JP2004524443A - アノードコプロダクションプロセスも組み合わせたパルスカソード電流により金属を回収する方法および装置 - Google Patents
アノードコプロダクションプロセスも組み合わせたパルスカソード電流により金属を回収する方法および装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004524443A JP2004524443A JP2002572166A JP2002572166A JP2004524443A JP 2004524443 A JP2004524443 A JP 2004524443A JP 2002572166 A JP2002572166 A JP 2002572166A JP 2002572166 A JP2002572166 A JP 2002572166A JP 2004524443 A JP2004524443 A JP 2004524443A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- anode
- cathode
- current
- metal
- strips
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22B—PRODUCTION AND REFINING OF METALS; PRETREATMENT OF RAW MATERIALS
- C22B7/00—Working up raw materials other than ores, e.g. scrap, to produce non-ferrous metals and compounds thereof; Methods of a general interest or applied to the winning of more than two metals
- C22B7/006—Wet processes
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C25—ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
- C25C—PROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC PRODUCTION, RECOVERY OR REFINING OF METALS; APPARATUS THEREFOR
- C25C7/00—Constructional parts, or assemblies thereof, of cells; Servicing or operating of cells
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C02—TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
- C02F—TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
- C02F1/00—Treatment of water, waste water, or sewage
- C02F1/46—Treatment of water, waste water, or sewage by electrochemical methods
- C02F1/461—Treatment of water, waste water, or sewage by electrochemical methods by electrolysis
- C02F1/467—Treatment of water, waste water, or sewage by electrochemical methods by electrolysis by electrochemical disinfection; by electrooxydation or by electroreduction
- C02F1/4676—Treatment of water, waste water, or sewage by electrochemical methods by electrolysis by electrochemical disinfection; by electrooxydation or by electroreduction by electroreduction
- C02F1/4678—Treatment of water, waste water, or sewage by electrochemical methods by electrolysis by electrochemical disinfection; by electrooxydation or by electroreduction by electroreduction of metals
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23G—CLEANING OR DE-GREASING OF METALLIC MATERIAL BY CHEMICAL METHODS OTHER THAN ELECTROLYSIS
- C23G1/00—Cleaning or pickling metallic material with solutions or molten salts
- C23G1/36—Regeneration of waste pickling liquors
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C02—TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
- C02F—TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
- C02F1/00—Treatment of water, waste water, or sewage
- C02F1/46—Treatment of water, waste water, or sewage by electrochemical methods
- C02F1/461—Treatment of water, waste water, or sewage by electrochemical methods by electrolysis
- C02F1/46104—Devices therefor; Their operating or servicing
- C02F1/46109—Electrodes
- C02F2001/46123—Movable electrodes
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C02—TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
- C02F—TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
- C02F2201/00—Apparatus for treatment of water, waste water or sewage
- C02F2201/46—Apparatus for electrochemical processes
- C02F2201/461—Electrolysis apparatus
- C02F2201/46105—Details relating to the electrolytic devices
- C02F2201/4616—Power supply
- C02F2201/46175—Electrical pulses
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Abstract
【課題】本発明は、処理溶液および排出液から、好ましくはアノードプロセスと組み合わせて、パルスカソード電流によって、金属を効果的に回収することを目的とする。
【解決手段】セパレータにより分割されていない、または分割された電解電池における直流によって金属を沈殿させるために、パルスカソード電流は、分割されていないカソード表面が通り過ぎて動く固定ストリップに分割されたアノードにより生成される。その結果、カソード表面に形成された電流パルスの形態および周波数は、アノードストリップの配置および電流隔膜により変化させることができる。回転シリンダカソードおよび同心状に配置されたアノードポケット、その側壁が電流隔膜および電流遮断器として機能する装置が好ましい。本発明によれば、金属の効率的な回収が可能となるばかりでなく、例えば、過酸化硫酸塩の再生および酸化による無機または有機汚染物質の分解のために、様々なアノードプロセスと組み合わせることもできる。
【解決手段】セパレータにより分割されていない、または分割された電解電池における直流によって金属を沈殿させるために、パルスカソード電流は、分割されていないカソード表面が通り過ぎて動く固定ストリップに分割されたアノードにより生成される。その結果、カソード表面に形成された電流パルスの形態および周波数は、アノードストリップの配置および電流隔膜により変化させることができる。回転シリンダカソードおよび同心状に配置されたアノードポケット、その側壁が電流隔膜および電流遮断器として機能する装置が好ましい。本発明によれば、金属の効率的な回収が可能となるばかりでなく、例えば、過酸化硫酸塩の再生および酸化による無機または有機汚染物質の分解のために、様々なアノードプロセスと組み合わせることもできる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率的にカソード沈殿を行い、処理溶液および排出液、例えば、使用済み酸洗い溶液から、好ましくはアノード酸化プロセスと組み合わせて、金属を回収する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属を処理溶液および排出液から回収するとき、金属は、電流効率が不十分、かつ/または付着力に乏しい粉末形態で金属回収電池のカソードに沈殿させることしかできないという問題が生じることが多い。平板カソード、すなわち、金属シートまたはエキスパンデッドメタル平板の電解電池を用いる場合、非常に低い電流密度を用いることしかできないことが多く、電極表面領域が必要となり、調達コストが増大し、効率が減じる結果となる。物質移動、電流効率および/または電流密度を改善するために、例えば、(特許文献1)または(特許文献2)記載されているように、特に、回転シリンダカソードを備えた電解電池を用いることも提案されている。この場合、目的は常に、カソードに均一に電流密度を分配し、また、電池電圧をできる限り低く保つために、例えば、エキスパンデッドメタルの形態の固定アノードを、できる限り均一に回転カソードの周辺に分配することである。物質移動を促して、良好な付着力および高い電流効率で圧縮された金属沈殿物を得るために、これらの回転カソードの円周速度を2〜5m/sに設定する。
【0003】
(特許文献3)は、回転シリンダカソードを用いるときに、物質移動を増大させるさらに可能な方法を提案している。このために、少なくとも1個の垂直アノードを、カソードに対して傾斜させて配置し、このようにして、カソードと各アノード間のギャップが、縦長ベンチュリと同様に、カソードの回転方向において狭くなる。垂直ギャップの最も狭い点は、アノードとカソードの間の距離を最低にしたために最大の電流負荷を有するばかりでなく、ベンチュリの影響のために最大の乱流も有するため、好ましい物質移動がなされる。しかしながら、アノードのこの配置は、カソードからアノード端までの距離が最小で、カソードからの距離を最大として、アノード端間の比較的大きな電流密度差が、アノードプロセスの電流効率に望ましくない影響を与える用途においては不利である。また、このような配置は、分割電解電池に全く不向きであるため、この用途にも用いられない。
【0004】
これまでに示された回転シリンダカソードでの物質移動を増大させるための公知の可能性にもかかわらず、減少させるべき金属の最終濃度を低くして最大可能なカソード電流密度は、固着されたコーティングを得るべき場合でも、制限されたままである。例えば、回転カソードで実際に用いられる電流密度は、沈殿させる金属の種類、カソード溶液の組成および所望の最終濃度に応じて異なるが、一般的に2〜最大で5A/dm2である。
【0005】
存在する金属電解液システムに応じて異なるが、パルス直流を用いることにより以下のような利点があることは、電気めっき業界において知られている(非特許文献1)。
・特に、細粒構造および粗さが減じたことによる、沈殿金属被覆特性の大幅な改善
・樹枝状結晶を形成する傾向の削減
・達成可能な沈殿速度/電流密度の増大
・DC沈殿とは異なり、特定量のベース金属共沈が達成できる(合金沈殿には重要)
・特定の金属−電解質系で、二次反応の抑制により電流効率が増大する(例えば、レニウム沈殿の場合)
【0006】
パルス直流に用いるパルスの形態は、正弦波から方形波までにわたる。短い電流妨害によるパルスの急な側面は、特に好ましい影響を与える。短いパルスの逆転もまた、特定の用途については極めて有利なことがある。角部や端部(例えば、樹脂状結晶の形態)の広い範囲まで沈殿する金属は、後のアノードパルスにより再び溶解されるのも好ましいことから、この結果、より均一な層厚さ分布が得られる。
【0007】
従って、パルス直流を用いて、より有効に安定して金属を沈殿可能であることが仮定できる。この原理を応用するとまた、金属の回収のために、限られた範囲の低残留濃度で、沈殿金属コーティングをより良好に付着させることも予測される。これは、金属減少レベルが同じでありながら、より高い平均電流密度を達成するか、または、同じ電流密度を維持する場合は、より高いレベルの減少を行うことを可能にさせる。しかしながら、パルス直流を実現するために必要な装置にかかる追加の経費は、金属回収の経済的実行可能性にとって些細な因子ではない。特に、方形波パルスおよびパルス逆転による整流器の場合には、調達コストは、従来の整流器の3〜5倍に達する場合がある。
【0008】
パルス電解電流はまた、アノード反応またはアノード自身に不利な影響を与える恐れもある。対向電極は同じ電流パルスに曝されることから、アノードの耐食性もまたパルス電流により減じる恐れがある。定常アノード負荷で形成される耐食性酸化物層は、パルス、特にパルス逆転により破壊または少なくとも損傷(例えば、白金)を受ける。しかしながら、この現象によって、また、バルブ金属チタン、ニオブ、タンタル、ジルコニウムとして知られているものの場合に形成される保護酸化物層も損傷させることがある。
【0009】
多くの場合、処理溶液から金属を回収するとき、組み合わせ方法の一部としてアノードプロセスを利用することも試みられている。これには、例えば、有機錯化剤またはシアン化物を酸化により分解するために、通常、高アノード電位が必要とされる。このように、パルスアノード電解電流は、例えば、高酸素過電圧および高酸化電位に必要とされる、貴金属アノードの酸化物層が攻撃されるという点で、得られるアノード電流効率に望ましくない影響を与える。これは、例えば、同時に金属のカソード回収と組み合わせた、シアン化物ベースの金属溶液の処理中、またはペルオキソ二硫酸塩酸洗いの白金アノードでのアノード再酸化中に、シアン化物をアノード酸化する際に予想される。後者の場合、アノード分極の数時間後にのみ、固定酸化物被覆層が十分な程度まで形成されて、最大の電流効率が得られるということが知られている。電流中断、特にパルス逆転は、必然的に効率の損失につながる。
【0010】
【特許文献1】
CH685015 A5
【特許文献2】
DE29512905.0
【特許文献3】
米国特許第4,530,748号明細書
【非特許文献1】
パルスめっき、J.C.プッペ(Puppe)、F.リーム(Leamm)、およびオイゲンロイツェフェアラーグ(Eugen Leutze Verlag)1990年
【非特許文献2】
金属表面(Metalloberiflaeche[Metal Surfaces])52、1999年H.11
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明は、処理溶液および排出液からの金属の回収にも用いられる、示されたパルス直流の有利な影響を、パルス直流の生成に含まれる経費の増大に関連して示された欠点およびアノードおよび/または組み合わせプロセスの場合には一連のアノード反応に与える悪影響を同時に受け入れることなく、得るという目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、この目的は、請求項1〜3記載の方法および請求項4〜15記載の方法を好ましくは実施するための装置、および請求項16〜21記載の方法の好ましい使用により達成される。電解は、カソードおよびアノードを備えた電解電池の未パルス直流によって実施される。カソードおよびアノードはセパレータにより分割可能であり、パルスカソード電流は、別個にまたは群で結合されて、カソード表面に平行または同心状の固定位置に配置された幅2〜100mmのストリップに分割されるアノードにより生成され、分割されていないカソード表面は、アノードストリップの長手範囲に垂直な方向に1〜10m/sの速度で通り過ぎて動き、2つの近接する個々のアノードストリップまたはアノードストリップ群の側壁間の距離は、個々のアノードストリップまたはアノードストリップ群の中心とカソードの間の垂直距離の少なくとも1.5倍に達する。このように、アノードストリップのカソード表面に対する水平配置をカソードに適用して直線で動かし、同心状配置を円形の回転カソードに適用する。
【0013】
この手順のために、可動カソード表面の各点が高電流密度および低電流密度で領域を上手く通過する。電流密度は、次のアノードストリップから最小の距離で最大であり、次のアノードストリップから最大の距離で最小である。
【0014】
本発明の方法を実現するために、分割されていないカソード表面を、固定アノードを通り過ぎて動くようにすることが可能である。直線の動きではバンドかワイヤの形態、回転の動きではシリンダ、コーンまたはディスクの形態のいずれかで個々の電極ストリップに分割されている。
【0015】
アノードストリップは、個々にアノードの全表面に均一分配されるか、群で結合されているかのいずれかであり、群の場合、群の中は短い均一な距離で、群の間の距離は広い。個々のアノードストリップまたはアノードストリップ群間の最低距離は、十分な大きさのパルス作用を得るために、アノードとカソードとの間の垂直距離の1.5倍でなければならない。
【0016】
個々のアノードストリップまたは群で結合されたアノードストリップ間を遮蔽できるようこれ以外のまたは追加の内部配置が特に有利であることが分かった。
【0017】
このために、アノードストリップまたはアノードストリップ群は、可動のカソードの方向に側部が突出している端部を備えたホルダーに配置されているのが好ましい。以降、これをポケットと呼ぶ。
【0018】
電流隔膜は、最低の距離だと、電流密度がその最大からほぼゼロまで急激に落ちる領域が、個々のアノードストリップまたは群で結合されたアノードストリップ間を通り過ぎて動くカソード上に確実に形成できるようにする。これによって、カソード表面に、特に有効な方形波パルスに近いパルスの急な側面のある電流密度プロフィールが容易に実現される。同時に、これらの電位シールド内部構造は電流遮断器として作用して、通り過ぎて動くカソード表面での乱流が増加し、その結果、カソード表面での物質移動がさらに促される。
【0019】
図1に、様々な幾何配置およびカソードで形成された電流密度の例を図示する。この図は、カソード表面に水平に配向され、カソードが直線で動く固定アノードストリップの場合に適用される。このように、電流密度分布は、電極配列の幾何形状ばかりでなく、電解質組成(分散能)および電極電位にも依存していることが知られているということも考慮しなければならない。従って、この図は、本発明の基本原理のみを明白にするためだけのものである。図示されているのは、
a)アノード−カソード距離の1.5倍の距離の個々のアノードストリップの配列の幾何形状および電流密度−時間関数、
b)個々のストリップがポケットに配置され、その側壁が電流隔膜および電流遮断器として作用する以外は、aと同様の幾何形状および電流密度−時間関数、
c)群での幾何形状および電流密度−時間関数で、各ケースにおいて、3つのアノードストリップの群内部の距離はアノード−カソード距離に等しく、群間の距離はアノード−カソード距離の1.5倍以上である、
d)アノードストリップの群がポケットに配置され、その側壁が電流隔膜および電流遮断器として作用する以外は、cと同様の幾何形状および電流密度−時間関数
【0020】
長い期間にわたって通り過ぎて動くカソードに電流が流れないようにするのも有利である。これは、アノードストリップのある群間の距離を他の群間よりも大幅に大きく設定することによって容易に達成できる。
【0021】
本発明に従ってアノード領域を個々のストリップに分割させ、それ自体で物質移動を増大させるとして知られているカソードとアノード間の相対的な動きの組み合わせ、および電位遮蔽および乱流増加内部構造の配列の結果、アノード反応およびアノード自身の耐久性に悪影響を及ぼすことなく、特に効果的にカソードでの金属の回収が行える。
【0022】
本発明による方法は、分割されていない、または分割された電解電池の様々な異なる設計で実施することができる。回転シリンダカソードを備えた電解電池(装置)を用いるのが特に有利である。
【0023】
請求項6〜16に記載した装置は、筐体に配置された1個以上の回転シリンダカソードを含む。垂直に、別個または群で結合された幅2〜100mmのアノードストリップが、アノードポケットにおいて、シリンダカソード周辺に同心状に配置されている。個々のアノードポケット間の距離は、アノードストリップとカソードの間の垂直距離の少なくとも1.5倍である。アノードポケット側壁は、同時に、電流隔膜および電流遮断器として作用し、以下のような効果をもたらす。
・電流隔膜として、カソード表面に形成されるカソード電流パルスが急な側面を有するような電位遮蔽をもたらす、
・電流遮断器として、物質移動を促すために、通り過ぎて動くカソード表面で同時に乱流を増大させる。
【0024】
アノードストリップの平面から出発して、アノードストリップとカソードの間の垂直距離の少なくとも1/4にわたって伸張している場合、アノードポケットのこれらの側壁は、説明した目的にとって十分に有効であるということを知見した。
【0025】
分割されていない電池の場合、アノードポケットはカソードに面する側で開放されている。分割された電池の場合、アノードポケットは、セパレータおよびアノード溶液のための別個の給電部および放電部を備えている。従って、その中をアノード液が流れ、カソード液に対しては液密および気密に閉じられる別個のアノードスペースが形成される。個々のアノードポケットへの分割によって、回転シリンダカソードを有する分割電解電池の場合に通常の連続アノードスペースに勝る数多くの利点がもたらされる。アノード電流密度およびアノードスペースにおける滞留時間の独立した設定に関して、アノードポケットの構造設計により、これまで一般的であった連続アノードスペースよりもはるかに様々な変更の可能性が得られる。このように、例えば、ペルオキソ二硫酸塩酸洗い溶液のアノード再生について、非常に少ない滞留時間と、同時に、所望であれば、高いアノード電流密度を組み合わせて実現することが可能である。
【0026】
さらに、全体のアノードスペースを個々のアノードポケットへ分割すると、修理や保守の目的で非常に有用である。アノードまたはセパレータに欠陥が生じた場合、残りのアノードポケットを分解することなく、個々のアノードポケットを容易に交換することができる。
【0027】
個々のアノードポケットを分割するとまた、複数のアノードポケットを流体力学的に直列に接続させることが可能であるという利点がある。この結果、用途によっては、アノード反応の高い電流効率を得るのに寄与するリアクタカスケードのフロー特性が得られる。
【0028】
ある用途については、通過する電流密度がほぼゼロである、回転カソードの比較的大きなセクションがあると有利であることがわかっている。これは、シリンダカソード周辺のアノードポケットの不均一な分配によって簡単に達成できる。このとき、あるアノードポケット間の距離は、他のアノードポケット間の距離の数倍である。例えば、いくつかのアノードポケットは、対称的に分配されたものから省くことが可能である。
【0029】
比較的高い電流容量を備えた電解電池の場合は特に、電解質容器内で液密および気密に分離されたスペースにドライブを配置すると有利であることが分かった。これによって、ドライブ−シリンダカソードシステムが非常にコンパクトな設計となり、比較的長いシャフトを必要としたり、それに関連する追加のベアリングやシーリングに関した問題がなくなる。
【0030】
電流の熱を十分に消失させるためにはクーラーが必要とされることが多く、クーラーは、電解質回路の外部に、または電解質容器の内部に直接に配置してよい。電解質を外部で循環させる必要がないため内部配置が有利である。
【0031】
特に、比較的大きく重いシリンダカソードについては周波数制御ドライブを用いるのが有利である。これは、ジャークなしで、回転速度を徐々に上げながら、電池を起動させることが可能なばかりでなく、動作回転速度を変化させ、特定の電解プロセスに最適に適合させることも可能とする。
【0032】
シリンダカソードは、特殊鋼からなるのが好ましい。沈殿金属を除去するのにやや円錐の設計が利点を与える。円錐シリンダカソードの場合であっても、シリンダの高さ全体にわたって均一な電流密度分布を得るために、アノードまたはアノードポケットは、シリンダカソードの円錐に適合するよう傾斜をつけて配置する。
【0033】
アノードストリップは、貴金属、貴金属混合酸化物またはドープドダイアモンドでコートされたバルブ金属チタン、ニオブ、タンタルまたはジルコニウムからなるのが好ましい。用いるセパレータは、イオン交換膜またはマイクロポーラスプラスチックフィルムである。
【0034】
図2に、2つの異なる半電池を備えた形態の回転シリンダカソードによる提案された電解電池の好ましい実施形態を示す。左手の半電池aは、分割されていない電池部に相当し、右手の半電池bはセパレータにより分割された電池部に相当する。電解質容器1は、換気開口部を備えた支持管2上に配置されている。ドライブ4が配置された保護内部は、液密の電解質容器の基部に接続された内部保護管により形成されている。ドライブシャフトは、液密および気密に、内部カバー6を通して動き、固定要素7を用いてシリンダカソード5に接続されている。分割されていない電池の場合には、ストリップアノードは、壁に固定され、カソード側に向かって開いたアノードポケット11に配置および保持されている。アノードに対する電流供給導体10は、容器壁を通して横へ導かれている。分割された電池の場合には、ストリップアノード9は、全ての側が閉じたアノードポケット8に配置されている。
【0035】
カソードに面したアノードポケットのその側にはセパレータ13が含まれている。カソード液の入口および出口は、電解質容器の壁を通して直接動くが、アノード液は、外側リングライン17を介して個々のアノード液入口16へ分配され、アノード液出口18およびリングライン19を介して再び放出される。クーラー12は、電解質容器の壁とアノードポケットの間に配置される。シリンダカソードに対する電流供給20は、滑り接触21によってなされる。電解質容器はカバー22により閉じられる。
【0036】
シリンダカソードは、周速が2〜10m/sとなるような回転速度で回転する。カソード表面で得られる見かけのパルス周波数は、この周速および回転シリンダカソード周辺に配置されたアノードポケットの数に依存している。均一な分配と仮定すると、表Iに示された見かけのパルス周波数は、アノードポケット数の関数の結果である。
【0037】
アノードポケットの配置および幾何構成を、回転カソードの周速と組み合わせて選択すると、幅を制限してカソード表面に形成される周波数および電流密度パルスの形態を変え、当該のカソードプロセスの要件にそれらを好適に適合させることが可能である。固定カソードでのパルス直流による電解に比べて、ロータと電解質間の高い相対速度、同様に乱流増大内部構造はさらに、物質移動および金属沈殿の一貫性に有利に影響する。従って、本発明による電解電池において、特定の電気めっき用途についてパルス直流およびかかる電流を生成するのに必要とされる複雑な電子回路によってのみ得られるような、カソード金属沈殿に少なくとも良好な肯定的な影響が得られる。
【0038】
さらに、使用済み酸洗い溶液から金属を回収する、例えば、酸洗い剤残渣(ペルオキソ二硫酸塩、過酸化水素)をまだ含有している溶液から銅を回収する場合に、本発明による方法および好ましくはこの方法に用いられる電解電池によれば、パルス逆転によるパルスめっきの場合にのみ知られているような金属沈殿に関して、同様に肯定的な影響が得られるということを意外にも知見した。アノードポケット間の距離を十分に広くし、電流隔膜により電流ラインをほぼ完全に遮蔽したため、密度が事実上ゼロのカソード領域において、まだ存在している酸洗い剤がカソード表面を通る。微細粒子、例えば、樹枝状結晶の形態で成長する銅粒子を、まだ存在する酸化剤により再び完全にまたは部分的に溶解させることができる。これは、電解電流の極性を短時間逆転させることによるパルス逆転でのパルスめっきの場合に得られるのと事実上同じ効果である。その場合、部分再溶解が、短いアノード負荷によりなされる。この場合、電解電流の短時間の「見かけの」切断によって、残存している酸化剤による金属粒子の部分再溶解につながる。しかしながら、パルス逆転によるパルスめっきの場合とは異なり、この場合には、既に沈殿した金属の再溶解により生じる電力効率損失はない。むしろ、再溶解は、過剰の酸化剤の等価分解に結びつく。カソード還元させる必要はもうないため、金属沈殿の電流効率と過剰の酸化剤の減少は変わらないままであるが、パルス逆転によるパルスめっきの場合には、電流効率が永続的に減少する。
【0039】
ストリップアノードは、金属回収のための回転カソードで以前から公知の電解電池のいくつかで既に使われていた。例を挙げると、エクスパンデッド格子として従来用いるのに好適ではない、例えば、炭素または鉛の垂直バーまたはシート金属セグメントが、アノード材料に用いられている。しかしながら、これは、本発明の趣旨からすると、パルスカソード電流を生成するとは見なされない。従って、これらの電池では、好適な距離比を選択し、電位遮蔽内部構造を用いることによって急なパルス側面の顕著なパルスに着目もされていなかった。その結果は、良くても、近接するアノードの電流密度プロフィールの重畳により生じた意図しない僅かのパルスであった。金属沈殿の一貫性に特に大きな肯定的な影響は与えない。
【0040】
本発明によるパルスカソード電流による金属回収の新規な方法および装置は、はじめに述べた公知の方法および装置によるよりもより効率的に金属を回収できるばかりでなく、アノードプロセスとの新規な方法の組み合わせを達成し、かつ/または公知の組み合わせのプロセスもより経済的に実施することも可能とする。表面処理に通常用いられる、銅、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、カドミウム、クロム、鉛、錫、レニウム、銀、金、白金およびその他貴金属のような金属全てをカソード回収することができる。更なる貴金属を強酸溶液から回収することができるが、金属によっては、低酸含量に設定し維持する必要がある。この場合、分割されていない、または分割された電解電池をバッチまたは連続操作で用いるときは、平均カソード電流密度2〜10A/dm2で実施することができ、当該の金属をよりコンパクトに沈殿させながら、10mg/lという低い減少レベルを達成することが可能である。
【0041】
エッチングまたは酸洗い溶液からの金属の回収の場合は、残渣酸化剤、主に、ペルオキソ一硫酸塩およびペルオキソ二硫酸塩(以降、ペルオキソ硫酸塩と呼ぶ)および過酸化水素はさらにカソードで還元される。これは、排出液処理中に好適な還元剤を添加することによりこれらの酸化剤を破壊することを防ぐことができる。同時に、設定された電解条件下で沈殿できない、または金属形態で完全に沈殿できない金属を、高原子価から低原子価に変換する。これは、例えば、毒性のあるクロム(VI)化合物が存在する場合に重要であり、カソード還元されるとクロム(III)化合物が形成されて、水酸化物として容易に沈殿させることができる。フッ化水素酸を含有する酸洗い溶液(ステンレス鋼酸洗い)中の鉄(III)化合物の場合には、例えば、フッ化水素酸のかなりの錯化作用によりFeF3錯体が形成されるるという問題がある。この錯体は破壊され、フッ化水素酸はカソード還元により放出されて鉄(II)化合物を形成する。これは、公知の回収プロセス、例えば、遅延、を利用可能とさせたり、かつ/または排出液処理中の問題を減らす。
【0042】
アノードでは、金属回収中、酸素は主に塩素を含まない溶液から現れる。しかしながら、アノード反応を用いて、酸化および酸洗い剤を生成または再生、または酸化により無機および/または有機汚染物質まで完全または部分的に分解する組み合わせプロセスが特に有利であることが分かった。この場合、例えば、金属シアン化物溶液中のシアン化物が酸化により分解される場合と同様に、アノード酸化化合物がカソードで再び還元できない場合には、電解を分割されていない電池で実施することができる。一方、可逆酸化還元系が存在する場合には、分割された電解電池を用いるしかない。
【0043】
この場合、アノードで分解できる汚染物質とは、自身が毒性作用を有するため、排出液に入ってはならないか、あるいは重金属と結合して錯体を形成するかのいずれかの、広い意味での無機または有機化合物と考えられ、その結果、ほぼ完全に回収するのがより困難となるばかりでなく、排出液処理における所定の限界値に従うことが不可能となったり、追加の処理工程、例えば、有機硫黄化合物の沈殿等も必要となる。しかしながら、錯化剤は、特に、金属の表面処理においては非常に重要な役割を演じ、本発明の好ましい応用領域である。
【0044】
分割された、または場合によっては分割されていない電解電池におけるアノードでは、無機および有機錯化剤、例えば、シアン化物、チオシアネート、チオウレア、ジカルボン酸、EDTA、イオン化合物、例えば、硫化物、二酸化硫黄、チオ硫酸塩および亜二チオン酸塩、窒素化合物、例えば、亜硝酸塩、特に、アミンを酸化により分解することができる。酸洗い溶液中、酸化剤としての過酸化水素は、カソード還元ばかりでなく、酸化によりアノード分解もされて酸素を形成する。
【0045】
本発明による方法および装置を、ペルオキソ硫酸塩ベースの使用済み酸洗い溶液の再生に用いると、全く新しい可能性が得られる。この種のペルオキソ硫酸塩を含有する酸洗い溶液は、主に、銅および銅合金を酸洗いするのに用いられる。しかしながら、その他の金属、例えば、貴金属、特殊鋼および特別な金属、例えば、チタンの表面処理にも用いることができる。この種の使用済み酸洗い溶液を再生する問題は、圧縮形態にある金属の回収に必要とされる電解条件と、ペルオキソ二硫酸塩の再酸化に必要とされる電解条件が、これまであまりにも異なるため、単一の電解電池において組み合わせることができなかったことである。
【0046】
例えば、ペルオキソ二硫酸塩を形成するにあたって、一方で、高酸素過電圧によるアノード酸化分離を抑制し、他方ではペルオキソ一硫酸塩を形成するために効率のよい還元加水分解を最小にするために、特に、以前は、平滑で明るい表面と、少なくとも40A/dm2の高アノード電流密度と、さらに、少なくとも50A/lの範囲でできるだけ高いアノード電流濃度を備えた特殊な白金アノードを用いる必要があった。一方、圧縮金属沈殿については、板型電極を供えた標準の金属回収電池においては、1〜2A/dm2の範囲の低電流密度が必要である。しかしながら、これは、一方で、ペルオキソ二硫酸塩形成において十分に高い電流効率を達成し、他方で、圧縮形態の金属をほぼ完全に回収するために、アノード電流密度が、カソード電流密度の20〜40倍でなければならないということを意味する。
【0047】
これらの矛盾する電解条件を単一の電解電池で組み合わせることはこれまで不可能であった。銅および銅合金用のペルオキソ二硫酸塩酸洗い溶液の再生の場合には、例えば、現在公知の従来技術には次の2つの異なる方法がある(非特許文献2):
1.主要量の溶解した銅を、低電流密度で、上流の金属回収電池において圧縮形態で沈殿させ、次に、ペルオキソ二硫酸塩を、下流の特別のペルオキソ二硫酸塩再利用電解電池において高アノード電流密度で再酸化させる。
2.銅を圧縮形態で沈殿させずに行うことができる場合には、高アノードおよびカソード電流密度で分割された過硫酸塩再生電解電池において電解を実施する。銅は、水素が発生した領域のカソードで粉末形態で沈殿する。これには、銅粉末をできる限り完全に放出させ、カソードスペースがカソード上のスポンジ状銅付着物によりブロックされるのを防ぐために、複雑な濯ぎおよび除去プロセスが必要である。
【0048】
パルスカソード電流を用いることによって金属を沈殿させる方法および装置を用いる場合には、電解電池において必要とされる異なる電解条件は、良好なアノード電流効率およびカソードでの金属の圧縮沈殿を行える1つの電解電池においてペルオキソ硫酸塩酸洗い溶液を再生することができるよう互いに十分近づくことを知見した。この目的で、使用済みペルオキソ二硫酸塩を白金またはドープドダイアモンドでコートされたアノードで、20〜100A/dm2の範囲の電流密度および50〜500A/lの電流濃度で完全または部分的にアノードで再生するために、まず、溶解金属を、使用済みペルオキソ二硫酸塩酸洗い溶液からカソードで完全または部分的に沈殿させ、同時に未反応ペルオキソ硫酸塩を還元して、硫酸塩を形成する。
【0049】
パルスカソード電流によって、パルス効果と、存在する未反応のペルオキソ硫酸塩によりパルス間で樹状突起の形態で沈殿する金属フラクションの部分的再溶解の両方のために、金属の圧縮沈殿のために維持すべき最大電流密度が、アノードで必要とされる高電流密度により近づく。個々のアノードポケットへアノードスペースを分割する本発明によれば、単純なやり方で必要な高アノード電流濃度を維持することができる。最終的に、ドープドダイアモンドでコートされたアノードを用いる結果、ペルオキソ二硫酸塩形成の最良の電流効率に必要な電流密度を最小にし、このやり方でカソードで必要な電流密度により近く移動することが可能である。
【0050】
このようにして再生された酸洗い溶液は、酸洗い速度ができる限り一定に維持できるような量で酸洗い浴で連続的に計測されるのが好ましい。この場合、ペルオキソ二硫酸塩の形成は、酸洗い剤として一般的に用いられているペルオキソ二硫酸ナトリウムに限定されない。金属マグネシウム、亜鉛、ニッケルおよび鉄のペルオキソ二硫酸塩を、自身で、またはペルオキソ二硫酸ナトリウムと混合させてアノード再酸化させて、酸洗い目的で用いることも可能である。必要な金属硫酸塩は、酸洗い溶液に添加するか、または、酸洗い浴における合金成分(例えば、黄銅酸洗いの場合には硫酸亜鉛))のレベルが増大した結果、合金の酸洗い中に形成される。
【0051】
これら全ての金属硫酸塩/ペルオキソ二硫酸混合物の共通の特徴は、ペルオキソ二硫酸形成の十分に高い電流効率を達成するために、カソード前処理酸洗い溶液は、好ましくは、2〜5mol/lの硫酸塩濃度(金属硫酸塩と硫酸の濃度の合計)を有しているということである。さらに、電位を増大させることが知られた物質、例えば、チオシアネートを添加することができる。
【0052】
分割された電解電池を用いる場合には、同じ量の同じ電解質溶液をカソードとアノードスペースに連続して通過させることが可能なばかりでなく、異なる組成の処理溶液または異なる量比で同じ処理溶液をアノードおよびカソードで電解することも可能であり有利である。これによって、利用可能なアノードまたはカソード電流容量をできる限り完全に利用する目的で、カソードまたはアノードで変換される成分供給をより好適に調整することができる。
【0053】
イオン交換膜をセパレータとして用いる場合には、プロセス全体の効率を増大するために、最良のプロセス管理を達成するために示されたアノードおよびカソード反応に加えて、物質移動を利用することも可能である。例えば、カチオン交換膜を用いる場合には、アノード液を形成する金属カチオンの減少を良好な結果を得るために用いることができ、アニオン交換膜を用いる場合には、カソード液からのアニオンの対応の減少を良好な結果を得るために用いることができる。例えば、安定FeF3錯体を含む酸洗い溶液のカソード処理によって、3価の鉄を2価の形態に還元することにより、錯体形態で結合されたフッ化水素酸を放出することが可能なばかりでなく、アニオン交換膜を用いるときは、フッ化物イオンをカソード液から減少させて、アノード液に移動することも可能である。この結果、カソードスペースを介して除去される使用済みフッ化物含有鉄(III)酸洗い溶液、およびアノードで再酸化される酸洗い溶液の主要流れに戻されるこれらのフッ化物イオンの部分流から錯体形態で結合されたフッ化物イオンを放出する選択となる。
【0054】
カソードおよびアノードスペースにおける異なる電解質溶液について更に可能な用途としては、望ましくない種類のイオンの移動を、いずれの場合も他方の電極スペースにおいて防ぐことが挙げられる。例えば、カチオン交換膜をセパレータとして用い、アノードスペースを塩化物を含まない「バリア電解質」に供給する場合、アノードで望ましくない塩素を発生させることなく、塩化物ベースのカソード溶液から金属を回収することができる。例を挙げると、硫酸または硫酸塩、例えば、硫酸ナトリウムを含有する溶液をこの目的に用いることができる。このようにして、塩素のアノード発生を実質的に抑制できるばかりでなく、さらに、金属カチオンをアノードスペースに移動することにより、金属のカソード沈殿により放出される酸の一部を、移動した金属イオン、例えば、ナトリウムイオンにより緩衝させることもできる(塩化物ベースのニッケル電解質からのニッケルのカソード沈殿の場合に)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
本発明の非常に広範な可能な用途を、選択した適用例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0056】
図2aに示す分割されていないパイロットスケールの電解電池を用いて、処理溶液から金属を回収した。技術的データは以下の通りである。
電極材料:特殊鋼カソード、チタンアノード、白金コートされたもの
カソード表面積:2500cm2(カソードシリンダ活性高さ400mm、平均直径200mm)
アノード表面積:480cm2(400x10mmの2つのアノードストリップをそれぞれ含む6個のアノードポケット
回転速度:300rpm(周速約3.1m/s)
アノード−カソード距離:平均40mm
アノードポケット:幅約65mm、側壁高さ約15mm
【0057】
約50lの電解質溶液を、バッチモードで電解電池を通して貯蔵容器から循環させた。電解を100Aで行った。硫酸塩ベースの電解質中様々な実質的に塩化物を含まない金属塩溶液を用いた。金属を圧縮形態で沈殿させた。最も重要なデータを表IIにまとめてある。
【実施例2】
【0058】
実施例1の電解電池において、銅用の50lの使用済み硫酸−過酸化水素酸洗い溶液を電解した。30g/のCu(約0.48mol/l)、4.4g/lのH2O2(約0.13mol/l)および115g/lの遊離硫酸の58l出発量。電解を100Aで17時間実施した(電流導入約29.3Ah/l、電池電圧3.9V)。電解した溶液は0.3g/lの銅と0.1g/lのH2O2をまだ含有していた。低残渣濃度にも関らず、沈殿した銅は、圧縮固着形態であった。銅沈殿および過酸化水素還元の2つのカソード反応の合計に基づいた見かけの電流効率は116.5%となった。実際の高い見かけの電流効率の理由は、過酸化水素の一部がアノードで酸化されることである。銅の回収に基づいた、85.8%の電流効率はまだ比較的高かった。
【実施例3】
【0059】
1.5lのシアン化物ベースの銅溶液を、実施例1と同様に構築した分割されていない実験室規模の小試験電池にて、16Aの電流強度で17時間電解した。20cm2の4つのアノードストリップは、白金コートチタンからできており、シリンダカソードは、565cm2の活性カソード表面積を有している(直径90mm、活性シリンダ高さ200mm)。平均電池電圧は3.8Vであった。出発溶液は、過剰の7.6g/lのシアン化ナトリウムと共に71g/lの銅(Na2[Cu(CN)3])の形態で結合された)を含有していた。図3に、銅および遊離シアン化物の濃度と、電解時間の関係を示す。最初、銅のカソード沈殿は、アノード酸化により分解できるよりも、錯体形態で結合したシアン化物が多く放出される。遊離シアン化物の最大濃度は、電解時間2.5時間後にのみ達する。すると、カソードで放出されるよりも多くのシアン化物が酸化により分解される。銅ベースだと、電流効率は残渣含量0.2g/lについて僅か16.5%であるが、毒性シアン化物は低残渣含量0.3g/lは別にして溶液から除去された。
【実施例4】
【0060】
実施例3の電解電池で、金の処理からの1.5lのシアン化物ベースの廃液を、酸化によりシアン化物を実質的に分解し、残存する金を回収するために電解した。出発溶液は21g/lの遊離シアン化物および約0.8gの金を含有していた。電池電圧3.5V、16Aで15時間電解を行った。実質的に解毒された廃液は残渣量5ml/gの金と15ml/gのシアン化物しか含有していなかった。
【実施例5】
【0061】
銅−ペルオキソ二硫酸塩酸洗い溶液の廃液の処理を、図2aに示すように構築した工業電解電池で、特殊鋼でできたシリンダカソード(直径約400mm、活性高さ約600mm)で500Aにて行った。12個のアノードポケットが周辺に均一に分配され、カソード側に向かって開いていた。各ポケットは、600×8×1.5mmの2つの白金−チタンストリップアノードを備えていた。アノード−カソード距離は30mm、アノードポケットの側壁からカソードまでの距離は約15mmであった。白金被覆は、HIP溶接により適用された厚さ40μmの白金ホイルからできていた。アノード電流密度は43.4A/dm2、平均カソード電流密度は6.6A/dm2であった。以下の組成の105lの使用済み酸洗い溶液を電池を通して回路にポンピングした。
【0062】
銅およびペルオキソ硫酸塩(ペルオキソ二硫酸ナトリウム(NaPS)として検出)のモル濃度の関係を電解の16.5時間にわたってモニターした。図4に示してある。
【0063】
この図は、銅およびペルオキソ硫酸塩のモル濃度降下を個々に、かつ累積的にプロットしてある。2つのカソード反応の合計についての100%の電流効率直線もまた比較の目的で図に含めてある(点線)。
【0064】
約2.5時間後、全てのペルオキソ硫酸塩が還元されたので、銅沈殿の電流密度は約100%である。銅含量が約0.01mol/lまで落ちたときのみ、Cu含量の減少が理論より大幅に低くなる。この範囲内でのみ、水素が大いに共分離する。6.5時間の電解時間後、銅濃度は約0.06g/lまで落ちた。2つのカソード反応の合計についての累積的な電流効率は83.8%のままである。
【実施例6】
【0065】
実施例5に従って500Aであるが、図2bに示す分割設計の工業電解電池を用いた。このために、アノードポケットを、ナフィオン(Nafion)450型のカチオン交換膜によりカソード液から剥がした。アノード液は、12個全てのアノードポケットを平行に流れた。アノード液の全容積(12個全てのアノードポケットの含量)は、わずか1.5lであり、333A/lの高アノード電流濃度に達した。電解電池(バッチモード)のカソードスペースを通る回路においてポンピングされた使用済みペルオキソ二硫酸塩−銅酸洗い溶液を電解した。出発溶液は以下の組成であった。
【0066】
銅が既に前のサイクルでカソード除去された酸洗い溶液を平均11.3l/hの計量速度でアノードスペースを通過させた(連続モード)。以下の組成を有していた。
【0067】
硫酸と硫酸ナトリウムを含む硫酸塩濃度の得られた合計は、4.4mol/lであった。0.3g/lのチオシアン酸ナトリウムを、電位増加電解質添加剤として計量したアノード液中に溶解した。
【0068】
以下の組成の以下の電解質量で電解を4時間15分行った。
【0069】
回収された銅の総量(約1200g)の約98%が圧縮平滑形態で沈殿した。濃度プロフィールは、図4に示すものに相当する。残渣銅含量が約0.4g/lより低くなった後にのみ、スポンジ状コーティングの薄膜が形成された。電解の最終段階においては、水素のみが発生した。次のバッチサイクルのために充填している間、この上部のスポンジ状銅層を、次の電解期間中に固着形態で再び沈殿させるために、まだ存在しているペルオキソ硫酸塩により再び溶解した。
【0070】
1回の電解サイクルで形成された、電流密度71.4%に対応するペルオキソ二硫酸ナトリウムの総量は6,740gであり、1,187gの銅が沈殿した。平均電池電圧は6.2Vであった。ペルオキソ二硫酸塩の形成のみに基づくと、特定の電解直流消費は1.95kWh/kgとなった。この手順により、酸洗いプロセスで消費されたペルオキソ硫酸塩の全量が再生された(完全再生)。分解および飛沫同伴は、カソード回収に利用される銅の量よりも大幅に多い過硫酸ナトリウムが酸洗いプロセスで消費されるということを意味するため、消費されたペルオキソ二硫酸塩の完全再生には、銅の回収(未反応のペルオキソ硫酸塩の還元も含む)に必要とされるよりも大幅に高いアノード電流容量が必要である。完全再生の場合には、この差を、各サイクルの最後に主に水素がカソードで発生するという事実により補う。合計で30回の電解サイクルを行った後(電解時間合計は約128時間)、カソードを取り出し、合計で約36kgに達する圧縮形態で成長した銅を除去した。
【実施例7】
【0071】
実施例6とは異なり、利用可能な全カソード電流容量を銅の回収に用いた。しかしながら、この場合、アノード電流容量は、酸洗いプロセスで消費される過硫酸塩の全量を再酸化するには不十分であった。差は、ペルオキソ二硫酸ナトリウムを計量することにより補わなければならなかった(部分再生)。これを行うには、実施例6に従って電解電池を用いて、次の手順を行った。実施例8と同じ組成の使用済み酸洗い溶液を連続的にカソードへと計量し、同様に連続して下流のアノードスペースへ通過させた。スポンジ状銅の沈殿を避けるために、カソードスペース中の銅濃度が1g/lより下がらないように計量速度を調整した。平均して、15.8g/lの酸洗い溶液を(アノード液出口)で計量した。5g/hのチオシアン酸ナトリウムを、カソード液へ計量し、電位増大添加剤としてカソードスペースからアノードスペースへ通過させた。再生酸洗い溶液は、101g/lの過硫酸Naを含有しており、残渣銅含量はなお1.1g/lあった。毎時間、371gの銅が沈殿し、1596gのペルオキソ二硫酸ナトリウムが再生された(71.9%の電流効率)。しかしながら、実際、約2500g/lのペルオキソ二硫酸ナトリウムが酸洗いプロセス中で消費された(約55%の回収された銅の量に基づく有用度)。異なる量の904g/hを、400g/lのNaPSを含有する濃縮物(約2.3l/h)の形態で計量した。このようにして、酸洗い浴からの酸洗い溶液の飛沫同伴損失を同時にほぼ補った。
【実施例8】
【0072】
電気めっき銅−ニッケルコーティングを検出するためのペルオキソ二硫酸塩の脱金属溶液を、電解電池および実施例6と同様の手順(カソード液回路、アノード液スルーフロー)を用いて再生した。消費された硫酸塩ベースの脱金属溶液は、160g/lの遊離硫酸に加えて、52.7g/lの硫酸銅(約21g/lのCu)、199g/lの硫酸ニッケルおよびNiS2O8として計算したときに45g/lのペルオキソ硫酸ニッケル(ニッケルは合計で86g/l)を含有していた。銅(残渣含量<0.1g/l)のほぼ完全な回収をカソードでバッチモードにて行った。50lのカソード処理された溶液は210g/lの硫酸および225g/lの硫酸ニッケルを含有していた。電位増大添加剤の添加後、500Aでのアノード電解を4時間30分行った(計量された量は約11.1l/h)。電池電圧は6.2Vであった。再生脱金属溶液は、電流効率69.4%に対応して、146g/lのペルオキソ二硫酸ニッケルを含有していた。
【0073】
ニッケルは強酸カソード液中で金属形態で沈殿せず、ニッケルは一定して溶解するため、銅が除去されたカソード溶液の一部が回路から周期的に放出されなければならない。実施例1に従って、ニッケルを分割されていない電解電池において回収した。
【実施例9】
【0074】
分割された電解電池の白金−チタンアノードストリップ(実施例6〜8)を、ボロンドープダイアモンドコーティング(12個のアノードポケットはそれぞれ600×13mmの2つのアノードストリップを有していた)を備えたニオブから作成されたアノードストリップに代えた。出発溶液の組成および試験条件は、実施例6で用いたのと同様であった(500A、カソード液循環、アノードスペースを流れる)。平均して、15.5l/hのカソード処理溶液をアノードスペースへと計量した。アノード電流密度は27A/dm2、電池電圧は6.0Vであった。電位増加添加剤なしで、電流効率68.4%に対応して、NaPS含量98g/lで再生を行った(比電気エネルギー消費約2.0kWh/kg)。
【実施例10】
【0075】
銅用の使用済み硫酸−過酸化水素酸洗い溶液は、33g/lの銅、115g/lの遊離硫酸、7.5g/lの過剰の過酸化水素および有機安定化剤および錯化剤(1.5g/lのCOD)を含有していた。処理中、銅を回収し、過剰の過酸化水素を分解するばかりでなく、有機構成成分も酸化により実質的に分解することも目的とした。ダイアモンドコートのアノードを備えた実施例9の分割された電解電池において、いずれの場合においても、この溶液50lをまずアノード処理(バッチモード)してから同様にしてカソード処理した。
【0076】
電解を500Aで3時間実施した。ダイアモンドコート電極でのアノード処理中、過酸化水素が目視上完全に分解されただけでなく、COD含量もまた約10mg/lまで還元された。後のカソード処理中、銅含量は約0.1g/lまで減少した。回収された銅に基づいて約93%の電流効率が得られた。
【実施例11】
【0077】
化学ニッケル廃液は、5.9g/lのニッケルと大量の未反応の次亜リン酸塩、亜リン酸塩および有機錯化剤を含有していた。酸化可能な物質の合計はCOD値(COD含量約62g/l)として求めた。実施例10と同様にして、50lの溶液をまずアノードで処理してからカソード処理した。回路電解をアノードで24時間行った。このプロセスにおいて、COD値を2.1g/lまで減少させることができた。有機錯化剤の大半は、酸化により分解され、次亜リン酸塩または亜リン酸塩は酸化されてリン酸塩を形成した。CODの減少に基づいて、電流効率は約84%となった。カチオンの移動のために、酸含量は増大し(pH=0)、ニッケル含量は3.1g/lまで落ちた。得られた溶液は、ニッケルの沈殿に好ましいpH4〜5の範囲に保つような量でカソード液回路へと計量した。残渣ニッケル含量は<0.1g/lであった。
【実施例12】
【0078】
実施例6に従った分割された電解電池は、イリジウム−タンタル混合酸化物でコートされたチタンでできた600×60×1.5mmの12個の新しいストリップアノードを備えていた。従って、アノードポケットは、利用可能な全幅を利用し、その結果、アノード電流密度は500Aの最大電流負荷で11.6A/dm2まで減少した。
【0079】
以下の手順を用いて、銅材料用の鉄(III)塩化物エッチング溶液を再生した。カソード液を電池のカソードスペースを通した再循環容器から循環させた。銅が大幅に濃縮あされた使用済みエッチング溶液の部分流を、この回路へと連続的に計量し、確立された(銅は実質的に減少し、塩化鉄(III)は塩化鉄(II)に還元された)安定した濃度のカソード液のオーバーフローを流体力学的に平行に接続されたアノードスペースへと通過させた。加えて、使用済みエッチング溶液の更なる部分流をアノードスペースへと直接計量した。
【0080】
以下の濃度および量の比を設定または測定した。5.7l/hの酸洗い溶液をカソード液回路へと計量し、34.3l/hの酸洗い溶液、プラスカソード液循環(膜を通して約0.7l/hの水の移動)からの6.4l/hのオーバーフローをアノードスペースへと直接計量した。約40l/hの再生エッチング溶液がアノードスペースから現れた。以下の濃度を安定した操作状態で確立した。
【0081】
【表1】
【0082】
合計で、平均363g/hの銅がカソードに沈殿し(約61%の電流効率)、酸洗い浴中で消費され、カソードスペースで還元されたFe3+の979g/lの塩化鉄(III)を再酸化した(アノード電流効率は約94%)。
【実施例13】
【0083】
ニッケル含量が65g/l、塩化物総含量が37g/l Cl-の消費された塩化物ベースのニッケル浴(ワッツ浴)を、Ir−Ta混合酸化物でコートされたアノードを備えた実施例12の電解電池のカソードスペースを通してバッチモードで循環した。水酸化ナトリウム溶液を加えることにより、pHを4−5に緩衝させた。用いたアノード液は、バッチモードでアノードスペースを介して同様に循環させた約200g/lを含有する硫酸で硫酸ナトリウムの廃液であった。ニッケルを、約0.1g/lの残渣レベルまでカソードで減少させた。Na+イオンを、カチオン交換膜を通して移動し、ニッケル沈殿により放出された酸を中和した結果、pHを示した範囲内に保持した。ニッケル沈殿の平均電流効率は約72%であった。主に、酸素をアノードで分離した。逆拡散のために塩化物イオンの移動速度と逆の方向のアノードスペースへと僅か約0.2%の塩化物しか通らないため、少量の塩素しかアノードで発生させることができなかった。少量の塩素は、アルカリオフ−ガススクラブにより除去するのは容易であった。
【実施例14】
【0084】
銅用の消費された硫酸−硫酸鉄(III)酸洗い溶液を、実施例12に従った電解電池によって再生した。この目的で、22l/hに達する使用済み酸洗い溶液の部分流をまず、カソードスペースを介して、銅がカソード沈殿した後、電池のアノードスペースへ供給した。さらに、158l/hに達する使用済み酸洗い溶液の大きな部分流をアノードスペースへと直接計量した。合計で180l/hに達する再生溶液を酸洗い浴に戻した。供給および放出溶液の組成は次の通りであった。
【0085】
【表2】
【0086】
回収された銅の総量は553g/hであった(電流効率約93%)。再酸化硫酸鉄(III)は、酸洗い浴においてほぼ同量の銅を再溶解するのに十分である。
【実施例15】
【0087】
白金含有材料(白金ブラックのコーティングを有する粉砕グラファイト電極材料、Pt約1.6%)から白金を回収するための手順は次の通りであった。200g/lの硫酸および約30g/lの塩酸を含有する1000lの抽出溶液を、電解電池(実施例12に従った)のアノードスペースおよび抽出される出発材料を100kg含有する攪拌容器を介して循環させた。溶解形態の遊離の塩素含量が約2g/lを超えないように電流強度を設定した(電流強度は初期レベル500Aから100Aまで段階的に減じた)。白金は六塩化白金酸塩として溶解した。白金含量をモニターし、成長がみられなくなった後、約15時間後に電解を終えた。白金の最終濃度は1.6g/lであった。固体が分離された後、白金含有溶液を次のサイクルでカソード液として用い、電池のカソードスペースを介して循環した。白金は主に圧縮形態で沈殿した。サイクルの直後に粉末形態で沈殿した白金を、まだ遊離の塩素を含有する次のサイクルの抽出溶液を充填する間、まず再溶解し、次に、電解電池をオンにした後、再び沈殿させた(圧縮形態で)。96%の含量で1530gの白金を回収した。
【実施例16】
【0088】
硫酸鉄(III)−塩酸に基づいて特殊鋼酸洗いを再生するために、実施例12の電解電池にNeosepta ACS型のアニオン交換膜を装着した。消費された酸洗い溶液は以下の安定組成を有していた(遊離酸について、硫酸として計算した金属、ただし、実際に一部はフルオロ錯体として存在)。
【0089】
電解電池に、合計で11.9l/hの酸洗い溶液を供給した。これに、9.5l/hをアノードスペースに直接供給し、2.4l/hを安定カソード液循環へと計量した。
【0090】
アニオン交換膜を介して、遊離で、鉄(III)イオンのカソード還元により、または金属のカソード沈殿により放出された酸は減少し、アノード液へ移動した。鉄−ニッケル−クロム合金の沈殿に必要なpH3−4をカソード液回路で確立した。金属の含量が大幅に減じたカソード液を同様にアノードスペースへ通した。酸洗い浴に存在する近似組成の約271g/hの特殊鋼合金を沈殿させた(約70%の電流効率)。アノードで、消費されカソード還元された鉄を再酸化して、硫酸鉄(III)を形成した。再生酸洗い溶液は以下の組成であった。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】様々な幾何配置およびカソードで形成された電流密度の例を示す図
【図2】電解電池の好ましい実施形態の一例を示す図
【図3】銅および遊離シアン化物の濃度と電解時間との関係を示す図
【図4】銅およびペルオキソ硫酸塩のモル濃度と電解時間の関係を示す図
【符号の説明】
【0094】
1…電解質容器
2…支持管
4…ドライブ
5…シリンダカソード
6…内部カバー
7…固定要素
8…アノードポケット
9…ストリップアノード
10…電流供給導体
11…アノードポケット
12…クーラー
13…セパレータ
16…アノード液入口
17…外側リングライン
18…アノード液出口
19…リングライン
20…電流供給
21…滑り接触
22…カバー
【0001】
本発明は、効率的にカソード沈殿を行い、処理溶液および排出液、例えば、使用済み酸洗い溶液から、好ましくはアノード酸化プロセスと組み合わせて、金属を回収する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属を処理溶液および排出液から回収するとき、金属は、電流効率が不十分、かつ/または付着力に乏しい粉末形態で金属回収電池のカソードに沈殿させることしかできないという問題が生じることが多い。平板カソード、すなわち、金属シートまたはエキスパンデッドメタル平板の電解電池を用いる場合、非常に低い電流密度を用いることしかできないことが多く、電極表面領域が必要となり、調達コストが増大し、効率が減じる結果となる。物質移動、電流効率および/または電流密度を改善するために、例えば、(特許文献1)または(特許文献2)記載されているように、特に、回転シリンダカソードを備えた電解電池を用いることも提案されている。この場合、目的は常に、カソードに均一に電流密度を分配し、また、電池電圧をできる限り低く保つために、例えば、エキスパンデッドメタルの形態の固定アノードを、できる限り均一に回転カソードの周辺に分配することである。物質移動を促して、良好な付着力および高い電流効率で圧縮された金属沈殿物を得るために、これらの回転カソードの円周速度を2〜5m/sに設定する。
【0003】
(特許文献3)は、回転シリンダカソードを用いるときに、物質移動を増大させるさらに可能な方法を提案している。このために、少なくとも1個の垂直アノードを、カソードに対して傾斜させて配置し、このようにして、カソードと各アノード間のギャップが、縦長ベンチュリと同様に、カソードの回転方向において狭くなる。垂直ギャップの最も狭い点は、アノードとカソードの間の距離を最低にしたために最大の電流負荷を有するばかりでなく、ベンチュリの影響のために最大の乱流も有するため、好ましい物質移動がなされる。しかしながら、アノードのこの配置は、カソードからアノード端までの距離が最小で、カソードからの距離を最大として、アノード端間の比較的大きな電流密度差が、アノードプロセスの電流効率に望ましくない影響を与える用途においては不利である。また、このような配置は、分割電解電池に全く不向きであるため、この用途にも用いられない。
【0004】
これまでに示された回転シリンダカソードでの物質移動を増大させるための公知の可能性にもかかわらず、減少させるべき金属の最終濃度を低くして最大可能なカソード電流密度は、固着されたコーティングを得るべき場合でも、制限されたままである。例えば、回転カソードで実際に用いられる電流密度は、沈殿させる金属の種類、カソード溶液の組成および所望の最終濃度に応じて異なるが、一般的に2〜最大で5A/dm2である。
【0005】
存在する金属電解液システムに応じて異なるが、パルス直流を用いることにより以下のような利点があることは、電気めっき業界において知られている(非特許文献1)。
・特に、細粒構造および粗さが減じたことによる、沈殿金属被覆特性の大幅な改善
・樹枝状結晶を形成する傾向の削減
・達成可能な沈殿速度/電流密度の増大
・DC沈殿とは異なり、特定量のベース金属共沈が達成できる(合金沈殿には重要)
・特定の金属−電解質系で、二次反応の抑制により電流効率が増大する(例えば、レニウム沈殿の場合)
【0006】
パルス直流に用いるパルスの形態は、正弦波から方形波までにわたる。短い電流妨害によるパルスの急な側面は、特に好ましい影響を与える。短いパルスの逆転もまた、特定の用途については極めて有利なことがある。角部や端部(例えば、樹脂状結晶の形態)の広い範囲まで沈殿する金属は、後のアノードパルスにより再び溶解されるのも好ましいことから、この結果、より均一な層厚さ分布が得られる。
【0007】
従って、パルス直流を用いて、より有効に安定して金属を沈殿可能であることが仮定できる。この原理を応用するとまた、金属の回収のために、限られた範囲の低残留濃度で、沈殿金属コーティングをより良好に付着させることも予測される。これは、金属減少レベルが同じでありながら、より高い平均電流密度を達成するか、または、同じ電流密度を維持する場合は、より高いレベルの減少を行うことを可能にさせる。しかしながら、パルス直流を実現するために必要な装置にかかる追加の経費は、金属回収の経済的実行可能性にとって些細な因子ではない。特に、方形波パルスおよびパルス逆転による整流器の場合には、調達コストは、従来の整流器の3〜5倍に達する場合がある。
【0008】
パルス電解電流はまた、アノード反応またはアノード自身に不利な影響を与える恐れもある。対向電極は同じ電流パルスに曝されることから、アノードの耐食性もまたパルス電流により減じる恐れがある。定常アノード負荷で形成される耐食性酸化物層は、パルス、特にパルス逆転により破壊または少なくとも損傷(例えば、白金)を受ける。しかしながら、この現象によって、また、バルブ金属チタン、ニオブ、タンタル、ジルコニウムとして知られているものの場合に形成される保護酸化物層も損傷させることがある。
【0009】
多くの場合、処理溶液から金属を回収するとき、組み合わせ方法の一部としてアノードプロセスを利用することも試みられている。これには、例えば、有機錯化剤またはシアン化物を酸化により分解するために、通常、高アノード電位が必要とされる。このように、パルスアノード電解電流は、例えば、高酸素過電圧および高酸化電位に必要とされる、貴金属アノードの酸化物層が攻撃されるという点で、得られるアノード電流効率に望ましくない影響を与える。これは、例えば、同時に金属のカソード回収と組み合わせた、シアン化物ベースの金属溶液の処理中、またはペルオキソ二硫酸塩酸洗いの白金アノードでのアノード再酸化中に、シアン化物をアノード酸化する際に予想される。後者の場合、アノード分極の数時間後にのみ、固定酸化物被覆層が十分な程度まで形成されて、最大の電流効率が得られるということが知られている。電流中断、特にパルス逆転は、必然的に効率の損失につながる。
【0010】
【特許文献1】
CH685015 A5
【特許文献2】
DE29512905.0
【特許文献3】
米国特許第4,530,748号明細書
【非特許文献1】
パルスめっき、J.C.プッペ(Puppe)、F.リーム(Leamm)、およびオイゲンロイツェフェアラーグ(Eugen Leutze Verlag)1990年
【非特許文献2】
金属表面(Metalloberiflaeche[Metal Surfaces])52、1999年H.11
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明は、処理溶液および排出液からの金属の回収にも用いられる、示されたパルス直流の有利な影響を、パルス直流の生成に含まれる経費の増大に関連して示された欠点およびアノードおよび/または組み合わせプロセスの場合には一連のアノード反応に与える悪影響を同時に受け入れることなく、得るという目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、この目的は、請求項1〜3記載の方法および請求項4〜15記載の方法を好ましくは実施するための装置、および請求項16〜21記載の方法の好ましい使用により達成される。電解は、カソードおよびアノードを備えた電解電池の未パルス直流によって実施される。カソードおよびアノードはセパレータにより分割可能であり、パルスカソード電流は、別個にまたは群で結合されて、カソード表面に平行または同心状の固定位置に配置された幅2〜100mmのストリップに分割されるアノードにより生成され、分割されていないカソード表面は、アノードストリップの長手範囲に垂直な方向に1〜10m/sの速度で通り過ぎて動き、2つの近接する個々のアノードストリップまたはアノードストリップ群の側壁間の距離は、個々のアノードストリップまたはアノードストリップ群の中心とカソードの間の垂直距離の少なくとも1.5倍に達する。このように、アノードストリップのカソード表面に対する水平配置をカソードに適用して直線で動かし、同心状配置を円形の回転カソードに適用する。
【0013】
この手順のために、可動カソード表面の各点が高電流密度および低電流密度で領域を上手く通過する。電流密度は、次のアノードストリップから最小の距離で最大であり、次のアノードストリップから最大の距離で最小である。
【0014】
本発明の方法を実現するために、分割されていないカソード表面を、固定アノードを通り過ぎて動くようにすることが可能である。直線の動きではバンドかワイヤの形態、回転の動きではシリンダ、コーンまたはディスクの形態のいずれかで個々の電極ストリップに分割されている。
【0015】
アノードストリップは、個々にアノードの全表面に均一分配されるか、群で結合されているかのいずれかであり、群の場合、群の中は短い均一な距離で、群の間の距離は広い。個々のアノードストリップまたはアノードストリップ群間の最低距離は、十分な大きさのパルス作用を得るために、アノードとカソードとの間の垂直距離の1.5倍でなければならない。
【0016】
個々のアノードストリップまたは群で結合されたアノードストリップ間を遮蔽できるようこれ以外のまたは追加の内部配置が特に有利であることが分かった。
【0017】
このために、アノードストリップまたはアノードストリップ群は、可動のカソードの方向に側部が突出している端部を備えたホルダーに配置されているのが好ましい。以降、これをポケットと呼ぶ。
【0018】
電流隔膜は、最低の距離だと、電流密度がその最大からほぼゼロまで急激に落ちる領域が、個々のアノードストリップまたは群で結合されたアノードストリップ間を通り過ぎて動くカソード上に確実に形成できるようにする。これによって、カソード表面に、特に有効な方形波パルスに近いパルスの急な側面のある電流密度プロフィールが容易に実現される。同時に、これらの電位シールド内部構造は電流遮断器として作用して、通り過ぎて動くカソード表面での乱流が増加し、その結果、カソード表面での物質移動がさらに促される。
【0019】
図1に、様々な幾何配置およびカソードで形成された電流密度の例を図示する。この図は、カソード表面に水平に配向され、カソードが直線で動く固定アノードストリップの場合に適用される。このように、電流密度分布は、電極配列の幾何形状ばかりでなく、電解質組成(分散能)および電極電位にも依存していることが知られているということも考慮しなければならない。従って、この図は、本発明の基本原理のみを明白にするためだけのものである。図示されているのは、
a)アノード−カソード距離の1.5倍の距離の個々のアノードストリップの配列の幾何形状および電流密度−時間関数、
b)個々のストリップがポケットに配置され、その側壁が電流隔膜および電流遮断器として作用する以外は、aと同様の幾何形状および電流密度−時間関数、
c)群での幾何形状および電流密度−時間関数で、各ケースにおいて、3つのアノードストリップの群内部の距離はアノード−カソード距離に等しく、群間の距離はアノード−カソード距離の1.5倍以上である、
d)アノードストリップの群がポケットに配置され、その側壁が電流隔膜および電流遮断器として作用する以外は、cと同様の幾何形状および電流密度−時間関数
【0020】
長い期間にわたって通り過ぎて動くカソードに電流が流れないようにするのも有利である。これは、アノードストリップのある群間の距離を他の群間よりも大幅に大きく設定することによって容易に達成できる。
【0021】
本発明に従ってアノード領域を個々のストリップに分割させ、それ自体で物質移動を増大させるとして知られているカソードとアノード間の相対的な動きの組み合わせ、および電位遮蔽および乱流増加内部構造の配列の結果、アノード反応およびアノード自身の耐久性に悪影響を及ぼすことなく、特に効果的にカソードでの金属の回収が行える。
【0022】
本発明による方法は、分割されていない、または分割された電解電池の様々な異なる設計で実施することができる。回転シリンダカソードを備えた電解電池(装置)を用いるのが特に有利である。
【0023】
請求項6〜16に記載した装置は、筐体に配置された1個以上の回転シリンダカソードを含む。垂直に、別個または群で結合された幅2〜100mmのアノードストリップが、アノードポケットにおいて、シリンダカソード周辺に同心状に配置されている。個々のアノードポケット間の距離は、アノードストリップとカソードの間の垂直距離の少なくとも1.5倍である。アノードポケット側壁は、同時に、電流隔膜および電流遮断器として作用し、以下のような効果をもたらす。
・電流隔膜として、カソード表面に形成されるカソード電流パルスが急な側面を有するような電位遮蔽をもたらす、
・電流遮断器として、物質移動を促すために、通り過ぎて動くカソード表面で同時に乱流を増大させる。
【0024】
アノードストリップの平面から出発して、アノードストリップとカソードの間の垂直距離の少なくとも1/4にわたって伸張している場合、アノードポケットのこれらの側壁は、説明した目的にとって十分に有効であるということを知見した。
【0025】
分割されていない電池の場合、アノードポケットはカソードに面する側で開放されている。分割された電池の場合、アノードポケットは、セパレータおよびアノード溶液のための別個の給電部および放電部を備えている。従って、その中をアノード液が流れ、カソード液に対しては液密および気密に閉じられる別個のアノードスペースが形成される。個々のアノードポケットへの分割によって、回転シリンダカソードを有する分割電解電池の場合に通常の連続アノードスペースに勝る数多くの利点がもたらされる。アノード電流密度およびアノードスペースにおける滞留時間の独立した設定に関して、アノードポケットの構造設計により、これまで一般的であった連続アノードスペースよりもはるかに様々な変更の可能性が得られる。このように、例えば、ペルオキソ二硫酸塩酸洗い溶液のアノード再生について、非常に少ない滞留時間と、同時に、所望であれば、高いアノード電流密度を組み合わせて実現することが可能である。
【0026】
さらに、全体のアノードスペースを個々のアノードポケットへ分割すると、修理や保守の目的で非常に有用である。アノードまたはセパレータに欠陥が生じた場合、残りのアノードポケットを分解することなく、個々のアノードポケットを容易に交換することができる。
【0027】
個々のアノードポケットを分割するとまた、複数のアノードポケットを流体力学的に直列に接続させることが可能であるという利点がある。この結果、用途によっては、アノード反応の高い電流効率を得るのに寄与するリアクタカスケードのフロー特性が得られる。
【0028】
ある用途については、通過する電流密度がほぼゼロである、回転カソードの比較的大きなセクションがあると有利であることがわかっている。これは、シリンダカソード周辺のアノードポケットの不均一な分配によって簡単に達成できる。このとき、あるアノードポケット間の距離は、他のアノードポケット間の距離の数倍である。例えば、いくつかのアノードポケットは、対称的に分配されたものから省くことが可能である。
【0029】
比較的高い電流容量を備えた電解電池の場合は特に、電解質容器内で液密および気密に分離されたスペースにドライブを配置すると有利であることが分かった。これによって、ドライブ−シリンダカソードシステムが非常にコンパクトな設計となり、比較的長いシャフトを必要としたり、それに関連する追加のベアリングやシーリングに関した問題がなくなる。
【0030】
電流の熱を十分に消失させるためにはクーラーが必要とされることが多く、クーラーは、電解質回路の外部に、または電解質容器の内部に直接に配置してよい。電解質を外部で循環させる必要がないため内部配置が有利である。
【0031】
特に、比較的大きく重いシリンダカソードについては周波数制御ドライブを用いるのが有利である。これは、ジャークなしで、回転速度を徐々に上げながら、電池を起動させることが可能なばかりでなく、動作回転速度を変化させ、特定の電解プロセスに最適に適合させることも可能とする。
【0032】
シリンダカソードは、特殊鋼からなるのが好ましい。沈殿金属を除去するのにやや円錐の設計が利点を与える。円錐シリンダカソードの場合であっても、シリンダの高さ全体にわたって均一な電流密度分布を得るために、アノードまたはアノードポケットは、シリンダカソードの円錐に適合するよう傾斜をつけて配置する。
【0033】
アノードストリップは、貴金属、貴金属混合酸化物またはドープドダイアモンドでコートされたバルブ金属チタン、ニオブ、タンタルまたはジルコニウムからなるのが好ましい。用いるセパレータは、イオン交換膜またはマイクロポーラスプラスチックフィルムである。
【0034】
図2に、2つの異なる半電池を備えた形態の回転シリンダカソードによる提案された電解電池の好ましい実施形態を示す。左手の半電池aは、分割されていない電池部に相当し、右手の半電池bはセパレータにより分割された電池部に相当する。電解質容器1は、換気開口部を備えた支持管2上に配置されている。ドライブ4が配置された保護内部は、液密の電解質容器の基部に接続された内部保護管により形成されている。ドライブシャフトは、液密および気密に、内部カバー6を通して動き、固定要素7を用いてシリンダカソード5に接続されている。分割されていない電池の場合には、ストリップアノードは、壁に固定され、カソード側に向かって開いたアノードポケット11に配置および保持されている。アノードに対する電流供給導体10は、容器壁を通して横へ導かれている。分割された電池の場合には、ストリップアノード9は、全ての側が閉じたアノードポケット8に配置されている。
【0035】
カソードに面したアノードポケットのその側にはセパレータ13が含まれている。カソード液の入口および出口は、電解質容器の壁を通して直接動くが、アノード液は、外側リングライン17を介して個々のアノード液入口16へ分配され、アノード液出口18およびリングライン19を介して再び放出される。クーラー12は、電解質容器の壁とアノードポケットの間に配置される。シリンダカソードに対する電流供給20は、滑り接触21によってなされる。電解質容器はカバー22により閉じられる。
【0036】
シリンダカソードは、周速が2〜10m/sとなるような回転速度で回転する。カソード表面で得られる見かけのパルス周波数は、この周速および回転シリンダカソード周辺に配置されたアノードポケットの数に依存している。均一な分配と仮定すると、表Iに示された見かけのパルス周波数は、アノードポケット数の関数の結果である。
【0037】
アノードポケットの配置および幾何構成を、回転カソードの周速と組み合わせて選択すると、幅を制限してカソード表面に形成される周波数および電流密度パルスの形態を変え、当該のカソードプロセスの要件にそれらを好適に適合させることが可能である。固定カソードでのパルス直流による電解に比べて、ロータと電解質間の高い相対速度、同様に乱流増大内部構造はさらに、物質移動および金属沈殿の一貫性に有利に影響する。従って、本発明による電解電池において、特定の電気めっき用途についてパルス直流およびかかる電流を生成するのに必要とされる複雑な電子回路によってのみ得られるような、カソード金属沈殿に少なくとも良好な肯定的な影響が得られる。
【0038】
さらに、使用済み酸洗い溶液から金属を回収する、例えば、酸洗い剤残渣(ペルオキソ二硫酸塩、過酸化水素)をまだ含有している溶液から銅を回収する場合に、本発明による方法および好ましくはこの方法に用いられる電解電池によれば、パルス逆転によるパルスめっきの場合にのみ知られているような金属沈殿に関して、同様に肯定的な影響が得られるということを意外にも知見した。アノードポケット間の距離を十分に広くし、電流隔膜により電流ラインをほぼ完全に遮蔽したため、密度が事実上ゼロのカソード領域において、まだ存在している酸洗い剤がカソード表面を通る。微細粒子、例えば、樹枝状結晶の形態で成長する銅粒子を、まだ存在する酸化剤により再び完全にまたは部分的に溶解させることができる。これは、電解電流の極性を短時間逆転させることによるパルス逆転でのパルスめっきの場合に得られるのと事実上同じ効果である。その場合、部分再溶解が、短いアノード負荷によりなされる。この場合、電解電流の短時間の「見かけの」切断によって、残存している酸化剤による金属粒子の部分再溶解につながる。しかしながら、パルス逆転によるパルスめっきの場合とは異なり、この場合には、既に沈殿した金属の再溶解により生じる電力効率損失はない。むしろ、再溶解は、過剰の酸化剤の等価分解に結びつく。カソード還元させる必要はもうないため、金属沈殿の電流効率と過剰の酸化剤の減少は変わらないままであるが、パルス逆転によるパルスめっきの場合には、電流効率が永続的に減少する。
【0039】
ストリップアノードは、金属回収のための回転カソードで以前から公知の電解電池のいくつかで既に使われていた。例を挙げると、エクスパンデッド格子として従来用いるのに好適ではない、例えば、炭素または鉛の垂直バーまたはシート金属セグメントが、アノード材料に用いられている。しかしながら、これは、本発明の趣旨からすると、パルスカソード電流を生成するとは見なされない。従って、これらの電池では、好適な距離比を選択し、電位遮蔽内部構造を用いることによって急なパルス側面の顕著なパルスに着目もされていなかった。その結果は、良くても、近接するアノードの電流密度プロフィールの重畳により生じた意図しない僅かのパルスであった。金属沈殿の一貫性に特に大きな肯定的な影響は与えない。
【0040】
本発明によるパルスカソード電流による金属回収の新規な方法および装置は、はじめに述べた公知の方法および装置によるよりもより効率的に金属を回収できるばかりでなく、アノードプロセスとの新規な方法の組み合わせを達成し、かつ/または公知の組み合わせのプロセスもより経済的に実施することも可能とする。表面処理に通常用いられる、銅、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、カドミウム、クロム、鉛、錫、レニウム、銀、金、白金およびその他貴金属のような金属全てをカソード回収することができる。更なる貴金属を強酸溶液から回収することができるが、金属によっては、低酸含量に設定し維持する必要がある。この場合、分割されていない、または分割された電解電池をバッチまたは連続操作で用いるときは、平均カソード電流密度2〜10A/dm2で実施することができ、当該の金属をよりコンパクトに沈殿させながら、10mg/lという低い減少レベルを達成することが可能である。
【0041】
エッチングまたは酸洗い溶液からの金属の回収の場合は、残渣酸化剤、主に、ペルオキソ一硫酸塩およびペルオキソ二硫酸塩(以降、ペルオキソ硫酸塩と呼ぶ)および過酸化水素はさらにカソードで還元される。これは、排出液処理中に好適な還元剤を添加することによりこれらの酸化剤を破壊することを防ぐことができる。同時に、設定された電解条件下で沈殿できない、または金属形態で完全に沈殿できない金属を、高原子価から低原子価に変換する。これは、例えば、毒性のあるクロム(VI)化合物が存在する場合に重要であり、カソード還元されるとクロム(III)化合物が形成されて、水酸化物として容易に沈殿させることができる。フッ化水素酸を含有する酸洗い溶液(ステンレス鋼酸洗い)中の鉄(III)化合物の場合には、例えば、フッ化水素酸のかなりの錯化作用によりFeF3錯体が形成されるるという問題がある。この錯体は破壊され、フッ化水素酸はカソード還元により放出されて鉄(II)化合物を形成する。これは、公知の回収プロセス、例えば、遅延、を利用可能とさせたり、かつ/または排出液処理中の問題を減らす。
【0042】
アノードでは、金属回収中、酸素は主に塩素を含まない溶液から現れる。しかしながら、アノード反応を用いて、酸化および酸洗い剤を生成または再生、または酸化により無機および/または有機汚染物質まで完全または部分的に分解する組み合わせプロセスが特に有利であることが分かった。この場合、例えば、金属シアン化物溶液中のシアン化物が酸化により分解される場合と同様に、アノード酸化化合物がカソードで再び還元できない場合には、電解を分割されていない電池で実施することができる。一方、可逆酸化還元系が存在する場合には、分割された電解電池を用いるしかない。
【0043】
この場合、アノードで分解できる汚染物質とは、自身が毒性作用を有するため、排出液に入ってはならないか、あるいは重金属と結合して錯体を形成するかのいずれかの、広い意味での無機または有機化合物と考えられ、その結果、ほぼ完全に回収するのがより困難となるばかりでなく、排出液処理における所定の限界値に従うことが不可能となったり、追加の処理工程、例えば、有機硫黄化合物の沈殿等も必要となる。しかしながら、錯化剤は、特に、金属の表面処理においては非常に重要な役割を演じ、本発明の好ましい応用領域である。
【0044】
分割された、または場合によっては分割されていない電解電池におけるアノードでは、無機および有機錯化剤、例えば、シアン化物、チオシアネート、チオウレア、ジカルボン酸、EDTA、イオン化合物、例えば、硫化物、二酸化硫黄、チオ硫酸塩および亜二チオン酸塩、窒素化合物、例えば、亜硝酸塩、特に、アミンを酸化により分解することができる。酸洗い溶液中、酸化剤としての過酸化水素は、カソード還元ばかりでなく、酸化によりアノード分解もされて酸素を形成する。
【0045】
本発明による方法および装置を、ペルオキソ硫酸塩ベースの使用済み酸洗い溶液の再生に用いると、全く新しい可能性が得られる。この種のペルオキソ硫酸塩を含有する酸洗い溶液は、主に、銅および銅合金を酸洗いするのに用いられる。しかしながら、その他の金属、例えば、貴金属、特殊鋼および特別な金属、例えば、チタンの表面処理にも用いることができる。この種の使用済み酸洗い溶液を再生する問題は、圧縮形態にある金属の回収に必要とされる電解条件と、ペルオキソ二硫酸塩の再酸化に必要とされる電解条件が、これまであまりにも異なるため、単一の電解電池において組み合わせることができなかったことである。
【0046】
例えば、ペルオキソ二硫酸塩を形成するにあたって、一方で、高酸素過電圧によるアノード酸化分離を抑制し、他方ではペルオキソ一硫酸塩を形成するために効率のよい還元加水分解を最小にするために、特に、以前は、平滑で明るい表面と、少なくとも40A/dm2の高アノード電流密度と、さらに、少なくとも50A/lの範囲でできるだけ高いアノード電流濃度を備えた特殊な白金アノードを用いる必要があった。一方、圧縮金属沈殿については、板型電極を供えた標準の金属回収電池においては、1〜2A/dm2の範囲の低電流密度が必要である。しかしながら、これは、一方で、ペルオキソ二硫酸塩形成において十分に高い電流効率を達成し、他方で、圧縮形態の金属をほぼ完全に回収するために、アノード電流密度が、カソード電流密度の20〜40倍でなければならないということを意味する。
【0047】
これらの矛盾する電解条件を単一の電解電池で組み合わせることはこれまで不可能であった。銅および銅合金用のペルオキソ二硫酸塩酸洗い溶液の再生の場合には、例えば、現在公知の従来技術には次の2つの異なる方法がある(非特許文献2):
1.主要量の溶解した銅を、低電流密度で、上流の金属回収電池において圧縮形態で沈殿させ、次に、ペルオキソ二硫酸塩を、下流の特別のペルオキソ二硫酸塩再利用電解電池において高アノード電流密度で再酸化させる。
2.銅を圧縮形態で沈殿させずに行うことができる場合には、高アノードおよびカソード電流密度で分割された過硫酸塩再生電解電池において電解を実施する。銅は、水素が発生した領域のカソードで粉末形態で沈殿する。これには、銅粉末をできる限り完全に放出させ、カソードスペースがカソード上のスポンジ状銅付着物によりブロックされるのを防ぐために、複雑な濯ぎおよび除去プロセスが必要である。
【0048】
パルスカソード電流を用いることによって金属を沈殿させる方法および装置を用いる場合には、電解電池において必要とされる異なる電解条件は、良好なアノード電流効率およびカソードでの金属の圧縮沈殿を行える1つの電解電池においてペルオキソ硫酸塩酸洗い溶液を再生することができるよう互いに十分近づくことを知見した。この目的で、使用済みペルオキソ二硫酸塩を白金またはドープドダイアモンドでコートされたアノードで、20〜100A/dm2の範囲の電流密度および50〜500A/lの電流濃度で完全または部分的にアノードで再生するために、まず、溶解金属を、使用済みペルオキソ二硫酸塩酸洗い溶液からカソードで完全または部分的に沈殿させ、同時に未反応ペルオキソ硫酸塩を還元して、硫酸塩を形成する。
【0049】
パルスカソード電流によって、パルス効果と、存在する未反応のペルオキソ硫酸塩によりパルス間で樹状突起の形態で沈殿する金属フラクションの部分的再溶解の両方のために、金属の圧縮沈殿のために維持すべき最大電流密度が、アノードで必要とされる高電流密度により近づく。個々のアノードポケットへアノードスペースを分割する本発明によれば、単純なやり方で必要な高アノード電流濃度を維持することができる。最終的に、ドープドダイアモンドでコートされたアノードを用いる結果、ペルオキソ二硫酸塩形成の最良の電流効率に必要な電流密度を最小にし、このやり方でカソードで必要な電流密度により近く移動することが可能である。
【0050】
このようにして再生された酸洗い溶液は、酸洗い速度ができる限り一定に維持できるような量で酸洗い浴で連続的に計測されるのが好ましい。この場合、ペルオキソ二硫酸塩の形成は、酸洗い剤として一般的に用いられているペルオキソ二硫酸ナトリウムに限定されない。金属マグネシウム、亜鉛、ニッケルおよび鉄のペルオキソ二硫酸塩を、自身で、またはペルオキソ二硫酸ナトリウムと混合させてアノード再酸化させて、酸洗い目的で用いることも可能である。必要な金属硫酸塩は、酸洗い溶液に添加するか、または、酸洗い浴における合金成分(例えば、黄銅酸洗いの場合には硫酸亜鉛))のレベルが増大した結果、合金の酸洗い中に形成される。
【0051】
これら全ての金属硫酸塩/ペルオキソ二硫酸混合物の共通の特徴は、ペルオキソ二硫酸形成の十分に高い電流効率を達成するために、カソード前処理酸洗い溶液は、好ましくは、2〜5mol/lの硫酸塩濃度(金属硫酸塩と硫酸の濃度の合計)を有しているということである。さらに、電位を増大させることが知られた物質、例えば、チオシアネートを添加することができる。
【0052】
分割された電解電池を用いる場合には、同じ量の同じ電解質溶液をカソードとアノードスペースに連続して通過させることが可能なばかりでなく、異なる組成の処理溶液または異なる量比で同じ処理溶液をアノードおよびカソードで電解することも可能であり有利である。これによって、利用可能なアノードまたはカソード電流容量をできる限り完全に利用する目的で、カソードまたはアノードで変換される成分供給をより好適に調整することができる。
【0053】
イオン交換膜をセパレータとして用いる場合には、プロセス全体の効率を増大するために、最良のプロセス管理を達成するために示されたアノードおよびカソード反応に加えて、物質移動を利用することも可能である。例えば、カチオン交換膜を用いる場合には、アノード液を形成する金属カチオンの減少を良好な結果を得るために用いることができ、アニオン交換膜を用いる場合には、カソード液からのアニオンの対応の減少を良好な結果を得るために用いることができる。例えば、安定FeF3錯体を含む酸洗い溶液のカソード処理によって、3価の鉄を2価の形態に還元することにより、錯体形態で結合されたフッ化水素酸を放出することが可能なばかりでなく、アニオン交換膜を用いるときは、フッ化物イオンをカソード液から減少させて、アノード液に移動することも可能である。この結果、カソードスペースを介して除去される使用済みフッ化物含有鉄(III)酸洗い溶液、およびアノードで再酸化される酸洗い溶液の主要流れに戻されるこれらのフッ化物イオンの部分流から錯体形態で結合されたフッ化物イオンを放出する選択となる。
【0054】
カソードおよびアノードスペースにおける異なる電解質溶液について更に可能な用途としては、望ましくない種類のイオンの移動を、いずれの場合も他方の電極スペースにおいて防ぐことが挙げられる。例えば、カチオン交換膜をセパレータとして用い、アノードスペースを塩化物を含まない「バリア電解質」に供給する場合、アノードで望ましくない塩素を発生させることなく、塩化物ベースのカソード溶液から金属を回収することができる。例を挙げると、硫酸または硫酸塩、例えば、硫酸ナトリウムを含有する溶液をこの目的に用いることができる。このようにして、塩素のアノード発生を実質的に抑制できるばかりでなく、さらに、金属カチオンをアノードスペースに移動することにより、金属のカソード沈殿により放出される酸の一部を、移動した金属イオン、例えば、ナトリウムイオンにより緩衝させることもできる(塩化物ベースのニッケル電解質からのニッケルのカソード沈殿の場合に)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
本発明の非常に広範な可能な用途を、選択した適用例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0056】
図2aに示す分割されていないパイロットスケールの電解電池を用いて、処理溶液から金属を回収した。技術的データは以下の通りである。
電極材料:特殊鋼カソード、チタンアノード、白金コートされたもの
カソード表面積:2500cm2(カソードシリンダ活性高さ400mm、平均直径200mm)
アノード表面積:480cm2(400x10mmの2つのアノードストリップをそれぞれ含む6個のアノードポケット
回転速度:300rpm(周速約3.1m/s)
アノード−カソード距離:平均40mm
アノードポケット:幅約65mm、側壁高さ約15mm
【0057】
約50lの電解質溶液を、バッチモードで電解電池を通して貯蔵容器から循環させた。電解を100Aで行った。硫酸塩ベースの電解質中様々な実質的に塩化物を含まない金属塩溶液を用いた。金属を圧縮形態で沈殿させた。最も重要なデータを表IIにまとめてある。
【実施例2】
【0058】
実施例1の電解電池において、銅用の50lの使用済み硫酸−過酸化水素酸洗い溶液を電解した。30g/のCu(約0.48mol/l)、4.4g/lのH2O2(約0.13mol/l)および115g/lの遊離硫酸の58l出発量。電解を100Aで17時間実施した(電流導入約29.3Ah/l、電池電圧3.9V)。電解した溶液は0.3g/lの銅と0.1g/lのH2O2をまだ含有していた。低残渣濃度にも関らず、沈殿した銅は、圧縮固着形態であった。銅沈殿および過酸化水素還元の2つのカソード反応の合計に基づいた見かけの電流効率は116.5%となった。実際の高い見かけの電流効率の理由は、過酸化水素の一部がアノードで酸化されることである。銅の回収に基づいた、85.8%の電流効率はまだ比較的高かった。
【実施例3】
【0059】
1.5lのシアン化物ベースの銅溶液を、実施例1と同様に構築した分割されていない実験室規模の小試験電池にて、16Aの電流強度で17時間電解した。20cm2の4つのアノードストリップは、白金コートチタンからできており、シリンダカソードは、565cm2の活性カソード表面積を有している(直径90mm、活性シリンダ高さ200mm)。平均電池電圧は3.8Vであった。出発溶液は、過剰の7.6g/lのシアン化ナトリウムと共に71g/lの銅(Na2[Cu(CN)3])の形態で結合された)を含有していた。図3に、銅および遊離シアン化物の濃度と、電解時間の関係を示す。最初、銅のカソード沈殿は、アノード酸化により分解できるよりも、錯体形態で結合したシアン化物が多く放出される。遊離シアン化物の最大濃度は、電解時間2.5時間後にのみ達する。すると、カソードで放出されるよりも多くのシアン化物が酸化により分解される。銅ベースだと、電流効率は残渣含量0.2g/lについて僅か16.5%であるが、毒性シアン化物は低残渣含量0.3g/lは別にして溶液から除去された。
【実施例4】
【0060】
実施例3の電解電池で、金の処理からの1.5lのシアン化物ベースの廃液を、酸化によりシアン化物を実質的に分解し、残存する金を回収するために電解した。出発溶液は21g/lの遊離シアン化物および約0.8gの金を含有していた。電池電圧3.5V、16Aで15時間電解を行った。実質的に解毒された廃液は残渣量5ml/gの金と15ml/gのシアン化物しか含有していなかった。
【実施例5】
【0061】
銅−ペルオキソ二硫酸塩酸洗い溶液の廃液の処理を、図2aに示すように構築した工業電解電池で、特殊鋼でできたシリンダカソード(直径約400mm、活性高さ約600mm)で500Aにて行った。12個のアノードポケットが周辺に均一に分配され、カソード側に向かって開いていた。各ポケットは、600×8×1.5mmの2つの白金−チタンストリップアノードを備えていた。アノード−カソード距離は30mm、アノードポケットの側壁からカソードまでの距離は約15mmであった。白金被覆は、HIP溶接により適用された厚さ40μmの白金ホイルからできていた。アノード電流密度は43.4A/dm2、平均カソード電流密度は6.6A/dm2であった。以下の組成の105lの使用済み酸洗い溶液を電池を通して回路にポンピングした。
【0062】
銅およびペルオキソ硫酸塩(ペルオキソ二硫酸ナトリウム(NaPS)として検出)のモル濃度の関係を電解の16.5時間にわたってモニターした。図4に示してある。
【0063】
この図は、銅およびペルオキソ硫酸塩のモル濃度降下を個々に、かつ累積的にプロットしてある。2つのカソード反応の合計についての100%の電流効率直線もまた比較の目的で図に含めてある(点線)。
【0064】
約2.5時間後、全てのペルオキソ硫酸塩が還元されたので、銅沈殿の電流密度は約100%である。銅含量が約0.01mol/lまで落ちたときのみ、Cu含量の減少が理論より大幅に低くなる。この範囲内でのみ、水素が大いに共分離する。6.5時間の電解時間後、銅濃度は約0.06g/lまで落ちた。2つのカソード反応の合計についての累積的な電流効率は83.8%のままである。
【実施例6】
【0065】
実施例5に従って500Aであるが、図2bに示す分割設計の工業電解電池を用いた。このために、アノードポケットを、ナフィオン(Nafion)450型のカチオン交換膜によりカソード液から剥がした。アノード液は、12個全てのアノードポケットを平行に流れた。アノード液の全容積(12個全てのアノードポケットの含量)は、わずか1.5lであり、333A/lの高アノード電流濃度に達した。電解電池(バッチモード)のカソードスペースを通る回路においてポンピングされた使用済みペルオキソ二硫酸塩−銅酸洗い溶液を電解した。出発溶液は以下の組成であった。
【0066】
銅が既に前のサイクルでカソード除去された酸洗い溶液を平均11.3l/hの計量速度でアノードスペースを通過させた(連続モード)。以下の組成を有していた。
【0067】
硫酸と硫酸ナトリウムを含む硫酸塩濃度の得られた合計は、4.4mol/lであった。0.3g/lのチオシアン酸ナトリウムを、電位増加電解質添加剤として計量したアノード液中に溶解した。
【0068】
以下の組成の以下の電解質量で電解を4時間15分行った。
【0069】
回収された銅の総量(約1200g)の約98%が圧縮平滑形態で沈殿した。濃度プロフィールは、図4に示すものに相当する。残渣銅含量が約0.4g/lより低くなった後にのみ、スポンジ状コーティングの薄膜が形成された。電解の最終段階においては、水素のみが発生した。次のバッチサイクルのために充填している間、この上部のスポンジ状銅層を、次の電解期間中に固着形態で再び沈殿させるために、まだ存在しているペルオキソ硫酸塩により再び溶解した。
【0070】
1回の電解サイクルで形成された、電流密度71.4%に対応するペルオキソ二硫酸ナトリウムの総量は6,740gであり、1,187gの銅が沈殿した。平均電池電圧は6.2Vであった。ペルオキソ二硫酸塩の形成のみに基づくと、特定の電解直流消費は1.95kWh/kgとなった。この手順により、酸洗いプロセスで消費されたペルオキソ硫酸塩の全量が再生された(完全再生)。分解および飛沫同伴は、カソード回収に利用される銅の量よりも大幅に多い過硫酸ナトリウムが酸洗いプロセスで消費されるということを意味するため、消費されたペルオキソ二硫酸塩の完全再生には、銅の回収(未反応のペルオキソ硫酸塩の還元も含む)に必要とされるよりも大幅に高いアノード電流容量が必要である。完全再生の場合には、この差を、各サイクルの最後に主に水素がカソードで発生するという事実により補う。合計で30回の電解サイクルを行った後(電解時間合計は約128時間)、カソードを取り出し、合計で約36kgに達する圧縮形態で成長した銅を除去した。
【実施例7】
【0071】
実施例6とは異なり、利用可能な全カソード電流容量を銅の回収に用いた。しかしながら、この場合、アノード電流容量は、酸洗いプロセスで消費される過硫酸塩の全量を再酸化するには不十分であった。差は、ペルオキソ二硫酸ナトリウムを計量することにより補わなければならなかった(部分再生)。これを行うには、実施例6に従って電解電池を用いて、次の手順を行った。実施例8と同じ組成の使用済み酸洗い溶液を連続的にカソードへと計量し、同様に連続して下流のアノードスペースへ通過させた。スポンジ状銅の沈殿を避けるために、カソードスペース中の銅濃度が1g/lより下がらないように計量速度を調整した。平均して、15.8g/lの酸洗い溶液を(アノード液出口)で計量した。5g/hのチオシアン酸ナトリウムを、カソード液へ計量し、電位増大添加剤としてカソードスペースからアノードスペースへ通過させた。再生酸洗い溶液は、101g/lの過硫酸Naを含有しており、残渣銅含量はなお1.1g/lあった。毎時間、371gの銅が沈殿し、1596gのペルオキソ二硫酸ナトリウムが再生された(71.9%の電流効率)。しかしながら、実際、約2500g/lのペルオキソ二硫酸ナトリウムが酸洗いプロセス中で消費された(約55%の回収された銅の量に基づく有用度)。異なる量の904g/hを、400g/lのNaPSを含有する濃縮物(約2.3l/h)の形態で計量した。このようにして、酸洗い浴からの酸洗い溶液の飛沫同伴損失を同時にほぼ補った。
【実施例8】
【0072】
電気めっき銅−ニッケルコーティングを検出するためのペルオキソ二硫酸塩の脱金属溶液を、電解電池および実施例6と同様の手順(カソード液回路、アノード液スルーフロー)を用いて再生した。消費された硫酸塩ベースの脱金属溶液は、160g/lの遊離硫酸に加えて、52.7g/lの硫酸銅(約21g/lのCu)、199g/lの硫酸ニッケルおよびNiS2O8として計算したときに45g/lのペルオキソ硫酸ニッケル(ニッケルは合計で86g/l)を含有していた。銅(残渣含量<0.1g/l)のほぼ完全な回収をカソードでバッチモードにて行った。50lのカソード処理された溶液は210g/lの硫酸および225g/lの硫酸ニッケルを含有していた。電位増大添加剤の添加後、500Aでのアノード電解を4時間30分行った(計量された量は約11.1l/h)。電池電圧は6.2Vであった。再生脱金属溶液は、電流効率69.4%に対応して、146g/lのペルオキソ二硫酸ニッケルを含有していた。
【0073】
ニッケルは強酸カソード液中で金属形態で沈殿せず、ニッケルは一定して溶解するため、銅が除去されたカソード溶液の一部が回路から周期的に放出されなければならない。実施例1に従って、ニッケルを分割されていない電解電池において回収した。
【実施例9】
【0074】
分割された電解電池の白金−チタンアノードストリップ(実施例6〜8)を、ボロンドープダイアモンドコーティング(12個のアノードポケットはそれぞれ600×13mmの2つのアノードストリップを有していた)を備えたニオブから作成されたアノードストリップに代えた。出発溶液の組成および試験条件は、実施例6で用いたのと同様であった(500A、カソード液循環、アノードスペースを流れる)。平均して、15.5l/hのカソード処理溶液をアノードスペースへと計量した。アノード電流密度は27A/dm2、電池電圧は6.0Vであった。電位増加添加剤なしで、電流効率68.4%に対応して、NaPS含量98g/lで再生を行った(比電気エネルギー消費約2.0kWh/kg)。
【実施例10】
【0075】
銅用の使用済み硫酸−過酸化水素酸洗い溶液は、33g/lの銅、115g/lの遊離硫酸、7.5g/lの過剰の過酸化水素および有機安定化剤および錯化剤(1.5g/lのCOD)を含有していた。処理中、銅を回収し、過剰の過酸化水素を分解するばかりでなく、有機構成成分も酸化により実質的に分解することも目的とした。ダイアモンドコートのアノードを備えた実施例9の分割された電解電池において、いずれの場合においても、この溶液50lをまずアノード処理(バッチモード)してから同様にしてカソード処理した。
【0076】
電解を500Aで3時間実施した。ダイアモンドコート電極でのアノード処理中、過酸化水素が目視上完全に分解されただけでなく、COD含量もまた約10mg/lまで還元された。後のカソード処理中、銅含量は約0.1g/lまで減少した。回収された銅に基づいて約93%の電流効率が得られた。
【実施例11】
【0077】
化学ニッケル廃液は、5.9g/lのニッケルと大量の未反応の次亜リン酸塩、亜リン酸塩および有機錯化剤を含有していた。酸化可能な物質の合計はCOD値(COD含量約62g/l)として求めた。実施例10と同様にして、50lの溶液をまずアノードで処理してからカソード処理した。回路電解をアノードで24時間行った。このプロセスにおいて、COD値を2.1g/lまで減少させることができた。有機錯化剤の大半は、酸化により分解され、次亜リン酸塩または亜リン酸塩は酸化されてリン酸塩を形成した。CODの減少に基づいて、電流効率は約84%となった。カチオンの移動のために、酸含量は増大し(pH=0)、ニッケル含量は3.1g/lまで落ちた。得られた溶液は、ニッケルの沈殿に好ましいpH4〜5の範囲に保つような量でカソード液回路へと計量した。残渣ニッケル含量は<0.1g/lであった。
【実施例12】
【0078】
実施例6に従った分割された電解電池は、イリジウム−タンタル混合酸化物でコートされたチタンでできた600×60×1.5mmの12個の新しいストリップアノードを備えていた。従って、アノードポケットは、利用可能な全幅を利用し、その結果、アノード電流密度は500Aの最大電流負荷で11.6A/dm2まで減少した。
【0079】
以下の手順を用いて、銅材料用の鉄(III)塩化物エッチング溶液を再生した。カソード液を電池のカソードスペースを通した再循環容器から循環させた。銅が大幅に濃縮あされた使用済みエッチング溶液の部分流を、この回路へと連続的に計量し、確立された(銅は実質的に減少し、塩化鉄(III)は塩化鉄(II)に還元された)安定した濃度のカソード液のオーバーフローを流体力学的に平行に接続されたアノードスペースへと通過させた。加えて、使用済みエッチング溶液の更なる部分流をアノードスペースへと直接計量した。
【0080】
以下の濃度および量の比を設定または測定した。5.7l/hの酸洗い溶液をカソード液回路へと計量し、34.3l/hの酸洗い溶液、プラスカソード液循環(膜を通して約0.7l/hの水の移動)からの6.4l/hのオーバーフローをアノードスペースへと直接計量した。約40l/hの再生エッチング溶液がアノードスペースから現れた。以下の濃度を安定した操作状態で確立した。
【0081】
【表1】
【0082】
合計で、平均363g/hの銅がカソードに沈殿し(約61%の電流効率)、酸洗い浴中で消費され、カソードスペースで還元されたFe3+の979g/lの塩化鉄(III)を再酸化した(アノード電流効率は約94%)。
【実施例13】
【0083】
ニッケル含量が65g/l、塩化物総含量が37g/l Cl-の消費された塩化物ベースのニッケル浴(ワッツ浴)を、Ir−Ta混合酸化物でコートされたアノードを備えた実施例12の電解電池のカソードスペースを通してバッチモードで循環した。水酸化ナトリウム溶液を加えることにより、pHを4−5に緩衝させた。用いたアノード液は、バッチモードでアノードスペースを介して同様に循環させた約200g/lを含有する硫酸で硫酸ナトリウムの廃液であった。ニッケルを、約0.1g/lの残渣レベルまでカソードで減少させた。Na+イオンを、カチオン交換膜を通して移動し、ニッケル沈殿により放出された酸を中和した結果、pHを示した範囲内に保持した。ニッケル沈殿の平均電流効率は約72%であった。主に、酸素をアノードで分離した。逆拡散のために塩化物イオンの移動速度と逆の方向のアノードスペースへと僅か約0.2%の塩化物しか通らないため、少量の塩素しかアノードで発生させることができなかった。少量の塩素は、アルカリオフ−ガススクラブにより除去するのは容易であった。
【実施例14】
【0084】
銅用の消費された硫酸−硫酸鉄(III)酸洗い溶液を、実施例12に従った電解電池によって再生した。この目的で、22l/hに達する使用済み酸洗い溶液の部分流をまず、カソードスペースを介して、銅がカソード沈殿した後、電池のアノードスペースへ供給した。さらに、158l/hに達する使用済み酸洗い溶液の大きな部分流をアノードスペースへと直接計量した。合計で180l/hに達する再生溶液を酸洗い浴に戻した。供給および放出溶液の組成は次の通りであった。
【0085】
【表2】
【0086】
回収された銅の総量は553g/hであった(電流効率約93%)。再酸化硫酸鉄(III)は、酸洗い浴においてほぼ同量の銅を再溶解するのに十分である。
【実施例15】
【0087】
白金含有材料(白金ブラックのコーティングを有する粉砕グラファイト電極材料、Pt約1.6%)から白金を回収するための手順は次の通りであった。200g/lの硫酸および約30g/lの塩酸を含有する1000lの抽出溶液を、電解電池(実施例12に従った)のアノードスペースおよび抽出される出発材料を100kg含有する攪拌容器を介して循環させた。溶解形態の遊離の塩素含量が約2g/lを超えないように電流強度を設定した(電流強度は初期レベル500Aから100Aまで段階的に減じた)。白金は六塩化白金酸塩として溶解した。白金含量をモニターし、成長がみられなくなった後、約15時間後に電解を終えた。白金の最終濃度は1.6g/lであった。固体が分離された後、白金含有溶液を次のサイクルでカソード液として用い、電池のカソードスペースを介して循環した。白金は主に圧縮形態で沈殿した。サイクルの直後に粉末形態で沈殿した白金を、まだ遊離の塩素を含有する次のサイクルの抽出溶液を充填する間、まず再溶解し、次に、電解電池をオンにした後、再び沈殿させた(圧縮形態で)。96%の含量で1530gの白金を回収した。
【実施例16】
【0088】
硫酸鉄(III)−塩酸に基づいて特殊鋼酸洗いを再生するために、実施例12の電解電池にNeosepta ACS型のアニオン交換膜を装着した。消費された酸洗い溶液は以下の安定組成を有していた(遊離酸について、硫酸として計算した金属、ただし、実際に一部はフルオロ錯体として存在)。
【0089】
電解電池に、合計で11.9l/hの酸洗い溶液を供給した。これに、9.5l/hをアノードスペースに直接供給し、2.4l/hを安定カソード液循環へと計量した。
【0090】
アニオン交換膜を介して、遊離で、鉄(III)イオンのカソード還元により、または金属のカソード沈殿により放出された酸は減少し、アノード液へ移動した。鉄−ニッケル−クロム合金の沈殿に必要なpH3−4をカソード液回路で確立した。金属の含量が大幅に減じたカソード液を同様にアノードスペースへ通した。酸洗い浴に存在する近似組成の約271g/hの特殊鋼合金を沈殿させた(約70%の電流効率)。アノードで、消費されカソード還元された鉄を再酸化して、硫酸鉄(III)を形成した。再生酸洗い溶液は以下の組成であった。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】様々な幾何配置およびカソードで形成された電流密度の例を示す図
【図2】電解電池の好ましい実施形態の一例を示す図
【図3】銅および遊離シアン化物の濃度と電解時間との関係を示す図
【図4】銅およびペルオキソ硫酸塩のモル濃度と電解時間の関係を示す図
【符号の説明】
【0094】
1…電解質容器
2…支持管
4…ドライブ
5…シリンダカソード
6…内部カバー
7…固定要素
8…アノードポケット
9…ストリップアノード
10…電流供給導体
11…アノードポケット
12…クーラー
13…セパレータ
16…アノード液入口
17…外側リングライン
18…アノード液出口
19…リングライン
20…電流供給
21…滑り接触
22…カバー
Claims (21)
- アノードコプロダクションプロセスと組み合わせたパルスカソード電流によって、カソードとアノードを備え、セパレータにより分割されていない、または分割された電解電池の直流による電解によって、処理溶液および排出液から金属を回収する方法であって、
前記パルスカソード電流が、別個にまたは群で結合されて、カソード表面に平行または同心状の固定位置に配置された幅2〜100mmのストリップに分割されるアノードにより生成され、前記分割されていないカソード表面が、前記アノードストリップの長手範囲に垂直な方向に1〜10m/sの速度で通り過ぎて動き、2つの近接する個々のアノードストリップまたはアノードストリップ群の側壁間の距離は、前記アノードストリップまたはアノードストリップ群の中心とカソードとの間の垂直距離の少なくとも1.5倍に達することを特徴とする方法。 - あるアノードストリップまたはアノードストリップのある群間が、他のものよりもかなり広い距離に設定されていることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 電流隔膜および/または電流遮断器として用いられる内部構造が、前記アノードストリップまたは前記アノードストリップ群の間のスペースに配置されている請求項1および2記載の方法。
- ・電解質容器1と、
・前記電解質容器に配置された少なくとも1個の回転シリンダカソード5と、
・前記容器の外側に配置され、そのシャフトが前記シリンダカソード5に直接連結された少なくとも1個のドライブ4と、
・電解電流を前記回転シリンダカソードに送るための1個以上の滑り接触21と、
・前記シリンダカソード周辺に同心状に配置されたアノード6と、
・分割電池の場合に、さらに前記アノードと前記シリンダカソードとの間に配置されたセパレータ13とを含み、
アノードが、アノードポケット8、11に別個に配置される、または群となって結合された幅2〜100mmで垂直配置されたアノードストリップ6から形成され、個々のアノードポケット間の距離は、アノードストリップ間の垂直距離の少なくとも1.5倍に達し、前記カソードおよびその側壁が、アノードストリップとカソードの間の垂直距離の少なくとも25%にわたって伸張しており、電位遮蔽電流隔膜および乱流増加電流遮断器として同時に作用するということを特徴とする請求項1〜3に記載の方法を実施するための装置。 - 前記アノードポケット8が、分割電池の場合には、セパレータ13およびアノード液16のための別個の給電部および放電部を備えていることを特徴とする請求項4記載の装置。
- 前記アノードポケット8、11が、前記シリンダカソード5の周辺で不均一に分配されて、個々のアノードポケット間の距離が、その他のアノードポケット間の距離の数倍となることを特徴とする請求項4および5記載の装置。
- 前記シリンダカソード5のドライブ4が、液密および気密状態で分割されたスペースに電解液容器1の内側に配置されていることを特徴とする請求項4〜6記載の装置。
- クーラー12が前記電解質容器1の内側に配置されていることを特徴とする請求項4〜7記載の装置。
- 前記シリンダカソード5の回転速度を、周波数制御ドライブ4を用いて変えることができることを特徴とする請求項4〜8記載の装置。
- 前記シリンダカソード5が特殊鋼からなることを特徴とする請求項4〜8記載の装置。
- 前記シリンダカソード5が、やや円錐設計である請求項4〜10記載の装置。
- 前記アノードストリップ9が、白金、貴金属酸化物またはドープドダイアモンドでコートされたバルブ金属チタン、ニオブ、タンタルまたはジルコニウムのうち1種類からなることを特徴とする請求項4〜11記載の装置。
- イオン交換膜またはマイクロポーラスプラスチックフィルムをセパレータ13として用いることを特徴とする請求項4〜12記載の装置。
- 分割電池の場合に、セパレータ13を備えた複数のアノードポケット11が流体力学的に直列に接続されていることを特徴とする請求項4〜13記載の装置。
- 円錐シリンダカソード5の場合に、前記アノードまたはアノードポケットが、前記シリンダカソードの円錐に適合する傾斜をつけて前記電解質容器中に配置されているという事実により、前記電極間隔を一定に保つことを特徴とする請求項4〜14記載の装置。
- 前記カソードにおいて、
・銅、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、カドミウム、クロム、鉛、錫、レニウム、銀、金、白金およびその他貴金属からなる群からの1種類以上の金属を、圧縮形態で沈殿させ、2〜10A/dm2の平均カソード電流密度で、10mg/lという減少レベルまで下げてバッチまたは連続操作で回収し、
・追加で存在する酸化剤ペルオキソ硫酸塩または過酸化水素をカソード還元し、
・追加で存在する原子価の比較的高い金属化合物を低原子価の金属との金属化合物に変換し、
酸素は、アノードおよび/または
・生成または再生される酸化および酸洗い剤、
・酸化により完全または部分的に分解される無機および/または有機汚染物質で形成されることを特徴とする、分割されたまたは分割されていない電解電池を用いてパルスカソード電流により金属を回収するための請求項1〜15記載の方法および装置の使用。 - 使用済みペルオキソ二硫酸酸洗い溶液から、まず、溶解した金属を完全または部分的にカソード沈殿し、同時に未変換ペルオキソ硫酸塩を還元し、次に、使用済みペルオキソ二硫酸を、20〜100A/dm2の電流密度および50〜500A/lの電流濃度で白金またはドープドダイアモンドでコートされたアノードで完全または部分的にアノード再酸化し、このようにして再生された前記酸洗い溶液を酸洗い浴に戻すことを特徴とする請求項16記載の使用。
- カソード処理済み酸洗い溶液において、前記金属硫酸塩と硫酸濃度の合計としての硫酸塩濃度が2〜5mol/lであり、使用した前記硫酸塩、単体または混合物の形態のナトリウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケルおよび鉄であることを特徴とする請求項16および17記載の使用。
- 酸化により分解された前記汚染物質が、シアン化物およびシアノ化合物、有機錯化剤、硫化物、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、有機塩素系化合物、亜硝酸塩およびアミンであることを特徴とする請求項16記載の使用。
- 分割電解電池の場合に、アノードおよびカソードスペースに異なる処理溶液が供給され、カチオン/アニオン交換膜を通した物質移動を慎重に利用して、カチオン/アニオンのレベルの増減、かつ/またはアニオン/カチオンのそれぞれの場合における他方の電極スペースへの移動を防ぐことを特徴とする請求項16記載の使用。
- 金属塩化物を含有する処理溶液を、カチオン交換膜により分割された電解電池のカソードスペースにおいて電解し、アノードスペースに硫酸またはその他の塩化物を含まない溶液を供給することを特徴とする請求項16および20記載の使用。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
DE2001112075 DE10112075C1 (de) | 2001-03-12 | 2001-03-12 | Verfahren und Vorrichtung zur Rückgewinnung von Metallen, auch in Kombination mit anodischen Koppelprozessen |
PCT/EP2002/002652 WO2002072921A2 (de) | 2001-03-12 | 2002-03-11 | Verfahren und vorrichtung zur rückgewinnung von metallen mit pulsierenden kathodischen strömen, auch in kombination mit anodischen koppelprozessen |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004524443A true JP2004524443A (ja) | 2004-08-12 |
Family
ID=7677301
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002572166A Pending JP2004524443A (ja) | 2001-03-12 | 2002-03-11 | アノードコプロダクションプロセスも組み合わせたパルスカソード電流により金属を回収する方法および装置 |
Country Status (11)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20040079642A1 (ja) |
EP (1) | EP1379712A2 (ja) |
JP (1) | JP2004524443A (ja) |
KR (1) | KR20030081511A (ja) |
CN (1) | CN1289714C (ja) |
AU (1) | AU2002249264A1 (ja) |
CA (1) | CA2439061A1 (ja) |
DE (1) | DE10112075C1 (ja) |
IL (2) | IL157582A0 (ja) |
TW (1) | TW575690B (ja) |
WO (1) | WO2002072921A2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013023695A (ja) * | 2011-07-15 | 2013-02-04 | Matsuda Sangyo Co Ltd | 貴金属電解回収方法 |
JP2014040639A (ja) * | 2012-08-23 | 2014-03-06 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 金属の製造方法 |
WO2016151949A1 (ja) * | 2015-03-25 | 2016-09-29 | 住友電気工業株式会社 | 銅の製造方法及び銅の製造装置 |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005026412A1 (en) * | 2003-09-16 | 2005-03-24 | Global Ionix Inc. | An electrolytic cell for removal of material from a solution |
JP2005103498A (ja) * | 2003-10-01 | 2005-04-21 | Permelec Electrode Ltd | 化学めっき廃液の電解処理装置及び方法 |
JP2006000792A (ja) * | 2004-06-18 | 2006-01-05 | Ebara Corp | 電解析出処理装置および方法 |
DE102009004155A1 (de) | 2009-01-09 | 2010-07-15 | Eilenburger Elektrolyse- Und Umwelttechnik Gmbh | Verfahren und Vorrichtung zum Regenerieren von Peroxodisulfat-Beizlösungen |
EP2697730A4 (en) * | 2011-04-15 | 2015-04-15 | Advanced Diamond Technologies Inc | ELECTROCHEMICAL SYSTEM AND METHOD FOR PROPORTION OF OXIDIZERS AT HIGH CURRENT DENSITY |
WO2013054342A2 (en) * | 2011-07-08 | 2013-04-18 | Ganapati Dadasaheb Yadav | Electrochemical cell used in production of hydrogen using cu-cl thermochemical cycle |
CN108624913B (zh) * | 2018-03-27 | 2020-04-10 | 中国东方电气集团有限公司 | 一种工业钠熔融电解提纯为高纯钠的工艺 |
CN112760700B (zh) * | 2020-12-25 | 2022-03-18 | 铱莱科特(东莞)科技有限公司 | 用于脉冲电镀的电镀装置 |
CN112877709A (zh) * | 2020-12-30 | 2021-06-01 | 中国原子能科学研究院 | 一种连续电解制备四价铀的装置 |
CN114702108A (zh) * | 2022-03-25 | 2022-07-05 | 方义 | 一种工业废水除氮的电解装置和方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB1044776A (en) * | 1962-09-24 | 1966-10-05 | Arrigo Pini S P A | Improvements relating to electrolytic cells |
US4406753A (en) * | 1982-01-19 | 1983-09-27 | Ciba-Geigy Ag | Electrolytic metal recovery cell and operation thereof |
US4530748A (en) * | 1984-05-17 | 1985-07-23 | New Horizons Manufacturing Ltd. | Cell configuration for apparatus for electrolytic recovery of silver from spent photographic processing solutions |
AT394215B (de) * | 1988-11-15 | 1992-02-25 | Andritz Ag Maschf | Verfahren zur elektrolytischen herstellung einer metallfolie |
CH685015A5 (de) * | 1993-11-08 | 1995-02-28 | Ingbuero Und Labor Fuer Galvan | Vorrichtung zur elektrolytischen Abscheidung von Metallen mittels eines rotierenden Kathodensystems. |
-
2001
- 2001-03-12 DE DE2001112075 patent/DE10112075C1/de not_active Expired - Fee Related
-
2002
- 2002-03-11 US US10/471,690 patent/US20040079642A1/en not_active Abandoned
- 2002-03-11 AU AU2002249264A patent/AU2002249264A1/en not_active Abandoned
- 2002-03-11 CN CNB028063899A patent/CN1289714C/zh not_active Expired - Fee Related
- 2002-03-11 CA CA 2439061 patent/CA2439061A1/en not_active Abandoned
- 2002-03-11 EP EP02718186A patent/EP1379712A2/de not_active Withdrawn
- 2002-03-11 TW TW91104513A patent/TW575690B/zh not_active IP Right Cessation
- 2002-03-11 JP JP2002572166A patent/JP2004524443A/ja active Pending
- 2002-03-11 KR KR10-2003-7011829A patent/KR20030081511A/ko active IP Right Grant
- 2002-03-11 IL IL15758202A patent/IL157582A0/xx active IP Right Grant
- 2002-03-11 WO PCT/EP2002/002652 patent/WO2002072921A2/de active Application Filing
-
2003
- 2003-08-26 IL IL157582A patent/IL157582A/en not_active IP Right Cessation
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013023695A (ja) * | 2011-07-15 | 2013-02-04 | Matsuda Sangyo Co Ltd | 貴金属電解回収方法 |
JP2014040639A (ja) * | 2012-08-23 | 2014-03-06 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 金属の製造方法 |
WO2016151949A1 (ja) * | 2015-03-25 | 2016-09-29 | 住友電気工業株式会社 | 銅の製造方法及び銅の製造装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2002072921A2 (de) | 2002-09-19 |
WO2002072921A3 (de) | 2003-11-20 |
TW575690B (en) | 2004-02-11 |
CN1289714C (zh) | 2006-12-13 |
IL157582A0 (en) | 2004-03-28 |
KR20030081511A (ko) | 2003-10-17 |
CN1496420A (zh) | 2004-05-12 |
DE10112075C1 (de) | 2002-10-31 |
AU2002249264A1 (en) | 2002-09-24 |
US20040079642A1 (en) | 2004-04-29 |
CA2439061A1 (en) | 2002-09-19 |
EP1379712A2 (de) | 2004-01-14 |
IL157582A (en) | 2006-08-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4306952A (en) | Electrolytic process and apparatus | |
AU2008236636B2 (en) | Method and system of electrolytic treatment | |
US5599437A (en) | Electrolysis of electroactive species using pulsed current | |
US4088550A (en) | Periodic removal of cathodic deposits by intermittent reversal of the polarity of the cathodes | |
JP2008506035A (ja) | クロム鍍金方法 | |
JP2004524443A (ja) | アノードコプロダクションプロセスも組み合わせたパルスカソード電流により金属を回収する方法および装置 | |
US2541721A (en) | Process for replenishing nickel plating electrolyte | |
US4906340A (en) | Process for electroplating metals | |
CA2027656C (en) | Galvanic dezincing of galvanized steel | |
CA1065272A (en) | Treatment of dilute cyanide solutions | |
US3622478A (en) | Continuous regeneration of ferric sulfate pickling bath | |
USRE34191E (en) | Process for electroplating metals | |
JP2005187865A (ja) | 銅エッチング廃液から電解により銅を回収する方法及び装置 | |
KR100558129B1 (ko) | 전해질내의 물질의 농도를 조절하는 방법 및 장치 | |
JP2000256898A (ja) | ウェーハの銅めっき方法 | |
JP2003096585A (ja) | 硫酸コバルト溶液の製造方法 | |
Campbell et al. | The electrochemical recovery of metals from effluent and process streams | |
EP2606163B1 (en) | METHOD FOR THE ADJUSTMENT OF NICKEL CONTENT AND pH OF A PLATING SOLUTION | |
US3799850A (en) | Electrolytic process of extracting metallic zinc | |
EP0435835A2 (en) | Process for electroplating zinc alloy and apparatus employed therefor | |
Nidola | Electrode materials for oxygen evolution cobalt treated lead vs. commercial lead and lead alloys | |
KR101514997B1 (ko) | 귀금속 전해 회수 방법 | |
Wilcox et al. | The kinetics of electrode reactions III practical aspects | |
SU846607A1 (ru) | Анод дл ванн хромировани деталей | |
EP0043871A1 (en) | Method for removing chlorate from caustic solutions with electrolytically deposited iron and process for recovering said iron from said purified solutions |