)。この寿命の減少は、発光スペクトルにおいて見られる増加したRETに帰因する(図22)。
【0109】
見かけ上のフェルスター距離の点について周波数−ドメインドナー減衰を分析した。これは、ドナーの減衰を分析することにより達成される。アクセプター濃度は、1塩基対あたり0.075のアクセプターで一定に保持され、そしてR0値は、データに対する適合度を得るように変化させられる(図24A〜C)。R0=37.4Åという値は、D−A対について計算された値(R0=35.7A)に近い。R0の見かけの値は、石英プレート間で33.5Åに減少した。重要なことに、R0の見かけの値は、銀アイランドフィルム間のサンプルについて75.6Åへと2倍増加した。これは、見かけのR0値である。この適合(fit)を調べることにより(図24C)、周波数−ドメイン強度減衰が、単一のR0値に適合し得ないことがわかった。この適合の欠如は、D−A対の少なくとも2つの集団の存在を示唆し、銀アイランドに近い方の対が、より大きなR0値を示す。
【0110】
見かけのR0値における2倍の増加が、RETに対する銀アイランドの効果の最小限の推定値を表すということを認識することは重要である。銀アイランド付近の活性空間は、溶液中で約200Å〜約2000Åにまで及ぶ。1μMのサンプル厚さを仮定すると、サンプルの約1/25しかこの活性な値内にない。このことは、RETに対する実際の効果が、R0における2倍の増加よりも大きいということを示唆する。
【0111】
(実施例7:多光子励起による金属粒子付近の蛍光の局部的な増強)
RhB、エオシンナトリウム塩、ローズベンガル、およびクマリン152を、業者から入手した。実験サンプルのジオメトリを図25に示す。RhB、エオシン、およびローズベンガルの二光子励起を、852nm出力のTsunami mode−locked Ti:Sapphireレーザー、80MHzの繰り返し周期(repetition rate)、90fsのパルス、約0.5Wの平均電力で達成した。C152およびANSについて、多光子励起波長は、ほぼ800nmであった。この励起を、15cm半径の凹面鏡を用いてサンプルに集束させた。この溶液を、2つの高質石英プレート(λ/4平坦度)の間に配置した。これらのプレートの半分を被覆せず、半分を上記のように銀アイランド(silver island)で被覆した。吸収の測定値から、プレート間のサンプルの厚みは約1μmであった。このサンドイッチサンプルを、x−yポジショナー上に設置した。レーザーの集束点は、長さ約4mmおよび直径30μmであった。レーザーが銀アイランドを有する領域または銀アイランドを有さない領域を照射するように、x−yポジショナーを用いてサンプルを移動させた。この位置変更を、実験のジオメトリにおけるいかなる変化も伴わずに達成した。散乱した励起を、発光スペクトルについては、熱フィルターおよびBG−38ガラスフィルターの組み合わせを用い、時間分解測定についてはBG−38および580nm干渉フィルターを用いて消去した。
【0112】
強度の減衰を、以前に記載された器具を用いて周波数領域で測定した(Lakowiczら(1985)Biophys.Chem.21、61−78;Laczkoら(1990)Rev.Sci.Instrum.61、2331−2337)。周波数領域の測定のために、発光を、580干渉フィルターを通して観察した。全ての定常状態および周波数領域の測定について、散乱光を最小限に抑えるために、励起を垂直に偏光し、発光を水平方向に配向された偏光子を通して観察した。FD強度の減衰を、上記等式(1)(τiは振幅αiを有する寿命であり、Σαi=1.0である)を用いた多重指数関数モデル(multi−exponential model)の形式で分析した。以前に記載されたようにして、多重指数関数モデルに適合させた(Lakowiczら(1994)Biophys.J.46、463−477)。定常状態の強度への各成分の寄与は、上記等式(2)により与えられる。平均減衰時間は、上記等式(5)により与えられる。
【0113】
852nmでの二光子励起よる銀アイランドフィルムの間のRhBの発光スペクトルを試験した(図26A)。金属粒子の間のRhBについての発光強度(図26Aにて───で示される)は、被覆されていない石英プレートの間のRhB(図26Aにて−−−で示される)に対して約4倍増大した。サンプルを、集束した852nmの光に最初に曝した場合、照射領域から白色光を視覚的に検出した。この「スパーク」は1秒未満で減衰したが、一部の白色光はバックグラウンドで残存した。この白色光はまた、RhBを有さない銀アイランド単独でも見られた(図26Aにて・・・・で示される)。近距離場顕微鏡法における照射した金属プローブのこのような白色の連続発光は、以前に報告されている(Sanchezら(1999)Phys.Rev.Letts.82、4014−4017)。重要なことに、RhBのシグナルは、最初の発光の過渡状態後に安定なままであった。また、490nmの一光子励起を用いてRhBを試験した(図26下)。この場合、被覆されていない石英プレートと比較して、銀アイランドの効果はほとんどなかった。
【0114】
コントロール実験として、銀アイランドの存在下で二光子励起によりRhBを試験したが、アイランドがRhBと接触せずに外表面にくるようにプレートを回転させた(図27)。この場合、銀で被覆したプレートと銀で被覆していないプレートとの間の差は、見出されなかった。白色の連続発光は、この銀アイランドからもなお観察された。この結果は、図26で見られるRhBの増強された発光が、RhBの二光子励起に起因し、次にRhBを励起する金属粒子による第2高調波発生に起因しないことを実証した。
【0115】
図26の結果は、本発明者らの層状サンプル(図1を参照のこと)の性質を考慮することにより、理解され得る。発蛍光団は、1μの厚みのサンプルにおいて均一に分配される。金属アイランド(metal island)により影響を受ける領域は、溶液中で約250Å広がると考えられる。2つの銀アイランド表面が存在することを思い起し、本発明者らは、この溶液の約5%のみが活性領域に含まれると評価した。実際は、このパーセンテージさえも、高すぎる可能性がある。なぜならば、金属表面の50Å以内の発蛍光団は、代表的に、消光されるからである。サンプルの5%が金属により影響を受けると仮定すると、RhBの4倍の増強(図26上)は、金属粒子に起因して、二光子励起の80倍の増強を示唆する。金属粒子付近の発蛍光団の小画分は、一光子によっては有意な効果が存在しないことを説明する(図26下)。なぜならば、発光の大部分は、銀アイランドから離れたRhB分子から生じるからである。
【0116】
一光子励起および二光子励起により、被覆された石英プレートと被覆されていない石英プレートとの間のRhBの周波数領域の強度の減衰を試験した。図29Aの励起波長は852nmであり、観察波長は580nmであった。一光子励起について、平均寿命は、被覆されたプレートと被覆されていないプレートとの間で本質的に変化しなかった(図28A〜B)。この結果は、RhBの一光子の個々の発光のほとんどが、バルクサンプルから生じたことを示す図26Bと一致する。対照的な結果を、二光子励起によるRhBの強度の減衰について見出した(図29A〜B)。この場合、平均寿命は、銀アイランドフィルムにより劇的に短縮される。852nmの励起により減少したRhBの寿命は、金属粒子付近のRhB分子の局部的な二光子励起の結果である。減少したRhB寿命はまた、この励起が金属アイランドによる第2高調波発生に起因しないことを実証した。この高調波による励起から生じるRhBの寿命は、バルク溶液において見出されるRhBの寿命と同じである。
【0117】
蛍光の多くの用途において、発蛍光団の光安定性は最大の関心事である。このことは、光消滅(photodestruction)前に約1,000の光子が、ローダミンのような高安定性の発蛍光団から観察され得ると評価された場合の単一分子の検出に特にあてはまる(Ambroseら(1999)Chem.Rev.99、2929−2956)。光化学は励起状態で生じるので、蛍光寿命の減少は、光安定性を増大させると考えられる。一光子励起および二光子励起を用いて、被覆された石英スライドと被覆されていない石英スライドとの間のローダミンBの光安定性を試験した(図30A〜B)。一光子励起について、光安定性は、銀アイランドの存在または非存在により影響を受けなかった(図30B)。二光子励起について、銀アイランドの存在下での光安定性は増強された(図30A)。これらの結果は、銀アイランド間のローダミンBについて観察されたより短い寿命および二光子励起が銀アイランドフィルム付近で優先的に生じるという主張と一致する。
【0118】
実験を進める上で、バルク溶液中で0.48の量子収量(Q=0.48)を示すローダミンBを使用した。結果として、多くの発光が、銀アイランドにより影響を受けない領域中で、バルク溶液から生じた。銀アイランド付近で生じる多光子励起は、付近の発蛍光団の量子収量を増大する。図31Aは、エオシン(Q=0.24)の発光スペクトルを示し、図31Bは、石英プレート間および銀アイランドフィルム間のローズベンガル(Q=0.02)の発光スペクトルを示す。励起波長は852nmであった。これらのスペクトルにおける、銀アイランドフィルムから生じる白色光の連続帯は、全体的なシグナルが低いことからより明らかである。重要なことに、銀アイランド間の発蛍光団から実質的な発光が生じる条件下で、二光子励起によって、エオシンまたはローズベンガルから発光が本質的に生じない。この結果は、金属粒子付近の選択的かつ局部的な二光子励起を示唆していた。
【0119】
選択的な励起の概念を、生化学的に関連する発蛍光団(例えば、クマリン152およびANS)を用いてさらに追跡した(図32A〜B)。この場合、銀アイランドフィルム間のこれらの発蛍光団について、二光子により誘導される発光の顕著な増強が観察された。水中での非常に低い量子収量(Q<0.01)を有するANSの場合、被覆されていないスライド間のANSについて本質的にシグナルが見られず、キュベット中のバルク溶液から観察されたシグナルでさえ、銀粒子の存在下で二光子により誘導された発光と比較して有意でなかった。図31A〜Bおよび図32A〜Bに示される結果は、銀粒子付近の多光子励起が、金属粒子付近の領域での高度に局在化された励起を引き起こし得る一般的な現象であることを示唆する。
【0120】
図33は、金属コロイド上の発蛍光団が、どのようにして、遊離発蛍光団の存在下で多光子励起により選択的に検出され得るかを示す図である。金属粒子の約50Å〜約2000Å、好ましくは、約50Å〜約200Å内の発蛍光団のみが、一定量の励起放射に曝された場合に蛍光が増大する。遊離発蛍光団は、検出可能なレベルで蛍光を発しない。
【0121】
図34は、金属コロイドによる細胞内自己蛍光の局部的な多光子励起の図である。1つの実施形態において、金属粒子(好ましくは、貴金属)が、所望の標的に結合する抗体に取り付けられる。抗体が所望の標的に結合した場合、金属粒子は、標的付近の、励起量の蛍光(好ましくは、多光子励起)に応答して標的の蛍光を増大するのに十分な距離(代表的には、約50Å〜約2000Å、好ましくは、約50Å〜約200Å)に位置する。抗体は、抗体を産生し得る任意の宿主動物由来であり得る。宿主動物の例として、哺乳動物、好ましくは、ウサギ、ヤギ、ウマ、およびヒトが挙げられる。抗体はまた、外因的な発蛍光団と結合体化され得る。
【0122】
(実施例8)
(アッセイ)
図35は、免疫アッセイの概略図を示す。捕捉抗体は、金属粒子付近の表面に共有結合される。分析物(An)が存在すると、非蛍光発色団で標識された二次抗体と表面結合する。非蛍光発光団発蛍光団または弱蛍光発光団発蛍光団の例として、ローズベンガル、エオシン、マラカイトグリーン、および光学顕微鏡法において色素または染料として使用される有機分子が挙げられるがこれらに限定されない。光学顕微鏡法において色素または染料として使用される適切な有機分子は、当該分野で周知であり、アシッドフクシン、アルシアンブルー、アリザリンレッド、コンゴーレッド、クリスタルバイオレット、エオシン、エバンスブルー、ライトグリーンSF、ルキソールファストブルー、メチルグリーン、ニュートラルレッド、ニグロシン、オイルレッドo、オレンジg、ピクリン酸、ピロニンy、サフラニンo、シリウスレッド、スーダンブラックb、およびトルイジンブルーoが挙げられるがこれらに限定されない。抗原への結合の際に、以前は非蛍光性の種が、増大した放射率に起因して一定量の励起放射線に応じて発光する。金属部位からより離れた未結合種は蛍光を発しないので、この蛍光シグナルと干渉しない。非蛍光種は、金属粒子に近接する場合にのみ発光する「分子ビーコン」となる。抗体を産生し得る任意の宿主由来の抗体または抗体フラグメントが使用され得ることが理解される。宿主の例として、哺乳動物(例えば、霊長類、ヤギ、ウマ、ウサギ、およびげっ歯類)が挙げられる。さらに、組換え抗体またはキメラ抗体もまた、使用され得る。このアッセイは、生物学的流体(唾液、尿、粘液、血液、血漿、およびリンパ液が挙げられるがこれらに限定されない)中の分析物の存在を検出するのに使用され得る。分析物の例として、ステロイド、低分子、タンパク質、ペプチド、細菌、および真菌が挙げられる。
【0123】
図36は、電気電位を用いて蛍光のオンオフをゲート制御する本発明のアッセイを示す。発蛍光団は、金属粒子で被覆された表面に取り付けられた可撓性ポリマー鎖の末端に配置される。1つの実施形態において、この鎖および発蛍光団全体は負に荷電している。電圧または金属が正の場合、発蛍光団は、消光ゾーンに存在する。電圧が負の場合、発蛍光団は、増強ゾーンに置き換わる。あるいは、発蛍光団は、より短い範囲で金属の消光ゾーンを出入する。従って、発光は、電圧によりゲート制御される。電気電位は、公知の技術を用いて生成され得る。適切な電気電位源として、電気を生成し得るデバイス(バッテリー、燃料電池、および変圧器が挙げられるがこれらに限定されない)が挙げられる。別の実施形態において、電気電位を用いてアレイセンサにアクセスする方法は、DNAまたはタンパク質を表面上に所望のバターンで連結するための公知の方法を用いて提供される。例えば、生体分子は、接着剤、ポリマー、リジン、またはビオチン−アビジンを用いて表面に連結され得る。
【0124】
本発明の別の実施形態は、免疫アッセイを開示する。このアッセイにおいて、第1の抗体はドナー分子で標識され、そして第2の抗体はアクセプター分子で標識される(図37)。標識された抗体は、各々の抗原に結合し、複合体を形成する。この複合体が、金属粒子の近くにある場合、ドナーからアクセプターへの共鳴エネルギー移動は増強され、アクセプターからの発光が検出可能となる。この複合体は、電気電位または他の誘引力を用いて銀アイランド表面付近に位置し得る。金属により誘導される移動速度の増大は、より長い距離の移動を導き、抗原は、移動効率の増大により検出可能である。
【0125】
図38は、本発明の別の実施形態である、表面プラズモン励起用装置を示す。銀を含まないコントロール表面について(図38B)、発光は、蛍光の臨界角で増大している。励起がプラズモン共鳴角にある場合、発光は、発光波長のプラズモン角で急激に分散される。この目的のための代表的な金属表面は、連続的な半透明の銀被覆である。この被覆はさらに、金属コロイドまたは粒子の結合により修飾され得、増強された、指向性の発光を提供する。
【0126】
本発明の意図または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明に対して種々の改変がなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1Aおよび1Bは、それぞれ、石英表面上の銀金属アイランドおよびその吸収スペクトルを示す。
【図2】図2A〜Cは、それぞれ、キュベット中、石英プレート間、および銀アイランドを有する石英スライド間におけるローズベンガルの吸収スペクトルである。
【図3】図3Aおよび3Bは、銀アイランドフィルム間のローダミンBおよびローズベンガルの発光スペクトルである。
【図4】図4A〜4Cは、種々の条件下でのローダミンBの、周波数−ドメイン強度減衰を示すグラフである。
【図5】図5A〜5Cは、種々の条件下でのローズベンガルの、周波数−ドメイン強度減衰を示すグラフである。
【図6】図6A〜6Bは、ローダミンBおよびローズベンガルの、再構築時間−ドメイン強度減衰である。
【図7】図7A〜7Dは、銀アイランドフィルム間(S)およびコーティングしていない石英プレート間(Q)の、Erb、BF、[Ru(bpy)3]2+、および[Ru(phen)2dppz]2+の発光スペクトルである。
【図8】図8は、銀アイランドフィルム間に配置された場合に異なる量子収量を有する発蛍光団の発光の増強の、グラフでの描写である。
【図9】図9は、DMF溶液および水中における、石英プレート間での蛍光強度(IQ)に対して比較した、銀アイランドフィルム間の[Ru(phen)2dppz]2+の蛍光強度(IS)の、グラフでの描写である。[Ru{phen}2dppz]2+は、水の存在下で蛍光強度が減少する(挿入図)。図9は、銀アイランド粒子が、DMFよりも多くの水を含む溶液中で、[Ru(phen)2dppz]2+に対してより大きい増強(IS/IQ)を有することを示す。従って、銀アイランドフィルムは、強いかまたはクエンチされていない発蛍光団に対してよりも弱いかまたはクエンチされた発蛍光団に対して、蛍光強度のより大きい増強を有する。
【図10】図10Aおよび10Bは、銀アイランドフィルム間(S)およびコーティングしていない石英プレート間(Q)の、溶媒感受性発蛍光団の発光スペクトルである。
【図11】図11Aおよび11Bは、銀アイランドフィルム間(S)およびコーティングしていない石英プレート間(Q)の、β−ガラクトシダーゼおよびヒトグリオキサラーゼの発光スペクトルである。
【図12】図12Aおよび12Bは、銀アイランドフィルム間(S)およびコーティングしていない石英プレート間(Q)の、核酸塩基の発光スペクトルである。
【図13】図13Aおよび13Bは、銀アイランドフィルム間(S)およびコーティングしていない石英プレート間(Q)の、一本鎖核酸の発光スペクトルである。
【図14】図14Aおよび14Bは、キュベット中(14A)および銀アイランドフィルム間またはコーティングしていない石英プレート間(14B)の、仔ウシ胸腺DNAの吸収スペクトルである。
【図15】図15Aおよび15Bは、キュベット中(15A)および銀アイランドフィルム間またはコーティングしていない石英プレート間(15B)の、DNAの発光スペクトルである。
【図16】図16Aおよび16Bは、キュベット中(16A)および銀アイランドフィルム間(16B)の、仔ウシ胸腺DNAの周波数−ドメイン強度減衰である。
【図17】図17は、銀アイランドフィルム間およびキュベット中の、仔ウシ胸腺DNAの時間依存性の強度減衰である。
【図18】図18は、コーティングしていない石英プレート間および銀アイランドフィルム間の、R6G(ドナーとして)およびSR101(アクセプターとして)の発光スペクトルである。
【図19】図19は、銀アイランドフィルム間およびコーティングしていない石英プレート間の、DAPIおよびアクリジンオレンジで標識したDNAの発光スペクトルである。
【図20】図20は、コーティングしていない石英プレート間の、DAPI単独;ヨウ化プロピジウム(PI)単独;またはDAPIおよびPIの両方で標識したDNAの発光スペクトルである。
【図21】図21は、銀アイランドフィルム間およびコーティングしていない石英プレート間の、DAPI標識DNAおよびPI標識DNAの発光スペクトルである。
【図22】図22は、銀アイランドフィルム間およびコーティングしていない石英プレート間の、DAPIおよびPIの両方で標識したDNAの発光スペクトルである。
【図23】図23A〜23Cは、キュベット中(23A)、コーティングしていない石英プレート間(23B)、および銀アイランド間(23C)における、DAPIおよびPIの両方で標識した仔ウシ胸腺DNAについての、DAPIドナー減衰の周波数−ドメイン強度減衰である。DAPI単独の周波数−ドメイン強度減衰もまた示す。
【図24】図24A〜24Cは、キュベット中(24A)、コーティングしていない石英プレート間(24B)、および銀アイランド間(24C)における、DAPIおよびPIの両方で標識した仔ウシ胸腺DNAの、DAPIの周波数−ドメイン強度減衰である。
【図25】図25は、銀アイランドフィルム間の発蛍光団を検出するための例示的な外面的形態である。
【図26】図26Aおよび26Bは、一光子励起および二光子励起を用いた、銀アイランドフィルムとコーティングしていない石英プレートとの間のローダミンBの発光スペクトルである。
【図27】図27は、コーティングしていない石英プレート間および石英プレートの外表面上に銀アイランドを有する石英プレート間での、二光子励起を用いたローダミンBの発光スペクトルである。
【図28】図28Aおよび28Bは、コーティングしていない石英プレート(28A)および銀アイランドフィルム間(28B)での、一光子励起を用いたローダミンBの周波数−ローダミン強度減衰である。
【図29】図29Aおよび29Bは、コーティングしていない石英プレート(29A)および銀アイランドフィルム間(29B)での、二光子励起を用いたローダミンBの周波数−ローダミン強度減衰である。
【図30】図30Aおよび30Bは、コーティングしていない石英プレート間(Q)および銀アイランドフィルム間(S)での、ローダミンBの光安定性を示すグラフである。
【図31】図31Aおよび31Bは、二光子励起を用いた、コーティングしていない石英プレート間(Q)および銀アイランドフィルム間(S)でのエオシン(31A)およびローズベンガル(31B)の発光スペクトルである。
【図32】図32Aおよび32Bは、コーティングしていない石英プレート間(Q)および銀アイランドフィルム間(S)でのクマリン(32A)の発光スペクトル、ならびにキュベット中(C)、コーティングしていない石英プレート間(Q)および銀アイランドフィルム間(S)でのANS(32B)の発光スペクトルである。
【図33】図33は、遊離発蛍光団の存在下での、金属コロイド上の発蛍光団の選択的多光子励起を示す。
【図34】図34は、金属コロイドによる細胞内自己蛍光の局所的な多光子励起を示す。
【図35】図35は、銀アイランドでコーティングされた表面と結合させたサンドイッチイムノアッセイの、例示的な実施形態である。
【図36】図36A〜36Cは、電圧活性化蛍光アッセイの例示的な実施形態である。
【図37】図37A〜37Cは、ドナーおよびアクセプター標識抗体を用いたエネルギー移動イムノアッセイの例示的な実施形態である。
【図38】図38Aは、表面プラズモン励起のための例示的な装置である。そして図38Bは、ローダミン6Gからの蛍光の角分布のグラフである。
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2001年2月14日に出願された米国仮出願番号60/268,326、表題「RADIATIVE DECAY ENGINEERING」に対して、優先権の利益を主張する。
【0002】
(連邦に助成された研究に関する陳述)
NIH National Center for Research Resourceによって交付された助成金番号RR−08119の下で、米国政府は、一部、本発明を導く研究を支援した。従って、米国政府は、本発明に対して特定の権利を有し得る。
【0003】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、分子の蛍光を増大させ、そして検出するための組成物および方法に関し、特に、生体分子の内因性の蛍光を増大させるための組成物および方法に関する。本発明はまた、生体分子の蛍光を増大および検出することによる、生体分子の検出のための方法および組成物に関する。
【0004】
(2.関連技術の記載)
蛍光技術の使用は、特定の分子を検出する能力を大いに増強し、診断における迅速な進歩を導いた。例えば、蛍光検出は、蛍光技術を使用して得られる高感度に起因して、医療用試験およびDNA分析において広く使用される。少数の分子は、蛍光技術を使用して検出され得る。代表的には、外因性の発蛍光団を共有結合的または非共有結合的に付加して、元々蛍光性でないか、または以前には商業的に有用なレベルで蛍光ではない分子が検出されることを可能にする。生体分子(例えば、DNA)は、元々、検出可能なレベルで蛍光性ではなく、外因性の発蛍光団がDNAに付加されて、ゲル上のDNAの検出(Bensonら(1993)Nucleic Acids Res.21、5720−5726;Bensonら(1995)Ananl.Biochem.231、247−255)、DNA配列決定(Smithら(1986)Nature 321、674−679;Proberら(1987)Science 238、336−343;Liら(1999)Bioconjugate Chem.10、241−245)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(Denijnら(1992)APMIS 100、669−681;Wiegantら(2000)Genome Res.10、861−865)および遺伝子発現のDNAアレイの読み取り(Lipshutzら(1999)Nat.Genet.補遺1、20−24;Fereaら(1999)Curr.Opin.Genet.Dev.9、715−722)を容易にする。DNAは、260nm付近のUV領域で吸収するので、外因性発蛍光団は、DNAと共に使用される。UV固体レーザーが利用可能になったので、短い吸収波長は、現在、あまり障害ではない。それにも関わらず、DNAからの内因性の蛍光は、10−4〜10−5の低量子収量に起因して、実用的な有用性はほとんどない(Vignyら(1974)Photochem.Photobiol.20、345−349;Morganら(1980)Photochem.Photobiol.31、101−113)。DNA、ヌクレオチドおよび核酸塩基からの内因性の放射は非常に弱いので(Kneippら(1999)Curr.Science 77、915−924;Nieら(1997)Science 275、1102−1106;Michaelsら(1999)J.Am.Chem.Soc.121、9932−9939)、現在の計測器を使用しても、内因性の蛍光を観察するのは困難である(Gerstenら(1985)Surface Science 158、165−189;Lakowicz(2001)Anal.Biochem.298、1−24)。
【0005】
分子の存在を検出するために使用されるいくつかの蛍光技術としては、共鳴エネルギー移動(RET)、免疫蛍光アッセイおよび蛍光インサイチュハイブリダイゼーションが挙げられる。目的の分子の検出は、一般に、使用される発蛍光団の特性によって制限される。いくつかの場合、生体分子を外因性発蛍光団で標識することは、生体分子の生物学的活性を変更させ得、実験上のアーチファクトを生じる可能性がある。現在の蛍光技術に伴う問題は、一部、一般に使用される発蛍光団の低い蛍光強度に起因する。さらに、バックグラウンドの蛍光は、いくつかの発蛍光団によって必要とされる低波長励起放射線を使用する場合、または大量の発蛍光団が必要とされる場合、有意であり得る。
【0006】
蛍光色素をマーカーとして使用するDNA配列決定技術は、可視の範囲に極大発光スペクトルを有し、DNAは、可視スペクトルでの照射に供され、そして可視スペクトル検出器および光源が使用される。一般的に、光電子増幅管が検出のために使用される。結果として、これらのDNA配列決定技術は、代表的に可視領域の光スペクトルで放射する蛍光マーカーを励起するために使用されるレーザーの高い費用から生じる高い費用、および生体分子によるバックグラウンドの干渉に起因するシグナルに対する高いノイズ比を含む、いくつかの欠点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、生体分子の蛍光強度を増大するための組成物および方法についての必要性が存在する。
【0008】
また、生体分子の内因性蛍光を増大するための組成物および方法についての必要性が存在する。
【0009】
ある量の励起放射線に応答する生体分子の蛍光放射強度を操作するための組成物および方法についての、別の必要性が存在する。
【0010】
生体分子の放射減衰速度を操作するための方法および組成物についての、なお別の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の簡単な要旨)
本発明の1つの局面は、金属粒子と組み合わせた生体分子に関し、ここで、この金属粒子および生体分子は、ある量の励起電磁放射線に応答する生体分子からの電磁放射の内因性の放射を増強するに十分離れた距離で位置付けられる。例示的な生体分子としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:プリン、ピリミジン、核酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、RNA、DNA、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、ビタミン、脂質、炭水化物、ステロイドおよび抗体。例示的な金属としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、銅、オスミウム、イリジウム、白金および金。本発明は、生体分子の蛍光強度が、生体分子と金属粒子との間の距離を変化させることによって操作され得るという驚くべき発見を記載する。本発明の範囲内に、生体分子の内因性蛍光および外因性プローブで標識された生体分子の蛍光を増加させることが含まれることは、当業者に明らかである。生体分子の外因性蛍光としては、生体分子に結合体化した発蛍光団の蛍光が挙げられるが、これに限定されない。このような外因性発蛍光団は、生体分子に共有結合または非共有結合により結合され得る。本発明の他の局面は、生体分子を検出するための新規の組成物および方法を記載する。生体分子の蛍光強度が増大する場合、ノイズに対するシグナルの比は増大するので、本発明は、バックグラウンドの蛍光に関連する問題を克服する。さらに、高価なレーザーは必要なく、それによってコストを減少させる。外因性発蛍光団は、生体分子の蛍光アッセイを、より迅速かつ安価にするために、必要とされなくてもよい。
【0012】
本発明の別の局面は、生体分子の内因性の蛍光を増大させるための方法を提供し、この方法は、ある量の励起放射線に応答する、生体分子からの電磁放射を増大させるに十分離れた距離で、金属粒子および生体分子を位置付ける工程を包含する。本発明が、任意の開示された実施形態において、生体分子を金属粒子に近接して位置付けることか、または金属粒子を生体分子に近接して位置付けることを含むことが理解される。
【0013】
本発明のなお別の局面は、生体分子を検出するための方法を提供し、この方法は、生体分子からの電磁放射を操作するに十分離れた距離で、金属粒子および生体分子を位置付ける工程、この生体分子をある量の励起放射線に曝露する工程、および生体分子からの電磁放射を検出する工程を包含する。
【0014】
なお別の局面は、生体分子の蛍光強度を操作するための方法を提供し、この方法は、生体分子を金属粒子に近接して位置付けることによって、生体分子の放射減衰速度を増大させる工程、およびこの生体分子をある量の励起放射線に曝露する工程を包含する。放射減衰速度を増大させることによって、生体分子の蛍光強度は、増大され得る。
【0015】
本発明の別の局面は、サンプル中の核酸配列の存在を検出するための方法を開示し、この方法は、サンプルを提供する工程、金属粒子に連結した核酸を添加する工程、サンプルをある量の励起放射線に曝露する工程、蛍光を検出する工程および蛍光検出に基づいて、核酸配列の存在を決定する工程を包含する。
【0016】
なお別の局面は、蛍光標識された生体分子の蛍光強度を増大させるための方法を提供し、この方法は、生体分子を発蛍光団標識する工程、ある量の励起放射線に応答して、発蛍光団が放射を発するように、標識した生体分子を、金属粒子の隣に位置付ける工程、を包含する。
【0017】
なお別の局面は、蛍光標識された生体分子上の共鳴エネルギー移動を増大させるための方法を提供し、この方法は、ドナー発蛍光団で第一の生体分子を標識する工程、アクセプター発蛍光団で第二の生体分子を標識する工程、ある量の励起放射線に応答して、ドナー発蛍光団がアクセプター発蛍光団へとエネルギーを移動させてアクセプター発蛍光団が電磁放射を発するように、第一の標識生体分子および第二の標識生体分子の両方を、金属粒子に近接して位置付ける工程、を包含する。
【0018】
別の局面は、蛍光標識した生体分子上の共鳴エネルギー移動を増大させるための方法を提供し、この方法は、生体分子をドナー発蛍光団およびアクセプター発蛍光団で標識する工程、ある量の励起放射線に応答して、ドナー発蛍光団がアクセプター発蛍光団へとエネルギーを移動させてアクセプター発蛍光団が電磁放射を発するように、標識した生体分子を金属粒子に近接して位置付ける工程、を包含する。
【0019】
本発明の別の局面は、発蛍光団の蛍光強度を増大させるための方法を提供し、この方法は、発蛍光団を金属粒子に近接して位置付ける工程、および複数の光子で発蛍光団を励起する工程(このプロセスは、多光子励起と呼ばれる)を包含する。
【0020】
本発明の別の局面は、生体分子の蛍光強度を増大させるための方法を提供し、この方法は、金属粒子に近接して生体分子を位置付ける工程、および複数の光子でこの生体分子を励起する工程を包含する。
【0021】
本発明のなお別の局面は、サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法を提供し、この方法は、サンプル中の目的の領域に対して、金属粒子を向ける工程、およびサンプル中に、ある量の励起放射線を提供する工程を包含する。
【0022】
本発明の別の局面は、サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法を提供し、この方法は、サンプル中の目的の領域に対して、金属粒子を向ける工程、このサンプルを発蛍光団と接触させる工程、およびこのサンプルを、ある量の励起放射線に曝露する工程を包含する。
【0023】
本発明をよりよく理解するために、本発明の他の目的およびさらなる目的と共に、添付の図面と組合わせて、以下の記載に対して参照がなされ、そして本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲において示される。
【0024】
(発明の詳細な説明)
(略語)
AO アクリジンオレンジ
BF 塩基性フクシン(Basic Fucsin)
bpy 2,2’−ビピリジン
CT 仔ウシ胸腺
DAPI 4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール
dppz ジピリド[3,2−a:2’,3’−c]フェナジン
DMF ジメチルホルムアミド
ErB エリトロシンB
phen 9,10−フェナントロリン
prodan 6−プロピオニル−2−(ジメチルアミノ)ナフタレン
Py2 ピリジン2
R6G ローダミン6G
RhB ローダミンB
RB ローズベンガル
RET 共鳴エネルギー移動
SERS 表面増強ラマン散乱
SIF 銀アイランドフィルム
SR101 スルホローダミン101
A アクセプター
D ドナー
DAPI 4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール
FD 周波数−ドメイン
PI ヨウ化プロピジウム
RET 共鳴エネルギー移動
(定義)
用語「発蛍光団」は、その物質が異なる波長(励起波長)の放射線によって照射された場合に、特定の波長(発光波長)において光として電磁エネルギーを放射する任意の物質を意味する。外因性発蛍光団は、別の物質に結合する発蛍光団をいう。内因性発蛍光団は、発蛍光団自体である物質をいう。例示的な発蛍光団としては、Molecular Probes Catalogue(これは、本明細書中に参考として援用される)に列挙される発蛍光団が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な発蛍光団としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Alexa Fluor(登録商標)350、Dansyl Chloride(DNS−Cl)、5−(ヨードアセタミダ)フルオレセイン(5−(iodoacetamida) フルオレセイン)(5−IAF);フルオレセイン5−イソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミン5−(および6−)イソチオシアネート(TRITC)、6−アクリロイル−2−ジメチルアミノナフタレン(アクリロダン(acrylodan))、7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3,−ジアゾール−4−イルクロリド(NBD−Cl)、臭化エチジウム、Lucifer Yellow、5−カルボキシローダミン6Gハイドロクロリド、LissamineローダミンBスルホニルクロリド、Texas RedTMスルホニルクロリド、BODIPYTM、ナフタルアミンスルホン酸(1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸(ANS)および6−(p−トルイジニル)ナフタレン−2−スルホン酸(TNS)を含むが、これらに限定されない)、Anthroyl脂肪酸、DPH、パリナン酸(Parinaric acid)、TMA−DPH、フルオレニル脂肪酸、フルオレセイン−ホスファチジルエタノールアミン、Texas red−ホスファチジルエタノールアミン、ピレニル−ホスファチジルコリン、フルオレニル−ホスファチジルコリン、メロシアニン(Merocyanine)540、1−(3−スルホナトプロピル)−4−[β−[2[(ジ−n−ブチルアミノ)−6ナフチル]ビニル]ピリジニウムベタイン(ナフチルスチリル)、3,3’ジプロピルチアジカルボシアニン(dipropylthiadicarbocyanine)(diS−C3−(5))、4−(p−ジペンチルアミノスチリル)−1−メチルピリジニウム(di−5−ASP)、Cy−3ヨードアセトアミド、Cy−5−N−ヒドロキシスクシンイミド、Cy−7−イソチアシアネート、ローダミン800、IR−125、チアゾールオレンジ、Azure B、Nile Blue、Al フタロシアニン、Oxaxine 1、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、Hoechst 33342、TOTO、アクリジンオレンジ、エチジウムホモダイマー、N(エトキシカルボニルメチル)−6−メトキシキノリニウム(MQAE)、Fura−2、カルシウムグリーン、カルボキシSNARF−6、BAPTA、クマリン、フィトフルオル(phytofluor)、Coronene、および金属−配位子錯体。代表的な内因性発蛍光団としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:芳香族環構造を有する有機化合物(NADH、FAD、チロシン、トリプトファン、プリン、ピリミジン、脂質、脂肪酸、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、糖、およびビタミンが挙げられるが、これらに限定されない)。さらなる適切な発蛍光団としては、酵素−補因子;ランタニド、緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、またはこれらの変異体および誘導体が挙げられる。
【0025】
用語「生体分子」は、天然に存在する任意の炭素ベースの分子またはこのような分子の誘導体を意味する。生体分子は、活性形態であっても不活性形態であってもよい。「活性形態」は、生物学的機能を実行し得る形態の生体分子を意味する。「不活性形態」は、その生体分子が生物学的機能を実行し得る前に天然または合成のいずれかで処理されなければならない生体分子を意味する。例示的な生体分子としては、核酸、芳香族炭素環構造、NADH、FAD、アミノ酸、炭水化物、ステロイド、フラビン、タンパク質、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、脂肪酸、グルコースなどの糖群、ビタミン、補因子、プリン、ピリミジン、ホルミシン(formycin)、脂質、フィトクロム、フィトフルオル(phytofluor)、およびフィコビリプロプテイン(phycobiliproptein)が挙げられる。
【0026】
用語「一定量の励起放射線」は、分子に放射を放出させるある一定量の放射線を意味する。
【0027】
(例示的な実施形態)
本発明の1つの実施形態は、金属粒子と組み合わせた生体分子に関し、ここで、この金属粒子および生体分子は、一定量の励起電磁放射線に応答した生体分子からの電磁放射の内因性放出を調節する(好ましくは、増強する)に十分な距離離れて配置される。例示的な生体分子としては、プリン、ピリミジン、核酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、RNA、DNA、アミノ酸、フラビン、タンパク質、ペプチド、ビタミン、脂質、抗体、および芳香族炭素環構造が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましい生体分子および発蛍光団は、約0.8未満、より好ましくは約0.5未満、そして最も好ましくは約0.2未満の量子収量を有する。例示的な金属としては、銅および貴金属(例えば、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、および金)が挙げられる。同様に、別の実施形態は、金属表面と組み合わせた生体分子を含む組成物を提供し、ここで、この金属表面および生体分子は、一定量の励起電磁放射線に応答した生体分子からの電磁放射の内因性放出を調節する(好ましくは、増強する)に十分な距離離れて配置される。さらに、金属表面が過ヨウ素酸金属表面であり得る別の実施形態を提供する。
【0028】
本発明は、生体分子の蛍光強度が、生体分子と金属粒子との間の距離を変化させることによって操作され得るという驚くべき発見に基づく。実際に、生体分子の内因性蛍光は、その生体分子が金属粒子に近接して配置された場合、少なくとも約80倍〜約140倍増加され得るということが発見されている。好ましくは、その金属粒子と生体分子とは、約50Å〜約2000Å、最も好ましくは約50Å〜約200Åの距離が離れている。別の実施形態において、金属粒子は、波長より小さい(sub−wavelength)大きさであり、代表的に約50Å〜約300Åの範囲である。金属粒子は、長球状であっても、楕円状であっても、任意の他の外面的形態であってもよい。金属粒子は、コロイド中に懸濁され得るか、またはコロイド、合金、または1つより多くの金属と組み合わされ得る。金属粒子は、薄いフィルムとして表面上に配置され得るか、または表面に沈積されて小さいアイランド(island)を形成する。この表面は金属性であっても非金属性であってもよい。さらに、金属粒子は、ポリマー、ゲル、接着剤、酸化物、または生物学的材料でコーティングされ得る。例示的なコーティングとしては、表面または他の分子への金属粒子の結合を増加させる物質が挙げられる。1つの実施形態において、金属粒子は、非金属性分子および生体分子への結合を促進するように、その表面上で改変され得る。例示的な実施形態において、金属粒子(好ましくは、貴金属、最も好ましくは銀)は、表面上で化学的に還元される。化学還元は、公知の技術を用いて達成され得る。例示的な表面としては、ガラスまたは石英が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
別の実施形態において、生体分子および金属粒子は、生体分子の内因性蛍光に対して所望の効果を有するのに十分な長さの中間物を介して互いに結合され得る。この結合は共有結合的であっても非共有結合的であってもよい。さらに、金属および生体分子は、安定に連結され得るか、またはこれら2つが化学反応、酵素反応、または光反応の結果として分離され得るように連結され得る。例えば、金属粒子に連結された生体分子は、細胞、細胞オルガネラ、または他の区画内に内在化され得る。一旦内在化されると、連結した生体分子は、酵素反応または化学反応に供されて、金属粒子のその生体分子からの完全な分離を生じる。例示的な酵素反応としては、非特異的エステラーゼ反応が挙げられるが、これに限定されない。そして例示的な化学反応としては、加水分解、酸化、または置換が挙げられるが、これらに限定されない。一旦分離されると、この生体分子は検出不可能になり得るか、または検出しにくくなり得る。なぜなら、この内因性蛍光は、その金属粒子によってもはや増幅されないからである。生体分子の内因性蛍光がクエンチされることが所望される場合、生体分子および金属粒子は、約0〜50Å未満の距離で離され得る。生体分子の内因性蛍光が増加される場合、生体分子および金属粒子は、約50Å〜約2000Å、より好ましくは約50Å〜約200Åの距離で離れて得る。従って、生体分子の蛍光強度は、金属粒子と生体分子とを隔てている距離を変化させることによって操作され得る。
【0030】
本発明の範囲が、生体分子の外因性蛍光および生体分子の内因性蛍光を増加する工程を包含することが、当業者によって理解される。生体分子の外因性蛍光は、生体分子に結合した発蛍光団の蛍光が挙げられるがこれに限定されない。このように結合した発蛍光団が、生体分子に共有結合的にまたは非共有結合的に結合され得る。本発明の蛍光強度の増加または減少は、生体分子または発蛍光団が金属粒子の非存在下での生体分子または発蛍光団の内因性蛍光強度または外因性蛍光強度と比較して、金属粒子と組み合わされた場合の、内因性蛍光強度または外因性蛍光強度における増加または減少を意味する。
【0031】
本発明の別の実施形態は、生体分子の内因性蛍光を増加するための方法を提供し、この方法は、生体分子および金属粒子を、一定量の励起放射線に応答した生体分子からの電磁放射を増加するのに十分な距離、離れて配置する工程、を包含する。本発明が、任意の開示された実施形態において、金属粒子に近接して生体分子を配置する工程または金属粒子を生体分子に近接して配置する工程を包含することが理解される。例示的な実施形態において、生体分子および金属粒子が、生体分子の内因性蛍光を増加するために、約50Å〜約2000Å、好ましくは、約50Å〜約200Åの距離で分離されるか、または内因性蛍光がクエンチされる場合、約50Å未満の距離で分離される。他の実施形態において、金属粒子は、表面に固定され得、そして生体分子は、このような表面に近接して配置され得る。このような表面は、キュベットの一部を形成し得るか、またはキュベット内に配置され得る挿入物であり得る。
【0032】
生体分子または金属粒子を所望の距離で配置することは、2つを物理的に連結させるリンカーを使用して達成され得る。リンカーは、1つの介在する原子または分子(好ましくは、少なくとも1つの炭素原子の炭素鎖)であり得る。他のリンカーとしては、少なくとも1つのアミノ酸が挙げられるがこれに限定されない。さらに、当該分野で公知の他の化学リンカーが使用され得る。リンカーは、蛍光に対する所望の効果に依存して、任意の長さ(好ましくは、約200Åまで)であり得る。他の実施形態において、金属粒子は、電磁力、荷電場、重力または他の公知の方法を使用して生体分子に近接して配置され得る。1つの例において、金属粒子の位置、または連結された生体分子および金属粒子の位置を操作するために電圧が制御され得る。あるいは、生体分子は、電磁場、電流、電圧、または重力を使用して配置され得る。
【0033】
本発明のなお別の実施形態は、生体分子を検出するための方法を提供し、この方法は、生体分子および金属粒子を、生体分子からの電磁放射を操作するのに十分離れた距離で配置する工程、生体分子を一定量の励起放射線に暴露する工程、および生体分子からの電磁放射を検出する工程を包含する。蛍光のモニタリング、検出および定量は、当該分野において公知である。例えば、Joseph R.Lakowicz.Principles in Fluorescence Spectroscopy,Plenum Publishers 1999(これは、その全体が本明細書中において参考として援用される)を参照のこと。
【0034】
簡単に述べると、蛍光は、デバイス(光源および検出器を有する分光蛍光計が挙げられるがこれに限定されない)を使用して検出され得る。光源としては、アーク燈およびレーザーが挙げられ得る。検出器は、光電子増倍管が挙げられ得る。さらに、特定の波長の光が分子を励起するため、または特定の波長で放射を検出するために使用され得るように、モノクロメーターを有するデバイスが有利である。発蛍光団を含むサンプルが分光蛍光計に配置され、そして一定量の励起放射線に暴露される場合、発蛍光団が、光電子増倍管によって検出される放射を発する。生体分子の蛍光強度は、金属粒子と生体分子との間の距離が、約50Å〜約2000Å、好ましくは、約50Å〜約200Åである場合、一定量の励起放射線に応答して増加し得る。あるいは、生体分子の蛍光強度は、生体分子と金属粒子との間の距離が約50Å未満である場合、減少され得る。
【0035】
なお別の実施形態は、生体分子の蛍光強度を操作するための方法を提供し、この方法は、生体分子を金属粒子に近接して配置することによって、生体分子の放射減衰速度を増加させる工程、およびこの生体分子に一定量の励起放射線に暴露する工程を包含する。放射減衰速度を増加することによって、生体分子の蛍光強度は、増加し得る。生体分子と金属粒子とを分離する距離を操作することによって、生体分子の放射減衰がまた操作され得ることが発見された。
【0036】
本発明の別の実施形態は、サンプル中の核酸配列の存在を検出するための方法を開示し、この方法は、サンプルを提供する工程、金属粒子に連結された核酸配列を添加する工程、このサンプルを一定量の励起放射線に暴露する工程、蛍光を検出する工程、および蛍光の検出に基づいて、核酸配列の存在を決定する工程、を包含する。1つの実施形態において、金属粒子に連結された核酸配列は、一本鎖である。他の実施形態において、金属粒子に連結された核酸配列は、二本鎖である。好ましい実施形態において、金属粒子に連結された核酸配列は、200塩基対長未満であり、より好ましくは、100塩基対長未満であり、最も好ましくは50塩基対長未満であり、さらにより好ましくは、約20以下の核酸長である。核酸は、デオキシリボ核酸、リボ核酸、または化学的に改変された核酸(例えば、ペプチド核酸など)であり得る。
【0037】
核酸のハイブリダイゼーションのための方法は、当該分野において公知である。例えば、biochem.roche.com/prod inf/manuals/insitu/insi toc.htmにおけるNonradioactive In Situ Hybridization Application Manual(これは、「その全体が参考として援用される)を参照のこと。歴史的に、ハイブリダイズされた核酸の検出は、核酸サンプルにハイブリダイズするための標識された核酸プローブを使用した。例えば、サザンブロット技術において、核酸サンプルは、サイズに基づいてアガロース中で分離され、そして膜に固着され、変性され、そしてハイブリダイゼーション条件下で標識された核酸プローブに暴露される。標識された核酸プローブが、ブロット上の核酸とハイブリッドを形成する場合、標識は、膜に結合する。サザンブロットに使用されるプローブは、放射能、蛍光色素、ジゴキシゲニン、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびアクリジニウムエステルを用いて標識されている。
【0038】
本発明は、核酸の内因性蛍光を増加することによる、核酸配列の検出のための新規な方法を開示する。この増加は、核酸を金属(好ましくは、貴金属)に連結することによって達成される。本発明は、外因性プローブの使用を必要としない。むしろ、金属粒子に連結される核酸が金属粒子がサンプルに添加される場合、この配列は、サンプル中の相補的な核酸配列にハイブリダイズし得る。好ましい実施形態において、検出される核酸配列は、固体支持体に固着され得る。例示的な固体支持体としては、フィルム、膜、カラム、ニトロセルロース、プラスチック、石英、ガラス、または金属が挙げられる。サンプルは、一定量の励起放射線を用いて放射される。サンプル中でまたは例えば固体支持体上で検出される蛍光は、金属粒子に連結された核酸がサンプル中に存在する相補的な核酸配列にハイブリダイズしたことを示す。従って、このサンプルは、目的の核酸配列を含む。金属粒子に結合されない核酸は、核酸の量子収量が低すぎるので、蛍光放射に有意に寄与しない。本発明によって検出される核酸ハイブリダイゼーションがインサイチュで生じ得ることが理解される。さらに、核酸の検出が、発蛍光団を金属粒子に近接して配置することによって、核酸に結合される外因性発蛍光団の蛍光強度の増加に基づき得ることが理解される。核酸の内因性蛍光の増加は、DNAアレイまたは遺伝子チップにおいて有用であり得る。
【0039】
別の実施形態において、本発明は、核酸を同定するための方法を提供し、この方法は、核酸を金属粒子に近接して配置する工程、核酸を照射する工程、核酸からの蛍光放射を検出する工程、および蛍光放射に基づいて核酸を同定する工程を包含する。核酸の内因性蛍光を使用する核酸の同定は、外因性プローブの必要性を排除する。1つの実施形態において、バックグラウンド蛍光は、問題ではない。なぜなら、内因性蛍光は、約80倍増加し得、これによって、シグナルに対するノイズの比を減少させるからである。別の実施形態において、核酸は、サンプルの蛍光をモニタリングすることから得られる発光スペクトルに基づいて同定され得る。従って、サンプル中の核酸の配列は、核酸を連続的に除去すること、核酸を金属粒子に近接して配置すること、核酸を一定量の励起放射線で照射すること、放出された放射を検出すること、および放出された放射を核酸塩基と相関させることによって決定され得る。核酸配列(例えば、オリゴヌクレオチド)から単一の核酸を連続的に除去するための方法は、当該分野において公知であり、連続的消化、加水分解、および化学的切断が挙げられる。核酸は、核酸を含む流体サンプルのストリームを、金属粒子を含む表面近くで通過させることによって、金属粒子に近接して配置され得る。このような表面は、サンプルチャンバの一部を形成する金属の薄いフィルムまたはアイランド(island)であり得る。核酸の照射は、核酸を金属粒子に近接して配置するのと同時に時間を合わせられ得る。核酸は、1つ以上の波長で照射され得る。好ましい実施形態において、核酸は、300nm未満、好ましくは、280nm〜約295nmの波長で励起される。別の実施形態において、励起波長は、多光子励起のために520nm付近である。
【0040】
本発明の方法および組成物が、ポリメラーゼ連鎖反応技術に使用され得ることを当業者は理解する。ポリメラーゼ連鎖反応技術は、当該分野において周知である。金属粒子(好ましくは、貴金属粒子)に結合される核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応混合物に添加され得る。結合された核酸は、成長するオリゴヌクレオチド鎖に組み込まれ得、そして一定量の励起放射線に応答して、結合された核酸の蛍光が、検出可能になり、ポリメラーゼ連鎖反応生成物の検出が可能になる。
【0041】
なお別の実施形態は、蛍光標識された生体分子の蛍光強度を増加するための方法を提供し、この方法は、生体分子を、発蛍光団を用いて標識化する工程、一定量の励起放射線に応答して、発蛍光団が放射(好ましくは、検出可能な量の放射)を発するように、標識生体分子を金属粒子の隣に配置する工程、を包含する。好ましい実施形態において、発蛍光団は、0.8未満、好ましくは、0.5未満、より好ましくは、0.2未満、そして最も好ましくは、0.1未満の量子収量を有する。この実施形態において、外因性発蛍光団の蛍光強度は、生体分子を検出するために使用され得る。
【0042】
なお別の実施形態は、蛍光標識された生体分子についての蛍光エネルギー移動を増加するための方法を提供し、この方法は、第1生体分子を、ドナー発蛍光団を用いて標識する工程、第2生体分子を、アクセプター発蛍光団を用いて標識する工程、一定量の励起放射線に応答して、ドナー発蛍光団が、エネルギーをアクセプター発蛍光団に移動させて、アクセプター発蛍光団が電磁放射を発するように、標識生体分子を金属粒子に近接して配置する工程、を包含する。
【0043】
別の実施形態は、蛍光標識された生体分子についての蛍光エネルギー移動を増加するための方法を提供し、この方法は、生体分子を、ドナー発蛍光団およびアクセプター発蛍光団を用いて標識する工程、一定量の励起放射線に応答して、ドナー発蛍光団がエネルギーをアクセプター発蛍光団に移動し、アクセプター発蛍光団が電磁放射を発するように、標識生体分子を金属粒子の隣に配置する工程、を包含する。
【0044】
金属粒子に起因するエネルギー移動の増加は、イムノアッセイに使用され得る。従って、1つの実施形態において、本発明の組成物は、親和性反応(好ましくは、抗体−抗原反応またはタンパク質−炭水化物相互作用)を測定するために蛍光エネルギー移動を使用し得る。さらに、金属粒子でコーティングされるかまたは金属粒子を含むアッセイチャンバを使用して、100Å以上離れた距離にわたる、ドナーとアクセプターの間でさえ効率またはRETを増加し得る。金属増強エネルギー移動はまた、DNAアレイまたは遺伝子チップを用いて有用である。別の実施形態において、本発明の組成物および方法は、DNAハイブリダイゼーションまたは二重らせんDNAの量を測定するための蛍光エネルギー移動を利用し得る。現在、アレイは、標的DNAにハイブリダイズした2つの発蛍光団の量を測定することによって読まれる(Fereaら、(1999)Curr.Opin.Genetics Dev.,9,715−722;Lipshutzら、(1999)Nature Gen.Suppl.1,20−24;Haciaら、(1998)Molec.Psychiatry 3,483−492)。たとえ、2つの色素がおそらく良好なドナー−アクセプター対であるとしても、エネルギー移動は、通常、生じない。金属表面上のDNAアレイの使用は、長い距離で配置されたドナーとアクセプターとの間のRETに基づいた新しいタイプのDNAアレイ分析を提供する。
【0045】
バイオチップ、遺伝子チップ、またはマイクロアレイを作製するための方法および手順が、当該分野において公知である。例えば、米国特許第6,174,683号は、「バイオチップ」に関する方法および組成物、ならびに「バイオチップ」の形成を開示し、そしてこれは、本明細書中においてその全体が援用される。核酸プローブは、マイクロアレイ表面に固着される。本発明において、マイクロアレイ表面は、金属表面(好ましくは、貴金属、最も好ましくは、銀表面)である。表面は、上記のように、金属アイランドでコーティングされ得る。一般的に、全RNAは、遺伝子発現のパターンを決定するために、サンプルから調製される。これらのサンプルは、種々の細胞株、腫瘍サンプル、正常対疾患、コントロールまたは薬物処置などであり得る。大部分に場合において、最小で約1μgのポリA+RNAまたは約5μgの全RNAが必要である。しかし、0.2μgのように少ない「高品質」ポリA+RNAが使用され得る。一般的規則として、1×106個の組織培養細胞は、10〜15μgの全RNAを生じるはずである。
【0046】
逆転写酵素を使用して、RNAは、cDNAに変換される。この時点で、cDNAは、蛍光タグ化dNTPの取り込みによって直接標識され得る。より一般的に、cDNAは、T7 RNAポリメラーゼプロモーターを組み込むオリゴ−dTプライマーを使用して調製される。次いで、cDNAを、次の工程に使用して、T7 RNAポリメラーゼを使用して、蛍光タグ化コピーRNAを作製する。一般的に、少なくとも約5μgの標識cRNAまたはcDNAが、各マイクロアレイにハイブリダイズするために必要である。しかし、プローブは、再使用され得る。例えば、1つの標識化プローブは、引き続いて使用されて、5つの別のアレイにハイブリダイズし得る。
【0047】
その蛍光標識プローブは、マイクロアレイにハイブリダイズされ、ほとんど同様に、放射性プローブが、従来のドットブロットにハイブリダイズされる。その標識プローブの蛍光は、そのプローブが相補配列にハイブリダイズした場合の一定量の励起放射線に応じて増加する。なぜなら、その蛍光は、金属マイクロアレイ表面付近に、好ましくは、その金属表面から約50Å〜約2000Å、より好ましくはその金属表面から約50Å〜約200Åに位置するからである。別の実施形態において、そのプローブは、ドナー発蛍光団およびアクセプター発蛍光団を用いて標識され得る。その標識プローブがマイクロアレイ表面上のその相補体にハイブリダイズする場合、そのプローブは、金属マイクロアレイ表面近く、好ましくは、その金属表面から約50Å〜約2000Å、より好ましくはその金属表面から約50Å〜約200Åに位置する。この位置において、ドナー分子からアクセプター分子への蛍光エネルギー移動は、その標識プローブの検出を可能にする一定量の励起放射線に応じて増加する。そのマイクロアレイ上の標識プローブの検出は、そのプローブが相補配列にハイブリダイズしていることを示し、このことは、対応する遺伝子の発現をさらに示す。なお別の実施形態において、金属コートマイクロアレイ表面上に固定された核酸配列が、ドナー分子またはアクセプター分子で標識され得、そしてその核酸プローブは、その核酸プローブがマイクロアレイ表面上の標識核酸配列とハイブリダイズした場合に、そのドナー分子からアクセプター分子への蛍光エネルギー移動が一定量の励起放射線に応じて増加されるように、それぞれアクセプター分子またはドナー分子で標識され得る。
【0048】
洗浄後、そのマイクロアレイは、蛍光スキャナー:代表的平台型スキャナーと共焦点顕微鏡との間の交差(cross)を使用して分析される。そのデータは、そのマイクロアレイ上の蛍光スポットの画像である。その画像は、そのスポットを同定し各スポットの蛍光強度を算出するソフトウェアを使用して、分析され得る。2つの異なるプローブを用いて得た強度を比較すること(例えば、コントロール対薬物処理)によって、アレイにおける各遺伝子の発現がどのように変化するかを測定し得る。
【0049】
他の実施形態において、タンパク質が、金属表面(好ましくは、貴金属表面、最も好ましくは、銀コート表面)上に整列され得る。一般的に、表面上にタンパク質を整列するために、GMS 417 Arrayer(Affymetrix,Santa Clara,CA)または他の適切なデバイスが、使用され得る。この整列機(arrayer)は、96ウェルプレートまたは384ウェルプレーとのうちの4つのウェルから約1μlのサンプルを採集し、そして一連の顕微鏡スライドガラス上に規定された位置に、各サンプル約1μlを配置する。この整列機(arrayer)は、ピンおよび環システムを使用し得:サンプルが、約1μlを各々保持する小さい環の中に集められ、その後、固体ピン(150μm直径)が、その環を通して反復して穴を開けて、スライド上にそのタンパク質を配置する。ナノ液滴の蒸発を予防するために、40%グリセロールが、そのタンパク質サンプル中に含まれる。ナノリットル単位の40%グリセロール液滴は、大気に一晩曝された場合でされ、水和したままである。
【0050】
タンパク質の機能を研究するために、タンパク質がフォールディングしたコンフォメーションを保存する様式で、そのタンパク質を固定することが必要である。さらに、その後の工程で表面への他のタンパク質の非特異的結合を最小にすることが、好ましい。これらの目的を達成するために、化学誘導したスライドが使用され得る。ほとんどの適用について、アルデヒド含有シラン試薬で処理したスライドが、使用される。これらのスライドはまた、商標名SuperAldehyde Substratesの下でTeleChem Internationalから購入され得る。このアルデヒドは、そのタンパク質の一級アミンと容易に反応して、シッフ塩基結合を形成する。代表的なタンパク質は、その表面上に多くのリジンを提示し、そしてそのアミノ末端に一般的により反応性が高いα−アミンを提示するので、それらのタンパク質は、種々の方向でそのスライドに付着し得、それにより、溶液中で、そのタンパク質の種々の側面と他のタンパク質または低分子が相互作用することが可能となる。これらのスライドへのそのタンパク質の付着後、ウシ血清アルブミン(BSA)含有緩衝液中にそのスライドを浸漬することによって、未反応アルデヒドがクエンチングされ、そして非特異的結合が最小にされる。
【0051】
ほとんどの適用のために適切であるが、アルデヒドスライドは、ペプチドまたは非常に小さいタンパク質がプリントされた場合には、使用され得ない。これは、おそらく、BSAが、目的の分子を覆い隠すからである。このような適用のために、まず、BSA分子層をガラススライドの表面に付着し、その後、そのBSAをN,N’−ジスクシンイミジルカルボネートで活性化することにより製造される、BSA−NHSスライドが、使用される。BSA上にある活性化されたリジン残基、アスパラギン酸残基、およびグルタミン酸残基は、そのタンパク質上の表面アミンと容易に反応して、共有尿素結合またはアミド結合を形成する。その後、そのスライドは、グリシンでクエンチングされる。
【0052】
アルデヒドスライドは、TeleChem International(Cupertino,CA)から購入され得る。BSA−NHSスライド(ウシ血清アルブミン(BSA)の固定層の表面上に活性化アミノ基およびカルボキシル基を提示する)は、以下のよう製造され得る。10.24gのN,N’−ジスクシンイミジルカルボネート(100mM)および6.96mlのN,N−ジイソプロピルエチルアミン(100mM)を、400mlの無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解した。30 CMT−GAPスライド(Corning Incorporated,Corning,NY)(その表面上にアミノ基を提示する)を、室温で3時間この溶液中に浸漬した。このスライドを、95%エタノールで2回リンスし、その後、400mlの1%BSA(w/v)含有リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)(pH7.5)中に室温で12時間浸漬する。このスライドを、ddH2Oで2回リンスし、95%エタノールで2回リンスし、そして200gで1分間遠心分離して、過剰な溶媒を除去する。その後、このスライドを、100mMのN,N’−ジスクシンイミジルカルボネートと100mMのN,N−ジイソプロピルエチルアミンとを含む、400mlのDMF中に室温で3時間浸漬する。このスライドを、95%エタノールで4回リンスし、そして上記のように遠心分離して、BSA−NHSスライドを得る。このスライドを、室温にて真空下でデシケーター中に2ヶ月間まで、認知可能に活性を損失することなく保存する。
【0053】
タンパク質を、他のように示されない限り、濃度100μg/mlにて、40%グリセロール、60%PBS(pH7.5)中に溶解する。そのタンパク質を、GMS 417 Arrayer(Affymetrix,Santa Clara,CA)を使用して、アルデヒドスライド上にスポットする。室温にて加湿チャンバ中で3時間インキュベートした後、そのスライドを反転させ、そして1%BSA(w/v)含有PBS(pH7.5)溶液中に落とす。1分後、そのスライドの右側を上にし、そして室温で1時間穏やかに攪拌しながらこのBSA溶液中に浸漬する。PBS中にて短くリンスした後、そのスライドは、すぐにさらに処理できる状態である。
【0054】
目的のタンパク質が、発蛍光団で標識され得、そしてアレイにハイブリダイズされ得る。この発蛍光団の蛍光は、標識タンパク質が金属表面付近(好ましくは、その金属表面から約50Å〜約2000Å、より好ましくはその金属表面から約50Å〜約200Å)にある場合に、一定量の励起放射線に応じて増加する。別の実施形態において、目的のタンパク質プローブは、そのタンパク質プローブがマイクロアレイ上のタンパク質に結合した場合に、それらのタンパク質プローブが金属表面付近に位置し、ドナー分子からアクセプター分子への蛍光エネルギー移動が増加されるように、アクセプター発蛍光団およびドナー発蛍光団で標識され得る。なお別の実施形態において、金属コートマイクロアレイ表面に固定されたタンパク質が、ドナー分子またはアクセプター分子で標識され得、そしてタンパク質プローブが、そのタンパク質プローブがマイクロアレイ表面上の標識タンパク質とハイブリダイズした場合に、ドナー分子からアクセプター分子への蛍光エネルギー移動が一定量の励起放射線に応じて増加されるように、ドナー分子またはアクセプター分子で標識され得る。
【0055】
従って、本発明の別の実施形態は、固体支持体と、その支持体に付着した所望の長さの生体分子(好ましくは核酸またはアミノ酸)のアレイを有するマトリックスとを、標識プローブがその生体分子配列にハイブリダイズした場合に(好ましくは、その標識が、金属粒子から約50Å〜約2000Å、より好ましくは金属粒子から約50Å〜約200Åに位置するように)その標識プローブの蛍光が一定量の励起放射線に応じて増加されるように含む、マイクロアレイシステムを提供し、ここで、その固体支持体は、金属粒子(好ましくは貴金属粒子、最も好ましくは銀粒子)でコートされている。用語「プローブ」は、タンパク質、核酸、アミノ酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、またはマイクロアレイの金属コート表面に付着したマトリックスの分子とハイブリダイズするか、結合するか、または相補的である、他の分子を包含する。
【0056】
RETに基づく光採集アセンブリの効率(Adronovら(2000)J.Am.Chem.Soc.122,1175−1185;Swallenら(1999)J.Molec.Structure 485−486:585−597)は、増加され得るか、または細胞中のドナーとアクセプターとの間(Gonzalezら(1995)Biophys.J.69,1272−1280(Ngら(1999)Science 283,2085−2089)であるが金属粒子に近いRETの程度が、増加され得る。金属が豊富なRETの現象は、金属粒子へのドナー−アクセプター対の近さを使用する独特の機会を提供して、移動の速度を改変する。このような効果は独特である。なぜなら、溶液組成ではなく、金属粒子または金属表面が、そのプローブのスペクトル特性を改変するために使用され得るからである。
【0057】
本発明の別の実施形態は、発蛍光団の蛍光強度を増加するための方法を提供し、この方法は、金属粒子に近接して発蛍光団を位置付ける工程;および複数の光子によりその発蛍光団を励起する工程(多光子励起と一般的に呼ばれる)を包含する。代表的には、その発蛍光団は、最長単一光子吸収極大の約2倍の波長を有する短いピコ秒またはフェムト秒レーザーパルスを用いて励起される。多光子励起装置および多光子励起方法は、当該分野で公知であり、そして例えば、Joseph R.Lakowiczにより編集されたTopics in Fluorescence Spectroscopy,Volume 5,Nonlinear and Two−Photon−Induced Fluorescence,Plenum Press,New York,1997(本明細書中にその全体が参考として援用される)にて見出され得る。一般的に、多光子励起は、代表的には、強集束レーザー光源(例えば、約100フェムト秒長、繰返し数80MHz付近、700〜900nmの範囲の波長のパルスを提供する、モードロック(mode−locked)チタンサファイアレーザー)を用いて実施される。多光子励起はまた、ピコ秒色素レーザーを用いても達成され得る。
【0058】
本発明の別の実施形態は、生体分子の多光子蛍光強度を増加するための方法を提供し、この方法は、金属粒子に近接して生体分子を位置付ける工程、および複数の光子を用いてその生体分子を励起させる工程を包含する。
【0059】
本発明のなお別の実施形態は、サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法を提供し、この方法は、そのサンプル中の目的の領域に金属粒子を指向させる工程、およびそのサンプル中に一定量の励起放射線を提供する工程を包含する。
【0060】
本発明の別の実施形態は、サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法を提供し、この方法は、そのサンプル中の目的の領域に金属粒子を指向させる工程、そのサンプルを発蛍光団と接触させる工程、そのサンプルを一定量の励起放射線に曝露させる工程を包含する。例示的金属は、貴金属である。この金属粒子は、電位、磁気、または重力を使用して、位置付けされ得る。
【0061】
なお別の実施形態は、サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法を提供し、この方法は、そのサンプル中の目的の領域に金属粒子を指向させる工程、その目的の領域中に一定量の励起放射線を提供する工程を包含する。サンプルは、容器中の生細胞、組織、器官、または流体サンプルであり得る。その金属粒子は、電磁界を使用して位置付けられ得るか、またはその金属粒子は、タンパク質、抗体、核酸などに連結され得る。金属粒子に連結された抗体は、その抗体により認識される分子にその金属を近接させるために使用され得る。従って、この抗体が特定の生体分子を認識する場合、その金属は、そのような生体分子の傍に位置付けられ得、その生体分子の蛍光強度が、一定量の励起放射線に応じて増加するようにされる。
【0062】
別の実施形態は、サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法を開示し、この方法は、そのサンプル中の目的の領域に金属粒子を指向させる工程、そのサンプルを発蛍光団と接触させる工程、および一定量の励起放射線にそのサンプルを曝露させる工程を包含する。好ましい実施形態において、その発蛍光団は、量子収量0.8未満、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.2未満、そして最も好ましくは0.1未満を有する。低量子収量を有する発蛍光団は、それらが金属粒子と近接していない限り、検出可能に蛍光発光しない。従って、そのサンプルが一定量の励起放射線に曝露された場合、金属粒子と近接した発蛍光団のみが、検出可能であるに十分に蛍光発光する。
【0063】
なお別の実施形態は、分析物の存在を検出するためのキットを開示し、そのキットは、その分析物に結合可能である抗体、ならびに中に配置された金属アイランドを有する少なくとも1つの石英表面を含み、その抗体は、量子収量約0.5未満、好ましくは約0.2未満、最も好ましくは約0.1未満を有する発蛍光団に連結される。例示的抗体は、タンパク質、ペプチド、および他の生体分子に関する。
【0064】
別の実施形態は、分析物を検出するための方法を開示し、その方法は、第1抗体をドナーで標識する工程、第2抗体をアクセプターで標識する工程、サンプルをその第1抗体および第2抗体と接触させてその分析物との複合体を形成する工程、その分析物を金属粒子(好ましくは貴金属)から約50Å〜約2000Å、好ましくは金属表面から約50Å〜約200Åに位置付ける工程、一定量の励起放射線を提供する工程、およびドナーからアクセプターへのエネルギー移動の増加に基づいてその分析物を検出する工程を包含する。例示的ドナーは、アクセプターの吸収スペクトルと重複する波長を有する発蛍光団である。例示的アクセプターは、ドナーの発光スペクトルと重複する吸収スペクトルを有する。アクセプターは、蛍光性であり得る。例示的ドナー−アクセプター対としては、フルオレセイン−ローダミン、DAPI−ヨウ化プロピジウム、およびCy3−Cy5が挙げられる。この抗体は、標準的技術を使用して標識され得る。1つの実施形態において、その複合体は、重力、電位、または他の公知の力を使用して位置付けされ得る。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
(金属ナノ粒子フィルムを作製するための手順)
金属粒子または金属粒子フィルムは、公知であり、そして公知の方法を使用して作製され得る。以下の実施例は銀を使用するが、任意の金属(好ましくは貴金属)が使用され得ることが、認識される。銀粒子を生成するために使用した化学物質(硝酸銀(99+%)、水酸化ナトリウム(ペレット、97%)、水酸化アンモニウム(NH3含量28〜39%)、およびD−グルコース(99.5%)を、商業的供給業者から購入し、さらに精製することはなく使用した。すべての手順を、Millipore濾過によりされに精製した蒸留水を使用して実施した。銀アイランドを、石英顕微鏡スライド上に形成させた。石英は、UV透過および少ない自己蛍光を提供した。銀粒子を配置するために使用した石英スライドを、H2SO4(95〜98%)とH2O2(30%)との10:1混合物中に一晩浸漬した後、配置した。これらを、使用前に水で洗浄し、風乾した。
【0066】
銀堆積を、Teflonコート攪拌棒を備えた清浄な30mlビーカー中で実行した。硝酸銀溶液(26mlのMillipore濾過水中0.22g)を迅速に攪拌するために、8滴の新鮮な5%NaOH溶液を添加した。黒褐色の沈殿物がすぐに形成された。その後、1ml未満の水酸化アンモニウムを1滴ずつ添加して、その沈殿物を再溶解させた。ビーカーを氷浴中に配置することによって、この清浄な溶液を5℃まで冷却させ、次いで、その洗浄し乾燥した石英スライドを、この溶液中に浸漬した。5℃にて、新鮮なグルコース溶液(4mlの水中0.35g)を添加した。この混合物を、その温度で2分間攪拌した。その後、そのビーカーを氷浴から取り出した。その混合物の温度を30℃まで温めさせた。その混合物の色が黄緑色から黄色に変化し、そのスライドの色が緑色がかったとき、そのスライドを取り出し、そして水で洗浄し、そして室温で1分間、浴超音波処理した。水で数回リンスした後、そのスライドを、実験前の数時間水中に保存した。
【0067】
発光スペクトルは、SLM8000分光蛍光計を使用して得られた。強度減衰は、以前に記載される機器を使用して、周波数ドメインにおいて測定した(Lakowiczら、(1985)Biophys.Chem.21,61−78;Laczkoら、(1990)Rev.Sci.Instrum,61,2331−2337)。ローダミン6G(R6G)およびローズベンガル(RB)について、励起は、約78MHz出力のモードロックアルゴンイオンレーザーからの514nmであった。周波数ドメイン測定のために、発光は、580干渉フィルターを通って観測された。すべての定常状態および周波数ドメイン測定について、励起は、垂直に偏光され、そして発光は、散乱光を最小化するために、水平方向の偏光子を通して観測された。FD強度減衰データは、多重指数関数モデル(multi−exponential model)
【0068】
【数1】
で分析され、ここで、τiは、振幅αiでの寿命であり、そしてΣαi=1.0であった。多重指数関数モデルにあてはめることは、以前に記載されている(Lakowiczら、(1994)Biophys.J.46,463−477)ように実施した。定常状態強度に対する各成分の寄与は、
【0069】
【数2】
によって与えられる。
【0070】
図1Aは、石英スライド上の銀アイランドの実験的な形状を示し、そして図1Bは、銀アイランドフィルムの吸収スペクトルを示す。このスペクトルは、粒子が、サイズにおいて波長未満であることを示す。小粒子限界において、このプラズモン共鳴に起因する吸収極大は、380nm付近であると期待される(Kerker,M.(1985)J.Colloid Interface Sci.105,297−314;Mulvaney,P.(1996)Langumuir,12.788−800)。400nmを超える吸収極大は、1.5〜1.0近くの軸比を有する粒子の非対称な効果的な形状に起因し得(Kerker,M.(1985)J.Colloid Interface Sci.105,297−314)、そしてまた40〜50nm付近の球形寸法を有する銀粒子と一致する(Rivasら、(2001)Langmuir 17、574−577;Jensenら、(2000)J.Phys.Chem.B104,10549−10556;Singerら、(1995)J.Opt.Soc.Am.B,12,220−228)。粒子の形状およびサイズの分布は、ほぼ確実に不均一であるが、粒子がサイズにおいて波長未満であることは明らかである。
【0071】
蛍光に対する銀アイランドの効果を決定するために、発蛍光団を含むサンプルを、2つのこのような銀アイランドプレートの間に配置した。2つの石英プレート間または2つの銀アイランドコーティングプレート間のローズベンガルの吸収スペクトル(図2A〜2C)から、プレート間の距離は、約1〜1.5μmである。
【0072】
(実施例2)
(発光スペクトルおよび寿命に対する銀アイランドフィルムの効果)
最初の実験として、コーティングされていない石英プレート間(Q)または銀アイランドフィルム(S)間のローダミンB(RhB)およびローズベンガル(RB)の発光スペクトルを調べた。これらの2つの発蛍光団は、類似の吸収スペクトルおよび発光スペクトルであるが、RhBおよびRBについて、それぞれ、0.48および0.02の異なる量子収量であるので、選択された。RhBの場合、強度は、これらの銀アイランドの非存在下および存在下で類似する(図3A)。銀アイランドに起因して、RhB強度の小さな減少が存在し得るが、これは、短い距離の金属のクエンチング効果に起因し得る。
【0073】
対照的な結果が、ローズベンガルについて得られた(図3B)。この場合、強度は、銀アイランドの存在下で約5倍増加した。RBについて観測された増加した強度が、銀アイランド近くのRBの量子収量の過小評価を表すことを認識することが重要である。これは、RB分子のほんの小さな画分が、金属表面が効果を発揮する距離内にあるからである。増強された蛍光の領域は、溶液中に約200Å〜約2000Åに広がる。それ故、プレート間の液体容量のほんの約4%が、活性容量内にある。活性容量の低い割合は、アイランドの200Å内のRBの量子収量が125倍増加することを示唆する。この増加は、0.02の量子収量が正しく、金属粒子に起因して、増加した入射場を反映する場合に可能であるよりも大きい。それにもかかわらず、図3のRBのスペクトルは、銀アイランドの200Å内の分子についての量子収量の実質的な増加を示す。
【0074】
集中した電場の効果は、図3Bのローズベンガルの強度増加の優勢な原因ではない。放射は、銀アイランドの近くのRhB分子および銀アイランドからある距離にあるRhB分子の両方について生じる。電場の集中効果は、銀アイランドから離れたRhB分子由来の優勢な放射によってマスクされ得る。
【0075】
増加した放射速度および集中した電場の効果は、寿命測定によって区別され得る。放射速度の増加は、寿命を減少する;一方、励起速度の増加は、寿命を変化しない。銀アイランドの非存在下および存在下のRhBおよびローズベンガルの強度減衰を測定した(図4A〜4Cおよび図5A〜5C)。標準的なキュベットにおいて、RhBの強度減衰は、寿命τ=1.56nsで、単一指数関数であることが見出された(図4A)。銀アイランドの存在下で、強度減衰は、強度に不均一になる(図4C)。
【0076】
このデータは、キュベットにおいて見出される寿命に匹敵する1.81nsの長い寿命を有する2つの減衰時間に一致し得る。銀アイランド間で、銀アイランドに近接するRhB分子に起因する0.14nsの短い寿命が見られた。この短い成分の部分的な定常状態は、約10%である。コントロール測定は、この成分が散乱光に起因しなかったことを示した。測定はまた、銀アイランドなしで、石英プレート間でRhBについて実行された。この場合において、減衰はまた、二重指数関数的であるが、アイランドの存在下よりも不均一ではなかった。それにもかかわらず、短い寿命成分が、銀アイランド間でRhBについて見られたことが明らかである(図4B)。コントロール測定は、RhBなしで、石英スライド単独では有意な強度がなかったことを示した。この結果は、散乱光が、コーティングされていないスライド間でRhBについて見られる短い成分起源ではないことを示唆する。
【0077】
ローズベンガルについての周波数ドメイン(FD)強度が、図5A〜5Cに示される。キュベットにおいて、単一指数関数の減衰は、τ=94psである。この減衰は、コーティングされていない石英プレート間で、ローズベンガルについて少し不均一になる。しかし、ローズベンガルの強度減衰は、銀アイランド間の場合、劇的に変化した。この場合において、優勢な寿命は、6ps成分になった。これは、銀アイランドに近接するローズベンガル分子に対応する。
【0078】
RhBおよびローズベンガルの強度減衰に対する銀アイランドの効果は、周波数ドメインデータから再構築された時間分解減衰において見られ得る(図6Aおよび6B)。両方の発蛍光団について、強度減衰は、キュベットにおいて観測される値と本質的に同一の長い減衰時間成分を示す。銀アイランドは、短い減衰時間の外観を生じる。ローズベンガルについての短い減衰時間のより大きな寄与は、バルク溶液におけるその低い量子収量から理解され得る。RhBは、その放射が1μmの厚みのサンプル全体を通って分子から検出されるように、より高い量子収量を有する。ローズベンガルは、溶液中において低い量子収量を有し、その結果、観測される放射が銀アイランド付近のローズベンガル分子にほとんど起因する。RhBおよびローズベンガルからの結果は、予想と一致する。
【0079】
コーティングされていない石英プレート間および銀アイランドフィルム間の多数のさらなる発蛍光団を、アーチファクトの寄与を考慮するために調べた。4つの発蛍光団(Erb、BF、[Ru(bpy)3]2+、および[Ru(phen)2dppz]2+)の発光スペクトルが、図7A〜7Dに示される。全ての場合において、放射は、銀アイランド間の溶液についてより強力である。例えば、[Ru(bpy)3]2+および[Ru(phen)2dppz]2+は、それぞれ、0に近い量子収量を有する(Van Houtenら、(1975)J.Am.Chem.Soc.97,3843−3844;Harriman,A.(1977)J.Chem.Soc.,Chem.Commun.777−778;Nairら(1997)Inorg.Chem.36,962−965;Turroら(1995)J.Am.Chem.Soc.117,9026−9032)。より多くの増強は、[Ru(bpy)3]2+よりも[Ru(phen)2dppz]2+について見られた。
【0080】
10個の異なる発蛍光団溶液についての増強が図8に示される。全ての場合において、低いバルク相量子収量は、銀アイランドフィルム間でサンプルについてのより多きな増強を生じる。さらに、水−ジメチルホルムアミド(DMF)混合物中の[Ru(phen)2dppz]2+を調べた(図9)。この化合物は、水によってクエンチされ、そして最も大きな増強は、最もクエンチされた溶液について観測された(図9)。図7〜9の結果は、金属アイランドへの発蛍光団の近接が、量子収量の増加を生じたという主張の強力な支持を与える。これらの様々な発蛍光団が全て銀アイランドに結合するか、減少した量子収量とともに単調に増加した増強を生じる他の未知の効果を示すことはなさそうである。
【0081】
(実施例3)
(銀アイランドの存在下でのスペクトルシフト)
図10Aおよび10Bは、石英プレート(Q)間および銀アイランド(S)間における、2つの溶媒感受性発蛍光団の発光スペクトルを示す。両方の場合において、放射の青色シフト(これは、アイランド近くの発蛍光団の減少した寿命と一致する)が観測された。金属の50Å内の発蛍光団がクエンチングされるようであるので、図10Aおよび図10Bに見られる青色シフトが銀アイランドに結合された発蛍光団に起因することがなさそうである。コーティングしていない石英が両方の発光スペクトルに存在するので、コーティングしていない石英表面への発蛍光団の結合もまた、なさそうである。
【0082】
(実施例4)
(内因性のタンパク質蛍光に対する銀アイランドの効果)
タンパク質E.coli β−ガラクトシダーゼおよびヒトグリコキシダーゼを、商業的供給業者から得た。これらのタンパク質を10mMのリン酸緩衝液(pH6.5)中に溶解させた。β−ガラクトシダーゼおよびヒトグリオキシラーゼの濃度は、それぞれ、0.05mg/mlおよび0.15mg/mlであった。内因性のタンパク質の蛍光の研究について、励起波長は、295nmであった。銀アイランドの存在下および非存在下での2つのタンパク質の発光スペクトルを調べた(図11Aおよび11B)。タンパク質βガラクトシダーゼおよびヒトグリオキシラーゼを、それらの中程度の量子収量および低い量子収量で選択した。β−ガラクトシダーゼは、N−アセチル−L−トリプトファミド(NATA)の量子収量(これは、0.13であることが報告される(Demchenko,A.P.(1981)Ultraviolet Spectroscopy of Proteins,Springer−Verlag,New York))にほぼ等しい量子収量を有する(D’Auriaら(2001)J.Biochem.,印刷中)。ヒトグリオキシラーゼの量子収量は、約10分の1であり、従って、0.013付近であることが見出された。より高い量子収量のβ−ガラクトシダーゼについて、発光スペクトルに対する銀アイランドの有意な効果はなかった。より低い量子収量について、ヒトグリオキシラーゼは、青色シフトおよび放射強度の増加の両方を観測する。β−ガラクトシダーゼは、4量体タンパク質で、480,000分子量であり、これは、各120,000ダルトンのサブユニットにおいて26個のトリプトファン残基を含む(Jacobsonら、(1994)Nature 369、761−766)。ヒトグリオキシラーゼは、66,000ダルトンのモノマーであり、これは、2つのトリプトファン残基を含む(D’Auria,S.,非公開な結果)。図11Bにおけるスペクトルの変化は、グリオキシラーゼにおける高度にクエンチされるトリプトファン残基からの増加した放射に起因し、この残基は、溶媒から遮蔽される。β−ガラクトシダーゼにおけるスペクトルシフトおよび増加の非存在は、その多数のトリプトファン残基を考慮すると理解可能であり、そして有意な画分が高度にクエンチされないようである。従って、銀アイランドは、タンパク質においてクエンチされた芳香族アミノ酸残基からの増加した放射を生じ得る。
【0083】
(実施例5)
(核酸塩基およびDNAに対する銀アイランドの効果)
アデニン、チミンおよびウシ胸腺DNAを、商業的供給業者から得た。ポリTおよびポリC(それぞれ、15塩基長)を、University of Maryland,Baltimore School of MedcineのBiopolymer Core facilityから得た。塩基アデニンおよびチミンの発光スペクトルが、図12Aおよび12Bに示され、これらは、銀アイランドの存在下での放射の増加を示す。一本鎖ヌクレオチドである、ポリTおよびポリCについて、類似の結果が得られた(図13Aおよび13B)。ポリCの長波長発光極大は、以前に報告された結果と一致する(Plessowら(2000)J.Phys.Chem.B104,3695−3704)。
【0084】
ウシ胸腺DNAを、50mM Tris(pH=7)中に溶解させた。DNA濃度は、塩基対として5mMであった。発光スペクトルを、287nmの励起を用いて、SLM 8000分光蛍光計で測定した。周波数ドメイン寿命測定を、10GHz機器で得た(Laczkoら(1990)Rev.Sci.Instrum.61,2331−2337;Lakowiczら(1994)Biophys.J.46,463−477)。励起供給源を、287nmで二倍の周波数(frequency−doubled)であった約100psパルスを提供するキャビティーダンプト(cavity−dumped)ローダミン6G色素レーザーであった。強度減衰を、344nm干渉フィルターおよびWG335ロングパスフィルターの組み合わせによって測定し、これらは、約330〜355nmの透過を提供した。発光スペクトルおよび寿命を、垂直偏光励起および水平偏光放射を用いて測定した。この光学的構成は、スペクトルおよび寿命の有意なゆがみなしに、励起波長の散乱光を減少した。周波数ドメインデータは、多重指数関数モデルに一致した。ここで、減衰の強度が、上記式(1)によって与えられ、ここで、αiが、各減衰時間τiと関連する振幅因子である。αi値の合計は、単位量に正規化される(Σαi=1.0)。
【0085】
塊の厚みが40Å近くに制限される場合、小波長限界に近い特徴的な表面プラズモン吸収スペクトルから分かり得るように、波長未満の寸法を有する、表面上の粒子が得られる(図1B)。DNAサンプルは、1〜1.5μm付近の分離を有する、2つのこのような銀アイランド間に配置される。プレート間のDNAの吸収スペクトルは、DNA吸収と銀アイランドの吸収のほぼ合計であり(図14Aおよび14B)、これは、アイランドが、DNAの吸光率を有意に変化しなかったことを示唆する。
【0086】
DNAの発光スペクトルを、薄い0.1mmのキュベットにおいて、そして2つのアイランド(island)フィルムの間で調べた(図15Aおよび15B)。287nmでの励起により、おそらく部分的にアデニン残基およびグアニン残基の選択的な励起を生じた(Wilsonら(1980)Photochem.&Photobiol.31,323−327;Georghiouら(1996)Biophys.J.70,1909−1922)。驚いたことに、金属アイランドの付近では、発光は約80倍強かった。この80倍の増加が、粒子付近のDNAにより示される増加をかなり過小評価しているということに注目することは重要である。増大の領域は、溶液中で約200Å〜約2000Åにまで及ぶと予測される。2つのアイランドのフィルム表面を考慮すると、DNAの約1/25しか銀の付近にない。このことは、銀付近のDNAの発光が、2000倍増大されるということを示唆する。これは、適切なサイズおよび形状の楕円からの最適距離にある分子について予測される最大の増強に近い。増幅された場の効果は、最大140倍の増強を生じ得(Gerstenら(1981)J.Chem.Phys.75,1139−1152)、アイランドフィルム付近のDNAの量子収量における最少で15倍の増加を示唆する。場の増強は最大ではないようである。DNAの実際の増加した量子収量は、約15倍と約2000倍未満との間である。
【0087】
図15Bにおいて見られる増加した強度の1つの説明は、無放射減衰(decay)速度knrの減少であり得、これが、より長い寿命を生じる。増加した発光の別の理由は、増幅された入射光場であり得る。この効果は、増加した強度を生じるが、寿命は変化されない。周波数−ドメイン強度減衰は、図16Aおよび16Bに示される。これらの測定値を、より直感的な時間−ドメイン減衰を再構築するために使用する(図17)。この減衰は、金属アイランドの非存在下または存在下において多重指数関数的(multi−exponential)である(表1)。強度減衰は、非常に非同次であるかまたは多重指数関数的であり、これらは、60ps〜4.56nsの減衰時間範囲から見られ得る。DNAの個々の寿命は、その弱い内因性の蛍光に起因して不確実であるが、平均寿命
【0088】
【数3】
は確実である。このような広範な寿命は、他の公開された報告と一致する(Balliniら(1983)Biophys.Chem.18,61−65;Georghiouら(1985)Photochem.&Photobiol.41,209−212;Plessowら(2000)J Phys.Chem.B 104,3695−3704)。これらの実験からの重要な結論は、DNAの平均寿命
【0089】
【数4】
が、本発明者らが強度の80倍の増加を観察した条件と同じ条件下で減少したということである(図15B)。このように減少した寿命は、knrの減少または励起速度の増加では説明できない。しかし、減少した寿命は、放射減衰速度の増加により説明され得る。Γmが、金属粒子の存在に起因する放射減衰の速度を表すようにする。この新しい速度は、金属(m)の存在下の量子を
【0090】
【数5】
に変化させ、これは、金属の存在下より大きい。金属の存在下での寿命(τm)は、
【0091】
【数6】
に減少する。金属の非存在下での量子収量および寿命は、Γm=0.0を用いて等式1および2により与えられる。従って、金属によるDNAの放射減衰速度における増加は、銀アイランドの存在下における増加した強度および減少した寿命の両方を説明し得る。強度の80倍の増加と寿命の3倍の減少とに一致する等式はない。多数の可能な理由があり、これらには、強度測定および寿命測定による、サンプル間の異なる空間的平均化が含まれる。それにもかかわらず、固有のDNA寿命は、強度が増加するにつれて減少し、放射減衰の増加を実証している。
(表1:50mM TRIS(pH7.0、20℃における仔ウシ胸腺DNAの蛍光強度減衰パラメータ)
【0092】
【表1】
(実施例6)
(共鳴エネルギー移動に対する銀アイランドの影響)
共鳴エネルギー移動(RET)は、生化学研究および生物医学研究において広く使用されるMorrisonら(1993)Biochemistry 32,3095−3104;Juら(1996).Nat.Med,292,246−249)。RETは、適切なスペクトル特性を有する蛍光団がフェルスター距離R0内に入る場合はいつでも起こる。フェルスター距離は、20〜40Åの範囲であり、まれに50Åより大きい。均一溶液に溶解された場合にローダミン6G(R6G)とスルホローダミン101(SR101)との間のRETに対する銀アイランドフィルムの効果を調べた。ドナーの発光に対して正規化した、この混合物の発光スペクトルを図18に示す。銀アイランドは、590nm付近のアクセプターの発光の増加を生じる。この増加は緩やかに現れ得るが、アクセプターが0.2mMの濃度で存在してこのアクセプターの有意な直接の励起を生じる蛍光団の混合物では重要である。
【0093】
さらに、二重らせん仔ウシ胸腺DNAに結合された場合のDAPIからアクリジンオレンジ(AO)へのRETを調べた(図19)。この場合、ドナーおよびアクセプターのバルク濃度は低い。なぜなら、これらは、DNAによって近接して保持されているからである。520nm付近のアクセプター発光の劇的な増加が存在し、これは、エネルギー移動の程度における金属により増強された増加に起因すると考えられる。
【0094】
仔ウシ胸腺DNAは、商業的供給源から得られ、そして1塩基対あたり13,300M−1cm−1を使用して、50mMtris緩衝液(pH7)に溶解して2mMの塩基対の濃度にした。DAPIおよびヨウ化プロピジウム(PI)を、購入した。エネルギー移動測定については、DAPIおよびPIの濃度は、それぞれ1.5×10−5Mおよび1.5×10−4Mであった。これらの濃度は、DAPI1分子あたり133塩基対、およびPI1分子あたり13塩基対という結果になった。
【0095】
発光スペクトルを、SLM8000分光蛍光計を使用して360nmの励起を用いて得た。強度減衰を、以前に記載された計測を使用する周波数−ドメインにおいて測定した(Laczkoら(1990)Rev.Sci.Instrum.61,2331−2337;Lakowiczら(1994)Biophys.J 46,463−477)。360nmの励起波長を、10ps以下のパルス幅を用いる3.80MHzキャビティダンピングしたPyridine 2色素レーザーの周波数倍加出力から得た。
周波数−ドメイン測定について、発光を460nm干渉フィルターを通して観察した。定常状態測定および周波数−ドメイン測定について、励起を垂直偏光し、そして発光を、水平に配向した偏光子を通して散乱光を最小にするように観察した。FD強度減衰を、上記の等式(1)(ここでτiは、αiの振幅を有する寿命であり、そしてΣαi=1.0である)を使用して多重指数関数モデルの点から分析した。多重指数関数モデルに対するフィッティングを、依然に記載されたように実行した(Lakowiczら(1994)Biophys.J.46,463−477)。定常状態強度に対する各成分の寄与は、上記の等式(2)により与えられる。
【0096】
平均減衰時間は、
【0097】
【数7】
により与えられる。
【0098】
振幅重みつき寿命は、
【0099】
【数8】
により与えられる。塩基対長3.4Åおよびrmin=12Åは、固定パラメータであった。
【0100】
銀粒子を、上記のように石英スライド上への銀の化学的還元により得た。堆積銀の全体的な厚さが40Å付近に維持される場合、銀粒子は、準波長(sub−wavelength)次元を有し、そして表面プラズモン吸収の特徴を示す(図1)。2つのこのような銀アイランドフィルム間の色素の吸収スペクトルの研究から、サンプル厚さは、1〜1.5μm付近であることが見出された。
【0101】
共鳴エネルギー移動に対する銀アイランドの効果を試験するために、ドナーとしてDAPIおよび/またはアクセプターとしてPIで標識された二重らせん仔ウシ胸腺DNAを使用した。キュベット中のDAPI−DNAならびにDAPIおよびPIの両方で標識されたDNAの発光スペクトルを、図20に示す。460nm付近のDAPIドナー強度における減少から見られ得るとおり、エネルギー移動の程度は、約20%である。PIアクセプターは、610nmに見られる発光に対してわずかに寄与するのみである。約20%のエネルギー移動の程度は、このD−A対についての35.7ÅのR0値と一致する(Murataら(2000)Biopolymes(Biospectrosc.)57,306−315)。DNAらせんにおいて13塩基対あたり1つのアクセプター標識の程度、および塩基対あたり3.4Åということに基づいて、アクセプター分子は平均45Åはなれて存在する。
【0102】
次に、DAPIドナーのみかまたはPIアクセプターのみで標識されたDNAに対する銀アイランドフィルムの効果を調べた(図21)。DAPI−DNAの場合、強度は、石英プレート間または銀アイランドフィルム間に置かれた場合、実質的に変化しない。PI−DNAの場合には、PI強度において約2倍の増加がある。PI−DNAに対する銀アイランドフィルムのより大きな効果は、DAPI−DNAの量子収量0.53と比較して、0.15近くというそのより低い量子収量と一致する(Murataら(2000)Biopolymers (Biospectrosc.)57,306−315)。
【0103】
ドナーおよびアクセプターで標識されたDNAの発光スペクトルを図22に示す。PIアクセプター発光における顕著な増加は、2つの銀のない石英プレート間と比較した場合に、2つの銀アイランドフィルム間のDNAサンプルについて見出された。この銀アイランドフィルムは、アクセプターのみのDNA(PI−DNA)に対しては穏やかな効果しか有していなかった。これらの結果は、銀アイランドに対する近さに起因するDAPIからPIへのRETの効率の増加を示す。
【0104】
DAPIからPIへのエネルギー移動の増加は、DAPI減衰時間の減少を生じると期待される。DAPIの周波数−ドメイン強度減衰を図23に示す。各パネルにおける点線は、PIアクセプターの非存在下でのDAPI減衰を示す。全ての場合において、平均DAPI寿命は、PIの存在下で減少した(表2)。平均DAPI減衰時間(アクセプターなしで
【0105】
【数9】
=2.93ns)は、銀アイランドの存在下でτ=2.39nsへと約20%減少したが、定常状態の強度は、実質的に変化しなかった(図21)。この結果は、銀アイランドに起因する放射減衰の速度の増加を示唆する。コントロール測定は、全てのこれらの測定において散乱光が存在しないことを示した。
(表2)
アクセプターおよび銀アイランドの存在下および非存在下におけるDAPIドナー強度減衰の多重指数関数分析
【0106】
【表2】
DAPIドナー減衰を、ドナーおよびアクセプターで標識されたDNAが0.5mmのキュベット中にある場合に、プレーンな石英プレート間および銀アイランドフィルム間で調べた(表2)。平均DAPI寿命は、キュベットから銀のない石英プレートに及ぶまで変化されなかった(それぞれ、
【0107】
【数10】
=2.16および2.26ns)。
【0108】
【数11】
=1.67nsへのDAPI減衰時間の劇的な減少は、銀アイランドフィルム間のDAPI−DNAについて見出された(図23A C)。この寿命の減少は、発光スペクトルにおいて見られる増加したRETに帰因する(図22)。
【0109】
見かけ上のフェルスター距離の点について周波数−ドメインドナー減衰を分析した。これは、ドナーの減衰を分析することにより達成される。アクセプター濃度は、1塩基対あたり0.075のアクセプターで一定に保持され、そしてR0値は、データに対する適合度を得るように変化させられる(図24A〜C)。R0=37.4Åという値は、D−A対について計算された値(R0=35.7A)に近い。R0の見かけの値は、石英プレート間で33.5Åに減少した。重要なことに、R0の見かけの値は、銀アイランドフィルム間のサンプルについて75.6Åへと2倍増加した。これは、見かけのR0値である。この適合(fit)を調べることにより(図24C)、周波数−ドメイン強度減衰が、単一のR0値に適合し得ないことがわかった。この適合の欠如は、D−A対の少なくとも2つの集団の存在を示唆し、銀アイランドに近い方の対が、より大きなR0値を示す。
【0110】
見かけのR0値における2倍の増加が、RETに対する銀アイランドの効果の最小限の推定値を表すということを認識することは重要である。銀アイランド付近の活性空間は、溶液中で約200Å〜約2000Åにまで及ぶ。1μMのサンプル厚さを仮定すると、サンプルの約1/25しかこの活性な値内にない。このことは、RETに対する実際の効果が、R0における2倍の増加よりも大きいということを示唆する。
【0111】
(実施例7:多光子励起による金属粒子付近の蛍光の局部的な増強)
RhB、エオシンナトリウム塩、ローズベンガル、およびクマリン152を、業者から入手した。実験サンプルのジオメトリを図25に示す。RhB、エオシン、およびローズベンガルの二光子励起を、852nm出力のTsunami mode−locked Ti:Sapphireレーザー、80MHzの繰り返し周期(repetition rate)、90fsのパルス、約0.5Wの平均電力で達成した。C152およびANSについて、多光子励起波長は、ほぼ800nmであった。この励起を、15cm半径の凹面鏡を用いてサンプルに集束させた。この溶液を、2つの高質石英プレート(λ/4平坦度)の間に配置した。これらのプレートの半分を被覆せず、半分を上記のように銀アイランド(silver island)で被覆した。吸収の測定値から、プレート間のサンプルの厚みは約1μmであった。このサンドイッチサンプルを、x−yポジショナー上に設置した。レーザーの集束点は、長さ約4mmおよび直径30μmであった。レーザーが銀アイランドを有する領域または銀アイランドを有さない領域を照射するように、x−yポジショナーを用いてサンプルを移動させた。この位置変更を、実験のジオメトリにおけるいかなる変化も伴わずに達成した。散乱した励起を、発光スペクトルについては、熱フィルターおよびBG−38ガラスフィルターの組み合わせを用い、時間分解測定についてはBG−38および580nm干渉フィルターを用いて消去した。
【0112】
強度の減衰を、以前に記載された器具を用いて周波数領域で測定した(Lakowiczら(1985)Biophys.Chem.21、61−78;Laczkoら(1990)Rev.Sci.Instrum.61、2331−2337)。周波数領域の測定のために、発光を、580干渉フィルターを通して観察した。全ての定常状態および周波数領域の測定について、散乱光を最小限に抑えるために、励起を垂直に偏光し、発光を水平方向に配向された偏光子を通して観察した。FD強度の減衰を、上記等式(1)(τiは振幅αiを有する寿命であり、Σαi=1.0である)を用いた多重指数関数モデル(multi−exponential model)の形式で分析した。以前に記載されたようにして、多重指数関数モデルに適合させた(Lakowiczら(1994)Biophys.J.46、463−477)。定常状態の強度への各成分の寄与は、上記等式(2)により与えられる。平均減衰時間は、上記等式(5)により与えられる。
【0113】
852nmでの二光子励起よる銀アイランドフィルムの間のRhBの発光スペクトルを試験した(図26A)。金属粒子の間のRhBについての発光強度(図26Aにて───で示される)は、被覆されていない石英プレートの間のRhB(図26Aにて−−−で示される)に対して約4倍増大した。サンプルを、集束した852nmの光に最初に曝した場合、照射領域から白色光を視覚的に検出した。この「スパーク」は1秒未満で減衰したが、一部の白色光はバックグラウンドで残存した。この白色光はまた、RhBを有さない銀アイランド単独でも見られた(図26Aにて・・・・で示される)。近距離場顕微鏡法における照射した金属プローブのこのような白色の連続発光は、以前に報告されている(Sanchezら(1999)Phys.Rev.Letts.82、4014−4017)。重要なことに、RhBのシグナルは、最初の発光の過渡状態後に安定なままであった。また、490nmの一光子励起を用いてRhBを試験した(図26下)。この場合、被覆されていない石英プレートと比較して、銀アイランドの効果はほとんどなかった。
【0114】
コントロール実験として、銀アイランドの存在下で二光子励起によりRhBを試験したが、アイランドがRhBと接触せずに外表面にくるようにプレートを回転させた(図27)。この場合、銀で被覆したプレートと銀で被覆していないプレートとの間の差は、見出されなかった。白色の連続発光は、この銀アイランドからもなお観察された。この結果は、図26で見られるRhBの増強された発光が、RhBの二光子励起に起因し、次にRhBを励起する金属粒子による第2高調波発生に起因しないことを実証した。
【0115】
図26の結果は、本発明者らの層状サンプル(図1を参照のこと)の性質を考慮することにより、理解され得る。発蛍光団は、1μの厚みのサンプルにおいて均一に分配される。金属アイランド(metal island)により影響を受ける領域は、溶液中で約250Å広がると考えられる。2つの銀アイランド表面が存在することを思い起し、本発明者らは、この溶液の約5%のみが活性領域に含まれると評価した。実際は、このパーセンテージさえも、高すぎる可能性がある。なぜならば、金属表面の50Å以内の発蛍光団は、代表的に、消光されるからである。サンプルの5%が金属により影響を受けると仮定すると、RhBの4倍の増強(図26上)は、金属粒子に起因して、二光子励起の80倍の増強を示唆する。金属粒子付近の発蛍光団の小画分は、一光子によっては有意な効果が存在しないことを説明する(図26下)。なぜならば、発光の大部分は、銀アイランドから離れたRhB分子から生じるからである。
【0116】
一光子励起および二光子励起により、被覆された石英プレートと被覆されていない石英プレートとの間のRhBの周波数領域の強度の減衰を試験した。図29Aの励起波長は852nmであり、観察波長は580nmであった。一光子励起について、平均寿命は、被覆されたプレートと被覆されていないプレートとの間で本質的に変化しなかった(図28A〜B)。この結果は、RhBの一光子の個々の発光のほとんどが、バルクサンプルから生じたことを示す図26Bと一致する。対照的な結果を、二光子励起によるRhBの強度の減衰について見出した(図29A〜B)。この場合、平均寿命は、銀アイランドフィルムにより劇的に短縮される。852nmの励起により減少したRhBの寿命は、金属粒子付近のRhB分子の局部的な二光子励起の結果である。減少したRhB寿命はまた、この励起が金属アイランドによる第2高調波発生に起因しないことを実証した。この高調波による励起から生じるRhBの寿命は、バルク溶液において見出されるRhBの寿命と同じである。
【0117】
蛍光の多くの用途において、発蛍光団の光安定性は最大の関心事である。このことは、光消滅(photodestruction)前に約1,000の光子が、ローダミンのような高安定性の発蛍光団から観察され得ると評価された場合の単一分子の検出に特にあてはまる(Ambroseら(1999)Chem.Rev.99、2929−2956)。光化学は励起状態で生じるので、蛍光寿命の減少は、光安定性を増大させると考えられる。一光子励起および二光子励起を用いて、被覆された石英スライドと被覆されていない石英スライドとの間のローダミンBの光安定性を試験した(図30A〜B)。一光子励起について、光安定性は、銀アイランドの存在または非存在により影響を受けなかった(図30B)。二光子励起について、銀アイランドの存在下での光安定性は増強された(図30A)。これらの結果は、銀アイランド間のローダミンBについて観察されたより短い寿命および二光子励起が銀アイランドフィルム付近で優先的に生じるという主張と一致する。
【0118】
実験を進める上で、バルク溶液中で0.48の量子収量(Q=0.48)を示すローダミンBを使用した。結果として、多くの発光が、銀アイランドにより影響を受けない領域中で、バルク溶液から生じた。銀アイランド付近で生じる多光子励起は、付近の発蛍光団の量子収量を増大する。図31Aは、エオシン(Q=0.24)の発光スペクトルを示し、図31Bは、石英プレート間および銀アイランドフィルム間のローズベンガル(Q=0.02)の発光スペクトルを示す。励起波長は852nmであった。これらのスペクトルにおける、銀アイランドフィルムから生じる白色光の連続帯は、全体的なシグナルが低いことからより明らかである。重要なことに、銀アイランド間の発蛍光団から実質的な発光が生じる条件下で、二光子励起によって、エオシンまたはローズベンガルから発光が本質的に生じない。この結果は、金属粒子付近の選択的かつ局部的な二光子励起を示唆していた。
【0119】
選択的な励起の概念を、生化学的に関連する発蛍光団(例えば、クマリン152およびANS)を用いてさらに追跡した(図32A〜B)。この場合、銀アイランドフィルム間のこれらの発蛍光団について、二光子により誘導される発光の顕著な増強が観察された。水中での非常に低い量子収量(Q<0.01)を有するANSの場合、被覆されていないスライド間のANSについて本質的にシグナルが見られず、キュベット中のバルク溶液から観察されたシグナルでさえ、銀粒子の存在下で二光子により誘導された発光と比較して有意でなかった。図31A〜Bおよび図32A〜Bに示される結果は、銀粒子付近の多光子励起が、金属粒子付近の領域での高度に局在化された励起を引き起こし得る一般的な現象であることを示唆する。
【0120】
図33は、金属コロイド上の発蛍光団が、どのようにして、遊離発蛍光団の存在下で多光子励起により選択的に検出され得るかを示す図である。金属粒子の約50Å〜約2000Å、好ましくは、約50Å〜約200Å内の発蛍光団のみが、一定量の励起放射に曝された場合に蛍光が増大する。遊離発蛍光団は、検出可能なレベルで蛍光を発しない。
【0121】
図34は、金属コロイドによる細胞内自己蛍光の局部的な多光子励起の図である。1つの実施形態において、金属粒子(好ましくは、貴金属)が、所望の標的に結合する抗体に取り付けられる。抗体が所望の標的に結合した場合、金属粒子は、標的付近の、励起量の蛍光(好ましくは、多光子励起)に応答して標的の蛍光を増大するのに十分な距離(代表的には、約50Å〜約2000Å、好ましくは、約50Å〜約200Å)に位置する。抗体は、抗体を産生し得る任意の宿主動物由来であり得る。宿主動物の例として、哺乳動物、好ましくは、ウサギ、ヤギ、ウマ、およびヒトが挙げられる。抗体はまた、外因的な発蛍光団と結合体化され得る。
【0122】
(実施例8)
(アッセイ)
図35は、免疫アッセイの概略図を示す。捕捉抗体は、金属粒子付近の表面に共有結合される。分析物(An)が存在すると、非蛍光発色団で標識された二次抗体と表面結合する。非蛍光発光団発蛍光団または弱蛍光発光団発蛍光団の例として、ローズベンガル、エオシン、マラカイトグリーン、および光学顕微鏡法において色素または染料として使用される有機分子が挙げられるがこれらに限定されない。光学顕微鏡法において色素または染料として使用される適切な有機分子は、当該分野で周知であり、アシッドフクシン、アルシアンブルー、アリザリンレッド、コンゴーレッド、クリスタルバイオレット、エオシン、エバンスブルー、ライトグリーンSF、ルキソールファストブルー、メチルグリーン、ニュートラルレッド、ニグロシン、オイルレッドo、オレンジg、ピクリン酸、ピロニンy、サフラニンo、シリウスレッド、スーダンブラックb、およびトルイジンブルーoが挙げられるがこれらに限定されない。抗原への結合の際に、以前は非蛍光性の種が、増大した放射率に起因して一定量の励起放射線に応じて発光する。金属部位からより離れた未結合種は蛍光を発しないので、この蛍光シグナルと干渉しない。非蛍光種は、金属粒子に近接する場合にのみ発光する「分子ビーコン」となる。抗体を産生し得る任意の宿主由来の抗体または抗体フラグメントが使用され得ることが理解される。宿主の例として、哺乳動物(例えば、霊長類、ヤギ、ウマ、ウサギ、およびげっ歯類)が挙げられる。さらに、組換え抗体またはキメラ抗体もまた、使用され得る。このアッセイは、生物学的流体(唾液、尿、粘液、血液、血漿、およびリンパ液が挙げられるがこれらに限定されない)中の分析物の存在を検出するのに使用され得る。分析物の例として、ステロイド、低分子、タンパク質、ペプチド、細菌、および真菌が挙げられる。
【0123】
図36は、電気電位を用いて蛍光のオンオフをゲート制御する本発明のアッセイを示す。発蛍光団は、金属粒子で被覆された表面に取り付けられた可撓性ポリマー鎖の末端に配置される。1つの実施形態において、この鎖および発蛍光団全体は負に荷電している。電圧または金属が正の場合、発蛍光団は、消光ゾーンに存在する。電圧が負の場合、発蛍光団は、増強ゾーンに置き換わる。あるいは、発蛍光団は、より短い範囲で金属の消光ゾーンを出入する。従って、発光は、電圧によりゲート制御される。電気電位は、公知の技術を用いて生成され得る。適切な電気電位源として、電気を生成し得るデバイス(バッテリー、燃料電池、および変圧器が挙げられるがこれらに限定されない)が挙げられる。別の実施形態において、電気電位を用いてアレイセンサにアクセスする方法は、DNAまたはタンパク質を表面上に所望のバターンで連結するための公知の方法を用いて提供される。例えば、生体分子は、接着剤、ポリマー、リジン、またはビオチン−アビジンを用いて表面に連結され得る。
【0124】
本発明の別の実施形態は、免疫アッセイを開示する。このアッセイにおいて、第1の抗体はドナー分子で標識され、そして第2の抗体はアクセプター分子で標識される(図37)。標識された抗体は、各々の抗原に結合し、複合体を形成する。この複合体が、金属粒子の近くにある場合、ドナーからアクセプターへの共鳴エネルギー移動は増強され、アクセプターからの発光が検出可能となる。この複合体は、電気電位または他の誘引力を用いて銀アイランド表面付近に位置し得る。金属により誘導される移動速度の増大は、より長い距離の移動を導き、抗原は、移動効率の増大により検出可能である。
【0125】
図38は、本発明の別の実施形態である、表面プラズモン励起用装置を示す。銀を含まないコントロール表面について(図38B)、発光は、蛍光の臨界角で増大している。励起がプラズモン共鳴角にある場合、発光は、発光波長のプラズモン角で急激に分散される。この目的のための代表的な金属表面は、連続的な半透明の銀被覆である。この被覆はさらに、金属コロイドまたは粒子の結合により修飾され得、増強された、指向性の発光を提供する。
【0126】
本発明の意図または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明に対して種々の改変がなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1Aおよび1Bは、それぞれ、石英表面上の銀金属アイランドおよびその吸収スペクトルを示す。
【図2】図2A〜Cは、それぞれ、キュベット中、石英プレート間、および銀アイランドを有する石英スライド間におけるローズベンガルの吸収スペクトルである。
【図3】図3Aおよび3Bは、銀アイランドフィルム間のローダミンBおよびローズベンガルの発光スペクトルである。
【図4】図4A〜4Cは、種々の条件下でのローダミンBの、周波数−ドメイン強度減衰を示すグラフである。
【図5】図5A〜5Cは、種々の条件下でのローズベンガルの、周波数−ドメイン強度減衰を示すグラフである。
【図6】図6A〜6Bは、ローダミンBおよびローズベンガルの、再構築時間−ドメイン強度減衰である。
【図7】図7A〜7Dは、銀アイランドフィルム間(S)およびコーティングしていない石英プレート間(Q)の、Erb、BF、[Ru(bpy)3]2+、および[Ru(phen)2dppz]2+の発光スペクトルである。
【図8】図8は、銀アイランドフィルム間に配置された場合に異なる量子収量を有する発蛍光団の発光の増強の、グラフでの描写である。
【図9】図9は、DMF溶液および水中における、石英プレート間での蛍光強度(IQ)に対して比較した、銀アイランドフィルム間の[Ru(phen)2dppz]2+の蛍光強度(IS)の、グラフでの描写である。[Ru{phen}2dppz]2+は、水の存在下で蛍光強度が減少する(挿入図)。図9は、銀アイランド粒子が、DMFよりも多くの水を含む溶液中で、[Ru(phen)2dppz]2+に対してより大きい増強(IS/IQ)を有することを示す。従って、銀アイランドフィルムは、強いかまたはクエンチされていない発蛍光団に対してよりも弱いかまたはクエンチされた発蛍光団に対して、蛍光強度のより大きい増強を有する。
【図10】図10Aおよび10Bは、銀アイランドフィルム間(S)およびコーティングしていない石英プレート間(Q)の、溶媒感受性発蛍光団の発光スペクトルである。
【図11】図11Aおよび11Bは、銀アイランドフィルム間(S)およびコーティングしていない石英プレート間(Q)の、β−ガラクトシダーゼおよびヒトグリオキサラーゼの発光スペクトルである。
【図12】図12Aおよび12Bは、銀アイランドフィルム間(S)およびコーティングしていない石英プレート間(Q)の、核酸塩基の発光スペクトルである。
【図13】図13Aおよび13Bは、銀アイランドフィルム間(S)およびコーティングしていない石英プレート間(Q)の、一本鎖核酸の発光スペクトルである。
【図14】図14Aおよび14Bは、キュベット中(14A)および銀アイランドフィルム間またはコーティングしていない石英プレート間(14B)の、仔ウシ胸腺DNAの吸収スペクトルである。
【図15】図15Aおよび15Bは、キュベット中(15A)および銀アイランドフィルム間またはコーティングしていない石英プレート間(15B)の、DNAの発光スペクトルである。
【図16】図16Aおよび16Bは、キュベット中(16A)および銀アイランドフィルム間(16B)の、仔ウシ胸腺DNAの周波数−ドメイン強度減衰である。
【図17】図17は、銀アイランドフィルム間およびキュベット中の、仔ウシ胸腺DNAの時間依存性の強度減衰である。
【図18】図18は、コーティングしていない石英プレート間および銀アイランドフィルム間の、R6G(ドナーとして)およびSR101(アクセプターとして)の発光スペクトルである。
【図19】図19は、銀アイランドフィルム間およびコーティングしていない石英プレート間の、DAPIおよびアクリジンオレンジで標識したDNAの発光スペクトルである。
【図20】図20は、コーティングしていない石英プレート間の、DAPI単独;ヨウ化プロピジウム(PI)単独;またはDAPIおよびPIの両方で標識したDNAの発光スペクトルである。
【図21】図21は、銀アイランドフィルム間およびコーティングしていない石英プレート間の、DAPI標識DNAおよびPI標識DNAの発光スペクトルである。
【図22】図22は、銀アイランドフィルム間およびコーティングしていない石英プレート間の、DAPIおよびPIの両方で標識したDNAの発光スペクトルである。
【図23】図23A〜23Cは、キュベット中(23A)、コーティングしていない石英プレート間(23B)、および銀アイランド間(23C)における、DAPIおよびPIの両方で標識した仔ウシ胸腺DNAについての、DAPIドナー減衰の周波数−ドメイン強度減衰である。DAPI単独の周波数−ドメイン強度減衰もまた示す。
【図24】図24A〜24Cは、キュベット中(24A)、コーティングしていない石英プレート間(24B)、および銀アイランド間(24C)における、DAPIおよびPIの両方で標識した仔ウシ胸腺DNAの、DAPIの周波数−ドメイン強度減衰である。
【図25】図25は、銀アイランドフィルム間の発蛍光団を検出するための例示的な外面的形態である。
【図26】図26Aおよび26Bは、一光子励起および二光子励起を用いた、銀アイランドフィルムとコーティングしていない石英プレートとの間のローダミンBの発光スペクトルである。
【図27】図27は、コーティングしていない石英プレート間および石英プレートの外表面上に銀アイランドを有する石英プレート間での、二光子励起を用いたローダミンBの発光スペクトルである。
【図28】図28Aおよび28Bは、コーティングしていない石英プレート(28A)および銀アイランドフィルム間(28B)での、一光子励起を用いたローダミンBの周波数−ローダミン強度減衰である。
【図29】図29Aおよび29Bは、コーティングしていない石英プレート(29A)および銀アイランドフィルム間(29B)での、二光子励起を用いたローダミンBの周波数−ローダミン強度減衰である。
【図30】図30Aおよび30Bは、コーティングしていない石英プレート間(Q)および銀アイランドフィルム間(S)での、ローダミンBの光安定性を示すグラフである。
【図31】図31Aおよび31Bは、二光子励起を用いた、コーティングしていない石英プレート間(Q)および銀アイランドフィルム間(S)でのエオシン(31A)およびローズベンガル(31B)の発光スペクトルである。
【図32】図32Aおよび32Bは、コーティングしていない石英プレート間(Q)および銀アイランドフィルム間(S)でのクマリン(32A)の発光スペクトル、ならびにキュベット中(C)、コーティングしていない石英プレート間(Q)および銀アイランドフィルム間(S)でのANS(32B)の発光スペクトルである。
【図33】図33は、遊離発蛍光団の存在下での、金属コロイド上の発蛍光団の選択的多光子励起を示す。
【図34】図34は、金属コロイドによる細胞内自己蛍光の局所的な多光子励起を示す。
【図35】図35は、銀アイランドでコーティングされた表面と結合させたサンドイッチイムノアッセイの、例示的な実施形態である。
【図36】図36A〜36Cは、電圧活性化蛍光アッセイの例示的な実施形態である。
【図37】図37A〜37Cは、ドナーおよびアクセプター標識抗体を用いたエネルギー移動イムノアッセイの例示的な実施形態である。
【図38】図38Aは、表面プラズモン励起のための例示的な装置である。そして図38Bは、ローダミン6Gからの蛍光の角分布のグラフである。
Claims (27)
- 生体分子を金属粒子と組み合わせて含む組成物であって、ここで、該金属粒子および該生体分子が、一定量の励起電磁放射に応答した該生体分子からの電磁放射の内因性放射を調整するのに十分な距離、離れて位置する、組成物。
- 請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記生体分子が核酸を含む、組成物。
- 請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記生体分子がプリンまたはピリミジンを含む、組成物。
- 請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記生体分子がヌクレオシドまたはヌクレオチドを含む、組成物。
- 請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記生体分子がオリゴヌクレオチドを含む、組成物。
- 請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記生体分子がタンパク質を含む、組成物。
- 請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記生体分子がアミノ酸を含む、組成物。
- 請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記生体分子が脂質を含む、組成物。
- 請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記生体分子が糖部分を含む、組成物。
- 請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記金属粒子が、前記生体分子から約50Å〜約2000Åの距離にある、組成物。
- 請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記金属粒子が、貴金属を含む、組成物。
- 請求項11に記載の組成物であって、ここで、前記貴金属が、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、および金からなる群から選択される、組成物。
- 請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記金属粒子が、サイズにおいて波長未満である、組成物。
- 請求項1に記載の組成物であって、ここで、前記生体分子が金属粒子に連結される、組成物。
- 生体分子の内因性蛍光を増加するための方法であって、該方法が、以下の工程:
金属粒子および該生体分子を、一定量の励起放射線に応答した該生体分子からの電磁放射を増加するのに十分な距離、離れて配置する工程、
を包含する、方法。 - 生体分子を検出するための方法であって、該方法が、以下の工程:
(a)金属粒子および生体分子を、該生体分子からの電磁放射を操作するのに十分な距離、離れて配置する工程;
(b)該生体分子を一定量の励起放射線に暴露する工程;および
(c)該生体分子からの該電磁放射を検出する工程、
を包含する、方法。 - 生体分子の蛍光強度を操作するための方法であって、該方法が、以下の工程:
(a)該生体分子を金属粒子に近接して配置することによって、該生体分子の放射減衰の速度を増加する工程;および
(b)該生体分子を一定量の励起放射線に暴露する工程、
を包含する、方法。 - サンプル中の核酸配列の存在を検出するための方法であって、該方法が、以下の工程:
(a)サンプルを提供する工程;
(b)金属粒子に連結された核酸配列を添加する工程;
(c)該サンプルを一定量の励起放射線に暴露する工程;
(d)該蛍光を検出する工程;および
(e)該蛍光の検出に基づいて、該核酸配列の存在を決定する工程、
を包含する、方法。 - 蛍光標識生体分子の蛍光強度を増加するための方法であって、該方法が、以下の工程:
(a)生体分子を、発蛍光団を用いて標識する工程;
(b)一定量の励起放射線に応答して、該発蛍光団が放射を発するように、該標識生体分子を金属粒子の隣に配置する工程、
を包含する、方法。 - 蛍光標識生体分子上への蛍光エネルギー移動を増加するための方法であって、該方法が、以下の工程:
(a)生体分子を、ドナー発蛍光団およびアクセプター発蛍光団を用いて標識する工程;
(b)一定量の励起放射線に応答して、該ドナー発蛍光団がエネルギーを該アクセプター発蛍光団に移動し、該アクセプター発蛍光団が電磁放射を発するように、該標識生体分子を金属粒子の隣に配置する工程、
を包含する、方法。 - 発蛍光団の蛍光強度を増加するための方法であって、該方法が、以下の工程:
(a)発蛍光団を金属粒子の隣に配置する工程;および
(b)該発蛍光団を、複数の光子を用いて励起する工程、
を包含する、方法。 - 生体分子の蛍光強度を増加するための方法であって、該方法が、以下の工程:
(a)生体分子を、金属粒子の隣に配置する工程;および
(b)該生体分子を複数の光子を用いて励起する工程、
を包含する、方法。 - サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法であって、該方法が、以下の工程:
(a)金属粒子を該サンプル中の目的の領域に方向付ける工程;および
(b)該目的の領域中に一定量の励起放射線を提供する工程、
を包含する、方法。 - サンプルの電磁放射の領域を選択的に増強するための方法であって、該方法が、以下の工程:
(a)金属粒子を該サンプル中の目的の領域に方向付ける工程;
(b)該サンプルを発蛍光団と接触させる工程;
(c)該サンプルを一定量の励起放射線に暴露する工程、
を包含する、方法。 - 蛍光標識生体分子上への蛍光エネルギー移動を増強するための方法であって、該方法が、以下の工程:
(a)第1生体分子を、ドナー発蛍光団を用いて標識する工程;
(b)第2生体分子を、アクセプター発蛍光団を用いて標識する工程;
(c)一定量の励起放射線に応答して、該ドナー発蛍光団が、エネルギーを該アクセプター発蛍光団に移動させて、該アクセプター発蛍光団の電磁放射の放射を増加するように、該標識生体分子を金属粒子に近接して配置する工程、
を包含する、方法。 - マイクロアレイシステムであって、以下:
固体支持体であって、ここで、該固体支持体が金属粒子を用いてコーティングされる、固体支持体;および
マトリックスであって、標識されたプローブが生体分子にハイブリダイズする場合、該標識されたプローブの蛍光が、一定量の励起放射線に応答して増加するように、該支持体に結合した生体分子のアレイを有する、マトリクス、
を備える、マクロアレイシステム。 - 生体分子を金属表面とともに含む組成物であって、ここで、該金属表面および該生体分子が、一定量の励起電磁放射に応答して、該生体分子からの電磁放射の内因性放射を調整するために十分な距離、離れて配置される、組成物。
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